ZENSHIN 2001/03/05(No1995 p06)

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週刊『前進』(1995号1面1)

森自民党政権打倒・ファシスト石原と真っ向対決 けしば候補当選へ総決起を
 「侵略賛美教科書」徹底弾劾し戦争への道=教育改革粉砕へ
 米英軍のイラク爆撃許すな

 米帝のバブル経済が崩壊過程に入り、帝国主義が世界大恐慌の本格的爆発の入口にさしかかっている中で、アメリカ帝国主義ブッシュ政権はイラクへの大規模な侵略爆撃を強行した。帝国主義の侵略戦争|世界戦争への攻撃がますます激化している。そして同時に、この帝国主義の戦争と人民虐殺の政治と対決し、帝国主義打倒に向かう闘いが全世界でまき起こっている。労働者階級人民は、極限的な自民党危機と政治的大流動情勢の中で森自民党政権を打倒し、有事立法、教育改革・改憲攻撃を粉砕し、朝鮮・中国・アジア侵略戦争を阻止するために闘おう。その一切のかぎは、すでに火ぶたを切った六月都議選決戦に絶対勝利することだ。全力で立ち上がろう。

 第1章 大恐慌・帝国主義間争闘戦・戦争へ急転回

 米帝ブッシュ政権は二月十六日、イギリス軍とともに二十四機の戦闘機でイラクの首都バグダッド近郊五カ所を爆撃した。米英軍はこれまでも、イラクの南部と北部に一方的に設定した「飛行禁止区域」で日常的に爆撃を繰り返してきたが、区域外のバグダッド近郊を爆撃したのは九八年十二月以来のことである。
 今回のイラク侵略爆撃は、米帝自身が国内の深刻な政治的分裂を背負っている中で、直接的には中東「和平」工作の破産による米帝の中東支配体制の危機に基づくものである。さらにハワイ沖米原潜事件、在沖米軍犯罪に対する沖縄人民の怒りの爆発、南朝鮮人民の米軍撤退要求闘争の高まりの中で、米軍が焦りと危機感にかられて起こした反革命行動である。
 同時にイラク爆撃は、米帝の露骨な帝国主義間争闘戦貫徹の狙いをもつものである。米帝は日帝、独仏帝に対して米帝の軍事力の圧倒的優越性を見せつけ、戦争的手段を使っても米帝の国益=排他的世界支配を貫くことを突きつけた。同時に対中国、対北朝鮮のむき出しの戦争重圧としても強行され、日帝のアジア勢力圏化を戦争的手段を使ってでも阻止するものとして強行された。
 日帝は、ますます危機感にかられて新安保ガイドラインをてこにして独自の軍事力強化をめざし、改憲と朝鮮・中国・アジアへの侵略戦争体制の形成に向けて凶暴な攻撃を強めている。
 米帝は二十二日、さらにイラクを再爆撃した。世界大恐慌|争闘戦激化|戦争へと急転回する帝国主義と全面対決して闘いぬくときである。

 米原潜事件を怒り込め弾劾

 米原潜グリーンビルによる宇和島水産高校の漁業実習船えひめ丸への衝突・沈没事件(二月十日)を怒りをもって弾劾しよう。
 グリーンビルは、真珠湾を母港とし、トマホーク巡航ミサイルを搭載する最新鋭の攻撃型原潜である。このグリーンビルを始めとするハワイの米太平洋軍は、朝鮮半島、台湾海峡などの東アジアのみならず、インド洋、ペルシャ湾にも出動し、文字どおり世界大の規模で侵略作戦行動を展開している。この米軍の存在と凶悪な侵略戦争体制こそが米原潜事件の根源である。
 一方で日帝は、日米安保とガイドライン体制をもって、沖縄・横須賀基地などを米軍に提供し、米帝の地球規模の侵略作戦行動を支え、日帝自身の戦争国家化のてことしている。
 闘う労働者人民は米帝の原潜事件とイラク爆撃・人民虐殺を徹底弾劾し、日米新安保ガイドラインと自衛隊に反対し、日帝の戦争国家化攻撃=憲法改悪と断固対決して闘おう。
 ところが、大転向した日共は、今回の米原潜事件でも日米安保と自衛隊そのものには一切反対していない。まったく許しがたい!
 沖縄では年初以来、夜間外出禁止の解除によって米軍犯罪がせきを切ったように続発している。これに対して沖縄人民の怒りは、臨界点まで高まっている。
 「基地ある限り米兵犯罪はなくならない。米軍基地をなくせ!」||これこそが沖縄の労働者人民の圧倒的な声だ。闘う沖縄人民と連帯して、「米軍基地実力撤去! 名護新基地建設絶対阻止!」へ、沖縄|本土を貫く沖縄闘争の爆発をかちとろう。

 日帝政治支配の絶望的危機

 日帝・森政権をついに労働者人民の力で怒りを込めて打ち倒す時がきた。
 第一に、日帝が九〇年代をとおして没落帝国主義と化し、帝国主義としての危機が経済・外交・政治の全面にわたって激化し、今や日帝の存立そのものが行き詰まっている。それが今日の森政権の問題性、森首相の問題性、自民党の問題性として決定的にあらわとなっているのだ。
 自民党KSD汚職、政府機密費疑惑、米原潜グリーンビル事件および沖縄米軍犯罪への容認にも等しい態度、官僚・警察・検察・裁判所の腐敗として突き出されている自民党の政治腐敗・金権腐敗、政治家と権力構造の底知れぬ腐敗。さらに言えば森に代わる首相候補すら容易に浮かんでこないという極限的危機。まさに日帝そのものが自滅的な動揺と混迷の極に達しているのである。
 第二に、同時にまた、日帝は体制的に未曽有の動揺を深めながらも、それゆえに改憲・教育改革と一大資本攻勢を頂点とする恐るべき超反動攻撃の激化をもって労働者人民に襲いかかっているのである。
 第三に、その超反動攻撃の先頭に立っているのが、都知事石原を中心とするファシスト勢力である。彼らは今や侵略史観教科書の教育の場への強引な持ち込みという、一線を越えた反動的巻き返しに打って出ているのだ。
 日本の階級情勢は参院選・都議選を前にしたこの二、三月に、これまでのどの政治的激変と比べても質的に新たな根底的な流動情勢に突入した。この基底には、新たな金融恐慌の危機、破滅的国家財政危機、対米争闘戦での敗勢という現実がある。それに対して、自民党を労働者人民の怒りで包囲し、その解体的危機をつくりだし、日帝の絶望的延命路線=改憲、そして教育改革、有事立法、全面的資本攻勢のあらし、排外主義・差別主義の激化のすべてを真っ向から粉砕する闘いに総決起し、下からの階級的な政治的大激動をつくり出すことだ。われわれが革命的大衆行動の展開をとおして革命的情勢を今一つ強力に引き寄せるべき重大な局面を迎えているのだ。
 この闘いの中心環を教育改革攻撃粉砕に据え、一切を都議選決戦勝利=けしば誠一候補当選の観点から全面展開していこう。

 「四党合意」は絶対撤回せよ

 日米争闘戦の新段階の中で、日帝ブルジョアジーは日経連「労問研報告」路線のもと、ますます資本攻勢を激化させている。そしてJR本州三社の完全民営化のためのJR会社法改悪が狙われ、そのもとで国労解体、国鉄労働運動解体の攻撃が強まっている。
 それをめぐる最大の攻防が一・二七国労大会決戦であった。宮坂チャレンジ・上村革同による「四党合意」(JRに法的責任がないことを認める)の強行は、戦後労働運動の中心を担った国鉄労働運動の死をもたらすものである。国家権力の戒厳体制下で、闘う国労組合員および支援陣形・支援労組を排除して強行された「四党合意」は、大会決定でも何でもない。絶対に認められない。
 これこそ闘争団切り捨てのための手段を選ばぬやり方である。これこそ国鉄闘争の解体を狙う国家権力への総屈服である。
 実際、高嶋・寺内新執行部は、二月十三日の闘争団連絡会議で、どういう全面屈服の発言をしたか。
 ▼「四党合意=JRに法的責任なしとは、『解雇撤回・JR復帰』の方針を取り下げることである」
 ▼「大会方針決定に伴い、国労の全面解決要求(闘争団要求を含めて)も修正されることになる」
 ▼「訴訟取り下げ時期は検討することとなる」「復職は雇用になる。バックペイはなくなる。年金は人道的にということになる」
 ▼「大会で決まった方針で団結し、ILO勧告に基づいた解決の促進をはかれ||百万署名を五月十日までの四十日間でやる」
 このような絶対に許せない暴言を吐いているのだ。不当労働行為の訴訟は取り下げる、「解雇撤回・JR復帰」も放棄する。それは、闘争団と千四十七人闘争を切り捨てることと同義だ。さらに国家的不当労働行為はなかったとするILO勧告(第二次)で百万署名運動をやれというのだ。
 戦争と恐慌・大失業の時代に本格的に突入する中で高嶋・寺内執行部は、まさに労働者を街頭に放り出し、戦争にかり出す水先案内人の役割を果たしているのだ。この高嶋・寺内反動執行部を絶対に打倒して前進しなければならない。
 JR東日本の「ニューフロンティア21」=第二の分割・民営化攻撃を粉砕せよ。これは、JR本体の大リストラ、グループ企業全体の大再編攻撃であり、その中心として「シニア制度」とメンテナンス全面外注化がある。これらの敵の攻撃を粉砕し勝利する道は、労働者の階級的原則的な闘いをさらに強固に発展させていくことである。

 第2章 都議選決戦の勝利で森・石原を打倒しよう

 こうした中で、けしば誠一候補(杉並区議)の当選をめざす都議選決戦(六月二十四日投票)は、絶対に負けられない、革共同と労働者階級の死活のかかった決戦である。
 激しい資本攻勢と対決し連合・全労連の屈服を突き破って前進する階級的労働運動の前進も、教育改革攻撃や有事立法・改憲攻撃を粉砕する闘いの勝利も、そして介護保険制度を廃止し真の福祉と介護を実現する運動の勝利も、すべてはこの都議選決戦にかかっていると言って過言ではない。
 戦闘的大衆運動をさまざまな水路から爆発させ、その力をもって「けしば都議」を実現するならば、この地平を武器にし、勝利の拠点としてさらに巨大な全国的な大衆運動の戦闘的爆発をつくり出すことがまったく可能となるのだ。
 闘いはすでに決戦本番に突入している。すべての政党、候補者がしのぎを削る死闘に突入している。一日の立ち遅れが命取りになりかねない、ぎりぎりの攻防戦が闘われている。
 都議選決戦は日帝の教育改革、改憲、戦争攻撃の先兵、ファシスト石原との全面対決の闘いであり、絶対に負けられないのである。 日帝がかつて突き進んだ侵略戦争の道を、再び繰り返してはならない。そのために石原と全力で闘い、これを打倒することが死活的に求められているのだ。
 そのためには都議選決戦で、労働者人民の戦闘的団結と運動の力で、闘う都議をつくり出すことだ。このことが日帝の侵略戦争への道を阻止する強力な武器となるのだ! 七〇年安保・沖縄闘争以来、常に人民の先頭で闘ってきたけしば候補は、森政権、ファシスト石原と最も勇気をもって闘う唯一の候補者である。労働者人民の力で、杉並区民の力で、けしば候補を都議会に送り込み、都議会に労働者人民の闘う拠点をつくり出そう。

 第3章 改憲と戦争国家化へレール敷く教育改革

 都議選決戦の最大の対決点は、日帝・森とその手先・石原による教育改革攻撃との闘いである。
 森政権は、今通常国会で教育の抜本的反動化の攻撃を決定的に強めている。昨年十二月の教育改革国民会議の最終答申の内容を「二十一世紀教育新生プラン」としてまとめ上げ、その具体化のための教育関連六法案の成立を狙っている。それは、@学校内外での奉仕活動の推進〔徴兵制の布石〕、A高校学区制廃止、大学入学年齢制限撤廃、習熟度別学習推進〔エリート養成のための能力主義の強化、子どもの差別・選別、切り捨て〕、B「不適格教員」免職・転職制度〔闘う教育労働者の追放、首切り〕など、きわめて重大な攻撃である(本紙前号2面の教育労働者委員会論文を参照)。それは教育基本法改悪・改憲攻撃を先取りする大攻撃である。
 教育関連六法案粉砕・教育基本法改悪阻止のために、全国で森政権打倒に総決起しよう。
 二〜四月の「日の丸・君が代」強制を許さない卒業式・入学式闘争を、闘う教育労働者と父母・子どもたちの決起を守りぬき、連帯してともに闘おう。
 さらに教科書改悪攻撃が重大な段階を迎えている。日帝が民間のファシスト勢力をも動員し、二〇〇二年度からの侵略戦争賛美教科書の導入に向かって猛然と攻撃を強めているのだ。
 文部科学省は一月二十四日、都道府県教育長協議会を開き、教科書採択手続きは「教員以外の意見」を重視し、文部省の新学習指導要領を最もよく踏まえた教科書を各教委の権限で選定するように、との強権的な「指導」を行った。
 これを受けて各地で攻撃が相次いでいるが、先頭に立っているのが石原と東京都だ。都教委は二月八日、学習指導要領の「わが国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」という目標を区市町村に採択観点として指示、学校票制度や教育委員会下部機関による「絞り込み」(採択教科書の候補をいくつかに絞ること)を禁止する通知を出した。
 石原は翌日の記者会見で「悪いことばかり取り上げて、この国の歴史に愛着を持てないという印象しか与えない教科書は好ましくない」などと言って、現在の教科書を攻撃した。
 こうしたすべての動きは西尾幹二、藤岡信勝らの右翼ファシストグループ「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した中学校用教科書「歴史」「公民」(出版社は産経新聞社系の扶桑社)を採択させるための露骨な圧力である。

 「侵略教科書」に国際的怒り

 日帝が中国や朝鮮、アジアの抗議の中で、この二月末〜三月にも検定を合格させ、中学校に採択させようとしている「つくる会」編の教科書は、恐るべき侵略戦争賛美の教科書だ。それは「歴史は科学ではない」として神武天皇から歴史を記述し、荒唐無稽(こうとうむけい)な「皇国史観」のデマゴギーを教え込もうとしている。さらに「歴史に善悪をあてはめ、現在の道徳で裁く裁判の場にすることもやめよう」と叫び、戦争への反省から出発した戦後教育と戦後教労運動の原点を完全に破壊し一掃しようとしている。
 そして日帝のアジア侵略戦争・対米戦争を「大東亜戦争」と肯定し、それは「自存自衛とアジアを欧米の支配から解放するためのものだった」と全面的に美化し、国家への忠誠と国防の義務を説いている。教育勅語や神風特攻隊が全面的に賛美されている。
 こんな侵略戦争全面賛美の本が、いわば「国定教科書」として教室に持ち込まれようとしている。この攻撃を推進するために野呂田芳成・衆院予算委員長(自民党、元防衛庁長官)は二月十八日、「大東亜戦争をやったことで(欧米列強の)アジアの植民地政策がなくなった」と「大東亜戦争賛美」発言を行った。
 石原も、「長らく続いた白人の植民地支配を覆し、今日の世界のあり様を到来させた私たちの先人の努力」とか、「近代史の原理は帝国主義だ。植民地になるか、植民地をもつか、どちらかしかなかった。帝国主義をまっとうできない国は一流国になれなかった。その原理の中で、日本は生きただけだ」(『勝つ日本』)などと公言している。数千万人のアジア人民を虐殺し、じゅうりんした日本帝国主義のアジア侵略戦争と植民地支配、対米戦争の歴史のすべてを美化し、開き直っている。こんなファシスト分子が都知事の座にすわっているのだ!
 日帝・文科省は、このような侵略戦争賛美の思想を、教科書をとおして子どもたちに教え込もうとしているのである。それはまた憲法第九条破壊を核心とする改憲攻撃そのものであり、日帝が再び朝鮮・中国|アジア侵略戦争に労働者人民を動員していくための重大な思想攻撃である。それはまた、闘う教育労働者を学校から追放する攻撃と完全に一体の攻撃だ。
 教科書の検定と採択をめぐる攻防はこれから重要な決戦段階を迎える。侵略戦争賛美の教科書を絶対に検定合格|採択させてはならない。南北朝鮮、中国、マレーシアを始めアジアで燃え上がる野呂田発言弾劾と、日帝の侵略教科書への怒りの声は、日本労働者階級人民への国際主義的連帯と決起の呼びかけである。教育労働者、地域の父母、子どもたちと連帯し、侵略戦争賛美教科書絶対反対の巨大な大衆運動を巻き起こそう。杉並での学校給食民託化反対の闘いの高揚を引き継ぎ闘おう。
 森・石原と真正面から対決して闘うけしば候補の勝利をかちとり、その力でファシスト石原を必ずや打倒しよう。都議選決戦の勝利のために、今から全力で闘いぬこう。
 国鉄決戦勝利=春闘爆発へ総決起しよう。大分裂の黒田・カクマルと松崎・JR総連をもろともに打倒せよ。二・二八土地収用法改悪阻止シンポジウムを三里塚反対同盟とともにかちとり、三・二五現地闘争に大結集しよう。三・四〜五部落解放同盟全国連合会の第一〇回全国大会の成功をともにかちとろう。
 都議選闘争勝利に向けた総決起集会として、三・一一革共同政治集会を杉並の地で圧倒的にかちとろう。

