ZENSHIN 2005/02/07(No2184 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

第2184号の目次

都政を革新する会の新春のつどいが盛大に開かれ、長谷川英憲代表が都議選に向けて必勝の決意を語った(1月23日 杉並)=記事へ

1面の画像
(1面)
全労働者の戦争協力拒否を
郵政民営化、労組破壊、教基法改悪・改憲 小泉=奥田の大攻撃粉砕しよう
今春「日の丸・君が代」闘争高揚へ
記事を読む  
安倍、中川が番組改変強要  NHKへの事前検閲弾劾
職かけた内部告発 「大本営放送」阻む闘い
記事を読む  
(2面)
東京の仲間の決起は“援軍”  広島の教育労働者は訴える
「日の丸・君が代」強制に全国で不起立を貫こう
労働者の誇りと良心にかけて〔川口 梓〕
記事を読む  
「君が代」解雇裁判 “都教委許せない”
「墨塗り」議事録に怒り(1月26日)
記事を読む  
日教組解体と「愛国心」教育への転換をむき出しで要求
経団連「教育提言」弾劾する
記事を読む  
資本攻勢&労働 日誌 2005 1・4〜1・20
日本経団連が9条改憲を提言
関生支部に大弾圧/各労組が相次ぎベア要求放棄
記事を読む  
(3面)
「効率化勧奨退職」=首切り許すな  JPU(全逓)中央委に向け訴える
郵政分割・民営化絶対阻止へ 物ダメ・ストライキで闘おう〔革共同全逓委員会〕
記事を読む  
都革新 都議選勝利へ盛況  長谷川英憲氏、熱い決意(1月23日) 記事を読む  
関西生コン支部1・13不当弾圧 緊急抗議集会に1100人
大阪府警本部に大デモ(1月23日)
記事を読む  
(4面)
日米枢軸形成し米軍と一体化 新「15年戦争」へと進む自衛隊
新防衛計画大綱の反動的大転換〔早乙女優〕
記事を読む  
海田基地 “人間の鎖”で包囲
13旅団の派兵を許すな(投稿/広島A・S)(1月22日)
記事を読む  
日誌'05 1月19日〜25日
自民新憲法起草委が初会合  ブッシュ2期目の就任演説
記事を読む  
(5面)
小泉=奥田と対決し教育・大学決戦へ
学費・サークル・寮闘争の爆発で「大学改革」粉砕を
大学の侵略拠点化許すな  マルクス主義学生同盟・中核派
記事を読む  
スマトラ沖地震と大災害
帝国主義と新植民地体制こそがこの大惨事の元凶
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
クルド難民を強制送還  「人権侵害でない」 開き直る日帝・法務省 記事を読む  
都管理職試験国籍条項訴訟 「行政裁量の範囲」と強弁
最高裁判決許すな(1月26日)
記事を読む  
党学校 『ドイツ・イデオロギー』 −学習の感想− 記事を読む  
神戸で連日の反失業総行動  国連防災会議を弾劾
“被災地労働者の団結を”(投稿/神戸・AS)(1月16〜18日)
記事を読む  
[対角線]  天皇制存続に心砕く日共 記事を読む  

週刊『前進』(2184号1面1)(2005/02/07)

全労働者の戦争協力拒否を
郵政民営化、労組破壊、教基法改悪・改憲 小泉=奥田の大攻撃粉砕しよう
 今春「日の丸・君が代」闘争高揚へ

都政を革新する会の新春のつどいが盛大に開かれ、長谷川英憲代表が都議選に向けて必勝の決意を語った(1月23日 杉並)=記事へ

 第1章 ブッシュと小泉の「世界戦争宣言」に怒りの全面対決を

 1月20日、米帝ブッシュは就任演説で世界戦争宣言を行った。そして翌21日、日帝・小泉は施政方針演説で、米日枢軸の形成を柱に戦争と民営化攻撃を全面的に展開することを明らかにした。そして日本経団連・奥田も18日、小泉の施政方針と一体の「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言」を発表した。米帝ブッシュと日帝・小泉=奥田のこの世界戦争と民営化=労組破壊の大反革命に全面対決して闘うべき時が来た。「日の丸・君が代」の強制は、日教組、都高教という教育労働者の階級的団結の砦(とりで)である労働組合を破壊することに向けられている。その上に「教え子を再び戦場に送り出す」攻撃がある。2〜3月「日の丸・君が代」攻防が完全に階級決戦の最先端だ。この教労決戦を突破口に4大産別決戦と05年決戦の勝利へ進撃しよう。
ブッシュと小泉の「世界戦争宣言」に怒りの全面対決を
 1月20日の米帝ブッシュの就任演説で世界情勢はただならぬ局面に入った。
 ブッシュの就任演説は、イラク侵略戦争の世界戦争への拡大宣言だ。1月18日、ライス新国務長官は上院公聴会発言で「圧政の拠点」としてイラン、北朝鮮、キューバ、ミャンマー(ビルマ)、ベラルーシ、ジンバブエの6カ国を名指しした。これらの諸国はアジア−アフリカの「不安定の弧」を中心に、北東アジア、中米、ヨーロッパ(旧ソ連)、アフリカにある。
 ライス発言を受けてブッシュは、就任演説でなんと、「平和のための最善の希望は全世界で自由を発展させることだ」「世界で圧政に終止符を打つという究極の目標を実現するのが米国の政策だ」と述べた。
 米帝ブッシュ(とライス)は誰にも分かるあいまいさのない表現で世界戦争を宣言している。それも「神意による民主化」だという。自由は神からの授かり物であり、米国の「召命」は、自由を世界に広め、諸国を民主化することである、というのだ。
 ブッシュは大統領選挙で、キリスト教右派のエネルギーを徹底的に利用・動員して重大な政治的勝利を収めた。キリスト教右派のファシスト的なイデオロギーを、米帝の側からの現状破壊的な世界再編=世界戦争を正当化するイデオロギーにしようとしている。
 しかもブッシュの就任演説は、イラク有志連合諸国への呼びかけであって、それ以外の独仏などは基本的に対象になっていない。
 米英日枢軸とEU(独仏)との分裂と対立を促進し、世界戦争過程を激烈に促進する内容である。
 このブッシュ就任演説の会場は1万人のデモ隊に包囲された。昨年10・17MWM(百万人労働者行進)が衝撃的に示したようにアメリカの労働者階級人民は、ブッシュの戦争と民営化に反対し階級的に決起している。さらにイラク人民の民族解放・革命戦争とそれに連動する闘いが全世界で爆発することは不可避だ。11・7労働者集会の日米韓国際連帯の地平を決定的に発展させ、米帝ブッシュと米英日枢軸による世界戦争への攻撃に、巨大な反戦闘争の爆発をたたきつけていかなければならない。
 ブッシュの就任演説と小泉の施政方針演説は深く結びついている。ブッシュの新たな世界戦争宣言を受けて、小泉は米帝・米軍と全面的に連携していく米日枢軸化の政策を根底において演説している。
 小泉は郵政民営化を本丸とする「改革の断行」を「私の本懐」と強弁し、戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃を激化させることを宣言した。これを怒りを込め徹底弾劾して闘わなければならない。
 第一に、「国民の安全の確保」と称して、さらなる治安弾圧政策と同時に、「テロ」や「弾道ミサイル」などの新たな「脅威」に対応する、「国際平和協力活動」に積極的に取り組む、と宣言した。これはイラクへの自衛隊の多国籍軍派兵を継続・拡大し、日米枢軸化と米軍再編(トランスフォーメーション)のもとで自衛隊法も改悪し、すでに開始している帝国主義侵略戦争をよりエスカレートしていくという宣言だ。
 第二に、全面的な資本攻勢と労働運動解体の攻撃だ。具体的には郵政民営化に全体の一割をさき、郵政の4分社化と職員の非公務員化を吹き上げ、07年4月に民営化する法案の今国会での成立を期すと宣言した。教育基本法改悪についても、国民的な議論を踏まえて積極的に取り組むと表明したことは、きわめて重大な攻撃である。
 第三に、介護保険制度の見直しを含め、社会保障制度の一元的一体的見直しを行うと表明した。これは戦後的な社会保障制度の解体と消費税を軸とした大増税の攻撃である。
 以上が小泉演説の核心部分である。それは、米日枢軸形成のもとで、外への侵略戦争、内への階級戦争を全面的に宣言するとんでもない大反革命である。

 日本経団連の反革命的提言

 この小泉施政方針演説と日本経団連の2つの文書、「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言」はまさに一体のものだ。
 「わが国の基本問題を考える」は、経団連が、内外のすさまじい危機の進行の中で、資本主義体制の延命をかけて、政治・経済の全面にわたって振りかざしてきた戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃であり、「第2の奥田ビジョン」とも言うべきものである。
 その最大の内容は改憲への方向性を提示したことだ。すなわち日米安保体制の堅持・強化、国連安保理常任理事国入り、東アジアとの連携をとなえた上で、憲法9条破棄、自衛隊の保持と集団的自衛権行使を明示し、さらに憲法解釈が制約になっているときや、新たな立法措置ができるなら、憲法改正を待つことなくやれることをどんどんやるべきだと主張している。また立法・司法・行政の3権分立の解体と首相権限の独裁的強化、それらの突破口として教育内容の見直し、さらに東アジア経済圏の確立を宣言している。
 「教育提言」は、改憲に向かっての最大の環として教育基本法解体を最大に位置づけている。特に第10条に階級的憎悪を集中している。これは国家による教育内容の全面支配と日教組解体の要求そのものだ。

 第2章 「日の丸・君が代」強制拒否は戦争協力拒否の闘いだ

 日帝・小泉は世界戦争過程に米日枢軸を形成して突進している。小泉=奥田のあらゆる攻撃はここから発している。その最大の核心は戦争と民営化であり、労働組合・労働運動の破壊にある。戦時下で労働者の基礎的団結形態である労働組合など認めないという攻撃だ。「日の丸・君が代」強制の狙いは、まさに日教組破壊と教え子を再び戦場に送り出す戦争教育にある。
 それに対して昨年3月、東京から感動的な決起が起きた。都高教本部の裏切り方針をのりこえたランク・アンド・ファイルの闘いである。ここに「日の丸・君が代」決戦の展望が開かれた。東京都の教育労働者は、小泉や奥田やファシスト石原の攻撃に対して、自己の階級的良心をかけて決起し、さらに労働者の階級的団結を求めて闘いを積み重ね、この1年で大きな地歩を切り開いている。これを大々的に拡大し発展させることが勝利の道だ。
 この都高教の教育労働者の決起という情勢が、NHK番組の事前検閲の問題を内部告発する決起をも生み出した。「戦争協力拒否」の闘いが陸・海・空・港湾労組20団体、特に航空労働者から始まり、都高教へ、さらにNHKに波及したのだ。「国民保護法制」などの具体化の中で、国鉄、自治体、医療、マスコミなどの労働者にこの闘いが広まることは不可避な情勢が生み出されている。
 「日の丸・君が代」強制拒否の決戦とは何か。
 @まず「03年10・23通達」との闘いである。通達は教育現場に「戦争協力」の強制を持ち込むものであり、戦後教育を全面的に否定するものである。戦後教育の柱である「人格の形成」を否定し、「愛国心」を強制するものである。
 A全労働者階級が必死で闘っている資本攻勢との闘いの一翼であり、闘って団結を取り戻す行動だ。
 B組合活動・職場闘争復権の闘いだ。それは日教組本部と文部科学省とのパートナー路線との対決であり、日教組再生の闘いだ。
 C戦争協力拒否の闘いである。日帝が自衛隊のイラク派兵を無限に延長し、さらに自衛隊の主任務を国際展開におこうとしているとき、「再び子どもたちを戦場に送らない」闘い、天皇賛美と愛国心を教え込むことを拒否する闘いだ。
 D教育基本法改悪・9条改憲攻撃との闘いである。ファシスト石原と小泉=奥田の戦争体制づくりを阻止する闘いである。
 ブッシュの世界戦争宣言と小泉の米日枢軸形成宣言に対決する日本の労働者階級の最先端の闘いが、今春「日の丸・君が代」強制拒否の決戦である。しかもこれは全労働者階級の課題である。都高教の教育労働者、全都の教育労働者はすでに決起を開始しているのだ。全力でこれと連帯し、支援しよう。職場で支援決議を上げ、都高教の職場に届けよう。地域で支援しよう。全産別で教基法改悪反対の闘いに取り組もう。
 この闘いを軸に全逓、国鉄を始めとする4大産別決戦に総決起しよう。郵政民営化阻止の血路を開こう。さらに国鉄闘争では1・29国労中央委をへて、1047名闘争の前進か解体かをかけた決戦に完全に突入している。動労千葉を先頭に05春闘を闘おう。3・20国際反戦統一行動の大高揚を闘い取ろう。
 法政大学では、学生会館解体・サークル部室ゼロの攻撃に、一文連、二文連、学団連を先頭に学生の大反撃が闘われている。全国の全大学で大学解体攻撃との闘いが闘われている。05年決戦への全学連の荒々しい登場をかちとろう。

 共謀罪先取りする労組弾圧

 闘いは日帝国家権力との全面的な激突になっている。1月13日の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧は共謀罪攻撃の先取りであり、11・7地平への大反動だ。これに対して関生支部は組合的団結の底力を発揮して反撃に立ち上がっている。治安弾圧との闘いはきわめて重要だ。全力で粉砕しよう。
 歴史的な勝利がかちとられた。1月19日、34年10カ月にわたる全金本山闘争は勝利的に合意が成立した。「一人の首切りも許さない」という労働組合の原則をひたすら守り闘い抜いた全金本山労働組合が勝利をかちとった。不屈に闘い抜いてきた全金本山の労働者・家族とともにこの勝利を心から喜びたい。「闘えば必ず勝つ」ということだ。この勝利は全国で労働運動を闘い、あるいは労働組合の革命的再生のために闘う労働者階級人民へのこれ以上ない檄(げき)である。この勝利に学び、力を得て05年決戦を前進しよう。
 05年決戦の勝利を切り開くために、本紙新年号論文の学習と討論をさらに推し進め、意気高く前進しよう。そして従来の壁を大胆に突き破り、機関紙拡大と党勢拡大の闘いを熱烈に推進していこう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号1面2)(2005/02/07)

安倍、中川が番組改変強要 NHKへの事前検閲弾劾
 職かけた内部告発 「大本営放送」阻む闘い

 女性国際戦犯法廷を歪曲

 2001年1月にNHK教育テレビのシリーズ「戦争をどう裁くか」の第2回「問われる戦時性暴力」に対して安倍晋三自民党幹事長代理(当時官房副長官)と中川昭一経済産業相が、「偏向報道」だとして事前に介入し、内容を著しくゆがめる改変を強制していた事実が発覚した。これは恐るべき事前検閲であり、決定的に重大な事態である。
 この問題をめぐる攻防は日帝の自衛隊イラク派兵、侵略戦争への参戦という戦時下において、NHKが大本営放送局に完全に変えられてしまうのか、それを阻止するのかの、ぎりぎりの攻防になっている。NHKの労働者が職をかけてこの事実を告発したことは、教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに続く闘いであり、今春「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに大きな激励を与えている。
 今日、朝日新聞対NHKの争いであるかのように扱われ、朝日の報道が「虚偽」であるとキャンペーンされているが、逆転したとんでもない話である。自民党・安倍、中川とNHKが口裏を合わせてデマをねつ造し、政治介入がなかったと強弁しているが、ことの本質は権力による報道への事前検閲である。
 また、朝日攻撃をとおしてマスコミ全体を屈服させ全労働者階級人民を戦争協力に動員しようとしているのである。
 朝日新聞の報道およびNHKチーフプロデューサーの長井暁(さとる)氏の記者会見、そして「女性国際戦犯法廷」の当事者である「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW−NET〔バウネット〕ジャパン)の声明などから明らかになったことは何か。
 2000年12月に開かれた女性国際戦犯法廷を取材したNHKのドキュメンタリー番組が、01年1月30日の放送前に、安倍や中川ら自民党議員の介入によって改ざんされた。番組の内容がねじ曲げられたことに対して、バウネットジャパンがNHKなどを相手取り提訴し争ってきた。
 放送前日の29日と当日に、松尾放送総局長らの指示で大幅に改変された。まず29日に1分短縮された。「天皇有罪」の判決、カリフォルニア大学準教授の米山リサさんの国際戦犯法廷の意義に関するコメントなどが削られ、急きょ28日に追加取材された秦郁彦のコメント(「売春は当時合法行為であり、慰安婦は商行為を行っていた」と侮辱する発言)が挿入された。
 当日30日の放送3時間前にさらに3分カットし、40分版に改変された。そこでは、中国人被害者の紹介と証言、東チモールの慰安所の紹介と、被害者の証言、元日本軍兵士の証言がカットされた。すでに編集作業が終わった完成品を無理やり改ざんしたのだ。
 当時、右翼が1月20日ころからNHKに対して「抗議」申し入れを始め、NHK幹部はタイトルを「日本軍の戦時性暴力」から「問われる戦時性暴力」に変更させた。その後、右翼が街宣車と数十人の部隊をもって27、28日と2日間にわたってNHKを襲撃した。この右翼の暴力的攻撃と呼応しあって安倍、中川の介入があったことは明らかだ。
 安倍は1月29日に、NHKに対して「公平公正に頼む」と言ったと認めているが、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長として歴史教科書に軍隊慰安婦問題を記述することに反対してきた安倍が「公平公正」と言えば、それは「改変」を指示するものであることは誰にも明らかだ。事実、その会見後に、改変が行われた。
 仮にドイツでアウシュビッツを美化する言動や報道をしたらどうなるか。日帝の侵略と加害の歴史に対する国際的な弾劾の報道がねじ曲げられたことの重大性は明らかだ。しかもそれが時の権力を握る自民党によって行われたのだ。これは、周辺事態法から有事法制に至る北朝鮮・中国侵略戦争体制づくりの一環として、過去の歴史の隠ぺいを強制したという意味を持っている。

