ZENSHIN 2004/11/08(No2173 p08)

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第2173号の目次
 
1面の画像
(1面)
革共同の11月アピール
全国から日比谷野音へ  めざせ!「百万人労働者行進」を
米韓の闘う労働者と大合流し自衛隊イラク撤退・小泉打倒へ
小泉「撤退せず」発言許すな
記事を読む  
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・7全国労働者総決起集会
記事を読む  
(2面)
国際連帯で民営化と闘う11・7集会へ
物ダメ・ストライキで闘おう
大量首切り・活動家のパージの07年郵政分割・民営化阻止へ〔革共同全逓委員会〕
記事を読む  
侵略翼賛に転じた酒田・革同 国労再生へ勝負の時が来た
1047名の団結が勝利きり開く〔革共同国鉄委員会〕
記事を読む  
共謀罪の新設阻止へ  58時間のハンストを貫徹(10月20〜22日) 記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
成果主義賃金に反乱始まる
推進した連合中央打倒を  賃下げへの怒りを11・7へ(電機労働者 飯村健二)
記事を読む  
“勝負は来年3〜4月”  卒・入学式へ向け討論集会(10月24日) 記事を読む  
「10・23通達」1周年パレード(10月23日) 記事を読む  
全国ネット厚労省交渉 “介護削減するな”  高齢者の怒りが圧倒(10月14日) 記事を読む  
全金本山年末物販アピール  勝利への大攻勢支えよう 記事を読む  
(4面)
MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)で始まった米労働者の闘いを日本の11・7の大爆発へつなごう
ルポMWM ブッシュの足元に迫る熱気  “皆保険制度を”“食える賃金を”
記事を読む  
ILWUの不屈の70年  タフト・ハートレー法と対決 記事を読む  
公民権運動とMWM 記事を読む  
動労千葉 訪米パンフ発行 記事を読む  
(5面)
MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)で始まった米労働者の闘いを日本の11・7の大爆発へつなごう
MWMの意義 賛同労組350万人の地平  組織攻防でAFL−CIOに分岐(村上和幸)
公然・大衆的な討論スタイル 労働者に切実な22の要求項目
記事を読む  
ムミア氏が呼びかけ  無実の政治犯死刑囚 記事を読む  
コミューン 12月号  英労働運動の現状 記事を読む  
(6面)
侵略国家への大転換  牙むき出した「安保・防衛懇」報告
「対テロ戦争」で日米枢軸  海外派兵を「本来任務」に〔早乙女優〕(10月4日)
記事を読む  
横田 基地撤去へ三多摩集会  「米軍再編」に怒り(10月21日) 記事を読む  
“普天間閉鎖・移設反対”
基地をなくそう!全国集会 日比谷に労組結集(10月26日)
記事を読む  
日誌 '04 10月19日〜26日
パウエル来日、小泉らと会談  サマワ自衛隊宿営地に砲弾
記事を読む  
(7面)
共謀罪と共に団結破壊狙う
サイバー弾圧法案阻止へ
パソコンを警察が全面検閲 情報を丸ごと盗聴・盗み見(大崎弘志)
記事を読む  
改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第8部 戦後の出発(5) 再び戦禍繰り返すな
アジアの人民の告発に学んで(高田隆志)
記事を読む  
紹介 共産主義者 142号  11月総決起から05年へ
今岡論文 「党の革命」の意義鮮明に
銘刈論文 安保・沖縄闘争の新段階
記事を読む  
(8面)
団結ひろば 11月労働者集会の成功へ! 記事を読む  
弾圧と闘う  福嶋裁判 デッチあげ鑑定を粉砕
今すぐ福嶋同志を保釈せよ(10月13、27日)
記事を読む  
寄稿  辺野古−沖縄、ヤマトの本気の闘いで勝つ  沖縄民権の会 座覇 光子 記事を読む  

週刊『前進』(2173号1面1)(2004/11/08)

革共同の11月アピール
全国から日比谷野音へ めざせ!「百万人労働者行進」を
 米韓の闘う労働者と大合流し自衛隊イラク撤退・小泉打倒へ


連日200〜300人の労働者人民が小泉発言に怒り、「香田さんを見殺しにするな」「自衛隊を今すぐ撤退させろ」と、首相官邸前に詰めかけた(10月28日)

 動労千葉、全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械港合同の闘う3労組が呼びかける11・7全国労働者総決起集会が、1週間後に迫った。「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!」「大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を!」のメーンスローガンのもと、全国から総結集して日比谷野音を埋め尽くそう。

 第1章 米MWM運動と連帯し戦争と民営化に反撃を

 第一に訴えたいことは、アメリカ労働者階級の10・17MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)と熱烈に連帯し、日米韓労働者階級の国際連帯集会として11・7集会をかちとろうということである。
 MWMは、アメリカ階級闘争の中に明確な分岐をもたらし、米帝ブッシュの帝国主義支配体制と真っ向から対決する新潮流の登場を宣言した。アメリカ・プロレタリア革命の「夜明け」と言うべき歴史的決起がついに始まったのだ。
 MWMを呼びかけたILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10は組合員数1200人の労働組合である。その呼びかけのもとに、日本で言えば自治労、日教組、全逓、都市交にあたる労組が、さらに通信・自動車・電機・運輸・サービスなどの各種民間組合が数多く賛同し、その傘下の労働者数は350万人に上った。そして多種多様な運動団体や著名な個人などが賛同した。米帝ブッシュの戦時下の弾圧体制を打ち破って、ワシントンDCのリンカーン記念館前に全国各地から結集した1万5千人の労働者人民はまさにそれらの代表であった。
 このMWMに対して、日本の連合にあたる、既成のナショナルセンターであるAFL―CIO(米労働総同盟―産別会議)は、賛同と動員とカンパを禁止する指令を下ろした。だが、その妨害と敵対をはね返して、各産別や地域組織の内部からランク・アンド・ファイル(一般組合員)の決起がかちとられたのである。大統領選挙に際して「ケリー支持」を推進するAFL―CIOと、「ブッシュ打倒! ケリーもノー!」をめざしたILWUローカル10―MWMとの階級的分岐が明確になり、反動的制動を打破する巨大な流動が開始されたのである。
 MWMは「民主主義を回復し、労働者の圧倒的多数に力を与え、アメリカを再建する歴史的運動」である。そして、「われわれの独立した運動のみが、われわれの要求と課題を実現する道を切り開く」として22項目のスローガンを掲げている。それは、「国民皆保険」を筆頭に、年金など社会保障、賃金、税金、教育、住宅、交通、メディア、環境をめぐる諸要求や、民営化・外注化・規制緩和・労働者間競争への反対、労働者人民の諸権利の擁護、治安弾圧と差別主義・排外主義への反対、自由貿易協定の廃止、そして軍事予算とイラク侵略戦争への反対――の主張である。それらは労働者人民の生存と生活のあらゆる領域に及び、社会の根底的な変革を求めるものだ。まさにアメリカ革命の実現に向けた過渡的綱領にほかならない。
 会場には「REVOLUTION」と書かれたプラカードも見られ、まさに大衆がプロレタリア革命を望み、公然と叫ぶ情勢であることが示されていた。「労働者階級は独自の政党を必要としている」というプラカードもあった。アメリカの労働者人民は「闘う労働者党」建設の課題に挑戦しようとしているのだ。
 さらに集会において「資本主義を打ち破ることができるのは、団結した労働者階級なのです」(ジャック・ヘイマンILWUローカル10ビジネスエージェント)、「すべての権力を人民へ!」(クラレンス・トーマスMWM共同議長)、「人民は支配階級をゴミ箱に投げ込むことが必要になった時、そうすることができる」(ブレンダ・ストークリー全米州・郡・市従業員労組第1707地区協議会議長)という鮮烈な発言がなされた。
 MWMにおいてまさにアメリカ革命の「遠雷」がとどろき、その「せん光」が暗やみを切り裂いたのである。レーニンは一貫してドイツ革命なしにロシア革命はないという立場だった。しかし、20年代初め、ドイツ革命が敗北し、世界革命が遅延する中で、革命ロシアは孤立させられ、レーニンとボルシェビキ党はすさまじい苦闘を強いられた。今日の日本の労働者階級から言えば、アメリカ革命なしに日本革命の勝利はかちとれないし、アメリカ労働者階級は世界革命の帰趨(きすう)を決する位置にある。MWMでのアメリカ労働者階級の決起はその理念の現実化の第一歩である。
 このMWMに動労千葉が日本の労働組合の代表として招待され、集会での発言に際して「日本のILWUローカル10に相当する労働組合です」と紹介され、佐藤正和新小岩支部長の発言は歓声と拍手で迎えられた。動労千葉は昨年来の交流の上に、MWMに参加することでILWUローカル10との階級的血盟を一層深めたのである。(動労千葉発行の『MWM報告集』参照)
 「連帯そのものが革命の目的だということである。連帯ということは国際主義ということであり、世界革命をともにたたかいとるということだからだ」(「清水丈夫選集」第2巻序文61n)
 韓国・民主労総も含む日韓米の、真に闘うもの同士の国際連帯は、これまでの日本労働運動にはなかった内実であり、その点でさらに画期的地平が切り開かれたのである。
 このMWMを終始牽引(けんいん)したヘイマン氏を始めILWUローカル10の労働者が11・7集会にやって来る。ヘイマン氏らと動労千葉にとって、11・7集会はMWMを引き継ぐ国際連帯闘争である。そして、11月14日に労働者大会を予定している韓国民主労総とともに革命的に合流し交歓し、帝国主義の「戦争と民営化」攻撃に反撃する日韓米労働者階級の連帯と団結の固いきずなを築きあげよう。

 第2章 4大産別決戦の爆発で労組解体攻撃うち砕け

 第二に、米帝ブッシュのイラク侵略戦争を弾劾し、イラク人民―ムスリム人民と連帯して、日帝のイラク侵略戦争を阻止する反戦闘争として11・7集会をかちとろう。
 11月2日の大統領選挙投票日を前にして、アメリカ支配階級の分裂はますます深まっている。MWMが示したようにアメリカの労働者人民の怒りは、「ブッシュ打倒! ケリーもノー!」の闘いとしていよいよ爆発しようとしている。全米の労働者人民が決起し、全世界の労働者人民が決起するならば、ブッシュ打倒はまったく可能である。
 ブッシュを追いつめれば追いつめるほど、米帝のイラク侵略戦争―世界戦争の攻撃との闘いは全米・全世界で巻き起こっていく。大統領選でブッシュが敗れケリーが勝利した場合も、イラク戦争に反対する闘いはさらに力強く発展する。米帝の帝国主義としての危機と死活的な利害から、ケリーにとってもイラク戦争を続行する以外に道はないからだ。
 米帝のイラク侵略戦争は進むことも退くこともできない泥沼にはまりこんでいる。イラク人民の民族解放闘争は4月のファルージャの闘いを転回点にしてイラク全土に拡大した。40〜50の都市がカイライ政権の統制から離脱し、その周辺で武装解放勢力による米軍への攻撃が1日70〜100件に上っている。日本でも「レジスタンス(抵抗)」という言葉が新鮮な響きをもって語られている。
 米軍の死者は1千人を超え、負傷者は数知れない。米兵の反乱や脱走が続出している。10月13日にはイラク南東部のタリルを拠点とする第343補給中隊で、19人の兵士が輸送任務を拒否した。軍規崩壊の深刻な実態が明らかになった。
 こうした危機の中で、米軍はサマラなど支配できない都市に対して、クラスター爆弾やナパーム弾などによる無差別爆撃と人民虐殺を繰り返している。
 26日夜、イラクの武装解放勢力が日本人青年・香田証生さんを拘束して、日本政府に「自衛隊撤退」要求をつきつけた。これに対して小泉首相は27日朝、「自衛隊は撤退しない」と要求を平然と拒否した。絶対に許せない。
 事態のいっさいの責任は、自衛隊をイラクに派兵した小泉首相にある。小泉政権は、10月に東京でイラク復興支援国会議を開いてイラクのカイライ政権にテコ入れし、さらに自衛隊の派兵期間延長と1千人への増派を狙うなど、イラク侵略戦争に深々とのめり込んでいる。米日基軸でイラク人民大虐殺の侵略戦争を継続・拡大することを狙っているのだ。こうした日帝の動きに対するイラク人民の怒りの高まりの中で、今回の拘束事件が起きたのである。
 “香田さんを殺してもよい”と言う小泉を絶対に許してはならない。MWMに呼応して、今こそイラク人民との連帯をかけて自衛隊の即時撤退へ闘おう。自衛隊の多国籍軍参加、派兵期間延長と1千人への増派の攻撃と対決して、11・7労働者集会を、3・20闘争を上回る巨大な反戦闘争として大爆発させよう。

 郵政民営化絶対阻止

 第三に、日帝・小泉政権の「戦争と民営化」攻撃と対決し、労働者人民の怒りの反撃の総結集の場として11・7集会をかちとろう。
 小泉政権は、一方で、米帝のイラク侵略戦争の共同推進者として侵略派兵の戦争政策を強引に押し通そうとし、米軍のトランスフォーメーションに呼応して安保・沖縄政策の反動的飛躍をなしとげようとしている。他方で、郵政民営化を突破口に「骨太方針W」を強行して労働組合の反対と抵抗を一掃するとともに社会保障制度をも解体して、危機にある巨大独占体の利害を貫こうとしている。そして、教育基本法改悪と労働法制改悪を切り口に改憲をなしとげ、戦後的な階級関係を最後的に転覆しようとしている。
 このように、小泉政権はあらゆる側面から戦後かつてない攻撃を集中的にかけてきている。これに対して「教労を先頭に4大産別決戦を軸とする1年間決戦」を突破口に、戦後最大の階級決戦を対置して闘おう。この闘いに勝利する中にこそ、労働者階級・人民の未来はある。
 この小泉政権の攻撃は、一方で、既成革新政党の無力化と転向、既成労働運動指導部の屈服と翼賛化によって支えられ、他方で、「事態はすぐには変わらないのではないか」という戦後民主主義と平和の意識のもとで、労働者人民がこぞって立ち上がるに至っていない状況をついて押し通されようとしている。
 より主体的に言えば、形成途上にあるとはいえ、われわれが一個の労働者党として、小泉政権の「戦争と民営化」攻撃が労働者人民を恐るべき状況にたたきこむことを直視し、それとの闘いの激しさと厳しさにたじろがず闘いを構えようということである。そして、革命的な宣伝・扇動を繰り広げて鮮明な路線と方針を労働者人民の前に提起し、自ら「闘う大衆」としてその闘いの先頭に立つことだ。そうしたならば、労働者階級の怒り、魂と結びつき、闘うエネルギーを引き出していくことはまったく可能だ。
 郵政の分割・民営化攻撃は、9月10日の閣議決定の強行(自民党の承認なし)と、同月27日の第2次小泉改造内閣=「郵政民営化突撃一辺倒内閣」の発足によって全面化している。10月8日の郵政民営化推進本部の幹事会初会合で竹中担当相は、「郵政民営化の成否に小泉総理と小泉政権の命運がかかっている。一切の遅滞は許さない」と言い放った。今や小泉首相は05年通常国会での郵政民営化法成立にすべてをかけている。
 ここには、郵便貯金・簡易保険に350兆円もの資金が集中し、財政投融資や国債購入などに大量に流れこんでいる現在のあり方に一定程度手を入れ、民間的資金流通の枠を拡大し、資本家階級のより直接的な利害に沿って再編しようとする狙いが込められている。
 しかし、さらに重大なことは、この郵政民営化攻撃が、労働運動絶滅の大攻撃だということである。小泉政権は、民営化をテコに郵政労働者から公務員資格をはぎとり、資本の論理でリストラを推進し、国鉄分割・民営化やNTT大合理化に続いて、全逓労働運動を最後的に解体しようとしている。そして、さらに自治労・日教組など国家権力の機関・機構内の労働組合を解体・一掃し、かつての「産業報国会」的な組織に変質させ、〈外への侵略戦争と内への階級戦争〉を強行しようとしているのである。
 ここに、イラク侵略戦争参戦から教育基本法改悪―憲法改悪、北朝鮮・中国侵略戦争へ突っ走ろうとする日帝権力中枢と、帝国主義間争闘戦や恐慌の重圧を金融・独占資本の圧倒的強化としてのりきろうとする日本経団連・奥田体制の利害がぴったりと一致しているのである(小泉=奥田路線)。
 05年通常国会での郵政民営化法制定の大反革命に対して、「郵政民営化絶対阻止」「JPU(日本郵政公社労組)執行部打倒」の旗を掲げて、全逓労働者が物ダメ・ストライキ闘争の決起の火柱を上げ、全労働者階級の反撃力を引き出し、激動的な階級情勢を切り開いていこう。
 まさにこの05〜07年の政治過程こそ、日本階級闘争の歴史の分岐点をなすのだ。その中で勝利の展望を圧倒的に切り開くものとして、青年労働者を先頭に11・7集会に総結集しよう。

 沖縄闘争の勝利の道

 第四に、11・7集会にとって今ひとつ重大な課題は安保・沖縄闘争である。
 9・12宜野湾市民大会の3万人決起はその大きさ・鋭さ・激しさによって決定的な情勢を切り開いた。沖縄の闘いは、全世界的な階級闘争の革命的高揚局面を示す決定的な指標である。これは直接にはヘリ墜落事故とそれへの米日帝の対応への怒り、そして辺野古のボーリング調査強行への怒りが一体となり、沖縄人民がかつての「95年10・21(10万人県民大会)」の地平にラセン的に立ち返ったことを意味している。SACO体制―普天間基地の移設という体制によって、「安保と基地の島」の現実への怒りを抑え込もうとしたこの間の日帝と稲嶺知事のごまかしが破産したのである。
 米軍のトランスフォーメーションは、アフガニスタン→イラク→全中東→対北朝鮮・中国として進む米帝の世界戦争戦略の大きな流れの中で、米日の侵略同盟(米日枢軸)を軸にして、米軍の体制を効率的に再編・強化しようとする攻撃にほかならない。現象面で韓国からの一定部分の撤兵とか、沖縄海兵隊の一部の国内または海外への移転とかが言われているが、それは、米軍の後退や縮小を意味するものではまったくない。逆に、北朝鮮・中国によるミサイル攻撃の射程から米軍の司令部や部隊を最大限遠ざけ、軍事的縦深性を確保しようという狙いであり、沖縄―本土を対北朝鮮・対中国・対アジアの戦争における米軍司令部の所在地・出撃基地・補給基地など、要するに「不沈空母」として位置づけようとしているのである。
 日帝・小泉政権は、沖縄基地の負担軽減を言いながら、この恐るべき侵略同盟への日米安保の実質的改変を狙っている。そして、沖縄基地はこれまで以上に最前線基地として位置づけられ、北朝鮮や中国からのミサイル攻撃をまっ先に受ける戦場の島として、日米安保=基地の現実はさらに強化されるのである。
 沖縄人民が要求する米軍基地撤去を実現する道は、日本―沖縄とアメリカの労働者階級とが連帯し米日帝国主義と闘う中にある。MWMのスローガンに「沖縄を中心とする世界の米軍基地を撤去せよ」という要求が入るような状況をつくり出した時に初めて、「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の勝利の展望をかちとれるのである。

