ZENSHIN 2011/10/03(No2506 p08)

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週刊『前進』(2506号1面1)(2011/10/03 )

 新自由主義と闘う11・6へ

 「復興特区」=大民営化攻撃と原発再稼働を絶対に許すな!

 被災地連帯・農地死守 10・9三里塚へ

(写真 “動労千葉に結集し外注化阻止へともに闘おう” ストに入った組合員を先頭に京葉車両センター門前で抗議闘争【9月30日 千葉市美浜区】=関連記事3面)

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週刊『前進』(2506号1面3)(2011/10/03 )

前進速報版から 前進速報版から

▼11月集会へ動労千葉が国際連帯ニュースを発行▼岡山で反原発・反失業の労働者集会▼中国・広東省で農民5千人と武装警官が激突

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週刊『前進』(2506号1面4)(2011/10/03 )

 日程 11・6全国労働者総決起集会

 反原発・反失業の国際統一行動を! 国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃! 新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを!
 11・6全国労働者総決起集会
 11月6日(日)正午/東京・日比谷野外音楽堂
 集会後デモ行進(午後3時30分出発予定。途中、東電前抗議行動を予定)
(呼びかけ)
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動

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週刊『前進』(2506号2面1)(2011/10/03 )

 JR体制打倒へ11・6集会に大結集を

 動労千葉のストライキに続き全職場で外注化阻止を闘おう

 分割・民営化に決着つける決戦

 国鉄分割・民営化が強行された1987年から25年目を迎える2012年4月を前に、JR資本は労務支配の大再編を含めた「国鉄分割・民営化の完遂」の攻撃をいよいよ強めている。その軸にあるのが、さらなる外注化・非正規職化の攻撃だ。11・6全国労働者総決起集会に至る過程は、外注化・非正規職化を絶対に阻止する決戦と完全に重なった。JR資本と根底的に対決する闘いを職場から巻き起こし、それと一体のものとして11・6集会への万余の結集をかちとろう。

 来年4月までの大攻防へ

 9・19反原発6万人集会は、日本階級闘争を根本から塗り替えた。反原発の怒りは根底的だ。福島第一原発の事故はなんら収束せず、福島を始め被災地の十数万人の人びとが住むところや職を奪われ、放射能汚染に苦しんでいる。その中で野田政権は、原発を絶対に手放さない姿勢をむき出しにした。支配階級と労働者人民とは絶対的に非和解だ。9・19に結集した誰しもが、そのことを実感としてつかみ取っている。何よりも、6万人の大結集により、「労働者には社会を変革する力がある」ということが階級の確信として打ち固められたことが決定的だ。
 その熱気のただ中で、動労千葉は9月29、30日、検修構内外注化阻止を掲げてストライキに立った。JR東日本が6月に提案した京葉車両センターにおける構内運転業務の外注化は、動労千葉の粘り強い闘いにより阻止されたが、JRはあくまで外注化の強行実施を狙っている。これに対し動労千葉は、提案の白紙撤回を要求してストライキを貫徹した。
 国鉄分割・民営化から25年目の来年4月に向かって、外注化阻止決戦はさらに決定的な段階へと煮詰まっていく。
 JR東日本は01年以来、鉄道業務の外注化を強行してきたが、これに対して動労千葉が10年にわたり展開してきた闘いは、千葉支社管内における検修部門の外注化を敢然と阻み続けている。
 その闘いは、千葉支社管内だけでなく、JR東日本全体で、検修外注化を資本がたくらむ計画の約1割に押しとどめている。しかも、動労千葉の闘いに励まされ、至る所で外注化に反対する青年労働者の闘いが噴出し始めている。もはやそれは東労組カクマルによって抑え込むことなどできない勢いだ。さらに、すでに業務の大半が外注化されている保線や電気、信号通信などの設備部門でも、出向を強いられたJR社員を外注会社に転籍させるというJRの思惑は貫徹できていない。
 01年以来の設備部門の外注化は、東労組カクマルの裏切りだけでなく、何よりも4党合意以来の国労本部の屈服と転向によって支えられ強行されてきた。国労の主力をなす保線部門の外注化に国労本部は何ひとつ抵抗せず容認した。その行き着いた先が、4・9政治和解であり、雇用なき1047名闘争の終結だ。
 だが、和解を拒否した闘争団員の闘いや国労5・27臨大闘争弾圧被告団の闘いを軸に、闘う国労組合員は国労総体の変質をくい止めるために総力を挙げてきた。4者4団体が雇用のないまま1047名闘争を終結させたことを機に、今や国労の現場組合員の中から、資本との闘いを抑圧する国労本部への批判が公然と表明され始めている。
 「共に闘う国労の会」の闘いは、来年4月を前に外注化が再度、全JR職場の問題として浮上してくる中で、動労千葉−動労総連合とともに国労内で外注化阻止の闘いを巻き起こす、大きな展望を切り開いたのだ。

