ZENSHIN 2009/03/09(No2382 p06)

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週刊『前進』(2382号1面1)(2009/03/09 )

 イラク反戦6周年―労働者の団結の力で戦争とめよう

 3・20全国から渋谷デモへ

 「労使共同宣言」粉砕・1047名闘争勝利

 動労千葉はストライキで立つ

(写真 “道州制粉砕!橋下打倒!”  大阪府庁へ大デモ 豊中市職女性部が呼びかけた「道州制反対!橋下打倒!3・6府庁前行動」は体制内労働運動の妨害を粉砕してかちとられ、関西を始め全国から450人が結集した。怒りのデモが大阪府庁を包囲し、橋下を直撃した=詳報次号)

 道州制・民営化攻撃粉砕の大決戦へ火柱が上がった。2月26日の西郡住宅強制執行粉砕闘争に続き、3月6日、道州制粉砕・橋下打倒の大阪府庁前行動が自治体労働者を先頭に圧倒的に闘いとられた。「生きさせろ!」ゼネストへ、資本主義を打倒する階級的労働運動の猛進撃が始まったのだ。動労千葉の3月春闘ストライキを先頭に、職場から続々と闘いに決起し、3・20イラク反戦6周年の渋谷デモへと全国から攻め上ろう! 首都を揺るがす5000人の大デモを実現しよう。

 世界大恐慌の本格的激化

 世界大恐慌は本格的な過程に突入している。世界経済は金融大恐慌が実体経済の激しい収縮に波及し、3月末に向けいよいよ奈落の底へと突き進んでいる。この3月こそ、世界革命情勢に全面的に火がつく時だ。今はまさに歴史の転換点だ。
 ブルジョアジーは労働者階級に全犠牲を転嫁して延命しようと必死のあがきを続けている。大量解雇攻撃と賃下げが一体となって全労働者を襲っている。失業者が1000万人を超え、賃金が半減するような事態がもう間近に迫っている。
 全労働者の怒りは社会に充満し、もはや爆発寸前だ。これに恐怖した資本家階級は今や、労働者の怒りの爆発をいかに抑え込むかに必死になっている。連合や全労連などの体制内労働運動はその最先兵と化している。
 連合会長の高木は3月3日、経団連会長の御手洗とともに「労使共同」で政府に政労使の緊急協議の申し入れを行った。資本による首切り・賃下げの嵐と一切闘わず、逆に資本家と一緒になって、労働者の決起を未然に圧殺するために、政策的諸措置を要求するというのだ。ふざけるな!
 日帝ブルジョアジーとその政府も、民主党・連合も、日本共産党・全労連も、社民党その他の勢力も、今やこぞって同じスローガンを叫んでいる。「セーフティーネットの構築」や「ワークシェアリング」がその合言葉だ。彼らがやろうとしているのは、首切りを強行した資本家と一緒に政府に頭を下げて「救済」をお願いすることだ。労働者の誇りを奪い、永遠に資本の奴隷であり続けろと強制することだ。
 しかし「救済」など最初から破産している。1929年を超える大恐慌はその万力のような破壊力で、大企業・大銀行を破産させ、大失業を生み出し、帝国主義は国家財政の天文学的な赤字にあえいでいるのだ。
 資本主義の命脈は尽きた。今必要なのは、このことを真っ向から宣言して、プロレタリア革命への闘いに立ち上がることだ。労働者が賃金奴隷の鎖を自分自身の手でひきちぎるために闘う時だ。労働者の団結と決起こそ革命の原動力である。この3月の大決戦で、勝利の突破口を開こう。労働者階級が本気で闘いに立つならば、最末期の帝国主義は絶対に倒せる!
 日帝ブルジョアジーとその政府はもう万策尽きている。支配階級の分裂と、他を蹴落として生き残るための醜悪な泥仕合が、すでに始まっているではないか。麻生や小沢らの姿を見よ。この連中を打倒し、労働者階級が権力を奪取し、生産を握り社会を運営するための闘いに立とう!

 大幅賃上げを獲得しよう

 09春闘は今や山場を迎えている。動労千葉は第60回定期委員会で、3月春闘ストライキに決起することを決定した。「労使共同宣言」撤回、大幅賃上げ獲得、首切り・賃下げ攻撃粉砕、派遣法・非正規職撤廃や、1047名解雇撤回、運転保安確立、組織拡大、業務外注化―ライフサイクル制度粉砕などを掲げて、全労働者の最先頭でストを打ち抜こうとしている。
 この動労千葉のストはすべての労働者に何を訴えているのか。第一に労使共同宣言体制を実力で打ち破ることだ。日本経団連はベアゼロどころか定昇カット=賃下げ攻撃を一気に強めている。しかも「労使一丸」を叫び連合や全労連を抱き込んで、首切りも賃下げも容赦なくやると宣言している。これに協力しているのが体制内指導部だ。
 今や彼らは賃上げ要求を引き降ろすばかりか、「ワークシェアリング」を唱え賃下げへの協力に走っている。そしてストで闘う動労千葉への憎悪と敵対を強めている。JR総連カクマル・松崎は「革命などできない(やらせない)」と最も悪質な敵対を開始している。
 これら体制内勢力と資本・権力の密集した反動をぶっとばし、09春闘を一大ストライキで闘おうということだ。その先頭に立つ動労千葉を断固支持し、連帯して、各職場でともに資本との非和解的な闘いに決起しよう。
 動労千葉のスト決起が訴えているのは第二に、4者4団体による国鉄1047名闘争解体の屈服的和解策動を粉砕し、1047名闘争を革命的に再生することだ。国鉄分割・民営化こそ、今日に至る新自由主義攻撃の出発点だった。そしてこれへの既成指導部の総屈服こそが、労働組合の限りない変質と腐敗の出発点となったのだ。動労千葉の3月春闘ストは、この現実を根底から覆し、国鉄労働者の解雇撤回闘争を再び6000万労働者の怒りの先頭に押し立て、その力を解き放つ偉大な決起なのである。
 したがってそれは第三に、究極の構造改革=民営化攻撃である道州制導入攻撃、公務員労働者360万人のいったん全員解雇という大攻撃を、真っ向から粉砕する一大決戦への総決起の呼びかけでもある。これに応え、自治体労働者・教育労働者を先頭に、職場から道州制粉砕に立とう。
 動労千葉ストへの連帯とは何よりも、闘う労働組合を全国・全産別・全職場によみがえらせていく闘いに立つことだ。完全に資本の手先に転落した体制内指導部を打倒して、労働組合を現場労働者の手に奪い返し、資本と闘う武器としてのその本来の姿をよみがえらせること。ここに現在の全情勢を革命的に突破していく核心問題がある。
 労働組合は社会変革=革命の最大の拠点だ。体制内労働運動はこれを否定し、労働組合をもっぱら、労働条件をめぐって資本家と取り引きする手段へとおとしめてきた。だが今日の大恐慌下ではもうそれも成り立たない。労働組合が賃金奴隷制廃止のために闘う労働者の団結組織として公然と登場する中でこそ、あらゆる人民の怒りを一つに結集し、農民の闘いと労農同盟を形成して、資本主義を倒す革命をやりぬくことができるのだ。今がまさにその時だ。
 動労千葉の決起に続こう! すべての職場で青年労働者を先頭に、3・20渋谷デモと「生きさせろ!」ゼネストへ進撃しよう。教育労働者の「君が代」不起立闘争を、40秒間のストライキとして断固貫徹しよう。4大産別を始め全職場で、体制内指導部と闘い、階級的団結を強化して、3・20の爆発へ攻め上ろう。

