ZENSHIN 2008/11/17(No2368 p06) |
週刊『前進』(2368号1面1)(2008/11/17 )
国際連帯うち固め11−12月闘争へ
オバマ登場と世界恐慌情勢をへ階級的労働運動でぶっ飛ばせ
田母神空幕長の反革命発言徹底弾劾
ソウルで民主労総労働者大会 11月9日、ソウル大学路を埋めた3万人の労働者たち。100人を超える日本の訪韓団も参加。右側に動労千葉と民主労総ソウル本部の旗がひるがえる=記事2面
田母神(たもがみ)前空幕長の侵略戦争正当化論文と国会での放言は、軍隊内からの反革命クーデターとも言うべき所業であり、絶対に粉砕しなければならない。また、米民主党オバマの登場は米帝の危機を一層促進し、労働者階級への攻撃を決定的に激化させるものだ。今こそ階級的労働運動の力で大反撃しよう。11・2全国労働者集会と韓国の11・9民主労総労働者大会は、世界金融大恐慌をプロレタリア世界革命で迎え撃つ階級的陣形を鮮明に登場させた。この闘いをさらに前進させるために、11〜12月に5700人の団結を打ち固め拡大する組織拡大決戦にうって出よう。『新版 甦る労働組合』(中野洋著)と『前進』は、その最良の武器だ。13日、11・2集会の銀座デモで不当逮捕された労働者の釈放をかちとった。分岐と激突で鍛えられた青年労働者・学生とともに11月−12月闘争を闘いぬき、麻生政権打倒−09春闘へ進撃しよう。
プロレタリア革命勝利の国際的陣形
11・2集会を核とする一連の国際連帯行動は、世界革命の路線と隊列をついに現実化した。動労千葉労働運動と3労組共闘の11月集会が、世界に通ずる路線として宣言されたのだ。民主労総の労働者は「両国間の壁を越えて団結して闘えば、資本と政権による新自由主義の壁を打ち破れると確信します。それぞれの国のバラバラの組織ではなく、ひとつの組織として新たに生まれ変われるよう、より一層組織化に向けて頑張ります」(民主労総ソウル本部のイジェヨン本部長)と決意を語った。
アメリカの労働者は、「今日は日本人になることができました。明日は私は韓国人になり、そして世界の労働者としてひとつになります。レボリューション!」(ILWU=国際港湾倉庫労組のケナード・ウィルソンさん)、「国際的・革命的な労働者の党が必要だ」(同ジャック・ヘイマンさん)と訴えた。それぞれが、人種・民族の諸課題も含め、プロレタリア世界革命の中にすべての希望があることを、この間の闘いを踏まえて鮮明に訴えたのである。
11・2集会はまた、誰が労働者の怒りの炎をもみ消そうとしているのかをはっきりさせ、体制内勢力との闘いが焦眉の課題であることを鮮明にした。街頭で訴えて、道行く労働者から大きな共感と反響があるのは、「会社と闘わないうちの組合役員は許せない」という声だ。また、4日の日韓自治体労働者交流会の席で、民主労総の仲間がそれにふれ、「韓国のことわざに、『寝ている人は起こせるが、眠ったふりをしている人は起こせない』というのがあります」と訴えた。
さらに、訪韓した田中康宏動労千葉委員長がソウルで「日本も韓国もアメリカも労働運動は今、同じ壁にぶち当たっている。敵は崩壊寸前であり、労働者が闘えばうち倒すことができるチャンスだ。それなのに労働者の側が逡巡(しゅんじゅん)している。ここを突破できれば壁は越えられる。命がけのハイテックの闘いに応えられないようでは駄目だ。日本で産みの苦しみで闘って、私たちが本当の力を得よう!」と問題の核心を明らかにした。
世界は今、革命の現実性が迫る中で、労働者階級をどの勢力・路線が獲得するのかで激動している。オバマの登場も、米帝の階級支配の全面崩壊の危機により、プロレタリア革命を予防・鎮圧するための挙国一致体制としてブルジョアジーが選択したことが核心だ。
国鉄1047名闘争の「4者4団体」路線をめぐる対決も、労働者階級が解放の道を闘いとるのか、それとも帝国主義の攻撃に屈服してしまうのかの激突であり、それゆえに絶対あいまいにできない闘いなのだ。
(写真 本大会に先立ち開かれた「非正規・女性・中小零細事業場労働者大会」に動労千葉を始めとする訪韓団が参加した【11月9日 ソウル】)
職場で街頭で世界の激動を訴えよう
11月7日、世界に「トヨタショック」の激震が走った。91年前にロシア革命があったこの日、トヨタ株に売り注文が殺到して午前中は取引が成立せず、午後も一時ストップ安になったのだ。トヨタの08年度予想売上高は12・5%減、営業利益は前年2兆2700億円から74%減の6千億円に急減した。米帝の7〜9月期GDP速報値が0・3%下落した。米失業率も6・5%と急上昇した。9〜10月の2カ月間の就業者数は52万4千人も急減している。自動車「ビッグ3」関連での数百万人規模のリストラさえ言われ出した。米住宅着工件数は6・3%減で17年ぶりの低水準だ。10月の米新車販売も32%減で17年ぶりの低水準だが、日帝の10月新車販売は40年ぶりの低水準だ。
このように帝国主義経済は本当に破綻しているのだ。生産が停滞し、例えば石油化学製品のナフサが原料の原油価格を下回る逆転現象さえ起こっている。鉄くず価格も4分の1に急落した。新興国経済も急収縮している。ロシアなど産油国は原油価格の急落で国家予算のメドも立たず、中国、インド、ブラジルなどの経済の破綻も急速だ。日本では企業の法人税収が急減して4〜9月期で41%減。麻生はさらに「法人税率を下げて企業を救済する。(一方で)3年後に消費税を上げる」ことで乗り切ろうとしている。すでに日本の労働者の非正規比率は4割に迫り、3人にひとりは年収300万円以下だ。その上、子どもの教育費などで労働者家族からの極限的な収奪が横行している。
さらに麻生は、日本学生支援機構(旧日本育英会)に「奨学金返済滞納者情報を金融機関に通報。返済が9カ月以上滞ったら強制執行」を決定させた。ふざけるな! 日帝の教育予算はGDPの3・5%で、OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中29位だ。
「金は出さずに口と手を出す」最弱の上に最低の帝国主義が日本帝国主義だ。怒りが急速に広がり、駅頭で「足なが募金」運動をしていた学生も11・2集会に結集した。それが全世界で起こっている。10月下旬、イタリア、ギリシャ、ドイツで400万人がストに入り、フランス国鉄が11月6日から実質36時間ストで仏新幹線すら7割が止まった。日本でも10月31日、国労共闘の中村幸夫運転士への不当労働行為事件の最高裁勝利判決がかちとられた。こうした、労働者の力を示す闘いを職場で街頭で訴えよう。労働者は仲間の闘いを自分への援助として感じて、もりもりと力が湧いてくる階級だ。
麻生と橋下打倒し道州制粉砕しよう
11月10日午後、武藤淳範(ぶとうあつのり)君が富山刑務所から元気に保釈奪還された。武藤君の奪還は、法大弾圧で獄中で闘う19人の学生の奪還の展望をもこじ開けた。武藤君の保釈金は、なんと400万円だ!