 権力に癒着した海老沢体制

 時の政権と癒着し、迎合するNHK海老沢体制に対する昨年来の怒りの声の高まり、NHK受信料拒否者の激増と収入減などの事態がNHKを追いつめてきた。これまで海老沢体制と闘えなかった日放労も昨年11月に会長辞任要求を決定するなど、対決姿勢を打ち出すに至った。
 こうした中で長井氏は、昨年12月に「コンプライアンス推進委員会」に01年の「問われる戦時性犯罪」改変の問題について真相究明を求める通報を行った。同委員会は、NHK内の反乱を抑えるためのインチキな機関であるが、長井氏はその手続きに従った。だが、これが1カ月以上も放置されたため、勇気ある内部告発に踏み切ったのである。
 海老沢体制のもとで、局内の管理・統制強化が進められてきた。そして海老沢は、有事法制、国民保護法制でNHKが指定公共機関に指定されることをやすやすと受け入れてきた。この有事放送局化の流れを許すのかどうかが今、すべてのマスコミ労働者、とりわけNHK労働者の最大の課題となっているのだ。
 NHKは昨秋、「倫理・行動憲章」を決定した。これは「不祥事」をテコに、有事放送体制にNHK労働者を動員しようとするものだ。同憲章は「国民の生命・財産を守ることに資する」ことをうたい、自らを戦争のための機関として位置づけている。この「憲章」に全職員の署名を強制し、「指定公共機関」として戦争協力に労働者を動員しようとしている。つまり、戦前の大本営放送の復活をもくろんでいるのだ。
 昨年11月7日に、日放労が主催してNHK問題についてのシンポジウムを開催しようとした時、NHKは、「新潟中越地震24時間キャンペーン」を急きょ設定して対抗、シンポ当日、全職員に事実上の禁足令を出した。日放労の海老沢辞任要求に対する対抗策であると同時に、災害放送をもって有事報道の訓練をしようとしたのだ。海老沢体制防衛とNHKの有事放送局化の攻撃は一つのものだ。

 全労働者が反転攻勢の時

 このような決定的な局面での海老沢退陣や長井氏の告発は労働者の反転攻勢の好機の到来を告げている。 長井氏の決起は、昨春の「日の丸・君が代」強制の職務命令に対して、300人を超える教育労働者が不起立で闘ったこと、また、有事立法の攻撃に対して、陸・海・空・港湾労組20団体が「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」を掲げて闘ってきたことに通じる闘いである。
 今度の問題は、日本軍軍隊慰安婦とされた人びとの告発に日本の労働者としてどう答えるか、ということを問う問題である。その放送がずたずたに切り裂かれ、ねじ曲げられたことに対して、放送労働者として沈黙を続けるのか。これを許すことは、「大本営放送局」だったNHKの労働者として、かつての道を許すことではないのか、と。
 日放労を闘う組合として再生させ、有事放送局化をなんとしても阻止しなければならない。この闘いは、「日の丸・君が代」強制拒否を闘う教育労働者への援軍である。また、すべての労働者に戦争動員との闘いに決起していく道筋を示している。戦争協力拒否へ職場の団結をつくり、職場の力関係を変えるならば、戦争協力の強制との闘いに勝利することができる。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号2面1)(2005/02/07)

東京の仲間の決起は“援軍” 広島の教育労働者は訴える
「日の丸・君が代」強制に全国で不起立を貫こう
 労働者の誇りと良心にかけて

 全国の教育労働者のみなさん! 今春卒・入学式をめぐる「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを、全労働者階級の未来をかけた闘いとして大爆発させよう。イラク侵略戦争の泥沼にのめりこんだ日帝・支配階級は、小泉=奥田による戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を強め、今春「日の丸・君が代」強制と教基法改悪をその突破口にしようとしている。すべての教育労働者は、戦時下の階級闘争の最先端に躍り出た「日の丸・君が代」決戦に、まなじりを決して突き進もう。04年春、都高教の仲間が教育労働者の誇りと良心にかけてなしとげた大量不起立闘争の地平を継承・拡大し、東京―広島―全国で地軸を揺るがす不起立・不服従闘争に立ち上がろう。

 石原・都教委追いつめた闘いに続こう

 04年3月、東京の「日の丸・君が代」不起立・不服従闘争は、卒・入学式の国家忠誠儀式化を狙うファシスト・石原の「10・23通達」を根底からうち砕いた。それは、日教組の階級的再生の突破口を開く歴史的な闘いであった。
 東京の教育労働者の闘いは、その圧倒的正義と団結の力によって石原・都教委を着実に追い詰めている。その力が、11・6教基法改悪反対全国集会と11・7全国労働者総決起集会の大成功を牽引(けんいん)し、05年決戦の勝利の展望を押し開いたのである。
 その渾身(こんしん)の決起は、教育労働者の階級的良心と人間的尊厳を守り貫いた実践だった。そして戦争協力・戦争教育を許さない「職場反戦闘争」であった。これを目の当たりにして「おれもやるぞ」「わたしも続こう」と多くの労働者が奮い立っている。
 「日の丸・君が代」強制―教基法改悪攻撃は、帝国主義侵略戦争への「国民の精神的総動員」と、そのための日教組の解体攻撃である。教基法改悪の狙いは、とりわけ10条の改悪に凝縮している。教基法は戦前・戦中の「教育勅語」体制下の天皇制国家主義教育を否定し、10条で国家権力の教育支配を明文禁止した。もし教基法の改悪を許せば、改悪教基法はまさに現代版『教育勅語』として猛威をふるうことになる。「教基法改悪は『教育勅語』の道」「『日の丸・君が代』強制は『教育勅語』の道」なのである。
 そして石原・都教委の「10・23通達」は、教基法10条の改悪を先取りした攻撃であり、“もし教基法の改悪を許せば学校現場はこうなる”ということを示したものだった。
 この大攻撃に対してやむにやまれぬ思いで立ち向かった東京の教育労働者の闘いによって、「日の丸・君が代」闘争は、侵略戦争と教基法改悪・改憲攻撃に怒りと危機感を持つすべての労働者階級の共同のテーマへと押し上げられた。
 かつて日教組の先輩たちは、勤務評定導入に対して「勤評は戦争への一里塚」のスローガンを掲げて立ちあがり、労働運動史上に不滅の金字塔をうち立てた。戦時下の新たな「日の丸・君が代」闘争を、勤評闘争をも超える壮大な闘いに発展させようではないか。

 極限的労働強化への反撃の開始

 さらに東京の「日の丸・君が代」闘争は、職場に立ち込めていた暗雲を吹き飛ばした闘いであった。多忙化と管理強化、人事考課(評価)、差別・選別教育の強制などの非人間的な「教育改革」に対する現場労働者の怒り・危機感と結びつき、そのすべてを一点「日の丸・君が代」闘争に集中して職場闘争をつくりだしたのである。
 95年、日教組中央が政府・文部省との「パートナー路線」(職場闘争5項目の放棄)に走って以来、教育現場に対する行政権力の支配介入は一挙に強まり、職場は労働地獄の様相を呈している。多くの教育労働者が、連日夜9時・10時まで休憩時間もなく労働した上に、常時の自宅労働(仕事の持ち帰り)を余儀なくされている。極限的な労働強化により、長期病休者・長期通院者が激増し、現職死亡も続出している。現場労働者はもはや忍耐の限度を超えた状態に置かれている。
 04年の都高教の仲間の決起は、こうした全国の教育労働者の共通の苦悩と怒りを代表し体現した、いわば自主的に決行された“指名スト”であった。また「日の丸・君が代」強制という権力の違法・不法・暴虐に対して打撃を与える“順法闘争”でもある。
 日教組を再生させる壮大な「ランク・アンド・ファイル」運動が始まった。この道を進もう!

 処分や配転攻撃をのりこえ前進する

 私たち広島の教育労働者は、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを、沖縄・福岡―各地の闘いと連帯して、権力の介入と分断をのりこえて継承してきた。
 広島の教育労働者にとって、04年春の東京の仲間の大量決起は、まさに「奇跡の援軍」の登場だった。広教組(広島県教職員組合)の被処分者の会の仲間は、東京の被処分者の会の人びととの握手を求め、東西連携し呼応して闘いぬくことを誓いあった。広高教組(広島県高等学校教職員組合)の仲間もこの団結の輪に連なっている。
 05年3月、今度は東京―広島の力をひとつに結び、全国の教育労働者の団結・総決起によって、必ず「日の丸・君が代」強制拒否闘争を爆発させることを決意している。その立場から、この間の広島の「日の丸・君が代」闘争の経緯を報告したい。

 文部省のヒロシマつぶしと対決

 広島では、「日の丸・君が代」をめぐる激突が全国に先駆けて開始された。ヒロシマ教育つぶし=広教組・広高教組の解体を狙って、1998年に文部省が「調査・是正指導」を開始したためである。教育長は文部省から出向してきた辰野裕一にすげ替えられ、辰野教育長の矛先は、まず「日の丸・君が代」完全実施へと向かったのである。
 それに対して広教組は、99年2月の臨時大会で「『日の丸・君が代』強制反対」特別決議を柱とする運動方針を決定し、辰野教育長による問答無用の反動行政との全面対決を宣言した。広教組委員長は「広島の平和教育・広島の解放教育をつぶそうと執拗(しつよう)に繰り広げられる右翼反動勢力の攻撃に対する闘いは、教育の場である学校において、国家主義の代名詞たる『日の丸・君が代』強制を許すのか、許さないのかの歴史的岐路に立つ重要な闘いである」と檄(げき)を発した。
 辰野教育長の罷免を求める団結署名がたちまち1万2563筆(全教職員の7割に迫る)に達した。広高教組も3月臨時大会で「日の丸・君が代」強制阻止の闘争方針を決定し、両教組あげた闘いに突入した。
 同年2月、卒業式に「日の丸・君が代」を強制する辰野教育長の職務命令にあくまで抵抗した世羅高校の石川校長が、卒業式前日に自死に追い込まれた。辰野教育長はこれをも組合攻撃に利用しようとしたが、全県の教育労働者が不起立闘争を闘いぬいたことにより、両教組に処分を出すことはできなかった。
 その結果、日教組本部も95年以来抹殺していた「『日の丸・君が代』強制反対」のスローガンを、再び掲げざるを得なくなった。広島を先頭とする闘いの力によるものだ。 
 99年8月に「国旗・国歌法」が成立。翌2000年の卒・入学式は、「国旗・国歌法」制定下の闘いとなった。さらに01年の卒・入学式でも広島の教育労働者は「日の丸・君が代」強制を拒否して闘いぬいた。辰野は戒告と文書訓告を合わせて300人を超える大量処分を加え、大量不当配転を始めとする不当労働行為の限りを尽くした。しかし、被処分者を始め現場労働者は屈せず、ただちに人事委員会闘争に立ち上がった。両教組はそれを支援し、闘いの地平と陣形を懸命に死守したのである。

 日教組本部の裏切りうち破り

 ところがここに、日教組本部の「パートナー路線」による反動が襲いかかってきた。日教組本部は「職務命令が出たら従え」とする方針を各単組に強制した。表向きは単組の自主的決定にゆだねるというかたちで、現実には「処分を避けるため」「職務命令に従っても内心の自由が侵されるわけではない」などの奇弁で、「職務命令に従え」と脅迫してきたのである。
 各単組の既成指導部の多くはこれに飛びついた。広教組・広高教組は孤立した。逆流に耐えて踏ん張ることが求められた。02年以降、広島の「日の丸・君が代」闘争は、日教組本部の抑圧とそれと気脈を通じた日和見主義と対決しつつ、かさにかかった敵の攻撃と対峙する持久戦を余儀なくされた。現場組合員は「それでも良心は売らない」「今に見ておれ」という思いで闘い続けた。この間、戒告処分は一人あたり4〜5回にも上り、不当配転が繰り返された。
 しかし、こうした悪戦苦闘のさなかにも、水面下で「革命のマグマ」は燃え続けていた。03年、ついにその炎が地上に現れた。8月自治労大会での「21世紀宣言」否決の快挙、11・9日米韓国際連帯労働者集会の感動的成功に続いて、12・23教基法改悪反対全国集会が5000人の労働者・市民の参加で大成功した。
 そして04年3月、3・20イラク反戦行動と呼応して、東京の「日の丸・君が代」不起立闘争が闘いぬかれたのである。その闘いは広島と全国の教育労働者に勇気と展望を与え、「東京とともに闘おう」という決意を呼び覚ました。
 04年の8・6ヒロシマ大行動のかつてない高揚を牽引したのは、広島―東京―全国の教育労働者の大合流だった。広教組・広高教組の現場からも闘う力が大きくわき上がり、11・6―11・7日比谷野音には、東京の被処分者の仲間たちとともに、広島の教育労働者も全力で結集した。広島の教育労働者は、教基法改悪阻止と「日の丸・君が代」強制阻止のスローガンを一本の旗印にして、新たな前進を開始したのである。

 今春闘争の力で教基法改悪阻止へ

 いよいよ05年3月が決戦である。「日の丸・君が代」不起立闘争の断固たる継続と拡大、団結した大衆的決起こそ、労働者の前進を切り開く道である。職場・生産点の抵抗闘争こそ労働者の最強の武器であり、労働者の必勝の道である。それはかつての勤評闘争の教訓でもある。
 そして、都高教執行部のような「日の丸・君が代」強制反対の闘いを放棄した指導部のもとでも、そうした闘いは圧倒的に可能であることを、東京の労働者は身をもって示してくれた。
 そこには、動労千葉の魂と通い合うものが生き生きと息づいている。動労千葉の闘いは、敵の攻撃の凶暴性が実は敵の危機の深さと脆弱(ぜいじゃく)性に根ざしていることを見抜き、その敵の矛盾をとらえて離さずに闘いぬいている。動労千葉のように闘えば必ず勝てるのである。
 これに対して、ファシスト・カクマルや日本共産党は敵の攻撃にすくみあがり、屈服して、「不起立闘争は処分や弾圧を受けるからやめろ」と露骨な闘争破壊に走っている。このような反動をはね返して、3月の決戦に突き進もう。
 今春をおいて決戦の時はない。今春の決戦を避けて次のチャンスはない。今春「日の丸・君が代」闘争を突破口に、教基法改悪阻止へ職場・生産点から闘いを巻き起こそう。
 3月「日の丸・君が代」闘争の爆発こそ、すべてのカギを握っている。広島・全国の教育労働者は、「東京とともに闘おう」「動労千葉のように闘おう」を合言葉に、現場労働者の団結した闘いで、職場ぐるみ・分会ぐるみの不起立・不服従闘争を大きく実現しよう。すべての教育労働者は労働者階級の先頭に立って、「教え子を再び戦場に送らない」ために闘おう。
 勝利はわれわれ労働者のものである。ここに広島の教育労働者の断固たる戦闘宣言を発する。
 〔川口 梓〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号2面2)(2005/02/07)

