ZENSHIN 2009/07/06(No2398 p08)

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週刊『前進』(2398号1面1)(2009/07/06 )

 7・17国鉄闘争勝利大行動へ

 8・6ヒロシマ-8・9ナガサキに総結集を

 民営化・道州制粉砕決戦に立ち戦争・改憲の麻生を打ち倒そう

 党建設の新段階開く革共同集会

 7・19関西新空港反対闘争へ 4面にアピール

 渦巻く労働者の怒りと結びつこう

 6・14−15連続闘争は、深まる世界大恐慌下で、21世紀のプロレタリア日本革命勝利に向けた歴史的大道を切り開く闘いとなった。この6月決戦で握りしめた地平を跳躍台に、ただちに11月労働者集会1万人決起へ進撃しよう。
 6・14−15が示したことは、何よりも、法大決戦を労働者の嵐のような決起への牽引車として、4大産別決戦がついにうなりをあげて前進を開始したことだ。
 3年間の不屈の闘いの中で動労千葉労働運動に獲得され、“第2の動労千葉”となった法大の闘いが、今度は4大産別を先頭とする労働者階級の魂を揺さぶることで、今や動労千葉労働運動が完全に全階級のものとなった。6・14−15の大結集と高揚感、労学共闘の迫力は、職場・生産点での実践につぐ実践をとおして打ち固められてきた階級的労働運動路線が、ついに無限の可能性を切り開くものであることを、はっきりと指し示した。
 さらに6月決戦は、青年労働者と学生の決起こそ、日本革命勝利を開く決定的な力であることを示した。日本階級闘争を塗り替えている獄中8学生の闘いは日本階級闘争の宝だ。彼らに続いていかなる弾圧にも屈しない学生共産主義者・青年共産主義者が4大産別と大学に次つぎと生み出されることが、革命勝利に直結することは明らかだ。
 さらに6月の闘いは、09年前半の職場・生産点での資本や体制内労働運動との激しい路線的対決の成果を、中央政治闘争へと組織し、そこで作り出された新たな階級的力関係を基礎にして、さらに猛然と職場細胞建設−地区党建設に突き進むという、プロレタリア革命に勝利していく具体的展望を示した。この地平から、何よりも職場・生産点で、法大決戦からつかんだ新自由主義攻撃への労働者の渦巻く階級的怒りをとらえ、組織して、さらなる飛躍と前進をかちとっていこう。
 国鉄1047名闘争における政治和解路線の破綻的現実、自治労での3単産統合の完全な破産、民営郵政当局と一体化するJP労組指導部の腐敗と転向、政府・文科省や民主党に総屈服を深める日教組中央――これらの事態はすべて、4大産別の闘いの決戦化と労働者の階級的怒りの激しさの中で現実化したものである。4大産別の深部で体制内派と激突しながら階級的労働運動路線を、不屈に白熱的に実践してきた動労千葉派の闘いが突き出したものでもある。
 現在、連合や全労連の体制内指導部が労働者の怒りを圧殺することで、闘いの爆発がギリギリのところで抑え込まれている。だが体制内派との激突の進展に応じて、怒りは必ず解き放たれる。〈時代認識と路線>を基礎とした階級的団結で、渦巻く労働者の怒りとさらに深く結びつこう。これこそ09年前半の闘いの中で動労千葉から学び、法大学生運動が身をもって示したことだ。

 〈最終意見陳述〉を迎える5・27裁判

 6月21日、動労千葉定期委員会が開催され、当面の闘いの方針が組織拡大と青年部結成、11月1万人結集の先頭に立つことに設定された。これは1047名闘争の勝利と4大産別決戦を前進させる闘いそのものだ。この決戦方針を@「すべてを組織拡大の視点から」、A「職場闘争なくして組織拡大なし」、B「反合運転保安闘争なくして組織拡大なし」の3点を行動原理として闘うことが提起・決定された。
 動労千葉の、資本・当局や東労組・カクマルなど体制内との原則的階級的な闘いこそ、階級闘争の最も先端の激突点だ。ここでの動労千葉の実践をわがものとし、それと一丸となって、定期委員会の方針と行動原理を11月に向けた実践指針として闘おう。動労千葉の青年部結成の実践を先頭に職場闘争を闘い、4大産別でこそ青年労働者の決起をつくりだし、11月1万人結集へ進撃しよう。
 こうした中で、国労5・27臨大闘争弾圧裁判が7月17日、最終意見陳述(7被告全員)を迎える。国労は02年5・27臨大で、鉄建公団訴訟原告団への統制処分を決定しようとしていた。闘争団、国労共闘、動労千葉は、この国労本部の闘争団切り捨て攻撃と全力で闘った。
 1047名解雇撤回闘争は、労働運動にとって絶対勝利しなければならない課題だ。解雇撤回闘争は国鉄分割・民営化攻撃と徹底的に闘う中でこそ勝利できる。そもそも1047名闘争は、国労本部の政治和解路線との闘いだった。動労千葉は90年3月、84時間ストを闘い、国労本部の和解策動を吹き飛ばした。90年4月、清算事業団は1047名を解雇。それに対し解雇された1047名は闘争団・争議団を結成、解雇撤回闘争を始めた。国労では90年7月に国労共闘が結成された。
 だが日帝の闘争団解体策動と、国労本部の屈服・和解策動は、執拗(しつよう)を極めた。96年「8・30申し入れ」から屈服は顕著となり、98年5・28東京地裁反動判決、98年8月大会での国鉄改革法の承認を柱とする「5項目提案」、99年3月の機動隊の導入と国鉄改革法の承認、00年5月の自民党からの「4党合意」=「JRに法的責任がない」を認めさせるための攻撃。さらに、00年7月臨大で4党合意に対する怒りを爆発させての演壇占拠と大会休会、01年1月続開大会での機動隊の戒厳体制下での4党合意承認の強行、02年1月の闘争団による鉄建公団訴訟の開始、02年4月、3与党声明で鉄建公団訴訟取り下げを強制、そして02年5・27臨大の開催強行。自民党の闘争団除名要求に屈した国労本部に対し、除名を絶対許さない闘いが爆発した。
 1047名闘争が動労千葉派として国労本部打倒へ突き進むこの闘いが始まったまさにその時、権力と国労本部は、暴力行為等処罰法で国労組合員を不当逮捕し、国鉄労働運動への解体・団結破壊の攻撃を開始した。
 だが、国労をめぐる体制内派との階級的激突は現在も不屈に闘い抜かれている。5・27臨大闘争の精神は、国鉄労働者の階級的魂をとらえ、7・17に最終意見陳述―今秋判決を迎える5・27臨大闘争裁判は、権力と国労本部の悪行を暴き、今や1047名解雇撤回闘争の路線的中心に座り、国労本部打倒の新たな革命的拠点となっている。
 7・17国鉄闘争勝利の全一日行動に総決起し、11月への破竹の進撃を開始しよう。

 道州制導入の攻撃を本格化する日帝

 1929年を超える世界大恐慌は、米帝オバマや日帝・麻生が「回復の兆し」とか「底を打った」などと必死に政治的キャンペーンを展開しているのとは逆に、底が見えない形で深刻化している。その中で帝国主義の争闘戦と保護主義が強まり、戦争と大失業の攻撃が本格的に激化してきている。これに対し、全世界で、労働者階級人民の生きるためのストライキや暴動的決起が拡大している。
 日本の労働者階級人民の怒りは、統治能力を失い政権最末期の麻生を打倒する寸前まで来ている。自民党政権がついに最後的に崩壊する情勢を迎えている。これに対する日帝の危機突破の唯一の方向が「戦争・ 改憲と民営化・ 労組破壊」の攻撃だ。その最大の焦点こそ民営化・道州制導入の攻撃である。
 今や自民党が衆院選の公約に道州制を掲げ、御手洗・日本経団連が「国民運動」の展開を提唱し、大阪府知事・橋下や神奈川県知事・ 松沢ら首長グループが「地方分権」を叫んで道州制実現の先兵になっている。民主党も新たに道州制推進の立場を明確にした。
 1047名解雇撤回闘争−国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦の発展を全力でかちとり、公務員労働者360万人の首切りと戦争国家化の攻撃=民営化・道州制を粉砕する決戦に、今こそ本格的に決起していこう。
 大恐慌下の今年の8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ反戦反核闘争は決定的だ。一方で米帝オバマのプラハ演説を全面賛美し、他方で北朝鮮侵略戦争の翼賛者に成り下がった日共スターリン主義や連合の策動を弾劾、粉砕して、労働者階級の国際的団結で大恐慌と戦争のオバマ・麻生を打倒するために、ヒロシマ・ナガサキに大結集しよう。核武装と改憲を扇動する「田母神反革命」の杉並やヒロシマへの登場を、断固粉砕しよう。
 法大弾圧の8学生の即時奪還と接見禁止・獄中弾圧粉砕に向けて、新たな全国声明への賛同署名運動を、全国の職場とキャンパス・街頭で、圧倒的に展開しよう! 
 1047名解雇撤回、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの決定的な武器として、動労千葉物販・NIPPO物販と「国労5・ 27基金」会員拡大に、全国・全地区・全職場で集中的・日常的に取り組もう。
 革命勝利と党建設の最大の環をなすのは、マル青労同・マル学同1000人組織建設であり、財政決戦−夏期一時金カンパ闘争だ。この7月、これに全力で取り組もう。
 革共同政治集会を、革命的労働者党建設の新段階を開く闘いとして大成功させ、11月労働者集会へ進撃しよう!

