ZENSHIN 2002/04/22(No2050 p06)

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週刊『前進』(2050号1面1)

米帝・イスラエルの大虐殺を許すな パレスチナ人民蜂起に連帯を
有事立法3法案を粉砕せよ 陸・海・空・港湾労働者とともに小泉政権打倒・戦争国家化阻め
 4・18三里塚「暫定」開港阻止へ 

 全国の闘う労働者・学生・人民のみなさん。日本帝国主義・小泉政権は、いよいよ16日にも有事立法3法案を閣議決定し、国会に提出しようとしている。侵略戦争のための戦争国家づくりとしてかけられているこの歴史的大攻撃に対して、すべての労働者人民が総決起する時がついにやってきたのだ。4・28―5・26闘争を頂点とする反戦共同行動委員会の行動と大衆的な大署名運動を両輪に、4―6月有事立法粉砕決戦に死力を尽くして立ち上がろう。米帝の後ろ盾のもと、イスラエル・シャロンがやっている残虐非道な大殺戮(さつりく)戦争に対して、パレスチナ人民は50数年の闘いのすべてをかけて蜂起している。この闘いになんとしてもこたえて、日本のパレスチナ反戦闘争と有事立法粉砕決戦を一つに結合して爆発させなければならない。4・14三里塚全国総決起闘争に続き、暫定滑走路開港粉砕へ4・17―18現地決戦に決起しよう。沖縄5・15(19)「復帰30年」闘争を、名護新基地建設阻止の闘いとしてかちとろう。

 第1章 虐殺と破壊の暴挙座視していいのか

 米帝・イスラエルのパレスチナ侵略戦争とパレスチナ人民の解放闘争との非和解的な激突は、今や歴史的な決定的段階を迎えた。イスラエル侵略軍は、ヨルダン川西岸のパレスチナ全自治区に対する攻撃を連日すさまじい勢いで繰り返している。戦車、ブルドーザーで、砲爆撃で家々を破壊し、電気、水道を止め「動くものすべて」を標的に撃ちまくっている。ジェニンだけでこの2週間に500人以上も虐殺されている。
 人びとは一歩外に出れば撃ち殺されるので、殺された家族を収容することも埋葬することもできないという、耐えがたい状況に置かれている。ラマラで、ジェニンで、ナブルスで、自治区をすべて破壊し尽くし、焼き尽くし、殺し尽くして「テロの根を一掃する」と称してパレスチナ全面抹殺の攻撃を加えているのだ。海外の報道陣は銃で追い立てられ、誰も見ていないところで残虐な攻撃が行われている。全自治区は今や巨大な監獄であると同時に殺戮場となっている。イスラエルにとって「テロの根絶」とはパレスチナ人民に対する民族皆殺しの侵略戦争以外の何ものでもない。
 この侵略者の言語に絶する虐殺戦争が今この時、この地上で、パレスチナの地で展開されているのだ。占領と破壊、じゅうりんのもとにあるパレスチナ人民の流血と苦難、怒りと憎しみを想像せよ。自らの命を投げ出し解放をめざして闘うパレスチナ人民に、われわれは彼らに連帯するためだったらどんなことでもやろうという決意をかきたてられる。この極限的闘いは、帝国主義の侵略戦争反対の闘いを促す糾弾であり、われわれの心に突き刺さってくるものである。
 3月29日にエルサレムで自爆決起した18歳の高校生、アヤート・アクラスさんは、死の前日に撮ったビデオで訴えている。「アラブの指導者たちに告ぐ。目を覚ませ。任務を全うせよ。パレスチナの少女たちが戦っているのをただ座視しているアラブ諸国の兵士たち、恥を知れ!」(ニューズウィーク4・17)と。「自らの血と肉で抗議の意志を示した」激烈・深刻なメッセージである。
 アラブの人民へのこのメッセージは、それ以上に帝国主義のもとにある労働者人民に対する激しい糾弾だ。米帝と一緒になってパレスチナ人民を抑圧している日帝のもとにある人民として、われわれは今の事態を座視していていいのか、ということを突き付けられている。
 一昨年9月以来すでに50人ものパレスチナ戦士が、倒れても倒れても次々と自爆決起に立ち上がり、イスラエル軍の激烈な報復攻撃にもひるむことなく闘いぬいている。このことが米帝とイスラエル政府を恐怖の底にたたき込んでいる。シャロンは、「イスラエルの生存をかけて闘う」と言い、今の事態がシオニスト国家の存亡の危機であることを自認している。
 パレスチナの闘いは、イスラエルのユダヤ人民の中に大きな亀裂と動揺をもたらし、パレスチナと連帯した反戦闘争、兵役を拒否する運動を陸続と生み出している。まさにパレスチナ人民と連帯して全世界で帝国主義打倒に立ち上がることの中に、世界革命の道があるのだ。
 ラバト(モロッコ)での数十万人のデモを始め、ベイルート(レバノン)、カラチ(パキスタン)、アンカラ(トルコ)、カイロ(エジプト)、アレクサンドリア(同)、ドーハ(カタール)などイスラム諸国で数千、数万の大衆的なデモが起こっている。ヨーロッパ各国やアメリカでも闘われている。
 日本でも多くの労働者人民が毎日のニュースにくぎづけになり、価値観と人生観を揺さぶられ、闘いの呼び掛けを待っている。この怒りをパレスチナ反戦と有事立法粉砕闘争に結びつけて闘おう。
 有事立法を許すことは、日帝のパレスチナ・アフガニスタン侵略戦争への加担を無制限に遂行させることであり、われわれ日本人民があの虐殺に加担し、再び第2次世界大戦のような帝国主義戦争に動員されることになるのだ。

 第2章 「有事」を拡大する「武力攻撃事態法」

 8日、政府は与党に対して有事立法3法案の要綱案を提示した。3法案とは、@包括法としての「武力攻撃事態におけるわが国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」(武力攻撃事態法案)と、A「自衛隊法等改正案」、B「安全保障会議設置法改正案」である。
 今国会での有事立法策動の全容がほぼ明らかになってきた。小泉は、与党間で最後の詰めを行って、16日にも閣議決定し国会提出しようとしている。そして会期を大幅に延長して(8月9日まで50日間延長が策動されている)何がなんでも今国会中に成立させる腹である。また、3法案の成立を突破口に今後、米軍有事法を始めとする個別有事立法を次々につくろうとしている。事態は、容易ならない局面に突入したのだ。
 ここでは3点について強調したい。
 第一に、有事立法攻撃とは、米帝のQDR―ブッシュ一般教書による「対テロ戦争」=世界戦争路線に必死に対応した日帝自身の「対テロ戦争」宣言だということが明らかになったということだ。日帝は米帝にくらいつき、朝鮮・中国侵略戦争にも、アフガニスタン・イラク・中東侵略戦争にも全力で参戦していくことに踏み切り、そのためには集団的自衛権の行使であろうと、武力行使=交戦権発動であろうと、構わずやってのける、そうした帝国主義国家=戦争国家に変わろうとしているのだ。
 「武力攻撃事態」の定義として、「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態又は事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるにいたった事態」が挙げられていることは決定的に重要だ。「おそれのある場合」「予測されるにいたった事態」も含めるとは、「有事」概念を無限に拡大することである。
 しかもこの「武力攻撃事態」について、中谷防衛庁長官は3日、「当然、周辺事態のケースは、この一つ」だと国会答弁している。この発言は有事立法が侵略戦争のためのものであることを示す重大発言だ。米帝が対北朝鮮・対中国・対イラクの侵略戦争を一定の時機に発動することは確実だ。その時、日帝は周辺事態法やテロ対策特措法にのっとって後方支援=参戦、沖縄など日本全土が侵略出撃拠点となる、それによって必ず日本本土が反撃されることを想定しているのである。これは憲法を完全に踏み外して集団的自衛権行使に踏み込むことである。
 実は、侵略戦争参戦とそれへの相手側の必死の反撃を想定して、有事立法がたくらまれていることは、1963年の「三矢研究」以来、日帝の有事研究が必ず踏まえてきたものである。
 第二に、有事=戦時の名で、かつての明治憲法下の天皇大権とりわけ非常大権を復活させる〈非常事態(宣言)法〉だということである。首相を本部長とし、直属の安全保障会議および専門家組織を実質的=形式的な最高戦争指導部とし、そしてすべての大臣を本部員とする「武力攻撃事態対策本部」を設置するというのだ。自衛隊の武力行使、米軍への物品、施設、役務の提供を行い、国民の自由と権利を制限することを公然とうたっている。国家総動員法だ。
 首相独裁の非常事態宣言のもとで、真っ先に在日・滞日の朝鮮人・中国人に対して「敵性国民」扱いによる迫害・弾圧攻撃が策動される。自民党の内部では朝鮮総連への破防法発動が叫ばれている。絶対に許してはならない。
 また、自衛隊に完全に軍隊としての実質、権限を持たせるものとなる。自衛隊法改悪では、防衛出動時に、自衛隊の任務の遂行に妨げになる時は「土地の使用」や「立ち木の処分」や「家屋の形状変更」ができるものとし、これを「拒み、妨げ、忌避する」ものを罰金に処すという罰則規定までついている。
 そのような有事立法のもとでは、沖縄の反基地闘争は「非国民」とされ、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線による新基地建設が有無を言わせず強引に強行される。だがそれは第2の沖縄戦の道そのものではないか。断じて許してはならない。
 第三に、小泉が言う「テロも不審船も拉致問題も(有事だ)」という言動の重大性である。北朝鮮に対する排外主義の扇動を有事立法攻撃のてこにしているのだ。
 「北朝鮮の脅威」の排外主義宣伝を怒りをもって粉砕しよう。そもそも日本は圧倒的な国力を持つ帝国主義国なのだ。アメリカ帝国主義と日本帝国主義という世界第1と第2の大国が、10万人の米軍を東アジアに配置して、残存スターリン主義である中国と北朝鮮に軍事重圧を加えているのだ。その恐るべき脅威を考えてみよ。GDP(国内総生産)を比べれば、日本は北朝鮮の150〜200倍である。米帝は日本の倍以上、世界の30%を占める。軍事費は日本が北朝鮮の16〜19倍である。米はさらにその7〜10倍である。「北朝鮮の核疑惑」などと言うが、それを言う米帝はいったいどれほど巨大で多数の核弾頭、核ミサイルを独占的に持っているというのか。比べる対象でさえない圧倒的な差があるのだ。
 この日米帝の存在とその軍事力が、東アジアに戦争の危機を高めている元凶である。その逆ではない。
 「不審船」と大騒ぎするが、12・22のあの外国の小型船が何か攻撃を仕掛けてきたというのか。実態は、日本の領海の外を航行していて、海上保安庁の銃撃を受け、撃沈されたのだ。15人もの乗組員を殺されたのは、漁船に近い小型船の方だ。どちらが加害者で、どちらが被害者かは歴然としている。何が「テロの脅威」か! まったく本末転倒した話なのだ。
 「拉致」問題も同断である。北朝鮮のスターリン主義政権が、米・日帝国主義に包囲され、危機を深めているという問題なのだ。
 日帝による朝鮮人強制連行の歴史、日本軍軍隊慰安婦政策は何万倍、何十万倍もの「拉致事件」であり、この責任を認めず、謝罪も賠償も拒否して逃げ回っている日本政府の対応こそがまず徹底的に問題にされなければならない。それを開き直る日本政府には、北朝鮮の問題に介入する資格も権利もないのだ。
 歴史的にも、日本が「明治」以来アジアの国から攻撃されたことが一度でもあったか。常に侵略したのは日本であり、ついには2千万人ものアジア人民を虐殺したのも日本ではないか。その日本帝国主義が、「北朝鮮の脅威」などと言うのは、まさに盗人たけだけしいのだ。帝国主義こそ戦争の原因、元凶なのだ。
 全学連を先頭とする反戦共同行動委員会の戦闘的大衆運動の爆発、国会前でのさまざまな闘い、百万人決起の大署名運動など、あらゆる方法、あらゆる勢力の結集で有事立法粉砕の一大運動を巻き起こさなければならない。陸・海・空・港湾労働者のすさまじい危機感をもった決起とともに闘おう。巨大な反戦闘争をつくりだし必ず粉砕しよう。

 第3章 安保50年、「復帰」30年の沖縄闘争を

 当面する闘いについて提起したい。
 4・14三里塚全国総決起闘争に続いて、目前の4・18暫定滑走路開港を断固阻止するために4・17―18現地闘争を闘いぬこう。
 日帝の攻撃は三里塚反対同盟を始め敷地内農民の闘いによって完全に破産し、使いものにならない欠陥空港を強いられているが、それゆえに最も凶暴な反人民的な攻撃となっている。農家の頭上40bを飛ばす、あるいは農家のすぐそばでジェット機を自走させる、そのことで立ち退きを迫るというヤクザのような国家的地上げ行為を強行しているのだ。そのためだけの開港強行だ。絶対に許すな!
 反対同盟の36年間の不屈の闘いはここまで非妥協的に貫かれ、日帝・空港公団を破産に追い込んできた。革共同もこの三里塚とともに闘うことでここまで前進してきたのだ。革命軍の三里塚ゲリラ戦に恐怖する日帝は、4月9日、前進社への不当捜索の暴挙を行った。この予防弾圧を弾劾し打ち破って決起しよう。
 4・21沖縄市長選での桑江テル子氏の絶対勝利をかちとろう。カンパ、檄文をどんどん寄せよう。沖縄市在住の知人、友人に電話、手紙で支持を訴えよう。
 4・28闘争を、有事立法粉砕闘争として全国で大爆発をかちとろう。4・28は、1952年のサンフランシスコ平和条約(単独講和)と日米安保条約(旧安保)の発効から50年の闘いである。サンフランシスコ条約で日本の独立の代償に沖縄をアメリカの軍政下(分離軍事支配)に売り渡し、同時に安保条約を結んで戦後日帝の安保・防衛政策の出発点としたのだ。
 今日、日帝は米帝との帝国主義間矛盾を深め、米帝の世界戦争路線に必死で対応して延命しようとしている。米帝の中国・朝鮮侵略戦争に争闘戦的生き残りをかけて共同的=競合的参戦を果たそうとしている。有事立法攻撃は、日帝の改憲に向かっての総決算的攻撃としてかけられているのだ。安保50年を、安保粉砕・日帝打倒の新たな闘いとしてかちとらなければならない。
 また、沖縄は、米軍政支配27年の後、1972年5・15「返還」で基地の島として固定化され、差別的に日米安保の犠牲を強要されてきた。日帝はSACO路線のもと、新たな基地建設を押しつけるために、5月19日に小泉を始め三権の長が参加して政府・沖縄県共催の復帰30年式典を行おうとしている。基地重圧を押しつけ、有事立法で再び沖縄戦の道に引きずり込もうとする攻撃なのだ。絶対許せない。5・19現地闘争に立ち上がろう。
 5・19泉佐野市議選で、国賀祥司市議の5選をかちとろう。
 長期獄中同志奪還の闘いは、重大な情勢を迎えている。獄中同志と連帯した獄外での政治犯奪還の大衆闘争の爆発が一切を決定する情勢が煮詰まってきた。党の全力の決起を4―6月の中で爆発させよう。
 動労千葉の壮絶な歴史的ストライキと3・30春闘総行動の画期的な地平を引き継ぎ、うち固め、帝国主義を打倒する労働運動を一層戦略的に推進しよう。労働者階級の底の底からの総決起をもって有事立法を小泉政権もろとも吹き飛ばせ。有事立法阻止の戦後最大の政治決戦に総決起しよう。
 4―6月有事立法決戦のただ中で、財政決戦、機関紙拡大、党勢倍増の闘いをやりぬこう。

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週刊『前進』(2050号1面2)

