ZENSHIN 2012/01/16(No2519 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2519号1面1)(2012/01/16 )

 東アジアをプロレタリア世界革命の根拠地に

 日本革命の扉開く2012年

 外注化阻止・非正規職撤廃に決起し脱落日帝を打倒しよう

 全原発廃炉へ! 3・11福島へ!

(写真 三里塚反対同盟が新年デモ・旗開き 〈上〉のぼりを掲げ空港敷地内を縦断するデモ。〈下〉市東孝雄さんが悲しみをこらえて「謙太郎とともに進む」とあいさつし乾杯の音頭を取った【1月8日 成田市】)

 労働者階級人民と革共同は、今年こそプロレタリア世界革命の巨大な扉を絶対に押し開くのだという決意をもって2012年決戦の劈頭(へきとう)に立っている。すでに動労千葉は1月10日、京葉車両センターで青年労働者を先頭にストライキに突入した。三里塚では反対同盟・鈴木謙太郎さんの急逝(1月7日)という悲しみを断固のりこえて、1月8日、現地デモと旗開きが行われ、鈴木さんの闘魂を引き継ぎ三里塚闘争の勝利をかちとることを固く誓った。国鉄決戦と反原発・反失業闘争を2大基軸に全力で闘おう。「3・11」から1周年の3・11福島県民集会(郡山市開成山球場)に総結集しよう。

 金正日の死と朝鮮半島情勢の大激動

 2012年を根底で規定しているのは、世界大恐慌とそのもとでの昨年12・17の金正日の急死、それを引き金とする北朝鮮スターリン主義体制崩壊の危機の切迫、朝鮮半島−東アジア情勢の大激動への突入である。
 金正日の死はまず、大恐慌下で危機と没落を深める米帝オバマの「アジア太平洋最優先」の新安保戦略に示される、帝国主義の戦争重圧のもとで起きた。その上で何よりもチュニジア・エジプトを突破口とする抑圧体制打倒の革命の波がシリアなど北朝鮮と関係の深い国々にも波及し、北朝鮮スターリン主義を決定的に追いつめる中で起きた。本質的に、全世界的な労働者人民の革命的決起が金正日を打倒したということだ。
 朝鮮半島の南北分断体制は、第2次大戦後の帝国主義とスターリン主義の世界体制を支えた最大にして最後の支柱としてあった。その破綻と崩壊の始まりは、世界大恐慌の本格的激化とともに、戦後体制の最後的崩壊を決定的に促進する。これは、南北朝鮮のプロレタリアート人民、中国の労働者・農民、米帝足下の労働者階級、そして日本の労働者階級が連帯し団結して闘い、東アジアをプロレタリア世界革命の根拠地とし、その突破口として日本革命の勝利をかちとるならば、世界革命を切り開く圧倒的展望をついに手にする情勢の到来を意味している。
 11月労働者集会をもって築き上げてきた日韓米労働者階級の国際連帯闘争の発展は、この革命の現実性を示している。
 米帝オバマは1月6日、昨年11月の新安保戦略(キャンベラ演説)に続き「新国防戦略」を発表し、従来の朝鮮半島と中東有事を想定した「2正面作戦」を見直し、北朝鮮と中国を見すえた「アジア太平洋重視」の安保戦略、すなわち対中対峙・対決の戦争政策をあらためて打ち出した。同時に、イランの核武装問題で、米帝と欧州連合(EU)がイラン産原油禁輸という制裁行為に踏み切り、それに対抗してイランがホルムズ海峡封鎖の動きを見せる中で、封鎖すれば「軍事的に解除する」(1月8日、デンプシー統合参謀本部議長)と戦争恫喝を加えるに至っている。
 大恐慌下での没落米帝とオバマの新たな戦争政策、大恐慌と3・11情勢にあえぐ脱落日帝・野田政権の超反動的な攻撃、この絶望的な戦争と大失業(非正規化)の攻撃に対決し、大恐慌をプロレタリア世界革命に転化するために、2012年こそは国鉄決戦と反原発・反失業闘争を2大基軸に闘い、労働組合拠点と革命党の一体的建設に全力を挙げよう。