 第3章 11・7万余の大結集で階級的力関係変えよう

 第五に、不屈に闘いぬき勝利の地平を切り開いているすべての労働者の総結集の場として11・7集会をかちとろう。
 今日の情勢は革命的情勢に急接近しており、この革命的情勢を、革命そのものへといかに白熱的に発展させるかが問われている。レーニンが言うように、革命的階級の主体的能力がこの情勢に働きかけ、これと結びつくことが決定的に重要である。「分岐・流動・再編・高揚」という規定はそのことを主体的に特徴づけたものである。
 今春3・20闘争の圧倒的な高揚と一体で、都高教の労働者を先頭とする「日の丸・君が代」決起がかちとられた。闘う教育労働者は、その後の懲戒処分や解雇の報復攻撃に屈することなく、来年3月の「日の丸・君が代」決起をより壮大にかちとろうとしている。この闘いは、05年通常国会での教育基本法改悪をめぐる攻防の勝利的な展望を切り開くものだ。さらにこの教基法決戦は、産別の枠をこえた反戦政治決戦であり、改憲阻止決戦の始まりでもある。
 また6月30日に、78〜79年全逓物ダメ闘争の被処分者が東京高裁で勝利判決をかちとり、9月27日には、国労鶴見駅分会不当労働行為事件の被解雇者・不当配転者が東京地裁で勝利判決をかちとった。当該の全逓労働者は25年、国鉄労働者は14年、それぞれ中央本部の裏切りと闘争圧殺をはね返して勝利した。さらに全金本山は「一人の首切りも許さない」として実に34年間も不屈に闘い続け、本山資本を土壇場の危機に追い込み、完全勝利を目前にしている。
 ここに、階級闘争と労働組合の原則的立場に立って不屈に闘いぬけば勝利できることが鮮やかに示されている。これらの闘いは国鉄1047名闘争に大きな影響を与えている。鉄建公団訴訟に全動労争議団と動労千葉争議団が合流して、1047名闘争が新たな発展を切り開く局面が訪れている。
 こうした勝利の地平を切り開いた闘いの力を一つにして、国家権力や資本との力関係を変えていこう。その場が11・7集会である。
 11・7集会は05年階級闘争を革命的に高揚させることができるか否かを決める。それは、教労決戦の05年3月決起へと受け継がれ、ファシスト石原都知事との全面激突の情勢を切り開く。そして、この3月決起の勝利は05年通常国会(郵政民営化法と教育基本法改悪)攻防の勝利への道を切り開く。郵政民営化法を葬り去った時、教育基本法改悪策動も吹っ飛ぶ。逆に、教育基本法改悪反対闘争の爆発が郵政民営化をも吹っ飛ばす力となる。さらには、自治労解体を核心的な狙いとする公務員制度改革攻撃を粉砕する展望が開かれる。その中で小泉政権打倒が現実のものとなるのだ。そして、新指導路線を貫いてこの1年間決戦のわき立つような勝利をかちとる中でこそ、それを主導した労働者党の代表を05年都議選で勝利させることができるのである。この中に日本プロレタリア革命の勝利の道筋があるのだ。
 11・7労働者集会の5千人結集の実現に向けて、直面する最後の壁を革命的にうち破るすさまじい精神で全力をあげて闘いぬこう。

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週刊『前進』(2173号1面2)(2004/11/08)

たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・7全国労働者総決起集会

 11月7日(日)正午開会
 東京・日比谷野外音楽堂
▼アメリカから ジャック・ヘイマン(ILWUローカル10ビジネスエージェント)他
▼韓国から パクサンユン(民主労総ソウル本部事務処長)
      ムンムンジュ(民主労総ソウル本部組織部長)
▼連帯あいさつ 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会/憲法と人権の日弁連をめざす会/佐藤昭夫(国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会)/小田原紀雄(とめよう戦争への道!百万人署名運動)
【主催】11・7集会実行委員会(呼びかけ労組 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区
生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合)
《スローガン》
◎全労働者の団結で、小泉−日本経団連・奥田体制と対決し、倒産・解雇・賃下げ・民営化−非正規雇用化と、労働法制・社会保障制度の解体攻撃をはね返そう!
◎全労働者の団結で、「日の丸・君が代」闘争を発展させ、教育基本法−憲法改悪攻撃を阻止しよう!
◎全労働者の団結で、有事立法粉砕−“発動させない、従わない”戦争協力拒否の闘いをつくりあげよう! 沖縄をはじめとした全ての基地撤去、自衛隊をイラクから撤兵させよう! 日本の戦争政策の根幹をなす日米安保体制を打ち砕こう!
◎全労働者の団結で、国労臨大闘争弾圧を粉砕し、国鉄1047名解雇撤回闘争に勝利しよう!
◎全労働者の団結で、団結権破壊を目的とした労組法改悪、労働運動への治安弾圧を粉砕し、共謀罪新設を阻止しよう!
◎日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させよう!
◎全労働者の団結で、小泉反動内閣を打倒しよう!

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週刊『前進』(2173号2面1)(2004/11/08)

国際連帯で民営化と闘う11・7集会へ
物ダメ・ストライキで闘おう
 大量首切り・活動家のパージの07年郵政分割・民営化阻止へ

 日本帝国主義・小泉政権は、9月10日の「郵政民営化の基本方針」の閣議決定を受けて、第2次小泉改造内閣を自ら「郵政民営化実現内閣」と銘打ち、07年4月の郵政分割・民営化強行に向けて、05年通常国会に関連法案の提出を狙っている。今秋から05年前半は、教育労働者の「日の丸・君が代」闘争、教育基本法改悪阻止、公務員制度改悪阻止などとともに、郵政民営化阻止の闘いが最大の決戦期を迎える。「郵政分割・民営化絶対反対」の路線を鮮明に掲げ、“闘う全逓魂”を発揮し、今こそ物ダメ―ストライキ方針を打ち立てて闘うことを訴える。その闘いの陣形をつくるために、11・7全国労働者総決起集会に全逓労働者の大隊列を登場させよう。

 雇用継続保証せず郵便局の統廃合も

 小泉政権は、「基本方針」閣議決定を受けて、内閣に全閣僚からなる「郵政民営化推進本部」(本部長・小泉首相)を設置した。内閣官房郵政民営化準備室が関連法案の作成を進め、「郵政民営化に関する有識者会議」などでの検討に入っている。また、07年4月からの4分社化が可能かどうかを検討する「郵政民営化情報システム検討会議」の座長には、かつて国鉄再建監理委員会委員長代理を務めた加藤寛千葉商科大学長を据えた。
 小泉は、10月12日開会の臨時国会での所信表明演説で「現在、郵政公社には40万人の職員が働いているが、郵政事業は公務員でなければ運営できないのか」と強調した。40万人(非常勤も含む)の労働者に対する大リストラと非公務員化が狙いであることをあらためて鮮明にしたのだ。
 この間、明らかにされた郵政民営化の政府原案では、「民営化後は一定期間の雇用継続などの保証は行わず、新会社の経営陣の判断に委ねる」(読売新聞10・20夕刊)ことや、「非公務員になることで民営化会社社員に付与される争議権(スト権)について、郵便事業に従事する社員に対し一定の制限をかける方針」(共同通信10・18)などが報道されている。
 雇用継続の保証を行わないということは、完全に首切り自由にすることである。「みなし公務員」として守秘義務などの刑罰規定を残し、スト権の制限を含めて労働基本権を奪ったまま、全逓労働運動を徹底的に解体するということだ。
 また、民営化後の分社化に伴う「各組織へのヒト・モノ・カネの切り分け方」が郵政民営化準備室から提示され、有識者会議で検討されている。「ヒトの切り分け方」などという言い方自体、断じて許すことができない。それによると郵便貯金会社、郵便保険会社は数千人程度で、郵便の集配業務は郵便事業会社とし、その他の郵便局の労働者の大半を窓口ネットワーク会社に移す(16万人から18万人)と言われている。郵便局数の下限を定めないため、統廃合は不可避だ。
 他方で、郵政公社・生田総裁は今秋にもアクションプラン・フェーズUの大合理化計画(05年〜06年)を提示しようとしている。すでに極秘裏に提案されている郵便内務のアウトソーシング(外部委託)と「人材活用センター」の設置が05年4月にも強行されようとしている。さらに公社は、10月から「接遇認定制度」と称して、郵便局窓口や郵便配達を担当する労働者(非常勤を含む)の接客態度をランク付け(1〜4級)し、4級を取得できなければ接客業務から外す制度を導入した。活動家パージや「人材活用センター」送りを狙った攻撃であると見なければならない。
 民営化までは、現在約27万1千人の郵政労働者(正規職)の雇用が継続されるかのようにも言われているが、とんでもない。アクションプラン・フェーズUでは、現在の1万7千人削減攻撃を上回る人員削減がたくらまれており、「生産性の向上」や「強い経営基盤の整備」の名のもとに徹底した効率化計画が準備されている。
 10月5日にJPU中央などに示された「9月末提示」では、その全体像は明らかにされていないが、集配事務の部外委託や郵便内務の非常勤化の拡大、貯金・保険での「要員配置の適正化」と称する人減らしなどが挙げられている。
 これらの攻撃を総合して明らかなことは、@07年までに大量の「余剰人員」を生み出し、「希望退職」や「勧奨退職」という名の退職強要=首切りを行い、A民営化と同時に国家公務員身分を剥奪(はくだつ)し、〈いったん解雇・選別再雇用>による大量首切りを行うことだ。Bその上で不安定雇用に突き落とし、17年の完全民営化に向けてさらなる首切り・人員削減を進めるということだ。
 まさに、郵政民営化は国鉄分割・民営化やNTT大合理化などを集大成した大攻撃であり、大量首切りと活動家パージ、労働組合破壊を徹底して行うものなのだ。

 小泉=奥田路線と闘う最基軸の決戦

 この郵政分割・民営化攻撃との闘いは、小泉=奥田路線との闘いの最基軸に位置する決戦である。
 小泉=奥田路線とは、大恐慌と戦争の時代、国際帝国主義による争闘戦が激化する時代に、日帝が全面的に行きづまり没落する中で、政治、経済、外交、安保・防衛、労働法制、司法、治安立法などの戦後体制全体を解体的に再編するものである。すなわち外への侵略戦争、内への階級戦争を一体的に推進して日帝の延命を図ろうとする絶望的な路線である。
 日帝は、戦後の帝国主義体制を支えてきた国家的事業や官業、公務員制度を全面的に再編成しようとしている。特に金融独占ブルジョアジーは350兆円にも及ぶ郵貯・簡保資金の流れを、国際争闘戦に勝ちぬくためにも、自己の利害に沿って再編成しようとしている。だが、400兆円を超える国債発行残高の4分の1を公社が保有しているため、国債の管理を慎重にするためにも、完全民営化まで10年もかけざるをえない。このように矛盾に満ちた危機的政策である。日帝は、この資金を戦争財源のために利用しようとしていることも明白である。
 この中で郵政民営化攻撃を強行しようとしているのは、民営化という経営形態の変更をとおして、全逓労働運動の破壊と産業報国会への変質をなしとげるためだ。したがって、この攻撃は、公務員全体への全面的な民営化攻撃と一体であり、その突破口である。

 腐敗した労働貴族JPU中央打倒を

 全逓労働者が団結を固めて立ち上がるならば、階級闘争全体の革命的情勢への突入の中で、大きな勝利をかちとることは絶対に可能である。
 そのためにも、全逓労働者は「郵政分割・民営化絶対反対」の路線を鮮明に確立するとともに、その闘いの方針を今こそ明確にしなければならない。連合全逓=JPU中央は、「小泉政権の民営化反対」と言いながら、公社の合理化・人員削減攻撃はすべて受け入れようとしている。07年4月からの分社化には一定の「抵抗」をしながらも民営化そのものは完全に容認し推進している公社・生田と一体化して、どうやって民営化に反対するのか。
 郵政民営化を阻止するためには、何よりもこのような連合全逓=JPU中央を打倒しなければならない。そして、今こそ78越年反マル生実力闘争を上回る物ダメ闘争―ストライキで闘うことを断固として訴える。

 現場労働者の誇りかけ闘う

 今、職場では連続深夜勤やJPS(郵政版トヨタ方式)の導入により、現職死亡が相次いでいる(今年2月以来、全国で30人以上と言われる)。労働者の不満と怒りはうっ積している。その怒りを解き放つためには今こそ闘いの方針が必要である。全逓労働者は闘いの方針を求めているのだ。
 78越年闘争も、郵政当局によるマル生(生産性向上)の名による全逓つぶし、第二組合=全郵政育成の攻撃に対する現場の積もりに積もった怒りが、当時の全逓民同の指令のもとであれ、それをはるかに超える現場労働者の決起として闘われ、78年の年末から2カ月間に4億5千万通もの滞貨=物ダメを強制した。
 郵政分割・民営化攻撃は、当時のマル生攻撃を上回る首切りと労働強化、労組破壊をもたらす攻撃であり、闘いの方針を鮮明にすれば全逓労働者は必ずや誇りをかけて立ち上がる。怒りに火をつければ、現在の職場の閉塞(へいそく)状況をうち破る自己解放的な決起をかちとることは、まったく可能なのである。
 郵政事業を食い物にしている政治家・財界・官僚らと労働貴族の腐敗・癒着構造を一掃し、民営化推進の連合全逓=JPU中央を現場からひっくり返そう。
 4・28反処分闘争の高裁逆転勝利判決から最高裁での勝利確定―原職復帰へ闘いを強めよう。
 05年人材活用センター設置反対、人事交流の即時中止、短時間職員を始めとする10万人余の非常勤労働者の本務者化をかちとろう。JPSによるマル生攻撃に反対し、集配職場での立ち作業の即時中止をかちとろう。集配への1ネット合理化による10時間労働(拘束12時間)を即時中止させよう。連続深夜勤を即時中止させ、仮眠時間・特例休息を確保しよう。一般局を始めとした郵便局の統廃合反対。日逓を始めとする下請け労働者とともに闘おう。賃金の引き下げと差別・分断を狙う能力給制度の即時中止をかちとろう。
 そして、当面する最大の方針は、戦争と民営化に反対する国際連帯をかけた11・7集会に総結集することだ。
 11・7集会には、歴史的なMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)を成功させたアメリカの労働者の代表が参加する。壮絶な闘いのただ中から韓国・民主労総の代表が参加する。米韓の労働者は民営化攻撃と徹底的に闘っている。特にアメリカの労働者は、ランク・アンド・ファイル(現場労働者)の誇りをかけ、腐敗した労働貴族から労働組合を取り戻す壮大な闘いを開始した。
 こうした闘いに学び、動労千葉を始めとした国鉄労働者、教育労働者、自治体労働者など全国の労働者との団結を固め、現場の全逓労働者の誇りをかけて闘う時だ。11・7集会にその力を総結集しよう。
 〔革共同全逓委員会〕

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週刊『前進』(2173号2面2)(2004/11/08)

侵略翼賛に転じた酒田・革同 国労再生へ勝負の時が来た
1047名の団結が勝利きり開く

 国鉄闘争は、12月に向かって1047名の団結による勝利を切り開くのか、その圧殺を許すのかの重大な岐路に立っている。国鉄闘争の命運は11・7全国労働者総決起集会にかかったのだ。全世界で労働者階級の闘いはさらなる高揚に向かっている。アメリカのMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)は、労働者階級が帝国主義を打倒し、プロレタリア世界革命を切り開くことのできる現実的な展望を指し示した。最大の帝国主義国・アメリカで労働者階級の根底的な決起が始まったのだ。日本においてもこれに匹敵する闘いを実現することは絶対に可能だ。国鉄闘争はその成否を握る位置にある。11・7への国鉄労働者の総結集をかちとろう。

 御用幹部の敵対を打ち破ったMWM

 アメリカの労働者階級は350万人の賛同を得、全米から1万5千人を結集してMWMを打ち抜いた。資本家の代理人どもが帝国主義権力の座を争う大統領選を前に、アメリカの労働者は「労働者階級の独自の運動を」「すべての権力を人民へ」と高らかに宣言した。MWMは、ブッシュ政権への根元的な怒りをたたきつけるとともに、労働者を民主党・ケリーに付き従わせるAFL−CIOの制動を突き破って闘われた。
 労働者をぎりぎりの生活に追い込みながら一握りの資本家どもが膨大な富を独占するアメリカ社会。資本家の強欲から全世界に凄惨(せいさん)な戦争をまき散らす最凶悪の帝国主義。そのアメリカ帝国主義の足下で、労働者階級は生活できる賃金や健康保険などの切実な要求を掲げて壮大な規模で立ち上がった。
 アメリカ帝国主義の侵略戦争は、ともに手を携えるべき世界の人民を殺す側と殺される側に引き裂いている。MWMは、こうした現実を強いる帝国主義を、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民が連帯して覆す闘いの火柱を上げた。戦時下で労働者の団結を暴力的に破壊するタフト・ハートレー法や愛国者法との真正面からの対決も始まった。
 搾取と抑圧、侵略戦争を終わらせ、社会を根本から覆す力を労働者階級は持っている。MWMは、このことを鮮明に示したのだ。
 MWMが掲げた「ランク・アンド・ファイル」の運動、すなわち労働組合を御用幹部から現場労働者の手に取り戻そうという呼びかけは、全米の労働運動を席巻し、労働者の心をつかんだ。労働組合とは何か。それは、資本や権力と闘い、労働者の権利を守り抜くための労働者自身の団結体だ。労働組合の原点は、御用幹部との激しい党派闘争の中でこそ、鮮やかによみがえったのである。
 動労千葉は日本の労働者を代表してMWMに合流した。80年代、米英日で一斉に吹き荒れた民営化の嵐の中で、各国の労働者は大変な苦闘を強いられた。だが、国鉄分割・民営化にストライキで立ち向かい、JR総連カクマルのファシスト労働運動と対決しぬいた動労千葉の闘いは、今日また激しい民営化攻撃にさらされている全世界の労働者に、勇気と指針を与えている。MWMを呼びかけたILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10やローカル34が動労千葉と響き合い、つながったのは必然だった。イギリスの国労、RMT(鉄道海運運輸労組)もMWMに賛同した。
 世界の労働者は国際的に連帯し、戦争と民営化、団結破壊の攻撃に対する大反撃を開始した。11・7労働者集会は、こうした国際労働運動の高揚と完全に一体のものとして闘われる。ここに国鉄労働者の大隊列を登場させようではないか。

 国鉄闘争の貫徹が小泉に破産強いる

 日本の労働者が直面している状況も、アメリカと本質的に同一だ。アメリカの労働者が切り開いた闘いが、日本で実現できないわけがない。
 小泉政権は「骨太方針W」のもと、郵政民営化を頂点とする公的部門の一大民営化へとのめり込んでいる。それは何よりも、国家機構内に存在する労働組合・労働組合運動の壊滅に照準を合わせている。郵政民営化、市町村合併と「三位一体」改革などの自治体の再編、公務員制度改悪は、それぞれ重なり合って教労、全逓、自治労の解体を狙っている。
 同時にそれは、全労働者を一層の無権利状態にたたき込もうとする攻撃だ。小泉は奥田・日本経団連とともに「社会保障制度の一体的改革」を唱え、社会保障の全面的解体に突き進んでいる。9割の労働者を不安定雇用に突き落とすとした日経連「新時代の『日本的経営』」路線の本格的な貫徹へと踏み出している。
 これへの怒りは今や激しく噴出しつつある。教育労働者がその先陣を切った。「日の丸・君が代」攻撃に対し、処分も恐れず立ち上がった教育労働者の闘いは、さらなる大激動の予兆である。労働者が小泉の攻撃におめおめと敗退することなどけっしてない。
 連合中央・全労連中央の既成指導部のもとでは、小泉の攻撃と対決できないことも、労働者が経験によってつかみ取った真実だ。労働組合を現場労働者の手に取り戻す「ランク・アンド・ファイル」の運動を、今ほど労働者が求めている時はほかにない。
 教労でも自治労でも全逓でも、その胎動は確実に始まった。その先頭に国鉄闘争が立ち、これを大きく束ねることに成功すれば、小泉の攻撃を打ち破り、労働運動を根本から再建することは必ずできる。
 国鉄労働者は民営化攻撃にいち早くさらされ、この攻撃との最先端の攻防を貫いてきた。国鉄闘争をめぐる裏切り者との激しい闘争に勝ち抜いてこそ、教労、全逓、自治労の闘いも真に発展することができるのだ。国鉄闘争は4大産別決戦の土台をなす闘いだ。
 小泉の最大の弱点は、4大産別を始め全労働者への大がかりな攻撃を仕掛けながら、国鉄闘争・1047名闘争を解体できていないことにある。かつて中曽根政権は、国鉄労働運動の解体を最大の狙いに国鉄を分割・民営化し、あらゆる不当労働行為を国家の第一級の課題としてごり押しした。だが、これに抗して国鉄闘争は生き延びたのだ。
 このことが敵の攻撃の至るところに破綻(はたん)点を強いているのである。