イスラエル大使館に抗議 パレスチナ虐殺直ちにやめろ!
 広島ではデモ街宣

 4月5日、全学連は米帝−イスラエルによるパレスチナ自治政府議長府への破壊・突入、自治区への全面軍事侵攻、連日くり返されるパレスチナ人民虐殺を徹底弾劾し、全占領地からの完全撤退を要求して、イスラエル大使館に対する抗議闘争に決起した。
 午前9時、イスラエル大使館前に登場した全学連の白ヘル部隊は、すぐさま怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。あわてた警備の機動隊が問答無用で排除にかかる。大使館は「抗議文などまったく受け付けていない」という許しがたい対応だ。全学連はパレスチナ人民との連帯をかけて抗議文をたたきつけ、機動隊とぶつかり合いながら抗議行動をやり抜いた。
 パレスチナ人民の、米帝−イスラエルによる中東支配−世界支配との命をかけた闘いは、われわれ帝国主義足下の人民に帝国主義の側に立つのか、パレスチナ人民と連帯して帝国主義を打倒するのか、二つに一つを突きつけているのだ。
 パレスチナ人民と命がけで連帯し、ストライキに決起した動労千葉・動労総連合など闘う労働者とともに帝国主義を打倒しよう。中国・朝鮮侵略戦争のための有事立法を4・28−5・26闘争の大爆発で粉砕しよう。
     ◇
 7日、広島反戦共同行動委員会は、パレスチナ連帯緊急闘争に決起した。午後4時半、原爆ドーム前に集まった労働者・学生は、「パレスチナ人民と連帯し、ヒロシマから反戦のうねりを!」「有事立法―改憲阻止! 戦争と大失業の小泉政権打倒」と書かれたのぼりを掲げ、次々とマイクを握り、広島の繁華街へのデモ行進に打って出た。
 アーケードの各所で立ち止まり、スポット演説とビラまきを繰り返しながらのデモ行進だ。至る所で討論の輪が広がった。「パレスチナ民衆の訴えに真剣に耳を傾け、『テロ根絶』と称した帝国主義の侵略戦争をやめさせる行動に決起しよう」と熱烈に訴えた。
 デモ隊は、繁華街の中心、アリスガーデンに到着し、多数の若者とともにシュプレヒコールを上げて行動を締めくくった。
 中四国の各地でも、この日、一斉にパレスチナ連帯行動が取り組まれた。

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週刊『前進』(2050号2面1)

闘争団支援の陣形広げよう
生活援助資金の支給停止強行した国労本部打倒を チャレンジ・革同を引き下ろせ

 国労闘争団は、4党合意以来の国鉄闘争解体策動との幾たびもの激突を経て、ついに1047人闘争を支えぬく新たな支援組織の立ち上げに踏み出した。この闘いは、権力・資本とそれに屈した国労本部の、卑劣きわまる闘争団圧殺攻撃を根底において打ち破るものである。さらにそれは、労働運動全体のさらなる再編と流動を巨大な規模で促している。小泉政権が有事立法の国会提出に全力を挙げ、これに対して労働者階級がいかに反撃するかが鋭く問われている中で、国鉄闘争は、労働者の闘いと団結を守り抜く拠点としての位置を今一度鮮明にさせた。今こそ、闘争団・1047人闘争を支え抜く巨万の支援陣形を築き上げよう。闘争団への生活援助資金の支給停止という国労本部の大暴挙を許さず、チャレンジと反動革同の本部執行部を引き下ろし、国労の階級的再生をかちとろう。

 1047人闘争の新たな決戦段階へ

 闘争団・1047人闘争を支える新たな支援組織の結成は、国鉄闘争を新たな決戦局面に押し上げるものとなる。
 資本は今春闘ですさまじい賃下げに踏み込み、小泉政権は有事立法攻撃に全力で乗り出している。権力・資本は国労本部を手先に仕立てて、国鉄闘争破壊の攻撃をあらためて激化させている。
 だが、闘争団は、こうした反動のあらしに立ち向かい、勝利に向けてあくなき闘いを貫くことを決断した。資本攻勢と有事立法・改憲−戦争の攻撃に対する憤激と危機感が膨大な労働者をとらえている中で、国鉄闘争は闘いの旗を敢然と掲げて、再び全労働者の前に打って出た。闘争団は、国家の総力を挙げた不当労働行為と闘い抜き、4党合意以来の国労本部の裏切りとの激闘の中で打ち鍛えられた精鋭部隊として登場した。この事態は、労働運動と階級闘争を激しい分岐と再編のるつぼにたたき込むものとなるに違いない。
 米帝とそれに支えられたイスラエル・シャロン政権がパレスチナ人民の大量虐殺に手を染めている中で、これを弾劾する労働者人民の反戦決起が全世界で巻き起こっている。これにこたえる日本の労働者階級の闘いが問われている。陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とした、有事立法阻止の労働者隊列が形成されつつある。そして、連合支配下に置かれた多くの労働者は、その制動と抑圧を打ち破る、壮大な反乱の突破口を探り当てるための苦闘を続けている。
 そこに、労働運動の原点中の原点をなす解雇撤回の旗を掲げた国鉄闘争が、闘いの軸心として再び打ち立てられたのだ。形成された新たな国鉄闘争支援陣形を不抜のものに打ち固め、国際的内乱の時代に日本の労働者階級も今こそ躍り出なければならない。

 闘争団の生きる糧を奪う極悪の所業

 新たな支援組織の形成へと歩を進めた闘争団の闘いに、国労本部のチャレンジと革同は見境のない暴力的手段で襲いかかっている。
 3月25日、国労本部は全国代表者会議で、鉄建公団訴訟に加わった闘争団員などに対する生活援助資金の支給停止という許しがたい決定を行った。月15万円にも満たない収入で生活している闘争団員にとって、2万5千円の生活援助資金の支給停止は、生存を脅かされるような重大きわまる攻撃だ。国労本部は、資本の賃下げ攻撃にもひけを取らない悪らつきわまる暴挙に手を染め、深化する大恐慌のただ中に闘争団を裸で放り出そうとしているのだ。しかも、査問委で決定する前に統制処分に等しい扱いをしているのだ。
 こんなことが許せるか!
 本部は、最後の自制心も失い、権力・資本と身も心も一体化して、国労組合員である闘争団に襲いかかっている。労働組合の本部を名乗る者たちが、解雇撤回闘争を必死に闘い抜く被解雇者から生きる糧(かて)を奪い去るなどということは、史上類例のない極悪の所業だ。八つ裂きにしても飽き足らないとは、こういうことを言うのだ。これこそ4党合意の帰結だ。
 それら全反動の先頭に立っているのが久保革同=日本共産党スターリン主義だ。動揺を重ねるチャレンジに代わって、闘争団圧殺の前面に立っているのが彼らである。断じて許すな。
 チャレンジと久保革同は、卑しむべき自己保身のために国鉄闘争と日本の労働運動に取り返しのつかない敗北を強いようとしているのだ。彼らを直ちに執行部から引き下ろせ。
 だが、闘争団はこうしたすさまじい裏切りによって生み出された困難きわまる状況の中で、あくまで闘いを貫く道を選択した。2月3日の中央委員会を前にして鉄建公団訴訟に立ち上がった闘争団員は、査問委設置−統制処分の恫喝を踏みしだいて闘い抜いている。退路を断ったこの決断は、必ず圧倒的な労働者の支持を獲得し、勝利の道を押し開く。それは、労働者階級総体の決起を激しく呼び覚ます、労働運動再生への起爆剤なのである。

 JR本体から怒りの決起を

 こうした中で、決定的な位置を持っているのがJR本体の国労組合員、出向を強制された国労組合員の闘いだ。闘争団の決起と並ぶ本体労働者の決起が、国鉄闘争の勝敗を決める。
 本体労働者を襲う第2の分割・民営化攻撃のただ中で、反撃に立ちたいという国労組合員の意欲はかつてなく高まっている。昇進差別に対する神奈川地労委での勝利に続き、自分の職場でも資本と徹底対決して権利を守り抜こうという気運は急速に広がっている。
 施設・電気部門におけるメンテナンス合理化を認めて組合員を出向に差し出した国労本部は、検修職場における新保全体系合理化についても裏切り妥結を強行した。もはや、こうした本部のもとにやすやすと従っていることなどできないという憤激が、現場組合員の中からわき上がっている。
 この怒りを行動に、闘いに結実させよう。各職場で無数の闘いが続発し、それぞれが固く結びついた時、チャレンジと反動革同によって奪い取られた機関権力は組合員の手に奪還され、第2の分割・民営化攻撃への国労の全組織を挙げた反撃は可能となるのだ。

 スト決起を貫いた動労千葉とともに

 動労千葉は、大幅賃上げ獲得、検修・構内外注化阻止、1047人闘争勝利などを掲げて72時間のストを貫いた。3月30日、ストに立った動労千葉組合員を先頭とする1210人の大デモがJR東日本本社に押し寄せた。この闘いは、国鉄闘争と日本の階級情勢を底の底から揺るがしている。
 動労千葉のストライキは、外注化合理化への動労千葉の全組合員を挙げた怒りの反撃であり、1047人の原職復帰に向けた本体組合員の渾身(こんしん)の決起であった。またそれは、JR総連解体への号砲なのだ。国鉄闘争勝利の道を、動労千葉は全力の闘いを貫いて指し示した。
 突撃路は実力で切り開かれた。1047人が団結し、一体となって闘うならば、勝利の道は必ずこじあけられるのだ。

 ベアゼロ妥結の東労組解体

 この闘いは、同時にJR総連解体・JR体制打倒に直結する。
 JR東労組は、今春闘で東日本資本のベアゼロ提案をなすすべもなく丸のみした。これまで、わずかばかりのベアをひけらかし、「組合員の利益を守れるのは東労組だけだ」などとうそぶいてきた東労組カクマルの反革命的恫喝など、これ以上通用させてはならない。彼らのファシスト的職場支配は、労働者の心底からの怒りに直面した時、必ずその脆弱(ぜいじゃく)性を露呈するのだ。
 JR総連・日貨労に至っては、3年連続のベアゼロをやすやすと受け入れ、ニューチャレンジ21−2千人合理化による早期退職=首切り強要と極限的労働強化の先兵となっている。もはや労働者の怒りは我慢の限界を超えた。貨物労働者を先頭に、JR総連を打倒し、JR体制を根底から覆す好機が到来したのだ。
 有事立法決戦を全力で闘うとともに、新段階を迎えた国鉄闘争の勝利へ、労働者の総決起をかちとろう。

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週刊『前進』(2050号2面2)

“罰則の適用やめよ” 介護保険と医療制度改悪に反対
 全国ネットが国会行動

 3月29日、「介護保険に異議あり全国ネットワーク」は、国会議員に請願書を託す国会行動に立った。全国から240人の高齢者が集まり、衆議院議員面会所を埋め尽くして占拠した。全国ネット結成後初めての全国行動だったが、高齢者を始め労働者人民の介護保険と医療制度改悪に対する怒りの闘いとなった。
 午後1時、議員面会所で集会を開始。全国ネットの東の事務局長の長谷川英憲さんが司会を務め、全国ネット代表で杉並の高田普次夫さんが「今日の雨は全国の高齢者の恨みの涙だ。介護保険をつくった議員にこんなものはだめだと突きつけよう」と呼びかけた。
 特別アピールとして、介護保険による罰則適用と闘っている大阪・八尾市のCさんが「年金が月1万5000円しかない。市は10月から介護保険料を年金から差し引いている。その上で先のたまった分まで払え、払わなければ罰則を適用すると言う。食べずに餓死しろと言うのか。絶対許せません。私にも生きる権利があります」と訴えた。
 各地の代表が発言し、全国ネット代表として大阪・高槻の健診介護要求者組合の水上信也さんと東大阪の国保と健康を守る会介護要求部会の林明男さんが訴えた。林さんは、「小泉は2度にわたって厚生大臣を務めながら、今の高齢者がいたからこの社会があるということがなぜ分からんのか。お年寄りをないがしろにするこんな制度は廃止しかない」と弾劾した。
 東大阪の荒本地区介護と福祉を要求する会の岩崎さんは「憲法25条には生存権が保障されている。生きる権利がある。私たちが頑張らなければ老人たちは殺されてしまう。この悪法を跳ね返していく」と発言。広島高陽第一診療所ひまわり会の参加者は、「私たちの地域で多くの人びとが原爆や戦争で死に、戦後は再び働いてやっと迎えた老後に、なんでこんな仕打ちを受けなければならないのか」と弾劾した。八尾北医療センター患者会の森田さんが請願書を読み上げた。
 参加団体からの発言では、「介護保険に反対し公的介護・福祉を進める女たちの会」の西村綾子相模原市議、「障害者」の代表、横浜のヘルパーの労働者が闘いの決意を表明した。
 介護と福祉を要求する杉並住民の会の八木ケ谷妙子代表が、「人間は宝です。だれでも宝です。そこのところが分からないで、年寄りはもっと金を出せとか、年寄りはいらないとか、こんな人間観を持った人たちが政治を執るなんて許せない。自信を持って私たちの世の中をつくっていこう」と訴えた。
 高槻の富田町病院健康を守る会の木下さんは、「罰則規定に本当に腹が立っている。年金が少なくて保険料が払えなくてなぜ罰せられるのか。そのために死に追いやられるとしたら国の方が罰せられるべきだ」と述べ、うえだ下田部病院健康を守る会の福本さんは「介護保険で年寄りが苦しんでいる。改革、改革と言うけれど年寄りと貧乏人をいじめるような改革はやめてもらいたい」と訴えた。
 続いて全国ネットの西の事務局長の小西弘泰高槻市議が発言に立った。小西さんは、今年10月から罰則適用がさらに深刻な問題となると提起し、罰則適用をやめさせる闘いを訴えた。さらに医療制度改悪法案が国会に提出されており、その一部は診療報酬改定としてすでに強行されていて、大変な医療切り捨てが行われようとしていることを暴き、「怒りを込めて立ち上がろう」と呼びかけた。
 次々と発言が続き盛り上がる中、国会議員が登場した。それぞれの参加団体・参加者が、介護保険料未払いによる罰則適用を行わないこと、介護保険料徴収をやめること、医療費の自己負担を引き上げないこと、保険証取り上げをしないことなどを要求した衆参議長あての請願書を手渡した。
 国会行動を終えた参加者は、議員会館の会議室で総括の集会を持ち、各地で介護保険反対、医療制度改悪反対の闘いを強めることを誓い合った。

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週刊『前進』(2050号2面3)

被災地・神戸 しごと開発事業延長を 失業者が県を実力弾劾

 3月26日の「第15回被災地反失業総行動」は、この日の兵庫県議会での「しごと開発事業の打ち切り=1400人の被災失業者の首切り」攻撃に対して、就労者組合を先頭とした120人の決起で闘い抜かれました。団交要求を拒否する兵庫県知事・行政への阪神大震災・被災失業者の怒りが爆発し、数度にわたって機動隊の阻止線に激突、ついには機動隊の壁を突破して、終始戦闘的に闘われました。
 この日の闘いは、兵庫県地方労働委員会に、兵庫県知事を雇用主として、しごと開発事業の打ち切りと団交拒否が不当労働行為であるとして救済命令を求める申し立て行動をもって、火ぶたが切られました。続いて、11時より開始された県議会へ打ち切り抗議闘争が闘い抜かれました。
 午後3時半の総決起集会に向け、続々と組合員が結集しました。組合事務長からの「今日の闘いを出発点として、4月以降毎週1回の県への職よこせ闘争と地労委闘争を闘い抜こう。そのためにも本日の闘いを弾圧をはねのけて闘い抜きましょう」の提起に、全員が決意を固めました。
 続いて、「被災地雇用と生活要求者組合」代表の長谷川正夫さんが発言。「全国の失業者の闘いの最先頭の闘いが私たちの闘いだ。兵庫県から反失業の闘いをつくり出すため、権力の弾圧をはねのけ、なんとしても今日の闘いに勝利しよう」との力強い訴えに、「そうだ、異議なし」の声がわき、大きな拍手が巻き起こりました。
 最後に就労者組合員による発言が、会場から次々と行われました。「震災、リストラにより家族はばらばらにされた。今また、県による首切り、本当に許せない。ともに闘いましょう」「私たちは一人では何もできない、力の弱い者です。団結し頑張りましょう」
 すべての組合員が、シュプレヒコールをたたきつけ、県知事への団交要求書と全就労者の半数を超える720筆の「延長署名」を持って、2号館に向けた階段をのぼり始めました。上がりきったところで隊列を整えるや、2号館前を例によって封鎖し、県民が庁舎に入るのを妨害する県職員の姿が見え、全参加者の怒りは頂点に達しました。「あの壁を突破して、なんとしても知事に団交要求書を渡そう!」の指揮者の指示に、全員が一丸となって阻止線に突入! 揺れるプラカード、怒りの糾弾!
 「同じ労働者として恥ずかしくないのか」「お前らも労働組合員だろう!」の追及に、思わず力が抜け、ゴボウ抜きされる県職員が続出しました。
 全参加者の怒りが一点に集中し、あと一歩で庁舎に突入しようとした時、なんと井戸兵庫県知事は、兵庫県警機動隊の導入を図ってきました。