 原発推進・大増税へと突き進む野田

 ついに国家破産と「国債暴落時代」を迎え、ユーロ崩壊が音を立てて進行している。それは中国バブルの大崩壊とドル大暴落へと波及していく。とりわけ「イタリアの次は日本」と言われる中で、日帝ブルジョアジーは日本国債暴落の危機に震え上がっている。
 世界大恐慌は、米帝の没落、ユーロとEUの解体、日帝の脱落、中国バブルの崩壊として一層激化している。この中で特に帝国主義の戦列からの脱落の危機にあえいでいるのが日帝だ。
 昨年1〜11月の貿易収支はついに2・3兆円の赤字に転落した。日帝は「14〜15年度にも経常赤字に転落する」「歳出削減と増税で財政再建の道筋を示さなければ国債は暴落する」と叫んでいる。だから野田は「不退転の決意」で消費増税を正面突破しようとしている。だがその一方で借金が税収を上回る法外な一般会計予算を立て、八ツ場ダムや整備新幹線などの大型プロジェクトを復活させた。原発輸出と一体でJRは新幹線輸出にのめりこんでいる。そして他方では社会保障費を減らせ、公務員の首を切れとわめいている。
 だが一体全体、誰がこんな膨大な借金をつくったのだ。大企業や大銀行の救済に湯水のように財政投入したからではないか。こんな無責任なやつらを打倒しない限り青年労働者に未来はない。野田打倒へ総決起しよう。
 第一に、野田の原発再稼働攻撃を絶対に粉砕し、全原発の停止・廃炉をかちとろう。原発は地上にすえられた原爆だ。54基もの原発、広島型原爆80万発分の「死の灰」との共存など絶対にできない。野田政権は昨年12月に「事故収束」宣言まで行って、原発再稼働へ突き進もうとしている。激突は非和解だ。福島の怒りを自らの怒りとし、3・11福島決戦へ全国から総決起しよう。
 第二に、消費税大増税を粉砕しよう。野田政権は1月6日に消費増税を柱とする「税と社会保障の一体改革」素案を決定した。2段階で15年10月に消費税率を10%にするすさまじい大増税攻撃である。しかも「公務員制度関連法案の早期成立をはかった上で増税を実施する」と、公務員労働者への大攻撃が大増税とセットになっているのだ。大阪市長・橋下をファシスト的先兵とした公務員大攻撃との一大階級決戦に勝利しよう。
 第三に、TPP参加を絶対に阻止しよう。TPPは米帝オバマの対中対峙・対決政策、日帝の日米安保強化の政策と一体であり、労働者にはリストラと大失業・非正規化、農民には農業破壊、さらに医療や保険制度の崩壊をもたらす大攻撃だ。労働者、農民、全人民の怒りで粉砕しよう。
 第四に、「復帰40年」の節目を迎える安保・沖縄闘争の大爆発をかちとろう。昨年12月28日未明に野田は辺野古新基地建設に向けた「環境影響評価」書をこそ泥のように沖縄県庁に搬入した。沖縄の労働者人民の怒りは爆発し、闘いの炎は燃え上がっている。
 沖縄は日米安保の矛盾の集中点、日帝の政治支配の最大の破綻点だ。同時に革命の火薬庫である。基地をその内側から解体する闘いに決起した1970年の全軍労のような闘いが今こそ必要だ。階級的労働運動を復権し、労働組合の力で安保・沖縄闘争を闘おう。

