ZENSHIN 2003/06/16(No2105
p06)
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週刊『前進』(2105号1面1)
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戦争翼賛国会へ怒り この間、廃案へ全力で闘いぬいた団体・個人1000人以上が全国から集まり、参院での採決強行に怒りのこぶしをあげた(6月6日午後) |
有事3法の成立強行弾劾 北朝鮮侵略戦争・イラク新法阻止
民主党・連合中央の屈服粉砕し労基法改悪絶対阻止へ決起を
有事3法案=北朝鮮侵略戦争法案が、6月6日の参院本会議で、民主党(連合中央)の歴史的転向、大裏切りによってついに可決・成立させられた。日帝が戦後憲法体制を転覆して北朝鮮(中国)への帝国主義的侵略戦争に突入していく法案が、挙国一致の大政翼賛状況のもとで強行されたのだ。このことに怒りを爆発させ、民主党の歴史的裏切りを暴露し、断罪して、連合傘下の労働者の総決起をかちとるために全力で闘わなければならない。闘う労働者は、陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける6・10日比谷野音集会に総結集しよう。また5日には、衆院本会議で労働基準法改悪案が、与党と民主党の修正合意をもって採決され、衆院を通過した。戦争と一大資本攻勢への挙国一致の翼賛政治を打ち破り、労基法改悪阻止へ労働者階級の怒りを大爆発させよう。
第1章 安保防衛問題で民主党の歴史的裏切り
今国会で有事立法がこれだけ短期間に成立した最大の要因は、民主党とそれを支えた連合の歴史的裏切りにある。民主党は自民党との修正協議に早々とのめり込み、安保・防衛問題で戦後史を転換させる挙国一致の翼賛政治に全面的に移行したのだ。許すことのできない重大事態である。
民主党はついに憲法9条を破棄し、周辺事態と連動した武力攻撃事態およびその予測事態において、日帝が戦争的手段に訴え、北朝鮮侵略戦争、帝国主義的侵略戦争に突入することを承認した。ブルジョア支配階級と一体化して、挙国一致で侵略戦争を遂行する立場に転落した。
「日本が攻撃されたら防衛するのは当然だ」「自衛のための戦争は許される」といった虚偽のブルジョア・イデオロギーに完全に屈服し、戦争の原因は帝国主義にあり、現代の戦争は帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争、世界戦争としてあるのだという階級的立場を完全に否定して、日帝の排外主義・国益主義の立場に転落しきった。
これは民主党が労働者階級を百パーセント裏切り、日帝支配階級と一体化して、労働者を侵略戦争に駆り立て、被抑圧諸国を侵略し、人民を大虐殺する立場に移行したということだ。第2次大戦や15年戦争を真剣に反省する立場を放棄し、戦後的な反戦平和意識も最後的に裏切って、日帝の新たな15年戦争、帝国主義侵略戦争への突入を承認し、戦争を推進する道に大転向したということだ。
有事立法は日帝の正規の法律として、北朝鮮(中国)侵略戦争突入を合法化し、基本法化したものだ。これを民主党が推進したことは、今後あらゆる戦争法案、派兵法案に全部賛成し、9条改憲にも賛成するということだ。日帝支配階級と同じ立場に立ち、翼賛政党に転落したということである。これは米帝がすでに新帝国主義世界戦争に突入し、イラク侵略戦争から北朝鮮侵略戦争が切迫している現在の情勢の中では、1914年8月4日の第2インターの崩壊のレベルなども超えた事態なのだ。
革共同は戦後の政治情勢、階級情勢におけるこのような大激変、量から質への大転換を歴史的重大事態として受けとめ、革命党としての存在をかけて対決し闘わなければならない。
民主党のこうした歴史的裏切りは、連合のそれと一体で進んできた。連合は02年の5・16見解で有事立法容認に転換して以降、イラク侵略戦争や北朝鮮問題、朝鮮総連問題(交流中止通達)などでも次々と屈服・転換し、ついに有事立法=北朝鮮侵略戦争法案を支持し肯定する立場に転落した。連合は民主党と完全に同罪だ。このことを連合傘下の全組合、全労働者に暴露し、訴え、連合中央を打倒して、階級的・戦闘的労働運動を再生する闘いを強めなければならない。
日本共産党の「テロ根絶」論に基礎を置く「国連を中心とした平和解決」なる主張も、イラク戦争を帝国主義の侵略強盗戦争としておさえず、帝国主義への民族解放闘争的な怒りの爆発を「テロ」として根絶せよというものである限り、帝国主義的侵略戦争への完全な屈服であり、革命的な反戦闘争や民族解放闘争に敵対するものでしかない。またブッシュ・ドクトリンと世界戦争計画の凶暴な遂行の前には無力である。
さらにJR総連カクマルの「テロと報復戦争に反対する」なる運動は、そもそも反戦闘争ではない。民族解放闘争を根絶せよという点で帝国主義と同じであり、戦闘的労働運動の解体を使命とするファシスト運動でしかないのである。
革共同と日本の労働者人民は、今こそレーニンの「帝国主義戦争における自国政府の敗北」「帝国主義戦争を内乱へ」という革命的立場、「連帯し、侵略を内乱へ」の革命的祖国敗北主義の立場に立ちきって闘うときだ。新しい型の『社会主義と戦争』の内容を創造しつつ、有事立法=北朝鮮(中国)侵略戦争突入の攻撃と全面対決し闘おう。
第2章 イラク侵略戦争の継続と拡大に反対!
米英日帝のイラク侵略戦争の継続・拡大反対! 北朝鮮侵略戦争反対! これはこれからの政治闘争の中心スローガンである。この闘いは日本と世界の階級闘争にとってイラク反戦闘争以上の重大な決戦となる。
この点で第一に確認すべきことは、5・22国連「イラク制裁解除決議」の重大性だ。その内容に怒りを爆発させ、米英日帝のイラク戦争が帝国主義的侵略戦争、強盗戦争以外の何ものでもなかったこと(ないこと)を全面的に暴露し、イラク人民の革命的ゲリラ戦争(民族解放・革命戦争)と連帯し、全世界の労働者階級人民の反戦闘争への総決起をかちとっていかなければならない。
米英帝が強引に推進した5・22決議は、イラク侵略戦争での差し当たっての「勝者」であり「占領国」である米英帝が、「統一司令部」(=当局)として、イラク軍事占領と石油支配と植民地化政策の全一的権限を掌握したことを示している。これを契機に米英帝のイラク軍事占領(=直接統治)は「暫定政権」構想などそっちのけで長期化し、石油資源の独占的支配と植民地化政策がますます露骨に激しく推進されていく過程に突入する。米英帝は戦争の「勝者」として、「国際的に認知された国民を代表する政府が樹立されるまで」無期限に軍事占領を続けるのだ。
ここでは国連も独仏ロなど開戦に反対した諸国も、米英帝の全一的支配に「協力」「支援」する任務しか与えられていない。フセイン政権下でのパリクラブなど対イラク債権国の債権は、事実上凍結される。イラク石油の輸出代金を管理する「イラク開発基金」は「当局」=米英帝の監督下に置かれるのである。
しかも決議では、イラク開戦の最大の口実であった大量破壊兵器は、今にいたるも一個も発見されていないのに、完全にかすんでしまっている。米英帝の戦争目的が石油強奪と反米政権転覆とイラク再植民地化であり、それを突破口に中東全体を制圧、勢力圏化し、帝国主義間争闘戦で他を圧倒することにあったことがさらけ出されている。
この決議に仏独ロや中国が賛成したことは、イラク戦争で決定的となった米英日と独仏(ロ)の分裂と対立が修復されたことを、まったく意味しない。いや米帝と仏独帝の亀裂はエビアン・サミットで一層はっきりした。仏独(ロ)が決議に反対していたら、サミット自体が分解していた。このことへの恐怖が、一方で仏独(ロ)に決議賛成を強制し、他方では米帝の独占的権益を承認したうえでの自己の権益の追求に走らせているのだ。
5・22国連決議とサミット過程をとおして、米帝ブッシュが一層凶暴に世界戦争計画を推進し、北朝鮮、イランなどへ侵略戦争を拡大し、同時に帝国主義間・大国間の争闘戦を日英帝など「有志連合」を率いて激化させていくことが鮮明となった。
またブッシュはサミットを露骨に中途退席して、中東歴訪に向かった。米帝はパレスチナをめぐる「ロードマップ」(行程表)なる新和平案をペテン的にふり回し、パレスチナ解放闘争の全面的圧殺と中東全体の米帝的制圧への反革命策動を強めているのである。
だがこれに対して、イラク人民、パレスチナ人民、全ムスリム人民の怒りと解放闘争、反米ゲリラ戦争が猛然と爆発している。イラク植民地化政策や「ロードマップ」政策の危機と破産は不可避だ。全世界の労働者階級は、闘うイラク人民、パレスチナ人民、ムスリム人民と連帯し、米帝の世界戦争計画と全面対決して総決起しよう。
第3章 米帝と日帝が対北朝鮮強硬路線で合意
第二に確認すべきことは、5・23日米首脳会談の重大性だ。米帝と日帝はこの会談で、“イラクの次は北朝鮮だ”とし、そのための政治的=軍事的調整を行い、経済制裁の発動と軍事力行使も辞さず、対北朝鮮強硬路線をとることを完全に合意したのである。
何よりも、対北朝鮮政策でブッシュが「北朝鮮の核兵器計画の完全な、検証可能な、不可逆的な廃棄以外に何も受け入れられない」と述べ、日米が「より強硬な措置」を講じることで合意し、小泉が「対話と圧力」路線に踏み込んだことは決定的だ。しかもブッシュは北朝鮮の「核」や「麻薬」の拡散への懸念を言い立て、経済制裁と結合した船舶臨検や押収行為の必要を表明した。さらに米帝が拉致問題で日帝への完全な「支持」「連帯」を確認したことも超重大だ。それは米帝が、拉致問題を核問題とリンクし、北朝鮮侵略戦争の口実とするカードを手にしたということである。
同時にミサイル防衛(MD)で「日米協力を強化し、加速する」ことが合意され、日帝が地対空ミサイル・パトリオットPAC3やイージス艦発射の艦対空ミサイルSM3の導入の方向を確認したことも決定的だ。これは日帝が「敵基地攻撃能力」を持つことに直結する大攻撃なのだ。
今ひとつ重大なことは、イラク侵略戦争と「復興」活動で日帝が「重要な役割」を演じ、周辺国だけでなく米英占領下のイラク国内に自衛隊の地上部隊を派兵し、「人道・復興活動への後方支援」(ブッシュ)が確認されたことだ。戦闘地域に陸上自衛隊が派兵される重大事態である。
日帝は5・23日米会談に基づいて、北朝鮮への送金停止や貿易規制などの経済制裁、万景峰(マンギョンボン)号など北朝鮮船舶への監視・立ち入り、臨検、船荷没収などの戦争的行動に、全面的に踏み切ろうとしている。何よりもイラク新法制定、対テロ特措法の新規立法化、PKO法の武器使用条件緩和などの超反動攻撃を激化させている。
有事3法の成立強行をもって、今や北朝鮮侵略戦争が完全に現実化した。麻生自民党政調会長の「創氏改名は(朝鮮人が)名字をくれと言った」「ハングルは日本人が教えた」という植民地支配の歴史を正反対にねじ曲げた暴言は、北朝鮮侵略戦争の攻撃そのものだ。民主労総を始め闘う朝鮮人民、南北朝鮮人民、在日人民の怒りと連帯し、北朝鮮侵略戦争反対の大闘争を巻き起こそう。当面する最大の攻防点、イラク新法絶対阻止に立とう!
第4章 「解雇」とその「権利」が明記されている
6月5日、衆院本会議で労働基準法改悪案が採決を強行された。与党と民主党が修正協議で合意し、その修正部分には日本共産党と社民党も賛成し(川田悦子議員のみが反対)、事実上全会一致の総翼賛状態で可決したのだ。また、6日の参院本会議で労働者派遣法・職安法の改悪案が可決・成立した。有事立法強行に続く挙国一致の大反動に怒りを爆発させ、労働者階級の総決起で労基法改悪を絶対に阻止しよう。
最大焦点の「解雇ルールの法制化」はどう修正されたというのか。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして無効とする」。これは政府原案の前半部分の「使用者は……労働者を解雇することができる」を削除し、後半の「ただし」以下を本体としたものだ。主語は「解雇」であり「その権利」があるという規定なのだ。ただし「濫用」はいけないと言っているに過ぎない。「解雇は原則自由」(首切り自由)が基本的に貫かれているのだ。
労働者保護法的性格をもってきた労基法を大改悪して首切りを自由にし、職安法・労働者派遣法改悪などと一体で終身雇用制解体、不安定雇用化を一気に進める労働法制改悪こそ、帝国主義の大恐慌・大不況、全世界的なデフレ化、戦争と大失業の時代の画歴史的な攻撃である。有事立法と完全に一体だ。小泉は「解雇しやすければ雇用もしやすい」とうそぶき、労働者に死ねと言っている。
ここでも民主党と連合中央はその先兵と化した。帝国主義の危機の時代のこの挙国一致と翼賛政治に、労働者の「内乱」をたたきつけよ。今こそ連合傘下、全労連傘下の労働者の総反乱をつくりだせ。
有事立法=北朝鮮侵略戦争攻撃との闘いと一体の2大決戦として、6月労働法制改悪阻止に立とう!
国鉄決戦、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘い、4大産別決戦に決起し、大反撃を切り開こう。
言論統制と治安弾圧の時代を開く個人情報保護法の成立(5・23)を弾劾し闘おう。参院本会議での保安処分新法・心神喪失等医療観察法案の強行採決を断罪し、衆院での成立阻止へ闘おう。「共謀罪」新設を絶対に阻止せよ。
第5章 機関紙拡大とカンパ決戦に総決起を!