 怒りの隊列が機動隊に突入

 「権力の弾圧を打ち破り、県知事・井戸に団交要求をたたきつけよう!」という指揮者のアジテーションに隊列を整えた全員は、「よし!」の一声を発して、機動隊に突入しました。飛び散る機動隊の帽子! 「おまえら、県の犬か!」「弱いものいじめばっかし、しやがって!」の組合員の糾弾になすすべもない機動隊員。
 数度の押し合いにも一歩もひるまない組合員の団結と実力闘争の前に、県と権力は、ついに「代表者が入ってください」と弱々しく申し入れてきました。
 代表団が入館すると、なんとロビー内にも機動隊が導入されているではないか。代表団の怒りは県の機動隊導入への謝罪要求となって爆発し、「県管財課が導入しました」と認めさせました。さらに責任逃れをする「しごと対策課」田窪課長に対して、知事への団交要求書と署名をたたきつけました。
 代表団と再合流を果たした全員は、怒りの庁内デモに出発しました。ところが今度は、兵庫県警が庁内デモを妨害しようとしました。「県庁内でなんでお前らの許可がいるのだ!」「のかんかえ!」の糾弾の前に、撤収に追い込まれる機動隊! 権力をけ散らしたデモ隊は、続いて県庁一周の市内デモに打って出、多くの市民にアピールしました。
 総括集会で、4月以降の週1回の県庁への「しごとよこせ闘争」、地労委闘争への結集、団結してのしごと獲得闘争への決起を確認しました。
 私はこの日の闘いに参加し、被災地の反失業の闘いが、全国の失業労働者の怒りと、闘いの爆発に引き金を引いたことを実感しました。 (投稿/労働者A)

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週刊『前進』(2050号2面4)

保安処分絶対阻止へ 「病者」ら140人が渋谷デモ

 3月24日、東京・渋谷勤労福祉会館で「『重大犯罪精神障害者処遇法案』(仮称)の成立を許すな!3・24保安処分反対集会」が「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議(阻止共)の主催で開かれ、「病者」を先頭に140人が結集し大成功した。集会後、参加者は渋谷駅前を通り宮下公園までのデモに出た。
 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」は3月15日に閣議決定され18日に国会提出された。集会では、主催者がその狙いを「精神病者」を対象に「犯罪のおそれ」を根拠として予防拘禁と強制通院=保護観察、保安施設不定期収容を宣告しようとする保安処分そのものだと断じた。またそれは、近代刑法の罪刑法定主義や責任主義を否定する刑法改悪に直結した治安弾圧立法であり、直ちに制定阻止・廃案まで闘おうと訴えた。
 続いて、各地患者会や諸団体が発言した。東京練馬のグループはギター演奏と合唱を披露し、「病者」抹殺に反対するとともに、有事立法=戦争準備反対を訴えた。精神科医のO氏は長年の保安処分反対の歴史を顧みながら、自らを叱咤(しった)激励して法案撤回まで闘うとアピール。兵庫からは地元での保安処分反対学習会の取り組みが報告され、政策提言で厚労省にすり寄る全精連などの御用「障害者」団体を批判し、患者会運動の発展をめざす決意が語られた。
 東京足立からは保安処分反対の思いをつづった歌とギター演奏が行われ、会場を魅了した。仙台からも車イスの「障害者」が発言。刑法改悪・保安処分反対を闘う全都労働者実行委員会のメンバーは、法案が小泉の「危機管理」扇動による有事即応体制づくりと一体だと指弾し、広範な労働者の決起を訴えた。京都の患者会はのぼり旗を手に全員が登壇し、「犯罪のおそれと言っても『精神病者』なら誰でも対象になる」と法案の狙いを喝破。東京江東の患者会は、ケースワーカーなど医療労働者の法案加担をはね返し、地域で生きぬこうと訴えた。大阪の患者会は、昨年6月の大阪池田小事件を機に強められた保安処分扇動を弾劾し、この中で「犯罪を犯した『病者』が裁判も受けず罰を受けないのはおかしい」というような、「病者」の側からも分断と治安強化に同調する動きがあることに警鐘を発した。
 静岡の患者会の発言に続き、東京八王子の「病者」が阻止共主催の3月12日の法務省交渉について報告。刑事局加藤の「法案は医療確保と社会復帰のためで保安処分ではない」といううそを徹底弾劾し「司法介入自体が保安処分であり撤回せよ」と怒りの追及をした様子を語り、法案粉砕の先頭に立つ決意を述べた。
 集会決議を読み上げ、法案阻止を誓い合った。

 有事立法と一体の治安弾圧法

 「心神喪失等医療観察法案」は戦時「障害者」抹殺につながる保安処分の復活であり有事立法・改憲と一体の治安弾圧立法だ。一見「犯罪を犯した『病者』」を対象にするかのようだが、実態は容疑をかけられ逮捕されただけの者(不起訴など)や無罪または執行猶予でいったん刑事手続きが終了した者を、「『病者』を野放しにするな」とばかりに審判に付し、保安施設収容や強制通院=予防監視という刑事手続き外の「特別処分」を強いる見せしめ的懲罰立法だ。「再犯のおそれ」という非科学的審判要件はもとより、「犯罪」の認定も裁判官が単独で行うでたらめなものだ。まさに「病者」を差別し、「精神障害者罪」と言うべき司法決定を、精神科医を動員して強行する法案だ。
 この攻撃の中で、政府案に反対しつつも「『犯罪を犯した病者』への懲罰は当然」と要求して分断と保安処分制定攻撃に呼応する全精連ら翼賛潮流のたくらみを許してはならない。
 有事立法粉砕・改憲阻止の大決戦の真っただ中で保安処分新法を打ち砕こう!

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週刊『前進』(2050号3面1)

カンパ禁止法、メディア規制法、国際的組織犯罪条約……
「テロ対策」口実にした治安法攻撃を粉砕せよ
 反戦・労働運動の弾圧許すな

 有事立法攻撃が切迫する中で、国内治安法制の大改悪に向けた一連の攻撃が進行している。カンパ禁止法であるテロ資金規制法案や、保安処分新設法案など、すでに何本もの新法案が国会に提出され、有事立法と一体でその成立強行が狙われている。さらに99年に成立した盗聴法など組対法3法が、闘う人民に向けて本格的に発動されようとしている。有事立法・改憲による侵略戦争への国家総動員体制の確立とともに、それを支える戦時治安弾圧体制の確立がもくろまれているのだ。有事立法阻止決戦の不可欠の一環として治安法制を粉砕しよう。破防法・組対法に反対する共同行動などの呼びかけにこたえ、4・20集会(別掲)の成功をともにかちとろう。

 治安維持法上回るテロ資金規制法案

 国内治安法制の改悪攻撃は昨年9・11反米ゲリラ以降、一挙にエスカレートしている。日帝は、戦争体制の進展にともない必然的にまき起こる国内階級闘争の激化に備え、弾圧(体制)をエスカレートし、治安法の改悪と新法の制定を急いでいる。
 とりわけ国家権力は、あらゆる組織に法律の網をかけてヒト、カネ、ネットワークのすべてをガラス張りにしようとしている。
 カンパ禁止法=テロ資金規制法案(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案)は、テロ資金に関する国際条約の批准のための国内法の整備として準備されたのであるが、街頭カンパから慈善事業へのカンパなど一切合切をテロ活動と結びつけ、カンパをした者も受け取った者も、懲役10年以下、罰金1000万円以下という刑罰で犯罪化しようというのである。
 国会に提出された法案は、戦前治安維持法に沿うような条文で、国際条約が規定した枠をはるかに超える悪法として提出された。条約は、武力紛争以外では付属書に記載している9つの「テロ防止」国際条約に触れる行為のみを対象とした。しかし国会に提出された法律案はその制限の枠をとっぱらっている。
 法案第1条1項は、「人を殺害し、もしくは凶器の使用その他人の身体に重大な危害を及ぼす方法によりその身体を傷害し、または人を略取し、もしくは誘拐し、もしくは人質にする行為」(全文)と書いている。国際条約にこんな包括的な規定はない。
 法案の正式名称にある「公衆等脅迫目的」の「公衆」にしろ、「脅迫」にしろ、明確な定義はされていない。「等」の中には国、地方公共団体が含まれるというから、警察、自衛隊も入ることになる。公衆には、港湾や各企業体、学校当局の職員も含まれる。
 きわめて包括的で便宜的な法律が「テロ資金供与防止」の名のもとに準備されたということができる。爆弾闘争、火炎ビン闘争、あるいはハイジャックなどはもとより、それとは無縁なさまざまな運動も弾圧の対象になるのである。
 カンパ禁止法=テロ資金規制法は、第1次治安維持法5条(1925年4月制定)に規定しているのと同様の性格を持つ。しかし決定的に異なるのは、治安維持法が国体(天皇制)変革と私有財産制の否認を目的としたものを対象としたのに対し、これには対象の限定がない。警察・検察の判断だけで弾圧対象になるのである。
 このことは99年秋成立の組対法3法(組織的犯罪処罰法、盗聴法、刑訴法改悪=証人保護規定導入)、00年12月に成立しオウム真理教(アレフ)に適用されている団体規制法(第2破防法)にもいえる。そして今後、03年にも国会提出が準備されている、国際的組織犯罪条約の批准にかかわる国内法での組織参加罪、共謀罪などの新設、刑事免責の導入策動にもいえるのである。
 日帝は、1945年10月のGHQによる民主化指令で、目的罪であった治安維持法が廃止され、爆発物取締罰則が取り残されたことや、治安維持法に代わるものとして制定された破防法の全面発動が労働者人民のねばり強い闘いによって阻止され続けてきたことを総括している。また日本共産党が戦後、治安維持法により弾圧された政治犯として出獄したことが、戦後革命期に多くの人民の心をとらえたことを深く総括し、政治的弾圧を主要な目的としながら、あらゆる政治犯を一般刑事犯として弾圧するように転換したのである。
 今日進行している治安弾圧の強化と治安法体系の転換は、労働運動や民衆の運動に向けられたものであるばかりか、明らかに革命党・革命運動を弾圧の主目的としている。現在進行している治安法制の改悪は、治安維持法を参考にしながらもはるかに巧妙な、そしてあくどいものである。
 テロ資金規制法案と並んで、今国会にはすでに、精神「障害者」への予防拘禁制度を導入する保安処分新設法案、言論・表現の自由を侵害するメディア規制3法案(個人情報保護法案、青少年有害環境対策基本法案、人権擁護法案)などが提出されている。国民総背番号制の8月実施を前にその強化・拡大を図るための住民基本台帳法の再改悪案や、サイバー法=インターネット規制法案(インターネット関連のすべてを警察が情報収集するシステム)の提出も予定されている。
 さらに、司法改革関連法案(今秋臨時国会から提出を開始し、2004年までに完了させる)、国際的組織犯罪条約の批准とそれに伴う国内法の制定(03年通常国会に提出を予定)など、これまでの法体系を一変させる攻撃が続こうとしている。そのすべてをとおして、戦前の治安維持法体制を上回る治安体制が復活しようとしているのだ。
 これと並んで、昨年、その一端が明らかにされた公安調査庁による各自治体への在日朝鮮人情報の入手、ワールドカップを前にした入管法の改悪、それと一体となった「日韓犯罪人引き渡し条約」の署名(4月8日)など、「テロ対策」を口実とした在日・滞日人民への排外主義的治安弾圧が著しく強まっている。

 結社・団結権破壊が目的の組対法発動

 これらの治安法攻撃に先行して、9・11以降、治安弾圧体制が飛躍的に強化されてきている。
 このほど、警視庁が盗聴法を初適用した。適用の実態を明らかにしてないが、本年1月下旬から約10日間、傍受令状を取って携帯電話を盗聴、それに基づいて覚せい剤取引現場で数人を逮捕したとされる。
 組対法3法の1つとして成立した盗聴法の施行から1年半。成立時の大闘争、22万の署名運動などの廃止運動の前に、今日にいたるまで容易に使うことはできなかった。その盗聴法を、覚せい剤の末端取引事件に適用したのである。同法の廃止の危機にかられた警視庁は、裁判所に令状請求する前から携帯電話の傍受を続け、実際に取引を行っている状況を確認してから令状請求し立件した。今までなら通常捜査で解決させていた事件に、盗聴の運用実績を積み重ねるためにのみ、盗聴法を適用したのである。
 組対法3法のもうひとつの柱である組織的犯罪処罰法は、刑の重罰化とそこに動いた金の没収を目的として制定され、多くは暴力団関係や経済事犯に対して適用されて、刑の重罰化と金の没収が行われてきた。2000年6月には労働者派遣法違反で暴力団幹部が組対法を適用されて派遣料200万円を没収保全。10月には、殺人未遂容疑で指名手配されていた組長に、組の金を渡して逃走を助けたとして組員7人が組対法違反(犯人隠避)で逮捕。その他にもとばく事件、詐欺事件と施行直後から適用件数が多く出ている。
 またいまひとつの証人保護(刑訴法改悪)については、最近の水嶋秀樹同志に対するデッチあげ弾圧裁判での、正井証人の「ついたて公判」のような事態が日常化している。
 結社つぶし、団結権の実効ある侵害を目的とした組対法3法の発動は、暴力団・経済事犯を手始めとして、労働組合、革命党に照準をあわせてきている。4月8日には、闘う全逓労働者など3人を不当逮捕し、労働争議に対して組織的犯罪処罰法の適用を狙ってきているのだ。
 さらに、腐敗を極める警察犯罪の拡大を逆手にとって、26万3500人の現員に加えて今年度に4500人の警察官が増員される。日本版FBIをつくろうという計画もある。4月1日からは全国28都道府県警に1379丁のマシンガンが配備され、「テロ対策」を名目に実射訓練が大々的にキャンペーンされている。昨年12月からは警察の銃の使用基準が大幅に緩和された。今や警察の銃弾はいつでもぶっ放せるように民衆に向けられている。4月9日には、職質に応じなかった人を射殺して居直っているのだ。
 盗聴法とともに、全国の主要道路に700台を超えるNシステム(自動車ナンバー読み取り追跡システム)や街角・コンビニ・団地・公共施設などに急増しているビデオカメラを警察とインターネットで結び、日常的に労働者人民を監視下に置こうとしている。
 全国の市区町村レベルで現役の警察官が出向の形で自治体に入り込み、ある県では県内のすべての事業所に職場防犯管理者制度がもうけられ、労働現場にまで警察が目を光らせている。デッチあげ・厳罰化の従来の手法だけでなく、労働現場・生活領域まで警察が入り込もうとしている。

 有事法攻撃と一体の戦時治安攻撃

 日帝は、通常国会に有事立法3法案を提出しようとしている。有事立法とは、日帝が再び侵略戦争・世界戦争を国家総力戦としてやりぬく体制をつくり出すものだ。戦後民主主義を一挙に葬り去ろうとする攻撃であり、国内統治形態の反動的大転換の攻撃だ。
 しかし、統治形態の転換攻撃は、人民の生活のあり方を根底からひっくり返す。そこでは、「国家は国民のためにある」という虚構が根底から覆っていく。むき出しの国家暴力機構による階級支配と、それを前提とした国粋主義(天皇制イデオロギー)・排外主義攻撃が現れる。これに対して労働者人民が階級的に団結し、怒りを爆発させて立ち向かう時、この弾圧は必ず粉砕できるのだ。
 何よりも階級闘争の直接的攻防点である政治警察との闘い、長期投獄攻撃との闘いを革命党が必死になって人民の先頭で担ったとき、階級闘争は大きく前進する。有事立法―改憲への動き、戦争への道を阻止できるのだ。
 有事立法制定阻止の決戦を大爆発させ、その一環として、カンパ禁止法=テロ資金規制法案の今国会成立を阻止しよう。全面的な結社禁止法である国際的組織犯罪条約の2003年批准を粉砕しよう。
〔芝 健次郎〕

