ZENSHIN 2009/12/14(No2420 p06)

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週刊『前進』(2420号1面1)(2009/12/14 )

 大失業と戦争、生活破壊、労組つぶしを許すな!

 民主党・連合政権と全面対決を

 反合・運転保安闘争を武器に検修全面外注化阻止の決戦へ

 8学生奪還・冬期カンパ訴えます

 JR東日本の検修全面外注化を阻止する闘い、獄中8学生奪還、マル青労同・マル学同各1000人組織建設の闘いを全力で推進し、10春季ゼネストへ突き進もう。すでにその火柱が、国鉄、沖縄、星野、法大の闘いを先頭に燃え上がっている。11・1労働者集会の大成功の地平と革共同綱領草案の反帝・反スターリン主義世界革命の呼びかけが、全国・全世界の階級闘争の現状を革命的に変革しつつある。世界大恐慌のもとで強まる大失業と戦争、生活破壊、労組破壊の攻撃と全面対決し、民主党・連合政権打倒へ、今こそ総決起する時だ。17日の法政大「暴処法」弾圧粉砕・獄中8学生奪還の総決起集会の大成功をかちとり、年内に8学生を断固奪い返そう。革命の勝利をかけ、革共同への冬期大カンパを訴え闘おう。

 大恐慌と日米間争闘戦

 今日の内外情勢は、すさまじい危機と激動に突入している。何よりも世界大恐慌が、底知れぬ深さと激しさをもって進行し、米欧日帝国主義を始め、世界のすべての政府と大企業・大銀行の足元を揺さぶっている。
 しかもこの情勢の中で、帝国主義間・大国間の保護主義と争闘戦がかつてなく激化し、世界経済の分裂化・ブロック化のすう勢を促進し、それがまた大恐慌を加速している。米帝を先頭とした恐慌対策の膨大な財政投入は、政府の財政赤字を天文学的に拡大し、無際限の米国債発行がドル大暴落という危機を爆発させようとしている。ドル大暴落が現実となるその時こそ、まさに世界大恐慌の最深の奈落への転落そのものである。
 こうした中で日米争闘戦が今や完全に一線を越えた。普天間基地移設をめぐる日米対立は、日米作業部会と「日米同盟の深化」の協議を停止へと追い込み、3度目の日米首脳会談もできない事態に突入した。小沢・鳩山=民主党・連合政権の「緊密で対等な日米同盟」「東アジア共同体構想」は、本質的に日米争闘戦の激化と改憲・戦争の路線なのだ。
 この情勢の根底には、普天間基地の即時閉鎖と米軍基地全面撤去を求める沖縄と全国の労働者人民の怒りと闘いが断固として存在し、立ちはだかっている。それが日米安保を揺さぶり、オバマと鳩山を階級的政治的に痛撃しているのだ。
 早くもすさまじい危機に立った鳩山政権は、大恐慌情勢のもと、大失業と改憲・戦争、生活破壊、労組破壊の攻撃に全力を挙げてきている。労働者、労働組合の団結と決起で、民主党・連合政権と全面対決し、この反動政権を打倒し、プロレタリア日本革命への道を切り開くために総決起し闘う時である。

 「暴処法」粉砕の大勝利

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判の判決で「暴処法(暴力行為等処罰法)」の適用と「共謀」を粉砕して、無罪と「罰金」という歴史的・画期的な勝利をかちとったことは、国鉄・4大産別の労働者を始め、すべての労働者の中に驚きと喜びと感動の渦を呼び起こし、自信と確信が広がっている。
 労働者は闘えば勝てる。階級的原則と正義性にとことん裏打ちされた団結の力は、どんな弾圧をもはね返すことができる。「今日の判決をもって国鉄闘争は新たな段階に入った。民主党・連合政権を打倒するアルキメデスのてこが国鉄闘争の中にある。1047名闘争はこれから輝きを増し日帝打倒までやむことのない闘いに入る」(東元被告)。まさに5・27裁判勝利の地平こそ、党と労働組合が一体となって階級的労働運動を発展させ、4大産別決戦に勝利する展望を示したのだ。また何よりも「暴処法」弾圧粉砕は、4大産別を先頭に2千万青年労働者、6千万労働者階級全体を獲得する闘いそのものだ。
 11・1労働者集会と5・27裁判勝利の地平を、今こそ国鉄1047名解雇撤回・検修全面外注化阻止の大決戦へ、10春季ゼネストの爆発へと発展させる時が来た。平成採の青年労働者を先頭に、動労千葉の反合・運転保安闘争の地平を武器として、国鉄分割・民営化以来の最大の決戦へと断固決起しよう。

