ZENSHIN 2004/02/23(No2138 p06)

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第2138号の目次

“イラク派兵やめろ!ストップ有事法制!”
「守ろう!平和といのち2・13大集会」(主催・同実行委員会)が東京・明治公園で開かれ、1万2000人が大結集した。全国港湾の代表がイラクへの軍事物資輸送阻止の室蘭闘争を訴えた(2月13日)

1面の画像
(1面)
陸自派兵阻止から3・20へ
動労千葉ストライキと連帯し3・6春闘集会に総決起しよう
小泉=奥田の賃下げ・年金改悪粉砕を
記事を読む  
動労千葉 指名ストに断固突入
不当配転粉砕の“総力戦”へ(2月10日、大沢康)
記事を読む  
集会要綱 記事を読む  
(2面)
国労弾圧 8被告を迎え全国集会
無罪かちとり国労再生へ 「コクロウ・エイト」に熱い拍手(2月10日)
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国労弾圧公判
検察立証は破産した 「中核派が演壇占拠」で墓穴(2月10日)
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動労千葉指名スト
組合に体を預ける 配転拒否者が強い決意
業務命令拒否し 次々突入 04春闘と3・20総決起へ先陣(2月9日)
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自治労中央委
3・20全国結集を決定 春闘方針転換に批判続出(1月29、30日)
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(3面)
04春闘 大失業に加え大幅賃下げ
“生活水準きり下げろ” 奥田と経労委報告に反撃を(中)(湯村宏則)
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電機連合中央委を弾劾する
労組が終身雇用解体方針(1月29日、30日、飯村健二)
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団結権破壊する労組法改悪 不当労働行為追及の道閉ざす 記事を読む  
交流センター第11回総会
3・20 10万人結集へ 労組の責任勢力に(1月31日、2月1日)
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(4面)
有事7法案絶対阻止へ
米日帝の北朝鮮侵略戦争を大前提とした「国民保護法」
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イラクへの兵員輸送 日航・全日空が断る 記事を読む  
東京部落解放研究集会
全国連大会の成功へ 組織建設の方向確認(2月8日)
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日誌’04 2月4日〜10日
北朝鮮への制裁法案が成立 イラク派兵を参院でも追認
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(5面)
有事法制や年金改悪 超反動法案に反撃を
通常国会の攻防点は何か
労組法改悪・共謀罪新設も 3・20大爆発で粉砕へ
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共謀罪再提出阻止を 戦時下の団結・結社禁止法 記事を読む  
世界の労働運動 韓国
派兵・FTA批准阻む 2・9 国会を2万人が包囲(室田順子)
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改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第6部 総動員体制(5) 産業報国会
労働者の階級的団結を根絶(野田利一)
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
退くことはできないこれからが本番だ 東京 教育労働者 片岡良美
監視カメラと共謀罪人民支配に反撃を 東京 名木良智
国鉄分割・民営化との闘いに頭が下がる 関東 民間労働者 大村泰之
日本共産党を離党し今は清々しい気持ち 宮部弘子
『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 組合権力を取る気で読めば無限の宝庫だ 関東 自治体労働者 鎌本隆生
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『前進』武器に3・20組織化を 戦時下の労働者細胞建設へ
2〜3月『前進』拡大アピール 前進経営局
記事を読む  
2・27反核東京集会へ ビキニ被爆の抹殺許すな 記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2138号1面1)(2004/02/23)

陸自派兵阻止から3・20へ
動労千葉ストライキと連帯し3・6春闘集会に総決起しよう
 小泉=奥田の賃下げ・年金改悪粉砕を

“イラク派兵やめろ!ストップ有事法制!”
「守ろう!平和といのち2・13大集会」(主催・同実行委員会)が東京・明治公園で開かれ、1万2000人が大結集した。全国港湾の代表がイラクへの軍事物資輸送阻止の室蘭闘争を訴えた(2月13日)

 日本帝国主義・小泉政権の自衛隊イラク派兵の強行に対して、すべての労働者階級人民の怒りを爆発させ、3・20日比谷野外音楽堂への総結集をかちとろう。日本中の労働者人民のすべての怒り、すべての反戦の意志を3・20首都に根こそぎ集めよう。日帝が新たな15年戦争に突入する歴史的なこの時に立ち上がらなかったら、人民の闘いは圧殺されてしまう。3・20の10万人大結集によって、日帝国家権力、ブルジョアジーと労働者階級人民の力関係を逆転し、闘いの新しい時代を切り開くのだ。そしてこの3・20大爆発を切り開くものとして、2〜3月、旭川を始めとする自衛隊出兵阻止の現地闘争を闘いぬこう。小泉=奥田路線と対決し、動労千葉のストライキを先頭に、3・6東京の首都圏春闘討論集会に総結集しよう。春闘の階級的戦闘的爆発をかちとり、3・20大結集に向かおう。

 第1章 大量破壊兵器は完全なウソ

 米英日帝国主義によるイラク侵略戦争の開戦「3・20」から1年目を前にして、イラク人民・ムスリム人民の民族解放闘争、反米ゲリラ戦争は一層強まっている。それは、米帝の侵略戦争と軍事占領がいかに理不尽で反人民的なものであるかを日々告発している。
 米帝がイラク攻撃開始の最大の口実とした「大量破壊兵器(WMD)の存在」はまったくウソだったことが今やあまりにもはっきりした。米政府の調査団長だったデビッド・ケイが「WMDの証拠は一切なく、保有していると判断した米情報当局の分析は誤りだった」と米上院軍事委公聴会で証言したのだ。ケイは、「WMD疑惑」の破産がはっきりした昨年6月になってブッシュが送り込んだ新たな調査団だ。そんな工作までしても、ないものを「ある」とねつ造することはできなかった。
 こんな途方もないウソで米帝は開戦に踏み切り、小泉は「問題は大量破壊兵器を保持するイラクの脅威にどう対峙するかだ」と言って真っ先に米帝を支持したのだ。そしてその結果起こったことは何か。米英帝の大量破壊兵器をフル動員して、イラク人民の頭上に雨あられと爆弾を降り注ぎ、何千人、何万人もの人民を大量虐殺したのである。
 日帝・関東軍による柳条湖事件、ベトナム侵略戦争でのトンキン湾事件など、いつも侵略戦争強行の結論が先にあり、そのためにどんな卑劣なデッチあげも平然とやるのが帝国主義というものだ。
 まさにこの戦争は、帝国主義の侵略戦争である。フセイン政権を転覆し、イラクを植民地支配し、中東石油支配を独占するための戦争である。何の正義性もない。帝国主義間の対立を極限化し、ついには世界戦争にいたる戦争の始まりなのである。それは、帝国主義として延命するためには不可避の戦争である。帝国主義を打倒することによってしか阻止することはできない。だから、どんなに破産しても、ベトナム以上の泥沼化がはっきりしていても、米帝はイラクから手を引くことはできないのだ。
 米帝の、北朝鮮に対するあらゆる排外主義宣伝も、スターリン主義の反人民性を逆手にとった、北朝鮮侵略戦争を強行するためのウソとデマである。

 第2章 空前の国際反戦闘争爆発を

 このイラクに、日帝は自衛隊を次々と送り込んでいるのだ。2月8日、陸上自衛隊本隊第1陣がサマワに入った。9日には参議院でイラク派兵承認案が可決された。ついに日帝は、泥沼的な侵略戦争、世界戦争の過程に深々と突入した。
 小泉がいくら「人道復興支援だ」とか「戦争ではない」と取り繕おうとも、自衛隊がCPA(米占領当局)のもとで、占領軍の一翼としてイラク侵略戦争に参戦し軍事占領に加わることは明白である。
 日帝は陸海空の3自衛隊をさみだれ的に出兵させることで、なしくずし的に人民に押しつけようとしているのだ。これ自体が派兵阻止闘争の高揚におびえる日帝のこそくなやり方だ。
 出兵する自衛隊幹部が「誇らしげに」マスコミに登場し、愛国主義をあおり「日の丸」の旗に送られて出兵することが演出されている。実に戦慄(せんりつ)すべき事態だ。かつての15年戦争と同じ光景だ。
 小泉は、この出兵にあわせて、靖国神社参拝を強行し、「A級戦犯合祀は問題ない」と発言し、「憲法は現実に合わせて変えた方がいい」と国会で答弁している。さらに、日露戦争開戦百周年として、中曽根や鳩山由紀夫ら超党派議員が集団で明治神宮を参拝し、日露戦争をたたえている。だが、旅順でロシアの艦隊と衝突した1904年2月8日の同じ日に、日本軍は韓国・仁川に上陸し、朝鮮植民地支配の一歩を印しているのだ。明らかに日本とロシアの帝国主義戦争であった日露戦争を賛美することは絶対に許されない。まさに今、日帝が米帝に加担して侵略戦争に参戦しつつあるからこそ、侵略戦争、帝国主義戦争の歴史の賛美が帝国主義者どもによって行われているのだ。
 日帝のイラク派兵が、朝鮮・中国・アジア人民にとって、どれほど恐るべき脅威として受けとめられているかを想像してみよ。
 日帝は、北朝鮮侵略戦争に突入していくためにも、また中東における石油利権、支配権を求めるためにも、帝国主義であるかぎり他の選択肢がないものとして、イラク出兵に踏み切ったのだ。日帝は、今国会で「国民保護法制」など有事関連7法案の強行を図り、有事法制を完成させて北朝鮮に対する米日帝の侵略戦争に伴う戦争動員体制を整えようとしている。イラク侵略戦争と国民保護法制は一体のものであり、絶対に粉砕しなければならない。
 北朝鮮侵略戦争に向かっての攻撃は、排外主義宣伝とともに激化している。外国為替法改悪は、北朝鮮への経済制裁法であり、侵略戦争の開始そのものだ。国会では社民党も含めて挙国一致的に賛成して成立した(社民党は衆院で賛成、参院で棄権)。特定外国船舶入港禁止法案も提出予定だ。また、入管法が今国会で再改悪されようとしている。戦時下の入管体制が圧倒的に強められている。
 日帝・小泉はそれがどんなに理不尽で、大義がなくても、これ以外の道がないものとして、侵略戦争に突入した。だとするならば、戦争をやらなければ延命できない帝国主義権力は、労働者人民が決起して打倒する以外にないではないか。
 イラク侵略戦争、自衛隊派兵に反対する3・20大行動は、米英占領軍と不屈に闘うイラク人民、イスラエルによる壁建設と虐殺に抗して闘うパレスチナ人民と連帯した、全世界労働者人民の共同の国際反戦大統一行動だ。アメリカでもイギリスでも、そして戦闘部隊が増派されようとしている韓国でも、昨年2・15大ウエーブを上回る闘いが巻き起ころうとしている。
 この闘いとしっかり結びつき、国際連帯を一層強め、米帝ブッシュ、英帝ブレア、日帝・小泉を打倒する闘いとして、3・20への根こそぎの決起を実現しよう。この闘いに労働者階級の全力を投入することで、階級的力関係の大転換をかちとろう。

 第3章 経労委報告と対決し04春闘に決起しよう

 今、この不正義の侵略戦争に対して、全国いたるところで、闘いの息吹が高揚し、闘いのうねりが巻き起こり始めている。それは地殻変動的な流動情勢と言える。昨年8月の自治労大会での「21世紀宣言」否決、11・9労働者国際連帯集会の高揚、12・23教育基本法改悪反対集会への5000人大結集、そして今年1・25日比谷野音の6000人大集会への労働組合の大挙結集。さらに呉(海自)、小牧(空自)、旭川―北海道(陸自)の出兵拠点での、自衛隊兵士・家族を揺るがし、市民を巻き込んでの大衆的な反撃の闘い。
 これらは、労働者階級人民の中に猛然と怒りと危機感が高まり広がっていることを示している。歴史的な侵略戦争突入の中で、国論は真っ二つに割れ、政府が「大義」を語れずに立往生し、いわば「銃後」は騒然たる抗議に包まれている。日帝のカクマルを使った労働者支配、連合を使った労働者支配は完全に崩壊した。階級支配の危機の中で、労働者階級の側に、千載一遇のチャンスがある。
 この大衆的な闘いの高揚の始まりは、日帝・小泉と日本経団連・奥田を先頭とするブルジョアジーの資本攻勢の激しさに対する怒りと結びついている。
 日帝は「外への侵略戦争」と同時に「内への階級戦争」を推し進めているのだ。侵略戦争に突入する帝国主義は、国内の階級支配の完成と「挙国一致」に全力を挙げてくる。
 日本経団連経営労働政策委員会が昨年末発表した「04年版経労委報告」は、「東アジア自由経済圏の確立」を真っ向から叫んで北朝鮮・中国・アジア侵略をあおるとともに、労働者に向かっては定昇廃止とベースダウンを押しつけ、「春闘の終焉(しゅうえん)」を宣言する、むき出しの資本の要求を並べたものである。
 春闘においても、戦争に突入したブルジョアジーとして、奥田は居丈高に定昇解体、賃下げ、生活水準の見直しを打ち出している。
 政府は10日、年金改革法案を閣議決定し、国会に提出した。大幅賃下げと同じ質の攻撃が年金においても加えられている。日帝・ブルジョアジーはもはや労働者階級を食わせていくことも、生活させることも、年金を維持することもできなくなり、自らの延命にのみきゅうきゅうとしている。そして、日帝は労働者の団結権の解体、闘う労働組合の破壊に全力を挙げ、戦時下の労働運動の産業報国会化をめざしている。
 その最も激しい攻撃が今、動労千葉に襲いかかっている。定年を間近にした運転士の強制配転攻撃、士職登用拒否の差別攻撃に対する怒りの反撃が始まった。このJR当局のあからさまな動労千葉つぶしの攻撃に対して、10日から指名ストと非協力闘争が始まった。反合運転保安闘争として3・13ダイヤ改定をめぐる攻防に突入している。全労働者の先頭に立って闘いをリードする動労千葉に学び、「動労千葉のように闘おう」を合言葉に、労働者の総決起をかちとろう。
 さらに、1年3カ月もの未決勾留をついに打ち破って国労5・27臨大闘争弾圧の8被告が奪還されたことは、国鉄決戦にとって、労働者の階級的反撃にとって、素晴らしい積極的な意味をもっている。関西の国労組合員5人の仲間は、保釈後直ちに職場復帰をかちとり、国労組合員だけでなく他組合の労働者からも大歓迎され、不屈非転向の労働者としての圧倒的な権威をかちとっている。
 この8被告を先頭に無罪戦取・国労再生に向かっての闘いが新たに始まったのだ。原則的、階級的、国際的に闘うものにのみ勝利の展望が開ける。このことに確信をもって闘おう。3・6春闘集会の大成功、3・20の10万人総決起の実現へ全力で前進しよう。3・20へ労組の組織動員をかちとろう。イラク派兵反対の署名を広げよう。街宣に立って決起を訴えよう。
 闘う青年労働者は、マルクス主義青年労働者同盟に結集し、労働運動の戦闘的再生に向かって最先頭でともに闘おう。闘う学生は3・20に全国から総決起し、全人民の先頭に立とう。

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週刊『前進』(2138号1面2)(2004/02/23)

動労千葉 指名ストに断固突入 不当配転粉砕の“総力戦”へ

<font size="4"><b><font color="#CC6633" size="5">動労千葉 </font></b></font><font color="#CC6633" size="5"><b>指名ストに断固突入<font color="#CC6633">(2月9日 千葉駅前)
動労千葉 指名ストに断固突入 不当配転粉砕の“総力戦”へ
スト突入を目前に緊急集会を開催した後、JR東日本千葉支社への抗議行動に向けて「不当配転撤回!」とシュプレヒコールを上げる動労千葉組合員(2月9日 千葉駅前)

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は2月10日、指名ストライキと全本線運転士などを対象にした「非協力闘争」に突入した。03春闘の先陣を切り、3・13ダイヤ改定の山場を待たずに1カ月前倒しして「総力戦突入」を決断したのだ。
 指名ストの対象者は千葉運転区のH運転士。Hさんは、2月2日に千葉運転区から幕張電車区木更津支区への異動の事前通知を受け、これを断固として拒否し、動労千葉の争議通知に基づいて、10日午前0時を期して断固としてストに突入した。Hさんは58歳で1年半後には定年を迎える。電車運転士であるHさんに、定年間際になって、気動車(ディーゼル車)の運転をさせようというのだ。まったく不当な強制配転であり、組織破壊攻撃だ。動労千葉は、新たな不当配転の事前通知が行われた場合や、運転士資格保有者の士職発令が行われない場合などには、ストライキを拡大する、とJR千葉支社に通知している。動労千葉に対する差別、不当な労務政策への総反撃の闘いである。
 この闘いは、イラク戦争下で小泉=奥田路線と真っ向から対決する「戦時下の労働運動」の最も鋭い切っ先であり、国鉄―JR労働運動の地殻変動的情勢に躍り込み、JR資本とJR総連カクマルの結託体制を打倒し、国鉄1047名闘争の勝利を切り開く闘いだ。動労千葉の断固とした闘いに連帯し、04春闘に総決起しよう。動労千葉主催の3・6首都圏討論集会へ、何よりも3・20日比谷の国際反戦闘争の空前の大結集へ、ともに闘おう。
(本紙・大沢 康、2面に関係記事

