ZENSHIN 2007/10/01(No2313 p08)

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週刊『前進』(2313号1面1)(2007/10/01 )

 プロレタリア革命へ福田政権を倒せ

 労働者こそが権力とる時だ

 9・29ワーカーズアクションin池袋 熱気のデモ 沖縄と連帯

9・29ワーカーズアクションin池袋 熱気のデモ 沖縄と連帯

 9月29日に行われたワーカーズアクションin池袋は、青年・学生を先頭に810人が参加して大成功した。同日、沖縄で72年ペテン的「返還」以来最大の12万人が参加して行われた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」と固く連帯して打ちぬかれた行動だ。日本労働運動を塗り替える闘いが始まった。次は11・4労働者総決起集会だ。あと1カ月、1万人の労働者の結集のために、職場で地域で労働者を全力で組織しよう。

 “11・4大結集で革命やろう”

 池袋の街が解放区となった! 9月29日、ワーカーズアクションin池袋は、豊島公会堂で行われた集会の後、青年や学生でにぎわう池袋の街に飛び出した。デモの先頭は「11・4全国労働者総決起集会へ。1万人の大結集で革命やろう!」と大書した横断幕だ。
 青年が先頭に立つデモ隊列のエネルギッシュな呼びかけに、沿道はものすごい注目だ。集まってくる青年や学生たちはみな笑顔、笑顔。沿道から飛び入りして「11・4集会に参加します」と言う人も次々現れた。
 デモの途中で右翼の宣伝カーが突っ込んできた。右翼は階級的労働運動の登場を心底恐れているのだ。妨害を打ち破ってデモをやりぬいた。
 午後1時半から行われた集会も、若いエネルギーが全体を牽引(けんいん)した。合同労組の女性労働者が開会あいさつを行い、「怒りを思いっきり爆発させて、11月4日の1万人集会につなげていこう。沖縄の仲間とともに闘う集会にしよう」と呼びかけた。

 田中動労千葉委員長が檄

 動労千葉の田中康宏委員長が檄(げき)を飛ばした。「労働者の怒りがあふれている。闘う労働組合が歴史の最前線に登場する時だ。11月4日に1万人の労働者が集まることが社会全体を揺り動かす力になる。11・4集会の主催者はここにいるみなさん。誇りを持って『自分はこんなにすごい集会をやっているんだ』と呼びかけ組織しよう」
 三里塚芝山連合空港反対同盟から鈴木謙太郎さんと伊藤信晴さんが発言した。鈴木さんは「農家が生活していけない現実と若い労働者が食えない現実の根っこはひとつ。労働者と農民がともに闘おう。10・7三里塚集会に参加を」、伊藤さんは「私たちの闘いは支配者・国家権力の首根っこを握っている。三里塚農民は全国の農民の先頭に立って闘う」と訴えた。
 沖縄高教組の松田寛委員長のメッセージが代読され、さらに「本土―沖縄の労働者は団結しよう! 革命をやろう! 9・29ワーカーズアクションin池袋」アピールが提案・採択された。
 「日の丸・君が代」不起立で闘う東京の教育労働者は「私たちは来春、根津さんとともに不起立を貫きます」と書いた横断幕を掲げて登壇。「安倍の次は石原を倒そう」と切り出し、「『不起立で解雇』の暴挙に対して不起立を拡大して闘う団結をつくり出す。11・4集会に教育労働者の参加をかちとることにこそ展望がある」と訴えた。
 基調報告は全逓労働者だ。「労働者の反撃のチャンスが来た。支配能力を失った支配者どもよ、労働者に権力をよこせ! 10・1郵政民営化を前に、全逓労働者の反撃のチャンスが到来した。ここで一歩を踏み出そうと超勤拒否闘争に立った。革命派につくのか体制内派につくのか、じっと見ている仲間がいる。11・4に1万人を集めたら6000万労働者の怒りに火がつく。残り1カ月、1万人結集へ全力疾走しよう」。力強い訴えに大きな拍手がわいた。
 法大生6人が登壇し発言。「当局と闘わない学生団体執行部を打ち倒すためにも、新井さん・友部さんが必要」「学生会館に代わって建った施設の部屋は監視カメラが仕掛けられ、ガラス張りで外からも丸見え。当局を打倒し、法政大学を学生の手に取り戻す」
 全学連の織田陽介委員長は「処分は当局の敗北宣言。われわれは日々、法大闘争に勝利している。安倍を倒した俺たちが『俺たちに権力よこせ』と言うのは当然。11月4日、1万人を実現しよう」と呼びかけた。
 最後は、青年労働者の決意表明だ。「青年は生きるための闘いを求めている。自分の人生のことを誰かに任せたりはしない。労働者としての誇りを取り戻し闘おう」(合同労組組合員)
(写真 最高の盛り上がりで集会をかちとり“団結がんばろう”【豊島公会堂】)

 青年の発言に会場わき返る

 「極限的な人員削減で心を病んで退職に追い込まれ、自ら死を選んでしまう仲間もいる。なのに立ち上がった組合員を恫喝して闘いを押しつぶす組合執行部は許せない。ゴミ箱、牢屋に行くのは舛添、お前だ。自民党の政治家どもだ」(自治労組合員)
 「11・4集会の成功のカギを握っているのは、教労、国鉄、全逓、自治体の4大産別の労働者の結集だ。職場で闘いを巻き起こし、1万人結集へ突き進もう」(9・29集会実行委員会の青年)
 「動労千葉のように闘うことこそ唯一の展望。職場で闘いを起こし、既成の労組幹部をぶっ飛ばす闘いを11・4で実現しよう」(自治労組合員)
 「職場で処分を辞さない闘いを起こそう。『動労千葉のように』をスローガンで終わらせず、職場の闘争方針にしよう。本番は11・4労働者集会。自分でビラをつくり職場の仲間とともに大挙集まろう」(医療労働者のまとめと行動提起)
 途中で「教科書検定意見撤回を求める県民大会」会場の宜野湾市海浜公園からの電話メッセージを受け、12万人の沖縄県民の怒りと一緒に闘いぬいた1日だった。
 熱気に満ちた集会で11・4へ決意を打ち固めて、デモに飛び出した。

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超勤拒否で郵政民営化ぶっ飛ばすぞ! 民営化強行を目前にした9月28日、全逓・郵政労働者総決起集会が東京で130人を結集してかちとられた。参加者はデモで水道橋の全逓本部に怒りをたたきつけ、民営化粉砕、11・4労働者集会1万人結集を誓った(詳報次号)

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週刊『前進』(2313号1面2)(2007/10/01 )

 福田政権と自民党支配の末期

 海自インド洋派兵継続阻止へ

 自民党総裁選の結果を受けて9月25日、福田康夫を首相とする新政権が発足した。労働者と農民の怒りで打倒された安倍政権に代わって、深まる日帝政治支配の危機を必死にのりきろうとして登場してきた政権だ。
 だがこの新政権には、もはやなんの未来もない。誕生した瞬間から、すでにその破産が宣告されてしまっている。
 なぜなら小泉と安倍が推し進めてきた戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃をあくまで貫く以外に、日帝が帝国主義として生き延びる道はない。すなわち福田にとって他の選択肢は存在しない。しかしそれは労働者階級の怒りと反乱をさらに決定的に引き出すものとなる。この革命的情勢の急接近に対する日帝支配階級の深刻な恐怖が、福田政権をとらえて離さないのだ。福田はその中であがきにあがき、そのことによって一層の階級的激突情勢を引き寄せてくる以外にないのである。
 実際に、福田新政権の陣容を見れば、福田が小泉と安倍の路線を引き継ぐことを使命としているのは明白だ。
 安倍改造内閣の閣僚17人中15人が再任・残留した。前外相の町村信孝を官房長官にし、前防衛相の高村正彦を外相に横滑りさせた。後任の防衛大臣には元防衛庁長官の石破茂を起用。自民党幹事長には前文科相の伊吹文明が就任した。安倍が「教育再生」担当の首相補佐官に任命した山谷えり子も再任された。これらの面々はみな、安倍とともに「戦後レジームからの脱却」を掲げて改憲攻撃に突進してきた連中だ。むしろ安倍政権以上の極右国家主義者の政権とも言える。
 さらに福田は、小泉政権の官房長官として、小泉の構造改革攻撃やイラク派兵を先頭に立って推し進めてきた張本人だ。記者会見で福田は、自己の内閣を「一歩間違えれば自民党が政権を失う『背水の陣』内閣」と名付け、他方で小泉・安倍がつくった官邸主導の仕組みを「フルに使わせていただく」と言明した。改憲攻撃、民営化攻撃を始めとして、労働者階級への階級戦争にこれまで以上に背水の陣で打って出ることの宣言だ。
 とりわけ11月1日に期限切れを迎える対テロ特措法は、福田の政治生命を決する大問題である。海上自衛隊によるインド洋での給油活動は実際には、米軍のイラク侵略戦争を支える不可欠の柱となっている。その中断・撤収は日米安保体制を崩壊の危機にたたき込むものだ。どんづまりの危機に立たされた日帝は、現行法の期限切れがもはや不可避となる中で、新法の制定による給油継続を必死に策動している。10月中旬にも国会に提出するとしているが、早期成立の見通しなどまったくない。これを粉砕するなら、日帝・福田が絶望的に追いつめられていくのは必至である。
 福田を安倍以上に無残な結末にたたき込むために、11・4労働者集会の大結集へ全力で闘おう。