 GSの雇い止めと外注化は一体

 グリーンスタッフ(GS)の雇い止め解雇をめぐる攻防も、根底にあるのは外注化攻撃との対決だ。JR資本は、GSの雇い止めを外注化推進のテコとして徹底的に使い切ろうとしている。JR東日本は、正社員試験に合格できなかったGSに関連会社を紹介するという。それは、GSに今以上の低賃金と強労働を強いつつ、GSが培ってきたスキルを外注化のために徹底的に利用するということだ。東労組や国労本部も、雇い止めとの闘いをせず、「グループ会社による雇用機会の提供を拡大しろ」と要求してJRの施策を積極的に推進しているありさまだ。
 すでに地方においては駅業務の丸ごと外注化が次々と進められている。首都圏においても、窓口が丸ごと外注化されている駅は少なくない。JRはこれを極限まで拡大し、営業部門は全面外注化する一方で、最低限必要な安全要員は「ライフサイクル」、つまり運転士の駅への強制配転で確保しようと策している。
 GS雇い止めとの闘いは、まさに外注化阻止決戦の不可欠の一環だ。

 外注化推進するJR総連

 JR大再編の中で資本に切り捨てられることを恐れる東労組カクマルは、ついに検修部門の外注化推進に公然とかじを切った。
 8月12日の東労組と会社との団交で、東労組は「検修業務の7〜8割がグループ会社に出ることになると思うが……現在の休日日数などがあると理解していいのか」「構内の休憩所とかが改善できるのか」などと言っている。出向先での休日数増や休憩所の改善がなされれば、検修業務の大半に及ぶ外注化を認めるということだ。さらに、来年4月の外注化実施を主張するJRに対し、東労組は「われわれも遅らせるのが目的ではない」と応じている。
 JRは「検修外注化により1000人が外注会社に出向に出され、出向の解消には10年かかる。しかも戻れる場所は技術管理か総合車両センター(工場)しかない」と明言した。これに対し東労組は、「出向はローテーションにしろ」と要求しているていたらくだ。
 いったん出向に出されたら10年後にJRに戻れる保障など何もない。外注会社への転籍が強要されることは明らかだ。そんなことは百も承知で、東労組は検修全面外注化に承認を与えたのだ。
 これは、一握りのカクマル分子が資本と結託して生き残るために、平成採の現在と未来を奪い尽くすということだ。
 大恐慌と大震災情勢下、JR資本には外注化攻撃を一層激化させる以外に延命の道はない。JR東日本は08年3月に打ち出した「グループ経営ビジョン2020−挑む−」で、「運輸業以外の営業収益を全収益の4割程度にまで引き上げる」と叫び立て、鉄道部門の徹底した切り捨てを進めてきた。大震災によってさらなる危機にたたき込まれたJR東日本は、その「グループ経営ビジョン2020」についてさえ、「数値目標を含めた具体的内容については新たな視点で見直しを図る」「設備の徹底的なスリム化や、コストダウンを可能とするメンテナンス方法の検討を進める」と唱えている。JRが来年4月に導入をたくらむ新人事・賃金制度もその一環だ。
 大震災は、ことに三島JR(北海道、四国、九州)とJR貨物に甚大な打撃を与えた。この中でJR貨物は、「ニューストリーム2011」に代わる新たな合理化計画「飛躍」を今年4月に打ち出した。その内容は乗務体系の抜本的改悪を軸とした1000人以上の人員削減だ。「飛躍」の中でJR貨物が強調する「固定費の変動費化」とは、外注化を極限まで強行するということだ。
 これがもたらすものは安全の根底的な崩壊だ。今年6月のJR北海道・石勝線における特急列車の脱線・炎上事故は、いくつもの偶然が重なり死者は出なかったものの、まさに第2の尼崎事故と言える事態だった。ディーゼルカーの推進軸が脱落しトンネル内での脱線・炎上に至ったこの事故は、検修外注化と航空会社に対抗するための無謀なスピードアップによって引き起こされた。
 外注化を許せば、大事故がさらに頻発することは明らかだ。絶対に阻止しなければならない。