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週刊『前進』(2138号1面3)(2004/02/23)

 集会要綱

 イラクへの陸自本隊派兵阻止
 旭川現地闘争
 2月20日(金)
 午前10時 花咲スポーツ公園駐車場
 午前11時 駐屯地一周デモ
 午後 旭川駐屯地申し入れ行動
 主催 反戦共同行動委員会

 千歳現地闘争
 2月21日(土)
 午前9時グリーンベルト・ポエム広場
 午後0時半(上同)
 主催 反戦共同行動委員会

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週刊『前進』(2138号2面1)(2004/02/23)

国労弾圧 8被告を迎え全国集会
 無罪かちとり国労再生へ 「コクロウ・エイト」に熱い拍手

 2月10日、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、東京・文京区民センターで「保釈から無罪、国労再生へ!2・10全国集会」を開催した。被告の保釈後初の全国集会は喜びと熱気に包まれた。完全黙秘・非転向を貫く不屈の戦士として世界に名をはせた「コクロウ・エイト」が勢ぞろいし、国労再生―労働運動の階級的再生への出発点を築いた。265人の参加者は無罪獲得への決意を固めた。
 集会には、この日の公判闘争を闘いぬいた8被告全員が参加した。被告が弁護団とともに会場に姿を現すと、熱い拍手がわき上がった。闘病のためしばらく公判出廷を控えていた東元(あずまはじめ)被告も明るい顔を見せている。
 壇上に並んだ8被告は、自分たちを権力に売った国労本部を弾劾し、国労再生の本格的な闘いに立つ決意を述べた(発言別掲)。保釈を実現した勝利の上に、さらなる闘いへの熱意に燃える被告たちは、まさに日本の労働運動が生みだした誇るべき労働者だ。
 富田益行被告、原田隆司被告、向山和光被告の家族が支援へのお礼を述べた。「涙、怒り、苦しみの長い1年3カ月だったが、家族も強くなった」「こういう問題が起きて自分も成長し、歩む道を見いだした」という発言が参加者の胸を打った。被告家族の闘いは、獄中の被告と反弾圧闘争を支えた原動力だった。
 集会の冒頭には、国鉄闘争支援者が「事件現場」を撮影し、杉並で押収されたビデオテープが上映された。そこに映っているのは、被告たちの真剣な説得活動だ。参加者はあらためて被告の無実を確信した。
 許さない会呼びかけ発起人で弁護団長の佐藤昭夫さんがあいさつに立ち、「本日は被告を迎えて全国集会が開かれ、本当にうれしい」と切りだした。1月31日の国労中央委員会に際して、被告たちが国労本部に申し入れに行った時の本部側の不誠実な対応を弾劾し、「許さない会の目的のひとつである被告の保釈は実現できた。無実・無罪をかちとる、弾圧の不当性を広く訴えるという二つの目的が残っている。弾圧は国労本部が仕組んだことははっきりしている。これを広く知らせ、無実・無罪をかちとり、国労を立て直そう」と呼びかけた。
 同じく呼びかけ発起人の宮島尚史弁護士が「ビデオを初めて見たが、被告の行為は暴力行為とはほど遠い。これからが闘いの本番だ」と発言した。
 呼びかけ発起人で国労九州本部前書記長の手嶋浩一さんが「この弾圧を許せば、全日本の労働者が根こそぎ立ち上がれなくされる。絶対に無罪を」と熱を込めて訴えた。
 一瀬敬一郎主任弁護人が、この日の公判で勝利に向けての大きな足がかりを築いたことを報告し、「弁護団は無罪に責任を持つ。そのために全力を尽くしたい。だが主戦場は法廷外。許さない会が広がれば勝てる」と奮起を促した。
 国労新橋支部の吉野元久さんが「8人がわれわれとともにいる。情勢は一変した。闘いの広がりで酒田執行部に引導を渡す」と宣言した。動労千葉の滝口誠共闘部長は、この日から動労千葉が指名ストに入っていることを報告した。デッチあげ弾圧と闘う全金本山の中野七郎書記次長が、ともに闘い、自らの無罪をかちとる決意を述べた。関西から駆けつけた全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男(コヨンナム)副委員長が「弾圧すればするほど運動は激しくなると権力に分からせる闘いを」と檄(げき)を飛ばした。
 集会のまとめをした許さない会の山川博康事務局次長は「8名の保釈を実現した勝利を確認したい。無罪をかちとるためには壮大な闘いが必要だ。そのためにも時代を一変させる闘いとして3・20日比谷野音に総決起しよう。許さない会の発展もその中にある」と当面の行動方針を提起した。

 被告の発言 「職場復帰し闘っている」

■松崎博己被告(九州本部小倉地区闘争団)
 自分の組合から売られ、自分で頑張るしかなかった時に、許さない会を結成していただき、大きな力になりました。しかし、許さない会をさらに広げないと弾圧は打ち破れません。
 関西では、被告が職場に帰ったら仲間が握手してくる。われわれは闘ったからだ。JR総連は7人が逮捕され保釈されたが、職場復帰していない。彼らは資本と闘っていないからだ。
 弾圧の中で、家族は今までやったこともないのにマイクを握り署名をとった。彼女たちに学び、国労再生へ、今までやれなかったこともやっていく決意です。
■羽廣憲被告(九州本部小倉地区闘争団)
 これからが本番の勝負です。国労を闘う国労につくりかえることに人生をかける。許さない会をもっと大きくすれば必ず勝利できます。全力で闘います。
■橘日出夫被告(南近畿地本奈良電車区分会)
 職場復帰し、組合を問わず大歓迎されています。職場の仲間に励まされ、連日飲み会が続いています。自分が職場に行くと周りが明るく元気になる。そういう存在と自覚しています。
 勝利の展望は無罪と国労再生以外にない。日本の労働運動全体をつくり変える闘いに踏み出します。
■原田隆司被告(近畿地本豊岡分会)
 今日も2、3回、涙を流しました。闘争団の闘いのビデオは涙なくして見られない。藤保さんの決起に負けない覚悟で頑張りたい。
 家族には1年迷惑をかけたが、息子は弾圧があって自分も成長できたと言ってくれて、涙が出ました。
■富田益行被告(近畿地本兵庫保線分会)
 一日一日勝利して帰ってきました。革同が強い職場だが、その人たちも「よく頑張った」と握手を求めてきます。まだ国労は腐っていない。だが酒田執行部では本当に腐ってしまう。これを打倒し、国労再生の闘いの先頭に立ちます。
■東元被告(近畿地本環状地域分会)
 一番苦しかったのは起訴の前ごろ。子どもがいじめられていると毎日言われ、落ち込んだ。面会に来た弁護士から「私もうつ病の経験がある。あなたには二つの道がある。しゃべっても頑張ってもいい」と言われ、突き放されて、おれも頑張らなあかんと思った。病気とも闘いながら、仲間とともに全力で闘います。
■小泉伸被告(近畿地本貨物分会)
 皆さんのおかげで保釈をかちとりました。無罪をかちとり、国労の再生と世界の労働運動の階級的発展のために闘います。
■向山和光被告(国鉄闘争支援者)
 勝利のために必要なのは、原則的に筋を曲げず闘うことです。7人の国労組合員の闘いを見てつくづく思いました。イラク戦争に日本が参戦したが、3・20で情勢を変える。その先頭で闘うことを決意します。

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週刊『前進』(2138号2面2)(2004/02/23)

国労弾圧公判 検察立証は破産した 「中核派が演壇占拠」で墓穴

 この日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で行われた国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第19回公判は、「被害者」として出廷した石井勝幸・国労本部会計監査員の証言をめぐって激しい攻防の場になった。
 冒頭、佐藤昭夫弁護人が「被告の4党合意反対の活動が国労を重大な変質から救った」と意見を述べた。
 富田益行被告が「酒田執行部は警察権力と一体となり、国労を警察労働運動に転落させている。国労組合員として、正当な権利としての組合活動を続ける」ときっぱりと宣言した。
 弁護団は、被告の無罪を立証するため、また石井証人への反対尋問に必要だとして、00年7・1臨大、8・26続開臨大、10月定期大会を記録したビデオプレス制作の3本のビデオテープを証拠申請した。検察官も異議を述べず、裁判長は証拠採用を決定した。
 さらに弁護団は、検察側が「被害者」として証人に立てている石井勝幸、池田久幸、江田雄次の各証人について、弁護側からも証人申請し、国鉄分割・民営化以降の経過についての証言を求めると申し立てた。裁判長は判断を留保した。

 被告の正義示す7・1臨大ビデオ

 証拠採用された3本のビデオのうち、7・1臨大を記録した『国労第66回臨時大会ドキュメント』が上映された。被告・傍聴者はもとより裁判官も食い入るように画面に見入った。音威子府闘争団家族の藤保美年子さんが演壇から訴えるシーンになると、涙をぬぐう被告もいた。4党合意に反対して闘ってきた被告たちの正義は、このビデオによっても明白になった。
 裁判長が石井証人の尋問に入ると述べると、古田浩史検事が証人尋問の時間を短縮したいと言い始めた。「犯行に至る経緯等」について聞く予定だったが、7・1臨大のビデオが上映されたからその必要はなくなったというのだ。
 だが、7・1臨大ビデオで検察側立証を代替できるわけがない。検察側の冒頭陳述には「犯行に至る経緯等」として「中核派は……闘争団の一部を取り込み、国労全国大会会場内で演壇を占拠するなどの議事妨害をした」と書かれている。
 弁護団がすかさず追及の手を上げた。一瀬敬一郎主任弁護人が「冒頭陳述の『犯行に至る経緯等』はどう立証するのか」と問いただした。検事は「『国労50年史』、大会議事録などで立証する」と居直った。だが、それではこの立証は不可能だ。大口昭彦弁護人が「検事の訴訟態度は卑劣千万。冒頭陳述の『犯行に至る経緯等』は全面削除せよ」と怒りをぶつけた。
 その勢いに押された青柳裁判長は、「犯行に至る経緯について、今後どう立証するのか明らかにせよ」と検事に命じた。だが、検事は立証計画を明らかにできない。検察側の描くストーリーは、もはや崩壊寸前の惨状を呈している。

 組合員売り渡し居直る石井証人

 石井証人が入廷した。被告たちの鋭い視線を浴びてうなだれている。石井証人は検事に誘導され、「富田君にネクタイをつかまれ引っ張り回された」とか「東君に右腕を首に巻き付けられて引っ張られた」とか言い張った。その暴行場面が写っているとして、検事は鈴木勉法対部長が撮影したビデオと杉並から押収されたビデオを再生した。だが、映像からは暴行の事実は分からない。
 検事が最後に、石井証人に被告への感情を述べさせた。彼は「考えが違うからと暴力を振るうことは絶対あってはならない。これは組合の内部問題ではない」「国労方針への外部からの介入は絶対に許せない」と言い放った。だが、警察への組合員の売り渡しこそ暴力だ。自民党に言われて闘争団を処分し、機動隊を大会に引き入れるのは、外部介入そのものだ。法廷は強い怒りに包まれた。
 この日、本部派は鈴木法対部長がただ一人、傍聴券抽選所に現れたが、法廷にも入れずに引き揚げた。
 次回公判(2月24日)は石井証人への反対尋問が行われる。8被告の無罪獲得へさらに闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2138号2面3)(2004/02/23)

動労千葉指名スト 組合に体を預ける 配転拒否者が強い決意
 業務命令拒否し 次々突入 04春闘と3・20総決起へ先陣

 許せない定年間際での配転

 動労千葉は、スト突入を目前にした2月9日午後6時から千葉市内のDC会館で緊急総決起集会を開催した。100人を超す組合員が駆けつけ、緊迫感が満ちた。
 「本部の方針によって敢然と明日0時から指名ストに入らせていただきます」
 集会でスト突入者のHさんが力を込めて語ると、大きな拍手が起きた。
 「2日に区長に呼ばれ、1枚の紙切れを持っていたので、『ふざけんじゃねえ』と拒否した。区長は『転勤が決まりました。事前通知を申し上げます』と。すぐに本部に来て、委員長に『もう頭に来た。組合に体を預ける』と言った以上、引き下がれない。3日が最後の乗務になった。こんなことをされたら、いつ事故を起こすか分からない。私が黙って木更津に行けば問題は先送りとなる。ここで闘わなければ。よろしくお願いします」
 労働者の誇りがにじむ。Hさんは、国鉄時代からずっと千葉運転区に勤務する電車運転士だ。10年前に2カ月間、木更津に助勤で行ったことがあるが、気動車運転はその時だけ。運転は自らと乗客の命を預かる大切な業務だ。JRは、それをも顧みずに、しかも「55歳以上は配転の対象としない」と言い続けてきたにもかかわらず、ただただ動労千葉の要求を押しつぶすために、このような理不尽な配転通知を強行したのだ。
 木更津支区では、1月22日に1人の労働者が亡くなり、欠員が出た。木更津には、運転士資格を持っていながら20年間も運転士に発令されない予科生の組合員がいる。動労千葉は直ちにその組合員の運転士発令を求めた。だが、千葉支社は「車掌を経験してから」というJR発足後の昇進制度を理由にして拒否した。
 今回の木更津の欠員は予測できない事態だったが、今後、定年退職が続出し、要員を補充しなければ業務そのものが維持できなくなる。特に幕張電車区などの検修職場では3年間で3分の1が退職する「大量退職時代」に入る。国鉄分割・民営化攻撃以来、当局は、カクマルとの結託体制のもとで、動労千葉組合員を運転職場からはずす強制配転や、士職に登用しないなどの不当な労務政策を続けてきた。しかし動労千葉の団結が維持されているため、検修職場に「平成採」を入れることができす、技術力を持った労働者が退職すれば、技術継承もできない。気動車運転士の養成もしていないため、欠員が出れば動労千葉の組合員から補充せざるを得ない。このことは、動労千葉にとっても大変な事態であるが、それ以上に、資本にとっての危機なのである。
 昨年12月15日の習志野電車区廃止に際して、動労千葉がストに立ったため、千葉支社は強制配転者の原職復帰などを「検討する」と言わざるを得なかった。
 だが、千葉支社は、あくまでも不当な労務政策を続けようというのだ。だから動労千葉は、今回の不当配転を「宣戦布告」ととらえ、反撃の総力戦を決断したのだ。別掲の「争議行為に関する通知」のとおり、場合によっては、全組合員を対象にストを拡大するという方針だ。

 「長期闘争」も辞さない構え

 田中康宏委員長は、「この闘争は、分割・民営化に決着をつける闘いだ。当局は、1047名の解雇撤回と並ぶ17年間の懸案要求を拒否した。分割・民営化に対して首をかけて闘ったように、腹を据えて闘う。われわれは血を流すことを恐れない。あいまいにしない。新たな配転の事前通知があれば、さらに指名ストに入れる。全面ストをも辞さない。この闘争の渦中で戦争と大失業の時代に通用する団結をつくりたい。万全の闘争体制をとってほしい」と、並々ならぬ決意を披瀝(ひれき)した。
 10日、Hさんの指名スト突入に続いて、千葉運転区で2人の運転士が指名ストに入った。これは、総武快速線が東京に乗り入れる際に、従来のATC(自動列車制御装置)からATS―P(自動列車停止装置)に替わるため、その取り扱いの訓練を予備勤務者にやらせる業務指示を出したためだ。11日にも館山運転区で3人が指名ストに入った。当局が休日労働を指示してきたためだ。追いつめられたJRは「運休が出るかもしれない」と駅に掲示せざるを得なくなっている。
 動労千葉は、あえて長期闘争も辞さない構えで総力戦に入った。動労千葉にとっても、かつてない闘いだ。そのような闘いができるのは、固い団結を維持してきたからだ。資本の激しい攻撃も、「大量退職時代」も、資本の側の危機だと見抜き、動労千葉にとってチャンスととらえ、反転攻勢に立つのだ。
 さらに、動労千葉が04春闘の最大の山場に設定した3・13ダイ改阻止に向けた反合・運転保安確立の闘いである。(前号2面参照)