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週刊『前進』(1995号1面2)

東京地裁は即時保釈を 10万人署名運動 当局を2時間半追及
 無実の4人を直ちに保釈せよ 未決勾留14年は人権侵害だ
 東京地裁は獄外医療を認めよ

 二月二十一日、「不当な長期勾留をやめさせるために!十万人保釈署名運動」による東京地裁刑事一一部に対する申し入れ行動が行われた。
 今回は一月二十五日の須賀武敏同志に対する医療鑑定実施決定を受けて取り組まれた。十亀弘史同志、板垣宏同志、福嶋昌男同志もさまざまな病に苦しんでいるが、とりわけ須賀同志の病状悪化は著しいものがある。一切は十四年という非人道的、拷問的長期未決勾留の結果であり、裁判所の責任であることはいうまでもない。
 これは命にかかわる問題であり、ことは緊急を要するという危機感と、そこまで被告を追い込んでいる裁判所の責任を追及し、徹底的な精密検査と即時保釈を要求しようと、呼びかけ人・賛同人と家族を中心とする二十三人の行動団が形成されて申し入れに臨んだ。
 代表して森山つとむ牧師が申入書を読み上げ、それとともに全国の人士から寄せられた意見書十八通が提出された。
 その上で「裁判官は当事者以外の意見を聞くことはしない」「担当書記官には伝えるが、その先のことは私には責任が持てない」などという窓口の職員(訟廷管理官)の官僚的対応に対して、全体の怒りが爆発した。間髪を入れず「福岡では検察と裁判所がぐるになって証拠隠滅をはかっていることが暴露されている。そんな言い訳など世間では通用しないぞ」「夫を獄に十四年間も奪われ続けているんだ。その家族を当事者じゃないなどと言えるのか」「裁判所による人権侵害で、健康が破壊されている。これは私たち自身の問題であり、すべての市民が当事者だ」との声が次々とあがった。
 核心を突いた追及は職員を追いつめ、最後には「私の責任で、申入書と意見書、報告書を裁判長まで届けられるよう努力し、届いたかどうかを確認します」との約束をとりつけた。
 実に二時間半に及ぶ申し入れで、訟廷管理官なるものが裁判官に対する市民の批判や怒りの抗議行動を封殺するためにのみ設けられた、何の法的根拠もない存在であることを暴露することにも成功した。
 十万人署名運動の圧倒的な展開で、裁判長の前に立ちふさがる壁を突き破り、木口裁判長その人に大衆の怒りをたたきつけ、なんとしても四同志の保釈・奪還をかちとろう。

福嶋さんの地元・前橋で街頭署名 予想を超える反響

 四人の保釈を求める街頭署名活動を二月三日、福嶋昌男さんの故郷である群馬県前橋市の繁華街で行いました。
 署名運動の呼びかけに、群馬・星野文昭さんの再審を実現する会やアムネスティの運動を進めている方も駆けつけ、ビラが赤城おろしでちぎれる中でしたが、百七十二筆の署名を集めることができました。
 市民からは「十三年間裁判をやってきて、有罪の証拠も立証できないんじゃ無実じゃない」とか「検察は裁判官の女房には証拠隠滅をやらせて、国に逆らう人間にはこういうことをやるなんて許せない」という声もかけられました。
 予想以上の署名をいただくことができたのは、大衆が自分自身の怒り(リストラや森政権への)を署名運動という窓口に向かって解放してくれたからだと思いました。(投稿 M・N)

迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判公判闘争日程

▼三同志の裁判
3月16日(金) 10時 東京地裁
▼福嶋同志の裁判
3月7日(水) 13時15分 東京地裁

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週刊『前進』(1995号1面4)

米大使館緊急抗議に立つ

 反戦共同行動委員会は2月19日、米英帝国主義のイラク空爆に断固抗議し、東京・港区のアメリカ大使館に緊急申し入れ行動を行った。この空爆で幼い子どもらイラク人民多数が死傷している。本当に許せない。米大使館は人民の怒りを恐れてものものしい警備体制をとっていた。
 抗議団は弾劾のシュプレヒコールをたたきつけ、反戦共同行動委員会の代表と全学連の内山佳久書記長が、「空爆と無差別虐殺を弾劾する」と厳重に申し入れた。反戦自衛官の小多基実夫さんがともに決起し、抗議の訴えを行った。

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週刊『前進』(1995号2面1)

国労大会 機動隊導入を徹底追及せよ
「総団結」を叫んで闘争団圧殺策す高嶋−寺内執行部許すな
 「四党合意」撤回の反転攻勢へ

 機動隊を導入して強行された一・二七国労定期全国大会(続開大会)は、断じて労働組合の大会ではない。ここで「決定」された「四党合意」受け入れを始めとする「運動方針」は国家権力・JR資本に強制された国労解体方針である。絶対に認めることはできない。これを認めることは国労の死である。一・二七の機動隊導入は、今日の日帝ブルジョアジーの一大資本攻勢|労働組合解体攻撃の本質を示した。これを許すのか否かに闘争団と国労のみならず、日本労働運動の命運がかかっている。今こそ怒りを爆発させ、機動隊導入を徹底弾劾しよう。闘う闘争団を守りぬき、「四党合意」撤回、高嶋|寺内執行部打倒、国労の階級的再生へ闘いぬこう。

 機動隊導入居直り方針に従えと恫喝

 一・二七続開大会以後の国労をめぐる情勢の核心は、機動隊導入と「四党合意」を許すのか否かの激しい分岐と激突である。
 高嶋|寺内新執行部は、「四党合意」を国労総体に強制し、早期の「ゼロ回答」受諾=闘争団切り捨てに向けて、なりふり構わず突っ走っている。その高嶋|寺内が最初にやったことが、東京地本一部指導部と結託して、「総団結」の名のもとに「四党合意」反対の闘争団の闘いに対して「団結阻害行為」と決めつけ、非難したことだ。
 続いて二月十四日、国労中央執行委員会は、「全組合員・家族の皆さんへ! 決定された方針に基づき解決促進をはかる為、総団結・総決起を訴えます」というアピールを出した。
 ここでは「大会の失敗が国労組織の崩壊と解決を断念せざるを得ない状況を作り出すことになることを踏まえ、どんなことがあっても成功させようとの思いで開催しました」と、機動隊導入を居直っている。
 だが一・二七続開大会は、千三百人もの機動隊の導入、報道規制、組合員と支援共闘の排除など、日本労働運動と国労の歴史に汚点を残した最悪の大会である。一・二七は、国労が自主的に開いた大会では断じてない。国家権力・JR資本が「四党合意」によって強制したものである。「四党合意」の反動的・暴力的な本質が露骨に現れたのだ。この一・二七を絶対にあいまいにしてはならない。徹底的な弾劾の嵐(あらし)を巻き起こさなければならない。機動隊導入を認めたら、国労が労働組合ではなくなる。警察労働運動に転落するのだ。
 さらにアピールは、「国労組織・闘争団組織の現状や支援・共闘組織の現状は、残念なことに決定された方針で大同団結という労働組合の姿に必ずしもなっておりません」などと言う。当たり前ではないか。機動隊導入によって決定された方針、しかも国家権力・JR資本に全面屈服した国労自己解体の方針で団結できるわけがない。
 だが「この組織状況が解決や解決水準に大きな影響を与える結果につながる」などと言い、「四党合意」反対の組合員を「解決の妨害者」であるかのように言いなし、抑えつけようとしている。これもまた「総団結」の名による闘争団切り捨ての宣言である。
 他方で、「大会方針が……団結の方向を示した」と二・二『赤旗』の〈解説〉で言明した日共・革同上村一派は、チャレンジ一派とともに、警察労働運動への転換、闘争団への敵対と国労自己解体|JR連合合流の急先鋒(せんぽう)となっている。断じて許してはならない。

 「解雇撤回」降ろすと言い放った寺内

 このように一・二七大会での国家暴力による「四党合意」の強制を認めたら、「解雇撤回・JR復帰」という国労と闘争団の最も基本的な要求を自ら捨て去ることになる。二月十三日の国労闘争団全国連絡会議幹事会での寺内書記長の発言は、それを露骨に示した。
 そこで寺内は、「四党合意に含まれるものは、今大会で過去の方針は改正された。続開大会で四党合意を決めたのだから、その時点から全面解決要求というのは無理だと思う。百パーセントあり得ない。大会決定したのだから全面解決要求は降ろさざるを得ない」「『復職』が『雇用』になる。『解雇撤回』はなくなる。バックペイはなくなる」、さらに「全面解決要求の柱は『JRの法的責任がある』を問うということが前提。四党合意との整合性から変えざるを得ないだろう」と言い放った。
 「JRに法的責任なし」となれば、JRは解雇を撤回する必要はない。未払い賃金の支払い(バックペイ)も必要ない。「雇用」についてはせいぜいJR西日本が言う「失業対策的な数十人の雇用」だけだ。「和解金」については、野中前自民党幹事長らの発言として暴露されている「一人八十万円」である。
 寺内は、このような実質的な「ゼロ回答」をのんで闘争団を切り捨てると宣言したのだ。絶対に許せない。
 さらに、訴訟取り下げの時期について、高嶋委員長は二月四日の九州エリア大会で「解決の見通しがついた時」と発言している。直ちに訴訟取り下げに着手するということだ。「JRに法的責任なし」とは、直接には裁判でJRの不当労働行為責任を問わないことだ。「最高裁での判断を公正に行わせる」という「追加方針」などまったくのペテンなのである。

 ILO超反動勧告を弾劾・粉砕しよう

 高嶋|寺内執行部の反動性は、さらに、昨年十一・一七のILO第二次反動勧告に全面屈服し、その超反動性を徹底的に利用して「ILO勧告に基づく解決」の名のもとに闘争団切り捨てを進めようとしていることである。そのための百万署名も打ち出した。
 (1)ILO第二次勧告は、「四党合意」受け入れを求めているだけでなく、核心は、採用差別はなかった、不当労働行為はなかった、したがって解雇は正当だと言い切ったことである。徹底的に弾劾し、修正・撤回させなければならない代物である。したがって百万署名なるものは、闘争団切り捨ての“踏み絵゜とでも言うべきものになるのだ。
 (2)ILOは、結社の自由委員会の「結論」部分で、北海道・九州の国労組合員らがJRに採用されなかったのは「広域異動」に応じなかったからであり、「反組合的な差別行為の問題が生じていると言うことはできない」と断定している。
 しかし「広域異動」は組合差別=選別的な不当労働行為そのものであった。首都圏の国労組合員らを追い出すために、「血の入れ換え」と称して強行されたのだ。またJR発足後の「広域採用」に対しても、各地の地労委が不当労働行為を認めていた中で、原地原職復帰を求めて清算事業団で闘ったのは当然である。にもかかわらず、清算事業団から「広域採用」でJRに採用された国労組合員らがいることをもって反組合的差別はなかったと言う。
 要するに、「国鉄改革」=国鉄分割・民営化に協力せず、原地原職の採用に固執した国労組合員が採用されなかったのは正当であり、不当労働行為の成立する余地はないと結論づけているのだ。
 (3)東京地裁の五・二八判決と昨年十一月、十二月の二つの高裁判決は、主な論点を「JRに使用者責任はなし」とするような法律的形式論理を中心とするものだった。これ自体、労働委員会制度を否定した超反動判決であった。しかしILO第二次勧告は、不当労働行為そのものを一切なしとしている点で、超ど級の反動的内容である。
 (4)ILO勧告は、国鉄が赤字だったから分割・民営化は当然だったという前提でものを言っているが、これ自体、間違っている。「赤字」そのものが政治的産物であり、また、分割・民営化攻撃は始めから総評や国労、旧動労の解体という狙いを持ち、根底的に反労働組合的なものだった。
 (5)またILOは、国労組合員らの採用率が低いのは「勤務記録に何らかの問題、たとえば無断欠勤などがあった」からだという日本政府の追加情報を載せている。ILO勧告を受け入れることは、こうした政府の追加情報をも容認するということだ。“千四十七人は勤務成績が悪かったから採用されなかったのは当然だ゜というレッテルを張られるのだ。こんな屈辱的なことがあるか。
 (6)なお、ILO勧告が「当事者が満足でき適正に補償される解決」をうんぬんしていることをもって、これを活用できるかのような議論もあるが百パーセント間違っている。「不当労働行為はなかった」という立場からの「解決」しか、そこからは出てこない。
 だから東京地本指導部らが、この勧告を受け入れなければ「長期に失業状態にある事態を解決しようとする意志があるのか否かが問われる」(一・二七東京地本書記長の代表討論)などと言うのはまったくとんでもない話だ。ILO勧告をふりかざし、これに反対するのは、「解決の妨害者」だと言いたいのだ。
 今ひとつ、一・二七の「追加方針」は、「ILOに対し、国鉄時代の『広域異動』の実態について明らかにするとともに、東京高裁が昨年十一月八日及び十二月十四日に相次いで言い渡した九八号条約違反の不当判決について見解を送付する」と言っている。
 この点について、二月十三日の闘争団全国連絡会議幹事会で、寺内書記長は「すでに出されていると思ったが、出されていない」「国労が書面で提出しても勧告は変わらないと聞いている」「方針上新たな勧告を求めることにはならない」などと述べている。要するに、新たな勧告を求める方針はとらないから、勧告の「広域異動」の問題などもどうでもよい、と言っているのだ。「不当労働行為はなかった」ということも認めるということなのだ。
 今や高嶋|寺内執行部の極反動性は明らかである。直ちに総辞職させ、闘う新たな執行部を樹立しなければならない。何よりも、三月三、四日の東京地本を始め、各地本、支部などの大会で、機動隊導入の一・二七続開大会弾劾、「四党合意」撤回の闘いを猛然とやり抜こう。これなくして、国労の団結はあり得ない。

 「ニューフロンティア21」粉砕

 この二〜三月、JR東の「ニューフロンティア21」、その突破口となるシニア制度とメンテナンス外注化などの大合理化攻撃との対決、闘う闘争団を守りぬき千四十七人闘争に勝利する闘い、黒田・カクマルから分裂しJR資本の一層凶悪な先兵となって延命しようとする松崎・JR総連解体の闘い、これらを一体のものとして全力で闘おう。
 あの一・二七の怒り、悔しさ、そして新たな闘いへの決意をもって、今こそ大攻勢に転じよう。

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週刊『前進』(1995号2面2)

“打倒という人と意見違う”「大塚体制」を松崎が大歓迎
 松崎批判できぬカクマル

 「松崎講演はデマ」で墓穴

 JR総連の頭目である松崎明(JR東労組会長)が十二月九日のJR東労組全支部委員長会議で行った講演で「最近までカクマルだったが、今や手を切った」と明言したことを本紙上で暴露したことにカクマルは大打撃を受け、「権力がデッチあげた『作文』だ」「ねつ造だ」と叫んだ。
 これに対してわれわれはただちに反撃し、「カクマルは肝心なことを言っていない。逃げている」「松崎はJR総連ダラ幹の頭目ではないのか」と追及した。この指摘があまりにも的を射ていたために、カクマルはグーの音も出ない。
 だからカクマルは、「松崎講演はねつ造だ」「分裂はデマ宣伝だ」と声高に叫ぶことによって、痛みを和らげようとしている。
 しかし、そうやって叫べば叫ぶほど、カクマルは自ら墓穴を掘っているのだ。なぜなら、問題の核心は、松崎こそがカクマルが非難してやまないJR総連「ダラ幹」の頭目であり、分裂の黒幕であるということであり、そのことをカクマルが必死に押し隠そうとしていることにあるからだ。
 カクマルよ、なぜ松崎を非難できないのだ。この期に及んでなぜかばい立てするのだ。言えるものなら言ってみろ。松崎問題は黒田・カクマルの最大の弱点なのだ。
 松崎の講演を収録したJR東労組の『セミナー』六六号は、同誌編集委員会によって、松崎講演の肝心な個所、今JR東労組会長として松崎が発言する際には、当然言及する(しなければそれ自体が不自然な)カクマル問題の所を、政治的配慮でカットしている。それをいいことに、カクマルは「松崎はカクマルと対立していない」としたいのである。
 しかし、これはまったくマンガである。『解放』は、懸命に「松崎はカクマルのことを非難していない。他のダラ幹とは違うのだ」と宣伝することで、カクマル組織の動揺を鎮めようとしているのだ。そんなことで真実を覆い隠せるものではまったくないのに。

