ZENSHIN 2007/09/17(No2311 p06)

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週刊『前進』(2311号1面1)(2007/09/17 )

 ついに安倍ぶっ飛ばしたぞ

 労働者に直ちに権力よこせ

 9・29闘争 沖縄-本土で青年・学生が先頭に

 

 安倍倒した労働者・農民の怒り

 参院選の歴史的惨敗をごう然と居直ってきた安倍首相が、追い詰められて、ついに辞任した。政権についてわずか1年。労働者と農民の根底的な怒りによってボロボロとなった揚げ句に、精根尽きて打倒されたのだ。
 安倍が「戦後レジームからの脱却」を叫んで凶暴に推し進めてきた戦争と改憲、民営化と労組破壊の攻撃は、決定的な打撃を受け、ひとまず頓挫(とんざ)をきたした。日帝支配階級は今、混乱を深め、支配能力を半ば喪失し、大きな政治的空白さえ生まれている。
 そうだ。資本家が支配する時代は終わった、労働者にただちに権力をよこせ、ということだ。今こそ、そのための闘いを始めよう。9・29ワーカーズアクションin池袋に大結集し、「労働運動の力で革命を」の闘いをさらに前進させよう。
 沖縄では同日、10万人県民大会が開催される。本土―沖縄を貫く巨大な闘いにしよう。青年労働者と学生がその先頭に立とう。そして対テロ特措法延長阻止・安倍後継内閣打倒へ、何よりも11・4日韓米労働者の国際連帯闘争に向けた大攻勢へ全力でうって出よう。
 安倍は、「美しい国」と「戦後レジームからの脱却」を旗印に、極右的復古主義的な戦争・改憲の攻撃と、新自由主義的な民営化・労組破壊の攻撃を、凶暴極まる強引な手法で進めてきた。
 とりわけ安倍が強行した教育基本法改悪、改憲国民投票法成立、防衛庁の省格上げの超反動攻撃は、罪万死に値する歴史的暴挙であった。社会保険庁の労働者を「ゴミ」とか「ガン」と言いなした公務員バッシングと社保庁解体・全員解雇の扇動、そして自治労・日教組破壊の攻撃、これも断じて許し難かった。
 小泉政治の構造改革路線を引き継ぐ安倍のこうした反労働者的政策に、7月参院選で労働者と農民の巨大な怒りがたたきつけられた。それは一昨年の衆院選では小泉を「支持」した都市労働者の「生きさせろ」という根源的な怒りの表明であり、自民党の伝統的支持基盤だった農民・地方の巨大な反乱であった。これは断じて一過性のものではなかった。
 だが参院選で安倍自民党が大敗したにもかかわらず、御手洗・日本経団連を始めとする財界も、自民党自身も、すべて安倍の続投を支持した。なぜなら日帝支配階級は、帝国主義の危機と犠牲を労働者や農民に転嫁する以外に、生き残る道がないことをよく自覚しているからだ。小泉構造改革の継続と「戦後レジームからの脱却」の路線しか、日帝にとって延命する道はなかったのだ。
 しかし臨時国会が始まって3日目、安倍は統治能力を完全に喪失し、政策を貫徹する自信もなくして政権を投げ出した。辞任の直接の契機は、海上自衛隊のインド洋での米艦艇などへの給油活動継続の問題での破綻(はたん)と大重圧である。
 11月1日で期限が切れる対テロ特措法が延長できなければ、海自の給油活動は不可能だ。85%がイラク作戦で使われている給油が途絶えれば、イラク侵略戦争の継続は困難となる。このイラク戦争と日米同盟の危機の前に、労働者・農民の怒りに痛撃されてグラグラとなっていた安倍は、ノックダウンされたのだ。

