ZENSHIN 2003/07/21(No2110
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週刊『前進』(2110号1面1)
7・18東西反戦闘争と国会行動に決起し
イラク派兵法案絶対阻止へ
米英占領軍と闘うイラク人民に連帯し自衛隊の参戦許すな
国労弾圧粉砕の一大人民運動を
7月4日に衆議院を通過させられたイラク派兵法案は、参議院での審議が始まり、きわめて重大な段階に突入した。あくまで成立阻止=廃案のための闘いを巻き起こそう。この法案は、米英日帝の不正義きわまるイラク侵略戦争を追認し、日帝自身が自衛隊地上軍をイラクの戦場に派兵して、イラク人民に銃口を向けるものである。イラク侵略戦争に反対した人民が今こそ立ち上がって粉砕しなければならない。反戦共同行動委員会が主催する7・18闘争(東京・大阪)に総決起しよう。同時に、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを「許さない会」の全国的な組織化をもって推進することが求められている。この闘いこそ、階級的労働運動の再生と創造のための闘いの軸である。夏期一時金カンパ闘争に全力を挙げ、7・27関西、8・3東京の革共同政治集会への大結集をかちとろう。
第1章 戦闘地域での武器使用と虐殺狙う日帝
イラク派兵法案(イラク復興支援特措法案)の侵略的、人民虐殺的内容を徹底弾劾しなければならない。参院段階の派兵法案粉砕闘争を大爆発させ、廃案をかちとっていくために、もう一度あらためて、この法案の中身を見てみよう。
まず、第1条「目的」で、「国連安保理決議1483を踏まえ、イラクの人道復興・安全確保支援活動を行う」としているが、これは米英帝のイラク侵略戦争を追認するものであり、イラク軍事占領と侵略戦争の継続・拡大に日帝が軍隊をもって参戦することを表明するものだ。
国連決議1483(5・22決議)は、米英などの戦勝帝国主義が、独仏など戦争に反対した帝国主義に対して、一方的な権限をもって、強制したものである。占領した米英がイラクの当局として石油資源の権益を独占し、国家経済の統治全般で独占的に権力を掌握することを確認しているのだ。国連などにも一切の権力を与えられていない。米英帝はイラクを支配することで中東全体を制圧し、帝国主義間争闘戦で圧倒しようとしているのである。独仏ロはここから排除されているが、日帝はこれを承認し、イラク派兵をもってイラクの権益争奪戦に参入しようとしているのだ。
第2条「基本原則」では、活動地域について、「現に戦闘行為が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」としているが、イラク全土で米英軍に対するイラク人民の民族解放・革命戦争が現に展開されており、「非戦闘地域」などないのだ。米帝自身、ブッシュが「イラク全土が戦闘地域」と言明し、戦闘が終結していないと認めているのだ。
また「当該外国の同意が必要」としながら、肝心のイラクについては「イラクにおいて施政を行う機関」つまり米英占領軍の同意で活動できるとしている。米英軍と一体化して、その同意のもとで占領支配の一翼を担うということである。
また、第3条「定義等」で、「人道復興支援活動」に加えて「安全確保支援活動」とは「国連加盟国(米英のこと)が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために実施する措置」であるとし、その内容は「医療、輸送、保管(備蓄を含む)、通信、建設、修理・消毒」であるとする。つまり米英占領軍に対して兵員・武器・弾薬の陸上輸送を含む支援活動を行うとしているのだ。
第6条「国会の承認」で、「首相は、自衛隊が実施する対応措置については、開始した日から20日以内に国会の承認を求めなければならない」とし、国会は事後承認。首相の権限でどんどん「基本計画」を進めていいとしているのだ。
さらに第17条「武器の使用」において、自衛官は「自己と他の自衛隊員、イラク復興支援職員、自己の管理下の者の生命・身体を防衛するため」「武器を使用することができる」と明記されている。また、「正当防衛、緊急避難」を口実にイラク人民を殺してもかまわないとしている。
事実、国会答弁で「自爆テロには武器を使用」と宣言している。また、武器の種類も、「法的制限はない」(石破防衛庁長官)と主張し、装輪装甲車や無反動砲も必要、としている。
最後に「付則」で、この法律を4年間の時限立法(必要なら4年を上限に効力を延長)としている。
要するにこの法案は、首相の権限で、自衛隊地上軍をイラクに派兵し、米英占領軍と一体化して、米英軍のための兵員・武器・弾薬の陸上輸送などをする、そしてこれがイラク人民に攻撃されたら、「正当防衛」として、武器を制限なく使用し、イラク人民を虐殺する。しかもイラク人民の攻撃に対する反撃は「野盗や強盗のたぐい」(小泉)へのものだから武力行使ではない、と強弁する法律なのである。
植民地化反対
米英帝のイラク侵略戦争は、「大量破壊兵器」を口実に強行されたが、今やこの口実がねつ造されたデマ宣伝であったことが次々と暴かれている。石油資源と中東支配を狙って、米帝が始めからイラク・フセイン政権を転覆することを狙った戦争であったことがいよいよ明らかになっている。世界最大の軍事超大国である米帝が、圧倒的に国力・軍事力に差のあるイラクに一方的に攻め込んで占領し、再植民地化の攻撃を加えているのだ。
だからこそ、今、イラク人民は米英占領軍に対する怒りを爆発させ、米英軍をたたき出すために、全力で闘っているのである。連日デモやゲリラ戦闘が闘われ、5月1日以降でも米軍の兵士73人が死んでいる。このイラクの地に、陸上自衛隊が重装備で登場するのだ。
7月10日付毎日新聞には、イラク武装集団幹部が同紙のインタビューに応じ、「日本の自衛隊がイラクに来て米軍に協力すれば、占領軍とみなし、攻撃対象にする」と明言したことが報じられている。
明々白々たる侵略戦争であり、虐殺戦争であるイラク侵略戦争の戦場に、イラク人民の誰も望んでいない自衛隊が登場することは、侵略行為そのものである。かつての日帝軍隊の中国派兵とそのエスカレーションの歴史と同様、それは果てしない侵略戦争の泥沼の第一歩である。
こうした動きに対して、自衛官の中には戦場に送られることへの不安感が高まっている。「危険だからこそ自衛隊を送る」という論理は、当の自衛隊を動揺させ危機に立たせる。他民族を虐殺する侵略戦争であること、イラク人民が「日本は第3の敵」と怒りを強めていること、イラク人民の攻撃の標的になること、殺さなければ殺される戦場に放り込まれること、こうしたことに自衛官の怒りと不安が必ず広がる。反戦・反軍闘争の条件は一気に拡大しており、その闘いを強めなければならない。
そしてさらに何よりも、日帝は、北朝鮮侵略戦争に向かって、他民族の虐殺を戦える軍隊に自衛隊を脱皮させようとしている。そのためにイラク派兵・占領支配参加・人民虐殺の戦場体験、戦闘体験を積み上げようとしているのだ。3・20イラク開戦時に、小泉がいち早く「断固支持」を表明したのは、米帝の北朝鮮侵略戦争に参戦するということがあったからである。
有事3法は、米帝の世界戦争計画に沿って、それに共同的=競合的にくらいついて、日帝が米帝とともに北朝鮮侵略戦争(そして究極的には中国侵略戦争)に参戦していくための法律である。その成立ときびすを接してただちにイラク派兵法が作られ、さらに実戦を積んだ自衛隊をつくろうとしているのである。しかもそれが、民主党などの裏切りによって一気に進んでいるのだ。
会期末まで2週間、全力でイラク派兵法案を粉砕しよう。国会行動と7・18闘争の大高揚をかちとろう。
第2章 「許さない会」の拡大が労働運動再生の鍵
今日の有事立法・イラク派兵攻撃、さらに労働法制改悪と一大資本攻勢に対して、日本の労働者階級は、世界のプロレタリアートの軍勢の一翼として、民主党・連合の裏切り、日共の屈服を突き破り、革命的な階級的決起の胎動をつくりだしつつある。
動労千葉の3月ストの革命的貫徹にそれは示されている。それは国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いや、国鉄1047名闘争と一体のものである。それはまた、3労組共闘の闘いとつながっている。
さらに、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いが有事立法粉砕闘争で果たした役割は決定的に大きい。有事立法に対する階級的・絶対的反対派として、連合中央の敵対や、日共・全労連中央の制動をのりこえて、闘いを牽引(けんいん)したこと、有事立法が成立した後も6・10日比谷野音の闘いを設定して、あくまで戦争協力を拒否して闘う宣言をしたことは重大である。
戦争と大恐慌の時代、イラク侵略戦争から北朝鮮侵略戦争へという大きな時代の流れは、一方で必ず革命的情勢への接近のスピードを大きく加速するのだ。労働者階級の革命的階級性が先端部分から世界史的に登場してくるということだ。
とりわけここでは、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの意義を強調したい。この弾圧は、4党合意を粉砕した国鉄闘争の前進、国鉄分割・民営化反対、解雇撤回・JR復帰の闘いに対する、敵の側からの逆転を狙った大弾圧である。これを粉砕する中に国鉄決戦と階級的労働運動の帰趨(きすう)がかかっていると言って過言ではない。
国労5・27臨大闘争弾圧は、有事立法攻撃下の本当に不当な弾圧だ。正当な組合活動に言いがかりをつけて、権力が東京地本酒田一派などと結託し、政治目的・治安目的から闘う国労組合員やその支援者を9カ月も延々と獄中に閉じ込めているのだ。こんなことがどうして許せるか。これは戦前の治安警察の労働運動弾圧とまったく同じものだ。労働者だったら誰でもこのことに怒りをもって立ち上がらなければならない。有事体制下で激化する治安弾圧を打ち破ろう。
この弾圧に対して、怒りを込めた全力の反撃がたたきつけられている。
何よりも、家族を抱えた国労組合員が、労働運動弾圧としては異例の凶悪な弾圧にめげず、家族とともに感動的に決起し、闘いを牽引していることである。
さらに、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」が画期的な陣形の呼びかけ人を擁して形成され、裁判闘争に大きなインパクトを与えるとともに、この「許さない会」を広範に形成することによって、裁判闘争の結果が階級闘争に決定的に影響を与えるものになる展望を開いている。裁判闘争は、被告・弁護団・傍聴者一体となって白熱的に展開されている。
この弾圧は、国労組合員の当然の闘いを「中核派の事件」と描き上げることで、通常の労働運動にとっては当たり前の団結活動を認めない、中核派ならばどんな弾圧も許されるとする攻撃である。それをとおして国鉄分割・民営化に対して闘う権利を奪い、1047名闘争を敗北させ、労働運動全体から団結権を奪おうとするものだ。国鉄闘争を闘う勢力全体に対して「中核派と一緒にやるのか」という恫喝をかけ、たじろがせ、国鉄闘争全体を圧殺しようとしているのだ。
戦前の「アカ」攻撃と同様、これを許していたら、労働運動全体の息の根を止められ、暗黒の時代にずるずると引きずり込まれることになる。一中核派の問題ではない。労働運動全体の問題だ。そもそも8人のうち7人は国労組合員(うち2人は国労闘争団員)であり、支援の向山被告は「中核派の事件」としてデッチあげるためにのみ、何もしていないことが明白なのに逮捕・起訴されたのだ。
裁判をとおして、この弾圧の階級的な意味と構造が一層鮮明に暴きだされている。そもそも、国労東京地本酒田一派と警視庁公安部の合作でデッチあげられた事件であることが具体的に暴かれ始めている。また、「暴行」の共謀について、起訴状では「事前共謀」となっていたのに、検察側の冒頭陳述では「現場共謀」になり、その後また「事前共謀」説にすり替えるなど、まったくでたらめな理由で起訴していることも明るみにでた。
「許さない会」を国労の中に、すべての国鉄労働者の中に持ち込み、拡大しよう。この闘いをとおしてこそ国鉄1047名闘争の勝利の道も開けるのだということを訴えて闘いぬこう。
7月2日に被告が日弁連人権擁護委員会に「長期勾留は人権侵害」と申し立てを行った。獄中9カ月の8被告を奪還するために全力を挙げよう。
組合員を権力に差し出し、団結自治を売り渡して国労解体に突き進む国労本部と東京地本酒田一派を打倒しよう。国労の再生をかちとろう。
国鉄決戦とともに、全逓、自治労、教労の4大産別決戦を闘いぬこう。
教育基本法改悪を粉砕しよう。右翼による広島県教組銃撃を弾劾しよう。
春闘で72時間ストを闘った動労千葉は、6・28定期委員会で「戦争協力拒否宣言」を発した。そして「労働者の団結した闘いこそが戦争を止める力だ」と、全世界―全アジアの労働者人民の団結を呼びかけている。この闘いに続こう。動労千葉のように全国で闘うことが階級的労働運動の防衛と再生の道なのだ。
労働運動、労働組合運動への取り組みを画然と圧倒的に強めよう。それこそが新たな型の「社会主義と戦争」の闘いの創造として、絶対的に求められているのである。
第3章 夏期一時金の集中と革共同集会の成功へ
イラク派兵法案粉砕、有事法制廃棄、北朝鮮侵略戦争反対の闘いを100万人民決起の大運動として爆発させること、他方で国労5・27臨大闘争弾圧との闘いを「許さない会」を広範に組織する闘いとして実現すること、この二つを両輪にして、これからの闘いを強力に発展させていこう。
同時にその過程で、労働者階級に深く根を張った革命党として革共同を建設していくことが死活的に求められている。
民主党の有事立法賛成勢力への転向、社民党の一層の無力化、そして日本共産党の屈服が一段と進んでいる。特に民主党の転向・裏切りは、連合の有事立法容認路線と一体であり、「当然のこと」とせず、怒りをもって暴露・弾劾していく必要がある。今こそ民主党・連合指導部を批判し、反対勢力を広範に獲得するチャンスである。
さらに日本共産党は、11月の23回大会で綱領を全面的に変えようとしている。階級的・戦闘的な要素を一掃し、「資本主義の枠内での民主的改革」路線こそが「民主主義革命」の内容であるとするほどに、世界戦争と大恐慌へ危機を深める帝国主義の最後の擁護者としての転向を深めている。自衛隊と天皇制を完全に容認するに至ったことは、帝国主義との和解と協力の道を歩むということである。
日共の転向の完成によって、今や労働者の階級的利益を守る、そのために労働者人民の闘いを爆発させるという立場に立った党派はわが革共同以外どこにも存在しなくなっているのだ。革共同が革命党として、一切を引き受けて立ち上がる時を迎えているのである。
ファシスト・カクマルは、「暗黒の二十一世紀」と絶望をあおり、路線的混迷を深め、北朝鮮侵略戦争との闘いをまったく語ることができないという惨状をさらしている。また、JR総連カクマルは、松崎派と嶋田派に再分裂し、行き詰まり、追い詰められている。今こそカクマル両派を追撃し、打倒する時だ。
レーニンが提起する「社会主義と戦争」(帝国主義戦争における自国政府の敗北を促進し、帝国主義戦争を内乱に転化する闘い)の新しい型の創造に全力で突入しなければならない。
夏期一時金カンパの集中を心から訴える。財政決戦と党建設の闘いに全力で勝利しよう。7・27関西、8・3東京の革共同政治集会に闘う労働者、学生、人民は大結集しよう。
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週刊『前進』(2110号1面2)
7・10小牧 ゛イラク人民虐殺に加担するな゛
C130出兵阻止に立つ
自衛官に拒否呼びかけ