 動労千葉を先頭に国鉄決戦の勝利へ

 2012年における最大の階級的激突点、階級決戦の成否を決める攻防点は国鉄決戦である。国鉄決戦を最大の戦場として、4大産別を先頭に全産別で民営化・外注化・非正規化粉砕の大決戦に突入しよう。
 動労千葉は1・10京葉車両センターでの指名ストで2012年国鉄決戦の火ぶたを切った。昨年6月提案の京葉車両センターの構内業務外注化は、「青年労働者の働き口を奪うな!」という動労千葉の渾身(こんしん)のオルグが国労、東労組に大分岐をつくりだし、職場丸ごとの決起をかちとる中で粉砕されてきた。そこで2日勤を1日勤に削る業務委託の再提案を1月5日に行い、27日にも実施しようというのだ。東労組カクマルの裏切りで形式的に業務委託の実績をつくり、4月全面外注化を強行しようとしているのだ。
 さらに予科生等運転士登用差別事件について最高裁での弁論が再開されようとしている。09年9・30の東京高裁逆転勝利判決を覆そうという大反動である。敵は動労千葉解体攻撃に本格的に踏み込んできたのだ。この攻防に勝利することが外注化阻止・非正規職撤廃の天王山である。JR青年労働者の反乱を組織し、組織拡大で前進し、絶対に勝利しよう。
 外注化・非正規職化は職場の団結をずたずたに破壊し、労働者の誇りを奪い、青年の未来を奪う攻撃である。だからこそ青年労働者は根底的な怒りをもち、必死に団結を求めている。郵政非正規ユニオンや鈴木コンクリート工業分会の闘いに続き、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを全産別で巻き起こそう。
 3・11福島県民集会へ向かう過程は日帝・資本との激突であり、熾烈(しれつ)な党派闘争だ。動労水戸が切り開いた反原発労働運動と一体で、国労郡山工場支部の仲間は、福島県教組や放射能から子どもを守るために闘う福島の母親たちと連帯し、3・11闘争を福島から全原発廃絶の突破口とするため闘っている。国鉄決戦と反原発闘争を一体的に闘おう。
 八尾北医療センターの明け渡し、西郡での住宅明け渡し攻撃を断固粉砕しよう。
 放射能から子どもたちの命を守り、心のよりどころとなる医療施設を福島に建設しよう。
 すべての青年、闘う労働者は革共同に結集し、2012年決戦の勝利へ進撃しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号1面3)(2012/01/16 )

 前進速報版

▼三里塚新年デモ・団結旗開き動画▼動労千葉京葉車両センターで時限スト▼連休明け中国でスト相次ぐ▼河南省安陽市3万人が暴動

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号2面3)(2012/01/16 )

 1・18組合籍奪還裁判闘争へ

 国労本部の裏切り許すな 労組の本来の姿取り戻せ

 -----------------------
 日程 国労組合員地位確認訴訟
 1月18日(水)午後2時30分〜
 東京地裁527号法廷

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号3面6)(2012/01/16 )

新刊紹介 世界に翔びたとう13

 『階級的労働運動の復権をめざして』

 総評のりこえた動労千葉

 国際連帯の新地平

 動労千葉が『世界に翔(と)びたとう13/階級的労働運動の復権をめざして』を昨年末に発行した。
 『世界に翔びたとう』シリーズは、2003年7月に動労千葉が初めて米サンフランシスコを訪問した時に創刊された。第2号は、同年10月に動労千葉の中野洋前委員長らが韓国・民主労総を訪問し、当時の民主労総委員長・タンビョンホさんらと会談した時の記録だった。動労千葉は以来9年間、日米韓の3カ国連帯を推進し、毎年の11月労働者集会、韓国の労働者大会などを通して交流を深めてきた。
 第13号となる本誌は、昨年11月、日本と韓国で開かれた日韓理念交流会での伊藤晃さん(日本近代史研究者)とタンビョンホさんの講演、11・6労働者集会に来日したILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル21のダン・コフマン委員長、民主労総・金属労組キリュン電子分会のユフンヒ分会長のインタビュー、田中康宏委員長の「刊行にあたって」、訪韓した動労千葉組合員の座談会――で構成されている。
 それぞれが昨年11・6労働者集会に示された国際連帯闘争の新地平の大きさを示しており、階級的労働運動の復権をめざす上で重要な問題を提起している。