 「生きさせろ!」は革命の要求

 労働者の存在の中にこそ革命の現実性がある。帝国主義による犠牲転嫁と切り捨てに、労働者が怒りを爆発させ、人間らしい尊厳や権利を要求して、それを貫徹した時、一瞬にして支配階級は危機に陥り、資本主義の世の中は崩壊するのだ。
 まさに労働者や農民の怒りが安倍を打倒した。労働者は断じて無力な存在ではない。時の政権を打倒する力があるのだ。今こそ「労働運動の力で革命をやろう」「自民党を丸ごとぶっつぶせ。民主党では変わらない。労働者に権力をよこせ」と、職場で訴えよう。労働者が資本・当局と闘って団結すれば、職場を変えることができる。社会を根本から変革する革命的能力を形成できる。
 今のわれわれの労働現場はどうか。ブルジョアジーが空前の利益をむさぼる一方で、どの職場も要員不足が深刻化し、長時間労働やサービス残業、極度の緊張を伴う労働が強制されている。競争と能力主義が職場を支配し、心身の健康を脅かされている。低賃金や、不安定雇用や、無権利状態が一般化している。
 だが労働者はみじめで無力な存在なのか。そうではない。日本帝国主義はこの10年間、その危機をそっくり労働者階級へ犠牲転嫁することでのりきりを図ってきた。こういう階級関係の現実に対し、「もはやこの社会では生きていけない」という労働者の怒りが、安倍を打倒したのだ。
 青年労働者の「生きさせろ。われわれは反撃する」という闘いは、革命の要求なのだ。人間としての尊厳を奪われ、過酷な労働を強いられる青年労働者の存在にこそ、革命の現実性がある。青年労働者が人間らしく生きさせろと立ち上がれば、革命はできるのだ。
 日雇い派遣大手のグッドウィル。わずか数十人の青年労働者が組合をつくって違法な天引きを「全額返せ」と提訴しただけで、この大企業が倒産の危機に陥っている。対象者は約80万人、総額37億円。過去全額の返還となれば総額100億円以上に膨らむという。
 グッドウィル・グループは、規制緩和の波に乗って急成長した新興大企業だ。小泉政権による労働者派遣法の規制緩和を受けて人材派遣会社を設立し、数十万人の青年労働者を使い捨て、食い物にしてきた。4割とも5割ともいわれる中間搾取(ピンはね)に加えて、さらに派遣1回あたり200円を「データ装備費」と称して天引きしてきたのである。
 同グループの介護会社コムスンも介護保険(介護の民営化)とともに急成長し、国内最大の介護会社になった。しかし介護報酬の不正請求が発覚し、介護事業から全面撤退、巨額の負債を抱えるに至った。折口会長は日本経団連の理事も務め、安倍との「関係」を誇った。だが不正が暴かれ、派遣や介護労働者、介護を必要とする高齢者の反乱によって、一瞬にして奈落の底に転落した。
 これはグッドウィルとかライブドアなど、新興勢力だけの問題か。いや日本のブルジョアジー総体の姿そのものだ。トヨタやキヤノン、ソニー、松下など、日本を代表する大企業が偽装請負などの違法行為を行い、労働者からの過酷な収奪と搾取で稼いできたのだ。
 サービス残業などの不払い残業代をすべて労働者に支払い、派遣や請負、パート労働者を正規雇用化すれば、たちまち企業は経営危機になる。ブルジョアジーの利益はすべて労働者から奪ったものだ。だから労働者が人間らしく生きるために立ち上がった時、それは資本主義の土台をひっくり返す革命になるのだ。
 労働者は日常、資本に支配されて奴隷のように働かされている。無力だと思わされている。だが本当にそうか。新潟県中越沖地震で、自動車部品の工場が操業停止し、国内乗用車メーカー全8社が生産を停止した。これがストライキならどうか。実は一つの工場で労働者の決起が始まればたちまち日本資本主義は停止する。労働者とはそういう存在なのだ。
 4大産別決戦の郵政や教労現場、自治体でも同じだ。一つの郵便局で超勤拒否が始まり、物ダメ闘争が拡大すれば、10月1日の民営化はふっ飛ぶ。また東京の一つの学校で教育労働者が団結して集団不起立闘争を始めたら、根津さんの解雇攻撃はたちどころに粉砕され、改悪教基法は紙切れになるのだ。

 労働者は団結し職場支配権を

 

資本主義社会や職場が回っているように見えるのは、ただ労働者が資本や権力におとなしく従っている限りでのことにすぎない。労働者が団結して資本・当局と闘い、職場支配権を奪うなら、逆に労働者自身によって職場を回すことは十分できる。社会全体を止めたり動かすこともできる。
 動労千葉こそその生き証人だ。労働者が社会の真の主人公であり、革命をやる力があることを実際の闘いで示してきた。85年の国鉄分割・民営化反対ストライキでは、国家の総力をあげた攻撃と対決し、数千人の機動隊に囲まれながら、ストを貫徹し電車を止めた。
 この動労千葉は特別な存在か。組合員は普通の労働者、運転士やエンジニアだ。安倍のようにエリート政治家一族でも資本家一族でもない。スーパーマンのような能力があるわけでもない。鉄道職場で働く労働者であるという以外、特別なものは何も持っていない。
 だが「世界最大の鉄道会社」と日頃は偉そうにしているJR東日本会社も、労働者が働かなければ電車は1本も動かない。会社は1日も成り立たない。総武線は誰が動かしているのか。清野社長か? 職制か? いや現場の労働者なのだ。
 動労千葉は、労働者が労働者であることだけに依拠し、団結することで当局の支配を打ち破り、労働者階級の革命性を実証してきたのである。
 動労千葉の『俺たちは鉄路に生きる3』は、国家権力やJR資本を相手に、現場の労働者が団結と職場を武器に闘ってきた階級闘争の実践の書でもある。ある組合員は語っている。「俺たち労働者が胸を張って生きるようになったら、資本家連中は絶対にやりたい放題なんてできない。だってあいつらは、俺たち労働者が働かなかったら生きていけない」と。
 労働者にはこの社会を革命する力がある。この資本主義社会を根本から覆す労働者の巨大な怒りは満ちている。本気で資本や当局、体制内労働運動指導部の弾圧を打ち破って闘いを組織する仲間が、今こそ必要だ。
 安倍の後継が誰になっても、民主党に政権交代しても、階級社会の現実は何も変わらない。労働者の団結と闘いだけが社会を変える。ただちに職場で闘いを始めよう。職場をこえた労働者階級の団結をつくりだそう。
 9・29ワーカーズアクションin池袋には団結のために格闘する首都圏の仲間が大結集する。職場の仲間を誘って集まろう。11月労働者集会1万人大結集へ進撃しよう。

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週刊『前進』(2311号1面3)(2007/09/17 )

「共謀罪」阻止へ国会闘争 破防法・組対法反対共同行動

 臨時国会初日の10日、対テロ特措法延長阻止、安倍政権打倒の声の高まる中、破防法・組対法に反対する共同行動は、思想処罰・団結破壊を狙う現代の治安維持法=「共謀罪」の成立絶対阻止を訴えて、朝から闘いに決起した。
 しの突く雨の中、出勤時に国会前の地下鉄駅の出入口でビラをまき、その後、議員会館前の歩道に陣取ってアピールした。
 昼休みには「憲法と人権の日弁連をめざす会」の闘う弁護士も参加して30数人で集会を開き、決意を打ち固めた。
 2日後、労働者人民の怒りで安倍は打倒された。共謀罪の永久廃案へさらに闘いを強めよう。「9・24共謀ひろば」に結集しよう。
(月曜・休日、午後1時〜5時、文京区民センター3F)

