ZENSHIN 2004/03/22(No2142
p06)
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週刊『前進』(2142号1面1)(2004/03/22)
3・20日比谷へ
動労千葉の熱気を全国に10万大結集の力で小泉倒そう
イラク撤兵・有事7法案粉砕を
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ストを貫徹するぞ! |
「JRの安全無視を許さないぞ! 強制配転者を原職に戻せ!」と怒りのシュプレヒコールを上げる動労千葉組合員(3月12日午後4時 JR千葉駅前)
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3・20世界同時反戦行動は、あと数日後に迫った。全世界で、米英日帝のイラク侵略戦争に対する怒りの大行動が準備されている。昨年2月15日の全世界2000万人の反戦ウエーブを上回るような闘いが巻き起ころうとしている。階級的な力関係を変え、04年全体を労働者階級の反転攻勢の年に転化することができるかどうかの分かれ目が、3・20だ。3・20日比谷公園を埋め尽くす10万人の大結集で、小泉打倒の大きな突破口をこじ開けよう。動労千葉の3・12スト突入は、すべての労働者階級人民に向かっての勝利の号砲だ。〈資本攻勢との対決>と〈帝国主義の侵略戦争阻止の闘い>を結びつけて、3・20大闘争をこじ開けるために動労千葉は先頭に立って引っ張っているのだ。この素晴らしい闘いに続いて、すべての力を振り絞り、3・20の大結集へ、最後まで勇躍闘いぬこう。
第1章 動労千葉のストにつづき総決起しよう
動労千葉は12〜14日、春闘ストライキに突入した。3・13ダイヤ改定での運転時間の短縮、線路・電車などメンテナンス部門の外注化に反対し、強制配転したベテラン運転士を職場に戻すことなどを要求。「闘いなくして安全なし」を掲げ、労働者に犠牲を強いるJR東日本の合理化に強く反対して闘っている。
動労千葉は、2月の指名ストと長期非協力闘争でJR結託体制に風穴を開ける勝利をかちとった。その上に、春闘ストに断固として立ち上がったのだ。動労千葉は04春闘の先頭で、3・20国際反戦大闘争を階級的に牽引(けんいん)するために、ストをもって立ち上がったのだ。
動労千葉は、昨年の3月、米英日帝のイラク開戦に対してストで立ち上がった労働組合として、米・英・韓国など各国で高く評価された。そのことが韓国民主労総やアメリカの国際港湾倉庫労組(ILWU)との国際的交流のきっかけとなり、昨年11・9の日韓米の3国連帯の労働者集会の成功につながった。
今年の春闘ストも間違いなくそのような巨大な展望を切り開く。現にイギリスの鉄道労組RMTは、同じ12日に不当解雇撤回のストに突入するが、イギリスのレイバーネットは、動労千葉のストをトップニュースとして紹介している。
この動労千葉の闘いは、同時にJR内のファシスト労働組合であるJR総連の本性を暴き、JR資本との結託体制を打倒する巨大な突破口を開くものである。松崎明を頭目とするカクマルは、日帝・中曽根の国鉄分割・民営化攻撃の先兵として国労と動労千葉に襲いかかった。しかも、JR総連は自衛隊の軍需物資輸送に協力することを公言している組合である。
今日彼らは、「憲法9条」や「反グローバリズム」を掲げて労働者の隊列の内側にいるかのように振る舞っているが、その原点が民営化攻撃の実行者であることを押し隠すことはできない。このことは米・英・韓国などでも広く知られつつある。資本の先兵である者が真に戦争に反対することはありえない。危機を深めるJR総連を追い詰め、JR労資結託体制を粉砕し、JR内の力関係を転換する時がきている。
さらに動労千葉の闘いは、国鉄1047名闘争の勝利の展望をも指し示している。闘う国労闘争団を処分し、これに抗議する組合員を権力に売り渡し、国労解体に突っ走る国労本部酒田執行部を打倒し、5・27臨大闘争弾圧被告団を先頭に国労再生をかちとる闘いと一体の闘いである。
動労千葉の闘いは、3・20情勢をぐいぐいと切り開いている。偉大な動労千葉ストに続き決起しよう。
第2章 世界労働者の国際連帯で歴史変えよう
3・20へ各国で闘いが進んでいる。アメリカではANSWER連合を中心に1500以上の団体・個人が「世界同時行動デーへの呼びかけ」(5面に掲載)を発している。「軍隊を今すぐ撤退させよ」「イラクやパレスチナなどでの植民地的占領の終結を」「戦争ではなく、雇用・医療保険・教育・住宅にお金を」「市民的権利・市民的自由への攻撃をやめろ」と。「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」との闘いを一体化して闘うスローガンのもとで巨大な統一戦線を形成している。
韓国では、イラク占領反対、韓国軍イラク派兵反対を掲げて、ソウルで大集会が計画されている。
1〜2月の自衛隊派兵阻止闘争は、巨大な成果を上げた。小牧で、横須賀で、呉で、旭川で、室蘭で、千歳で、自衛隊に肉薄する闘いが繰り返したたきつけられた。新たな「15年戦争」への突入に等しい戦場への自衛隊派兵に対して、戦闘的労働者学生市民が激しく対決して闘ったことは、それぞれの派兵現地ですさまじい反響を呼び起こした。
出兵する兵士で「出兵を拒否せよ」「イラクの人民を殺すな」「行くな、殺すな、死ぬな」のシュプレヒコールに接しなかった隊員は皆無だ。これは今後の反戦反軍闘争にとって決定的な意味を持つものである。
そしてこの闘いの成果をもって、すべての力を3・20日比谷へ、の闘いが進んでいる。陸・海・空・港湾労組20団体を始め、全力の取り組みがなされている。連合中央は制動と妨害を加え、日共・全労連指導部は大統一行動の爆発に恐怖し、あからさまな分裂行動に走っている。だがこれをはねのけて、今や「3・20日比谷へ」は、連合・全労連傘下の先進的労働者の合言葉になっている。
また、沖縄では「沖縄から平和を発信」する広範な実行委員会がつくられ、3・20県庁前広場で「イラク派兵反対沖縄うまんちゅ大集会」が行われる。普天間基地即時無条件全面撤去、名護新基地建設阻止、日米地位協定改定=米軍基地全面撤去に向けて、12・9情勢下での新たな沖縄闘争が始まったである。
こうした中で、国家権力の労働者人民に対する攻撃は、今や完全に「戦時下の治安弾圧」というべきものになっている。旭川の自衛隊駐屯地に対する派兵阻止の抗議行動に対する「道路交通法」を口実にした逮捕、自衛隊官舎へのビラまきに対する「建造物侵入」をこじつけた逮捕と家宅捜索の攻撃、政党機関紙号外を休日にまいた国家公務員労働者に対する「国家公務員法違反」を口実にした逮捕・捜索・起訴の攻撃。
これらは、戦時下で権力の弾圧が様相を一変したことを意味している。
だが、これは敵の強さの現れではなく危機の表現である。日帝は、侵略戦争に突入するのに「城内平和」を確保するどころか、国論真っ二つで、ごうごうたる反対の声に包まれている。だから「戦争に行くのではない」「人道復興支援だ」などとペテンを並べてごまかさなければならないのだ。日帝こそ追い詰められているのである。
権力の弾圧のエスカレーションに対する怒りを爆発させ、3・20の空前の大結集ではね返そう。
第3章 侵略戦争の泥沼化―帝国主義の打倒へ
米英日帝は今やイラク侵略戦争の泥沼に完全にはまり込んだ。何の展望もなく、しかし撤退することはできず、ますます深く泥沼にのめり込んでいくしかない。米帝は、アフガニスタンに続いてイラク侵略戦争に突入することによって、中東・ムスリム人民を完全に敵にし、同時に国内の労働者階級、被抑圧民族人民に対する階級戦争を強め、全世界のプロレタリアート人民の闘いによって打倒されるしかない道に深々と入り込んだのである。
帝国主義は基本矛盾を爆発させ、帝国主義間対立はもはや修復できない分裂の過程に突入した。それがイラク侵略戦争を根底で規定している。日帝・小泉も、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫の中で、これに共同=競合しつつ参戦する以外に生きる道がないことを自覚している。それに規定され、選択の余地のない決断として、イラク侵略戦争に直ちに全面支持表明と協力を約束したのだ。
昨年3・20開戦以来1年間に米帝は何をしてきたのか。どれだけ多くのイラク人民を殺してきたのか。家を破壊し、インフラを破壊し、生活を破壊してきたのか。イラク人民の民族的誇りをどれほど奪ってきたのか。米英日占領軍は、今や大きなイラク人民の怒りに包囲されている。
1年目の3・20は、全世界の労働者人民のイラク侵略戦争に対する積み重なった怒りを総結集し、同時に爆発させる日だ。帝国主義の戦争に対する人民の階級的な、まっとうな怒りをストレートに表現する日だ。
日帝は昨年12・9イラク派兵基本計画閣議決定をもってイラクの戦場に突入した。そして「殺し・殺される」軍隊への転換を成し遂げようとしている。その国民的認知を獲得しようとしている。3・20は、その策動を打ち砕く日だ。
日帝は3月9日、ついに国民保護法案など有事関連7法案と3条約・協定を閣議決定し国会に提出した。民主党が完全に賛成しており、国会内の議員数としては圧倒的多数で成立する情勢である。だが、国会を包囲する闘いでこの情勢は覆せる。闘いはこれからだ。3・20はその第一歩だ。
国民保護法案は、米日帝がブッシュ・ドクトリン=先制攻撃戦略によって北朝鮮に対する侵略戦争を開始した時、北朝鮮からそれに対する必死の反撃が起こることを想定して、国内の戦争体制をつくろうとする攻撃だ。米日帝は圧倒的な軍事的・経済的力量差をもって北朝鮮への軍事重圧を強め、侵略戦争発動を狙っているのだ。北朝鮮スターリン主義の反人民的な核開発路線や拉致問題を逆用した帝国主義の侵略戦争策動を許さず、北朝鮮侵略戦争阻止、有事法制粉砕の闘いに突入しよう。
今国会には、このほか、特定船舶入港禁止法案、共謀罪新設法案、司法改革関連法案、入管法改悪、そして年金改悪法案と労働組合法改悪など、超反動攻撃が目白押しである。闘いの陣形を強め、広げよう。3・20を突破口に、04〜05年の改憲阻止決戦へ、労働者を先頭に突入しよう。
3・17水島秀樹同志への判決、3・25迎賓館・横田爆取裁判の判決公判が目前だ。両裁判の無罪判決へ最後まで奮闘しよう。3・28三里塚闘争に立とう。
最後の最後まで、一切を3・20大行動の勝利に集約して闘いぬこう。街頭ビラまき、労組オルグ、署名・キャラバンなどあらゆる力を投入して、大結集を実現しよう。3・20で日本階級闘争の新時代を開こう。
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イラク攻撃から1年!
イラク派兵NO! STOP!有事法制
世界の人々とともに
3・20平和コンサートin HIBIYA
日時:3月20日(土)13〜14時
場所:日比谷公園 小音楽堂
主催:陸・海・空・港湾労組20団体
コンサート終了後、14時30分からデモ行進を行います。
コース:霞門-外堀通り-溜池-六本木通り-檜町公園(予定)
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週刊『前進』(2142号1面2)(2004/03/22)
動労千葉がスト突入
JRに抜本的な安全対策を要求
“われわれは勝利している”
動労千葉は3月12日、翌日に控えたJR東日本のダイヤ「改正」に反対し、抜本的な安全対策を求め決然とストライキに突入した。
本線運転士は12日早朝に予備勤務者がまず突入し、12日泊まり勤務から14日の明け勤務まで、検修・営業などの地上勤務者は12日正午から14日の明け勤務までの予定で、おおむね48時間のストとなる。延べ410人の組合員が参加する。JR東労組のスト破りにもかかわらず、約250本が運休する見込みだ。
12日午後2時から千葉市民会館で「04春闘勝利! 反合・運転保安確立! スト貫徹! 動労千葉総決起集会」が開催された。熱気と誇り、団結の力が満ちた。田中康宏委員長は、「2月闘争の地平に対する反動を打ち破り、このスト過程で強制配転者の原職復帰を実現するなど、勝利的に闘われている」と意気高く宣言した。集会後、千葉駅前などでの宣伝行動を行い、スト支援を訴えた。
動労千葉が大幅賃上げ要求などとともに掲げた「反合理化・運転保安確立」の要求は次のとおりだ。
▼重大事故を招く総武緩行線6分40秒の運転時間短縮反対! ▼線路・電車などメンテナンス部門の外注化反対! ▼たび重なるレール破断に対して、抜本的な安全対策を行え! ▼安全に関する規制の緩和、保守検査周期の延伸反対!
▼強制配転したベテラン運転士を職場に戻せ! ▼JRは運転法規を遵守しろ!
