ZENSHIN 2003/04/07(No2096
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週刊『前進』(2096号1面1)
小泉・石原と対決する議員団の誕生かちとれ 4月選挙必勝へ全力決起を
米英帝の虐殺戦争を許すな 有事法4月衆院通過阻止へ
動労千葉が72時間ストに突入
3月27日、動労千葉が「ベアゼロ回答打破―大幅賃上げ獲得、運転保安確立、検修・構内業務の全面外注化阻止」などの要求を掲げ、72時間ストライキに突入した。このストは同時に、イラク侵略戦争阻止、小泉内閣打倒、国鉄闘争勝利をともに闘うことへの熱烈な呼びかけだ。動労千葉の労働者の国際連帯を込めた渾身(こんしん)の決起に続こう! 米英帝のバグダッド侵攻・イラク人民大虐殺を許すな。日帝の参戦をうち破れ。イラク反戦・有事立法闘争のさらなる爆発を。4月統一地方選に絶対勝利しよう。
第1章 侵略と虐殺を全面的に支持する日帝小泉
米英軍による空爆が連日強行されている。巡航ミサイルの使用量は91年湾岸戦争時を超えた。住宅や市場などへもミサイルが撃ち込まれ、イラク人民に多数の死者が出ている。イラク南部の病院は負傷者で埋まった。劣化ウラン弾や、アフガニスタン侵略戦争でも使われた、残虐なバンカーバスター爆弾なども投下された。米英帝国主義による無差別人民虐殺を絶対に許してはならない。
米英帝は、首都バグダッドの軍事占領、フセイン政権の転覆、帝国主義軍隊の長期駐留、カイライ政権のデッチあげでイラクと中東の石油権益を独占支配しようとしている。
しかし米英侵略軍はイラク軍民の激しい反撃に遭い、戦局は彼らが思い描いたようには進んでいない。米英帝は泥沼にのめり込みつつある。こうした中でブッシュ政権は3月26日、米本土から3万の兵力をイラクに増派することを明らかにした。帝国主義の本性をむき出しにした、凶暴な侵略戦争、虐殺戦争が眼前で展開されている。反戦闘争をさらに拡大・爆発させ、イラク侵略戦争を世界の労働者人民の手で阻止せよ。
だが、日帝・小泉は20日、「米国の武力行使開始を理解し、支持する」「今回の米国などの行動を支持することは国益にかなう」と公言した。その理由として、@フセイン政権が保有する大量破壊兵器は日本にとっても危険だ、A米国は日本へのいかなる攻撃も米国への攻撃だと言っている唯一の国で、北朝鮮問題でも日米同盟を有効に機能させたい、ということを強調している。これはイラク人民虐殺支持発言であり、朝鮮侵略戦争推進宣言である。日本の労働者人民には、この小泉を引きずり倒す責任がある。
ブッシュやブレアは、この侵略戦争を「フセイン政権が所有する大量破壊兵器を除去する戦争」「イラク人民を自由にし解放するための戦争」と強弁している。だが、米軍の最新大量破壊兵器を使ったこの戦争は、イラク人民の命を奪い、家族や友人を奪い、自由を奪い、未来を奪う侵略戦争以外の何のものでもない。
北朝鮮問題でも日米同盟を有効に機能させたい、北朝鮮からミサイルが日本に飛んでくるかもしれない、だから米国支持というのは、米日帝こそが北朝鮮を攻撃しようとしているのだということを棚に上げた大ペテンである。イラク侵略戦争と同様に、金正日体制に経済制裁と戦争重圧を加え、戦争を仕掛けるのは米日帝の側なのだ。
防衛庁は26日、難民支援と称してテントを輸送する政府専用機2機のヨルダン派遣を決め、航空自衛隊員60人を同乗させることを明らかにした。すでに小泉政権は「イラク復興支援法」の検討を開始しているが、それを待たずにイラク本土への自衛隊派遣を開始しようとしているのだ。イラク国土を破壊し人民を殺りくするのを支援して何が「復興支援」か! 日帝の狙いは米軍と一緒にバグダッドを占領し、石油権益の一部を得ることにある。今こそ、日帝の参戦阻止、小泉政権打倒へ攻め上れ。
第2章 100万朝鮮人民を大虐殺するための有事法
日帝・小泉政権は、イラク侵略戦争の真っただ中で有事法制関連3法案の国会成立を狙っている。攻撃開始前日の3月19日、与党3党は「有事3法案の4月上旬審議入り、4月中の衆院通過をめざす」方針を確認した。続いて政府・与党は26日、イラク復興支援新法の提出を延期し、有事法案を最優先して処理する構えであることを明らかにした。有事法案を早ければ4月中旬にも採決に持ち込む方針なのだ。超重大情勢である。イラク反戦闘争を発展させることと結合して、有事立法阻止へ総決起することを強く訴えたい。
米帝のイラク攻撃をとおして、有事法制の意味があらためて明確になった。すなわち、朝鮮人民百万人を虐殺し、金正日政権を転覆するための戦争体制を確保するのが有事法制である。
首都バグダッドの占領をめざす米英侵略軍にとって、燃料・弾薬・物資の補給がいかに重要であるか、その補給ラインの防衛がいかに重要であるか、連日のテレビ報道が赤裸々に映し出している。600`メートルもの延びきった補給ラインをイラク軍や人民のゲリラ戦から防衛しきらなければ、この侵略戦争は成り立たないのだ。
米日帝による朝鮮侵略戦争の場合、ピョンヤンを占領するための空爆と地上戦はイラク攻撃以上の激しいものになる。この場合、主力の軍隊は米韓連合軍と自衛隊である。補給ラインは朝鮮半島全体に張り巡らされ、補給基地は韓国内の主要な港や在韓米軍基地にとどまらず、日本列島全体がそれになる。在日米軍基地だけでなく、日本の空港や港などが朝鮮に侵攻する米軍の中継・補給・出撃基地に、そして自衛隊の出撃基地になるのだ。つまり有事法制は、この戦争体制を日米の軍隊に保障し、日本の労働者人民に戦争協力を強制するものである。
日米安保体制と新ガイドライン・周辺事態法に加えて有事3法が成立した時にこそ、この侵略戦争体制は完成する。逆に言えば、有事法制がなければ朝鮮侵略戦争の補給ラインを維持することが厳しくなり、ピョンヤン占領・金正日体制転覆の軍事作戦の発動は困難なのだ。
韓国軍700人のイラク派兵を阻止するために連日決起している南朝鮮・韓国の学生は、「アメリカ(のイラク攻撃)を止めなければ、(アメリカによる)北朝鮮への攻撃を止められない。イラク戦争の問題は、私たちの(命の)問題なんです」と訴えている(テレビインタビュー)。この叫びと決起にこたえ、有事立法を絶対に阻止する闘いを爆発させよう。
米帝は今、イラク攻撃と同時に朝鮮半島周辺で戦争挑発を進め、日帝は有事法制を一気に推し進めようとしている。韓国の労働者学生人民は、朝鮮侵略戦争の接近という情勢に対して最も鋭く反応して対峙している。南朝鮮人民との連帯の闘いが情勢を左右するという認識を持ち、北朝鮮への排外主義を粉砕し、沖縄を始めとした米軍基地撤去の闘いを切り開き、在日朝鮮人民との連帯を強力につくりだして闘おう。
また、有事立法阻止の一環として、個人情報保護法案・住基ネット粉砕の闘い、国際的組織犯罪条約批准と共謀罪新設阻止の闘いを爆発させよう。
第3章 若者の壮大な反戦決起と労働者の団結
どうしたらイラク侵略戦争を阻止できるか。どのように闘えば、三度の世界戦争に突き進もうとする時代を覆すことができるか。
@攻撃開始後もさらに全世界で反戦デモが連日激しく闘われている。アメリカではサンフランシスコで2千人以上の逮捕者を出す実力闘争が展開されている。22日にはニューヨークで25万人がデモに立ち、75人が不当逮捕された。米軍の前線部隊でも反乱が起き、第101空挺師団でアサン・アクバル軍曹が3つの米軍テントに手投げ弾を投げた。22日のロンドンでは100万人が、スペインではバルセロナ75万人、マドリード225万人、ドイツは全国で10万人、フランスでは高校生などが授業をボイコットして9万人のデモを起こした。韓国軍派兵決議を阻止した韓国を始め、アジア各地でも激しい抗議デモが闘われている。
A中東アラブ諸国人民、ムスリム人民の怒りの決起が爆発している。エジプトのカイロで2221日に5万人のデモが闘われた。21日にはイエメンのサヌアで3万人が、さらにはパキスタン、シリアのダマスカス、ヨルダンのアンマン、レバノンのベイルート、パレスチナ自治区などで命がけの闘いが続いている。米英帝の侵略戦争開始は、中東全体の階級的激震を引き起こしている。
また、イラク現地での決死の反戦デモがイラク人民との連帯、国際的連帯のうねりを強めている。
B日本における反戦運動・階級闘争も急激な発展をみせている。20日以降も米大使館前、米総領事館前、国会前、沖縄や横須賀など米軍基地前などで連日連夜の抗議闘争が闘われ、21、22日には労働者、学生、高校生、市民の大きなデモが各地で展開された。米大使館前では阻止線を張る機動隊に対して、涙を流しながら激突する中学生や女性の姿も見られた。
ここで注目すべきは、若者と女性が反戦闘争に大規模に動き出していることである。なぜ若者と女性の決起が目立つのか。初めてデモに参加したある高校生は「(イラク戦争のことも、自分の将来のことも)どうしたらいいかわからない。だからここに来たんです」と答えている。
統計上、15歳〜24歳の10%が失業者で、全体の3割以上が非正規雇用労働者だ。高校生や大学生も、そして大半の女性も、そういう自分の未来と直面している。それに対してイラクの人びと、子どもたちの命を守ることと、自分の命・未来・生き方を見つけ出そうという人間的欲求、闘いへの欲求が、同時に巻き起こっているのだ。
そうであるがゆえに、たとえ市民運動的水路からの決起であっても、それは必ず階級的怒りとなって巨大な規模で発展する。いやむしろ、ここで目覚めた学生や青年が、闘う労働運動と接することが決定的なのだ。イラク反戦闘争に立ち上がっていく青年層を大胆に、柔軟に組織するのは労働運動の義務である。
Cその中心に動労千葉がいて、全国金属機械港合同や全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部などの戦闘的闘いがあり、陸海空港湾労組20団体の存在があるのだ。この存在と闘いをそうした青年層や女性層にできるだけ知らせ、労働者のストライキという手段があることを、労働組合という団結形態が実はいかに力があるものかを伝えるのだ。
自国の帝国主義が首相の独裁的権限を発動して侵略戦争に突っ込もうとしていることに対し、その国の社会的生産を担っている労働者がストライキで決起し、自国の権力者に打撃を加えないで、どうして戦争が止められるか。階級的労働運動と戦闘的学生運動が生き生きと発展・結合してこそ、勝利の展望が大きく切り開かれるだろう。
闘いはすでにそうした情勢に突入している。動労千葉の72時間ストを先頭に、労働者の闘いは激動的に始まっている。青年学生・女性の闘いはかつてなく全国的に発展している。3・29闘争の歴史的爆発を突破口に、4月の闘いの歴史的発展を切り開こう。
第4章 統一地方選の本番。必勝へ総決起しよう
この激動情勢の真っただ中で、統一地方選決戦の本番にいよいよ突入した。われわれは、東京都杉並区でけしば誠一氏、新城せつこ氏、北島邦彦氏の3人全員の当選を何がなんでもかちとることを宣言する。そして杉並を先頭にして、全国で闘う候補の勝利を必ずかちとる。すべての同志、読者の皆さんに渾身の総決起を呼びかけたい。
杉並の3候補を始め全国の闘う議員が訴え、自ら先頭に立って闘う時代が訪れた。°戦争は命をかけても阻む゛゛介護保険反対。介護と福祉をとり戻せ″°労働者の命と生活を守りぬく″――この実践が、本当に 問われる時がやってきた。闘う全候補はこの課題を必ずとことんまで実践する人たちである。共産党や社民党、生活者ネットなどの候補ではそれができない。
今回の選挙戦は、文字どおり戦時下の選挙戦だ。また、杉並では3人の当選を実現するという点でも都議選並み、あるいは国政選挙に近いエネルギーを必要とする。すでに国家権力・警視庁による違法で不当な弾圧・不当逮捕が始まっている。反戦議員を当選させないことが権力者の至上命題なら、それを真っ向からうち破って、党と住民の力で全員当選をもぎりとろうではないか。
再選をめざす都知事ファシスト石原はイラク攻撃積極推進を唱え、北朝鮮への戦争を声高にあおり、有事法制の急先鋒(きゅうせんぽう)となっている。杉並・山田区長はこの石原と結託し、侵略戦争賛美の「つくる会」教科書の導入役になろうとしている。今回の決戦は、こうした全反動と正面から激突する選挙戦だ。
金がなければ受けられない介護保険制度は、高齢者とその家族に死ねという小泉の政策だ。他方でイラク攻撃に巨額の金を出し、イラク人民虐殺に加担する小泉政権。このやり方に激しい怒りが渦巻いている。この怒りと要求を、闘う議員の当選で実現しよう。
あらためてすべての同志の皆さん、読者の皆さん、そして区民、市民の皆さんに、選挙戦への決起と協力を呼びかける。必要なあらゆる選挙活動に手を貸していただきたい。ともに闘い、必ず勝利しよう。
最後に、戦時下の機関紙活動への総決起を訴える。
反戦闘争の次なる大規模な発展は、党勢の拡大によってこそ保障される。青年学生層に、新たに決起した労働者に、次々と『前進』を提起しよう。アメリカでもイギリスでも、戦闘的左翼党派の機関紙活動がねばり強く、そして大胆に日々行われている。その積み上げがあのようなデモを実現しているのだ。
帝国主義戦争を内乱に転化しうる党の建設を今こそ推し進めよう。
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週刊『前進』(2096号1面2)
“イラク戦争すぐやめろ” 渋谷に3千人 反戦の波、街を埋める
3月22日夕、15日に引き続いて学生を中心に東京・渋谷で「STOP WAR WORLD ACTION」が行われた。集会に2500人、ピースウオークに3000人が集まり、「直ちに戦争を止めよう」の声を一つにした。
司会の女子学生が、「米英軍は湾岸戦争の3倍の空爆を行っています。多くのイラクの人びとが虐殺されています。世界の人びととともに戦争をただちにやめさせましょう」と呼びかけた。
14歳の少女が戦争反対の思いを歌にして、イラク戦争反対を訴えた。イラクを取材したジャーナリストからは、「劣化ウラン弾や核兵器を使うと公言していることを絶対に許してはなりません」との発言。
この集会に向けて、ロンドン大学戦争阻止連合からメッセージが寄せられ、会場で紹介された。「あなた方の前回のデモをイギリスのメディアで知りました。私たちにとって世界中の反戦運動は勇気づけられます」と、メッセージの内容が読み上げられると、会場から大きな拍手と歓声があがった。
働く仲間を代表して看護士の女性からアピールを受けた。「医療現場のスタッフは有事には従軍を命じられます。ナースコールがとれないほど医療現場は忙しいのに、戦争に行っている暇がどこにあるのでしょうか」ときっぱりと戦争動員を拒否すると、「そうだ」「戦争反対」の大きな声がわき起こった。
主催者を代表して松尾純一さんが、「戦争に動員されるのは働く人びとです。働く仲間が戦争動員を拒否すれば戦争はできません。29日は、戦争反対のストライキを行う電車の運転士さんたちと合流しましょう」と呼びかけた。
発言の度に「戦争反対」「NO WAR」の声があがり、開始されたイラク侵略戦争と、いち早く支持声明を出した小泉政権に対する怒りが噴出した。
午後6時すぎ、ピースウオークに出発。参加者は思い思いのメッセージボードを手にしてイラク戦争反対を訴えた。
参加者は、太鼓などの打楽器のリズムに合わせて「今すぐ戦争を止めよう」「一緒にデモに入りましょう」とテンポよく沿道の人びとに呼びかける。呼びかけにこたえボードを受け取り、ピースウオークに絶え間なく沿道から加わってくる。
渋谷駅前は、ピースウオークが近づくにつれ「戦争反対」の解放区となっていった。信号が青になるやいなや、この交差点だけでも100人もの人びとが新たに加わった。
