ZENSHIN 2003/10/20(No2122
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週刊『前進』(2122号1面1)(2003/10/20)
小泉=奥田路線と翼賛選挙に全面対決し 11・9全国労働者集会へ
米英軍をイラクから叩き出せ
日米韓の闘う労働組合の国際的連帯が勝利を開く
戦争と資本攻勢うち破ろう
03年の11月労働者集会が迫ってきた。今年の集会は、大失業と戦争に立ち向かう日米韓の闘う労働者の国際的団結を打ち固める歴史的集会である。民主党・連合中央や日共・全労連の戦争翼賛と労働運動解体を打ち破って、闘う労働運動の新潮流が力強く登場する場である。何よりも超反動小泉政権とそれが推進する小泉=奥田の構造改革路線という名の戦争政治、一大資本攻勢に全面対決し、労働者階級の大反撃をたたきつける決起大会である。かつてない翼賛選挙情勢をぶっ飛ばして、11月労働者集会への大結集を実現しよう。10・17と10・25の10月反戦政治闘争の大爆発をかちとり、夜を日に継ぐ闘いで11月総決起へと突き進むことを訴えたい。
闘う3労組(全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労働組合)が呼びかける11・9全国労働者総決起集会は、次の5つのメインスローガンで闘われる。
★全労働者の団結で、倒産・解雇・賃下げ・不安定雇用化と労働法制・社会保障制度の解体攻撃をはね返そう!
★全労働者の団結で、「有事立法を完成させない、発動させない、従わない」闘いをつくりあげよう! イラクへの自衛隊派兵と北朝鮮への侵略戦争を阻止しよう!
★全労働者の団結で、国労臨大弾圧を粉砕し、国鉄1047名闘争に勝利しよう!
★全労働者の団結で、団結権破壊を目的とした労働運動への治安弾圧を粉砕し、共謀罪新設を阻止しよう!
★日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させよう!
このきわめて階級的で、戦闘的なスローガンに真っ向からこたえて、闘うすべての労働者人民が11・9日比谷野音にこぞって総結集しようではないか。
第1章 日米韓の闘う労働者が侵略戦争反対宣言
11月労働者集会は第一に、日米韓の闘う労働者がついに一堂に会し、帝国主義の侵略戦争反対と民営化攻撃を始めとした一大資本攻勢への対決を宣言する国際連帯集会だ。
03年3・20に開始された米英帝のイラク侵略戦争は、今も継続・激化している。米帝は基軸帝国主義としてベトナム侵略戦争を始め戦後一貫して世界大的な戦争を行ってきたが、その中で91年ソ連スターリン主義の崩壊があり、01年9・11反米ゲリラ戦の炸裂(さくれつ)があった。今や帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発し、米と仏独を始め帝国主義間の争闘戦が相互の生き残りをかけて激化している。
米帝は9・11を決定的な契機に、ブッシュドクトリンをもって世界戦争計画の凶暴な推進に踏み込んだ。アフガニスタン侵略戦争に突入する一方で、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しし、同時にイラク、シリア、レバノン、リビア、イラン、ソマリア、スーダンの7カ国への軍事攻撃計画をも立案した(クラーク元NATO軍最高司令官の証言)。3・20イラク侵略戦争開戦は、米帝の世界戦争計画遂行の突破口だったのだ。
だがこのイラクで米帝は、イラク人民、ムスリム人民の頑強な反撃を受け、革命的ゲリラ戦争、民族解放・革命戦争の激化により完全な袋小路に落ち込んでいる。ベトナム戦争以上に深刻で絶望的な泥沼にはまり込んでいる。しかし米帝は帝国主義であるかぎり、イラクからも、アフガニスタンやパレスチナからも引き揚げることはできない。
イラク軍事占領・再植民地化政策の危機と膨大な戦費にあえぐブッシュは、自ら国連にのり込み、多国籍軍派兵の新決議を策動してきた。しかし仏独(ロ)との帝国主義的対立は埋まらず、決議案も修正・再修正を余儀なくされている。採決すら厳しい状況だ。
米帝の意を体現して世界銀行と国連が見積もったイラク占領費550億j(約6兆円)の拠出も、けっして簡単にはいかない。
こうした中で10月17日、ブッシュが訪日し日米首脳会談が行われる。「逃げるな」と日帝・小泉に迫っている米帝ブッシュが要求することは、自衛隊の早期大規模派兵と巨額の戦費拠出である。日帝は、米帝との争闘戦の重圧と共同=競合関係の中でこれに必死に対応し、本格的なイラク参戦に踏み切ろうとしている。
戦費見積もりの1割に相当する50億j(約5500億円)以上の戦費を拠出すると同時に、自衛隊も11月下旬から12月にかけ陸自施設部隊と空自輸送部隊を200人規模で先遣隊として派兵、最終的には千人規模の大規模派兵を行い、米英帝と共同してイラク侵略戦争=軍事占領の決定的な一角を担おうとしている。
さらに重大なことは、イラク情勢がいかに危機的であっても、米帝が他方で北朝鮮やイラン、シリアなどへの侵略戦争の拡大を、全力を挙げ追求しているということである。米帝が延命するためには、結局は世界戦争へと絶望的に突き進むいがいにないからだ。
こうした差し迫る世界戦争の危機、特に北朝鮮侵略戦争の切迫に対し、日米韓の闘う労働者が連帯し、団結して、侵略戦争反対をうたい上げるのが11・9である。これこそが戦争を止める唯一の力であり展望だ。
第2章 小泉政権打倒し、構造改革路線粉砕せよ
11月労働者集会は第二に、小泉第2次改造内閣と全面対決し、その打倒をかちとっていく労働者の総決起大会である。
小泉新政権は恐るべき政権だ。小泉独裁体制ともいうべき反革命政権である。これとの対決は、イラク本格派兵、改憲(9条改憲)、消費大増税などの大反革命攻撃との対決を射程に入れた闘いとなる。
小泉政権の根幹である構造改革路線は、03年1月1日の奥田ビジョン(活力と魅力溢れる日本をめざして)に体現された日本経団連・奥田路線と一体である。小泉=奥田路線である。それは日帝の金融独占ブルジョアジーの利害と完全に一致している。だから総裁選で圧勝した。小泉反対勢力は中小企業と地方の切り捨てだと抵抗したが歯牙(しが)にもかけられなかった。奥田と小泉の一体化は恐るべき攻撃とならずにはおかない。小泉構造改革路線=奥田路線とは大銀行・大企業(金融独占ブルジョアジー)が生き残るために、労働者階級にリストラ・大失業を強制し、中小企業や地方も無慈悲に切り捨てる路線なのだ。
臨時国会での9・26小泉所信表明演説は、その具体的政策である。それは構造改革路線の堅持、日米同盟と国際協調・積極的貢献の表明を切り口として、拉致や核問題など北朝鮮問題の包括的解決(北朝鮮侵略戦争)、対テロ特措法延長、イラク派兵(わが国にふさわしい貢献)、教育基本法見直し(改悪)、治安弾圧強化(世界一安全な国の復活)、司法改革、年金・社会保障制度解体、労組法改悪、郵政・道路公団民営化など、超反動的な政策を列挙している。これは、ひとことで言えば〈内への階級戦争、外への侵略戦争>の攻撃を全面的に推進するということだ。
しかも小泉所信表明の前日、日本経団連は解散・総選挙に向け各政党の政策を評価する「優先政策事項」10項目を発表した。そこには税制改革、社会保障改革(消費税率引き上げ)、規制・行政改革、教育改革など奥田ビジョンにそった政策が列挙されている。これを各政党が選挙公約(マニフェスト)に取り入れる度合いに応じて評価し、政治献金も行うというのだ。
日本経団連という総資本の司令部が、直接に政党の政策を評価し、選別・支援するというようなことはかつてなかった。これは戦前、太平洋戦争突入後の1942年4月、東条内閣のもとで強行された悪名高い翼賛選挙をほうふつさせる事態である。こうした状況のもとで民主党が決定的に翼賛化し、社民党や日本共産党の屈服・総転向が進もうとしている。
野中を引退させ、橋本派を分裂させて独裁体制を手中にした小泉が、日本経団連・奥田と一体化してかけてくる大反革命と闘う最大の力こそ、労働者階級の団結であり、11・9への大結集である。かつてない翼賛選挙情勢に労働者人民の怒りを爆発させ、反動を吹き飛ばし、11・9日比谷野音に総力結集しよう。
第3章 民主党・連合中央うち破る新潮流登場へ
11月労働者集会は第三に、民主党・連合中央や日共・全労連の戦争翼賛と団結破壊=労働運動解体の策動を打ち破って、闘う新潮流の決定的な登場をかちとる集会である。
小沢・自由党と合併して誕生した菅・民主党は、完全な第二保守党であり、改憲政党、戦争翼賛政党である。そもそも民主党が発表したマニフェストなるものは、@「脱官僚」を正面に掲げつつ構造改革路線と民営化攻撃を小泉以上に推進することをうたっている。Aそして国連安保理決議などがあれば自衛隊イラク派兵を容認し、B「論憲」から「創憲」へと改憲に限りなく踏み込み、C年金改革には消費税(税率引き上げ)を財源とすると主張しているのである。
しかも民主党の選挙ポスターのキャッチフレーズは「つよい日本をつくる」「安心できる社会のために」である。これは構造改革路線で日本を軍事大国・戦争国家にする、治安国家にすると言っているに等しい。まさに小泉=奥田路線と一体であり、構造改革を小泉・自民党と競うという超反動的なしろものだ。
民主党を支える連合は、今や階級的労働運動を一掃し、団結を破壊し、労働者を帝国主義と侵略戦争に協力させ動員する先兵と化している。10月連合大会を前に出された「連合評価委員会」の報告は、労働組合の階級性や階級的なものを全面否定し、労働者を資本主義・帝国主義に積極的に協力するものと位置づけている。そのために労働者は働くことに「喜び」「誇り」「責任感」を持てなどと言っている。これは奥田ビジョンが労働者は労働力だけでなく魂も売れ、「要求する組合から、企業・国家のことを考える組合になれ」と、本来の労働組合の解体を要求していることと完全に同じものである。
10月連合大会をもって連合中央の決定的変質、帝国主義的労働運動化と産業報国会化はさらに進んだ。02年12月4日の「雇用に関する政労使合意」のもとで、今や労働者に大失業を強制し、国民総動員としてある帝国主義戦争に組合を丸ごと動員していこうとするのが連合中央だ。
全労連も日共の綱領改定で「資本主義の枠内の民主的改革」路線を徹底し、帝国主義の存在や賃労働と資本の階級対立を否定するばかりか、労働者階級や階級闘争・要求闘争・大衆闘争の概念を追放し、労働運動を根底から圧殺しようとしている。今や連合中央と日共・全労連指導部を弾劾、打倒し、のりこえて進むべき秋(とき)がきた。
その闘いはすでに、動労千葉のスト決起と3労組の闘い、陸・海・空・港湾労組20団体の闘い、自治労・国労を始めとしたこの間の産別大会決戦によって切り開かれつつある。何よりも国鉄1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争に勝利の突破口がある。
11・9労働者集会は激動期型の大集会である。これが労働者階級にとっての実質的な総選挙の投票日であり投票所である。日米韓の国際的団結のもとに闘う労働運動の新潮流を圧倒的に登場させよう。10月反戦政治闘争の大爆発をかちとり、11月総決起に向かって真一文字に突き進もう。
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週刊『前進』(2122号1面2)(2003/10/20)
連合大会 日帝の先兵へと変質 労働者の敵=連合中央打倒へ
連合は10月2、3日、東京で第8回大会を開いた。連合中央は、小沢・自由党と合併した民主党支持を公然と打ち出し、日帝・小泉の構造改革路線の先兵となることを宣言した。日帝・資本の先兵と化した連合中央を打倒し、11月労働者集会の大結集をかちとろう。
労働組合の変質
今連合大会の特徴は第一に、「組合が変わる。社会を変える−安心・公正な社会を求めて」と称して、連合結成時の800万人から700万人と組織構成員が100万人も減少したことに危機感を燃やした連合中央が、「連合評価委員会」の最終報告を「真摯に受け止め」(笹森発言)て労働組合の反動的変質を支配者階級に誓ったことだ。
だが連合評価委員会最終報告は、労働者にとっては粉砕の対象だ。評価委員会は、弁護士の中坊公平など帝国主義ブルジョアジーの代弁者とも言うべきペテン的な連中が、連合を小泉−奥田路線に引きずり込むために打ち出したものだ。
その中に貫かれているのは、°労働組合の階級性を解体せよ″という超反動的な主張である。報告には、初めから終わりまで資本との闘いがひとかけらもない。報告は、「単に指示・命令を受けて働くのではなく、誇りと責任感をもって働くことが必要」と主張、「『既得権』を一部放棄」せよとまで言っている。つまり、労働者が団結して闘うことを否定し、労働組合を資本と闘うものからまったく別のものに変質させろと主張しているのだ。
だが、労働者階級は、団結し闘うことでみずからの力に目覚め、社会の主人であることを自覚していく存在である。そしてこの団結権をもとに闘うことをとおして、ブルジョア独裁を打倒し、プロレタリア革命に勝利する主体となるのだ。
労働者の団結と闘いを否定する報告は、正規雇用の労働者へのリストラ・首切り攻撃への反撃を提起せず、それに屈服した上で、「未組織の組織化」方針を述べている。これは不安定雇用化攻撃への屈服だ。
賃金についても、終身雇用制解体攻撃、生活給破壊攻撃と闘わないで「均等待遇」を方針としている。その上で報告は、「生活給の維持に固執することは、矛盾している」とまで言っている。だがこれは、不安定雇用の労働者に「均等待遇」ならば、「食えない賃金でも我慢しろ」ということだ。絶対に許せない。
