ZENSHIN 2003/08/04(No2112
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週刊『前進』(2112号1面1)
革共同集会に結集し8月大闘争へ
危機深める米英日帝打倒へ労働者の国際連帯の前進を 自衛隊イラク出兵絶対阻止せよ
延長国会閉会間際の日帝・小泉−政府・与党によるイラク派兵法案の採決強行を断じて許すな! われわれは、闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯し、自国軍隊=自衛隊の侵略派兵を絶対に阻止する。その闘いを直ちに開始することを宣言する。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争と8・15闘争を力強く闘いぬこう。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の運動を大きく広げ、8月の自治労大会・日教組大会決戦、9月国労大会決戦に猛然と挑もう。8・3革共同集会へ、闘う労働者学生人民の総結集を訴える。
第1章 殺し殺される戦争に突入する自衛隊
何よりも自衛隊のイラク侵略派兵は、歴史を転換させる大攻撃である。陸海空3軍1千人の武装部隊が、この11月にも戦場のイラク国内に派兵されようとしている。自衛隊が米英軍と一緒になってイラク人民に銃口を向けるのだ。イラク派兵絶対阻止は、当面する反戦運動の最大級の課題となった。まず、日本の労働者階級人民の歴史的使命として、自衛隊大規模派兵阻止の闘いを直ちに開始することを訴えたい。
自衛隊をイラク国内に派兵したら、どういう事態になるのか。自衛隊がついに殺し殺される侵略戦争に入ってしまうことは避けられないということだ。
イラク侵略戦争は現在も継続し、日々激化・拡大している。これに対して、イラク人民、ムスリム人民の民族解放のゲリラ戦争が激しく戦われている。米軍はフセイン元大統領の息子らを殺害することに成功したと大々的に報道し、次はフセインの殺害だと叫んでイラク人民の反撃を沈静化させようとしているが、それはまったく不可能だ。
だが米帝はイラクの全支配権をけっして手放そうとはしない。イラク人政治勢力を含めた統治評議会が発足したが、メンバーを選ぶのはCPA(暫定占領当局)である。実際に選ばれたのは旧政権時代は海外にいた完全な親米勢力のみである。米帝は米帝の都合のいいようにかいらい政権をつくろうとあがいているのであって、その正体をすでにイラク人民に見破られ、怒りが渦巻いている。
こうした中で、米英軍はゲリラ掃討作戦を展開し続けている。なぜなら、日本の国土より広いイラク全土を、10数万とか20万の占領軍で制圧できるわけがないからだ。小泉首相が最も安全だと強弁していたバグダッド空港でさえ、着陸しようとする米軍輸送機に向けて反撃のロケット砲が発射された。米英軍側の死者も5・1以降、すでに200人を超え、日々死傷者を増やしている。
この中で、米帝ブッシュも英帝ブレアも、早くも侵略戦争の泥沼に絶望的にのめり込み、完全な政治的経済的危機、政府危機に陥っているのである。
しかしイラク人民の「米兵を見たら殴り殺したい気持ちだ」という怒りはさらに深く激しく、それは占領軍をすべてたたき出すまで爆発し続ける。
ここに小泉自身「殺すことも、殺されることもある」と公言しつつ自衛隊を大規模派兵するというのだ。米英軍を中心とした多国籍占領軍の一員に自衛隊が加わるということである。それも小銃や機関銃だけでなく、無反動砲など戦車並みの大型兵器を持ち込むのだ。これは必ず「撃たれる前に撃て」という武力行使=ゲリラ制圧戦争に直結するのだ。
米帝はすでに戦闘の激しいバグダッド北方への自衛隊派兵を要請してきている。日帝・小泉は武力行使と人民虐殺、そして自衛隊員の犠牲を覚悟で大規模派兵をやろうとしている。
では、なぜこうまでして自衛隊のイラク派兵が強行されようとしているのか。
第一に、イラク・中東石油資源の争奪戦に、侵略軍隊を出して必死にかみ込もうとしているからだ。小泉は国会答弁で「石油は金さえ出せば手に入るという時代は30年ぐらい前」(6月25日)と、日帝のエネルギー政策上からも自衛隊派兵が必要と吐露した。だが、これは単に石油という重要な資源を日帝が確保するという意味だけではない。開始された米帝の世界戦争政策が、中東地域を一つの柱として激しく展開されていくことを認識しているからである。ここでの帝国主義間争闘戦からはじき飛ばされるようなら、朝鮮・中国・アジア地域での日帝の権益も失われ、日帝としての死だという恐怖から、全面的な帝国主義的侵略戦争に突入しようとしているのである。
第二に、日帝は、切迫する北朝鮮・中国侵略戦争の発動情勢に備え、一方で有事法制など戦争国家体制づくりをどしどし進めつつ、戦場への自衛隊派兵を強行して、自衛隊の侵略軍隊化とそれによる国内戦争体制の形成を加速度的に進めようとしているのだ。つまり、自衛隊そのものを武力行使と虐殺を行い、侵略戦争をする軍隊に変えることを決断し、突っ込んできているということだ。
8月広島-長崎闘争へ結集を
では、どうすれば派兵を阻止できるか。この闘いにどのような展望をもって挑んでいけばよいのか。
一番重要なことは、日本の労働者人民は必ず巨大な規模で決起すること、侵略派兵と有事法制を粉砕するエネルギーを必ず爆発させることに確信を持って、闘いの組織化を直ちに始めることである。
有事関連3法は確かに国会議員9割の賛成で成立させられた。ここでは革共同の存在と闘いがその歴史的使命から見ていまだ小さいことは重大な問題であり、必ず突破しなければならない。しかし圧倒的な労働者人民が健在であり、民主党や連合中央の大裏切り、日本共産党や社民党の屈服などを払いのけ、闘う場を求めて動き出している。
具体的には、陸・海・空・港湾労組20団体は一歩も後退することなく、有事法制の完成阻止、発動阻止、不服従へ向けて闘いを進めている。また、動労千葉が発した「戦争協力拒否宣言」(本紙2109号3面に転載)に共感し、労働者と労働組合は今の時代にこうあるべきだという声が広がっている。
この中で、日共の綱領改定問題と、民主・自由(と社民)の合併問題は、労働戦線などに大きな変化をもたらそうとしている。民主党・連合への怒りと同時に、すでに各地で全労連傘下の青年労働者から「共産党は本気で闘おうとしていない」「共産党のもとでは労働運動はやれない」など怒りの声が上がり始めている。反戦運動も労働運動も、真に闘う者の巨大な共闘をつくりだすことが求められているということだ。この秋、そのことに真剣にチャレンジするならば、日本の階級闘争は必ず音を立てて動き出すだろう。
さらに、全国各地で対自衛隊闘争、すなわち反戦・反軍闘争に猛然と踏み込むことである。
イラク侵略派兵問題は、自衛隊兵士から言えば、イラクの戦場に死にに行けと命令されることである。イラクでのゲリラせん滅戦を担え、必要ならゲリラを殺せ、その中でお前たちも殺されることを覚悟せよということである。
すでにマスコミ報道からも、自衛隊内の動揺や苦悩が伝えられ始めている。政府・防衛庁は、隊員が死んだら1億円を補償すると額を引き上げたが、それを喜んで戦地に送る家族はけっしていない。自衛隊を辞めさせても、戦地に送りたくないというのが本心だ。
全国の自衛隊駐屯地、普通科連隊の所在地などに出兵拒否を呼びかけ、侵略派兵阻止の反戦・反軍行動を巻き起こそう。兵士や家族が反戦闘争に関心を持ち、近づき、署名をし、あるいは匿名で不安を訴えるというような接点が必ずたくさん生まれてくる。他国民を虐殺する侵略軍隊化を拒否する決起をつくりだすことはまったく可能だ。
そして今こそ、国際反戦闘争を新たに実現して闘うことである。
10〜11月の自衛隊派兵は、米英軍を軸とした新たな多国籍占領軍の形成を意味する。それはすなわちイラク侵略戦争の第2段階を意味し、すでに米帝は完全な泥沼に突入している。アメリカ、イギリスの労働者人民はもとより、軍隊のイラク派兵を決めて進めているイタリア、スペイン、韓国、ポーランド、オランダ、ブルガリア、ルーマニア、タイ、ウクライナなどの労働者人民との国際連帯を生み出し、2〜4月を上回る国際反戦闘争をつくりだそう。アメリカ西海岸の最も戦闘的な労組との連帯・交流を実現した動労千葉に連帯し学んで闘おう。
こうした闘いとして、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争、8・15の闘い、9・1「防災訓練」粉砕闘争を闘いぬこう。9・27にはイギリスの戦争阻止連合が、10・25にはアメリカのANSWERが国際反戦デモを呼びかけている。日本でこれと連帯した大きな取り組みを実現しよう。
闘う沖縄人民とともに、名護新基地建設阻止の新たな闘いを開始しよう。
第2章 国労弾圧粉砕軸に国労大会決戦へ!
次に、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動を拡大・発展させるために、全力を集中して闘うことを訴えたい。
有事法制下では、戦闘的労働組合はもちろん、普通に賃金闘争を行う労組も認められなくなる。労働組合は、国と企業の延命を第一に考えて行動しなければならず、それを拒否する労組はことごとく弾圧することになっていくのだ。
その最たるものが国労5・27臨大闘争弾圧である。これは、国労闘争団の除名処分を臨時大会で強行しようとした本部役員に抗議した国労組合員、すなわち国労という組合内部の路線対立問題であるにもかかわらず、「中核派が共謀して役員らに乱暴を働いた」という構図を意図的につくり、「暴力行為等処罰に関する法律」を適用して10人を逮捕、8人を起訴した前代未聞の大弾圧だ。
しかし公判が回を重ねるにつれ、この弾圧が警視庁公安部と国労東京地本の酒田一派らによって仕組まれたデッチあげ弾圧であることが明らかになりつつある。日帝権力は、この弾圧で国鉄闘争を壊滅させ、それをテコに労働者階級のあらゆる闘いを鎮圧しようとたくらんだ。しかしその狙いが労働者人民の中に暴かれてきており、不当弾圧粉砕・8被告奪還の運動が広がりつつある。
しかもこの国労弾圧以来、3月の九州大学自治会、5月の部落解放同盟全国連合会寝屋川支部、6月の東北大学有朋寮闘争―全金本山労組への弾圧、そして全国金属機械港合同サンコー分会への不当なデッチあげ弾圧(7月15日)と、連続して許すことのできない弾圧が加えられてきた。戦争・大失業の時代の到来と、弾圧の激化が一つのものであることが、いよいよ広範な人民に実感を持って理解され始めている。
こうした中で、辻元清美氏らの逮捕は、社民党をも完全につぶすという攻撃に、警視庁自らが乗り出したということだ。
新たな世界戦争の時代が始まり、日本も有事法制―イラク派兵へと戦争にのめり込んでいく中で、今や労働運動や学生運動、部落解放運動などへの弾圧が急速に激化している。しかも権力は、革命党・革命派と労働者人民の分断を必死で追求している。そして、これまでは権力が認めてきた大衆団体さえも、その弾圧の対象にし始めているのだ。
アメリカでは今、パトリオットアクト2(愛国者法2)と呼ばれる治安法の制定を阻むために労働者が立ち上がっている。日本でも組対法に続いて「共謀罪」新設阻止の闘いがねばり強く展開されてきた。今や反戦運動と労働運動を戦闘的に爆発させること、百万人民決起を実現することと、治安弾圧を許さない広範な運動をつくりだすことはまさに一体である。
日帝権力が国労5・27臨大弾圧に全力を挙げているのは、ここに国労という歴史的存在の再生か解体かがかかっているからである。革命党と戦闘的労働運動を同時に弾圧・破壊する狙いが込められているのである。だからこそ逆にチャンスととらえ、この問題を国労内外に広げ、国鉄闘争勝利と国労の戦闘的再生、すなわちナショナルセンターを越えて日本労働運動の戦闘的発展のテコにするということである。
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけにこたえて運動を大胆に広げよう。この闘いを軸とし突破口として9月国労大会決戦勝利へ進もう。
9カ月もの長期勾留を許さず8被告を絶対に奪い返そう。
8月の自治労大会、日教組大会決戦の勝利を全力で切り開こう。
第3章 労働者に根を張った党を建設しよう
さらに、8・3革共同政治集会への総結集を心から訴えたい。
今夏の革共同集会は、歴史的転換点のただ中で開催される。主体的力量を超えると見えるような大激動情勢の到来に対して、革共同はこの情勢としっかりと向き合い、いかに進むべきなのかを鮮明に示し、本格的な階級的反撃の先頭に立つことを宣言する。
3・20イラク侵略戦争開戦、北朝鮮への排外主義扇動と有事法制、すなわち帝国主義による戦争が現実化したとたん、既成の政党や連合など諸潮流が挙国一致主義・排外主義に転落し、戦争の協力者となった。とりわけ日本共産党は綱領の大改定を進め、まさに「帝国主義の最後の番兵」の道を走っている。労働者の権利や闘いを投げ捨て、否定し去った。これに対して革共同は、今こそ真の労働者党として登場しなければならない。真の労働者党に向かって、綱領と路線に磨きをかけ、鮮明に打ち出して闘っていく時なのだ。
帝国主義は今、新たな世界戦争の時代に突入した。しかし単純に反動が吹き荒れ、暗黒の時代が一気に来てしまうわけではない。米英帝も日帝も今や完全な政治的経済的危機、政府危機に陥っている。その打倒のために国際連帯闘争を爆発させる時だということだ。
この間の事態で重要なことは、世界の労働者階級人民が、パレスチナ人民、ムスリム人民や南北朝鮮人民の闘いと連帯して、帝国主義を打倒する闘いを開始していることである。この力強い国際階級闘争のうねりをより深く広く強くしていくために、われわれは本格的に労働者階級に根を張り、かつ白熱する階級攻防の先頭に立って闘いぬかなければならない。
激動する労働運動の中に入って闘いぬくこと。革共同はこの実践を最重要課題として全力で推進する。
8・3革共同集会の大成功をともにかちとろう。
最後に、歴史的飛躍をかけて闘う革共同への夏期一時金カンパの圧倒的な集中を心から訴えます。
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週刊『前進』(2112号1面2)
イラク法案 連日深夜の国会行動 青年を先頭に廃案へ熱気
戦後史上初めて自衛隊を侵略戦争に突入させることを狙うイラク派兵法案の強行策動に対して、労働者人民の怒りが大爆発した。参議院の外交防衛委員会と本会議での採決を阻止しようと、24、25の両日、国会前には多くの人びとが集まり、抗議の声を上げた。
25日は午前10時からの外交防衛委員会開催にあわせて、委員会採決を絶対に阻止しようと、動労千葉、労組交流センターを始め多くの労働者人民が国会前に駆けつけた。
正午からは、市民団体や宗教者、労組主催の集会が開催され、約500人が弾劾の声を上げた。
午後1時からは、百万人署名運動主催の弾劾集会が開かれ、参加した多くの人びとが次々にイラク派兵法案反対の思いを語った。イラクへの自衛隊派兵に広範な人びとが反対していることを実感させる怒りにあふれた集会となった。
午後1時前に野党は衆議院に内閣不信任案を提出した。参議院での委員会審議はストップし、国会前の闘いは続いた。
