ZENSHIN 2011/10/17(No2508 p06)

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週刊『前進』(2508号1面1)(2011/10/17 )

 11・6反原発大デモを

 再稼働阻止・非正規職撤廃へ 労働者のストライキに続こう

 「復興特区」=大民営化うち破れ

(写真 フクシマ連帯・農地死守決戦へ 市東孝雄さんは「自分の農地を守り抜くことが福島農民との連帯だ」と語った【10月9日 成田市東峰/壇上は萩原進さん】=4面に記事)

 世界大恐慌は、金融大手デクシアの破綻などヨーロッパ金融恐慌の再爆発から、07年パリバ・ショック、08年リーマン・ショックをも前史とする本格的爆発過程に突入した。このまっただ中で、新自由主義に対する世界の怒りと闘いの最前線に日本の9・19反原発6万人決起が躍り出た。この衝撃は世界に波及し、アメリカで青年労働者と労働組合による「ウォール街を占拠せよ!」の闘いに発展した。9・19の大結集は、労働者が職場と地域で、家族や友人間で、怒りをたぎらせて生み出したものだ。11・6労働者集会は、この9・19をさらに原発絶対反対・再稼働阻止と外注化粉砕・非正規職撤廃・偽装請負弾劾へ発展させる闘いだ。「生きさせろ!」の根底的要求を11・6集会1万人結集へ結実させるために全力を挙げよう!

 平成採の労働者が先頭に

 〈3・11〉以来の被災地を先頭にした全国における日々の激戦・激闘を通して、巨大な勝利の地平が闘い取られている。
 動労千葉は、民営化=外注化阻止・非正規職撤廃・偽装請負粉砕の闘いを、JR大再編情勢と切り結びながら、職場の団結を拡大し、10年間におよぶ外注化阻止の闘いの地平の上で、ついに京葉車両センターでの構内業務外注化の10月1日実施を阻止した。
 そして2012年4月の大決戦に向け、検修・構内業務の全面的外注化阻止、基地統廃合絶対反対へ、ライフサイクル制度撤廃、人事・賃金制度改悪阻止、65歳まで働ける労働条件の確立要求を掲げて、ストライキ決起をもってするさらに新たな闘いを開始した。
 この動労千葉の外注化阻止・非正規職撤廃・偽装請負粉砕の闘いと固く結合し、検修外注化阻止とJR東日本による被曝労働強制を絶対に許さない、職場からの不退転の感動的な反撃が始まった。10月8日、動労水戸が、福島第一原発から30`圏内の常磐線広野駅までの営業運転再開反対、検修業務外注化阻止を掲げ、勝田車両センターに所属する組合員11人全員の全一日の指名ストに立ち上がったのである。
 そして9日、汚染された列車の回送強行に対する徹底弾劾を行った。13日には、検修作業を丸のみして政府・JRの安全キャンペーンの先兵に転落した東労組を弾劾し、再度のストライキに決起した。しかもこの先頭には平成採の青年労働者が立った。
 動労千葉の田中康宏委員長は本紙2505号のインタビューで、「新自由主義政策が始まってから30年で、非正規雇用という形で雇用が破壊され、ワーキングプアが膨大につくり出されてきた。その結果、社会保障、医療、年金、教育などすべてが破壊され、社会が崩壊しかねない危機に陥った。これに立ち向かうことができなければ、闘う労働組合をこの社会に復活させることなどできない」「民営化や外注化に正面から立ち向かうことは困難な課題だが、この闘いを本気で現場労働者に訴えた時、必ず現場の仲間を獲得できる」と訴えている。
 今こそ、反原発・再稼働阻止と同時に「民営化=外注化阻止! 非正規職撤廃! 偽装請負弾劾!」の闘いを4大産別を先頭に全産別・全職場の路線方針として確立し、職場から闘いを開始し、11・6へ猛然と攻め上ろう。1万人大結集を実現する環がここにある。転換・飛躍を闘いとり、11・6へ!

 福島に新たな団結と闘い

 NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)の10・10フクシマ結成集会に350人が結集した。〈3・11〉以来の闘いの地平をすべて集約した感動的な結成大会として大成功した。そこには一人ひとりの発言に「生きるための闘い」の真剣さ、必死さがあり、万人を獲得する中身があった。とりわけ福島現地で闘う母親、農民、労働組合の仲間と闘う弁護士、闘う医師たちが大合流したことは決定的だった。
 長年にわたり広島の被曝医療にたずさわってきた高陽第一診療所の医師・吉田良順さんの「闘わなければ政府は動かない」というヒロシマの教訓は、被災現地で闘う仲間に勇気と確信を与え、長崎の被爆者・城臺(じょうだい)美弥子さんの「被爆者自身が『原子力の平和利用』論を信じ込まされてきてしまったことが今日の現実をつくり出した。広島・長崎・福島がつながって、核も原発もない社会を」という心の底からの訴えが熱い感動を生んだ。
 文字どおり「すべての原発いますぐなくそう!」が、全参加者の熱い総意となり、NAZENフクシマは結成された。ついに原発被災地・福島にすべての原発停止・廃絶までやまない新たな闘いと階級的団結が生まれたのだ。
 原発推進・再稼働をめぐる動と反動の激突に勝ち抜き、闘って闘って闘い抜き、原発再稼働絶対阻止へ、11・6労働者集会で9・19の地平をさらに発展させよう。9・19をともに闘った職場、地域、キャンパスの仲間たちの中に飛び込み、集団的な討議と決定で11・6に大結集する組織者、オルガナイザーをつくり出そう。1万人結集への実践と飛躍に挑戦し、火の玉となって闘おう。
 9・19の6万人決起は、政府・支配階級を震撼させた。彼らは必死の反動・反革命に出てきている。その反革命的な巻き返しの大攻撃こそ、一方でのJR大再編と動労千葉労働運動解体の攻撃であり、他方での「震災復興特区」攻撃と原発再稼働の策動だ。この大反動を打ち破った時、より巨大な大衆的うねりがつくり出され、階級的力関係を決定的に変えることができるのだ。
 今こそ帝国主義ブルジョアジーの最大の攻撃=原発再稼働策動を打ち破るために闘おう。日本経団連は「経団連成長戦略2011」(9・16発表)で原発再稼働を要求し、首相の野田は国連で再稼働宣言を行った。
 さらに大会で再稼働を容認した連合を許さず、打倒しよう。「復興特区」=大民営化攻撃の先兵として登場したJR東日本を被災地の怒りの鉄火で痛撃し打ち砕こう。いっさいは11・6集会の爆発にかかっている。

