ZENSHIN 2003/09/08(No2116
p08)
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週刊『前進』(2116号1面1)
革共同の9月アピール
国労の革命的再生かちとろう
イラク派兵・改憲・大増税の小泉を打倒し11月総決起へ
日米韓の労働運動の連帯を
第1章 <新指導方針>のもとで産別大会での勝利開く
動労千葉の7月訪米と、アメリカの最も戦闘的な労働組合ILWU(国際港湾倉庫労働組合)との交流を歴史的契機として、日米韓の労働組合の国際連帯が感動的に形成されつつある。日米韓の闘う労働組合が、帝国主義の侵略戦争の開始と29年型大恐慌の爆発下で、イラク反戦を闘い、一大資本攻勢と民営化攻撃、社会保障や福祉や医療の切り捨て、治安弾圧・逮捕・投獄の攻撃と不屈に闘っている。このことが、労働者階級の画期的な国際連帯を生み出しているのだ。
この国際的な連帯と団結を切り開き、戦略的方向性を与えたのが、2001年9・11のムスリム人民による米帝に対する特殊的・極限的な民族解放闘争の爆発であり、動労千葉の労働運動であり、03年の国際的なイラク反戦闘争の歴史的爆発であった。そして革共同の〈新たな指導方針>であった。それはこの情勢に真っ向から対応し牽引(けんいん)するものとしてあり、11月労働者総決起の爆発に向けて力強く実践され始めている。
こうした中で、6月全逓大会への戦闘的決起に続いて、8月自治労大会、日教組大会への闘う労働者の主体的な猛然たる決起がかちとられ、自治労大会では、裏切りと転向の「21世紀宣言」が否決されるという歴史的勝利が実現された。
さらに新潟では、8月25日、万景峰(マンギョンボン)号の入港に対する日帝政府・権力・右翼の不当極まる立ち入り検査=臨検と排外主義の攻撃に、闘う労働者と市民たちが反撃のデモに唯一立ち上がり、大衆的共感を生み出した。
「連合評価委員会中間報告」の反動的な内容
日帝の資本攻勢は、80年代の国鉄分割・民営化攻撃、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」、02年末から03年年頭にかけての「経労委報告」と「奥田ビジョン」などを画期として激化してきた。これに全面的に屈服して、裏切りと転向を深めてきたのが、カクマルとJR総連であり、連合と全労連指導部であった。
この中で特に、帝国主義の延命を自らの方針として誕生した連合は、世界戦争と恐慌・長期大不況と一大資本攻勢の激化のもとで、根底的危機を深めている。いや連合路線は今や完全に破産した。そうであるからこそ、連合は、ますます帝国主義の奴隷として生き残ろうと、労働者階級への大裏切りの攻撃をかけてきているのである。そのことを如実に物語っているものが、10月連合大会に向けて中央委員会に提出された「連合評価委員会中間報告」(03年6月26日)である。
この報告の反動性の第一は、連合がすさまじい組織的な危機の中にあることを指摘しつつ、「労働組合が思いきって変身をとげる必要がある」などと帝国主義とますます一体化し、産業報国会化して生き残れとしていることだ。
第二は、「労働運動の理念・思想の再構築」などと称して、労働者が階級的に団結して資本と闘うことを否定し、解体しようとしていることである。
第三は、「働くものの意識改革」「働く者一人一人が他人と痛みを分かち合い、自分のものとして労働組合運動の未来について考える」などと、ワークシェアリングやアウトソーシングに率先賛成し、さらにそれを前提として、労働者階級の怒りとエネルギーをボランティア運動へと向けていこうとしていることだ。
第四は、「新しい公正な賃金論の確立が急務」と、賃金闘争を根本的に否定していることである。「年功型賃金から職務型・職種型賃金への移行を働くものの視点に立って実現させる」「サポートシステムをつくりだす」と主張し、労働者をますます賃金奴隷の状態にたたき込み、社会保障制度解体、大増税攻撃受け入れの布石をも打てとしているのだ。
第五は、「ネットワーク共同体としての労働運動」「日本の労働運動は、世界の労働運動、とりわけアジアでリーダーシップをとれるように努力する」と言って、アジアの労働者に対して日本企業への闘いは認めない、企業に協力する労働運動をアジアにも拡大していくべきという方針を打ち出していることである。
この「中間報告」は、連合が「経労委報告」「奥田ビジョン」を前提として、それに沿い、その先兵として労働者を裏切っていくことの宣言である。
われわれは、以上のような連合路線のもとで産別大会が開催されることをしっかりつかんで、それと対決し、産別大会決戦を闘い、重大な勝利をかちとった。特に、国際労働運動との歴史的な連帯の前進を満身で受けとめ、さらに革共同集会の基調報告と本紙夏季特別号の提起の内容でしっかり武装して、産別大会決戦をきわめて党組織建設的に闘った。
〈新たな指導方針>のもとでの闘いは、職場・産別からの連合路線との対決として、決定的に新しい闘いの段階をつくりだした。5月テーゼ、6回大会路線の地平とマルクス主義に立脚しながら、労働者階級に根を張り、職場の攻防で勝利し、産別指導部として登場していく闘いが、力強く実践され始めたのである。11月総決起への闘いが各産別において開始されたのである。
そして、ここからさらに一切を集約する闘いとして、9月国労大会でチャレンジ・革同の裏切り指導部を打倒する闘いに総決起しなければならない。その鍵(かぎ)は、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの大衆的前進である。
国労を先頭に全産別で「許さない会」を今こそ拡大しよう。9月13、14日の国労大会へ、1047名闘争勝利、国労5・27臨大闘争弾圧被告奪還を掲げて総力で決起しよう。
第2章 米英日帝のイラク侵略戦争に国際的内乱を!
8月19日、イラクの国連現地本部に対して炸裂(さくれつ)した自爆戦闘は、アメリカ帝国主義ブッシュ政権を痛撃した。それは、一瞬にして国連のペテンを暴き出した。人道とか、復興支援という名に隠れた侵略者に、すべてのごまかしはきかないことを突きつけた。全世界の労働者階級と被抑圧民族は団結して帝国主義の世界戦争を世界革命に転化せよという闘いの火がまさにイラクの地から燃え上がっているのである。
イラクでは、米帝の軍事占領に対する怒りがさらに爆発している。イラク人民大衆は、米英帝の軍事侵略に対して、各地で大規模なデモに決起しており、米軍、英軍に対するゲリラ攻撃は、規模と回数が激増している。
さらに米帝ブッシュに追い打ちをかけたイスラエルへの自爆戦闘は、米中東政策を全面破産に追い込むものである。
国際的内乱の激化・発展、それが現下の世界情勢の最大の主体的特徴である。ブッシュ・ドクトリン=世界戦争戦略を発動したアメリカ帝国主義の3・20イラク侵略戦争は、その思惑とは正反対のものに転化しつつある。
米帝を始めとした帝国主義の基本矛盾の爆発、世界支配の根底的危機は、革命的闘いの世界史的爆発へと転化しつつある。歴史は、大きく動こうとしている。
こうした中で1〜3月の国際反戦闘争の爆発と全学連の訪米、三里塚へのANSWERの参加を経て、7月動労千葉の訪米とILWUとの交流、連帯が実現した。
動労千葉代表の訪米、西海岸の闘う労働組合ILWUと交流したことは、戦闘的労働運動がついに長い厳しい過程をとおして到達した感動的地平である。アメリカの最も戦闘的な労働組合が、イラク侵略戦争に対して動労千葉が90時間のストライキで決起したことに共鳴して連帯を求めてきたのだ。サンフランシスコ労働者評議会は、動労千葉支援、国鉄1047名闘争支援、国労5・27臨大闘争弾圧での8名逮捕弾劾の決議を上げた。
これを突破口に日米韓の戦闘的労働運動の感動的な連帯が始まっている。
プロレタリアートは、本来的に国際的である。そして、今回の国際連帯の広がりは、戦時下でのプロレタリアート人民の連帯であり、自国の帝国主義の侵略戦争と闘う者同士の連帯であり、最も戦闘的で階級的原則を貫き資本攻勢と血みどろに闘う労働組合の連帯である。ここにかつてない偉大な地平がある。
米帝ブッシュは、ますます凶暴化し侵略戦争の拡大に突進している。米英帝のイラク侵略戦争は、イラク人民の巨大な反撃に遭遇しており、他方で帝国主義の未曽有(みぞう)の危機をいよいよ激化させつつある。
とりわけ米帝の危機は、重大なものとなっている。米帝経済は、回復傾向と言われているが、その内実は家計と企業が借金をふくらませ続けていることによる。必ず行き詰まらざるをえない。特に、この間の消費を支えてきた錬金術の仕掛けと言われた低利の住宅ローンへの借り換えが可能なローンが、長期金利の急上昇で急速にしぼんでいる。対ユーロのドル安が一面でカンフル剤となっているが、日欧の景気停滞により輸出促進とはなっていない。製造業のリストラなどで失業状態はさらに悪化している。
米議会予算局(CBO)の8月26日発表によると、04会計年度の米財政赤字は4800億j(約57兆円)に達し、92年のブッシュ父政権時代に記録した最高額を大きく塗り替え、2年連続で過去最大を更新する巨大赤字である。現ブッシュ政権下での国防費の増大、減税、景気低迷が重なり急速に悪化したのである。経常赤字も過去最悪だ。米帝経済は、完全な悪循環に陥っているのである。
さらに米・カナダの大停電は、ゲリラ戦闘とは違う形で超大国・米帝の威信を揺るがしている。米経済と社会の弱点が全世界に暴露された。大停電は80年代以来の規制緩和と電力自由化の結果として起こるべくして起きたのだ。
日帝の戦争・大資本攻勢と対決し11月へ
この米帝危機は、たちまち日帝危機へと転化する。日帝は、この米帝危機を背景に持つがゆえに、ますます米帝と一体化しつつ独自の戦争国家への体制をつくるために全力を挙げている。侵略戦争と一大資本攻勢に対する闘いが全世界労働者階級人民の共通の課題である。
小泉のもとで日帝の侵略戦争への突出が目立っている。米英のイラク侵略戦争を世界で唯一即座に支持し、いまイラク特措法という最悪の侵略戦争法を成立させ、イラクへの自衛隊の大規模派兵をもって米英のイラク軍事占領に参戦しようとしている。さらに、海外派兵恒久法の制定をも策動している。
そして、自民党総裁選から総選挙過程それ自身が、労働者人民への大反動攻撃として展開されている。民主党・自由党の合併を含め、それは帝国主義の危機の時代に対応する徹底的な超反動的内閣を模索するあがき以外の何ものでもない。
8月25日、小泉は自民党に05年憲法改正案策定を指示し、「9条=戦争放棄」の破棄を真っ向からうちだした。経済同友会は8月4日、次期衆院選で、憲法前文や9条の破棄、天皇制護持などを明白にした憲法改正のマニフェスト(政権公約)を与野党に要求することを決めた。この政財界相呼応した改憲衝動こそ危機にのたうつ日帝の凶暴な姿だ。
米帝は、イラクの次は北朝鮮侵略戦争に向かっている。6カ国協議は、北朝鮮侵略戦争へ突き進む情勢を激成させている。ケリー米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、「検証可能かつ再開不可能な形で核計画を放棄すべきだ」「不可侵条約には応じられない」と、北朝鮮侵略戦争の発動に向けて、北朝鮮を国際的にギリギリまで追いつめている。
その中で、日帝・小泉の対北朝鮮侵略戦争への突出が際だっている。北朝鮮の経済危機に付け入り、拉致問題をごり押しに主張し、日帝自らの意志で北朝鮮侵略戦争を遂行する態度を鮮明にさせている。そして日帝は、万景峰号への排外主義的悪宣伝をテコとし、拉致問題を絡めて、北朝鮮侵略戦争を激しく扇動しているのである。
日帝の侵略戦争突入を意味する自衛隊イラク派兵に対し、阻止闘争の巨大な高揚を実現し、11月労働者集会の爆発で自衛隊イラク派兵を阻もう!
有事立法反対闘争は、いよいよこれからだ。「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」の“三ない運動”は決定的である。北朝鮮侵略戦争のための国民保護法制づくりの攻撃粉砕へ全面的に闘おう。
第3章 労働運動の流動情勢に新潮流を登場させよう
さらに、日帝の侵略戦争への踏み込みは、それと一体のものとして一大資本攻勢を激化させている。それは全世界の労働者階級に襲いかかっているものと同じである。帝国主義の論理は、徹底した搾取と収奪である。それに抗して帝国主義の迫害、抑圧と闘う労働者人民が全世界で決起を開始している。
日帝・小泉政権は未曽有の危機を深めている。民主・自由両党の合併と自民党総裁選から総選挙に至る過程で、支配階級の分裂・動揺とともに、労働運動をめぐる大再編・大流動も不可避である。
8月8日、人事院は、国家公務員の03年度の賃金を月給平均で1・07%(平均4054円)引き下げる勧告を提出した。勧告が完全実施されれば、期末・勤勉手当も含めて平均年収で16万3000円減収で、過去最大の下げ幅となる。さらに昨年に続いて、不利益変更は過去にさかのぼらないという原則も無視し、4月に戻って減額調整を適用する。小泉はただちに完全実施を明言した。マスコミは一斉に「公務員はまだ甘やかされている」とキャンペーンしている。
これに対して、日本共産党は『赤旗』で「勧告が実施されると、個人消費がおちこみ景気が悪化する」などと反論ならぬ「反論」をしている。
この人事院マイナス勧告は、公務員労働者のみならず全労働者にかけられた攻撃である。「民間準拠」は悪質な分断キャンペーンである。そもそも民間の賃下げそのものが不当であり、さらにこのマイナス勧告が民間の一層の賃下げを促進させるのだ。それは公務員制度改革の決定的な突破口としてかけられている。怒りをたぎらせて反撃に決起しよう。
さらに奥田は8月26日、消費税率について「諸外国は10%以上なのに、どうして日本だけが5%で運営できるのか」と引き上げ不可避とぶちあげ、来年からの政治献金関与再開で、これへの取り組みをもとに政党を評価することを打ち出した。奥田と日本経団連を全労働者階級人民の怒りの標的としなければならない。
さらに治安弾圧との闘いが重大化している。共謀罪は継続審議になっており、秋の臨時国会で強行がもくろまれている。共謀罪新設は、実行行為のない段階で犯罪とすることによって、どんなデッチあげ弾圧も思うままにする、実質的な刑法の大改悪である。この重大性を労働者階級人民に広く知らせ警鐘を乱打し、絶対に粉砕しなければならない。
警察庁は「治安回復対策プログラム」を打ち出し、1万人の警察官の増員を要求してきた。国労5・27臨大闘争弾圧を始めとする労働運動への弾圧は、今や労働運動が治安問題化し、日本階級闘争が激動期の革命と反革命の激突局面に突入したことを示している。この攻撃は、奥田ビジョンと一体の資本攻勢の一形態であり、有事法制下の資本攻勢としてある。だから、多くの労働者が国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを自己の問題としてとらえ、共感が広がっているのである。「全被告を保釈奪還しよう」という呼びかけは、必ず広範な労働者にしっかりと受けとめられる。この闘いは、現下の労働運動の核心的課題である。
われわれは、帝国主義の危機の全面的爆発の時代に〈新たな指導方針〉を打ち出した。帝国主義の侵略戦争と資本攻勢が労働者人民に襲いかかっている現実の中で、労働者階級がマルクス主義で武装して団結し、労働運動・労働組合運動を全力で闘うことを提起したのである。
11月労働者集会は連合の帝国主義的労働運動と対決し、帝国主義の番兵と化した日本共産党に対する労働者人民の怒りを組織し、国際労働運動の高揚と連帯する闘いである。3労組共闘を軸に、4大産別を先頭に全産別の労働者を組織する闘いである。日本労働運動の精華としての動労千葉を防衛し、動労千葉が実現してきた労働運動を全産別で発展させ、日本労働運動を革命的に再生させる、死活的な実践方針である。動労千葉は、最も原則的で階級的であるからこそ、生き生きと闘っている。動労千葉に学びその精神を全労働者のものとして闘おう。
国労5・27臨大弾圧を粉砕し国労大会へ
われわれが依拠するものは、侵略戦争と生活破壊に対する労働者人民の怒りである。国労5・27臨大闘争弾圧で11カ月も勾留されている8人の被告は、国鉄分割・民営化攻撃に反対し国労解体攻撃と闘い、1047名闘争の先頭で闘ってきた労働者だ。その彼らを、同じ組合内のビラまき・説得活動という当たり前の組合活動を口実として「暴力行為」なるものをデッチあげて逮捕・勾留するとは、なんという不当なことか。これが警察と国労幹部の結託した策謀として行われたのだ。労働運動史上において前代未聞だ。しかし、この弾圧は、日本帝国主義による国鉄分割・民営化=国労解体攻撃の破産の結果である。これとの闘いは、労働者階級の反転攻勢の合図である。
その当面の最大の決戦が、9月13〜14日の国労大会だ。国労本部は、国家的不当労働行為との闘いを全面的に否定し、分割・民営化反対闘争の幕引き―収拾を唱えている。全世界の労働者階級が国鉄分割・民営化との闘いを高く評価し、巨大な連帯が生まれ、ともに決起するすう勢の中で、しかも日本の全労働者階級の未来が民営化攻撃との闘いにかかっている時に、国労本部は、その旗を降ろそうとしているのだ。
今こそ現執行部を打倒し、国労の革命的再生を実現しよう。国労中央、チャレンジ一派や日共・革同、東京地本酒田一派らを打倒し、国労の解体か再生かをかけた決戦に勝利しよう。
『前進』を労働者の中に大胆に持ち込もう
さらに今秋の闘いのただ中で労働者階級の中に深く広く根を張り、白熱的な階級闘争の先頭に立って闘う労働者党を建設しよう。党が打って一丸となって労働者の中に飛び込み、ビラをまき、オルグし、職場の中に細胞を建設しよう。
機関紙『前進』こそ党建設にとって決定的な武器である。
第一に、革命党の機関紙が今日ほど注目されている時はない。帝国主義の危機が爆発し帝国主義が世界戦争へと突入を開始している情勢の中で、労働者階級は革命的思想、時代認識を求めている。だから現在の情勢をマルクス主義の立場から分析・解明することが必要である。さらに資本の横暴な攻撃を暴露し階級的怒りを蓄積し、階級的団結を固める活動を展開することである。
第二に、機関紙を労働者人民に提示して、われわれ自身の路線の大衆的テストを受けることである。この中から真の機関紙改革と拡大の方向性が出てくる。
今の激動情勢は革命党の機関紙活動の抜本的改革を求めている。拡大への意欲に満ちた労働者同志の意見に傾聴し、誰もが拡大できる機関紙へと変革することが飛躍のカギである。
第三に、街頭・駅頭での労働者階級人民全体を対象にした販売活動と、職場細胞建設の計画的な組織化を統一して闘おう。積極性と戦闘性を発揮し、機関紙拡大闘争へ貪欲な方針を形成し、党全体の大胆な取り組みを実現しよう。オルグに対する大いなる情熱と、精神力、高く深い理論的把握が求められている。
マルクス主義の学習を定例化し、確信に燃え拡大闘争へ打って出よう。
東大阪市議選で阪口克己候補の当選をなんとしてもかちとり、全国連5万人建設へ突き進もう。
9月13〜15日の全学連大会を成功させよう。法政大学当局の学館閉鎖や自主管理権の剥奪の攻撃を絶対に粉砕しよう。
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週刊『前進』(2116号1面2)
自治労大会 「21世紀宣言」を否決 闘う代議員の奮闘で勝利
8月26〜29日、パシフィコ横浜で開かれた自治労第74回定期大会で、画期的勝利がかちとられた。3日目の28日、中央本部が提案した新綱領「自治労21世紀宣言」案が一票投票で否決された。反対が348、賛成が626、無効・白票が17で、賛成が出席代議員総数991の3分の2に満たなかったのだ。(詳報次号)
今大会は、86年10月の国労修善寺大会で「労使共同宣言」方針を否決して執行部を退陣に追い込んだ闘いをも超えるような、歴史的な大会となった。大会で本部提案議案が否決されたのは、自治労50年の歴史において初めてのことだ。特に綱領という重要案件を一票投票で否決したことは、「執行部不信任」を意味しており、まったく新しい指導部、新しい自治労運動を組合員が求めていることを示している。
新綱領案に反対を表明していた「社民党支持」の13県本が修正案をまとめられず、中央本部は、主流派・反主流派を一本化し、総翼賛体制を構築することで一挙に可決しようとした。
しかし、労働組合運動の原則を投げ捨て、階級闘争からの撤退を宣言する新綱領案を絶対に通してはならない! 全国労組交流センター自治体労働者部会が初日から神奈川県警の弾圧を破って行った宣伝は、情勢を一変させた。採決日には「『21世紀宣言』に×を!」とビラをまいた。これに呼応し、闘う代議員が大奮闘した。闘う自治労組合員はこれまでの枠組みを越えて、自治労再生への熱烈な意思を表明し、新綱領案を否決したのである。
労働運動の激しい流動が開始された。自治労の真の再生は、新綱領案を否決した組合員の意思を、動労千葉を先頭とする闘う新潮流運動に合流させることだ。ここに一切の核心がある。
(写真 大会初日、全国労組交流センター自治体労働者部会が神奈川県警の弾圧を打ち破り、「『21世紀宣言』採択阻止」の大横断幕を掲げてビラをまいた【8月26日 横浜】)
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週刊『前進』(2116号1面3)
日教組大会 教基法改悪阻め 組合員が宣伝戦
8月25〜27日、日教組第91回定期全国大会が東京・社会文化会館で開催された。初日の朝、労組交流センター教育労働者部会に結集する日教組組合員が社文前に登場し、「教育基本法改悪に絶対反対の立場を確立しよう」などと訴えながら、代議員・傍聴者にビラを手渡した。ビラはほぼ全参加者に吸い込まれるように渡った。歩きながら読み始める人も多く、教育労働者の闘う意欲と地熱が高まっていることを示した。教労部会の組合員が自分の所属する単組の代議員に「頑張ってね」と声をかける場面もあった。
有事3法成立と教育基本法改悪の急迫、そして教育労働者に対して新勤評や教員評価制度などあらゆる攻撃が集中する中で、闘う日教組の再生は待ったなしの課題である。日教組本部の屈服と裏切りを突き破る、階級的な教育労働運動の創造へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2116号1面4)