このように報告は、一見労働運動の直面する課題を取り上げているように見せかけてはいるが、その実、闘う方針とは「似て非なる」ものだ。このペテン的イデオロギーを徹底的に弾劾し、粉々に粉砕しよう。
翼賛選挙の先兵
今連合大会の特徴は第二に、小沢・自由党と合併し、完全なブルジョア政党に転落した民主党支持を公然と打ち出したことだ。
10月5日、小沢と反動的な合併をした民主党は、総選挙情勢のもとでより一層の反動化をとげた。合併にあたって民主党は「つよい日本をつくる」とのスローガンの下、「民主党マニフェスト」を発表した。
そこでは、「『論憲』から『創憲』へ」と憲法改悪を真正面から掲げ、「官から民へ」と日帝の公務員改革・民営化攻撃の先兵になろうとしている。特に年金改革=消費大増税など奥田ビジョンの内容そのものを押し出している。さらに「警察官の3万人増員」「終身刑の創設」「弾道ミサイル防衛の必要」を呼号している。まさに侵略戦争・階級戦争推進の挙国一致・翼賛体制推進の「マニフェスト」である。
ところが、この小沢・自由党と合体した民主党を、連合中央は「政治方針の見直し」の中で、「民主党基軸」を変更しないとして引き続き支持することを明らかにした。民主党は、連合の支持を背景に、労働者の決起を押さえつける存在として自らを支配階級に売り込もうとしているのだ。
11月9日に強行される総選挙はかつてない翼賛選挙だ。翼賛選挙への連合による労働者階級の動員を許すな。一切の反動をぶっ飛ばし、11月労働者集会への総決起をかちとろう。
連合支配の危機
今連合大会の特徴は第三に、連合支配の危機が明らかになったことだ。
自治労大会での「21世紀宣言」の否決と、続開大会での4分の1の反対勢力の登場という事態は、いっそう転向を深めることで連合内最大単産として影響力を維持しようとした自治労中央の思惑を粉砕した。
今回の連合大会の過程は有事法制の成立の中で、ヨーロッパ型社民をモデルに権力にありつこうとする連合・民主党の翼賛勢力への転落を示すと同時に、それへの反撃が確実に始まっていることを示した。しかもイギリスを始め、労働者階級の闘いの国際的な高揚は、この連合と民主党の路線がすでに破産していることを示している。
民主党・連合の戦争翼賛を許さず、11月労働者集会の大結集で反撃しよう。
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週刊『前進』(2122号2面1)(2003/10/20)
動労千葉定期大会 国際連帯の地平に確信 習志野電車区廃止許さぬ
ストを含む闘争体制を確立 JR総連解体・組織拡大へ
10月5、6日、国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、第32回定期大会を千葉市のDC会館で開催した。「第2の分割・民営化攻撃との対決、組織拡大闘争の強化、労働者の国際的団結で、有事体制―大失業と闘う動労千葉をつくりあげよう!」をメインスローガンに、活発な議論を通して「3大闘争方針」を決定した。それは、@03春闘ストライキが切り開いた国際連帯の地平を発展させ、A習志野電車区廃止、賃金制度改悪などの第2の分割・民営化攻撃と対決し、BJR総連解体―組織拡大へ総決起することだ。動労千葉の団結力を実感させる大会だった。動労千葉とともに11・9労働者集会の成功をかちとろう。
団結こそ社会を変える力だ
今大会は、一昨年の第30回大会で選出された田中康宏委員長の新体制のもとでの2度目の大会だ。君塚正治副委員長の意気高い開会あいさつで始まり、田中委員長が冒頭のあいさつで、次のように述べた。
「1期2年間、委員長の立場で感じたことは、仲間を裏切らずに闘ってきた組合員の団結の素晴らしさだ。JR総連の内部抗争や、解雇された仲間を統制処分する国労本部の状況を見る時、動労千葉が労働運動の原点を守り抜いたことの大切さを感じている。敵の攻撃は、労働者を団結させない、団結を解体することの一点にある。労働者を虫けらのように扱い、戦争に突き進む状況に対して、労働者の団結した力が、社会を変える力だ」
ここに動労千葉労働運動の核心がある。実際に、この2年間で大きな前進をかちとった。02年春闘では検修・構内外注化を千葉だけは阻止し、03春闘では、イラク戦争開始直後に4日間のストライキを闘い、世界から大きな評価を受けた。そして、7月には代表が訪米し、アメリカ・サンフランシスコのILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10などとの交流を実現した。サンフランシスコ労働者評議会は、国鉄闘争支援決議を上げた。韓国の民主労総との交流も始まった。
田中委員長は、「動労千葉の闘いが世界に通用することが証明されたと胸を張って言える。日本でも見直され、闘う労働運動の中心に座る状況が来ると確信している」と訴えた。大きな拍手が起こった。
田中委員長は、情勢について、特に「01年9・11と03年3・20イラク開戦で歴史は一変し、アメリカはイラク占領で泥沼にはまりこみ、アメリカ万能神話が崩壊した」と強調。第2次小泉政権を「戦争遂行―改憲内閣」と規定し、89年総評解散―連合結成以来の労働運動の再編情勢が到来する中で「絶好のチャンスが到来している」と訴えた。
国鉄―JR労働運動をめぐっては、国労闘争団員への「組合員権停止」の処分に強く抗議するとともに、JR会社とJR総連・東労組カクマルの結託体制の崩壊が始まる中で「組織拡大の絶好の条件ができた」と訴え、「3大闘争方針」のもとで「有事体制下に通用する動労千葉をつくりあげよう」と、全組合員の一層の奮闘を呼びかけた。
1047名の緊密な共闘を
繁沢敬一副委員長による経過報告に続き、中村栄一書記長が運動方針案を提起した。今大会を期して今秋から来春に向けて、組織の存亡をかけた新たな闘いに立ち上がるということだ。
一つに、1047名(動労千葉9名)の解雇撤回闘争の勝利をかちとることだ。資本・権力との闘いを原則的に貫くとともに、国内的・国際的連帯を本気になって追求する以外に勝利を手にすることはできない。そのためにも動労千葉争議団、国労闘争団、全動労争議団の緊密な連帯・共闘関係を強化することを提起した。
二つに、第2の分割・民営化攻撃粉砕へ、特に12月に習志野電車区を廃止するという千葉支社の提案に対し、ストを含む闘争体制を構築することだ。習志野電車区廃止は、首都圏で工場を含む検修職場の大再編・合理化を狙う攻撃の一環であり、動労千葉の組織破壊を狙うものだ。「年末段階で組織をあげた闘争に突入することもありうる」としている。また、貨物会社の賃金制度改悪=年功制賃金解体攻撃などに対し、04春闘を闘う方針だ。
反合・運転保安闘争の強化へ
三つに、反合・運転保安闘争の全面的な強化だ。市場原理=競争原理のもとで「規制緩和」や外注化が進行する中で、JR中央線の工事ミスによる輸送混乱など事故が続発している。「北米大停電前夜」とも言うべき、安全の深刻な危機だ。「闘いなくして安全なし」の理念を再確認し、恒常的スト体制で闘うとしている。
討論でも、この安全についての現場の危機感に基づく発言が多かった。また駅・営業の合理化、強制配転者の原職復帰、組織拡大の取り組みや、地域共闘の強化などが訴えられた。
田中委員長は総括答弁で、「動労千葉の原点である反合・運転保安闘争を強化する」とした上で、直ちに習志野電車区廃止阻止を始めとした闘争の準備指令を下ろすことを明らかにし、「戦争に向かい憲法改悪に向かう翼賛選挙に対して闘う団結を示そう。社会を変えようと訴え、11・9労働者集会に総結集しよう」と訴えた。
スト権を満票で確立し、田中委員長を始め三役は再任、執行委員は一部交代の新執行部を選出した。また、「動労千葉国際連帯委員会」設立を決議した。
御宿町議選で中村氏が3選
大会には多くの来賓が駆けつけた。組織内議員で、今年4月に3選を果たした水野正美・勝浦市議、9月21日に3位で3選をかちとった中村俊六郎・御宿町議は、ともに市町村合併反対を訴えた。中村町議は1047名の被解雇者の1人であり、争議団として全力で闘う決意を表明した。4月まで船橋市議を務めた中江昌夫さんも、動労千葉とともに闘う決意を語った。
三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長は「成田を軍事使用させない。国際連帯に労働運動の展望が開かれる」と激励し、10・12三里塚闘争への参加を訴えた。
さらに、弁護団長の葉山岳夫弁護士、動労水戸、結柴誠一杉並区議、動労千葉を支援する会、OB会、家族会などがあいさつした。家族会は「家族にもっと皆さんの闘いを自慢してほしい」と誇らかに訴えた。
大会1日目終了後には、「組合功労者激励会」が行われた。動労千葉争議団で60歳退職年齢に達した被解雇者と国鉄入社以来25年を迎えた被解雇者を表彰し、ともに勝利まで闘いぬくことを誓い合った。本体と争議団が一体となって闘う動労千葉ならではの催しだ。
この動労千葉の労働運動を広げ、ともに闘う新潮流をつくりだそう。動労千葉など3労組が呼びかける11・9集会に結集しよう。
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週刊『前進』(2122号2面2)(2003/10/20)
国労弾圧公判 弾圧企てた鈴木法対部長を追及
検事に対し「厳重な処罰を」と供述していた証人に怒り
10月6日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧の第13回公判が開かれた。事件現場を撮影したビデオテープを警察に任意提出した国労東京地本の鈴木勉法対部長の証人尋問が行われ、法廷は彼に対する激しい弾劾の場となった。
計5通の供述調書に応じる
浅野史生弁護人と原田隆司被告が、丸1年になる長期勾留に怒りをぶつけ、即時保釈を求める意見を述べた。原田被告は、勾留によって中労委の審理が妨害されていることを弾劾し、証人出頭のための勾留の一時執行停止を要求した。
鈴木証人が入廷した。被告たちが彼をにらみ据えた。鈴木証人は平静を装うが、動揺は隠せない。
大口昭彦弁護人が、「警察・検察の事情聴取を何回受けたか」とただした。その結果、警察で3回、検察で2回の事情聴取を受け、いずれも供述調書が作成されたことが明らかになった。鈴木法対部長こそ、組合員を権力に売り渡した張本人だ。
彼に対する事情聴取は、警察では昨年6月に2回、10月に1回、検察でも6月ないし7月に1回、10月に1回行われた。10月の事情聴取は、いずれも第1次逮捕と第2次逮捕の中間だ。弾圧を拡大させたのも鈴木証人だったのだ。
鈴木証人の供述調書の3通は、公判直前にようやく弁護団に開示された。しかし、検察側は2通の調書の存在を隠していたのだ。
大口弁護人が調書を手に、「あなたは、厳重に処罰して下さいと言っていますね」と迫った。鈴木証人は、「中核派の暴力と組合員の被告は分けて述べた」と居直るが、度重なる追及を前に、「組合規則に則る行動と、中核派と一緒になっての行動は厳然と区別する」と本音を吐いた。たとえ組合員であろうと、「中核派」のレッテルを張れば権力に売り渡しても構わないというのである。法廷は強い怒りに包まれた。
弁護団は、「なぜビデオを撮影したのか」と追及した。鈴木証人は、「今までの大会でも中核派による妨害行為があった」「大会準備本部の中に記録係を置くと議論し、その任務にあたった」と返答した。ビデオ撮影は、酒田委員長以下の東京地本幹部たちの意思統一のもとに行われたのだ。
「7・1臨大も中核派の妨害」
「7・1の状況も、あなた方によれば中核派の妨害行為か」とただす弁護団に、鈴木証人は「そうです」とあけすけに返答した。検察側冒頭陳述とそっくり同じ論理である。
00年7・1臨大の事態は、国労本部による4党合意受諾の裏切りに対する、闘争団員のやむにやまれぬ怒りの発露だった。それは、一党派が国労に介入し、大会を妨害したなどというものでは断じてない。
弁護団は、7・1の状況とその時の証人の行動について問いただした。大口弁護人が、ビデオ『国労冬物語』から取り出した写真を示して、当時、中央執行委員だった証人が、闘争団の家族から抗議を受けた時の状況や、大会が休会となる経過を聞き出した。裁判長が「それが5・27とどうつながるのか」と介入した。
松崎博己被告が、すかさず「鈴木さんは7・1でわれわれが暴力を振るったと言っている。それを根拠に5・27にビデオを持っていった。7・1のことを聞くのは当たり前だ」と反論した。その勢いに、青柳裁判長は押し黙った。
鈴木証人が撮影したビデオは、ホテル前の映像の後に、大会傍聴席の映像が延々と続く。弁護団がその撮影目的を問いただすと、彼は「傍聴席から代議員席に入ってくる方がいて、会場係に負傷者が出た」「盛岡・長野地本から、けが人が出ない対応をしっかり考えてくれと東京地本に話があった」と答え、「目立たないように撮影した」と隠し撮りした事実も認めた。
闘争団を始めとする組合員の傍聴席での行動も、弾圧の対象だったのだ。この弾圧と闘争団員22人の権利停止処分は、まさに一体のものなのだ。
弁護団が、「会場内でけが人が出たことは警察に言ったのか」と聞くと、鈴木証人は「会場内は国労の自治。いちいち警察に言う必要はない」と答えた。それと今回ビデオを警察に任意提出したこととの矛盾を突かれると、彼は「この事件は天下の公道で起きた」と居直った。組合員を権力に売った張本人に、「国労の自治」を語る資格はない。
「機動隊は暴力と認識せず」?!