 戦争に進むオバマと麻生

 この3月決戦は、全世界のランク&ファイル運動の大前進を、その最先端で切り開く闘いだ。アメリカでも韓国でもヨーロッパでも、「もうたくさんだ!」「生きさせろ!」の怒りの叫びが上がり、体制内労働組合幹部による抑圧と支配を突き破って、現場労働者の職場からの実力決起が始まっている。その分岐と激突の中から、闘う労働運動を復権するのだ。
 3・20イラク反戦6周年の全世界一斉デモは、世界の労働者階級が、戦争を阻止し資本の支配を転覆するために一つになって立ち上がる日だ。マルクスの「万国の労働者団結せよ!」の言葉を今こそよみがえらせ、資本主義を打ち倒す階級的労働運動の国境を越えた団結を発展させよう!
 今年の3・20は転向スパイ集団=塩川一派も含む革命に仇なす一切の体制内勢力や市民主義運動との激しい党派闘争だ。3月20日、全国から東京・代々木公園に総結集し、5000人の渋谷大デモを打ち抜こう。
 帝国主義は大恐慌のただ中で、今や国内での階級戦争を激化させ、外に向けては侵略戦争を全世界に拡大・激化しようとしている。米帝オバマ政権は「イラク撤退新戦略」と一体で早々とアフガニスタンへの1万7千人の追加派兵を発表し、巨額の戦争予算をも組んだ。オバマはブッシュ以上の戦争激化政権だ。
 日帝・麻生も、海自ソマリア沖派兵を狙い、武器使用制限を全面撤廃しようとしている。これはイラクへの陸自・空自派兵を上回る攻撃だ。3・14ソマリア沖派兵阻止の呉現地闘争に立とう。
 3・20代々木公園集会と渋谷デモを大爆発させ、さらに3・29三里塚現地闘争に全国から総結集しよう。3月決戦の大爆発の力で、09年決戦の大勝利に突き進もう!

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週刊『前進』(2382号2面1)(2009/03/09 )

 ●3・20イラク反戦6周年 全世界一斉デモへ●

 渋谷大デモと国際連帯でオバマ・麻生・御手洗倒せ

 全世界で闘いが高揚

 体制内派打倒し職場から闘いの炎を

 3・20全世界一斉デモを当面する一大焦点として、全世界で労働者の闘いが激しく燃えさかっている。大恐慌が生み出す危機と大攻撃を前に、旧来の労働運動指導部がこぞって労使協調―体制擁護運動にのめり込んでいる。他方で、ランク&ファイル(現場労働者)たちが、こうした指導部の腐敗と屈服を突き破って荒々しい台頭を始めている。大恐慌を真に革命に転化するための「産みの苦しみ」「勝利に向かっての試練」だ。3・20全世界一斉デモの爆発こそ、階級的労働運動派―革命派が階級闘争の主流派に躍り出る決定的転機だ。

 アメリカ 3大都市で大デモ 階級的労働運動派を先頭に

 世界大恐慌の大爆発の中で資本家階級は、絶体絶命の危機を労働者階級への攻撃と戦争拡大へと転化し、一体で強行してきている。
 自動車ビッグ3の破綻は、UAW(全米自動車労組)解体攻撃、大量解雇、医療・年金破壊、大幅賃下げとして労働者に犠牲転嫁されているが、これも「倒産」と「戦時」――アフガニスタンへの1万7000人増派――の恫喝によって強行されている。
 アメリカで最も戦闘的な労働組合であるILWU(国際港湾倉庫労組)でも、「戦時の港湾治安維持」攻撃に屈して労働協約闘争を裏切った本部と、階級的労働運動派が激突している。
(写真 イスラエルによるガザ大虐殺・占領反対集会に1万人の労働者が結集した【1月10日、サンフランシスコ】)

 職場生産点での団結が展望開く

 この「戦時」恫喝への体制内派の屈服と対決する中から、アメリカの階級的労働運動は、労働者が職場生産点で団結し勝利する新たな展望を開いている。08年5月1日、ILWUローカル10(第10支部)が先頭に立って米西海岸の全29港を封鎖したイラク反戦ストこそその最先端の闘いだ。これは、07年10月20日の反戦労組国際会議で、動労千葉とともに討議して打ち立てた路線にもとづく闘いだ。
 そしてローカル10は、イスラエルによるガザ大虐殺に対しても連続的な反戦闘争に決起してきた。ローカル10のジャック・ヘイマン執行委員は1月10日のサンフランシスコ1万人集会で、「『2国家案』はアパルトヘイト体制と同じ」と体制内労働運動が推進するペテン的な中東和平案を弾劾した。
 OEA(オークランド教組)も昨年の5・1港湾封鎖をともに連帯して闘い、ガザ大虐殺に対しては、執行委員会で虐殺弾劾とパレスチナ人の帰還権の支持を決議した。パレスチナ人の大虐殺と追放によって建国されたイスラエルの原点そのものを弾劾し、体制内派と鋭く対決している。
 そして現在、階級的労働運動派は、首都ワシントンとサンフランシスコ、ロサンゼルスで3月21日に開催されるイラク開戦6周年の大デモへの結集を組織している。

 UFPJが反戦全国闘争を中止

 まさにこの時、二つの大きな反戦統一戦線の一つであるUFPJ(平和と正義のための連合)は、すでに決定していた開戦6周年全国闘争をキャンセルした。「経済危機の中での全米結集反戦デモは好ましくない」(12月のUFPJ全米世話人会議)と。
 以前からUFPJ指導部は、親イスラエルの民主党や労働運動指導部との摩擦は避けるべきだと主張し、パレスチナ人民との連帯を拒否してきた。この体制内派の反動性が大恐慌下で一挙に進み、オバマに「新たなニューディール」を求めたり全世界一斉の国際反戦闘争を否定するに至ったのだ。
 大恐慌は、資本主義そのものの終わりを告げ知らせている。だからこそ、資本主義の枠を前提にしたすべての勢力が、労働者階級の根底的な解放に必死に敵対してくるのだ。体制内派との徹底した党派闘争こそが勝利を切り開く。

 韓国 5・1ゼネストへ 龍山殺人鎮圧への怒り爆発

 韓国・民主労総は2月28日、全国労働者大会で本格的な対政府闘争に突入することを宣言した。3万人の労働者、学生、市民を前に民主労総非常対策委員会のイムソンギュ委員長は「経済破綻の全責任を労働者に押しつけるイミョンバク(李明博)政権を5・1ゼネストで退陣させよう」と訴えた。その後、民主労総組合員らは龍山(ヨンサン)殺人鎮圧第6次汎国民大会に結集し、集会を禁止し戦闘警察を差し向けたイミョンバク政権と激突して闘いぬいた。
 龍山殺人鎮圧事件とは厳寒の1月20日、都市再開発地域で強制撤去が行われ、ビルに立てこもって抵抗した住民たちにテロ鎮圧部隊が襲いかかり、攻防中の出火で住民5人が死亡した大惨事だ。この事件の真相究明と謝罪、責任者処罰と補償を求める怒りは、街を埋めるキャンドルデモとなった。これは労働者と都市撤去民の「生きさせろ!」の叫びであり、昨年、韓米FTA(自由貿易協定)反対を叫んでイミョンバク政権に退陣を迫った100万人デモへと再び発展する闘いが始まったのだ。
 民主労総執行部が女性組合員への性暴力事件で総辞職し非常対策委員会体制となって1カ月、組織された労働者の力で「生きさせろ!」ゼネストを実現する正念場だ。
(写真 全国労働者大会に3万人【2月28日 ソウル】)