 鉄建公団訴訟への妨害者うち倒そう

 もとより国鉄闘争は、その絶滅を狙う敵階級との激烈な攻防をくぐり抜けることによってのみ、勝利できる。国鉄闘争においてこそ、労働組合を現場組合員の手に奪還する闘いの死活性は、他に先駆けて突き付けられてきた。4党合意以来むき出しとなった国労本部と闘争団・現場組合員の対立は、まさに日本における「ランク・アンド・ファイル」運動の創出に向けた苦闘だった。この攻防は、今やその決着をつけるべき段階を迎えている。
 国労本部=酒田・革同執行部の裏切りは、その極点にまで至った。「イラク鉄道復興支援」を叫ぶ国労西日本本部=革同の所業はその最たるものだ。「1047名は国内には出番がないからイラクへ行け」というJR連合・西労組に呼応して闘争団の「イラク追放」をがなり立てる上村一派。彼らに延命の余地はない。
 JRから首を切られた闘争団員を統制処分にかけ、組合員を警察権力に売り渡し、1047名闘争の解体に全力を傾けてきたのが革同だ。挙げ句の果てに闘争団に侵略戦争の手先となって「イラクに行け」とは何たることか! しかも彼らは、国労の名をかたって西日本本部大会での「機関決定」まで強行した。
 労働運動の歴史の中で、これほど恥ずべき裏切り、階級的大罪はほかにあろうか。全闘争団員・国労組合員は上村一派への猛然たる怒りをたたきつけ、「イラク鉄道復興支援」方針を白紙撤回させるべきだ。
 イラク人民が米英日帝の侵略戦争にどれほど激しい怒りを燃やしているかを知らない者は誰もいない。国鉄1047名闘争こそ、小泉との対決の火点に立つものとして、民族解放をかけたイラク人民の闘いに最も連帯すべき位置にある。その1047名をイラク人民の圧殺者に仕立て上げようとしているのが革同だ。
 小泉は今、イラク侵略戦争に一層深々とのめり込み、安保大改定と有事法制の発動、教基法改悪−改憲に突き進んでいる。その時に侵略翼賛を公然と唱える日共中央−革同は、日本の労働運動総体を血の海に沈めようとしているのだ。まさに、彼らの胸ぐらをつかみ引きずり倒しても飽き足らない思いである。
 だが、今や酒田・革同体制の破産はますますあらわになっている。彼らを打倒する好機は目の前にある。
 酒田と革同は、鉄建公団訴訟を軸に1047名が団結しようとしていることに全力で敵対し、とりわけ全動労争議団の鉄建公団訴訟への合流を妨害しようと必死になっている。
 国鉄闘争の勝利は、1047名の団結によってのみ切り開かれる。鉄建公団訴訟は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の3者が一致して闘うことができる課題であり、一致して取り組めば勝利できる闘いだ。昨年12月の最高裁反動判決をのりこえる道はここにある。
 現場組合員が原則を貫いて闘えば勝利できることは、国労鶴見駅分会不当労働行為事件の勝利判決が示している。
 だが、酒田と革同は勝てる闘いをやらせまいと躍起になっている。酒田・革同や全労連中央による鉄建公団訴訟への敵対は、彼ら自身に致命的打撃を与えるものとして跳ね返るのだ。
 国労再生を軸に日本の労働運動を塗り替える時が来た。腐敗の極致に達し、自滅の道を歩む酒田執行部に引導を渡そう。闘う国労組合員が清新な勢力として登場し、酒田・革同体制を打倒して執行部を担う時が来た。そのためには、闘う勢力が力あるものとして登場することが絶対に必要だ。その力は11・7総結集によってつくられる。11・7へ勝負をかけよう。国鉄闘争と日本労働運動の再生はそこから始まる。
 〔革共同国鉄委員会〕

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週刊『前進』(2173号2面3)(2004/11/08)

共謀罪の新設阻止へ 58時間のハンストを貫徹

 破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪の新設阻止を掲げて58時間のハンガーストライキを貫徹した。
 ハンスト突入初日の10月20日、台風接近による暴風雨の中で、ハンスト団と支援の労働者人民は12日に開会した臨時国会に向け「共謀罪法案の審議入りを阻止する。全力で廃案に追い込む」という熱い決意を固めて国会前に座り込んだ。3日間で延べ150人が現場に結集して闘い抜いた。
 22日午後6時、ハンスト貫徹の勝利を報告する集会が衆院第2議員会館前で行われ、大きな拍手に迎えられてハンスト団が発言に立った。
 ハンスト団の代表は「国会議員に共謀罪の問題点を訴える場となった。大衆運動を盛り上げて共謀罪を阻止しよう」と訴えた。
 初めてハンストに立ち上がった青年は「通りがかりの国会議員が『台風の中で命がけでやっているのか』と話しかけてきた。大きな成果を実感した。共謀罪反対をさまざまな団体や労働組合に訴えよう」と勝利感にあふれて発言した。
 同じく青年労働者は「ハンスト現場での交流からあらためて共謀罪の恐ろしさを感じた。この経験を生かし共謀罪を阻止するまで闘う」と決意を述べた。
 10・17MWM派遣団に参加した青年が訪米報告を行い、「ワシントンDCでの行動では労働運動を取り締まる愛国者法の撤廃が掲げられた。MWM前日の国際連帯集会にも参加し、日本でも共謀罪が対テロ戦争のもとで立法化されようとしていることを訴えた」とアピールした。
 3日間のハンスト闘争の経過報告を共同行動の事務局が行い、さらに共謀罪反対の運動を拡大することが呼びかけられた。
 憲法と人権の日弁連をめざす会の武内更一弁護士は、共謀罪を「侵略戦争を遂行するための国内体制の整備の攻撃そのもの。日本全体を9条改憲にもっていく布石だ」と弾劾した。
 主催者を代表して小田原紀雄さんがまとめの発言をし、「九州(60人の集会と弁護士会への申し入れ)や静岡(地元国会議員への要請行動)を始め、全国各地で共謀罪反対の取り組みが開始された。全国から結集して11月8日に再び国会前集会を」と呼びかけた。
 今回のハンストは、共謀罪法案の審議入りを阻止するために、臨時国会情勢を先取りする形で取り組まれた。そして国会議員レベルで初めて共謀罪法案阻止を課題とさせることに成功した。さらにアメリカのMWMと連帯して闘うことで、反治安弾圧闘争の国際連帯を大きく前進させた。
 共謀罪の問題点への認識は、市民団体や労働組合の中に着実に広まりつつある。さらに全力で共謀罪の新設阻止の闘いに立とう。
 11・7全国労働者総決起集会への大結集を実現し、その力をバネに11・8国会前集会(午前11時半開始)の大成功をかちとろう。

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週刊『前進』(2173号2面4)(2004/11/08)

国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

第31回 11月8日(月)
第32回 11月29日(月)
第33回 12月21日(火)
第34回 1月13日(木)
 ※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2173号3面1)(2004/11/08)

成果主義賃金に反乱始まる  推進した連合中央打倒を
 賃下げへの怒りを11・7へ

 現在、電機産別を先頭にあらゆる民間企業において成果主義賃金の導入が、終身雇用制解体・年功賃金解体攻撃として一斉にかけられている。だが、これへの労働者階級のやむにやまれぬ反乱が、いくつかの産別で始まっている。この中に「労働者階級を食わせることができなくなった」日本帝国主義の危機が鋭く表されている。成果主義賃金を階級的に批判しきることが、電機連合中央と連合中央を打倒し、階級的労働運動を復活させる道だ。11・7労働者集会の大結集のために、成果主義賃金を徹底批判する。

 労働者を食わせられない帝国主義打倒を

 今、多くの民間企業で“成果主義賃金制度を導入すれば、企業の経営が改善できるのではないか”とブームになっている。労働組合も経営者と一緒になって推進している。
 だが他方では、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』という本がベストセラーになっている。このことは、成果主義による賃金制度の変更をおかしいと感じている労働者が非常に多いことを示している。
 成果主義導入攻撃は、労働者階級の生活破壊をもたらす大幅賃下げ攻撃であり、団結破壊の攻撃だ。それは、日帝の絶望的な行き詰まりを背景に、「外への侵略戦争」と一体で「内への階級戦争」としてかけられてきている。だが、この攻撃も富士通の破産に見られるように、労働者階級の抵抗で、とん挫している。
 この行き詰まりを打開するためにも、日帝・小泉=奥田は「骨太方針W」をもって郵政民営化を突破口に公務員労働運動を解体し、そのことで戦後革命期以降形成されてきた労働者階級との力関係の反動的一挙的転覆を狙い、戦争のできる帝国主義へと命がけで飛躍しようとしている。
 成果主義賃金への民間労働者の反撃の始まりは、労働者階級を食わせることができなくなった末期の資本主義・帝国主義への労働者階級の総反乱の始まりである。4大産別決戦と一体の闘いとして闘いぬくならば、連合中央の制動を打ち破り、革命まで突き進む壮大な労働者階級の決起を実現することができる。
 MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)を実現してアメリカ革命へ進撃を開始したアメリカ労働者階級は「全国民の健康保険」や「生活できる賃金要求」などを掲げて、AFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の制動を突破して、共和党でも民主党でもない新しい運動を開始している。この闘いから学び、成果主義賃金導入を粉砕し連合中央を打倒しよう。

 完全破産した富士通の成果主義賃金制度

 富士通は、日本で最初に成果主義を導入した企業だ。93年に管理職を対象に「目標管理評価制度」を導入した。その背後にはバブル崩壊と、富士通で初めての赤字転落がある。その後、対象を拡大し、98年にFUNCTION(ファンクション)区分等級による人事制度を導入し、全面的な成果主義賃金制度を導入した。
 その柱は、目標管理評価制度と、ファンクション区分等級による人事制度からなっている。つまり、賃金制度と人事制度が一体で改悪されたということだ。
 改悪以前は職能資格制度に基づく職務・職能給だった。この制度は、事務・技術職系統と技能職系統の二つに分かれていた。それを、事務技術職と技能職の区分を廃止し、学歴や勤続に関係なく10のファンクション区分に分け、その区分に応じて、3級から10級までに分類する。3級から6級までが組合員で、7級以上は幹部社員になる。これは、終身雇用を前提にしない人事制度だ。
 この人事制度と、目標管理評価制度が一体で運用される。目標管理評価は半年ごとに行われる。3級と4級を除く5級以上に目標管理評価制度が適用される。成績は、SA、A、B、Cの4段階が基本。Eは長期休職等の評価不能で例外である。SAは特別で、多くはAかBかCだ。
 各自が半年ごとの数個の目標を書いて提出する。目標を達成するとB評価。超過して達成するとA評価になる。SAは特別。上の級に上がるためには、何度かAを連続して取らなければならない。級が上がらないと賃金も上がらない。
 この制度の問題点は、第一に、賃金制度が複雑極まりないため、一時金も月例賃金も各人バラバラで、実際に受け取るまでは自分の賃金がいくらになるかさっぱり分からない点だ。賃上げ額や、一時金収入がまったく分からないことで、春闘破壊が一気に進行した。
 第二に、評価のでたらめさだ。そもそも評価するのが管理職だという問題がある。技術革新が激しい中で、現場を知らない管理職が評価をする。その結果、残業、休暇一覧などを見て表面的な評価に終始することになる。結局、管理職に気に入られるかどうかが一切の基準になってしまう。
 その上で、客観的な評価などもともと存在しないという問題がある。それぞれの労働者は誇りをもって自分の業務に精通して労働している。ところが、業務間、労働者間で成果の評価に差をつけると「なんでおれがあいつより低く評価されるのか」と、労働者の不満が爆発する。全員が納得できるような評価など、そもそも絶対に不可能だ。
 第三に、労働者間の分断の拡大だ。成果主義で、他の労働者と比較して2倍、3倍の賃金をもらう労働者が出てくる。だが、資本は「国際競争力」を口実にして賃金の総原資を減らそうとしているのだから、多くの労働者の賃金をはぎとり、少数の労働者に上乗せするものなのだ。
 成果主義賃金は、電機連合中央とりわけ富士通労組指導部の積極的な支持があって初めて導入できた。富士通労組は、93年から成果主義導入に賛成してきた。電機連合全体としては、98年7月定期大会で、「新しい日本型雇用処遇システムの構築」方針を打ち出した。この中で成果主義推進方針を決定した。これは95年の日経連の「新時代の『日本的経営』」に積極的に屈服・賛成し、自らの対応を決定したものだ。
 だが、成果主義導入で富士通は企業としてもボロボロになってしまった。大型コンピュータなどはチームワークで製造される。それを個人の目標に分割することは無理がある。その結果、チームワークが破壊される。目標にないことはやらない無責任がはびこり、技術力が低下し、業績が悪化した。そのため、今年の1月には富士通は企業としても成果主義の破産を自認することになった。

 マルクス主義に基づく賃金闘争の復権を

 この成果主義導入の攻撃とどう闘うのか。
 第一に、成果主義導入の本当の狙いと、そのでたらめさを暴露していくことが重要だ。
 90年代の長期不況下で、ベースアップどころか定期昇給もできなくなった資本が総額人件費抑制、賃下げのために持ち出した賃金制度が成果主義だ。公然たる賃下げは、戦後初めてだ。この攻撃の激しさをしっかり見据える必要がある。
 戦後日本の多くの企業の賃金・雇用制度は年功賃金と終身雇用であった。そうではない中小企業もあるが、大企業と公務員を中心に、年功序列型賃金と終身雇用を基本にしてきた。
 その出発点は、戦後革命期の賃金闘争にある。戦後革命期に日本の労働者階級は、飢餓状態に対して文字どおり「食える賃金をよこせ」と要求し、続々と労働組合を結成して闘った。2倍、3倍の賃上げをかちとるという闘いをやりぬいた。その階級的力関係が、大きくは今日まで維持されてきた。賃金も「生活給」というあり方が基本になってきた。
 だが、死の苦悶(くもん)にあえぐ日帝は、「骨太方針W」での公務員労働運動への攻撃と同時に、民間の雇用と賃金において、戦後革命期に形成された「食える賃金」=生活給というあり方を根底的に粉砕し、これを公務員賃金にまで拡大しようとしている。まさに「労働者を食わせることのできない帝国主義」になり果てたがゆえに、成果主義賃金を導入しようとしているのだ。
 第二に、成果主義賃金への幻想を払拭(ふっしょく)することだ。
 青年労働者の低賃金を前提にした年功賃金制度への青年労働者の怒りと反発は確かに存在する。
 成果主義賃金が一定の説得力を持っているのは、賃金が、あたかも労働の成果に対する報酬として支払われる形をとるからである。
 だが、賃金とは労働の対価ではなく、労働力の価格である。それは労働力の再生産費であり、労働者階級の生存のための費用である。資本は、労働者が持っている労働する能力を労働者から切り離して買うわけにいかないから丸ごと買う。だから、丸一日、資本に体ごと明け渡して労働するということになる。
 資本家は、労働者の労働する能力を労賃を支払ってあらかじめ買い、労働者を働かせて支払った労賃以上の剰余価値を生み出し、それを搾取している。このことで資本主義社会が成立している。こうして、剰余価値の搾取という資本主義の本質が隠蔽(いんぺい)されているのだ。
 成果主義は、あたかも労働の成果に対して支払われる形をとるから、労働者が仕事に誇りをもって働いている限り、一定の説得力を持ってしまうのだ。
 だが、すでに見たようにマルクス主義の賃金闘争の本質を踏まえるならば、成果主義は賃金の本質をより巧妙に隠蔽した資本家に有利な賃金支払形態である。資本が新たな賃金支払形態を提案してくる時には、必ず労働を強化し、労働力の価値を低下させようという狙いがあるのだ。
 他人をけ落として自分だけわずかの賃上げのおこぼれにあずかろうというのは労働者の取るべき道ではない。自らの賃上げをかちとろうと思うならば、団結して、一律大幅賃上げを掲げて原則的に賃上げ闘争を闘う以外にないのだ。
 そのためには、賃金制度の改悪に反対するだけでなく、賃金制度の廃止そのものをめざして闘う立場から、労働者階級の闘う団結を回復し、資本との職場の支配権をめぐる闘争に勝利しなければならない。
 結論的に言えば、現在の資本攻勢と闘うためには、労働組合を強化し、帝国主義と対決する力をつけていくことが絶対に必要なのである。資本と一体化して成果主義賃金を導入してきた連合指導部=労働貴族どもを今こそ打倒しよう。
 そして、「骨太方針W」を頂点とした、小泉=奥田の労働運動・労働組合解体攻撃との死活的闘争に勝利することは、全労働者階級の課題である。
 そのためにも、動労千葉を始め3労組が呼びかける11・7労働者集会を日本版MWMとして成功させよう。電機労働者はその先頭で闘いぬく。
 (電機労働者 飯村健二)

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週刊『前進』(2173号3面2)(2004/11/08)

“勝負は来年3〜4月” 卒・入学式へ向け討論集会

 10月24日、「石原・横山の暴走をとめよう! 都教委包囲首都圏ネットワーク」主催の「『日の丸・君が代』強制と処分を許さない10・24討論集会」が東京・文京区民センターで行われ、教育労働者を始め多くの労働者が参加した。
 冒頭、都教委包囲ネットの見城赳樹さんが基調提案。教育基本法改悪が切迫していることに警鐘を乱打し、「きたる3〜4月の東京の闘いは極めて重要」と強調、卒・入学式に向けて今から闘う体制をつくり出すための討論の場として集会を設定したと提起した。
 都立学校での闘いについて4人が発言した。予防訴訟をすすめる会の代表は、周年行事の「日の丸・君が代」強制や校内研修と並んで、都教委が来年度から人事考課で下位(C・Dランク)評価の教員を3カ月昇給延伸にすることを弾劾した。また都教委が06年度に開設しようとしている「都立学校経営支援センター」を「公教育を分割・経営化する路線だ」と断罪した。
 被解雇者の会の代表は、「『日の丸・君が代』強制の不当性を暴くとともに、再雇用が拒否された者として不当解雇撤回へ闘う。この闘いは、非正規雇用が激増する今、全労働者の共通のテーマです」と訴えた。
 被処分者の会の代表は、校内研修に対して、再発防止研修執行停止を求めた裁判の判決が“何度も繰り返せば……違憲違法”と指摘したことも使って反撃していると報告、「闘ってこそ労働者だ。誇りと信念を持って闘おう」と訴えた。
 養護学校の被処分者は「全国から講演の依頼が来て、運動の広がりを感じている」と語り、管理職が校内研修を徹底しようとしてくることに懸命に反撃していると報告、「言うとおりにはならない。あきらめない」と表明した。
 都障労組の執行部の被処分者は「私たちは『どの子も地域の学校で一緒に学ぼう』『子どもたちを分けるな』と運動してきた。この立場から『子どもたちに、学校に強制するな』と訴え続ける」と述べた。
 続いて義務制(小・中学校)の教育労働者3人が発言した。1人目の男性は「小中学校で処分されたのは十数人だが、座った人はもっと多い。私は卒業式の処分を見て『入学式で何人座るかが今後を決める』と思い着席した」と述べた。
 2人目の女性は「原点に立って教育活動を展開し、周りに発信していこう」と切り出し、「2回、3回でクビになることはない。交代しながら順番に不起立を続けていけば、必ず状況は変えられる」と訴えた。
 東京教組の執行委員は、「組合として『処分撤回を求める会』を立ち上げて取り組み、人事委員会闘争を始めている」と報告した。
 保護者や他労組からの発言が続いた。「日の丸・君が代について都教委に要請する元教育庁職員の会」の代表も発言し、「教員免許更新制をつくらせてはならない」と訴えた。
 最後に都教委包囲ネット事務局が「@来年3〜4月、3ケタの不起立闘争を継続しよう。A予防訴訟など裁判の傍聴に取り組もう。B市民・保護者、生徒に運動を広げよう。C対都教委交渉を行う。D周年行事に対してビラまき活動を継続しよう」と提起、2月6日に日本教育会館で開催する大集会へ参加を呼びかけた。

 教育基本法の改悪をとめよう! 11・6集会

 11月6日(土)12時半開場 13時半開演
 集会後、パレード(16時ごろ予定)
 東京・日比谷野外音楽堂
 主催 教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会

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週刊『前進』(2173号3面3)(2004/11/08)

「10・23通達」1周年パレード

 「日の丸・君が代」を強制する石原・都教委の「10・23通達」から1周年の10月23日、「学校に自由の風を!」ネットワークの主催で、通達の撤回を求める一斉街頭宣伝と新宿パレードが行われた。夕方のパレードには多くの教育労働者らが参加した。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会が新たにつくったのぼり旗を押し立てて元気に行進した。