激増する非正規教員の年収は170万円。2年間食わずに働いてもまだ足りない大金だ。
この麻生政権の学生への態度は、すべての労働者・高齢者に対する態度とまったく同じものだ。だからこそ、この学生たちの闘いは、すべての人民と結んで、未来を切り開いているのだ。
法大の学生たちは連日殴られながら、ついに学生の団結を守りきって勝利した。今や法大当局は「警備員を争議行為に介入させた」違法の暴露に震え上がっている。この学生たちの闘いこそ、小林多喜二の『蟹工船』の歴史を真に引き継ぎ、勝利へと導く闘いだ。今こそ日本労働者階級の底力を発揮して1億円と予想される保釈金を集めよう。19人の学生たちを年内に奪還しよう。それは必ず星野文昭同志奪還の道筋を切り開くのだ。
4者4団体路線派の10・24集会に「11・2」が圧勝した地平に立ち、第2次国鉄決戦を基軸に、11・2集会に向かった時以上のボルテージで麻生政権打倒、橋下大阪府政打倒へ突き進もう。
日本経団連が道州制への最終提言を発表した。道州制攻撃は警官や自衛隊員以外はいったん全員解雇するというウルトラ反動であり、その最先兵が橋下だ。11・21大阪府庁前闘争は反撃の号砲だ。実際、11・2集会は3労組に続いて70人の組合員が参加した単組を先頭に、全国で3けたの拠点職場からの結集で「1万人結集」に手をかけたのだ。
そしてまたこの力こそが、田母神前空幕長の侵略戦争正当化発言をぶっ飛ばし、改憲攻撃を攻勢的に打ち砕く力だ。さらに11・9三里塚闘争の成功をふまえ、11・22裁判員制度廃止集会とデモ、11・29星野同志奪還全国集会から12・14国鉄闘争勝利集会に立とう。これらの闘いと一体で、すべての仲間に冬期・年末一時金カンパ闘争を訴え勝利しよう。
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週刊『前進』(2368号2面1)(2008/11/17 )
11・9ソウルで日韓共同闘争
ハイテック闘争勝利へ“労働者は一つ”を実践
11・9民主労総労働者大会(ソウル・大学路)、左は女性労組連盟
11月9日、ソウル。民主労総全国労働者大会には3万人が結集し、凶暴な弾圧と公共部門民営化を推し進めるイミョンバク政権打倒を叫んだ。11・2日比谷で日米韓労働者の国際連帯闘争を実現した動労千葉組合員を先頭とする100人を超える訪韓団も、民主労総ソウル本部とともに怒りのこぶしを突き上げた。「現場の壁をのりこえられずに次々に負けているのが今の韓国の労働運動の現実」「ハイテック・コルテックの共同闘争の勝利には80万民主労総、1500万韓国労働者の勝利がかかっている」と、現場から現状を突き破ろうと高空籠城(ろうじょう)が続けられている。その現場に立ち、11・2東京から11・9ソウルを貫く国際連帯闘争の新たな一歩を踏み出した。
非正規職撤廃を
動労千葉訪韓団は、11月9日昼すぎ、民主労総全国労働者大会会場の大学路(テハンノ)で大会に先立って民主労総ソウル地域本部と全国女性労働組合連盟が主催した「2008年非正規・女性・中小零細事業場労働者大会」に参加した。
ソウル本部のイジェヨン本部長は「チョンテイル烈士の遺志を継ぐ38年目の日。長い歳月が流れたが、この地の労働者は今も資本と政権によって苦しめられている。いま世界的な金融恐慌の中、全労働者の存在が脅かされている。新自由主義を粉砕し、この地を真に労働者解放の世の中にしていきましょう。民主労総ソウル本部の同志とともに闘っていきます」と宣言した。
大挙参加した女性労組連盟を代表し、イチャンベ委員長が非正規職撤廃を訴えた。イミョンバク政権与党のハンナラ党国会議員が最低賃金法改悪を狙っていると暴露し、「最低賃金労働者の生存権を守るためにわれわれが全面的に立ち上がろう」と訴えた。
続いて、動労千葉の田中康宏委員長が紹介され、動輪旗とともに発言に立った。田中委員長は開口一番、「労働者に非正規職とか正規職とか区別があること自体が間違っている。労働者は社会をつくり、歴史をつくる存在です!」と強調し、「労働組合が歴史の最前線に登場しなければなりません。きょう、ハイテックコリアの高空籠城現場に行ってきましたが、籠城中のキムヘジン支会長の不屈の決意には及ばないが、それでも嵐が来ようとも労働解放まで闘いぬくことを誓います」と決意を語り、大きな拍手に迎えられた。
ここで11・2日比谷で力強い律動を披露したパランが登場、昼過ぎから降り出した雨を跳ね返す躍動感あふれる律動に会場が大いにわいた。
その熱気の中、司会のカンヨンスン・ソウル本部首席副本部長が「いま律動をやった同志たちが日本で会った学生同志たちが来ています」と全学連を舞台に招いた。
発言の機会を得た織田陽介委員長は、法政大学での闘いを報告し、「日韓の学生で話し合って労働者の究極の勝利までともに闘いぬくことを決めました! いま世界中で労働者がすごい闘いをやっている。あとは私たち若者がリーダーになるという決意を固めることです。国境を越えて団結した力で絶対に勝利し、労働者が主人公の世界にしよう。生きて、生きて、闘って、闘って、再会しましょう!」
自らの闘いで未来をつかもうという青年の決意に参加者は拍手喝采。いつのまにか雨もあがっていた。
午後3時すぎ、大学路には3万人を超す労働者人民が結集し、2008民主労総労働者大会が始まった。
高空籠城現場で