 安全解体のJR東日本

 JR資本と国鉄労働者、全労働者の関係は、ますます非和解的になっている。JR資本は労働者階級人民に対する全面的敵対を強めている。
 国鉄分割・民営化の破綻にあえぐJR資本は、労働者の階級的団結の破壊をめざし、ひたすらJR資本が生き残るために道州制・民営化の先取りとも言える攻撃を全面化している。今やJR体制の矛盾は、安全問題、要員問題、当局・カクマル結託体制の破綻問題として爆発している。
 この中で、特にJR総連・東労組カクマルとの結託体制が危機に瀕するJR東日本は、10月29日に「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」を提起してきた。検修(検査・修繕)職場の全面的な外注化攻撃だ。この提案で業務量にして2千人余りもの検修業務を全面的に外注化しようというのだ。
 しかしこれは、JR本体の技術継承性を完全に解体して、安全の絶対的崩壊をもたらすとんでもない攻撃である。こんなことを認めたら、国鉄労働者の誇りはズタズタにされ、団結は破壊されるばかりか、第2・第3の尼崎事故、羽越線事故が必ず起きる。鉄道会社が鉄道会社本来の責務を放り投げるに等しい暴挙そのものだ。だがJR東日本は、国鉄労働者と乗客、労働者階級人民全体を敵に回してでも、金もうけのためなら平気で安全を無視し解体しようとしている。
 現在、特にJRの平成採の青年労働者の中には怒りが充満している。今回の提案に対する職場での説明会では、どの職場、どの組合でも、青年を先頭にした怒りが爆発している。今こそ大合理化との闘いで、労働組合の存在と真価が真っ向から問われている。

 闘えば必ず勝利できる

 では検修全面外注化の大攻撃とどう闘うのか。それは何よりも、動労千葉労働運動が確立してきた反合・運転保安闘争を、職場闘争として圧倒的に実践しぬくことだ。誰をも獲得する反合・運転保安闘争を武器に、検修全面外注化絶対反対の怒りと声を、職場内外に圧倒的に組織し決起していくことだ。
 われわれはすでに国鉄決戦勝利の決定的な基軸として1047名解雇撤回闘争を持っている。それは労働組合の中に百万人と言われる支援陣形を形成している。4者4団体派とすべての体制内派を打ち破る闘いを、この検修外注化絶対反対の闘いと一体で職場生産点から噴き上げることが勝利を切り開く。
 動労千葉は1972年の船橋闘争で、事故の当該・高石運転士の逮捕・起訴に対して、「事故の責任は労働者にはない。責任をとるべきは当局だ」「これは反合理化闘争だ。反合理化・運転保安闘争だ」として全力で闘い、高石運転士を守り抜いた。このように闘うなら勝利は労働者のものだ。敵の攻撃は矛盾だらけだ。反合・運転保安闘争の路線を貫いて闘えば絶対に勝てる。
 これは同時に、国鉄分割・民営化以来の攻防に、労働者の側から革命的に決着をつける闘いだ。1047名解雇撤回と5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを固く結合し、国鉄労働者を先頭に2千万青年労働者、6千万労働者の根底からの怒りを解き放ち、民主党・連合政権の改憲と戦争、民営化と労組破壊の攻撃を根幹からうち砕く闘いとして闘おう。検修外注化阻止の大決戦に総決起し、2010年の荒々しい勝利を切り開こう。

 機関紙拡大・党建設へ

 12月闘争は、09年の歴史的勝利の地平を引き継ぎ、さらに全力で打ち固め、10年の決戦を準備し突入していく闘いだ。
 まず何よりも、現在の全世界的な学生決起の先頭に立つ獄中8学生の奪還をかちとろう。年内の法大裁判闘争を闘い抜き、12・17集会(要項4面)を大成功させよう。
 さらに、労働者階級の最重要課題として、冬期一時金カンパ決戦を全力でやりきろう。それと一体の闘いとして『前進』の読者拡大と党建設に取り組むことを熱烈に訴える。

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週刊『前進』(2420号1面2)(2009/12/14 )

 韓国 “労組抹殺”にゼネスト決意

 韓国労総の裏切りに怒り

〈写真上〉無期限スト7日目、ソウル地域鉄道労働者4500人がヨイド文化広場に集まり第3次ゼネスト勝利決意大会(12月2日)〈同下〉民主労総が「密室野合糾弾・民主労組死守・李明博政権退陣決意大会」を開催(8日 ヨイド)