「君が代」解雇裁判 “都教委許せない” 「墨塗り」議事録に怒り

 1月26日、東京地裁において、「君が代」解雇裁判の第4回口頭弁論が行われた。昨年3月の都立高卒業式で「君が代」斉唱時に不起立したことを理由に嘱託職員の再雇用を取り消された教育労働者9人が、東京都を相手に解雇撤回を求めている裁判である。
 口頭弁論では冒頭、都教委が原告の解雇を決定した昨年3月30日の都教委議事録が全面開示されていないことについて、原告側があらためて全面開示を求めた。東京都が開示した議事録はなんと、「墨塗り」でかなりの部分を隠したものなのだ。都側は「関係ない個所なので開示する必要がない」と主張するが、都側に都合の悪い個所を消し去ったことは間違いない。
 再度の全面開示要求に対して、都側代理人は「ほかの部の裁判で開示するかどうかを係争中なので、開示できない」と開き直る。解雇を決定した際の都教委の議論すら明らかにしないという都教委の暗黒支配ぶりに怒りが広がり、重ねて開示を求めた。
 また原告の合格取り消しについて、都が「特別職であっても公務員なので、労働契約ではない。したがって解雇ではない」と居直り続けている点について、意見書を提出して争っていくことを確認した。
 さらに「日の丸・君が代」不起立という思想・信条を理由とした解雇は認められないという点も、全面的に主張を展開して争っていくことを確認した。
 口頭弁論終了後、会場を移して報告集会が行われた。弁護団が口頭弁論について報告した後、原告である「『日の丸・君が代』不当解雇撤回を求める被解雇者の会」の9人が、それぞれ発言した。
 「黒塗りの議事録しか公開できないような都教委の場で、私たちの合格取り消しが決められた。はらわたが煮えくりかえる思いです。これは、教育委員によるクーデターです。この裁判は憲法を守る闘いでもある」「この裁判は憲法の問題や、戦争のできる国をどうつくりだしていくのか、ということに直結した裁判です。裁判に勝って、早く職場に戻りたい」
 さらに重大な報告があった。今年3月の卒業式を前に、昨春の被処分者が再雇用で不合格にされているというのだ。「10・23通達により昨春処分をされた人のうち、この3月に定年を迎えるため再雇用に応募した6人が、昨日の合格発表で不合格にされた。大変けしからんことです。この裁判は自分の闘いではあるが、自分だけの闘いではない、みんなの闘いだという思いで、これからも闘っていく」。後輩の未来もかけて闘う被解雇者の発言に、大きな拍手が寄せられた。
 「『君が代』解雇裁判を共にすすめる会」は「『君が代』解雇裁判の公正な判決を求める要請署名」が約2万筆集まっていることを報告し、都高教組合員を始め多くの署名を集め、3月に提出しようと提起した。
 次回・第5回口頭弁論は3月9日午後1時半から。傍聴に集まろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号2面3)(2005/02/07)

日教組解体と「愛国心」教育への転換をむき出しで要求
 経団連「教育提言」弾劾する

 日本経団連は1月18日、「これからの教育の方向性に関する提言」と題する教育基本法改悪提言を出した。これは同日出された改憲提言(「わが国の基本問題を考える」)と一体のものであり、教基法改悪を柱とする「抜本的な教育改革についての提言」である。
 日教組解体攻撃としての教基法改悪の狙いをここまであけすけに打ち出した文書は、かつてなかった。財界の文書で日教組運動への憎悪をむき出しにしていることも異例である。文科省―日教組本部のパートナー関係をも踏み越えた、支配階級による日教組解体、新たな教員レッドパージ宣言である。
 この提言によって、「愛国心」や「伝統・文化・歴史」といった言葉が、ブルジョアジーの強盗戦争に子どもたちを駆り出すためのものであることがはっきりした。愛国心攻撃の階級性が暴露されたのである。
 日帝は日米枢軸のもとでイラク侵略戦争から北朝鮮―中国侵略戦争に踏み込む戦争体制づくりに全力を挙げている。そのために教育を戦争の道具にしようとしている。「個人の尊厳」を掲げた教育から、「愛国心」「国家への忠誠」を教える戦争教育への大転換を狙っている。
 このために「提言」は、戦後教育について「郷土や国を誇りに思う気持ち(国を愛しむ心)を自然に育んでこなかった」「権利には責任と義務が伴うという点を教育現場で教えることは徹底されず、公共の精神の涵養(かんよう)は不十分」と批判し、「こうした状況を放置したままでは……国際競争を勝ち抜くことはできない」と述べる。そして、「抜本的な教育改革」を主張している。
 支配階級は、戦後教育を生み出した「元凶」は日教組であり、これをつぶさなければいけないというのだ。昨春の「日の丸・君が代」不起立闘争に驚愕(きょうがく)し、それを水路とする日教組再生の展望に危機感を持って、教育労働者と教育労働運動への攻撃を宣言したのだ。

 愛国心、天皇制への屈服強制

 経団連「提言」は、「わが国の伝統・文化・歴史に関する教育」こそ今後最も重視すべき教育内容であり、「国旗や国歌に対する理解を深めることは……最低限必要な知識」だとして、教育理念の中に「国への誇りを育てる」を盛り込めとしている。
 さらに「宗教に関する教育」の重要性を強調している。「自然や生命に対する畏敬(いけい)の念や宗教的情操心を養うためにも、また日本の伝統・文化・歴史を伝える意味でも」宗教に関する教育が必要と言っている。これは「日の丸・君が代」強制攻撃に示されるように天皇制・天皇制イデオロギーの暴力的押しつけ以外の何ものでもない。これによって、教育労働者と生徒・子どもたちの反戦の思想や闘いを粉砕し、国家的統制のもとに屈服させようとしているのだ。
 教基法6条にかかわって「教員の自己研鑽(けんさん)の努力義務」を規定せよと言い、04年4月提言で提起し中教審に諮問中の「教員免許更新制」について、研修を重ねても改善が見られない教員は、これで首を切れと主張している。

 日教組を憎悪して解体宣言

 さらに「(教基法10条の)『不当な支配に服することなく』の表現が、一部教員による教科書や学習指導要領の無視や、校長など管理職の管理を拒む根拠となったことにかんがみ、国が教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにすることが必要」と、10条の解体を求めている。国家の示す教育内容とはどこに行き着くのか。“「10・23都教委通達」に従って子どもたちに「日の丸・君が代」と愛国心をたたき込め”“「つくる会」教科書を教えろ”ということではないか。
 さらに重大なことは、日教組の完全解体を宣言したことだ。「(教員の)一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容をゆがめてきた」と述べている。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを投げ捨てろということであり、戦時下で教員が労働組合をつくっていることそのものを根絶の対象としたということだ。
 この提言は、今春「日の丸・君が代」闘争の発展に対する支配階級の恐怖の表明である。今春闘争の大高揚をかちとり、教基法改悪絶対阻止へ闘い進もう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号2面4)(2005/02/07)

資本攻勢&労働 日誌 2005 1・4〜1・20
 日本経団連が9条改憲を提言
 関生支部に大弾圧/各労組が相次ぎベア要求放棄

日本経団連の政治献金急増 日本経団連の会員企業による政党本部への昨年の政治献金額が、前年度実績を約3割上回る約24億円に急増した。(4日)
キヤノン、定期昇給全廃 キヤノンは、職務給制度を4月から全社員に適用する方針を明らかに。定期昇給を全廃する。(8日)
NTT労組、ベア要求放棄 NTT労組は、ベア要求を5年連続で見送る方針を固めた。(12日)
自動車総連、統一ベア要求見送り 自動車総連は中央委員会を開き、今春闘で「積極的にベアに取り組む」との方針を決めたが、トヨタ労組のベア要求放棄で、統一ベア要求を放棄。(13日)
関生支部委員長ら逮捕 大阪府警は、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の武建一委員長ら4人を強要未遂などのデッチあげで不当逮捕し、関生支部など30数カ所を不当捜索した。(13日)
トヨタ労組、3年連続ベア要求放棄 トヨタ自動車労働組合は、今春闘で3年連続でベア要求放棄の方針を発表した。一時金は組合員平均で過去最高の年間240万円を軸に要求する。(14日)
日産労連はベア1000円要求 日産労連は中央委員会を開き、今春闘の賃上げ要求として「ベア1000円」を決めた。(14日)
非正規職のホームヘルパーの実態 ホームヘルパーの中で、パートなど非正規職員は月収10万円未満の人が69%に上ることが、全労連と中央社会保障推進協議会の調査で分かった。(17日)
日本経団連、9条改憲を提言 日本経団連は「国の基本問題検討委員会」の憲法改悪を提言する報告書を発表。経済界の改憲提言が出そろった。(18日)=要旨別掲
日本経団連、教基法改悪提言 日本経団連は教育基本法改悪を求める「これからの教育の方向性に関する提言」を発表。(18日)
奥田と笹森が懇談 今春闘をめぐり日本経団連の奥田会長と連合の笹森会長が初めて懇談し、笹森は「労使協議のウェートが高まることは否定しない」などと経労委報告に完全屈服。(18日)
憲法違反の事前検閲/民放労連が声明 民放労連は、NHKの番組改変問題について「政治家の介入が事実とすれば憲法違反の事前検閲にあたる行為であり、放送の自由と独立を脅かす許しがたい暴挙」として事実の徹底究明を求める声明を発表した。(18日)
ホンダ、三菱労組もベア見送り ホンダとグループ企業の労組・全国本田労働組合連合会は3年連続でベアの統一要求を見送ることを決めた。21日には、三菱自動車労働組合連合会も、昨年に続いて今春闘でベア統一要求を見送ることを決めた。(20日)

日本経団連の改憲提言「わが国の基本問題を考える」要旨

・9・11と北朝鮮脅威論
 9・11に代表される非国家主体によるテロ……北朝鮮によるミサイル発射、武装工作船の侵入……事件が多発。
・日米安保同盟政策を維持・強化
 米国は……最大のパートナー。安全保障面以外においても、貿易投資、技術交流、人的交流など、さらにはEPA締結も視野に入れた緊密な協力関係を構築。
・9条改憲を主張
 戦力の不保持を謳う第9条第2項は、明らかに現状から乖離し……大きな制約。集団的自衛権に関しては、わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべき。
(その他、公務員制度の抜本改革、教育改革、消費税引き上げ、有事の際の食料確保などにも言及している)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号3面1)(2005/02/07)

「効率化勧奨退職」=首切り許すな
 JPU(全逓)中央委に向け訴える
 郵政分割・民営化絶対阻止へ 物ダメ・ストライキで闘おう

 日帝・小泉は1月21日、国会の施政方針演説で、郵政民営化を「改革の本丸」と打ち出し、4分社化と職員の非公務員化を始めとする法案を今国会に提出すると宣言した。全逓決戦は、いよいよ日帝の戦争と民営化の攻撃と対決する「本丸」をめぐる階級決戦となった。この時、連合全逓=JPU(日本郵政公社労働組合)中央は2月16〜17日の第120回中央委員会で、郵政分割・民営化攻撃に全面屈服し、その先兵となろうとしている。闘う全逓労働者の怒りで中央委員会を包囲し、中央本部を打倒する時だ。今こそ物ダメ・ストライキ方針を打ち立てよう。「日の丸・君が代」闘争を闘う教育労働者と連帯し、全逓労働者の総反撃を巻き起こそう。

 民営化を推進する本部執行部打倒を

 JPU中央は、表向きは「民営化反対」を表明するというペテンをろうして、実際には今中央委員会をもって、郵政民営化の積極的推進者になろうとしている。彼らの「反対論」は、分割・民営化を前提にして、その中で労働貴族としての「分け前」をどれだけかすめとれるかの観点で言っているにすぎない。
 中央委議案の「郵政民営化問題に対するとりくみ」では、「当面の焦点は政府と自民党間の意見調整がどのように進み、どのように政策決定されるかであり、そこにポイントを置いた政治対応を進めます」と言うのだ。ここには労働組合としての主体性はどこにもない。ただただ自民党に頼り、様子見、模様眺めに終始するだけだ。せいぜい「全郵政労組と共同で設置した『郵政事業に関する労組政策協議会』の活動をより発展」させるという、全郵政頼みなのだ。「雇用や人事等の所要な政労協議を求めます」と言うが、それは完全に民営化を前提にしたものでしかない。
 議案の「第2ステージの基本的な考え方」では、「郵政民営化法案の国会上程までを『第2ステージ』とし」「国会審議に至った段階」を「第3ステージ」としている。ということは次の「第4ステージ」「第5ステージ」があるということだ。それぞれの段階で、どこまで自己保身が図れるか、ということなのだ。それは法案が通れば、あっさりと百八十度転身して、完全に民営化推進で行くという断じて許せない立場である。

 50歳から人活センター送り

 実際、JPU中央は「民営化法案が出たら百八十度転換する」「あとは条件闘争」(東北地本委員長)、「音の出るようなことはやらない」「労働条件の低下はやむなし」(本部副委員長)と公言している。彼らの「民営化対応」とは、抵抗とか反撃とはまったく無縁の、一切は政府と自民党の調整にゆだねるというものだ。いったいこれが労働組合と言えるのか。
 中央本部は、すでに民営化攻撃として始まっている攻撃を全面的に受け入れている。その最たるものが「早期勧奨退職の見直し」による「経営効率化勧奨退職」である。
 「効率化勧奨退職」とは「高齢勧奨が50歳以上、効率化勧奨は効率化に伴う過員発生局所を対象に50歳以上または勤続20年以上」とするものだ。これこそ大量首切りであり、「人材活用センター送り」そのものではないか。国鉄分割・民営化の時に大量首切りと自殺者を生み出した、早期退職などの「首切り3本柱」の実施と同じものである。これを「JPUの求めに応えたもの」と言っている。ふざけるんじゃない。何が「過員発生局所」だ。どこの職場も定員割れし、ただでさえ人が足りなくて仕事が回らないのが現状だ。
 どうやって「過員」を生み出すのか。郵便内務労働をアウトソーシング(外注化)し、内務労働者に職種転換を強制して外務労働者にする、あるいは正規雇用労働者を次々と非正規雇用労働者に置き換えて、無理やり「過員」=首切り要員をつくり出そうというのだ。立ち作業の強要を始めとしたJPS(郵政版トヨタ方式)導入による極限的な過密労働の強制によってだ。拘束11〜12時間の10時間労働という、集配の1(ワン)ネット方式などの導入によってだ。すでに局によっては一指定(4週)で11回もの深夜勤が行われているが、こうした殺人的な深夜勤をますます強化することによってである。
 「経営効率化」とは、そういうことである。これに従えないなら退職しろということだ。その上で50歳以上の労働者と公社の意に沿わない現場組合活動家を狙い撃ちにして、次々と人活センター送り・退職を強要しようとしているのだ。
 規制改革・民間開放推進会議座長の宮内(オリックス会長)は、「07年の民営化前に、できる限り(28万人の)規模を小さくする必要がある」と、民営化前の人員削減を傲然(ごうぜん)と言い放っている(1月17日、政府が郵政民営化について意見を聞く「官邸コンファレンス」で)。「効率化勧奨退職」とは、この資本家どもの要求に応じたものなのだ。
 議案では「05年3月末の実施が迫っていることから」「昨年12月27日に交渉の到達点に達したと判断」「中央委員会で承認を求め」とあり、これが今回の中央委員会の最大の焦点であり対決点となった。

 「アクションプラン2」の本部一任反対

 日帝・小泉−奥田−生田による郵政民営化法案の策定が進行する中で、これと軌を一にして、郵政民営化を前にした国鉄型大量首切り・人員削減合理化の攻撃としてアクションプラン・フェーズ2が準備され、その中での中央委員会となろうとしている。
 何よりも議案の「公社の経営基盤強化に向けたとりくみ」は、まさに民営化受け入れ=推進の立場に立ったものである。「アクションプラン・フェーズ1の評価と検証」では、「改革の痛みである効率化等の成果を具体的に生み出すためにとりくんできました」とぬけぬけと言っている。“改革の痛みである効率化”とは、首切り合理化と公務員身分の剥奪(はくだつ)のことであり、民営化の考え方そのものではないか。その「痛み」をさらに受け入れろと言うのだ。
 「アクションプラン・フェーズ2への対応」は、「市場における競争力を強化し、経営基盤の確立をはかるためには、原資の生み出しが必要であり、こうした目的を達成するための効率化や生産性の向上は避けて通れない」などと、民営化を2百パーセント受け入れ推進する立場である。
 さらにフェーズ2について、「本年2月中旬の経営委員会において決定し本部に示される予定」と言っている。2・16〜17中央委と同時進行ということだ。一方で「フェーズ2に関する公社の考え方及び検討の方向性については、総論として本部の考え方と概ね一致するもの」ともろ手を挙げて賛成している。
 人材活用センターの設置と50歳以上の人活センター送り、郵便内務の外注化、内務労働者の外務化などのフェーズ2の内容をすでに承知した上で、中央本部はそう言っているのだ。「次期全国大会でフェーズ2トータルについて議論し判断する」としているが、要するに今回の中央委で「本部一任」を取り付け、具体的中身を現場組合員には隠したまま、丸飲みさせようというものだ。