9日午前、動労千葉訪韓団は漢江のほとりに立つ高圧送電塔で高空籠城闘争中のハイテックRCDコリアの闘争現場を、民主労総ソウル本部とともに激励に訪れた。
コルテック支会との共同闘争として両支会長が15万4000ボルトの高圧電流が通る鉄塔の地上40bに籠城(ろうじょう)してすでに26日、ハンストに突入して16日目だ。100人を超える訪韓団を鉄塔上でキムヘジン支会長が手を振って迎えてくれた。
鉄塔の下でソウル本部のイジェヨン本部長がマイクを握り、激励集会が開かれた。最初に、11・2集会で発言し、1週間の日本遠征闘争を闘ったハイテックコリアのチョンウンジュ副支会長が、日本遠征闘争から帰って一層力強く闘っていることを報告し、連帯闘争を呼びかけた。
これにこたえて田中委員長が、「職場に戻って闘いたいという当たり前のことなのに、そのためにどうしてこのように辛い闘いをしなければならないのか。この場に来て何ができるのか、キムヘジン支会長の闘いにこたえるために日本の労働運動の現状を変える決意です」ときっぱり。
その場に居合わせた民主労総のホヨング副委員長が、「世界金融危機が深まる中、イミョンバク政権の労働者弾圧は警察国家そのものだ。日米の資本が結託する中、韓国と日本の労働者の連帯は新自由主義世界化を阻む大きな力になる」と今後の連帯闘争を訴えた。
イジェヨン本部長が「皆さん、キムヘジン支会長に会いたいでしょう!」と呼びかけ、40b上空のキムヘジンさんからの電話の声があたりに響き渡った。
「私はこの場で日本でのハイテック闘争の映像を見て、皆さんの実践する力に感動しました。労働者たちの生存権が脅かされ、労組を追い詰めることで労働者の生存権を奪おうとしています。がけっぷちに追い詰められた労働者の苦しみを闘いによって跳ね返していく、資本の弾圧を労働者の闘いで打ち破っていく、その先頭で闘います。同志たちが実践する、世界の労働者は一つだという闘いに学んで必ず勝利したいと思います!」
この呼びかけにこたえて、天まで届けと「韓日労働者の共同闘争でハイテック闘争に勝利しよう!」とシュプレヒコールをあげた。
(写真 鉄塔の下で集会後、籠城中の2人に届けと声を上げ、手を振る訪韓団の労働者・学生【11月9日 ソウル・漢江の楊花〔ヤンファ〕大橋北側】)
◆11・9前段集会での発言 動労千葉 田中康宏委員長
ソウル本部の同志たちとの5年間の連帯闘争が、大きな力を僕らに与えてくれたことに心から感謝します。
労働者に非正規職労働者とか正規職労働者とか区別があること自体が、絶対間違っている。
労働者はたった一つ、社会をつくり、歴史をつくっていく存在です。雇用を破壊し、賃金を破壊し、権利を破壊し、すべてを破壊してこんな現実を起こしたのは誰なんだ! 私はこんな現実を強制しているあの資本家どもが本当に憎い。資本主義体制が本当に憎いと思います。
この現実を打ち破れる力はたった一つ、労働者が本当に固く団結すること。胸を張って誇りをもって、俺たちこそが社会を動かしている、そういう存在だと宣言することでしょう!
資本家どもはガタガタで足元が崩れ落ちています。この時に本当に労働組合が歴史の最前線に登場しなければいけない。
きょう、金属労組ハイテックRCDコリア支会の高空籠城の現場に行って来ました。あのキムヘジン支会長の不屈の決意には遠く及ばないが、それでも私は、どんな嵐が来ようとも最後まで勝利の日まで皆さんといっしょに、労働解放の日まで闘うことを誓います。
地上40b地点で高空籠城中の民主労総金属労組ハイテックRCDコリア支会のキムヘジン支会長【左】と同コルテック支会のイイングン支会長
◆11・8前夜祭での発言 チョンウンジュ副支会長
ハイテックRCDコリア副支会長・チョンウンジュです。トゥジェン(闘争)!
現在、私たちはコルテック支会とともに共同高空籠城闘争中です。労働者の権利を守り、生存権を守るため、民主労組を死守するために闘っています。困難ではあるけれど、組合員が待ちに待っていた共同闘争を展開しています。
今こそ共同闘争を展開する時です。資本と政権が一つになって襲いかかっている中、労働者が一つになって共同の闘い、共同の戦線をつくっていかなければなりません。
見よ! このソウル駅の狭い空間で警察に取り囲まれているのが今の労働者の置かれた現実です。スローガンだけの「労働者は一つだ」ではなく、実践と行動をとおして本当に労働者は一つだということを政権と資本に見せてやらなければなりません。
(チョンウンジュ副支会長は民主労総ソウル本部とともに来日し、11・2労働者集会で発言。1週間のハイテック日本遠征闘争を闘いぬいた)
前段集会で全学連が登壇し発言(11月9日)
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週刊『前進』(2368号2面3)(2008/11/17 )
11・6東京 秋葉原で大宣伝戦
ハイテック遠征最終日
▲6日、秋葉原駅前で3時間の大街宣。米UTLAのグレゴリー・ソティアさんもマイクで訴えた【写真左】。街宣をやりぬき団結を固めた【写真右】
11月6日、民主労総金属労組ソウル支部ハイテックRCDコリア支会と動労千葉、支援の労働者たちは、三たびハイテック・マルチプレックス・ジャパン本社前に登場し、資本に回答を迫った。
職員は、「社長は出張中で責任ある回答はできない」との対応に終始。すでに48時間も時間を与え、資本の誠意ある回答を待ったにもかかわらず、どこまで蹂躙(じゅうりん)するのか!