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週刊『前進』(2313号1面4)(2007/10/01 )

 日程 10・7全国総決起集会

 暫定滑走路北延伸阻止 市東さんの農地を守ろう
 憲法改悪絶対反対 成田を軍事基地にするな
 10・7全国総決起集会
 10月7日(日)正午
 成田市東峰 反対同盟員所有地
 行き方 成田駅からタクシーで「東峰十字路」まで2000円車は成田インターからR295→小見川県道→東峰十字路
 主催 三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2313号2面1)(2007/10/01 )

 11・4日比谷1万人結集で反撃の火柱うち立てよう

 労働組合こそ時代の最前線に

 改憲と戦争と貧困ぶっとばせ

 対談 田中動労千葉委員長×辻川全国労組交流センター代表運営委員

 

11・4労働者集会まで残り1カ月となった。労働者階級の未来を決する決戦として、なんとしても1万人の結集を実現しよう。1万人を結集した時、切り開かれる巨大な展望と、その実現のための課題について、動労千葉の田中康宏委員長と全国労働組合交流センターの辻川慎一代表運営委員に語っていただいた。(聞き手は編集局)

辻川慎一さん

1957年生 86年11月に動労水戸を結成し委員長に。04年、茨城県地域連帯労組委員長に就任。全国労働組合交流センター事務局長を経て、現在、全国労働組合交流センター代表運営委員、動労水戸副委員長、茨城県地域連帯労組委員長。

田中康宏さん

1955年生 国鉄分割・民営化に反対して闘われた85年11月の動労千葉ストライキを理由に公労法解雇。動労千葉本部青年部長、本部書記長などを経て、01年10月から動労千葉本部委員長。

 巨大な社会変革の時代が始まった

 労働者の団結こそ時代動かす 田中

――大激動の中での11月集会になりました。
 田中 11・4集会に向けて何よりも訴えたいことは、労働組合がいよいよ時代の最前線に登場すべき時代が来た、ということです。
 1955年以来の自民党支配が崩壊しようとしている。安倍政権の崩壊が示したものは、日本の資本主義体制の完全な末期症状であり、巨大な社会変革の時代が始まろうとしていることです。
 辻川 安倍政権というだけじゃなくて小泉―安倍が打倒された。小泉―安倍政権の攻撃は、例えば「地方切り捨て」と言われるけれど完全に「破壊」ですよ。雇用破壊、賃金破壊、地方破壊、農業破壊、教育破壊、医療破壊。これに対する怒りが、自民党を歴史的大敗に追い込んだ。それで安倍が政権を投げ出し、自らボロボロになって倒れた。この情勢の中で11・4集会に1万人が結集する意味は本当に大きい。
 田中 これまでわれわれを支配してきた連中が崩れ落ちようとしている。たとえ民主党政権になったとしても何も変わらない。時代を動かすのは労働者の団結した力以外にない。その名乗りを上げるのが、11・4集会への1万人結集です。
 辻川 福田政権がどうなろうと、時代はさらに激動過程に入っていく。もはや支配階級が労働者階級の怒りを抑え込むことなんかできない。階級対立がよりむき出しになり、参院選でも資本主義を改良しようなんていう勢力は全部凋落(ちょうらく)した。労働者階級人民が生き抜くためには、資本主義を打倒する新たな創造的運動が求められている。ここ2〜3年の改憲をめぐる攻防も階級と階級の全面衝突とならざるをえない。いよいよ1947年2・1ゼネストの挫折をのりこえる時が来た。
 田中 アメリカのサブプライムローン(低所得者向け高金利住宅ローン)問題が示したものも、帝国主義の朽ち果てた姿です。基軸帝国主義であるアメリカが、低所得者に高金利で住宅ローンを貸し付けて、しかもそれを、総額数兆円という担保証券にして世界中に売りさばくなんてやり方でしか成り立たなくなっている。今やそれが巨大な信用収縮を引き起こし、ドル暴落と世界恐慌が始まったと言ってもいい事態になっている。アメリカでは、07年に200万軒の住宅が差し押さえられ、家族ぐるみで路頭にたたき出されようとしている。5千万人が健康保険もなく病院にも行けない。労働者を貧困にたたき込んでイラク戦争に動員している。本当に腐りきっている。
 辻川 「いったいこの社会は何なのか」「こんな腐りきった世の中、ひっくり返して当然だ!」――そういうことをストレートに職場の仲間に訴えてほしい。「時代が根底から動こうとしている」という感覚で11・4までの残り1カ月を闘い抜くことが重要です。
 田中 世界を見れば、アメリカでは「ネクスト・アップサージ」(第2の高揚、第2の津波)と言われる、1930年代以来の労働運動の高揚が始まっています。06年のメーデーには、移民労働者を先頭に1千万人が立ち上がった。ランク・アンド・ファイル(現場労働者)から、まったく新しい闘いが始まっている。彼らもAFL―CIO(米労働総同盟・産業別組合会議)のような既成指導部と衝突し、その制動を突き破って壮大な闘いをこじ開けている。
 辻川 9月24日にはGM(ゼネラル・モーターズ)で労働協約改訂交渉が決裂し、全工場でストライキに入っている。
 田中 だけど、つくづく「安倍は本当に最低のやつだ」と思ったよね。たまには「敵ながらあっぱれ」みたいなのがいるけど、そういう部分がゼロ。これだけ労働者を貧困にたたき込み、教育基本法を改悪し、憲法改悪に突き進もうとしてきたのに、自分がしてきたことを自分でまったくわかっていない。ウルトラ国家主義者にもかかわらず、戦後的なあり方から脱却できていなかった。
 辻川 もはや支配階級にはこんなやつしかいない、「労働者に権力をよこせ」という話ですよ。
 古いものが全部崩れ落ち、そこから新しいものを生み出せるかどうか。われわれの運動だって、これまでの価値観、ものの見方、発想は全部通用しない時代に来ている。
 田中 僕らが11月集会で訴えていることは、簡単に言えば「こんな世の中、根本的に間違っている」「俺たちが社会の主人公だ」「労働者の団結した力でそれを示そう」ということです。今年の11・4労働者集会は「改憲・戦争・貧困・格差社会をぶっとばせ!」と打ち出した。これまでは、なんとか真面目にやっていれば食ってはいけた。だけど、そういうことがみんな否定された中で、反撃の火の手がいたる所から上がり始めている。その怒りを一つに結集しようということです。
 辻川 こういう中で青年労働者たちが、イラク開戦4周年の3・18集会で「労働運動の力で革命やろう」と呼びかけた。しかも、やるたびに求心力を高め、仲間を増やしている。今や全労働者の3割が不安定雇用、派遣労働者は二つも三つも仕事をかけ持ちしてピンハネされている。なぜ彼らが、ストレートに階級的な怒りを解き放ち、革命を掲げて立ち上がっているのか。彼らは、支配階級から切り捨てられ未来も希望も奪われているだけじゃない。彼らを現在のような状態に突き落とした責任の半分は、体制内労働運動にあるわけです。革命にしか展望がないんですよ。だから青年労働者が「これだ」と確信をつかみ、新たな闘いを切り開いていることは本当に決定的です。
 田中 11月労働者集会は、動労千葉が港合同、関西生コン支部と結びついて、「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と呼びかけた集会です。これは、労働者の怒りを抑え込んできた連合や全労連を現場から食い破り、本物の労働者の団結をつくろうという運動です。だから、11・4集会に1万人が大結集することが決定的な力を持ち、日本の労働運動を劇的に変える可能性を持っている。ここに確信を持ってもらいたいですね。
 辻川 危機を深める資本家どもを打ち倒すためにも、連合や全労連などの体制内労働運動の壁を今、決定的に突き破る必要がある。こいつらこそ労働者の団結を破壊し、労働者の怒りを封じ込め、資本の完全な手先になって労働者に犠牲を押しつけている。そうやってボロボロになった帝国主義の階級支配を支えている。11・4集会に労働者の怒りを総結集して、こんな腐りきった連中をぶっ飛ばす時がいよいよ来たということです。
(写真 今年4月、保護者、生徒とともに10日間のストに立ったアメリカの教育労働者。全世界で労働運動の高揚期が訪れている)

