ZENSHIN 2011/04/04(No2482 p08)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

(写真 3・27三里塚「全力で被災地支援を」 反対同盟は被災地の労働者・農民・漁民と心をひとつにして「全原発の即時停止」「第3誘導路粉砕」を訴えた。演壇上は基調報告を行う萩原進事務局次長=記事5面)

週刊『前進』(2482号1面0)(2011/04/04 )

 新入生歓迎特集号

◇2面
 法大解放闘争を/法大文化連盟・斎藤郁真
 被災地・東北大からアピール/石田真弓
 全国の学生は5・15安保・沖縄闘争へ
  マルクス主義学生同盟中核派
◇3面
 マルクス主義を甦らせよう
  マルクス主義学生同盟中核派

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号1面1)(2011/04/04 )

 ●特集 新入生諸君! ともにプロレタリア世界革命へ

 大震災と闘い生き抜く団結を

 革命で青年・学生の未来開こう

 織田陽介全学連委員長は訴える

(写真 東京電力本社【右側】を徹底糾弾するデモ隊。怒りの爆発に震え上がった警視庁がこの直後に襲いかかり、斎藤君【先頭】、坂野君【マイク】、織田君【その後ろ】を不当逮捕した【3月31日 千代田区】)

 新入生の皆さん! 世界史の大転換期が到来している。大恐慌、大失業と戦争、そして大震災と原発事故。こんな資本主義社会にもう未来はない。帝国主義の支配を打ち倒し、全世界の労働者階級とともに新しい社会をつくろう。織田陽介全学連委員長のアピールを紹介します。織田君は3・31東京電力糾弾デモで不当逮捕されたが、翌日奪還されました。(編集局)

 社会を根本から変えるために今こそ闘う時だ

 すべての学生、とりわけ新入生のみなさん。そして被災地の大学の学生、被災地出身の学生のみなさん。3月11日に起きた東日本大震災の現実は、今も悪化の一途をたどっている。犠牲者は増え続け、食べ物やガソリン・灯油がいまだに多くの地域に届いていない。数十万人と言われる失業、そして何よりも福島第一原発の問題は殺人的な被曝(ひばく)と農漁業の壊滅的な被害を拡大している。大切な家族や仲間を失ってなお、必死に生き抜く被災地の人たちの立場に立ち、私たち若き学生こそがこの現実に立ち向かわなければならない。「全原発の廃止」を掲げた大署名運動と救援活動を、今持てる学生のエネルギーを注ぎ込んで壮大に始めよう!
 震災は「予想を超えた天災」「人間にはどうしようもない事態」ではけっしてない。「10年以内に99%の確率で起きる」と言われてきた地震に対して、住民の声を無視し、まともな堤防すら造らなかった地方切り捨て政策、危険を百も承知で建設してきた原発。すべてが自民党政権とそれを引き継ぐ民主党政権の政策だ。菅政権は、人命や救援にではなく、株価を守るために120兆円を超える金を投入している。あげくの果てに「電気料金の値上げ」「増税やむなし」などとますます責任を労働者や学生、農漁民や市民に押しつける。自分のやったことに責任もとれない政権に未来は託せない。私たち学生自身の主体的な運動が必要だ。未来ある学生の力を今こそ爆発的に発揮しよう!
 福島県警は原発から5`の地点で発見した遺体を、放射線量が高いために収容を見送り撤退した。福島原発の現場で事故処理のために働く労働者にまともな食事も水も保障していない。
 また、福島の農民が自殺したという痛ましいニュース。学校給食用のキャベツを作り、「安全な食べ物を子どもに届けたい」が口癖だったという。こうした努力や農民としての誇りも、生きる希望すらも原発は一瞬にして奪った。政府も東京電力も、いまだに原発政策を続けようとしている。絶対に許せない。農民の命を返せ! 二度と住めなくなった故郷を返せ!
 原発は、この社会が金もうけのためだけに若者の命と未来をどれほど軽く扱っているかを示した。被曝して病院に運ばれた労働者は非正規職の労働者だ。1千万人以上の労働者が非正規職に突き落とされ、命すらも金で買いたたかれるような社会で初めて成り立ってきたのが原発だ。