 3労組と被災地が結んで

 被災地の怒り、フクシマの怒り、農民・漁民、すべての民衆の怒りと結合し、動労千葉・動労水戸、そして「不況こそ労働組合が闘うチャンス。労働者が主人公の社会だ」(武建一委員長)と大手ゼネコンを相手に139日間の産業ゼネストを打ち抜いた関西生コン支部の闘い、職場で不屈の闘いを貫く港合同と結びつき、今や労働組合運動の責任勢力への飛躍をかちとる時だ。
 その闘いの環こそ、国鉄闘争全国運動を各地で建設し、全職場に「動労千葉を支援する会」と「共に闘う国労の会」を建設することだ。4・9政治和解から1年、7月の国労大会での闘争団員の組合籍剥奪から各闘争団の「解団式」が進行する中で、国鉄1047名闘争の不屈の魂は新たな国鉄闘争全国運動として確実に引き継がれ、いまも赤々と燃えている。和解を拒否して闘う動労千葉、国労闘争団員の裁判闘争、物販闘争をいよいよこれから本格的全面的に発展させよう。
 1047名闘争の先頭で体を張って闘い、外注化・非正規職化・偽装請負と対決し、職場から尼崎事故弾劾を全力で闘いぬいてきた5・27国労臨大闘争弾圧被告団も、「フクシマの怒りと一体となって全生涯かけて闘う」(富田益行団長)と戦闘宣言を発している。
 11・6労働者集会こそは、3労組とフクシマの怒り、国鉄闘争全国運動がひとつになり、反原発・反失業、反原発・非正規職撤廃の巨大な怒りがマグマとなって爆発する闘いだ。チュニジア・エジプト革命として始まった全世界の労働者人民の怒りの決起と結合し、プロレタリア世界革命に進む新たな闘いの日だ。国際連帯の壮大な発展をもかけて、11・6日比谷野音に大結集しよう!
 1万人を超える巨大な再稼働阻止の反原発デモを東京電力にたたきつけ、霞が関―新橋―銀座の都心を圧倒的に席巻しよう。

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週刊『前進』(2508号1面2)(2011/10/17 )

 動労水戸

 外注化と被曝労働を許さない

 2波のストで検査止める

 動労水戸は、JR東日本による被曝労働強制と外注化に反対し、10月8日と13日の両日、ストに立ち、安全を無視した汚染車両の検修業務、清掃作業をいったん中止に追い込む決定的勝利を切り開いた。この闘いの中で1人の青年労働者が動労水戸に加入した。
 野田政権による緊急時避難準備区域の指定解除(9月30日)を受け、JR東日本は10月10日から常磐線久ノ浜駅(福島県いわき市)〜広野駅(同県広野町)間の営業運転を再開した。広野駅は福島第一原発から20`余り。原発事故は何ら収束していない。にもかかわらずJR東日本は、深刻な汚染の事実を塗り隠して「安全だ」と強弁、原発再稼働を狙う野田政権のお先棒を担いで運転再開に踏み込んだのだ。
 JR東日本は”国が安全を確認したから駅や線路の除染は必要ない”と言い張り、放射線量の測定もやらないと言い続けてきた(動労水戸の追及によって初めて測定)。9日には、大震災以降、広野駅構内に放置されていた電車(K544)の勝田車両センターへの回送を強行、そのまま児童公園の直近にある洗浄機にかけて洗浄水を周辺にまき散らした。公園では直前まで子どもたちが遊んでいた! いったいJRは何を考えているのか! JRはK544の交番検査を13日に行い、その後営業運転に使用する方針を打ち出した。
 これは現場労働者と周辺住民の命のかかった問題だ。検修業務の大半を担っているのは平成採の若い労働者だ。「仲間を守れるのはおれたちしかいない」。動労水戸は3日のプレス発表以来、猛然たる闘いを開始した。
 7日には、いわき市役所と茨城県庁の記者クラブで会見を行い、会社のでたらめなやり方を暴露して大反響をまきおこした。職場の他労組の仲間、下請け会社で車両清掃をしている労働者たちからも激しい怒りと不安の声が噴きだした。
 動労水戸はその先頭に立ち、8日には勝田車両センター所属の11人が第1波ストに決起。9日にはK544の回送強行に対する抗議闘争に立った。こうした中で会社は、K544の清掃作業と、13日に予定していた交番検査の中止を表明せざるをえなくなった。
 しかし会社はあきらめていない。動労水戸はさらに13日、被曝労働の強制に反対し、専門家の指導によるきちんとした除染を求めて第2波ストに決起した。
 「被曝労働を許さないぞ!」「会社はきちんと除染しろ!」「広野までの営業運転反対!」――13日早朝から車両センター前に陣取った組合員と支援のコールが構内に響きわたった。構内で働く労働者の中からも、こぶしを上げて呼応する労働者がいる。圧倒的な一体感の中で第2波ストは打ち抜かれた。
 勝田車両センターで働く辻川慎一副委員長は「動労水戸が追及しなかったら会社はなんの問題もないかのように交番検査も車両清掃も強行していた。組合が要求するまで線量すら計らなかった。本当にふざけている! 絶対に職場の青年たちにK544には触らせないぞ!」と怒りをたたきつけた。同時に、東労組が「広野まで乗務する乗務員にマスクを用意しろ」などという「要求」でJR資本の暴挙を容認していることを弾劾し、職場の仲間に「動労水戸とともに闘おう」と呼びかけた。
 その後、JR東日本水戸支社前に移動して抗議行動を貫徹した。13日の行動には国労郡山工場支部の橋本光一さんや、ふくしま合同労組の組合員、動労千葉、全学連なども駆けつけ、ともに闘い抜いた。橋本さんは「職場の仲間は『動労水戸がストをやっている。すげえなあ。おれたちもやりたい』と言っている。被曝労働強制に反対し、職場の除染を求めて闘う」と発言した。
 闘いなくして安全なし! 安全なくして労働なし! 動労水戸は反原発を職場の課題として正面から闘い、階級的労働運動の真骨頂を示した。この闘いに続こう!
(写真 ストに入った組合員を先頭に勝田車両センター前抗議行動。職場の仲間に「ともに闘おう」と訴える辻川副委員長【10月13日 ひたちなか市】)

