ZENSHIN 2003/10/06(No2120
p06)
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週刊『前進』(2120号1面1)
侵略戦争と失業・大増税に突き進む 小泉超反動内閣うち倒せ
10・12三里塚−10・17日米首脳会談粉砕−10・25イラク反戦大行動へ
小泉=奥田と対決し11月大結集を
東大阪市議選 坂口さん 堂々初当選 初当選だ! 阪口克己候補と喜び合う住民たち(9月22日午前0時 荒本) =(記事2面)
自民党総裁選挙で圧勝した小泉純一郎は、北朝鮮侵略戦争推進の最強硬派である安倍晋三を幹事長にすえ、「拉致議連」を始め「タカ派」「極右」のレッテルのついた連中をずらりとそろえた超反動の第2次改造内閣を発足させた。そして、26日に開会した臨時国会で対テロ特措法延長法案を一気に通過させ、10・10衆院解散−11・9総選挙へと突き進もうとしている。11月労働者集会は、この小泉の一大反革命と真っ向から対決し激突する最高の決戦の場となった。全力を挙げて11月大結集に向け大運動を展開しよう。
第1章 今までどおりには支配できない日帝
「小泉独裁」の反革命政権
小泉が「改革推進内閣」と称する新内閣は、イラク派兵と北朝鮮侵略戦争、教育基本法改悪・改憲、倒産・失業と消費大増税に突き進む超反動内閣である。小泉独裁体制とも言うべき反革命政権である。
防衛庁長官には石破茂が留任し、文部科学相には教育基本法改悪の旗頭であり、教育の民営化=株式会社化を主張する河村建夫、法務相には参院憲法調査会会長の野沢太三をすえた。
さらに「創氏改名は朝鮮人が望んだ」と暴言を吐いて居直った麻生太郎(総務)や拉致議連会長の極右・中川昭一(経済産業)、同副会長の小池百合子(環境)らが入閣した。有事法制・防災担当相が新設され(保守新党・井上喜一が就任)、国民保護法制など有事法制の完成へ全力を挙げようとしている。
また、竹中平蔵の金融・経済財政相留任、石原伸晃の国土交通相への横滑りなど、民営化とリストラの「構造改革」路線、倒産・大失業の攻撃をとことん推し進めようとしている。新内閣は総じて戦争と大恐慌の時代における日帝ブルジョアジーの唯一の延命策、日本経団連の奥田ビジョンを全面的に貫徹しようとする内閣である。外への侵略戦争、内への階級戦争を貫徹するための政権である。
これに対し民主党は小沢自由党と合併して小泉自民党と反動を競い合い、日本共産党は綱領改定で「資本主義の枠内」を鮮明にし、日帝ブルジョアジーの「最後の番兵」となることを宣言しようとしている。
情勢は一見すると総翼賛体制が形成され、戦争と改憲へ一直線に突き進んでいくかのようである。だが、真に深刻な体制的危機にたたきこまれているのは帝国主義支配階級の側である。
改造内閣発足を直撃した円高・ドル急落と株価下落は、最近までの株価反発を「改革の成果」などと押し出して、総選挙での圧勝をもくろんでいた小泉を痛撃している。「これまでどおりに支配できなくなった」日帝支配階級の危機と分裂は、ますます深まっていく。イラク侵略戦争の泥沼化の中で財政赤字、経常赤字を激増させている米帝経済がその矛盾を爆発させ、ドル暴落―29年型世界恐慌の最後の引き金が引かれるなら、小泉構造改革路線は根底から崩壊する。
また、米帝のイラク軍事占領に対する全世界的な非難の高まりの中で迎える10・17ブッシュ訪日・日米首脳会談も小泉の命取りとなりかねない。小泉がブッシュに巨額のイラク戦費拠出と自衛隊早期派兵を約束すれば、小泉への大衆的憤激が爆発する。
そして、何よりも決定的なことは、自民党も民主党も、社会の真の多数派である労働者階級を本当は獲得できていないということである。労働者の怒りは爆発寸前なのである。
だが、日帝と小泉への労働者階級の総反乱を抑え込んでいるのは、700万人の組織労働者を支配する連合中央の「労働代官」どもだ。彼らこそ、労働者階級の基幹部において闘う団結を破壊し、労働組合を「御用組合」に変質させ、6000万労働者階級人民総体を闘えない状態に抑え込んでいる張本人だ。
この連合(と全労連)による労働者支配を打ち破り、数百万、数千万人の労働者階級が闘う団結と労働組合を取り戻し、自治労で始まったような反乱を開始するならば、小泉自民党も民主党も空中に吹き飛ぶしかないのだ。
第2章 連合下での労働者の反乱が始まった
総評解体・連合結成から14年。急速に成熟し、腐敗し、変質して、「社会排外主義として、ブルジョア政治とすっかり融合」(レーニン『帝国主義論』)した連合中央は、だからこそ労働者階級への影響力、支配力を急速に後退させ、空洞化させている。労働者階級人民にすべての矛盾を押しつけ、その職と生活、年金・医療、社会保障制度、諸権利の一切を破壊し奪い去る日帝・小泉と奥田の攻撃に対し、ただ屈服と協力を強制する連合中央。有事法制と改憲に賛成し、労働者階級を侵略戦争へと動員しようとする連合中央。
自治労大会における「21世紀宣言」の否決と続開大会での再提案に対する組合員の怒りの爆発は、連合支配に対する日本労働者階級の公然たる反乱の始まりである。この反乱を連合傘下の全産別と組合にとことん押し広げようではないか。
戦争、民営化、治安弾圧と闘ってきた動労千葉を先頭とする闘う労働組合、労働運動の新潮流が労働運動の主流派の地位に躍り出る日はそう遠くない。
アメリカの労働者階級は、レーガン反革命以来の労組破壊攻撃、既成指導部の歴史的総屈服をのりこえ、さらに01年9・11以後のすさまじい排外主義と治安弾圧の嵐を突き破って、敢然とイラク戦争反対の旗を掲げ、全世界2千万決起の情勢を切り開いた。そしていま大リストラと新たな民営化の攻撃と対決し、イラク占領反対・即時撤兵の闘いに立ち上がっている。イギリスの労働者階級もブレアのニューレイバー路線を粉砕して決起している。
韓国では民主労総が、米日帝の対北朝鮮侵略戦争の重圧と真っ向から対決し、盧武鉉(ノムヒョン)政権の資本攻勢・治安弾圧との不屈の総力闘争に立ち上がっている。
この世界の労働者階級の闘いを知って奮い立たない労働者はいない。日本の労働者階級も、彼らのように闘えるという確信を持たない労働者はいない。団結・闘争・国際連帯への限りない欲求をいだかない労働者はいない。労働者階級人民の中には数百万、数千万の怒りが渦を巻いている。われわれはこの中に飛び込みさえすればいいのだ。
11月労働者集会まで1カ月余り。小泉超反動内閣への怒りを燃やし、職場、街頭において労働者階級の多数を獲得する宣伝・扇動、組織戦をやりぬこう。11月労働者集会に、階級的=国際的に団結した労働者階級の巨万の革命的隊列を絶対に登場させよう。この闘いこそ、小泉の反革命を根底から打ち砕き、帝国主義打倒を実現する道だ。
第3章 10月反戦政治闘争に全力決起しよう
一方で、11月労働者集会に向かう9月末から10月の過程は、イラク侵略戦争の泥沼にはまりこんだ基軸帝国主義・米帝の危機が全面的に爆発し、帝国主義の侵略戦争・世界戦争が一層激化していく過程である。
同時にイラク人民、パレスチナ人民を先頭とする被抑圧民族の闘いと全世界労働者人民の国際反戦闘争が一体となって高揚し、帝国主義を打倒する世界革命の展望が圧倒的に切り開かれていく過程である。
9・11以後、暴虐きわまる被抑圧民族人民虐殺の侵略戦争を繰り広げてきた米帝ブッシュは、ついにイラク・ムスリム人民のゲリラ戦争の泥沼に引きずり込まれ、ベトナム戦争時以上の危機にたたき込まれている。米英占領軍は日々消耗し、5・1戦争終結宣言以降、米兵の死者数は170人を超え、野戦病院に送られた傷病者は5000人以上にのぼっている。ローテーションもままならず、米兵自身の怒りと不満は爆発寸前である。さらに米帝は「戦費の枯渇」というかつてない事態に直面し、歴史的没落ぶりを全世界にさらけだしている。
ブッシュの支持率は急落し、再選も危うい情勢となった。追いつめられた米帝ブッシュは国連総会に自ら姿を現し、米帝のイラク占領を支援する国連新決議を要請し、多国籍軍の派兵と日帝などへの戦費拠出要求に必死となっている。
こうした情勢に全面的に対応して日帝支配階級は奥田ビジョンを貫徹する超反動の小泉第2次改造内閣を登場させるに至ったのだ。
この10月、小泉と全面対決し、反戦政治闘争に総決起しよう。
軍事占領・再植民地化反対!
まず決定的に重大な闘争は、10・17ブッシュ訪日・日米首脳会談粉砕闘争である。今や米帝ブッシュの最後の頼みの綱は日帝・小泉だ。ブッシュは小泉に巨額のイラク戦費拠出と自衛隊早期派兵を激しく要求している。小泉は、米帝と共同=競合しつつこれに全面的にこたえようとしている。
だが小泉がブッシュの要求にこたえることは、全世界的に高まる米英帝のイラク軍事占領・再植民地化への怒り、反戦闘争の再度の高揚に真っ向から敵対することだ。小泉への大衆的な怒り、階級的憤激の爆発は不可避である。小泉の反革命的正体を全人民の前に暴き出し、打倒していく決定的チャンスだ。
何よりも米英帝の軍事占領と不屈に闘うイラク人民との連帯を、これほど直接的に実現する闘いはない。全学連、青年労働者を先頭に宮下公園に総結集し、闘うイラク人民と連帯して、ブッシュと小泉を直撃する都心デモを打ち抜こう。
さらに9・27に続き、10・25にアメリカの反戦団体=ANSWER連合が呼びかけているイラク占領反対・即時撤兵の国際反戦デモを全国数万規模で実現しよう。今春の2千万人決起の情勢を、イラク人民、パレスチナ人民を先頭とする被抑圧民族人民と全世界労働者階級の連帯の力で、新たに切り開こう。
さらに10・12三里塚闘争は有事体制粉砕の闘いであり、全世界反戦行動の一環である。追いつめられた日帝・空港公団を追撃し、反対同盟とともに成田軍事空港廃港へ進撃しよう。
10月の反戦政治闘争を闘いぬき、すべての力を11月労働者集会の大結集へと結びつけよう。
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週刊『前進』(2120号1面2)
連合8回大会へのアピール 「奥田ビジョン」と一体の連合裏切り路線粉砕せよ
闘わない連合
10月2―3日に東京で連合第8回大会が開かれる。この大会は、日本帝国主義が有事立法成立をテコにイラク出兵と朝鮮侵略戦争、一大資本攻勢に突き進む中で、日帝・資本家階級に身も心も売り渡した連合御用幹部どもが小泉政権や奥田碩日本経団連会長らと有無通じ、労働運動の名で労働者階級を地獄の道に引きずり込もうとするものだ。
この数年間、連合は後退と変質、帝国主義的労働運動化を深めてきた。それは9・11反米ゲリラ戦以後の世界史的激動と世界大恐慌の中で加速している。
連合は、この間の嵐のようなリストラ・失業の攻撃に何ひとつ闘おうとせず、春闘では雇用確保を理由にベアゼロという日本経団連の攻撃の前に屈服を重ねてきた。この結果、主要企業の03春闘の賃上げ率は1・63%(定昇込み)、56年の統計開始以来の最低となった。また、定昇制解体・圧縮、成績主義的賃金体系への移行の攻撃が吹き荒れ、多くの産業分野で03春闘終了後から一挙に具体化する方向で進行している。
連合は、政治闘争の面でも、01年の新政治方針で改憲容認や安保・自衛隊の容認の方針を明確化し、02年に「テロ反対」の大合唱に加わってアフガニスタン侵略戦争を容認し、5・16見解をもって有事法制に賛成した。03年にはイラク侵略戦争に加担する立場をとり、決定的には有事3法に民主党とともに賛成した。改憲についても論憲論をもって容認している。
新産業報国会
今大会で連合は、労働組合・労働運動の時代の変化に見合った転換と称して、実質的には、日本経団連の奥田ビジョンが提起する資本攻勢を労働運動の立場から積極的に推進する方針を労働運動の基本路線として打ち出そうとしている。「政治方針の改訂」により戦争協力と改憲推進をより明確にしようとしている。 大会スローガン「組合が変わる、社会を変える―安心・公正な社会を求めて」は、連合が奥田ビジョンと連合評価委員会の要求にこたえて新「産業報国会」に変質・転落しようとしていることを示している。
このことは、連合評価委員会の中間報告(6月26日)とそれへの連合の対応から明らかである。
この報告は、中坊公平(弁護士)や寺島実郎(日本総合研究所理事長)ら帝国主義ブルジョアジーの°左手″ともいうべき連中が連合を日本経団連・奥田路線に引き入れ、その積極的な担い手にさせるために出した提言である。「労働運動の理念・思想の再構築」「労働の価値を見直せ」「働くこと自体が自分の喜びにつながり生きがいをもたらす」などと強調している。要するに°資本の搾取と収奪、階級支配に喜んで協力して積極的に働こう。そういう労働運動に転換しよう″という、階級的労働運動一掃の主張だ。連合の労働者支配の危機を突き、連合に一層の変質・屈服を迫っているのだ。
連合評価委員会は9月12日に最終報告を提起した。連合は、これを「真摯(しんし)に、真正面から受け止める。8回大会に提起する運動方針案に報告内容を反映させ、連合全体としての取り組みを進める」と全面的に受け入れ、実践しようとしている。
今回、会長選に現連合会長の笹森清とUIゼンセン同盟会長の高木剛が立候補している。選挙になったこと自体は、資本攻勢と闘わない笹森体制への連合傘下の労働者の不満の高まり、連合の危機の深まりを示す。だが高木と笹森の運動路線はほとんど違わない。
笹森は「この先日本の進路を切り開き、日本再生に向けての牽引(けんいん)役をわれわれ労働組合が担おう」と主張している。小泉の「日本再生」(9・26所信表明演説)と相呼応して、労働者階級を日帝資本の帝国主義間争闘戦の担い手、「産業戦士」として動員しようとしているのだ。
自治労で決起
だが、連合が基本路線にしようとしている奥田ビジョン自体、帝国主義間争闘戦の激化と世界大恐慌の中でのたうち回る日帝の必死の延命策なのである。きわめて暴力的に労働者階級人民に矛盾を押しつけ、その職と生活、権利の一切を破壊し圧殺するこの攻撃は、必ず労働者階級の怒りの爆発と決起を引き起こす。
自治労の労働者は8月自治労大会で、中央ダラ幹の提起した「自治労21世紀宣言」(=階級闘争観の一掃)を否決し、北岡委員長に「頭の中が真っ白」と言わせた。この闘いは労働者階級の階級的決起の無限の発展可能性を示している。9・28続開大会をめぐる動と反動の激突に勝ちぬき、反革命的な連合路線を打ち破る壮大な労働者の反乱をつくり出そう。
連合指導部を打倒し、動労千葉のように闘う階級的労働運動を巨大に発展させることに労働者階級の勝利の道がある。全世界で労働者階級と被抑圧民族人民が帝国主義との闘いに立ち上がっている。国際連帯のもとにかちとられる今年の11月労働者集会こそ決定的だ。大結集しよう。
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週刊『前進』(2120号2面1)
闘争団員への統制処分は労働組合としての死だ!