 新自由主義下で大学も教育も腐りきっている

 そして何よりも、原発政策を止めるために闘うべき労働組合と大学が、これに加担してきた。連合は原発輸出による金もうけに賛成し、日本共産党は「核の平和利用」と擁護してきた。そして今なおうそをつき続ける大学教授の姿! だからこそ、怒りも臨界点にある青年労働者の闘いとともに、私たち学生が大学を根本から変革していく闘いにこそ、今の現実を変えていく力がある。
 大学で腐敗しているのは原発推進の教授連中だけではない。大学は「寄付講座」と称して企業に授業そのものを売っている。東大では、「東京電力株式会社」が年額5億円もの金をつぎ込んで、授業という名で学生にうそを教え、学問を買収してきた。「核燃料サイクル社会工学」「低炭素社会実現のためのエネルギー工学」「都市持続再生学」等々、その授業の名前だけでもハラワタが煮えくりかえってくるじゃないか!
 小泉政権のもとに強行された国立大学の「法人化」(04年4月)は、「産学協同」路線の行きついた姿だ。「業績」を評価し予算の配分によって学問を国家や資本の餌食にするものとなった。教育や学問が金もうけの手段になった。こんなものが大学だろうか。学問と呼べるだろうか。
 こうした教授連中は、学費を上げ、サークル活動までも金もうけの対象にしてきた。学生を競争させ、受験をも金もうけのチャンスとしてきた。
 被災地・仙台の東北大学では、日就寮生が愛媛新聞に取り上げられた。愛媛の受験生親子が被災し寮に身を寄せ、「寮生に助けられた」と語っている。寮生は食事を分け合い、不安をのりこえ、団結して生き抜いている。こうした団結した寮に大学当局は廃寮攻撃をかけてきた。この攻撃に負けずに闘い抜いてきた寮生が、今被災地で先頭に立っている。団結した行動こそが希望なのだ。
 こうした新自由主義政策と最も闘い抜いてきたのが法政大学の闘いだ。ビラや立て看板すら許さず、ビラまきや集会を理由に無期停学処分や退学処分が行われ、5年間で延べ118人が逮捕された。これに真正面から対決し、ついに処分を教授会で決定できないところまで前進している。しかし、菅政権、国家権力、法大当局は倉岡雅美さん(人間環境学部3年)への無期停学処分を強行してきた。その理由は休み時間の宣伝活動を「授業準備妨害」と称するデタラメなものだ。いったい、この腐敗は何なのか! 学生の反対の声は高まり、反対署名は1700筆を数える。大学の「決定」や「ルール」、こんなものは学生の行動でひっくり返そう。大学を学生が取り戻す機は熟した。
 新自由主義は、教育も社会保障も、雇用も何もかもを破壊し、社会を崩壊させた。こうした姿が大震災で暴き出された。労働者、学生、農漁民、あらゆる人の怒りが臨界点に達しようとしている。社会を根本から変えるのは今だ。

 大恐慌−戦争・大失業に団結して立ち向かおう

 大恐慌は「日本発」でさらに激化しつつある。解雇や「内定切り」、増税、地方のますますの切り捨て、新自由主義が「天災」を口実にさらに進められようとしている。菅政権がやっていることは救援ではない。労働者・学生を有事体制へと縛りつけ、支配の大破綻をいかにくいとめるかという攻撃だ。菅は「復興ニューディールとも言うべき需要が生まれる」と金もうけしか考えていない。菅との闘いなくして復興もない。
 1929年の大恐慌が第2次世界大戦に行きついたように、アフガニスタンとイラクに続き、ついに激動の中東、リビアへの米英仏軍の軍事介入が始まった。崩壊した中東・石油支配を受けて、どの国が支配を行うかをかけた戦争だ。日本政府は軍事介入に「支持」を表明し、沖縄の米軍基地から軍用機が飛び立っている。朝鮮半島とその周辺では米韓日の軍事演習が行われている。次に来るのは労働者・学生の戦争動員だ。
 そして、原発は戦争の問題そのものである。核武装を狙ってきた政府が、福島で原爆を落としたということなのだ。ヒロシマ・ナガサキから66年もたち、フクシマという地名が世界中に知れ渡った。世界が私たちに注目している。日本の学生・青年は原発を許すのか、日米安保を許すのかと。
 大恐慌は、大失業と戦争を生みだし、これへの怒りがついにエジプト革命となって爆発するところまで来た。日本の学生も立ち上がろう。沖縄米軍基地撤去、日米安保体制を粉砕し、リビアの闘いと連帯を!
 @すべての原発を直ちに停止・廃止せよ、A政府・東京電力は責任を認め謝罪し、すべての被害を補償せよ、B原発政策を擁護・推進する学者の責任追及――を掲げた1千万筆署名運動に立ち上がろう。全学の署名を集め、菅と東電にたたきつけよう。これ以上絶望や自殺を出してはいけない。署名という闘う方針をあらゆる場所に届けよう。これが一番の救援だ。
 そして、東北大学を先頭に、闘う学生自治会をよみがえらせよう。学費や家賃、交通費など一切を無料にしろ! 原発推進教授を追放しよう! この闘いと連帯し、すべてのキャンパスで大学を根本からつくり変えるために闘おう。全国学生救援連絡会議の実行委員会を立ち上げ、新自由主義によって奪われてきた学生の団結した全国組織の建設を!
 震災を口実にした新歓破壊を許さず、苦難をのりこえて集まる1年生を全学生で盛大に迎えよう!
 4月法大、5月沖縄から8月ヒロシマ闘争へ、大学闘争と反戦闘争を闘おう。
 未来は私たちのものだ。原発によって社会がいかに破壊されようと、すべてを引き受け、私たちの手で新しい社会をつくろう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号3面2)(2011/04/04 )