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週刊『前進』(2311号2面1)(2007/09/17 )

 東大阪市議選の必勝へ

 「丸ごと民営化」ぶっ飛ばせ

 9・23投票日

 さかぐち克己候補を先頭に労働者と住民の総決起を

 9月23日に投票を迎える東大阪市議選は、労働者階級がついに戦争と民営化・労組破壊の安倍を打倒したその階級的激動のど真ん中での歴史的決戦となった。労働者の怒りは圧倒的に地に満ちている。勝敗の一切はこの1週間の激闘にかかった。東大阪丸ごと民営化攻撃と真っ向から対決し、労働者階級の階級的底力を発揮して当選をもぎりとろう。

 安倍倒した力で長尾と対決

 労働者を「社会のゴミ」と言い、戦争・改憲と民営化・労組破壊攻撃に全体重をかけてきた安倍政権を、ついに労働者の怒りの決起で打倒した。開始されたこの労働者階級の闘いは、革命によってしか収束することのない根底的な決起だ。どんな既成政党によっても、どんな体制内労働運動によっても抑えつけることなどできない、帝国主義打倒までやむことのない決起である。
 東大阪市議選決戦においてまず何より問われているのは、このすさまじい階級的激動情勢の中で、労働者階級の根底的な怒りを議会内や体制内に封じ込めようとするあらゆる勢力をぶっ飛ばし、「労働運動の力で革命をやろう」と宣言する革命的議員を登場させることだ。労働者階級の決起を全面的に信頼し、この労働者階級の決起で民営化攻撃をうち砕こう。
 東大阪においては日本共産党・長尾市長が文字どおり「東大阪丸ごと民営化」攻撃を推し進めている。乳幼児対策の削減、保育所の民営化、学校給食の民営化、文化・体育施設の民営化や使用料値上げ、老人福祉施設の民営化、高齢者医療の切り捨て、さらに斎場の民営化など、まさに「ゆりかごから墓場まで」丸ごと民営化攻撃だ。
 この長尾市長に対する労働者人民の怒りが渦巻く中、自民党・公明党が右の側からすさまじい反共宣伝を繰り広げ、「市長不信任決議」を提案し可決される、という情勢に突入している。
 自民党・公明党は参院選の敗北の取り戻しをかけて尋常ならざる体制でこの市議選に臨んでいる。これに危機感を燃やした日本共産党もまた全国動員で対抗している。その主張は「『同和行政は終結します』との公約に従い、同和関係予算の削減や職員削減を開始したにもかかわらず、不信任決議をあげるのはひどい」というものだ。
 ふざけるな! 「同和予算の削減」とは、荒本平和診療所の補助金停止と職員の引き揚げであり、青少年センターや子育て支援センター・「障害者」センターなどの職員削減なのだ。
 部落差別を徹底的にあおりそれをテコに民営化攻撃を推進してきた日本共産党や、自民・公明など民営化推進の全候補に対し、さかぐち克己候補が唯一、「東大阪丸ごと民営化絶対反対」「労働者の手で政治を根本から変えよう」と訴えて立ち上がっている。そして、「長尾市政を打ち倒さなければならない最大の理由は、長尾市長が安倍政権の手先になりさがり、東大阪市の市民生活にかかわる市政を丸ごと民営化しようとしているからだ」(議会発言より)と断罪し、「民営化攻撃と闘う唯一の候補」として闘っている。
 対立構図は完全に鮮明になった。現下の階級情勢の一切の核心的攻防が、この東大阪選挙の中に凝縮しているのだ。この絶好の構図の中で一切のあいまいさをかなぐり捨て、真っ向から「労働運動の力で革命をやろう」と言い切って闘うこと、そこが残る1週間決戦の核心だ。
(写真 熱く訴えるさかぐち候補【9月9日 東大阪】)

 民営化阻止は革命の課題だ

 はっきりさせよう。長尾市長を打倒するのは不信任決議でもなければ、市長選でもない。労働者の職場からの決起であり、団結の力だ。そしてこれと結合した戦闘的部落大衆や地域住民の総決起だ。何より自治労を始め4大産別を激突点として、体制内労働運動と全面的に対決し民営化攻撃をうち砕くことである。
 そもそも地方自治体の民営化攻撃とは何か。戦後の地方自治制度そのものを民営化によって丸ごと破壊・解体し、道州制導入をもって戦後憲法体制の土台を根本から覆す大攻撃だ。公務員労働者を始め労働者の団結を徹底的に破壊し、むき出しの階級圧殺へと労働者支配を転換するものだ。絶望的な危機にあえぐ帝国主義が、階級支配における唯一の危機突破の道として推し進めている大攻撃であり、これとの闘いは革命の課題なのだ。
 民営化攻撃に全面屈服する体制内労働運動と決別して労働者の職場からの決起をまきおこし、団結を取り戻して闘おう。部落差別をあおり立てた民営化攻撃に対し、労働者階級が自らの問題としてこれと対決し、部落解放同盟全国連荒本支部とともに決起しよう。