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週刊『前進』(2508号1面3)(2011/10/17 )

前進速報版から

▼中国安徽省でタクシースト▼首都圏青年労働者集会が大成功▼三里塚・団結街道裁判▼福島県教組と動労千葉迎え10・7みやぎ集会

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週刊『前進』(2508号1面4)(2011/10/17 )

 日程 11・6全国労働者総決起集会

 反原発・非正規職撤廃
 11・6全国労働者総決起集会
 反原発・反失業の国際統一行動を! 国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃! 新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを!
 11月6日(日)正午/東京・日比谷野外音楽堂
  集会後デモ行進(午後3時30分出発予定。途中、東電前抗議行動を予定)
 【呼びかけ】
 全日本建設運輸連帯労働組合関西生地区コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動

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週刊『前進』(2508号2面1)(2011/10/17 )

 外注化と被曝労働にストで対決

 原発・放射能問題は労組の試金石

 辻川慎一労組交流センター事務局長 11・6へ大いに語る

 11・6全国労働者総決起集会まであと3週間を切った。11・6に至る攻防の最先端で、動労水戸は放射能に汚染された車両の検修と営業運転を労働者に強いるJRとの決戦攻防を闘っている。反原発闘争を職場における労働組合の正面課題とする典型的な闘いが始まった。全国労組交流センター事務局長で動労水戸副委員長の辻川慎一さんに、この闘いの意義と11・6集会への課題を語っていただいた。(聞き手/本紙 長沢典久)

 労働者・乗客・住民の命を守りぬく闘いを

 ――動労水戸は、JR東日本による被曝労働強制との重大な攻防の渦中にあります。この闘いの意義について聞かせて下さい。
 辻川 政府が福島第一原発から20〜30`圏内の「緊急時避難準備地域」の指定を解除した。大変な放射能が存在しているのに「安全だ」と宣言し、避難している人たちに「地元に戻れ」と言っている。これは、来年の原発稼働がゼロになるかもしれない危機をなんとしても突破するためでしょ。
 その攻撃の先鞭(せんべん)をJRが付けている。広野町の住民は「危なくて帰れない。除染していないじゃないか」と言っているのに、JRは「復旧しています。営業運転を再開します」という形で国の攻撃を推進している。営業運転と言っても、乗客なんかいない。直接的な資本の論理ではなくて、政府・東電と一体となって「安全だ」と言い張るために、広野まで開通させたんです。
 しかも、広野駅に半年以上放置され、被曝している電車を勝田車両センターまで持ってきて、JRの労働者に検査・修理させる。検修作業をすれば当然、ほこりも出る。それを吸い込めば放射能が体内に入り、内部被曝する。車両の掃除をする関連会社の人も含めて、被曝労働が強いられる。
 検修を終えたらその車両を営業運転に使うんですよ。労働者にとっても、車両センター周辺の住民にとっても、乗客にとっても、きわめて重大な問題です。
 ところが東労組や国労は「会社の決めたことだからひっくり返せない」という態度をとっている。でも、青年や女性労働者はこの攻撃と絶対非和解です。これから生命を生み育てていく者と放射能は非和解に決まっている。女性社員が本当に涙を流して「広野に行きたくない」って言っている。泣く泣く行かざるを得ないかもしれないし、一生悔やむようなことになるかもしれない。それは彼女だけの問題ではないはずです。
 なのに東労組や国労も含む体制内労組は、非和解なものをこの期に及んで和解させようとする。「マスクを用意しろ」という程度の要求で、労働組合が組合員に被曝労働を強制する。
 動労水戸は、検修外注化反対の闘いの中で、外注化はさせない、青年の未来を守ると言ってきた。その青年労働者たちに被曝労働をやれなんて絶対に言えない。おれたちもあらためて問われた。JRのやり方に対して、「それはしょうがないんだ」という方針をとる労働組合だったら、労働組合として根本的なところで終わっている。だから、「おれらの本気さが問われている」と組合員と徹底的に議論して、この闘いに突入した。
 この闘いに入って、組合員の顔つきが変わった。「腹を固めて闘えるのはおれらだけだ」と組合員が思った時に、本気になって職場の仲間をオルグする。すると必ず相手は応えてくる。青年たちは「動労水戸の言うとおりだ」と思っている。この過程で1人の青年労働者が動労水戸に加入した。
 放射能問題は、資本と労働者の非和解性をあいまいさなく示す。ここで労働組合はウソか本当かを問われて錬磨される。原発問題、放射能問題はその試金石です。