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週刊『前進』(2398号1面4)(2009/07/06 )

 日程 革共同政治集会

大恐慌の到来と世界革命の展望
 ――4大産別決戦と国際連帯の力で11月1万人決起へ
東京
8月2日(日)午前11時30分開場
豊島公会堂(豊島区東池袋1・19・1)
基調報告者 鎌田雅志
▼法大決戦アピール/革共同中央学生組織委員会
▼マル青労同1000人建設へ/マルクス主義青年労働者同盟
▽連帯のあいさつ▽決意表明/国鉄、全逓、教労、自治体、医療・福祉、合同・一般労組、全学連 ほか

関西
7月26日(日)12時30分開場
大阪市立浪速区民センター(大阪市浪速区稲荷2・4・3)
基調報告者 本山 喬
▽関西地方委員会報告▽マル青労同・マル学同1000人建設の路線的核心
▽産別委報告/道州制粉砕へ国鉄決戦を軸に4大産別決戦に総決起する ほか 

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週刊『前進』(2398号2面1)(2009/07/06 )

 “国鉄闘争の責任勢力に”

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判 7・17最終意見陳述公判へ

 被告団が総決起集会呼びかけ 

1047名解雇撤回! 5・27弾圧粉砕!7・17国鉄闘争勝利総決起集会への賛同と参加のお願い

 国労5・27臨大闘争弾圧被告団

 国労5・27臨大闘争弾圧被告団は、公判が結審を迎える7月17日、「1047名解雇撤回! 5・27弾圧粉砕! 国鉄闘争勝利総決起集会」を開催する(要項1面)。被告団が最終意見陳述を行うこの日の公判と総決起集会に結集しよう。被告団が出した「集会への賛同と参加のお願い」を紹介します。(編集局)
「私たちは国労5・27臨大闘争弾圧に完全に勝利した!」、7・17結審をもって今秋判決=有罪解雇を迎え撃つ、私たちの決意は鮮明です。
私たち7名は、2002年国労5・27臨時大会で、鉄建公団訴訟を提起した闘争団への統制処分に反対して、ビラまき・説得活動を行い、国労本部から警察権力に売り渡されました。5・27臨時大会から5か月後の10月、「暴力行為等処罰法」違反で逮捕・起訴されたのです。しかし、1年3か月におよぶ長期の勾留を全員が完全黙秘・非転向で闘いました。JR社員の被告は、保釈後に職場復帰し、1047名解雇撤回、4・25尼崎事故弾劾を軸に、職場からJR資本を撃つ闘いを推し進めてきました。1047名当該である羽廣憲さんは、解雇撤回を貫き、NIPPO物販の確立へ全力で闘ってきました。
6年を超える裁判を経て、今年2月27日、検察は国労組合員の被告に懲役1年、国鉄闘争支援者の向山被告に懲役1年6月を求刑してきました。6月19日、7月3日の弁護団の最終弁論は、これを真っ向から弾劾し、国労本部と警察の結託を暴き、被告の無罪を明らかにしています。そして7月17日、被告の最終意見陳述では、暴処法弾圧を階級的団結で打ち破ってきたこと、1047名闘争とJR職場闘争を一体で闘ってきたこと、5・27弾圧にかけた国労本部と国家権力の狙いを見事に打ち破ってきたことを明らかにし、検察論告を粉砕して勝利をかちとっていきます。
国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の核心は、国鉄1047名闘争のヘゲモニーを誰が握るのかということです。この核心的攻防で私たちは勝利し、日本階級闘争を切りひらく大きな展望を手にしています。1047名解雇撤回闘争を軸にする階級闘争のヘゲモニーを握りしめ、世界恐慌を革命に転化する勝利の展望を切り開いているのです。
第一に、1047名闘争を解体しようとする国家権力や四者四団体路線と対決し、1047名解雇撤回闘争の発展をかちとっています。鉄建公団訴訟控訴審3・25判決は「国鉄分割・民営化に反対する者は解雇されて当然」と解雇有効とした反動判決でした。公務員360万人を一旦全員解雇し、選別再雇用する道州制攻撃の先取りです。四者四団体は、3・25反動判決を「不当労働行為が認定された」成果と言いなして、政治解決路線にのめり込み、自民党への土下座運動を展開しています。しかし、幕引きができないのは、1047名全体の「合意」がとれないからです。5・27被告団は、動労千葉とともに、真っ向からたちはだかっています。
国鉄1047名闘争は、新自由主義の突破口としてあった国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かい、あらゆる体制内勢力が屈服・転向する中で、2波のストライキで闘った動労千葉と、動労総連合、国労内の闘う労働者が生み出した闘いです。1047名闘争は改憲と民営化、労組破壊を阻止する闘いとして22年間闘われてきました。だからこそ、権力、資本家階級、そして体制内勢力は、その発展を恐れ、解体に血道をあげてきたのです。世界は大恐慌に突入し、資本主義の延命策としてあった新自由主義政策の崩壊が劇的に始まっています。支配階級は、労働者にメシを食わせることもできなくなり、排外主義をあおって再び戦争への道に引きずり込もうとしています。この社会を根底からひっくり返し、労働者が主人公となる社会をつくりあげる突破口こそ1047名闘争です。
第二に、JR資本と真っ向から闘い、JR体制打倒の展望を切り開いていることです。2005年4月25日の尼崎事故弾劾の先頭に立って闘ってきました。「闘いなくして安全なし」を掲げて反合理化・運転保安闘争を闘う動労千葉とともに、JR職場で、尼崎事故弾劾、反合理化・安全闘争を闘ってきました。08年、09年の尼崎現地闘争では動労千葉と共に先頭で闘いました。
今、JR職場では、業務外注化・非正規職化、首切り攻撃が激化しています。運転職場では「ライフサイクルの深度化」攻撃で運転士が駅に強制配転されています。JR貨物は経営破綻に直面し、賃下げ攻撃が襲いかかっています。JR東日本でも昨年末手当の削減、賃下げ攻撃が始まっています。こうした合理化と賃下げは、平成採の青年労働者に矛盾が集中し、団結が解体された職場では、青年がメンタルヘルスで病院通いし、職場で自殺する青年も出ているのです。国労本部は、資本と一体となって小集団活動や増収活動を推進している有様です。私たちは、青年労働者の怒りと結びつき、資本と闘う職場闘争を推進し、JR体制を打倒します。
第三に、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、あらゆる体制内勢力との非和解の闘いを通して前進し、なによりも組合員を警察権力に売り渡すまでに腐敗した国労本部を打倒し、国労を階級的労働組合につくりかえる闘いです。6年間に及ぶ裁判闘争を通して、5・27弾圧は、国労本部が組合員を警察権力に売り渡した「つくられた犯罪」であることを真っ向から暴き切ったのです。他方、闘う闘争団や共闘会議は、自分たちを統制処分した国労本部と手を組んで、首を切った自民党に頭を下げるまでに転落しました。さらに、四者四団体路線と一体となり、裁判長への「無罪判決お願い運動」に転落した5・27の旧弁護団解任と松崎被告との弁論分離の画期的地平です。松崎被告と旧弁護団は、国労本部とともに屈服路線を進み、私たちと動労千葉への敵対を続けています。私たちは必ず闘う労働組合を甦らせます。
5・27被告団は、有罪・解雇攻撃を権力とJR資本、国労本部の危機に転化し、動労千葉とともに、1047名解雇撤回闘争、JR職場闘争を牽引する主流派として躍り出ることを宣言します。7・17集会はその新たな出発点の日です。
ぜひとも多くのみなさんに、7・17集会の賛同と参加をお願いいたします。
2009年6月
(写真 昨年12月に開かれた国鉄闘争勝利集会で、登壇して決意を述べる5・27臨大闘争弾圧被告団とその家族)

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週刊『前進』(2398号2面2)(2009/07/06 )

 JPEX強制出向

 「7・1内示」が完全破産

 スト絶滅宣言で“労使一体” JP労組中央打倒へ

 郵政小包部門のJPEX(JPエクスプレス)子会社化に伴う強制出向「7・1内示」が全国的に完全破産した。闘う全逓労働者の激しい怒りに押され、現場労働者の「出向予定者」が集まらず、事業計画自身の遅れが致命傷となり、荷主の逃避も大規模に始まり、事業計画書を総務省に提出することができなくなってしまったのだ。
郵政民営化絶対反対・JP労組中央打倒への闘いは、大きな前進の中で正念場に突入した。
(詳報次号)
(写真 全逓労働者のデモがJP労組仙台大会会場を包囲【6月17日】)