今回の行動は、外国人の姿も目立ち、国際連帯を貫く行動となった。イラン人の男性は「親類がイラク軍に殺されたが、悪いのはアメリカだ。イラン人の7割が同じ意見だ。イラク攻撃などもってのほかだ」とアメリカの戦争を弾劾した。欧米からの参加も目立った。彼らの出身国では数十万の反戦デモが連日闘われている。自分も日本で何かできないかと多くの外国人が立ち上がっているのだ。
今回の集会は、誰もが持っている戦争への怒りを表現できる場として行われたからこそ、「なんとしても戦争を止めたい」「自分でも何かできないか」と、多くの人がボランティアを買って出た。
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週刊『前進』(2096号1面3)
反戦共同がHP開設
反戦共同行動委員会がホームページを立ち上げた。アドレスは次の通り。
http://www.anti-war.jp/
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週刊『前進』(2096号1面4)
STOP WAR! WORLD ACTION4・12
4月12日(土)
午後5時半 リレーアピール開始 渋谷・宮下公園
午後6時半 渋谷一周ピースウオーク出発
主催 集会実行委員会(連絡先・法政大学経営学部学生自治会)
イラク戦争NO! 4・7ヒロシマ WORLD 1ACTION
4月7日(月)
午後5時 原爆ドーム前でライブパフォーマンス
午後6時 リレーアピール開始
午後7時 ピースウオーク出発
主催 4・7ヒロシマWORLD ACTION実行委員会
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週刊『前進』(2096号2面1)
賃金体系改悪と大合理化・安全破壊に突き進むJR
JR総連を解体に追い込め
定昇解体へと踏み込む攻撃
イラク開戦情勢のただ中で、国鉄決戦はきわめて重大な攻防に突入した。
JR資本は、第2の国鉄分割・民営化と言うべき資本攻勢を激化させている。3月13日、JR西日本とJR東海がベアゼロを回答したのに続き、25日にはJR貨物、27日にはJR東日本がベアゼロ回答を強行した。また、春闘過程でJR貨物は定昇廃止・圧縮を公然と交渉の議題に乗せてきた。これらは、賃金体系の抜本的改悪に向けたJR資本の決定的な踏み込みだ。
JR東日本は、ニューフロンティア21で1万人の人員削減を叫びながら、賃金についても「成果主義の徹底」を唱えている。JR貨物は、5000人体制をめざすとしたニューチャレンジ21のもとで、「賃金制度の白紙的見直し」を掲げ、すでに昨年12月には乗務員手当の削減を強行した。1カ月で約1万5千円にも及ぶ賃下げだ。JR総連・日貨労は、これを率先して受け入れた。
JRにおいても、日本経団連の経労委報告路線は全面的に貫徹されようとしている。国鉄分割・民営化以降、「第二基本給」制度による退職金の大幅圧縮や、国労・動労千葉組合員に対する露骨な賃金差別はあったものの、JRの賃金体系は国鉄時代のものを骨格において受け継いできた。だが、今やJRは、毎年4号俸はアップするという定昇制度そのものを、解体の対象に据えている。定昇解体とは、勤続年数がどんなに増えても、十数万円そこそこの初任給とたいして違わない賃金しか受け取れないということだ。こんなことを許したら、とりわけ青年労働者は人生設計も立てられなくなる。その先にあるのは、日本経団連が言う「途上国並み」の賃金水準への大幅賃下げだ。
終身雇用制解体の攻撃も激しく進んでいる。01年秋、JR東日本はメンテナンス合理化を強行し、設備部門の主要業務を関連会社に移管した。そこで働く労働者には、帰るあてのない出向が強いられた。出向先での劣悪な労働条件に苦しむ労働者に、次に襲いかかろうとしているのがJRからの首切り−転籍強要だ。さらにJRは、駅などの業務のアウトソーシングと、派遣社員の大量導入に突き進んでいる。
中高年労働者を排除する本格的な攻撃も始まった。JR東日本は50歳以上、JR貨物は55歳以上を対象に退職金を加算することで、年輩の労働者に早期退職を激しく迫っている。
鉄道労働者にとって、大合理化は安全の解体に直結する問題だ。JRは、鉄道事業の常識ではこれまで考えられなかったような安全無視の施策に踏み切っている。指令の指示があれば信号を無視して電車を進行させてもいいという「進行の指示運転」は、その最たるものだ。コスト削減と利潤獲得を一切に優先させ、そのためには電車を止めてはならないとして、労働者の命をどこまでも軽んじているのである。
動労千葉は、こうした攻撃と全面的に対決し、大幅賃上げ、反合理化・運転保安確立などを掲げて総力のストライキに突入した。それは、労働者の切実きわまる要求に基づく渾身(こんしん)の決起である。
回答丸のみしベアゼロ妥結
JR資本の攻撃は、JR総連カクマルをそのファシスト的先兵とすることで成り立ってきた。今春闘においても、JR総連傘下の東労組や日貨労はベアゼロ回答を即座に受け入れ、資本の手先としての姿をあらわにした。
日貨労カクマルに至っては、基地統廃合と長時間運転の強要など、労働条件の劣悪化を伴う極限的合理化を自ら提案し、「一切の妨害を排除して断行せよ」と叫んでいるありさまだ。「国労対策の目玉」と称して強行されたメンテナンス外注化に示されるように、国労・動労千葉解体のためなら、こうした攻撃をなりふり構わず推進してきた者こそ、JR総連カクマルなのだ。
だが、資本の攻撃は今やJR総連の組合員にも容赦なく襲いかかっている。カクマル分子の特権を維持するために、労働者の権利を資本に際限なく売り渡す彼らに対して、JR労働者の怒りは極限にまで高まっている。
こうした中で、JR総連は松崎派と嶋田派に分裂し、醜悪な内部抗争を続けている。松崎一派は、自己への忠誠を東労組組合員に強制しようと躍起になっているが、それは東労組組合員のカクマルからの離反をさらに促進するものでしかない。
JR総連打倒の決定的なチャンスが到来しているのだ。動労千葉のストライキは、その情勢を力強くたぐり寄せている。
闘争団除名の査問を許すな
この時、国労本部は春闘を放棄し、国労を分裂と崩壊に追いやることに熱中している。彼らは、4月1日九州、4月2、3日北海道で、査問委員会による闘争団員への事情聴取を強行する方針だ。団結を固めて資本攻勢と対決すべき春闘期に、被解雇者の切り捨てにのめり込む組合幹部とはなんなのか! これほど恥知らずな裏切りはない。
何よりも、4党合意以来の国労本部の裏切りこそ、JR資本のかさにかかった攻撃を引き出している元凶なのだ。とりわけ、国労5・27臨大闘争弾圧に加担し、組合員を権力に売り渡した彼らの行為は、JR資本の一大攻勢の引き金を引いた。断じて許せないことである。
ベアゼロ・賃下げにストを構えることもしない現状など、もう耐え忍ぶことはできない。こんな屈辱を組合員に強いているのは、チャレンジと反動革同の国労本部だ。闘争団を切り捨て、JR本体の組合員をも資本に差し出す裏切り者どもを打ち倒そう。
それは、イラク開戦に対して根底的な決起を開始した全世界の労働者階級の闘いと結びついて発展する。
日帝・小泉は米英のイラク侵略戦争にいち早く賛成し、「イラクの次は北朝鮮」として有事立法強行に全力を挙げている。有事立法は、労働者を北朝鮮侵略戦争に力ずくで動員するための法律だ。鉄道労働者は、軍事輸送のかなめの位置を担わされるのだ。
それが目の前に突きつけられている時に、国労本部は一切の闘いを投げ捨て、権力と資本にすがりついて延命しようとしているのだ。戦争情勢のただ中で春闘を闘わないことは、労働者の戦争動員をも容認することを意味している。本来ならば、闘う労働運動の結集軸をなしてきた国鉄闘争のすべてをかけて、国労は反戦闘争の先頭に立つべき位置にある。だが、国労本部は、陸・海・空・港湾労組20団体の一翼に加わりながら、20団体の呼びかけた3・21集会への組合員の動員を拒み、反戦闘争からもあからさまに逃亡した。
こうした裏切りが、どれほどの惨禍と苦難を労働者にもたらすのか。その犯罪性は計り知れない。国労本部は、侵略戦争のただ中に全労働者を裸で差し出そうとしているのだ。
この腐りきった国労本部を絶対に打倒しなければならない。8月国労定期大会までの数カ月は、国労の階級的再生と日本労働運動の存亡をかけた決戦だ。
動労千葉ストは、労働者階級の反撃の決定的な突破口を切り開いた。これに続き、1047名闘争をさらに発展させよう。5・27臨大闘争弾圧への反撃を国労内に強固に組織し、本部打倒へ闘おう。
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週刊『前進』(2096号2面2)
ベアゼロ回答に即座の反撃 動労千葉がストに突入
動労千葉は3月27日、ストライキに突入した。これは03春闘における最大規模のストであり、日本労働運動の最先端の闘いである。
この日、JR東日本は昨年に続くベアゼロ回答を強行した。動労千葉は断じて受け入れられないとして再回答を要求。予定どおり、おおむね正午から、泊まり勤務の乗務員を先頭にストに突入した。28、29日は全面ストで、30日の明け勤務が終了するまでの4日間にわたる72時間ストとなる。スト参加者は540人で、JR千葉支社は591本が運休すると発表した。
JR東日本の回答には、昨年のように「期末手当に反映」などの文言もない。史上最大の経常利益を上げているにもかかわらず、ベアゼロなのだ。25日に出されたJR貨物の回答では55歳以上は基本給を千円上げるが、東日本は55歳以上は定昇もない。JR東労組は即座に裏切り妥結した。
27日午後2時から動労千葉千葉運転区支部は、DC会館でスト突入集会を開催した。その前に「ベアゼロ」の一報が入り、組合員は怒りも新たにスト貫徹の意志を固めた。
田中康宏委員長が「ベアゼロの次には定昇解体が狙われる。若い労働者は一生賃金が上がらなくなる。JR総連のように組合が会社の手先になるとこうなる。徹底弾劾し、全労働者の利益を代表して立ち上がろう」と奮起を訴えた。また、アメリカの労働者から連帯のメッセージが届いたことを明らかにし、このストがイラク反戦の闘いであり、全世界の労働者と連帯する闘いだと強調した。
動労千葉はストに先立って24日夕方、千葉駅前に150人の組合員と支援を集めて宣伝行動を行い、千葉支社への抗議行動を行った。例年を上回る支持と共感が寄せられている。
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週刊『前進』(2096号2面3)
教基法改悪を許すな 中教審が答申 「愛国心」強制と教育の国家統制
イラク反戦を闘い法改悪阻止へ
米英帝国主義がイラク侵略戦争に突入し、小泉政権が支持を表明した3月20日、中央教育審議会は、文部科学相に「たくましい日本人の育成を目指す観点から、教育基本法を改正することが必要」とする答申を提出した。今通常国会に教基法改正案(新・教育基本法案)が提出されようとしている。
これは、偶然の符合ではない。イラク侵略戦争と連動した朝鮮情勢の緊迫化の中で、有事立法と一体で、「もうひとつの有事立法」「心の戦争動員」である教育基本法改悪が一気に加速してきているのである。
憲法と一体の前文を否定
答申は、「具体的な改正の方向」を中間報告以上に明確に打ち出した。
中間報告では先送りされていた前文の取り扱いについては、「引き続き前文を置く」「制定の目的、教育の基調など現行法の前文に定める基本的考え方については、引き続き規定する」という。だが、答申の論理に従えば「制定の目的」は「21世紀を切り開くたくましい日本人の育成のため」となり、「教育の基調」は「愛国心」「伝統・文化の尊重」を「国家の個性」として強調するものとなろう。
憲法の理想を教育の力で実現するとうたう前文の核心は骨抜きにされ、戦前教育への反省のニュアンスは跡形もなく一掃される。
「引き続き前文を置く」のは、「教基法の教育法体系における位置づけを今後とも維持していく必要」があるからだという。下位法令の改悪を重ねて教基法を形骸化してきた文科省は、今度は改悪教基法を掲げて愛国心教育と国家統制に乗り出すというのである。
「公共心」唱え戦争教育復活
教育の基本理念について、答申は、「個人の自己実現と個性・能力、創造性の涵養(かんよう)」「『公共』の精神、道徳心」「日本の伝統・文化の尊重、国を愛する心」などを挙げた。教基法の理念は根本的に変質する。
答申は、「教育は人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成を期して行われるものであるという現行法の基本理念を引き続き規定する」としているが、これは第1条の「教育の目的」を「人格の完成」と「国民の育成」の二本建てに歪曲し、さらに「人格の完成」を「個人の自己実現」と「創造性の涵養」に置き換えるものだ。つまり、《自己責任で能力伸長に励む労働者》と《創造的エリート》という、ともに争闘戦に勝ちぬくための人材養成を「教育の目的」とする。そして「国民の育成」の方は、現行の「平和的国家・社会の形成者」に代えて、「国を愛し、伝統・文化を尊重し、国家・社会のために進んで行動する公共心を持った国民(日本人)の育成」といった規定となるであろう。「『公共』の精神の涵養」とは、《国家存亡の危機に際して進んで戦う》青少年づくりである。
これに関連して、政治教育の改悪も重大だ。現行の教基法第8条第1項のいう「良識ある公民に相応(ふさわ)しい政治的教養」とは、「現実の政治に対する公正な批判力」(法案作成者による制定当時の解説書『教育基本法の解説』、以下『解説』)を核心としている。ところが答申は、「政治的教養」を「法や社会の規範の意義や役割の知識」に切り縮め、「国家・社会の諸問題の解決に主体的にかかわっていく意識や態度を涵養する……旨を規定する」としているのだ。
学校も家庭も社会も統制
学校教育については、学校を「知・徳・体の調和のとれた教育を行う」場と規定している。現在でも学習指導要領で道徳教育が実施されているが、教基法にこうした規定が置かれれば、子どもの心を支配する教育は一段と強まろう。教員については「研究と修養に励み、資質向上を図ることの必要性について規定する」としている。教育と研修の自主性を否定し、官制研修の強制で教員の思想統制を図る狙いである。
家庭教育については、新たに条文を起こし、「家庭教育の役割」と「国や地方公共団体による支援」を規定するという。近代社会で私事とされている家庭教育にまで国家が踏み込み、介入する。中教審では「学校を通じて家庭を操作するのも方法のひとつ」「親の信念を家庭科を通じて調べさせる」という議論が公然となされている。
社会教育について「国や地方公共団体による社会教育の振興について規定する」としたことは、看過できない。現行法は、戦前の教化総動員運動への反省から、社会教育を国民の自主的な学習文化活動とし、国や自治体が自ら行う事業は施設設置に限定している。「国による振興」規定は、国民精神総動員運動に道を開く。
答申は、機会均等原則、奨学の規定、義務教育年限、授業料無償を「引き続き規定する」とした。だが、国家有為の人材育成への教育目的の転換のもとで、能力主義的選別、複線型教育制度は一層推進されるだろう。中間報告が「障害の種類や程度に応じた教育が行われるべき」として「障害児」の分離教育を主張していることは断じて許されない。
男女共学については、「男女共同参画社会への寄与」を教育の基本理念に盛り込み、男女共学の規定は削除するとしている。それは、「家庭の役割」の強調とともに、男女平等教育を後退させるものとなろう。
宗教教育について。現行規定の「寛容の態度」とは、「無宗教、反宗教に対しても寛容の態度をとること」(『解説』)であり、宗教的情操教育を認めていない。ここに「宗教の持つ意義の尊重」を盛り込むことで、道徳などで宗教的情操教育を強めようとしているのである。