 鉄道労組の勝利

 韓国の全国鉄道労組は3日、8日間に及んだ歴史的ストライキを勝利的に総括し、4日朝から現場復帰した。
 3日午後6時、キムギテ委員長は、「私たちはすでに半分は勝利した。正当なストライキにあらゆる不法で対抗したホジュニョン社長と官僚の責任を明確に問う」と宣言、「しばらく現場に戻り、第3次ストライキを準備しよう」と呼びかけた。
 鉄道公社による一方的な団体協約破棄に対し11月26日から無期限ストライキに突入した鉄道労組は、必須維持業務を遂行する合法ストを貫いた。これに対し、鉄道公社側は初日から代替要員を投入する不当労働行為に終始した。スト期間中に配置された代替要員は6千人を超え、しかもほとんどが現場経験がまったくない鉄道大学生や軍人、70歳を超えた退職者であり、日を追うごとに鉄道運行の危険性が高まっていった。
 しかも、11月30日には警察はキムギテ委員長ら指導部15人の逮捕令状を請求、翌12月1日には逮捕令状を入手して鉄道労組本部などに家宅捜索を強行し、鉄道労組のサーバーを押収するという暴挙に及んだ。
 さらに鉄道公社はスト中断後も組合員864人を職位解除し、委員長以下12人の労組幹部の懲戒に着手した。告訴した190人余りの組合員の懲戒も検討中という大弾圧に出ている。しかし、代替輸送を拒否した貨物連帯を始め、インターネットなどでもイミョンバク政権への怒りが増大するとともに、闘う鉄道労組ストへの共感と支持が大きく広がっている。

 公共連盟が宣言

 11月30日、懸案事項の「複数労組許容の窓口一本化」と「労組専従賃金禁止」をめぐって韓国労総が態度を豹変(ひょうへん)させた。チャンソクチュン委員長は、「原則として労組専従の賃金は組合自らが負担するよう努力する」「専従者が多すぎないようにし、専従者が労使共生を促進する仕事をするようにする」と言い、複数労組問題については、百八十度逆の「複数労組許容反対」を表明した。
 韓国労総は10月15日の臨時代議員大会で全会一致で与党ハンナラ党との政策協議を破棄し、ゼネストで闘うことを決議。30日まで行われた組合員投票ではゼネスト賛成票が80%に上っていた。
 今回の韓国労総指導部の裏切りに対して、組合員から一斉に怒りが噴出した。公共連盟は、「労働者を代表するもう一つの軸である民主労総との協調をさらに強め、労働組合を否定して一方的に労使関係を破綻させる政府と資本に対し、われわれの要求が貫徹されるまで強力に闘う」と宣言した。

 公務員労組攻防

 新たにヤンソンユン委員長を選出した全国統合公務員労組は11月28日に代議員大会を開き、名称を「全国公務員労働組合」と改め、設立申告のための規約を確定した。ヤン委員長は、「団結と統合の精神でイミョンバク政権と闘っていこう」と呼びかけた。
 しかし、12月1日に設立申告を行った公務員労組に対し、行政当局は3日にヤン委員長を解雇、翌4日、設立申告を突き返すとともに全国53支部の組合事務室を暴力的に閉鎖するという暴挙に打って出た。
 4日午後、記者会見を行った公務員労組は、「これは『労組抹殺行為』だ」と弾劾し、「組合員の自主的な権利を守り、『国民のための公務員労組』を守るため、さらに強い抵抗と全面的な実践を展開する」と決意を明らかにした。12日には全国公務員労働者大会を開催する。
 民主労総はイミョンバク政権の労組抹殺攻撃と闘う本格的な対政府闘争に入った。8日には、ソウル市ヨイドにある国会前で「密室野合糾弾、民主労組死守、イミョンバク政権退陣決意大会」を開いた後、指導部がヨイド文化広場でテント座り込み闘争に突入した。
 韓国階級情勢は12月から2010年へ、待ったなしのゼネスト情勢に突入した。民主労組抹殺攻撃に、巨大な反撃が始まったのだ。

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週刊『前進』(2420号1面3)(2009/12/14 )