 日韓の労働運動史

 特に、日韓理念交流会での二つの講演は、日韓双方の労働運動の歴史と直面している課題を明らかにしており、学ぶべき点が多い。
 11月7日に千葉市・DC会館で行われた理念交流会では、タンビョンホさんが、日本帝国主義による占領下で始まった韓国労働運動が、戦後の独裁政権のもとで民主労組運動を発展させ、民主労総を結成して何度もゼネスト闘争を闘ってきた歴史を紹介している。その上で、民主労組運動の方向性は、自主性と民主性、階級性、連帯性、闘争性、変革指向性であるとして、非正規職労働者の組織化、産別労組への転換など、直面する課題を提起した。民主労総の第3代、第4代の委員長を務めた闘士だけに、その一言ひとことが実に重い意味を持っている。
 11月14日にソウルで行われた理念交流会では伊藤晃さんが講演した。本誌の編集後記には、「故中野洋動労千葉顧問は常々『動労千葉の闘いのなかで生みだした路線は、戦後労働運動を総括できる地平を切りひらいており、その核心こそ反合・運転保安闘争と団結である」と語っていた。その遺志を田中委員長が引き継ぎ、今回伊藤晃さんが『戦後日本労働運動の諸問題』として発展的に総括された」とある。伊藤さんは、戦後の総評労働運動が「変革的な労働組合であったのか」と問題提起し、合理化攻撃と闘えなかった歴史を総括し、動労千葉の反合・運転保安闘争と国鉄闘争全国運動の意義を明らかにしている。
 本誌を階級的労働運動復権の武器として活用しよう。
 (大沢康)
    ◇
A5判 118n 頒価500円
◆注文先 千葉市中央区要町2−8DC会館
TEL 043-222-7207 FAX 043-224-7197
Eメール doro-chiba@doro-chiba.org

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号5面1)(2012/01/16 )

 六ヶ所核燃再処理工場再開許すな

 原発再稼働阻止へ勝負時

 伊方と東通原発が最大攻防

 野田政権は12月16日に「福島第一原発事故の収束」宣言を強行した上で、1月に入って原発の再稼働への攻撃をさらにエスカレートさせつつある。1月10日に日本原燃は、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、1月下旬からの試験再開に向けてガラス溶融炉の加熱を始めた。これは停止原発の再稼働に向けた必死の既成事実づくりであるとともに、破産した核燃料サイクルにしがみつこうとする絶望的なあがきでもある。日帝支配階級は、帝国主義の延命をかけた独自の核武装(=プルトニウム大量生産)の全面崩壊の進行に対する反革命的巻き返しにうって出てきているのだ。昨年3・11以来、反原発闘争に決起してきたすべての人々が今までに倍する怒りで決起し、絶対に粉砕しよう。
 六ケ所村の再処理工場では06年3月末から、本格操業前に、実際の使用済み核燃料を使ってプルトニウムを取り出すアクティブ試験が始まった。だが事故・トラブルが続出。高レベル放射性廃棄物を液状化した上でガラス固化するための製造試験では、溶融炉底における白金族の堆積で08年にその試験すらもストップした。しかも、その事故の復旧中の09年1月、高レベル放射性廃液約150gが漏れ、回収できた16g以外は蒸発するという大事故が発生した。技術的に危険きわまりないことが、満天下に暴かれたのだ。
 ところが昨年12月26日に青森県の三村申吾知事は、野田「収束宣言」を受け、再処理工場の試験再開をいとも簡単に了承するというとんでもない犯罪行為に出た。その理由は、日本原燃が12月に提出した安全対策について青森県原子力安全対策検証委員会が了承した、ただそれだけだ。こんなことは絶対に許されない! 原燃と青森県・政府は、直ちに再処理工場での試験再開をやめよ!
(図 原発停止と1次評価)

 大間原発等も工事再開狙う

 全国の原発の使用済み核燃料が集中し、ケタはずれの大量の放射能を扱う再処理工場の試験再開など、断じてあってはならない。資本家と政府が福一事故に責任を取らず、再処理工場でまたも大事故を繰り返すことなど、天人ともに許されない。さらに、再処理工場の直下には「六ケ所断層」と呼ばれる活断層があることが指摘され続けている。福一事故の最大原因が地震による配管損傷にあるという真実を隠し続けている者たちは今、活断層の上の再処理工場(配管長さ1300`メートル)でフクシマに次ぐかもしれない巨大核事故に手を染めようとしているのだ。
 三村知事は、工事中止中の原燃のMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場(六ケ所村)、リサイクル燃料貯蔵(東電が株80%を所有)の使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)、電源開発(Jパワー)の大間原発についても、工事再開を了承した。知事は東北電力の東通原発の安全対策も了承したが、これは国の最終判断が必要である。しかし、それ以外はゴーサインが出たことになる。
 これほどの一連の核施設の建設再開など絶対に許してはならない。これまで”核燃白紙撤回”を掲げて不屈に闘ってきた地元の労働者人民とともに、猛然と決起すれば、どの工事も中止に追い込むことが必ずできる。
 原発再稼働をめぐる攻防も正念場を迎えた。1月13日には、四国電力の伊方原発2号機が定期検査のために停止した。これで国内で稼働している原発は5基となったが、この5基も4月までに定期検査入りする。
 しかし政府・経産省はしゃにむに再稼働しようとしている。「経産省は早期の再稼働をあきらめていない。照準は地元との関係が良好な伊方3号機だ。2月下旬に始まる県議会までに地ならしを終え、今春の稼働を目指す。春に1基でも動かしておけば、他原発の夏場の再稼働にもつながると読む」(1・1付日経)