 国鉄闘争情勢を転換させる

 そして、動労千葉がこうした総力戦を決断したのは、04年がイラク侵略戦争―世界戦争の開始という情勢の中で歴史的な階級戦の年となっているからである。ついに始まった労働運動の地殻変動情勢の中で3・20国際反戦闘争に10万人の大結集がかちとられようとしている。ここに階級的力関係を変える転換点がある。
 動労千葉の2〜3月闘争は、この労働者階級の新たなうねりに巨大なインパクトを与え、3・20大統一行動を促進するものとなる。そこに動労千葉も勝負をかけている。
 さらに、国鉄1047名闘争を堅持・発展させる闘いである。JR総連カクマルの分裂が決定的段階に入り、一方で、1・31国労中央委をとおして国労の危機が進行している。
 このような中で、動労千葉の闘いは、1047名闘争と国鉄労働運動を再生させる闘いなのだ。保釈・就労をかちとった国労5・27臨大闘争弾圧被告を先頭とする反弾圧闘争と、この動労千葉の闘いを武器に、今こそ国労を再生させよう。
 今回の動労千葉の闘争は、1人の労働者の配転をきっかけとした闘いだが、まさに「一人は万人のために、万人は一人のために」という労働組合の原則を貫く闘いである。同時にそれは、賃労働と資本の対立をはっきりさせ、階級的団結の強化・拡大を総括軸にして闘うという、マルクス主義に基づいた労働運動の真骨頂をなすものである。
 動労千葉の2〜3月総力戦闘争を断固支援し、連帯し、ともに04春闘勝利、3・20国際反戦闘争に総決起しよう。

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■争議行為に関する通知

1.争議行為の日時
 2004年2月10日午前零時以降当分の間。
2.対象者及び形態
(1)千葉運転区・H君を対象とした指名ストライキ
(2)全本線運転士及び、幕張電車区木更津支区・館山運転区・銚子運転区の交番担当、指導員を対象として、休日及び時間外労働、勤務変更、所定以外の作業は一切行わない。
3.なお、次の場合は、直ちに前項の(1)及び(2)の対象者を拡大する。ストライキの拡大については、全組合員を対象とすることを含む。
(1)新たな不当配転の事前通知が行われた場合。
(2)早急に運転士資格保有者の士職発令が行われない場合。
(3)勤務変更や所定以外の業務に関する業務命令が行われた場合。
(4)職場からの排除、警察権力の導入、組織破壊行為、不当労働行為及びストライキ妨害行為が行われたと判断した場合。

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週刊『前進』(2138号2面4)(2004/02/23)

自治労中央委 3・20全国結集を決定 春闘方針転換に批判続出

 自治労第128回中央委員会が1月29、30日、東京の九段会館で開催された。昨年8月の横浜大会で「自治労21世紀宣言」がいったん否決されて以降、最初の全国機関会議であり、きわめて重要な中央委員会となった。
 焦点の第一は、新綱領「21世紀宣言」を採択した自治労がいかなる施策を打ち出してくるのかである。

 「国の基本問題検討委」を設置

 中央委員会は運動方針として、横浜定期大会および続開大会で決定した方針に基づき自治労本部に「国の基本問題検討委員会」を設置する方針を打ち出した。
 「国の基本問題」とは、憲法問題や安全保障問題、環境権などを挙げているが、核心は自治労が改憲論議に加わる道筋をつくるということである。05年5月の中央委員会までにまとめて8月の定期大会に諮ることになった。責任者は岡部副委員長。岡部は草野連合事務局長や内閣調査官らとともに、有事法制に賛成した03年の連合「5・16見解」をまとめた張本人だ。
 これに対して、自治労の反対派13県本部のまとめ役である道見新潟県本部委員長が「『国の基本問題検討委員会』で何を検討するのか。設置は危険である」と反対を強く主張した。中央本部は「9条を始め憲法の積極的平和主義を守るのは自治労の組合としての立場である」と繰り返し、押し切った。中央本部は「21世紀宣言」のもと、自治労を改憲への道に巻き込もうとしているのだ。

 統一要求否定の個別賃金に怒り

 焦点の第二は、「新しい春闘方針」である。
 自治労中央は、すでに電機連合が先行し、連合が春闘で方針化した「個別賃金要求をベースとした銘柄別賃金水準の社会化・横断化を行い、職種別賃金へ」という年功賃金解体方針を一挙に全面的に導入した。
 連合04春闘方針は、連合評価委員会報告が連合、産別、単組、地方の役割分担を強く打ち出し、個別賃金方針の徹底を決めたことを受け、一層の産別優先、単組判断の個別賃金方針となっている。
 自治労は、この連合04春闘方針にのっとり、今回初めて公務員賃金にも銘柄別賃金を要求したのである。具体的には、自治労モデル賃金を行政職、技能職、看護職、福祉職の各職群ごとに設定し、年齢別にポイントごとの到達目標を設定したのである。
 これに対して、「統一要求を放棄して、代表職群のポイント賃金などというのは、一律賃上げを基本としてきた公務員賃闘にはなじまない」「差別賃金の固定化だ」「春季賃金闘争の放棄・解体方針である」などの反対意見が続出した。県本部によっては、産別自決を許さず、統一賃金要求を地場中小とともに掲げて、春闘結集の闘いを始めている。本部答弁へのやじの中で、自治労04春闘方針は各県本部から一斉にそっぽをむかれたのだ。

 日比谷野音に1万人の動員を

 焦点の第三は、「自衛隊のイラク派遣に抗議し、即時中止を求める決議」が出されたことである。
 新潟、静岡、茨城、沖縄、秋田、香川などの県本部が軒並みイラク派兵阻止行動をもっと積極的にやれと発言した。
 これに対する榎本書記長の本部答弁はきわめて歯切れが悪かった。しかし、全国労組交流センターに結集する中央委員が「航空や海員など、直接戦争にかかわる労働組合と幅広い共闘を組んで、イラク派兵阻止闘争を格段にエスカレートして取り組むべきだ」と断固とした意見を表明すると、君島副委員長は「イラク派遣が歴史的事態であるという認識はまったく同感である。1月25日の日比谷野音の集会に人見委員長、山口政治局長などと参加したが、他グループなどとの共闘の必要性を痛感している」と答弁し、3・20日比谷野外音楽堂総結集が運動方針として採決された。労組交流センターに結集する闘う労働者の正しい提起が中央本部を動かしたのだ。
 自衛隊イラク派兵阻止、有事法制反対、小泉政権=連合中央打倒を掲げて日比谷野音に自治体労働者1万人総結集を実現しよう。
 続開大会後、自治労組合員は2万人も激減した。組織内参院選候補に対しては散漫な拍手しかなかった。闘わない自治労本部への求心力はますます低下しているのだ。
 もはや連合自治労にとって代わる新しい執行部、新しい闘う団結体をつくり出すことしか打開の道はない。すでに開始された動労千葉のストを支持・防衛・連帯し、04春闘を闘おう。その最大の集約点として3・20イラク反戦国際行動の10万人結集を実現しよう。自治体労働者は、組合旗を林立させ、1万人の部隊を登場させ、小泉=連合中央打倒の巨大なうねりをつくり出そう。

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週刊『前進』(2138号3面1)(2004/02/23)

04春闘 大失業に加え大幅賃下げ “生活水準きり下げろ”
 奥田と経労委報告に反撃を(中)

 侵略戦争に突入した日帝の資本攻勢の方針書である「04年版経労委報告」を徹底的に暴露・粉砕しよう。前回は、経労委報告の責任者、日本経団連会長・奥田碩(ひろし)の最近の暴言を取り上げ、資本攻勢が従来とは完全に一変したことを暴露した。世界恐慌への突入と帝国主義間争闘戦の激化の中で日帝は、自衛隊イラク派兵と労働者階級への資本攻勢で延命しようとあがいている。敵の凶暴性は危機の現れだ。動労千葉の決起に続き、3・6春闘集会と3・20の10万人決起で反転攻勢の出発点を築こう。

 「多様性」とは終身雇用制の完全な解体だ

 奥田の「生活を見直せ」という暴言に象徴されているように、日帝は労働者階級を食わせられなくなっている。だからこそ一線を画する大失業と賃下げ攻撃に踏み込んできているのだ。昨年12月16日に日本経団連が発表した「04年版経営労働政策委員会報告(経労委報告)」はその方針書だ。
 経労委報告は、第1部でFTA(自由貿易協定)での立ち後れに対する危機感を絶叫し、「東アジア自由経済圏」構築への反動的飛躍、すなわち小泉=奥田路線を宣言している。
 その上で第2部「雇用・人材育成・労使関係」で終身雇用制解体と賃下げ攻撃を展開している。
 第一に雇用については、結局のところ「企業の発展なくして雇用はない」として、労働者階級のための雇用対策としての雇用対策を完全に放棄することを開き直っている。その上で、雇用を流動化させ、多様な働き方(非正規雇用のことだ)を容易にするために労働法制を改悪するのが雇用対策だと主張している。
 つまり95年の日経連「新時代の『日本的経営』」路線をより露骨に推進して終身雇用制を徹底的に解体し、大部分の労働者を不安定雇用にたたき込んで資本が生き残ることが「雇用対策」だというのだ。こんなペテンがあるか。
 昨年の経労委報告と比較すると、このことはよりはっきりする。昨年は政府に要求する「緊急雇用対策」を列挙している。これも今年と同様「雇用の流動化促進」方針なのだが、失業への労働者の怒りの反撃を恐れて、政府に各種交付金の支出を要求している。ところが今年はそのような要求がまったくない。具体的雇用対策の記述が皆無なのだ。つまり、“中途半端な雇用対策はやめよう。その結果、労働者階級はのたれ死んでもかまわない”と言っているのだ。西友の指名解雇攻撃を見よ。この中に今回の経労委報告の凶暴さが凝縮して現れている。

 デフレ口実に付加価値原理へ原理的転換

 第二に賃金については、今年の経労委報告は大幅賃下げをもっともらしく主張するために、「デフレ下における賃金決定の考え方」と題して、「デフレ下においても決定的に重要となるのは、売り上げが落ちても付加価値が減らない経営である」「付加価値を維持・向上できなければ、人件費も減らさざるをえない」「付加価値生産性の上昇率がマイナスになれば、人件費を減らすという覚悟で賃金決定を行う」などと言っている。
 これは、“デフレで売り上げ額が減っても賃金が一定ならば資本の受け取りが減って企業の競争力が落ちる。企業が生き残るためには賃下げを認めろ”という乱暴きわまる理屈である。
 経労委報告は争闘戦での敗勢的現実を開き直り的に主張し、“企業が倒産しては元も子もない”などという資本の延命のための論理を押し通そうとしている。労働者の生活をまったく無視したこの暴論を無理に押し通そうとするところから、“労働者は持ち家を持つな。子どもを大学にやるな。身分相応の生活をしろ”という奥田暴言が出てくるのだ。
 一切の価値の源泉は労働者の生きた労働である。労働者階級は生産手段を奪われているために、自らの労働力を資本に売ることで賃金=生活費を得て生きるしかない。資本は、この労働者階級の生きた労働が生み出す剰余価値を搾取して肥え太る存在である。労働者階級は、革命に勝利して社会の主人公となり、剰余価値を搾取する資本主義的生産様式を廃絶し、搾取も抑圧もない社会を建設する歴史的使命を持った階級である。
 売り上げが減ったからといって賃金削減を認めていたら、労働者階級は自ら生活することも、家族を養って次の世代を養うこともできなくなる。労働者階級を食わせることができなくなったということは、資本家が支配階級としての歴史的生命力をすでに喪失し、資本主義・帝国主義が腐り果て、打倒されるしかなくなっているということだ。
 労働者階級は資本家など存在しなくても自ら生産と分配を管理する力を有している。このことはパリ・コミューンの勝利とロシア革命の勝利で証明済みの世界史的な真理である。支配階級として失格を自認した資本家を労働者階級の団結した力で打倒し、労働者階級人民の新しい社会をつくろう。
 旧日経連は、戦後の高度成長期における労働者階級の春闘を頂点とする賃金闘争の爆発を抑え込むために、労働運動の側のさまざまな生活給要求に対して「生産性基準原理」なるものを対置してきた。これ自身、“賃上げは資本の生産性向上の枠内にすべき”として大幅賃上げ要求を抑え込むための反動的主張だが、一応は賃上げを前提にした賃金論であった。
 だが、今回の経労委報告で、日帝は賃金についてこの「生産性基準原理」すら投げ捨て、賃下げと生活水準の切り下げを意味する〈付加価値原理>に原理的に転換した。1930年代の情勢がラセン的に再来したのだ。
 支配階級としての立場の放棄をも意味するこの原理的転換は何を意味するか。
 彼らは「デフレに対応するため」だと主張する。デフレとは「経済規模が縮小し、企業の売り上げや利益も減少していく」ことだとしている。これは世界恐慌過程への突入を意味する。
 97−98年のアジア危機の爆発をきっかけとして全世界が29年世界大恐慌を上回る世界恐慌過程に突入した。恐慌にあえぐ日帝はこの数年間、労働者階級への暴力的襲撃とも言える大失業と賃下げの攻撃をしかけてきた。資本のリストラ・首切りによって失業率はこの5年間で4・1%から5・3%と1ポイント以上も上昇した。また賃金はこの5年間下がり続けている。
 これでもあきたらず、さらに労働者階級を犠牲にして資本が生き延びようとして打ち出したのが今回の〈付加価値原理>だ。これこそ恐慌下でのより凶暴な資本攻勢を「理論化」しようというものであり、労働者階級にとって徹底粉砕の対象だ。

 労働者階級への襲撃に怒り燃やし3・20へ

 経労委報告のタイトル『高付加価値経営と多様性人材立国への道』の意味するものは今や明白である。
 それは、「高付加価値」を掲げて、労働者階級に〈付加価値原理>を押しつけ、年功賃金を解体してベースダウン(一律大幅賃下げ)攻撃に踏み込むことであり、「多様性」を掲げて労働者階級の団結を解体してばらばらにし、終身雇用を解体して全労働者階級を不安定雇用にたたき込むこと、賃金も職種別のばらばらの差別賃金にすることを意味しているのだ。
 この攻撃は日帝・小泉の自衛隊イラク派兵と一体である。支配階級として一線を越えたこの攻撃に対して、連合、全労連の制動を打ち破って日本の労働者階級の根底的な決起が始まっている。この日本の労働者階級の怒りの決起は、全世界の労働者2000万人決起と一体だ。
 04春闘は世界恐慌過程への突入がもたらす労働者人民への攻撃との攻防として歴史的に決定的な春闘になろうとしている。労働者階級の根源的な怒りをつかみ取り、それと深々と結合しよう。動労千葉はJR資本の組織破壊攻撃にストライキで反撃に立ち上がった。動労千葉の3・13ダイ改粉砕闘争を突破口に、04春闘を職場で組織し、3・20の10万人決起をかちとろう。)
 (湯村宏則)

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週刊『前進』(2138号3面2)(2004/02/23)

電機連合中央委を弾劾する 労組が終身雇用解体方針

 電機連合は、1月29日〜30日に第90回中央委員会を開催し、04春闘(2004年総合労働条件改善闘争)方針を決定した。「ベースアップを要求する環境にはない」として3年連続でベア要求を放棄し、労働組合自らが終身雇用制解体を提案する第6次産業政策を決定した。電機連合中央が進めてきた「春闘改革」という名の「春闘解体」方針が今や連合全体のものになろうとしている。電機連合中央を打倒する闘いは労働者階級全体の課題だ。04春闘をストライキで闘おう。3・20イラク反戦国際行動に決起しよう。

 定昇廃止を引き出した電機連合

 日本経団連は、昨年12月16日、経営側の春闘方針として「2004年版経営労働政策委員会報告」を発表した。その中で「『春闘』は終焉(しゅうえん)した。今後は、……企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討するという『春討』、『春季労使協議』へと変えていく」と居丈高に春闘解体を宣言している。さらに「ベースアップは論外であり、……定期昇給の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象」と公言し、戦後初めてベースダウン(一律賃下げ)を宣言した。その上「雇用形態の多様化」と称して不安定雇用化を徹底的に進めようとしている。また、年金制度の改悪や消費税の大幅引き上げを主張している。
 経労委報告は、日帝の帝国主義間争闘戦における立ち後れに対して激しい危機感をもって、「東アジア自由経済圏の確立」を主張している。そして、国家が危機だからと「賃金」も「雇用」も「社会保障」も今までのやり方を根底からひっくり返し、すべてを奪いつくす攻撃に踏み込んできている。日帝は労働者を食わせられないところまで危機を深めているのだ。
 これに対して電機連合中央は電機労働者の切実な要求を踏みにじって、今年も「ベア要求」を放棄し、第6次産業政策を決定して経労委路線の先兵となった。
 電機産別では、03春闘で「賃金体系維持」の妥結直後に多くの単組で定昇凍結や賃金カットの嵐(あらし)が吹き荒れた。さらに昨年末以降、日立製作所や松下電器産業、三菱電機などで定昇解体が相次いで発表されており、これが全産業に広がろうとしている。これらの一連の事態は、電機連合の承認なしにはありえない。
 賃金闘争における電機連合中央の裏切りはこれにとどまらない。電機連合中央の職種別賃金の主張は、定昇解体を推進する反動的賃金闘争方針である。
 経労委報告の定昇解体・ベースダウンの方針は、この電機連合中央の一連の裏切りを受けて打ち出されたものだ。電機連合中央の裏切りで日本の全労働者階級が定昇解体・賃下げ攻撃にさらされている。電機連合の裏切りは全労働者階級の怒りの対象だ。