     ◇
6月17〜19日に開催されたJP労組第2回大会は、JP労組中央の大裏切りを満天下に示した。JP労組中央はもはやいかなる意味でも労働者階級の側にいる存在ではない。労働組合として完全に一線を越え資本の側に立った。それを示しているのがJP労組中央の一連の言動と、以下に紹介する山口義和委員長の大会での報告だ。
JP労組中央の大裏切りの第一は「賃金3割カット」「成果主義賃金」を受け入れたことだ。JP労組中央は「頑張ったものが報われる制度」などと言っている。「資本のためにもっと身を粉にして働け」ということだ。「他人をけ落とせ」と労働者同士を競わせ分断し、団結を破壊するということだ。そしてより一層の低賃金の強制が目的だ。
第二はスト絶滅を宣言したことだ。今春闘過程でJP労組中央は、「ストライキによって業務運行確保に支障を来すような状況が起こってはならない」「会社に協力していく」と表明した。自ら闘いを放棄したのみならず、現場労働者のストライキなどの闘いに対して会社と一体となり襲いかかるという宣言だ。
第三は非正規職労働者のさらなる拡大だ。山口は「総額人件費の抑制の観点から非正規社員の雇用の増加」が必要、「非正規社員の増加に伴い、非正規社員の雇用を企業の貴重な戦力に位置づけ」と表明した。郵政資本の「8割の労働者を非正規雇用にする」方針にゴーサインを出したのだ。
「貴重な戦力」とはなんという言いぐさだ。現在、郵政のどの職場でも非正規職が半数を超えている。年収は大半が200万円以下。同じ仕事をしていても、正規職の半分以下だ。しかも、日逓(日本郵便輸送)中野営業所の14人の非正規職労働者の突然の解雇のように会社の都合で使い捨てる。非正規労働者をもっと増やせと公言しているJP労組中央は労働者の敵だ。
第四はユニオン・ショップ協定の「年内締結」を公言したことだ。ユニオン・ショップは「労働者はいずれかの組合に加入しなければならない」制度で、「組合を脱退もしくは除名された場合、使用者はこれを解雇する」ことを可能にしようとする制度だ。現場から闘いを開始した、とくに非正規職の青年労働者をこの脅しで黙らせることがJP労組中央本部の狙いだ。
第五は究極の「労使一体」だ。山口は西川善文社長の続投について、「信頼関係はできている。大歓迎だ」、経営についても「西川社長と一致する」と、経営の側に100パーセント移行したことを語った。実際にも、組合員への解雇や強制出向を「手柄」に会社の役員に就任しようとしている。
JPEXの子会社化―強制出向攻撃に対してはどうか。山口は「本部としても必要労働力等の確保にも万全を期す」と言い放ち、「出向者や契約替えとなる非正規社員」を組合がJPEXに強制的に送り込むと宣言しているのだ。
また山口は、「物流分野の競争は激しく、市場競争の中で打ち勝っていく」うんぬんと、労働者をヤマト運輸や佐川急便の労働者との果てしない競争に追いやろうとしている。ヤマトや佐川の労働者は敵ではない。団結して物流資本―資本と闘う仲間だ。
全国の闘う全逓労働者は、このように正真正銘の労働者の敵に成り下がったJP労組中央に対する激しい怒りを爆発させて、6・16〜17の仙台大会闘争を闘いぬいたのである。中央本部打倒への闘いは全国の職場で、現場労働者自身の闘いとして開始された。

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週刊『前進』(2398号5面1)(2009/07/06 )

 8・6広島-8・9長崎に大結集を

 オバマ賛美の日共と連合中央を許さず 核独占と戦争のオバマ・麻生倒せ

 村上 秀彦

 〈大恐慌と戦争>情勢のもとで迎える被爆64周年8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争は、巨大な階級決戦になる。世界戦争・核戦争がリアルに切迫するその時に、いや、だからこそ日本共産党スターリン主義、連合中央から、田母神ら極右ファシストにいたるあらゆる反動勢力が、オバマ賛美と北朝鮮への侵略戦争の扇動でヒロシマ・ナガサキつぶしに殺到している。広島の秋葉市長は「オバマジョリティー・キャンペーン」を展開し、オバマ賛美で染め上げようとしている。反戦反核闘争の絶滅を許すのか否か。それは日本階級闘争、階級的労働運動の解体を許すのか否かだ。11月労働者集会1万人結集も今夏8・6−8・9をめぐる階級決戦にかちぬくことにかかっている。被爆者を先頭に労働者階級の怒りを解き放ち、「核独占と戦争のオバマと麻生を倒せ!」「北朝鮮侵略戦争絶対阻止!」を掲げ、8・6広島−8・9長崎へ全国から総力で結集しよう。(写真は昨年の8・6ヒロシマ大行動デモ)

 大恐慌-戦争切迫と対決

 新自由主義が破産し、大恐慌に突入した帝国主義は、選択の余地なく保護主義と戦争に向かっている。イラク・アフガニスタン・パキスタン・ソマリアなどへの侵略戦争の継続と激化、拡大。核実験・弾道ミサイル開発を口実にした北朝鮮への新たな侵略戦争の策動――これら一切の元凶は、帝国主義の基本矛盾の爆発だ。帝国主義が帝国主義であるかぎり、不可避に世界戦争まで突き進む。
 GM破綻からドル暴落の大破局へ向かう基軸帝国主義アメリカがその先頭を走っている。米帝に残された「最後の武器」は、第2次大戦以来築き上げてきた圧倒的に巨大な核軍事力である。米帝がこれを使わないまま「座して死を待つ」ことなどありえない。
 オバマの4・5プラハ演説は、大恐慌と戦争の時代に米帝が「最後の武器」として核を独占・行使する、新たな世界戦争・核戦争宣言だ。
 オバマは次のように言う。「核兵器が存在する限り、わが国は、いかなる敵であろうとこれに対する抑止を行い……安全、確実で効果的な(なんたる言い草!)核兵器備蓄を維持する」
 これのどこが「核廃絶」演説か。オバマは6月16日の米韓首脳会談で「核の傘」による韓国防衛を明言したが、これこそプラハ演説の具体化なのだ。
 「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」――このフレーズには原爆投下に対する反省や謝罪らしきものはカケラもない。むしろ実際に核を使ったことがあるという米帝の「唯一性」を誇示し、世界を恫喝しているのだ。そして「行動する道義的責任」の実践として北朝鮮船を追跡し、戦争を挑発している。北朝鮮やイランや「テロリスト」に核を持たせないために戦争も核攻撃もためらわない――それがプラハ演説なのだ。

 米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止しよう!

 大恐慌は日帝の存立基盤を根底から崩壊させ、政治・経済・全社会的な危機を爆発させている。労働者の激しい怒りは麻生政権を打倒寸前に追いつめ、自民党支配を最後的に崩壊させようとしている。だからこそ麻生らは、戦争衝動に駆り立てられ、「敵基地攻撃能力保有」論や「核武装」論を噴出させながら北朝鮮侵略戦争へと突き進んでいるのだ。
 重大なことは、北朝鮮への排外主義と侵略戦争の扇動で自民、民主から日共にいたる「挙国一致」がつくり出されていることだ。衆参両院は北朝鮮への制裁決議、さらに北朝鮮非難を核心とする「核廃絶決議」を全会一致で採択した。臨検・戦争挑発による北朝鮮侵略戦争開戦を狙う「貨物検査特措法」も民主党の全面協力で一気に成立する情勢だ。
 そうした中で田母神が「8・6ヒロシマ講演会」強行を狙う。田母神は「日本のために核武装するべきだと考えており、講演ではそこに触れることになる」とうそぶいている。
 大恐慌が激しい核と戦争の衝動に帝国主義を駆り立てる。大失業と戦争をまき散らし、核戦争の破滅へと向かう帝国主義の打倒に向かって、世界の労働者階級は団結して闘う時だ。
 帝国主義世界戦争の最も残酷な結末を体験したヒロシマ・ナガサキの地からこのことを全世界の労働者階級に訴えて立ち上がる時だ。だがこの決定的瞬間に、日共、連合中央を始めとする全体制内勢力は帝国主義に呼応して、原水禁運動をオバマ翼賛運動と北朝鮮への排外主義で制圧し、内部から完全に解体しようとしているのだ。
 何よりも許しがたいのは、オバマ翼賛の先頭に立っている日共だ。委員長の志位は、オバマに書簡を送り、返事が来たと有頂天になっている。
 帝国主義国で「唯一」生き残ったスターリン主義である日共は、大恐慌と戦争の時代における最悪の反革命として登場することを決断したのだ。
 志位のオバマへの書簡は以下のように締めくくられている。「この書簡が、あなたの発言を歓迎する立場から、その発言の精神が世界政治で生きた力を発揮することを願ってのものであることを重ねて表明し、日米両国間の友好と友情が発展することを心から希望して、結びとします」
 世界最大の核大国の権力者で、イラクやアフガニスタンで爆弾の雨を降らせている張本人のオバマを「平和のリーダー」と称賛し、握手を求める日本共産党! 労働者階級の団結の代わりに米日の帝国主義同士の「友好と友情」の発展を期待する日本共産党!
 大恐慌と戦争に立ち向かい、帝国主義打倒のプロレタリア革命に立つべき時に、日共はオバマと手を組み、労働者階級を背後から襲撃しようとしているのだ。ルーズベルト支持を掲げて労働者の決起を圧殺し、第2次大戦に全面協力していったアメリカ共産党とまったく同じ姿がそこにある。
 端的に言ってオバマのプラハ演説とは、日共のような「反応」を労働者階級の中から引き出すことにあったのだ。核と戦争に対する怒りと闘いを「オバマ万歳」にすりかえ、米帝の核独占と新たな侵略戦争・世界戦争に賛成させ、協力させる――これこそがプラハ演説の狙いだったのだ。
 この反動的目的を全面的に貫徹しようとしているのが日共だ。日共の反革命的正体を徹底的に暴き尽くし、労働運動・労働組合から一掃しよう。

