ZENSHIN 2008/11/03(No2366 p08)

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週刊『前進』(2366号1面1)(2008/11/03 )

 新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結

 11・2全国労働者集会 大反動に勝利し5700人

 “生存権守れ”“生きさせろ”

 青年労働者・学生を先頭に

 厳戒を破り銀座大デモ

労働者集会をかちとり、新自由主義攻撃を打ち破って労働者の未来を開こうと「団結頑張ろう」の声をあげた(11月2日 東京・日比谷野外音楽堂)

 11月2日、日比谷野外音楽堂で開かれた全国労働者総決起集会に5700人が大結集した。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかけた。日米韓3国連帯闘争の階級的統一の地平と相まって、世界金融大恐慌下で新自由主義を打ち砕き、「労働者の力で世界を変えよう」と、固い団結を誓い合った。

 港合同から開会のあいさつ

 集会冒頭、港合同の中村吉政副委員長(写真)が開会あいさつ。金融大恐慌の中、全員解雇攻撃に立ち向かう京品ホテル労働者の闘いに「断固たる支援・連帯」を確認し、「非正規雇用労働者の闘いが大企業の足下で前進している」「国鉄1047名闘争は国家的不当労働行為と闘う争議団の神髄を問う闘いだ。安易な妥協を排し真の勝利へ」「3労組共闘の課題は、戦闘的労働運動の団結と国鉄闘争勝利の大道に立ち克服しよう」と提起した。
 連帯あいさつは、憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士、とめよう戦争への道!百万人署名運動の西川重則事務局長、三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原進事務局次長と市東孝雄さんが登壇して、労働者との熱い連帯を表明した。

 米韓の代表団に熱烈な連帯

 韓国民主労総の労働者は四十数人の部隊で参加。金属労組ハイテックRCDコリア支会副支会長のチョンウンジュさんは「ハイテック資本との闘いは労働者の生存権の問題。不当解雇中のキムヘジン支会長は、現在40b上空の送電塔でハンストろう城闘争を行っている。動労千葉をはじめ同志たちの熱い連帯に応えたい」と熱烈なアピール。
 さらに民主労総ソウル地域本部のイジェヨン本部長は「イミョンバク政権は新自由主義を掲げ、公企業の民営化で労働者階級の抵抗を暴力でつぶそうとしている。今こそ全世界の労働者は改良主義を克服し、社会主義変革運動へ進もう」と力強く訴えた。
 アメリカからはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10執行委員ジャック・ヘイマンさんが発言。5・1メーデーでのイラク港湾労働者の連帯行動を報告し、「階級協調派が世界の労働運動を支配している。国際的・革命的な労働者の党が必要。ILWUと動労千葉の絆の強化を表明します」と提起した。
 UTLA(ロサンゼルス統一教員組合)CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)のグレゴリー・ソティアさんは「学校の軍事化が広がる中、学校現場で広島・長崎を語り、平和と正義のために努力している。ゼネストで職場を止めよう」と訴えた。
 5年目を迎えた日米韓3国連帯闘争の飛躍に、会場は大きな拍手と歓声でつつまれた。
 関西生コン支部の高英男副委員長と動労千葉の田中康宏委員長が集会の基調的なアピールを行った。高さんは3労組共闘の10年間が多くの成果を積み上げたことを総括し、「運動の進め方での意見の違いは、団結を深めるチャンスだ。活発に議論し互いを高めよう」と訴えた。これを受け、田中委員長は「労働運動の原点が問われている。だからこそ動労千葉は、国鉄1047名闘争で政府に詫び状を出した『4者・4団体』の屈服路線に絶対反対を貫く。ここに労働者が必ず勝利できる道がある」と呼びかけた。(8面にアピールを掲載)

 特別報告と決意表明に歓声

  特別報告では、1047名解雇撤回闘争を闘う国労闘争団と動労千葉争議団が渾身(こんしん)のアピールを行った。動労千葉争議団の中村仁さんは、「政府と資本に土下座した『4者・4団体』は絶対許せない」。国労北海道闘争団は「1047名の団結が新自由主義を破綻させた。労働者が立ち上がれば社会は止まる」。国労秋田闘争団・小玉忠憲さんは「改憲の民主党や、自民党の下僕・公明党に頭を下げるために22年間も闘ってきたのではない」と、怒りを込めて訴えた。
  「日の丸・君が代」不起立闘争被処分者が登壇、代表して根津公子さんが発言した。根津さんは「意見の違いもあり、今回は参加しないつもりだった。しかし、要求と闘いが一致すればともに闘おうというのが私の姿勢です。都教委が私を懲戒免職にできなかったのは全国の人びとの勝利。分限免職攻撃を阻止する」と述べた。広島教組の青年労働者が熱烈な決意を述べた。
  沖縄行動団から、うるまユニオンの富田晋さんが「辺野古の守る会事務局から『サミット反対デモ』での逮捕を理由に解雇された。腐った指導部をぶっ飛ばして基地建設を阻止する」と発言。
  決意表明では、医療福祉労働者、自治体労働者、雇い止め攻撃と闘うゆうメイトの青年労働者が決意を表明した。
  決意表明の最後に、法大文化連盟が登壇。委員長の斎藤郁真君が「本日学祭とぶつかったが、文連は労働者集会に来た。闘う相手が皆さんと同じだからです」と発言し、万雷の拍手を浴びた。
  動労水戸委員長・石井真一さんがデモの行動提起。関西生コン支部の武谷新吾さんが閉会のあいさつを行い、意気高くデモに出発した。銀座一帯を制圧し万余の労働者、市民と合流した。11・2集会は、まさにプロレタリア革命への大道を切り開く闘いとなった。
  

動労千葉など呼びかけ3労組を先頭にデモ。“労働者は団結して闘おう”とアピール(東京駅前)

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週刊『前進』(2366号8面1)(2008/11/03 )

 新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結

 4者4団体路線粉砕し 1047名解雇撤回へ

 呼びかけ労組からのアピール

「国境を越えた労働者の団結をもっと広げよう」。米韓の労働者を先頭に道いっぱいに広がってデモ行進(東京駅八重洲口付近)

11・2全国労働者総決起集会の呼びかけ労組の動労千葉と連帯労組関西生コン支部から発せられた基調的なアピールを掲載します。(一部割愛。見出しは編集局。その他の発言は次号に詳報)

