ZENSHIN 2004/01/01(No2132 p16)

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週刊『前進』(2132号9面1)(2004/01/01)

敵は一つ、労働者に国境はない 日韓米 労働者国際連帯の発展へ

 昨年11月9日、韓米の闘う労働組合を迎えて全国労働者総決起集会が開かれた。イラク開戦下の動労千葉90時間春闘スト、関西生コン支部の2時間抗議ストと全事業所での春闘スト、港合同の倒産攻撃との闘いと地域での反戦闘争を始めとした必死の闘い、3労組共闘の力が、世界の労働運動の最先端と結びついた。同日ソウルで、民主労総は全国労働者大会を開いた。労働弾圧によって労働者の命まで奪われる中での大反撃だ。その貴重な準備過程で、民主労総ソウル地域本部長、副本部長、組織次長という中心的幹部が訪日したのだ。日本帝国主義は、韓国に自由貿易協定締結−労働運動圧殺を要求し、北朝鮮侵略戦争のための有事立法攻撃を進めている。東京とソウルの11・9集会は同じ敵との闘いだ。アメリカからはILWUローカル34(国際港湾倉庫労組第34支部)の書記長を始め3人を迎えた。ILWUはアメリカで最も戦闘的な組合であり、同時に米欧の労働運動の階級的再編の軸になっている。だからこそイラク戦争突入情勢下、ブッシュ政権はタフト・ハートレー法発動で全体重をかけて壊滅させようとした。だがその重圧をはねのけ、“外への侵略戦争、内への階級戦争”との闘いの先頭に立っている。11・9集会が画期的に切り開いた国際連帯と階級的労働運動の地平を発展させるために、韓国とアメリカの労働運動の現状を分析し報告したい。(本紙・室田順子、村上和幸)

 韓国 盧武鉉政権の労働弾圧に民主労総が総反撃に立つ

 「全地球的な資本主義体制のもとで、労働者国際主義は労働者の闘いの不可欠の領域とならなければならず、そうなった時に、われわれは生存権と労働基本権を守り、一歩前進することができる。…朝鮮半島の戦争危機に韓米日労働者運動の共同対応が重要です」
 11・9日比谷で民主労総のコジョンファン・ソウル地域本部長はこう力強く呼びかけ、階級的国際連帯の重要性を訴えた。
 全国民主労働組合総連盟は、血と汗で闘いとった民主労組運動の結晶として95年に創設され、70万組合員が盧武鉉(ノムヒョン)政権と総力闘争を繰り広げている。
 11月9日、ソウルでは段炳浩(タンビョンホ)委員長が、「盧武鉉政府の9カ月は失望と怒りの9カ月だ!」と叫んでいた。「ストライキを阻止するための損害賠償請求・仮差し押さえ、非正規職労働者の差別で労働者は基本的な生存権さえ保障されていない。これに抗議した同志たちの死は明白な社会的他殺だ」と弾劾、11・12ゼネストで反撃しようと訴えた。
 10月17日、釜山の韓進(ハンジン)重工業労組で129日間クレーン上に籠城(ろうじょう)し賃金・団体協約交渉を要求していたキムジュイク支会長が「今度の闘いでわれわれが敗北したら多くの人が死ぬよりほかなく、私一人が死んで多くの同志を救えればと思い、この道を選ばざるを得なかった」(遺書)と抗議自殺を遂げた。労働者階級の利害をかけた究極の選択だった。続く23日にセウォンテック労組のイヘナム支会長が、そして26日には勤労福祉公団非正規職労組のイヨンソク光州全羅南道本部長が「非正規職撤廃!」を叫んで身を焼くという衝撃的な事態が続いた。誰が労働者を殺したのかは明白だ!

 盧への「幻想」破り

 97年、アジアを襲った経済危機は韓国経済を直撃し、12月にはIMF管理体制に入った。以来、金大中(キムデジュン)政権下の5年間に大企業の構造改革、整理解雇制導入など、労働者に犠牲が集中した。政府統計でさえ失業者200万人(失業率10%超)となり、さらに、公営企業の民営化・海外売却攻撃との激しい攻防が繰り広げられてきた。
 02年6月、2人の女子中学生が米軍装甲車にひき殺される事件が発生した。加害兵士に軍事法廷で無罪判決が出された同年11月に始まったキャンドルデモは、年末には光化門10万の人波となった。
 その反米・反基地闘争の全人民的爆発を背景に大統領に当選したのが盧武鉉だ。財閥解体、政経癒着根絶とともに非正規職差別撤廃、貧富格差解消などを公約に掲げ、労働弁護団としての経歴を振りかざして登場したのである。
 しかし、盧武鉉政権は、米英帝の3・20イラク開戦をいち早く承認、4月には国会を取り巻く労働者人民の怒りを踏みにじって韓国軍派兵を決定した。以来、帝国主義の意を体し、国内資本の要求を受けてこれまで以上の過酷な労働弾圧に打って出た。
 鉄道労組ストライキに対する6・28武力鎮圧を皮切りに労働争議への大弾圧を繰り返した。8月には非正規職差別を拡大する週5日勤務制を導入、日帝を始め帝国主義資本の労働運動弾圧の要求にこたえて「労使関係先進化方案(ロードマップ)」を検討、12月に発表された最終報告では徹底した労組活動の制限と資本の対抗権拡大が盛り込まれた。それは、労組無力化と使用者対抗権の強化に突き進むという宣言だった。今や盧武鉉は「焚身(ふんしん)を闘争手段にしている」「民主労総はもはや労働運動団体ではない」と憎悪むき出しに民主労総解体攻撃に打って出ている。
 韓国では、80年代後半から強権的軍事独裁体制が覆されてきたが、在韓米軍が北朝鮮と軍事境界線をもって対峙する分断国家であり、新植民地主義体制であることに変わりはない。脆弱(ぜいじゃく)な政治基盤の盧武鉉政権は、米日帝による北朝鮮侵略戦争の切迫情勢にぎりぎりと締め上げられ、米日帝に屈服し、北朝鮮侵略戦争を容認・加担するしかないところに立たされている。
 この韓国で生存権死守を掲げ、団結した労働者が賃金闘争をストライキで闘うことは即、政権基盤を揺るがす階級激突となる。米日欧帝国主義資本と韓国資本への二重の階級戦争を民主労総は敢然と闘いぬいている。帝国主義こそ日韓米労働者の共通の敵だ。帝国主義の資本攻勢、侵略戦争を打ち破る国際連帯、共同闘争が、今ほど求められている時はない。

 非正規職差別撤廃

 03年は斗山(トゥサン)重工業労組ペダルホ烈士の焚身決起による損賠・仮差し押さえの告発で始まった。渦巻く怒りは新政権を直撃、鉄道労組、貨物連帯の威力あるゼネストがたたきつけられた。全世界的なイラク反戦行動が高揚する中、韓国でも派兵強行との激突となった。
 しかし闘っても具体的な成果を得るどころか、過酷な労働弾圧が全面展開される。8月末、民主労総は臨時代議員大会を開き、激烈な討論を経て3大闘争課題(@非正規職制度改善A国民年金改悪中止B労働弾圧中断・労働3権強化)を確定し、この要求をかちとるためにゼネストを含む総力闘争に突入することを決めた。そして、11月労働者大会を10万人規模で開くことを決め、その組織化のために「3大要求戦取、組合員総投票」に取り組んだ。
 その最中、抗議自殺の続発に民主労総は「これ以上殺すな」と声明を発し、非常体制に入った。
 10月末の臨時代議員大会で民主労総は、労働弾圧粉砕、非正規職労働者保護、国民年金改悪阻止、イラク派兵阻止を決議し、ゼネストをもって闘うことを宣言した。盧武鉉政権、韓進、セウォン、勤労福祉公団、さらに政府・資本の広報官よろしく労組攻撃を続ける朝鮮・東亜・中央日報を「労働者殺し5賊」と規定し、審判・糾弾闘争を行うことも決議した。
 「労働者を死に追いやる損賠・仮差し押さえ、非正規職差別を解決しろ!」「労働者の団結で盧武鉉政権を打ち倒そう!」と叫んで、11・6第1次ゼネストには金属産業連盟、化学繊維連盟を中心に12万人が、11・12第2次ゼネストには鉄道・地下鉄など公共連盟を含む16万人が立ち上がった。

 団結し闘って勝利

 「42日間の野宿闘争、スト期間中の使用者側による懐柔と脅迫を経験し、非正規職が何であるか、なぜ争わなければならないかが分かった。君が残した火種は組合員の胸に残り、800万非正規職労働者と1300万労働者の胸に燃えて、非正規職撤廃を必ず成し遂げるだろう」(12月8日、勤労福祉公団非正規職労組イヨンソク烈士の全国労働葬での追悼辞)
 「現場に帰って闘おう!」を合言葉に闘った民主労総、金属労組、金属産業連盟、公共連盟、そして何よりも釜山、大邱、光州など地域での粘り強い連帯闘争が勝利をもぎりとった。11月14日に韓進重工業で交渉妥結、さらに12月6日に勤労福祉公団で暫定合意に至った。日本本社に遠征して闘った韓国シチズン労組、スイスへ遠征した韓国ネスレ労組でも妥結をかちとった。
 最後まで難航したセウォンテックでも12月10日に劇的に妥結し、責任者処罰(経営陣3人の退陣)、公式謝罪、解雇者復職、告訴・告発の取り下げ、賃金団体協約締結、遺族補償などをかちとった。
 盧武鉉政権との攻防は、全国主要道路でのデモ行進禁止という集示法改悪、イラク派兵国会承認、貨物悪法・鉄道法改悪などをめぐる対国会集中闘争として続いている。農民、撤去民・露天商の怒りも天を突き、扶安(プアン)では核廃棄場反対闘争が住民総決起の実力闘争として激しく闘われている。
 一切の階級矛盾が噴き出し、盧武鉉政権打倒へと闘いは燃え広がっている。この闘いは同時に北朝鮮侵略戦争を阻む力そのものだ。この闘いの勝利の道が、日韓米労働者の共同闘争の中に指し示されている。11・9に実現した日韓米労働者の連帯・合流こそ、新たな歴史の出発点だ。
 「戦争を阻止し、新自由主義世界化を阻止するため…きょうのこの場が韓米日労働者運動の階級的国際連帯の里程標になることを心から希望する」とコジョンファン氏は11・9発言を結んだ。この熱い呼びかけに連帯し闘おう。

 アメリカ 裏切り指導部を打ち倒し階級の獲得に進む新潮流

 「イラク侵略の真の目的は、国有化されたイラク油田の制圧と中東への影響力行使である。イラク人民が米軍撤退を求めて怒りのデモをしている時、合州国は、この目的のためにイラクを占領し、米軍独裁を押し付けている。
 経済破滅、失業、ホームレス、全国民健保の欠如をよそに、750億jの戦費が使われる。…数億jがブッシュ政権と親密なSSA(米港湾荷役社)にウムカスル港運営費として与えられる」(03年5月1日、ILWU大会決議)
 9・11以後、米帝ブッシュ政権は、「米経済に打撃を与える行為はテロ」という論法を振りかざし、治安立法、労働運動弾圧を一挙に強めた。侵略戦争をアフガニスタンからイラクへと決定的に拡大しようとしていた02年は、労組破壊の嵐の年となった。

 「奴隷労働法」撃退

 その02年、ILWUは労働協約改定期を迎えていた。経営者団体PMA(太平洋海事協会)は、技術革新による人員削減・組合破壊を狙っていた。
 ILWUはアメリカで最も戦闘的な組合であり、またカナダを含む北米西海岸のすべての港湾と関連部門を丸ごと組織するきわめて大衆的で、強力な組合だ。物流の根幹を押さえている。ILWUが獲得した労働条件が地域全体を牽引(けんいん)し、またその侵略と差別との闘いがコミュニティーを超えた地域の団結を形成している。
 だから、米帝ブッシュとPMAは、02年にILWUの破壊に全力をあげてきたのだ。PMAは、中東向け軍需物資の荷動き停滞もあえていとわずロックアウトを行い、ILWUを屈服させようとした。ILWUの反撃に、ブッシュ政権はタフト・ハートレー法で争議停止を強要した。国土安全保障省リッジ長官とラムズフェルド国防長官が自らILWUスピノザ委員長に電話し、協約締結闘争は「国家安全保障を脅かす」と恫喝した。
 タフト・ハートレー法(1947年制定)は、「奴隷労働法」と呼ばれる。資本の不当労働行為から労働者を守ることを基本にしていた35年のワーグナー法(全国労働関係法)を改悪し、争議中止命令や「労働者組織による不当労働行為」(!)の排除などを導入したのだ。これの適用は、ILWU壊滅に米帝が全力をあげてきたことを意味する。
 歴戦のILWUにとっても、なみなみならぬ試練だった。「PATCOにはならないぞ!」という言葉が掲げられた。PATCOとは、80年代初頭、レーガン政権によって全員解雇、壊滅させられた航空管制官組合だ。
 ILWU内には逡巡(しゅんじゅん)も生じた。だが、組合内の討論と資本・権力への戦闘的な反撃で、力関係を押し戻した。03年1月、ILWUローカル10(第10支部)を先頭に、USLAW(全米反戦労組連合)結成を担った。そして圧倒的な1〜3月の大反戦デモを組織した。
 4月7日、オークランド港での軍需物資輸送阻止のピケを警察が襲撃し、多数を負傷させ、逮捕し、ローカル10のヘイマン執行委員ら25人を起訴する弾圧をかけてきた。だが、常に「一人への攻撃は皆への攻撃」を掲げて闘うILWUと支援労組は、ヘイマン氏らの防衛に団結を固め、さらに10・25反戦集会に結集していった。
 さらにILWUは、EU(欧州連合)の港湾規制緩和指令に反対する国際港湾労働者協議会(IDC)の主導する2波の欧州統一ストの組織化の先頭に立ち、歴史的勝利をともにかちとった(11月20日、欧州議会でEU指令撤回)。

 米国内支配の崩壊

 日本、欧州と違い、アメリカでは、ブルジョア政党である民主党が、AFL−CIO(ナショナルセンター)と傘下労組の支持政党であり、カッコ付き「階級政党」さえ存在しない。その背景には、米帝の歴史的位置と特質があり、スターリン主義の第2次大戦への全面協力と50年朝鮮戦争時の赤狩りへの屈服がある。
 こうした中で、AFL−CIOや大労組幹部は、米帝の海外での労組工作を露骨に担ってきた。またAFL−CIOはベトナム戦争を積極的に支えた歴史をもっている。
 しかし、こうした過去の労働者支配が構造的崩壊を開始し、新たな労働者の闘いが巻き起こってきている。米帝の没落に対する80年代レーガン政権の超反動的な巻き返し、労組破壊で、一層の後退を強いられたかに見えた労働運動が、むしろ既成の労働運動の破産をのりこえる新たな質をもってよみがえったのだ。95年のAFL−CIOスウィーニー執行部の誕生はその画期だ。確かに階級的指導部ではない。だが、長年の新潮流運動による力関係の転換を背景にして、以前とは違う、体制内改良主義的な政策を掲げて登場したのだ。これによって階級的新潮流が、AFL−CIO内で、全体に影響を広げていく条件が圧倒的に拡大した。
 この新たな条件を活用して、97年、チームスターズ内新潮流によってUPS(最大手小荷物会社)ストが大勝利した。そして全世界を揺るがした99年のシアトルのWTO(世界貿易機関)反対闘争に巨大な労組隊列を結集させた。
 しかし、スウィーニー執行部そのものは労働者階級を裏切っている。02年4月の南米ベネズエラのチャベス政権に対する米帝主導のクーデターを、そこの御用組合を支持する形をとって支持した。そして、昨年3・20のイラク侵略戦争突入への支持を表明した。こうして米帝ブッシュ政権の「安全保障」を振りかざした政府再編、民営化、労組破壊に協力していく。
 だが、このAFL−CIOの中からUSLAWに加入した労組の組合員数は400万人にのぼる。そして、UEなどが33年ぶりの大ストでゼネラル・エレクトリック社で医療保険・年金要求を貫徹したことは、階級的労働運動が基幹産業を掌握してきていることを示している。階級的労働運動が既成指導部にとって代わることが射程に入った。

 生き生き組織拡大

 スウィーニーは、長期の組織率低落を逆転させると公約して登場した。だが、低落は続いている。
 対照的に、USLAWの東部の核、SEIU1199は、医療・介護労働者を大量に獲得し、抜群の成長を達成している。(02−03年に約4万人拡大、現在約24万人)。西のILWUは米帝の集中攻撃にかかわらず、職場丸ごと組織を守り抜いた。昨年秋から、スーパーマーケット労働者の健康保険要求ストがカリフォルニア州から全米に広がったことにも、ILWUの地域連帯の闘いが貢献している。
 従来の組織化は、一部専従オルグだけの仕事だった。スウィーニー執行部になってからの組織化策もオルグを増やしたにとどまる。だが階級的労組では、一般組合員が新しい仲間を獲得している。組合員の生き生きした姿こそ、最高の説得力ある組合加入の勧誘になっている。
 また、「先進国でもっとも厳しい」と言われるアメリカの労働法制を突破して組合を結成するためには、コミュニティーであらかじめ相当数の労働者を獲得しておくことがカギになる。中南米・中東侵略、民族・人種差別と闘う階級的労働運動は、各コミュニティーの活動家と協力関係にあり、ともに組織化を前進させている。
 これを“外への侵略戦争、内への階級戦争”との闘いと一体的に闘っているのだ。

 全世界を獲得する階級的労働運動を

 日本の労働運動は、極悪のファシスト・カクマルを先兵とした国鉄分割・民営化、総評解体・連合結成という未曽有(みぞう)の攻撃と正面から対決してきた。国鉄1047名闘争の原則を貫き、日帝・JR体制を危機に陥れ、ついにカクマルとJR総連カクマルを分裂に次ぐ分裂に追い込んだ。
 11・9集会を呼びかけた3労組共闘は、資本・権力と対決し、職場・地域から労働者の団結を築きあげてきた日本における階級的労働運動の精華だ。
 だからこそ、民主労総、ILWUを先頭とする韓米の戦闘的労働運動と固く結びついた共同闘争を開始することができた。
 米・日帝国主義は、北朝鮮侵略戦争を射程に入れてイラク侵略戦争を行っている。それは同時に、内に向けての階級戦争である。この3労組共闘・3国連帯は、真に闘う者同士が必死になってともに闘う仲間を求めたことの結実だ。
 ここで各国共通して民営化反対が核心的な闘争課題となっていることにあらためて注目しよう。日本階級闘争の基軸になってきた国鉄闘争が、同時に世界階級闘争の最も普遍的な闘いでもある。日本の全労働者の闘いとして国鉄闘争を勝利させていくことが、国際連帯のキーポイントだ。
 国労酒田執行部は、昨年9月大会で被解雇者である闘争団を統制処分し、本部自ら労働組合の団結の根本を破壊してきた。そして1〜2月の過程で国鉄闘争終結宣言と国労解散、連合への合流を強行しようとしている。またJR資本は、基地統廃合や工場機能廃止など、第2の分割・民営化の大リストラを強行しようとしている。
 だが、この凶暴な攻撃も、敵の危機と焦りの現れだ。1047名闘争を守りぬき、一切のあいまいさなく、国労の革命的再生に向けて、酒田執行部打倒・闘う勢力による執行権奪取に突き進もう。動労千葉の闘いとの連帯、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いに全労働者の決起をかちとろう。
 3・20イラク反戦国際統一行動に向かう1〜3月は、昨年をはるかに超える情勢になる。自衛隊派兵阻止闘争は決定的だ。国際連帯の大発展をかちとろう。階級的労働運動の大前進、3・20決起、04春闘の大爆発を実現しよう。

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週刊『前進』(2132号10面1)(2004/01/01)

学生新春座談会 全学連が派兵阻止を切り開く

 出席者
 法政大学(第2文学部)国崎 住人
 東北大学(理学部)松崎 茂
 京都大学(法学部)西 健一
 司会・全学連委員長 大山 尚行

 法大 数万人のデモを主導したい
 東北大 キャンパス丸ごと動かそう
 京大 マルクス主義で学生獲得を

 全学連の若いリーダーに、04年決戦と学生運動の展望を大いに語り合ってもらいました。全学連とともに自衛隊のイラク侵略派兵を絶対に阻止しよう。(編集局)