処分に賛成し裏切った革同 革同とチャレンジ一派を国労からたたき出せ
9月13、14日に開催された国労第71回定期全国大会は、機動隊・警察管理下で闘争団員に対する統制処分を強行し、酒田委員長ら警察労働運動派による極悪の新執行部を選出した。国労を死に導く暴挙を徹底弾劾し、処分撤回、酒田執行部打倒へ、怒りの一大反撃戦に打って出ることを訴える。とりわけ酒田一派、チャレンジ一派とともに革同が査問委員会答申―処分強行に賛成した。この大裏切りを弾劾し、打倒し、国労の革命的再生へ闘おう。動労千葉など3労組の呼びかける11月労働者集会に総結集しよう。
査問委の答申に基づいて今大会で強行された闘争団員への処分は、労組にあるまじき犯罪行為である。
処分内容は、鉄建公団訴訟原告や最高裁第三者参加申立人で「闘う闘争団」代表や各闘争団の団長、地区本部役員らの闘争団員22人について、「組合員権3年の権利停止とする」というものだ。除名に次ぐ重処分である。また、査問委答申は「処分量定」の判断を行わなかった260人の闘争団員についても全員の氏名を明記し、「訴訟の取り下げを強く求める」とした。
国鉄分割・民営化以来、“闘う国労”の旗を守り続けてきた国労闘争団の中軸を担ってきた人びとに、国労組合員としての権利を認めないというのだ。労働組合が被解雇者を統制処分に付すなどということがあってよいのか。断じて否だ。そもそも労働組合は、自分から労組を飛び出す者以外は、無条件に被解雇者を組合員として守らなければならない。それは労働組合としての鉄則である。被解雇者の処分を強行した瞬間に、労働組合として死んだに等しいのだ。
なぜ「答申」は承認されたか
この答申を出した査問委員会議長の田中副委員長、副議長の寺内前書記長、各エリア本部役員8人、そして大会で答申に賛成票を投じた64人の代議員らを徹底弾劾する。その責任を未来永劫(えいごう)追及しなければならない。
チャレンジ一派、酒田一派のみならず、革同が日本共産党中央の指導のもとでこの暴挙を推進する中軸を占めた。革同の賛成がなければ処分はできなかったのだ。この大裏切りを断じて許すことはできない。
処分事由は、「最高決議機関である全国大会で確認された方針を逸脱し、○○闘争団団長でありながら、自らが鉄建公団訴訟の原告として参加し、闘争団員を指導すべき義務を果たさず、組織内に混乱と不団結を作り出した行為は許されるものではない」などというものである。
労働組合の常識からしてけた外れのでたらめな答申である。闘争団を死に追いやる4党合意に反対したから許さないということだ。そして、あくまでも不当労働行為を断罪し、国鉄分割・民営化に反対し、解雇撤回・JR復帰をかちとるために鉄建公団訴訟などに立ち上がったことが、4党合意を破産させたとして処分の理由にしているのだ。
これが「闘争団員やその家族、国労組織に甚大な被害を与えた」とは何事か。どんな被害を与えたというのだ。4党合意を強行した国労本部や裏切り指導部こそが闘争団にとてつもない被害を与えたのだ。そして「支援共闘を含む組織外に対して信頼を失う結果を作り出した」のは、彼ら裏切り者どもなのだ。
さらに、「3年の権利停止」とは、すさまじい攻撃である。この3年の間にも国労を完全に解体してしまおうということである。断じて許せない重処分だ。なんとしても処分を撤回させなければならない。
今回の処分に対し、日本共産党の『赤旗』は、「一部闘争団が起こしていた訴訟をめぐる処分問題では、『統制処分では団結の回復はできない』という意見もありましたが、闘争団員22人を3年の権利停止にするとの査問委員会の答申を賛成多数で承認しました」(9・15付)と、論評抜きの報道記事を掲載している。これは日共として統制処分に全面賛成したということの表明だ。
「統制処分では団結の回復はできない」という一部の「反対派」革同の発言にも触れているが、革同の大半が賛成しなければ賛成多数とはならないのだ。
そもそも査問委の議長は、革同のキャップ・田中副委員長である。革同は、「除名には反対」というペテン的ポーズをとっていたが、実際には「組合員権停止ならよい」という大裏切りを行ったのだ。
しかも大会では、近畿地本委員長の革同が先頭で査問委答申に賛成討論を行い「方針に従わないのなら、国労を出ていけばいいじゃないか」と暴言を吐いた。
さらに、「分裂組織・分裂方針・分裂行動の実態は、採用差別事件の闘いのスタートの時に『解決まで国労組合員とする』とした確認の意味まで失いつつある」「規約に基づいた対応を行う」と、闘争団切り捨ての意志をあらわにした運動方針案には、革同の代議員の全員が賛成したのである。また、役員選挙では、酒田委員長、田中副委員長、吉田書記長に投票したのだ。
極悪酒田体制打倒へ闘おう
旧社会党党員協内のチャレンジ一派が各エリアごとにバラバラにJR連合合流路線にのめり込み、分裂と瓦解(がかい)を深める中で、日共・革同は酒田一派と結託し、国労内での延命を策しているのである。
これは、綱領改定で労働者階級の闘いを否定し、「資本主義の枠内での改革」路線の徹底化を図る日共スターリン主義の反革命路線の現実の姿である。
革同のもとにいる組合員は、今こそ転向と大裏切りの日共スターリン主義と決別し、日共・革同を打倒し、闘う国労を再生するために、ともに闘おう。
各エリア本部大会、地本大会で、処分撤回、酒田極悪執行部打倒の闘いを猛然と巻き起こそう。
処分の対象になった鉄建公団訴訟を断固支持し、推進しよう。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを結合し、動労千葉とともに1047名闘争勝利と11月労働者集会の成功へ闘おう。
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週刊『前進』(2120号2面2)
弾圧居直る酒田と芝崎 『国労東京』の記事許すな
国労大会での闘争団員への統制処分の強行と機動隊導入は一体のものである。これと革同の大裏切りの上に酒田新執行部が登場したのだ。酒田前東京地本委員長は、芝崎前東京地本執行委員を中央執行委員に引き入れた。
この酒田と芝崎は、警視庁公安と密通し、組合員を売り渡した5・27臨大闘争弾圧の張本人である。彼らは、大会準備地本として大会のたびに機動隊を導入してきた。今大会での機動隊導入は、統制処分を強行し、酒田・芝崎体制をつくるために行われたと言っても過言ではない。
彼らは大会直前の『国労東京』(9・10付)に「国労と暴力集団は無縁/暴力行為を弾圧にすり替える中核派」という記事を掲載した。ここに酒田・芝崎の反労働者的正体がある。徹底弾劾しなければならない。
その記事は、本紙2116号「9月アピール」の「国労5・27臨大弾圧を粉砕し国労大会へ」の部分に難癖をつけている。
そこで彼らは、闘争団員ら組合員の正当な組合活動に対し、「お茶の水グリーンホテル前に停車していたバスに乗り込もうとした準備本部や会場係の組合員らの前に、中核派のプロパー(職業活動家)ら多数の者が立ちはだかり、罵声(ばせい)をあびせかけたり、バスの乗降口をふさいで乗車を妨害するのみならず、無抵抗の組合員を殴り、あるいは、ヘッドロックをかけるなどの暴力行為を働いたことは厳然たる事実である」などと現場の状況をねつ造している。
そもそも酒田らは、8人の被告のうち7人が国労組合員であることを意図的に押し隠している。事件とは別の池袋サンシャインホテルで「『国労共闘』の代表らは……暴力を振るっていないため、一切『逮捕』されていない」ということを持ち出して、恥知らずにも「事の本質は明らか」などと言うのだ。検察が描く「極左暴力集団中核派が国労組合員に対して行った暴力事件」というデッチあげを押し貫こうとする意図が見え見えではないか。
だが、酒田らが7人の組合員を売り渡した事実を消すことはできない。裁判で明らかになった事実は驚くべきものだった。鈴木勉東京地本法対部長が5・27臨大当日の現場で撮影したビデオテープを、その直後に荒川警察署で酒田委員長と公安刑事らが一緒に見て、弾圧の打ち合わせをしていたというのである。
酒田らが言っていることは、このビデオを唯一の「証拠」にして検察側が主張していることとまったく同じである。この弾圧は、まさに酒田らと警察権力が結託して強行したのだ。
酒田らは、どこまでも警察権力、検察と一体となって弾圧に加担し続けようとしている。そのことによって極悪の反動執行部を形成したのである。これを「警察労働運動」と言わずに何と言うのか。断じて許すことはできない。
酒田新執行部は、まさに国労史上最悪の執行部である。それは、4党合意の破産を受けてチャレンジ一派がバラバラにJR連合合流を進めようとする中で、日共・革同と結託し、国労を丸ごと警察労働運動で制圧し、変質・解体させようとする執行部である。裏切り指導部どもが最後のカードを切った人事である。
この酒田執行部の形成は、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの意義をいよいよ浮き彫りにしている。その闘いこそが、酒田執行部を追いつめ、打倒する最大の武器となる。それこそ国労の階級的再生の道だ。
今後の裁判闘争は、革同の鈴木勉法対部長の証人尋問(10月6日)によって酒田らと警察権力の結託の実態を暴くであろう。8人の被告たちの勾留は間もなく1年にもなろうとしている。なんとしても保釈・奪還をかちとろう。
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週刊『前進』(2120号2面3)
東大阪市議選 さかぐち候補激戦を制す 住民決起が勝利の原動力
9月21日投開票の東大阪市議会議員選挙において、さかぐち克己候補(部落解放同盟全国連合会荒本支部書記長、東大阪国保と健康を守る会事務局長)が、2811票を獲得し、41位の堂々たる初当選をかちとった。
午後9時半からの開票結果の発表を待ちきれず、支持者が選挙事務所の隣の空き地に続々と詰めかけ、200人以上の人びとが歩道にまであふれた。
午後11時半には、大勢が判明。さかぐち候補の当選が告げられるや、拍手がまき起こった。市議会の職員が当選通知と議員バッジを持って来訪した。全員が待ちかねる中、さかぐち候補が登場。花束が渡され、涙を流してかけよる婦人や若者たち。興奮のるつぼの中、さかぐち候補がお礼のあいさつに立った。
「私は、みなさんのご支援によって、この市議選の勝利をかちとることができました。私を支えてくださった住民のみなさん、本当にありがとうございました。この選挙の勝利は、住民のみなさんの勝利です。住民のみなさんの団結が大政党に勝ったのです。私は、この勝利に甘んじることなく、住民の皆さんと一緒に、その先頭に立って、戦争の政治、福祉切り捨ての政治に風穴を開け、市政を大改造するために命がけで闘います」
大きな拍手がまき起こり興奮した若者たちは、さかぐち候補を胴上げして喜びを表現した。
選挙戦最終日の20日午後6時から近鉄の若江岩田駅前で250人の支持者が集まり、さかぐち候補の最後の訴えが行われた。国賀祥司泉佐野市議も駆けつけ応援演説を行った。荒本まで練り歩きを行い、14棟住宅前で必勝を誓い合った。
日共は大凋落
この選挙は、衆院解散・総選挙が不可避という中で全政党が票の掘り起こしを狙い、50議席に対して候補者63人が乱立するという激戦であった。日本共産党は現職6人を含む7人が落選、12議席が一挙に5議席に激減した。東大阪市議会は、自民、公明などが支配する極反動体制となった。
さかぐち候補は、この激戦を制して、自民、公明の反動的支配の一角を食い破った。日本共産党の歴史的凋落(ちょうらく)は、エセ野党(左翼)に対する労働者階級・人民の本格的離反であり、さかぐち候補の勝利は、既成の野党に代わる新しい労働者階級・人民の代表が登場したことを示している。
今回の選挙は、労働者階級の生きる権利をかけた闘いであった。小泉政権による戦争と資本攻勢・福祉切り捨ての政治と、それに屈服し翼賛する全政党、連合を始めとする既存の労働運動勢力に対して、労働者階級・人民が、生きる権利を取り戻す闘いだった。そのために団結し、役所や国と闘い、自らの手で組織をつくり、その代表を議会に送り出す闘いとして闘った。選挙戦の主人公は、高齢者を始めとした住民だったのである。
実際に集票を担った住民の多くは、介護保険料の減免という生きるための切実な要求を持った人びとである。また、そのほとんどは、初めて相談会に来た人びとであった。その中からわずか3カ月という短期間に、1人で何十票も組織する集票の担い手が次々と誕生した。終盤戦においては、この人びとが宣伝隊と合流して街頭に続々と進出し、自民、公明、共産などの資金と物量を投入した大宣伝戦を完全に圧倒した。この力が、無名の新人候補を大政党がしのぎを削る争いの一角に食い込ませ、勝利を実現した最大の原動力である。
荒本支部の力
この選挙の勝利は、全国連の5万人組織建設の進路を明々と照らし出している。荒本支部は、瀬川議員以来の荒本の議席を守りぬくとともに、さかぐち氏を新しい村の代表として押し立てて、法なき時代における新たな団結の創造をかけて闘い、かつてない支部総ぐるみの決起を実現した。また、国健会(東大阪国保と健康を守る会)、関西合同労組仕事保障要求者部会などに結集する住民は、部落差別の壁を敢然とのりこえて、荒本支部と一体となって闘いぬいた。荒本支部の20年にわたる壮絶な闘いと、その中に貫かれてきた団結が、既存の政党・労働運動勢力に代わる新しい階級的団結を求めて立ち上がり始めた人びとの導きの糸となり、土台となっているのである。
この選挙の勝利は、革命的議会主義の新たな発展の時代をこじあけるものである。高齢者を含む労働者階級が、政治変革の主人公として、自らの代表者(労働者階級の党)を押し立てて、ブルジョア政党とその政治権力と闘い、勝利していく道筋が鮮やかに示された。その教訓をくみつくし、血となし肉となして、労働者階級の本格的組織化をかちとろう。
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週刊『前進』(2120号2面4)
共謀罪廃案を誓う 国際共同声明運動が集会
臨時国会を直前に控えた9月23日午後、東京・飯田橋のシニアワーク東京で「つぶせ! 共謀罪、止めろ! 戦争への道U」集会が行われ、170人が参加した。主催は、共謀罪に反対する国際共同声明運動の呼びかけ人だ。
破防法・組対法に反対する共同行動の司会で集会が始まった。呼びかけ人のあいさつとして、人権と報道・連絡会の山際永三さんは、8月26日に公表された警察庁緊急治安対策プログラムを民衆の生活全体を管理する攻撃と暴露・弾劾した。元学習院大学教授の宮島尚史さんは、共謀を独立した犯罪とすることの危険性を訴えた。
「万景峰号をめぐる新潟の状況」と題する特別報告に立った新潟日報記者で人権と報道・連絡会の片桐元さんは、8月25日に、警察官千人と右翼の街宣車2百台、「被害者の会」などの排外主義大宣伝に抗して、北朝鮮へ食料支援を行っているNGOの関係者や港湾労働者も合流してデモと集会に立ち上がったことを報告した。
続いて「共謀罪と治安の現在」のテーマで、山下幸夫弁護士が講演した。山下弁護士は、御用学者による「根本的価値観が異なる集団・人びとの出現に対する市民社会の防衛のための治安対策」というキャンペーンによる、治安強化への危機感を訴えた。そして共謀罪もその攻撃の一環であることを暴露した。
会場の全国金属機械労働組合港合同からのアメリカの治安立法の現状に対する質問には、「愛国者法」に対して約150の自治体が反対決議を上げるなど批判が噴き出していると説明した。また、「パレスチナの病院へ寄付しているが、共謀罪が成立すれば弾圧はあるのか」という質問に対して、「組合で寄付を集めることを決めただけで、テロ資金供与罪とその共謀で弾圧される可能性がある」と答えた。
「戦争と治安、その歴史から学ぶ」という特別報告に立った高山俊吉弁護士は、「共謀罪は、思想を裁くものであり、労働運動を中心とする人権闘争を根底から破壊する」と弾劾した。そして、自分の母親が戦争に反対しているだけで6カ月間予防検束されたという経験を語り、自らも不屈に闘う決意を表明した。