6〜7月の重大決戦として、機関紙拡大闘争と夏期一時金カンパ闘争に全力で決起することを訴えたい。
この帝国主義の危機と大激動の時代にこそ、党勢拡大と機関紙拡大に猛然と打って出なければならない。本紙2103号の前進経営局論文は、党勢と機関紙を拡大する闘い以上に重要なことがあるだろうかと訴えている。このように問題を立てきり、職場、大学、街頭で、6〜7月『前進』倍増闘争に決起しよう。
党建設の決定的基礎は夏期一時金カンパ闘争だ。厳しい賃下げとリストラ・大失業下で苦闘する労働者人民に、革命党を建設し、帝国主義打倒の闘いにともに決起することを必死に訴えて、巨大なカンパを集めきろう。そこに革命の成否をかけて闘おう。
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週刊『前進』(2105号1面2)
参院前 全国の闘う勢力結集 “闘いはこれから” 20労組が宣言
参院本会議で6日昼、有事関連3法案が、前日の有事法制特別委員会に続き、与党3党と民主、自由両党などの9割近い賛成で可決・成立した。
(写真 動労千葉を始め労働者や若者が路上を埋め尽くし、メッセージボードを掲げ、「採決を許さない」と声をからした【6月6日午後】)
参院前には朝から、昨年4月の法案提出以来、有事法案に反対して闘ってきた陸・海・空・港湾労組20団体や、とめよう戦争への道!百万人署名運動、ストップウオー・ワールドアクションなどの諸団体・諸個人1000人余が続々と集まった。最後まで採決強行を許さないとの気迫が渦巻き、騒然たる雰囲気だ。みんなで「採決を許さない」と声をからして叫び、「戦争法案を廃案に」と拳(こぶし)を突き上げた。
昼休みの集会の最中に採決強行の一報が入った。全日本海員組合の藤丸徹さんが「闘いは終わっていない。これから始まる」と訴え、航空安全推進連絡会議の佐藤隆三副議長が「有事法制を発動させないために闘おう。究極的には廃止に」と、6・10日比谷野音への結集を呼びかけた。
ワールドアクションの若者たちも、メッセージボードを高々と掲げ、「私たちは戦争するために生まれて来たわけじゃない」と叫んだ。法政大学の学生は「30クラスで有事法案反対の決議があがった。侵略戦争でしか延命できない帝国主義は打倒するしかない」と訴えた。全国から駆けつけた学生も次々と翼賛国会を弾劾した。
百万人署名運動は、首都圏を中心に全国各地の連絡会も上京し弾劾のアピールを続けた。この間の座り込みは23日間に及ぶ。動労千葉の川崎昌浩執行委員が「職場から実力で闘い、有事法制を葬ろう。労働運動の再生をかちとり、連合支配をうち砕く」と提起し、労基法改悪案の衆院通過、派遣法・職安法改悪の可決・成立を弾劾した。
杉並区から結柴誠一、新城節子両区議、大阪の高槻市から森田充二市議、泉佐野市から国賀祥司市議も駆けつけた。また杉並区在住の戦争体験者が、若者らを前に「軍隊は民間人を守るようにはできていない」と、自らの戦争体験を切々と訴えた。
この日、「心神喪失等医療観察法案」も採決強行された。傍聴席から抗議した「病者」1人が不当にも約2時間拘束されたが、激しい抗議により奪還された。
前日の5日も、朝から1000人近く集まり、委員会採決を許さないと抗議行動が行われた。採決強行後、航空労組連絡会の村中哲也副議長は「国会議員に戦争法案を採決する権利があるのか」と怒りを表明。戦争動員の当事者として「首をかけ命をかけて闘っている。この確信は揺るがない」と宣言した。
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週刊『前進』(2105号1面3)
有事法成立突き破る闘争資金のカンパを
絶大なカンパを訴えます。有事3法が6月6日、衆議院に続いて参議院でも9割近い賛成で成立したことは、きわめて重大な歴史的事態です。
有事3法が通るということは、日本帝国主義が北朝鮮への侵略戦争に突入することに踏み切ったということにほかなりません。個人情報保護法(言論規制法)の成立も、労働法制の改悪案や共謀罪の攻撃も、すべて北朝鮮侵略戦争に踏み切ることを日帝が決断しているからこそ起きていることです。事実、5月23日の日米首脳会談は、北朝鮮に対して「より強硬な措置を実行する」と宣言しました。「強硬な措置」とは経済制裁の発動であり、武力行使、つまり戦争です。
有事3法の成立という事態をもって、今や北朝鮮侵略戦争に向かって歴史は急展開を始めました。
民主党の有事3法賛成への転向、野党の無力さの背後には、労組の最大のナショナルセンターである連合中央の有事立法賛成の立場があります。労働者階級をさしたる抵抗もなく戦争に動員するために、小泉は、民主党との修正協議を追求してきたのです。逆にそれは、労働者階級が拒否すれば日帝の戦争プランがガタガタと崩れだすことを示しています。
連合=民主党が賛成したからと言って、労働者階級は戦争に賛成したのか。断じて否です。明治公園に5月23日3万人が結集し、6月10日にもさらに闘おうとしていることが何よりの証明です。動労千葉の春闘ストライキを想起して下さい。国鉄1047人の解雇撤回闘争が、5・27国労臨大闘争弾圧を跳ね返して前進していることを見てください。問題はこれからです。そして、だからこそ、皆さんが革共同に絶大なカンパを集中することが、これからの行方を決めるのだということを熱烈に訴えます。
連合=民主党の裏切り、社共の屈服と闘争抑圧は何によって生まれているのか。戦争をやろうとしている日本政府、帝国主義そのものを倒す思想と路線を持っていないからです。帝国主義がその存亡をかけて戦争に突っ込もうという時に、その帝国主義と一切をかけて全面的に対決し、内乱に転化する立場と実践なしにどうして闘うことができるでしょうか。
教育基本法の改悪も改憲もすでに日程にのぼりました。事態は風雲急を告げています。帝国主義の侵略戦争を内乱に転化し、この社会を根底から変革しようと訴える革共同に絶大な闘争資金をよせて下さい。それが今日の状況を根底的にぶち破る決定的パワーとなります。
心から熱烈に訴えます。「戦争と大失業の今」だからこそ、絶大なカンパを!
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週刊『前進』(2105号2面1)
警察労働運動が暴かれた 国労5・27臨大闘争弾圧の真相
「事件」は東京地本幹部と警視庁が周到に準備しデッチあげたものだ
東山整一
2月3日の初公判から始まった国労5・27臨大闘争弾圧裁判は、被告団8人の正義と無実を主張する感動的な意見陳述、弁護団による被告の闘いの正当性と暴力行為等処罰に関する法律の違憲性などを明らかにする圧倒的な冒頭意見と公訴棄却申し立てを経て、4月21日の第5回公判からいよいよ検察側立証過程に入った。5月16日の第6回公判では検察側冒頭陳述への厳しい求釈明が行われ、6月4日の第7回公判では検察側証人への尋問も始まった。検察側のデタラメな起訴とまったくずさんな立証計画、法廷でのふざけきった言動と、これに対する被告・弁護側の鋭い追及によって、この裁判は早くも最大の山場を迎えた。今こそ法廷の内と外を結ぶ、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを強めなくてはならない。
遠山証言で明らかになった弾圧への謀議
最も注目すべきは、6月4日の検察側証人・遠山文雄神田署巡査部長(事件当時、現在は警視庁公安一課)の証言である。遠山証人は弁護側の反対尋問に対して、肝心の個所になると「忘れました」とか「職務上の秘密」と証言拒否を繰り返し、事件の核心を隠しつづけたのだが、それでも幾つかの決定的事実を暴露した。それは5・27事件像を一変させるものと言って過言ではないものだった。
まずこの尋問をとおして、5・27事件現場を撮影したビデオテープの任意提出にあたって発行された「領置調書」の存在が明らかにされた。これは昨年6月3日に遠山巡査部長が作成したもので、テープの任意提出者は鈴木勉国労東京地本法対部長である。そこには次のような記述がある。
「被疑者向山和光等8名に対する暴力行為等処罰に関する法律違反被疑事件につき、本職は、平成14年6月3日、警視庁神田警察署において、差出人が任意に提出した下記目録の物件を領置した」
遠山証人は法廷でこの書類は自分が書いたことを認め、しかし前記「8名」の部分は自分は書いていないという奇怪な証言をした。ではこの個所は誰が、いつ書き加えたのか。さしあたりそれはおくとしても、これは驚くべき文書である。まず何よりも重要なのは「平成14年6月3日」という日付である。これは問題の国労臨時大会が開かれた5月27日のわずか1週間後だ。この時点で早くも「被疑者向山和光等(8名)に対する暴処法被疑事件」がうんぬんされているのだ。
第1次逮捕はそれから4カ月後の10月7日であるが、このとき暴処法違反容疑で8人を逮捕し、その起訴に際して筆頭に向山被告をあげるという、今日検察側が強調してやまない「向山=リーダー」論にまでつながる事件像、つまり警視庁と国労東京地本の一部幹部がデッチあげている「外部勢力・中核派が国労大会を襲った」という事件像が、「リーダー」の特定も含めて、臨大からわずか1週間後に確定していたということである。
何を根拠にしてか。もちろんビデオテープによってだ。だがテープは6月3日以前は国労東京地本の手中にあった。
にもかかわらず6月3日付調書に先のような文言があるということは、警視庁の捜査官が6月3日までの間に国労東京の一部幹部とともに、ビデオテープを繰り返しながめ、テープに映っている多数の国労組合員や支援者の人物特定を共同で行い、その中から誰と誰を逮捕するかを話し合い、意思一致していた結果である。
そしてこの点に関して、遠山証人はあっけらかんと、5月30日に荒川署で自分と神田署の関警部(警備課長)、本庁公安一課の星警部(中核派担当筆頭係長)、さらに国労東京地本の酒田委員長の4人でテープを初めて見たこと、さらに6月3日には神田署でこれにビデオ撮影者である鈴木法対部長を加えた5人で再度テープを見たことを証言した。
酒田委員長とか、星警部の名前の登場は、この事件が所轄の神田署などの枠を越えた、警視庁公安一課の責任者と国労東京地本のトップの間の謀議の中から作りだされていったことを示している(なお荒川署は国労東京地本のごく近く)。
だがそれだけではない。このような両者の謀議は果たして5・27以降始まったのか。遠山証人は、「自分がこの事件の捜査にかかわったのは5月30日から」と言いながら、神田署におかれた捜査本部がいつ発足したのかの質問には「流動的」というなんとも珍妙な回答をし、あわてて「忘れました」と言いなおした。ここからも類推されることだが、捜査本部の正式発足の日付はともかく、前記のような謀議は、5・27以前から周到に積み上げられてきたと見るほうが自然である。
しかしそうであるとすれば、当日ビデオを撮っていた鈴木法対部長だけではなく、当日現場にいた阿部書記長ら国労東京地本の幹部たちも初めから、被告人らの正当なビラまき・説得活動に対し、酒田委員長の指揮下、警察と打ち合わせたシナリオにそった暴処法被疑事件に仕立て上げるという目的意識性をもって立ちふるまったと推定することができる。5・27事件は、こうして警視庁と国労東京地本一部幹部との間の共謀の上に、周到に準備され、デッチあげられた事件とみて間違いないのである。遠山証言と領置調書は以上のことを明るみに出した。
国労東京地本が、国労全国大会に警視庁機動隊の動員を要請するという恥ずべき挙に出るのは、00年5月30日の4党合意を無理やり承認させた01年1月の続開大会からである。国鉄1047名闘争を幕引きし、国労そのものを解体に導く4党合意は、闘う闘争団を先頭とする激しい抵抗の前に、00年7・1臨大以降、何度大会を開いても決められず、国労本部は大会準備地本である東京地本をとおして警察にすがりつき、辛うじてその裏切り方針を押し通した。
これ以降、国労全国大会は機動隊なしには開けなくなり、だからこそ警視庁の取調官は、本件取り調べの過程で「国労東京地本には貸しがあるからな」という本音を吐露した。しかり、貸しを返してもらうために、警視庁は東京地本一部幹部を言いなりにさせ、借りを返すために東京地本一部幹部はまるで猿回しの猿のように忠実におのれの役回りを演ずることで5・27事件デッチあげに手を貸した。
骨がらみ警察に取り込まれた彼らの姿は、まるで20年遅れで動労カクマル松崎明の後を追いかけるピエロだ。これが警察労働運動なのだ。この腐臭を放つ癒着を見よ。どす黒い謀議を見よ。恥を知れ。われわれはこの裁判闘争の勝利的前進とともに、このような階級的大罪を容赦なく満天下に暴き出すだろう。
「向山=リーダー」論で墓穴を掘った検察側
ビデオ領置調書問題とからまりながらだが、警視庁と国労東京地本一部幹部が描こうとしている5・27事件像は、その核心部分から音を立てて崩壊しはじめた。核心とは、言うまでもなく「向山被告=リーダー」論である。ここに敵の攻撃の最大の重心があるのだが、それは早くも敵の最大の破綻(はたん)点・墓穴に転化しつつある。
起訴された8人のうち、向山被告はただ1人国労組合員ではなく、国鉄闘争支援者である。向山被告は確かに当日現場にいた。しかし彼はそもそも国労組合員のビラまき・説得活動にも参加していない。多くの支援者とともに近くの歩道に立っていただけである。だから起訴状でも、検察側冒頭陳述でも、他の7人の国労組合員被告に関しては、「押した」とか「引いた」とかのとるに足らぬ行為を針小棒大に書きつらね、「もって多衆の威力を示して暴行を加え」(暴処法第1条)と記しているが、向山被告に関しては具体的な行為に関する言及は一切ない。にもかかわらず彼を逮捕・起訴し、あまつさえ「リーダー」に仕立てあげるために検察側がもちだしているのが刑法60条の共謀罪である。
なぜ検察側がここにこれほどこだわるかは明白である。向山被告が存在せず、7人の国労組合員被告だけの裁判になれば、5月27日早朝に起きたことは、どう見ても国労内部の路線対立、その中でのビラまき・説得活動、あるいはせいぜいそれをめぐる議論のエスカレート以上でも以下でもないことになる。これでは警察の介入の余地はない。弾圧しても公判は維持できない。だからこそ向山被告を何がなんでも起訴し、「リーダー」に仕立て上げることによって、5・27を国労全国大会に対する外部勢力の妨害・破壊事件として描き上げ、これをテコにして初めて他の7人の国労組合員をも起訴することができたのである。起訴状段階まで7人が国労組合員であることを隠すなどというこそくな手段まで使って。
だが肝心の向山被告を含む共謀がいつ成立したのかをめぐって、検察側は早くも大きな動揺を開始している。すなわち昨年10月の起訴状では「公訴事実」として、「被告人向山和光(ら)は、国労全国大会の開催を阻止しようと企て、共謀の上、……午前6時30分過ぎころ……、(現場)道路上に集結し、同日午前7時ころから、……多衆の威力を示し、……暴行を加え」うんぬんとなっており、「集結」の前に「共謀」がある。いわゆる事前共謀が主張されていた。
ところが今年4月の検察側冒頭陳述ではこの順番が逆になる。
すなわち、まず「午前6時50分前ころには、……集結した」があり、続いて「午前6時50分過ぎころ、大会参加者らの1人である池田久幸が同ホテル出入口付近に出たところ、被告人松崎を含む数名が池田を取り囲み、……などと怒鳴り、こもごも同人を突き、その両太ももを膝(ひざ)蹴りした上、……大会参加者らに対して暴行に及ぶ意思のあることを示した」「被告人らはその状況を目撃し、被告人松崎らの上記意思を了知して……、遅くとも、ここにおいて、被告人らの間に、大会参加者らに対して暴力行為に及ぶことについての共謀が成立した」としているのだ。「集結→池田の一件→目撃→了知→共謀成立」で、いわゆる現場共謀の主張である。「集結」時には「共謀」は存在していないのである。
事前共謀説が引っ込み、苦しまぎれの現場共謀説がひねり出されてきた理由は何か。そもそも、暴行の事前共謀など存在しないということがひとつ。いまひとつは、それでも被告を屈服させ、その自白・転向を引き出せば事前共謀をデッチあげられる(その場合は5月27日当日現場にいなかった国労組合員や国鉄闘争支援者に逮捕の網を大きく広げられる)と読んでいた検察側のもくろみが、10人の被逮捕者の毅然(きぜん)たる完全黙秘の闘いによって粉砕されたことである。明らかに権力にとって昨年10月段階での2次にわたる計10人の逮捕は突破口で、これをとおして現場にいなかった国労組合員らも一網打尽に検挙することを狙いそのために起訴状段階で事前共謀をうたったのだ。
しかしそれが粉砕される中で、冒頭陳述ではとってつけたように池田某の話をもちだし、急きょ現場共謀説にすりかえるのだ。
だがそもそも池田の一件は、もし冒頭陳述で述べられているような事実ならそれじたい暴処法違反の対象に十分なるはずだが、起訴状では一言も触れられていない。ただただ現場共謀デッチあげのための苦しまぎれの作文に過ぎない。
しかも肝心の向山被告については、検事じしん「暴力行為はしていない」と明言している(「多衆の威力は示した」などと付け加えるが)中で、何よりもこの共謀成立過程でどんな役割を演じたのかが問題にされなければならないのに、検察側は何も言えない。ただ冒頭陳述は、共謀成立以前の集結段階で「向山被告をリーダーとして」などという言葉をもてあそぶだけだ。「向山=リーダー」論の破産はまったく明らかであり、ここから検察側立証の全面的崩壊が見えてきたのである。
弾圧うち砕く闘いが国労再生へ血路開く
この裁判の進展の中で、そもそも02年5・27国労臨時大会そのものが何であったかがより一層鮮明になってきた。周知のようにこの大会は、約1カ月前の4月26日の3与党声明、つまり4党合意から2年目の同年5月末までに、国労内の反対派を整理しなければ4党合意から手を引くという恫喝のもとに急きょ開催されたものだった。そして大会の最大のテーマは、鉄建公団訴訟の原告になるなどして、あくまで4党合意反対の姿勢を鮮明にしている二百数十人の闘争団員らを除名処分にすることだった。事実、大会では、査問委員会への送致決定が強行され、闘う闘争団切り捨てに大きく踏み出した。