JR千葉支社管内では、1月に総武快速線と津田沼電車区でレールが折れたのに続き、3月5日には総武快速線の新小岩〜錦糸町間で、枕木がずれてレールの間隔が14_も縮小していた。動労千葉はぎりぎりまで交渉を続けたが、千葉支社が抜本的な安全対策について回答しないため、断固ストを決行したのだ。
動労総連合傘下の動労水戸も12〜13日、動労西日本は13〜14日にストに突入。動労連帯高崎も16日にストを実施する予定だ。
04春闘勝利―3・20大結集へ号砲が上がった! ともに3・20日比谷に総結集しよう。(詳報次号)
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週刊『前進』(2142号2面1)(2004/03/22)
3・6首都圏春闘討論集会 動労千葉スト−3・20へ総決起誓う
“小泉=奥田に一矢報いよう”
闘う春闘の再生へ700人が結集
「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう! 04春闘勝利! 首都圏春闘討論集会」が、3月6日、東京・墨田区のすみだリバーサイドホールに700人を集めて大成功した。動労千葉が主催し、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同が協賛した。集会は、2月闘争の画期的地平の上に3・12〜14反合・運転保安確立の48時間ストに立ち上がる動労千葉のみなぎる決意と一体となった活発な春闘討論集会としてかちとられた。そして、3・20日比谷に大結集をかちとる総決起集会となった。動労千葉とともに、動労千葉のように闘えば、日本労働運動の現状を塗り変えることができる。そのことが参加者の共通の確信となった。
“労働者の大統一運動へ一歩”
動労千葉の君塚正治副委員長が「労働者が虫けらのように扱われている状況を変えよう。3・20国際反戦行動に結集し、小泉や奥田に一矢(いっし)を報いよう」と訴えて開会した。
連帯のあいさつでは、まず国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会発起人の佐藤昭夫さんが、「今国会では人権と平和に対する悪法の『多発テロ』が行われている。国鉄分割・民営化以来の労働組合弱体化政策に対して労働者側の反撃が十分にできなかったことが一因だ。小泉内閣は平和憲法まで消し去ろうとしている。これへの反撃が必ず強まる。それを見越して、彼らは闘う団結を分断しようとした。暴力行為等処罰法を使った国労5・27臨大闘争弾圧もそのひとつだ」と述べ、国労弾圧との闘いを訴えた。また、労働審判制の導入や労働組合法改悪を批判し、「党派、組織を超えて大きな闘いをつくることが、彼らの狙いを打ち破るために必要だ」と訴えた。
航空労組連絡会副議長の村中哲也さんは、「労働者の闘いにとって最も重要な課題は、この国を戦争国家にすることを防いで、政府の野望を擱坐(かくざ)させるために全力を挙げることだ。3月20日、日比谷公園に大結集して労働者の意志を示そう。3・20は日本の労働者市民の統一した運動の新しい一歩を築く大事なきっかけだ」と呼びかけた。また、航空連傘下の関西航業争議や航空一般労組に未組織労働者を組織している闘いを紹介し、「日本のナショナルセンターのある指導者は、日本の失業率が6%を超える時にはゼネストだと豪語しているが、5・9%になるまで指一本動かさなかった。0・1%上がった途端にゼネストがやれるものだったら、やってみろと言いたい。闘う運動こそが日本の未来を築く」と訴えた。
憲法と人権の日弁連をめざす会の遠藤憲一弁護士は、司法改悪との闘いを訴え、特に3月2日に国会提出された刑事司法改革関連法案での裁判員制度の導入の危険性を明らかにし、「こうした治安立法のラッシュは、日弁連が迎合・翼賛し改革幻想にひたっているからだ。しかし日弁連の会長選では1万4000人のうち4620人が絶対反対を表明した。戦前の翼賛の道は進まない。3月20日は私たちも大結集したい」と決意を明らかにした。
韓米からのメッセージ
韓国とアメリカからのメッセージが紹介された。
民主労総ソウル本部から「米帝国主義のイラク占領に対し3・20に国際的に展開される国際反戦行動に積極的に取り組み、日本で闘っている同志たちと連帯し、力いっぱい闘います。新自由主義世界化と帝国主義の侵略戦争に反対するすべての労働者の団結と連帯を訴え、動労千葉の闘いが勝利することを希望します」との熱烈な訴えが寄せられた。ソウル本部のキムチャンソプ副本部長、ムンムンジュ組織次長のメッセージも紹介された。
ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10のジャック・ヘイマン業務部長は、「皆さんの勝利は、資本の民営化攻撃に反対する国際的な共同闘争における重要なワンステップです。イラクに対する帝国主義戦争に反対する共同行動に、ともに焦点を合わせていきましょう。闘う同志として」とのアピールを寄せた。タフト・ハートレイ法、抑圧・民営化反対運動のスティーブ・ゼルツァーさんからもメッセージが届いた。
田中康宏委員長が基調報告を行い、「04春闘の最大の焦点は、3・20国際大統一行動にあらゆる勢力が結集することだ。そのためにも3・13ダイ改反対ストに立つ」と渾身(こんしん)の決意を表明し、「世の中を変えましょう」と訴えた。特に2月闘争の切り開いた地平が参加者を奮い立たせた。(要旨別掲)
参加者は大きな拍手でこたえた。熱烈な共感を込めて約26万円のカンパが寄せられた。
反戦と労組法改悪阻止へ訴え
続いて協賛団体のあいさつが行われた。前日の5日に大阪で春闘集会を開催した2組合が駆けつけた。
関西生コン支部の武谷新吾執行委員は、「関生支部は、2月20日、イラクへの自衛隊派兵に対して、52分会251人が2時間の時限ストを打った。アメリカが行う侵略戦争と小泉反動政権に反対し、その根底にある日米安保を見すえて闘おう。3月14日にはトラックパレードを行う」と反戦の決意を述べた。
港合同昌一金属支部の木下浩平執行委員は、特に労組法改悪との闘いを強調した。「港合同は数多い労働委員会闘争を闘い、使用者概念の拡大をかちとり勝利してきたが、倒産・リストラの攻撃は次の段階に進んでいる。労組法改悪は、労働委を活用する民間中小、地域合同労組の闘争の武器に攻撃を仕掛けるものだ。絶対阻止を」と訴えた。
次は1047名闘争勝利、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕に向けた決意表明だ。まず国労弾圧被告団長で国労小倉地区闘争団の松崎博己さんが、「国労を再生させるためには、われわれを敵権力に売り渡した酒田執行部を打ち倒さなければならない。それなくして動労千葉と肩を並べる闘いはできない。そのためにも3・20に総決起する」と烈々と訴えた。
動労千葉争議団の中村俊六郎さんは、「1047名の闘いも厳しい状況にあるが、その中で国労を再生させることが求められている。動労千葉争議団は先頭に立ち、3・20へ頑張りたい」と決意を語った。
その後、活発な討論が交わされた。動労水戸、動労千葉を支援する会、ス労自主、三一書房労組、全金本山労組の代表らが発言し、「闘えば勝てる」「動労千葉とともにストに立つ」などの決意が語られた。
アメリカのANSWER連合のフィービー・エクフェルトさんが参加していることが紹介された。
動労千葉の決意に沸く
動労千葉の各支部からの決意表明が行われた。
「今、燃えています。毎日毎日ワクワクしています。労働者を食わせられなくなった帝国主義は死ねばいいんだ。おれたちが社会を動かす。それが春闘ストだ」(新小岩支部)
「運転保安確立、組織拡大に向けて一致団結して闘う」(千葉運転区支部)
「千葉だけ外注化させない成果をかちとった。うちの組合が第一組合でなければ、安全は守れない。東労組の若い人を獲得し、組織拡大に全力を挙げる」(幕張支部)
中央に陣取った動労千葉組合員と会場全体がひとつになって、大いに沸いた。
繁沢敬一副委員長が「ストを貫徹し、3・20日比谷へ総決起していく」と、閉会あいさつを行い、インターナショナル斉唱、田中委員長の団結ガンバローで、小泉―奥田体制打倒へ、04春闘勝利、3・20総決起を固く誓い合った。
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週刊『前進』(2142号2面2)(2004/03/22)
田中康宏 動労千葉委員長の基調報告
退路を断った闘いを決断しJR体制に風穴を開けた
動かなかった壁が動いた!
私たちは、全力を挙げて04春闘に立ち上がる決意です。今、戦争に向けての状況が激流のように始まっています。一方で、雇用も破壊し、賃金も破壊し、権利も破壊し、労働者を虫けらのように犠牲にすることが平然とまかり通っています。04春闘を、これを変えるきっかけにしたい。
04春闘の最大の焦点は、3月20日のイラク開戦1周年の国際的大統一行動です。3月20日、あらゆる壁をのりこえて労働者・市民が10万人、20万人と結集することが実現できた場合、必ず大きな展望が開かれます。そのためにも動労千葉は、3月13日のダイヤ「改正」反対、反合・運転保安確立を要求し、ストライキに立ち上がる決意です。
動労千葉は17年間、国鉄分割・民営化体制という厚い壁に立ち向かい続けてきました。私たちは2月10日から25日まで、長期の非協力闘争・指名ストライキに突入しました。そしてついに、17年間動かなかった壁が動くという画期的な勝利を手にしました。
この闘争は、定年退職まであと1年余りの千葉運転区所属の組合員への強制配転から始まりました。この配転攻撃は、一人の問題ではなかったのです。国鉄分割・民営化以来、多くの仲間が強制配転され、運転士の資格を国鉄時代に取っているにもかかわらず20年近くも運転士に発令しない。こうした不当労働行為をこれからも強行し続けることを意味するものでした。この闘争は、17年に及ぶ数限りない動労千葉破壊攻撃への、積年の怒りを込めた闘いでした。
この闘いは、国鉄分割・民営化そのものの根本的矛盾と真正面から対決する闘いでもありました。今、JRの職場では、保守部門を中心に膨大な欠員が生まれようとしています。この欠員を全面的な業務の外注化と大合理化でのりきり、欠員を動労千葉の組合員の不当な配転で埋めていく攻撃です。
配転の事前通知からわずか1週間でしたが、国鉄分割・民営化攻撃への決着を迫る闘いをここで構えなければいけないと判断して、緊急に闘争指令を下ろし、動労千葉結成以来初めて無期限の闘争を宣言しました。退路を断った必死の決断でした。腹を据えた闘いのもとに全組合員が一致団結し、まなじりを決して闘いに立ち上がりました。その結果、大きな勝利がかちとられたのです。
ストライキを構えるたびに、JRはJR総連カクマルと結託したスト破りだけに汲々(きゅうきゅう)とする。そうしたことが繰り返され、悔しい思いを何度してきたことか。しかし、JR結託体制は17年目にして破産した。昨年来、JR総連は内部で醜い抗争を繰り広げています。われわれが団結を守り闘いを営々と続けてきたことによって、ついに分割・民営化体制に風穴を開けました。
まだまだ課題は多くあります。かちとった成果への反動も必ず吹き荒れるでしょう。闘いはこれからです。あらためて闘争体制を構築して、04春闘に立ち上がる決意です。
労働者の未来決める04春闘
04春闘は、労働者にとってまさに歴史の大きな分かれ目です。自衛隊のイラク派兵という歴史的暴挙で、日本は世界に凶暴なきばをむきました。復興支援だとか人道支援だとかがペテンであることは、初めから明らかです。
今国会に提案されようとしている有事関連法もしかりです。また、憲法改悪阻止が差し迫った課題になっています。憲法改悪とは、戦後の民主主義的なあり方をすべてにわたって破棄し、労働者の権利を全面的に剥奪(はくだつ)することを意味します。
04春闘に向けて日本経団連が主張していることを、真正面から見据えなければいけない。危機感をむき出しにして財界が政治の前面に躍り出てきたことは、戦後かつてなかったことです。奥田は、「経済や社会が危機に陥っているにもかかわらず、小さな幸せがこれからも続くように誤解している人びとがいるが、そんな者は異星人としか思えない」と言っています。
この春闘では、ついに定期昇給の廃止が問題になりました。全面的な賃下げが労働者を襲うということです。奥田は「厚生年金は全部民営化して25年後にはつぶす」と言っています。弱肉強食と優勝劣敗の論理で労働者の生きる権利を根本から奪っていく。
04春闘は本当に労働者の未来を左右する闘いになっている。敵の側の構えがまったく変わった。私たちも新しい闘いを展開しなければいけない。今度の国会では労働組合法の改悪が問題になります。団結権そのものを破壊する攻撃は、戦争と一体の問題です。
こうした状況に対して、怒りの声がわき起こり始めました。昨年来、イラク戦争反対を結集軸に全世界で2千万、3千万の労働者が立ち上がりました。その中心に、もう一回息を吹き返し、戦闘性を取り戻した労働組合が座っています。
私たち動労千葉も、昨年11月9日、アメリカの国際港湾倉庫労働組合や韓国の民主労総ソウル本部との国際連帯集会を実現することができました。昨年の春闘をきっかけに、突然、こういう国際的な闘いが動き始めました。これも世の中の動きが大きく変わり始めていることの現れです。
3月20日、連合や全労連やさまざまな市民運動の枠を越えて、労働者が日比谷公園に会して、大デモを敢行する状況がつくられようとしている。地殻変動が始まっています。
私たちの力で3・20大結集を
動労千葉は、04春闘に四つの課題を掲げています。
一つは、戦争と大失業に突き進む小泉=奥田体制との力関係を変えたいということです。職場からのストライキと3月20日の大行動が結合した時、必ず大きなインパクトになって、小泉や奥田に一矢(いっし)報いる状況が始まる。
3・20は、私たち自身の力で10万人、20万人の労働者を結集することを決断しないと、成功しません。自治労や日教組が全国動員をかけています。しかし、組合指令がかつてのように権威をもつ状況にはありません。労働運動のあり方を変えよう、力関係を変えよう、社会を変えようという闘いを下から組織し、私たち自身の力で数千、数万の労働者を組織して、その力で04春闘を大きな転換点にしたいと思います。
二つ目に、長期非協力闘争が切り開いた地平を堅持し発展させるために全力で闘いたい。この闘いは、国鉄分割・民営化という現在の資本攻勢の根幹をなす攻撃との闘いです。これに決着をつける闘争にしたい。
三つ目に、反合理化・運転保安春闘として闘います。今、JRでは安全の崩壊が一線を越えて進んでいます。これに声を上げなければ労働組合の使命は果たせない。「闘いなくして安全なし」が私たちの原点中の原点のスローガンです。この闘いは、国鉄分割・民営化攻撃のアキレス腱(けん)を突く闘いです。
また貨物職場では、賃金制度の全面的な改悪攻撃との闘いが焦点です。
そして、04春闘を動労千葉の死活をかけた組織拡大春闘として闘い抜きたい。
本線乗務員は3月12日泊まり勤務者から、検修や営業関係の地上勤務者は12日正午を期してストに突入する予定です。3月13日のダイ改を焦点に、12日から14日まで48時間のストライキを貫徹する決意です。
戦争が現実に迫り、労働者の生きる権利が奪われようとしています。これに対して労働組合がいかなる闘いをするのか。その焦点が3・20です。今日から2週間、3月20日に一人でも多くの労働者を結集し、10万人、20万人の大デモを実現するために、声をからして訴える決意です。皆さんの総決起をお願いして、基調の提起とします。
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週刊『前進』(2142号2面3)(2004/03/22)
韓国
改悪集会・示威法うち破り3・20ソウル大結集へ
イラク増派阻止
韓国では、3月20日午後3時、ソウル大学路で「アメリカのイラク占領反対!韓国軍派兵反対!3・20イラク侵略1年全世界反戦行動」が開かれる。
3・20全世界反戦行動韓国組織委員会(3月4日現在162団体)による大統一行動として、「街頭での関心と熱気を集め、派兵と戦争に反対する巨大な運動をつくろう」と闘いが進んでいる。
米帝の意を受けた盧武鉉(ノムヒョン)政権は昨年12月、戦闘部隊を軸とする3000人規模の韓国軍をイラクのキルクークに増派すると決定した。派兵同意案は、反対の声を踏みにじって2月13日に国会を通過した。
「今、この瞬間から韓国軍の派兵決定撤回、アメリカのイラク占領反対をスローガンに掲げ、総力闘争を展開する。特にアメリカのイラク侵略1年となる3月20日、全世界の平和勢力が連帯して巨大な反戦闘争を建設して侵略者たちと共犯者たちを撤退させる」――民主労総など361団体でつくるイラク派兵反対非常国民行動は怒りの戦闘宣言を発した。続く16日には韓国・チリFTA(自由貿易協定)の国会批准も強行された。どこまで労働者・農民を踏みにじるのか! 怒りは一挙に広がった。
3月9日、韓国史上初の大統領弾劾訴追案が提出された。民主労総、全農などは民主労働党を推薦し、労働者・農民の代表を院内に送り出そうと闘っている。4月下旬に予定されているイラク増派を阻む闘いも本番を迎える。
4・15総選挙をめぐる大流動過程のただ中で空前の政治的・経済的・体制的危機に直面している盧武鉉政権は、ますます過酷な治安弾圧、労働弾圧を仕掛けている。
非正規職撤廃!
