ZENSHIN 2011/11/14(No2512 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2512号1面1)(2011/11/14 )

 TPP粉砕・野田政権倒せ

 労働組合の拠点建設の力で大恐慌をプロレタリア革命へ

 外注化・非正規職撤廃! 原発再稼働阻め

 11・6全国労働者総決起集会は、闘う労働組合が勝利する時代が到来したことを鮮明に示した。大恐慌と3・11大震災情勢という未曽有の大激動の中で、5950人の一人ひとりが、職場生産点、大学キャンパスや地域・街頭で全力で闘い抜いて結集した。そして反失業・反原発のスローガンのもとに、米韓独と世界の労働者、福島をはじめ被災地労働者とともにこの集会をかちとった。そして11・6集会は新自由主義攻撃と対決し、プロレタリア革命への戦略的準備そのものとして闘いとられた。この力で、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加など、経団連の手先となって労働者人民を犠牲にする日帝・野田政権を打倒しよう。職場から闘いを巻き起こし、階級的労働運動を発展させ、世界革命へ前進しよう。
(写真 11・6労働者集会後、呼びかけ3労組と米韓独の代表を先頭に大横断幕を掲げデモ【銀座】)

 新自由主義攻撃に大反撃した11・6

 11・6集会は第一に、「外注化粉砕・非正規職撤廃・偽装請負弾劾」の闘いを、実践を通して世界革命の路線へと押し上げた。大恐慌のもと、資本による階級支配、労働者の生活破壊の現実に対する闘いが「われわれは99%だ」という叫びとなり、国境を越え広がっている。日本労働運動は今やその中心に躍り出た。
 アメリカからは、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル21のダン・コフマン委員長が参加した。ローカル21は、西海岸ロングビュー港における巨大穀物ターミナル建設による港湾の民営化・外注化、労組破壊と対決し、夏以来213人の逮捕者を出しながら激しく闘っている。
 中東から始まった革命的激動は、体制的危機に陥る欧州諸国のデモやストライキ、さらにアメリカの青年たちの「ウォールストリートを占拠せよ!」運動として全世界に波及・拡大した。ILWUローカル21の闘いの全米的波及はこの「占拠」運動と一体だ。
 韓国からは民主労総ソウル地域本部の32人の大訪日団が参加した。「非正規職撤廃」を掲げた韓進重工業での高空籠城(ろうじょう)闘争と全土からの支援・激励の「希望バス」の大合流、そして本部委員長らが連行された米韓FTA批准阻止大闘争のただ中での大結集だ。結成以来の民主労総の歴史は、IMF管理下の構造調整=新自由主義攻撃との闘いの歴史そのものだった。
 動労千葉の田中康宏委員長は集会で、「われわれは外注化を阻止する闘いを展開することで、階級的労働運動の展望と可能性を示したい」と訴えた。外注化を10年間阻止し続けた地平に立つこのアピールが、国際階級闘争に勝利の道筋を示した。ここに労働運動再生の具体的展望がある。
 最末期の資本主義は、医療や教育、社会保障を次々と破壊し、「1%」に過ぎない資本家階級が富の大半を独占する社会を生み出した。日帝ブルジョアジーは、未曽有の大災害に苦しむ労働者・農漁民・人民から復興特区創設ですべての権利を奪い、その生き血で延命しようとしている。これに対する大反撃の出発点として、11・6集会がかちとられた。

 福島の怒りと結び原発すべて廃炉に

 11・6集会は第二に、福島・被災地の怒りと結合して全原発の廃炉をめざして闘われた。
 福島は今や怒りと闘いがあふれる日本革命の決定的火点だ。この間、6・5国鉄集会で被災地との団結を固め、福島現地での6・19怒りの大行動が闘われ、全国各地の職場・地域でさまざまな創意工夫のもとに反原発闘争が取り組まれた。9・19明治公園集会には6万人が大結集、そして福島から労働組合の再生と11・6への結集を呼びかける「フクシマアピール」が発せられた。
 階級的労働運動の発展こそが、福島と団結し、子どもたちを守り、全原発を止め廃炉にする道であることが明らかになった。その正しさを示したものこそ、被曝労働を拒否した動労水戸のストライキであった。
 11・6集会は第三に、集会の実現が革命への戦略的準備そのものであった。そこに向けて職場やキャンパス、地域で闘われてきた課題と実践のすべてが、革命への準備そのものということだ。
 外注化・非正規化粉砕への職場からの挑戦、反原発・福島連帯の闘いは、資本主義の矛盾を根本から暴き革命への道を切り開く。このことを大胆に確認し、1万人の結集という具体的目標の追求にあくまでこだわり、課題を鮮明にしながら闘ってきた。職場闘争の再生と労働運動の力に確信をもって、階級的労働運動の創造と大発展の道に真一文字に突き進もう。
(写真 検修・構内業務外注化、職場大再編の攻撃に対しストで闘う動労千葉は、11・6集会・デモを終始戦闘的にリードした【日比谷】)

