ZENSHIN 2008/12/15(No2372 p06)

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週刊『前進』(2372号1面1)(2008/12/15 )

 年末年始総決起から09年の勝利へ

 工場閉鎖・大量解雇・賃下げに労働組合を先頭に大反撃を

 360万人首切りの「道州制」つぶせ

 11・2全国労働者総決起集会の地平を引き継ぐ偉大な前進が次つぎとかちとられている。5日、ついに9人の学生同志の保釈奪還をかちとった。法大闘争は権力・当局を決定的に追いつめ、大恐慌と闘う学生運動の一大拠点に飛躍した。森精機の派遣労働者は解雇攻撃に2波のストライキをたたきつけ、トヨタ資本を揺るがしている。精研労組の6波80人の指名ストは、階級的労働運動の深化と実践そのものだ。12月闘争をさらに激しくぶち抜いて、年末年始「生きさせろ!」総決起へ打って出よう。青年労働者・学生を先頭に、危機深める麻生政権を打倒し、プロレタリア革命の勝利へ進撃しよう。

 大恐慌と闘う労働運動を

 今や全世界の労働者が「資本主義は終わった」と確信している。9月の「リーマン・ショック」以降のわずか3カ月で明らかになったことは、資本主義の命脈が完全に尽きたということだ。
 すさまじい信用収縮で誰も資金を貸したがらない。仕方なく各国中央銀行が資金提供に乗り出すが、もはやどうにもならない。株価の底は抜けた。世界同時大不況でモノがまったく売れない。
 とりわけ米帝国主義の破綻はすさまじい勢いで進んでいる。巨大銀行、巨大証券会社の破綻に続く米自動車大手ビッグ3の破産は米資本主義の終わりそのものだ。ブッシュ政権は大リストラと引き換えに140億jの資金融資を決めようとしたが、上院で廃案となった。米資本主義の終わりは、同時に世界資本主義の終わりを意味している。大恐慌がストレートに世界革命に直結する時代が到来したのだ。
 決定的なのはオバマの登場だ。オバマは、11月の非農業部門就業者数が53万人減と、34年ぶりに大幅に減少したことを受けて、「今回の景気後退で失われた雇用は200万人」「今すぐ行動が必要」と、景気対策の骨格を打ち出した。
 それは、ルーズベルトの「ニューディール政策」をまねて、大規模公共事業で250万人の雇用を創出するというものだ。だが、これは財政破綻からドル暴落を一気にたぐり寄せるようなものだ。そもそもオバマは、社会保障費や公務員の大削減を計画しており、雇用創出などまったくのペテンだ。
 オバマの経済参謀はルービン元財務長官で、クリントン政権時代に銀行と証券の垣根をなくす規制緩和を行い、サブプライムローンの詐欺商法をつくり出した張本人だ。オバマは経済閣僚のすべてをルービン人脈で固め、破綻した新自由主義をあくまで貫こうとしている。オバマはまた、体制内労組指導部を使って労働者階級の「生きさせろ」の闘いを圧殺し、階級戦争をより激しく進めようとしている。まさに労働者の敵だ。
 さらにオバマ政権は、ゲーツ国防長官(留任)、ヒラリー・クリントン国務長官のもとでアフガニスタン侵略戦争を強化し、パキスタン空爆にさえ踏み込む「戦争内閣」に他ならない。アメリカ労働者階級はオバマ打倒に必ず立ち上がる。すでに工場占拠が始まっている。「生きさせろ!」ゼネストで連帯し、プロレタリア世界革命へ突き進もう。
 11月集会の地平を発展させ、真のマルクス主義を復権する国際的に単一の労働者党をつくりだそう。体制内労働運動を徹底的に打倒して、階級的労働運動の荒々しい発展をかちとり、第2、第3の動労千葉=階級的労働運動の拠点を自らの力で打ち立てよう。

 麻生倒せ!ゼネストへ!

 大恐慌のもとで資本は減産、工場閉鎖、大量解雇、賃下げの攻撃を次つぎに進めている。引き金を引いたのが「世界一」の自動車企業トヨタだ。自動車産業の減産規模は200万台にのぼり、07年度のマツダと富士重工の2社分の販売台数が吹っ飛んだ計算だ。電機ではソニーが非正規8000人、正規8000人、計1万6000人の人員削減計画を打ち出した。来春卒業予定の大学生の就職内定取り消しが続出している。日本は「首切り列島」と化している。
 首切りを進めるブルジョアどもは「景気悪化で仕方がない」「苦渋の選択の雇用調整」(キヤノン会長の御手洗)などと居直っている。だがトヨタは減益と言ってもなお年間6千億円もの利益を見込み、株主への09年3月期の中間配当は2037億円を計画している。この中間配当を5%だけ削れば3000人の期間労働者の雇用を確保できるのだ。そもそもこの巨額のもうけは正規・非正規の労働者から搾りに搾り上げ、むしり取ったものではないか。
 景気が良いときは非正規に置き換えてもうけるだけもうけ、悪くなったらモノのように使い捨てる。突然の通告で職を奪い、寮からたたき出し、師走の寒空に放り出す。こんなことがどうして許せるだろうか!
 「俺たちはモノじゃない」「労働者の手にすべてを奪い返そう」と立ち上がった森精機で働く派遣労働者の決起は、すべての労働者の闘う方向を指し示している。直接の雇用関係にあろうがなかろうが、労働者は職場・生産点でストライキに決起し団結を拡大していくとき、勝てるのだ。精研労組の医療労働者のように、「患者のための労働者」ではなく、労働者としての生き様を貫いたとき、誇り高く団結することができるのだ。
 たった一人からでも闘いは始まる。経験なんか関係ない。「生きさせろ!」の怒りを行動に現すのみだ。2000万青年労働者の怒りとひとつになって、「生きさせろ!」ゼネストへ直ちに猛然と打って出よう。
 労働者の敵=麻生と日本経団連をぶっ倒そう。麻生政権は支持率が20%に急落し崩壊寸前だ。自民党はガタガタで、麻生にとって替わる人材もいない。労働者階級にとって絶好のチャンス到来だ。麻生よ! 賃下げ・首切りの日本経団連よ! 「生きさせろ!」ゼネストの前に震え上がるがよい。労働組合をよみがえらせ、職場・生産点を労働者の手に取り戻そう。

 道州制に延命かける日帝

 大恐慌下で道州制は日本資本主義のほとんど唯一とも言える延命策となった。道州制は公務員360万人全員いったん解雇(関西経済同友会の提言)、労働運動つぶしの大攻撃だ。麻生は次期国会に道州制基本法案を提出すると打ち出した。
 日本経団連は11月18日に公表した「道州制導入にむけた第2次提言」で、「小さな政府、民が主導の経済社会経営を目指す。そのため、官の役割をゼロベースで見直し、規制改革の推進や官業の民間開放などを徹底」せよと叫んでいる。
 資本を救済するために、“もっと広範囲で自由な搾取を”“一切の規制を撤廃し、公的分野も全部資本の競争原理に委ねよ”というのだ。
 しかも、「道州制の導入に際しては、必要な国の資産を道州に移管するとともに、債務もあわせて移管する」というのだ。800兆円もの債務を道州に移管する! 結局、新自由主義の破綻のつけを全部労働者に押しつけるということだ。
 道州制攻撃は徹底的な労働者の分断、労働組合の解体を狙うものだ。自治体における人事評価制度・査定給こそ、労働者をバラバラに分断し首切り要員をリストアップする攻撃だ。教育労働者に対する免許更新制と「不適格教員・D評価は分限免職」という攻撃もまったく同じだ。
 勝利の展望はどこにあるか。「大阪府をつぶして関西州をつくる」と道州制導入の最先頭を走る大阪府知事・橋下こそ最弱の環だ。全労働者の力で橋下を打倒しよう。
 動労千葉のように闘えば勝てる。橋下が言っていること、やっていることは国鉄分割・民営化攻撃で国鉄労働者がやられたことと同じだ。橋下は自治体労働者、教育労働者を「怠け者」呼ばわりし、民間労働者と分断しようとしている。動労千葉はこの時どうしたか。絶対反対を掲げ2波のストライキで労働者の側にヘゲモニーを奪い返した。そのストライキで力をもらった国鉄労働者が、「日本労働運動の宝」というべき1047名解雇撤回闘争を生み出したのだ。この闘いが新自由主義攻撃を阻み、ついに破綻へと追い込んだ。自治体労働者、教育労働者先頭に、すべての労働者は橋下打倒のストライキに決起しよう。
 08年決戦の最大の成果は、青年労働者・学生の階級的指導部の建設に勝利したことである。青年共産主義者を軸とした地区党建設をがんがん進め、誰も経験したことのない大恐慌情勢を革命に転化する地区党へと飛躍しよう。一時金カンパ決戦を「生きさせろ!」ゼネストの闘いとして貫徹しよう。獄中の10人の学生同志を即時奪還し、09年決戦の突撃路を切り開こう。
 職場・街頭で「生きさせろ!」の年末年始総決起を闘おう。