弁護団は、大会への機動隊導入について追及した。鈴木証人は、「7・1大会以降の状況を判断して、公道の部分は警察にお願いした」「大会を正常に運営するために必要と、本部が要請した」と白状した。
大口弁護人が「傍聴しようとする組合員は機動隊に押し戻された。これは暴力ではないのか」と迫った。鈴木証人は「暴力と認識できない」とうそぶいた。
佐藤昭夫弁護人が「5・27大会は、3党声明が出され、その要求にこたえるための大会ではなかったか」と質問した。鈴木証人はしぶしぶ「大筋においてそう」と認めざるをえなかった。「政府・与党が一方的に譲歩を要求する。それが労働組合の自主性との関係で問題があると考えなかったのか」「大会に対して抵抗が起こることは予想しなかったのか」と追及が続いた。いたたまれなくなった証人は、「大会の招集は中央執行委員会の判断。私は退任しているから分からない」「準備地本を仰せつかったら、大会の成功に全力を向ける以外にない」と全面的に居直った。
3列縦隊組み強行突破図る
続いて弁護団は、5月27日の証人の行動について質問した。その結果、重大な事実が明らかになった。当日朝、ホテルの1階に会場係が集まった後、外の様子を見に行った東京地本書記の報告を受け、笹原財政部長の指示で3列縦隊を組むことを意志一致したというのだ。被告たちがビラをまこうとしているのを分かった上で、強行突破し、意図的に混乱をつくり出したのは、酒田委員長、鈴木法対部長ら本部派だった。
鈴木証人の尋問は次回(10月27日)に続行となった。この日、日本共産党・革同は、「鈴木さんを守れ」と叫んで20人が傍聴券交付に押しかけた。だが、150人を超える傍聴希望者と公判内容に、彼らは圧倒される一方だった。
裁判闘争は、弾圧の真相に迫る最大の正念場を迎えている。国労本部派の妨害を許さず、次回公判に結集しよう。被告の即時保釈と無罪獲得へ全力で闘おう。
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国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第14回 10月27日(月)/第15回 11月21日(金)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2122号2面3)(2003/10/20)
被告の早期奪還を決意 逮捕1カ年を弾劾し集会
同日夕方、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、国労東京、東京南部、東京東部、三多摩の各職場・地域の許さない会と共催で、「不当逮捕1カ年弾劾! 8名の即時保釈をかちとろう10・6集会」を開催した。会場の全水道会館には、この日の公判闘争を闘い抜いた被告の家族を始め、165人の労働者・学生・市民が結集した。
会場には1年に及ぶ長期勾留への怒りがあふれた。
許さない会事務局長を務める佐藤昭夫弁護団長があいさつし、「被告の家族は本当に強くなっている。弾圧すればますます運動が広がることを事実で示したい」と訴えた。
被告の家族が登壇し、「裁判を傍聴したが、夫の逮捕には納得がいかない。なんとしても早く戻ってほしい」「こんな不当な逮捕はやめてほしい。怒りでいっぱいだ。しかし私たちは少しずつ前進している」「次の正月は拘置所で過ごさせたくない」と語った。参加者は、惜しみない拍手でこれにこたえた。
大口昭彦弁護士が公判闘争について報告し、「被告や家族は普通の労働者。今日、証言した鈴木法対部長と違うのは、国鉄分割・民営化の時の屈辱をけっして忘れず、人間として当たり前の心を失わなかったことだ」「鈴木証人は、ビデオを提出し、厳重に処罰して下さいと捜査官に供述している。彼は権力と同じ立場で弾圧にかかわった」と、国労本部派を弾劾した。
河村健夫弁護士も、「ビラまきだけで1年もの勾留は通常考えられない。被告の解放を第一に頑張りたい」と決意を述べた。
ジャーナリストの丸山昇さんが、「国鉄分割・民営化当時、人材活用センターで国労組合員が暴力事件をデッチあげられた。それを今、国労が身内の中でやっている。それでも国労と1047名闘争を支える人が残っている。粘り強くやり続けることが必要だ」と呼びかけた。
定期大会を終えて駆けつけた動労千葉の田中康宏委員長が、11・9労働者集会への結集を呼びかけた。「動労千葉はこの集会にかけている。団結した力は社会を動かす。日米韓の労働者の連帯で北朝鮮への戦争を止めよう」という熱のこもった訴えに、参加者は11・9集会の大結集をかちとる決意を固めた。
国労東京、東京南部、東京東部、三多摩の各許さない会が今後の闘いへの決意を語った。許さない会の山川博康事務局次長がまとめを行い、「今日を期して5千会員、10万保釈署名を達成し年内の保釈奪還へ、本格的に闘う覚悟を決めていただきたい」と訴えた。
11・9労働者集会に向けて奮闘する参加者の熱意は弾圧への怒りと結合し、集会はかつてなく高揚した。
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週刊『前進』(2122号2面4)(2003/10/20)
韓国
民主労総 盧武鉉政権と総力闘争 11・9 10万労働者集会へ進む
南朝鮮・韓国の民主労総は、11月9日に「非正規職撤廃・国民年金改悪中断・『使用者対抗権』撤廃」などを掲げた全国労働者大会を10万人規模で開催する。
劉徳相(ユドクサン)首席副委員長を本部長とする「全国労働者大会・総投票組織本部」を設置し、11・9労働者大会に10万人結集を実現するため65万組合員を対象に「3大要求戦取10万労働者大会参加署名」を進める。
指導部が現場を回り、組合員の参加を訴えるとともに、非正規職差別や国民年金問題について大々的な広報活動を展開し、圧倒的多数の未組織労働者に働きかけていく。民主労総は「3大要求を掲げ、街頭と現場へ」をスローガンに、盧武鉉(ノムヒョン)政権との総力闘争に突入した。同時に、ゼネスト突入の賛否を問う組合員総投票を10月末から11・9をまたいで11・13全泰壱(チョンテイル)烈士記念日まで実施する。
非和解的な激突
97年経済危機からIMF体制に突入した韓国は、凶暴な資本攻勢で体制の延命を図ってきたが、今や政治・経済・社会にわたる全面的危機に行き着き、生存権死守を掲げて闘う労働者人民との非和解的な激突過程に突入している。
5月貨物連帯スト、6月地下鉄労組、全国鉄道労組ストから7〜8月の現代自動車労組、起亜自動車労組などうち続くストの嵐に恐怖した盧武鉉政権は、現代自動車ストに現行労組法の毒素条項=「緊急調整時の争議行為中止」の発動一歩手前まで至った。
必死の反対闘争を踏みにじり、8月29日には、週5日勤務制導入をテコとした勤労基準法改悪を強行。来年7月から2011年まで企業規模別に6段階で週5日制を導入、法定労働時間を週44時間から40時間に短縮するというが、生理休暇の無給化、月年次休暇の削減など、20人未満の零細企業で働く760万人の労働者にとっては、「正規職に比べて非正規職労働者の休日を削る『差別法』であり、休日休暇の縮小・賃金削減など労働条件を大幅に後退させた『改悪案』」だ。
今年1月施行の日韓投資協定に続き、日韓自由貿易協定(FTA)交渉を進めている日帝資本は、9月冒頭の「第2次非関税措置協議会」を前に、韓国政府に無労働無賃金の順守、月年次有給休暇の縮小、違法労働行為への厳正対処などを要求した。
民主労総は「70年代馬山(マサン)輸出自由地域が象徴するように、日本資本は韓国で労働者を人権死角地帯に追い込み、おいしいところだけをむさぼって非情に撤収するなど暗い記憶を残してきた」「低賃金と無権利、長時間労働で酷使する労働法改正を強要するなど容認できるものではない」と強く弾劾した。
今、その馬山から韓国シチズン労組の女性労働者たちが来日し、東京のシチズン本社に廃業撤回と雇用保障を要求する遠征闘争を続けている。労働弾圧を公然と要求する日帝資本を断じて許してはならない。
労使関係先進化
盧武鉉が就任してから7カ月で拘束労働者は112人(9月23日現在)。6月末の鉄道ストの武力鎮圧からスト・座り込みへの強制鎮圧が続き、拘束労働者が激増した。
9月4日、盧武鉉政権は「労使関係先進化ロードマップ(里程標)」を発表。資本が労組のストに対して事業所閉鎖(ロックアウト)や代替勤労などの対抗手段をとることを大幅に認める一方、不当解雇に対する直接的な処罰制度を廃止するなど、「一言で言うと△解雇を容易に△ストライキは難しく△労組の力を失わせるための使用者の対抗権を画期的に強化する内容」(民主労総)であり、とうてい認められないものだ。
さらに、貨物連帯5月ストに際しアメリカのタフト・ハートレー法をモデルにスト禁圧を検討してきた盧武鉉政権は、9月8日、「貨物運送事業者や運輸業者が不法・集団行動を起こして運送を拒否・妨害する場合、政府が『業務復帰命令』を言い渡すことができる」とする貨物自動車運輸事業法改悪案を年末の通常国会で成立させ、来年1月から施行すると発表した。違反者には、最高3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金と、事業登録や運転資格の取消・停止という重罰が科される。
さらに集会やデモに対する予防弾圧など、労働者人民の闘いを抑え込もうと必死なのだ。
このような弾圧に対し、民主労総は組合民主主義を徹底し、強固な団結で反動を切り裂こうとしている。
イラク派兵阻止
全国351団体が集まる「イラク派兵反対非常国民行動」の中軸を民主労総が担っている。イラク反戦闘争は、「米国の対北敵対政策と韓(朝鮮)半島戦争策動を中断せよ」「韓半島での戦力増強と韓米日戦争協力を中断せよ」のスローガンと完全にひとつだ。
「11月9日労働者大会で10万人の大喊声(かんせい)を!」――盧武鉉政権との総力闘争を推し進める民主労総と連帯し、労働者の国際連帯闘争の真価を発揮しよう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2122号3面1)(2003/10/20)
運輸・建設・医療…労働者の戦争動員を粉砕しよう
政令で戦争協力義務づけ 師団長らに収用執行権限
有事体制加担の連合許すな
3労組が呼びかける11・9労働者集会は、資本攻勢に対する労働者階級の巨大な反撃の闘いであり、同時に自衛隊のイラク派兵を阻止するイラク反戦闘争の重大な闘いだ。小泉政権は、11月に陸上自衛隊の先遣隊派兵を狙っている。絶対にこれを阻止しよう。米国のANSWERや英国のSWC(戦争阻止連合)などの呼びかけで米英軍の撤退を要求する国際的な反戦闘争が再び高揚している。帝国主義の侵略戦争を阻むのは、団結した国際プロレタリアートの力である。10・25国際反戦行動を成功させ、11・9労働者集会で闘う日米韓労働者の国際的団結をつくりだし、北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。陸・海・空・港湾労組20団体の「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」闘いの統一戦線を防衛・発展させ、有事法制による労働者の戦争動員の攻撃を粉砕しよう。
改悪自衛隊法の施行令
小泉内閣は10月3日の閣議で、有事の際に自衛隊が民間人に協力を求める「業務従事命令」の対象や管理できる施設などを具体的に定める自衛隊法施行令を改悪し、8日から施行した。
今回の改悪施行令は、6月に成立した有事3法のひとつである改悪自衛隊法を受けての政令改悪で、自衛隊に防衛出動命令が出た場合の自衛隊による物資の収用や、自衛隊に民間人を協力させる「業務従事命令」を実施するための細則を定めるものだ。
具体的には、@医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、A建設業者、B鉄道事業者、自動車運送事業者、港湾運送事業者、航空運送事業者が業務従事命令の対象となった。
また自衛隊が管理する施設として、@自動車整備工場、A造船所、B港湾施設、C航空機整備場、D給油施設が対象となった。
日帝は、北朝鮮侵略戦争の遂行に際して自衛隊員に多数の傷病者が出ることを想定し、前線に野戦病院を開設し、応急治療や初期外科治療などを行うことを考えている。当然、自衛隊の医官だけでは手薄となるため、民間の医師や看護師、臨床検査技師が必要となる。そのために医療労働者については、前述のようにきわめて具体的に列挙しているのである。
また戦時の兵站支援(=後方支援)は平時の何倍も必要とする。しかも自衛隊だけでなく、在日米軍と増派される数十万人の米軍の兵站支援が必要となる。航空機整備のシステムを大幅に拡充したり、大量の物資を保管する場所を設置する必要が生じるが、自衛隊は、戦闘機や軍用輸送機を駐機させる格納庫や大型の倉庫を短期間に建設する能力を持っていない。
そこで今回の改悪施行令は、こうした大型施設の建設能力を持つ業者や輸送業者を業務従事命令の対象に含めた。戦闘機や軍用輸送機の格納庫や兵舎、軍需物資を保管する倉庫などの建設に大量の建設労働者が動員されるのである。
そして自動車整備工場や造船所のドック、港湾施設や給油施設が自衛隊に接収されて軍用として使われるのである。そこで働く労働者も直接・間接に動員されることは明白である。
自衛隊法では、こうした権限は都道府県知事が持つと規定しているが、今回の改悪施行令で、緊急の場合、防衛庁長官に加えて陸上自衛隊の方面総監、師団・旅団長などにも付与することを定め、執行権限者を大幅に拡充している。戦争が始まれば、各地の司令官レベルの自衛隊幹部が都道府県知事の上に君臨して、労働者の戦争動員の指揮をとるのだ。
自治体動員狙う「通知」
また小泉内閣は、6月13日付けで全国の地方自治体に対し「自衛隊法改定に基づく各法の特例規定の創設等について」という通知を送付した。この通知は、本来ならば地方自治体などの「許可」を必要とする行為を、有事の際には一方的な通知だけで自衛隊が自由勝手に行えるというものだ。
例えば「道路法の特例」では、自衛隊が通行するための応急工事が道路管理者への事後通知だけで行える。そのほかには、道路交通法、建築基準法、医療法、埋葬法、土地収用法、河川法、海岸法、都市公園法、森林法、漁港漁場整備法など地方自治体がかかわるほとんどの領域において、自衛隊は特例で法律を無視して戦争遂行に必要なことを自由に行えるのだ。
このことは、建設、都市計画、緑地、港湾、河川、公園、医療、衛生にかかわる自治体労働者が自衛隊の出動に協力を強制されることを意味する。さらに国民保護法制によって、住民避難や広報など自治体労働者すべてに戦争協力が拡大されるのである。
有事法制による労働者の戦争動員に先立って、すでにテロ対策特措法によってインド洋―アラビア海で作戦中の自衛艦の修理のために民間企業の労働者が戦場へ派遣されている。
インド洋に労働者派遣
米英軍に対する給油作戦について、自衛隊がどこの港で燃料を調達し、洋上給油をどこで行い、どの艦艇に行っているのか、防衛庁は「軍事機密」を口実に公表しない。そしてその陰で作戦中の自衛艦の修理に民間の労働者が派遣されているのだ。
修理が実施された自衛艦は、今年3月末まででイージス艦「きりしま」など7隻の艦艇で、派遣された労働者は25人とされている。しかしどこの企業が現地に労働者を送ったのか、事実は秘密にされている。
労働者を派遣したと思われる石川島播磨重工業や三井造船などの日本の軍需産業の企業で多数を占める造船重機労連(最近、基幹労連に再編・統合)は、業務命令を受けた労働者が不安や悩みを訴えても、その訴えを無視しているという。労働者は、処分や昇進・昇給や人事への差別待遇を恐れ、戦場への派遣を強制されているのだ。
それどころか造船重機労連は「個別企業の契約で修理に行くのは当然。安全保障の観点からも当たり前」として、労働組合として日帝の侵略戦争と資本が戦争で儲けることを積極的に肯定し、労働者が戦場で働くことを推進しているのだ。
小泉政権のイラクへの自衛隊派兵の策動、北朝鮮侵略戦争の危機の中で労働者の戦争動員の問題は、いよいよ切迫した重大テーマになっている。問題の核心は、有事法制による労働者の戦争動員の大攻撃が「有事法制は基本的には必要である」という02年5・16連合見解と、有事3法に賛成した民主党の戦後史を画する裏切りで初めて現実性を持ったということだ。
国・地方自治体の労働者や「指定公共機関」に指定される労働者を多数抱える連合は、労働者の戦争動員に反対して闘うどころか、現場の労働者の戦争動員反対や拒否の闘いを圧殺し、国家や資本になりかわって労働者を戦争に動員する役割を担おうとしている。
有事法賛成の連合見解
先の通常国会で連合は、民主党の修正案は「基本的人権の尊重」「国会によるコントロール」「情報公開の義務化」が明記されていると全面的に賛美し、有事3法案に賛成した民主党の裏切りを支持した。
先の続開大会で「21世紀宣言」を強行した自治労中央本部は、この連合見解を率先して推進し、「労使の協働」などと称して、自治体労働者の戦争動員を拒否する闘いを圧殺しようとしているので「ある。
他方で、これに対して動労千葉を始めとした闘う3労組、陸・海・空・港湾労組20団体、8月自治労大会で「21世紀宣言」を否決した闘いなど、労働者の新たな力強い闘いが始まっている。
日帝は、来年の通常国会で労働組合法の改悪を狙い、労働者の団結権やスト権など労働基本権の圧殺を狙っている。団結破壊は戦争動員の攻撃と一体だ。
3労組が呼びかける11・
9労働者集会の成功をかちとり、労働者の国際的団結で大失業と戦争の攻撃をうち砕くことはまったく可能だ。「21世紀宣言」のような攻撃と断固対決し、闘う労働者の団結で労働者の戦争動員攻撃を粉砕しよう。
「内への階級戦争」と「外への侵略戦争」は一体だ。資本攻勢に対する闘いと一体の闘いとして帝国主義の侵略戦争を阻止する国際的連帯と団結をつくりだそう。日米韓(朝)人民の国際的団結の力で北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
20労組と連帯し「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」闘いをつくりだそう。イラク派兵と改憲、侵略戦争を推進する小泉政権を打倒しよう。
〔片瀬涼〕
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週刊『前進』(2122号3面2)(2003/10/20)
11・9全国労働集会へ 闘う3労組が呼びかけ
全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が、「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!――大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を! 11・9全国労働者総決起集会」を呼びかけている。9月6日に開かれた第1回集会実行委員会で、日時、スローガンなどを決定。10月4日の第2回実行委員会では、特に第2次小泉内閣が発足し、11・9総選挙が戦後初めての「翼賛選挙」となろうとしている情勢について確認した。そして11・9集会の5千人結集に向けて、@日・米・韓労働者の国際連帯集会としてますます重要な集会となり、A小泉政権と奥田・日本経団連による労働者への全面攻撃に反撃する集会として、B国鉄1047名闘争の発展をかけて、全力で取り組もうと意思統一した。9月に3労組が発した「賛同と参加のお願い」を掲載します。この呼びかけにこたえ、11・9集会を成功させよう。(編集局)
11・9全国労働者総決起集会への賛同と参加のお願い
全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部
全国金属機械労働組合・港合同
国鉄千葉動力車労働組合
全国のたたかう労働組合、労働者のみなさん!
