ZENSHIN 2013/08/26(No2597 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2597号1面1)(2013/08/26 )

 反動判決阻止!9・15へ

 全学連大会の大成功をかちとり新自由主義と闘う自治会建設を

 9・14反原発大行動・亀戸中央公園へ

 エジプトの労働者階級の、軍と激突しての第2革命=プロレタリア革命への死闘と連帯し、日本での首相官邸前の反原発行動などが闘われています。8月25日〜27日、日教組大会が異例にも横須賀市で、26〜28日には自治労大会が大阪市で開催され、体制内労組執行部と徹底対決して階級的労働運動の前進をかけた闘いが展開されています。こうした中で『前進』夏季特別号の内容の実践が、8・6ヒロシマ−8・9ナガサキと8・15闘争を突破口に、全国で画然たる決起として始まりました。その最先頭で国鉄10万筆署名を推進し9・15大闘争に総決起しましょう。9月全学連大会を大成功させましょう。
(写真 葛西を呼べ!審理尽くせ! 弁論再開要請行動を前に裁判所前で集会を開催。原告である動労千葉争議団を先頭に東京高裁に怒りのシュプレヒコールをたたきつけた【8月22日 千代田区】)

 国鉄改革の大犯罪を暴け

 8月22日、動労千葉と弁護団は東京高裁・難波孝一裁判長に、1047名解雇撤回を闘う鉄建公団訴訟控訴審の弁論再開申し立てと第3次署名提出行動を行いました。申請したのは、国家的不当労働行為に直接かかわった連中の証人採用と弁論の再開です。
 証人採用申請は、JRへの採用候補者名簿に載せないための基準を作り労働者の首を切った葛西敬之(当時の国鉄職員局次長、現JR東海会長)、最高裁から国鉄に出向して国鉄改革法を作りその「功績」でJR東海役員に天下った江見弘武、当時、千葉鉄道管理局総務部長であった今村雅弘(現自民党衆議院議員)の3人です。特に当初は採用候補者名簿に載っていた動労千葉組合員12人を名簿から排除した直接の犯人は葛西敬之です。このことはすでに一審の弁論での、葛西のもとにいた伊藤嘉道の証言からも明らかです。
 東京高裁・難波裁判長にこれらの真実を闇に葬る権限などありません。弁論再開で葛西らを法廷に引きずり出し、国鉄分割・民営化の真実を満天下に暴きましょう!
 わずかこの1年で非正規労働者が106万人も増え、1881万人になりました。政府はさらに首切り自由の「解雇規制の緩和」や「限定正社員制度」の導入を狙っています。すでに今の時点でも、過労自殺や労働者家族の崩壊が全社会に広がっています。この、すべての労働者家族の生死にかかわる状況の始まりこそ、国鉄労働者の2人に1人が職場から追われた「国鉄改革」でした。

 9・15-25は最大の決戦だ

 では、なぜ国鉄労働者の「いったん全員解雇」が可能になったのか?
 その元凶こそ国鉄改革法23条です。「国鉄とJRは別法人」「国鉄が名簿を作成し、JRが新規採用する」からJRに責任はない、という論法で国鉄労働者全員の首を切ったのです。
 当時のJR設立委員会委員長は、名実ともに日本ブルジョアジートップの経団連会長であった新日鉄会長の斎藤英四郎です。日帝権力はここに動労カクマルも攻撃の先兵として投入します。当時の首相・中曽根康弘がこの攻撃を「戦後政治の総決算と改憲のためにやった」と公言しているように、まさに権力中枢の総力をかけた労働者階級への襲撃として国鉄分割・民営化はありました。国労本部はこの攻撃に最初から屈服し、国鉄改革法との闘いそのものを放棄してきました。
 しかし、動労千葉の営々たる闘いによって26年目にして初めて、国鉄改革法の真実が白日のもとに暴き出されました。昨年6月29日、東京地裁・白石哲裁判長は、動労千葉組合員らを清算事業団送りにしたJR採用候補者名簿不記載基準について「不当に差別する目的、動機のもとに本件不記載基準を策定した」と認定したのです。この白石裁判長が今春、突然更迭されたのが「白石事件」です。
 これは、国鉄闘争が政権中枢を震撼(しんかん)させる「暗部」を暴く最高に熱い闘いであること、階級本体を組織し日帝の改憲願望を打ち砕く最強の改憲阻止闘争でもあることを示しています。ここまで勝利し前進してきた国鉄闘争の本格的発展を切り開く、今日的な最大の核心的課題は何でしょうか。
 それは動労千葉と動労総連合、国労共闘の組織拡大です。それこそが今後のすべてを切り開く一番の闘いです。とりわけ平成採青年労働者の存在とその組織化です。その目的意識性をもって国鉄決戦を闘いましょう。
 動労水戸と国労郡山工場支部を結んだ被曝車両(K544編成)をめぐる被曝労働拒否の闘いは、労組の違いや労働者の世代による分断、支社間の分断、JR本体と出向先の分断をも超え、日々闘われています。
 これは、階級的労働運動派が被曝労働拒否で国鉄労働者全体の利害を貫くことで、被災現地の怒りと苦悩と闘いと連帯し、全労働者、全農漁民の先頭に立ち団結を拡大する闘いです。郡山では8月の猛暑下の工場でマスク・ゴーグル・タイベックス(原発作業員と同様の防護服)を着て闘っています。JRはこの車両を今度は勝田車両センターに戻し、「安全キャンペーン」のもと常磐線・広野―竜田駅間運転再開を強行しようとしています。許せません。