 「会社守る」と労資結託路線

 カクマルは『セミナー』の方が正しい講演再録なのだと一生懸命に言おうとしているが、笑止千万である。『セミナー』によると、そもそもそこで松崎は次のように言っているのだ。
 「『大塚体制粉砕』などとおっしゃる方もいらっしゃるようですけれども、私は大塚体制で非常によかったと思っている。心から歓迎しているわけですから、これは『打倒せよ』という人と意見が違うのは当然ですね」「よそ様からどうこう言われる筋合いはまったくない」
 カクマルよ、ここで言われている「大塚体制粉砕」を叫んでいるのは、お前たちのことではないのか。
 「大塚体制粉砕」を掲げたカクマルと、「大塚体制で非常によかった」と言う松崎。これは正反対だ。
 しかもこの講演で松崎は、大塚体制をつくったのは自分だと自慢している。もちろん、松崎が言うような、JR東日本の社長に葛西(JR東海社長)をもってくるというのは荒唐無稽(こうとうむけい)な話である。だが、松崎は、大塚体制をつくったことで、その葛西らの野望を粉砕したとして「勝利宣言」を発するとまで言っているのだ。
 しかし、この大塚体制への移行をめぐる過程で、権力・資本の側は、松崎・JR総連に対してカクマルとの関係を清算することを迫ったのであった。これに全面屈服した松崎を先頭とするJR総連内のカクマルが、黒田・カクマルから決別し集団脱党した。そして、大塚体制との労資結託体制をもって一層の資本の先兵となって生き延びようとしているのだ。
 これに対して黒田・カクマルは、「大塚体制粉砕」などと言うが、JR総連から振り捨てられてJR内にほとんど足場を失ったカクマルの悲鳴に過ぎない。
 とにかく、この大塚体制の成立をめぐる過程で、黒田・カクマルと松崎・JR総連が大分裂したのだ。
 カクマルよ。松崎講演を語ってこの重要な部分に触れないのはどうしてなのか。言ってみよ。
 松崎は、カクマルと手を切って、「JR東日本の労使がしっかりとスクラムを組んで」「(組合員を)立派なこの会社の社員に育てあげましょう」と言っている。労資協力=労資協調主義を満展開しているのである。松崎こそJR総連のダラ幹中のダラ幹、その頭目であることはこれを見ても明白なのだ。
 にもかかわらず、カクマルは「『前進』の松崎講演はデッチあげだ」と言うのだ。そして、「松崎会長の講演内容の核心は、東労組の『最大の課題』を『東日本の会社を守ろう』と呼びかけつつも、『葛西』らJR会社の一部経営陣の腐敗と、この経営陣と結びついた養殖組合(JR連合のこと)の『民主化闘争』と対決し、東労組を『世界に冠たる労働組合』として成長させようというものである」(『解放』二月五日付)と言い、だからカクマルとJR総連との「対立と分裂」ではないと言い張るのである。
 だが、この松崎講演のカクマルによる要約は、松崎はダラ幹ではない、「東日本の会社を守ろう」というのは正しい、東労組を「世界に冠たる労働組合」にしようというのは大賛成、ということを意味している。だが、この内容は、明らかにカクマルの言ってきたことと対立している。例えば『解放』一月二十二日付の吉田論文とは相入れない。
 そこで吉田は、「JR東会社経営陣が労務政策の転換を図り、東労組破壊に踏みだした」と明言しているのだ。「『東日本の会社を守ろう』と呼びかけつつも」などと言って、留保付きで支持するかの装いをとっているが、そんなごまかしで通り過ぎてはいけないはずの大問題なのだ。
 にもかかわらず、無理を承知でカクマルは松崎発言を擁護している。ここに、JR総連執行部を「階級敵」と規定し、「打倒宣言」を行ったカクマルが松崎を非難できないという驚くべき事態が露呈している。松崎問題がカクマルの最大の弱点であることが現れているのだ。

 ダラ幹に白色テロ叫ぶ黒田

 黒田は、反革命通信『解放』紙上で、二号にわたってJR総連「ダラ幹」に対する毒づきを繰り返している。二月十二日付「“異星人゜にもの申す」と十九日付「『歌を忘れたカナリア』=立花よ」だ。下品・低劣で日本語になっていない、一見して黒田とわかる文章である。
 そこで黒田は、JR総連委員長・小田(カクマル組織名・立花)を始め十人以上のJR総連ダラ幹の名前を並べ、悪態の限りをついている。そして、『セミナー』の松崎講演の中の文章を自分に都合のいいように引用して、ダラ幹らに向かって(この)「教えを蹴とばしているんじゃないのかね」と言ったり、「(松崎)講演をもう一度読み直せ。暗記するほど読み直せ」などと叫んでいる。
 そして最後は、「待ち受けているのはDeathだけさ」と、立花らに対する白色テロを公言している。
 これは、黒田がどこまでも松崎を擁護する、松崎にすがりついていくことを態度表明したものだ。
 なぜ、黒田は松崎を否定し批判できないのか。松崎こそ黒田の分身であるからである。黒田の反革命的「組織現実論」の「精華」が松崎であり、それを否定することは黒田の自己否定になってしまうからだ。国鉄分割・民営化攻撃に対して、積極的に支持し率先して協力し、最先兵となって国労、動労千葉を破壊する攻撃を担っていくことを決断したのが、黒田=松崎だったのである。黒田と松崎は分割・民営化攻撃の共同の大戦犯である。
 松崎問題は、ファシスト・カクマルの致命的弱点に転化した。今こそ、カクマルとJR総連の分裂を決定的に促進し、カクマル完全打倒、JR総連解体に攻め込む時である。

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週刊『前進』(1995号2面3)

3・11革共同集会に結集を 都議選決戦勝利への総決起の場
 カクマル打倒へ決意新たに

 すべての同志、『前進』読者、そして、革共同の闘いを注目しているすべての労働者人民の皆さん。三・一一革共同政治集会への大結集を呼びかけます。
 米帝ブッシュによるイラク爆撃、米バブル経済の崩壊の始まりと帝国主義世界経済の恐慌的大破綻(はたん)への突入の危機。日米関係のかつてない緊張と日帝の政治・経済危機の底知れぬ進行。自民党支配の末期的危機と金権汚職・腐敗の満開。さらにアジア危機から受ける直接的重圧の激しさ。こうした中で、日帝支配階級は、もはや政権の体をなしていない森の次の政権を構想することもできない状態に追いつめられている。日帝は、「アメリカに対する第二の敗戦」と称されるような没落の淵(ふち)であがいている。
 だからこそ、労働者階級人民への犠牲の集中と、激しい排外主義・差別主義のあおり立て、戦争国家化・国家大改造の攻撃がしかけられてきているのだ。
 一言で言えば、一九三〇年代的な体制崩壊的な危機が進行している。トロツキーの言葉をもじって、「日本はどこへ行く」と端的に表現できるような情勢に直面しているのである。
 日帝は、戦後体制の崩壊を突破できるのは帝国主義戦争のできる国家体制の確立以外にないという決断をもって、教育改革・改憲の大攻撃に踏み出している。
 それはちょうど、ドイツにおいて、ワイマール共和国体制を破壊してファシズム体制によって一切の民主主義的なものと階級的なものを破壊し、日本においては、下からのファシズム運動と上からの天皇制ボナパルティズムにより戦争国家体制を確立していった三〇年代の過程に似ている。
 こうした中で、二十一世紀の冒頭=二〇〇一年春季の、資本攻勢に対する労働者階級のぎりぎりの反撃が闘われ、七月参議院選|六月東京都議選の政治決戦過程が本番に入っている。
 革共同は、杉並において、七〇年安保・沖縄決戦の歴史的な闘いを代表する最高の人格である、けしば誠一氏の東京都議選への決起を先頭に、この全情勢と真っ向から切り結ぶ渾身(こんしん)の政治的蜂起戦を闘う方針を確立し、全力疾走に突入している。
 三・一一革共同政治集会は、この選挙戦を闘い抜く歴史的総決起集会としてかちとられなければならない。これこそが第一の意義である。その中に、「二十六年目の三・一四」を革命的に貫徹し、カクマルを追いつめ、労働運動の新たな発展情勢をこじ開けていく実践的カギがある。
 第二には、革共同の創成と第三次分裂(黒田と松崎の逃亡)以来の全歴史を総括し、革命的共産主義運動の新たな歴史的飛躍の拠点を打ち固めていく「歴史的党大会」としてかちとられなければならない。
 われわれの闘いが、ついに、カクマル反革命完全打倒の局面を切り開いたことをはっきりと確認しよう。
 カクマルは、「JR総連本部執行部は階級敵」「JR総連運動は終焉」と宣言するところに追い込まれた(十二・八カクマル党声明)。それは、JR総連・松崎がJR総連カクマルを引き連れて丸ごとカクマルから離反・逃亡し、カクマル中枢らを権力に告訴し、「カクマルはオウムと同じ」というキャンペーンを展開したからである。
 カクマル党本体とJR総連カクマル(組合権力グループ)は大分裂したのである。カクマルに絶縁状を突きつけた松崎は、JR東日本と癒着・結託した組合権力グループとして、これまで以上に反労働者的な存在として生き残ることを自己目的にしている。
 黒田にとっても、松崎にとっても、「革命」とか「労働者階級のため」とかの詐欺的言辞をふりかざしてやってきたことのすべてが全面的に破産した。これこそは、権力の手先に転落したもののみじめな末路にほかならない。
 カクマルは、革共同が直ちに真実を暴き出したことによって、窮地に追い込まれている。そして、中核派の宣伝はウソだ、デマだと騒いでいる。しかし、カクマルは松崎を批判・断罪することが絶対にできない。カクマルは断末魔の危機に入ったのである。
 われわれは、カクマルが「黒田哲学」を最後の逃げ場にしようとする策動も許さない。「黒田哲学」への全面的な批判・止揚の闘いをやり抜き、三・一四反革命に真の決着をつける。
 動労千葉の戦闘的な決起と国労の階級的再生の闘いを軸に、JR大合理化攻撃と対決し、全産別における労働運動の新たな潮流の発展を嵐のように実現することこそが、松崎・JR総連とカクマル党本体をもろともに追いつめることになる。その最大の推進力として、二〇〇一年春闘を戦闘的に闘い抜こう。
 革共同は、今こそ新たな飛躍に突入しなければならない。われわれは、そのために、革共同そのものを体現し獄中で不屈に闘い抜いている同志に対する権力の憎しみに満ちた攻撃を、全人民に暴き、そして不法不当なデッチあげを打ち破って奪還しなければならない。革共同に対する権力の弾圧と真っ正面から闘い抜かなければならない。
 凶暴化する没落帝国主義日帝を打倒するぞ。権力の弾圧とはとことん闘い抜くぞ。この階級的怒りと感性こそが、革共同の新たな発展のバネである。この点でも歴史的な集会として実現されなければならない。
 すべての同志、労働者人民の皆さん。三・一一革共同政治集会へ、杉並公会堂へ、総力結集しよう。

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週刊『前進』(1995号3面1)

2・11 全国各地で怒りの集会 “教育改革は改憲=戦争への道” 

 二月十一日、全国各地で「日の丸・君が代」強制や教育改革=改憲攻撃と闘う集会やデモが、広範な労働者、学生、市民が決起して闘われた。

 東京 侵略賛美教科書採択策動に警鐘

 二月十一日午後、東京・神田の在日韓国YMCAで「教育基本法反対二・一一東京集会」が開かれた。「とめよう戦争への道!百万人署名運動・三多摩連絡会、杉並連絡会、世田谷連絡会、ねりま連絡会、東部地域連絡会、南部地域連絡会、千代田中央懇談会」がそろって呼びかけたもの。二百七十人の労働者・学生・市民が集まり、いす席を何回も追加するほどの超満員だった。
 この在日韓国YMCAは一九一九年の三・一朝鮮独立運動の導火線となった二・八独立宣言が発せられた由緒ある場所とのこと。
 日本大学の佐藤秀夫教授が「いま、なぜ教育基本法の『改正』なのか」と題して講演を行った。教育基本法は憲法に立脚しているものであり、「改正」を言う人は有事立法・改憲の前提として教育基本法改悪を位置づけている、と厳しく弾劾した。
 教育労働者からの学校現場報告では、都高教の労働者が人事考課制度導入を中心に全面化する攻撃を述べ職場の闘いの状況を伝えた。多摩教組の労働者は、国立市教委が、三月卒業式に「日の丸・君が代」を強制するために職員会議に指導主事を出席させたり、反対する教員を強制的に異動させたり、問題教員に仕立てあげる動きを強めていること、その中で不当処分撤回を求め人事委員会に提訴するなど闘いが続いていると報告した。
 墨田教組の労働者は、学校現場の意見を無視して議会への陳情採択で名指しで特定の教科書を通す動きに対する取り組みを報告、江東教組の労働者は、奉仕活動の義務化が前倒しで始まっている現状を報告した。
 杉並からは、杉並区教委の委員差し替え問題を提起し、「新しい歴史教科書をつくる会」が作った教科書採択への動きに警鐘。 二・一一集会は、森反動政権の教育基本法改悪などの教育改革攻撃、その重大な焦点である「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択運動と真正面から対決する闘争の第一歩となる内容豊かな集会だったと感じた。 (投稿 那須宏)

 大阪 教育労働者から闘いの報告次々

 二月十一日、大阪府立中小企業文化会館で「教育基本法改悪反対!戦争への道=改憲阻止二・一一大集会」(主催・集会実行委員会)が行われ、三百七十人が参加しました。
 集会では、教育労働者から闘いの報告が次々と行われました。
 昨年の卒業式での「日の丸・君が代」反対の闘いに対する処分攻撃と闘う教育労働者は、「(式の開始に)『一同起立』と言って全員を立たせ、すぐに『国歌斉唱』とテープを流し始めるという『だまし討ち』的なやり方にもだまされなかったのは子ども達です」と述べ、処分に対する闘い、教育改革に対する闘いの決意を訴えました。
 東大阪の教育労働者は、「自分たちの闘いの背骨になるのは子ども達であり、保護者であり、地域だからそこと結んで闘っていく」と現場の具体的な様子を交えながら訴えました。
 兵庫の教育労働者は、「不適格教員」排除の攻撃、さらに改憲攻撃と闘う決意を報告しました。
 大阪・門真の教育労働者からは、「本当に展望があったら、ともにやろうという連帯が生まれたら、必ず教育労働者は立ち上がります」と決意表明しました。
 大阪の高教組の労働者からは、高校生自身が決起してともに闘いに立ち上がっている状況が報告されました。奈良の労働者が、「組合員一人ひとりにていねいに聞き取りを行う中で、『日の丸・君が代』に対して闘いたいという熱い思いがあふれてきた」と報告しました。
 教育労働者の報告はどれも、昨年からの闘いの経験や教訓、成果をふまえ、長期的な闘いを見すえつつ、ねばり強く前進していることに深い確信と展望をもって闘っている様子が伝わる発言で、会場からも一つひとつの発言に大きな拍手がわきました。
 山口大学人文学部教授で「憲法を活かす市民の会・やまぐち」の世話人の纐纈(こうけつ)厚さんから、「拍車かかる戦争国家への道〜憲法改悪・有事法制・自衛隊軍拡・戦争動員体制の現段階〜」と題する講演が行われました。
 纐纈さんは、戦争国家化=改憲への道をひた走る日本政府の攻撃の全体を、@戦争法・有事法、A国家機構再編、B治安弾圧法規整備、C国民の思想・精神の管理統制と動員、という四つの方向にまとめ、「この四つの方向は一つの問題だ」と強調しました。
 纐纈さんの講演は、今の政府の改憲攻撃−戦争国家化攻撃をトータルに、かつ分かりやすく提起され、中身の濃い講演でした。
 各界からの闘いの決意表明では、沖縄の立場から太田隆徳弁護士が「政府やそれに屈した知事、市長らが、名護・辺野古に普天間基地を移設すると言っている。戦争は絶対に罪悪です。声を大きくして団結して前進しましょう」と訴えました。
 次に労働組合から、全国金属機械労働組合・港合同、茨木現業労働組合が決意表明しました。
 部落解放同盟全国連合会の北浦中央執行委員が、第一〇回記念大会への結集を熱烈に訴えました。
 決意表明の最後に、とめよう戦争への道!百万人署名運動・京都学生連絡会の学生が発言に立ち、「学生は教育改革攻撃との闘い、改憲阻止の闘いを巻き起こす」と宣言しました。
 集会後、呼びかけ人を先頭に、難波まで意気軒高とデモをやり抜きました。
 (投稿 M・K)

 横浜 国民会議の答申を批判

 二月十一日、「日の丸・君が代」強制反対・教育基本法の改悪を許さない横浜の集会に参加しました。いまや国鉄闘争とならんで教労運動が労働運動の再生の柱であり、また改憲阻止・教育改革反対の政治課題こそ、この春から急を要する闘いであることを強く印象づけられました。
 「教育改革国民会議答申を問う」と題された元千葉高教組委員長の横堀正一さんの講演では、「日の丸・君が代」の強制反対は、この二〜三月、教育労働者だけの闘いでなく、地域に広げ申し入れ行動など猛烈につくりだしてほしいと、強く訴えられました。
 広島の高教組の方が、熾烈(しれつ)な闘いを、確信にあふれ報告されました。二、三月どう闘っているかとして、法制化をもって「『日の丸・君が代』反対は違法行為」という常識を、根本的にくつがえす階級的な内容が述べられました。
 多くの教育労働者から職場の現状と闘いが報告されました。「日の丸・君が代」の強制は、民間企業での成績主義が、個の競争を極限化していることにつながっていることも。国鉄・春闘と並んで、教育闘争の前進をつくろう。
 (投稿 増田義彦)