 12・6%にのぼる実質失業率

 韓国の1月の実質失業者は329万5千人と言われ、実質失業率は12・6%にのぼる。さらに青年層をみると、実質失業者は120万人にのぼる。民主労総によれば、事務金融連盟や公共機関事業場で人員削減が進み、金属労組の組合員15万人の実に80%以上が休業と構造調整に直面している。
 この中でイミョンバク政権は韓米FTA批准案とともに、非正規職雇用期間を現在の2年から4年に延長する非正規職関連法改悪と派遣労働拡大などを狙っている。敵の階級協調のスローガンは「経済危機克服」だ。
 ソウル市は青年失業対策として2月4日、「ソウル市公務員の自発的な給料の寄付と経常費削減で総額100億ウォン規模の『希望雇用創出ファンド』をつくり、千人の青年雇用をつくり出す」とした。ソウル市が1人あたり月100万ウォン(約6万3000円)を10カ月間支援するというものだが、期間終了後の対策もない。企業は費用負担なく青年を雇用し、その後、いつでも解雇できる。しかも、この事業財源の12億7千万ウォンは幹部公務員の「自主的寄付」、一般公務員も各職場で「ソウル希望ドリーム豚貯金箱」に募金せよというのだ。
 ふざけるにもほどがある! 昨年11月労働者集会に来日した公務員労組ソウル本部のある支部では、この「寄付」を拒否し粉砕した。
 一方、2月9日にはソウル・メトロ、都市鉄道公社、SH公社、ソウル市施設管理公団など5公企業の労使と市長が「経済危機克服のためのソウル市公企業労使政和合・平和および社会公共宣言文」を発表した。労使政協議で今年の賃金凍結と無争議の実現の先頭に立つと宣言したのだ。「誇らしい」と言い放ったソウル市長に、ソウル地下鉄労組委員長は、「労働運動は今、市民の立場で社会的信頼を得ることが重要」だと応じた。
 だが、労働現場には怒りがたぎっている。「経済危機の克服」など、労働者階級の知ったことか! 動労千葉に体現される階級的労働運動の実践が求められている。5・1ゼネストへ! 今こそ国境を越えた労働者の団結で全世界を獲得する時だ。

 欧州 大陸覆うストの波 革命おしとどめる体制内派

 欧州は、第1次大戦後のドイツ革命、30年代革命や戦後革命と、再三再四、全社会を巻き込む革命の大波を経験している。これらの情勢では、革命勝利の寸前まで行きながら社民党やスターリン主義の裏切りで、かろうじて資本主義が延命した。
 戦後、フランスの主要銀行すべてと自動車産業は国有化されたが、これはギリギリのところでの資本主義の延命策だった。他の国でも多かれ少なかれ、革命的激動が経済・社会のあり方に重大な刻印を残している。
(写真 ゼネストに決起した医療労働者【1月29日 パリ】)

 経済全体が崩壊寸前の欧州各国

 そして今、これまでと比較にならない超巨大な大恐慌情勢の中で、EU中軸国のドイツでも銀行破綻があいつぎ、国有化に進もうとしている。イギリスのロイヤル・スコットランド銀行グループ(RBS)の不良債権は底なしの様相だ。RBSだけでイギリス経済全体の2倍以上の債権を持っている。救済できるはずがないが、それでも救済しなければ経済全体が崩壊すると、必死になって資金をつぎ込んでいる。
 国家破綻は必至だ。そして全欧州で公務員労働者への攻撃が吹き荒れている。民間でも倒産、再編、大量解雇、賃下げだ。
 イタリアでは昨年12月12日、学校、鉄道、病院、郵便などをすべて止める150万人のゼネストで新自由主義教育改革を粉砕した。
 フランスでは1月29日の500万人ゼネストでサルコジ政権の新自由主義改革と対決している。
 ドイツでは11月に自動車部門で3万人が波状スト、2月には交通部門を軸に各州で波状ストが闘われている。
 イギリスでは、昨年7月の公共部門50万人の48時間スト、10月の鉄道ストなどが闘われている。
 ギリシャでは、昨年10月以来、繰り返しゼネストと大暴動が闘われている。
 アメリカ帝国主義の中東支配の先兵=イスラエルのガザ侵略戦争・大虐殺に対しては、マドリッド30万人、ロンドン10万人、パリ10万人など巨大な反戦闘争が貫徹されてきた。

 第4インターが解散、市民主義化

 ゼネストは、社会全体の機能をストップさせ、団結した労働者こそ社会の主人公だということをはっきりさせる。革命勝利は、すぐそこにある。そして欧州は、革命の嵐を何度も経験している。だからこそ体制内勢力は、開始された根底的な労働者の決起を、なんとか体制の枠内に引き戻そうと必死なのだ。
 フランスでは2月5日、第4インターが解散し、これまでの「マルクス主義、レーニン主義、トロツキー主義の組織」を捨てて、「反資本主義新党(NPA)」を結成した。ブルジョア新聞系運動体であるATTAC(「市民援助のための通貨取引税協会」)などに加入戦術をとってきた第4インターが、労働者自己解放の建前さえ投げ捨て、そうした市民主義運動そのものになるということだ。
 その直前に第4インターは、スターリン主義=共産党など体制内8組織と共同で、1・29ゼネストを政労資交渉に押し込む声明を出している。
 フランス共産党は、ソ連崩壊後ぼろぼろになっている。労働者階級にとっては、30年代と戦後の革命を圧殺してきた共産党の抑圧から解放され、労働者が革命に勝利する巨大なチャンスだ。巨大な1・29ゼネストが実現したのも、スターリン主義の抑圧力が劇的に低下した影響が大きい。だが第4インターは瀕死の共産党に救いの手を差し伸べ、ともに革命に敵対しようとしているのだ。
 実際、NPA(第4インター)は3・20イラク・アフガニスタン反戦闘争から全面的に逃亡している。フランス帝国主義がアフガニスタンに派兵しているにもかかわらず、反戦国際連帯闘争を否定したのだ。
 体制内派との党派闘争を貫き、3・20反戦闘争に全国から総決起しよう。

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週刊『前進』(2382号3面2)(2009/03/09 )

