第5課目 レーニン『国家と革命』前半講義概要 講師 川武信夫 第3章に入る前に、次のことを確認しておきたい。第1に、打倒すべきブルジョア国家、そして国家そのものについてのブルジョア的・日和見主義的な観念と幻想を、運動の内外から一掃し、マルクス主義の階級的な国家論を復活・発展させること〔これを前回やりました〕、第2に、権力を獲得したプロレタリアートのめざしていく目標、共産主義社会建設の内容を明らかにすること、第3に、その究極目標をかちとっていくために、プロレタリア独裁の樹立を出発点として、共産主義社会への過渡期をどのようにたたかいぬいていくか〔この2つが今回の課題です〕、これらが『国家と革命』の3つの柱と言えます。 第3章 国家と革命 1871年のパリ・コミューンの経験。マルクスの分析第3章は、歴史上はじめて労働者権力を樹立した1871年パリ・コミューンから、あらためて理論的・実践的な教訓を引き出そうという問題意識で書かれています。●コミューン戦士の試みの英雄精神はどういう点にあるか? マルクスは、パリ・コミューンを、革命的指導、党的組織的準備がないままに「強いられた決戦」としながらも、「大衆的な革命運動」「世界プロレタリア革命へ向かっての確実な前進」としてコミューンのプロレタリア戦士をたたえ、その敗北から懸命に教訓をつかみ出そうとしました。こうしたマルクスの姿勢に、レーニンもまた学んでいます。その最重要な教訓は、「パリ・コミューンは、『労働者階級は、できあいの国家機構をそのまま手に入れて、自分たちの目的のために使うことができない』ということを証明した」(マルクス『フランスの内乱』)ということでした。 ●粉砕された国家機構をなにととりかえるのか? では、粉砕したブルジョア国家機構を「いったい、なにととりかえるのか?」(『国家と革命』研究会版p71) ●議会制度の廃棄 C「コミューンは、議会的ではなくて、行動的な機関、すなわち立法府であると同時に執行府でもあるような機関でなければならなかった」(研究会版p79)。 第4章 国家と革命、つづき。エンゲルスの補足的な説明略。解説本p188〜215参照。 第5章 国家死滅の経済的基礎 この章でレーニンは、「国家の死滅」〔と民主主義の問題〕という角度から、権力をとった労働者階級が、共産主義社会の建設へ向けての過渡期をどのようにたたかいぬいていくか、それを実現すべき共産主義から逆規定し、照らし出していこうと、激しい迫力をもって追求しています。 第6章 日和見主義者によるマルクス主義の卑俗化 ドイツ社会民主党のカウツキーをはじめ第2インターナショナルの指導者らは、“労働者階級には、こんな膨大な複雑になっている国家と社会を運営する能力がない、官僚にやってもらうしかない”などと言って、マルクス主義を歪曲し、革命への裏切りを深めていきました。 ●結語 ロシアのプロレタリアートは、すでに1905年でソビエト〔労働者・農民・兵士代表評議会〕を生みだしてパリ・コミューンを復活させ、17年2月にツァーリズムを打倒し、首都ペトログラードをはじめ、各地の工場、兵営、地区にソビエトを組織し、ブルジョア政府(ケレンスキー政権)と対峙した二重権力状態をつくり出していました。レーニンは、10月の蜂起を目前にして、このような緊迫した状況の中で、実践的な問題意識をもって、1848年の革命、パリ・コミューン、1905年の革命、17年2月からの革命の総括の上に立って、『国家と革命』を書いていたのです。 |
『国家と革命』における労働組合の位置づけ −討論から−【B】 今、労働組合という問題が出されましたが、たしかに『国家と革命』における労働組合の位置づけの問題は非常に重要なテーマで、真剣に検討しなければならないと思います。 |
受講レポートから ★『国家と革命』(下)のレポートです。【J】 今回の学習をとおして、『国家と革命』が、2月革命の現実にもとづいて10月蜂起を準備・実現する過程で、ツァー権力を打倒し、プロレタリア革命に勝利するために書かれたということが非常に鮮明になった。『国家と革命』こそ、革命勝利−実現のための実践の書そのものといえる。 【N】 討論の中で、国家にたいする様々な構想なり提案が社会にはびこっていることが分かりました。連邦制や地方・地域社会を念頭においた政策論争とも関連して、まことしやかになされているようです。「美しい国・日本」を出している安倍政権の支持率が急落しているが、社会の崩壊が進む中で、国家への幻想が暴き出されている状況があると思います。それへの反発として強烈な国家主義や分権論、道州制など、実にさまざまなイケンがあります。 【D】 ☆ パリ・コミューンの当時の党派闘争の現実。組合主義で党建設を否定するプルードン派が第1党派として労働者を組織していたことが根本的な敗北の原因だ。やはり最後までトコトン党派闘争。本多さんの「継承か解体か」で書かれているとおり、暴力革命を準備することにこそ、党の目的意識性の核心があり、それへの敵対・逃亡がカクマルへの痛打として論じられていた。重要。 【C】 □ 『国家と革命』というのは、労働者人民の革命性とその本来的能力に依拠してたたかうべきことを示している。そのために労働組合のもつ意義がさらにはっきりしてくる。つまり、労働組合と職場闘争が労働者階級をプロ独の主役として鍛え上げていく決定的な力になるということだ。 【H】 『国家と革命』後半で、レーニン全集24〜27巻の資料が出され、マルクス主義・レーニン主義の継承を今日の実践として提起された。これは重要な飛躍であり、何としても実現したい。 【F】 『国家と革命』の学習をとおして、熱い理論・実践が伝わってきました。第7期党学校をとおして、学習と実践の統一を強く感じています。 【O】 レーニン『国家と革命』は、ロシア革命の真っ只中に書かれたプロレタリア革命論=ブルジョア国家権力粉砕論、プロレタリア独裁論=ソビエト論であり、さらに世界革命に攻め上るプロレタリア社会建設論=過渡期論としてある。 ------------------------------------------------------- 事務局からレーニン『国家と革命』(下)をもって、第7期党学校は全課程を終了しました。次号「党学校通信」は、第8期党学校の開講日程に伴い5月発行となります。引き続きのご購読をよろしくお願いいたします。 |