日本原 “侵略演習と闘う″ 反戦共同など100人 

 二月十一日午後、紀元節粉砕・改憲阻止・基地撤去を掲げて、日本原現地闘争が闘いぬかれた。現地統一集会は、那岐山のふもとに広がる「防衛庁用地」の一角を会場に、中四国各地の反戦共同行動委員会など百人余が結集し、開かれた。
 被爆者青年同盟の友野委員長は「世界核戦争の切迫下における、日帝の有事立法・改憲攻撃と闘おう」と日本原との連帯をこめて訴えた。三里塚反対同盟の伊藤信晴さんは、暫定滑走路攻撃との現地攻防を詳しく報告し、三・二五三里塚現地闘争への結集を訴えた。
 労組交流センターは、前日の米原潜グリーンビルによる漁業実習船えひめ丸沈没事件を激しく弾劾した。岡山反戦共同行動委員会、全学連など、各団体の決意表明が行われた。
 現地闘争本部は、「次期中期防は改憲を先取りし侵略軍への大増強を一挙に進めようとするもの。農民殺しの侵略演習激化と対決し日本原農民とともに、改憲阻止の先頭で闘おう」と訴え、集会をしめくくった。
 集会後、日本原駐屯地まで六`のデモを貫徹、二〇〇一年の日本原闘争の戦闘的前進を決意しあった。

福岡 改憲阻止掲げ集会開く

 二月十一日午後、「建国記念日=紀元節反対!教育基本法改悪阻止!『日の丸・君が代』強制許すな!二・一一改憲阻止集会」が反戦共同行動・福岡の主催で福岡市西市民センターにおいて開かれた。主催者あいさつで、反戦共同行動・福岡の代表は「広範な改憲阻止の陣形をつくろう」と呼びかけた。同じ日に国労北九州、長崎、博多の各地区本部大会で闘っている国労闘争団からのメッセージが読み上げられた。
 集会の基調報告は福岡県労組交流センターの労働者が行った。「教育基本法見直し」は戦後のあり方の転覆を目指す攻撃であること、改憲のために階級的力関係の転覆と資本の生き残りをかけた「労働者の無権利化」としての一大資本攻勢と闘おうと訴えた。
 四人の教育労働者が現場からの報告と闘いの決意表明を行った。
 二・一一集会は、教育改革攻撃は改憲攻撃そのものであり、これを全労働者人民の課題として闘うことを確認した。

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週刊『前進』(1995号3面3)

連載・社会保障解体を許すな 奪われる介護・医療・年金 (3)
 杉並区が利用料助成 住民の会の交渉の成果 介護保険制度の一角が崩れた

 3千円に月額上限引き下げ

 杉並区は、保険料第一段階の人および利用料負担上限月額を一万五千円まで減額されなければ生活保護受給者となる人に対して、新年度から四年間、利用者負担上限月額を三千円に引き下げ、その差額を助成すると発表した。在宅介護サービスと施設サービスのすべてが対象となる。
 昨年以来の介護と福祉を要求する杉並住民の会の介護保険反対闘争が、石原都政の東京二十三区の先頭をきって杉並区で大幅な公的助成を実現したのだ。杉並住民の会が介護保険導入に抗議し、介護保険の利用料の減額と助成を要求し、杉並区や厚生省との交渉を重ね、追及してきた闘いの大きな成果にほかならない。
 今年一月二十五日の杉並住民の会の対区交渉では、せきつい損傷で下半身マヒのBさんが、介護保険導入によって毎月四十五万円もの利用料自己負担を強いられることになった問題で、約十五万円の減額をかちとった。さらに新たに明らかになった頸つい間板変性を考えたら要介護5が妥当ではないかと追及した。
 車椅子にも座れないため通院などの移動に寝台車による移送サービスが必要なCさんの問題では、高額の出費と必要台数がないために寝台車をめったに利用できない現実を追及し、「移送サービスの充実は課題」と改善を約束させた。
 この日の交渉で、杉並区は「障害者福祉施策なども含めて、福祉というのはかなり幅が広いもの。介護保険だけではない。他の施策の適用を含めて考えていきたい」と回答し、対応することを約束せざるをえなかった。
 これは介護保険制度の壁の一角を崩した重要な勝利である。杉並区はこれまでの交渉で「介護保険は全国一律の制度だから利用料や保険料の減免は考えていない」という態度をかたくなに貫いてきた。山田区長は、厚生省見解をたてにしてファシスト石原都政の先兵となって福祉切り捨てを率先推進しようとしてきたのである。
 だが、その杉並区がついに「福祉は介護保険だけではない」と介護保険が欠陥だらけであることを認め、他の福祉施策で補うことを約束せざるをえなくなったのだ。そして利用料についても低所得者の利用料減免措置をとらざるをえなくなったのである。
 この事実は、「介護保険制度の原則」が崩れたことを意味し、制度廃止の糸口をつくるものである。
 杉並だけではない。すでに全国七十の自治体が介護保険料の減額措置を実施している。たとえば過疎の旧産炭の町で月三万円で暮らす独居高齢者からどうして介護保険料をむしりとることができるのか。労働者人民の生活の現実を無視した厚生省の「減免措置はすべきではない」という見解は、現実と団結の力で粉砕されたのである。
 杉並では、介護と福祉を要求する杉並住民の会の会員が八百人を超え、粘り強い運動が一層の広がりを実現している。一人の高齢者の苦しみと怒りを自らの現実としてとらえ、共通の課題として団結して闘ったことが「岩」をも砕き始めたのである。杉並区の譲歩は、まぎれもなく高齢者が主体となった大衆運動の力でかちとったものである。
 大衆運動の力で、いのちとくらしを守り、福祉を要求し、権利としての介護を保障させ、公的責任をとらせ、「全額公費負担」を実現し、さらには介護保険を廃止に追い込めるという展望が示されている。

 団結と大衆運動の拡大を

 介護保険導入後、収入の少ない人が介護保険によっていかに介護を切り捨てられたかは、身近な現実をみても明らかである。保険料の徴収とともに、利用料の自己負担が介護を必要としている高齢者にとって筆舌に尽くせない苦難を強いているのである。
 介護保険の利用率が当初の予想より低いのは、利用料という形で自己負担を強制されていることに根本原因がある。利用料が払えないからサービスの利用を切り縮めなければならなくなっている。利用料を取るということ自身が介護の切り捨てを意味しているのだ。
 在宅サービスの訪問介護はあまりに短時間に設定されている。要介護認定そのものが「介護の手間をはかる」という方法で、介護される本人の心身の状態とは直接関係のないものとされている。しかも家族の状態や社会的関係などはまったく無視され、現実とかけ離れたものになっている。
 結局、必要な介護を受けるには認定支給限度額を大幅に超える分を自己負担するか、家族が介護するかという選択になっている。
 介護の切り捨てには、政府の財政的負担を減らそうとする狙いが込められている。介護保険実施前はホームヘルプなど在宅サービスにかかわる財政の五〇%を国が負担していた。それを介護保険では二五%に減らした(地方自治体も五〇%から二五%へ)。その分を四十歳以上の人から保険料という形で徴収する。政府の負担を大衆からの収奪でまかなう制度であり、大増税そのものである。
 介護保険の「介護の社会化」という看板には幻想も生まれた。現実に、福祉が足りず介護を社会で支える体制がないがために、家族介護、特に「介護地獄」と言われる現実が女性にのしかかっていたからである。 しかし、実際に実施された介護保険制度はおよそ「介護の社会化」と呼べるようなものではない。「介護の社会化」とはかけ離れた介護の切り捨てそのものだ。介護が金で買うものになっている。利用料が払えないために介護保険の利用を抑制し、その分を家族が介護しなければならないという事態が広範に生じている。また、介護を必要とする高齢者が、家族に負担がかかるために施設への入所を選択せざるをえないところに追い込まれている。
 介護保険による介護の切り捨てと大衆収奪に対して、全国各地で高齢者を中心に広範な人民の怒りが沸き上がっている。要介護認定に対する再審査の請求や利用料、保険料の減免要求が各自治体に突きつけられている。この闘いを発展させ、「必要な人に必要な介護を」「介護は全額公費負担で」を掲げて闘う中に、介護保険を廃止させる道がある。
 この闘いの主人公はいうまでもなく高齢者自身であり、その家族である。この人たちの声を力に変えていく闘いが求められている。医療や介護を受ける権利は、当然の百パーセント正義の要求である。政府の介護や福祉の切り捨て攻撃と対決し、この当たり前の要求を実現するためには団結の力が必要だ。介護や福祉をかちとろうとする高齢者の大衆運動組織を拡大し、要求を実現するための行動を開始しよう。杉並住民の会を先頭に進められている「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」形成の運動をともに推し進めよう。
 この闘いを労働者階級の闘いとして発展させよう。
〔柿坂信二〕

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週刊『前進』(1995号3面4)

3月全金本山全国闘争へ 解雇撤回・職場復帰の完全勝利を

 全金本山闘争は、三月で三十年目を迎える。この三月の全国闘争は、全金本山闘争の完全勝利への決定的な闘いとなった。本山闘争を闘う力を本山資本、富士銀行にたたきつけ、完全勝利をかちとろう。三月四日、五日の仙台市での総決起集会、大衡村本社工場門前での就労要求闘争に総結集しよう。

 本社工場門前を埋めつくそう

 全金本山闘争は、現在仙台地裁での和解協議が闘われている。和解協議の冒頭で裁判所が「和解案の骨子」を提案した。「骨子」は青柳充氏、熊谷春男氏の解雇問題について「解雇撤回・自主退職」としており、これを出発点とすることを会社側も了解している。もちろん「自主退職」などまったく問題にもならない。しかし、最高裁で両氏の解雇問題が確定しているにもかかわらず、地裁が「解雇撤回」を提案し、それを会社も受け入れていることに今の力関係が示されている。解雇撤回・職場復帰まで押し込むことはまったく可能な情勢なのだ。
 その上で今最大の争点は二十九人の組合員の「就労問題」である。全金本山労組は一九七二年の違法なロックアウトで組合員が職場から暴力的に排除され、以来二十八年間、労組員はアルバイトをしながら闘争を続けている。(東京支店の一人のみ就労)
 二十九人に就労意思がある限り会社は拒否できない。その代わりに収容所のような「別棟就労」「十四万円以下」の低賃金の提案などで実質就労拒否をくり返し、労組の自滅を図ってきた。実際この間、「雇用関係はあるが使用関係はない」という反動判決で社会保険の資格を奪うなど、あらゆる組合つぶしの攻撃が加えられた。しかしあらゆる攻撃をはね返し、労組員は人生をかけて闘ってきた。もはや会社には、就労拒否の口実はない。そして二十九人の就労は、二人の被解雇者の解雇撤回・職場復帰と一体のものなのだ。
 本山資本は、いまだ争議責任の全面謝罪、原状回復を決断してはいない。不当解雇の責任、二十九人の組合員に対して二十八年間就労を拒否してきた責任から逃げ回っている。しかし争議の全面解決なくして、会社再建はないことは明らかだ。メインバンクである富士銀行は、「みずほフィナンシャル」への合併の過程であり、株主総会までのりこんで争議会社への融資の企業責任を追及する全金本山労組の闘いに完全に追いつめられている。
 争議の最後を決するのは階級的力関係だ。全金本山闘争の完全勝利は日本の労働運動を一変させるインパクトを持つ。だからこそ本山資本、富士銀行に最後的決断を迫る大攻勢が決定的だ。本社工場門前を全国の労組の赤旗で埋めつくし、全金本山闘争支援の階級的力を見せつけてやろう。

 仲間を守り抜く労働組合の団結

 全金本山闘争勝利への大攻勢は、「一人の首切りも許さない」という労働組合の原則を復権し、大失業と対決する労働運動をつくり出していく闘いである。
 全金本山闘争は、一九七一年三月の青柳充氏の不当解雇に端を発し、普通の労働者が職場まで奪われながら人生をかけて被解雇者を守り、労働組合の団結を守り抜いてきた闘いである。まさに比類なき労働者魂がここにある。
 当時青柳氏は全金本山製作所支部の副委員長として下請会社や県内地域に労組を結成し、七〇年春闘では二交代制導入阻止を指導した。会社は青柳氏排除のために、労組執行部を御用派にのっとらせ、青柳氏への懲戒解雇の攻撃をかけてきた。この攻撃は七〇年安保・沖縄決戦の内乱的爆発に恐怖した日帝ブルジョアジーによる労働運動の拠点つぶしの大反動であった。
 この攻撃を見抜いた本山支部の労働者は、非公然的な闘いを展開して支部大会で御用執行部を打倒し、闘う労組の再建をかちとった。会社は「組合がつぶれるか、会社がつぶれるかまでやる」(本山秀夫社長=当時)といいなし、第二組合の分裂、右翼・暴力ガードマンの導入、違法ロックアウトなどの組合つぶしの攻撃をかけてきた。会社門前では警察・機動隊の面前で公然と激しいテロルが行われ、全金本山支部や支援の労働者は防衛的な対応をするだけで不当逮捕された。数十人の逮捕者、数百人の負傷者を出しながら、全金本山支部はその団結を固め勝利に向けて進んだ。
 「労働組合の死と再生」をかけた争議として、全金本山闘争には全国の労働組合が支援にかけつけた。県内の青年労働者も総結集し、二千人をこえる労働者が門前を埋めつくした。
 この闘いに恐怖し、勝利目前で争議の収拾、被解雇者の切り捨てを強要してきたのが総評・全国金属本部である。「二名の解雇撤回」を切り捨て、「別棟就労」という資本の攻撃に屈服することを迫ってきた。そしてついには青柳氏への除名処分、組合員への統制処分をかけてきた。この大反動に対し、「闘う全金」の旗を守り一九八〇年に全金本山労組を結成した。
 全金本部の争議収拾の攻撃は、全組合員に大きな選択を迫った。自らも職場を追われ、解雇同然の攻撃を受けながら被解雇者を守り抜くのか。上部の支援を断たれ、排除されようとも労働組合としての原則を貫くのか。一人ひとりの組合員が「一人の首切りも許さない」という労働組合の原則に人生をかけ、今日まで闘い抜いている。入社直後に闘争に参加した組合員は、「管理職から『いつまでやるんだ』と言われたが、『俺は本山闘争のために生きているんだ』と言ってやった」と語っている。
 この攻防の中で、佐藤満男組合員が「私は労働者である限り、労働者の魂を裏切らない。別棟には入らない」と訴え、自ら命を絶って「路線転換」を阻止した。しかし、全金本部はこの佐藤満男氏の遺志をも踏みにじり屈服を強要し、全金本山労組を排除した。彼らは「十年もたった争議は収拾すべき」「闘争至上主義」と全金本山労組を攻撃してきた。その行きつく先が今日の連合の帝国主義翼賛の労働運動ならざる労働運動への変質である。

 「一人の首切りも許さぬ」の復権を

 全金本山闘争は、町工場の組合とはいえ労働者が団結し、本気で闘った時にどれほどの力を発揮するかをブルジョアジーにいやというほど見せつけてきた。職場を奪われても仲間を裏切らず、闘いに人生をかけるという労働者魂と労働組合の団結の力を示した。
 そして何よりも重要なことは、全国の幾千という労働組合が統制をはねのけ、「解雇撤回を闘うものを支援するのが労働組合である」として、このわずか三十二人の労組の全金本山闘争をともに闘ってきたことだ。首切り、倒産、行革=公務員労働運動つぶしの大反動に対し、反撃をたたきつけてやる時だ。
 「四党合意」粉砕の国労闘争団、家族の決起は、日本の労働運動の歴史的な転換点となった。一・二七国労続開大会での機動隊導入・封鎖こそ、国労の自己解体を狙う四党合意の本性をむき出しにした。しかし、七・一臨大以降の攻防の中で、「『一人の首切りも許さない』という労働組合の原則は絶対に譲れない」という新たな階級的決起と全国的な闘いの戦線が生まれている。
 一方、日経連・奥田会長は一月十二日の日経連臨時総会で、「これから二〜三年の間に、どれだけ構造改革のアクセルを踏めるかが、今世紀のわが国の姿を決める正念場になる」と言い、没落帝国主義としての危機感もあらわに大資本攻勢を宣言している。大失業攻撃との闘いはまさにこれからが正念場だ。官民、産別を問わず、労働者階級の階級的決起に絶対的信頼を持ち、労働組合の原則と団結をかたくなに貫くものが勝利する時代だ。仲間を信じ、労働者階級の解放をめざして闘い抜くことこそが勝利の道だ。
 全金本山闘争に完全勝利し、「一人の首切りも許さない」労働運動の新たな台頭をつくり出そう。すべての闘う仲間は三・四、五全国闘争に総結集しよう。