 原則貫き動労千葉のように闘おう

 胸を張って“動労千葉派”として登場しよう 辻川

 民営化攻撃と対決して勝利

 ――11・4集会に向けて、「動労千葉のように闘おう」と訴えることが大切ですね。
 辻川 自治体でも、全逓や教労でも、国鉄分割・民営化型のすさまじい攻撃がかけられている。茨城でもタクシー運転手やバスの運転手を含め、規制緩和・民営化の問題をぶち抜かないと一歩も前に進めない。こうした攻撃に対して、戦術的な対応ではまったく闘えない。階級的団結でぶっ飛ばす以外にない。
 動労千葉の中野洋前委員長が『俺たちは鉄路に生きる3』の冒頭で「われわれは国鉄分割・民営化攻撃に勝利した」と勝利宣言をしていますが、これはすごいことです。体制内的なものがすべて瓦解(がかい)する中、動労千葉だけが団結を堅持して勝ちぬいた。しかも11月集会を呼びかけて、日本の労働運動全体を変えようとしている。
 田中 僕は2001年に、中野委員長に代わって委員長になりました。率直なところ、これからは一つ間違ったら動労千葉がつぶされるという情勢だと思った。
 そういう中で01年以降のJRの攻撃を「第2の分割・民営化」と位置づけ、「反合・運転保安闘争路線の原点に立ち返ろう」と相当意識的に構え直してきた。その結果としてここ数年、予想もしない成果をかちとった。
(写真 館山運転区廃止に徹底抗議し、庁舎前で怒りのこぶしをあげる動労千葉の組合員【2月4日 館山市】)

 労働者の持つ力信じて闘う

 田中 労働者の持つ力を信じ原則を貫いて闘えば、事態は予想を超えて動く時代が来ています。
 この間の館山運転区廃止反対闘争では、地域集会が民営化反対・JR弾劾の総決起集会になり、自民党の市長が「民営化は間違っていた」と発言した。安全運転闘争では、労働者から支援の声が殺到した。時代はまったく変わっています。
 でもこれは、運転区廃止に絶対反対を貫いたから実現できたこと。尼崎事故やレール破断の現実に対して「危険個所では最高速度を落とす」という安全運転闘争を“違法争議”と言われて処分を食らいながらやりきったからできたことです。
 辻川 「反対してもどうせ廃止されるんだから、現実的な条件闘争をやろう」「処分を受けるような闘いはしない」という構えでは、こんなことは実現できない。
 田中 闘ったから団結が強まったし、組合運動が巨大な力を持つ時代に入ったことが見えた。
 国労は動労千葉と同じ攻撃を受けても、闘わないから展望も持てず、組合員に生まれるのはあきらめと負け犬根性だけ。労働組合のあり方によってまったく違うものが生まれる時代なんです。
 辻川 僕らは闘いの直接の勝敗だけで総括するのではなく、「団結が拡大・強化されることが勝利」と総括する。それが動労千葉の闘いです。そして組合員が勝利と総括できる闘いを積み重ねたら、資本との力関係は確実に変わってくる。
 さらに個別資本との闘いだけでなく、社会のあり方を変えるために闘ってこそ労働組合は勝利できる。全国の労働者、全世界の労働者と結びついて闘うことで展望は出てくる。しかも僕らはその展望を11月集会で示している。うちの組合員も11月集会に行くと「すげぇな」と感動しますよ。
 田中 動労千葉は、別に特別な労働運動をやってるわけじゃない。大事なのは、労働者が団結した時の力に根本から確信を持って闘うってこと。
 僕らはこの間の闘いで「ほんの400人程度の組合でも、本当に団結したらこれくらいのことはできる」ってことは示したつもりです。数百人や数千人規模の組合なんて無数にある。ましてや1万数千人の国労、30万日教組、100万自治労が団結を取り戻したら、どれほど巨大な力が生み出されるのかと言いたい。
 辻川 職場で胸を張って「動労千葉派」として登場しようと言いたい。
 僕は茨城地域連帯労組の委員長をしていますが、最初から「動労千葉系の組合です」と宣言する。動労千葉の権威は圧倒的だから、少人数の分会でも資本は侮れない。だから意外と苦労しないですむ(笑)。
 「動労千葉と一緒に闘うのは大変」と言う人もいますが、大半は幹部がそう思っているだけ。本気で闘おうとしている労働者は「自分たちにはこんなに力強い仲間がいる」と思うんですよ。
 「動労千葉のように闘おう」と言っても、すぐに動労千葉のように闘えるわけない。だから「動労千葉と一緒に闘おう」と正面から言おうじゃないか、と思います。

 一人の仲間が決定的な存在

 辻川 動労千葉が連合や全労連の労働組合と決定的に違うのは、「労働者の闘いの中にこそ展望がある」という階級的視点をとことんはっきりさせて闘っていること。
 しかも今、一人の決起が決定的意味を持つ時代が来ています。支配体制が安定している時は、一人の労働者の力だけでは歴史は動かないけれど、変革期には一人の決断と行動で歴史が動く。この間の青年の決起はそれを示していますよね。
 田中 先日、ある青年に「動労千葉にめぐり会えて本当によかった」と言われた。彼女は「共産党が議席を増やせば世の中は変わる」と言われて、共産党の選挙運動を一生懸命やり、本当に行き詰まりを感じていたそうです。それで「共産党は『労働者がものすごい力を持っている』なんて一言も言わなかった。それを動労千葉に教えてもらった」と。「その代わり今では『過激派』と攻撃されて、ハイリスク・ハイリターンですね」と笑っていた。そう言われて、あらためて僕らの運動の意味がわかるよね。
 辻川 僕らは悲惨な労働者を救済する運動をやるわけじゃない。一人の仲間を決定的に位置づける。確信を持てば、彼ら自身がものすごい組織力を発揮するし、仲間の組織化のやり方を知ってるんですよ。メールなんかも使ってね。僕らが「運動の仕方を教えてやる」なんてことじゃない。
 動労千葉の指導部は「労働者に信任されなければぶっ飛ばされる」という緊張感の中で闘っている。そこが既存の労組と全然違う。
 田中 僕にとってこの6年間は、なんとか悪戦苦闘しながら、三役や組合員から、本当に委員長と認められるのかどうかという6年間だった。一方的な結論の押しつけなんて、うちの組合員は絶対に認めないから。
 運転区廃止反対闘争を闘いぬいた館山支部長が、「この闘いをやってしみじみ思ったけど、当局や他労組を相手にするより自分の組合員を相手にするほうがしんどい」と言っていた。既成の労組幹部はみな、この困難に屈服していくんです。
 辻川 組合の執行部決定を一方的に垂れ流すというあり方自身、体制内的な発想。でも僕たちにも無意識にそれがある。自分の言いたいことだけ言っているとか。
 目の前の労働者を決定的存在として見られない人が「日教組をとる」「自治労をとる」と言っても、まったく成立しない。体制内労働運動との決別というのは、自分の労働者観、相手と自分との関係を根本から変えることを含んでいる。それと組合権力を握ることは完全に一体です。