本会議終了まで座り込みを貫徹
前日の24日は、百万人署名運動やワールドアクション、反戦共同行動委員会の人びとが午前中から集まり、数百人が座り込みや傍聴など弾劾行動を闘った。
参院本会議では、野党が川口外相、石破防衛庁長官、福田官房長官の問責決議案を順次提出、審議が断続的に行われ、休会の度に議事堂からどっと出てくる国会議員たちに、「イラクの人たちを殺すな!」「自衛官を死なせるな!」と必死に訴えた。
ワールドアクションの青年労働者が「明日の早朝、国会から出勤します」と徹夜の闘いを宣言。絶対阻止の決意は、熱い共感を呼んだ。多くの人びとがやむなく終電車で帰った中、ワールドアクションの若者たち約10人は参議院本会議終了の午前1時40分過ぎまで国会前にとどまり、議事堂を出てきた議員たちにイラク派兵法弾劾の声を上げた。
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週刊『前進』(2112号1面3)
戦争と一大資本攻勢の帝国主義打倒へと闘う革共同に絶大な支援を
『前進』読者の皆さん。労働者の皆さん。革共同は、全世界の労働者階級人民とともに、世界戦争の時代に突入した帝国主義を打倒し、新たな社会を築くために、革共同への絶大なカンパを心より訴えます。
帝国主義の戦争と一大資本攻勢をめぐる史上空前の階級決戦が到来しました。イラク新法を強行成立させて自衛隊を千人規模でアメリカの軍事占領下のイラクに送ろうとしている小泉政権を許しておけるでしょうか。
戦後の憲法体系をくつがえす有事3法の成立に何ひとつ闘わなかった、いや率先協力して恥じなかったすべての既成政党を許せるでしょうか。
北朝鮮に対する戦争発動の第一段階である臨検・経済封鎖が始まり、排外主義の扇動が暴力を伴って激化しています。広島県教組への銃撃テロも起こっています。
戦後的階級関係も一変しました。終身雇用制と年功序列型賃金の解体、リストラの強行、転籍・出向という名の首切り、失業、労働強化、賃金切り下げ、社会保障制度の解体と大増税、生活破壊の攻撃などが労働者階級に日々激しく襲いかかっています。
しかしこれらの攻撃は帝国主義の強さの証明でしょうか? いいえ、逆です。もはや労働者階級を食わせていくことができなくなった帝国主義は命脈が尽きたのです。断末魔の叫びをあげながらも、生き延びるために帝国主義は、一切の犠牲を労働者階級に転嫁する以外になくなったのです。
革共同は戦後史を画する階級決戦に挑みます。社・共をのりこえ、党と党細胞を強化し、革命的労働者党にふさわしい自己変革をとげて、21世紀革命の路線である6回大会路線のもと、03年後半決戦に渾身(こんしん)の決起をします。
労働者階級の持てる力を総結集して初めて勝ち抜くことができる未曽有(みぞう)の階級決戦です。そのために絶大なカンパを寄せてくださるようお願いします。
世界史は大転換期を迎え、アメリカ帝国主義を最悪の戦争放火者として第3次世界大戦へと突き進もうとしています。しかし全世界の労働者階級・被抑圧民族人民は、けっして敗北していません。イラク反戦の街頭デモや労働組合のストライキの巨大なうねりは数千万の人民によって地球を何周もかけめぐりました。この流れはどんな力をもってしても押しとどめることはできません。
革共同は階級に根を張った本格的な労働者党建設に向けて、必ず「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動の発展と百万人民の反戦決起をかちとります。
革命党建設の歴史的事業に夏期一時金カンパの集中を訴えます。
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週刊『前進』(2112号1面4)
新シリーズ 5面
名護新基地阻止! 沖縄の未来かけて
名護市辺野古への新基地建設の攻撃は、調査と称する実質的な着工段階に突入している。これに対する闘いを再構築していくために、今号から沖縄県委員会の同志によるシリーズを始めます。(編集局)
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週刊『前進』(2112号2面1)
国労弾圧10回公判 鈴木法対部長の証人採用を迫る “ビデオ撮影者を法廷に”
検事の真相隠しを徹底追及
7月18日、国労5・27臨大闘争弾圧の第10回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。公判では、警視庁公安部と国労東京地本一部幹部が結託して行った弾圧の真相を押し隠そうとする検察側の異様な姿がむき出しになり、被告と弁護団はこれを徹底弾劾した。その結果、青柳裁判長は、次回公判(8月27日)までに、国労本部派が警視庁に提出したビデオの撮影者である東京地本の鈴木勉法対部長の証人採否を決定すると言わざるをえなくなった。公判闘争は、前半戦における最大の山場に突入した。
「次回までに採否を決める」
冒頭、河村健夫弁護人が、「9月13〜14日には国労大会が予定されているが、被告は拘束され正当な組合活動を制約されている。裁判所による組合活動への不当な介入、予防拘禁だ」と被告の保釈を求めた。松崎博己被告も、勾留の一時執行停止を認めない青柳裁判長を弾劾した。彼は、4党合意の撤回を求めて救済を申し立てている福岡地労委の審問に出席するために、勾留の一時執行停止を求めていたのだ。
続いて弁護団は、鈴木勉法対部長の証人採用を裁判長に迫った。
過去3回の公判で、警視庁公安部がビデオテープを入手した経過の違法性は明白になっている。昨年6月3日に鈴木法対部長からオリジナルテープの任意提出を受けたという神田署公安係の遠山文雄巡査部長(当時)は、弁護団の鋭い反対尋問を前に、@任意提出前の5月30日には、警視庁公安部はすでにダビングテープを入手していた、A遠山が作成した領置調書は、6月3日の時点では被疑者名・罪名は記入せず、後日加筆した、B鈴木法対部長に押収品目録を交付しなかった、という驚くべき証言をしたのである。疑惑は深まる一方だ。
弁護団が次々と立ち上がり、鈴木証人の採用を求める意見を述べた。大口昭彦弁護人は、「裁判長は、鈴木氏を採用すると裁判が政治性を帯びると考えているようだが、撮影者を隠している検察官の態度が裁判に政治性を与えている。鈴木氏を証人として呼ぶのは、裁判をノーマルな形に戻すだけだ」と語気鋭く迫った。青柳裁判長は、「休憩後、この問題について裁判所の見解を述べる」と言わざるをえなくなった。
日時も示さず共謀を立証?!
審理は、共謀に関する求釈明に移った。検察側冒頭陳述は、松崎被告らが本部派の池田への暴行に及び、他の被告がそれを目撃し、松崎被告の意思を了知したことにより、「遅くとも、ここにおいて、共謀が成立した」と述べている。この点に関し、牧島聡検事は、第6回公判では「池田事件より前に共謀が成立したと主張するつもりはない」と言明していたが、第9回公判に至って「池田事件以前における共謀の成立も主張する」と言い出した。
弁護団は、再度この問題について釈明を求めた。青柳裁判長が、「『遅くとも』だから、その前の共謀の成立も排除しないと理解する」と検察官を誘導し、牧島検事が「池田事件より前の共謀について立証するが、その具体的日時は主張しない」と言い放った。
支援者の向山和光被告が、すかさず弾劾の声を上げた。「検事のやり方はブッシュのイラク戦争と同じだ。アルカイダがいるからと言い、それが崩れると大量破壊兵器、それも崩れたらとにかく爆撃する。こんなやり方は許されない」
そもそも、日時を特定せずにどうして共謀が立証できるのか。「事前共謀は厳格な証明によらなければ認定してはならない」とした最高裁判例も引用して論陣を張る弁護団を前に、裁判長はまたも、「休憩後、裁判所の見解を述べる」と言うほかになくなった。
休憩後、青柳裁判長は、鈴木証人について「証人の採否、尋問事項の範囲について、期日外に決定したい」と表明した。共謀の問題については、「池田事件での共謀が立証の中心になるが、今後の訴訟の経緯により、池田事件より前が争点になる場合は、裁判所として求釈明する」と述べた。傍聴席からは聞き取れないほど小さな声だ。弁護団の追及が青柳裁判長を圧倒したのだ。
審理の焦点は、貞山明証人の立証趣旨拡張の問題に移った。貞山は、向山被告の逮捕場所から押収されたビデオの押収手続きに関与した警視庁公安一課の警部補だ。貞山証人の当初の立証趣旨は、ビデオテープの押収手続きとなっていた。ところが検事は、公判2日前に突然、@鈴木法対部長が提出したビデオと押収したビデオの解析結果、A「杉並共同購入会館」(現在は都革新結柴事務所)の状況、B犯行直後の現場の状況、の3点を立証趣旨に追加するとしてきたのだ。
一瀬敬一郎主任弁護人が、立証趣旨の拡張に反対する意見を述べた。新たに証拠申請されたビデオテープ解析結果報告書の作成者は、貞山の部下の佐藤勝彦だ。たとえ上司でも、貞山に解析結果を証言する資格はない。また「杉並共同購入会館の状況」なるものは、本件とは何の関係もない。さらに、「犯行直後の現場の状況」というが、本部派組合員を乗せたバスが出発した後に現場に到着した貞山が、何を証言したところで意味がないのだ。
検事は、「解析結果報告書に添付されたビデオの静止画像写真をプリントアウトしたのは貞山だ」と弁解したが、プリンターを操作しただけでは証人になれない。「杉並共同購入会館の状況」については、「向山被告が同所に個室を保有していることを立証する」と言いつのった。「向山リーダー」論をこんな形で滑り込ませようとしたのだ。
裁判長は、弁護団の指摘を無視し、何の理由も示さずに「立証趣旨の拡張を許可する」と自信なさげにつぶやいた。弁護団が異議を申し立てた。押収ビデオが証拠たりえるかどうかは、貞山の証言を経て初めて判断できることだ。その貞山が、証拠採用されてもいない2本のビデオの解析結果を証言すること自体、本末転倒しているのだ。しかし裁判長は、「ビデオに何が映っているかは関連性にかかわる証拠」と居直って、弁護団の異議を棄却した。
写真を見ながら虚偽の問答
貞山証人が入廷した。検事は、ビデオを押収した家宅捜索の状況についてはごく簡単に証言させた上で、ビデオの静止画像写真を貞山に示そうとした。弁護団が、「ビデオの採否が決まっていない段階で写真を示すことには異議がある。裁判長が指示した関連性の範囲も超える」と抗議した。裁判長は異議を棄却したが、刑事裁判の証拠法則を踏みにじる訴訟指揮だ。
裁判長にそそのかされた牧島検事は、でたらめきわまる尋問をし始めた。写真を一枚ずつ取り上げ、どの被告が誰に暴行を加えている場面かなどと貞山に説明させたのだ。強い怒りが法廷を覆った。弁護団が「現場を見たわけでもない証人が写真をもとに説明するのは、自己の体験に基づく供述ではない」と異議を出した。検事が言葉を発する度に弁護団が異議をたたきつける。激しい応酬に法廷の緊張が高まった。ついに裁判長も「質問は、誰が映っているか程度にとどめるように」と異議を認めた。
“やられているのは僕の方だ”
すると検事は、「被害者に手をかけているこの男は誰か」などと、質問の形を借りて自分の口で写真の解説をし始めたのだ。橘日出夫被告が怒りを抑えかねて立ち上がった。「今の写真は、やられて押されているのは僕の方だ」
検事と貞山の問答の虚構性はこの一言で暴かれた。彼らは「ビデオの解析結果」と称して、そこに映っていることとはおよそかけ離れた作り話を並べたてていたに過ぎないのだ。そうしながら、他方でビデオの内容に踏み込む証言を強行し、°ビデオという「客観的」証拠がある以上、撮影者の鈴木法対部長の尋問など不必要だ″と裁判所にねじ込もうとしたのである。
貞山の主尋問は、次回に続行となった。検事も裁判長も、立証趣旨の拡張によって時間かせぎを図ったことは明らかだ。今回、貞山尋問が終われば、次回公判に鈴木法対部長を呼び出すかどうかが問題になる。9月国労定期大会前に鈴木法対部長が証人尋問されることだけは、なんとしても避けたかったのだ。さらにこれは、検察側の立証計画がボロボロになり、その場しのぎの迷走を始めたことの現れだ。攻勢を堅持し、さらに鋭い追及をたたきつけていくことがかぎだ。
公判に先立ち、東京南部許さない会は、被告家族とともに東京地裁に対して被告の早期保釈を求める申し入れを行った。
また、国労東京許さない会の国労組合員らは、国労本部に対し、権力との関係を絶ち、保釈要求署名に取り組むよう要請した。東京地本の反動幹部は、今回も傍聴券交付に現れることさえできなかった。
この闘いは、警視庁公安部の手先となって国労を解体に導く弾圧加担者に決定的打撃を与えている。ここに確信を持ち、許さない会を広げて闘いを強めよう。この闘いと一体のものとして、国労再生への9月国労大会決戦に攻め上ろう。
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週刊『前進』(2112号2面2)
8被告の即時釈放を 「罪証隠滅」などありえぬ
東京地裁刑事第10部の青柳勤裁判長は6月9日、弁護団から出された3度目の保釈請求を却下した。
検察側はその意見の中で、「罪証隠滅」に加えて「証人威迫」を挙げた。青柳裁判長は、「証人威迫」の疑いは認めない一方で、「罪証隠滅」の疑いを認めて保釈請求を却下した。
青柳裁判長よ。被害者供述が中心的証拠となる本件裁判で、「証人威迫」の疑いがないということは「罪証隠滅」の疑いがないということではないか。「罪証隠滅」の疑いとは何か、具体的に説明してみよ。
「罪証隠滅」に関しては、許しがたい主張が検察官によってなされ、青柳裁判長はそれを全面的に容認、支持しているのだ。
弁護団は昨年12月26日、接見等禁止決定の全部解除請求を行った。これに対する意見を裁判所から求められた検察官は、°被告の家族が被告の意を受けて証拠隠滅の工作をする″と叫び立てた。すなわち、「このような〔無罪を主張する〕被告人に関する接見禁止の全面的解除を認めれば、被告人が捜査段階における取調べ状況をふまえて妻子と通謀し又は妻子らに証拠隠滅を指示もしくは依頼し、その意を受けた被告人の妻子らが本件被害者及び目撃者等関係者に対して様々な工作を行うおそれが高い」と言い放ったのだ。検察側の保釈反対の理由も、これと同じである。
検察官は、被告が「捜査段階で一貫して黙秘し」、「謝罪の姿勢」も見せずに統一公判闘争を闘っていること、そして「これに呼応して」その家族が夫や父親の正しさを信じて必死に支えていることに対して、階級的な憎しみをあらわにしている。ある被告に対しては、子どもたちも中核派と見なすという、とんでもない脅しをかけている。
勾留されている被告たちには、「証拠隠滅の指示」をすることなどまったく不可能だ。また、被告たちは闘いの正当性と正義性を確信して裁判闘争を闘っており、「証拠隠滅」や「証人威迫」をする必要性とその意志などまったくない。それを百も承知で、被告たちがそうするかのようにデッチあげているのである。
西村正治弁護人が、「身柄問題についての意見」(4月21日付)の中で、5年前に盗聴法反対の集会に出たことで戒告処分を受けた札幌地裁の寺西和史裁判官の次のような発言を引用している。「僕は想像力が貧困なのか、どう考えても面会で罪証を隠滅するという場面が想像できません。そういう場面が考えつかないので、接見禁止にしたことがないのです。他の裁判官は、すごい想像力をお持ちなんですよね」。全面的に同感できる発言だ。