8・25新潟 労働者先頭に大衆的デモ “北朝鮮への排外主義許さない”
8月25日午前10時、厳戒態勢の新潟西港・末広橋から、新潟県労働組合交流センターが呼びかける「万景峰号への入港規制・経済制裁に反対する」デモが45人の結集で闘われた。緊急の呼びかけにもかかわらず、東北・東京・北陸の全学連の学生や各地の労組交流センターの労働者、地元の労働組合や労働者、人士が集まった。
(写真 北朝鮮の万景峰号が入港した8月25日午前、入港規制・経済制裁反対などを掲げ労働者ら約50人がデモ【新潟西港中央ふ頭近く】)
新潟県労組交流センターの代表が「北朝鮮への排外主義が扇動される中、日本の労働者階級が北朝鮮への侵略戦争を絶対に許さない決意をもって声を上げなければならない。右翼のテロが続発しているが、ここで黙ってしまったら戦前と同じだ。戦闘的デモを行おう」と訴え、デモに出発した。デモの先頭には「右翼による朝鮮総連への銃撃弾劾」の横断幕を手にした新潟県労組交流センターの労働者が立つ。労組交流センターや全学連の旗をなびかせ、プラカードを手に沿道の労働者・市民に訴えた。
「万景峰号への狙い撃ち検査をやめろ」「在日の往来の自由を奪うな」「日米の北朝鮮への侵略戦争を許さないぞ」「朝鮮人民と連帯して闘うぞ」と終始戦闘的にシュプレヒコールを上げ続ける。仕事の手を休め沿道に出てくる労働者・市民が多く見られた。
心配して港の様子を見にきた男性労働者が途中からデモに加わり、最後まで自転車を押しながら一緒に歩いた。途中、右翼の街宣カーとすれ違うこともなく、開放的な雰囲気で残暑厳しい中、全員汗だくで約4`のデモを闘いぬいた。
特に朝鮮総連新潟県本部の前では、ファシスト集団「拉致被害者救う会」とふ頭で対決して闘い戻ってきた在日朝鮮人が、旗を振ってデモ隊に声援を送った。手を振りながら数百bにわたってエールを送り続けた女性たちもいた。前回6月のデモにも増して在日朝鮮人民との交歓と連帯がかちとられた。
デモ終了地点の万代シティで総括集会を行った。6月のデモにも参加した全学連の学生は「右翼の襲撃にひるんではならない。今日は右翼の姿がほとんどなく、われわれの決意に圧倒されたのではないか」と感想を述べた。参加者はこれからも北朝鮮への排外主義攻撃と闘うことを決意し、勝利感いっぱいに大声で団結ガンバローを行った。
今回7カ月ぶりに新潟西港に入港した万景峰号に対して、政府は徹底したPSC(ポート・ステート・コントロール)を行い、「重大な欠陥」があったとして5項目の是正命令を出した。PSCは事実上の臨検であり、明らかな敵視・敵対行為である。しかも、徹底したPSCを行ったのは今回の万景峰号が初めてだ。狙い撃ちである。「重大な欠陥」はほとんどが難癖のたぐいである。PSCをすべてクリアーする国際船舶など皆無であろう。これは入港妨害の口実でしかなく、排外主義扇動そのものだ。断固対決しよう。
25日夜には、新潟県内の人士十数人の呼びかけによる「北東アジアに対立ではなく平和を/万景峰号の運航を考える緊急集会」も開かれ、70人の労働者・学生・市民が集まった。経済制裁などの対立をあおるのではなく、新潟の果たしてきた役割を踏まえ、平和を築き上げようとの訴えがさまざまな立場からなされた。首相、新潟県知事、新潟市長への要望書が決議され、翌26日に新潟県知事と新潟市長に提出された。
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週刊『前進』(2116号2面1)
国労の自己解体策す執行部打倒を 国労大会決戦から11月へ
分割・民営化反対を貫く動労千葉と共に闘おう
革共同国鉄委員会
9月13〜14日の国労第71回定期全国大会は、チャレンジと反動革同執行部のもとで国労自己解体へと突き進むのか、それとも彼らを打倒して国労の再生へと転じるのかを決する重大な大会となった。国労本部はこの大会に査問委員会の答申を出し、闘争団への統制処分を決めようとしている。スト基金の取り崩しについても、運用規則の改悪を強行する構えでいる。さらに、単一体としての国労組織を解体し、闘争団を切り捨てて、JR連合に合流する道筋をつくり出そうとしているのだ。まさに今大会は、国労の自己解体を許すのか否かをかけた闘いになった。5・27臨大闘争弾圧への加担を居直り、延命を図るチャレンジ、革同執行部を許さず、打倒して、国労再生へ総決起しよう。国労大会の決戦を闘いぬき、闘う国鉄労働者の強固な団結を打ち固めて、11月労働者集会に結集しよう。
アメリカ労働組合の支援決議に応えよう
7月14日、サンフランシスコ労働者評議会で「解雇された日本の鉄道労働者への支援と、逮捕された日本の鉄道労働者を守る決議」が満場一致で採択された。
この決議の「解雇された日本の鉄道労働者への支援」とは、闘う国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団、すなわち国鉄1047名闘争への支援である。また「逮捕された日本の鉄道労働者を守る」とは、国労5・27臨大闘争弾圧で逮捕・起訴され、11カ月たった今も東京拘置所に勾留され続けている国労組合員への支援表明である。
まさに画期的な決議が海の向こうのアメリカの労働者から上げられたのだ。
アメリカ西海岸における最大・最強の労働組合であるILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10(第10支部)が中心になって結成された「タフトハートレー・抑圧・民営化反対行動」は、毎年行っているレーバー・フェスタに日本の労働組合として動労千葉を招待した。その理由は、国鉄分割・民営化反対のスライキに立ち上がり、今も不屈に闘い続けている日本の労働組合だからということだ。特に、03春闘での90時間ストライキへの決起が評価されたのだ。動労千葉の闘い、国鉄1047名闘争、さらに国労5・27臨大闘争弾圧と闘う国労組合員の闘いは、ついにアメリカの闘う労働者の心をとらえたのである。
さらに8月28日の自治労大会において、「21世紀宣言」が否決された。自治体労働者は、自治労執行部の反動的策動をぶっとばして、戦争動員の道を拒否したのだ。
今こそ闘う国労組合員は、9月13〜14日の国労第71回定期全国大会に総決起し、チャレンジと反動革同の執行部を打倒し、国労の再生をかちとろう。
民営化と対決してきた16年
80年代、レーガン、サッチャー、中曽根のもとで全世界的な規制緩和・民営化の嵐が吹き荒れた。その攻撃の核心は、「総評の中軸である国労を解体するためにやった」と中曽根元首相が語ったように、労働組合の解体にあった。戦争政策と一体をなす一大資本攻勢の開始である。
ソ連崩壊以降、グローバリズムの名のもとに、80年代を上回る民営化攻撃が仕掛けられ、全世界で一大資本攻勢が吹き荒れた。そして今日、その攻撃は01年9・11反米ゲリラ戦−03年3・20イラク侵略戦争強行情勢下で、せきを切ったように激化している。
国鉄分割・民営化は、こうした民営化・資本攻勢の嵐のような大攻撃の日本におけるさきがけだった。今日の有事立法、イラク特措法に示される政治反動の出発点も、ここにあった。帝国主義の危機の中で、民営化攻撃は、外に向かっての侵略戦争と一体をなす内に向かっての階級戦争として、戦略的な一大攻撃なのである。国鉄1047名闘争は、こうした国鉄分割・民営化の大反動と16年にわたって闘いぬかれてきた。まさにそれは、日本労働運動、世界の労働運動に輝く大闘争だ。
国鉄分割・民営化攻撃は、95年日経連「新時代の『日本的経営』」を経て、「国家と企業に奉仕する労働組合」を叫ぶ今年の「奥田ビジョン」へと受け継がれた。「奥田ビジョン」に示される資本攻勢の最も鋭い矛先は、国鉄1047名闘争の解体に向けられている。その現れが国労5・27臨大闘争弾圧である。国鉄1047名闘争は、80年代を上回る民営化・資本攻勢と対決する基軸的闘いとして、再び大きくせり上がって来たのである。
今こそ闘う労働運動の新潮流の登場が求められ、プロレタリア革命が求められる時代に突入した。動労千葉のように、国鉄1047名闘争のように、国労5・27臨大闘争弾圧で勾留され不屈に闘い続ける国労組合員のように闘うことが求められている。国鉄1047名闘争を軸に、戦争反対=民営化反対の国際連帯を実現し、連合、全労連路線を打ち破る闘う労働組合の新潮流運動をつくり出そう。
JR総連・松崎支配が崩壊へ
全世界で闘う労働運動の新潮流が台頭しつつある中で、これと対照的な姿を示しているのがJR総連カクマルだ。国鉄分割・民営化に率先協力したJR総連のカクマル=松崎支配は、大崩壊過程に突入している。松崎派は「長野、新潟地本は再登録が必要だ」(「緑の風」)と悲鳴を上げている。JR東労組の長野、新潟地本が公然と反旗を翻しているのだ。
全世界の労働者の連帯と団結、日本労働運動の再生が求められているその時に、JR総連カクマルは松崎派と嶋田派に分裂し、大崩壊の坂を転がり落ちているのだ。裏切り者の醜悪な末路である。
このことは、闘う労働運動が主流派となるJR労働運動の一大戦国時代への突入を告げ知らせている。民主党と自由党の合同、10月連合大会の笹森と高木の連合を二分する会長選挙、日本共産党の綱領改定と、階級情勢は大流動化を深め、そのもとでJRの労働運動の大再編を軸に、日本労働運動は一大再編期に突入したのである。
「和解路線」と決別し資本と闘う原則守れ
こうした中で、国労本部が今大会において策動していることは、絶対に許せないものだ。
国労本部執行部は、今大会に闘う闘争団への査問委員会の答申を出そうとしている。闘う闘争団を統制処分にするためだ。「第1次草案」は、「『解決まで国労組合員とする』とした確認の意味まで失いつつある」などと闘う闘争団に本部の破産の責任を転嫁し、統制処分にかける意志をむき出しにしている。
また8月7日の中央執行委員会では、「今回限り」という制限付きで、国労最大の資産であるスト基金から「退職・犠救基金へ5・5億円を目的外運用する」としてスト基金運用規則の改悪案を今大会に提案すると決定した。前回大会では、スト基金8・5億円の取り崩し案を「1年間の職場討議に付す」ことが決められていた。卑劣にも国労本部は、「エリア本部への配分はすべきでない」という革同の主張を受け入れる形をとって、ついにスト基金の取り崩しに手を着けようとしているのだ。
この背後で臨時雇用の書記職員を解雇し、本部の意に沿わない書記職員を本人同意もないまま強制配転する攻撃に出てきている。これは、「配転に従わない者は解雇」という、JR資本のやり方と同様の攻撃であり、闘争団闘争の解体、国労解散=JR連合への合流のために本部書記の「血の入れ替え」を狙うものである。あまりに理不尽な強制配転・解雇攻撃に『サンデー毎日』ですら「それでも闘う組合か!」という見出しを付けて批判しているほどだ。
さらに、逮捕1周年を迎える国労5・27臨大闘争弾圧に対して沈黙を決め込み、警察との結託を開き直ろうとしている。
JR連合合流路線を許すな
こうした策動の一つひとつは、労働組合を解散しようとしているからこそ行われているものであり、国労組織を自己解体するたくらみにほかならない。
国労本部が出した「討議資料・国労組織の展望と運動の前進をめざすために」(国鉄新聞8・8付)なるものは、こうした許しがたい暴走の先にあるものが、全国単一体の国労組織を各エリアごとに解体し、そのことにより国鉄闘争に幕を引き、JR連合に合流することであることを自己暴露している。
この討議資料は、チャレンジの国鉄闘争解体・国労解散方針であり、その主要な内容は全国単一体としての国労組織の解体にある。国労の全国単一体組織としてのあり方は、国労が闘争団闘争をここまで闘いぬいてきた最大の組織的保証であった。それを解体することは、闘争団闘争の幕を最後的に引くということだ。
討議資料には、「あらゆる不当な差別をやめさせる闘い――不当労働行為との闘い――そのものが国労らしい闘いであるという一歩行き過ぎた認識」からの「質的転換」をはかる、「『改革法承認』はJR各社を、別々のままに、基幹的交通機関として発展させていく――方向転換を意味していた」と述べている。
これは、採用差別を始めとする国労敵視政策との闘いを放棄し、JR各社を発展させるという連合路線に方向転換する宣言である。このような立場で「将来の統一闘争を展望する」とは、闘争団闘争の解体、国労解散=JR連合への合流宣言にほかならない。
チャレンジは、この討議資料を中央執行委員会の一致なしで作成・配布した。全国単一体組織の解体による国労解散=JR連合合流へと後戻りのきかない形で踏み出しているのだ。今大会において、闘う国労組合員の総決起でチャレンジによる国労の自己解体策動を打ち砕こう。
政治解決路線が根本原因だ
国労がこうした自己解体の道に突き進んでいる根本原因は何か。チャレンジと革同が牛耳る国労本部の「政治解決路線」なる「和解路線」ゆえである。
87年の国鉄分割・民営化攻撃は、中曽根による大反動であった。その攻撃の矛先は、総評解体・国労解体による国鉄闘争の解体・絶滅に向けられていた。この過程は、全勢力、全党派をふるいにかけた。動労千葉は総力を挙げて分割・民営化反対のストに立ち上がった。他方、カクマルは、分割・民営化、中曽根反動に率先協力し、ファシスト労働運動に転落していった。
国労は、中曽根の狙いが国労の解体に向けられているにもかからず、これと対決できなかった。こうした現実を国労内から突き破るものとして修善寺大会の決起がかちとられ、4万人が国労の旗を守りぬいた。
しかし、修善寺大会で執行部を握った協会派と革同は89年6月の臨時大会で、採用差別問題を202億円損賠訴訟などとあわせて解決し、「労使正常化」を図るとした「全面一括解決要求」なる和解路線を決定する。ここには、JR資本と闘わず、政府に依拠して問題を解決するという、4党合意にまでつながる根本的な問題がはらまれていた。
その後、90年4月の清算事業団による解雇に対して国労闘争団が結成され、必死の闘いが始まった。だが、分割・民営化反対の旗を降ろそうとする国労本部は、この闘いを和解路線のもとに常に従属させてきたのである。
政府・JRは、そうした国労本部の和解路線の本質的屈服性を見透かし、国労本部を取り込んで国鉄闘争と国労を解体する攻撃を一貫してとってきたのである。その最大の攻撃こそ4党合意であった。
国労本部は、「4党合意は到達地平だ」などと賛美し、これを積極推進していく。このことが国労の解体を一気に深めたのである。
4党合意とは、政府・与党が、首を切られた側の国労に対して「JRに法的責任がないことを臨時大会を開いて認めよ」と迫り、「国家的不当労働行為はなかったことにしろ」として国家的不当労働行為の総仕上げを図る攻撃であった。
これに対して闘争団・家族、闘う組合員による00年7・1臨時大会における演壇占拠に始まる大反撃が起こるのである。それ以来の闘いは、4党合意を崩壊の瀬戸際に追い込んでいった。これに業を煮やした政府・与党は、02年4月26日、与党3党声明を発する。そして、国労本部に5・27臨時大会を開かせて、闘う闘争団の切り捨てを強要したのだ。その一方で、闘う闘争団と並ぶ反対派の軸をなしてきた国労共闘を警察力で弾圧し、国鉄1047名闘争を分断・破壊する道に踏み出したのである。
国労東京地本一部幹部による警察への組合員売り渡しの暴挙は、「和解路線」の行き着いた先である。しかし、この弾圧で逮捕・起訴された国労組合員の完全黙秘の闘いと、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の結成による大衆的な弾圧粉砕の闘いは、この凶暴な攻撃を核心的なところで打ち破ったのである。
国鉄1047名闘争は、国鉄分割・民営化反対の闘いとして貫かれなければならない。それは、全世界の民営化反対闘争の最先頭に立つ闘いなのである。
国鉄1047名闘争が勝利する道は、国労が本当に闘う労働組合として再生することの中にある。そして、国労が動労千葉とともに、階級的力関係を大転換する新潮流運動の一翼にしっかりと立つことである。
その道は、民営化との闘いの放棄を前提にした「政治解決路線」という和解路線に代わるものでなければならない。資本と闘う労働組合の原点に立ち返ること、国鉄分割・民営化反対を貫きとおし、日本労働運動、さらには国際労働運動の最前線に立つ階級闘争として国鉄1047名闘争を闘うことである。戦争と大失業の時代は、必ず日本階級闘争の力関係を根底から大転換する闘いを引き出さずにはおかない。国鉄1047名闘争は、そこに向かって日本の労働者階級が結集する階級的闘いのよりどころである。その闘いは、必ず日本労働運動を根底から再生させる軸になっていく。いよいよ闘う労働運動が大高揚する階級的な激動の時代がやってこようとしているのだ。11月労働者集会への総決起こそ、そうした時代への突破口を開くものになる。
チャレンジ、反動革同執行部を今こそ打倒し、国労を再生させるための必死の闘いに突入しなければならない。今大会の課題は、その歴史的な出発点をつくり出すということである。
公安警察に組合員を売った裏切り執行部
その最大の突撃路が国労5・27臨大闘争弾圧追及の闘いであり、国労内での反弾圧闘争を圧倒的に組織することである。この闘いに国労の再生がかかっている。国労の警察労働運動への転落をあいまいにして国労再生など語れないのは当然である。
国労が今、自己解体へと突進していることは、戦争と民営化・資本攻勢のものすごい勢いと無縁ではない。しかし、より直接的にはこの国労5・27臨大闘争弾圧が最大の重圧なのだ。この弾圧に支えられてチャレンジ、革同執行部、国労東京地本一部幹部どもは生き残ったのである。
こんな理不尽で不正義の弾圧に国鉄闘争が屈していいのか。国労幹部と警視庁とが結託して強行した弾圧、ここに今日の国労の変質・転落のすべてが凝縮されている。しかし、ここが最大の弱点である。これが労働組合幹部のすることかということだ。8名の被告を警察に売り渡した東京地本・酒田一派の警察労働運動への変質を暴露・弾劾し、これに致命傷を与え、追放・一掃するのは今だ。
国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを鉄建公団訴訟を始めとしたあらゆる反撃の闘いと結合し、国労再生の武器として闘いぬこう。
7月30日、東京地裁は東京地本の鈴木勉執行委員を証人採用すると決定した。鈴木証人の出廷は10月6日の公判となるだろう。これ以降、「被害」を受けたとされる国労本部派の証人出廷が続く。この闘いはいよいよ正念場だ。
今大会において、この弾圧問題の黙殺を断じて許さず、酒田を始め東京地本一部幹部ら国労本部派を徹底的に追及しよう。
9月13〜14日の国労第71回定期全国大会は、国労の解体か再生かがかかった大会である。今こそチャレンジ、革同執行部を打倒し、国労再生へ総決起しよう。
この闘いを貫く中で、国鉄戦線に強固な党を建設しよう。闘う国鉄労働者は革共同に結集しよう。団結を固めてこの決戦を闘おう。
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週刊『前進』(2116号2面2)
国労弾圧公判 “鈴木証人をまず調べよ”
ビデオに関する公安刑事の違法な証言に弁護団が異議
8月27日、国労5・27臨大闘争弾圧の第11回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。前回に続き、警視庁公安一課の貞山明警部補への主尋問が行われた。
すでに東京地裁は国労東京地本の鈴木勉法対部長の証人採用を決めている。被告・弁護団がかちとった重大な勝利である。しかし検察側は鈴木証人尋問が行われる前に自らの敗勢を巻き返そうと、この日の公判で卑劣な策動を重ね、裁判長もそれに加担した。公判廷はこれを弾劾する被告・弁護団と検察側・裁判所との激しい応酬の場になった。
立証拡張巡り激しい攻防に
冒頭、佐藤昭夫弁護団長と九州闘争団の松崎博己被告、羽廣憲被告が即時保釈を求める意見を述べた。
貞山証人を入廷させようとする裁判長を制して、萱野一樹弁護人が、貞山証人の立証趣旨拡張に反対する申し立てをたたきつけた。
検察側は、前回公判(7月18日)の直前に立証趣旨の拡張を請求した。もともとの立証趣旨である「押収ビデオの押収手続きに関与した事実」に加え、「鈴木法対部長撮影のビデオと押収されたビデオの解析結果」「杉並共同購入会館の状況」「犯行直後の現場の状況」の3点を追加すると言ってきたのだ。
前回公判で、弁護団はこれに反対する意見を強力に展開した。だが、裁判長は理由も示さずに拡張請求を認めた。検事は「ビデオの解析結果」と称して、ビデオから取り出した静止画像写真を貞山に示し、「被告が被害者に手をかけている状況」などと、勝手な解釈による写真の説明を行わせた。しかし、2本のビデオテープはまだ証拠採用されていない。本来、貞山は押収されたビデオが事件と関連性を持つかどうかを判断するために採用された証人だ。その貞山がこんな証言をすることも、それを認めた訴訟指揮も違法なのだ。
今回、弁護団はあらためてこの問題を取り上げた。萱野弁護人は、「前回公判の後、鈴木証人の採用が決定された。ビデオと事件の関連性は鈴木証人への尋問で立証すべき。貞山証人の必要性は消滅した。前回の主尋問は関連性の範囲を逸脱している。立証趣旨の拡張を認めた決定は取り消されるべきだ」と主張した。
そもそも、検察側が貞山証人に「ビデオの解析結果」を証言させたのは、鈴木証人を法廷に出させまいとする悪あがきだった。彼らは、公安刑事にビデオの内容を証言させることで、鈴木証人の採用をつぶそうとたくらんだのだ。
葉山岳夫弁護人も、「証人が直接見聞していないことを、ビデオを見ての意見として陳述するのは、伝聞証拠排除の原則に反している」と声を強めた。
青柳裁判長が前回決定は変更しないと居直り、「ビデオにどのような光景が映っているかは関連性の範囲。しかし、その証言から罪体に関する心証はとらない」と言い放った。「罪体に関する心証はとらない」とは、°貞山証人に好き放題のことを言わせるが、関連性立証を超える部分については裁判所は聞かなかったことにするから心証形成への影響はない″という意味だ。こんなでたらめな言い分はない。青柳裁判長は、なおも食い下がる弁護団に「発言中止」を命じ、意見を圧殺しようとした。