予定どおり、すべての闘いを貫徹しようと確認し、まずは日本ラジコン模型工業会に行き、マルチプレックス・ジャパンの除名を要請。さらに秋葉原でハイテック製品を扱っている販売店への申し入れを行った。
昼から秋葉原駅頭で行った3時間の大街頭宣伝は大きな注目を浴びた。ハイテックの労働者は段ボールで作ったロボットの中に入って、道行く人にハイテック製品不買運動をアピール。1500枚のビラをまききった。
11・2労働者集会に参加したUTLA(ロサンゼルス統一教組)のグレゴリー・ソティアさんと鉄道労働者のポール・C・ジャンセンさんも街宣に参加し、ハイテック資本の労働者弾圧阻止を訴えた。
マルチプレックス・ジャパンの伊丹社長は、数年前に韓国の九老(クロ)にあるハイテック本社で研修を受けた際、ハイテック資本の労働弾圧を目の前で見ているのであり、それを支持し日本法人の社長になった労働弾圧の確信犯だ。
15万4000ボルトの高圧電流の流れる鉄塔の上で籠城・ハンストを闘いぬいているキムヘジン支会長の決死の闘いにこたえて、日本遠征団も全力で闘いぬいた。
日本の労働者が自らの闘いとしてハイテック資本に対する闘いを独自に闘いぬくことが大きな課題となった。
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週刊『前進』(2368号4面1)(2008/11/17 )
書評『新版 甦る労働組合』(中野洋著)
世界大恐慌情勢に立ち向かう労働組合論
労働者は必ず勝つ
藤掛 守
中野洋・動労千葉前委員長の『新版 甦る労働組合』が刊行された。本書は、文字どおり「すべての労働者に」――動労千葉を支持する労働者はもちろん、今はまだそうでない労働者にも、読んでほしい本だ。「動労千葉の労働運動には賛成できない」という労働者にも勧めたい。すべての国労闘争団員、4者4団体を支持し、10・24集会に参加したような労働者にも、JR総連のもとにいる平成採の労働者にも、およそ労働者という労働者は例外なく読んでほしい。
著者の中野洋前委員長は、自分の意見にあらかじめ賛成してくれる限られた読者に対してだけではなく、すべての労働者に向けて語りかけている。故意の偏見を持ってあらかじめ理解することを拒絶する人を別にすれば、すべての労働者を獲得する力、説得力を圧倒的に持っている。今回、もう一度読み直してそう確信した。
戦後世界を長きにわたり支配してきたアメリカ資本主義の象徴とも言うべき巨大証券会社リーマンブラザーズの倒産に始まる金融大恐慌の爆発は、アメリカ資本主義、帝国主義が絶対的存在ではないことを全世界の労働者に強烈に印象づけた。世界の労働者は、「資本主義の終わり」の始まりを文字どおり見てしまったのだ。
このまっただ中で日米韓3国の闘う労働者が11・2労働者集会を開催し、世界の労働者に檄(げき)を飛ばした。09年が決定的な歴史的な年にならないはずがない。労働者の新たな闘いの幕が開いた。この歴史的な地平の中で、労働者への限りない信頼を込めて訴えかけるメッセージとして『新版 甦る労働組合』が出版された。
08春闘ストの拠点職場でビラをまく動労千葉(3月14日 幕張車両センター)
国鉄闘争に対する熱い思い
「国鉄分割・民営化が強行されたのは1987年4月1日だから、すでに21年余りたっている。その20年間、国鉄闘争の基軸を形成してきた1047名闘争が今、危機的状況に直面している」(『新版
甦る労働組合』36n、以下ページ数のみ)
「1047名闘争は、日本労働運動史上に例のない大量首切りをめぐる長期争議であり、国労闘争団をはじめとする1047名の解雇者は、労働者の誇りをかけて不屈に闘ってきた『日本労働運動の宝』とも言うべき存在である」(37n)
今日、直面している国鉄1047名闘争の危機は、国労本部の政治解決=和解路線、1047名闘争終結方針に、国労内の闘う闘争団を始めとするほとんどの国鉄闘争支援陣形などの勢力が賛成し、「和解路線」を推進しようとしていることによって起きている。
国鉄闘争、国鉄1047名闘争について、著者は、動労千葉の前委員長ということを超えて全身全霊を打ち込んで先頭で闘い、指導してきた。しかも、常に全労働者階級の立場から、階級的労働運動の前進という立場から冷静に見ている。それだけに国鉄闘争、1047名闘争に対する思いは誰よりも熱い。著者を知る人でそのことに異議を差しはさむ人はいないだろう。
だからこそ、この国鉄1047名闘争が「スズメの涙のカネで『解決』=屈辱的屈服をしてしまっていいのか。断じて否だ」(37n)と断ぜざるを得ないのだ。
「仮に『和解』で決着したとして、国労はどうなるのか、どの道を選択しようとしているのか。解雇撤回を投げ捨てることは、国鉄分割・民営化に賛成することであり、国労を解散し、JR連合に吸収・合併されることにならざるを得ない。あるいは、JR資本ともJR総連革マルとも闘わないことになる。このように『和解路線』は、国鉄−JR労働運動の反動的な再編に棹(さお)さすものになることは疑いない」(38n)
「国鉄闘争が『民営化賛成』で決着すれば、200万人首切り攻撃と闘う自治体労働運動はどうなるのか。民営郵政のもとで闘う全逓労働運動、『日の丸・君が代』に反対する教育労働運動はどうなるのか」(39n)
「国鉄、全逓、自治労、教労という4大産別の決戦が、それぞれ国鉄1047名闘争の行方に左右される情勢に入っている。この時こそ1047名闘争が、全産別の労働者を糾合し、その未来をかけて闘わなければならない時代に入っていると思う。1047名の解雇者がそういう自覚と展望を持って闘った時に勝利を手にすることができるのではないか」(39〜40n)
――と、熱烈に訴える。
マルクス主義の魂がここに
本書の初版は1995年に発行され、特に最近の数年、青年労働者の中でよく読まれてきた。著者は初版の「はじめに」で次のように書いている。