 4大産別決戦を全労働者の課題に

 連合・全労連幹部との決別が必要 辻川

――11・4集会は、4大産別の労働者と青年労働者を結集させることが勝負ですね。
 田中 教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別をめぐる攻防は、日本の労働運動の今後を決する焦点です。職場で言えば学校、郵便局、役場、鉄道。これらは、戦前・戦中は支配の中枢だったところで労働組合はなかった。戦後、労組が結成され、総評労働運動の中心部隊になります。1987年の国鉄分割・民営化から20年、政府は解体しようとあらゆる攻撃をかけてきた。いま本部は総屈服しているけど、現場組合員には闘うエネルギーが圧倒的にある。
 辻川 「9割の労働者を非正規雇用に」という攻撃が95年の日経連報告から始まったけど、その最大の障害が4大産別労組の存在です。4大産別労組をめぐる攻防は、非正規雇用労働者や青年労働者も含めた全労働者にとって、とても大きい。
 田中 だからこの間、自民党が「最大の抵抗勢力は官公労」「官公労と対峙する気概が求められる」「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが参院選の争点」と騒ぎ立てているんだよね。
 辻川 労働者の怒りの的となっている年金問題について「社会保険庁の労働組合の責任だ」とすり替えようとしているのも自治労解体が狙い。政府が年金をデタラメに使ってきたことは、いつの間にかどこかに吹き飛んでしまった。ふざけんじゃねぇって話なんですよ。重要なのは、自治労本部や社保労組幹部の屈服がこんな攻撃を許しているということです。
 田中 自治労は解散へ、全逓(JPU)も全郵政との組織統合―解散の道をひた走っている。日教組、国労も同じです。こうした本部の大裏切りに対して、どの産別でも現場から激しい怒りが噴き出している。しかし、こうした怒りはまだバラバラの状態です。この怒りと闘いを一つに結集し、4大産別決戦を労働者全体の共通課題とする――それをできるのが11・4集会です。
 辻川 日教組も自治労も、幹部はみな総瓦解(がかい)状態。だけど現場組合員は違う。100万の自治労組合員や30万日教組組合員が全国で決然と反撃に立ち上がり、組織者としてぶっ立って地域の労働者を組織し始めたら日本帝国主義なんて倒せる。それほど自治労や日教組、国労や全逓という労働組合が持っている位置は大きい。
(写真 日米韓の労働者が国境を越えた団結をうち固めた昨年の11月全国労働者総決起集会【06年11月5日 東京・日比谷野外音楽堂】)

 4大産別こそ先頭で結集を

 田中 11月4日、4大産別の労働者が日比谷野音を埋め尽くすぐらい集まったら、間違いなく画期的な情勢を開ける。
 とりわけ教育労働者は重要です。7月に教育労働者が訪米してよくわかったけど、どこの国でも戦争と教育は直結しているんですよね。そして日米ともに教育労働者が戦争協力を拒否して闘い、支配の根幹を揺るがす問題になっている。
 辻川 教育基本法が改悪され、10年ごとの免許更新制導入も決まった。極限的な労働強化と締め付けで、学校現場には怒りがあふれている。その怒りが噴き出したのが「日の丸・君が代」不起立闘争。だから根底的な決起だし、政府と日教組本部を揺るがす巨大な力を持っている。
 田中 東京では根津公子さんが停職6カ月の処分を受け、「来春には解雇」と脅されても屈せず「不起立しよう。日教組を変えよう」と呼びかけています。多くの人が「根津さんを解雇させてはいけない」と言う。だけど僕は「40秒の不起立で解雇されたら世論は真っ二つだ。根津さんとともに全教育労働者が不起立闘争に立ち上がったら日教組は再生できる。最大のチャンスなんだ」と話している。根津さんの闘いが持つ可能性に確信を持とう、と。
 辻川 他方、運動の内部から「根津さんはやりすぎ」という声が出たり、裁判依存主義になったり。体制内的な発想しかできないからだよ。
 田中 でも根津さんとともに不起立を貫く教育労働者が陸続と登場したら、みんなを解雇することなんてできない。しかも、教育労働者の闘いは、9条改憲阻止の圧倒的展望を切り開きます。
 辻川 だからやはり11・4への結集が決定的です。東京の教育労働者数百人が11・4で登壇したら、世の中は変わっちゃう。日教組の「文科省とのパートナー路線」なんか吹っ飛びますよ。
 ――国鉄労働者1047名解雇撤回闘争も正念場を迎えています。
 辻川 1047名闘争は今、全労働者の心をとらえて大きく発展するチャンスを迎えている。民営化と規制緩和、貧困と格差、すべての始まりが国鉄分割・民営化ですよ。しかし20年たっても分割・民営化反対闘争が1047名の解雇撤回闘争として続いている。
 田中 にもかかわらず今、20年の闘いを収束させようとする動きがある。国労本部は11月30日に動労千葉を排除して開く4者・4団体の集会で「解雇撤回」を下ろして1047名闘争を打ち止めにしようとしている。
 動労千葉の組合員は人生をかけて分割・民営化と闘ってきた。そんな清算は絶対に許さない。
 辻川 20年間頑張ってきた国労闘争団員も「解雇撤回」を取り下げて二束三文で決着つけることなど絶対に望んでない。
 田中 でもこの間、国労闘争団の人たちと議論しても、全然かみ合わなかった。それは結局、政治解決と裁判闘争しか見てないからなんですよ。僕は「20年間、何十万人もの労働者が支援している国鉄闘争は、労働運動再生のカギを握っている。ここを軸にした闘いをつくろう」と言うんだけど、そういう展望が見えなくなっているよね。
 辻川 国労闘争団が11・4集会に「動労千葉と一緒に勝利まで闘う」と大合流したら、国労本部の闘争終結のもくろみなんか根本から崩れる。実はこのことを政府もJR資本も一番恐れてる。だから11・4に、屈服を突き破って国労闘争団の圧倒的参加をかちとることが決定的なんです。

 従来のあり方は通用しない

 辻川 政府・財界も、連合・全労連の幹部たちも、労働者を支配するすべを失い、いつ巨大な反乱が爆発するかと戦々恐々としている。だからあらゆるところから上がる闘いの火の手を、必死になってつぶして回っているんですよ。
 今、職場で青年労働者たちが11月集会派、動労千葉派として登場すると、いたるところで「過激派」宣伝や処分が乱発されています。自分たちの支配の崩壊に直結すると感じ取っているからですよ。これも、動労千葉労働運動と11月集会が持っている巨大な可能性を示している。
 田中 11・4の持つ可能性に確信を持って職場で仲間を組織するために格闘してほしい。うまくいかないことばかりでも、職場の労働者とぶつかり合いながら当局と激突する中で展望が出てくる。それが実感です。
 辻川 青年労働者は動労千葉の労働運動に触れて、ストレートに自分の職場で実践を開始した。そうやって闘いを開始した青年労働者の中から、「労働運動の力で革命をやろう」と、ちょっとびっくりするスローガンを掲げた運動が登場した。小泉の「聖域なき構造改革」に対抗する労働者階級の革命的スローガンですよ。これを青年労働者がズバリ言いきった。
 革命的な新しいものが生まれ、それが僕たちに「そんなあり方ではダメだ」と突きつけてきている。彼らの決起に真っ向から向き合うことが決定的だと思う。
 田中 他方で、僕らの中に、体制内的な発想をなかなか断ち切れない現実や、労働者の現実におもねってしまうあり方がある。
 辻川 青年労働者が「体制内労働運動との決別」を強調するのは当然なんですよ。だって、青年労働者が職場で怒りを爆発させて闘おうとすると、最大の桎梏(しっこく)になるのが連合や全労連の幹部たちなんだから。こういう体制内労働組合と闘えなければ、僕ら自身が桎梏になってしまう。
 自分たちのこれまでのあり方と本当に決別しなければならない。そういう意味では「自分の弱さを見据える強さ」が求められていると思います。
 田中 情勢は激変しているのに、僕らの意識が旧態依然では勝負にならない。攻撃の激しさに負けて、困難の中にある可能性が見えなくなるってことだと思うんだよね。
 労働者が置かれている現状は、表面だけ見たらどこでも困難のかたまりですよ。だけどその攻撃の激しさの中に、実は決定的チャンスがある。動労千葉はよく「敵の攻撃の激しさの中にある危機、弱点を見抜く」と言います。この視点を貫けるか。それは実は、自分自身が本当に労働者の決起に確信を持っているのかってことと一体です。
 辻川 では何に依拠してそれをぶち破るのか。「こんな現実をぶち破ってやる」という、労働者の根底的な怒りです。
 田中 尼崎事故の後、「日刊動労千葉」で出した弾劾声明に対し、前副委員長の布施さんに「腹の底からの怒りが感じられない」とガンガン批判されたことがある。「仲間が事故で殺されたことにお前自身が怒っているのか」と。
 教育労働者だって社会保険庁の労働者だって、まったく理不尽なバッシングに血相を変えて怒って初めて、仲間は組織できる。自分自身が怒りの火の玉となって職場の仲間に訴えよう。そういう根底的な怒りを、11・4日比谷に集めようじゃないですか。