一瀬敬一郎主任弁護人が強権的訴訟指揮に異議を申し立てた。各弁護人も鋭い論陣を張ったが、裁判長は不当にも異議を棄却した。
しかし、弁護団の追及は収まらない。「前回、裁判長は静止画像写真を示しての尋問は、誰が映っているか程度にとどめるようにと指揮した。被告の行為を証言させることは制限すべきだ」と述べる弁護団に、裁判長は「静止画像からは人の動きは言えない。写真から客観的に言えることしか証言できない。前回の訴訟指揮のとおり」と明言した。だが、それはことごとく踏みにじられた。
貞山証人が入廷した。検事が静止画像写真を示して、どのような場面かと聞いた。貞山証人が「被告が国労の江田さんの前に立ちはだかっているところ」と証言した。弁護団が「証言は写真に映っている人の氏名にとどめると確認されている」とすかさず異議を出した。検事が「写真に何が映っているかを聞いているのではなく、ビデオを解析した結果、何が映っていたと認識したかを聞いた」と返答した。とんでもない奇弁だ。弁護団と被告が次々に立ち上がって検事を弾劾した。ところが裁判長は、「写真を示す前に聞けば問題ない」と言うのだ。法廷は怒りに包まれた。
起訴状と一言一句同じ証言
検事が「ビデオにはどういう状況が映っていたか」と聞くと、貞山証人は起訴状と一言一句同じ言葉で被告の行為を「説明」した。
弁護団が「それは体験に基づく供述か。関連性の範囲も超えている」と弾劾した。牧島聡検事が薄ら笑いを浮かべながら「何を聞くかは主尋問をする検察官の自由。証人が知っていることを包み隠さず証言するのも当然」と居直った。裁判長は弁護団の異議を棄却した。検事は、写真を逐一示して被告の行為を貞山証人に説明させた。だが、そのすべては警察が描く勝手なストーリーにすぎない。
貞山証人の主尋問は次回に続行となった。弁護団が、裁判長のきわめて不公平な訴訟指揮を指弾した。青柳裁判長はむきになって「弁護側の要請を認めて鈴木証人を採用した」と弁解した。°検察側の顔も少しは立てなければいけない″と言いたいのだ。弁護団がすかさずこの言辞を弾劾すると、裁判長は「ごめんなさい」と頭を下げた。
異様きわまるこの日の公判は、鈴木証人採用に打撃を受けた検察側の卑劣な取り戻し策動によって引き起こされた。裁判長は、それを十分に自覚しながら検察側に加担した。
公判闘争は、鈴木証人尋問を前に激しい攻防に入っている。次回公判(9月17日)に結集しよう。逮捕1周年を前に、被告の早期保釈へ運動を強めよう。
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週刊『前進』(2116号2面3)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第12回 9月17日(水)/第13回 10月6日(月)
第14回 10月27日(月)/第15回 11月21日(金)
第16回 12月2日(火)/第17回 12月16日(火)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2116号3面1)
アメリカから国鉄闘争支援 サンフランシスコ労働者評議会が決議
2113号で既報のとおり、7月に動労千葉の代表がアメリカのサンフランシスコを訪問し、ILWU(国際港湾倉庫労働組合、下の解説参照)のローカル10(第10支部)を中心とした戦闘的労働者と、熱い交歓をかちとった。その中で、7万人の労働者を組織するサンフランシスコ労働者評議会で、すばらしい決議があげられた。『日刊動労千葉』にその全文が掲載されたので紹介します。(編集局)
動労千葉訪米と国際的連帯
この決議文は、その表題「解雇された日本の鉄道労働者への支援と、逮捕された日本の鉄道労働者を守る決議」が示すように、国鉄1047名闘争支援と、国労5・27臨大闘争弾圧を弾劾する二つの内容からなっている。そこにはあいまいなものは何ひとつない。
この決議は第一に、1987年に中曽根政権によって強行された国鉄分割・民営化と、数千人の国鉄労働者の解雇を弾劾している。
第二に、国鉄分割・民営化時に、JRから採用差別され、解雇された動労千葉、国労、全動労の組合員1047名の解雇撤回闘争=国鉄闘争に対する全面支援を表明している。
第三に、このJR採用差別が労働組合への帰属を理由にした不当労働行為であることを弾劾している。
第四に、国鉄闘争の勝利とはJR会社への原職復帰であり、この課題をめぐって1047名が16年間にわたり闘い続けていることを支持している。
決議はこのように、国鉄闘争の原則を真正面から述べたものだ。
その上さらに、「日本政府によって解雇された鉄道労働者への抑圧と、原職復帰をかちとるため闘い続ける労働者への逮捕攻撃に抗議する」という表現で、国労5・27臨大闘争弾圧への弾劾を表明している。
国鉄分割・民営化反対の原則を堅持して闘う動労千葉と、国労共闘と闘争団を先頭にした国労組合員への熱い共感と同時に、国労組合員への逮捕攻撃に激しい怒りを表明している。
このように、決議はイラク侵略戦争の開戦直後にストライキを闘った動労千葉との奥深い連帯の形成を背景に、国鉄闘争を営々として闘う戦闘的労働者への熱い連帯の呼びかけとなっている。
全米に賛同よびかけ
今回の決議のすばらしさは、アメリカの労働者が国境を越えて国鉄闘争の原則を完全に理解し、国鉄闘争支援と国労5・27臨大闘争弾圧弾劾を表明しているのにとどまらず、その勝利をめざしてきわめて実践的な行動提起を行っている点だ。
まず、サンフランシスコの日本領事館に抗議の会談を要求し、小泉に対して抗議の書簡を送って、日本政府に対する直接の抗議行動に立ち上がることを宣言している。この怒りの激しさと、行動力から徹底的に学ばなければならない。
さらに、この点が決定的だが、決議は全米の労働組合に賛同と共闘を求めている。
その背後には、帝国主義の危機の深まりの中で、世界戦争に向かう攻撃と同時に、新たな民営化攻撃が吹き荒れている現実が存在する。戦争と民営化と弾圧に反対する闘いは全世界の労働運動の共通の正面課題になっているのだ。
だからこそ、サンフランシスコ労働者評議会の戦闘的労働者は、動労千葉を先頭にした国鉄労働者の闘いを一瞬にして理解した。そして、日本の労働者の直面している課題が、自分たちが直面している課題とまったく同じであるとして、ともに闘うことを決意した。
さらに、自らともに闘うだけでなく、全米の労働者に賛同と共闘の訴えを発したのだ。この訴えが、今、全米で大きな反響をまき起こしつつある。
サンフランシスコの戦闘的労働者は同時に、JR総連カクマルが「民営化に賛成した」というその一点で、労働運動の裏切り者であり、連帯の対象ではないことを直ちに理解した。
サンフランシスコ労働者評議会のこの決意あふれる決議こそ、国鉄闘争へのかぎりない励ましであり、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会運動」拡大のための、この上ない強力な援助である。
今こそ「許さない会」の拡大を
すべての闘う労働組合の活動家のみなさん。サンフランシスコ労働者評議会の決議と賛同の呼びかけにこたえて、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」に賛同しよう。有事体制下の治安弾圧である国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕して、国鉄闘争の勝利の道筋をともに切り開こう。そして、階級的労働運動の復権をかちとろう。
闘う労働者は、この決議を実現したアメリカの労働者階級と動労千葉の国際連帯の闘いに学び、労働者の闘う団結を全産別でつくり出して11月労働者集会への大結集を実現しよう。
解雇された日本の鉄道労働者への支援と
逮捕された日本の鉄道労働者を守る決議
なぜならば、1987年の日本国有鉄道の民営化の過程で、数千の労働者が解雇されたから。
そしてなぜなら、この民営化を通して国鉄が分割され、動労千葉、国労、全動労の組合員1047名が、再雇用されなかったから。
そしてなぜなら、ILO執行評議会の第5回勧告によると、国鉄分割・民営化に組合が反対していることをもって、これら組合の組合員が差別されたから。
そしてなぜなら、差別的解雇と民営化が百名を超す労働者の自殺をもたらしたが、今なおこれらの労働者はJR会社への原職復帰を求めて、16年間にわたり闘い続けているから。
そしてなぜなら、これらの攻撃は、日本も批准メンバーの一員であるILO第87号条約の規定「労働者団体および使用者団体は、その規約および規則を作成し、完全な自由の下にその代表者を選び、その管理機構および諸活動について定め、ならびにその計画を策定する権利を有する。公の機関は、この権利を制限しまたはこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない(第3条)。この条約において『団体』とは、労働者または使用者の利益を増進し、かつ、擁護することを目的とする労働者団体または使用者団体をいう(第10条)」に違反しているから。
そして日本とアメリカにおけるこの不当労働行為と民営化攻撃は、人間的権利を守ろうとする全ての人々ばかりでなく、全ての組織労働者に対する脅威であるから。
そしてわれわれは、日本政府によって解雇された鉄道労働者への抑圧と、原職復帰をかちとるため闘い続ける労働者への逮捕攻撃に抗議するがゆえに。
従って、以下決議する。
サンフランシスコ労働者評議会は、解雇された鉄道労働者の原職復帰の闘いを支持し、われわれの関心を喚起するため、サンフランシスコ日本領事館との会談を要請するとともに、日本の小泉首相に書簡を送付する。
そして最後に、本労働者評議会は、カリフォルニア労働者連合およびAFL−CIOを含む他の全ての関連組織に、連帯のためのこの決議への賛同を要請する。
2003年7月14日 サンフランシスコ労働者評議会にて採択。
サンフランシスコ労働者評議会
事務局長 ウォルター・L・ジョンソン
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支援決議への各労組の賛同発言
●「わが国の鉄道労働者を代表して、日本から来た公共鉄道労働者の行動を強く支持する。それはわが国で起きている攻撃と同じだから」(ジェネ・ペピ/ATU・輸送一般労働組合)
●「ダイレクトな友好関係を築き、日本の仲間たちの闘いを支える。このことを提案したい」(ブライアン・マックウイリアムズ/ILWU・国際港湾倉庫労働組合前委員長)
●「今回の評議会は実に偉大。日本の仲間たちへの『義理』を大事にし、社会正義、労働現場での正義の実現に向け、ともに闘う」(フランク・マーティナル・カンポ/SEIU・サービス労働者国際労働組合)
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週刊『前進』(2116号3面2)
ILWU不屈の歴史 反共国家の弾圧はね返し組合の団結で戦闘性堅持
「引き抜こうとしても引き抜けない、労働者階級に本当に根を張る」ことが必要(本紙2113号「高原論文」)という表現がぴったりのILWUの闘いの歴史を紹介したい。
御用組合からの分離・独立
ILWUは、現在アメリカ西海岸の各州と、アラスカ、ハワイに約4万2千人、カナダに1万4千人の港湾労働者、港湾事務労働者、倉庫労働者などを組織している。アメリカの労働組合はカナダの労働者も組織しているときは、「国際」と名乗ることが多い。
ILWUの前身は、ニューヨークに本部を持つILA(国際港湾労働者協会)の太平洋岸地域組織として1933年に組織された。
ILAは、その当時腐敗した御用組合であり、港湾でのマフィア支配に屈服していた。この現実に怒った港湾労働者は34年にILA指導部と対決し、サンフランシスコ一帯を巻き込むゼネストに決起した。
このゼネストは、州兵や警察権力による6人の組合員の銃殺攻撃をものりこえて闘われ、多くの労組の連帯ストを生み出し、最後に勝利をかちとった。
かちとった統一協約の意義
このゼネスト勝利の結果、ILWUはカリフォルニア州サンディエゴからワシントン州シアトルまで29の主要港で、経営者団体であるPMA(太平洋海事協会)との間で、統一労働協約を結んだ。今日まで70年間もの間維持されてきたこの統一協約の核心点は、ハイヤリング・ホール(労働者就労あっせん所)を組合と資本の手で運営することを認めさせた点にある。
港湾労働は、船が入港すれば仕事が一気に増え、出港するとたちまちなくなる「波動性」といわれる特有の雇用の変動が存在する。このことにも規定されて港湾労働者は「日々雇用」の不安定雇用状態におかれ、それにつけ込んで手配師が暗躍し、マフィアが港湾を支配していた。
労働者の切実な要求として、労働組合が主導権を持って就労をあっせんするハイアリング・ホールの実現があった。ハイアリング・ホールによって、資本や手配師の介入を阻止し、就労日数の少ない労働者から優先して就労するなど、全組合員の労働条件を維持してきたのだ。
米西海岸の組合員は、37年の夏、御用組合のILAからの脱退投票を行い、独立の労働組合としてついにILWUを形成した。
34年のゼネストとILAからの分離・独立の闘いの教訓から、ILWUは組織目標の第一に、人種、皮膚の色、宗教的信条、性別、政治的所属、国籍などを問わず団結することをあげている。一切の差別が労働者の団結を破壊することを知りぬいているのだ。
タフト・ハートレー法と闘う
反共国家アメリカにおいてILWUは徹底的な弾圧にさらされ続けてきた。
PMAとの3年ごとの統一協約改定交渉の度にILWU破壊を狙った攻撃が執ようにかけられてきた。
46年改定時には、当時のトルーマン大統領が軍隊を使ってスト破りを行った。
47年にタフト・ハートレー法が制定されてからは、これとの闘いが決定的に重要になった。タフト・ハートレー法とは、第2次大戦後に多発したストライキの弾圧のために、35年制定のワーグナー法の抜本改悪を狙って制定された反動立法だ。80日間は労働者の争議権を否定し、それに反すれば刑事弾圧をするというストライキ禁止法であり、さらに労組指導部に対する「非共産党員宣誓条項」まで存在する。
米帝はILWUに、この弾圧立法を48年と71年に発動した。だがILWUは団結を維持してストを打ち抜き、タフト・ハートレー法発動をはね返してきた。
ブッシュは昨年10月、ILWUに対してまたもやタフト・ハートレー法を発動した。イラク戦争切迫情勢下で、「規制緩和」の名のもとに全世界で巻き起こっている港湾労働の民営化・規制緩和攻撃の一環であり、反戦闘争を闘うILWU破壊を狙ったものだ。
ILWUの創設者であり、77年まで一貫して委員長であったハリー・ブリッジズに対する「共産主義者」の嫌疑による国外追放攻撃が、30年代と50年代の2度にわたってかけられた。彼がオーストラリア生まれの移民だったからだ。
このように、反共国家アメリカにおけるILWUへの弾圧は激烈を極めるものだ。それは、反戦闘争を闘う労働者の国外追放を狙う「パトリオットアクト(愛国者法)2」制定攻撃としてイラク戦争下でますます強まろうとしている。
弾圧のあらしに対し、労働者階級の中に深々と根を張ることで戦闘性を堅持してきたILWU、この闘いに学び、階級的労働運動の復権をかちとろう。
(湯村宏則)
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週刊『前進』(2116号3面3)
住基ネット廃止へ 戦争動員と住民管理 ICカード拒否しよう
本格稼働弾劾!
8月25日、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が、昨年8月5日の第1次稼働(11ケタの住民票コードの通知)に続き、第2次稼働(住民基本台帳カードの発行)を開始し、本格的に動き始めた。徹底弾劾する。
今回の住基カードの発行開始により、日帝・小泉政権は、自衛隊のイラク派兵から北朝鮮・中国侵略戦争に向けて、国民総背番号制による労働者人民への監視・管理の強化へ全面的に踏み込もうとしている。
住基ネットは、日帝の侵略戦争推進政策である。住基カードは、その核心をなす攻撃であり、戦争動員と人民支配の手段なのだ。例えば、マレーシアでは、12歳以上の国民に「マイカード」というICカードが常時必携とされ、不携帯はその場で身柄拘束される。警察官はいつでもどこでもカードの提示を求めることができるので、「マイカード」は反政府活動取り締まりの手段となっている。
住基ネットは、労働者人民にとって、個人情報が国家にすべて掌握されるだけで何の利益にもならない制度だ。絶対許すな。
まず第一に、今回の住基カードの発行は「希望者への配布」であり、自分や家族は「絶対に申し込まない」ことだ。
第二に、日帝・総務省が次は「強制配布・常時携帯化」をもくろんでいることを見すえて、職場・地域で「絶対に申し込まない」行動を呼びかけ、「住基カード拒否」の大きな流れを生み出していこう。
第三に、自衛隊のイラク派兵阻止闘争の一環として個人やグループや自治体によるさまざまな「住基カード」拒否の闘いを位置づけ、巨大な反戦闘争を実現する中で、住基ネットの廃止へと突き進もう。
「動く履歴書」
8月25日から、各地方自治体の窓口で、希望者に発行される住基カードにはICチップ(記憶容量は1万6千字以上、新聞1・3nに相当)が埋め込まれている。ここに個人情報がどんどん蓄積されていく。
さらに、地方自治体ごとに、条令で定めた独自のサービス(情報)も書き込める。7月末で、約90の地方自治体が実施を決めている。例えば「市立病院の再診予約や公共施設の予約」(岩手県水沢市)、「災害時安否確認システム」(鳥取県日南町)、「県税の徴収事務」(兵庫県)などが予定されている。こうして蓄積される全人民のさまざまな個人情報を11ケタの番号が鍵となって、国家が一元的に管理する。
また住基カードには、「写真つき」と「写真なし」の2タイプがあり、どちらかを選択する。総務省は「写真つきのカードは、運転免許証やパスポートと同様に、公的な身分証明書として使える」とキャンペーンしている。実際に東京都の「防災訓練」で住基カードが「被災者」の身分証明書としての役割を果たす訓練も行われている。
しかし、総務省としても03年度末までの住基カードの発行枚数を「全体の2〜3%(300万枚)」と想定しているように、労働者人民の全面的制圧までにはまだほど遠い。
ここに労働者人民の大きな反撃のチャンスがある。日帝・総務省が「強制配布・常時携帯化」の攻撃に出てくる前に、「住基カード拒否」の巨大な大衆運動をつくりあげよう。
個人情報を蓄積
住基ネットは、労働者人民一人ひとりを識別する11ケタの番号に、膨大な個人情報を集積する。
小泉政権は、行政手続き全般の電子化にともなう「関連法律の整備」(02年12月6日に成立)の中に紛れ込ませるというペテンを使い、「住民基本台帳法の再改正」を行わずに、住基ネットの適用対象事務を一挙に264に拡大した。
264の内容には、自動車登録・パスポート申請・在留資格証明・国民年金・厚生年金・介護保険・児童手当・被爆者援護法の適用・公営住宅入居者資格・不動産登記・NPO法人の設立・著作権などが含まれている。
こんな卑劣なやり方で、住基ネットの適用対象事務は拡大されていくのだ。
また、片山総務相は、1月24日の衆院予算委員会で「(住基ネットを警察が利用することについて)法律上可能だ」と述べている。すでに、小泉政権は、住基ネットの保有する個人情報と警察の保有する個人情報をリンクして使用しているのはまちがいない。
その一方で、片山総務相は、東京都目黒区や神奈川県藤沢市などの地方自治体からの「住基ネットへの参加を拒否している住民のデータ抹消」の要請に対して、「選択制を含め抹消には応じない」(8月19日)と居直っているのだ。
このように住基ネットは、日帝の労働者人民への治安弾圧の強化を最大の目的とし、税金取り立てと大増税の土台となり、一人ひとりを分断支配し、侵略戦争へ動員する徴兵制攻撃をも担うものなのだ。
だが日帝・小泉政権は、「住基ネットは行政サービス向上のため」としか宣伝できない。労働者人民に戦争動員と人民管理のためだと言えないところに、日帝・小泉の弱点がある。
韓国・台湾で阻止
韓国では、97年に「住民登録証」をICカード化した「電子住民カード」導入の法律が成立したが、労働者・学生を先頭とする広範な反対運動が展開され、99年に政府は導入を断念し、計画は白紙に戻された。
台湾では、14歳になった国民を対象に発行している「国民身分証」をICカード化する計画を密かに進めていたが、ICカード化の情報を入手した国民の強力な反対運動により、98年に計画を断念した。
住基ネットの本質を暴露し、住基カード拒否を訴えるならば、住基ネットを廃止に追い込むことはまったく可能だ。これらの闘いから学んで、「闘いはこれからだ」「開始されたばかりだ」の戦闘精神で、住基ネット廃止へ闘いぬこう。
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週刊『前進』(2116号3面4)
福岡 住基ネット 市役所抗議
8月22日「住基ネットを考える福岡市民の会」は、8月25日から住民基本台帳ネットワークが本格稼働し、住基カードの配布が開始されようとしている中、福岡市に本人情報の住基ネットへの接続中止を求めて申し入れを行いました。
「本人の同意のない個人情報の外部提供は、市の個人情報保護条例や憲法13条に違反している」と、本人情報の住基ネットへの送信中止を求めたことに対し、交渉の窓口となった市民局の課長は、「請求の報告はするが、審議する予定はない」とまったく許しがたい態度に終始しました。それに対して25日に再び、申し入れを行うことを確認して、その日の申し入れをいったん終了しました。
8月23日には、福岡市・天神で、ビラまきと、住基ネット接続中止を求める請求署名活動を行いました。
小泉政権のイラク参戦、有事体制確立と一体の新たな人民監視・弾圧のための住基ネットを許すな!