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週刊『前進』(1995号4面1)

3・25三里塚全国集会に結集を
 暫定滑走路建設・土地収用法改悪を阻止せよ
 有事立法粉砕・改憲阻止の最先端
 斉田 猛

 未曽有(みぞう)の危機に立つ日帝・森政権は、一昨年来の新安保ガイドライン法などの戦争諸法の制定に続き、本年冒頭から教育改革と有事立法・改憲の攻撃を全面化させている。その一環として土地収用法改悪攻撃を具体化した。それは、まず何よりも三里塚闘争と反戦闘争の破壊を狙った攻撃であり、有事立法の核心部を先取りする戦争体制づくりの攻撃である。国家に抵抗する一切の運動や闘いを禁圧し、戦前型の軍用地収用制度を構築しようとしているのだ。こうした情勢を背景に、十一月末工事完成|二〇〇二年一月テスト飛行|四、五月供用開始に向けた成田空港暫定滑走路建設攻撃が凶暴さを増している。東峰神社の立ち木伐採策動、天神峰団結街道破壊攻撃、ジェット機の飛行で農民をたたき出す攻撃が激化している。今こそ森政権打倒、教育改革粉砕、有事立法・改憲攻撃粉砕闘争と三里塚闘争の合流をかちとり、暫定滑走路建設粉砕・土地収用法改悪阻止へ進撃しよう。反対同盟の呼びかける二・二八土地収用法改悪阻止シンポジウム|三・二五全国総決起集会は、二〇〇一年決戦の勝利に向けた大切な闘いである。全国の広範な人びとに呼びかけて大結集を実現しよう。反対同盟への血盟をかけて成功させ、闘う三里塚農民を守り抜こう。

 東峰神社立ち木伐採強行と天神峰団結街道破壊の策動

 三里塚における暫定滑走路建設攻撃は、今年十一月末の工事完成|工事完成検査|ノータム(関係国への供用開始予定の通知)|来春慣熟飛行|五月供用開始に向かって凶暴性を増している。
 殺人的・地上げ屋的な土木工事が大規模に展開され、敷地内部落が日に日に破壊され、三里塚農民に対しては強制収容所のような環境が強制されている。
 そして「農家の頭上四十bにジェット機を飛ばして農民をたたき出す」という前代未聞の地上げ攻撃が、違法を承知で(航空法三九条違反だ!)、国家の名によって平然と計画されているのだ。
 暫定滑走路阻止決戦は、闘いの帰すうを決する重大な局面を迎えている。三・二五集会に向け全力で闘わなければならない。
 三里塚闘争破壊に向けた攻撃の第一は、今夏にも予想される東峰神社の立ち木伐採策動である。
 暫定滑走路着陸帯の南端六十bにそびえ立つ東峰神社の立ち木は高さ十bにも及び、今も天空に向かって伸びている。この立ち木が暫定滑走路の進入表面(注1)から九bも飛び出している。このため、定められた進入表面を確保するには、二千百八十bの予定の暫定滑走路を千七百四十bに短縮して使わなければならず、滑走路としておよそ使い物にならないのだ。
 そこで空港公団は、暫定滑走路工事の完成期限が近づくのを待って「工事完成検査がある」「テスト飛行の必要がある」などの「緊急性」を口実に、千葉地裁に航空法四九条三項(注2)に基づく仮処分を申請して、暴力的に立ち木を伐採する攻撃を計画している。夏から秋の可能性が高い。
 東峰神社の立ち木は、暫定滑走路計画が告示される何十年も前から存在する物件で、暫定滑走路の認可の方が違法なのである。運輸省は認可自体を却下すべきだった。
 ところがどんな手段を使っても暫定滑走路計画を押し通そうとする空港公団は、千葉地裁と結託して一九七七年に岩山大鉄塔を破壊したように、違法を承知で抜き打ち的に立ち木を切り倒そうとしているのだ。
 反対同盟は体を張った実力闘争によって立ち木を死守する決意を明らかにし、すべての人びとに共同の決起を呼びかけている。三・二五集会は立ち木伐採阻止決戦に向けた闘争陣形を築く闘いである。
 攻撃の第二は、天神峰団結街道の破壊攻撃である。
 空港公団は、「小見川県道トンネルの工事のため」と称して昨年八月、住民への告知なしに天神峰団結街道を封鎖した。
 反対同盟の抗議に対して空港公団は「工事終了後、元の路線に復する」と回答していた。
 ところがトンネル工事現場では、団結街道を原状に復するために必要な、補強のための橋梁(きょうりょう)工事を行っていないのだ。逆に、団結街道の廃道を前提として、団結街道の直線上より五b西側に、空港外周道路のための橋梁建設を行っていた。
 団結街道を復元することは、暫定滑走路に平行して反対同盟農民の使う道路が空港敷地内を走ることになり、空港公団にとって、治安面、飛行安全面から認められない。そこで空港公団はあらゆるウソとペテンで団結街道を廃道にしようとしているのである。
 もともと、滑走路など造れないところに「暫定滑走路」なるものをむりやり計画したデタラメさが問題なのである。暫定滑走路計画は直ちに中止すべきなのだ。三・二五集会に結集する全人民の力で団結街道破壊を粉砕しなくてはならない。

 飛行機飛ばし農民追放狙う

 第三は、ジェット機の飛行による農民たたき出しである。
 空港公団は、来年五月とされる暫定滑走路の供用開始予定を繰り上げてまでジェット機飛行を早めて、東峰・天神峰地区農民をたたき出そうとしている。
 農家の頭上四十bにジェット機を飛ばすなどということは究極の人権侵害である。断じて認めることはできない。しかも明々白々な航空法違反(三九条一項の二)である。同法は「当該飛行場又は航空保安施設の設置によって、他人の利益を著しく害することとならないものであること」と定めている。
 日帝・国家権力の利益、国土交通省と空港公団のメンツのためには、法律も無視、農民の生活や健康などどうなってもかまわないという計画なのである。
 こうした攻撃の一方で、デタラメな暫定滑走路計画のため、短縮滑走路が国際線用としては使い物にならない欠陥施設であることが社会的に暴露されてきた。
 当初、空港公団は暫定滑走路の運航予想として、年間六万五千回(うち国内線二万回)と発表していた。
 ところが現在、外国航空会社からの新たな乗り入れ希望はわずかに三カ国。これに韓国、中国の増便を加えても年間で五千回程度にしかならない。国内線分も現在五千回以下で、両者を足しても一万回以下なのである。公団予想の六万五千回など夢のまた夢である。反対同盟が指摘してきたとおりの破綻(はたん)的事態が進行しているのだ。
 そこで公団は、「外国航空会社からの乗り入れ希望にこたえるため」としてきた暫定滑走路建設の大前提を覆し、国内線の誘致・拡大で暫定滑走路計画の便数不足を取り繕うという政策に出てきた。
 国土交通省と空港公団は二月六日、「成田空港国内線充実対策検討会」を発足させた。乗り継ぎ需要だけでは高が知れている国内線について、航空会社、観光会社、地域自治体を巻き込んでむりやり便数を増やし、四倍化(二万回に増便)しようというのである。
 しかし「国内線充実対策検討会」の狙いは、「国内線の充実」ではなく、むしろ農家の頭上四十bにとにかくジェット機をどんどん飛ばして物理的に住めない環境を強制し、農民をたたき出そうという、地上げ攻撃の強化なのである。予定地農民を追い出して暫定滑走路を延長し、最後は三千七百bの軍用滑走路に延長しようという究極の農民殺し検討会なのである。農民圧殺が「国内線誘致」の目的なのである。怒り心頭に発するとはこういうことである。
 こうした前代未聞の農民殺しに加担する「成田空港国内線充実対策検討会」メンバーに警告する。大罪は国土交通省・空港公団と変わらない。われわれは即刻解散を要求する。
 全人民の力で未曽有の農民殺し計画を粉砕しよう。三・二五集会の成功が求められている。
注1 航空機が着陸する時の下限の斜面。航空法で定められている
注2 「飛行場の設置者は、第一項の告示の際現に存する物件で進入表面、転移表面又は水平表面の上に出るもの(同項の告示の際現に存する植物で成長して進入表面、転移表面又は水平表面の上に出るに至ったもの及び同項の告示の際現に建造中であった建造物で当該建造工事によりこれらの表面の上に出るに至ったものを含む。)の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより通常生ずべき損失を補償して、当該物件の進入表面、転移表面又は水平表面の上に出る部分を除去すべきことを求めることができる」

 一坪共有運動破壊し三里塚圧殺を狙う土地収用法改悪

 日帝・国土交通省は、三里塚闘争への破壊攻撃を強化するために土地収用法改悪策動を本格化した。
 その狙いの第一は、一坪共有運動の破壊である。
 昨年十二月、国土交通相に就任した扇千景は、就任直後の記者会見で、「土地収用法は改正すべきだ」と発言し、「成田の一坪共有地は強制収用すべきだ」(五日)と主張した。
 十二月二十五日には、国土交通省建設経済局長の私的諮問機関である土地収用制度調査研究会が、最終報告を提出し、一坪共有運動の破壊策を中心とする土地収用法の改悪案を打ち出した。「最終報告」は、事業認定がなされた後の一切の批判・抗議を封殺することで事業認定を絶対化し、収用委員会制度を形骸(けいがい)化し、一坪共有運動を封殺する内容となっている。「国家の行う事業に盾つくことは許さない」という強権的な土地強奪システムを作り上げ、軍用地の収用に道を開こうとしているのだ(後に詳述)。
 一坪共有運動破壊のための諸攻撃は、三里塚闘争と住民運動に対する許しがたい挑戦である。
 一坪共有運動は、百里基地闘争|富里空港反対闘争|三里塚闘争という闘いの歴史の中で確立されてきた土地収用法に対する唯一の合法的抵抗手段である。そして、百里基地や三里塚闘争、東京・日出町ゴミ処分場反対闘争や各地のトラスト運動で示されているように、日帝・政府に大きな打撃を与えてきたのである。
 そこで、日帝・政府は、一坪共有運動が人民の闘いの拠点となっていることに対して、治安的観点からも一坪共有運動の禁圧に乗り出してきたのである。
 具体的には、@土地物件調書への「地権者の立ち会い・署名」に代えて「自治体の公告・縦覧」で代替可能とする、A「反対のための地権者が多数」に上る場合は関係人を「代表者三人」に限定できるようにする、B強制収用に先立つ補償金の支払いについて、「本人受け取り」を廃止し「現金書留の発送証明で代替可能」に変える、などである。一坪共有運動を行っても効果がないように収用法を変え、土地収用に対する人民の抵抗手段を奪ってしまおうというのだ。
 それは、二千五百b滑走路(平行滑走路)を阻んでいる十六カ所の一坪共有地、四本の開拓組合道路、神社、墓地などを一掃する直接の攻撃である。
 また収用法改悪攻撃は、千葉県収用委員会の再建攻撃と連携し、一体となって三里塚闘争破壊を意図しているのである。
 一九八八年以来、崩壊したままの千葉県収用委員会について、マスコミが「収用委員会再建を真剣に考えるべきだ」(昨年十二月三日産経新聞千葉版)とのキャンペーンを開始し、地方自治体官僚が公然と再建を主張しだしているのだ。

 有事法制の核心なす軍用地収用制度確立に道開く攻撃

 土地収用法改悪攻撃の狙いの第二は、有事法制の核心部である「軍用地の収用」に道を開くことだ。
 現在の土地収用法では、自衛隊のための軍用地を収用することはできない。自衛隊は憲法違反であるために、現行法の第三条で定められている約四十八項目の「収用法適格事業」には列挙されていないからである。このため航空自衛隊百里基地では、九百人の一坪共有者から用地を任意買収できず、誘導路が「く」の字形に曲がったままの運用を現在も強制され、基地の任務であるスクランブル発進に重大な支障をきたしているのである。
 しかし、戦争体制の構築のためには、自衛隊の作戦や運用、訓練を行う基地・演習場用地の確保が欠かせない。自衛隊の基地・演習場面積は現在、全国で約十万fであるが、戦前はその三倍の三十一万fも確保されていた。日本有事、朝鮮有事の情勢においては、そのレベルの軍用地が必要となるということだ。
 そして、基地問題で土地強奪法抵抗闘争が爆発してきた歴史を見れば、強制的な軍用地収用の体制が絶対に必要なのである。
 現実の国家総動員体制づくりを想定した場合においても、人と物の戦時的動員がその核心的内容をなすが、それは、一方における徴兵制・徴用制の導入と他方における土地・家屋の強奪体制がかなめをなすのである。
 一九六三年に暴露された自衛隊の三矢作戦研究(昭和三八年度統合図上演習)では、「非常事態措置諸法令の研究」で、有事法制の分野として、@人、物、土地の徴用・徴発など「国家総動員」の領域、A自衛隊の「行動基礎の達成」(行動上の制約の撤廃)、B政府機関の臨戦化を挙げ、このうち@とAの中心問題として軍用地収用問題があることを明確にし、その中で「土地収用法の改正」を必要な措置として盛り込んでいるのだ。三矢研究は@の国家総動員体制の確立の「防衛生産修理施設の収用管理」やAの「防衛資材施設の補給管理」の中に「土地収用法の改正」やそれと同等の「自衛隊法改正」を明記しているのである。
 このように約四十年も前から有事立法の中心的な柱として「土地収用法改正」が叫ばれていたのだ。今回の土地収用法改悪は軍用地収用制度への第一歩なのである。
 土地収用制度調査研究会は、昨年五月に設置され、六回の会合を経て最終報告をまとめた。
 この研究会は、石原慎太郎都知事の強い要請によって設置された。五月十七日に開かれた当時の中山正暉建設相の私的懇談会に石原が出席し、土地収用法「改正」を提案したその日に設置を正式決定したのだ。
 「土地収用法改悪に反対する勢力からの抗議」を恐れて、議事内容、研究会メンバーは非公開とされた。こうした発足の経緯、運営の態様が、土地収用法改悪攻撃の有事立法的性格を浮き彫りにしている。

 沖縄米軍用地特措法と一体

 土地収用法改悪攻撃は、沖縄闘争に対しても収用委員会の形骸化として襲いかかっている。それは、沖縄米軍用地特措法による軍事基地強奪攻撃をも促進するものである。土地収用法改悪攻撃は沖縄闘争破壊も狙っているのだ。
 沖縄においては、地方分権一括法による米軍用地特措法の改悪(一九九九年)で国による収用権が絶対化され、用地強奪攻撃が強められた。しかし、収用委員会審理の手続きは残されており、収用委員会の公開審理の場が唯一の合法的抵抗の機会となっている。
 ところが今度の土地収用法改悪では、「収用委員会審理における事業認定(米軍用地特措法では「使用・収用認定」という)論議を禁止する」とすることで、沖縄人民から最後に残された合法的抵抗の機会すらも奪おうとしているのだ。
 土地収用法改悪攻撃は、三里塚と沖縄に対する破壊攻撃である。全力で阻止しなければならない。

 自衛隊のC130機が使用成田の軍事基地化を許すな

 土地収用法改悪による三里塚闘争破壊と軍用地収用の攻撃が強まる中で、それと一体のものとして、成田空港の軍事基地化の攻撃が一挙に強まってきた。
 二月四日、日帝・自衛隊は、「インド地震の被災者救援のため」と称して、史上初めて、固定翼の軍用機であるC130輸送機六機を愛知県小牧基地から成田空港に飛来させ、物資と兵員を載せて、離陸させたのである。
 成田を使用する理由として国土交通省と防衛庁が挙げたのは「物資が成田空港近くにあるから」というものだが、人民を欺くためのウソである。インドへの救援物資輸送を本当に急ぐなら、民間の貨物機の方が合理的である。C130は航続距離が短いため、タイとインドのデリーで二回も給油のために着陸している。また積載量も小さく六機も必要となっている。
 また、成田の物資をトラックによる陸送で小牧基地に運んだほうが、C130六機を成田に飛来させて積み込むより、費用の点でも時間の点でも有利なのだ。
 C130輸送機の成田飛来と離陸は、新安保ガイドライン体制の中で、成田空港を軍事基地として使用するために、成田軍事使用の“突破口゜を開く政治的攻撃なのだ。
 これに先立つ一月二十九日、防衛施設庁が国内航空大手三社に対して、米国防総省の定める輸送資格を取得するよう要請していることが報道された。米国防総省の輸送資格とは、同省が安全基準に基づいて各航空会社の実体を審査し付与するもの。米軍によるチャーター便契約の取得に必要な資格である。
 防衛施設庁が同輸送資格の取得を日本の航空会社に要請した理由は、朝鮮有事、日本有事の際、米軍物資・兵員の輸送に日本の民間機の動員を計画しているためである。
 朝鮮半島で侵略戦争を開始する場合、五十万人規模の米軍が日本を経由して戦場へ派兵されていくことになるが、CRAF(民間予備航空隊)と呼ばれる米軍の民間機動員システムの中に、日本の航空会社が参加して、兵員・物資輸送の主力を担う計画だということが暴露されたのだ。その際の受け入れ拠点空港は成田である。
 運輸省や千葉県、成田市、マスコミは、「成田空港の軍事使用は空論」などと一貫して言明してきたが、彼らの言葉こそが空論であることが、C130輸送機の飛来、米軍輸送資格の取得問題で否定しようもなく暴露されたのだ。
 三・二五集会の成功で、成田空港の軍事基地化攻撃を阻止しなければならない。今こそ成田軍事空港を廃港に追いつめよう。