 1月派兵阻止闘争へ

 大山 この1月がいよいよ自衛隊のイラク侵略派兵をめぐる大決戦です。日本帝国主義の強盗戦争への突入という歴史的瞬間に、全学連が決定的な闘いをぶちぬくことが死活的です。
 何よりも1・17−18全国数十万人の一斉大行動を学生が先頭に立って大爆発させることです。そして、派兵阻止現地闘争に全国から大結集をかちとることです。一切はキャンパスの闘いにかかっています。情勢を揺るがす大衆行動をキャンパスから実現し、1月派兵阻止の大決戦を切り開こう。
 西 本当にこの1月決戦が、これからの5年、10年を決する大きさをもっていると思う。何としても派兵を阻止し、日本帝国主義打倒の展望を切り開きたい。
 11月29日に2人の外交官へのゲリラ攻撃がありました。自衛隊が出兵すれば東京を攻撃するとの警告も発せられています。自衛隊の侵略出兵を強行する日帝・小泉の側につくのか、それともイラク人民と連帯し、出兵を阻止して小泉政権を打倒するのか、これが待ったなしに問われています。
 キャンパスから北海道現地行動隊への参加をどんどんつくりだしていきたい。すでに北海道に行っている学友によれば、旭川基地ではもう出兵に向けた演習が始まっていて、派兵される自衛官も決まっているらしい。自分の親、友人が自衛官で、派兵されるという話も聞いているという人たちが自ら街頭に立って署名を集めているそうです。自衛官からは「署名はできないけれど頑張ってくれ」という激励の声をよくかけられるということで、ものすごい情勢です。
 国崎 街頭でも、侵略派兵を強行する小泉への怒りがものすごくあります。若者が再び行動を開始しています。そして全党派が走り出しています。われわれはこの情勢に立ち遅れてはならない。主導権をとることが重要です。
 派兵阻止の現地闘争のためにも、国会や首相官邸を数万の人民で包囲する大行動が求められていると思います。民主党とか共産党までもが、情勢に引きずられて中央闘争を打ち出しています。しかし、彼らの運動は結局、労働者人民の闘いに制動をかけるものでしかない。全学連がこれらをぶっ飛ばし、国会を取り囲む大行動方針を呼びかけ、その陣形をつくり、われわれの主導で数万人の大デモを実現する、そういう闘いに断固挑戦したいと思います。
 松島 あらゆる所から帝国主義の支配のもとでは生きていけないという怒りがわき起こっています。労働者人民も、お年寄りが介護を受けられず毎日殺されているとか、首切り・リストラ、年金改悪で本当に生きていけないという状態です。キャンパスでも、イラク人民の命がけの闘いによって、みんなの意識がどんどん変わってきています。「これは帝国主義戦争だ」とか「石油のための戦争だから反対」という意見がどんどん出てくるようになりました。
 要は、こうした怒りや不満を、戦争・改憲・資本攻勢を進める日帝・小泉政権にぶつけていくことです。最大の焦点は、自衛隊派兵に絶対反対だという100万人の大衆行動をつくりだすことです。1月決戦を全学連が大爆発させ、全国、全世界に火花をまき散らす闘いを実現したい。

 03年の闘いの教訓

 大山 03年前半戦の闘いは、まず1月のアメリカ派遣団の闘いが決定的でした。日本の反戦闘争が世界の反戦闘争と具体的な連帯関係を形成していく決定的な派遣だったし、ANSWERの闘いから学んだことが、日本でのワールドアクション型の大衆行動を成功させることにもつながった。数度にわたるイラクへの訪問を、大衆行動の一環として取り組んできたことも重要でした。イラクの現実、イラク人民の訴えをわれわれ自身が直接学び、つかみ、日本の労働者人民に訴え、帝国主義の排外主義宣伝を打ち破って、大衆行動の発展をつくりだしてきました。
 国崎 米帝のイラク侵略戦争を始まる前にとめようと、1月、2月と数千万人のイラク反戦闘争が起こったことは、自分自身にとっても衝撃的な出来事でした。それと米帝が第3次世界大戦へ向かうものとして、アフガニスタンに続いてイラクに侵略戦争をしかけたことの歴史的重大性です。誰もがこの時代をおかしいと感じ始め、行動を求めている中で、若者を中心にイラク反戦闘争が日本でも盛り上がり始めた。そのうねりの中にわれわれも飛び込み、議論し、呼吸する中で、ワールドアクションをつくりだしました。
 4・9バグダッド占領−5・1ブッシュの戦闘終結宣言以降、日帝は“もう戦争は終わった。これからは復興だ”と大宣伝してきました。しかし現実は全然そうではなくて、軍事占領の中でイラク人民がどんどん虐殺されていることへの怒りが高まっていく。いろんな党派が闘わなくなる中で、われわれは「軍事占領をやめろ。米英軍は撤退せよ」と闘ってきました。大衆会議でも、イラクの現実に迫る討論や学習会をくり返しやってきました。そしてイラク人民の民族解放闘争と連帯し、帝国主義による世界支配、階級支配を終わらせるものとして闘い続けてきたということです。
 松島 9・11と3・20イラク開戦ということを受けて、革命的情勢の急接近ということを僕たちがつかんできたことが重要だと思います。一方で帝国主義が危機に陥って労働者人民を食わせることができない、他方で労働者階級が本格的に立ち上がり始めていることを肌でつかみ、それが1−3月の闘いを準備したと思うんです。それを受けて、4−6月有事立法絶対阻止へと決起しました。20労組の決起に見られるように、労働者階級が“このまま黙っていたら殺される。戦前の歴史をくり返すな”と立ち上がり始めた。僕らは労働者階級は必ず立ち上がると確信し、その最先頭で北朝鮮侵略戦争のための有事立法には絶対反対だと闘いました。さらに、北朝鮮に対する排外主義を打ち破る勢力として、闘いを牽引(けんいん)できたことも決定的でした。
 通常国会には、国民保護法制や北朝鮮制裁法案などが提出されようとしています。イラク派兵阻止の闘いを爆発させる中で、こうした北朝鮮侵略戦争法案を絶対に阻止しなくてはなりません。
 西 京大では、この有事立法というのが「日本を守るための法律」などではなくて、米帝の北朝鮮侵略戦争に日帝が共同=競合して参戦し、日本を朝鮮侵略のための兵站・軍事基地につくりかえることを目的とした法律なんだということをとことん暴露しました。その際学生が意見を出し合い、継続的に論争していく中で、論議が発展していく地平を生みだしました。ほとんどの学生が論議に参加し、アンケートを書きました。学生は有事立法攻撃について、素朴な反戦意識とか、憲法があるから戦争はよくないと思っている人がほとんどで、北朝鮮の脅威をどうするんだという恫喝に動揺し、葛藤しながら答えを求めている状況でした。それに対し、われわれが帝国主義批判をガンガン持ち込んで論議を組織していきました。

 民青同盟から合流

 大山 日本共産党・民青の同盟員だった人も、われわれの運動にどんどん参加してきていますね。
 国崎 日共はイラク反戦と言いながら実際は何もやっていない。民青の真面目な同盟員の人たちが時代を動かすような新しい運動を求めて、合流してきていると思います。僕らの側も彼ら、彼女らのもっているものを学んで吸収したことは重要でした。10・25SHIBUYAは、さらに新しい陣形の拡大に挑戦して大成功しました。
 西 われわれが他党派との党派闘争をあらかじめ構え、反戦闘争の主流派として今の階級情勢に躍り出るんだという気概をもって登場していることが決定的だと思います。その中でわれわれは出兵阻止を具体的に展望する路線をもち、大衆の自己解放性や自発性をとことん引き出して闘っている。だからこそ大衆が他党派の運動や組織ではなく全学連の闘いを支持し結集してきています。04年には日共やカクマルをぶっ飛ばし、もっと攻勢に出ていきたい。闘う労働運動の新潮流をつくっていくためにも、マルクス主義で武装された学生の巨大な隊列を登場させることが重要です。
 大山 先ほど北朝鮮排外主義との闘いが出されましたが、数波にわたる新潟闘争は重要でしたね。
 松島 他党派が北朝鮮排外主義に屈服し、まったく闘わないという中で、われわれだけが北朝鮮侵略戦争阻止を掲げてうって出たことは決定的でした。僕らの隣に住んでいる在日朝鮮人が北朝鮮に行き来する万景峰号に対して200台の右翼の街宣車が出て、1000人規模の機動隊が街を制圧している。そしてファシスト運動が登場する中で、社民党、共産党などは声を上げられず、完全に屈服した。日本帝国主義の侵略戦争への参戦を前にして、“第2インターナショナルの崩壊”的な屈服が始まっているのです。
 僕たちはこうした状況に怒りを燃やし、これは北朝鮮侵略戦争のための排外主義扇動だと真っ向からデモをたたきつけました。すると、社共のもとにいる労働組合も旗をもって参加するとか、在日朝鮮人が手を振ってデモ隊についてくるという反応が出てきました。北朝鮮侵略戦争阻止を掲げるわれわれの行動が、これからますます決定的だと思います。

 1年生が秋の主力

 大山 昨秋の闘いですが、全学連大会がその重要な出発点になったのではないでしょうか。大衆的な参加を広げ、1〜2年生が中心となって大会を大胆に変革しました。開始された大衆の行動のうねりをつかんで形にしようと、その具体的な政策にも踏み込んで議論し決定したことが重要でした。
 国崎 全学連大会に参加した1年生が、“今の時代は帝国主義の時代であり、これを打倒していく闘いこそが真の労働者階級の道なんだ”と確信し、先頭に立ってクラス入りとか、学生会館のサークルボックスをガンガン回っていくという闘いをやってきました。1年生があらゆる反動をはね返し、学生は必ず決起するとの確信を貫いて闘いました。そして10・25のイラク反戦デモに法政から多くの学生が決起しました。
 松島 東北大学でも、全学連大会に来た1年生を中心に運動をつくりだしてきたのが大きいと思います。1年生が主体となって会議をやって、集会を全部運営して。12月冒頭の集会では、基調報告を書いて、組織化をして集会をつくってデモをしてと、全部1年生がやりきったんです。
 今、学生は人生選択的なものを突きつけられていると思います。このまま真面目に大学に行って、テストや就職活動に縛り付けられて人間らしく生きていけるのか。イラク派兵に対してどういう態度をとるべきなのかと。これに対して僕たちが階級的な観点から答えていく中で、キャンパス丸ごとの決起の展望が広がっています。
 大山 11・9労働者集会は国際連帯闘争の新たな地平を開きました。学生も大勢参加しましたが、非常に感動的な集会でしたね。
 西 僕が11・9に参加してつかんだことは、労働者階級が連帯するというのはどういうことなのかということです。原則を貫いて自国政府の攻撃と真っ向から闘うということが、必然的に世界で帝国主義の同じ質の攻撃と闘っている労働者と結びついていくということだし、それぞれが存亡をかけて闘っている中で本当の連帯が生まれてくるんだと思います。
 それと印象に残っているのが、「戦争に反対しない労働組合というのは、労働者の権利も守れない」という航空連の村中さんの発言です。侵略戦争と資本攻勢は一体の攻撃としてあることを労働者がつかんで団結し闘っていくことで帝国主義の攻撃をはね返していくことができる。そういう闘いを貫いてきた動労千葉など3労組の闘いが真の国際連帯を生みだしているんだと実感しました。

 正念場の寮・学館攻防

 大山 東北大の有朋(ゆうほう)寮廃寮化阻止決戦もいよいよ正念場ですね。
 松島 03年の1、2月に有朋寮生への無期停学処分が下され、3月末には大学当局としては有朋寮を廃寮にした、ということになっています。これに対し寮生の実力居住の闘いが続けられています。これをめぐる弾圧で、農学部の西森という教授が自分から転んで、支援者である全金本山労組の中野七郎さんをデッチあげて6月に逮捕する事件が起こりました。これは中野さんの言葉ですけれども、「弾圧を跳ね返すということは闘いを拡大するということだ」ということで、全金本山と有朋寮が連帯し、その支援陣形が全国的につくられました。そうした中で、吉本学長の収賄事件が発覚し、攻勢にうって出る絶好の機会が訪れています。
 これは独立行政法人化に突入する大学そのものです。どんな不正をしてでも大学に金を持ってこようということだし、企業や政府と融合して大学が生き残りをかけようということです。医学部長などは研究費に使ったんだから何が悪いんだと言って、研究のためなら何をやってもいいという戦前の大学と変わらない発言をしています。僕らは法人化を粉砕して、大学そのものを問う問題としてこの収賄事件を学生の巨大な決起の水路にしていこうと闘っています。
 西 京大でも熊野寮の存廃をめぐって重大な決戦に入っています。全国でも同じようなことが次々と始まっています。争闘戦の中で日本帝国主義が生き残りをかけて、大学をつくりかえるという独法化攻撃の中で、力づくで学生の自治や団結を破壊しようとしています。それをどのようにうち破っていくのか、東北大の闘いの教訓をぜひ教えてほしい。
 松島 僕たちはこんな大学でいいのかと学生に真剣に問いかけてきました。学生の自治や権利を奪い、学長の独裁体制を敷く。勝手に寮をつぶし、授業を受ける権利さえ奪う。学生が主体性を奪われ、ここまで落としこめられていいのかと訴えてきた。これにこたえて、学内で3千人が廃寮反対の署名をしました。
 独法化攻撃の中で、これと対決する方針を求めてくる学生団体が急速に増えています。
 今こそ、われわれが鮮明な対決方針をうちだすことが求められていると思う。独法化を契機に、学生運動の再編と流動が一気に進んできています。学生の全国的な団結をつくっていく中心に、われわれが立たないといけない。
 国崎 法政でも学生会館をつぶす攻撃がかけられています。8月13日に学生会館の地下で起こったボヤを口実に、大学当局が学館の夜間使用禁止を一方的に通告してきました。これに対して学生が団結して、2度の対当局交渉を行いました。この行動に150人くらいが集まって、夜間使用させろと突きつけたことで、対応した学生部長の補佐がそのまま逃げ帰ってしまった。参加した学生は団結した力で立ち向かえば絶対に勝てると確信を深めています。
 学館攻防を闘う中で、10・25闘争や11・9集会に中心的な学生がどんどん参加してきています。また、あるサークルは『前進』の定期購読を部会で決めました。学館攻防の中で、大衆の側からわれわれの路線や闘いを選択するということが始まっています。

 04年決戦を闘う決意

 大山 いよいよイラク派兵、それから北朝鮮侵略戦争をめぐる階級決戦の大爆発に入っています。その中で学生運動の全国的な爆発をかちとるときがきています。04年決戦に向けた確信と展望を語って下さい。
 国崎 全学連運動の大爆発が求められていることが、03年の闘いではっきりしたと思います。何より法政大は、1月派兵阻止決戦の大爆発へ全国の最先頭で闘います。どんどん学生の中に入って、キャンパス丸ごとの決起をつくりだしていきたいと思います。
 鮮明な行動方針、帝国主義批判を貫いた扇動とともに、大衆決起をつくりだしていくもう一つの核心はマルクス主義です。1年生と『共産党宣言』の学習会をしていると、今の時代に最も一致するのがマルクス主義なんだなと言います。今がどのような時代であるか、その中で自分が何をなすべきかということをつかんだときにものすごい決起が生みだされます。それこそ100万人ぐらいが一気に動くと思うんです。
 松島 やはり派兵を阻止するということで言えば、反戦反軍闘争と言われるとおり、大衆決起で軍隊を包囲し、解体し、獲得するというふうになっていくと思います。国益主義、愛国主義の宣伝をうち破って、僕たちが「自衛官は侵略の銃をとるな」という強固な意志を行動で示すことが、自衛隊を内側から突き崩していく決定的な力になります。もう一つは自衛隊員がこの人たちとなら職をかけても一緒に闘えると、全学連を認めてくれる闘いをやることだと思います。それができたときに自衛官を獲得できるし、侵略派兵をとめることができると思います。この1−2月の闘いが決定的です。
 西 イラク人民、ムスリム人民の闘いが、米英帝国主義を追いつめ、軍事占領を大破産させていることが決定的です。この民族解放・革命戦争にこたえる闘いを、日本人民が出兵阻止・安保粉砕・日帝打倒の闘いとしてやることが問われています。グラグラになりながら出兵を強行するしかない日帝を、出兵阻止闘争の大爆発でたたきつぶすことは、世界史的にものすごい意味をもっています。
 さらに、イラク侵略戦争の本質が帝国主義の基本矛盾の爆発なんだとはっきりさせることです。ここで労働者階級が立ち上がって帝国主義を打倒することが世界戦争を阻止し、歴史を新しい段階に押し上げることになるんだと、今こそマルクス主義で学生を獲得していきたい。そうすれば必ず学生運動の歴史的な大爆発を切り開くことができると確信します。

 世界動かす先頭に

 大山 1月のイラク派兵阻止決戦が04年全体を決める。日本の反戦闘争の爆発で、世界の闘いをも動かす。この気概で、1・17−18の全国大行動と現地派兵阻止闘争の大爆発をかちとろう。04年は、米帝のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争との世界史的大決戦であり、日本帝国主義の侵略戦争・強盗戦争参戦を革命的内乱に転化できるかどうかの決戦です。1〜2月派兵阻止決戦をぶちぬき、ANSWERが呼びかける3・20国際反戦闘争を大爆発させよう。
 昨年12月マル青労同が結成され、動労千葉を先頭に新しい労働運動の潮流が日韓米の国際連帯をかちとり力強く前進している。そういう中だからこそ、全学連が情勢の中心に登場しないといけない。労働者階級自己解放の闘いであり、思想であるマルクス主義を学生の中に持ち込んでいくことが重要だ。階級的な歴史観、時代認識、生き方を鮮明に示し、数千、数万人の闘う学生の隊列をつくりだそう。04年決戦の大爆発を全学連が先頭に立って切り開こう。

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週刊『前進』(2132号10面2)(2004/01/01)

沖縄の闘う議員から

 沖縄の闘う議員から新年のメッセージをいただきました。基地撤去、名護新基地建設絶対阻止、沖縄闘争の発展へ、ともに闘おう。(編集局)

 民衆には戦争状況を変える力がある 沖縄反戦地主・読谷村議会議員 知花昌一さん

 「自衛隊」が人殺しのためについに海外に派兵される。58年間、軍隊が海外で戦闘と、殺戮(さつりく)をしなかった日本が、ついにその一線を踏み越えたのだ。
 憲法9条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とされている。
 誰が解釈してもイラクへの派兵は憲法に違反しているが、この国では国会議員の数さえ多ければ何でも出来る政治状況になっている。「数」の独裁である。「憲法の番人」と言われた裁判所及び裁判官はすべて政府の下僕になっている。
 私たち反戦地主の米軍用地特措法違憲訴訟で、最高裁は「安保は高度な公共性」であるから、憲法29条、31条、39条違反とされている米軍用地特措法も違反ではないとした。つまり「憲法より安保(米国)が優先する」ことになる。
 一線を踏み越えた日本は、私たち民衆の力が今のままで弱ければ、際限なく侵略国家へと突き進むだろう。
 私たちはこれまで幾多の闘いの場を正念場として位置づけ、力一杯闘ってきたが、この状況を止めることになってない。今回の衆議院選でも480人中、護憲派はたったの15人ではある。しかし、世論調査は52%が憲法9条改憲反対であり、70%がイラク派兵反対である。
 民衆に依拠しよう。民衆にこそこの戦争体制状況を変える力がある。
 新年にあたっての新たな決意である。

時代が要求する飛躍を実現しよう 北中城村議会議員 宮城盛光さん

 国境を越えた日米韓の労働者が一堂に会し、国際連帯を実現したことは、戦後労働運動の歴史のなかでも特筆すべきことだと思います。本当にすばらしいことです。戦争と資本攻勢の吹き荒れるこの時代の暗雲を吹き飛ばす、労働者の力を予感させるものでした。でもこれは私たちに目もくらむようなさらなる大飛躍を要求しています。今年はこの「時代が要求する」飛躍に敢然と立ち向かい、それを必ず実現しましょう。
 ところで沖縄も今年は、いよいよ正念場の年となりそうです。昨年11月に米国防長官のラムズフェルドが来沖しました。そしてすぐに在外米軍基地の世界的再編の検討がうちだされました。在沖米軍基地がどうなるのかは明らかです。すでに本島北部・金武町(キャンプハンセン)の都市型戦闘訓練施設建設が取りざたされ、何よりも名護新基地建設が動き始めています。
 一方では徹底的に再編・強化を進め、他方では日本政府や稲嶺らは「縮小・削減があるかもしれない」などとあおっています。どこからこういう言葉がでてくるのか、腹立たしいかぎりです。でもこんな姑息(こそく)なやり方は通用しません。日本政府や稲嶺が何を恐れているのかを自分たちで語っています。彼らが恐れているものを見せてやろうではないですか。
 イラクの人びとも民主労総の人びとも命がけで闘っている。11・9労働者集会でアメリカの労働者が「あなたがたは少数派ではない」と言っていました。何万・何十万・何百万の人びとが私たちの側にいます。戦争と資本攻勢に対し世界の労働者が一つとなって、帝国主義とその戦争に立ち向かう新しい時代の幕開けです。2月にも予定されている陸自の本格派兵に対し全力で闘いましょう。沖縄からなんとしても闘いの火柱をあげるつもりです。

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週刊『前進』(2132号11面1)(2004/01/01)

自衛隊派兵・イラク参戦許さぬ 三里塚反対同盟から新年の決意 農地死守・軍事空港反対貫く

 成田の軍事使用反対を掲げ、イラク侵略戦争に反対し、暫定滑走路廃止に向かって意気高く闘いぬく反対同盟に新年の決意を語ってもらった。反対同盟の決意にこたえ、3・28三里塚闘争に全力結集しよう。(編集局)