 欧州に広がる体制的危機

 大恐慌情勢は、米帝の没落、EUの解体的危機、日帝の帝国主義陣営からの脱落状態、中国バブル崩壊の開始としてものすごい勢いで進行している。世界が直面している危機は、プロレタリアートがブルジョア権力を自らの力で打ち倒し、プロレタリア権力を樹立する――すなわち革命をやる以外に、もはやいかなる解決方法もない。
 EU解体情勢は激しい。ギリシャ危機は完全にイタリアに飛び火した。9日、イタリア10年物国債利回りが7・4%に急上昇し、ユーロ導入後の最高を更新した。
 欧州にはイタリアの債務危機を救済する能力はもはやない。イタリアの政府債務残高は昨年末で1兆6千億ユーロ超と、ギリシャの約3500億ユーロの5倍近い。これは国家の破産そのものだ。
 10月19日、ギリシャではゼネストと12万人のデモが行われた。イタリアでは11月5日、首都ローマで数万人がデモ。ポルトガルでも8日に大規模ストライキが闘われ、首都リスボンの鉄道が8割以上ストップした。
 各国の「緊縮財政」が労働者階級にもたらすものは、首切りや社会保障の解体以外にないことがはっきりした。
 「富める者がますます豊かになり、持たざる者の暮らしが壊れていく」――ニューヨークの「占拠」運動から発せられたこの叫びは、今や全世界共通の怒りだ。新自由主義政策の核心である外注化・非正規職化攻撃との対決は、全世界労働者の共通した課題だ。このことを11・6集会は鮮明に示した。

 組合拠点化と職場細胞建設を一体で

 TPPはもともとオバマの「今後5年間で輸出を倍増し、200万人の雇用をつくる」という国家戦略に基づくものだ。それは中国に対抗する米帝主導のアジア・太平洋の勢力圏化であり、日帝をとことんそこに引き込み動員するものだ。
 日帝は、大恐慌と3・11情勢に追い詰められながら、TPP交渉に参加することで米帝との争闘戦に絶望的に突入しようとしている。TPPは被災地への復興特区攻撃と一体で、「関税自由化」の名のもとに農業を破壊し、労働者・農民からとことん搾り取り、医療や社会保障、教育を崩壊させるものであり、被災地はじめ全労働者・農民・人民への大攻撃だ。
 その先には資源と市場の争奪戦、侵略・勢力圏化と戦争が待っている。全人民の怒りの先頭で、TPP粉砕・野田政権打倒へ決起しよう。
 12・10−11反原発連続行動に決起し、民主党と連合による労働組合支配をぶち破る決起を実現しよう。労働組合の拠点化と職場細胞建設を一体で進めることが、この激動を革命へと転化する決定的なてこだ。労働者自己解放の思想としてのマルクス主義の復権は、不可欠のかぎだ。「動労千葉を支援する会」をランク&ファイルの職場フラクションとして組織しよう。動労千葉、動労水戸が最先端で切り開いた外注化・非正規職化との闘い、被曝労働拒否の闘いに学び、自らの職場から立ち上がろう。
 キャンパスで新自由主義粉砕、反原発の闘いを巻き起こし、学生自治会を再建しよう。
 冬期カンパ決戦は「被災地連帯、全原発廃止、福島医療施設建設」を訴える取り組みであり、革共同が21世紀革命に勝利する党へと飛躍する歴史的挑戦だ。冬期カンパ決戦に総決起しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号1面2)(2011/11/14 )