大会当日早朝のビラまき・説得活動は、このような与党3党の奴隷に成り果てた国労本部の暴挙に対する怒りの抗議行動として展開されたのだが、これに対する大弾圧は、実はすでに詳述してきたように前もって周到に仕組まれていたのである。すなわち、4党合意はそれじたい新たな国家的不当労働行為であるとして、各地で「国労共闘全国協議会」に結集した国労組合員を先頭に4党合意労働委員会闘争を開始し、その中で幾つかの地労委が4党合意の首謀者・自民党筆頭副幹事長甘利明の証人尋問を決定するところまでいくに及んで、まさに逆上した国家権力・自民党がその番犬になった国労東京地本一部幹部と共謀の上、「国労共闘」の壊滅を狙った大報復弾圧として仕掛けられたのがこの事件なのである。
その意味で、闘争団の除名攻撃と5・27弾圧は表裏一体なのである。国鉄分割・民営化との闘いは、出発点となった第二臨調の発足から数えれば20年をこえる。動労カクマルを使って国労を始めとする闘う国鉄労働運動をつぶそうとしたが結局つぶしきれず、90年4月には国鉄清算事業団からも首を切られた4けたの労働者が闘いの継続に踏み切った。国鉄1047名闘争の出発である。
権力・資本はあらゆる手段でこれを圧殺しようとするが成功せず、結局最後は国労本部の取り込み・路線転換にかけた。その帰結が、ちょうど10年後の00年5月の4党合意で、以降2年間、国鉄闘争はこの是非をめぐる闘いに絞り上げられた。だがこれも破産する中で、02年5・27臨大以降の火点として登場するのが闘争団処分と5・27弾圧との闘いという二つにして一つの攻防なのである。
国労本部は今年9月に全国大会を準備している。これは闘う闘争団除名のための大会であり、それはそのまま国労の解散とJR連合への吸収に直結している。そしてこの過程で国労5・27臨大闘争弾圧裁判闘争はまさに正念場に突入したのだ。繰り返し強調するが両者は一体の闘いである。だからこそ長年国鉄闘争を担ってきた多くの人士や国労組合員が5・27弾圧との闘いの先頭に立っている。だが他方では、両者の一体性を理解せず、警察や国労本部が描く事件像に惑わされ、「過激派と一緒にされたらたいへん」などの口実を設け、5・27弾圧との闘いと一線を画すことに汲々(きゅうきゅう)としている誤ったセクト主義が依然として存在していることも確かである。
だがわれわれはこのような壁を必ず打ち破るだろう。5・27弾圧との法廷内外での闘いに勝利することによって。「中核派による国労大会襲撃」などという虚像の粉砕によって。
この裁判闘争に勝利することは何を意味するか。もちろん、まず8人の仲間の奪還と無罪判決の獲得である。だがそれだけではない。国労東京地本一部幹部とその背後にいる国労本部の、警察労働運動としての最も醜悪な本性を徹底的に暴き出し、打倒し一掃することである。こうして国労の土壇場における再生の血路を切り開くことである。
目を国労の外に移せば、JR総連の最大拠点・JR東労組はこの6月の大会において大分裂しかねない状況にある。松崎派と嶋田派の対立、松崎のいわゆる「階級闘争」はもはや後戻り不可能なところに来ている。
この国労情勢とJR総連情勢は、有事体制下における問答無用の労働者支配をめざす権力・資本の意思を基底的要因としている点で深く通底している。だがそれは、JR体制下の労働運動にいささかの安定をもたらすものでもなく、まさに天下麻のごとく乱れる戦国乱世的状況を招来させつつある。
われわれはこのような激動的情勢下における「桶狭間」的闘いとして、国労5・27臨大闘争弾圧との闘いを闘っているのだ。権力・資本から国労内外の全勢力までが固唾(かたず)をのんでこの闘いの行方を見守っている。ここにすべての英知と力を結集して、必ず勝利をもぎとらなければならない。
8人の仲間の奪還へ全国に無数の運動を
6月6日に参議院で可決され成立した有事法制は当面、直接には北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を標的にした露骨な戦争挑発法・戦争推進法であり、そのために戦後日本国家のあり方と戦後的階級関係を最も根底的なところから反革命的に転覆する攻撃である。だが戦争は労働者人民の動員と協力なしに成り立たない。このことと、世界大恐慌過程の底無し的進行の中で資本主義が一切の矛盾を労働者に転嫁することなしに生き残れなくなったことを背景として、今国会には同時に一連の労働者保護法制解体の攻撃が登場している。「首切り自由化」法というべき労基法改悪を始めとする派遣法、職安法等々の改悪ラッシュがそれである。
危機を深める資本主義はもはや労働者人民に戦争とむき出しの搾取以外の何も約束できなくなった。なおかつその支配を維持するために必要なのがイデオロギーと治安である。だから中教審は教育基本法改悪の答申を出した。
そしてより切迫した攻撃として、これも今国会に登場しているのが、国際的組織犯罪条約批准に伴う独立共謀罪導入である。現行の、あくまで実行行為の存在を前提としている共謀罪でさえ、これがいかに悪質な治安弾圧の武器となってきたかは小論でも見てきたとおりだ。だが今回登場してきたのは、実行行為なしに、共謀それじたいを犯罪として処罰しうるという、まさに近代刑法の根本を破壊する代物である。それは「反テロ」のためなら先制攻撃OKというブッシュの戦争の論理を連想させる。世界恐慌と世界戦争の時代において、体制に対するどんな組織的抵抗も反乱も、実行行為以前の段階で予防的に圧殺するという、いわば刑事法制・治安法制領域に先制攻撃ドクトリンを導入するのがこの独立共謀罪である。
国労5・27臨大闘争弾圧はこのような今日的治安攻勢の最も鋭い一環でもある。事実、暴処法はその後九州大学自治会の学生にも発動されている。部落解放同盟全国連合会寝屋川支部や全金本山労組への最近の弾圧も罪名こそ違うが同種のものだ。暴処法の乱発と共謀罪との掛け合わせ、さらに独立共謀罪などというとんでもない治安法制で国家権力が目指しているのは、要するにあらゆる大衆運動を、労働運動も学生運動も市民運動も、反戦運動も人権運動も環境運動も、ことごとく抹殺することである。われわれはこれを許すことはできない。
第1次逮捕から早くも8カ月がたった。この間の闘いのすべては、何よりも8人の被告とその家族の必死の頑張りに支えられ、牽引(けんいん)されてきた。強力な弁護団によって法廷闘争も勝利的に進んでいる。この被告・家族、裁判闘争を支える「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」も結成された。だがこの「許さない会」についていえば、取り組みはまだ緒についたばかりである。
8人の仲間を1日も早く奪還しなければならない。必ず全員の完全無罪判決をかちとらなくてはならない。そうして、暴処法などという戦前から続く悪法がもはや使い物にならなくなっていることを権力に思い知らせてやらなくてはならない。そしてそのために、いま待ったなしに求められているのが、被告・家族の闘いにこたえて、「許さない会」の賛同会員を全力で拡大し、各地域・各産別ごとに「許さない会」運動の無数の渦を形成していくことである。
この闘いの成否に、国鉄闘争と今後の日本階級闘争全体の帰趨(きすう)もかかっていることを肝に銘じて、奮闘しよう。
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週刊『前進』(2105号2面2)
4千人賛同人の達成へ 「許さない会」が全国集会 第7回公判後
6月4日午後6時半から、シニアワーク東京で「国労5・27臨大闘争弾圧を許さず、被告8人を取り戻そう6・4全国集会」が開かれた。この日の第7回公判を闘い抜いた被告家族や国労組合員、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の会員や有事立法・労働法制改悪をめぐり緊迫する国会前闘争を闘って集会に駆けつけた労働者、学生など260人が結集した。
この集会は、全国で始まりつつある許さない会の地域・職場組織の立ち上げの動きを全体化し、運動の本格的発展の跳躍点を築くものとなった。参加者は、被告の闘い、それを支える家族の苦闘にこたえ、許さない会の強力な組織化へ今こそ奮闘することを誓った。
司会の国労組合員が、「今日の公判で、この弾圧は東京地本一部幹部が警察と一体となって行ったことがはっきりした。8人の仲間を奪還し、国労を再生させる」と開会を宣言した。
主催者として許さない会の呼びかけ発起人で弁護団長の佐藤昭夫さんがあいさつし、激化する労働運動弾圧や共謀罪新設の攻撃を弾劾して、「これを許さないためにも、なお一層の頑張りを」と訴えた。同じく呼びかけ発起人で明大名誉教授の山口孝さんが、4党合意以来の国労本部の変質を厳しく指摘し、「自分の地位・派閥のための運動を変え、団結し弾圧をのりこえて闘おう」と呼びかけた。
九州から駆けつけた前国労九州本部書記長の手嶋浩一さんが、自ら呼びかけ人となって「労働運動への弾圧を許さない会・九州」を5月11日に結成したことを報告。国鉄分割・民営化以来の闘いを振り返り、「この弾圧は全労働者階級にかけられた弾圧だ。それが許さない会をつくったきっかけだ。皆さんとともに頑張りたい」と熱く語った。
被告の家族が登壇した。夫を取り戻すために許さない会の組織化・保釈署名の先頭に立つと決意を語る家族、闘いを貫く夫や父親を誇りに思うと述べる家族に、惜しみない拍手が送られた。重態の父親と面会するため勾留の一時執行停止を実現させた小泉伸被告の家族は、「皆さんの力で父親と会わせることができた。本人は全員を外に出すため闘うと言って拘置所に戻った」と涙を抑えてきっぱりと語った。全被告からのアピールを代表して松崎博己被告団長のものを国労組合員が読み上げた。
一瀬敬一郎主任弁護人が裁判闘争の現状と課題を報告し、「闘う陣形を強くすれば無罪判決をかちとることができる」と強調した。
全金本山労組が組合員への不当弾圧を弾劾しともに闘う決意を述べた。
九州、北大阪、京都・滋賀、奈良、仙台、東京南部、広島、ス労自主、国労の労働者が、各地域・職場での運動の進展を報告した。「この弾圧に労働者は必ず怒り立ち上がる」という実践に基づく発言が、参加者を奮い立たせた。
許さない会事務局の山川博康さんが「有事法や共謀罪が強行されつつある中で、労働運動再生の可能性を持つのは国鉄闘争。許さない会の運動は、国鉄闘争をわれわれの手で推進し勝利するという意味を持っている。だが、運動の現状はまだまったく不十分」と参加者の奮起を求め、「8月までに賛同人4000口、保釈署名10万筆の達成を」と方針を提起した。
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週刊『前進』(2105号3面1)
全逓大会へ総決起訴える
首切り・殺人的労働強制する連合全逓中央を総罷免せよ
革共同全逓委員会
6月18日から20日まで、東京(新宿・厚生年金会館)において全逓第57回定期全国大会が開催される。今大会は全逓労働運動の命運を決する重大な大会になる。連合全逓中央は、小泉―奥田の郵政民営化攻撃を全面的に推進し、1万7千人削減、殺人的夜間労働、「人事制度改革」などをすべて受け入れようとしている。そして自ら労働組合の旗を降ろそうとしているのだ。腹の底からの怒りを爆発させ、大会議案を否決しよう。革共同全逓委員会は、すべての闘う全逓組合員が大会に総結集し、労働者階級の未来をかけて、裏切り者・連合全逓中央を総罷免し、闘う路線と方針を確立し闘う指導部を選出するために、ともに奮闘することを熱烈に訴える。
小泉・奥田の民営化と対決する決戦へ
全逓第57回大会でかちとるべき課題は何よりも、全逓労働者の怒りを爆発させ戦闘的・階級的な労働者魂を呼び起こして連合全逓中央を打倒し、帝国主義の戦争と大資本攻勢と真っ向から闘い、全逓の階級的再生をかちとることである。
小泉―奥田路線の全体重をかけた郵政民営化攻撃と闘う全逓労働運動が再び階級闘争の前面に躍り出た時、それは階級情勢を一変させ、数千万人の労働者階級人民の闘いとなって爆発することは不可避だ。
米英日帝国主義によるイラク侵略戦争が開始された03年3月20日をもって、歴史は後戻りすることのない「戦争と革命の時代」に突入した。日帝・小泉政権は、北朝鮮侵略戦争に先制的に突入するために有事立法を強行成立させ、米帝とともに朝鮮人民の大虐殺を行おうとしている。北朝鮮への排外主義キャンペーンを打ち破り、朝鮮人民、在日朝鮮人民、アジア人民と連帯して、労働者階級の根底からの総決起で有事立法を粉砕しよう。
今国会では、有事立法と一体で労働法制の改悪案も強行成立させようとしている。民主党と連合中央の大裏切りを徹底弾劾しよう。
日本経団連は、03年1月1日、「奥田ビジョン」を発表した。これは°日本帝国主義が崩壊していく″という資本家階級の絶望的危機感をむき出しにして、社会保障制度の解体や消費税率の16%への引き上げなど労働者人民を全面的に犠牲にして資本が生き残ろうとするものだ。また「東アジア自由経済圏」構想を打ち出し、有事立法とアジアへの侵略戦争で延命を策そうとしている。
さらに「労働組合は経営側の幅広い提案を受け(企業経営について)……労使の話し合いによって決定し、実行に移していく本来の役割」と、労働者が団結して闘うことを全面的に否定し、企業・国家に奉仕する新たな「産業報国会」への労働組合の変質を迫っている。
この「奥田ビジョン」を小泉―奥田がすべての労働者階級人民に貫徹するために、その突破口に位置付けているのが、郵政民営化攻撃と全逓労働運動の解体攻撃である。日本経団連会長・奥田(トヨタ自動車会長)が郵政公社設立会議の座長として「中期経営計画・目標」を決定し、奥田―生田総裁体制を形成して同じトヨタ出身の高橋を郵便担当の副総裁に据えて、トヨタ生産方式を導入し、徹底的な人員削減と労働強化で経営目標を貫徹しようとしているのである。
全逓労働運動は、日帝の手先に転落し階級移行した連合全逓中央の攻撃を打ち破り、小泉―奥田路線と真っ向から対決している。国労5・27臨大闘争弾圧をはね返して不屈に前進している国鉄労働運動とともに、階級的労働運動の大前進を切り開く時が来たのだ。
アクションプラン推進の議案否決を
郵政民営化推進の全国大会議案書を徹底的に弾劾する。議案書は「奥田ビジョン」の労働組合解体攻撃そのものである。
1万7千人削減非常勤化許すな
郵政当局は5月21日、今後2年間の経営の指針となる「アクションプラン(行動計画)」を決定した。その内容は、今年1月に発表した「中期経営計画・目標」では当初の4年間で1万1千人を削減するとしていた計画を前倒しして、2年間で郵便事業を中心に1万7千人を削減するという大合理化攻撃である。
02年度も300億円の赤字となる郵便事業を黒字にするために、徹底的な本務者の削減と非常勤労働者への転換を強行し、総額人件費を大削減することだ。
これに対して全逓本部は、議案で「労働組合として、中期経営目標を達成するための具体的実施プランを否定するものではありません」「計画の前倒しも否定できません」と全面的に賛成し、組合員の首切りと労働強化を推進しようとしている。さらに「中期経営計画」は、全逓の政策提言「総合生活支援ネットワーク事業への飛躍」(00年4月)や郵便事業の「経営戦略と新たなサービス」(02年10月)が反映されているから賛成であると言っている。この二つの政策提言は民営化推進そのものの内容だ。「経営戦略と新たなサービス」では、郵便事業は「ビジネスとしての存続・発展」を図り、「法人企業を対象としたビジネス」にすると言い切って、完全に資本の利潤追求の立場を鮮明にし、郵政民営化を推進している。
すでに郵政職場では10万人を超える非常勤労働者が働いている。郵便事業に限ると、非常勤労働者の割合は40%になっている。99年から開始された地域区分局等内務5千人削減攻撃による大量の非常勤労働者の導入以降次々と増えている。
この時、全逓本部は、5千人削減が「単品施策にならない」ように(もっと全面的に合理化攻撃を行えという意味)、また「事業改善特別懇」の設置要求を当局が受けた(郵政当局と共同でこの攻撃を行うという意味)ので妥結したと明言した。全逓本部の裏切りによって本務者の削減と非常勤化は推し進められてきたのだ。そして、新集配システムにより、書留などの対面配達以外の受箱配達をすべて非常勤化しようとしている。
全逓本部は、これらを「多様就業型ワークシェアリング」と称して全面推進し、派遣労働者の導入さえ受け入れようとしている。
これこそ「新時代の『日本的経営』」報告路線で打ち出した、終身雇用制を解体し9割を非常勤労働者にする大攻撃を推進するものなのだ。
そのためにトヨタ生産方式の導入を策動している。トヨタチームを越谷局に投入し、さらにそれを全国の郵便局に拡大しようとしているのだ。これは本務者の削減・首切りと非常勤化を徹底し、残る労働者に「乾いたぞうきんを絞る」強労働を強いるものだ。
しかしトヨタ生産方式は、これまで世界中で数千社の企業が導入を試みているが、成功した企業はひとつもない。それは現在、越谷局で行われているような、一人ひとりの労働者に背後霊のように張り付いて、ストップウオッチやカメラ、ビデオで監視し「無駄をはぶいて」非人間的に労働させるあり方は、必ず労働者の怒りを呼び起こすからだ。だから越谷局でのトヨタチームの調査は全逓組合員にまったく手を触れることができないのだ。
しかし議案では「越谷郵便局で実施している『トヨタ生産方式の郵便事業への活用』等は、現場の知恵を活用し職場改善をはかるものであり、サービスの品質管理はもとより、郵便事業サービスの『費用対効果』の整合性をはかる視点から推進されています」と賛成しているのだ。
また議案は、小泉と同様「聖域なき構造改革の実行を強く求める」と、もっと徹底的に労働者を犠牲にしようとしている。「交渉に軸足をおいた運動スタイルを転換し」、事業改革を政策提言し、当局と一体で進めるために「経営協議会」の設置を求めている。当局の先兵=全逓本部を全逓労働者の怒りで倒せ!