(投稿/福岡・S)
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週刊『前進』(2116号3面5)
在日朝鮮人と朝鮮総連への右翼の銃撃テロ許すな
8月23日、福岡市の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)福岡県本部と朝銀西信用組合福岡支店に爆弾に見せかけた魔法ビンが仕掛けられ、岡山市の朝銀西信用組合本店が銃撃された。そして、「建国義勇軍朝鮮征伐隊」を名乗る男が報道機関に犯行声明の電話を入れた。
絶対に許せない排外主義テロである。革共同は満身の怒りを込めて弾劾し、右翼テロ粉砕、北朝鮮侵略戦争阻止、日本と朝鮮の労働者人民の連帯のために闘うことを宣言する。
在日朝鮮人と朝鮮総連に対する銃撃テロ、脅迫事件が昨年以来、続いている。昨年11月には東京の朝鮮総連中央本部と社民党本部に銃弾入りの脅迫状が送りつけられた。今年1月には名古屋市の朝銀中部信組、7月29日には新潟市の朝鮮総連新潟県本部が銃撃され、ハナ信組に発火物が仕掛けられ、同31日に神奈川県藤沢市でも同様の事件が起きた(6月には広島県教組が銃撃された)。
7・29襲撃から1カ月もたたないうちに、しかも万景峰号の入港直前を選んで3カ所同時に強行された今回のテロは、これまでとは次元が異なる計画的・組織的な右翼テロだ。日帝政府の万景峰号に対するきわめて差別的な入港規制・妨害と一体の攻撃であり、在日朝鮮人民の自由往来を妨害しようとする暴挙である。
第一に、右翼テロによって在日朝鮮人の生命と生活・財産を脅かし、朝鮮総連と在日朝鮮人に対する差別と偏見、反感をあおる暴挙を許すな。在日朝鮮人民は、80年前の関東大震災時の朝鮮人大虐殺を想起させるようなテロ・暴力事件の続発に、怒りと不安を募らせている。この思い、危機感を受け止めよう。
第二に、この右翼テロは日帝・小泉政権の北朝鮮敵視政策、侵略戦争策動と完全に一体である。このテロは万景峰号と北朝鮮に対する経済制裁を要求し、北朝鮮をせん滅せよと要求しているに等しいのだ。日帝の朝鮮侵略戦争策動こそ真の元凶だ。
米帝と日帝は、「核問題解決のための6カ国協議」などで国際的包囲網を強めつつ、北朝鮮・金正日政権を転覆する侵略戦争作戦をすでに開始している。米軍の「作戦計画5030」に明らかなように、米軍機の緊急発進や突然の軍事演習で北朝鮮に今にも攻め込むかのような軍事圧力をかけ続け、北朝鮮の資源を消費させ戦争遂行能力を削ぎ落とし、金融ネットワークを混乱させて金正日政権を崩壊に追い込む作戦計画を開始しているのだ。
日帝は、この戦争計画に積極的に参戦し、自ら行う戦争として構えている。そのために有事3法を成立させ、さらにはイラクへの侵略出兵法を強行し、「国民保護法制」や「米軍支援法」の制定を急ぎ、戦争体制づくりを急ピッチで進めている。このことをこそ日本の労働者人民は、最も問題にしなければならない。
第三に、北朝鮮の体制延命のための核政策や「拉致事件」につけ込み、それを口実とした日帝政府の排外主義策動を絶対に許すな。
日帝は自らが行ってきた朝鮮への侵略・植民地支配、強制連行・強制労働の歴史、戦後の南北分断と北朝鮮敵視政策、在日朝鮮人民に対する差別と抑圧の政策、こうした歴史をことごとく居直り、継続させながら、排外主義キャンペーンを展開している。北朝鮮スターリン主義の核開発政策や拉致事件は反人民的で許し難い。しかし、それを口実とした排外主義の嵐と北朝鮮侵略戦争は絶対に阻止しなければならない。
右翼の襲撃を粉砕せよ。日本の労働者階級の階級的責任をかけて在日朝鮮人民を防衛しよう。日朝人民の連帯闘争を発展させよう。米・日帝国主義の朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
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週刊『前進』(2116号4面1)
法大当局の学館つぶし=自主管理解体を許すな
マルクス主義学生同盟中核派・法大支部
清成総長や金子理事を先頭とした法政大学の反動理事会は、8月13日に学生会館で起きたボヤを口実にして、学館閉鎖と学生単独の学館自主管理を破壊する攻撃をしかけてきた。これは国労5・27臨大闘争弾圧、部落解放同盟全国連寝屋川支部への弾圧、九州大学学生自治会や東北大有朋寮への弾圧と同じく、戦闘的学生運動の拠点を破壊するための戦時型治安弾圧だ。有事3法成立と北朝鮮侵略戦争切迫情勢、自衛隊のイラク侵略派兵情勢が治安弾圧を激化させているのだ。
だが、法大生は学館破壊攻撃を絶対に許さない。9月4日の対当局行動で、全法大生の怒りを反動理事会にたたきつける。
マル学同中核派・法大支部は、反動理事会による学館破壊攻撃をすべての法大生の怒りの決起で絶対に粉砕する。そして、自衛隊のイラク侵略派兵を阻止する今秋決戦をすべての法大生とともに闘う。
ボヤを口実に夜間閉め出し
反動理事会の狙いは、学生単独の学生会館自主管理を破壊することだ。金子理事は、学館でボヤが起きた直後、「体育館も閉鎖したから、学生会館も閉鎖だ」と一方的に通告してきた。そして、400万円もかけて雇った警備員を学館入口に配置して、夜間使わせないようにしてきた。浜村学生部長は「消防との関係でこれ以上火災などを起こしたら法政大学は事業停止になる」「学館の夜間使用の中止を認めろ。@夜間の出入りを監視するために学館の廊下にセンサーを設置する、ABOXのカギを総取り替えし、特定の人間しか開閉できない管理体制にする。これをのめなければ学館閉鎖だ」と言ってきた。
そして、8月19日、20日には、消防署による学館への強制査察が行われ、学館閉鎖の口実をつくり出そうとしてきた。だが、消防署の強制査察は、学館閉鎖はもとより、学館の夜間使用を禁止する理由がないことを示した。強制査察の際に、法大の職員が「学生が宿泊しているのはまずいですよね」と消防職員にたずねたが、逆に消防職員からは「タバコなど、火の始末をしっかりしてくれれば、別に学生が学生会館に泊まっていることは問題ない」と言われ、夜間使用禁止の言辞を引き出すことに失敗した。また、学館のいたるところに、「たばこ一本火事のもと」「歩きタバコ禁止」などのビラが張られ、ゴミを7分別していることやタバコの吸いがらだけを処理する水を張った缶が設置されていることを見た消防職員は「火災後の対応がかなり良くできている」と学生の自主管理能力の高さを認めざるをえなかった。消防査察では、学館閉鎖の口実をつくることに失敗し、逆に学生単独の学館自主管理の意義が再確認されてしまったのだ。
しかも、消防署は学館閉鎖や学生単独の学館自主管理から当局管理に移行せよと要求していない。消防法では、消防署が大学の事業停止を命じることはできない。ボヤが学館閉鎖や学館の夜間使用禁止の理由にならないことが明らかとなったのだ。
すると浜村学生部長は、「大学としては、消防署の意思とは関係なく、学館の管理体制そのものを問題にしている」などと、最初から学生単独の学館自主管理体制を解体することが目的であると認めたのだ。消防署との関係で学館を閉鎖すると言っていたことはウソだったのだ。
そもそも、今回のボヤは疑問に満ちている。サークル員からは、「8・15靖国神社参拝の直前でタイミングが良すぎる」「普段使わない地下食堂でボヤが起きるなんて、学館に悪意をもった人の仕業ではないか」「ボヤの直後に、理事会も開いていないはずなのに、金子理事が勝手に学館閉鎖を宣言するなんておかしい」「体育館は、物理的に使えないから閉鎖されたのに、すぐにボヤを消し止めた学館を閉鎖すると言うとは、閉鎖が最初から目的だったのではないか」という疑問の声すらあがっているのだ。
いずれにせよ反動理事会は、あらゆる口実をデッチあげて、学館閉鎖を策動し続けていたのだ。
法大生の団結で絶対粉砕へ
なぜ、学館破壊攻撃なのか。一つに、帝国主義世界戦争とプロレタリア世界革命が現実化する階級決戦期に突入しているからである。革命的情勢が急速に接近しているからこそ、反動理事会は日本帝国主義の側に立って治安弾圧攻撃の先兵になっている。警察権力と有無通じた反動理事会は、戦闘的学生運動はもとより、学生会館の存在に恐怖を感じ、圧殺に出ているのだ。2001年9月21日の私大連シンポに対する抗議闘争を警察権力の力をもって弾圧してきた反動理事会は、警察権力との結合を強めている。今回のボヤに際しても、直ちに公安警察を招き入れ、デッチあげ弾圧を策動した。
二つに、反動理事会の教育方針と学館の存在が相いれないからである。反動理事会は、日本経団連の奥田ビジョン路線に賛同し、資本の側に立って学生に競争と分断の攻撃をかけている。資本に役立つ人材の育成を掲げ、学生に対して「エンプロイヤビリティ(雇用適性)を身につけろ」と言い、新入生に対しては「勉強の妨げになるからサークルに入るな」と言っている。反動理事会の教育方針にとって、学生が学館を自主管理して、帝国主義の文化と対決して独自の文化を創造するという自主文化創造運動を行っていること自身がじゃまなのだ。
だが、反動理事会の狙いは必ず破産し、法大生の総反乱を生み出す。帝国主義の搾取・収奪や抑圧、人間性の疎外に対して、学生が怒りをもって自主文化創造運動を行い、人間解放を求めて闘うことを圧殺することはできない。法大生は学館での自主的諸活動に誇りを持っており、反動理事会がそれを否定するならば、法大生の怒りは必ず大爆発する。
今年前期、学館のサークル員は、学館の備品・施設獲得のために2回にわたる学生部長追及行動を行い、学生部長から「備品要求の早急な解決に向けて努力する」という確認書をかちとった。学生が団結して闘えば必ず勝てるのだ。
現在、電話やメールで学館存亡の危機を知ったサークル員が続々と学館に戻り、ボヤを口実とした学館破壊攻撃や学生を無視した一方的な警備員配置に怒りの声が上がっている。そして、9月4日に対当局追及行動を行うことが決定された。法大生の団結で、学館破壊攻撃を粉砕する闘いが始まったのだ。
マル学同中核派・法大支部は、戦闘的学生運動の拠点である法大学生運動と学館に対する卑劣極まりない攻撃に対して、党と労働者階級の未来をかけた激しい闘いをたたきつけ、すべての法大生とともに学館閉鎖と学館自主管理破壊を絶対阻止する。警察権力と結託した反動理事会を打倒し、法大学生運動の革命的大爆発をかちとり、マル学同中核派・法大支部の圧倒的建設をかちとる決意だ。
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週刊『前進』(2116号4面2)
米英帝と国連の軍事占領にゲリラ戦で闘うイラク人民
対テロ特措法の延長阻止! 自衛隊派兵阻止へ
米英帝のイラク軍事占領が続く中でイラク情勢はますます緊迫している。8月19日に起きたバグダッドの国連施設に対する自爆戦闘は、全世界に衝撃を与え、米帝のイラク軍事占領の泥沼の危機を突き出した。反動勢力は一斉にこの戦闘を「復興支援のためにおもむいた人たちを殺害した」として非難している。だが、国連がイラクでやっていることは「復興支援」などではない。国連は米帝のイラク軍事占領・植民地支配の手先でしかないのだ。
国連がイラクに対してやってきたことは何か。米英帝が「イラクの大量破壊兵器」をデッチあげて侵略戦争を強行し、植民地支配を狙っている中で5月22日、それに承認を与える国連決議1483を強行した。この決議で米占領軍を「当局」と位置づけ、石油をはじめとした資源を略奪するための「イラク開発基金」の設立を決定したのだ。米帝はイラクの公共部門を民営化し、米帝資本がその権益を確保し、収奪をほしいままにしようとしている。植民地化以外の何ものでもない。その米帝占領当局の手助け、下働きをするために国連がイラクに入ったのだ。
国連は、91年湾岸戦争後、「大量破壊兵器」を口実にしてイラクに経済制裁を行ってきた。これによって150万人ものイラクの人たちが殺されたのだ。まさに罪万死に値する人民大虐殺である。しかも現在、イラクでは1千万人が失業状態にある。これは全人口の40%に当たる。労働者のほとんどすべてが失業しているのだ。人民が飢餓に苦しんでいる中で、米軍は次々とイラクの人民を虐殺し、逮捕・拘束している。こうした現実に対するイラク人民のゲリラ戦はあまりにも当然の闘いである。
国連美化する日共の反動性
許しがたいことは、日本共産党が反動勢力と一体となって「国連へのテロ、世界から非難」とキャンペーンしていることである。
8月21日付『赤旗』では、「国連に対していかなる批判があったとしても、本来イラクの復興支援の主体になるべき国連を攻撃するのは、国際社会そのものに敵対することを意味する」と非難している。だが、イラクの復興はイラク人民が主体となって行うべきであって、それを圧殺している米帝と、その植民地支配の手先となっている国連は、けっして許されるものではない。しかもここで言う「国際社会」とは、米帝を始めとした世界を支配している帝国主義以外の何ものでもない。自由党・小沢と同じ「国連中心主義」の幻想で帝国主義の世界支配を擁護する日本共産党の反動性は許されない。
では、イラクは今どうなっているのか。何よりも、米軍によるイラク人民虐殺が続いている。米軍が、検問所に近づいたイラク人の車を銃撃し、乗っていた人を虐殺するという事件が相次いでいる。米軍は銃撃し、虐殺したあとで間違いだったことに気付くと、知らん顔をして立ち去り、近所の人が遺体を処理して、家族や親戚に引き渡している。米軍は、自分たちが虐殺したイラク人民の数はけっして数えようとはしない。イラクボディーカウントによれば、報道された死者の数が最大で7830人に上っている。また負傷者の数を2万人としている。クラスター爆弾で多くの子どもたちが負傷し、体に破片が入ったまま手術を受けられないでいる。
そして、イラク人民の多くが今や飢餓に直面している。ほとんどの人が失業状態でなんの収入もなく、フセイン政権が配給した食料もすでになくなり、どうして飢えをしのいでいくかが深刻な問題になっている。
また、電気が通じておらず、良くても一日に数時間しか通じないという状態だ。摂氏50度から60度にもなる気温の中で、冷房施設もないまま生活している。さらに水の問題も深刻で、チグリス川からくんだ水をそのまま使わざるをえない状態が続いている。
これは子どもたちにとって極めて深刻で、栄養が足りない子どもが浄化されていない水を飲んで下痢を起こし、栄養失調で死亡するという事態が相次いでいる。さらに、米兵による女性に対する暴行やイラク人による女性誘拐などが多発し、女性が家の外に出られない状態になっている。
労働者組合が失業給付要求
こうした中で、イラク人民は米英占領軍と激しく戦い抜いている。連日のゲリラ戦闘でブッシュが戦闘終結を宣言した5月1日以降の米軍兵士の死者がすでに66人に上り(イギリス軍は11人)、事故や負傷でその後死亡した兵士の数も含めて8月26日で140人になっている。こうした中で、撤退を求める米兵や家族の抗議がわき起こっている。イラク侵略戦争が米帝の危機を決定的に深める要因に転化しつつあるのだ。
また、経済が崩壊している中で、イラクの労働者は失業労働者組合を結成し、米英軍の撤退を要求すると同時に、雇用の創出と月100jの失業給付を要求して闘っている。5月24日に結成された失業労働者組合は、すでに10万人を組織したと言われている。バグダッドでは7月29日以来連日、米占領当局前で座り込みを続けている。これに対して米軍は、8月2日には54人の労働者を不当逮捕する攻撃に出ている。米占領当局は、「もし要求を認めたら、それが慣例になる」と主張し、この要求を拒否している。だが、連日の大規模なデモの圧力の前に、交渉に応じることは拒否できなくなっているのだ。
また、ナシリアでは7月3日に失業労働者組合の7千人のデモをシーア派の一部が襲撃した。さらに、シーア派グループがイラク労働者共産党に襲撃をかけ、それを口実にナシリアの治安を担当するイタリア軍が同党の事務所に捜索に入り、中にいたメンバーを不当逮捕するという事態も起こっている。左右の激突が始まっているのだ。
イラクの労働者人民は、米英帝国主義の侵略と植民地支配の策動と全力で闘いぬいている。今こそ闘うイラクの労働者人民と連帯し、米英軍のイラクからの即時撤退を要求し反戦闘争の爆発をつくり出そう。今秋、自衛隊イラク派兵阻止の大闘争を巻き起こそう。
日帝・小泉政権は、今秋の臨時国会でテロ対策特措法の期限延長を強行しようとしている。ペルシャ湾に展開している自衛隊による米軍への支援は、イラク軍事占領への直接の参戦であり、イラク人民虐殺(アフガニスタン人民虐殺)に直接加担しているのだ。日帝がこの法律を延長し、イラク人民虐殺をさらに続けることを許してはならない。テロ対策特措法の延長を絶対に阻止しよう。
イラクの労働者人民は、全世界の労働者に支援を求め、米英軍の撤退と各国軍隊の派兵中止を要求する反戦闘争への決起を呼びかけている。この呼びかけに連帯し、自衛隊のイラク大規模派兵を絶対に阻止しよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2116号4面3)
8・24渋谷 10回目のワールドアクション 秋の大闘争へ前進 “今こそ行動しよう”
8月24日、10回目の渋谷ワールドアクションが行われた。有事3法とイラク復興支援特措法の成立をけっして許さず、自衛隊のイラク侵略派兵と北朝鮮侵略戦争をとめるために今こそ行動しようと150人が立ち上がった。
司会の青年労働者は、「アメリカのANSWER連合の呼びかけにこたえ、10・25に自衛隊のイラク派兵を阻止する5千人集会を渋谷でやろう。実際に戦争をとめるために行動しよう」と呼びかけた。
(写真 有事3法とイラク派兵法の強行成立に怒りを燃やし、「戦争をとめよう」という若者たちの意気はますます盛んだ【8月24日 渋谷】)
スタッフの青年は、「テロ特措法に基づくインド洋派遣の自衛艦を修理するために民間人が7回25人送られている。私の家の近所にある石川島播磨重工業からも7人出した。私たちは職場で学園で闘いを訴え続ける。9・27、10・25を呼びかけたい」と提起した。
カンパアピール後はフリー・トークだ。この日渋谷で星野文昭さんの再審を訴える街頭宣伝を行っていた星野暁子さんが発言。「星野は1971年のこの渋谷でのデモで逮捕されて、獄中で頑張り抜いています。ここにいる若い人たちが次の時代に闘っていく力を生み出していけると確信しています」
続いて百万人署名運動の事務局の人が「小泉は国連へのゲリラ戦闘に打撃を受けつつも、イラクに自衛隊を派兵する意向は変えていない。新たな署名運動をとおしてこの秋自衛隊のイラク派兵をとめる大運動をつくりたい」とアピールした。
青年労働者がキリスト教会で出会ったイラクの人の訴えを紹介。「息子1人を除いて家族全員が米軍の爆撃で殺された。息子も足を失った。なぜこういう目にあわなければならないのか。日本はこれまで中東の人びとを傷つけてこなかった。なぜ今になって自衛隊を派兵するのか」。さらに青年は「国連に対する自爆攻撃をテロと非難するのはおかしい。アメリカの戦争こそ原因だ。イラクの人びとは自衛隊の派兵に反対しているし、日本人の7割も反対している。この国に民主主義はあるのか。腐敗した政治を打ち破るのは民衆の力だ。最後まで闘おう」と力強く訴えた。
午後6時30分、宮下公園からデモに出発。参加者は「北朝鮮への攻撃許さない」「右翼の銃撃弾劾」、「自衛官は小泉政権と闘おう」「出兵命令を拒否しよう」と元気にシュプレヒコールをくり返した。「イラク侵略戦争は終わっていない。イラクの人びとと連帯し、自衛隊のイラク派兵をとめよう」との訴えに、多くの若者が注目し、共感した。浴衣姿でデモに参加する女性もいて、にぎやかなピースウォークが夏の暑さを吹き飛ばした。