教育内容を国家が全面支配
第10条の改悪は、教育理念の改悪と並ぶ焦点だ。
答申は第10条第1項について「教育は不当な支配に服してはならないとする規定は引き続き規定する」というが、「国民全体に対し直接責任を負って」については語らない。教育と教育行政を峻別した第10条の趣旨を解体し、第1項の主語を国家へと転換し、教育行政を通じた政権政党や財界による「不当な支配」を正当化しようとしている。
次に、答申は「教育における国と地方公共団体の責務について規定する」として、教育行政の任務を「教育条件の整備」に限定した第10条第2項を解体しようとしている。答申は、条件整備には「教育内容も含まれる」とするが、教育内容の決定も国・自治体の任務とすることは許されない。
さらに、「教育振興基本計画の策定の根拠を規定する」としている。答申によれば、教育振興基本計画とは「教育の目標と、その目標を達成するための教育改革の基本的方向」、それを踏まえた「具体的な政策目標、施策目標」を盛り込んだものという。例示されているのは、「たくましい日本人育成」のための教育目標であり、全国的学力テスト、習熟度別指導、中高一貫校設置、道徳教育の充実、教育評価システムの導入などの政策目標である。
文科省は、これまでも「全国均一の教育水準の維持」を口実にして、学習指導要領や教科書検定などによる教育内容統制を正当化してきた。だが、教育振興計画は、教育目標から教育内容・方法にいたるまで政府が決定し、閣議決定しただけでそれを教育現場に法的拘束力をもって貫徹していく強力な国家統制システムとなる。政策評価に応じた資金配分などによって、それはさらに強化される。56年地方教育行政法制定以来の教育行政制度の大改編が、戦時体制に対応して行われようとしているのだ。
学習指導要領の改悪に直結
答申は、「教基法改正の趣旨が教育制度全般に生かされるよう、学校教育法、社会教育法……学習指導要領などの教育全般にわたって見直しを行うことが必要」と、教基法改悪を教育法令の大規模な改悪に連動させることを打ち出した。「特に、学校教育法については、教育基本法改正に合わせて、各学校種ごとの目的、目標について見直す」としたことは重大である。それはさらに、学習指導要領と教科書検定基準の改定をもたらす。「新しい歴史教科書をつくる会」は「教基法に国を愛する心を盛り込めば、教科書をすべてつくる会のような内容にできる」と豪語してきたが、それが現実のものとなりかねない。文科省作成の「心のノート」が現場に押しつけられているが、現状では法的根拠のないこうした国定道徳教科書の使用強制も、第10条が改悪されれば合法となる。そして、教員評価制度と自己申告制が、改悪教育基本法の教育目標に教員の忠誠を誓わせる最大のテコとなる。
事態は切迫している。イラク戦争即時中止の国際反戦闘争、有事立法粉砕・朝鮮侵略戦争阻止闘争と結合して、教基法改悪阻止の声と闘いを巻き起こそう。
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週刊『前進』(2096号2面4)
第6回 柏木碧さん 宮城(小学校)
「指導力不足」研修 戦争へ動員の統制を強化
組合の団結が教育の自由守る
孤立と分断はね返し現場に復帰
いわゆる「指導力不足等」教員に対する強制研修をめぐる裁判で、仙台地裁は2月17日、全国で初めての判決を下し、原告の請求を棄却した。教員の「使命感」「適格性」などを県教委が恣意(しい)的に判断したことを°裁量権の範囲内″とした判決は、戦時下の教員統制の強まりを示す、教員版「解雇ルール」の先取りである。
そもそも宮城の「長期特別研修」制度は、2002年4月に始まった。その第一号として、県行政や教育行政への住民訴訟や情報公開請求を起こしてきた教員が、同年4月に教壇から外され、「長期特別研修」に送られた。当事者は、最初の2年間は公園整備事業などの嫌がらせに耐えたが、昨年4月、「研修命令」が延長されたことから、行政命令の取り消しと損害賠償を求める二つの裁判に訴えた。
支援運動も9月からスタートした。当事者が所属する教組が支援しないという困難な状況の中で、「学校現場に戻せ」と求める全国署名は7000筆を超え、大きな力になった。
署名の力がマスコミも動かし、裁判を知った地元の保護者から「校長先生の言っていることは事実と違う」という証言が寄せられた。研修中の授業評価についても、同僚の教員が「ブランクを感じさせないものだった」と法廷で証言し、教委のもくろみは崩れた。
こうした原告側証人や証拠をまったく認めなかった判決に対し、「手続きを『当否はともかく違法とまではいえない』式の言動をとっては教育は成立しません。……命令という暴力から生まれてくるのは教育の貧困であり……教師の教育意欲をくじいたことで……この判決は無知で低級なものである」(信濃毎日新聞 2・28付 野田正彰さん)など、批判が高まった。教育現場にも怒りが広がり、原告は28日、控訴を発表した。
こうした怒りの声と闘いの高まりの中、原告の教育労働者は4月からの学校現場への復帰をかちとった。
教育実践への介入は許されない
裁判の中で、新潟大学教授の成島隆さんは「日常的な教育実践は『不当な支配』を受けることなく、自主的かつ自律的に行われなくてはならない。行政が教員の教育実践に権力的に介入し干渉することは禁じられている」という意見書を提出し、宮城県長期特別研修制度とその運用が教育基本法6条、10条に違反していると批判した。
教基法6条2項は「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって……教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」と規定している。これは10条1項の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」という規定と一体である。また教特法でも、研修は義務・強制ではなく「教員の権利」と規定している。
新たな抵抗・団結生み出して闘う
この4月から全国的に始まる「指導力不足教員」の排除・免職制度は、教基法改悪の先取りである。
宮城の「新しい教員の人事管理の在り方に関する調査研究会議」最終報告では、チェックポイントの中に「垂範意識、危機管理意識、健康管理意識、常識的な服装、自己主張」なども含まれている。
命令研修による教員排除の制度は、どれほど°立派な″判定基準をつくって第三者機関で判定したとしても教育の条理にそむくものだ。「資質」や「適格性」の判断が校長や教委の裁量にゆだねられれば、教員統制の強力なテコとなる。
ましてや、政府が憲法を踏みにじってイージス艦を派兵し、有事法制定で「国益のための戦争は正しい」と法制化しようとしている時だ。この時に「戦争反対」を叫べず、教委の言いなりで「規範意識」を教えることこそ、教員失格だ。
しかし政府は、そういう「使命感」と「資質」をもった教員をつくり出そうとしているのだ。反戦派教育労働者を追放し、愛国教育を強制する「教員レッドパージ」にほかならない。
これとの闘いは、国労5・27臨大での正当な組合活動への刑事弾圧をはね返す闘いと一体だ。労働運動そのものの禁圧を狙う権力の弾圧・統制と、翼賛組合執行部による闘う労働者への処分・統制とは、深く結びついている。こうした分断と排除の攻撃をはね返して団結を強化してこそ未来を切り開くこともできる。
国家による教育支配からの自由を宣言した教育基本法の根幹は、教員の教育実践の自由である。教職員組合の抵抗と団結こそ、それを守りぬいてきた力だ。
戦争のための教員統制の強まりは、必ず教育労働者の新たな抵抗と団結を生み出し、教基法改悪を許さない力となることに、私たち宮城の教育労働者は確信を深めている。
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週刊『前進』(2096号2面5)
とめよう戦争への道! 百万人署名運動が 4・5に東京で集会
とめよう戦争への道!百万人署名運動が4月5日に東京・八丁堀の労働スクエア東京で(午後1時開場、1時半開会)、イラク戦争反対、有事法制反対の全国集会とデモを行う。集会にはアメリカの反戦団体ANSWERから2人の女性が参加する。「どうしたら戦争をとめられるか」をテーマにトークが行われる予定。主催者は多数の参加を呼びかけている。
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週刊『前進』(2096号3面1)
米英帝のイラク開戦に怒り沸騰 日比谷野音 20労組先頭に5千人 イラク反戦・有事法阻止へ
米英帝によるイラク開戦に対し、労働者人民は攻撃開始前の段階からアメリカ大使館・総領事館、米軍基地などに押しかけ、体を張ったハンガーストライキ、座り込みなど必死の闘いを展開した。さらに20日に攻撃が開始されると、全世界での闘いと呼応し、日本各地で怒りは沸騰した。イラク侵略戦争阻止、有事立法粉砕へさらに闘いぬこう。(1、4面に関連記事)
3月21日午後、陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけた「DON’T ATTACK IRAQ STOP! 有事法制 3・21集会」が、東京・日比谷野音で行われ、緊急の呼びかけに5000人を超える人びとが参加した。有事法制反対運動の中軸を担ってきた20団体が、イラク戦争反対の闘いの先頭に立ち、画期的な集会と銀座デモとなった。
開会あいさつに航空労組連絡会の内田妙子議長が立った。「イラク攻撃に強い憤りを感じるとともに、いち早くイラク攻撃支持を表明した小泉内閣に強く抗議します。昨日、航空安全推進連絡会議、日本乗員組合連絡会議、航空労組連絡会の航空3団体は『アメリカのイラク攻撃の即時中止と事態の平和解決を求める航空労働者の声明』を発表しました。政府は有事法制を4月中にも成立させようとしています。有事法制阻止へ、組織の枠や所属団体、地域、さまざまな枠を越えて行動しましょう」。
国会議員の発言に続き、航空労組連絡会の女性労働者がカンパを訴えた。日弁連有事法制問題対策本部の小山達也弁護士が、3月19日にアメリカのイラク攻撃に反対する日弁連会長声明を発表したと報告。全労連、高校生が発言した。
職場からの決意表明に全運輸労働組合の福田昭生委員長が立ち、「憲法を守る義務を持つわれわれ国公労働者は、断固としてイラク戦争に反対します。この戦争に協力するいかなる業務命令にも従わないことを宣言します」と訴えた。
次にシュプレヒコールに移り、「イラク攻撃反対! 有事法制反対!」と元気にこぶしを上げた。
閉会あいさつを全国港湾労働組合協議会の鈴木信平事務局長が行い、「イラク戦争をやめさせなければなりません。この戦争に手を貸す小泉内閣もやめさせなければなりません。きょうの集会は欧州労連の呼びかけにこたえた国際的な広範な労働者の連帯闘争です。大きな世論で地球上を包囲し、戦争勢力を封じ込めましょう」
ただちに銀座デモに打って出た。労組20団体の旗やのぼりが林立し、憲法と人権の日弁連をめざす会の弁護士たちが続いた。
直接戦争を担わされる立場に立つ労働者のデモに、沿道からの反響は大きく、飛び入り参加者も続出した。とめよう戦争への道!百万人署名運動のデモは、千人に膨れ上がった。
芝公園、宮下公園でも集会
同日午後、渋谷・宮下公園では全国から1200人の高校生が集まり、「ぼくらの手で戦争をとめよう」と集会を開いた。集会後、アメリカ大使館から日比谷公園までアピールウォークを行った。
芝公園ではワールド・ピース・ナウが呼びかけた集会が開かれ、5万人が集まった。銀座とアメリカ大使館の2コースに分かれて都内をデモ行進した。
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週刊『前進』(2096号3面2)
広島 ドーム前でハンスト 若者400人反戦誓う
3月23日、広島市中区のアリスガーデンでイラク侵略戦争反対の「ヒロシマSTREET ACTION」が行われた。この行動は、広島の大学生、高校生、若者が実行委員会をつくり、準備を進めてきたものだ。
午後1時、続々と10代20代の若者が集まってくる。持参のメッセージボードには「おもちゃの兵隊ではありません」「ノーモアヒロシマ」などなど。イラク攻撃への怒りと「何かしなければ」という思いがあふれている。アリスガーデンは400人の若者で埋めつくされた。
19日正午から23日正午まで広島大学と広島修道大学の学生2人がイラク攻撃反対の96時間ハンガーストライキを闘った。原爆ドーム前にテントを出し、座り込みをしながらの抗議だ。
ハンストはものすごい反響と感動を呼んだ。県内外の労働者市民が一緒に座り込んだり、深夜には仕事を終えた労働者が集まった。寄せ書きのメッセージは千人を超えた。「自分も地元でハンストをやります」というメールが届いた。
ハンストを貫徹した2人がアリスガーデンに到着すると大きな拍手が迎えた。2人は「体を張った行動がやりたかった。戦争をとめる大きな力がつくり出せたと思う」「ここまで来れたのは皆のおかげ。自分も勉強になった」とアピール。
リレーアピールでは韓国からの留学生やイラク市民調査団に参加した女性、アメリカ行動に参加した広島大学の学生などが熱い思いを語った。楽器の演奏や歌でのアピールもあり、高校生が『島歌』をアカペラで披露し、ネイティブアメリカンの男性は太鼓を演奏、自作のイラク攻撃反対の歌の演奏なども行われた。
紙芝居も上演され、この戦争が石油のための侵略戦争であり、ブッシュ政権の主張になんら正当性がないことが暴露された。
午後4時いよいよピースウォーク出発。太鼓を持ったリズム隊が先頭に立つ。「戦争反対 反対NO!」「WE LOVE PEACE PEACE YEAH」のコールに沿道やバスから手を振る人も。飛び入り参加者も含めて次々とマイクを握り、自分の思いを語る。「一緒に歩きましょう」「デモに入って下さい」。ものすごい解放感、迫力だ。デモは最高時250人に膨れ上がった。
デモは平和公園に到着。主催者が「戦争を本当にとめるスタートだ。もっともっと大きな行動を起こそう。次は4月7日、原爆ドーム前集会に集まろう」と呼びかけた。
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週刊『前進』(2096号3面3)
米軍岩国基地に連続抗議 中四国反戦共同
中四国反戦共同行動委員会、地元山口の部落解放同盟全国連合会、百万人署名運動は、21日正午、米軍岩国基地に「攻撃即時中止!」を申し入れた。
反戦共同が20日午前8時半に「イラク開戦阻止!」を申し入れた直後に、攻撃は開始された。絶対に許せない。
米軍基地はゲートを閉ざし、内側にはMPが並び、軍用犬も前面に出しての対応だ。米軍の代わりに出てきた海上自衛隊の当直司令に抗議をたたきつけた。
たった今も、石油の利権のためにイラクの人民が血を流している。岩国基地から出兵した米海兵隊が、まったく不正義の戦争を行っているのだ。自衛隊はイージス艦を出撃させ、この侵略戦争に深々と加担している。英文の申し入れ書も読み上げて手渡し、「攻撃を直ちに中止しろ!」と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。(写真)
その後、岩国駅前での街宣や、広島での連日のデモや座り込みなど中四国各地で闘いぬいている。
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週刊『前進』(2096号3面4)
仙台で400人が立つ 百万人署名運動 ハンストに共感の渦