 大恐慌を世界革命へ!革共同に絶大な支援を

 革共同はこの秋、結成以来初めて綱領草案を採択しました。革共同半世紀の歴史を総括し、世界大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する、その現実的突破口を日本から開く宣言です。
 1917年ロシア革命以来、陸続たる労働者階級の革命的決起を抑え込んできた最大の理由は、帝国主義とスターリン主義による「党と労働組合」の徹底した切断にありました。11月労働者集会の勝利を実現した〈革共同と動労千葉労働運動〉の結合は、この長きにわたる労働者分断支配の暗雲を切り裂くものです。それが、世界の革命運動において普遍的意義を有していることが国際連帯闘争の画期的発展として示されたのです。
 綱領草案冒頭に記された「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」というマルクス主義を復権する闘い、すなわち労働者階級の怒りと誇りに依拠し、「階級的団結と絶対反対」路線を総括軸とする闘いが全党の同志たちによって貫徹されてきました。さらに革共同は、この階級的労働運動を保証するものが反スターリン主義・革命的共産主義の階級的実体である地区党建設にあることに絶対的確信を持つにいたりました。これこそ綱領草案の核心であり、革共同半世紀の到達地平、国際階級闘争の到達地平です。
 11月労働者集会の勝利は、国鉄1047名闘争を軸に、沖縄・韓国・欧米で「民営化・労組破壊」と闘うひとつの路線となって火を噴き拡大しています。国労5・27臨大闘争弾圧公判での画期的勝利、4大産別決戦の爆発、星野同志を奪還する第2次再審闘争開始など、労働者階級は11月勝利の地平で立ち上がれば勝利できることを次々と証明しています。
 他方、民主党・連合政権は大恐慌に直撃され、最弱の帝国主義として労働者への大失業と賃下げ攻撃を全面化していますが、実際には労働者階級の革命的決起の前にグラグラになっています。
 なによりも日帝を直撃しているのが、いまも獄中にある法大弾圧8学生の闘いです。権力が弾圧すればするほど学生のリーダー・階級のリーダーが次々と登場し、獄壁をこえて世界にマルクス主義を波及させています。この若きリーダーたちを奪い返すことが、どれほど国家権力をして心胆寒からしめることか。保釈金5千万円カンパはそのための資金です。壮大な2010年春季ゼネストの実現へ、「綱領をもつ党」=革共同と、8学生年内奪還のために絶大なカンパを訴えます。

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週刊『前進』(2420号2面1)(2009/12/14 )

 松崎“復権”運動に断を

 樋口篤三が「鳩山友愛革命」を絶賛

 民主党・連合政権に恭順を誓い1047名闘争解体を策す松崎と樋口

 JR総連カクマル・松崎の復権運動が、国鉄1047名闘争の破壊・解体を追求する4者4団体派など体制内派指導部を巻き込む形でうごめいている。元『労働情報』編集長の樋口篤三や、戸塚秀夫東大名誉教授らによる「JR総連・松崎聞き取り研究会」運動なるものがそれだ(前号まで既報)。JR総連の機関誌『われらのインター』10月15日付号は、樋口署名の「鳩山友愛革命に注目を/二大政策――地域主権国家と東アジア共同体」なる駄文を掲載し、民主党・連合政権への全面的な恭順の意を表明した。今回はこのカクマル・松崎と一体となった「樋口論文」の犯罪的意図を徹底的に断罪する。