ところが青柳裁判長は、検察官のデタラメな意見に全面的に屈服し、迎合しているのだ。だから、3度目の保釈請求を平然と却下しただけでなく、接見禁止決定を今なお継続し、その全面解除の要求をまったく認めようとしないのだ。
さらに青柳裁判長は、今回の弁護団の抗告に対して、「全面的に争っている被告人の応訴態度」を最大の口実に、「被告人を保釈することは到底考えられない」という強い調子の意見を東京高裁に提出した。これは刑事訴訟法第89条の規定を踏みにじっている。同条の保釈請求を却下できる理由の中には、「被告人の応訴態度」など入ってはいない。
青柳裁判長は「証拠隠滅」の疑いという正規の理由付けをすることすら忘れて、「被告人の応訴態度が問題だ」と本音を思わず叫んでしまった。それは、検察側の主張を認めたとしても微罪にすぎない事件において、9カ月を超える長期勾留になっている不均衡をどうにも正当化できず、そのことですっかり動揺している姿を示している。
国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会を全国各地で結成し、労組や大学、地域で保釈要求署名を集め、青柳裁判長の前に積み上げよう。次回公判(8月27日)に向け、10万署名の達成をめざして活動を強めよう。
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週刊『前進』(2112号2面3)
東京西部 団結まつりに4000人 1047名解雇撤回へ
7月13日、「都民とはたらくもののくらしを守る東京西部団結まつり」が、新宿中央公園水の広場で行われた。国鉄1047名闘争支援の陣形を中心にした実行委員会が主催し、4千人を超える人びとの参加でにぎわった。
ステージを囲むように、国労旭川・留萌・深川の各闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団のテントが並び、53の出店があった。翌日の鉄建公団訴訟に向けて上京した北海道・九州などの国労闘争団員も多数が参加。労組やナショナルセンターの垣根を越えた熱い交流が行われた。
ステージでは、国労闘争団家族、全動労争議団家族の座談会や、バンドの演奏、争議団の紹介などが行われ、最後に国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団が勢ぞろいした。
国労深川闘争団の代表は「この3月、国労本部から査問の招集を受けた。本部からの生活援助資金も凍結された。何回も虐げられてきたが、不屈の精神で闘いに舞い戻ってきた。勝利するまで不屈に闘い抜く」と不退転の決意を表明した。
全動労争議団の代表は「この闘いを西部から東京、全国に広げ、一日も早い勝利をかちとりたい。第2の国家的不当労働行為を許してはならない。リストラ・首切りの嵐の中で闘っている仲間と手をつなぎ、平和と人権、民主主義を守るすべての仲間と連帯して闘おう」と訴えた。
動労千葉争議団からは分割・民営化反対の85年第1波スト被解雇者が立ち、「3月、イラク戦争反対、有事立法制定―労働法制改悪阻止、1047名闘争勝利―国労臨大闘争弾圧粉砕、第2の分割・民営化攻撃粉砕を掲げて、ストライキに立ち上がった。動労千葉は今、代表をサンフランシスコに派遣している。春闘ストが大きな注目を受け、訪米の要請があった。1047名闘争は世界に広がっている。JR総連は分裂・抗争を繰り広げ、動労千葉の組織拡大のチャンスを迎えている。1047名の団結を固めて闘おう」と、意気高く呼びかけた。
3人の発言に惜しみない拍手が送られた。
国労5・27臨大闘争弾圧の8被告の早期保釈を求める署名が多数集まった。
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週刊『前進』(2112号2面4)
7・17集会 “つぶせ! 共謀罪” 国際共同声明の推進へ
7月17日夕方、シニアワーク東京で、共謀罪新設反対国際共同声明呼びかけ人の11氏が主催する「つぶせ! 共謀罪、止めろ! 戦争への道、7・17集会」が開かれ、150人を超える労働者、弁護士、市民が参加した。共謀罪は、7月23日の衆院法務委で審議が始まったが、今国会での成立は阻まれた。こうした情勢を前にして開かれた集会は、なんとしても共謀罪新設を阻止しようという決意と熱気にあふれた。
破防法・組対法に反対する共同行動と長谷川直彦弁護士が司会を務めた。呼びかけ人あいさつに立った早稲田大学名誉教授の佐藤昭夫さんは、国労5・27臨大闘争弾圧において検察側が「見ていただけで共謀が成立する」と主張していることを例に挙げ、共謀罪を「権力に都合の悪い団体を恣意(しい)的に弾圧する悪法」と批判した。
保安処分新法の強行採決・成立を弾劾する発言、公園のトイレに反戦の落書きをしただけで不当逮捕・起訴された被告を支援する落書き反戦救援会からの治安弾圧と闘うアピール、ワールドアクションからの自衛隊イラク派兵阻止の訴えが続いた。憲法と人権の日弁連をめざす会の武内更一弁護士が、有事体制下の司法制度改革攻撃(共謀罪、裁判員制度など)との闘いの重要性を訴えた。
東京造形大学教授で刑法学者の前田朗さんが「海外派兵時代の治安情況」と題して、海渡雄一弁護士が「共謀罪新設の超危険性を暴く」と題して講演した。
前田さんは、国会の公聴会で参考人として発言することを報告し、国連3決議のペテンを批判した上で、米英軍のイラク占領はその決議にすら違反する行為であり絶対に許されないと訴え、自衛隊のイラク派兵に反対する決意を表明した。
海渡さんは、自らが作成中の日弁連のパンフ「共謀罪Q&A」を使用して共謀罪の内容を分かりやすく説明した。そして、共謀罪の根底にある「社会の安全のためには、いったん悪いことを考えた者を処罰することが必要である」という考え方を、トム・クルーズ主演の映画「マイノリティ・レポート」の内容と対比しながら批判した。
カンパアピールに立った全金本山労組の長谷武志委員長は、中野七郎書記次長へのデッチあげ弾圧・起訴を弾劾し、奪還のための支援を訴えた。
講演に関する質疑応答に続き、日本基督教団労働組合が行動提起をし、@9月臨時国会までの2カ月間を陣形拡大の時とし、共謀罪反対の国際共同声明を推進して、ミニ学習会を各地で行う、A共謀罪が思想・表現・団結の自由を根底的に解体するものであることを広く訴える、B思い切った共同戦線をつくり上げる、の3点を呼びかけた。
海渡弁護士が質疑応答で「共謀罪反対の集会に多くの皆さんが参加され、廃案にする希望がもてた」と発言したことに示されるように、9月臨時国会での廃案に向けて展望を切り開き、勝利の方針を確認した集会だった。
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週刊『前進』(2112号2面5)
鉄建公団訴訟 「動労を脱退し不採用」 差別の実態陳述
7月14日、鉄建公団訴訟の第8回口頭弁論が行われた。帯広闘争団・佐野周二さんが陳述を行った。
佐野さんは、北海道の新得機関区で運転乗務員を務めてきたが、JR北海道会社に採用されなかった。「不採用になったのは、私が『国鉄改革』を推進する動労を脱退し、国労に加入したため以外に考えられない」と怒りを込めて訴えたた。佐野さんが国労に加入したのは「動労が『血の入れ替え』という言葉を使ってまで国労組合員の首切り、国鉄当局と一体となって不当労働行為の国労脱退・国労解体攻撃を推し進めた」からだ。さらに、清算事業団による雇用対策のでたらめさを明らかにし、「1047名の名誉回復と納得いく解決のため、解雇無効と地位確認の判断を示すよう訴えます」と述べ、大きな拍手が起こった。次は9月8日に行われる。
裁判終了後、「あまりにひどいぞ裁判所! 怒りの最高裁包囲デモ」が「首切り自由は許さない!実行委員会」の主催で行われ、闘争団を先頭に500人が参加した。
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週刊『前進』(2112号2面6)
都教委が異動要綱改悪 首切りと組合つぶし狙う石原の教育統制を許すな
〈投稿〉 東京・教育労働者 菅野遥
7月10日、東京都教育委員会は「教員の定期異動実施要綱」の改悪を強行した。これまで要綱改定は労使の交渉事項として扱われてきたが、今回は管理運営事項だと強弁し、2回の意見聴取をしただけで一方的に実施した。
従来の要綱には年限の客観的な基準があり(新規採用4年、その後8年、3校以上経験者は同一校10年まで可)、たとえ校長や教育委員会がじゃまだと思っても、本人の意向を無視して飛ばすことはできなかった。今回、「原則は3年で異動対象、6年で必異動」に加え、校長、地教委の具内申があればたとえ1年でも異動の対象にできるという一項が盛り込まれた。これにより、恣意(しい)と差別による異動強制が可能になった。
さらに「異動の方法」では、地域区分を大幅に変え、全都を12の地域に機械的に分け、3地域経験を義務づけた(現在は4区分)。従来の要綱では近接した地区での3地域経験が可能だったが、今回の改悪では必ず広範囲に異動しなければ3地域を経験できない。
「通勤時間」も、従来「60〜70分を標準とするが、90分までは通勤可能な時間」となっていたのが、120分までは通勤可能と大幅に延長された。例えば小岩から青梅市までの通勤さえ強いられる。「異動の方針」に区部と市部の人事交流が盛り込まれたことと併せて考えると、広域異動の乱発は不可避だ。
石原都知事になってから、都立学校だけでなく区市町村教委への縛りも年々強まり、全都の学校の一元的支配がもくろまれてきた。しかし、じりじりと後退を強いられながらも、組合運動と組合員の存在があって、職場ではさまざまな抵抗と闘いが続けられている。「権利としての教育」「教え子を再び戦場に送るな」の立脚点は、しぶとく息づいているのだ。今後、異動においても校長権限が強まれば、教育労働者の自由な教育活動はほとんど困難になる。管理統制下の学校の一つの駒として、愛国心を強制する教育しかできなくなっていく。
今回の問題は、教育労働者に対する生活破壊、リストラ攻撃であると同時に、「血の入れ替え」によって有事体制下の学校につくりかえようとする攻撃でもある。
もちろん、改悪の直接の狙いは、ずばり組合つぶしだ。もし今回改悪された要綱どおりに異動作業が進められたら、現在組合執行部を担っている多くの仲間が他の地区に飛ばされ、組合運動はガタガタにされる。
しかし、敵の焦った理不尽なやり方に職場の怒りは沸騰している。若い世代には生活不安、中高年には退職強要につながる攻撃に、一人として無関心でいられない。組合の力を増し、なんとしても組合を守り抜かなければならない。職場闘争を取り戻すまたとないチャンスだ。ここで労働組合に若い仲間を獲得しよう。
教委対教組の力関係の中でだけ闘いを考えても展望は開けない。教育闘争として地域に打って出て、国鉄闘争とともに全労働者の課題に押し上げて闘うことだ。「校長、教委の恣意的異動は教え子を戦場に送る道だ」という訴えは、必ず理解される。他産別の労働組合や市民団体に呼びかけ、教育の戦争動員に反対する全人民の運動として闘い抜こう。これこそがファシスト石原を追いつめる闘いだ。
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週刊『前進』(2112号3面1)
イラク派兵法案粉砕へ決起
日帝・小泉政権が自衛隊イラク派兵法案強行のために参議院の中央公聴会を開催した7月18日、反戦共同行動委員会は東京と大阪で断固とした反撃の闘いに決起した。国会闘争への全力決起から今秋の自衛隊侵略派兵を阻止する大決戦へ熱気に満ちて闘われた。
動労千葉が訪米報告 東京
反戦共同行動委員会主催の「とめようイラクへの自衛隊派兵!許すな朝鮮への武力行使!7・18渋谷行動」が東京・宮下公園に410人を結集して意気高く闘われた。多くの労働者学生が結集し、沿道の人びとと一体となった闘いは、イラク反戦闘争の再高揚情勢をくっきりと示した。
デモは楽器をもった市民グループを先頭に、リズムに乗ったコールで「イラク新法とめよう。自衛隊をイラクへ出すな」と訴え、渋谷の繁華街を一周した。若者たちが沿道からデモに加わりタンバリンを鳴らした。ベランダから身を乗り出して声援を送る人たち、手を振って歓迎する人、車の中からも手を振って共感が寄せられた。外国人からの反応も多い。
集会は婦人民主クラブ全国協の司会で進められ、最初に主催者を代表して反戦共同行動委事務局長の滝口誠さんが、「新たな決意を固めて一週間闘い抜こう。11月出兵阻止に向かって闘おう」と訴えた。
連帯のあいさつでは北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんが、北富士での自衛隊演習が激化していることを報告し、「自衛隊をイラクへ行かせない闘いを広げたい。生きているかぎり、北富士を戦争に使わせない闘いをやる」と決意を語った。7・10小牧闘争の報告を東海の学生が行い、反戦自衛官の小多基実夫さんのメッセージを読み上げた。
8・6広島反戦闘争のアピールを広島から駆けつけた反戦共同行動委の代表が行い、続いて闘う労働者や学生への相次ぐデッチあげに対し、弾圧との闘いのアピールが行われた。
基調報告を全学連の大山尚行委員長が提起した。大山委員長は、小泉が「殺すこともあるし、殺されるかもしれない」と発言したことを怒りを込めて弾劾し、自衛隊の侵略派兵との大決戦を訴えた。イラク人民がゲリラ戦争に決起して大反攻を開始している一方、イラクに派兵されている米軍の兵士がテレビのインタビューに「ラムズフェルド国防長官は辞任しろ」と怒りをたたきつけていることを紹介した。そして、米英の労働者人民が秋に大人民行動を起こそうと闘っていることを紹介し、国会闘争を全力で闘い、秋の侵略派兵阻止を戦後史を変える大決戦として爆発させることを訴えた。
決意表明ではまず、国労共闘の代表が国労5・27臨大闘争弾圧裁判を報告し、決起を訴えた。
動労千葉の川崎昌浩執行委員の訪米報告に会場が沸いた。川崎さんは、サンフランシスコ労働者協議会で動労千葉の闘いと国鉄1047名闘争、国労臨大闘争弾圧粉砕闘争への支援を要請し、支援決議をあげることが決定されたと報告した。「今回の訪米は日本の労働者階級とアメリカの労働者階級がともに帝国主義と対決する運動の一環として闘われた。アメリカの労働者は帝国主義と闘う運動を日本の中に求めている。それが動労千葉であり、みなさんの闘い。国際連帯をかけて闘う」と、日米労働者の歴史的感動的な合流が始まったことを報告した。
部落解放同盟全国連の代表は寝屋川支部弾圧が許し難い権力の差別弾圧であることを提起し、弾圧粉砕と東大阪市議選勝利の決意を語った。全学連から3人の学生が自衛隊派兵阻止への戦闘的決意を表明した。
行動方針で自衛隊イラク派兵新法の絶対阻止へ国会闘争を全力で闘い抜く方針が提起され、渋谷一周デモに打って出た。
派兵絶対阻止を誓う 関西