 「単一の党」建設し11・4へ

 すでに労働者は感動的な決起を始めている。荒本平和診療所労働組合の労働者は「私たちは絶対に負けません。儲(もう)かるかどうかだけで労働者の職場や、医療を奪う政治をひっくり返しましょう」と宣言し、長尾市長による平和診療所破壊攻撃と対決している。教育労働者や自治体現業の労働者が民営化攻撃に反撃して立ち上がっている。こうした闘いを先頭に労働者の怒りをたたきつけ、さかぐち候補への投票行動として組織しよう。
 残り1週間、1日1日があらゆる反動との激突であり、一瞬のひるみも許されない激闘である。このギリギリとした蜂起戦のまっただ中での核心は、1枚のビラ、1回のアジテーション、1回のオルグにおいて、われわれの主張を一切のあいまいさなく鮮明にさせて闘うことだ。勝利への執念を燃やして、「もう一歩の踏み込み」にこだわろう。
 この選挙戦は、あらゆる意味で11・4労働者集会への1万人結集運動そのものである。長尾市長による「丸ごと民営化」攻撃をうち破る労働者の職場からの決起は、まさに11月決起の原動力なのだ。選挙戦の勝利に11月1万人決起の成否がかかっている、と言っても言い過ぎではない。
 この闘いの烈火の中でプロレタリア革命に勝利する「単一の党」を建設しよう。「丸ごと民営化」攻撃と全面的に対決し、”労働者に権力をよこせ”という訴えで切り込もう。この切り合いの中でこそ、階級的労働運動路線と7月テーゼで実践的に一致した党を建設することができる。
 東大阪地区委員会の同志を先頭に、この激しい闘いを開始している。全国からもてる力を東大阪に総結集し、さかぐち勝利をもぎりとろう。

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週刊『前進』(2311号3面1)(2007/09/17 )

 郵政民営化許さぬ! 集会とデモへ

 

10月1日の郵政民営化を前に、9月28日に闘う全逓労働者の総決起集会が開催される。その呼びかけを紹介します。(編集局)
 9月28日、「郵政民営化絶対反対! 安倍政権倒したぞ! 11・4日比谷で1万人の集会とデモを! 9・28全逓・郵政労働者総決起集会」を開催します。
 10月1日をもって「スタート」とされる郵政分割・民営化に対して、職場からの反撃に立ちあがり、その闘いをもって、決意も新たに郵政民営化絶対反対を宣言する集会です。10月22日をもって全逓を解散し、全郵政と組織統合するという全逓(JPU)中央本部と全郵政中央本部に対し、現場労働者は、そんなものを絶対に認めず、職場から総反乱に立ちあがり、自らの首をかけて、闘う全逓労働運動を貫くことを宣言する集会です。
 安倍政権が労働者人民の怒りによって打倒されたなかで、4大産別決戦の先陣を全逓労働者が担うことを鮮明にするとともに、労働者階級の総反乱を切り開く集会として、あらゆる産別の労働者に結集を呼びかけたいと思います。
 そして、自公政権の戦争と改憲、労組破壊の攻撃に対する、なによりも郵政民営化の攻撃に対する、最大の反撃として11月労働者集会1万人結集を実現するための集会としたいと思います。動労千葉をはじめ3労組の呼びかけに応え、闘うすべての労働者、韓国、アメリカをはじめ全世界の労働者と連帯し、11月4日、日比谷野音に、全逓労働者がその断固とした隊列を登場させることを宣言する集会です。
 本集会を大成功させ、11・4労働者集会1万人結集の力で民営化攻撃をうち砕きましょう。(写真 全逓大会の初日、民営化絶対反対・組織統合反対のデモをする全逓労働者【6月19日 那覇】)

《スローガン》

11・4日比谷で1万人の怒りの集会とデモをやろう!
◆労働組合を組合員の手にとりもどそう!
◆全郵政との組織統合反対、生産性向上運動許すな!
◆職場から階級的労働運動をつくりあげよう!
◆JPS反対、深夜勤は即時廃止させよう!
◆すべての非正規雇用労働者の本務化で大幅増員をかちとろう!
◆超勤拒否、物ダメ・ストライキで闘おう!
◆労働運動の力で革命をやろう!

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週刊『前進』(2311号3面2)(2007/09/17 )

 日程 9・28全逓・郵政労働者総決起集会

郵政民営化絶対反対! 安倍政権倒したぞ!
11・4日比谷で1万人の集会とデモを!
9・28全逓・郵政労働者総決起集会
9月28日(金)午後6時開場 6時30分開会
文京区民センター・2A会議室
(地下鉄 三田線・大江戸線 春日駅前
 丸の内線・南北線 後楽園駅 徒歩3分
 JR水道橋駅 徒歩10分)
主催 9・28全逓・郵政労働者総決起集会実行委員会

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週刊『前進』(2311号3面5)(2007/09/17 )

焦点 追い詰められついに辞任!