 日帝の基本戦略撃つ闘い

 JRで進行する攻撃は、日本帝国主義ブルジョアジー総体の戦略とぴたりと重なる。民主党政権は、「原発継続しか活路はない」と叫ぶJR東海会長の葛西敬之を「東京電力経営・財務調査委員会」の委員に任命して原発推進の実行担当者としてきたが、野田政権のもと、葛西を新たに行政刷新会議のメンバーに加えた。つまり、葛西に公務員労働者360万人首切りの陣頭指揮を執らせるということだ。この攻撃の切っ先には、被災地を「特区」とし、労働基本権を停止して「アジア諸国並み」の低賃金で労働者を搾取するという経団連の戦略がある。
 新自由主義の突破口になったのは国鉄分割・民営化だ。その国鉄分割・民営化と24年間、対決してきた国鉄戦線こそ、日帝資本の基本戦略を根底から覆す位置にあり、その責務を負っている。
 敵の攻撃も破産的だ。JR北海道社長・中島尚俊の自殺は、JR大再編情勢が敵階級の中にすさまじい矛盾とあつれきを生んでいることを示している。JR総連カクマルとの結託体制を清算して資本による単一支配をつくり出そうとする攻撃は、逆にカクマル支配の崩壊のすき間を突いて青年労働者の資本への反乱をつくり出している。
 11・6労働者集会と来年4月に至るJRをめぐる大決戦は、この情勢下で闘われる。青年はJR資本とJR総連へのすさまじい怒りを抱えている。それを力ある闘いに転化するためは、青年をマルクス主義で獲得することが必要だ。そのための不屈の実践を貫徹できる細胞と地区党の強固な団結を築き上げよう。
 11・6への万余の結集をつくりだし、その力で外注化阻止・JR体制打倒に突き進もう。

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週刊『前進』(2506号2面3)(2011/10/03 )

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判 控訴審判決公判に結集を

 国労6被告の無罪かちとれ

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判の控訴審判決公判が10月13日、午後1時半から東京高裁第10刑事部(村瀬均裁判長)で開かれる。判決公判と同日夕の国鉄闘争勝利総決起集会に結集しよう。
 国労5・27臨大闘争弾圧とは、鉄建公団訴訟を起こした国労闘争団員を統制処分の手続きに付すために02年5月27日に国労本部が強行開催した臨時大会に際し、本部方針を弾劾するため闘う国労組合員らが本部役員らの宿泊するホテル前で繰り広げたビラまき・説得活動が「暴力行為等処罰法違反」にデッチあげられた弾圧だ。国労本部は闘う組合員を平然と警察権力に突き出した。
 被告とされた国労組合員6人と国鉄闘争支援者1人は、この弾圧に全力で立ち向かい、7年にわたる裁判闘争を貫いた末、09年11月の一審判決で国鉄闘争支援者は無罪判決をかちとった(確定)。一審判決はまた、暴力行為等処罰法は適用できないとし、被告の間に共謀があったとする検察側の主張も退けた。それならば全員に無罪判決が下されなければならないはずだが、司法権力は国労組合員の6被告に対し「単純暴行」で罰金刑というきわめて政治的な反動判決を出した。
 6被告は完全無罪を求めて控訴、控訴審は全被告の証言を終え、今年5月7日に結審した。一審から通算して約9年の裁判闘争の全内容を踏まえれば、判決は全被告の無罪以外にあり得ない。しかし、大恐慌と大震災情勢のもと、反原発を始めとする膨大な労働者人民の決起に追いつめられた司法権力は、階級的労働運動の発展を抑え込むため、あくまで有罪判決を維持しようとたくらんでいる。10月13日の判決公判は、この策動と真っ向から激突する闘いだ。被告団は、どのような判決が出されようと、あくまで国家権力と対決し、国鉄闘争勝利・国労本部打倒、外注化阻止を軸とするJRとの大決戦を闘いぬく決意を固めている。