 4大産別めぐる大決戦

 「戦後最大、最長の反戦闘争」(新版『甦る労働組合』中野洋著)である原水禁運動・反核闘争の絶滅攻撃は、すなわち戦後日本労働運動の解体攻撃そのものである。その核心は、中軸を担ってきた自治労・日教組を始めとする4大産別の解体にある。
 戦後日本の労働運動は「ヒロシマ・ナガサキ」に行き着いた第2次帝国主義世界戦争の敗戦という現実から出発した。「二度と戦争を許してはならない」「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」という反戦反核意識は、戦後の日本労働者階級の階級意識を形成する大きな契機となってきた。戦後60年以上、日本の支配階級は、この意識を突き崩せないまま来たのである。
 それは、国鉄分割・民営化−総評解散から20年たっても中曽根が思い描いた改憲プランを阻止し続けている。教育基本法が改悪されても日教組は「教え子を再び戦場に送るな」をおろさず(おろせず)、「日の丸・君が代」不起立を貫く教育労働者が頑として存在する。自治労は依然として原水禁運動や反基地闘争の基軸的部隊だ。かつて戦争動員の中心を担った4大産別の労働者が、戦争・改憲を阻む闘いの中心であり続けているのだ。
 日帝を、戦争もできない、核も持てない帝国主義として「最弱の環」たらしめてきたのは、まぎれもなく日帝の支配機構の中に「獅子身中の虫」として存在してきた4大産別を中心とする労働者階級の闘いだ。4大産別の労働組合を解体し尽くし、戦争の先兵に仕立て上げなければ戦争はできない。
 4大産別解体の攻撃として道州制・民営化攻撃があり、それと一体で広島・長崎闘争の解体攻撃がある。道州制・民営化攻撃は国鉄分割・民営化攻撃の全社会化であり、360万人首切りの恫喝で自治労、日教組をガタガタに揺さぶり、労働組合的団結を解体し尽くす攻撃である。そしてその過程で体制内指導部を完全な帝国主義の手先として、労働者を資本・国家の奴隷にしていくものだ。そうして労働者を積極的に侵略戦争を担う存在にしてしまうのだ。
 道州制攻撃は、自民党支配の崩壊の情勢下で、反革命的現状打破の唯一の切り札として一気に全面化している。衆院選過程とも重なった8・6―8・9闘争は、道州制決戦そのものだ。
 「労働運動と反戦闘争は完全に一体のものである」(新版『甦る労働組合』)は今こそ真理である。国鉄1047名解雇撤回闘争、道州制粉砕・民営化阻止を貫いて闘う動労千葉派が4大産別の組合・職場に屹立(きつりつ)し、階級的怒りの結集軸となって、組合権力を握ろう。これこそが帝国主義の侵略と戦争を止めるのだ。
 さらに法政大での暴処法弾圧をめぐる攻防である。京都学連事件と全国大学の反動的制圧が日本階級闘争の暴力的圧殺とヒロシマ・ナガサキにまで至る突破口となった。暴処法による法大学生弾圧は最大の戦争・改憲攻撃だ。法大暴処法弾圧粉砕を8月反戦反核闘争の核心に据えなければならない。

 国際連帯と青年の決起

 核と戦争をなくす力は、帝国主義を打倒する世界の労働者の闘い、階級的国際的団結にある。「核抑止力」は究極の労働者階級分断攻撃だ。労働者階級には、たがいを核の標的にする理由などない。ブルジョアジーとその手先たちは、労働者階級をありとあらゆるペテンを使って排外主義・祖国防衛主義にからめとり「戦争やむなし」「核やむなし」の方向へもっていく。そうしてブルジョアジーの利益のための戦争に労働者を動員していくのだ。
 最大の核心は「内への階級戦争」と「外への侵略戦争」の一体性を徹底的に暴き、労働者階級の真の階級的利益であるブルジョアジーの打倒、搾取と階級の廃止に向かって、階級的団結をつくっていくことにある。「労働者に祖国はない」というマルクス主義の原点に立って国際連帯を形成していくことだ。その基礎は、職場で資本とその手先の体制内指導部と非和解で闘い、その闘いをとおして階級的団結をつくりあげていくことである。
 大恐慌と戦争の時代の今こそ広島・長崎闘争を帝国主義の侵略戦争、核戦争を阻止する国際反戦闘争としてよみがえらせよう。それは11月労働者集会で形成してきた日米韓の動労千葉派、ランク&ファイルを中心とする国際連帯を発展させる闘いである。
 「2009国際反戦共同声明」を発し、7月サンフランシスコ国際労働者会議に結集した日米韓の闘う労働組合の階級的団結こそ、帝国主義強盗同盟としての日米安保をうち砕き、北朝鮮侵略戦争を阻止し、アジア・中東―全世界で帝国主義戦争と核戦争を阻止する最大の力だ。
 ILWU(米国際港湾倉庫労働組合)は1946年、「アメリカは中国から手を引け」「原爆反対」を訴えてストライキで闘った歴史を持つ。昨年のメーデーではイラクの港湾・石油労働者との連帯ストを実現した。UTLA(ロサンゼルス統一教組)は教育の民営化と軍事化に反対し、大量解雇攻撃に逮捕も辞さぬ実力決起で闘っている。ソウル本部を先頭とする韓国の民主労総は、イミョンバク政権の組合破壊攻撃と対北朝鮮の戦争政策と激しく対決して決起している。
 今夏8月広島・長崎闘争は、日米韓の階級的労働運動の国際的団結をさらに発展させ、核をなくし、帝国主義戦争を止める世界革命の具体的展望をたぐりよせていく闘いだ。

 塩川一派や旧与田派の策動を打ち砕こう

 

対照的なのが、革命情勢の到来を前にして反革共同・反動労千葉の反マルクス主義転向集団と化した旧与田残党と塩川一派である。彼らが党派性も路線性も解体して準備する「8・6」には、大恐慌情勢もなければ、オバマや麻生と対決する中身もゼロである。
「であう、わかる、つくる 8・6ヒロシマ」「ヒロシマ平和の夕べ」――これが旧与田残党と塩川一派、そしてとうの昔に革共同から脱落した連中らの野合による集会の正式名称だ。彼らは今や正真正銘の改憲政党である鳩山民主党の政権奪取を願望する運動に合流し、これを「広大な統一戦線」などと言っている。これが労働者階級に対する絶望の思想である血債主義・糾弾主義のなれの果てだ。
日共スターリン主義から塩川一派にいたる一切の体制内勢力との党派闘争を非妥協的に貫き、8月反戦反核闘争を「戦争・改憲と民営化・労組破壊」攻撃をうち破る4大産別決戦として闘いとろう。世界の労働者へ「オバマ打倒! 帝国主義打倒! 労働者階級の国際的団結で、核をなくせ! 戦争をとめよう!」と呼びかけよう。
広島・長崎に青年労働者・学生の大結集をかちとり、マル青労同・マル学同1000人建設を圧倒的に前進させよう。8・6−8・9闘争は、青年労働者と学生を、帝国主義が獲得するのか、革命が獲得するのかの決戦だ。

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全世界の労働者・民衆の団結で、核をなくせ! 戦争・改憲をとめよう!
被曝64周年8・6ヒロシマ大行動
8月6日(木)12時30分 15時デモ出発
広島県立総合体育館小アリーナ

〈関連行事〉
◎産別交流会・学生集会
5日午後/東区民文化センター
◎青年労働者交流集会
5日午後6時/東区民文化センター
◎祈念式典弾劾―麻生来広弾劾デモ
6日(木)午前7時
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

労働者の国際連帯で核を廃絶しよう!
長崎反戦反核集会
8月8日(土)午後6時
長崎県勤労福祉会館
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会
8月9日(日)午前7時30分
爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑
主催 長崎朝鮮人の人権を守る会

平和式典会場、爆心地に向けたデモ
8月9日(日)午前10時
城栄公園(路面電車・大橋下車)
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2398号6面1)(2009/07/06 )

 マルクス『賃労働と資本』を学ぶ

 恐慌と革命の時代に甦る賃金奴隷からの解放宣言

 畑田 治

 階級的労働運動の一層の前進のために、マルクス主義を生きた理論・教訓として学ぼうという意欲が青年労働者・学生を先頭に高まっている。各地の労働学校も活発に行われ始めた。これから随時、党学校での講義のポイントを提起していきたい。初めは『賃労働と資本』である。

 1848年革命を総括マルクスの新たな決意

 

今や資本主義の命脈は尽きた。資本主義に未来はない。労働者階級がこの資本の支配を終わらせ、新しい社会をつくりあげる時が来たのだ。労働者にはその力がある。このような時代だからこそ、私たちは『共産党宣言』とともに『賃労働と資本』を革命の武器として、徹底的に活用することができる。
『賃労働と資本』の核心的ポイントを4点、提起したい。
(1)『賃労働と資本』が書かれた時代は、今と同じ恐慌と革命の時代だ。労働者の闘いの歴史を振り返る中から労働者階級は革命的階級であることに自信と確信を深め、プロレタリア革命の完遂へ突き進みたい。
(2)資本主義社会は賃金奴隷制の社会だ。賃金制度は労働者を資本家につなぎ止める鎖だ。だから労働者と資本家は絶対に非和解である。
(3)資本は、労働者階級がいなければ生き続けることも価値増殖することもできない。労働者階級が資本主義の急所を握っている。
(4)労働者階級は、資本家階級を打倒し、新しい社会をつくらなければ人間として生きられない。労働組合はそのためのかけがえのない団結体、戦闘組織である。

(図 1848〜49年。革命のヨーロッパ 恐慌が労働者の生活を直撃し、労働者は生きるための闘いに決起した。パリ、ウィーン、ベルリン、ブダペスト、ローマ、ヴェネツィア、ミラノその他の都市でも、労働者はストライキ、街頭デモ、暴動に決起し、軍隊と衝突した。【地図は中央公論社『世界の歴史』より】)

 労働者は各地で蜂起した!