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週刊『前進』(2372号1面2)(2008/12/15 )

 退学処分阻止へ決起 法大

(写真 出獄学生を先頭に解放感あふれデモ【12月12日 東京・千代田区】)

 退学処分阻止の第10波法大デモが12月12日、戦闘的に打ち抜かれた。出獄した内山佳久君と内海佑一君(ともに法政大)も合流し先頭で闘った。
 文化連盟委員長の斎藤郁真君、同副委員長の恩田亮君、倉岡雅美さん、洞口朋子さんへの退学処分阻止の闘いが再び大決戦を迎えている。教授会による再度の呼び出しがこの日もあったが、断固拒否で闘い、怒りの集会・デモをたたきつけた。
 集会開始1時間半も前から正門は封鎖。外濠校舎も16人のガードマンが阻止線を張る。これこそが、出獄学生と法大生が結合することに恐怖した法大当局の姿だ。「キャリアアップしろ」と資本の奴隷として生きることを学生に強制してきた法大当局。だが、大恐慌と文連・全学連を始めとする闘いが、こうした幻想を吹き飛ばし、学生の怒りの決起を呼び覚まそうとしているのだ。
 「内山さん、内海さん2名が法大に帰ってきました!」。文連の司会で集会は始まった。
 斎藤君、恩田君、倉岡さん、洞口さんが「退学処分を絶対に許さない」と次つぎと発言に立った。斎藤君は「処分されようが何度でもここに来て闘う。私は闘いをやめることはない!」と宣言。倉岡さんは「うちらにはずっと変わらないものがある。どんなに弾圧されても支配されない魂だ!」と熱弁をふるった。洞口さんは「世界恐慌で、つぶれない会社に入れとあおる大学はおかしい。私は絶対に負けない。全法大生の先頭で闘う」と息巻いた。
 織田陽介全学連委員長は「ギリシャと法大の闘いは同じだ。学生が団結して立ち上がった時、労働者が決起する。09年『生きさせろ!』ゼネストを今日の闘いから切り開こう」と呼びかけた。
 半年ぶりに正門に立った内山君と内海君は、法大で闘う喜びをかみしめ、闘う決意を表明した。集会はさらに勢いを増し、デモに出発。「4人の退学処分阻止!」「法大ストをやろう!」。内山君、内海君、処分策動と闘う4学生を先頭にデモを貫徹した。

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週刊『前進』(2372号1面4)(2008/12/15 )

 「給油法」再可決を徹底弾劾」

  麻生政権は12日午後、午前中に参院本会議で否決された海上自衛隊のインド洋での給油活動を延長する派兵給油法【新テロ対策特措法)を衆院本会議で再可決した。とめよう戦争への道!百万人署名運動の呼びかけで緊急抗議闘争にかけつけた労働者人民は「貧困と戦争を強制する麻生政権を打倒するぞ!」と激しい怒りの声をたたきつけた(12月12日 衆院第2議員会館前)

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週刊『前進』(2372号2面1)(2008/12/15 )

 ビッグ3破綻と労働者階級

 ”ランク&ファイル”が工場占拠

 政府の救済も不可能に/資本主義を倒す時だ!

 自動車と石油、これこそアメリカ帝国主義の象徴だった。世界支配、国内支配の軸だった。これがついに破綻を迎えた。この中で、関連産業含め310万人の労働者と数百万人の退職者に大量解雇と医療年金給付破棄の攻撃がかけられている。巨大な「生きさせろ」の実力闘争が、既成指導部の裏切りをのりこえて開始されている。

 資本の救済で数百万人犠牲

  GMは、今年の第1四半期にトヨタに抜かれるまで、売上台数世界トップの自動車会社だった。
 そのGMの赤字が急増しているだけではない。金融大恐慌の中で、銀行がGMに当面の運転資金さえ融資できなくなっている。手元資金が枯渇し、直ちに破産という事態になったのだ。
 ビッグ3の第3位、クライスラーはGMよりひどい状況だ。第2位のフォードは手元資金はGMよりましだが、赤字増大は同じことだ。
 リーマンブラザーズの破綻後間もなく、米議会で250億jの自動車産業緊急融資法案が成立した。だが、巨額融資も焼け石に水だった。
 11月19日、ビッグ3のCEO(最高経営責任者)がそろって議会で救済資金を懇願するに至り、これが全米の政治の中心問題になった。
 だが、これほど大規模な緊急事態であるにもかかわらず、米政府の対応はなかなか決まらない。
 ブッシュ政権と民主党主導の議会やオバマ次期政権の間での対立が報道されているが、10月に成立した7000億jの緊急金融支援立法を使うのかどうかなど、それぞれの陣営内にも対立がある。事態があまりに深刻で、根本的な解決策がなくなっているからだ。
 12月10日現在、ブッシュ政権と議会民主党が、大規模リストラの断行を条件に、公的資金による救済で一定の合意に達したとされている。際だった特徴は、彼らが労組への攻撃で「解決」しようとしていることだ。「ビッグ3はUAW(全米自動車労組)という組合があるからトヨタに比べ人件費が高い」「医療費や年金の負担が重すぎる」というのだ。
 トヨタなど日本資本は、労働組合の結成が困難な州法がある南部諸州に工場を建て、日本で開発した労組破壊の手法で活動家をつぶしてきた。このトヨタの労務支配の実績に続けと要求しているのだ。
 まさに「資本の延命ではなく、労働者こそ生きるべき」の闘いは、「国際競争ではなく、労働者の国際連帯」を求める闘いと一体なのだ。
 ビッグ3とは、資本一般ではない。アメリカの基幹産業の中の基幹産業だ。これが崩壊する時はアメリカ資本主義自体が崩壊する時だ。アメリカ資本主義が崩壊する時は、世界の資本主義が崩壊する時なのだ。生きるための闘いが革命を意味する時代が来たのだ。
 この決定的な瞬間に、UAWのゲテルフィンガー委員長らは、資本家と一緒になって「ともに痛みを分け合う」と言い、資本の救済を要請している。そのために、労働者を路頭に迷わせることを労働組合の名で自ら提案しているのだ。
(写真 UAWのストライキ【07年9月】)

 工場占拠の伝統を甦らせる

 UAW指導部の会社とのパートナー路線を批判してきたUAWの闘うランク・アンド・ファイル(現場組合員)も、UAW本部の裏切りに対する激しい怒りと批判を打ち出しつつも、9月〜11月、まだ大きな闘争は打ち抜けていない。かつてない規模の工場閉鎖に直面し、これまで数多くのリストラと闘ってきた戦闘的潮流ですら、労働組合運動の根本的な真価が問われているのだ。
 アメリカの自動車産業のリストラは1970年代から始まった。トヨタなど日独の自動車メーカーとの国際競争力の衰退を理由に、アウトソーシングによる人員整理、工場閉鎖などによる大量解雇が激しく行われた。
 これに対してUAW本部は、70年代末から「コンセッション(譲歩交渉)」路線をとった。労働組合が自ら労働条件切り下げを申し出て人件費を下げ、雇用を守るという路線だ。だが現実はコンセッションによっても解雇は続いた。
 UAW内の反本部派は「コンセッション絶対反対」「パートナー路線反対」を掲げて闘ってきた。UAW本部が腐敗しても、職場では戦闘的な労働運動が根強く闘われてきた。特に、ビッグ3の本拠地、イリノイ州デトロイト周辺では、祖父も曽祖父も大ストライキを経験しているような代々の自動車労働者が多い。
 特に1936〜37年のフリント工場(デトロイトの近く)のシットダウン・ストライキは今も語り継がれている。労働組合を承認しないGMに対し、工場に座り込み、占拠して闘ったのだ。全米のGM工場に金型を供給する戦略的なフリント工場を占拠し、自警団、警察、州兵の襲撃と闘い、全米GMの操業に大打撃を与え、ついに労働組合の承認を獲得した。
 このシットダウン・ストの勝利によって小さな組合UAWが一挙に数十万人の労働者の組合加入をかちとった。この闘いが現在、新鮮な思いでよみがえりつつある。
 12月5日、シカゴでリパブリック・ウィンドウズ&ドアズ(窓枠、ドア製造工場)の労働者250人が工場を占拠した。
 バンク・オブ・アメリカ(BOA)が急に融資を停止し、会社が予告手続もなく2日前に工場閉鎖を通告、退職金も解雇予告手当てもなしに労働者を放り出そうとした。そして深夜、経営者が高価な機械を運び出したことが発覚した。「設備を押さえろ! シットダウンだ」。フリントの自動車労働者と同じ闘いが始まったのだ。
 250人が属する組合は、独立系のUE(統一電機労組)だが、AFL−CIO(米労働総同盟・産業別組合会議)傘下のシカゴ教組やCTW(勝利のための変革)傘下のチームスターズなど多数の組合が支援にかけつけた。
 UAWからは、多数のランク・アンド・ファイルの組合員が食料の差し入れを持って遠方からかけつけ、UAW第4地域長デニス・ウィリアムズ氏が「1936年のシットダウン・ストライキは、自動車産業だけでなく、全産業の労働者のための歴史的な闘いだった」と激励した。
 7000億jの救済策を受けた銀行の一つでありながら、リパブリック社への融資を停止し、工場閉鎖に追い込んだBOAに対しては、地元シカゴだけでなく、全米の支店に対する抗議行動が行われた。マスコミも全米で「30年代以来のシットイン(シットダウン)工場占拠」と報道した。資本家たちは30年代のような階級闘争の再来におののいている。
 イリノイ州知事も「州の全省庁がBOAとの取引を停止する」と発表せざるをえなくなった。次期大統領オバマも占拠闘争の正当性を認めた。大恐慌の激動を恐れているのは支配階級だ。
 この工場占拠とランク・アンド・ファイルの支援闘争の拡大の中で12月10日、BOAが離職手当、解雇予告手当、2カ月の医療給付分の融資に合意した。250人は占拠を解除し、支援基金を元に工場再開を目指すという。小さな工場の実力闘争が全米の労働者の闘いに自信を与えたのだ。
(写真 工場内に座り込んで占拠【シカゴ 12月7日】)