 民営化強行に走る小泉=奥田と対決し

 小泉の「骨太方針W」とそれに続く「05年版経営労働委員会報告」、さらに新行革大綱(04年12・24)は、大民営化攻撃を公然と打ち出した。経労委報告は、小泉「骨太W」をさらにエスカレートして推進する宣言であり、「攻めのリストラ」と言っている。すなわち民主導・自律型システム、「民間開放」を推し進め、「公務員の身分・処遇が聖域におかれていてよいのか」と叫んで「公務員制度の抜本的改革」を進めるとしている。その中で郵政民営化法案こそが、大民営化法案の突破口として位置づけられている。小泉は、施政方針演説で「郵政民営化が実現すれば、郵政公社の職員が民間人となります」と言い放ち、全公務員への大民営化攻撃=労組破壊と大量首切りを強行しようとしているのだ。
 JPU本部の対応は、「労使はいまこそさらなる改革を進めよう」と言う経労委報告の「労使自治」論に従ったものだ。国鉄分割・民営化型、NTT型大合理化、あるいはそれ以上の郵政民営化攻撃に労使一体で全面協力する、とんでもない階級的裏切り路線であることを徹底に弾劾しなければならない。
 今こそ全逓労働者の根底的怒りを解き放ち、総決起をかちとろう。人活センター、内務の外注化、内務の外務化、さらに深夜勤の強化など、すでに本部には提示されているはずだ。どうなっているのか。集配ネットワークの高度化(1ネット方式など)について「中央執行委員会に一任を求めます」などと言っているが、とんでもない。現場組合員には隠したまま、何でもかんでも「本部一任」などと言いながら、公社の民営化攻撃を丸飲みして現場に押しつけることは絶対に許さない。そんなJPU中央は打倒あるのみだ。
 そして今こそ全逓4・28反処分闘争を強化しよう。4・28反処分闘争とは、78〜79年越年物ダメ闘争に対する免職処分との闘いであり、物ダメ・ストライキ闘争を復権させる闘いそのものである。この戦闘的階級的全逓労働者の闘う陣形の強化・拡大をかちとり、実力決起を実現しよう。
 郵政分割・民営化絶対反対の路線を鮮明に、JPU中央の総退陣をかちとり、今こそ物ダメ・ストで闘う時である。昨年11・7全国労働者集会には全国から闘う全逓労働者が結集して国際連帯をかちとり、全逓労働者こそが闘いの先頭に立つことを誓いあった。現場の、もう我慢できないという怒りを組織し、本部にたたきつけていこう。第120回中央委員会(東京・全逓会館)を闘う全逓労働者の怒りで包囲しよう。
 郵政民営化法案が国会提出されようとしている3月に向けて、全逓労働者の総反乱をかちとろう。東京を先頭とした教育労働者の3〜4月卒・入学式における不起立闘争は、全逓労働者の物ダメ・スト闘争と相通じる精神をもった闘いである。教育労働者に連帯しよう。今こそ、国鉄分割・民営化にストで闘った動労千葉に学び、郵政分割・民営化阻止闘争の壮大な爆発をかちとろう。
 〔革共同全逓委員会〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号3面2)(2005/02/07)

都革新 都議選勝利へ盛況 長谷川英憲氏、熱い決意

 都政を革新する会の05年新春のつどいが1月23日に杉並区内で開かれ、6月の都議選に向かって全力で闘いぬく決意を打ち固めた。
 最初に都革新代表の長谷川英憲さんが11・7集会をレポートするビデオが上映され歌と演奏が行われた。
 後援会の実方精一会長があいさつし、長谷川さんを都議会に送り出すために後援会の会員が全力をあげるよう呼びかけた。
 長谷川代表が都議選への決意を表明した。「今年の都議選は絶対に勝ちたい」と勝利にかけた燃える意気込みを語った。そして、ブッシュの2期目の就任演説で、アメリカ式自由と民主主義の拡張のためには「軍事力行使もためらわない」と侵略戦争の拡大を宣言していること、小泉首相が施政方針演説で日米安保体制を強化すると言っていることは、世界中で戦争ができるようにすることだと弾劾した。東京から国を変えると宣言する石原のファシストの本性を暴き、「しかし、石原都知事が無敵なのかと言えばけっしてそうではない」と労働者や民衆が決起して闘えば石原を打倒できることを力説した。
 長谷川代表は、「3月の卒業式が最大の焦点」として、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いが広がることで石原を倒す道が開ける、これこそ都議選勝利の道だ、石原を倒せるのは私しかいない、と提起した。また、介護保険制度の改悪で介護が必要な高齢者から介護を奪うことに対し、「『奪うな介護』を掲げて闘うことで世の中を変える。これを都議選勝利につなげたい」と熱い決意を語った。
 乾杯の後、支持者による日本舞踊が新春らしい華やかさを添えた。
 その後、「激励の言葉」を受けた。介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんが、「政府は何もわかっちゃいない。武力行使とは何事ですか。私たちは人間としてわが道を進めなければいけない」と呼びかけた。
 動労千葉特別執行委員の滝口誠さんは、動労千葉が春闘でストライキを配置して闘うことを明らかにした。三里塚芝山連合空港反対同盟からは萩原進事務局次長と市東孝雄さん、鈴木謙太郎さん、萩原富雄さんが駆けつけ、萩原進さんが「私たちは戦争に反対する立場で闘っている。杉並から日本を変えていただきたい。私たちも成田から日本を変える闘いを展開します」と決意を語った。
 革共同の天田三紀夫書記長は、世界が戦争の時代に突入し、労働者人民が生活できない状況になっているからこそ「今年はなんとしても長谷川さんを都議会に送り出したい」と決意を語った。そして石原都政が社会保障を切り捨て、学校教育を変えて戦争協力を強制しようとしていることを暴き、それに対して戦争協力拒否の闘いが激しく闘われていることを提起した。「その最大の到達点として教育労働者の『日の丸・君が代』強制拒否の闘いがある」と語り、都議選で「介護を奪うな、『日の丸・君が代』強制反対を掲げて闘うことで石原都政を打倒することができる」と確信も固く訴えた。「石原都政を打倒できるのは都革新以外にない」と訴え、「05年こそ新しい時代を開くために闘う」と表明した。
 都立高校元校長の区民は「『君が代』は天皇をたたえた歌。こんな歌を生徒に歌わせることができますか。『日の丸』は戦前に生きてきたものにとって『死に装束』」と弾劾した。
 最後に結柴誠一区議、新城節子区議、北島邦彦都革新事務局長が登壇し、結柴区議が、「今日集まった皆さんと力を合わせてこの夏、輝かしい勝利をかちとりたい」とまとめた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号3面3)(2005/02/07)

関西生コン支部1・13不当弾圧 緊急抗議集会に1100人 大阪府警本部に大デモ

 武建一委員長など4人が不当逮捕された、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部への1・13不当弾圧に対する緊急抗議決起集会が1月23日、エル大阪大ホールで開催された。会場を埋め尽くす1100人以上が大結集し、集会後に武委員長が勾留されている大阪府警本部までの抗議デモを闘った。(全日本建設運輸連帯労働組合中央本部、近畿地方本部、関西地区生コン支部の〈緊急声明〉を別掲)
 この集会は、関西生コン支部など生コン政策協議会加盟3労組と、全日建運輸連帯労組近畿地方本部で構成する集会実行委員会の主催で行われた。関生太鼓の勇壮な演奏から始まり、生コン政策協議会から生コン産労の主催者あいさつ、関西生コン支部の基調報告、全港湾大阪支部からの決意表明が行われた。会場は“不当弾圧と闘うぞ”という熱気にあふれた。
 いずれの発言も、生コン産業を支配するセメント独占資本とゼネコン資本に対抗する闘いとして、中小の生コン企業が協同組合へ結集し、生コン産業労働者の雇用と労働条件を守り抜いてきたことを明らかにした。そして、この正当な組合活動に対して「資本主義の根幹を侵すもの」と国家権力が弾圧してきたことに怒りをたたきつけた。さらに、生コン産業労働者の営々たる闘いへの確信と、団結によって必ずや弾圧を打ち破る決意が明らかにされた。
 基調報告を行った関西生コン支部の武洋一副委員長は、関生支部が過去のいくたの弾圧をのりこえ今日まで闘ってきたこと、今回の弾圧も、さらなる弾圧が襲いかかってこようとも必ず打ち破る強い決意を表明した。そして、この弾圧は、一部特権階級が支配する体制が崩壊しつつあるからかけられたとして、「資本主義を打倒し、労働者が主人公になる社会をつくりだすために闘う」と語った。
 続いて、大阪労働者弁護団、各政党代表、労働組合など、共闘団体の代表が次々と連帯発言を行った。
 反戦福祉議員ネットを代表して発言した国賀祥司・泉佐野市議は、関西合同労組顧問の立場から、イラク侵略戦争を始めた日本帝国主義が、階級的原則的に闘う労働組合へ破壊攻撃を行うことは断じて許せないと話した。不屈に国鉄闘争を闘う国労熊本闘争団の代表は「私たちにかけられた国家的不当労働行為の攻撃と、今回の弾圧は根っこはひとつ。連帯してともに勝利するまで闘う」と決意表明した。
 地域でともに闘う労働組合として連帯あいさつを行った全国金属機械労組・港合同の代表は、戦闘的に闘い、自立した労働運動を確保し拡大することへの弾圧だとして、「この弾圧はすべての労働組合への弾圧だ。力を合わせ、スクラムを組んで闘おう」と呼びかけた。
 関東から駆けつけた動労千葉の田中康宏委員長は、「はらわたが煮えくり返る思いだ」と激しい怒りを表明した。労働者を食い殺して戦争に向かっていく日本帝国主義による弾圧であり、40人の不当解雇と闘い国鉄分割・民営化と闘い抜いてきた動労千葉は、関西生コン支部とともに勝利まで闘うと決意表明した。
 最後に、全日建運輸連帯労組近畿地本の戸田ひさよし委員長が閉会あいさつを行った。関西生コン支部の闘いの歴史を振り返りながら、「ピンチと見えるところにチャンスあり。弾圧を受ければ受けるほど、支援が広がっている」と弾圧を粉砕する固い決意を示した。会場全体が大きな拍手と団結ガンバロー三唱でわき上がり、集会後は大隊列で大阪府警本部へのデモに出発した。
 不屈に闘う関西生コン支部と連帯して、弾圧を粉砕し、戦闘的階級的労働運動の発展へともに闘おう。


 〈緊急声明〉 関西地区生コン支部に対する1・13不当弾圧に抗議する

全日本建設運輸連帯労働組合中央執行委員長 長谷川武久
全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部執行委員長 戸田ひさよし
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 武 建一

 本日1月13日早朝、大阪府警は連帯労組(全日本建設運輸連帯労働組合)関西地区生コン支部に権力弾圧を加え、武建一委員長をはじめ、片山好史、武谷新吾、福島聡の各支部執行委員の計4人を不当逮捕したほか、支部事務所や自宅など30カ所余りを家宅捜索した。
 警察が被疑事実にあげているのは、第1に、関西地区生コン支部が生コン産業再建闘争の一環としてとりくんできたアウトサイダー業者の協同組合加盟促進活動が、強要未遂および威力業務妨害罪にあたるというものである。第2に、武委員長が機関決定を経ずに組合資金を知人の生コン会社に貸し付けたことが背任にあたる、というもののようである。
 これらはいずれも、連帯労組関西地区生コン支部が、労働者の雇用安定と中小企業の経営安定の実現を目的としてとりくんできた正当な組合活動のイメージダウンをねらう、卑劣なでっちあげというほかない。
 連帯労組関西地区生コン支部は1994年以降、交通労連生コン産業労働組合や全港湾大阪支部とともに生コン産業政策協議会を結成。建設工事の激減下に、慢性的な業界の過当競争状態が原因となって進行する生コン販売価格の値崩れ=業界共倒れの危機を打開し、大多数が中小企業で構成される生コン産業再建と労働者の雇用安定をめざす業界再建政策を立案、推進してきた。
 具体的には、経済的弱者である中小企業=生コン業者が法律で認められた協同組合の下に団結することで、生コン産業を支配するセメントメーカーとゼネコンに対抗して、採算のとれる適正価格や適正取引条件を実現すること、これによって、倒産寸前に追い込まれた中小企業の経営を安定させると同時に、そこではたらく労働者の雇用と労働条件を守ること、併せて、過当競争が温床となって後を絶たない欠陥生コンを追放して、消費者の安全と安心を保障できる高品質な生コンを提供する社会的役割をはたすこと、などをめざして活動をすすめてきたのである。
 この政策活動は、大阪、兵庫をはじめ近畿一円の生コン業者・業者団体の強い支持の下で大きな成果と実績をあげたにとどまらず、いまや全国的規模で生コン業界再建のモデルとして中小企業と労働者の共感を集めるに至っている。
 しかしながら、労働者と中小企業の大同団結で健全な業界に作り直そうという、この大きな流れに背を向けて、いぜんとして個別企業の私的利益を優先するアウト業者(協同組合未加盟業者)が存在しており、セメントメーカーやゼネコンは、これらアウト業者を不当な利益追求の手段として利用してきたのである。こうしたアウト業者に対して協同組合への結集をよびかけ、同調を求める活動は、労働者と中小企業の利益にかなった大義ある正当な労働組合活動以外の何者でもない。
 他方、この正当な活動が威力業務妨害事件に仕立て上げられたことで、大きな成果をあげつつある業界再建活動が停滞、そして後退するのを誰よりも望んでいるのは、この間、中小企業と労働者が団結して大企業支配に対抗する新たな産業秩序づくりがすすむのを快く思わず、すきあらばこれを妨害、破壊しようと画策してきたセメントメーカーであり、ゼネコンである。
 正当な組合活動を強要未遂や威力業務妨害にでっちあげた今回の大阪府警の弾圧は、まさに労働者と中小企業が10数年間にわたって血みどろで進めてきた業界再建活動を国家権力の手で破壊する一方で、大企業であるセメントやゼネコンの利害を代弁する暴挙にほかならない。
 さらに大阪府警は、今回の権力弾圧を最大限効果的にするために、関西地区生コン支部を代表する武建一委員長が、あたかも組織の利益に反するやり方で組合費を私的目的のために流用しているかのように描く背任容疑があるとして、意のままになるマスコミと一部の堕落した労組幹部を利用して、武委員長と関西地区生コン支部の社会的信用を貶(おとし)めようとしている。
 しかし、いうまでもなく、連帯労組関西地区生コン支部の財政活動は、毎年の定期大会をはじめとする機関会議に公認会計士の厳格な監査を経て会計報告がなされているうえ、税務調査も都度受けて適正とされてきたものであり、何ら問題があるはずはない。それにもかかわらず、大阪府警が背任などと主張すること自体、今回の弾圧の本質が、国家権力による前代未聞の組合つぶし攻撃にほかならないことを示している。
 以上みたとおり、今回の弾圧は、中小企業と労働者の団結にくさびを打ち込み、大企業支配に代わる新たな産業秩序をつくる大義ある政策活動を破壊することを本質的な目的としている。
 「嵐は樹を鍛え育てる」とのたとえのとおり、40年にわたる闘いの歴史をもつわれわれは、過去にも幾度かの権力弾圧を受ける都度、それを反面教師として受け止め、より一層団結を強化して運動を発展させてきた。われわれは、これまですすめてきた我々の政策活動こそが、未来を失った大企業中心の経済・産業秩序に代わって、労働者と中小企業のあるべき未来を切り開く道であり、これ以外に現在の危機を打開する方法はないとあらためて確信する。
 そうした確信を全組合員、そして、中小企業家と分かち合いながら、われわれは、不当な権力弾圧をはね返し、不当に拘束された仲間を早期に奪還する闘い、そして組織に加えられた言われなき汚名を見事に晴らす闘いに立ち上がることを表明するものである。
 さらに、われわれは、これまでにもまして政策活動を強化し、05春闘期間中により大きな成果を達成する決意であることをも表明するものである。
 以上
 2005年1月13日

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号4面1)(2005/02/07)