夜間労働と勤務時間見直し粉砕
特に許せないのは、第1号議案付属方針4で「夜間労働と勤務時間見直し」を提案していることである。正式提示は受けていないにもかかわらず、積極推進の立場から、1月末提示の郵政事業庁案をそのまま議案として出してきたのだ。本務者への深夜勤の指定、新夜勤回数制限の廃止、特例休息の廃止など殺人的な夜間労働の強化だ。現場からは「おれたちを殺す気か!」とただちに怒りの声がわき起こっている。
例えば「勤務指定の例パターン1」では、21時から翌朝8時までの11時間拘束の「10H深夜勤」が4日間連続になっている。また「パターン2」では17時から23時の「6H夜勤」の後に続けて1時から9時45分までの「8H深夜勤」が入り、実質的には16時間45分拘束の夜間労働になるなど、労働者を機械のように酷使して使いつぶそうとするものだ。(図参照)
議案はこれを「効率的な服務編成と安定した業務運行の確保」と絶賛しており、怒りの一言もない。
これはトヨタ生産方式の郵政版である。トヨタの生産現場では、短期間で次々と辞めていく臨時工・季節工が主力になっていて、とても定年まで働ける労働条件ではない。「夜間労働と勤務時間見直し」攻撃は、殺人的労働を強制し、労働者の健康を破壊し退職に追い込んでいく事実上の「大量首切り攻撃」だ。絶対に許せない。
こうした中、「勧奨退職」で3月に6千人を超える仲間が無念にも職場を去らざるをえなかった(6月にも1400人退職予定)。
団結破壊・賃下げの人事制度改革
「人事制度改革」についても、これが「成績給・能力給」を導入し労働者を競争・分断し労働組合の団結を破壊するとともに、生活できないほどの大幅賃下げになることを隠して推し進めようとしている。
議案には「給与制度改革骨格」だけが出されているが、全員の基本給を1割減らし、その一部を成績給・能力給に配分するとしている。闘いでかちとった8級制を役職とリンクした4級制にして、役職調整額が引き上げられる一部の管理職以外は大幅賃下げになる。これに「人事評価」の結果を加味すれば、もっと賃金格差は広がる。まだ交渉中にもかかわらず、事業別業績、個人別業績で格差をつける一時金を先行実施することは絶対に許せない。
また、「平均3・8%(1万1435円)」の当局の賃下げ回答を組合員の団結した闘いで粉砕して大幅賃上げをかちとろう。
全逓本部は、組合員の「生活できない」という切実な声を無視して賃下げの先兵になるとともに、「総合的なセーフティネット」論で労働組合の役割を「相談窓口機能」とし、労働者が団結して闘うことを全面的に否定している。
さらに「総合的セーフティネット」論では、「大規模な自然災害等に備える」と称して「危機管理ネットワークの確立」を求めている。これこそ小泉政権の有事立法攻撃の論理だ。全逓本部は、米英日帝のイラク侵略戦争を「イラクの人権侵害と大量破壊兵器」に責任転嫁し、さらに「拉致問題は人権侵害、国家主権侵害」(連合見解、3月10日)と、北朝鮮侵略戦争に突入するために有事立法推進の立場に立ったのだ。
労組解体を許さず闘う全逓の旗守れ
議案のメインスローガン「チャレンジアップ2003」は、「未来を展望した事業改革、私たち一人ひとりの意識と行動の改革、公社時代における郵政労働運動の構築と組織・財政の改革」を掲げている。そして郵政労働運動の構築とは、基本理念や組合名称を変更し、全逓の解体を策するものだ。もはや労働組合ではなく「社員組合」にするということなのだ。
支部設置基準を見直して組合員の声がまったく反映されないようにし、全国大会も2年に1度の開催にしようとしている。
こんな組合員無視の組合運営は絶対に認めるわけにはいかない。組合員の怒りを組合の団結として固めて闘う全逓こそ、現在すべての組合員が求めているものだ。今秋にも臨時全国大会を開催し組合名称変更など全逓の解体を策動することは絶対に許せない。すべての組合員の怒りを爆発させて絶対に粉砕しよう。
78越年闘争超える現場の決起を
世界史的階級闘争の高揚期が、世界中で日本で、帝国主義戦争と大資本攻勢に対する労働者階級の根底的決起を軸にして始まっている。郵政民営化攻撃に対する全逓労働者の腹の底からの怒り、全逓労働者を食い物にする全逓本部に対する怒りが蓄積しているのだ。
4月1日から始まったことは、これらがひとつになって78越年反マル生闘争をはるかに超える大闘争へと発展する過程に突入したということだ。階級闘争の激動の時代に全逓労働者が当局や腐敗した労働貴族=全逓本部に唯々諾々と従っていることはありえない。全逓労働運動の輝かしい闘いの伝統は、特に若い全逓労働者に受け継がれ、革命的魂となって階級闘争を牽引することは間違いない。
78越年反マル生闘争の爆発は、70年安保・沖縄闘争の大爆発とそれを引き継ぐ70年代階級闘争の高揚の中でかちとられた。三里塚闘争、狭山闘争、そして動労千葉のストライキ闘争、こうした階級闘争の現場で若き全逓労働者はいつも先頭に立って闘ってきた。戦闘的雰囲気が職場に満ちあふれる中で、マル生攻撃と全逓本部の裏切りに対する怒りが爆発し、日帝の階級支配を揺るがすような大闘争に発展したのだ。
全逓つぶしの攻撃を打ち返した全逓労働者は、階級性と戦闘性を堅持して今日の全逓決戦に登場している。4・28反処分闘争は、全逓労働者の圧倒的な支援の中で不屈の闘いを貫き、25年目の闘いに突入している。今こそ4・28反処分闘争を戦争と資本に対する労働者階級の闘いの先頭に押し上げて、全逓決戦と一体で絶対に勝利をかちとらなくてはなならない。
国鉄労働運動と両輪で闘おう!
全逓労働運動は一貫して、国鉄労働運動とともに両輪となって階級闘争を牽引してきた。この闘いが、政府権力と資本家階級の凶暴な攻撃をはね返して、労働者の生活と権利を守り発展させてきた。そして今日、再び階級闘争の先頭に躍り出たのだ。15万全逓労働者の階級的・戦闘的力を全面的に解き放ち、78越年闘争をはるかに超える大闘争で数千万の労働者階級を牽引する時代が来た。
全逓労働者に襲いかかっている郵政民営化攻撃を怒りを爆発させて打ち破り、小泉―奥田路線を粉砕しよう。小泉―奥田、郵政当局の先兵となり、敵の陣営に階級移行した連合全逓中央を打ち倒そう。闘う全逓の再生をかちとろう。
すべての全逓労働者は有事立法粉砕の闘いに立ち上がり、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動を推し進めよう。すべての全逓労働者は『前進』を読もう。闘う全逓労働者、とりわけ青年労働者は革共同に結集してともに闘おう。
すべての全逓労働者は、第57回定期全国大会に総結集し、会場を包囲して腹の底からの怒りを爆発させよう。連合全逓中央を総罷免し、闘う指導部と方針を決定しよう。
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週刊『前進』(2105号3面2)
労働法制改悪阻止へ(下)
労基法改悪認めた民主党 与党と「共同修正案」 連合の屈服弾劾し絶対廃案へ
日共・社民も「解雇権」に賛成
労働法制改悪をめぐる攻防が決戦を迎える中で、有事立法の衆院通過に手を貸した民主党は、またしても歴史的裏切りを演じた。6月2日、民主党と与党3党は、労基法改悪案の「解雇権」についての修正案を共同提出することで合意した。その結果、労基法改悪案は4日、衆院厚生労働委員会を通過し、5日には衆院を通過した。参院段階での闘いを強め、なんとしても成立を阻止しよう。
さらに、この修正案に日本共産党と社民党までも賛成した。有事立法攻撃のもとで、許しがたい翼賛国会となったのだ。
資本の「解雇権」を認める労基法改悪は、今次労働法制改悪の最大の柱だ。その衆院通過に道を開いた民主党と、それを後押しする連合中央を徹底弾劾しなければならない。
民主党と与党3党の共同修正案は、「解雇は、客観的、合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして無効とする」というものだ。政府原案は「使用者は……労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」となっていた。民主党と与党の共同修正案は、この政府原案の意味をみじんも変えるものではない。
「権利を濫用したものとして無効」という規定は、資本に「解雇権」があることを大前提にしている。権利がなければ、その濫用もありえないからだ。修正案は、資本の「解雇権」を根本的なところで承認しているものなのだ。
こんな修正は労働者の要求では断じてない。ところが連合中央は、「解雇権の明記という最悪の事態は回避できた」として、この修正で労基法改悪を容認し、労働者の権利をことごとく資本に売り渡そうとしているのだ。日共も「野党4党による共同の成果」と全面賛美している。
民主党と連合中央の裏切りは、これにとどまらない。
有期雇用契約の期間延長も容認
5月28日に民主党が単独で提出した修正案には、有期雇用契約の期間延長は認めないという項目が入っていた。しかし、民主党はそれも完全に投げ捨てた。
小泉政権は、終身雇用制を解体し、労働者の圧倒的多数を「首切り自由」の不安定・低賃金・無権利状態に突き落とそうとしている。有期雇用契約期間の上限を延長するという労基法改悪の狙いもそこにある。
それは参院で審議されている労働者派遣法改悪案とあわせてみれば明らかだ。
派遣法改悪の主な内容は、@派遣契約期間の上限を現行の1年から3年に延長する(専門職26種については、現行3年の期間制限を撤廃する)、A製造業への派遣労働を解禁する、B紹介予定派遣を解禁し、派遣先による労働者の事前面接も認めるというものだ。
資本は、これまで正規雇用労働者が行っていた業務も低賃金の派遣労働者に行わせ、正規雇用の派遣への代替を徹底的に推し進めようとしている。そのためには、派遣契約期間に上限を設けてきた法規制がじゃまになったということだ。
今回の派遣法改悪の中でも、製造業への派遣の解禁はきわめて重大な攻撃だ。これにより正規雇用の派遣への置き換えは爆発的に進みかねない。これをさらに促進するのが紹介予定派遣の解禁だ。紹介予定派遣とは、労働者を正社員として採用する前に、派遣労働者として実際に働かせてみるという制度だ。実質的にこれは試用期間の延長(一般職なら最長3年!)だ。すでに今日、新卒の青年労働者には、派遣以外に就職先がないという現実がのしかかっているが、それがすべての年代の労働者を襲おうとしているのだ。
これら一連の攻撃は、労働者の団結解体攻撃と一体をなしている。有事立法とあいまって、労働者の団結を暴力的に解体する攻撃はますます激化しつつある。国労5・27臨大闘争弾圧や部落解放同盟全国連寝屋川支部への弾圧は、それをはっきりと示している。共謀罪新設の攻撃は、労働者の団結そのものを「犯罪」とするものだ。司法制度改革や労働委員会制度解体の攻撃もその一環だ。
だが、資本・権力がこうした攻撃に乗り出してきた時にこそ、労働者はその根源的な怒り燃え立たせ、より強固な団結を固めて闘い抜いてきた。
民主党・連合中央の裏切りを徹底的に弾劾し、これを打ち砕く壮大な決起を実現して、労働法制改悪を阻止しよう。
(長沢典久)
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週刊『前進』(2105号3面3)
資本攻勢&労働日誌 2003 5月15日〜30日
若年の5人に1人がフリーター 派遣法改悪案が衆院通過/一時金カットあいつぐ
●夏の一時金、民間企業3年連続減少 りそな総合研究所の夏の一時金予測では民間企業の1人当たり支給額が前年比1.7%減の40万6000円、3年連続減少。(15日)
●交通運輸4産別、05年統合へ 交通運輸4産別(私鉄総連、運輸労連、交通労連、全自交労連)の新組織結成準備委員会は「04年連合加盟単位一本化・05年組織統合」へ取り組みを確認。(17日)
●日本郵政公社、2年間で1万7000人削減 日本郵政公社は現在28万人の職員数を05年3月までに約26万3000人へと削減。郵便で1万2200人、郵便貯金で2100人、簡易保険で1300人それぞれ減らす計画を発表。(21日)
●派遣法改悪案が衆院通過 労働者派遣法改悪案が無修正で衆議院本会議で可決され、参議院に送られた。(22日)
●りそな、夏一時金を全額カット りそなグループが今年夏の一時金の支給を見送る方針を決めたことが明らかに。(24日)
●外国人実習生の賃金搾取 川崎造船系の造船会社2社が、技能実習生として雇用したフィリピン人に労基法の最低賃金の半分以下で就労させていた。(25日)
●西武百貨店、一時金を実質半減 6月にそごうと経営統合する西武百貨店は、この夏の「賞与」をとりやめて、一時金を支給する案を組合側に申し入れ。(26日)
●公務員制度改革関連法案、政労会見で最終決着へ 連合の笹森会長が小泉首相と会見。公務員制度改革関連法案の扱いについて笹森は政労会見を要請した。小泉も実現を約束。(27日)
●消費税率10%以上の提案あいつぐ @政府税制調査会は27日の総会で消費税の欧米並みの2けた税率へのアップを検討課題に。A経済財政諮問会議の民間議員は28日に、中期的に15%程度への消費税率引き上げが不可欠との提案を提出。B日本経団連は29日、消費税率を25年度までに18%へ段階的に引き上げることを求めた意見書を発表。(27日)
●日本経団連第2回総会、「奥田ビジョン」具体化強調 日本経団連の第2回総会で奥田会長は、奥田ビジョンの実現を今年度の活動の柱にすえると強調。(27日)=要旨別掲 あいさつ全文
●4月の完全失業率変わらず 総務省発表の労働力調査では4月の完全失業率は前月と同率5.4%。厚労省発表の一般職業紹介状況では4月の有効求人倍率も0.60倍で、前月と同水準。(30日)
●フリーター417万人、若年の5人に1人 内閣府発表の03年版国民生活白書では、15歳から34歳の若年フリーター(パート、アルバイトなど)は01年度に417万人で1990年の183万人の2倍以上。主婦や学生を除く若年人口では5人に1人がフリーター。72.2%が正規社員を希望。(30日)
日本経団連総会における奥田会長あいさつ(要旨)
昨年12月の経営労働政策委員会報告は、春季労使交渉のあり方を根本的に見直す大きな契機になった。
1月に新ビジョン「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」(奥田ビジョン)を公表。今年度は、新ビジョンの実現を活動の柱にする。
そのための重要課題は以下の4点。
第1は財政、社会保障制度の再構築。消費税の引き上げ。
第2は21世紀の日本の新たな成長基盤の確立。「規制改革基本法」の制定。教育改革や労働市場の思い切った改革。
第3は通商政策の戦略的な展開。韓国、タイ、メキシコ等の国々との自由貿易協定の締結を急ぐ。
第4は政治との関係強化。政治資金の提供を再開する。
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週刊『前進』(2105号4面1)
有事法案に賛成した民主党の歴史的裏切りを徹底弾劾せよ
原案丸のみ=「修正合意」の犯罪性
民主党は、有事3法案の国会審議で、与党3党とのボス交で「修正」案賛成に回り、決定的な反動的役割を果たした。この民主党の「修正」合意と、それによる有事3法案の衆院早期通過という事態は、この間生じた階級的事態の中でも超重大な歴史的事態である。すべての闘う労働者は、この民主党およびそれと完全に連動した連合の大裏切りを徹底的に弾劾し、広く労働者階級人民の中に暴露して闘おう。こうした挙国一致主義へののめり込み、有事における翼賛政治への投降が、どれほど反動的で反労働者的なものであるかを、組合の中でも、また労働者階級へのストレートな働きかけとしても、徹底的に暴露して闘おう。
支配階級と一体化し挙国一致で戦争推進
まず何よりも、民主党は有事3法案の基本的骨子、いや、その全内容に基本的に全面賛成していることである。修正内容自体、本質的な修正など、何もない。実質的にほとんど丸のみと言っていい内容だ。
これは、民主党がついに憲法9条を破棄し、「武力攻撃事態および武力攻撃予測事態」において日帝が戦争的手段に訴えることを承認したということである。すなわち民主党は、日帝が帝国主義的侵略戦争に打ってでることを承認し、自らもまた支配階級と合流して挙国一致的に戦争遂行者の立場に立つことを宣明したということである。