「大変な時代である。では、こうした状況の中で労働者はどうすればいいのだろうか。僕は、労働者を軽んじ、蔑視(べっし)する考えに取り込まれないかぎり労働者は勝てると確信している。難しくはない。団結して立ち上がれば道は切り開かれる。侵略戦争を阻む力もそこにある」
「そのために、自分たちの労働組合を甦らせ、労働運動の現状を変革することだ。それこそが今、最先端の変革である。闘うことはけっこう楽しいものだ。朗らかに闘おう」
私は、これを読んで強い衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。著者の、それが何者であろうとも「労働者を軽んじ、蔑視する」者は絶対に許さない、という激しい怒りと、労働者がこのような考えに取り込まれない限り「労働者は必ず勝てる」という固い確信を強く感じた。この言葉は新版でも引用され、この精神がこの新版の全体にも強く貫かれている。
考えてみれば、これがマルクス主義なのだと思う。マルクス主義の魂なのだ。マルクス主義とは、単にあれこれの難しい教義のことではない。労働者への、労働者階級への絶対的な信頼だ。労働者には、資本家(資本主義)を打倒し、労働者の社会を労働者自身の手で実現する力がある、労働者とはそのような階級なのだ、という確信だ。
労働者の理論
著者はマルクス主義について次のように語っている。
「マルクスだけが労働者の存在を認めてくれた。マルクスだけが、この世の中を動かしているのは労働者だと言った。マルクスだけが、世の中を変革する力を持っているのは労働者階級だけだと言った。そうである以上、労働者はすべからくマルクス主義者になるべきだ、と僕は言っている。そのために学習会もやる。だから今、動労千葉の労働者学習センターの労働学校も、すべてマルクス主義を勉強する。マルクス主義以外に労働者の持つべき思想はない」(84n)
そうなのだ。マルクス主義とは労働者の理論なのだ。マルクスやエンゲルス、そしてレーニンが労働者の出身ではなかった、ということに何か特別な意味を持たせる人が今でも多い。が、それはマルクス主義が「労働者の理論だ」というこの核心を少しも変えるものではない。
マルクス主義が歴史に登場するまでは、理論、学問は支配階級の独占物だった。労働者はマルクス主義という形で初めて「自分の理論」、労働者、労働者階級の理論を持ったのだ。労働者は労働者の理論、「自分の理論」、マルクス主義を持つことによって、歴史、社会を変革する真の主体、すなわち革命的階級になったのだ。
今日の全世界的な革命的情勢の到来の中で、労働者がマルクス主義を労働者自身の手に取り戻すことは、労働者が革命のチャンスをつかみ、勝利するために必須の課題だ。この点からも、この著書がこのような形で出版された意義は大きい。
労働組合を闘いの武器に
労働組合を甦らせること――この一点に労働者階級の未来がかかっている。
「甦る労働組合」という表題にも見られるように労働組合について書かれた本である。労働組合の何が書かれているのか。一言でいって「労働者の側が労働組合をきちんと位置づけよう」ということだ。
「考えてみれば、資本主義社会においては、圧倒的多数は労働者階級であり、労働者を支配している資本家階級は圧倒的少数者だ。にもかかわらず、なぜ資本家階級の支配が成り立ってきたのか」(34n)
資本家階級が、数では圧倒的多数の労働者の階級的団結を破壊し、労働者を分断し、支配できたからだ。
敵、資本は、労働者の階級的な団結の破壊、解体に、自己の存在をかけて総力でかかってきている。労働者はここで、すなわち職場で、この資本の攻撃に対して真っ向から闘いに立ち向かわない限り、階級的団結は守れない。解体される。労働組合運動は、労働者の階級的団結をかけた資本との最も厳しい、勝ち負けを決する最前線の戦場なのだ。この主戦場を連合に押さえられ、職場での階級的団結を解体されたままで革命などと言っても空言になる。
「資本の側は労働者の団結を破壊して、労働組合を弱体化させることにものすごい執念を燃やしてきた。今もそれは変わらない。ではそれに対して、労働者が、それほど労働組合を大事にしているか。ほとんどの労働者はそう思ってない」(56n)
こんなままで労働者は資本に勝てるのか?
「(労働組合運動で)労働者の階級的利害を本当に貫く者が主流派にならなければ、労働者の勝利はないのだ。ここが勝負の時だ。労働組合を甦らせること、この一点に労働者階級の未来がかかっている」(34n、プロローグ)
だからこそ「労働者の側が労働組合をきちんと位置づけよう」と言っている。また別のところでは「労働組合運動を自らの天職と腹を固めること」(98n)と言っている。そして、労働組合、労働組合運動に「人生のすべて」をかけろ、とも言っている。
激動の09年へ
世界的な大恐慌情勢への突入の中で労働者には、大量首切りや賃下げの攻撃が襲いかかり、これに対して世界各国、各地で広範に労働者のストライキ、食糧暴動が巻き起こっている。
エピローグは「今こそ『生きさせろ』のゼネストを!」で締めくくられている。6nと短い章だが、大恐慌情勢への突入という中で09春闘に向けた闘いが決定的に重要になっていることが強調されている。
「大規模な大幅賃上げ闘争を組織しよう」「資本の弱点をついて、日本資本主義を揺るがす闘いを起こそう」という大方針の提起だ。
ここでは、これ以上踏み込めないが、非常に重要な内容が提起されている。
この『新版 甦る労働組合』を階級的労働運動の推進の武器として駆使し、広めることはわれわれの課題である。
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◎『新版 甦る労働組合』