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週刊『前進』(2116号4面4)
コミューン 10月号
共産党との決別を
今号は、日本共産党員に全人生をかけてスターリン主義から決別することを呼びかけている。
この間、日本共産党の党員の間に党中央への疑問、不信、怒りが高まっている。
しかし批判的であっても、党員にとどまるかぎり、全階級に対する裏切りに結局は加担させられる。全階級の前に正面から日本共産党批判を明らかにする立場に立つ以外、階級闘争に真に責任を取ることも、自分自身が日本共産党の真実の姿を徹底的に直視することもできない。
日本共産党中央への批判を個々の政策の誤りや日和見主義という次元にとどめず、階級への決定的な裏切りとして捉えること、そして党員としての自己の活動を勇気をもって問い直し、決断することが不可欠である。そのためにはスターリン主義そのものの本質の把握が決定的である。
特集の第1部では、座談会の形を生かして、共産党員のさまざまな問題意識に答える。特に、国鉄闘争、動労千葉の闘いが示す勝利の展望を明らかにすることで、日本共産党の裏切りをあいまい化する道を絶ち、階級の敵として打倒する以外ないことを示した。
第2部は、新綱領の案文そのものの批判である。安保・自衛隊・天皇制容認で侵略戦争の先兵になることの重大性を示す。そしていっそう深い所での裏切りとして、「階級」「階級闘争」「闘争」を全否定していることを、ていねいに解き明かした。
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週刊『前進』(2116号5面1)
「国民保護法制」の制定許すな
侵略戦争突入に伴う反撃想定し人民の政治的・軍事的動員狙う
小泉政権は、6月6日に成立した武力攻撃事態法、改悪安保会議設置法、改悪自衛隊法の有事3法に加えて、関連法案として@国民保護法制、A米軍支援法制、B自衛隊の電波利用などの円滑化に関する法制、C捕虜の取り扱いに関する法制、D武力紛争時における非人道的行為の処罰に関する法制――の5つの法案を来年の通常国会に提出しようとしている。すでに6月末、国民保護法制の制定に向けて政府内に福田官房長官を本部長とする「国民保護法制整備本部」を設置し、年内にも法案をまとめるという。
国民保護法制などの関連法の制定は、武力攻撃事態法の第3章(武力攻撃事態等への対処に関する法律の整備=第21〜24条)で規定されている。特に国民保護法制については、国会に提出された法案の段階では「2年以内を目標に整備する」となっていたものが、与党3党と民主党との修正協議によって削除され、代わりに民主党の提案で「武力攻撃事態法の施行から1年以内を目標とする」という付帯決議がついた。国民保護法制の批判と阻止の闘いは緊急の課題である。
本稿では4月18日に政府が国会に提出した「国民の保護のための法制について(いわゆる概要)」の逐条批判を行う。
対策本部長に権力集中労働者を戦争へと動員
国民保護法制は、有事3法と一体の有事立法(=戦争法)攻撃としてとらえる必要がある。
「国民保護法制」とは非常にペテン的な言い方である。国民保護法制の正体は、侵略戦争を遂行する上で不可欠の一環である国民を巻き込んだ防戦体制づくりとでも言うべきものである。さらに正しくは、日帝の米帝との共同・競合による北朝鮮侵略戦争の遂行にともなう、北朝鮮からの反撃に対抗する防戦体制を構築するための攻撃である。したがって、これは一般的な防戦や「民間防衛」ではなく、それ自身が侵略戦争体制(政策)の一環としてある。同時にそれは、すぐれて排外主義的に政治的に国民を戦争に向かって組織する戦争動員攻撃としてあるのだ。
このことは、「国民の保護のための法制について(概要)」(極端に簡略化し項目化してわざと分かりづらくなっているが)の中からも明らかである。
この「概要」の全体構成は次のようになっている。
1 国の責任の明確化
2 地方公共団体の役割
3 指定公共機関等の役割
4 国民の役割
5 その他
この抽象的な5項目をみても、国民保護法制が軍事立法であることがうかがわれる。国家権力のもとに強力に権限を集中し、そのもとで地方公共団体、指定公共機関、そして国民に役割=義務を強制し、国民の戦争動員をはかるという構成となっているのだ。
まず1「国の責任の明確化」の項において、このことが鮮明に示されている。1の構成は次のとおり。
(1)国による主導的な対処
(2)国の方針に基づく対処
(3)国による対処措置
(4)地方公共団体等への支援
(5)内閣総理大臣による是正措置
(6)国民への情報の提供
「保護」も戦争の一環
(1)の「国による主導的な対処」の項では、冒頭から「国は、武力攻撃事態において、対処基本方針を策定し、国民の保護のための措置を総合的に推進」となっており、「国民の保護」などと言われていることが、実は戦争遂行上の一環をなすものであり、それ自身が戦争政策の一部であることが宣言されている。ここでいう「対処基本方針」とは武力攻撃事態法にもとづくもので、侵略戦争遂行のための基本方針ということだ。「国民の保護」が戦争方針の一環であることを明確に規定している。
そして、より具体的な内容として、国が「国民の保護に関する基本指針」を策定し、その核心が「武力攻撃事態対策本部長」(=内閣総理大臣)による「住民の避難の実施」であることが明らかにされる。それは対策本部長が「都道府県知事に対して指示する」ことで実施されるのである。
ここで先行的に確認しておくと、国民保護法制の中心となっているのは「住民の避難」である。これは厳密には、戦争災害が予測される場合と、実際に戦争災害が発生した場合の双方の対応措置として言われている。この「国民の保護のための法制について(概要)」の大半の内容が「避難」と「避難地区と避難施設の設定」「避難民への救援」という構造になっている。これは後にみるように、日帝が狙っている戦争の性格と実はぴったりと対応している。
(2)の「国の方針に基づく対処」の項は、国が決定した「国民の保護に関する基本指針」にもとづいて、指定行政機関・指定地方行政機関、都道府県・市町村、指定公共機関・指定地方公共機関−−がそれぞれ「計画」や「業務計画」を策定せよ、と規定している。国家の基本指針への一元的な系統化ということだ。まさに戦時体制そのものである。
ミサイル・ゲリラ想定
(3)「国による対処措置」および(4)「地方公共団体等への支援」の項についてはどうか。ここで初めて国が行う具体的対処措置への言及が行われるが、きわめて特徴的な組み立てになっている。と言うのは、国民保護法制の前提として、どんな戦争を想定しているのかを示す重大な内容が、(4)の二番目の事項において示されている。
ここには、「国は、大規模又は特殊な武力攻撃災害の対処に関し、自ら必要な措置を実施」と記されている。本来、この内容なら(3)の「国による対処措置」の項目で示されるべきなのに、わざわざ (4)の「地方公共団体等への支援」の中にこんな内容が突っ込まれている。「特殊な武力攻撃」というのがキーポイントである。これは明らかにミサイル攻撃やゲリラ的戦闘行為をイメージさせるものだ。この点で注目すべきこととして、鳥取県がまとめた有事の際の「住民避難マニュアル案」の内容がある。ここでは有事として「わが国に弾道ミサイルが着弾し、武力攻撃事態と認定された場合」(α)と「ある国で上陸用舟艇を含む多数の艦船が集結しており、上陸侵攻が予想される場合」(β)の2つのケースを想定している。さらにマニュアル案の中には「ゲリラなどの活動阻止のため」という文言もある。またこのマニュアル案はけっして鳥取県単独の策定ではない。県、地方自治体、自衛隊、消防などが役割分担などを検討してきたもので、国や自衛隊などの考え方を先行的に示すものとしてある。
以上を総合してみるならば、この「概要」は、明らかに北朝鮮侵略戦争を想定しているものだと言える。端的に言えば、かつての「ソ連軍の着上陸」タイプの想定ではなく、今日の北朝鮮が米日帝の侵略戦争に対して反撃する場合が想定されているのだ。そして、具体的には一定のミサイル攻撃と若干のゲリラ部隊の活動が想定されているのだ。
したがって(3)の「国による対処措置」の第一の事項が、まず警報の発令であり、その内容が「武力攻撃事態の現状及び今後の予測」「武力攻撃災害が予測される地域」「住民の避難のために実施される対処措置に関する事項」となっているのだ。ここには明らかに攻撃の限定性、予測可能性が示されている。だからこそ米日帝の北朝鮮侵略戦争とそれに対する北朝鮮の反撃を想定した「住民避難」という形態で対処方針が提起されているのである。
さらに注目すべきは、(3)「国による対処措置」の第二、第三の事項で、原子力施設の防衛問題や放射性物質、毒性物質、生物剤などの汚染除去問題が大きくうちだされていることだ。これも明らかに北朝鮮侵略戦争とそれへの反撃戦の中でテーマ化する問題であることを強く示唆している。
逆にこうした問題に比べて、国民生活の安定等のための措置(ライフラインの確保など)についての言及はきわめてあっさりしている。「国民保護」と言うのならば、本来は、これが大きくクローズアップされるべきところだが、さして重く取り扱っていない。
(4)「地方公共団体等への支援」では、先に言及した部分以外では、国が地方公共団体の「避難住民の救援」や「応急復旧」を支援することを確認している。さらに、ここでは避難住民の「救援」や「応急復旧」の主体が、地方公共団体とされているように見受けられる。
首相権限が最優先化
(5)「内閣総理大臣による是正措置」は、「内閣総理大臣は、事態対処法案の規定に基づき、次の措置に関し、是正のための『指示』又は『自らの対処措置の実施』を行うことができる」となっている。
ここでは、内閣総理大臣の権限が知事などより優越することを規定している。知事が行う「住民に対する避難の指示」「住民の避難誘導の指示」「他の都道府県からの避難住民の受け入れの指示」「避難住民等の救援の指示」などの一切の指示を、内閣総理大臣は、是正させるか知事に代わってみずから実施できるとしているのだ。そして、その根拠を「事態対処法案」つまり武力攻撃事態法の規定にもとづくとしているのだ。具体的には、武力攻撃事態法第15条の規定を指す。
この第15条は、事態対処全般つまり戦争遂行上の措置全般について内閣総理大臣が知事などの行う指示などすべてを、是正したり、みずから実施できることを規定している。つまり、国民保護法制が、戦争遂行法の一環であることをはっきりと示している。
またここでは、内閣総理大臣は指定公共機関である運送業者の運送に関する措置や(市町村などによる)公共的施設の応急復旧に関する措置についても、それを是正させたり、みずからとって代わって実施できるとしている。つまり、戦争の一環として、一切の権限は結局、国家権力の中枢=内閣総理大臣が掌握し、地方自治体や公共機関はそれに従ってひたすら実行するのみであることを確認しているのだ。
(6)「国民への情報の提供」は、項目が列挙してあるのみだが、権力中枢からの一方的情報操作や大本営発表的なあり方をチェックする歯止めは一切規定されていない。
北朝鮮侵略戦争を想定避難は戦争目的に従属
2「地方公共団体の役割」の構成は次のようになっている。
(1)地方公共団体の責任と権限
(2)地方公共団体による避難の措置
(3)地方公共団体による救援
(4)地方公共団体による武力攻撃災害 への対処
この2の「地方公共団体の役割」全体をみて注目されるのは、国民保護法制の実体が、ほとんど圧倒的に「住民の避難」「避難住民の救援」となっていることである。他方で「武力攻撃災害への対処措置」は、主として市町村レベルで「応急措置」を実施することが規定されるだけとなっている。
こうしたあり方が示すものは何か。それは、国民保護法制そのものが具体的には北朝鮮侵略戦争を想定して組み立てられているということだ。米日帝の圧倒的な軍事攻撃と北朝鮮側の必死の一定程度のミサイル攻撃や特殊なゲリラ戦の展開を想定しているのである。
さらに、自衛隊・警察が一切を取り仕切り、「避難」そのものが、戦争目的に完全に従属しているのである。具体的には、都道府県または市町村に設置される「国民保護対策本部」に関して「本部長は国の職員を会議に出席させることができる」とされ、同時に、「警察及び海上保安庁並びに自衛隊は、市町村を中心に調整を行って避難住民を誘導する」と規定されている。
強制的権限持つ知事
(1)「地方公共団体の責任と権限」 では、閣議決定で指定された都道府県及び市町村は、「国民保護対策本部」を設置すると規定される。本部長は知事、市町村長がなり、避難の指示や救援、応急措置などを行うことが規定される。
(2)「地方公共団体による避難の措置」は、知事は、対策本部長(=内閣総理大臣)の指示を受けて避難の指示をするよう規定している。また市町村が避難住民を誘導する際には、自衛隊・警察のの主導で行われる。つまり「避難」は、戦争目的に完全に従属しているのだ。
今ひとつ注目すべきは、「都道府県知事は、国の定める基準を満たす施設を、管理者の同意を得て避難地として指定」と規定していることだ。この記述は、この「概要」の中では、きわめて具体的なイメージを与えるものだ。明らかに北朝鮮侵略戦争の想定と対応している。第2次大戦時の経験や、いわゆるソ連軍の攻撃の想定などとは違う想定が行われている。限定されたミサイル被弾や限定された特殊ゲリラ戦を想定しているのだ。このため、ゲリラ掃討戦の必要から住民を一時避難させて、全面的な軍事行動の自由を確保したりすることを狙っているのだ。
(3)「地方公共団体による救援」は、避難住民の救援について知事が実施することを規定している。ここで重要なことは、避難住民の「収容施設の確保」「救援用の医薬品・食品等の確保」「医療の提供の確保」などについて、知事はすべての強制的権限を持っていることが規定されているということだ。つまり、自衛隊法第103条の適用と同じことが実施されるということである。戦時下の強権発動として、土地・家屋の確保や強制使用が規定され、必要な物資の保管命令とそのための立ち入り検査権が規定されているのだ。医療についても、医療の提供が従事命令的に強制される。
自衛隊・警察の主導で
(4)の「地方公共団体による武力攻撃災害への対処」は、武力攻撃災害(=戦災)への対処について地方公共団体の任務を規定している。ここで注目されるのは、知事=都道府県国民保護対策本部長は対処措置の総合調整をすると規定しているが、それ以上の具体的言及はないことだ。そして、ここの実質的重心は「市町村長等の応急措置」に置かれている。この項目は「災害が発生又は発生しようとしているときは(市町村長などは)応急措置を実施する」となっている。応急措置とは「危険物件の事前措置」「一時避難の指示」「土地、建物及び物件の一時使用」「支障物件の除去」「現場での協力要請」などである。
つまり戦災が発生した時の主な対処が列挙されている。しかし、「応急」とはいえ事実上の強権発動である。しかもこれには「警察官及び海上保安官並びに自衛官も補完的に実施」と付記されている。これでは、実質的に自衛隊・警察が主導することになることは明白だ。知事はこうした「応急」として実施されることを追認しつつ、後から避難や救援の体制を指示していくことになる。また、市町村長は「警戒区域」を設定すると規定している。
さらに消防について言及している。消防は一義的には市町村の仕事とし、また「生活関連施設」の警備強化を知事が管理者に要請することとしている。このために「立入制限区域を設定」することが規定されている。加えて、都道府県公安委員会が「緊急輸送の確保等のため、交通を規制」できるとしている。そして、上記のような「通行禁止区域等において」は警察官(自衛官も)が車両の移動を指示したり、自分で移動させることができるとしているのだ。
結局、ここで言っている武力攻撃災害への対処については、自衛隊や警察がほとんど取り仕切ることが実質的に可能になっているといって過言ではない。またここで言及していることは、戦災への応急対処が一義的に市町村となっていることや、生活関連施設の警備を管理者に要請するとかいっていることから、この戦争の性格が浮かび上がってくる。北朝鮮侵略戦争を想定し、軍事的には圧倒的優勢を確信していることが示されている。
公共機関と国民に戦争への全面的協力を強制
3「指定公共機関等の役割」の構成は次のとおり。
(1)指定公共機関の対処措置
(2)指定地方公共機関の措置
これは全国的・地方的とを問わず、放送事業者・日本赤十字社・電気事業者・ガス事業者・日本銀行・運送事業者・電気通信事業者などの指定公共機関に対して戦争の遂行への全面的な協力を要請=強制することの一環として、住民の避難・避難住民の救援・必須生活用物資の確保やその輸送に全面的に協力することを指示=強制するということである。
例えば、放送事業者に対しては「警報、武力攻撃事態等の状況(つまり戦況ということ)及び避難の指示の内容の放送」を指示=強制しようとしている。放送事業者を戦争に動員し、大本営発表を報道させようとしているのだ。
「隣組」制度の復活も
4「国民の役割」の構成は次のとおり。
(1)国民の協力
(2)国民の権利及び義務に関する措置
(1)「国民の協力」は、「国民は、次の協力を要請されたときは、必要な協力をするよう努めるものとする」としている。これはペテン的表現だが、実際は協力義務の強い規定だ。ここで「次の協力」とは、避難や救援の援助、消防や救助の援助、保健衛生の確保への援助などであるが、国民の戦争への動員という本質に変わりはない。ここで注目されることは、この協力の項目で「避難に関する訓練への参加」がうたわれていることだ。これはかつての第2次大戦時の防災訓練への動員と同じで、国民を政治的・意識的に戦争へと動員し、戦意を高揚させることを狙っているものだ。これへの参加を義務づけるということなのだ。さらに、この項目の終わりに、「国及び地方公共団体は……住民の自主的な防災組織やボランティアの自発的活動に対し支援」と記されている。これはかつての隣組制度の復活をたくらんでいることをはっきりと示すものだ。
(2)「国民の権利及び義務に関する措置」 は、「国民の権利」と言っているが、内容はすべて厳しい義務の強制のみである。すなわち、次の5項目である。
@原子炉、放射性物質及び危険物質を取り扱う者に対する(国などによる)措置命令。これは詳細不明だが、「取り扱う者」という規定は広義にとれる。つまり、関連する多くの労働者・研究者にきわめてきびしい規制がかけられてくることが予想される。
A収容施設の確保、医療施設の開設のための土地・建物の使用。つまり、こうした施設のため、土地・建物が強権的に取り上げられるということである。
B緊急物資の保管命令、売渡し要請又は収用。これも私有物が徴発・収用されるということだ。
C医療提供の指示。つまり、医療提供を義務づけられるということである。
D武力攻撃災害時の応急措置としての土地、建物などの一時使用、物件の使用もしくは収用。これも、私有権が強権によっておかされ、強制的に没収・収用・使用されるということである。
このように、国民の戦争への協力、その権利の侵害の受容を、文字どおりきわめて厳しく強制している。国民保護法制の反人民的本質はここに集中的に示されている。
5「その他」についてはどうか。ここでは、最初の項目で、一般災害復旧の実施に責任を負う者は戦争災害にも等しく責任を負うことが規定されている。つまり、戦争災害だからといって復旧に責任を負わないことは許されないということだ。第2の項目では、損失補償・損害補償については、抽象的な言及しかなく、死者も出ることを言っている。第3の項目では、対処措置の費用負担については、項目のみで内容記述はない。