 動労千葉 線見訓練拒否のスト突入

 基地再編・組織破壊に反撃

 動労千葉は11月5日、佐倉・銚子運輸区新設、ローカル線切り捨てに反対し、本人希望を無視した線見・ハンドル訓練阻止に向けて指名ストライキに突入した。
 5日の労働者国際連帯集会の冒頭、田中康宏委員長はこの闘いの意義について「JRは私たちの職場を大再編しようとしている。来春には千葉だけでも数百人の運転士・車掌を配転し、この配転で労働組合を破壊することが狙いだ。この基地再編のための訓練に対して銚子支部の組合員が本日から訓練を拒否する指名ストに入った。来春に向かって長期にわたる闘いになる。検修・構内業務外注化阻止の闘いと一体で職場から闘いをおこし、腐りきった労働運動の現状を変えていく」と述べた。戦闘的な報告と決意に会場の熱気は一気に高まった。
 ストに入った銚子支部の小倉明副支部長は「会社は新設される運輸区の要員も行路数もまったく明らかにしないままにただただ『訓練をやれ』と言ってきている。こんな間違ったやり方には絶対に反対する。長期の闘いになるが支部の団結で当局を倒していきたい」と語った。千葉運転区支部の大野茂支部長も「千葉運転区支部でも来月から線見訓練が入っている。千葉運転区では40人が訓練対象者で、うち動労千葉が8人。労働者、労働組合をなめきった姿勢を会社が改めない限り、われわれは指名ストで徹底的に闘いぬく」と決意表明した。大野支部長も訓練対象者に指定されている。

 JR大再編攻撃と正面から対決

 線見訓練は、運転士が新たな運転行路の仕事に就くための訓練だ。実際の行路を指導役の運転士が乗務し(訓練対象者は添乗)、次に訓練対象者がハンドルを握って乗務する。最低でも往復5回、ハンドルを握って乗務する必要がある。
 JR東日本千葉支社が6月に提案した運転基地再編計画は、今ある銚子運転区、成田車掌区を廃止し、銚子と佐倉に運転士と車掌を一緒にした新たな運転職場(運輸区)をつくるというものだ。新しい銚子運輸区は運転士と車掌をあわせて100人程度、佐倉運輸区は250人程度とされており、JR体制の大再編、JR総連・東労組の切り捨ても絡んだ国鉄分割・民営化以来、最大級の運転基地再編だ。これはローカル線切り捨て攻撃そのものでもある。
 動労千葉は6月の提案以来、基地再編のスケジュールや要員数などを明らかにすることを求め続けてきたが、千葉支社はこの当たり前の要求にすら回答を拒否し続けてきた。11月1日に行われた動労千葉との団体交渉でも「いまだ決まっていない。12月ころに要員提案ができるのではないか」と白々しくうそぶいている。JR資本は、数百人にも及ぶ異動を組織破壊攻撃に徹底的に使い切ろうとしているのだ。
 今回、訓練指定された動労千葉組合員は、いずれも転勤をまったく希望していない。千葉支社は希望調査すらせず、佐倉・成田地域から1時間程度を通勤範囲とし、勝手に訓練対象者を指定してきた。こんなでたらめな話があるか。動労千葉は「異動は本人希望に基づき行う」という組合要求貫徹に向け、断固として闘いに突入したのだ。

 検修全面外注化巡る新たな攻防

 また、10月1日実施が阻止された京葉車両センターでの構内運転業務外注化について、JR千葉支社は計画を縮小してでも実施することを狙って激しく動き始めている。来年4月の検修全面外注化の強行をにらみ、なりふりかまわず千葉支社管内における外注化の実績をつくろうとしているのだ。JR東労組も、計画の丸のみを前提に裏切り団交を繰り返している。絶対に許せない。
 11日には「運転基地再編攻撃粉砕・業務外注化阻止」を掲げて動労千葉総決起集会が意気高く開催された(記事次号)。11・6集会で鮮やかに登場した青年部を先頭に、組織拡大の闘いも懸命に闘い抜かれている。JR大再編攻撃との全面激突となる来春闘に向けて動労千葉は新たな闘いに勇躍突入した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号1面3)(2011/11/14 )

前進速報版から 前進速報版から

▼韓進闘争が終結!キムジンスクさん、笑顔でクレーン降りる▼徳島刑務所がゼルツァーさん夫妻の面会拒否▼11・6集会・デモ動画

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号3面2)(2011/11/14 )