 ストに立つことが説得力を持つ

 うちの組合員はずっと冷や飯を食ってきたから、青年を動労水戸に入れたら苦労させる、かわいそうだという意識がある。そこを突破しなければいけなかった。
 今度の問題は、動労水戸が本当に青年を団結させて守れる労働組合なのかどうか、本気になって闘争するのかどうかを非常に明確な形で突きつけました。
 動労水戸が、放射能に汚染された列車の回送や検査、営業運転に絶対反対してストライキを構えたら、追いつめられている人にはすごい救いになる。「そういう闘いをしている労働組合がいる」ということだけでも勇気が出る。「私の組合は何でやらないの。あんたたちは口先だけだ」という声が必ず出てくる。この問題をめぐって労働者がストライキに立つことが、階級的説得力を持つんです。
(写真 ストライキに立った動労水戸。JR東日本水戸支社前で「被曝労働を強制するな」とJR当局を徹底的に弾劾【10月13日 水戸市】)

 国鉄分割・民営化に必ずリベンジする!

 ――これは、国鉄分割・民営化に労働者の側から決着をつける闘いでもありますね。
 辻川 JR資本が、ライフサイクルだ、検修外注化だ、新賃金制度だと好き勝手にやってくることに対して、青年労働者が疑問を感じていないはずがない。東労組の支配だってガタガタになっている。今、青年たちの中からバーンと火柱が立ち指導者が出てきた時に、わーっと行く可能性がある。
 さしあたって自分たちの身は小さくても、本当に全体に対して責任をとる闘いをやる。その立場から自分たちの立ち居振る舞いや方針を考えるべきです。
 動労水戸は、組合員の3分の2くらいが鉄道を外されて、二十数年、ベンディングセンターや売店に飛ばされました。
 でも、強制配転をされても最終的にもう団結は崩れないとなった時に、会社の方が苦しくなってどうしようもなくなった。結局、資本の攻撃というのは、それによって労働者の団結が解体されたところだけで貫徹される。
 06年にベンディングが廃止されたけれど、大変だったのは、組合員には「鉄道本来の仕事に戻るのはやぶさかじゃないけれど、戻ったら平成採の下で見習いについて、一から仕事を教われっていうのか」という思いが強烈にあったこと。その屈辱感は本当によく分かる。けれど「それでも行ってくれ。分割・民営化へのリベンジはこれからなんだ。リベンジするためにはどうしたって職場に戻らなきゃいけないんだ」っていう議論をした。「そこまで言うんだったら組合をやめる」とか、相当なぶつかり合いをやって本来業務に戻ったんです。
 一番大変だったのは、勝田車両センターに戻った組合員です。勝田は常磐線の心臓部だから、仕事も含めてここが一番きつい。でも、うちの組合員はすごいと思いますよ。3年くらいのうちに交番検査という一番難しい仕事を中軸でやっている。そうなるまでは、平成採に年上ではないような扱いをされて屈辱を味わいながら、車両センターにもともといた組合員にもサポートされて、必死に仕事を覚えた。今では若い人たちを指導するようになっている。しかも、若い人たちに自分と同じ苦労はさせないと言って面倒見もいい。だからうちの組合員は職場で圧倒的に人気がある。
 僕が勝田車両センターに戻ったのは2年半前ですが、一番大変なところに組合員を送り込んだのは自分だから、「おれはもう50歳を過ぎたから楽なところに行かせてくれ」とは言えない。そんなことをしたら組合がまとまるわけはない。組合員から「おれのした苦労を辻川さんも味わってくれ」と言われたっておかしくないのに、勝田車両センターに行ったということだけでみんな喜んでくれた。うちの組合員は本当に苦労しながら誇り高く頑張ってきたんです。

 最高裁判決後の攻防に勝利した

 ――運転士登用差別の最高裁判決後も、激しい攻防になりましたね。
 辻川 運転士登用差別の最高裁判決で勝って、みんな小躍りして喜んでいたら、会社は「運転士になりたかったら言うことを聞け。このテストを受けろ」と攻撃してきた。実際、運転適性検査を受けるとバンバン落とされる。
 揚げ句に、未払い賃金も基本給の差額だけを勝手に計算して個人の口座に振り込んでくる。「組合なんか関係ない」という攻撃です。それをいったん組合に供託することにしたけれど、家族に説明するのは大変なんです。「裁判に勝ったのは組合のおかげかもしれないけれど、あなたのお金でしょ、何で組合に出さなきゃならないの」という話になる。会社はこういう形で組合を崩そうとする。
 そういう攻撃をしながら、会社は「運転士になったとしても、どこの職場に行くか分からないぞ」「どこに行くか分からないけれど、運転士になりたければとにかく白河の研修所に行け」と言ってきた。だから、白河の研修所に行く前はみんな顔面蒼白(そうはく)です。後になって「研修所でストライキをやったのはすげえな」となったけれど、当初はそれこそ水杯みたいな気持ちだった。
 それに対して、「全員が運転士になることをあきらめずに白河に行けば、向こうが音を上げる。社員教育、昔で言えばマル生教育のメッカの白河でばんばんストライキをしたら、絶対向こうが音を上げる」と説得した。実際、白河で華々しくストをやって、本社デモもやって会社に音を上げさせたけれど、白河に行った組合員は研修所で酒を飲みながら「おれたちはどうなっちまうんだろう」って泣いていたというんです。
 その過程ではいろいろあったけれど、組織拡大も実現してこの攻防に勝ちきった。