7月18日午後6時半から大阪市天神橋筋6丁目の大阪市立住まい情報センター・ホールで、「イラクへの自衛隊派兵許すな!北朝鮮への侵略戦争阻止!7・18全関西集会」が開かれ、210人が参加した。この闘いは、新たな有事立法闘争に踏み出すとともに、今秋の自衛隊イラク派兵阻止闘争の突破口を切り開くものとして闘われた。
集会は、呼びかけ人あいさつとして高槻市議会議員の小西弘泰氏、森田充二氏から発言を受け、続いて、7・10小牧闘争の報告を婦人民主クラブ全国協の松野尾さんが行った。そして、7月15日の全国金属機械港合同のサンコー分会に対するデッチあげ「詐欺」罪弾圧に対する反撃のアピールをサンコー分会の組合員から受け、参加者全体で、この弾圧を粉砕する決意をうち固めた。
集会の基調を関西労組交流センターの松田勲代表が提起した。松田代表は、日帝・小泉が、公然と「殺されることもあれば、殺すこともある」と発言し、自衛隊がイラク人民に対して銃口を向け、イラク人民虐殺に自衛隊兵士を駆り立て、自衛隊兵士に「戦死」を強制しようとしていることを弾劾した。そして、この日帝・小泉によるイラク自衛隊派兵を阻止する闘いが、反戦共同行動委の最重要の責務であると訴えた。
次に、イラク現地で「人間の盾」として闘った高藪繁子さんがイラク侵略出兵阻止の特別アピールを行った。決意表明では、最初に部落解放同盟全国連荒本支部書記長の阪口克己さんが、瀬川委員長の後継者として東大阪市議会議員選挙に立候補する決意を表明し、全国連と部落解放運動の勝利、労働者階級との階級的共同闘争の発展をかけた一大決戦であると訴えた。さらに、部落解放同盟全国連寝屋川支部に対するデッチあげ弾圧粉砕のアピール、国労臨大闘争弾圧、サンコー分会デッチあげ弾圧に対する粉砕のアピールを受けた。
三里塚闘争勝利関西実行委員会呼びかけ人の山本善偉さんは、「一度目は過ちでも、二度目は裏切りだ」という栗原貞子さんの詩を引用し、侵略戦争絶対阻止の思いと闘いへの決起を熱烈に訴えた。関西反戦共同行動委事務局長の国賀祥司泉佐野市議がまとめと行動提起を行い、直ちに梅田OSビル前までのデモ行進に出発した。
デモ行進は、沿道の労働者市民の注目を集め、数人が飛び入り参加した。
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週刊『前進』(2112号3面3)
“侵略演習許さぬ” 宮城 海兵隊演習と対決
7月16日、宮城県・王城寺原での米海兵隊による155_榴弾砲の実弾砲撃演習開始に対して、みやぎ反戦共同行動委員会に結集する労働者・学生は、早朝より現地闘争を闘い抜いた。今回の演習は北朝鮮侵略戦争発動に向けた実戦演習だ。ここ数年の演習とも質を画する攻撃である。
集会では、東北大学学生自治会が基調を提起し、「朝鮮人民を虐殺するための実戦演習を絶対に阻止しなければならない」と決意を明らかにした。さらに、自治体や民間労働者が動員されていることを弾劾し、「有事立法の具体的発動だ。日米による北朝鮮侵略戦争を阻止しよう」と怒りを込めて訴えた。
続いて、東北大学日就寮の学生、みやぎ労組交流センターの労働者が発言に立ち、「現地住民と連帯して闘おう」「国会での自衛隊イラク派兵法案阻止闘争と一体的に闘おう」と力強く決意を述べた。
集会後、演習場ゲートに向かってデモを行った。現地住民が家から出てきて、手を振り声援を送った。
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週刊『前進』(2112号3面4)
資本の先兵=電機連合中央 奥田ビジョンに呼応して「強い日本を創れ」と叫ぶ
7月3日〜4日、電機連合は名古屋市で第51回定期全国大会を開催した。今回の大会は、昨年の第50回大会で決定された「21世紀を創る」と題した2年間の運動方針の補強案を論議する中間年の大会とされていた。だが、労働組合の大会と言うにはあまりに変質した方針が提起されたため、マスコミでも大きく取り上げられた。「電機産業職業アカデミー構想」と「裁量労働制の拡大」方針の提案がそれである。
民主党・連合の裏切りによる有事立法成立を先導した連合内IMF・JC(金属労協)の諸単産の中でも電機連合の変質ぶりは際立っている。新たな産業報国会と化した電機連合中央の路線を批判し打倒することは、戦争と大失業の時代の戦闘的労働運動の復権のために不可欠だ。日本経団連の「奥田ビジョン」と呼応した電機連合の裏切り路線を徹底批判する。
賃闘破壊に走る
電機連合の裏切りの第一は、連合内の先頭を切って賃金闘争の破壊・解体を推進していることだ。
03春闘で電機連合は定昇解体を最先頭で推進した。ペテン的な「ベアゼロ妥結」後、賃金制度そのものの破壊がどんどん進行している。松下、日立の定昇廃止、富士通、NEC、三菱の定昇圧縮と、大手で次々と進行している定昇制度解体攻撃がそれだ。このような攻撃は電機連合の承認抜きにありえない。
定昇解体は、戦後の賃金制度を破壊し、労働者階級全体を不安定雇用にたたきこみ、賃金の大幅切り下げをもたらす。電機連合は文字どおり連合下の春闘解体の先兵になった。この電機連合の裏切りを前提に、日本経団連の奥田は、「春闘終焉(しゅうえん)宣言」を打ち出したのだ。
電機連合のやっていることは、賃闘放棄ではなく、解体である。 賃金闘争としての春闘を「総合労働条件改善闘争」などと言い換えて否定し、それを「春闘改革」などと言って開き直っている。さらに、「職種別賃金」を打ち出し賃闘解体を路線化している。
「職種別賃金」とは、ヨーロッパ的な企業横断的な職種別の賃金をめざすものなどと言われている。だがそれは、@首切り自由の社会を前提にした賃金であり、資本の年功賃金制・終身雇用制解体を積極的に推進するものだ。A各職種における賃金差別を容認してその拡大を推進し、労働者間の競争をあおる団結破壊の賃金だ。Bアジアの労働者に低賃金を強制している資本と闘うのではなく、「アジアとの競争」を掲げて大多数の労働者の賃金の「途上国並み」水準への大幅引き下げを狙うものだ。このように電機連合の「職種別賃金」とは、徹底粉砕の対象なのだ。
「滅私奉公」強要
裏切りの第二は、「強い日本、強い企業、強い個人を創る」などというスローガンを労働組合の中心スローガンに掲げて、新たな産業報国会としての姿を鮮明にさせたことだ。
昨年の大会で、電機連合は「電機産業再生プラン」を提出し、それに基づいて今大会で「第6次産業政策」の策定を打ち出し、来年1月の中央委員会で決定するとした。その中身は恐るべき内容だ。
「電機産業再生プラン」は、「企業と国の競争力には乖離(かいり)が生じている」などと主張している。°企業は競争力があるのに国がだらしないから、国際競争で負ける″と言うのだ。そこから「強い日本を創る」という結論を導き出している。これを「新たな産業報国会」と言わずして何と言うか。この電機連合を先兵にJC各単産が連合内で有事立法賛成の推進派になっているのだ。
さらに、「プラン」では、°強い日本を創る、強い企業を創る、強い個人を創る″を産業政策の柱であるとしている。労働組合がここまで主張しているのだ。ここで言う強い個人とは、資本の先兵となって、「強い日本」のために「滅私奉公」する個人なのだ。
「下僕」になれと
裏切りの第三は、労組自ら労働者の首切りの先兵となり、労働者を資本の先兵に仕立て上げる「電機産業職業アカデミー構想」を打ち出したことだ。
「職業アカデミー」とは、労組主導で、組合員が各企業の教育研修設備を能力養成のために利用するというものだ。だが、実際に各企業で「教育研修」の名前で強制されているのは、「たこ部屋」に押し込められ、次々と課題を強制され、あげくの果ては「能力不足」のらく印を押されて退職に追い込まれる現実だ。この「教育研修」を労働組合が率先してやろうというのだ。
これは、教育労働者に対する「不適格教員」攻撃とまったく同じではないか。それは労働者に、「強い個人」というスローガンで権力・資本の下僕になれという強制であり、労働者同士を権力・資本への忠誠心競争に駆り立て、その先兵に仕立て上げようとする究極の団結破壊の攻撃だ。
この攻撃を「先行きが不透明な時代では、……自ら律して行うもの」と言って積極的に労組が推進するというのだ。これこそ「奥田ビジョン」に流れる「民主導・自立型」の主張そのものだ。
裁量労働制拡大
裏切りの第四は、今回の労基法改悪でも不十分と、裁量労働制の全ホワイトカラーへの拡大を提言していることだ。
電機連合は、今回の大会で、「新しい労働時間政策の確立に向けて」と題する中間報告を発表した。そこで裁量労働制の全面緩和を主張している。
裁量労働制とは、労働時間を実際に働いた労働時間で計るのではなくて、いくら働いても一定の労働時間働いたとしか見なされない制度であり、87年の労基法改悪で初めて導入された。これは、労働者階級が百年以上にわたる闘いでかちとった8時間労働制を解体し、労働者に無制限の奴隷労働を強制する大攻撃であり、労働者階級にとってそもそも絶対に認められない制度だ。
87年に導入された裁量労働制は、限られた専門業務にのみ認められ「専門業務型裁量労働制」と呼ばれている。裁量労働制を一般業務にまで拡大しようとしたのが、98年の労基法改悪で導入された「企画業務型裁量労働制」である。これは、反対運動が爆発したこともあって、導入の条件が前者よりは厳しくなっていた。このため導入件数が少なく、資本は規制緩和を求めてきた。
6月27日に成立した改悪労基法のポイントの一つが、この「企画業務型裁量労働制」の全面緩和だった。ところが電機連合は、今回の改悪を「評価できる」とし、さらに裁量労働制を拡大するために、「専門業務型」と「企画業務型」の区別をなくし、導入要件を規制緩和しろとまで言っている。つまり全ホワイトカラーに裁量労働制を拡大しろと言うのだ。
その背景には、「不払い残業」(いわゆるサービス残業)が月100時間をも超え「過労死」が絶えないという電機産別の労働現場の過酷な現実がある。そのあまりの激しさに、労基署等の摘発が相次いでいる。電機連合の裁量労働制拡大方針は、このすさまじい現実と一切闘わず、逆に資本を救済しようという徹底的に反労働者的なものだ。
消費税15%提唱
裏切りの第五は、消費税を10%アップし、15%にすることを「奥田ビジョン」に先だって提案していることだ。
電機連合は、昨年大会で「電機連合の社会保障政策」を提案し、1月の中央委員会で決定した。その内容は、公的年金は基礎年金のみとし、そのための財源に消費税10%をあてるというものだ。すなわち、消費税を現在の5%とあわせて15%にしろというのだ。
「この結果、厚生年金においては、会社も個人も保険料負担はなくなる」とは何たる言いぐさか。これこそ「奥田ビジョン」そのものではないか。
このように、昨年の大会から今年の大会をとおして最終的に確立されてきた電機連合中央の路線は「奥田ビジョン」と完全に一体である。奥田の求める労働組合の姿を先取り的に実践しているのが電機連合だ。
10月2、3日に開催される連合第8回大会は、有事法制下でのナショナルセンターの行方を決定する重大な大会だ。電機連合の新たな産業報国会路線を徹底批判し、連合中央打倒に攻め上ろう。
(湯村宏則)
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週刊『前進』(2112号3面5)
■横浜大会に向けて訴える■(4)
有事法制と自治体 改悪自衛隊法で協力強制
5・16連合見解をはねのけ「戦争協力拒否」貫く闘いを
自治体労働者は絶対認めぬ
6月6日の有事法制の成立を絶対に認めるわけにはいかない。自治体労働者に「戦争協力」の業務命令が出される。これに対して労働組合が「拒否宣言」をして労働者への「戦争協力業務」を断固としてはねつける。また民間の労働者の戦争動員を許さない。こうした力のある本当の労働組合を職場深部から早急につくりあげること、これが一切の回答である。
日帝国家権力やそれに屈服した自治体当局の強制から個々の労働者を防衛し、連合や自治労・自治労連中央の職場闘争圧殺をのりこえ、帝国主義の侵略戦争と排外主義に対決して、これを粉砕する労働組合をつくりあげ、守り育てていくことである。自治体労働者の総決起が求められている。
有事法制とは、地方自治体にとって、首相の「指示権」や「代行権」によって地方自治が完全に否定されてしまうことを意味する。
この戦争法の成立を許した最悪の者こそ、自治労中央が推薦している民主党である。そして「有事法制は基本的には必要である」との02年5・16見解を持つ連合中央である。自治労中央は、この連合見解を率先して推進したのだ。
しかし今、全国各地域の職場の労働者はこんな民主党に賛成し、連合中央の言いなりになっているだろうか。冗談ではない。職場の労働者は、米英のイラク攻撃と軍事占領に怒りを強めつつ、有事法制の成立に対し大きな危機感を持ち、新たな闘いの出発点として受けとめているのだ。
8月26日からの自治労第74回定期大会を、戦争協力の強制を許さない自治体労働者の職場からの怒りの発言で圧倒しよう。
全国自治体に6・13政府通達
政府は、6月13日付で全国の地方自治体に対して、「自衛隊法改定に基づく各法の特例規定の創設等について」なる「通知」を送付した。これは、有事法制成立に伴う地方自治体への大攻撃の始まりである。
この「通知」は第一に、改定自衛隊法第76条の「防衛出動」や第77条の2の「展開予定地域に防御施設を構築する措置」を命ぜられた自衛隊の部隊が、自治体などの「許可を要する行為」をしようとする場合でも、「自治体に対する協議を要せず、通知をもって足りる」とした改定自衛隊法を強調したものである。
すなわち、従来は地方自治体からの許可を受けるため、申請し、協議し、また届け出をする必要があった項目について、一方的に「通知」をするだけで足りるとしている。さらに自治体はその「可否」を言うことはできず、「自衛隊の部隊等の長に意見を述べることができる」だけなのだ(改定自衛隊法第115条など)。この「通知」は以上について「遺漏なき」ようにと、全国の自治体に強要しているのだ。
「通知」は第二に、「国家の緊急事態の際に出動を命ぜられた自衛隊の部隊が陣地等を速やかに構築できるよう、自治体は平時から自衛隊の各部隊との間で連絡調整を緊密に行い、災害防止、公共の安全の確保等に努めること」「自衛隊の部隊が行う通知は、電話やファックスもありうること。作戦に支障を及ぼす場合には、通知内容に含めないこと」などと言っている。「通知はする」と言っても重要な内容については知らせないのだ。
「公共の安全の確保」とは、自衛隊の出動と自治体施設の使用に対し、反対する者などは自治体の責任で取り締まれということだ。
これらの「特例規定」は、例えば「道路法の特例」では、「自衛隊が通行するために応急措置として行う道路工事」は、道路管理者への事後通知でよいとしている。これを始め、道路交通法、建築基準法、医療法、麻薬取締法、埋葬法、土地収用法、土地区画整理法、都市計画法、緑地保全法、河川法、海岸法、港湾法、都市公園法、自然公園法、森林法、漁港漁場整備法など、およそ地方自治体のほとんどの領域にかかわる法が該当している。
すなわち建設、都市計画、緑地、港湾、河川、公園、医療、衛生といった職場の自治体労働者が、まず自衛隊の出動への協力を強制されることになっている。さらに、広報や住民誘導などを担当させられ、全自治体労働者に拡大されることになっていくのだ。