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週刊『前進』(2173号3面4)(2004/11/08)

全国ネット厚労省交渉 “介護削減するな” 高齢者の怒りが圧倒

 10月14日、「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」が厚生労働省交渉を行った。杉並、神奈川、高槻、東大阪、八尾、泉佐野、広島など全国から高齢者を中心にヘルパーの労働者などが参加した。
 交渉は午後2時から参議院議員会館の会議室で行われた。全国から集まった参加者を前に、介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんが「全国の人びとの代表として交渉を成功させよう」と呼びかけた。
 最初に各団体が集めた年金改悪反対署名3825筆を厚労省に手渡し、要望書を読み上げた。要望書は年金制度破綻(はたん)の最大の原因が終身雇用制の解体と非正規雇用の増大にあることを暴き、罰則適用検討や消費税を年金財源とする案の撤回を要求した。また、生活保護以下の年金しか受給していない人への救済策を要求した。
 厚労省は、年金財政を破綻させた責任を完全に居直り、「経済の回復・発展で財政の安定を図る」などと回答した。罰則の適用については「考えていない」としたものの、年金課税については「給付に還元するものだから」と居直った。また生活保護以下の年金については、「年金は老後の生活の補助」と言い、8割の高齢者が年金だけで生活している現実を完全に無視し、飢餓年金を強制している現実を開き直った。
 この回答に参加した高齢者の怒りが噴出し、「私たちの年金積立金を勝手に大企業や銀行救済に使うな」「180兆円のせめて半分でも今の高齢者に給付せよ」と年金破綻の責任を追及し、資本救済のために高齢者の命と生活を切り捨てていることを絶対許さないと突きつけた。
 介護保険をめぐっては、要支援、要介護度1の高齢者から介護を奪おうとしていることに対し、そうした人たちがどのような状態にあるのか分かっているのかと追及し、「ヘルパーによる生活援助のために介護度が悪くなる」というデタラメな主張を弾劾し、審議会にヘルパーの代表が入っていないことを追及した。またホテルコストの導入で経済的に貧しい高齢者が施設に入れなくなることを弾劾し、低所得高齢者への保険料・利用料の減免制度を要求した。
 さらに大阪から駆けつけた「重度身体障害」の男性は、支援費制度と介護保険が統合されれば、介助の時間が大幅に減らされ生きていけなくなると訴え、中止を要求した。
 厚労省の回答に参加者の怒りが高まった。「リハビリしても手は治らないと医者に言われている」「筋力トレーニングなど死ねということや。年金が下がって施設にも入れなくなる。考えたら世の中真っ暗。介護保険はやめて欲しい」。高齢者が次々と立って、週1回、2回の介護がどれほど重大な意味を持っているのかを訴え、その介護を奪う攻撃に怒りをぶつけた。
 激しい追及に追いつめられた厚労省は、ついに「生活援助介護に必要なヘルパーは従来どおりできるように検討したい」と答えざるを得なかった。
 交渉終了後、全国ネット事務局長の長谷川英憲元都議がまとめを提起し、「介護保険は高齢者の介護を奪い、人権を奪い、命を奪っていくんだぞということを突きつけ、『必要な生活援助介護はうち切らない』と言わざるを得ないところまで追いつめた。現実の持つ重みを突きつけた成果だ。介護保険廃止まで闘いましょう」と訴えた。
 同じく事務局長の小西弘泰高槻市議は、「年金空洞化を経済回復で解決するというのは許せない。現在景気が回復しているという見せかけは、リストラ、賃下げで人件費を減らしたからだ。これをさらに進めるということだ」と弾劾した。そして高齢者自身が自らの団結を基礎にした「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」の闘いは、大きな地平をこじ開けてきたと総括した。
 第4回全国総会を12月12日に大阪の高槻で開催することが事務局から提案され、確認された。

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週刊『前進』(2173号3面5)(2004/11/08)

全金本山年末物販アピール 勝利への大攻勢支えよう

 全金本山闘争は「2人の解雇撤回、全員の原職奪還」の完全勝利をかちとり、34年の闘いに歴史的な決着をつける攻防に突入している。全金本山闘争を絶対に勝たせなくてはならない。「一人の首切りも許さない」という労働組合の原則、そして32人の組合員の闘う団結があれば、労働者は勝利するんだということを今こそ示す時だ。その勝利への攻勢を支えぬくために、すべての闘う仲間が全金本山労組の年末物資販売・カンパの闘いに総決起しよう。
 青柳充書記長の不当解雇から34年、全組合員がロックアウトで職場を追い出されて32年、全金本山闘争はあらゆる組合つぶしの攻撃を打ち砕いて闘い抜いてきた。
 そして、04年の仙台高裁を軸とする直接交渉で、60歳の定年年齢を過ぎた組合員も含めて、希望者全員の就労を受け入れるところまで会社を追いつめた。あとは青柳充さん、熊谷春男さんの解雇撤回をかちとるだけだ。
 そもそも本山資本は、争議解決なくしては会社再建もままならない状況に陥っている。不良債権と化した90億円余りの借入金のうち23億円がみずほ銀行から整理回収機構に売却され、会社整理か再建かの瀬戸際だ。会社再建には争議の全面解決は前提条件であり、全面解決とは解雇撤回以外にないのだ。
 さらに9月21日、仙台高裁で中野七郎書記次長への「傷害事件」ねつ造を暴く大きな勝利をかちとった。「本件暴行によって原判示の障害が発生したと認定するにはなお合理的疑いを入れざるをえない」と断じて一審判決を破棄し、東北大学と宮城県警による「傷害」のねつ造を認めさせたのだ。労組破壊の治安弾圧を暴き、根底で打ち砕いた。地域の労学共闘と全国の労働組合の支援の力がかちとった画期的な勝利だ。
 他方、仙台高裁はころび屋・西森教授の証言を「看過しがたい変遷」と言いながら、それを唯一の証拠に「暴行」で罰金10万円の有罪判決を下した。とんでもない暴論だ。上告審闘争で完全無罪をかちとろう。
 11・7労働者集会の大結集をかちとり、年内完全勝利に突き進もう。今こそ全金本山闘争の勝利をかちとり、労働組合が原則と団結を守り、闘い続ければ必ず勝利するということを示す時だ。
 全金本山労組の32人の組合員は、総評全国金属本山支部の組合員であるということだけで就労を奪われ、社会保険、年金まで奪われた。しかし「一人の首切りも許さない」という原則は絶対に譲らなかった。総評全国金属の中央本部は「中労委白紙委任」としてこの原則を奪おうとしたが、除名処分に対しては全金本山労組を結成して闘いを続けた。「道なき道を進む」(全金本山労組結成宣言)という決断であったが、労働者だからこそ団結し闘うことができる。不屈の闘いがある限り、全国の仲間はあらゆる統制をはね返してそれを支え抜いたのだ。
 この全金本山闘争が勝利し、解雇を撤回させ、本社工場構内に労組の赤旗を高々と掲げることは、全金本山闘争を支えてきた全国の労働組合に勇気と確信を与え、階級的労働運動の号砲となることは間違いない。
 国鉄1047名闘争、郵政民営化阻止、教基法改悪阻止の決戦の勝利は、まさに全金本山労組のように労働組合の原則を不動の武器に闘い抜くことにある。小泉=奥田の手代となった連合指導部や、「1047人をイラクに送れ」と言うまで腐りきった日共・革同の連中などは、労働組合からたたき出す以外に労働者階級の未来はないのだ。
 攻勢につぐ攻勢で、さらなる勝利をかちとろう。闘争資金の確立なくして勝利はない。物販・カンパの拡大こそが闘争の原動力だ。全金本山闘争の完全勝利へ、全力で決起しよう。

 販売品目

              (円)
 1 めいとこねこバスカレンダー1,500
 2 くまのプーさんカレンダー 1,400
 3 トイレカレンダー     1,500
 4 札幌ラーメン       1,000
 5 稲庭うどん        2,800
 6 飛騨高山ラーメン     1,000
 7 讃岐うどん        1,000
 8 博多ラーメン       1,000
 9 信州五割そば       1,300
10 りんごジュース      1,100
11 梅ぼし          1,500
12 ヨーロピアンコーヒー    670
13 即席みそ汁        1,200
14 釜出し一番石けん     1,100
15 黒糖ドーナツ棒      1,500
16 とうもろこしホワイトチョコ1,000
17 盛岡じゃじゃ麺      1,000
18 博多もつ鍋         1,000
19 豚の角煮          1,000
20 Q・B・Bチーズ       870
21 ヨーグルトレーズン     1,000
22 玉ねぎスープ        1,300
23 リンツチョコレート     1,250
24 するめ           1,200
25 スモークドチキン      1,300
26 丹波産大黒豆        1,100
27 しん農大黒飯        1,000
28 チーズかつお         800
29 キムチたまごスープ     1,100
30 自然食品梅にんにく     1,300
31 チーズ亭           600
32 野菜たまごスープ      1,100
33 チーズするめ        600
34 ほたて貝柱         850
35 だったんそば茶       900
申込先 全金本山労働組合
FAX022(233)5971 TEL022(274)0843

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週刊『前進』(2173号4面1)(2004/11/08)

MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)で始まった米労働者の闘いを日本の11・7の大爆発へつなごう
 ルポMWM ブッシュの足元に迫る熱気 “皆保険制度を”“食える賃金を”


リンカーン記念館前を埋め尽くした参加者。池の周りには各団体の点とが立ち並ぶ

 10・17MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)の成功は、21世紀におけるアメリカ革命・世界革命の始まりとも言える巨大な成果を切り開いた。この闘いを中心的に担い、牽引(けんいん)したのは、70年近い歴史を持つILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10だ。その存在と闘いの大きさをあらてめて痛感した。先週に続いてMWMの様子を紹介し、その意義を掘り下げたい。(本紙 城崎健夫)

 切実な要求手書きで

 集会に参加して一番感じたのは、アメリカのランク・アンド・ファイルの自己解放性に満ちあふれた明るい熱気だ。
 この日のワシントンDCは、雲一つない絶好の秋晴れにめぐまれた。会場には、朝早くから色とりどりのプラカードや組合の横断幕(バナー)を持った労働者が次々に集まってくる。特徴的なことは、労働組合や市民団体の印刷したプラカードに混じって、労働者が自らの主張や要求を手書きしたプラカードが非常に多い点だ。文字どおり自己解放的な決起なのだ。どれもこれも、アメリカの労働者階級の切実な要求や闘いのスローガンだ。
 「皆保険制度を要求する」「食える賃金をよこせ」「労働組合に仕事と健康保険を」などという切実な要求を書いたプラカードが圧倒的に多い。「仕事を守れ。CAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)反対」という反FTA闘争のプラカードを掲げた女性労働者もいる。
(写真 手書きのプラカードを持つ参加者。「ブッシュ・チェイニーは血まみれのうそをやめろ。1090人が死んだ。お前たちの血まみれの石油のための戦争であと何人死ななければならないのか」とある)

 イラク反戦の主張も

 「国内と海外の労働者への戦争をやめろ」や「予算を、戦争ではなく仕事に」「軍隊を直ちに帰還させろ」「大量破壊兵器はどこにある。仕事はどこにある」などと書かれた反戦スローガンも多い。「ブッシュは家族を後回しにしている」「もう4年間、うそをつき続けるのか。ノーだ」というブッシュ批判のプラカードや、「警察のテロルをやめろ」「イラクのレジスタンスに勝利を。ブッシュもケリーも反対」や、「労働者階級は独自の政党を必要としている」などの手書きのプラカードも見受けられた。
 会場は、ホワイトハウスに近いリンカーン記念館前だ。記念館の階段に演壇を設置し、階段下の両側には野外コンサート用の巨大なスピーカーが設置された。
 この階段の上の演壇こそ、1963年にマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が「アイ・ハブ・ア・ドリーム(私には夢がある)」という歴史的な演説を行った場所だ。
 細長いリフレクティング・プール(反射池)をはさんで対岸に高さ167bもある白いワシントン記念塔が見える。その左側にホワイトハウスがある。このワシントン記念塔の下で昨年1月18日、マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の誕生記念日に50万人の空前のイラク反戦集会が開かれ、日本からも全学連派遣団が参加した。
 リフレクティング・プールの周りには、MWM主催者が設置した各種のテントとともに、さまざまの党派や団体の設置したテントが立ち並んでいる。そこでは、MWM参加記念の缶バッジや、ブッシュやケリー批判のシール、さらには食べ物なども売られ、日本の国労団結祭りを思い出させる風景だった。
 動労千葉派遣団は、主催者が設置した国際連帯テント前に動輪旗を立て、テント内に英語版の『俺たちは鉄路に生きる』などを展示・販売して好評だった。
 動労千葉派遣団は、マスコミにも圧倒的に注目され、佐藤正和新小岩支部長は西海岸バークレーの良心的なFM局であるKPFAなどマスコミ3社からの取材を受けた。

 みなぎる力と解放感

 集会は、節々に音楽演奏による休憩をはさみながら、午後5時過ぎまで開かれた。
 各労組や団体代表の発言は、すごいテンポと迫力で、聞いている者を圧倒する。会場からも「そうだ」などのビビッドな反応が返ってくる。発言者と会場が一体となって、闘いの熱い熱いマグマが噴き出す強烈な集会であり、参加していて楽しい、心に残る集会だった。
 音響装置が整備されていることもあるが、節々で流れる音楽がまたすばらしい。ジョン・レノンのイマジンから始まって、反戦歌あり、差別への怒りありで、聞いているだけで熱い感動がこみ上げてくる。
 集会参加者は、ほとんどが立ちっぱなしである。アフリカン・アメリカンが圧倒的に多いが、ハイチ系の人々や、ラティーノ、ムスリムの労働者などマイノリティが参加者の過半数を超えている。
 俳優のダニー・グローバーさんや、AFSCME(全米・州・郡・市従業員組合)のブレンダ・ストークリーさんの発言には特に反響があった。参加者は耳を澄まして聞き入り、発言が終わるやいっせいに拍手と歓声をあげ、中には涙を流す女性労働者もいた。
 途中で、無実の黒人死刑囚であるムミア・アブ・ジャマルさんの獄中からの電話アピールの録音が会場に流された。「フリー・ムミア(ムミア釈放を)」の訴えが会場全体を包んだ。(5面コラム参照
(写真 俳優で活動家のダニー・グローバーさんの発言を真剣に聞き入る参加した労働者たち)

 キング牧師の闘い継承

 今回の取材をとおして、MWMの主催者がなぜ、リンカーン記念館前に会場を設定したのかが理解できた。ローカル10が全米に羽ばたこうとする時、東海岸の労働組合、とりわけアフリカン・アメリカンを多く組織する戦闘的労組を獲得することが重要だった。70年代のレーガンによる労組破壊の攻撃から、アメリカ労働運動が戦闘性を回復する過程で、アフリカン・アメリカンやラティーノなどの未組織の少数民族を組織化する運動や、チームスター改革運動などが重要な位置を占めている。(前進社刊『国際労働運動の新時代』286n以降参照)
 この運動を代表する労組がニューヨークのAFSCMEや、SEIUである。彼らを獲得するためにも、公民権運動と労働運動の融合をめざしたマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の闘いを今日に継承しようという訴えが決定的だった。(コラム参照
 さらに、重要なことはMWMを最初から最後まで担い抜いたのがILWUローカル10だということが、参加して初めて本当の意味で理解できたことだ。
 演壇の後ろには、MWMの横断幕が掲げられているが、そこにはMWMロゴマークの横に、「タフト・ハートレー法の廃絶」とだけ書かれている。これは、何を意味するのか。
 ILWUは2002年の労働協約改定時に、01年「9・11」直後の米帝・ブッシュによるアフガニスタン・イラク侵略戦争攻撃と一体となったタフト・ハートレー法の発動に直面した。ところが、ILWU本部は、米帝・ブッシュの恫喝に屈服し、タフト・ハートレー法の発動下での労働協約改定に同意した。(前掲本69n以降参照)
 ローカル10のランク・アンド・ファイル派は、本部の屈服をのりこえる闘いとして全米にMWMを呼びかけた。これはILWUの70年近い歴史の中でも画期的な挑戦だ。(コラム参照)
 まさに、動労千葉が、国鉄闘争の勝利のために「全国にはばたこう」と新潮流運動を開始したのと、まったく同じだ。文字どおり、マルクスが共産党宣言の中で語っている革命実現の道そのものだ。
 アメリカのMWMの成果を引き継ぎ、日本の11・7労働者集会を日本版MWMとして大成功させよう。
(写真 米記者の取材を受ける動労千葉の佐藤支部長【中】)

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週刊『前進』(2173号4面2)(2004/11/08)

ILWUの不屈の70年 タフト・ハートレー法と対決

 ILWUは、アメリカ西海岸の各州を中心に約5万人の港湾労働者、港湾事務労働者、倉庫労働者などを組織している。ローカル10はILWUの発祥の地であるサンフランシスコ市の港湾労働者約1200人を組織するILWUの中心支部だ。ローカル34は、同市の港湾事務労働者約400人を組織している。

●34年のゼネスト勝利
 ILWUの歴史を理解する時、重要なのが1934年のサンフランシスコ・ゼネストだ。
 30年代初めにサンフランシスコで、ILWUの前身になる組合がニューヨークに本部を持つILA(国際港湾労働者協会)の太平洋岸組織として組織された。
 ILAは当時、港湾のマフィア支配に屈服していた。これに怒った港湾労働者が34年にサンフランシスコ一帯を巻き込むゼネストに決起した。このゼネストは、州兵や警察権力による6人の組合員の銃殺攻撃をものりこえて闘われ、多くの連帯ストを生み出し、最後に勝利をかちとった。
 このサンフランシスコ・ゼネストを記念して毎年7月にレイバー・フェスタが開催されており昨年・今年と動労千葉が招待されて参加した。
(写真 サンフランシスコ・ゼネスト「地の木曜日」事件。1934年7月5日に警官が2人のスト支援者を射殺)

●統一協約かちとる
 ゼネスト勝利の結果、ILWUは米西海岸29の主要港で、経営者団体であるPMA(太平洋海事協会)との間で統一労働協約を結んだ。今日まで70年間も維持されてきた統一協約の核心は、ハイヤリング・ホール(労働者就労あっせん所)を組合と資本の手で運営することを認めさせた点だ。
 港湾労働は船の出入りで雇用が変動し、それにつけ込みマフィアが港湾を支配していた。ハイヤリング・ホールはそのマフィア支配をなくした。
 37年夏、西海岸の労働者はILAからの脱退投票を行い、ILWUを結成した。

●スト禁止法と闘う
 ILWUの歴史は弾圧との闘いの歴史だ。
 47年に米帝は第2次大戦後に多発したスト禁止のために、35年制定のワーグナー法を抜本改悪してタフト・ハートレー法を制定した。それ以降、このタフト・ハートレー法との闘いが決定的に重要になった。
 米帝はILWUに対し48年と71年にタフト・ハートレー法を発動した。だがILWUはストを打ち、はね返した。
 ブッシュは02年秋のイラク侵略戦争切迫下での協約改定時に、愛国者法攻撃と一体でタフト・ハートレー法を発動した。これへのILWU中央の屈服を乗り越える闘いとしてMWMがある。

●一貫した国際主義
 ILWUは、一貫して国際主義を貫いている。南アフリカのアパルトヘイト反対や、ムミア救援を訴えて港湾を封鎖し、英・リバプールの港湾労働者に連帯してネプチューン・ジェード号(スト破り船)の入港を阻止した。これに日本の港湾労働者も続いた。
 これらの戦闘的伝統を中心になって担い抜いたのがローカル10なのだ。

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週刊『前進』(2173号4面3)(2004/11/08)