 国労本部打倒国労の再生へ

  6被告は国労を階級的に再生する闘いの先頭に立ってきた。新自由主義に対する労働者の抵抗の拠点としてあった国鉄闘争を解体するために強行された昨年4月9日の「政治和解」を徹底弾劾してきたのも5・27被告団だ。その闘いは和解を拒否して解雇撤回まで闘いぬく国労闘争団員6人の闘いを生み出し、国鉄闘争全国運動の一翼を担う「共に闘う国労の会」の闘いをつくり出した。
 JR体制の破産は明白だ。青年を先頭とした現場労働者の力で、国鉄分割・民営化以来の一切に決着をつける時が来た。
 しかし国労本部は、今年7月の国労大会で国労闘争団員の解雇撤回闘争の終結を宣言し、国労規約を改定して闘争団員を組合から排除するところにまで転向を深めている。彼らは連合への合流をあけすけに表明し、JR大再編情勢の中でますますJR資本の手先に純化しつつある。JR東日本のグリーンスタッフ雇い止めとも闘わず、新人事・賃金制度を受け入れ、総合労働協約の締結をも策している。国労本部は、組合員が反原発闘争の大高揚と結合することを恐れ、9月19日の反原発6万人集会にまともな動員もしない腐敗した姿をさらした。
 だが、こうした本部のあり方に対し、闘う組合員は9・11−9・19反原発・反失業闘争の先頭に立った。JR総連やJR連合傘下の青年労働者、国労の現場組合員の怒りを糾合し、外注化・非正規職化阻止−JR体制打倒の突破口を被告団とともに切り開こう。
 10月13日を国鉄闘争勝利に向けた一日行動として闘おう。あくまで国鉄1047名解雇撤回を掲げぬき、11・6全国労働者総決起集会への万余の結集をかちとる一大ステップとして公判闘争と集会を闘いぬこう。

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 国鉄闘争勝利!一日行動

 10月13日(木)
 国労5・27臨大闘争弾圧裁判
 控訴審判決公判
  午後1時半 東京高裁102号法廷
  ※傍聴券交付 午後1時〜

 判決公判報告・国鉄闘争勝利総決起集会
  午後6時半開始
  東京・文京区民センター
  主催/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会

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週刊『前進』(2506号5面1)(2011/10/03 )

 新刊紹介 国際労働運動11月号

 内部被曝問題の全容

 9・11−9・19反原発全国一斉行動は、19日明治公園の6万人大結集を始め全国100カ所で10万人が立ち上がった。反原発闘争は新たな段階に突入した。全原発の停止・廃炉、再稼働阻止の闘いが火を噴いている。原発への怒りを職場に持ち込み、闘う労働組合をよみがえらせれば、原発は絶対止められる。次は、「反原発・反失業11・6日比谷集会」だ。特集はそのための武器である。
 第1章は、政府と被災地人民(全人民)との攻防の焦点となっている内部被曝・低線量放射線の問題である。政府は「内部被曝は危険ではない」とウソデタラメを言う。その危険性は歴史的にも、さらにペトカウ効果などによって現在的にも明らかになっている。
 第2章は、「核の平和利用」論批判。核を基軸とする戦後世界体制の中から、「核の平和利用」論がいかに成立・展開してきたのか、日本共産党の裏切りを含めて全面的に批判している。
 第3章は、核・原発を推進してきた御用学者らを徹底断罪し、大学・教育の腐敗を生み出した新自由主義を弾劾している。
 翻訳資料は、「シンディ・シーハンVSミチオ・カク」。シーハンさんとカク博士(著名な米理論物理学者・日系3世)の対談。原発廃止の立場から福島原発事故の問題を的確に批判している。

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週刊『前進』(2506号6面1)(2011/10/03 )