自治体労働者が行うこととなる「自衛隊への協力」は、戦時出動や「武力攻撃事態が予測される」段階からだけではなく、「平時から連絡調整を緊密に」とっておくことが求められているのである。これらの攻撃が今後拡大されるのだ。職場の力ではね返していかなければならない。
20労組と動労千葉に続こう
今ほど本当の闘いが問われている時はない。「有事法制を完成させない。有事法制を発動させない。一切の戦争協力を拒否する」。陸・海・空・港湾労組20団体らの呼びかけで開かれた6・10日比谷野音5千人集会のこの「宣言」を、今こそ全自治体労働者のものとして取り組みを進めよう。動労千葉の6・28「戦争協力拒否宣言」に学び、これに続こう。
そして、自治労の闘う仲間は対政府交渉で有事法制の具体化についての追及を開始している。さらに6月28〜29日、神戸で開かれた「非核・平和条例を考える全国交流集会」で、闘う自治体労働者は、「どんな事態にあっても、いかなる戦争にも加担しないと宣言する」ときっぱりと決意を表しているのだ。
全国で闘う自治体労働者の同志の皆さん。職場労働者の先頭に立ち、労働者としてのあらゆる権利を守り、自治体リストラ攻撃と闘おう。国労5・27臨大闘争弾圧を許さない大きな闘いを職場からつくり出そう。20労組陣形の取り組みをさらに強化・発展させ、中央の闘いでの一層大きな発展をかちとり、自治体労働者が先頭となり、署名運動を闘う労働者・市民らとともに全国各地で自治体当局との交渉を強めよう。
中央本部のあらゆる制動をはねのけ、自治労全国大会での勝利をつかもう。
(自治体労働者 長谷川幸宏)
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週刊『前進』(2112号4面1)
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争へ “くり返すな侵略”今こそ
全国統一実行委が呼びかけ 全国から大結集を
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会が、有事立法とイラク新法の攻撃の中で迎える被爆58周年の8・6、8・9を前に以下の呼びかけを発した。これにこたえて総結集しよう。(編集局)
●くり返すなアジア侵略! ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを
6月6日、有事3法案(武力攻撃事態法案、安保会議設置法改正案、自衛隊法改正案)が、民主党の賛成によりまともな論議も行われず参院で可決、ついに国会成立しました。さらに小泉内閣は、米英軍の軍事占領を正当化し、「復興」という名で自衛隊を派兵する「イラク新法」を国会で強行成立させ、この10月にもイラクに自衛隊を派兵しようとしています。統一実行委員会結成以来「改憲と有事立法制定攻撃」が必至であり、それに立ち向かわなければ、新たな核戦争をくいとめることができないことを、私たちはこれまで全力で訴えてきましたが、いよいよその日がやってきたのです。
周知のとおり、3月20日、アメリカ・ブッシュ大統領は、「イラクの解放」を声高に叫び英軍とともにイラク侵略戦争を強行しました。イラク民衆に「ヒロシマ的心理効果を与える」ことを明言して、すさまじい空爆を行い、無差別にイラク民衆を虐殺する暴挙に踏み切りました。また大量の劣化ウラン弾を使用し、今なお多くの被曝(ひばく)者を生み出しています。フセイン政権は打倒され、現在、米英軍によるイラク軍事占領が始まっています。しかし、ブッシュがいくら「イラクの所有する大量破壊兵器を根絶する」などのデマを並び立てても、この戦争の本質が石油利権の再収奪と新たな中東支配にあることは明白です。すでに、イラク民衆は、激しい反米闘争に起ち上がっています。
さらに、ブッシュは、イラクやイランとともに「悪の枢軸」と名指しで非難した北朝鮮に対する侵略戦争に踏み込もうとしています。北朝鮮への侵略戦争計画「5027−03」では、地下深くの軍事施設を破壊するための小型戦術核の使用にも言及しています。
一方これに呼応して日本の小泉首相は、憲法9条を始めとした戦後民主主義を完全に破壊する有事3法案を成立させ、「先制攻撃のおそれ」を北朝鮮に適用して朝鮮への武力行使に踏み切ろうとしています。「軍隊は民衆を守らない」というオキナワの血の教訓を踏みにじり、ヒロシマ・ナガサキの被爆者を英霊化し、侵略戦争に動員され死んでも靖国に祀(まつ)られることを名誉と思えと、小泉首相は日本の労働者民衆を再びアジア侵略戦争に動員しようとしています。また、ビキニ被曝者の存在を抹殺して「原子力の平和利用」を推進し、さらに六ケ所核燃施設の本格稼働と核燃料サイクルの確立による核武装の攻撃に踏み込んでいます。
憲法の番人であるはずの司法もこうした侵略戦争突入と軌を一つにして、危険な方向に踏み出しました。「共謀罪」新設をはじめとして「組織犯罪処罰」という名の基本的人権・団結権を侵害する攻撃を主軸とする「司法改革」が「この国のかたち」の最後の要として登場しているのです。
全国統一実行委員会は、こうした戦争突入と国家総動員体制・治安弾圧の強化という歴史を画する重大な攻撃のただ中にあって、「くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを」という確立されたメインスローガンに加え「有事立法粉砕・イラク新法阻止、日本の核武装阻止・小泉戦争内閣打倒」を鮮明にして闘い、切迫する北朝鮮侵略戦争(核戦争攻撃)を何としても阻止する決意です。右翼による広教組への銃撃を弾劾し、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争にともに起ち上がりましょう。
8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争呼びかけ人
本島等(元長崎市長)、知花昌一(反戦地主・読谷村議)、吉田義久(相模原反核市民の会)、三角忠(三一書房労組)、下田禮子(反戦被爆者の会)、坂井留吉(核燃から漁場を守る会)、大野康平(弁護士)、佐藤芳夫(元中立労連議長)、桜井善作(月刊小新聞『野火』発行人)、高實康稔(長崎大学教授)、入江史郎(ス労自主委員長)、大石又七(第五福竜丸元乗組員)、高山俊吉(弁護士)、結柴誠一(杉並区議)
8・6−8・9反戦反核闘争日程
主催 8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
8月5日(火)
ヒロシマ反戦反核の集い
午後5時開場 アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
◎特別講演「朝鮮民主主義人民共和国には原爆は作れない」
小出裕章さん(京都大学・原子炉実験所)
◎ヒバクシャは訴える「ビキニ被曝と日本の核政策」
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
◎米の反戦団体・ANSWER代表からの発言
8月6日(水)
小泉首相出席弾劾! 祈念式典糾弾デモ
午前7時 広島市中区・東千田公園
核廃絶・被爆者解放・小泉来広糾弾集会
午前9時30分 アステールプラザ
8・6ヒロシマ大行動参加(要項別掲)
8月7日(木)
陸のフィールドワーク〜佐世保基地 午後2時 長崎県佐世保市
8月8日(金)
海のフィールドワーク〜軍艦島(端島)ツアー 午前10時30分 長崎市
長崎・中心地デモ 午後3時 長崎市・中央公園
被爆58周年8・8長崎反戦集会
午後5時 長崎県勤労福祉会館大ホール
8月9日(土)
爆心地・長崎市内デモ 午前10時・天主公園
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被爆58周年
再び戦争をくり返すな!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(水)正午
広島県立総合体育館・小アリーナ(広島市中区基町4の1)
◆被爆者の訴え
石田明さん(「7・5ヒバクシャの集い」発起人)
大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
詩の朗読 栗原貞子さん(詩人)
◆世界の反戦運動との連帯
韓国・中国からの訴え
アメリカ−ANSWER連合
◆有事法制を拒否する労働者
村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)
◆沖縄からの訴え
◆広島の決意
教育基本法改悪とたたかう教育労働者
湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)
栗原君子さん(元参議院議員)
ヒロシマから世界へ〜若者のヒロシマアピール
デモ行進(午後3時出発〜5時平和公園解)
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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週刊『前進』(2112号4面2)
ビキニ被曝 大石さんが講演 東京で反戦反核の集い
8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会主催の「イラク派兵法案反対、核戦争を許すな!7・20反戦反核の集い」が20日、東京・杉並の高円寺会館で開かれた。午前中からイラク写真展や731部隊細菌戦写真展が行われ、反原発・反核燃コーナー、物販や書籍コーナーも盛況だった。
ドキュメンタリー映画「ヒバクシャ−世界の終わりに」(鎌仲ひとみ監督)が上映された。98年イラク・バスラの病院での白血病の少女との出会いから湾岸戦争後の劣化ウラン被害を説き起こし、広島・長崎の被爆者、さらには米ワシントン州のハンフォード核施設によるヒバク実態を追った力作。
全国被爆者青年同盟の司会で始まった集いには、約200人が参加。全国統一実呼びかけ人の桜井善作さんが「小泉政権を倒して戦争のない世界に」と主催者あいさつ。各界からのアピールでは、「二度と戦争は許さない!<戦争体験者杉並100人の声>の会」から沖縄戦体験者が「二度と絶対に戦争を起こしてはならない」と語った。
展示を行った団体からのリレートークの後、大石又七さんの講演に入った。54年3月1日、当時20歳だった大石さんが乗っていたマグロ延縄(はえなわ)漁船、第五福竜丸はビキニ環礁で行われた水爆実験の「死の灰」を浴びた。この時の水爆は広島原爆の千倍もの破壊力だった。
米ソが核開発競争を進めていた54年、ビキニ事件は大きな波紋を呼び、翌55年にかけて日本での核実験反対署名は3200万人に上った。しかし日本政府はわずか7億2千万円の見舞金で政治決着を図った。日本政府はアメリカと取引し、原子力発電所の建設へと道を敷いたのである。第五福竜丸が被爆した54年3月に国会では初の原子力発電予算が通過していた。
質疑応答で東海村JCO事件について聞かれた大石さんは、「起こるべくして起こった事件。ビキニ事件で核の怖さを知ったのに、それを握りつぶしてフタをした政府に責任がある」と断罪した。
特別報告の航空労組連絡会副議長・村中哲也さんは「有事立法を止められなかったのは事実だが、だから私たちの運動が無力だったというのは正しくない。廃案を求めて闘い続けてきた日本の運動は、若者たちの登場など新しい波となり、労働組合も20労組とともに闘う戦線として広がった」と総括、「新しいより強い連帯のもとで闘いを繰り広げたい」と力強く語った。
広島・長崎派遣団からカンパと参加の訴えがあり、呼びかけ人の吉田義久さんが集会のまとめと団結がんばろうを行った。イラク派兵阻止とともに東京での反戦反核闘争の新たな展望を切り開いた集会となった。
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週刊『前進』(2112号4面3)
〈投稿〉 7・5ヒロシマ ヒバクシャの集い “ブッシュは広島に来て謝罪せよ”
7月5日、広島市中区の爆心地近くの広島県民文化センターで、「今こそヒバクシャの心を一つにして、核兵器の廃絶をヒロシマの地から」との呼びかけに、400人もの被爆者が参加して「ヒロシマ ヒバクシャの集い」が開かれた。
米帝ブッシュは、今年3月20日、「ヒロシマ的心理効果のある先制攻撃」を行うと宣言し、残虐なイラク侵略戦争に突入した。
この迫り来る核戦争の危機に対して、被爆地広島の被爆者の怒りの決起が始まった。既存の組織の枠を越えて、すべての被爆者に対して直接の呼びかけが発せられ、400人もの被爆者が、高齢と原爆症の病身を押して立ち上がった。
発起人の石田明氏(全国原爆被爆教職員の会会長)は、「私たちは良くぞここまで生きてきました。しかしもう時間はありません。広島、長崎に原爆を投下し多くの人を殺りくし、今また核戦争を繰り返そうとしているアメリカ大統領ブッシュに謝罪を求めます」とあいさつした。
集会の第一部は、「構成詩 ヒロシマから未来へ」として、合唱、朗読、講談が演じられた。
第二部は「対話 ヒバクシャの誓いと訴えと」。原爆症認定集団訴訟原告団長は「私たちはいつ死んでもおかしくない。58年の被爆人生をかけた最後の平和運動をします」と決意表明。
韓国在住の韓国人被爆者、ブラジル在住の被爆者から日本政府の在外被爆者に対する無視・抹殺政策に対する糾弾がなされた。
被爆二世が「今日の心を大切に、私たちも親の闘いを引き継いでいきます」と決意表明した。ブッシュに対し「平和公園の慰霊碑の前で、原爆投下を謝罪し、つぐないとして核兵器を直ちに廃絶すること」を要求する集会アピールが満場の拍手で採択された。これを8・6−8・9反戦反核闘争へと引き継ぎ発展させねばならないという、身の引き締まるような思いで、会場を後にした。
(全国被爆者青年同盟 池田民雄)
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週刊『前進』(2112号4面4)
7・15呉 補給艦など出兵を弾劾
7月15日、広島反戦共同行動委員会は海上自衛隊呉基地からの補給艦「とわだ」・護衛艦「あさぎり」のインド洋出兵を弾劾して闘った。今回の2隻の艦艇の出兵は、イラク派兵新法を先取りするものだ。
午後1時、停泊する「とわだ」「あさぎり」の直近の「アレイからすこじま公園」に闘う労働者学生が結集、直ちに港いっぱいにとどろき渡るスピーカーからシュプレヒコールをたたきつけた。「侵略出兵を許さないぞ!」「自衛官は石油のために血を流すな!」
さらに、広島大学の学生が、自衛官に出兵拒否をよびかける熱烈なアジテーションを発した。
午後3時、「とわだ」と「あさぎり」は黒煙を吹きながら出港を始めた。闘う労働者学生はさらに熱のこもったシュプレヒコール。
海自呉基地には、強襲揚陸艦が「おおすみ」「しもきた」「くにさき」と3隻配備されている。日本政府は、イラク派兵新法を成立させ、この9月にも呉基地から「おおすみ」型艦艇を出兵させようとしている。8・6反戦闘争を大成功させ、侵略出兵を許さぬ反撃をたたきつけよう!