 闘う労働組合が最前線に 国鉄千葉動力車労働組合委員長 田中康宏さん

 動労千葉からは、国鉄1047名解雇撤回闘争を中心に提起します。それはこの闘いが11月集会の原点であるとともに、これからの労働運動全体の帰趨(きすう)のかかった闘いだと考えるからです。
 新自由主義攻撃はこの20年余り、労働者の雇用や賃金・権利、社会保障制度や教育、地方自治、あらゆる社会的連帯や団結、農業や地球環境を破壊し、戦争を引き起こして吹き荒れ、そして破産しました。支配者たちは今、底知れぬ金融大恐慌の前に震え上がっています。起きていることは、資本主義体制の壊滅的な破綻です。
 この時代に回答を与えることができるのは、労働者の団結した力だけです。
 この社会のすべてを動かしているのは労働者です。労働者は歴史をつくり、社会を変革する力を持った存在です。「生きられるだけの賃金をよこせ!」――こうしたスローガンの中に、社会変革の火種が宿る時代が到来しました。
 1047名闘争が重大な岐路に立っています。私たちは、動労千葉を排除し、解雇撤回要求を引き下ろして進められている「4者・4団体」による政治解決運動に反対します。政府に「詫(わ)び状」を出し、JR資本と和解してストライキも投げ捨て、政府や連合、民主党にひざまずいて「救済」を求めるような運動は絶対に間違っています。
 さらに、われわれ動労千葉が解雇撤回を訴え続けていることをもって「団結まつり」への参加が拒否され、「動労千葉は永久闘争主義者だ、玉砕の道だ」という非難が組織されています。こんなことをしていたら、闘いは取り返しのつかない打撃を受け、1047名の誇りは打ち砕かれます。国労は連合派に転落し、一層激しい民営化・労組破壊攻撃が労働者を襲うことになります。22年間の闘いを自ら投げ捨てることは絶対にできません。
 問題は、労働者を信頼するかどうかということであり、指導部の構えにあります。
 今1047名闘争をめぐって起きていることは、労働運動がこの時代にいかなる道を進むのかをめぐる決定的な路線問題です。
 国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃であり、新自由主義政策を社会全体に貫徹する決定的な突破口でした。
 しかし、国鉄労働者は攻撃に屈したわけではありません。動労千葉は、首をかけて民営化反対の2波のストライキに立ち上がり、40人の不当解雇攻撃を受けながら団結を守りぬきました。そして1047名が、全国の支援の仲間たちとともに、今日まで20年を超える闘いを継続しました。それは、幹部たちの屈服にもかかわらず、長い闘いの中で培われてきた国鉄労働者の力、日本の労働者の力、戦後日本労働運動の全蓄積が凝縮して生み出した闘いでした。
 時代は変わり、後退を強いられてきた労働運動がいよいよ荒々しく復権しようとしています。JRでも、安全や技術継承、労務政策の破綻という形で民営化の矛盾が噴出しています。「平成採用」の若い労働者が動労千葉に結集し始めています。この矛盾を突いて闘えば、民営化体制を突き崩して力関係を逆転し、1047名闘争の勝利をかちとることができます。
 「4者・4団体」の最も犯罪的なところは、1047名闘争が20年間、必死で築き上げてきた地平を自ら投げ捨てようとしていることです。
 政府や鉄道運輸機構が1047名闘争に終止符を打とうと動き出した目的は明白です。危機に揺らぐ自公反動政権は、唯一の延命の道として、公務員労働者への200万人民営化―首切り攻撃をはじめ、さらに激しい階級戦争に訴えようとしています。そのために、国鉄分割・民営化攻撃に最終的な決着をつけなければいけないと判断したのです。
 1047名闘争がすべての労働者の怒りを結集する闘いの先頭に立てば、闘いは間違いなく爆発的に前進します。
 私たち3労組は、国労5・27臨大弾圧粉砕闘争めぐり、弁護団の解任にまでいたった分岐についての意見の違いを超えて、1047名闘争が日本のすべての労働者の未来と権利をかけた闘いであるという点で一致して、本日の集会を呼びかけました。8被告全員の無罪を獲得しなければなりません。私たちの責任は重大です。動労千葉は、1047名闘争の当該として、JR民営化体制を打ち破って解雇撤回の勝利をかちとる日まで闘いぬきます。
 われわれこそが、1047名闘争の勝利に責任を取りきる勢力として最前線に登場しましょう!
 最後に、当面する課題について訴えます。
 第一に、09春闘に向けて、大幅賃上げ獲得、最低賃金引き上げ、非正規職撤廃を求める怒りの声を結集することです。資本主義の断末魔のあがきが労働者への攻撃を激化させ、インフレが生活を破壊しようとしています。誰もが心の奥底で、「生きさせろ!」「ゼネストが必要だ!」と叫んでいます。
 われわれがなすべきことは、「できる! 団結すれば絶対にできる!」という声をそれぞれの職場、地域にとどろかせることです。
 第二に、憲法改悪阻止の大運動を組織することです。戦争を生み出す元凶は資本主義の危機です。それをとめられるのは労働者の団結した力です。ILWUの仲間たちは、イラク戦争に反対して米西海岸の全港湾をストップさせる歴史的なメーデーストに立ち上がりました。UTLAの仲間たちは、学校から募兵官をたたき出す闘いを続けています。日本でも、教育労働者、沖縄の仲間、三里塚の農民、弁護士戦線の同志たちがすばらしい闘いに立ち上がっています。この闘いに続き、反動麻生政権を倒そう。
 第三に、国境を越えた労働者の団結をもっと大きく広げることです。今日この場には、誇るべき民主労総の同志たちが多く駆けつけてくれました。韓国の100万人の決起は、全世界の労働者に、労働者はけっして打ち砕かれない力を持っていることを示してくれました。新自由主義政策は全世界に、自らの墓掘り人である膨大な労働者の闘いを生み出しました。
 「団結」の二文字が、労働者が生き抜くために絶対に必要なものになっています。マルクスは『共産党宣言』の最後に「万国の労働者、団結せよ!」と記しました。その深い意味が、今ほど切実に理解できる時代はありません。
 職場・地域から闘いを組織しよう。闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげよう。国境を越えた労働者の国際連帯闘争を発展させよう。闘う労働組合を歴史の最前線に登場させよう。

 団結を深めるチャンスだ 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部副委員長 高英男さん

  今回の集会を開催するにあたって3労組では、例年になく事務局会議を多く開催し議論を重ねてきました。当初多くのところから開催を危ぶむ声も聞こえるほど、労働戦線での闘い方の違い、意見の違いが見えてきたのです。
  だからこそ3労組は、「違いがあれば原則に立ち返り議論を進める」ことを基礎に置き、議論を進めました。すべての違いが埋まったわけではなく、歩み寄れない部分も残っていますが、この集会を何があっても開催することでは一致していました。
  10年前に始まった3労組による呼びかけ集会の当初の目的は、当時、国鉄闘争において圧倒的に少数で孤立しながらも原則的で戦闘的に闘っていた動労千葉を支援することでした。
  国鉄の分割・民営化攻撃が組合つぶしを目的として行われたことは、中曽根の発言でも明らかです。この国家的不当労働行為を許せば日本労働運動の根幹にかかわることであり、日本労働運動を再生させる意味でも国鉄1047名の解雇を許してはならないとして、3労組の呼びかけ集会が始まったのです。
  そして3労組がそれぞれ違った闘いの中で地平を切り開いてきたことを教訓に、多くの地域や職場で闘っている仲間が結集し「闘う労働組合のネットワークをつくりだそう」という集会に位置づけてきました。
  3労組も多くの違いを持っています。違いがなければ別々の労働組合でいる必要はないのです。この3労組集会の特色は、3労組がそれぞれ違う産業・職場で闘い成果を上げてきたことです。
  港合同は田中機械の大争議を勝利し、「連合・JAM」と決別し、大阪南の地域を拠点として地域の砦(とりで)の役割を果たす闘いを現在も進めています。
  動労千葉は、国鉄闘争において少数であってもストライキを背景に「分割・民営化」に反対して闘い抜き、千葉において拠点を築きました。
  関西地区生コン支部は、関西の地において生コン産業で産業政策を武器に産業別運動を闘い抜き地平を切り開き、現在も独占セメントメーカーを相手に闘っています。
  私たち3労組は、この3労組の闘いが少しでも全国の闘う仲間に勇気と元気を与える集会にしたいと考えています。この集会にはいろんな労組や市民団体が参加します。いろんな多様性を内包できる集会でなければなりません。大衆組織や大衆運動にとって「意見の違いや矛盾」は、発展の原動力として活発に議論を深めることが相互に高め合う運動につながるのです。
  3労組集会を始めて10年余りの間に多くの成果を積み上げてきました。一つには春闘時に共同の決起集会を東西で開催し、春闘を戦闘的に闘うことを誓い合いました。06年の春闘時には、3労組による春闘討論集会を関西で開催し、各地で労働学校や協同相談センターの開設を呼びかけ、各地で現在もその取り組みは継続されています。
  そして05年1月、私たち関西地区生コン支部にかけられた弾圧によって、武委員長以下6名の役員が逮捕・長期勾留されました。3労組共闘による戦線は、弾圧があった当日も一番に駆けつけ、私たち生コン支部への激励と家宅捜索を続ける警察権力へ抗議するなどの行動を真っ先に行ってくれました。
  このように、この10年余りの取り組みで積み上げた成果・深めた団結は計り知れないものがあります。3労組は、意見の違いを認め合いながら、いかに共闘戦線を広げていけるのかを真剣に議論しました。
  闘い方の違いや意見の違いが見えた時ほど、団結を深めるチャンスであり、現在の社会情勢は私たちに闘いの条件を与えています。この社会情勢に対して職場要求を基礎に果敢に闘う労働組合を全国各地でつくり出し、増大する非正規労働者を組織化し、官公労たたきを打ち破り、国鉄1047名の解雇撤回を求める闘いを進めることを、本集会参加者一人ひとりの課題としようではありませんか!
  全国の闘う労働者・労働組合との団結をかちとろう!
  