 1万人が結集すれば労働運動は激変する

 全国に闘う労働組合の共同センターを 田中

 田中 今年の11・4集会は、歴史の歯車が音を立てて動き出している中での集会です。1万人の労働者の力で、日本の労働運動を変えようじゃないですか。
 11・4に来れば、団結することの素晴らしさ、闘う労働組合の素晴らしさを感じてもらえると思う。だまされたと思ってもいいから来てほしいよね。人生観が変わるかもしれない。労働者である自分が持っている可能性に気がつくと思う。
 辻川 みんな労働運動なんて、あまり魅力あるもんだと思ってない。「労働運動って面白そうだな」「やってみたい」と感じてほしい。「11月集会に来て、労働運動をやる気になったよ」という労働者をいっぱい生み出したいですよね。
 田中 今、いたるところに我慢のならない怒りが充満しているけれど、まだみんなバラバラ。これが11・4集会で一つに団結できたら、とんでもないエネルギーを生み出し、いたるところで反撃の火の手があがる。僕らの目の前には無限の可能性があるんですよ。1万人の結集は、「こうしたら勝てる。闘おう!」という道を全国の怒れる労働者に示すものとなる。
 辻川 しかも今の時代の1万人は、帝国主義の安定期の1万とはまったく違う。1万人の結集は確実に労働運動の現状を激変させますよ。
 「動労千葉は過激派」なんて言う人もいるけれど、国鉄分割・民営化に立ち向かってストライキを打ち抜き、しかもそれから20年間、団結を守り抜いて闘ってきた労働組合ですよ。関生支部だって、中小の生コン労働者の団結した力で、中小零細の生コン業者なんかも束ねて闘っている。プロレタリア独裁だよね。それで大資本と真正面から対決してものすごい地平を切り開いている。港合同も、地域の中小零細の労働者を結集し、しかも資本の倒産攻撃をも打ち破って戦後の労働運動の中でも画期的な地平を開いた組合です。
 この11月集会にこそ、既成労組幹部の制動を突き破って、労働者の根底的な怒りを解き放つ力と展望がある。
(写真 青年労働者・学生が先頭に立ち「革命」のスローガンを掲げ渋谷をデモ【6月9日】)

 国際連帯闘争の大きな発展

 田中 今年はアメリカから、ILWU(国際港湾倉庫労組)とAMFA(航空整備士労組)、そして軍の募兵官を高校からたたき出す運動の代表もやってきます。今年の春にアメリカの教職員組合から突然、「日本の教育労働者の闘いに注目している。ぜひ大会に来てくれ」という要請が来た。それで「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者が訪米したら、日米の教育労働者の戦争協力拒否闘争が一瞬で結びついてしまった。
 韓国からは、世界最強の労働組合である民主労総のソウル地域本部がやってくる。彼らは、動労千葉の中野洋前委員長の著書『俺たちは鉄路に生きる2』のハングル訳を販売していて、本の感想文まで公募しています。
 民主労総と交流を深める中で、私たちが突き当たっている壁と同じ課題に彼らもぶつかっていることがわかってきた。ここで共通の壁を突き破れば絶対に世界を変えることができるということを、国際連帯の中であらためて確信しました。
 こうした国際連帯の予想を超えた広がりも含めて、11月集会というのは奇跡的な集会です。呼びかけている動労千葉が言うんだから間違いない。
 辻川 そして今年の11・4集会は、9条改憲が焦点になる08〜09年に僕らが跳躍していく決定的ステップになる。改憲をめぐる最大の攻防点はやはり労働組合ですから。1万人の労働者の怒りの声を結集し、その力で改憲阻止の大闘争を宣言する場としたい。
 田中 ちょうど10回目の節目の集会ですから、「職場から闘いに立ち上がり、全国に闘う労働組合の共同センターや労働学校を網の目のように組織しよう」と特別アピールも発します。「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう」というスローガンを本当に実践する、3労組にとっても決定的な飛躍の集会です。こういう共同センターや労働学校が全国に網の目のようにつくられたら、連合や全労連の労働者支配なんて絶対に吹き飛ばせる。
 ――動労千葉の組合員が友人を「うちの組合はすげぇんだぜ。お前もストやりたいだろう」と11月集会に誘っているそうですね。
 田中 それでいいと思うんですよね。「動労千葉のように闘おう」というのは“動労千葉、動労千葉”と連呼するということじゃない。呼びかけは3労組だけど、実行委員会に参加している仲間は自分が主催者なんだから「俺たちの運動はこんなすごい地平を切り開いてるんだ」と、自信と誇りを持って職場や地域で訴えてほしい。
 辻川 まずは自分の名前入りのビラをつくって職場で配ることから始めよう。「なぜ11・4集会への参加を呼びかけるのか」と格闘して、内容をつくり上げること自身に意味があると思います。全員が怒りの火の玉になって、残り1カ月をともに闘いぬこう。

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週刊『前進』(2313号6面1)(2007/10/01 )

 10・7全国から決戦の三里塚へ

 反乱を開始した全国農民と共に市東さんの農地を守る大運動を

 「労農連帯」掲げ11・4日比谷へ

 参院選の自公与党の惨敗と安倍政権の倒壊は、戦後支配体制の危機を根底から突き出した。規制緩和と民営化の小泉構造改革を引き継ぎ、「戦後レジームからの脱却」を掲げて改憲を狙った安倍政権は、労働者と農民・地方の反乱によって根底から崩れ落ちた。日帝の外に向かっての侵略と戦争、その対極での労働者階級への労組破壊、不安定雇用化、貧困化の攻撃、国内農業破壊の攻撃は、階級支配の危機を急速に生み出しているのだ。革共同はこの革命的情勢を革命に転化するために、動労千葉労働運動を軸とする階級的労働運動路線を実践する闘いに入った。三里塚闘争は、日帝の農業と農地政策、航空政策、改憲・軍事基地化攻撃と正面から対峙し、プロレタリア革命戦略としての労農同盟への道を突き進む新段階に突入した。10・7全国から三里塚へ。その力をもって11・4日比谷、労働者1万人集会の大成功を切り開こう。