 福島の医療施設建設へ突破口開く大カンパを

 すべての『前進』読者、労働者・学生の皆さん。熱烈な冬期カンパを心から訴えます。
 今次冬期カンパ闘争は第一に、労働組合の拠点建設、労働者階級の階級的団結の荒々しい復権をかけたカンパ闘争です。
 今年の国際階級闘争は、労働組合の闘いが中軸となって前進しています。2月エジプト革命、ギリシャ労働者階級の反復的ゼネスト、さらにILWUのゼネスト、韓国・民主労総のハンジン重工業闘争へと闘いは発展しています。そしてこの中心に9・19の反原発6万人決起―11・6全国労働者集会をかちとった日本労働者階級の闘いが立っています。
 他方、右翼・ファシスト勢力もこの階級的激突に引きずり込まれてきました。1930年代の国際階級闘争以上の激突が労働組合を軸にして始まったのです。まさに世界はプロレタリア革命に向かって動き出しました。
 この世界革命の嵐に勝利するための核心は労働組合の拠点建設に絶対に勝利することです。そのためのカンパ闘争です。
 第二に、福島で原発事故―放射能被曝と必死に闘い、生き、闘っている労働者階級と子どもたち、その未来を絶対にとり戻すために、全原発の廃炉と福島医療施設建設をかちとろう。そのための大カンパ闘争です。
 福島の労働者と農漁民・住民は、帝国主義の原発政策と最先頭で対決しています。野田政権はこの闘いを圧殺するために「復興特区」、TPP、労働組合解体攻撃をしかけています。福島こそ、最も激しい階級戦争の戦場です。だからこそ私たちは、福島の労働者階級・家族と生死をともにします。子どもたちとともに生き、守りきる医療拠点を建設し、福島の未来を取り戻すために闘おう。青年医師や青年弁護士を先頭とする医師団・弁護団、青年労働者・学生が先頭で闘おう。
 この冬期カンパ闘争は、数億円規模の医療施設建設・全国基金運動の突破口を切り開く闘いです。ぜひとも絶大なカンパをお願いします。
 第三に、革共同は全世界の労働者階級の総決起でプロレタリア世界革命を実現するために全力で闘います。
 今次大恐慌は新自由主義の大破綻を全面的に明らかにしました。新自由主義こそ、最末期帝国主義の姿です。
 この帝国主義を打倒するのは、労働者階級の国際連帯の力であり、動労千葉労働運動の国際主義の発展です。労働者国際連帯の闘いをさらに前進させるために、絶大なカンパをお願いします。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号4面3)(2011/11/14 )

 福島第一原発

 炉心の状況さえ分からないのに「収束」などあり得ない

 福島第一原発事故はなんら収束していない。炉心をめがけてただ打ち水をしているだけだ。東京電力は2号機で局所的に「臨界」が起きた可能性があると言った翌日にそれを否定、「自発的核分裂」と断定した。野田政権と東電は事故が「収束」に向かっているかのように取り繕おうとしてきたが、大変な危機が続いていることが露呈した。労働者人民は皆「やはり」と怒っている。
 ところが政府と東電は「事故収束の工程表」に沿って「年内に安定的な冷温停止状態を達成し、ステップ2を終える」という。しかも政府は9日、東電に1〜4号機の廃炉に向けた具体的な工程表の作成を指示した。 とんでもない。予定調和的な「収束」や「廃炉」などとても考えられない現状だ。原子炉の状況は何も分かってない。再臨界、水素爆発、水蒸気爆発の危険はなんら去っていない。放射性物質の大気への放出、汚染水の増大と漏出、地下水・海の汚染は止まらない。
 政府・東電のでたらめな「収束」「除染」キャンペーンや原発再稼働・輸出策動、200万福島県民をモルモット化する「福島放射線医療特区」攻撃を許さず、子どもたちを避難させ、放射能から守るために闘おう。