日米枢軸形成し米軍と一体化 新「15年戦争」へと進む自衛隊
 新防衛計画大綱の反動的大転換

 小泉政権は昨年12月10日、安全保障会議と閣議で、新「防衛計画の大綱」と次期中期防衛力整備計画(05〜09年度)を決定した。今回の防衛計画大綱は、これまでの大綱とはまったく次元が異なる侵略帝国主義への恐るべきエスカレートを行っている。小泉政権は、日米枢軸を形成し、米軍のトランスフォーメーションに積極的に対応して新たな「15年戦争」へと突き進んでいくことを、日本帝国主義の基本路線として確定したのだ。このことを全面的に暴露し、世界戦争の元凶=ブッシュ・小泉反動枢軸の打倒へ総決起を訴える。

 “専守防衛”投げ捨て 「国際安保環境改善」の名で先制的に軍事介入

 新防衛大綱の恐るべきエスカレーションは第一に、「国際的な安全保障環境の改善」を日本防衛と並ぶ「安全保障の2大目標」とすることで、安保防衛政策上の原理的な大転換を図っていることである。
 (1)新大綱は、「国際的な安全保障環境を改善し、わが国に脅威が及ばないようにする」と称して、他国に軍事介入することは「日本の防衛」と同義だ、と宣言したのだ。
 これは“脅威が現実となる前に先制攻撃する”というブッシュの「先制攻撃戦略」と同じ主張である。新大綱は「専守防衛」という戦後の安保防衛政策から最後的に転換し、侵略帝国主義へと大転換することを打ち出したのだ。この恐るべき飛躍性、断絶性を見据えよう。新大綱が「専守防衛に徹し……軍事大国とならない」などというのはまったくのペテンである。
 (2)新大綱はこのような自衛隊の海外派兵を「国際平和協力活動」という概念として打ち出した。
 大野功統防衛庁長官は、新大綱閣議決定後の記者会見で「これまでは(自衛隊の海外での活動は)『国際貢献』という言葉を使っていた。(今後は)『国際平和協力活動』であり、自衛隊が主体的、積極的に取り組むことになる」と述べて、従来の海外派兵とはまったく異なる意義を持つことを強調している。

 海外派兵を「本来任務」に

 これに伴い、小泉政権はこれまで「付随的任務」とされてきた海外派兵を、自衛隊の「本来任務」に格上げする自衛隊法改悪案を、今通常国会に提出することを決定した。自衛隊海外派兵のための恒久法の制定も狙われている。
 (3)新大綱は、国際社会では軍事力が「武力紛争の抑止・対処に加え、紛争の予防から復興支援に至るまで多様な場面で積極的に活用されている」と述べる。
 軍事力による“復興支援”とは何か。軍事占領と暴力的な植民地支配のことだ。日帝はあらゆる侵略戦争に参戦し、占領統治と植民地支配にも参入しようとしているのだ。
 (4)新大綱は、「国際平和協力活動を外交と一体のものとして主体的・積極的に行っていく」地域として、「とくに中東から東アジアに至る地域」を挙げた。
 米帝ブッシュが「不安定の弧」と名付けるこれらの地域こそ、現在アメリカ、日本、欧州の帝国主義各国が石油・市場・勢力圏の再分割をめぐって最も激しく争っている地域である。日帝は日米同盟を軸に、国連やさまざまな多国間の枠組みをも使いながら、これらの地域で侵略派兵を展開し、帝国主義の再分割戦争に食い込もうとしているのだ。
 この再分割戦は、すでに米帝のイラク・中東侵略戦争を軸に軍事的に争われ、米英日と独仏という帝国主義の2大陣営への分裂をもたらしている。したがって日帝の「国際平和協力活動」なるものは、いまや一般的な「国際社会との協力」としては行われず、米帝戦略の同盟的推進者として行われるのである。(北スマトラへの米軍と連携した侵略派兵を見よ!)

 中国を公然と名指し 北朝鮮・中国侵略戦争を狙う「日米戦略対話」

 新防衛大綱の恐るべきエスカレーションは第二に、日帝が米英日枢軸を形成し、米帝ブッシュの世界戦争路線のもとに侵略戦争、世界戦争へと突き進むことを決定したことだ。とくに北朝鮮や中国に対する侵略戦争態勢の構築に全力で取り組むことを最大のテーマに据えている。
 ブッシュは1月20日の大統領就任演説で、「世界で圧政に終止符を打つ」「必要とあれば武力を行使する」と言い放ち、イランや北朝鮮の体制転覆を始めとする世界戦争宣言を行った。2期目のブッシュ政権は、就任演説の中で「イラク戦争」や「テロとの戦い」に触れられないほどイラク侵略戦争の泥沼にあえいでいる。米帝はどん詰まりの危機の中で絶望的に凶暴化し、イラク侵略戦争を激化・継続しながらイランなど中東全域へと拡大し、さらに朝鮮・中国侵略戦争へと向かわざるをえない。日帝は、この米帝の最大の同盟者として侵略戦争、世界戦争の元凶として登場しようとしているのだ。
 (1)新大綱は、「大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織等の活動を含む新たな脅威や平和と安全に影響を与える多様な事態(『新たな脅威や多様な事態』)への対応」が「差し迫った課題」であるとの認識を示した。そして「日米安全保障体制を基調とする日米両国間の緊密な協力関係」の中でこそ、「新たな脅威や多様な事態」への対応が可能であるとした。
 すなわち、日帝は02年ブッシュ・ドクトリン(「米国家安全保障戦略」)が打ち出した世界認識を共有し、米帝の世界戦争路線にぴったりと密着して行動していくということである。
 (2)日本の周辺情勢では、「朝鮮半島や台湾海峡を巡る問題」の不透明性・不確実性を指摘した。そして「北朝鮮は大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、配備、拡散を行うとともに、大規模な特殊部隊を保持している」と指摘し、北朝鮮のこうした動きは「重大な不安定要因」「深刻な課題」と断じた。また中国を初めて名指しし、「核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進するとともに、海洋における活動範囲の拡大などを図っており、このような動向には今後も注目する必要がある」と、警戒を呼びかけた。
 (3)新大綱が「新たな脅威や多様な事態のうち、主なもの」として、自衛隊の対応策を打ち出しているのは、「弾道ミサイル」「ゲリラや特殊部隊による攻撃」「島しょ部に対する侵略」「周辺海空域の警戒監視及び領空侵犯対処や武装工作船等」などであり、ほとんどが北朝鮮・中国侵略戦争をにらんだものである。「周辺海空域の……武装工作船等への対処」の項目では、昨年11月11日の中国原潜の「領海侵犯事件」を念頭に、「領海内で潜没航行する外国潜水艦等に適切に対処する」などと記載された。
 (4)新大綱は「新たな安全保障環境とその下における戦略目標に関する日米の認識の共通性を高めつつ、日米の役割分担や在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢等の安全保障全般に関する米国との戦略的な対話に主体的に取り組む」と述べている。
 日米戦略対話とは、日米同盟の再編の包括的アプローチのための日米協議のことで「外交・防衛当局の審議官級協議」や「外務、防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)」などの形で行われている。こうした協議をとおして、@日米共通の戦略目標A米軍と自衛隊の任務・役割分担B在日米軍の具体的な再編――について日米間で合意しようというものである。これをもって、事実上97年「日米安保共同宣言」を見直し、新たに再定義された日米安保体制の地平に立って、在日米軍の再編を進めようというのだ。
 すでに日米戦略対話では、中国の軍事的台頭を抑え込むことが「21世紀のアジア太平洋地域における外交・安全保障上の最大の課題」との共通認識に達し、3月までに「共通の戦略目標」として「2プラス2」で発表する方針が示されている。11月の審議官級協議では「中台紛争で他国の介入を阻止できるほどの戦力を持つことを、中国に思いとどまらせることが重要」などとして、空海軍力増強の放棄を中国に働きかける方針が論議された。米帝はこれを「ディスエージョン(思いとどまらせる)戦略」などと呼んでいる。
 しかしこれは日米帝が中国侵略戦争の体制をガンガン構築し、戦争重圧を加えて中国スターリン主義を解体するというものである。中国に一方的な武装解除を強要し、応じなければ侵略戦争でたたきつぶすという侵略戦争政策そのものだ。
 米軍のトランスフォーメーションは、米帝が米英日枢軸のもとで、イラク・中東侵略戦争を拡大・継続しながら、朝鮮・中国侵略戦争を真っ向から構えようとするものだ。そして「不安定の弧」を始め全世界で侵略戦争をどんどん展開していくためのものである。そのために米帝は日本(在日米軍基地)を「不安定の弧」地域全体および北朝鮮や中国に対する侵略戦争の基軸的軍事拠点・最大の戦略拠点とし、米本土の裏側のもう一つの司令中枢にしようとしている。そして日帝・自衛隊を米軍の補完戦力として使い切ろうとしているのだ。
 日帝は中期防で、在日米軍再編のための費用として5年間で1千億円を計上した。日帝・自衛隊は、米軍のトランスフォーメーションに積極的に対応し、米帝・米軍と軍事的に一体化し、その中で自己の役割を積極的に拡大していくことで、戦争国家=侵略帝国主義へと大転換しようとしている。そして朝鮮・中国侵略戦争を自らが行うべき戦争としてやりぬき、日本経団連が打ち出した「東アジア自由経済圏」構想を追求しようとしている。

 「基盤的防衛力」変更 “多機能弾力的実効性”うたい侵略派兵軍隊へ

 新防衛大綱の恐るべきエスカレーションの第三は、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという「基盤的防衛力構想」を見直し、「多機能で弾力的な実効性のある」防衛力を整備するとして、自衛隊を侵略軍隊へと大転換させることを打ち出したことだ。
 新大綱は、「今後のわが国の防衛力については、即応性、機動性、柔軟性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度の技術力と情報能力に支えられた、多機能で弾力的な実効性のあるものとする」としている。これは自衛隊を、トランスフォーメーション下の米軍と同じレベルの侵略軍隊として形成していくということである。いくつか具体的に見てみよう。
 ▼弾道ミサイル防衛
 弾道ミサイル防衛システム(MD)は、北朝鮮や中国からの弾道ミサイルによる反撃から、米軍や日本政府、自衛隊の中枢機能を守るためのものである。
 防衛庁は04年度予算で入間基地に置かれた第1高射群への迎撃ミサイル「パトリオット(PAC3)」配備を決定した。PAC3導入を配備するのは、当面東京周辺などの3個高射群に限られ、残る3個高射群には導入しない。PAC3の迎撃範囲は半径数十`で、政府施設や米軍・自衛隊の最重要基地だけを守ろうとするものだ。他方、人民は「防衛」されないばかりか、迎撃の結果としても甚大な被害を被るのだ。
 MD運用については、空自の航空総隊司令官が「MD任務部隊指揮官」(仮称)を兼務し、空自の警戒管制部隊、高射部隊、海自のイージス艦などを統括する。防衛庁は、迎撃ミサイルの発射について、@ミサイルが発射された場合、安保会議と閣議を省略して首相が防衛出動を発令A領空侵犯への対処と同様に部隊指揮官にあらかじめ権限を委譲――の2案を中心に法改定検討に着手した。 
 ▼中央即応集団
 「中央即応集団」(約4800人)こそ、新防衛大綱で打ち出された「多機能弾力的防衛力」の核といえるものだ。海外派兵や「テロ対処」の即応部隊となる「緊急即応連隊」(宇都宮市)を新設し、第一空挺団(千葉県船橋市)、第101化学防護隊(さいたま市)などの専門部隊と合わせて防衛庁長官直轄の軍隊として、緊急事態に即応戦力として投入する。
 この「中央即応集団」のもとに、海外派遣を指揮し、人材を育成する「国際活動教育隊」(約100人)を創設する。陸自は北部方面隊を中心にローテーションを組んで「国際任務待機部隊」を創設し、国際活動教育隊の指導のもと、いつでも後方支援部隊と戦闘部隊の計1300人を2カ所に同時展開できる態勢をとる、としている。
 ▼統合運用
 また、これまで陸海空自衛隊がそれぞれの指揮系統で動いていたあり方を転換し、統合運用を基本とする体制へと転換する。06年3月末までに陸海空自衛隊を束ねる統合幕僚監部(仮称)をつくり、統合幕僚長が3軍を指揮する。
 ▼部隊再編、装備
 自衛隊の部隊編成も、南西重視をはっきりさせ、朝鮮・中国侵略戦争をにらんだ態勢に転換する。北海道の陸自第11師団(約7200人)を2千〜4千人規模の旅団に縮小する一方、朝鮮半島や中台情勢をにらみ沖縄の第1混成団(約1800人)と四国の第2混成団(約2千人)を旅団に格上げする。
 さらに、那覇基地(沖縄県)のF4戦闘機の1個飛行隊を、より戦闘能力に優れた百里基地(茨城県)のF15戦闘機部隊と入れ替える。空自は現有のC1輸送機(航続距離1700`)に代わる新型輸送機C−X(同6500`)24機と空中給油機KC−767(同7400`)4機の導入も決めた。F4戦闘機の後継機も導入する。
 また機動力を強化するため、将来的に軽装甲機動車約2千両(現在の5倍)、多用途ヘリコプター約190機(同1割増)を全国の部隊に配備する。
 ▼敵基地攻撃
 敵基地攻撃に欠かせない、戦闘機搭載の電子妨害装置の開発費(総額110億円)が次期防に盛り込まれた。防衛庁は「無人機等の研究開発を推進する」という表現の「等」に「電子妨害装置の開発」が含まれると解釈している。当初、長距離射程の対地誘導ミサイルの研究開発着手も検討したが、公明党の反対でひとまず見送った。
 ▼自衛隊定員数
 自衛隊の定数は15万5千人で、見かけ上は従来の大綱と比べると5千人削減された。しかし、実は増員されている。うち常備自衛官は14万8千人で、従来の大綱より3千人の増員となった。即応予備自衛官は8千人減の7千人だが、現在の実員よりも多い。
 ▼武器輸出3原則解禁
 「武器輸出3原則」については新大綱には盛り込まず、官房長官談話でなし崩し的解禁に踏み切った。

 米英同盟型へ過渡期の大綱

 こうした恐るべき内容を持つ新防衛大綱は、しかしこれでもまだ「過渡期の大綱」(江畑謙介・軍事評論家)でしかない。いまだ集団的自衛権の行使に公然と踏み込めていないからだ。
 新大綱は「おおむね10年までを念頭に」置くとしながら、「5年後または情勢に重要な変化が生じた場合には、……必要な修正を行う」とされた。
 反動イデオローグたちは次のように言っている。
 「集団的自衛権が行使できて初めて、日米は対等なパートナーになることができる」(自民党幹事長代理・安倍晋三)。「中国大陸を見据え、日本は東洋の英国になるべきだ」(元駐タイ大使・岡崎久彦)。「自衛隊の国際任務を取り巻く状況は向こう5年間で大きく変わる可能性がある。新大綱は自衛隊変革への序章にすぎない」(元陸自北部方面総監・志方俊之)。
 これらの発言が示すとおり、日帝は憲法改悪などをとおし、これから5年ぐらいをめどに米英同盟とまったく同じレベルに日米同盟を引き上げようとしているのだ。
 米英日枢軸のもとで日帝が新たな「15年戦争」に突入し、世界戦争への過程が始まっていることを見据えよう。今こそ“教え子を再び戦場に送るな”のスローガンを実践するために、3〜4月卒入学式での「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを爆発させよう。2・19座間闘争に立とう。
 〔早乙女優〕

 新防衛大綱の骨子

□ 大量破壊兵器やテロなど「新たな脅威や多様な事態」への対応が課題
□ 北朝鮮は重大な不安定要因、核拡散防止の深刻な課題
□ 中国は軍の近代化と海洋活動を拡大させており、動向に注目が必要
□ 日本の安全保障の目標は、日本防衛と「国際的な安全保障環境の改善」
□ 日米の戦略対話に積極的に取り組む
□ 多機能で弾力的な実効性ある」防衛力を整備する

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号4面2)(2005/02/07)