 「友愛」=「左右の全体主義との戦い」への転向宣言

 樋口篤三は、労働運動情報誌『労働情報』の元編集長である。60年代のベトナム反戦闘争以来の、いわゆる新左翼系労働運動の周辺で、「プロレタリア統一戦線をめざして」と称して各党派の中心人物と接点をもってきた人物である。
 その自称「新左翼系労働運動家」の樋口は、JR総連・松崎の「聞き取り研究会」なる運動のフィクサーとなった上に、今回「鳩山の友愛思想」を絶賛する恥ずべき転向宣言を出した。民主党・連合政権への全面降伏だ。松崎、樋口らの新たなファシスト運動の立場は、自民党政権にもできなかった反動的飛躍をめざす民主党・連合政権に忠誠を誓うものだ。腐敗・転落の極みである。
 樋口の駄文は、鳩山が総選挙中に発表した論文「私の政治哲学――祖父一郎に学んだ『友愛』という戦いの旗印」(『VOICE』9月号)を「刮目すべき綱領的文書」などと持ち上げた。そしてこの鳩山論文に展開されている「友愛革命」なる「政治哲学」と、政権の「2大政策」である「地域主権国家」「東アジア共同体」構想を、まともな分析もなしに手放しで絶賛している。
 そもそも「友愛」なるスローガンは、戦前の日本労働総同盟(総同盟)の前身として1912年に生まれた「友愛会」以来の、階級的な労働運動を圧殺する反共イデオロギーだ。鳩山自身が論文で「左右の全体主義との激しい戦いを支える戦闘の理論」だと明言している。そして戦後は、資本がバックアップする民社党=同盟系の反共右翼労働運動の中心スローガンとなり、民間大資本を中心に日帝の戦後復興と高度成長を支える柱となってきた。現在も、民社系の全郵政に全逓中央が屈服して統合されたJP労組本部の中心スローガンが「友愛」だ。彼らは統合にあたって「左右の全体主義の排除」を確認、09春闘ではいち早く「スト絶滅宣言」を出した。「友愛革命」なる思想のの反動性は明らかだ。
 これを樋口は「フランス大革命の『自由・平等・博愛』の『博愛』であり、左翼世界が無視してきた思想である」「見事だ。われわれも学ばなければならない」などと絶賛した。樋口自身が「左右の全体主義との戦い」という階級圧殺思想に屈したのである。
 また樋口は、鳩山政権の「地域主権国家」と「東アジア共同体」構想も手放しで賛美した。この「2大政策」の本旨は、一方での「国政における権力の集中」(小沢)と、他方での「地域主権」の名による大資本の活動規制撤廃と民営化=道州制にある。それを樋口は全面賛美した。
 鳩山は「アメリカ一極時代の終焉とドル基軸体制の懸念」という認識のもと、「覇権国家アメリカと、覇権国家たらんとする中国の狭間で、日本が政治的・経済的自立と国益を維持する」とし、「アジア共通通貨が目標。その背景をなす東アジアの恒久的完全保障の枠組みを創出する」という。新たな帝国主義的国家戦略である。
 それは、日本経団連が唱える「道州制導入・東アジア共同体推進・社会保障制度の解体」という綱領を、自民党支配の崩壊を踏まえて貫徹する立場だ。「地域社会やNPO」などの「市民参加」を積極的に位置付けていることも含め、現代版の大東亜共栄圏・産業報国会・大政翼賛会をめざす綱領なのである。
 樋口の駄文には、こうした最低限の分析もない。そして結論は「鳩山・小沢コンビの理念とパワーに期待したい。下からの市民運動、NPO、心ある議員らの連携と党派を超えた運動が必要だ」というものだ。「新左翼労働運動家」を任じる樋口が「鳩山・小沢コンビに期待する」とはあきれた転向ぶりだ。
 これは、JR総連カクマル・松崎による民主党・連合政権への救済の哀願なのだ。「左右の全体主義と戦う」ファシスト突撃隊として、もう一度登用して欲しいという悲鳴だ。樋口の「鳩山友愛革命」賛美も、この松崎の意を体したものだ。
 これは「松崎聞き取り研究」なるファシスト運動が最初から破産していることの表明でもある。動労千葉や国鉄1047名闘争を先頭に、わき起こりつつある労働者階級の爆発的な決起が国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃を打ち破り、ついにブルジョアジーとの全面対決に向かい始めたことに追いつめられた、ファシスト松崎の苦悶なのである。

 “松崎主導でJR労働運動の統一を”なる一大反革命

 樋口らの「松崎聞き取り研究会」運動の悪質さは極まっている。樋口は、雑誌『情況』08年1・2月合併号に「60年間の実践の教訓と私の自己批判」なる文章を投稿し、「JR総連の松崎明はもう革マルではない」「(国鉄分割・民営化に協力した)松崎は裏切り者ではない。私の認識は誤っていた」などという松崎への全面擁護を始めた。
 そしてこの文章の中で樋口は、松崎ヒアリングの参加メンバーの一人である「社会主義協会代表代行」で元社青同委員長・山崎耕一郎の以下のような「感想」を紹介した。山崎は協会派の元代表・向坂逸郎のおいだが、いわゆるチャレンジグループ(国労内の連合派)の”親分格”で、現在でも国労に強い影響力を持つ指導的人格の一人である。
 その山崎がなんとカクマル・松崎を賛美し、「JR総連の『ニアリー・イコールの労使関係』論は、これからの連合運動を強化するのに有効」「貨物安定宣言以来の動労の方針転換は『戦術の選択』であって『裏切り』ではない」と、松崎のファシスト労働運動路線を全面的に免罪することを表明したのだ。
 そしてこの上に山崎は「1047名採用差別問題が決着した後、JR労働運動の統一(当面は連携、協力)が課題になる。共闘は可能だ(!)」とまで言い切った。
 事は重大である。大恐慌情勢の中、階級闘争の大焦点となった国鉄1047名解雇撤回闘争を、JR総連・カクマル松崎と組んで解体し、松崎の主導で「JR労働運動の統一」を仕組むのだと公言したに等しい。
 もとよりこのような戯(ざ)れ言を、国労の現場労働者は天地がひっくり返っても許さないだろう。20万人首切りの実行部隊となってきたカクマル・松崎は、国労のみならず連合傘下のほとんどの労働者から不倶戴天(ふぐたいてん)の裏切り者として、今に至るも最大級の怒りの的となっている。松崎が「JR労働運動の統一」を云々すること自体が根本的に破産的であり成り立たないのだ。
 しかし民主党政権の権力中枢に連合中央が深々と入り込んだ情勢を頼りに、松崎・カクマルや樋口らが階級的労働運動の核心部を破壊しようと動き回ることは、まさに罪万死に値する一大反革命である。