 三里塚闘争の任務・方針

 最後に三里塚闘争の任務・方針を確認したい。
 まず第一に、三・二五全国集会への大結集を実現することである。
 土地収用法改悪反対を掲げ、有事立法と闘う人びとや住民運動、基地闘争を闘う労働者・農民に三里塚闘争の意義を訴え、広範に結集を呼びかけよう。
 第二に、暫定滑走路工事との闘いを軸とする現地攻防に勝利することである。
 何よりも東峰神社立ち木の伐採策動に対する闘争陣形を打ち固めなくてはならない。さらに団結街道や敷地内一坪共有地の破壊攻撃を見逃さず、的確に反撃しなくてはならない。
 「頭上へのジェット機飛行」という人権侵害に警鐘を鳴らし、暫定滑走路の破綻性を暴露する宣伝戦を重視して闘おう。
 第三に、全学連現闘を先頭に、反対同盟農民の営農を防衛することである。
 全国から三里塚現地を訪れ、援農を行い、交流し、反対同盟を激励しよう。全関西実行委員会はすでに連続的な現地調査運動を開始している。関西実行委員会に続こう。
 第四に、革命的武装闘争の貫徹である。
 革命軍は一月二十三日、空港公団幹部に対する火炎戦闘に決起し、勝利した。国土交通省・空港公団が一片の道理もない農民殺し政策を強行するならば、われわれはそれに見合った革命的ゲリラ戦の反撃でこたえることを宣言する。
 森政権打倒・都議選決戦勝利への今年前半最大の決戦と一体の闘いとして、全国から三・二五全国集会に集まろう。

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週刊『前進』(1995号4面2)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 2月13日〜20日
 米英がイラク首都近郊空爆 野呂田が「大東亜戦争」賛美

●米軍、新型兵器に重点
ブッシュ米大統領が、国防政策について「軍の力を決めるのは規模の大きさだけではなく、機動力と即応性だ」と述べ、@陸軍は重厚長大から、配備と駐留が容易な小回りの利く戦力に脱皮させるA空軍は世界中で精密爆撃ができるようにするB海軍は情報と兵器を結ぶ新しいシステムをつくるC宇宙防衛を強化する||といった考えを表明、「既存の兵器や装備の近代化は選択的に進め、新型技術を新しい戦略に生かしたい」と強調した。(13日)
●河野外相が地位協定の改定検討に言及 在沖米海兵隊員による連続放火事件で、河野洋平外相が沖縄の稲嶺恵一知事と会談し、地位協定の見直しも視野に日米で交渉していく意向を初めて示した。日本政府は、これまで地位協定の見直しについて、否定的な見解を繰り返してきた。(14日)
●普天間など強制使用手続き 那覇防衛施設局が、米軍用地の強制使用手続きを定めた「駐留軍用地特措法」に基づき、来年九月二日に使用期限が切れる普天間飛行場と那覇軍港の一部土地について、森喜朗首相に対し、土地の継続使用を求める使用認定申請を行った。対象となるのは普天間飛行場の一万二千三百五十六平方b(十七筆、所有者七百十人)と、那覇軍港の三百六十四平行b(三筆、所有者七人)。(14日)
●北谷町が海兵隊全面撤退を決議 沖縄県北谷町議会が臨時議会を開き、一月に町内で発生した海兵隊員による連続放火事件を受け、地方議会として初めて海兵隊の全面撤退を求める抗議決議・意見書を全会一致で議決した。(15日)
●県議会も抗議決議 沖縄県議会で在沖米海兵隊員による放火事件などに対する意見書と抗議決議を全会一致で可決した。(16日)
●那覇地検、米兵を起訴
米海兵隊員による連続放火事件で那覇地検が、非現住建造物等放火罪でキャンプ・ハンセン所属の上等兵を起訴した。同地検は那覇地裁に拘置を求める手続きを取り、身柄を日本側に移した。(16日)
●米英がイラクを空爆 米国防総省が、米英両軍機がイラクの首都バクダッド近郊のレーダー施設などを爆撃した、と発表した。米英軍はこれまでも、イラクの南部と北部に設けた「飛行禁止区域」で日常的に空爆を繰り返してきたが、空域外の首都近郊に爆撃を加えたのは、クリントン前政権が一九九八年十二月に踏み切った大規模空爆以来。ブッシュ大統領自ら攻撃を命じたのは初めて。(16日)
●訓練の一部をグアムへ
米海兵隊のトップ、ジェームス・ジョーンズ海兵隊総司令官が十二日に「訓練の一部を沖縄からグアムに移すよう言ったところだ」などと述べ、在沖米海兵隊の訓練の一部をグアムに移すための作業に着手したことを示唆する発言をしていたことが分かった。(16日)
●北谷で米兵がパトカー壊す 沖縄県北谷町で、パトカーの日よけを蹴り壊したとして、沖縄県警捜査一課が器物損壊の現行犯で、米軍トリイ・ステーションの陸軍特殊部隊所属の二等軍曹を逮捕した。(17日)
●相模補給廠のPCBをこっそり搬出 神奈川県相模原市の米陸軍相模総合補給廠からトレーラー六台に分けた荷物が搬出され、東京都福生市の米軍横田基地に搬入された。相模原市はポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の疑いがあると判断、米軍や外務省に搬出物がPCB廃棄物かどうか確認を要請しているが、明確な回答はない。(17日)
●野呂田が「大東亜戦争」と賛美 自民党の野呂田芳成衆院予算委員長が秋田県での講演で、「(米国などが)石油などを封鎖したから、日本はやむを得ず南方で資源確保に乗り出していった。いわばそれは米国側の策にはまってしまったのが本当だろうと、多くの歴史家が言っている」「大東亜戦争で植民地主義が終わり、日本のおかげで独立できたという国の首脳もたくさんいるが、それは別として、戦で負けてしまったのは、政策の誤りであって、日本の文化、歴史、伝統が悪いと反省してしまったのは本当に大きな誤りだ」と発言した。(18日)
●CH46ヘリの検査時間短縮へ 米海兵隊は主力ヘリとして使用しているCH46中型ヘリの飛行時間ごとの検査を短縮することを決め、実施に移した。老朽化に伴う機材の故障が再三発見されていることが主な理由で、沖縄に配備されている同機の「予防着陸」も目立っており、あらためて沖縄の空の危険性が浮き彫りになった。(19日)
●「つくる会」教科書を政府が容認 「新しい教科書をつくる会」の主導で編集された二〇〇二年度版の中学歴史教科書について、政府は文部科学省の検定にあたって「政治介入」はしないとの方針を固めた。検定合格を容認する判断だ。執筆者側が個別の記述の修正に応じ、この教科書が検定に合格する可能性が高まった。(20日)

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週刊『前進』(1995号5面1)

米原潜事件徹底弾劾! 米軍の存在と基地が元凶
 闘うアジア−世界人民と連帯し 安保粉砕・米軍基地撤去へ

 米原潜「グリーンビル」による漁業実習船「えひめ丸」衝突・沈没事件を徹底弾劾する。米軍のハワイ沿岸での軍事優先の危険きわまりない行動と事件の真相隠ぺいや森首相のかけゴルフ問題など日帝の日米関係・日米安保優先の反人民的態度に、宇和島水産高校の生徒と家族や労働者人民の怒りは高まっている。沖縄で頻発する米軍犯罪、米英軍のイラク爆撃、ユーゴスラビアでの劣化ウラン弾問題や韓国での爆弾投棄事件、プエルトリコ、フィリピンなどでの米軍の存在と横暴な振る舞いに対し、全世界で人民の怒りの実力闘争と国際的な連帯が始まっている。全世界の人民とともに米軍基地撤去、日米安保|新ガイドライン粉砕の闘いに立とう。

 米海軍の傍若無人な行動 実習船が沈没

 ハワイ・オアフ島の南十六`の沖合で九日(日本時間十日)、愛媛県立宇和島水産高校の生徒ら三十五人が乗った同県の漁業実習船えひめ丸(四九九d)が、緊急浮上してきた米海軍のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦グリーンビル(水中排水量六九二七d)に衝突され沈没、乗っていた九人が現在も行方不明となっている。実習中に突然、巨大な原子力潜水艦に「強襲」された高校生たちの怒りと無念、家族たちの悲しみと怒りは想像を絶する。
 オアフ島から近く商船や漁船など多くの民間船舶が行き交う交通量の多い海域で、民間人に体験させるためのデモンストレーションとして、最も危険ともいわれる緊急浮上を行った米軍に、この事故の一切の責任がある。デモンストレーションの緊急浮上は日常的に行っていたともいわれ、常に事故の危険性があった。
 事故当時、原潜の司令室内には十六人の民間人がいた。民間人の一人が潜水艦の角度を操作する席に座り、かじを握った。もう一人は緊急浮上用の浮力調整装置を操作していた。
 グリーンビルは、約七十分前からえひめ丸の存在を水中の音を聴くパッシブソナーで確認していたが、司令室に多数の民間人がいたため、航跡図を作るのをやめたという。また、ソナー情報はソナー室だけでなく、艦長の近くにあるモニター画面に同時に映るが、この装置は故障していた。
 つまり、近づいてくるえひめ丸を確認しながら、その航跡をある地点からまったく追跡しなかったのだ。
 そもそも、民間船舶の安全を確保するという考え方を米軍はもっていない。一九八九年の原潜事故をきっかけに、船舶の往来が頻繁な海域では浮上前に、自分から音波を出して確実に対象物を探知するアクティブソナーを用いるよう米国家運輸安全委員会(NTSB)から勧告が米海軍に出されていた。しかしアクティブソナーは、自分から音波を発信するために他の潜水艦に位置を探知される可能性があり、米海軍は使用を拒否していた。百パーセント軍事優先の考え方だ。
 原潜は事故後も救助活動をまったく行わず、沿岸警備隊が到着するまでの約一時間、傍観していた。帝国主義軍隊は、人民に銃を向けるが、人民を救出しないのだ。一九八八年に海上自衛隊潜水艦「なだしお」と遊漁船が衝突し、三十人が死亡した事故でも、「なだしお」は救助活動をしなかった。ロシア原潜クルスク沈没事故の時は、水兵が全員見殺しにされた。
 米軍は、事故直後から口先だけの「謝罪」を繰り返しているが、実際には真相をすべて隠ぺいしている。事故から十日以上たった現在も事実関係は少しずつしか明らかになっていない。
 米軍はすべての真相を明らかにして責任を取れ!
えひめ丸を引き揚げて、真摯(しんし)に謝罪しろ!
 米海軍の攻撃型原潜は近年、偵察や特殊部隊の潜入など沿岸作戦を重視してきた。そのために民間の船舶が多く危険が大きいのを承知で、沿岸部での浮上作戦を行ってきたのだ。民間船舶が往来する海域で、軍事・軍隊最優先の思想で、危険な軍事訓練を繰り返し行ってきたのだ。これは空も地上も同様だ。
 世界支配と世界戦争のためにある巨大な米軍の存在、帝国主義の基地と軍隊、日米安保と新ガイドラインの存在こそ一切の元凶だ。
 行方不明者の捜索活動が続けられる中、日帝は事故発生直後から、@米政府は謝罪した、A原潜は救助活動を行ったと強弁してきた。特に事故直後の原潜の対応について、「その場にとどまり、救助、捜索活動にあたったことを確認した」と言い切った。これがデタラメだったのは周知のとおりだ。日米関係、日米安保が最優先なのだ。
 森首相は、事故の連絡が入った後も約二時間、かけゴルフに興じ、「私が行かなかったことで、何か遅れたんですか」などと居直り続けてきた。森にとって高校生たちの命よりもかけゴルフの方が大事なのだ。
 民主党や日共は、゛こういう時に一国の首相がゴルフに興じていたのはけしんからん、謝罪しろ″と言うだけである。日米安保体制の現実、アジア・太平洋を常時臨戦態勢で展開する米軍、自衛隊についてまったく追及しない。そればかりか「危機管理の強化」を反動的に主張している。
 原潜事故を徹底弾劾し、日米安保体制と米軍・自衛隊が、いかに労働者人民に敵対する存在なのかを暴露して闘うことが必要だ。

 沖縄の怒りは大噴火寸前 沖縄米軍犯罪

 沖縄人民は、今回の原潜事故をわがことのように感じ、怒っている。米軍は沖縄中で危険な演習をくり返し、凶悪な米軍事故・米軍犯罪を起こしてきた。。
 沖縄島の北部で一月九日、在沖海兵隊の伍長が女子高校生のスカートをまくり上げて写真を撮り、叫び声を聞いて駆けつけた男子高校生らに取り押さえられ、「強制わいせつ」容疑で逮捕された。十四日には、米海軍兵士らが国頭村のスナックで女性経営者にけがを負わせ、傷害容疑で逮捕された。
 昨年七月の沖縄サミット直前に起きた海兵隊員の女子中学生暴行未遂事件を契機に、米軍当局は米兵に酒を提供する店への深夜の立ち入り禁止などを決めた。それが今年一月五日に解除され、連続的に米兵犯罪が引き起こされているのだ。
 「基地をなくさない限り起こり続ける」||沖縄人民の怒りは高まった。一月十九日に沖縄県議会では「海兵隊を含む兵力の削減」を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。他の市町村議会でも同様の決議が上がった。
 これに対し、キャンプ・ハンセンの元司令官はワシントン・ポスト紙で「米軍の駐留に反対する政治家によって宣伝されている」と居直り、在沖米軍トップのアール・ヘイルストン四軍調整官は、部下に「(米兵事件は)反基地主義者に攻撃する自由を与えた。(この決議の動きを止められなかった)稲嶺知事らは頭が悪い弱虫」と口汚くののしるメールを送っていたことが明らかになった。
 米軍は「謝罪」「綱紀粛正」を毎回口にするが、実際は米軍犯罪・事件について何ひとつ反省などしていない。稲嶺知事らの基地との「共存・共生」政策がこうした米軍の傍若無人な対応を増長させている。
 沖縄人民の怒りがいよいよ高まる中、今度は海兵隊員が一月、北谷町で連続放火をしたとして、逮捕状が出た。しかし米軍は日米地位協定を盾に身柄引き渡しを拒否、二月十六日に那覇地検が起訴してようやく、身柄を引き渡した。連続する米軍犯罪と、その温床となっている日米地位協定、沖縄への差別的な基地押しつけに沖縄人民の怒りと憤りは頂点に達している。北谷町では、海兵隊の全面撤退を要求する決議が上がった。これは地方議会としては初めてのことである。
 九五年九月の少女暴行事件と十・二一県民大会|「島ぐるみの闘い」の高揚の中、九六年に沖縄県警に検挙された米軍人・軍属は三十三人で、前年からほぼ半減した。ところが、九九年には五十九人に増え、二〇〇〇年は十一月末現在で六十六人。九五年以前の水準に戻っているのだ。
 基地の全面撤去だけが米軍犯罪の根絶を実現する道であることは明らかだ。
 沖縄人民の怒りは噴火寸前だ。九五年十・二一情勢に回帰している。しかし日共を始め既成政党は闘いを組織しないばかりか、抑圧している。九五年の大田県政は、今や新基地建設推進の稲嶺県政になっている。大衆の巨大な怒りと結びつく、強力な政治勢力の登場が本当に求められている。
 「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の旗を掲げ、日帝と稲嶺県政と対決し、名護新基地建設と那覇軍港浦添移設の粉砕へと前進しよう。