 「生涯1社」雇用からの転換表明

 今中央委員会で決定した第6次産業政策は、労働組合自らが終身雇用制解体を提案するというとんでもない内容である。
 それは、「電機産業の競争力強化」を中心テーマに“国家や企業が危機だ。それを救うためには競争力を回復するしかない。そのためには労働者は犠牲になろう”という代物だ。労組が日本経団連とまったく同じ立場から産業政策を資本に提案している。これは労組としての自己否定を意味する。そしてその方針の具体化こそ、「雇用の流動化が必要だ」などと言って首切りに労組が積極的に加担する「電機産業職業アカデミー構想」なのだ。
 特に「新たな長期安定雇用政策」の項では、従来の「生涯1社」を中心とした雇用政策からの転換を打ち出し、「人生二毛作三毛作」などと言って、“二度も三度も首を切られろ”と主張している。これこそ、終身雇用制解体を労組自らが要求するものだ。
 さらに、「国際最適分業体制の構築」の項では、今まで主張してきた「海外展開は認めつつも、いかに国内にとどまらせるかにウェイトをおく」から転換して、「海外とりわけ中国での現地生産の拡大」を主張している。なんということだ。これでは奥田ビジョンの言う「メイド・バイ・ジャパン戦略」や「東アジア自由経済圏」構想そのものではないか。電機連合中央は、中国での自動車生産に踏み切ったトヨタ自動車の会長でもある奥田と完全に一体化しているのだ。
 さらに年金改革では、日本経団連より早く消費税アップを提案した。
 電機連合中央の裏切りは連合の中でも際立っている。04年版「連合白書」は「電機連合では『電機産業アカデミー構想』と『職種別賃金の研究』が具体化されるなど先進的な取り組みは既に始まっている」などと電機連合方針を全面賛美している。自治労を見よ。電機連合の反動方針が連合全体の方針になろうとしている。電機連合中央を打倒して闘う労働組合をよみがえらせることは急務だ。

 “生活できない” 電機労働者の声

 電機労働者は、このままでは生活できない、生きていけない現実に直面している。
 昨年、電機連合が実施した生活実態調査でも「出向」「転居を伴う転勤」「職種転換」「転籍」「希望退職」がいずれも4割前後の職場で行われ、40歳代後半では「希望退職」の不安が多くなっている。電機労働者の賃金は2000年以来減り続けており、中小企業と大企業の賃金格差が拡大している。03年の一時金は産別ミニマム基準(年間4カ月)に満たない組合が4割にも及んでいる。
 さらに深刻なのは赤字世帯が増えており、40歳以上で4割を超えていることだ。これは加齢に従って支出が増えていることを示しており、加齢とともに賃上げが必要ということを示している。定昇解体は労働者階級にとって絶対に受け入れることはできない。
 定昇を解体して成果主義賃金や職種・職能賃金を導入する策動は、職場に分断と競争を持ち込み、労働組合にとって最も重要な団結を破壊する。一律大幅賃上げ要求こそ、職場の団結を打ち固める唯一の賃金闘争方針だ。
 労働組合が闘わなくなった結果、極限的な人減らしリストラが進行し、安全対策がおろそかになり、電機職場でも労災死亡事故が急増している。経労委報告も「ここ1年間、従来ほとんど起こらなかった工場での大規模な事故が頻発している」と、危機感をもって言わなければならないほどである。労働者階級は、闘わなければ殺される現実に直面しているのだ。
 今こそ職場から闘う労働組合を再生することが待ったなしに問われている。04年春闘を職場労働者の切実な声を結集し、首切りリストラ絶対反対・一律大幅賃上げ要求を掲げて闘おう。3・20の10万人決起を実現しよう。これが実現すれば情勢は一変する。電機労働者はこの闘いに合流し、ともに立ち上がる決意だ。
 (飯村健二)

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週刊『前進』(2138号3面3)(2004/02/23)

団結権破壊する労組法改悪 不当労働行為追及の道閉ざす

 「審査迅速化」で労働委制度解体

 昨年12月、厚生労働省の労働政策審議会(労政審)は、「労働委員会の審査迅速化を図るための方策について」と題する建議をまとめ、労働組合法改悪に向けての基本方針を打ち出した。小泉政権は、これをもとに今国会に労働組合法改悪案を提出しようとしている。それは、労働法制の核心にある団結権をめぐって、本格的な攻防が開始されたことを意味している。
 労組法は、日帝の敗戦直後の1945年に制定され、戦後革命期の激動を押し開く一要因になった。その後、48年に公務員労働者が労組法の適用外に置かれ、49年には労組法が大幅に改定された。これらの攻撃の上に50年朝鮮戦争があった。今日、イラク派兵情勢のただ中で労組法改悪が浮上したことは、けっして偶然ではない。労組法改悪は、教育基本法の改悪と並んで、改憲へと直結する攻撃なのである。
 労働委員会は本来、不当労働行為を受けた労働者が、わずらわしい手続きにとらわれることなく、救済を求めることのできる機関である。だからそれは、「労働者の駆け込み寺」と言われてきた。
 不当労働行為と闘う姿勢を堅持する労働組合にとって、労働委員会は重要な位置を持っている。それは、不当労働行為を行った資本を審問廷に引き出し、糾弾しながら、味方の団結を固め、それをもって資本との力関係を変えていく闘いの場であった。こうした闘いをつうじて、不当労働行為によって損なわれた団結を回復し、その形成・再形成を図ることができたのだ。
 今回の労組法改悪は、「審査迅速化」を口実に、労働委員会の果たしてきたこのような役割を全面解体しようとするものだ。ところが、「迅速化」という口実の前に労組法改悪との闘いは押しつぶされかねない現実にある。「迅速化」のペテンを暴き、改悪阻止の闘いをなんとしてもつくり出さなければならない。
 労組法改悪を打ち出した労政審の建議は、「審査迅速化」を図る方策として、@審問前の審査計画の作成、A証拠文書の提出命令や証人出頭命令に関する労働委員会の権限強化、B労組法に和解に関する規定を置く、C現在は全員が非常勤の公益委員の一部常勤化、D救済命令違反に対する罰金の引き上げ――などを挙げている。
 これらの根本的な狙いは、不当労働行為からの救済を求める労働者の訴えを、入り口の段階で抑え込み、切り捨ててしまうことにある。
 それを端的に示しているのが、「審査計画の作成」だ。労政審建議は、@争点、証拠、A審問予定回数と期間、証人の数、B命令の交付予定時期について、労働委員会は審問開始前にあらかじめ計画を立てなければならないとする。そして、労使双方に審査計画の尊重義務を負わせるというのである。
 労働委員会の審査は、調査と審問という2段階の手続きで行われる。調査とは、労使双方の主張を労働委員会が聞き、事件の概要を把握するための手続きだ。審問は、主に証拠調べの手続きであり、証人尋問などがこれにあたる。「審査計画作成」とは、調査の段階で労働者の主張・立証に厳しい枠をはめることを結果する。
 労政審に先だって労組法改悪の基本骨格を打ち出した厚労省の「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会」は、その最終報告で「当事者の求めに従って多数の証人尋問が行われるなど審問が当事者主導のような形で行われている場合が少なくない」と、いらだたしげに現状の労働委員会の「問題点」をあげつらっている。救済を申し立てた労働者・労働組合が、労働委員会において縦横にその主張・立証を展開することはもはや許されないというのである。
 だが、不当労働行為をめぐる真の「争点」は、審問廷におけるやり合いの中で初めて明らかになるケースがほとんどだ。資本は常にその意図を隠し、もっともらしい口実を設けて不当労働行為を行う。ありのままの資本と労働者の力関係の中で、労働者が不当労働行為の真相をあらかじめ把握することは容易ではない。審問を重ねることによって資本を追いつめ、その力を背景にして初めて、不当労働行為の真相は暴き出されるものなのだ。審問開始前に「争点」を整理するなどというやり方は、資本による不当労働行為の隠ぺいに手を貸すものでしかない。こうした形で実現される「審査迅速化」とは、労働者による糾弾の場から資本を一刻も早く「解放」することをしか意味しない。
 全国の公労使の労働委員会委員を集めて開かれた昨年の全労委総会では、「労働組合側の事情が審査長期化の原因になっている」として、全国金属機械労働組合・港合同やスタンダード・ヴァキューム石油自主労組などが名指しで挙げられている。国労5・27臨大闘争弾圧の被告たちが4党合意の撤回を求めていた事件についても、「申立人が刑務所(!?)に収監中」のため審査が長期化しているケースとして言及された。労働委員会を徹底的に活用する労働組合の闘いは、今や労働委員会自身によって目の敵にされている。
 労組法に和解条項を盛り込むとしたことも重大だ。昨年、厚労省は労働基準法に解雇事件を金銭解決するという条項を設けようと策動した。いったんは破産に追い込まれたものの、その策動は継続している。これと併せてみるならば、労組法への和解条項の新設は、不当労働行為を追及する闘いを圧殺しようとするものであることは明らかだ。

 労組破壊の先頭に立つJR資本

 労政審は、司法によって労働委員会命令が取り消される事例が多発していることに対処すると言う。確かに、JR採用差別事件を典型に、裁判所が労働委員会命令を取り消す例は増えている。労組法改悪は、そうした司法の反動化を問題にするのではなく、逆に労働委員会は司法に迎合すべきだというものだ。
 労働委員会制度の解体に向けて、決定的な転機になったのは、JR採用差別事件に関する98年5月28日の東京地裁の反動判決だった。中労委による救済命令を取り消したこの判決によって、労働委員会命令の強制力は一挙に低下した。裁判に持ち込めば救済命令は覆るという「常識」がはびこり、労働委員会命令を守らない資本の違法行為が横行し始めたのだ。こうした違法行為を率先して実行しているのがJRだ。現在の労働委員会制度に問題があるとすれば、まさに資本が命令不履行という違法行為を繰り返していることにある。だが、厚労省はこうした重大きわまる問題を取り上げようともしない。
 昨年12月22日のJR採用差別事件に関する最高裁判決は、「JRに不当労働行為責任はない」とする司法判断を確定させた。これによって日帝は、団結権の全面否定という階級意志をあらためてむき出しにした。国鉄分割・民営化は、国家によって遂行された組合つぶしの「偽装倒産」だった。最高裁は、それを容認し、全資本に対して不当労働行為をけしかけたのだ。
 労組法改悪は、現に激しく進行しているこれらの団結権破壊の攻撃を追認し、拡大するものだ。これを打ち砕く最大の道は、国鉄闘争勝利の中にある。

 団交も否定する奥田・日本経団連

 日本経団連の04年版経営労働政策委員会報告は、「労働組合が実力行使を背景に賃金水準の社会的横断化を意図して闘うという『春闘』は終焉(しゅうえん)した」「企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討する『春討』『春季労使協議』へと変えていく」と言い放った。団交による労働条件決定を頭から否定し、産業報国会化を拒む労組はその存在を認めないと宣言したのである。
 今日のすさまじい資本攻勢への怒りは、資本の制圧力や連合支配を突き破って、至るところで噴出している。だから資本は、それを「個別紛争処理」の枠組みに押し込め、団結の形成へと発展することを必死に阻もうとしているのだ。
 労組法改悪と連動した司法制度改革―「労働審判制」の導入や「個別労使紛争処理制度」は、闘いを開始した労働者を個別のままに分断し、たたき伏せ、あきらめを強いることを目的とするものだ。そこでは、労働者の団結はあらかじめ否定されている。これらを推進する連合幹部の裏切りは明白だ。労働者の生存と生活は、団結して資本と闘うことによってのみ守られる。団結権は労働者の死活にかかわる権利なのだ。
 今や全世界の労働者が、イラク開戦1年を迎える3・20を目前に、大きく決起を開始した。そのさなかに団結権破壊へと突き進む小泉政権の方策は、労働者のさらなる闘いを引き出すものにもなりうるのだ。
 3・6春闘集会を成功させ、階級的団結を打ち固め、3・20日比谷野音への大結集を実現し、その力で労組法改悪を阻止しよう。

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週刊『前進』(2138号3面4)(2004/02/23)

交流センター第11回総会 3・20 10万人結集へ 労組の責任勢力に

 全国労働組合交流センターの第11回定期全国総会が1月31日〜2月1日、横浜市内で開かれた。「戦時下の階級闘争」に突入した日本の労働運動の抜本的な変革と労組交流センターの飛躍をかけた総会だった。
 最初に入江史郎代表が開会あいさつを行い、「全国で動労千葉のような闘いをつくる時が来た。中野洋代表の『俺たちは鉄路に生きる2』を学ぼう。いつまでもわれわれに時間が与えられているわけではない」と、強烈な危機意識を明らかにした。
 次に、辻川慎一事務局長が運動方針案を提案した。辻川事務局長は「ここにいるわれわれが完全に心を入れ替えて闘い、04年、交流センターが日本階級闘争を根底から変えていく存在にならなければいけない。昨年12月の自衛隊イラク派兵の閣議決定、04年版経労委報告に打ち勝つために、全国の指導体制、常任運営委員会の体制を根本的に強化し、産別指導体制と未組織労働者の組織化のための体制を強化しなければならない」と、交流センターの根底的な変革を先頭に立って切り開く決意を表明した。
 討論の冒頭、朝から国労中央委員会闘争を闘った国労共闘の代表がかけつけ、国労5・27臨大闘争弾圧被告たちの出獄後の就労闘争の勝利を報告し、国労5・27臨大闘争弾圧裁判に勝利する中で国労中央を打倒し、国労を再生する展望が開かれたと訴えた。
 2日間をとおして各地域・各産別から活発な意見が出され、全国の労働者のそれぞれの苦闘を背景に、真剣な報告が行われた。
 討論の最後に入江代表が総括答弁を行い、中野洋代表がまとめを行った。
 入江代表は、昨年の3・29春闘総決起集会で動労千葉のストにこたえられなかったことを総括し、11・9で実現した国際連帯を守り発展させるためにも、交流センターが動労千葉とともに団結し、3労組共闘を発展させようと訴えた。
 中野代表が1日目のまとめとあわせて交流センターの任務を鮮明に提起した。「待ちに待った情勢だ。このチャンスを生かさないといけない」と戦闘精神をもって戦争情勢に立ち向かうことを訴え、「昨年、イラク戦争に反対して全世界で2000万人が決起した。日本でも、@11・9国際連帯集会、A8月自治労大会での21世紀宣言の否決、B12・23教育基本法改悪反対集会5000人結集と、三つのいいことがあった。3月20日の10万人決起をわれわれが先頭に立って実現しよう。3・20で小泉=奥田と労働者階級との力関係を逆転し、世界的規模で風穴を開けよう。労組交流センターは労働組合に責任を取る勢力に飛躍しよう」と熱烈に語った。
 最後に、労組交流センターの飛躍のために常任運営委員を増強した新人事体制を決定し、歴史的な総会を終えた。

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週刊『前進』(2138号4面1)(2004/02/23)

有事7法案絶対阻止へ
米日帝の北朝鮮侵略戦争を大前提とした「国民保護法」

 今国会に「国民保護法案」「米軍支援法案」など有事関連7法案、3条約・協定が一括提出されようとしている(表参照)。これは日帝の北朝鮮侵略戦争への参戦のための超重大な攻撃である。法案粉砕の闘いの死活性を喚起したい。