2月14日、またも衝撃的な事件が起きた。蔚山(ウルサン)の現代重工業・現代造船工場の下請け非正規職労働者だったパクイルス氏(50歳)が、現代重工業を断罪して焚身(ふんしん)決起したのだ。遺書には、「下請け労働者も人間だ。人間らしく生きたい」「私の一身を燃やし、下請け非正規職労働者の劣悪な環境が、搾取される構造が改善されることを願う」とつづられていた。
昨年8月に結成した現代重工業下請け労組の原動力となったパク氏は、そのために強制休職となり、12月には元請け企業によって登録抹消、解雇されていた。
現代重工業社内下請けインター企業所属の労働者100余人が翌15日から作業拒否に入った。「非正規職差別撤廃労働弾圧粉砕・故パクイルス烈士焚身対策委」が民主労総蔚山本部を軸に組織され、追慕集会が開かれ、「烈士の恨(ハン)を解く時まで闘う」と宣言した。17日未明には4人の現代重工業社内下請け労組員が非正規職差別撤廃を掲げてクレーンを占拠、警備隊が襲いかかって鎮圧・連行した。以後、連日の闘いが続いている。
パク氏は「現代御用労組は、彼らの既得権を守るための労組……劣悪な下請け非正規職労働者は眼中にない」と遺書で弾劾していた。その民主労総傘下の現代重工業労組の代議員らは、この過程で霊安テントを襲撃・破壊し、蔚山本部から懲戒請求が出され、民主労総が調査に乗り出している。非正規職問題をめぐる第4期民主労総・イスホ新委員長体制の動向が注目されている。
民主労総は、3・13全国労働者大会を蔚山で開催、非正規職撤廃を掲げ、謝罪と責任者処罰、社内下請け労組の活動保障と解雇者復職などを要求して現代重工業にデモをかける。
集会・デモ禁止
盧武鉉政権が労働運動と反戦闘争を弾圧しようと改悪した「集会及び示威に関する法律(改悪集示法)」が3月1日に発効した。
これは、拡声器を使って80デシベル以上の音を出して集会を開く者に対しては損害賠償を請求できる、学校や軍事施設周辺の集会はあらかじめ警察当局が禁止通告できるなど、集会・デモ禁止法そのものだ。
3・20国際反戦行動に対する「禁止通告」が予想される中、民主労総、市民団体など85団体が不服従を宣言し、改悪集示法を打ち破る闘いに入った。
3・13から3・20へと闘う韓国の労働者人民と連帯し3・20に決起しよう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2142号2面4)(2004/03/22)
連合大阪集会で3・20結集を情宣
関西反戦共同行動委
関西反戦共同行動委員会は3月5日、大阪・扇町公園で開かれた連合大阪主催の春闘集会に集った5千人の労働者に、3・20日比谷への結集を訴える宣伝活動を行った。(写真)
午後5時半過ぎ、続々と結集してきた労働者の表情には、「このままでは生きていけない」という危機感があふれている。だが、連合指導部は定昇廃止を容認し、年金改悪を推進しているありさまだ。反戦共同行動委は、これへの労働者の怒りと結びついて3・20への結集を訴えた。
『前進』販売活動には幾つもの討論の輪ができた。
カクマルは「3・2シーア派信徒大量殺りくはブッシュの謀略」などと繰り返して、労働者の冷笑を誘うだけだった。反戦共同行動委はカクマルを完全に圧倒して闘いぬいた。
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週刊『前進』(2142号3面1)(2004/03/22)
「会社守れ」と叫ぶJR総連
「労使協力委」で安全を破壊
東労組中央委 組織分裂にあえぐ「総団結」
JR総連・東労組は、2月10日の定期中央委員会で「JR東日本とJR東労組を守り発展させよう」と叫び始めた。これは、事故続出で追いつめられたJR東日本を労資一体で守るということだ。JR総連カクマルを切り捨てないでくれと会社に泣きついているのだ。これに対して動労千葉は3・13ダイ改阻止の断固たるストライキに立ち上がった。それは、反合・運転保安確立の闘いであり、同時にJR資本とJR総連カクマルの結託体制を打倒する闘いだ。動労千葉の闘いを先頭に、今こそJR総連を打倒しよう。
JR結託体制の崩壊
JR東労組の中央委員会は、一昨年10月に辞任届を出した嶋田(副委員長)らの嶋田派と本部・松崎派との分裂・抗争について、@辞任した8人は組織破壊者、権力の手先ではない、A「新潟地本・長野地本は反本部」との見解を撤回する、B嶋田・関根の制裁申請を取り下げる、C(千葉地本の)小林・篠塚については再審査委員会を設置する――などを決定したという。
2年近くにわたって繰り広げられてきた松崎派と嶋田派の内部抗争はいったい何だったのか。それ自体、どちらが会社とうまく癒着・結託し利権にありつくかという、組合員不在の醜い抗争にすぎない。だが、それは動労カクマル時代から頭目としてJR総連を牛耳ってきた松崎明によるファシスト的支配がついに瓦解(がかい)を始めたことを意味していた。
特に本部・松崎派が嶋田らを「反本部=反東労組」と規定するに及んで、それは修復不可能の分裂に発展していたのだ。
だが、今回の中央委では一転して「JR東日本とJR東労組を守り発展させるために組織の総団結を打ち固める委員会」となったというのだ。それはなぜか。JR資本とカクマルの結託体制が末期的な危機に陥っているからである。
JR東労組機関紙『緑の風』(2・15付)の「東風(こち)」では、「JR総連・JR東労組への弾圧は拡大の一途を辿(たど)っている」として、「捜査の狙いは明らかに事件そのものから大幅にシフトし、賛助団体の不動産物件や資金の流れに焦点が当てられている。そして『私物化キャンペーン』を行い『脱税、横領』などありもしない宣伝を行い……」などと言っている。
これは、松崎明が息子の篤を社長にした「さつき企画」などをつうじて会社と組合の利権をむさぼってきたことを自認したものにほかならない。それが暴かれることを恐れているのだ。
殺人企業JR守る?!
さらに重大なことは、「国鉄改革・JR発足から17年を経た今、JR東日本会社もまたかつてない試練に直面している」ということだ。昨年のJR中央線などでの事故続発に関して会社経営が問題視されていることについて、次のように言っているのだ。
「このような事態は、明らかに中央線の輸送障害をJR東日本会社の経営体質、さらには労使関係にまで波及させ、JR東日本会社にどす黒い攻撃の刃(やいば)をむけるものであり、政治的意図をもったJR東日本労使への攻撃に他ならない」
だから、「わが組織と会社を守り発展させるために、私たちにはグズグズしている猶予などない」「いたずらに議論をぶり返したり、組織の混乱を招くような事態はJR東労組の方針から大きく逸脱することになる」というわけだ。
これらの言辞は実に重大だ。つまり、事故問題で会社経営の責任は絶対に追及しないということだ。
昨年9月のJR中央線の工事ミスによる大規模な輸送混乱や、10月に京浜東北線でショベルカーのショベル部分が置き忘れられて列車が衝突した事故などを受けて、国土交通省が立ち入り検査を行い、12月にはJRグループで初めてJR東日本に「事業改善命令」を出した。それは「個人の問題ではなく組織的、構造的な問題がある」と指摘しているのだ。
そもそも、JR資本の要請にこたえ、運輸省以来の安全に関する規制を次々緩和し、資本の利潤追求のために安全を無視した合理化を進めることを許してきた責任は、国交省にある。だが、国交省さえも放置できないほどに、JR東日本の安全破壊は深刻な事態になっているのだ。
にもかかわらず、JR東労組は、そのように会社経営を問題にすることは「JR東日本会社にどす黒い攻撃の刃をむけるもの」などと言うのだ。
ここには、労働組合として安全を守ろうという姿勢はひとかけらもない。いくら事故が起ころうが、資本との癒着・結託体制を維持してJR総連カクマルどもの延命を図れればいいというものなのだ。
そもそも、JR東労組カクマルは、事故問題に関して「責任追及から原因究明へ」というスローガンを掲げてきた。
松崎は、98年の講演で「責任追及から原因究明へという世界に冠たるテーマ、概念、カテゴリーを明確にし得たJR東日本の労使の高いレベルをこれからも誇りにしていきたい」などと言っていたのだ。
何が「世界に冠たる」か。その翌年の99年には、山手貨物線で5人の下請け・孫請けの労働者が線路で作業中に臨時列車にひき殺される事件が発生した。労働者には、臨時列車の通過が知らされていなかったのだ。だが結局、下請け会社の責任にされ、JRは一切責任をとらなかった。
それどころか、この直後に、JR東は「保安打ち合わせ」に関して、「(下請け会社に対して)安全管理等に関して指示もしくはそれに近い行為があった場合は、施工管理と見なされ、JRが特定元請け業者となる恐れがあるのでしてはならない」という内部通達を出している。何がなんでもJRに責任が及ばないようにしようというのだ。
JR東日本は、JR会社の中でも最も労災事故が多い。それも下請け労働者に犠牲が集中している(前号2面グラフ参照)。これらは、特に保守部門での要員削減、外注化、そして規制緩和がもたらしたものである。まさに国鉄分割・民営化の結果なのだ。
この安全破壊の「殺人企業」を守れと言うのがJR東労組カクマルなのだ。
闘わなければ、労働者も乗客も殺される。動労千葉が掲げているように「闘いなくして安全なし」こそ労働組合のスローガンでなければならない。
資本と闘わぬ「反戦」
さらに、このようなJR総連カクマルが「反戦」や「憲法9条を守れ」などと言うペテンを断じて許してはならない。
国鉄分割・民営化は、中曽根が「戦後政治の総決算」を呼号し、「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と称して強行したものだ。総評・国労を解体して戦争国家化と憲法改悪の下地をつくることに狙いがあった。この時、「日の丸も自衛隊も安保も核も認める」と叫んで権力に取り入り、国鉄分割・民営化に全面協力したのが松崎・カクマルだ。しかも、「スト絶滅」を権力に誓ったのだ。
彼らは今、「反グローバリズム労働運動」なるものを掲げているが、このペテンも今や国際的にも暴かれている。首切り・大合理化の民営化に賛成し、資本への全面協力を誓い、労働者の団結し闘う権利さえ圧殺するJR総連カクマル。これで何が「反グローバリズム」か!
しかも、JR総連カクマルは、ペテン的に「有事法制反対」と言いながら、絶対に軍事輸送協力を拒否するとは言わない。すでにJR貨物による自衛隊物資輸送訓練に協力している。会社の利益のためには、軍事輸送でも何でも積極的に推進しようとしているのだ。これが彼らの「労使協力」=「ニアリーイコール」論の正体だ。
動労千葉の闘いと連帯し、今こそJR総連カクマルを打倒しよう。
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週刊『前進』(2142号3面2)(2004/03/22)
3・18日教組臨大にむけ訴える
3・20バネに教基法闘争へ
「国民運動」方針のりこえよう
3月18日に日教組第92回臨時大会が開かれる。臨大議案がうたう「国民運動」は教基法改悪反対運動たりえない。以下、戦時下の教育労働者のとるべき態度、日教組運動の戦闘的再生への道を明らかにしたい。闘う教育労働者は、反戦と教基法改悪阻止を明確に掲げ、3・20日比谷10万人決起の先頭に立とう。
国庫負担制度堅持に切り縮める路線
日帝は、自衛隊のイラク派兵強行をもって新たな「15年戦争」に突入した。戦時下の愛国主義が扇動され、改憲攻撃が一段と加速される中で、教育基本法改悪との闘いはいよいよ正念場を迎えている。
与党教基法改正協議会の議論が進行する一方、民主党議員を取り込んだ超党派の教育基本法改正促進委員会が設立された。そこでは「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって今ここに祖国があることを教える。(今後の教育のあり方は)これに尽きる」(民主党・西村真悟)という主張まで飛び出している。
高校生が自衛隊撤退を求める署名を提出したことに対して、小泉首相や河村文相は「教員は自衛隊派遣の意義を教えるべきだ」と言い放った。
こうした中、3月18日に開催される第92回臨時大会で、日教組は「教育基本法改悪阻止、義務教育国庫負担制度堅持を柱とする」「教育を守り充実させる国民運動」なる方針を決定しようとしている。「憲法・教基法・国庫負担制度を守ろう」をスローガンとするこの運動を「日教組運動史上最大級のものとして位置づけ、組織の総力をあげて展開する」という。
だがこの「史上最大級の国民運動」の呼号は、日教組本部が教基法改悪反対運動に本腰を入れ始めたことを示すだろうか。文科省の攻撃を推進・補完する教育改革提言にうつつをぬかしてきたパートナー路線からの転換を意味するだろうか。断じて否である。
臨大議案を一読して明らかなように、この運動は、教基法改悪反対と国庫負担制度堅持を2本柱と言いつつ、明らかに後者に重点を置いている。教基法改悪反対については目新しい方針を何も打ち出していない。
直接的には、この運動は、政府の経済財政諮問会議が6月に策定する「骨太方針第4弾」で義務教育費国庫負担制度の廃止・縮小を決定しようとしている情勢に対応している。日教組本部は、国庫負担問題では文科省・文教族とのアベック闘争を公言してきたが、もはや財務省・総務省に抗しきれないと認識し、12・23集会に示された教基法闘争の高揚に乗っかり、あやかることで義務教育国庫負担制度堅持の「国民運動」を模索しているのだ。
教基法改悪阻止闘争の歪曲を許さないためにも、この運動の問題点を徹底的に批判しておく必要がある。
問題点の第一は、教基法改悪反対と義務教育国庫負担問題を柱とすると言いつつ、実際には国庫負担制度堅持に絞り上げる路線となっていることである。
国庫負担制度廃止が「教育の機会均等」を破壊する攻撃だと言うなら、「日の丸・君が代」や「心のノート」の強制は教基法10条の禁じる「不当な支配」だと強調されるべきだ。そして教育現場でこれと闘う全国方針が打ち出されるべきだ。能力主義や市場原理導入による機会均等の破壊、教育条件の切り下げとの闘いとともに、戦時下で強まる愛国心強制との闘いこそ、教基法闘争の内実をなすからである。
ところが臨大議案には、東京都の10・23通達・新実施指針に示される「日の丸・君が代」攻撃のエスカレーションについては一言半句の言及もない。
臨大議案は、改憲攻撃に対しては「憲法改悪反対の立場を明確にさせ」と連合の論憲路線と一線を画す姿勢を打ち出し、「憲法論議対策委員会」を設置すると言う。しかし、教基法改悪反対闘争をイラク反戦・有事立法闘争と結合して推進する方向は示されない。
日教組本部は「戦後民主教育を教育行財政面から担保してきたもの」と言うが、国庫負担制度をこのように丸ごと美化することはできない。