反戦共同行動委員会は7月10日、航空自衛隊のC130輸送機派兵阻止の小牧現地闘争に立った。早朝から全学連を中心に約50人が結集し、集会やデモ、基地への申し入れなど派兵阻止行動を全力で闘った。
(写真 小牧基地正面ゲートで「イラク派兵をやめろ」と抗議する反戦共同行動委【7月10日】)
この派兵はPKO(国連平和維持活動)協力法に基づき愛知県小牧市の小牧空港からヨルダンにC130輸送機2機と98人の自衛官(うち441人が小牧、残りは成田、関空から)が派兵されるもので、参院で審議中のイラク派兵法案が成立すれば派兵の根拠を切り替えるという。日帝のイラク侵略戦争への本格参戦の第1陣だ。
小牧基地に近い西海道公園(春日井市)で愛知労組交流センターの司会で集会が行われた。地元の学生が基調報告に立ち、「自衛官が野盗や強盗のたぐいに殺される可能性も。相手を殺す場合も」という小泉発言(7月9日)を怒りを込めて弾劾した。そして、自衛官に「帝国主義の強盗戦争に加担するな」「イラク人民を殺すな」と必死に訴えて自衛隊内の動揺を拡大し反乱をつくりだそうと呼びかけた。続いて三重労組交流センターの代表が「92年以来何度も小牧闘争を闘ってきたが、今回の派兵は戦場そのものにイラク人民を虐殺に行く。これまでとまったく違う」と訴えた。
関西反戦共同行動委の代表は「2度と侵略戦争を許さない誓いが問われている」と語り、婦人民主クラブ関西協は、自衛官自身が侵略戦争ではないのかと動揺しており、世論調査では反対が賛成派の2倍あることを指摘した。
全学連の決意表明では、最初に大山尚行委員長が「イラク人民を強盗呼ばわりする小泉発言はイラク人民虐殺宣言だ。帝国主義こそ強盗だ。闘うイラク人民と連帯し、帝国主義の侵略戦争を阻止しよう」と訴えた。さらに「日本共産党の新綱領は日帝の侵略戦争を肯定するもの」と断罪。日共や民青、全労連のもとで苦闘する労働者人民を獲得しようと呼びかけた。さらに富山大学や京都大学の学生が続いた。富山大生は万景峰(マンギョンボン)号入港規制に反対した6・9新潟闘争の経験から排外主義との闘いを訴えた。
小牧基地正面ゲートに向かってデモを行い、小牧基地に派兵中止の申し入れを行った。正面ゲートは二重に門が厳重に閉ざされ、鎖を巻き付けかぎをかけている。その周りを機動隊が固めている。
「イラク人民を殺すな」「強盗戦争に加担するな」――デモ隊の激しいシュプレヒコールに引きずり出されるように渉外室長が出てきた。門越しに申し入れを受けるという失礼な対応だ。
反戦共同行動委と全学連がそれぞれ、侵略出兵を弾劾し、C130輸送機の派兵と今後予定されるイラク派兵をすべて中止するよう申し入れた。
その後、名古屋市の中心街、栄に場所を移し署名・街宣活動を行った。イラク侵略戦争反対と自衛隊を戦場に送るなという訴えに、自らの戦争体験を語り派兵反対を語る高齢者や、「小泉は人の生命をどう思っているのか」と怒りを示す人など、市民が次々に署名に応じた。
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週刊『前進』(2110号1面3)
唯一のプロレタリア党革共同に絶大なカンパを
全世界の労働者階級人民とともに帝国主義戦争を阻止し、新たな未来を建設するために、革共同への絶大なカンパを心から訴えます。
世界は労働者階級人民にとって、まさに非常事態と呼ぶべき時代に突入しています。米帝のイラク侵略戦争をもって帝国主義諸国は世界戦争への道へ大きく踏み出しました。日帝・小泉政権は、有事法など超反動法案を次々と成立させ、イラク侵略派兵のための「イラク特措法」を成立させようとしています。教育基本法改悪、改憲へと、恐るべき勢いで戦争体制構築が進められています。
同時に、労働法制を根本改悪し、「解雇権」の条文化、「裁量労働制の拡大」による8時間労働制の解体、「派遣法」改悪によって不安定低賃金労働者の全社会化が進められようとしています。
「北朝鮮の脅威」が叫ばれる中、有事法制に民主党を含め9割の議員が賛成し、労働法制改悪においては共産党、社民党までが賛成するというありさまです。既成政党の総翼賛、総屈服、連合の産業報国会化という状況の中で、今、日本の労働者階級人民は歴史の岐路に立たされています。
わが革共同は、社会党、共産党を超える労働者階級人民の政党を建設するために創設されました。マルクス主義、レーニン主義に立脚し、労働者階級人民の階級的団結と力に依拠した党です。階級闘争に責任を取りきり、全力で闘う党です。
星野文昭同志を先頭に幾多の不屈の獄中同志を擁しながら一歩も引き下がることなく闘い続けてきた党です。国家権力と反革命ファシスト勢力から党組織を守るために、多大な犠牲を払いながら、非合法・非公然のプロレタリア革命指導部を建設し、その維持に勝利してきました。
しかし、風雲急を告げ既成政党が総翼賛化している今日の情勢は、わが革共同に対し時代にふさわしい飛躍を突きつけています。今こそこれまでの歴史的蓄積の一切をかけて、真の労働者階級人民・大衆の党として飛躍をかちとらなければなりません。とりわけ本年後半の闘いは、わが党の存亡をかけた、労働者階級人民の大反撃を生み出しえるか否かの正念場です。この闘いの一切は、労働者階級を始めとする皆さんの拠出金によってのみ支えられています。
現在の情勢に心底から危機感を持ち、打開を願う皆さん。唯一のプロレタリア革命党である革共同は、労働者階級人民をけっして裏切らない党として、皆さんの信頼にこたえます。党を強化し、運動を前進させるための圧倒的なカンパをお願いします。わが党に結集しともに闘って下さい。熱く、心から訴えます。
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週刊『前進』(2110号2面1)
9月国労大会に向け代議員選勝利を
臨大闘争弾圧粉砕を軸に本部打倒、闘う国労再生へ
組織解体方針を断じて許すな
9月13〜14日に東京で開催される国労第71回定期全国大会は、国鉄闘争の帰趨(きすう)を決する大会である。国労本部は、4党合意崩壊の執行部責任を居直り、今大会でスト基金の取り崩しを図り、全国単一体組織としての国労組織をエリアごとにバラバラに解体し、JR連合に合流させるために最後のあがきに出てきている。国労全国大会は「国労の解体か再生か」をかけた掛け値なしの決戦である。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを軸に、7月全国大会代議員選挙に勝利するために総決起することを訴える。闘う国労執行部樹立、JR総連カクマル打倒、国鉄1047名闘争勝利の体制を打ち立てよう。
戦争と革命の時代に勝ちぬく国鉄闘争を
国労全国大会に向かって訴えたいことは第一に、「戦争か革命か」という時代認識を鮮明にして総決起することである。
01年9・11反米ゲリラの爆発−03年3・20イラク侵略戦争突入−03年6・6有事3法成立という情勢は、帝国主義の侵略戦争と大失業の攻撃に対して国際的内乱が激突する戦争と革命の時代が到来し、プロレタリア革命そのものが求められる時代に突入したことを示している。
有事3法の制定は、日帝が北朝鮮への侵略戦争に突入する決断をもった踏み切りである。さらに、イラク自衛隊派兵法案の強行を狙っている。これと一体の労働法制改悪は、小泉「構造改革」−「奥田ビジョン」に基づいて、労働者の権利を奪い、労働組合を国家・企業に奉仕する労働組合へと変質させ、終身雇用制を解体し、労働者を労働監獄にたたき込み、もって「東アジア自由経済圏」なる独自の勢力圏づくりに踏み出す一大突破口である。
これに連合と民主党は全面協力した。さらに社民党と日本共産党は屈服した。とりわけ日共は、「社会主義革命」を最後的に放棄し、資本主義・帝国主義を擁護する綱領改定案を打ち出した。この許し難い大裏切りは、労働者人民の中に大分岐を生み出さずにはおかないだろう。
国労5・27臨大闘争弾圧と、それに続く3月九州大学自治会、5月部落解放同盟全国連寝屋川支部、6月東北大−全金本山労組への弾圧は、革命党ばかりか労働運動・大衆運動の絶滅を図る治安弾圧攻撃を加えなければ生きられないほど日帝の階級支配は危機を深めていることを示している。
日本階級闘争には真っ向から「戦争か革命か」が問われている。わが革共同は、91年5月テーゼ以来の闘いの地平の上にさらに「労働者の中へ」を実践し、JRの労働運動の中に強固な労働者党を建設し、国鉄労働運動と日本労働運動の階級的再生へ邁進(まいしん)する決意である。9月国労大会の決戦へともに闘うことを訴える。
4党合意粉砕への報復弾圧
第二に、4党合意粉砕の地平にしっかりと立ち、動労千葉の3月ストライキ闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの総括の上に総決起することである。
昨年12月、ついに4党合意は粉砕された。00年7・1の演壇占拠以来の闘いが開いた大勝利である。4党合意は、「政治解決」という「和解路線」をとる国労本部の本質的屈服性を見透かした政府・与党が、国労本部を取り込み、国労に「JRに法的責任なし」を認めさせ、「国鉄分割・民営化による国家的不当労働行為はなかった」ことにする大攻撃だった。政府・与党は、4党合意のもとに社民党と国労本部を屈服させ、国鉄闘争と国労の解体を階級支配のかなめに据えて攻撃してきたのだ。
しかし、この攻撃は完全に破産した。分割・民営化以来の国鉄闘争解体攻撃は大打撃を受けたのである。国労闘争団を切り捨て、国労組織を丸ごとJR連合に合流させるチャレンジの策動が破産し、闘う国労の旗は守り抜かれ、国鉄1047名闘争の新たな発展の道筋がこじ開けられた。
それに恐怖した国家権力は、昨年10月、国労5・27臨大闘争弾圧という密集した反動に打って出てきた。
昨年の5・27臨大は4・26与党3党声明を受けて開催された。与党3党声明とは、国労本部に闘う闘争団を除名させることを強要するものである。それを実現するためには、4党合意反対派のもう一方の軸である国労共闘をなんとしても粉砕する必要があった。その点で利害が一致する警視庁と国労東京地本一部幹部ら国労本部派は、国労共闘への大弾圧を仕組んできた。
この弾圧の最大の狙いは、国鉄1047名闘争の新たな発展を分断・破壊することにあった。そのためにあえて「暴力行為等処罰に関する法律」という戦前からの治安法を適用し、労働者の団結権を否定した戦前型の弾圧を加えてきたのである。まさに有事立法と一体の、労働法制改悪攻撃と対をなす弾圧であり、共謀罪の先取りそのものだ。
この密集した反動に対して、逮捕・起訴された闘う国労組合員と支援者は、完全黙秘を貫き、4党合意粉砕の地平を体を張って守り抜いた。
この闘いは、被告家族を決起させたばかりか、佐藤昭夫さんら12氏の人士の決起を生み出し、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動が全国に呼びかけられた。被告の完全黙秘の闘いと「許さない会」運動の開始は、4党合意粉砕の地平に対する密集した反動を核心的なところで打ち破る偉大な決起であった。
われわれは、この弾圧を革共同の国鉄決戦戦略を力ずくで破壊するための弾圧としてとらえ、全力でこれに反撃する。
動労千葉ストは決起の号砲
このような情勢のもとで決定的だったのは、動労千葉が今年3月、イラク反戦・有事立法粉砕闘争の高揚の真っただ中で闘い抜いた4日間の春闘ストライキであった。この闘いは、3・20情勢に対して、労働組合はいかに闘わなければならないかを示す偉大な決起であった。それは国鉄労働者を始めとした全国の闘う労働者を限りなく勇気づけた。また、イラク侵略戦争と有事立法攻撃に怒り、資本攻勢の激化に怒る全国と全世界の労働者の決起の号砲となった。何よりもJR資本とJR総連カクマルの結託体制に大打撃を与え、1047名闘争とJR本体が一体となった国鉄闘争勝利の道筋を示したのである。まさに動労千葉のように闘うことこそ、国鉄決戦勝利の道だ。
もはやいかなる攻撃、いかなる弾圧も国鉄闘争をつぶせないことは鮮明になった。敵の攻撃は、逆に国鉄1047名闘争の新たな胎動と決起を生み出したのである。
大崩壊に突入したJR総連
第三に、国鉄闘争は今や最大の好機を迎えていることを鮮明にして決起することである。
JR総連の松崎支配は、ついに大崩壊過程に突入した。JR総連カクマル内の松崎派と嶋田派の分裂は、6月のJR総連大会−JR総連本部に対する警察の家宅捜索−JR東労組大会−JR東日本株主総会をめぐる過程をとおして、JR総連の松崎支配の大崩壊が不可避となったことを衝撃的に突き出した。
この過程で嶋田派の一掃を図ろうとした松崎派は、警察の家宅捜索に震え上がり、ついに嶋田派を一掃できずじまいに終わった。JR総連は分裂の火種を抱えたまま崩壊的危機を深めていく過程に突入したのだ。
警察権力はJR総連カクマル=松崎を自己のコントロール下に置き、「奥田ビジョン」が狙う「労働組合の産業報国会化」の新たな先兵にしようとして圧力をかけている。カクマル=松崎のJR総連支配の大崩壊過程への突入は、いや応なくJRの労働運動を戦国時代にたたき込む。
階級的労働運動の旗を高く掲げて闘う国鉄闘争は、JR総連カクマルを打倒し、階級的労働運動が主流派になるチャンスを迎えたのである。
チャレンジ・革同倒し闘う執行部をつくれ
第四に、国労本部執行部打倒、闘う執行部樹立の闘いとして総決起することである。
国労本部は、4党合意崩壊の執行部責任を居直り、JRの大合理化・賃下げ・不当労働行為の嵐のような攻撃、JR総連の松崎支配の崩壊的危機に対して無方針状態に陥っている。
チャレンジら本部執行部は、闘う闘争団への処分攻撃を続け、国労の最大資産であるスト基金の取り崩しを狙い、財政難を口実に本部の意に従わない書記職員の配転・首切りを強行し、「エリア本部の強化」と称して全国単一体組織を解体し、エリア本部ごとにJR連合に流れ解散していこうと策動している。チャレンジと革同は、「組織のあり方」という全国単一組織の解体方針で一致がとれないままで、7月になっても「職場討議資料」を出せないありさまだ。
特に、4党合意の崩壊で国労丸ごとのJR連合移行路線が破産したチャレンジは、盛岡地本が「東北地方労組」をもくろみ、西日本エリアと九州エリアは不採用問題の「先行和解」を打診し、四国エリアと北海道エリアはJR連合へのJR組合員の先行合流を画策するなど、ますます四分五裂化している。
これに追従できなくなった革同は、組合員を警察に売り渡すところまで転落した東京地本・酒田と手を組み、自派組織の延命にきゅうきゅうとしている。
もはや国鉄闘争と組合員に責任を取ろうなどと誰ひとりとして考えていない、おぞましいチャレンジ・革同執行部を打倒し、闘う国労執行部を樹立するチャンスである。このことなしに闘う国労の再生は絶対にあり得ない。今こそチャレンジ・革同執行部打倒へ4党合意反対派の総決起が求められているのである。
政治解決路線を打ち破ろう
そのためにも、反対派のもつ「弱点」を克服し、労働運動の原点に立った闘いを再構築することが急務である。それなしに国鉄闘争の発展と勝利の道はない。
反対派の一部には、「鉄建公団訴訟を唯一の和解の窓口」とする「和解解決」をうたい、「争議団の自立した闘い」なるものに闘争団の闘いを流し込もうとする動きがある。
彼らは、「本部打倒」を掲げようとしないばかりか、闘争団の闘いをJR本体の闘いと切り離した「争議団闘争」にすり替えようとしている。あくまで国鉄分割・民営化反対闘争として闘うことなしに勝利の道はない。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いから身をそらしてはならないのだ。
国鉄闘争勝利の道は、あくまで「解雇撤回・JR復帰」の闘い、1047名闘争として闘うことである。そのためにはJR資本を攻めることだ。そのためにも国労本体の獲得が絶対に必要なのである。
チャレンジ・革同指導部が破産をさらけだした今こそ、「政治解決路線」=和解路線を打ち破り、労働運動の原点に立って原則的な国鉄闘争を再構築することが求められている。