 03年の武力攻撃事態法につづき 有事立法の「完成」狙う小泉

 有事法制とは何か。それは差し迫る北朝鮮侵略戦争に、日帝が米帝と共同=競合しながら参戦する態勢をつくる法律だ。強調するならば、それがギリギリ最低限のものであろうと、どんなことをしても日帝が自ら積極的に北朝鮮侵略戦争に参戦する態勢をひとまずつくりきるところに有事法制攻撃の核心点がある。
 小泉政権は、北朝鮮侵略戦争に日帝が自ら積極的に参戦できる法律をつくり、実際に現実の戦争に突入し、それを通して今日の日本の社会や階級関係などすべてを根本的に転換させていこうとしているのだ。有事法制をめぐる小泉政権との攻防の軸はここにある。
 01年9・11反米ゲリラと03年3・20イラク侵略戦争で戦後史は一変した。米英帝国主義のイラク侵略戦争が示すものは何か。米帝ブッシュは、大量破壊兵器の脅威を取り除くという虚偽の戦争目的をデッチあげ、イラクと中東の石油を支配するために、国連や国際法も完全に無視して、一方的な先制攻撃で虐殺と破壊の侵略戦争を行った。米帝ブッシュは、世界戦争戦略を確立し、イラク侵略戦争を全世界に拡大しようとしている。世界史は、第1次世界大戦や第2次世界大戦で最も顕著となった力による世界の分割・再分割の時代に再び入ったのである。
 すなわち侵略戦争のできない帝国主義は、帝国主義としての死を意味する。だからこそ9・11―3・20以降の日帝・小泉政権の攻撃の本質は、侵略戦争への具体的かつ実際の参戦なのである。
 有事法制の問題もイラクへの自衛隊派兵もこの点を鮮明にさせる必要がある。有事法制とは、このリアルな戦争への日帝の必死のキャッチアップであり、日帝は、ともかくギリギリ最低ラインであろうとも有事法制の法的な整備をひとまず完成させ、実際にその具体的参戦に突入し、それを通して国家体制の根本的転換を狙っているのだ。
 昨年6月に成立した武力攻撃事態法など有事3法は、「武力攻撃事態」という新たな概念を導入することで対北朝鮮(中国)の侵略戦争を可能とする法律である。今国会に提出予定の有事関連7法案の成立を許すならば、ガイドライン関連法(周辺事態法など=99年5月)とあわせて、北朝鮮侵略戦争に最低限必要な法律がそろうことになる。
 今国会で小泉政権は「日本に直接攻撃がない段階でも、米軍が攻撃されれば日本への攻撃の着手と判断し、反撃することは憲法上可能」とする政府見解を明らかにするという。これは日本海などで米軍艦船などが攻撃された場合、武力攻撃事態法に基づく「武力攻撃事態」と認定し、直ちに日帝自身が北朝鮮侵略戦争へ参戦するということだ。有事法制阻止の闘いは、まさに北朝鮮侵略戦争への日帝の参戦そのものをめぐる階級決戦なのだ。

 攻撃すれば相手から反撃がある 「国民保護」とは戦争動員だ

 小泉政権は昨年11月に国民保護法制の「要旨」を発表した。@総則A避難に関する措置B救援に関する措置C武力攻撃災害への対処に関する措置Dその他E財政上の措置等F罰則(番号は引用者)。
 @総則は冒頭で「目的」として次のように言う。
 「武力攻撃事態等における国、地方公共団体等の責務、国民の協力等に関する事項を定めることにより、国全体として万全な態勢を整備し、国民の保護のための措置を総合的に推進」
 「国民の保護」などと、あたかも「国民」を戦争から保護する法制のように見せかけているが、これは偽りである。冒頭に「武力攻撃事態等における」と書いているように、すでに「国民」は戦争の渦中にあるのだ。しかもそれは、米日帝による北朝鮮侵略戦争が遂行される中で、相手国が必死で反撃していることを前提にしている。具体的にはミサイル被弾やゲリラ戦争が想定されているのだ。つまり、人民にとって、日帝が北朝鮮侵略戦争を開始し、それによって引き起こされた戦火にさらされることが前提とされるのだ。
 そもそも「国民保護法制」という言い方そのものが、あたかも日帝は攻撃しないが外敵が攻撃してくる、さらには北朝鮮の金正日政権が何をするか分からないから備えておく必要があるという排外主義的なキャンペーンとしてある。また日帝の戦争の侵略性を隠ぺいし、人民を侵略戦争に組織する攻撃としてある。
 日帝は国民保護法制という形式で、その実、相手国からのミサイル攻撃やゲリラ戦争について、あたかも不当な相手国からの攻撃のように問題をすり替えている。しかし実際には、米日帝が北朝鮮をイラクのように国家として抹殺しようとして侵略戦争を仕掛けるからこそ、こうした事態が発生するのであって、もし日本人民に被害が発生するとしたら、真の責任者は日帝そのものなのである。
 以上が「国民保護法制」の核心問題である。その上で、狭い意味でこの「国民保護法制」が直接問題にしているのは、「避難」「救援」「武力攻撃災害への対処」――の3点である。
 「要旨」でいよいよはっきりしてきたのは、こうした諸活動への国民動員の強制的、強権的性格である。マスコミは知事権限の拡大を指摘するが、実際は市町村長レベルの権限の事実上の剥奪(はくだつ)である。国家権力が知事、警察、自衛隊と一体となって、強制的に人民を動員したり、物資を強制収用したり、土地・家屋などを強制的に使用できる。

 侵略戦争で自国民も犠牲

 これらは、戦争への国民動員という点から、次のように言える。
 ▼日帝は北朝鮮侵略戦争に「国民」を義務として動員する▼この侵略戦争の結果として生ずる戦災に「国民」がさらされる▼その上で、ミサイル被弾やゲリラ発生からの避難、救援などの活動を、国家が知事、自衛隊、警察を動員して「戦争の論理」で強制的、強権的に強行する――つまり侵略戦争遂行の一環として、戦争勝利のために、一切の犠牲を人民に強要するものとして「国民保護法制」は発動されるのだ。
 @総則は、国民の保護に関する方針決定とその実施体制などについても規定している。国民の保護に関する基本方針を国が決定し、それに基づいて都道府県、市町村、指定公共機関などが、それぞれの「計画」や「業務計画」などを策定し、それらを実行するために国のレベルで「武力攻撃事態等対策本部」が設置され、さらにその下に都道府県対策本部、市町村対策本部などが設置される。
 つまり戦争遂行の一環としての「国民保護措置」の遂行のための政治的、軍事的なヒエラルヒーがつくられるのである。この中で、国家権力機構とそれと一体化した都道府県知事の権限が大きく強化され、市町村はひたすらそれに従う構造になっている。
 また、国民保護措置の規定で「国は……大規模または特殊な武力攻撃災害への対処などの国民保護のための措置を行う」としている。この「大規模または特殊な武力攻撃災害」という言い方の中に、この法制が北朝鮮侵略戦争のためのものであり、その中で必然化するミサイル被弾、ゲリラ戦争を想定していることが強く示されている。原発被弾などの大問題が発生しうることも想定に入れており、こうした巨大な犠牲を人民に押しつけることも辞さずに侵略戦争を遂行しようとしている。
 @総則の最後は、「訓練」となっている。この条項は重大である。訓練において、北朝鮮からのミサイル攻撃やゲリラの着上陸とゲリラ戦、原発災害の発生などをおどろおどろしく想定して、繰り返し住民を訓練に動員して、排外主義をあおり、戦意高揚を組織しようとしているのである。

 国・知事が強権的に避難指示

 A避難に関する措置の中で「警報の発令」は、対策本部長=首相の権限となっている。これはたんに警報を発するにとどまらない。「武力攻撃事態等の現状及び予測」の発表が行われる。これはかの「大本営発表」にあたるものだ。ここでは指定公共機関である放送事業者は、この警報の内容(政府の戦況発表の内容を含む)を放送することが義務づけられる。
 さらにこのA避難に関する措置は主として「避難」についての規定が行われている。避難については、まず対策本部長=首相が、都道府県知事に対して避難を指示する。そして直接には「都道府県知事が市町村を通じて避難を指示する」ことになっている。つまり最終的には知事権限で住民を避難させる。そして市町村長は、知事の指示で避難住民を誘導する。
 ところがこの規定の大半は▼市町村長は警察、自衛隊などに住民の誘導を要請できる▼知事は誘導において市町村を補助・支援▼知事の指示に市町村長が従わない時は、知事が職員を動員して避難住民を誘導する――となっているのだ。
 これは重大な問題を示唆している。ようするに住民避難を指示し実施する主体は、あくまで国や知事だけということが浮かび上がる。市町村は誘導役とされ、しかもこの場合の市町村の誘導には、警察、自衛隊または知事の介入が強く規定されている。これは住民の避難が、きわめて強権的に上からの強制として行われることを示している。つまり、住民の意思に影響を受けやすい市町村は、実質的には避難強制の主体たりえないケースが基本的に想定されているのだ。「避難に関する是正措置」の規定でも、誘導が適切に行われない場合は、内閣総理大臣が是正措置を講ずる。
 B救援に関する措置で規定する「救援」とは、避難住民、被災者の救援のことで収容施設・食品・生活必需品の供与、医療の提供などを指す。運送業者の緊急物資の運送もこれに含まれる。この救援については対策本部(政府)が都道府県知事に指示し、知事が実施することが明確に打ち出されている。知事が実施主体として救援のための強権が与えられている。自衛隊法103条のような強権が知事に与えられる。▼「緊急物資についての保管命令」が出せる。また売り渡し要請ができる。拒否すれば収用できる▼「収容施設、臨時医療施設の開設のため、土地、家屋、物資の使用」ができる▼医療関係者に医療の実施を要請または指示できる――この救援においても内閣総理大臣は、適切に行われていない時は「是正措置を講ずる」とされ、最終権限を保持している。
 C武力攻撃災害への対処に関する措置は、いわゆる戦災への対処を規定しているが、その内容は対ミサイル、対ゲリラに偏向して書かれている。
 「要旨」の最後に、「武力攻撃事態に準ずる大規模テロ等が発生した事態においても、国民の保護のための措置に準じて必要な措置を講ずることを検討する」と書かれている。国会に提出する法案には▼原子力発電所の破壊▼生物・化学兵器によるテロ▼航空機による自爆テロなどが予測される場合を「緊急対処事態」と名づけ、武力攻撃事態に準じた対応をとる。この問題は日帝のイラク侵略戦争参戦という情勢下では決定的意味を持つものである。

 船舶臨検や米軍支援も自衛隊は武器先制使用

※外国軍用品等輸送規制法案
 これは北朝鮮侵略戦争の際に、日本領海や日本周辺の公海で船が所属する「旗国」の同意なしに停戦を命じ、積み荷などを検査する「臨検」を実施できるようにするものだ。現在は周辺事態の場合には、旗国の同意を条件に船舶検査法に基づく検査ができるが、正当防衛や緊急避難を除いて射撃はできず、物資の押収もできなかった。この法案では警告を無視した場合には射撃ができるようにし、物資押収のために日本に寄港させることができる。法案には自衛隊の武器先制使用を明記している。
 今国会で対北朝鮮の経済制裁を可能とする改悪外為法がすでに成立し、さらに特定船舶入港規制法案の国会提出も準備されている。対北朝鮮の経済制裁―海上封鎖―臨検(船舶検査)という流れの中で、自衛隊の武器先制使用の規定は重大な意味を持つ。
※米軍支援法案×自衛隊法改正案
 自衛隊と米軍が物品や役務を融通する「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」を有事にも使えるように改定し、自衛隊法改正案で提供の手続きを定める。現在のACSAでは共同訓練や周辺事態の際に食料や水、燃料などを提供し、輸送や通信を行うが、武器・弾薬の提供は含まれていない。この法案では有事の際に武器・弾薬も提供できるようにする。また、米軍の部隊が民間の土地を通る際に塀や小屋などの工作物を壊すなどした場合の国の補償を盛り込む。
 米軍行動円滑化法案などとも称しながら、米軍による民有地の使用や通行などに関する権限は、今回の法案ではまったく規定されていない。つまり日米安保を盾に超法規的に米軍が展開するということだ。法案では、その際の補償を規定しているだけだ。
※交通・通信総合調整法案
 有事の際の港湾や空港、道路、電波などの利用法を規定する。空港と港湾を、米軍と自衛隊が優先利用できるよう調整する仕組みを定める。港湾や空港、道路を管理する自治体、電波を管理する民間事業者などが調整に従わない時は、緊急の場合は強制権のある「指示」の規定も設ける。
※捕虜等取り扱い法案×非人道的行為処罰法案
 捕虜等取り扱い法案はジュネーブ条約に沿う形で捕虜の保護や待遇、抑留の際の条件、収容所の設置手順などを定める。重大な条約違反に対する罰則は非人道的行為処罰法案で定める。
 ジュネーブ条約とは戦争の際に、傷病兵や捕虜、民間人の人道的な取り扱いを定めたもの。4条約と2つの追加議定書からなり、日本は2つの追加議定書は批准していない。2つの追加議定書は、戦闘方法や民間人・捕虜の保護を定める。批准すると、民間救助にあたる要員は特定のラベルなどを身につけ、日本に侵入した外国軍隊も、その要員の保護を義務づけられる。
 ジュネーブ条約は、国際人道法とも言われるが、要するに戦争を行う際の(一応は)世界共通のルールともいうべき戦争法だ。日帝がジュネーブ条約をすべて批准することは、国際法レベルで戦争主体として登場することを意味する。

 10万人デモで7法案粉砕へ

 有事法制が9・11―3・20以降の現代世界における日帝の北朝鮮侵略戦争への参戦法案としてあり、今国会の有事法制関連7法案がそれをめぐる直接の闘いとなっている。だが日帝・小泉政権も万全の態勢で北朝鮮侵略戦争に突入するわけではないのだ。すでに成立した有事3法も日帝が北朝鮮侵略戦争に参戦できることを可能とするギリギリのものでしかなく、国民保護法案や米軍支援法案など各種の関連法制の策定なしには実際には発動できない。
 陸海空港湾労組20団体の「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」など労働者の戦争動員を打ち破る職場闘争的抵抗が始まっている。3・20で階級闘争の力関係を変える10万人反戦デモを実現し、有事7法案を粉砕しよう。

表 今国会に提出予定の有事関連法案とすでに成立している法案 表 今国会に提出予定の有事関連法案とすでに成立している法案(★は今国会に提出予定の法案)

周辺事態法
 船舶検査法
武力攻撃事態対処法
 ★国民保護法案
 ★米軍支援法案
 安全保障会議設置法案
 ★自衛隊法改正案
 ★日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定
 ★外国軍用品等海上輸送規制法案
 ★非人道的行為処罰法案
 ★捕虜等取り扱い法案
 ★交通・通信総合調整法案

 ★外為法改悪(今国会で成立)
 ★特定船舶入港阻止法案

 解説 武力攻撃事態法

 有事法制の関連法としてはすでに昨年6月6日に国会で成立した「武力攻撃事態法」「改正自衛隊法」「改正安全保障会議設置法」の3法がある。
 武力攻撃事態法の最大の特徴は、「武力攻撃(予測)事態」といういくらでも拡大解釈できる新たな概念を導入し、武力攻撃事態への対処という形で日帝の対外的な武力行使を規定していることだ。武力攻撃事態に対する対処措置として自衛隊の武力行使が明示に規定されている。一方的に武力攻撃事態(予測)事態を宣言し、逆に日帝の側から先制的に戦争へ突入することを合法化している。
 実際の手続は、閣議で武力攻撃(予測)事態を認定すれば、直ちに自衛隊を出動・展開させ、対策本部を設置して各種機関を総動員しての戦争突入が可能だ。戦争遂行に必要な各種権限が首相に集中し、地方自治体や公共機関に協力義務を課し、対処措置=戦争が行われる。
 改正自衛隊法は、実際の戦争を想定して、その時に自衛隊に必要なさまざまな権限を与えるために改悪された。@民有地などの使用・収用や建築・輸送・医療労働者などの業務従事命令を出す際の手続きの簡素化、A防衛出動命令が出される前でも、展開予定地域で自衛隊が陣地などの防御施設を構築できる、B消防法、麻薬及び向精神薬取締法、墓地・埋葬等に関する法律、医療法、建築基準法、港湾法、森林法、道路交通法などの関係法律の特例――などを規定した。
 改正安全保障会議設置法は、武力攻撃事態の認定などを新たに審議対象に加え、安保会議をたんなる諮問機関ではなく、首相を最高指導者とする戦争指導機関として位置づけ直した。

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週刊『前進』(2138号4面2)(2004/02/23)

イラクへの兵員輸送 日航・全日空が断る

 防衛庁が昨年秋、自衛隊員のイラクへの輸送を日本航空と全日空に打診したところ、両社が断ったことが分かった(2月1日付産経新聞)。
 両社は、@テロのおそれがあるA乗員組合の反対が懸念される――などを理由に断ったという。このために、政府・自衛隊は兵員輸送に外国航空会社や政府専用機を使うしかなかった。有事立法と民間航空の軍事利用に反対する航空労働者の闘いが、政府・自衛隊を窮地にたたき込んだのだ。
 この事実は、労働者の闘いが戦争遂行に大打撃を与える展望を示している。
 かつて第2次大戦で、戦争に動員された民間船舶の船乗りは6万人も殺され、海の底に沈んだ。国家による「使い捨て」だった。
 このような歴史を二度と繰り返さないと陸・海・空・港湾労働者は立ち上がっている。1・19国会院内集会で航空安全会議の大野則行議長は、「国際線の機長として危険を背に、冷や冷やしながら飛んでいる」と派兵中止を訴えた。
 また海員組合の藤丸徹さんは、「ペルシャ湾には常時百隻の日本商船がいる。そこで働く船乗りは『自衛隊派兵でますます危険が迫る』と戦々恐々としている。自衛隊に戻ってほしい。米英軍も撤退を」と大抗議行動を呼びかけた。
 産経新聞は輸送拒否を「テロの脅しにたじろいだ」と非難している。だが反戦を貫くことで「非国民」「卑怯者」と非難されるのは、労働者の誇りだ。3・20闘争に大結集を。