国鉄1047名解雇撤回、大幅賃上げゼネスト、麻生政権打倒へ力強く団結ガンバロー

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週刊『前進』(2366号1面2)(2008/11/03 )

 おことわり

 11・2全国労働者集会の報道のため、報道特別号として発行を遅らせました。

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週刊『前進』(2366号2面1)(2008/11/03 )

 4者4団体10・24集会 機動隊導入し闘う組合員を排除!!

 1047名解雇撤回の原則貫き国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ

 12・14国鉄闘争勝利集会に結集を

  国労5・27臨大闘争弾圧被告団と国労共闘は、1047名解雇撤回、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕などのスローガンを掲げて12月14日に「すみだ産業会館」で開かれる国鉄闘争勝利集会への結集を呼びかけている。世界金融大恐慌が激しく進行し、大失業攻撃が労働者を襲う中で、1047名解雇撤回の闘いは資本主義に対する労働者の怒りを糾合すべき位置にある。11・2全国労働者総決起集会の勝利と熱気を引き継ぎ、第2次国鉄決戦勝利へさらなる進撃を続けよう。
 国鉄1047名闘争の幕引きを図る10・24集会で、闘う国労組合員らは「解雇撤回の原則を貫け」と怒りの声を上げた(日比谷野音)

 解雇撤回を投げ捨てた裏切り者断じて許さぬ

 4者・4団体が国鉄闘争幕引きのために開いた10・24集会は、4者・4団体路線の反動性を完全にさらけ出した。在京闘争団幹部を始めとする4者・4団体路線推進派は、「解雇撤回の原則を貫け」と主張する国労組合員を「妨害勢力」と言い、排除するために阻止線を張るとともに、会場入り口に多数の機動隊と公安警察を導入した。
 きわめて重大な事態だ。在京闘争団一部幹部らは、国労本部が5・27臨大闘争弾圧を強行したのと同様、「解雇撤回の原則を貫け」と訴える国労組合員らを警察に売り渡した。その末路がブルジョア政党=民主党応援団への転落なのだ。
 だが、闘う国労組合員らはこれをはねのけ、会場内で「解雇撤回を貫け」と渾身(こんしん)の叫びを上げた。怒りの激しさに会場全体が一斉に注目する。集会の進行は一時、完全にストップした。この正義の訴えを抑え込もうと、在京闘争団一部幹部らは闘う国労組合員に襲いかかった。だがそれは、4者・4団体路線の不正義性を一層際立たせるものにしかならない。闘う国労組合員の行動は、裏切り者が誰なのかを暴ききった。
 10月26日の団結まつりでも、動労千葉や国労共闘、労組交流センターなどが排除された。これに対して動労千葉や国労共闘は、この暴挙を徹底弾劾するビラをくまなく配布した。
 5・27臨大闘争弾圧被告団の闘いは、国労本部と裏切り者たちを断罪し続ける位置にある。
 国労5・27臨大闘争弾圧とは、02年5月27日の国労臨時大会に際し、国労本部の方針に反対してビラまき・説得活動に立った国労組合員と国鉄闘争支援者の闘いが「集団的暴力行為」に仕立て上げられ、組合員らが国労本部によって警察権力に売り渡された弾圧だ。
 この大会で国労本部は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を査問委員会にかけるという方針を押し通した。この国労本部の暴挙に対し、国労共闘に結集する国労組合員は全力で抗議を貫いた。その組合員を、国労本部は平然と警察権力に差し出したのだ。
 鉄建公団訴訟原告に対する統制処分と5・27臨大闘争弾圧は、ともに国鉄闘争を内部から破壊しようとした国労本部の暴挙によって引き起こされた。だから、1047名闘争勝利のためには、鉄建公団訴訟原告団が5・27臨大闘争弾圧被告団とともにこの弾圧と立ち向かうことが必要だ。
 ところが鉄建公団訴訟原告団の一部幹部は、国労本部と手を組んで4者・4団体路線を推進するために、5・27臨大闘争弾圧被告団に公然と背を向けたのだ。

 4者4団体と根底的に対決する5・27被告団

 5・27臨大における被告たちの闘いは、闘争団への統制処分に反対するとともに、JR資本と徹底対決する動労千葉のような闘いを国労内につくり出すことを目的とした主体的決起だった。だから被告団は今日も、裁判闘争を全力で闘いつつ、4者・4団体路線と対決し、国労内で最も原則的な闘いを貫いている。
 この被告団に対して、在京闘争団幹部らは、自らの裏切りをごまかすために、被告団が旧弁護団を解任したことを「非常識」だの「恩知らず」だのと非難し始めている。
 だが、被告団が旧弁護団を解任したのは、きわめて正当なことだった。被告団が旧弁護団を解任したのは、旧弁護団が被告の意志を尊重せず、被告の要求を拒否し続け、信頼関係を自ら破壊したからだ。旧弁護団は、「被告は弁護士の言うことを聞いていればいいのだ」として、被告の主体性を認めてこなかった。
 松崎被告との弁論分離も、松崎被告が国労本部による訴訟提起を賛美し、国労本部と非和解的に対決するという裁判闘争方針に背いて、7被告とまったく相反する態度をとった以上、当然のことだったのだ。
 弁護団という最も身近な存在と決別した被告団の決断は、けっして生やさしいものではなかった。だが、その決断こそが、今、激しく闘われている4者・4団体路線との白熱的攻防を先駆的に切り開いたのだ。