国鉄闘争勝利の道は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団が一つに団結した国鉄1047名闘争として闘い、そのもとに壮大な支援陣形を結集し、JR本体の闘う国労組合員と闘争団の総決起でチャレンジ・革同執行部を打倒して闘う国労を再生させることである。その力で政府とJR資本を追いつめ、闘う闘争団への査問を許さず、鉄建公団訴訟に勝利し、「解雇撤回・JR復帰」へ総決起することである。
公安警察と結託した酒田一派を追放せよ
第五に、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを軸に据えて闘うことである。
この闘いは、闘う労働運動の飛躍と前進をかけた闘いである。日本労働運動は、戦前や朝鮮戦争下の治安弾圧に対して闘いえなかった。この弱点は、有事法制下で本格化する労働運動への治安攻撃の激化の中で、絶対に克服し突破されなければならない。
国家権力は、「8名の被告は中核派」と決めつけ、「だから弾圧は当然だ」とする「反過激派キャンペーン」を展開することによって、弾圧を居直り、闘いの圧殺を図ろうとしている。こうした悪らつな攻撃を粉砕し勝利する道は、「反中核派、反過激派キャンペーン」と対決し、弾圧の不当性と闘いの正義性を訴え、「許さない会」運動の大衆的な発展をつくり出すことである。ここに国鉄闘争つぶしの国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破ることができるか否かのかぎがある。松川事件対策協議会運動の経験と教訓に学び、これを質においてのりこえる反弾圧闘争として闘い抜き、その中から国労と日本労働運動の再生の道筋を切り開くということだ。
さらにこの闘いは、国労本部の最悪の先兵である東京地本・酒田一派に致命傷を与え、彼らを国労運動から追放・一掃する闘いだ。
酒田一派と公安警察の癒着・結託は、公判廷でも明らかになりつつある。東京地本の酒田委員長は、5・27臨大から3日後の5月30日、警視庁に送り迎えしてもらって荒川署におもむき、鈴木勉執行委員が映した事件現場のビデオテープを公安刑事と一緒に見ている。ビデオテープは、すでにその前に警視庁に渡されていたことも明らかになっている。また、鈴木勉執行委員は5・27当日、用意したビデオでバスの中から隠し撮りし、6月3日に酒田委員長とともに神田署を訪れ、そのビデオテープを警察に差し出し、供述調書の作成に応じていた。国労東京地本の現役役員が、同じ国労組合員を警察に売り渡していた驚くべき事実が暴露されたのである。
公判闘争は、国労東京の鈴木勉執行委員の証人採用をかちとれるか否かという白熱した攻防点を迎えている。これほどあからさまに警視庁公安部と結びついた組合幹部を許していいのか。この問題は、労働組合の原点にかかわる大問題である。労働組合の団結自治を守り抜けるのか否かが、この闘いにかかっている。国労運動を警察労働運動に転落させた酒田ら東京地本一部幹部への腹の底からの怒りに燃え、追放・打倒の闘いに総決起しよう。
重大なことは、逮捕から9カ月を経た今も、被告8人全員は東京拘置所に勾留されたままだということだ。仮に、検察側の主張を百パーセント認めたとしても微罪にもならない事件で、職場と家族をもつ労働者の長期勾留はあまりにも異常である。
国家権力は、有事法制下で、8被告の長期勾留をあえて強行することで労働者階級の決起を抑え込むための見せしめにしている。そのことで国鉄1047名闘争そのものを分断・破壊しようとしているのだ。またそうしなければ、「7・1演壇占拠」のような闘いがいたるところで起こると恐怖しているのである。
まさに8人の被告の保釈奪還は、有事法制下の労働運動弾圧を打ち破れるかどうかをかけた闘いである。「許さない会」運動を断固支持し、この運動をともに広げ、逮捕1周年を待たず、8人の被告全員の早期奪還をかちとろう。
国鉄1047名闘争勝利の軸に国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを据え、国鉄闘争勝利へ9月国労全国大会決戦に総決起しよう。
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週刊『前進』(2110号2面2)
5・27臨大闘争弾圧 8被告の保釈かちとろう
「無罪を主張しているから」と勾留続ける裁判所許せぬ
国労5・27臨大闘争弾圧裁判は第5回公判をもって検察側立証に入るや否や、一気に白熱的攻防の局面に突入した。その後、回を重ねるごとに弁護団・被告団の攻勢と勝利的前進、検察側の守勢と立証の破たんが明らかになっている。それは、第9回公判で、検察側の警察官証人・遠山文雄が2回前の公判での誤解の余地のない証言を突然翻し、誰も納得させることのできない、ウソであることが明白な証言をしたことに示されている。
一瞬の油断も判断ミスも許されない闘いを勝ちぬいている弁護団と被告団の公判闘争にこたえ、すでに9カ月を超えた不当な勾留を打ち破って8被告の保釈をかちとる闘いに総力を挙げなければならない。全国各地で「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」を結成し、逮捕1周年(10月7日)を前に保釈奪還をかちとることを課題として、賛同会員拡大と保釈署名運動の大展開に打って出よう。
有事体制下の労働運動弾圧
国労5・27臨大闘争弾圧は、国労大会の意志形成過程における労働組合活動への国家権力の不当な介入であり、「暴力行為等処罰に関する法律」を労働運動に適用した、憲法と労組法を踏みにじる不法な弾圧だ。戦後、労働運動への暴力行為等処罰法の適用の事例は数多くあるが、本件はその中で際立った特徴がある。
第一に、これまでの事例では、加害・被害の対立構造は対経営者(対労務担当者)あるいは対第二組合や対スト破りというものがほとんどであり、本件のように同一労組内の組合員同士の対立というのは数例あるだけだ。権力は、従来介入できなかった領域にあえて踏み込んできたのである。
第二に、ほとんどの事例が、多数(組合側)が1人あるいは少人数(経営者や第二組合の側)に「暴行」「脅迫」を加えるという対立構造であるのに対し、本件は、少数(4党合意反対派)が多数(国労本部派)に暴行を加えたとされるきわめてまれな事例である。暴力行為等処罰法の「多衆の威力を示す」という構成要件を満たしているのかどうかにさえ根本的な疑義が生じるほどのものなのだ。
第三に、本件は暴力行為等処罰法(暴行)のみで立件されており、傷害に至らないささいな外形力の行使に対する適用という点でも、他に例を見ない。
しかも検察側は、共謀の成立に関して、起訴状では事前共謀を主張し、冒頭陳述では現場共謀説に切り替え、第9回公判では再び事前共謀説を唱え出した。いつ、どのように共謀が成立したのかを明らかにもしないのは、起訴自体が違法ということだ。
被告たちの「事件」当日の行動は、権力に言われるままに臨時大会を強行し、闘争団の除名と国労解体に突き進む国労本部を弾劾し、組合員を説得するための当然の行為だった。その目的の正当性、ビラまき・説得という手段の相当性に照らしても、被告の行動に違法なものは何もない。
ところが、こうした正当な組合活動への不法な弾圧で、被告たちは9カ月もの勾留を強いられている。仮に検察側が主張しているとおりの外形力の行使があったとしても、微罪にすぎない。こうした事件で9カ月もの勾留を続けることは、まさに有事体制下における団結権解体・労働運動絶滅の攻撃そのものである。
裁判所による拷問・転向強要
8被告は、これまで3度にわたって保釈を申請してきたが、東京地裁刑事第10部の青柳勤裁判長は、不当にもことごとくそれを却下した。3度目は5月12日付の申請に対する6月9日の却下である。弁護団は、これに対し6月26日付で抗告を申し立てたが、東京高裁は30日にそれを棄却した。
棄却決定を引き出したのは青柳裁判長の意見書だ。それは、「全面的に争っている被告人の応訴態度」を理由に、「保釈は到底考えられない」と言い放っている。被告が無実・無罪を主張し、争う姿勢を示しているから保釈はしないと言うのである。まさに裁判所による拷問・転向強要だ。
さらに、「重要な証拠と解されるビデオテープが取り調べ未了」「被害者らの証人尋問もまったく実施していない」ことも理由に挙げた。だが、弁護側の求釈明にまともに答えず、警察官証人をそそのかしてウソの証言をさせてきた検事の態度こそ審理を遅らせた原因だ。その責任を被告に押しつけるのは許せない。
東京高裁第8刑事部の山田利夫裁判長は、この不当きわまる意見書を一瞥(いちべつ)しただけで、膨大な事件記録を検討することもなく抗告を棄却した。
棄却決定は、検察側主張の立場に立って事件を「大会阻止を企てた組織的犯行」と断じたきわめて悪質なものだ。そして「捜査段階での黙秘」「公判での事実の否認」「正当な組合活動の主張」を挙げて「罪証を隠滅する相当な理由が認められる」と叫んでいる。
加えて、弁護人が「被告人の行為の正当性」や「不当な政治弾圧の違法性」を主張し、「検察官請求の証拠に不同意」で、検察側証人を厳しく追及していることも棄却の理由にあげつらう。弁護活動をやめろと言うに等しい暴言だ。被告人は無罪を推定され、弁護人をつける権利があるなどの裁判の原則は、司法の手で全面否定されたのだ。
さらに重大なことは、山田裁判長が松崎、橘、向山3被告の住居を「不詳」としてきたことだ。保釈申請の中で3被告はそれぞれの制限住居を明記しているにもかかわらず、それをまったく無視しているのだ。特に許せないことは、松崎被告の住居を「不詳」とする悪意あるデッチあげをしてきたことだ。検察官の起訴状ですら、本籍地と同じ住所をきちんと記載している。「住居不詳」であれば、「証拠隠滅のおそれ」の有無を検討する前に、問答無用で保釈申請却下である。山田裁判長はこのような卑劣なねつ造を平然とやる悪質裁判官なのだ。
東京地裁の青柳裁判長と東京高裁の山田裁判長を徹底的に弾劾し、そのデタラメきわまる極反動の主張を打ち破り、裁判官の前に保釈要求署名を山のように積み上げて労働者人民の怒りをたたきつけよう。なんとしても保釈をかちとろう。
許さない会が訴える10万筆の保釈要求署名達成へ、今こそ全力で闘おう。
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第10回 7月18日(金)/第11回 8月27日(水)
第12回 9月17日(水)/第13回 10月6日(月)
第14回 10月27日(月)/第15回 11月21日(金)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2110号2面4)
電機連合大会 ビラまきに大反響
「産報化」を徹底弾劾
7月3〜4日、電機連合の第51回定期全国大会が名古屋市の名古屋市民会館で開催された。全国労組交流センターの電機労働者は闘いを呼びかけるビラまき行動に決起した。今年1月に横浜市内で開催された中央委員会への登場に続いての取り組みであり、有事法制下で連合中央打倒をめざした各産別大会への決起の一環として闘われた。
午後1時からの開会に合わせ、続々と代議員と傍聴者がやってくる。「電機労働者の力でイラク派兵特措法の成立を粉砕しよう」と大書されたビラは圧倒的な注目を浴び、約2時間の宣伝活動で大会参加者の大半に相当する千枚近いビラがまかれた。受け取った労働者が次々にビラまき隊に声をかけ、連帯を求めるという画期的な事態が生まれた。
昨年の5・16連合見解を突破口にした有事立法と労基法改悪での民主党・連合の裏切りは絶対に許しがたい。この裏切りの最先端にいるのが電機連合中央だ。
「強い国づくり」叫ぶ再生プラン
電機連合は昨年の大会で賃金闘争を最後的に放棄し、職種別賃金への移行を決定した。それと一体で、「第6次産業政策」を「電機産業再生プラン」として策定しようとしている。そこでは、°日本の企業は強いが、国家が弱いから国際競争で敗北した″などと言って「強い国づくり」を真正面から主張し、その上で「強い企業、強い個人を創る」などと言っている。今大会でその具体化として「電機産業職業アカデミー構想」を打ち出し、今回の労基法改悪だけでも不十分とばかり、裁量労働制のさらなる拡大まで提案した。これらは、終身雇用制解体攻撃を組合が率先して担うという宣言だ。
国家、企業を強くするためならなんでもするというのだ。「奥田ビジョン」の体現者=電機連合の姿こそ今日の産業報国会そのものだ。全労働者の敵、電機連合中央を打倒しよう。
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週刊『前進』(2110号3面1)
日教組大会に向けて訴える
教育基本法改悪絶対阻止へ 屈服方針突き破り総反撃を
革共同教育労働者委員会
有事立法に加担した日教組本部を許すな
8月25〜27日に開催される日教組第91回定期全国大会は、有事立法が成立し教育基本法改悪が切迫するという、歴史的な重大情勢のもとでの大会となった。
01年9・11反米ゲリラ戦争の炸裂(さくれつ)と、今年3月20日の米英帝国主義のイラク侵略戦争突入は、まさに世界を一変させた。米帝ブッシュの恐るべき世界戦争計画の発動に対して、日帝・小泉は6月6日、有事3法を成立させ、北朝鮮侵略戦争に突進していこうとしている。有事3法は、学校と教育をも戦争体制に組みこむものであり、何よりも教育労働者に全面的な戦争協力を強いるものである。さらに日帝は今、戦争国家への大転換のために教育基本法を全面的に改悪しようとしている。
このことは教育労働者にとって、自らが侵略教育を担い、侵略戦争に子どもたちと全人民を動員する最悪の先兵になるという重大事態が切迫しているということである。国防教育と軍事教練の復活がもうすぐそこに迫っているのである。今こそ教育労働者は、自らの生きざまをかけ、有事法発動阻止・北朝鮮侵略戦争絶対阻止の闘いに立ち上がらなければならない。
日教組本部・榊原委員長は昨年5月16日、連合が「有事法制は必要」という見解をとりまとめた会議の席上で、反対意見の一言も言わず、沈黙というかたちで賛成し推進した。陸・海・空・港湾労組20団体陣形への合流はかたくなに拒否し続けた。そしてついに、日教組が推薦した民主党の日政連議員は、1人を除いて有事立法に賛成票を投じた。日教組が、戦後史を画する戦争法である有事法の成立の一翼を担ったということである。この日教組本部の責任を徹底的に追及しなければならない。
教育基本法の改悪は、愛国心・国防教育の強制であり、教育を再び国家総力戦の道具とするものだ。平和教育は「偏向教育」として弾圧され、「日の丸・君が代」に反対する教育労働者は「不適格教員」として追放される。教基法改悪の最大の狙いは、日教組運動の最後的解体にある。
ところが今年3月20日の中教審の教基法改悪の答申に対する「日教組見解」は、「教基法改悪反対」とは言うものの、中教審答申が教基法改悪とセットで打ち出した教育振興基本計画に財政措置がとられれば賛成するといわんばかりの代物だ。そして今、本部が唯一指示している取り組みは、「国会調査会の設置」「教育振興基本計画の策定」を要求する両院議長あての請願署名だ。翼賛国会に調査会設置を要求するとは、教基法改悪へのお墨つきを与えるに等しい。
教育振興基本計画は、改悪教基法の実行計画、「国家戦略としての教育改革」の推進計画だ。教育振興基本計画の策定と実施が「国の責務」となれば、行政権力の「不当な支配」を禁じた教基法10条の解体だ。
榊原委員長は「改悪法案が上程されても、文科省との協調路線を変更する考えはない」と言い、中村書記長は「国民が反対しないという選択をするなら、やむを得ない」と言い放っている。教基法が改悪されたら、愛国心・国防教育に邁進(まいしん)しようというのか!