狙われる治安法体系の転換と強化
テロ資金規制法案  今国会提出
保安処分新設立法(「心神喪失処遇法案」)  今国会提出
メディア規制3法案  今国会提出
  1 個人情報保護法案  
  2 青少年有害環境対策基本法案  
  3 人権擁護法案  
司法制度改革関連法案  秋の臨時国会から提出開始
入管法の改悪  
住民基本台帳法の再改悪  
インターネット規制法案(サイバー犯罪条約関連法案)  
国際的犯罪条約の批准と関連法案  次期通常国会提出

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週刊『前進』(2050号3面2)

5・19「復帰30年」式典粉砕し 有事立法阻止決戦の先頭に
 桑江氏の沖縄市長選勝利を
 革共同沖縄県委員会

 裏切りの72年5・15「復帰」から30年。沖縄と日本と全世界をめぐる情勢は3度目の世界戦争か世界革命かの世界史的分岐点にある。パレスチナ情勢は米帝による中東支配の最後的破綻(はたん)を突きつけるものとして激烈に進展している。パレスチナ人民の闘いは中東・イスラム諸国人民の民族解放闘争のすさまじい爆発を牽引(けんいん)している。日帝は、有事立法を国会に提出し、再び「戦争のできる国」として登場しようとしている。それは日帝が沖縄に「第2の沖縄戦」への道を強制しようとするものだ。本年5・15闘争は「第2の沖縄戦」への道を許すかどうかの歴史的な決戦である。5・19「復帰30年式典」粉砕に決起しよう。

 第2の沖縄戦の道許すな 原点の誓い

 国際階級闘争はただならぬ情勢に突入している。イスラエル軍はパレスチナ人民を丸ごと「テロリスト」として皆殺しの戦争を日々展開している。
 3月29日には18歳の女子高校生が自爆戦闘に決起し、アラブ諸国各地での反イスラエルの闘いが激しく闘われ、米帝・イスラエルを極限的な危機に追いつめている。米帝ブッシュの「反テロ戦争」という名の民族抹殺攻撃が決定的に破綻しつつある。
 この米帝と激しく対抗しながら、ついに日帝も有事立法を全力で推進し始めた。米帝がアフガニスタンで、イスラエルがパレスチナで行っているような民族抹殺の侵略戦争を、日帝自身が行うというのが有事立法だ。そしてそのターゲットを中国・朝鮮に定め、昨年12・22外国船撃沈・15人虐殺という戦争行為を居直り、「拉致疑惑」を大宣伝し排外主義をあおり、「武力攻撃事態」と日帝が規定すればただちに先制的に侵略戦争に突入するのだ。
 それは「テロリストを一掃する」と言って自治区に侵攻しパレスチナ人民虐殺を連日繰り広げているイスラエルとまったく同じ論理だ。そのために憲法を停止し、首相の独裁的権限のもと、国家総動員態勢を構築し、自衛隊の行動が一切に優先し、労働者階級人民には罰則規定を定めて侵略戦争に強制的に動員しようとしているのだ。
 日帝がついに「戦争のできる国家」へ反動的に飛躍する――このことは沖縄をすさまじい激動の過程にたたき込む。日帝と沖縄の本当の関係が前面化する。日帝は、沖縄政策を「侵略戦争の最前線基地としての沖縄」という一点に、全体重をかけて突っ込んでくる。在沖米軍の兵力削減や「15年期限」問題など完全に吹っ飛んだ。
 米帝と日帝が競って「対テロ戦争」という侵略戦争に帝国主義の存亡をかけて突入するということは、その一切の矛盾が差別的に沖縄に集中するということであり、その行き着く先は「第2の沖縄戦」だ。「二度と沖縄戦を繰り返さない」という沖縄県民が絶対に譲れない原点である誓いと決意が本当に問われている。日帝・小泉政権打倒、有事立法粉砕の闘いの最先頭に立って闘う――これを「復帰」30年目の「5・15」を迎えての不退転の決意として確認しなければならない。

 SACO路線を粉砕せよ 闘いの方向

 72年ペテン的「返還」からの30年は、そのすべてが日帝による沖縄圧殺攻撃の全面的展開として進んできた。「3次にわたる沖縄振興開発計画」は、「本土との格差是正」という沖縄の要求を受け入れるようなポーズをとりながら、実は沖縄の「自立」を徹底的に抑圧し、芽のうちから踏みにじるというペテン的なものでしかなかった。
 日帝は、95年の10万人決起として爆発した沖縄県民の「新たな人民反乱」に対して、SACO路線(96年12月の日米の基地返還合意のペテン)をもって基地の半永久的な固定化という攻撃を開始した。これは瓦解(がかい)を開始した5・15体制を取り繕うものでしかなく、その破綻は本質的にはあらかじめ確定していた。しかし日帝にはそれ以外の選択肢などなく、その攻撃はきわめて暴力的なものとして名護市民・沖縄県民に襲いかかったのだ。
 さらに日帝は、「基地の島」と県民との「共生」を強要し、さらに進んで沖縄を日帝のアジア侵略戦争の最前線基地として本格的に位置づけ、沖縄県民にその先兵を担わせるという攻撃で沖縄に襲いかかり始めた。98年県知事選における大田前知事のたたき落としと稲嶺県政発足以降の沖縄は、日帝とその意を体した稲嶺県政のもとで戦後沖縄の原点を根絶やしにする攻撃だった。新平和祈念資料館・八重山平和祈念資料館の展示の改ざん問題、普天間基地の県内移設容認(さらに那覇軍港の浦添移設攻撃)、沖縄サミット攻撃など、すべてはひとつながりのものとしてあった。
 「ポスト3次振計(=沖縄振興特別措置法)」ではこれまでの「格差是正」のスローガンが取り下げられ、代わって「自立経済」が掲げられた。日帝は沖縄戦と米軍支配、今なお続く「基地の島」の現実を完全に居直り、「自立」という美辞麗句で沖縄県民に「基地との共生」を強要し、それどころか沖縄県民こそが日本という国家を支える名誉を担い、さらに侵略戦争に積極的に加担することが沖縄の21世紀の進むべき道だとしたのである。これら総体をイデオロギー的に表現したものが、かの「沖縄イニシアチブ論」である。
 これは、日帝の歴史的・伝統的な沖縄政策への回帰と言えるものである。つまり、沖縄県民の悲願だった「祖国復帰」を逆手にとり、「施政権返還」のもとで「基地の島」を県民に強要し続け、「本土並み一体化」の名のもとで沖縄圧殺を図ったように、日帝のアジア侵略戦争の出撃拠点としての沖縄、日帝のアジア侵略戦争の先兵を担う存在としての沖縄県民、という政策に全面的に回帰することを決断したのである。
 かつて「琉球王」の異名をとり、約16年にわたって沖縄県知事の座に君臨した奈良原は1896年、「征清の一挙偉大功効を奏し神州の威烈八紘震え国連国交喚発し我県と一葦(いちい)海水を隔つる台湾島は我(わが)版図に入れり、我県の如きは南方に僻在(へきざい)せる孤島にて従来世の注意を惹(ひ)く少なかりしも忽(たちまち)ち東洋枢要の位置となり……」と述べた。現代風に言い直せば、@中国との戦争に勝利して台湾は日本のものとなり、A沖縄は、日本のはずれにあって何の取りえもないが、Bアジア侵略を考えれば一転して重要な位置が浮かび上がり、C沖縄県民の生きていく道もここにある――ということである。これが日帝の沖縄に対する最後の回答なのである。
 県民の願いを裏切った「復帰」とそれ以降の沖縄の現実の中で、5・15体制下での「本土並み一体化」政策が破綻し、一方では基軸帝国主義・米帝の没落と危機の深まり、そのもとでの日米争闘戦の非和解的激化と日帝自身の没落の中で、日帝は帝国主義としての延命をかけて沖縄政策の転換を開始したのである。そして米帝・ブッシュ政権の登場とそれに対抗するものとしての日帝・小泉政権の登場、さらに昨年9・11反米ゲリラ戦争の爆発と国際的内乱の開始を前にして日帝は、歴史的・伝統的な沖縄圧殺政策を全面的に展開し始めたのである。
 重要な点は、日帝が沖縄を日帝の中国・朝鮮―アジア侵略戦争の最前線基地として位置づけ、沖縄県民をその先兵・加担者とすることの破産性である。それはあらかじめの崩壊が確定していると言っていい。日帝の凶暴性と暴力性の背後に、この日帝の沖縄政策の全面的破綻から来る危機がある。だからこそ、沖縄県民の闘いの方向性は、72年「返還」政策とそれ以降の30年に及ぶ5・15体制を粉砕し、SACO路線を最後的に破綻させ、日帝の中国・朝鮮―アジア侵略戦争阻止の闘いに日本プロレタリアートの最先頭で決起することにあるのだ。

 連帯貫く沖縄奪還闘争を 勝利の展望

 4−6月の階級決戦を闘い、5・15(19)闘争の歴史的な大爆発を実現しなければならない。
 一つは革共同第6回大会の全内容と2002年1・1政治局アピールでの徹底的な武装である。
 その核心は、階級的血債論の立場に立ち、「沖縄米軍基地の真実の姿」を全面的にとらえて闘うことである。戦後半世紀以上に及ぶ「基地の島」の現実は沖縄県民に筆舌に尽くせぬ屈辱と苦しみを与え続けてきた諸悪の根源である。そして同時に、この沖縄米軍基地こそ、アジア・中東―全世界の被抑圧民族人民の民族抑圧と圧殺、虐殺の出撃基地であった。今もなお、アフガニスタンやフィリピンで無差別大量虐殺を日々展開している米軍こそ、沖縄の米軍にほかならない。沖縄県民は日々、米帝の残虐きわまりない侵略戦争の加担者であることを強制されているのである。
 しかし、米軍に土地を奪われ、海を奪われ、空を奪われ続けている沖縄県民の現実と、帝国主義の民族抹殺攻撃と不屈に闘うイスラム諸国人民、帝国主義の侵略と戦争と闘い続けるアジア人民――この現実とは、次元の違う問題であるということをしっかりと踏まえつつも(抑圧民族と被抑圧民族の区別をはっきりと確認しつつも)、しかし同時に米帝基軸の帝国主義戦後世界体制との非和解的全面的な闘いとして一体性をはらんでいるということは紛れもない事実なのだ。
 沖縄奪還綱領は直接には日帝打倒戦略として提起されているが、同時に米軍基地撤去=沖縄奪還としてその闘いは米帝打倒戦略をもその内に含んでおり、米帝基軸の戦後世界体制総体を根底から転覆する戦略として提起されているのである。その意味で、沖縄奪還綱領はその本質において闘うイスラム諸国人民との連帯、闘うアジア人民との連帯をその不可欠な構成要素としており、この連帯戦略を本格的に貫くことが沖縄奪還綱領の真髄であり、沖縄県民の闘いの跳躍点であると言える。ここに崩壊を開始した沖縄革新共闘の路線的破産と、その一方でのわれわれの路線的正義性と勝利性がある。
 「復帰」30年目の5・15闘争を9・11情勢下における新たな沖縄闘争の歴史的な挑戦の出発点としなければならない。
 二つには、最大の戦場は労働戦線をめぐる党派的再編と激突に勝ち抜き、現代の産業報国会そのものに変質しきった連合を打倒し、帝国主義と対決する労働運動を本格的に推進することである。
 すでに米軍基地内での労働運動・政治活動の禁止という米軍の通達が発せられ、基地労働者をめぐる情勢は一変している。このことは当然にも沖縄の労働運動全体を規定する動きとなる。今日の「公務員並み」という基地労働者の権利も、もともと米軍から与えられたものではない。最低限の賃金と労働組合の結成すら認められていなかった米軍支配下の基地労働者が死活をかけた要求を掲げて米軍と実力で対峙しながらかちとってきたものである。「公務員並みの待遇」を求めて入ってくる多くの青年労働者にしてみれば、この「待遇」はあらかじめ保障されたものと考えられてきた。しかしその前提は完全に崩壊した。戦時下において軍隊が基地労働者に労働者としての権利などを認めることなどできない。
 有事立法阻止決戦とは、労働運動の現場では、かつての米軍支配下のような無権利状態に労働者をたたき込む攻撃との全面的対決を意味する。すでに開始されている基地労働者をめぐる攻防は、沖縄労働運動全体の行く末を決める階級決戦そのものである。そしてこの基地労働者の闘いを軸にした沖縄労働運動をめぐる攻防に沖縄闘争の展望がかかっている。沖縄闘争の主力部隊である沖縄労働者階級の国際主義的連帯を掲げた力強い登場こそが「新たな島ぐるみ闘争」を実現していくのだ。
 本土の約2倍の高失業率、とりわけ若年労働者の5人に1人が完全失業、今や高校生すら授業料滞納で中退を余儀なくされ、圧倒的な労働者が未組織であるという沖縄の現実は、日帝の沖縄差別政策が強制している現実である。連合は、このような現実を「沖縄型ワークシェアリング」などと言って称賛し、反階級的に居直っている。圧倒的多数の未組織労働者を階級として組織していく展望は、帝国主義と対決する労働運動が連合を打倒して力強く登場することである。名護新基地建設阻止の闘いの展望もまたここにある。
 三つには、以上の一切の結論は反スターリン主義・革命的共産主義運動の沖縄における本格的な発展を今こそ実現するということである。戦後沖縄と「復帰」30年の歴史の実践的総括は、すなわち日本共産党スターリン主義と反革命カクマルを今こそ打倒して革共同沖縄県委員会を本格的に建設していくことである。
 69年の沖縄県委員会結成以来の苦闘の歴史は、まさに今日の情勢の到来に向けての主体的準備の過程であった。とりわけ反革命カクマルとの闘いは「日本革命の火薬庫」における革命と反革命の激突として厳しい死闘として展開された。われわれは沖縄の歴史的解放に向かって絶対に避けて通ることのできない闘いとして死力を尽くして闘い抜いてきた。今日の沖縄闘争の新たな展望は、われわれが反革命カクマルと一歩も引かずに闘い続けてきたことを抜きには語りえない。このかけがえのない、勝利の展望を鮮明に指し示す労働者階級の党の建設こそが沖縄県民の根源的な要求にほかならない。
 4・21沖縄市長選挙での桑江テル子氏の勝利をかちとれ! 5・19「復帰」30周年式典を粉砕せよ! 有事立法粉砕・改憲阻止! すべての沖縄県民は今こそ「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」へ、革共同沖縄県委員会に結集してともに闘おう!