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週刊『前進』(2138号4面3)(2004/02/23)

東京部落解放研究集会 全国連大会の成功へ 組織建設の方向確認

 2月8日、部落解放同盟全国連合会中央本部の主催で第3回東京部落解放研究集会が東京の日本橋公会堂で開かれ、東京の解同全国連支部員、共闘の労働者、学生ら110人が集まった。この研究集会は、東京における解同全国連の組織建設を推し進めるために毎年開かれている。
 初めに主催者の解同全国連中央本部・中田潔書記 長が「全国連第13回大会の意義と役割」について以下のように提起した。
 「長引く不況と同和対策の法の打ち切りで部落民が困窮し、また悪質な部落差別事件が急増しているにもかかわらず、解同本部派が差別糾弾闘争を投げ捨て、警察に告訴し救済を求める運動に転落した。全国連が5万人組織建設を成し遂げ、主流派にならなければ、部落差別と闘う勢力は皆無になってしまいかねない。全国連も、権力の弾圧にうち勝たなければ、戦前の水平社の侵略・融和主義への転落の歴史を繰り返すことになる。『ペンとノート』を持って大衆と向き合い、その目線で運動と組織をつくろう。13回大会に総結集し、一丸となって5万人組織建設に進もう」
 次に、昨年5月にデッチあげ不当逮捕された4人の支部員の保釈を12月にかちとった大阪・寝屋川支部が特別報告を行った。「4人は『黙秘を貫いたことで権力の弾圧を跳ね返すことができた。権力なんか怖くない。勝てるという自信ができた』と言い、村に戻って元気に活動を再開している」と報告した。このように弾圧に屈せず闘いぬく中に全国連が水平社の敗北と解同本部派の転向をのりこえ主流派になる道がある。
 さらに狭山現地の全国連のメンバーが齋藤第5鑑定とその補充書が石川一雄さんの無実を完全に証明していることを明らかにし、最高裁の特別抗告棄却を許さず、全証拠開示、事実調べ、再審をかちとるために、最高裁と最高検に対する毎月の要請行動に決起することを訴えた。
 休憩を挟み自治体清掃労働者が「清掃―現業切り捨てとたたかう道」と題して研究報告を行った。
 「東京の清掃職場では、2000年4月の区移管以後も差別事件がたびたび起こっている。合理化と管理強化、現業切り捨てと民営化の攻撃が現業職場に差別と分断をもたらしている。これを打ち破って階級的団結を固めることが労働者に求められている。また現業の切り捨て・民託化は、部落民の就労権を奪い、差別的な低賃金、不安定雇用を大量に生み出している。清掃を始め現業の労働者の生活と権利を守る階級的労働運動を再生させ、全国連の3大闘争を実践しよう。職場部落研活動を強化・拡大しよう」
 最後に全国連江戸川支部、同杉並支部、部落解放東日本共闘会議、自治体労働者、動労千葉の田中康宏委員長がそれぞれ報告、中田書記長がまとめとして全国連13回大会への総結集と3・20イラク反戦国際行動への総決起を訴えた。

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週刊『前進』(2138号4面4)(2004/02/23)

日誌’04 2月4日〜10日
 北朝鮮への制裁法案が成立 イラク派兵を参院でも追認

●改憲論議の幅拡大 公明党は党憲法調査会で現行憲法に新たな条文を追加する「加憲」論議の対象に、@国民の「知る権利」の明記A憲法裁判所の設置B首相公選制――を加えることを決めた。これまでは環境権とプライバシー権をあげていた。(4日)
●米兵降下で畑に被害 沖縄県の伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中の米兵1人が演習場から約100b離れた民間地の葉タバコ畑に降下した。人身に被害はなかったが、植付け用ビニールが破られた。(4日)
●イラク主権委譲、延期も 米ワシントン・ポスト紙は、米政府がイラクへの主権委譲の日程について、今年6月末の日程を延期することを含め方針を変更する可能性が出ていると報じた。暫定議会の選挙を6月までに実施することが難しいと判断した場合、日程の延期を検討。05年1月1日などが代替案として浮上している。(6日)
●公明議員「集団的自衛権行使できる」 公明党の高木陽介衆院議員がテレビ番組で「自然権として、集団的自衛権があるのは国際法上ごく当たり前だ。論理的には、行使できるのが普通だ」と述べた。(6日)
●「戦闘の他国軍支援も」 石破防衛庁長官は参院イラク復興特別委で、イラクに派兵した自衛隊の宿営地近くでオランダ軍が攻撃を受けた場合の対応について「武器を使用せずに支援を行うことは法が禁止することではない」と述べ、戦闘中の他国軍を自衛隊が支援することは可能との考えを示した。(6日)
●陸海空統合部隊を常設 防衛庁は、陸海空3自衛隊の統合的な運用を強化するため、全自衛隊を指揮するポストに「統合幕僚長」を新設し、3自衛隊の統合部隊を常設することも検討。05年度の新体制移行を目指す方針を固めた。(7日)
●キャンプ・ハンセンで山火事 沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内「レンジ5」着弾地付近で実弾射撃演習による山火事が発生、隣接する伊芸区に燃え広がり、米軍ヘリによる消火活動などで鎮火した。(7日)
●陸自本隊、サマワ入り 陸上自衛隊のイラク派兵部隊の本隊先発隊(施設部隊)の第1陣が、サマワのオランダ軍宿営地に到着、先に現地入りした先遣隊と合流した。(8日)
●石破「主権委譲後も自衛隊駐留可能」 石破防衛庁長官は衆院予算委で、イラクでの自衛隊について「イラクで主権委譲がなされても、特措法の仕組みから根拠がなくなるわけではない」と述べ、新政権の発足後も自衛隊の駐留が続くとの考えを示した。(9日)
●国会、自衛隊派兵を承認 自衛隊のイラク派兵に関する国会承認が参院本会議で与党などの賛成多数で可決された。イラクへの陸海空3自衛隊派兵に対して国会の承認手続きを終えた。(9日)
●対北朝鮮、改悪外為法が成立 日本独自の判断で北朝鮮に対する経済制裁を可能にする改悪外国為替及び外国貿易法(外為法)が参院本会議で、自民、民主、公明などの賛成多数で可決、成立した。衆院で賛成した社民党は参院では棄権に回った。閣議決定で送金を許可制にしたり、輸出入を承認制にしたりできるようになる。(9日)
●「日露戦争に学ぶ会」発足 日露戦争勃発から100年で、自民、民主両党の国会議員らによる超党派の「日露戦争に学ぶ会」が発足、中曽根康弘元首相のほか自民党33人、鳩山由紀夫前代表ら民主党10人が明治天皇を祭った明治神宮を参拝した。(10日)
●小泉「靖国参拝、抵抗感ない」 小泉首相は衆院予算委員会で、A級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への参拝について「私は抵抗感を覚えていない」「よその国からああしなさいと言われて、今までの気持ちを変える意思はまったくない」と述べた。(10日)

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週刊『前進』(2138号5面1)(2004/02/23)

有事法制や年金改悪 超反動法案に反撃を  通常国会の攻防点は何か
 労組法改悪・共謀罪新設も 3・20大爆発で粉砕へ

 第159通常国会は、有事関連7法案を始めとして超反動法案が目白押しである。日帝・小泉がイラク派兵を強行し、ついに21世紀の新たな「15年戦争」が開始され、〈外への侵略戦争と内への階級戦争〉の攻撃が激化している中で、完全に「戦時下の国会」となっているのだ。

 国民保護法案は北朝鮮侵略戦争が大前提

 今国会の最大の攻防点は、国民保護法案・米軍支援法案を軸とする有事関連7法案と3条約・協定である。これはすでに成立している日米新ガイドライン(97年9月締結)、周辺事態法(99年5月)、武力攻撃事態法(03年6月)に続き、米日帝の北朝鮮侵略戦争を発動するための戦争法体系を「完成」させる歴史的攻撃だ。
 そもそも「国民保護」などと言っているが、米日帝が先制的に北朝鮮(中国)に侵略戦争を仕掛けることが一切の前提になっている。米日帝が戦争重圧を加えたり攻撃すれば、相手国は当然にも必死の対抗的反撃に出る。それがゲリラ戦やミサイル発射となる。それをあたかも北朝鮮や中国から日本が攻撃されるかのように逆転させ、そのための法体系を整備しなければならないと強行してきているものが、武力攻撃事態法であり、国民保護法制である。しかし事態は逆で、戦争の元凶である米日帝の側が、北朝鮮(中国)に侵略戦争を発動するための戦争法・戦争動員法、それが有事法制なのだ。
 すでに今国会で2月9日に、日本独自の判断で対北朝鮮の経済制裁を行うための外為法改悪案が成立させられた。「経済制裁」とはすでに事実上の戦争行為であり、宣戦布告にほかならない。さらに入管法改悪も策動されている。

 「老後」の保障もできなくなった帝国主義

 年金改悪関連法案も最大の攻防点だ。今回の年金改悪の柱は、@厚生年金の保険料率を年収の13・58%(労資折半)から今年10月以降、毎年引き上げて、17年度に18・30%にする、A国民年金の保険料(現行で月1万3300円)を05年以降、毎年引き上げ、17年度に1万6900円とする、B給付額は徐々に下げ、標準世帯で現行では手取り収入の59・3%であるものを、23年度には50・2%に削減する――という点にある。
 いったいこれが「改革」なのか。年金制度の大改悪であり、解体である。資本主義・帝国主義は労働者階級を食わせていくことができないばかりか、もはや老後の面倒もみれないと言っているのだ。労働者人民の生存権をかけた根底からの怒りの決起が必要である。
 労働法制の基軸をなす労組法の改悪も重大だ。そこでは「不当労働行為審査の迅速化」「個別紛争処理の迅速化」をうたい文句に、労働委員会制度の空洞化と解体、集団的労資関係の否定によって、労働組合の団結・団結権の破壊がたくらまれている。また「和解」を明記し、資本の不当労働行為の追及は刑事罰をもって弾圧し、労組法の目的の根本を覆そうとしているのである。

 裁判員制度は超短期審理で無期も死刑も

 司法改革攻撃の今国会での焦点となるものが裁判員法案だ。裁判員制度とは、司法への「国民参加」の名のもとに、労働者階級人民を無作為に選び出し、強制的に重要刑事事件の裁判に動員するもの。出頭しなければ罰せられ、無期限の守秘義務もある。公判では裁判官3人、裁判員6人(あるいは裁判官1人、裁判員4人)による単純多数決で、死刑や無期判決も行う。しかも裁判員の負担軽減を口実に一発結審、もしくは1週間程度の超スピード審理で厳罰に処せられる。被告の防御権が奪われ、デッチあげが横行する。これはまさに「国民」の強制動員による究極の治安裁判である。粉砕あるのみだ。
 治安弾圧関連の法案(条約)では、「刑法等の一部を改正する法律案」の一環として共謀罪新設がたくらまれている。これは昨秋の衆院解散でいったん廃案となったものだが、今国会でサイバー犯罪条約批准、その関連国内法と一体のものとして、2月中旬にも再提出されようとしている。
 共謀罪は革命党と革命運動、労働運動・反戦運動・住民運動を弾圧し、つぶすために、労働者人民が団結したり、協議したり、話し合ったりすること自身を「犯罪」として処罰する団結破壊、結社禁止の攻撃である。新たな「15年戦争」への突入下で、破防法をも超える日常的な監視・弾圧の手段と化すことは明らかだ。
 臓器移植法改悪案は、15歳未満の脳死患者については遺族の承諾のみで臓器提供ができるようにするもの。15歳以上でも遺族の承諾だけで可能と併記される。「小児への移植を実施し易くする」という口実のもと、戦時下でどんどん「脳死」と判定し、人の生命を抹殺し、臓器を切り売りしようとする恐るべき攻撃だ。

 労働者に犠牲小泉改革関連の反動諸法案

 以上のほかに、戦争国家体制づくり、地方自治解体と、労働者階級人民に倒産・リストラ・不安定雇用・賃下げなど一切の犠牲を転嫁しつつ巨大金融独占体のみが生き残るための小泉「構造改革」関連の法案がある。すなわち道路公団民営化法案、「三位一体改革」関連法案、行革・規制改革関連法案である。
 この通常国会をめぐる攻防は、公明党が完全に日帝・自民党の第5列となり、民主党が有事立法賛成と改憲推進の第2自民党と化し、連合も総転向・総屈服し、日本共産党や社民党が無力化する中で、労働者階級人民には厳しい闘いとなっている。しかし労働者人民は「もう我慢できない」と広範に決起を開始している。3・20国際反戦統一行動の空前の爆発で、階級的力関係を変え、国民保護法案を始めとした諸反動法案を粉砕しよう。 

《通常国会の主要な反動法案》

●有事関連7法案〔プラス3条約&協定〕
・国民保護法案
・米軍支援法案(米軍行動円滑化法案)
・特定公共施設等利用法案(交通・通信総合調整法案)
・外国軍用品等海上輸送規制法案
・捕虜等取扱法案
・国際人道法違反行為処罰法案
・自衛隊法改悪案
・日米物品役務相互提供協定
・ジュネーブ諸条約第1&第2追加議定書

●外為法改悪案 →2月9日成立

●「年金改革」関連法案

・国民年金法年金額改定特例法案
・国民年金法等改悪案
・地方公務員共済組合法改悪案
・国家公務員共済組合法改悪案〔ほか3法案〕

●労働組合法改悪案

●「司法改革」関連法案
・裁判員法案
・刑事訴訟法等改悪案
・弁護士法改悪案〔ほか9法案〕

●治安弾圧関連法案〔条約〕
・刑法等改悪案(「共謀罪」新設など)
・出入国管理・難民認定法改悪案
・国際捜査共助法改悪案
・警察法改悪案
・暴力団対策法改悪案
・サイバー犯罪条約
・日米刑事共助条約〔ほか〕

●臓器移植法改悪案

●道路公団民営化関連法案〔4法案〕

●「三位一体改革」関連法案〔7法案〕

●行革・規制改革関連法案
・地方自治法改悪案
・市町村合併推進法案
・道路交通法改悪案〔ほか27法案〕

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週刊『前進』(2138号5面2)(2004/02/23)

共謀罪再提出阻止を 戦時下の団結・結社禁止法

 日帝・法務省は、昨年の総選挙で廃案になった共謀罪を2月中旬にも国会に再提出することを決定した。
 日帝・小泉政権は、北朝鮮侵略戦争への参戦を決断する中で、国内の革命党と労働運動や反戦運動を始めとするあらゆる階級闘争を鎮圧するために、かつての治安維持法のような治安立法の必要性を痛感した。それは、階級闘争の火種を残したまま侵略戦争に突入することで、その火種が燎原(りょうげん)の火となって広がりプロレタリア革命に転化することを何よりも恐れたからである。
 そして共謀罪新設の攻撃になりふり構わず出てきたのだ。もし共謀罪が実現できなければ日帝の治安政策は根底から崩れ去る。共謀罪は、小泉政権ののど元に突き刺ささるかもしれないもろ刃の剣なのだ。
 共謀罪の2月国会提出を阻止し、3・20イラク反戦集会を日比谷野音からあふれ出す巨万の労働者人民の決起でかちとろう。その高揚した力をバネに共謀罪の粉砕へと突き進もう。

 革命党と労組の解体が狙い

 共謀罪の最大の目的は、革命党と労働組合を始めとするあらゆる団体(団結体)を解体・一掃し、侵略翼賛団体だけを存続させることである。
 そのために共謀罪は「運用しやすい治安立法」という観点から検討され、@あらゆる既存の団体を適用対象(捜査対象)とすることができる、A既存の法律を総動員し重罰を科すことができる、B「共謀」というきわめてあいまいな概念を導入することで恣意(しい)的弾圧ができる、という内容として定められた。
 第一の問題点は、適用対象となる団体を「共同の目的を有する多人数の継続的結合体」と規定していることだ。法務省は「多人数とは2人以上」と説明している。つまり、「2人以上が集まった場」はすべて適用対象となるのだ。
 第二の問題点は、対象となる罪種を「最高刑が死刑、無期、長期4年以上とされる罪」と規定し、罰則として「5年以下(あるいは2年以下)の懲役または禁固」という重罰を定めていることだ。これにより既存の刑法・特別刑法にある557罪種を適用対象とし「最大5年間の投獄」という強制力を持つ法となる。