続いて、30年間国民総背番号制に反対し、反住基ネットの運動に取り組む白石孝さんが、住基カードいらない宣言運動への参加を呼びかけた。全金本山労組の中野七郎書記次長は、保釈をかちとったことを報告し、ともに闘いぬく決意を表明した。「戦争と治安・管理に反対するPINCHI!」は、9月27日の東京都迷惑防止条例改悪反対の都庁抗議デモへの参加を呼びかけた。
そして、カンパアピールに続いて、組対法に反対する全国ネットワークの福岡、京都、静岡の代表から闘いの報告と決意が述べられた。さらに、9月22日のIMFアジア太平洋事務所抗議行動での1人不当逮捕に対する支援が、緊急に呼びかけられた。
最後に組対法・破防法に反対する共同行動から、@10月5日の山手線全駅での街頭宣伝、A11月17日を前後する2週間に全国一斉に集会、デモ、学習会などに立ち上がること、B国際共同声明を、職場、家族、友人、知人に広めようという行動方針が提起され、共謀罪阻止のシュプレヒコールで集会は終了した。
賛同が広がる
共謀罪に反対する国際共同声明運動への賛同は、9月23日現在、519個人・298団体を数え、千を超える勢いである。さらに一人ひとりが自らの問題として多くの賛同を集めよう。また、日弁連などの「反対声明」も次々と出され始めた。共謀罪をめぐる情勢は、衆院解散・廃案の可能性が高いが、11月下旬からの臨時国会で再度上程されるのは間違いない。絶対に油断はできない。
共謀罪は、侵略戦争推進のための究極の治安弾圧法である。そして、その背景には9・11以後の世界的な治安弾圧政策強化があり、共謀罪阻止は国際的な労働者階級の団結を打ち固める闘いの一環である。ここに確信を持ち11月労働者集会へ全力で立ち上がろう。
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週刊『前進』(2120号2面5)
“労組弾圧許さぬ” 9・14反弾圧闘争に190人
今年の9・14反弾圧闘争は9月12日に闘う労働者・争議団が結集してかちとられた。午後6時半から千代田区の内幸町ホールで屋内集会を開催後、午後8時半から新橋土橋〜虎ノ門交差点〜日比谷公園霞門までのコースを約190人の労働者が力一杯デモ行進を行った。(写真)
1976年に多数の争議団にかけられた刑事弾圧のラッシュに共同で対決するために開始された9・14反弾圧闘争は、恒例の闘いとなり28回目を迎えた。
この1年間、闘う労働者・争議団に対する刑事弾圧は数も増え、質的にも大きく転換した。昨年の国労5・27臨大闘争弾圧、連帯労組PCCWJへの「軽犯罪法」違反による逮捕攻撃、東北大有朋寮廃寮阻止闘争での全金本山労組弾圧、解同全国連寝屋川支部弾圧、港合同サンコー分会弾圧など。さらに、仮処分、間接強制、損害賠償という民事的手法による財政面からの争議圧殺攻撃も激化している。
有事法制が成立し、共謀罪が国会に上程されるなど日帝のイラク、北朝鮮侵略、改憲に向かった本格的に動きに連動した弾圧だ。住民基本台帳法・国民総背番号制の本格稼働、保安処分新法の成立、さらに生活安全条例・迷惑防止条例の全国化、労働法制全面改悪攻撃の中で今年の9・14反弾圧闘争が闘われた。
集会では、憲法と人権の日弁連をめざす会の竹内更一弁護士、一坪反戦地主会関東ブロック、破防法・組対法に反対する共同行動、「戦争と治安・管理に反対するPINCHI!」などの各団体や、予防拘禁法反対、つきまとい条例反対の各戦線がアピールを行った。
続いて全国から結集した争議団の代表が壇上に並び、港合同の代表があいさつした。争団連の争議団が基調報告を提起。1年間の刑事弾圧の実態を総括、一人の首切りも許さない団結形成を軸に世界の労働者・民衆とともに戦争と弾圧に抗する闘いを持続させ発展させていこうと訴えた。
国労の組合員が、臨大闘争弾圧との闘い、国労大会への闘いを報告した。共謀罪新設阻止などの集会決議の後、デモ行進した。
(N・T)
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週刊『前進』(2120号3面1)
治安弾圧と闘う労働運動を
労働者の反乱におびえる資本
「共謀罪」新設を打ち破れ 国労弾圧粉砕こそ突破口
弾圧との闘いは、労働運動にとって緊迫した課題になっている。国労5・27臨大闘争弾圧以来、5月の部落解放同盟全国連寝屋川支部への弾圧や、全金本山労組員への弾圧、全国金属機械港合同サンコー分会への弾圧など、労働運動に狙いを定めた弾圧が連続して襲っている。小泉政権は、労働運動を明確に治安弾圧の対象に据えたのだ。国労弾圧においては、昨年10月に不当逮捕された被告たちに対し、いまだに不当な勾留が続いている。この弾圧を打ち破る闘いは、日本の労働運動の再生に直結している。11月労働者集会は、国労弾圧を始めさまざまな労働組合にかけられた弾圧を共同の力で打ち砕く闘いの場だ。
「社会不安回避」叫ぶ財界
戦争の時代は、労働運動解体の攻撃を一挙に引き寄せる。01年9・11反米ゲリラ戦で世界は一変した。米帝ブッシュ政権によるアフガニスタン侵略戦争とイラク侵略戦争−軍事占領は、世界が戦争の時代に入ったことを告げ知らせた。
そのただ中で、小泉政権は有事3法とイラク派兵法を成立させた。それは、自衛隊を戦地に送り、その実戦部隊化を推し進めるとともに、労働者に戦争協力の義務を課し、国家総動員体制のもとに組み敷こうとするものだ。さらに、小泉第2次改造内閣の発足によって、日帝は北朝鮮侵略戦争へのシフトを一層強めた。
また、うち続く大不況の中で労働者には賃下げ・首切り・増税・社会保障切り捨ての攻撃が襲っている。
こうした時代だからこそ、全世界で戦争と資本攻勢に抗する労働者の闘いが広がっているのである。日本においても、春闘72時間ストを貫いた動労千葉の闘いを先頭に、世界の労働者階級の闘いに呼応する労働運動の新たな胎動が始まりつつある。国鉄分割・民営化と十数年にわたって対決してきた動労千葉の闘いは、再び全世界で激化する民営化攻撃の中にあって、新たな輝きを放っている。
こうした闘いの高揚は、敵階級の弾圧を引き出さずにはおかない。世界各国において、労働者の団結と闘いを力ずくで押しつぶそうとする攻撃が激化し、それとの攻防が労働運動の大きなテーマになっている。
日本経団連は、今年の経労委報告において「倒産や雇用情勢の悪化に伴う社会不安を回避せよ」と叫びたて、「奥田ビジョン」は「労働組合には、既得権益を擁護する活動の是正を求める」と言い放った。労働者の権利を自らの団結と闘いによって守り抜こうとする闘う労働運動を暴力的に解体するという宣言だ。
小泉政権が強行しようとしている共謀罪の新設は、こうした攻撃を極限にまでエスカレートさせるものになる。新設共謀罪は、長期4年以上の刑にあたる行為を「団体の活動として」共謀した者を刑罰の対象にすると言う。
実行行為に至らなくても、共謀それ自体を罰する共謀罪は、もはや近代刑法の枠組みを超えたところにある。資本や権力と闘うという意志・思想そのものが、あからさまに処罰の対象になるのである。権力は「共謀」などいくらでもデッチあげる構えでいる。事実、国労弾圧でも、検察側はありもしない「共謀」を仕立て上げている。
革命党はもとより、労働組合の団結活動がその標的となることは明らかだ。労働組合の存立にかかわる重大な問題として、絶対に成立を許してはならない。
さらに、労働者の団結権を保障した労組法の改悪がたくらまれている。国家権力が自ら団結破壊に乗り出すためには、労組法はじゃまになったということだ。
だが、これらは、破防法を超えるむき出しの治安弾圧法を手にしなければ、資本はその支配を維持できなくなったことを示している。連合による労働者支配にも信を置けず、すでにさまざまな形をとって噴出しつつある労働者の反乱におびえているのだ。だからこそ、労働者が団結を固めて闘い抜けば、弾圧は必ず打ち破ることができるのだ。
国労本部の転落の根拠
国家権力がむき出しの暴力で労働運動を破壊しようと動き始めたこの時に、国労弾圧との闘いはきわめて大きな意味を持っている。
この弾圧の悪らつさは、組合幹部が組合員を国家権力に売り渡したという事実の中に端的に現れている。
連合結成以来、大労組の幹部たちがおしなべて資本の手先へと転落する中で、国鉄闘争は階級的労働運動の砦(とりで)としての位置を持っていた。その国鉄闘争の最大実体をなす国労で、こうした恥ずべき裏切りが行われたことは、きわめて重大な事態である。
警察権力と癒着・結託し、弾圧を強行するに至った国労本部派の腐敗と反労働者的転落の根拠は何か。
彼らは、国家権力を階級敵として見据え、その攻撃と真正面から闘うという路線も経験も持ってはいない。国鉄分割・民営化の中で国労組織をずたずたに破壊された体験をきちんと総括するならば、国家権力が中曽根以来、一貫して国労の解体を追い求めてきたことは明らかである。ところが国労本部は、国家権力を「JR資本への牽制(けんせい)者」であるかのように描き出し、権力依存を本質とする「政治解決」路線にのめり込んだ。
権力や資本は、時に懐柔的手段を使うことはあっても、労働者の団結と闘いをいずれはたたきつぶそうと狙っている。国労本部は、このことを常にあいまいにしてきたのだ。
「政治解決」路線は、96年の8・30申し入れ−99年の国鉄改革法承認−00年の4党合意受諾と、時をへるにつれ反動性をあらわにした。そして、その全面破産が明白になるや、国労本部は闘争団への統制処分と、警察権力と結託しての刑事弾圧に踏み込んだのだ。
こうした国労本部の転落は、日本共産党員へのレッドパージを利用して民同派が労働運動の主導権を奪い取ったという、総評労働運動の出発点における問題とけっして無縁ではない。この問題は、本当の意味で総括されないまま、国家権力と真っ向から対決できない弱点を戦後労働運動の中に残してきたのである。そして今、かつてはパージされた側の共産党員が、弾圧に加担するに至っている。
戦後労働運動のこうした限界を突破し、真に階級的な国労運動を打ち立てた時、国労は再生を遂げるだろう。
統制処分に屈せず闘われる鉄建公団訴訟と、国労弾圧を打ち破る闘いは、その道を押し開く二つにして一つの闘いなのである。
3労組の闘いに続こう
11月労働者集会を呼びかけた全日建運輸連帯関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3組合は、いずれも資本と権力の激しい攻防にさらされる中で、これと対決しぬいてきた経験を有している。弾圧に立ち向かう中で団結を打ち固める闘い方を身につけてきた組合だ。
戦争と大失業、弾圧と団結破壊の時代の中で、こうした闘い方にこそ労働者の権利と生活を守る道がある。3組合に続く闘う労働運動を創出しよう。
11月労働者集会を前に、国労弾圧との闘いも最大の山場を迎えている。
先の国労定期大会では、闘争団員22名への組合員権停止という許しがたい暴挙が強行されるとともに、国労を警察労働運動に転落せしめた酒田充東京地本委員長が中央執行委員長に選出された。だが、この執行体制の最大の弱点は、まさに彼らが弾圧加担者だったという事実にある。
国労弾圧裁判の次回公判(10月6日)は、東京地本の鈴木勉法対部長の証人尋問が行われる。彼は、「事件現場」のビデオを撮影し、警察にそれを自ら進んで差し出した。酒田委員長がそのビデオを警察署で公安刑事たちと繰り返し見ていた事実も明らかになっている。次回公判は、弾圧の真相に迫る重大な攻防の場になろうとしている。
国労弾圧を打ち破り、国鉄1047名闘争を闘いぬこう。全力で11月労働者集会に結集し、日本労働運動再生の大道を開こう。
〔長沢典久〕
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週刊『前進』(2120号3面2)
イギリス
左派が圧倒したTUC大会 ブレア政権の足元揺るがす
TUCの左転換
9月8―11日に開かれたイギリスの単一の労組ナショナルセンター、TUC(労働組合会議、69単産、700万人)の定期大会で、反ブレアの左派がブレア派=ニューレイバー派を圧倒した。
この大会を受け、秋・冬は労資激突の季節になろうとしている。Unison(公共サービス労組。150万人)やCWU(通信労組。30万人)の郵便労働者は、首都ロンドンでストライキに突入しようとしている。
TUCは97年5月、トニー・ブレアによる18年ぶりの労働党政権の形成に大きく「貢献」した。
だが、そもそもブレア政権は、「ニューレイバー」を掲げ、保守党サッチャー政権を引き継いで民営化政策を推進し、欧州諸国水準以下の低賃金、劣悪な労働条件を強制してきた。97年に国鉄分割・民営化で発足したレールトラック社は、大事故の多発と資金不足で01年に倒産した。NHS(国家医療制度)は大量の入院待ち患者を発生させ、公立学校は教員不足で荒廃した。そして今年、米帝とともにイラク侵略戦争を強行し、イラク軍事占領の泥沼に陥っている。
こうしたブレア政権の新自由主義政策、新帝国主義路線は、労働者階級、被抑圧民族人民の怒りの大反撃を呼び起こした。2月に200万人のイラク反戦デモを牽引(けんいん)したイギリス戦争阻止連合(SWC)には、TUC傘下のUnisonやCWU、RMT(鉄道・海運・交通労組)、ASLEF(鉄道機関士組合)などが組織動員で参加した。TUCは戦争反対の声明を出しただけだった。
このTUC全体に変化が起きた。春・夏、TUC大会に向けて各単産の大会や執行部選挙が行われ、左派が台頭した。その結果、TUC大会代議員に左派が大量に進出し、大会を反ブレア・反戦・反民営化で覆い尽くしたのである。
ブレア首相やゴードン・ブラウン財務相は大会で政府支持を訴えたが、反応は冷たかった。ブレア政権は、今や「イラクの大量破壊兵器保有」のうそで首相側近、ギリガン報道局長が辞任に追い込まれ、内閣崩壊の瀬戸際にある上、最大の支持基盤であり労働党の実体そのものであるTUCの支持をも失いつつある。
反戦決議を採択
大会ではRMT提出のイラク反戦決議が採択された。決議は、ブレア政権が決定し米国とともに強行したイラク戦争を弾劾するとともに、多国籍企業の暴利、英国内での人種差別主義、民族排外主義などを非難している。そして、イラン、シリア、北朝鮮、キューバに対する米国の体制転覆策動に反対し、「イラクの主権をイラク人民に返し、連合軍は撤退せよ。大会は世界の先頭に立って闘う」と結んでいる。
TGWU(運輸・一般労組。90万人)のトニー・ウッドリー次期委員長は、大会1日目の最初に討論に立ち、イラク戦争で多くの子どもが死んだことは許されないと非難し、TUCは植民地主義に戻ってはならないと強調した。
RMTのボブ・クロウ委員長も、「イラク戦争に数十億ポンドをつぎ込む代わりに公共の福祉に金を使うべきだ。イラク侵略についての政府の説明はうそばかりだ。はっきりしていることは、ブレア政権が石油のための戦争にわれわれを引き込み、大量破壊兵器に関するうそを言ったということだ」と政府を批判した。
また、ブレア政権がサッチャー時代に改悪された労働法制をそのままにしていることを弾劾する意見が相次いだ。クロウ委員長は、「会社が他会社からスキャッブ(スト破り)を導入しても罰せられないのに、労働組合が他の労働組合を支援する連帯(二次的)ストライキが違法とされるのはおかしい」として、連帯ストの合法化を要求した。ブレア派のビル・モーリスTGWU現委員長も「8週間ルール」――8週間の合法的ストライキの後に雇用者は労働者を解雇できる――の廃止を要求した。
反民営化も決議
さらに、Unisonが提案した公共サービス民営化反対の決議がPCS(国家公務員労組)などによる若干の修正を経て採択された。これは、政府が進める公共サービスの民間委託化・民営化とりわけ民営病院導入、GATS(サービス貿易に関する一般協定)との対決強化をうたう決議だ。
Unisonのデーブ・プレンティス委員長が「病院民営化の推進はNHS医療サービスを2極化する」と反対したほか、民営化・民託化、病院民営化に強固に反対する意見が多数出た。
FBU(消防士組合)のアンディー・ギルクリスト新委員長は、政府の消防近代化計画は「消防士の削減、危険の増大」をもたらすと警告を発した。