 トヨタを撃ちUAWと団結

 UAWの労働者は「トヨタより人件費が高い」とあたかも不当に高い賃金でビッグ3破綻の原因を作ったかのように宣伝され、攻撃されている。
 だが事の本質は、資本主義が必然的に生み出す過剰資本が臨界点を超え、資本主義そのものを終わらせるプロレタリア革命以外に出口がなくなったことにある。
 日本でも自動車産業をはじめ労働者の使い捨てに怒りが爆発し始めている。労働者の過労死や過労自殺への怒りも沸騰寸前だ。トヨタ資本を痛打した森精機でのストライキは、国際連帯の強力なメッセージとなった。
 「生きさせろ!」春闘ゼネストへ突き進もう!
 (村上和幸)

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週刊『前進』(2372号2面2)(2008/12/15 )

 道州制阻止は革命かけた決戦

 公務員一旦全員解雇の国鉄型 橋下打倒し怒りのゼネストへ

 道州制基本法案が来年の通常国会に提出されようとしている。世界金融大恐慌の中で一挙に道州制攻撃のテンポが速まっている。道州制攻撃との闘いは、プロレタリア革命の成否をかけたブルジョアジーと労働者階級の最大の階級決戦だ。400万人公務員労働者―6000万人労働者の「生きさせろ!」ゼネストと一体で、道州制粉砕・橋下打倒へ闘おう!

 焦点は自治労と日教組の解体をめぐる攻防だ!

 道州制攻撃とは、行政区画として都道府県を廃止し、道と州を置くことにとどまらない。中央官制、地方自治、税制、社会保障制度、金融・通貨、経済・産業・流通、教育、外交、軍事、治安など全社会的な新自由主義に基づく全面的な「大改革」=「究極の構造改革」を狙うものだ。改憲クーデターそのものだ。
 その核心は何か。〈道州制〉と〈国家・自治体の丸ごと民営化〉で410万人の国家・地方公務員のいったん全員解雇の大攻撃をとおして、自治労と日教組を解体し、4大産別―日本労働運動を壊滅することにある。別言すれば日本労働者階級の粉砕と制圧にあると言ってもよい。上からの階級決戦で戦後体制(戦後的な階級関係や階級意識、戦後憲法や社会保障制度などの諸制度、諸慣習の一切合切)を一掃・再編し、ブルジョアジーによる独占的な政治支配を確立することである。
 それは、世界大恐慌という資本主義の根本的危機の中で、日本帝国主義の生き残りをかけた巨大な反革命エネルギーをもった大攻撃だ。資本主義の根本的危機は、プロレタリア革命の現実性そのものだ。ブルジョアジーは破産し、いかなる延命策もないのだ。その中で、展望や整合性など関係なく、ただひたすらプロレタリア革命粉砕の一大反革命に打って出るところに、この攻撃の本質がある。
 道州制こそ、その基軸の攻撃だ。80年代の中曽根政権による国鉄分割・民営化は40万人の国鉄労働者が直接の対象だった。道州制は410万公務員すべてが対象である。単純計算でも10倍の規模だ。今日の大恐慌情勢の中で考えればとてつもないスケールの階級決戦となる。ブルジョアジーにとっては、日本労働者階級、日本労働運動を丸ごと壊滅する攻撃としてある。
 関西経済同友会が06年4月に出した「5年以内に『連邦的道州制』に移行せよ」という提言がその狙いを端的に明らかにしている。提言の根幹は、職員全員のいったん解雇にある。
 「410万人の国・地方の公務員のうち、自衛官・警察などを除く360万人弱を一旦解雇する。85万人削減要員を『公務員支援事業団』を通じて民間に。教育公務員など126万人の現業公務員は、組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」
 「新たな政府で働く人材は、『半分の人員で倍の仕事』をする気概と能力が必要だ」とも言っている。410万人のうち360万人をいったん解雇し、211万人のクビを切ると言っているのだ。文字どおり、国鉄分割・民営化型の大攻撃なのだ。
 日本経団連の御手洗会長は道州制の全体構想を次のように説明している。
 「都道府県を全廃し、10程度の道州に統合。市町村・道州・国の三層構造の統治体制にする。住民サービスは市町村が一手に担い、内政はその大半の権限を国から移譲された道州が行う」
 「住民サービスは自立自助を基本とし、市町村がその財政に応じて実施する。道州は、現行の都道府県の枠組みを超えて産業振興策を推進し、道州内のインフラ(道路や港湾、空港)整備などを担う。国は軍事や外交、治安に専念する」
 ――これを見ても、道州制を単なる行政区分の変更や名称変更とするのは誤りだ。1千兆円の赤字財政の再建問題や410万公務員労働者のリストラ問題とだけとらえるのも、道州制の全体像とは言えない。道州制は、統治機構や地方自治のあり方、国家と社会の全領域で、強烈な新自由主義改革=「究極の構造改革」を展開するものなのだ。
 国家・地方自治体の全業務を丸ごと民営化しろというのが道州制構想の柱の一つだ。丸ごと民営化で業務の規制を全面撤廃し、競争原理を導入して、資本の利潤追求を一切に優先できるようにするのだ。民営化すれば、もうからない事業を「公共性」を理由に続ける必要もなくなる。190人が分限免職された千葉県の銚子市民病院のような事業閉鎖・全員解雇が横行するのは明らかだ。
 いま一つの核心問題は、資本による直接的な道州支配をつくることだ。その狙いを最も露骨に語るのが大阪府知事の橋下だ。橋下の問題意識は、国家の枠組みを超えた都市間の国際競争に競り勝つことだ。道路・都市計画・関西新空港関連事業などを推進し、効果的な産業戦略を展開できる司令塔機能を有した関西州を設立したいのだ。そのために大阪府を廃止するというのだ。
 道州制とは、帝国主義間の国際競争に競り勝つために戦後的な階級的力関係や諸制度を全面的に粉砕する、国家統治構造の大再編なのだ。トヨタやパナソニックなど大企業主導の各ブロック資本家団体が道州を直接支配・経営し、民営化でもうけることを狙っているのだ。大資本による社会の直接支配――これが橋下政治の正体でもある。
 そのために労働者階級の一切の階級性・抵抗力を奪い、官民一体での世界大恐慌と世界戦争に対応した挙国一致体制をつくろうとしているのだ。
(写真 「道州制粉砕! 橋下を倒そう」と熱気あふれる大阪府庁デモ【11月】)