 被災地に責任をとる労組として

 ――その勝利を祝うレセプションが盛大に行われました。
 辻川 この前の最高裁勝利レセプションで一番の勝利は、うちの組合員が大挙して来たことです。職場で一番ぶつかりあった組合員が先頭で来て、職場の青年を組織しようと張り切っている。具体的な闘争を通じて組合員ともう一度団結できたということです。
 組合員が団結し、自分たちが主体になって動き始めることが一切の基点。組合員がその気になってがんがん闘争し始めないとうまくいかないんです。あのレセプションは集団の力でかちとったから、狙った以上の力が生まれている。
 レセプションをいわきでやったのは、「われわれは被災地に責任をとる労働組合だ。反原発闘争を根底的に貫く労働組合だ」という宣言です。フラガールを呼ぶっていう企画も、そう考えてやった。
 それともう一つは、労働組合というのはものすごく解放的で楽しいものだということを、集まった各産別の若い人たちに味わってほしかった。労働者大衆が本当に元気になって、自分たちの積極性、生命力を発動しながら生き生きと展開していくのが労働運動、革命運動。そんな悲壮なもんじゃないと思う。戦前、戦中、戦後初期の歴史を暗く描き出すのは、スターリン主義や右翼反動の思想、体制内的な労働者観だと思います。現場労働者は、必死な顔をして真剣に闘うこともあれば、日常的には冗談を言いあってけっこう楽しく仕事をし、生きているんです。 

 労働組合のあり方を決めるのはリーダー

 この間の闘いの中で痛感していることは、「最後に組合を決めていくのはリーダーだ」ということです。動労水戸の組合員は、どんなに苦しくても、カクマルとか日共とかでなくわれわれが一番の労働組合だと誇りを持っている。その一人ひとりの組合員は本当にすごい、すばらしい存在です。
 彼らは、動労水戸に人生をかけて闘ってきたし、動労水戸に誇りを持っているけれど、彼らが「究極的にはおれたちはあんたにかけてきたんだ」という表現で迫ってくることがあるんです。「組合の方針としてこれが正しいんだ」ということだけを主張した時に、組合員とぶつかる。どうしてぶつかるかをよくよく考えると、そこまで奮闘している組合員を本当に腹の底から信用してものを言っているのかということが問題になっている。自分ではそのつもりでいても、実はそのところで食ってかかられている。組合員は、本質的には「おれたちは銭金でついてきたんじゃなくて、あんたについてきたんだ」って言っているんです。
 そういうプロセスで自分が修正される。具体的なことで組合員とぶつかり合いながら、自分の甘さに気づかされて、思想的に深化していく。闘争をやっていく場合の腹の据わり具合とか、闘争の展開の判断基準とかは、その過程で組合員が教えてくれるんです。
 組合員は、目の前の闘争で具体的にどういう態度、物言い、かかわりをするかということによってしか、リーダーとして認めない。自分が勝田車両センターに戻ってから、そういうことが本当に問われた。その中で、闘争を通して組合員との団結を強烈に再形成してきた。そうすると、組合員が自分が思っていた以上にすごい人間だということも見えてくる。

 労働者の自己解放性に依拠する

 動労千葉や関西生コン支部がすごいのは、資本との最前線の攻防を、団結の力で押し渡ってきたことです。体制内労働運動は、「ここで激突すると労働者がついてこない」という言い方で日和っていく。だけど、最前線の闘いで最も戦闘的なのは現場労働者一人ひとり。その戦闘性、団結の力で労働者は解放されていく。体制内労働運動は、職場の最前線の攻防、資本との直接攻防を労働者階級の団結の力で押し渡ったことがない。彼らは、団結の力で労働者が解放されたら、資本と自分たちの和解的関係が破壊されることを恐れます。
 社民や日共への幻想は、彼らが1047名解雇撤回闘争を放棄して、解雇者は組合員じゃないと規定した瞬間に終わったんです。分割・民営化で崩壊のふちにあったのに、動労千葉や動労水戸との対抗上、維持されてきた社民や日共への幻想が、ついに崩壊した。
 そのもとで今のJR大再編情勢が起きている。この時代に対応する労働運動をつくり出し、多数派になるための闘いを展開しなければならない。それがJR大再編情勢に対するわれわれの回答です。

 壮大な展望を描いて11・6に突き進もう

 ――11・6へどう闘いますか。
 辻川 11・6労働者集会の決定的重要性は、この闘いによって労働者党を建設するんだという真剣な意識性を貫くときはっきりします。自分たちが何を成し遂げたいか、何を実現したいのか、という大きな夢がなければいけないと思う。僕は、JR大再編の中で他の諸党派がこれだけ見事に崩壊しているんだから、この中で強烈な青年指導部を打ち立てていくという夢を持って11月に臨んでいる。