私たちは時代の大きな転換点にたっています。3月20日、米・ブッシュ政権は、イラクへの侵略戦争にふみきり、イラクでは民衆の激しい怒りの声を呼び起こしながら今も虐殺と破壊が続いています。「テロ根絶」の名のもとに、戦争が「正義」とされ、むきだしの帝国主義政策が世界を覆う恐るべき状況が生み出されています。
小泉政権は、有事関連3法の制定をもって、憲法をふみにじり、再び戦争への道をふみだしました。また、イラク派兵法を強行採決し、未だ戦争状態のイラクに自衛隊を送ろうとしています。北朝鮮への洪水のような排外主義が組織され、次の戦争が準備されています。しかも、民主党や連合が有事立法に賛成するなど、あらゆる勢力が挙国一致主義に転落しています。
小泉政権と財界は、労基法・派遣法・職安法・雇用保険法改悪など、戦後労働法制の解体、労働委員会制度の個別紛争処理機関への変質と解体、企業法制・倒産法制の再編などを押し進めながら、労働者をリストラ・倒産・解雇・賃下げと不安定雇用化の嵐のなかにたたき込んでいます。また、社会保障制度の解体攻撃が激しく進められています。今年1月に発表された日本経団連・奥田の新ビジョンは、国家と資本が生きのびるために、あらゆる犠牲を労働者や中小零細企業に転嫁し、労働運動の屈服と変質をあけすけに要求しています。
攻撃の矛先は団結権の破壊・抹殺に向けられています。団結権が危機に瀕しています。資本・権力は、憲法28条と労働組合法そのものに手をかけようとしています。官・民、ナショナルセンターの枠をこえ、職場・地域で一から団結をつくり直そう。未組織の職場に労働組合を組織しよう。その力で大資本攻勢と闘おう。団結権を貫いて闘えば、必ず勝利の展望はきり開かれます。
国鉄1047名の解雇撤回闘争が正念場を迎えています。国労本部の屈服―1047名闘争切り捨てに抗して、臨時大会で闘いの継続を訴えた国労の仲間たち8名が不当逮捕され長期投獄を強いられています。国鉄闘争は全ての労働者の権利、労働運動の未来を左右する闘いでもあります。また、この不当弾圧をはじめ、闘う労働運動への相次ぐ刑事弾圧や民事仮処分、損害賠償請求などの手法を使った争議つぶしの攻撃がエスカレートしています。さらに共謀罪の新設など治安弾圧立法が次々と制定されようとしています。
しかし、世界の労働者は今、団結し連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしています。イラク戦争に対し、全世界で2000万人をこえる労働者・民衆のデモが燎原を焼き尽くす炎のように燃え上がりました。また日本でも、有事立法を阻止するためにナショナルセンターの枠をこえ、制動をはねのけて結集した陸・海・空・港湾労組20団体を中心として画期的な闘いが生みだされています。
私たちも、関西地区生コン支部がイラク開戦に際して2時間の抗議ストを闘い、府下全事業所での03春闘ストを貫徹しました。動労千葉もイラク反戦―有事立法阻止を掲げて72時間ストに起ちあがり、港合同は、相次ぐ倒産攻撃に使用者概念拡大の闘いと職場占拠でたち向かい、地域デモで反戦を訴えました。また、関西地区生コン支部の韓国民主労総レミコン労組との共同闘争、動労千葉のILWUローカル10やサンフランシスコ労働者評議会、韓国民主労総との交流など、国際連帯の闘いが始まっています。日本政府が、日韓自由貿易協定締結に向けて、韓国政府に労働法制改悪を要求していることなど、国際連帯闘争は急務の課題です。
分断と個別撃破を許さず、真の闘う統一戦線を創りだそう。労働運動の大原則は、資本・権力との関係を明確にして、これと闘うことです。不一致点を留保し、一致点を拡げて互いの組織・運動を尊重しあいながら大同団結しよう。闘う労働者の思いはひとつです。大資本攻勢と戦争に怒りを燃やし、労働者が真に社会の主人公となる差別と貧困のない社会をめざして闘う労働組合の全国ネットワークを創りあげよう。
私たちは、労働者の団結した力こそが、生活と権利を守り、戦争を止め、我慢のならない社会の在り方を変えることができることを信じ、日・米・韓の労働者の国際連帯集会として、11・9労働者集会を呼びかけます。
志を同じくするすべてのみなさんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
2003年9月
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たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! −−大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・9全国労働者総決起集会
【日時】11月9日(日)正午
【場所】東京・日比谷野外音楽堂
【主催】11・9集会実行委員会
《メインスローガン》
☆全労働者の団結で、倒産・解雇・賃下げ・不安定雇用化と労働法制・社会保障制度の解体攻撃をはね返そう!
☆全労働者の団結で、「有事立法を完成させない、発動させない、従わない」闘いをつくりあげよう! イラクへの自衛隊派兵と北朝鮮への侵略戦争を阻止しよう!
☆全労働者の団結で、国労臨大弾圧を粉砕し、国鉄1047名闘争に勝利しよう!
☆全労働者の団結で、団結権破壊を目的とした労働運動への治安弾圧を粉砕し、共謀罪新設を阻止しよう!
☆日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させよう!
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週刊『前進』(2122号3面3)(2003/10/20)
青年労働者を獲得し電機職場に新潮流を 11月労働者集会へ 電機労働者の決意
11月労働者集会の大成功に向けた取り組みに、私たち労働者自らが立ち上がる意義と、決意を述べたいと思います。
電機連合大会資本の先兵に
今年7月に電機連合の第51回定期大会が開かれ、「21世紀を創る」と題して昨年に出された運動方針の補強が行われた。この標題自体が自治労の「21世紀宣言」とまるで同一の感があるが、その内容は労働者を軽視し切り捨てる、資本と一体となった本当に反動的な運動方針だ。
特に問題にしたいのは、「第6次産業政策の策定に向けた論議(中間報告)」と「電機産業職業アカデミー構想」である。
前者では、「第5次の政策から8年が経過し、電機産業を取り巻く環境も大きく変化し、電機産業の位置付けをどう再構築していくのかが労働組合にとっての大きな課題」と、まったく資本にすり寄った視点でとらえている。
さらにあろうことか、「電機産業の現状における国内外のポジショニングの分析」と称して、分析を証券業のメリルリンチのアドバイザーに委嘱し、この報告をもとに政策の策定を行っていくとしていることだ。金融資本そのものに分析をゆだねて、その分析をもとに組合の政策を議論するなど言語道断だ。
後者では、「人材の活性化は労使が共に取り組むべき喫緊の課題」「働くことそのものの本質に、労働組合が関わる」などと隠すことなく労資一体の立場で叫んでいる。本来、組合員一人ひとりの意見に内在する階級的な本質をくみ取り、資本と対峙すべき労働組合が、労働者を抑圧し統制するものとして登場している、この絶対的矛盾。本当に許すことはできない。
怒り渦巻く電機職場の実態
次に、この数年間の電機連合と私たちの職場を取り巻く実状を伝えることをとおして、電機連合の本質を具体的に暴露して行きたい。
働く仲間の減少
電機連合の実在組合員数は、94年がピークの約87万人であったが、この年を境に減少を続け、今大会時点では、66万人を切っている。実に4人に1人の組合員が減少したことになる。数年来、大手企業を先頭に一斉に行われたリストラ・首切りの結果である。
さらに許せないのは、昨年、今年と春闘でのベア要求を見送ったが、それを「雇用の維持・安定の取り組みが最優先課題」などと放言していることだ。4人に1人もの首切りを認めておいて何が「雇用優先」か。こんなデタラメだらけのあり方には、本当に心の底から怒りを感じる。ふざけるな!
私の職場でも1割の組合員が職場を去って行った。現在は、会社が一時的な導入と説明してきた派遣労働者と、請負労働者が工場に入所している。以前は、すれ違う労働者の多くの顔と名前がわかり家族的な雰囲気があった工場も、今ではすっかり様変わりした。
派遣労働者の配属は新製品の増産対応や深夜勤務職場で、入れ替わりが大変激しい状況だ。また正社員が減ったために、少数の組合員がこの派遣労働者に付いて監督的な対応を行っている。そのために該当の組合員からは業務内容が大幅に増えたことや、有休が取りにくくなったなどの不満の声が上がっている。
労組批判が7割
電機連合は、今年の1月から4月にかけて「組合員の組織活動に関するアンケート調査」を実施、2万人強の回答結果報告が最近発表された。
労働者を取り巻く環境が日増しに悪化する中、「労働組合の必要性」についての回答は、9割の高い支持を得られたが、その他の設問は「どちらともいえない」と「〜ではない」の否定的回答がそのほとんどを占めた。
中でも労資関係の現状について「労使はほぼ対等だと思う」16・1%、「経営が組合に譲っている」8・4%を抑えて、「組合が経営に譲っている」が72・3%も占め、資本との対決を全面的かつ意識的に放棄し、労働者の声を無視する反動的な電機連合執行部への反対表明が顕著に現れた結果となった。
これは当然の結果だ。電機では99年春闘から、それまで秋に行っていた「一時金闘争」を春闘に集約した。その「一時金要求」も大半の大手組合では「業績連動方式」へと移行し、現在要求すら行わなくなった。さらに年に一度の闘争となった春闘を「春闘改革」と称し、賃金引き上げを除く総合労働条件の改善要求は2年に1度とする「隔年春闘」へと改悪した。その賃上げ要求すら先に述べたように放棄し、さらには定昇圧縮まで受け入れて、定期昇給制度解体まで突き進んでいるのだ。絶対に許すことはできない。
民主党と一体化
電機連合は冒頭に述べた第51回定期大会で、来年7月に予定される参議院選挙に三菱電機労組出身の「加藤敏幸」を組織内候補に擁立し、組織をあげた取り組みを行うことを決定した。前回取り組んだヤマハ労組出身の「若林秀樹」に続き民主党から出馬させる。
スローガンは、「働くあなたと、日本再生!」「強いモノづくり日本を復活させます」と、まさに奥田ビジョンの大展開だ。今後約1年、電機の労働運動は何をおいても選挙一色、選挙以外は二の次という異様な状態になる。
電機連合中央は、連合中央と歩調を合わせて、「次の政権与党には民主党を」と言い放ち、政策懇談会などと銘打って民主党の岡田幹事長、枝野政調会長らと「電機産業に関る政策制度課題と私たちの見解」なるものを引き合いにして談合を行っている。
さらに、「議員は人物本位」で推すとして、破廉恥にも自民党や各省幹部との談合も同時並行的に行っている。政策制度の取り組みの中身は、資本にすり寄るだけでなく、国家に柔順な労働運動の推進にほかならない。しかも自分たちの産別優先のあからさまな策動は、電機労働者のみならず、あらゆる労働者に敵対するものとして断罪されなければならない。
以上3点に絞って、ウルトラ反動的労働運動を展開する電機連合中央の状況を述べてきた。最後にこの反労働者的な状況を突破するものとして、11月労働者集会への思いと決意を表明したい。
10・25跳躍台に11月集会へ
私たちが今必要とするのは、「階級的労働運動」であり、「国家・資本と闘う労働運動」である。既成のナショナルセンターの労働運動を踏み倒し、「闘う労働運動の新たな潮流」を引き起こす時だ。
03年春闘で、果敢に労働者魂を発揮し、怒りを爆発させ、一致団結して実力ストライキを断固決行した動労千葉のような組合から学んで、自ら労働者の中に入って「労働組合の防衛と創成」を行っていかなければならない。
私たち労働者自らが変革のスタート地点に立ち、全力で猛然と職場、街頭へ飛び出して行く。組織活性化のために青年労働者を獲得し組織し、「マルクス主義の理論学習」と、「さまざまな闘いの取り組み・実践」をとおして、闘いの陣形を不断に構築していく。有事法制反対、イラク派兵反対、北朝鮮侵略戦争反対を掲げて、「労働者階級の国際連帯」を前進させる。
首都圏の労働者は、「自衛隊のイラク派兵をとめよう! 10・25 SHIBUYA世界反戦ウォーク」を跳躍台に、11月労働者集会の日比谷野音へ攻め上るのだ。青年労働者とともに渋谷、日比谷の会場、街頭を反戦の怒りの声で埋め尽くす大きなうねりをつくり出して、全国の労働者・学生の仲間に強烈に訴えて行こう。私はその闘いの先頭に立つことをここに決意します。ともにがんばりましょう。 (国木田太郎)
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週刊『前進』(2122号4面1)(2003/10/20)
10・26狭山中央闘争に総決起を 解同本部派が10・31を放棄 全国連の手で10万人決起へ
全国部落青年戦闘同志会
部落解放同盟全国連合会は、9・21東大阪市議選において組織候補・阪口克己氏の圧勝をかちとった。この勝利は、日帝・小泉政権の戦争政治、福祉切り捨てに対する一大反撃の大衆行動を組織してかちとられた。闘う部落大衆、労働者人民を鼓舞激励し、反動どもには大打撃を与えた。それはまた、寝屋川弾圧に対する怒りの大衆的反撃としてかちとられた。選挙勝利からただちに闘いの秋へ。11・9労働者集会、イラク反戦闘争と固く結合し、10・26狭山中央闘争に総決起しよう。
切迫する特別抗告棄却策動と対決を
現在、狭山闘争は第2次再審の最高裁・特別抗告審で闘われている。東京高裁の再審棄却決定から1年半を経過し、いよいよ最高裁の決定がいつ出てもおかしくない局面を迎えている。10・26はこの動向と真っ向から対決して闘われる。
全国連と解放共闘は、この間にも7・9、8・22、10・6と最高裁、最高検に対する要請行動を貫徹してきた。関東の隊列を先頭に、最高裁の要請行動禁圧策動を打ち破り、差別裁判に対する鋭い糾弾闘争をたたきつけてきた。全国連が選挙闘争に全力投球していた中で、同時にだまし討ちの棄却策動を許さず闘いぬいてきた。
他方、狭山弁護団は9月30日に補充書を提出し、最高裁狭山担当の永井調査官と面会した。以後、いつ最高裁の決定が出てもおかしくない、緊迫した段階に入った。解同本部派は「来年が正念場」「永井調査官は良心的」などと、またしても楽観主義をふりまいている。われわれは、棄却情勢の切迫を警鐘乱打しつつ、「最高裁は事実調べ、再審をただちに行え」「隠し持つ石川さん無実の証拠を開示せよ」と要求して総決起しなければならない。
狭山闘争をとりまく情勢は、部落解放運動の根底的あり方を問う決定的な重大情勢に突入している。狭山闘争は、石川一雄さんの青天白日の無実、国家権力総ぐるみの差別犯罪の告発を核心にした差別糾弾闘争であり、対権力の全人民的政治闘争である。そういうものとして、計りしれない階級的意義をもった闘いである。今や、その全面的復権か解体かをかけた歴史的な攻防に直面している。
その第一の要因は、第2次小泉改造内閣の発足とその戦争政治にある。絶望的危機にあえぐ日帝ブルジョアジーは、小泉政権による「外への侵略戦争」「内への階級戦争」の超反動的推進に延命を託した。日帝・小泉政権は、イラクへの自衛隊派兵を策動し、労働運動や部落解放運動への露骨な弾圧政治をもって労働者階級に挑んでいる。排外主義と差別・分断攻撃の強化をもって労働者人民の階級的自覚と団結を解体しようとしている。
この小泉政権のもとで、戦後の同和対策法が最終的に打ち切られ、これまでの解同的団結が急速に崩壊している。本部派の公表するところでも、解放同盟の同盟員は半減している。その中で差別襲撃的差別事件の全国的発生が恐るべき様相を呈している。
今年の5、6月から、奈良県橿原(かしはら)市の二つの部落で、部落内の共同風呂や隣保館において、「部落民に注意」などと書きなぐり、その部落に存在する姓を列記して張り紙したり、バイクに乗って公々然とばらまいていく事件が発生している。近年、駅のトイレやインターネット、また一般の施設などにおいて同様の事件が続発してきたが、直接部落内に及ぶ露骨な事件は、80年前の水平社結成前後にまでさかのぼらなければならない。この例は、ほんの氷山の一角にすぎない。まさに一個の差別襲撃事件と言わなければならない。絶対に許してはならない。