 危機にあえぐ安倍と激突

 大恐慌の本格化と大争闘戦時代への突入の中で、日帝・安倍は参院選での「自民圧勝」の虚構のもと、どうしようもない危機と破綻にあえいでいます。日本の国の借金(国債プラス借入金プラス政府短期証券)は13年6月末でついに1千兆円を超え、13年度末には1107兆円に達します。対GDP比で200%をはるかに超えて世界最悪です。
 ここから安倍は、一方で集団的自衛権行使への踏み切り策動など改憲・戦争の攻撃に絶望的にのめり込み、他方では消費大増税、社会保障切り捨て、労働組合破壊などの攻撃に訴えてきています。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加も、米帝の激しい対日争闘戦のもとで大企業の延命のために、労働運動を圧殺すると同時に、農業、漁業、医療、保険などを犠牲にし崩壊させる攻撃です。
 「アベノミクス」は、FRB(米連邦準備制度理事会)の超金融緩和政策の「出口戦略」をめぐるあがきと連動して崩壊を始め、安倍は「民間活力の爆発」による「成長戦略」なるものにかけています。徹底した民営化・外注化・非正規職化の攻撃です。そして鉄道、原発、水道、医療などシステム丸ごとの海外パッケージ輸出です。
 だがそれは始まる前から破綻しています。国鉄分割・民営化の破綻の象徴としてのJR北海道は、この夏にも列車の発煙・炎上・脱線事故が続発しています。原因は車両検修、保線の破綻・崩壊です。さらに何よりも、福島原発事故の大量の高濃度汚染水問題は日帝の絶望的な破綻点です。原発の再稼働や輸出などまったく論外です。

 職場で10万署名訴えよう

 山本太郎氏の当選は、首都100万人、全国1千万人規模の巨大な決起と反乱でした。それが日帝・安倍の超反動攻撃を痛撃し、時代は完全な激突情勢に突入しています。安倍への怒りはいよいよ爆発します。絶対反対で対決し闘えば勝てる時代の到来です。
 当面する最大の闘いは、9・15国鉄大闘争への全国総結集であり、「解雇撤回・JR復帰」の10万筆署名運動です。そしてこの力で動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の9・25反動判決策動を絶対に粉砕することです。
 10万筆署名には350を超える労働組合からの賛同署名が集まっており、そこには解雇への怒りと解雇撤回への期待があふれています。国鉄闘争を自分の職場で実践する時にこそ労働者は階級の団結と誇りで活性化していきます。何よりも職場で解雇撤回署名を呼びかけ、署名活動家網をつくり、10万筆を達成しましょう。
 国鉄を先頭に、自治体、教労、郵政で、全産別、民間職場で、解雇撤回の10万筆署名を訴え、それで職場を席巻し、体制内指導部を吹き飛ばす階級的労働運動の前進をかちとりましょう。その力を東京高裁にたたきつけ、9・25反動判決を絶対に阻止しましょう。
 9月15日には再び国内の全原発が止まります。動労水戸と国労郡山工場支部の外注化阻止・被曝労働拒否・福島圧殺粉砕の闘いは、再稼働阻止・全原発廃炉へ、原発労働者の決起を組織し、国際連帯闘争を推進する闘いです。NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)をさらに全国で結成し、それらの力を9・14反原発大行動(東京・亀戸中央公園)に総結集しましょう。
 学生運動は、階級的労働運動と一体で、反原発闘争をはじめ帝国主義・新自由主義と闘う全運動の最先頭に立っています。9・4〜5全学連大会の歴史的成功をかちとり、広島大学自治会再建の勝利に続き、全国でさらに闘う自治会建設へと前進しましょう。
 国鉄決戦、反原発決戦と一体で、星野闘争、三里塚闘争、沖縄闘争、全戦線での闘いを、安倍政権と新自由主義に激しく対決し、全力で闘い取りましょう。1万人『前進』読者網の建設、夏期カンパ闘争の貫徹、組織拡大・拠点建設の闘いをあくまで目的意識的に断固推進しましょう。
(写真 安倍の戦争・改憲策動に怒り 労働者・市民のつどいに520人が集まった【8月15日 中野区】=記事4面)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号1面3)(2013/08/26 )

前進速報版

▼改憲と戦争に絶対反対!8・15集会に520人▼「汚染水止めろ!再稼働するな」官邸前で怒りの声▼自治労全国保育集会で国鉄署名

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号2面1)(2013/08/26 )

 9・15 代々木公園 からJR本社デモへ

 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審

 解雇撤回10万筆署名集め9・25反動判決うち破ろう

 動労千葉の鉄建公団訴訟控訴審は9月25日、東京高裁で判決を迎える。四半世紀を超える国鉄1047名解雇撤回闘争は、ついに国鉄分割・民営化の真実を満天下に暴く決定的情勢を迎えている。何よりも「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名の力で反動判決策動を粉砕することを訴えたい。9・15総決起集会を10万筆署名達成集会としてかちとろう。
(写真 6千筆の署名を携え弁論再開要請のために東京高裁に入る組合員【8月22日 千代田区】)