 米軍・自衛隊が有事体制に突入

 大震災救援口実にして 朝鮮侵略戦争の発動狙う

 「周辺事態法」を事実上発動

 東日本大震災の被災地支援を名目に、米軍は「TOMODACHI(トモダチ)作戦」などと名付けた空前の規模の「日本有事」作戦を展開している。それは自衛隊の総兵力の半数に近い10万人出動体制との統合作戦に発展し、事実上の「周辺事態法」の発動、日米安保体制の総力を挙げた実戦発動体制に発展しつつある。
 米軍の態勢は陸海空と海兵隊の4軍で約1万8千人(!)に達した。航空機140機、原子力空母ロナルド・レーガン、巡洋艦チャンセラーズビルなどを含む艦船は19隻にも及ぶ。佐世保基地の強襲揚陸艦エセックスやドック型揚陸艦トーテュガも投入、多数の上陸用船艇を三陸地方に接岸させた。
 嘉手納基地所属の特殊戦術飛行中隊(アフガン戦争にも出動した精鋭部隊)が、自衛隊の動きに先行して空挺部隊と高機動車ハンビーを仙台空港にパラシュート投下する作戦も行った。地上に展開した部隊はわずか3時間で1500bの滑走路を確保、直後に大型のC17戦略輸送機が40dの物資を積んでアラスカの基地から飛来した。
 また海兵隊は、新基地建設問題で沖縄の労働者人民と激突している普天間基地所属の輸送機やヘリ部隊などが物資輸送を積極的に展開。岩国基地も含む空輸ミッションは一日平均40往復にも達し、普段は秘匿している部隊規模や移動状況を日々発表、存在をアピールしている(朝日)。
 さらにグアムのアンダーセン基地所属の無人偵察機グローバルホークも福島原発上空の撮影を開始した。これはカリフォルニアの基地から衛星通信を通して遠隔操作されている。(図参照)
 これは被災地支援出動の域を完全に超えた軍事作戦だ。マスコミも「自衛隊と米軍は“日本侵略の有事”に準じる体制」(読売)、「突出した米国の日本支援は人道的側面だけではない。東アジアの平和と安定へ、有事で日米同盟がいかに力を発揮するかだ」(産経)などと報道。「東アジアの平和と安定」とは11・23延坪島砲撃戦以来の朝鮮侵略戦争情勢のことだ。
 対照的に、震災で支援を申し出た中国に対し日本政府は露骨なまでに冷淡だった。中国政府はガソリン1万dとディーゼル油1万dの援助を決定したが、日本政府は2週間近く許可を出さず、しかも輸送先を被災地ではなく、何と「広島県と愛媛県」に指定した。