国鉄分割・民営化=新自由主義に唯一ストライキで闘った動労千葉前委員長が語る”労働組合論”。40余年に及ぶ労働組合の経験、マルクス主義の実践に基づく階級的労働運動路線の神髄がここにある。08年10月20日発売。発行/編集工房 朔。発売/星雲社。定価/本体1800円+税。注文は労働者学習センター(千葉市中央区要町2−8DC会館/電話043―222―7207/FAX043―224―7197)へ
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週刊『前進』(2368号5面1)(2008/11/17 )
オバマ当選で革命情勢深まる
戦争と貧困に人民の怒り噴出米帝の危機と没落は加速する
日米韓労働者の連帯が勝利の道
米大統領選でのオバマの圧勝は、アメリカ帝国主義のかつてない危機と没落、労働者の怒りの激しさを示すものとなった。アメリカで革命的情勢が現実化しているということだ。オバマは首席補佐官に超タカ派のラーム・エマニュエルを就け、その本性を現しはじめた。今後、オバマがどういう政策をとろうとも、米帝の危機と没落は緩和されるどころか、ますます加速する。世界金融大恐慌はさらに本格化し、世界戦争の危機も高まっていく。帝国主義がのうのうと延命できるような「変革」など絶対にありえない。オバマ圧勝の中に、プロレタリア革命の時代の到来を見なければならない。
当選後初の記者会見をするオバマ【中央】。手前左隣は次期副大統領のバイデン。手前右隣は主席補佐官のエマニュエル
「イラク撤退」の公約を棚上げ
オバマ圧勝とは何よりも、アメリカで革命的情勢が現実化していることを示す。8年間のブッシュ路線のもとで、米帝の歴史的な没落、資本主義体制の破綻が極限まで進み、労働者階級はもはや革命以外に生きられなくなっているからだ。
米帝によるイラク・アフガニスタン侵略戦争は泥沼化しており、大統領選初期の大争点となった。また、80年代のレーガン政権以来の新自由主義攻撃は、貧困と超格差社会をもたらした。しかも9月15日の米証券会社リーマン・ブラザーズの破綻で世界金融大恐慌が本格的に爆発し、米労働者の生活は急激に悪化している。これが9月以降は大統領選の最大争点となった。すでに大リストラが襲いかかり、失業保険の新規申請は1週間で50万件にも膨らんでいる。ローンが返せなくて住宅が差し押さえられる件数は、1日当たり8000件を上回る。もはやプロレタリア革命以外にないという情勢だ。
その労働者階級の怒りがひとまず議会主義的には、共和党の拒否、オバマの支持として現れた。オバマの圧勝とは、すさまじい米帝危機と労働者階級の怒りの巨大さ、激しさを示す。オバマに対する幻想が吹っ飛ぶのは時間の問題であり、革命的情勢がさらに深まるのは確実だ。
「融和」で階級闘争圧殺狙う
そもそも米民主党は米資本家階級の利害にそったブルジョア政党である。オバマ自身もブルジョア政治家にほかならない。オバマは黒人指導者のジェシー・ジャクソン牧師から「黒人を見下している」と批判される人物だ(ニューズウィーク誌7月23日付)。
さらに重大なのは、ホワイトハウスで最も重要な位置を占める首席補佐官にエマニュエルを就けたことだ。この男は、91年の湾岸戦争でイスラエル軍に志願して参加した経歴を持つ。今回の首席補佐官就任についてイスラエルの新聞は、「ホワイトハウスにわが味方が!」と小躍りして喜んでいる。米政界でも「ランボー」「政界のけんか野郎」と呼ばれる。「以前、世論調査担当者の報告が締め切りに遅れたとき、死んだ魚を箱に詰めてその担当者に送りつけたこともある」(同4月16日号)。オバマはこういうエマニュエルとタッグを組んだ。
オバマは、選挙戦中はそうした本性をほぼ隠した。労働者人民の不満と怒りを幻想的に引きつけるために、「チェンジ(変革)」をスローガンにペテンと懐柔を繰り返した。
何よりも、「16カ月以内のイラク全面撤退」を公約に掲げて反戦票を取り込もうとした。しかし、6月からは「イラク撤退のペースは駐留米軍の安全と治安、および現地の治安状況によって変わる」と変更した。また、「テロ対策」の名目で令状なしの盗聴を合法化する「外国情報監視法」に反対していたが、7月の上院採決では賛成に転じた。
さらにオバマは、階級的矛盾が極限化していることを承知しているからこそ、「アメリカ人として一つ」「人種を超えた結束」という標語を繰り返した。米帝の国益を貫くために階級間の融和を図るということだ。資本家階級の側から労働者階級に対して”階級闘争をやめろ”と言っているのだ。労働組合を破壊し、労働運動を解体して挙国一致に持ち込もうとしているのだ。
米労働者階級はこういうオバマの本性を見抜き、必ず打倒に立ち上がっていくにちがいない。
大恐慌は食い止められない
では、オバマ大統領のもとで米国と世界はどうなるのか。明白に、米帝と世界の危機は一段と加速し、階級的矛盾がさらに爆発し、革命的情勢はますます深まっていく。
何よりも、すでに本格化している世界金融大恐慌は、どういう政策をもっても抑えられない。むしろ、あがけばあがくほど米帝の危機と没落を促進するだけだ。
オバマは恐慌対策として、ブッシュ政権が決めた7000億j(約70兆円)の金融機関支援の増額、GMなど自動車産業の救済、公共事業による雇用増加、中所得層への減税、失業保険の給付期間の延長などを構想している。しかし、かりに実施されても、恐慌を一時的に緩和できても、恐慌の進行自体を食い止めることはできない。
しかも、膨大な財政支出を伴うものばかりだ。すでに09年度の財政赤字は1兆j(100兆円)を超す見通し。さらに赤字が加われば、国債の大増発で長期金利が上昇し、ドル信認もますます崩れてしまう。大恐慌を加速させ、ドルを暴落させるだけだ。
かつて29年恐慌の際はニューディール(新規まき直し)政策がとられた。しかし、それを繰り返すことなどできない。国家財政が大破産しているからだ。大恐慌が来る前にすでに財政力を使い果たし、財政赤字のアリ地獄に陥っている。帝国主義が、二度にもわたって大恐慌から生き延びられると思ったら大間違いだ。プロレタリア革命で打倒されるしかない!