 世界人民と連帯し 事務局長 北原鉱治さん  

 04年は、日本の将来の明暗を分ける重大な年となるであろう。日本が自衛隊をイラクに派兵することに、世界の人民が警鐘を鳴らしている。アジアやイラク・中東の人民は、日本が再び侵略と虐殺の時代へ進むことに対して、当然闘いに立ち上がるであろう。
 ブッシュ政権は、イラク人民を殺すことをなんとも思っていない。それに追随する日本政府のあり方は、かつての侵略戦争の道を進むものである。すべての日本の人民は、このことを真剣に考え、これを阻むことが生きる道ではないだろうか。ついにイラクで日本人の犠牲が出たではないか。日本が自衛隊をイラクに送ることは、大量犠牲者以外の結論はない。
 有事の際に米軍は成田空港使用を狙っている。50万人の米軍が、成田空港を拠点にして日本中の空港、港湾、米軍や自衛隊の基地を使用する。反対同盟は38年間にわたり、成田空港の軍事使用反対を掲げ、闘ってきた。暫定滑走路は現在の航空産業にはなんのメリットもない。それは有事に利用するために必要なのだ。
 38年間の闘いの中には苦しいこともあった。分裂も経験した。しかし反対同盟は、どんなに苦しくても基本的な闘いの原則を守り通し、闘い抜いてきた。だからこそ現在がある。
 成田空港は今年4月に民営化するが、闘い抜いてこそ、勝利があると考えている。反対同盟は断固、同盟の拠点を武器に闘い、矛盾空港を廃港に追い込む。国際連帯を呼びかけ、成田空港廃港に向けて闘い抜く。労働者が機械を操作し、農民が生きる糧の生産を管理していくならば、今の政治はいらないと思う。
 世界の人民に連帯を求め、予断と偏見、民族差別のない時代を到来させるために三里塚は大きく飛躍する。3・28全国集会への結集を訴え、年頭のあいさつとさせていただきます。

 戦争とめる闘いを 本部役員 鈴木幸司さん

 闘いの基本は、反対同盟結成以来の軍事空港絶対反対だ。これが大事。戦争を止める労働者・農民の闘いをつくらなければならない。子どものころの天皇制教育と同じ状況だ。悪くなるばかり。教育基本法の改悪は本当に恐ろしい。もっと労働者人民が連帯して闘える力をつくらねば。真剣に考えないといけない。
 どんな闘いも団結がいかに大事か。三里塚闘争も38年だが、予想しなかった。反対同盟の仲間の脱落や裏切りもあった。脱落派は奇弁から始まる。農家の家庭はそれぞれ違う。農業、耕作面積、どこでどう団結して闘うのか。
 三里塚闘争は、条件付きの闘いではない。勝利以外にない闘いだ。今の政府、この資本主義体制そのものを崩さないと、本当の勝利は来ない。政府のあり方、こういう政治がなくなる世の中を――そういう闘いを人民の側からつくっていく必要がある。
 この38年間、「おれはなんのために闘ってきたのか」と自分に言い聞かせながら闘ってきた。脱落した人間を見ながら、「おれはあいつらとは違う」と思ってきた。脱落した姿。こんな見苦しいことはない。
 自衛隊が武器を持ってイラクに行こうとしているが、自分の戦争や捕虜経験から、武器を持って戦場に行けば、すぐ使う。本当に戦争中と変わりない。武器をもってイラクに行くことは戦争に行くことを意味する。今のところ、日本人は2人しか殺されていないが、当然、これから何十人も殺される。アメリカと一緒にやっている以上、当然イタリアのように犠牲者が出る。
 今年は闘う人間をどんどんつくる。今からでも遅くない。それが一番大事。本当に人民が団結すれば、必ず勝てる。
 この中郷も、まもなくうちだけになる。廃村化攻撃と対決する。38年のいろんな闘いで勉強になった。口では簡単だが、闘うことがいかに大事か。

 あくまで農地守る 本部役員 三浦五郎さん 

 反対同盟は38年間の闘いを全国の同志とともに進めてきました。反対同盟は暫定滑走路延長の攻撃に負けず、2180bの短い滑走路のままにさせています。
 市東さん宅のジェット噴射の被害を止める植林は、自分の生活を守る当然のこと。これが政府・公団への打撃となっている。あくまで農地を守る、農地死守の闘いです。04年も三里塚はいかなる攻撃もはねかえして、空港反対を貫きます。
 自衛隊のイラク派兵は絶対反対だ。イラクでは米軍が、テロリストであると称して、多くのイラク人民を虐殺している。自衛隊が派兵されれば、やはり同じような行動をとらざるを得ない。なんとしてもイラク参戦を許してはならない。
 われわれ反対同盟は38年間、成田空港の軍事使用絶対反対と言ってきた。いま成田空港が自衛隊の派兵基地として使われようとしている。自衛隊派兵阻止の闘いは、反対同盟が主張した成田空港の軍事使用反対の闘いとつながっています。われわれ三里塚農民は、成田空港の軍事使用を許してはならない。
 反対同盟は、最後まで戦争反対、そして空港阻止の闘いを貫いていきます。そして全国の闘う労働者とともに闘い抜くことをお誓い申し上げます。

 成田の失敗が明らかになる 鈴木謙太郎さん 

 菱田では飛行機が高度100bから80b、思ったより低く飛んでいる。かなりうるさいが、どうぞ好きに飛んでくれと開き直っている。公団はこういう状態を続ければ、おれたちがいずれ膝を折るだろうと開港を強行した。しかし、いずれ困るのはやつらの方だ。
 一方的にやられているわけではない。38年も空港は完成できない。そこには理由がある。ここが考え方の分かれ目だ。東峰神社も村のものだと証明された。もう2500b滑走路はないとみんなが自信を持っている。
 羽田空港の新滑走路の工事も始まっている。これが完成すると成田空港のアジア便はほとんど羽田空港に移る。成田の失敗が満天下に明らかになる。一方では自衛隊がイラクに出兵しようとしている。自衛隊は明らかに軍隊だ。憲法を変える話もある。反対同盟が先頭で闘っていきたい。

 世界中に闘う仲間がいる 木内秀次さん 

 空港公団の移転政策で芝山町の廃村化が進んでいる。政府の農業切り捨てに追い打ちをかけた。これをごまかすための市町村合併だ。一部の利権集団が、利権の配分で駆け引きをやっている。これが空港がもたらした現実だ。
 政府・公団は、暫定滑走路の北側延伸を狙っているが無理だ。なぜ中途半端な長さになったか。これ以上伸ばせない事情があるからだ。2180bが限度だった。2500bにできるなら最初からやればいい。反対同盟が闘う限り暫定滑走路は延長できない。
 世界中で戦争が起こって、多くの労働者や農民が反対している。やはり世界中の同じ立場の人らと手を結ぶことが大事だと思う。激しく権力に抵抗してきた三里塚は、一見少数になったように見えるけど、世界中に同じ立場で頑張っている農民や労働者が数え切れないほどいる。この人たちとともに闘っていく。

 公団の強盗が立証された 伊藤信晴さん 

 公団の計画は完全に挫折した。公団は開港すれば地権者をたたき出せると踏んでいた。それがひっくり返った。東峰の貨物基地構想とか、総裁が陳謝声明を出したり、北延伸の恫喝。全部失敗した。東峰神社裁判で公団による伐採が強盗行為だったことが立証された。開港は犯罪の上に成り立っていたということだ。
 空港の側の危機が見えてきた。大欠陥の暫定滑走路では、来年4月の民営化は必ず破産する。無理を重ねてきたつけが回ってきた。ジャンボ機が飛べない暫定滑走路では民営化後は使えなくなるかも知れない。
 これからは労農連帯、世界の労働者・農民との連帯が大事になる。だからこそ、成田空港が朝鮮侵略戦争の基地として使われるような現実とも厳しく対決しなければならない。

 敷地内とともに闘い続ける 宮本麻子さん 

 反対同盟は03年、暫定滑走路による農民追い出し攻撃に負けずがんばり、暫定滑走路を閉鎖に追いこむ展望を切り開きました。
 市東孝雄さん宅でジェット噴射被害に対する植林闘争を行った。私も敷地内農民とともに闘い続ける決意です。反対同盟が意気高く闘い続ける限り、最後は必ず政府・公団が負ける。
 小泉政権の福祉切り捨てはひどくなる一方で本当に許せない。福祉現場の労働者がどんどん減らされ、労働過重に、介護を受ける人にとっては、十分なサービスが行き渡らずしわ寄せを受けている。介護保険は、貧しい高齢者にとって、介護を減らしたり、労働者が自分を犠牲にしてカバーするなど矛盾だらけです。
 イラクでは罪もない人びとが何万人も殺され、子どもが病気や飢餓で苦しんでいる。軍事占領に加担するため自衛隊が行こうとしている。自衛隊の派兵を決めたが絶対許せない。

 今こそ「革命」必要 三里塚教会信徒代表 戸村義弘さん

 暫定滑走路による追い出し攻撃に対して、03年も負けずにむしろ空港を追いつめた反対同盟の闘いに敬意を表します。
 イラクへ自衛隊が派兵されるという重大な情勢だからこそ三里塚の闘いが光を放たなければならない。マスコミは真実を報道していない。人びとをだますような報道ばかりだ。
 三里塚闘争のような視点から「今実際には何が起きているのか」を正しく見抜く力を養うことが大切だと思う。
 三里塚は、03年3月に国際連帯の一歩を踏み出しました。ますます土俵を広げて前進できる。
 小泉首相は憲法前文を引っ張り出して「国際社会に名誉ある地位を占めたい」と言ったが、「二度と戦争をしない」という9条があってこその前文だ。卑劣なペテンに怒りを感じる。そして派兵軍隊に成田空港を使わせてはならないと思う。
 自衛隊のイラク派兵に反対するイラクの教師が日本人民に寄せた訴えには、「米軍と一緒になってイラク人民を苦しめに来るものだ」とあるそうです。せっかく平和国家としての日本の地位と信頼を台なしにするものと抗議しています。まったくその通りです。
 今こそ世の中を変革する「革命」が必要です。

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週刊『前進』(2132号11面2)(2004/01/01)

暫定滑走路閉鎖が現実に

 裁判勝利は大きい 敷地内・東峰事務局次長 萩原進さん

 東峰神社裁判で、暫定滑走路の破産が露呈した。2500b滑走路を実現するには用地取得が必要だが、逆にわれわれに神社の土地が取り戻された。空港公団は、民法で一坪共有地を取り上げようと裁判に訴えているが、こうした公団のやり方の違法性や悪らつさを浮き彫りにした。
 暫定滑走路が暫定のままで終わらざるをえない状況になっている。政府や公団は、ジェット機を飛ばせば農家は「落ちる」と考えていたが、逆にみんな居座った。それを示したのが東峰神社裁判だ。東峰住民は、逃げずにこの地にとどまって闘うことを選択した。
 裁判は、「和解」という形だが、内容的には完全勝利。東峰住民が一丸となって闘って勝利した。この勝利は本当に大きい。今年4月に民営化が迫り、平行滑走路「完成」のタイムリミットが迫っている。暫定滑走路を2500bにするための用地取得が死活的だが、逆に神社は東峰部落の土地と確定した。押し返したということだ。
 ジャンボが飛べない短い滑走路、「へ」の字に曲がった誘導路、排気ガスや騒音問題といった暫定滑走路の欠陥性。暫定滑走路は、実際はお荷物の存在に追い込まれている。「暫定滑走路を閉鎖しろ」は、夢ではなく現実的な問題になっている。
 暫定滑走路開港から2年近く、政府・公団の陰湿な攻撃が行われてきた。その攻防に勝利してきたからこそ、裁判も勝利した。北側延伸の恫喝は、この地に踏ん張って闘っているわれわれの闘いの意志と怒りを増幅するだけだ。公団の手口は見透かされている。
 自衛隊のイラク派兵で成田空港使用を狙っている。そのために完全空港化が必要不可欠だ。これを阻む三里塚闘争の位置は大きい。 動労千葉を先頭に労農連帯を強化していく。三里塚闘争は、真に闘う労働者との連帯を求めてきた。労働者階級を揺るがす闘いをやりたい。

 農業を続けて闘う敷地内 天神峰 市東孝雄さん

 暫定滑走路の開港から2年近く、騒音に慣れたわけではない。怒りを通り越してしまった。もどかしさもある。自分なりに色々考えた。こういう現実をやはり多くの人に知ってもらいたいと思う。
 空港公団は無理やり開港し、逆に農家の気持ちを逆なでした。永久に修復できない関係をつくってしまった。公団はそういうことが分からない。ジェット・ブラスト対策塀の問題で、公団は「現状で十分」と言い張った。交渉も拒否。自分の都合しか考えてない。そういうことが全部の農家に分かってしまった。
 北側延伸は意味がないと調査結果がでた。あくまで南に伸ばさなければジャンボ機は飛べない。滑走路の入り口の誘導路が坂で狭くてカーブになってて、ジャンボ機が通れない。東峰と天神峰をつぶさない限りだめだ。
 11・9労働者集会に参加して、労働者にとって生活するだけでもきつい時代だが、世界中の労働者が連帯して頑張っている。農民の運動も立場は同じだ。
 食や農業は、人間が生きていく一番大事な問題だ。それが切り捨てられる仕組みの社会のあり方はやはりおかしい。農家が怠慢ではなく政府の方がおかしい。
 今年も意気軒高と天神峰で誇りを持って農業を続けて闘っていきたい。

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週刊『前進』(2132号11面3)(2004/01/01)

 北富士忍草母の会 入会地奪還・演習場撤去まで闘いぬく 事務局長 天野美恵さん

 昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。
 昨年7月28日、母の会結成以来42年間にわたって闘いの先頭に立ってきた、渡辺喜美江会長が97歳で亡くなりました。私たちは、渡辺会長の遺志を引き継いで、入会地奪還・北富士演習場撤去まで闘いを貫く決意です。
 11月の米海兵隊の実弾演習には、入会地無断使用阻止、米軍・自衛隊のイラク戦争反対の旗を掲げて決起しました。また私たちの忍草国有入会地守る会の天野重知会長は95歳の高齢で、演習場正門にテントを張って、前夜から座り込みで闘いました。
 北富士演習場に私たちの入会権があることは、政治的にも、法的にも闘いのなかで権力に認めさせてきたことです。追いつめられた権力は、入会組合を分裂させ、脱落の第二組合を正当な組合とし、彼らと調印したと言い張って演習場を使っているにすぎないのです。
 私たちは、一度も入会地の演習場としての使用を認めたことはありません。私たちに入会権があるから、権力は母の会が演習阻止で、演習場に入っても、排除だけで、逮捕も起訴もできないのです。
 今年はイラク反戦の正念場の年です。北富士は、三里塚、動労千葉、世界の労働者と連帯し闘う決意です。ご支援をよろしくお願いいたします。

 全関西実行委員会 侵略戦争国家への道を阻むため闘う 代表世話人 淡路町空港反対同盟代表 永井満さん

 本稿を認(したた)めようと用意をしているところに、「東峰神社立木訴訟和解」の知らせが飛び込んできた。被告公団は「東峰神社境内の立木を伐採したことについて、心から謝罪する」「(同神社の土地が)1953年以来、東峰部落の総有財産であることを確認する」「被告(公団)は束峰部落に対し、損害賠償金500万円を10日以内に支払え」など10項目からなる和解案に公団が応じたという。
 先日、最高裁が「空港用地に対する国の事業認定は適法」と住民の訴えを最終的に斥(しりぞ)ける反動判決を出した後だけに、これは反対同盟、東峰部落の住民にとって輝かしい勝利と言えるだろう。逆にいえば、公団がやった行為は体制側さえ擁護できない、悪質・無法の行為だということになる。
 顧みれば、三里塚闘争38年の歴史は、「公共の利益」を振りかざして強行される国の無法・違法・理不尽な農地強奪に対して三里塚農民が非妥協・不屈・一切の話し合い拒否を掲げ、体を張って抵抗し、闘い抜いてきた正義の闘いであった。そしてその闘いは多くの心ある者の共感・連帯を呼び起こし、反対同盟を中心とする「反権力闘争の砦(とりで)」として今日まで闘い続けられてきた。この闘いは、三里塚農民の農地を守りぬく闘いとして始まったけれど―そして今もそれは闘いの土台であり中心の柱ではあるが―もっと広く人が人として生きる当然の権利を守る闘いとして闘われてきた。
 一口に非妥協・不屈というが、権力をかさに、あるときは機動隊や重機の暴力を前面に襲いかかり、また日常的に繰り返される、利益誘導、嫌がらせ、義理・人情をからませての陰湿な攻撃などに屈せず、節を曲げずこの長年月を闘い続けることがどれほど困難なことであるかを思うとき、反対同盟農民の闘いはどれほど讃えても過ぎることはない。しかも辛くも持ちこたえている、などということではない。今回の「立木訴訟」勝利にみられる様に、堂々と勝利し、国を追いつめ、立ち往生させているのである。これは驚くべきことであるとともに、私たちに大切な真理を示している。すなわち三里塚のように闘えば勝つ、ということである。
 今、イラク戦争加担、自衛隊派兵に見られる、わが国の侵略戦争国家への道を阻む闘いが全国で燃え上がり、世界の人民と連帯して闘われているこの時、わたしたちは全力でこの闘いに加わり、不退転・不屈・非妥協に闘うことをあらためて確認し、年頭の決意とする。

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週刊『前進』(2132号12面1)(2004/01/01)

戦争と資本攻勢の小泉倒せ 04年はイラク反戦の正念場 闘う新年のメッセージ

 米・英によるイラク侵略戦争の開始と、それに対決する全世界2千万人決起のただ中で、昨年11・9労働者集会は日韓米国際連帯の出発点となった。2004年こそ飛躍の年に! ともに闘う各界の人士、議員から寄せられたメッセージを紹介します。(編集局)

 新しい時代ひらく民衆の怒り組織を とめよう戦争への道!百万人署名運動 小田原紀雄さん

 「日本軍」の〈帝国〉による侵略戦争参戦という激動の時代のまっただ中で新年を迎えました。04年は反戦運動に明け暮れる年になるでしょう。
 しかし同時に、ごく一般的に「厭戦(えんせん)・嫌戦」を掲げていて、この時代を生きるのは誤りです。資本主義の行き詰まりを戦争で突破するという状況ではありませんが、この古典的な戦争観を想起するほどにこの国の経済情勢は困難をきたしています。
 どれほどいい加減な経済予想が出されようとも、疲弊へ向けて転がり落ちていることは、日々の暮らしの中で実感しているところです。階級・階層差が拡大して、一方で消費をあおる雰囲気がありながら、他方では父親の解雇によって進学をあきらめるという状況が生まれています。
 いうところの「社会的弱者(本当に嫌な言葉ですね)」は早く死ねといわんばかりの政策が矢継ぎ早に出されます。老人政策について言えばこの国のやり方は明らかに詐欺です。
 労働運動の際限のない反動化、とりあえず身辺からきな臭さを排除したいとするだけの市民運動、「革新」政党の生き残り願望だけが透けて見える後退、とけっして展望は明るくないのですが、こういう時代にあってこそ、わたしども、とめよう戦争への道!百万人署名運動は、「たった一人の首切りも許さない。すべての戦争に反対。小泉政権打倒」をかけて闘いぬきたいと考えています。
 現在の市民生活の延長線上にバラ色の夢を描くことはできない。保守二大政党という労働者階級にとって閉塞(へいそく)感しか感じない時代に真っ向から挑戦して、新しい時代を切り開く民衆の怒りを組織する運動体でありたいと願っています。ともに闘いましょう。

 戦争の危機を労働者解放への転機に 東京反戦共同行動委代表 三一書房労組執行委員長 三角忠さん

 小泉政権はついにイラク侵略派兵を開始した。
 本年2004年は、こうした戦争の危機に対して、日本の労働者階級が自国の帝国主義を打倒する闘いに荒々しく踏み出せるかどうかが待ったなしに問われる年になった。
 小泉は「日米同盟の堅持」を確信を持って語り、あろうことか現憲法前文の内、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、……(以下略)」を我田引水してこの侵略戦争の正当化に引用しているのである。
 ことさらにこの憲法前文を180度転倒させたのは、来年2005年改憲に踏み切ることを宣言したからにほかならない。さらに、マスコミが昨年11月衆議院総選挙において「自民対民主」の「二大政党論」をあおって、民主党に合流した小沢一郎の「日本改造計画=一国平和主義批判」を受け継いでいるんだよと小泉は民主党にエールを送っているのだ。ここに日本帝国主義の戦争と弾圧=改憲への道筋がある。
 だが、日本の労働者階級は、これに呼応して連合が戦争協力=国家総動員体制へのめり込もうとする時に、あらたな反帝国主義国際連帯の荒々しい決起が始まったことを、今確信しはじめている。昨年11月労働者集会において「労働者に祖国はなく」「第1次世界大戦全面協力=自国帝国主義に屈服・迎合していった第2インターナショナルの道をきっぱり拒否する」日・米・韓の国際連帯がかちとられたからだ。
 ナショナルセンターの枠を越えて団結する国鉄1047名闘争が、こうした労働者の国際連帯に呼応する労働組合の闘う道を示していることもまたこの集会で明らかにされたのである。
 今こそ反戦共同行動委員会の出番だ。とりわけ首都圏の侵略派兵を許さない闘いが決定的だ。陸・海・空・港湾労組20団体の指導者の「戦争協力を拒否することと争議を闘うことに責任を持つ労働組合へ」という提起を受け止め、大胆に労働組合の戦争反対の声を団結の軸にして、争議にも勝利する闘いに突き進もう。
 わが三一書房労働組合も、こうした階級的確信を昨年の11月に開催された「5周年集会」で深めた。「明け渡し裁判」の反動を突破し、「解雇撤回・原職復帰」に向け、腹を据えて闘う。労働者の国際連帯=階級的団結万歳!