公民権運動とMWM

 アフリカン・アメリカンの公民権運動の指導者として有名なマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は、同時に労働運動の指導者でもあった。
 MWMは、キング牧師が1963年8月28日に人種差別の撤廃を求めて行ったワシントン大行進をもとに名付けらた。ここでキング牧師が行ったのが有名な「私には夢がある」という演説だ。
 キング牧師は虐殺される前年の67年にILWUローカル10の名誉組合員になった。
 キング牧師が68年4月4日にテネシー州メンフィスで暗殺されたのも清掃労働者のストライキ支援中であった。彼は、清掃労働者に「われわれは座り込みを行わなければならない」と訴え、ともに座り込んだ。
 キング牧師は、「公民権運動は労働組合から座り込み戦術を学んだ」「座り込みストによる工場占拠は、アメリカの労働組合運動が編み出したすぐれた戦術です」「公民権のための闘いは今や労働者のための闘いである」と主張した。
 また、彼は、「アメリカを変えるために、働く者のランク・アンド・ファイル運動をつくらねばならない」と主張した。
 さらに彼は、政府予算が、当時激化しつつあったベトナム戦争の軍事費として使われていることを指摘し、ベトナム反戦の立場を表明した。
 MWMは、キング牧師の闘いを継承し、文字どおり「21世紀の公民権運動」(クラレンス・トーマスさんのMWMでの総括提起)として闘われている。
(写真 キング3世【中央】にキング牧師とILWUの関係をパネルで説明するトーマス議長。左がキング牧師、右が最初の黒人ILWU本部役員のチェスターさん)

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週刊『前進』(2173号4面4)(2004/11/08)

動労千葉 訪米パンフ発行

動労千葉 訪米パンフ 動労千葉が、10月17日にワシントンで行われたMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)の報告集を発行した。題して「世界に翔びたとう4 MWM報告集/アメリカ労働運動の歴史を変えるランク&ファイルの壮大な挑戦」。
 MWMが掲げた22の「諸要求リスト」、田中康宏委員長の巻頭言に続き、MWMにおける主な発言を、動労千葉の佐藤正和・新小岩支部長を含めて11人掲載している。「壮大な挑戦、巨大な決起が始まった!」と題した佐藤支部長の報告と、「座談会―MWMに参加して/労働者の団結と国際連帯で共通の敵をうち倒そう」で、MWMの生き生きとした様子と意義が語られている。
 11・7集会への大結集を実現するため、周りの労働者にどんどん広めよう。
☆発行・動労千葉 B5判40n/頒価300円
☆注文先・動労千葉 〒260-0017 千葉市中央区要町2―8 DC会館/電話043-222-7207 / FAX043-224-7197 / E-mail doro-chiba@doro-chiba.org

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週刊『前進』(2173号5面1)(2004/11/08)

MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)で始まった米労働者の闘いを日本の11・7の大爆発へつなごう
 MWMの意義 賛同労組350万人の地平
 組織攻防でAFL−CIOに分岐
 公然・大衆的な討論スタイル 労働者に切実な22の要求項目

全米各地からMWMの趣旨に賛同するあらゆる人種の労働者が駆けつけ、縁談の発言者のアピールに熱烈な拍手を送った。両手を上げて喜びを表現する労働者もいた

 世界の資本主義・帝国主義の牙城アメリカで、闘う労働運動の全国的ネットワークがついに登場した。AFL−CIO中央の禁止指令・締め付けと格闘しながら、MWM運動は、350万人の労働者を組織する労組やその連合体の賛同を獲得した。生存権と反戦を掲げて帝国主義労働運動を打倒し、労働組合を労働者の手に奪還する展望を示したのだ。「国際競争」を振りかざす資本の攻撃には労働者の国際連帯で闘おう。イラク戦争に対して国際連帯で闘おう。日本の11・7国際連帯集会を圧倒的にかちとろう。

 組合官僚と激突恐れず

 今年2月に出発したMWMは、数カ月でついにアメリカ全体を貫く大勢力に発展した。
 共和・民主の2大政党制から独立した労働者自身の運動を、選挙戦のただ中で組織しぬいた意義は計り知れない。ついに、アメリカ帝国主義を打倒し、労働者階級が主人公となる世界を建設しうる巨大な勢力が登場したのだ。
 MWMに賛同した組合やその連合体の組織人員は、350万人だ。
 そのうち、全国レベルでは、大会決議で賛同したNEA(全国教員協会、270万人)とAPWU(米郵便労働者組合、33万)だ。地区レベルでは、ニューヨーク市のAFSCME(全米州・郡・市職員労組)の第37地区協(12・5万)、同第1707地区協(3万)、ワシントンの同92地区協など、支部レベルでは、ニューヨークのTWU(都市交)ローカル100(第100支部、3・3万人)など多数がある。
 賛同組織として発表されていないが、AFL−CIOカリフォルニア州連盟は、MWM組織委員会が発表している「MWMの使命」という宣言文(本紙前号3面)を、自分たちの宣言文として大会で採択した。同州連盟は、210万人、AFL−CIO全体の6分の1だ。
 これらの賛同は、AFL−CIO執行部が、MWMに賛同するな、協力するなという指令を出した6月23日以降に獲得されたものだ。つまり、強大なAFL−CIOの禁止指令という重圧と格闘しながらもぎりとったものなのだ。
 MWMは、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)という6万人の組合の中のローカル10(第10支部)という約1200人の支部が提唱して始まった。これが、1300万人のAFL−CIOを揺るがす大運動を巻き起こしている。
 もとよりこうした地平は、スムーズにかちとれるものではない。正面衝突を恐れず、闘って、初めてもぎ取ることができる。

 AFSCMEで激しい攻防

 最も前進が著しいAFSCMEの例を見てみよう。
 AFSCMEは、一般には左派だと見られていた。たしかに、USLAW(全米反戦労組連合)には、巨大労組で唯一、労組丸ごと加盟している。AFL−CIO執行部のイラク戦争支持の姿勢の中で、これは大きな意義をもっている。だが、AFSCME本部は、戦闘的な一般組合員の闘いをむしろ抑えつけ、権力との間で日和見主義的にバランスをとっているにすぎない。
 今年の大会では、支部から提出された反戦決議に圧力をかけて、決議案の中の「部隊をイラクから撤退させる」要求項目に、「できるだけ早く」という文言を加えさせた。これは、ケリー支持のためだ。ケリーは、イラク占領部隊の増強を公約している。だから、「できるだけ早く撤退」とは、イラクのレジスタンスを鎮圧してから撤退するということしか意味しない。
 第1707地区協のブレンダ・ストークリー議長は、会場からこの案に対して、「今すぐ」という修正案を提出し、火を吐くような演説で、代議員の圧倒的多数の賛成をかちとった。事実上の執行部案である原案を厳しく批判し、激突して勝利したのだ。
 だが、執行部は、MWM賛同については、それを議題にすることそのものを徹底して妨害し、ついに議論のないままに大会を終わらせてしまった。
 それに対して、ストークリー1707地区協議長は、ボストンでの民主党大会抗議集会などの大衆的な場でマッキンティーAFSCME委員長の卑劣さを口をきわめて非難した。また、AFSCMEに圧力を加えたAFL−CIOのスウィーニー委員長に対して、「お前は労働者とかけ離れた給料をとっている」「資本家の利害を代表している」と激しく批判した。地区協議長という立場で、公然とこうした激しい批判をすることは、従来の常識からすれば異例のことだ。
 そして、MWMの活動家は、この大会の直後からAFSCMEの諸組織を精力的にまわり、賛同を獲得していった。
 このような正面からの激突が行われた結果、AFSCME本部のひざ元、首都ワシントンを含む地区の第92地区協で重大な勝利が得られた。そして、それをテコにテキサスや多くの地区協、支部の賛同が獲得された。また、本部自体でも大きな成功がかちとられた。ナンバー2のルーシー書記長の賛同が確保されたのだ。
 そして、攻防のために約2カ月の時間がかかったが、AFSCME内の最大の地区協である第37地区協(12・5万人)がついに賛同した。そして、第37地区協は、ひとたび決断するや、傘下の支部で組合員集会を開き、そこにMWMのオルグを呼んで演説・講演させるなど、組合員の大衆的な動員のための取り組みを強めた。率直な討論によって、心からMWMを自分の闘いだと感じられたことの結果だ。
 こうした攻防は、闘いである以上、一直線に成功するとは限らない。たとえば、SEIU(サービス従業員国際組合)の最大支部である第1199支部(23万人)では、代議員集会で賛同がかちとられた。だが、官僚化した支部執行部は、戦闘的な組合員を意図的に次々と大統領選挙に動員していった。オハイオなどの「接戦州」にバスで大量に送り込み、身動きができないようにし、MWM組織化を阻止したのだ。これまで「左派」と言われてきたSEIU1199などで、こうした反動的な動きもあった。
(写真 バスでニューヨークから大挙して結集したAFSCME第37地区協の女性労働者)

 当たり前の要求で迫る

 MWMの22の要求項目のトップは、皆健康保険制度の実現だ。
 昨年秋から今年2月にかけて行われたカリフォルニア州南部などでのスーパーマーケット労働者の長期ストでも、今年9月末からのホテル労働者のストでも、健康保険制度が第一に要求されている。
 このように健康保険は、アメリカ労働運動の焦点になっている。資本と国家権力が、ただでさえひどいアメリカの健康保険制度を、一層改悪しようとしているからだ。今、アメリカでは、4500万人が健康保険を全然持っていない。健康保険に加入できていない月が多かったり、あるいは、きわめて不十分な保険しかない人はさらに多い。保険では、最も安直な手術法しか認められなかったり、術後の入院費がまったく出ないなどだ。人口2憶8千万人のアメリカで、8千数百万人が、事実上、無保険に等しいと言われている。
 現在、こうした不十分な保険さえ、雇用者負担分をなくされたり大幅カットされたりしている。
 だが、MWMは、「健康保険制度改悪反対」という要求はしていない。そうではなくて、国営の皆保険制度を要求している。
 それは、あまりにひどすぎる現在の制度を基準にして、その改悪を阻止するというのでは、全労働者の生きる権利を守れないからだ。だから、皆保険制度の要求は、「労働者には生存権がある」という原則的な立場を貫くものだ。
 皆保険制度の要求は、最も切実に労働者の日々の生活に密着した要求だ。それが同時に、現在のアメリカ資本主義と根源的に対立するものとなっている。現在のアメリカ資本主義(帝国主義)は、これまでのひどい医療制度、社会保障制度さえ破壊しなければ延命できなくなっているからだ。
 第二の要求項目は、「生活できる賃金」だ。これも当然の要求でありながら、資本と激突するものだ。
 そして、NAFTA(北米自由貿易協定)、FTAA(米州自由貿易圏)などへの反対、民営化、外注化、国境を越えた労働条件切り下げ競争への反対があげられている。これは、労働者相互の競争の強制に対抗して労働者が団結するという労働組合の原点を守り、国際的団結をつくっていこうとするものだ。
 労働者組織化の権利要求、タフト・ハートレー法等の撤廃要求は、労働組合の存亡にかかわる。02年のILWUの協約闘争において、ブッシュ政権は、タフト・ハートレー法を発動して、ILWUの闘争を破壊しようとした。それは、アメリカで最も戦闘的な組合の存在そのものを破壊する攻撃だった。これは、全労働運動への攻撃だった。
 また、軍事予算の大幅削減要求、国防省や諜報機関の秘密予算の帳簿公開要求が掲げられている。
 後者は、民主主義の建前からしてきわめて当然の要求でありながら、アメリカ帝国主義と全面的に激突する。一国の国家予算にも相当する莫大な金額が何の審議も、会計監査もされず闇(やみ)に消えているのが、アメリカの実態だからだ。これを半分でも公開したら、侵略戦争も世界支配も成り立たない。
 そして、MWMは、これらの22の要求項目とともに、即時撤兵など、イラク反戦の諸要求を出している。むろん、これもイラク戦争・占領で命まで奪われているアメリカ労働者階級の切実な要求であり、同時に、アメリカ帝国主義と根源的に対決する要求だ。

 差別と闘い、国際連帯貫く

 MWMは、全体を獲得する、団結させる、これを基準に、すべてが組み立てられている。だから、産業の別、職種の別を越え、支配階級による差別分断を乗り越えるための闘いを貫いている。差別と闘い、団結を強化するILWUの伝統が生かされている。アパルトヘイト体制の南アフリカの船舶の荷役を首をかけて拒否した闘い、無実の黒人政治犯死刑囚ムミア・アブ・ジャマル氏の処刑の危機に対する西海岸全体の港湾封鎖での反撃などが、MWMの組織化の過程では必ず語られた。
 MWMの闘いとは、労働者の団結をつくることだ。MWMは、労働者の団結の核心問題として、国際連帯を貫いた。イラク侵略戦争開戦直後にストで闘った動労千葉を軸とする日本の闘う労組の新潮流運動は、MWMそのものとして位置付けられていった。
 MWM集会には、アフリカ系やラテン・アメリカ系アメリカ人の戦闘的労組活動家が大結集し、日本、韓国、イギリス、南アフリカ、ハイチなどの代表団がともに闘った。
 そして、MWMは、戦略的な労組を丸ごと獲得することに徹底的に執着して闘っている。
 労働組合である以上、絶対に否定できない労働者の切実な要求から出発することが、そのカギになっている。それは、22の要求項目に貫かれている。しかも、それをアメリカ資本主義(帝国主義)に対する根源的な批判につながるものとして練り上げて提起している。
 だから、敵対的な労組官僚が、何らかの口実をもってMWMについての組合員の討論を封殺しようとすることに、粘り強く食い下がることができている。
 これは、民主党・ケリーに対する批判もそうだ。
 皆保険制度の要求は、ケリーには受け入れられない。生活できる賃金もそうだ。軍事予算の削減もそうだ。イラクからの即時撤兵もそうだ。具体的に一つひとつ討論していくと、いかに民主党・ケリーが労働者の利害と逆のことをやろうとしているのかが分かってくる。
 一方で、クラレンス・トーマス氏などMWMの中心的な組織者は皆、民主党・ケリーを正面から名指しで厳しく批判している。だが他方で、公式のMWMスローガンは、ケリー反対という定式化ではなく、ケリーの具体的な政策への批判という形になっている。
反動的労組幹部に支配された組合内に入って、労働者と討論する道筋が考え抜かれている。こうした接近戦の中で勝ち抜くことがMWM運動の中で行われた。

 ランク&ファイル運動

 ランク・アンド・ファイル運動は、何か特別のことをやろうという運動ではない。労働運動を労働者自身のものにしていくための当然の運動だ。だから、本来の労働運動をめざす勢力にとって、万国共通だ。
 動労千葉の中野洋前委員長は、次のように強調している。
 「労働組合とは幹部のものではなく組合員のものです」(『俺たちは鉄路に生きる2』)
 「僕は書記長の時から、『民同労働運動を乗り越えるというのはどういうことか』と考えていました。それは根底的には動労千葉に結集している労働者の階級性、本来労働者が持っている力を掛け値なしに全面的に信頼し、それに依拠して闘うということです」(同)
 MWMと比べてみよう。 「われわれの独立した労働者の全米からの結集運動のみが、われわれの要求と課題を実現する道を切り開く」(MWMの要求の序)
 動労千葉は、このMWMに全面的に賛同し、佐藤正和新小岩支部長をはじめとする26人の訪米団を派遣し、訪米団は集会準備をともに担った。
 MWMはランク・アンド・ファイル主義を正面に掲げて運動し、組織をつくった。だからこそ動労千葉は、MWM運動の中で、「日本のILWUローカル10だ」と評価されて、運動の中核に迎え入れられたのだ。
 これが勝利のカギだ。これで労働者階級が主人公となる新たな世界を建設できる。
 11・7日比谷野音の国際労働者連帯集会は、MWMそのものだ。労働者自身の力で圧倒的に組織し大成功させよう。
 〔村上和幸〕

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週刊『前進』(2173号5面2)(2004/11/08)

ムミア氏が呼びかけ 無実の政治犯死刑囚

 ムミア・アブ・ジャマル氏(1954年生)は、元ブラックパンサー党役員で、81年12月に白人の警察官を殺害したとしてデッチあげ逮捕され、翌82年に死刑判決を受けた。以来、ペンシルベニア州の無実の死刑囚となっている。ムミア無罪釈放は、広範な労働者人民の闘いの共通課題になっている。MWM集会で流されたムミア氏の獄中からのメッセージを紹介する。
    ◇   ◇
 われわれは、どこの出身であろうと、死活的な問題は共通だ。労働の世界に属しているのだから。
 私は、全米自動車労組に属する全国作家組合の誇りある正規組合員だ。組合員でない人もいる。そのほうが多いだろう。いわゆる「臨時労働者」……、監獄労働者として、われわれは働き、社会的財産をつくり出している。そして、われわれは皆、地獄の苦しみを味わっている。
 これが至る所で賃金戦争がおこる理由だ。これは労働者に対する戦争だ。誰がホワイトハウスを握るかは問題ではない。アメリカ人民が選ぶ前に、企業が選んでいるのだから。
 前大統領クリントンは労働者の支持にどんな見返りを与えたのか? NAFTAを成立させ、全世界の労働者家族の生き血を吸い続けるグローバリズムを信奉するモンスターに門戸を開いたのだ。
 労働者が現実に社会を建設するのだ。労働者こそ社会を再建できる。
 偉大な祖先、奴隷制廃止活動家フレデリク・ダグラスは、「権力は要求されずには、何も譲歩しない」と言った。労働運動は、力を合わせ、この腐敗した政治システムに屈服を強制しなければならない。われわれ全員が、要求するにとどまらず、新たな現実をつくり出すであろう。

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週刊『前進』(2173号5面3)(2004/11/08)

コミューン 12月号 英労働運動の現状

 イギリスの労働運動はランク・アンド・ファイル運動の圧倒的前進によってまったく新たな地平を切り開いている。
 戦争と民営化に反対するイギリスのランク・アンド・ファイルの闘いは、巨大なイラク反戦デモと相次ぐ大ストライキの爆発によって、ブレア政権を打倒する展望をもった闘いを実現し、全世界の階級闘争を牽引している。イギリスにおける階級闘争が獲得した地平を全世界で教訓化する闘いが、今ほど必要とされている時はない。
 今回の特集はこうした観点からイギリス階級闘争の現状を最新の資料を駆使して分析した。
 第1章は、ブレア政権のサッチャー政権以上に反労働者的な性格を暴露し、イラク反戦闘争を軸にしてイギリス労働者階級がブレア政権と労働党による労組支配を粉砕する闘いをどのように実現してきたのかという点について明らかにした。
 第2章は、この数年間に、ランク・アンド・ファイル運動が、労働党支配下の労働組合運動の主導権を特権的ダラ幹から奪い返すためにどのような苦闘を経てきたのか、そして現在的にいかにすばらしい地平を獲得しているのかについて詳しく分析した。
 翻訳資料は、イラクにおける民族解放闘争の実態について明らかにするために、イラク国内の武装解放勢力側の軍報である「イラク・レジスタンス・レポート」の翻訳を掲載した。

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週刊『前進』(2173号6面1)(2004/11/08)

侵略国家への大転換 牙むき出した「安保・防衛懇」報告
 「対テロ戦争」で日米枢軸
 海外派兵を「本来任務」に

 小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東京電力顧問)が10月4日、「未来への安全保障・防衛力ビジョン」と題する報告書を首相に提出した。政府はこれに基づき11月にも新防衛計画大綱を策定する。防衛懇は日米同盟を基軸とした「統合的安全保障戦略」を掲げ、侵略帝国主義への飛躍を宣言した。そのために海外派兵を自衛隊の「本来任務」に格上げし、自衛隊戦力をこれまでの「基盤的防衛力」整備から「多機能弾力的防衛力」整備へと転換させる。これは終身雇用制と社会保障制度を解体し、戦争国家への大転換を狙う「骨太方針W」の安保防衛版と言うべき文書である。