国庫負担制度は、総力戦体制下でつくられた制度を引き継ぎ、憲法と教育基本法のもとで「権利としての教育」「教育の機会均等」の財政的保障としての性格を与えられ、シャウプ勧告に伴う交付金化の一時期を除いて戦後の教育行財政制度の根幹をなしてきた。
他方で国庫負担制度は、国による地方統制・教員統制の強力なテコとなってきた。政府・文部省は、学習指導要領や教科書検定制度などで直接的に教育内容を統制するとともに、教育予算の配分をつうじて国家・資本の要求を教育政策に貫徹させてきた。
したがって、教育内容への国家の介入を許さず、権力を教育条件整備にしばりつける闘いを前提として初めて、国庫負担制度は「民主教育の物質的保障」と言うこともできるのである。
このように、「教育を守り充実させる国民運動」は、教基法改悪との闘いを教育振興計画策定要求にすり替えてきた発想の延長線上にある。教育闘争、自主編成運動と切断された教育予算闘争は、国策にとっての教育の有用性を売り込むものとなる危険性をはらんでいるのである。
<戦争と民営化>を教育にも持ち込む
問題点の第二は、日教組本部は、国庫負担制度縮小・廃止攻撃に対する組合官僚的利害からする危機感を持ってはいても、「三位一体」改革による国庫負担制度廃止や規制改革の名による公教育への市場原理導入の階級的本質をトータルにつかめていないことだ。
事務職員・栄養職員の国庫負担適用除外攻撃は、行革臨調下の84年以来の執拗(しつよう)な攻撃であるが、今日の攻撃は、その単純延長上にはない。「三位一体」改革は、国家財政を軍事・外交・治安に集中する一方、福祉や教育を財源委譲なしに地方にゆだね、切り捨てさせていく戦争国家づくりの一環である。
経済財政諮問会議は「骨太方針第2弾」(02年6月)で「三位一体」改革を打ち出すとともに、産業競争強化策の六つの戦略の一つに「人間力戦略」を掲げた。これを受けて文科省が「人間力戦略ビジョン」(02年8月)を策定した。中教審答申で改正教基法の教育目標に掲げられた「新しい時代を切り開くたくましい日本人の育成」とは、実はこの「人間力戦略ビジョン」のキャッチコピーなのである。国庫負担制度廃止と教基法改悪はひとつながりの攻撃なのだ。
ここ数年の日本経団連の経労委報告は、「構造改革による高コスト構造の是正」と「科学技術創造立国による国際競争力強化」を2大戦略として押し出し、ここに日帝の争闘戦での生き残りをかけている。教育予算削減と先端技術開発を両立させるには「創造的エリート」の養成に資金を重点投入するしかない。そこで、公教育に市場原理・競争原理を導入し、教育制度を階級別に再編することが資本の教育要求となる。
経済財政諮問会議で構造改革を陣頭指揮する日本経団連の奥田会長は、「改憲を先送りにするな」と叫び、イラク派兵を積極的に支持する発言を繰り返している。軍事力による市場・資源の再分割戦の時代を迎え、海外での軍事力行使を支持する国民意識への改造、国策に命をささげる兵士づくりもまた支配階級の教育への強い要求となっているのである。
〈外への侵略戦争と内への階級戦争>の攻撃としてイラク派兵・有事立法と小泉構造改革を一体的にとらえられなければならない。「日の丸・君が代」や愛国心攻撃、義務教育国庫負担廃止や公教育への市場原理導入は、教育における〈戦争と民営化>攻撃なのだ。公教育への市場原理導入によって切り捨てられるのは、労働者階級の子どもたちであり、愛国心を植えつけられ、不況下でやむなく自衛隊に応募し戦場に送られるのも、労働者階級の子どもたちだ。
問題点の第三は、以上からも明らかだが、依然としてパートナー路線の枠内の運動だということだ。
日教組本部は、義務教育費国庫負担縮小・廃止は「重大な組織問題につながる」「日教組の存立基盤そのものにかかわる」と声高に叫んでいる。
だが、そもそも日教組の学校事務労働者をめぐる「組織問題」の発生は、日教組が専門職賃金論によって給特法(71年)―人材確保法(74年)に屈服し、教員の職能的利益を特権的に追求し始めたことに由来する。問題の核心は、国庫負担制度の存否以上に、労働組合としての日教組の路線にあるのだ。
日教組が全職種の労働者の労働条件向上のために闘い、労働者階級の立場にたって教育闘争を展開することこそ、階級的団結を防衛・強化する道だ。
ところが、日教組本部は、職種別の分断を許すにとどまらず、教員同士もバラバラにする攻撃を次々と容認している。主幹制度、教頭に次ぐ管理職創設が東京から広島、神奈川、大阪など全国に拡大しているのに、臨大議案には何の言及もない。教員評価制度についても、「賃金に連動させない」として制度導入を容認するや、「年功制や一職一級制の見直しは避けられない」と、差別賃金容認を打ち出している。
臨大議案は、国庫負担制度見直しに対しては「公務員産別課題では抗しきれず、明確な対抗軸を打ち立てることが必要」「公務労協を中心とする一大国民運動を」などと言う。しかし、「対抗軸」と言っても、階級性をあいまいにした路線・内容では、教育労働者の真の主体的決起を引き出すものとはならない。
「与党議員への(地元からの)働きかけが重要」と言うように、実際のところ、この運動は市町村長や議会を応援団に当て込んだパートナー路線の補強策なのである。問われているのは、破産したパートナー路線の自己批判とその明示の撤回である。
12・23集会の地平を発展させ闘おう
問題点の第四は、教育基本法改悪反対運動たりえず、12・23集会の地平の反動的歪曲だということだ。日教組本部は12・23集会から何も学ばなかったのだ。
12・23集会の高揚が指し示したものは何か。教基法改悪反対闘争は、イラク派兵や有事立法と一体の「戦争する国づくりのための攻撃」との闘いとして位置づけてこそ、全労働者階級人民の課題として発展するということだ。「日の丸・君が代」攻撃を始めとした権力支配と教育現場で闘ってこそ、多くの労働者・市民、保護者の共感を呼び、連帯をつくり出せるのだ。
12・23集会は、教基法を「生かそう、守ろう」ではなく、きっぱりと教基法改悪反対を掲げてかちとられた。「日の丸・君が代」攻撃や愛国心攻撃を日帝の侵略戦争推進のための攻撃として弾劾し、いわゆる新自由主義教育改革の資本の教育要求としての正体を暴露してこそ、教育労働者の階級的な怒りが発揚され、教基法改悪阻止闘争が全労働者階級人民の課題となる。
日教組本部は、教育改革推進から一転して「戦後民主教育の充実を」と叫び始めた。だが、自らの積年の闘争放棄を省みることもなく、後退を強いられてきた民主教育の内実を問い直そうともしない運動が現場組合員から相手にされるはずもない。
奥田ビジョンは「労働者を食わせていけない資本主義」「戦争をやるしか生き延びられない帝国主義」の末期的な姿を突きだしている。「小さな幸せがいつまでも続くと思うな」「危機意識を共有せよ」と労働者を恫喝し、定昇解体・賃下げ、年金解体、消費税増税など、ありとあらゆる「痛み」を押しつける。その先に示されるのは「働き方を選べる」という総不安定雇用社会、「安楽死を選べる」ことが「精神的豊かさ」だという暗澹(あんたん)たる未来なのだ。そして、教育労働者には「死への準備教育」をやれというのだ。冗談ではない! 死すべきは帝国主義の方だ。
12・23集会以降、現場組合員と労働者市民の共闘による教基法改悪反対運動が全国に広がっている。3・20首都10万人決起、イラク反戦・有事立法闘争の先頭に立ち、これと結合して教基法改悪阻止闘争のさらなる爆発をかちとろう。「日の丸・君が代」闘争を戦争協力拒否闘争として闘おう。その力で闘う日教組を組合員の手に取り戻そう。
〔革共同教育労働者委員会〕
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週刊『前進』(2142号3面3)(2004/03/22)
国労弾圧 “無罪獲得まで闘う”
被告の地元・北九州で集会
2月29日、北九州市小倉北区の女性センター「ムーブ」で、「国労組合員らへの暴処法弾圧を許さず、無罪判決を求める2・29北九州集会」が開かれた(写真)。被告の松崎博己さん、羽廣憲さんとその家族、地域の労組、国労、教労組合員など50人が参加した。被告の地元で無罪をかちとる新たな出発点をつくり出した。
司会の国労門司地区闘争団員が開会を告げ、5・27臨大当日の現場ビデオが上映された。参加者は「こんなことで1年3カ月も勾留か!」と被告の無罪を確信した。許さない会・北九州の代表が主催者あいさつし、「被告は正義心の強い人たち。戦争へ行くのか平和に行くのか、そこで彼らは種火を残した。無罪をかちとろう」と呼びかけた。
被告の家族が並び、「お父さんの存在の大きさがわかった」「力をつけてもらいたい。この実態を知らせてほしい」と訴えた。
被告の羽廣さんが「解雇撤回・地元JR復帰の闘いをやりながら、無罪獲得まで闘う」と表明した。被告団長の松崎さんは「17年間国策と闘ってきた。国家権力はこれが許せないと暴力行為等処罰法で弾圧してきた。無罪をかちとる。腐った国労本部を打倒し、闘う国労を再生しよう」と力強く発言した。
国労九州エリア本部前書記長の手嶋浩一さんが講演し、国鉄分割・民営化当時の闘いも振り返って「この弾圧を許せば労働運動はやれなくなる。8名を無罪にしないと恐ろしい社会になる。保釈されたが今からが本当の闘いだ」と訴えた。
会場から2人が「国鉄闘争にかかわってきた。労働運動をつぶす、人間性をはぎ取ることが許せなかった。国鉄闘争をもう一度つくり上げたい」「検察側立証途中での保釈は無実を示している。無罪判決まで支援する」と意見を述べた。
ス労自主の組合員がまとめを行い、無罪獲得と許さない会への結集を呼びかけた。
(投稿 北九州・K)
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週刊『前進』(2142号3面4)(2004/03/22)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第21回 3月16日(火)/第22回 4月27日(火)第23回 5月18日(火)/第24回 6月9日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2142号4面1)(2004/03/22)
3・20に10万人結集かちとりイラク撤兵・有事法案絶対阻止へ
有事関連法案の国会提出弾劾
北朝鮮侵略戦争への国家総動員 軍隊最優先・全土基地化の攻撃
小泉政権は9日、国民保護法案など有事関連7法案を閣議決定し、国会に一括提出した。怒りを込めて徹底的に弾劾する。この法案は米・日帝国主義による北朝鮮(中国)侵略戦争のための重大な攻撃である。これが成立すれば、日本の戦時法制がひとまず整い、日帝は米帝とともに、いつでも北朝鮮(中国)侵略戦争に突入できることになる。そしてそれは、帝国主義が世界革命によって打倒されない限り、帝国主義同士の激突をも含む世界戦争、世界核戦争への道である。今こそ全国で有事7法案絶対粉砕・小泉政権打倒の大運動を巻き起こそう。既成政党は軒並み日帝の国益キャンペーンに屈服している。悪法を阻止する力は、労働者階級を中心とする戦闘的大衆運動の爆発である。3・20イラク反戦闘争を、同時に有事立法粉砕の闘いとして大爆発させ、4〜6月闘争へ突き進もう。
国民保護法と住民動員 対北朝鮮で先制攻撃 反撃想定し強権発動
国会に提出された7法案と3協定・条約の締結承認案は別表のとおりである。
(5面に主要法案の抜粋)
有事立法は、政府やマスコミが宣伝するような「日本への武力攻撃が起きた事態に備えて、国民を保護するためのもの」では断じてない。日帝が米帝とともに北朝鮮(中国)への侵略戦争にうって出ていくための日米共同作戦体制づくりであり、そのための戦争動員である。
昨年成立した武力攻撃事態対処法は、「武力攻撃事態に対する対処措置」の名目で北朝鮮(中国)に対する先制攻撃を可能とする法律である。相手が攻撃してこなくても「予測される」と決めつけるだけで先制攻撃できるのである。これは米帝のブッシュドクトリン=先制攻撃戦略に沿って日帝も戦争体制をつくっているのである。
それゆえ国民保護法は、先制的に攻めるために相手の反撃にも「備える」のであって、日帝・小泉政権はそのことをまったくごまかしている。
7法案の一つひとつを見ていこう。
(1)国民保護法案
これは、国や自治体による有事の際の避難・救援のための措置を規定している。▽あらかじめ政府は「国民保護の基本指針」、都道府県と市町村は「国民保護の計画」を作成する。▽そして、平時から備蓄や住民の避難訓練、啓発を行う。▽有事の際には、政府は「武力攻撃事態対策本部」を、都道府県と市町村はそれぞれ「国民保護対策本部」を設置する。▽知事は業者に医薬品や食料・燃料の保管を命令、売り渡しを要請。拒否すれば収用、処罰。▽(避難民の収容、医療提供のために)所有者の同意を得ないで民有地や家屋、物資を使用できる。▽原発への「武力攻撃災害」も想定して対応を定める。▽大規模テロ(緊急対処事態)にも適用する。
こうした内容から明らかなように、「国民保護」とはペテンである。国家・自治体・国民挙げての強力な侵略戦争体制、動員体制をつくりあげるのが狙いである。条文では第4条「国民の協力」の規定があり、「国民は……必要な協力をするよう努めるものとする」と実質的に協力義務を規定している。
去年の武力攻撃事態法など有事3法の国会審議で中谷防衛庁長官(当時)は、「自衛隊が敵と対峙して、また戦う環境をつくっていただくのは、ひとえに国民の皆様方の協力でございます」と述べている。
また、石破防衛庁長官は今年1月、「『軍は民間人を助けない』と、感情的な議論にすり替えてしまうのは、戦後の日本の一番悪いところです」と述べている。(別掲参照)
ここに「国民保護法制」の核心が率直に語られている。防衛庁長官が、“戦争になったら一切は軍事・軍隊最優先だ。国民は協力して軍隊を守れ。戦争に協力せよ”と言っているのである。そのための戦争動員法が国民保護法である。
この法律は、外国(北朝鮮と中国)からのミサイル攻撃やゲリラ戦争を想定し、それがあたかも不当な相手国からの攻撃であるかのように言っているが、とんでもないすり替えである。米日帝は米軍がアフガニスタンやイラクを攻撃したように、ありとあらゆる攻撃を北朝鮮や中国に対して行うつもりでいる。米帝の北朝鮮侵略戦争の作戦計画には、戦術核兵器による攻撃すら選択肢に入っている。このことから、相手国の必死の反撃の結果としてミサイル攻撃を受けたり、ゲリラ攻撃を受けたりすることが想定されるのである。だから、もしもミサイルやゲリラ戦によって日本人民に人的物的な被害が発生するとしたら、事態の真の責任は米日の帝国主義の側にこそあるのだ。
国民保護法案では原子力発電所への攻撃すらありうると想定している。つまり、原発が攻撃されて人民が犠牲になることも辞さずに、北朝鮮(中国)侵略戦争を強行しようとしている。いったい、ここまで事態を進めておきながら、何が「国民保護」か!