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週刊『前進』(2050号4面1)

パレスチナと連帯し4・28総決起を
中国・朝鮮・中東侵略戦争法=有事立法の制定を阻止せよ
 名護への新基地建設許すな

 52年日米サンフランシスコ講和条約による沖縄の売り渡しから50年。今年の4・28闘争はかつてなく重要な闘いとなった。日帝・小泉政権は、米帝ブッシュの「対テロ戦争」に食らいつき、今国会で有事立法制定の正面突破をはかり、米帝と並ぶ最凶悪の帝国主義として登場しようとしている。日本の労働者人民はアジア侵略戦争と人民虐殺、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下という歴史を再びくり返すのかどうかが突きつけられている。今こそ「2度と侵略戦争をくり返さない」という日本人民の誓いを実行するときだ。あらゆる闘いで有事立法3法案を絶対に阻止しよう。〈パレスチナ連帯〉〈有事立法絶対阻止〉〈名護新基地建設粉砕〉を掲げて、4・28全国統一行動に総決起し、戦闘的なデモで情勢を激しく揺さぶろう。有事立法阻止=改憲粉砕の全人民的な大闘争を爆発させよう。

 パレスチナ自治区完全解体を狙う暗黒の民族抹殺戦争

 有事立法阻止の4・28闘争を、第一にパレスチナ解放闘争との連帯闘争として闘おう。
 3月29日、イスラエル軍はパレスチナ自治政府と自治区の完全解体を狙う全面戦争に踏み切った。イスラエル軍は2月28日にパレスチナ自治区へ軍事侵攻、3月12日からは82年レバノン侵攻以来最大規模の作戦を行ってきた。だがパレスチナ人民はこれに屈することなく波状的な自爆闘争と反撃戦に立ち上がり、米帝のジニ提案をもぶっ飛ばして徹底抗戦を続けている。イスラエル・シャロン政権は、こうしたパレスチナ人民の英雄的な闘いに決定的に追いつめられ、「テロの基盤を破壊する」とパレスチナ人民を大虐殺し、生活の基盤ごと自治区を破壊し尽くすという究極の侵略戦争に踏み切ったのだ。
 イスラエル軍はヨルダン川西岸にある8自治区のうちジェニン、トゥルカレム、カルキリヤ、ナブルス、ラマラ、ベツレヘムの6自治区を数百両の戦車で完全に包囲し、総攻撃に出た。外出禁止令を出し、まず水道、電気、電話などのライフラインを破壊・遮断している。そして家の壁を次々と爆破して侵入し、数千人もの活動家や人民を拘束・逮捕し、無差別大虐殺を行っている。
 イスラエル軍は、4月5日までに2500戸もの住居を戦車とブルドーザーで破壊し、パレスチナ人民を路頭に放り出した。イスラエル建国や67年占領地拡大で家や土地を奪われ、故郷を追われたパレスチナ人民は血のにじむ苦闘のうえに難民キャンプでの生活を築いてきた。彼らが半世紀かけて築いた生活の基盤がまたもやイスラエルによって根こそぎ奪われたのだ。
 イスラエル軍は議長府を破壊・占拠し、アラファトPLO議長を監禁している。だが監禁されているのはアラファト議長だけではない。パレスチナ人民全体が外出を禁じられ、仕事にも病院にも行けず、食糧や水を断たれているのだ。冷蔵庫の備蓄食糧は腐り、飲料水も底を尽きつつある。ジェニンでは排水を飲んで命をつないでいる。人道援助もイスラエル軍が阻止している。乳児のミルクも確保できない。病院で人工透析を受けていた人や糖尿病のためインシュリンの投薬が必要な人が死亡している。また難産で呼んだ救急車がたどり着けず、赤ちゃんが死亡している。
 さらにイスラエル軍は救命治療をも許さず、負傷者を死に至らしめている。4月5日、国連難民救済事業機構(UNRWA)のペーター・ハンセン事務局長は、イスラエル軍が救急車を狙い撃ちにしていると弾劾した。ハンセン氏によるとこれまでに救急車が銃撃された例が185件以上。3人の医師と4人の運転手が銃撃で死亡し、122人の医師と運転手が負傷した。イスラエル軍に阻止され、負傷者に近づけなかった例も350件あった。
 シャロンはブッシュに侵攻作戦を加速することをせかされ、ジェニンやナブルスで無差別爆撃を行っている。ジェニンでは武装ヘリや戦車、F16戦闘機による爆撃を強行し、4月8日だけで150人以上の人民を虐殺した。
 イスラエルはこうした虐殺が発覚するのを恐れて、報道陣の自治区立ち入りを禁止している。また外出禁止令が出されているため家族が殺されてもその遺体と一緒に暮らすしかない状況で、正確な死亡者数はわからない。イスラエル軍は7日までにパレスチナ人の死者200人、負傷者1500人と発表した。だが実際は毎日百人以上のパレスチナ人民が虐殺され、すでに千人以上が殺されたと言われる。82年の〃サブラ・シャティーラの大虐殺”のような大虐殺が起きているのだ。こんなことがあっていいのか。この瞬間にもパレスチナ人民はどんどん虐殺されているのだ。もはや1日たりともこんな状況を許してはならない。
 3月30日、ブッシュはこの全面的な侵略戦争を「イスラエルが自分たちを守ることは全面的に理解する」と支持した。ブッシュはその後の国際的批判の高まりで「遅滞なく撤退すべき」などと発表したが、撤退期限を明示しないことでシャロンにパレスチナ人民虐殺の時間を与えるペテンだ。事実パウエルは中東訪問といいながらイスラエルには行かず、他の国を回って、イスラエル軍の大虐殺作戦の完了を待っている。
 これに対してパレスチナ人民の側も「全面戦争」に突入し、勇敢に戦っている。7日までにイスラエル軍11人をせん滅し、143人を負傷させた。ファタハ系の武装組織アルアクサ殉教者旅団の創設者までもが自爆戦闘に決起し、総力戦で闘っている。ジェニンの聖誕教会に立てこもるハマス幹部は「武装パレスチナ人はとどまり、死ぬまで闘う」と宣言して闘い抜いている。9日にはこのジェニンの闘いで15人のイスラエル兵をせん滅。パレスチナ戦士は爆弾を体に巻き付けて闘い、自爆攻撃を敢行している。
 こうした中でイスラエル、イスラム諸国や欧米でベトナム反戦闘争以来の国際反戦闘争、連帯闘争が広がっている。とりわけ3月29日アヤート・アクラスさんが「眠れるアラブ兵にかわって戦う」と自爆闘争に決起したことが、世界の同世代の若者に大きな衝撃を与えた。アヤートさんはベツレヘム近郊の難民キャンプに住む女子高校生であり、春に卒業を、夏には結婚を控えていた。アラブの若者は「なぜ自分じゃなく彼女が自爆決起したのか」と自分の責任を問い、猛然とパレスチナ連帯闘争に決起している。
 翌30日には、エジプトの首都カイロにある複数の大学や高校で学生数千人がイスラエルとの国交断絶やイスラエル大使の追放を求めデモを行った。4月1日には、約千人の学生がイスラエル大使館に突入しようとして警官隊と衝突した。モロッコでは全国の高校生による抗議行動と2週間のストライキが闘われた。
 学生たちの決起は世界各地で反戦闘争を牽引している。7日にはモロッコの首都ラバトで100万人のデモが行われた。米第5艦隊司令部があるバーレーンでも、5日首都マナマで2000人のデモ隊が米国大使館に火炎ビンや石を投げ治安部隊と衝突、7日には1万人が米大使館抗議闘争に押し寄せた。ヨルダン、レバノン、インドネシアなどでも数千、数万人のデモが行われ、各所で警官隊と激突している。デモが禁止されているサウジアラビアでもデモが始まった。6日パリで2万人以上、ローマで5万人がデモを行ったのを始め、欧米各国のあらゆる都市で、数千〜数万人のデモが行われている。
 日本帝国主義はこうした米帝の残虐な中東支配やアジア支配の土台の上で被抑圧民族人民から搾取・収奪することで成り立っている。日本政府は米国やイスラエルの同盟国・友好国として、こうした民族虐殺を支えてきたのだ。日本の学生や労働者の決起こそが求められているのだ。
 それだけではない。これは帝国主義が米帝を先頭に「テロ根絶」(=民族解放闘争の圧殺)をスローガンに世界大的な侵略戦争、世界戦争に向かって突き進んでいるという問題なのだ。これに対してイスラム諸国人民の闘いが激しく爆発している。それは、「帝国主義の戦争に反対し、ともに闘いに立ち上がって世界戦争の元凶である帝国主義を打倒しようではないか」という呼びかけなのだ。これにどうこたえるのか。帝国主義の戦争に動員され、他民族を虐殺し、結局は自らも殺されてしまうのか。それとも被抑圧民族人民に連帯して闘い、有事立法を粉砕し、帝国主義を打倒するのか。このことが問われているのだ。
 見よ。パレスチナ人民は絶望的とすら言える状況の中でも、米帝によるペテン的和平策動をうち砕き、イスラエルと米帝を追いつめている。彼らはどこまでも自己解放性を貫き、個に死して類に生きる英雄主義を発揮して闘い抜いている。その姿に全世界の被抑圧民族人民がどれほど勇気づけられていることか。それはイスラエルのユダヤ人民や帝国主義国の労働者階級人民の階級的な魂をも揺さぶり、全世界を獲得するものとしてある。だからこそ米帝とイスラエルは、「パレスチナ人民の闘いを壊滅しなければもはやイスラエル国家と米帝の中東支配そのものが成り立たない。総せん滅するしかない」と襲いかかっているのだ。
 このパレスチナ人民の闘いを絶対に見殺しにするな。4・28を断固たるパレスチナ連帯闘争として闘おう。米帝・イスラエルは直ちにパレスチナ人民虐殺をやめよ、と声がつぶれるまで必死で訴えよう。イスラエルの大虐殺と民族抑圧に対して、壮絶な自爆決起、抵抗闘争をたたきつけているパレスチナ人民の決死の呼びかけにこたえ、魂が震える連帯を込めて全国各地でデモに立とう。

 武力攻撃事態と周辺事態を直結し、集団的自衛権を行使

 第二に、何よりも有事立法阻止・改憲粉砕のために全力で4・28闘争に決起しよう。小泉政権の有事立法の最大の狙いは、日帝がほんとうに中国・朝鮮・中東戦争をやろうということだ。しかも米軍が92年に作成した朝鮮侵略戦争計画「5027」では核を使わない場合でも100万人もの朝鮮人民が死ぬと予想している。ブッシュ政権は現在では中国・朝鮮侵略戦争を核戦争として構えており、さらに恐るべき大虐殺戦争となることは必至なのだ。このことを全人民に訴え、どんな手段をとっても有事立法3法案を阻止しなくてはならない。
 日帝・小泉は「テロも不審船も拉致問題も有事だ」と叫び、有事立法制定=改憲の正面突破・全面突破に出ている。日帝は独自の「対テロ戦争」の論理で中国・朝鮮侵略戦争を主体的に進めることに踏み切ったのだ。かつて日帝は朝鮮や中国で、今イスラエルがパレスチナでやっていることを上回るほど残虐な侵略戦争を行った。日帝はまたも同じことをくり返そうとしているのだ。
 すでに明らかにされた有事立法関連3法案を見よ。
 武力攻撃事態を「武力攻撃(恐れのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるにいたった事態」と定義し、「周辺事態」と「武力攻撃事態」とを直結させ、米軍と一体となって集団的自衛権行使を行うことを合法化している。
 そして首相を議長とする安全保障会議の独断専行でいつでも中国・朝鮮侵略戦争参戦を決定・遂行できるようにしている。何よりも防衛出動命令が出される以前から自衛隊が出動し、超法規的に行動し、武器を使用するのだ。さらに地方公共団体に自衛隊や米軍への戦争協力を義務づけ、その際の「首相の指示権」を明確化し、これを拒否すれば首相が代執行できるとした。「国民の自由と権利の制限」が明記され、民間労働者が動員され、民間人への罰則も盛り込まれた。
 中谷元・防衛庁長官は4日の衆院安全保障委員会で、朝鮮半島や台湾などの日本周辺有事、いわゆる「周辺事態」が緊迫した段階から有事法制関連法を適用することがありうると明言した。日帝が新安保ガイドラインに基づき中国・朝鮮・中東侵略戦争に全面的に参戦しようとしていることは明らかだ。
 東京都知事の石原慎太郎や自由党党首の小沢一郎は何と言っているのか。
 石原は8日の産経新聞の論説で、「工作船の引き上げを国会で早急に議論し決定して、有事立法制定の強い引き金にせよ」と述べた。そして「現実日本に押し寄せている新しい形の戦争による危機は、それを防ぐためにれっきとした軍事力を行使しなくては及ばぬところまで来ている」と、「拉致問題」や「不審船事件」をテコに、朝鮮・中国侵略戦争を日帝独自の「対テロ戦争」として行うべきだと主張している。
 小沢は6日に福岡市内で講演し、「日本がその気になったら一朝にして何千発の核弾頭が保有できる。そうなったら(中国に)軍事力でも負けない」と中国を恫喝し、核武装で対抗することを公言した。
 小泉政権の有事立法攻撃の中で、こうした超ど級の中国・朝鮮侵略戦争宣言が堂々と行われているのだ。石原や小沢は小泉後をにらんで自分こそが中国・朝鮮侵略戦争を対米対抗的に進めていくのだと宣言している。これが小泉政権の有事立法が狙うもなのだ。
 実際日帝・小泉政権は12月22日に撃沈した外国船の引き揚げ作業のために米との合同調査チームを発足させ、5月下旬から作業を開始しようとしている。米帝を調査に加えたのは「第3国による妨害行為への抑止効果」をも狙ったものだと言う。第3国とは中国のことであり、これは対中国、対北朝鮮の軍事作戦そのものなのだ。
 日帝は対中国、対北朝鮮の排外主義をあおり、またパレスチナ人民を「テロリスト、過激派」と呼んで、中国・朝鮮・中東侵略戦争に向かってガンガン情勢を加速させようとしている。
 この日帝の本気さを見据え、闘う朝鮮・中国人民、イスラム諸国人民と連帯して、有事立法阻止・改憲粉砕の全人民的な総決起を訴えよう。4・28闘争を突破口として闘い抜こう。

 有事法粉砕、基地全面撤去で“第2の沖縄戦”の道はばめ

 第三に、4・28闘争を、沖縄連帯を貫く有事立法阻止決戦としてかちとろう。
 日帝の有事立法制定=改憲攻撃、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争は沖縄に新たな基地強化=最前線基地化とすさまじい犠牲を強制するものだ。それは「第2の沖縄戦」の道だ。
 米帝ブッシュは、昨年9月のQDR(4年ごとの戦力見直し)、年頭の一般教書演説で世界危機を世界戦争に転化する路線をしき、中国侵略戦争を最大の軍事目標のひとつと定めた。そして東アジアや中央アジアに新たな基地を建設している。カムラン湾軍事基地の使用さえもベトナム政府に要請した。米軍のアジア最大の拠点である沖縄では、名護を始め新たな基地建設が狙われている。米帝は中国・朝鮮侵略戦争で日米安保と沖縄を徹底的に使い切ろうとしている。日帝は安保強化=沖縄圧殺をテコに米帝の中国・朝鮮侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようとしている。在沖米軍の兵力削減や名護新基地の「15年期限」などは問題にもなっていない。
 有事立法は沖縄戦の再現を狙うものだ。沖縄戦では何が行われたのか。
 日本軍は陣地構築や飛行場建設に住民を動員する一方、じゃまな住民は自然壕も食糧もない本島北部やマラリヤが流行する八重山の山岳部に追いやった。日本軍にとって沖縄人民は守るべき対象ではなく、戦闘に動員し、働かせ、食糧や壕を奪い、最後は米軍の捕虜になることを許さずに自決を強要する存在でしかなかった。そして45年には満17歳以上45歳以下の男子のほとんどを軍隊に召集し、結局当時の沖縄県民のおよそ3分の1の15万人が殺されたのだ。これが有事立法の「住民の避難」「民間協力」の本質なのだ。
 沖縄人民は「戦争の加害者にも被害者にもなることを拒否する」と米軍基地の全面撤去を掲げて闘っている。名護新基地建設をめぐる闘いがいよいよ正念場を迎える中で、闘いを勝利に導く新たな指導部を生みだそうと苦闘している。沖縄市長選では、名護市長選宮城康博氏の闘いを引きついで、桑江テル子さんが立候補し闘っている。沖縄人民の闘いに学び、連帯し、「復帰」30年目の5・15(19闘争)を本土人民自身の闘いとして取り組もう。「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を掲げて闘い抜こう。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2050号4面2)

北富士 入会地奪還へ鉄塔

 北富士忍草農民は3月29日、入会地奪還に向けて演習場入り口の中道に鉄塔を建設し、小屋を建て、4月1日から座り込みを開始した。鉄塔には「一所懸命63年」「辛酸いよいよ佳境」と大書した垂れ幕。天野重知会長は、「入会権を守る闘いが、新たな段階に突入するとの思いを込めて小屋を建てた。長期戦も辞さない」と決意を語った。

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週刊『前進』(2050号4面3)