教基法改悪案の国会提出は臨時国会以降に先送りされたが、最後的に転向した日教組本部を取り込んだ「国民合意の教基法改悪」の危機が進行しているのだ。心底から危機意識を持たなければならない。
日教組運動の解体と変質を阻む重大決戦
日教組本部の言動を、連合各単産大会の様相と重ねて見ると事態はより鮮明となる。
公社化のもとでの6月全逓大会では、委員長が「これまで以上の労使のパートナーシップ」を強調し、リストラ計画を「当局との共同作業で進める」ことを表明し、連合会長は「(全逓の運動方針は)表紙を変えれば全郵政と中身はまったく同じ」とあいさつした。
自治労8月大会で採択されようとしている新綱領「自治労21世紀宣言」は、もはや連合の「日本の進路」や「政治方針」と変わるところはない代物だ。現綱領の「『地方自治の民主的確立』『平和と独立』のためにたたかう」という「階級的使命」を投げ捨て、「労使の協働で有効な政府を確立する」というのだ。「冷戦構造が残存する東アジア地域(の)安全保障システムを構築していく」とは、自治体の戦争動員に率先協力するということだ。
4党合意に反対する組合員を警察に売り渡すまでに腐敗を深めてきた国労本部は、9月大会で国労の連合体化と闘争団切り捨てを強行しようとしている。
だが、連合指導部に対する現場の怒りは極点に達し、党派的分岐と大流動がまき起こっている。全労連内部からも日共中央への不信と反乱が広がっている。有事立法や労働法制、国鉄1047名闘争をめぐるナショナルセンターをこえた労組の結集は、労働運動の巨大な再編情勢の始まりを告げ知らせている。
今次日教組大会は、日教組運動の解体と戦争推進勢力化=教育報国会への変質を許すのか、階級的再生の橋頭保を築くのかをかけた決戦だ。全逓大会、自治労大会、国労大会に向けた同志たちの闘いに呼応し、労働運動の産業報国会化粉砕、階級的労働運動の再生へ総決起しよう。
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動は、有事体制下の労働運動弾圧への全人民的反撃の闘いであり、国鉄1047名闘争の発展の推進力である。そして教育労働者にとって、国家権力の総力を挙げた労働運動弾圧と真っ向から対決し、労働者階級としての荒々しい階級性を奪い返していく決定的な闘いである。闘う教育労働者は「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動の先頭に立とう。全国の教育労働者の中に「許さない会」運動を網の目のように広げよう。
戦争動員を拒否する反戦闘争まき起こせ
今次日教組大会は、実に重大な大会である。このまま日教組指導部の屈服と裏切りに身をゆだねていたら、教育労働者は文字どおりの侵略戦争の先兵とさせられるのだ。日教組本部の屈服と裏切りを突き破る教育労働者の総反撃をつくり出し、なんとしても闘う教育労働運動の再生をかちとらなければならない。
日教組大会に向けた教育労働者の闘いの課題は何か。
第一に、教基法改悪反対運動を「国民合意の教育基本法見直し」運動に歪曲しようとする日教組本部を許さず、改悪絶対反対の立場と全人民的反対運動の方針を確立しよう。教育労働者が絶対反対の立場を確立せずして、世論形成も共同闘争もあり得ない。
「愛国心評価」「心のノート」「つくる会教科書」など教基法改悪の先取り攻撃に対する保護者・市民、被差別人民との共同闘争が重要だ。「つくる会」勢力は、広島や東京の中高一貫校での採択を突破口に、拉致事件をめぐる排外主義運動を05年の公立中学での「つくる会」教科書大量採択に連動させることを狙っている。広教組・広高教組の着席闘争への大量処分の撤回闘争を中軸に、「日の丸・君が代」処分反対闘争を新たな教育裁判としてつくり出していこう。
他方、中教審への初等中等教育改革の包括諮問により、就学年齢弾力化、習熟度別指導、学力テストなどの改革は、教基法改悪を待たずにドシドシ実施に移されようとしている。目指されているのは、義務教育の階層別再編である。
「愛国心評価も学力テストもやっているから、教育基本法まで変える必要はない」などという理屈で、教育基本法改悪に反対できるはずもない。勤評闘争がそうだったように、教育労働者が教育政策に取り込まれている自らの現実を自己批判的にとらえかえすところから、自己解放をかけた本物の闘いが始まるのだ。
不況下で、高校生は自衛隊に応募するか不安定雇用しか就職口がなくなっている。愛国心教育で戦場に送られるのが労働者の子どもたちなら、能力主義で切り捨てられるのも労働者の子どもたちだ。教育改革攻撃の階級的正体を見抜き、階級的共同闘争として教育闘争をつくり出そう。
第二に、有事法発動・朝鮮侵略戦争阻止、イラク軍事占領反対・自衛隊派兵阻止の闘いに総決起しよう。
有事法制反対闘争の先頭に立ってきた20労組は、「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」を合言葉に、あくまでも戦争協力を拒否する戦闘宣言を発し、業務従事命令を拒否する職場生産点の闘いに踏み出している。そこには、戦後労働運動・平和運動の限界をのりこえる非和解的な質がはらまれている。イラク戦争下で72時間の春闘ストライキをうちぬいた「動労千葉の労働運動」が、この闘いの牽引(けんいん)車として登場している。
教育労働運動の帰趨(きすう)は、有事法と対決する反戦闘争に総決起することにかかっている。教基法改悪の核心は教育の戦争動員であり、教育労働者が反戦闘争に全力で立ち上がることなくして教基法改悪と対決することはできない。20労組陣形に合流し、反戦闘争の先頭に立とう。
第三に、新・勤評=人事考課制度導入阻止の全国闘争を構築することである。
人事考課制度こそ、職場の団結を解体し、改悪教基法の教育目標への忠勤を強制する、教育の権力支配の最大のテコである。制度を丸飲みする連合執行部をのりこえ、広島が拒否・抵抗闘争で闘い、大阪では1万2千人が自己申告票の提出を拒否している。現場には闘う力がある。職場から抵抗闘争を巻き起こし、闘う方針をもぎりとれ。職場闘争とストライキで闘う日教組運動を取り戻そう。
第四に、文科省とのパートナー路線を粉砕し、教育改革攻撃と総対決・総抵抗する路線を確立しよう。
小泉政権の「三位一体改革」による国庫負担制度見直し、規制改革による学校の公設民営化、公務員制度改革による教育賃金抜本見直しと、教育労働者の雇用と賃金を直撃する大攻撃が迫っている。日教組本部は、規制改革・地方分権をめぐる省庁間の権益争いにすがりつき、文科省・自民党文教族との癒着をいよいよ深めている。
だが、教育労働者の雇用と労働条件は、公務員労働者の団結、官民を越えた労働者の団結によってのみ守り抜くことができる。国家主義・能力主義と対決してこそ、保護者・住民と連帯した運動の力で教育条件・労働条件の維持・向上もかちとれるのだ。
日教組本部のパートナー路線とはもともと、文科省とアベックで教育財政への行革圧力をかわそうという発想から出発した。日教組本部の変質は今や、教育振興基本計画と引き換えに教基法改悪を容認するところまで深まった。パートナー路線と今こそ決別しよう。
広教組銃撃を弾劾し8・6広島に結集を
第五に、広教組への銃撃事件を徹底弾劾し、闘う広島両教組を防衛しよう。
6・27銃撃事件は、「国賊日教組征伐」を呼号する極右による「闘う日教組運動」への反革命襲撃だ。広島両教組は、文科省是正指導による平和教育・解放教育つぶしと対決し、大量処分、広域異動、賃金返還請求による組織破壊攻撃に屈せず、闘い続けてきた。3年間で百数十名に上る戒告処分をのりこえて「日の丸・君が代」反対を貫き、新・勤評に対しては拒否・抵抗闘争を闘い、教基法改悪反対の署名・全国紙意見広告を呼びかけてきた。日教組本部の屈服と転向の中で仁王立ちして闘ってきたのが広島両教組だ。
全国の教育労働者は、この銃撃を自らへの攻撃として受け止め、満身の怒りと危機感を爆発させて広島両教組の防衛・連帯に立とう。8・6ヒロシマへ総結集し、闘う日教組再生の新しい潮流をつくりだそう。
最後に、青年教育労働者の獲得とマル青労同再建を本格的に推進することを訴えたい。
世界戦争過程へ突入する中で、教育は軍事・経済・治安のすべての土台をなす争闘戦の一大焦点となっている。中教審が「国運打開を教育にかける」と言うように、教基法改悪攻撃は体制的死重をかけた攻撃だ。階級闘争の思想と体制変革の立場なしに、教育労働運動は成り立たない。
今や階級性のかけらも放棄した協会派や日本共産党に代わって、教基法改悪阻止闘争の中から新しい階級的労働運動の次代の指導部をつくり出そう。戦争と革命の時代認識と労働者階級自己解放の思想に立脚した「帝国主義と対決する労働運動」に、青年教育労働者を獲得しよう。
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週刊『前進』(2110号3面2)
共謀罪審議入り阻め
国会前で集会と座り込み
7月4日、破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪新設阻止の国会闘争を闘い抜いた。この日は、イラク自衛隊派兵法案の衆院採決強行と重なり、法案阻止闘争とも連帯して闘い抜いた。
午前11時から国会前座り込みを開始し、正午からは衆院での審議入り阻止を呼びかける集会を行った。
集会の基調報告では、自由法曹団や自由人権協会、社会文化法律センター、各地の弁護士会の刑事関連委員会などで「共謀罪反対」の声明が出され始めていること、「共同声明運動」の賛同者が千人に近づきつつあることなどが報告された。共謀罪新設阻止の運動は大きく広がりつつある。
参加団体からの発言として、「共謀罪、証人買収罪阻止を闘う」(国賠ネット)、「再びストライキで闘う決意だ」(動労千葉)、「無茶苦茶な『共謀』論で弾圧された」(洋書センター弾圧被告団)、「石原警察都政と闘う」(山谷共闘委)、「派兵阻止と一体で闘う」(反戦闘争実行委)などの発言が行われた。
最後に国会に向けてシュプレヒコールを行い、集会は終了した。
その後、座り込みを継続しながら、国会議員に対して共謀罪廃案を呼びかける要請行動を行った。
共謀罪をめぐる国会情勢は、一気に動き始めている。7月15日には衆院の法務委員会で審議が始まるとも言われている。事態は切迫している。さらなる審議阻止・絶対廃案の闘いを国会にたたきつけよう。
共同声明運動の呼びかけ人(足立昌勝・関東学院大教授ら11人)は、7月17日に共謀罪新設反対集会を開催する。全力で参加し、ともに廃案に向けて闘おう。
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週刊『前進』(2110号3面3)
太田衆院議員・森前首相・福田官房長官の女性差別発言を弾劾する
「少子化対策」攻撃の一環
“男はレイプせよ”と暴行扇動
早大生らによる長年にわたる集団レイプ事件が被害女性の告発で明るみに出た。大規模な会費制の飲み会で、主催サークルのメンバーが常習的にレイプを繰り返していたと言われる。
この事件を機に、自民党国会議員たちの本音が次々に暴露された。6月26日、全国私立幼稚園連合会九州地区公開討論会でパネラーとなった自民党の太田誠一衆議院議員、森喜朗元首相が、女性を〈人格のない欲望の対象物〉と見なして襲撃するレイプ、しかも卑劣な集団レイプを擁護しただけでなく、賛美したのだ。「集団レイプする人はまだ元気がある」(太田)、「子どもをつくらない女性が年をとって税金で面倒をみなさいというのはおかしい」(森)。さらに7月1日、福田康夫官房長官も「女性にもいかにも『してほしい』っていうの、いるんじゃない」と発言した。
一連の発言は、〈男はレイプぐらいせよ、女は子を産め〉という主張に行き着く。〈女は、人格のない欲望の対象物、子産み道具〉と見なす、またレイプは被害者に問題があるという、典型的な女性差別主義を絶対に許すことはできない。
有事法制下の家族制度強化
だが、それだけではない。この女性差別主義の噴出は、日帝が有事立法を強行し急速に戦争国家へと変貌(へんぼう)していることの現れなのだ。問題の核心はここにこそある。
これらの発言は、今国会で審議に入った少子化社会対策基本法の理念そのものである。これは、〈他国民を平気で殺りくする戦争国家のもとでの家族制度強化〉攻撃、有事法制下の女性差別・抑圧・分断・動員攻撃にほかならない。
だからこそ、小泉首相は「言論は自由」と太田・森議員を擁護し開き直った。山崎自民党幹事長は「少子化問題で世間の一部にある考え。問題化される必要はない」と言い始めた。日帝・小泉政権の見解として「暴言」がまかりとおろうとしているのだ。絶対に許してはならない。女たちの怒りの抗議行動を小泉政権にたたきつけよう。
社民党の福島瑞穂議員ら女性国会議員たちの抗議は弱々しく「女性差別・人権無視・時代錯誤」と指摘するだけである。「時代錯誤」どころではない、大恐慌と世界戦争の時代だからこそこういう差別主義暴言が出ているのではないか。
ともに「社会の衰退」憂う日共
こうした中で、日本共産党・不破議長は7中総で綱領改定案に関連して「子どもを産むか産まないかは女性が自決する権利だが、少子化の現状にはそれだけではすまない大問題がある」「(少子化は)社会の存続にかかわる危機――(少子化で)社会そのものが衰退に向かわざるをえない」と、ほとんど日帝・小泉政権と同じ危機観、家族観・女性観を述べている。少子化の矛盾とは帝国主義の危機の産物であり、資本主義・帝国主義はもはや打倒されねばならないということだ。だが、日本共産党・不破は「社会の衰退という大問題」を女性の人権擁護の上に置く。この論理は、百パーセント帝国主義体制擁護者の論理である。
労働者の怒り、階級的感性を力に団結し、既成指導部の腐敗を暴き、日帝・小泉の戦争国家化と女性差別・抑圧・分断・動員攻撃と対決しよう。
(林佐和子)
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週刊『前進』(2110号3面4)
■横浜大会に向けて訴える■(2)
官公労運動の解体狙う
終身雇用・年功賃金破壊と有事体制づくりを打ち破れ
公務員制度改革
団結破壊する能力等級導入
公務員制度改革をめぐる情勢は、いよいよ重大局面に入った。政府・与党は、法案の国会提出へ向けて閣議決定の動きを見せている(国家公務員法改正案、能力等級法案、官民人事交流法改正案の3法案)。公務員制度改革は公務員労働運動の全面的解体を射程に入れた一大攻撃である。有事法制―戦争国家化攻撃の一環をなす公務員制度改革を絶対に粉砕しなければならない。
公務員制度改革は戦後日本の公務員制度の抜本的転換である。
まず第一に、公務員の労働条件の決定権限を、現在の「中立的」人事院から各省庁に移す。人事院の縮小・解体をめざすものである。労働条件の根幹である賃金(=制度を含めて)および人事任用について、省庁に強力な権限を与え、限られた予算の中で、省庁の判断と責任で労務管理を行えというのである。公務員の労働条件をめぐる交渉の統一的窓口は解体され、省庁ごとの個別的でストレートな労働者支配が可能となるのだ。公務員労働者の統一交渉、統一闘争を解体するものである。
第二に、公務員の身分保障を廃止する。「職責を十分に果たしていない」職員に対する分限処分(免職や降格など)を実施しやすくするために、分限処分の基準や手続きの明確化を打ち出している。
第三に、「信賞必罰」の人事制度への大転換である。
その一は、賃金(基本給部分に相当)を「能力給・職責給・業績給」の三つの部分で構成するとしている。また、8段階の「能力等級」を設け、自動的な昇任・昇格をすべて否定している。まさに、年功賃金の全面的解体であり、「わたり」、定期昇給も含めた現行の賃金制度を跡形もなく解体するものである。