 安倍後継政権と対決へ

●労働者の怒りが安倍を倒した
 7月参院選で根底から爆発した、小泉「構造改革」路線と「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ極右・安倍政権への労働者階級と農民の怒りが、ついに安倍を打倒した。参院選後も恥ずべき居直りを続けてきた安倍は、追い詰められ、精魂尽き果てて政権を投げ出した。労働者と農民の怒りは、断じて一過性のものではなかった。それは安倍の延命を許さず、ついに政権を打ち倒したのである。
 辞任会見で安倍は、「今の状況で、国民の支持、信頼の上で、政策を前に進めていくことは困難だ」「私が残ることが障害になっている」と、憔悴(しょうすい)しきった表情で述べた。当たり前である。「戦後レジームからの脱却」を叫んで戦争・改憲の攻撃を推し進め、社会保険庁の労働者を「がんだ、ゴミだ」などと罵倒して民営化と労組破壊の攻撃を強めてきた安倍を、労働者階級人民は絶対に許しはしなかったのだ。
 安倍がその短い政権において、教育基本法改悪、防衛庁の省昇格、改憲投票法成立を強行したことの歴史的罪は万死に値する。
 だが、この安倍を打倒したことの意義は実に重大だ。何よりも日帝・安倍の戦争・改憲攻撃のプラン、民営化・労組破壊の攻撃に決定的な打撃を与えて、安倍の戦後体制転覆を狙った反革命クーデター攻撃を、ひとまず頓挫(とんざ)させたということである。
 安倍は、参院選の大敗北でこの改憲プランが大打撃を受けたことに加えて、さらに直接的には「対テロ特措法」の延長問題で、日米同盟の重圧に耐え切れずに辞任した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)で、給油継続を「最大限努力する」とブッシュに約束し、「職を賭(と)して」とも公言した。だがそれからわずか4日後に、政権を放棄した。
●「給油新法」を絶対粉砕せよ
 その上でなおかつ安倍は、「局面を転換しなければならない。新たな首相のもとでテロとの戦いを継続していかなければいけない」などと表明した。われわれは安倍の突然の辞任が、完全に行き詰まった「局面の転換」をかけた新たな反革命でもあることを怒りを込めて見据え、安倍後継政権の打倒と、11月1日期限切れの「対テロ特措法」の延長、あるいはそれに代わる「給油新法」の制定を絶対に阻止するために、新たな決意で闘わなければならない。
 日帝・自民党が提出を狙う「給油新法」では、海上自衛隊のインド洋での米軍支援活動について、国会承認の規定すらはずしてしまおうとしている。
 米帝のアフガニスタン―イラク侵略戦争は、帝国主義の延命と世界支配、石油略奪のために、アフガニスタン人民、イラク・中東人民を虐殺する不正義の侵略戦争そのものである。海上自衛隊のインド洋での給油・給水活動は、この不正義の侵略戦争、人民虐殺戦争を全面的に支えている。しかも、「対テロ特措法」で規定された枠組みすら逸脱して、給油の85%をイラク侵略戦争に供している。
 こうした中で、小沢・民主党は「対テロ特措法」の延長にはひとまず反対している。だがそれは帝国主義的ブルジョア政党として、対自民のペテン的欺瞞(ぎまん)的な党利党略のレベルのものでしかない。事実、小沢・民主党はアフガニスタンやイラクへの侵略戦争自体には何ひとつ反対していない。アフガニスタン国内では米軍とともに北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)がタリバンを攻撃しているが、民主党はこの国際治安部隊を自衛隊が後方支援することはあり得ると表明しているのだ。
 小沢・民主党は「国連決議」があれば「対テロ特措法」延長にも海自の給油活動にも賛成という立場であり、労働者階級人民の要求とは無縁である。
●11月労働者集会へ大攻勢を!
 安倍辞任は、階級決戦を次の新たな段階、より巨大な階級的激突の局面に押し上げた。日帝支配階級は、日米関係も含めて決定的な危機を深めている。まさに労働者階級が大攻勢にうって出る絶好のチャンスが到来している。
 日帝支配階級は、危機を深めれば深めるほど、労働者階級に対する凶暴な攻撃を強めてくる。だがそれに対する労働者階級の団結と反撃の火花は、より広範な労働者を闘いの中に引き入れ、階級激突を一層巨大なスケールに発展させていく。決起は始まっている。
 世界経済情勢は、米住宅バブルの崩壊―世界的株暴落という形で、新たな世界金融恐慌の過程に突入した。また米・日・欧帝国主義は、イラク―アフガニスタン戦争での敗北・敗勢で、没落と世界支配崩壊の危機を深めている。
 問われていることは、労働者階級が本来持っている荒々しい革命のエネルギーを全面的に爆発させるために、労働運動の革命的転換をかちとることだ。体制内労働運動を打ち破り、階級的労働運動を全力で発展させることだ。労働者の団結の拡大を急ぐことだ。
 その最大の決戦が11月労働者集会1万人結集の闘いだ。労働者階級の未来は唯一ここにある。処分や弾圧を恐れず、連合や全労連本部など既成の体制内労働運動を打破して、何よりも動労千葉労働運動に学び、それを全国の職場生産点に広げ実践することこそが、安倍後継政権打倒と「対テロ特措法」延長阻止の闘いを含めて、労働者階級が勝利する道である。
 動労千葉など闘う3労組が呼びかける11・4労働者集会の1万人結集に向けて、職場、学園、街頭で一大攻勢に打って出よう。

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週刊『前進』(2311号4面1)(2007/09/17 )

 給油の85%はイラク戦争用 「対テロ特措法」延長阻止へ

 イラク侵略戦争の敗北・敗勢 米軍

 11月集会1万人結集の力で国際連帯―世界革命開こう

 米帝のバブル経済の破綻(はたん)は、いまや理論的予言や政治的判断といったものではまったくない。戦後帝国主義世界体制の基本的矛盾が爆発し現実化する過程が、住宅バブル崩壊を牽引(けんいん)車としてついに始まった。これは、イラク侵略戦争の敗北・敗勢と一体化し、相乗作用を伴って進行していく。世界はついに29年恐慌以来の金融大恐慌の時代、新しい戦争の時代に再び突入した。全世界で、日本で、根底から世界革命を対置して闘うべき情勢が現出しつつあるのだ。これに対する革共同の回答もまた明確だ。この情勢に世界革命、日本プロレタリア革命を対置し、それに向かって階級的労働運動路線を全面的に驀進(ばくしん)することだ。「安倍辞任」情勢の中で、対テロ特措法延長阻止の闘いはいよいよ決定的になった。イラク侵略戦争へのプロレタリアートの怒りを、プロレタリア革命へと組織するために全力で闘おう。