 社保庁免職撤回は国鉄方式の大破産

 09年末に社会保険庁が解体され、日本年金機構に業務が引き継がれる際に525人が民間の解雇にあたる分限免職処分となった問題で、人事院が8月19日、新たに10人について処分取り消しを決めた。4月と6月に続く3度目の決定で処分取り消しは計16人になった。審査請求をした71人のうち46人について判断が示され、35%にあたる16人が処分取り消しとなる重大な結果となっている。本人が希望すれば厚生労働省に復職する。
 これは国鉄型解雇の違法性と矛盾を強く示す重大事態だ。社保庁解体は「年金業務・組織再生会議」という審議会で審議された。ここでどのような議論が行われたのか。
 「国鉄改革法とまったく同じスキームでやっているから、日本年金機構における不採用が不当労働行為となる可能性はない」「国家公務員にはそもそも労働組合法の適用はないので、分限免職それ自体が不当労働行為とされることもない」
 しかし今回の処分取り消しで、この議論が決定的に間違っていたことを政府の機関である人事院が認定したのだ。
 社保庁解体に際して、一方で525人を分限免職にし、他方で一般から約1千人の新規採用を行った。このことについては“同じ企業が一方で人を採用し、もう一方で減員するのは難しい。ただし、今回、採用するのは(新設される)日本年金機構で、分限免職処分するのは社会保険庁。組織が違うので、割り切って考えれば別々”などと議論されていた。新規採用方式ならば何をやってもよいという「理屈」だ。
 今回の処分取り消しは国鉄方式の決定的な破綻を示している。〈いったん全員解雇→選別再雇用〉という国鉄型の民営化攻撃には絶対的な矛盾があるのだ。
 社保庁解体の攻撃に対して、自治労は完全に屈して社保労組を解散した上で年金機構労組を新たに設立し、不採用になった組合員を組合からも排除した。社保労組が団結を維持し、自治労80万の総力を挙げ、全国の労働組合の力を結集すればいくらでも闘いようはあった。国鉄方式による解雇は労働組合の屈服なしには貫徹できないのだ。

 斎藤・井手・葛西が謀議し不採用基準

 04年に当時の鉄建公団(旧国鉄清算事業団、現在は鉄道運輸機構)を相手どって始まった動労千葉鉄建公団訴訟は、ついに「国鉄改革」の真実を暴き出すところまで前進してきた。
 どうして国鉄労働者のいったん全員解雇が可能になったのか? どうやって2人に1人を職場から追放する仕組みをつくったのか? それが国鉄改革法23条だった。「国鉄とJRは別法人」という理屈をデッチあげ、採用をめぐるJRと国鉄の権限を書き分けることで選別採用の仕組みをつくったのだ。
 国鉄労働者20万人を職場から追い出した連中は「採用候補者名簿をつくったのは国鉄。JRは名簿記載者を全員採用した。JRには解雇や不当労働行為の責任は及ばない」と言い逃れをしてきた。この「国鉄改革」の核心中の核心が百パーセント大うそだったのだ。実際には、国鉄とJR(設立委員会)は最初から最後まで一体となって謀議を重ね、不採用基準の策定と採用候補者名簿作成を行っていた。
 本裁判では、一審東京地裁で、採用候補者名簿を作成した伊藤嘉道国鉄職員局補佐(当時)の証人調べを行い、JR不採用となった動労千葉組合員12人が当初は採用候補者名簿に記載されていたこと、葛西敬之職員局次長(当時)が「停職6カ月、または停職2回以上」の不採用基準に該当する者を名簿から外すよう指示したことを明らかにした。
 昨年6月29日の判決では「名簿不記載基準の策定は不法行為であり、名簿不記載基準が策定されなければ被解雇者はJR東日本に採用されていたはず」とする画期的判決をかちとった。
 さらに控訴審では、国鉄とJR(設立委員会)が共謀し、採用候補者名簿の作成と不採用基準の策定を一体となって行っていた決定的証拠を提出した。
 JR設立委員長だった斎藤英四郎(当時の経団連会長)が葛西や井手正敬国鉄総裁室長(当時)らに直接指示し、国鉄分割・民営化に反対する国労や動労千葉の組合員を排除するための不採用基準を作成させたのだ。
 証拠として提出された『国鉄改革前後の労務政策の内幕』には文字通り当事者のみが知る決定的事実が記されている。
 「我々はこのチャンスに、管理体制の立て直しをすべく……過去に何度も処分を受けた者は、やっぱりこの際、排除したい」「そこで(斎藤委員長のところに)葛西君と出かけて話に行って……まず、選考基準に合致しなかった者は駄目なんだということにしよう。そして選考基準は、斎藤さんが作れと言うので、不当労働行為と言われないギリギリの線で葛西が案を作り、それを斎藤さんに委員会の席上、委員長案として出してもらい、それは了承された」
 井手は得意げに語っているが、これは大変な事実だ。国鉄を解体して全員を解雇(退職)に追い込み、新会社JRによる新規採用という仕組みで選別採用を行ったとあけすけに語っているのだ。
 戦後労働法制の原則を根本から覆す乱暴かつ粗雑な国鉄改革法の仕組みが最初から万能の力をもったわけではない。国鉄分割・民営化攻撃の暴風雨のような暴力的遂行に対して国労が闘いを放棄し、動労カクマルの積極的協力があって初めて、それはある種の「生命力」を持ったのだ。

 首切り要求し当局に迫った鉄道労連

 特に動労カクマルは、国鉄改革法23条の仕組みに反革命的に関与した。
 動労委員長・松崎明は分割・民営化の前年の1986年、国鉄総裁や鉄労組合長らとともに「労使共同宣言」を発表、国労や動労千葉への卑劣な攻撃に手を染めた。「国労や動労千葉は新会社には採用されない」と徹底的な恫喝を加え、年輩の労働者を「後進に道を譲れ」と脅迫した。その結果、本州と四国では予想外の定員割れが起きるほど多数の労働者が国鉄を去った。
 定員割れが確実となり、本州・四国では動労千葉や国労が全員採用される事態が明らかになると「全員採用など認められない」という特別決議まで上げて国鉄当局に解雇を激しく迫った。これが葛西らによる不採用基準の策定と名簿からの排除の直接的経過だ。
 動労千葉鉄建公団訴訟は一審−二審を通して、いよいよ不当解雇の構図と経過の全体像を明らかにする局面を迎えているのである。葛西や井手らを裁判所に呼び出して証人調べを行えば、誰が、どういう経緯で、どんな目的で1047名解雇を強行したのかがすべて明らかになる。
 1047名解雇撤回を求める動労千葉の鉄建公団訴訟は、国鉄分割・民営化から26年にしてついに「国鉄改革」の真実を白日のもとに暴き出し、解雇撤回・JR復帰をかちとるぎりぎりのところまで敵を追い詰めている決定的な闘いだ。