 福島の怒りで3・11集会へ

 伊方3号機1基、もしくは東通原発を含めた2基の再稼働を許すのかどうか。ここに、すべてがかかったということだ。伊方では2月に周辺住民の避難訓練が計画されており、これをもテコに再稼働策動が強まると予想される。伊方も東通も、現地攻防だけでなく全国的な力関係で勝負が決まるのは明白だ。
 勝機は労働者側にあることに確信を強め、猛然と攻勢に出なければならない。政府も電力会社も”原発が止まると経済がダメになる”と宣伝しているが、それを上回る勢いで”とにかく全原発を止めてみろ”という声が労働者人民の中から沸き上がっている。この怒りを結集して、全国で電力会社に再稼働阻止の闘争をたたきつけよう。
 野田政権は、原発再稼働のためにも、福島の怒りを圧殺して被曝を強制しようとしている。しかし、ペテン的な除染事業にしても、その正体が福島人民から完全に見透かされている。
 1・4付「福島民報」は「除染の効果不透明、広がる懸念」との見出しで、「『有効な除染技術の確立はできないのでは』との懸念も広がっている」と報じた。12月に大熊町で除染作業をしたが、「しかし、職員は『風や雨などで放射性物質が運ばれてきたら、再び数値が戻ってしまう』と危機感を募らせる」。また「双葉町は『有効な除染技術が確立されていない現状で、国の膨大な経費を使うことに同意できない』として、モデル事業そのものへの参加を拒否している」。ペテン的な除染で高線量の地域に強制的に帰還させようとする狙いが打ち砕かれつつあるのだ。
 福島の怒りを先頭に、再稼働を絶対に阻むため、2・11を全国各地で闘い、3・11福島大闘争に攻め上ろう。3・11を再稼働粉砕の最大の闘争にしよう。
(写真 女性たちは深い怒りを込めて、福島第一・第二原発全10基の廃炉や避難の実現、被害者への完全な賠償などを求めた要請書を提出した【12月28日 東電本店前】)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号5面4)(2012/01/16 )