 3万の米軍増派も効果なし ブッシュ「新戦略」が大破綻

 米帝のイラク侵略戦争の敗北・敗勢の状況はますます進んでいる。9月15日が提出期限の米軍・米政府からの「イラク情勢に関する最終報告書」の提出を前に、米帝ブッシュはついにイラクに派兵した米軍戦力の一部削減を認めざるを得ないところに追いつめられた。これはどんなに取り繕おうとも、米帝のイラク侵略戦争がいまひとつ決定的な分水嶺を越え、一層の敗勢と収拾なき泥沼にのめり込もうとしていることを示している。
 イラク侵略戦争はけっして、数々ある米帝の侵略戦争のひとつといったものではない。唯一の超大国としての米帝の地位が崩れていくことに対して、その圧倒的軍事力の行使をとおして中東の石油資源を独占し、中東の植民地主義的支配を強めることで、盛り返しをはかろうとする歴史的な一大侵略戦争としてあったし、いまもあるのだ。
 米帝ブッシュ政権はいま、イラク人民・中東人民の民族解放・革命戦争によって大反撃をつきつけられ、米帝国内からのプロレタリアートの反侵略・反戦・反米帝の反乱の開始と、反戦意識の急速な高まりをつきつけられている。戦略的敗北・敗勢にどんどん追い込まれている。
 しかも、米帝が帝国主義としてあるかぎり、イラクからの全面的撤退・潰走(かいそう)が何をイラクと中東に引き起こすかを想起するとき、それは不可能なのである。泥沼が米帝全体をのみこもうと、この泥沼から帝国主義・米帝は、米帝・ブルジョアジーは抜け出すことはできない。
 もちろん、それは超大国・米帝の死の苦悶(くもん)であり、米帝と米帝体制としての戦後帝国主義体制(世界体制)の崩壊の具体的進行そのものである。いうまでもなく、このプロセスは08年11月の米大統領選の動向を左右する。しかし、米民主党も帝国主義ブルジョアジーの党であり、自国帝国主義の敗北と崩壊のプロセスにおいてギリギリ選択する道は、反動的な侵略戦争の継続の道でしかない。また、08年11月まではまだ1年数カ月もあり、ブッシュ政権の下でイラク情勢はさらに激しい混乱と破綻の局面へと突入していく。
 闘うイラク人民・中東人民と連帯するアメリカ・プロレタリアートの革命的反乱の拡大は不可避である。そして、それを先頭とする全世界のプロレタリアートの決起も不可避である。11月の3国連帯の労働者集会は、そのなかで決定的な位置を占め、決定的な役割を演ずるであろう。
(写真 「1954年の創設以来、初めて戦闘地域に実際に派兵された日本の航空自衛隊」との説明で米空軍の公式ホームページに掲載されたC130の写真=06年6月28日付)

 内戦をあおる米の占領政策

 この基本点をがっちりとおさえて、具体的にイラク情勢をみてみよう。
 米帝ブッシュ政権が今年1月に開始したイラク「新戦略」なるものは、すでに完全に破綻している。
 ブッシュ政権は03〜06年過程で、すでに完全にこの侵略戦争における敗北・敗勢に追い込まれていた。イラク人民の民族解放・革命戦争の力は強く、戦争は長期化し、米軍の死亡者数と負傷者数はどんどん増大し、米軍は不正義の戦争の中でボロボロ化してしまった。新兵の募集が困難になり、契約すれば最初に200万円のボーナスを出すということまで打ち出さなければならない状況に陥ったのだ。
 石油資源の帝国主義的略奪をイラク民主化の名のもとに正当化したが、つくりだされた結果はイラク国内の内戦であった。イラク侵略戦争とそれが引き起こした内戦の中で、6万人(60万を超えるという統計もある)をはるかに超えるイラク人民が殺され、400万人近くが国内外に難民となって逃れている。
 06年秋の米国中間選挙では、ブッシュに対して米国の労働者人民が圧倒的に”ノン”を突きつけた。だが、ブッシュ政権はイラクへの帝国主義的侵略目的とその階級的利害のゆえに、イラク侵略戦争をあくまで続行することに踏みきった。その具体化が今年1月のイラク「新戦略」であり、イラクへの合計3万人超の米軍増派であった。
 しかしこれは、帝国主義的侵略戦争への民族解放・革命戦争のもつ根底的な力強さ・粘り強さを何ら理解することなく、月々3千人もの死者を出すにいたっている首都バグダッドと、スンニ派武装勢力の強い地帯としてのアンバール州に米軍を大量に投入して抑えつければ状況は鎮静化するといった戦略ならぬ戦略でしかなかった。この結果、「新戦略」の展開から数カ月もしないうちに、直接制圧のために表面に出た米軍へのゲリラ攻撃で、米軍の死者は急増した(負傷者はその10倍の勢いで増えた)。
 米軍死者数は、「最悪の四半期」(07年4〜6月)の合計は331人で、イラク開戦(03年3月20日)から07年8月31日までの米軍死者数は合計3742人に上る。これはゲリラ側=武装勢力が仕掛け爆弾(IED)などをたくみに使用し、車で動きまわる米軍を的確に捕捉(ほそく)し、せん滅することに圧倒的に成功したからだ。
 ブッシュ政権はまた、「新戦略」で米軍が増派された結果として、内戦(宗派間対立と言っているが)による市民の死者数が目にみえて減少したと”誇っていた”が、しかし現実は無慈悲にこの問題が何ら解決されていないことを示している。
 市民の死者数はイラク軍の発表でさえ7月には1653人に達している (前月比30%増)。『朝日新聞』の独自調査では依然として月々2千人近い死者が出ている。要するに、米軍を増派しても、根本的にはなんら状況は変化していないのである。