その二は、「人事評価制度」の全面的導入である。「能力・業績」に基づく「人事評価」を行い、昇給・昇格、業績給(=基本給の一部!)に反映させようというのである。要するに労働者に国家への忠誠度を競わせ、労働者を分断し、労働者としての意識と団結を解体することである。
以上のように、公務員制度改革は、官の部門の大リストラと一体のものであり、官公労働運動に照準を当てた、戦後労働運動解体の攻撃の総仕上げとしての質を持つ。
奥田路線貫徹と戦争国家化
では、その攻撃の背景は何か。それは、資本主義の危機のもとで資本の生き残りをかけて打ち出した、日本経団連・奥田ビジョンの貫徹のために、いよいよ公務員制度改革が避けて通れなくなったということだ。公務員の終身雇用・年功賃金を解体することなしに奥田路線は貫徹できない。
日本経団連は「春闘終焉(しゅうえん)」を叫んで、労働者の権利を体現する労働組合から企業・国家の利益を体現する「組合」への大転換を求めている。また、小泉構造改革の中心テーマである規制緩和、すなわち弱肉強食の競争原理の貫徹のためにも、官の部門のリストラ、民営化は大きな目標である。
日本経団連と小泉にとって、官公労働運動の解体・一掃はますます緊急の課題となっているのだ。
さらに、今ひとつの背景は、有事法制下の戦争国家化の攻撃である。行政改革は中曽根政権の時代から改憲をも射程に入れた〈戦争のできる国家〉づくりと一体のものとして構想され推進されてきた。今日、米帝ブッシュの世界戦争路線の発動と、日帝・小泉の戦争国家化・参戦国家化の攻撃のもとで、公務員労働者の戦争への協力・動員と官公部門における労働運動の解体・一掃が小泉政権にとってきわめて重要な課題となったということである。
有事法制(―国民保護法制)の実体化において政府機関の臨戦化、地方自治体の戦争体制への編入、自治体労働者の戦争協力・動員は不可欠である。また、国家総動員体制構築の上で教育の果たす役割は決定的である。自治労・日教組の解体と有事法制攻撃とは表裏一体なのである。
中央省庁再編当時、政府関係者は「公務員制度改革は省庁再編の入魂作業」「新しい制度で働く者は新しい公務員であるべきだ」と述べた。労働者意識と団結の徹底した解体、労働運動の解体・一掃が目的なのである。
法案提出阻止ストで闘おう
ではどう闘うべきか。敵が労働条件を一方的・根本的に改悪しようとする攻撃をかけている時、労働運動・労働組合の側の〈回答〉は、ストライキを含む対決以外にありえない。
敵の側は「労使協議」を棚上げしたまま一方的法案決定をもって強行突破を狙っているのだ。しかも一方で制度の根本的改悪を突きつけながらスト権を含む労働基本権については剥奪(はくだつ)したままにする、というのが政府・資本の側の方針なのである。まことに許しがたい。
自治労中央・日教組中央などは、「民主的公務員制度改革」を掲げる「対案」路線である。そうではなく、すべての公務員労組は今こそ公務員制度改革粉砕、関連法案阻止を掲げてストライキを背景に、対政府交渉を展開すべきである。ことは日本の公務員労働者430万人、その家族を含め1500万人の労働条件と生活にかかわる事柄である。自らの賃金・労働条件を守る闘いは労働者のエゴなどでは断じてない。日本の全労働者の雇用と賃金、生活を守り抜く闘いの不可欠の一環なのだ。
有事法制反対・戦争動員反対の集会・デモにおいて、連合傘下の最大動員が自治労・日教組であることを見れば、この闘いの意義はあまりにも明らかである。国鉄分割・民営化攻撃にも比すべき、総資本対総労働の全面的攻防としてこの闘いを位置づけ、国労5・27臨大闘争弾圧と闘う国労組合員やストライキで闘う動労千葉と連帯して闘おう。全労働者の力で勝利しよう。
(自治体労働者 吉村潤一)
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週刊『前進』(2110号3面5)
つぶせ! 共謀罪 とめよう戦争への道
7・17集会
7月17日(木)18時開場、18時30分開始
シニアワーク東京(JR飯田橋駅から徒歩10分)
主催 共謀罪新設反対国際共同声明呼びかけ人
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週刊『前進』(2110号4面1)
7・6泉佐野 “関空2期工事中止せよ”
地元住民先頭に全国集会
人民の怒りの中でイラク派兵法案が衆議院本会議を通過し、参議院での審議に入るという切迫した情勢のもと、7月6日大阪府泉佐野市で関西新空港反対全国集会が闘われた。
会場の末広公園には、この日の集会を中心で担う意気込みの地元住民が開会2時間も前から結集し始めた。公園には日曜日にスポーツを楽しむ人びとが大勢来ており、集会に注目し、参加する人もいた。集会には地元住民60人を中心に180人が参加し、「関空2期事業を阻止し、北朝鮮侵略戦争のための軍事空港を粉砕する。そしてイラク派兵新法を許さない」決意を一層固めた。
関空闘争の爆発を恐れる大阪府警は、参加者にヤクザまがいの妨害を行った。「戦争反対や軍事空港に反対する運動を妨害する。これが大阪府警の正体です」とすかさずマイクでアピール。多くの市民が注目する中、大阪府警の私服刑事はいたたまれず、「何言うとんじゃ、われ」と絶叫。一斉に起こった「ヤクザは帰れ」の大合唱に、すごすごと引き下がらざるをえなかった。
集会は安藤眞一淡路町反対同盟事務局長の司会で始まった。主催者あいさつは森田恒一泉州住民の会代表だ。「今年の集会は例年にも増して重要となった。小泉は有事法を採択し、北朝鮮侵略戦争を準備している。さらにイラクにまで自衛隊を出そうとしている。関空は米軍の兵站(へいたん)基地にされようとしている。私は、心から大声でアピールしたい。いま大変なところに来ているのだ。絶対に、戦争と関空軍事使用はさせないぞという意志をこの集会ではっきりさせよう」と力強く発言した。山本善偉東灘区住民の会代表は、「小泉はインド洋からイージス艦を引き返させ北朝鮮侵略をやろうとしている」と弾劾した。
三里塚から、北原鉱治反対同盟事務局長が参加した。「三里塚は38年間空港の軍事使用をさせない、戦争絶対反対で闘ってきた。成田も関西新空港も有事に米軍50万がやって来て軍事拠点として使用しようとしている。アジアを征服するための有事立法を許してはならない。声ある者は声を、勇気ある者は勇気を出して未来のために闘おう」と訴えた。
動労千葉の滝口誠共闘部長は、「今や関空で働く仲間たちも戦争に反対して闘っている」と、航空労組連絡会や航空安全会議など、陸・海・空・港湾労組20団体に結集する闘う労働運動を紹介し、戦争に鉄道輸送は使わせないと決意を語った。初めてこの集会に参加した讃岐田訓神戸大学教授は、「大阪湾を破壊から再生させるためには、神戸空港も関空も撤去すべきだ。徹底的に闘いぬく」と発言した。
集会の基調報告は泉佐野市議会議員である国賀祥司泉州住民の会事務局長が行った。「集会の目的は、成立した有事立法のもとで関空を軍事使用させないことだ。旅客数が激減している今こそ、二期工事阻止の正念場にきている。イラク新法の成立を阻止しよう。自国帝国主義が民族解放闘争を闘うイラク人民を虐殺するために自衛隊を派兵しようとしていることを許してはならない。国際連帯をかけて闘おう」と熱烈に訴えた。
地元泉州住民の会、東灘区住民の会、関西労組交流センター、部落解放同盟全国連、婦人民主クラブ全国協議会、全学連の決意表明を受け、永井満淡路町反対同盟代表は、「今や、関空は明白に軍事基地として使われようとしている。全力でデモにうって出よう」と檄(げき)を発した。
デモ隊は関空に向かって出発。デモの先頭は、住民団体と全学連だ。学生の力強いドラムとシュプレヒコールは市内全体に響き渡るほどの迫力だ。沿道では次々に住民が飛び出し、注目した。「関空2期反対! 北朝鮮侵略戦争阻止! イラク新法阻止!」のコールとビラの呼びかけは沿道住民の心に響いた。
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週刊『前進』(2110号4面2)
自衛隊派兵に反対
関西 百万人署名が集会
7月2日、大阪中之島公園で、とめよう戦争への道!百万人署名運動関西連絡会が呼びかけた「イラクに自衛隊を行かせるな!北朝鮮への戦争を止めよう! Peace Action」が開かれました。
司会の学生が、ここに来た思いをみんなに訴えて下さいと呼びかけ、フリートークを行いました。
戦争をとめよう! リストラ反対実行委員会の女性労働者は、「イラクの戦争はまだ終わっていないばかりか、今度は日本が戦争を始めようとしている。万景峰号への入港妨害や在日の人びとへの差別と排外主義攻撃の横行は、日本が北朝鮮への戦争を仕掛けようと狙っているためだ。朝鮮の人たちと一緒に、戦争を阻止するためにがんばろう」と訴えました。
反戦「障害者」の会の女性は、「今うつ状態で休職しているが、なんとかしなければと思って来た。イラク新法は軍隊である自衛隊を戦場に派兵するものだ。集会・デモで真実を訴えていきましょう」と発言。
関西合同労組の女性労働者は、イラク写真展を開く中で、在日の人から「拉致問題」で本当に悔しい思いをしていること、また戦争中の特高や検事が朝鮮人に対して行った行為を断罪、こうした連中に「拉致事件」を問題にする資格はないと指弾されたことを語り、「私たちが問題の本質を見極め、反戦の声を大きくしていこう」と訴えました。
婦人民主クラブ全国協関西ブロックの代表は、イラク人民が米英占領軍に連日戦闘を行っていることを報告し、イラク派兵法阻止、北朝鮮侵略戦争を許すなと訴えました。そして、「新潟ではこの排外主義攻撃を突き破るデモが闘いとられている。戦争には協力しないと宣言し、闘おうとしている20労組のような新しい労働運動が起こっている。本当に戦争反対に立ち上がろう」と訴えました。
部落解放同盟全国連合会荒本支部書記長の阪口克己さんは、「9月の東大阪市の市議会選挙にむけ、医療や、介護、福祉を切り捨てる政治を、市民の手に取り戻すため連日闘っている。イラク新法を廃案にし、侵略戦争に反対するためにがんばる」と発言しました。
集会後、230人のデモが太鼓隊を先頭に出発。米総領事館を包囲し弾劾闘争をやりぬいた後、繁華街の梅田まで沿道の労働者・市民にイラク反戦を声を限りに訴えました。この日の闘いでイラク新法を絶対に阻止する決意を固めました。
(投稿/労働者A・T)
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週刊『前進』(2110号4面3)
イラク派兵法許すな
7・6福岡 150人が米領事館デモ
7月6日、「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」の主催で、「イラク新法と有事法制を許さない7・6集会」が行われました。実行委員会の結成以来13回目のこの日の闘いは初参加者も含め150人の労働者・市民・学生の結集でかちとられました。
主催者を代表してカトリック福岡地区正義と平和協議会の青柳行信さんが、「軍事占領に対するイラクの人たちの闘いの本格的な始まりと、有事立法に続くイラク新法の成立がもくろまれる中で、私たちの闘いは新たな局面を迎えた。本日の闘いをその出発点にしていこう」と、あいさつしました。
九州大学大学院法学研究科助教授・出水薫さんの講演が行われました。94年から3年間、釜山総領事館で外務省専門調査員を務め、99年には訪朝の経験も持つ出水さんは、現在流布されている北朝鮮脅威論と、それを口実としたここ10年間の日本政府の軍拡を真っ向から批判すると同時に、他者の犠牲にもとづく秩序は「平和」ではないことを指摘し、これまでの護憲運動をのりこえる新たな反戦運動の方向を提起しました。
集会宣言を採択して集会を終了し、アメリカ領事館に向けてデモにうって出ました。道行く市民・ドライバーの圧倒的注目の中、ラップ調のリズムも軽快にデモ隊は1時間半のデモを意気高く貫徹し、領事館前では再び集会を行いました。東京拘置所在監中の国労5・27臨大闘争弾圧被告の羽廣憲さんからの集会へのメッセージが読み上げられ、闘争は獄内外を貫いてかちとられました。
最後に、米英軍のイラク即時撤退を要求する申入書を領事館に突きつけ、イラク新法の成立阻止に向け、次回7月21日に再び天神デモに立ち上がることを確認しました。
(投稿/福岡・I)
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週刊『前進』(2110号4面4)
杉並住民の会が総会
“福祉奪う悪政変えよう”
6月29日、介護と福祉を要求する杉並住民の会の第4回総会&記念集会が西荻窪の勤労福祉会館で開かれた。区内各地から高齢者を中心に200人の会員が集まり、奪われた介護を取り戻そう、住民の会の運動で元気に闘っていこうという熱気があふれた。
午後1時過ぎ、第1部の住民の会総会が開始された。最初に代表の八木ケ谷妙子さんがあいさつに立った。八木ケ谷さんは「老年よ大志を抱け」と言ったことについて「年寄りがいよいよ甘ったれちゃいられなくなったと痛感したからなんです」と語り、介護保険に対して高齢者が自ら闘わなければならないことを訴えた。
杉並区の来賓あいさつに続き、九州大学助教授の伊藤周平さんのメッセージが読み上げられた。連帯のあいさつでは都政を革新する会の北島邦彦事務局長が、「山田区長の路線は福祉を切り捨てていくもの。これと対決していかなければならない」と訴え、都革新の2人の議員と力を合わせて闘っていくことを誓った。けしば誠一区議は、「国が介護を切り捨て、戦争に向かおうとしている」と弾劾し、区議会でこれと全力で闘うことを誓った。新城せつこ区議は、「介護保険はなくして。前の制度がいい」という声が多く寄せられていることを紹介し、介護保険廃止に向けて闘うことを誓った。
また全国労組交流センター医療福祉部会からも連帯のあいさつが行われ、介護保険に異議あり全国ネットワーク、佐野雄介さんと共に地域で生きる道をきりひらく会などから連帯のメッセージが寄せられていることが報告された。
活動報告を副代表の高田普次夫さんが行った。この一年間の成果について、杉並区に介護保険制度の限界を認めさせ、一般福祉施策の適用を約束させたことなどを紹介した。情勢については、孤独死や介護「殺人」の急増、低所得の高齢者にとって保険料負担の問題、利用料が払えないために介護サービスを受けられない問題、介護労働者の劣悪な労働条件など深刻な現実を明らかにした。また、医療制度大改悪についても「お金がなければ病院に行けなくなる」と警鐘を鳴らした。最後に方針として保険料、利用料の減額・免除の実現のために区との交渉、東京都への不服審査請求の闘いなどを進めることを提起した。
会計監査報告、役員人事があった後、各地域からの報告が行われた。天沼の会員は、山田区長の福祉切り捨ての姿勢を弾劾した。自分の住んでいる団地で6人の孤独死があった悔しさを語り、「われわれの会に参加して、老人が明るく大志を抱いて生きていきたい」と呼びかけた。同じく天沼の会員は、月1回の会合を「楽しみにして集まっている」と語り、そこで意見が飛び交うことを「すばらしい成果だと喜んでいる」と語った。宮前の会員は、「行政との交渉のビデオを見て、医療や介護の改悪に反対する話をしています」と。和泉の会員は、「会合に出るのが楽しい。月1回だが、2回あってもいいぐらい。自分の学習のためになる。会合に出ることでますます元気になった」と口々に会への参加を呼びかけた。
第2部記念集会では医師の講演が行われ、スライドを使いながら政府の医療、介護、福祉の切り捨てについてわかりやすく説明した。続いて琉球舞踊が演じられ、情感あふれる踊りが魅了した。合間には南京玉すだれの曲芸が披露された。十代の演劇学校生徒3人が詩の朗読とパフォーマンス。力強い演技と踊り、歌でともに生きることの大切さを表現し、感銘を与えた。住民の女性グループによる大正琴の演奏では会場も一体となって歌った。