焦点 米帝オバマが新軍事戦略

 対中国・北朝鮮をにらみ

 米大統領オバマは1月5日、「米国の世界的リーダーシップの維持と21世紀の国防の優先事項」と題する新軍事戦略の指針を発表した。大恐慌下の財政危機で米帝の世界支配の限界が露呈し、巨額の軍事費削減を迫られる中での戦略転換で、軍事的・経済的に台頭した中国スターリン主義を名指しで脅威と認定、「アジア太平洋での米軍戦力の増強」を最重要課題とした。「アジア・太平洋優先」の戦略を鮮明にしたオバマの11月キャンベラ演説の具体化だ。
 金正日の死で北朝鮮スターリン主義の体制問題が焦点化し、朝鮮南北分断体制が根底から揺らぐ中、米中の政治的・軍事的激突情勢のさらなる拡大は必至だ。
 大恐慌下の米帝の没落は顕著だ。「二つの戦争」で軍事費は年間7千億j(約54兆円)に膨らみ、国防総省は今後10年間で4500億j、トリガー条項分を含めると1兆jを超す予算削減を迫られている。これ自体が、軍事的な制圧を担保にかろうじて維持してきたドル基軸体制を崩壊させる問題だ。アメリカ一国で世界全体の軍事費の半分を占めるという異常さで成り立ってきた戦後世界体制の終局はもはやぬぐいがたい。
 しかし帝国主義の世界支配の本質はここから最も危機的に露呈する。今回の新戦略指針で、米帝は海空両軍の統合作戦能力を高める「エア・シーバトル構想」を打ち出した。中国が「東アジア有事」で米軍を作戦海域に接近させない「接近阻止・領域拒否戦略」を採用し、海洋進出能力の向上や米空母を標的にした対艦弾道ミサイルを開発したことなどを実際に無力化する構想だ。すでに新型の有人・無人ステルス爆撃機やミサイル防衛能力、対潜能力、宇宙戦能力の向上などが進んでいる。「核なき世界」をうたったオバマ政権が、最近プルトニウムを使った新型核兵器の実験を強行したことも対中軍事戦略の一環である。
 一方の中国は、「改革・開放」路線下での巨大バブル経済の崩壊が始まり、「成長」の犠牲となった10億人を超える労働者・農民の怒りがスターリン主義官僚の支配を揺るがしている。彼らはさらなる資源確保や海洋権益の拡大を求める対外戦略を先鋭化させる以外にない。そして米帝は、北朝鮮情勢の大激動が中国スターリン主義の危機を激しく促進させる情勢をにらみ、対中対峙・対決政策をあらためて明確にした。ここに今回の米帝の新指針の核心がある。
 そして決定的な問題は、中国を排除したTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を含め、辺野古新基地建設を始め日米同盟の大エスカレートに踏み切る以外になくなった日帝支配階級の危機の深さだ。米帝の対日要求は「集団的自衛権行使」に象徴される日米同盟の実質的な双務的関係への転換であり、対中国・北朝鮮侵略戦争への参戦を可能とする政治体制の確立である。震災を口実に強行された日米「トモダチ作戦」が、対中・対北朝鮮の大規模軍事作戦を想定していた事実は重大だ。
 こうした大恐慌と戦争の全情勢が国鉄決戦を始めとする現下の階級的大激突を規定している。今こそ大恐慌を反帝国主義・反スターリン主義のプロレタリア世界革命に転化するために闘おう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号5面5)(2012/01/16 )

焦点 消費税率10%化狙う野田

 「一体改革」叫んで大増税

 野田政権は1月6日、社会保障改革本部で、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるとした「社会保障と税の一体改革大綱素案」を正式決定した。政府は消費税増税のための法案を今年度中に国会に提出する方針だ。消費大増税阻止の攻防は最大級の階級決戦である。
 野田政権はすでに、消費税の大増税とは別枠で「震災復興」を口実とした臨時増税を決めている。消費税率が10%に引き上げられた場合、臨時増税の影響も含め、夫婦と子ども2人で年収が500万円の世帯の場合、実質可処分所得は31万4千円減少するという試算もある。まして、年収200万円以下の非正規職労働者の場合、消費税の大増税はその生存を脅かすものとなることは明らかだ。
 しかも、この大増税は社会保障の解体とセットになっている。野田は、年金水準を今年10月から3年間で2・5%削減する方針を打ち出している。
 日本帝国主義は、大恐慌下でギリシャに始まりヨーロッパ全体を襲った金融恐慌に心底おびえている。政府は昨年末、44兆2千億円の新規国債発行を伴う2012年度予算案を決定した。新規国債発行額が税収を上回る当初予算案が組まれるのは、これで3年連続となった。その結果、日本の国家と地方自治体の抱える長期債務残高は、2012年度末には937兆円に膨らむ見通しだ。世界で最大の累積財政赤字を抱えている日帝こそ、国債暴落やデフォルト(債務不履行)の危機にいつ見舞われてもおかしくない。
 こうした中で野田やブルジョアジーは、「財政再建のためには消費税増税以外にない」と叫んでいる。これまでも、消費税の導入(89年)や税率引き上げ(97年)に際し、必ず「財政再建」という口実が唱えられた。だが、消費税増税により国家財政が好転したことなど一度もない。なぜなら、法人税減税を始めとする企業減税が繰り返されてきたからだ。消費税導入以来の消費税の総額と、法人税減税の総額はほぼ等しい。これに加え、恐慌対策として膨大な資本救済費の支出が続けられてきた。まさに、国家財政に大穴を開けた張本人は、ブルジョアジーにほかならない。
 にもかかわらず、野田政権は今年4月から法人税率をさらに引き下げる。また、「復興特区」では、新設企業の法人税は免除され、既存の企業についても、人件費の一定割合や設備投資の一部については税額が控除されることになっている。そのつけはすべて労働者人民に回されるのだ。
 さらに許し難いのは、一体改革大綱素案に、「公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で消費税引き上げを実施する」「給与臨時特例法案、国家公務員制度関連法案の早期成立を図る」と明記されたことだ。消費税増税は、公務員労働者へのバッシングを軸とする労働組合破壊の攻撃にさらに拍車をかけている。
 その最先兵が大阪市長・橋下と大阪維新の会だ。だが、破産した新自由主義をより凶暴な形で押し貫こうとする攻撃は、労働者の根底的な怒りを必ず呼び起こす。階級的労働運動を復権し、野田政権を労働者の力で打倒しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2519号6面5)(2012/01/16 )