 9・15判決への屈服が分岐点

 今や松崎被告とその弁護団(旧弁護団)は、完全に4者・4団体路線擁護へと転落している。革命情勢の中では、情勢が求める飛躍を拒否した者はとことんまで反動化していくほかにない。「昨日の友が今日の敵」となる激烈な情勢の中で、一切のあいまいさなく原則を貫いてこそ、闘いは勝利に向かって進む。
 被告団は、旧弁護団の解任と松崎被告との弁論分離をやりぬくことをとおして、4者・4団体路線と根底的に対決する主体へと自らを打ち鍛え、動労千葉と並ぶ第2次国鉄決戦の主体に躍り出たのである。
 旧弁護団の4者・4団体路線への屈服は、05年9月15日の鉄建公団訴訟東京地裁判決の評価にさかのぼる。
 9・15判決は、国鉄清算事業団による90年解雇の撤回を求める国労闘争団員の訴えを退け、一人あたりわずか500万円の慰謝料しか認めなかった。しかも、国鉄時代に停職6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者は慰謝料支払いの対象からも除外した。
 これは、分割・民営化反対のストライキで不当に処分されJR不採用とされた動労千葉争議団を始め、停職処分で不採用となった本州闘争団員には一切の救済を与えないとする国家意志の表明だった。
 不当労働行為による解雇を容認し、1047名の中に分断を持ち込むこの判決を徹底弾劾する以外に、1047名全体の団結を維持する道はない。労働者階級にとって裁判闘争は、主体の団結を固めることを最も大切な基準として闘うべきものだ。だから被告団は、9・15判決を反動判決として強く弾劾した。
 ところが旧弁護団は、「国鉄分割・民営化に際しての国鉄の不当労働行為が司法の場で初めて認定された」と9・15判決を評価した。そこから、被告団と旧弁護団との対立が始まったのだ。
 他方、4者・4団体路線もまた9・15判決への屈服から生まれている。4者・4団体が06年9月14日に鉄道運輸機構に提出した「解決にあたっての具体的要求」には、「我々は、2003年12月22日の『最高裁判決』並びに昨年9月15日の『鉄建公団訴訟判決』、『ILO条約・勧告』を踏まえ、政府の決断により、解決を図ることを求める」と書かれている。
 03年12月の最高裁判決は、JRの不当労働行為責任を免罪し、1047名のJR復帰を全面的に否定した反動判決だ。この最高裁判決と9・15判決を前提とし、不当労働行為を不問に付した「解決」とは、1047名を分断し、解雇撤回・JR復帰の闘いを自らの手で圧殺することにほかならない。

 完全黙秘貫く階級的裁判に

 5・27臨大闘争弾圧被告団は新弁護団を編成し、松崎被告との弁論分離をかちとって、新たな裁判闘争に踏み出した。新たな裁判闘争は、「公判廷においても完全黙秘を貫く」という原則のもとに闘いぬかれている。
 旧弁護団の裁判闘争方針は、検察官が公訴提起した「実行行為」なるものについて、被告人質問の場で被告自身に弁解的な供述をさせ、それにより裁判長に「無罪の心証」を形成させようとするものだった。だが、それは権力への「自白路線」であり、「偽装転向」にまで必ず行き着く道でしかない。
 旧弁護団解任の直接のきっかけとなった裁判事務局員問題も、その核心は、完全黙秘・非転向の原則を否定する裁判事務局員Yを、あくまで裁判に関与させ続けようとした旧弁護団の態度から生じたものだ。
 現在行われている被告人質問で、各被告は「検察官・裁判官の一切の質問に対し黙秘する」と宣言し、それを完全に貫いている。この被告の闘いに検察官以上に大打撃を受けているのが旧弁護団と松崎被告だ。「検察官すら分離に理由なしとしている」などと臆面(おくめん)もなく主張して「統一公判」を要求し、7被告の弁解的供述を引き出すことが「無罪獲得の構図」「原則的証拠調べ」だとしてきた旧弁護団と松崎被告は、今や完全に方針を失い、右往左往しているありさまだ。
 ここにあるのは、まさに国家権力への総屈服の思想だ。

 動労千葉とともに職場からJR資本と闘おう

 国鉄分割・民営化は、日本における新自由主義の攻撃の先駆けをなすものとして強行された。これと対決する1047名闘争は、労働運動史上最大規模の解雇撤回闘争として闘われてきた。それはまた、連合による労働者支配の完成を阻み、支配階級の改憲の野望の前に大きく立ちはだかってきた闘いだ。
 今、新自由主義は完全に破産し、世界は金融大恐慌の中にたたき込まれている。資本主義はついに終わりの時を迎えたのだ。労働者階級が社会を支配する時代は目の前にある。危機にのたうつ資本主義は、金融資本に膨大な公的資金を投入し、労働者階級にすさまじい大失業攻撃をかける以外に延命できない。だが、これに対して全世界で労働者階級の怒りの決起が巻き起こっている。その一環として11・2労働者集会は、あふれる熱気のうちに闘いとられた。
 こうした闘いの先頭に1047名闘争が立ち、解雇撤回の原則をあくまで貫き通すならば、歴史的勝利を手にすることはできる。職場生産点で資本と対決し、強固な団結を打ち固めれば、労働者階級は勝てるのだ。
 分割・民営化以来の国鉄闘争の継続に追いつめられ、破産をあらわにしているのはJR資本の側だ。安全問題、要員問題、労務支配のすべてにおいて、JR体制は破綻している。動労千葉のように、職場で団結を固め、敵の矛盾を突いて闘えば、絶対に勝てる。JR体制の矛盾を背負わされた「平成採」の青年労働者の怒りの反乱も始まっている。
 だからこそ国家権力は、国労本部だけでなく在京闘争団幹部をも自己の手の内に取り込んで、1047名闘争を今ここで解体しようと躍起となっている。これと真っ向からぶつかり合っているのが被告団の闘いだ。
 今年4月26日の尼崎事故弾劾の現地闘争は、国鉄労働運動史を塗り替える闘いになった。05年4月25日の尼崎事故以来、被告団を中心とする関西の国労共闘は毎年、事故弾劾・JR資本追及の闘いを積み上げてきた。今年はその闘いと動労千葉の闘いが結合した。尼崎現地闘争は動労千葉を呼びかけ団体として開催され、全国から560人の労働者が結集した。
 反合・運転保安闘争路線のもと、JR資本の弾圧を打ち破って「安全運転闘争」を貫き、危険なレールを交換させた動労千葉と、保線労働者などの立場から事故現場の急カーブの問題を追及してきた被告たちの闘いが結合したことは、歴史的に大きな意味を持つ。
 JR資本との闘いにこそ、4者・4団体路線を打ち破り、国鉄闘争に勝利する鍵がある。
 4者・4団体が投げ捨てた1047名の解雇撤回闘争を、動労千葉とともに原則的に貫き通すものこそ、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いだ。
 破産した「政治解決」にしがみつく4者・4団体路線のもとに闘争団員や現場組合員をいつまでも組み伏せ続けることなど不可能だ。現に5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、解雇撤回の原則をあくまで貫く闘争団員や、国労本部の抑圧をはねのけJR資本と職場で闘う現場組合員の結集軸になっている。
 12・14国鉄闘争勝利集会に結集し、1047名解雇撤回を貫いて第2次国鉄決戦に勝利しよう。

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週刊『前進』(2366号3面1)(2008/11/03 )

 労働運動絶滅狙う橋下倒せ

 道州制=民営化・解雇粉砕へ

 11・21大阪府庁前闘争に立とう

 「社長の方針に従えない部下はクビだ」と叫ぶ橋下徹大阪府知事と労働者階級は絶対に相いれない。橋下は、金融大恐慌の危機にあえぐ資本家階級の意を受け、道州制導入―自治体丸ごと民営化―公務員全員解雇攻撃による労働運動絶滅をめざしている。すべての労働者は団結して橋下打倒の闘いに総決起しよう。11・2全国労働者総決起集会の歴史的大高揚を引き継ぎ、ただちに11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。

 労働者を資本の食いものに橋下の凶暴さは危機の現れ

 10月26日の府民討論会における橋下の暴言こそ、橋下行革―「大阪維新」の正体を最も露骨に示している。
 「私は大阪の行政のトップで、教育に責任がある。ところがトップの方針に学校の先生が従わない。公務員の身分保障の中でぬくぬくとやってる。どこの会社に社長の方針に従わない部下がいますか。そんな部下がいたらクビになる」「9割の先生は一生懸命やっている。地域や家庭の皆さんが学校運営にかかわり、1割のどうしようもない先生を排除してください」「子どもたちをこんな先生に任せておけないですよ。中山大臣の発言は正しいじゃないですか。現場を見て下さいよ」。橋下の暴言は全労働者に対する挑戦状だ。こんな暴言を放置して労働者階級に未来はない。絶対に橋下を倒そう。
 「社長の方針に従わない部下はクビ」だと!? 大阪府を私物化し、資本家の食いものに差し出すお前こそクビだ! 「中山は正しい」だと!? だったらお前もすぐ辞めろ!
 10月23日、私学助成金をカットしないでと訴えた高校生に、橋下は「今の世の中、自己責任が原則。誰も救ってくれない」「(それがおかしいと言うなら)国を変えるか、日本から出るしかない」と言い放った。
 よくぞ言った。橋下よ! お前を打倒して、この国を労働者の国に変えてやる!
 橋下は大阪府労連幹部の奴隷のような屈服ぶりを見て、労働者の反撃を見くびっている。橋下は労働者の怒りの深さと団結した力のすごさが分かっていない。これは橋下の致命的な弱点だ。橋下への怒りを燃え立たせ、労働者の団結した力を見せつけよう!