 労働者の団結で必ず粉砕できる革命のチャンス

 確かに日本帝国主義は〈王政復古〉〈戊辰戦争〉〈廃藩置県〉という明治維新の過程で、平安時代後期から1千年以上続いてきた、封建領主が土地と人民を支配する封建制社会を根本から否定し、資本主義の道を開いた。
 18世紀から19世紀にかけて本格的に発達した資本主義の世界史的発展の中で、明治維新という内乱とクーデターで成立した明治新政府は、学校制度改革、地租改正(租税制度と土地に対する私的所有権の確立)、徴兵制、司法制度の整備、憲法制定、国会開設などの諸改革を進めた。経済産業分野では、富国強兵・殖産興業のスローガンのもと、富岡製糸場などの官製工場をつくり、政府主導の産業育成を行った。日本銀行の設立など金融・通貨制度の整備も行った。また流通分野では郵便制度・電信網の整備、鉄道及び船舶運輸などの整備を行った。
 ブルジョアジーは、資本主義の道を開いた明治維新を美化し(それは「新しい歴史教科書をつくる会」に典型的な歪曲された身勝手な歴史認識でしかない)、それになぞらえた大攻撃として道州制を導入し、危機に立つ日本帝国主義の再生の望みをかけているのだ。道州制(廃県置州と労組解体)を中軸に新自由主義の千年王国をつくろうと夢想しているのだ。同時にその最大の対立関係にある労働者階級に対して強烈な暴力性を持って襲いかかっているのだ。
 だが、こんなでたらめな攻撃を許せるか。ブルジョアジーはもはや支配階級として破産しているのだ。道州制攻撃こそ、労働者を徹底的に犠牲にして、ブルジョアジーだけが生き残る史上最大の大陰謀である。こんな理不尽な攻撃は断じて認められない。日本の労働者階級は絶対に黙っていない。革命をかけた大決戦に必ず立ち上がる。
 道州制をめぐる最大の攻防点は、日本の労働者階級の存在とその闘いである。ブルジョアジーにとって道州制攻撃の階級的意義は、プロレタリア革命を粉砕することにある。
 国鉄分割・民営化はどうだったかのか。中曽根の狙いは貫徹されたのか。歴史的事実の問題として、断じて否なのである。動労千葉は分割・民営化絶対反対の路線を貫き、2波のストライキで闘い抜いた。団結を維持して、今も意気軒高と闘い抜いている。動労千葉を先頭とする国鉄闘争は、4者4団体路線との対決を貫き、道州制・民営化攻撃との最前線の闘争として、闘いの展望を示す時がきている。
 動労千葉のように闘えば道州制攻撃は必ず粉砕できる。日本資本主義の延命をかけた反革命クーデターを逆に革命に転化できる。労働者階級は、この現実の社会の生産の主体そのものなのだ。労働者が自らの団結の力を自覚してストライキを闘えば、国家も行政も社会もすべてがストップするのだ。
 橋下こそ道州制攻撃の最先兵だ。就任して約半年。「財政非常事態」「教育非常事態」「大阪維新」を掲げ、矢継ぎ早にリストラ・民営化策を打ち出し、賃下げを強行している。
 橋下は「国旗・国歌を意識しろ」と教育内容を国家統制した上で教育の民営化を行おうとしている。「大阪の日教組をつぶす」「ダメ教員は分限免職」と公言して月5万円の賃下げ、評価制度の導入、指導教諭などの中間管理職の導入など、許し難い攻撃をかけている。
 橋下政治の本質は、労働者階級の闘いの解体だ。「労働者が怠け者だから、社会を悪くした」などと労働者階級を徹底的に攻撃することに橋下の政治的主張の本質がある。そしてブルジョアジーの利益を体現して関西州―道州制導入に一切をかけているのだ。
 橋下にこそ、道州制にかける日帝の暴力性と弱点が凝縮している。橋下の暴言や攻撃に対して、自治体職場では労働者の非和解的な怒りが沸き立っている。他方で体制内労組指導部は屈服し、何ひとつ方針が出せない。国鉄分割・民営化の時の国労と同じだ。

 6大産別の闘いこそ

 重要なことは、6大産別の労働者が道州制や民営化、人事評価制度などの労働者の分断や首切りの大攻撃に対して、資本・当局、資本主義との非和解性を貫き、徹底的に怒りを爆発させることだ。労働者の誇りと団結を拡大し、階級的労働運動をよみがえらせるために闘うことだ。
 自治体労働者は、道州制粉砕・自治体丸ごと民営化絶対反対・人事評価制度導入絶対反対の職場闘争を、自治労本部打倒の闘いと一体で闘おう。教育労働者は、道州制絶対反対と「日の丸・君が代」絶対反対、教育の民営化絶対反対の不起立闘争を闘おう。
 大恐慌情勢で郵政民営化は完全に破産した。民営郵政の「生産性向上」を綱領に掲げたJP労組執行部のもくろみは現場労働者の怒りと闘いでガタガタだ。年末繁忙期が民営化絶対反対で闘うチャンスだ。2万4千人の削減を許すな。ゆうメイトの使い捨て、雇い止めを許すな。全逓労働者は、年末物ダメストライキで闘おう。
 公務員と民間労働者、非正規と正規労働者の分断を打ち破り、労働者がひとつに団結できる闘いが「道州制絶対反対・民営化絶対反対・橋下府知事打倒」のストライキだ。
 道州制との闘いは、戦争と改憲に突き進む麻生政権を打倒する闘いだ。道州制は国の役割を外交・軍事・治安に特化する国家大改造でもある。これと一体で田母神・前空幕長が侵略戦争を正当化し、経団連・御手洗がインド洋海自派兵の継続を叫んでいる。道州制粉砕の闘いは、侵略戦争に突き進む日本帝国主義を倒す闘いそのものだ。
 核心はマルクス主義だ。労働者階級こそ社会の主人公であり、革命をやる力があるのだ。このマルクス主義を時代認識・路線・戦術・方針・総括などすべてに貫いて闘おう。
 そういう路線として、道州制絶対反対路線を貫く階級の指導部を形成しよう。全国の自治体職場、教育職場に革共同とマル青労同を建設しよう。400万公務員労働者―6000万労働者の「生きさせろ!」ゼネストと一体で道州制粉砕・橋下打倒を闘おう!

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週刊『前進』(2372号3面1)(2008/12/15 )

 「年繁計画」を拒否しよう

 腐ったJP労組幹部を打倒し 「生きさせろ」春闘ゼネストへ

 交流センター・ビラ

 資本主義の歴史的命脈は尽きた。世界革命の時代が到来した。郵政民営化の破綻は今や誰の目にも明らかだ。年末年始繁忙に物ダメ・ストライキで反撃し、「生きさせろ!」09春闘ゼネストに向かって突き進もう。労組交流センター全逓労働者部会のビラを紹介します。(編集局)
(広島西郵便局でゆうメイトの労働者が「雇い止め」=解雇の撤回を求めてスト【9月16日】)

 年末年始繁忙−労働強化に物ダメ・ストで反撃しよう

 郵便局で働く皆さん! 年末繁忙ご苦労さまです。
 世界金融大恐慌で、資本主義の崩壊がついに始まりました。民営郵政はその直撃を受けています。世界の資本家と郵政当局は何を考えているか? 極限的な首切り・リストラや賃下げ、労働強化で、すべての犠牲を現場労働者に押しつけようとしている。郵政の「年末繁忙計画」は、このパンク状態の職場で「さらに2倍働け」ということです。御用組合=JP労組幹部が、これを「働こう運動」や「生産性運動」で援護しているのです。
 こんなふざけた「年繁計画」を拒否しようではありませんか。郵政労働者はいまこそ物ダメ・ストライキで闘う時です。これは産別の違いを超えて、すべての労働者が生き抜くための09春闘「生きさせろ!」ゼネストへの闘いの始まりです。
 リーマンショック以降、株価は暴落しドル暴落も始まっています。それは実体経済にも波及しすべての企業を直撃しています。とりわけ基幹産業の自動車産業では大幅な減益を計上し、アメリカのビック3であるGM、フォード、クライスラーは倒産の危機に追い込まれています。
 日本でも同じです。ホンダはついにF1撤退を表明し、トヨタ、いすゞを始め「いまの自動車産業の環境は危険水域」だと言われ、キヤノン、日立などすべての大資本が大幅な減益計上に追い込まれています。自動車や電機で大幅な人員削減が始まっています。非正規と派遣労働者にリストラが始まり、正社員にも拡大されています。
 すべての産業で危機が進行し世界大恐慌がついに始まったのです。それは郵便局でもまったく同じです。郵便局だけは大丈夫などあり得ないのです。

 職場の現実は民営郵政当局とJP労組幹部がつくっている

 この世界大恐慌と大失業時代に私たち労働者はどうすればいいのか。
 資本の首切り・リストラと闘って生活を防衛しなければ「生きていけない」時代に突入したのです。労働者が団結し闘う組織である「労働組合」を現場労働者の手に取り戻すことです。いま労働組合は資本・当局と一体となって現場労働者の怒りと不満を抑え込んでいます。闘いを否定し、闘うことを恐れているのです。
 資本・当局との関係を良好に保つことが今の労組幹部の目的です。資本・当局と良好なパートナーとなって「トク」をするのは資本であり当局でしかないではないか。そのわずかな「おこぼれ」を分けてもらおうとしているのが今の労組幹部。何と意地汚く、物乞い根性丸出しの奴らか。
 現場の悲鳴や苦労には「聞いた」ような格好だけはつけるが、本気になって労働条件や賃上げをかちとろうとしないのが今のJP労組です。「会社が倒産したら生活もなにもないではないか」と資本も当局も御用組合も言い、「生産性向上だ」「一生懸命働こう」と強要してきています。それで本当に労働者の生活は守れるのか。守れるわけがない。
 今の職場をみれば、資本・当局に全面協力して何か一つでも良くなったことがあるか。悪くなる一方、これが現実ではないですか。労働者同士で競争させられ、文句も言えず奴隷のように働かされているのが今の職場ではないか。「会社が倒産しないように」との口実で賃下げや首切り・リストラまで認めてしまえば、労働者の生活は守れないのです。「自分だけは大丈夫」などあり得ないのです。だからこそ現場労働者の団結と闘う労働組合が必要なのです。
 JP労組幹部は腐りきっている。今のJP労組は労働組合と呼べる組織ではまったくない。これを現場の闘いで変えよう。団結の力で、JP労組を現場労働者の手に取りもどそう。現場の労働者が怒りや不満を我慢することやめ、怒りを爆発させれば、当局と御用組合が作りだした労働地獄のような現状をうち砕くことは可能なのです。
 この間の東京・中郵―銀座局を先頭とする全国での超勤拒否の闘い、非常勤労働者の雇い止め阻止の闘いを始め、闘う団結を基礎とした職場闘争に火がついた瞬間、当局と御用組合幹部の結託による職場支配はたちまち揺らぎ始めています。