焦点 アフガン侵略戦争の激化

 オバマ施政演説と新戦略

  米大統領オバマは2月24日、施政方針演説を行い、世界大恐慌の深まりに対し、アメリカの「再建」「再生」「米国はこれまで以上に強くなる」「将来に責任をとる」などと強調し、金融と経済の安定化に全力を挙げると表明した。
 しかしオバマは、膨大な公的資金を投入して繰り出す金融安定化策や景気対策、自動車産業や住宅ローンの救済策にすでに市場から早々と「ノー」を突きつけられ、シティグループの公的管理化や、AIGへの追加支援策の発表などを余儀なくされている。実体経済の降下、収縮も激しい。27日発表の昨年10〜12月期の実質GDP成長率は年率換算マイナス6・2%で、27年ぶりの低水準だ。
 またオバマは「4年の任期で1兆j規模の財政赤字を半減させ、10年で2兆j節約できる」「無駄な歳出を徹底的に削減する」と述べた。労働者階級へのリストラ・解雇、賃下げ、社会保障制度の徹底的な解体攻撃を強めるということだ。しかしすでに巨額の金融・景気対策費と戦費により、09年度財政赤字は1兆7521億j(約171兆7000億円)、前年度の3・8倍に急増している。「半減」などオバマには不可能だ。
 安保・外交面では、「新たな関与の時代」「アフガニスタン問題で包括的戦略を策定」「テロリストが米国人に攻撃を計画することを許さない」などと述べ、アフガンを軸に侵略戦争政策をむしろ激化する方針を表明した。
 イラク政策については、施政方針演説で「イラクの戦いを責任ある方法で終える道を近く発表する」とし、27日の海兵隊基地演説で駐留米軍のイラク撤退の「新戦略」なるものを打ち出した。それは@駐留米軍を現在の14万人余りから、10年8月までに戦闘任務を終了し、部隊を9万人以上減らし、すべての旅団戦闘団を撤収させる、A残る移行部隊3万5千〜5万人はイラク治安部隊の訓練やテロ掃討作戦などに従事、11年末までに撤退するというものだ。
 移行部隊は、イラク治安部隊の訓練のほか、顧問団としてイラク治安部隊に同行し、助言や支援を行う。「少数の」米特殊部隊はゲリラ掃討作戦を継続する。「戦闘任務終了」は看板だけだ。11年末を期限とする「完全撤退」なるものも、現地の状況次第で必要なら見直す可能性があることを、ゲーツ米国防長官がオバマの「撤退」計画発表と同時に表明した。
 だが、そもそもこのオバマの「新戦略」自体が、昨年末にブッシュがイラク政府との間で締結した米軍駐留協定を、基本的に実行するものに過ぎないのである。
 アフガニスタンについては2月17日に米軍1万7千人の増派を決定した。今年後半までに総数で6万人を超す部隊を駐留させ、侵略戦争を激化させようとしている。「イラク撤退」は同時にアフガン侵略戦争の激化政策なのだ。
 だが、アフガンが逆に「オバマのベトナム」となり、米帝発の世界大恐慌の本格的進行とともに、米帝の没落と体制崩壊の歴史的な引き金となることは不可避である。欧州帝国主義や日帝との「同盟強化」で、アフガンを最先端としての侵略戦争を激化させる米帝オバマを、3・20全世界一斉反戦デモの大爆発で迎え撃とう。

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週刊『前進』(2382号3面3)(2009/03/09 )

焦点 同盟強化で戦争動員狙う

 オバマ・麻生会談と争闘戦

 米帝オバマと日帝・麻生の初の日米首脳会談が2月24日ワシントンで行われた。大恐慌の本格化という日米帝国主義の最大の危機の中で、「日米同盟の強化」「ドルの信頼維持」をひとまず確認しあうことが双方に必要だった。
 危機の反動的のりきりのために、麻生は米軍再編を一層推進し、アフガニスタン侵略戦争への日帝の参戦も強化することを約束した。海上自衛隊のソマリア沖派兵を突破口とする日帝・麻生政権の侵略戦争参戦と、沖縄辺野古新基地建設、そして労働者への階級戦争の激化に断固反撃しよう。
 内閣支持率が10%そこそこで、求心力も統治能力も喪失している麻生政権は、「麻生降ろし」の動きを封じるためにも日米首脳会談など外交日程を次々と盛り込むことで延命を図っている。
 対するオバマも、麻生政権がそう長くないことを完全に見越している。今回の首脳会談も、麻生重視というより、「日米同盟は東アジアの安全保障上の礎石」(オバマ)と、日帝との関係を明確にする目的で行われた。
 大恐慌とイラク・アフガニスタン侵略戦争での泥沼的危機にあえぐ米帝オバマは、ブッシュ的な「単独行動主義」ではもはや立ち行かない中で、日帝をさらに徹底的に米帝の利害のもとに争闘戦的に動員することを狙っている。
 具体的には、アフガニスタンで日帝が開発・治安・インフラ整備などの全面で積極的に「貢献」すること、米国債を引き続き購入すること、「内需拡大」や「原発の新規建設の促進」などで協力しあうことなどをオバマが要求し、麻生も積極的に確認した。同時に、在日米軍再編の推進や対北朝鮮政策での一致した対応なども確認した。北朝鮮のミサイルを、導入したMDシステムで2段階(イージス艦のSM3と地上運用のPAC3)で実戦的に迎撃する検討を防衛省はすでに始めたと報じられている(2月27日付産経新聞)。
 首脳会談に先立って、来日したクリントンとの間で交わされた「海兵隊グアム移転に関する協定」は、普天間基地移設=名護新基地建設を促進すること、グアム移転経費は日帝が負担することをうたった。オバマは、イラクからの撤退をうたいつつ、アフガニスタンに対する増派方針を打ち出しており、結局ブッシュ以上に凶暴な帝国主義者として本性をあらわにすることは間違いない。
 麻生政権も体制崩壊の危機を深めれば深めるほど、日米同盟強化やソマリア沖派兵、アフガニスタン派兵策動など、侵略と戦争の政策を強めている。帝国主義の「最弱の環」としての日帝は、それ以外に延命の道がない。
 米国内の景気対策での「バイアメリカン条項」に示される保護主義の台頭は、帝国主義間の矛盾と争闘戦を激化させるものである。だからこそ、米帝も日帝も「ドル基軸体制の維持」を強調しているのだ。体制崩壊への激しい危機感から、「日米同盟の強化」がうたわれているのだ。
 まさに資本主義の終わりとは、ブルジョアジーの世界支配を転覆する時だ。動労千葉を先頭に、日米韓の3国連帯を発展させ、労働者階級の団結を軸に国際階級闘争の力で世界革命を切り開こう。

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週刊『前進』(2382号4面1)(2009/03/09 )

 道州制と対決し日教組本部打倒へ

 「日の丸・君が代」不起立を 教育労働者は訴える

 2月24日の大阪府立高、3月1日の都立高を皮切りに、全国各地で教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争が闘いぬかれている。今年の不起立闘争は、教育労働者全員を非公務員化する道州制攻撃に真っ向対決し、青年労働者を先頭とした「生きさせろ!」ゼネストに大合流していく闘いである。そして、全国教研をとおして文科省の手先としての姿をさらけ出した日教組本部を打倒する教育労働者のうねりをつくり出す闘いである。不起立闘争で教育労働者の団結をつくり出し、都教委が策動する「分限指針」による不起立解雇を打ち砕こう。青年労働者が先頭に立って闘おう。宮城と大阪から寄せられた教育労働者の訴えを紹介する。(編集局)