 搾取の全体構造を撃つ闘いに

 11・6集会は「反原発」「非正規職撤廃」を正面に掲げているけど、その両者は帝国主義の成り立ちの根本にある都市と地方の問題とも密接にかかわっている。
 資本主義はプロレタリアの搾取によって成り立つんだけど、プロレタリアートは歴史的に、地方の農村部が貧困状態に追い込まれ、農地から引きはがされてつくり出されてきた。被災地の東北を始め、地方の存在を前提として都市部の資本が維持されている。マルクス主義的に言えば、相対的過剰人口が好景気の時は吸収され、不況期には吐き出される。新自由主義においては特に、地方の貧困化、疲弊が都市の「繁栄」の土台になっている。マルクスは都市と農村の分離・対立は資本主義のもとでは解決できないと言っているけど、解決するどころか、それが資本の延命の前提になっている。
 福島原発事故はこのことをあらためて突き出したと思うんです。そもそも国鉄分割・民営化でローカル線を廃止し、地方の貧困化を意図的につくり出して、大資本が自由に搾取する構造を生み出した。郵政民営化もそう。野田政権は、震災を奇貨として「復興特区」をつくり、これだけ疲弊した地方をさらに食い物にして資本主義を延命させようとしている。
 他方で、都市部では深刻な階級対立が起きてますよね。裕福な者はより裕福になり、貧困な者はさらにたたき落とされる。その日暮らしを強いられ、カップラーメンをすすりながら生活している膨大な非正規職の労働者がいる。
 地方を食わせられない状態にして原発をバンバン造り、非正規労働者も増やしてきた。だから、プロレタリア革命の問題として、都市と農村の団結を考えないといけない。地方の搾取構造も、東京、中央の支配構造をぶっ壊さなかったら変わらないし、地方を獲得するためには断固として地方と団結する闘争を打たなきゃいけない。
 9・19の6万人結集は巨大な衝撃だし、労働者大衆は怒りが深ければ深いほど本物を求めている。われわれが壮大な展望を描きつつ日々の攻防を闘いぬけば、相当でかいことが可能になる。この時代に対応する労働運動、特に大震災と原発事故に対する根底的闘いを打ち立て、今ともに闘っている人たちを根本から活性化させながら全体を獲得する闘いに打って出る。そういう闘いを11・6に向けて全職場でつくり出しましょう。

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週刊『前進』(2508号4面2)(2011/10/17 )

 “廃道処分は違法”

 10・11団結街道裁判

 鑑定のデタラメを追求

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三里塚裁判傍聴を!
 ◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
 10月18日(火)午後2時 千葉地裁

 ◎市東さん耕作権裁判
 10月24日(月)午前10時半 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)

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週刊『前進』(2508号5面1)(2011/10/17 )

 10・10福島 NAZENフクシマを結成

 “福島を返せ! 全部補償しろ!”

 再稼働阻止、今すぐ原発とめよ

 10月10日、福島で「すべての原発いますぐなくそう!全国会議(NAZEN)・フクシマ」が結成された。3・11大震災と福島第一原発の爆発事故から7カ月。ついに福島の地に、原発の再稼働を止め、すべての原発をなくすまでやむことのない闘いの核が打ち立てられたのだ。
(写真 結成集会の最後に、福島県労組交流センターの渡辺馨代表の音頭で団結ガンバロー【10月10日 福島市・コラッセふくしま多目的ホール】)

 広島・長崎の闘いと結合

 NAZENフクシマ結成集会が行われた福島市のコラッセふくしま多目的ホールには、地元福島をはじめ各地から実に350人が集まった。
 呼びかけ人の鈴木達夫弁護士が開会あいさつを行い「福島の苦しみ、悔しさ、怒りをともにし、どんな困難にもともに立ち向かう」と述べた。
 次に子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(=子ども福島)の椎名千恵子さんが「子どもたちの尿から高いセシウムが検出され、甲状腺異常も出ている。私たちはもうこぶしを下げません。のろしを上げたままで突っ走ります。10月27〜29日の経産省前座り込みにご参集を」と呼びかけた。国労郡山工場支部の橋本光一さんは職場での被曝労働強制との闘いを報告した。
 広島から駆けつけた高陽第一診療所の吉田良順医師が「ヒロシマの被爆医療にたずさわって思うこと」と題して講演した。1972年に被爆者医療の拠点として高陽第一診療所をつくった経緯と目的、広島の原爆被害の実態を報告。「フクシマへの提言」として「ヒロシマの教訓は、闘わなければ政府は動かないということ」と述べ、定期的健康診断の実施とその全額公費負担、被曝手帳の交付などを闘ってかちとっていくことの重要性を提起した。さらに「よりどころとなる医療機関が必要。そのために広島からも最大限の力を尽くす」と述べ、「かつて被爆詩人・峠三吉が『にんげんをかえせ』と訴えたように、ヒロシマ、フクシマからともに『すべてを返せ』を共通の言葉に闘おう」と訴えた。
 長崎県教組で闘ってきた被爆者・城臺(じょうだい)美弥子さんは、福島とつながって闘う熱い決意を述べた。