 まやかし司法改革を粉砕し闘う決意 5・27国労臨大弾圧事件弁護団副団長 葉山岳夫さん

 新年のごあいさつを申し上げます。
 さる12月9日の小泉政権による重装備の自衛隊のイラク派兵閣議決定に全人民は憤激しています。基地門前でのデモ、シュプレヒコールも意義がありますが、実際に自衛隊のイラク派兵を阻止できるか否かに革命的人民の命運がかかっています。
 ファシスト小泉首相は、改憲を着々と目論んでいます。2005年11月までに改憲自民党案を作成するように当時の山崎幹事長に指示し、これに先立って憲法改正国民投票法案の国会提出を狙っています。今年はいよいよ改憲の動きが具体的日程に上ります。巨大な改憲阻止の全人民的大運動で粉砕しなければなりません。そのためには何をおいても小泉反動内閣打倒をかちとりたいと思います。
 日米新安保ガイドラインの策定、周辺事態法、そして武力攻撃事態法等有事3法の強行制定に続いて国民保護法制が強行されようとしています。しかし絶望するのは愚かなことです。航空運輸20労組とりわけ航空関係労組は有事立法を完成させない、発動させない、従わないというスローガンで闘っています。動労千葉、全日建運輸連帯労組関生支部、全国金属機械港合同の3労組呼びかけによる11・9集会は、日・韓・米の国際的連帯の下で大成功でした。マル青労同も結成をかちとりました。
 私たち弁護士は、まやかしの司法改革路線を粉砕し、日弁連を憲法と人権の砦(とりで)として、闘う弁護士の権利と生存を守るため、日弁連会長選挙に高山俊吉さんを押したてて闘い勝利する決意です。日弁連選挙の闘いは、第一級の政治課題です。
 反対同盟顧問弁護団は成田空港粉砕、廃港をかちとるため反対同盟と連帯して行政訴訟、暫定滑走路使用差止め訴訟、一坪共有地強奪阻止裁判などを闘いぬきます。
 そして何よりも5・27国労臨大弾圧裁判闘争を勝利的に闘います。むらがる反動を粉砕してこそ最後の勝利はかちとれます。
 今年も楽しく、明るく頑張りましょう。(動労千葉弁護団団長/三里塚反対同盟顧問弁護団事務局長)

 国際連帯と団結が社会を変える力だ 反戦共同行動委事務局長 滝口誠さん

 自衛隊のイラク派兵をめぐる激しい攻防のただ中で2004年を迎えました。第2次小泉内閣は、イラクへの派兵を強行し、膨大な有事関連法を通し、共謀罪の新設、教育基本法改悪等を一気に強行し、改憲へのレールを敷こうとする「戦争遂行・改憲内閣」です。私たちは力の限りを尽くし、この攻撃をうち砕くために全力で闘いぬこう。
 とりわけイラクへの自衛隊派兵を絶対に許してはならない。軍服を着た労働者・農民の自衛官と家族の切実な思い、陸・海・空・港湾労組20団体のものすごい決意を我がものとして、自衛隊イラク派兵阻止に直ちに立ち上がろうではありませんか。
 昨年は、獄中で不屈に闘いぬいている同志と、そのご家族の皆さんの奮闘に背を押されながら全力を尽くし闘いぬく中で、私たちの闘いは、国際的に大きな注目を集め、11・9労働者集会では、言葉の壁を超えて、米韓の闘う仲間との歴史的合流をも実現しました。この地平は、かたくななまでに反戦闘争の原則に立って、力を合わせ、営々と闘いぬく中からかちとられたものだと確信します。
 今、世界は大きな転換期を迎えています。帝国主義者どもは、むき出しの帝国主義政策に踏み込み、戦争と失業、貧困、飢えを全世界の人々に押しつける恐るべき光景が生み出されています。
 その根底にあるのは、万策尽き、出口を失った資本主義の破局の到来です。こうした中で、全世界で労働者民衆が空前の規模で闘いに立ち上がり、新たな国際連帯と団結を生み出し、社会を変える力が取り戻されようとしています。
 私たちは、今こそ日本における労働者民衆の巨大な反撃をつくり出すために、決意も新たに闘おうではありませんか。
 2004年を一大反転攻勢の年に!
 ともにがんばろう。

 命が尽きるまで闘いの炎を燃やす 反戦被爆者の会会長 大槻泰生さん

 米ブッシュ政権は、フセイン政権を“ならず者、悪の枢軸”と決めつけ、イラク侵略戦争を強行しました。英日政府など少数国の支持は取り付けたものの、イラクの人々の抵抗と国際的な反戦運動に追い詰められ、孤立化と泥沼化を深めています。彼らは石油を独占し、軍事占領を継続維持するために、民族解放の闘いを“旧フセイン残党かアルカイダ”によるものと強弁し、無差別大量虐殺をくりひろげているのです。
 この戦争への小泉政権による突出した参戦協力は不正義であり、絶対許せません。自民党ばかりか、改憲勢力と化した創価学会・公明党にも支えられた小泉は、日本帝国主義の野望の下に、表向きは日米協調を基本とした振りをしながら、失政の矛盾を私達労働者人民に押しつけ生き延びようとしています。労働法の改悪による賃下げ、大量首切り、国労弾圧など団結権侵害の強行、福祉切り捨てと大増税、他方で有事法・国民保護法と一体で改憲につながる教育基本法の改悪など、戦後憲法を否定し、本格的な戦争国家化をもくろんでいます。
 ブッシュ・小泉の言うイラク復興政策とは帝国主義支配者どもの利益を守ることです。マスコミは連日大々的に米兵の死亡を報道しますが、占領軍のイラク人民虐殺は報道しません。
 かつて、私達被爆者も、GHQの下で原爆投下の状況を話すことさえ禁じられました。帝国主義者どもは、いつも国家の行う戦争を正当化し、人民の抵抗は犯罪視するのです。帝国主義戦争こそ、今日の抑圧と差別の根源であり、その被害者は私達労働者人民と被抑圧諸国人民です。
 それゆえに、私達被爆者は、昨年の夏、イラク侵略戦争に反対し、迫りくる世界戦争・核戦争の危機にたいし、原爆症の体に鞭(むち)打って立ち上がりました。命尽きるまで「アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ−オキナワを繰り返させない」闘いの炎を燃やす決意です。自衛隊を侵略軍隊にするな! イラク派兵を阻止しよう!
 残念ながら既成政党はすべて大政翼賛化し真の労働者の党は不在です。だからこそ私は革共同に期待します。今こそ国際主義的な団結を掲げ、労働者の党をつくり、私達の未来を切り開こう。

 戦艦ポチョムキンの兵士決起実現へ 反戦自衛官 小多基実夫さん

 1904年1月、日本の「宣戦布告なき奇襲」により開戦した日露戦争は、帝国主義段階で最初の本格的な戦争であり、10年後の第1次世界大戦への導火線に火をつけるものとなり、戦争と革命の20世紀を決定づけた。
 それから百年、今年の1月「復興支援」と銘打った自衛隊のイラク派兵、「宣戦布告なき」イラク侵略戦争参戦が強行されようとしている。
 自衛隊のイラク派兵は、日本の「戦争をしない国から戦争をする国」「戦争と海外派兵をしない軍隊から侵略の軍隊へ」の大転換を意味するだけでなく、同時に中東をめぐる21世紀最初の世界大的規模の侵略戦争であるアメリカ帝国主義のイラク−アフガニスタン侵略戦争に、二番目の帝国主義大国である日帝が軍隊を派兵し本格参戦することであり、世界戦争の火に油を注ぐことにほかならない。
 われわれの闘いはどう進むべきか。
 百年前、日露戦争から第1次世界大戦への過程で、ロシアのボルシェビキはどう闘い、どう革命を進めていったのか。
 開戦1カ月後の2月には旅順が日本軍に陥落し、5月には日本海海戦でバルチック艦隊が敗退するという戦時下のロシアで、ボルシェビキは「戦争を内乱へ」「革命的祖国敗北主義」の旗を掲げて軍隊内での活動、兵士の革命的組織化に力を入れていた。
 翌05年の1月9日、ペテルブルグの14万人の労働者が「平和」を求めてツアーリに「請願」し、軍隊の治安出動によって数千人が虐殺されるという血の日曜日事件が発生した。ロシアの労働者は直ちに武装して全国で闘いに立ち上がった。この年の軍隊の治安出動は4千件近くにもおよんだ。
 この中でかちとられた6月14日の戦艦ポチョムキンの水兵の革命的決起は、労働者人民に革命の勝利の展望を与え、同時に兵士の自己解放闘争という面でも「即自的な抵抗闘争から革命・武装蜂起への合流」という転換をなした闘いとなった。
 このようにして10月ゼネストへと上りつめ、日露戦争はロシアの労働者と兵士の革命的闘いによって終結させられたのである。
 日帝のイラク侵略戦争参戦に対し、われわれは1世紀前のボルシェビキのように、「侵略戦争での自国の敗北」を目指して、大衆的武装闘争と軍隊工作を推進し、現代のポチョムキンの兵士決起と戦争阻止の労働者ゼネストを目指そう。今年を国際連帯と反戦反軍闘争の飛躍の年としよう。

 職場・地域の闘いと反戦闘争を一体で 阪神被災地・雇用と生活要求者組合代表 長谷川正夫さん

 04年度は、今までとは違う形の闘いの年になるだろうと思います。
 私たちは、被災地における闘いを連続して闘いながら、大阪、東京と連帯した闘いをつくってきました。イラク反戦闘争において、世界的な闘いをつくり出し、昨年の11・9労働者集会において国際的な団結の闘いをつくり出しました。これが大きな新しい流れだと思います。
 この闘いの中で労働者階級の立ち上がりが輝かしく実現されましたが、その闘いは労働者階級の中に入ってこそ、つくり出せるのだと思います。職場、地域で先頭に立ってのろしを上げることこそが必要です。
 労働運動の戦闘的な流れが世界的なものになりました。全世界でのイラク侵略戦争反対の流れの中から、労働者階級の国際的団結が生まれてきています。この力が戦争を止める力に結びつくのだと思います。その闘いののろしを11・9集会が上げました。労働者が立ち上がらなくては、戦争は止められません。
 反失業の思いは、今や被災地だけでなく、全国の思いになっています。被災地では公的就労=失業対策事業を要求する闘いを最もよく闘っています。公的就労を国・行政にやらせなくては、失業問題は解決しません。県へのデモと交渉、厚労省交渉で闘っています。
 被災地では、対資本、対行政、対権力の闘いをすべて闘っています。04年も権力の弾圧は強まってくると思います。関西合同労組兵庫支部に結集する組合員が増えてきているのと比例して、運動が強くなればなるほど、弾圧はかかってくるものです。これは避けるべき道ではなく、むしろ歓迎して、堂々と前に進むべきだと思います。 妥協すれば弾圧は来ないかもしれないが、被災地では妥協はありえません。
 とにかく自衛隊のイラク派兵を阻止することです。その闘いの中で、被災地で国際連帯の闘いをつくり出すこと、1・17の被災地総行動をその第一歩として今年も闘い続けます。
 闘いの基本になる要求は生きる権利です。そして、口先だけの反戦の闘いではダメです。自分のところで闘いを起こして、イラク反戦を闘うのが今年の新しい闘いだと思います。ともにがんばりましょう。

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週刊『前進』(2132号12面2)(2004/01/01)

人間として差別・抑圧なく生きたい 沖縄民権の会 座覇光子さん

 昨年にも増して厳しい年になりそうだ。イラク戦争でアメリカの蛮行が全世界に暴露され、アメリカ市民も怒りの声を発している。
 アメリカの言語学者チョムスキーの言いによれば、世界中の民衆に事実が知られるようになれば、反対の闘いも高まり、必ずしも悲壮感を持つ必要はないとのことで、いくらかほっとする気がする。
 いくら訴えても沖縄のこと、どれだけ分かるだろうか。その身にならなければ分からないかもしれない。75%の基地は沖縄現地はもとより、本土の沖縄人の生活にもどっしりと重みを加えている。
 沖縄民権を主張する根源は、人間として差別・抑圧もなく、お互いに生きていて良かったと思いたいからだ!
 憎しみあったり、傷つけあうのは自分と同じ考えでなければ排除する思想ではないかとこの頃考える。
 闘いのあり方はさまざまだが、それぞれ何に向かって生きているだろうか。
 金魚は真水では生きられないように、私たちの生活もきれいだけでは生きられないかも知れない。様々な人々の出会いの一瞬でも一緒に喜んで、一緒に泣いたり出来る時をつくりたい。
 これが、私の年頭にあたっての希望につながるささやかな思いです。

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週刊『前進』(2132号12面3)(2004/01/01)

2004〈甲申(きのえのさる)猴斉天(カウチエテン)〉革命年メッセージ
 在日台僑 元日本兵 林歳徳さん

A、猴斉天とは、天生石猴=孫悟空=斉天大聖=闘戦勝仏の革命的猴王の略称。彼は今の中国山東省海岸の大岩石から雷撃破で飛び出した天生石猴である。そして菩提祖師から「孫悟空」の姓名をいただき、72変術と騰雲術などの神通力を習得した。また東海龍王から如意棒を獲得して天下無敵の大あばれ武者となった。その罪で仏教の開祖釈迦如来に捕捉され、五行山に監禁された。
 500年後の西暦629年、唐太宗皇帝の命令で、三蔵法師が天竺(インド)へ仏教を求めに首都長安を出発した。途中五行山で孫悟空を救出し、最強の弟子として天竺の霊鷲山(りょうじゅせん)に住む釈迦如来と逢(あ)い、81種類の仏教典を取得して、695年長安に帰朝した。唐太宗はそれを国教として全国民を善導し、200年の泰平な盛唐時代になった。この17年間の歳月に81の苦難(妖怪)に逢ったが、孫悟空の神通力と観音菩薩の助力で無事取教に成功した。
B、革命年に当たり日本の過去と未来を透視しよう。
 (1)大陸中国の革命乱世から難を逃れて命がけで無人島の東海列島に上陸したのが日本列島の先住民である。その後モンゴル騎馬民族(四柱将軍)が先住民を征服して今の近畿地方に倭国を建国した。(2)以来大陸文化で成長して、645年大化改新革命で初めて律令国家が成立した。それから1868年(戊辰)明治維新革命までの日本人はアジア人で中国の友人である。
 (3)明治維新革命は、廃仏令で廃仏建神社(天皇教)を創建し、脱亜入欧で欧米列強と連盟して70年間中国を侵略した「梟きょう」(きょうきょう)国家革命である。【梟は母を食う禽(とり)、「きょう」は父を食う獣(けだもの)、転じて、忘恩背義反祖求利の人非人の代名詞】
 1945年日帝はカイロ宣言とポツダム宣言を受諾敗戦となった。日本国の主権は本州・北海道・九州・四国に限定された。しかし今の日帝は、この両宣言を無視し、琉球→台湾→マラッカ海峡→インド洋→中東までが日本の生命線だと、歴代首相が公言している。
 この暴走の結果、日帝は世界第3次大戦を起こし、勝戦になるか、敗戦になるか。たぶん闘う日本人民の革命で「東海人民共和国」に生まれ変わり、脱欧入亜のもと、アジア人民と共生する天命に従うのが因果応報結果自来成の革命天理である!!
 2004(甲申)年 元旦

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週刊『前進』(2132号13面1)(2004/01/01)

戦争と資本攻勢の小泉倒せ 04年はイラク反戦の正念場(12面つづき)

 寝屋川弾圧粉砕し狭山再審をめざす 部落解放同盟全国連合会書記長 中田潔さん

 昨年は、阪口選挙勝利へのみなさんのご支援、本当にありがとうございました。私たちは全国連の命運がかかったこの選挙に、みごと勝利することができました。
 この選挙をとおして私たちは、小泉政権の侵略戦争と「構造改革」攻撃のもとでどん底の生活に追い込まれてきた労働者とそのOBの要求を掘り起こし、それが権利だという意識を育て、そして大衆行動とそのための団結・組織をつくりだしてたたかいぬきました。
 このたたかいの勝利は、全国連5万人組織建設への号砲となりました。また労働者階級との共同闘争の新段階をきりひらきました。
 一方で、私たちは新年早々から、非常に大きな試練にたちむかっています。寝屋川弾圧を粉砕できるのかどうかということです。寝屋川支部の4人が、同じ部落の青年が会社に違法に解雇されるという部落差別に怒り、ともに会社への抗議にたちあがったことにたいして、「恐喝罪」をデッチあげてきました。
 逮捕された4人こそ、新たに登場した部落解放運動の指導者です。その多くは、これまで解同本部派によって切り捨てられ運動の経験がない人たちです。部落差別のため読み書きの不十分な人もいます。しかし、同和事業の全廃と本部派の裏切りに怒り、このままでは生きていけないと住宅家賃値上げ反対闘争をとおして全国連に結集し、その中心を担ってくれている人たちです。
 だからこそ権力は、4人に憎しみを集中し、デッチあげ弾圧をかけてきたのです。それはまさに、「いっさいの差別糾弾闘争を許さない」「部落解放運動そのものの存在を許さない」という攻撃です。全国連はこれには絶対に屈しません。あくまでも差別糾弾闘争を貫いて必ず粉砕します。
 おりしも、狭山特別抗告審が重大な決戦期を迎えています。解同本部派が10・31狭山中央闘争を放棄する情勢です。自衛隊のイラクへの侵略出兵も切迫しています。
 全国連はいまこそ、水平社いらいの差別糾弾闘争の復権をかけてたたかいぬきます。反戦、反弾圧、国際連帯の原則をつらぬき、労働運動の戦闘的再生をもとめてたたかう潮流と連帯してたたかいます。
 3月7日〜8日、解同全国連の第13回全国大会を大阪で行います。寝屋川弾圧とのたたかいの教訓、阪口選挙の教訓をうけて、新たな部落解放運動のたたかい方について明らかにする大会です。全力で参加をお願いします。

 小泉首相に今こそ怒り爆発させよう 杉並区議会議員 都政を革新する会 結柴誠一さん

 昨年4月の杉並区議選に全国の皆さんからいただいたご支援に深く感謝申し上げます。都政を革新する会は、次のチャンスに北島事務局長を加えた3人の会派として必ず台頭することを期して新しい年を迎えました。
 一昨年10月の国労弾圧は国労闘争団・組合員を逮捕するとともに、都政を革新する会事務所の捜索を強行し、支援者を同時に逮捕・勾留しました。国鉄闘争西部支援共闘会議が、動労千葉・全動労・国労闘争団が手をつなぐ画期的な大同団結で国鉄闘争を拡大しつつあった矢先、また統一地方選前に闘争団を支援する議員の選挙準備破壊を狙うものでした。
 私たちは、イラク反戦と介護で選挙戦を激しく闘い抜くとともに、職場・地域に国労弾圧粉砕闘争の支援を訴え、11・9労働者集会には労働者・地域住民が一昨年を大きく上回る参加を実現しました。不当捜索には国家賠償請求訴訟で警視庁を追い詰めています。
 昨年末動労千葉は、総武線の安全運転を脅かす習志野電車区の廃止攻撃に、ストライキで立ち上がりました。職場と乗客の安全を守る鉄道労働者の誇り高い闘いに、熱い連帯の輪が広がっています。この力で一日も早く8人の仲間を取り戻すのです。
 日本人外交官が攻撃されて以降、マスコミは「国のための死」をたたえるキャンペーン一色です。労働者の首を切り、高齢者から介護と年金まで奪う国家に、命を差し出せと言う小泉首相に怒りを爆発させる時です。
 イラク戦争に反対し軍港を封鎖したサンフランシスコ港湾・倉庫労働者、韓国・民主労総の命をかけた闘いとの出会い、真実の国際連帯に震える感動をばねに、職場・地域で自衛隊のイラク派兵を許さない大運動を起こしましょう。
 有事法制・国民保護法制下で住基ネットとの対決は重大です。矢祭町・国立市などと手をつなぎ、議会内外の闘いで山田区長に不参加継続を強制してゆくために、有事法制や共謀罪と闘う皆さんとの連帯と、各地での創造的闘いを呼びかけ、新年のごあいさつといたします。