関連して、有事3法案と同時に提出され、継続審議となっていた人権擁護法案は廃案の方向にあると言われているが、いずれにしろ、人権擁護法案すなわち国家権力によって差別事件を解決するという本部派の考えは根本的に間違っている。問題は、現実の差別事件の激発とそれに対する差別糾弾の旗を堅持した部落解放運動の存在、権力の弾圧政治との攻防によって決せられる。弾圧との闘争がますます重要なのだ。差別糾弾闘争をめぐる攻防は、ここを軸にして決せられる。
全国連が狭山闘争を再構築するとき
この時に解同本部派は、ついに30年ぶりに10・31中央闘争を放棄した。彼らの新聞紙上で公表している。きわめて重大な情勢である。第二の要因はこの点にある。
10・31とは、1974年の東京高裁・寺尾裁判長による石川さんへの無期懲役の反動判決が下された日である。40年前の、5・23石川さん不当逮捕とともに、けっして忘れることのできないメモリアルデーである。また、東京・日比谷公園に10万余の労働者人民が結集して空前の全人民的政治闘争として闘われた、狭山闘争史上に画期をなす日である。狭山闘争の意義を凝縮し、絶えることのないともし火としてある。これを本部派は放棄することに踏み切った。その意味はけっして小さくない。まさに本部派は死んだ。彼らにあっては、狭山闘争はもはや差別糾弾闘争でも対権力闘争でもないという、最後的転向宣言にほかならない。
冗談ではない。部落民の命のかかった問題がドブの中に投げ捨てられるのだ。部落民300万の最も大事な利害が売り渡され、見殺しにされるのだ。胸がかきむしられる思いである。
しかし、このことによって石川一雄さんと部落大衆の闘志を消し去ることなど絶対にできない。全国連の存在と闘いはいよいよ決定的である。全国連が300万総ぐるみの差別と闘う団結を再構築する時だ。
〈無実>〈差別>〈糾弾>で一から総ざらえ的に再組織し、狭山闘争のすべてを引き受けて立つ時が来た。部落大衆、労働者人民の中に分け入り、その実相と意識をつかみ、闘いへの自覚と行動をともに根底からつくり出す壮大な狭山大闘争に挑戦しなければならない。まったくそのことは可能である。狭山闘争を5万人組織建設そのものとして闘おう。10・26は、あらためてその第一歩でなければならない。党と同志会はその先頭で闘う。
石川さんと連帯し再審実現へ闘おう
10・26は、石川さんとの連帯を誓った差別糾弾闘争を貫く全国連と解放共闘の存在を示す闘いである。その単独の寺尾判決糾弾・最高裁糾弾の渾身(こんしん)の全国闘争である。同時にそれは、全国連の手で新たな狭山10万人決起をつくり出す歴史的な突破口である。
石川さんは「狭山闘争は国家権力に自己批判を迫る闘い」と述べている。まさにそうだ。現に再審を実現することは、すなわち、これまでの国家権力の所業のすべて、捜査・逮捕、起訴、裁判のすべてが間違っていたことを暴露するものであり、再審自体が国家権力の自己批判を意味する。したがってまた、それは、国家権力を震撼(しんかん)させるような部落大衆、労働者人民の決起なしにはありえない。数万、数十万の規模の大衆的な実力糾弾なしにはありえない。74年10月の決起を上回る対権力糾弾闘争を本気になってつくり出すのだ。
その実現のために、ここ1、2年のうちに狭山全国大行進を実現することをめざして闘おう。それは、「一発花火」的な闘いではありえない。要請行動などの形態で国家権力とやりあいつつ、〈無実・差別>の草の根的運動に今こそ立ち上がらなくてはならない。
その環は狭山百万人署名運動である。署名を地域、学園、職場、街頭などあらゆるところに持ち込み、その粘り強い取り組みをとおして、石川さんの無実と権力犯罪を明らかにし、部落大衆、労働者の怒りを一人ひとりから組織していかなければならない。10・26でこのことを強く確認しよう。
東京・桧町公園に全支部、部会レベルまでの全荊冠(けいかん)旗を持参して、大結集で馳(は)せ参じよう。プラカード、メガホンなどなど、思い思いのアピールの工夫をし、差別洪水、本部派の逃亡を切り裂く大衆行動としての都心デモをやろう。
そこに向かって、地域・職場で狭山パンフ『この差別裁判を許すな』の再度の総学習運動に取り組もう。狭山紙芝居・署名運動に再挑戦しよう。
10・26を大成功させて、11・9労働者集会に大合流しよう。
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寺尾差別判決29カ年糾弾! 特別抗告審勝利
10・26狭山中央闘争
日時/10月26日(日)正午開会
場所/東京・桧町公園(地下鉄六本木駅)
(集会終了後、日比谷公園へデモを行います)
主催/部落解放同盟全国連合会
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週刊『前進』(2122号4面2)(2003/10/20)
狭山要請行動 “事実調べを行え” 最高裁の差別姿勢を糾弾
10月6日、部落解放同盟全国連と解放共闘の30人は、狭山差別裁判の第2次再審特別抗告審闘争として最高裁と最高検に対する要請行動に立ち上がった。
早朝、最高裁前でビラまきを行った後、午前10時から永田町の星陵会館で集会を行った。全国連の小森勝重糾弾闘争本部長は、解同本部派が弁護団の補充書提出(9月30日)をもって「棄却決定がいつでも可能になった」としながら「来年が正念場」と言い武装解除を図っていること、本部派が30年ぶりに10・31狭山中央闘争を放棄したことを暴露・弾劾した。
また、狭山事件の証拠と証拠リストを開示しない最高検と、全証拠開示を最高検に命令せず自らも事実調べを行わない最高裁とを糾弾した。さらに本部派が糾弾闘争を投げ捨てて、「司法改革推進本部」に「証拠開示ルール」を求めていることを批判、全国連が狭山闘争を差別糾弾闘争として貫くことを訴えた。
そして10・26狭山中央闘争、11・9労働者集会への総決起を訴えた。大阪・寝屋川支部の4人の保釈をかちとろうと呼びかけた。
9月の東大阪市議選で初当選した阪口克己・荒本支部書記長は、選挙過程で労働者が団結して大衆行動に立ち上がり、組織をつくり出した経験を押し広げ、全国連5万人組織、狭山10万人決起をつくり出そうと熱烈に訴えた。集会後、最高裁前までデモを行った。
午後からの要請行動では、全国連中央本部を始め各県連・支部、解放共闘の諸団体が「水戸地裁は布川事件で事実調べを行うことを決定した。最高裁も事実調べを行え」という趣旨の要請文を最高裁に提出した。また、証拠リストと証拠の開示を求める要請文を最高検に提出した。特に最高裁では、前回8月22日の要請で「部落問題の研修をやったことはない」と答えた書記官らに「今後どうしていくのか」と問いただした。碓井書記官は「答えられない」の一点張りだ。卑劣で不誠実な対応に要請行動参加者の怒りは募るばかりだ。参加者は、10・26、10・25国際反戦行動、11・9に総決起し、階級的に反撃することを決意した。
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週刊『前進』(2122号4面3)(2003/10/20)
〈投稿〉 伊丹基地包囲デモ 市民が派兵拒否呼びかけ
9月28日、小泉政権の自衛隊イラク派兵が年内にも切迫する中で百万人署名運動世話人などの呼びかけで、関西の自衛隊の中枢である伊丹自衛隊基地に対する街頭宣伝・デモ行進・申し入れ行動を180人で行いました。
市民の反応は高く、駅前街頭宣伝では楽器を持って参加する人やマイクを握り市民にアピールする人も現れ、デモでは近くの中学生がプラカードを持って一緒に行進しました。
伊丹には、陸上自衛隊の東海から中国・四国までを統括する中部方面総監部と近畿地方の第3師団司令部があります。自衛隊病院などもあり、自衛隊員・家族1万人が住んでいます。
12時からの伊丹駅周辺での街頭宣伝には80人が参加し、駅前は派兵反対一色に染まりました。各所で討論が起こり、小・中学生も気軽に署名し、防衛大学校出身の元自衛官も「反対だ」と署名をしました。自衛隊団地への唯一の交通手段のバス乗り場にも「派兵を拒否しよう」との横断幕が張られ、宣伝カーからは地元市民が次々と派兵拒否を呼びかけました。
午後2時からの集会には大阪や京都の若者・学生も多数駆けつけました。呼びかけ人の高薮繁子さんの開会宣言、梶原義行さんの経過報告ののち、労働組合・住民団体・部落解放運動・学生・若者などのリレートークが続き、いずれも派兵を絶対に許さない気持ちのあふれた発言でした。反戦兵士の小多基実夫さんのメッセージは、「国論を二分すれば必ず勝てる。隊員・家族に働きかけよう」と、勝利の方向を示しました。最後に地元の関西合同労組の分会、淡路の永井満さんの発言と奈良の藤原好雄さんのまとめを受けて、5人の呼びかけ人を先頭にデモに出発しました。
デモは学生の音楽とラップ調のコールで市民にアピール。第3師団と総監部では、派兵拒否の申し入れを行いました。ス労自主労組委員長の入江史郎さんが「引き続き派兵阻止を闘おう」と締めくくりました。
こうして、9・27のイギリス2万人決起にこたえ、今秋全世界の労働者人民と連帯し、米英軍の撤兵と自衛隊の派兵を阻止する闘いが開始されました。「国論二分」にむけ、基地周辺とすべての職場・地域で派兵阻止・小泉打倒のうねりをつくれば派兵阻止はまったく可能です。ともに頑張りましょう。
(兵庫・民間労働者 木山健二)
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週刊『前進』(2122号4面4)(2003/10/20)
労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案(5)
新たな国連絶対化 帝国主義戦争容認の世界観
日本共産党は新綱領案で、国連と国連憲章を、現代世界をとらえる絶対的な基軸・枠組みとしている。
「国連」という言葉は61年綱領では1回、94年綱領でも1回しか出てこない。それが新綱領案では6回も使われている。これまでの綱領では、国連の役割と本質を規定してはいない。例えば61年綱領で国連が登場するのは「国連において日本の政府代表は、しばしばアメリカ政府のための投票機械の役割をはたしている」という1個所のみ。94年綱領でも同じ趣旨で1個所だけである。つまり、日本の対米従属を非難するための例証として、国連における日本政府の対応を取り上げていただけだった。
国連憲章賛美
それが新綱領案では、国連問題が綱領的な世界認識の中心に置かれたのだ。以下、具体的に見ていこう。
新綱領案第3章「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」第7節には、次のようにある。「国際連合の設立とともに、戦争の違法化の方向が世界史の発展方向として明確にされ、戦争を未然に防止する平和の国際秩序の建設が世界的な目標として提起された」
第10節では「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、アメリカが横暴をほしいままにする干渉と侵略、戦争と抑圧の国際秩序かの選択が、いま問われている」と言い、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」が、至上の価値を持つものとして押し出されている。
唯一アメリカだけが、このすばらしい国連と国連憲章を軸とする世界秩序を妨害している、という認識だ。その立場から第9節で「アメリカが、アメリカ一国の利益を世界平和の利益と国際秩序の上に置き、国連をも無視して他国にたいする先制攻撃戦争を実行し、新しい植民地主義を持ち込もうとしている」と非難している。しかしこの「非難」は、°アメリカはもっと国連の枠組みを使って侵略戦争をやるべきだ″という、戦争のやり方に関する非難でしかない。
綱領改定で、日本共産党は党として、国連の位置づけを一変させたのである。
日本共産党が今、国連を全面賛美する立場を完成させたのは、°帝国主義時代そのものが終わった″という世界情勢認識の大転換と表裏一体である。
しかし現実には、日本共産党の認識とは正反対に、国連が「公正で中立な機関」であるかのような虚構は今、完全に崩れている。また国連が帝国主義(特に米帝)の戦争や帝国主義同士の利害対立に歯止めをかけるという役割においても、これまでのどの時よりも無力になっている。米帝は01年9・11反米ゲリラ戦争の爆発に対して一気にアフガニスタン、イラクへの侵略戦争に突入し、そのために、ある時は国連を無視し、ある時は国連をとことん利用しようとしている。今ほど国連が帝国主義の利害対立に翻弄(ほんろう)され、また帝国主義の世界支配の機関としての姿をむき出しにしている時はない。そしてまた、帝国主義間争闘戦がかつてなく激化している今だからこそ、イラク開戦時に如実に示されたように、国連もまた帝国主義同士の激突と抗争の場としての性格を強めている。
この時、日本共産党はこの現実をごまかすために、国連と国連憲章を天まで持ち上げ始めたのである。
「テロ根絶」論
新綱領案では、「新しい日本の平和外交の基本点」の一つとして「国連憲章に規定された平和の国際秩序を擁護し、この秩序を侵犯・破壊するいかなる覇権主義的な企てにも反対する」を掲げている。
さらに日本外交の基本点としてもう一つ、「テロの根絶のための国際的な世論と共同行動を発展させる」という一文を付け加えた。
この二つの言葉は何を意味するのか。
第一に、帝国主義が「国連憲章に規定された国際秩序」の名のもとに戦争を強行することを、無条件に承認するということである。国連安保理決議の形式さえあれば、すべての戦争に賛成するということである。すでに日本共産党は1991年の湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)を「帝国主義の侵略戦争ではない」と言って支持したのだ。
第二に、「テロ根絶」の名のもとに行われる被抑圧民族人民の虐殺と抹殺の侵略戦争に、全面的に賛成し加担するという表明である。国連こそは「テロ根絶」の先頭に立つべきだと言っているのだ。
小沢と同じ道
第三に、日本帝国主義が「国連中心主義」の名で自衛隊の海外派兵に踏み出すことを、全面的に支持し加担するということである。
アメリカ帝国主義は今、イラク侵略戦争がイラク人民の激しい抵抗闘争に直面して泥沼化する中で、国連安保理の「新決議」を追求している。「多国籍軍」を国連の名で強化・拡大し、その力でイラクの軍事占領と再植民地化を狙い、そのもとにイラク人民を組み敷き支配しようとしている。
この中で日帝・小泉は、「国連の承認」や「国連多国籍軍」という形式で、イラク特措法によるイラク派兵をも超えて、イラクへの自衛隊の本格派兵の道を追求している。帝国主義軍隊としての本格的な登場を果たそうとしているのだ。
日本共産党は00年の第22回党大会で「必要に迫られた場合には、自衛隊を国民の安全のために活用する」と決議した。国連の全面美化の表明は、この「有事の自衛隊活用」論と一体である。「アメリカに追随した戦争」に自衛隊が参加することには反対だが、国連という形式をとった戦争であれば自衛隊の海外派兵もどんどんやっていい、ということだ。日本共産党の国連賛美論の実践的な結論は、小沢一郎と同じ論法での、自衛隊のイラク派兵・海外派兵の尻押しなのである。
(藤枝杳)
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週刊『前進』(2122号4面5)(2003/10/20)
共謀罪にトドメを 山手線の全駅でビラまき
10月5日午後、破防法・組対法に反対する共同行動は、JR山手線全駅での「共謀罪新設阻止」を呼びかけるビラまきと渋谷駅ハチ公前での大宣伝を70人の結集で取り組み、5千枚のビラを配布した。
ハチ公前では、三一書房労組委員長の三角忠さんを始め青年労働者、洋書センター弾圧の被告などが共謀罪阻止を訴えるリレーアピールを行った。(写真)
この日の行動は、小泉政権による共謀罪新設攻撃と対決し、法案の臨時国会での審議未了・廃案に向けてトドメを刺す闘いとして行われた。
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週刊『前進』(2122号4面6)(2003/10/20)
10月2日〜7日