 マルクスの『賃労働と資本』(1849年)は、1847年末にブリュッセル(ベルギーの首都)のドイツ人労働者協会で行った講演がもとになっている。それを1848年のヨーロッパの革命の後に「新ライン新聞」に連載したものだ。マルクスは弾圧によってロンドンへの亡命を余儀なくされ、連載は未完のままである。
 『賃労働と資本』が書かれたのは、どのような時代だったか。ヨーロッパ全土の激動の時代だった。イギリスから始まった産業革命は、労働者の労働と生活を根底から脅かした。安価な機械織り製品の大陸への流入は、手作業による織物業をかつてない苦境に追いやった。資本家は首切りと賃下げ、労働強化で一切の犠牲を労働者に押しつけた。1844年のシュレージエンの織物工の蜂起は、どん底に突き落とされた労働者のやむにやまれぬ決起だった。1200人の労働者が「血の裁き」という歌を歌いながら、工場主の家や工場を襲った。軍隊が出動し12人が殺された。蜂起は各地に飛び火した。26歳のマルクスは、この闘いに強い衝撃を受けた。
 1847年になると恐慌が本格化し銀行や工場の倒産・閉鎖が相次ぎ、多数の労働者が街頭に放り出された。加えてジャガイモが不作で、主食のパンが2倍〜2倍半に値上がりした。多くの労働者が生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれた。
 こうした中で、ヨーロッパの各地で労働者はストライキとデモ、暴動に立ち上がった。1848年のパリ2月革命―ベルリン、ウィーンでの3月革命を皮切りにヨーロッパ各地に革命の波は広がった(図参照)。マルクス自身、共産主義者同盟の一員としてドイツ3月革命に参加した。
 『共産党宣言』と『賃労働と資本』は、そのような恐慌と革命の激動の中で書かれた。
 フランス2月革命では、労働者階級は王政打倒の闘いの先頭に立ったが、ブルジョアジーが2月革命の成果を奪い取った。そして労働者を治安対策のためにパリから追放しようとした攻撃に対して、プロレタリアートは6月蜂起に立ち上がった。この戦闘で1500人の労働者が銃殺され2万5千人が逮捕された。
 マルクスは『フランスにおける階級闘争』(1850年)で、パリの6月蜂起について次のように言っている。
 「近代社会を分かつ二階級の間に最初の大戦闘が行われた。それはブルジョア秩序の存続か壊滅かの闘いであった」「敗北によって初めて労働者は、彼らの状態のささやかな改善でさえも、ブルジョア共和制の内部ではひとつのユートピアにすぎない……という真実を納得させられた」「6月反乱者の血に浸されて初めて、三色旗はヨーロッパの革命の旗、――赤旗となった。そこでわれわれは叫ぶ、革命は死んだ! ――革命万歳!」

 階級の勝利に向け構え直す

 『賃労働と資本』もまた、この1848年の革命の総括から始まる。
 「すべて革命的反乱というものは、たとえその目標がまだどんなに階級闘争から縁遠いかに見えようとも、革命的労働者階級が勝利するまでは失敗するほかないということ、およそ社会改造は、プロレタリア革命と封建的反革命とが世界戦争において武器をもって勝負を決するまではユートピアにとどまる。われわれはそのことを証明したのである」
 マルクスは、1848年の革命がプロレタリアートの敗北に終わったことを全然、否定的に総括していない。敗北の根本的な原因は、いまだプロレタリアートが階級として歴史的に未形成だったためだ。それよりも何よりもマルクスは、プロレタリアートがブルジョアジーおよびブルジョア共和制に対する一切の幻想を捨て去り、真正面から階級戦争に決起したことに決定的な意義を見たのである。
 “これから本格的に構えて、絶対に勝利しよう”――前記の言葉にはそういう決意が込められている。そして、新たな闘いの出発点にマルクスは『賃労働と資本』の連載を据えたのである。
 「労働者の奴隷状態の基礎をなすのと同じようにブルジョアジーの存在及びその階級支配の基礎をなす経済的諸関係」をきっちり見極めようと、マルクスは訴えている。それは、「労働者の理論」をしっかり持とうという呼びかけでもある。

 賃金とは労働者階級を縛りつける「鎖」である

 賃労働と資本の本質を追求

 『賃労働と資本』は、労働者にとって切実な賃金の問題から始めて、賃金労働(者)というもの、資本(資本主義社会)というものを根本からつかむ闘いをやっている。マルクスは「どうして働かない資本家が金持ちになり、働く労働者が貧乏になるのか」、そこをはっきりさせようという怒りと弾劾から出発している。
 だから問題は、賃金額の低さだけにとどまらない。労働者は自分の労働力を資本家に切り売りしなければ生きられない存在であること、その売買をとおして資本と賃労働の関係を再生産すること、労働者は働けば働くほど自分を支配する力を強め自分を貧しくしてしまうこと――このような資本主義社会の転倒性が明らかにされていく。
 「もし労働者たちに『君の賃金はどれだけか?』とたずねるならば、彼らのある者は『私は1労働日につき1マルク受け取る』『私は2マルク』というように答えるだろう」
 「だから労働力は、まさしく砂糖と同じように一商品である。一方は時計で測られ、他方は秤(はかり)で測られる」
 まず、考えたいことは、労働が貨幣で買われる、売買されることの意味だ。それはけっして人間労働の本来的なあり方ではない。社会的生産・分配がすべて商品交換を通じて行われる資本主義社会ならではのことだ。ここに支配−被支配の階級関係がすでに刻まれている。
 「賃金は、労働力すなわち〈人間の血と肉を容器とする以外にない、この奇妙な商品〉の価格の別名にほかならない」
 労働力が商品として売買される時、労働者は人間ではなく、単なる労働力商品の入れ物、容器としての扱いしかされなくなる。資本は不要になれば、平然と労働者を路頭に投げ出す。

 賃金は「分け前」ではない

 賃金は「労働生産物の分け前」だろうか?
 たとえば織物工場の労働者を例にとってみよう。資本家は彼に、機(はた)と糸を提供し、糸は織られて立派な布となる。資本家はこの布を、たとえば20マルクで他人に売る。さて織物労働者の賃金は、この布の20マルクの分け前であろうか。
 けっして、そうではない。布が売られるよりもずっと前に、織物労働者の賃金は決まっていた。だから資本家は、この賃金を、布を売って手に入れる代価の大小によって支払うのではなく、最初の約束額を支払うのである。
 資本家は自分の手元にある財産(資本)の一部をもって織物労働者の労働力を買う。
 「資本家がこの購入(原料や機械、労働力)を行った後は、資本家はもはや原料と労働用具(生産手段)をもって生産するばかりである。労働者ももちろん労働用具の仲間であって、彼は織物機械と同じように、生産物の売り上げの分け前には少しもあずからない」
 賃金は成果配分ではなく、原材料費と同じなのだ。資本家が、他の原材料とともに仕入れる労働力商品の代価が賃金なのだ。
 マルクスが後に『資本論』などで明らかにしたことは、賃金制度のもとで資本家は労働者をとことん搾取しているということである。賃金制度はその搾取を隠蔽(いんぺい)する、ひとつの奴隷制度だ。
 もともと人間の労働生産活動=社会的生産力には、動物がエサをとる行動とは違って普遍性・発展性がある。労働する人間には、その個人がぎりぎり生きるための物以上をつくり出す力がある(だからこそ歴史は発展してきた)。この超過分が剰余生産物である。資本主義社会では、資本家階級がそれを労働者階級から奪い取っている。それが階級的搾取である。
 たとえば1日8時間労働の場合、4時間の労働生産物が労働者個人の生存のための必要労働(これが賃金分)であるとすれば、残りの4時間は剰余労働としてすべて資本家のものとなる。しかし賃金は1日の労働に対する対価として支払われるので、労働者は4時間を資本家のためにただ働きしなければ、賃金を受け取ることができないのだ。このように剰余労働の搾取が、賃金制度のもとではすっかり隠蔽(いんぺい)される。しかも、資本主義社会とは、生産手段を独占する資本家階級がこの剰余労働の搾取(資本の利潤・剰余価値の取得)を唯一の目的・動機として社会的生産を行う、実に転倒した社会なのである。
 資本家は「労使が協力して生産し、それぞれ成果を分かち合う」かのように描き出すが、それは搾取を覆い隠すものでしかない。今の日本の労働運動でも、連合本部は「企業は労働者のがんばりに見合った成果配分を」と、完全に資本家と同じ土俵でものを言っているが、これでは労働者は闘えない。連合の主張は、「分け前を大きくするために、労働者は資本家と協力し一生懸命働こう」と、労働者を一層の奴隷労働に駆り立てるものだ。