海田基地 “人間の鎖”で包囲 13旅団の派兵を許すな

 1月22日、被爆者や大学教授ら6人が呼びかける「ヒロシマ・ピープルズ声明」の呼びかけで、イラク派兵を許さない集会とデモ、海田基地包囲の「人間の鎖」反戦行動と旅団長への「申し入れ」が、1000人の参加で行われた。
 これは、2月にも行われようとする陸自第13旅団(海田基地)の第5次イラク侵略派兵にヒロシマから派兵されることを許さない行動だ。集会に先立ち、最寄りの海田駅で、百万人署名運動の仲間がイラクからの自衛隊撤退と教育基本法改悪阻止の署名集め・ビラまきを行った。集会参加の労働者や模擬試験帰りの高校生ら多数が署名した。
 集会には広教組、高教組を始め自治労、全港湾など多くの労組、百万人署名運動や反戦共同行動の仲間が参加した。「イラク占領をやめろ」「小泉のために命を落とすな」「自衛隊は撤退しろ」「憲法改悪を阻止しよう」とシュプレヒコールをあげながら、1000人の統一戦線のデモが海田市駐屯地に向かった。
 共同代表の空辰男さん(全国被爆教職員の会)は「ヒロシマは日清戦争以来アジア侵略戦争の日本最大の基地であった。第13旅団のイラク派兵を許せば、原爆投下で不戦を誓った広島は軍都広島に逆戻りする。それはアジア人民への裏切りだ。絶対に反対していこう!」と訴えた。
 感動的だったのは韓国全教組テグ支部から25人の教育労働者が参加し、広教組のゼッケンで基地正門の制圧をともに担ったことだ。そして、宣伝カーの上からテグ支部長が「トゥジェン(闘うぞ)!」と拳をあげ、「われわれは強い団結と連帯闘争勝利の闘いで派兵を阻止し、戦争がない平和な世界をつくるため全身全力で闘わなければならない。反戦平和の旗を高く掲げて戦争反対! 派兵反対! 闘うぞ!」と韓国式のシュプレヒコールで連帯のアピールを行った。
 その後、共同代表の岡本三夫広島修道大教授が「ヒロシマからのイラク派兵の中止を求める」声明文を海田基地の荒木陽・司令職務室長に手渡した。
 憲法9条の戦争放棄の条文を記した「9条手ぬぐい」で手と手をつなぐ「人間の鎖」で駐屯地を包囲した。最近自衛隊を辞めた青年がひときわ大きな声で「自衛隊のイラク派兵を許さないぞ!」とシュプレヒコールをあげていた。
 この日、内田益次郎・陸自第13旅団長は、許しがたいことに申し入れ行動から逃亡した。そればかりか広島市内で右翼日本会議が主催するわずか60人ばかりの集会で、「国歌」「国旗」などで愛国心を高揚させるための皇国史観の教育の必要性と武器輸出の拡大を公言したのである。
 絶対に許せない。今こそ3月卒業式で戦争協力拒否の不起立闘争を爆発させ教育基本法改悪を阻止しよう! 同時に3・20イラク国際反戦闘争を大高揚させよう!
 (投稿/広島A・S)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号4面3)(2005/02/07)

日誌'05 1月19日〜25日
 自民新憲法起草委が初会合
 ブッシュ2期目の就任演説

●直ちに海上警備行動 細田官房長官は記者会見で、他国の潜水艦が潜航したまま日本の領海を侵犯した場合の対処方針を発表した。原則として直ちに自衛隊の海上警備行動を発令するとともに、速やかに公表するという。(19日)
●普天間移設先も議論 大野防衛庁長官が那覇市で記者会見し、米軍再編をめぐる日米協議のなかで普天間問題が「今後取り上げられる可能性は否定しない」と述べ、辺野古沖以外への移設も検討される可能性のあることを示唆した。(19日)
●日共・志位が自衛隊派兵を評価 日本共産党の志位委員長がスマトラ沖地震への自衛隊派遣について「今回のケースでいえば、非常に大規模な自然災害であり、純粋な人道支援に限定して、自衛隊が活動することを否定するものではない」と容認することを表明した。(19日)
●「君が代の声量指導を」 東京都町田市の教育委員会は、今春の卒業式・入学式で児童・生徒が校歌などと同じ声量で「君が代」を歌うことができるよう、事前に指導することを定めた通知文を市内約60の小中学校長に送ったことが分かった。通知は昨年12月16日付で出された。(20日)
●ブッシュ就任演説 昨年11月の米大統領選で再選されたブッシュ大統領2期目の就任式がワシントンの連邦議会議事堂前で行われた。「すべての国で民主主義の発展を追求し、支援するのが米国の政策であり、究極の目標は圧政の終焉(しゅうえん)だ」「武力行使は最優先ではないが、米国は必要な場合、武力でわれわれ自身や友好国を守る」などと述べた。(20日)
●中曽根が改憲試案 中曽根元首相が会長を務めるシンクタンク・世界平和研究所は、独自の改憲試案を発表した。自衛のための防衛軍を創設し、国会承認があれば、海外での武力行使も可能としている。(20日)
●通常国会始まる 第162通常国会が召集された。会期は6月19日までの150日間。小泉首相が衆参両院本会議で施政方針演説を行い、郵政事業の4分社化や教育基本法改正などに取り組む考えを示した。(21日)
●象のオリ、強制使用延長手続き 今年5月で使用期限が切れる沖縄県読谷村の米軍楚辺通信所(象のオリ)の一部土地(知花昌一さん所有)について、那覇防衛施設局長が駐留軍用地特別措置法に基づき、小泉首相に対して使用認定申請を行った。(21日)
●ミサイル防衛、3パターンで 大野防衛庁長官は記者会見で、弾道ミサイルを現場指揮官の判断で迎撃できるミサイル防衛(MD)対応措置の新条文を自衛隊法改正案に盛り込む考えを正式に表明した。統合運用のための組織改編などとともに、同改正案を2月上旬に提出する。(21日)
●アジア女性基金の解散を発表 財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」(理事長・村山元首相)が記者会見し、軍隊慰安婦とされた女性への「償い金」の支給などが終了する07年3月末で解散すると発表した。(24日)
●自民新憲法起草委が初会合 自民党の新憲法起草委員会(委員長・森前首相)が初会合を開き、結党50年にあわせて今年11月に発表する新憲法草案について、4月末までに委員長試案を作成するなどの今後の段取りを決めた。小委員長10人も決定、「前文」は中曽根元首相。(24日)
●皇室典範有識者会議が初会合 女性天皇や「女系」の皇位継承の是非などを議論する小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が初会合。今秋にも報告書をまとめる方針で、政府は来年の通常国会で典範改正をめざすという。(25日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号5面1)(2005/02/07)

小泉=奥田と対決し教育・大学決戦へ
学費・サークル・寮闘争の爆発で「大学改革」粉砕を
 大学の侵略拠点化許すな
 マルクス主義学生同盟・中核派

 学生運動の歴史的爆発をかちとる時がやってきた。学生の生活を破壊し、団結を解体する今日の攻撃が、日帝の侵略戦争突入と一体のものであり、一切の根源が小泉・奥田による「戦争と民営化」攻撃にあることは明らかだ。教育・大学決戦は、日帝・小泉=奥田路線との重大な決戦場だ。昨年11・7労働者集会の歴史的成功は、小泉・奥田と対決し勝利する道が、労働者階級の階級的=国際的団結にあることを示した。これを自らの闘いとして闘いぬいた全国学生こそ、小泉=奥田路線打倒の05年階級決戦へ進撃しよう。イラク参戦と米軍再編の日米枢軸化に対し、第3次安保・沖縄闘争の大爆発をたたきつけよう。教基法決戦・大学決戦の爆発をかちとろう。最大の攻防が都立高校の卒・入学式決戦だ。教育労働者や生徒の闘いと連帯し、全力で支援しよう。東京決戦へ全国学生は総決起せよ! ここでは、とりわけ教育・大学をめぐる小泉「構造改革」攻撃との対決の現段階と闘いの方向性を提起する。

 大学の戦時再編を狙う国立大の授業料値上げ

 国立大学法人化が強行されて2年目を迎えようとしている現在、実に重大な事態が到来している。昨年公表された05年度予算原案で、授業料値上げが狙われていることが明らかになった。具体的には各大学に配分する運営交付金を削減し、授業料(標準額)を1万5000円引き上げ、年額53万5800円とするものだ。これに対して学生、教職員の怒りが噴出している。学長声明だけでも北東北3大学(弘前、秋田、岩手)、中四国10大学(鳥取、島根、岡山、広島、山口、鳴門教育、徳島、愛媛、香川、高知)、東京11大学(東京、東京医科歯科、東京学芸、東京外国語、東京農工、東京芸術、東京海洋、東京工業、電気通信、御茶の水女子、一橋)にのぼる。「学長職の返上すら辞さない」(東京外大)という声が上がっている。
 この攻撃は、授業料の値上げにとどまらない。国立大学法人のもとでは文科省が目安として示す標準額の上下10%内で各法人が自由に授業料を設定できる。その最大の問題は、直接には関係がないはずの授業料と運営交付金とをリンクさせ、事実上運営交付金の削減を各大学の授業料値上げで補填(ほてん)させようとしていることだ。
 今後何が起こるのか。まず際限なき授業料の値上げだ。法人化の狙いの一つは、各大学法人の自己収入の増大を前提に予算逓減を進めることだ。文科省は、5年で450億円(中規模大学数校分!)の予算削減を狙っている。これらすべてを学生に負担させようというわけだ。さらに、それでも競争と予算削減に耐えられず授業料の値上げにつぐ値上げを自家中毒的に重ね、果てにはつぶされる大学も出てくる。
 文科省が「大学の構造改革(遠山プラン)」で大々的に掲げた「大学の再編・統合」がこうやって強行されている。しかも「中期目標−中期計画」による大学の統制が一体で進行する。今回の授業料値上げは、サークル・寮の解体と一体で学生の生活を破壊すると同時に、大学を大再編し、政府と資本家のために侵略戦争・軍事研究まで担う大学へと変貌(へんぼう)させる巨大な攻撃だ。
 大学で何が起こっているか。まず自治会の非公認化や寮の廃寮化だ。それだけではない。04年をとおして大学当局はサークル活動、さらにビラや立て看板に対してすら激しい規制を加えている。学生が自主的に行動することはおろか、主張することも許さないというのだ。他方でブルジョアジーが「経営協議会」として大学に直接乗り込んでいる。大学の主役は誰だというのだ! 学生課はもはや企業の労務管理課となっている。これが「民間的経営手法」「機動的大学運営」の実態だ。
 さらに、この中で学生生活そのものが破壊し尽くされようとしている。
 @今回の授業料値上げも、法人減税・大衆増税と同じだ。結局は学生からの収奪で、政府(大学)予算を削減するものだ。さらに奨学金は学生ローンに置き換えられている。学生生活を借金漬けにし、資本の食い物にしようというのだ。学生生活も「勝ち組・負け組」というイデオロギー支配で、資本のための研究をやれ、資本家にとって望ましい人材になれとブルジョアジーと大学が一体で呼号する。身も心も生活もすべてブルジョアジーにささげろということだ。
 A91年以来の大学院拡充路線は、大学を大きく変えている。2000年段階で大学院在籍者は20万5000人に達した。90年(9万人)と比較すると2倍強、80年(5万人)からは実に4倍だ。経済界の要請にこたえ、「高度専門職業人養成」の名目で大学の特化・専門化が激しく進められている。学生は学部段階からレポートやテストに追われ、激しい選別・淘汰(とうた)にたたき込まれている。大学院では、教授は予算獲得競争に明け暮れている。他方で予算削減の中で研究補助者を雇えず、大学院生がその代替に充てられている。この中で「徒弟社会」とも言えるものが強化されている。中途退学者の増大、学生への「アカデミックハラスメント」など肉体的・精神的苦痛の強要はこうした構造の中で起こっているのだ。

 改憲と一体の軍事研究を要求する日本経団連

 05年決戦は、大学決戦が重大な局面に突入すると同時に、戦時教育への再編、とりわけ大学を侵略戦争の拠点とする大攻撃との対決だ。1月18日に日本経団連が明らかにした「わが国の基本問題を考える――これからの日本を展望して」と題するレポートは実に重大だ。これで経済4団体すべてが改憲の立場を公然化させた。日帝ブルジョアジー総体が改憲攻撃に乗り出してきたのだ。
 このレポートで日本経団連は「21世紀を迎え、わが国は、内外の荒波を受けながら、依然として進むべき大きな方向性を見出しかねている」という危機感のもと、「東アジア自由経済圏の構築と日米同盟の強化を外交政策の軸」とすべきだと強力に要求している。ブルジョアジーが軍事における日米枢軸化と独自のアジア勢力圏化を公然と主張するに至った。中には「新たな領土の拡張」という文言まで盛り込まれている。この「外交政策の軸」を実行するため、改憲が必要だと言い、「当面の最大の問題」は集団的自衛権の明確化と9条改悪だと主張している。さらに統治システムの強化、教育、少子化、科学技術政策など社会体制の大転換を要求している。
 大学についても研究、教育両分野で重大な主張をしている。
 一つには、「わが国ではこれまで、平和主義の観点から、防衛関連の科学技術と他の科学技術とを区分して扱う傾向にあった」が、今後は、「科学技術面においても防衛・民生の垣根を越えて」取り組みを進めることを「科学技術政策の一層の強化に向けた課題」と据えていることだ。これが直接は大学における軍事技術研究を指していることは明白だ。今後の科学技術政策の最大の課題が軍事技術研究の国家的プロジェクト化であり、大学が拠点となるべきだということだ。
 すでに日帝は、日本経団連の意向を百パーセント体現して踏み切ったMD(ミサイル防衛)システムの日米共同開発・生産について、「産官学の優れた技術の積極的導入」(「中期防衛力整備計画」)をぶちあげている。法人化を受け入れた大学が、生き残りをかけて軍事研究を公然と担う時代がやってきた。しかも日本経団連が、国家的危機の突破をかけて「東アジア自由経済圏構築と日米同盟」を主張する以上、技術研究分野のみならず大学の全研究分野が総動員されていくことは間違いない。
 二つには、「教育基本法に、高等教育機関における教育機能の重要性について新たに規定を設けるべき」としていることだ。
 このレポートは「教育改革の方向性」として「教育力」の向上をあげ、「日本の伝統・文化・歴史にかかわる教育を充実」させるとしている。これを大学でも徹底すべきだと言っている。すでに中教審答申は「安易な卒業をさせないよう学生の成績評価を厳格化し、高等教育修了者にふさわしい学生の質(基礎的な教養、専門的な学力、人生観と世界観など)を保障する大学教育の実現を図る」と言っている。大学で、国家主義と一体の時代観・世界観、すなわち侵略思想そのものを学生にたたき込もうとしている。
 ブルジョアジーのこれらの要求を国策として推し進める攻撃が教育基本法改悪だ。「日の丸・君が代」攻撃と一体で、大学を頂点に全教育課程を「戦争と死の教育」へと転換させる大攻撃だ。実際、1月21日の小泉施政方針演説は、日本経団連の主張と呼応し、「積極的に取り組む」と教基法改悪への決意を語り、大学に相当の分量を割いた。

 侵略戦争を担えというのか

 生活と団結を破壊し、自主性・主体性をも否定し、資本の食い物にすらした上に、学生に侵略戦争そのものを担えというのだ。どうして許せるか。資本家階級とは、労働者階級からの搾取と全人民、被抑圧民族人民からの収奪を続けない限り一時も延命できない。資本家階級とその代弁者たる小泉は、むき出しの搾取・収奪・抑圧の社会に大転換させ、戦争国家につくり変えようとしているのだ。ここに小泉・奥田路線の階級的本質がある。この小泉=奥田を粉砕しない限り、もはや労働者階級人民は生きていけない。
 今日の全面的な「教育改革」攻撃は、91年の「大学改革」から始まった。教養部廃止と大学院重点化、評価制度の導入、学長権限強化などが90年代を通して強行された。そしてこの高等教育の再編を突破口に初等・中等教育など全教育体系の大再編が進行している。
 また法人化攻撃は、小渕内閣の国家公務員25%削減の決定を直接の契機にしている。当初郵政3事業がターゲットとされていたが、実際は見送られ、大学(約13万5000人の教職員の非公務員化)に攻撃が定められる経緯があった。
 この90年代の大学をめぐる激しい死闘は、今日の小泉「構造改革」攻撃との最先端の攻防だった。今日、小泉政権の「骨太方針W」からも明らかなように、この攻撃の本質は官公労系の労働組合運動の徹底破壊と、それによる階級関係の全面的な改編にある。日帝は、これらの攻撃に先立って、学生の反撃を未然に粉砕するために「大学改革」攻撃に全力で突入してきた。
 なぜならこの資本主義の没落の時代に青年・学生が階級決戦の先頭に立つことを日帝は心底恐怖したからだ。だから学生の闘いの拠点を解体し、主体性・自主性をどこまでも圧殺し、息も詰まる大学をつくり上げようとしてきた。