 米太平洋軍のトップが指揮

 こうした中で、米軍は派遣した4軍を統括するため、在日米軍司令部のある東京・横田基地に「統合支援部隊(JSF)」を新設した。指揮官は、地震発生直後は在日米軍司令官(中将)だったが、JSF発足に伴い米海軍太平洋艦隊司令官=太平洋軍最高司令官のウォルシュ(大将)が着任した。つまり太平洋軍(第7艦隊、第3艦隊を含む24万人の陸海空海兵隊統合軍。太平洋全域とインド洋を管轄)の文字通りのトップが、この「トモダチ作戦」の指揮を執っているのである。
 そして日米両軍の合同作戦司令部が市ケ谷の防衛省統幕監部と米軍横田基地、陸上自衛隊仙台駐屯地(東北方面総監部)に設けられ、24時間態勢で「部隊運用の調整」が始まったことも重大だ。97年の新安保ガイドラインであいまいになっていた「日本有事や周辺事態」での「指揮権」の問題が実戦的に有無を言わせず煮詰められているのだ。オバマは震災発生からわずか5時間後に「全面支援」を表明した。米太平洋軍司令官が直接乗り出すほどの日米同盟上の決定的問題なのだ。

 核戦争を想定した米韓演習

 一連の動きは、3・11大震災の直前まで韓国本土の38度線付近で強行されていた米韓合同演習の直接の延長上にある。
 この演習で米軍は、核や生物化学兵器、いわゆるNBC兵器用の装備品を使用していた。演習場となった韓国・抱川(ポチョン)は北朝鮮との軍事境界線から15`の至近距離にある。ここで米韓合同軍が「あらゆる状況下で活動ができる新型の特殊装甲車」を含む部隊による実弾射撃訓練を強行したのだ。
 米空母が、福島原発から125カイリ(約200`)も離れた海域に展開し、防護服の着用や線量計による兵士の身体の測定、特定の任務以外は甲板に隊員を出さないなど「核攻撃を想定した作戦」に準じる体制をとっているのも、こうした演習の一環だ。米軍が「放射能管理の専門部隊450人」の派遣を日本政府に申し出ているのも、核戦争体制の一環なのだ。
 こうして延坪島砲撃戦を契機に始まった米日帝の朝鮮侵略戦争は、決定的にエスカレートした形で続行されている。被災地支援を口実にした朝鮮侵略戦争の実働演習徹底弾劾! 反原発闘争と一体で闘い抜こう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号4面2)(2011/04/04 )

 救援ニュースを連日発行

 被災労働者の生の声伝える

  動労千葉と全国労組交流センターによって設置された東日本大震災救援対策本部から連日、救援対策本部ニュースが発行されている。A4判で裏表2n。怒りがあふれ、被災地労働者の生の声を伝えて好評だ。最新3号の主な内容は次のとおり。
 ▼第4号(3月29日付)/3・27三里塚集会での宣言/みやぎ連帯ユニオン・鈴木光年書記長の現地報告
 ▼第5号(同30日付)/こんな危険な原発を誰がつくった・連合は率先協力/仙台の郵便労働者の報告
 ▼第6号(同31日付)/雇い止め・解雇なんて許さない/みやぎ連帯ユニオン・金子さんから現地報告
 各号2n目は現地の報告。「毎日が飢えと寒さの中で生きることが闘い。労働者の真の団結が問われている」(NTT労働者)、「私たちは負けない。この現実に肩を組んで立つ」(鈴木さん)と、被災に真っ向から立ち向かい、不屈に闘う決意を語っている。それは同時に全国の労働者への決起の呼びかけだ。
 郵便労働者は地震2日後に配達に出て多くの人に喜ばれたこと、「自分の働いている姿がみんなに勇気を与えている」「20年働いてきてこの日ほど、全逓労働者で良かったと思ったことはない」と語っている。
 職場の仲間、大学の友人に手渡そう。被災地の労働者学生・人民との支援・連帯の運動をつくり出そう。

最新情報はブログ http://blogs.yahoo.co.jp/shinsaikyuenhonbu)

携帯でも見ることができます →

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号4面3)(2011/04/04 )

 全原発を即時停止・廃絶せよ〈中〉

 核分裂の制御は不可能

 「絶対安全」デマは崩壊

 福島第一原発の大事故は収束に向かうどころかすでにスリーマイルを完全に超え、今やチェルノブイリをも超える世界最悪の事故への危機をはらみながら進行中だ。日帝が垂れ流してきた「原発は安全でクリーン」は全部ウソだ。原発は、@放射能汚染の危険性、A完全制御の不可能性、B労働者の被曝(ひばく)なしに成り立たないという点で、人間社会とは絶対に相いれない。@については本紙前号で述べた。今号では、Aの点について明らかにしたい。