 国鉄闘争は青年の共感生む闘い

 これは2010年4・9政治和解を超え、原則を貫き通して闘い抜いてきた国鉄闘争の偉大な地平である。
 「国鉄闘争の火を消すな!」を合言葉に国鉄闘争全国運動が始まり、1047名闘争に心を寄せてきた多くの人びとが陰に陽に支援と連帯を寄せてきた。動労千葉の外注化阻止闘争などの職場生産点での闘いと「解雇撤回」の原則的な闘い、そして階級闘争の大地と歴史を貫く大義と階級的力関係が押し上げた地平だ。
 想像以上に多くの人びとが、敵も味方も固唾(かたず)をのんで裁判のゆくえと国鉄闘争の今後を見守っている。ここに国鉄分割・民営化に真に決着をつける決定的な展望が生まれている。国鉄闘争に心を寄せてきた全国のあらゆる人びとの思いを署名運動に結集させ、10万筆のパワーで反動判決を打ち破り解雇撤回の判決をかちとろう。
 職場生産点で労働者が団結して資本と闘う展望をつくり出すことと、「国鉄改革」の真実を暴き出して国鉄分割・民営化に決着をつける闘いが一体になってこそ階級的労働運動は前進する。
 戦後最大の労組破壊攻撃だった国鉄分割・民営化から、日本における新自由主義は始まった。官公労を始め、あらゆる産別で労働組合を徹底的に破壊する嵐のような攻撃が吹き荒れた。戦後労働運動の主軸を担った総評は、これに対抗できずに後退を重ね、右翼的労働戦線統一に飲み込まれて解散に追い込まれた。こうして当時の竹下首相が「抱擁したい」と歓喜した帝国主義労働運動・連合が結成された。
 その出発点ともいうべき国鉄分割・民営化に決着をつける決定的瞬間が来ているのだ。国鉄分割・民営化のからくりをぶち破り、二十数年間にわたって日本労働者階級を襲った攻撃がもたらした現実が、すべてウソとペテンに満ちたものであり、労働者の闘いによって打ち破れることを示そう。これは安倍政権や橋下大阪市長らの民営化と雇用破壊の攻撃を打ち破る闘いそのものだ。
 1047名闘争は、国鉄分割・民営化を直接には体験していない青年労働者にとっても切実な問題であり、豊かな共感を生む闘いである。若者の2人に1人が正社員になれない現実、職場における極限的な労働疎外の現実は、国鉄分割・民営化で起きたこと、そしてこれと闘う動労千葉や1047名闘争の意義をたちまち理解させる。
 職場で闘うことと国鉄闘争を結合させることは、直接的・間接的に資本や権力、帝国主義労働運動やスターリン主義を打ち破る豊かな階級性と党派性を生み出す。
 職場で「暴かれた国鉄改革の真実」を訴え署名を集めよう。9月25日の判決まで1カ月、10万筆の署名の力で解雇撤回・JR復帰の判決をかちとろう。
 -----------------------------

 JR不採用はこうして行われた!

1987年1月末 国鉄が「JR採用候補者名簿」を作成。その時点ではJR不採用となった動労千葉組合員12人を始め、本州でJR不採用となった職員(計75人)が含まれていた。
2月2日午前 国鉄総裁・杉浦喬也が記者会見で「(本州では)全員採用の方針」と表明。
2月2日午後 鉄道労連(現JR総連)結成大会が「新会社の採用・配属に関する特別決議」を採択。「国鉄改革に反対する不良職員が採用されかねない。しかし、このようなことは許されるものではない」
2月2日夜 鉄道労連レセプションで杉浦国鉄総裁が「皆さんの努力に応える」と表明。
2月2〜7日 国鉄職員局次長・葛西敬之(現JR東海会長)の指示により、急きょ「過去3年、停職6カ月、または停職2回以上」の不採用基準を策定し、該当する者を採用候補者名簿から排除した。
2月7日 国鉄職員局補佐・伊藤嘉道がJR設立委員会にJR採用候補者名簿を搬入。
2月12日 JR設立委員会が「採用する職員」を決定。
2月16日 JRに採用される国鉄労働者に「採用通知」が届き、本州75人を含め7628人の労働者の不採用が明らかになった。
 ============================