 松崎明はカクマルそのもの

 事態の核心にかかわる問題を指摘しよう。松崎明はカクマルそのものである。そもそも反革命党派カクマルを創成した人格の一人であり、黒田や土門とともに、3・14反革命(本多延嘉・革共同書記長虐殺)の最高責任者なのだ。この罪状は永遠に消えない。そして問題は、現在もJR総連・松崎という存在そのものがカクマルの組織的重心をなしていることにある。
 カクマルの組織分裂は事実だ。国鉄分割・民営化の手先となり、権力・JR資本に寄り添ってきた揚げ句に、用済みとなって「走狗煮らる」状態に陥り、地方組織が壊滅状態となるなか、93〜94年に松崎らJR総連・東労組内のカクマル・フラクがほぼ丸ごと分裂したのだ。
 しかし「分裂した」松崎とJR総連・東労組そのものが反革命カクマルの核心的な組織実体なのである。国鉄分割・民営化で、中曽根と国鉄資本の突撃隊となってきた独特のファシスト労働運動の実体は、松崎率いるJR総連・東労組そのものにあるのだ。それが現在、最後の延命を求めてあがいているのだ。
 「解放社官僚」がカクマルの本体で、松崎とJR総連は「革マルではなくなった」などという主張は、およそ荒唐無稽(こうとうむけい)だ。組織や財政、人脈においても両者はつながっており、主導権は松崎側にある。そのもとで両者の薄汚い野合が進んでいる。
 松崎はことあるごとに「解放社官僚どもの官僚主義」をこれ見よがしに「批判」してみせる。しかし松崎は、自分がいついかなる理由でカクマルという党派を「脱退」したかについて、実は今日に至るまで一言も明言していない。そして、黒田を真っ向から批判・断罪したことも一度もない。自分こそは”黒田思想の継承者”との立場を崩していないのだ。
 反革命通信『解放』も松崎をけっして正面から批判・断罪しない。この間のJR総連・松崎問題にもいまだに沈黙を続けている。解放社カクマルは、実は松崎・JR総連との関係修復をこいねがっているのである。なぜなら松崎・JR総連なきカクマルなど、カスのような存在だからだ。
 「JR総連・東労組=革マル説には根拠がない」なるデマゴギーを、膨大な資金と時間を費やして触れ回る樋口や戸塚らの物言いは、まったくもって論外なのだ。カクマル・松崎の最後の命乞いと延命策に加勢する彼らの立ち回りの責任はあまりにも重大である。

 4者4団体「救済」し国鉄闘争破壊狙う策動許すな

 樋口や戸塚らの「松崎聞き取り」運動なるものまで持ち出した、JR総連カクマル・松崎の狙いは明白である。
 権力から見放され、国鉄分割・民営化以来のJR資本との結託体制が崩壊したファシスト労働運動=JR総連と東労組のカクマル支配は崩壊寸前の危機にある。JR発足後の動力車乗務員勤務制度の改悪も、シニア制度の導入も、業務外注化と非正規職化の拡大も、事故の責任を百パーセント現場労働者に押しつけるむちゃくちゃな指導も、すべてはJR資本の親衛隊となったカクマル松崎のファシスト労働運動のなせる業だった。そしてJR総連という一見巨大な組織は、松崎を番犬として起用した資本の労務政策=結託体制によって成り立ってきた。
 このファシスト労働運動の正体が、国鉄分割・民営化と唯一真っ向から闘い、階級的原則を貫いて団結を守り抜いてきた動労千葉労働運動と、それに牽引(けんいん)された1047名解雇撤回闘争の前進によって、いまやすべての国鉄労働者の前に決定的な形で暴かれているのだ。JR総連傘下7万人の組合員を含めて、カクマル松崎の支配に対する反乱が起きるのは時間の問題だ。
 この深刻な危機の中で松崎はあがいている。4者4団体派を始め、展望を喪失した体制内派労働運動指導部を「救済」することをとおしてファシスト労働運動を復権させること。そして、今や国鉄のみならず、産別の枠を超えて全労働者階級をとらえつつある動労千葉と階級的労働運動を破壊する反革命として名乗りを上げることで、もう一度権力の懐に飛び込もうとしている。
 松崎が、民主党政権を支える連合にすがるように食い込む狙いも露呈した。連合指導部は今、大恐慌下で爆発的に拡大する階級対立の中で、「労働運動」指導部として空前の危機に陥っている。現場労働者の反乱をもはや抑えられない。松崎はこの連合指導部に対して、民主党・連合政権のもとでの新たな翼賛運動としてカクマル・松崎流の”有効な裏切り方”を教示し、それを主導することにファシスト労働運動の最後の延命を託そうとしているのだ。
 しかし労働者階級とブルジョアジーの全面激突は完全に不可避であり、動労千葉と国鉄1047名闘争を先頭とする階級的労働運動の大進撃が始まったという一点で、カクマル松崎の思惑は最初から吹き飛んでいる。
 JR総連カクマル・松崎の最後のあがきをも餌食とし、国鉄・4大産別を先頭に階級的労働運動の大前進を! これが労働者階級の回答である。
 〔森田幸三〕
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 驚くべき「樋口論文」の内容