消防士組合は近代化反対と40%の賃上げを要求して15日間のストライキを含む半年間の闘いを貫徹。6月に16%の賃上げをのんで争議を集約したが、組合員は闘う意欲を失っていない。
TUCの労資協調主義は過去のものとなろうとしている。TUCにおける左派の台頭と戦闘的転換、ストライキの季節の予感は、戦争と民営化を進めるイギリス帝国主義ブレア政権を足元から揺るがしている。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2120号3面3)
10・12三里塚へ大結集を 反対同盟からのアピール(上)
三里塚芝山連合空港反対同盟各氏の10・12全国集会に向けたアピールを紹介します。訴えにこたえ、全国から総結集しよう。(編集局)
勝利へ大きな展望 事務局長 北原鉱治さん
三里塚闘争38年間の中には、苦しい時代や大きな試練がいくつもあった。しかし、反対同盟は、来年4月の成田空港の民営化を前に、闘争勝利へ大きな展望をもって闘っている。
成田空港建設は国策として、国家権力が総力をあげて進めてきた。しかし、反対同盟は、あくまで成田空港は認められない。38年前に事業計画が決定されてからずっと暴力で押してきた。その結果がこの38年間だ。力でやってもダメ、金でもダメ。にっちもさっちもいかない状況だ。成田空港は閉鎖に追い込むことができる。反対同盟も38年間の闘いで鍛えられた。
なぜここまで闘ってきたのか。日本の侵略戦争の歴史と戦争に動員された経験が、私を突き動かしている。敗戦で日本の戦時体制が終わり、民主主義となった。私は、民主主義に大きな展望を感じ、日本も良くなると思った。
そこへ来たのが成田空港建設の話だ。あの時は、民主主義に対する幻想もあった。ところが民主主義は一切通用せず、表面だけの民主主義だった。国や県に陳情や請願を100回以上行って訴えた。しかし「国策だから従え」と、意見も聞かずに協力しろと言われた。成田空港の建設は、話しあって、お互い納得して、進めたわけではない。
民主主義が何かは、現地に来て暫定滑走路をみればわかる。神社の木を勝手に伐採し、農家の頭上40bにジェット機を飛ばす。これは38年間、まったく変わっていない。必要なのは真実と正義、これを貫くには大衆が目覚めねばならない。
北朝鮮侵略戦争になれば、成田空港は軍事拠点になる。アジアの防衛のためというが、侵略・攻撃のために米軍は成田に来る。イラクでも戦争は終わっていない。まだまだベトナムのように続く。ブッシュの目的は石油支配だ。米国は必ず負ける。短期決戦はすでに失敗した。
この戦争を支持し、一緒に戦争をやろうとする小泉政権は許せない。自衛隊1000人をイラクに送れば、日本もただでは済まない。イラクの人びとの敵になるということだ。
暫定滑走路を調査した元パイロットは、成田空港のような危険な国際空港はほかにないと証言している。滑走路の脇に大きな穴があるのをパイロットには知らされていないという。
暫定滑走路は、自ら墓穴を掘った。北延伸してもジャンボは飛べない。危険度は減らない。無用の長物はやめろということだ。38年間、したたかに闘ってきたように、われわれは今後も闘い続け、暫定滑走路を必ず廃港に追い込む。
農地死守を根底に 敷地内・天神峰 市東孝雄さん
世間では、成田空港の2期工事は完成したと思っている人が多い。しかしそうではありません。
来年4月に成田空港は民営化し、07年に株式上場を予定しています。ところが09年に羽田空港の新滑走路の完成で、現在は、暫定滑走路を使っているアジア便も大半が羽田にいくので、暫定滑走路の使い道はなくなるのです。
すでに暫定滑走路からの離着陸は開港時に比べると確実に減ってきています。
SARS(重症急性呼吸器症候群)で中国便がなくなった。米国便も少なくなった。暫定滑走路の最終的な完成も実現性はまったくない。空港利権は小さくなる一方です。
こういうことが、まだ知られてない。10月全国集会などを通じて全国の人に訴えていきたい。周辺農家の騒音も本当にひどい。ジェット機の離陸時には、騒音だけでなく振動もくる。家のドアがガタガタ揺れる。またブレーキでタイヤの焦げるにおいがひどい。滑走路の手前で無理に着陸するから、ブレーキをかける。時々タイヤがバーストするらしい。
空港公団は、暫定開港すれば、農民は落ちると思っていたんだろう。しかし民営化すれば、警備費だって大変。空港公団は民営化の前に、反対農家を追い出して2500bに延長し……と考えていたのだろうが、全部破産した。私たちは、農業もちゃんとやって闘い抜いている。それが重要だ。
暫定滑走路の破産は、空港反対闘争の正しさを示している。勝利の展望もある。今後、民営化で暫定滑走路の実状が明らかになってくる。実状をもっとキャンペーンしていきたい。
農地を守る闘いを根底に、そこからいろんな闘いを広げていきたい。反対同盟は全国の仲間と一緒に闘う。日本には国と闘うことにタブー色が強いが、反対同盟がそれを打ち破った。全国の闘いを三里塚が支えてきた。闘いによって時代が変わる実感がある。
自衛隊のイラク派兵は許せない。次は徴兵制も出てくるだろう。若い人が戦争に動員される。米国は、弱いところ(イラク)を痛めつけて、植民地にし、石油を奪おうとしている。しかしうまくいかず、しっぺ返しだ。反対同盟は反戦運動の先頭に立つ。
全国から三里塚現地に来てほしい。それが一番です。こういう闘いがあることを知ってもらいたい。
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週刊『前進』(2120号3面4)
ダム放水で避難命令 アイヌ文化破壊の帰結 住民の警告無視して造ったダム
8月10日、台風10号が北海道南部を通過した際、二風谷(にぶだに)ダムが緊急放水したため、沙流(さる)川の流域に居住する住民6千5百人に避難命令が出されました。
二風谷ダムは、「民族の聖地が水没する」と、アイヌ民族が建設に強く反対してきたダムです。
同ダムは、苫小牧東部工業地帯開発の失敗で工業用水の需要がなくなり、発電量もわずかで、唯一「洪水対策」を名目に造られた「無目的ダム」です。
この地に住んできたアイヌ民族は、「流域では百〜2百年に一度、大雨で氾濫(はんらん)が起きる。山林の伐採で天然の貯水能力が低下している。ダム建設は危険だ」と主張してきました。この警告のとおり大雨が降り、ダムが放水し、そして避難命令が出されたのです。
それだけではありません。10日夕に道庁が配布した広報資料では、ダムの放水で住民が避難した事実を一時削除したのです。その理由は、避難勧告直後に出された公報の内容に国=開発局防災対策室が腹を立て、「どうして『放水による』と書いたのか」と北海道総合防災対策室に電話を入れたからです。道側は「ダムの放水で住民が避難した事実を、開発局が公表したくないのだと思い、削った」と言っています。
8月末、開発局は「降雨は想定以上だった」「放流量は流入量を超えていない」「重大な災害を回避できた」と居直りました。だが、この大量降雨はアイヌ民族が警告したとおりのものであり、短時間に放水した量こそが問題なのです。
さらに、開発局の調査で推定6万7千立方bもの流木がダムに滞留していることが判明しました。同ダムに滞留する流木は1年間に1千立方bと見積もられていましたから実に67年分もの流木が一挙にたまりました。
7億円と試算された復旧費用は、国だけでなく道、平取町、門別町が負担するのです。資源として活用すべき流木を、大量だからと急いで焼却し始めたことにも非難が起こりました。
8月20日に予定されていた「チプサンケ」(舟下ろしの儀式)は中止になりました。ダム下流の舟下ろし場に流木や土砂が堆積し、舟を浮かべることが困難になったためです。この儀式は1970年以来毎年開催されてきました。現在、さらに上流部に平取ダムが計画されています。その建設が、沙流川流域に保存・伝承されてきたアイヌ文化にどれほどの影響を与えるか、それを調査する「アイヌ文化環境保全対策調査委員会」の初会合が5月に開かれたばかりでした。
アイヌ民族と連帯して闘おう
アイヌ民族人民は、中曽根以来の多数の閣僚による「日本人単一民族」発言に抗議を重ねるだけでなく、さらに進んで積極的な先住権の主張を始めています。5月、道ウタリ協会は総会で「北方領土」(千島列島南部4島)におけるアイヌ民族の先住権について、ロシア・サハリン州知事に直接主張の検討を始めたことを明らかにしました。同協会の秋辺副理事長は「日本政府に対しても、領土交渉にアイヌ民族が入ることを要請する予定だ」と語りました。「北方領土は日本固有の領土」と唱える領土返還運動は、アイヌ民族を始めとする先住民の存在を無視したものです。
日本政府は、ずっとアイヌ民族への同化・抹殺攻撃を続けてきました。この攻撃は今日では、ウタリ協会への恫喝などとして強化されています。また大資本攻勢が始まる以前から、アイヌ民族の労働者は真っ先にリストラ・失業を余儀なくされています。
被抑圧民族への迫害は侵略戦争への動きを速めます。それは戦争の災厄として抑圧民族にはね返ってくるのが歴史の教訓です。アイヌ民族の反対を無視した結果としての今回の事態は、有事立法とイラク派兵で再び侵略戦争へ突き進む日本帝国主義の足下の労働者人民への警告ではないでしょうか。
国際連帯をめざして闘う日本の労働者階級人民にとって、国内の被抑圧民族人民の存在と闘いに学び、連帯する闘いは不可欠の課題です。アイヌ民族人民との連帯を強め、平取ダムの建設に反対しよう。
(投稿/北海道・森石守)
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週刊『前進』(2120号4面1)
テロ特措法延長許すな 自衛隊イラク派兵絶対阻止へ
軍事占領泥沼化と米帝危機 劣化ウラン弾の被害も深刻
9月26日から臨時国会が開催され、テロ対策特別措置法の延長が強行されようとしている。小泉は、「自衛隊派兵をひるんではならない」と発言し、このテロ対策特別措置法の延長で、アフガニスタン・イラク侵略戦争のためにペルシャ湾に派兵されている海上自衛隊を継続して参戦させようとしている。また陸上自衛隊のイラク派兵の突破口にしようとしているのだ。日帝のテロ対策特措法延長阻止、イラク派兵絶対阻止へ全力で決起しよう。
日帝・小泉第2次改造内閣は、超反動政権である。小泉は、今国会で対テロ特措法の延長を唯一最大の課題として強行し、それをもって10月10日解散、11月9日総選挙に打って出るつもりだ。対テロ特措法の延長を強行して10・17米帝ブッシュ訪日と日米首脳会談をもって、侵略帝国主義への決定的飛躍を強行しようとしているのだ。日帝・小泉と全面対決し、その打倒のために闘おう。
イラク人民の命かけた革命的ゲリラ戦争
アフガニスタンでもイラクでも人民は激しく米帝の侵略・占領と闘いぬいている。アフガニスタンのデッチあげカイライ政権であるカルザイ政権は、首都のカブールとそのほんの周辺を抑えているにすぎず、政権としての実体はないと言っても過言ではない。旧政権のタリバンが東部や南部を始め、首都のカブールでも攻勢を強めている。その他の地域でもアフガニスタン人民はけっしてカルザイ政権を受け入れてはいないのだ。ペルシャ湾に派兵されている海自は、このアフガニスタンへの米帝の侵略・占領支配に参戦し、燃料補給などを担っているのだ。
イラクではさらに米英帝の軍事占領が泥沼の状態を深めている。すでに開戦以来の戦闘による米兵の死者は300人を超えた。米軍はイラク人民に対する無差別虐殺を繰り返しており、それへのイラク人民の怒りは一層激化している。イラク人民の生活基盤を徹底的に破壊しておいて、石油略奪に全力を挙げている米帝の現実を見て、怒りがさらに高まっているのだ。
米帝ブッシュは9月7日のテレビ演説で「(イラクは)テロとの戦いの中心的な前線」だと主張して国連に対して占領支配に対する責任分担を要求した。また米議会に対してイラク、アフガニスタン戦闘の補正予算として870億jを要求した。ブッシュは国連への責任分担の要求だけでなく、各国に対しても直接地上軍派兵と資金分担の要求を突きつけている。米政府高官は、イラク原油の輸出代金を含めて諸外国に負担させる資金を300億jから550億jとしている。
また、9月23日に国連総会で演説したブッシュは、イラクへの主権委譲を拒否してあくまでも米帝が全権限を握ってイラクを支配していくことを宣言した。それでいて国連に新たな決議を要求し、加盟国に多国籍軍としての派兵と資金分担を要求しているのだ。
今や、イラク侵略戦争の泥沼は米帝にとって、完全な政治危機、体制的危機に転化している。だからこそ、帝国主義間争闘戦の勝利と世界支配の貫徹をかけて、イラク人民の戦いをたたきつぶそうと絶望的に侵略戦争をエスカレートさせているのだ。
今こそ、1〜3月の闘いに続く日米欧労働者人民の反戦闘争への決起が問われている。自衛隊のイラク派兵を絶対阻止し、米英軍をイラクから撤兵させるために巨大な人民決起を巻き起こそう。9・27の高揚を引き継ぎ10・25国際統一大行動に決起しよう。
イラクに派兵された米軍兵士は、「イラクの人たちはテロリストではない」「私は2年間も家族に会っていない」「早く帰れるように闘ってほしい」と訴えている。米軍兵士の家族も、米議会に要求書を突きつけ、街頭に出て撤兵要求デモの先頭に立とうとしている。
イラク人民の決死の民族解放・革命戦争に連帯して米英軍をイラクからたたき出し、撤兵させるために全力で決起しよう。
劣化ウラン弾で米兵自身が4千人も犠牲
イラクに派兵された米軍兵士のうち、開戦以来すでに6000人が医療上の理由でアメリカに送り返されていると英紙ガーディアンが報道した。そのうちの1500人が負傷によるもので、さらにそのうちの1200人近くが戦闘による負傷である。病気になった米兵は、C17大型輸送機で連夜ワシントン近くのアンドリューズ空軍基地に運ばれている。
6000人のうち負傷兵を除いた4500人は病気によるものだ。その大半が劣化ウランによる傷害であると考えられる。すでに3人の米兵が8月初めまでに「肺炎」で死んでいる。100人の米兵が肺炎で送り返され、そのうち15人は人工呼吸器が必要な重体になっていた。これがただの肺炎でないことは、死亡したミズリー州出身のジェイコブ・ノイシュ特技兵が 肺に液体がたまっていただけでなく、肝臓、腎臓の機能が衰弱していたことからも明らかだ。またサウジアラビアのアルーワタン紙は7月17日付でバグダッド空港周辺に配置された米兵に謎の発熱、かゆみ、皮膚にできる傷と茶褐色の斑点といった症状が出始めていることを報道している。
劣化ウランによる症状はガンや白血病とともに呼吸器障害があると言われており、「肺炎」と言われているものが劣化ウランによる症状であることはほぼ間違いない。放射線による健康被害は、被曝(ひばく)した線量が増えるとともに増大するものであり、今後こうした劣化ウランによる障害が急増していくことは間違いない。
今回のイラク侵略戦争で米軍が使った劣化ウランは、1100dとも2200dとも言われている。91年湾岸戦争の数倍の劣化ウランが使われているのだ。
米帝は、世界支配と石油強奪の侵略戦争で大量の「核兵器」を再び使用し、イラク人民を虐殺しているばかりか、米兵自身を殺しているのである。しかも、イラク人民は生活すらままならず、病気になっても病院に行くことができない状態にある。イラク人民の劣化ウランによる被害がどれほど深刻なのかは、計り知れないのだ。
米英軍撤退へ国際反戦闘争爆発させよう
侵略軍である米軍は、イラク人民の怒りに囲まれ、その恐怖の中でさらに無差別虐殺を繰り返している。9月12日にはイラクの首都バグダッド西方約50`の町ファルージャ郊外で強盗グループの乗った車を追跡していたイラク警官隊のトラックに米軍部隊が発砲、少なくとも警官9人が死亡するという事件も起こっている。これを見たイラク人民は、「私はゲリラとなって戦う」と怒りをあらわにしている。
米英軍撤退へ、イラク人民の命をかけた革命的ゲリラ戦争に今こそ連帯して闘いに立ち上がろう。自衛隊がこのイラクの戦場に乗り込み、イラク人民を虐殺することを絶対に許してはならない。凶暴な侵略戦争で人民を大虐殺することによってしか生きられない帝国主義を、労働者人民の怒りの決起で打倒しよう。
臨時国会での対テロ特措法の延長を絶対に阻止しよう。自衛隊派兵を阻止しよう。