最後に会員が交代で集会宣言を読み上げた。「高齢者は、……社会の主人公として、侵すことのできない尊厳をもって生をまっとうする権利があります」「私たちは、自分たちだけでなく、わが子や、孫たちの世代のためにも、医療や介護、福祉が切り捨てられる攻撃と対決します」「もっとも楽しいはずの青春が戦争で奪われた私たちは、『平和が奪われるとき、人権が奪われる』ことを知っています」「『高齢者を切り捨て、若者を戦場におくる』悪政を変えましょう。若者よ、共にたたかおう」
感動的な宣言を全員の拍手で確認し、団結がんばろうのこぶしを突き上げた。
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週刊『前進』(2110号4面5)
(3)
ブッシュドクトリン
軍事力で凶暴に国益を貫く
“脅威”デッチあげ先制攻撃
ブッシュ政権は02年国防報告(8月15日)で、アフガニスタン侵略戦争の総括を踏まえ、世界戦争戦略をイラク侵略戦争、さらには北朝鮮侵略戦争として実行する戦争方針をうち出した。さらに昨年9月20日に米国家安全保障戦略(ブッシュ・ドクトリン)を発表し、そうした侵略戦争を「対テロ戦争」として推進する軍事外交政策上の基本原理を明らかにした。
“米帝への対抗許さぬ”と叫ぶ
ブッシュ・ドクトリンは第一に、米帝の「最強の軍事力と政治、経済的な影響力」を行使して、今後数十年間を決する軍事外交政策を強力に展開することをうち出した。
「米国の国家安全保障戦略は、わが国の価値観と国益を結合させたきっぱりとアメリカ的な国際主義に基づくものとしていく」−ブッシュ・ドクトリンは、このように述べて、帝国主義的な利害をむき出しに貫徹することが、「アメリカ的な国際主義」だと言い切った。「価値観と国益の結合」とは、イラク侵略戦争で言えば、米帝がイラクの石油と復興事業を独占するとともに、「自由と民主主義」の価値観を振りかざして親米国家をデッチあげ、中東と世界を再編していくということだ。
ブッシュ・ドクトリンはさらに、「米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵を思いとどまらせるのに十分な、強力な軍事力を持つ」と宣言し、他帝国主義や中国、ロシアを組み伏せ、対米対抗的な台頭を阻止するとしている。
日帝に対しては、「日本が地域と世界中で、われわれの共通する利益、価値観と、緊密な防衛・外交協力に基づいて、指導的な役割を果たし続けることを期待する」と述べて、米帝の軍事外交戦略のもとで動くことを要求し、徹底的に動員するとしている。
中国の体制転覆が戦略目標
ブッシュ・ドクトリンは第二に、「地球規模でテロリストを撲滅する」「当面の焦点は、大量破壊兵器の入手、使用を試みるテロ組織、テロ国家だ」と叫び、アフガニスタン侵略戦争に引き続き「対テロ戦争」を加速することを明らかにした。その際、「テロリストとテロを支援するものを区別しない」と述べて、米帝の「対テロ戦争」に全世界を従わせることを突きつけた。
ブッシュ・ドクトリンは、イラクと北朝鮮の「大量破壊兵器の脅威」を指摘し、両国を「対テロ戦争」の次のターゲットに名指した。そして「テロを推進するイデオロギーがどんな国家にも温床を見いだすことがないよう、特にイスラム世界で、穏健で近代的な政権を支援する」と、イラク侵略戦争を突破口に中東全体を再編・再制圧することを明らかにした。さらに、「中国はアジア太平洋地域の隣国を脅かしうる先進的な軍事能力を追求」「共産党の一党独裁」などと批判し、「やがて社会的、政治的自由だけが偉大さの源と気づくであろう」と中国スターリン主義の転覆を長期的目標に掲げた。
ブッシュ・ドクトリンは第三に、「必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で軍事力を行使する」と、「対テロ戦争」では「自衛のための先制攻撃」を基本原理にすると確認している。しかも「脅威が現実となる前に抑止し、防御しなければならない」などと言って、現実の脅威がなくても、将来の「脅威」が推定されれば、先制攻撃できるというのだ。イラクに対して行ったように、「大量破壊兵器の脅威」や「テロリストとの関係」をデッチあげて先制攻撃するということだ。
米帝は、これまで戦争の道具にしてきた「国際法」や「国連」をも無視し、これからは米帝が何が「脅威」かを認定し、どの国家を武力攻撃するかを決めるとしている。「大量破壊兵器の脅威」を理由に、先制核攻撃だってやるべきだとさえ言っているのだ。
米帝ブッシュはこうしたドクトリンを振りかざし、「対テロ戦争」という民族解放闘争圧殺の侵略戦争にうって出ることで、全面的な崩壊に向かう戦後世界体制を現状破壊的に再編し、他帝国主義を組み伏せて粉砕しようとしているのだ。
ブッシュ・ドクトリンは、そうした帝国主義的な侵略戦争を正当化するためのイデオロギー的な粉飾を試みている。
帝国主義こそ戦争の元凶だ
ブッシュ・ドクトリンは、「自由」という言葉を何十回も使い、「テロ」と戦って「自由の利益を地球全体に広げていく」などと主張している。
ブッシュの言う自由とは何か。それはアメリカの帝国主義ブルジョアジーが、アメリカと全世界の人民を搾取・収奪する自由のことだ。米帝はそうした自由を容赦なく行使するために、アメリカの労働者人民を侵略戦争にかり出し、被抑圧民族人民の虐殺と民族抑圧を積み重ねてきたのだ。そうして米帝は世界のGDPの3割、総資産の6割を独占しているのだ。9・11反米ゲリラ戦争は、こうした米帝の民族抑圧と虐殺に対する被抑圧民族人民の怒りが爆発したものだ。
ブッシュ・ドクトリンは、テロリズムを「計画的な、罪のない人びとに対して政治的動機でふるわれる暴力」と規定し、「どんな大義もテロを正当化するものではない」と断じている。であるならば、アフガニスタンやイラクの人民を無差別に虐殺し、ウラン弾で将来まで虐殺し続けることこそがテロであり、これらを「圧制からの解放」として正当化することはできないはずだ。
ブッシュ・ドクトリンは「歴史をつうじて、自由は戦争とテロに脅かされてきた」と言い、20世紀以降の戦争の元凶は帝国主義にあるという事実をねじ曲げている。そしてテロを根絶すれば、世界に平和が訪れるかのようなデマを振りまいている。日本共産党も、ブッシュと同じく、「野蛮なテロを根絶することは、21世紀に、人類がこの地球上で平和に生きてゆく根本条件」(米国での同時多発テロ事件にかんする各国政府首脳への書簡)と言っている。
しかし、イラク侵略戦争は何を示したのか。イラクの「テロリストとの関係」や「大量破壊兵器」は戦争の本当の理由ではなかった。世界大恐慌と長期不況・ブロック化の時代における帝国主義の市場・石油資源・勢力圏の奪い合いこそが戦争の原因なのだ。
米・日帝国主義は、戦争の元凶が帝国主義の行き詰まりと破産にあることを隠蔽し、労働者人民を被抑圧民族の虐殺へと動員しようとしている。このことに怒りを燃やし、民族解放・革命戦争に命がけで決起するイラク人民と連帯して、自らの解放をかけて闘おう。
(早乙女優)
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週刊『前進』(2110号4面6)
7月1日〜8日
イージス艦撤収、日本近海へ
ブッシュ「長期駐留辞さず」
●「長期駐留も辞さず」 ブッシュ米大統領がホワイトハウスで米軍人らを前に演説。イラクでは戦闘終結宣言後も米軍への攻撃が相次いでいることを認め、「完全な自由が確立されるまで米軍がイラクを離れることはない」と述べ、米軍の長期駐留も辞さない考えを示した。(1日)
●世界中どこでも2時間以内で攻撃 米国防総省が2025年の実用化を目指し、米本土から世界中どこへでも2時間以内で到着して標的を攻撃する「極超音速無人巡航機」(HCV)の開発を検討していることが分かった。(1日)
●地位協定、引き渡し拒否を示唆 日米地位協定に基づく在日米軍兵士容疑者の身柄引き渡し問題で、日米両政府が刑事司法手続きの新たなルール作りをめざす実務者協議を始めた。米側は取り調べ段階での米政府関係者と通訳の立ち会いを要求。協議で進展が得られなければ、起訴前の米兵容疑者の身柄引き渡しという地位協定の運用改善を実質的に拒否することもあり得ると示唆した。(2日)
●イージス艦、撤収へ 防衛庁はテロ対策特措法に基づくインド洋での米軍などへの支援活動からイージス艦を撤収させることを決めた。派遣を続けると日本近海で稼働できるイージス艦が1隻もなくなる「空白期間」が生じるのを避けるためという。(2日)
●米、リベリア派兵へ ブッシュ米大統領が内戦状態の西アフリカ・リベリアに米軍派兵を検討しているとの報道。500〜1千人規模になる見通し。アフリカへの本格的な米軍の派兵は、国連ソマリア活動(UNOSOM)で92年にソマリア入りした海兵隊以来、約10年ぶり。米CNNが報じた。(2日)
●イラク派兵法案が衆院通過 イラクに自衛隊を派兵する「イラク復興支援特別措置法案」が衆院本会議で与党3党などの賛成多数で可決、参院へ送られた。(4日)
●ふげん焼却炉が爆発し煙充満 福井県敦賀市の核燃料サイクル開発機構の新型転換炉「ふげん」の敷地内にある廃棄物処理施設で爆発事故が起きた。核燃機構によると、低レベル放射性廃棄物の焼却炉で、温度や圧力が上昇し焼却炉が緊急停止した。温度が低下した後、炉を再稼働したところ、爆発音が起き、焼却炉ののぞき窓が割れ煙が漏れていたという。(4日)
●「米、まだ戦争状態」 ブッシュ米大統領がオハイオ州デイトンの空軍基地で独立記念日の演説。「我が国はまだ戦争状態だ。敵はわれわれに対して陰謀をたくらんでいる」「米国は次の攻撃に対して腕をこまねいて傍観したり、邪悪な人間の慎みや善意を信じない」「大量破壊兵器でわれわれを脅かすいかなるテロリストも無法者政権もけっして許さない」などと述べた。(4日)
●米兵がイラクで略奪行為 米誌タイムが、イラクのバグダッド国際空港を制圧した米陸軍第3歩兵師団の兵士が、同空港の免税品を略奪したり、使用可能な旅客機や施設を破壊したりして推計で数百万jから最高で1億jの被害を与えたと報じた。(7日)
●一般教書演説「ウラン購入」間違い認める
米ホワイトハウス高官が「イラクがアフリカからウランを購入しようとしたという情報をブッシュ大統領の一般教書演説に盛り込んだのは間違いだった」と認めた。米ワシントンポスト紙が報じた。(7日)
●国立大法人法案、参院委で可決 国立大学を法人化して国の組織から独立させる国立大学法人法案とその関連法案が参院文教委員会で与党の賛成で原案どおり可決された。法人化により、大学運営は学長を中心としたトップダウン方式に変わる。国立大は短大、大学院を含め計99校あるが、法案が成立すれば、今秋に20校が10校に統合され、来春には89校が法人化する。(8日)
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週刊『前進』(2110号5面1)
東峰神社裁判支援カンパを
暫定滑走路閉鎖への闘い
神社林伐採の違法問う 神社敷地は総有関係
成田空港暫定滑走路に反対する成田市東峰区住民が、東峰神社裁判(所有権移転登記手続等請求事件)に対する支援カンパを呼びかけている(アピール参照)。この裁判闘争は成田平行滑走路予定地にある神社境内地の所有権確認と神社林伐採の違法を問い、暫定滑走路を閉鎖に追い込む闘いとして、三里塚闘争の重要裁判となった。原告、東峰区住民の呼びかけにこたえ、圧倒的な支援カンパを集中しよう。
東峰神社裁判は、空港公団が2001年6月16日に同神社の神社林を違法かつ暴力的に伐採したことに対して、同区住民が翌2002年4月9日に千葉地裁に提訴した裁判である。
滑走路の延長線上には、着陸時の障害を避けるために着陸帯の末端から50分の1(50bで1bせり上がる)の進入表面が設定される。東峰神社は暫定滑走路南端の着陸帯から60bの飛行直下にあり、同神社の立ち木がこの進入表面に突き出すことから空港公団が開港前に伐採を強行した。直後に公団は、「土地の所有権を得ており、民法上、立ち木は土地と一体のもので処分できると判断した」と開き直った。これに対して同区住民が神社敷地の所有権確認と神社林の原状回復を求めている。
裁判の核心点
この裁判闘争の核心点は神社敷地の所有権をめぐる総有(入会権)である。
東峰神社は東峰部落の産土神社として、1953年11月23日に部落の共同事業によって建立された。神社敷地は東峰部落の入植者の一人である寺田増之助氏が部落に寄贈した。寺田氏から寄贈された時点で、神社敷地には総有の(入会的)権利関係が成立した。
総有とは多数の者が同一の物を共同で所有することである。このもとでは、その物の管理・処分などの権限は、多数の者で形成する団体自体に属し、各団体員はその物を使用・収益する権限にとどまる。共同体所有の形態のなかでもっとも団体主義的色彩が強いもので、民法で定められている共有と比べると、各構成員には持分(もちぶん)がなく、また分割請求権もない。入会権はこれと同じ性格をもつ。神社ならびに神社敷地(境内地)は村落共同体が団体的に管理し神的加護を受けるとともに、各構成員(氏子)には持分も分割請求権もなく、村落共同体のものとして典型的な総有関係にある。
公団の居直り
この事実に対して被告・空港公団は、便宜的にすぎない登記名義を唯一の理由に「土地は神社のために使わせていたにすぎず、贈与の事実はない」と強弁し、「土地は公団のものだから伐採は正当だ」と言い張っている。総有については「入会権は徳川封建体制からの遺制にすぎず、民法施行後の集団に入会権が取得されることは認め得ない」「神社は入会権になじまない」などと、法社会学の学説からすれば論外の底の浅い暴論を展開している。
総有(入会権)は、岩手県の小繋(こつなぎ)村の村民の闘いが歴史的に知られており、北富士闘争もこれを論拠として闘われてきた。各種の公共事業などにおける土地収奪に対して人民の権利を主張する強力な論拠となってきた。東峰神社裁判でも勝利のための根拠となっている。
この裁判闘争は、人民の権利を守る総有論(入会権論)においても重要裁判に発展している。
村を守る闘い
三里塚闘争におけるこの裁判闘争の意義はきわめて大きい。
第一に、裁判闘争自体が暫定滑走路を閉鎖に追いやる闘いである。進入表面を10数bも飛び出す25本の神社林の原状回復は、暫定滑走路の閉鎖に直結する。また同区住民の地盤所有権が確認されれば、平行滑走路の破たんはさらに不動のものとなるのである。
第二に、暫定滑走路の欠陥性と認可の違法性、反対同盟と地元農民に対する国家権力・空港公団の暴挙を全社会的に明らかにするものである。
第三に、東峰区住民がこの裁判を部落の結束の象徴としていることである。神社林の伐採と土地所有権の強奪は「地区住民の歴史と人格を否定し、助け合いの絆を断って部落の解体につながりかねないものであり、村を守るためにも勝利しなければなりません」(カンパ趣意書)。
神社裁判は東峰区住民が一丸となって暫定滑走路に反対し、部落を守る闘いなのである。
裁判の勝利へ
裁判闘争は現在、原告・被告双方が認否と立証趣旨を明らかにする口頭弁論の段階にある。6月30日に行われた第7回公判では、地盤所有権をめぐって原告・東峰部落が鋭い総有論争を展開、被告・空港公団を圧倒した(別掲記事参照)。裁判は今後、神社境内地をめぐる地域調査の報告や社会法学者の鑑定書や証言など、総有をめぐる本格的な論戦に入る。
原告・東峰部落住民の呼びかけにこたえて、圧倒的なカンパを集中しよう。
カンパのお願い 原告、東峰区住民一同