 “日本人保護”“海外権益擁護”で戦争

 防衛懇は「2001年9月11日、安全保障に関する21世紀が始まった」と本文を書き出している。これは何を意味しているのか。
 9・11反米ゲリラ戦争と3・20イラク侵略戦争は世界情勢を一変させた。米帝ブッシュは9・11を契機に「テロと大量破壊兵器を新たな脅威」と規定し、「敵対国家」を先制攻撃する侵略戦争に踏み切った。この「対テロ戦争」の目的は、米帝支配を揺るがす被抑圧民族の民族解放闘争の一掃と、侵略戦争で新たな米帝支配を打ち立てて他帝国主義の台頭を粉砕することにあった。9・11−3・20情勢は、国際階級闘争と帝国主義間対立を急速に先鋭化させ、帝国主義の安全保障問題をまさに帝国主義体制の存亡のかかったものに押し上げた。
 防衛懇の報告書は、こうした情勢における安保防衛政策を打ち出すために書かれた。防衛懇は「9・11後の安全保障環境」について次のように述べる。
 「もはやテロリストや国際犯罪者集団などの非国家主体からの脅威を正面から考慮しない安全保障政策は成り立たない。しかしながら、国家間の安全保障問題が消滅したわけではない。……一方の極に非国家主体が引き起こしかねない、想像を絶するテロリスト攻撃があり、他方の極に極めて古典的な戦争の可能性がある。その中間にあらゆる組み合わせによる危険が存在している」
 防衛懇は、東アジアに特徴的な「国家間の安全保障問題」として、北朝鮮と中国の脅威を挙げている。
 「北朝鮮の核を含む大量破壊兵器開発や弾道ミサイルの開発・配備は、日本にとって直接の脅威」「台湾海峡両岸の間で軍事衝突の可能性」
 また、「非国家主体からの脅威」ということでは、「日本への脅威は、外部から来るとは限らない」「内発的なテロ勢力や犯罪者集団による脅威は明白」などとして、被抑圧民族のゲリラ戦争に身構えるばかりでなく、日本の労働者人民の闘いをも「テロ対策」として鎮圧しようとしている。
 防衛懇は「民主主義国における安全保障は、自由で民主主義的な制度を含め、国民が大切にしている社会生活や文化的価値を守るというところまで広がらなければ、十分に確保されたことにはならない」として、資本主義と天皇制を否定するものは「テロリスト」として弾圧する意図をむき出しにしている。
 さらに防衛懇は、「海外の騒乱によって在外邦人の安全が脅かされたり」「重要な資源・エネルギーや食料の供給途絶も」安全保障問題だと言い切った。かつて「日本人保護」や「海外権益擁護」と称して中国侵略戦争を行ったのとまったく同じ論理を持ち出し、侵略戦争を発動していくことを公然と唱えているのだ。日本経団連・奥田ビジョンの「東アジア自由経済圏」構想は、このような凶暴性と侵略性を持つものだ。

 日米同盟の強化で独仏帝への争闘戦

 防衛懇は、日帝の安全保障戦略の目標として、「日本防衛」と「(在外邦人・企業を含め日本に脅威が及ばないように)国際的安全保障環境を改善すること」の2つを挙げた。そしてこの2つの目標を、@日本自身の努力、A同盟国との協力、B国際社会との協力の3つのアプローチを組み合わせることで実現するとし、これを「統合的安全保障戦略」と呼んでいる。
 防衛懇は、後者の「国際的安全保障環境改善」の取り組みについて、「これまで『国際貢献』というやや第三者的ニュアンスの言葉で語られることが多かった」と述べて、今後は「日本防衛」と「国際的安全保障環境改善」という2つの目標を一つのものとして追求するとしている。日帝の利害を貫くものとして侵略外交を展開し、あらゆる侵略戦争を「自衛」のためとして推進するということだ。防衛懇は、そのために国連安保理の常任理事国入りを目指すとしている。
 防衛懇の安全保障戦略が示す反動性の第一は、これまでとは次元を画する日米安保同盟の一大エスカレーションをもって、日帝が米帝の世界規模での戦争に参戦していこうとしていることである。
 防衛懇は「弾道ミサイル防衛システムの整備」や「日本周辺地域で発生する日本の平和と安全に重要な影響を与えるような事態(日本周辺事態)に備えた協力体制の整備を継続的に進め、現実の運用にあたっても日米協力の信頼性向上に努めていかなければならない」と、朝鮮・中国侵略戦争に向けた日米の戦争態勢づくりを訴えている。
 そして、「中東から北東アジアにかけての『不安定の弧』の地域における、テロや国際犯罪などさまざまな脅威の発生を防ぐ意味からも、日米の同盟関係を基にした幅広い協力は重要である」として、日米同盟に基づき、日帝がアジア・中東全域で米帝の「対テロ戦争」に参戦していくことをはっきりさせた。
 また、そうした観点から、「グローバルな米軍の変革に関して、日米間の安全保障全般に関する幅広い包括的な戦略対話の重要な契機ととらえ、積極的に協議を進めるべきである」と、米軍のトランスフォーメーションに積極的に対応することを主張している。
 さらに、「時代に適合した新たな『日米安保共同宣言』や『日米防衛協力のための指針』を策定すべき」であると提言した。

 集団的自衛権の行使を提言

 イラク侵略戦争は、米帝とEU(独、仏)帝国主義との軍事的対立を生み出した。また米帝はイラク人民の民族解放闘争によってイラク侵略戦争の泥沼化と戦略的敗勢局面に追い込まれ、10・17MWMが示したようにアメリカ革命の現実性を突きつけられている。全世界の階級闘争も〈分岐・流動・再編・高揚>局面に突入した。米帝は、一層の危機の深まりの中で、イラクから絶対に撤退することはできない。米帝はさらに凶暴化し、世界戦争路線にますますのめり込んでいくしかない。
 米帝ブッシュは、EU帝国主義との軍事的対立を深める中で、こうした世界戦争路線を日米同盟の強化をテコに押し進めようとしている。そのために日帝に集団的自衛権の行使を要求し、米軍のトランスフォーメーションの中で日本の米軍基地を「対テロ戦争」の戦略拠点=前線司令部とし、日帝・自衛隊を米帝を補完する戦力として徹底的に使い切ろうとしている。
 日帝・小泉政権は、この米帝ブッシュ路線に積極的に対応する形で、日米安保の強化をテコに侵略帝国主義=戦争国家へと大転換しようとしている。日帝が米帝やEU帝国主義に対抗し、奥田ビジョンが打ち出した「東アジア自由経済圏」形成へと向かい、帝国主義として延命していく道はこれ以外にないからだ。
 防衛懇は、報告書の最後に憲法問題を取り上げ、集団的自衛権行使に公然と踏み切ることを提言している。また、日米安保体制を国連による集団的安全保障が実現するまでの経過措置としている「国防の基本指針」をも見直し、世界戦争に向かっての日米枢軸に踏み切るべきだと提言している。
 これらは日英同盟や日独伊防共協定などの軍事同盟を結んで中国侵略戦争から第二次世界大戦へと突き進んでいった歴史の「再現」でなくて何か。今こそ、日韓米労働者の国際的連帯を強め、世界戦争の元凶=ブッシュと小泉を打倒するために立ち上がるときだ。

 基盤的防衛力構想転換し侵略軍隊へ

 防衛懇の安全保障戦略が示す反動性の第二は、「専守防衛」という戦後の防衛政策の基本的立場をかなぐり捨てて、侵略戦争国家に公然と転換することを打ち出したことである。
 報告書は、1976年の「防衛計画の大綱」以来の「独立国として必要最小限の基盤的な防衛力を保持する」という「基盤的防衛力」構想から、「多機能弾力的防衛力」構想に転換することを打ち出した。「専守防衛」政策に決別し、自衛隊を侵略軍隊に大転換させようというのだ。
 「多機能弾力的防衛力」とは、先に述べた「統合的安全保障戦略」を実現するための防衛力ということであり、自衛隊に「弾道ミサイルをはじめ、国家間紛争(=対北朝鮮、中国ということ)に起因するさまざまな脅威への即応対処能力」や「非国家主体からのテロなどへの対応能力」「日米安保同盟関係を有効に機能させる能力」などを持たせるということである。
 対北朝鮮(中国)の観点からは、「弾道ミサイルの脅威」への対処としてミサイル防衛システムの導入を決定し、さらに「策源地への攻撃能力を持つこと」を検討すべきだとしている。
 とくに重大なことは、これまで「付随的任務」とされてきた海外派兵を、自衛隊の「本来任務」に格上げすることを提言していることだ。その際、「人道復興支援」や「後方支援」を中心とする活動だけでなく、「治安維持の警察活動の実施」にも踏み込み、「任務遂行に必要な武器使用権限を付与する」ことを検討すべきだとしている。
 政府は来年2月のオランダ軍のイラクからの撤退を見越してサマワの自衛隊を1000人規模に増強し、ヘリコプター(UH−60JAブラックホーク)や対迫撃砲レーダーを配備する方針を固めた。自衛隊はいよいよイラク人民虐殺に向かって、イラク侵略参戦のエスカレーションを図っていこうとしているのだ。
 さらに防衛懇は、米帝の「対テロ戦争」参加や、戦闘行為そのものであるPKF(国際平和維持軍)活動などを行う海外派兵の専門部隊を創設するとともに、PKO法やイラク特措法などに代わる恒常法を制定しようとしている。自衛隊の長距離・大量の輸送機能も充実させると言う。

 首相独裁、安保会議を中枢機関に改編

 防衛懇の安全保障戦略が示す反動性の第三は、首相の独裁的な権限のもとに安全保障会議の機能や情報能力を高めて、日本を丸ごと戦争国家・治安国家へと大転換させようとしていることである。
 (1)首相権限と安全保障会議の抜本的強化
 防衛懇は、「日本国内の総力を結集するためには、情報収集・分析能力の向上をベースにした日本政府の危機管理体制を確立する必要がある」としている。とくに弾道ミサイルへの対処には10分程度の時間しかないとの例を挙げて、「内閣総理大臣のリーダーシップ(=独裁)」のもとで、閣議を省略して、迅速な意思決定ができる体制に変えるべきだと提言している。
 また、安全保障会議設置法の改定で「防衛計画の大綱」などの策定と武力攻撃事態などへの対処の両面で、安全保障会議が政府の意思決定の中核機関となったことを踏まえて、「安全保障会議の機能の抜本的な強化」をさらに進め、「真に国家の安全保障政策の中枢となる組織」をつくるとしている。その際、大統領、副大統領、国務長官、国防長官の4人を公式メンバーとし、中央情報局(CIA)長官と統合参謀本部議長の2人をアドバイザーとするアメリカのNSC(国家安全保障会議)を参考にするよう求めている。
 (2)情報能力の強化
 防衛懇は「多機能弾力的防衛力の要は、情報収集・分析力である。テロなどの新たな脅威への対応には、国の情報能力のレベルが決定的な意味を持つ」と、とくに強調している。
 具体的には、「情報収集(軍事偵察)衛星のさらなる能力向上」「非国家主体などの脅威に対する人的情報手段の細やかな対応(スパイ活用)」などが挙げられている。また「情報が迅速・的確に内閣に集約され、国全体の政策決定に資する体制を構築することが重要である」として、現在は警察、公安調査庁、自衛隊が個別に持っている諜報機関の一本化が目指されている。さらに「情報の保全体制の確立」として「機密情報漏洩(ろうえい)に関する罰則の強化」が検討されるべきだと言う。
 (3)国家総動員体制
 防衛懇は、「日本への直接的な脅威に対する自助努力は、自衛隊のみが行うものではない。日本全体で総力をあげて行う活動である」として、国民総動員態勢づくりを目指している。自治体や自主防災組織を使って武力攻撃事態などを想定した訓練を日頃から行っていくとしている。
 また「自衛隊をはじめ、日本全体として安全保障に取り組む体制を早急に整備しなければならない」として、「海上保安庁や警察などと自衛隊の協働」「治安担当機関能力の向上」を課題に挙げている。さらに「テロの脅威を予防するため、日本の法制度・能力を先進諸国に劣らない水準に高める」と、共謀罪を始めとした治安弾圧法の制定を叫んでいる。
 (4)「武器輸出3原則」見直し
 「弾道ミサイル防衛に関する日米による共同技術研究が共同開発・生産に進む場合には武器輸出3原則などを見直す必要がある」とした。このことは何よりも「国際共同開発などを通じた先進諸国の技術的進歩から取り残されない」効率的で競争力のある防衛生産・技術基盤を構築するために必要だとしている。
 これらは何とすさまじい攻撃であろうか。ところが、防衛懇はこれほどの侵略国家・戦争国家への転換がすべて「現憲法の枠内」で可能だと言うのだ。今回の提言は日帝・小泉政権が目指すものへのステップにすぎないということだ。もし9条改憲が強行されれば、どういう事態が起こるのか。まさに米英帝国主義のような軍事的帝国主義に転換するということではないか。
 労働者階級人民に戦争と大失業の攻撃をしかけ、全世界の被抑圧民族人民への虐殺と収奪を強行し、人類生存の危機を生み出している元凶は帝国主義だ。「対テロ」などと言って、労働者階級と被抑圧民族人民とを対立させて殺し合いに導き、労働者階級に分断と対立を持ち込んで支配する帝国主義ブルジョアジーを、労働者階級の国際的団結で打ち倒そう。
 11・7日比谷野音に大結集し、4大産別を軸に小泉=奥田路線と対決する労働者の総決起をかちとろう。
 〔早乙女優〕

 報告書のポイント

▽テロリストなど非国家主体の脅威に対処する安保政策が必要
▽安保戦略の目標は「日本防衛」と「国際的安全保障環境の改善」
▽「基盤的防衛力」を「多機能弾力的防衛力に転換」
▽日米安保の信頼性を高める必要。新「日米安保共同宣言」を策定
▽情報能力、安全保障会議の機能を抜本的に強化
▽武器輸出3原則を見直し米国への禁輸緩和
▽自衛隊の海外派遣を「本来任務」に格上げ
▽「国防の基本指針」(1957年)の考え方を含む新たな安全保障戦略を新防衛計画大綱で提示
▽集団的自衛権行使に関する憲法論議を早急に整理

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週刊『前進』(2173号6面2)(2004/11/08)

横田 基地撤去へ三多摩集会 「米軍再編」に怒り

 10月21日、米軍横田基地に隣接する福生公園で「横田基地の機能強化・軍民共用空港化に反対し、全ての米軍基地の整理・縮小・撤去を求める三多摩集会」が、600人の労働者・市民を結集して開催された。主催は三多摩平和運動センター、横田基地飛行差止め訴訟団、とめよう戦争への道!百万人署名運動・三多摩連絡会、八王子連絡会などで構成する10・21集会実行委員会。
 例年豪雨にみまわれているこの集会も今年は晴天に恵まれ、米軍基地強化への怒りがあふれ、例年の5割増の結集となった。自治労各市職労をはじめ、全逓、国労八王子、西多摩教組、私鉄総連、都職労、JAMなどの組合旗が林立した。
 集会はヨッシーとジュゴンの家の演奏で元気よく開幕。主催者を代表して、三多摩平和運動センターの勝島議長があいさつに立ち「米軍再編で横田基地の司令部機能が強化されることは許せない」「沖縄での米軍ヘリ墜落事故は他人事ではない。横田基地周辺でいつ同様の事故が起きても不思議ではない情勢だ」「横田基地撤去に向けて闘いぬこう」と力強く訴えた。横須賀から駆けつけた原子力空母横須賀母港化反対を闘う仲間は、10月2日の横須賀ヴェルニー公園での抗議集会など、怒りをこめて報告した。続く決意表明では、とめよう戦争への道!百万人署名運動・三多摩連絡会の西山勲事務局長が「小泉の戦争政治をとめるため、11・6〜7日比谷野音に万余の結集を」と訴えた。
 米軍再編では、米ワシントン州の米陸軍第1軍団司令部の座間基地への移転、横田基地の米第5空軍とグアムの米13空軍の司令部を統合し司令官を横田に置くことなどが構想されている。さらに自衛隊の航空総隊司令部を府中基地から横田基地に移転し、自衛隊と米空軍の一体化を図ろうとしている。これらは米軍戦力配置を見直し、泥沼化するイラクへの兵力をひねり出しつつ、米軍と自衛隊が一体となって朝鮮・中国侵略戦争態勢を整えようとする大攻撃だ。すでにイラクに派兵される自衛隊員が横田に来て米軍のC−130に乗って訓練した事実が報告されている。まして軍民共用となれば、飛行回数は飛躍的に増え、騒音や事故の危険は計り知れない。
 集会では沖縄との連帯が何度も訴えられ、怒りのシュプレヒコールで締めくくられた。集会後、横田基地に向けてデモ。沿道から多くの声援が寄せられた。

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週刊『前進』(2173号6面3)(2004/11/08)

“普天間閉鎖・移設反対” 基地をなくそう!全国集会 日比谷に労組結集

 10月26日夕、「基地をなくそう!沖縄から日本から10・26全国集会」(主催・実行委)が日比谷野外音楽堂で開かれ、雨の中、1500人余が集まった。
 平和フォーラムなどが呼びかけたこの集会は、▽米軍普天間基地の返還▽辺野古への移設反対▽都市型戦闘訓練施設の建設阻止▽地位協定の改定――をスローガンに、海上基地建設阻止の座り込み191日目を迎えた沖縄・辺野古との連帯集会として設定された。全国から結集した自治労、日教組などの労働組合旗やイラク反戦を訴える横断幕が林立した。全国労組交流センターは全参加者に11・7労働者集会への結集を呼びかけるビラを手渡した。
 糸数慶子参院議員が「昨日きょう、沖縄から県民会議の皆さんが、辺野古の切実な思いを外務省、防衛庁、環境庁、内閣府に訴えに来ている」と紹介、「沖縄にこれ以上の基地負担はごめん。小泉自公政権にはっきりノーという対応をしよう」と訴えた。
 沖縄平和運動センターの喜納昌春副議長(沖縄社会大衆党委員長)は、11月14日の那覇市長選を基地反対で闘う高里鈴代さんを応援しようと呼びかけ、基地の県内移設に反対する県民会議の山内徳信共同代表は、「最近ダイバーの協力者が増え、海に潜って調査をやめて下さいと訴えている」と闘いの広がりを報告、海上阻止戦のためのカンパを訴えた。
 雨足がゆるむ中、主催者が集会後のデモ中止を発表した。参加者は一斉に「何言ってんだ!」「デモをやれ!」と大ブーイング。シュプレヒコールもなしという提案を覆させ「普天間基地即時返還! 辺野古への移設反対!」「沖縄と連帯して闘うぞ!」「憲法改悪を許さないぞ! われわれは闘うぞ!」の叫びがとどろいた。

 沖縄から要請団上京 県民会議

 25日、県民会議の政府要請団が上京した。山内徳信共同代表を始め、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表、平和市民連絡会、一坪反戦地主会、平和運動センターなど総勢15人は、アメリカ大使館、外務省、環境庁、防衛施設庁を回り、普天間基地の即時閉鎖や名護市辺野古への移設計画の白紙撤回、金武町伊芸区で進む都市型戦闘訓練施設建設の中止などを要求した。同時に8月13日の米軍ヘリ墜落事件を強く抗議した。
 同日夕、要請団は、沖縄一坪反対地主会・関東ブロックなどが毎週月曜日に取り組んできた防衛施設庁抗議行動にも参加した。
 その後、都内で報告集会が開かれた。安次富さんは外務省などの対応について「政府は普天間基地は危険だから下地島空港使用だとか辺野古移設を進めていくとは言うが、普天間を閉鎖するとは言わない。どこまで愚弄するのか! 絶対に許せん」と怒った。
 「普通の市民が政府に抗議する姿を娘に見せたくて無理をして来た」と宜野湾市から中3の娘とともに参加した女性は、「沖縄の恐怖が共有できるか」と語気を強めた。

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週刊『前進』(2173号6面4)(2004/11/08)