 動労水戸 熱いスト報告

 子ども福島の佐藤幸子さんは、子どもたちを放射能から守るために闘ってきた歩みとともに、9月に訪米して、国連総会に出席した野田首相に直訴したことを報告した。
 松元ヒロさんは「原発への怒りの束を風刺にかえて」と題したコント。「地震や津波はなくならなくても核や戦争はなくすことができるんです。だって、やっているのは人間だもの」と結んだ。
 動労千葉の田中康宏委員長は「生きるための闘いが全世界で始まっている。非正規職労働者、保護者、農民、漁民――すべてが団結できる状況を敵がつくった。11・6日比谷に福島からもぜひ結集を」とアピール。さらに8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会事務局長の三角忠さん、山本志都弁護士、医師、福島県本宮市の酪農家・鈴木光一郎さんの発言が続いた。
 動労水戸の辻川慎一副委員長は、JR常磐線久ノ浜―広野駅間の運転再開と放射能汚染車両の職場への搬入、検修業務外注化に対して10月8日にストに立ったと報告。「屋根上や車両の中、床下に潜り込んでほこりを吸い込みながら交番検査をする労働者の被曝労働を許さない。交番検査をやらされるのは東労組の青年労働者。13日の交番検査を許さずに闘いぬく」という熱い訴えに大きな拍手が寄せられた。
 福島県教組・竹中柳一委員長の連帯メッセージ紹介の後、福島県立高校で働く教育労働者は「今、国の原発推進政策に加担したら、戦争中に教員がやった過ちを繰り返すことになってしまう。それだけは絶対にしたくない」と述べた。
 ふくしま合同労組の市川潤子委員長は「東電の卑劣な賠償切りをまかり通らせてはならない。先日、職場の同僚が子どもの被曝を恐れ、代々続いた土地や建てて間もない自宅を手放して長野に避難した。子どもの被曝の不安を抱えつつも『ローンを返すために福島で働くしかない』と言う人もいる。原発事故による苦しみは労働者一人ひとり、200万の事例がある。ふくしま合同労組は原発のない社会をつくるため闘う」と語った。福島大学の1年生と東北大学の学生が発言した。
(写真 「NAZENフクシマ」結成宣言を参加者全員で採択)

 “怒りを一つに闘おう”

 最後に、福島県労組交流センターの渡辺馨代表が「NAZENフクシマ」結成宣言を提案した。「NAZENフクシマは、@フクシマの怒りを分断しようとするあらゆる動きを許さず、すべての怒りを一つにするために行動します。A子どもの命を守る闘いが急務です。避難や疎開をはじめ、あらゆる方策で子どもたちを守っていかなくてはなりません。Bこうした闘いを勝利させるためにも、全国、全世界にフクシマの怒りを発信し続け、全国の力で、すべての原発を今すぐとめるために闘おう!」という3点を提起。そして「『福島を返せ! 東電と国は全部補償しろ!』フクシマの怒りは全国の怒りです。原発再稼働の野田政権を打倒しよう! NAZENフクシマとともに闘おう」と力強く呼びかけ、参加者は大きな拍手と声援で応えた。
 福島の地に、労働者・労働組合がどっしりと中心に座って、農民、漁民、子どもを持つ親、医師、弁護士、すべての住民の怒りを一つに束ねて闘う運動体が打ち立てられた意義はとてつもなく大きい。この大きな勝利をさらに押し広げよう。反原発・反失業の闘いを全国の職場で広げ、11・6集会に駆けつけよう!

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週刊『前進』(2508号5面2)(2011/10/17 )

 “福島と世界のために” 集会の発言から

 国と東電に全責任取らせる 国労郡山工場支部 橋本光一さん

  福島第一原発から西に60`にあるJR郡山総合車両センターで働いています。先週、組合で敷地内約40カ所の放射線を測定した。屋外の舗装してない個所の平均は1・38マイクロシーベルト/時。6月の数値の8・4倍になっていた側溝もあった。
 組合で測定をしているのは、会社が何もしないから。会社は9月の団交で「会社独自に放射線量測定はしない」と言った。労働者の健康への配慮などみじんもない。
 支部として会社に、専門機関による放射線量測定、専門業者による土壌入れ替えや建屋の除染、放射線量の高い場所での作業は行わないこと、全職場への線量計の配置などを要求している。
 東電と国、資本に全責任を取らせなければならない。独り占めしてきた金と人、科学技術、権力を全部使わせて職場を、福島を、私たちの人生を元通りにさせる。

 福島の人たち孤立させない 長崎の被爆者 城臺美弥子さん

  福島の人たちと連帯したい、福島を孤立させてなるものかの思いで福島にやってきました。
 3月の福島は私たちが二度と目にしたくなかった惨状を再現した。「長崎を最後の被爆地に」と叫び続けてきたのに、三度目の原爆を許した。「どうして?」と悩みました。被爆者自身が「平和利用」という言葉にだまされ、それは希望だと思い込んでいたのです。
 長崎の被爆者は年2回の定期検診を行っているが、これも天から降ってきたわけではない。山口仙二さんという青年がケロイドで顔が崩れた姿で国会議事堂前に座り込んで被爆の実情を訴え、全国に原爆禁止運動が広がった。その力で12年もたって被爆者援護法ができた。その間に多くの被爆者が治療を受けられないまま命を落としました。
 福島、広島、長崎の怒りを一つにして、すべての核と原発をなくすために一緒に闘います。

 子どもたちの命を奪うな! 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 佐藤幸子さん

  3・11以降、県内に残っている30万人の子どもたちを一人でも多く救い出そうと活動してきた。
 9月に訪米し、野田首相が国連総会で演説した22日は会場前でスタンディングデモを行い、晩餐会の会場前で野田首相を直撃して「福島の子どもたちを守れないで原発の安全を世界中に言うのはひきょうだ」と訴えた。
 安全な原発なんてない。福島と日本、世界の子どもたちを守るには、原発を止めるしかない。戦場の炎の中にいる福島の子どもたちを救わなければいけない。
 広島、長崎の原爆はアメリカの手で落とされたけれど、福島は日本政府の手で落とされた爆弾です。もう二度と落としてはいけません。もうこれ以上子どもたちの命を奪わないでください。そのために、どんな人とでもつながっていきたい。