 核暴走の危険を常にはらむ

 日帝・電力資本と御用学者らが吹聴してきた「原発は絶対安全」という神話は今や完全に崩壊した。だが彼らは、一切は「想定外」の地震と津波によるとし、この期に及んでも原発推進をやめようとしない。まずこの言い訳自体が許せない。今回のような巨大地震や津波が起きる可能性は、政府の審議会でも公然と指摘されていた。だが日帝は、建設コストがかかりすぎるという理由で頭から無視してきたのだ。その罪は万死に値する。
 しかし問題はその先にある。では、「想定」をやり直してより強度の地震に耐えられる原発を造ればよいのか? 断じて否だ! それでも事故は必ず起きる。そもそも、核反応を人の手で完全に制御できる技術などこの世に存在していない。そして原発の事故が他の事故と決定的に違うのは、核の暴走がいったん起きれば取り返しがつかないことだ。ここに最大の核心がある。
 原発は核分裂反応を利用する点で、原理は原爆と同じである。1個の中性子が原子核にぶつかり核分裂を起こすと新たに2〜3個の中性子が飛び出す。それがまた他の原子核にぶつかり、次々に核分裂を引き起こしていく。これが核分裂の連鎖反応だ。そこで放出されるエネルギーは化学エネルギーの百万倍もの大きさである。この連鎖反応を一挙に引き起こさせるのが原爆であり、逆に連鎖反応が急激に進まないよう「コントロール」しながら持続させていくのが原発である。
 連鎖反応の持続のためには、核分裂で飛び出る中性子のうち常に1個だけが次の核分裂反応に使われるようにしなければならない。原発ではこれを、中性子を吸収する制御棒の出し入れによって行う(図@)。燃料棒と制御棒のすき間はわずか3〜4_しかない。運転中に地震などが発生した場合、制御棒が挿入できなくなる可能性は常に指摘されている。制御棒の操作に失敗すれば連鎖反応が爆発的に進み、暴走・爆発・炉心溶融・放射能大量放出という大事故に至る。チェルノブイリ事故はその典型的な事例である。
 また福島原発のような沸騰水型原子炉は、重力に逆らって制御棒を下から入れる構造になっているので、落下→暴走の危険が常にある。今回の地震では運転中の原発がすべて緊急停止したとされているが、制御棒がかろうじて入り、最初の非常事態を危機一髪で免れたにすぎない。

 「安定停止」などありえない

 さらに重大なのは、制御棒の挿入後も危険は去らないことだ。原子炉内には核分裂反応により生成された死の灰があり、崩壊熱を半永久的に出し続ける。これを冷却し続けなければ、燃料棒を覆っているジルコニウム合金が熱によって溶け出し、再び炉心溶融や爆発の大事故に直面する。今回の事故はまさにこの冷却機能の喪失によって、史上最大最悪の事故に行き着こうとしている。
 原子炉の特徴は、「安定停止」など本質的にありえないという点にある。他の装置であれば、スイッチを切りエンジンを停止すれば、機械や装置が勝手に暴走したり人に危害を及ぼすことはない。ところが原発はまったく違う。核分裂反応を止めても半永久的に冷却し続けなければ大事故の危険が常に伴う。すなわち、「停止して安全な状態になる」ことなど絶対にない。核の暴走を全力で押しとどめている状態を「停止」と称しているだけだ。
 福島第一原発では、原子炉内を冷却する機能が失われただけでなく、プールに保管中の使用済み核燃料も、水を循環させて冷やすことができなくなった。その結果、次々と爆発や火災が発生し、ついに猛毒の死の灰がまき散らされる事態に立ち至っているのである。