 労働も生活も「疎外」される

 なぜ労働者は労働力を売るのか? 生きるためだ。労働は本来、労働者自身の生命の活動、生命の発現である。ところがこの生命の活動を、労働者は、必要な生活手段を確保するために第三者(資本家)に売らざるを得ない。
 労働者は、資本家によって、労働力をモノのように消費される。生産過程の主体は資本であり、労働者は労働用具や原材料と同じ、客体の位置に置かれている。労働の主体である労働者の位置が完全に転倒している。
 だから労働はむしろ彼の生活の一犠牲でしかない。彼の生活は、彼のこの活動が終わった時に、食卓で、飲み屋の腰掛けで、ベッドで始まる。
 労働が疎外されたものであるとき、労働の外の生活もまた本来的・人間的なものであることはできない。家に帰っても、自由にできる自分の時間もほとんどなく、ふとんにもぐり込む毎日の繰り返しだ。長時間労働で家族との生活も犠牲にされ、明日また販売する労働力商品を再生産するだけの毎日だ。
 そして労働者は、受け取った賃金を、今日生きるために消費すれば、あとには何も残らない。明日また自分の労働力を切り売りする以外に生きられない。こうして労働者は1日の生活時間の大半、1年365日、そして人生の40年、50年、60年の大半を資本家のもとで強制労働させられ、搾取されている。
 このような資本制社会の賃金労働制を歴史的に見れば、古代奴隷制や中世封建制(農奴制)と形は違うがその本質は同じだ。ある階級が他の階級を支配し、他人の労働を奪い取る、すなわち剰余労働を搾取する階級社会、ひとつの奴隷制社会である。古代ローマの奴隷は鎖によってその所有者につながれていたが、賃金労働者は見えない鎖によって資本家階級につながれている。「自由な」労働契約に基づく賃金が搾取の本質を覆い隠すのだ。
 そしてこの奴隷制度は、生産力が発展すればするほど、その分だけますます厳しくなる奴隷制度である。
 資本間の競争は過剰生産を引き起こし、恐慌を爆発させる。
 「資本は、労働によって生きるだけではない。高貴さと野蛮さを兼ねそなえた支配者である資本は、彼の奴隷の死体を、恐慌で没落する労働者のいけにえ全体を、自分と一緒に墓穴に引きずり込む」
 このように、労働者は資本の循環運動の中でとことん搾り取られ、挙げ句の果てに恐慌になったら、大量の労働者が一挙に仕事を奪われ糧道を断たれる。戦争になったら真っ先に動員され殺されるのも労働者だ。
 資本主義社会は、汗まみれで働く者が生存ぎりぎりの賃金しか得られず、働かない者が数百倍、数千倍もの利益を懐にする――こんな逆立ちした社会をどうして許せるか!
 資本主義の発展は、大多数の労働者の賃金を最低限のレベルに押し下げた。新自由主義のもとで今や全世界の労働人口の45%、14億人が毎日2j以下の賃金しか得られないワーキングプアだ(OECD=経済協力開発機構の報告)。世界人口の6分の1、実に10億人が飢餓に苦しんでいる(FAO=国連食糧農業機関の報告)。米日帝などの大資本がこのようにして労働者を搾取し、莫大な利潤をあげてきた。もはや世界大恐慌のもとで絶望的危機を深める帝国主義者どもは、「賃金奴隷」の最低限の生存の保障すらすべて奪い尽くそうとしている。
 資本家と労働者階級は絶対的に非和解だ。労働者階級は、資本による支配=賃金奴隷制度を廃絶しない限り、自らの解放はない。労働者階級の闘いは〈賃金奴隷の自己解放闘争〉である。

 資本の力は労働者の力団結しひっくり返そう

 「社会的力」を資本家が独占

 これほどにも労働者を搾取する資本とは一体なにか?
 資本はひとつの社会的生産関係であり、資本主義的な生産関係である。賃金(労働力の売買)をとおして、生きた人間労働の創造力・生産力を資本家が奪い取る形で生産が行われているのだ。この特定の社会的生産関係こそが、原材料や生産手段など新しい生産に役立つ生産物を資本にするのである。
 言い換えれば、資本とは「他人の労働を隷属させる力」「賃労働を搾取するものであり、新しい賃労働をつくり出し、それを新たに搾取するという条件においてしか、自分自身を増殖できない財産」(『共産党宣言』)である。
 資本主義社会では、労働者階級が生み出した社会的生産力が資本の力としてひっくり返って(=敵対的に、労働者に疎遠なものとして)貫徹されている。社会的な力を資本家が私物化し、労働者階級を支配する力に転化しているのである。資本の力、その巨大な生産力は、実は労働者階級の力なのだ。
 労働能力以外に何物も持たず、生きるためには労働力を売る以外にない一階級(プロレタリアート)の生存は、資本の必要不可欠の存立条件である。ここが資本の決定的弱みでもある。労働者が資本の急所を握っているのだ。
 賃労働と資本、それは対立物であると同時に、同一物である。同じものを一方から見たら資本だし、反対側から見たら賃労働だ。労働者がこの資本主義の仕組み、搾取のからくりを見てとったら、自分たち労働者を苦しめる資本家どもの息の根を止めるにはどうしたらいいかが、はっきり見えてくる。
(写真 ストライキは労働者を団結させ、資本家を追いつめる。日本機械工業労組の3月春闘スト【東京都八王子市】)

 労働組合こそ団結の武器だ

 プロレタリアートがブルジョアジーの政治支配を覆し、生産手段を社会全体のものとした時、資本主義を止揚して新しい社会(社会主義社会)を建設することができる。ひっくり返っている社会(資本主義社会)を、本来のあるべき姿に戻す−−それがプロレタリア革命であり、社会主義だ。しかもその実現の条件は、労働者がつくり出した社会的生産力および労働者の階級的団結(労働運動)の中にすでに実存しているのだ。
 『賃労働と資本』の本文は未完で終わっているが、講演のもととなった手稿「賃金」は「労働組合」を後半部分に置いている。ここに、労働者にとってかけがえのない団結体としての労働組合の意義と役割がはっきりと述べられている。
 「労働組合は労働者間の競争を止揚し、それに代えるに労働者間の結合をもってしようとする目的を持つ」
 「もし労働組合における現実の問題が、ただ賃金の決定だけであって、労働と資本との関係を永遠的なものだと考えるとすれば、労働者の団結は必然的に挫折するだろう。だが労働組合は、労働者階級の結合の手段であり、階級対立を伴う旧来の全社会の転覆のための準備手段である」
 このことを確信した労働者は、犠牲も顧みず、仲間のため、組合のために団結して闘う。全組合員が首になることも覚悟してストライキを闘った動労千葉の分割・民営化阻止闘争とそれに引き続く闘いは、けっして動労千葉だけの特別な闘いではない。これからの全世界の労働者階級の壮大な決起と、勝利の展望を明々と照らしている。
 今こそ、資本家のしっぽにくっつく体制内労働運動を打倒し、闘う労働組合をよみがえらせよう。これが『賃労働と資本』の実践的結論だ。

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週刊『前進』(2398号7面1)(2009/07/06 )

 「資本主義の防波堤」を自認

 オバマ翼賛・大企業擁護で「政権担当能力」売り込む

 日本共産党8中総を批判する

 日本共産党は6月4、5の両日、24回大会第8回中央委員会総会(8中総)を開いた。都議選、総選挙を前に、オバマへの書簡や日本経団連との会談などを自賛し、「現実政治を動かす党」とか、「政権を担う党への成長」をうたって、党員を奮起させようとしている。だが、それは、帝国主義の末期的危機の中で、資本主義の防波堤となって生き残ろうとするものであり、日共スターリン主義の底なしの反革命化を刻印するものである。
(写真 昨年12月18日、日本経団連幹部に申し入れる志位ら日共議員【左側】。8中総でこれを「政権を担う党への前進」と「自慢」している)

 資本主義のルール説き労働者を抑圧

 日本共産党委員長の志位和夫は、8中総の幹部会報告で、総選挙にあたって、日本の進路を示す「二つの旗印」を掲げて臨むとしている。
 「第一は、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』を築く。そのために異常な財界・大企業中心の政治を転換すること」
 「第二は、憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する『自主・自立の平和外交』に転換する。そのために異常な『軍事同盟絶対』の政治から脱却すること」
 日本共産党は、そもそも今日の世界大恐慌の情勢について、「経済危機から国民の暮らしをどうやって守るか」という問題の立て方しかできない。それは、資本主義がよりよい政策を出せば立て直し可能であり、労働者はそのために協力しようというものでしかない。「資本主義の枠内での民主的改革」は、今や文字どおり資本主義体制を守るスローガンになっているのだ。
 志位は、「ルールある経済社会」をつくるために、「大企業の横暴勝手を抑え、その社会的力にふさわしい責任と負担を求める」と言っている。
 そして、昨年秋から、日本経団連、トヨタ、いすゞなどの幹部と志位が直接会談をやり、「雇用に対する大企業の社会的責任を果たすことを求めた」ことを大々的な成果として押し出している。
 志位は、「私たちの立場は『大企業打倒』でも『大企業敵視』でもありません」とし、「日本経済の健全な発展を促すとともに、企業の発展にもつながる道」を提起すると言っている。そして、この行動に「少なくない経済界の人々から共感の声」が寄せられていると言って感激している。
 重要なことは、この大企業との直接会談について、「わが党が政権を担う党へと力量を高めていくプロセスとしても意義ある取り組み」と位置づけていることだ。「経済界の人々」=ブルジョアジーに認められていく度合いに応じて政権に近づくと言っているのだ。
 何よりも重大なことは、日共は、労働者の職場闘争、労働組合の力、階級的な団結によって、資本家階級と対決し、その攻撃を打ち破るというように絶対に考えないということだ。
 志位が大企業の労働者と懇談する場合も、志位が会社幹部と会談するための材料を仕入れる「事情聴取」のようなもので、「現行法を厳しく守らせる」とか「人間らしい労働のルールをつくる」というのは、日共の国会議員に委ねられるのだ。現場の労働者にはもっぱら「労働局に派遣労働者の違法解雇の是正を求める申告運動」に取り組むことが説かれる。
 資本主義は終わりだ、資本主義の枠内では生きられない、と誰もが感じている時に、「資本主義の枠内」をわざわざ強調して、労働者に賃金奴隷としての現状に甘んじることを強要する。
 日共は何かと言うとルール、ルールと言うが、この世に超階級的なルールなどない。資本主義のルールは、支配階級=ブルジョアジーの独裁のルール以外の何ものでもない。賃金奴隷の鎖に縛り付けるルールだ。この鉄鎖を打ち破らなければ生きていけないことがいよいよはっきりしてきている時に、日共はルール=鉄鎖を強めよと言っているのだ。まさに日共はブルジョア支配を守るための「防波堤」になると言っているのである。
 「支配階級よ、共産主義革命の前に震え上がるがよい! プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である」(『共産党宣言』)。今やこのことを宣言するのが本来の「共産党」の役割ではないのか。
 大恐慌はまさに日本共産党の「資本主義の枠内の改革」という路線の綱領的破産を示すと同時に、その反革命性を浮き彫りにしているのだ。