 バスラ中心部から英軍撤退

 米帝は部隊を増派し「新戦略」を実行したが、その結果は、直接占領方式でのバグダッドやアンバール州などの一時的・外見的な制圧だけなのである。武装勢力側は当然にもゲリラ戦法の原則にのっとって、敵の手薄なところ、敵の支配の弱いところをついて戦闘を展開している。具体的には、米軍がバグダッドとアンバール州に大量の軍事力を投入してきたため、ゲリラ戦闘はディヤラー州で爆発的に展開された。
 このため米軍は、6月19日にはディヤラー州バクーバに1万人を動員し、フセイン政権打倒後最大規模の掃討戦を展開した。8月13日からは「稲妻の鉄槌作戦」と称して、アルカイダ系拠点の一掃を目的に、1万6000人の米軍をディヤラー州に投入している。これに対し、スンニ派系のアルカイダ・イラクなどを軸にした武装勢力は、北部での大ゲリラ戦を爆発させている。
 また、ブッシュの「新戦略」は、スンニ派の地元部族勢力と、同じスンニ派だがアルカイダ系の武装勢力とを分断し、後者を壊滅することを目的としていたが、ものの見事にこの作戦に失敗している。しかも「新戦略」ではバグダッドの制圧に総力をあげるとしてきたが、バグダッドでもこの間、一定間隔で大戦闘がたたきつけられている。中部方面でもこういう大作戦を遂行する力が反米武装勢力の側にはあるということである。
 また、「新戦略」はシーア派のバドル軍団系を治安部隊の形態で米軍との共同作戦にかかえ込み、サドル系民兵マフディ軍をおさえこむことを狙って攻撃を強めてきたが、いずれも基本的に成功していない。バグダッドを中心に月々2千人の市民の死者が出るというのは、バドル軍団と治安部隊の力がヤミで行使されること抜きにはありえない。また、サドル派のマフディ軍も勢力を保持している。とくにバスラでの動きは強く、英軍の撤退が進む中で、英軍への激しいゲリラ戦を繰り広げるとともに、治安部隊の形をとったシーア派主流のバドル軍団との激しい戦闘を各地で繰り広げている。その結果、イギリス軍はついにバスラ中心部から撤退し、バスラ空港の基地に引きこもった。結局「新戦略」は、表面的・一時的効果を除き、各派の民兵勢力を抑えることなどまったくできてはいない。

 崩壊寸前状態のマリキ政権 カイライ政権に人民の怒り

 米帝のイラク「新戦略」の破綻を示すいまひとつのメルクマールは、マリキ政権の危機だ。
 マリキ政権はこの1年あまりの間にボロボロ化し、崩壊寸前の状態に陥っている。閣僚総数37人のうち、8月中旬現在で17人もの閣僚が離脱している。まず、サドル派の6人の閣僚が離脱、8月1日からはスンニ派合意戦線の6人が離脱した。さらに8月6日からはシーア派世俗派のアラウィ派5人が離脱した。
 マリキ政権のこの危機の原因はいうまでもなく、マリキ政権がカイライ政権であり、米帝・米軍がカイライ政権の”権力派”として位置づけているシーア派主流(シスターニ系)の政策が、イラクを分裂させる政策そのものだからである。
 決定的なのは、石油法案の問題である。この新石油ガス法案は、7月3日に閣議決定されたが、議会内外の圧倒的な反対でまだ議会には提出されていない。同法の骨子は、@石油政策の決定機関は連邦石油ガス評議会(FOGC)である、A地域政府と外資との交渉権を認める。ただし契約成立にはFOGCの3分の2の賛成を要す、B石油収入は中央政府に入り各地の人口比に応じて配分するとしている。一見して明かなように、「新憲法」での連邦制―地域政府体制と一体である。石油資源・油田の集中している南部諸州のシーア派とクルド人に有利で、スンニ派には圧倒的に不利な内容である。
 さらに決定的な問題は、新石油法が既存石油施設の更新や新たな油田の開発などで外国資本の契約を認めていることである。外国資本には施設の建設や補修等にかかった費用は石油収入のうちから支払われ、契約割合に応じた石油収入も与えられる。最終的には、イラクの石油収入のうち7割もが外国資本によって略奪されることになると言われている。詳細は関連諸法で決められることになるとしても、この法律で外国資本の権限を認めることは、72年の石油産業国有化以来の歴史を覆し、帝国主義の石油強奪に道を開くものだ。
 米帝は、この新石油法がイラク国民和解のためだなどとデマ宣伝し、法案を成立させるよう圧力をかけ続けている。なるべく早くイラク石油利権独占の手段を手にしようとしているのだ。これはブッシュ政権にとって、イラク戦争の達成物として国内向け政治宣伝の材料にもなる。
 これに対し、イラク人民の広範な怒りが燃え上がっている。石油労組連合の労働者がデモで抗議に立ち上がったのを始め、武装解放勢力各組織やスンニ派宗教勢力も弾劾の声明を発している。
 マリキ政権からの閣僚のあいつぐ離脱は、この石油法の問題と絡むが、イラクの政治体制が、米帝・米軍支配のもとでのシーア派主流の事実上の独裁政権となっており、治安部隊や政治機構の全体が圧倒的に一党一派に偏して行使されていること、スンニ派合意戦線やサドル派、あるいはアラウィ派(シーア派世俗派)などが激しい政治弾圧を受けていることへの抗議である。もちろん、これを根底で突き動かしているのは、民族解放・革命戦争の展開である。