 言いなりになると思うな 「40秒のスト」楽しく闘う 宮城 飯島香織

 毎年、卒業式と入学式を前にして「日の丸・君が代」のことが議論される職員会議に臨むにあたっては、「今年は何を議論しようか」「同僚に何をどう訴えようか」と悩みます。
 私は教育労働者になってから「日の丸・君が代」の歴史を学びました。そのことをとおして、戦争のむごさと、その中で「日の丸」の旗が果たしてきた役割、「君が代」の歌の意味がつながりました。
 そして、教育の場で強制するということの危険性。学校へ「日の丸・君が代」を持ち込むことは、どう考えても納得がいきません。
 1999年に「国旗・国歌法案」が国会審議された時は、街頭でもチラシ配りなどの宣伝活動をしたり、公聴会の会場で抗議の声を上げたりしました。あの時の強引な成立のさせ方を目の当たりにして、「絶対反対」の意思はさらに強くなりました。
 私がこれまで「日の丸・君が代」強制に反論してきた主張の柱は、日本の戦争責任の問題でした。広島や沖縄の思い、「軍隊慰安婦」とされた在日朝鮮人・宋神道さんの思い。特に宮城県在住の宋さんの裁判の陳述書は、いつも職員会議で配る資料にしています。読めば涙が出ます。
 こうして、「卒業生、新入生に私の思いは伝わるだろうか」という重い決意を込めて、卒業式、入学式で不起立をしてきました。
 東京で「10・23通達」が出て以降の根津公子さん、河原井純子さんの処分攻撃に屈しない不起立の闘いを知ってからは、議論の中で東京都教委の攻撃と、そのもたらす教育の危機を訴えました。「不起立」は少し気持ちが楽になりました。心の中で「根津さん、河原井さんに連帯します!」と宣言しながら、式場で不起立をしました。
 昨年は、11月労働者集会に参加して知り合ったアメリカの教育労働者アーリーン・イノウエさんから学んだアメリカの学校の実態を資料にして、新自由主義によって進む「教育改革」の行き着く先の話をしました。同僚からは「貴重な資料だね」という反響がありました。
 今年は、教育を民営化しようとしている道州制について、議論の柱に入れました。道州制については組合からの情報でも一切触れられていないので、おそらく初めて聞く同僚がほとんどだったと思います。しかし、私自身の問題意識が足りなくて、十分な議論ができなかったのは心残りです。
 それでも、毎日忙しくて「定時退勤」は掛け声だけ、評価票提出を強制され、さらに賃金カットに差別賃金制の導入と、仲間と分断されることばかりの職場には、怒りが積もっています。
 その上で、丸ごと民営化、教育労働者は全員解雇=非公務員化という組合つぶしの攻撃である道州制が導入されようとしているのです。これは本当に許せません。
 「なんでも言いなりになると思うなよ!」。怒りいっぱいの「君が代」不起立は40秒のストライキ。これなら、楽しくできそうです。
 職場に団結をつくり出す不起立です。卒業式までの間、さらに仲間に声をかけていこうと思っています。

 組合の執行部と激突して労働者の団結つくり出す 大阪高教組 野々宮翔

 日教組全国教研をめぐる闘いの報告が広島から届き、いよいよ日教組本部―各単組本部との激突が切迫しています。そのただ中で、2月24日、大阪府立学校の卒業式が始まりました。
 2月1日、関西労組交流センター教育労働者部会が「ぶっとばせ!橋下/2・1全関西教育労働者集会」を開きました。(写真)
 ここで私たちは、@ブルジョアジーによる公務員全員解雇・民営化の大攻撃=橋下「道州制」攻撃と真正面から闘うことが、労働者階級の最大の課題であること、A今春「日の丸・君が代」闘争をこの観点から徹底非妥協、不起立で闘うことを確認しました。
 さらに、B世界金融大恐慌が実体経済に及び解雇攻撃が激化する中で、「免許更新制度」「非正規(有期)雇用」「評価制度」「分限免職制度」などとどう闘っていくのか、その中で最大の課題となる日教組(組合)本部=体制内組合指導部との対決、ストライキのできる労働組合をどうつくっていくのか、ということを討論しました。
 3月13日には、大阪府で「教務補助員」などの非正規職員346人が(学期ごとの雇用契約打ち切りという形で)解雇されようとしています。「一人の首切りも許さない」闘いが必要です。
 2月1日の討論を受けて、私は自分の職場で、労働者の団結をつくり出すために「日の丸・君が代」闘争を闘うということを考えながら、職場闘争に取り組みました。関西の教育労働者の中でも真剣な討論が進みました。
 卒業式前日に管理職から、「職場名の入ったビラを配るな」という攻撃が2度にわたってありました。「職務命令」が出るのではないかと決意して臨みました。一人でしたが徹底非妥協の姿勢で対決し、「やめろ」「いや、配る」とやり合って決裂しました。3年生の担任は一人ひとり呼びつけられ、「起立せよ」と執拗(しつよう)に迫られました。
 しかし、教育労働者は苦闘しながらも、このような攻撃をはねのけています。式場に入った約半数の教育労働者が「不起立」を貫きました。クラスの生徒がびっくりして見ていたのが印象に残っています。
 革命情勢が進行する中で、「日の丸・君が代」攻撃が、教育労働者の団結を破壊するものであり、労働組合の解体攻撃であることが、非常に鮮明になりました。それは、「職場の労働者が現場を動かしている」という現実も否定し破壊する攻撃として現れています。さらに今年は、労働者の団結破壊を直接の目標とするという本質をあらわにしてきました。
 私は、崩壊していく資本主義をしっかりと革命情勢として認識し、今こそ労働者が階級的団結を固め、革命を目指して進む時だと思います。
 そのために教育労働者はどう闘うのか? 今、職場にかけられる攻撃はすべて団結の破壊、労働組合の解体攻撃です。
 だからこそ、職場にある具体的な課題を革命の戦略の中に位置づけ、労働者の団結をつくり出していくことに執着しなければなりません。
 労組交流センター教育労働者部会で激しく討論して得た結論は、闘いを避けて労働者を絶望させる組合執行部と徹底的に対決し、分岐・激突し、そのことをとおして情勢認識と路線を鮮明にして職場・労働組合で階級的労働運動を推進する、ということです。

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週刊『前進』(2382号4面3)(2009/03/09 )

 “第2の郵政民営化”攻撃粉砕

 JPエクスプレスへの強制出向を阻もう

 現場の怒りでJP労組中央を倒せ

 昨年の東京中郵廃局阻止闘争を始めとする全逓労働者の闘いによって、郵政民営化の破綻と矛盾が噴出している。「カンポの宿」売却や東京中郵跡地開発をめぐる鳩山総務相と日本郵政社長・西川との”激突”は、民営郵政の破綻が支配階級の分裂と危機を広げていることの表れだ。
 世界大恐慌の進展の中で、郵政資本は生き残りをかけて「第2の郵政民営化」の道を突き進んでいる。その基軸が、日通のペリカン便を統合した新会社JPエクスプレス(JPEX)の子会社化―強制出向である。
 その推進役が連合・JP労組中央だ。ここが敵の最大の弱点である。彼らは「JPEXの成長・発展に向けて積極的に対応していく」とまで公言し、組合員に出向を強要しようとしている。
 これを許せば職場の団結は破壊され、待っているのは労働地獄への道だ。郵政本体では非正規雇用化の全面化も準備されている。郵政民営化との闘いはここが本番だ。

 JPEX出向は労働地獄への道

 すでに職場では激突が始まっている。郵政資本と連合JP労組中央、中央派の支部執行部と闘いぬき、職場から「強制出向反対」の闘いを巻き起こし、JPEXの子会社化攻撃を粉砕しよう。
 第2の郵政民営化攻撃とは、郵政労働者の9割を非正規化し、徹底的に分断し、強労働と低賃金を強制する攻撃だ。また道州制攻撃と一体の攻撃でもある。「かんぽの宿」や「JPタワー」問題が示すように、郵政や自治体の公共資産をブルジョアジーどもが競って略奪し、生き残りを図ることだ。
 当面する攻撃の最大の軸がJPEXの子会社化だ。2月に開催されたJP労組の第3回中央委員会の追加議案「宅配便事業統合への対応」などでその全容が明らかとなった。
 出向の規模は、今年の計画だけで管理職540人のほか、正社員2350人、契約社員8760人であり、全国くまなく進行する。しかもそれは「本人同意」なき強制出向だ。郵政資本は「本人同意」を頑強に拒否し、JP労組中央はそれに承認を与えた。しかも契約社員にとっては「契約替え」となる。拒否したら雇い止め・解雇だ。
 賃金はどうか。「頑張った社員や責任を果たした社員が報われ、競合他社との競争力を確保できる給与・手当制度となる必要」として、「成果報酬型」賃金の導入を宣言している。労働者同士を競わせ、団結を破壊して、低賃金を強制していくのだ。
 さらに郵便事業会社では認められている「病気休暇」「冬期・年始休暇」「定期昇給制度」が「なし」となる。これらはほんの一例だ。
 労働時間は「年間所定内労働時間」が郵便事業会社では2208時間であるが、JPEXでは上限2680時間。それが果てしなく延長されることは明らかだ。さらに「ヤマト運輸はSD(セールスドライバー)方式による小集団活動組織を導入しており、SDが5〜8名でグループを作り、グループ間の競争と組織管理を行っている」と、職場に分断と競争と相互監視を持ち込もうとしている。民間資本のヤマト運輸や佐川急便などで指摘されるように、過酷な労働環境のもとで、長期に働き続けることがほとんど不可能となることは明らかだ。
 では郵便事業会社に残った労働者は大丈夫なのか。まったくそうではない。JPEXの労務政策が本体にも導入される。そもそも郵政は、通常郵便が下降していく趨勢(すうせい)の中で、”物流にシフトすることで稼ぎ、黒字化する”と言ってきた。そのゆうパックを子会社化すれば、郵便事業会社には通常郵便だけが残ることになる。その先にあるのは、JPEXとまったく同じく、果てしない首切り合理化と賃下げ、労働強化、非正規化の推進ということだ。