日誌'04 10月19日〜26日
 パウエル来日、小泉らと会談
 サマワ自衛隊宿営地に砲弾

●米軍死者1100人突破 米国防総省によると、昨年3月のイラク戦争開戦以来の駐留米軍死者が1100人を突破した。(19日)
●極東条項の解釈変えずの方針 米軍再編問題をめぐり、政府は今後の基本的な方針として、在日米軍が基地を利用できる目的を限定している安保条約の「極東条項」の解釈については見直さず、現行の見解を維持することを決めた。この方針に沿って@米軍再編は日米安保条約の枠内で実施するA自衛隊のイラク派兵などは安保条約を根拠にできないため、同盟関係を踏まえた対米協力と位置づける――と整理し、米側と協議を進めるという。(20日)
●普天間代替、既存空港の使用検討 町村外相が参院予算委員会で、米軍普天間飛行場の移設問題について「時間はかかりすぎている」とし、「(下地島空港の暫定使用など)可能性を追求してみたい」と答弁。下地島空港など既存施設の暫定使用の可能性を検討する考えを示した。(20日)
●米軍司令部の受け入れに含み 細田官房長官は記者会見で、在日米軍の再編に関連して米軍司令部の受け入れについて「司令部が具体的にどのような活動を行うかについては様々な可能性があり得るため、安保条約6条との関係を一概に申し上げることはできない」と述べ、受け入れの可能性があることを示唆した。(21日)
●英軍、イラク中部へ フーン英国防相が下院で声明を発表し、イラク駐留英軍の850人をイラク南部の受け持ち区域から、同国中部に数週間にわたって再配置する方針を明らかにした。米軍の求めに応じるもので、中部の米軍受け持ち区域への英部隊派遣は初めてとなる。(21日)
●日米「制服組」も協議 政府は、在日米軍の再編問題で、自衛隊と米軍の「制服組」幹部を中核メンバーとする新たな協議の枠組みを設け、外務、防衛官僚による従来の日米審議官級協議と並行し軍事的な合理性の観点から調整を進める方針を固めた。関係3閣僚の会合も定例化する。(21日)
●サマワ自衛隊宿営地に着弾 イラク南部サマワの陸上自衛隊の宿営地付近で爆発音があり、防衛庁は、ロケット弾1発が陸自宿営地内に着弾したと発表した。砲弾は宿営地の北側から発射され、隊員の居住区域をかすめる形で宿営地内の緩衝地帯に落ちた。砲弾は信管が抜けていた。(22日)
●パウエル「解釈変更求めてない」 来日したパウエル米国務長官は、米軍再編をめぐり問題となっている、米軍への基地提供の目的を「極東における国際の平和及び安全の維持」と定めた日米安保条約6条の「極東条項」の扱いについて「米側はいかなる解釈変更も、求めていない」と述べた。(24日)
●米軍再編、戦略対話推進で合意 パウエルは小泉首相、町村外相とそれぞれ会談し、米軍再編について閣僚レベルの「戦略対話」を進めていくことで合意した。(24日)
●イラク派遣延長63%が反対 朝日新聞社が実施した全国世論調査によると、12月に期限切れを迎えるイラクへの自衛隊派遣をめぐり、63%の人が派遣の延長に反対だと答えた。小泉が臨時国会の答弁で、あらためてイラク戦争を正当化したことは「納得できない」が67%を占めた。(24日)
●PSI訓練始まる 大量破壊兵器関連物資を積んだ疑いのある船を各国が共同で停船させ、物資を押収することを想定した「拡散防止構想」(PSI)のための合同阻止訓練が日本政府の主催で、東京湾沖合で始まった。アジアでの合同訓練は初めて。海上保安庁や海上自衛隊のほか、米仏豪3カ国の艦艇が参加し、ロシアなど18カ国もオブザーバーとして担当者を派遣した。(26日)

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週刊『前進』(2173号7面1)(2004/11/08)

共謀罪と共に団結破壊狙う サイバー弾圧法案阻止へ
 パソコンを警察が全面検閲 情報を丸ごと盗聴・盗み見

 サイバー弾圧法案が共謀罪・強制執行妨害罪拡大厳罰化法案と一体となって、今国会に提出されている。10月20日〜22日の国会前58時間ハンストに立ち上がり、審議入り阻止の攻防の重大な局面に入っている。共謀罪とともにサイバー弾圧法案を廃案に追い込もう。

 地球を覆うサイバー弾圧網の敷設に躍起

 米帝を先頭に帝国主義の治安弾圧は「反テロ」の名のもとにエスカレートしてきた。サイバー(コンピュータおよびインターネット関連のこと)が人民の強力な闘争手段として活用され始めたことに危機感をつのらせる米帝は、サイバー犯罪条約をベースに地球を覆うサイバー弾圧網の敷設にやっきとなっている。
 インターネットは、対ソ核戦争を目的にDARPA(米国防総省高等研究計画局)が開発した核軍事通信情報技術・装置を出発点にしている。ソ連崩壊後、民間転用によって世界中に爆発的に拡大し、サイバー関連製造・提供資本に膨大な利潤をもたらしている。またサイバーの生産・流通分野での浸透は、労働者の首切り・リストラ、労働強化、職場・工場の一層の労働監獄化となって襲いかかっている。
 しかし同時にサイバーは、被抑圧民族人民の民族解放闘争、労働者階級人民の反戦闘争・労働運動・住民運動などを宣伝・扇動する重要な手段となってきているのだ。03年イラク国際反戦の2000万人一斉決起の実現にインターネットは巨大な役割を果たした。瞬時に世界中の人民を結びつけ、帝国主義の世界支配に対する闘いの組織化を可能にするインターネットは、今や帝国主義にとって両刃の剣となった。
 サイバー弾圧との闘いは、労働者階級人民の死活をかけた闘いだ。

 国際的組織犯罪条約の締結をテコに攻撃

 自衛隊のイラク派兵・多国籍軍への参加を強行した日帝は、米帝の世界戦争計画の発動とそのもとでの極限的な治安弾圧攻撃と軌を一にして、戦時下の治安弾圧体制への大転換の攻撃に打って出てきている。とりわけ、2人以上で話し合っただけで警察の恣意(しい)的判断で弾圧できるとする共謀罪新設攻撃は決定的に重大だ。これとセットで、前国会で批准されたサイバー犯罪条約に基づくサイバー弾圧国内法として刑法・刑事訴訟法の改悪が狙われている。
 「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」がそれだ。この法案は2月20日に閣議決定され、今春の159通常国会に提出されたが、有事立法・司法改悪法成立優先の中で1回の審議もなく臨時国会に継続審議となった。日帝は何がなんでも今国会で成立させようとしている。
 法案は、@国際的組織犯罪条約の締結に伴う罰則等の整備、A強制執行を妨害する行為等に対する罰則整備、Bハイテク犯罪に対処するための法整備と大きく三つに分かれている。
 @は、米帝を盟主とする国際帝国主義が、反帝国主義の一切の闘いを犯罪とみなして麻薬取り締まりなどを名目に、共同して弾圧することを目的とした国際的組織犯罪条約の締結をテコとして、組対法・刑法に共謀罪などを導入するものである。国際性の要件や実行行為がなくても2人以上で話し合うこと自体を弾圧できる、治安維持法以上の治安弾圧立法攻撃だ。
 Aは、労働組合の倒産争議を狙い撃ちにし、ピケット・職場占拠・自主生産管理の重罰化・非合法化、団結権の剥奪(はくだつ)、労働運動の根絶を狙った強制執行妨害罪(刑法)・組対法の大改悪攻撃である。
 Bは、コンピュータ・ウイルス作成・供用やわいせつ物頒布などの防止を口実に、サイバーを権力支配のもとに組み込み、労働運動・反戦闘争などのパソコン・インターネット活用に全面的規制を加えようとするものである。前述のサイバー弾圧国内法にあたる。

 99年組対法・盗聴法の改悪を狙う攻撃

 99年に組対法と同時に盗聴法が成立し、電話(携帯電話を含む)・ファックスなどに対し警察の盗聴が公然と行われ始めた。01年に同法が初適用されて以来2件に適用されている。さらにテロ対策を名目に共謀罪立証の有力手段として、「行政傍受(犯罪の有無にかかわらず行う予防盗聴)」すら検討されている。会話自体を弾圧の対象とする共謀罪新設は、労働組合や住民団体などの事務所や労働者人民の自宅を始め、反権力とみなされたすべての人民の室内外電話の盗聴・ファックスの盗み見を全面化させる。盗聴法の大改悪と同時に、サイバー犯罪条約国内法によって権力によるサイバー支配が合法化され、ホームページや電子メールの恒常的検閲につながっていく。
 今回のサイバー関連刑訴法改悪案では、パソコン・フロッピーディスクの押収のみならず当該コンピュータと接続可能な全コンピュータへの捜査も可能にし、「通信履歴の保全要請」として送信元・送信先・通信日時などの記録を残すように、またその要請を秘匿するようにプロバイダ(インターネット接続業者)に強制する内容となっている。さらに、通信内容(コンテント・データ)を権力がリアルタイムで盗み見し、収集・記録すること、あるいはプロバイダにそれを強制することを規定したサイバー犯罪条約を国内法に導入することがもくろまれている。すでに警察庁は、プロバイダを通さず警察権力が直接すべてのデータを掌握しメールを選別するという「仮のメールボックス」導入を決定している。これこそ、歯止めなき権力の盗聴・盗み見に道を開くものだ。
 すでに米帝は、全世界の通信捕捉・解析システムであるエシュロンを軍事・経済戦略の手段として駆使しているが、FBI(米連邦捜査局)は、電子メール傍受システム=「カーニボー」(肉食獣の意)、Webのアクセス状況やチャットの監視システム=「Dragon‐ware Suite」、アクセスしたWebページの再現システム「Packeteer」「Co‐olmainer」やキーストロークの追跡記録ソフトなどを開発し、運用しているという。
 日帝権力もその後を追っている。労働者人民のサイバー関連の通信・情報の丸ごとの収集、しかも事前弾圧が狙われているのだ。監視カメラや生体認識装置の監視と電話やサイバーの盗聴・盗み見などの治安弾圧網の急速な拡大は、帝国主義による極限的な監獄社会化をもたらしつつある。

 サイバー闘争を構えて闘う韓国労働運動

 世界の労働運動・反戦闘争は、インターネットなどのサイバー手段を闘う武器として駆使し国内外での団結と連帯をつくりだして前進・拡大を着実に爆発的にかちとっている。支配階級はこれに心底から恐怖し、弾圧体制を激しく強めている。労働者の解放闘争を戦闘的に推進する労働組合は、治安弾圧との闘いを不可避とし、全力でこれと闘いぬいているのだ。
 韓国では、民主労総が組合の宣伝・扇動・組織化、そしてストライキ戦術としてインターネットを活用して闘っている。
 民営化に反対して02年ストに決起した発電労組は、権力の暴力鎮圧に散開戦術を採用し、潜水艦のように身を隠した組合員グループと携帯電話やインターネットで連絡をとりあい情報を交換し団結を堅持して、ストライキを果敢に展開した。ホームページ閉鎖の攻撃には、ミラーサイト(元のホームページと同一の内容のホームページ)を立ち上げ、海外の闘う労働組合にも協力を要請してそれを用意した。さらに権力機関に対するサイバー闘争(ホームページをダウンさせるなど)を構えて闘ったのだ。
 また、全国社会保険労働組合の00年賃金闘争もサイバー闘争そのものだった。権力による1600人の組合員連行、労組事務所閉鎖の暴挙に対する憤激とストライキへの熱い気運が、組合のホームページへの爆発的なアクセス、ホームページ内でのスト指導部と組合員の互いの激励、組合員と家族と労働者市民などの連帯を生み出していった。
 インターネットなどの通信網は、組合の組織運営と争議時ストライキ部隊運営などに必要不可欠なものとなっている。戦争・資本攻勢・弾圧、それに対する闘いを伝える写真や映像は、資本家階級・国家権力に対する労働者階級の怒りと憎しみを激しくかきたて、労働者階級の階級的団結・国際的連帯を一層打ち固める。サイバーをとおした新たな形の署名・デモ・ストライキ・討論なども可能となった。
 また、インターネットは、米ANSWERやイギリス戦争阻止連合などを母胎としたイラク国際反戦闘争爆発の促進剤となっている。そして韓国の民主労総、米国のILWU、日本の動労千葉を軸にした労働運動の国際連帯を実現する大きなテコとなっている。
 11・7全国労働者総決起集会は、その5番目のスローガンとして「全労働者の団結で、団結権破壊を目的とした労組法改悪、労働運動への治安弾圧を粉砕し、共謀罪新設を阻止しよう!」を掲げている。共謀罪新設・サイバー弾圧法の今臨時国会成立阻止・廃案をかちとるために全力で決起しよう。11・7の爆発を実現し、世界の労働者人民の団結の力で帝国主義の治安弾圧網を引きちぎり、帝国主義打倒へ突き進もう。
 (大崎弘志)

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週刊『前進』(2173号7面2)(2004/11/08)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第8部 戦後の出発(5) 再び戦禍繰り返すな
 アジアの人民の告発に学んで

 アジアの人民2000万人、日本の労働者人民310万人の命を奪った日本帝国主義の15年戦争、アジア・太平洋侵略戦争。二度と再びこの戦禍を繰り返さないためには、この戦争を本当に総括し、戦争の大本を絶たなければならない。
 共産主義者が弾圧され、労働運動が鎮圧され、階級的団結が解体された時、侵略戦争に向かっての挙国一致体制がつくられる。それが戦前の人民の闘いの痛切な教訓である。また、戦前の日本共産党はスターリン主義の支配・影響力のもとでプロレタリア革命に敵対し、戦争に突き進む帝国主義を打倒する綱領と路線を持たず、また凶暴な特高警察の弾圧の前に敗北し、戦争への道を許してしまった。
 戦後の日本共産党はこのことの痛切な反省の上に立っておらず、戦争を不可避とする帝国主義を絶対に打倒するという思想も路線も持っていない。「唯一侵略戦争に反対した党」という看板は、まったくまやかしである。このことの痛切な反省に立って、57年に日本共産党と決別して革命的左翼が誕生することによって初めて日本革命の展望が切り開かれたのである。

 戦後革命の圧殺

 二度とあんな戦争は起こしてはならない、という労働者人民の強い意志が、戦後の階級闘争を規定してきた。戦後革命の敗北の所産である憲法9条「戦争放棄」をともかく変えさせないできたのは、そのような階級的力関係であった。
 日本帝国主義の軍事的敗北という現実に直面して、戦後直ちに立ち上がった在日朝鮮人・中国人の闘いに連帯して、戦争の元凶である帝国主義を打倒するプロレタリア革命に決起することが日本労働者階級に求められていた。だが、日本共産党スターリン主義は「占領軍=解放軍」とする誤った指導のもとに戦後革命を敗北させた。
 米帝は、プロレタリア革命の圧殺のために天皇制を温存し、沖縄をアジア支配の基地として確保することと引き替えに憲法9条によって日本を非武装化した。

 歴史歪曲の動き

 今日、日帝は、戦後発展の行き詰まり、帝国主義間の争闘戦の深刻化の重圧の中で、侵略戦争に乗り出す以外に延命することができなくなっている。
 96年安保再定義以来の新ガイドライン、周辺事態法、イラク特措法、有事法制の流れは、日帝が米帝と共同・競合して、イラク侵略戦争の拡大・激化と北朝鮮・中国侵略戦争に乗り出し、のめり込んでいくための一連の攻撃である。
 この動きに対応して、侵略戦争の歴史を歪曲し美化する「つくる会」教科書の検定合格や中学校での採用の攻撃、毎年繰り返される小泉の靖国神社公式参拝、東京都を頂点とする「日の丸・君が代」強制の攻撃が激化している。
 これらは、すべて今日の戦争のための攻撃であるが、すべてあの侵略戦争の歴史の総括にかかわる問題である。逆に言うと、侵略戦争の総括はけっして過去の問題ではなく、今日的な問題だということである。

 戦後補償の問題

 また、これらの攻撃は、90年代以来の朝鮮・中国・アジアの人民からの戦後補償の要求、公式謝罪と責任者処罰の要求を日帝支配階級がきわめて開き直り的に拒絶してきたことと一つながりの問題である。
 日帝は、戦後の朝鮮、中国などに対する賠償を行わず、国交回復をもって解決したとしてきた。しかし、実際にじゅうりんされてきた人びとは、奪われたものを取り戻すために、続々と決起し、日帝を告発した。日本軍軍隊慰安婦とされてきた人びと、また、731部隊や日本軍の毒ガス・生物化学兵器遺棄事件、南京大虐殺、重慶爆撃などを訴える中国の人びとなどの訴訟が続々と続いた。
 国際的にも、国連人権委員会が日本軍軍隊慰安婦政策に対して「クマラスワミ勧告」(96年)や「マクドゥーガル勧告」(98年)を発して日本軍の行ったことが戦争犯罪であり、謝罪と責任者処罰が必要であるということを突きつけた。
 朝鮮・中国・アジア人民の告発は、日本が再び侵略戦争を行う国になりつつあることに対する危機感から発した、やむにやまれぬ決起である。したがって、日本の労働者階級は、この告発と糾弾を、自分たちの戦争反対の闘いへの援助として受けとめ、連帯していかなければならない。

 日本人民の惨苦

 同時に、われわれは帝国主義の植民地支配と侵略戦争、帝国主義間戦争が、日帝のもとにある労働者階級人民自身に筆舌に尽くしがたい惨禍をもたらすものであることも見てきた。唯一の地上戦となった沖縄戦の悲惨、広島・長崎の原爆、東京を始め全土を焦土と化した大空襲。中国やアジア・太平洋の戦場では泥沼と化した侵略戦争と対米英戦での戦死、戦傷、餓死。あるいはソ連スターリン主義によるシベリア抑留と強制労働。朝鮮・中国・アジア人民に対する非人間的な暴虐の担い手にさせられたことも含め、「他民族を抑圧する民族は自由ではあり得ない」(エンゲルス)ということが重々しい歴史の事実として刻まれている。

 新たな戦時下で

 本シリーズは01年4月の2001号から始まった。3年半の連載中に日本と世界をめぐる動向は一変した。01年9・11があり、米帝はアフガニスタン、ついでイラクに対する侵略戦争に世界を引きずり込み、日帝は小泉のもとで対テロ特措法を突破口に自衛隊派兵にまで突進した。
 そして、新たな戦時が始まった中で、改憲そのものが日程に上ってきている。9条解体の攻撃は、日本を再び底なしの戦争に導くものであることは明白だ。
 それに向けた教育基本法改悪の最大の核心は「愛国心」を植え付けるための教育への転換である。
 労働者の階級的な団結を解体し、戦争の担い手として駆り出していく攻撃を打ち破り、改憲阻止の全人民的な大決戦に直ちに立ち上がらなければならない。そのためにも日帝の侵略と戦争の歴史をきちんと踏まえていくことがますます大切である。
 (高田隆志)

シリーズはこれで終わります。長い間ご愛読ありがとうございました。全体をまとめていきたいと思いますので、この連載に対するご意見や、不十分な点などご指摘がありましたら、編集局へお寄せください。

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週刊『前進』(2173号7面3)(2004/11/08)

紹介 共産主義者 142号 11月総決起から05年へ
 今岡論文 「党の革命」の意義鮮明に
 銘刈論文 安保・沖縄闘争の新段階

 アメリカMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ、百万人労働者行進)の高揚は、アメリカ労働運動の地殻変動と世界革命の現実性を告げ知らせた。既成労組の枠を突き破ったILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10の挑戦に学び、11・7へ残り1週間の渾身(こんしん)の決起で日本のMWMを実現しよう。本号は、全論文が11月総決起と05年に向けた労働運動の1年間決戦論として構成されている。

 ●新指導路線の意義軸に11・7決起論を提起

 巻頭論文は、8・1関西革共同政治集会での今岡透同志の基調報告。新指導路線の意義を軸にして11・7総決起論を提起した重要論文である。
 本論文の前半は、全党の03年3大決戦の徹底的総括など新指導路線1年間の豊かな実践のとらえ返しと、関西地方委の総括をとおしてつかまれた核心問題として、革命的情勢の急接近に対応した新指導路線の戦略方針の唯一性と「党の革命」の意義を全面的に提起した。
 労働組合絶滅攻撃をめぐる現場攻防の渦中で、中央指導部を先頭に、血の汗を流す努力が求められている。これは党の組織的現状からの突破をかけた死活的闘いであるが、それのみにはとどまらない。プロレタリア自己解放の思想に根ざした労働者階級の党として、革共同を本質的・実体的につくりあげるという、党の根本的自己変革論として提起されているのである。
 そしてその実践的指針として、階級的労働運動を実践している動労千葉の闘いから学ぼうと呼びかけている。マルクス主義、反帝・反スターリン主義の思想と理論にもとづいて労働組合が指導された時、労働運動全体の牽引(けんいん)車となることができることを、今年前半戦の動労千葉の闘いは実証した。職場の条件、産別の違いを超え、帝国主義を打倒する労働運動の神髄を動労千葉の実践からとことん学び、労働組合の権力奪取を目指そう。
 後半では、11・7への総決起の歴史的意義を訴えている。その核心は、イラク侵略戦争の泥沼化のもとで繰り広げられる戦争と民営化攻撃に対し、5千人決起をもって日帝・小泉との階級的力関係を転換しようということである。
 「骨太方針W」の反動的狙いは、労働組合の根絶・解体にあり、それをとおして労働者の首切り、賃下げ、不安定雇用化、社会保障制度解体を貫徹することにある。
 これに対して、「君が代」不起立闘争に決起した教育労働者を先頭に、4大産別を軸にした階級決戦をたたきつけることが唯一の回答であることが鮮明に突き出されている。11・7を突破口に、05年決戦への挑戦権を握ろう。マルクス主義青年労働者同盟1000人建設を全党の闘いとし、それを突破口に党勢倍増に勝利しよう。
 MWM―11月決起論の一環として、アメリカと韓国の労働運動に関する『前進』掲載の2本の論文を再録した。

 ●重要な局面に入った沖縄闘争の戦略的路線

 銘刈同志の沖縄論文は、米軍のトランスフォーメーション(世界的再編)=日米安保の世界安保化のもとでの安保・沖縄闘争の新段階を提起した重要論文だ。米軍ヘリ墜落事故と名護新基地建設強行への怒りの中で、米日帝の沖縄圧殺政策の破綻(はたん)があらわになり、小泉政権と稲嶺県政に対する歴史的な反撃が始まっている。新指導路線の立場から沖縄労働運動の分岐と高揚を分析し、労働運動の1年間決戦に安保・沖縄闘争を戦略的に位置づけて闘うことを提起している。
 教育労働者委員会論文は、「日の丸・君が代」闘争を軸に教育基本法改悪阻止の1年間決戦を訴え、4大産別決戦の先頭に立つ教労委員会を現場に建設していく闘いの道を明らかにしている。
 坂本同志の改憲決戦論文は、イラク派兵と有事法制のもとでついに改憲そのものが政治日程に上ったことに対して、全力を挙げた決戦に立つことを訴えている。自民党などによる9条改定を軸とした攻撃の核心点を暴き出し、日帝打倒への突破口として改憲阻止の階級決戦を呼びかけた好論文だ。
 年金闘争論は、04年年金抜本改悪を暴き、小泉=奥田路線の核心である年金・社会保障制度解体攻撃との闘いを、労働運動の死活的要求として闘うことを鮮明に提起した。ぜひ組織的学習を勧めたい。

 ●イラク・中東情勢を解明し闘いの展望示す

 国際情勢論は、丹沢同志によるイラク・中東情勢論。イラク人民の民族解放闘争が春夏の攻防をとおして本格的に発展し、帝国主義を展望のない泥沼に引きずり込んでいる。さらには、パレスチナ、アフガニスタンなど中東―全世界の民族解放闘争に革命的衝撃を与えている。こうして、帝国主義の世界危機を限りなく激化させている。本論文は、以上の関係を実証的に明らかにしている。読者は、中東・ムスリム人民と連帯し帝国主義を打倒する21世紀革命の展望をより深く、スケール大きくつかむことができるだろう。
 11月総決起でブッシュ・小泉打倒へ攻め上ろう。

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週刊『前進』(2173号8面1)(2004/11/08)

団結ひろば 投稿コーナー  11月労働者集会の成功へ!