また、米帝の雇用・税制・医療・教育などの制度・政策はレーガン以降の新自由主義攻撃で解体されてきたが、オバマはそれを元に戻そうとしているわけではない。その解体の方向は引き継ぎつつ、減税などの一時的でささいな措置を検討しているにすぎない。こんなもので労働者人民の生活が良くなるはずがない。革命で帝国主義を吹っ飛ばす以外にないのだ。
また、オバマ大統領のもとで世界戦争の危機は一段と促進される。オバマはシカゴでの勝利演説で「世界を破滅させようとする者は打倒する」と述べている。結局は戦争ということだ。
アフガンへの増派を最優先
すでに「イラク撤退」の公約を棚上げしつつあるだけではない。オバマは一貫して、「対テロ戦争の最前線はアフガニスタン」とし、1万人の増派を外交の最優先課題としている。もともと01年9・11反米ゲリラ戦の直後にオバマは、「自分も武器をとってアフガニスタン戦に参加したいと思ったという」(同7・23付)。さらに、パキスタンへの米単独での攻撃も辞さないと言明している。すでに8月以降、アフガニスタン駐留米軍によるパキスタンへの越境攻撃が少なくとも18回に及んでいる。これをさらに大々的にやろうというのだ。
また、オバマ体制で米帝の保護主義が強まるのも必至であり、帝国主義間争闘戦も激化していく。オバマはNAFTA(北アメリカ自由貿易協定)の見直しを掲げてきた。「低燃費自動車(ハイブリッド車)を日本などからの輸入に頼るべきではない」とも強調してきた。低燃費自動車を対米輸出し現地生産しているのはトヨタだ。
基幹産業での保護主義は共和党政権下では弱まっていたが、民主党オバマ政権下で再燃する可能性が強い。それは日米間をはじめ帝国主義間争闘戦を新たな次元でエスカレートさせる。それがまた、世界戦争の危機にますます火をつけるものとなる。
日米同盟動揺で日帝危機に
日帝にとって、米帝の保護主義化は大打撃となる。特に北米市場に利益を依存するトヨタにとって致命的だ。トヨタをはじめ日本車メーカーは競って米現地生産を拡大し、それを経営の要としてきた。しかし、大恐慌と保護主義が本格化すれば、この現地生産自体に対する反発が噴出するのは避けられない。”平時”がずっと続くと思い込んで米現地生産にのめりこんできた日本の自動車資本には、恐るべき破滅が待っている。ニューズウィーク誌(10・1付)ですら、経済危機のワーストシナリオとして「世界恐慌、保護主義から貿易戦争へ」としているが、それが現実だ。
しかも日帝は、日米同盟という面でも危機に入りつつある。米帝は北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除した。これに対し日帝は、単独で北朝鮮に対する追加制裁に動きはじめている。これは許せないことだが、アジア外交をめぐって日米同盟が動揺していることを示す。日帝にとって、日米同盟抜きに帝国主義としての延命はないにもかかわらずだ。この面でも日帝は、帝国主義の「最弱の環」の姿をさらけだしている。労働者階級にとって、日米同盟が揺らぐことは大歓迎だ。革命で日帝を打倒するだけだ。
結論として、オバマ圧勝はアメリカをはじめ世界の革命的情勢をますます煮詰まらせていくものとなる。オバマがどうあがいても、世界金融大恐慌は加速する。オバマが当面どういう政策をとろうと、帝国主義であるかぎり戦争にさらにのめりこむことになる。労働者階級にとってプロレタリア革命以外にどんな出口もない。
11・2労働者集会は、このような歴史的な瞬間に闘いとられた。日米韓労働者の団結の中に、プロレタリア革命の展望と労働者政党の希求があふれかえった。参加したILWUローカル10、ローカル34やUTLAの労働者たちこそ、今後オバマ政権下で帝国主義打倒に続々と立ち上がるアメリカ労働者の先鋒だ。11・2集会は、オバマを打倒しアメリカ革命−世界革命に突き進む画期となった。動労千葉派の日米韓労働者はこの日、世界革命の展望と現実性を完全につかんだのだ。確信をもってこの道を進もう。
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週刊『前進』(2368号5面2)(2008/11/17 )
裁判員制度廃止 11・22大行動へ
改憲と戦争への攻撃許すな
「1500人が結集した6月13日の集会に続く大行動は、11月22日の東京大行動です。今回は集会後、銀座デモをやります。絶対廃止をデモでアピールすることに力点をおいています」「弁護士は、労働者と一緒にこの世の中を変える気概を持たないといけない。一緒にデモとストライキで、”自分たちが社会の主人公だ”という時代をつくりたい」(前進2366号7面、佐藤和利弁護士・高島章弁護士の対談より)。
「裁判員制度はいらない!大運動」が主催する11・22東京集会は、金融大恐慌下の日帝の改憲攻撃と対決する決定的な行動だ。麻生政権と戦争翼賛国会に怒りをたたきつけ、労働者人民の団結と闘いを呼びかけるデモである。全力で結集することを再度訴える。
また、裁判員制度の廃止をかちとる「11月全国一斉行動」が呼びかけられ、各地で集会やデモ、街頭宣伝などが予定されている。最高裁が11月28日、約30万人を対象に裁判員候補者通知を発送するからだ。一つの勝負どころだ。全国でともに闘って成功させよう。
国家の統治に人民組み込む
支配階級が裁判員制度を導入する狙いは何か。その核心は、裁判という国家権力行使の一翼を強制的に担わせることで、労働者人民に「統治主体意識」(推進派の言葉)を持たせることにある。ブルジョアジーの階級支配機構の一端に人民を「参加」させる形で組み込んでしまうのだ。裁判員になってお国のために奉仕する、その経験を生かして国家に従順な国民になれということだ。そんなものは絶対に拒否しなければならない。
支配階級がなぜ裁判員制度を必要としているのか。資本主義が土台から崩壊しつつある情勢のもとで、労働者人民からの搾取・収奪を徹底的に強める新自由主義をさらに強力に進めるためだ。新自由主義的諸政策が引き起こす社会的諸矛盾の激発を予防反革命的に抑えこむためである。
すでに青年労働者層を先頭に「生きさせろ!」の叫びや闘い、様々な形の反乱が各地でまき起こっている。階級矛盾の本格的な爆発は確実に始まっているのである。それゆえ支配階級は、労働者人民自身に治安機構の一翼を担わせ、そのなかに組み込むことを狙っている。それが裁判員制度の本質なのである。
だが世界は金融大恐慌に突入し、帝国主義の最後の延命策だった新自由主義の破綻が赤裸々となってしまった。資本主義の時代の終わりがついに始まったのである。
支配階級は相互のつぶし合いをくり広げつつ、一切の犠牲を労働者人民に押しつけ、市場、資源を奪い合うための戦争政策に人民を動員する以外にない。そのためにさまざまな契機をとらえて国益主義と排外主義に労働者人民を染め上げ、9条改憲の先取りとなる政策を進めることが必要なのだ。裁判員制度は、そうした政策の中心的な攻撃であることを突き出さなくてはならない。
正味2日間の審議で評議へ
「導入の延期」や「制度の見直し」で問題を解決できるようなものでは断じてないのだ。労働者人民にとっては絶対廃止以外にない制度だということである。