10・12三里塚闘争、10・17ブッシュ訪日―日米首脳会談粉砕闘争、10・25国際反戦統一行動に決起しよう。11月労働者集会の大結集に全力を挙げよう。
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週刊『前進』(2120号4面2)
10−11月方針を討論 反戦共同行動委が全活
反戦共同行動委員会の全国活動者会議が9月21日、千葉市のDC会館で行われた。青年労働者の司会で議事が進められ、滝口誠事務局長が世界が戦争に突入し、ついに日本が侵略戦争に本格的に突入する時代がきた、「戦争と革命の時代だ。それは反戦共同行動委の出番である。労働者階級の最も戦闘的な大衆団体として、今年を反戦共同行動委の組織拡大へ闘おう」と提起し、10・17ブッシュ訪日阻止―日米首脳会談粉砕の集会デモ、10・25国際反戦闘争、11月への決起を呼びかけ、自衛隊のイラク派兵阻止、国民保護法制阻止など有事立法反対の闘いを軸に闘うことを訴えた。
まず労組交流センターの自治体労働者部会が自治労大会を報告。「21世紀宣言」は自治労を戦争協力の組合に変え、労使一体で労働者を切り捨てる――と弾劾。「21世紀宣言」を葬る闘いを訴えた。破防法・組対法に反対する共同行動が共謀罪廃案を訴えた。
全学連の大山尚行委員長は、今年春の反戦デモを超える巨大な反戦の波をつくる先頭に立つ決意を示し、ANSWERなどと連帯しての10・25国際反戦闘争の成功を訴えた。関西反戦共同行動委の国賀祥司事務局長が「北朝鮮侵略戦争前夜の情勢下で、どういう路線と思想で闘うのか。再出発の決意で今後の闘いに臨みたい」と問題提起した。
青年アジア研究会は国際連帯と11月総決起を訴えた。千葉労組交流センターは「自分と運動の殻を破って出ていく努力が必要。労働運動は大流動化している」と話した。新潟労組交流センター、広島労組交流センター、三多摩労組交流センター、部落解放同盟全国連合会などから活発な討論が続いた。
関西反戦共同行動委の入江史郎代表は「初心に返って共同して行動して組織して闘おう」と語った。また東京反戦共同行動委の三角忠代表は自衛隊兵士の意識的獲得の重要性を訴えた。
最後に中野洋代表が「日・米・韓労働者がともに立ち上がった時、北朝鮮侵略戦争は止められる。11・9労働者集会を満席の熱気あふれる国際連帯の集会にしよう。反戦共同行動委員会は団体共闘でそれぞれの団体が基本。各団体固有の課題と結合して自主的に組織拡大を闘おう。労組交流センターの組織拡大がカギだ。反戦や年金問題、労働組合の課題はすべて一体の問題。°内への階級戦争、外への侵略戦争″ということだ。一体でとらえて闘おう」とまとめた。
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週刊『前進』(2120号4面3)
JCO事故から4年 臨界必至の契約が元凶 核燃免罪の判決許すな
河東 耕二
JCO労働者の大内久さん・篠原理人(まさと)さんの命を奪い、多数の住民を被曝させた1999年9月30日の茨城県東海村JCO臨界事故から4年目を迎えた。
労働者階級人民、被抑圧民族人民に搾取・収奪、虐殺のかぎりをつくし、今、未曽有(みぞう)の血の犠牲の上に三度生き延びようと世界戦争・核戦争への道に突き進む帝国主義を打倒する闘いは、待ったなしの歴史的・階級的任務となった。東海臨界事故をくり返すな! 大内さん・篠原さんの無念の死を忘れるな!核廃絶・核武装阻止の誓いも新たに、労働者人民は団結し階級的反撃にうって出よう。
国家・資本の核犯罪を免罪
今年の3月3日、水戸地裁で出された臨界事故の刑事裁判の反動判決をあらためて徹底的に断罪しなければならない。業務上過失致死、原子炉等規制法違反、労働安全衛生法違反の罪で起訴された越島所長らJCO資本の幹部6人に対しては、臨界事故発生防止の注意義務を怠り、措置をなんら講じなかった過失があると認定しながら、全員が執行猶予付の禁固刑(2年〜3年)だった。
また判決は、「行政当局の監督不十分の論難は、自らの責任を他に転嫁するに等しい」と、臨界事故の最大の下手人である日帝政府・科学技術庁・原子力安全委員会を擁護し免罪した。そして作業の安全、作業負担などを無視し、臨界を直接引き寄せた核燃料サイクル開発機構の無理な発注の事実を全面否定し、その責任を不問にした。
その一方で判決は、作業中に中性子線の直撃を受け、急性放射線症との壮絶な闘病の中で息をひきとった現場労働者の大内さん・篠原さんに対して、名指しで犯人扱いにした。それは「事故の直接原因は作業者の逸脱行為にある」と言い放った事故調査委員会の最終報告書を踏襲したものだ。さらに住民への被曝責任に対しては、その深刻な健康被害になんら言及していない。
公判で明らかになったのは、核燃機構が要求しJCO資本が同意して成立した臨界制限破壊の契約の驚くべき内容、そして核燃機構こそ臨界事故の重大きわまる責任があるということだった。だが検察は控訴せず、判決は確定した。日帝権力・資本などの支配階級は、総ぐるみで9・30臨界事故の原因と責任の究明を妨害し、真相をやみに葬り去ろうとしている。絶対に許してはならない。
核武装の推進が根本的原因
JCOは、原発や高速増殖炉に使う核燃料の加工工場である。臨界事故は、核燃機構の高速増殖炉実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の燃料となる濃縮ウランを精製化学処理する過程で起きた。取り扱っていたのは、ウラン235が18・8%含まれる中濃縮ウランである。この臨界制限は2・4`グラム。ウラン濃度370cU/リットルの溶液が求められていたのだから、この濃度で1回に扱う溶液は6・5g以下(1バッチ縛り)でなければならないはずだった。
「JCOは1986年の最初の硝酸ウラニルの契約にあたって、臨界管理を考慮して1ロット(納入単位)1バッチ(6・5g)を主張したが、動燃が分析と輸送の期間短縮を目的に1ロットの増量を要求し、1ロット約7バッチ(40g)となった」(JCO弁護団最終弁論)。この1バッチ縛り逸脱の契約の強要こそが直接原因だったのだ。だが判決は動燃(現核燃機構)を目的意識的に免罪した。
核燃機構が開発してきた高速増殖炉「常陽」「もんじゅ」は、核兵器に最適な98%以上の純度のプルトニウムを生産する核軍事炉である。この高速炉を主軸とした日帝の核武装政策・核燃サイクル計画がなければ、今回の臨界事故はありえなかった。核燃機構を押し立てて核武装化政策を激しく推進する日帝こそが、2人のJCO労働者を虐殺し666人の住民を被曝させた元凶にほかならない。
北朝鮮侵略戦争突入情勢の中で、核武装国家への衝動を一層募らせる日帝は、「もんじゅ」設置許可無効判決に対する上告、原発損傷でも運転続行という維持基準の導入、そして核燃機構免罪の臨界事故刑事裁判判決確定をもテコにしつつ核燃サイクル継続へ突っ走っている。核燃サイクル解体の闘いこそ、日帝の核武装と核事故を阻む道だ。
労働者に責任転嫁した判決
生産現場では、「臨界については誰も教えてくれなかった」という。1バッチ縛りの放棄が、臨界管理・臨界教育の放棄となるのは当然だ。JCOの労働者は、いつ臨界事故が起きても不思議でない危険きわまりない労働条件の中にたたき込まれていた。
判決は「篠原が沈殿槽使用を提案、大内も賛成」、だから臨界事故を引き起こしたのだと叫ぶ。だが1ロット7バッチの契約内容こそが根本問題であり、1ロット1バッチの契約履行なら臨界は起こらず、2人は中性子線の犠牲にならずにすんだのだ。どこまでも大内さん、篠原さんを犯人にデッチあげようとする悪らつな判決を断じて許すな。
大内さん・篠原さんは連合の非鉄関連傘下のJCO労働組合員だった。連合会長笹森は、連合評価委員会での発言(02年3月18日)の中で、JCO臨界事故に言及し、「労働組合がまったくチェッカーとしての役割を果たしていなかった」と他人ごとのように発言し、居直っている。戦争と大失業攻撃に対する闘いの放棄、産業報国会化の推進を基調とした連合路線が、2人の組合員虐殺と多数住民の被曝という事態を引き寄せたのだ。
だが、連合傘下の自治労の労働者は、74回定期大会で「自治労21世紀宣言」を否決し、連合路線に公然と反乱を開始した。労働者階級の団結と闘いこそが未来を獲得する。闘う労働運動の新潮流をさらに発展させよう。
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週刊『前進』(2120号4面4)
労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案(3)
階級闘争の否定 要求掲げた闘いを全面放棄
「枠内」を誓う
戦争と恐慌の大激動情勢が日々進行し、全世界の労働者人民が決起を開始しているまさにこの時点で、日本共産党は帝国主義の最後の番兵となって生き延びる道を求めて、今回の綱領改定に走った。
そのために、支配階級に「資本主義の枠内で可能な民主的改革」を誓い、「革命の党」ではなく「民主的改革の党」であることを売り込んでいる。そして情勢の激化の中で不可避に爆発する労働者人民の闘いを、なんとしてもこの「資本主義の枠内」に封じ込めようとしている。
労働者人民の決起は、このままでは生きていけない、というぎりぎりの地点からの決起である。そこには、抑圧の根源である資本主義=帝国主義への底深い怒りがあり、革命のマグマが渦巻いている。これこそ、日本共産党が最も恐れるものなのだ。労働者人民の戦闘的・革命的な決起は、必然的に国家権力との対決に発展する。この中で、日本共産党は間違っても自分自身が弾圧の対象とされることがないように必死に政権の一角にもぐり込もうとしているのである。
今回の改定案で、労働者人民の闘いの否定を最もはっきり示しているのが、従来の綱領にあった「行動綱領」の全面的切り捨てと「民主連合政権のプログラム」への置きかえである。これまでは「当面実現をめざす目標」として、35項目にわたって展開されていた「行動綱領」が、改定案ではすっぽりと落とされ、代わりに「現在、日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容」が、いわば「民主連合政権の公約」として掲げられている。
とりわけ重要なのが、従来の「行動綱領」にかろうじて残っていた、労働三権や労働者の要求に関する項目が、改定案では丸ごと抹殺されてしまったことである。代わりに掲げられているのは、「経済的民主主義の分野で」という次の文言である。
「1 『ルールなき資本主義』の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる。
2 大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる。民主的規制を通じて、労働者や消費者、中小企業と地域経済、環境にたいする社会的責任を大企業に果たさせ、国民の生活と権利を守るルールづくりを促進するとともに、つりあいのとれた経済の発展をはかる」
行動綱領全廃
ここでは、まず労働者の直面する問題が、「長時間労働」と「一方的解雇」だけに切り縮められ、「要求」「反対」がまったく消え、すべてが「ルールづくり」「民主的規制」に還元されている。しかも、それを労働者人民自身の行動、闘いをつうじてかちとるのではなく、「ルールづくりの促進」「社会的責任を大企業に果たさせ」というように、闘争が立法要求のようなものにすりかえられているのである。しかも重要なのは、この「ルールづくり」が、ブルジョアジーの納得するルールづくりに逆転してしまっているということだ。
労働者人民の労働と生活、権利がかかった要求の実現ではなく、資本主義経済の「民主化」(ルールある資本主義!)が目標とされているのだ。
不破議長自身、次のような説明を行っている。
「各階層・各分野の要求の一覧(=『行動綱領』)ではなく、革命(民主的改革のこと)によって実現すべき改革の内容をあげる、ということに変わりました」(7中総報告)
「それは、諸階層・諸分野の切実な要求を軽くみるということでは、もちろんありません。こういう改革を実行することによって、各階層・各分野の要求に現実にこたえ、その実現に道を開くという意味でのことですから、その基本的な構えをよくつかんでほしい、と思います」(同)
これはつまり、「各階層・各分野の要求に現実にこたえ、その実現に道を開く」のは、「民主連合政権の樹立」によってであるということだ。すべてを「民主連合政権の樹立」にゆだね、労働者人民の独自の行動、活動、闘いをしてはいけない、これが日本共産党の「基本的な構え」だというのだ。
日帝支配階級=ブルジョアジーに対して、日本共産党は、これまで「行動綱領」に掲げてきたような「各階層・各分野の要求」を実現するための闘争などやらないし、労働者人民にもやらせないようにブレーキをかける、とアピールしているのである。ここに、今回の綱領改定の核心中の核心がある。それは、階級的労働運動に対する全面敵対の宣言である。
強まる裏切り
現に日本共産党は、現実の労働運動において、労働者人民の闘いを裏切る行為を重ねている。ここでは、二つだけ例をあげよう。
ひとつは、分割・民営化における資本の不当労働行為と闘いつづけ、国労大会への説得活動、ビラ入れをやった国鉄労働者を、5・27臨大闘争弾圧で国労の組合役員である革同=日本共産党員が権力に売ったという反階級的行為である。
もう一つは、労働基準法改悪攻撃における「資本の解雇権」承認である。日本共産党は、「解雇権の乱用に歯止めをかけた」などと言っているが、そもそも、労働者の基本的権利を踏みにじる「資本による解雇権」なるものを承認すること自体が、戦後労働運動、戦後階級闘争の獲得物である労働三法を基本的に解体する自殺行為である。このような日本共産党の階級的裏切りを許してはならない。
(川武信夫)
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週刊『前進』(2120号4面5)
9月16日〜23日
超反動小泉改造内閣が発足 イラクWMD12年前に廃棄
●アラファト追放断念要求に米拒否権 国連安保理がイスラエルに対してアラファト・パレスチナ自治政府議長の追放を断念するよう求める決議案を採決した。15理事国のうち11カ国が賛成したが、米が拒否権を行使したため否決された。(16日)
●米海軍哨戒部隊司令部が三沢に移転 外務省は、横浜市の上瀬谷通信施設にある米海軍太平洋艦隊の第1哨戒偵察航空団の司令部が青森県三沢市の三沢基地に移転すると同市に伝えた。三沢基地には、P3Cなど哨戒偵察活動にあたる米海軍の航空機部隊がすでに配備されており、情報収集拠点としての機能が同基地に集約されることになる。(17日)
●小泉「自衛隊派兵ひるまぬ」 小泉首相がイラクから帰国した岡本行夫首相補佐官と首相官邸で会い、現地の情勢報告を受けた。その後の記者会見で小泉は、自衛隊のイラク派兵について「日本としてできることはたくさんある。ここで支援をひるんじゃいかん」と語った。(17日)
●ブッシュ「証拠ない」 ブッシュ米大統領が記者会見で、「サダム・フセインはアルカイダとつながりがあったのは間違いない」としながら、「われわれはまだサダム・フセインが9・11に関与したという証拠は持っていない」と語った。(17日)
●「イラク、12年前に廃棄」 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス前委員長は、「私は、イラクが大量破壊兵器(WMD)のほとんどを91年の夏に廃棄したとの確信をますます強めている」と語り、イラクがWMDを12年前に廃棄したが、米国の攻撃を抑止しようと、そうした兵器を保有しているかのように偽造していた、との見方を示した。(17日)
●「核持ち込みの禁止見直しを」 川口外相が依頼して、日本の対外政策の検討作業を進めていた「外交政策評価パネル」(座長・北岡伸一東大教授)が報告書をまとめ、外相に提出した。核兵器を「持ち込ませず」とした政府の「非核三原則」の変更と、これまで憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使を認めるよう提言した。(18日)