 〈解説〉 解雇の張本人はJR

 暴かれた「国鉄改革の真実」

 国鉄分割・民営化による国鉄労働者の解雇は、国鉄改革法23条を盾にして強行された。改革法23条は、JR職員の採用手続きを「国鉄による採用候補者名簿の作成」と「JR設立委員会による採用候補者名簿からの採用者の決定」の2段階に切断した。「国鉄とJRは別法人」という虚構のもと、採用候補者名簿作成の段階で国鉄が不当労働行為を行っても、その責任をJRに及ばせない仕組みをつくったのだ。
 もちろん、「国鉄とJRは別法人」というのはまったくの虚構だ。国鉄がJRに移行した1987年4月1日午前0時にも、列車は間断なく運行されていた。
 実は支配階級内部でも「国鉄とJRは別法人」という理屈で不当労働行為を居直りきることへの動揺があった。国鉄改革関連法を審議した86年の国会で、政府は、国鉄による採用候補者名簿の作成はJR設立委員会の「委任」を受けての「代行」行為だと説明した。JR不採用をめぐって出された労働委員会命令も、採用の主体はJRであり国鉄はその補助者にすぎないとして、責任はJRが負うと判断した。
 これを覆し、「JRに責任はない」としたのが、98年5月28日の東京地裁の反動判決だ。以後、裁判所は同様の判決を出し続けた。そもそも国鉄改革法23条の策定には、国鉄分割・民営化当時、最高裁から国鉄総裁室法務課に出向していた江見弘武裁判官(現JR東海監査役)が関与していた事実がある。
 だが、「JRに法的責任なし」を確定して労働委員会命令を最終的に取り消した03年12月の最高裁判決に際しても、裁判官の評決は3対2に割れた。「国鉄とJRは別法人」という虚構を押し通すことには、あまりにも無理があったのだ。
 にもかかわらず、この無理をまかり通らせたのは、「JRに法的責任がないことを大会決定せよ」と迫る00年の4党合意を受け入れた国労本部の裏切りだった。

 葛西と江見を証人尋問せよ

 4・9政治和解を突き破って闘いぬかれた動労千葉鉄建公団訴訟は、控訴審で、不採用基準がJR設立委員長だった斎藤英四郎と国鉄幹部だった井手正敬・葛西敬之らの謀議によって作られた事実を暴き出した。
 「JRに責任なし」という理屈が成り立つためには、採用候補者名簿の作成が国鉄単独の行為として行われ、そこで何がなされたのかをJR設立委員はまったく知らなかったことが大前提になる。だが、そんな前提など成り立たないことは、事実によって突き出された。JRこそ不当労働行為の当時者中の当事者だったのだ。
 追い詰められた東京高裁・難波孝一裁判長は、5月8日、一切の事実調べを拒否して結審を強行し、9月25日の判決日を一方的に指定した。
 昨年6月29日の一審判決を出した東京地裁・白石哲裁判長が閑職に追いやられた事件と並び、この事態は国家権力中枢が国鉄解雇撤回闘争の圧殺に総力を挙げていることを示している。
 難波裁判長は05年9月15日、東京地裁の裁判長として、国労闘争団の鉄建公団訴訟で、不採用基準は「基準として明確で合理的」だからそれによる解雇に問題はないという判決を出した人物だ。その難波が、極反動判決をたくらんでいることは間違いない。
 だが、この策動の最大の弱点は、事実からとことん逃げ回っていることにある。8月22日、動労千葉争議団と弁護団は、葛西や江見らの証人尋問を求め、弁論再開の申し立てを東京高裁・難波裁判長にたたきつけた。
 国鉄解雇の真実をさらに広く訴え、解雇撤回・JR復帰の10万筆署名の達成に総力を挙げよう。9・15総決起集会に結集し、9・25反動判決策動を徹底的に打ち砕こう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号3面1)(2013/08/26 )

 8・27自治体労働者全国集会に集まろう

 賃下げ阻止! 闘えば勝てる! 今こそストライキで闘おう!

 集会実行委のビラ

(写真 仙台市職労が市役所本庁舎で早朝集会【4月26日】)

(写真 愛媛県職労が県庁前でビラまきと並行し時間前集会【4月26日】)

(写真 大阪市職が市庁舎前で早朝の職場集会【4月26日】)

 今年の自治労大会は8月26〜28日、大阪市で開催されます。全国の自治体労働者のみなさん、とりわけ自治労組合員のみなさん。安倍政権による7・8%賃金カットに対する私たち自治体労働者の怒りが自治労本部の4・26ストライキ方針を出させ、多くの単組がストライキ・時間内職場集会・非協力闘争などに決起しました。この現場の怒りは、安倍政権や橋下徹大阪市長を完全に追い詰め、賃金カットのみならず民営化・外注化をはじめとした解雇攻撃を打ち破りつつあります。”闘えば勝てる!”――私たちは今このことを実感できます。本当に勝ち抜ける方針と組織が必要です。4・26をもって開始したこの挑戦を貫き、自治労をストライキで闘う労働組合に生まれ変わらせましょう。自治労大会2日目の夜、闘う自治体労働者の全国集会を開催します。多くの皆さんのご参加を呼びかけます。

 4・26ストで自治労をつくりかえる闘いが始まった!