 職場の団結で「生きさせろ」のストライキに立ち上がろう

 この世界金融大恐慌の本格化のなかで、すでに破綻している郵政民営化がさらなる破綻へと向かって行くのは確実です。すでに「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式上場の見送りは確実です。株式を売却しても「売れない」から凍結するのは当然だと麻生首相は発言しています。「売れる」ようになるために、企業体質をスリム化し利益をだせる経営基盤をつくるという。要するに低賃金で徹底的に労働者をこき使いリストラするということです。
 今でさえ要員不足で現場は悲鳴をあげているのに、郵政当局は、他の運輸通信資本との競合でさらに2万4千人削減を強行する計画です。本務者を減らし、低賃金のゆうメイトなど非正規労働者を増やしたにもかかわらず、そのゆうメイトを次々と使い捨て(雇い止め)にしなければならない矛盾に陥っています。
 正規も非正規も労働者はひとつです。今こそ固く団結し、闘わないJP労組執行部にとってかわって「1人の首切りも許さない」闘いに立ちあがるときです。  
 極端な労働強化によって誤配や交通事故・労働災害が増加しているのは、民営化がもたらしたものです。それなのに民営郵政当局は、すべて現場労働者の責任に転嫁しています。誤配や交通事故をおこせば即処分。書留の誤配では1回で訓戒、2回で戒告、3回で減給だと言っている。交通事故でも大きな事故では、自爆、被害者、加害者にかかわらず減給処分が出ている。すべての責任は郵政当局にあるのです。現場労働者に責任はありません。
 もはや郵政当局は労働者にごまかしの「将来の展望」さえ指し示すことはできず、強権的な処分を背景にした労働者支配でしか職場を維持できなくなっています。来年4月1日発足のJPエクスプレスという新会社への出向攻撃は、今の大恐慌情勢の中で大きな闘争課題です。本体に残るも地獄、出向するも地獄という事態を、固い団結と闘いでうち破ろうではありませんか!
 JPエクスプレス出向反対、郵政民営化絶対反対の闘いを、産別の枠をこえたすべての労働者による09春闘「生きさせろ」ゼネストとして闘おう。地域のあらゆる労働者の闘いと力を合わせよう。そのために、この年末年始繁忙期闘争が決定的です。民営郵政と連合JP労組の下での年繁期計画は、すさまじい労働強化となろうとしています。断固たる闘いを準備しよう。当局の不当な攻撃には超勤拒否と物ダメ・ストライキで反撃しよう。資本主義の時代は終わったのです。労働者の希望は闘う労働組合を甦らせ、資本主義を打ち倒し、自らの力で新たな労働者の社会を建設することです。万国の労働者と団結しよう。
 (12月11日)

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週刊『前進』(2372号4面1)(2008/12/15 )

 田母神クーデター粉砕を

 反軍戦線からのアピール

 侵略戦争軍隊の形成に向け国家主義で兵士に死を強制

 田母神発言や兵士に対する暴行の激発など、自衛隊をめぐって重大な事態が起きている。これに対し、反軍戦線から怒りをこめた弾劾と来春「生きさせろ!ゼネスト」へむけた決意の二つのアピールが寄せられました。(編集局)

 開始された反革命クーデター

 田母神(たもがみ)前空幕長を絶対許すな! 田母神は、雑誌の論文や国会喚問で「@侵略国家だったというのは濡れ衣(ぬれぎぬ)、A集団的自衛権の行使と憲法改正、B安保廃棄と自主国防」まで要求した。「新しい歴史教科書をつくる会」の主張とまったく同じデマゴギーだ。その核心は、自衛隊兵士への靖国死の強制にある。侵略戦争軍隊・治安出動軍の形成と国際労働者階級のせん滅にある。
 重大なことは、「日本をいい国だと思わなければ、自衛隊の士気も崩れる」という危機感から、「国のために死して悔いない」価値観をたたきこむことが世界大恐慌と革命情勢の成熟に追いつめられた全ブルジョアジーの「綱領」になっていることだ。
 したがって、一連の言動は、単に田母神個人の意志によるものではない。世界金融大恐慌への突入の中で、死の苦悶(くもん)にあえぐ日帝ブルジョアジーの階級意志そのものだ。田母神はブルジョアジーの危機感を体現し、完全に計画されたクーデターとして反革命的蜂起を開始したのだ。
 しかし決定的なことは、全世界の労働者階級がひとつの軍勢として決起し、「万国のプロレタリア、団結せよ!」が現実になる時代がやってきていることだ。労働者階級の決起に怯(おび)えた反革命を迎え撃ち、「生きさせろ!ゼネスト」に立ち上がろう! 自衛隊兵士は労働者階級と〈生死をともにする存在>だ。兵士はブルジョアジーのために「血を流す」ことを拒否し、世界革命の隊列に必ず合流してくる。激突は開始されているのだ。
 日帝ブルジョアジーは田母神のような反革命指揮官を先頭に押し立て、「つくる会」デマゴギーで幹部を組織し、25万自衛隊兵士に「使い捨て」「消耗品」としての死を強制することによってしか、そしてクーデターでしか、絶望的行き詰まりからの突破を図れないということだ。

 居直り・更なるせん動許すな

 懸賞論文の組織的行動はまさに敗北への絶望的反動として「決行」されているのだ。しかもクーデターは終っていない。田母神は居直り、国会や外国特派員協会や週刊誌上などで扇動を続けている。
 労働者階級と兵士たちはこれを絶対に軽視しないし、許さない! 体制の完全な行き詰まりと労働者階級の闘いに対する絶望的反動の始まりを、労働者と兵士の連帯した闘いで粉砕する。階級のゼネスト対極右クーデターの開始。これは21世紀革命の開始だ。日韓米労働者の階級的・国際的団結の力で反革命クーデターを絶対に粉砕する。

 組織ぐるみで衝動つのらす

 以下は、懸賞論文応募の所属と階級別の内訳である。今回の反革命決起の性格を示している。応募者は田母神を除いて97人。組織的応募94人。佐官・尉官の幹部自衛官だけで90人近い。所属別では、幕僚部4人、航空総隊71人(小松基地が62人)、教育集団1人、補給部2人、航空救難団16人(入間=司令部)。他に3人は自主応募(小松基地から曹1人の応募)。
 「懸賞論文投稿指示」は、田母神本人と幕僚部教育課長、さらに人事部教育部長などが執拗(しつよう)に行った。次期統幕長論文を最優秀論文として押し立て、反革命派の結集力を誇示し、八方ふさがりの政治軍事情勢の反革命的突破を狙ったのだ。しかし陸自・海自の応募はゼロだ。事態を察知し震撼(しんかん)した政府は田母神を懲戒にしようとしたが、本人の抵抗にあい、更迭にとどめた。権力内部の軍事を含む暗闘の始まりだ。体制の行き詰りへの右からの絶望感、労働者階級の闘いの前進に対するクーデター衝動はここまで激しく深刻だ。

 革命への恐怖と対抗が根底に

 70年安保・沖縄決戦で労働者階級と農民・学生が総決起した激動の時代。田母神は71年防大を卒業、航空自衛隊に入隊した。69年、治安出動訓練拒否の小西3曹の決起も、浜松基地兵士たち37人の決起も、労働者階級の決起の中でかちとられた。
 70年、絶望的反動として三島由紀夫が市ケ谷駐屯地に突入するが、三島は兵士たちの弾劾と罵声(ばせい)を浴びて割腹し果てた。階級と兵士の反乱に常に怯えて、田母神の軍人人生はこうしてスタートした。
 田母神は98年に第6航空団(小松基地)司令に着任。ここでアパグループ代表のの元谷外志雄を介し森元首相や安倍元首相と結びついた。アパグループの基地隊員への紹介物件が7割を超える腐敗した利権関係を形成した。
 田母神は、02年〜04年まで統合幕僚学校長を務め、「歴史観・国家観」講座を新設した。講師は「つくる会」や桜井よし子などで、受講した幹部は390人。「侵略はなかった」「全部コミンテルンの謀略」「沖縄戦で戦隊長の命令はなかった」などのデマを繰り返すことが目的だった。
 田母神は、核武装を公然と要求し、クラスター爆弾を大量に所持している「有効性」を「占領される被害のほうが何万倍も大きい」「核もクラスター爆弾も防衛兵器」と扇動した。「軍隊は人民を守らない」を明言し、公然と開き直ってきた。田母神は一貫して労働者階級の闘いに対抗・挑戦してきたのだ。許し難い反革命だ。