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週刊『前進』(2112号4面5)
(5)
北朝鮮侵略戦争
「悪の枢軸」叫んで政権転覆 南北統一の闘い圧殺も狙う
米帝の歴史的没落と世界支配力が衰退する中、1990年代初めにソ連と東欧のスターリン主義が崩壊した。これによって帝国主義とスターリン主義によって抑圧されてきた被抑圧民族の民族解放闘争が爆発を開始し、新植民地主義体制諸国の崩壊的な危機が帝国主義の支配の破綻(はたん)を生みだしている。これらの諸国の争奪と支配をめぐって、帝国主義が分裂と抗争に突入している。
「核開発」を口実に先制攻撃
この中で米帝はイラク・中東に続いて、朝鮮・中国−アジアを大再編する侵略戦争を発動し、世界大恐慌の時代における市場・資源・勢力圏の奪い合いを制しようとしているのだ。
米日帝国主義は、5月23日の日米首脳会談で、北朝鮮の核開発計画について「完全に検証可能で不可逆的な廃棄以外に何も受け入れない」ことを確認し、北朝鮮が事態を悪化させれば「さらに強硬な措置」「一層厳しい対応」をとることで一致した。米日帝は昨年12月から北朝鮮への重油供給をストップし、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設をも中止に追い込もうとしている。
米帝は、北朝鮮に核開発計画を放棄させるための「話し合い」はするが「交渉」はしないという態度を明確にしている。クリントン政権のように北朝鮮を「封じ込める」のではなく、先制攻撃で軍事的に政権を転覆する方針へとはっきりと転換したのだ。
米帝ブッシュは、世界大恐慌過程への突入と9・11反米ゲリラ戦争が突きつけた米帝の世界支配−階級支配の危機の中で絶望的に凶暴化し、次はイラクとともに「悪の枢軸」と名指ししたイランや北朝鮮を先制的に攻撃し、体制転覆を図ろうとしている。
これに対し、北朝鮮はスターリン主義としての延命をかけて反人民的な核武装路線で対抗することを必死で追求し、朝鮮人民の民族解放闘争、世界人民の国際反戦闘争に敵対している。米帝は、この北朝鮮の体制延命のための「核開発」を絶好の餌食に、先制攻撃を正当化しようとしている。
対日・対中国戦略をも貫く
同時に米帝は、北朝鮮の核武装路線を放置すれば、日帝の核武装と軍事大国化、独自の北朝鮮政策を引き出してしまうと考え、先制攻撃で粉砕しようとしているのである。
さらに米帝は、北朝鮮スターリン主義の危機と崩壊が朝鮮人民の南北分断体制打破・革命的統一の闘いを爆発させ、それが中国人民の民族解放闘争の爆発を引き起こすことに恐怖している。だから米帝は、すでに崩壊過程に突入した朝鮮の南北分断体制さえも予防反革命的に破壊して、朝鮮人民を大虐殺し、民族解放闘争を圧殺しようとしている。そして朝鮮半島全体を再制圧・再植民地化しようとしているのだ。
米帝はこの侵略戦争に日帝を補完的に動員し、米帝の世界戦争戦略に組み込もうとしている。そして米帝はこの北朝鮮侵略戦争を突破口に、中国スターリン主義の転覆・取り込みに向けた橋頭保を築こうとしている。そして日帝など他帝国主義のアジア権益を奪い、日帝の勢力圏化を阻止し、排他的なアジア支配を確立しようとしているのだ。
これに対し、日帝はこれまでアジアに築き上げてきた権益のすべてを失い、帝国主義としてたたきつぶされることを恐れ、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に食らいつき、侵略帝国主義へと絶望的に飛躍しようとしている。日帝はこれを自らが行うべき戦争として積極的に参戦し、奥田ビジョンが示した「東アジア自由経済圏」構想に突き進もうとしているのだ。
米日帝は有事3法が成立したことで、北朝鮮侵略戦争に向かって本格的にカジを切った。北朝鮮侵略戦争の恐るべき切迫情勢を見すえなくてはならない。
作戦計画改定と米軍再配置
米帝は対北朝鮮の即応体制を強化しており、いつでも先制攻撃に踏み切れる態勢にある。
3月4日から4月2日にかけて、軍事境界線一帯を始めとする南朝鮮地域で、米韓合同軍事演習「フォールイーグル」と「連合戦時増員演習」が行われ、大規模な強襲揚陸訓練や渡河訓練などが行われた。寧辺(平安南道)を想定した原子力施設破壊の秘密訓練も行われた。日本海ではこの演習と背中合わせで日米合同演習が行われた。米軍は演習に投入されたF117ステルス6機とF15E戦闘機1個大隊をそのまま韓国に継続駐留させることも明らかにした。
重大なことは、「作戦計画5027」を急きょ改定し、長期化するイラク軍事占領と並行して行える軍事作戦を立案し、在韓米軍の再配置を急いでいることだ。
「作戦計画5027」は1992年に作成され、2年ごとに改定されてきた。98年改定版である「OP5027−98」では、北朝鮮の攻撃の「兆候」をとらえて、米韓連合軍司令部との協議なしに、米太平洋軍司令部の判断だけで北朝鮮を先制攻撃できるとし、「占領統治」段階まで新たに設定した。しかし50万人を超える大規模兵力を投入した作戦の基本骨格は一貫して変わっていない。
それを今、抜本的に改定している。それは@北朝鮮の核関連・ミサイル施設への先制攻撃、ADMZ(非武装地帯)付近に集中した北朝鮮の多連装ロケット砲や自走砲などの戦力と特殊部隊を徹底的に破壊する空爆作戦、B韓国軍を主力とした北朝鮮の全土を制圧する地上戦などの作戦から組み立てられ、しかも「戦術核兵器」使用のオプションが含まれているという。
6月4日、ボルトン米国務次官が段階的な措置として北朝鮮への先制攻撃の可能性を提示し、11日には、パール元国防政策委員会議長が、寧辺の核施設破壊だけを狙った攻撃を示唆した。
ラムズフェルド国防長官は、「軍事境界線付近に集中している在韓米軍の地上軍を半島南部へ後退させたい」として、在韓米軍の再配置を進めている。すなわち在韓米軍を北朝鮮の火砲の射程外である漢江以南の烏山、平沢基地まで後退させ、まずは先制的な大規模空爆作戦で北朝鮮の軍事力に壊滅的打撃を与えようというのだ。米帝は本気なのだ。
日帝は北朝鮮排外主義を激化させ、マンギョンボン号の「入港阻止」のように事実上の経済制裁をどんどん発動している。そして1千人規模の自衛隊を戦場に突入させ、民族解放闘争圧殺の侵略軍・虐殺軍にしようとしている。自衛隊のイラク派兵阻止闘争を全力で闘おう。北朝鮮への排外主義と対決し、「国民保護法」「米軍支援法」を阻止しよう。
(早乙女優)
★世界の軍事費の比較(2000年度「世界国勢図解」より)
1位 アメリカ 2947億j
2位 ロシア 588億j
3位 日本 444億j
4位 中国 412億j
5位 フランス 343億j
6位 イギリス 339億j
7位 ドイツ 282億j
…
韓国 125億j
…
北朝鮮 20億j
イラク 15億j
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週刊『前進』(2112号4面6)
7月15日〜22日
「犯罪は日教組が原因」と森 米指令官「古典的ゲリラ戦」
●イラク戦費、予想の2倍 米軍がイラク侵略戦争で費やした経費は、駐留の長期化などで9月末までの03会計年度中には580億jとなり、当初見通しの約2倍に達することが明らかになった。(15日)
●「ゲリラ戦」と中央軍司令官 米中央軍のアビゼイド新司令官が、イラク国内で続く米軍への攻撃について「古典的なゲリラ型の軍事作戦だ。低強度の紛争だが、これは戦争だ」と述べ、事態が「ゲリラ戦」になっているとの認識を初めて示した。(16日)
●イラクの米兵、公然と軍上層部批判 イラクに駐留している米陸軍第3歩兵師団の兵士が米ABCテレビのインタビューで、「ラムズフェルド国防長官がここにいたら、辞任を求めるだろう」「人びとを助けたいと思っていたが、もうどうでもいい」など、軍上層部に対する批判を公然と行った。(16日)
●イラク派兵の死亡給付、最高1億円に 防衛庁は、イラクへ派兵された自衛官が公務中に死亡した場合、遺族に支給する「功労金」の最高額を現行の7000万円から1億円に引き上げる方針を固めた。(16日)
●石原が中国人敵視の差別暴言 石原都知事が自民党本部での講演で「東京で発生する犯罪で圧倒的に割合が多いのはシナ人(による犯罪)だ」と中国人への蔑称を使って暴言を吐いた。(17日)
●不発弾で子ども1000人死傷 国連児童基金(ユニセフ)がバグダッドで記者会見し、フセイン政権が崩壊した4月9日以来、廃棄された武器・弾薬、不発弾の爆発などにより、イラク全土で1000人以上の子どもが死傷したと発表した。(17日)
●イラク派兵法案の参院公聴会 参院外交防衛委員会がイラク復興支援特措法案について中央公聴会を開いた。(18日)
●「情報源」の英科学者死亡 英政府がイラクの大量破壊兵器の脅威を誇張した疑惑をめぐって、フーン国防相がBBCの「情報源」と名指した微生物学のケリー博士の遺体が発見された。(18日)
●米兵の戦死者、湾岸戦争超える イラク駐留米軍によると、イラクでの攻撃による米軍の死者は、3月の開戦時からの累計が148人となり、91年の湾岸戦争の総計147人を超えた。(18日)
●米軍4施設返還合意 横浜市内の米海軍4施設の返還に関する日米合同委員会の部会が開かれ、米軍池子住宅地区に約800戸の住宅を代替建設することを条件に4施設(約300f)の返還を合意した。(18日)
●日英首脳会談 ブレア英首相が訪日し、小泉首相と会談した。イラクで大量破壊兵器がいまだに発見されていない問題には言及せず、両首相とも戦争の正当性を強調した。(19日)
●森前首相「日教組に作られた人格が犯罪」
自民党の森元首相が講演で少年による凶悪犯罪について「その子どもたちの両親、教師の世代は組合運動が盛んだった。分かりやすく言えば、日教組、そういう人たちに作られた人格だ」と述べ、問題の背景には日教組の存在があるとのデマを吐いた。(19日)
●空中給油機、小牧配備へ 防衛庁は07年3月に完成する空中給油機の配備先を航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)に内定し、地元へ打診していたことが分かった。(19日)
●イラク派兵「反対」55% 朝日新聞社が実施した全国世論調査によると、イラクへの自衛隊派兵について、反対が55%で、賛成の33%を大きく上回った。前回の6月調査に比べ、反対が急増している。(21日)
●イラク派兵、米軍支援を再検討 防衛庁は陸自のイラク派兵について、米軍支援策を中心に検討していた計画案を白紙に戻し、イラク国民を対象とした「人道復興支援」を軸に検討し直す方針を決めた。(22日)
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週刊『前進』(2112号5面1)
9月 東大阪市議選に決起し阪口克己氏の必勝かちとれ
解同全国連と連帯して闘おう
来る9月21日投票の東大阪市議会議員選挙必勝へ、全党・全人民の総決起を訴える。今度の選挙には定数50に対して62人が立候補する予定である。部落解放同盟全国連合会荒本支部は、今度の市議選に瀬川博・全国連委員長の後継者として阪口克己・同支部書記長を擁立して初挑戦する。激化する侵略戦争と大失業、生活破壊、差別、治安弾圧の攻撃と真っ向から対決し、既成政党を打ち破って、絶対に勝利しよう。日帝への怒りをバネに立ち上がる東大阪の住民、そして解同全国連と固く連帯して闘おう。
さかぐち かつみ氏
1961年6月28日生まれ、42歳
◆反戦・反核、平和と暮らしを守る東大阪市民の会事務局長◆東大阪国保と健康を守る会事務局長◆住民医療と診療所を守る会事務局長◆NPOピース(介護・移送ボランティアの組織)理事長◆荒本地区消費生活協同組合副理事長◆部落解放同盟全国連合会荒本支部書記長
部落解放闘争の命運かかる
瀬川委員長の5期20年に及ぶ偉大な闘いを継承して闘われるこの選挙戦は、わが革共同にとっても、全国連にとっても、絶対に負けることが許されない闘いである。敗北は部落解放闘争と日本プロレタリア革命の砦(とりで)を失うことを意味するのだ。
吹き荒れる戦争と反動、差別と排外主義の嵐(あらし)に対して、4月選挙以上に、今次市議選において闘う部落大衆、労働者人民を激しく鼓舞する勝利、革命的情勢への移行を促進する勝利をなんとしてももぎとらなければならない。日帝・小泉の有事法制、イラク・北朝鮮侵略戦争攻撃、大資本攻勢や生きる権利の剥奪(はくだつ)に対して、〈反戦と介護・福祉〉を軸に、それと真っ向から対決する革命的な大衆行動として選挙戦を闘いとらなければならない。
いまや、帝国主義の危機の全面的爆発の中で、大衆自身が生きんがために自主的に決起する情勢、「上層」も「下層」もこれまでどおりにはやっていけなくなり、被抑圧階級の貧困と窮乏が激化し、不満と憤激が爆発的なものになり、労働者人民の活動力が著しく高まり、自主的な行動に引き入れられる状態――まさにレーニンのいう「革命的情勢」の急速な接近が、新たな侵略戦争の開始、帝国主義世界戦争突入の前段的過程において、われわれの眼前に展開されている。
労働者人民は、「9・11」の衝撃のもとで、侵略戦争と大資本攻勢という一個二重の攻撃に対決して、反戦デモや経済闘争に壮大な規模で立ち上がりつつある。権力の弾圧や、既成指導部、反革命の制動を突き破って、自主的行動、新たな革命的大衆行動に決起し始めているのである。この趨勢(すうせい)はけっして変わることはない。
われわれは、こうした立ち上がりつつある労働者人民の行動を自ら先頭に立ってとことん促進しつつ、その自己解放性を信頼し、階級的成長を援助し、勝利の方向性を正しく提起して、戦争と抑圧の根源である帝国主義の打倒にむかって導かなくてはならない。
今次東大阪市議選をわれわれはこうした戦争情勢下の大衆行動の重要な一環として、既成政党との激しい党派闘争として、数千の規模で労働者人民大衆を帝国主義に対する内乱に組織する闘いそのものとしてかちとらなければならない。
今次東大阪市議選の第一の意義は、何よりも全国連の総本山としての荒本支部を防衛・強化し、荒本支部を21世紀の部落解放運動の拠点として、5万人組織建設の司令塔として、そしてまた、プロレタリア革命の砦としてうち固めることにある。
いまや、全国の部落では本部派の崩れの中で、差別事件の激増、部落大衆の無権利化と窮乏化が、ますます耐え難いほどに広がっている。選挙闘争は選挙戦への地域の総力をあげた取り組みの中で、こうした攻撃を跳ね返す部落の新しい団結の姿をつくり上げる挑戦そのものである。住宅や医療・介護など個々の具体的要求のために立ち上がった人びとが、具体的な要求の実現のためにだけでなく、要求の背後にある部落差別の現実と闘うことを自覚し始め、自分たちの運動がそれぞれの要求をこえて、部落差別の撤廃を掲げなくてはならないことに目覚めていくこと、この自覚が全国連に結集するために必要な、最も大事な要素である。この自覚を、選挙闘争という白熱的な大衆行動の中で、より多くの人びとや、より広範な部落大衆に広めることが選挙勝利の核心問題であり、それはそのまま全国連づくりになるのである。
それは何よりも荒本支部の全支部員が総決起し、「法」打ち切り以降の新たな階級的団結をうち立て、5万人組織建設を牽引(けんいん)する主人公に成長する闘いであり、全国連荒本支部の手で、処分問題以来の20年来の村の分裂に最後的な決着をつける情勢を激しく切り開く闘いなのである。
さらに、今次の東大阪市議選は国労5・27臨大闘争弾圧、全国金属機械港合同サンコー分会弾圧と一体のものとしてかけられた5月の寝屋川支部弾圧をうち砕く闘いである。
寝屋川支部弾圧は、「全国連罪」ともいうべきものを発動して、差別糾弾闘争を基軸とした全国連の三大闘争すべてを治安弾圧の対象とし、全国連と部落解放闘争を根絶しようとする日帝の階級闘争撲滅攻撃の一環である。選挙戦そのものがこの日帝・権力の全国連つぶし攻撃との白熱的攻防の渦中で、それと真っ向から対峙しつつ、日々闘いぬかれている。われわれは市議選必勝をかちとり、寝屋川弾圧を突破口とした有事立法下の新たな全国連解体策動を決定的に粉砕しなければならない。
生活苦と闘う人々の怒りを
今次市議選の第二の意義は、革共同の6回大会路線に基づく革命的議会主義の実践として、荒本支部を人民的砦とする住民大衆主体の選挙戦として勝利をかちとる闘いだということである。
これまで瀬川委員長を支持してきた過半の人びとが、階級社会の矛盾を一身に背負った低所得者層や、深刻な生活不安を抱えた高齢者であり、今もなお帝国主義の反動政策の犠牲を一身に受けながら必死に耐え、そして生きている人びとである。
前回選挙以来、この4年間に階級情勢は一変した。中小零細企業が密集する52万都市・東大阪市には恐慌情勢下の日帝の全矛盾がしわ寄せされ、労働、医療・福祉、教育、住宅、税金・保険などあらゆる生活場面で労働者人民は生き血を搾り取られるような塗炭の苦しみを味わわされている。いまや市全体が「怒りの坩堝(るつぼ)と化している」と言って過言ではない。