 考え、そして素早く行動する04年に 杉並区議会議員 都政を革新する会 新城節子さん

 新年おめでとうございます。昨年4月選挙へのご支援に心よりお礼申し上げます。注がれた全国の皆さんのご期待に沿えるよう、闘いの歩を一層強めていきます。
 小泉政権は昨年6月に有事法制成立を強行し、イラク派兵・侵略戦争を進める国内体制づくりの国民保護法制を今通常国会に提出し、さらには憲法改悪の前段としての教育基本法改悪などを矢継ぎ早に進めようとしています。教育現場から地域に至るまで、そのすべてが組み入れられ、闘うことなしに時代は開けません。国益をふりかざし、戦争を進めるための、マスメディアを動員した排外主義の扇動は、在日朝鮮人・中国人や滞日外国人に向けられ、見過ごせない状況です。
 これを機に地域や職場で議論を重ね、自らの姿勢や考え方を省みる状況が始まっています。行動をしない改憲反対や反戦は通用しない時代に入ったことを沖縄出身の戦争体験者が語っています。議論のただ中で私たちの思想と行動が問われているのです。反動の中に敵の弱点を見据え、地域や職場における私たちの不断の闘いが求められていると感じています。
 昨年11月の日・米・韓の国際連帯労働者集会に、世界の労働者の厳しい現状とまたそれに対して不屈に闘う労働者の力を見ました。動労千葉の存在と闘いに学び、国労5・27臨大闘争弾圧の仲間たちを一日も早く取り戻し、闘いの戦列を固く強めていきましょう。今年は「考え・素早く行動する年に」と思っています。

 選挙で学んだこと生かして共に進む 東大阪市議会議員 解同全国連荒本支部 阪口克己さん

 昨年9月の東大阪市議選は、全国のみなさんのご支援・ご協力で初当選することができました。心からお礼申し上げます。
 03年は、私にとってけっして忘れられない年になりました。東大阪市議選は、まったくの無名の新人を、わずかな限られた時間で勝利させるというかつてない厳しい選挙戦でした。全国連、東大阪市民、全国のみなさんのあたたかい叱咤(しった)・激励をうけ、一緒になって必死にたたかいぬく中から色々なことを学び、厳しさやうれしさ、楽しさをみんなで感じることができました。
 労働者人民は、小泉政権の戦争政治、「構造改革」によって生き地獄の中にたたきこまれています。しかし、労働者人民は、けっして救済の対象ではなく、世の中を変え、自らを解放しようとする社会の主人公であり、自己解放の戦士です。
 04年こそ、自衛隊のイラク派兵=本格的な侵略戦争参戦、小泉政権の「構造改革」による労働者人民への犠牲転嫁、年金・医療・介護・福祉など社会保障の全面的うちきりと対決して労働者階級の総決起をつくりださなければなりません。
 11・9労働者集会は、その道筋をはっきりと示してくれました。既成指導部が総翼賛化する中で、動労千葉をはじめ、港合同、関生支部などが呼びかけた集会に米韓の戦闘的労働組合も結集し、労働者の画期的な国際連帯がスタートしました。私も参加して心から感動し、新たな使命感に身のひきしまる思いでした。
 労働運動の発展と革命的議会主義は、二つにして一つです。私の議会活動も労働者階級や部落大衆の自己解放闘争と一体になって進むことを肝に銘じました。狭山闘争の勝利と、3月の全国連第13回大会の成功へともにたたかいましょう。

 あくまで反戦貫き命と暮らしを守る 相模原市議会議員 婦民全国協代表 西村綾子さん

 2004年いよいよ、戦争参加かそれとも小泉政権を打倒して、私たち労働者民衆が新しい時代の幕をひらくか、歴史を左右する決戦の時を迎えました。
 米英のイラク侵略戦争と軍事占領の不正義性、残虐性はすでに明らかです。自衛隊の派兵をなんとしても止めましょう。
 世界の帝国主義諸国が次は朝鮮戦争、世界戦争へと軍事力をもって争い、生き残ろうとしている今、長い年月抑圧され、迫害されてきた人びとの民族解放をかけたレジスタンスが激化しています。戦争責任を自覚し、二度と過ちを繰り返さないと誓った私たち一人ひとりの生き方が問われていると思います。
 賃下げ、リストラなど資本攻勢と社会保障解体、増税という生活破壊の攻撃は支配階級が自ら作り出した危機ゆえであり、このつけを民衆に押しつけるなどもってのほかです。文字どおり戦費を確保するためであり、戦争政策と一体のものです。命と暮らしを守るたたかいは一つです。
 国会は翼賛国会の状況ですが、国策を阻止する力は労働者民衆の中にあり、必ずその力を組織することはできると思います。なぜなら戦争も、資本攻勢も一握りの資本家・お金持ちの利益でしかないから。
 私は11月労働者集会で確信しました。世界の労働者が今、同じスローガンで行動を起こしています。動労千葉のたたかいが、国際連帯の具体的一歩を踏み出しました。労働者のたたかいとともに進む議員としてがんばります。
 労働者と地域住民の苦しみ、怒り、不安を日々実感しています。その根元も解決する道も方法も見失ってたたかわずに没落した既成政党に代わり、先頭に立つ新しい政党が待ち望まれています。後に続く巨万の決起を信じて命をかけた韓国の労働者、自爆決起したムスリムの人びとの魂に学んで、悔いなく生きたいと思います。

 労働者の国際連帯で世界を変えよう 泉佐野市議会議員 泉州住民の会事務局長 国賀祥司さん

 全国のみなさんに新年のあいさつを送ります。
 2004年は、自衛隊の本格的な海外派兵=イラク派兵を阻止し、イラク―ムスリム人民との国際連帯を深め、労働者人民の反転攻勢の年にするために闘いましょう。
 昨年は、イラク反戦デモが世界を覆い、日米韓で最も戦闘的に闘う労働組合のネットワークが形成されました。私は、労働者人民の国際連帯は今、世界中で求められており、急速に広がる、それこそが戦争を止め、世界を変え、日本を変える源泉だと確信しました。そのような確信を持った労働者人民は非常に多いと思います。この確信こそが日本を変える原動力です。今年はかつてない決意でがんばりましょう。
 小泉政権は、年々深まる日本帝国主義の危機にのたうち回りながら国内反動攻勢を強め、有事法制、イラク派兵新法、労働基準法改悪、治安弾圧などを強め、他方で自衛隊のイラク派兵にのめり込もうとしています。
 われわれ日本人民は戦後史の岐路に立っています。小泉は「テロにひるむな」とナショナリズムをあおり、もしも自衛隊員に犠牲者が出れば「国民を見殺しにするのか」と「愛国心」をあおり、一気に改憲と軍事大国にまで突き進もうとしていることは明らかです。
 しかし小泉の思いどおりに進まないこともまた、明らかです。何よりも、ムスリム人民の決死的な戦いがあり、それに連帯する世界の労働者人民の闘いが急速に広がり、強まっているからです。それに激励された日本の労働者人民、自衛隊員の反戦決起の広がりが不可避だからです。国際連帯に確信を持って闘いましょう。
 私の地元の関西新空港闘争も、有事法下の軍事空港を阻止する反戦闘争として非常に重要な闘いになりました。三里塚闘争とともに侵略拠点化を許さない闘いをやり抜きます。
 全国のみなさん、04年を勝利の年にするためにがんばりましょう。

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週刊『前進』(2132号13面2)(2004/01/01)

獄中同志の新年のアピール

 獄中で闘う同志の新年アピールを紹介します。星野文昭同志は、「殺人罪」デッチあげ―無期攻撃と対決し、29年間もの超長期の獄中闘争を貫き、現在再審を要求して闘っています。福嶋同志は爆取デッチあげ弾圧で未決勾留11年、即時保釈を求めて闘っています。倉持同志、神藤同志も、獄外の闘いとの熱い一体感のもとに不屈に闘っています。革共同と全人民の闘いを最深部で支える獄中同志と連帯し、侵略戦争と治安弾圧攻撃を粉砕し、プロレタリア世界革命の勝利へ前進しよう。4同志、そして国労5・27臨大闘争弾圧8被告を始めとする獄中の闘う仲間を一日も早く奪還しよう。(編集局)

 救援運動ありがとう 「無期」許さず再審へ 徳島刑務所在監 星野文昭

 昨年は、さまざまな所、さまざまな形で、「星野」への取り組み、ありがとうございます。とりわけ、11月14日−15日の徳島での私を取り戻すための集会・イベントへの参加、取り組みに。それは、400人ということでも、内容的にも画期的だったと思います。「マイナスからの出発」というところから、あらゆる困難を乗り越えて私と暁子、家族が積みあげてきたものが大きく結実したということで画期的であり、同じ思いで取り組んできた同志、皆さんにとっても同じだと思います。僕と暁子の苦闘があり、それと向き合うことで本格的な取り組みの歩みが始まり、そのことでまた新たなあつれきが生まれつつもそれを乗り越えて、救う会・反弾圧運動の飛躍が始まりました。そして今回の徳島イベントは、再審でも、早期釈放(仮釈も含め)ということでも、獄中家族が生き闘っていく土台を築くことでも、大衆運動の発展ということでも本当に大きな新地平を開いたと思います。そのことが、また、運動全体にとって大きな力になるような新地平を開いたと言えます。
 無期という人として生きていくすべてを奪うことと、全存在をかけて闘うことをとおして、人として生きていくすべてを奪い返していく、そのことを積み上げて、それを人として生きる新たな力にしていくということです。そこに貫かれるものは、今回、集会で訴えた「あなたが幸せでなければ、自分も幸せではない」という生きかた、すべての人が人間らしく生きられることで自らも人間らしく生きられるという生きかたです。パレスチナ、イラクとアジア−沖縄はじめ戦争、差別、抑圧、生活破壊と闘う人びと(の苦闘)とつながり、力を合わせて人間的未来を開くということです。無期という極限的弾圧をうち破るということで、くじけたり、あきらめたりするのではなくて、怒りを怒りとして、人間的解放をかちとる闘いを人間的解放をかちとる闘いとして、のびのび、生き生きと根底的に解き放つものとしてあります。
 米英日帝によるむきだしの侵略と虐殺と略奪のイラク侵略戦争−世界戦争とそれに対する被抑圧民族人民と連帯した全世界の労働者人民の巨大な反対運動の継続・発展は、暗黒か人間解放かの世界史的決戦の扉を新たに開いています。過剰資本と大恐慌の危機によって帝国主義はいよいよ再分割をかけた世界戦争以外なく、加えて、9・11以降の民族解放闘争の圧殺をそれにかけています。帝国主義的排外主義などで分断し、その戦争と抑圧、失業と生活破壊を強制する以外になくなっている帝国主義を打倒して、人間解放をかちとる闘いが、あらゆる分断をのりこえ、被抑圧人民との連帯を核に全世界の労働者人民の力を合わせた奔流になろうとしています。
 本来、人は、一人では生きていけず、生産、生活のあらゆる場で補い合い、助け合ってしか生きていけない。あらゆる分断をのりこえ、一つに力を合わせ、帝国主義を打倒し、労働者人民が社会の主人公となることで、その本来のあり方を豊かに回復し創造することができる。
 星野の闘いの魂もそこにあり、新たな潮流・奔流の魂もそこにある。この魂を解き放って、星野再審・早期釈放・全弾圧粉砕に勝利し、帝国主義打倒=人間解放に勝利しよう。ともに闘おう。
(71年11・14沖縄返還協定批准阻止・渋谷暴動闘争戦士。デッチあげ殺人罪で無期懲役。再審棄却に対する異議審闘争中。獄中29年)

 世界革命の勝利の道を大胆に突き進もう 横浜刑務所在監 倉持嘉之

 昨年は3大闘争の勝利的な前進、そしてついに、日米韓の労働者の歴史的な合流を実現するという国際的連帯闘争の新時代の展望を切り開く勝利、それはまた日本階級闘争の歴史的限界性の壁を革命的に突き破る画期的な勝利をかちとるという素晴らしい勝利の年でした。本年は、この勝利の道をさらに強力に、さらに大胆に突き進み、世界プロレタリア革命−日本革命の飛躍的勝利の年としましょう。
 イラク侵略戦争は、イラク・中東人民の決死の猛反撃と国際プロレタリアート人民の反戦闘争の歴史的爆発の前に完全に立ち往生し、米帝は体制的危機を急激に深刻化させている。
 日帝はそれを奇貨として、イラク侵略派兵に踏み込もうとしている。また日帝は、米帝とともに朝鮮侵略戦争策動を推進し、再び朝鮮侵略を凶行しようとしている。帝国主義間争闘戦での敗勢にあえぐ日帝は、そのようにして帝国主義としての延命を策している。しかし、それは日帝が侵略者として、イラク・中東人民、朝鮮人民、そして世界の被抑圧民族人民の前に立ちはだかるということであり、侵略帝国主義・日帝打倒が日本のみならず世界のプロレタリアート、民族解放闘争を闘う人民の共通の課題となるということでもある。
 したがってまた、日本のプロレタリアートの闘いが世界の階級闘争、民族解放闘争の中で決定的に問われるということです。「連帯し侵略を内乱へ」を実現すべき情勢に完全に突入したということです。
 そうした闘いを組織し得るのは反帝国主義・反スターリン主義の旗を掲げて闘う革共同以外にはあり得ない。この闘いの中で革共同は日本革命−世界革命を成し遂げるプロレタリア革命党へと飛躍してゆかねばなりません。
 ともに闘い抜かん。
(90年10月武蔵野爆取デッチあげ弾圧元被告、74年1・24カクマル完全せん滅戦闘弾圧元被告、獄中14年)

 11・9大集会に感激 さらに新潮流拡大を 新潟刑務所在監 神藤猛雄

 03年11・9全国労働者総決起集会に韓国、アメリカの戦闘的労働者が合流したことには感激しました。国際連帯の新たな力強い登場です。韓米の労働者は自国の資本攻勢、権力の苛烈(かれつ)な弾圧と闘いながら、「共通の敵に対し、共同行動で闘うこと」を呼びかけました。日米帝の北朝鮮侵略戦争を実際に阻止する展望がここに現実的に存在していると思います。
 昨年、小泉政権はついに有事立法を成立させました。しかし、私たちも全力で闘いました。一昨年末のイージス艦派遣阻止闘争、全学連の訪米−ワシントン50万人反戦デモへの合流、全世界2000万人のイラク大反戦闘争に連帯した数万の反戦闘争、動労千葉の春闘・イラク反戦の72時間ストライキ、三里塚闘争へのANSWER合流、20労組が軸となった有事立法反対闘争、統一地方選の闘い、万景峰号入港規制弾劾デモ、8・6−8・9ヒロシマ・ナガサキ反戦反核闘争、自治労「21世紀宣言」を否決に追い込んだ闘い、東大阪市議選、さらに国労臨大闘争弾圧などさまざまな弾圧との闘い、裁判闘争など、どれひとつとして私たちは負けていません。
 米英帝はイラクに大量の爆弾を雨あられと降らし、イラク人民を大虐殺しました。さらに横暴な占領統治をする米英帝にイラク人民の必死の闘いが起こらないはずがない。それを「テロ」と断じ、「テロには屈しない」などというのは、まさに強盗の論理です。日帝もこの頭目どもの一人になろうというのですから許せるはずがありません。自衛隊のイラク派兵阻止を大闘争で闘おう。
 日帝はさらに、北朝鮮侵略戦争突入のために執拗(しつよう)に排外主義をあおり立てています。しかし、それはかつての朝鮮侵略、植民地支配の戦争責任を完全に居直ることの上に叫ばれている大義なきものです。ぶっ飛ばしていくことは十分にできる。日米韓労働者の国際連帯に基づく国際共同闘争でこのような卑劣きわまりない帝国主義と対決していこう。新しい労働運動の潮流を拡大するために奮闘しよう。
(88年9・21千葉県収用委員会会長せん滅戦闘デッチあげ弾圧元被告、獄中通算8年)

 日韓米連帯に体熱く裁判・獄中闘争を闘う 東京拘置所在監 福嶋昌男

 11・9全国労働者総決起集会の画歴史的な大成功をがっちりと確認したいと思います。
 3100人を超える結集力は労働者階級・人民の国際的共同闘争の新しい発展の時代を切り開きました。『共産党宣言』の「万国の労働者団結せよ!」が21世紀の初めについに結実したのです。労働者階級の職場・生産点の闘いを土台にした労働運動と国際的反戦闘争は、世界の被抑圧民族人民との連帯として闘われており、米帝・英帝・日帝のイラク・中東侵略戦争を根底的に粉砕する内乱の力としてあります。
 労働者集会は、動労千葉・関西生コン支部・港合同、民主労総そしてアメリカの戦闘的労働組合との団結を鮮明に打ち出しました。動労千葉の訪韓パンフのタンビョンホ委員長と田中委員長の握手! 二人を見つめる中野洋顧問の笑顔は、闘いの必然と創造にあふれています。身体に熱いものをおぼえます。
 面会に来た同志たちが「律動」と「トゥジェン(闘争)!」を行い、集会の息吹を伝えてくれました。
 本労働者集会と並んで、「星野文昭さんを取り戻そう!全国再審連絡会」より「星野さんを取り戻す全国集会 徳島」の“獄壁を越えて”の案内状が届きました。私は、徳島・星野文昭さんを救う会の賛同人への呼びかけ文を読んで、賛同人署名と賛同金一口を送りました。その後、徳島・星野文昭さんを救う会より礼状と絵ハガキの便りをいただいています。
 今、福嶋裁判では弁護団・救対の闘いを先頭に馬路筆跡鑑定の非科学性が小島筆跡鑑定に続いて暴き出されました。両鑑定人とも、鑑定資料からの抽出文字は一文字でもよいと恒常性を無視、その文字の「特徴個所」「一般的でないもの」の指摘に至ってはまったく感覚的なものであり、結局似たもの選びでしかないことがはっきりしました。
 須賀、十亀、板垣同志の無罪戦取、星野同志の再審実現−奪還といっしょに、私は裁判・獄中闘争に勝利します。
(86年迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判被告。93年不当逮捕、獄中11年)

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週刊『前進』(2132号14面1)(2004/01/01)

労働者階級人民を食わせることができなくなった帝国主義は打倒を 大恐慌・争闘戦激化と世界戦争
 島崎光晴

 はじめに

 反帝国主義・反スターリン主義世界革命が現実になる時が、ついにやってきた。20世紀に解決しえなかった世界史的課題である世界革命を、今度こそ必ず達成しなければならない。
 帝国主義は、世界大恐慌と世界経済のブロック化の中で、全世界人民をもはや生活していけない惨状におとしいれている。帝国主義国では、恐慌下の大失業の上に、資本と国家による資本攻勢が吹き荒れている。資本主義は、資本と賃労働との関係によって成り立っている。その資本主義が今や大失業をもたらし、労働者が生きていくことさえできない状況を生み出している。資本主義としてこれほどの破産があるだろうか。さらに新植民地主義体制諸国では、もともとの飢餓と貧困に加え、帝国主義による再植民地化政策が強まり、民族的抑圧と搾取・収奪がますます深まっている。
 このように体制として破産しているからこそ、帝国主義は分裂・抗争を強めながら今や世界戦争に向かいつつあるのだ。9・11反米ゲリラ戦争と3・20イラク戦争突入で、世界の歴史は一変した。イラク侵略戦争は、ベトナム戦争以上の歴史的な大きさを持っている。米帝はどんなに泥沼になろうとも、イラクから引き揚げることはできない。結局は、他の中東諸国と北朝鮮・中国に対する侵略戦争に突っこむしかない。また何よりも、イラク戦争をめぐって米(英)対仏独が激しく対立した。ついに帝国主義は経済だけでなく外交・軍事でも分裂に突入したのだ。それは、第3次世界大戦にまで至る壮絶な帝国主義間争闘戦の始まりだ。三度目の世界戦争! 帝国主義としてこれほどの破滅があるだろうか。
 帝国主義が体制として行き詰まり、世界戦争という破滅に向かいはじめる中で、革命的情勢が急速に接近しつつある。帝国主義を打倒する以外に、世界中の人民は生活もできない。帝国主義体制を転覆する以外に、戦争の惨禍からも逃れられない。今や資本攻勢に対する闘いと侵略戦争に対する闘いが結びつき、プロレタリアートの自己解放闘争が帝国主義打倒に向かいつつある。
 このように21世紀冒頭から世界革命が現実的になりつつある真っただ中で、11・9労働者集会がかちとられた。この3労組共闘のもとでの日韓米の国際連帯は、資本攻勢と必死で闘い侵略戦争と原則的に闘うことで切り開かれた。労働者階級にとって、最も階級的であることが最も国際的であり、最も国際的であることが最も階級的である。この労働者国際主義が単なる思想にとどまらず、生きた現実となったのだ。これこそプロレタリアート自己解放の真髄にほかならない。世界革命の展望もここにある。
 日本の労働運動・労働組合運動の前進は、11・9で切り開かれた国際連帯の道を進む中にこそある。韓国民主労総との連帯につり合うような、日本の労働組合運動をなんとしてもつくり出さなければならない。新指導路線によって党の革命をやりぬき、労働組合運動の発展と労働者細胞建設をかちとろう。