自衛隊法施行令で協力義務 石破「民間機撃墜も選択肢」
●ロシアも先制攻撃論を採用 ロシアのイワノフ国防相は、プーチン大統領も参加した全軍司令官会議で、今後10年の軍事戦略の指針となる新軍事ドクトリンを公表。ロシアと同盟国への脅威に対する先制攻撃を容認する内容で、核兵器の限定的な使用の可能性についても言及した。(2日)
●「証拠未発見」CIAが暫定報告書 イラクの大量破壊兵器を捜索している米中央情報局のデビッド・ケイ顧問が「具体的な証拠は見つかっていない」とする暫定報告書を下院の情報特別委員会で報告した。(2日)
●イラク「復興費」に6兆円 世界銀行は、イラク「復興」に必要な資金について、04年から07年までの4年間で356億j(約4兆円)という見積もりを発表した。また石油施設や治安など世銀が見積もりの対象にしなかった分野について、暫定占領当局(CPA)から提供された見積もりが194億jにのぼることも明らかにした。両方を合わせると550億j(約6兆円)となる。(2日)
●米軍が民間機撃墜訓練 米空軍がハイジャックされた民間航空機を撃墜する訓練を週に3、4回実施していることが分かった。借り上げた民間航空機を戦闘機がミサイルで狙う空中模擬訓練も行っているという。01年9・11の際、ブッシュ米大統領はワシントンの空域を侵す、いかなる民間機も撃墜するよう指示した。(2日)
●自衛隊法施行令改悪で協力義務 小泉内閣は閣議で、有事の際に自衛隊が協力を求める「業務従事命令」の対象者や管理できる施設などを具体的に定めるため、自衛隊法施行令を改悪した。有事関連法成立を受けたもので10月8日から施行。防衛出動の際の民間協力の範囲を規定し、業務従事命令では、医師や看護師など医療関係者のほか、建設、輸送事業者が対象に決まった。(3日)
●テロ特措法が衆院を通過 衆院本会議でテロ対策特別措置法改正案が与党3党の賛成多数で可決された。(3日)
●民主党が改憲案作り着手 民主党が改憲案の取りまとめに着手する方針を固めた。活動を休止していた党憲法調査会の総会を開き、調査会の下に5つの小委員会を新たに設置する。(3日)
●民主党が合併大会 民主党が旧自由党との合併大会を開き、「改憲論議を進める」などの政権公約を発表した。(5日)
●イスラエルがシリア領内爆撃 イスラエル軍が隣国シリアの首都ダマスカス近くを爆撃、「シリア領内の奥深くを攻撃した」と発表した。イスラム聖戦の訓練基地だと称している。(5日)
●11月下旬にも陸自先遣隊 防衛庁は、陸上自衛隊の先遣隊10〜20人を11月下旬にもイラクに派兵する方針を固めた。12月には本隊の一部約百人をクウェートに送り、3次から4次にわたって分離派兵される本隊の受け入れ準備を整える。(6日)
●キティホークから油流出 米海軍横須賀基地司令部(神奈川県横須賀市)は、同基地に停泊中の空母キティホークから廃水処理で抜き取った油約3万4千gが横須賀本港内へ流出し、5〜6日にかけて回収したと発表した。(7日)
●石破「民間機撃墜の選択も排除せず」 石破防衛庁長官は参院テロ防止特別委員会で、民間航空機が乗っ取られテロに使用されることが判明した場合、「(米国のように撃ち落とすことを)まったく考えないことでもない」と述べ、選択肢として排除しない考えを示した。(7日)
●日中韓首脳会談 小泉首相と温家宝中国首相、盧武鉉韓国大統領の3首脳会談がバリ島で開かれ、「朝鮮半島の核問題の平和的解決」などをうたった、3首脳初の共同宣言を採択した。(7日)
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週刊『前進』(2122号5面1)(2003/10/20)
教基法改悪阻止の大闘争を
有事立法と一体で侵略戦争への労働者動員を狙う攻撃 教育労働者を先頭に全人民の闘いに
高村 晋
アメリカ帝国主義がイラク人民の不屈の闘いで決定的危機を深める中、日帝・小泉政権はイラクへの自衛隊出兵を狙い、さらに北朝鮮侵略戦争の陣形づくりに全力を挙げている。その重大攻撃として教育基本法の改悪が狙われている。改悪法案が次期通常国会にも出されようとしている。これは教育労働者と労働者階級を戦争に総動員するための超反動攻撃だ。改憲に直結する教基法改悪を許すな! 改悪絶対阻止へ全人民の大闘争を巻き起こそう。11・9労働者集会に結集し、帝国主義と対決する労働者階級の国際的団結をつくり出そう。
「たくましい日本人の育成」「愛国心」前面に
中央教育審議会(中教審)は3月20日――すなわち米英帝がイラク侵略戦争を開始し小泉首相が全面支持表明を行ったまさにその日、「『21世紀を切り拓(ひら)く心豊かでたくましい日本人の育成』を目指すため……教育基本法をはじめ教育関連法制の見直しまでさかのぼった教育改革が必要である」とする最終答申を文科相に提出した。
これをてこにして、教基法改悪案を次期通常国会に提出する攻撃が進められている。小泉首相は9月の内閣改造で、文部科学相に教基法改悪の先兵である河村建夫(自民党教育基本法検討特命委員会事務局長)をすえ、また総務大臣に同じく強硬な教基法改悪論者の麻生太郎を任命した。まさに「教基法改悪突撃シフト」である。
9月臨時国会の所信表明で小泉は、「教基法の見直しについては、国民的な議論を踏まえ、精力的に取り組む」と表明した。また自民党は、11月総選挙に向けて、「教育基本法や関係法令を改正し、郷土や国を愛する心をはぐくみ、公共心と道徳心あふれる日本人を育成し、家庭や地域の教育力の回復をめざす」という選挙公約(マニフェスト)を発表した。
与党は、教基法問題の検討会を週1回のペースで開き、年末から年始にかけて法案をまとめると言われている。いよいよ改悪案の国会提出に向かって攻撃が強まっているのだ。
教育基本法改悪は、日帝支配階級のすさまじい危機の中で、戦争と帝国主義間争闘戦に勝ち抜く国家戦略として打ち出されてきている。中教審答申は、その冒頭で「我が国社会は、大きな危機に直面している」と危機感をあらわに叫んでいる。これは、日本経団連新ビジョン(奥田ビジョン)の「経済も社会も混迷の度を深めているというのが、日本のこの20年である」「さまざまな混乱が生じている日本の現状に有効な対策がとられなければ、その先に待っているのは『崩壊していく日本』である」という資本家階級の危機感とまったく同一である。
その上で、中教審答申は「我が国社会が長期的に発展する礎を築くために、教育についても(政治、行政、司法や経済構造などの)一連の改革と軌を一にして、大胆な見直しと改革を推進していかなければならない」として、教基法改悪を突破口に教育の戦後的あり方の全面的改変を行えと主張しているのだ。
「我が国=国家」を主語として教育を語ること自体が、教育の国家主義的転換であり、現行教基法からの大転換である。
次期通常国会には、このほかに北朝鮮侵略戦争遂行のための国民保護法案(=国民総動員法案)と米軍支援法案、また労働3権を空洞化させ労働組合運動の圧殺を狙う労働組合法の改悪案、社会保障=年金制度の全面改悪法案が提出されようとしている。戦争に向かっての国民総動員体制を、社会のあらゆる面から進めようとしているのである。
労組法―教基法―憲法という、戦後体制の出発点に制定・施行された法律を、日帝がいま全面的に破り捨て、改悪しようとしていることは重大である。激化する帝国主義間争闘戦と戦争に日帝支配階級が対応し延命していくためには、これまでの戦後民主主義的な階級支配のあり方ではやっていけなくなっている、ということである。だから、日本が生き残るためには、今や教育も、諸外国との競争、戦争に勝ち抜けるものに変わらなければならない、という論理・思想をむき出しにしてきたのだ。帝国主義的な民族主義、国家主義、愛国主義を、日帝が生き残っていくために不可欠なものとして押し出してきているのである。
“教育危機”の元凶は日帝だ
ところで中教審答申は、「我が国の教育は現在なお多くの課題を抱え、危機的な状況に直面している」「いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊などの深刻な問題が依然として存在しており」などと言っている。「だから教育の改革が必要だ」と教基法改悪を打ち出してきている。
だが、こんなペテンは断じて許されない。今日の学校教育の危機をつくり出してきたのは日本帝国主義そのものではないか。
差別・選別、能力主義、競争をあおり立てる日帝の教育政策が、学校教育への子どもたちの拒否や反発、いじめや「校内暴力」などを生みだしている。また、吹き荒れる首切り、リストラ、賃下げ、労働強化のあらしは労働者階級の家庭・学校・地域にさまざまな危機と矛盾をつくり出している。経済的理由から進学をあきらめたり、退学を余儀なくされる生徒も激増している。
このように教育危機の真の原因・元凶は帝国主義なのだ。その帝国主義に教育の危機を解決できるわけがない。それどころか、小泉政権と支配階級は、教基法改悪と教育改革の強行によって、この教育の危機・荒廃をもっとひどい、深刻なものにしようとしている。
帝国主義が自らつくり出した教育の危機を、あろうことか日教組の責任、教育労働者の資質の問題にすり替えて教育基本法を攻撃し、戦争教育を進めようとする帝国主義のペテンを、怒りをもって粉砕しよう。
「国家のための教育」に教育目的を大転換
帝国主義戦争=国民総動員戦
教基法改悪の狙いは、第一に、侵略戦争に労働者人民を動員するためである。
帝国主義の戦争は「国民の総動員戦」として初めて成り立つ。中でも決定的なものは「国民の精神的総動員」である。
支配階級は、全教育過程をとおして、帝国主義的な愛国主義=排外主義をたたき込み、侵略戦争に参加し、他国の人民を虐殺し、自らもまた国家のために命をも捧げて惜しまないというレベルに至るまで、子どもたちをたたき上げようとしている。
そのために中教審答申は、「21世紀の教育が目指すもの」として「たくましい日本人の育成」を掲げた。まさに「たくましい日本人」は、帝国主義間争闘戦―戦争に日帝が勝ち残るための戦士養成のスローガンである。
答申はこの背景として「我が国社会が直面するさまざまな困難を克服」するためなどと言って、「国家の存立のための教育」ということを強烈に押し出している。
これは、現行教基法前文の「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」や、第1条(教育の目的)でいう「人格の完成」を本質的に否定するものである。(ごまかし的に、両方を並列するとしても同じことだ。)
「日本人」「我が国」と一くくりに言うが、現実には労働者階級と資本家階級の利害は真っ向から対立している。労働者階級は日々、資本家によって剰余労働を搾取され収奪され、首を切られ、賃下げされている。「日本人」「日本国民」「我が国」という概念は、その階級的対立関係を押し隠すものでしかない。
また、「教育の目的」に付け加えるべき新たな理念として、「『公共』の精神、道徳心、自律心の涵養(かんよう)」「日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養」を大きくおしだしている。これは結局、天皇制と天皇制イデオロギーを中心にすえ、排外主義的なイデオロギーにのめりこんでいくことは必至だ。
われわれは、帝国主義の延命のために侵略戦争をし、他民族を侵略・虐殺し、他帝国主義国の労働者人民と戦争をすることなど、労働者階級の名においてきっぱりと拒否する。他国の労働者人民は、戦争をする敵ではなく、連帯すべき仲間である。帝国主義の世界支配を転覆し新しい社会をつくるために、ともに闘うきょうだいである。
侵略戦争の中でしか存在できない帝国主義国家は、敗北した方がいい。そんな体制はなるべく早く転覆することが日本人民と国際プロレタリアート人民の利益になるのだ。
差別と選別の複線型教育
教基法改悪の狙いは第二に、帝国主義間争闘戦に対応した労働力養成のための差別・選別教育である。
95年に日経連は、終身雇用の基幹社員を労働者全体の10%とし、残り90%の労働者を低賃金・不安定雇用に突き落とすという、争闘戦時代の新たな労働力政策を打ち出した。(「新時代の『日本的経営』」)
この財界の要請にこたえて、中教審答申は「新たに規定する理念」として「個人の自己実現と個性・能力、創造性の涵養」「職業生活との関連の明確化」「時代や社会の変化への対応」を挙げた。「職業生活との関連」については、「子どもに的確な職業観・勤労観や職業に関する知識・技能を身につけさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力や態度をはぐくむ」としている。
この意味は、教育を、一方においてはスーパーエリート層およびエリート層の育成を自由に激しい競争原理のもとで行うこと、他方においては、労働者階級の大部分の子どもたちにはほどほどに読み・書き・計算の基礎を教え、あとは道徳心、公共精神のようなものをたたきこんで、不安定雇用労働者(労働力)とすればいいというものだ。
これは教育の階級的差別・分断である。教基法第3条で規定する「教育の機会均等」の原則を真っ向から否定し、戦前の日本における複線型教育を今日的に再生しようとするものだ。
現行教基法のもとでも日帝は能力主義や競争の激化、階級的格差の拡大を進行させてきた。今や、戦後教育の平等主義はあからさまに否定され、むき出しの階級的差別教育が現出しようとしているのである。
「教育振興基本計画」で統制
教基法改悪の狙いは、第三に、教育の国家支配と教育労働者への抑圧、日教組運動の解体である。日教組を根底から解体し、産業報国会的存在へと変質させることを狙っている。
戦士づくり、産業戦士づくりのために決定的な条件は、教育労働者の一切の抵抗をねじ伏せ、戦争教育のために動員することである。これなしには絶対に教育の戦争教育化は実現できない。そこで教育労働者をたたき伏せる攻撃が同時に強まっているのだ。
重大なのは、教基法第10条の全面的改悪である。教基法10条は、国家権力が教育の内容に介入することを禁止している。これは戦前の天皇制下の日帝権力が、教育勅語を頂点に、天皇の勅令をもって教育を完全に支配したことに対する、支配階級なりの「反省」として設定された。それを答申では、教育行政が行うべき「必要な諸条件の整備」(10条の2)には「教育内容等も含まれる」ことをはっきりさせ、それを「教育における国と地方公共団体の責務」として規定しようとしているのである。これは10条の完全な解体である。
そのことをはっきり示すものが、「教育振興基本計画を策定する根拠となる規定を、教育基本法に位置付ける」としていることである。
「教育振興基本計画」は、教育内容、教育制度、教員管理など教育のあらゆる内容・項目にわたり、閣議決定によって実行に移される。教育振興基本計画の法的根拠を新たな教基法に規定することで、国家権力による教育の支配・統制、国策・国家戦略としての教育といったことをすべて合法化しようとしている。きわめて重大な攻撃だ。
この点で、来年4月から強行される国立大学法人化攻撃は、学問研究・教員の国家統制と大資本による大学・学問の支配を決定的に強めるものである。中期目標設定―評価と資金配分を道具に使った大学教育の統制は、いわば教基法改悪―教育振興基本計画体制の先取りとしての意味を持つものである。
中教審答申では、ほかにも教員の「研究と修養、資質向上を図ることの必要性」、家庭や社会教育への国家介入・統制、「宗教の持つ意義の尊重」によるマルクス主義の排撃、天皇制イデオロギーの導入など、重大な攻撃が列挙されている。
「教育の憲法」と言うべき教基法改悪を日帝が強行すれば、続いて学校教育法、社会教育法などの諸法令、学習指導要領・教科書検定基準なども全面的に見直され、改悪が強行されていく。「日の丸・君が代」攻撃も「つくる会教科書」攻撃もまったく新しい段階に突入する。さらに教員評価制度と自己申告制などの教員の支配・管理の攻撃が全面化してくるのである。
日教組運動の階級的再生をかけて闘おう
教基法改悪は、その内容・大きさからして、憲法改悪に直結する攻撃であり、改憲阻止決戦そのものとして全人民的決起をつくり出さなければならない。教育労働者にとっては「教え子を再び戦場に送る」事態が切迫しているのだ。絶対に改悪を阻止しよう。
そのために、どのように闘うべきか。