民主党は、「日本が攻撃された時には、防衛し反撃するのは当然だ」といったブルジョア・イデオロギーに完全に屈服したのである。戦争には原因があり、それは現代においては帝国主義の侵略戦争と帝国主義間戦争として存在していることを完全に否定する反階級的立場に移行しきったということである。完全に排外主義と国益主義に落ち込み、小泉の「備えあれば憂いなし」論の前に、はいつくばったのである。
つまり、これは民主党が労働者階級の立場に立たず、支配階級と合流し一体化して、労働者階級を侵略戦争に駆り立てる立場、被抑圧諸国を侵略し虐殺する立場に百パーセント移行したということである。第2次世界大戦や中国への15年戦争の経験を真剣に反省する立場からの反戦平和の意識をも全面的に裏切って、かつての帝国主義戦争への突入と同じ道に完全に入ったのである。
言い換えれば、民主党は安保・防衛問題において、ついに戦後的な野党的な規範を破棄し、帝国主義者と同じ隊列に立つことを歴史的に宣言したのである。このことが、イラク侵略戦争から北朝鮮侵略戦争へと向かう歴史的情勢の中で生じていることに注目しなければならない。
有事立法は正式の法律として侵略戦争を基本法化したものである。これに合意するということは、今後あらゆる戦争法案に対して、民主党と連合が雪崩をうって賛成し、その推進者となることを意味する。このまま進行すれば侵略戦争へのとうとうたる流れを生み出していくことになる。われわれは、階級情勢におけるこのような大激変を、量から質への大転換が今まさに発生している事態として、党と階級の命をかけて、全力で対決していかなければならない。
戦争法の核心部分を全部容認した民主党
「人権尊重」の戦争などない
具体的に「修正」合意(5月13日)の中身に沿って見ていこう。
第一に、民主党の言う「基本的人権の保障」の条項が「改善」されたという点についてである。武力攻撃事態法第3条第4項について、法案原案は次のようにしている。
「武力攻撃事態等への対処においては、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合にあっても、その制限は当該武力攻撃事態等に対処するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続きの下に行われなければならない」
「修正」合意案はこれに続いて、次の部分を付加した。
「この場合において、日本国憲法第14条、18条、19条、21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」
(憲法14条=法の下の平等、18条=奴隷的拘束および苦役からの自由、19条=思想および良心の自由、21条=集会・結社・表現の自由、通信の秘密)
この付加をもって、民主党は自己の主張が盛り込まれたと大いに評価し宣伝している。法案原案に比べて、憲法の重要な条文の項目を具体的に列記したことや、「尊重」に加えて「最大限に尊重」を入れたことをもって、重要な修正だとしている。しかし、これは政府・与党側、日帝権力にとってさしたる制約を課すものでも、本質的な修正でもない。原案ですら「人権の制限は必要最小限」としているのだから、「最大限に尊重」などはリップ・サービスに等しいのだ。
重要なことは、基本的対処方針の実施、つまり戦争遂行において「基本的人権に制限が加えられる」ということが武力攻撃事態法の本文で明記されていることである。帝国主義の行う戦争は、それ自体が人権の否定・抹殺である。基本的人権をおびただしく侵害することなしに、戦争などできるはずがないのだ。民主党は、まるで民主的な帝国主義戦争があるかのようなペテンをもって労働者・人民をだまし、帝国主義戦争、資本家のための戦争に駆り立てようとしているのだ。
国会事前承認なき出動容認
「修正」合意のうち、民主党はまた、「対処基本方針の廃止」について、新たに「国会が議決した場合も廃止する」としたことを民主的改善だなどと言っている。しかしこれは、政府与党=日帝権力にとって、ほんのささやかな譲歩にすぎない。大体、国会の権限をうんぬんするなら、そもそもこれまでの自衛隊法(76条1項)では、自衛隊の防衛出動の決定は原則的に国会の事前承認となっていた。それを今回の有事立法では破棄して、原則事後承認としているではないか(武力攻撃事態法9条4項および自衛隊法76条1項改悪案)。このことを、民主党はなんら問題としていないのだ。とんでもないペテン的すりかえが、ここでは行われている。
「修正」合意のうち、民主党がいまひとつの「成果」としてあげているものは、「国民保護法制の整備」なるものが先送りされていることからくる法律の「施行期日」についてのものだ。原案は、「この法律は、公布の日から施行する」としていた。「修正」合意ではこれに付加して、「ただし、第14条から第16条までの規定は、別に法律で定める日から施行する」とした。つまり、「武力攻撃事態対処法の施行の日から1年以内」とされる「国民保護法制の整備」を待って、それから14〜16条を施行するというものである。(第14条は、地方自治体などに対する対策本部長の「総合調整」の権限。第15条は、14条の対処措置が自治体の抵抗などで実施されない場合に総理大臣が行う強制的な指示権、執行権。第16条は14条、15条の実施により生じた損失に関する財政上の措置の規定)
しかしこれも、武力攻撃事態法の根幹にかかわるものではない。「国民保護法制」なるものが決定していない以上、対策本部長による対処措置についての「総合調整」(14条)や、総理大臣の強制権限(第15条)は、もともと十分行使できるものではないのだ。ここでも民主党は見せかけの譲歩のかけらを口実として、武力攻撃事態法(有事立法全体)の根幹部分を全面的に承認したのだ。
そもそも民主党は、第10条(武力攻撃事態対策本部の設置)から第16条にいたる、対処措置の実施にかかわる部分全体の施行延期を主張していたはずである。それなのに、第10条〜第13条および第17条については「修正」合意で承認してしまったのだ。つまり、対策本部を立ちあげ(10条)、組織的に確立し(11条)、「対処基本方針に基づく総合的な推進に関すること」を対策本部がつかさどる(第12条)などのことは、まったく可能なのである。
したがって、第14条〜16条の施行が少し延期されても、政府は「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」を宣言し、対策本部に与えられている一般的権限を行使して戦争体制に突入することはできる。ここでも本質は、民主党の一方的で全面的な屈服である。
緊急事態基本法など原案改悪した「合意」
さらに「修正」合意は、付則において「危機管理庁」を、「政府は、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態へのより迅速かつ的確な対処に資する組織の在り方について検討を行うものとする」と付記した。
これは民主党の主張への配慮であるとされる。しかし、これは自民党・与党3党の側の譲歩などとは到底言えない。むしろ、もともとの有事立法3法案よりももっと体制を強めろというような意味でしかない。改悪案でしかないのだ。
さらに、「修正」合意は「付帯決議」として、「指定公共機関の指定に当たっては、報道・表現の自由を侵すようなことがあってはならない」ことを決議している。だが、もともとの民主党案では「指定公共機関の指定から民放を除外」としていたのである。ここでも民主党は主張を引っ込め、原案に屈服しただけでしかない。
民主党はまた、「緊急事態の基本法」を同時に制定すべきであるとして対案的に提起していた。これについては、「修正」合意では与党3党との間で覚え書きを交わし、「緊急事態にかかる基本的な法制については、4党間で真摯(しんし)に検討し、その結果に基づき、速やかに必要な措置をとる」とした。これをも民主党は「成果」などと言っている。だが、この民主党の「緊急事態基本法(案)」なるものは、もともと政府与党案よりも反動的な内容のものでしかなかった。さしあたって、二つの点でそう言える。
ひとつは、これは、外部からの武力攻撃、大規模テロ、大規模自然災害をひっくるめて「緊急事態」として位置づけるものであり、「武力攻撃事態」での戦争的対処の決定的な反革命性、反動的な飛躍性をあいまいにするものである。逆に言うと、テロ、ゲリラ、「不審船」などを戦争事態と同一化するベクトルをもつものであり、エスカレートとしてある。
いまひとつは、これはいわば有事基本法=戦時基本法としてあり、憲法第9条の事実上の破棄の一つの手法として、旧来から狙われてきたものと同一の役割をもつものである。
このように民主党の「緊急事態基本法」なるものは、まったく反動的な代物でしかないのである。
連合の中から階級的決起を
以上、ざっとみてきたが、今回の民主党の政府・与党への屈服と「修正」合意の成立、そのもとでの有事立法制定策動の加速という事態は、許すことのできないおそるべき内容をもつものである。「第二インターの崩壊」などというレベルをはるかに超えた情勢である。こうした中で日帝政府・自民党(与党)は、民主党を屈服させたことに勢いづいて、個人情報保護法の成立を強行し、さらに一気呵成(かせい)に反動攻撃に突っ走る動きを強めている。@イラク新法、A対テロ特措法の新規立法化、BPKO法の武器使用条件の緩和、C教育基本法改悪、D改憲そのものへの動き、E労働法制の根本的全面的改悪、F保安処分新法の強行などである。
民主党のこのような超反動的転落は、連合の総屈服、「産業報国会」化と一体化して進んでいる。連合は昨年の5・16見解で、有事法=戦争を肯定した。さらに、今年に入っての連合のイラク戦争についての見解(3・18、24付、イラクに大量破壊兵器の廃棄を求めるもの)、および北朝鮮問題についての見解(3・10付、拉致問題・核開発問題で日帝政府に対北朝鮮強硬外交を求めるもの)の内容は超反動的である。小ブル的な「平和主義」は装いだけであり、帝国主義と同一の論理である。
日本共産党はこれに対してペテン的に批判者を装っているが、テロ絶滅論を基礎として、「国連を媒介にした平和解決」を対置するやり方は、ブッシュ的戦争遂行論の前には無力である。戦争を帝国主義的侵略戦争としておさえず、帝国主義への民族解放闘争的怒りの爆発をテロルとして絶滅しろと言う限り、階級的戦闘的大衆行動をもって帝国主義と対決し、それを打倒していくという闘いに敵対するだけである。真の反戦闘争に敵対することが日本共産党の任務となるのだ。
また、JR総連=カクマルの「テロと報復戦争に反対」は反戦闘争ではない。民族解放闘争を絶滅せよという点で帝国主義と同じであり、悪質である。
民主党−連合の屈服、日本共産党の裏切りの中で、陸・海・空・港湾労組20団体が有事立法という自国帝国主義の戦争攻撃と重々しく対決し、階級的に決起していることはきわめて重要である。この闘いの防衛と発展のため、連合の内部から労働者階級の階級的・反戦的決起をつくりだそう。大資本攻勢との対決へ、労働者階級の闘いの創造、防衛、発展のために、今こそ決起しよう。
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週刊『前進』(2105号4面2)
サミットが突き出したもの
北朝鮮・イラクに戦争重圧 米VS仏独の修復はならず
6月1日から3日にかけてフランスのエビアンで帝国主義首脳会議(G8サミット)が開かれた。
ブッシュは中座し中東へ
今回のサミットが突き出したものは第一に、米帝のブッシュ・ドクトリンに基づくイラク侵略戦争によって、米帝と仏独帝を対立軸とした帝国主義間・大国間の対立・争闘戦が決定的に激化したが、それがまったく修復できなかったということである。帝国主義が米英日と独仏などに分裂・対立し、世界戦争へと向かう過程が決定的に深まった。
米帝ブッシュは、サミットでイラク侵略戦争に抵抗した仏独帝に対して激しく争闘戦を展開した。議長国であるフランスに対しては、サミットの途中に退席して中東歴訪に出るという“顔面パンチ”を食らわした。ドイツに対しては2国間会談にも応じなかった。
米帝ブッシュは、帝国主義各国が、フセイン政権後のイラクの利権をどう確保しようかと腐心している中で、そのようなことは問題にもさせず、軍事占領のもとですべての利権を米帝が確保するということを突きつけたのである。
そのために米帝はイラクに対する債権の放棄をフランスなど各国に要求している。すでに米帝は国連決議でのイラク制裁解除に仏独を屈服させて賛成させた。
仏帝シラクは、これに対して「国連安保理の承認なしの軍事行動は正当性を欠き、違法だとの考えは変わってはいない」と米帝のイラク侵略戦争への批判を繰り返した。また、議長国としてのサミットの持ち方も、中国をサミットに招待したのを始め、インド、ブラジル、エジプトやアフリカ4カ国などとの対話も設定した。イラク戦争反対の諸国で米帝を包囲しようということだった。
ブッシュのサミット中座は同時に、エジプトやサウジアラビアなど中東の親米的反動的諸国と会談し、米帝が打ち出した新和平案「ロードマップ」によってパレスチナ人民の解放闘争を圧殺し、中東全体を米帝支配のもとに強固に組み込もうという狙いである。だが米帝の「ロードマップ」は、パレスチナ人民の不屈の抵抗闘争、ムスリム人民の反米決起によって破たんすることは明白である。
米帝は、仏独には争闘戦的に対応する一方で、同じくイラク戦争に反対したロシア、中国に対しては屈服と取り込みをはかった。
ロシアに対する強烈な恫喝の中心問題がイランの核開発問題であった。イランの原発建設を行っているロシア・プーチン政権に「イランの核問題」を突きつけて屈服を迫ったのである。プーチン政権は米ロ首脳会談で、チェチェン問題や資金援助などで米帝に対抗できない弱点もあり、原発建設の利権の放棄にもつながるイラン問題で、「懸念を共有する」と認めさせられた。その一方で米帝は、イラン侵略戦争のためにもロシアを取り込む必要があり、ロシアのイラクへの債権については一定の保証を与えたのである。
独仏との分断という点では、ブッシュのイラク戦争参戦国ポーランド訪問も強烈な対抗策であった。しかもブッシュは、ポーランドでの演説で「新たに生じた競合関係が正義や義務を損ねることがあってはならない」と仏独に屈服を要求したのである。
「大量破壊兵器拡散防止宣言」
第二は、米帝ブッシュが主導して「大量破壊兵器の拡散防止に関するG8宣言」を採択させ、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、イランへの侵略戦争へ枠組みをつくったことである。米帝がサミットで追求したことはこれだった。
米帝は、「悪の枢軸」としてイラクとともに名前をあげた北朝鮮、イランに対してあくまでも侵略戦争を強行し、世界支配の暴力的再編を進めようとしている。そのために、対北朝鮮政策ではサミットを前にした5月23日の日米首脳会談で「北朝鮮の核兵器計画の完全な、検証可能な、不可逆的な廃棄以外に何も受け入れない」として侵略戦争政策を確認した。米帝は米中首脳会談でもこの問題を取り上げ、北朝鮮問題に引き込むことによって中国に重圧を加えている。
日帝・小泉は、サミットの中で拉致問題を強調することで北朝鮮侵略戦争の一方の主役として登場しようと画策した。そしてサミット議長総括で拉致問題が盛り込まれたことを最大の成果としている。日帝は、民主党の屈服を取り付けることで有事3法案の成立に突進すると同時に、北朝鮮侵略戦争参戦へと決定的に踏み切っている。
しかも、日帝・小泉は続いてイラク新法を強行し、自衛隊イラク派兵を強行しようとしている。イラク人民の不屈の解放闘争が闘われているイラクに、自衛隊を侵略軍として派兵し、イラク人民を虐殺しようとしているのだ。この攻撃を断じて許してはならない。
イランに対しては、同宣言で「(核拡散を)看過しない」として国際原子力機関(IAEA)による査察受け入れを要求した。イランの原発建設を「大量破壊兵器問題」として問題にし、侵略戦争突入を狙っているのである。米帝は、イラクに続いて「反米国家」であるイランの体制を侵略戦争で暴力的に転覆することによって中東全域に対する米帝支配を強固にうち立てようとしている。イランを植民地支配し、石油を強奪しようとしているのだ。