 資本家階級の意思を体現

 橋下は「大阪府は破産会社なんだから、従業員は給料半分にカットして当たり前」と言い放ち、資本家階級の立場に立って労働者階級への敵意をむき出しにして登場した。橋下は知事就任以来、「財政非常事態宣言」「教育非常事態宣言」と「非常事態宣言」を乱発している。「非常事態」とは《憲法停止―戒厳令―クーデター》であり、知事の権限で勝手放題にやるということである。橋下はこの「改憲クーデター」という支配階級の本音で勝負する「頼もしい人物」だ。だから関西財界をはじめブルジョアジーが群がり寄っている。
 しかし、この橋下の凶暴さは支配階級の危機の現れだ。橋下は、金融大恐慌という資本主義の矛盾の爆発の中で登場した。関西ブルジョアジーから、この危機ののりきりを託されているのだ。したがって、倒産・解雇・失業という全労働者への攻撃が不可避なのである。だから《金融大恐慌への突入―「資本主義の終わり」の始まり》という時代認識で全労働者が一致することが決定的に大切なのだ。そこで一致したとき、初めて橋下行革の正体が見えてくるのである。

 「公務員85万人削減、126万人を民間に」と叫ぶ関西財界

 橋下の「改憲クーデター」の基本戦略こそ「道州制」導入である。道州制の内容を最も露骨に表現しているのが関西経済同友会が2006年4月24日に発表した「5年以内に『連邦的道州制』へ移行せよ」という提言である。
 関西経済同友会は、この道州制プランの実現を安倍政権に託したが、労働者階級の怒りによって安倍が倒れて頓挫し、今度は橋下に託したのだ。その核心は「公務員は全員解雇」攻撃にある。以下がその基本内容だ。
 「公務員は一旦(いったん)解雇、85万人を削減、教育公務員等126万人を民間に」
 「道州制の導入に伴い新たな人材を募るため、410万人の国・地方の公務員の内、自衛官・警察などを除く360万人弱を関係法を制定の上、一旦解雇する。85万人の定員を削減した上で、新しい時代に適した能力をもち、かつ公の意識をもつ人材を、幅広く国民から募り、新たなエリートとして中央・道州政府に登用する。旧公務員から、立法能力をもつ者や業務に精通した者は、中央・道州政府で再雇用する。新たな政府で働く人材は、『半分の人員で倍の仕事』をする気概と能力が必要である。教育公務員等126万人の現業公務員は、国立・公立学校を私学化するなど組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」 
 「転換にあたっては、旧国鉄の改組に亘って実施したように、受け皿機関『公務員支援事業団(仮称)』をつくり、転換支援事業を実施し、事務能力や技能を生かした転職、派遣を行う。関西経済同友会のシミュレーションでは、国・地方合わせて少なくとも85万人の公務員が、『公務員支援事業団(仮称)』を通じて民間に開放されることになる」

 「国鉄民営化の公務員版」

 要するに《公務員は自衛官と警官以外は全員解雇。85万人は旧国鉄の清算事業団型の組織に送り込んで首切り。教員など126万人はそのまま公務員身分を剥奪(はくだつ)して民間へ》ということである。これほどまであからさまに《道州制とは国鉄分割・民営化の公務員版だ》といった提言は、これが初めてだ。
 関西経済同友会の提言は橋下によって急速に具体化されつつある。とりわけ「府と市の二重行政の解消こそ、道州制の呼び水」という考え方に基づいて、大阪府・市の水道事業の統合が進められつつある。10月16日、22日に大阪府下の市町村代表者を集めた意見交換会が行われた。施設統合は現場ではすでに開始されている。さらに次の目玉として、府庁舎を市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)へ移転する案が府議会に提案され、橋下は来年1月に決着しようとしている。また10月16日、門真市の保育園の畑を第2京阪道路建設のために行政代執行で強制収用した。問答無用の権力行使だ。
 この関西経済同友会提言をめぐって自治体労働者、教育労働者の怒りが最も集中するのが「半分の人員で倍の仕事」という部分である。今でさえ多忙化―残業、残業、残業で病気で倒れたり、休暇が取れずに苦しんだりしているのに、「半分の人員で倍の仕事」とは「死ね」ということだ。「去るも地獄、残るも地獄」ということだ。
 国と自治体の丸ごと民営化としての道州制攻撃は、地方自治・教育・医療・福祉などあらゆる産別の労働者にかかわる全社会的な攻撃である。「橋下という一知事の力でどうこうできるのか」という意見がある。しかし、1929年大恐慌を超える金融大恐慌が始まったのだ。支配階級はこの「資本主義崩壊の危機」を前にして急速に道州制推進に傾斜している。何よりも総務省は、国と地方の1100兆円の財政赤字の責任を公務員労働者に負わせるべく、全国自治体に「財政健全化」の圧力をかけ、自治体・教育・医療福祉労働運動解体の攻撃を開始している。全国のあらゆる産別、あらゆる職場で、この国家の総力をあげた道州制導入による労働運動解体攻撃のプランを全面的に暴露し、粉砕する闘いを開始することが急務となっている。

 金融大恐慌下、勝利の道は動労千葉のように闘うこと

 国鉄分割・民営化攻撃型の国家総がかりの道州制導入―労働運動解体攻撃に対して、労働者階級が勝利する道はあるのか。ある。それが動労千葉が23年間、「分割・民営化絶対反対」の闘いに次ぐ闘いによって培ってきた全組合員の団結である。
 自治体労働者、教育労働者は、今初めて国家総がかりの労働運動解体攻撃を受けたわけではない。労働者は産別を越えてひとつの階級である。労働者階級として勝利した経験をすでに動労千葉の切り開いた地平として持っている。われわれは、この間の4者・4団体路線との血みどろ汗みどろの闘いをつうじて、このことをあらためて自覚した。この立場から『新版 甦る労働組合』『俺たちは鉄路に生きる』1、2、3を徹底的に学習しよう。
 動労千葉はなぜ闘えたのか。それは、国鉄分割・民営化を前にして組織の存亡をかけた闘いを何度もやりぬき、血みどろの試練を何度もくぐりぬけてきたからだ。とりわけ動労カクマルとの激烈な党派闘争を分離・独立として決着させたことは決定的に大きい。体制内労働運動と最後的に決別して絶対反対で団結する組合権力を樹立したのだ。この闘いぬきに分割・民営化との闘いはありえなかった。
 さらに、1985―86年の2波のストライキを決行するに際して、当局から「飛んで火にいる夏の虫」と言われようが、国鉄分割・民営化攻撃を真っ向から見すえて「すり抜ける道はない」と闘って生きぬく道を選択したことだ。《闘うからには中途半端な闘いはやらない。全員解雇されるような激しい闘いをやる》と決断したこと、「自分たちが解雇されても全国の国鉄労働者は必ず決起する」と労働者階級を心から信頼して立ち上がったこと、これらをつうじて動労千葉は解雇されてもつぶされない団結――解雇を敗北としてではなく、勝利の証しとして誇れる団結をつくりだした。ここにこそ勝利の地平がある。
 動労千葉は、この「首をかけてつかんだ団結」によって、国鉄だけでなく日本の労働運動を丸ごと獲得できるという展望をもって闘った。これが今、11月労働者集会として、戦争・民営化・新自由主義と闘う全国・全世界の労働者の団結へと結実している。
 世界金融大恐慌に突入する中で、戦争か革命かが歴史的に問われる時代に突入した。あくまでも解雇撤回を貫いて、「どんどん恐慌深まれ」「資本主義はもっと没落しろ」という立場に立ちきって、資本主義を打倒してみせるという思想と路線を持つ者のみが、今のこの時代の中で本当に闘いを貫き勝利できる、そういう時代に入ったという時代認識でしっかり一致しよう。
 11・2全国労働者集会の大高揚を引き継ぎ、「生きさせろ」一律大幅賃上げゼネスト、麻生内閣―橋下大阪府政打倒の歴史的大反撃に立とう。資本主義に終わりを告げ、労働者の新しい時代を切り開こう。11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2366号6面1)(2008/11/03 )