●鳥島でミサイル発射実験 海上自衛隊が次期哨戒ヘリSH60Kに搭載を予定している対艦ミサイルの発射実験を12月上旬に、米軍鳥島射爆撃場(沖縄県久米島町)で実施する方向で調整を進めていることが明らかになった。海自が在日米軍基地の射爆場でミサイル発射実験を行うのは初めて。(18日)
●防衛庁、小型無人機の開発へ 防衛庁は、偵察など多用途の小型ジェット無人機の本格開発を04年度から始める。今後5年間で約90億円かけ、09年度の配備を目指すという。また軍事衛星からの位置情報に基づきピンポイント攻撃する精密誘導爆弾(JDAM)も04年度に導入する方針。(19日)
●米が未臨界核実験 米エネルギー省・国家核安全保障局(NNSA)がネバダ州の地下核実験場で、未臨界核実験を実施したと発表した。97年以降、20回目。ブッシュ政権下では1年ぶり7回目となる。(19日)
●小泉が総裁再選 自民党総裁選の投開票が行われ、小泉が国会議員票と地方票を合わせた全体の約6割を獲得、他の3候補に大差をつけて第1回投票で再選を決めた。これを受け小泉は22日、内閣改造を行い、自民、公明、保守新の3党連立による第2次改造内閣を発足させた。(20日)
●改憲発言続く 小泉首相は、「1政党だけで憲法改正ができるものではない。できれば第1党と第2党、次の野党でも将来政権を担当しようとする政党と協調できれば望ましい」と述べた。また野沢法相は、「解釈に解釈を重ね実態に合わせている。分かりやすく見直すべき」などと述べた。(22日)
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週刊『前進』(2120号5面1)
マルクス主義基本文献学習シリーズ(7) 『レーニン「国家と革命」』の活用を
国家は戦争と階級支配の機関だ 帝国主義国家の粉砕へ
結城 喬
ロシア革命勝利の立場で<国家の問題>に鮮明な回答
本書の決定的意義はまず第一に、レーニンが『国家と革命』を書いた理由はどこにあるのかということをはっきりさせたところにある。
その核心は、1917年の2月革命の直後、ロシアのプロレタリアートはプロレタリア革命に直面しているという認識を持ったレーニンが、「4月テーゼ」を打ち出し、それを実際にやり抜こうとする立場から執筆したものだということである。すなわち帝国主義戦争を終わらせ、資本主義から共産主義への革命的転化を現実的になし遂げるという課題のために、〈革命の貫徹にとっての国家の問題>を本格的に対象化したということである。
〔注・4月テーゼ 1917年4月、亡命先のスイスからロシアに戻ったレーニンは、それまでロシア社会民主労働党(ボリシェビキ)にとって前提であった臨時革命政府(ブルジョアジーの権力)支持の立場を否定し、労働者代表ソビエトをとおしたプロレタリアートと貧農の権力の樹立(プロレタリアートの独裁)の立場を打ち出した。これを4月テーゼと言う〕
レーニンは、国家論一般でもなく、また単に国家論に関する日和見主義の理論的・思想的批判でもなく、世界史的に初めてのプロレタリア革命をロシアにおいて実現しようとする「革命的実践者」の立場から、国家を問題にしたのである。
1914年の第1次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)と第2インターナショナルのドラスチックな崩壊を受けて、レーニンは1916年、この世界戦争の物質的基礎を明らかにする帝国主義論を樹立し(『資本主義の最高段階としての帝国主義』の執筆と刊行)、その世界認識を明確にした。それからそれほど時間もたたない1917年2月に始まったロシア革命の真っただ中で、「4月テーゼ」において、帝国主義段階論的世界認識に基づく戦略論(「帝国主義戦争を内乱へ」「すべての権力をソビエトへ」に表現される)を明確化したばかりであった。
したがって、ロシア革命をプロレタリア革命として貫徹すること、すなわち資本主義から共産主義への革命的転化を現実にやりぬく闘いに突入するにあたって、〈国家の問題>は決定的だったのだ。ボルシェビキを先頭とする先進的プロレタリアートが、プロレタリア革命の立場から、議会主義的国家を含めて国家権力を粉々に粉砕することに立ち上がるか否か、プロレタリアート独裁の思想を持って世界史に立ち向かうか否かは、焦眉(しょうび)の課題であったのである。
ロシアのプロレタリアートの大半は、ボルシェビキに結集している先進的部分をも含めて、「まずブルジョア革命の完遂」という「2段階革命論」的思想との決別を十分になし遂げていない状態にあったことを想起すれば、この課題の重要性と切実性は理解できるであろう。
この点は、われわれ自身の普段の活動から想定すると非常に生々しくわかる。ロシアの1917年情勢は、帝国主義戦争のただ中で、ある種の綱領的・戦略的飛躍を伴いながらプロレタリア革命の貫徹へと猛然と突き進んでおり、革命の進行も急テンポならば、理論的・思想的・戦略論的飛躍も急テンポであった。それゆえ、打倒すべき国家の問題についてあいまいさなくはっきりさせるためには、理論的にも根本的でかつ厳密でなければならないとレーニンが決意した理由が、非常によく分かるのである。
考えてもみよ。革命の真っただ中で、まさに実践的活動で忙殺されている時に、単なる理論的書物を著すことなど不可能だし、問題にならない情勢なのである。にもかかわらずレーニンが、マルクス・エンゲルスの国家論に関する可能なかぎりすべての文献を系統的に整理し、理論的に検討する本を出したのは、まさしく実践が激しくそれを要求したからである。
つまりこれは、単なる理論的書物ではなく、当面するロシア・プロレタリア革命の貫徹にとって、絶対不可欠のものとして書かれたものなのである。
ここをはっきりとおさえないかぎり、『国家と革命』の核心をつかむことはできない。レーニンは『国家と革命』において、プロレタリア革命を目前にして、国家は階級対立の非和解性の産物であるという本質規定をきわめて明解にズバリと言い切り、議会制民主主義の国家も含めて粉々に粉砕しきらなければならないとした。
そして、1871年のパリ・コミューンからプロレタリアート独裁の思想と内実を経験的に引き出し、共産主義社会への転化が具体的に展望できることを力強く提起した。すなわち観念の上のことではなく、歴史上すでに人類が現実に着手した事業を、生身のプロレタリアートが引き継ぎ完遂していくものとして、プロレタリア革命を問題にしきったのである。その意義は計り知れないものがある。
カウツキー批判とプロ独論復権
したがって第二に、それまでも系統的にその違いをはっきりさせる闘いが展開されてきたとはいえ、帝国主義論を確立するまではその戦略論的違いが今ひとつ鮮明ではなかった、第2インターナショナル的日和見主義や無政府主義者との根底的決別を伴うきわめて鮮明な提起であることが、実践上決定的な意味を持ったということだ。このことが、労働者階級の革命的エネルギーを爆発させていく決定的環となった。
第6章は「日和見主義者によるマルクス主義の卑俗化」となっているが、この章だけでなく、カウツキー的日和見主義への批判は『国家と革命』全体を貫く一本の赤い糸になっている。
カウツキーとの対決、第2インターナショナル的な「日和見主義的マルクス主義」との対決は、眼前の課題の貫徹にとって、いかなる意味でもあいまいにできず、徹頭徹尾対決して思想的に決別・粉砕しなければならないテーマだった。それをテコにして初めて革命的立場を鮮明にすることができ、そうして初めてプロレタリアート人民の革命的エネルギーが爆発する。そういうものとして、カウツキー的日和見主義との対決はあった。
『国家と革命』は、階級対立の止揚をとおして国家は死滅するという理論と思想を強力に貫き、かつその実現のためには暴力革命が不可欠であることを鮮明にした。そのことによって、マルクス・エンゲルスが提起したプロレタリアートの独裁論を確固として再確立したのである。
理論的内実の半分はこれに費やされているが、それは本文から学ぶとして、ここで強調したいことは、日和見主義や無政府主義との理論的・思想的対決としてそれらが鮮明にさせられているということである。
このあいまいさのない理論的・思想的確立は、きわめて厳格な理論的作業として行われる以外になかった。特にカウツキー的なまがい物が権威を持っていた時代に、この厳格さなしには、ロシア革命の貫徹も、革命後の闘いも不可能であったとさえ言える。
『ドイツ・イデオロギー』とレーニン国家論の関係解く
第三に、このこととの関連で、本書第1章の「補論」は、現代的に非常に意義があるものとなっている。評者個人にとっても、あいまいであったものがきわめて鮮明にさせられた。
というのは、反スターリン主義・革命的共産主義運動として開始したわれわれの闘いにとって、マルクスのマルクス主義を原理的にとらえ返すために『ドイツ・イデオロギー』は決定的な意味を持っており、その中でも『ドイツ・イデオロギー』の国家論は特別に重要な位置を持っていたからである。
革命的共産主義運動の創成期に、マルクスの原点に戻ることを主張して独特の役割を果たした黒田寛一は、「レーニン『国家と革命』への疑問」(1959年7月発表)という小論を書いて、レーニン主義に対する保留の姿勢をとった。この小論それ自体は黒田自身も隠蔽(いんぺい)したがるほどの位置しか持たなかったとはいえ、このことはけっして小さいことではなかった。
特に、『ドイツ・イデオロギー』の「幻想的共同性」論と、レーニンの「階級対立の非和解性の産物としての国家」論との関係は一貫して大きな問題であった。レーニン主義を遠ざける連中は、レーニン『国家と革命』の国家の本質規定ではなく、それと対立するかたちで、『ドイツ・イデオロギー』の「幻想的共同性」論を尊重し、持ち上げてきたからである。
これらの傾向と一体のものとして、反スターリン主義・革命的共産主義運動におけるレーニン主義の位置づけは、「レーニン主義がスターリン主義の原因である」という積極的否定から、黒田的な消極的否定をも含めて、きわめて大きな問題であった。1963年の革共同第3次分裂の本質的な思想的核心は、故本多延嘉書記長が後日鮮明にさせたように、まさに「レーニン主義の継承か、解体か」にあったのである。
その中で、国家論については、黒田の「疑問」を問題にもならないものとして批判することはそれほど困難ではなかった。しかし『ドイツ・イデオロギー』の「幻想的共同性論」が国家の本質論であるという見解とレーニン国家論の本質規定とはどのように関係するのかはきわめて大きな問題であった。
そしてわれわれは『共産主義者』57号(1983年7月)掲載の野島三郎論文「レーニン『国家と革命』をいかに学ぶか」において、プロレタリアートを含めて「支配をめざすいかなる階級も、まずは政治権力を奪取しなければならない」という規定を手がかりに、基本的に内容上の決着をつけてきたと言っていい。
しかし今回の「補論」の画期的意義は、それをさらに深化させたことにある。すなわち、「特殊利害と共同利害の分裂」の論述に続く「しかも、この共同の利害は、なにか観念の中にのみ……あるだけではなく、なによりも現実のなかに分業にたずさわる諸個人の相互依存としてある」という文言をどのように読み解くのかというところまで敷衍(ふえん)して、レーニンの「階級対立の非和解性の産物」という規定そのものとまったく同じことが『ドイツ・イデオロギー』において述べられていることを徹底的に明らかにしたことである。
【評者自身は、黒田の「賃労働なくして資本なし、資本なくして賃労働なし」という相互依存関係を、西田哲学的な「絶対矛盾の自己同一」などという観念まで「高めて」、何か深遠なことを言っているかのごとき観念思想には与(くみ)することはできなかったが、『ドイツ・イデオロギー』のこの「相互依存」とは、そのことを指すのではないかと勝手に解釈してきたところがあった。しかし今回の解説において、『ドイツ・イデオロギー』の叙述はそれを否定していることが、きわめて鮮明になったのである。これは、『ドイツ・イデオロギー』をその断片で摂取する段階から、その翻訳作業をとおして、マルクスとエンゲルスの2人の思想的・白熱的やりとりの中で書かれたものとしてつかみとった研究が切り開いたものであることを、少なからぬ感動をもって確認したい】
この個所は、「補論」とされているように、『国家と革命』理解の本筋ではない。しかし反スターリン主義・革命的共産主義運動の歴史では、非常に大きな点なので、あえて特筆しておきたい。
さらに、ここでどうしても確認しておきたいことがある。それは、『ドイツ・イデオロギー』の叙述は実は、労働者にとって非常にわかりやすく本質をズバリと言い切ったレーニンの『国家と革命』の規定とまったく同じことを言っていることを確認した上で、『国家と革命』における国家の本質規定自身のすばらしさと深さをあらためて確認するべきだということである。
つまり、『ドイツ・イデオロギー』の国家論に戻ることではなく、『国家と革命』の展開の持っている理論的前進性を心の底からつかみとろうということである。ここでは、『ドイツ・イデオロギー』の段階ではマルクス主義の国家論にまだまとわりついている抽象性・観念性(観念論という意味ではない)を脱却して、きわめて実践的な概念として、非常に分かりやすく、しかも寸分のあいまいさもなく国家の本質規定がなされていることを確認することが大事なのである。
この点を心置きなく確認できることになったという点で、著者たちが「補論」において、『ドイツ・イデオロギー』との内的関連の問題にこだわってけじめをつけたことは、非常に重要である。
コミューン型国家論を深める
第四に大きいのは、プロレタリアート独裁と民主主義の関係をレーニンが徹底的に明らかにしたことを重視して、展開していることである。この点は、スターリン主義崩壊後の「マルクス主義」理論戦線で、「反スターリン主義=民主主義」の論者が幅をきかせている昨今の情勢にあって、非常に重要な点である。
また実践的にも、階級的自覚を鮮明にさせる点で、ここのところは学習会などでも重視されるべきである。特に、第3章のパリ・コミューン論とコミューン型国家論の理解・把握における「深化」は非常に重要である。
この意義も、以上述べてきた趣旨から言って少なからず強調したいが、それは今回は省略したい。
レーニンの実践的立場から過渡期の改造過程に接近
第五にやはり決定的なのは、『国家と革命』の最大のテーマである「国家死滅の経済的基礎」(第5章)におけるレーニンの一定の概念的混乱を措定した上で、この第5章をどのように読むべきなのかが鮮明に出されていることである。
ここで重要なことは、概念上の混乱それ自体を論じることから始めるのではなく、第一でも述べたことだが、レーニンの徹底的に実践的な立場に立ちきって読むべきだという指摘である。レーニンはここで、現実的に直面している革命の白熱的貫徹とプロレタリアート独裁の樹立、その共産主義社会への転化について、プロレタリアート独裁から共産主義社会の第1段階へと突き進む展開をリアルに想定しつつ、プロレタリアート独裁下での経済的社会的改造と政治的改造のあり方をはっきりさせようとして書いている。
つまり、『国家と革命』全体が、ものすごく生き生きとした実践的躍動感とイメージを持って書かれているということをまずつかむべきである。
今回の解説が、その実践的立場に身をおいて、その中でレーニンが何を明らかにしようとしているのか、そして、そこでの若干の概念的混乱をどのように整序すべきかという観点で書かれているということをつかむべきである。
そのために本書は、レーニンが理論的前提にしたことを、あらためてわれわれの側からとらえ返していく作業を行っている。レーニン的な実践的立場から『ゴータ綱領批判』『フランスにおける内乱』などをあらためて読み解くことにかなりの量を割いているが、それをきちんと学習することが大事である。ここは、著者たちが相当にこだわっているが、それだけの価値があるものとしてくらいつくということである。
そして、その核心の把握と概念的整理を行った上で、「レーニンの偉大さ」を確認している項目(本書265n)を重視して、学習してほしい。