第一に、この攻撃が帝国主義の侵略戦争に労働者人民を動員していく攻撃であることをはっきりさせ、反戦闘争の重大な課題として闘うことである。教育労働者は、陸海空港湾労組20団体を始め他産別の労働者との階級的共同闘争として、反戦闘争に決起しよう。
第二に、教育問題は全人民の課題である。戦争教育、差別・選別教育の中で、多くの労働者人民とその子どもたちが悩み苦しんでいる。その苦闘を共有し、団結を広げ、教基法改悪阻止を全人民的課題に押し上げて闘うことである。
第三に、何よりも教育労働者が最先頭で闘うことである。
日教組本部は、これほどの攻撃を前にしてなお、「(教基法改正)法案が上程されても、文科省との参加・提言・改革の協調路線を変更する考えはない」(4月、榊原委員長)などと許し難い屈服路線をとっているが、現場労働者には怒りと闘いの機運が高まっている。日教組本部のパートナーシップ路線に疑問と不信を抱き、闘う路線を模索している。11・9労働者集会に教育労働者の大結集を実現しよう。ここに勝利の道がある。
連合中央の「資本家の手先」化と、日本共産党の綱領的大転向の中で、今や労働運動が大流動化を開始している。8月自治労大会で綱領的屈服路線の「21世紀宣言」採択を拒否した自治労組合員の反乱は、全労働者階級への決起の呼びかけだ。自治労中央は9月続開大会で宣言案採択を強行したが、連合―自治労の産業報国会化に抗する労働者の怒りの決起はこれからさまざまな形で噴出していく。8、9月の攻防はそのほんの始まりだ。100万自治労に続いて、33万日教組が、連合の産報化を阻むもう一つの決戦場だ。
今や連合中央は日本経団連・奥田路線の手先だ。連合中央は7月に教育基本問題検討委員会(座長・草野事務局長)を発足させた。教基法改定についての考え方を近々にまとめ、発表するとしている。これは昨年の有事立法賛成の「5・16連合見解」と同様の、教基法改悪賛成・支持の連合見解を出そうということである。これを受けて、日教組本部が「意見反映―修正協議」路線に走り出すことは確実だ。連合中央―日教組本部の屈服を粉砕し、教育労働者の総決起をかちとろう。広島の闘いに続こう。
来年3月の日教組臨時大会を、文科省との協調路線粉砕、教基法改悪阻止の歴史的決起の大会としよう。
動労千葉の闘いに学び、戦争と大失業時代に帝国主義と対決する教育労働運動をつくり出そう。国鉄分割・民営化攻撃と闘い、組合の団結を守って勝利してきた動労千葉の闘いの教訓『俺たちは鉄路に生きる2』(中野洋顧問著)は、教労戦線においても労働組合はどのような思想・構えで闘うべきかのガイドブックだ。全国の教労職場、組合活動家に広めよう。
第四に、こうした闘いの一切の基礎として、教育労働者の中に、革命党の細胞を強固に建設することである。闘いの勝利のためには、労働者の党が絶対に必要だ。
革共同に教育労働者の大結集をかちとろう。党派闘争を進攻的に闘い抜き、組合権力の確立へ闘おう。今こそ飛躍の大チャンスだ。
教育基本法(抜粋)
われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第1条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第2条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
第3条(教育の機会均等) @すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人権、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
A国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
第4条(義務教育) @国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
A国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
第5条(男女共学)略
第6条(学校教育)略
第7条(社会教育)略
第8条(政治教育) @良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
A法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
第9条(宗教教育) @宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
A国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
第10条(教育行政) @教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
A教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
第11条(補足)略
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週刊『前進』(2122号5面2)(2003/10/20)
第5部 アジア・太平洋侵略戦争(6)
ビルマ・インドへの侵略 反英闘争利用して占領支配
ビルマ(ミャンマー)は、イギリス帝国主義の植民地であり、また日本軍に対抗する連合国軍側の援蒋(中国支援)ルートの拠点でもあった。したがって反英ビルマ工作と援蒋ビルマ・ルートの遮断は、日本の南方侵略にとって主要な戦略課題であった。日本軍のビルマ侵略は、もちろんビルマの解放を目的としたものではなかった。
日緬(日本・ビルマ)協会書記長・南益世の偽名でビルマ工作をしていた鈴木敬司陸軍大佐を機関長とする「南機関」(大本営直属の特務=謀略機関)は、ビルマの反英運動の指導者たち(後に「30人志士」と言われる独立運動家)を日本で軍事訓練をして、ビルマに送りこんだ。逆に「30人志士」の側は、日本を利用して反英民族解放闘争の突破口を開こうとしていた。
「30人志士」たち
「30人志士」と南機関によって編成された「ビルマ独立義勇軍(BIA)」は、日本がビルマ侵略を開始した42年1月に日本軍とともにビルマに入った。日本軍は、同年3月にはイギリス軍を追い出し、ラングーン(現ヤンゴン)を陥落させた。
日本軍はラングーン陥落の2日後の3月10日に軍政部を設け、軍政施行の準備に入った。BIAは、日本に対し独立の宣言を要求したが、日本軍は言を左右にして認めなかったばかりか、ビルマ全土を制圧するとBIAを解散した。
42年5月、ビルマ全土が日本軍の手に落ちた段階で軍政を布告し、同時にバモオ博士を首班とする暫定内閣を組織させた。しかし、行政組織の各部署には、日本人顧問が必ず任命されていて、日本軍の軍司令官が許す限りでの内政が認められたに過ぎなかった。
ラングーン陥落時に約束されていた独立は、翌43年日本の戦局不利打開から、ビルマの戦争協力を得るため、しぶしぶ日本から与えられた。
43年1月、第81帝国議会で東条英機首相は、年内にビルマにおける軍政の廃止と独立許与を声明した。これを受けて、ビルマ新政権の国家主席は、日本の東条内閣が「大東亜共栄圏」を鼓吹して召集した「大東亜会議」(43年11月)にも出席したバモオがなり、「30人志士」のリーダー格であり、ビルマ独立の英雄とも言われるアウンサンが国防大臣になった。
しかし、アウンサンが翌年8月に「紙上の独立」にすぎないと演説したように、新政権は日本のカイライ政権でしかなく、また独立もメッキでしかなかった。日本軍は秘密軍事協定に基づいてそのままビルマに駐留したのみならず、軍事上の一切の自由を有してビルマ人民を抑圧し続けた。
憲兵隊による拷問、一部将校らによる民衆への粗暴行為、農村における婦女暴行や家畜の徴発、日を追うごとに悪化する経済状態(米の輸出の中断、流通機構の停滞、連合軍の空襲による生産基盤の破壊、日本軍による物資の強制徴発、軍票の乱発による悪性インフレ)、さらに泰緬(たいめん)鉄道建設工事に象徴される強制労働が強行された。こうした日帝の支配下でビルマ人民は怒りの炎をたぎらせ、真の独立を望む声は全土に広がっていった。
日帝の狙いを見抜いてきたビルマでは、「独立」以前から抗日運動が潜在しており、「独立」の実態が明確化されるにつれ、44年には抗日のための統一組織「反ファシスト人民自由連盟」(パサバラ)が結成された。
インドへの侵略
日本軍によるビルマ制圧の直後、つまり42年3月から4月にかけて、日本軍はさらにインド領に対する侵略活動を開始した。その際、スバース=ボース指揮下のインド国民軍を操って、日本軍の侵略活動を補完させた。
まず、42年3月、日本軍はベンガル湾上に浮かぶアンダマーン=ニコバール諸島への上陸作戦を敢行し、45年7月まで同島を占領下においた。初めから、日本軍は、食糧不足に悩み、連合国側の潜水艦活動が積極化する中で、補給線が崩れるや、日本軍は直接役に立つ人間だけを残して、数百人の老若男女を虐殺し、生きた人間を海中に沈める非道を行った。
42年4月6日、日本軍は南インドのアーンドラ地方のベンガル湾に面した都市への爆撃を行い、東部インドのカルカッタや南インドのマドラースなどに次々と無差別爆撃をかけ、民間人や農民の間に多数の死者を出した。この爆撃に対しては、インド国内に激しい抗議行動が起こった。
日本軍は、太平洋戦域で米軍の総攻撃で一歩一歩後退する局面にあった。打ち続く「玉砕」(敗北のこと)と「転進」(撤退のこと)は、日本国内の厭戦(えんせん)気運を高めた。そこで、東条首相はインド・ビルマ国境地帯での一層無謀な事態打開の戦争方針を決定した。いわゆるインパール作戦の提起である。
インパール作戦
前線でこの作戦の強行を策したのは、ビルマ方面軍司令官の川辺正三中将と第15軍司令官の牟田口廉也中将であった。この牟田口は盧溝橋事件の当事者であり、今回の作戦の実質的な推進者であった。
44年3月から始まったインパール作戦は、初めから補給を無視して行われたため、インパールの手前で進撃が停止し、逆に圧倒的物量と兵力を誇り、制空権を握って猛攻を続ける英印軍の前に敗退を強いられた。英印軍は、空からの補給を受けて日本軍を圧倒し、敗走へと追い込んでいった。牟田口は、師団長3人全員を更迭して攻撃続行を命じたが、指揮命令系統は混乱をきわめ、日本軍は壊滅状態に陥っていった。
こうして、英印軍の追撃を受けて、日本軍は撤退を続け、作戦参加兵力約10万人のうち戦死者3万人、戦傷病者4万人という悲惨な作戦に終わった。日本兵の死体が累々(るいるい)と並んだ撤退路は、「靖国街道」あるいは「白骨街道」と呼ばれた。
この作戦の失敗で、日本軍はビルマの支配権を失っていった。
45年から始まった「イラワジ会戦」で日本軍が英印軍に敗北したのを契機に、「ビルマ国軍」(「人民独立軍」と改称)と農民義勇兵を核とした「パサバラ」は、アウンサン指揮のもとに反乱を起こし(45年3月27日)、英印軍到着前にラングーンを占領して日本軍を追い出した。
(火尾保)
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週刊『前進』(2122号6面1)(2003/10/20)
全労連の組合員にもあきらめず働きかけ 関東・青年労働者 池田あゆみ
私は全労連傘下の未組織労働者の組合の執行委員です。今、私の所属する組合は、どんどん共産党色が強くなってしまって、組合員を規制・抑圧する方向に向かっています。組合がこんな調子になってしまって悔しいけれど、でも私はあきらめたくありません。
全労連の組合員だって、彼らも同じ労働者です。私は、ここで今までやってきたことを無駄にしたくない。今私が学んでいることを、自分の組合にどんどん持っていきたい。「ここの組合は駄目だ。何を言ってもわかってくれない」とか、「こいつらに渡しても過激派だと批判されるから無駄だ」とかあきらめているのではなくて、そういう枠をのりこえて闘おうと思って、訴えています。
私たちは資本に自分を売っているのではなく、労働力を売っているのであって、自分を犠牲にして資本のために働いているわけではありません。自分の仕事が好きで、自分の仕事に誇りをもって働いている人が大半です。だから、本当に解放されて仕事ができる状況をつくっていきたいと思います。
広範な労働者に呼びかけていくためにも、自分たちはなぜ働いているのか、何のために働いているのか、資本と自分はどういう関係なのかということをよく理解できるような機関紙をつくってほしいと思います。
そうして呼びかけた労働者を11月労働者集会に集めて、団結して、既成の指導部に自分たちがどれだけ抑圧されていたのか気づいてほしいし、新たな資本への怒りと闘う決意をもって帰ってもらえたらいいと思います。がんばりましょう。
職場の仲間にマルクス主義持ち込む決意 北海道・自治体労働者 吉尾文也
自分の職場では今、自治労からの脱退者が相次いでいます。脱退する人の理由は、大半が「組合にいてもメリットがないから」というものです。組合が信頼されていないからなんです。例えば5%の賃下げが提案された時に、「ストや交渉を構えて2・5%まで圧縮させました。これは組合が勝ち取った成果だ」と言って組合の存在意義を唱えるだけで、一度もストを貫徹したことがありません。執行部は、本気で闘う姿が見えない。それが執行部に対する不信を生み、脱退者を生み出しているのです。
先日、組合青年部の取り組みで新入組合員の一泊学習会を行いました。その中で感じたことは、今、圧倒的に多くの青年労働者は、自分が労働者であり、資本家に搾取される存在であること、しかし労働者こそが次なる社会を生み出す力を持つ主人公であると自覚することを奪われているということです。青年部執行部の一員として責任を痛感しています。
マルクスは『共産党宣言』の中で「労働者はときどき勝利することがある。しかし、その勝利は一時的なものにすぎない。労働者の闘争の本当の成果は、直接の成功にあるのではなくて、労働者の団結がますます広がっていくことにあるのだ」と書いています。職場で闘っていくために、こういう考え方が本当に必要な時代に入ったということを実感しています。そういう立場に立ってこそ、資本家が労働者にかけてくる攻撃に立ち向かうことができるのです。
私も職場の仲間にマルクス主義を持ち込んでいこうと思います。
国際連帯掲げる集会にふさわしい結集を 関東・金属労働者 金田一夫
労働者に元気がないと戦争の道に入ってしまう――そういう時代に入っています。多くの産別が綱領を変えて、戦争に動員する方向に向かっている。
そういう中で11月集会は今年で6回目を迎える。「マンネリ」と言われるような状況もあったが、今年は9・11から3・20イラク戦争という情勢の中で、世界の労働者の帝国主義に対する闘いが始まっている。そういう中で国際連帯が生まれてきている。今日までのわれわれの闘いが、こういう状況を切り開いていると言える。
あらためて、もう一度、「たたかう労働組合の全国ネットワーク」運動の原点に立ち返る必要がある。日本の労働組合の団体としては1万人を集める力がないとそれなりの団体として認証されない。そこまで持っていくためにとりあえず5千人は必要だと思います。
私は、全労連傘下の労働組合員ですが、全労連に「日共」というレッテルを張ってしまっていた。そのもとにいるまじめな労働者に呼びかけていきたい。
『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 職場闘争の異議鮮明 勝利の確信をつかむ 東京・自治体労働者 坂本浩志
職場を軸に、労働運動の階級的再生を展望して、日夜苦闘する自分にとって、さまざまな教訓と実践方針に富んだ一冊でした。
「動労千葉の歴史と教訓」という副題を持つこの本を、著者である中野洋動労千葉常任顧問の労働運動史というだけでなく、現在の動労千葉につながる国鉄労働者たちの生き生きとした闘争記として自分は読みました。
動労千葉地本時代以来の国鉄青年労働者たちは、資本・当局・ダラ幹らを相手に職場闘争を積み上げることで組合権力を奪い取ったのです。戦後労働運動の激動の中で三里塚ジェット燃料闘争、動労革マルとの対決、国鉄分割・民営化反対闘争を、階級的労働運動の旗を高く掲げて闘う動労千葉の強さが、現場労働者の団結力の強さにこそあることがよくわかりました。
また、組合権力の奪取と団結の強化・拡大の基軸が職場闘争であったことが新鮮な驚きでした。