 階級的団結で必ず粉砕できる

 しかし田母神の反革命策動は労働者階級人民の闘いでことごとく敗北を喫してきた。01年以降の「つくる会」教科書採択反対闘争の爆発、07年、教科書からの「軍令による強制集団死」抹殺に怒った沖縄県民の11万6千人決起などだ。小泉・安倍・福田は打倒された。
 イラクで陸自は、13回もの迫撃弾攻撃と最後は路肩爆弾攻撃を受け、デモ隊の包囲の中で撤退した。06年のことだ。そして08年には空自イラク派兵違憲判決が名古屋高裁で下された。バグダッド空港は戦闘地域であり、武装米兵の空輸は後方支援活動にあたり、空自の活動は憲法違反であるという判決だ。日帝3軍のイラク参戦自体を「違憲」と断じたのも同然である。だが田母神は指揮官として高裁の違憲判決を「そんなの関係ねえ」と開き直った。
 この間イラク・インド洋への派兵隊員の現職死亡は35人。自殺と判明している隊員は16人。空自では女性兵士に対するセクハラが後を絶たない。
 10月の海自特殊部隊の養成訓練では辞退を願い出た3曹が10分間に230回も殴打され虐殺された。田母神こそは65万イラク人民虐殺と自衛隊員の自殺・暴行虐殺・セクハラの直接責任者だ。
 「懸賞論文に応募したら300万円当たっちゃったんですよ」。田母神は自ら「問題はなんぼ起こしてもいいから頑張ってください」と扇動を繰り返し、幕僚部教育課長名で全国の幹部自衛官に「論文応募」を呼びかけておきながら、授賞を防衛省幹部に喜々として報告し、問うたことが「懸賞金の取り扱いをどうするか」である。あきれ果てる! としか言いようがない。反革命蜂起にあたって、これが利権にまみれた小心な指揮官の関心事だったのだ。こんな輩(やから)が3軍トップの統合幕僚長の最有力候補だったのだ。

 革命の勝利が兵士解放の道

 このような反革命クーデターをわれわれは絶対に許さない。だが、ここに日帝ブルジョアジーの脆弱(ぜいじゃく)性が表れている。労働者の階級的団結の力で必ず粉砕する。
 世界大恐慌情勢を迎え撃ち、5700名が結集した11・2労働者総決起集会は、労働者階級の国際的団結と単一の革命党を高らかに宣言し歴史的勝利をかちとった。5・1メーデーの国際連帯ストライキは実際に戦争に打撃を与え軍事情勢を変えた。労働者と兵士の闘いが世界を変え、勝利する時代が到来した。「全世界の労働者階級に訴える」(『前進』2369号)を武器にストライキで闘おう!
 田母神ら幹部には人間主体としての25万兵士の存在はない。教育課程審議会元会長の三浦朱門は「9割は従順でありさえすればよい」と人間を限りなく冒涜(ぼうとく)し、労働者自己解放の思想の対極で憎しみを募らせている。御手洗や田母神らの連中も同じだ。奴らに出口はない。
 闘って生きる以外ない25万兵士の状態は、6000万労働者の状態と同じだ。まさに「生きさせろ!ゼネスト」が25万兵士のスローガンになり、労農兵の闘いがひとつになることが、兵士の生存と自己解放の道だ。
 「労働者自己解放の思想であるマルクス主義を今こそ全面的に奪い返し」(同上)、「世界大恐慌をプロレタリア世界革命に転化せよ!」の闘いに職場・生産点から総決起しよう! 労働者・隊員・家族の組織化へ躍り込んで行こう。ともに闘おう!
 (名古木澄)

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週刊『前進』(2372号4面2)(2008/12/15 )

 兵士襲う隊内暴力が激増

 「生きさせろ」の叫びは同じ 労農兵の力で世界変えよう

 「生きさせろ!ゼネスト」へ

 派遣元と派遣先を串刺しにした「解雇を撤回しろ!」森精機24時間スト。これは、「生きさせろ!ゼネスト」への大きな号砲です。橋下打倒闘争第1弾であり、道州制=200万人首切り粉砕へ! 6大産別の結集した力で3・6橋下打倒闘争へ! 婦民全国協関西ブロックは階級的団結路線で新たに出発しました。
 階級への不信と青年学生の台頭に背を向けた塩川一派は、労働者の自己解放的気運にあふれるこうした闘いに恐怖し、脱落逃亡したのです。塩川一派に明日はありません。塩川一派に逃げ込んだ元反軍兵士の小多基実夫は、そもそも自衛隊監視運動と反戦運動の講釈師に自己を純化させてきていました。それゆえに「労働者・民衆・兵士の団結した力で世界を変えよう!」と闘う青年労働者の若き息吹きによって吹き飛ばされ闘いの戦列から追放されました。
 今や大恐慌時代を闘いぬく労働者の国際連帯とその党が求められています。階級的労働運動路線のもとでの反軍闘争の革命的飛躍をかちとりましょう。
 07年11月22日、テロ特措法の期限切れでインド洋周辺海域から護衛艦「きりさめ」が帰還。佐世保基地岸壁での帰還式典で艦長福原は「異常ありません」と報告し、曹長の自殺にもかかわらずこう言い放った。
 「みなさんはニッポン国民の誇りです!」こう叫んだのはイラク第1次派兵部隊長ヒゲの佐藤だ。佐藤は15年戦争における関東軍の独断専行と新軍部形成に学び「駆け付け警備による戦闘開始」による一定の軍事的暴走をも企図していた。
奴らにとって戦死以外の死は「無駄死に」なのだ。「きりさめ」のインド洋への出航は01年と05年に続き3度目だった。この曹長に何があったのか。
 99年には佐世保基地所属の護衛艦「さわぎり」の艦内で21歳の3曹が自殺。1年半後に遺族が国家賠償請求訴訟を長崎地裁佐世保支部に提起した。
 04年10月には横須賀基地所属護衛艦「たちかぜ」の21歳の1等海士が自殺。1年半後の06年4月に両親が国と先輩隊員の元2曹を相手取り横浜地裁に提訴した。この提訴は「さわぎり」の遺族の協力で実現した。
 05年11月には空自の29歳の3曹が自宅アパートで自殺し、2年半後の08年4月に妻子と両親が先輩隊員で現役の2曹と国を相手取り静岡地裁浜松支部に提訴した。
 この3件の提訴はいずれも自衛隊内のいじめ問題と暴力的体質・隠蔽(いんぺい)体質を告発している。遺族は「息子は、夫は自らの命をもって不正を告発した。この死を無にしない」と立ち上がっている。
 07年7月には「さわぎり」控訴審の証言台に元乗員が立った。報道で裁判を知った元3曹は「自分もいじめられていた。これは自分の問題だ」と決起した。

 イラク派兵を境に自殺増加

 隊内自殺では階級としては2曹・3曹が最も多い。そして余りにも若い。入隊動機も「人のために」で共通している。この兵士たちの「生きさせろ!」の思いと叫びと死への冒涜を絶対に許してはならない。
 自衛隊での自殺者数は以前6年間は60〜80人だったがイラク戦争への派兵以降は、04年が100人、05年が101人、06年が101人と一気に増加した。防衛省の発表でも派遣隊員2万人のうち在職中の死者は35人(07年10月現在)で、そのうち16人が自殺だ。

 セクハラ横行隠ぺいと対決

 航空自衛隊第1術科学校(浜松市)の校長宮下今朝芳空将補が、部下の女性自衛隊員にセクハラ行為をし更迭されていたことが11月14日の夕刊各紙で報道された。防衛省はこの事件と調査・更迭をひた隠しにしてきた。
 防衛相浜田は「(この幹部にも)プライバシーの問題がある」と発言。前空幕長田母神は隊内誌で「身内の恥は隠すもの」と明言したが、卑劣なもみ消し策動をこの女性兵士は粉砕した。
 今から10年前に防衛庁人事教育局は男女各1万人を対象に大規模な「防衛庁職員セクハラアンケート調査」を行った(回収率98%)。女性隊員975人のうち182人(18・7%)が「性的強要」を、72人(7・4%、14人に1人)が「強姦暴行(未遂)」を受けたと回答した。しかも254人のうち73人(28・8%)の加害者は直属の上官である。
 7・4%という比率は、現在の女性隊員総数が1万人であり、740人に相当する。未遂も含めた強姦暴行の凄(すさ)まじい暴力が隊内の女性労働者兵士を襲っているのだ。上司に届け出れたのは254人のうち23人(0・98%)だけ。相談もできずに退職したり、上官に報告しても不当な攻撃で二重三重に傷つき退職し心身を病み苦しんでいる多くの元隊員たちの存在が考えられる。