4月3日〜9日
 政府、有事3法要綱案を提示
 中谷「周辺事態は有事対象」

●国会会期を大幅延長 政府・自民党は、6月19日に会期末となる今国会の会期を大幅に延長する方針を固めた。延長幅は8月9日ごろまでの50日間程度を検討している。これに関連し、自民党の山崎幹事長は、有事立法について「今国会で必ず成立させる。必ずだ」と述べている。(3日)
●有事対象に周辺事態も 中谷防衛庁長官が衆院安保委員会で、「周辺事態はわが国にとって武力攻撃の事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態だ。当然、周辺事態のケースは、このひとつではないかと思う」と述べ、有事立法の対象に日本への直接の武力攻撃ではない周辺地域での「周辺事態」も適用されるとの見方を示した。(4日)
●横田「軍民共用可能」情報で運輸省が検討
 米軍横田基地への民間航空機乗り入れ構想をめぐり、旧運輸省に90年と94年ごろの2回、米国が基地の軍民共用を可能としているとの情報が入り、同省が検討を始めたものの、騒音問題などを理由に断念していたことが分かった。(4日)
●児童に水陸両用車体験 沖縄の名護市内の小学校校長が授業の一環として3月6日に5年生9人全員を米海兵隊キャンプ・シュワブに引率、児童が水陸両用車(強襲揚陸艇)に乗り込んでいたことが分かった。(4日)
●自由党小沢「核武装は簡単」 自由党の小沢一郎党首が講演で「中国は超大国になろうと軍事力増強にいそしんでいる」「あまりいい気になると日本人はヒステリーを起こす。(日本が)核兵器を作るのは簡単だ。その気になったら原発のプルトニウムで何千発分の核弾頭ができる。大陸間弾道弾になるようなロケットを持っている」と述べた。(6日)
●日米共同でミサイル飛行実験 米国防総省が05会計年度(04年10月−05年9月)に、ミサイル防衛構想に基づく日米初の迎撃ミサイル共同飛行実験を計画していることが米国防総省の内部文書で明らかになった。実験は日米が共同研究している部品を搭載した迎撃ミサイルを使い、約2年続く見込み。(6日)
●民間道に水陸両用車 沖縄の宜野座村松田の米軍キャンプ・ハンセン演習場近くで、米軍水陸両用車とみられる車両が民間道に侵入し、民家の至近距離を走行、無限軌道でアスファルトや路肩に傷を付けていたことがわかった。住民は「何かされるのでは、と恐怖感でいっぱいだった」と話している。(7日)
●防衛出動国会承認、有事法に一本化 政府は、首相が自衛隊に防衛出動を命じる場合の国会承認について、自衛隊法76条の国会承認部分を削除し、今国会に提出する有事関連法案に盛り込まれる国会承認手続きに一本化する方針を固めた。(7日)
●嘉手納基地で米軍機が照明弾落下 沖縄の米軍嘉手納基地で、着陸体勢に入ったF15戦闘機から物体が落下。嘉手納基地報道部の調べで小型の訓練用照明弾(フレアー)であることが分かった。(8日)
●政府が有事3法要綱案を与党に示す 政府が与党3党に「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案要綱(案)」と「自衛隊法等改正案要綱(案)」、「安全保障会議設置法改正案要綱(案)」の3法案要綱を提示した。(8日)
●有事の指定公共機関に「民放も」 政府は、有事立法に規定する指定公共機関に、民放を含める方向で検討する考えを示した。有事の際、避難警報などを放送することを義務づけるもので、求めに応じない場合は強制的に実施させる可能性もある。法案原案では、指定公共機関は「武力攻撃事態への対処に関し、必要な措置を実施する責務」を持つとしており、報道機関では日本放送協会(NHK)が明記されている。(9日)

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週刊『前進』(2050号5面1)

国際的内乱の先頭に立つレーニン主義党の建設を
 機関紙拡大闘争へのアピール

 世界情勢は02―03年の大激動を告げている。戦争か革命か、人類の歴史選択が問われている。パレスチナ人民はイスラエルの自治区全面侵攻・大虐殺と命がけの解放闘争を闘い抜いている。パレスチナ・アフガニスタン・イスラム諸国人民を始め全世界で開始された国際的内乱の先頭に革共同は立たなければならない。9・11反米ゲリラ戦争を新たな回転軸とする国際的内乱の情勢にこたえるために、革命的な宣伝・扇動を展開し、革命的大衆行動を組織し、革命を遂行できる真の革命党組織を建設しよう。4−6月、そして7、8月の有事立法決戦の真っただ中で、機関紙拡大・財政闘争・党勢拡大をやり抜こう。本アピールは3月全国機関紙担当者会議での提起、討議、決定に基づくものである。これにこたえ、全党が機関紙拡大闘争に全力で総決起することを訴える。

 職場細胞・大学細胞建設の闘いを政策の軸に据えきろう

 01年後期機関紙活動は、9・11情勢下の機関紙活動として総括される。当然にもダイナミックな展開を遂げた。蜂起に向かって労働者階級人民の意識の流動化を対象化し、『前進』を真っ向から持ち込む意識的活動を展開した拠点職場、拠点大学を中心に顕著な前進をかちとった。この革命的情勢の成熟の中で原則的で意識的な機関紙活動が威力を発揮した。機関紙活動は新しい段階に入った。
 この総括からつかみとった機関紙拡大闘争の核心の第一は、機関紙拡大闘争の根幹に細胞建設論をしっかり据えること、とりわけ職場、工場、大学の拠点細胞建設を機関紙拡大政策の根幹に据えることである。これこそが、今日の情勢がわれわれに痛切に求めている主流派への飛躍にこたえる道なのである。
 職場、工場が蜂起の基本的単位であることは明白である。機関紙拡大闘争は、革命に勝利する党をつくることであり、基幹産業、基幹部門を軸とする蜂起のプランから逆規定して対象を設定して、目的意識的にやり遂げるのである。
 「労働者の中へ」とは、職場細胞、工場細胞を建設することである。一人でも党員のいる職場でいかに細胞を建設するかが最大の課題である。そのことに真っ向から挑戦していかなければならない。それがいかに困難であったとしても、蜂起に勝利する党を建設するために別の道を志向することはできないのだ。
 職場細胞、工場細胞建設に着手する場合、機関紙が基軸であることはあまりにも明らかである。一にも『前進』、二にも『前進』である。組合員、また非組合員の全員に『前進』拡大を目指すことである。そして、『前進』読者のフラクを組織することである。読者フラクがあるのを知って、「是非自分もフラクに参加させて欲しい」と申し込んできた読者が何人もいる。『前進』をバラで買ってくれた人の読書会を組織した活動が今回、報告されている。
 職場細胞、工場細胞の建設と結合した拡大こそ、配布体制(蜂起を準備する配布網)にとっても最も有効なのだ。
 また、大学細胞建設を決定的に重視すべきである。現代の革命運動での学生の先進的・先駆的役割は鮮明である。時代の危機を感じとった労働者大衆が、「全学連の登場」を願望することは当然である。いつの時代にもそうであったし、これからもそうである。実際に時代への学生の反応は鋭く現れつつある。意識的・計画的に拠点大学細胞を建設していこう。
 さらに、すべての階層の人々を拡大対象として設定し切るべきである。この間の拡大闘争は統一戦線の広がりを基礎に、あらゆる階層・人士に大きく広がっている。こうした人々がすべて『前進』拡大の対象であることは明らかである。
 拡大闘争の核心の第二は、『前進』街宣を圧倒的に強化することである。
 党が街頭でストレートに党の見解を明らかにし、党の機関紙・誌を販売することは、最も基本的な党の活動である。すべての党員がしなければならないし、できる活動である。9・11を機に、全党が思いきってこの活動に踏み込み、街頭販売を積み重ねて自信をつけ、職場・学園で機関紙拡大闘争を成功させてきた。党として街頭に思いきって登場したことが事態を決定的に切り開いたのである。党として、大衆の中にもっと大胆にストレートに『前進』を持ち込む活動を強めることが決定的である。この闘いをもっともっと意識的・意欲的に推し進めなければならない。
 まだ大多数の人びとが『前進』の存在を知らないのである。こういう革命的見解に接したことがないのである。それを瞬時に打ち破って、直接結びつく場が『前進』を使った街宣である。まさに、『前進』街宣は、革命党への労働者・学生・人民大衆の結集の宝庫である。
 これまでの在り方を抜本的に変革し、『前進』街宣を恒常化し、定期化し、あらゆる機会に『前進』街宣を行おう。
 拡大闘争の核心の第三は、組織のキャップ、責任者のもとで意識的活動を強化することである。
 責任者が主体的に取り組んだ組織は確実に拡大している。責任者が担当者まかせのところは自然発生的でしかなく、基本的に拡大運動とならない。
 全党員が機関紙に確信を持ち自己と完全に一体化させることがカギである。機関紙の現状についての改善すべきことや不十分性を含めて、すべてを自己の責任においてとらえ、積極的に突破していこう。『前進』をより良いものにする努力を全党が一丸になって進めるとともに、この現にある『前進』を主体化し、『前進』のすばらしさを一点の曇りもなく確認し、『前進』で勝負していくということである。
 そのためには第一に、指導部を先頭に『前進』を良く読むことである。『前進』を使って会議を行い、『前進』で政治討議をすることである。会議時間が短時間しか確保できないなら、なおのこと『前進』を十分活用することが、一定のレベルを保証した政治的討議、政治的意志一致を実現するカギである。
 第二に、『前進』拡大と党の拡大を基本会議の正式議題に据えることである。
 党の会議の絶対的目的の一つは、党建設、それもとりわけ党の拡大を構想し、計画し、実践に移すことである。会議の中に機関紙拡大を中心課題として据える必要がある。
 基本会議で、機関紙の配布、『前進』フラクの形成と運営、『前進』拡大闘争の対象分析と方針・計画の練り上げを必ず行うということである。
 レーニンが建設したコミンテルンの第3回大会テーゼでは、それが「月一回は必ず行うこと」として述べられている。
 現状に即して述べれば、まず、組織の機関紙活動の現状を完全に掌握しきることが第一歩である。毎週の会議で機関紙の配布と読者の増減が報告されるようになっていない組織のあり方を変革しなければならない。
 一切の結論は拡大闘争をゴリゴリ推進することである。「読ませたい人」の一覧表を作り、オルグを計画し実践しよう。そのように実践的に格闘したところで、大きな成果を得なかった組織は一つもない。計画―実践―点検(総括)のサイクルをやり抜くことがカギである。

 財政闘争・機関紙活動・党勢拡大へ全力で取り組もう

 量的な拡大が切実に求められている。しかしまず、どういう党をつくるのかを鮮明にしなければならない。党を原則的につくっていくということである。党の三原則を貫徹し、非合法・非公然体制を堅持し、『前進』を軸としてつくり出される革命党の強化・拡大が勝利のカギである。

 非合法・非公然党

 われわれが迎えた重大な歴史的情勢は、革命党の本格的建設を求めている。真の革命党を建設し、革命的情勢に対応した革命党の三大義務を急速に達成しなければならない。レーニンが『なにをなすべきか?』などの中で提起している革命的な宣伝・扇動を展開し、革命的大衆行動を組織し、革命を遂行しうる組織を建設することである。
 そのためには、党活動の三原則を原則的にたゆみなく貫き実現することが成功の秘訣(ひけつ)をなすということだ。
 「われわれの党は、権力のための闘争を前衛的に指導できるような革命的自覚に燃え、『鉄の規律』と『党生活の三原則』で武装された『革命家の組織』として建設されねばならない。苛烈(かれつ)な権力闘争と広大な党の階級的・実体的基礎という矛盾は、厳格な革命的中央集権制の樹立によってしか解決できない」(『清水丈夫選集』第3巻、499−500n)のである。歴史的決戦の到来は、党に変革と飛躍と再確立を求める。党と党員のあり方も従来の延長線上にはないのである。だから党建設の闘いは、それに対する日和見主義的傾向や解党主義的傾向との非妥協的闘争を必要とする。
 ここで絶対的前提として確認すべきことは、非合法・非公然体制を抜きには、革命は遂行できないということである。
 パレスチナ人民はイスラエルの侵略に対して非合法・非公然の武装闘争を闘い抜いている。韓国の発電労働者は、非公然的「散開闘争」で弾圧網をかいくぐり1カ月を超える職場放棄を闘い抜いた。生死をかけた全世界人民の国際的内乱が非合法・非公然的に闘い抜かれている。
 非合法・非公然体制の絶対的必要性は、レーニン主義の核心である。これはロシア革命の勝利とドイツ革命の敗北の教訓としてわれわれが決定的に学んだ事柄である。
 レーニンは、ドイツの革命的翼を代表するローザ・ルクセンブルク(=ユニウス)を批判して、「ドイツにおける革命的マルクス主義全体の最大の欠陥」として「革命的スローガンを十分に考えぬき、これらのスローガンの精神で、大衆を系統的に教育することに慣れた非合法組織をもたない」(レーニン『ユニウスの小冊子について』)ことにあると指摘している。
 9・11―10・7情勢下で対権力関係が激変している。権力の対応は画然と変化した。革命的情勢は革命党の存在によってこそ蜂起に転化できるからである。党の第6回全国大会で確立した路線のもと、非合法・非公然体制を圧倒的に強化しよう。

 財政問題の解決

 機関紙・誌財政、基本財政の危機の抜本的突破をやり抜かなければならない。02年が要請する党の一大飛躍は、財政闘争での飛躍として核心的に問われている。
 財政闘争は革命運動上の普遍的課題であり、価値創造的な党建設のテーマである。革命運動への人民の決起の一つの形式である。また、財政闘争こそが党員の資質を形成する。
 機関紙代金の分担は、非合法・非公然体制の維持と並ぶ革命党の根幹である。
 一方で、権力の弾圧に抗し、非合法・非公然体制を堅持して闘い続けること、他方で、大衆的な巨大な決起に先行して革命的大衆行動を切り開いていくこと、これが革命党に財政的困難をもたらすのである。それは革命党が革命的であることによって不可避に生じる課題であり、なんらネガなことではないのだ。問題は、この財政的困難を、革命党として絶対に解決しなければならない課題として立ち向かっていくのか、それともその重圧に屈服するのか、なのである。
 「労働者党は規則的な党費と労働者のカンパにたよるほかには存続することができない……このようなカンパがなければ、党のどんなに金をかけない中心(地方および全ロシアの)機関も存続することが絶対に不可能である」(レーニン『ロシア社会民主労働党中央委員会と活動家との会議の通報と諸決議』全集18巻)
 レーニンは、たとえ少額であっても労働者新聞に対する月々の恒常的なカンパを組織することの重要性を提起している。
 「カンパのあらゆる意義は、それを中断することなく、給料日ごとに規則正しくおこない、ますます多数の労働者が、この恒常的なカンパに参加するところにある」「労働者大衆の自覚、積極性、関心が、なんとかして克服できないような困難や障害はないし、またありえない」(レーニン『半年間の活動の決算』 全集18巻)
 財政問題の革命的な突破の道は、機関紙を軸とした原則的な党活動の確立=再建にあることを確信して進むことが重要である。
 党の非合法・非公然体制を建設・防衛し、『前進』を発行することが党建設の出発点であるという原則を第一義的に確認しなければならない。そのために、党はその第一歩において、全党の力を集中して財政と人を投入して、党の非合法・非公然体制を構築し、機関紙を発行するのである。そのことが、偉大な革命的情勢の接近下において試練にさらされているのである。
 ここで、『前進』の発行は結党以来、分担制度によって党員が必要な資金を持ち寄って実現してきたことをあらためて確認しておきたい。コミンテルン第3回大会のテーゼでも「共産主義新聞は、たえず大きな物質的および財政的な犠牲を払うことによってのみ、これを維持することができるであろう。新聞を充実し、内部的に改善するための資金は、たえず党員から提供されなければならないが、……やがては新聞はきわめて広く普及し、組織的に確立されて、それ自体、共産主義運動の物質的支柱に変わりはじめるであろう」と述べられている。
 機関紙・誌は、組織の資金で発行するのであり、必要な資金は党員が分担しなければならない。それ以外のどんな方法もない。それをつくり出す必死の闘いが党を確立していくのである。党なくしては実現不可能な革命を貫徹しようという立場を不可避に形成―確立するからである。