●橋下を追い詰めているのは現場の闘いだ!
 「公務員の組合をのさばらせておくと国が破綻する」――このように公言して登場した橋下市長は、今や地下鉄・バス、上下水道などの民営化攻撃の行き詰まりでグラグラになっています。橋下市長をここまで追い込んでいるのは現場労働者の怒りの闘いです。
 「入れ墨」調査を拒否し処分攻撃と闘う労働者の怒り。昨年の自治労函館大会で次々と寄せられた「橋下打倒集会」への賛同の声。そして4・26自治労ストライキへの現場からの決起。人員削減と非正規職化で過労死やうつ病になるような業務を強制し、さらなる民営化攻撃で超長時間労働や処分攻撃を繰り返す橋下市長をどうして許せるかという怒りの決起です。こうした橋下市長との対決は全国の自治体労働者の闘いの最先端です。
●連合による労働者支配の崩壊が始まった!
 安倍政権は「公務員という岩盤を崩さなければ雇用の流動化はうまくいかない」と、公務員への全員解雇・10割非正規化攻撃、労組破壊攻撃を強めています。しかし闘う自治体労働者は職場での日々の格闘でこの攻撃を打ち破りつつあります。
 ところが自治労本部はストライキ方針を出しておきながら、単組や現場任せにして責任を放棄し、職場での絶対反対の闘いを切り捨てています。これでは闘う団結などできません。
 こうした自治労本部や連合に対して、今回の参院選で現場労働者ははっきりと「NO!」をたたきつけました。連合本部による労働者支配は崩壊を始めたのです。
 これに恐怖した安倍政権は、「いかなる労働組合的あり方も許さない」とばかりに労働組合への弾圧を強め、自治労奈良県本部書記長を不当逮捕するというなりふりかまわぬ暴挙に出ています。
 いかなる労働組合つぶしも絶対に許さない!
団結破壊と闘い、現場労働者の手に闘う労働組合を取り戻しましょう。
●山本太郎氏の参院選勝利で情勢は一変した!
 参院選・東京選挙区で山本太郎氏が66万6684票を集めて堂々の当選を果たしました。「被曝させない! 飢えさせない! TPP入らない!」という絶対反対の闘いが青年労働者を先頭とした広範な怒りと結びついた瞬間です。
 3・11大震災と原発事故によって、これまでのすべてのウソが暴き出されました。誰もがこれまでの人生や生き方、考え方を根底的に問い直しました。労働者階級は怒りに燃えて決起し、既成の枠組みや支配機構を突き破り、山本太郎氏を国会に送り出しました。
 連合本部や全労連などは「雇用の確保」という口実で次々と権利を譲り渡し、現場労働者に矛盾をしわ寄せしてきました。これでは団結は生まれないし、勝てません。労働組合が絶対反対を貫いて闘ったとき、本物の団結が生まれ、その力が資本や当局を痛撃し、新自由主義攻撃を打ち破るのです。
 実際この7月、動労水戸が被曝労働拒否のストライキに立ち上がり、JR資本を破綻に追い込んでいます。なんとJRは交番検査ができないまま(「偽装交検」)被曝車両K544を郡山工場に移送したのです。しかも郡山工場で国労郡工支部が動労水戸の闘いを引き継いで闘っています。労働組合の枠を越えて闘いが広がっています。
 情勢は一変しました!
闘う者が勝利する時代が来ているのです。

 分割・民営化の真実が暴かれ安倍は追い詰められている

●社会保検庁解雇撤回の勝利! 闘えば勝てる!
 公務員の労働運動でも決定的な勝利がかちとられています。
 09年の社会保険庁民営化で525人が分限免職(解雇)となりましたが、人事院は4月以降、8月19日までに計16人の処分を取り消しました。〈国鉄方式でやれば何をやっても許される〉といわんばかりの解雇攻撃を打ち破ったのです。自治労本部は社会保険庁民営化と525人分限免職の攻撃に屈服しましたが、労働組合が絶対反対を貫いて闘えば解雇攻撃は打ち破ることができるのです。
 また大阪市斎場労働者の解雇撤回闘争が一審で完全勝利しました。さらに9人全体の解雇撤回に向けて団結を打ち固め、控訴審の闘いに打って出ています。
 このように公務員360万人首切り=10割非正規職化攻撃は闘いによって次々と打ち破られています。国鉄型の解雇攻撃も労働者の団結で打ち破ることができるのです。
 いかなる「ミス」も「事故」も労働者の責任じゃない! すべての責任は、民営化を強行し人員を次々と削減して過重労働を強制している当局や資本にある!――労働組合がこの立場に立って闘えばすべての労働者の未来を切り開くことができるのです。
●国鉄闘争に全労働者の未来がかかっている!
 昨年6月29日、動労千葉鉄建公団訴訟において東京地裁白石哲裁判長は、「不当な動機・目的のもとにJR不採用基準が作られた」ことを認める判決、すなわち当局側が不当労働行為を行ったと認定する判決を出しました。当初JR採用候補者名簿に載っていた動労千葉の組合員は、葛西敬之国鉄職員局次長(現JR東海会長)が作った不採用基準に基づいて名簿から外されたのです。
 白石裁判長は4月、突然更迭されました(白石事件)。東京高裁の難波孝一裁判長は、わずか2回の弁論で5月8日に控訴審の結審を宣言しました。真実を暴かれ追い詰められているのは国家権力、安倍政権と資本家階級です。1047名解雇撤回・JR復帰を求める10万筆署名を達成し、9・15国鉄大闘争を爆発させ、その力で反動判決を阻止しましょう。
 動労千葉はまた、分割・民営化反対を貫き、反合・運転保安闘争路線のもと、ストライキで闘い、十数年にわたって検修・構内部門の外注化を阻止してきました。昨年10・1外注化強行・強制出向の攻撃にも絶対反対を貫き、ストライキで対決しました。外注化強行後も職場で偽装請負を暴き、JR当局を追い詰め、外注化粉砕への新たな挑戦を始めています。これは労働運動の歴史を塗り替える闘いです。
 この本物の労働運動を今こそ私たちが実践しましょう! 4・26ストライキはその挑戦の始まりです。この闘いをさらに発展させ、闘う労働組合を私たち現場労働者の手に取り戻しましょう!
 ----------------------

【要項】8・27自治体労働者全国集会

賃下げ阻止! 闘えば勝てる! 今こそストライキで闘おう!
 8・27自治体労働者全国集会
8月27日(火)午後7時開始
東成区民センター6階小ホール(大阪市営地下鉄千日前線・今里筋線「今里駅」2番出口)
主催 8・27自治体労働者全国集会実行委員会

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号4面6)(2013/08/26 )

【要項】9・1さようなら原発講演会、9・14さようなら原発大集会in亀戸

9・1さようなら原発講演会
 9月1日(日)午後1時 日比谷公会堂
 講演/大江健三郎さん、小出裕章さん(京大原子炉実験所)
 (参加費1000円)