 危機突破へ戦争に訴える イラクに空爆

 米帝ブッシュ政権は発足一カ月も経たない二月十六日、米原潜事件への怒りが高まる中、それに挑戦するかのように、イラクの首都バクダッド近郊五カ所を空爆した。この空爆で女性一人が死亡、十一人が負傷したと言われている。
 「中東和平」が破産する中で、米帝は仏帝やロシア、中国スターリン主義の反対も振り切って空爆と無差別虐殺に訴えて、対日、対欧の争闘戦を貫こうとしているのだ。
 ブッシュ政権は、北朝鮮政策の包括的見直し方針を示し、核開発とミサイル開発・輸出問題に加えて、三八度線付近の北朝鮮軍の戦力縮小を要求し、より強硬な態度で、さらなる戦争重圧をかけている。
 中国スターリン主義に対しても「中国はライバル」と断言し、今回のイラク空爆は中国の支援で進められていたイラク防空網を破壊するためだった、と米帝は明言している。中台問題でも米帝ブッシュはより強硬な態度を取っている。
 ブッシュ政権は、東アジア米軍十万人体制や、二つの戦争に同時に勝利するという二正面戦略などを見直すと言い、他方で、米軍の機動力と即応性を高め、迅速な遠征能力を形成すると言っている。
 つまり東アジア米軍十万の制限を撤廃し、必要ならば十万をはるかに超える米軍を東アジアに一気に投入し、侵略戦争に突入するということなのだ。実際は大軍拡であり、侵略戦争体制の強化を意味するのだ。
 米帝は日帝に対しても、アーミテージ国務副長官らが作成した対日政策提言などで、集団的自衛権の行使や有事立法、国連平和維持軍(PKF)本隊業務への参加凍結解除を要求し、新ガイドライン体制の確立と実行を求めている。
 これに呼応して、民主党の鳩山由起夫が゛周辺有事で集団的自衛権を行使できるようにすべき。そのためには改憲が必要″と執拗(しつよう)に主張している。これに自民党の野中広務や山崎拓らが続き、集団的自衛権と改憲の大合唱が起きている。
 米帝バブルがついに崩壊過程に突入し、世界大恐慌の本格化へと急転回する中、帝国主義の生き残りをかけた争闘戦は激化し、帝国主義の基本矛盾が侵略戦争−世界戦争の爆発へ向かう情勢に入っている。米日帝国主義は矛盾と対立を深めながら、新安保ガイドライン体制の確立を進め、戦争へと突き進んでいる。朝鮮・中国侵略戦争切迫情勢は一層加速しているのだ。
 こうした情勢だからこそ、今回の原潜事件や沖縄での米軍犯罪が頻発するのだ。米原潜事件とイラク爆撃を徹底弾劾し、森政権打倒・教育改革粉砕と都議選勝利へ全力で闘おう。

解説・最新の攻撃型原潜 侵略前線基地・ハワイ

 グリーンビルは、パールハーバー(真珠湾)を母港とする一九九六年に就役したばかりの最新鋭のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦で、巡航ミサイル・トマホークを搭載している。同級原潜は湾岸戦争で地上攻撃に出動している。北極海の結氷も突き破れるように船体が強化されている。
 攻撃型原潜は、空母や戦略核搭載の潜水艦の護衛が主任務で、ソ連原潜を待ち受ける役割が重視されていた。しかしソ連スターリン主義の崩壊後は、主な任務が北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国やイラクなどへの極秘作戦支援へと代わってきた。沿岸海域に接近し、偵察や交信傍受、海軍特殊部隊(SEAL)の極秘潜入などが主な任務だ。
 太平洋の中心にあるハワイは、米帝の軍事戦略上の要衝であり、パールハーバー海軍基地やヒッカム空軍基地、カネオヘ海兵隊基地など巨大な軍事基地がある。オアフ島には米太平洋軍の司令部が置かれ、パールハーバーには横須賀の第七艦隊を含む太平洋艦隊の司令部がある。全軍合わせて五万人近い兵力が所属し、北アメリカの西海岸から東アジア、さらにインド洋、中東・ペルシャ湾まで展開している。米帝の侵略戦争前線軍である。州都ホノルルのあるオアフ島は全土の四分の一を軍関係の土地が占め、ハワイの全人口の十数lが軍関係者だ。
 一八九八年のアメリカ・スペイン戦争でハワイ諸島を併合した米軍は、住民から暴力的に土地を奪い、巨大な軍事基地を建設し、太平洋戦争を始め、五〇年朝鮮戦争、ベトナム戦争、九一年の湾岸戦争など帝国主義戦争と数々の侵略戦争をハワイを拠点に展開してきた。

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週刊『前進』(1995号5面3)

連載対・教育労働者インタビュー 学校現場で何が起きているか〈4〉
 「日の丸・君が代」、教育基本法改悪を許すな! 「着席したら処分」の恫喝と対決
 団結の力で辰野教育長を倒す

 広島 野村芳郎さん
    山野由美さん
    高尾香織さん
    藤崎 聡さん
 連載4回目は、広島の小・中・高校の教育労働者四人に話を聞きました。(編集局)

 辰野が「起立しないと処分」と公言

−−今年の卒業式・入学式に向けた攻撃は。
 野村 十二月から攻防は始まっています。十二月の県議会で辰野教育長が「卒業式や入学式で教職員が起立しないなどの状況が生じた場合には、厳正に対処する」と発言しました。
 十二月二十六日には県教育委員会が「卒業式及び入学式における国旗及び国歌に係わる指導について」という「通知」を出しました。「1、正面掲揚。2、式の進行中に国歌斉唱。3、国歌斉唱に際しては、教職員は起立し、児童生徒も起立して斉唱するよう指導を」という三項目です。
 広島では、昨年は校長が処分されたわけですが、今年は着席した教職員一人ひとりの処分に踏み込むと言ってきたわけです。
 山野 授業の中での「君が代」指導までも問題にしています。昨年の卒入学式で「君が代」を斉唱しなかった新市町の四つの町立学校に対しては、県教委が一つひとつの学級について「国歌を指導したか否か」の調査を行い、結果を産経新聞が「指導実施は三学級」と大きく報じました。
 学級一つひとつまで調査するなんて、すごい踏み込みです。しかも県議が「指導していない教員の名前をあげてもいい」なんて暴言まで吐いています。
 藤崎 教職員一人ひとりへの「指導」も強まっています。ある学校で一月、校長が教職員と個人面接をした時に、「今年の卒入学式では座ると必ず処分がありますから、起立してください」とクギを刺された。
 高尾 学習指導要領には「国旗を掲揚し、国歌を斉唱する」としか書いてないのに、「正面に掲揚しろ」とか「ピアノ伴奏をしろ」とか無理難題をあえて言って、あくまで抵抗する人をあぶり出してパージしようとしている。ここで跳ね返さんかったら、際限なく踏み込まれる。絶対に負けられんと思います。
 藤崎 県議会では「今すべきことは二十四時間国旗を掲げることだ」とも言われています。「日の丸」を毎日掲げ、「君が代」を心から歌う子どもをつくろうと考えているんですよね。
−−職場の状況は。
 野村 このあいだも職員会議でみんなが「『日の丸・君が代』には絶対反対」と次々発言して、継続討議になっています。
 山野 ある学校で、校長が音楽教員を呼び、資料を見せていろいろ説明して、「音楽の時間に国歌斉唱の指導をしてほしい。式当日は、ピアノで伴奏して歌わせるように」と言ったそうですが、その人も「いやです」と断り続けています。
 高尾 組合員はみんな闘う方針を求めているけど、処分の恫喝の中で、「厳しい」って感じが強いのも事実です。だから私たちが「正面掲揚・斉唱・起立を跳ね返そう」「みんなで着席しよう」「あらゆる戦術で反撃しよう」って声をどんどん上げて、「処分がなんだ」って雰囲気をつくることが必要ですね。

 処分恫喝に屈せず闘えば勝てる

 野村 処分って結局、恫喝で闘いをやめさせることが目的なんだから、処分をかけても動じないで闘い続けたら勝ちなんだよね。
 藤崎 広島への文部省の是正指導が始まり、辰野が教育長に就任したのが九八年。そして辰野は「今年は三年間の是正指導の最終年として総仕上げをする」と言っています。でも三年目があと一カ月で終わるのに広教組も高教組もつぶれてない。辰野が「着席したら処分」と言わざるをえないこと自身、僕らが勝っていることを示している。
 野村 昨年の卒入学式闘争への報復弾圧として、当局は広域人事異動で職場の活動家を異動させた。通勤時間が片道二時間半とか三時間、往復五〜六時間かかるんですから、本当にひどい異動なんですが、まったくつぶされていない。
 当局は闘う人を飛ばして苦しめていると思っているけど、われわれは、各地域でタンポポの花のように闘いをどんどん広げよう、と思って頑張ってます。
−−広島や国立の闘いが、全国の教育労働者を勇気づけていますよね。
 高尾 それがやっぱり連帯の力ですよね。国鉄闘争が私たちを本当に勇気づけてくれるし、私たちの闘いが国鉄労働者や全国の教育労働者を勇気づけたり。

 8・6ヒロシマの大成功に勇気

 野村 それが八・六ヒロシマ大行動の力ですよ。広島では、激しい攻撃の中で頑張ってきたけど、でも「なんで広島ばっかり大変な目にあうのか」みたいな思いもあったんですよ。
 でも八・六に行ったら沖縄や東京、全国から集まっていた。この力に広島もものすごく勇気づけられたんです。「わしらは全国の仲間と一緒に頑張ってるんだ。わしらの闘いが全国に広がっているんだ」と。
 そして全国も「広島のように闘おう」と力を得ていく。日教組の各単組では「広島みたいに闘うと攻撃を受けて大変だ」と言っていた執行部が多かったそうだけど、今では国立も三重も「広島のように闘おう」となっている。この力ははかりしれないですね。
−−今なぜ、広島の教育つぶしなんでしょうか。
 高尾 広島の「二度と繰り返さない」という意識をたたきつぶそうってことですよね。被爆者はもちろん広島全体が、核にも戦争にも絶対に「イエス」と言うわけがない。核や戦争とは絶対に非和解で、妥協点がない。権力にとってはそれが一番怖いんだと思う。
 藤崎 核心は、核武装したいってことですよ。広島では、全学校が八月六日は登校日で、必ず平和学習をする。敵は正しくも「これをつぶさないと核武装はできない」と見ていますね。
 山野 去年の八・六で詩人の栗原貞子さんが自作の詩を朗読し、「一度目はあやまちでも/二度目は裏切りだ/くりかえすまい軍都広島/くりかえすまい軍港呉/再びアジアに銃を向けまい」って、すごい力を込めて訴えたでしょう。あの思いですよね。
 高尾 教育労働者が広島に熱い思いを持っているのはやはり、教育が戦争に使われたからですよ。だから「戦争を繰り返さないためには、教育が国家の言いなりになってはいけない」ってことがすごく大切だと思う。だからこそ政府は、教育基本法改悪で第一〇条を消したがっていますよね。
 山野 解放教育つぶしに関してなんだけど、二月初めに広島市同和教育研究協議会の臨時総会があったんです。同和教育つぶしの攻撃が激しい中で、日本共産党系の全教がやっている市同教事務局が「敵につぶされるんじゃなくて、自主的に解散しよう」と提案したんです。多くの人が「解散に反対」って発言しましたが、市同教は校長なんかも含めた組織で、結局賛成多数で「解散」方針が通ってしまいました。全教や全解連、共産党が解放教育つぶしを推進しているんです。許せないと思います。

 「戦場に送るな」をかけた大決戦

−−三〜四月へ向けひとことずつお願いします。
 野村 「不適格教員排除」と言われていますが、「指導力不足」なんて言葉も使って「あの人は処分されても仕方ない」と思いこませ、職場の団結を壊そうとしていますよね。最大の狙いは「物言わぬ教師」をつくることです。「『日の丸・君が代』を教えない・立たない・歌わない教員は不適格だ」となるのは明白で、しかも処分だけでなく懲戒免職にしようとしている。「教え子を再び戦場に送るのかどうか」に直結した大決戦だと思います。
 山野 組合の主任制問題の学習会で、現場から「主任がいなければ現場はまわらない状態だ」って意見が出てきたんですよ。とても重大なことで、現場はそう思ってしまうほど忙しくて大変なんだけど、そこで現実に屈せずに、「労働者は現実を変革する力を持っている」「階級的団結で必ず解放をかちとるんだ」と確信をもって訴えていくことがとても大切ですね。
 高尾 「処分する」と言われても私らが堂々と反対している姿を、職場のみんなが注目している。闘えるという実感を日々持っています。恫喝にみんなが屈せずに闘ったら、処分の威力は失われてしまいます。高教組も千三百人処分されても跳ね返しています。そういう闘いは必ずできます。
 藤崎 三〜四月の闘いを打ちぬいたら、辰野をぶっ飛ばせるし、それが全国の労働者の決起をかちとっていく大きな力になるに違いない。おもしろい時代がきたと思ってますよ。
 野村 卒入学式闘争を全力で闘い、八・六ヒロシマ大行動を全国の労働者人民で埋めつくしましょう。広島は全国の最先頭で全国の仲間とともに闘います。

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週刊『前進』(1995号5面4)

反戦共同・全活 改憲阻止へ熱気 5・27全国集会を決定

 反戦共同行動委員会の全国活動者会議が二月十日、千葉市のDC会館で開催された。
 三角忠東京反戦共同行動委員会代表の司会で始まり、滝口誠事務局長が「激動する今日の情勢は、六月に結成十周年を迎える反戦共同行動委員会の闘いの全蓄積が実を結ぶ可能性を示している」と以下のように議案を提起した。
 まず、沖縄サミット粉砕決戦の地平をひきついで闘われている沖縄闘争や憲法調査会への石原都知事の出席弾劾、船舶検査(=臨検)法反対の国会闘争など二〇〇〇年後半の闘いを「侵略と戦争の自公体制を揺るがし、ファシスト石原を直撃した」と総括した。
 さらに情勢・方針について「内外の危機に揺さぶられる中で、森政権は朝鮮・中国−アジア侵略戦争への衝動を強め、戦争国家体制をつくろうとしている。改憲の突破口として教育改革攻撃をかけてきている」「社民党と日本共産党は転向し、侵略戦争政策の推進者にまで転落している。一方、歴史的な危機に突入した革マル派の制動を打ち破って、連合をのりこえる労働者の新たな決起が始まっている。決起する労働者階級の要請にこたえ侵略戦争への道を阻む勢力は、反戦共同行動委員会しかない。教育改革攻撃粉砕を突破口に改憲粉砕の大闘争を闘っていこう」と提起した。
 また、東京反戦共同行動委員会事務局長の結柴誠一杉並区議が候補の六月都議選の重要性を提起し、五月二十七日の全国総決起集会への大結集を呼びかけた。
 討論では、都政を革新する会の長谷川英憲代表が、結柴区議の都議選必勝を訴え、学校給食の民間委託白紙撤回や介護・福祉を取り戻す労働者・住民の大衆運動の力で勝利しようと力強く宣言した。
 広島からは、「(君が代斉唱時に)起立しなかった教職員は処分する」という攻撃と対決して、広島反戦共同行動委員会は「卒業式・入学式での『日の丸・君が代』強制を許さない」の十万枚のビラを全県でまき、全国の発信地となるような闘いをすると語った。
 九州からは一月二十八日の日出生台一万人集会が報告された。関西反戦共同行動委員会事務局長の国賀祥司・泉佐野市議は、あいば野闘争や関西新空港闘争について報告し、今後の取り組みについて訴えた。
 全学連の大山尚行委員長は、「改憲決戦を自分たちの力でこじ開けていく。五・二七を改憲阻止勢力の大結集の場としよう。日帝は憲法九条を解体して戦争をやろうとしている。『国が滅んでもいいのか』という恫喝には『滅んでもいい』という革命的祖国敗北主義の思想が必要だ。沖縄闘争を改憲阻止決戦と一体で責任をもって闘う」と決意を述べた。
 部落解放同盟全国連や婦人民主クラブ全国協などが発言し、最後に中野洋代表がまとめを行った。「今年は教育改革をめぐる決戦になる。『日の丸・君が代』との闘いは、組合が方針を出して、そのもとに労働者が団結して闘うことが必要だ。これから大衆的な分岐が起こる。われわれの闘いが問われている」
 改憲−教育改革攻撃粉砕決戦の重要な方針がうちだされた。いざ五・二七へ。

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週刊『前進』(1995号6面1)

3・8国際婦人デー闘争のために
 戦争と大失業、差別の激化許さぬプロレタリア女性の階級的決起を
 袖木 真理

 一九一七年三月八日、ペトログラートの女性たちによる国際婦人デーのデモとストライキは、ロシア革命の口火を切った。三・八国際婦人デーは、一九一〇年にドイツの女性革命家クララ・ツェトキンが提唱し、プロレタリア女性の闘いの日となった。ボルシェビキの指導のもと、ロシアの女性労働者は、第一次世界大戦のさなかに「パンと平和」を求めて、資本主義・帝国主義のもとでの「賃金奴隷と家内奴隷」というプロレタリア女性への二重の抑圧からの自己解放的決起をもって、工場から地域から街頭に出て、ツアーリの打倒と労農兵ソビエト権力の樹立へと進撃した。
 二十一世紀冒頭の現代、帝国主義世界支配の危機は極まり、米・日帝国主義の朝鮮・中国−アジア侵略戦争が歴史的に切迫している。新たな戦前情勢が始まっている。帝国主義支配階級による政治反動と一大資本攻勢の激化が労働者階級人民を襲い、プロレタリア女性への二重の抑圧が強まっている。階級的激動・流動期には、女性の階級的決起こそが階級闘争発展のカギを握る。全世界でプロレタリア女性(女性労働者、労働者家族、女性大衆)の根底からの階級的決起が始まっている。大量のプロレタリア女性が帝国主義打倒へと決起する時代が来ているのだ。