3月23日、仙台で「とめよう戦争への道! 百万人署名運動宮城県連絡会」の呼びかけるイラク反戦集会が400人の参加で行われた。開戦に対する怒りが渦巻き、16日の300人集会を上回る大集会となった。若者、労働者、子ども連れの家族、戦争体験者などあらゆる世代が集い、戦争反対の思いをひとつにした。
百万人署名運動は、20日から23日の集会開始までハンガーストライキで抗議の声をたたきつけた。また、東北大の学生を先頭に、連日朝8時から夜8時まで街頭で訴え続け、4日間で2千筆近くの署名と8万円のカンパを集めた。
ハンストには続々と支援者があらわれた。開戦直後、女子学生が「許せない」とハンストに加わった。20代女性は「街に出れば何かやっているはずと思って来た」と手作りのメッセージボードを持ってきて、チラシまきを手伝った。祖父を太平洋戦争で亡くしたという20代男性が「みんな戦争に反対しよう。戦争を支持する小泉をやめさせよう」と必死に訴え、連日の街宣を担った。「戦争が始まったのに黙っていることはできない」とバイトを休んでかけつけた男性もいた。みんな戦争をとめたいという思いでハンストに集まり、集会に合流した。
23日、これまでで最大となったデモはアーケードいっぱいにふくれあがり、仙台の街は反戦の波で埋め尽くされた。外国人などが次々にデモに加わった。
仙台では毎週連続行動が予定されている。世界の労働者民衆と連帯して反戦行動を爆発させよう。
(投稿 学生N)
【宮城県連絡会ホームページ http://www5e.biglobe.ne.jp/~mihyaku/】
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週刊『前進』(2096号3面5)
市民が続々と合流 福岡 米領事館へ連日抗議
3月20日午後3時、福岡市・警固公園で「イラク開戦弾劾!緊急集会」が開催された。
主催者である有事立法粉砕実行委員会・福岡の郡島恒昭さんが「ブッシュのイラク開戦に怒り心頭です。ただちにアメリカ領事館へデモに立ち上がろう!」と呼びかけると、万雷の拍手がわき上がる。司会の労組交流センター青年部の労働者が次々と発言者にマイクを渡す。「ブッシュは今すぐ戦争をやめろ!」「イラクの子どもたちを殺すな」「劣化ウラン弾の数十倍も威力のある爆弾をバグダッドに撃ち込んでいる」
実行委の石崎昭哲さんが訴える。「イラクへの皆殺し戦争を黙って見過ごしたら人間でない。アメリカ領事館へ抗議の意志をたたきつけに、今すぐデモに出発しよう」
午後4時、100人が緊急デモに出た。天神交差点では次々と市民がデモに合流してくる。ラップのリズムに乗って、ひときわ高くシュプレヒコール。
午後5時半、アメリカ領事館前では市民がデモ隊を歓呼の声で迎えた。18日から48時間の座り込みをやっていた若者も合流し、警察権力の妨害を跳ね返して抗議団の申し入れ行動を貫徹した。この日夜遅くまで抗議の座り込みやキャンドルデモが繰り広げられた。
集会に先立ち、実行委は正午から天神岩田屋前で街頭宣伝行動に決起した。九州大学学生自治会の学生がマイクで訴え、その前に模造紙を広げて「ブッシュあてにメッセージを書こう!」と呼びかけた。わずか1時間足らずで8枚の模造紙にぎっしりと怒りの声が書き込まれた。
翌21日午後1時、「イラク攻撃を許さない実行委員会」の呼びかけで、再び警固公園に250人が集まった。実行委を代表して青柳行信さんがトップバッターで発言し、平和と命をみつめる会、有事立法粉砕実行委員会・福岡、女たちのデモ実行委員会、九大学生自治会が次々発言。
午後2時、デモに出発する。仲良し4人姉妹のラップ調のシュプレヒコールは、デモ隊の足どりを軽やかにさせる。午後3時半、アメリカ領事館前に到着。
そこはすでに多くの人たちで埋まっており、350人の大集会になる。アメリカ人が「アメリカは戦争する時に自由とか平和とか言うが、いつもウソ。あなたたちとともにプロテストします」と訴えた。抗議行動は午後5時半まで続いた。
(投稿 N・Y)
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週刊『前進』(2096号3面6)
3・20佐世保 攻撃開始に緊急抗議デモ
20日、基地の街佐世保でイラク侵略戦争反対の怒りが爆発した。「開戦日の18時、佐世保市浜田公園へ。米海軍基地へデモしよう!」の呼びかけに、百数十人が「イラクの子どもたちを殺すな」「戦争反対」などと書いたプラカードを掲げて結集した。
午後6時半、「19日佐世保市民の会」や反戦共同行動・長崎を先頭に佐世保地区労傘下の労働者市民はデモに出発した。米軍憲兵、長崎県警機動隊ら約40人が警備を固める米海軍佐世保基地メーンゲートに着くと「戦争反対」「イラク人民を殺すな」とシュプレヒコールを上げ、抗議した。
デモに先立ち、浜田公園で開いた抗議集会では「19日佐世保市民の会」のあいさつ、全港湾労組の決意表明を受け、「私たちはイラク攻撃開始に断固抗議する! 直ちに中止せよ!」との抗議文を採択した。
3月21、22日は佐世保市四ケ町アーケードでイラク戦争に抗議する座り込み、午後7時から平瀬町の米海軍佐世保基地正面ゲートでろうそくデモ。海自佐世保基地の補給艦「はまな」が4月上旬に出撃することが決まった。佐世保現地は連日連夜の闘いが続く。
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週刊『前進』(2096号3面7)
大阪、米領事館を包囲
大阪では、とめよう戦争への道!百万人署名運動が呼びかけた緊急デモが19〜22日と4日間連続で闘われた。アメリカ総領事館は弾劾の声に包囲された。
攻撃開始秒読み段階から領事館前には抗議の人びとが詰めかけた。小学生が「戦争を止めて下さい」と書いたブッシュあての手紙を読み上げ、若者がギターで自作の反戦歌を歌う。ハンストを続ける人びと、抗議の申し入れ書を読み上げる労働組合……。
毎日座り込みを続けた百万人署名運動の横断幕の前は、一緒に座り込む人が続出した。初めての人たちが隣同士になり、緊急デモを呼びかけるビラをまいて、声をひとつに「アメリカはイラク攻撃をやめろ」「石油のための戦争反対」とシュプレヒコール。百万人署名運動の座り込みはまるで戦争に反対する人の共同センターのようになった。
ある日のデモ前のリレートークで、デモは初めてという人が「戦争が開始されたのは悲しいニュースだが、みんなで戦争をやめさせるためには明るく元気なデモをしましょう」と訴えた。そんな思いが伝わるデモだ。ドラムがリズムを刻む。かけ声はラップ。デモ隊の乗りもよくて沿道から次々と合流してくる。
攻撃開始直後の20日、出発点の市役所前から領事館まで歩道でもプラカードを持った人がとぎれない。お互いに手を振ってエールを交わす。始まった時に700人位だったデモは、領事館前では1000人にもふくれあがった。
デモは領事館の周りを一周するコースだ。領事館は完全に包囲され、あふれる人びとの怒りに警備も手出しできない。さながら解放区のようになった。
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週刊『前進』(2096号3面8)
ワールドアクション3・22
22日はANSWERなどの呼びかけにこたえて全世界のイラク反戦闘争と連帯した行動が闘われた。
デモ前のリレートークでは、連日新しい人が積極的に発言している。ありとあらゆる人びとが立ち上がっていることを実感。若い男性が「戦争は恐ろしい。私は率先して戦争をやめさせるために取り組んでいく」。次に手を挙げた女性は「お金のない国には札束でほっぺたをたたき、産油国でお金のある国は爆撃する。アメリカ許せない」。
ひときわ大きな拍手の中、3人の小学生が「平和キッズを作りました」「イラク攻撃許せない」「小学生の私でもわかるのに、小泉やブッシュやブレアはなんで分からないのか。絶対反対です」と発言した。
さらに「職場でケガをしたが、デモでケガも吹き飛んだ」という人、動労西日本の労働者、南大阪で戦争とリストラに反対して闘う労働者が決意を語る。西宮市芦原の部落青年が続く。「人間の盾」としてイラクに出発した高薮さんを送り出した兵庫県からの参加者も多い。
百万人署名運動関西連絡会の呼びかけ人・梶原さんがお礼と今後の取り組みを訴えた。イギリス人、ニュージーランド人、小学校の教員や養護学校で働く人も発言。4日間連続して参加した医療労働者は「医療費値上げ、介護保険料は戦費だ」と怒り、金属労働者は大阪港の軍港化阻止を訴えた。
出発したデモの先頭には外国人と若者たちが立つ。700人が声を上げた。領事館を包囲した後、阪急東通り入り口までデモはふくらみながら進んだ。
最後に「戦争反対の輪を広げよう。仲間を増やしてもっと大きな行動を」と誓い合った。
(投稿H・Y)
【関西連絡会ホームページ http://www.geocities.jp/kansaihyakuman/】
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週刊『前進』(2096号3面9)
“今すぐ攻撃やめろ” 米軍横須賀基地にデモ
百万人署名運動・神奈川県連絡会は3月23日、前日に続いて横須賀中央駅前で街頭宣伝を行い、リレートークで戦争反対を呼びかけて米海軍横須賀基地正面ゲートへデモ行進。さらに午後4時、80人がヴェルニー公園に集まり、二度目のデモに出発した。基地前で座り込む市民団体とエールを交わし、英語で戦争反対を呼びかけた(写真)。
デモの先頭にはジャンベや太鼓、高校を卒業したばかりの男女5人が横断幕を持った。「ノーウォー! イラク攻撃いますぐやめろ!」。歩道から鈴なりの声援、怒りは基地の街に響き合った。
(本紙 室田順子)
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週刊『前進』(2096号3面10)
訂正
前号4面の投稿「3・15大阪/『百万署名』呼びかけデモ」の記事で「250人が集まった」とあるのは、「520人」の誤りでした。おわびし訂正します。
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週刊『前進』(2096号4面1)
空爆のイラクに入る 小野正春 現地レポート
路上に民間人3人の死体 警戒ブザーが鳴り砲撃音
米英軍による3・20対イラク開戦とほぼ同じ時刻に日本を出国した日本人のうち、小野正春同志を含む5人が22日早朝、ついにイラク入りを果たした。小野同志から現地の迫真のレポートが送られてきた。(編集局)
●3月21日(金) ダマスカスで出発準備
シリアの首都ダマスカスで準備を整え、22日午前1時スルタンホテルを出発、イラクの首都バグダッドに向かいます。
今日は金曜日ゆえ、イスラム地区は休日。アルメニア地区(キリスト教)まで足をのばし買い物。途中、モスク前で警官がデモ規制しているのを見ました。シリアでも礼拝終了後デモをやっているそうです。
ヨルダンからも米軍は侵攻を開始した模様ですが、ダマスカスとの合流点までは達していないので、明日の昼にはバグダッドに入れると思います。イラクの難民はヨルダンに向かっており、シリアとの国境では今はもめていません。
日本人3人、フランス人1人の4人組でタクシーをチャーターしました。
イラク脱出の運賃は高騰していますが、こっちは逆行ですので、それほどでもありません。では行ってきます。 (ダマスカス発)
●3月22日(土) 砲撃くぐり抜けバグダッド入り
いったんチャーターしたシリアの車は、運転手の生命には代えられないと取り消され、急きょイラクの車に切り替え、7人乗りのシボレーワゴン車でダマスカスを出発。日本人5人とフランス人1人が乗り組み、夜中に国境に到着。夜明けまで待って、早朝6時、イラクに入りました。
60キロbくらい走ったところで、昨晩の爆撃で破壊された乗用車とトレーラーを現認、道路のアスファルトに穴があき、付近は黒こげになっていました。乗用車は完璧(かんぺき)に燃え上がっており、タイヤのゴムも中のシートもなくなり、車の上は塗料の焼けた後が真っ白くなっていました。トレーラーの前面は弾痕(だんこん)多数。
7時過ぎ右前方に煙が上がり、後方にも3発煙が上がりました。後方はヨルダンから侵入した米軍が発射した迫撃砲によるものだろうと推察できました。
ヨルダンの首都アンマンからの道路とダマスカスからの道路が交差するルトバのあたりは地面がえぐられ黒こげになった個所がいくつか見られました。驚いたのは破壊されたトラックの前に緑の軍服を着たイラク兵が伏せたまま死んでいたことでした。その反対側道路にも民間人と思われる3人が横向きになって死んでいました。
文字どおり戦場を疾駆しているのです。この、危機的な事態に遭遇し、車は高速道路を反転し、シリアへ戻る態勢に入りましたが、「ノー、ノー、バグダッド、ストレート」と叫んで、態勢を立て直し、いよいよ車はスピードを増して東進しました。前方にはもうもうたる黒煙が上がっており、近づくに従って赤い火もちろちろ見えて、石油の施設が現在にいたるも燃え続けていることがわかりました。バスも破壊されて黒こげになっていました。国境で隣り合わせたバスには「ジハード」を叫ぶ若者が多数乗っていましたから、そういうバスが攻撃されたのか。定期バスも運行していましたから、それなのか分かりません。
死者が現認されたルトバ付近ではどうやら戦闘があったらしく、その近くで会った20歳〜40歳くらいの男性からその事情を聞きました。2日前に爆撃された沿道にあるレストランが半分黒こげになっていました。
侵略軍である米英軍がイラクの民間人を次々と虐殺している現実を目の当たりにして、胸がはりさけるようです。このことを日本の労働者人民・学生にぜひとも知らさなければならないと思いました。
最初のころは対向車がまったくありませんでしたが、バグダッドに近づくにつれ、テレビ車が何台も撤退していくのを現認しました。その流れに逆行するように私たちの車は前進しました。ガソリンスタンドは、事前に聞いていた情報とちがって営業を続けていました。
バグダッド市内は2月に来た時と違って、警官まで鉄かぶとをかぶって、道路封鎖も増えていました。兵隊も数を増していました。
目的のパレスチナホテル及びフラワーズランドホテルに正午前に到着。待っていたCチーム(戦争になっても残る組)と○○さんに会い抱擁。まずはホッとしました。打ち合わせ中にも警戒ブザーが鳴り、砲撃の音が何発も聞こえました。
街中を歩くにもカメラを持っていると、直ちに警官が検問、身体捜査、カメラマンも受難です。これを書いている今もドッドッドという砲撃の音が聞こえます。ミサイルは頭上を飛んでいますが、ここは通過だけ。チグリス川のたもとの家屋は黒こげになっていました。街全体がピリピリしています。
ホテルのベランダから見える空は左右とも爆撃による黒煙、白煙が立ちのぼっています。夜はもっと激しくなりそうです。
(バグダッド発)
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週刊『前進』(2096号4面2)
“居ても立ってもいられない” 米大使館抗議に1000人
米英帝のイラク侵略戦争が開始された3月20日、全学連と反戦共同行動委員会は、開戦弾劾の緊急行動に立ち上がった。駆けつけた市民と合流して怒りを爆発させ、機動隊と激突して丸一日激しく闘いぬいた。
米帝ブッシュが一方的に設定した20日午前10時の期限切れを前にした9時40分に全学連が、アメリカ大使館前に登場した。警察権力は全学連を暴力的に米大使館から200bも離れたJTビル前まで排除した。さらに、開戦直前には米大使館前でハンストなどの抗議行動を展開していた市民グループまで排除した。この暴挙を徹底的に弾劾した。