その上で、ここの最後に「罰則」について触れている。全文を記したい。
@原子炉、放射性同位元素、危険物質等による危険防止のための措置命令に違反した者
A物質の保管命令に従わず、又は保管命令等に伴う立入検査を拒んだ者
B交通規制又は警戒区域若しくは立入制限区域の立入制限等に従わなかった者
――これらの者に対しては罰則を科すことをまとめて明記している。
戦争災害発生は前提に戦争遂行が一切の眼目
国民保護法制とは第一に、一般的には、日帝の侵略戦争遂行のための戦争法の一部であり、それ自身が戦争法案としての特質をもっているということだ。したがって、国民保護法制は、武力攻撃事態対策本部長(=内閣総理大臣)が戦争遂行上の全体的課題の一環として戦時下(予測事態も含めて)、または被災下の住民(国民)を軍事的・強権的手段をもって集約し、支配し、組織化するものとしてある。そして、知事や市町村長は対策本部長(=内閣総理大臣)の指示にそって絶対的に統制されて動くようになっているのである。
さらに、この「概要」のいたるところで突出しているように、国民保護法制によって、戦時下・戦災下の住民は、自衛隊や警察の力で組織化され、誘導されることが鮮明になっている。つまり、戦争遂行本部長(=首相)のもとへの全権限の集中のもと、軍隊や警察が知事や市町村長を指導して国民を軍事目的にそって引きずり回す構造が内在しているのだ。
そして、戦争の遂行が一切の眼目であって、国民が戦争に巻き込まれ、戦争災害が発生することは前提となっている。だから「国民の保護」などはペテンであって、戦争下で国民が戦災に見舞われ、死傷し、逃げ惑うことを前提としているのだ。国民保護法制は、そのプロセスを侵略戦争遂行上の必要にそって組織化し、統制化しようとするものにほかならない。国民保護法制がそういう本質を持つものである以上、それは戦災や戦火から国民を保護することなどまったくできない。実際にミサイルが着弾した場合などを想定しているが、ミサイルが着弾し爆発した時、大都市ならすでに被弾した人びとが死傷しているのだ。
ここから次のことが言える。国民保護法制は、戦時下・戦災下の国民を国家が支配・統制し、反戦運動への傾斜を抑圧・阻止し、さらに戦争を続行していくための手段であるということだ。つまり、それは国民の戦争への政治的・軍事的動員のための手段だということであり、この意味では、4「国民の役割」で言われている国民の義務としての「避難に関する訓練への参加」の規定や「住民の自主的防災組織やボランティア活動」についての規定は、実際にはきわめて重要な意味を持ってくる。すでに鳥取県などでは避難マニュアル案が作成されているが、こういうものが、住民を実際に動員する訓練となる時、恐るべき扇動性や組織力を持ってくるのだ。
北朝鮮の反撃を予測
しかし、以上の側面だけを検討・批判するにとどまるなら、まったく不十分である。
第二に、決定的に重視しなければならないことは、国民保護法制が戦争遂行のための有事法制の一部だという時、有事法制によって日帝が遂行しようとしている戦争はどのようなものか、その階級的性格はどのようなものか、国民保護法制が何を想定しているのかについて、つかみとらなければならない。
すでに言及しているように、「概要」が想定しているのは、北朝鮮侵略戦争そのものだということである。これは「概要」の中で「大規模又は特殊な武力攻撃災害への対処」と言っていることに、はっきりと示されている。具体的には、米日帝の圧倒的軍事力をもってする攻撃に対して、北朝鮮が必死にミサイル攻撃やゲリラ戦(上陸しての)などで対抗しようとすることが想定されているのだ。
これは原発など原子力施設の防衛や「放射性物質、毒性物質、生物剤」などへの第一級の取り扱いやくり返しの言及によっても示されている。米日帝によって北朝鮮全土が全面的に大爆撃されるようなイラク戦争タイプの戦争の遂行の中で引き起こされる限定的だが必死の反撃戦ということが想定されているのだ。ここには、この反撃戦の「限定性」もはっきりと組み込まれている。「国民の保護」なるものの大半の内容が、避難地・避難施設への避難となっていたり、実際の戦災の「応急措置」が市町村の責任となっていることなどもこれを示している。鳥取県が先走って作成した「避難マニュアル案」もこのことを百パーセント示している。
以上、有事3法に加えて、来年通常国会で国民保護法制の制定を許すならば、日帝は北朝鮮侵略戦争への体制をいよいよ整備していくことになることをはっきりとさせなければならない。国民保護法制が北朝鮮侵略戦争への条件整備の一定の完了を意味する恐るべき事態なのだ。国民保護法制の戦争法案という正体を暴露して、初めて闘いの真の組織化が可能となるのだ。
来年通常国会に向け、日帝は、いわゆる「海外派兵恒久法」を制定しようとして準備している。自衛隊を多国籍軍の一翼として全世界に派兵していく一般的法案を自衛隊海外派兵の恒久法として成立させようというのである。
北朝鮮侵略戦争の一環としての国民保護法制の制定と有事3法の完成を阻止する闘いと、海外派兵恒久法阻止の闘いを、「米英日帝はイラクからただちに手を引け」「ただちに撤兵せよ」を掲げたイラク派兵阻止闘争の巨大な闘いと結合して闘いぬこう。
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週刊『前進』(2116号5面2)
海自艦帰港に抗議 佐世保 自衛官家族も署名
反戦共同行動・福岡と長崎は8月22日、イージス艦こんごう、護衛艦ありあけ、補給艦はまなの佐世保(長崎県)帰港に対して、弾劾闘争に立った。
この3隻は、米英軍など10カ国の艦船に1万9千`リットルにおよぶ燃料補給を行い、米帝のアフガニスタン・イラク侵略戦争に参戦し、人民虐殺に手を貸してきた。絶対に許せない。
国労、全水道、全国一般など地元の組合の参加で、佐世保地区労主催の抗議集会が行われた。そのさなかにイージス艦を先頭に入港してきた。「自衛隊の海外派兵反対」「小泉内閣打倒」など怒りのシュプレヒコールをあげた。
抗議闘争に先立ち、佐世保市の四ケ町商店街で街宣を行った。「息子が自衛官で心配している。イラクには行って欲しくない」など自衛官の家族も署名し、458筆が集まった。
イラク−全世界の人民と連帯しイラク派兵を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2116号6面1)
東大阪市議選勝利へ全力を
部落大衆・住民と力を合わせ さかぐち候補当選かちとろう
人間として生きる権利かけて
9月14日告示、9月21日投票の東大阪市議選は、残すところ3週間という終盤戦の過程に突入した。今回の東大阪市議選は、定数50人に対して64人が立候補を予定、かつてない激戦になっている。公明党は最大与党として東大阪市政を牛耳ろうと2議席の拡大をもくろみ、自民党を始め各党とも総選挙をにらんで票の掘り起こしを狙い、小泉、菅らの党首クラスが続々東大阪入りしている。今や東大阪市議選は一地方選というレベルを超えて、今秋から次期通常国会にかけての政治的激動の前哨戦になっている。大いに望むところである。しかし、瀬川博議員の5期20年の闘いを引き継ぐとは言え、無名の新人候補を押し立てて闘うさかぐち陣営にとっては、きわめて厳しい選挙戦になっていることも事実である。絶対に負けるわけにはいかない。持てる一切の力を投入し、部落解放同盟全国連合会荒本支部の部落大衆、東大阪国保と健康を守る会を始めとする住民と力を合わせて、さかぐち克己候補の当選をかちとろう。
団結して闘い、要求実現へ
第一に訴えたいことは、今回の東大阪市議選は、住民のいのちの叫び、人間として生きる権利をかけた闘いだということである。
小泉政権による年金制度改悪、社会保障制度の解体攻撃のもとで、年金で生活する高齢者は今や、とたんの苦しみの中に置かれている。また労働基準法改悪を始めとする資本攻勢のもとで、労働者が虫けらのように扱われている。だが問題なのは、この現実の中で労働者や住民は闘うすべがないということ、自分たちの生活を守るよるべがまったくないという現実に置かれていることにある。
「東大阪国保と健康を守る会様
このちらしの内容は実現できますか。本当なら是非参加したいと思います。もう一度、頑張りたいので希望をください。
わたしは、遺族年金のみの収入で生活しています。昨年より国保の請求が2・5倍できました。払えません。集金人は、関係なく自宅にきて取っていきます。もう、生活に希望をもったらいけないのでしょうか。仕事も少なくなり、無理です。少しでいいです。希望をください」(東大阪 友井在住)
これは、国健会がまいたビラを読んだ方からの手紙である。これが今、年金で生活する全高齢者の気持ちではないだろうか。小泉による社会保障制度の切り捨てによって、多くの高齢者が生きる希望を奪われている事実に、胸がかきむしられる思いがする。
東大阪国保と健康を守る会は7月6日以来、市内各所で年金・介護・国保を中心とした生活相談会を開催してきた。この相談会は8月28日までの1カ月半の間に50回にわたって行われ、参加者はのべ500人にものぼった。この相談会に、この手紙と同じような現実を抱え、同じような気持ちを持った高齢者が続々とつめかけているのである。
この相談会には創価学会の会員や、生健会の会員がたくさん参加している。ある会場では、自民党の党費を払っているという婦人が参加して国健会に入会し、さらに同じ会場で開かれた2回目の相談会には、隣近所の知り合い2人を連れて参加するということも起きている。エピソードはつきないが、重要なことは社会保障・社会福祉という領域を、自民党だけでなく公明党、日本共産党などももはや完全に投げ捨てたということである。その結果、多くの労働者や高齢者がこのままでは生きられない現実に直面し、そして怒りの出口を求めて、これまでの支持政党から離反して動き始めているのである。
もちろんわれわれは、相談会に参加した人びとの生活を救うことができるわけではない。だが、生活を救うことに問題があるのではない。この人びとは救済の対象ではなく、彼ら自身が自分の生活を変える主人公なのだ。だからこそ問題は、住民を苦しめる根源が小泉反動政治にあることを明らかにし、これと闘って生きる権利を守る、団結して闘う道筋を示すことにこそあるのである。
この道筋を示したものこそ、7月30日に行われた介護保険料減免の集団申請であった。180人が市役所ロビーを埋めつくした。この半数は、相談会に初めて参加し、初めて行政交渉に参加する人である。中には前日の相談会に初めてきた人もいた。この中で、行政担当者を呼び出して大衆交渉を行い、窓口での対応を謝罪させ、介護保険料の減免枠の拡大の検討を約束させた。これまでは冷たい態度で追い返されていた役所の担当者を目の前で謝罪させ、これまでは無理だと思っていた介護保険料の減免が実現した。確かに、ほんのささやかな成果である。しかしこの180人の人びとが、わずか2日から半月の間に団結することの意味と力を感じ、国健会の中心になり、選挙の担い手として立ち上がり始めているのである。
今回の市議選は、社会保障制度切り捨てのもとで苦しむ住民が、生きる権利の実現をかけて団結し、生きるための要求を実現する闘いである。住民大衆が自分たちの要求を実現するために、自分たちの団結と要求の代表を議会に送り出すために闘うということである。この闘いは、戦争と資本救済、福祉切り捨ての小泉改革と、追随する全政党の翼賛政治に対する住民の生きる権利をかけた反乱であり、まさに住民のいのちの叫びである。
住民選対が主人公の選挙戦
第二に訴えたいことは、今回の東大阪市議選は、革命的議会主義の本格的な創造をかけた闘いだということである。
われわれは今回の選挙を、完全に住民大衆が主人公となった選挙戦として闘ってきた。ブルジョア議会主義においては、住民大衆は大政党にとっての道具、よく言っても応援団でしかない。綱領的内容はまったく違うとは言え、われわれの選挙もこの点では同じであった。しかしわれわれは今回の市議選において、この価値観を完全にひっくり返したのである。
その最大の環は住民選対の開催である。荒本支部、オルグ団、国健会、市民の会を始めとした住民組織に結集する住民が一堂に会して、全国連中央本部の中田潔書記長を本部長として選対本部を構成し、選挙戦の方針の一切をここで決める体制を敷いた。これはまったく新たな試みである。
これまで20年間にわたって瀬川議員を支持してきた人びとは、個々ばらばらにオルグ団個々人と結びついているという関係が強かった。今回の選挙では、この人びとが住民選対を中心にして住民同士のつながり、地域で横のつながりをつくり、自分たちの組織をつくる。その自分たちの代表として候補を議会に送る闘いにしようとしたのである。
しかしこれは、われわれに重大な飛躍を突きつけるものであった。これまで瀬川議員を支持してきた人びとは、頑強な支持者でありながら、共産党、公明党の制圧下で孤立感を持っていて、いちように「周りに働きかけることはできない」と言っていた。実際に支持者の多くが居住する市内各ゾーンの府営住宅を中心にして、いずれも公明、共産の拠点である。この人びとがこうした大政党の重圧をはねのけ、周辺に働きかけ、集票の主体となって立ち上がるためにはどうするのか。住民大衆を主人公とした選挙戦という時に、これが大テーマであった。
これを解決していく鍵は、〈要求>〈権利>〈団結>〈組織>〈行動>という大衆運動の基本原理の粘り強い持ち込みであった。またこれを決定的に押し進めたのが、相談会の開催である。相談会に来て、集団申請という行動に参加し、苦しんでいるのは自分だけではない、生きる権利を守るためには団結して闘わなければならないという新しい価値観が急速に芽生え始めた。そして今の政治は変えることができること、政治を変えるのは自分たちの団結と行動であり、その代表を議会に送り出す闘いであるという確信が打ち立てられてきたのである。
こうして、これまでは「瀬川支持」だということを公然とは言えなかった人びとが、地域において公然と「さかぐち支持」を宣言し、国健会への入会を呼びかけ、さかぐち候補への支持を訴え始めている。そして今や国健会の地域支部が各地でつくられ始め、この地域支部が、集票の基本的な母体になり始めている。
この住民による集票は、4月の統一地方選における杉並や高槻においても闘われてきた。しかし住民による集票を集票の基本組織をなすものとして位置づけ、実際につくり出したという意味で、実に画期的な地平である。
さかぐち支持者は、一食59円のインスタントラーメンでいのちをつなぐような、食うや食わずの生活を強いられ、我慢に我慢を重ねてきた人びとである。また「学」もない、労働運動の経験や労組などの団結の経験もない、最下層の労働者とそのOBである。しかしこの人びとこそ、自らの手で組織をつくり、政治を変革する主人公なのだ。東大阪市議選における住民大衆型選挙はこの事実を鮮やかに示すとともに、革命的議会主義とプロレタリア革命の進路を明々と照らし出している。
候補者の奮闘
住民大衆型選挙にとって今ひとつ重要なことは、候補者の闘いである。革命的議員(候補者)は立派で正しいことを言うだけではない。革命的議員(候補者)には、革命的祖国敗北主義に立った断固たる綱領的立場を堅持し、それを誰よりも鋭く主張し、先頭で貫徹することが絶対的土台をなすことはもちろんである。
しかし革命的議員(候補者)は同時に、現実の労働者階級の苦しみ、悩み、その生活を知り、住民と一緒に悩み、その苦しみを共有し、その解決のための要求を一緒に探り、その実現のための道筋を一緒に歩むことが必要である。こうして住民にとって、本当に自分たちの代表だと思える存在でなければならない。この代表が、住民に権利の自覚を促し、住民の団結の媒介となり、要求実現の大衆行動の先頭に立つのである。
こうして住民の中に、歴史を変革することができる誇り高い労働者階級としての階級的自覚を集団的にうながしていくことができるのである。さかぐち克己候補はこの先頭に立ち、文字どおり身を粉にして奮闘している。
この闘いは、新しい革命的議員像の創造そのものへの挑戦である。だがこうした挑戦は、勝利なくして一切は空語である。
寝屋川の部落大衆と連帯し
第三に訴えたいことは、今回の東大阪市議選は、今秋決戦の突破口をなす闘いだということである。
東大阪市議選は、何よりもイラクへの自衛隊派兵という戦後史を一変させる大反革命に対して労働者階級の審判を下す闘いである。またこの勝利こそ、米英占領軍に対して武器をとって不屈に闘うイラク人民、パレスチナ人民への熱い連帯のメッセージである。
市民の会は8月20日から30日にかけて、東大阪市内9カ所で反戦野外映画会を開催した。この映画会は第一期目の瀬川選挙以来20年間にわたって継続されてきたものである。20年前は小学生だった人が、同じ映画を今度は子どもを連れて見に来るということが各地で起きている。この映画会の中で、イラク派兵に対する怒りの声が続々と上がっている。圧倒的な署名、アンケートが寄せられている。また会社帰りに映画会に立ち寄り、そのまま撤収作業を手伝ってくれる人、司会を引き受けてくれる人が次々と住民の中から生まれている。この映画会は、まさに一個のイラク反戦の共同行動として闘いとられたと言っていい。
今ひとつ、この東大阪市議選の勝利は、国労5・27臨大闘争弾圧と一体のものとして加えられた、全国連寝屋川支部への弾圧に対する断固たる革命的な回答だということを銘記したい。われわれは、寝屋川支部の滝口支部長を始めとする4人の仲間に対する「恐喝」のデッチあげを断じて許さない。裁判闘争においてこれを完膚なきまでに粉砕し、必ず被告を奪還することはもちろんである。しかしこの弾圧は、全国連による糾弾闘争や行政闘争をすべて「犯罪」として取り締まることを狙う、「全国連罪」とも言える戦時型のデッチあげであり、これを真っ正面からたたきつぶしてやらなくてはならないのだ。それは、全国連だからこそ支持し、ともに闘うという大衆的確信を生み出すこと、そしてそのもとに爆発的な大衆の結集をつくりだすことである。
住民大衆の生きる権利を実現し、住民大衆が主体となった選挙戦の一切の基礎的土台こそ、全国連荒本支部の闘いである。「わたしは8年前に仕事保障要求者組合をつくって、その代表になった。そのときに荒本支部のたたかいを知り、荒本のみなさんから団結するということを教えられた。そのときからわたしの人生が変わった」(関西合同労組・東大阪仕事保障要求部会、代表・正谷さんの推薦の言葉)。この言葉にあるように、東大阪市議選の勝利は、全国連(荒本支部)の闘いへの圧倒的な人民的支持を打ち立て、階級的共同闘争の不動の拠点を打ち立てるに違いない。
全国連寝屋川支部の人びと、寝屋川・国守団地の人びとは、弾圧対策と被告の救援のために寸暇を惜しんで活動するかたわら、この選挙の勝利のために何度にもわたって東大阪に駆けつけ、ビラまきなどの応援をしてくれている。われわれはこの寝屋川の部落大衆に心から感謝の言葉を送るとともに、必ずやこの選挙戦の勝利をもぎりとり、権力者どもの卑劣な弾圧の意図を粉みじんに打ち砕くことを誓うものである。
残すところ3週間。終盤局面を迎えている。しかしこれからが勝負である。街頭を制し、地域をくまなくまわり、さかぐち克己の名前をとどろかせなくてはならない。今回の市議選の主人公として立ち上がり始めた住民とともに、介護保険に対する怒り、年金制度改悪と社会保障切り捨てに対する怒りの声、生きるための生活要求の声を、さかぐち克己候補への票に転化するために、今こそ全力をあげて闘おう。
9月14日告示日、出陣式に全国から結集しよう。ありとあらゆる支援を集中しよう。ともに勝利しよう!