 処理できない放射性廃棄物

 いまひとつ決定的なのは、原発は核燃料を燃やすことで発電に必要な熱とともに、膨大な核分裂生成物をつくりだす。原子炉1基を1年間運転するだけでも、広島型原爆の1千倍を超える「死の灰」がつくり出される。この放射能を拡散させず閉じこめるために、原発のシステムは大規模かつ複雑きわまるものとなっているが、実は放射能を人間と自然界から完全隔離する技術はどこにもない。にもかかわらず、危険な「核のゴミ」を処理・処分する展望もないまま膨大に生み出し続けているのが、現在の原発なのである。
 図Aを見てほしい。原発が生み出す「死の灰」のうち、空気中に気体となって出た放射能は、フィルターなどを通して濃度を一定の値以下に薄めた上で、排気筒から大気中に放出される。汚染された水などの液体も同じく、濃度を低減した上で海に放出される。これらは通常運転中に日常的に行われており、事故時に限ったことではない。
 その上で問題は固体廃棄物だ。放射性物質が布などに付着した「低レベル放射性廃棄物」と、使用済み核燃料などの「高レベル放射性廃棄物」がある。低レベルのものはドラム缶に詰めて保管され、年々積み上げられている。高レベル廃棄物はガラスに溶かし込んで容器に固化する方法がとられているが、これ自身が発熱を続けているので、30年〜50年の長期にわたって冷却しながら貯蔵し続けなければならない。その後、最終的には地中深くに埋める案が出されているが、安全性の証明は一切ない。
 さらには、原発の巨大な圧力容器・格納容器そのものが丸ごと、高濃度放射能汚染の固まりであり、廃炉にした場合も解体はできない。封鎖し、気の遠くなるような長期にわたって監視し続ける以外ない。
 放射能の中には半減期が数千年、数万年のものも含まれ、低レベル廃棄物でさえ300年間、高レベル廃棄物に至っては数万年経たないとその有毒性は消えないのだ。こんな原発がどうして「安全でクリーン」などと言えるのか!
 労働者人民の生命を守り、人間とその社会を守るために、全原発の即時停止と廃絶へ、全力を挙げて闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号5面4)(2011/04/04 )

 国際労働運動 5月号

 大震災下の沖縄闘争

  大震災と原発事故によって日米帝国主義は有事体制に突入した。労働者階級への階級戦争であり、朝鮮有事への即応態勢だ。
 菅政権は「震災対策」を口実に事実上、周辺事態法を発動した。米帝は「トモダチ作戦」なる軍事作戦を開始、第7艦隊が三陸沖などに展開し、沖縄の海兵隊が中軸を担っている。菅政権は自衛隊10万人を出動させ、「内乱鎮圧」「国家統治」に全力を挙げている。そしてこの暴力は日米安保と沖縄基地の強化、辺野古新基地建設攻撃のために向けられる。
 今年の5・15沖縄闘争は一大階級決戦に押し上げられた。「政治休戦」「挙国一致」の反革命を打ち砕き、被災地支援・反原発・菅打倒を高く掲げて闘い抜こう。
 第1章は、日米帝の朝鮮侵略戦争下の安保と沖縄の現実に迫る。沖縄の怒りは限界を超えている。
 第2章は、沖縄闘争の歴史と革共同の沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒戦略を基地労働者の闘いを軸に明確にしている。
 第3章は、沖縄労働運動の階級的再生の道が国鉄闘争全国運動にあり、その核心が基地労働者の闘いにあることを訴えている。
 翻訳資料は「ハリケーン・カトリーナ災害と新自由主義」。巨大災害に対する米帝の対応は、被災者救援ではなく軍隊と警察による治安目的の地域制圧だった。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号5面5)(2011/04/04 )

 三里塚裁判傍聴を!

◎市東さん行政訴訟
 4月12日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん農地法裁判
 4月12日(火)午前11時10分 千葉地裁
同日に同じ法廷で連続して開かれます。
傍聴券抽選のため9時30分に集合を。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号6面2)(2011/04/04 )

 尼崎事故弾劾!4・23闘争へ

 JR西日本の震災解雇許すな

 107人が犠牲

【集会要項】
 尼崎事故弾劾!4・23全国総決起集会
 ●尼崎事故弾劾! 反合理化・運転保安確立
 ●車両検修全面外注化阻止! 1047名解雇撤回!
 ●国鉄闘争全国運動で労働運動を甦らせよう!
 4月23日(土)午後1時 JR尼崎駅北口広場
 主催 国鉄千葉動力車労働組合/国鉄闘争全国運動・関西準備会

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号8面5)(2011/04/04 )

新刊紹介 共産主義者168号

 新自由主義との対決貫き震災下で闘う路線を提起

 本号は編集作業の最終過程を東日本大震災が直撃する大激動の中で刊行された。帝国主義の「最弱の環」である日本帝国主義を急襲したこの大震災は、エジプト革命が切り開いた世界革命情勢の焦点に日本を押し上げている。大震災を日本革命へと転化することこそ、エジプト2月革命に続く闘いである。