 9・14さようなら原発大集会in亀戸
 9月14日(土)午前11時〜(ブース出店開始)
 東京・亀戸中央公園(JR総武線亀戸駅東口から徒歩15分)
 午後1時/第一部集会(スピーチ、リレートークなど)
 午後2時/第二部集会(呼びかけ人、賛同人発言など)
 午後3時15分/パレード出発(錦糸町方面と浅草方面)
 主催/■さようなら原発■一千万署名市民の会

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号5面1)(2013/08/26 )

 全学連大会の歴史的成功へ

 プロレタリア革命に向かう学生自治会の強大な建設を 

 革共同中央学生組織委員会

 -------------------
【要項】全学連第74回定期全国大会
9月4日(水)〜5日(木) 東京都内
※参加費1000円(会場代、資料代など)
 宿泊費は除く

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号5面2)(2013/08/26 )

 毎日300dの汚染水が海に

 タンクからは300dが漏出

 福島第一原発事故 再稼働や輸出は論外だ

 事故対策の根幹が完全破綻した

 福島第一原発で放射能汚染水処理をめぐって超重大事態が相次いでいる。一つは、1日300dもの汚染された地下水が海に流出し続けていることが明らかになった。
 今一つは、くみ上げた汚染水の貯蔵タンクから300dもの汚染水が漏れ出し、原子力規制委員会が原発事故の国際評価尺度(INES)で「レベル3(重大な異常事象)」に該当するとした重大事故が発生した。
 「事故収束」どころか事故対策の根幹が破綻してしまったのが実態だ。
 東京電力は、汚染した地下水の海への流出を参議院選挙直後の7月22日になってようやく正式に認めた。これが明らかになれば自民党が大敗することを恐れたからだ。まったくもって許し難い。
 この問題は、5月24日に海側の観測井戸で採取した地下水からストロンチウムなどが検出された時点から疑われていたことである。ところが東電はその事実を6月19日まで隠ぺいした。ようやく発表した時も海への流出を否定した。
 その後、海水に含まれるトリチウム濃度が上昇傾向であることが分かった。この時点で汚染された地下水の海への流出は確定的になった。そこで東電は大あわてで、7月8日からタービン建屋と海の間の地中に薬剤を注入し土を固める工法で地中壁を造り、汚染地下水の海への流出を食い止めようとした(図参照)。
 だがこの地中壁には重大な欠点があった。地中壁は工法の限界から地表から1・8bの間はすき間が出来てしまうのだ。
 タービン建屋と海の間の地下には、冷却用の海水を通す配管などが入る大きなトンネルがいくつも走っており、そこには高濃度の汚染水が1万d以上存在している。原子炉から直接漏れ出しタービン建屋の地下にたまった高濃度汚染水が、地震で出来た割れ目を通して流れ込んだものだ。
 このトンネルも地震で割れ目が出来ていると考えられており、そこから高濃度汚染水がしみ出し地下水と混じり合っている。そして後先を考えずに地中壁を造ったことで地下水の水位が上がってしまい、地中壁の高さを超えて汚染された地下水があふれ、海に流れ出る事態となったのだ。
 原発事故の最大の原因は地震である。巨大地震で施設はいたる所がひび割れだらけで、汚染水はダダ漏れなのだ。その事実を直視せず、タービン建屋やトンネルの汚染水を放置し続け、打ち水方式のデタラメな応急措置を続けてきたいくつものツケが今回、劇的に現れたということだ。

 汚染水のタンク貯蔵も絶望的に

 東電は8月20日、汚染水の貯蔵タンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ出している問題で、汚染水の量が推計300dに達すると発表した。漏れた汚染水は全部で24兆 の放射性物質が含まれている。一部は地中に染み込み、他は排水溝を通して直接海に流出したと見られている。
 今回事故を起こしたタンクは、ボルトで組み立てた簡易型であって、数年すれば継ぎ目から汚染水が漏れ出す危険があると言われている代物だった。そしてすでに4件もの汚染水漏れを起こしている。今回は継ぎ目からではなく底から漏れたと見られており、簡易型タンクの信頼性がまったくないことが判明した。
 ことここに至って東電の事故対策は、完全に破綻したと言わなければならない。

 破産さらけ出す安倍と東京電力

 東電の事故対策が破綻しているにもかかわらず、原子力規制委員会は汚染水対策よりも原発再稼働審査を週に3回も開いて優先し、年内にも四国電力伊方3号機などを突破口に再稼働を狙っている。だが再稼働など論外ではないか。
 自民党・安倍政権は、これほどまでに福島原発事故が破滅的なのに、なおも再稼働と原発輸出に必死になっている。それこそ破産した新自由主義にしがみつき、破滅するしかない日本の資本家階級の現実なのだ。今秋の再稼働阻止の反原発闘争を、新自由主義と対決し日帝を打倒する闘いとして発展させよう。
 (城之崎進)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号5面3)(2013/08/26 )

 軍部の無差別大量虐殺許すな エジプト革命に連帯し闘おう

 軍部が集会やデモを襲撃

 7月3日のクーデター以降、軍やムバラク派資本家、政府官僚などの反革命勢力の巻き返しが猛然と開始されている。
 クーデターによるムルシ政権解体後、ムルシの釈放と復権を要求して抗議集会とデモを続けるムスリム同胞団と軍の対立が激化し続けた。軍はムスリム同胞団の抗議行動を「テロリズム」と規定して弾圧を強化し、7月8日と27日にムルシ派の集会やデモを襲撃し、合計120人以上を虐殺した。この弾圧にもかかわらず、ムルシ派が抗議行動を継続し、軍との衝突がエスカレートする中で、ついに8月14日、軍はムルシ派の抗議集会場に突入し、銃や催涙弾、こん棒などで激しい弾圧を行い、635人を虐殺した。以後18日までの間に800人以上が軍によって虐殺された。家族や友人も含めた軍の無差別的虐殺は徹底的に弾劾されなければならない。
(写真 8月、スエズ鉄鋼ストを支持し独立労組連盟やマハラ繊維労組が集会)