この項目の重要性は、以上の確認だけでは不十分であり、具体的な内容をとおして提起すべきであるが、しかし前記のような読み方をすれば、おのずとその意義をつかめると思う。
青年労働者や学生の中に大胆に持ち込み学習しよう
このように見てくると、『国家と革命』の全面的な解説を今の時点で出したことの大きさをあらためて確認できるだろう。
ひとつは、今の情勢そのものと完全に切り合い、かみ合ったものであるということである。世界恐慌と世界戦争の時代への突入、世界史的な革命的情勢の急速な成熟という今日にあって、われわれはそれほど遠くないうちに、レーニンが『国家と革命』を書いた時に直面したのと同様の革命情勢を迎えることは確実である。それが指呼の間にきている今、『国家と革命』を徹底的に学習し、それで武装することを、情勢そのものが要求しているものとして対象化するということである。
つまり、マルクス主義世界革命論のリアルな認識を深めるものとして、本書は、遅すぎも早すぎもしないこの時期に、最も必要なものとして刊行されたのである。
特に、『国家と革命』を本当に理解するためには、〈階級社会が非和解的であること>の理解がストレートに前提になる。その認識の確立と一体で学び、〈その非和解性の産物である国家の本質は、階級支配の機関という点にある>というきわめて鮮明な認識を確立することによって、マルクス主義の核心を鮮明につかむことができるのである。
したがって本書は、青年労働者と学生の大量の獲得、労働者細胞の爆発的形成に向けて、決定的な本であると言うことができる。
また第5章の展開は、共産主義論が『ドイツ・イデオロギー』段階の思想的確立の次元から、具体的なリアルな現実になった段階でのイメージ豊かなものとして生き生きとつかまれていることが、大きな意味を持っている。『ドイツ・イデオロギー』の共産主義論のとらえ返しに続いて、それと並行しつつ、『国家と革命』の学習会を、国家論であるとともに共産主義論そのものとして学ぶべく大いに組織しよう。
いまひとつは、この世界戦争と世界恐慌の時代の到来の中での階級的流動情勢にあって、日本共産党が綱領的大変質を開始し、スターリン主義の影響下におかれてきた膨大な労働者人民の流動と分岐・分裂が開始され、反革命カクマルが分裂と分解をさらに深めつつ凋落(ちょうらく)の過程に突入していく中で、『国家と革命』解説の威力はきわめて大きいということである。
日本共産党のこの間の「理論」活動の一つの軸は、議長・不破哲三によるペテン的に歪曲された「生産手段の社会化」思想と、「ルールなき資本主義」論と結合した「市場経済を通じた社会主義の道」論にある。前者においては、プロレタリア革命による生産手段の暴力的奪取ということが捨象されて語られていることが特徴である。その場合、レーニン『国家と革命』の否定が理論的な核心にある。
綱領改定に向けて今年6月に開催された7中総における不破の提案説明を読むと、『国家と革命』第5章の問題を重視しているかのように論じ、そしてそれを単なる分配論ではなく「生産手段の社会化」を軸に読むべきであると言っている。しかしながら、『国家と革命』の第1〜4章で展開されている〈「生産手段の社会化」とは既存の国家権力を粉々に粉砕することをとおして、つまり、暴力革命とプロレタリアート独裁をとおして実現される>ということが完全に、平然と抹殺されているのである。このことに対して、激しい憤りを覚えないわけにはいかない。
本書の刊行を機に、日本共産党の新綱領案、特に不破の提案説明のこの個所を徹底的に対象化しつつ、『国家と革命』を学ぶことを提起したい。
【不破は、新綱領案の理論的土台と称して、『前衛』10月号に「『ゴータ綱領』批判の読み方――マルクス・エンゲルスの未来社会論」なるものを掲載した。これをも餌食(えじき)にしよう】
また反革命カクマルにおいては、国家論に関する黒田の「疑問」は、その本質は堅持しながらも隠し続けてきたことに示されるように、致命的弱点をなしている。そういう彼らにとって、われわれが『ドイツ・イデオロギー』を本格的に読み解いたこと自体が打撃であった。さらにその上に、特に国家論の領域で、レーニン『国家と革命』のいわゆる国家の本質規定の展開はマルクス・エンゲルスの『ドイツ・イデオロギー』の内容とその本質において寸分違わないということをはっきりさせたことは、正面から見据えることができないほどの打撃を与えるものになっている。
『ドイツ・イデオロギー』と『国家と革命』の学習本の刊行は、反スターリン主義・革命的共産主義の本流、正当な継承者はわが革共同以外にないことを確定したものである。そういう意味で本書刊行の大きな意義をおさえたい。
その他、本書の意義について語るべきことは尽きないが、以上をもってとりあえずの評としたい。
基本文献学習シリーズ6『ドイツ・イデオロギー』とともに、同7『国家と革命』が貪欲(どんよく)に読まれることで、学生戦線はもとより、青年労働者の獲得に向かって、劇的に情勢が開かれると確信する。
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週刊『前進』(2120号5面2)
A生活こわす大増税
消費税の大幅引き上げで過酷な大衆収奪たくらむ
政府税調が税率2ケタ化を答申
日帝の国家財政はすでに破綻(はたん)状態にある。今年度末の国と地方の長期債務残高は686兆円に上り、来年度の国債新規発行額は40兆円を要する見通しだ。こうした巨大な財政赤字を生み出した原因は、銀行と資本救済のために際限ない財政支出が行われてきたことにある。
しかし、小泉政権は財政破綻のつけを、すべて労働者人民への大増税に転嫁しようと企てている。
今年6月、政府税制調査会は、「少子・高齢化社会における税制のあり方」と題した抜本的な税制改悪プランを策定した。そこでは、「消費税率の2ケタ化」が公然と打ち出されている。昨年まで政府税調は、労働者人民の怒りを恐れ、消費税の引き上げ幅を答申に明記することは避けてきた。だが、今回は消費税増税に向けて、正面突破を図っているのである。
小泉政権が7月にまとめた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(骨太方針第3弾)もまた、「包括的かつ抜本的な税制改革」を唱えている。 小泉は、「自分の在任中は消費税率を引き上げない」とうそぶくが、それは、当面は財政赤字の恫喝のもとで「構造改革」を徹底化させるということにすぎない。消費税の大増税は、小泉政権の基本プランなのである。
言うまでもなく、小泉のこうした方針は、「消費税率16%化」を唱える日本経団連・奥田ビジョンに促されたものである。奥田ビジョンは、年金給付を徹底削減しなければ、消費税率は18%にも28%にも引き上げざるをえなくなると叫んでいる。
戦後税制の転換叫ぶ日本経団連
奥田ビジョンがたくらむものは、戦後税制の根本的な転換だ。所得の多い者にはより多くの税を課すという、累進課税のあり方は、そこでは完全に否定されている。°経済活性化のためには、企業や資本家の収益に課税してはならない″というのが、奥田ビジョンの基本構想なのである。
奥田ビジョンは、「経済成長に対する影響が相対的に少ない間接税のウエートを高めていく」と言う。つまり、°労働者人民に金を与えても、それは投資には回らず経済成長につながらないから、消費税という形で徹底的に収奪を貫けばいい″ということだ。
消費税は、所得が低ければ低いほど負担は重い。それは、最も過酷な大衆課税である。
すでに、国税収入のうち消費税の占める割合は、30%を超えている(グラフ参照)。消費税率がさらに引き上げられれば、税収構造は完全に一変する。国家財政は、低所得者からの収奪と国債発行によって、その基本部分が賄われるものに変わってしまうのだ。
だが、こんなでたらめなことはない。そもそも、解決不能なレベルに達した国家財政の赤字をつくり出したのはいったい誰なのか。銀行救済のための公的資金枠だけでも、67兆円を超えている。財政赤字の責任を負うべきは資本家だ。
にもかかわらず、資本に対しては大減税が繰り返し行われている。法人税と所得税の最高税率は、99年以来、大きく引き下げられている。今年度に入って、1兆3千億円にも上る研究開発減税、設備投資減税が実施された。一握りの大資本のために、労働者人民はどこまでも犠牲にされているのである。
所得税増税への踏み込みが転機
今年1月に実施された配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止は、本格増税への踏み込みという点できわめて大きな意味を持っている。7月には、たばこ税・酒税も引き上げられた。
政府税調はまた、所得税の一層の増税を狙っている。「大多数の納税者が最低税率のみに分布している」ことをやり玉に挙げ、「公費の負担はできる限り多くの者が広く分かち合うべき」というのである。増税のターゲットは、今日の激しい資本攻勢にあえぐ大多数の労働者だ。
次期通常国会でたくらまれている年金改悪は、直ちに消費税アップへと連動する(前号参照)。それは、消費税をめぐる決戦としての位置をも持っている。
消費税の増税を容認する連合を打倒し、大増税を阻む闘いをつくり出そう。11月労働者集会は、こうした闘いを準備するものでもあるのだ。
(長沢典久)
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週刊『前進』(2120号6面1)
万景峰号めぐる闘い少数でも行動で示す 新潟・民間労働者 矢吹隆
万景峰(マンギョンボン)号の運航が8月25日に再開されて、2度目の入港となる9月4日夕方、私は新潟労組交流センターの新潟駅前街宣に参加した。
敵意をあらわに大声を上げていく人やビラをまるめて投げ捨てる人もいたが、万景峰号に乗船するために新潟駅を利用した在日朝鮮人が声をかけてきた。「がんばってください」と声をかけていく青年、「最初は右翼かと思いました。明日は絶対に乗ります」という女性、演説を聞きながらビラを数枚持っていく老人。駅前は在日朝鮮人との熱い交流の場となった。
6月9日に続いて8月25日もデモをやりぬいて本当に良かったと思った。ふり返ると、この夏は新潟の労働者にとっても大きな試練だった。拉致問題を利用した排外主義の洪水の中で、職場や地域で自分の意見を言えば「非国民」扱いされかねない重苦しい雰囲気が依然として覆っていた。
6月9日のデモも、直前に「万景峰号でミサイル部品を運んだ」なる米議会証言が飛び出し、国家権力は機動隊を含めて1900人を動員した「臨検」体制をとった。2〜3日前から右翼は市内を大音響で走り回り、6月8日の百万人署名運動の街宣にも殴りかかってきた。ファシスト・「救う会」が「人道面」して街頭にのさばり、「戦時下のような状況」の中で社・共は完全に沈黙。しかし、在日朝鮮人にとってはもっと厳しく、「朝鮮学校の生徒は学校へ行くのもおびえている」「地獄の日々」という声が聞こえてきた。
われわれがどうするかが厳しく問われた。どんなに孤立しようとも、この状況に対して、まず労働者が行動でNO!を突きつけることが大切だと思った。6月9日は港周辺は騒然たる状況で、デモに罵声(ばせい)を浴びせかける人やデモを途中から見て襲いかかってきた右翼青年もいたが、断固やりぬいた。後日、それを聞いた労組役員から「あんな中でよくやったなあ」「勇気があるよ」という反応が返ってきた。
しかし、7月29日に朝鮮総連新潟県本部への右翼による銃撃事件が発生し、交流センター以外は弾劾の声をあげない中で、8月25日の万景峰号入港が明らかとなった。もっと声を広げなければと集会もやることとなった。取り組みは4日間しかない、仲間がメールも使って連絡をとった。
当日は「今日は命がけでやってきたよ」と参加した人、「今は少数でやることが重要」と数人で参加した青年労働者がデモに加わり、在日朝鮮人が熱い声援を送ってくれた。夕方の闘う人士が呼びかけた緊急集会にも、組織動員した労働組合もあり、6月9日に沈黙していた人びとが立ち上がった。今の排外主義に日本の労働者人民は完全にのみこまれてはいないが、誰かが声をあげ、少数であってもまず行動で示すことだ。そのことによってこれまでの「壁」を向こうからものりこえてくることを示したと思う。やはり、6・9闘争が大きかった。
私も久しぶりに『前進』のバラ売りを開始したが、定期購読も拡大している。今、革共同を見る労働者の午後1時15分目が変わってきている。
許せないラジオ日本の排外主義的番組 青年労働者 加藤英夫
私は東京のラジオ放送を深夜に聞くのが趣味だが、ラジオ日本(日本テレビ系)が金曜深夜に放送している「ミッキー安川の朝まで勝負」という番組は、いきなり番組の冒頭から「君が代斉唱」で始まるという反動ぶりだ。そしてあげくのはては日中戦争は「中国共産党がはじめた」などという始末。拉致問題でも「北朝鮮と戦争だ」とあおるなどその反動性はカクマル黒田一派などをはるかに越えるものだ。
そしてその司会役であるミッキー安川をたたえるミッキー安川音頭なる珍奇歌を流している。
このような日本帝国主義の罪悪を称賛するような番組が「言論の自由」があるからという理由で戦後社会で許されるのであろうか。その上、ファシスト石原を首相にせよとその反動性はとどまるところをしらない。
このようなアジア人民の敵を許してよいのだろうか。このような反動放送はただちに粉砕すべきであると私は思います。
『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 奥田ビジョンと闘う道を示す動労千葉 金属労働者 飯山史郎
戦争と革命の時代の労働運動とは何か。階級的労働運動をいかにつくりあげるのかを労働現場で闘っている同志は、いつも自問自答しながら闘っている。5月テーゼ、19全総路線のもとで、「労働者の中へ」を必死に闘っている。
そんな思いで苦闘している時に『俺たちは鉄路に生きる2』は、一筋の光明と新鮮な感動をわれわれに与えてくれる。
動労千葉という実態をもった労働組合が、戦後労働運動の中で、階級的労働組合へと飛躍し、今なお不屈に闘い続けているという事実をかみしめることができる。
動労千葉の歴史。著者である中野さんの実践の歴史。労働者の闘いの歴史。あらゆる意味で、この歴史を主体化しようという決意をこの本を読むと感じる。中野さんが書記長になる過程、動労カクマルと対決し分離独立する過程、分割・民営化と対決する過程……。どれも実践的であり、生きた教訓をわれわれの前に指し示している。
どの章もおもしろいが、自分は、第4章がおもしろいと思う。国家的な攻撃としての「分割・民営化」攻撃といかに動労千葉が闘ったのかというテーマは、現在の日帝の全体重をかけた日本経団連路線、奥田ビジョンといかに闘うかということと、ダブって見える。
なぜ闘えたのかを中野さんは言う。「労働組合に対する認識」が動労カクマルや国労と違い「労働組合とは幹部のものではなく組合員のもの」「資本・当局のあらゆる攻撃に対して組合員の階級的利益を守るために、団結して闘い」「労働者の階級性、本来労働者がもっている力を掛け値なしに全面的に信頼し、それに依拠して闘うことです」と労働者階級への信頼を語り、「この時代をどう見るのかという時代認識の問題」から、「攻撃の中にも、敵の矛盾点があることを見てとれるかどうか」が重要だと力説する。
中野さんが語る言葉は、実践の中で鍛えられた、生きた教訓だと感じる。2波のストライキに決起する過程での「ここまで来たらやろう」との組合員の決意や解雇された組合員が「自分は国鉄労働者として正しいことをやったんだ」と家族と対決する姿は感動的だ。
また、28人の解雇者を出した2波のストライキを打ちながら、JR発足時には「動労千葉は、闘う時には、組織全体で闘う」と言って、ワッペン闘争をやめる柔軟な戦術には驚かされる。階級的原則を貫くからこそ柔軟な闘争が組めるのだろう。
この本を読んで「労働者の闘争の本当の成果は、直接の成功にあるのではなく、労働者の団結がますます広がっていくことにある」という共産党宣言の言葉をあらためてかみしめる。自分たちが何のために運動をやっているのか。何をめざすのか。そして、「何をなすべきか」をすべての同志は感じるだろう。
動労千葉とその組合員の闘いを全職場に!