 決起した女性兵士の支援を

 07年6月札幌地裁で21歳の現役の女性兵士が上官による06年9月の「強姦未遂」に対し防衛省を告発し、自衛隊史上例のない裁判闘争を闘い抜いている。現在も空自レーダー基地(180人中女性5人)で退職強要など組織的攻撃と日々闘いながら勤務を続けている。
 彼女が支援者へのお礼文に引用した「私は人間である。人間に起こったことは全て私の問題である」は、「1人は万人のために、万人は1人のために」という労働者階級の立場そのものだ。この闘いへの支援要請が既に隊員家族と元自衛官連絡会から出されている。改めてこの闘いに取り組みましょう。
 京都大久保駐屯地街宣で、この運動への支援を訴えたら、日本共産党支持者が、「9条署名かと思ったらそんなこと。自衛隊に入るからそんな目に合うんです」と言った。この立場との最後的決別でもある労農兵ソビエトへの道を全党全地区党の課題として階級的労働運動路線の白熱的実践の中でかちとっていきましょう。
 (山上かな子)

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週刊『前進』(2372号5面1)(2008/12/15 )

 71年沖縄闘争戦士、獄中34年 星野文昭さんの11・29アピール

 世界の闘い、星野闘争は一つ 再審開始・無罪をかちとろう

 「星野文昭さんを自由に/第2次再審勝利へ/11・29全国集会」(前号既報)への星野文昭同志のアピールを紹介します。星野同志とともに09年、再審開始・無罪、星野奪還をかちとろう。(編集局)

 全世界の闘いに心が高鳴る

 今年の集会は、今こそ、労働者人民の手で人間らしく生きられる社会をつくろうという闘いが全世界で強まるなかで、それと一つに、その闘いを圧殺しようとする星野無期をこれ以上許すなの思いを共に固める集会にしたいと思います。
 今、誰もが肌で感じているように、世界金融恐慌が、実体経済に打撃を与え、世界大恐慌・大不況を進行させています。あらゆる犠牲が労働者人民に集中し、生きていけない状態がどんどん強まることに対して、全世界で労働者人民が怒り、社会を人間が人間らしく生きられる社会に変えようと立ち上がる、そうして人間史を本当に人間史に値するものにしていこうという、世界史の大きな転換点に、今、私たちは立っています。
 一方で、獄中・家族と労働者人民の未来を奪おうとする星野無期との闘いは、日々、生きるための闘いを通して、獄中・家族とすべての労働者人民の解放の未来を開く、その内実と力を蓄積してきた闘いです。日本と世界の労働者人民が、今、すべてを奪い尽くそうという新自由主義―恐慌・戦争と闘い、すべてを奪い返し人間的解放をかちとるために世の中を変えようとしている闘いと、星野の闘いが、今一つに重なり、一つに未来を開こうとしている。そのことを実感し、そこに展望を感じ、心が高鳴る思いです。
 そのことを、何より共有したいと思います。
 そして、その展望を破壊せず、本当にその展望を共有し、共に生き闘う、そこに、「獄中・家族を支え、その闘いに本当にこたえ共に勝利していく」という核心があると思います。星野の運動を発展させる担い方は、それぞれ多様なあり方があると思いますが、その担う責任の大きさに応じて、この核心があいまいさなく問われると思っています。本当にその展望を共にし共に闘っていくためには、これまでのあり方に安住せず、本物の変革と飛躍が問われる、そう思っています。
 その勝利の展望を、現実の勝利にしていくためには、私と暁子、獄中・家族にとって困難は山ほどありますが、その困難をのりこえることを通して、獲得するものの大きさ、豊かさに転化し闘っていきたいと思います。本集会において、その思いを共にし、権力・現実・困難さに屈せず、どこまでも自らと、獄中・家族、すべての労働者人民の力を信じ、それを解き放って、再審無罪・釈放と獄中・家族とすべての労働者人民の解放のために、新たな決意と体制が固められることを熱く期待しています。

 証拠の柱を失い確定 判決は崩壊している

 特別抗告棄却は許し難いですが、最高裁として私の当日の服装が薄青だと認めたことは、どれほど未練がましく、声とか後姿でも星野だと言っているから殴打していた人物は星野だと言おうとしても、当のKrが全供述・公判証言で一貫して言っていることが「きつね色上下の人物が殴っているのを見た」というものであり、これが絶対的に揺るぎないものである以上、その殴っていたきつね色上下の人物が、薄青の私ではない、という結論しかなく、最高裁は再審を決定すべきだったのです。確定判決は、既に自らデモ隊の現場滞留が1分以内であることを認めることによって、全供述の柱であり、供述通りなら「攻撃」が1分をはるかに越えてしまうOt供述を証拠として失っています。そして今回、私が殴打していたという供述の柱、Kr供述を失ったのです。私が当日のリーダーだったがゆえに、その任務を離れて、離れた場所の殴打や火炎びん投てき命令が絶対にないことをはじめ、さらに私の無実を明らかにする新証拠をたたみかけ、さらに全供述が誘導・強制によるもの、誘導・強制によってしか存在しえないものであることを明らかにする鑑定を突きつけて、確定判決を完全に崩壊させ、再審開始・無罪を絶対にかちとりましょう。それを力に一日も早い釈放をかちとりましょう。これまでを数十倍、数百倍する力でそれをかちとりましょう。

 無実を百も承知の無期攻撃

 権力は、私の無実を百も承知でした。青年学生を先頭にした70年闘争が、体制内指導部のクビキをうち破って、労働者自己解放=人間解放へ総決起したこと、また、民族解放闘争、沖縄闘争などと結合し決起したことが体制そのものを揺るがすものになったことを圧殺する、そのために無実を承知しながら強行したのが私への無期です。そしてそれは、70年を継承し大きく飛躍する今日の闘いそのものを圧殺しようとするものです。
 それは、すさまじい重圧と分断によって、生命も含めたすべてを奪おうとするものでした。それとの闘いは、生命も含めすべてを奪い返す、その内実と力を日々創造し蓄積することで日々生き、勝利するものでした。核心的には、重圧・分断に屈せずはね返し、獄内外が身を置き合い、自他の自己解放の思いと力を信頼し、その思いと力を一つに、獄中・家族とすべての労働者人民の解放をかちとるものとして闘い、その内実と力を蓄積することによって勝利してきました。だから、それは常に、動労千葉、沖縄、三里塚をはじめとした闘いとつながり、一体の闘いでした。
 そして、今日、世界大恐慌・大不況が進み、あらゆる犠牲が労働者人民に集中し、生きていけない状態がどんどん強まることに対して、全世界で労働者人民が怒り、社会を、人間が人間らしく生きられる社会に変えようと立ち上がる闘いと、私たちが闘って蓄積してきたことが一つに重なり、一つになっていることを実感しています。
今、資本主義の命脈が尽きている、それは誰もが実感すると言ってもいいのではないか。一握りの資本家階級が労働者を働かせ富を搾り取ってきた資本主義、70年代に行き詰まり、新自由主義とバブルによって、労働者・人民からあらゆるものを奪いつつ、強国間の争闘戦で生き延びようとしてきた資本主義は、今や、過剰資本・資金によってついに世界金融恐慌を爆発させ、公的資金(税金)を注入すればするほど、より巨大な破局、大恐慌―世界戦争を不可避とし、大失業、大幅賃下げ、大増税、大収奪、そして戦争の地獄を全世界の労働者・人民に強いる以外になくなっています。これに対して、体制内指導部のように、闘っても勝てないと言う人達がいます。しかしそれは、どこまでも資本・権力に屈服し、奴隷になり、血の一滴、生命のすべてを奪いとられるだけなのです。

 私達は無力な存在ではない

 今、はっきりさせなければならないのは、私達は、そんな無力な存在ではない、ということです。生産を担い、社会を動かし、資本家がいなくてもそれができるのが労働者です。資本・権力を打ち倒して、社会の主人公となって、生産手段を社会有とし、その私有によって成り立つ階級社会と、その下での人による人への支配・抑圧にピリオドを打つのが労働者です。社会的営みのすべてを、一人の例外もなく誰もが、自らの人間的なもの・力を解き放ち、補い合い、助け合って共同で、人間が人間らしく生きられるものにしていく、それが労働者です。それを実現する力を、労働者はもっており、共に闘う人民も、それを担う力をもっているのです。そして、私たちは、資本・権力への怒りを爆発させて立ち上がり、反撃し闘うことを通して、屈服的な奴隷的なあり方、考え方、分断、競争から解き放たれ、一つに団結したその力を取り戻し獲得していくのです。その実践、行動こそが問われているのだと思います。
 既に、全世界で、食べさせろ、生きさせろの闘いに、労働者人民が立ち上がっています。日本においても、先の11・2労働者集会によって、新自由主義を打ち破り、労働者自己解放=人間解放の勝利を開く動労千葉、3労組、日米韓連帯の闘いを圧倒的に発展させようという新たな闘いが開始されています。その闘いの中で、青年・学生を先頭に、星野のように闘おう、星野を取り戻そう、という声が広がっていることに、心からの一体感を感じています。
(写真 新たに「救う会」結成をめざして闘う千葉、新潟、福島、大阪の代表が登壇。発言は動労千葉の滝口誠さん)