 「局所臨界」から「自発核分裂」へ

 東電は11月2日、福島第一原発2号機で核分裂反応が連続する「臨界」が局所的に起きた可能性が高いと発表した。1日に採取した格納容器内の気体から「微量」の放射性キセノン133と同135が検出されたことに基づく。どちらも自然界には存在せず、核分裂に伴って生成される核種であるため、臨界状態の証拠とした。
 ところが東電は3日、中性子が当たらなくても起きる「自発核分裂」でキセノンが生じたとするとし、臨界が起こった可能性を否定した。▼検出されたキセノンの濃度は臨界が起こった場合の1万分の1である▼臨界になると核分裂の連続で発生する熱によって温度、圧力が上昇するが、計測された温度や圧力は低い▼キセノンの計算量と検出量とが一致する――などを理由に挙げた。そして「冷温停止状態」や工程表のステップ2の達成に大きな影響はないと主張したのだ。
 「臨界」から「自発核分裂」への一夜にしての変遷――こうした動揺と狼狽(ろうばい)は、炉心の燃料がどのように溶け落ち、圧力容器の中で固まっているのか、外に漏れているのか、まったく分からず、原子炉をなんらコントロールできていないことの現れだ。
 原子炉内の核分裂の有無を調べる中性子線の計測器は事故によって壊れたままだ。現在、原子炉の中の状態は、ごく一部の計測器による温度や圧力の値をもとに推測、判断しているにすぎない。
 臨界が起きた可能性は否定できない。また損傷した燃料の形状、分布によっては今後、再臨界が起こる可能性があると考えなければならない。
 再稼働を阻止し、全原発を止め、廃炉にしよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号5面5)(2011/11/14 )

焦点 復興掲げ大増税狙う野田

 消費税10%を「国際公約」

 野田首相は11月3日、フランス・カンヌで開かれたG20(20カ国・地域首脳会合)で、2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げると表明した。「国際公約」だ。
 野田政権は、今年度中に消費税増税のための法案を国会に提出し、2012年にも増税に着手する構えできた。それを「国際公約」の圧力で労働者人民にのませようとしているのだ。
 すでに野田政権は「震災復興」を口実に所得税の定率増税や住民税の定額増税を始めとする臨時増税法案を国会に提出している。だがそもそも福島第一原発事故への対応に要する費用などは、東京電力が全額負担すべきものだ。それを労働者人民に転嫁することなど断じて許されない。
 他方で資本には徹底した減税が施される。まずは法人税の実効税率を5%引き下げる。その上で「震災復興」のための臨時増税として法人税を引き上げるが、それは「5%以内の範囲」とされている。要するに減税だ。
 さらに「復興特区」では新設企業の法人税は免除される。既存の企業についても、人件費の一定割合や設備投資の一部については税額が控除される。
 こうして野田は、「国際競争力強化」を叫んで資本減税を要求する日本経団連ら大ブルジョアジーの意思を全面的に押し貫こうとしているのだ。消費税増税も、実はこうした資本減税に充てるための財源確保が目的だ。消費税が導入されて以来のその税収総額と、その間になされた資本減税の総額はほぼ等しい。
 今年1月には扶養控除の一部が廃止された。社会保険料のアップも続いている。一握りの大ブルジョアジーの利益のために、低賃金にあえぐ労働者は徹底的な収奪にさらされている。そこにこれまで以上の大増税が襲いかかるのだ。これでどうして労働者人民の生活が成り立つのか。
 野田が消費税増税を「国際公約」としたのは、ギリシャ危機に端を発した金融恐慌がヨーロッパから全世界へと波及しているからだ。帝国主義の一角をなすイタリアも国債が暴落し、ついにIMF(国際通貨基金)の監視下に置かれる事態になった。2011年末の日本の一般政府債務残高は対GDP比で233%。これはギリシャの166%やイタリアの158%という数値よりもはるかに悪い。日帝こそいつ国債暴落に見舞われてもおかしくない状況にある。だから野田は“大増税で財政を再建する”と国際帝国主義に必死でアピールしているのだ。
 だが野田の思惑どおり大増税攻撃が貫徹されるとは限らない。増税問題を巡っても階級間の大激突は避けられない。
 08年のリーマンショック以降、帝国主義各国は、大銀行を頂点とする大資本を救済するため、野放図に財政赤字を拡大してきた。今度はその財政赤字が危機の震源になっている。国債暴落で危機に瀕(ひん)する銀行を公的資金で救済すれば、国家財政の破産は一層深刻なものになる。この悪循環から逃れる政策的手段など本質的に存在しない。新たな段階に入った大恐慌はまさに資本主義の終わりの時を告げている。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号5面6)(2011/11/14 )