中谷発言にもあるように、「住民の避難」とは、軍事行動のための住民排除と統制(収容)が狙いである。
しかも国民保護法の内容は、有事(戦時)になってから動き出すというものではない。法制定後、国は速やかに「基本指針」、都道府県・市町村は「計画」を作成するために動き出す。市町村のレベルまでいわば「戦争計画」=「総動員計画」を作成することが義務づけられる。
この計画を作成するために都道府県と市町村に「国民保護協議会」が設置される。そこには自衛隊幹部や警察幹部が参加して審議する。つまり、自衛隊・警察の主導のもとに市町村末端まで「避難・救援の計画」と称して住民統制、物資統制の計画が立てられる。軍部が自治体の施策にどんどん介入していくのである。そして平時から避難訓練や物資の備蓄、啓発などが行われるようになる。
戦争体制に入れば商売も自由にできなくなる。食料や薬品、ガソリン・石油など物資の保管命令を無視して、これまでどおりに「お得意さん」に売れば、その業者は処罰される。
これは日本の社会を第2次世界大戦前のような挙国一致の戦争体制に作り替えるための決定的な攻撃である。1930、40年代の日本社会がそうであったように、戦争に協力しない者を「非国民」としてあぶり出し、社会生活で不利益になるように強制していくのである。
それが行き着いた先は何であったか。戦争に抵抗する者を排除し、社会全体を戦争一色に塗り固めていくことによって、帝国主義侵略戦争、ついには日米激突へと突き進む破滅の道だったではないか。日帝支配階級は再び同じことを繰り返そうとしているのである。
米軍支援で弾薬も提供 空港・港湾を軍が管理 公海上で臨検・銃撃も
(2)米軍行動円滑化法案(米軍支援法案)
(3)自衛隊法改悪案
2つの法案は、2月末に日米両政府が署名した日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定に関連する。有事の際、米軍の軍事行動を全面的に支援するためのものである。
ACSAは自衛隊と米軍のあいだで水や食料などの物品と医療などの役務を提供しあう協定で、これまでは共同演習や国連平和維持活動(PKO)などに限られていた。今回の協定改定で「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」にも適用することにした。また周辺事態法に基づく「周辺事態」では弾薬の提供はできなかったが、「予測事態」「武力攻撃事態」では弾薬提供も可能となった。
米軍行動円滑化法案で、地方公共団体、民間事業者も協力を要請されたときは「要請に応じるよう努めるものとする」と責務化した。
さらに同法案では、米軍が必要とする民間の土地や家屋を政府が収用し米軍に提供することができる。立木の移転・処分や家屋の形状変更(=破壊)もできる。これを所有者が拒否することはできない。拒否すれば20万円以下の罰金だ。まったく、問答無用で土地や家屋を奪うのである。
これは、自衛隊と同様に米軍も、希望する所はどこにでも陣地やレーダーサイト、ミサイル発射基地などを造れるということである。たとえば、成田空港や関西新空港を軍事基地化するために周辺の土地数カ所を強制収用して空港防衛用のミサイル基地をつくるというようなことである。
(4)交通・通信利用法案
有事の際、この法律に基づき自衛隊や米軍が空港、港湾、道路、海域・空域、電波などを優先的に利用できるようにする。首相が管理者に要請し、拒否しても首相権限で利用可能にする。
これは、全国の民間空港や港が軍隊によって制圧され、出撃基地とされる。高速道路も民間の車を排除し、軍隊最優先になる。成田空港・関西新空港などが完全に軍事基地となる。
第2次大戦後、日本の港は基本的に自治体の管理とされた。これには日本の港が国家管理のもとで戦争に使われた反省の気持ちが込められていた。それを今、日帝政府は「有事」を理由にして自治体の権限を取り上げ、有無をいわさず米軍と自衛隊の侵略戦争の拠点として制圧し、港や船上で働く労働者を戦争動員しようとしているのである。
(2)(3)(4)の3法案は、日本全土を北朝鮮(中国)侵略戦争の出撃拠点として全面的に機能させるためのものである。米軍はすでに日米安保条約や日米地位協定などによって巨大な特権を持っている(日本の国内法の順守義務を免除されている)が、有事にはさらにそれをも超える強力で広範な特権を持つのである。
すでに1994年の朝鮮危機(北朝鮮の核疑惑を口実とした米帝の北朝鮮侵略戦争の策動)の際に、米軍は日本に対して1059項目もの支援を要求した(99年2月23日付「朝日新聞」)。その内容は▽成田・関西・福岡・那覇など8空港の使用▽神戸・大阪・福岡・名古屋など6港湾の使用▽弾薬輸送のトラックやトレーラー、フォークリフト、コンテナなどの大量の調達と軍需物資の輸送(民間動員)▽3万セットの簡易ベッドや毛布の調達・輸送▽港での荷役作業▽通信・警備・補給など、あらゆる領域にわたるものである。米国から出動する30万―50万人の米兵の戦争体制を支えるものだからである。
こうした米軍からの要求にこたえきる体制が日帝の側になかったために、米軍は94年段階での北朝鮮攻撃をいったん断念した。今回国会に提出された米軍行動円滑化法案などは、こうした米軍の対日要求に全面的にこたえ、物資の調達(徴発)、民間企業・労働者の戦争動員(徴用)、空港・港湾の軍事基地化、米軍の軍事使用のための土地や建物の取り上げなどを行うためのものである。
米軍は朝鮮有事において「米軍が管理権を行使する形での施設・区域の新規提供(日米地位協定2条4項b化)」を要求している(94年朝鮮危機の際の対日要求)。つまり、空港でも港湾でも民間航空機・船舶を全面的に排除して、横田や嘉手納、那覇軍港や横須賀基地と同様の完全な米軍基地にするのである。そのために米軍行動円滑化法で、「武力攻撃(予測)事態」を国が宣言すれば、いつでも空港・港湾の管理権限を自治体や民間から取り上げられるようにしておくのである。
(5)外国軍用品等海上輸送規制法案
これは戦争突入後、北朝鮮への海上輸送を阻止するための法案である。▽国際法上の「臨検」は食糧などの輸送を禁止することも認めているが、これはストレートに戦争行為であり、憲法で禁じる「交戦権」に抵触するおそれがあるとして、政府はペテン的に「停船検査」の対象を「外国軍用品や外国軍隊を輸送している疑いのある船舶」に限定した。▽規制対象となる積み荷を、銃砲から軍用食糧など12種類に類別し、「大量破壊兵器」は廃棄、銃砲等の武器・弾薬は輸送停止(積み荷の引き渡し要求や船舶そのものの日本への回航)とする。▽停戦命令に従わない船には武器使用ができる。
だが、これは戦争行為としての「臨検」、海上封鎖そのものである。出動した海自は、公海上であってもすべての北朝鮮船舶(商船も)に対して停戦命令を出す。これに従わなければ撃沈(危害射撃)してもよいと規定したのである。民需用の食糧・燃料であっても、「軍用」と日帝が決めつけるだけで没収されてしまう。実に凶暴な先制攻撃法案そのものである。
(6)捕虜等取り扱い法案
ここでは自衛隊が捕虜を拘束できるように規定した。▽陸海空3自衛隊共同の捕虜収容所を設置する。
これは「日本に攻めてくる」北朝鮮軍を想定しているのか。そうではない。実際には日帝・自衛隊が米軍とともに、「自衛権」「武力攻撃への対処措置」の名目で北朝鮮(朝鮮半島)に攻め込み、また海上戦闘で北朝鮮軍を捕虜にすることを想定しているのである
(7)国際人道法違反行為処罰法案
ジュネーブ条約に違反する行為のうち、刑法に定めのない重要文化財破壊罪や捕虜送還遅延罪、占領地域移送罪、文民出国妨害罪などを規定した。
(8)改定ACSAの締結承認案
ACSAの対象を有事に拡大。米軍への弾薬の提供を可能にした。
(9)ジュネーブ条約第一追加議定書の締結承認案
(10)ジュネーブ条約第二追加議定書の締結承認案
ジュネーブ条約第一、第二追加議定書は、戦争をするにあたっての一定の国際的ルールを決めたものである。こうした議定書を日帝が締結し関連法を整備すること自体、日帝が米帝とともに本気で北朝鮮・金正日政権転覆のための侵略戦争に踏み出していることの決定的な証拠である。
日帝・小泉政権を打倒しよう
以上、見てきたように有事関連7法案は、米日帝国主義の北朝鮮侵略戦争のための決定的攻撃である。戦後発展が完全に行きづまり、破綻(はたん)を深めている日帝支配階級は、「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」にのめり込む以外に延命できなくなっている。だからこそ、ブッシュ・ドクトリン(先制攻撃戦略)と「悪の枢軸」論を振りかざしてイラクに続いて北朝鮮・金正日政権の転覆を狙う米帝の北朝鮮侵略戦争に「共同と競合」の関係で食らいつき、参戦の準備を進めているのである。そうしなければ、米日間の争闘戦に敗北し、帝国主義として延命できないからである。
腐りきった日帝・小泉政権を労働者階級の巨大な反戦闘争、階級的労働運動の前進で打倒しよう。戦争に突き進む帝国主義を打倒し、労働者階級が真の主人公となる社会をつくろう。それこそが戦争をなくす唯一の道である。
3・20世界同時行動に立ち、日比谷公園を圧倒的な人民の隊列で埋め尽くそう。その力で有事関連法案絶対阻止に突き進もう。
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有事立法の体系
武力攻撃事態対処法
有事法制の中心。「武力攻撃(予測)事態」の宣言と侵略戦争の全般的方針
改悪安全保障会議設置法
戦争最高指導会議としての役割の鮮明化・強化。事態対処専門委員会の設置
改悪自衛隊法
自衛隊に陣地構築、土地・家屋収用、徴発、徴用など強大な権限
(以上は昨年6月に成立)
国民保護法案
有事計画の作成、避難・救援の手続きや物資の保管命令、違反者の処罰など
米軍行動円滑化法案
物品・役務の提供で米軍の活動を全面支援。土地・家屋の強制使用も
自衛隊法改悪案
物品・役務の提供や決済の手続きを規定。弾薬も提供
交通・通信利用法案
空港・港湾・道路などを米軍・自衛隊が優先的に利用できる
外国軍用品等海上輸送規制法案
敵国への海上輸送阻止のための臨検。停戦命令に従わない船は撃沈も
捕虜等取り扱い法案
国際人道法違反行為処罰法案
改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)の締結承認案
ジュネーブ条約第一追加議定書締結承認案
ジュネーブ条約第二追加議定書締結承認案
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「国民保護」はペテンだ 自衛隊幹部のホンネ
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「自衛隊が敵と対峙して、また戦う環境をつくっていただくのは、ひとえに国民の皆様方の協力でございます」=中谷元・防衛庁長官(当時、02年5月)
「有事においては敵の侵害排除というものがあるわけで、自衛隊が災害(出動)と同じだけの活動ができるとは限らない。……それを『軍は民間人を助けない』と、感情的な議論にすり替えてしまうのは、戦後の日本の一番悪いところです」=石破茂防衛庁長官(今年1月1日付の自衛隊の準機関紙『朝雲』)
「血だらけの子どもが横たわっていたとする。しかし状況によっては敢えてその場所を素通りする『心を凍らせる勇気』が要ることもある。テロリストたちはそのような一瞬の隙(すき)をつくって襲撃するからだ」=志方俊之・元陸上自衛隊北部方面総監、1月1日付『朝雲』)
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朝鮮有事には成田、札幌などは米軍基地になる!
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朝鮮危機の最中の94年6月16日付の米太平洋軍準機関紙「スターズ・アンド・ストライプス」は次のように述べている。
「朝鮮有事の際には、在日米軍基地と太平洋の他の場所のあいだに巨大な空の橋を一夜にして築かなければならないであろう」「日本の領空を無条件で使用することが必要になろう」
「戦争勃発から数日以内にワシントンは日本に対し、アメリカから数百機の部隊輸送機や数千dの死活的に重要な補給物資を着陸させるため、札幌(防衛が可能であるから)、新潟(そこが日本海に面しているから)、東京の成田(アメリカの民間パイロットが熟知しているから)のような主要民間空港の定期旅客便の発着を停止させるよう、日本に要請しなければならないかもしれない」
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関連年表
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1991年 |
湾岸戦争(米帝のイラク・中東侵略戦争)
ソ連崩壊
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92年 |
国連平和維持活動(PKO)法成立
カンボジアへ自衛隊派兵 |
93-94年 |
朝鮮危機、米帝が戦争体制に |
95年 |
「新防衛大綱」閣議決定 |
96年 |
日米安保再定義 |
97年 |
軍用地特措法
日米新ガイドライン |
99年 |
米帝・NATO軍のユーゴスラビア侵略戦争
周辺事態法など新ガイドライン関連法成立 |
2001年 |
9.11反米ゲリラ戦
米帝のアフガニスタン侵略戦争
テロ対策特措法で自衛隊をインド洋派兵
東中国海で海上保安庁が「不審船」を撃沈 |
02年 |
有事3法案を閣議決定、国会提出 |
03年 |
イラク侵略戦争
有事法制3法成立
イラク派兵法成立、イラク派兵開始 |
04年 |
有事7法案を閣議決定、国会提出 |
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週刊『前進』(2142号4面2)(2004/03/22)
3月2日〜9日
有事関連7法案を閣議決定
改憲「国民投票法」案提出へ
●「米軍のアジア展開維持」 パウエル米国務長官がワシントン市内でアジア太平洋地域の安全保障政策に関する米国の役割について演説し、「地域への米軍の前方展開を維持し続けることが絶対に欠かせない」と述べ、日米、米豪両国との安全保障同盟を「米国のアジア戦略の根幹」と位置付け、特に日本について「地球的にも地域的にも政治的な役割が拡大している」とした。(2日)
●入港禁止法案、今国会提出へ 自民、公明両党は、北朝鮮船を念頭においた特定船舶入港禁止法案を今国会に提出する方針を確認した。民主党は「次の内閣」で、航空機も対象とする同党案を了承した。(3日)
●イラクへ空輸開始 イラクへの物資輸送のためクウェートに派兵されていた航空自衛隊のC130輸送機がイラク南部ナーシリア近郊の軍用飛行場に着陸し、初めて物資輸送を行った。(3日)
●防災訓練、有事も想定 政府は、町内会などでつくる自主防災組織が定期的に実施している防災訓練を、有事や大規模テロも想定した内容に改め、訓練に必要な防毒マスクなどの整備を進めるよう市町村に要請することを決めた。組織がない空白地域が生じないよう、新規結成も同時に推進する。具体的には避難の広域化や国からの情報伝達、防毒マスクの取り扱いなどに対応できるようにするという。(4日)
●国民投票法案提出へ 自民党は、憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案と関連の国会法改正案を議員立法で今国会に提出する方針を固めた。公明党の提出容認を受けて踏み切ることにしたが継続審議になる見通し。国民投票法は@投票権は国政選挙の選挙権を持つ人を原則とする、A国民承認の条件を「有効投票総数の過半数」とする――などを定める内容。憲法では、承認条件を「過半数」としか定めておらず、分母を無効票も含めた投票総数とする解釈や、有権者数とする解釈もある。「有効投票総数の過半数」は、その中では最もハードルが低い。(5日)
●鳥インフルエンザで陸自685人派遣 鳥インフルエンザ問題で、京都府の山田知事が、同府丹波町の浅田農産船井農場に残る鶏の処分を急ぐため、陸上自衛隊に災害派遣を要請。陸自第3師団(兵庫県伊丹市)は各地の駐屯地から計約685人を派遣し、死んだ鶏約25万羽を埋める作業などにあたった。(7日)。
●イラク基本法署名 イラクで恒久憲法制定までの法基盤となる「イラク基本法」の署名式典がバグダッドであり、イラク統治評議会の全議員25人(代理人)が署名した。署名を拒否していたシーア派議員5人は修正要求を撤回した。当初の予定より1週間遅れの調印となった。(8日)
●有事7法案を閣議決定 政府は、国民保護法案など有事関連7法案と、3条約の締結承認案を閣議決定した。7法案は、@外国軍用品等海上輸送規制法案、A米軍行動円滑化法案、B自衛隊法改正案、C交通・通信利用法案、D国民保護法案、E国際人道法違反行為処罰法案、F捕虜等取り扱い法案。3条約は改定日米物品役務相互提供協定(ACSA)と、ジュネーブ条約の2つの追加議定書の締結承認案。(9日)
●「防衛省」昇格法案見送りへ 自民党は、防衛庁を省に昇格させる防衛省設置法案の今国会提出を見送る方針を固めた。(9日)
●米軍、帰途も下地島に強行着陸 米比合同演習バリカタン04に参加していた在沖海兵隊普天間基地所属のCH53輸送ヘリ6機とKC130空中給油機1機が同演習から戻る途中、給油目的で沖縄県伊良部町の下地島空港に強行着陸した。うち1機は故障などを理由に1晩駐機した。(9日)
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週刊『前進』(2142号5面1)(2004/03/22)
3・20に10万人結集かちとりイラク撤兵・有事法案絶対阻止へ
この日のために総力を
米ANSWERのアピール
イラク侵略戦争開戦から1年目の3・20世界同時行動へ、アメリカの反戦団体ANSWERが全世界に発したアピールを紹介します。(編集局)
アメリカのイラク爆撃・侵略1周年3・20世界同時行動デー
軍隊を今すぐ撤退させよ!/イラクやパレスチナなどでの植民地的占領の終結を!/戦争ではなく、雇用、教育、医療保険、住宅にお金を!/市民的権利・市民的自由への攻撃をやめろ!