 星野さんを自由に 11・29全国集会へ

 “生きさせろ”の闘いと結合し 第2次再審闘争勝利を

  今年の星野全国集会は、第2次再審闘争勝利に向けての一大決起集会として呼びかけられている。この集会は、「何がなんでも星野無期判決を維持する」という国家権力の意志をむき出しにした最高裁の特別抗告棄却決定を弾劾し、労働者人民の怒りをたたきつける総決起の闘いだ。「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」の呼びかけに応え、全力で結集しよう。
 第2次再審の闘いを始めるにあたって、われわれはあらためて「星野無期」攻撃の理不尽さに腹の底からの怒りをたたきつける。
 星野文昭同志は無実だ。これは星野再審闘争の絶対の出発点である。大半が少年であったデモ参加者の「供述調書」以外の証拠は何ひとつ存在しない。だから、当然にもこの裁判においては「共犯者証言の信用性」が最大の問題になってきた。
 東京高裁の確定判決は「本件各検事調書相互間に、同一ないし同一に近い記載内容が見られる」ことを弾劾する被告・弁護側の主張に対して、「同一の事柄に対して、複数の共犯者に供述を求めた場合、通常、相互にほぼ同様の内容が供述されることは、当然の結果」であると居直った。デッチあげであるがゆえにストーリーが同じになってしまうことに対して、逆に、「それは真実である証拠だ」と180度反対の「有罪」の根拠にしたのだ。  
 さらに、「同一人の供述内容が変遷していること」については、それが「違法な捜査方法を推認する」ものとはならず、捜査官による脅迫と誘導の結果を「捜査官による説得」などと、黒を白と言いくるめるやり方で完全に開き直っている。
 東京高裁は、真っ当に審理すれば到底維持することが困難な「共犯者供述」に関する証拠調べを突如打ち切って結審させた。そして、相矛盾する「共犯者供述」の都合の良いところだけを得手勝手につまみ食いし、懲役20年の東京地裁判決を破棄して無期懲役を宣告したのだ。この判決を下した草場良八裁判長は、この判決を手土産にして最高裁に「栄転」し、後に長官に昇進している。まったく許せない。

 特別抗告棄却弾劾する

 今年7月14日の最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)による特別抗告棄却決定は、この不当な東京高裁判決を何がなんでも維持するための政治判決である。
 革共同は腹の底からの怒りを込めて弾劾する。そして、このような理不尽な政治裁判で星野同志を獄中に34年間も閉じ込めている国家権力を、労働者階級の怒りで打倒することを宣言する。
 無実を獄中から34年間不屈に訴え続けている星野同志の闘いは、今や「生きさせろ」と叫んで労働組合に結集し、自らの力で労働組合をつくり闘いを開始している青年労働者や、「監獄大学」化する大学と不屈に闘う学生とストレートに結合を開始している。
 100年に一度の歴史的事態といわれている金融大恐慌が全世界を覆っている今、「ウォール街の資本家どもを刑務所にたたき込め」と全世界でデモ、ストライキに立ち上がっている労働者階級の闘いと、星野同志の不屈の闘いとがひとつのものになる時代が始まっているのだ。

 沖縄と連帯し渋谷闘争

 この星野同志の不屈で非妥協の闘いは、最初から今日に至るまで労働者階級の解放をかけたプロレタリア革命そのものとしてある。
 1971年11月、沖縄100万の労働者人民は、日本帝国主義のペテン的沖縄返還政策に反対して、文字どおりの島ぐるみの決起で全島ゼネストを闘いぬいた。
 11月14日、この沖縄の闘いと一体のものとして渋谷暴動闘争に決起した青年労働者・学生は、全国から続々と結集し、戦闘的デモを闘いぬいた。
 星野同志の率いるデモ隊は途中で阻止する機動隊を撃破して見事に代々木八幡駅から渋谷の街に突入し、労働者人民と合流して渋谷暴動闘争を実現したのだ。
 この過程で一人の機動隊員が死亡するという決定的な敗北を喫した日帝・国家権力は、デモ隊のリーダーであった星野同志に「殺人罪」をデッチあげ、「無期懲役刑」の判決(1987年7月24日上告棄却−無期懲役確定)を下すという報復を行った。
 星野同志と家族・弁護団は、1996年4月17日、再審請求書を東京高等裁判所に提出した。この第1次再審請求が今年7月14日に特別抗告棄却決定をもって棄却されたのである。
 だが、星野同志は「真実は、われわれの側にあります。われわれが目指すものの大きさを権力が圧殺しようとするのは無理です。われわれの目指すものの『大きさ』と『正しさ』、その二つで再審実現を目指してたたかいます」と、直ちにメッセージを発している。
 星野同志とともに闘いぬいた70年安保・沖縄闘争は、「世界とアジアと日本の総体の根底的変革にむかっての巨大な歴史的選択の第一歩」(本多延嘉著作選第4巻190n)としてあったことを今あらためて明確にしよう。
 金融大恐慌は日に日に深度を深め、今や実体経済にも全面的に波及し、資本主義・帝国主義は中心部から崩壊を開始している。今や全体制が根底から揺らぎ、労働者階級の怒りと社会変革への熱烈な希求が広範に沸き起こっている。プロレタリア革命の現実性がついに姿を現したのだ。
 この闘いの中にこそ星野同志の奪還の現実性が明々と照らし出されている。星野同志奪還の闘いと労働者の団結の闘いはひとつのものである。
 11月29日、東京・四谷区民ホールに総結集しよう。

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週刊『前進』(2366号7面1)(2008/11/03 )

 さあ裁判員制度は廃止だ!