 第1章 イラク戦争突入下で住宅バブル崩壊・米経済恐慌へ

 (1)3年連続百万人のリストラ小売・サービス業も雇用減

 アメリカでは今、「ペニー・ピンチャー」が広がっている。ペニーとは1k銅貨の通称。日本円では1円に相当する。その1kですら「ピンチ」=「切り詰める」しかない人が激増している。
 失業者はますます増えている。米企業の人員削減は、バブル崩壊以降の01年、02年、03年と3年連続して100万人を超えた。100万人というのは仙台市や広島市の総人口に匹敵する。企業倒産の結果ではなく、計画されたリストラとしての削減だ。年間100万人もの人員削減は29年大恐慌の時にもない。失業率は、03年5月に6・1%と、94年6月以来の高水準となった。6%というのは“失業問題への社会的な不満が急速に高まる”とされる水準だ。
 しかも、従来は、製造業の失業者の多くを流通・サービス産業が吸収してきた。ところがこの間、「構造変化が起きている」(ニューヨーク連銀)。小売業やサービス業でも雇用が減少しているのだ。今では、労働集約的だった業務でも極限的な合理化が行われている。スーパーのレジや空港・鉄道の発券窓口などさまざまなところが無人化され、セルフサービス化されつつある。
 かりに再就職できても、基本は派遣社員、パートタイマー、請負労働者など非正規雇用だ。若年層ほど非正規雇用が多い。90年代後半には非正規職で働く560万人のうち、約30%が25歳以下だった。03年9月の統計では、「非自発的な」、つまり意に反してのパートタイム労働者は全体で500万人に達した。非正規雇用者は、仕事を掛け持ちしなければ生活できない。
 賃金も下がり続けている。正規職の男性のホワイトカラーですら、73年から97年の25年間で名目上わずか6kしか増えていない。25年間で6円増というのは実質マイナスだ。特に18歳から29歳の未婚男女の収入は、過去25年間で平均約11%減った。
 労働強化もすさまじい。過去10年間で労働時間は平均して年58時間ずつ増えてきた(ビジネスウィーク誌)と言われる。単純計算すると、10年間で580時間、24日丸々増えたことになる。今では、全労働者の20%強が週に49時間以上働いている(『窒息するオフィス』)。
 しかもさまざまな社会保障制度が、80年代レーガン政権以来の規制緩和・民営化と財政の州への移管・縮小で次々解体されてきた。例えば病院に入院すると1日で4000jもかかる。なんと44万円だ! 労働者が払えるわけがない。民間の健康保険にも公的保険にも加入していない無保険者は4357万人(02年)で、前年比237万人も増えた。解雇されて保険を失う人が激増している。本当に貧しい者は死んでしまう。
 貧富の格差は新植民地主義体制諸国並みに拡大している。富裕層に対する減税に加え、90年代後半のバブルで資本主義史上例のないほど億万長者が増えた。保有資産100万j(1億円以上)の家計は、90年の420万から98年には880万へと倍増した。しかも01年には相続税が廃止された。バブル下で億万長者になった層が固定される。一方で貧困層(3人家族で年収162万円以下)は3460万人で、全体の12・1%にも及ぶ。

 (2)1千兆円も借金して消費に 住宅公社中心の最終バブル

 第2次大戦後の基軸帝国主義国であるアメリカで、すでに労働者人民はまともに生活することができなくなっている。そこに今、本格的な大恐慌が襲いかかろうとしている。
 米バブル経済は00年春の株価暴落以降、崩壊しつづけてきた。米国の株式時価総額は02年までに8兆j減り、GDP(国内総生産)比ではすでに大恐慌時代を上回る暴落となった。鉱工業生産は01年、02年と2年連続でマイナスだ。GDPも01年初めからマイナスに転じた。デフレも始まっている。消費者物価はかろうじてプラスを維持しているが、モノだけをとると02年からマイナスである。
 ただし9・11後に恐慌対策がとられたこともあって、米経済は01年末から再浮上してきた。しかしそれはバブルを極限的に引き延ばすものでしかない。このバブル引き延ばしは次のような構図になっている。
 @まず、金融緩和と減税が実施された。01年初めから短期金利の誘導目標を13回も引き下げ、03年6月には金利が3%強と45年ぶりの低さになった。金融面からも財政面からも最大の恐慌対策がとられてきたのである。
 Aこうした低金利下で、家計部門は借金をさらに膨らませて消費をなおも増やしてきた。自動車販売では、ローン金利がゼロにされてきた。03年からは1台当たり5000j(約59万円)もの大幅な値引きも行われている。さらに、住宅ローンを借り増しして、それを消費に充ててきた。住宅ローン借り換えで02年は3千数百億j(35兆円強)のカネが家計に入ったと推計されている。この額は通常の個人所得に匹敵する。つまり、借金を増やしながら、所得の倍以上のカネを消費に向けてきたわけだ。これがいわゆる住宅バブルである。

 米国債よりも巨額の住宅ローン担保証券

 Bでは、この住宅ローンを貸し増ししているのは誰か。大手銀行の住宅ローン専門子会社や各種の金融会社である。大手銀行は、大企業倒産で不良債権を増大させながらも、住宅ローンや個人ローンを増やして切り抜けている。バンクオブアメリカの貸し出し残高では法人向けより個人向け貸し出しの方が多く、その中でも住宅ローンが多い。各種の金融会社には、自動車メーカーの子会社もある。米ビッグスリーは、それぞれの金融子会社をとおして自動車ローンや住宅ローンを手がけている。GMもフォードもその金融収入が01年も02年も本業を上回っている。大幅値引きができるのも、この金融子会社の利益があるからこそだ。
 Cところが、銀行も各種金融会社も、この住宅ローン債権のかなりの部分を住宅公社(ファニーメイ、フレディマック)に転売している。銀行の住宅ローンの貸出残高は02年で1兆6500億j(約181兆円)、うち自社の帳簿についていないのが7100億j強。後者のほとんどが住宅公社に買われているとみられる。
 D住宅公社が住宅ローン債権を買い取っているわけだが、そのカネはどうやって工面するのか。主に証券=住宅ローン担保証券や債券を発行して資金を調達する。住宅公社は政府支援機関だから、信用されて証券や債券が買われる。住宅ローン担保証券の発行残高は3月末で3兆8600億j(424・6兆円)にも上り、なんと米国債の発行残高3兆6700億jより多い(03年3月末)。住宅公社両社の借入残高も1・5兆j(約180兆円)と巨額だ(02年末)。
 Eこの住宅公社の出した証券や債券は誰が買っているのかというと、内外の金融機関だ。大手米銀123行のうち、住宅公社の出した証券・債券を自己資本以上に持っているのは62行で、全体の半分に上る。住宅公社の経営が崩れると「危機はものの数時間で広がる」と言われる。国外の金融機関もこの住宅公社の出した証券・債券など政府機関債を大量に買っている。国外金融機関の保有する政府機関債の残高は1900億j(21兆円弱)にも及んでいる(02年)。バブル崩壊後、株式に代わって米国債と米政府機関債が買われてきた。この国外から政府機関債への資金流入が、米国の住宅金融を支えるとともに、巨額経常赤字を補填(ほてん)するものとなってきた。
 以上が、バブル最末期の構図である。単に住宅価格上昇で住宅バブルが起きているというような話ではない。家計のむちゃくちゃな住宅ローン=借金、借金による消費の増加、自動車メーカーの金融収入依存、住宅公社による膨大な証券発行、内外金融機関によるその証券購入、それによる経常赤字の補填――これらすべてが一体になっているのだ。かつてのITバブルや株式バブル以上に根が深く、範囲も広い。家計、製造業企業、住宅公社、内外金融機関のすべてが関係している。この構図がどこかで少しでも崩れると、すべてが吹き飛ぶのだ。

 (3)29年上回る企業の経営破綻家計のローンも不良化する

 実際、このバブル最末期の構図は行き詰まり、すでに崩れ始めている。
 @まず、財政・金融政策を極限的に使い切ってしまった。財政赤字は、03年度(02年10月〜03年9月)は過去最大の3742億jと、前年度の2・4倍にもなった。歳入は1959年以来の最低レベルに落ちこんでいる。一方で、春と秋にはイラク戦費など計1660億j(約18兆円)もの補正予算が組まれた。また、金融政策でも、金利を低く誘導しているにもかかわらず、春から夏にかけて市場金利が急騰した。財政赤字膨張への懸念が原因だ。
 A家計債務の膨張も限界に達している。9月末の家計の負債は過去最高の9兆j。日本円で1000兆円だ! 02年1年間だけで8000億jも増加、うち住宅ローンが7000億jを占めた。年間可処分所得に占める家計の負債比率は115%(03年6月)と、第2次大戦後の最悪記録を更新中だ。個人の破産件数は年間162万件を突破、過去最高を更新している。こんな借金がどこまでも続けられるわけがない。
 B自動車販売は小売売上高の4分の1を占めるほど大きいが、これも行き詰まらざるをえない。自動車ローン金利ゼロ・大幅値引きは、自動車の需要の先食いであり、必ず需要の大激減をもたらす。しかも、住宅バブルが崩壊すると金融子会社の収入が減り、本体の収益悪化がむき出しになる。米自動車産業には大不況が待ち受けているのだ。
 それは、今でも深刻な過剰資本状態を増幅して大恐慌をもたらさずにはおかない。すでに02年の上場企業の経営破綻(はたん)は、資産額では3680億jと過去最大となった。設備稼働率は03年7−9月期は75%を切っており、20年来の低水準にある。生産能力の過剰によって過剰資本状態が続いているのである。
 この過剰設備と一対とも言える企業の過剰債務もケタ外れの額だ。米企業の簿外債務は米GDPの99%にも上るとのデータもある。02年には粉飾会計が劇的に露呈したが、粉飾は今も続いている。債務が簿外に隠れているのなら、それが表面化した時の衝撃は29年大恐慌の比ではない。米資本主義史上、最大規模の企業倒産となるだろう。企業年金の積み立て不足も“隠れた巨額債務”だ。

 金融スキャンダルはバブル崩壊の本番だ

 C住宅バブルの中心にいる住宅公社には今後、膨大な不良債権が発生すると見てまちがいない。03年にはフレディマックの粉飾決算が発覚した。この詳細は隠されたままだが、この発覚自体、住宅バブル崩壊の予兆と言える。実は、住宅ローンの借り換えで、借り手側は低金利の借り換えで利益を得ているが、これに対応して貸し手側に損失が発生しているはず。フレディマックはその損失を後年に繰り延べることで、利益を過大に見せかけているとみられる。この会計操作には、モルガン・スタンレー、シティーグループという金融資本の中枢が関与している。しかし米議会もFRB(米連邦準備制度理事会)もこの粉飾決算の調査に早々と幕引きをした。
 住宅公社は政府支援機関であり、その経営内容は闇(やみ)に包まれている。かつて日本のバブル崩壊期に、大手銀行は一番悪質な不良債権を実質子会社の住宅金融専門会社(住専)に移し入れた。それと同じように、いやそれよりはるかに大規模に、米国の不良債権は住宅公社に集中する可能性がある。
 D住宅バブル崩壊は、内外の銀行にも大打撃を与える。日本の銀行は、バブル期に不動産・建設・流通の3業種に無謀な貸し付けを拡大した結果、解決しようのない不良債権を抱えた。これに比して米銀の場合、家計部門に対する住宅ローン・カードローン、住宅公社の証券・債券の購入が野放図に増大している。この間の企業倒産には持ちこたえられてはいるが、住宅バブルが崩れると本格的打撃を受ける。すでに02年末に、金融サービス大手のコンセコが経営破綻し、米金融機関としては過去最大の破綻となった。これは悪質な住宅ローン大手会社を買収したのが原因だった。 
 また、この間、投資信託での不正取引が発覚し始めている。投資信託の運用会社の5割が不正取引に加わったとされる。バブル崩壊で株価は暴落し、投資信託にも損失が生じている。しかし、ヘッジファンドや特定の投資家だけは不正取引で優遇されてきた。バブル崩壊期に特有な金融スキャンダルそのものだ。かりにこうした優遇がなければ、ヘッジファンドなどの損失が膨らむわけだ。米金融の中枢の一角を占めるヘッジファンドが今後、破綻していく可能性もある。また、米国の株式市場は株式投資信託を中心にしており、投信への不信が拡大すれば株式市場がメルトダウンしかねない。
 いずれにしろ、02年の企業の粉飾会計に続いて、03年は住宅公社の粉飾決算、投資信託での不正取引と、ついに金融面でもバブル崩壊が表面化し始めた。これこそバブル崩壊の“本番”だ。00年春のバブル崩壊からすでに4年近くがすぎた。もはや米帝がどうあがこうと、これ以上バブルを引き延ばすのは無理だ。04年、ついに米経済は本格的な恐慌に突っこんでいくだろう。29年大恐慌を上回る世界大恐慌がいよいよ現実になる。
 米帝ブッシュ政権は、29年大恐慌の時以上の危機に直撃されるだろう。こうした危機に悶絶(もんぜつ)しながら米帝は、労働者人民に対する搾取・収奪・抑圧を一層強めながら、世界の暴力的な再編、戦争にますます突っこんでいく。

 第2章 小泉=奥田路線のもとで激化する恐慌と資本攻勢

 (1)若年層の就職難と高失業率 外注化・民営化で団結破壊

 日本の労働者人民も、ますます生活できなくなっている。しかもそこに、小泉と日本経団連会長の奥田が一体となり、小泉=奥田路線による資本攻勢をしかけてきている。
 まず、何よりも就職難だ。来春卒業予定の高校生の就職内定率は9月末で34・5%と過去2番目に低く、特に女子は初めて30%を割りこみ過去最低を更新した。大学生は10月初めで60%強と、96年度の調査開始以来最低となった(日経新聞)。短大(女性)の内定率は初めて3割を切った。
 失業も青年層が最も深刻だ。10月の政府発表の完全失業者は343万人で、失業率は5・2%に悪化した。若年層の完全失業率は政府統計ですら約10%と、全世代の中でも最も高い。しかも、失業が長期化し、失業者全体の3人に1人が1年以上職が見つからない(03年4−6月調査)。03年に労基法が首切り自由に改悪されたため、その影響は04年から顕著に出てくる。
 職に就けても非正規雇用が多くなっている。02年の正社員は3489万人で10年前より1割も減った。これに対し正社員以外は1451万人で、5割強も増えた。若年層ほど非正規雇用の割合が多い。人材派遣も拡大している。昨年の労働者派遣法の改悪で、04年3月から製造現場や1年超(〜3年)の営業職への派遣も解禁される。95年の日経連の「新時代の日本的経営」で“常用雇用は約1割、あとは非正規雇用にする”とされたが、それが強行されつつある。
 終身雇用制が解体されようとしているだけではない。賃下げに対する労働者の憤りは、あらゆるところで渦巻いている。民間企業の1人当たりの平均給与は02年まで5年連続のマイナスだ。この10年間で年間所得200万円以下の層が15%も増えた。月平均16万円強でどうやって暮らせばいいのか。03年の調査では、「貯蓄なし」の世帯が全体の21・8%と40年ぶりの高水準となった。貯蓄
額が1年前より減った世帯は51・1%と過去最高である。貯蓄なしと貯蓄減の両方を合わせて全世帯の6割強にもなる。
 年功型賃金も急速に崩されてきている。日立製作所は、全従業員の年功型賃金を全面撤廃し、04年4月から「成果」「能力評価」で決める新賃金制度に改悪する。“産業界の賃金交渉のリード役”とされる日立の踏みこみは大きな影響を及ぼす。
 終身雇用制と年功型賃金を同時に解体しようとするのが、民間企業における外注化や分社化、公的部門の民営化だ。JRにおける第2の分割・民営化は、そうした現在の資本攻勢の最先端をなしている。JR東の「ニューフロンティア21」、JR貨物の「ニューチャレンジ21」では、設備や検修・構内業務などあらゆる業務の外注化、検修職場の大再編と基地統廃合、雇用・賃金・労働条件の抜本的改編が強行されつつある。これは、労働組合を破壊し、労働者の団結を奪い取ろうとするものだ。郵政民営化など公的部門の民営化もすべて、そうした狙いがある。小泉・奥田は今や、労組法の改悪にまで手をかけつつある。これらすべての攻撃に対して、国鉄分割・民営化以来の日本の労働運動がそうであったように、国鉄闘争を軸にして闘い猛反撃しなければならない。

 04年度の国民負担は1世帯6・5万円増

 このような労働者にとって本当にがまんならない状態、これを資本家側から見るとどうなるか。製造業は過去10年間で、賃金などの固定費を約1割、額にしてなんと5兆円も削ってきた。その結果、04年3月期の上場企業の業績見通しは売上高1・2%増にもかかわらず、過去最高となる。売り上げが1%強しか伸びないのに、過去最高の利益だと! リストラと合理化を繰り返してきたため、利益を出せる売上高の最低水準(損益分岐点売上高)が、バブル崩壊後の最低になっているからだ。
 リストラと合理化の結果、JRでは安全が無視され、運転保安が解体されようとしている。すでに、日本の大企業は巨大事故を続発させている。03年には新日鉄名古屋製鉄所の爆発事故、ブリヂストン栃木工場の火災など、業界トップ企業で大事故が起きた。人員削減と合理化、特に設備のメンテナンス部門の分社化・外注化が原因だ。これは特殊な例ではなく、日本の大企業すべてが同じようになっている。これからも続々と大事故が起き、そして殺されるのは労働者なのだ。
 労働者だけではない。中小企業や農民も大変な苦境にあえいでいる。日本が輸出でもうけている年間52兆円の3分の1は、トヨタ・キヤノン・ホンダ・ソニーなど上位10社による。上位30社では半分までも稼いでいる。小泉・奥田の路線・政策は、この大独占企業を救済し強化すること、それがすべてだ。中小企業や農民には、早くつぶれろと言うに等しい政策しかない。
 しかも、これに追い打ちをかけるように、小泉政権は社会保障を解体し、年金制度を改悪し、大増税をしようとしている。すでに02年度に、消費税税収が法人税税収を上回った。それほど大独占企業を優遇し、人民からむしり取っているのだ。しかも04年度の「国民負担」は合計で3兆円も増える見込みだ。1世帯平均6・5万円もの負担増である。
 日帝は98年度以降、危機に陥った大銀行・大企業を救うために国債を大増発してきた。それが財政危機悪化の主因だ。この点は絶対にあいまいにしてはならない。03年3月末の国債残高は504兆円と、初めて500兆円を超えた。04年度の歳入の国債依存度=借金依存度は50%ほどに達する。
 小泉政権が年金や税をどういじくろうとも、これほどの財政破綻はもやは修復しようがない。大銀行・大企業を救おうとした結果、“蟻(あり)地獄”にはまってしまったのだ。にもかかわらず、労働者人民にすべての負担を押しつけようとしている。これはもう体制としての完全な破産にほかならない。労働者人民にとって日帝を打倒する以外に出口はない。この体制を転覆しなければ、労働者人民はもっと悲惨な犠牲を押しつけられるだけだ。

 (2)対米輸出依存は必ず崩れる国債暴落すると銀行パンク

 このような小泉=奥田路線の根っこには、日帝のとんでもない危機と没落がある。90年代のバブル崩壊不況、97年秋からの恐慌突入によって、日帝はもはや労働者人民を生活させることができなくなった。しかも、日帝は労働者人民をひたすら搾取・収奪して収益性と競争力を強め、帝国主義間のつぶし合いで生き残ろうとしている。
 日本経済は、基本的に恐慌状態のままだ。現在、97年恐慌突入以来2度目の若干の浮揚期にある。03年7−9月期の実質成長率は7期連続のプラスとなった。これを受けて政府は11月に「景気持ち直し」を宣言した。しかし、名目成長率はマイナスを続けている。デフレ下にあるため、物価指数を勘案した実質成長率が高く表れているにすぎない。鉱工業生産は01年、02年と2年連続のマイナスであり、その水準はバブル期のころまでに落ちこんでいる。
 製造業も非製造業も、過剰な設備を抱えたままだ。たしかに、製造業の稼働率は01年末の65%を底に03年初めには71%にまで上昇してきている。しかし、90年以前の景気浮揚期には85%にまで上がっていたのと比べても、低水準にとどまっている。7−9月期の設備投資額はピークだった91年度よりも約20%も少ない。こうした過剰な設備・生産能力、過剰資本状態があるかぎり、恐慌から抜け出すことはできない。
 こうした過剰資本状態の中で、日本経済はますます輸出依存を強めている。例えば7−9月期の名目成長では内需はマイナスで、外需のプラス分を打ち消している。個別業種でみても、自動車は対米輸出に、鉄鋼、工作機械、建設機械、石油化学などは対アジア輸出に、特に対中輸出に依存している。香港経由分を含むと日本の対中輸出は対米輸出の3分の2にまで迫る。
 しかし、対中輸出が伸びているのは、中国の対米輸出が伸びていることによる。米経済のバブル引き延ばし→中国の生産増→日本の対中輸出の増加、という関係だ。だから、米経済が本格的恐慌に突入すれば、この構図すべてが吹っ飛ぶ。また、円高も輸出に打撃となる。12月半ば時点で、円相場は1j=107円ほどに上昇している。電機では1j=116円を上回ると輸出が採算割れと言われる。ドルが暴落する過程で、一層の円高が進む可能性もある。米経済の本格的な恐慌突入、そしてドル暴落=円急騰となれば、日本の恐慌もいよいよ全面的に深まらざるをえない。繰り返し指摘しているように、日本の恐慌はその時にこそ“本番”を迎えるのだ。