 戦時下レーニンの闘いから学ぶ

 巻頭の木崎論文は、11・23延坪島砲撃戦からエジプト2月革命が切り開いている世界史的情勢を明らかにし、2010年の闘いの核心を総括、革命的共産主義運動が権力奪取をめざすために成し遂げなければならない飛躍を提起している。多数派形成をたえず目的意識的にやり抜いた動労千葉の故・中野顧問の主流派意識に学ぶことは、今日の大震災情勢においてますます求められている。
 とりわけ帝国主義戦争を革命に転化したロシア革命においてボルシェビキと労働者階級が何に全力を挙げたかについて新たにとらえ返している。すなわち第1次大戦勃発(ぼっぱつ)直前まで1912年プラハ協議会路線で職場における権力闘争を徹底的に闘い抜いていた。そして戦時下においても階級的労働運動路線を貫いていた。そういう視点でレーニン『社会主義と戦争』から新たに学びとった内容が提起されている。
 巻末に再録した本年1・1政治局アピールと併せて学習・活用してほしい。

 国際連帯闘争が切り開いた地平

 川武論文は、この7年間で動労千葉が先頭に立って発展させてきた国際連帯闘争を革命的共産主義の立場から理論的・実践的に全面的に総括し、課題を提起する本号のひとつの柱である。日米韓をはじめとした国際連帯闘争の具体的進展が、マルクスが明らかにした労働者階級の国際的存在としての本質を感動的に実証し取り戻していく過程であること、そこにおいて動労千葉と反スターリン主義・革命的共産主義運動が果たしている決定的な役割、そして国際連帯闘争のさらなる発展にとっての指導部建設の課題など、この間の実践が切り開いてきた新たな領域を照らし出す意欲的な論文である。
 国木田論文は、国鉄闘争の立場から社保庁やJALでの解雇攻撃を分析し、国鉄全国運動が持っている全階級的意義を明らかにしている。2000年代のシニア協定をめぐる動労千葉の外注化阻止闘争のとらえ返しは、この時期に全社会的に襲いかかった規制緩和・外注化攻撃と唯一対決して勝利してきた動労千葉の外注化阻止闘争、反合・運転保安闘争路線を学ぶ上で多くの示唆を与えてくれる。党に問われた課題を鋭角的に明らかにし、読む者を圧倒する。

 動労千葉と一体の三里塚闘争

  小寺論文は、若き学生たちが三里塚農民への援農で教育の民営化との自分たちの闘いをさらに発展させている地平を確認し、80年代の新自由主義との攻防として三里塚闘争をとらえ返す好論文である。動労千葉のジェット燃料輸送阻止闘争が新自由主義攻撃と対決する労農連帯の基礎を築いたこと、また動労千葉が分離・独立を闘いぬく過程で、反対同盟が動労の中央委員会で動労カクマルを弾劾する闘いは感動的である。
 革共同入管闘争組織委員会論文は、爆発的に飛躍している国際階級闘争の地平を階級的労働運動路線で総括し、在留カード導入を始めとした菅政権の入管政策との対決を訴えている。とりわけ日帝が歴史的に労働者の国際的団結の革命的拡大に恐怖してきたこと、日本と世界の労働者の分断が入管攻撃の核心であることを明確にしている。
 北小路敏同志を悼む革共同・清水丈夫議長の追悼文は、革命的共産主義運動の土台を築いた北小路同志の革命家としての人となりを明らかにすることを通して、北小路同志の遺志を継ぐ全同志の誓いを示している。
 いずれも新自由主義攻撃との対決にとって重要な論文ばかりである。これらを武器に、大震災を革命に転化する4〜6月闘争に打って出よう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2482号8面6)(2011/04/04 )

 日程 法大裁判、前進社不当捜索国賠訴訟

 法大裁判に集まろう!
 ★暴処法弾圧裁判(被告人質問)
 第22回公判 4月28日(木)午後1時30分
 東京地裁429号法廷
 12時30分に傍聴券配布所に集合

 前進社不当捜索国賠訴訟
 第6回弁論 4月15日(金)午後1時30分
 東京地裁415法廷

------------------------TOPへ---------------------------