 なくせ原発 再稼動阻止へ! @

 原発再稼働を阻止し完全廃炉に

 冷却装置は地震動で破壊された 「津波原因論」は再稼働狙うウソ

  9・19明治公園を埋めた6万人の原発反対の怒りの決起は、日本の階級闘争を根底から一変させた。だが野田はこの決起への敵意をむき出しにして訪米前のインタビューで「来年の春以降、夏に向けて」と再稼働時期を明言し、国連本部では原発輸出を継続する考えを表明した。絶対に許すな。「原発再稼働阻止」は当面する闘いの結集軸だ。その力は9・19集会が示したように闘う労働組合の階級的再生にある。11・6労働者集会1万人結集を実現しよう。今シリーズでは、福島原発事故の現状、御用学者批判、放射能汚染との闘い、連合批判などを取り上げていく。

 「冷温停止」の虚構と水素爆発の危険

 福島第一原子力発電所の事故は半年以上たってもまったく収束のめどすらたっていない。
 原子力発電所の事故では「止める、冷やす、閉じ込める」の三つが重要だと言われるが、福島では後の二つに失敗し、四つの原発が爆発を起こすというチェルノブイリ事故を超える未曽有の深刻な事態になっている。
 東京電力と政府は「循環注水冷却システム」なるものが確立し、年内にも「冷温停止」に持ち込めるなどと主張しているが、まったくのでたらめであり、ペテンである。
 そもそも「循環」という言葉自体がまやかしだ。本来の原子炉冷却システムの設計は放射性物質を絶対に外に出さないように閉じたループになっている。だが東電は本来の冷却システムの復活を放棄して、溶けた燃料棒に「打ち水」をし、あふれ出た泥水をポンプでくみ上げて浄化した上で再度打ち水をしているにすぎない。まさに「焼け石に水」なのだ。
 「打ち水」が一定の効果をもつのは水が水蒸気になる時に気化熱を奪うからだ。そしてその水蒸気が大気中に拡散し続けることが前提だ。ところが溶けた燃料棒にかけて出る水蒸気には大量の放射性物質が含まれている。それをばらまき続けているのだ。
 しかも、燃料棒にかけて余った水にも大量の放射性物質が含まれている。それが原子炉建屋のひび割れから漏れ出し、地下水と混じり合って地下でも放射性物質が拡散し続けている。地下にたまった泥水をくみ上げて何重にも濾過(ろか)してまた使うというのが「循環注水冷却システム」の正体なのだ。
 つまり東電は、水蒸気と地下水という二重のルートで放射性物質を垂れ流し続けているということだ。「循環」とは聞いてあきれる。
 しかも原子炉建屋の配管で予想以上の水素が確認され、水素爆発の危機が語られている。何が事故収束への工程表だ。

 黒塗り「手順書」は何を隠しているか

 福島第一原発事故の真相に迫る重大な事態が判明した。
 東電は原発に反対して闘い続けてきた人たちに追い詰められ、9月2日「1号機事故時運転操作手順書」なるものを国会に提出した。ところがこれはA4判計6枚の内、ほとんどが黒塗りされ、読めるのはわずかに19行だけというとんでもない代物であった(写真)
 提出された「手順書」の内、わずかに読める部分を見ると、それは東電が実際に実施した、ないしは実施したと主張する項目だけである。
 では必死になって何を隠そうとしているのか。それは福島第一原発が1時間後に到来した津波ではなく、最初の地震動で基本的に崩壊していたという厳然たる事実だ。
 東電も政府も福島事故は津波が原因、津波対策さえやれば原発再稼働は可能だというキャンペーンを必死になって行っている。だが地震動が原因だとなると、地震大国の日本でそもそも原発など成立するのかという話にまで必ず発展する。そのことを東電と政府は死ぬほど恐れているのだ。
 福島第一では外部から引き込んでいる交流電源が地震ですべて喪失した。バックアップ用のディーゼル発電機は地震直後にすべて起動したと東電は主張している。だがその発電機も津波で全滅し、全電源喪失(ステーション・ブラック・アウト)に陥った。
 地震で停止した福島第二、女川、東海第二での冷温停止にむけての操作の実態が次第に明らかになってきている。それらと比較すると、全電源喪失を考慮に入れたとしても福島第一はあまりに違う。福島第一では、冷却のための多重防護が破られ、最後の手段(1号機では非常時復水器〔IC〕、2〜4号では原子炉隔離時冷却系〔RCIC〕)をとるしかなくなり、それも満足に実施し得ない状況にまで追い込まれたとしか言えない。
 黒塗り部分には、他の原発では実施されたさまざまの手順が書かれていたに違いない。それが公になると、なぜ福島第一ではこの手順を実施しなかったのか、それがだめでも次の手順はなぜだめだったのか、と次々と質問を浴びせられることになる。そうなると、「実は、あれもこれも地震でつぶれていました」と地震動での原発崩壊を認めざるを得なくなるのだ。
 原子炉建屋の略図を見てほしい。これでもまだたくさんの省略がある。代表的な原発では、熱交換機140基、ポンプ360台、弁3万台、モーター1300台、配管にいたっては重量1万d、総延長170qに及ぶ。同規模の火力発電所の2倍以上だ。われわれは原子炉停止後の「崩壊熱」のすさまじさを身にしみて味わった。これだけの装置や配管が走り回っているのは、ただただ原子炉を冷やし続けるための多重防護のためなのだ。
 膨大な「崩壊熱」を除去するための中心の冷却装置が残留熱除去系(RHR、1号炉はSHC)だ。定期検査中の原子炉はこのRHRで冷却し続けている。福島第一以外の原子炉はさまざまな経緯はあるが、最終的にはRHRを復活することで冷温停止に持ち込んでいる。半年たってもRHRが復活できない中に福島第一の事故の深刻さが鋭く現れているのだ。
(写真 東電が9月2日に国会に提出した「事故時運転操作手順書」)