午後3時半には、11時40分の開戦を聞いて駆けつけた20人余りの反戦共同行動委員会が、JTビル前で抗議行動を行った。急を聞いて「居ても立ってもいられない」と、数多くの労働者市民が駆けつけ合流した。
反戦共同行動委員会の主催する集会では、市民が次々に発言した。若い女性は、「広島で原爆を体験している私たちが、どんな国益であろうと戦争をしてはいけない、と父母から教わったことを忘れてはいけないと思う」と発言した。
中年女性が、「(つれあいが)毎晩最終電車で帰ってくる。本当に、少ない給料の中で私たちの血税を人殺しのために使わないで欲しい」と、怒りを語った。
この後、平和フォーラムなどの人びとも駆けつけて午後6時半からJTビル前で千人近くの抗議集会が開かれた。また、大使館前では、いったん排除されながらも多くの人びとが再度駆けつけ、200人余りが抗議行動を続けた。
午後7時過ぎには、JTビル前で機動隊と抗議集会参加者との間で激突が始まった。反戦共同行動委員会はその先頭で闘った。先頭にいた女子中学生が「イラクの子どもたちを殺すな」と泣きながら機動隊にぶつかる姿もみられた。
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週刊『前進』(2096号4面3)
開戦に反戦デモ爆発 米欧・アジア・中東諸国で
3月20日のイラク侵略戦争開戦と同時に全世界で激しい反戦闘争が爆発した。
アメリカでは全国で反戦集会やデモ、道路占拠の闘いが開始された。サンフランシスコでは、20日早朝から授業放棄や職場放棄で2万人余りが街頭に進出した。約千人が体を鎖などでつなぎ、市内各地で座り込み、自動販売機などでバリケードをつくって交通を遮断して開戦抗議の声をあげた。サンフランシスコ市警は厳重な警戒態勢をしき、翌日までにデモ参加者2千人以上を逮捕した。
にもかかわらず、22日には7万5千人の反戦デモが爆発した。さらに同日、ニューヨークでは25万人のデモ隊が街頭に繰り出し、91人の逮捕という弾圧を跳ね返してブロードウェイで40街区を占拠して闘った。同日、ワシントンでも1万人がデモをした。
同様の闘いがイギリスやギリシア、イタリアでも行われた。イギリスでは、ロンドン、グラスゴー、マンチェスター、エジンバラ、フェアフォード(イラク空爆のB52が駐留する米軍基地)などで道路封鎖闘争が行われた。
開戦当日の20日には、パリのコンコルド広場で7万人前後の集会・デモ、ロンドンでの5万人デモ、ドイツでの全国680カ所での反戦集会と20万人のデモ、ベルリンでの2万人デモ、スペイン・マドリードでの5万人のデモ、イタリア3大労組の2時間の時限ゼネスト、ミラノでの15万人デモ、フィレンツェ、ローマでの数万人のデモ、スイスのベルンでの1万人デモ、アテネでの15万人デモなどが行われた。
これらの集会には大量の大学生、高校生、中学生が参加している。パリやベルリン、アテネのデモは半分以上が学生たちであった。運動の裾野(すその)が急速に拡大している。
21日には、ギリシアのアテネでも4時間の時限反戦ゼネストが行われ、役所、銀行、空港、地下鉄、バスなどの業務がストップした。戒厳態勢下での激しい弾圧をうち破った実力反戦デモも行われた。
3月22日には、開戦直後の最大の闘いが爆発した。ロンドンでは、100万人以上が「戦争阻止連合」の主催する反戦デモに参加した。これは戦時中のデモとしては史上最大の規模のデモであった。
ドイツでは全国各地で10万人がデモに決起。パリでは10万人のデモが行われた。スペインのマドリードでは25万人のデモ、バルセロナでは75万人のデモ、ポルトガルのリスボンでは9万人のデモ、イタリアのミラノでは15万人のデモ、ストックホルムでは6万人のデモなどが行われた。
中東やアジア諸国でも大規模な闘いが爆発した。
エジプトのカイロでは20日に2万5000人、21日に5万人のデモが行われた。ヨルダンのアンマンでは、21日にパレスチナ難民を中心に厳しいデモ制限をうち破って数千人の集会が行われている。南部の都市マアーンでは催涙ガスを使った激しい警察の弾圧に抗して数千人がデモをしている。同日パレスチナでも自治区全域で反米デモが展開された。イエメンでは21日、警察に11歳の少年を含む2人が虐殺されるという弾圧にもかかわらず、首都・サヌアで3000人のデモが行われた。パキスタンのラホールでも23日に数十万人の集会が行われた。
東アジアではフィリピン、インドネシア、韓国、インド、マレーシア、タイなどで反戦デモが爆発している。イスラム諸国やアジア諸国でのイラク侵略戦争への怒りの爆発はついに本格化し、さらに巨大な規模で爆発するであろう。
こうした闘いと連帯し、日本での一層の反戦闘争の爆発をかちとろう。
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週刊『前進』(2096号4面4)
狭山闘争 “直ちに再審行え” 最高検に全証拠開示迫る
部落解放同盟全国連合会は3月24日、狭山再審―特別抗告審闘争として、最高裁と最高検に対する要請行動に立った。全国連の部落大衆と解放共闘の労働者・学生ら40人が参加した。
午後1時、霞が関の弁護士会館で集会が開かれた。全国連の小森勝重狭山闘争本部事務局長が「石川一雄さんは、自らの力で再審・無罪判決をかちとろうと不屈に闘っている。石川さんと連帯して、狭山闘争を差別糾弾闘争、実力闘争として闘おう。差別糾弾を投げ捨てた解同本部派を打倒しよう。イラク反戦闘争とも結合して狭山10万人決起を実現しよう」と訴えた。
井橋昌夫茨城県連事務局長は、「部落差別は絶対に許さないという部落大衆の怒りと思いを最高裁、最高検に思いきりぶつけよう」と行動方針を提起した。
初めに最高検に対する要請行動に立った。要請団は「捜査を指揮し警察とぐるになって石川さんを犯人にデッチあげた張本人は検察だ」と糾弾し、「証拠を弁護側に開示しないのは不公平だ。国際常識にも反する。直ちに全証拠を開示せよ」と鋭く迫った。
次に最高裁に対する要請行動を行った。茨城県連の婦人たちは、「脅迫状は石川さんが書いたものではない。石川さんを犯人=有罪だとする判決は部落差別そのものだ」と差別裁判への激しい怒りを込めて最高裁を糾弾した。
4月要請行動と5・23全国統一行動に総決起しよう。
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週刊『前進』(2096号4面5)
緊急シリーズ 有事3法案阻止せよ(2)
先制攻撃性強める修正案 「不審船・テロ」対策も盛る
武力攻撃事態法の与党修正案によって原案がさらに大改悪されている。武力攻撃事態法の核心が、日帝が米帝と一体となって北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に先制的な侵略戦争を仕掛けるためのものであることがより露骨になった。
与党修正案の大きな「修正」点は三つある。一つは武力攻撃事態に対する規定の問題、二つはいわゆる「不審船」や「テロ」に対する対応を法律に盛り込んだこと、三つは国民保護法制の「整備本部」設置を打ち出したことである。
「発生」「切迫」一つにくくる
まず武力攻撃事態の規定を、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態の二つにしている。現法案は@武力攻撃が発生した事態、Aおそれのある場合、B予測されるに至った事態という3段階になっている。これを与党案は、それぞれを@武力攻撃が発生した事態、A武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態、B武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態、と言い換えた。そして@とAを一くくりに武力攻撃事態とし、Bを武力攻撃予測事態としているのだ。
段階区分が明確になったように見せかけているが、事態の規定そのものはきわめて抽象的なもので具体的な規定性は何もない。後でなんとでもこじつけ予測事態だ、武力攻撃事態だとできるようにしているのだ。
しかも、「武力攻撃事態」の定義は@とAを一つにくくり、「対処に関する基本理念」などをそれに対応させたことによって、Aの「切迫した事態」の段階で@の「武力攻撃が発生した事態」と基本的に同じ行動がとれるようになっているのだ。これはきわめて重大な改悪である。これまでも「燃料注入は着手」「着手には反撃できる」と強弁してきたが、さらにより露骨な拡大解釈で先制攻撃に突入していくのである。
これだけでもとんでもないことなのだが、実はその以前に「武力攻撃予測事態」なるものがある。この段階ですでに武力攻撃事態法が発動され、日帝が戦争態勢に突入していくのだ。
日帝はなぜこのようなどうにでも拡大解釈できる規定を必要としているのか。北朝鮮や中国に先制攻撃を加え、侵略戦争に突入するためだ。それは、武力攻撃事態法の発動が米帝の朝鮮侵略戦争計画5027の発動と一体であり、周辺事態法と一体であることを考えればきわめて鮮明である。
米帝はブッシュ・ドクトリンの下にイラクに続いて北朝鮮に対して作戦計画5027を発動し、金正日政権を転覆し、朝鮮人民を100万人も大虐殺する侵略戦争に突入しようとしている。そして米帝が戦争を開始した時、日帝は周辺事態法を発動し、米軍への「後方地域支援」や「船舶検査」などの軍事作戦に突入すると同時に、「切迫」事態であるとか「武力攻撃予測事態」であるとして「武力攻撃事態法」を発動し、侵略戦争に先制的に突入する態勢をとるのだ。
武力攻撃予測事態とは、具体的には自衛隊の防衛出動待機命令が出される段階である。米軍が北朝鮮への戦争態勢に突入した段階で武力攻撃予測事態が認定され、武力攻撃事態法が発動される。しかも自衛隊法改悪が成立すれば防衛出動待機命令の性格が本質的に変わる。待機命令の段階から陣地構築など具体的行動が展開できるようになることで「待機」命令から「出動」命令に変わる。後は開戦命令を待つのみなのだ。自衛隊が全面的に戦争態勢に突入し、日本全土が戦争態勢にたたき込まれる。
日帝の側から侵略戦争挑発
こうした日米の戦争態勢に対して北朝鮮が防衛のために何らかの動きをすれば、それを「武力攻撃への着手」であるとして日帝・自衛隊が米帝とともに先制攻撃を加えて朝鮮半島での侵略戦争に突入できるのである。しかも「武力攻撃事態法」は周辺事態法と一体だが、決定的に違うのは、自衛隊が「防衛のため」と称して朝鮮半島に侵攻し、最前線で戦闘に突入できる点である。(武力攻撃事態法案には自衛隊の行動範囲に関する限定は何もない)
次に与党修正案は、いわゆる「不審船」や「テロ」について明示して「その他の緊急事態」として対処することを打ち出した。
日帝は今、米帝のイラク侵略戦争と連動し、米帝と共同=競合しつつ北朝鮮への戦争重圧を強めている。体制的危機にあえぐ北朝鮮に対して米日韓の激しい軍事重圧を加え、それに対して北朝鮮・金正日体制がそれ自体は反人民的で軍事冒険主義的な瀬戸際政策を強めるように追い込み、それを逆にえじきとして全面的な侵略戦争に突入しようとしている。そのためにいわゆる「不審船」事件や「拉致」問題、あるいはミサイル実験を大々的にキャンペーンし、戦争挑発と戦争準備を強めているのだ。
なぜ修正案で「不審船」や「テロ」対策を強引に盛り込んだのか。米日帝が北朝鮮に侵略戦争をやろうとしており、相手からの対抗的反撃に、今すぐにも備えなければならないからだ。
整備本部設置で次々戦争法
さらに与党修正案で国民保護法制の「整備本部」を設置することを規定したことはきわめて重大である。政府は、この国民保護法制整備本部を使って、好きなときに好きなだけ戦争法案が作れるようになるのだ。
この国民保護法制整備本部は、武力攻撃事態法が成立した段階でこの法律に基づいて常設の機関として置かれる。しかも整備本部に関する規定は、武力攻撃事態対策本部と同じ構造になっている。主任の大臣として首相が主宰し、内閣官房長官が本部長となり、本部長が指揮監督して法案・法令が立案されていく。
この整備本部では各大臣は本部員として本部長の指揮監督もとで法案作成に協力させられる。したがってその後の閣議で法案に反対できるはずはなく、法案は次々と閣議決定されていくことは明白だ。最初に「国民保護法制」の基本法を決めた後で次々と法を制定し、戦争動員や治安弾圧などを拡大していくことが可能な枠組みがつくられるのである。まさに戦前のようにありとあらゆる戦争法規がつくられるのだ。
実際に国民保護法制として言われていることの内容はきわめて広範にわたる。労働者人民の徴用や物資の徴発、物資・物価統制、流通規制、産業の軍需産業化、隣組や郷土防衛隊など民間人の軍事的組織化、ストライキの禁止を始めとして様々な治安弾圧法規、言論の統制や検閲などだ。これは「国民保護」どころか、労働者人民を戦争に動員するための法案なのだ。
その全体が一つの法案で出されることは基本的に不可能であり、結局は基本法を定めて細部は別の法律に委任するか、あるいは一つ一つ個別に際限なく出してくるかということにならざるをえない。
武力攻撃事態法で国民保護法制整備本部が設置されれば、今後そうした諸法案が次々と出されてくるのだ。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2096号4面6)
3月18日〜25日
愛国心掲げ教基法改悪答申 米英侵略軍がイラクに開戦
●反戦決議516議会で採択 2月から3月の定例議会でイラク攻撃に反対する決議や意見書を採択した地方議会が少なくとも全国47都道府県の516議会に上ることが朝日新聞の調べでわかった。(18日)
●イラク侵略戦争開戦 ブッシュ米大統領がホワイトハウスからテレビ演説し、「イラクを武装解除し、国民を解放する」などと述べ、米英軍主導でイラク攻撃を開始したと宣言した。イラク周辺各国に展開する米軍のF117ステルス戦闘機や巡航ミサイルなどでバグダッドなどを攻撃した。(19日)
●小泉首相、イラク攻撃を支持 小泉首相はイラク戦争の開戦を受け記者会見し、「米国による武力行使の開始を理解し、支持する」と表明した。(20日)
●教基法改悪を答申 中央教育審議会が「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の提言をまとめ、遠山文部科学相に答申。新たな理念として「社会の形成に主体的に参画する『公共』の精神、道徳心、自律心の涵養(かんよう)」「日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養」といった8項目を列挙、基本法の前文か条文に盛り込むよう提言している。(20日)
●軍事データ初共有へ 防衛庁は、航空自衛隊の空中警戒管制機(AWACS)が収集した電子データや情報を米軍に提供する方針を固めた。米軍はAWACSの北朝鮮監視飛行を要請している。(20日)
●米軍が立ち入り自粛要請 沖縄の米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)が同地区西側海浜への立ち入りの自粛を市民へ呼びかけるよう、浦添市に要請していたことがわかった。同市は態度を保留している。(20日)
●イラク「復興支援」に数百億円 政府はイラク戦争に伴う難民「支援」と周辺国「支援」について、政府の途上国援助(ODA)予算を軸に最大数百億円規模で負担する方向で調整に入った。戦後の「復興支援」もODA予算を中心に賄う方針という。(21日)
●イラク全土を大規模空爆 米英軍は、首都バグダッドを含むイラク全土への大規模空爆を行った。数百カ所を対象に24時間で計1500発の巡航ミサイルなどを投下。(21日)