経済での協調は全く不可能
第三に、全世界的なデフレ突入情勢の中で、ドル・ユーロ・円の通貨政策での非和解性が示された。帝国主義間の経済的協調がまったく不可能なのだ。
米帝ブッシュは、「アメリカの強いドル政策は変わらない」と発言した。だが、実際には「為替は市場が決める」として何もするつもりもない。日帝・小泉も「なぜ円が高いのかわからない」と円安誘導発言を行い、「協調」どころか通貨切り下げ競争の局面に突入したことを示したのである。米帝経済危機はいかなる方策もない状態であり、米帝は一切を戦争的に解決する以外に道がないのだ。
エビアン・サミットは10万人のデモに包囲され、警官隊の暴力的弾圧でようやく開催された。イラクでは連日デモが闘われており、不屈のゲリラ戦争が闘われている。6月3日にもバグダッド北方でパトロール中の米軍が銃撃され1人が死亡した。イラク人民は誰も米軍占領支配を認めておらず、闘いがさらに爆発していくことは不可避である。
米帝ブッシュの世界戦争戦略を絶対に許してはならない。不屈に決起するイラク人民と連帯し、イラク反戦闘争をさらに爆発させよう。日帝の有事3法強行を許さず、南北朝鮮人民、在日朝鮮人民の決死の決起と連帯し、米日帝の北朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう。日帝のイラク新法、イラクへの自衛隊派兵を全力で阻止しよう。
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週刊『前進』(2105号4面3)
福井 有事法許すなの声 公聴会に申し入れ行動
5月29日、福井市内の国際交流会館で、有事法制の参院地方公聴会が行われた。今回の地方公聴会は基地の街・横須賀と、「拉致」キャンペーンの吹き荒れる福井が、有事法制を強行するために意図的に選ばれた。福井公聴会は、意見陳述人が誰なのかも知らされず、市民の一般傍聴もできないという閉鎖的な、民主主義のかけらもないものとなった。
公聴会開会前に、抗議行動の参加者全員で会場の玄関前に詰め寄り、富山大学学生自治会と北陸労組交流センターが有事法制廃案と公聴会中止の申し入れ行動を行った。
参院公聴会事務局は、事前連絡をしたにもかかわらず、請願書の受け取り責任者が出てこず、抗議のシュプレヒコールであわてて出てくるというありさまだった。会場前を何重にも固めた機動隊と対峙し、「北朝鮮への先制攻撃法=有事法制を廃案へ」の横断幕を広げて正門前を制圧し徹底的に弾劾の声を上げた。
参加した学生は、「大事な公聴会がここで開かれているなんて教えられないと誰も気づかない。抗議行動で注目が集まって良かった」と、感想を語った。
一方、カクマルは北朝鮮情勢に一言も言及できず、政治的破産をあらわにした。 (富山大学 K)
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週刊『前進』(2105号4面4)
5月28日〜6月3日
米国防副長官 「自衛隊イラク派遣期待」 麻生政調会長が「創氏改名」で暴言
●東京都、朝鮮総連施設に課税 東京都は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部(千代田区)などの土地・建物について、固定資産税の減免措置を解除する方針を固めた。都は72年以降、朝鮮総連など国交のない国や地域の施設に対し、外交機関に準じ同税を事実上免除してきた。石原都知事は「公館扱いにして固定資産税を払わずに済んでいる北朝鮮系の建物がずいぶんある。調べて課税します」と表明していた。(28日)
●精密誘導爆弾68% イラク侵略戦争で米英軍が空爆に用いた兵器は約3万発にのぼり、このうち精密誘導爆弾の比率は「当初の予想を下回る68%」と両軍の内部資料に記されていることが明らかになった。(29日)
●教基法改悪「くに」「郷土」に置き換え案
自民党の森前首相と公明党の冬柴鉄三幹事長らが会談し、教育基本法の改悪で「国を愛する心」の取り扱いについて、「国」という言葉を「くに」や「郷土」に置き換えたりする妥協案が浮上。公明党が今国会への改悪案提出を容認する可能性が出てきた。(29日)
●「沖縄米軍、1万5千人削減も」 ロサンゼルス・タイムズ紙が、米政府高官の話として、国防総省がアジアでの大幅な兵力再配置を検討し、中長期的には沖縄からの海兵隊引き揚げも選択肢に含まれるかもしれないと報じた。沖縄駐留の海兵隊2万人のうち、1万5千人をオーストラリアに新設する複数の基地に移すことを検討しているという。ウォルフォウィッツ米国防副長官は30日、「まったく根拠のない推測だ」と否定した。(29日)
●有事法案で地方公聴会 参院有事法制特別委員会が有事3法案の地方公聴会を神奈川県横須賀市と福井市で開いた。(29日)
●最新鋭パトリオット韓国配備へ 韓国国防省と在韓米軍は、最新鋭の地対空誘導弾パトリオットPAC3の配備など、米軍が06年までに110億j(約1兆3千億円)以上を投入して在韓米軍の戦力を増強すると発表した。また機動性と戦闘能力を強化した「迅速機動旅団」(STRYKER)を韓国に巡回配置するという。(31日)
●最新給油機、嘉手納配備の可能性 米国防総省が空軍のKC135空中給油機の後継機として、同機より20%給油能力を増強したKC767を06年から100機導入することが分かった。空軍の作戦展開能力の強化を図ろうとするもので、沖縄県の嘉手納基地に配備される可能性が高い。(31日)
●麻生「創氏改名は朝鮮人が望んだ」 自民党の麻生政調会長が東京大学で講演し、「朝鮮半島が植民地だった時代に日本が行った朝鮮人創氏改名は、最初は当時の朝鮮人が望んだことだ」「ハングルは日本人が教えた」などと発言した。韓国紙が2日、「妄言」と批判し韓国与野党が撤回を求めた。(31日)
●エビアン・サミット 帝国主義国首脳会議(サミット)がフランスのエビアンで開かれた。イラク侵略戦争後、主要8カ国(G8)が一堂に会するのは初めて。(1日)
●「道の駅」に銃携帯憲兵 沖縄県嘉手納町の「道の駅かでな」の駐車場に弾倉の付いたM16自動小銃を肩に掛けた米軍嘉手納基地所属の憲兵1人が現れ、通称「安保の丘」周辺を警らした。(1日)
●石破「在日米軍基地攻撃で有事に」 参院の有事法制特別委員会で石破防衛庁長官が「在日米軍基地に対する攻撃も武力攻撃事態と認定する」と述べた。(2日)
●米国防副長官「自衛隊派遣に期待」 自民党の山崎幹事長ら与党3党の幹事長が、来日したウォルフォウィッツ米国防副長官と会談。同副長官はイラク「復興」をめぐり「非戦闘地域での施設・輸送・通信など、後方支援に大きな期待を持っている」と述べ、自衛隊をイラクに派兵し、米英軍の後方支援を行うことに期待を表明した。(3日)
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週刊『前進』(2105号5面1)
結社の自由奪う「共謀罪」 新設阻止へ国会闘争を
2人以上集まれば共謀成立 戦時下で思想・表現圧殺狙う
有事3法、個人情報保護法と一体の攻撃
共謀罪をめぐる国会審議は、3月11日の法案提出以来、具体的には進展していない。しかし、共謀罪新設の根拠とされた国際的組織犯罪条約の批准は、3月14日の国会提出以来まともな論議もなしに4月24日の衆院での承認に続き、5月14日には参院でも承認された。この情勢から考えると、共謀罪も審議が始まれば短時間で一気に可決・成立となる可能性が高い。今こそ、危機感をもって先制的に共謀罪制定阻止の国会闘争に決起する時だ。
今日の激しい動きは、99年周辺事態法の成立時に次ぐものだ。99年には同時に、組対法(盗聴法)と改正住民基本台帳法(住基ネットによる国民総背番号制導入)、国旗・国歌法制定による「日の丸・君が代」の強制攻撃が一斉に一体のものとしてかけられた。
今、有事3法が民主党の裏切りによって成立し、有事立法第4法案というべき報道・言論規制法=個人情報保護法が成立し、同時にこの有事立法体制に不可欠なものとして「共謀罪」新設がこれと一体の攻撃としてかけられているのだ。
国内における戦時体制構築の攻撃は、労働者への資本攻勢の激化、労働法制改悪と同時に、治安攻撃の強化として現れる。戦争突入のためには、労働者の権利を奪い、反戦・反資本・反権力闘争の動きを封じ込めるだけでなく、労働者を戦争に動員することが不可欠であるからだ。
思想・表現・結社(団結)の自由を侵害する共謀罪の新設化攻撃を始めとして、有事体制に協力しない者は「非国民」とばかりの治安攻撃が、保安処分新法=心身喪失等医療観察法案、入管法改悪、司法改革関連法(裁判迅速化法)、生活安全・迷惑防止条例などの形で始まっている。
それが国労5・27臨大闘争弾圧や部落解放同盟全国連の労働者への逮捕攻撃、学生活動家や支援の労働者に対する大学当局と一体となった逮捕攻撃、一斉家宅捜索攻撃、長期勾留攻撃などの弾圧の激化として現れている。日常的な政治警察との攻防に打ち勝つ闘いとともに、「共謀罪」新設による治安弾圧・治安攻撃強化を断固粉砕しよう。
目的規定なく警察の判断で拡大適用可能
共謀罪は重大犯罪(=法定刑が長期4年以上の犯罪)に当たる行為を、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」「団体に不正権益を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を共謀した者」は5年もしくは2年以下の懲役・禁固に処する、とするものである。
今回、日帝・小泉政権は国際的組織犯罪条約で規定された「国際的」や「組織犯罪」は要件に入れずに制定しようとしている。これは重大だ。これまでの団体規制の法律は、必ず法の目的を規定していた。治安維持法、破防法、団体規制法などもそうである。
だが、この共謀罪には目的規定が何もなく、ただ「長期4年以上の刑」という規定だけで団体を抑圧できる。この結果、新設される共謀罪は「もう一つの刑法体系」と言われるほどに膨大なものとなり、法務省が出してきただけで570の罪に対応する共謀罪が新設される。傷害共謀罪、逮捕監禁共謀罪、窃盗共謀罪、内乱共謀罪、火炎瓶使用共謀罪などである。
ある労働争議で組合員や支援者が集まって「社長をつかまえて徹底的に要求をのむまで追及しよう」と相談しただけで、実際にはやらなくとも、組合の力を維持拡大しようとしたものと見なされ、逮捕監禁共謀罪、組対法の強要共謀罪にされ逮捕される。
共謀罪は事前に、しかも警察の判断だけで組織を丸ごと弾圧できるという恐るべき特徴を持っている。要するに事前検束を可能とするものであり、簡便に組織をつぶせる法だということだ。破防法以上の結社禁止法というべきものだ。
これが、革命運動・革命党を直撃する。権力打倒をめざすほとんどすべての活動が共謀罪の対象である。しかも、実行以前に2人以上の会議(会議は通例2人以上)で協議・相談するとか、2人以上が集まってシュプレヒコールで訴えることをもって共謀罪の逮捕の対象にするのである。
実に大変な予防反革命法であり、革命党の存立を根こそぎ圧殺する攻撃だ。革共同の真価をかけて共謀罪粉砕の闘いに決起していかなければならない。
激増する労働者人民の団体活動への弾圧
噴出する警察犯罪を逆手にとり、5年間で1万数千人という警察官の増員が、警察法改悪(00年11月)によって行われ、拳銃発射規則の改定以降、職質での射殺事件が続出している。
他方、刑務所では、塀の中の密室殺人が行われ、その発覚を逆手にとった監獄法の改悪が狙われている。しかも、許しがたいことに微罪逮捕・長期拘置・高額保釈金などが常態化しているのだ。
こうした中で有事立法が制定され、日本国内の総臨戦態勢を敷こうとして、民衆の決起に対する予防反革命=戦時型弾圧を強化しているのだ。
この間の弾圧の特徴を見てみよう。
第一に、組織・団体活動の壊滅に焦点を絞ってきており、特に予防拘束的なことが著しい特徴である。ヒト・カネ・情報に焦点をあてている。
刑の加重とマネーロンダリング規制を課した組対法は、暴力団だけではなく経済事犯にまで拡大されており、労働組合に適用されるのは時間の問題となっている。団体規制法もすでに「観察処分」が更新され続けている。
第二は、捜査手法と有罪立証の訴訟手続きのエスカレーションだ。盗聴を合法化したのは決定的であり、盗聴記録が証拠能力を持ってくることである。
昨年盗聴法(組対法)が2度適用されたことが3月の国会報告で出された。警察による盗聴社会が早晩やってくることは間違いない。有罪立証の訴訟手続きでは、証人保護が覆面証人という形で法廷に登場している。団体規制法では、破防法の「弁明手続き」を省き、逆に対象団体に無害性を自ら立証する責任を負わせるという本末転倒を行っている。
第三は、こうした中で、警察権力の肥大化・ハイテク化、行政警察化が進行していることである。
Nシステムの配置(全国700台以上)、監視カメラの導入―警察とのリンク、盗聴の合法化はそれに拍車をかけている。団体規制法で警察が手に入れた「立ち入り調査権」は、司法警察(事件があって警察が動く)から行政警察(事件の前に警察が動く)への転換をはらんでおり、97年の「生活安全課」の新設とあいまって戦前の特高警察に実質的にもっていこうとしている。「FBI型警察を」(警察庁長官)とも公言しているのだ。
第四には、自衛隊の治安出動が警察と一体となって前面化していることだ。00年12月に「自衛隊の治安維持に関する協定」が警察との間で結ばれ、今度の有事立法では、民主党の主張を取り入れて全面化した。反政府デモやテロ・ゲリラにまで自衛隊は有事出動してくるのだ。
治安弾圧に怒りの反撃を
有事立法と共謀罪の新設は、このような治安の動きを一挙に加速させるものとなる。共謀罪の導入、司法取引・刑事免責、おとり捜査・覆面捜査・電子的監視の導入、マネーロンダリング規制の弁護士のゲートキーパー義務を規定している国際的組織犯罪条約は、まさに米帝ブッシュの戦争政策と表裏一体となった激動期型の治安政策のエスカレーションであり、共謀罪の新設がその超反動的突破口になることは間違いない。
しかも、占領下のイラクに自衛隊を送る「イラク新法」政府案が準備され、さらには「反テロ法」(仮称)を制定しようと狙っている。「テロ」を名目に組織の構成員らの入国禁止や国外退去処分などを求める内容という。明らかに朝鮮総連を想定した排外主義的治安立法だ。9・11以降に急きょアメリカで作られた「愛国者法」(パトリオット法)にならった法律の制定を狙っているのだ。
有事体制の柱である治安強化を、全党・全人民の力ではね返し、有事体制=戦争への道を阻止しよう。共謀罪成立を阻止しよう。
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週刊『前進』(2105号5面2)
ワールドアクション 台風をものともせず 廃案へ!渋谷デモ
5月31日夕、東京・渋谷で「STOP WAR! WORLD ACTION」実行委員会が呼びかけた有事法制反対のアピールとピースウオークが行われた。参院での有事3法案の強行をなんとしても阻もうと、台風4号をものともせず300人が集まって渋谷をデモした。
参加者は「有事法は戦争法」「北朝鮮への戦争とめよう」「民族差別許さない」とのかけ声でゆっくりと歩き、街全体が有事法制絶対廃案の熱気に包まれた。デモ参加の呼びかけにこたえ、渋谷駅前の広場から数十人が合流するなど途中参加者が目立った。
集会に先立ち、宮下公園でスタッフが自分たちで作った有事法案批判のパンフを使って青空(雨天!)学習会を行った。まず初めに、「北朝鮮に侵略戦争を行うこと、日本が参戦すること、民族差別をすること」に反対であり、「私たちが絶対に譲れない点」だとはっきりさせた。そして、武力攻撃事態法案について「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」は日本が先制攻撃するための拡張された概念であること、首相が戦争を決定し、戦争遂行を独裁的に指揮して、労働者を強制動員する北朝鮮侵略戦争法案であることを明らかにした。また「北朝鮮脅威」なるデマを粉砕し、日帝のアジア侵略のひどい実態を暴露した。最後に、「有事法と戦争を止めるのは私たちの力だ」と訴えた。
司会の女子学生が「5月23日の日米首脳会談で、戦争の第一段階である北朝鮮への経済制裁が話し合われた。北朝鮮侵略戦争が本格的に開始されようとしていることに対決しよう」と訴えて集会が始まった。