 35年以上酷使した老朽化原発の破綻

 福島第一は1号機が71年3月26日に営業運転を開始し、あと2週間で40年にもなる老朽化原発の代表格である。2〜4号機も35年以上稼働させ続けている代表的な老朽化原発である。原発は当初は30年程度の寿命で設計されたと言われている。それが反対運動に包囲され新規立地に行き詰まる中で老朽化原発を延命させ続けてきたのだ。
 老朽化原発への反対運動が闘われる中で、原発の根本的な問題が種々明らかになってきた。
 福島第一に限ってみても、2002年に暴露されたひび割れ隠蔽(いんぺい)問題がある。2003年には東電の全原発17基が運転停止。東電社長が辞任に追い込まれた。その時に発見されたトラブル隠しは29件にも及ぶ。
 だが政府は2003年に「維持基準」なるものを導入し、それまではひび割れがあると修理していたものを、ひび割れの進行具合をコンピューターでシミュレーションし、原子炉の寿命とされている時期までに破断しなければいいというとんでもない方法に改めた。つまり、ひびを発見しても修理しないということなのだ。
 こんなひび割れだらけの原発だから、今回の大地震でひとたまりもなく崩壊したということだ。
 そもそも安全な原発などありえない。「核と人類は共存できない」のだ。それを無理やり推進してきたのは、原爆開発で開発された技術の応用でしかない原発の本質問題に行き着く。戦争のための技術だから、安全など二の次三の次なのだ。
 野田政権は原発事故の真の原因を知りながら、それを隠して再稼働させようとしている。事故の真相を全人民に明らかにし、再稼働を絶対に阻止しよう。
 (城之崎進)

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週刊『前進』(2506号6面2)(2011/10/03 )

 10・6法大デモ-10・21福島大行動へ

 法大支部の今秋決戦アピール

 御用学者追放し大学取り戻そう 全国の大学で学生自治会建設を

 マルクス主義学生同盟中核派・法大支部

 5年半を超える法大闘争は、今次全学連大会をもってついに法大から全学連委員長を生み出した。この地平を今こそ全国に拡大し、学生運動の爆発をかちとろう。それが原発事故に対する日本の学生の「未来への回答」であり、フクシマとの根底的な連帯の道だ。大学は、9・19の反原発6万人集会であらためて示されたフクシマの怒りに徹底的に敵対している。学生は自らの生き方をかけてこの現実をひっくり返し、キャンパスを御用学者から取り戻そう。10・6法大デモ―10・21福島大行動へ! マル学同法大支部は今秋法大闘争を必ず爆発させる。
(写真 今年4月22日の法大包囲・反原発デモ)