「年金を60歳からもらっている。満額かけていないので、2カ月で5万円しかない。お金がかかるので医者にはかかれない。金がない者から搾り取り、金のある者は優遇するというのは矛盾している。このまま死んだら『国に殺された』と壁に張りたい。今はまだいいが、これ以上悪くなると暴動が起きると思う」
この怒りの叫び声は、けっして例外ではない。59円のラーメン1袋で食事を済ましたり、3度の食事を2度に減らして必死に歯を食いしばって生き抜いている高齢者や、一銭の補償もなくリストラされた労働者が口々にわれわれに怒りをぶちまけている。
われわれはこうした労働者階級の下層を構成する支持者の訴えを全身で受けとめ、かつそうした人びとこそが社会の主人公として堂々と誇りをもって生き、そして闘うことができることを、今回の選挙戦の中で、これまでのどの選挙にもまして鮮明に指し示しながら闘っていかなくてはならない。
また、これらの人びとは、自分と同じように苦しみ、同じ要求を抱えた人びとと団結することの喜びを知ったならば急速に階級的自覚を取り戻すことができるし、選挙闘争で底知れぬほど大きな力を発揮することもできるのである。
われわれは、東大阪全域に散在するこうした人びとを、あたかも一個の地域合同労組の組合員のように見立てて、これらの人びとの要求に耳を傾け、運動を組織し、横のつながりと団結を強め、数千の支持票を強固な組織票へと育てあげなくてはならない。この中心に位置する「拠点分会」がまさに荒本支部であり、合同労組委員長が阪口克己、つまり候補者なのである。
今回の東大阪市議選は、以上のように荒本支部を砦として、全市に散在する支持者をわれわれが媒介となって強固に結びつけ、共通の要求、共通の権利のために団結しながら、大きな大衆的政治行動の嵐を巻き起こしていくこと――これこそが最大の課題である。
選挙戦の主体は住民自身だ
これまで党の選挙闘争といえば、党の選挙綱領や政治路線への支持を組織し、それを候補者への投票行動へと組織することが基本的闘い方であった。こうした党の選挙綱領や政治路線への支持を組織するということは、同時に住民自身の階級的組織化と革命的大衆行動への決起と一体のものでなくてはならない。
選挙闘争をこのように一個の政党としての綱領、基本路線の成否をかけた闘いとして位置付け、人民の支持を組織する一方で、住民の本来の意味での自己決定権の行使として選挙闘争を位置づけ、住民自身の大衆的政治行動を組織しながら闘うというところに、実は他党派(共産党、公明、社民)と異なるわが党の圧倒的な優位性がある。党の革命的議会主義とは、階級・大衆(住民)の自己解放的決起の要素を最大限に引き出しつつ、革命的議員と大衆の行動を渾然(こんぜん)一体のものとして巻き起こし、大衆の自己決定権の実現をはかる闘いをいうのである。
とくに今回の東大阪市議選は、これまでの5期20年間の瀬川委員長の闘いの中で蓄積されてきた強力な支持者の存在と要求に着目し、これらの人びとの要求を全住民の要求へと高め、候補者(阪口克己)を住民要求の代表者として市議会に送り出す闘いである。われわれは強力な支持者オルグの中で人びとの生活の実態に深く切り込みながら、これらの人びとが抱える生活の切実な要求を掘り起こし、その階級的自覚を促しながら大衆行動の主人公として登場できるように、粘り強く働きかけ続けなくてはならない。
その場合に重要なことは、こうした強力な支持者たちが、生活上の要求を要求として自覚できない困難を強制されていることである。要求を要求として自覚し、権利を権利として自覚することは、いわば階級的自覚の第一歩と言えるものである。だが、労働組合運動や学生運動、住民運動などの経験がなければ、自分の生活の困難を自覚的にとらえ返したり、政治的にとらえたりすることはほとんど不可能なのである。
だが、住民に要求がないわけではないのだ。要求の実体はあるが、要求の自覚がないのである。権利意識、権利の自覚がないと言ってもよい。今回の選挙では、強力な支持者でありながら要求の自覚のない人びとにどう切り込み、どう要求を自覚させていくのかが大きなテーマである。
これらの人びとは、労働条件、失業・雇用、医療・福祉、介護、年金、保険、住宅、教育、子育て、環境・食品公害などあらゆる領域で、帝国主義の切り捨て攻撃や資本攻勢を受け、塗炭の苦しみの中で生活しているのである。だから、そもそも要求がないなどということはない。
したがって、こうした人びとの生活実態に切り込むような質問を次々と行って、要求の存在を正確につかまなくてはならない。そして、住民の訴えに耳を傾けながら、同時に、個人の要求といえどもその要求を国家や市行政に対して主張することがまったく正当な権利であることを、熱烈に説得しなくてはならない。こうして大衆運動が必ずたどる〈要求〉〈権利〉〈団結〉〈組織〉〈行動〉の発展プロセスの第一歩を、住民大衆が確実に歩みだすことができるように強く働き掛けなくてはならないのである。
要求と権利の自覚、そして「要求と権利の代表者=阪口克己を議会へ」が今次選挙闘争の核心点である。
網の目のような懇談会を
また、何よりも5期20年の闘いの中で築いてきたつながりを生かしきって、各地で懇談会を網の目のように組織することに挑戦しなければならない。
住民自身の切実な要求の訴えに深く耳を傾け、そこから真剣に学ぶと同時に、住民の生活の実態に根ざした要求が正当な権利であること、この住民の要求と権利は大政党頼みでは絶対に実現されず、住民自身の行動(住民の自己決定権の行使)と、それと一体となった革命的議員の闘いとが結びついてこそ闘いとることができることを熱烈に扇動しなくてはならない。そして候補者の立候補の意思と、住民の切実な生活要求・権利の要求とが完全に一体のものであることを、住民全体の総意で確認していくのである。
荒本支部を東大阪の人民運動の拠点に
重要なことは阪口候補が単なる個人として立候補しているのではなく、荒本支部という部落解放運動の大拠点を背景にして、その全地平を背負って立候補していることである。住民にとってそれは、大きな力として映ることになる。住民の要求と権利の自覚を促していく場合、荒本支部の運動との結びつきの契機が、決定的に重要なのである。
本来こうした〈人民運動の砦〉は労働運動でなければならない。しかし、こうした戦闘的労働運動の勢力が東大阪で生み出されていない現状では、荒本支部という部落解放運動が、(プロレタリア革命闘争の過渡性に規定されて)労働者階級が本来果たさなくてはならない先駆的指導性を引き受ける、ということもありうるのである。
むしろ荒本支部という人民拠点が切り開いた運動の地平のもとに労働者階級を引きつけ、彼らの運動をつくり出していくことが最も現実的な道筋とも言えるのである。
今回の東大阪市議選は、こうした階級闘争的諸関係のもとで、荒本支部が労働運動を始めとした人民運動の機関車となって登場することによって、東大阪における全市的な人民運動の統一戦線を強大な形でつくり上げる挑戦である。阪口候補はその代表者であり、リーダーなのである。
〈団結〉を組織し絶対勝利へ
選挙戦をどう闘うか。
第一に、住民の切羽つまった生活危機が個人の問題ではなく、労働者階級人民が直面する普遍的問題であることをまずもって明らかにすることである。住民大衆の要求の自覚、権利の自覚という場合、自分の甲斐性(かいしょう)の問題だと思っていることが、実はそうではなく、労働者階級人民全体に共通する問題なのだという自覚が大切なのである。
第二に、住民の生活苦が住民の責任に帰せられる問題ではなく、小泉政権の弱者切り捨て政策と大資本家優遇政策の結果であることを怒りをこめて暴露することである。
第三に、民衆が人間らしく生きていくことは当然の権利であり要求であること、このまま泣き寝入りをすべきではないことを強く訴えていくことである。
民衆の現在の惨めな生活は自分の力、努力ではどうにもならない宿命だと思い込みがちだが、そんなことは断じてない。「生活の苦しさに負けないでほしい。人間らしく生きることを堂々と政府に、行政に要求することは、憲法で与えられた人間の当然の権利だ」と訴えなくてはならない。
第四に、民衆の要求と権利のために住民が団結しなくてはならないことを強く訴えていくことである。「このためにこそ阪口候補は立ち上がったのだ。阪口候補とともに対行政闘争に立ち上がろう。そのために阪口候補を自分たちの代表者として議会に送り出そう」と訴えるのである。
第五に、住民の要求に即して国健会、介護要求部会、合同労組、仕事保障要求者組合、東大阪市民の会、平和診療所患者会などを紹介して、「ここを生きる寄る辺としてほしい。必ず新しい人生が始まるはずだ」と訴えることである。そして、新たな民衆の地域単位の横のつながりをつくり出し、団結する喜び、ともに生活の苦しさを共有する連帯感を阪口候補を中心に育てていくことを訴えていこう。
こうした働きかけは、選挙という形態をとって労働者階級人民をプロレタリア革命の主体として形成していく闘いであり、戦争と大失業の時代を内乱に転化する革命的大衆行動の担い手として獲得していく闘いである。
それゆえに一回一回のオルグが真剣勝負であり、厳しい階級社会を生きぬいてきた被抑圧階級人民の歴史と深く切り結びつつ、〈要求〉〈権利〉〈団結〉〈組織〉〈行動〉のプロセスにそって労働者階級人民の根源的な自己解放のエネルギーを解き放っていく組織戦となっている。
それは長きにわたって帝国主義によって全人格的に抑圧され、差別され、虐げられてきた部落大衆を始めとした労働者階級人民が、自らの自己決定権に目覚め、それを行使して自らの手で政治を奪還する闘いそのものである。さらに、東大阪全域から生活・福祉・医療・住宅、労働、教育、反戦、市民活動などのさまざまな要求をもった住民が結集して開催されている単一の住民選対会議は、荒本支部を拠点とした地域ソビエトの萌芽(ほうが)ともいうべきものを創造する闘いへと発展している。
今次東大阪市議選闘争はこうした選挙戦として闘いぬかれているがゆえに、革共同の党員一人ひとりにとって反スターリン主義・革命的共産主義者としての自らの資質を実践的に問い直し、変革し、鍛え上げていく過程そのものなのである。まさに選挙においてこそ党は、数千数万人の規模の労働者階級人民の試験を受け、労働者階級人民とともに真に「階級の党」と呼ばれるものに飛躍・成長していくのである。
われわれは4月選挙闘争が切り開いた地平と課題を引き継ぎ、革命的議会主義の内容を実践的に深化させ創造的に発展させる闘いとして、そしてイラク派兵情勢下の革命的大衆行動として、なんとしても東大阪市議選の必勝をかちとらなければならない。全党全人民の総力をあげた決起を心から訴える。
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週刊『前進』(2112号5面2)
(1)
SACO路線の7年間 基地撤去をめぐる攻防
97年名護市民投票の偉大な地平
名護新基地建設攻撃をめぐる攻防は、新たな情勢に入った。環境調査と称して実質的な工事着工段階に入ろうとしている。名護新基地建設阻止の闘いは、沖縄闘争、安保・沖縄闘争の最基軸をなし、沖縄の未来を決する闘いである。闘いの全体像を明らかにしていきたい。
新たな人民反乱
1995年9月4日に起きた米兵による少女暴行事件に対する沖縄人民の怒りは、燎原(りょうげん)の火となって燃え広がった。同年10月21日、宜野湾市海浜公園で開かれた県民大会には8万5千人、離島集会などを含めると決起した人数は10万人に達した。それは沖縄の「新たな人民反乱」、戦後沖縄大衆運動の第3の波、第3次安保・沖縄闘争の始まりだった。
米軍基地使用の契約を拒否し続けてきた反戦地主を先頭とする全県的な人民の怒りを背景に、当時の大田昌秀知事は米軍用地強制使用手続きの代行署名を拒否した。沖縄の米軍基地が「不法占拠状態」になり、日米安保体制の根幹が瓦解(がかい)するかもしれないというこの事態を前に、日帝・政府は大動揺した。さらに大田知事は、15年かけて沖縄の米軍基地を全面撤去する計画「基地返還アクションプログラム」を打ち出した。
この時、多くの県民は「今度こそ山が大きく動き、世の中が変わるかも知れない」と思った。「安保政策は国家存立の大黒柱である。それを理解してほしい」と頼み込むしかない日帝・政府。「それならどうして沖縄県民だけがその犠牲に甘んじなければならないのか。それは差別ではないか」と主張する沖縄。歴史的な「攻守ところを変えた」とも言うべきこの政治状況に対し、沖縄県民の中には自己解放の気運とエネルギーがあふれていた。それは日本―沖縄関係の根底的転覆の要求であった。
革共同はこの「沖縄の新たな人民反乱」を真っ向から受けとめ、「第3次安保・沖縄闘争の爆発を闘いとろう」と宣言した。そしてそのために、@沖縄人民の決起の規模、全人民性に見合うだけの本土プロレタリアート人民の決起、A「大田知事の闘い」になりすぎている沖縄の闘いを、沖縄の労働者階級人民の闘いとして確立していくことを課題として提起した。このことは、沖縄問題の解決(沖縄人民の解放)を日本革命の綱領の中に位置づけた革共同の沖縄奪還路線の問題でもある。「新たな人民反乱」はたちまちにして日本帝国主義の「体制の壁」と鋭角的に激突した。
日帝の巻き返し
こうした中で日帝・政府は開き直り、日米安保体制、安保・沖縄体制護持のために全体重をかけて反撃に打って出た。軍用地強制使用に対する大田知事の代行署名拒否を違法として裁判に訴えた。96年8月28日に最高裁は沖縄側の主張を全面的に退けた。日帝は「沖縄の痛みを受けとめます」というそれまでのペテン的態度をがらりと変え、むき出しの差別と恫喝を前面化した。特に大田知事への集中攻撃を浴びせ、98年県知事選挙での大田知事打倒に照準を合わせた。同時に、もう一方で「沖縄の分裂」を誘うために、自民党・保守層の買収と抱き込みに全力を挙げた。
こうした日帝の沖縄闘争圧殺攻撃の柱としてSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線がある。96年4月、橋本首相は、「5年ないしは7年以内に普天間基地を全面返還する」と発表した。しかし、そこには代替施設を県内に新たに建設するという条件がついていた。
96年9月、「日米地位協定改定」と「基地の整理・縮小」の賛否を問う史上初の県民投票が行われ、圧倒的多数の人が賛成票を投じた。それは8月の最高裁反動判決をたたき返す意味を持っていた。しかし、大田知事は「もう抵抗も限界だ」と公告縦覧の代行に応じた。同時にSACO路線(県内移設)を基本的に受け入れ、普天間基地の代替基地が名護市辺野古沖に決められていく過程でも動揺的な態度をとり続けた。
このことは立ち上がった人民に深い絶望と打撃を与えた。日帝は、約半年間、大田知事との対話まで拒否するなど、ここぞとばかりに攻め立てた。それは、日帝の言うことを聞かなければ沖縄を兵糧攻めにするぞ、という決定的な恫喝であった。
名護市民の決起
こうした事態の裏で、日帝は名護市辺野古沖を新基地の建設候補地と定め、名護市政の買収に全力投球していった。大田知事の動揺によって既成左翼は完全に屈服し、たちまち人民の闘争を裏切り、逃亡した。新たな指導部(党)と大衆運動の形成が求められた。
そしてそれは、名護の労働者人民の決起をもって始まった。名護市民は新基地建設の是非を真っ向から問う「市民投票」を実現するために草の根的に決起した。それは、反動を突き破り、あくまでも沖縄人民の主体性を貫こうとしたものだった。
97年12月21日に行われた名護市民投票は、日帝の恫喝と買収の攻撃を打ち破り、反対52・85%(投票率82・45%)という、実に偉大な勝利を実現した。名護市民、沖縄県民の意志・民意は疑問の余地はなかった。大田知事は最終的に98年2月、名護への新基地建設拒否の態度を表明した。
しかし、日帝はますます悪らつな政治、差別的政治、県民分断政策をエスカレートさせた。市民投票の結果と地平を覆すための名護市長選挙での巻き返し、98年11月の県知事選での大田知事の転覆・稲嶺保守県政の成立、「振興策」などを進めながら、基地建設を具体化させてきた。
96年SACO報告からすでに7年が経過した。だが、新基地はまったくできていない。日帝が名護市民投票の地平を崩せていないからである。日帝・防衛施設局はいよいよここに手をかけようとしている。
(久場 豊)
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週刊『前進』(2112号6面1)
住宅バブル崩壊必至の米経済
住宅公社が金融恐慌の火薬庫 財政赤字・経常赤字は史上最大
秋月 丈志
米バブル経済の崩壊が始まって3年。29年型恐慌の恐怖を知り尽くすアメリカ帝国主義ブルジョアジーは、金融の大幅緩和、大型減税、財政支出拡大、先制的な世界戦争政策の発動と、あらん限りの手を使って恐慌の激烈化を防ごうとしてきた。だがそれは「今までより、もっと全面的な、もっと激烈な恐慌への道を開き、恐慌を予防する手段をますますせばめ」(『共産党宣言』)ただけであった。いまや金融面でも財政面でも打つ手はほとんどなくなり、イラク侵略戦争もイラク人民の民族解放をかけたゲリラ戦に直面して泥沼化の様相を深めている。米経済の恐慌の激烈化・本格化は避けられない。以下このことを、過剰設備・過剰債務、住宅バブル崩壊と金融危機、「双子の赤字」の急拡大の3点から明らかにする。