 学生こそ小泉打倒の先頭に

 重要なことは、全国学生の闘いが今日まで国家権力・ブルジョアジー・大学当局との死闘に勝ち抜き、国際階級闘争、日本階級闘争が分岐・流動・再編・高揚局面に突入し、とりわけ11・7労働者集会においてブッシュ・小泉枢軸を打倒する労働者階級の革命的決起が切り開かれる情勢に躍りこんだことだ。ここに勝利の道がある。
 「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)との闘いは、「骨太方針W」との対決そのものだ。遠山プラン自体が、経済財政諮問会議において当時の文科相が明らかにしたものだ。その後「骨太方針」の中で、社会保障制度解体、大衆増税、公務員制度改悪、郵政民営化などと一体で、一貫して法人化の推進が主導されてきた。とりわけ「骨太方針W」では、法人化の原理を徹底させるために「政策目標の明確化」「事後評価の確立」「競争原理を機能させた支援」を主張している。これらはブルジョアジーが主張する「『多様性』『競争』『評価』を基本とした大胆な改革」(「わが国の基本問題を考える」)と完全に対応している。
 小泉は、「骨太方針W」で郵政民営化を突撃路に、官公労労働運動の解体に全力で突き進んでいる。この中で教労決戦を先頭に4大産別決戦の大前進が切り開かれている。しかも10年間かけても学生運動は圧殺できないどころか、学生の怒りは渦巻き、階級決戦への大合流が始まろうとしている。今や日帝は学生運動を先頭とする階級決戦の全面的爆発の恐怖にたたき込まれているのだ。

 教基法・大学決戦闘い学生自治会建設しよう

 当面する闘いは第一に、2〜3月「日の丸・君が代」決戦の爆発をかちとることだ。とりわけ東京決戦に全国学生は総決起しよう。「戦争と死の教育」への大転換が、紛れもない侵略の旗と天皇の歌によって行われようとしている。そしてこの攻撃に階級的・人間的怒りから教育労働者が真っ向から対決している。このことに心を揺さぶられない者がいるだろうか。
 第二に、法人化攻撃との対決として授業料値上げ阻止決戦を大学丸ごとの大行動、全国学生の大統一行動を展望して闘いぬくことだ。学生寮解体、サークル活動圧殺、そして授業料値上げにもはや学生の怒りは煮詰まりきっている。学生を寮やサークル部室からたたき出し、生活を破壊し資本の食い物にしながら、大学と学生を侵略戦争の担い手にするなどということを誰が容認できるか。寮決戦、サークル決戦、授業料決戦を文字どおり全学的・全国的決起へと大発展させ法人化を粉砕する情勢が日々煮詰まっている。
 この中で法政大学決戦、東北大学有朋寮決戦、都立大学決戦の位置は実に重大だ。この決戦が全国学生の闘いのかなめとなり、フロントランナーとなる時がやってきた。
 第三に、全国大学で学生自治会の建設・強化をかちとろう。大学をめぐるブルジョアジーとのやりあいに勝利し、逆に学生こそが大学の支配権を打ち立て、小泉政権打倒の拠点へと打ち固めるのだ。そもそも自治とは国家権力に対して闘う団結であり、人民権力そのものだ。
 今日の時代における学生自治会の建設・強化こそ決定的だ。闘うための団結の形成は学生の根底的要求としてわき上がりつつある。ブルジョアジーの代弁者と成り下がった大学執行部を打倒し、闘うための原始的団結を蘇(よみがえ)らせよう。カクマル・日共全学連を打倒し、全学連運動の革命的統一をかちとろう。
 第四に、学生共産主義者の大量の創出こそが求められている。マルクス主義学生同盟・中核派の拡大・強化をかちとろう。
 全世界的に展開する帝国主義との闘いにおいて、労働者階級が不死鳥のように登場し、闘いの主導性を発揮しつつある。今起こっていることは権利一般の剥奪(はくだつ)でもなければ好戦主義者どもによる戦争の激化でもない。資本主義がその末期的危機を爆発させ、ブルジョアジーが自らの階級的利害をむき出しに、全労働者階級人民に襲いかかっているのだ。
 そしてこれと対決し、最後まで闘いを主導できる階級こそプロレタリアートである。なぜならプロレタリアートこそ、資本主義を打倒し、共産主義社会の建設を担いうる唯一の階級だからだ。
 青年・学生、そして大学を巡ってブルジョアジーの支配を許すのか否かが攻防となっている。それを突破する唯一の道は、なんらかの改良政策ではなくプロレタリア革命による資本主義社会の転覆以外にない。

 マル学同に結集し闘おう

 この闘いの先頭に立つことこそ学生共産主義者の決定的役割だ。マルクス主義学生同盟・中核派は青年・学生の先頭で闘いぬこう。階級的労働運動と連帯し、プロレタリア革命による資本主義の転覆こそ、人類史の本格的展開をかちとる闘いであることを熱烈に訴えよう。労働運動・学生運動の爆発で小泉=奥田路線を粉砕しよう。反戦闘争、教育・大学決戦の先頭で闘うすべての学友はマルクス主義学生同盟・中核派に結集し、この歴史的事業をともに担おう。
 全国の学友諸君! 05年の歴史的闘いへ進撃しよう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号5面2)(2005/02/07)

スマトラ沖地震と大災害 帝国主義と新植民地体制こそがこの大惨事の元凶

 年末年始以来、本格的な帝国主義の大攻撃や大事件が連続して生起している。プロレタリア自己解放闘争を闘うわれわれが真っ向から闘わなければならないものの一つに、スマトラ沖地震・インド洋大津波と未曽有(みぞう)の大災害の発生の問題がある。階級社会に生きるわれわれは、どんな自然災害も階級的規定性を与え、階級的災害として内外情勢に組み込んでいかなければならない。
 次々と地震・大津波のビデオ映像が報道されている。数十万もの死亡者・行方不明者が出たのだ(1月25日時点で29万7千人という死亡者数が発表されている)。この事態は、単なる自然災害の結果ではなく、階級的大災害、人為的災害と言えるものだ。
 帝国主義とその新植民地主義体制こそが、被災諸国人民の貧困、劣悪な住居、災害に対する無防備状態をつくりだし、放置していたことによって、数十万の人びとを死亡させたのだ。
 昨年9月、国連の教育科学文化機関(ユネスコ)が地震が発生した場合にインド洋で大津波が発生する脅威があると警告し、早期警報システムの導入が検討されたにもかかわらず、米日を始めとする帝国主義諸国が資金援助をしようとせず導入が見送られた。
 しかも、今回ハワイにある米国海洋大気管理局(NOAA)が地震発生をキャッチしてから数分以内に「壊滅的な波がインド洋に広がっている」とみていたにもかかわらず、ディエゴガルシア島の米軍基地に津波警戒情報を伝えただけでインド洋周辺諸国には通報も警告もしなかった。まさに今回の津波災害は帝国主義による人災そのものだ。
 帝国主義諸国は、見え透いた姿で「人道的」であるかのごとく振る舞っている。しかし、「救援・支援」活動のあり方をみればそのペテンは一目瞭然(りょうぜん)である。帝国主義の真の狙いは、新植民地体制諸国の再編的掌握そのものだ。さらに言えば、再侵略と再分割だ。
 そのためにムスリム人民の民族解放闘争を圧殺しようとしている。パウエル米国務長官(当時)は、イスラム人口が世界最多のインドネシアへの支援は「テロとの戦い」だと言明した。
 インドネシアのアチェは天然ガスを産出する地域であり、米石油資本のエクソンモービルが操業している。01年のアチェ人民の武装決起では、この天然ガス採掘が一時操業停止に追い込まれ、同年12月にはエクソンモービルの現地法人従業員を乗せたバスが銃撃を受け、インドネシア人従業員1人が死亡するという事件も起こっている。米帝は混乱状態につけ込んで米軍派兵によってこの地域を直接軍事制圧することさえ狙っているのである。
 また、米帝は当初、支援グループの「コア」=「有志連合」の結成を提唱したことにみられるように、EU=独仏帝との露骨な争闘戦を展開しているのである。そして実際にやっていることは、米軍1万4000人の大動員であり、それと完全に連携した日帝・自衛隊の千人を超える大派兵である。それは「救援」を口実とした軍事行動そのものだ。さらに言えば、「不安定の弧」地域への軍事介入、足がかりであり、また軍事的共同行動の大演習である。トランスフォーメーション戦略の発動だ。
 帝国主義には本当に被災人民を「救援」しようという気持ちなどまったくない。米帝は、世界保健機構(WHO)がこのまま放置すれば多くの人が疾病で命を奪われる恐れがあると警告した後にようやく救援資金の拠出を表明したが、その額はわずか1500万jに過ぎなかった。それはイラクでの米軍経費の1日分に過ぎず、国内と世界から非難の声がまき起こった後に増額されたが、ライス新国務長官の「津波はアメリカにとってすばらしい機会だ。大きな見返りの利益がある」という言葉にその本質が示されている。
 この帝国主義の本質を示しているのが、とりわけ日帝の動きである。日帝は、「災害支援」を絶好の口実として、陸・海・空自衛隊を侵略出兵させた。さらに自衛隊の海外活動(その基本は軍事侵略)を「正面任務」とするために全力で今回の事態を利用した。そのための自衛隊法改悪案を通常国会に提出することを決めた。まさにこうした帝国主義のあり方こそが、今回の膨大な死亡者を生み出した根本原因なのだ。
 そして日本共産党は今回の自衛隊の「災害救援」派兵に全面的に賛成している! 「テロ根絶」論に続く歴史的裏切りだ。 
 われわれは以上のような「災害」のもつ階級性・階級的人災性を暴露しつつ、自国帝国主義の全面的階級攻撃と対決し、「日の丸・君が代」決戦を軸に4大産別決戦を爆発させる闘いに、この2〜3月総決起していかなければならない。
 さらには、直接の「災害」との闘いで被災地の労働者階級、また在日・滞日アジア人民がいかにこの事態に向かって闘おうとしているのかを最大限対象化し、その闘いと連帯していく道を模索していくことが求められる。
 結論的には、「津波災害」がわれわれに突きつけるものは、プロレタリア世界革命による帝国主義の打倒と新植民地主義的支配体制の根本的転換が、本当に待ったなしに迫られているということだ。6月都議選勝利へ、05年新年号の大学習運動を継続し、さらに基本方針の全面的本格的な物質化のために、2〜3月の「日の丸・君が代」強制攻撃に階級的大反撃をたたきつけていくことが当面の最大の課題だ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面1)(2005/02/07)

団結ひろば 投稿コーナー

 中越地震で失業者の労働相談をやりぬく 新潟 矢吹 茂

 「私は大手の半導体メーカーで働いていた派遣会社の労働者です。地震で1カ月後に解雇されました。労働基準監督署から(解雇制限、解雇予告除外の)認定を受けたので、解雇予告手当はもらえないと言われました。どうにかならないですか」
 これは昨年暮れ、私が加盟している新潟の地域合同労組が中越地方で実施した労働相談(フリーダイヤル)に寄せられた内容です。20代後半の彼は、降雪期を前に年末で解雇され、解雇予告手当もなく、雇用保険の加入期間が足りないために失業手当ももらえず、ほうり出されました。
 この派遣会社は大手で、20年前に自治体から特権を与えられて誘致された大手半導体工場に業務請負で入っており、マージン(手数料)は40%にも及んでいたそうです。この工場では2千人の労働者が働いており、その内450人が派遣会社の労働者でした。地震で工場が損壊し、11月中旬で派遣先から契約を解除された派遣各社は、次々と社員を解雇しました。まず派遣・請負労働者に犠牲が集中したのです。
 一方、正社員は電機連合の組合員で60%休業手当が支給されてきましたが、20%の賃下げも提案され、工場縮小は確実で新たな合理化計画は必至です。このいずれも多くが20代の青年労働者です。大資本は青年労働者の低賃金を当て込んで搾取するだけ搾取し、震災の時は自らが生き延びるためにばっさりと切ってしまうのです。
 私たちは、11月、避難所を皮切りに被災地で労働相談を実施してきましたが、相談件数が少ないのが現実です。これは連合、全労連も同じです。「上の人に逆らわない」(地元の労組活動家)ということもあると思いますが、声を上げづらいというのが実状ではないかと思います。
 こうした中で私たちは、1月17日に新潟労働局への申し入れを行いました。労働基準法19条2項、20条3項の認定は慎重にやること、雇用保険の特例措置の実施、雇用調整助成金の支給日数の拡大などを申し入れました。
 長期不況の上に、風評被害を含めて解雇・失業問題は、ますます深刻化しています。新潟労働局が、震災による解雇は千人近くと発表していますが、それは表面上の数です。
 私は、今後もこの労働相談を続けて、被災地の労働者とともに仕事と生活を守っていきたいと考えています。

 国会開会日に共謀罪廃案を訴えビラまき 東京 N・T

 1月21日から通常国会が始まりました。破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪廃案を訴えて開会日の国会前ビラまきに立ち上がりました。
 共謀罪法案を巡る攻防は、今国会が待ったなしの激突の場です。ここで制定できなければ廃案は濃厚とみられており、法務省は「何でもいいから通してしまえ」と早期成立を狙っています。これに対して、1月27日には「共謀罪を廃案に院内集会」が衆議院第2議員会館で行われました。
 共謀罪は、「事件」がなくても会話などの意思疎通を「犯罪」として予防弾圧的に取り締まる法律で、そのために必要な監視体制を社会の隅々にまで構築していくことにつながります。
 共謀罪の起源は、労働組合の結成を犯罪とする近代ヨーロッパの団結禁止法です。労働者階級は幾多の血を流して闘い、団結権をかちとってきました。共謀罪新設攻撃は、歴史の歯車を逆に回す攻撃であり、小泉・奥田路線(侵略戦争と民営化の攻撃)の一環としての国内治安弾圧体制づくりの核心をなしています。
 イラク派兵延長下、葛飾でのビラ入れ「現行犯逮捕」・起訴の弾圧や、関西生コンへの執行部一斉逮捕の大弾圧は、戦時下の治安弾圧としてすべての労働者人民にかけられた攻撃です。そして共謀罪と並んで日本版「愛国者法」=「テロの未然防止に関する行動計画」(昨年12月10日に政府が公表)の実行までも狙われています。
 今こそ大反撃に立ち、11・7労働者集会での米韓労働者の訴えに学んで治安弾圧体制粉砕を闘おう。立川ビラ入れ弾圧の1審無罪判決・勝利の教訓は、権力への不屈の構えと幅広い大衆闘争の組織化、すなわち弾圧を逆バネに団結を一挙に広げることです。労働組合の「戦略課題」として共謀罪阻止闘争を広げよう。まずは2月4日の集会へ。
 2・4共謀罪粉砕総決起集会/午後6時から茗台区民プラザ(文京区春日2−9−5、丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩10分、小石川郵便局向かい)/主催 破防法・組対法に反対する共同行動

 辺野古から最新報告やぐら上の激突制す 東京 森口博行

 1月17日、防衛施設局とパシフィックコンサルタント株式会社は、一番東にあるやぐらでボーリング用エンジンの試運転を強行するという暴挙に出た。やぐらにいた反対派の必死の抗議を力で踏みにじり、エンジンにスイッチを入れた。
 13日に反対派は、辺野古沖合に現れたボーリング作業用のスパット台船を命がけの闘いで阻止し、台船を辺野古の海からたたき出した。これは反対派にとって決定的な勝利だ。予期せぬ敗北に追いつめられた防衛施設局と業者は、その取り戻しをかけて、この17日の暴挙に及んだのだ。「今日は、海に落としてもいいから(と、上から言われている)」と、作業責任者は暴言をはいた。防衛施設局と業者は、あくまでボーリング調査を強行しようと狙っているのだ。
 この防衛施設局と業者の暴挙は、反対派の怒りをふるいたたせた。一層団結を固め、漁民との連帯を強め、体制を強化してやぐらの攻防戦に臨んだ。まだ日も昇らない早朝、冬の海に毎日出ていく。沖縄とはいえ、この時期の海上の風は冷たく、波も高い。しかし昨年4月以来、負傷者を出しながらも約10カ月にわたってこの調査を阻止してきた地平を守り抜き、この工事をなんとしても白紙撤回させたい。そんな思いが、17日の暴挙に対する反対派の回答となった。
 ギリギリとした対峙状況が、その後連日続いた。防衛施設局と業者は、暴力的突入をうかがうと同時に甘言をろうし、だましてでも工事をしようとした。反対派の必死の闘いがこれを阻んだ。防衛施設局と業者の船は、やぐらの周辺をグルグル回ったり、1時間くらい近くにとどまったりして、結局むなしく帰っていく日が続いていた。
 そして27日、ついに防衛施設局と業者は、あるやぐらの工事用の板敷きを強行する暴挙に出た。5人のダイバーが突然海に飛び込み、泳いで漁船をかいくぐってやぐらを一挙に登り、板を運び上げて、工事用の板敷きをしようとした。やぐらにいた反対派は、板に必死にしがみつき、設置場所に身を伏せて工事に抗議した。5人のダイバーと作業員は、この抵抗の前に、板を上まで運び上げながら設置することができない。20分くらいの攻防の末、彼らは「本日の工事は中止」と完敗を宣言し、一度上げた板を全部船に戻して港に戻った。大きな勝利だ。
 辺野古では、攻撃と反撃の中で激しい激突が今続いており、最大の決戦に突入している。このまま3月までボーリング調査を阻止すれば、小泉政権と防衛施設局の安保・沖縄政策の破綻(はたん)は完全に明らかになる。
 現地に駆けつけよう! 命を守る会と反対協にカンパを集中しよう! そして労働者・労働組合を先頭にして全国でこの現地闘争と連帯した闘いを巻き起こし、小泉政権と稲嶺県政を追いつめよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面2)(2005/02/07)