焦点 南スーダンPKO粉砕を

 日米同盟強め資源争奪戦

 日帝・野田政権は11月1日の閣議で南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊施設部隊の派兵を決定した。これを受けて一川防衛相は同日、陸自に派遣準備に入るよう指示した。年明け以降、海外侵略部隊である中央即応連隊約200人を先遣隊として現地に送り、5月ごろに施設部隊を投入しようとしている。
 このPKO派兵は、今年7月にスーダンから「分離独立」した南スーダンに設置されたUNMISS(国連南スーダン派遣団)からの「派遣要請」に基づく。民主党政権は現地に調査団を派遣していた。自衛隊のPKO派兵は国連ハイチ安定化派遣団など、現在活動中の部隊を含め8回目となる。
 南スーダンでは10月末に政府軍と反政府組織の衝突で75人が死亡した。政府・防衛省は今回の南スーダンPKO派兵を通してPKO協力法の参加5原則の武器使用制限撤廃を狙っている。
 それだけではない。野田政権はTPP(環太平洋経済連携協定)への参加方針や沖縄辺野古新基地建設など、日米同盟政策を対中国対決政策としてエスカレートさせている。南スーダンPKO派兵はその一環だ。「集団的自衛権の承認」などの軍事政策上の重大な転換点としても位置づけている。
 日米同盟政策に大きな影響力を持つ米シンクタンクの中心人物の一人、元国務副長官のアーミテージは11月8日、日本で行われたシンポジウムで「震災後も日本が1等国であり続けるか2等国になるかの問題だ」として、野田政権にTPP参加や自衛隊運用を含む日米同盟政策強化への決断を促した。野田の南スーダンへの自衛隊派兵決定はこれへの回答だ。
 今年7月の「南スーダン共和国」独立の本質は、スーダン南部の石油資源をめぐっての米英帝国主義による中国スターリン主義などに対する争闘戦、アフリカ侵略・再分割戦である。
 スーダンでは長年、アラブ・イスラム系の北部が主導するスーダン政府と黒人・非アラブ・非イスラム系の南部の自治・分離独立運動(スーダン人民解放軍が主導)との内戦が続いてきた。米英などの帝国主義はスーダン国内の「宗教対立」をあおり、隠然たる政治的軍事的介入で南北の地域分断を図ってきた。その中で07年、政府軍は西部のダルフール地方で南部系の人民を大虐殺するに至った。
 米欧帝国主義は200万人の犠牲者を出した内戦に「人道主義」の名で公然と介入し、スーダンから南部を分離独立させる政策に踏み切った。米英、イスラエルは今年1月の国民投票による南スーダン独立を真っ先に支持した。
 スーダンはアフリカ有数の産油国であり、レアメタルなどの埋蔵も豊富だといわれる。ここ数年、中国スターリン主義がイスラム主義を強めたスーダン政府を支持、南部の石油利権の獲得に乗り出した。これに危機感を抱いた米英帝国主義が内戦と南スーダン独立問題への介入を激化させたのだ。
 日帝の南スーダンPKO派兵は米英帝国主義と中国スターリン主義によるアフリカの資源・勢力圏をめぐる争闘戦と再分割戦への参入であり、日米同盟強化策だ。TPPと日米同盟強化への全人民的な怒りの反撃をたたきつけよう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号5面7)(2011/11/14 )

 三里塚裁判傍聴を!

 ◎第3誘導路裁判
 11月29日(火)午前10時半 千葉地裁
  ※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号5面8)(2011/11/14 )

訂正

 前号5面「『復興特区』攻撃粉砕を」の1章6段目10行目の「コメの関税は約400%」を778%に訂正します。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2512号6面1)(2011/11/14 )

 “私は無実。2〜3年で出る――” 星野同志と決意共にし奪還を

 死闘戦突入 11・27星野全国集会へ

---------------

 獄中37年を打ち破ろう

 11・27星野全国集会

 「「2月徳島刑務所闘争へ
 11月27日(日)12時開場/午後1時開会
 すみだ産業会館8階・サンライズホール(JR錦糸町駅南口から1分「丸井」上)
 主催/星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議

------------------------TOPへ---------------------------