 地銀の国有化と淘汰で倒産と失業が激増

 銀行の不良債権問題もさらに深刻になっている。03年9月中間決算は、りそな以外の大手銀行はなんとか黒字となった。しかし、次のような構造的問題を抱えている。
 @利益の大半は株価上昇で評価益が増えたことによる。本業である貸し出しによる利ざやは減っている。貸し出しそのものが激減しているからだ。大手7グループの貸し出し資産は01年度、02年度の2年で80兆円も減った。利ざやそのものを失う、つまり本業での利益がなくなる、という新たな問題に直面している。
 Aしかも、減っているとはいえ、依然として新規の不良債権が発生している。ゼネコンではさまざまな統合・再編が行われているが、問題先送りでしかない。
 B自己資本についても、繰り延べ税金資産を上限いっぱいに計上しており、過大に水増しされたままだ。自己資本が枯渇した状況に変わりない。
 C依然として株安に脆(もろ)い状態のままだ。夏から秋にかけて株価が上がった。ヘッジファンドなど欧米マネーが流れこんだのが主因だ。国内の投資家は売り越していて、むしろ株式相場は不安定になっている。
 D国債が暴落すると、銀行経営はとどめを刺される。03年3月末の国債保有額の内訳を見ると、銀行が78兆円、郵貯が70兆円、保険会社が94兆円。金利が1%上昇すると(債券価格がその分、下落すると)大手7グループで2・2兆円の評価損が発生する、との試算がある。この額は、年間の本来のもうけ(業務純益)に匹敵する額だ。6月に長期金利が初めて0・5%以下に下がったが、たちまち上昇に転じて9月には1・6%台になった。その後、下落したため9月中間決算には響かなかったものの、国債バブル崩壊の現実性を浮き彫りにした。
 小泉政権は、こうした銀行の不良債権問題に対し、一層の公的資金投入と国有化で対応しようとしている。03年6月には国内第5位のりそな銀行に2兆円の公的資金が投入され、実質国有化された。りそな銀行は秋に経営健全化計画を発表したが、本来明示すべき公的資金の返済見通しについては一言もなし。返すつもりがないのだ。
 11月には金融庁が足利銀行を債務超過、つまり経営破綻と認定し、一時国有化とした。地銀の一時国有化は初めてだ。地銀は地場企業や第3セクターに不良債権予備軍を多く抱えている。05年4月のペイオフ全面解禁を控えて小泉・竹中は、地銀など地域の金融機関の淘汰(とうた)・再編を本格化しようとしている。他の地銀も一層の貸し渋り・貸しはがしを迫られる。倒産と失業はますます増加する。
 日帝は、こうした危機の中で、アジア侵略を一層深めるとともに、国内での「構造改革」、資本攻勢を一段と強めようとしている。日帝の危機をみすえて、日帝打倒の闘いに立ち上がろう。

 第3章 米欧対立は軍事的抗争に 石油・通商・通貨で大激突

 (1)EUが独自の軍司令部創設 占領でイラク石油奪う米帝

 世界大恐慌がいよいよ本格化していく中で、帝国主義間争闘戦は全帝国主義国の死活をかけた激しいつぶし合いへと進展している。大恐慌下では、他の帝国主義をたたきつぶさなければ自分が滅びてしまう。帝国主義間争闘戦が強まれば世界経済は収縮し、大恐慌はますます深まる。30年代がそうだったように、大恐慌と争闘戦は相乗しながら世界戦争へ行き着く。
 何よりもイラク侵略戦争は、帝国主義間争闘戦を背景にしたものであるが、その争闘戦を一段と激烈化させるものでもある。
 そもそも米帝は、大恐慌の本格化と争闘戦の激化の中で危機と没落を深めてきた。なんとか自分だけは延命しようとして、戦争による世界の暴力的な再編に突っこんでいる。実際にもイラク戦争は、ブッシュ・ドクトリンという世界戦争計画の発動としてある。しかも、かつてのベトナム戦争と比べても、米帝はイラクから絶対に引き揚げられない。イラク人民・イスラム諸国人民・世界人民の解放闘争との激突はどこまでも進む。ベトナム戦争の時とは異なり、世界の解放闘争を帝国主義とスターリン主義の世界体制に抑えこむことはできない。そして帝国主義間の対立もはてしなくエスカレートする。この戦争の最終決着は、世界戦争か世界革命かのどちからしかないのだ。
 実際、イラク戦争をめぐって生じた米欧対立、米(英日)と仏独の対立はますます激化している。特に重大なのは、対立が外交・軍事で本格化しつつあることだ。EU(欧州連合)は03年12月に、NATO(北大西洋条約機構)とは別個に実質上のEU独自の司令部をつくることを決めた。米帝の猛反対にあって「作戦計画・実行部署」という妥協的な名称となったが、軍事における歴史的な分裂だ。また03年には、NATO「即応部隊」とは別組織の6万人規模のEU「緊急対応部隊」を創設した。さらにEUは、米帝に依拠しない独自の全地球測位システム(GPS)である「ガリレオ計画」を発足させ、中国の参加を取り付けた上で日本にも参加を要請中だ。
 一方、日帝はイラク本格派兵に踏みこみ、次には北朝鮮侵略戦争に参戦しようとしている。それは日米同盟を強める形をとっているが、“対米追随”などではない。日米争闘戦の激化、アジアの勢力圏化をめぐる日米対立の中で、日帝も軍事大国、戦争国家にのし上がろうとしている。それを、日米同盟を強化する現実的コースでやろうとしているのだ。
 今や帝国主義は、米欧対立に見られるように経済だけでなく軍事でも激しい対立に入った。帝国主義間争闘戦の激化、世界の再分割戦=世界戦争――これこそ帝国主義の本性である。第2次大戦後、“もはや帝国主義ではなくなった”などという説が流布されてきた。“いや、帝国主義であることに変わりない”との説をとる人たちも、帝国主義間争闘戦をまったく軽視し無視してきた。今や、これらすべてが誤りであることが、歴史の事実をもって確定した。革共同が一貫して指摘してきたように、帝国主義間争闘戦を抜きに世界と日本をとらえることはできないのだ。

 自衛隊イラク派兵で中東石油権益を狙う

 実際、帝国主義による世界再分割は、あらゆる面から激しくなっている。何よりも、イラク戦争を機にした石油資源の争奪戦だ。
 米帝のイラク侵略戦争は、石油資源の略奪に最大の狙いがある。イラク石油は、探査されていない分を含めると、埋蔵量がサウジアラビアを上回って世界第1位とされる。ウルフォウィッツ国防副長官は「(戦争以外に)選択の余地はなかった。なぜならイラクという国は、石油の海を泳いでいるからだ」と断言した(03年6月の英ガーディアン紙)。
 イラクを占領した米帝は石油を強奪するための措置を次々発動している。5月のブッシュの大統領命令13303では、イラクの資源・利権について「いかなる差し押さえ令状、判例、布告、先取特権、執行、債権差し押さえ通知は無効とみなされる」と、米資本の独占とすることを布告した。9月の暫定占領当局(CPA)ブレマー文民行政官の布告39では、石油を始めとする国営企業約200社の民営化、外国企業の100%所有、利益の100%海外移転を認めた。12月に米帝は「イラク復興事業への参加を、イラク戦争と復興に協力している国だけに限定する」と発表。もともとイラク石油に利権を持っていた仏ロや独を排除している。戦争によって他の帝国主義国の利権を奪い取るという、むきだしの帝国主義そのものだ。
 しかも進出した米企業と占領者は、イラクでの「事業」すべてで、「手数料」という名で賄賂(わいろ)をせしめている。「ある英企業の幹部に言わせれば『国外駐在のスタッフの不正行為がこれほどひどいのは前代未聞』だ。ある有力なイラク人実業家は、契約にあたって入札金額に75万j(約8200万円)の上乗せを指示されたと語る」(ニューズウィーク誌11月12日号)。武力で占領し支配し、資源を強奪し、企業や占領者は賄賂をせしめる。古典的とも言える露骨な植民地主義だ。
 さらにカスピ海−中央アジアの石油・天然ガス資源をめぐっても、米欧ロが激しい奪い合いをしている。ブッシュは03年にナイジェリアなどアフリカ5カ国を訪問したが、これも石油・天然ガスが狙いである。中東を中心に北は中央アジア、南はアフリカに至るまでが、石油争奪戦の舞台となっている。世界再分割戦、第3次大戦の火薬庫そのものだ。
 日帝は、中東唯一の自主開発権益だったサウジアラビア・カフジ油田の採掘権を00年に失った。その穴埋めとして同年、イラン・アザデガン油田開発の交渉優先権を得た。しかし03年に米帝がこれに横やりを入れて非難したため、この権利もほぼ喪失に近い状態だ。イラク戦争によって、石油権益は軍事力によってしか得られなくなった。日帝もイラク派兵によって、この道に踏みこみつつある。

 (2)FTAの締結でブロック化 日帝は没落し「最弱の環」に

 通商面では、各帝国主義国によるFTA(自由貿易協定)の締結という形で、世界経済のブロック化が進んでいる。
 03年9月のメキシコ・カンクンでのWTO(世界貿易機関)閣僚会議は、99年の米・シアトル会議に続いて決裂した。この決裂を受けて「軸足はFTAだ」(米通商当局高官)と、米帝を始めとして各帝国主義国が雪崩をうって2国間のFTA交渉に舵(かじ)を切りつつある。ブロック化の歯止めのひとつが吹っ飛んだのだ。今回の決裂は、33年の世界経済会議の決裂にも等しい転機となる。
 この決裂直後にゼーリックUSTR(米通商代表部)代表が中米を訪問、2国間のFTA交渉に入った。さらに米帝は11月の米州閣僚会議の直前に、FTAA(米州自由貿易圏)交渉を進める一方で、ペルーなど中南米諸国6カ国と2国間のFTA交渉を開始すると発表した。これに対し日帝は、メキシコとのFTA交渉で行き詰まっており、中南米市場から締め出される危機にある。
 米帝はアジアでも、03年にシンガポールとFTAを結び、タイ、オーストラリアとも交渉に入りつつある。EUも対ASEAN(東南アジア諸国連合)の新戦略を採択し、FTA交渉に入ろうとしている。中国も、ASEANとFTA交渉をいち早く進めている。
 また、EUは04年には中・東欧諸国など10カ国の新規加盟で25カ国に拡大する。EUは92年の市場統合、99年の単一通貨ユーロの導入など経済統合を進め、それを最大の経済刺激策としてきた。しかし、その効果も頭打ちになっている。ここから、中・東欧への侵略の強化に打って出ている。

 日帝の生命線アジアでFTAの立ち遅れ

 こうしたブロック化の中で日帝は没落を深め、〈帝国主義の最弱の環>に転落している(この項は『共産主義者』138号「日帝の危機と没落」参照)。
 日帝は80年代後半の対アジア投資ラッシュの上で、90年代前半にアジアを勢力圏とする動きを公然と進めた。しかし、米帝の軍事をも含めた激しい対日争闘戦によってこれは破産した。とはいえ日帝にとってアジアは“生命線”である。恐慌から逃れるためにも、争闘戦下で生き残るためにも、アジアをさらに侵略し、アジアを勢力圏とする以外にない。
 ここから再び日帝は、死活をかけてアジア勢力圏化に突っこんでいる。「奥田ビジョン」での「東アジア自由経済圏」構想をも機にして、韓国やASEAN諸国とFTAを締結しようとしている。12月のASEAN首脳会議は、日帝が主導して「東アジア共同体」の形成に向けた「東京宣言」を出した。日帝は、中国とインドの後を追いかける形で、ASEANの基本条約である「東南アジア友好協力条約」にも加盟した。また、タイ・マレーシア・フィリピンの3カ国と来年初めにFTA交渉を始めることで合意した。
 しかし、交渉期限については具体的に明示できていない。交渉に入ったとしても、日帝は農業問題を抱えており、そう簡単にFTA締結とはならない。ASEAN諸国とのFTAが締結できなければ、日米の“主戦場”である中国市場の争奪戦でも敗退せざるをえない。
 そもそも日帝は、ドルやユーロのような国際的通貨を持っていない。日帝の狙う「東アジア経済圏」は通貨面での裏付けがない。FTA交渉がどう進もうとも、日帝にとってアジア勢力圏化は絶望的と言っていい。“生命線”であるアジアでの致命的な敗勢だ。それは日帝をますます軍事大国化、戦争国家化に駆り立てるものとなる。

 (3)米帝の双子の赤字が急膨張 米欧対立でドル暴落が切迫

 通貨面でも、基軸的通貨としてあったドルの暴落が不可避となりつつある。ドルは71年の金ドル交換制廃止、80年代の対外債務国への転落などを経つつも、依然として基軸的通貨としてあった。90年代後半のバブルも、95年のドル高転換を機にした国外資金の対米流入に支えられていた。しかし今や、それが限界に達しつつある。
 歴史的にみると、ドルを支えてきた構造に大きな変化が起きている。@何よりも米帝自身の「双子の赤字」が急膨張している。財政赤字だけでなく、貿易赤字の増加によって03年の経常赤字は5000億jに膨らむ見通しだ。ともに過去最高。これに見合った国外資金が流入しなければ即、ドルは崩れる。
 Aしかも「有事に強いドル」が9・11をもって崩れている。9・11によって、アメリカ内外で米帝とそれに与(くみ)するものすべてが攻撃される時代に入った。それはドルの国際的信認を歴史的に低下させた。
 Bユーロがドルに対抗している。すでに欧州からの対米資金流入は引き揚げに転じている。
 もちろんユーロは、独仏の財政赤字増加にみられるように安泰なわけではない。しかし、イラク戦争を機に米欧は後戻りのない対立に入った。ドル暴落を防ぐ国際協調などもはや無理だ。今後、軍事的対立と通貨面での対立が相まって進むだろう。

 住宅バブルの崩壊は米国債の売却を招く

 こうした構造的な変化の上で、ドル暴落を引き起こす要因も強まっている。@日本は円売りドル買いの巨額介入を繰り返し、その分、米国債を買っている。それがかろうじて米経常赤字を補填し、ドルを支えている。こんなアクロバットは長く続くものではない。
 A米住宅公社の証券・債券が国外投資家に買われて、それが米経常赤字を補填してきた。しかし、住宅バブルの崩壊と同時に、この証券・債券や米国債が売られてドルが暴落する可能性がある。すでに03年春、住宅ローン担保証券の価格が大幅に下がり、その損失を穴埋めするために、米国内外の金融機関が米国債の売却に出た。日本の金融機関も米国債を売却した。
 B米帝は中国に、人民元切り上げや変動相場制への移行の圧力をかけている。しかし、これらを実施すれば中国に流入している投機的資金が流出に転じ、中国のバブル的経済が崩壊する。それはドルにも跳ね返る。
 すでに03年12月にドルは7年ぶりの安値をつけ、ユーロは99年の導入以来の最高値をつけた。米バブル崩壊とドル暴落は一体で進まざるをえない。その時こそ、世界大恐慌とブロック化の堤防は全面決壊するだろう。

 第4章 IMF支配と再植民地化 韓国労働者に過酷な攻撃

 このような大恐慌とブロック化の進展の中で、帝国主義は新植民地主義体制諸国、崩壊したスターリン主義諸国、残存するスターリン主義諸国への侵略を強めつつある。これら諸国の人民はますます生きていけなくなっている。
 第2次大戦後、民族解放・革命戦争の発展を背景に、旧来の植民地の多くが政治的な独立をかちとった。しかし、この新植民地主義体制下でも、帝国主義による支配、民族的抑圧、産業的・金融的な収奪、経済的従属化は貫かれてきた。現に帝国主義は、新植民地主義支配の危機と民族解放闘争の発展に対して容赦ない侵略戦争を繰り返してきた。
 むしろ第2次大戦後の方が世界の貧困は増大した。1日1人当たり生活費が1j(110円)未満の貧困者は、世界で12億人とされる。世界人口の5人に1人、新植民地主義体制諸国では4人に1人だ。
 第2次大戦後の新植民地主義体制諸国は、1次産品輸出が停滞する中で、工業化政策をとる以外になかった。しかしそれは、古典的植民地時代より深刻な矛盾をもたらした。工業化は、農業など第1次産業をますます犠牲にし、食糧危機を増幅した。離農した農民層は大都市=首都に流入せざるをえず、半恒久的な失業者となった。しかも工業化は、資金・生産財・部品・技術のほぼすべてを帝国主義国の資本=外資に依存したものだった。その結果、直接投資を受け入れて工業化すればするほど、経済の根幹が帝国主義国に支配されるようになった。国際収支は悪化し、対外債務も累積した。
 80年代以降、中南米などで対外債務が返済できなくなった。これらの国に対して帝国主義は、IMF(国際通貨基金)などをつうじて支配を強めた。「構造調整」という名で、政府支出の削減、金融・貿易・外国投資の自由化・市場開放、民営化を強制した。その結果、米帝などの外資が民営化企業を次々買収した。80年代以来のいわゆる「新自由主義」政策は、帝国主義国自体の規制緩和・民営化と資本攻勢としてだけではなく、新植民地主義体制諸国人民にも襲いかかったのである。
 スターリン主義崩壊後の90年代、帝国主義は「グローバル化」のもとで新植民地主義体制諸国への侵略を強めた。97年のアジア通貨・経済危機では、タイ、インドネシア、南朝鮮・韓国で中南米同様のIMFをつうじた再植民地化政策を強行した。現在、各帝国主義が狙っているFTAも、再植民地化以外の何物でもない。FTAで「自由」になるのは帝国主義国とその巨大独占企業だけだ。
 一方、第2次大戦後の中東では、帝国主義はひたすら石油資源を略奪してきた。石油のために、イスラエルを先兵にして、あるいは米帝の直接武力で、軍事的支配と殺戮(りく)、戦争が恒常化してきた。パレスチナ−中東では、古典的植民地よりも過酷な支配と抑圧が続いてきたのだ。9・11ゲリラ戦争はこれらすべてに対する怒りの噴出としてある。

 97年経済危機の後の外資侵入と財閥支配

 韓国経済は97年のアジア通貨・経済危機を経て一変している。
 80年代までの韓国経済は、帝国主義国からの借款と政府の産業育成・金融支援の政策のもとで、いわゆる財閥が形成され、輸出志向型の工業化をしてきた。90年代になって、政府の政策は後退し、96年のOECD(経済開発機構)加盟を前に金融や資本取引を自由化した。この自由化の中で、財閥は系列の総合金融会社をつうじて国外から短期資金を調達して設備投資などに充ててきた。それは、過剰な債務を伴った過剰投資だった。96年から輸出が減速、国際収支も悪化し、対外債務も増加した。97年には、短期資金の国外流出、ウォン暴落に対する買い支えなどからついに外貨準備が底をつき、IMFの救済融資を受けざるをえなくなった。
 帝国主義は、韓国経済をIMF管理体制下に置き、IMFの融資条件として外国人直接投資や株式取得の開放などを強制した。韓国では比較的、外資が国内企業を直接に支配していなかった。しかし98年以降はこれが一変。株価が暴落した韓国企業の株を買い占めるなどして、外資の直接支配が強まった。例えば韓国を代表する企業である三星(サムスン)電子ですら、外国人持ち株比率が50%を超えた。製造業、金融、流通、電気通信などの分野で、外資の侵入が続いてきた。韓国は、97年までは日本の銀行からの貸し出しが一番多かったが、そこに米欧資本が割って入った。IMF管理体制下の外資参入は、米帝による対日争闘戦、韓国市場の再分割にほかならなかった。
 一方、財閥は大宇(デウ)グループが破綻、現代(ヒュンデ)グループも事実上解体し数としては急減したが、財閥支配の基本はそのままだ。外資と提携し結託することで生き延びようとする財閥もある。
 こうした外資侵入と財閥支配のもとで、97年以降の韓国労働者は大攻撃を受けてきた。従来は終身雇用制に近かったものが、財閥の「整理解雇制」という名の大規模リストラによって失業者が激増した。今でも大卒者ですら、5人に1人しか就職できない。韓国ではもともと非正規雇用が多かったが、99年には全労働者に占める割合が50%を超えた。韓国の労働者の年間労働時間は2477時間で、アジアの中で最も長い。雇用保険制度の対象も従業員30人以上の企業に限定されている。
 「韓国経済は復活した」と言われるが、米バブル引き延ばしに依存した部分的なものにすぎない。むしろ、国内的には個人の借金増でますます矛盾を深めている。韓国政府はクレジットカードの利用料分を所得控除する優遇策を設け、利用をあおってきた。その結果、02年には家計部門の消費が貯蓄を上回るようになった。家計の債務は拡大し破産が激増している。この影響もあって、03年上半期の実質国民所得の伸び率は、経済危機の98年下半期以来のマイナスとなった。
 日帝は、韓国と投資協定を結んでいるが、一層の侵略を狙ってFTAを締結しようとしている。米・日帝国主義は「6者協議」を使いながら、北朝鮮侵略戦争への動きを強めつつある。韓国ノムヒョン政権は、この米・日帝国主義と一体となって、韓国労働者に対する抑圧・弾圧と資本攻勢を強めている。日韓労働者の国際連帯でこれらすべてを打ち破らなければならない。