クルド難民を強制送還 「人権侵害でない」 開き直る日帝・法務省

 1月17日、クルド人難民カザンキラン氏と長男のラマザン氏は、仮放免の更新のために東京入管局に出向いたところ、更新不許可となり、その場で収容された。翌日家族が面会に行くと、すでに2人は成田に身柄が移されており、14時25分発のトルコ航空機に乗せられるという有無を言わさぬ強制送還が行われた。
 2人は19日の真夜中、トルコに到着したが、そのまま拘束され、警察車両に乗せられて取り調べとなった。現在、父親のカザンキラン氏はいったん解放されているが、ラマザン氏は兵役局に送られたと報道されている。

 21日にも7人が

 さらに21日、今度は、昨年9月に集団で在留特別許可を求めて出頭した7人のバングラデシュ人が強制送還された。彼らは11月に全員が収容され、12月に弁護団が仮放免申請をしたばかりだった。
 国会の開会と軌を一にした今回の日帝・法務省の強制送還の暴挙は、これまでの入管攻撃をさらに一層エスカレートさせたものであり、断じて許せない。
 日帝・小泉は、昨年12月10日、新防衛計画大綱と一体のものとして「テロの未然防止に関する行動計画」案を明らかにし、その中で、入管法を今後3度にわたって改悪することを明らかにした。改悪入管法が12月1日に施行されたばかりである。日帝・小泉の狙いは、入管体制を、戦時体制の重大な一翼に位置づけ、侵略戦争のエスカレーションに合わせて好き勝手に変え、「テロ対策」の名のもとに外国人への治安攻撃を徹底化するというものだ。外国人の人権など、髪の毛の先程も考えていない。
 その上で、外国人を「労働力」としてのみ位置づけ、一切の人間的自由・権利を奪って「東アジア自由経済圏」のもとに組み伏せていこうというのだ。
 クルド人難民強制送還の背景には、米帝ブッシュの世界戦争戦略に協調路線をとるトルコ政府を支援する狙いがある。小泉政権のODAによる04年度対トルコ援助も1千億円を超える。
 昨年来、法務省・入管は、難民申請者に対する悪質な調査を進行させてきた。ひとつは、昨年7月に、日本に在住するトルコ出身の難民申請者の留守家族のもとにトルコ警察、治安部隊を案内人として「トルコ出張調査」を行った。迫害を受ける可能性のある人を、迫害する警察や軍隊を案内人として調査するなど、誰が見ても難民申請者のトルコ当局への売り渡しではないか。今ひとつは、1月11日に発表されたもので、「2004年に法務省に届けられた難民申請約420件のうち、6割の240件が虚偽、強制送還逃れの時間稼ぎ」などというキャンペーンである。
 これらのキャンペーンを水先案内として、今回の強制送還の暴挙が行われたのである。法務省は、内外の糾弾の声に対して「送還は法にのっとって行った。彼らは東京高裁で難民ではないと証言している。だから人権侵害ではない」と開き直り、南野法相も同様の見解を明らかにしている。

 高裁で全部敗訴

 しかし、この間、難民申請者は、入管に難民不認定とされたことに抗議して提訴しているが、地裁で難民性があると認められたケースでも、高裁でことごとく逆転敗訴となっているのが現実である。裁判で難民と認められなかったから難民ではない、などというのはまったくのペテンだ。
 カザンキラン一家はドーガン一家とともに、昨年7月12日から9月22日まで72日間、渋谷の国連大学前で24時間の座り込みを行った。こうした行動の末に、カザンキラン一家は、国連難民高等弁務官(UNHCR)によって難民(マンデート難民)として認定されたのである。
 しかし、法務省はこのマンデート(公式命令)を完全に踏みにじり、強制送還を執行した。マンデート難民として初めての強制送還であり、日帝は自ら国際法を無視しているのである。そもそもクルド人は難民性が高いと言われており、諸外国では難民として認定されるケースも多いと言われている。しかし、日本ではこれまで一人も難民として認定されていない。
 1月21日、ドーガン氏、そして24日、カザンキラン氏の妻子5人は仮放免の更新をかちとった。しかし、毎月この延長手続きは続くのだ。小泉は第3国への出国などと言い放っているが、ならばなぜ2人を強制送還したのか。われわれはカザンキラン氏の二女が語った「一番かわいそうなのは日本人。こんな国で幸せになれるのですか」という言葉を深くかみしめて闘わなければならない。
 日帝の戦時下でうち続く強制送還を徹底的に弾劾し、難民申請者−すべての外国人の強制送還を全力で阻止しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面3)(2005/02/07)

都管理職試験国籍条項訴訟 「行政裁量の範囲」と強弁 最高裁判決許すな

 1月26日、在日朝鮮人2世の保健師、鄭香均(チョンヒャンギュン)さんが、日本国籍でないことを理由に東京都の管理職試験を拒否されたのは憲法違反だと訴えた訴訟の上告審判決があった。最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は、「合理的理由に基づいて日本人職員と外国人職員を区別しており、法の下の平等を定めた憲法に違反しない」との判断を示し、鄭さんが勝訴した東京高裁判決を破棄、逆転判決を言い渡した。
 鄭さんは、公判後の記者会見で「戦後民主主義の何たるかも大法廷はわかっていない。憲法判断ひとつない。世界中に言いたい、日本には来るなと。外国人が日本で働くということはロボットになるということ。人間として扱われない」と怒りに震えて弾劾した。さらに「日本は植民地の問題も、戦後処理の問題も、何も解決していません。これは私たちの問題ではない、日本人の問題です」と告発し、「涙も出ません。哀れな国です」と結んだ。
 10年余にわたる鄭さんの正義の闘い、さらに全国各地での在日朝鮮人の国籍差別撤廃を掲げた闘いは、地方自治体での国籍条項撤廃の大きな流れとなっている。追い詰められているのは日帝・最高裁の側であり、判決は真正面からの憲法判断を回避、東京都の事例判断に限定して「違憲ではない」と言わざるを得なかった。だが、これは、最高裁大法廷という国家の威信をかけ、国籍差別は合憲とした判決であり、それ自身が改憲への攻撃だ。ここを見据え、差別判決を徹底的に弾劾しなければならない。
 昨年12月15日に最高裁大法廷で開かれた口頭弁論で鄭さんは、「公務員として、私も日本国籍の同僚も法に則して仕事をしており、恣意(しい)的な公権力の行使はしておりません。また国家の意思形成にも参画しておりません。……地方公務員も国家意思の形成にたずさわっており、法や条例によらず恣意的に意思形成ができるという考え方は、明治憲法下の官吏の発想が残っていると言わざるを得ず、突きつめれば国民主権の意義自体を否定するものです」と、在日朝鮮人として、公務員労働者として誇り高く意見陳述した。
 しかし、最高裁判決はあらためて国籍による採用差別を貫くことを宣言した。排外主義・差別主義的に在日外国人を選別し、屈服・翼賛させようとするものである。同時に、自治体労働者に再び「明治憲法下の官吏」となり「赤紙」を配れという攻撃であり、有事法制・国民保護法のもとで自治体労働者に戦争協力を強制するものである。
 すでに日本は戦時下に突入している。自衛隊イラク派兵をもって「新たな15年戦争」を開始した小泉政権は、教育基本法改悪・憲法改悪に進んでいる。
 民族性と人間性をかけた鄭香均さんの国籍条項差別との闘いと固く結合し、自治体労働者の戦争協力拒否の闘いを爆発させよう。今春、東京で「日の丸・君が代」強制拒否を闘う教育労働者とともにファシスト石原都政打倒へ突き進もう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面4)(2005/02/07)

党学校 『ドイツ・イデオロギー』 −学習の感想−

 マルクス主義誕生の飛躍点 W・N

 『ドイツ・イデオロギー』は、「唯物史観」=歴史学の本、として読むものではなく、マルクスやエンゲルスが、ヘーゲル左派の哲学者としての自己から、哲学者たちを批判し、彼らと決別して、現実の運動=共産主義革命を闘いとる労働者階級の立場へ階級移行したマルクス主義の誕生の著として読むものだということが重要ということだった。
 最初、『ド・イデ』を読む時、なぜ、〈ヘーゲル左派との決別、実践的唯物論=共産主義=階級的立場への移行〉という前置きばかり長くやるのだろうと思っていましたが、討論での「自分がマル学同に結集した時のこと、社会を変革しようという立場に立って、その時に資本主義とは何かと、共産主義の思想に自分の価値観を揺さぶられた。マルクスとはいえ、やはりそんなに変わらない。苦闘は同じだと思った」という感想なども併せて考えると、やはりここが重要なんだと思いました。そうではない読み方ばかりなんだということと、この「革命への飛躍点、そこから資本主義社会の矛盾をひもとく、革命への道筋を基本的に示した出発点」だということこそ、『ド・イデ』の核心であり、革命性なのだ、と感じました。
 今、青年労働者と『共産党宣言』の学習会を始めていますが、あらためて『ド・イデ』に向き合って、分業から共同利害、国家の問題、革命の条件から共産主義革命へ、基本的にマルクス主義の骨格が示されている、ここが原点なのだと思いました。
 冒頭言われていましたが、「資本主義」や「帝国主義」という言葉自体がないのが今の世の中。そういう意味で、変革の立場に立たなければ資本主義であるということも見えてこないということは、現代もまったく同じであり、この観点を持ち込むことそのものが革命的だと思います。
 私は、この思想で現実の目の前にある社会を批判し尽くしたいと、学習会を受けてあらためて感じました。

 革命の立場が読み解くカギ K・D

 『ドイツ・イデオロギー』はわれわれにしか読み解けなかった。なぜか? 本当に革命をやる、権力をとるという立場、世界革命、プロレタリア革命という立場がなければ読み解けないから。
 スターリン主義や日本共産党は、マルクス主義の核心、世界革命を破壊するために『ド・イデ』を40カ所以上も切り刻み、バラバラにし、並べかえ、核心を抹殺した。その反革命性。逆に言えば、いかに『ド・イデ』の内容が革命的であり、衝撃的であるかということを証明している。スターリン主義はどうしても『ド・イデ』を抹殺する必要があったのだ。
 また、『ド・イデ』は、マルクス主義の成立の場、マルクス、エンゲルスの飛躍の場としてある。その根本はプロレタリアートの現実に触れること、闘いに触れること(シュレージエン蜂起、イギリスへの旅行など)、現実との格闘(「ユダヤ人問題によせて」など)で飛躍したということ。
 あらためて、『新訳ドイツ・イデオロギー』を読み直し、講義を聞いて、「難解」という先入観が打ち破られた(簡単ではないが)思いだ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面5)(2005/02/07)

神戸で連日の反失業総行動 国連防災会議を弾劾 “被災地労働者の団結を”

 1月16日の震災10周年集会で新たな闘いを宣言した阪神大震災被災地の労働者は、17日、18日と連日の行動に立ち上がった。
 震災10周年当日の17日の行動には終日30人が参加した。午前中、神戸・三宮の繁華街で「新潟中越地震」「スマトラ沖地震・大津波」で被害を受けた労働者への救援カンパ活動を行った。
 阪神大震災の時、全国の労働者からの温かいカンパや支援によって、今日の阪神被災地の団結があること、今度は受けた支援を新潟の労働者やインドネシアの労働者に返そうと、道行く労働者・市民にカンパを呼びかけた。1時間足らずの間に1万5千円のカンパが集まった。
 カンパ行動の後、神戸市役所前で阪神大震災被災地の各団体が初めて一堂に会する震災10周年・被災地統一集会に合流した。集会には、被災地雇用と生活要求者組合、しごと開発就労者組合、関西合同労組、神戸空港工事の中止を求める市民の会、YWCA、ボランティア団体など100人が参加した。集会で長谷川正夫・雇用と生活要求者組合代表は、「被災地の労働者が団結して被災者切り捨てを許さず闘おう」と檄(げき)を飛ばした。また沖縄から知花昌一さんも駆けつけ、三線を演奏しながら名護新基地建設反対闘争への支援を訴えた。
 集会の後、長谷川代表を先頭に1月16日の集会で決議された被災者就業支援事業の打ち切りに反対する決議を持って兵庫県庁に行き、雇用就業課にたたきつけた。そして、団結ガンバローで17日の行動を終えた。

 天皇の車列に怒り浴びせる

 翌18日は、神戸市や兵庫県が「復興した阪神大震災被災地の教訓を世界に発する」と称して誘致し、天皇と小泉が参加した国連防災会議への抗議行動を、会場正面の「市民広場」駅前で長谷川代表を先頭に闘った。
 この会議が「防災」の名において、一切の阪神大震災の震災対策を打ち切るために行われること、またスマトラ沖大地震の警戒システム導入などをめぐって大国同士の利権漁りの場になること、だから被災者として許せないと、マイクで参加者に呼びかけ、日本語と英語のビラをまいた。
 兵庫県庁は、兵庫県警公安三課長が宣伝隊にじかに張りつくなど天皇厳戒警備を敷いて、抗議行動への妨害を図ったが、宣伝隊はこれをはねのけ、天皇の車列にシュプレヒコールを浴びせるなど終始戦闘的に闘いぬいた。
 阪神大震災被災地の労働者は、これまでの闘いの中で築いてきた団結と仲間の輪を強め、そして全国に広げていく、失業反対闘争を軸とする新たな闘いの第一歩を踏み出した。
 (投稿/神戸・AS)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2184号6面6)(2005/02/07)

対角線 [対角線] 天皇制存続に心砕く日共

 日本共産党は、昨年1月の23回大会で天皇制との共存を綱領的に確定した。その実践的帰結は恐るべき屈服である。昨年11月のデンマーク女王主催の晩さん会に不破議長夫妻が出席し、天皇夫妻と同席したことは、この欄で指摘し弾劾した(2177号)。今後は宮内庁からの招待があった場合も不破が出席する方向で検討しているという。
 さらに今年に入って、市田書記局長が記者会見で次のように質問に答えている(1月11日)。
天皇制関係の休日に関して、党本部も去年の12月から休日扱いになったことについて、「世間が休みの時は本部の勤務員も休みにしようということです」と答えている。これまで休日扱いしなかった紀元節や4・29、12・23を「世間並み」に休日化するというのだが、これは紀元節や昭和天皇の問題で争わないという意思表示なのだ。
 続いて「女性天皇」について聞かれた市田は、「もともと男性でなければならないという合理的根拠はないわけですから、女性天皇を是とする方向での議論・検討というのは行われても自然」と言い、「天皇制は人間の平等という精神から考えて問題がある」が、それは「将来」の問題だ、「天皇制とは共存というのがわが党の綱領的立場です」と明言している。その立場で「女性天皇ということを含めた検討が行われることについては賛成」と言っている。
 市田は、天皇家に男の子が生まれず天皇制が行き詰まっていることに心を痛め、一緒になって存続方法を考えているのだ。「この際、天皇制なんか終わりにしたら?」という程度のことさえ言えないのだ。何が「将来の課題」だ。未来永劫(えいごう)天皇制と共存ではないか。
 天皇との同席を「ごく自然のこと」と言った日本共産党は、どんどん天皇制に歩み寄っている。99年に「国旗・国歌法」制定を提唱した日共は、すでに「日の丸・君が代」強制攻撃に加担している政党なのだ。(来)

------------------------TOPへ---------------------------