 全学連の新委員長を生んだ法大闘争

 9・19反原発集会は6万人という大結集をかちとり大成功した! この6万人の怒りの決起は新自由主義への一大反撃だ。国鉄分割・民営化を出発点とする新自由主義攻撃は労働者の団結を破壊し、労働者の権利を根こそぎ奪うことで労働者に奴隷労働を強制してきた。その象徴が原発だ。9・19は国鉄1047名解雇撤回闘争を軸に脈々と受け継がれてきた日本労働者階級の戦闘性が健在であることを示したのだ。そしてこの闘いを牽引(けんいん)したのは「4・9政治和解」を拒否し、労働者の誇りに徹底的に依拠して闘い抜いてきた動労千葉を先頭とする階級的労働運動だ。
 学生の闘いもこれと一体で闘われてきた。04年の国立大学法人化以来、激しく進んだ「教育の民営化」は、学生の団結を破壊し、学生自治を解体して学問を金もうけの道具に変質させ、大学の腐敗を生み出した。御用学者の存在に表されるように、その象徴もまた原発だ。2000年以降の激しい学生運動つぶしの中から学生の必死の苦闘を通して生まれた法大闘争は、学生の誇りに徹底的に依拠して闘い抜かれ、多くの次代を担う指導部を生み出し、国家権力の総力をあげた弾圧をのりこえて勝利してきた。今次全学連大会で選出された新執行部はまさにその象徴だ。ついにわれわれは法政大学から全学連委員長を輩出したのだ。
 このような闘いをやり抜いてきたからこそわれわれは、3・11大震災以降、世の中を覆った「自粛」を粉砕する最先頭に立つことができたのだ。国鉄闘争全国運動6・5大集会、6・19怒りのフクシマ大行動を打ち抜き、階級闘争の最先頭にわれわれが立ち続ける中で、体制内労組の枠組みをはるかに超えて労働者が決起し、9・19反原発闘争の大高揚がかちとられたのである。だからわれわれがこの6万人と結合することは可能だ。9・19の高揚を11・6労働者集会の大結集へと発展させよう。

 多くの学生が3・11で目覚め闘い開始

 08年リーマン・ショック以降、学生の置かれている現実はますますひどくなり、新自由主義への怒りはますます激しくなっている。学費は年々高くなり、それにつけこんで奨学金が利殖事業となっている。400万円、500万円もの借金を背負わされて社会にほうり出される学生は膨大な数に上っている。
 卒業後には、大恐慌下で新卒の失業率が10%を超える現実が待っている。大学は、学生から学費と奨学金という形で未来の賃金をむしり取ったうえで、就職についてはすべて自己責任とし、なぜ社会がこんなことになっているのかという問いには答えようとしない。「学費が高くてアルバイト漬け」「奨学金を借りているから大学に抗議はできない」「忙しくて社会のことにはかまっていられない」「内定が取れない。でもやるしかない」……。
 2000年、小渕内閣の「21世紀日本の構想」懇談会レポートは「教育とは警察や司法と同様、一つの統治行為である」と定義した。今の大学教育は真実に対して目を向けさせず、学生を個別に分断することで支配を成り立たせる統治行為になっているのだ。
 時代は大恐慌である。米経済とドル体制は崩壊に向かい、EUと通貨ユーロはギリシャのデフォルトをきっかけに解体に向かっている。日本はこの影響をもろに受け、さらに3・11大震災で財政破綻へと向かっている。恐慌対策によってあふれた投資マネーは新興諸国へ向かい、バブルとインフレをつくり出している。インフレと大失業は世界中で労働者人民の生きるための闘いを呼び起こし、革命の炎を燃え上がらせた。中東諸国やイスラエルで闘いが爆発し、中国では人民の暴動に次ぐ暴動によって体制がグラグラになっている。
 支配階級は、新自由主義を全面化したら何が起こるかを予感していた。だからこそ全国の大学で学生運動をたたきつぶし、今もその「芽」すら生まれてこないようにキャンパスをルールでがんじがらめにしている。学生が団結して行動することを恐れ、クラスを解体し、サークル活動を規制し、飲酒すら禁止することで学生同士の交流と討論を妨害している。法政大の弾圧専門職員(通称「ヤクザ部隊」)はその象徴だ。
 しかし、われわれ学生は「モノ」ではなく人間である。3・11を受けて多くの学生が真実に目覚め、必死に闘いに立ち上がっている。なによりも法大闘争は今も日本学生運動にそびえ立っている。世界中で「教育の民営化粉砕!」を掲げた同じ闘いが巻き起こっている。今この瞬間にもチリで50万人の学生デモが巻き起こり、韓国では「ソウル大学法人化法廃棄」を掲げて全学ストライキが呼びかけられている。