●イラク「復興」は米企業に ブッシュ政権内部で、イラクの戦後復興の重要部分は米民間企業に任せ、国際機関や非政府組織(NGO)を脇役に退ける方針を練っていると米ワシントン・ポスト紙などが報じた。政権に近い企業が事業受注の候補に。(21日)
●「兆候」で防衛出動 防衛庁は、日本の領土にミサイルが撃ち込まれた場合を想定し、相手の攻撃意図が明確な場合は、ミサイル発射の兆候がある段階でも防衛出動を発令する方向で検討に入った。また自衛隊法を改悪し、防衛出動前でも迎撃ミサイル発射ができるようにすることも併せて検討するという。(23日)
●アラブ連盟、停戦・米英撤退を要求 カイロで開かれたアラブ連盟(22カ国・機構)の外相会議は、イラク戦争の即時停止と米英軍の無条件撤退などを求める決議を採択した。(24日)
●米大使が自衛隊派遣を要望 ベーカー駐日米国大使が与党3党幹事長に対して、日本は自衛隊をイラクに派遣して現地の治安維持に貢献するなどの役割を果たすべきだとの考えを伝えた。また戦後復興に関する国連安保理決議案についても、米側との調整を踏まえて日本が起草するよう要請した。(24日)
●韓国、派兵法案見送り 韓国国会は、韓国政府が決定したイラク戦争への後方支援部隊派遣同意案を採択するための本会議開会を延期した。国内の反戦世論などのため。(25日)
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週刊『前進』(2096号5面1)
米帝の体制的な行きづまりとイラク侵略戦争の階級的本質
イラク反戦闘争爆発、帝国主義打倒へ
大恐慌とブロック化で完全に危機深める米帝
米帝ブッシュは3月20日、ついにイラク侵略戦争に突入した。全世界人民の怒りの爆発にもかかわらず〔いやそうだからこそ〕、米帝はありとあらゆる力や手段を使ってイラク侵略戦争の全面開戦へと突き進んだのである。この間のプロセスは、戦後史上かつてない帝国主義間の分裂抗争、帝国主義間争闘戦の激化となってドラスティックに進行している。
米帝の国連査察打ち切り、イラク攻撃突入への日程は、1・27期限、さらに2・14期限と、後退させられ、国連安保理でも圧倒的孤立をつきつけられた。米帝は2・24に、米英西(スペイン)の3国提案による新決議案(短期の猶予期間をおいた最後通告的内容)を提出したが、仏独ロは3国共同宣言をもってこれを拒否した。いわゆる「中間派」6カ国をめぐる激烈な「オルグ合戦」、切り崩しが進行した。日帝は、この新決議案を全面的に支持する立場を国際的に明らかにし、帝国主義的手段を総動員してこの「オルグ合戦」、切り崩しに参入した。
3月7日には、米英西はさらにイラクの武装解除期限を17日とする新決議修正案を提出した。
このように2〜3月に、ありとあらゆる圧力・脅し・利益誘導をかけたにもかかわらず、米帝は6カ国を新決議案にも新決議修正案にも賛成させることができなかった。しかし米帝は、国連安保理で新決議案が採決されなかったり、否決された場合(多数決的敗北か拒否権的敗北)でも、なおかつイラク攻撃を強行する意志を宣言してきたのである。
そして16日、米英西3国首脳会談をもって新決議修正案の取り下げを決定、17日ブッシュがフセインに対する最後通告演説を行い、20日、その期限切れと称して開戦に突入したのである。
EUの対米対抗勢力としての拡大発展
イラク侵略戦争について、今日の米帝は、その唯一の超大国としての実力・軍事力が圧倒的だから、その力を強引にふるって、気にくわない国家を抹殺しようとしているという解説が流布されているが、これは明らかに一面的である。
今日の米帝(そしてヨーロッパ諸国も日帝も)は、実は帝国主義(資本主義)として経済的・政治的・体制的に完全に行きづまっているのだ。いま帝国主義世界は、29年大恐慌をも上回るような大恐慌と大不況のプロセスに突入している。日帝経済は90年代末からすでに一足先に恐慌過程に突入している。デフレ・スパイラルは、まさに恐慌とそれに続く大不況の現象形態そのものだ。そして、米帝も今やバブル崩壊から大恐慌的プロセスへとのめり込んでいる。しかも、経済不況と軍拡化の中で天文学的貿易赤字と財政収支の急速な悪化が進み、今やドル暴落の危機にさえ直面しているのだ。
米帝を軸とする戦後世界体制をみる時、重大なことは帝国主義世界経済の分裂化・ブロック化が激しく進行していることである。米帝にとってとりわけ決定的なことは、EU(欧州連合)とユーロの形成・確立そして拡大である。経済的・政治的にみて、一定の自立性をもった勢力圏の対米的形成がなされ、その中心に独仏枢軸(政治的には仏独枢軸)が存在していることである。
米帝自身これに対して南北アメリカを大きくNAFTA(北米自由貿易協定)さらにはFTAA(米州自由貿易圏)として囲い込むことで対応しようとしている。そしてアジアをめぐっては、ひとつは中国スターリン主義の存在、今ひとつは日帝の存在がある。日帝のアジア勢力圏化の動きは、米・EU・中国の動きによって牽制(けんせい)されている。アジアは激しい争闘戦場と化している。
今日、世界経済の「グローバル化」が強調されているが、実は単純なグローバル化として進行しているのではない。以上のような主要帝国主義国による地域ブロック化的な基盤をそれぞれ武器としての激しい世界的争闘戦の展開こそがグローバル化の実体なのである。
このように世界経済が大恐慌的過程に突入し、同時にそれが分裂化とブロック化を深めているのが現状である。そして、その中で米帝が世界をドルで支配することが本質的に危機に突入しつつある。EUは現在15カ国だが、04年5月には最大10カ国が新規に加盟することになっている。バルト3国、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニアなどの加盟である。07年までには、ブルガリア、ルーマニアも加盟をめざしている。トルコも加盟を希望している。
こうしたEU拡大は、ソ連崩壊後の中欧・東欧諸国、バルカン諸国、一部旧ソ連諸国が経済的にはドイツ(とフランス)を基軸とする独仏枢軸のもとに吸引され、編成されていってしまうことを意味する。これは米帝的世界帝国の地盤的分裂化を意味しており、米帝のこの事態への根底的な危機意識はすさまじいものがある。この間の安保理でのフランスの動きに反発して、米帝の保守反動勢力の中軸的存在の一人であるリチャード・パール国防政策諮問委員長は「フランスはEUを(対米)対抗勢力にしたいと狙っている」とかみついているのである。
これに対する米帝の対EU政策の核心はNATO(北大西洋条約機構)ルートの活用である。米帝はNATOの最大最強の一員であり、EU諸国とNATO加盟国はほぼ重なるからだ。NATOもこの間拡大の一途をたどっている。99年には、ポーランド、チェコ、ハンガリーが加盟している。04年には、最大7カ国の加盟が決定している。バルト三国、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニアである。これで04年にはNATOは計26カ国となる。
こうした中欧・東欧・バルト・バルカンの諸国は、安全保障上・軍事上、NATOへの依存性が強い。そして、NATOにおいて圧倒的に実力を握っているのは米帝である。米帝はこれに狙いを定め、こうした諸国を取り込んで、EUへのクサビとすることを狙っている。また、これら諸国は地政学的には世界の2大油田地帯をなす中東やカスピ海に近接していてきわめて重要だ。米帝は在ドイツ米軍基地をルーマニア、ブルガリアに移転することさえ狙っている。
米帝の中東支配政策は大破綻している
このように米帝は唯一の超大国として単に力の絶頂にあるというのではないのだ。むしろ大恐慌の進行、世界経済の分裂化という中で、ドル体制の崩壊、EUの対米対抗勢力としての発展という争闘戦的重圧にさらされているのだ。しかも、米帝にとってさらに危機的状況を呈しているのは、その中東支配政策、中東石油支配政策の大破綻(はたん)という現実である。これは、全世界の新植民地主義体制諸国が経済のグローバル化とブロック化の中で、軒並み破綻的状況に陥っていることと一体の現実である。
この中でも中東支配―中東石油支配の危機はきわめて深刻である。米帝の中東支配―中東石油支配の柱としてきたものは今やグラグラなのである。
まず、イスラエルを中東支配のための基地国家とする政策はどうか。シャロン政権はパレスチナ自治政府の存在さえ否定し、パレスチナの民族自決権の否定の政策を突っ走っている。これに対してパレスチナ人民はインティファーダ的闘いや特殊極限的抵抗形態としての「自爆テロ」の闘いをもって激しい民族解放闘争を発展させている。しかし、パレスチナ民族の丸ごとの圧殺とも言うべきイスラエルの政策は必ず破産する。いやすでに破産している。これは中東・アラブ・ムスリム人民の怒りを激成し、蓄積し、爆発させるのみである。
また、米帝の中東政策は中東・イスラム諸国の中心的大国家を、自己に従属した親米政権として確保するというものだった。初めは王政イラン。しかしこれはホメイニ革命で決定的打撃をうけた。米帝は今に至るも本質的にこのイラン革命の打撃から抜け出ていない。次にフセイン・イラクをしてイラン革命を圧殺させようとしたが、それは反米国家=イラク・フセイン政権を登場させ、結局はイラクのクウェート侵攻を引き出した。米帝はこれに対して91年1・17のイラク侵略戦争を展開したが、フセイン政権を打倒しえなかった。またこの際、サウジアラビアをイラク侵略戦争の基地国家として利用したため、ビン・ラディンとアルカイダの反米ゲリラ戦争を引き出す結果となった。91年イラク侵略戦争、すなわち米帝(国際帝)のアラブ・ムスリム人民大虐殺戦争への全面加担は、サウジアラビアを根底から揺るがした。結局、91年イラク戦争は、そのイラク人民大虐殺の本質によって、米帝の表面的勝利にもかかわらず、その中東政策の大破綻を生み出すものでしかなかった。01年9・11はこうした米帝の中東支配の大破綻を決定づけるものとなったと言える。
産油国ではないが、エジプトはアラブ大国である。ムバラク政権は決定的に米帝に依存しているが、国内の「イスラム復興勢力」の力は根強く、人民の圧倒的傾向は断じて親米ではない。
つまり、今や米帝は中東・イスラム諸国(とりわけ中心的産油国)において、中東政策の基軸的担い手となる国家を確保しえていないのである。
中東石油支配をめぐる米欧帝間の争闘戦激化
さらに、直接の中東石油支配という点でも、米帝は圧倒的な利権を持ってはいても、けっして盤石の支配体制をもっているわけではない。
中東諸国における石油の確認埋蔵量の上位5カ国のデータは次のとおりだ。
@サウジアラビア 2593億バーレル
Aイラク 1125億バーレル
BUAE(アラブ首長国連邦)
978億バーレル
Cクウェート 942億バーレル
Dイラン 897億バーレル
(推定埋蔵量ではイラクはきわめて有望で、2000億バーレルを超えるという。)
米帝メジャーは、イラク、イランにはこの間当然にも進出しえていない。その空隙(くうげき)をついてロシア、フランスがこの両国に食い込んでいる。または食い込みを狙って激しく動いている。
☆ロシア @イラク北東部のサッダーム油田(国連の「食糧のための石油計画」に基き01年4月より生産中)、Aイラク南東部の西クルナ油田ではルークオイルが開発権を確保している(はじめ日産10万バーレル、のち100万バーレル)。
☆フランス イラク南東部のマヌジューン油田(02年5月、日産5万バーレル)、ビン・ウマル油田の開発権で交渉推進中。
☆中国 アル・アダブ油田の開発権を獲得。12億6000万j投入中。
☆ロシア、フランスは国連「食糧のための石油計画」にイラク石油輸出の権益を大きく握っている。
☆ロシアは過去の対イラク武器大量輸出の債権として80億jを持っている。
米帝メジャーは、サウジアラビア、UAE、クウェートなどで圧倒的な利権を持っているが、石油のいわゆる上流部門は国有化その他で産油国の手に握られている。これはメジャーにとってやはり大きな制約となっている。また、70〜80年代以降の「ベトナム敗北」情勢、「二つの石油危機」情勢の展開をとおして、OPEC(石油輸出国機構)は帝国主義および石油メジャーから一定の相対的「自立」さえ確保してきている。
米帝の国内石油生産の限界が明白な中で、ますます輸入石油が生命線化しつつある。こうした中で、米帝の保守反動勢力(ブッシュ政権は実質的にそれにのっている)はこの今日的OPEC体制そのものに大きな不満をもっている。
そして、それは9・11以降ますます募っている。特権的専制的なサウジアラビア王政。膨大な石油収入とその王族家族による享受。米帝支配への従属。パレスチナへの米・イスラエルの侵略と攻撃、イスラム諸国人民・ムスリム人民大虐殺の容認やそれへの協力(91年1・17攻撃時の基地提供)への人民の激しい怒り・不満の鬱積(うっせき)。9・11の19人の大半がサウジアラビア出身であり、それへの一部王族ルートからの送金もある。こういった現実の中で、米帝とサウジアラビアとの関係は今日きわめて緊張しているのだ。
米帝の石油輸入国化の決定的趨勢(すうせい)の中で、中東情勢だけでなく、カスピ海周辺の巨大油田の開発と支配をめぐる闘いもきわめて流動的である。帝国主義列強間、ロシア、中国を含む大国間のこの争奪戦も激化の一途をたどっている。これはまた、地政学的にはパイプライン・ルートの問題も含めて重大な利害の対立を生む。イラク、イランやトルコの存在はこの意味でも決定的である。
今次イラク侵略戦争における米帝の狙い
今次の米帝のイラク侵略戦争は、以上のような大きな情勢の中で計画され、強行されたのである。つまり端的に言えば、唯一の超大国たる米帝は今日、大恐慌と列強間の国際的争闘戦の激化と世界経済の分裂化という一個二重の歴史的重圧のもとであえいでいるのだ。具体的にはドルの世界支配体制崩壊の危機の切迫に追いつめられている。そして、その戦後的伝統的な世界石油支配も、最大基軸である中東において根底から揺らいでいるのだ。
国際階級闘争はどうか。米帝の中東・パレスチナ・アラブ・イスラム諸国人民・ムスリム人民に対する歴史的な抑圧・民族圧殺(ムスリムであることそのものの否定にまで至る)の攻撃、資源略奪と人民からの搾取・収奪の攻撃への積もりに積もった怒りが(今日的国際階級闘争の現実のもとで)9・11的なゲリラ戦争として爆発し、全世界のムスリム人民の歴史的総決起の情勢を生み出し、それが全世界の被抑圧諸民族人民の総決起へとつながっていこうとしている。さらに、それは帝国主義国の労働者人民の戦争と大失業の時代への怒りの根底的大爆発と一体化していこうとしている。
米帝が今次イラク侵略戦争で狙っているものは、こうした何重もの現実を、ただひたすら自らが帝国主義として延命するために、超反動的に転覆することなのである。
まず第一に、反米政権として突出しているフセイン政権そのものを抹殺することである。そのためにイラク人民をもろともに大虐殺することで、中東・全世界のムスリム人民の怒りを根絶・一掃しようとしているのだ。総反乱を開始したムスリム人民を圧倒的な軍事力で焼き尽くし、殺し尽くすことで鎮圧しようとしているのだ。
第二に、イラクを軍事占領し、GHQ(日本占領時の連合国軍総司令部)型の軍政を敷くことだ。さらにイラクを再植民地化し、米帝に従属したカイライ政権をデッチあげることである。こうしてイラクを政治的・軍事的拠点としてつくりあげ、一方ではさらにイランに圧力をかけ、サウジアラビアに圧力をかけて、中東全体の新植民地主義的帝国主義的支配体制を歴史逆転的に再編成しようとしているのだ。ブッシュが2〜3月になってその演説で絶叫している「全中東民主化」は、まさに中東全体を軍事的に制圧し、親米カイライ国家群として再編成しようとするものである。そして、これに対するムスリム人民の反乱はすべて「反米テロ」として軍事力発動=侵略戦争の口実としようとしているのだ。