 11月全国一斉行動へ

 対談 佐藤和利弁護士 高島章弁護士

 治安と戦争へ国民動員狙う 佐藤

 高島 権力の一翼担えということ

写真左 佐藤和利さん 1949年生まれ 28期 東京弁護士会 裁判員制度はいらない!大運動・事務局長
写真右 高島 章さん 1962年生まれ 45期 新潟県弁護士会 新潟水俣病患者の賠償請求や富山大学ビラまき弾圧裁判の弁護団

裁判員制度を廃止する時が来た。最高裁は、裁判員候補者に通知書の送付を今月末から始める。だが、裁判員制度反対の労働者民衆の声は増すばかりだ。絶対廃止できる――「裁判員制度はいらない!大運動」は11月一斉行動を全国に呼びかけている。中心で闘う佐藤和利弁護士と高島章弁護士に、制度廃止へ意気込みを語ってもらった。(聞き手・編集局)

 廃止訴え11・22に集会・デモ 佐藤

――11月、裁判員候補者名簿に載ったという通知が始まります。「裁判員制度はいらない!大運動」は11月一斉行動を呼びかけていますね。
 佐藤 全国でいろいろな層の方がいろいろな形で取り組んでいます。ホームページやビラを見て私たちの事務所に連絡してきて、自分たちで企画するのが、この運動の特徴です。講演・学習会の依頼は多い。労働組合で昼休みの休憩時間を利用した学習会に呼ばれました。町内会でもやりました。
 街頭でビラをまいていますが、いろいろな方が怒っている。群馬や相模原のシール投票でも明確に反対の方が圧倒的に多い。事務所にも毎日電話がある。「裁判員は絶対にやらない」「力を合わせたい」。怒り、怒りです。裁判員制度廃止のチャンスです。11月一斉行動は全国約20カ所でやります。
 1500人が結集した6月13日の集会に続く大行動は、11月22日の東京大行動です。今回は集会後、銀座デモをやります。絶対廃止をデモでアピールすることに力点をおいています。
 高島 新潟でも11月29日にデモをやります。新潟は検察庁と地裁の間がちょうど繁華街なんですよ。東京でいうと新宿に相当する道を歩く。シュプレヒコールを裁判所と検察庁の前でやろうと思っています。
――裁判員の選定ですが、第1段階では裁判員候補者に選ばれると今年11月28日からその通知と調査票が最高裁から送られてきます。「親展」「重要」などという赤スタンプが押されたまさに最高裁発の赤紙です。第2段階では、裁判の6週間前に、事件ごとにくじで選ばれた裁判員候補者約50人に質問票と呼出状が届き裁判所に招集されます。第3段階では、裁判当日に選任手続きを経て6人の裁判員が選ばれることになります。
 佐藤 今年12月、裁判員候補者名簿搭載の通知が届いたら、とにかく「大運動」の事務局に知らせてほしい。勝手に候補者にしてしまったことへの抗議の意志表示を運動体としてまとめてやります。
――調査票提出を拒否したら罰則はありますか?
 佐藤 この段階ではないんですよ。何もありません。

 実施が迫っても8割が反対 高島

――裁判員裁判は、具体的にはどんなものになるのですか。
 佐藤 裁判開始6週間前になると、質問票と同時に裁判所に来てくれと呼び出しがかかる。そこで裁判官から、裁判当日3日間から4日間空けろと言われる。
 裁判初日の午前中、面談で裁判員になるかどうかということを聞かれ、午後には裁判が始まってしまう。次の日の丸1日と3日目の午前中審議して、午後は評議。有罪か無罪か。量刑をどうするか。死刑か無期懲役か。重罰事件対象の裁判ですから。結局、正味2日間の審議です。
 公判前整理手続きというのがありまして、裁判官、検察官、弁護士で争点を決め、法廷で調べる証拠も証人も決めてしまいます。それで判断せよと。テレビドラマで判断するようなものじゃないですか。
 高島 裁判員裁判はまさに3日間の儀式になるということです。公判前整理手続きの後に、公判で新たに証拠を出すことはできません。裁判というのは、例えば、ある証人が法廷でしゃべったことがウソじゃないか、と後になって調べて分かることもあるわけです。でもそういった証拠は出せなくなるんです。
 あと根本的に言うならば、一つは被告人が裁判員裁判を選択するかどうかの辞退権がない、もう一つは裁判員にも辞退権がない、とんでもない制度だということです。 
――裁判員制度をめぐる情勢は激しく動いていますね。
 佐藤 9月末ごろから制度推進派が激しいキャンペーンに入っています。法曹三者(裁判所、検察庁、日弁連)です。最高裁は宣伝費用に何十億円もかけてテレビ宣伝すると言っている。最高裁長官には裁判員制度推進の竹崎氏が就任する。竹崎氏は最高裁判事ではなく高裁長官なのですが、いきなり現役最高裁判事14人抜きの異例の人事です。日弁連の宮崎会長は、10月22日の日弁連代議員会で「日弁連として全政党に実施を遅らせないようにと回ってきた」と。その前も検事総長が経団連の御手洗会長と会ったりしている。この間、すごい動きですよ。
 高島 推進派は相当、危機感をもっていますね。総選挙にも影響が出てくる。来年5月21日の実施まであと7カ月を切ったにもかかわらず国民の8割以上が反対しているわけですから。
――政党の動向はどうですか。
 高島 政党は国会の全会一致で裁判員制度導入に賛成しました。いわゆる革新勢力と言われる人たちが裁判員制度に賛成したのは、官僚司法の打破、司法の民主化、冤罪防止という非常に口当たりのいい錦の御旗に巻き込まれた。全会一致というのは、要するに、よく議論しなかったということです。それでここ1年くらいで「なんでこんな悪法を通してしまったのだろう」と議員が驚いているわけです。
 裁判員制度をテーマにした「朝まで生テレビ」(6月放映)で福島瑞穂社民党党首が出演して(高島弁護士も出演)、矛盾を追及され、党内一致もないままその場で「制度を見直す」と表明するほどでした。それで8月に公式に社民党も共産党も制度延期を表明した。
 佐藤 それもこの9月でまた変わった。日弁連、連合、経団連、最高検などの圧力でしょう。
 司法の民主化と言われていますが、一番大事なことは被告人の防御権を制度的に保障しながら真実を明らかにすることです。「殺せ、殺せ」と、時代の気分で死刑判決を出すことじゃない。裁判員制度は9人のうち5人が「死刑」と言えば、死刑が決まる。多数決で魔女裁判になっちゃう。