 米帝オバマを称賛侵略戦争の先兵に

 日共が「第二の旗印」としている「自主・自立の平和外交」について。志位は報告の中で「私たちは『反米主義』ではけっしてありません」と断り、「アメリカの前向きの変化」と称して米帝を擁護している。
 米帝オバマの4・5プラハ演説を絶賛する書簡を志位が送り、それに対する米政府からの返書が来たことが最大限にうたい上げられている。
 そもそもオバマ演説を「核兵器のない世界への一歩」と評価すること自体がとんでもない錯誤である。オバマは、米帝国主義の頭目として、核兵器を独占し続ける、拡散させない、核を持とうとする国や「テロリスト」があれば断固たる行動に出る、と言っているのであり、この演説自体が北朝鮮やイランに対して発せられた侵略戦争宣言そのものなのだ。またそれは日帝に対する核武装阻止のシグナルでもある。
 日共・志位は、このオバマ演説を絶賛することで、完全に帝国主義の側に身を移してしまった。
 これは日共が04年1月の23回大会での綱領全面改定で「独占資本主義国=帝国主義国」とは言えないという「解釈」を打ち出したこと、帝国主義の概念を完全に解体したことを根拠としている。
 そして米帝に対するこのすり寄り行動をもって、「私たちが政権を担う党へと成長していく上で、初歩的だが意義ある一歩」と自慢しているのだ。先の大企業に対する態度で「政権担当能力」に言及したように、米帝に認められたことが、政権に近づく決定的な指標になっているのだ。
 かつての綱領では、「アメリカ帝国主義と日本の独占資本主義の支配――二つの敵に反対する新しい民主主義革命」となっていた(これ自体はスターリン主義的な二段階戦略であり、プロレタリア革命=共産主義革命への敵対だ)。今や日共にとって、米帝と大企業は敵どころか、交渉や取引や会談の相手になってしまった。何という転落ぶりであろうか。
 オバマのプラハ演説は、現実には北朝鮮の核実験を餌食として北朝鮮侵略戦争に踏み込むものだ。だが、日共はプラハ演説絶賛と同時に、攻撃の矛先を北朝鮮に向け、北朝鮮の核開発は平和の流れに対する「重大な逆流」だと非難している。
 そして、北朝鮮に対する国連安保理決議にもろ手をあげて賛成した。さらに、日帝の北朝鮮制裁の国会決議についても全面賛成した。つまり、挙国一致の対北朝鮮排外主義に加わっているのだ。
 国連決議に対する日共のスタンスは「国際社会の一致した対応が必要」というものだ。驚くべきことに、日共にとっては、国連という形で「国際社会」という超階級的な共同体が形成されていて、それに刃向かう「異端者」として北朝鮮があるということなのだ。
 日共は労働者の国際連帯の側にではなく、国際帝国主義の側に立つと言っているのである。
 われわれは北朝鮮の核開発を反人民的反革命的なものとして弾劾する。しかしそれは、金正日スターリン主義が韓国を始め帝国主義と闘う労働者階級の国際的団結に敵対しているからであって、帝国主義と正反対の立場からの弾劾である。「国際社会の一致した対応」などは、帝国主義の戦争政策への加担以外の何ものでもない。
 「核の傘」と称する圧倒的な核軍事力のもとに軍事重圧を加えているのは帝国主義の側である。戦争放火者は米帝オバマだ。日共はそれをすべて免罪して米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争を支持し翼賛しているのだ。

 日共の3大裏切り粉砕し前進しよう

 日共は、このような反階級的・反革命的立場をこれまで以上に鮮明にした。それは闘いの現場ではもっと露骨に現れる。
 日共は労働現場では徹底的な闘争圧殺者であり、団結破壊者だ。それは「資本主義の枠内での改革」の路線に規定されている。階級的原則を貫く労働者を権力に売り渡す、その典型が国労5・27臨大闘争弾圧だ。国鉄1047名闘争では、日共は4者4団体の一勢力として動労千葉排除を最も強硬に主張している。そして、「解雇撤回」を投げ捨て「政治解決」路線を突っ走っている。
 さらに「裁判を国民のものに」と称して、統治行為に労働者人民を動員する現代の徴兵制=裁判員制度を推進してきたのも日共だ。最高裁・法務省の手先となって改憲攻撃に協力しているのだ。
 日共にとって一切の実践的結論は都議選、総選挙で議席を増やすことだ。これまでの長期低落の流れを止め、逆に上向きに転じなかったら、その先がないような土壇場なのである。
 彼らは総選挙の争点について、「(自民党か民主党か)どちらが政権の担い手になるかの選択ではない」と力説する。だがこれは、10年前に「よりまし政権への参加」と言って民主党中心の政権に入る願望を語っていたのが完全に破産したことを自己暴露するものだ。
 日共は、「2大政党」や「政権交代」の蚊帳の外に出されて、議会主義政党として存亡の危機にある。ここから議会主義的に一層純化し、帝国主義にすり寄ることで、「政権担当能力」を売り込んでいるのだ。それは労働者階級に対する敵対であり、襲撃である。
 7月闘争から11月労働者集会へ、日共反革命の3大裏切りを暴き、これを打ち破り、青年労働者を圧倒的に組織しよう。国鉄決戦を基軸に4大産別決戦に勝利しよう。
 第一に、4者4団体の策動を打ち破り、国鉄1047名解雇撤回闘争を貫こう。国労5・27臨大闘争弾圧裁判の7・17最終弁論の日の一日行動は、国鉄1047名闘争の責任勢力として登場する闘いでもある。
 第二に、裁判員制度に対する全人民的な怒りと拒否の中で追いつめられ、悪あがきする日共をさらに追いつめよう。
 第三に、8月原水禁運動を「オバマ万歳運動」にまで転落させようとする日共と連合の策動を打ち破って8・6広島、8・9長崎の反戦・反核闘争をかちとろう。
 日共反革命を打倒し革共同に結集しよう。
 (高田隆志)
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 8中総・志位報告のポイント

●「大企業打倒」でも「大企業敵視」でもありません
●「反米主義」ではけっしてありません
●財界・大企業、アメリカへの働きかけ――主張とともに行動で現実政治を動かす党
●(財界やアメリカへの働きかけは)わが党が政権を担う党へ力量を高めていくプロセスとして意義ある取り組み

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週刊『前進』(2398号8面1)(2009/07/06 )

 獄中34年 先頭で闘う星野さんと心をひとつに

 “権力との闘い曖昧にするな”

 星野再審連絡会議 歴史的な全国総会

 「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の2009年全国総会が6月26、27の両日、東京で開かれた。会場を超満員にする熱気と迫力で、獄中34年の星野文昭さんと固く団結してかちとられた。2日目には星野奪還闘争の路線をめぐって激論となった。世界大恐慌情勢下で大失業と戦争攻撃が激化し、これと真っ向から闘う青年労働者や学生の怒りの決起が始まっている。この闘いと結合し労働者階級を圧倒的に組織することこそ、星野さんを奪還する道だ。新たな階級的激動の時代と闘いを見据えられない反動的な「転向・屈服路線」と徹底的に対決し、それを粉砕・打倒する大勝利をかちとった。最高裁決定が示した国家意思をうち破り、星野第2次再審闘争を労働者階級を軸にした闘いで爆発的に拡大させる展望をつかんだ。星野さんのメッセージにある「世の中を本当に変える闘いと、星野を本当に取り戻す闘いを一つのものとして闘い、未来を開く団結と解放の力を飛躍させるために討論を深め、一つに進むための歴史的総会」を闘いとった。
(写真 真剣な討論で星野奪還を誓った09全国総会【6月27日東京・渋谷】)

 全国揺るがす大運動を

 1日目は、共同代表・柴田作治郎さんの開会あいさつの後、71年11・10沖縄ゼネストと、同年11・14渋谷闘争のDVDが上映された。
 星野さんのメッセージが全文読み上げられ、「事実上の総会の基調報告」であることが確認された。つれあいの星野暁子さんはビデオメッセージで参加した。
 総会は、各地の「救う会」「取り戻す会」の自己紹介の後、千葉、茨城、大阪、福島の今年結成された会四つと、8月結成予定の新潟があいさつし、決意を述べた。
 「暴処法」弾圧と闘う法大生・久木野和也君と全学連委員長代行の坂野陽平君が連帯あいさつ。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長のメッセージが紹介された。
 「総括と運動方針案」が事務局から提起された。昨年7月に最高裁が特別抗告を棄却した際、確定判決の柱とも言うべきK供述に誤りがあったことを認めているにもかかわらず、再審開始の訴えを退けた。これは、「裁判」の論理を超えた、星野さんを絶対に出さない国家意思であると断じ、弾劾した。
 「最高裁決定という形で示された国家意思を打ち破るには、『星野闘争』という枠の中だけで考え、闘うのでは展望は開けない。星野さんを取り戻すには、日本全体を揺るがす広範な闘いと結合し、私たち自身がその一翼を担うことが必要。これまでの星野闘争を考えると大きな飛躍だが、この飛躍に挑戦する以外に、実際に星野さんを取り戻す道はないと確信する」と熱烈に訴えた。
 その上で、闘いの方針として、全力で労働組合を組織すること、そのために学習会や現地調査を積み重ねることが提起された。そして、具体的には再審要求の新10万人署名運動を開始することが呼びかけられた。
 6月17日に面会した群馬の青柳晃玄さんが「6・14―15連続闘争の息吹を伝えた。星野君は法大闘争を聞いてさらに確信を深めている」と報告した。広島から8・6ヒロシマ大行動が呼びかけられた。
 2日目は、会場を移して午前10時に始まった。
 最初に、鈴木達夫弁護団長、岩井信弁護士、和久田修弁護士から第2次再審に向けた報告があった。鈴木弁護士は「獄中34年の政治犯ということが、労働者の心を絶対に揺さぶることを確信しよう」と、職場に根を張った再審闘争を訴えた。証拠とされているのが「共犯者」の供述だけで、それも公判廷で全部覆っている。獄中の星野さんも強調しているように、この点を重視して再審闘争を闘うことがそれぞれ語られた。