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週刊『前進』(2116号6面2)
北富士入会の闘い 忍草母の会の42年
忍草母の会事務局 御茶ノ水書房 1600円+税
侵略戦争の演習場と闘う不屈の農民群像
真っ白の富士山をバックに、「忍草」の旗とのぼりがスックと立っている。のぼりには「山裂けるともこの原の横どり許さず」とある。表紙の写真から、侵略戦争のための演習場をなくすために、長い風雪に耐えてひるまず闘いぬく北富士農民の凛(りん)とした気迫が伝わってくる。
本書は、北富士忍草(しぼくさ)母の会が自らの闘いを全面的に紹介した本である。北富士闘争については、すでに安藤登志子さんの北富士三部作『北富士の女たち』(82年)『草こそいのち』(87年)『北富士入会の火』(91年)(いずれも社会評論社刊)が、母の会の人びとの生活と闘いを、その意義と素晴らしさとともに活写している。
今度の本は、当事者によって語られた母の会の歴史であり、意義深いものがある。侵略戦争のための軍事演習に反対し、入会権を守り、入会地を奪い返すために長い歳月を闘いぬいてきた母の会の強い思いが余すところなく語られていて、元気づけられると同時にえりを正してその精神に学ぶ決意を迫られる。母の会結成までと、60年代、70年代、80年代、90年代、2000年以降が各章になっており、歴史の流れが分かりやすく編成されている。
闘いの歴史
北富士闘争は、戦前から連綿と闘われてきた日本民衆の最長の闘いと言っていいだろう。現在94歳で頑張る天野重知(しげのり)忍草国有入会地守る会会長は日帝の中国侵略戦争の最中の1938年に陸軍が北富士演習場を接収した際、入会地の奪回をめざして軍と闘うために、30歳で忍野(おしの)村長になった経歴をもっている。
戦後は、米占領軍によって北富士演習場が接収された。これに対して、忍草農民が忍草入会組合を47年に結成し、米軍との入会権の交渉に入った。55年には忍草入会組合の決死隊が騎馬で演習場に突入し、米軍演習を実力で阻止した。
60年安保闘争に参加する中で、60年7月に忍草母の会が結成された。それ以来母の会を先頭に42年間にわたって米軍と自衛隊(73年に使用転換)に対する激烈な闘いが展開されてきた。本書の第一部は、その過程を、天野美恵事務局長の話を中心に描きだしている。
着弾地座り込みの闘争、壊されても壊されても新しい小屋を建てた座り込み闘争、木登りのゲリラでの演習阻止、首相官邸までの150`の反戦行脚、国会前の座り込みなどなど、すさまじい闘いの連続である。
「VOM(ヴォイス・オブ・マザーズ=母の声)」と名付けて自衛隊向けの反戦放送をするところなど、不敵な女の底力が示されていて痛快だ。
また、北富士闘争はそのスローガンや標語が、どれも簡潔で意表をつき、独特の味がある。例えば「一粒百万倍」。八十八夜が明けた日にまいた種は百万倍になると言われ、第一の小屋の跡地に種まき集会を行った時に、数十本ののぼりにこの言葉を書いて掲げた。また例えば「辛酸佳境に入る」ののぼりは、いかなる弾圧にも負けない心意気を示した。
70年代以来の組合切り崩し・分裂攻撃に対しても非妥協的に闘いぬいてきた。「お金を受け取ることは、自ら入会権を放棄すること」と自らを律して、買収・闘争圧殺と闘った。
97年からは、沖縄海兵隊の本土移転演習が北富士でも強行されたことに対して、母の会がゲリラとなって立ち向かった。もう若くはない美恵さんたちが着弾地に潜入して演習を実力で阻止する闘いに立つ。厳寒の中でのその闘いは、まさに決死的と形容される鬼気迫るものであった。
天野美恵さんは、沖縄の反基地闘争に心から連帯し、97年5・15の嘉手納基地ゲート前の集会で、いつもの菅笠に絣(かすり)もんぺのいでたちで決意を表明して大きな拍手で迎えられた。
闘いの思想
天野美恵事務局長は、三里塚に行ってジグザグデモのやり方を指南したことや、自衛隊のパレードを道路に寝転がって「ひいてから行け」と阻止したことなど、数々の武勇伝を朗らかに語っている。もうすぐ80歳になるが、その闘魂は衰えることを知らない。
その美恵さんを始め、母の会の人びとは、砂川、沖縄の反戦・反基地闘争、三里塚、関西の空港反対の闘いをわがこととして闘ってきた。そこには闘う者同士のごまかしのない連帯がある。そのことも本書からよく伝わってくる。
今年7月28日、97歳で逝去された渡辺喜美江会長のインタビューでは、忍草に生まれ育った会長さんの波瀾(はらん)万丈の人生が語られている。梨ケ原がどれほど忍草にとって不可欠の入会地であるかを、事実をもって納得させられる。
戦前から闘いを起こし、母の会の人びとから「先生」と呼ばれ頼られている天野重知・忍草入会組合長は、母の会の政治的・理論的指導者であり、軍師である。その不屈の戦闘精神は驚異的なものである。今年の通常国会でも、有事立法に反対して国会前に座り込む組合長の姿があった。
本書には、忍草区会事務所をめぐる裁判での天野組合長の意見陳述が収められている。北富士闘争の歴史的経緯と入会権の意義が語られ、大変参考になる。
血盟の誓い
革共同は、70年安保・沖縄闘争のころから、忍草母の会の闘いと血盟を誓い、自らこの闘いの主体となって闘ってきた。母の会の闘いに学びながら、ともに勝利をめざして奮闘してきた。それは三里塚反対同盟に対する関係と共通のものである。ともに血を流し汗を流してきた。対カクマル戦の厳しい時期や政治的に困難な時期に、母の会の方々は全力でわれわれを励ましてくださった。そうした思いで本書を読むと、まさに感無量である。
これまで北富士闘争を闘ってきた人も、まだ知らない人も、ぜひ本書を広げて、その闘いの息吹に触れてほしい。その不屈の闘いが示している勝利の展望を学びとってほしいと思う。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2116号6面3)
8月20日〜26日
小泉「05年自民改憲案」 住基ネットが8・25本格稼働
●自衛隊派兵、年明け以降 バグダッドの国連現地本部事務所の爆弾ゲリラを受け、政府は、自衛隊派兵に先立って8月中のイラク入りを模索していた現地への調査団派遣を、当面先送りする方針を固めた。自衛隊本体のイラク派兵は派兵決定から2〜3カ月の準備期間が必要なため、少なくとも年明け以降にずれ込むことが確実に。(20日)
●旧日本軍の毒ガス、中国で死者 中国東北部のチチハル市で8月4日、建設現場から掘り出された旧日本軍のイペリット(マスタードガス)により住民ら43人が負傷・入院した事故で、初の死者が出た。(21日)
●日本政府、米に対北朝鮮核カード堅持を要請 北朝鮮の核開発問題に関する北京での6カ国協議で北朝鮮への安全の保障をめぐって、日本政府が米政府に対し、核兵器の不使用を確約しないよう求めていたことが明らかになった。(21日)
●公開審理始まる 沖縄の米軍普天間飛行場や伊江島補助飛行場など9施設の一部土地を対象にした米軍用地特措法に基づく沖縄県収用委員会の公開審理が始まった。(21日)
●空自に精密誘導弾 防衛庁は、米国の全地球測位システム(GPS)を使った空対地の精密誘導弾(JDAM)を航空自衛隊に導入する方針を固めた。04年度予算の概算要求に購入費を盛り込む。(22日)
●ミサイル迎撃、首相判断で 政府は、07年度をめどとする弾道ミサイル防衛システムの導入に合わせて、安全保障会議と閣議を経ずに首相の判断で自衛隊に防衛出動を命じ、ミサイルを迎撃することを可能にするための手続きを定める方向で検討に入った。(24日)
●万景峰号が入港 北朝鮮の貨客船・万景峰(マンギョンボン)号が、新潟市の新潟西港に入港した。日本への入港は1月以来、約7カ月ぶり。国土交通省、東京税関、海上保安庁などが合同立ち入り検査を行い、予定より9時間遅れで26日、北朝鮮・元山(ウォンサン)港に向け出港した。(25日)
●住基ネット本格稼働 住民基本台帳ネットワークが、2次稼働して本格運用が始まった。不参加の一部の自治体を除く全国の市区町村で集積回路(IC)が付いた住基カードの申請受け付けが始まった。(25日)
●ブッシュ再選「不支持49%」 米ニューズウィーク誌は、来年の米大統領選でブッシュ大統領の再選を望まないとする回答が49%に上り、再選支持(44%)を初めて上回ったとの世論調査結果を伝えた。(25日)
●「05年に自民改憲案」 小泉首相は、自民党の結党50年にあたる05年11月に向け、党としての改憲案策定を検討する考えを明らかにした。同党の山崎幹事長に、改憲の前提となる国民投票法案の検討を指示した。(25日)
●国民投票法「来年か再来年」 自民党の山崎幹事長は、改憲のための国民投票法案について「早期成立を期したい。来年の通常国会か、再来年の通常国会かどちらかだろう」と述べた。(26日)
●小泉「自衛隊に戦力ないのか」 小泉首相は、憲法の見直すべき点について、@戦争の放棄を定めた9条、A衆参両院の構成について定めた43条、B公金の支出や利用の制限について規定した89条を列挙した。9条については「自衛隊は軍隊じゃないのか。自衛隊には戦力がないのか。常識的に考えてもおかしい点もある」などと述べた。(26日)
●終結宣言後の米兵死者数が上回る イラクに駐留する米軍が首都バグダッドの北西約25`のハマリヤで攻撃を受け、兵士1人が死亡2人が負傷した。3月20日の開戦以降の米兵の死者総数は277人。5月1日のブッシュ米大統領による戦闘終結宣言後の死者数は139人となり、終結宣言前の138人を上回った。(26日)
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週刊『前進』(2116号7面1)
関東大震災 朝鮮人・中国人虐殺から80年
戒厳令下の国家犯罪 人民反乱を恐怖した権力が排外主義デマで民衆あおる
室田順子
1923年9月1日、関東大震災による猛火が首都・東京をなめつくす中、巨万の避難民を前に恐怖した日帝国家権力は、「朝鮮人が暴動を起こそうとしている」とのデマをねつ造することで戒厳令を敷いた。9月2日、戒厳軍が治安出動し、警察、在郷軍人、さらに自警団に組織された日本人が一体となって在日朝鮮人に襲いかかった。わずか数日の間に東京・神奈川を始め関東一円で少なくとも6000人を超える朝鮮人、700人もの中国人が虐殺された。帝国主義権力が大震災によって直面した階級支配の危機を朝鮮人・中国人大虐殺で乗り切った国家犯罪なのである。にもかかわらず日帝は、今日まで謝罪・賠償はもとより真相究明さえ行っていない。この居直りの上に日帝は、またも朝鮮・中国−アジアに対する差別・排外主義を扇動して労働者階級を北朝鮮侵略戦争に引きずり込もうとしている。関東大震災で何が起こったのか、その事実に向き合うことが排外主義を打ち破る力となる。闘う南北朝鮮人民、在日朝鮮人民と連帯し、北朝鮮侵略戦争へと向かう日帝・小泉政権を今こそ打倒しなければならない。
3・1独立運動弾圧の水野、赤池が指揮
23年9月1日午前11時58分、相模湾沖を震源とするマグニチュード7・9の大地震が発生した。東京・横浜では大火が襲い、被災者約340万人、全半壊家屋約70万戸、災害犠牲者数は死者9万9331人、負傷者10万3733人、行方不明者4万3746人という統計が公表されている。
しかしここには朝鮮人・中国人犠牲者は含まれていない。直接の被災者も、また震災後に軍隊・警察・自警団によって虐殺された朝鮮人・中国人も歴史から抹殺されたままなのだ。そして当然にも日本政府は、この件について公式の謝罪・賠償はおろか、真相究明も行っていない。当時、朝鮮総督の斎藤実は「関東地方に存在する朝鮮人は労働者三千、学生三千、合計六千人中、調査の結果、殺害させられたる者二人に過ぎず」と発表し、朝鮮人民の激しい怒りを買った。しかしその後の日本政府の対応もこの斎藤の認識とさして変わってはいない。
在日朝鮮人の人口は20年に3万人を超えている。23年当時は全国で約8万人、東京には1万2、3千人が居住していた。震災直後、在日朝鮮人調査団が決死の覚悟で行った調査で把握できた朝鮮人犠牲者は6420人。神奈川では約3千人いた朝鮮人のうち2千人余りが殺された。
米騒動の再来か
地震発生後、治安責任は内務大臣・水野錬太郎と警視総監・赤池濃(あつし)に任された。両人は朝鮮総督府の政務総監、警保局長として19年3・1独立運動を弾圧した張本人だった。地震発生後、摂政ヒロヒトのもとに駆けつけ、皇居前広場に詰めかけた50万人もの被災者を目の当たりにした赤池は、「刻下の急務中の急務は一に食糧の供給に在り……若(も)し之を誤れば暴動を惹起(じゃっき)すべし」と米騒動の再発を恐れるとともに「直ちに不逞(ふてい)鮮人(注)を連想し、更に拳銃爆弾を行ふことを想像」した(赤池濃「大震災当時における所感」)。
余震が続き火が迫り、警視庁も炎上し、1日夕には深川の米穀倉庫も焼失。9月2日、「朝鮮人攻め来るの報を盛んに多摩川辺で噂して騒いでいるという報告」を受けて戒厳令布告を決意したという水野は、正規の手続き抜きで戒厳令の勅令発布を引き出した。
日帝の植民地支配に抗して不屈に闘う朝鮮人民の闘いに心底恐怖していた水野、赤池は、日本国内しかも首都・東京において朝鮮人民を犠牲にすることになんのためらいもなかった。真っ先に戒厳令が敷かれたのは東京市と荏原、豊多摩、北豊島、南足立、南葛飾の5郡であり、朝鮮人が多く居住する地域が選択されている。戒厳令は、3日には東京府全域、神奈川県に拡大、4日には千葉県、埼玉県へと広げられた。
9月1日ないしは2日に後藤文夫内務省警保局長名で各地に打電された電報には、「鮮人は各地に放火し、不逞の目的を遂行せんと既に東京市内に於(おい)ては爆弾を所持し、石油を放火せる者あり」「各地において十分周密なる視察を加え、鮮人の行動に対しては厳密なる取締りを加えられたし」とある。こうして大震災下の戒厳令が敷かれ、計画的に朝鮮人虐殺が扇動され、実行された。
これを新聞各紙が「破壊を企てる不逞鮮人」などの見出しで報じ、民衆をパニックに陥れた。まさに国益をかけて実行された国家犯罪だったのである。
戒厳軍指揮下で
9月2日午後2時ころ、避難民でごった返していた亀戸駅に完全武装の習志野騎兵連隊が到着。超満員の列車から朝鮮人と思われる人びとを引きずり降ろし、軍刀と銃剣で殺害した。東京府南葛飾郡、現在の江東区は、朝鮮人・中国人の集住地域であり、さらに当時台頭していた労働組合の拠点地域だった。軍・官・民による朝鮮人虐殺は、この江東区で最も激しく、意図的に繰り広げられた。
さらに9月3日、大島8丁目の中国人宿舎から近くの空き地に連れ出された中国人約200人が、兵士、警官、群衆に包囲され、まき割り、トビ口、竹ヤリ、日本刀、鉄棒などで皆殺しにされるという大島町事件が起こった。
江東区大島には中国人労働者の宿舎が60数カ所あった。22年9月、大島3丁目に僑日共済会が設立され、中国人労働者のための無料医療が行われ、中国人留学生による日本語教室が開かれていた。未払い賃金要求などの対外交渉も行った。中国人留学生で僑日共済会会長だった王希天(ワンシティエン)も震災後の9月9日に亀戸署に拘束され、12日に軍によって殺されてしまった。
中国人の被害は判明しているだけで江東区、川崎・横浜を中心に死者474人、行方不明11人、負傷者81人となっている。
亀戸署では、南葛労働会の川合義虎ら8人と純労働者組合の平沢計七ら、合計10人が検束、軍に刺殺された(亀戸事件)。さらに9月16日には大杉栄、伊藤野枝らが甘粕正彦憲兵大尉に殺され、朴烈(パクヨル)、金子文子に対する大逆罪デッチあげ事件へと連なる。
関東全域で殺害
朝鮮人虐殺は東京・神奈川だけでなく、埼玉、千葉、栃木、茨城、群馬、長野でまで行われた。荒川の堤防では避難民から朝鮮人を探し出して次々と殺し、川に逃げ込んだ朝鮮人を伝馬船で捜索、死体の山となった。自警団とそれに同調した地域住民らが手にした武器は、クワ、カマ、竹ヤリ、トビ口、出刃包丁など、その種々雑多な凶器が殺しを残酷なものにした。
「子供達は並べられ、親の見ている前で首をはねられ、その後、親達をはりつけにしていた。生きている朝鮮人の腕をのこぎりでひいている奴もいた。それも途中までやっちゃあ、今度は他の朝鮮人をやるという状態で、その残酷さは見るに耐えられなかった」(朴慶植著『朝鮮人強制連行の記録』/元本庄警察署新井巡査の証言)
この本庄事件は、9月4日、警察官が朝鮮人を大宮から高崎へ連行中、埼玉県本庄で朝鮮人全員が自警団によって殺されるという衝撃的な事件だった。
埼玉県は2日に「暴行をなしたる不逞鮮人多数が本県に入り来るや」と各町村に伝達し、自警団の結成を要請した。この行政命令が朝鮮人虐殺に民衆を駆り立てた。9月18日に逮捕された関係者は、「論功行賞をもらえる」と検事に会ったという。起訴罪名は殺人罪ではなく騒擾(そうじょう)罪、しかも裁判ではほとんどが執行猶予となった。
日弁連が勧告書
在日朝鮮人による人権救済申し立てに基づき関東大震災における朝鮮人虐殺について調査を進めてきた日弁連は、国が「暴動が起きた」などの虚偽事実を流したことが朝鮮人虐殺を誘発したとする調査結果をまとめ、日本政府がその責任を認めて謝罪するよう求める勧告書を今年8月25日、小泉首相に提出した。勧告書は「根源にあった民族差別はいまだ日本社会に根強く存在している」と警告している。
7000人もの大虐殺はわずか数日間の出来事だった。震災の混乱による日本人民の不安や怒りの矛先を朝鮮人に振り向け、階級支配の危機を乗り切ると、早々に事態の終息を図った。官憲が上から組織した自警団による虐殺は、4日までは黙認されていたが、その後は軍隊、警察による取り締まりへと転換した。凶器の携帯が禁止され、直接手を下した自警団の逮捕にも及ぶ。
こうして朝鮮人・中国人虐殺は「一般人民の誤解に因(より)て発生したることなり」(山本権兵衛首相)と、その責任を民間に押しつけて事態を収拾したのである。
17年ロシア革命と労働運動の台頭
1917年ロシア革命の勝利の報は世界を駆けめぐり、19年には朝鮮で3・1独立運動が、中国では5・4運動が爆発する。各国で労働者階級の闘いが爆発し、侵略と植民地支配に抗する民族独立の闘いが燃え広がっていく。
日本でも18年夏には米価高騰に怒る米騒動が起こり、出費10億円をかけたシベリア出兵のあおりも受けて不況が続く中、労働者・農民、部落民などの闘いが成長していく。20年には初のメーデーが闘われ、22年には水平社創立、日本共産党結成とともに東京朝鮮労働同盟会(25年に在日本朝鮮労働総同盟)が結成されている。
新たな闘いの高揚に、日本初の政党内閣として発足した原敬内閣は、3悪法(過激社会運動取締法案、労働組合法案、小作争議調整法案)での弾圧を構えた。3悪法反対闘争が統一戦線として広がった。23年5月のメーデーにともに参加した朝鮮人も3悪法反対運動に積極的に取り組んだ。東京のメーデーでは「植民地解放」が決議され、大阪には「日鮮労働者団結せよ」のスローガンがあった。
水野ら日帝支配階級が恐れたものこそ、日朝労働者の合流であり、その力が日本帝国主義打倒へと成長を遂げることだった。この歴史的な教訓をしっかりとつかまなければならない。
また、亀戸事件で殺された社会主義者や大杉栄なども、9・1直後から夜警に駆り出されていた。この事実を重く受けとめなければならない。日帝の激しい攻撃を前に、まさに前衛としての真価が問われたその時に、日本の労働者階級の党は国際主義を貫くことができず、階級的な反撃を組織できなかった。そのために国家権力によって殺害されてしまったのである。この歴史を絶対にくり返してはならない。
労働者国際主義で北朝鮮侵略阻止へ
9・1から80年を経過した今日、歴史は労働者人民に“日帝の侵略戦争を許すのか、それともこれを阻止するのか”を突きつけている。外に向かっての侵略戦争は、内に向かっての階級戦争、資本攻勢の激化と一体のものだ。今こそ関東大震災の歴史的な教訓を生かし、排外主義を打ち破る階級的立場を確立しようではないか。被抑圧民族との革命的な合流、結合をかちとり、侵略戦争によってしか生きられない帝国主義を共同の敵として打ち破ろう。
9月1日の「東京都・日野市総合防災訓練」は、有事法制下での初の自衛隊治安出動訓練であり、自治体や指定公共機関の労働者人民を自衛隊の指揮・命令のもとに動員して行う戦時動員訓練そのものだ。
2000年4月、東京都知事・石原慎太郎は練馬駐屯地で「三国人が凶悪な犯罪をくり返している。大きな災害時には騒擾事件すら想定される」と自衛官を前に訓示、その年の9月1日には陸海空3軍が銀座に出動して治安出動演習を行った。この「ビッグレスキュー東京2000」以来、有事下の防災訓練=自衛隊の治安出動とそのもとでの自治体、労働者人民、さらには地域住民を動員しての国家総動員演習が繰り広げられてきた。
自民党の江藤隆美は7月12日、「朝鮮半島に事が起こって船で何千何万人と押し寄せる。国内には不法滞在者など、泥棒や人殺しやらしているやつらが百万人いる。内部で騒乱を起こす」などと暴言、続いて17日には石原が「日本の治安悪化の最大の理由は不法滞在、不法入国の外国人」だとぶちあげた。許すことのできない他民族抑圧・抹殺のイデオロギーだ。
これらの暴言は単なる言葉ではなく、法務省の外国人差別キャンペーン、激しい摘発、退去強制攻撃に直結している。今年4月には新宿・歌舞伎町に東京入管「新宿出張所」が設置され、「不法就労外国人の集中摘発」が行われている。
さらに法務省は8月28日、治安対策の一環として来年度から都内すべての繁華街で集中摘発を実施するとし、そのために東京入管局に50人を超える摘発部隊を新設すると発表した。有事法制と対応した戦時入管体制の発動そのものだ。
石原慎太郎こそ、北朝鮮・中国に対する排外主義攻撃を最先頭で進めているファシストだ。拉致事件に対して、「北朝鮮に国家として報復せよ」「自分が首相なら戦争で拉致被害者を取り返す」と北朝鮮侵略戦争をあおる一方で、これまで「外交機関に準ずる機関」として非課税としてきた朝鮮総連本部などに強圧的に課税を行うなど、経済制裁さながらの物質力で総連を解体しようとしている。
北朝鮮の万景峰(マンギョンボン)号の新潟港入港をとらえて「建国義勇軍朝鮮征伐隊」などを名乗る右翼による朝鮮総連への銃撃や爆発物による脅迫が相次いでいる。この組織的計画的な排外主義テロルは、6者協議などをも駆使して北朝鮮を締め上げるかけひきの中で北朝鮮侵略戦争へのポジションを確保しようとする日帝の意をくむように凶行された。この卑劣な襲撃を徹底的に弾劾しなければならない。
昨年9・17日朝首脳会談以降、在日朝鮮人生徒への襲撃が日常化している。北朝鮮侵略戦争が現実のものとなったら、再び関東大震災における朝鮮人大虐殺がくり返されるのではないかという危機感が広がっている。その中から有事法制反対やイラク侵略派兵阻止に多くの在日朝鮮人が立ち上がっている。
愛国主義、国益論を打ち破り、排外主義テロルを打ち破るには、断固とした行動を示さなければならない。沈黙は承認であり、加担への道となる。
8月25日、6月に続き新潟県労組交流センターと反戦共同行動委員会は、「万景峰号への立ち入り検査をやめろ!」「右翼の朝鮮総連銃撃を弾劾する」「北朝鮮侵略戦争をとめよう」と訴えて唯一、大衆的な反撃のデモに立ち上がった。この断固たる闘いに続き、自国帝国主義の敗北を促進する革命的祖国敗北主義の立場に立ちきって闘おう。
今こそ、闘う南北朝鮮人民、在日朝鮮人、在日中国人と連帯し、その力で自衛隊のイラク大規模派兵と北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。そして、ともに共通の敵である日本帝国主義に立ち向かい、打倒する闘いを実現しよう。