 激化する資本攻勢で女性が不安定雇用化

 帝国主義の世界支配は、全世界で体制護持のために、女性の動員を推進し、「安価な労働力」として女性労働者の搾取と収奪を強化している。
 国際労働機関(ILO)の二〇〇一年版世界雇用報告は、約三十億人とされる世界の総労働力の三分の一近くが「失業しているか、もっと多くの仕事を探しているか、収入が家族を貧困状態にしないために必要な額よりも低いといった点で不完全就業状態にある」と報告している。また「約十二億人、世界人口の二〇%超が一日一j未満の絶対的貧困状態」であると、帝国主義はもはや労働者人民を食わせていくことができないことを示している。
 同報告はまた、世界の非識字層の三分の二を女性・少女が占める中で、IT(情報技術)化が「男女格差を拡大」し、「デジタル・デバイド(情報格差)の悪い側に女性をおいやる」こと、「男性が高技能、付加価値の高い職業の大半を占める一方で、女性は低技能で付加価値の低い職業に集中している」と指摘している。また、「企業がますますパートタイム労働者と短期契約を活用するようになった」と報告している。
 日本の女性労働者はどうだろうか。厚生労働省が一月末に発表した昨年十二月の勤労統計調査によると、男女労働者の総実労働時間は前年同月比〇・九%増。ところが現金給与総額は〇・五%減、実質賃金は〇・二%減となっている。また常用雇用が〇・一%減る中で、パートタイム労働者は二・四%増えている。
 二〇〇〇年に発表された「女性労働の実状」によると、一九九九年の女性雇用者総数は二千百十六万人で前年よりマイナス八万人、雇用者総数に占める女性の割合は、三九・七%で、前年比プラス〇・一%。このうち女性短時間雇用者は七百七十三万人(短時間雇用者総数の六七・九%)で、前年に比して十七万人増加している。(図参照)
 高度経済成長実現のための安価な労働力の確保を、「主婦パートの導入でつくりだす」と打ち出したのが一九六三年の経済審議会答申。一九六五年の統計で百六十八万人(雇用者の六・二%)だった短時間雇用者は一九九九年で千百三十八万人(二一・八%)。八〇年代のレーガン、中曽根らのマネタリズムのもとで、パート労働者の「戦力化」が進められた。いまや帝国主義にとって不可欠の雇用形態として不安定雇用が基幹化されている。
 現場ではどうだろうか? 介護に携わる職場で女性の比率は高い。医療で七三%。福祉で七八・二%、ホームヘルパーで九六・七%が女性。ホームヘルパーの六割強が介護労働だ。介護保険導入をきっかけに介護サービス労働は拡大しているが、現場労働者はほとんどがパートとなっている。札幌地区連合会がまとめた「札幌市ホームヘルパー労働条件白書」によると、札幌市で働く介護労働者の七五%がパート労働者。移動時間や状況報告書の作成時間が時給として換算されないため、月収十万円未満が八割近くを占めている。
 一九九九年末、改悪労働者派遣法が施行され、対象業務が原則自由化された。労働省が昨年十二月二十二日に発表した「九九年度派遣事業報告書」によると、常用雇用換算(常用雇用以外の労働者の年間総労働時間数の合計を常用雇用労働者の一人当たりの年間総労働時間数で除したもの)した派遣労働者数は約三十九万人、前年度比二八・五%の増である。
 二〇〇二年の派遣法見直しを前に、派遣会社の業界団体である日本人材派遣協会は、「派遣期間の制限の撤廃」「製造部門の派遣解禁」を求める声を強めている。こういう中で二〇〇〇年十二月一日から「紹介予定派遣」〔注〕が解禁された。米国では人材派遣会社の有力な収益源となっている分野だ。この方式は、人材派遣会社の広告に「社員採用における労力・時間・コストが軽減される」「精度の高い社員採用が可能になる」と宣伝されているように、資本の側の「自由」のみを拡大し、労働者の派遣化、無権利化を推し進めるものである。
 〔注〕紹介予定派遣 派遣労働者が一定期間、派遣先企業で働いた後に、労働者と企業双方が合意すれば、派遣先企業に直接雇用されることを予定しての派遣。期間は最長一年。派遣先が直接雇用した場合、派遣会社は派遣先から派遣料金と別に人材紹介料金を取る。
 一大資本攻勢のもと、国家主義と家族イデオロギーが強化される一方で、国家によりプロレタリア家庭が破壊されている現実がある。これに対して、労働者階級の怒りが高まり、新たな闘いが始まっている。
 国労本部執行部の「四党合意」承認強行策動に反対して、国労闘争団の家族は、正念場で先頭に立って闘い抜いた。このがんばりが三度の大会で「四党合意」を拒否させ、代議員の三分の一を「四党合意」反対派へと結束させる契機となったのである。
 さらに「教育改革」攻撃における教育労働者への国鉄分割・民営化型の攻撃の激化、「公務員制度改革」という公務員の大量首切り、民間委託の推進に対して、多くの女性労働者が決起を開始している。
 労働者の自己解放性を信頼し、女性労働者の悩み、怒りを共有しながら階級的団結を固めていこう。国鉄闘争の勝利を基軸に一大資本攻勢と対決しよう。

 女性国際戦犯法廷の判決を実現させよう

 昨年十二月、「日本軍性奴隷制を裁く『二〇〇〇年女性国際戦犯法廷』」が民衆法廷として開かれた。世界の女性たちが二年半をかけて準備し、証言や証拠をもとにして、「日本の戦争戦略の一環として政府の政策で導入し、女性たちを性奴隷化した慰安婦制度は、当時の国際法や国際慣習法に違反する」と昭和天皇ヒロヒトと日本国家に有罪判決を下した。
 有罪判決の発表に、参加した七十人を超える被害生存者たちは、壇上に駆け上がり肩を抱き合って喜んだ。国際主義をかけた女性解放闘争の力が天皇制と日本政府の責任を明らかにしたのだ。
 私たちにはこの判決を「実現」する国際主義的・階級的責任がある。日帝の植民地支配と民族抑圧、帝国主義侵略戦争の結果として日本軍軍隊慰安婦制度が生み出されていったのだ。日本政府に「真相究明・謝罪・賠償・責任者処罰・教育」を実行させよう。
 日帝の改憲=戦争国家化攻撃をうけて、社民党、日本共産党など野党は「北朝鮮非難決議」に賛同し、「自衛隊活用」まで宣言するほどの総崩れだ。こんな政党には、侵略戦争を止めることはもちろん、労働者人民のささやかな権利を守ることもできない。日本の労働者人民が排外主義に屈服し、日帝のアジア侵略戦争に動員され加担していった歴史を繰り返してはならない。
 三・八国際婦人デーは、世界の労働者階級人民が女性解放と反戦平和のために闘う国際連帯の日だ。
 日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちの声にこたえ、日帝の改憲=戦争国家化を阻止しよう。

 女性労働者の決起が階級闘争発展のカギ

 帝国主義はその特質として、政治反動とともに、民族排外主義と社会的差別の激化、これと結合した家族制度・家族イデオロギー攻撃を強めていく。「男女共同参画」は新たな女性の戦争動員政策であり、「個人化」はそのキーワードだ。
 昨年十二月、「男女共同参画」の基本計画が閣議決定された。男女共同参画審議会が政府策定の計画案を「妥当」と答申した席で、岩男寿美子同審議会会長は「世帯単位の考え方を持つものを個人単位に改めるなど、社会制度の見直しに早期に着手し、同時に参画会議などがその機能を十分発揮して取り組みを推進してほしい」と要望した。
 これを受けて森首相は、一月三十一日の施政方針演説で、「男女共同参画社会の実現は、わが国社会のあり方を決定する重要課題の一つであり、昨年十二月に決定された男女共同参画基本計画を着実に推進し、一層の努力を継続する」と述べている。
 差別への怒りを逆手にとって推し進めてきた男女雇用機会均等法の制定、労基法改悪・女子保護規定の撤廃は、女性を不安定労働へ固定化させている。これらの法制定・改悪も「個人の権利」「機会の平等」を掲げて進められてきた。だが、社会保障や税制面における「個人化」の攻撃は、生活給的既得権の剥奪(はくだつ)と賃下げ、プロレタリア女性の搾取と家族の破壊を進めるものだ。
 米軍用地特措法改悪や土地収用法改悪策動、「日の丸・君が代」の強制、奉仕活動義務化・道徳教育強化といった国益・国家主義・天皇制攻撃が、米日帝の侵略戦争切迫情勢下で進められている。
 帝国主義がいくら「個人の権利」と言ってもその正体は、階級意識の解体と団結の破壊である。そうである以上、「個人化」とは性別の差なく働かされるということでしかない。資本攻勢は「総額人件費の抑制」(日経連労問研報告)という階級的攻撃だ。帝国主義は女性の階級的決起をおそれて「個人化」でからめとろうとしているのだ。
 「介護の社会化」という名目で導入された介護保険制度は、介護労働者の雇用破壊とともに、「介護は個別家族の責任」として、プロレタリア家族に矛盾をしわ寄せしているではないか。「家族介護は美風」というかけ声と裏腹に、強搾取と社会保障の解体により、悲惨なプロレタリア家族が解体されようとしている。
 男女共同参画の「個人化」は、一部のエリート女性の登用と引き換えに大多数の女性労働者を二重の抑圧へとしばりつけ、戦争へと動員していくテコになるのだ。帝国主義を打倒することなしに女性の解放はないことが、ますます明らかになっている。
 共和党ブッシュ大統領は就任演説で、「個人的な安楽を超えた公共の利益を求め、国家に奉仕してほしい」と「自由の国アメリカ」の看板を捨て、国家主義を鼓吹している。
 東京都知事石原は、自著「『父』なくして国立たず」の中で、名乗り出た日本軍軍隊慰安婦とされた女性に対して、「今度は肉体ではなしに自分の名誉を代償にして稼ごうとしているだけ」「彼女たちの卑しい本性の部分も記述しなくては」と聞くに堪えない悪罵(あくば)を投げつけている差別者だ。
 また石原は、昨年十二月都議会の所信表明演説で「もはや存続させる意義を失った団体などは躊躇(ちゅうちょ)なく統廃合することにいたしました」と言って、東京女性財団を廃止することを打ち出している。ファシスト石原を絶対に許してはならない。
 女性労働者・女性大衆の決起で都政を革新する会のけしば誠一候補を都議として送り出し、ファシスト石原を打倒しよう。
 帝国主義を打倒し、プロレタリアが権力を奪取した新しい社会の中で、差別・抑圧のない新しい男女の関係、親子の関係を築いていこう。
 共産主義の女性解放は、この世のすべての汚物をふりはらう根底的な解放なのだ。その経済的条件はすでに成熟している。二重の抑圧に悩み、解放を求めて立ち上がるプロレタリア女性の闘いをわがものとして大胆に組織しよう。革命的女性解放闘争の発展を闘いとろう。

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週刊『前進』(1995号6面2)

鎌田雅志同志の出獄アピール 勝利者として合流し新しい一歩踏み出す

 鎌田雅志同志は、十六年の長期獄中闘争に勝利して二月六日に府中刑務所から元気に出獄した。鎌田同志が出獄を前にした一月末に全国の同志・友人にあてて書いた゛出獄に際してのあいさつ″を掲載します。(編集局)
 窓の外には、風花が飛んでいます。十六回の冬の中で一番の寒さです。
 いよいよ出獄。未決勾留が四年半、余罪受刑が五年三月、府中での工場出役が五年五月、実刑期間は十年八月に及びました。計十五年二月と七日の獄中闘争、楽しい闘いの旅でした。
 この長期の獄中闘争に勝利し、出獄をかちとることは、本当に喜びに堪えません。しかも、完黙・非転向の獄中闘争に勝利したにとどまらず、獄外における闘いの勝利、党の非転向、その組織的、運動的、思想的・綱領的な大前進がかちとられ、両者が感動的に合流するのです。これはすごいことだ! われわれは、真に、ともに勝利者として合流するのだ。
 何よりも痛快なことは、ファシスト・カクマル=JR総連の大分裂、カクマルJR総連失陥であり、反革命頭目・黒田の大破産です。日帝・中曽根の戦争政治、国鉄分割・民営化攻撃の反革命先兵と化して延命する路線と、その実践としてのファシスト労働運動そのものの帰結だ。この裏切りと反革命の出発点が、その破産の出発点だった。
 八五年十一・二九浅草橋戦闘(動労千葉ストライキと国鉄闘争の階級決戦化)とその後の闘いがつくり出した偉大な勝利として、自分のこの手で実現した勝利として総括したいと思う。
 八五年蜂起戦の大衆的武装闘争への階級的報復として加えられた十五年を超える投獄攻撃でした。それは、成田二期着工−完成と反対同盟破壊=三里塚闘争解体と、国鉄分割・民営化の完遂=動労千葉・国労解体の攻撃、そして革共同=革命党壊滅の攻撃と一体のもの(その一環)としての凶暴な弾圧でした。投獄によって精神的にも肉体的にも痛めつけ、屈服と転向を強要する攻撃であり、労働者階級人民と革命党に対する威嚇(いかく)と転向強要を狙った攻撃でした。
 しかしわれわれは、反対同盟を守り、血盟をますます強くうち固めて、三里塚闘争の不屈の前進をかちとってきた。動労千葉・国労闘争団を守りぬき、国鉄分割・民営化の破綻(はたん)をつくり出して国鉄闘争の歴史的階級決戦化を実現してきた。
 革共同は、九〇年天皇決戦の蜂起をもって破防法団体適用策動を吹き飛ばし、九〇年転換=五月テーゼ路線と一九全総・二〇全総路線の物質化をかちとって、力強く進撃してきたのです。
 そして八五年の戦士たちは、今や党の組織と運動の枢要の部署に就いて重責を担っている。われわれは非転向を貫き、あくまで不屈に、情熱に燃えて闘い、前進をかちとっている。
 われわれが勝利し、敵は敗北したのです。
 さらに言えば、スターリン主義の歴史的破産の現実化と二九年型世界大恐慌の切迫情勢、世界的激動の到来は、歴史の進行、その全運動がプロレタリアートとその決起に味方し後押ししていることを、実感させます。面白い情勢になりました。そこに飛び出していくのだと思うと、胸が高鳴ります。
 五月テーゼと一九全総・二〇全総路線の意義は、特に強調しなくてはなりません。「『新しい党をつくる』に等しい闘い」と言われていますが、労働者階級に党の基盤を据え直す闘いというのは、レーニンとボルシェビキが一九〇五年革命の後から第一次世界大戦の前夜にかけて、必死に取り組んだ課題でもあったのです。
 そこではレーニンが「党をつくり変えるのだ」と繰り返し断言している。情勢の変化に対応できる組織的柔軟性をもった革命党の建設=党のボルシェビキ的強化と、革命的労働者党としての労働者的基盤の確立強化とは、真に一体でなくてはなりません。
 五月テーゼ十年の闘いの成果として、反スターリン主義・革命的共産主義運動が意気高く二十一世紀に突入し、ファシスト・カクマル完全打倒への決定的局面が開かれている。『前進』新年号を読んで、静かにわいてくる「血の騒ぎ」に全身の感覚が目覚めていくような思いがしました。
 これからが第一歩です。十五年のブランクも過去の少しばかりの「功績」も、問題ではないでしょう。新しい、未知の、未経験の領域で、新しい仲間たちと一緒に、第一列に並んで立つというのは気持ちがいい。革命運動は、どの部署どの闘いであれ、自分で志願して立つ前線です。早く前線に立ちたいのですが、同志たちの話をよく聴き、同志たちから学びながら、少しずつ歩み出そうと思います。
 同志たちとの再会や新たな出会いに思いを馳(は)せる時、同時に心に浮かんでくるのは、この十五年間の闘いの途上に斃(たおれ)た同志たちのことです。再会を楽しみにしていた同志たちの無念の死は、本当に残念でなりません。彼ら彼女らの生命を賭(と)した闘いによって、われわれの進む道が切り開かれてきたのだと肝に銘じるとともに、その献身と無念の思いを受け継いで、全力で闘いぬくことをあらためて決意するものです。
 特に、八五年決戦をともに戦った福島慎一郎同志の復讐−カクマル完全打倒を誓います。黒田のカクマルも、松崎のJR総連も、解体一掃あるのみだ。
 星野文昭同志や爆取デッチあげ弾圧四同志を始めとした全獄中同志の奪還のために力を尽くします。
 ゲーテは『イタリア紀行』で、゛もしもこの旅で自分が何も変わらないのであれば、いっそこのままこの地にとどまり、帰らぬ方がよほどましだ″と記しています。われわれの旅=獄中闘争こそは革命的自己変革の決戦場にほかなりません。特に本多書記長以来のわが党の獄中闘争は、党建設すなわち共産主義者(反スターリン主義・革命的共産主義者)への自己形成=自己変革の格闘の場所です。
 ゲーテの言葉は、旅の終わりに語るにはきつい意味がありますが、それでもあえて出獄に際しての心境として掲げたいと思います。もはやここにとどまることはできないし、その必要もない。静かに、新しい第一歩を踏み出すだけです。
 これまで支援、激励をいただいたすべての同志、友人諸君に心から感謝するとともに、今後の指導と助言・助力をお願いして、出獄に際してのあいさつとします。(一月二十七日)

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