 共謀概念導入はもろ刃の剣

 第三の問題点は、「共謀」という概念を犯罪として導入していることだ。
 この「共謀」という概念の第一の特徴は、「実行行為をまったく必要としない」という点にある。
 例えば、労働組合の執行委員会で「今度の団交は時間無制限で行う」という確認をしただけで、逮捕・監禁罪(最高刑は懲役5年)の「共謀」が成立する。
 現行刑法のもとでも「共謀共同正犯」という形での弾圧がある。共謀の内容として「目くばせ」や「あうんの呼吸」などの拡大解釈も行われている。しかし、その適用には必ず実行行為による結果の発生が必要なのだ。 
 ところが、この拡大解釈された「共謀」の概念を適用すれば、会合の場に「機動隊をせん滅し国会に突入せよ」というビラや出版物が存在したという事実だけで、「傷害」や「組織的威力業務妨害」の「黙示の共謀」という形で共謀罪が成立するのである。
 さらに、第二の特徴は、「共謀」の成立を判断するのは、すべて現場の警察官であるという点にある。条文の中には「実行前に自首した者は、その刑を減刑し、又は免除する」という規定が盛り込まれているため、団体の中に送り込んだ協力者(スパイ)の自首という形で「共謀罪」をデッチあげることも可能となる。まさに、警察権力にとってはフリーハンドの治安弾圧法となるのだ。
 しかし共謀罪は致命的な弱点を持っている。ひとつは、革命党が非合法・非公然体制を堅持し完全黙秘・非転向を貫いて闘いぬく限り、その革命党を解体することはできないということである。もうひとつは、労働者人民の怒濤(どとう)のような反撃を必ず生み出すということである。
 共謀罪は、労働者人民から団結権を奪い、「壁に耳あり、障子に目あり」という閉塞(へいそく)した日常生活を強制する。しかし、団結する(共同する)という行為は、労働者人民にとって根源的な欲求であり、絶対に奪うことのできないものとして存在する。
 共謀罪を粉砕する力は、労働者人民の団結の中にある。このことに確信を持って闘おう。3・4共同行動総決起集会(午後6時半、西早稲田の日本基督教会館4F)で団結を強化し、共謀罪粉砕へ攻め上ろう。

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週刊『前進』(2138号5面3)(2004/02/23)

世界の労働運動 韓国 派兵・FTA批准阻む 2・9 国会を2万人が包囲

 2月9日ソウルで、韓国・チリ自由貿易協定(FTA)の国会批准とイラク派兵案に反対する大規模な実力デモが闘われ、国会採決を阻む大勝利をかちとった。FTA批准案は12月30日、1月8日に続く3度目の延期、派兵案も12月24日から持ち越されてきた。
 朝からイラク派兵反対非常国民行動の代表団は国防委員長宅に押しかけ、午前10時に予定された国防委を遅延させる中、11時から「イラク派兵国会通過決死阻止決意大会」が始まった。2000人の参加者を前にオジョンヨル国民行動共同代表は、「若者たちをイラクに送る決定をする。大韓民国が本格的に戦争をするのです。イラクの独立軍を殺しに行くという、これが国益なのか!」と熱弁を振るった。
 一方、「FTA決死阻止」を闘う農民たちは、全国からバス390台、2万人余が集まった。全国農民会総連盟(全農)、韓国農業経営人中央連合会などでつくる全国農民連帯所属の農民たちだ。全農は早朝からソウル地域国会議員事務室を抗議訪問、議員148人から「議員職をかけて反対する」との誓約をとり、16カ所で抗議の事務室占拠に入った。
 午後2時には「韓・チリFTAの国会批准阻止全国農民大会」が開かれ、集会後、9千の警察部隊と対峙し「FTA決死阻止」を叫んで国会にデモ行進した。
 4時半、派兵反対国民行動と農民たちが合流し「韓・チリFTA批准阻止、追加派兵案通過阻止 汎国民決意大会」に入った。この集会を「不法暴力デモ」と規定したソウル市警が催涙液を放水し集会になだれ込んだ。激しい攻防の最中、国防委を派兵案が通過、緊張が高まる。
 放水、投石でデモ隊に襲いかかる警察部隊、眼球破裂などの重傷者が続出する中、怒りに燃えた労働者・農民は猛然と反撃、地下鉄工事現場から鉄パイプを調達し、石やビンを投げて応戦、1時間あまりの攻防が数度に渡って続いた。
 午後11時半、ついに本会議採決を断念、審議延期に追い込んだ。「私たちは勝利しました!」――国会前は歓呼の声に包まれた。

 戦闘部隊が主力

 昨年4月にイラク派兵を強行した盧武鉉(ノムヒョン)政権は、米帝の増派要請を「韓米同盟がかなめ」と受け入れた。増派されれば、韓国の派遣軍は3600人となり一気に米英軍に次ぐ第3の派兵国となる。
 公称「イラク平和再建師団」はその62%を戦闘部隊が占める。その主力が海兵隊100人と500人の陸軍特攻部隊だ。海兵隊はアフガニスタンに続き今回2度目の海外派兵。特攻部隊は、北朝鮮特殊部隊の後方攻撃という朝鮮半島有事を想定して83年に創設、今回が初の海外派兵となる。米日帝の北朝鮮侵略戦争に照準を合わせた実戦部隊化の攻撃そのものなのだ。
 徴兵制の韓国で、勇気ある反軍決起が始まっている。カンチョルミン2等兵(22歳)は、イラク派兵の撤回を求めて1週間にわたって軍隊復帰を拒否し、連行された。彼は12月の軍事法廷で「侵略戦争への参加は不当だ」と堂々と主張、懲役3年を求刑された。

 派兵下でのスト

 盧武鉉政権は労働者・農民の闘いに追い詰められながらも、階級支配の危機をより強硬な国内階級戦争として突破する以外にない。戦時下の階級戦争に労働者階級の反撃がたたきつけられている。1月13日、「賃上げ闘争勝利、吸収合併阻止」を掲げたウェハンカード労組が全面ストライキに入った。双竜自動車労組も海外売却阻止を掲げ、12日から無期限テント座り込みに入り、部分ストを拡大させている。さらに盧武鉉政権の未登録移住労働者の強制追放攻撃と闘う移住労働者たちの決死の闘いが続いている。
 背水の陣の盧武鉉政権は、派兵法案を2月13日に、FTA批准を16日にそれぞれ成立させようと構えた。これに再度の闘いが組まれている。
 2月4日に民主労総、全国民衆連帯などが主導する「3・20国際反戦共同行動組織委員会」が発足し、3・20国際反戦行動への取り組みが呼びかけられた。力ある3・20を実現しよう!
 (室田順子)

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週刊『前進』(2138号5面4)(2004/02/23)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第6部 総動員体制(5) 産業報国会
 労働者の階級的団結を根絶

「産業報国会」とは、労働組合の階級的闘いを根絶し、労働者を戦争と生産増強へとフル動員しようとするものだった。侵略戦争遂行のための「城内平和」を目的とするものだった。

 総裁は厚生大臣

 1940年11月23日、「大日本産業報国会」の創立総会が行われた。まず宮城遙拝(ようはい)、国歌斉唱を行い、創立宣言、綱領、会則を可決した。
 創立宣言は「今や世界は未曽有(みぞう)の転換期に際会す。皇国亦(また)東亜新秩序建設に任じ、世界新秩序完成に邁進(まいしん)せんとす」「全産業一体、事業一家、もって職分に奉公し、皇運を扶翼し奉る」「我等の使命は、実に愛国の至情を産業報国運動に結集して曠古(こうこ=前例がない)の国難を克服し、以(もっ)て永遠不動の皇国産業道を樹立せんとするにあり」「職場は我等にとって臣道実践の道場なり」「勤労は我等にとって奉仕なり、歓喜なり、栄誉なり」とうたった。総裁には現職の厚生大臣がすわった。
 産業報国会は、社長が会長を務める単位産業報国会を、警察署長が支部長の地域別産業報国会が統括し、その上に道府県産業報国会(会長=知事、東京は警視総監)、さらに産業報国会中央本部が頂点に存在するピラミッド型の警察主導の労働者支配機構として成立した。
 39年6月には単位の産業報国会数は4567、会員数169万人、労働者総数に対する組織率は25%だったものが、「大日本産業報国会」結成時には6万余団体、会員数481万、41年末には546万、全労働者数の70%を組織した。
 もともと産業報国運動は、労働条件の悪化による労資の紛争を防止し、生産力の増強を図る目的で「民間」主導で開始された。しかし、38年7月「産業報国連盟」が創設され「大日本産業報国会」成立へ至る過程でその目的は大きく転換。労働組合の根絶を大前提かつ使命とする、完全に国家権力=内務省と警察が主導するものへ転換した。

 国民精神総動員

 37年7月7日、盧溝橋事件から日本帝国主義は中国侵略戦争に全面的に突入していった。37年に臨時軍事費特別会計として25億円を追加した。同年度の国家予算(28億円余)に匹敵する軍事費が投入された。
 7月11日、近衛は首相官邸に各界代表を招いて「挙国一致」の支援を求めた。社会大衆党党首の安倍磯雄は「事態ここに到れば挙国一致は必然である。わが党もまた挙国一致に参加する」と協力を約束した。
 日帝は、同年「臨時資金調達法」「輸出入品等臨時措置法」によって全面的な経済統制を開始した。10月には内閣に経済政策の立案と物資動員計画を作成する企画院を設置した。そして翌38年4月、国家総動員法と電力国家管理法を公布した。国家総動員法は、経済統制を始め労働、言論などに対する広範な統制の権限が一括して政府にゆだねられ、しかも法文上には統制の内容は明示されず、すべては勅令、省令、通達で定められるというものだ。
 国民生活は当然にも圧迫された。日帝の侵略戦争突入に対して労働者人民はどうだったのか。37年、ストライキやサボタージュに参加した労働者の数は2万3730人に達し、戦前の最高を記録。30年代の労働組合の組織率は31年に7・9%、組合数は35年に993組合、組合員数は36年に42万589人と、それぞれ戦前のピークに達していた。
 37年8月、近衛内閣は「国民精神総動員運動」を決定した。これは「挙国一致」「尽忠報国」「堅忍持久」を掲げて国民の思想動員(思想統制・治安弾圧)を狙ったものであった。
 39年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻、第2次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)すると、「バスに乗り遅れるな」「大東亜新秩序」建設のために強力な国家体制を確立するべきとする「新政治体制」構築へ突き進んだ。単に思想的な動員ではなく文字どおりの国家総動員体制をつくれというものだ。

 労働組合を一掃

 「外への侵略戦争」とともに「内への階級戦争」攻撃の核心点は、労働者階級の階級性の剥奪(はくだつ)、その団結形態である労働組合の根絶にあった。
 天皇制イデオロギーを振りかざして登場した日本主義労働組合についてさえ、支配階級のイデオローグは「労働者階級自身による団結形態としての形式を有していて、真性の労働組合へ容易に転化する可能性のある組織」(全国産業団体連合会・前田一、戦後・日経連専務理事)と危険視していた。事実、35年、日本主義労働組合を自認する愛知県の豊川鉄道の労働組合が賃上げ要求を掲げ争議を起こしている。
 すなわち「産業報国会」とは、労働組合を始めとする一切の労働者の自主的組織を根絶やしにする、「社会の主人公」である労働者階級の闘いを徹底的に封じ込めることに核心的な狙いがあった。生活できない労働者の怒りと闘いを抑え込み、愛国主義的に組織するために、労働組合と名の付くものは一切認めない、その根絶が一切なのだ。
 37年9月の大会で「支那事変は日本民族の聖戦」と規定して日帝の中国侵略戦争をたたえた社会大衆党は、40年7月解党し、10月「大政翼賛会」が結成された。そして37年10月の大会で「事変中同盟罷業根絶」(ストライキ根絶宣言)を決議した日本最大の労働組合「全日本労働総同盟」も、40年7月解散を決定した。さらに最後まで組織を残していた日本主義を唱える「日本海員組合」も9月に解散した。農民組合も「農業報国」をスローガンにした農業報国連盟に吸収、統合された。
 こうして労働者の団結形態である労働組合が一掃されると同時に、相互監視と連帯責任制度である隣組制度の確立によって、日帝権力は初めて「国家総動員体制」が可能となり労働者人民を侵略戦争に動員できたのである。
 日本経団連の04年経労委報告の主張は、もはや連合のこれまでのあり方さえ認めないという全面的な資本攻勢を宣言するものだ。奥田ビジョン、日帝・小泉=奥田路線に基づいた、「外への侵略戦争、内への階級戦争」攻撃の全面展開である。それは戦時下の資本攻勢として、労働運動の産業報国会化を要求するものである。
 (野田利一)

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週刊『前進』(2138号6面1)(2004/02/23)

団結ひろば 投稿コーナー

 退くことはできないこれからが本番だ 東京 教育労働者 片岡良美

 自衛隊が戦場のイラクへ次々と送り込まれています。「教え子」が再び戦場に送られる時代に突入したのです。卒業式や入学式、創立記念の周年行事の式に持ち込まれてきた「日の丸・君が代」は、これまでとはまったく違う意味合いを持つことになりました。
 04年の卒業式・入学式を前に各地で出されている通達や実施指針は、違法・不当なもの、今の教育基本法下では本来あってはならないことです。石原都政のもとで昨年10月に出された実施指針は、教職員の「国旗に向かっての起立・国歌斉唱」を義務付け、式場の設営の仕方や服装まで細かく指示しています。戦前の学校行事の「儀式規程」の復活です。「ここまでやるかよ」が職場の大多数の感想です。皆、新たな戦争に向けて教育を総動員する攻撃だと見抜いています。
 「日の丸・君が代」強制との闘いは、戦後途絶えることなく最大の攻防点でした。全国各地でたとえ組合執行部が屈服しても、「教育労働者にとって譲れない生命線」と自覚し、孤立を辞さず営々と闘う教育労働者が存在してきました。式場に出ている人であっても、「国のため、天皇のために命を投げ出す」気持ちで旗に礼をし、「君が代」を歌っている者など、いないのです。
 戦時下に突入し、焦っているのは敵の側です。だから「国民精神が問題だ」と小泉は叫び、国家権力は、「不起立」のささやかな抗議の行動まで処分を振りかざして一掃しようとしているのです。絶対に屈するわけにいきません。今春の「ここで譲らない」決起が絶対に必要なのです。
 組織的な抵抗闘争を実現し、闘う組合を取り戻そう。「戦争協力拒否」の労働者連帯をかけて今春全国で「日の丸・君が代」強制阻止闘争をこじ開けよう。

 監視カメラと共謀罪人民支配に反撃を 東京 名木良智

 ある日、朝刊を見て驚きました。監視カメラが68台も新橋駅北口周辺に設置されるというのです。後日、行ってみたところ、カメラの集列が道行く人びとを四方八方から見下ろしているではありませんか。
 権力は今“体感治安”という言葉をしきりに使う。しかし「防犯」「安全」に名を借りた権力の人民支配攻撃の激しい進行こそ重大問題ではないでしょうか。
 実行行為がなくても相談しただけで逮捕できるという「共謀罪」が今国会に提出されようとしています。人民の内心にまで侵入し、日帝国家権力にとって都合が悪いと断定した組織・個人を根こそぎ弾圧し、投獄する恐るべき法案です。
 現行盗聴法の乱用は必至です。労組や市民団体、学生自治会、個人などの電話、メール、ファックス、室内の盗聴が横行し、さらには監視カメラによる盗撮が治安弾圧の常套(じょうとう)手段となろうとしています。
 この間、国家・警察主導のもとで商店街・道路・公園・駐車場・駅・病院・文化施設などに監視カメラが急増している事実は、みんなが体感していることではないでしょうか。顔面認証技術と結合した通行人識別装置の監視カメラの開発も進められています。
 住基ネット・組対法(盗聴法)・生活安全条例などで外堀を埋め、共謀罪・司法改革で内堀を埋めようという攻撃は、粉砕あるのみ。反戦闘争・労働運動と反弾圧の闘いを結びつけ、共謀罪廃案・司法改革阻止の大運動へともに立ち上がりましょう。

 国鉄分割・民営化との闘いに頭が下がる 関東 民間労働者 大村泰之

 『俺たちは鉄路に生きる2』を読んでまず思い出すことは、JRが国鉄だったころ春になるとよくストライキをやって、電車が止まっていたことです。そのころは、なぜストライキをやり電車を止めるのか訳がわからなかった。正直なところ迷惑だと思っていた。
 分割・民営化の時も、テレビ、新聞等で国鉄の労働者は仕事中に風呂に入っているとか、出張にも行かずに出張費・ヤミカラをもらっているとか報道されていて、働かずにお金をもらっているとんでもない人たちだと思っていた。
 でもこの本を読んで理由がわかると、自分の思っていたことがマスコミによってそう思い込まされていたのだ、誤解していたのだと考えるようになった。労働者として当然のことをやったのだと思い、自分も労働者として生きていくうえで必要なことを教えられたような気がする。
 仲間を信じ仕事に誇りを持っているからこそ、日本国じゅうをあげての国鉄つぶしの攻撃に真正面から組合が団結し、分割・民営化の攻撃に立ち向かえた。20年を過ぎようとしている今も、1047名闘争として闘いを続けていることに頭が下がる思いがする。
 戦後政治の総決算攻撃、国鉄分割・民営化攻撃の中で「闘いによってしか団結は守れない」と決意し、スト方針を全支部で大会を開き採択する過程が感動的で、一家を支える夫が首になるのをわかっているのにスト方針に賛成し、帰りに「委員長さん、今日はいい話を聞かせていただいてありがとうございました」。家族ぐるみで組合を信じているようすがうかがえる。組合が労働者を信じ方針をだし、労働者が組合を信じ方針を貫徹する。そこに団結が生まれる。