 松川闘争の教訓を学ぶ

  続いて、「松川裁判闘争の教訓」が報告された。1949年8月の福島県松川の列車転覆事件で、国労と東芝労組の労働者20人がデッチあげ逮捕された。一審で死刑・無期を含む全員有罪の大弾圧が加えられたが、労働組合が運動の中心に座り、全国に1000の救援会が作られ、全国を揺るがす運動で全員無罪判決をかちとったのだ。この教訓を学び、労働者階級の力で星野再審闘争に勝利しようと訴えた。
  全国労組交流センター共同代表の辻川慎一さん、国労5・27臨大闘争弾圧被告団の羽廣憲さんが連帯あいさつを行い、階級的立場で星野闘争を闘おうと熱烈に訴えた。
  群馬から奥深山幸男さん免訴の闘いが報告された。
  その後、4時間にわたる熱烈、真剣な討論が交わされた。「星野さんは救済の対象ではない。獄壁を越えて一緒に闘っている。労働者の中に入っていこう」(杉並)「星野さんは情報操作で操られているなどという人に言いたい。あなたは星野さんという人間に感動しないのか」(沖縄)
  休憩の後、論議は白熱した。「異議がある。デタラメな特別抗告棄却は運動が見すかされているからではないか。労働運動を強調し、党派が前面に出ると広がりがなくなる。仮釈要求は当然だ」という沖縄の知花昌一氏の発言に、徹底的な批判がつきつけられた。
  「最高裁が示した国家意思をうち破るには、労働者階級の団結を中軸にすることでしか勝利できない。その上で広範な統一戦線もできる」「仮釈放は転向を星野さんに求めることだ。あなたは星野奪還に絶望している」「街頭は熱い。青年労働者が次々に署名する」
  87年に「日の丸」焼き捨てに決起した知花氏が、星野奪還闘争の展望を見失い、労働者階級の団結で星野闘争に勝利する方針に敵対することは、知花氏自身の闘いを裏切るものだ。知花氏は総会の途中で退席してしまった。
  さらに「関西連絡会」の代表としてもぐりこんでいた塩川一派に対する怒りが爆発した。「昨年8・5広島での署名活動への敵対は許せない」「昨年の11・29全国集会の報告パンフを1部も配布していないのは星野闘争への敵対だ」「君は革共同再建委員会に所属している。再建とは、革共同を破壊することだ」「星野さんに敵対する者は出ていけ」と激しい弾劾がたたきつけられ、会場からたたき出された。
  こうして、星野奪還闘争に敵対・妨害する者らと決着をつけ、星野さん奪還の路線が鮮明に打ち立てられた。司会が、総括と運動方針案を含む7点を「総会のまとめ」として提案、全体の拍手で決議された。
  星野文昭さんの兄の治男さん、弟の修三さん、従兄の誉夫さんが家族としてあいさつをし、1日も早く取り戻したいと訴えた。共同代表の平良修さんが「まとめと閉会のあいさつ」を行い、最後に団結ガンバローで星野奪還を誓い合った。
  (写真 星野文昭さんを一日も早く取り戻したいと訴える家族。左から星野誉夫さん、星野修三さん、星野治男さん【6月27日】) 

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 《2009星野全国総会決議》

@今こそ星野文昭さんと団結して闘う
A星野さんのメッセージを共同綱領にする
B運動方針、財政方針、共同代表、事務局体制を承認する
C労組決議、労組取り戻す会の結成などを通じ新10万人署名運動を開始する
D「暴処法」弾圧と闘う法大闘争など多くの人びとと連帯する
E星野さんの闘いを否定し、運動を破壊する人びとと、総会の名をもって決別を宣言する
F原則を明確にすることで運動は強くなる

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週刊『前進』(2398号8面2)(2009/07/06 )

 星野文昭さん 獄中メッセージ

 労働者階級の解放と星野奪還は一体の闘い(抜粋)

 今日、大恐慌が一層深まり、資本主義が資本主義である限り、社会を根本から破壊し、荒廃させることが目前で進み、日本と全世界で、青年・学生を先頭に、この世の中を変え、自らとすべての労働者人民の解放をかちとる闘いに立ち上がっています。(中略)
 その闘いの中で、無期弾圧と、自らと全労働者人民の解放をかけて闘う星野のようにともに闘い、必ず取り戻そうという闘いが、青年・学生を先頭に闘われ、その闘いが、世の中を本当に変える闘いと、星野を本当に取り戻す闘いを一つのものとして闘い、未来を開く団結と解放の力を飛躍させようとしています。そのような中で、本総会は、その闘いを本当に実現していく、そのために討論を深め、一つに進むための歴史的な総会であることを、参加された皆さんとともに確認したいと思います。(中略)
     ☆
 私たちが、社会・人間生活そのものを破壊する資本主義を終わらせ、労働者人民が真の社会の主人公となって、誰もが人間らしく生きられる社会を、労働者人民の力を全面的に信頼して実現していく、その青年・学生を先頭とした世の中を変えていこうとする闘いと一体に、その世の中を変えようとする闘いを圧殺するために、権力が私の無実を百も承知で無期を強いることを一日だって許すな、一日も早く釈放せよ、再審を開き無罪を出せ、このことを真っ向から掲げた闘いを始める、ということにあります。
     ☆
 私がこうした立場に立つまでには、青年・学生を先頭にした皆さんの闘いに学び、励まされつつ、本当に、自らとすべての人びとの人間的未来=解放をかちとっていく、その力によってまた、再審・釈放をかちとる力と内容を、一切のごまかしを持ち込まず、すべてと格闘しつつ、厳しい自己変革・飛躍によって獲得するということがありました。
 私にとって、その飛躍の土台として、暁子が体調を崩すほどのしわよせを、自らがやるべきをやらなかったことで集中したことへの痛烈な反省がありました。そこには、本当に現実・現状を打ち破り、自ら・家族とすべての労働者人民の解放と、再審・釈放をかちとることがありました。(中略)
     ☆
 死刑求刑と無期確定ということは、世の中を変え人間的未来を開く闘いを圧殺するために、本質的にも現実的にも未来のすべて、生きる未来そのものを奪おうとするものですから、本当に、人間的未来、自らとすべての人びとの人間的解放につながる道すじとそれを実現する力を得ることによってしか生きることができません。ごまかしや曖昧(あいまい)さ、観念的な思い込みのようなものを持ち込んだのでは、その力を得られないのです。その中で得たものが、自ら(家族)の解放は、労働者の解放=人間的解放の中にある、ということです。
 獄壁という最大の分断の壁をうち破って、家族はもちろん、すべての労働者人民の現実と闘いの中に身をおいて、その根源にある、人間らしく解放され生きたいという自己解放・人間解放の欲求・希求・力を全面的に信頼し、それに依拠し、それをあらゆる分断をのりこえ、一つの団結、解放の力とし、資本主義を終わらせ、労働者が社会の真の主人公となって、その人間的共同性によって、誰もが人間らしく生きることのできる社会を実現する、そこに自らと家族、すべての労働者人民の解放の未来がある。その力が、再審・釈放をかちとる力。それが獲得したものです。(中略)
     ☆
 このような世の中を変えようという闘いを圧殺するために、権力が私の無実を百も承知で、本人が強制された嘘(うそ)だと言明している供述を唯一の証拠に無期を強いている。34年も投獄している。これを絶対に許すわけにはいきません。(中略)
     ☆
 まさに、まともな証拠もないのに、むしろ証拠が無実を明らかにしているのです。これ以上、一日たりとも投獄するな、一日も早く釈放せよ、執行停止せよ、一日も早く再審で無罪を出せの声と力を、取り戻す会を軸に、闘う労働者人民を主軸に、全人民・全社会的につくりだし、再審無罪・即時釈放を必ずかちとりましょう。
 全国・全世界の労働者人民の団結した力で資本主義を終わらせ、労働者人民の手で誰もが人間らしく生きられる世の中に変える。その闘いと一つに、その闘いの力で、再審・即時釈放を必ずかちとりましょう。権力との闘いを曖昧にする立場は、星野闘争を破壊するものであり、絶対に突破しなければなりません。
 自らとすべての労働者人民の解放、一切をかけ、何ものも恐れず、資本・権力との闘いに立ち上がり、闘いを貫く、その解放感の中でこそ、すべての闘いを共有し、すべての分断をうち破り、団結をかちとることができ、あらゆる壁をうち破り闘うことによって、解放をかちとる真の団結と力を手にすることができます。ともに闘い、再審・即時釈放をかちとり、そして合流しともに闘いましょう。
 このメッセージとともに、大阪・取り戻す会へのメッセージをぜひ読んでください。

(71年11・14沖縄返還協定批准阻止・渋谷暴動闘争戦士。デッチあげ殺人罪で無期懲役。08年7月最高裁が特別抗告棄却。第2次再審準備中。徳島刑務所在監、獄中34年)

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