現在、千葉地方裁判所民事第二部において、千葉県成田市東峰区の産土神社(東峰神社)の境内地の所有権確認と神社林伐採の違法を問う裁判が行われています。私たち原告ならびに東峰区住民は、この裁判闘争の支援カンパを訴えます。
二〇〇一年六月十六日、新東京国際空港公団は当時建設中の成田空港暫定滑走路の飛行の障害になるとして、東峰区に何の相談も通告もせずに、機動隊が地区住民を排除するという異様な状況のもとで、東峰神社の神社林を伐採しました。直後に空港公団総裁(中村徹=当時)は「神社の土地の所有権は空港公団にあり、そこにある立ち木も公団の所有物である」との暴論をもってその違法行為を弁明しました。
私たち東峰区住民は、@神社境内地の所有権は東峰区にあることを認め、A伐採した神社林を原状に戻すこと等を求める訴えを、翌年四月九日千葉地裁に起こしたのです。
この裁判の核心点は、滑走路間近に集落があることを度外視して建設を強行した暫定滑走路開港のために、空港公団が神社林の伐採を迫られたところにあります。神社林は地区住民全体の所有(総有)関係にあります。これを切り倒すための同意を住民から得られないとみた空港公団は、神社境内地が空港公団の所有物であるとの偽りを掲げることで神社林伐採の根拠としたのです。
これは近代的な土地所有関係が確立される以前からの所有形態として、民法(263条)においても各地方の慣習上の法理に従うべきものと規定されている総有を真っ向から否定する前代未聞の暴挙です。この裁判は数ある公共事業において住民の権利を守るためにも大きな意義をもつものであると考えています。
また地区住民にとって東峰神社は、苦しい開拓時代を乗り越えた部落の象徴であり、いまも精神的拠り所としてあるのです。空港公団による土地所有権の剥奪(はくだつ)と神社林の伐採は、私たち地区住民の歴史と人格を否定し、助け合いの絆を断って村落の解体につながりかねないものであり、村を守るためにも勝利しなければなりません。
ここに私たちは、空港公団の違法・不当と闘うことをあらためて決意し、皆様へのご支援を訴える次第です。裁判闘争勝利のための支援カンパに、皆様のご協力を切にお願い申し上げます。
二〇〇三年三月十五日
原告
石井恒司、川嶌みつ江
小泉英政、島村昭治
萩原 進、樋ヶ守男
平野靖識
成田市東峰区住民一同
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週刊『前進』(2110号5面2)
6・30弁論 公団の暴論に反論
「和解」のペテン許すな
東峰神社裁判の第7回口頭弁論が、6月30日、千葉地裁民事第2部(小磯武男裁判長)で開かれた。
この公判で原告・東峰部落は、総有(入会権)を否定する被告・空港公団の主張に対して、核心部分2点において鋭く反論した。
公団側の暴論の2点とは、@「民法は、従前存在していた入会権を権利として認めたのであり、(民法施行後に)新たな入会権の発生を認めていない」、A入会地は「山野を共同して生活上欠くことのできない財物を得る」ことにあるから「神社は入会権になじまない」である。
これに対して原告・東峰部落は、入会権は民法施行後も、村落集団が集団として土地を取得し総有的に支配する場合に新たに発生すること、入会権には利用形態に制限がなく入会者の意思によってその内容を決定できることを、法社会学と判例から明らかにした。
この日の反論は、神社敷地の所有権をめぐる総有(入会権)論争の入り口にあたる。弁護団は、今後、神社敷地の帰属についての地域調査報告や法社会学者の鑑定と証言などによる緻密(ちみつ)かつ膨大な理論展開を準備している。
この裁判の席上、被告・空港公団は、全面的に争うとした今までの構えから一転、原告・東峰部落に対して唐突に和解を申し入れた。具体的な和解案は示さなかったが、その内容は被告・空港公団の法廷での主張からすれば以下のとおりであろう。
第一に、空港公団は「土地は公団のもの」との主張を絶対に変えることはない。土地が東峰部落のものであることを認めたら「公団の土地だから、そこに植栽していた立ち木も公団のもの。伐採は正当」とする論拠が崩れてしまうからである。
第二に、このことを押し通すかわりに、最大限の譲歩をするであろう。部落が神社の土地を利用する権利は認める(これは現実の追認にすぎない)。謝罪文の新聞掲載と慰謝料支払い(せいぜい無断で伐採したことに対するものとしての)をする。立ち木の植栽を実施する。
しかし、第三に、立ち木が成長し進入表面を超えたら、その部分を切り払うことを条件とする。「土地は公団のものであり、その上に植栽された立ち木は公団のもの」との第一の主張を認めさせることで、切り払う根拠とするのである。
要するに違法かつ暴力的なやり方で神社林を盗伐し、東峰部落を徹底的に蹂躙(じゅうりん)した2001年6月16日の暴挙は、正当だとして開き直り、暫定滑走路運用の大前提としての神社林伐採の現状は絶対に変えないのである。
これは和解ではなく開き直りである。このような公団の和解策動など認められるものではない。東峰神社裁判に勝利し、暫定滑走路を閉鎖に追い込もう。
次回裁判は、9月22日(月)午前10時30分から千葉地裁501号法廷で開かれる。弁護団は毎回、裁判直後に報告会議を行い、傍聴者に分かりやすく解説している。傍聴闘争に決起しよう。
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週刊『前進』(2110号5面3)
8・6ヒロシマ−8・9ナガサキへ 全国被青同からアピール
再び核戦争をくり返すな イラクへの派兵阻止せよ
被爆者が自己解放かけ決起
さし迫る帝国主義世界戦争・核戦争の危機に、被爆者の自己解放をかけた歴史的渾身(こんしん)の決起が開始された。7月5日、広島に原水禁、原水協などの既成の運動の枠を越えて、400人もの被爆者が結集し、米帝ブッシュに対し「平和公園の慰霊碑の前で、原爆投下の行為を謝罪し、つぐないとして核兵器を直ちに廃絶することを世界に宣言せよ。ヒバクシャは核廃絶の日まで生きる。核兵器なき世界をこの目で確かめるまで」と歴史的な集会を開催した。
被爆者は、米帝ブッシュの「衝撃と恐怖作戦―ヒロシマ的心理効果を与える」というイラク侵略戦争に激しい怒りと危機感を抱き、核戦争の危機の切迫に対して、「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな!核廃絶!」を叫び、原爆症にむしばまれる病身をおして断固決起した。この闘いは文字どおり「核廃絶の日まで」、イラク反戦闘争を契機とした革命的大衆行動の一環として大きなうねりとなって世界規模で発展していく。
現実化しつつある第3次世界大戦が、世界を幾度となく焼き尽くすほどの破壊力を持つ核戦争となることは、もはや明らかである。帝国主義により人類は滅亡させられるのか、それとも労働者階級と被抑圧民族人民の国際連帯・国際的内乱による世界革命の勝利をもって、全人類の解放を手に入れるのかという、人類史上画期をなす時代が到来している。
今こそ、ヒロシマ・ナガサキを原点とする革命的反戦闘争の大爆発をかちとり、戦争と抑圧の元凶・帝国主義を打倒しよう!
米帝の世界核戦争計画粉砕
「戦闘終結宣言」にもかかわらず、米英帝国主義はイラク人民のゲリラ戦により民族解放・革命戦争の泥沼に引きずり込まれている。しかし、米帝ブッシュは、中東の石油資源独占の野望をますます強め、絶望的で凶暴なイラク軍事占領を継続しつつ、イランの核開発を口実に中東侵略戦争をさらに拡大しようと策動している。日帝のイランの油田開発に対して、「核開発」をしているイランとは契約を締結するなと、むき出しの争闘戦に打って出ている。一方、北朝鮮問題に関しても、KEDOに基づく軽水炉原発建設について、米帝は、自ら北朝鮮への重油の提供を一方的に停止したことにとどまらず、韓国や日本に対して、建設の中止を強要し、北朝鮮スターリン主義政権への戦争重圧を加えるとともに、アジアにおける対日争闘戦へ激しく打って出ている。
圧倒的な核戦力を有する軍事大国としての米帝は、そのスーパーパワーに物言わせ、自らの生き残りをかけて、イラク戦争を出発点に、世界戦争・核戦争計画を次々と発動し始めたのである。それは、イラクへの小型核爆弾並みの破壊力をもつ新型爆弾の大量投入と劣化ウラン弾の無制限の使用にとどまっていない。北朝鮮に対し、核先制攻撃を柱とする作戦計画「5027−03」を策定し、地下壕破壊用爆弾−バンカーバスターに小型核を搭載する計画を実行に移そうとしている。さらに、中国をにらみ、01年のQDRに基づき、今年10月には、巡航ミサイル搭載可能に改良されたトライデント原潜4隻を、中国近海に配備する計画が進められている。
全中東を、朝鮮・中国・アジア−全世界を核戦争の戦場とする、米帝のこの世界核戦争計画を、いまこそ国際的内乱で粉砕しよう。
中東石油狙いイラクに出兵
米帝ブッシュの世界戦争・核戦争計画の発動という事態を前に、アジアにおいて新たな「大東亜共栄圏」ともいうべき「東アジア経済圏」構想を実現する以外に道のない日帝は、日帝自身の北朝鮮(中国)侵略戦争のために、有事立法を強行した。さらに、中東石油の強奪戦に直接参戦しようと、イラクの戦場に自衛隊を派兵しイラク人民虐殺に手を染めるイラク新法を強行しようとしている。しかもイラク新法は、当事国の主権は無視して日帝自身の独自判断で出兵を強行するという侵略法そのものである。このイラク新法と有事立法が結び付けば、イラクの次は北朝鮮(中国)への侵略派兵である。アジア侵略とその必然の帰結としてあったヒロシマ・ナガサキを繰り返させないために、イラク新法を絶対阻止し有事立法攻撃を粉砕しなくてはならない。
さらに、こうした攻撃と軌を一にして強化される日帝の改憲と核武装の策動を絶対粉砕しなくてはならない。福田の「非核3原則見直し」発言などの小泉政権の閣僚・官僚どもによる核武装の宣伝扇動に続いて、与野党議員103人でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が「相手(北朝鮮)基地への攻撃能力の保有」と「集団的自衛権の行使」を公言するにいたり、小泉自身も先日の日米首脳会談において「MD(ミサイル防衛)は日本の防衛の極めて重要な課題」と発言するまでにいたっている。
有事立法・イラク新法とともに一気に激化する、日帝の核武装・改憲攻撃を粉砕し、イラク派兵、北朝鮮(中国)侵略戦争を絶対阻止しよう。
有事立法を強行した日帝は、これに追い打ちをかけるイラク新法攻撃をもって、今秋にもイラクへの自衛隊派兵を強行し、自衛隊出兵から北朝鮮侵略戦争・国民総動員・改憲への道を突き進もうとしている。そのために、「拉致・核武装」キャンペーンによる「北の脅威」をあおる排外主義イデオロギーの大洪水の中で、日帝・小泉は「対話と圧力」の名による戦争政策を万景峰号を始めとする北朝鮮船舶の入港拒否・規制として開始した。
8・6-8・9へ大結集しよう
しかし、闘いは、なんら決着がついたわけではない。階級闘争が敗北しない限り、日帝の戦争攻撃は泥沼的に内乱化する。すでに、今春闘において72時間ストを闘いぬいた動労千葉は、有事立法強行に対して堂々と「戦争協力拒否宣言」を発し、20労組を中心とする労働者階級の闘いも、6・10日比谷野音集会を出発点に「戦争協力拒否」を呼びかけるものとして開始された。排外主義にまみれ祖国擁護運動の最先兵と化している民主党・連合の階級支配を食い破る、革命的祖国敗北主義の実践が端緒的に開始されているのだ。今こそ、この開始された戦闘的労働運動と、ヒロシマ・ナガサキを原点とする反戦闘争が真に結合すべき時なのだ。
なぜなら、ヒロシマ・ナガサキこそ、帝国主義段階において資本家階級と労働者階級の階級対立の非和解性が、労働者階級の一方的で極限的な犠牲という形で極点に達したことの証明であり、労働者階級がヒロシマ・ナガサキをくり返す帝国主義核戦争に対して闘うことは、自己解放そのものだからである。
被爆者とは被爆した労働者階級である。被爆者の戦争への怒り・憎しみ・戦争加担への悔恨−これらをとおして貫かれる戦争への非和解性こそ、ヒロシマ・ナガサキの原点の核心として階級的に共有されるべきものである。
そもそも、被爆地広島・長崎は、被爆者の存在とともに帝国主義戦争を非和解的に告発し続ける反戦運動のメッカとして、革命的反戦闘争のイデオロギー的源泉であり、内乱の根拠地である。帝国主義世界戦争・核戦争の新たな過程が開始された今、排外主義に総屈服し再び国連への平和請願運動をもって闘争を敗北へと導く既成原水禁運動を、圧倒的に凌駕(りょうが)する8・6−8・9闘争の大爆発をかちとろう。闘う朝鮮・中国・アジア人民、中東人民と連帯し、「侵略を内乱へ」を貫く国際反戦闘争の発展をかちとろう。
わが全国被青同は、親兄弟である被爆者とともに、この闘いの先頭で闘うことをとおして、日帝の被爆者抹殺・英霊化攻撃を粉砕し、不慮の事故により、志半ばにして倒れた友野幽前委員長の遺志を継ぎ、高陽病院建設運動の発展と反戦被爆者の会、全国被青同の組織建設強化をかちとる決意だ。すべての労働者、学生、市民の皆さん、ともに闘おう。
《お知らせ》
全国被爆者青年同盟のホームページを紹介します。
http://www2.odn.ne.jp/hibakusha-sd/
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週刊『前進』(2110号5面4)
ヒバクシャは訴える
7・20東京集会へ
8・6−8・9実行委員会呼びかけ
8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会より7・20東京集会への呼びかけが発せられたので紹介します。(編集局)
◇ ◇
今、ヒロシマの街は、右翼による広教組本部への銃撃(6月27日)という許しがたい反動にみまわれています。被爆地ヒロシマが「死の沈黙」を強制されようとしているのです。
しかし、この状況下で7月5日、先制核戦争攻撃を宣言した米ブッシュを糾弾し直ちに核兵器の廃絶を要求する「ヒバクシャ」の集いが400人の参加で大成功しました。ヒバクシャの怒りが爆発したのです。
今こそ、被爆者の「最期の訴え」とも言うべきその決意を共有し、ヒロシマの街を再び「反戦反核の街」とするために、全力で立ち上がるべき時です。
7月20日の反戦反核の集いは、その第一声を上げる場です。
集会で上映される「ヒバクシャ」は、世界の被爆(曝)者を描いたドキュメンタリーです。イラクの劣化ウラン弾被曝を始めすべてのヒバクシャは、アメリカの核戦争政策によって生み出されてきたという事実が鮮明に描かれています。
また「ビキニ被爆と日本の核政策」をテーマに話をされる大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)は、1954年3月1日にアメリカによるビキニ環礁での水爆実験で被爆されました。ビキニ被爆問題が当時の米日政府による和解=補償金という形での政治決着により「歴史のやみに葬られた」ことを糾弾しています。
1人でも多くの方の集いへの参加を呼びかけます。
イラク派兵法反対、核戦争を許すな!
イラク派兵法反対、核戦争を許すな!
反戦反核の集い
7月20日(日)
高円寺会館(杉並区高円寺北2−1−2)
午前10時〜反戦反核の写真展、反原発コーナー
午後1時〜「ヒバクシャ」(鎌仲ひとみ監督)上映
午後3時〜大石又七さんの講演と集会
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週刊『前進』(2110号6面1)
藤沢明彦・田中弘次共著 マルクス主義基本文献シリーズ(7)
前進社新書 304ページ 1400円
レーニン『国家と革命』
革命の書が現代に蘇った!