 道州制・民営化で自治体業務奪う

 第2の郵政民営化攻撃とは、道州制攻撃と一体となった攻撃でもある。それをあけすけに語っているのが、JP労組の付属機関であるJP総研の報告書「郵便局の地域連携ビジネス」での「政策提言」だ。
 そこでは、1番目に「地域にとって有益、かつ郵便局が受託可能な行政サービスをパッケージとして受託する」、2番目に「郵便局舎内への自治体施設の移設と自治体施設内への郵便局の移設」と、「施設の共同化」を主張している。
 自治体民営化で自治体労働者から職を奪い、その後にJP資本が乗り込んでいって自治体業務をすべて資本の食い物にしようという狙いを、あけすけに語ったものだ。

 職場から反撃し民営郵政打倒を

 第2の郵政民営化攻撃は、JP労組中央の資本への全面協力なしにはありえない。
 JP労組第3回中央委員会は、歴史的な大罪を刻印するものとなった。特徴的なことは「議案」「追加議案」「付属資料」のすべてが、「資本の生き残り」「競争に勝つ」「そのために労働者を低賃金でこき使う」という言葉であふれ、読んでいて「郵政資本の文書ではないか」と錯覚するほどの代物なのだ。
 郵政民営化は今や完全に破綻した。要員不足で業務が回らず、ビルひとつ丸ごと郵便物が配達されない事態まで起こっている。労働者には連日3〜4時間の超勤が強制され、交通事故や郵便事故が頻発している。これらの責任はすべて郵政資本と、民営郵政と闘わないだけでなく合理化攻撃を率先推進してきた連合・JP労組中央にある。その上に、JPEXの子会社化―強制出向攻撃が襲いかかっているのだ。
 今や職場では、「現場の俺たちと職場討議もしないで、勝手に決めるな!」「執行部は退陣しろ!」という怒りが噴き出している。
 JPEXの子会社化―強制出向攻撃との闘いは、郵政労働者の怒りを根底から解き放ち、第2の郵政民営化攻撃を粉砕していく闘いだ。最悪の体制内派・連合JP労組中央派との党派闘争を攻勢的に闘いぬくことこそ勝利を切り開く道だ。
 闘う全逓労働者は「動労千葉のように、あらゆる契機をとらえて職場闘争を復権し、その闘いで団結をつくろう。自らの体制内思想や思考をぶち破り、青年労働者を先頭に正規・非正規の団結をつくり出し、JPEXの子会社化―強制出向攻撃を粉砕しよう。『生きさせろ!』ゼネストを闘おう。3・20イラク反戦闘争に決起しよう」と訴えている。
 これこそが第2の郵政民営化を総破産に追い込む道だ。断固、この道を進もう。

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週刊『前進』(2382号5面1)(2009/03/09 )

 動労千葉型労働運動を実践する闘う活動家集団への飛躍と変革

 労組交流センターの本格的建設へ

 革共同中央労働者組織委員会

 全国労組交流センター第16回定期全国総会は、大恐慌の時代に勝利する労組交流センター運動の確立にむけた歴史的総会としてかちとられた。採択された09年度運動方針は、11・2労働者集会を交流センター運動の到達地平として総括し、「動労千葉の存在と闘いを基軸に、資本および体制内労働運動指導部と対決する全国的闘争機関」として、労組交流センターのランク&ファイル運動としての階級的役割をあらためて明確にした。討論では、森精機を先頭とする8本のスト報告や道州制粉砕・橋下打倒の闘いにおける体制内指導部との激突など、階級的団結論の実践が次々と報告された。名実ともに、動労千葉型労働運動を担う活動家集団への労組交流センターの飛躍と変革が始まっている。時代認識と路線で団結し、労働組合の階級的強化をかちとるランク&ファイル運動として全国労組交流センターを本格的に建設しよう。革共同は、この課題を全力をあげて闘うことをここにあらためて決意するものである。
(写真 交流センター運動の飛躍を誓った第16回定期総会【1月31日】)

 階級的労働運動の全国的な新潮流の形成めざして出発

 全国労組交流センターは、総評解散・連合結成情勢ただ中の89年2月、動労千葉の中野洋委員長(当時。現顧問)と元中立労連議長の佐藤芳夫氏(故人)の呼びかけで結成された。「結成アピール」は「反連合・反統一労組懇(全労連)」の旗を鮮明に掲げ、「総評労働運動を真にのりこえる階級的戦闘的労働運動の全国潮流形成」をうたっている。今日の「4者4団体」派を形成する全党派全潮流の破産は、国鉄分割・民営化決戦の中ですでに明らかとなっていた。全労協議長のポストをなげうって動労千葉とともに労組交流センター結成を呼びかけた佐藤芳夫氏が「『総評労働運動の継承・発展』は誤りである」と、つとに強調していたことがあらためて想起されるべきだ。戦後体制内労働運動の限界と制動を打ち破ってきた動労千葉の闘いの地平を階級的労働運動の全国潮流形成へと押し広げることこそが、交流センター運動のそもそもの出発点であった。
 以来、労組交流センターは91年に「反戦闘争をたたかう労働運動」路線をうちだし、PKO派兵阻止闘争を展開し、93年には清算事業団闘争解体攻撃に対して「国鉄闘争水路論」をうちだして国鉄1047名闘争の発展に全力をあげてきた。
 94年には、動労千葉の呼びかけで「大失業時代に抗する労働運動を!」「反戦・反侵略−差別・排外主義と対決する労働運動を!」「国鉄闘争を水路に、連合路線と対決する労働運動をつくりだそう!」「村山自社連立政権打倒! たたかう労働者の党をつくりだそう!」の四つのスローガンを掲げて「たたかう労働運動の新しい潮流をめざす9・18労働者集会」が開催された。これが新潮流運動の原点であり、労組交流センターは「四つのスローガン」を自らの路線とし、自らを「新潮流運動の担い手」と位置付けてきた。
 「大失業時代に抗する労働運動」とは、「賃金制度の廃止」「帝国主義の打倒」をめざす闘いへの飛躍を込めたスローガンであり、「たたかう労働者の党を」のスローガンは、社・共に代わる「労働者自己解放の思想と綱領を持つ党」の建設を新潮流運動の課題として真っ向から提起したものである。その先駆的意義は、今日において一層明らかである。
 中野代表の指導のもとに、労働組合へのマルクス主義学習運動の復権や合同労組運動をめぐる階級的路線の基礎的形成をかちとってきたことも、交流センター運動の重要な功績である。
 帝国主義の危機の深化と階級情勢の激動化に切り結んで、階級的労働運動路線を確立しつつ、労組交流センターは、新潮流運動の中心的担い手としての役割を果たしてきた。
 動労千葉の呼びかけで95年から開始された11月労働者集会は、98年には全日建運輸連帯労組関西生コン支部、港合同、動労千葉の呼びかける3労組陣形へと発展し、2003年にはついに日米韓の闘う労働組合の国際連帯集会へと飛躍した。そして世界大恐慌突入下の08年11・2労働者集会は、「プロレタリア世界革命と単一党の形成」を共同綱領とする地平にまで到達し、国際階級闘争の新時代の幕開けを告げ知らせるものとなった。
 11月労働者集会のこの歴史的到達点は、なによりも動労千葉の闘いが切り開いた地平であると同時に交流センター運動の到達地平でもある。交流センター運動の本来的戦略的意義を明確にし、世界大恐慌時代と対決する組織と運動へと根本的飛躍をかちとる時が到来したのだ。

 労働組合の階級的再生かけランク&ファイル運動を!