 日本共産党を離党し今は清々しい気持ち 宮部弘子

 私は学生時代に日本共産党に入党しましたが、支部活動のやり方に納得できず、大学卒業後まもなく「休眠」党員となっていました。ですが、最近の日本共産党の右傾化に我慢がならず、地元の党委員会に「綱領改定とはどういうことだ!」と文句の電話を入れました。天皇制反対を取り下げ、自衛隊反対も取り下げ、「労働者」という言葉も削って、一体どこへ進もうというのか!と。
 結局、私の属している反戦運動団体が反党的であり、そこを辞めないと除籍すると言われ、離党させられました。その時はとてもショックでしたが、今はむしろ清々しい気持ちでいっぱいです。なぜなら、今まで塞(ふさ)がれていた扉が初めて開いて、真実が見えてきたからです。わたしは、今度こそ間違えずに、あなた方と歩む! そう、心に決めた!
 今、「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」の心境です。

 『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 組合権力を取る気で読めば無限の宝庫だ 関東 自治体労働者 鎌本隆生

 『俺たちは鉄路に生きる2』は動労千葉の軌跡だ。今日の動労千葉はすごい組合だが、もともとは民同右派の牙城(がじょう)だった。いかにして今日の動労千葉になったのか。
 私は船橋事故闘争を取り上げたい。「ここまでやる労働組合は本物だ」と組合員が言っている。「あの闘いがあったから今日の動労千葉がある」とOBは皆、一杯入ると言う。ここまで組合員が自分の労働組合に誇りをもち、ロイヤリティー、帰属性をもっている労働組合はほかにない。
 執行部に対する信頼――これも自分の組合を見ていて信じられないほどだ。組合員と執行部との間に根底的な信頼関係がある。
 ジェット燃料輸送阻止闘争の時、中野さんが「動労千葉はゼニ、カネのためにだけ闘うんじゃないんだ」と言ったら、皆「そうだ」と言った。こういうことを執行部が提起できるのはすごい。動労千葉は、ゼニ、カネのための闘いをずーっとやってきた。そのうえでそういう提起がなされた。
 一番すごいのは、分割・民営化反対ストライキ直前の各支部の大会で、支部長は、ほとんど解雇が間違いないにもかかわらず、全員留任したことだ。中野さんは家族会を含めた地域集会で本当のことを言った。「もう首を覚悟してくれ」と。後から「あれは言い過ぎじゃないのか」と言われたが、そこまで提起する。
 何よりも、カクマルとの分離・独立の戦争の中で、世間的には「中核vsカクマル」ということだが、そういうことも含めて全部、組合員に話をしている。
 革共同の新指導路線を煎(せん)じ詰めて言えば、労働組合権力を取るということだ。こうした目的なしに『俺たちは鉄路に生きる2』を読んでも、おもしろいと感じて終わりになりかねない。けれども、労働組合権力を自分が取るという立場で読んだ時には、この本は無限の宝の山、宝庫だ。
 なぜなのか。私たちには他にこういう典型的な組合がないからだ。都労連とか国労もある。左派組合もたくさんある。そういったもろもろの組合と動労千葉は決定的に違う。
 左派の労働組合を左からうまくやって動労千葉をつくったわけではない。民同右派だった動労千葉がここまでになった。ここに私たちは注目しなければならない。つまり、日本のすべての労働組合が動労千葉のようになる可能性があるということだ。どんなに右よりの組合でも可能性がある。本当に一人ひとりが人生をかけて自分の組合を動労千葉のようにする気になれば必ずできることを動労千葉の軌跡は示している。
 したがって、04年の私たちの闘いは、ひとつでも多くの組合を動労千葉に近づけよう、動労千葉のような組合を二つ三つつくろう、動労千葉のような運動をもっと多くつくろうということになる。これが小泉を倒す道であり、イラク派兵を止める道であり、今の情勢を根本的に変えていく道であり、私たちの党建設の道であると考える。

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週刊『前進』(2138号6面2)(2004/02/23)

『前進』武器に3・20組織化を 戦時下の労働者細胞建設へ 2〜3月『前進』拡大アピール
 前進経営局

 『前進』を労組に持ち込み10万人決起を

 自衛隊の出兵、イラク現地での動向が大成果のごとくマスコミの1面で連日報道されている。こんな現状は絶対に許すことができない。3・20の10万人闘争でこの政治情勢を一変させるのだ。その武器は『前進』だ。『前進』をあらゆる職場、大学、街頭にもちこみ、『前進』で勝負しよう。青年労働者・学生を『前進』で組織しよう。
 大統一戦線で3・20の10万決起を実現しよう。その主力に昨年の11・9労働者国際連帯集会を実現した新潮流が隊列を数倍増して決起しよう。ここにすべてがかかっている。
 平和主義的・現状維持的な考えでは、戦時下の帝国主義の攻撃に立ち向かうことはできない。日本帝国主義打倒の革命的祖国敗北主義、労働者国際主義の立場にたった宣伝・扇動が必要だ。『前進』こそ、その最良の武器だ。
 3・20闘争の成功のためにあらゆる武器を活用しなければならない。しかし肝心なことは、その中心に『前進』をすえることだ。
 革命党の機関紙が大衆闘争の最大の武器となるということは、尋常なことではない。だが、今は革命的激動期が到来しているのだ。昨年2月のロンドン100万人決起ではSWP(社会主義労働者党)の機関紙3万部が販売されたという。
 日本の70年安保・沖縄闘争の時はそうだった。大衆動員と大衆闘争を決定したのは『前進』だった。激動期には革命党の機関紙が集団的組織者としての威力を発揮し、労働者人民、青年、学生を組織し、大闘争を実現していく。
 こうした過程が今日本でも始まりつつある。昨年の11・9集会の結集は、労働組合に『前進』をどれだけもちこんだかが大勢を決した。今年の1・25ワールドピースナウの日比谷野音集会でも、機関動員を成功させた労組の多くには『前進』がもちこまれていたのである。
 一方、大衆自身が『前進』を求めている。昨年12月9日の小泉の派兵決定以来、『前進』定期購読の申し込みが増えている。戦時下に突入したイラク派兵阻止闘争、イラク反戦闘争は自国政府を打倒する闘いの始まりである。帝国主義の侵略戦争を階級的に暴き、帝国主義打倒のみが戦争と派兵を阻止することを『前進』だけが訴えている。
 『前進』ホームページや前進社への申し込み、街頭宣伝現場での直接申し込みが増えている。かつてないことが起こっている。
 「今の日本の政治はおかしい」「イラク派兵反対のネットを見て」「日本共産党の転向問題で」など、その3分の2は青年である。
 『前進』や中核派を見たことも聞いたこともない人びと、大衆運動の経験やマルクス主義に触れたこともない膨大な人びとが政治選択を求めているのである。
 時代の転換点には、新たな時代を牽引(けんいん)すべき党派と機関紙が登場しなければならない。『前進』拡大で時代を塗り替える闘いに挑戦しよう。

 労働者新聞を拡大し職場に細胞つくろう

 イラク派兵情勢、戦時下で既成のすべての勢力が翼賛化し、混迷し、凋落(ちょうらく)している。その中で、団結を固め、隊列を守り、勢力を拡大しているものは誰か。それは11・9集会を実現した動労千葉労働運動を牽引車とする新潮流運動である。この階級的労働運動が国際連帯に結実した。この闘いに自信をもち、連合、全労連を問わずあらゆる労組に広めるべきときだ。
 その指針は〈新指導路線〉である。プロレタリア階級の獲得とそのための労働組合運動の推進と労働者細胞の組織化である。その武器は機関紙である。機関紙で組織することによって、戦時下に強まる治安弾圧攻撃にうちかつ不抜の労働者細胞を建設することができる。機関紙活動を党活動の中心にすえて闘いぬかなければならない。
 労働運動を実践することと職場に労働者新聞を広める活動は一体である。この闘いを基軸的な活動として実践し、拠点職場・拠点細胞を建設しよう。
 11・9集会の成功自身、こうした闘いのひとつの集約点であった。昨年は11・9を頂点に、自治労大会での「自治労21世紀宣言」をめぐって、教労での教育基本法反対集会をめぐって、画期的な前進が切り開かれた。主要産別に産別委員会が形成され、機関紙を拡大して拠点職場を建設する闘いが開始された。しかしそれはまだ一部の組織、一部の同志によって担われている段階である。この闘いを3・20過程で本格的に発展させよう。すべての同志が職場で『前進』を拡大し、職場から大隊列を登場させること、ここに3・20闘争の成功がかかっている。
 さらに、11・9への結集を働きかけ、11・9に結集した連合や全労連傘下の多くの労働者に『前進』を広めよう。この活動もまだ開始されたばかりだ。これらの人びとの大半は労組役員でありながら個人として参加している。この人びとが『前進』を読み、新潮流運動の担い手として、労組の隊列を率いて結集した時、3・20は真に成功する。
 そのためには、労働運動・労働組合運動の中に入り、資本攻勢と闘い、春闘をともに闘いぬかなければならない。こうして職場に『前進』を一部一部うまずたゆまず持ち込もう。
 さらに、学生戦線での機関紙の爆発的な拡大を実現し、大隊列を登場させよう。

 機関紙活動で新指導路線を実践しよう

 新指導路線とは、戦時下で3全総(1962年)路線を実践することとして提起されている。
 3全総は、第一に労働運動の実践をとおしての労働者階級の組織化、第二に反戦政治闘争への決起を提起し、第三に蜂起に勝利する地区党建設を、第一と第二の前提であり帰結をなす核心として提起している。第四に、そのためのカギをなすものとして機関紙活動の抜本的な改革・確立を提起している。他方で学生運動の高揚と爆発に一切をかけたのである。
 3全総は機関紙で独自の系列に労働者を組織することを提起し実践した。労働運動の高揚があったから『前進』が拡大できたのではない。逆だ。機関紙活動をとおして戦闘的労働運動を防衛し労働者細胞を建設したのである。
 この時の活動について、本紙03年11月17日付号「機関紙拡大闘争に取り組み労働者細胞を建設しよう」の第4章「三全総に学んで原則的な機関紙活動の確立を」を参照してほしい。
 3全総を受け典型的な機関紙活動を行っていた○○地区委員会の活動について紹介したい。
 「○○支局はわが同盟最大の支局である。……紙代は1カ月分まとめて前納されており、しかも有料部数はいまも毎月1割ぐらいずつ増えている。また、『前進』の内容についても最も頻繁に注文をつけ、同時に『たたかいは進む』(注 投稿欄のこと)の原稿も系統的に組織してくる。一体どうしてこのようなことが可能となったのか? それは、県委員長、地区委員長自身が機関紙の責任者となり、つねに県委員会全体で活動方針を決めその実行を点検する、という事が行われてきたことの結果なのである。」(本紙200号「機関紙活動を組織活動の中心に」編集局・経営局)
 1964年当時月1割もの拡大闘争をどのように実現していたのであろうか。
 「読者の拡大については、会議における個々の同盟員の組織活動、オルグ活動の十分な点検と個別具体的な精密な組織戦術の設定の上に決定される。……『前進』を大胆に職場労働者に拡大浸透させていくことについての一切の日和見主義にたいして、われわれは断固反対するものであり、それは決して『前進』を無防備、無計画的に開陳することを意味しない。個々の読者の候補にたいしていつどのように持ち込むかということから同盟の組織的方針のもとに行う必要がある。自己の判断で見せた場合もかならず会議で報告する習慣をつけている」(本紙202号「経営細胞における機関紙活動の経験」)
 機関紙の迅速な配布、読み合わせ、読者の拡大、紙代の給料日直後の会議での集金と納入など、機関紙活動を組織活動の中心にすえて闘いぬき、次々に労働者細胞を建設していった。こうした活動のあり方を今こそ復活させなければならない。
 こうした機関紙活動にとって、機関紙の抜本的改革は死活的課題である。拡大への意欲に満ちた労働者同志の意見を傾聴し、全党とすべての労働者の共同の努力で、誰もが拡大できる機関紙へと変革していこう。

 『前進』街宣の恒常化で党の見解広めよう

 職場とならんで街頭は攻防の火点である。街頭で党の見解で真っ向勝負すべきである。
 『前進』街頭販売は02年夏以来恒常的に闘われている。昨秋11・17新小岩弾圧が襲いかかってきたが、弾圧ゆえに街宣をより強化して闘いぬいている。
 『前進』街宣は起伏に富んだ活動である。党の見解を直接大衆に訴え、『前進』販売を継続していること自体に意義がある。街頭宣伝の継続は党的力量・気力・構えを示し、労組にも影響を与える。新小岩駅街宣での弾圧との闘いは自治労職場でも話題になっていたという。街頭に元気に、鮮明に登場し、闘い続けることが労働者細胞建設のテコともなる。
 街宣現場で直ちに定期購読者になり、党に結集して読者を拡大している同志もいる。街宣をしている姿を見て勇気づけられて定期購読した読者もいる。
 『前進』街宣は全党の例外ない義務だということを確認しよう。さらに現地闘争で、あらゆる集会で『前進』販売をやりぬこう。

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週刊『前進』(2138号6面3)(2004/02/23)

2・27反核東京集会へ ビキニ被爆の抹殺許すな

 1954年3月1日のビキニ被爆から50年目となる2月27日、ビキニデー50周年東京集会が、大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)、三角忠さん(三一書房労組委員長)、田中康宏さん(動労千葉委員長)、スー・ハリスさん(ANSWER)ら13人の呼びかけで開催されます。今年のビキニデーは、ブッシュのイラク軍事占領と核実験再開策動、小泉のイラク派兵強行と独自の核武装化の進行のなかで、これと真っ向から対決し、3・20イラク反戦大集会の実現に向けた反戦・反核の重大な歴史的闘いとしてかちとられようとしています。
 広島・長崎に史上初の原爆を投下した米帝は、中部太平洋マーシャル諸島のビキニ・エニウェトク環礁で島民を追い出して原水爆実験(46年〜58年)を67回強行しました。そのため周辺島嶼(とうしょ)住民が多数被爆し、これまで840人が亡くなっています。
 広島型原爆の1000倍(15メガトン)と言われる54年のビキニ水爆実験では、近くでマグロ漁をしていた第五福竜丸にも死の灰が降り、全乗組員が被爆しました(その後、半数以上が肝臓ガンなどで死亡)。
 ところが日米安保を当面の延命の柱とし、54年3月5日に初の原子力予算(3億5千万円)を衆院通過させ、独自の核武装に踏み出そうとした日帝は、米帝の原水爆実験への積極的協力を表明し、55年1月、米帝との間で乗組員の頭越しにわずかばかりの見舞金で早々と政治決着を強行しました。そして、9月14日には日米原子力協定が調印され、「原子力の平和利用」大キャンペーンのもとで核研究・開発が推進されていきます。ビキニの被災者たちは、日本の核政策の「人柱」にされたのです。日本の漁船856隻(2万人近い乗組員)がビキニ実験で被爆した事実を、政府は無視・抹殺したのです。
 米帝は中東支配・石油資源獲得のためにアフガニスタン・イラク侵略戦争を引き起こし、劣化ウラン弾を大量に使用しました。劣化ウラン弾の影響で子どもを中心に無数のイラク人民が殺され続けています。
 一方日帝は、もんじゅ再稼働策動、六ケ所村へのITER(国際熱核融合実験炉)誘致外交と再処理工場運転開始攻撃など、独自の核武装化攻撃を有事体制下、北朝鮮―中国侵略戦争情勢と連動しながら激しく展開しています。
 2・27ビキニデー50周年東京集会を核と戦争をなくす新たな始発点にしていこうではありませんか。
(投稿 東京・久川正治)

 集会要綱

 ビキニ被爆責任追及! イラクへの劣化ウラン弾の使用許すな! 自衛隊のイラク派兵を阻止しよう!
 2・27ビキニデー50周年東京集会
 2月27日(金)午後6時開場・6時半開会
 杉並産業商工会館ホール(阿佐谷南3−2−19)
 主催 2・27ビキニデー50周年東京集会実行委員会

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週刊『前進』(2138号6面4)(2004/02/23)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
2月23日(月)午後1時15分
 *東京地裁

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