 自然の偉大さ人間の愚かさ 本宮市の酪農家 鈴木光一郎さん

 3・11をもって福島のすばらしい農地が放射能で汚染されてしまった。中通りの放射能は8千〜5千ベクレル程度。表土5aに90%のセシウムが舞い降りた。除染するには膨大な労力と財政負担がのしかかる。
 表土の1aは微生物の200年間の産物。5aは1千年の歴史。その上に農業が存在している。3・11で、今さらながら自然の偉大さ、ありがたみ、そして人間の愚かさに気づかされた。
 地震や津波で家が壊れたわけではなく、放射能を理由に「今すぐ避難しろ」と言われることがどれほどつらいものか。
 でも今日からは違う。NAZENフクシマ結成を一番喜んでいるのは福島県民です。NAZENフクシマが本当に福島県民と世界の労働者のためになったと言えるまで、そして今避難している5万人が自分のふるさとに大手を振って帰れるまで徹底的に闘っていこう。

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週刊『前進』(2508号6面4)(2011/10/17 )

新刊紹介 共産主義者170号

 外注化阻止へ国鉄決戦論

 反原発闘争の戦略的論考

 11・6集会結集への絶好の武器

 『共産主義者』170号は11・6労働者集会への大結集運動の絶好の武器である。国鉄闘争と反原発闘争で新自由主義を打ち砕きプロレタリア世界革命に勝利するという基調が、気迫を込めて全論文に貫かれている。
 巻頭の高城和也論文は首都圏活動者会議の基調報告に新たな情勢展開を加えた路線論文である。本年前半の闘いを総括し、9・19反原発6万人決起の歴史的地平に立って今秋決戦の大きな展望を明らかにしている。
 3・11東日本大震災と福島第一原発事故以後の激しい階級攻防をつうじて国鉄決戦と反原発闘争が画期的な前進を遂げたこと、国鉄を始め4大産別の職場生産点に拠点を建設することが勝利の道であることを論じきった。再録の本紙夏季特別号アピールとともに、今秋決戦への革共同の戦闘宣言だ。11・6労働者集会1万人結集への武器としよう。

 国鉄闘争の到達地平を鮮明に

 鷹村大介論文は、国鉄労働者の歴史的な闘いと現在の攻防の火点である外注化阻止決戦の教訓を踏まえ、現場で闘う国鉄労働者と一体となり、平成採獲得に向けた格闘の真っただ中で書かれた現場性豊かな国鉄決戦論だ。動労千葉が呼びかけた8・30集会で打ち出された外注化阻止・偽装請負粉砕の闘いを路線的に整理して提起している。
 新自由主義が破綻し大恐慌に突入しているからこそ、国鉄決戦が日本階級闘争の主戦場となり、革命的共産主義運動を復権し発展させる闘いとなる。「党と労働組合の一体性」をあらためて明らかにし、国鉄産別の中に新たな細胞建設・指導部建設をかちとる決意に燃えている。
 島崎光晴論文は反原発闘争を闘う上で必須の論文である。9・11―19反原発闘争の歴史的高揚は、反原発が日本革命―プロレタリア世界革命の戦略的課題であること、人類史上最大の原発事故・放射能汚染がいかに激しく、深く、労働者人民に根底的な問題を突きつけるかを鮮明にした。あくまでも原発にしがみつき、フクシマを切り捨てる日帝支配階級への労働者階級の根源的な怒りが、原発をなくし新しい社会を切り開く原動力である。反原発闘争は新自由主義攻撃を打ち破る闘いだ。全原発の廃炉が日帝打倒に直結することを明らかにし、基本路線にすえた重要論文だ。

 新自由主義と対決する諸戦線

 06年の「党の革命」と綱領草案を基礎に、諸戦線においても新自由主義との対決を真正面にすえた新たな路線の確立が前進している。本号では障害者解放闘争と部落解放闘争を取り上げた。ともにプロレタリア革命こそ被差別人民の解放を実現するというマルクス主義に立脚し、新自由主義との対決の核心が階級的団結論にあることを鮮明にした論文である。
 朝霧広巳論文は、綱領草案を全面的に主体化し、「労働者階級と切り離されては生きていけない存在」「本質的に単一の労働者階級」と障害者規定を明確にした上で、障害者が労働者階級との団結を軸に「社会の真の主人公性を取り戻す闘い」として障害者解放闘争を明確に位置づけ直した。それは同時に、「糾弾主義・血債主義・救済主義」への決定的批判となっている。
 柏木俊秋論文は、部落解放同盟全国連西郡支部第6回大会で支部1千人建設を打ち出すに至った西郡住宅闘争に焦点を当て、部落民を「階級的団結を求め階級的分断を打ち破る存在」としてとらえきった。新自由主義攻撃としての80年代地対協路線との非妥協的闘いの継続、党の革命と与田一派らとの激烈な党派闘争を総括し、「新自由主義と闘う部落解放闘争論」の路線的確立の意義を掘り下げている。
 丹沢望論文「イスラエルで60万人デモ」「ILWUが大争議に突入」は、大恐慌の激化・深化の中で高揚する国際階級闘争の環を押さえたものとして重要だ。
 本号の全論文が、それぞれに闘いの新たな地平を体現し、理論的前進をかちとる意欲に満ちあふれている。ぜひ学習・主体化し、11月決戦の武器としてほしい。

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週刊『前進』(2508号6面5)(2011/10/17 )

 日程 10・31狭山闘争

寺尾判決37カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利! 西郡住宅闘争勝利!
反原発・反失業11・6全国労働者集会へ
10・31狭山闘争

東京 東京高裁要請行動
   10月28日(金)午前11時(10時30分に日比谷公園霞門集合)
   狭山集会
   10月29日(土)午後6時30分 南部労政会館(JR大崎駅前)
   主催 部落解放東日本共闘会議

広島 狭山集会
   10月30日(日)午後2時 広島市西区地域交流センター(旧西隣保館)
   主催 部落解放広島共闘会議

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