 レーニン主義革命論における機関紙活動の決定的意義

 機関紙活動について最も基本的なことをあらためてしっかりと確認したい。
 機関紙活動とは、ほとんど党建設と同義である。それほど機関紙活動は決定的な位置を持っている。
 いま必要な宣伝・扇動の核心は、「帝国主義の危機の全面的暴露」を実践し、「帝国主義戦争を内乱へ」を呼びかけることである。宣伝・扇動の変革とは、「三大義務」の貫徹ということである。それは『前進』でのみ行いうる。『前進』を拡大し、配布する能力――これが革命をやり遂げる力である。『前進』を労働者大衆の中へということが革命党の活動の中心テーマだということである。
 革命的情勢が急接近している現在、レーニン主義革命論における機関紙の意義についてあらためて学ぶ必要があるだろう。
 レーニンは、党を確立して階級―人民に系統的に働きかけること――そうすることによって初めて共産主義運動は進むのだ、その党が階級をひきいて、ついには権力奪取の蜂起そのものを計画し、組織し、実現するのだということを真っ向から提起した。党と階級の関係を、このように党を媒介にして初めて可能になるものとして提起したことが、レーニンの国際共産主義運動史上での画期的な貢献である。レーニンの「計画としての戦術」の偉大さだ。
 レーニンは、『なにをなすべきか?』の第5章でプロレタリア一斉武装蜂起論を展開している。すなわち、そこで「『全国的政治新聞の計画』は、……いますぐあらゆる方面から蜂起の準備を始めると同時に、自分の緊要な日常活動をただの一瞬間も忘れない、最も実践的な計画なのである」と述べている。
 そして、「この新聞を中心としてひとりでに形づくられる組織、この新聞の協力者たち(もっとも広義の協力者たち、すなわちこの新聞のために働く人々の全部)の組織こそ、まさに革命の最大の『沈滞』の時期に党の名誉と威信と継承性をすくうことにはじまって、全人民の武装蜂起を準備し、指定し、実行することにいたるまでの、あらゆる事態に対する用意をもった組織であるだろう」と結論づけている。
 全国的政治新聞の発行の計画、ここに蜂起―革命の勝利の一切をかけて、非合法のロシアで、『イスクラ』発行を出発点に革命を構想しやり遂げたのが、レーニンであり、ボルシェビキである。
 ところでわが党は、すでに全国的政治新聞『前進』を定期的に発行している。この全面的活用を軸とした党活動の確立こそ革命勝利への道であり、今日の実際の闘いのなかに断固として貫かなければならない。
 帝国主義、スターリン主義と闘うための唯一の武器、このすばらしい『前進』という武器をどれだけ、プロレタリアート人民の中に広め、革命的影響力を形成するのか、ここに党建設と日本革命勝利の唯一の道がある。このことは、今日ますます決定的に重要である。革命党の見解こそ求められている。それ以外には、労働者階級への現実的回答がないからである。
 機関紙で党を組織し、労働者階級を組織することである。党の第6回全国大会を闘いとった地平とその内容で、大胆に地区委員会−細胞(支部)活動の抜本的変革を、機関紙を軸にした毎週の定期会議の開催として、転換的にかちとろうということである。
 4―8月機関紙拡大闘争に総決起し、闘う労働者党を建設しよう。

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週刊『前進』(2050号5面2)

 第3部 植民地支配の歴史(9) 台湾G 47年2・28蜂起
 蒋介石の白色テロルと激突

 8・15解放を迎え

 1945年8月15日は、台湾の人民にとって喜びの光復、日帝の植民地支配からの解放の時だった。中華民国の国旗と孫文の遺影が掲げられ、「義勇軍行進曲」が街に流れた。
 教育者だった林茂生は、植民地支配からの解放を喜び、「ついに私たちが自分たちの主人となる時代がやってきたのだ」と息子に語った。彼は台湾大学教授になり、『民報』紙社長に就任して活発な言論活動を展開し、「台湾を新生させ、教育、文化、農業、工業を発展させ、すべての人が自由と平等を享受できるようにしなくてはならない」と講演して回った。
 台湾はカイロ声明(43年11月、ルーズベルト・チャーチル・蒋介石会談)に基づいて中華民国に返還された。蒋介石政府は、陳儀を「台湾省行政長官兼警備総司令」に任命し、台湾接収に乗り出す。10月17日には国民政府軍第70軍が米艦船に分乗し、基隆に上陸し、24日に陳儀長官が松山飛行場に降り立った。25日には台北中山堂において降伏式が行われ、陳儀長官と安藤利吉台湾総督が降伏文書に調印した。この日が以後、「光復節」となった。
 この後、日本軍は武装解除、警察権力も解体され、12月には日本人50万人の送還=引き揚げが始まった。
 小林よしのり著『台湾論』には、「日本が50年にわたって営々と築き上げてきた膨大な資産はすべて蒋介石率いる中国国民党のものになった」「資産総額は当時の金額で約110億円、全台資産の6割とも8割ともいわれる莫大な資産すべてを蒋介石がぶんどった」と叫んでいる。この巨大な数字こそ、日帝の台湾植民地支配の実態を物語っている。そもそもすべては台湾人民のものであり、搾取・収奪の限りを尽くしてぶんどった日本人に、持ち帰る権利などないのだ。
 台湾からは20万7183人もが「皇軍兵士」として戦場に駆り出された(軍人8万433人、軍属12万6750人)。戦病死者は3万300人、うち2万7800人が靖国神社に合祀(ごうし)されている。軍夫を含む軍属の死亡率はなんと22・2%。また戦後のBC級戦犯裁判で173人が有罪、うち26人が死刑となった。(厚生省資料)
 しかし戦後、日本政府は謝罪・賠償どころか、戦地での郵便貯金さえ返さなかった。
 74年12月にインドネシア・モロタイ島で発見された台湾先住民族の李光輝(日本名・中村輝夫)さんに日本政府が支払ったのは、未払い給与などわずか7万円たらずだった。

 日帝支配の継続

 陳儀は、旧総督府体制を踏襲する形の長官公署体制を樹立し、行政と軍政を掌握しようと自らに権力を集中させ、日本関係者が残していく財産を管理・統制するために統一接収を実施した。この中でインフレが高進し、相次ぐ復員で激化する失業苦、接収官憲の横暴と汚職が台湾人民を苦しめた。事態は悪化の一途をたどり、「解放から一年で、米の値段は一〇〇倍に跳ね上がった」(林歳徳著『私の抗日天命』)のである。
 47年2月27日、台北市内の延平北路でタバコを売っていた露天商の林江邁という老女が、専売局の職員と警察の摘発を受け、タバコと売上金を没収された。彼女は「救命、救命」と哀願したが、銃床で殴られ、血を流して倒れた。これに抗議した陳文渓が、警官の発砲により即死。激怒した民衆は、警察局などの政府機関を包囲して抗議した。
 翌28日、続々と専売局を包囲した民衆は、犯人の銃殺、死者の賠償、タバコの摘発中止、局長の謝罪を要求した。午後1時ころには長官公署の広場に集まった民衆に機銃掃射が浴びせられた。
 これが怒りの火に油を注いだ。民衆は蜂起し、台北放送局を占拠、全島に決起が呼びかけられた。
 警備総司令部は台北全市に戒厳令を発布し、軍隊を動員した。市街戦状況となった。台湾共産党創設者の一人でもある謝雪紅は台中で「二七部隊」を組織し、青年・学生らとともに、武力闘争を果敢に展開した。
 3月8日には21師団などの国民党軍が駆けつけ、残虐な鎮圧作戦が繰り広げられた。攻防は13日まで続き、以後、延々と事後弾圧が続いた。
 49年5月1日には全省の戸口(戸籍)総検査が実施された。これは「赤狩り」の初期作戦であり、20日には全省に戒厳令が敷かれた。以後、87年7月まで台湾は戒厳令下に置かれた。
 冒頭の林茂生は、2・28蜂起の首謀者として処刑された。彼は1887年台南市に生まれ、東京帝国大学に留学した。台湾に帰ってから、台湾議会設置運動にも参加、母校の台南長老教中学の教頭として、キリスト教系の各種学校だった同校を正規の中学校として認可させるために尽力した。台湾総督府は自らのコントロールの及ばない私立中学校設置を嫌い、難題を押しつけ、最後にはキリスト教系の学校に集団神社参拝を強要。これに戸惑っていると「非国民を養成する学校を廃校にしろ」と迫り、林らを追放し、学校の性格を変えてしまった。
 蒋介石政府も林らの運動を「中国を知らず、文化を知らず、抗日を知らない」と称して、台湾総督府と同様に政治参加を阻んだのである。林茂生は2・28蜂起の最中、台湾大学の学生を扇動して反乱を企て「台湾独立を妄想」したという罪で逮捕され、殺された。

 戦後体制と台湾

 中国大陸では49年10月1日、毛沢東によって中華人民共和国の成立が宣言された。中国人民の民族解放戦争に追い詰められ、2・28蜂起の圧殺の上に台湾に逃げ込んだ蒋介石は、戒厳令のもと極限的な白色テロル体制で台湾人民を抑圧し続けた。
 台湾での「外省人」と「内省人」の「対立」が台湾問題であるかのように小林よしのりなどは描いて見せる。しかしこの問題は、帝国主義と蒋介石政権による台湾白色テロル支配がもたらした人民分断の結果であり、その階級関係を見極めなければならない。
 中国の民族解放・革命戦争の圧殺者=蒋介石は、アメリカ帝国主義の戦後体制の再確立に取り入り、台湾の白色テロル支配をもって延命した。これに怒った台湾人民の47年2・28蜂起は歴史の必然だった。以来、今日まで民族解放を求める台湾人民の闘いは営々と続いている。(台湾の項おわり・室田順子)

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週刊『前進』(2050号5面3)

機関紙活動 実践の中から
ばら売りが大幅増 青年層に拡大実現
 革共同A地方委員会

 01年後期は、機関紙拡大闘争に各組織とも積極的に取り組み、いずれの分野においても画期的前進を実現した。とりわけ停滞していた地区がついに飛び出し、最大地区で6部増を実現、他の地区、戦線においても長期の苦闘を拡大に結びつけた。特に、青年層に拡大したことが大きな前進だった。
 01年前期の各数字と比較するとその画期的前進がはっきりする。オルグ計画数2・6倍、オルグ数3・5倍、ばら売り数4・6倍という数字に示されるように機関紙活動が飛躍的に活発化している。
 具体的には、9月を除いて毎月定期購読の増を実現した。これも初めてのことである。
 12月には、ばら売り数が計画数を初めて上回った。これは11・25の佐世保現地闘争報告号を大量に売ったことと、新年号が重なったことが大きかった。

 ばら売り読者と月1回の学習会

 後期は街頭での『前進』販売が大きな闘いであったが、ここでの販売を定購に結びつける闘いとして、ばらで売った対象者に対し、『前進』の読み合わせ、討論を保証するための学習会を開始し、毎月1回継続している。
 この学習会は、街頭での販売対象者だけではなく、各地区、戦線でばら売りが広がれば広がるほど新たな定購者も含めてじっくり機関紙討論をしていく場として大きな意義を発揮している。特に新しい青年層にとっての意義が大きい。
 こうした前進をかちとることができた要因は大きく言って3つある。
 第一は、01年都議選総括の徹底的主体化である。スターリン主義の崩壊−帝国主義の危機−日帝・小泉超反動政策と真っ向から対決する革命党としてまずもって自らをうち立て、帝国主義打倒に向かって政治闘争・経済闘争を両軸一体的に推進する党として大衆の前に登場すること、その具体的環として機関紙拡大闘争を据え直したことである。
 第二は、9・11反米ゲリラ戦争であった。9・11と真っ向から向き合い、共産主義者として自己批判的に決起するということは、開始された国際的内乱に連帯し、アフガニスタン・パレスチナ侵略戦争反対の闘いをつくりだし、われわれが日帝下において国際的内乱を実現していくことである。革命的反戦闘争を大爆発させるために全力で決起していく、そのためには「テロ弾劾」と真っ向から対決する『前進』の主張を大衆の中に拡大することが核心であった。
 第三に、機関紙を独自的に拡大するためのプランを立て、実践していくために初めて機関紙街頭販売の担当者を決めて闘いを開始したことは大きな前進だった。また、各組織における拡大プランという点では、各地区はかなり突っ込んで検討して対象化し、実践することができるようになった。「計画−実践−総括」の貫徹である。一つの地区では機関紙担当者会議が定着化してきている。後期の拡大は、こうした必死の格闘でようやく実現できた。
 02年機関紙拡大闘争は、この総括の上に立ってさらに前進を目指したい。体制的危機を本格的な戦争国家化−侵略戦争をもってのりきるために有事立法攻撃をかけてきている日帝と真っ向から対決し打倒していく武器として、機関紙を徹底的に拡大していきたい。

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週刊『前進』(2050号6面1)

 フィリピン 米比合同演習に怒り沸騰
  演習と称し米帝が侵略戦争 アブサヤフが徹底抗戦貫く
    五十嵐 茂生

 「対テロ戦争第2段階」を宣言したアメリカ帝国主義ブッシュ政権は、アフガニスタン人民虐殺に続いて、フィリピン人民に猛然と襲いかかっている。1月末以来、イスラム勢力の「アブサヤフ掃討」を掲げた米比合同演習が行われ、多くの人民が虐殺されている。民族解放闘争を圧殺する米帝の世界戦争路線と、その忠実な手先であるアロヨ政権に人民の怒りが爆発している。今後、この演習=侵略戦争はさらに激化・拡大がたくらまれ、東南アジア一帯で大軍事作戦が展開されようとしている。フィリピンのみならず、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポールなどへの激動の波及は必至である。この中で日帝・小泉は1月東南アジア歴訪、3月東ティモール派兵からいよいよ有事立法提出へと突き進んでいる。今こそ血債にかけて、闘うアジア人民、闘うパレスチナ人民、闘うムスリム人民と連帯して革命的国際反戦闘争を大爆発させ、侵略戦争への全面参戦を狙う日帝の有事立法を阻止しよう。

 沖縄駐留の米特殊部隊が人民虐殺

 1月末以来、米比合同軍事演習「バリカタン02―1」がフィリピン・ミンダナオ島で行われている。この演習こそ、イスラム勢力のアブサヤフ掃討、民族解放闘争の圧殺を目的とする米帝主導の侵略戦争以外のなにものでもない。「対テロ戦争第2段階」の実践そのものであり、「演習」と称してムスリムたちを次々と虐殺しているのだ。アブサヤフの活動拠点であるバシラン島に投入された特殊部隊160人を始め米軍660人が派兵され、加えて沖縄米海軍工兵大隊350人の増派が検討されている。演習期間は6カ月、情勢次第ではさらに6カ月延長するとしている。米軍の軍事行動としてはアフガニスタン侵略戦争に次ぐ最大級の規模である。
 すでに2月半ばから米比両軍の本格的な軍事作戦が始まっている。米軍が沖縄から偵察機を飛ばし、さらにスパイ衛星を使って上空からアブサヤフの動向を監視、その情報をもとにフィリピン軍が包囲・襲撃し虐殺しているのだ。これに対してアブサヤフは英雄的に決起し、衝突が繰り返されている。
 3月17日には攻撃用ヘリコプターによる空爆が強行され、アブサヤフのメンバーが多数虐殺された。4月3日にはアブサヤフのボートが撃沈され3人が殺された。しかしアブサヤフは「われわれは断じて降伏しない」と徹底抗戦を表明し、帝国主義の侵略戦争と命がけで闘いぬいている。
 この米比合同軍事演習に対して、フィリピンでは外国軍隊の国内での軍事行動を禁じた憲法に違反するとして反対の声がまき起こった。しかしアロヨ大統領は「テロ撲滅」を振りかざし、反対派を非国民呼ばわりして実施を強行した。さらにアロヨは2月下旬、演習本部のあるミンダナオ島サンボアンガを訪問した。これに対して地元住民はアロヨを徹底弾劾し、演習反対の闘いに決起したのだ。
 アブサヤフとは何か。ミンダナオ島南西部沖合のバシラン島を拠点にミンダナオの分離独立―イスラム教国家建設を主張するイスラム勢力である。そうした人びとの絶滅・一掃を狙って今回の米比合同軍事演習が強行されたのだ。
 9・11反米ゲリラ戦争の後、米帝は、「アブサヤフはビンラディン氏から支援を受けている」と称してアブサヤフを「テロ組織」と規定した。そして、その壊滅作戦を推し進めてきた。10・7アフガニスタン空爆開始直後に米軍事顧問団がフィリピンに派遣され、11月20日のアロヨ訪米―ブッシュ会談で「フィリピン国内のテロリスト撲滅」を確認した。この会談ではミンダナオ島開発とそのための米帝からの資金供与も合意している。
 さらに米帝は昨年12月、アブサヤフに続いて新人民軍(NPA)やアレックス・ボンカヤオ・ブリゲード(ABB)など武装闘争組織をも「テロ組織」と名指しした。米帝はアブサヤフ掃討戦を皮切りにすべての反政府勢力を一掃し、民族解放闘争、フィリピン階級闘争を根絶しようとしているのだ。実際、そのために現在の「バリカタン02―1」とは別に、4月22日から5月6日にかけて「バリカタン02―2」という軍事演習を行おうとしている。米軍は2665人の大部隊を動員すると発表した。
 それだけではない。米軍はこれと同時期に、東南アジア最大規模の米タイ合同軍事演習「コブラ・ゴールド」を含めた、多国間演習「チーム・チャレンジ」を強行しようとしている。「バリカタン02―2」も加わり、他にオーストラリア、韓国、シンガポールなどが参加を予定している。この「チーム・チャレンジ」ではミンダナオ島への最前線基地設置が計画されている。さらに米軍はこの間、東ティモール情勢とのからみで凍結されていたインドネシアとの軍事協力を再開している。
 米帝はフィリピンでのアブサヤフ掃討戦を全力で遂行するとともに、これを引き金にして東南アジア全域での一大軍事作戦を展開しようとしている。東南アジアには世界最大のイスラム国であるインドネシアがあり、さらにマレーシアがある。フィリピンは全体としては圧倒的にカトリックだが、ミンダナオ島はイスラム教徒が多数派である。これら諸国からは米帝のアフガニスタン侵略戦争に激しい反米闘争がたたきつけられた。米帝ブッシュはそれを「テロ」呼ばわりして根絶一掃しようとしている。
 重大なことは、9・11―10・7情勢の中で軍事演習そのものが画然とエスカレートし、人民虐殺の侵略戦争として遂行されていることだ。これが「対テロ戦争第2段階」の本質である。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民を虐殺する軍事演習を絶対に許してはならない。