スタッフの女子学生は、「有事法制は国民を守るものではありません。去年有事法を知り、自分も何かしなくては、と活動を始めました。この1週間で私たちの命運が決まります」とアピールした。
百万人署名運動事務局が国会闘争を報告し、毎日国会に通って有事法廃案を訴えている女性が「みんな国会前に集まろう」と元気に呼びかけた。
主催者の女子学生は「絶対廃案にするんだと、台風が来ても今日ここに集まった力が戦争を止める。イラク戦争の現実は何か。帝国主義が植民地的権益や資源を奪い合う侵略戦争そのものだ。日本は朝鮮・中国−アジアの権益・勢力圏獲得を狙って北朝鮮侵略戦争に参戦しようとしている。5、6日の採決阻止へ国会前に駆けつけよう。陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかける6・10には10万人結集で日本の民衆の意思を示そう。北朝鮮侵略戦争阻止に向けて、日本の私たちが世界の人びとを動かそう」と力強く提起した。
青年アジア研究会が「在日朝鮮人が強制退去を恐れず、有事法反対で立ち上がっている。連帯し有事法阻止を」と訴えた。
女性労働者のカンパアピールの後、雨上がりの街中へデモが出発した。
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週刊『前進』(2105号5面3)
住民の会 “杉並区は対策行え” 介護保険の実態訴え追及
介護と福祉を要求する杉並住民の会は5月27日、杉並区役所で区への要請行動を行った。区側は高齢者福祉部長を始め5人の担当者が出席した。住民の会は、具体的な現実を突きつけて、お金のない高齢者から介護を奪う介護保険のあり方を厳しく追及した。
交渉は新城節子区議の司会で進められた。最初に住民の会の高田普次夫副代表があいさつをして区に要請書を手渡した。会員が5点の要請事項を記した要請書を読み上げた。要請事項は、@低所得者の保険料の減額・免除、A保険料未払いによる罰則適用をしないこと、B介護報酬見直しによる不利益への対策、C利用料の減額・免除、D限度額を超える高額自己負担への対策、である。
区側の回答は、「法令に則ってやります」と、保険料減免も利用料減免も、さらに限度額を超える利用料の問題もなんの対策も考えていないというものだ。
区の回答に会員から怒りが噴出した。「月3万円の老齢福祉年金受給者は1500円の保険料で収入の5%だ。年収1千万円の人は4500円の保険料で、収入の0・5%だ。これで平等と言えるのか」「他の19区では減額・免除をやっているのになぜ杉並区はやらないのか」
都政を革新する会の北島邦彦事務局長が「なぜ杉並区はそれぞれの人の実情を見た施策がとれないのか」と追及し、結柴誠一区議がきちんと実態調査を行うように要求した。参加した住民は、「実態調査をしないのは区が自殺を奨励しているのと同じだ。区は何かやるべきだ」と弾劾した。
介護報酬見直しによる不利益について、手押し車を押しながらバスを乗り継いで病院に通っている85歳の女性が、現実に通院介助を利用したくても利用できない現実を訴えた。彼女は、週3回の通院でボランティア団体の低額の移送サービスと2時間のヘルパーを利用しようとしても月に2万7780円もかかるので利用できないのだ。
別の会員は「私の近所にもお金がかかるからということで介護保険を利用できないで、近所の人たちで面倒をみている人がいる。孤独死した人もいる」と現実を突きつけた。
限度額を超える利用料の問題については、4月の介護報酬見直しで自己負担額が24万6122円から28万2785円に3万6663円の値上がりになった女性の問題について、「介護保険は人間を人間として見ない制度ではないか」という介護している娘さんの言葉を紹介しながら、区の対応を求めた。
区は、「冷たい言い方で申し訳ないが」と言いつつ、何の対策もとらないということを繰り返した。
長谷川英憲さんは、「杉並区は低所得者に対する対策は徹底してとろうとしない。保険料を払えない人、利用料を払えない人についても何の対策もとらない。山田区長の方針かもしれないが、これは50万区民の行政を預かる立場ではない。杉並区政はものすごくゆがんでいる」と弾劾した。
こうした中で区は、「介護保険制度の中だけでは何もできないので、カバーできないものは一般福祉施策で対処する」と約束した。
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週刊『前進』(2105号5面4)
福岡 女たちのデモ “有事法反対”
女たちのデモ実行委員会は6月1日、福岡で有事立法反対のデモを約80人で行った。(写真)
台風一過の快晴。デモ日和。警固公園はきょうも若者や家族連れでにぎわう。会場のど真ん中には、ショッキングピンクの「有事立法に反対です!女たちのデモ」と書かれた横断幕。
5日、6日にも参議院採決と情勢は緊迫している。女性たちは「自分の子ども、夫、孫を戦争に取られない」という思いをこめて発言。戦争体験者はその体験を語り、「二度とくりかえしてはならない」と訴えた。若者は「戦争は絶対反対!」と叫ぶ。有事立法粉砕実行委員会の梶村晃さん、反戦共同行動・福岡の石崎昭哲さん、教育労働者も決起を呼びかけた。
ラップ調のデモコール、いよいよ女たちのデモ出発だ。日曜日の福岡の中心街、注目を集め元気にやりぬいた。
再び、警固公園に到着。国会に駆けつけ、参議院採決を許さない決意を固めあい、福岡でも採決時、そして8日再び会うことを確認しあった。
実行委員会では、激論もあった。「アメリカのイラク戦争には必死に反対できるのに、自分の国が、という時にどうしてデモに出ないの?」「イラク戦争が終わっていないというのは、占領しているだけでなく、そこから世界戦争が始まり、日本が有事立法という形で戦争しようとしていることだ」
女たちのデモは、戦争反対の気持ちを行動にあらわしてきた。これからもデモを続けていこう。
(投稿/沢野佳代)
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週刊『前進』(2105号5面5)
〈資料〉韓国からの有事3法弾劾声明
日本軍国主義復活糾弾−日本は米国の対アジア侵略戦争参戦に向けた有事法制定を直ちに撤回せよ!
5月15日、韓国の民主労総、全農、全貧連など18団体が参加する「民族和解自主統一協議会」は以下の声明を発表した。(編集局)
5月15日、日本衆議院で「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」のいわゆる有事法3法案が通過した。
「武力攻撃事態法案」は日本が外国から武力攻撃を受けたり、受けるものと予想されたり、受ける恐れがあるという事態を想定し、それに対する対処措置として「自衛隊の武力行使」、「自衛隊と米軍に対する物品と施設、役務の提供」などを挙げており、地方自治体または指定民間企業を戦争体制に強制的に動員することができると認めている。「自衛隊法改正案」は、自衛隊が私有地の強制収用および家屋撤去などを行うことができるとしている。「安全保障会議設置法改正案」は、安全保障会議に助言する「事態対処専門委員会」を新設する内容を盛り込んでいる。
まずわれわれは、日本が東北アジア諸国と民衆の平和の願いに背を向け、米国の無謀な対北敵対政策によってつくりだされている韓半島(朝鮮半島)周辺の先鋭な情勢に乗じて有事関連3法衆院通過を電撃的に強行したことに対し激しい怒りを表明する。
われわれは「専守防衛」「集団的自衛権行使の禁止」「戦力不保持」を規定した日本平和憲法に正面から違反する有事関連3法の不法性を厳重に糾弾し、その即時撤回を日本に強く要求する。
日本国民に戦争に対する協力義務を強制すること、また、地方自治体や政府の指定する民間企業や機関が米軍の軍事作戦に対して兵站(へいたん)支援を行うことは、「戦争放棄」と「集団的自衛権禁止」を規定した平和憲法に明白に違反するものである。
さらに「武力攻撃事態法案」は、その発動要件として「武力攻撃事態あるいは予測される事態」というように非常にあいまいに規定することで恣意(しい)的な武力行使または先制武力行使の可能性を開いた。そればかりか、日本の領域だけでなく、周辺事態法、テロ対策特別措置法に依拠して、海外で輸送や補給などの米軍支援業務を行う自衛隊の艦船などに対する攻撃の際にも「武力攻撃事態法案」を適用することにより、海外で自衛隊が武力を行使する道を開いている。
このように、平和憲法を踏みにじり、その攻撃的性格をはっきりと示している有事3法は撤回されなければならない。
特に有事3法の制定は、99年の周辺事態法と01年のテロ対策特別措置法とともに、米国の対アジア侵略戦争への日本の実質的な参戦を保障しているという点で、われわれはその深刻性を指摘せざるをえない。
安保体制の広域化と極東有事の際の協力体制整備を中心内容とする96年の米日安保同盟の再定義、97年の米日防衛協力指針(ガイドライン)の改定、日本周辺有事の際の米軍の軍事作戦に対する日本の後方支援を規定した99年の周辺事態法制定、自衛隊の海外派兵を合法化した01年のテロ対策特別措置法制定などは、日本周辺または海外での米軍の軍事作戦を軍需支援するための法である。だが今回の有事3法は、日本国内の人的・物的動員体制を規定する一方、自衛隊を直接戦闘に参加させる道を開いている。これにより米国は、日本自衛隊の強い軍事力はもちろん、日本の巨大な人的、物的資源の国家的動員態勢によって支援を受けることになったことで、アジア地域で軍事的覇権主義を一層強く追求できることとなった。日本も、国内外的に米国の対アジア戦争に参戦することのできる体制を備えるようになることで、その軍国主義復活策動が今やこれまでとはまったく異なる、非常に危険な段階に入りつつある。
米日軍事同盟の好戦性と覇権性に翼を与える格好の有事3法の制定こそ、ほかならぬ韓半島を1次的に狙っているという点で、われわれはこれをけっして座視することはできない。
韓半島に先鋭な緊張と一触即発の戦争危機を招きつつある米国の無謀な対北先制攻撃策動を許すことができないわれわれは、米国の軍事的冒険主義をあおり、そこに積極的に加担する有事3法の制定を、わが民族と東北アジア民衆に対する正面からの挑戦行為とみなし、その即時撤回を日本に要求する。
最後にわれわれは、韓半島と東北アジアで軍備競争と戦争危機を必然的に招き、日本の平和と安保さえも破壊することが明らかな有事3法の制定を撤回し、アジア民衆を敵に回す軍事大国化を直ちに中止するよう、日本にあらためて要請する。
2003年5月15日
民族和解自主統一協議会
※前号5面記事で「全国民衆連帯は……怒りの声明」とあるのは、「民族和解自主統一協議会」の間違いでした。訂正します。
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週刊『前進』(2105号6面1)
解同全国連寝屋川弾圧
4人の即時釈放かちとれ デッチあげ起訴絶対許すな
警察と資本が結託した弾圧
賃金支払い要求に「恐喝罪」をデッチあげて部落解放同盟全国連合会寝屋川支部の4人を不当逮捕した寝屋川弾圧(前号既報)の勾留理由開示公判が5月29日開かれた。
法廷内外がヤジと怒号で埋め尽くされ、逮捕された島田青年部長のお母さんや弁護士に対する退廷命令を粉砕し、逮捕者の感動的な意見陳述などが、検察・裁判官を圧倒して闘いぬかれた。だが、6月2日、大阪地裁は勾留取り消し請求を却下して、さらに10日間勾留を延長した。検察はどんな卑劣な手段を使ってもあくまで起訴しようとたくらんでいる。この10日間が勝負だ。なんとしてもデッチあげ起訴を粉砕して、早期奪還をかちとろう。
寝屋川弾圧を粉砕するために確認すべき第一は、島田君に対する解雇は労働基準法第19条違反であり、その違法な解雇を前提とした一切の「合意事項」は無効であり、したがって「解雇予告手当の喝取」なる「恐喝罪」はそもそも成立しないということである。
労働基準法第19条は、労働者が業務上負傷し、療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならないと定めている。A社はこのことを知りながら島田君に「第三者の証言がなければ労災認定できない」などとウソをつき、労災を認めず、違法に解雇を通告した。今回のデッチあげ弾圧の出発点はここにある。
島田君らは労基署に相談し、その見解をもってこの会社のウソと違法性を追及し、労災を認めさせた。労働者の生存権を守るまったく正当な行為である。会社は労基法違反の事実が明るみに出ると罰則が適用されると判断して、自ら労災申請し、労基署もそれを認定した。すでに労災保険も給付されている。したがって、会社の解雇の通告自身が違法であるが、遅くとも労災を認めた時点で直ちに解雇を撤回し、雇用契約を継続することを島田君に告知する義務がある。ところがA社は卑劣にもこの告知を行わず、解雇予告手当を支払うことで、島田君の解雇をあくまで押し通したのである。二重三重の違法行為をA社は繰り返しているのだ。
ところが警察はこの事実を一切抹殺し、資本の違法解雇を容認しながら、島田君らを「恐喝罪」でデッチあげようとしているのだ。しかし、違法な解雇を前提とした解雇予告手当に関する合意はそれ自体が無効であり、また解雇を撤回しておれば「解雇予告手当」など問題にもならなかったのであり、いずれにせよ「恐喝罪」の前提となる事実そのものが成り立たないことは明白なのである。
このように労働者を人とも思わぬ資本の横暴に対して、労働者がささやかな権利を主張することが警察によって違法とされ、恐喝罪とされるというのであれば、資本による横暴は野放しにされ、労働者は暗黒の無権利状態を強制されるに等しい。こんな暴挙を絶対に許してはならない。
今回のデッチあげ弾圧が示したことは、警察権力は資本家どもの階級的利益を守ることにはどこまでも忠実であり、資本の違法性すら公然と擁護するということであり、他方で労働者階級の本当にささやかな権利の要求には国家の暴力装置として襲いかかり、無実の人間を「ブタ箱」にぶちこんでものも言えなくしてしまうという極めて単純な階級社会の真実である。警察権力のこの階級的正体を徹底的に暴露しなくてはならない。
第二に確認すべきことは、警察権力が「全国連支部長の名刺を渡した」とか「解雇が部落差別にもとづくものではないのか」と部落差別糾弾の意志を表明したことを「脅迫行為」だとしていることを絶対に許すな、ということである。
「全国連罪」の新設狙う暴挙
つまり警察権力は全国連であることを告げたことをもって人を「畏怖させた」「脅迫した」と見なしているのである。これはまさに「全国連罪」とも言うべきものである。警察権力は事実確認会や糾弾会の開催のために関係者と会って全国連と名乗ったり、名刺を差し出すこと自体を脅迫行為として弾圧の対象にしようとしている。これが常態化すれば全国連の3大闘争の取り組み自体が成り立たなくなる。全国連として糾弾闘争を組織しようにも、要求闘争を組織して行政権力と闘おうにも、資本との交渉を行おうにも、ことごとく弾圧の対象とされてしまうのである。だから、寝屋川弾圧は寝屋川支部に対してのみかけられたものではなく、全国連の3大闘争のすべて、全国連の5万人建設の闘いそのものを犯罪とする弾圧なのである。
全国連支部長の名刺を相手に差し出すことが即脅迫や恐喝罪というのであれば、人権もなにもあったものではない。究極の階級闘争撲滅法であり、戦前の暗黒時代の再来である。また「解雇は部落差別にもとづくものではないか」と正当な追及を行ったことが即、脅迫であるというのでは部落差別事件への糾弾は絶対に成り立たない。
つまり、今回の弾圧は、部落解放闘争の存立の根本である差別糾弾闘争を警察権力の弾圧によって暴力的にうち砕いてしまおうというものにほかならず、全国連がこれ以上活動を広げ、勢力を拡大することをなんとしても阻止するために仕組まれたものにほかならない。4人をデッチあげ逮捕した大阪府警公安3課の刑事は、取り調べの中でいみじくも「この問題で絶対に全国連をつぶしてやるからな」と怒鳴りちらしている。ここに今回の弾圧の真の狙いがあるのだ。
絶対にこのような「全国連罪の新設」を許してはならない。全国連、そして闘う労働者人民の総力をあげてこの弾圧を粉砕し、勝利しよう。
獄中の4人の仲間を守れ!