ニューヨーク=マディソンスクウェア公園、サンフランシスコ=ドロレス公園、ロサンゼルス=ハリウッド&ヴァイン、シカゴ=ミシガン&ピアーソン、その他全米の街で
2004年3月20日、米英のイラク侵略から1周年にあたるこの日、世界中の人びとが一緒になって「占領の終結を! 軍隊を今すぐ撤退させよ!」と要求する。アメリカでは、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、その他の都市で大規模なデモが計画されている。
われわれは、イラク民衆の自己決定権を無条件に支持して3月20日のデモを行う。侵略の開始以来、何万人ものイラクの人びとが殺されてきた。また、何千人ものアメリカとイギリスの兵士が死傷してきた。イラクの人びとは、占領に対して抵抗している。そして、自分たちの国を占領する外国の兵士が、明日ではなく今日撤退することを求めている。
軍隊を〈今すぐ〉撤退させることを要求する米軍兵士とその家族の数は増え続けている。これらの兵士たちは、ブッシュ政権が進めたこのうそとペテンによる戦争で殺し殺されるために送り出されている。解決策はただひとつ、今すぐ占領をやめることだ!
アラブ・アメリカン全国協議会の「占領の国際化とは、植民地主義に新たな装いを与えようとするものである。それをグローバルな民衆運動のための実現可能な選択肢などとして受け入れることなどできない」という言葉をわれわれも確信している。
われわれはまた、パレスチナ民衆と連帯し、彼らの故郷への帰還と土地の権利を含む自己決定権のために3月20日のデモを行う。3月20日のデモは、あの歴史的な1976年3月30日のパレスチナ「土地の日」デモの記念日の10日前に行われることになる。3月20日にパレスチナ民衆の自由、帰還権、自己決定を要求することは重要な政治的必要性をもっている。それなしでは植民地的占領を完全に終わらせることはできない。
アメリカのイラク侵略・占領は、中東の民衆を標的にした、政府のより大きな植民地計画の一部である。ブッシュ政権はイラク占領に毎週20億jを費やしているが、同時に1日あたり1500万jをパレスチナ民衆に対するイスラエルの戦争を支援するために使っているのだ。
われわれは、「アメリカ愛国者」法を撤廃させ、アラブ・アメリカン、南アジア人、ムスリム、移民のコミュニティーに向けられた弾圧を終わらせるために3月20日のデモを行う。われわれは言論の自由を防衛し、ブッシュとアシュクロフトによる権利章典に対する戦争に反対する。
われわれは、戦争や占領ではなく、雇用や住宅、医療保険、教育にお金を使うことを要求して3月20日のデモを行う。
われわれは、ブッシュ政権による世界支配のための「終わりなき戦争」計画の中止を求めて3月20日のデモを行う。われわれの立場は、朝鮮、コロンビア、アフガニスタン、キューバ、イラン、ジンバブエ、ベネズェラ、シリア、フィリピン、ハイチなどに対するアメリカの介入、占領、脅迫をやめさせるということだ。
民衆の運動だけが、ブッシュ政権の戦争策動に対して、有効に立ち向かっていくことが可能だという希望を示している。民主党の候補者たちは大統領の座をブッシュと競い合おうとしている。しかし、民主党はブッシュと同じく、米軍のイラク駐留を維持し、パレスチナ民衆に対する戦争遂行のためのものであるイスラエル援助の継続を支持している。
2002年4月20日、「パレスチナに自由を」の旗のもとに10万人の人びとが集まって、ワシントンDCで歴史的なデモを行った。その6カ月後の10月26日には、切迫するイラク侵略戦争に対して数十万人の人びとがデモを行った。03年1月18日、2月15、16日、3月15日、4月12日、そして最近では10月25日、全世界で何千万人もの人びとが街頭に出て、ブッシュ政権の戦争策動に反対の声をあげた。これは自己決定、正義、平和を求める世界の民衆によって行われている歴史的な闘いだ。グローバルな連帯は、軍国主義と植民地主義の勢力に対抗して登場した新たな大衆運動の最重要の要素である。この闘いの結果が次の世代に影響を及ぼすことになる。
3・20へ、この日のために総力を!
ANSWER連合/アル・アワダ(パレスチナ帰還権連合)/アラブ・ムスリム・アメリカン連盟/自由パレスチナ連合/ムスリム・アメリカン・ソサエティー自由基金/ムスリム学生協会(米国・カナダ)/全米法律家協会/そして1500以上の団体・個人
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週刊『前進』(2142号5面2)(2004/03/22)
東北大弾圧 中野さんに有罪判決
法廷騒然、裁判長に怒り
3月4日午前10時、仙台地裁で全金本山労組の中野七郎書記次長に対する「傷害事件」デッチあげの判決公判が開かれ、本間裁判長は、まったく不当にも「罰金20万円」の有罪判決を下した。徹底弾劾する。
本間裁判長が判決を読み上げた瞬間、傍聴席から一斉に抗議の声が上がった。本間裁判長は「退廷」を乱発、全金本山労組・長谷武志委員長を始め4人が退廷させられた。廊下で待機していた支援者も反動判決の報に、裁判所内に響き渡る抗議のシュプレヒコールを上げた。裁判所職員が制止しようとするが、「こんなデタラメな判決がどうして許されるんだ」と抗議され、沈黙してしまった。
騒然とした状況の中で、本間裁判長は、か細く判決理由を読み上げた。判決は完全に破綻(はたん)した検察側の主張を引き写しただけの作文であり、無実の中野さんを罪に陥れることのみを目的にしたデタラメきわまりないものだ。
検察側の唯一の「証拠」である西森東北大教授自身の証言がウソにウソを重ねたものでしかないことは法廷で完全に明らかになった。中野さんの容疑とされた「後頭部外傷」について、西森は「『コブがあるね』と医者に言われた」と法廷で証言したが、診察した医師は「コブは認めなかった」と法廷で明言したのだ。ところが、判決では「もっぱら脳内に損傷を心配していた被害者にとっては些細(ささい)な部分に過ぎない」とし、西森の証言は「十分信用できる」と言ってのけたのだ。法廷での偽証が「些細な部分」なのか。すべては「有罪が先にありき」なのだ。
判決言い渡しが終わるやいなや傍聴席からもシュプレヒコールが巻きおこった。「全員退廷」と本間裁判長が指示を出すが、誰も一歩も動こうとはしない。デッチあげの張本人の仙台地検・宮本検事は顔を上げることもできない。裁判官は閉廷も宣告せず、逃げるように席を立っていった。
有朋(ゆうほう)寮の明け渡し訴訟を挟んで、11時半から不当判決弾劾の緊急集会が70人の参加でかちとられた。冒頭に長谷委員長が、求刑が「罰金20万円」と、検察自身が敗北を認めているような中で、司法が傷害事件ねつ造に加担したことは断じて許せないと不当判決を弾劾した。
中野七郎さんが発言に立ち、「裁判の何たるかが明らかになった。私は皆さんの支援があるから無罪まで争えるが、それができずに悔し涙を流している人も多くいる。そのような司法を許さないためにも断固闘う」と絶対に無実をかちとる決意が語られた。
権力犯罪を徹底的に暴き、控訴審闘争で中野さんの完全無罪をかちとろう。全国の350を超える労働組合から、中野さんの無罪を要求する団体署名が寄せられている。支援の力をさらに広げよう。全金本山闘争勝利、有朋寮廃寮阻止をともにかちとろう。
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週刊『前進』(2142号5面3)(2004/03/22)
3・28へ反対同盟が訴え(下)
成田の軍事空港化許さぬ
3・20とはセットだ 事務局次長 萩原進さん
小泉政権は、イラクへの自衛隊派兵を日本の航空会社を使って成田空港から出兵させたかった。ところが航空会社だけでなく成田空港からも拒否されて、陸自本隊を政府専用機で北海道の千歳空港から派兵するしかなかった。
イラクへの派兵を突破口に、小泉政権は、成田空港から自衛隊が大手をふって派兵する状況をつくりだし、その中で三里塚闘争をつぶそうとした。自衛隊や米軍が軍事基地として使える空港にしたいのだ。
小泉政権は、戦後日本の政治や経済、社会、教育などすべてをひっくり返して戦前のような戦時体制をつくろうとしている。こういう中で、三里塚闘争は、日本の階級闘争、反戦闘争の見地からみて非常に大きな位置をあらためて持ってきている。成田空港を軍事空港と規定して闘ってきた反対同盟のスローガンの正しさは明らかだ。
憲法違反とか自衛官が死ぬという次元ではなく、侵略戦争に対する原則的態度と闘いが必要だ。自衛隊はイラク・中東の人民に侵略の銃を向けることになる。一般の市民や子どもも殺すことになる。労働者人民が銃を向け、殺しあう構造を許してはならない。自衛官やその家族は怒りに満ちている。自衛隊員も殺される。反対同盟は、三里塚を土台に侵略戦争反対を闘う。
成田空港は4月の民営化を前に暫定滑走路の延長を狙っている。本来の南延伸は不可能だ。そこで北側延伸を打ち出し、農家を恫喝して追い出そうとしている。出て行かなければ工事に着工しようとしている。三里塚を軍事空港化する敵の戦略の中で、三里塚闘争は重要な時を迎えている。こうした情勢をちゃんととらえて原則的に闘わなければならない。
東峰神社裁判の勝利は、平行滑走路の完成を決定的破産に追い込んだ。その中で空港公団は北延伸に踏み出そうとしている。もはや南延伸は不可能だ。このままでは、成田空港の「地盤沈下」は必至だ。羽田空港のD滑走路や中部空港の開港で、アジア便や貨物便の展望はない。結局軍事空港にするしかない。
3月20日の首都・東京における10万人の闘いを爆発させ、3・28全国集会への大結集を呼びかけたい。両者の闘いはセットだ。労働者人民の闘いの高揚の中で、三里塚の闘いの前進は日本の将来を決める大きな闘いとなる。
イラク参戦と闘う 本部役員 鈴木幸司さん
日本のイラク侵略戦争参戦で、三里塚闘争も重大な局面に入っている。三里塚闘争ほど長期間、国家権力と実力で闘ってきた闘争はない。日本の社会が戦時下に入る中で、三里塚闘争の闘い方しだいで侵略戦争をめぐる状況は変わる。小泉政権がこのまま戦争に突入していったら大変だという闘いをつくる。いまほど重大な時期はない。
自衛隊が武装してイラクに行った意味は大きい。自分の従軍経験では、敗戦を迎えて武装解除されたときは、本当に人間としてダメになった気がした。武装しているときはまったく逆だった。だから、攻撃されなくても、必ず自衛隊側から攻撃することになる。武装した軍隊は、撃たれるまで待ってはいない。それでイラク人民を殺しても、大本営発表で向こうから発砲してきたと言うに決まっている。
そもそもイラク派兵そのものがおかしい。自衛隊が占領軍に加わるということだ。小泉政権は、法律から司法、教育、憲法まで全部変えようとしている。
教育基本法の改悪や「日の丸」「君が代」で戦前のような教育を復活させようとしている。おれらは、戦争に行くことが一番国のためと教育された。今の子どもたちにそういう教育を行おうとしている。教育は本当に恐ろしいものだ。靖国神社法案などというものも出てきている。自分も、近くの神社で開いた壮行会で「靖国神社で会いましょう」と言った。当時は、言葉だけでなく本当の真実のように思った。
市東さんの畑を取り上げようという攻撃は、今までにない攻撃だ。耕作者に関係なく土地を勝手に売買している。耕作者の権利も何もない。これがまかりとおるのであれば、世の中どうなるのか。天皇のため国のためと侵略戦争をやった戦前と同じだ。
菱田・中郷では、子や孫の代まで農業を続けるために成田用水が必要と言った連中がみんな出て行った。あれは闘争をやめて出て行く理屈だった。結局、農業も続けられなくなった。公団も計算づくでやった。しかしうちがいる限り、廃村にはならない。市東さんはもっとがんばっている。
3月20日は、全世界の人がイラク反戦で立ちあがる。これを起点に闘いを広げたい。イラクへの自衛隊派兵を止めさせ、成田空港の軍事空港化を絶対に許さない。3・28への大結集をお願いします。
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週刊『前進』(2142号5面4)(2004/03/22)
3・6大阪港 米軍艦入港に抗議
青年労働者ら800人結集
3月6日、午前8時半から、寒風吹きすさぶ大阪南港J岸壁で、大阪平和人権センター主催の米イージス艦「カーティス・ウィルバー」入港阻止闘争が闘われた。早朝から青年労働者を中心に800人が続々結集し、組合の赤旗が林立する中で集会が行われた。関西反戦共同行動委員会は合流して闘いぬいた。
今回入港する米軍艦は、横須賀を母港とするイージス・ミサイル駆逐艦である。「日米地位協定にもとづく通常入港」を口実とした、02年4月のブルーリッジ以来の米軍艦の大阪港入港だ。しかも、アフガニスタンでの軍事作戦に空母キティーホークの護衛艦として参加した軍艦である。
米帝のイラク侵略戦争の渦中で、民間港である大阪港に血塗られた軍艦が入港しようとすることに労働者は怒りをたたきつけた。岸壁の柵には「GET OUT!」「DON,T ATTACK IRAQ!」「BUSH NO」「NO WAR」などのプラカードが掲げられた。
集会では参加団体の代表が、次つぎと米英のイラク軍事占領、そして1千人の自衛隊を派兵し、イラク侵略戦争と軍事占領をおし進める小泉政権を弾劾し、日米安保そのものの粉砕まで闘う決意を表明した。
関西反戦共同行動委は3・20日比谷大結集を訴え、参加した労働者とともに「大阪港に軍艦はいらない」「大阪港軍港化に反対するぞ」「日本は戦争加担をやめろ」「有事法制粉砕」と、カーティス・ウィルバー入港に対して繰り返しシュプレヒコールをたたきつけた。
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週刊『前進』(2142号5面5)(2004/03/22)
(抜粋資料)有事関連法案の核心
9日に国会に提出された有事関連法案の核心部分である4法案の「要旨」の抜粋を資料として紹介します。(編集局)
■国民保護法案
第1 総則
1 通則
(1)国等の責務
国は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置の実施に関する国の方針を定め、これを実施する。地方公共団体は、国の方針に基づき、当該区域における措置を推進。国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、相互に連携協力しなければならない。国民は、協力を要請されたときは、必要な協力をするよう努めるものとする。
(2)配慮事項(略)
2 国、都道府県及び市町村が行う国民の保護のための措置
(1)国は、警報の発令、避難措置の指示、救援の指示、大規模または特殊な武力攻撃災害への対処などを行う。
(2)都道府県は、避難の指示、避難住民等の救援、武力攻撃災害の防除または拡大の防止などを行う。