 暴力的な農地強奪攻撃との全面対決

 06年の市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃への踏み込みと今春の暫定滑走路北延伸の着工をもって、三里塚闘争は新たな攻防局面に突入した。国家の強権による農地強奪攻撃は、戦後初めて土地家屋の収用に踏み切った71年強制代執行以来の暴挙である。
 71年北総暴動の衝撃は収用審理を長期中断させ、その後の審理再開に対する千葉県収用委員会解体(88年)、事業認定失効(89年)を経て、強制収用の道は最後的に閉ざされた。その後も攻撃は続いたが、本質は買収であり、シンポジウム・円卓会議が象徴する懐柔と屈服の強要だった。
 市東さんへの農地取り上げ攻撃は、国家権力が暴力装置を投入して農地を強奪する、直接的な収用攻撃そのものである。今や成田では権限を喪失した収用委員会に代わって、司法権力が農地強奪の前面に立っている。収用審理の場は法廷に代わった。これは当然にも憲法を頂点とする法体系に背反する。戦時下の司法反動と見まごうばかりの状況だ。
 他方、国交省・空港会社はこの春、「東峰の森」の暴力的破壊をもって北延伸を着工した。地区住民の入会権を認め、その保全を確約した森の伐採を、住民の切実な求めを踏みにじって強行したのである。政府・空港会社はシンポから16年間続いた懐柔路線を自ら断ったのだ。
 東峰地区では農家の真上40bをジェット機が飛ぶ。窓ガラスがバリバリと音を立て、爆風が屋根瓦を落とす。まさに「殺人的暴挙」だ。「東峰の森」の伐採は、住環境に取り返しのつかないダメージを与え、誘導路の新設で地区を分断し、村の半分を空港の内部に取り込むことで追い出しを図る、非人間的で凶悪な国家犯罪である。三里塚では、改憲攻撃の先取りとして国家権力が人権を蹂躙(じゅうりん)している。
 市東さんの耕作権裁判における早期結審のための反動的訴訟指揮とこれによる農地強奪攻撃、「東峰の森」破壊と暴力的な工事の強行は、これまでの攻防の延長線で語ることはできない。日帝・国交省と空港会社は、北延伸完成の最終期限(2010年3月)から逆規定してすべてを強行している。そして日帝はこれにとどまることはできない。地区住民を屈服させ、農地をコンクリートの下に埋めて3500b滑走路とし、闘争そのものを解体する攻撃に踏み切ったのである。

 国内農業つぶしで延命図る帝国主義

 この三里塚闘争の決戦化を規定しているのは、帝国主義間争闘戦の敗勢にあえぐ日帝の新たなアジア侵略(東アジア共同体構想)とそのための戦争国家化(改憲と軍事基地化)、これを強行するための階級闘争解体攻撃である。
 アジアでの帝国主義間争闘戦で劣勢に立つ日帝は、延命の道を東アジア共同体構想に求めて、FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)を加速している。「取り残される可能性があるのは日本であるという現実を冷徹に直視すべきだ」(アジア・ゲートウェイ戦略会議)。その方向は自由化・規制緩和が遅れた最後の産業部門である航空と農業分野である。
 日帝は「航空政策の大転換」を掲げている。転換とは航空自由化(アジア・オープンスカイ)である。これまで2国間交渉路線で自国航空会社を保護してきた日帝は、航空市場を開放することでアジア、中国市場になだれ込み、すでに域内自由化したNAFTA(北米自由貿易協定)やEU(欧州連合)に対抗して、アジア勢力圏化に突進している。
 これがもたらすものは、アジアでの国際メガキャリア(巨大航空資本)の競争戦である。日本の航空市場の再編を不可避とし、運輸産業総体の再編を促進する。すでに先端産業を中心に急成長している国際小口貨物の日本市場は欧米資本が制圧している(独DHL、米UPS、米FedEx)。新たな民営化と規制緩和、リストラの嵐は避けられない。
 その大前提をなすインフラとして、羽田・成田両空港の拡張と一体的運用が喫緊の課題となった。ここから成田空港の拡張が本格化したのだ。
 農業分野では、1999年の新農業基本法から、小泉構造改革の一環としての05年基本計画の見直し、経営所得安定対策大綱(05年10月)、「21世紀新農政2006」(06年4月)を経て、日本経済調査協議会最終提言(高木報告)に至って、FTA、EPAに対応した農業つぶしの政策が確定した。
 第一に、戦後農地制度(農地法)の事実上の廃止(農業ビッグバン)である。第二に、農民保護政策を最後的にとりやめ、家族的農業をつぶして株式会社に置き換える政策だ。農水省は15年までに、今の300万農家を「14万経営体」に激減させる計画を進めている。第三に、「グローバル化に対応する攻めの農業」を掲げて、アジアを日帝の食料庫とする勢力圏(現代版大東亜共栄圏)構想である。
 日帝はついに、競争力の強い工業製品(自動車、精密機器など高付加価値製品)の貿易自由化と引き替えに、日本農業を売り渡す政策(食料自給率12%!――関税撤廃後の農水省試算)に踏み切ったのである。帝国主義が長い争闘戦の果てに農業を捨てる! 最後の砦(とりで)としてのコメ市場を明け渡す! いわゆる「食料安保」の崩壊につながるこの施策は帝国主義として史上初めてのことである。
 これを担保するのは日米同盟だが、対米対抗的な日帝の戦争国家化の衝動はこれと真っ向から激突する。この深刻な危機の中で、有事法制と国民保護法、米軍再編、アフガニスタン―イラク侵略戦争、改憲と集団的自衛権を貫くために、4大産別を始めとする労働組合運動を解体し、農民の決起と反戦・反権力闘争を解体する攻撃に日帝は踏み切った。
 今次参院選に見るとおり、この攻撃は支配階級に激しい動揺をもたらさずにおかない。しかし日帝が日帝である限り他に選択肢はなく、階級闘争は決戦的に激化せざるを得ないのだ。

 労働者と農民との階級的連帯貫こう

 日帝のアジア侵略、戦争と改憲、労働組合破壊と農業つぶしの攻撃に対して、三里塚闘争はいかに闘うべきか。
 第一に、農民闘争としての三里塚闘争の本質を鮮明にし、反乱を開始した全国農民の最先頭で闘うことである。その中心が市東さんの農地を守る運動である。

 農地法での農地取り上げ許すな

 市東さんの農地問題の核心は「農地法による農地取り上げ」である。土地収用法が効力を失ったからといって、耕作を希望する農民から農地法(20条「賃貸借契約の解除」)で農地を公用収用するなど、法体系をぶち壊す空前の暴挙だ。
 農地法は戦後農地改革の成果を守るために制定された。その基本理念は「自作農主義」と「耕作者主義」である。自作農となった農民の権利を保護するとともに、一部残された小作地を耕す農民の耕作権は所有権と同等に強く保護されてきた。このもとでは、親子3代90年間耕作し続けた畑を取り上げることは絶対にあり得ないことである。
 農地法による農地取り上げにあえて踏み切ったのは、これ以外に用地取得が不可能となったからだが、その背景には急速に進行する戦後農地制度解体の動きがある。
 8月24日、農水省は「自作農主義」を放棄する方針を公表した。この農地法改悪に続けて農地優遇税制を廃止すれば、農地引きはがしが一気に進むことは明らかだ。
 日本の土地制度の転換は地租改正と農地改革である。これは明治維新と敗戦(革命情勢と占領統治)という体制変革をとおして行われてきた。農地法の事実上の廃止は、改憲攻撃と一体の反革命クーデター攻撃である。市東さんの問題は、全国の農民にとっての普遍的課題であり、いまひとつの改憲攻防そのものなのである。

 農業農民問題は革命の戦略課題

 第二に、階級的労働運動路線のもとで、今こそ動労千葉を先頭とする戦闘的労働者と農民の連帯を推進することである。
 農業農民問題は革命戦略の不可欠の構成要素をなす。資本主義は農業農民問題を絶対に解決できない。帝国主義は農業のもつ矛盾を対外的に転嫁して「解決」するために植民地・従属国支配体制、勢力圏を不可欠とし、その獲得のために世界再分割に乗り出す。それが今日の東アジア共同体構想であり、対アジアFTA、EPAである。
 帝国主義史上前例のない食料の海外依存は、外に対しては軍事力だが、国内では法的強制力をもって進められ、都市と農村、労働者と農民の関係を激変させる。農村の若者は都市に流れ、低賃金労働者を構成する。農地は投機の対象に変わり、後には広大な廃墟(はいきょ)が現れる。
 民営化と規制緩和は、都市労働者にすさまじい首切りと低賃金労働をもたらすが、農村では過疎と廃村の促進であり高齢者切り捨てである。労働現場でイギリス工場法以前といわれることが、農業においては現代のエンクロージャーとして現れる。戦後土地政策の観点から言えば、土地持ち農民となる農地解放より前への逆戻りである。
 農業農民問題とは、まさに侵略と戦争、勢力圏化の問題である。資本と闘うプロレタリアートの問題であり、革命戦略の問題なのである。
 三里塚反対同盟と動労千葉は、労農同盟の萌芽(ほうが)を歴史に刻んだ(本紙2307号赤坂論文)。その精華はジェット燃料貨車輸送阻止のストライキ闘争である。処分を辞さず「拒否から阻止へ」を掲げて農民との階級的連帯を貫いた感動的闘いは、一方で革命的農民を生み出し、他方で国鉄分割・民営化から総評解散に至る民同労働運動の大崩落過程で、労働者階級を守りぬく礎を築いたのである。
 労働者と農民の階級的連帯は、この三里塚闘争からこそ闘いとることができるのだ。