新刊紹介 共産主義者171号

 3・11福島現地闘争に向け被災地3論文で路線提起

 共産主義者171号は2012年冒頭の決戦に向けた重要な路線論文集として出された。
 巻頭の島崎論文は、巻末に再録した革共同・清水丈夫議長論文で提起された今日の大恐慌をとらえる「米帝没落・EU解体・日帝脱落・中国バブル崩壊」の規定を深化・発展させる情勢論文である。世界大恐慌情勢と全世界的な階級闘争の激化に視点をすえた革命論的経済分析だ。日帝のTPP(環太平洋経済連携協定)への参加という路線がアジアのブロック化をめぐる争闘戦においてもいかに破滅的であるかを暴き出し、日帝打倒の展望を照らし出している。

 復興特区攻撃の狙いを全面暴露

 本号の目玉は「特集・3・11福島現地大闘争へ」の被災地から寄せられた三つの論文である。
 革共同宮城県委員会論文は、復興特区攻撃の狙いを初めて全面的に暴露した決定的な論文である。そもそもこの特区攻撃は、その中身を経団連がつくり、それを政府が法制化し、被災自治体が実行するという構造だ。その狙いは資本のために被災地を丸ごと民営化し道州制導入の突破口にすることだ。TPPと一体でアジア並みの低賃金、労働基本権の解体と9割非正規職化を狙うなど、被災地をめぐる攻防が労働運動の最大の決戦となっている。帝国主義の復興攻撃・イデオロギー攻撃を階級的に打ち破るための必読論文である。
 岡崎論文は農漁民の3・11反革命との闘いと労農同盟の革命的展望を指し示している。生きんがために決起した農漁民の闘いは本当に感動的であり、歴史的である。日帝は戦後一貫して、農民運動と労働運動の分断によって支配を貫徹してきた。新自由主義による農漁業の切り捨てと大資本の収奪こそ、3・11とTPPの正体であるとともに、帝国主義の存立基盤を自ら粉砕するものにほかならない。いまや労農同盟の本格的組織化は必須の課題となった。
 福島県委員会論文は、文字通り「革命の根拠地となった福島の闘い」そのものである。突如襲いかかった原発事故の恐怖の中で、逃げるべきか、とどまって闘うべきなのか、すさまじい葛藤を闘う団結の中で突破し、JR郡山工場の闘いを拠点に労働運動を軸にした反原発闘争をつくり出していった福島県委員会の闘いが生き生きと報告されている。「党の革命」を通してつかんだ動労千葉労働運動、階級的労働運動路線で大震災・原発事故と対決し、福島の母親や農民を始めとした全人民を獲得して前進してきた福島県委員会の同志たちの闘いは、革共同の路線の最大の勝利であり、感動的精華である。
 被災地3論文は被災地の同志たちの闘いが生んだ結晶である。読み込んで武装し、五つの拠点建設と3・11福島現地大闘争を大成功させよう。

 外注化阻止の展望示す国鉄論文

 北倉論文は、2011年、動労千葉・動労水戸を先頭にして国鉄闘争が切り開いた勝利的地平を総括し、12年決戦の課題を提起した国鉄論文である。今年25年目を迎えた国鉄分割・民営化の無残な破綻的現実を圧倒的に確認し、これをつくり出した動労千葉・動労水戸の外注化との闘い、被曝労働との闘いを総括した。すべての職場で外注化阻止闘争を開始するための貴重なヒントが込められている。
 霧嶋論文は、米帝による歴史的な対中対峙・対決政策、中国バブル経済崩壊の現状、新段階に入った中国階級闘争の様相を描き出している。中国の労働者階級との団結をめざす意欲的な論文だ。

------------------------TOPへ---------------------------