 戦後体制内労働運動の限界と制動を打ち破ってきた動労千葉の闘いは、党と労働組合の不可分一体性を生きた実践として体現してきた歴史である。しかし、革共同自身が、動労千葉の闘いの階級的地平を真につかみきるためには、革命的労働組合論や7月テーゼによる革命戦略の路線的思想的鮮明化と、旧与田派・塩川派らの放逐・打倒を不可避とした。
 何よりも、その決定的原動力となったのは、動労千葉労働運動をひたむきに実践し、団結だけを総括軸に、弾圧も解雇も恐れず資本・国家権力と非和解的に闘う青年労働者・学生の登場である。階級的団結の根源的力を指し示すこの闘いこそ、動労千葉の闘いが 「奇跡」であって奇跡ではないことを実証したのだ。すなわち、動労千葉労働運動の普遍性、勝利性を明らかにするとともに、日本労働者階級の根底的革命性を指し示しているのだ。
 第2次国鉄決戦を軸に、動労千葉の切り開いてきた階級的地平を全国全産別に押し広げ、第2、第3の動労千葉を建設していく運動と組織が労組交流センターである。それは、労働者の力で労働者階級に徹底して依拠した労働者党をつくりだす運動でもある。
 革共同は、91年5月テーゼ以来、労働者細胞建設、三全総路線のらせん的再確立の闘いを開始し、労組交流センターの闘いを位置づけてきた。しかし、動労千葉の闘いの階級的地平を党が真につかみきったいま、交流センター運動が本来有している巨大な意義もまたこの上なく鮮明となった。
 いまや、労働組合の階級的再生が全世界の労働者の切実な希求となり、闘う現場労働者のランク&ファイル運動が普遍的課題となっている。
 韓国・民主労総ソウル地域本部も「産別幹部の官僚化」との闘いに苦闘し、米ILWU(国際港湾倉庫労働組合)の歴史的なメーデー港湾封鎖ストも、ローカル10と本部との激突なしにありえなかった。米韓の労組から見て、「400人の労組に5千人の集会ができる」ことが、動労千葉への絶大な評価と信頼の一つの柱ともなっている。小なりといえども、「動労千葉の労働運動」を全国展開する組織体としての労組交流センターの存在が高く評価されているのである。
 交流センター運動は、まさに革命を準備する拠点、武器としての労働組合を取り戻し、革命運動と本質的に一体の階級的労働運動をつくりだす運動として、プロレタリア革命を切り開く決定的な役割を担っているのだ。

 マルクス主義の時代認識と路線貫き体制内派打倒せよ

 いまや、動労千葉と革共同排除の一点で反動的に密集するすべての体制内勢力との党派闘争が激化している。争われているのは、世界大恐慌突入と革命情勢の到来下の階級闘争と労働運動の死活をかけた路線闘争である。時代認識と階級的路線で武装された交流センター運動の出番である。
 日本経団連と連合の「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」をもって、連合は資本主義防衛の最後の支柱として登場した。連合は、独占資本の「派遣切り」を正規労働者の「雇用安定」と称して容認・推進するのみならず、「180万人雇用創出プラン」をもって正規労働者の大量首切り推進を表明したのだ。「ワークシェアリング」の名による労働者階級同士の「痛みの分かち合い」を強制し、首切りの受け皿、治安対策として「セーフティネット」「雇用創出」を「労使一丸」で政府に要求しているのが連合である。
 全労連・共産党も、「私たちは健全な資本主義の発展を望んでいる」と言い、「日本型経営」の復活をブルジョアジーに哀願するという点で、連合とまったく変わらない。
 4者4団体は、「われわれが求めているのは、争議の解決であって、革命ではない」として、いまや国鉄1047名闘争を「人権問題」にゆがめ切り縮め、ブルジョア政党の「そうそうたる面々」に救済を請願する屈辱的運動へとおとしめようとしている。
 公務員労働運動をめぐっても、世界大恐慌の直撃を受けた自治体財政の破綻の中で、体制内指導部は、独占資本と行政権力の奴隷頭としての姿をあらわにしている。「財政再建団体転落回避」を至上命題に、公務員労働者の賃下げ・首切りを強行する一方で、企業誘致・投資促進のために膨大な税金を投入し、派遣切りを野放しにする行政権力を不問に付し、劣悪な臨時・非常勤雇用を創出させることを自らの運動の「成果」だと押し出すのだ。
 この対応はすでに、自治労・日教組の団結の廃墟(はいきょ)の上に独占資本の独裁王国を築こうとする道州制攻撃の推進運動であることも明らかだ。道州制・民営化攻撃の激しい火点である公立病院改革をめぐって、自治労衛生医療評議会が「攻めの民営化対応」を打ち出したことが示すように、国鉄分割・民営化における動労カクマルの裏切りを彷彿(ほうふつ)とさせる動きがすでに登場している。
 ワークシェアリングと道州制・民営化攻撃との対決が体制内労働運動との激突の焦点である。そして、労働運動をめぐる体制内派との激突こそ、労働者階級の怒りを解き放ち、団結させ、労働運動の荒々しい復権をかちとっていく最大のテコなのである。
 世界大恐慌をいかなる時代認識をもってとらえるのかは、まさにプロレタリア革命の成否のかかった問題である。資本主義体制の崩壊が始まった時、体制の存続を前提とする一切の勢力は、連合、全労連、4者4団体派、塩川派にいたるまでがひとつの反動として密集することは理の当然である。
 彼らは労働者階級をさげすみ、労働者を救済の対象としかみない。労働組合が「労働者階級の究極的解放」と「賃金制度の廃止」のために闘う組織であることを否定する。労働者の怒りと決起が資本と国家権力に向かうことを抑圧し、労働者階級の闘いを改良主義・救済主義にねじ曲げる。革命の思想、革命的行動の呼びかけから労働者階級を切断するために、総力で動労千葉と革共同に襲いかかっている。
 この党派闘争は、空想的反動的社会主義との党派闘争をつうじて打ち立てられた『共産党宣言』のマルクス主義を復権させていく闘いであり、国際労働運動をめぐる新たな「帝国主義と社会主義の分裂」の最先端をなす価値創造的闘いである。スターリン主義や日本型社民によって汚染され、戦後労働運動を支配してきた「常識」を、動労千葉の闘いを先頭に、階級的原則を貫く現実の運動をもって打ち破っていく闘いなのである。マルクス主義で武装された活動家集団として、強大な労組交流センターを建設しよう。