 帝国主義に屈服深めるアロヨ政権

 フィリピン・アロヨ政権の反動性、反人民性をはっきりさせなければならない。
 まず、この間のフィリピン情勢を簡単にみていく。
 一つには、97年アジア危機の爆発は、もともと東南アジア諸国の中でも経済的に弱体なフィリピンに大打撃を与えた。成長率は97年の5・2%から98年にはマイナス0・6%に転落し、通貨ペソも大暴落した。
 二つには、日帝危機、米帝バブルの崩壊によって、日本から資本財や部品を輸入し半導体や電子製品を米国や日本に輸出するというフィリピンの貿易構造が危機に陥った。その中で対日貿易赤字と財政赤字が巨額化している。
 三つには、こうした中で階級的矛盾と民族的矛盾が一体となって爆発し、激しい危機に突入している。失業率が急上昇し、98年に10%台を突破、一挙に13%に達する中でリストラ・合理化のあらしが吹き荒れ、これに対する労働争議が激発している。この中で全世帯の3分の1以上が貧困状態にたたきこまれている。しかし、実は失業、貧困の最も激しい矛盾がミンダナオ島イスラム地域に集中しているのだ。例えば貧困率をみても、ミンダナオはフィリピン全体の平均から2倍以上も高く、約70%の世帯が貧困層に属している。
 こうした中で98年5月、「貧困撲滅」を掲げたエストラダが大統領選に勝利し、新政権が誕生した。しかし、エストラダはマニラなど都市部の貧困層から圧倒的支持を受けたものの、一方でマルコス派残党やクローニーと呼ばれる取り巻き連中と癒着し、不正・腐敗の限りを尽くした。さらにラモス政権が進めていたフィリピン共産党やモロ民族解放戦線などとの和平交渉路線を転換し、武力に訴えて鎮圧する道に進んだ。そのためエストラダ政権はフィリピン人民の怒りを呼び起こし、01年1月フィリピン史上初めて大統領弾劾裁判を受ける身となり、任期半ばで打倒された。86年のマルコス政権打倒の地平を引き継ぐ、フィリピン人民の実力の闘いである。
 こうして副大統領であったアロヨが新大統領に就任した。しかし、アロヨもまたフィリピン人民の期待を完全に裏切っている。アロヨが最大の課題として掲げる貧困対策は、実はミンダナオのイスラム勢力を屈服させ、日米帝資本によって大々的に開発プロジェクトを進めることにある。また、電力などの国営企業民営化―海外売却を推し進め、労働者に一層の犠牲を押しつけようとしている。
 何よりも9・11反米ゲリラのさく裂に対して、アロヨ政権は米帝とともに「対テロ戦争」を率先遂行している。昨年10月の上海APECでアロヨはブッシュやロシア・プーチンと共同で「反テロ国際宣言」の起草者となった。そして国内ではエストラダ以上の激しさでアブサヤフ掃討戦を展開している。政権発足から半年余りで「148人を虐殺し、178人の逮捕者と90人の投降者」を出すというすさまじさである。その結果、「00年に1200人いたアブサヤフのメンバーが2年間の掃討戦で約300人にまで減少した」(2月4日、レイエス国防相の発表)のである。
 それだけではない。MNLF(モロ民族解放戦線)に対して悪らつな分裂工作を推し進め、その指導者であるヌル・ミスアリ氏をムスリム・ミンダナオ自治区知事の座から引きずり降ろしたばかりか、彼を反乱罪で逮捕・起訴している。さらに、最大のイスラム勢力であるMILF(モロ・イスラム解放戦線)との和平交渉の一時中断をも決定している。
 このように、アロヨ政権はミンダナオ島のイスラム勢力が要求する分離独立要求を暴力的に圧殺する内戦激化策に出ている。これに対して闘うフィリピン人民は、イスラム勢力と連帯し徹底的に闘っている。

 ミンダナオのイスラム勢力の闘い

 そもそもフィリピン諸島の大部分にかつてイスラム勢力は多数存在していた。それが16世紀のスペイン侵攻以来の300年間におよぶ植民地支配、さらにアメリカの植民地支配が続く中で次第に南部ミンダナオ島に追いやられてきた。その結果として、フィリピンはカトリックが人口の83%、他のキリスト教徒が10%を占め、イスラム勢力は5%という少数派になったのだ。その後、60年代にベトナム国際反戦闘争が大爆発する中で、フィリピンではソ連派のフィリピン共産党(PKP)に取って代わり毛沢東主義派のフィリピン共産党(CPP)が階級闘争の主力に躍り出、戒厳令下でマルコス政権と激しく闘いぬいた。
 これと時を同じくして、イスラム勢力によるミンダナオ独立運動が登場し、70年には先述したヌル・ミスアリ氏らがモロ民族解放戦線(MNLF)を結成した。マルコス政権とMNLFの内戦が激化する中で、76年には停戦協定や自治区設立をめぐって分岐が生じ、新たにモロ・イスラム解放戦線(MILF)が結成された。その後、アキノ、ラモスは分離独立の要求を根本的に拒否した上で、部分的な自治権付与を条件とした和平交渉路線を展開してきた。その中で96年にはMNLFとの和平協定が調印された。しかし、MILFはあくまでイスラム国家独立を要求し、日米帝の援助による開発プロジェクトを攻撃した。その後、エストラダ政権は一転して強硬姿勢に転じ、MILFへの武力攻撃を強めたのである。
 アブサヤフは、MNLFが和平調停路線へと進む中で、あくまでイスラム教国家建設を目指すグループとして90年代初めに結成された。創設者であるアブドゥラハク・ジャンジャラニ氏は、サウジアラビアとリビアでイスラム教神学と軍事科学を学び、さらにソ連のアフガニスタン侵攻に反対するムジャヒディーンのジハードに参加した後、バシラン島に戻ってイスラム教の伝道活動を開始した。この伝道活動をジャンジャラニ氏は「アラブの戦争の父」あるいは「剣の使者」という意味をもつアブサヤフと呼んだのである。これにMNLFの路線転換に幻滅して離脱した人びとが加わり、アル・ハラカト・アル・イスラミーヤ(イスラム運動)というグループが形成されたのである。

 「テロ根絶」を叫ぶ帝国主義打倒を

 米帝ブッシュとアロヨ政権によるアブサヤフ掃討戦を許してはならない。彼らを「テロリスト」呼ばわりし問答無用に虐殺する侵略戦争を阻止しなければならない。すでにミンダナオ・バシラン島では激しい戦闘が始まり、アブサヤフは武装的決起も含めて果敢に闘いぬいている。
 フィリピンでは92年に反米・反基地闘争が大爆発し、その中でスービック、クラークの米軍基地を撤去させる歴史的な勝利を実現した。その地平から、この間の米比合同軍事演習再開反対の闘いに続き、このアブサヤフ掃討戦に対しても激しく抗議して闘っている。また、フィリピン労働者階級の中から「ミンダナオ・イスラム勢力の民族自決権を断固支持せよ」と声をあげて闘う部分が登場してきている。
 これに対して米帝は、「テロ根絶」の帝国主義的排外主義を叫びたてて、外国軍の国内での軍事行動を禁じたフィリピン憲法を踏みにじってアブサヤフ掃討戦を強行した。そればかりか、再びフィリピンに米軍を駐留させることさえ狙っている。
 日帝・小泉は1月の東南アジア歴訪の際にフィリピンを訪問し、ODA10%削減の恫喝でアロヨの屈服を迫り、日帝の東南アジアでの軍事的登場の必要性を訴えた。日帝は、アジア勢力圏化をめぐる日米争闘戦での圧倒的敗勢下で絶望的な巻き返しに打って出る以外にないのだ。
 3月11、12日にフィリピンで行われた対フィリピン支援国会合で、日帝は総額28億jの支援のうち、10億j の支援(円借款)を表明した。日帝はフィリピンに対する最大の資金供与国なのだ。
 小泉のフィリピン訪問に対してフィリピン人民は帝国主義打倒を掲げて弾劾闘争に決起した。さらに、労働者階級は日帝資本による首切り、大失業攻撃に対しストライキを始め戦闘的に闘っている。まさにフィリピン労働者人民は、帝国主義の侵略・侵略戦争に対して自己の民族的解放と階級的解放の一体的推進をかけて闘っているのだ。
 闘うアジア人民、闘うパレスチナ人民、闘うイスラム諸国人民と固く連帯して米比合同軍事演習を阻止し、国際的内乱を大爆発させよう。日帝のフィリピン侵略を許さず、有事立法阻止闘争に決起しよう。

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週刊『前進』(2050号6面2)

生きる権利を奪う医療制度大改悪 小泉よ、命の叫びを聞け! (2)
 月3千円が1万2千円に 74歳以下は高齢者から除外

 高齢者医療制度の改悪は、介護保険の実施によって決定的に追いつめられた高齢者にとって、〃死ね”というに等しい大攻撃である。今回の高齢者医療制度改革の主要な点は、@高齢者医療の対象年齢を75歳以上に5年間で段階的に引き上げる、A老人医療の公費負担の見直し、B外来患者一部負担の引き上げ、C外来患者一部負担の上限制と診療所の定額制の廃止、自己負担限度額の適用、D自己負担限度額の引き上げなどである。
 Bの外来患者の一部負担は、現行は1割負担ないし1回800円(4回限度)の定額制となっているものを、1割負担とし、一定以上の所得者は2割負担とする、というものである。この項目については70歳から75歳の人も当面75歳以上と同様に扱うとなっている。外来患者の一部負担の上限制と診療所の定額負担制は廃止されて、Dの引き上げられた自己負担限度額が適用されることになる。
 その自己負担限度額は、下表のようになる。例えば一般の場合これまで外来で月3000円(大病院は5000円)だったものが1万2000円となる。入院では、3万7200円だったものが4万200円(一定以上の所得者の場合は7万2300円)となる。
 ではこれで実際の高齢者の医療費負担はどうなるのか、モデルケースを想定して見てみよう。
 モデルケースB 一人暮らしの76歳の女性、収入は年金のみで月3万9000円、息子からの援助が月1万円。高血圧と骨粗しょう症で月2回診療所に通っている
 現在の負担額は、診療所の定額制で800円が2回で1600円。保険薬局での負担はない。これが、診察料が1割定率負担で1962円、保険薬局負担が2450円、合計で4412円でこれまでの2・7倍、2812円の負担増になる。月4万9000円で暮らす彼女にとって、2812円の負担増は、〃医者にかかるのはやめろ”というような重大な問題である。
 この女性が風邪を引いたらどうなるのか。
 現在なら1回の通院で580円、2回の通院なら1160円で済む。これが1割定率負担が1回575円と保険薬局負担が1250円で1回通院なら1825円、2回なら2400円かかることになる。
 普段の通院と合わせると6000円から7000円の医療費負担になる。これは、月4万9000円で暮らす彼女にとって、風邪を引いても医者に行けなくなることを意味している。
 モデルケースC 夫75歳と妻70歳の2人暮らし。収入は2人の年金をあわせて7万4000円で、家賃が3万7000円、光熱費・新聞代などが1万9000円で、年金だけでは足りないので貯金を取り崩して生活しているが、200万円しか残っていない。これまでは月2万円ぐらいの預金の取り崩しだったが、昨年12月から介護保険の保険料全額徴収が始まったので、預金の取り崩しが月3万円近くになった
 妻が神経痛で診療所に週3回通い、週1回は痛みを和らげるための注射と週2回は牽引療法と高周波療法を受けている。現在は負担の上限制があることで月3000円で済んでいるが、制度改悪になったら自己負担限度額の8000円を払わなければならなくなる。
 ところが、夫が風邪をこじらせて肺炎になってしまい、高齢のため回復が長引いて4週間入院してしまった。入院治療費は定率の1割負担で5万4830円だが、自己負担限度額によって1万5000円負担しなければならなかった。妻の分とあわせて医療費が2万円も余計にかかることになってしまった。
 これまででも月に2万円ずつ貯金を取り崩さなければならなかったこの夫婦は、今後は3万円近く貯金を取り崩していかなければならなくなる。高齢によって今後さらに何らかの病気になることは十分にあり得ることであり、そうした場合にどうやって生きていけというのか。それでなくとも5年もたたずに貯金が底をつくという現実の中で高齢者の医療費負担の増加は、高齢者に〃死ね”と言うに等しい暴挙なのだ。
 しかも、5年間で段階的にとなっているが、70歳から74歳の高齢者は高齢者医療制度の適用からはずされる。これ自身がとんでもない高齢者への負担増である。当分は自己負担限度額については75歳以上と同じに扱うとしているが、今回の医療制度改悪が強行されれば、この例外扱いはいつ外されるかわからない。
 そもそも老人医療費がなぜ無料になっていたのか。高齢者は病気にかかりやすく、しかも収入を得るために働くこともできず年金だけが支えであり、医療費が高いと医療を受けられないからである。高齢者を死に追いやる小泉「医療制度改革」は絶対に粉砕しなければならない。

 高齢者医療制度改悪による自己負担限度額(月額)

 
外来
入院
一般
  3000円
大病院は5000円
4月からそれぞれ
 3200円
 5300円
37200円
低所得者 住民税
非課税
24600円
老齢福祉年金受給者
15000円

   02年10月から

 
外来
入院
一定以上の所得者
40200円
72300円+超過分の1%
一般
12000円
40200円
低所得者
住民税非課税
8000円
24600円
15000円

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週刊『前進』(2050号6面3)

 メールから

 毎日、中東でのニュースをやりきれない思いで見ています。『前進』の記事を読み、兵役を拒否するイスラエルの若者やパレスチナの人たちの闘いのすさまじさに驚き、感動しました。
 「9・11」のもつ意味は、私たちに「墓掘り人」として、必ずや帝国主義を葬り去るのだという怒りと決意をさらに強くもつこと、そして行動することを訴えているのだとあらためて思い知らされました。
 イスラエルの若者のように「革命的祖国敗北主義」の立場に立ちきって世界中の闘う人たちと連帯して闘いたいと、決意を固めました。  (20歳代 女性)

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