(3)市町村は、警報の伝達、避難の誘導、武力攻撃災害に係る応急措置、消防などを行う。
3 国民の保護のための措置の実施体制
(1)内閣に設置される武力攻撃事態等対策本部は、国民の保護のための措置を総合的に推進する。
(2)閣議決定で指定を受けた地方公共団体の長は、都道府県対策本部または市町村対策本部を設置する。
(3)都道府県対策本部長または市町村対策本部長である地方公共団体の長は、国に対し、対処措置の実施の要請及び総合調整を行うことを要求できるほか、武力攻撃事態等対策本部長または都道府県対策本部長に対し、必要な情報の提供を求めることができる。
(4)都道府県知事は、防衛庁長官に対し、自衛隊の部隊等の派遣を要請できる。要請がない場合において緊急を要するときは、対策本部長は、防衛庁長官に対し、自衛隊の部隊等の派遣を求めることができる。また、市町村長は、都道府県知事に対し、自衛隊の部隊等の派遣を要請することを求めることができるほか、当該求めができないときは、国民の保護のための措置を円滑に実施するため必要な事項を防衛庁長官に連絡することができる。
4 国民の保護に関する国の基本指針
政府は、武力攻撃事態に備え、あらかじめ、国民の保護に関する基本指針を作成する。
5 国民保護に関する計画
基本指針に基づき、指定行政機関の長、地方公共団体の長並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護に関する計画または業務計画を作成(内閣総理大臣は必要な助言をすることができる)。
6 都道府県国民保護協議会・市町村国民保護協議会
都道府県及び市町村に、関係機関の代表者等からなる協議会を設置し、計画を諮問する。
第2 避難に関する措置
(1)対策本部長は、警報を発令
(2)対策本部長は、避難元及び避難先の関係都道府県知事に避難措置を指示
(3)都道府県知事は、市町村長を通じ住民に避難を指示(避難先、避難経路等を明示)
(4)市町村長は、避難実施要領で定めるところにより、市町村の職員(消防を含む)を指揮して、避難住民を誘導。警察、自衛隊等に、避難住民の誘導を要請
(5)内閣総理大臣は、避難の指示、避難住民の受け入れまたは避難住民の誘導が適切に行われない場合は、是正措置を講ずる。
第3 救援に関する措置
(1)対策本部長は都道府県知事に救援を指示する。
(2)救援の指示を受けた都道府県知事は避難住民及び被災者の救援収容施設の供与、食品の給与、生活必需品の給与、医療の提供等を実施する。
(3)都道府県知事は、@物資の生産、販売等を業とする者に対し、医薬品、食品等の緊急物資について保管を命令し、売り渡しを要請、A収容施設または臨時の医療施設を開設するため、同意を得て、土地、家屋または物資を使用、B医療関係者に医療の実施を要請する。
第4 武力攻撃災害への対処に関する措置
(1)国は地方公共団体と協力して、武力攻撃災害への対処に関する措置を的確かつ迅速に実施する。
(2)国民生活に影響を与える生活関連等施設の周辺の安全確保のため、立ち入り制限区域を指定し、内閣総理大臣は、関係大臣を指揮し、危険の防除、周辺住民の避難その他必要な措置を実施する。
(3)指定行政機関の長は、原子力事業者、危険物質取扱者等に対し、施設の使用の停止等を命ずることができる。
(4)内閣総理大臣は、放射性物質等による汚染への対処のため、関係大臣を指揮し、汚染原因物質の撤去、汚染の除去、被災者の救難及び救助その他必要な措置を実施する。
(5)市町村長または都道府県知事は、武力攻撃災害が発生するおそれがあるときは、応急措置として、退避の指示、警戒区域の設定等を実施する。
(6)消防庁長官は、都道府県知事等に対し、武力攻撃災害の防御等に関し指示できる。
(7)感染症予防法、検疫法、予防接種法、墓地埋葬法及び廃棄物処理法の特例措置。
第5 その他
(1)国は、生活関連物資等の価格安定、金銭債務の支払延期等を適切に実施する。
(2)都道府県公安委員会による緊急輸送の確保のための交通規制、車両の移動指示。
(3)指定行政機関の長等による避難、救援等に必要な物資及び資材の備蓄。
(4)都道府県知事は避難・救援のため、あらかじめ避難施設を指定する。
(5)指定行政機関の長等は、それぞれまたは共同して訓練を実施する。
(6)指定行政機関の長または都道府県知事は、医療関係者を識別するための赤十字標章等を交付または使用許可。また、国民の保護のための措置を行う者を識別するための国際的な特殊標章を交付または使用許可。
第6 財政上の措置等
(1)この法律の規定による収用その他の処分を受けた者に対し、損失を補償。国または地方公共団体は、要請を受けて協力した者が、死亡、負傷等したときは、損害を補償する。
第7 緊急対処事態に対処するための措置
(1)国は、緊急対処事態
(武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態または当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、国家として緊急に対処することにより国民を保護することが必要なものをいう)においては、緊急対処事態に関する対処方針を定めるとともに、その組織及び機能のすべてを挙げて自ら緊急対処保護措置を的確かつ迅速に実施し、緊急対処保護措置に関し国費により適切に措置。地方公共団体は、国の方針に基づき、当該地方公共団体の地域における措置を推進する。
(4)内閣総理大臣は、閣議にかけて、臨時に内閣に緊急対処事態対策本部を設置する。
(5)避難、救援、武力攻撃災害への対処、財政上の措置等に関する規定は、原則として緊急対処事態及び緊急対処保護措置について準用する。
第8 罰則
原子炉等による危険防止のための措置命令に従わなかった者、物資の保管命令に従わなかった者、交通規制、立ち入り制限等に従わなかった者は処罰する。
■米軍行動円滑化法案
一、目的
武力攻撃事態等において、日米安保条約に従ってわが国への外部からの武力攻撃を排除するため、必要な米軍の行動が円滑に実施されるための措置を定める。
一、政府の責務等
政府は的確、迅速に米軍の行動が実施されるための行動関連措置を実施し、わが国の平和と独立、国民の安全の確保に努める。
一、自治体などの責務
自治体や事業者は指定行政機関から行動関連措置に関し協力を要請されたときは、その要請に応じるよう努める。
一、米国との連絡
政府は日米安保条約に基づき、米国政府と常に緊密な連絡を保つよう努める。
一、自治体との連絡調整
政府は、米軍の行動などが自治体の実施する対処措置に影響を及ぼす恐れがあるときは、関係自治体との連絡調整を行う。
一、自衛隊による物品、役務の提供
首相は自衛隊の物品を米軍に提供できる▽防衛出動を命ぜられた自衛隊は、米軍に役務を提供できる。
一、武器の使用
自衛官は自己の生命の防護などのため武器の使用ができる。
一、損失の補償
通行の妨害となった車両や物件の破損など米軍の行為で損失を受けた場合、国が補償する。
一、土地使用など
首相は緊急時に米軍に供用するため、土地や家屋を使用することができる。 ▽家屋の形状変更も可能▽国は土地などの使用による損失を補償。
一、罰則
使用のための立ち入り検査を拒んだ者は、二十万円以下の罰金に処する。
■交通・通信利用法案
一、目的
武力攻撃事態などにおいて特定公共施設の利用について、指針を定めることで総合的な調整を図り、対処措置などの的確かつ迅速な実施を図る。
一、対策本部長の責務
対策本部の本部長(首相)は特定公共施設の利用に関する総合的な調整を図る際、国民の理解と協力を得て適切に行う。
一、港湾施設、飛行場施設、道路、海域、空域、電波の利用
対策本部長は対処基本方針に基づき、港湾施設、飛行場施設、道路、海域、空域、電波の利用に関する指針を定めることができる。
対策本部長は、特定の港湾施設と飛行場施設に関し、利用指針に基づき、その全部または一部を特定の者に優先的に利用させるよう要請できる。
首相は特定の港湾施設と飛行場施設について、対策本部長の要請に基づく利用が確保されない場合、港湾や飛行場施設の管理者に所要の利用を確保すべきと指示できる▽首相の指示でも利用が確保できない場合、首相は国土交通相を指揮し、港湾施設と飛行場施設の利用にかかわる許可の取り消しなどを行わせることができる▽首相は、許可の取り消しなどを行った場合、国土交通相を指揮し、停泊中の船舶、飛行機の移動を命じさせることができる。
海上保安庁長官は特定の海域の範囲、または期間を定めて航行できる船舶や時間を制限することができる。
国土交通相は、飛行禁止区域を設定するなどの措置を適切に実施しなければならない。
総務相は特定の無線通信を行う無線局に対し、免許条件の変更などを行うこと
ができる。
■外国軍用品等海上輸送規制法案
第1章 総則
武力攻撃事態に際して、わが国領海や周辺の公海での外国軍用品などの海上輸送を規制するため、海上自衛隊の部隊が実施する停船検査などの措置を定める。
第2章 外国軍用品などの海上輸送の規制
防衛庁長官は海上自衛隊に停船検査や回航措置を命じることができる。措置を命じるときは停船検査の実施区域を定めなければならない。
船舶の積み荷が大量破壊兵器のときは廃棄▽銃砲などの武器・弾薬のときは輸送停止▽外国軍用品などの海上輸送を反復して行う可能性のある船舶は航行停止。
第3章 外国軍用品審判所
防衛庁に船舶や積み荷の取り扱いの審判を行う外国軍用品審判所を臨時に置く。
第4章 停船検査と回航措置
一、艦長などは実施区域内の停船検査が可能▽停船検査のため接近、追尾、進路前方での待機などを行って繰り返し進行の停止を命じる▽船舶が停止したときは自衛官を乗り込ませ、書類や積み荷の検査を行わせる。
一、艦長などは積み荷の外国軍用品の引き渡しを求めることができる▽わが国の港に回航させることができる▽船舶がわが国の港に到着した際、艦長などは書類とともに事件を外国軍用品審判所に送致する。
一、自衛官は船舶が停止せず、乗組員が抵抗したり逃亡しようとする場合、武器の使用ができる。
第5章 審判手続き
一、外国軍用品審判所は、当該船舶の出港を一定期間禁止することができ、事件調査のため積み荷の留置、船舶への立ち入り検査などが可能。
一、外国軍用品審判所は審判の必要があるときは審判を開始する。
第6章 審判の執行(略)
第7章 補償
外国軍用品審判所が審判を開始しない決定をしたときは、船舶の所有者は国に損失補償を請求できる。
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週刊『前進』(2142号6面1)(2004/03/22)
東北春闘集会に参加 歴史動かせると確信 仙台 成瀬 透
「労働組合が闘いの先頭に立つ。労働者が歴史を動かせる」。春闘集会で私が抱いた感想を一言で言えばこうです。
2月29日、仙台で開かれた東北春闘集会は、元気と展望を私たちに与えてくれる集会でした。託児を終え、途中で集会に参加した私は参加者の多さにびっくり。近年の1・5倍の150人の参加で、立ち見の人もいました。
青柳充全金本山労組書記長の主催者あいさつの後、講演に立った航空労組連絡会副議長の村中哲也氏は、「9・11は世界を飛び回っている私たちにとって直接に職場の、仲間の問題だった」「アメリカの一国主義的な戦争によって虐げられた国の人びとがあのような手段で報復する。だから私たちは職場と生命を守るためにイラク派兵、有事法制に反対しているのです」
イラクへの自衛隊輸送を労働組合の反対を理由に日本航空と全日空が断ったことについて、「(自分たちの闘いを)誇らしく思っている」と語った村中氏は、平和の問題と労働者の権利の問題が一体であることについては「首を切られる労働者の痛みがわからない労組は平和の問題でもまばたき一つしない」(うーん、説得力があるなあ)。最後に3・20国際共同行動で歴史を変えていこうと熱く語られました。
東北各地からの闘争報告では、A労組の組合脱退との闘いの報告が印象に残っています。仲間の解雇撤回を闘う組合を脱退し、御用組合に合流していった人たちは、組合を脱退すれば強制配転の恐怖から逃れられることを正当化するために「身近な人を守れずに組合たりうるか」と言っていたそうです。「解雇された人のことをどう思うのか」と報告者は弾劾しました。
@生活が苦しくなっていることへの怒り、戦争への不安・怒りをかき立て、そのまま組織し、A労組での組織的取り組み・動員を徹底的に追求する。この二つをやりきったことが集会の画期的成功につながったと私は思っています。
党学校で『ドイツ・イデオロギー』を学ぶ 東京・西部 柿本理恵
党学校で2回に分けて行われた『ドイツ・イデオロギー』の学習会に参加しました。
私は今まで古典というのは、言葉も難しく、時代も違うのでとても理解しがたいものと思っていました。しかし、今回の学習会ではエンゲルスとマルクスがその時何を考え、何のためにこの書を書いたのかということが、まるでエンゲルスとマルクスが目の前にいるかのように再現して話されたので、少しこのプレッシャーが解消されました。
1回目では、それまでの神が世界をつくったという哲学を否定し、フォイエルバッハの「人間主義」を批判し、人間の歴史的行為が世界をつくっているという実践的唯物論を生み出すまでの苦闘が語られました。私はその時「ただ考えているだけでは何も変わらない。右にあるものを左へ動かさなかったら動かない」なんて当たり前のことで、「右のものを左に動かしたくて働きかけてもなかなか動かないのが現実」なのに、何故こんなに必死に格闘したのだろうと思って聞いていました。しかし、学習会が進むにつれ、人間が歴史をつくっているという観点でよく考えることが大事だと。たとえば、歴史の教科書には「法隆寺を建てたのは聖徳太子」と書かれていますが、実際に作業に携わったのは、多くの農民だし……。みたいなことがたくさんあるんだなあ。常に原典に帰って考えてみるってとても重要ですね。
プロレタリア世界革命を実践する立場からの読み解きとそうではない立場から読んだのではまったく意味が違っているという指摘=私たちと日本共産党やカクマル派との違いについても、これから活動するうえで重要だと思いました。
お話を聞いているときは「へぇ〜」の連続で、わかった気になれましたが、「これを自分で説明しろ」と言われるとなかなか大変です。今回学習したことを忘れないうちに、一度読み通したいと思います。
今年も学校に「申し入れ」に行きました 南大阪・民間労働者 幸田早苗
99年に国旗国歌法が制定されて以来、反対の申し入れを続けてきました。もう5年目。継続は力なりです。今年も地域の学校に行って来ました。
先生が忙しすぎる、親も生活が苦しい。そんな大人たちに囲まれて、子どもたちは競争に追い立てられる。こんな教育現場の仕上げが卒入学式での国旗掲揚(日の丸)、国歌斉唱(君が代)強制でしょうか?!