裁判員になりたくないと思っている人のほとんどが、人を裁く側に立ちたくないと思っている。ところが裁判員裁判は、裁判初日の午前中の面談で裁判員になるかどうかということが聞かれ、その日の午後には裁判が始まってしまうのだ。次の日の丸1日と3日目の午前中に審議して、午後には評議となる。結局、正味2日間の審議で罪状を決めなければならない。
また、公判前整理手続きが導入され、裁判官、検察官、弁護士で裁判の「争点」はあらかじめ決められてしまう。法廷で調べる証拠も証人もここで決められてしまう。反論する証拠や証人が出てきても法廷に出せない。ストーリーがすでに決まっている状況のもとで、有罪か無罪か、量刑をどうするかを判断しろというシステムなのだ。
さらに、裁判員に動員された人は、評議に関する情報の「秘密保持義務」を一生負わされる。守秘義務違反には懲役刑が科される。他方、被告人は裁判員制度による評議を拒めない。
何が「司法の民主化」「えん罪の防止」か。ふざけるな! 労働者人民の怒りを徹底的に爆発させよう。
麻生政権の命脈を断つ闘い
裁判員制度廃止闘争は勝利できる。その展望が大いにある闘いである。総力で決起し、麻生政権の命脈を断つ大運動に発展させようではないか。
11月10日から、推進キャンペーンのためのテレビCMが始まった。最高裁は、宣伝のためなら何十億円もかけると言っている。商業新聞でも特集や記事が相次いでいる。だがそれによって労働者市民の関心が高まり、街頭宣伝でのビラ受け取りや署名などが急増している。不安や怒りの声がさらに強まっている。
支配階級は今、このままでは裁判員制度が破綻するという危機感を持っている。裁判員制度推進派の竹崎を最高裁長官に抜擢(ばってき)したのもそのためだ。
だが、知れば知るほどとんでもない制度だと分かってしまうのが、裁判員制度なのだ。暴露と批判が決定的である。
重要なのは、職場から絶対廃止の声をあげることだ。連合や全労連は、裁判員制度に賛成して積極的に推進している。ブルジョア支配に協力する体制内労組執行部を徹底弾劾し、職場労働者の反撃を組織しよう。
11・22東京集会と銀座デモに、仲間とともに集まろう。
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週刊『前進』(2368号6面2)(2008/11/17 )
星野文昭さんを自由に! 11・29全国集会へ
再審開始へ全国に救う会を
星野文昭同志は無実だ。最高裁による特別抗告棄却への怒りに燃え、国家権力のデッチあげ無期攻撃と非和解で闘う星野同志のアピール(前号既報)に応え、11・29全国集会に総結集しよう。
団結求め34年闘う
11月2日、「生きさせろ!ゼネスト」を求めた労働者全国総決起集会に5700人が結集した。「今こそ全世界の労働者は改良主義を克服し、社会主義変革へ進もう」(民主労総ソウル本部長・イジェヨンさん)、「階級協調派が世界の労働運動を支配している。国際的・革命的な労働者の党が必要」(ILWUローカル10執行委員・ジャック・ヘイマンさん)という訴えは集会全体の声だった。
世界金融大恐慌が全世界を覆っている今、資本主義の救済ではなく、資本主義を労働者階級の力で終わらせる!ことを鮮明に掲げて結集した5700人の団結した力が、これから限りなく爆発していくことは間違いない。これは全世界で起こっている「生きさせろ!」の労働者の闘いと本質的に結びついている闘いだからだ。
星野文昭同志は徳島刑務所から、この11・2労働者集会へ、「今、日本と世界の労働者人民が、すべてを奪いつくそうという新自由主義と闘い、すべてを奪い返すために世の中を変えようとしている情勢・闘いと、今一つに重なり、一つに未来を開こうとしていることに心が高鳴る思いです」とアピールを発し、労働者階級とともに闘いぬいた。
1971年11月14日の沖縄闘争に敢然と決起した星野同志は、国家権力に殺人罪をデッチあげられ、無期懲役判決を受けた。星野無期は「人間としてのすべてを奪う」極限的な攻撃であった。星野同志は獄中にありながらも、常に獄外と一体となって「すべてを奪い返す」闘いを貫いてきた。星野同志は、日本帝国主義・国家権力との絶対非和解の闘いを貫き、プロレタリア革命を目指し、日々階級的団結を求めて闘いぬいている。この地点において日帝・国家権力のもくろみは完全に破産している。星野同志の闘いが全世界の労働者階級の闘いとがっちり結びつき、巨大な隊列となって資本家階級のための国家を打ち倒そうとしているところに、今われわれは立っている。
このような時代は、すべての勢力に、それまでのあり方、闘い方の徹底した変革を突きつけている。新自由主義攻撃と絶対反対で闘い、労働者階級の団結をもって世界革命の大道を歩むのか、それとも体制内勢力として、徹底的に資本主義・帝国主義の危機を救済する転向・反革命の道を歩むのかという、峻厳(しゅんげん)な分岐を生み出す。
星野同志奪還運動は、塩川一派と激烈に闘いぬいて、11・2労働者集会に全力で結集した。革命情勢の到来に恐怖する塩川一派は、階級的労働運動路線を否定し、今や最悪の転向スパイ集団へ転落している。それは、動労千葉や、法大弾圧と闘う獄中19人の学生と一体となっている星野同志への敵対であり、大衆運動としての星野奪還闘争の破壊である。自らの延命のために、星野奪還運動を利用しようとする塩川一派の介入を断じて許さない。星野同志を絶対に奪還するために、分岐を恐れず促進して闘おう。
星野奪還大運動を
星野同志奪還闘争の第一の課題は、星野同志の獄中闘争とともに闘うことだ。
徳島刑務所は10月、工場で星野同志が使用しているミシンのライトのカバーに落書きがあったことを口実にして、取り調べをした揚げ句、「落書きを見つけた際に申告しなかった」と言い、「統括訓戒」という攻撃を加えてきた。日帝の危機の中で、刑務所当局による暴力と監視、非人間的処遇が極限的に強まっている。自由に息することもできない刑務所の実態を弾劾し、こうした中で日々闘いぬいている星野同志とともに闘い、絶対に奪還しよう。
第二に、再審闘争を力強く前進させることだ。1996年の再審請求から12年、最高裁は特別抗告棄却の決定を下した。星野同志と弁護団の闘いで破綻が明白になっているにもかかわらず、デッチあげ無期を強引に維持しようとするものであり、断じて許さない。
国家権力は、1971年の安保・沖縄闘争の爆発に恐怖し、星野同志へのデッチあげを強行した。「共犯者」の「供述」を捏造(ねつぞう)し、その「証拠」だけで星野同志に無期懲役を強制しているのだ。国家の暴力以外の何ものでもない。直ちに第2次再審闘争にうってでよう。デッチあげの構造を暴き、司法権力を追い詰め、再審開始・無罪に向かって不屈に前進しよう。
第三に、星野奪還大運動である。危機に陥った資本主義を労働者階級の力で打ち倒す闘いと一体となって星野闘争を運動的に発展させよう。新自由主義攻撃に立ち向かう労働者階級人民に、星野同志の怒りと闘いを訴えよう。全国に「救う会」を結成しよう。
「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」が11・29全国集会を呼びかけている。この集会に大結集して、第2次再審闘争をともに闘いぬこう! 34年間不屈に闘う星野文昭同志を今こそ取り戻そう!
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