「国家=幻想的共同性」論に決着 共産主義社会論で画期的な地平
「国家に対する日和見主義」との今日的闘争
マルクス主義基本文献学習シリーズ7として藤沢明彦、田中弘次両同志の共著で『レーニン「国家と革命」』が刊行された。本書はシリーズ6の『ドイツ・イデオロギー』解説が切り開いた地平の上に実現された画期的成果である。
レーニンの『国家と革命』は、第一次帝国主義世界戦争のさなか、1917年ロシア十月革命の直前に著された。
レーニンは当時、公認の社会主義諸党(崩壊した第二インターナショナル)において日和見主義の諸要素が社会排外主義の潮流に転化しつつあった現実を見て、その根幹にある「国家に対する日和見主義的偏見」と闘うために、マルクス、エンゲルスの原点に立ち返りながら「プロレタリア革命の国家に対する関係の問題」を全面的に明らかにしようとした。レーニンは、マルクス主義の国家学説の日和見主義的歪曲、その代表者であるカウツキーと全面的に闘争したのである。
「国家に対する日和見主義」とはどういうことか。
労働者階級は、帝国主義戦争反対を貫くには帝国主義国家権力を打ち倒さなければならない。労働者階級は、帝国主義国家の「国益」の論理、排外主義を打ち破らなければ、ブルジョアジーとの階級闘争を闘いぬき、自分自身の階級的利害を貫くことができない。
労働者階級は、ブルジョア国家を完全に粉砕しなければ自分自身を解放することができないのである。労働者階級は、ブルジョア国家(ブルジョアジーの独裁)に代えて労働者国家(プロレタリアートの独裁)を「死滅しつつある国家」として組織し、そのもとで共産主義(社会主義)社会に向かって社会的経済的な改造を推し進める。そして階級そのものが廃止されるにつれて国家なるものも完全に死滅していく。
こうしたマルクス主義的「真理」をあいまいにし、否定し、ブルジョア国家権力と和解し、妥協しようとすること――これが「国家に対する日和見主義」なのである。
この日和見主義的マルクス主義者は、「労働者階級はブルジョア国家権力を奪取し、それを利用して社会主義へ前進する」ことができるかのように主張する。ブルジョア議会で議員の数が増えれば権力奪取ができるかのように主張し、ブルジョア国家の議会制民主主義を美化してやまない。このような主張が当時のマルクス主義の主流であったドイツ社民党―カウツキーと第二インターナショナル諸党をとらえつくしていた。
レーニンは、このようなマルクス主義の日和見主義的歪曲のもとでは、労働者階級は自分自身の階級的利害を貫くことができず、ブルジョアジーに従属したままであることを当時の革命情勢の中でつかみとった。そして、ブルジョア国家の完全な粉砕(=暴力革命)と労働者権力(プロレタリアートの独裁)の樹立をプロレタリア革命論として打ち立て、ロシア革命―世界革命として実践的に貫徹した。『国家と革命』はそのために書かれたのである。
このように確認すると、『国家と革命』が現代的な課題そのものを問題にしていることがあらためてはっきりする。21世紀現代の労働者階級が直面している課題は、現代帝国主義国家の粉砕であり、あらゆる形態の現代の日和見主義を粉砕してこの階級的真理を復権し、それを実践的に貫徹することなのだ。
われわれは今、レーニンが直面した情勢と本質的に同じ情勢のもとにおかれている。米帝の世界戦争戦略が発動され、イラクをはじめ中東イスラム諸国人民を軍事的にせん滅する攻撃がしかけられている。他方、反戦闘争のあらしが巻き起こり、民族解放闘争と結合した国際階級闘争が新たな発展を見せている。巨大なスケールで始まった21世紀冒頭のこの闘いが今度こそ世界革命の勝利に向かって前進できるかどうか。レーニンが、いや正確には国際プロレタリアートがいったん開始しながらも、20世紀には成し遂げられなかった帝国主義打倒の課題を今度こそ実現できるかどうか。それが問われている。
したがって、『国家と革命』を現代によみがえらせることは、単なる理論的な問題ではなく、差し迫った実践的なテーマなのだ。
労働組合の最大のナショナルセンターである連合は、帝国主義国家擁護論を唱え、帝国主義の国益と労働者の利益との一致を宣伝し、戦争協力をあおり立てている。また日本共産党(なんと「共産主義の党」を自称!)は、「資本主義の枠内での民主的改革」という資本主義賛美の体制内改革路線に純化し、まさに「国家に対する日和見主義」を満開させている。
レーニンの『国家と革命』をよみがえらせることは、こうした現代の日和見主義、社会排外主義との最も鋭い対決となる。この武器を大胆に駆使しよう。
以下、本書の主な特徴を紹介していきたい。
マルクス国家論とレーニン国家論の一致
第一に、『国家と革命』の第一章を中心にした「国家とは何か」という国家の一般的本質論の部分。
レーニンはここで、マルクス、エンゲルスの国家学説を復権し、国家とは何かを一般的に解明している。レーニンは、国家を問題にするとき、国家の一般的な本質を論じるだけにとどまらず、「国家と革命」を問題にしなければならないと主張している。国家一般論だけにとどまるのが日和見主義者である。ブルジョア的な国家論(ブルジョア的政治学)も同様である。しかし、国家とは何かを正しく問題にするならば、必ず国家権力の打倒が問題になる。国家論は、国家=革命論として説かれなければならないのである。
国家とは「階級対立の非和解性の産物」であり、「階級支配の機関」である。これが国家の一般的本質である以上、国家論は同時に国家=革命論となるのである。マルクス主義的な実践的唯物論の立場からは、これは当然のことであるが、しかし、日和見主義的マルクス主義者は、このことを否定しようとする。
日和見主義者は「階級対立を緩和し、諸階級を和解させるための機関」として国家を規定する。つまり、国家は共同体的な機関であるとストレートに主張し、国家は支配階級による弾圧と抑圧の機関であるという本質を否定するのである。ここが国家論のすべての議論の根幹であり、分岐点である。レーニンは、エンゲルスの『家族、私有財産および国家の起源』に基づいて、この点を丁寧に解き明かしている。
こうしたレーニンの展開は、マルクス主義国家論として実にオーソドックスであり、マルクス、エンゲルスの原点に即している。ところが、レーニンの『国家と革命』はマルクスの原点から逸脱しているという議論がもっともらしく行われてきた。
具体的には、レーニンの国家論は『ドイツ・イデオロギー』のマルクスの国家論とは違っているという議論である。それは、戦後においては、スターリン主義に対する中途半端な批判と重なって、レーニンの暴力革命論を批判する観点から展開された。90年代には、ソ連崩壊の現実をもってレーニンの誤りが歴史的に証明されたとする議論として行われてきた。
だが『ドイツ・イデオロギー』の国家論におけるいわゆる「幻想的な共同性」論は、徹底的に実践的な観点から提起されている。それは、国家の本質を「階級支配の機関」と規定する『共産党宣言』の国家論と矛盾しない。それどころか内容的に完全に一体のものとして展開されている。『ドイツ・イデオロギー』そのものがそうした内容展開になっているのである。
レーニンは『ドイツ・イデオロギー』を読むことはなかったが、内容的には驚くほどそれと一体性をもったものとして『国家と革命』を書いている。第一章と第一章の補論は、従来の『国家と革命』をめぐる論争にほぼ完全に決着をつけるものとして展開されている。いろいろなニュアンスをもって国家の本質を「幻想的な共同性」としてとらえようとする議論の理論的な誤りと日和見主義的な本質を突き出している。「幻想的」に力点を置くものと「共同性」に力点を置くものとの間には相当なニュアンスの違いが出るが、国家に対する日和見主義という実践的本質は同じである。
この地平から、本書は、国家論における日本共産党やカクマルからブルジョアイデオローグまでの反レーニンの大統一戦線、大合唱を批判している。本書はレーニンの国家論をめぐる論議に新しい局面をもたらしたと言ってよいであろう。
現代国家粉砕しコミューン型国家実現へ
第二に、本書は『国家と革命』第三章のパリ・コミューン論をマルクスの原点に立ち返りながら徹底的に追究している。
いわゆるコミューン型国家論についての従来型・紋切り型の繰り返しではなく、ロシア革命をやりぬこうとしているレーニンの問題意識に立って、また『フランスにおける内乱』でパリ・コミューンを総括したマルクスの立場に立って全面的に解明したのである。
それをとおして、いわゆるコンミューン型国家の4原則についての理解も深めている。ブルジョア国家を粉々に破壊した後、労働者階級が打ち立てる「死滅しつつある国家」とはどのようなものであるのか――その基本問題が実に鮮明になった。重要なのは、ブルジョア国家の議会制民主主義と軍事的官僚的機構とが表裏一体の「国家機構」(階級支配の機関)であることをあらためて明快に突き出していることである。
日本共産党・不破議長は、マルクスやエンゲルスが晩年において議会制民主主義を超歴史化=永遠化したかのように主張しているが、それはまったくのでたらめだ。レーニンが述べているように、マルクスもエンゲルスも、ブルジョア的議会制度を粉砕してコミューン型の民主主義、すなわちプロレタリアートの独裁=プロレタリア民主主義を実現することなしには、共産主義社会への過渡期における階級闘争と社会改造の推進はなしえないと論じたのである。
この点は『国家と革命』第四章の意義をどうとらえるかにも深く関連している。第四章でレーニンはは、エンゲルスがその晩年においてドイツ社民党指導部の日和見主義とどのように闘争したのかを追跡している。エンゲルスが最後は平和革命主義=合法主義に転向したという解釈を完全に粉砕している。エンゲルスとカウツキーとの間には本質的な断絶があるのだ。
レーニンがロシアのソヴェト権力をパリ・コミューンの螺旋(らせん)的再現としてとらえたのはまったく正しかった。そしてレーニンがカウツキーのあらゆる非難、誹謗(ひぼう)、中傷と徹底的に闘争したのもまったく正しかった。
労働者階級の勝利のためには、現代のカウツキーどもとの全面的な闘争をやりぬかなければならない。
現代革命=世界革命の勝利へ本書の活用を
第三に、本書は第五章「『国家死滅の経済的基礎』をめぐって」で、過渡期と共産主義社会への移行、共産主義社会の第一段階と高度の段階の問題について、革共同が歴史的に深めてきた全内容を整理し、全面的に再提起している。
マルクスの『ゴータ綱領批判』『フランスにおける内乱』に立ち返りながらレーニンの展開の積極面をつかみ直す観点に立って、過渡期から共産主義社会への移行の基本問題を論じきっている。これは『国家と革命』全体の把握において、特に過渡期の政治形態としてのプロレタリアートの独裁のトータルな把握において、実に豊かなものをもたらしている。
われわれは、『国家と革命』を現代によみがえらせる作業を基本的に成し遂げたという確信をもって本書を刊行する。それは、マルクスの原点からレーニンを復権する作業、レーニンの未完の事業を引き継ぎやり遂げる作業の一環である。われわれの理論闘争は、スターリン主義とその歴史的破産をのりこえ、現代革命=世界革命の勝利に向かって前進するための実践的な闘争の一部分である。全同志、闘う全人民に本書の活用を訴える。
〔飯島直記〕
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週刊『前進』(2110号6面2)
山崎照同志を追悼する
破防法との闘いを貫き住民立病院建設に尽力
革共同関西地方委員会
山崎照同志は、7年5カ月にわたる多発性骨髄腫との壮絶な闘病を終え、6月14日午後2時47分、65年の生涯を閉じました。心から哀悼の意を表します。
山崎同志は、余命2〜3年と通常いわれる中で、医者をして「奇跡」と言わしめる強靱(きょうじん)な生命力と不屈の闘争心、そして家族の献身的看護によって病気をはね返し、日本革命―世界革命の勝利を目指して闘い抜きました。最後の最後まで自らの革命家としての任務をまっとうして生涯を閉じました。
山崎同志は、1938年4月9日岩手県に生まれました。その後、東北大学に入学し、寮闘争に決起。卒業後、日立電線本社に就職。69年東大安田講堂攻防戦に大きな衝撃を受けると同時に、4・28沖縄奪還闘争へ向けた69年4月17日の文京公会堂での本多延嘉書記長の演説に深い感銘を受け、日帝の沖縄差別政策のもとで闘う沖縄人民との連帯をかけてマルクス主義青年労働者同盟に加盟し、「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の闘いを最先頭で闘い抜きました。その後、職場が関西に移ったのに伴い、関西を拠点にした闘いを始めました。
本多書記長の演説に対してかけられた破防法弾圧への激しい怒りは、山崎同志をして「破防法裁判闘争を支える会」の組織化の最先頭に立たせることになりました。
山崎同志は、東北人気質ともいえる粘り強さで相手に食らいつき、幾度も討議を積み重ねる中で、田畑忍同志社大教授や土井たか子氏ら数多くの人士を、破防法裁判闘争を支える戦闘的大衆運動の陣形に組織しました。
山崎同志は87年、破防法との闘いを推し進める中で、帝国主義の医療・福祉切り捨て攻撃と闘い「平等で差別のない医療」「患者さんの立場に立った医療」を目指す住民運動に出合い、共鳴し、大阪府高槻市内の診療所へ就職しました。そこで、職員や地域住民とともに「住民立」の病院や介護老人保健施設の建設・運営に全力を投入してきました。
この闘いこそ、労働者階級が戦後かちとってきた社会保障制度を侵略戦争に向けて全面的に解体する今日の日帝の攻撃と先制的に切り結ぶものであり、その後の「介護保険制度に異議あり全国ネットワーク」運動の出発点になったのです。
この激闘の中で山崎同志は多発性骨髄腫に侵され、闘病生活を余儀なくされました。しかし、この中においても山崎同志の不撓(ふとう)不屈の革命家精神は一層燃え上がりました。全身を貫く痛みに耐えながら治療を受けると同時に、最後まで大衆運動の先頭に立ち続けたのです。山崎同志は常に党とともに労働者階級の普遍的利害を貫いて闘いました。
そして、この巨大な大衆運動的基盤の中から「反戦と介護」「いのち第一 福祉は権利」を掲げる小西弘泰、森田充二両氏の4月高槻市議選での勝利がかちとられたのです。
日帝のイラク派兵と北朝鮮侵略戦争が切迫する情勢のもと、いよいよ革共同が社・共に代わる労働者階級の党として登場し、3大決戦方針を全面的に爆発させるべき決定的な時が来ています。この時に、生涯をかけて貫いてきた革命運動に終止符を打たざるをえなかった山崎同志の無念さを思うと、私たちは悔しさでいっぱいです。
私たちは、この山崎同志の遺志をわがものとし、山崎精神に学び、『前進』2002年新年号でともに確認した「21世紀の早い段階での世界革命の勝利」に向かって自らを共産主義者として打ち鍛え、必ず勝利することを誓います。
山崎同志、それまで私たちを、あの温厚で屈託のない笑顔で見守っていてください。
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週刊『前進』(2110号6面3)
保安処分新法の成立弾劾
昨年3月に提出されていた心神喪失等医療観察法案が7月10日の衆議院本会議で自公保・自由党の賛成多数で可決・成立した。医療観察法は、戦時「障害者」抹殺に道を開き、司法改悪と治安弾圧を一挙に強める絶対に許すことのできない悪法である。日帝・小泉政権が有事法制と並んでこれを制定したことを徹底弾劾する。直ちに廃絶に追い込もう。新たな国公立保安処分病棟建設を阻止しよう。
医療観察法は第一に、紛れもない保安処分新法だ。
「精神科医との合議」の形をとりつつ、実質的には裁判官の判断によって、刑法では「刑罰に問えない人」を訴訟手続きに従うことなく「刑罰の代替」として保安処分病棟への入院命令や保護観察としての強制通院命令を下す制度だ。
「被害者感情にこたえる」と称して、私的制裁を国家=裁判の名を借りて強行する。そのために「再犯のおそれ」という遠い将来に関する恣意(しい)的判断を要件に持ち出し、人を6カ月ごとの更新で無期限に隔離収容する。これは、憲法で規定する罪刑法定主義の破壊であり、国家的テロだ。歴代の保安処分・治療処分案より悪質だ。
第二に、「精神障害者」差別がむきだしだ。
「『精神病者』が刑にも服さず治療も受けず野放しになっている」とキャンペーンされた。確かに「病者」の中にも犯罪を犯す人はいる。しかし「病者」は、日常的に警察への通報制度や家族・社会から排除する強制入院などの精神保健福祉法体制のもとに縛られている。治療の名のもとに抑圧・監視・矯正されてきた。こうした現実を不問に付して「個人の資質の問題」や強制隔離を叫ぶことこそが問題なのだ。
実際、「病者」でも医療から引きはがされ、刑に服す者は近年増え、獄中で拘禁症になるなど、新たな発病者が膨大に生み出されている。強制治療の現場では電気ショックで虐殺され、感情さえ奪われる。精神科医にうそでも無抵抗・恭順の意を示さなければ退院できない。「社会復帰」のかけ声のもとで再入院への監視と脅しが一生つきまとう。「死ぬまで出さない」――保安処分病棟の行き着く先はここしかない。
第三に、治安政策として拡大適用を狙っている。
自民党の塩崎は、対象者を「重大犯罪を犯した者」から「自傷他害のおそれ」を要件とした措置入院患者にまで広げると公言している。公明党の浜四津は、オウムやヒトラーを例に挙げ、「サイコパス=精神病質犯罪者」対策や「性犯罪者」対策、「アルコール依存・薬物依存者」対策の強化を叫び、保安拘禁・禁絶処分・強制手術(去勢・断種)を見越した広範な適用拡大を主張している。一般犯罪への予防処分的適用すら示唆している。「病者」差別への加担を水路とした戦時的治安維持政策を粉砕しよう。
保安処分病棟建設阻止!
医療観察法廃絶へ!
7・20医療観察法絶対反対集会
7月20日(日)午後1時半 集会後デモ
東京・港勤労福祉会館(港区芝5−18−2)
主催/「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘
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週刊『前進』(2110号6面4)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
7月22日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月30日(水)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判 判決公判
7月24日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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