「いい加減にやめて!」子どもたちの悲鳴が聞こえてきそうです。教師の方々は、長時間労働と団結破壊の勤務評価を強いられているうえに、今までの人権教育を否定する「日の君」教育を強いられています。同じ労働者として、また親としてできる限りの連帯の行動をと、行って来ました。
A高校は護憲派?の民間校長で、「ごもっとも。憲法は守らなければならない」と物腰柔らかく私たちにこたえてくれました。「それだったら、強制しないよね」と心で思いつつ、式の前に「拒否する自由があること」を参加者に伝えてと、具体的に申し入れると、「いろいろな考えがあるので…ムニャムニャ」と否定的。「不当な圧力・右翼の暴力に屈しないで、先生たちと一緒に決めて下さい。子どもたちが主人公であることを忘れないで」とくぎをさす。「よくわかりました。いかなる暴力にも屈しません」とキッパリ返事されました。(ほんまやで!)
B高校では校長にアポとってなかったので会えず。組合の人には会えました。もちろん組合は反対。「はじめ作った式次第には『日の君』はなかったのに、後から校長が入ったのを持ってきた」とのこと。「がんばってください」とエールを送りました。
C中学の校長は「私もこんなことしたくない。しかし、ついこないだ賛成の人が(日の丸を壇上の正面に掲げろと)『申し入れ』に来た。学習指導要領を盾に言われると苦しい」「指導要領をめぐって最高裁で3回も負けているので法的な力を持ってしまっている。改正の運動をやって下さい」と要請されてしまいました。
その他、校長は教育行政に対する不満いっぱいで「子どもが荒れるのは教育の予算を削り、教師も少なすぎるから。必要のない大きな施設ばかり作って維持費で赤字になっている。教育にもっと金を使うべき」と、言いたいことが止まらない様子。管理者も苦労が多いようです。
ある高校の分会長は「現場の教師にとって重い問題になってきている。『旗一本のこと(こだわらんでも)ええやん』という風になってくる。申し入れはありがたい」と歓迎してもらって、職場休んで来たかいがあったと思いました。
今回は、戦争を体験され、ご自身が一途な軍国少年であった74歳の方が一緒に申し入れに参加してくださり、教育が国家によって軍国主義に統制された時の恐ろしさを、体験者の迫力で語ってくれました。母一人子一人なのに少年兵に志願し、日本が負けた時、地面をたたいて悔しがったことなど、「今思えば教育のせいだったと反省し運動している」と、校長たちも神妙に聞く以外ありませんでした。今後も、ともに地域でねばり強い運動をつくっていきたいと思います。
★読者の方から宅配便でレーニン全集、マルクス・エンゲルス全集を贈呈していただきました。有効に活用します。ありがとうございました。(編集局)
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週刊『前進』(2142号6面2)(2004/03/22)
政党機関紙と反戦ビラ配布で不当逮捕と捜索
戦時下の政治弾圧を許すな
日帝・小泉は、ついに陸海空の自衛隊3軍をイラクに派兵し、イラク侵略戦争へ本格的に参戦した。さらに、有事関連7法案と3条約・協定の国会審議を開始し、北朝鮮侵略戦争への体制強化を狙っている。
これに対応して国家権力は、戦時下の治安弾圧をエスカレートしてきた。
3月4日、警視庁公安部は「昨年11月の衆院選で、日曜日や休日に日本共産党の機関紙『赤旗』号外を自宅周辺に配布した」として、社会保険庁の労働者を国家公務員法102条(政治的行為の制限)違反の容疑で不当逮捕し、同党の千代田地区委員会など6カ所を家宅捜索した。翌5日には、本人を釈放の上、起訴した。
公務員は労働者であり、休日にひとりの市民としてビラを配布することは当然の権利である。公務員労働者の機関紙配布を狙い撃ちにしたこの弾圧は、反対政党の政治活動、選挙活動を認めないという攻撃だ。
2月27日、警視庁公安2課と立川署は「1月17日に陸上自衛隊東立川駐屯地の官舎に反戦ビラを配布した」ことを理由に、「住居侵入」容疑で立川自衛隊監視テント村の事務所など6カ所の家宅捜索を行い、3人を令状逮捕した。
誰もが自由にチラシを投函している郵便受けから、「派兵反対」のビラだけを取り出し弾圧するという攻撃である。
今こそすべての労働者人民は、外への侵略戦争と内への階級戦争に対する闘いに総決起しよう。戦時下の治安弾圧を粉砕しよう。
今回の弾圧の狙いは何か。それは、弾圧の特徴にはっきりと現れている。
第一の特徴は、労働者人民が支持する政党の機関紙を配布したり、自らの思想や信条をビラや号外として配布すること自体を圧殺することだ。究極の結社禁止法である共謀罪を先取りした攻撃だ。そもそも職場や地域や街頭で自由にビラを配布する権利は、戦後革命期に労働者人民が自らの血を流してかちとったものだ。それを憲法21条の内容として明文化させたのだ。
したがって、今回の弾圧は戦後憲法下の諸権利を剥奪(はくだつ)する実質的な改憲攻撃である。
第二の特徴は、労組法改悪と一体となって労働者の団結を破壊し、侵略戦争(国策)の担い手にすることだ。とりわけ公務員労働者に政治活動や選挙活動をやらせないという弾圧である。その上で現代の「赤紙」配達人を強制する攻撃だ。権力はさらにこうした弾圧をどんどん拡大することを狙っているのである。
公務員労働者は国家(地方)公務員法により、言論・政治活動をまったく不当に制限され、団体交渉権とストライキ権を剥奪されている。
しかし、公務員労働者は当然にも政治活動を行ってきた。自民党や公明党の公務員も機関紙やビラの配布を行っている。反対政党や革命党だけ弾圧してきているのである。
国鉄分割・民営化反対のストライキを貫徹し、28人もの不当解雇攻撃を受けながら、現在もJR資本を相手にストライキを武器に春闘を闘いぬく動労千葉のように闘うことが重要だ。
第三の特徴は、労働者人民を「逮捕されてもいいのか」と恫喝し、反戦闘争や労働運動へのあらゆる決起を抑圧することである。
しかしこの恫喝は日帝・小泉の強さの現れなのか。とんでもない。労働者人民の反戦運動や労働運動を根絶できないまま戦争に突入した日帝・小泉こそ追いつめられているのだ。
戦時下での資本攻勢との闘いや反戦運動では、不当逮捕も恐れず闘うことが必要だ。弾圧は断じて許せないが、その覚悟を持った時、ひとつの弾圧や1枚のビラが数百、数千の労働者人民の決起を促すのだ。
2月21日、北海道・旭川で全学連副委員長の不当逮捕をのりこえて闘い、完全黙秘・非転向で奪還した陸自本隊派兵阻止闘争を見よ。迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の須賀、十亀、板垣、福嶋の4同志の闘いが示しているように、革命党が不屈・非転向で闘いぬく限り、どのような弾圧も労働者人民の決起を押しとどめることはできない。
一連の弾圧は、直接的にはイラク反戦の高揚に冷や水を浴びせ、3・20日比谷10万人決起をなんとかして押しとどめようとする日帝・小泉の予防弾圧として行われたことは明白である。したがって労働者人民の最大の反撃は、3・20日比谷10万人行動を実現し、「自衛隊のイラク軍事占領弾劾! 今すぐ撤兵せよ」の声を日帝・小泉に突きつけることである。
すべての労働者人民は、3・20総決起で日帝・小泉政権打倒に突き進もう。
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週刊『前進』(2142号6面3)(2004/03/22)
共謀罪新設阻止を
国会提出に東西で反撃
2月20日、法務省が共謀罪法案を国会に再提出した。これに直ちに反撃する闘いとして大阪と東京で集会を開き、共謀罪の4月衆院可決阻止へ総決起することを宣言した。
★2・28大阪 大阪では2月28日、全国金属機械労組港合同と組対法に反対する全国ネットが共催し、共謀罪粉砕・強制執行妨害罪厳罰化阻止の集会が港合同で開かれた。港合同、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の労働者など60人が参加した。
司会は港合同。最初に港合同の辻岡尚執行委員から決意と提起を受けた。東京から小田原紀雄さんが「共謀罪・警察増強・イラク派兵」のテーマで発言、「イラク派兵状況の中で国内の運動への弾圧が強まっている。その頂点にある共謀罪こそ労働運動弾圧の旗頭だ。絶対阻止しよう」と訴えた。
その後、「強制執行妨害罪重罰化は何を狙う」というテーマで大阪弁護士会の永嶋靖久弁護士から提起を受けた。永嶋さんは「懲役と罰金が重くなっている。今まで刑罰の対象でなかったものが犯罪にされている。これは争議、闘う労働組合をつぶす攻撃だ。団結権を奪う攻撃であり、共謀罪と一体のものとしてある」と指摘し、反対闘争への決起を訴えた。
最後に、静岡の仲間が取り組みの現状を話し、関西生コンが本隊派兵時のスト決起を報告した。
★3・4東京 3月4日、早稲田奉仕園で破防法・組対法に反対する共同行動主催の「共謀罪新設阻止! 共同行動総決起集会」が開かれ、つめかけた参加者で会場は満杯になった。
冒頭、自衛隊官舎へのビラ配布を口実に不当逮捕された3人への支援が訴えられた。続いて共同行動事務局が基調報告、「共謀罪4月衆院可決阻止を最大の山場として全力で闘おう」と総決起方針を呼びかけた。
これを受けて、全金本山労働組合、全国労組交流センター、争団連、日本基督教団労働組合、派兵反対実の各団体が決意表明した。全金本山は、デッチあげ傷害罪と闘う中野書記次長の裁判で「罰金20万円」の不当判決が出されたことを報告し、黙秘権を否定した裁判長を弾劾した。全国労組交流センターは、共謀罪粉砕の決意とともに動労千葉2月指名ストライキ闘争の勝利の地平を報告した。
新屋達之さん(立正大学助教授)が「共謀罪制定で警察はどう変わるか」というテーマで特別報告。新屋さんは、共謀罪は労働運動や反体制運動への弾圧の有力な手段となると批判し、警察監視・相互監視社会がもたらされると危機感を訴えた。
最後に連帯のアピールが行われた。「在日アジア労働者と共に闘う会」は、外国人排除攻撃の激化と「密告制度」による弾圧強化を弾劾した。4・11緊急共同集会実行委員会から小田原紀雄さんが発言し、共謀罪粉砕の大衆運動として4・11緊急共同集会への大結集を呼びかけた。
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週刊『前進』(2142号6面4)(2004/03/22)
3・8国際婦人デー集会 “3・20で歴史つくる”
戦争・資本攻勢と女性は闘う
3月6日夕、「世界の女たちの思いはひとつ! とめなきゃ戦争! 守ろう!いのち・くらし・権利」をスローガンに04年3・8国際婦人デー集会が東京・渋谷で開かれました。婦人民主クラブ全国協議会と東京労組交流センター女性部が3・8国際婦人デー実行委の中心となりました。集会には181人が詰めかけました。「私たちが戦争をとめる」「今行動しよう!」の思い、3・20大結集への決意がひとつになったと実感しました。
主催者としてあいさつした婦民全国協の西村綾子代表は、3・8国際婦人デーの歴史を踏まえ、自衛隊のイラク派兵や吹き荒れる資本攻勢に対し、「これを変える国際連帯の力を私たちは手にしています。きょうの集まり、そして3・20の日比谷をその大きな第一歩にしよう」と呼びかけました。
メイン企画は、航空労組連絡会議長の内田妙子さん、アメリカのANSWER(戦争を止め人種差別をなくすために今すぐ行動しよう)連合のフィービー・エクフェルトさんのお話。日米の闘う女性からの教訓に富んだ提起でした。
内田さんは、「取り戻せ労働条件! 築こう空の安全!」を掲げて取り組んだ3・5総行動を報告し、「陸・海・空・港湾20団体の一員として有事法制に反対してきましたが、新聞労連の明珍委員長と医労連の田中委員長と私の女性3人で、いのちを守るという一点で自衛隊のイラク派遣中止を呼びかけました。考えてから行動していては遅い。考えながら行動しよう。議論よりも行動」と、3・20大結集を訴えました。
内田さんは続いて、「働く女性の権利が脅かされている」と、子どものいる客室乗務員を月に1〜10日しか乗務させない日本航空の攻撃を怒りを込めて暴露しました。福岡を拠点にする航空会社ハーレクイーンでは、解雇通告に怒った客室乗務員が「都合のいい女はもうたくさんだ」「組合しかない」と2月20日に組合を結成したそうです。勝利の報告に会場がわきたちました。
「女性は社会的地位ゆえに、戦争に抗して最も戦闘的に闘うのです。なぜなら私たちは失うものは何もなく、獲得するものはすべてだからです」と語り始めたフィービーさんは、イラク侵略戦争は「同時に、貧しい人びとと労働者に対するアメリカでの戦争、国内での戦争、女性たちに対する戦争です」と説き明かしました。
フィービーさんは、労働者の闘いの歴史、3・8婦人デーの女性たちの闘いを振り返り、「3月20日に私たち全世界の2000万人は、歴史をつくるのです。歴史は大統領選挙ではなく街頭でつくられることは明らかです」と断言。「3月20日に再び世界を震撼(しんかん)させましょう!」「日本の米軍基地を追い出せ! イラク侵略をやめろ!」とこぶしを突き上げました。
集会の後半は、13人の女性たちのリレートーク、それぞれの視点から語られた一言一言が最高に刺激的、感動的でした。
忍草母の会の天野美恵さんが「米軍と自衛隊をたたきつぶしたい」と発言し、部落解放同盟全国連杉並支部、全国沖縄青年委員会、そして入管収容所問題に取り組んでいる人がそれぞれの視点で問題を提起しました。「日の丸・君が代」との闘いを教育労働者が訴え、動労千葉家族会は高揚感にあふれて動労千葉ストを語りました。さらに自治体労働者、民間労働者、医療労働者が怒りをもって職場の実態を暴露し、日々の闘いを報告しました。
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並親の会、「障害者」の母親、弾圧と闘う家族、そして婦民全国協の丹治孝子さんが、戦争体験者として「あの戦争の恐怖は二度と誰にも体験させたくない。生涯、反戦を貫く決意です」ときっぱり。
最後に東京労組交流センター女性部部長の長谷川ユキさんが3・20日比谷10万人反戦集会への大結集を呼びかけました。みんなでインターナショナルを合唱! 3時間の集会でしたが一言も聞き逃しては損という充実した集会でした。
(投稿 土岐いずみ)
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週刊『前進』(2142号6面5)(2004/03/22)
判決公判
☆水嶋秀樹同志判決
3月17日(水)午後1時30分
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志判決
3月25日(木)午後1時15分
*いずれも東京地裁
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