 労働者と一緒に戦争阻止へ 佐藤

――裁判員制度導入の狙いは何ですか。
 高島 ひとつのキーワードは権力側、推進側が言うところの「統治主体意識」なる概念でしょう。要するに国家権力の一翼を担えということです。その点において徴兵制と一緒です。徴兵制と裁判員の共通点は、ひとつは国家権力の一翼を担わされるということ。その「神聖なる義務」と「光栄ある権利」を人民、国民に負担してもらう。二つ目は、国家権力の本質は暴力だということです。暴力の最たるものは、人殺しです。兵隊は人を殺すが、裁判員も人殺しをすると。国家権力の一番えぐいところを人民に担わせる。三つ目は殺されるかもしれない、ということです。兵隊は弾に当たって殺されますが、裁判員だって社会的な死がありえます。たとえばの話、証拠調べで悲惨な死体写真を見せられる。自分は無罪という意見を主張したのに多数決で死刑判決を言い渡す。そういった裁判の秘密を一生抱える。PTSD(心的外傷後ストレス障害)で裁判員は精神的社会的な死を迎えるかも知れない。結局、両者に共通しているものは、「お前たちは国家の一翼を担って奉仕しろ。その経験を生かして忠良なる国民になれ」ってことです。
 佐藤 私もまったく同じ意見です。滅私奉公なんですよ。今イラクに送られたアメリカの兵士は8割が戦場で銃を撃てない。日本の8割の人が、裁判員になって人を裁きたくない、と言っています。同じなんですよね。同じ人間同士なのに「殺す側」と「殺される側」に対立し、死刑台に送る、懲役に送る。本当に悪いことをしたかどうか分からない人間を裁くことはできない。
 じゃあアメリカはどうするかというと、2カ月間、徹底的に「KILL、KILL」と言いながら人を殺す訓練をして戦争マシーンに仕立て上げるんです。そうしてイラクへ行って1人殺すうちに、平気で何人も殺せるようになっちゃうんです。帰ってくるとPTSDで心に傷を負って、2人に1人は社会復帰できない。裁判員をやった後、一生悩みますよね。たとえば、死刑判決のあとに無実の証拠が出てきたら。
 高島 プロの検察官の話を聞いたら、夜中にがばっと飛び起きるんだそうですよ。天井を見ると死体の写真が映っているんです。それが3年間続いたそうです、プロの検事でも。そういう過酷な義務を裁判員は負わされます。
――裁判員制度が導入される時代背景と、また改憲攻撃との関係はどうですか。
 佐藤 中曽根首相が行政改革として国鉄分割・民営化を始めた時からの新自由主義政策の一環です。そして小泉が、その改革の最後の要として裁判員制度を柱とする司法改革を国家戦略として推し進めた。結局、教育、医療、福祉、ありとあらゆる国家の事業を民営化して効率化していく。アメリカなんかひどいですものね。医療費が高くて医療が受けられない。大企業は優遇税制にし、命や教育をビジネスにしています。兵隊は政府の兵隊より傭兵の方が多いぐらい。日本も一緒です、非正規労働で。
 まさに若者を搾取、収奪して貧困化し、これに対して若者の間から「生きさせろ!」という叫びが上げられる時代。そういった社会矛盾が広がることを想定して、政府は司法、治安が国家の最後の要だと位置づけたのです。だからそれを強化する。警察とか軍隊だけではまかないきれないから、国民自身によって治安を強化させる。それが裁判員制度だと、私は思います。
 小泉が引退し、安倍も福田も政権を投げ出した。もう1年間に二つの政権が投げ出された。新自由主義は破綻したじゃないですか。支配階級は市場、資源を取り合うために戦争に突き進むしかない。そのための裁判員制度だと。僕はこのように大きく見ないといけないと思います。まさに徴兵制、滅私奉公、国民が国民を隣組で監視し合うことをもう一度やらせる。憲法「改正」の先どりなんです。僕らは労働者と一緒に闘って、これをやめさせる。それ自体が戦争阻止の闘いだと思っています。
 だから裁判員制度は、延期論や見直し論で問題を解決できるような代物ではない。制度を廃止するしかありません。
 高島 改憲についてですが、10月に富山で行われた日弁連人権大会に行って来ました。そこでは結局、護憲の「ご」の字も言わない、改憲阻止の「そ」の字も言わない、9条2項の「に」の字も言わない。要するに「改憲の是非について、国民に情報を提供することが大事だ」と言っているだけでした。極右の弁護士が日弁連の決議に賛成していることに、決議の本質が示されています。

 青年弁護士や学生とともに 高島

――弁護士界でも新自由主義攻撃の矛盾が噴出していますね。
高島 新自由主義の流れの中に司法改革がありますが、法曹増員3千人体制が大きな問題としてあります。これは本当に弁護士つぶしです。昔は貧乏人でも弁護士になれた。僕も貧乏階層の出身でしたが、両親が学費を捻出(ねんしゅつ)したり、自分もアルバイトしたりして、なんとか司法試験に合格しました。受験生仲間では、成田で援農をやっていたとか、暴走族出身で少年院に入っていたとか、在日朝鮮・韓国人の子どもとかそういう連中がたくさんいましたね。そういう人が弁護士になって活躍しています。でも今は法科大学院に行かないとなれない。大学院に行けるのは富裕層です。富裕層しか弁護士になれない。これから一層、階層の固定化が進んできますよね。
それに弁護士内部でも格差が生じている。若手弁護士も国選弁護の仕事をもらうために列に並んでいる現状もあります。
佐藤 たとえば、「弁護士って特権階級だから、増員反対と言ったら国民から支持されない」といまだに言っている人もいるけれども、全然、特権階級なんかじゃない。現実に、今年400名ぐらいの新しい弁護士が就職できなくて弁護士会の会費も払えない。会費は月5万円とか7万円ですから、それに対して収入は国選やっても多くて月10万円ぐらいにしかならない。それで会費を払ったらほとんど何も残らない。そういった弁護士が今年だけでも400名ぐらいは最低出るし、来年は700名とか、もっと増えていくでしょう。
そういう状況で人権活動とか、まともな弁護士活動をやれるわけがない。自分が食べることに精一杯で、カップヌードルしか食べられないような。そういう話を公の席で若手の人から聞いています。
高島 司法試験に受かり、研修所を卒業して弁護士会に入会資格のある人が、時給1000円とか1500円で事務員として雇ってくれと言っている。それほどの状況です。
佐藤 若手弁護士の怒りが爆発しています。“生きさせろ”という怒りは、青年労働者と一緒ですよ。「弁護士は特権階級だ」なんて、とんでもない。
――今年2月の日弁連会長選挙では司法改革絶対反対・改憲阻止の高山俊吉弁護士が多くの支持を集め、勝利に迫りました。闘う日弁連の再生も始まっていますね。団結して闘えば勝てる情勢だと思います。裁判員制度廃止の展望をお願いします。
高島 裁判員制度に反対している弁護士はたくさんいます。弁護士の中で9割はいると見ています。ただ、それを言えないだけだと思います。
「弁護士として食わせろ」と特に若手弁護士から声が上がっています。司法改革に大いに異論を持っている弁護士は多いんです。日弁連会長選挙では、新潟では50対49の1票差まで高山さんが迫ったんですけど、それぐらい地殻変動が起きている。情勢が変わっているんです。
要するに政治的な右左では、もはや語れなくなっている。社民党、共産党の既成左翼系の弁護士は司法改革推進の日弁連執行部に逆らえない。20年以上やって来たいわゆる「人権派」の弁護士はなんらかの形で執行部を支えてきたんです。逆に、保守派と言われている人、それから派閥のしがらみもない若手が「俺たちの生活を守ってくれ」と高山さんを支持しています。そういう意味で、再来年、逆転の目は十分にあります。
佐藤 闘う日弁連の再生と、労働者との連帯ですよね。その意味で僕は11・2労働者集会がとても大事だと思います。弁護士自身が労働者に励まされて、一緒に闘うようになっていくことです。弁護士は、労働者と一緒にこの世の中を変える気概を持たないといけない。一緒にデモとストライキで、“自分たちが社会の主人公だ”という時代をつくりたいですね。
――高島先生は富山大学ビラまき弾圧の弁護団もやっていらっしゃいますね。
高島 学生の皆さんはみな元気ですね。今の学生運動について、イメージが変わりました。1年生、2年生の19歳〜21歳が主体ですよ。僕は今46歳ですが、自分の子どもらの世代が元気よくやっているんですね。悲壮感がないんです。
佐藤 法大もそうだと、みんな言っています。
高島 法廷内の闘争はすごいですよ。裁判長は退廷命令の連発ですけど。いやあ、元気が出ますね。楽しくやっています。
――労働者・学生と弁護士が団結して、裁判員制度廃止に向けて11月一斉行動を闘いましょう。ありがとうございました。
(写真 東京・日比谷公会堂に全国から1500人が結集して開かれた6月13日の「裁判員制度はいらない!」全国集会)

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 裁判員制度

 裁判員は有権者からくじ引きで選ばれる。刑事裁判において6人の裁判員と3人の裁判官が評議し、有罪・無罪ばかりではなく刑の重さも決める。刑法など法律上に刑罰として死刑、無期が入っているような重大事件が対象。
 評決は多数決のため、9人中無罪を主張する人が4人いても有罪になる。
 密室で行われる「公判前整理手続き」によって公判の内容や進行はすべて決められ、ほとんどの事件が3日間くらいの法廷審理で終わる。迅速・重罪の裁判。被告は「裁判を受ける権利」を著しく侵害される。
 また、裁判員は原則として辞退できず、参加を強制される。評議内容を外部にもらしたり、出頭しなかったりすると罰せられる。
 裁判員制度実施は来年5月21日から予定。対象事件は年間約3000件と推測されている。対象事件のうち5月21日以降に被告が起訴された事件に適用される。

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