 成田軍事基地化とミサイル配備

 第三に、アジア勢力圏化のための物流拠点化と米軍再編下の成田軍事基地化攻撃との闘いを断固推進することである。
 何よりも、アジア勢力圏化の大前提をなす航空インフラ(物流拠点)として不可欠の成田空港拡張に反対して闘おう。暫定滑走路の北延伸から3500b化を狙う空港拡張計画は、このための攻撃である。
 さらに、成田空港の軍事基地化の攻撃が、改憲と戦争国家化、米軍再編攻撃の中で具体的に進行している。
 米軍再編とは、没落する米帝が戦力を効率的に再編し、他帝国主義を組み込んで世界戦争へ突入する世界戦略であるが、これは米軍・自衛隊の統合と軍事力強化を不可避とする。沖縄・辺野古に新基地を建設し、キャンプ座間に米陸軍第1軍団を米陸軍統合作戦司令部(UEX)に格上げして移転させ、陸上自衛隊中央即応集団司令部が朝霞駐屯地から移転する。
 この沖縄の軍事要塞(ようさい)化、統合作戦司令部の設置の一方で、成田空港は朝鮮有事に50万米兵の受け入れ拠点に変貌(へんぼう)する。このための防衛体制づくりが進行している。
 米帝の核先制攻撃と一体のミサイル迎撃システム(パトリオット3)が今秋にも入間に続いて習志野に配備される。その軍事目的は戦略拠点・成田空港の防衛である。
 この配備にあたって、在日米軍は成田の調査を極秘で続けており、この春にも詳細な調査が行われた。成田市国民保護協議会には習志野空挺団の大隊長が参加した。配備後の移動展開は成田に向けられ、市民が動員されるのだ。
 三里塚反対同盟は、この春から市民の戦争動員に反対して駅頭でビラをまき、成田市に対して公開質問を行ってきた。成田市議会にパトリオット3配備に反対する請願が出されている。
 改憲と全土基地化の攻撃の中で、反戦・反基地闘争の砦としての三里塚闘争の真価が問われている。具体的に始まった成田空港の軍事基地化の攻撃と一体となって進む迎撃ミサイル配備と国民保護法による市民の戦争動員に反対し闘おう。

 三里塚裁判と北延伸阻止現地闘争へ

 当面する三里塚の闘争方針を確認したい。
 第一は、10・7三里塚全国集会に大結集し、その力で11・4労働者集会の1万人結集へ攻め上ることである。
 三里塚闘争がまったく新しい闘争段階に入ったことをはっきりさせなければならない。反乱を開始した農民とともに、この三里塚から農業つぶしと闘うのである。これは労働者と農民の階級的連帯として実現される。だから10・7三里塚は11・4日比谷と一体の闘いでなければならない。
 第二に、市東孝雄さんの裁判、天神峰本部裁判、一坪裁判を始めとする三里塚裁判闘争の勝利と、そのための支援陣形づくりに全力をあげることである。
 新たに市東さんが知事決定の撤回を求めている行政訴訟が10月30日に初弁論を迎える。これは、真っ向から憲法違反を問い農政を告発する大裁判である。「市東さんの農地取り上げに反対する会」を始め、広範な運動が動き出している。三里塚反対同盟の呼びかけにこたえ、全国各地でこの支援陣形を打ち立てよう。現闘本部裁判闘争支援を堅持・発展させよう。
 第三に、暫定滑走路北延伸工事と闘争破壊の攻撃を粉砕する現地闘争への決起である。闘争破壊攻撃を打ち破り、市東さんの農地と天神峰現闘本部を守りぬく闘いは、日帝のアジア侵略の一角を突き崩す。日帝の現代版大東亜共栄圏構想を粉砕する。
 革共同は三里塚農民との血盟を断固守りぬく。階級的労働運動路線のもと、労農連帯の旗を押し立てて勝利を何がなんでもかちとる決意である。ともに闘いぬこう!
 〔江波敏之〕

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週刊『前進』(2313号6面2)(2007/10/01 )

 反対同盟 大結集を訴え

 労農同盟で反撃を 事務局次長 萩原進さん

 安倍が倒れて、支配階級の側は自信喪失し、おびえている。安倍は自分が中心になって「アジアゲートウェイ」と称して、航空の完全民営化、輸入自由化による国内農業の切り捨てをつうじてアジア勢力圏をつくろうと構想したが、こんなことを実際にやろうとしたら大変なことになる。対外関係もアジア諸国やアメリカとの摩擦・衝突を生み出すし、国内の支配も崩れかねない。安倍の代わりにだれがやっても、この危機を打開できる者なんかいない。でもそれをやらないと、日帝として生きていけないところに追いつめられてる。
 われわれはそんな今の支配体制を根本から倒す絶好機が来たんだということを、つかまなくてはいけない。
 市東さんの農地を守る闘いに多くの人が賛同を寄せ、陣形が広がっているが、その根本には三里塚が40年以上不屈に闘ってきたことへの信頼と期待がある。日本農民は減反を強いられ、米価を下げられた末に、農業そのものがつぶされようとしている。農民運動の現場で長く闘ってきた人の中にも、展望がなかなか見えずに重苦しいものがあった。しかし三里塚は「闘えば勝てる」という希望を身をもって示してきた。そのことが今実を結ぼうとしている。
 労働者にも、全逓、教労、国鉄、自治体と一斉に組合つぶしの攻撃がしかけられてきた。これがとおったら労働者は労働者でなくなる。権利をとことん奪われて、人間性まで破壊され、資本の奴隷にされてしまう。
 三里塚は、戦後の農民闘争の息吹を引き継ぎ、砂川闘争で労働者・農民・学生が一体となってかちとった勝利の質を受けて、実力闘争を貫いてここまでやってきた。
 「労農同盟」なんて口で言ってるだけじゃなくて、いや応なく労働者と農民がひとつになって反撃しなければ勝てない。そういう状況が訪れているのが今日だ。そのことを目に見える形で三里塚で示さなくてはならない。だから10・7総決起集会の爆発が絶対に必要なんだ。11月集会の成功もここにかかっていると思う。全力で取り組むことをお願いします。

 市東さんと共に闘う 本部役員 鈴木幸司さん

 安倍首相を打倒したことを最大のチャンスととらえ、10・7に総力で決起してもらいたい。改憲を進め「美しい国」と言っていたのはとにかく戦争をできる国にすることが狙いだったが、参院選で惨敗。労働者、農民、人民が社会の主役であり、戦争を止める力があるとはっきり示した。
 かつて徴兵検査の年齢が19歳に下げられて、俺(おれ)も「お国のために戦争で立派に死んで早く靖国に行って神になる」と思って軍隊に行った。今の人が聞いたら笑い話だろうが、当時は信じていた。そして「満州」で敗戦を迎えて、モンゴルに抑留され、極寒の中を強制労働させられた。10万人の日本兵を賠償としてソ連に差し出したのは天皇だった。絶対に許せない。3年間「絶対に死ぬものか」の一念で、栄養失調や凍傷と闘い、日本に帰ってきた。これが戦争の現実だ。
 市東孝雄さんは、今本当に全力で闘っている。生半可な姿勢でできることではない。すべての人が自分自身の闘いとして加わってほしい。私も反対同盟の一員としてつねに敷地内の人たちとともに歩んできた。成田用水という空港の関連事業で、周りの者が次々と切り崩されたが、「最後の一人」になっても拒否し続けた。敷地内があれだけがんばっているんだ、俺にもできないはずがない、ただそれだけだよ。そうやって、現在の反対同盟の結束がある。
 そして動労千葉のジェット燃料を阻止した組織をあげての闘い。動労本部と闘っての独立。労働者と農民の連帯とはまさにこれだと思ったよ。
 今三里塚にかけられている攻撃は、70年の代執行当時とは形は違うけど、あれ以上のものだ。日本の農業と農民がつぶされようとしているのだから、こっちもこれまで以上に激しく闘わないでどうする。
 全国の労働者階級人民の怒りを、10・7に総結集してほしい。