 「鳩山友愛革命は見事だ。われわれ(左翼)も学ばなければならない」
 「鳩山・小沢コンビの理念とパワーに期待したい。下からの市民運動、NPO、心ある議員らの連携と党派を超えた運動が必要である」
 (「鳩山友愛革命に注目を/二大政策――地域主権国家と東アジア共同体」より=JR総連機関誌『われらのインター』所収)

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週刊『前進』(2420号2面2)(2009/12/14 )

 『世界に翔びたとう』11号発行

 動労千葉がパンフレット『世界に翔びたとう11/大恐慌下、労働運動の進む道/訪韓と国際交流・討論の記録』(写真)を発行した。11月8日の民主労総全国労働者大会(韓国・ソウル)に参加した組合員の訪韓座談会とルポが掲載されている。訪韓闘争で確信を深めた動労千葉の団結論が生き生きと語られている。
 さらに11・1労働者集会を前後する国際交流・討論企画の報告も盛り込まれている。日韓理念交流会、今回初めての日韓労働者の解雇者交流会、7月サンフランシスコ国際労働者会議を引き継ぐ日本、韓国、アメリカ、ブラジルの国際連帯討論集会である。大恐慌下の階級的労働運動の展望が共通のテーマだ。国際連帯闘争の圧倒的な発展をつかむことができる。
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週刊『前進』(2420号5面2)(2009/12/14 )

焦点 アフガンに米軍3万増派

 破産必至のオバマ新戦略

  オバマ米大統領が1日、アフガニスタン駐留米軍を来年夏までに3万人追加派兵する新戦略を発表した。現地司令官が要請した4万人を下回るが、展開にかける時間を半分にする「急派」だ。現在7万1千人のアフガン駐留米軍は増派で約10万人になる(イラク駐留米軍は約12万人)。
 オバマは就任直後「銃弾だけでは勝てない」と、民生支援にも包括的に取り組む戦略を示したが、再び軍事に重心を傾けている。
 米帝は、01年以来のイラク・アフガン戦争で5千人以上の米兵が死亡し、帰還兵を含め5千人以上が自殺するという深刻な危機にある。今回の増派で年間300億j(約2兆7千億円)、兵士1人あたり100万j(9千万円)もの膨大な戦費がかかる。11月5日に米国内最大級の陸軍基地で反乱が起こった。増派の動きへの直撃だ。しかしオバマはイラクに続くアフガンの泥沼をあくまで戦争で打開しようとしているのだ。
 オバマは「2011年7月から治安権限をアフガン政府に移譲するとともに米軍撤退を開始する」と出口戦略も設定したが、汚職体質の傀儡(かいらい)カルザイ政権、脱走兵続出の政府軍への権限移譲は難しい。増派は米帝の危機を促進する。
 アフガン戦争に反対する米国民が6割に上り、民主党の重鎮も異論を唱えている。これに対しオバマは「(9・11を実行した)アルカイダとそれを支えるタリバーンをアフガンとパキスタンで打倒することが戦争目的だ」と訴え、「43カ国の加勢があるから『ベトナム化』はしない」と強弁した。
 だが現在、タリバーンが支配しているか優勢に立っている地域はアフガン全土の97%に達する。アフガン政府軍(9万4千人)と外国軍(10万9千人)は敗北しているのだ。戦況を打開できる展望はまったくない。アフガン国防省高官は「3万人増派で1年半以内に撤退開始などできない」と言う。現地マクリスタル司令官も「タリバーンの攻勢に対してとどめになる方法はない」と認めている。
 オバマ新戦略に対応して北大西洋条約機構(NATO)は4日、指揮下のアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)の協力国を含めた44カ国の会議で7千人の増派を決めた。主要国は消極的で、米欧争闘戦が強まっている。 ISAFは現在、約8万3千人(うち米国以外が3万8千人)が活動中で、来年中に約12万人になる。イタリアが1千人、NATO加盟を望むグルジアが900人、ポーランドが600人、スロバキアが250人、韓国が350人の増派方針だ。アフガンに9千人を派兵する英国は500人の増員にとどまる。今年に入りアフガンでの戦死者が倍増、英兵100人、米兵300人弱で過去最高だ。過半数の英国民が派兵反対で、大増派は難しい。フランスとドイツは1月下旬のアフガン国際会議(ロンドン)をめどに態度を決める。4400人を派兵するドイツでは、9月にアフガンの一般市民を巻き込んだ爆撃を指令したことなどから批判が強まっている。
 オバマ新戦略の破産は必至だ。帝国主義のアフガン・イラク侵略戦争を世界革命に転化するために労働者は団結して闘おう。