第三に、米帝(米英)による中東の石油支配権を他の帝国主義国やロシア・中国を排除して独占的に握ることだ。イラクの石油生産は現在国連制裁下で日産200〜250万バーレルに制限されているが、これはすぐにも400万バーレルにまですることができ、一定の追加的投資を行えば、5年以内に600万バーレルにまで生産量を上げることができると言われている。米帝は、イラクの政治支配と石油支配をテコに、イラン、サウジアラビアなども含め新たな支配体制を狙い、OPECのあり方そのものをも変更し、自らの支配のもとにこれを組み敷こうとしている。
第四に、米帝が今次イラク侵略戦争で狙っているものはそれだけではない。上記のようなイラク支配=中東支配=中東石油支配=OPEC支配、あるいはムスリム人民の闘いの暴力的圧殺の強行をとおして、米帝を基軸として全世界を政治的・経済的・軍事的に再編成し、EUなどが対米的自立ブロックとして形成・発展・確立することを阻止すること、EUを石油資源の面はもとより、全体的に米帝のコントロール下におくために、EUに分裂・分割のクサビを打ち込み、弱体化することを狙っているのである。そもそもイラクを米帝(米英)が軍事占領し、米帝のカイライ国家化するという攻撃そのものが、EUを中東から排除するという本質的な意味をもっており、EU(=独仏)が絶対にのめない内容として存在しているのだ。
さて、第五に、米帝がイラク侵略戦争にこのような狙いで突入しているということは、米帝が今日的に唯一の超大国としての実力、特に軍事力をストレートに行使して、自己の超大国としての危機を突破し、世界を暴力的に再編成しようとしているということである。したがって当然にも、これはEUを始め日帝も含めて〔さらにはある意味でロシア、中国を含めて〕、帝国主義的ブロック化とそのための自前の帝国主義的軍事力の確保へとのめり込ませるものとしてある。この意味で、米帝のイラク侵略戦争は帝国主義間争闘戦の戦争的爆発としての帝国主義侵略戦争の時代へと世界史を推転させるものであり、ついには帝国主義・列強が二大陣営に分裂して、恐るべき第3次世界大戦を招来するものである。
したがって、米帝のイラク侵略戦争は第六に、いわゆる01年QDR(4年ごとの戦力見直し)との関連で言えば、米帝の世界戦争計画の戦略の決定的発動としての意義をもっている。すなわち、中国スターリン主義政権の転覆を大きな戦略目的として、北朝鮮侵略戦争、イラン侵略戦争などに向かって突き進もうとするものである。いやすでにイラク侵略戦争は「悪の枢軸」論をとおして北朝鮮侵略戦争の策動と直結して進行している。北朝鮮は必死の対抗行動(これ自身はスターリン主義的=反人民的)を引き起こしている。米日帝はあたかもこれが原因のように言いなして、対北朝鮮の排外主義をあおり、北朝鮮侵略戦争への体制を大きく準備しつつあるのだ。
日帝のイラク戦争での反革命的絶望的な飛躍
ここで、われわれは、日本帝国主義がこのイラク情勢を契機に反革命的絶望的な飛躍を強行しつつあることを重視しなければならない。これが今次イラク侵略戦争についての第七の確認点である。
まず2・14の時点で、すなわち国連安保理で査察打ち切り=攻撃開始を主張する米英西が、3対12で圧倒的に孤立するという情勢の中で、逆に日帝はあえて百パーセント米帝と同じ論理・言葉をもってイラクを非難し、米英西が新しい決議案を提出するなら断固支持することを表明した(原口国連大使演説)。そして2・24の新決議案にも、3・7新決議修正案にも、日帝は断固支持を表明し、6カ国への切り崩し工作の先頭に立った。さらにもし新決議修正案が否決または採決放棄となった場合にも、新国連決議なしの米英のイラク攻撃を支持するというスタンスを繰り返し表明したのである。
これは単に米帝の戦争行為を支持するという以上に重大な意味をもっている。米英対仏独ロ中といった列強間の重大な決裂があり、国連的には本質的に3対12的な形で事実上否決されている中で、なおかつ米英の戦争を承認する国連決議の即時可決を主張し、さらには決議なしでも米英の戦争は支持するとしたのだ。
3月20日、小泉は開戦直後に「イラクの国連決議無視」を非難し、「米国の武力行使開始を理解し、支持する」と表明した。
これは、日帝が米帝とまったく同じ帝国主義的侵略戦争の論理・立場に立つことを宣言しているに等しい。これは、小泉がいかに憲法の制約があるからなどと言ってごまかそうとも、実質的に日帝が今次イラク侵略戦争に参加・協力することを意味している。このことの実践的帰結は重大である。
まず、イラク侵略戦争へのイージス艦隊による協力や燃料・食料などの補給による加担。ついでイラク占領後のイラク国内への自衛隊の派遣(新法をつくっての!)。膨大な「復興資金」という名の軍費の対米提供。さらに重要なことは、今次イラク侵略戦争は泥沼化する可能性が大きいが、日帝は当然ながらここでも米帝と共同して突っ込んでいくことになるのである。
今ひとつの重要なポイントは、日帝のこの反動的決定が「北朝鮮問題を抱えている日本」は「日米同盟」を絶対としないといけないという論理を採用しつつ行われたことである。これは聞き捨てならぬ論理である。つまり、北朝鮮の動きに対抗するためには米軍の軍事力行使が必要であるとするもので、北朝鮮侵略戦争を強行する論理だからだ。しかもこれと日帝は完全に一体化して、ともに戦うとするものなのだ。
こうした意味では、今日の日帝の米帝のイラク侵略戦争支持は同時に、北朝鮮侵略戦争を米帝と共同・競争して全力で戦う政策としてあるということだ。そしてそれは有事立法攻撃と直結し、個人情報保護法案と一体化しているのである。
米欧日三極の一極になろうと必死の日帝
こうした日帝のイラク侵略戦争についての驚くべき反動的跳躍的行為を、日米同盟の重要性の問題とか、日本政府の米帝への従属的態度(政策)とかいった問題としてとらえてはならない。
今日の帝国主義世界体制が決定的に行きづまって、ついに大恐慌的過程に突入し、国際争闘戦が激化し、経済のグローバル化なるものが実は世界経済のブロック化として、それを基盤として展開されつつあるという戦後世界の現状との関連でつかまえなければならない。
すなわち、日帝はイラク侵略戦争または中東侵略戦争において、今日的に米英対独仏(ロ中)の前者の陣営に強力に自己をリンクしようとしているが、他方では日米間にも大きな葛藤(かっとう)と亀裂があり、日米争闘戦的な要因もけっして過小評価できないということだ。
具体的には、すでに言及したように、今日の世界経済は、EUの対米ブロック的発展と、米帝のNAFTA的囲い込みとEUへの介入策動、米帝(欧も)のアジア太平洋での日帝のアジアブロック形成の阻止と、日帝の東アジア自由経済圏形成への必死の追求として進んでいる。すさまじい国際争闘戦の中で、日帝はなんとしても米欧日の三極中の一極になろうともがいているのだ。そうしない限り、日帝の戦後発展は終わり、これから急速に没落するしかないからだ。このことは、中国スターリン主義の今日的な経済的「巨大化」の中で、中国をめぐる米・日・欧の攻防戦としても激しい争闘戦が進行しているということでもある。
こうした激しい争闘戦に軍事力行使を含めて勝ちぬかなければならない絶体絶命性のゆえに、日帝はさしあたって日米同盟の今日的な現実(特に政治的・軍事的)に規定されて、日米同盟の絶対性をふりかざして、対イラク侵略者の立場を鮮明に宣言して、対米協力を行い、対北朝鮮侵略戦争においては米軍と百パーセント共同しつつ、競合的に自らの侵略戦争として戦おうとしているのだ。
日帝・小泉のイラク問題での政策をこのように国際・国内情勢全体の中でとらえるならば、その帝国主義的侵略戦争としての本質は明白である。イラク侵略戦争反対闘争は長期にわたる重々しい闘いである。労働者階級・人民の根底的総決起で日本におけるイラク反戦闘争の階級的爆発をかちとらなければならない。
「東アジア自由経済圏」叫ぶ日本経団連
ところで、今日の国際帝国主義におけるすさまじい争闘戦は、けっしてわれわれの単なる「仮説」やセクト的イデオロギーなどではない。それを示す重要な文書がある。それは、今年1月にいわゆる「奥田ビジョン」としてマスコミ紙上で大々的に公表され、2月には「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして―日本経団連新ビジョン」として出版されたものの内容である。それは、95年の日経連の「新時代の日本的経営」以来の重大性をもっている。
新ビジョンの第3章「東アジアの連携を強化しグローバル競争に挑む」では、今日の世界情勢について「グローバル競争」という形で、国際帝国主義間の争闘戦とそこでの日帝の劣勢という現実への危機意識がむきだしに表現されている。そして、日本は第2次大戦の「大東亜共栄圏」の問題や「アジアにおけるアメリカの傘」という問題からこれまで「避けてきた」「『東アジア自由経済圏』構想の実現に強いイニシアチブを」発揮すべきだと、真っ向から全面的に具体的プランとして提起されている。そして、この新ビジョンは、EUが長い努力のすえ25カ国からなる強大な経済圏を形成しようとしている、アメリカも05年に南北米大陸にまたがるFTAAの完成をめざしていると強調し、日本も今こそ強力なイニシアチブのもと「東アジア自由経済圏」を形成し、「人口21億人、GDP7兆jという巨大な急速に成長する単一市場を実現する」べきだと提案しているのである。また、WTO(世界貿易機関)を推進したり、二国間の自由貿易協定(FTA)を積み上げるだけであってはならず、リージョナル(地域的)なアプローチによって東アジアの「強力なハブ」としてつくりあげてこそ、グローバルな競争に勝ちぬいていけるのだと、地域ブロック形成を強烈に押し出している。
たしかにここでは表面上軍事的・政治的アプローチはしていないが、日本経団連がそれを意識していないはずはない。つまり、日本経団連という日帝の中できわめて重要な位置と責任をもつ団体が、ついに真っ向から東アジアにおける日帝主導の経済ブロックの形成を、いわゆる「改革」の中心基軸をなすものとして正式に提出するに至ったのである。
イラク侵略戦争をめぐって、ついに帝国主義列強、世界の諸大国が二つの陣営に分裂して激しく激突していることの真に重大な世界史的意義を考えるならば、今回の日本経団連の東アジアのブロック化政策の提起はきわめて重要である。
帝国主義打倒へ国際階級闘争の爆発を
今次の米帝を軸とするイラク侵略戦争は、戦後帝国主義の全矛盾が唯一の超大国=米帝の危機として爆発したのである。米帝(米英など)は、危機をのりきるために9・11を契機とし、口実として、イラクに対する帝国主義侵略戦争に突入したのである。それは米帝の中東支配―中東石油支配の独占的再編成をなしとげ、それをテコにEUの対米対抗的発展にブレーキをかけ、クサビを打ち込み、無力化・弱体化・分裂化を狙うものである。
これに対する仏独などの強烈な反対は、この米帝の動きが仏独などのEU的な権益やその帝国主義的世界政策にとって大打撃となるがゆえの反対であり、自らの帝国主義的利害にのっとっているものでしかない。仏独などの帝国主義大国自身、米帝とは別の形態で中東・パレスチナ・アラブ・ムスリム人民を抑圧し、支配しようとしているのである。
この巨大な帝国主義間の分裂抗争は、それ自体全体としてイラク人民・中東人民や帝国主義諸国のプロレタリアート人民の激しい怒りと闘いの発展に根底的に規定され、激化している。イラク侵略戦争として開始された今次の侵略戦争が、中東・ムスリム人民、全世界の被抑圧民族への抑圧・大虐殺へと導くこと、それはさらに労働者階級自身を帝国主義の侵略戦争と帝国主義間戦争の中で戦争に駆り立てるものとしてあることを、今全世界の人民は明白に自覚している。これこそ、この間の2・15を始めとして陸続として爆発する巨万の反戦デモの階級的根拠である。
この趨勢は実際の開戦となってからも、ますます激烈化しつつ進んでいる。それほどに今次のイラク攻撃は超反動的であり、全世界人民の生命・生活・職場を破壊し、奪うものとなるからだ。さらにイラク攻撃への突入は間違いなく世界大恐慌の劇的な激化・深化となる。このことは今やブルジョアジーも、そのエコノミストもすべて認めている。そしてそれは階級的激突をさらに強める。
全世界の労働者階級と被抑圧諸国人民は、イラク反戦の闘いを爆発させる中で、帝国主義の侵略戦争の階級的本質をみぬき、帝国主義との歴史的激突へと突き進んでいくだろう。革共同はその先頭に立って闘わなければならない。
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週刊『前進』(2096号6面1)
イラク反戦・杉並区議選への不当逮捕=弾圧を粉砕しよう 3候補全員当選で反撃を
新聞を使って悪質デマ宣伝
3月23日、警視庁は、東京・杉並区内で、「都政を革新する会」のイラク反戦を訴えるビラを配布していたA同志を、まったく不当にも「建造物侵入」なるデッチあげ容疑で逮捕した。さらにその後、報道機関に対する悪意に満ちた警察発表を行い、25日付の東京新聞などが、「中核派活動家を逮捕/建造物侵入の疑い/内ゲバ殺人手配、時効」などと、デマと中傷の記事を掲載した。
「殺人罪」デッチあげによる指名手配攻撃と長期に闘いぬき、時効をかちとった同志を、「真犯人」と決めつけて報道するとは、一体なにごとか。しかも、「建造物侵入」事件の報道の体裁をとりながら、それとはなんの関係もない、1974年の対カクマル戦闘のことをことさら印象づける報道を行ったのである。絶対に許されない。革共同は、直ちに東京新聞などに強く抗議した。
今回の弾圧を、革共同は満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾し、A同志の即時釈放を要求する。
戦時下の言論弾圧を許すな
A同志の不当逮捕と反動的キャンペーンは、第一に、高揚するイラク反戦闘争に対する、日帝権力の恐怖と危機感に満ちた政治弾圧そのものである。
米英帝のイラク侵略戦争と、これへの日帝の全面支持・参戦は、絶対に許されない不正義そのものである。だからこそ全世界、全日本で人民の怒りが爆発している。杉並でも区民によるイラク写真展や反戦集会、反戦デモが連日のように闘われてきた。
「イラク戦争反対」は圧倒的多数の人民の声であり、それを訴えるビラの配布がどうして「故なく侵入」に該当し、刑事弾圧の対象にされなければならないのか! これはまさに、人民の反戦闘争を恐れる国家権力による言論弾圧である。反戦闘争の先頭で闘う「都政を革新する会」、およびそれを支持して闘う区民、労働者人民を狙い撃ちにした、違憲・違法の政治的弾圧である。
「戦争反対」の声を国家暴力で圧殺することは、戦前の暗黒時代への道である。絶対に許されない。
第二に、4月統一地方選―杉並区議選を前にした「都政を革新する会」と3人の立候補予定者に対する選挙妨害そのものである。この間、「都政を革新する会」は、けしば誠一前区議、新城せつこ区議、北島邦彦事務局長の3人を押し立てて、真に労働者人民の立場に立った区議団の誕生に向け奮闘してきた。イラク侵略戦争に対しても、杉並区民の最先頭で闘ってきた。そして、4月27日投票の杉並区議選での全員当選をめざして全力で闘っている。今回の弾圧はこの闘いに対する、日帝国家権力の許し難い政治弾圧である。
不当な弾圧に対して、労働者人民、杉並区民の怒りと弾劾の声が広がっている。怒りをバネに、イラク反戦・有事立法阻止闘争の一層の大爆発をかちとろう。4月統一地方選―杉並区議選に勝利しよう。警視庁は無実のA同志を直ちに釈放しろ!