 フクシマと連帯し原発再稼働阻止へ

 特に日本の学生は原発事故によって許しがたい現実にたたき込まれている。そして、そこから生み出される激しい怒りを抑え込む先頭に立っているのもまた大学だ。福島県の放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一(福島県立医大副学長)を先頭とする御用学者どもは、「原発安全神話」が崩壊するや、今度は「放射能安全神話」をまき散らしている。
 はっきりさせたいことは、今福島で起きていることは、本質的に私たちのキャンパスで起きていることと同じだということだ。福島で「活躍」している御用学者の姿は、法政大学では学生を分断し、声を封じる弾圧専門職員の姿なのだ。法大での逮捕・処分は、まさにこの連中によって強行されてきたのだ! 学生の批判の声を封じ込め、行動を抑え込むことに「活躍」している腐った職員や教授が、教育の民営化によって腐敗した全国の大学にいる。こいつらを全員、蹴散らす学生の団結した行動が求められている。これこそが私たち学生の最も根底的な「フクシマの怒り」との連帯だ。
 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」世話人の佐藤幸子さんは、「若い人こそ原発を止めて下さい。福島のような子どもたちを二度とつくってはダメです」と訴えている。全学連は10月を「フクシマ連帯月間」として闘うことを呼びかけている。すでに闘いは始まっている。京大では10月1日、京大原子炉実験所で行われた御用学者講演会弾劾デモが打ち抜かれた。法大では10月6日昼休みに「原発反対! 弾圧職員追放!
フクシマ連帯!」を掲げて法大デモを行う。すべての学生に集まってほしい。
 その高揚を引き継ぎ、10月21日の福島大行動に総決起しよう! 学生こそ反原発闘争の先頭に立ち、自分と仲間の未来をかけて生きるために闘おう!

 全国で法大のように闘おう

 今、全国に法大闘争の地平で闘うことが求められている。9・19反原発6万人集会で福島を代表して登壇した武藤類子さんは「私たちは誰でも変わる勇気を持っています。奪われた自信を取り戻しましょう」と述べた。彼女の発言に触発され、6万人という数の持つ影響力も加わり、労働者階級は自らの力に確信を深めている。ところが今この時に体制内派は、この誇りと確信を低め、議会内の闘争や条件闘争へと反原発の怒りと決起を切り縮め、おとしめようとしている。こんなものはぶっ飛ばして、全国で法大のような闘いを打ち立てよう。それは絶対にできる。9・19大集会への道を切り開いたのはわれわれなのだ。
 全国の大学に学生自治会を建設し、すべての大学から御用学者とその同類どもをたたき出そう! 10・6法大デモから10・21福島行動へ! そして11・6労働者集会に総決起し、日比谷公園を埋め尽くそう!

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週刊『前進』(2506号6面3)(2011/10/03 )

 日程 10・6法大デモ

 10月6日(木)12時半、法大正門前集合午後1時から法大包囲デモ
呼びかけ/法政大学文化連盟、全学連

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週刊『前進』(2506号7面4)(2011/10/03 )

 三里塚裁判傍聴を!

◎団結街道裁判
10月11日(火)午前10時30分 千葉地裁

◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
10月18日(火)午後2時 千葉地裁
(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)

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週刊『前進』(2506号8面5)(2011/10/03 )

 日程 10・7反原発弁護士市民集会

 10月7日(金)午後6時
 弁護士会館2階講堂クレオ(霞が関)
★佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)
「子どもの未来を奪うな!福島を返せ!」
★大石又七さん(ビキニ水爆実験被爆者・第五福龍丸乗組員)
「空に閃光が…そして死の灰が」
★小出五郎さん(科学ジャーナリスト・元NHK解説委員)
「原子力村とジャーナリズムの責任」
★高山俊吉さん(弁護士)
「裁判所の責任を徹底的に追及する」
○すべての原発いますぐなくそう!全国会議
 (な全=NAZEN)からのアピールほか
 主催/反原発日弁連臨時総会請求運動

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