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週刊『前進』(2313号8面1)(2007/10/01 )

 9・29沖縄 検定撤回へ12万人大結集

 “ゆがめられた教科書は再び戦争へと向かう”

「今回の教科書検定には我慢できない!」――これが全沖縄の思いだ(9月29日 沖縄・宜野湾市海浜公園)

 9月29日、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が宜野湾市海浜公園で開催され、11万人を超える大結集となった。さらに宮古(宮古島)と八重山(石垣島)で開かれた郡民集会には合わせて6千人が集まった。
 95年10・21県民大会の結集を超え、県民130万人の10人に1人が参加するという72年「復帰」以降最大規模の県民大会となった。「教科書検定意見撤回」の強烈な沖縄の労働者人民の意志が日帝に突きつけられた。21世紀の新たな沖縄闘争の歴史的な爆発過程が始まった!

“真実知りたい。と高校生

 続々と県民が集まる中、午後2時からアトラクションが行われた。読谷高校と美里高校の創作ダンスは、若い世代の平和へのメッセージとして大きな拍手が送られた。
 午後3時、沖縄平和記念堂管理事務所長の比嘉正詔(ひがしょうせい)さんの司会で県民大会が開始。開会のあいさつとして「県民へのアピール」が沖縄県PTA連合会会長の諸見里宏美さんによって読み上げられた。「ゆがめられた教科書は再び戦争と破壊へと向かう」「沖縄戦の死者の怒りの声が聞こえないか。大和の政治家・文科省には届かないか。届かなければ、聞こえなければ、生きている私たちが声を一つにして、押し上げ、訴えよう」
 糸満市の平和の礎(いしじ)からの「平和の火」のリレーが入場し点火され、大会実行委員長として仲里利信沖縄県議会議長があいさつに立った。今回の県民大会実現に至る経過を述べ、文科省の検定の問題点を批判し、「『自決』を強いられたウチナーンチュの魂が怒りをもってさまよっている」と断罪した。仲井真弘多沖縄県知事と中山勲沖縄県教育委員会委員長、翁長雄志沖縄市長会会長・那覇市長のあいさつが続いた。
 注目の高校生の発言では読谷(よみたん)高校3年生の津嘉山拡大(つかやまこうだい)君と照屋奈津美さんが壇上に上がった。まず津嘉山君が「この(日本軍強制の)記述をなくそうとしている人たちは私たちのおじい、おばあたちがうそをついていると言いたいのでしょうか! 思い違いだったと言いたいのでしょうか!」「手榴(しゅりゅう)弾を配った日本軍は、自決を強制していると思います」と断言した。さらにチビチリガマで起こった「集団自決」の実態を語り、続いて照屋さんが発言を引き継いだ。「なぜ戦後62年以上すぎた今になって記述を変える必要があるのでしょうか?」と問いかけた。「私は将来高校で日本史を教える教師になりたいと思い勉強しています」「分厚い教科書の中のたった一文、たった一言かもしれません。しかし、その中には失われた多くの尊い命があるのです。二度と戦争を繰り返してはいけないという沖縄県民の強い思いがあるのです」と切々と訴えた。最後に2人は声を合わせて「たとえ醜くても、真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい!」と決意を語り、大きな拍手が送られた。

「真実を知りたい、学びたい!」「おじいやおばあから戦争の話を聞いて戦争はだめだと思う」と多くの子どもたちも自主的参加(29日)

 戦争体験者が沈黙破り語る

 続いて戦争体験者として渡嘉敷(とかしき)村教育委員会委員長の吉川嘉勝さんが演壇に立った。吉川さんは渡嘉敷島北山(にしやま)の「集団自決」の生き残りだ。「村長の天皇陛下万歳の合図とともにあちらこちらで手榴弾が爆発するのを記憶しております」「今回の教科書検定結果には我慢がなりません!」と怒りを表明した。「沖縄はまた国の踏み台、捨て石、子どもや孫の時代が危ない! みんなそう自覚しているからここに参集しているのだろうと思います。為政者はそのわれわれの思いをきちっと、きちっと受け止めるべきです!」と語った。さらに、第一に渡嘉敷でも座間味でも日本軍がいなければ「集団自決」は決行されなかった、第二に赤松隊長が北山に島民数百人も集めなければ392人もの死者は出なかった、第三に手榴弾が民間人に渡されなければ「集団自決」は決行されなかった、と語り、「事実を解釈によって歪曲してはならない!」と強調した。
 座間味島の「集団自決」の生き残りである宮平春子さんのメッセージを、座間味の戦争体験の聞き取り調査を続けてきた宮里芳和さんが代読した。宮平さんはメッセージで、座間味島の「集団自決」でも軍からの玉砕命令が出されたことを具体的に明らかにした。吉川さん、宮平さんとも今回の教科書検定問題に怒り、沈黙を破って初めて体験を語った。
 女性代表として小渡(おど)ハル子沖縄県婦人連合会会長が、「軍が強制しないかぎり『自決』などしない」と断言し、今に至るも解せないこととして、住民は「集団自決」を強いられたのに敵と戦うべきはずの軍隊は隊長を始め兵士まで安全な壕(ごう)に逃れて捕虜として生き残り帰国したことを挙げ、これが戦争なんだとしっかり子どもたちに教えていく必要があると訴えた。
 玉寄哲永(たまよせてつえい)沖縄県子ども会育成連絡協議会会長が、平和の礎から運んできた炎が今や全国に燃え広がっていると語り、同日朝、平和の礎に刻まれている弟の名前にお菓子を届けたと報告、「文部科学省のうその証言を10万人の力で、沖縄県民130万人の力で一蹴しよう!」と力強く訴えた。
 青年代表として照屋仁士沖縄県青年団協議会会長は、「歴史的事実が消されようとしていることに沖縄の青年は怒っています」と元気よく発言し、これは日本全国の問題であると訴えた。
 実行委員会から会場カンパの総計が678万円に達したことが報告された。大会決議案を西銘生弘沖縄県高等学校PTA連合会会長が読み上げ、満場の拍手で採択され、仲村信生連合沖縄会長の閉会あいさつと11万人の団結ガンバロー三唱が響き渡った。

 10・15-16政府に撤回要求へ

 県民大会12万人の総意でかちとった決議文を持った数百人の沖縄行動団が10月15、16日に東京を訪れ、衆参両院議長、文科相らに検定撤回を迫る。この沖縄行動団を迎え、教育労働者を先頭に政府に検定意見撤回を強制する大行動に立とう!

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週刊『前進』(2313号8面2)(2007/10/01 )

 ビルマ軍事政権の虐殺弾劾

「独裁軍事政権を倒せ!倒せ!」――200人を超える在日ビルマ人が大使館一帯を揺るがす怒りのコール(9月28日 品川)

 軍事政権の圧制との闘いに立ち上がったビルマ(ミャンマー)人民に対し、治安部隊が発砲・虐殺・拘束など見境のない弾圧を行っている。怒りをこめて弾劾する。
 9月24日、全国での反政府デモは最大規模に膨れ上がり、ラングーン(ヤンゴン)では集会禁止令を無視して10万人の大デモが爆発した。これにおののいた軍事政権は、26日に治安部隊を僧侶、労働者らに差し向け、放水、催涙ガス弾発射、警棒での殴打を繰り返した末、無差別発砲を行った。死傷者が続出したが、ビルマ人民はデモや投石で不屈の意志を示している。
 東京・品川のミャンマー大使館前では、在日ビルマ人らが連日抗議行動に決起している。
 日帝はビルマ軍事政権を支えてきた張本人だ。流血の弾圧は、帝国主義のアジア新植民地主義体制と軍事政権崩壊の始まりだ。ビルマ人民の決起に連帯し立ち上がろう。

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