 定期大会で11・7を訴えて満場の拍手 関東・自治体労働者 岸川俊夫

 私の市の職場では民営化攻撃が激しくなり、正規職員を減らすとか、病院を丸ごと民間に委託する攻撃がかけられています。私を含めて支部の役員は何度も徹夜交渉をやる状況です。
 私が労働運動を本格的にやろうと決意したのは、80年代半ばの国鉄分割・民営化で日本の労働運動がつぶされるという危機感を持って、動労千葉を支援する運動を始めた時です。当時、支部のニュースで「国鉄分割・民営化は3人に1人の首切りだ」と書いて、動労千葉へのカンパを集めましたが、それがひとごとではなく、ついに自分のところに来るという情勢です。
 私は意を決して、10月中旬の単組の定期大会に個人名で11・7集会を訴えるビラを配布し、代議員として真正面から訴えました。「市長と闘うだけでなく、敵の本丸を撃たなければならない。アメリカでも民営化との闘いが共通のテーマになっている。11・7に結集し、束になって民営化を撃とう」と訴えました。満場の拍手が起こりました。私の提起に本部答弁はなかったのですが、誰も否定できなかったのです。
 そういう中で、私と同じように支部の書記長や副支部長をやっている組合員が、このままでは労働組合がつぶされるという危機感を持って、11・7集会に賛同しています。11・7集会は、労働組合の大会で討議することが当然の集会です。アメリカのランク・アンド・ファイル運動に学び、横のネットワークをつくり、束になって敵の本丸に挑んでいこう。そうすれば、自治労を変えることができると確信しています。
 自分の立場をはっきりさせて組合に持ち込んだことが今回の賛同の拡大に結びついています。去年を倍する数で、支部の旗を複数持って登場し、民営化粉砕の鬨(とき)の声を上げたいと思います。

 労組法改悪叫ぶ連合私たちこそ主流派に 東京・民間労働者 柳原哲哉

 今国会で労働組合法の改悪が行われようとしています。国労の仲間とともに労働委員会闘争を闘い、昨今つとに強まる労働委員会の強権的な審査指揮を目の当たりにしてきた者として、改悪案には強い危機感と憤りを覚えます。
 10月13日、関西合同労組、ス労自主、動労千葉の仲間とともに労組法改悪反対の国会請願行動に取り組み、改悪反対の国会請願署名(労組67筆、個人54筆)を提出しました。
 国会に請願署名を出すためには紹介議員が必要ということで、衆院厚生労働委員会に所属する民主党、社民党、共産党の議員を中心に議員会館内をオルグに回ったのですが、驚いたのはその反応です。
 多くの議員は秘書がそっけなく対応するだけ。たまに話を聞く議員がいても、「党として法案に賛成と決めた」「連合からも労働委員会の審査迅速化のため改正を進めてほしいと言われている」という態度です。いったい、連合の大労組が労働委員会を活用して不当労働行為と闘った例が、今どれほどあるのでしょうか。現に労働委員会制度を最も必要としている労働者の声をこそ聞くべきです。
 労働委員会制度を壊している元凶は、命令を守らないJRです。そう指摘すると、どの議員もそれは認めます。ならばなぜ、その問題にメスを入れないのか。
 連合が労働者の代表づらをしている限り私たちの権利は奪われていくだけです。11・7労働者集会への大結集を実現し、私たちが労働運動の主流派となることこそ必要です。そうしなければ労働者の真実の声は押しつぶされてしまうと実感した行動でした。

 アメリカ新潮流労働運動がよくわかる 神奈川 井崎敦士

 動労千葉の「世界に翔びたとう3」(動労千葉訪米パンフ)の中に、田中委員長がサンフランシスコのシーメンスデパートのピケ(スト)に参加した印象を「ストを街全体が応援していた」「労働組合が根づいている」と語っています。
 『国際労働運動の新時代』を読み、アメリカの新潮流労働運動がよくわかり、今後の取り組みへの大きな参考になりました。
 アメリカ新潮流労働運動は反戦闘争の先頭に立つとともに、労働組合の課題そのものに移民労働者の権利防衛をしっかりと位置付け、また労働者と地域の連合をもつくり上げています。だから「労働組合が根づいている」のでしょう。
 結成以来の人種差別反対の伝統をもつILWUはコミュニティーの強い支持を受けていること。90年代、全米一の移民都市ロサンゼルスでのビル清掃員たちの闘いでは、住宅問題や入管問題に取り組んでいる学生団体・宗教団体が労働組合と連合し、米移民帰化局と闘い勝利したことなどが報告されています。
 日本では、北朝鮮に対する差別・排外主義扇動が激しいわけですが、これに反撃していくためにも、社会の主人公として労働者(労働組合)が地域との階級的連帯を強めていくことが必要だと痛感しました。
 また本書では、日本の連合にあたるAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の制動を打ち破る「ランク・アンド・ファイル(一般組合員)運動」が新潮流運動をつくり上げてきたことも明らかにされ、ドキュメンタリーとしても非常に面白いです。

 高齢者もかつては労働者でした 兵庫 恒川るい

 次々と襲ってくる老人いじめに、母はいつも早く死んでしまいたいと言います。小泉・奥田の思うつぼです。
 今年から、税金の老人控除50万円が認められなくなりました。母の場合は、年間1万円くらい徴税されるそうです。確定申告をして少しでも還付されるようにする準備をしています。
 母は70歳の時、医療ミスで「障害者」になるまでは、生命保険のセールスで一生懸命働いてきました。
 去年は市からの老人手当が打ち切られました。年間2万7千円あったので、無くなって大変痛手だと嘆いていました。医療費も上がりました。「障害者」は老いが進んでいくたびに、お金がどんどん必要になってきます。訪問看護を受けなければならなくなったり、外出に身体介護ヘルパーさんに付いてもらったり、高いお金がどんどん要るようになりました。母の年金は高い方ですが、公団住宅の家賃は9万円もするので、残りはわずかです。一人暮らしは何かと効率が悪い状態です。
 老人ホームの入居はまとまったお金(2700万円くらい)が無いと入れません。市役所に、「もっと安いところを紹介してもらえませんか」と尋ねたそうですが、「そんな便利のいい地域で有るわけないでしょ。山の中へ行きはったら」と言われたそうです。なんと冷たくきついことを言うことか。
 役所勤めの自治体労働者の方々、どうかもう少し、老人にやさしく接してください。老人もかつては労働者でした。11月7日の労働者集会に参加して、労働者としての階級性を取り戻してください。

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週刊『前進』(2173号8面2)(2004/11/08)

弾圧と闘う 福嶋裁判 デッチあげ鑑定を粉砕
 今すぐ福嶋同志を保釈せよ

 10月13日と27日、福嶋昌男同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第184回、185回公判が東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で行われた。
 裁判はいよいよ佳境、検察による福嶋同志デッチあげの唯一の「根拠」である筆跡鑑定に対し、弁護側から異筆立証が行われた。
 京都精華大学教授で、著名な書家である石川九楊氏が証言台に立ち、検察側が主張する「メモの筆跡は福嶋のもの」というデッチあげ筆跡鑑定を完膚(かんぷ)なきまでに粉砕し「メモの筆跡は福嶋のものではない」とする決定的証言がかちとられた。
 検察側の主張は岩手借家から「押収」したとするメモの中に「迎賓館・横田事件で使われたロケット弾の飛距離計算をした」ものがあり、その筆跡は福嶋同志のものだというのである。しかし、デッチあげ筆跡鑑定をした小島直樹、馬路充英に対し、弁護団は徹底的な反対尋問を行い、そのデッチあげ筆跡鑑定を破綻(はたん)させてきた。
 その上で、書字研究の第一人者による異筆鑑定が法廷に提起されたのである。350nを超える鑑定書は6カ月を費やして作成された。石川氏は、基礎資料(福嶋同志の手紙)と対照資料(メモ)の双方を徹底的に精査し、それぞれの筆者の書きぶりの特徴を明らかにした上で、両資料における共通文字については、すべての文字を例外なくピックアップし、比較対照して鑑定するという根気のいる作業を完璧(かんぺき)にやり抜いた。筆跡に関する明快な論理と、データを駆使し、誰でも検証可能な鑑定書を作り上げたという確信あふれる証言が法廷を圧した。
 石川証人は、小島筆跡鑑定書を「信用するに足りません」ときっぱりと断定した。ただ単に字画の構成と形態が似ている(図形的鑑定)と述べているに過ぎないのだ。検察側立証では、両資料間で明らかに似ていない文字が弁護側から指摘されるたびに、「個人内変動の範囲内」だとか「顕著に異筆の特徴はない」とか言って逃げてきた。この点について証人は、データを使い個人内変動の域を完全に逸脱していることを明らかにし、基礎資料と対照資料双方の書きぶりの違いを徹底的に分析して、小島の逃げが事実としてもまったく違うことを暴露した。馬路筆跡鑑定については、小島以上に信用するに足らないと切って捨てた。
 確信と誇りに満ちた証言が終わると、傍聴席から大きな拍手がわき起こった。いつもは拍手に即禁止の指揮をする服部裁判長も今回は沈黙した。
 27日の検察側反対尋問は午前10時からの全一日公判となった。石川筆跡鑑定に大打撃を受けた検察官は、必死に破綻を取り繕おうと質問したが、ますます石川鑑定の真価が光り輝くだけだった。検察官は「指紋鑑定ほど筆跡鑑定は科学的ではないと思いますが、いかがですか」などと自らのデッチあげを自認する決定的言辞を吐いた。小島、馬路筆跡鑑定がまったく科学的検証に耐えうるものではないことを検察官は百も承知でデッチあげを強行したのだ。こんなデタラメ極まる「筆跡鑑定」で無実の福嶋同志を12年もの長期間、獄に閉じこめ続ける検察と裁判所にあらためて傍聴者の怒りが爆発し、弾劾の声が法廷を圧した。  
 福嶋同志は無実である。メモなど書いていない。一切無関係である。これが真実だ。次回公判で検察側反対尋問が終了する。検察側の卑劣な取り戻し策動を絶対に許さず、検察側メモ筆跡鑑定の完全破産をしっかりと確定しよう。

 十万人保釈署名運動が申し入れ

 110月15日、十万人保釈署名運動は石川証言の決定的勝利に一層意を強くして、福嶋さんの即時保釈を求める署名提出と申し入れ行動を行った。この間新たに集まった1603筆の保釈要望署名を携え、地裁刑事第3部に赴いた。
 西山勲さんが代表して、申入書を読み上げ、署名簿を提出した。その後、須賀武敏、十亀弘史、板垣宏同志が次々と裁判所を弾劾し、福嶋さんの即時保釈を要求して発言した。主任書記官は形式的対応をとることもなく、黙って聞き入り「分かりました」と言って書類を受け取った。
 福嶋同志の無実・無罪はすでに明らかである。裁判所には福嶋同志をこれ以上拘禁し続けるいかなる口実もない。ただちに保釈しなければならない。今すぐ獄中から福嶋同志を奪還しよう。

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週刊『前進』(2173号8面3)(2004/11/08)

寄稿  辺野古−沖縄、ヤマトの本気の闘いで勝つ
 沖縄民権の会 座覇光子

 9月9日、馬天港から調査船が出たと聞いて、辺野古の海が破壊される、いよいよ戦争が身近になったと直感した。居ても立ってもいられぬ思いに駆られてすぐ行くことにした。9月17日から1週間ほど辺野古で闘った。

 「阻止する所だ」

 9月18日からは連休で、作業船は出なかったが、テントの中の座り込みは続行。その間に様々な人の有意義な話を聞くことができた。「ファルージャの海兵隊は日本の思いやり予算で訓練され、生活も保障されている。米国の海兵隊じゃないんだ。日本の海兵隊であり、沖縄の海兵隊なんだ。ファルージャで虐待、虐殺した海兵隊は沖縄で訓練して行ったんだ」「沖縄だけの闘いではない。日本だけの問題ではない、世界的な問題だ」
 84歳の命を守る会の方、「海上基地ができたら、戦争が始まり、子孫の生命を守れない。私は今年死ぬか、来年死ぬかわからんが、死んであの世があるなら、あなた方を守る。あの世で組織をつくって守るからね」。人はよく死ぬまで闘うとは聞いていたが、あの世へ逝ってもなお闘い、守るというこの深い思いは心の底にしみ通った。何をもってこたえようか! 阻止するしかない。「ここは抗議する所ではない。阻止する所だ!」、本気で闘う者のみが言い得る言葉だ。
 その後、隣村の宜野座から応援に船を出してくれたMさんと、本土出身の高校の先生とHさんと話し合った。「本土から来ているのに、沖縄の漁師が作業船に乗るとは情けない」と涙ながらに言うMさん。「ヤマトから来るのは当たり前よ。沖縄をこんな状態にして黙っていたんだから。いよいよ沖縄だけの問題にとどまらないと深刻になって来たんだよ」と私が言うと、Mさんが「それにしてももっと船が欲しいな」「来週はSさんの船も来るよ」。Hさんは「ブイを切りたいな。この連休に何もしなければ、施設局はこっちをなめる。『何もできやしないじゃないか』とね」「お前やれよ! ずっと長くやってきたお前なら信頼がある。捕まってもいいじゃないか! 後はまかしとけ!」とMさん。先生も「私が切るからHさんは船を操縦してよ!」。話し合ったが、もう少し時期を待とうということになった。

 海が怒った!

 そんな思案も吹っ飛んだのだ! 24日の台風の到来と相成って、施設局自ら台風にブイが流されぬように引き上げると新聞に出ていた。こちらが手を下さなくとも敵は自らブイを抜くことになったなんて……。きっと海が怒ったんだ。自然は理不尽なことに逆襲したんだ。やさしいジュゴンよ。大蛇のごとく時には反逆していいのだよ。ブイも食いちぎれ! 戦争も食い尽くせ! 私たちだってやるぞ!
 21日、私はSさんの船に乗った。海は焼けつくような太陽であったが風が心地よい。サポート船も出ている。「鮫(さめ)警戒船」と書いた船も出ている。私は船の中央に立ち、ウナイ神(姉妹は、兄弟の守護神)になったつもりで、内心満足していた。「ダイバーの皆さん、あなた方は私たちの兄弟姉妹です。同じ沖縄人を分け、敵対させようとしているのは施設局です。戦争に加担するような、基地建設のための潜水作業をやめて、私たちと一緒に戦争を止めましょう」「私は本土で暮らす沖縄人(ウチナーンチュ)ですが、いつも沖縄を支えに生きて来ました。二度と悲惨な沖縄戦を繰り返してはなりません。どうかダイバーの皆さん、海に飛び込まないでください。飛び込めば戦争へのテンポが早まります。今からでも遅くはありません。どうか私たちと一緒に闘ってください」
 別の船の人たちが「てぃんさぐの花」を歌い始める。施設局のヤマトゥンチュには意味が分からないと思い、私が解説する。「この歌の意味は、『夜走る船は北斗七星を目当てに走っているが、私を生んだ親は私を目当てに生きている』、つまり親は子の幸せを願い、平和な世の中をつくるために生きるということです」
 この海の上で間近に作業船に乗ったわが同胞を見るのはなんともわびしかった(ヤマトゥンチュの皆さん、この気持ち、分かりますか!)。私が訴えると、作業船はあっという間にブイから離れ、沖の方へ逃げて行った。今まで私ひとりががんばったってどれほどの力になれるだろうと思ったこともある。しかし確実に彼らの耳に入り、心に動揺を与えたと思う。彼らだって人間だから良心もあり、つらいだろう。こたえたであろう。ひとりでも訴えれば効果はある。効果の有無より、こうするよりほかに私たちの生き方、道があるだろうか?

 抗議船から叫ぶ 

 12時10分、ちょうど昼時の気を抜いた途端に作業船のひとりのダイバーが言った。「お互いに傷つけないようにやりましょう」と、言うや否や、海にザブンと飛び込んだ。初めてダイバーが口をきいた。それから1時間潜っていた。
 施設局に対する激しい抗議の声が高まった。「ダイバーにやらせないで自分たちで飛び込め!」「危険ですから離れて下さい」「お前こそ離れろ!」と、私は指をさしてヤマトゥンチュの若い施設局員をにらみつけた。同じ沖縄人を傷つけさせやがってと怒りがフツフツとわいてきた。
 私たちは正当性を主張しているから、晴れ晴れとした気持ちになって陸に上がって座り込みのテントで報告した。最後に「楽しかったので明日もまた行きます」と言うと、拍手が起こった。
 22日再び抗議船に乗る。向こうは1日8万円とも言われる日当。これにだまされている。「日当何がしかの金で沖縄の魂を売らないで下さい。あなた方の生命はそんなに安いものではありません。施設局にだまされないで下さい」「防衛施設局は、沖縄の人の魂を安く買わないでくれ! だますな!」と叫んだ。

 深い溝を埋める

 ヤマトの沖縄に対する四百年の歴史的差別は恨み骨髄である。しかし、今となっては、深い溝は両方から埋めなくてはならない。もう闘うしかないんだと、私は腹の底から思った。闘うヤマトゥンチュが私に近づいて来るといとしく思える時を感じる。本当のドウシ(友人、語源は同志)になれる。ヤマトも沖縄も自分の責任において、様々な形態で闘えば勝つ。本気になれば勝てるという確信が持てた。
 この戦争の歴史を平和の歴史に変えるのは、われわれ労働者階級であり、民衆であることを実感した。

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