【注】「不逞鮮人」という差別語
不逞は「不平を抱き従順でないこと」。1910年韓国併合後、朝鮮を差別して「鮮」と略した。「頭がない民族だから、上の“朝”は取ってしまったというのである。日本人は自分たちの手で朝鮮人の頭をふみにじり、挙げ句のはてに頭をとってしまった」(車潤順『不死鳥のうた』)
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週刊『前進』(2116号7面2)
最高裁は事実調べを 狭山要請行動 差別的対応を糾弾
8月22日、部落解放同盟全国連と東日本解放共闘の30人は、狭山第2次再審請求特別抗告審闘争の一環として最高裁・最高検への要請行動に決起した。
決起集会で解同全国連の小森勝重狭山闘争本部事務局長が基調報告した。「9月末に狭山弁護団が補充書を提出する予定。特別抗告棄却は、その前にもあり得る。解同本部派は『最高裁調査官は話の分かる人だからよい決定が期待できる』とうわさを流しているが、最高裁に幻想を持ってはならない。棄却情勢を見据えて闘おう」と警鐘を乱打し、「証拠開示要求をルール作りに解消する本部派の公正裁判要求路線ではなく、差別裁判糾弾闘争として闘おう」と訴えた。
茨城県連の井橋昌夫事務局長は「布川事件第2次再審請求では、弁護団と裁判所、検察の3者協議が行われ、7月15日に水戸地裁が証拠調べ開始を決めた。狭山差別裁判ではこのような協議さえ行われていない。最高裁が特別抗告棄却の意図を持っている証拠だ」と指摘した。
報告の後、茨城県連、長野県連、東京・江戸川支部、埼玉の部落青年、山川博康東日本解放共闘事務局長が決意を表明した。
集会後の最高検要請行動では、茨城県連の原口孝一副委員長らが次々発言。最高検が隠し持つ証拠のリストと全証拠の開示を要求、差別的集中見込み捜査や一審差別論告を糾弾した。事務官は「検事に伝えます」の一点張りだ。原口副委員長は「最高検は非常識だ。部落差別だ」と弾劾した。
最高裁では、要請団は事実調べと最高検への証拠開示命令を要求した。東京・杉並支部は狭山署名を提出した。小森事務局長は「部落民は、狭山差別裁判を始め部落差別、権力犯罪を繰り返す張本人である裁判所、検察、警察に激しい怒りと不信感を抱いている」と諄々(じゅんじゅん)と説き、要請行動への最高裁の敵対的態度を糾弾した。最高裁に痛打を加えた要請行動となった。
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週刊『前進』(2116号7面3)
第5部 アジア・太平洋侵略戦争(2)
フィリピン侵略戦争 「米の抑圧から解放」のうそ
41年12月8日、日帝は東南アジア・太平洋諸島への侵略戦争に突入し、その一環としてフィリピン侵略戦争を開始した。ミンダナオ島ダバオやマニラへの爆撃を皮切りに、日本軍はルソン島やミンダナオ島に続々と上陸した。翌年1月2日、日本軍はマニラを軍事占領。翌日には戒厳令を布告して軍政を開始した。
日帝のマニラ占領に対し、マッカーサーを最高司令官とする米比軍はマニラを放棄し、バターン半島に撤退した。コレヒドールに司令部を置いたマッカーサーはいち早くフィリピンから脱出した。日本軍の追撃戦によって42年4月にバターン、5月にはコレヒドールが陥落し、米軍は降伏した。
バターン陥落によって米兵、フィリピン兵ら約8万人が捕虜となった。日本軍は、栄養失調とマラリアに苦しむ捕虜たちにバターンからの「死の行進」を強制した。食事や医療が保障されず、日本軍に虐待される中で、2万人近くの捕虜たちが死んでいった。
略奪、強姦、虐殺
フィリピンを植民地支配していた米帝は、独立運動を闘う多くのフィリピン人民を弾圧・虐殺した。だが、米帝にとって代わった日帝もまた残虐な軍事支配を行った。
日本軍への反抗やスパイ行為、日本軍が強奪した住宅や車両などの破壊、道路や通信施設の破壊、飲料水の汚染など17の禁止事項を通告し、ゲリラを口実に手当たり次第にフィリピン人民を逮捕し、拷問を加えて虐殺した。とりわけ憲兵隊が占拠したマニラのサンチャゴ要塞では水責め、火責めなどありとあらゆる拷問が連日行われた。
日本軍兵士は物資の略奪、女性の強姦、ゲリラ狩りと称する村の焼き討ちなどをマニラや各地でくり返した。
日本軍は学校や住宅などを問答無用に接収し、兵舎や将校の宿舎とした。新聞、雑誌を廃止・統合し、通信を統制して御用機関へと作りかえた。その中で日帝は、「アメリカの抑圧からのフィリピンの解放」、「大東亜共栄圏の繁栄」という宣伝を展開した。マニラ占領後、東条英機は「フィリピンが大東亜共栄圏の一員になるならば独立を与えるだろう」と演説した。
42年2月、日本軍は「教育に関する六項目」を発布し、フィリピンを「大東亜共栄圏」の一員に組み込むために、「米英への依存の一掃」と「日本語の普及」をうたった。同年8月、隣組を設立し、抗日ゲリラ防止のために相互監視とスパイ育成を図った。同年末にはすべての政治組織を解散、フィリピン版大政翼賛会である「新生フィリピン奉仕団」(カリバピ)を創立し、人民を強制的に組織した。そして43年10月、日帝は、かいらい政権としてラウレルを大統領とするフィリピン共和国を誕生させたのである。
抗日ゲリラ拡大
日帝の植民地支配に対し、フィリピン人民はたくさんの抗日ゲリラ組織を結成して闘った。中でも次の2組織が中心であった。一つはマッカーサー司令部の指揮を受ける「ユサッフェゲリラ」である。日本軍に降伏せずゲリラ活動を続けた部隊に対日協力を拒否した知識人などが連携し、大規模な組織として形成されたものである。
もう一つは、30年代末に合同した共産党と社会党の影響下にあった農民、労働者によって結成された「フクバラハップ」(抗日人民軍)である。米帝の植民地支配に対する闘いを引き継ぎ、中部ルソンの穀倉地帯を拠点に、日本軍追放と地主打倒を掲げて闘った。
米帝の植民地支配下、フィリピンは砂糖、ココナッツ、麻などの生産と対米輸出が顕著となり、対米従属が進む中で人民の生活は窮乏を強いられた。日帝はそれを綿産業中心へと転換を図った。だがそれは、フィリピン経済を壊滅的に破壊し、とりわけ食糧不足を深刻化させた。さらに、日本軍が軍票を乱発して物資の調達を図ったため、激しいインフレを呼び起こした。この中でフィリピン人民は占領期後半には多数の餓死者を出すなど、すさまじい貧窮と苦難を強いられた。
しかし、フィリピン人民は抗日ゲリラ戦争へと決起していった。フクバラハップは日本軍への食糧提供を拒否し、日本軍が組織した隣組と対抗して多くの農民を組織した。日本軍の度重なる掃討戦にも耐え、逆に44年末には正規軍、予備軍併せて2万人以上の部隊と約50万人の大衆的陣形をつくり上げたのである。
44年10月、米軍はレイテ島に再上陸し、以降、各地で日本軍を破り、追いつめていく。これに対し敗走する日本軍は「ゲリラ討伐」と称しフィリピン人民への虐殺作戦を激化させた。
敗走の中で虐殺
45年2月3日、マニラに入城した米軍は、日本軍を撃破し、マニラを陥落させた。その中で日本軍はセントポール女子大学に避難していた住民をだまして教会に誘い、ダイナマイトで爆死させたのを始め一般市民を大虐殺した。
また2月12日にはマニラ南方のラグナ州カランバという町で、日本軍は大虐殺を行った。町の中心にある教会に男性を中心に住民を集め、そこからトラックで郊外に連行し、拷問を加えた上で2千人を殺した。同日、このカランバ以外にも周辺の3集落で計7千人以上が虐殺された。
さらに2月中旬から3月上旬にかけてバタンガス州のリパおよび周辺の集落で1万人以上の大虐殺が行われた。日本軍は、通行証を交付するとだまして16歳以上60歳以下の男性を全員神学校に集め、そこから10人ほどのグループにわけて連れ出し、銃剣で突いて谷川に落とすという手口で虐殺した。
これら以外にも歩兵第17連隊を中心に日本軍は各地で虐殺作戦を展開した。それは「対米戦に先立ち、ゲリラを粛正せよ」との命令によって行われた、きわめて組織的計画的な虐殺のための虐殺である。
さらに、日帝は軍隊慰安婦政策によって多くのフィリピン女性を連行し、耐えがたい犠牲と屈辱を与えた。
こうした日帝のフィリピン侵略戦争とその戦争犯罪に対して、フィリピン人民は今なお深い怒りを燃やし続けている。しかし日帝は謝罪と賠償を拒否し、居直っている。それどころか今や有事法制を制定し、新たなアジア侵略戦争に打って出ようとしているのだ。
(五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2116号8面1)
9月臨時国会闘争で「共謀罪」新設絶対阻止へ
合意だけで「処罰」の対象 標的は革命党と労働組合
共謀罪の新設をめぐる攻防は切迫している。日帝・小泉政権は、先の延長国会会期末ぎりぎりの7月23日、衆院法務委員会に法案を係属した。しかし、具体的な内容審議はまったく行うことができなかった。
そこで日帝・小泉は、9月臨時国会における衆参両院での採決強行・法案成立を必死でもくろんでいる。しかし、小泉はイラク侵略戦争の泥沼化を始めとした内外情勢に追いつめられている。自民党総裁選−総選挙という政治過程も予断を許さない。国会審議日程にも余裕はない。闘えば粉砕できる情勢なのだ。
街頭と職場・学園での闘いと国会をとりまく大衆的な反対闘争を一体的に推進することができれば、労働者人民は共謀罪新設阻止の決定的な勝利の展望をつかむことができる。
その闘争形態の重要な環は、共謀罪反対の国際共同声明運動である。すでに賛同は441個人・283団体(7月15日現在)から寄せられている。その中には、動労千葉を始めとして資本攻勢と闘い抜いている多くの労働組合や未組織労働者からの賛同が含まれている。
共謀罪は労働者階級人民(労働運動)を弾圧する治安法であることが、ますます鮮明になっている。このことをもっともっと多くの労働者に訴えよう。共謀罪の新設阻止闘争は、21世紀の日本の階級闘争の攻防の帰趨(きすう)を決める闘いだ。
すべての労働者人民に「闘えば共謀罪新設を阻止できる」と勝利の展望を訴え、9月臨時国会における衆院での審議未了=廃案に向けた闘いに立ち上がろう。
9月23日(火)午後1時からシニアワーク東京で開催される、「9・23共謀罪反対集会」(主催は「共謀罪に反対する国際共同声明運動呼びかけ人」の12氏)に大結集しよう。
日帝支配の危機を露呈する新設攻撃
今日の激化する治安弾圧攻撃の背景には、ソ連崩壊から湾岸戦争を経て01年9・11反米ゲリラ闘争以降ますます加速していく、「刑罰と戦争の接近」という帝国主義の危機に対応した治安政策が存在する。すさまじい人権剥奪(はくだつ)型の治安政策である。今、アメリカの労働者人民により弾劾の的となっているパトリオット法(愛国者法)は、その典型である。
共謀罪との関係で言えば、「ひとは、悪いことを思い立ち、他人と合意すれば、その犯罪は必ず実行されるものとして、処罰する必要がある。仮に処罰される中に、実際には実行されない・実行されなかったかもしれない犯罪があったとしても、社会の安全のためには、いったん悪いことを考えた者を処罰する必要がある」という人間観に基づいた治安政策として現れている。
つまり、国家権力は、階級闘争が激化する時代にはブルジョア民主主義的な衣すら脱ぎ捨て、帝国主義の暴力支配丸出しで、労働者階級への全面的な弾圧に乗り出すべきだという考え方に立っているのだ。その全世界的な動きに対して、アメリカの労働者、香港の労働者などの反撃が開始されている。
この点から考えると、日帝・小泉政権による共謀罪新設の攻撃は、自衛隊のイラク派兵(軍事占領への参戦)から北朝鮮・中国侵略戦争に向けた国内の城内平和確立をかけた、歴史を画する排外主義と治安弾圧攻撃の開始を宣言するものであると言える。
今や「支配階級にとって、不変のかたちでは、その支配を維持することが不可能になる」という革命的情勢がわれわれの眼前に到来している。この情勢に対応して、弁護士、学者、文化人などの人びとが、「共謀罪新設阻止!」を掲げて労働者階級に合流し、ともに反戦闘争に立ち上がっているのだ。
盗聴やおとり捜査スパイ潜入合法に
共謀罪は、@犯罪の実行行為を必要としない、A2人以上の集まりを団体の活動と見なす、B警察が最高刑4年以上の犯罪について相談して意志一致をしたと見なせば、その合意したこと(相談したこと)自体を処罰の対象とする、C実行に着手する前に自首した者は、その刑を減刑し又は免除する、という特徴的な内容を持っている。
共謀罪は、思想・表現・団結の自由を侵害する、究極の治安弾圧法である。
究極という意味は、第一に、共謀罪の対象となる557の罪(最高刑が4年以上の犯罪すべて)の中に、破防法を始めとして、組織的犯罪対策3法、テロ資金提供等処罰法などの治安弾圧法をすべて含んでいることだ。つまり、共謀罪は国家権力にとってオールマイティーな治安弾圧法なのだ。
第二に、共謀罪の捜査・適用をすべて警察権力自身が行えることだ。例えば、破防法の適用は、形式的ではあるが「公安審査委員会」という独立の機関が審査・決定する手続きになっている。ところが、破防法に規定された罰則のうち最高刑が4年以上の犯罪について、共謀罪の適用対象として捜査・適用する場合には、公安審査委員会の関与は不必要となるのだ。
また、これに呼応するかのように、「組織犯罪に負けぬ」というふれこみで東京地検公安部(在籍検事12人)を組織犯罪を専門に扱う部署に一新し、9月8日付で検事を倍増することが発表された。
第三に、すべての労働者人民とあらゆる団体・場所を対象に、予防捜査(行政警察化)の体系となることだ。とりわけ「盗聴法のひとり歩き」を促進する。警察が「共謀」の事実を立証するためには、会話や会議の内容をあらかじめ「証拠」として採取しておかなければならない。
そのために、「室内盗聴」や「盗撮」、街頭カメラやあらゆる通信(携帯電話、メール、インターネットなど)の全面的盗聴が不可欠になる。現在は、電話の盗聴だけが合法化されているが、適用対象の拡大はすぐそこに迫っているのだ。
第四に、国際的組織犯罪条約の中では努力規定となっている、「刑事免責・司法取引」や「おとり捜査、泳がせ捜査」合法化への推進力となることだ。共謀罪の捜査・適用にあたっては、このような手法が不可欠になる。
刑事免責とは、捜査への協力と引き換えに刑事責任を問うことを免除する制度である。司法取引とは、自分の罪を認めることや他人の犯罪に関する捜査・訴追に協力することで、自分の訴追において有利な扱いをしてもらう制度である。おとり捜査、泳がせ捜査とは、警察が犯罪者になりすまし、あるいは犯罪者を泳がせ、犯罪組織を一網打尽にするという特別な捜査手法である。
このような制度が導入されたら、@警察が罪を見逃すか軽くすることを条件に自白を強制すること、A警察が無実の者を陥れる(デッチあげる)ために関係者に偽証させて冤罪を作り出すこと、Bスパイや警察官をあらゆる組織に潜入させること、などが合法化され日常化することになる。
共謀罪はとんでもない治安弾圧法案だ。労働者人民の総力で絶対に廃案に追い込まなければならない。
究極の治安弾圧法攻撃を打ち破ろう
究極の治安弾圧法として適用される共謀罪の実際の最大のターゲットは、革命党である。そして闘う労働組合である。特にこの間、国労5・27臨大闘争弾圧を始めとして解同全国連や全金本山や港合同にかけられてきた不当弾圧などは、日帝・小泉政権の共謀罪の新設をみすえた新たな治安弾圧攻撃の開始である。
特に労働組合(労働運動)に適用される「共謀罪」の例としては、組織的犯罪処罰法の「組織的な逮捕及び監禁」(最高刑7年)、「組織的な強要」(同5年)、「組織的な威力業務妨害」(同5年)、「組織的な建造物等損壊」(同7年)、「犯罪収益等隠匿」(同5年)、テロ資金提供等処罰法の「資金の提供」(同10年)、「資金収集」(同10年)などの「共謀」が考えられる。
例えば、「賃上げについて社長の確約が得られるまで、徹夜団交も辞さず手厳しくやるぞ」と決めたことが「組織的な逮捕・監禁」の「共謀」、「春闘ストライキの一環として会社の門前でピケを張ろう」と決めたことが「組織的な威力業務妨害」の「共謀」とみなされる。また、「(労働者の国際連帯活動として)イスラエルの爆撃で破壊されたパレスチナの病院の復興資金を支援しよう」と呼びかけたことが「(テロ資金のための)資金収集」の「共謀」とみなされる。
これらは、ほんの氷山の一角にすぎない。あえて言えば、「557の罪」の「共謀罪」がさまざまな適用形態で襲いかかってくるのだ。
9月臨時国会での共謀罪新設を阻止する展望が、革命党を始めとする労働者人民の死活をかけた決起にかかっている。今こそ労働組合を先頭に9・23共謀罪反対集会に大結集し、その力で共謀罪の新設を阻止しよう。
(山本 茂)
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週刊『前進』(2116号8面2)
沖縄 反戦地主が国を追及 改悪特措法下の公開審理闘争 空洞化に反撃
8月21日、沖縄市民会館で米軍普天間飛行場や伊江島補助飛行場など9施設の一部土地を対象にした、沖縄県収用委員会の第2回公開審理が開催された。今回は普天間飛行場と那覇軍港の強制使用が審議されている。米軍用地特措法の改悪による公開審理闘争の空洞化を許してなるものか、と反戦地主を先頭に、多くの支援者が駆けつけた。
事前集会では、一坪反戦地主会を代表して平良修さんが、「今は憲法改正が当たり前のように論議されている。沖縄でも昔は自衛隊=日本軍が今のように大きな顔をしていることは考えられなかったこと。じわじわと戦争に反対する側が押されて、委縮している現状を変えるべき時。反戦・平和を担う私たちに惰性があってはだめ。まなじりを決して立ち上がろう」と危機感をもってあいさつした。
審理では地主側の求釈明が行われた。防衛施設局は「日米安保体制はアジア・太平洋地域の平和と安定にとって必要不可欠であり、駐留軍用地を確保するのは条約上の義務である。在日米軍はわが国、すなわち日本と極東地域の安全のために駐留している」と主張している。これに対し、地主側の弁護士は、「実際にはイラクで好き放題、戦争を展開しているのはどういうことか。私たちの土地を特措法で奪っておいて、後は米軍がどう使おうと知ったことではないとでも言うのか?」と鋭く追及した。日米安保同盟が、「日本の安全への寄与」という枠をはるかに越えて、在沖米軍基地がイラク侵略戦争や北朝鮮侵略戦争に全面フル稼働していることを徹底的に追及したのだ。
起業者である防衛施設局はこの矛盾にまったく答えることができず、地主側の再三にわたる「極東の範囲をどう定義しているのか」という質問にも「フィリピン以北まで」としながら「日米両国の共通の関心が高い地域も例外ではなく……」という文言をこそくにもしのばせようとし、地主側からはねつけられた。
地主側は「自分の土地が無理やり奪われようとしているのに、その土地の使用目的も分からないということがあるか!」「自分の土地を勝手にイラクの人びとを殺すために使うとはなにごとか!」と弾劾の声が飛ぶ。「使用目的も不明確な強制使用への裁決申請は却下されるべき」と会場からの弾劾の声で審議が一時中断する事態になった。
次に、「一坪反戦地主には最初から賃貸借の要請にも来ないのはどういうことか? 賃貸借の努力が起業者にまったくない。差別ではないか?」という質問については「反戦地主は戦争に反対する目的で結成された団体であり、契約の説得は不可能である」と開き直り、「国に異議を唱える者とは話し合っても時間のムダ、強権あるのみ」という態度を露骨に示した。
また普天間基地に関して反戦地主である有銘政夫さんは「SACO合意では『5〜7年で完成する』と明記されている以上、期限が切れた今、SACOの信憑(しんぴょう)性はあるのか」と問い、「政府は普天間代替移設を名護に押しつける時、『普天間は危険』だと、初めて認めておきながら、最近は名護移設が遅延していることを考慮してか、国は『普天間の危険』についてぴたりと言わなくなった。危険と認識された普天間がかくも長期にわたって放置され続けているのはどういうことなのか」と鋭く追及した。
次回審理は、来年3月18日の予定だ。自衛隊のイラク派兵阻止の闘いと一体の闘いとして沖縄闘争を強化しよう。
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週刊『前進』(2116号8面3)
読者からの手紙 排外主義攻撃と闘う勇気を 東京 T・K
拉致問題や核開発問題をめぐって朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への排外主義的で差別主義的な敵視政策が吹き荒れています。
新潟県は一時帰国した5人のうち3人の拉致被害者が集中しているため、北朝鮮憎しの排外主義攻撃がとりわけ激しく、万景峰(マンギョンボン)号の入港規制(6月9日)が行われました。7月29日には朝鮮総連新潟県本部に銃弾が撃ち込まれ、ハナ信用組合新潟支店には「発火物」が仕掛けられるという事件が発生しています。
また、最近では拉致被害者の意思とは別に家族会の特定の人びとや「救う会」、拉致議連などが一体となって、北朝鮮に戦争を仕掛けるための一種のファシスト的政治団体のようなものになっている観があります。
マスコミはアメリカ・ブッシュ政権と小泉政権(支配階級)の意図に沿った宣伝を、これでもかこれでもかとたれ流し、民衆の間に北朝鮮憎悪の敵愾(てきがい)心をつのらせ、こうして「北朝鮮をやっつけろ」という「世論」を意識的につくり出しているのではないでしょうか。
私は家族と一緒に3日ほどお盆休みでふるさとの新潟へ帰省しました。新潟市の海水浴場に行ったところ17軒ほど並ぶ海の家では、なんと「拉致はテロだ!」「横田めぐみさんたちを救出しよう!」という呼びかけの旗(写真)やポスター、署名用紙や募金箱などが並べられていました。
また護国神社の入り口には新潟県警の「情報提供のお願い」の看板も立てかけられていました。
これらを見聞するにつけ「なるほど、こうして戦争は周到に準備されていくものなんだな」と思わざるをえないし、同時に、かつての関東大震災時に行われた朝鮮人・中国人の大虐殺が再び引き起こされるのではないか、と背筋の凍る思いでした。
こうした中、ますます激化する排外主義攻撃に真っ向から対決して、新潟市で6月9日に「万景峰号の入港規制に反対し北朝鮮への経済制裁に反対する」デモと街頭宣伝が敢行されたことを『前進』で知り、その勇気に大変感動しました。
私たち日本に住むプロレタリアート人民は、在日朝鮮人民・南北朝鮮人民と連帯して朝鮮侵略戦争を阻止し、有事立法に反対する大闘争をいよいよ作り出していかなければならないと意を強くしました。
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週刊『前進』(2116号8面4)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
9月16日(火)午前10時
☆水嶋同志裁判
9月11日(木)午後1時30分
※いずれも東京地裁
爆取裁判最終弁論公判闘争
9月1日(月)、2日(火)、3日(水)
☆法廷 午前10時〜午後5時
☆集合 午前9時30分 東京地裁玄関脇傍聴券配布所
☆連日昼休みは地裁前街宣を行います。
☆9月3日の公判終了後、報告集会(弁護士会館)を行います。
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