日帝権力は国労5・27臨大弾圧によって、戦闘的労働運動全体を撲滅する攻撃に踏み切ったが、今回の弾圧はこうした日帝の弾圧が、労働運動から部落解放闘争へ、さらには学生運動、住民運動などあらゆる運動に対して向けられ始めたことを示している。人民にとって当然の、ささやかな権利の行使を、あたかも大刑事事件であるかのように大騒ぎして弾圧を加える、しかも組織壊滅型の大弾圧を加えるというのが今日の日帝のやり方である。
今こそ、人民は日帝権力による暗黒のデッチあげ弾圧攻撃のあらしに対して、人民の戦列を整え、強固な団結を打ち固め大弾圧を粉砕しなければならない。
公安刑事は滝口支部長に対して『ハゲ、アホ、ブタ、カメ、オットセイ』などという差別暴言を浴びせている。絶対に許せない! 支部長はこれに対して「私は人間です! こんな警察の部落差別は絶対に許しません。私も一生懸命がんばって、絶対に勝とうと思います。徹底的に闘います」と戦闘宣言を発している。この滝口支部長を先頭とした獄中の4人と固く団結して、起訴攻撃を粉砕して、早期奪還をかちとろう! 圧倒的な保釈要求署名を地域、労組でとりくもう!
(激励先\〒572-0804 寝屋川市国守町1187-1 部落解放同盟全国連合会寝屋川支部)
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週刊『前進』(2105号6面2)
保安処分新法の成立阻止へ
6月3日、保安処分新法=心神喪失等医療観察法案が参議院法務委員会で審議打ち切りの動議による自公保3党の賛成多数で強行採決され、6日参議院本会議で採択された。徹底的に弾劾する。参院法務委の傍聴者の手記を紹介します。(編集局)
6月3日午後2時30分、参院法務委員会で質疑が終わるや、一人の与党議員が挙手をした。だまし討ち採択の動議だ。前日の理事懇で3日の採択はないと言ってわれわれをだましたのだ。間髪を入れず傍聴席から一斉に弾劾の怒声が飛ぶ。「保安処分反対! 採択するな!」。怒りの声に対して衛視が3人の仲間を傍聴席から連れ出し拘束した。それでも声はやまず、怒声の中、与党議員の挙手による強行採決が行われたのだ。怒声は途切れることなく続いた。「おれたちの運命を数の暴力で決められてたまるか。収容され、抹殺されるのはおれたちだ。おれたちの運命はおれたち自身で決める」。それが傍聴者の気持ちだった。
修正案では、収容の要件を「事件と同様の行為を行うことなく社会に復帰できるまで」と定義されている。ところが「社会復帰」という概念規定自体がわれわれのものと彼らのものとでは180度逆なのだ。彼らの言う「社会復帰」とは、「病気を完全に治し、社会にとって無害になれば出してやる」というものなのだ。「病者」が「病者」であるがままに社会で暮らすというわれわれの考え方とはまったく逆なのだ。5万人以上の「病者」が20年以上精神病院に収容されているが、坂口厚労相は「病気が治っていなければ収容して当然」と居直った。また、坂口は「同様の行為を行うおそれ」という規定は「症状が再発するおそれ」だと言った。「症状が完全になくなるまで20年、30年、一生でも収容し続ける」というのが彼らの言う「社会復帰」論なのだ。
また森山法相は、「再犯予測が外れることはある」と平然と言ってのけた。まったく「再犯の恐れ」などない「病者」が収容されることは当然にもありうると言ったのだ。刑事裁判で無実の人間が刑務所に収監されることが当然にもありうると法相が言うだろうか。「病者」には一切の人権はないということを宣言したのに等しいのだ。
政府がモデルとし、研修者を派遣しているイギリスでは、まだ何の事件も犯していない「病者」を保安処分施設に収容するという法案が出ている。修正案提案者の自民党・塩崎は、5年後の法見直しで、措置入院者を保安施設に収容すると言っている。またいわゆる「処遇困難者」を保安施設に収容するということも言われている。イギリスの状況までほんの目の前にきているのだ。
ところが野党とりわけ民主党は、アリバイ的な反対に終始し、審議の促進者となりはてた。政府の「社会復帰」概念を粉砕する機会はいくらでもあったのにしなかった。180度転倒した概念を政府と共有しているからだ。塩崎が「民主党の医療に重点を置いた案を取り入れた」と言ったのにもまったく反論し得ないというていたらくだった。「社会的入院の解消」論なる美名の下での政府の精神医療費削減計画のしり馬に乗っかるのがせいぜいだったのだ。
国会前での採択弾劾集会では、怒りの声が次々に上がった。「賛成した議員に責任をとらせる」「議会は死んでいる」「保安処分体制を絶対に粉砕する」「保安施設建設を全国で阻止する」と。完黙で奪還された仲間は、「徹底的に闘い抜いた」と勝利感にあふれる報告を行った。さらに確信を持って闘いぬこう。
(関西 G・T)
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週刊『前進』(2105号6面3)
東北大学寮闘争 支援者(全金本山Aさん)を逮捕 「傷害事件」デッチあげ
東北大学有朋寮からの不当弾圧粉砕への緊急アピールを紹介します。(編集局、一部省略)
宮城県警は無実のAさんをただちに釈放せよ
みなさん! 今大変な弾圧が起きています。東北大学と宮城県警が結託し、まったくありもしない「傷害事件」をねつ造して、6月2日、Aさんを逮捕しました。Aさんは今なお不当にも警察に勾留されています。
Aさんは無実であり、警察が逮捕容疑とした「傷害事件」は、事実無根のデッチあげ事件です。
去る3月28日、50人近くに上る東北大学の教職員が、東北大学の学生寮である有朋寮に、「現況確認」と称し寮生が居住している寮を封鎖しようと押し掛けてきました。当日、私たちは、大学当局の横暴を許さないために、市民の方々に監視活動をお願いしました。弁護士の方や多くの市民が駆けつけてくれました。Aさんもその一人です。ほかにマスコミも多数現場に来ていました。
大学側の教職員は手に手にビデオやカメラを持ち、道を隔てて私服の警察官が監視までしていました。
その中でも、今回「被害届」を出した農学部・西森教授の動きは異様でした。私たちが「まずは話し合いを」と求めている真っ最中も、お構いなく写真を撮りまくり、さらに今回逮捕された支援者Aさんに、しつこくつきまとっていました。
そして急に、何と西森教授は自分からしりもちをついて、騒ぎ出したのです。それだけではありません。それを合図にするように、教職員が一斉に「写真を撮れ!」「被害届だ!」と叫び回ったのです。このように、はじめから大学が警察と結託して、事件をねつ造し警察を介入させることを狙ったのが、今回の事件の真相なのです。
そして実際、西森教授が東北大学としての決定のもとに「被害届」を提出し、6月2日、宮城県警が逮捕したのです。しかも西森教授は「事件」直後に、学長特別補佐という役職に「出世」しました。出世を目当てに「転び屋」をかってでた西森教授と、論功行賞でデッチあげまでやらせる東北大学当局。なんという腐りきった構図でしょうか。
今回の逮捕は、警察による権力の乱用であり、Aさんに対する許すことのできない人権侵害です。
本来、一方的に被害届が出されたのですから、まずは本人から事情を聞くなりすることがあって当然です。しかし、突然警察官が自宅に大人数でやってきて家宅捜索を行い、そのまま逮捕していったのです。
それだけではありません。警察は、仙台南署管轄の「事件」であるにもかかわらず、Aさんを仙台から遠く離れた石巻署で勾留しています。弁護活動すら妨害する、権力による人権侵害です。
大学と警察が結託し、ありもしない「事件」をねつ造して、市民を逮捕・勾留するなどということが果たしてあっていいのでしょうか。私たちは本当にはらわたが煮えくりかえる思いでいっぱいです。
国会では有事立法の成立が狙われ、戦争に向けた動きが強まっています。「愛国心」と排外主義があおられています。そして世界では侵略戦争が実際に始まっています。
この中で労働運動や学生運動、市民運動に警察をどんどん介入させ、弾圧が強められています。大学がそこまでやるのか、と思われる方もいるかもしれません。しかしついにそうした時代に入っているのです。新たな戦前の到来です。
しかし、そんなことは絶対に許せません! 今目の前で起こっているこの弾圧に抗議の声を上げてください。Aさんをみんなの力で取り戻しましょう!
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週刊『前進』(2105号6面4)
前進社捜索弾劾する 「免状不実」で不当な逮捕
6月3日午前8時すぎ、警視庁は、W同志の2年以上も前の免許証の更新に対して「免状不実記載」なる容疑をデッチあげ、W同志の不当逮捕と前進社への暴力的捜索を強行した。また容疑と何の関係もない検証も行った。
警視庁の公安刑事は、捜索令状の押収物の対象にもなっていない『前進』や反戦ビラを押収しようとするなど、めちゃくちゃなことを行ってきた。立会人の激しい抗議により反戦ビラの押収は阻止したが、『前進』最新号と新年号および『コミューン』6月号を暴力的に押収した。まさに戦時下の言論弾圧と呼ぶべき行為である。
われわれは、警視庁による違法・不当な強制捜索と検証および『前進』などの押収を徹底的に弾劾する。
今回の不当捜索の狙いは第一に、有事3法案の参議院での採決強行・成立に向けた闘争破壊である。第二に、盧武鉉(ノムヒョン)韓国大統領の来日にともなう首都厳戒態勢の発動である。第三に、杉並を始めとする統一地方選挙での勝利に対する反動攻撃である。
警視庁の弾圧を粉砕し、日米帝の北朝鮮侵略戦争阻止に総決起しよう。
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週刊『前進』(2105号6面5)
読者からの手紙 人は真実を知れば決起する 栃木 K生
この3〜4月、私もイラク反戦闘争を懸命に闘いました。一人でも多くの人に、この戦争の本質を知ってもらおうと思い『前進』や『コミューン』を知人に紹介してきました。
そうしたら、ある日、友人から「送っていただいた雑誌(『コミューン5月号』、QアンドA・イラク侵略戦争)の記事は本当に勉強になりました。戦争のあまりのひどさ、進み方の早さに、気力を失いかけていましたが、これからだということがよくわかりました……」という手紙が届きました。「人は、真実を知れば必ず立ち上がる」と信じてきましたが、私自身もこの言葉に大変勇気づけられました。
先日、北朝鮮侵略戦争のための有事立法が衆議院で可決されましたが、この有事立法の本質をまだまだ多くの人びとは知らされていないと思います。「北朝鮮脅威論」を粉砕し、戦争の原因は日米帝国主義の側にあること、そして南北朝鮮人民との連帯を訴えるならば、労働者・民衆は必ず立ち上がると確信しています。
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週刊『前進』(2105号6面6)
5・15沖縄闘争に参加して “命どぅ宝”の言葉に感動
私は、沖縄に来る前に、ほとんど何も勉強してこなくて、軽い気持ち(ゴメンナサイ)で来ました。けれど、米軍基地の現状を目の当たりにして、日米が侵略戦争の道に進もうとしていることに対して危機感を持たずにはいられなかったし、また、今までどれだけ自分がそういった問題に無関心だったかを痛感しました。
また、沖縄では、反戦活動をしているさまざまな方々にお会いし、お話を聞く機会がありました。本当にたくさんの方々がいたので、全員の名前を挙げるのは難しいですが、私にとって、特にひめゆり部隊の生存者である“おばあ”たちの声を聞くことができたのは貴重なことでした。沖縄戦を身をもって体験した話を聞いて、もう同じような思いを誰にもしてほしくない! と強く思いました。
最後に、私が沖縄で学んだ、大きな言葉です。“命どぅ宝”(ヌチドゥタカラ! 命が一番大切だという意味)――みなさんは「そんなの当然じゃん」って思うかも知れませんが、今、国会とかで有事立法を成立させようとしている人たちには、今一度この言葉の意味を考えてもらいたいと思います。
(富山大1年 木村弘子)
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週刊『前進』(2105号6面7)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
6月10日(火)午後1時15分
7月1日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
6月11日(水)午後1時30分
7月8日(火)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
判決公判
7月24日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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