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週刊『前進』(2096号6面2)
3・23東京 「共謀罪」阻止に立つ 4〜5月国会闘争へ熱気
3月23日、破防法・組対法に反対する共同行動は東京で、戦争と治安弾圧に反対する街宣と集会を行った。
午後2時半から、休日の人出でにぎわう池袋駅、中野駅、上野駅、有楽町マリオン前で「米英軍のイラク侵略戦争弾劾、戦争に向けた恐るべき治安立法である共謀罪の新設阻止」を呼びかけるビラまきを行った。とりわけ有楽町マリオン前の街宣は、右翼の宣伝車や「北朝鮮による拉致被害者への支援」運動などの排外主義的宣伝が行われている中に登場し、イラク反戦を訴える闘いの場となった。
夕方から、西早稲田の日本キリスト教会館で「国際的(越境)組織犯罪条約批准阻止、共謀罪新設を許すな! イラク戦争・有事立法反対、戦争と治安・管理に反対する総決起集会」が行われた。会場は100人を超える参加者でいっぱいとなり、闘う決意と熱気にあふれた。
共謀罪の新設を全力で阻止しようという主催者の基調報告に続いて、足立昌勝さん(関東学院大学教授)が「共謀罪新設―罪と罰の転換が狙うもの」と題して講演した。
足立さんは、条約批准を名目に共謀罪の新設を推進する法務省と、法務省案にはイエスマンとなりながら日弁連の対案を批判する法制審の学者たちを弾劾した。その上で、共謀罪は、罪刑法定主義を破壊し前段階的行為(話し合いや相談)での犯罪化を推進することにより思想・表現・結社の自由を侵害する悪法であることを暴露した。
次に諸戦線からのアピールが行われ、立川テント村、保安処分反対を闘う仲間、戦争と治安管理に反対するPINCH!などが発言した。アピールの最後に発言した憲法と人権の日弁連をめざす会の長谷川直彦弁護士は、小泉政権による裁判の「簡易、迅速、重罪化」の推進を弾劾し、新たな治安立法としての共謀罪と司法改革攻撃の核心である「裁判員」制度を許さない決意を表明した。
続いて、反弾圧闘争の現場からの報告が行われた。国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会、01年9・21法政大不当弾圧と闘う学生、洋書センター刑事弾圧の被告らが発言した。
許さない会の国労組合員は、8人の仲間にかけられた前代未聞の労働運動弾圧を許さない決意を表明し、支援を訴えた。
最後に主催者から、闘いの方針として@共謀罪反対の国際共同署名運動の推進、A全国各地での集会や学習会の開催、B4月中旬の国会前座り込みと5月全国集会・デモ、C反戦を闘う仲間との共闘の強化が提案された。
治安弾圧強化の攻撃は、日帝の侵略戦争政策として労働者人民にかけられている。今こそ反治安弾圧の闘いに立ち上がろう。
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週刊『前進』(2096号6面3)
相模原 西村市議が事務所開き “基地の街から政治変える”
3月22日、4月統一地方選挙で3選勝利をめざす西村あやこ相模原市議会議員の「事務所びらき」が行われた。アメリカによるイラク攻撃開始という緊迫した中、老若男女70人が応援に駆けつけた。
「2期8年の実績は文字どおり反戦派議員の歩みだった」「戦争の時代になって、あやこさんが主張しやってきたことに確信をもった」「介護保険に反対する議員はあやこさんしかいない。小泉首相はイラク戦争に賛成だというが、破壊しておいて戦後復興にお金を出すとはなにごとか」
熱い思いが寄せられた。
「こんな時代だからこそあやこさんが必要だ」「3期目の厳しさを見すえれば今度こそ大決戦だ」と必勝を誓ってジュースで乾杯。
ただちに西村議員を先頭に「イラク戦争反対」「戦争ではなく福祉・教育・雇用を」と商店街に呼びかけて歩き、小田急相模原駅前での街頭宣伝を行った。
西村さんは訴えた。「イラクの子どもたちの上に爆弾が落とされています。一刻も早くとめなければならない。基地の街・相模原から戦争反対の行動を起こし今の政治を変えましょう」
開戦情勢下、西村議員はいち早く19、20日朝夕、21日朝、婦人民主クラブ全国協や労働者・市民とともに米軍相模総合補給廠(しょう)への抗議闘争や相模大野駅前での街宣に立った。
今度の選挙は戦争反対の意思表示をするチャンスだ。全力で闘おう。
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週刊『前進』(2096号6面4)
「支援費」の4月実施弾劾 「障害者」福祉解体許すな
「権利としての福祉」を奪う
4月1日からの支援費制度の施行を弾劾する。支援費制度は、これまで措置制度という公的保障制度によって行われてきた「障害者」のホームヘルプなどの介助制度に介護保険のような契約制度を導入するものである。私たち関東「障害者」解放委員会は、これにあくまで反対する立場を表明したい。
支援費制度に反対するのは、第一に措置制度の解体による福祉切り捨てに最大の目的があるからである。
措置制度は「障害者」だけでなく生活保護の支給、児童、高齢者、母子家庭などに都道府県知事・市町村長が措置権の行使によって福祉サービスを供給する制度として戦後日本の社会福祉制度の柱をなしてきた。これが重要なのは、憲法25条の生存権に基づく人民の生きる権利の保障を「国の責任」と定めた公的保障制度だからである。「障害者」にとってかけがえのない「権利としての福祉」なのだ。
日帝は「社会福祉の基礎構造改革」のもとで措置費をはじめとした福祉予算を大幅に削減し、かわりに福祉分野を民間企業などが参入する市場として開放する戦後社会福祉制度の解体政策を進めてきた。高齢者には介護保険が導入され、措置制度が契約制度に転換された。今回の支援費制度の導入によって「障害者」の介助制度でも同じ転換をはかり、さらには2年後に支援費制度を介護保険制度に移行させようとしている。私たちは措置制度の廃止にあくまで反対する。
そのうえで措置制度を語る場合、もうひとつの問題がある。措置制度は「障害者」にとっては生存権を保障する公的制度であったと同時に、すべての決定権を行政が握り、施設への強制収容を推進する役割も果たしてきた。日帝の「障害者」政策が隔離を基本とし「重度障害者」の地域自立生活を否定していた中で、措置制度が「保障」したのは隔離施設の中での非人間的な生存でしかなかった。しかし隔離政策をうち破ってきり開かれてきた70年以降の地域自立生活運動は、措置制度を日帝の隔離政策を推進する制度から「障害者」の地域自立生活を支える制度へと改革する大きな一歩をかちとった。地域自立生活の介助制度が「改革された措置制度」としてつくりだされてきた。
しかしこうした流れに対する大逆流が90年以降の日帝・厚労省の「施設から地域へ」の政策転換をもって始まった。「障害者」のものであった「施設から地域へ」という要求を逆手にとって、実際には70年以降かちとられてきた地域自立生活はもちろん、措置制度そのものを解体することによって抜本的な福祉切り捨てをはかろうとする攻撃だった。これが支援費制度の導入である。なんとしても白紙撤回をかちとろう。
介助を商品化する契約制度
第二には、契約制度は、本質的に「障害者」、特に「重度障害者」の利害と相入れないからである。厚労省は支援費制度導入にあたって「障害者が事業者を選択できる」と言ってきた。しかし民間業者はあくまでもうけが目的であり、採算性に合わないと「重度障害者」を拒否する可能性がある。現実には「障害者」の方が事業者に逆選択される制度なのである。
また「障害者」が自分で確保した介助者による自薦介助体制の場合も、契約制度によって導入される資格制度のために新たな介助者の獲得が困難になる。契約制度では介助が商品化され、その価値を保障するものとしてヘルパー資格が義務づけられる。実際には慣れた介助を必要とする「障害者」の介助では、資格は何の役にもたたない。反対に介助のできる介助者でも資格がないと介助できなくなり、自薦介助体制が維持できなくなる恐れがある。
もともと大半の「障害者」は労働からも排除されており、介助サービスの購買力がもてるような経済的条件がない。介護保険でも、制度の枠内で提供する介助サービスを低くおさえ、不足分を高齢者が自費で購入することを見込んで介護市場の創出がめざされてきた。しかしほとんどの高齢者にはそんな余裕はなく、不足分はおろか介護保険部分さえ利用を控えざるえない現状である。在宅サービスの利用は伸びず、施設の需要だけが増える結果になっている。「障害者」の場合、所得保障とうたわれた障害基礎年金も額は低く、それも支援費制度のために「障害者」の手元から消えてしまう。自費で不足分の介助サービスを購入することなどおよそ不可能だ。
厚労省は「措置制度には権利性がなく契約制度のもとでこそ権利性がうまれる」とキャンペーンしてきた。しかし支援費制度における「権利性、選択性」とは、あくまで事業者と利用者の契約関係の枠内のことであり、言い換えれば、その結果どのような事態にいたっても契約をした当事者の「自己責任」であり、国や地方自治体は措置制度の時のような公的責任を負わないという制度にほかならない。
この公的責任の放棄が、第三の反対理由である。今年1月支援費制度のホームヘルプの支給量を介護保険なみに低くおさえる「上限枠」が設定された。1〜2年後にはホームヘルプが1日最高でも4時間に制限される。それも「全身性障害者」だけで、その他の「障害者」はもっと少ない。これでは、24時間介助が必要でそれに近い介助保障をかちとってきた「重度障害者」も地域で生きてゆけず施設に逆戻りさせられてしまう。これから自立をめざす人も不可能になる。国はこうした切り下げをしておきながら、市町村が国庫補助金と関係なく独自財源でホームヘルプを支給するのには上限をもうけないなどと無責任な発言をしている。許すことのできない国の責任放棄だ。「利用者本位」「自由な選択」を掲げながら実際には公的責任を放棄する支援費制度の本質がここによく表れている。
施行から2年たった介護保険制度のもとでは高齢者の孤独死や無理心中事件が後をたたない。しかし国は一切責任をとらない。支援費制度は憲法違反だ。
反戦と結合し白紙撤回へ
第四は、尊厳死−安楽死攻撃の激化に道を開くからである。介護保険制度のもとでうみだされている高齢者の「生きてゆけない」現実を前提に、ついに「奥田ビジョン」では尊厳死の法制化を主張している。支援費制度−介護保険制度は「障害者」や高齢者を「価値なき命」として抹殺する攻撃に激化を必然的にうみだす。廃止あるのみだ。
第五は、「知的障害者」への保障に「身体障害者」と比較しても差別的な差をつけているからである。イラク−北朝鮮侵略戦争の攻撃と福祉切り捨て攻撃は一体だ。反戦闘争と結合して支援費制度施行を弾劾し、白紙撤回にむけて闘おう。
(関東「障害者」解放委員会)
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週刊『前進』(2096号6面5)
北朝鮮・中国への侵略戦争法 有事立法
4月有事法闘争の武器に
有事立法決戦のための決定的武器が刊行された。4月強行採決を絶対に阻止するために闘うすべての人びとの活用を訴える。
世間に類書は数多く出回っているが、有事立法の反動的本質を階級的にえぐったものは見あたらない。その中で本書は、有事立法の本質が北朝鮮・中国に対する日本帝国主義自身の侵略戦争の遂行にあるという核心を喝破している。
本書は、@総論、A逐条批判に加えB法案全文資料を収録し、条文と資料をじっくり読み比べることができるようになっている。
首相へ独裁的権限を集中
第T部は、有事立法の背景と狙いを今日の日本帝国主義の危機と開始されたイラク侵略戦争との関係で全面的に暴露している。
第U部逐条批判は、関連法案を条文に沿って具体的に批判している。
1、武力攻撃事態法案
有事関連法全体の精神と基本骨格を規定する法案であると指摘し、憲法の平和条項を理念のうえで否定していると批判している。
第一章(法案の第一〜八条を対象)では、第一〜三条で「武力攻撃事態」という侵略出兵のための新概念を定義したことを指摘し、「武力攻撃が予測される」事態といういくらでも拡大解釈が可能な先制攻撃の論理を導入したことと「対処措置」と称する武力の行使=交戦を明記したことを批判している。第四〜八条については、総動員規定についての国と地方自治体、公共団体の関係を定めたものとして批判している。
第二章(同九〜二〇条)では、法案の「手続き等」が有事法体系全体の核心に位置することを暴露し、その問題点を指摘している。
第一の問題点は、防衛出動についてである。従来の自衛隊法では、防衛出動規定に関して第七六条第1項において、国会承認の後に一部または全部を出動させるとされていた。ところが法案では、防衛出動の国会承認規定がペテン的に解体されている。
本書は、この点を暴露する内容を3つ挙げている。
@国会承認は出動の前と後の2つの場合があるとして、まず出動ありきとなっていること。
A「国会承認」規定そのものにかんし、改悪自衛隊法第七六条と武力攻撃事態法第九条が相互に規定し合うとなっていて、実際には何も規定していないこと。
B防衛出動の意味が狭い意味での直接の出動に実際上ねじ曲げられており、陣地構築など以前ならば防衛出動とされ国会承認が必要であった事項の多くが必要でなくなったこと。
第二の問題点は、首相への独裁的な権限の集中である。国会の権能が限りなくないがしろにされ、代わりに内閣の権限が圧倒的に巨大になっている。第一〇〜二〇条の「対策本部の設置」は、内閣総理大臣に戦争指導を行う最高司令部としての全権限、かつての天皇大権に匹敵する戦争大権を付与するものと批判している。
第三章(同第二一〜二三条)は、国家総動員に関する批判である。「国民保護法制」の本質は、戦争によって生じる個人の権利侵害に一見こたえるかのような装いをとりつつ、逆に総動員の水路とすることにあると暴露されている。
安全保障会議が戦争を発動
2、安全保障会議設置法改正案
法案の狙いについて次のように指摘している。
@従来の安全保障会議とは位置付けが一変し、平時における審議機関ではなく戦争指導の最高会議に作り替えられる。法の成立時から日米新安保ガイドラインにもとづいて戦争計画が推進される。
A戦争発動の実際は、国会はおろか内閣ですらなく、首相を議長とし最高指導者とする安全保障会議がおこなうことになる。
B首相は自ら諮問し、答申し、決定し、実施に移すという独裁的権限をもつ。
3、自衛隊法改正案
法案の特徴は、武力攻撃事態の宣言を受けた自衛隊が現実に出動するにあたって各種権限を新たに付与されることにあることを指摘している。
国会承認なしで自衛隊出動
さらに今回の改悪内容を次のように暴露している。
@先に述べた武力攻撃事態法第九条と関連して、自衛隊法第七六条第一項で防衛出動の前提要件であった国会承認が追加(追認)事項に格下げないし変質している。
A自衛隊法第一〇三条(防衛出動時における物資の収用等)の権限を、これまでの制約を突破し強制徴用・強制徴発・業務従事命令について諸規定を定め圧倒的に拡充している。
そして従来との決定的な違いとして、第一二四条、一二五条、一二六条の罰則規定の新設を挙げている。
これとならんで自衛隊法第九二条の二(自衛隊の緊急通行)を新設、また第百一六条を第百一五条の三とし、第一一五条の四〜二一が新設され、各種規制法令の適用が除外される点を指摘し、自衛隊は国中のいたるところで自由に活動し陣地を設けることができることになると批判している。
B防衛出動規定の実質上前倒しである。
自衛隊法七七条の二の新設によって、「防衛出動が予測されるにいたった」段階で従来の「防衛出動待機命令」にとどまらず「展開予定地域」で「防御陣地」構築をおこなえること。そのために同法第九二条の三で武器使用を行えるとしたことを指摘し、これは完全な防衛出動にあたると批判している。さらに「防衛出動の予測」が「武力攻撃事態の予測」と意図的に重ね合わされることにより、より早く防衛出動が可能となることも批判している。
4、個人情報保護法案
法案の本質は、有事立法第四法案であることが指摘されている。法案の狙いは、個人情報保護に名をかりた憲法第二一条に規定された言論・出版・表現の自由への真っ向からの挑戦であり、個々人からマスメディアまで一切の言論・表現活動への国家管理・国家統制の攻撃であり、国家機密保護法へと道を開くものであると暴露されている。
以上、本書で明らかにされた4法案の内容と問題点を紹介した。
さらに本書は、法案の検討にあたって実際の侵略戦争発動をリアルに想定し暴露することの必要性を強調している。有事立法は、米軍の行動が即相手側のリアクションを引き起こすことから、実際上、周辺事態法の発動と一体の形で発動されるからである。
待ったなしの決戦情勢の到来である。本書を武器に戦後最大の政治決戦に勝利しよう。
(前進社刊/本体1000円)
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週刊『前進』(2096号6面6)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
4月22日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
5月14日(水)午後1時30分
※いずれも東京地裁
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