 第2革命闘う労働者を恫喝

 こうした激しい弾圧を軍が強行した最大の目的は、第2革命に進むエジプト労働者階級に対する軍事的恫喝のためだ。
 クーデター後のムスリム同胞団への弾圧と虐殺が激しくなればなるほど、軍に対する労働者人民の幻想は消失していった。こうして労働者人民の怒りの矛先が再び軍に向かいかねない状況が生じた。虐殺の激化の中で、軍を支持していた「タマロッド(反乱)」も分裂し、自由主義ブルジョアジーの代表であるエルバラダイや、4月6日青年運動、革命的社会主義者党は、軍をあくまで支持するムバラク派資本家と袂(たもと)を分かって軍を批判し始めた(これ自体は軍のクーデターを支持した責任を深刻に総括しない無責任な態度だが)。このため軍は、ムスリム同胞団との対立に一気に決着をつけると同時に、軍に対する反乱行為が労働者人民にとっていかなる結果をもたらすかを思い知らせるために激しい軍事的弾圧に打って出たのだ。

 強権的支配の再確立狙う軍

 軍の目的は、労働者階級との力関係を推し量りつつ、機を見て第2革命をたたきつぶし、軍とムバラク派資本家の共同支配体制を再建することだ。
 軍は8月13日、全国27県のうち25県で、ムルシ政権によって任命された県知事を罷免し、新たに25人の知事を任命した。そのうち19人は軍の将軍であり、2人は元ムバラク派の裁判官である。その上で8月14日、暫定政府に1カ月間の非常事態宣言を出させ、兵士に市民を逮捕する権限を与えた。ムバラク体制のもとで労働者人民を監視し、弾圧していた秘密警察を復活する計画も発表した。
 軍は、ムルシ政権が昨年6月以来の新自由主義政策の全面展開で労働者階級の敵としての姿を自己暴露し、労働者の怒りの的となっていた中で、第2革命は不可避であると判断し、革命を予防的に阻止するためにクーデターを強行した。IMFからの融資48億jを導入し、食料や燃料の補助金廃止と大幅値上げで労働者人民を地獄にたたきこむ超緊縮政策をとることで、未曽有の危機に陥ったエジプト経済を再建するためには、ムルシ政権に取って代わって軍とムバラク派資本家による超強権的な政権を再確立し、労働者人民の反抗をたたきつぶす体制を強化する必要に迫られたのだ。

 米帝の中東政策は大破産へ

 クーデター後、軍とムスリム同胞団の和解と安定的な政権の形成を追求していた米帝は、以上に見たような軍の政策を基本的に容認せざるをえなくなった。米帝はエジプトのムスリム同胞団との関係が悪化すると、ムスリム同胞団との関係の強いトルコやカタール、チュニジアなどの政府との関係も悪化し、米帝のシリアやイランなどに対する侵略戦争政策に重大な影響を与えかねないと考えていた。だが、労働者人民による第2革命の切迫に対するエジプト軍部の恐怖と危機感は強烈であり、そうした米帝の中東政策に配慮する余裕はなかった。こうして米帝は、エジプトおよび中東全域をめぐる政策を整合的に展開する力を失いつつある。

 革命的労働者党の建設を!

 第2革命をたたきつぶすための新たな軍事独裁体制の確立を目指す軍に対して、労働者階級は労働組合の闘いのさらなる発展と革命的労働者党の建設によって闘う以外にない。
 11年エジプト2月革命以来、労働者階級の闘いをリードしてきた独立労組連盟の指導部は、暫定政府の労働大臣に就任した前委員長を始めとして多数派が軍のクーデターやムスリム同胞団の弾圧を支持する立場に立つという事態が生じている。
 だが、独立労組連盟が総体として軍を支持しているわけではない。14人の執行委員のうち5人が軍を支持せず、軍呼びかけの「反テロリズム集会」に参加することに反対した。多くの現場労働者は、執行委員会による暫定政府の統治期間におけるストライキ停止決議に反対して闘っている。スエズ鉄鋼工場の4200人の労働者は、未払い賃金の支払いを要求して3週間のストライキを行った。軍はこの工場を包囲しスト指導部を逮捕したが、労働者は独立労組連盟所属の労働組合やマハラの繊維労働組合、人権団体の支援を得て不屈にストを継続している。
 エジプト各地の多くの現場労働者が、軍部の超緊縮政策強制と弾圧、そして労組指導部の統制を打ち破って再び決起するのは不可避だ。問われていることは、革命と反革命の入り乱れる困難な激動過程において、正しい路線のもとに労働者革命を指導する労働者の前衛党の建設だ。2年半のエジプト革命の中でさまざまな経験を積んだ労働者階級は、必ずや革命的労働者党を創設し、エジプト革命を完遂するであろう。国際連帯の闘いを強化し、エジプト労働者階級とともに世界革命に向けて前進しよう。
 (丹沢望)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2597号6面4)(2013/08/26 )

 三里塚裁判傍聴を!

◎天神峰やぐら裁判
9月3日(火)午前10時30分 千葉地裁

◎団結街道裁判
9月24日(火)午後1時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)

------------------------TOPへ---------------------------