金融緩和も効かず設備の25%が過剰に
FRB(米連邦準備制度理事会)は6月に政策金利を0・25%引き下げ1%にした。バブル崩壊が本格化した01年初頭の6・5%からわずか2年半で5・5%も引き下げられたのだ。史上かつてない急激な金融緩和である。デフレに陥った日本の失敗をくり返さないとして、これだけの金融緩和を行った。にもかかわらず、工業生産も設備投資も基本的に停滞したままだ。物価上昇率も下落し続けており、デフレがしのびよっている。根底にはハイテク・通信関連や自動車部門を始めとする膨大な過剰設備と過剰債務の問題が横たわっており、金利調整くらいではどうにもならない。
米鉱工業設備稼働率は70年代半ば以降、90年代のバブル期も含め一貫して歴史的な低落傾向にあったが、バブル崩壊後一気に急落し75%前後の歴史的低水準で推移している。生産設備の4分の1が止まったままの状態だ。74−75年恐慌以来の慢性的な過剰資本・過剰生産力状態がベースにあったのだが、90年代バブル期にハイテク・通信関連や自動車を中心に設備投資・生産能力の拡充が実行された。そのため過剰資本・過剰生産力状態は、より激しく露呈することになった。
米自動車産業では設備の20%が過剰と言われている。そのうえに日本メーカーなどが相次いで工場を新設し、設備過剰に拍車がかかっている。米自動車各社は生き残りをかけ、大幅値引きなどの販売促進策を2年近くも続ける激しい消耗戦を展開している。フォードは一台当たり約38万円もの販売促進費を費やし、一台売るごとに約7万3000円の赤字を出している。ゼネラル・モーターズ(GM)も収益悪化で年金積立額が大幅に不足し、その穴埋めに大量の社債を発行せざるをえなくなった。ダイムラー・クライスラーのクライスラー部門も赤字転落の見通しである。このように米産業の中軸である自動車業界では設備投資増など問題外である。
パソコン・半導体などハイテク部門では収益が改善し、設備投資も回復していると言われているが、この2年間の急激な落ち込みと対比しての数値にすぎない。肝心の企業のIT投資は停滞したままで、各企業の過剰設備・過剰債務が根本的に解決しないかぎり、今後も回復していく見込みはない。ハイテク各社も自動車同様にパソコンなどで激しい値引き合戦を展開し、売上高は圧縮されている。収益回復は徹底的なリストラの推進によるもので、いずれ息切れするのは必至だ。バブル崩壊で最も深い打撃を受けている通信や航空業界も同様である。
米企業の過剰債務の処理が一定進んでいるのも徹底的なリストラと金利低下による。しかし米GDP(約10兆j)の9割に相当するという過剰債務の根本的解決はありえない。リストラ効果の一巡、米財政赤字・経常赤字の急激な拡大による金利上昇という事態を迎えるようになると、米企業の過剰債務問題はますます深刻化する。
一方、資金の貸し手である銀行やその他投資家も、多額の損失を抱えて投資余力を喪失している。借り手には過剰設備と過剰債務、貸し手には拡大する損失と不良債権。これではFRBが政策金利をどんなに下げても設備投資の増加にはつながらない。
次章で述べるように、住宅バブルの崩壊で自動車など高額耐久財を中心に消費がさらに大きく落ち込んでいくと設備稼働率は70%台も下回り、デフレスパイラル(生産収縮→失業増→需要減→価格低下→売上げ急減→さらなる生産収縮→…)に突入していくことは避けられない。
住宅ローンの激増で家計債務は100兆円超
アメリカの恐慌がぎりぎりのところで「激烈で暴力的な形態」(マルクス)となることを回避してきた最大の要因は、「住宅バブル」の膨張による。歴史的な低金利を背景に住宅購入が増加してきたのであるが、「住宅バブル」とは直接の住宅需要の増大や住宅価格の上昇のみを指すのではない。住宅バブルの最大の実体は、@持続的な金利低下にともなう住宅ローンの借り換えや、A住宅資産価値の上昇分を担保にした借金(ホーム・エクイティ・ローン)によって膨らまされた消費バブルである。〈金利低下→住宅需要増→住宅価格上昇→住宅を担保とする借金の増額→自動車などの高額消費財購入の増大>という構図だ。
第1節 借金で消費拡大
@の住宅ローンの借り換えとは、金利が下がった時に、その下がった金利でローンを組み直して金利負担を少なくすることだが、ただそれだけではない。金利負担が減った分を借り増し、それを現金化して家のリフォームや自動車購入などの高額消費にあてるということが盛んに行われてきたのである。昨年では6700億jの借り入れのうち、2700億j(約32兆円)が現金化されたという。今後10年間の減税額3500億jの8割弱に相当する額であり、その規模の大きさがわかる。Aのホーム・エクイティ・ローンは、消費や住宅以外の債務(自動車ローンやクレジットカード)返済のために、自宅の資産価値の上昇分を担保に借金することである。
こうした借り換え=借り増し(つまりは家計債務の増大)こそが、株バブル崩壊後も消費を維持してきたのである。しかし、こうした借金増額による消費拡大が、いつまでも続くわけがない。図1に示されるように、家計債務はすでに可処分所得の8割を超え、借り入れ額は8831億j(約104兆円)に達している。しかも失業率の急上昇、リストラ加速による所得の減少が重なってきており、借金拡大はもはや限界である。
今後、家計債務の重圧で消費を減らす動きが加速し、担保の持ち家を処分してもローン返済ができないという家庭も続出する。消費バブルを膨張させた借金が今度はバブルを押しつぶす圧力に転じる。
第2節 住宅公社の役割
住宅バブルの崩壊によってもたらされるものは、消費バブルの崩壊だけではない。恐慌の激烈化という点でより決定的な問題は、住宅金融の破たんをとおした巨大な金融危機爆発の可能性である。この問題を明らかにするには、アメリカの住宅金融の特殊なシステムについて一定の説明が必要である(図2参照)。
日本の住宅ローンの場合は、貸出しから回収までたいてい一つの金融機関が行っている。ところがアメリカでは、銀行などの金融機関が保有する住宅ローン債権をまとめて買い取る機関がある。その機関がローン債権を小口の証券にして多数の投資家に転売する住宅ローンの「証券化」も発達している。住宅ローンは15年から30年の長期にわたり固定した金利で貸し出されるので、借り手が途中で破産したり、金利が上昇して損をするといった危険(リスク)がある。要するに住宅ローン債権の証券化とは、このリスクを個々の金融機関が直接に負わず、ローン債権の買い取り機関を媒介にして、多数の投資家に分散して持たせるということだ。
この住宅ローン債権の買い取りと証券化を行っているのが、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)という2つの巨大な住宅公社だ。
ファニーメイとフレディマックは、民間会社であるが「政府支援企業」と呼ばれ公的機関の側面をもっている。両社の社債は「政府機関債」と呼ばれ、国債並みの高い信用を武器に、両社は超優良企業よりも低い利率で資金を調達してきた。この資金調達力が、膨大なローン債権の買い取りと保証を可能にしてきたのである。銀行や住宅専門の貸出機関は、ファニーメイやフレディマックにローン債権を次々に売り飛ばすことにより、安心して貸し出しを増やすことができた。さらにハイテクバブル崩壊後、企業向け貸し出しを減らしてきた銀行は、住宅ローンを中心とする個人向け貸し出しで穴埋めをしようとし、貸し出しの審査基準も甘くしていった。ファニーメイとフレディマックは、金融機関の経営規律を喪失させ、住宅バブルの暴走を引き起こす元凶になってしまったのだ。
さらに米株バブル崩壊後、米国内外の膨大な資金が、ファニーメイやフレディマックの政府機関債に集中してきたことで、住宅バブルは火に油を注がれることになった。両社の政府機関債は米国債よりも若干高い金利がついている。米国債なみに「安全」で、金利もいいという好条件が、世界中の資金を吸い寄せたのだ。ファニーメイは現在までに約100兆円、フレディマックは約71兆円の債券を発行するに至っている。あわせて約171兆円、日本の03年度一般会計予算の2倍以上という巨額である。これが米住宅バブルの「燃料」となってきたわけだ。
住宅バブルは、たしかに米恐慌の激烈化をくい止める「最後の防波堤」となってきたとも言えるだろう。しかし、結果的にはより強力な恐慌の爆発をひきおこすマグマをためこんでしまったのだ。その爆発は寸前のところまできている。今年1月、フレディマックのデリバティブ取引に関する会計疑惑が浮上し、市場に衝撃が走った。6月にはファニーメイにも利益操作疑惑が持ち上がった。ことは米経済の根幹中の根幹にかかわることであり、エンロンやワールドコムなど「成り上がり企業」の粉飾会計事件とはわけが違う。追及にのりださざるをえなくなった米議会もおっかなびっくりで、うやむやにしようとしている。
ファニーメイとフレディマックの自己資本比率は、一般の銀行に比べて異常に低くたったの2・5%程度しかない。信用が揺らぎ資金調達が行き詰まると、たちまち経営難に陥ってしまう。そうなると両社による住宅ローン債権の買い取りをあてにしてきた銀行なども貸し出しを減らさざるをえず、住宅バブルは一気につぶれることになる。今回の不正会計疑惑が隠ぺいされたとしても、住宅バブルの崩壊過程でファニーメイとフレディマックを火薬庫とする巨大な金融恐慌の爆発は避けられない。
第3章 住宅公社債の売りを契機にドルの暴落も
さらにこの問題は、ドル暴落−国際金融恐慌の決定的な引き金となっていく可能性がある。米政府機関債市場は米国債市場をも上回る規模に拡大し、海外投資家の保有比率も急上昇して、ドル相場に決定的影響を及ぼす市場となっている。米財務省によると、海外投資家の政府機関債に対する投資額は1999年の900億j強から02年には1900億j強に増加しているが、その大半が住宅関連だ。その額は、02年の経常赤字の約4割にも相当する。ファニーメイやフレディマックの信用が揺らぎ、不安になった海外投資家たちの政府機関債投げ売りが始まると、海外資金による米経常赤字の穴埋めができなくなり、米金利は急上昇して債券・株は暴落する。ドル暴落はこの政府機関債の投げ売りから始まる可能性もあるのだ。
2000年4月、急増する経常赤字への不安にとらわれたFRB議長グリーンスパンはこう述べた。「われわれは絶えず赤字を拡大し、外国人の対米債権は、永久に増え続けることになる。だが問題は、これが未来永劫(えいごう)続かないということである。将来のある時点で、ドル資産の保有高を増やすことへの外国人の興味は薄れるはずである」と。グリーンスパンがこう述べた00年に4000億jを突破した経常赤字は、今年度予測では5000億jをも突破し6000億jに迫る勢いである。一方、90年代末に黒字に転換した財政収支も再び90年代前半の最悪期を超す大赤字に転落した(図3)。03会計年度(02年10月〜03年9月)の財政赤字は4550億j(約53兆7000億円)に達するとの見通しで、過去最悪の92年度赤字額を1500億j以上も上回る。
「双子の赤字」が10年の時を経て、より巨大化して再び焦点化するにいたった。ドルを買い支えているのは日銀(と中国)だけという状況で、ドル暴落が始まるともはや制御は不可能である。
米帝ブッシュの最大の「誤算」は、イラク侵略戦争の「ベトナム化」である。すでに戦費は現在までで約5兆6000億円に上り、今後の占領経費も戦前見通しの約2倍の月額約4600億円かかるという(ラムズフェルドの議会証言)。1年で約5兆5000億円、日本の年間軍事予算を上回る巨額である。今後の戦況によってさらに増大する可能性もある。「無敵の帝国」の力を示したはずだったイラク侵略戦争は、まったく逆に米帝の政治的・軍事的・経済的な総破産を突きつけようとしている。だが、米帝ブッシュはこの破産をとりつくろうためにも、来秋の大統領選に向け一層凶暴な侵略戦争拡大に乗り出していく。
財政赤字巨額化の要因は戦費の増大だけではない。支出面ではベビーブーマー世代の高齢化にともなう高齢者向け公的医療保険費用の増大という大問題があり、収入面では大型減税実施と景気悪化による税収の大幅減少が避けられない。
財政赤字の穴埋めをするにはさらに大量の国債を海外投資家に買ってもらうしかない。それは必然的に金利の上昇をまねく。赤字を垂れ流し、貸しても返ってくるかわからないような国の債権を低い金利で買ってやる者はいない。国債の金利上昇は住宅ローン、社債すべてにはねかえり、住宅バブル・消費バブルは完全に崩壊する。こうして米経済が「激烈で暴力的な」大恐慌に突入してしまうと、アメリカからの資金流出−ドル暴落は止められない。
ドル暴落と大恐慌がひきおこす米市場の急激な収縮は、日本、中国・アジア、EUの経済を壊滅的状況に追いこみ、世界経済は縮小再生産(デフレスパイラル)にはまりこんでいく。その中で帝国主義国間の死活をかけた対立と争闘が熾烈(しれつ)化し、保護主義やブロック化が進展する。それは帝国主義の基本矛盾の全面的爆発=第3次世界大戦を不可避とする。
全世界労働者階級の生きる道は闘う被抑圧民族と連帯し、帝国主義を打倒する以外にありえない。この階級的真理を真っ向から訴えて労働者階級を組織し、組織し、組織しよう。
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週刊『前進』(2112号6面2)
九大弾圧裁判 M君無罪を宣言 “反戦運動弾圧許さぬ”
6月17日午後3時30分より、福岡地裁304号法廷で3・26九大弾圧第1回公判が行われ、三十数人の仲間が傍聴に駆けつけた。
法廷に到着すると、10人の私服刑事が裁判所の職員と一体となって傍聴者を威圧してきた。権力はM君が裁判を受けることや支援者が傍聴することさえ妨害しようというのだ。これこそ今回の弾圧が自治会運動、反戦運動つぶしを狙った政治的弾圧であることを示している。
3月にデッチあげ逮捕され起訴された九州大学学生自治会の仲間であるM君は、3カ月に及ぶ権力の不当な勾留に対して完黙・非転向の闘いを貫き勝利し続けている。この日も久しぶりに再会する仲間に意気揚々と元気な姿を見せた。
裁判では、人定質問、起訴状朗読に続き、起訴状に対する求釈明が行われた。これに対し検事は「起訴状にあるとおり」「答えない」というふざけた対応を繰り返した。
続いてM君の冒頭意見陳述が行われた。M君は「今回の弾圧は、九大自治会の破壊を狙ったものであり、反戦運動を闘うすべての人びとにかけられた政治的弾圧である。この弾圧を粉砕し必ず無罪判決をかちとる。林裁判長は直ちに保釈しろ」と堂々と陳述した。M君の気迫は検事や裁判官を圧倒した。
M君に続いて弁護人の意見陳述が行われた。弁護人は「本来事件にならない、しかも1年5カ月前の単なるエピソード的な事案をこの時期にあえて掘り起こし、不当な罪名(暴力行為等処罰に関する法律違反)で4人を逮捕し、あるいは被告人にあってはこれをあえて起訴することによって学生の政治的、社会的関心の盛り上がりを阻止しようと図ったものである。これは、憲法19条に規定されている思想及び良心の自由に対する侵害行為である」と弾劾した。そして、裁判官は、検察官の公訴権濫用として公訴を棄却すべきだと強く要求した。
公判終了後、直ちに総括集会を行った。まず弁護士から「今回の事件は警察と大学当局が結託した極めて政治的な弾圧である。最初は普通の事件だと思っていたが裁判にかかわるうちにそのことがはっきりしてきた。また、M君と話をし、彼の人柄を知り一層この裁判にはまってきた。M君のようなまじめな人間を有罪にしてはならない」とあいさつがあり、会場から大きな拍手が起こった。その後、傍聴者全員から感想が述べられ、今回の弾圧をM君とともに粉砕していくことを確認した。
支援の輪をより一層広げM君の無罪をかちとるとともに、一刻も早く保釈を実現しよう! 第2回公判は、8月25日(月)午前11時から福岡地裁。
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週刊『前進』(2112号6面3)
読者からの手紙 日共ではダメ中核派に期待 東京 S・D
8年ほど前から都内の書店で時々『前進』を買って読んでいます。
最近、日本共産党が天皇制廃止について、綱領から除くかのような方針であると聞きました。自衛隊についても軟弱な姿勢を示し、ここにきて、今度は天皇制についても一般民衆のごきげんうかがいのようなことをしています。選挙のために、中途半端なことをする政党は信用できません。
中核派の皆さんには、そのようなことなく、自衛隊解散、天皇制廃止のためにたたかいを続けてほしいと思います。
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週刊『前進』(2112号6面4)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
最終弁論
9月1日(月)〜3日(水)
いずれも午前10時
☆水嶋同志裁判
7月30日(水)午後1時30分
※いずれも東京地裁
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