 結語

 このように、帝国主義は世界人民を生活できない状況に引きずりこみながら、第3次大戦に突っこみつつある。今日の帝国主義は、外に向かっての侵略戦争でも国内階級戦争でも、帝国主義史上でも最も凶暴化している。新帝国主義というべきこうした政策・行動は、帝国主義の最末期のあがきにほかならない。こうした形で帝国主義の基本矛盾が爆発しているのだ。
 それは労働者人民にとって、世界革命の現実性を意味する。革共同は第6回大会で〈反帝・反スターリン主義世界革命の旗のもと、万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ>のスローガンを掲げた。この実践の中にこそ勝利がある。
 04年は、予測も超えるテンポで情勢が進むだろう。しかし、プロレタリア自己解放の思想を堅持するなら必ず前進できる。労働者階級は、最も差別され抑圧され、その労働力を商品として売る以外に生きるすべがなく、賃金奴隷におとしこめられている階級だ。資本主義社会の根幹は賃労働と資本の関係にある。これを転覆するためにプロレタリア革命が必要なのだ。だからこそまた労働者階級は、自らを解放することによって全階級・全人類を解放することができるとともに、一切の社会的差別・抑圧をなくすことができる階級でもある。革共同の新指導路線を実践し、このプロレタリア自己解放の原点を、日本と世界の労働運動と階級闘争に強力に復権しなければならない。
 日本共産党は、新綱領で労働者階級の解放に敵対しようとしている。カクマル中央派とJR総連・カクマルは、分裂し衰退しながらファシスト化を深めている。この反革命を打倒して、労働組合運動を推進しよう。
 この04年、日帝の危機と没落、そこからの絶望的なあがきはますます激しくなる。マルクス主義者として、レーニン主義者として、この激動を喜びとして果敢に前進しよう。04年冒頭から飛び出して自衛隊イラク派兵の阻止、04春闘の勝利、3労組共闘と日韓米3国連帯の発展をかちとろう。

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週刊『前進』(2132号16面1)(2004/01/01)

前進社新書・基本文献学習シリーズ マルクス主義を学ぼう
誰が世界を変えるのか 革命の主体は労働者だ
 仲山 良介

 03年3・20イラク開戦と帝国主義の世界戦争過程への突入が象徴する21世紀冒頭の現代世界の矛盾の爆発は、20世紀を生き延びてきた現代の帝国主義=現代の資本主義が完全に歴史的に行き詰まったこと、資本主義はもはや一個の社会体制として成り立たなくなったことを告げ知らせている。1917年のロシア革命を引き継ぎ、スターリン主義の裏切りと歴史的破産をのりこえ、マルクス主義を復権させて、今こそ帝国主義打倒・世界革命勝利へ、今度こそ完全に勝利する闘いをやりぬこう。

 歴史的地平を開いた11・9労働者集会

 昨年11月9日に東京・日比谷野外音楽堂で開催された労働者集会――日韓米労働者階級の国際連帯集会――は、労働者階級の新たなインターナショナルの創造を告げ知らせるような歴史的な地平を開いた。帝国主義の危機と凶暴な攻撃、そしてイラク情勢がつくり出している国際的な階級情勢そのものが、このような国際連帯集会の実現を要請し、また可能にした。
 国鉄分割・民営化に対して階級的原則を貫いて闘いぬいてきた動労千葉の存在と闘いが、このようなスケールの国際的連帯を一気に実現する「吸引力」となった。動労千葉の存在と闘いは、スターリン主義をのりこえる労働者階級自己解放の闘いを体現する、日本の労働者階級の闘いの精華である。韓国・民主労総およびILWU(国際港湾倉庫労組)は、動労千葉を軸とする3労組共闘が体現する戦闘的階級的な日本の労働者の闘いとの連帯・結合を今日の情勢そのものが要求する死活的な階級的利害としてとらえている。
 このような結合は、それ自身が階級闘争の戦闘的発展、労働者の階級的自覚の発展の決定的な促進剤となる。そしてそれは、イラク人民の闘いやアジアにおける民族解放闘争・階級闘争の今日的発展に真に連帯し対応できる階級的主体の形成を進めるのである。
 われわれは、11・9労働者集会が端緒的に切り開いた地平の歴史的な大きさをはっきりと確認しなければならない。そして、ここで切り開かれたものを全面的に発展させる闘いをともに全力で担わなければらない。この中にこそ、ロシア革命を引き継ぎ、スターリン主義をのりこえ、歴史的に勝利する道がある。なぜなら、帝国主義打倒・プロレタリア革命は、まずもって労働者階級自身の事業だからだ。労働者階級が革命の主体として自己の隊列を階級的国際的に形成し、被抑圧民族人民と連帯した帝国主義打倒の陣形・軍勢の軸として屹立(きつりつ)することが勝利の決定的条件である。それこそが「20世紀の勝利と敗北」を実践的にのりこえる道である。

 階級支配と階級の廃絶へ

 マルクス主義の核心は、世界史的存在としての労働者階級の自己解放にある。労働者階級こそは、ブルジョア社会=資本主義社会を転覆し、より「高次の社会」をつくり出す歴史的主体である。労働者階級の解放の中に「すべての人間の解放」が含まれている、とマルクスは『経済学哲学草稿』の中で言っている。
 この真理は、労働者階級の解放(プロレタリア革命)なしにブルジョア社会の搾取や収奪、抑圧や差別からの誰のどんな解放もないという意味で真理であるが、これだけではまだ消極的な確認である。
 もっと積極的に言えば、労働者階級の解放とは、階級支配と階級の存在そのものを廃絶した社会、つまり共産主義の実現である。帝国主義を打倒し、賃労働と資本の階級関係を軸に社会的生産が行われている関係そのものを廃止すること、ここに「すべての人間の解放」が含まれるのである。
 帝国主義の植民地支配と民族抑圧からの解放(民族解放)も、プロレタリア世界革命をとおして実現される。帝国主義を打倒し、資本(帝国主義ブルジョアジー)による労働者階級の搾取と全世界的な搾取・収奪の体制を転覆することの中に階級の解放と民族の解放、そしてあらゆる差別・抑圧からの人間的解放が「含まれる」。これが〈労働者階級の解放を軸に階級的解放と民族的解放を統一的に実現する>と提起してきたことの内容をなす。
 帝国主義国の労働者階級は、この立場から帝国主義の民族抑圧に対する被抑圧民族人民の解放闘争を受け止め、向き合い、帝国主義打倒の共同の主体として連帯・結合・共闘の関係を形成するために全力で闘わなければならない。抑圧民族の血債の立場は、この中で実践的に貫かれなければならない。被抑圧民族人民の帝国主義に対する怒りと闘いが根源的であればあるほど、帝国主義国労働者階級の階級的自己解放の主体としての強烈なぶっ立ちが問われるのである。

 マルクス労働者階級自己解放論の確立

 以上を「前提」(導入部)として、以下、マルクスの労働者階級自己解放論の確立と展開を、前進社新書マルクス主義基本文献学習シリーズの5「マルクス『賃金・価格・利潤』」と2「マルクス『賃労働と資本』」のエッセンスに即して確認してみたい。
 マルクスとエンゲルスは『ドイツ・イデオロギー』でフォイエルバッハを批判し、ヘーゲル左派の哲学者(小ブルジョア的知識人)と完全に決別することをとおして労働者階級の立場に「階級移行」した。労働者階級こそがブルジョア社会を変革する歴史的階級的主体であることを徹底的に確認し、労働者階級の立場に立って階級的革命的実践(革命闘争)をともにやりぬくことを決定的に選択したのである。彼らは、そこで初めて自己を「実践的唯物論者=共産主義者」と宣言した(1845〜46年)。
 この直後にマルクスはプルードンを全面的に批判する『哲学の貧困』(1847年)を書いた。それは『共産党宣言』に向かうジャンプ台の役割を果たした。
 『哲学の貧困』におけるプルードン批判の核心は、プルードンが労働者階級こそがブルジョアジーを倒して新しい社会を形成する主体であることをどうしても認めようとしないことを明らかにすることにあった。
 プルードンは結局のところ、労働者を救済されるべき対象としか考えなかったのである。プルードンの空想的社会主義は、平等な商品交換の仕組みによって労働者に対する不平等を解決しようとするものだった。
 マルクスは、これを批判して、労働者階級がブルジョアジーを倒して資本と賃労働の関係そのものを廃止することが〈階級社会の廃止=私有財産の廃止>の中身であり、社会主義(共産主義)であると提起した。
 このことが『賃労働と資本』(1847年)、『共産党宣言』(1848年)においてよりはっきりと具体的に提起されていくのである。このようなものとして、マルクス主義の理論的実践的核心は労働者階級自己解放である。だが、この段階(1848年ごろ)では、マルクス主義は労働者階級自身の思想、実践的理論的な綱領・路線になったとは言えない。
 1860年代になって労働者階級が1848年革命以来再び全ヨーロッパ的に動き出し、第1インターナショナルが結成された。この時初めてマルクス主義は本当に労働者階級自身のものになり始めたと言える。

 第1インターの綱領論争

 第1インターは、イギリスと大陸の労働者階級が現実的死活的利害(政治的経済的な)に基づいて実際に結合を求めたことによって形成された。この階級的結合の運動をどのように理論的に表現し、路線的方向を定めるのか――この問題をめぐって第1インターの綱領論争が行われた。
 1865年、第1インターの基本路線を確立するための討論としてマルクスの『賃金・価格・利潤』は提起された(2年後に『資本論』第1巻出版)。この討論をとおして、賃労働と資本の階級的搾取関係がこの社会の基本関係であり、この階級関係は非和解的な対立関係であることがイギリスと大陸の労働運動の指導部の中で初めて公然と論議され、受け入れられていった。
 それは同時に、労働組合と賃金闘争は労働者階級がブルジョアジーと生存をかけて闘う基本的形態であるという確認であり、また労働組合は日常的な資本との闘いにおける基礎的団結形態であると同時に労働者階級の究極的解放のための闘いのテコでもあるという確認だった。
 この段階においても、労働者の運動への空想的社会主義の思想的影響はまだまだ強かった。具体的には 〈賃金の平等を実現するための制度改革にすべてを集約する>ような思想だった。その立場を代表していたのがマルクスと論争したウェストンだった。
 ウェストンはそのような制度改革論(社会改良案)の立場から、労働者がブルジョアジーと対決して賃上げのために闘うこと、およびそのための闘争組織であり階級的団結形態そのものである労働組合そのものに反対した。
 ウェストンは@一時的に賃上げに成功しても、すぐに商品の値上げが起こり、結果として必ず取り返されるから労働者の実質賃金は変わらない。したがって賃金闘争は無意味であるA一部の労働者の賃金が上がれば結果として他の労働者の賃金が下げられるから、賃金闘争は労働者の団結を強めない(したがって有害!)――と主張した。
 ウェストンの主張は、賃労働と資本の関係に関するまったく間違った理解の上に成立している。このような、労働者階級の賃金は一定のものとして決まっているという賃金基金論は、実は今でもいろいろな形ではびこっている。

 『賃金・価格・利潤』の理論的エッセンス

 マルクスはウェストンを丁寧に批判し、賃労働と資本の関係がいかにダイナミックに変動しつつ階級的搾取をどこまでも強める非和解的関係として展開するかを全面的に解き明かした。
 マルクスは、「賃金が上がればおのずから商品価格も上がる」というウェストンの理論が商品の価値とは何か、そして賃金とは何かに関する完全な誤りに基づいていることをはっきりさせた。資本家と労働者の階級関係の非和解性、資本主義の徹底的な非人間的物的自己運動性(価値法則の支配)について、ウェストンら空想的社会主義者はまったくつかめていなかったのだ。彼らはいろいろな形で空想的な平等主義を提起していただけだった。
 マルクスが展開したことを大胆に要約しよう。
 商品の価値は、労働者に支払われる賃金の大きさに規定されて決まるのではない。商品の価値は、その商品を生産するために現実にどれだけの労働(時間)が費やされたかによって決まる。これに対して賃金は、外見的には「労働の価格」であるが、実際には労働力の価値=労働力の再生産費である。それは常に現実に行われる労働(それが商品価値となる)よりも小さい。賃金は、商品価値のうちのある一小部分をなすにすぎない。過去に生産された生産手段の部分を除いて、新たに付け加えられた労働部分だけを問題にした場合でも、賃金はさらにその一部をなすだけである。
 問題は、新たに付け加えられた労働のうちのどれだけが賃金部分となり、どれだけが残りの部分(資本家の取り分=剰余価値=利潤)となるかという分割比率の問題である。ここには、賃金が上がれば利潤が下がり、利潤が上がれば賃金が下がるという反比例の関係がある。
 賃金部分が実際に行われる労働よりも常に小さいのはなぜか。労働力の再生産のために必要な労働者の消費資料(生活手段)は、1日の労働時間のうちの一部分で生産されるからである。別の言い方をすれば、資本家のもとで労働者は、1日の標準労働時間の枠内で労働するとしても、自分の生活資料を生産する時間(必要労働時間)を大幅に超過して労働しているのである(剰余労働時間)。
 しかも、この関係は、生産力が高くなればなるほど強まる。生産力が高くなれば労働者の物的消費が増えることはあるが、労働者の社会的地位や立場が改善されることはない。むしろ生産力の高度化は、資本の労働者に対する支配力を高め、労働者の立場をより悪くする。また、より少ない労働時間で労働力の再生産のために必要な物を生産することが可能となり、その分、剰余労働時間が増える。また大抵の場合、労働の強度(時間あたりの労働密度)も高くなる。
 こうして生産力の高度化は、搾取の度合い(搾取率)をどんどん高め、労働者を追い詰めるのである。
 さらに、生産力の高度化は、労働力に投下される資本部分(可変資本)に対し、生産手段に投下される資本価値部分(不変資本)の割合を増やす(資本の有機的構成の高度化)。
 ひとりの労働者がより多くの機械や原材料を扱うようになる。これは、現実には高度な機械を導入して現存の労働者を首にすることを意味する。このようにして生産性を高めるための合理化が進められる。資本は絶えずより少ない労働力でより多くの物を作ろうとするのである。原理的に言えば、生産力の高度化は相対的な過剰人口を生み出す。このことがまた賃金低下の圧力となる。現実的には、資本が生産力を高度化する運動は滑らかには進まず、周期的なバブルや恐慌をとおして大量の失業者をつくり出す形で展開される。
 労働者は労働力を売って生活する以外にないが、それが売れること自体が資本によって保証されているわけではない。労働力を売って生活すること自体が本質的に超不安定なのである。資本は労働者のために生産をしているのではない。資本を肥え太らせない労働者は、どんなにまじめに働こうが資本にとっては無用なのである。

 労働者と資本家の「力関係」

 以上のような資本と労働者の関係は、資本の蓄積運動として展開されるが、それは、絶えず基本的に賃金(労働力の価値)を引き下げようとする資本の圧力のもとで展開される。労働者が階級的に団結し、賃上げのための闘争を行わないならば、労働力の価値はどこまでも引き下げられ、労働力の搾取は無慈悲に強化されるのである。
 マルクスは、資本にとっては労働力が市場で商品として購入できればよいのであって、労働者の健康や生命、家族生活の状態などは頭から無視されている、と言っている。この関係は基本的に現在もそのままだ。
 資本と労働の関係が基本的にこのようなものであるからこそ、賃金だけではまともに生きていけないからこそ、資本主義の維持・延命のために賃金制度の補完物として社会保障制度が必要となってきた。資本は、労働者の闘争と圧力がなければどんな社会保障にも応じない。資本主義のもとでの社会保障制度は、あくまでも階級的搾取の補完物にすぎない。したがって、年金や健康保険を始めとする社会保障制度が自己矛盾的破綻(はたん)的になるのは必然なのである。
 資本の運動は、労働者からより多く取ってより少なく与えることを本質としている。これに対して労働者階級は、賃上げ闘争や社会保障の削減・解体に反対する闘争を闘うことによって、資本とブルジョジーの国家を脅かす「力関係」をつくらないかぎり、ある一定の労働力の価値またはある一定の生活水準はおろか、生命の存続すらも保障されない。
 マルクスが理論的展開の最後に確認している三つの実践的結論の第一は、このことである。
 労働力の価値は、その本質からいって、いろいろな社会的条件、とりわけ資本との階級的力関係によって規定される。したがって、賃金闘争はどんな場合でも有効であるし、絶対に必要である。それは、労働時間をめぐる攻防も含めて、労働者の生活と生存、労働条件のための基礎的基本的な闘いである。それは「労働者が自分自身を商品として売らなければ生きていけない」ことから必然的に出てくるのである。
 結論の第二は、賃金闘争それ自体を自己完結的にとらえてはならないということである。賃金闘争は、抵抗闘争であり、対症療法にすぎない。絶えず「結果と闘っている」のであって、原因を取り除いているのではない。では「原因を取り除く」とはどういうことか。「自分自身を商品として売らなくても生きていける」関係にするということだ。それは、賃金制度の廃止(労働力商品化の廃止)=資本主義の転覆をとおして初めて実現される。
 したがって結論の第三は、労働組合は「資本の侵害」に対する抵抗の中心であり、労働者階級の基礎的階級的団結形態であるということ、そして労働組合は資本との日常的攻防戦において「正しくその力を行使する」必要があるということである。労働者は、その中でこそ自己の階級的な力を発展させられる。労働組合がこのようなものであることから、当然にもマルクスは「結果に対する抵抗だけに自己を限定」するのでなく、「その組織された力を労働者階級の究極的解放のためのテコとして使わないならば」労働組合としても全面的に「失敗」すると言っている。
 「労働者階級の究極的解放」とは、社会主義あるいはプロレタリア革命のことである。労働組合は、階級的団結の基本形態であり、資本との闘争のための組織である以上、必ず全面的な階級決戦に直面する。そうである以上、労働組合は、資本との日常的攻防戦を基礎としながらも、「究極的解放のための」「大きな利益をめざして活動することを学ばなければ」「全面的に失敗する」。例えば、労働組合的団結すらも破壊・解体されるところに追い込まれるということである。

 労働者階級の新しい国際的連帯の発展

 マルクスは、以上のような実践的結論を提起して 『賃金・価格・利潤』を結んでいる。第1インターは、この時から6年後に起こったパリ・コミューンという世界史的事件の総括をめぐって分裂していくが、この時の数年間の労働者階級の国際的団結と連帯行動の経験は歴史的に決定的な意味をもった。結論的になるが、ここで提起されている労働組合と労働者の経済闘争がもっている「究極の解放」(プロレタリア革命)との関係は、むしろ現代の条件のもとでより決定的になっていると言える。
 第2インターナショナルは、70年代から80年代の歴史的攻防を経て、1889年に結成され、第1インターを上回る労働者階級の国際的結集を実現した。
 この段階になると労働者の政党も大きく成長していた。しかし、第2インターは帝国主義との闘いの中で階級的原則を貫くことができず、その指導部は日和見主義と社会排外主義に転落して労働者階級を裏切り、帝国主義戦争に協力した。
 この時にマルクス主義を革命的に復権し、ロシア革命として帝国主義打倒の闘いを貫徹したのがレーニンとボルシェビキだった。
 ロシア革命は1919年、第2インターをのりこえて世界革命の実現をめざす労働者階級の国際的隊列、第3インターナショナルを生み出した。だがスターリンは、これを国際階級闘争を歪曲し抑圧するための手段に変質させた揚げ句、1943年に帝国主義との協商のために自ら解散させてしまった。
 トロツキーの第4インターナショナルも存在したが、階級情勢を決定するような労働者階級の国際的団結体となったとは言えないだろう。21世紀のプロレタリア革命勝利のためには新しいインターナショナルが必要である。今そのうねりが大きく始まっている。このことは階級的大決戦の急速な接近を示している。
 だからこそ、われわれは、労働者階級の階級的国際的団結の本格的な発展のために、そしてマルクス主義の今日的な革命的な復権と世界革命勝利を実現する革命的な労働者党の建設のために、労働組合における、労働組合をめぐる、権力・反革命との闘いに最大のエネルギーを注ぎ込まなければならない。ここが21世紀プロレタリア革命の帰趨(きすう)を決する最重要の「領野」なのである。
 革共同の新指導路線の実践の武器として、基本文献学習シリーズの2「マルクス『賃労働と資本』」や5「マルクス『賃金・価格・利潤』」などをあらためて読み、学習し、労働者の中に持ち込もう。

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