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週刊『前進』(2420号5面3)(2009/12/14 )

焦点 統一ベア要求放棄の連合

 賃下げ認める資本の先兵

 連合は3日、中央委員会を開催し、統一ベア要求放棄=賃下げ容認を最大の特徴とする10年春闘方針を決定した。小沢・鳩山の民主党政権を支え、労働者の怒りと要求を圧殺する連合指導部を徹底弾劾し、10春闘に総決起しよう。
 連合の反動性を決定的に暴露したものこそ、まさに今回決定した10春季闘争方針だ。連合は、@全労働者を対象とした春季生活闘争の推進、A賃金水準維持の取り組みの徹底、B雇用の安定・創出に向けた取り組みの強化、C共闘連絡会議の体制強化、D政策・制度との連携強化――の五つを柱にするなどと述べているが、一言一句怒りなしには読めない。
 そもそもこんな方針で春闘が闘えるのか。自らが闘わないで何が「全労働者を対象にする」だ。連合が言っているのは建前上、政府・民主党に賃金水準維持をお願いするが、本音は企業防衛主義からする賃下げ容認なのだ。
 労働者の怒りを一律大幅賃上げ要求として一から組織し、ストライキを含む実力闘争で資本と激しく闘ってこそ賃下げを阻止することもできる。現に定昇制度のない中小が多いJAMの討論集会では「『ベア要求なし』では闘争が組めない。昨年は『ベア要求』したからこそとれた(その結果、賃金水準を維持できた)ところもあった」という意見が出ている。
 そもそも世界大恐慌情勢が爆発的に進行し、資本主義の危機と矛盾が戦争と大失業・生活破壊、民営化・労組破壊の攻撃として労働者階級人民に襲いかかっている。この10年間で賃金は7・6%も低下した。正規雇用の労働者は370万人も減少し、非正規雇用の労働者は680万人も増加して3分の1を超えた。失業率は実質的失業者も含めると10%を超えている。一方、労災事故や過労死は後をたたない。まさに労働者階級人民の怒りは地に満ちているのだ。
 この怒りこそ8・30総選挙で自民党支配を崩壊させた原動力だ。この結果登場した民主党・連合政権は沖縄基地問題や社保庁解体・千人解雇攻撃など、ブルジョア政党としての本質を暴露している。今まさに民主党・連合政権を打倒して突き進むことが求められている。10春闘こそ体制内労働運動指導部を打倒して労働者階級の怒りを解き放ち、春闘の伝統を復権させて、闘う労働運動をよみがえらせる決定的なチャンスなのだ。
 民主党政権の与党となった連合のダラ幹どもは資本主義の救済者としての本質を露骨にしてきている。2日に鳩山首相と「政府・連合トップ会談」を行った古賀伸明連合会長は、鳩山の「景気の2番底が到来するとも言われている」という恫喝に屈服し、「このトップ会談はこれまで行ってきた要請型とは異なる。節目、節目に課題の解決に向けて話し合う重要な協議の場」などと述べた。“連合は要求はしない、資本主義救済の「対案戦略」を提案する”というのだ。そして大増税を意味する来年度の国債大増発を労組の側から積極的に要請するにいたった。
 国鉄1047名解雇撤回とJR東の検修全面外注化阻止決戦を突破口に、動労千葉派が日本の労働運動の革命的転換をかちとっていく歴史的な情勢が到来している。10春季ゼネストに進撃しよう。

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