職場闘争について中野顧問はこう書いています。
「職場闘争の本質は職場支配権をめぐる党派闘争。資本・当局とどう闘うかが一番の党派闘争」。さらに「職場闘争の核心は、資本に対する怒り、当局に対する怒り…それから、こういう状況に追い込んでいる組合のダラ幹に対する怒り」を持つ労働者が「俺たちがこの組合の権力を握り、闘う労働組合になるという目的意識性を持つことで」激しい職場闘争ができる。そして、結論的に「職場闘争は、その渦中で多くの労働者の支持を集め、それを提起した活動家たちの権威を高めていく。そういう闘いを日常不断に形成していかなかったら権力はとれない。組合権力をとるということは組合員の圧倒的多くの支持を得るということ」
職場闘争の中心にマルクス主義で武装した活動家がいるならば、あらゆる職場闘争が資本主義の打倒を目指す階級的労働運動に結実するのです。だからこそ動労千葉は、全世界を戦争にまきこむブッシュの戦争政策に対して、労働者の国際連帯をかけて11月労働者集会を呼びかけているのです。本書を読むことで、11月労働者集会に向かって職場を組織化する決意を新たにしました。
有事法制下の日本で、連合を先頭に労働運動総体が自己崩壊的に右展開しつつある今こそ、階級的労働運動の再生とマルクス主義の復権こそが必要なのです。ましてや、旧綱領にある「労働運動の階級的使命」を捨て去る「21世紀宣言」を、組合民主主義を踏みにじって「採択」した自治労中央の行き着く先は、地域労働者を侵略戦争に駆り立てる産業報国会化そのものです。本書で自治労中央打倒に向かって職場権力を奪取する闘いの勝利の展望と確信をつかみ取ることができました。
〔中野洋動労千葉顧問著、労働者学習センター刊〕
東大阪市議選を闘って 初めての宣伝隊やりぬいた 全国連同盟員学生K・S
僕にとっては初めての選挙の体験でしたが、投票日までの3週間を荒本に泊まり込んで闘いぬきました。本当にたくさんのことを学んで経験しました。
50議席に63人もの候補者がひしめきあう厳しい選挙戦でしたが、阪口陣営だけが、住民の生きんがための要求を聞いて、住民が主人公になった団結と行動をつくりだして東大阪市政を変えるという選挙戦ができたと思います。荒本支部のきょうだいが、1日たりとも休まず闘いぬく気迫に、本当に勇気づけられました。僕は子どものころから「かっちゃん」をよく知っていたので、なおさらこの選挙を一生懸命に闘いました。
僕の任務は、宣伝隊でした。ハチマキやのぼり旗を手作りしたり、駅前でビラまきをしました。どのようにして新人候補の阪口の名前を知らせるのか、何が必要なのかと、みんなで試行錯誤をしながらやりぬきました。その日の夜に会議を行い、その日にあったことをみんなで出しあって、明日の行動に備えました。
街宣では、若者の反応が抜群によかった。僕が駅前を通りかかった若者に「いっしょに反戦を呼びかけてほしい」と話したら、十数人が阪口候補と並んで訴えてくれました。
また、住民の生の声のメッセージボードをつくって住民の怒りを訴えました。「かっちゃん」に声援を送る人、手を振る人、握手を求める人が日がたつにつれて目立ち始めました。
政策宣伝カーに乗って市内を回った時に、他党派の動向がよくわかりました。日本共産党は介護保険の取り組みを宣伝していましたが、実際には何も取り組まないので7議席も失って大敗北しました。公明党が人を平気でだまして、政治を牛耳ろうとすることに非常に腹が立ちました。自民党の宣伝はめっちゃ弱々しかった。しかし、阪口陣営の宣伝カーには、住民が一生懸命に手を振ってこたえてくれました。僕は勝利は目の前だと確信しました。
2811人の力を背景にして、かっちゃんには市議会に飛び込んで暴れ回ってほしい。僕は、この選挙で学んだ貴重な体験を、地元の村や大学に持って帰って、全国連支部の建設と解放研づくりに生かしていく決意です。
東大阪市議選を闘って 民衆の自主的で力強い決起 東京・出版労働者 山根賢次
「わあー、やったー」。事務所わきの空き地に集まった200人以上の人びとに当選の知らせが伝えられた時、どよめきと大歓声が巻き起こった。肩をたたきあって健闘をたたえあう人、抱き合ってうれし泣きする荒本支部の婦人部の人たち。9月21日午後11時半、阪口克己市会議員が誕生した瞬間だ。
9月14日の告示以降、住民による集票は爆発的に拡大し、誰もが勝利を予感した。しかし、寝屋川弾圧などで選挙戦のスタートは著しく遅れ、事実上4カ月弱の選挙戦で無名の新人=阪口候補が勝てるのか、これはまったく未知数だった。
このような危機を突破したのは住民大衆だった。7月から8月の間、東大阪全域を網羅して48カ所・延べ500人を超える人びとの参加でかちとった介護・国保・年金・医療・仕事などの相談会、そしてそれを広大なすそ野としてかちとられた7月末・8月末の介護保険料の減免をめぐる対市交渉――これが住民大衆の闘う意欲に火をつけた。
ある市民は私に、「市役所との交渉に参加して、必死に思いを語るお年寄りの生の声を聞いて自分も頑張らねばあかんねんなと思った」と言い、またある人は「阪口さんを絶対に市議に通すために、朝になると今日は誰に会って話そうかと思って体がうずうずしてくる」と言っていた。
このような中、これまで共産党や公明党を支持していた人びとの中からも阪口支持に回る人が大量に出た。ひとりで10票も20票もとる住民が次々に現れた。学会の締めつけをはね返して決起した人の中には「このままでは公明党に不在者投票に連れて行かれるから」と言って、その先を越して不在者投票を済ませた人もいた。民衆のそうした自主的で力強い決起が、最後は阪口候補を当選ライン上にまで押し上げた。
このような躍動的な選挙をともに闘うことができたことは大きな収穫であり、教訓を今後の活動に生かしていきたいと思います。
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週刊『前進』(2122号6面2)(2003/10/20)
小嵐九八郎著 蜂起には至らず ●新左翼死人列伝
闘い倒れた人びとの生きた跡を振り返る
雨宮 透
この本は「新左翼死人列伝」として講談社の月刊誌『本』に連載され、その都度話題になってきた。今年4月、27人の死者を論じてまとまった一冊の本となり、現在3刷にまで至っている評判の書である。
1960年代、「新左翼」が登場し、時代を牽引(けんいん)してきた。その闘いの中で倒れた革命家(あるいは革命家たらんとする者)の死にざま(生きざま)をとおしてこの40余年をあらためて振り返っている。著者は、故人の足跡に迫ろうと、ていねいに墓参りまでして、感情のこもった作品に仕上げている。
ここでは、われわれに関係のある人を中心に紹介してみたい。
闘いの記録
冒頭は60年6・15国会構内で警察機動隊と激突して虐殺された全学連の樺美智子さん。その衝撃は安保闘争を強烈に押し上げたが、彼女が永眠する多磨霊園21区2種32側14番のたたずまいまで紹介されており、同霊園に寄った時にはぜひ黙祷(もくとう)してこようという気になった。
第3章奧浩平君、第4章山崎博昭君は、若くして散った中核派の学生同志。享年が奧21歳、山崎18歳という若さなのに、その読んでいる本の多彩さ、理解の深さ、マルクス主義の精髄を吸収して社会の矛盾に体当たりしている水準、その純粋性に著者はびっくりしている。67年10・8羽田で倒れた京都大学1年生山崎博昭君のモニュメントは、荒々しい中核派誕生を劇的に記録している。
第12章川口大三郎君は、早稲田大学文学部の学生で中核派シンパゆえにカクマルからリンチを受け、大学構内で虐殺された。「遺体には四十カ所の打撲傷があった。享年二十」とあるのが胸に突き刺さる。
第14章前迫勝士さん。革共同東京東部地区委員長として、法政大学でのカクマルとの集団戦で倒れるまでの同志の姿がいきいきと描かれている。クリスチャンだった彼が、組合活動家としてそして革命家として成長していく道のり、彼の性格まで伝わってくる。著者は、取材したお連れ合いのりんとした姿に感銘を受けている。
本多さんの魅力
第15章本多延嘉さん。革共同書記長の魅力、人物の大きさが、著者が早大で接点があったこともあって、実感をもって表現されている。もちろん、イデオロギー、綱領などその理論と実践で政治党派は評価される。しかし実際は、同時にその担い手たちの魅力、その人間性や信頼度が決定的に大きいのである。「本多さん」と言う時、今もわれわれの胸に、温かくも厳しい彼の姿がよみがえる。本多さんが好きだった言葉「勝利に向かっての試練」は、彼の死をもそのひとつとして革共同を前進させたのである。死後28年を経て、革共同でない人の筆で書かれた本多像も、やはり革共同の魅力をたっぷりとたたえている。
革労協のトップ中原一氏への追悼をこめた文章は、同じ組織だった著者の思いが2章にもまたがり力がこもっている。
ブンド系やそれ以外の「蜂起には至らず」倒れた人びとも数多く記録されている。記憶から消え去ろうとしている人たちの貴重な記録にもなっている。エスペランチスト由比忠之進さんが焼身をもってベトナム侵略に抗議した記録も、闘いの歴史をつくった人の列伝として注目される。
この本は、日本の革命的左翼がいかに国家権力や反革命カクマルと闘ってきたか、そしてそれを担った人びとがどんなにヒューマンに生きたかを、味わい深い筆づかいで伝えている。
ここに描かれた革命家たちは、著者の、日本階級闘争の歴史への思いの深さと闘う者への優しいまなざしによって、21世紀に鮮やかによみがえっている。
一文学者の作品として、日本の革命運動と諸党派の人間的実存が内面から描かれたことには必然的な意味を感じる。多くの労働者、若い活動家に読んでもらいたい一冊である。
(講談社刊 1900円)
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週刊『前進』(2122号6面3)(2003/10/20)
労働者に背を向けた日本共産党@ 前進社刊
日本共産党新綱領案の全面批判
不破綱領の歴史的転向性を鋭く暴いた党派選択の武器
政権の一角に食い込むことに延命かける
日本共産党の綱領改定案が6月に発表されて以来、現綱領からの決定的な転換をめぐって党内や全労連の労働者たちの間に深刻な動揺が起き、新たな流動状況が生まれている。今日の内外にわたる激動情勢の中で、いったい日本共産党・不破は何をやろうとしているのか。
新綱領案の採択を狙う第23回党大会の直前に、ブックレット「労働者に背を向けた日本共産党」シリーズの第一弾が前進社から発行された。本書は、新綱領案の全面的な批判をとおしてその歴史的転向を暴き、現在の不破体制のあり方と路線に疑問や不満や怒りを抱いている労働者、とりわけ日本共産党内で思い悩んでいる人たちに、問題の歴史的重大性を真剣に率直に訴える立場から日本共産党批判を展開したものである。
本書は3部で構成され、巻末に新旧三つの綱領の比較対照表が付されている(94年綱領の見出しはインターネット資料のもの)。
第T部「日本共産党はどこに顔を向けているか」は、ずばりと、今回の綱領大改定の実際の狙いは何かを明らかにした章である。
不破議長ら日本共産党中央が新綱領案を提出した最大の動機は、現在の世界史的激動、階級決戦の時代における治安弾圧におびえ、間違っても闘う勢力と思われないために「思いきって従来の枠を突き抜けて右にシフトし、政権党の一角に入り込むことでしか延命できないと決断」したということにある。そのために、絶望的危機にある日本帝国主義の救済者として自己をブルジョア支配階級に売り込み、「労働者階級に背を向け、人民のたたかいを抑え、裏切っていくための決断」を下したのである。それは破産したスターリン主義として、革命的激動の時代における反革命へ回帰することが今日的な唯一の延命策だからである。
資本主義救済の「改革」案を逐条的に暴露
本書の中心をなす第U部「新綱領案の逐条批判」は、新綱領の個々の条文の中からこの意図を暴き出している。新綱領案のすべての文言は、ひたすら日帝=支配階級に向かって宣言したものである。
新綱領案の5章構成にあわせて同じく5章立てで書かれている。現行綱領(94年改定)および61年綱領との比較対照を行いながら、特に従来の条文のうち何が消され、何が新たに付け加えられたかに読者の注意を喚起している。巻末の新旧対照表が分かりやすいので、十分活用してほしい。
以下、5章全体で明らかにされた主要な問題点を確認したい。
第一に、反自民のブルジョア連立政権に入るために徹底的に現状を肯定することを誓ったということである。
そのために、階級的・労働者的なものはもとより、およそ闘いや要求といった要素(概念・言葉)を綱領案から根こそぎ一掃したのである。社会主義革命どころか従来綱領にあった「民主主義革命」すらもその中身は完全に無内容化された。実際には「革命的なこと」は何もやらないというところに核心があるのだ。
「改革」と言っても、その内容は「ルールなき資本主義」という「日本経済の弱点・欠陥」を「ただして」「ルールある経済社会」にすること=健全化がすべてであり、資本主義の強化、積極的支持・擁護そのものなのだ。したがって実践的には、資本主義を階級的に批判する者など絶対許さないという立場を言明するものである。ここに最大の政治的結論があると言える。
そのために従来の綱領にある二段階革命的要素=社会主義的残滓(ざんし)を一掃し、資本主義の全面的肯定に突っ走った。ここに従来の綱領を根本的に転換させた不破綱領の特徴がある。
第二に、政治路線的にはその体制擁護ぶりをどぎつく押し出したのが「対米従属論」の徹底化である。日本資本主義の今日の問題はすべて「アメリカの支配」に原因があると言って、資本主義を免罪し、一切を反米愛国的な排外主義に絞り上げたことである。それは、帝国主義の危機と争闘戦の激化にあたって支配階級を右から突き上げ、「内へ向けての階級戦争、外へ向けての侵略戦争」で突破することを提起しているのである。「奥田ビジョン」に完全に符合している。
第三に、これらすべてを合理化する理屈として憲法・法制と国連(憲章)を絶対の規準とし、その順守を誓った。安保と自衛隊の容認(積極的活用)、天皇制の容認などを綱領で明記したことは、それゆえ単なる屈服ではなく、画然とした積極的肯定の意味をもつのである。これらは、まさに今、有事法制・イラク自衛隊派兵をもって侵略軍隊・侵略国家への飛躍をやりつつある日帝への恭順を誓うものであり、実践的にきわめて悪質な先兵としての役割を自覚的に担っている。
第四に、以上の政治的展開と一対の関係にある不破の、マルクスを語って労働者階級自己解放の事業の解体を策す「社会主義・共産主義論」のインチキさを暴露し、その意図の悪らつさを徹底的に鮮明にさせた。
このように新綱領は、「帝国主義の番兵」化を売り込むものだ。このことをしっかりと見抜かなければならない。第U部はそれを十分説得的に突き出している。
帝国主義ない論の反革命性を徹底弾劾
第V部「帝国主義は消滅したと断定する不破議長」は、この新綱領案の理論的前提をなす「不破理論」のインチキ性を暴き出した重要な総括的な章である。ここでは、イラク侵略戦争などの現実を前にしながら不破が、「帝国主義の時代は終わった」、戦後の現代においては植民地も侵略も帝国主義もなくなった(日本もアメリカも帝国主義ではない)、したがって帝国主義戦争もなくなったなどと言っていることの反革命性をえぐり出している。
今や、日本共産党は、どんな意味においてももはや労働者人民の党ではない。まさに今、この「日本共産党問題」が、共産党員を含む労働者人民一人ひとりに、現在労働者階級はどう生きどう闘うべきか、労働者の階級的解放・革命とは何か、という根本的な問題を歴史的な進路選択・党派選択の問題としてあらためて突きつけている。本書は、日本共産党の綱領改定の反労働者的・反人民的な意図を暴き、本当の労働者人民の解放=革命への道を明らかにする武器となるであろう。
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週刊『前進』(2122号6面4)(2003/10/20)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
10月14日(火)午後1時15分
☆水嶋秀樹同志裁判
11月12日(水)午後1時30分
*いずれも東京地裁
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