 職場・地域・街頭に闘う力をつくり出し

 獄中・家族と労働者人民のすべてを奪おうとすることに、すべてを奪い返そう、その解放をかちとっていこうという星野闘争は、今日のすべてを奪い尽くそうとする新自由主義をふりかざす資本・帝国主義を粉砕して、すべてを奪い返そう、解放をかちとろうとする闘いと真に一つです。
職場で、地域で、街頭で、そして国境を越えて、私たちの団結と闘う力を圧倒的につくりだし、再審・釈放と、獄中・家族と、すべての労働者人民の解放のために、新たなる決意と体制を固め共に闘いましょう。

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週刊『前進』(2372号6面2)(2008/12/15 )

 元全軍労牧港支部、全軍労反戦

 故 太田隆一さんの労働者魂

 革共同沖縄県委員会

 “死すべきは基地だ”と提唱

 一人の決起が牧青に受け継がれた

 基地労働者の闘いの先駆者であり、「労働者は死んではならない。死すべきは基地だ!」と提唱した太田隆一さん(元全軍労牧港支部執行委員、全軍労反戦)が、11月3日午後3時、闘病中の病院で逝去された。享年70歳であった。
 太田さんは、今年6月ごろから脳梗塞(こうそく)で入院していた。10年前に胃ガンを患って入院して以降、何度も元気になって闘いの現場に戻ってきていた。11月労働者集会の直前に見舞いに行った時、「11・2集会に行ってきます。帰ってきたら報告に伺いますので期待して待っていてください」と言うと、言葉は発せなかったものの太田さんは、ウンウンとうなずいて、固く固く手を握りしめてくれた。「期待している。頑張ってきてくれ」と言っているのがはっきりとわかった。
 しかし、11月集会の翌日、報告を聞く前に息を引き取った。直接報告できなかったことが残念でたまらないが、太田さんは間違いなく11月集会がこれまでの地平を超える成功と圧倒的な勝利的地平を開き、大成功したことを確信していたに違いない。それを確認して息を引き取ったのではないかと思う。

 70年沖縄闘争の震源地

 太田さんは、琉球大学U部を卒業してまもなく、1967年11月から米軍基地に就職する。そして直ちに組合活動に従事し、全軍労(全沖縄軍労働組合)牧港支部執行委員になる。当時、米軍政下で、激動の70年沖縄闘争の最大の震源地として全軍労−基地労働者の闘いがあった。
 69年以降、基地労働者に激しく襲いかかる数千人規模の大量解雇攻撃に対して、全軍労は2波(1波48時間、2波5日間)のストライキで闘いぬくが、全軍労指導部は徐々に闘いを収束させる方向に動いていった。
 その最中の70年3月11日、突如として太田さんに対して解雇が強行された。米軍側の解雇理由は「勤務成績が悪い」だったが、本当の理由は太田さんの熱烈な組合活動への報復処分であった。太田さんの組合活動に対して、米軍は69年の1年間だけで計33日間の停職処分を加えてきていた。
 だが当時の全軍労役員は「勤務成績が悪いのは弁護のしようがない」と言って、この解雇攻撃になんら闘おうとはしなかった。しかし太田さんは、「この不当解雇は基地労働者に等しくかけられた攻撃である。また一人の仲間も救えないような闘いなら意味がない」として、一人でも闘いぬく決意を固めていく。

 一解雇者として立つ

 自らの闘いを「解雇者が解雇撤回闘争の先頭に立たないことの限界」を突破するものとして、一解雇者としての太田隆一さんは断固とした解雇撤回闘争に立った。そして約20日間にわたるゲート前抗議闘争・強行就労闘争が米軍権力と激突しながら展開される。
 その時、太田さんが直接書いた「『解雇者』としてのアピール」というビラがある。(別掲)
 「労働者は死んではならない。死すべきは基地だ!」という言葉は、その後、基地労働者の闘いの中で何度も何度も繰り返し使われた基地労働者の闘いの合言葉であり、綱領であり、スローガンとも言うべきものになった。その言葉は直接には、当時解雇された基地労働者の女性が自殺をはかったことに対する、太田さんの必死の叫びでもあった。
 太田さんは言う。「闘わずして死ぬということは、多くの労働者に対する裏切りでもあると思う。だから、僕は絶対に死んではならないと、そういう立場をとっている。またそれぐらい簡単に死ねるものなら、米軍と闘って死ぬならもっと皆のためになるし」と。ものすごい労働者魂だ。この精神こそが太田さんの真骨頂でもあった。
 太田さんのこの訴えと闘いは、直ちに多くの基地労働者の魂をとらえ、基地内の職場へと受け継がれ、「組合は何をしているのだ」という、全軍労指導部に対する批判を生み出していく。そしてこの過程で「太田さんを守る会」が結成される。
 太田さんの「一人でも闘う」という、闘うものにとっての基本的な姿勢は、当時の牧港支部青年部(牧青=まきせい)に結集する青年労働者にしっかりと受け継がれ、2回にわたるゲート前抗議闘争を権力の弾圧に抗して闘いぬき、「第3波は俺たち下部労働者の手でやるのだ」という決意を生むまでに結実していった。3月16日には30分足らずで150j(当時1j=360円で5万4000円)のカンパが集まった!
 こうした多くの労働者・組合員の太田さんへの支持、支援の動きは牧港支部を大きく揺さぶり、ついに執行委員会で太田さん不当解雇問題を取り上げる決定がなされたのである。(3月28日)
 たった一人で闘い出した太田さんの不退転の決意が、牧港支部総体の第3波スト貫徹の固い決意として受け継がれていったのだ。(1970年発行の三一新書『全軍労反戦派』)

 動労千葉労働運動で!

 

基地労働者の闘いは、今、新たな大量解雇攻撃に対して、70年闘争・全軍労闘争のような闘いに立ち上がろうとしている。昨年は全駐労がついに2波のストライキを打ち抜いた。そしてその中で多くの青年労働者活動家が生まれてきている。今こそ太田さんの闘い・労働者魂が本当に継承されていかなければならない時に来ている。
  太田さんは近年は、腰痛などの持病を抱えながらも、本島北部での養蜂業や運転代行など、いろんな仕事に就きながら、沖縄でのほとんどの闘争や集会に参加してきた。元気な時には東京での11月労働者集会にも参加し、三里塚闘争にも決起していった。太田さんの闘う精神は、二重対峙・対カクマル戦も含めて終生変わることはなかった。
  太田さんは、普段は温和で人なつっこく笑顔を絶やさない人だが、しかし労働運動や闘争を語る時は熱くなり、特に今の連合下の労働組合に対しては激しい怒りを燃やし、「労働者には闘う意志はあるのだ。問題は指導部だ」と常々言っていた。
  だからこそ、動労千葉労働運動と11月労働者集会に大きな期待を寄せていたのだ。そして、何よりも常に革共同への強力な支持者として、党友として生涯を全うされた。
  われわれは太田さんに誓います。
  太田隆一同志! われわれは太田さんの労働者魂・闘う精神をしっかりと引き継ぎ、労働運動の力で沖縄闘争の勝利と世界革命を必ずややり遂げてみせます。見守っていてください。
(写真 コザ【沖縄市】の嘉手納基地第2ゲート前大通りを埋めた全軍労牧港支部青年部【1971年3月】)

 

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 「解雇者」としてのアピール

 全軍労牧港支部執行委員・太田隆一

 死んではならない。死すべきは基地だ!
 基地で働く仲間の皆さん!
 軍権力により不当解雇された仲間が死の道を選ばんとしたことが、昨日(3月18日)の報道で明らかにされた。
 このような残酷な現実を直視し、打開する闘いとして、われわれ反戦派労働者の運動は展開されねばならない。(中略)
 大量首切り、労働強化は今後も大いに予想されるが、かかる人間無視の政策を続けようとする支配者(日米帝国主義)に対し、徹底的に闘い抜かない限り、われわれ労働者の生きる道はない。
 基地で働く仲間の皆さん!
 われわれはいったいいつまで屈辱にたえるべきでしょうか。長期にわたり忍耐を強いられ、行きつく所は死の宣告……。「なんと不可解な現実か」などと悲観せず、この問題を冷静に受けとめ、相手に向かって鋭く対決しないかぎり、われわれの道は開けてこない。
 基地労働者にとって、いまほど総力の結集が要求されたことはない。現在、基地労働者に必要なのは、この総力の結集なのだ。その上に立って、権力と対決するならば、われわれの闘いは必ず展望が開けるのだ。われわれは一人の人間の死の決意をムダにしてはならない。
 死すべきは基地なのだ。共に闘おうではないか。
 (1970年3月19日)

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