 日本労働運動の主流派獲得へ飛躍かけた国鉄・道州制決戦

 労組交流センターの本格的建設のために、党が全力をあげるべき課題を3点に絞って提起したい。
 第一に、「国鉄決戦の主流派となることをつうじて日本労働運動の主流派へと登場していく闘い」としての第2次国鉄決戦を総力で推進しよう。
 動労千葉は、分割・民営化反対ストライキに続く「奇跡」を平成採の獲得=組織拡大として成し遂げている。全国のJR職場で青年労働者を動労千葉派、交流センター派として獲得し、JR体制を根底から転覆しよう。
 国労5・27臨大闘争弾圧裁判闘争は、首をかけて闘う7被告を先頭についに国労内に打ち立てられた国鉄分割・民営化絶対反対の原点を貫く闘争基軸だ。闘争団と国鉄闘争支援勢力を巡る4者4団体派との激突・獲得戦をやりぬき、大恐慌と道州制攻撃と対決する1047名闘争を打ち立てよう。
 第二に、この第2次国鉄決戦を推進する中から、世界大恐慌下の道州制・民営化攻撃と対決する全産別の階級的路線を形成し、産別部会(職場フラクション)の建設をつうじて組合権力を奪取しよう。
 自治労、日教組、全逓は、体制内労働運動の最も牢固(ろうこ)たる拠点であると同時に、国鉄分割・民営化攻撃の全社会化というべき道州制・民営化攻撃との激突の最大の火点となっている。まさに機は熟している。ここにおいてこそ、動労千葉の勝利の教訓で武装された指導者と戦闘集団が大量に形成されなければならないのだ。
 自らの体制内的思考=体制内左派的あり方からの決別、体制内派と激突する階級的団結論の実践、マル青労同1000人建設は、三位一体の闘いである。ここにこそ労組交流センターの本格的発展の道がある。
 第三に、職場闘争委員会とマルクス主義労働学校を基本運動として、交流センター建設を全力で推し進めよう。
 労働組合を現場労働者の階級的団結に依拠した組織としてつくりかえ、未組織職場で労働組合をつくりだす、動労千葉型労働運動を実践する活動家集団として、労組交流センターを建設しなければならない。
 正規・非正規、民間・公務員の分断を超えて、産別主義を超えた強固な路線的階級的団結をつくりだすことが鍵である。マル青労同の同志こそ、交流センター建設の先頭に立とう。

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週刊『前進』(2382号6面2)(2009/03/09 )

 “労働者の団結に生きる”

 ドキュメント2・26西郡

 住宅強制執行との激突

 全国連西郡支部を先頭にストで闘った八尾北労組

 

(写真左 2月26日午前11時35分、店の裏口から押し入った機動隊が2階ベランダへ。八尾北労組員と西郡支部員が森本さんとともに徹底抗戦。この団結を見よ!)

 2月26日、大阪・八尾市による住宅明け渡し強制執行に八尾北医療センター労組がストに立ち、当該の森本政二さん、部落解放同盟全国連合会西郡支部とともに実力で闘い、団結を固めた。魂を揺さぶられた闘いを報告する。(本紙・田所 梢)
「八尾北労組は森本さんの手を絶対に離さない。資本が打ち込んだ部落差別による分断を全国連西郡支部とともに実力でぶち破り、ひとつの労働者階級として決起する」。長年西郡住宅で暮らし、花屋を営んできた森本政二さん。その森本さんから住居と店を奪い、たたき出そうとする八尾市の強制執行が1週間後に迫った時、八尾北医療センター労働組合は、執行当日ストライキに立つことを決定した。
森本さんが店の2階のベランダに掲げた横断幕の「2・26強制執行を絶対に許さない! 私は一歩も引かない! 労働者の団結に生きる!」の文字は団結の証だ。
そして26日、ストに突入。「一人は万人のために、万人は一人のために」を文字どおり貫く歴史的階級的ストだ。
森本さんは前夜の総決起集会で「すごく心強い。命をかけても動かない」と語り、当日も2階のべランダから何度もマイクを握り、「ここで最後まで闘う。権力には負けていられない。みなさんと一緒に生きていく」と決意表明。ベランダで森本さんとスクラムを組んだ八尾北労組員や西郡支部員、全国からかけつけた労働者・学生との団結が拡大していった。
執行通告の7時を過ぎても敵は現れない。「みなさん、勝ちに行きますよ!」と西郡支部員。「今の1分1秒が勝利している証拠だ。革命へのカウントダウンだ!」と全学連の学生。3時間たってようやく執行官が来た。店の前の座り込みを排除しようと道路側からガードマンをけしかける。八尾北労組員が前面に出て体を張って阻止。正面を守り抜いた。
後日、その感動が口々に語られた。
「子どもを預けてみんなのところへ行った。押しつぶされそうになって、こけそうになって、支えて、向こうもおかまいなし。すごいことができた」「今回は森本さん。次は八尾北への攻撃。患者さん守らなあかん。ちょっとやそっとでできへんでということを示した。きょうの闘いは組合員としての誇りです」「物々しい相手にぶつかっても倒されなかったのは、八尾北医療センターへの思いと、もっと働きたい自分へのエールのような気がする」「ひとつになれたと涙が出た」「感動した。素晴らしい闘いだった。初めての実力闘争にひるまないで敵への肉弾戦を繰り広げた。やはり労働者は決起するんだと確信した」「裏口の写真を見ると自分たちよりすごい。学生、すごいがんばってくれたな」
八尾北労組は宣言したとおり、森本さんの手を離さずストを打ち抜き、ガードマンとの肉弾戦を闘い勝利して「団結を固めた」(藤木好枝委員長)。森本さんも確信に満ちて「勝利したのは団結の力」と言い切った。
西郡住宅闘争は、階級的団結で強制執行に立ち向かい、資本による階級分断、八尾北民営化・道州制攻撃を打ち破る核心をつかみとった。

 

(写真 【上左】午前10時25分、座り込み排除に八尾北労組員が肉弾戦。正面は守りきった!【上右】午前10時、裏口で執行官を阻止する全学連・労組員)

 森本政二さん、勝利を語る

 こぶしを突き上げて「完全に勝利した! これからもみなさんとこの村で生きていく」と宣言した森本政二さん。
 「ウソとだましの八尾市住管は絶対に許せない。特に住管の手先となっている地区協許せない。こいつらのためにムラはダメになった。表ではにこにこして、裏では悪口ばかり。面倒見てやるといった格好しながら自分らの金もうけのことばかり。住管と一緒に供託おろさしたのも地区協だ。本当にみんな声を上げて闘わなければ、住めなくされる。これは自分だけの問題ではない」と語り、「明日は地区協打倒を訴える」と非常の決意を固めて強制執行を迎え撃った。
 緊張が最高潮に達した26日午前6時前、ともに闘う労働者・学生が到着した。森本さんは「みんなの姿は忠臣蔵の討ち入りみたいでものすごく感動した。勇気がわいてきた」と振り返る。森本さんもベランダからマイクを握り、「地区協許さない。みんな闘いに立ち上がろう」と訴えた。
 午前10時、激突が始まった。「下の攻防、素晴らしかった。表は完全に守りきった。向こうは裏からしか来れなかった。勝ったと思った」。
 「住宅は取られたが、人間として誇りを持って生きていけるすばらしい団結を、絶対に負けない団結をかちとった。人生で最高の闘いをやり抜いた」「この団結があれば、これからも強制執行は次々あるだろうが、完全に勝てると思った」と胸を張って語った。
 「近所の人たちも『よー頑張ったな』『地区協なんとかせんとあかん』と言ってくれた」とうれしそう。絶対反対の闘いを実践した森本さんの自信に満ちた、新たな闘いが始まった。

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