〔中野洋動労千葉顧問著、労働者学習センター刊〕
全学連大会に参加して 世界を変える確信が持てた 法政大学1年 南村武
ぼくは、全学連にいいイメージを持っていなかった。そんなぼくが、全学連大会に参加するようになったのは、部落解放研究会の先輩に「全学連にはさまざまな個性を持った人間がたくさんいる。何か刺激になるだろう」と勧められたからだ。
実際に会場に入ってみて思ったのは、自分が想像していたような新興宗教団体のような空気が感じられなかったことである。討論の時に軽い笑いが生じたりなど、全体的に会場のムードは和やかだった。そして、討論をしている学生一人ひとりがそれぞれ自分のスタンスを持っており、その上で今の社会の矛盾を訴えている姿に感動した。どの学生もエネルギーがあって興味深い人たちだったが、特に大学内でたった一人で反戦活動を続けている人の話を聞いた時は、本当に自分との落差を感じた。署名運動でさえぼくはこわがってできなかったのに、全学連の人たちの反戦平和を訴える気持ちは本物なのだなと、あらためて彼らの強さに心を動かされた。
今、世界は大きな変動の時代にある。そのことに気づきながらも自分では何もできない、変わらないと思っている人はたくさんいるだろう。だが、全学連大会に参加することでそんなことはない、自分らだって集まれば世界を変えられるという確信が持てた。そういった確信をもっとたくさんの人が持つために、もっと全学連大会に参加する人が増えればと思う。
全学連大会に参加して 反戦のうねりつかみにいく 広島大学1年 西条恭子
全世界の人民と手を取り合って何万人もの人びとを街頭に決心して飛び出させる、“大爆発”をかちとる、というところでみんなが一致し、熱い思いで10・25へ意志統合していく! ほとんど団結している姿を目にして、すごい熱気だぁー、と感じられ、これこそ学生がやるべき学生らしい行動、意志だと感じたのと同時に、「党」ということを深く意識しました。
一番心に残った発言者とは、本当に自分自身の怒りや悲しみ、ムズムズ感をしっかりうけとって、その思いを周りと分かち合って仲間をつくっていった人だったと思います。まずは私自身なのです。がんばって勉強していきたいです。
歴史的に本当に大事だ、というのを頭の中で理解していても、やはり周りの反応が気になってしまう。目に見えないうねり、絶対あるけれど、それがまだまだつかめない。まだまだ自分でつかみにいってないのかもしれません(ここをつかみにいく!)。相手の納得していない部分を分かち合って、一歩一歩やっていこうと(同じ視点で)この大会で決心しました。
全学連大会に参加して 全国の活動家と新鮮な討論 九州大学4年 高橋和彦
初めて全学連大会に参加しました。今まで福岡での活動が主で、全国の活動している人と討論し意見を聞けたことは、ぼくにとってとても新鮮でした。また、自分の勉強不足を身にしみて感じ、これからもっと勉強していかなければならないと思い、逆にそれが自分をかきたてるものとなっています。
また、大勢の権力を前に当初は圧倒されましたが、日を追うにつれ圧倒されることもなくなり、気を落ちつかせて大会に臨むことができました。
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週刊『前進』(2120号6面2)
裁判官は予断と偏見を退け「無実は無罪に」の原則守れ
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判 板垣同志の最終陳述(抜粋)
挙証責任は検察官にある
私は無実・無罪です。私は、本件両事件にまったく関与していません。本件に関与などしていないからこそ、証拠がまったくないのです。
それなのに、1987年10月に不当逮捕、起訴されて以来、被告としての汚名を着せられて、16年間もの超長期の不当勾留を受けてきたのです。
私は、無実・無罪なのです。このことに何の説明も、証明もいりません。挙証責任は検察官にあります。だが、検察官論告は私がいつ、どのようにして、本件にかかわったのかについて一言半句たりとも述べていません。
検察官が、「解読」と称して改作し、捏造(ねつぞう)した上で無理やりに「証拠」に仕立て上げている「メモ」類すら、私について本件両事件に関連するものは、一切ありません。論告のどこにも、私が本件両事件に関与したとする「証拠」と「証明」はないのです。これでなぜ「犯人」とされなければならないのか、怒りをこめて弾劾します。
だが、このデッチあげ攻撃をはね返し、「10万人保釈署名運動」に多くの皆さんが結集して下さり、昨年末の保釈も実現できました。ありがとうございました。権力のデッチあげによるいかなる弾圧も、屈することなく闘いぬけば、必ずうち破れます。
裁判官は、検察官側への度を越した加担、反対に被告・弁護側へのいわれなき予断と偏見から脱却し、はっきりと疑問の余地がないいささかのあいまいさもない、完全な無実・無罪判決をせよ、ということです。
「板垣」に言及できない論告
検察官論告は、被告に関する5W1Hがまったく欠けています。さらに論告は、岩手以前がまったくなく、裏切り者の幅田検面調書での「『おい』と呼んだから3人は同じ班で須賀さんがキャップだ」とする、お粗末な作り話が、岩手以前を示す唯一の、いや、それがなければ検察官論告が成り立たないほどの唯一の「根拠」になっています。そのあまりの荒唐無稽(むけい)さにあきれ果ててしまいます。また、論告のこのような粗雑さと、それを知りながら私を16年間も不当に勾留し続けてきた裁判官らに、あらためて限りない怒りを感じます。
論告は私や須賀さん、十亀さんを分離不可能な「ひとかたまり」であるかのように「3名が、3名が」とくり返していますが、では、それはいつのことで、どこでで、一人ひとりはその時どこにいて、いったい何をしていたのか、についてはけっして述べることができないのです。
とりわけ幅田証言での「85年の秋ころ」から「岩手借家の開設」までの約半年間の空白に、論告ではまったく触れていませんが、実はその「空白の半年間」にこそ、本件両事件に対する「事前共謀」があったとして、私および須賀さん、十亀さんが起訴されているのです。すなわち検察官論告が、本来一番立証し証明しなければならない期間、時期について何も述べていないという事実こそ、検察官が本件の「立証」などできないことをはっきりと示しているのです。
検察官論告は私に関してほとんど記述がありません。検察官の言う「メモ」類を中心とする「証拠」類もなく、「被告人3名」という、抽象的で中身のないひとからげの中に含まれている以外、単独での板垣の記載はないに等しいのです。
しかも、検察側のインチキ筆跡鑑定によれば、「メモ」の筆記者は、須賀さんか十亀さんとしているのにもかかわらず、何の証拠も証明もないままに、いきなり「被告人3名が」ということにされてしまっており、そんな中で私はでてくるだけです。要するに、私に関しては、言及すらできないのです。論告によっても私の無実・無罪は明らかです。
インチキ鑑定に証明力ない
本件で検察官は、@岩手以前の人と物の存在や動きを一切「立証」していません。A「実行犯」が誰かも一切「立証」していません。B「共謀」についても、具体的「立証」は一切ありません。つまり、基本的立証項目のすべてが「ミッシング・リング」(失われた環)となっているのです。
そうした中で、本件デッチあげにおける検察官「立証」は、各種のインチキ鑑定を多用し、それをごまかしの手段としているのが特徴です。検察官の最大のよりどころであるメモ類の小島(馬路)筆跡鑑定は、被告・弁護側証人の故木下信男氏(明治大学名誉教授)によって、100年も前のドレフュス事件の過ちを繰りかえすものだ、と厳しく批判されたとおり、主観的、非科学的で、古色蒼然(そうぜん)としたしろものでしかありません。その鑑定結果をうのみにし、一切の作り話の基礎としている論告に「証明力」など一片もありません。
では、物についてはどうでしょうか。これも、検察官が最大の根拠とする大町ダイス鑑定が、I証人によって否定されています。同じような切削痕を持つダイスは幾つも作れる可能性があるのです。しかも、岩手以前において、誰が、いつ、どこで、どのような形で、ダイスを「所持し、信管を製作したのか」あるいはダイスがどうやって「岩手借家に来たのか」、その一切は不明のままです。
爆取は無効だ今こそ廃止を
検察官は私たち3人が85年の羽田・成田など4つの砲撃事件の「犯人」であるとする作り話を出発点に置いています。
しかし、羽田・成田などの事件で私たちはまったく無関係であるがゆえに起訴もされておりません。しかも、すでに時効になった事件です。検察官は、実に卑劣であり、恥知らずです。
検察官の、長々しい重複だらけの論告は、突き詰めると、岩手借家の「メモ内容の解読」なる作り話と、幅田のウソの自白しかありません。「根拠が薄弱」という軽い言葉では足りず、まさしく「証拠」は何もないというしかないのです。
本件では、単に論告が言う「その個々の共謀の日時、場所、参加者、謀議の具体的内容等は不明で」あるばかりではなく、検察官が「やった、やった」と言う「信管の開発・製造、及び弾胴部への炸薬の装填という本件遂行にとって不可欠な役割を分担」していたとする行為自体が、日時、場所、参加者、具体的態様はまったく明らかにされていません。
検察官が挙げた「メモ」類には、本件両事件の実行計画をうかがわせるような記述も記載もありません。ましてや、検察官が前提化しているような、〈メモ内容はそのままメモ記載者の直接的行為〉となるわけではありません。
「立証」に行き詰まった検察官は「組織犯罪」なのだから、中核派なら誰でもいい、「『前進』を読んでいたことのみでも」共謀は成立し皆犯人だ、との暴論を述べています。
しかも「共謀」は「長期間にわたる複数回の、複数の場所における謀議から構成」されている場合には、「その個々の共謀の日時、場所、参加者、謀議の具体的内容等は不明で」あってもよい、具体的な「立証」の必要はない、とまで極論しています。事実上、「起訴されたら犯人だ」ということです。こんな暴論を許してはなりません。これは検察官が本件の「立証」が失敗していることの何よりの証明です。
また太政官布告の爆発物取締罰則は、足立昌勝教授の証言によって、太政官においてさえ一切審議されておらず、実質的にも法としての効力は明治憲法下ですら、なかったのだ、という新たな事実が明らかになっています。爆取はそもそも初めから無効なのです。
爆取は、今日テロ防止条約などと絡めて、(論告でいう「法律第121号」による「改正」とは、まさにそれを指していますが)新たな戦時型治安弾圧の手段として位置づけられ、侵略戦争体制づくりのために発動されようとしています。
だからこそ、爆取を今こそ廃止し、本件デッチあげとともに粉砕しなければなりません。
暴虐と迫害の責任をとれ
昨年12月末に、ようやくにして保釈をかちとり、「外」へ出てみてあらためて16年という失われた歳月の重さと長さを実感しました。
私の主治医は、「回復には勾留期間の4分の1ないし3分の1はかかる」と言っています。4〜5年は体力が元に戻らないで、現在の痛みが続くということです。この私に対する、暴虐と迫害の責任を誰がとってくれるというのですか。
16年間の未決勾留とは、私が家族や友人たちとごく当たり前に言葉を交わすといった、およそ人間的な生活や、社会生活に欠かせないすべてのものを権力が奪い去っていった過程であり、無実・無罪の私たちの公判闘争に対する妨害としてもあったのです。本当に許せません。
本公判では、病苦を押して小島筆跡鑑定批判の貴重な証言をしていただいた木下信男先生を始め、16年もの長期裁判の過程で、支援の皆さんの中にも亡くなられた方々が少なからずおられます。その方々のためにも、絶対に無実・無罪判決をかちとります。どうか私たちを今後も見守っていてください。勝利の日はそう遠くはないはずです。
検察官は、16年間も私たちを不当に獄中に監禁しておきながら、なおも「被告人3名の反社会的性格は誠に顕著」であるとして、私に13年、須賀さんに15年、十亀さんに13年ものとてつもない重刑攻撃をかけてきています。断じて許せません。
木口信之裁判官、合田悦三裁判官、北村治樹裁判官は、治安弾圧を優先させて、侵略戦争の推進者となるのか、それとも「無実は無罪に!」という原則を守って無実・無罪判決を行うのかという選択を迫られているのです。答えは一つです。無実・無罪判決を速やかに行ってください。
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