 侵略戦争継続狙うブッシュ 「死の苦悶」の米帝うち倒せ

 イラク「新戦略」が所期の目的をなんら達成できず、イラクの分裂と内戦的危機をますます深めるものでしかないことを、今ではブッシュ政権自身が認めている。
 7月12日、ブッシュ政権は議会に「イラク情勢に関する中間報告」を提出した。これは9月「最終報告」を前にした中間報告だ。
 この報告は「イラク政府の進展状況」についての18指標という形で、責任主体をイラク政府にしている。そこで明らかになっていることは、「新戦略」による米軍の増派が、なんの効果もあげていないということだ。
 民兵組織の解体などまったくできていない、治安部隊はまったくシーア派などの道具でしかないと言っている。しかも、「新戦略」発表の際、イラク軍の自立を促すとあれだけ騒ぎ立てたのに、答えは「まだまだできない」というのだ。「新戦略」でできたことは、予算を使ってバグダッドなどに大量の軍隊を配置し、一時的・表面的に少しだけ「抑えた」というぐらいのことだ。
 この「中間報告」の狙いは逆に、「新戦略」の実効効果がいまだ上がってないということをみずから言いたて、さらなるイラクへの米軍駐留体制継続の必要性を強調したいということのようである。しかし、もはやそれがストレートに通用するような米国内の階級情勢、政治情勢ではない。

 占領継続狙う「中間報告」

 そこから今回、ブッシュは「一部削減」を打ち出した。これは民主党の「現実派」などが要求していたものでもある。イラク現地から議会証言のために帰国した米軍最高司令官のペトレイアスに米軍の一定の削減が可能であると発言させ、一部削減を打ち出したのだ。
 しかし、実際に削減するのは3万人程度で、従来と同じ13万人規模の駐留は継続し、国内の撤退要求をかわしつつ、あくまでもイラク占領を継続しようとするものだ。
 しかし、この問題はけっしてペテン的な処理、ペテン的政策でのりきれるものではない。いま米帝は、イラクの戦場で敗れ、国内戦(国内政治戦争、本質的には階級闘争)において敗れ、イラク侵略戦争の恐るべき敗北の危機に直面しているのだ。実際に、17万人規模の米軍駐留を継続的に維持できないことが暴かれたのであり、イラクの戦場が総崩れとなる危機を明白にはらんでいる。また、米帝内で即時撤退要求の闘いが一層高揚することは不可避だ。しかしその一方で、「祖国の敗北」が目も当てられぬ形で進行することへの反動の激発、さらに米帝体制に依拠していた世界や中東諸国の権力者たちの全面的な動揺と反動的反撃も極点に達するであろう。しかもブッシュ政権自体はまだ1年数カ月もある。危機はどこまでも深化・拡大し、米国内・世界規模で革命と反革命が大激突する。
 革共同としては、〈米帝は帝国主義である限りイラクから撤退できない。イラクの大敗北のまま撤退できない。したがって、米帝のイラク侵略戦争継続、反動的危機感をテコとする戦争拡大は不可避〉という視点をはっきりさせ、ここに密集する反革命を真っ向から見すえ、プロレタリアートの怒りの大爆発をプロレタリア革命へと組織するために全力で闘わなければならない。
 イラク侵略戦争は、世界史的なとてつもない戦争であり、本質的に帝国主義の危機と分裂・争闘戦が、帝国主義侵略戦争、帝国主義世界大戦に向かってすでに動き始めていることを示すものである。世界金融大恐慌の動きと一体となって進んでいくこの帝国主義戦争の流れは、ただプロレタリアートの世界革命の勝利によってのみ、真に唯一断ち切ることができる。他にいっさいの道はない。安倍の辞任で動揺と混乱を深める日帝を追撃し、階級的労働運動路線の全面的貫徹によって、《戦争・改憲、民営化・労組破壊》の攻撃をプロレタリア革命へと転化させるための闘いの意義はいまや明白である。
 臨時国会での対テロ特措法延長を許すな。海上自衛隊の給油の85%はイラク侵略戦争に使われている。対テロ特措法延長阻止は、ストレートにイラク侵略戦争阻止の闘いだ。労働者への攻撃と侵略戦争以外に道がない日本帝国主義をいまこそ倒せ! いざ11・4集会1万人結集へ!!

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週刊『前進』(2311号5面1)(2007/09/17 )

 信用収縮継続と実体経済への波及

 世界金融危機 さらに深刻化

 低所得層の住宅差し押さえ〈食〉も〈住〉も奪う資本主義

 島崎光晴

 8月半ば、米住宅バブルの崩壊はついに米欧で新型の金融危機を引き起こすまでにいたった。以来1カ月がすぎたが、金融危機はまったく収束していない。本格的な金融恐慌から大恐慌に、いつ転じてもおかしくない。サブプライムローン(低所得者向け高金利型住宅ローン)が返済不能となるのは必至だった。貧困層にもローンを強制しないと成り立たない金融資本、当然にもその焦げつきから未曽有(みぞう)の危機に見舞われている資本家階級。ここに帝国主義の末期性が鮮明に示されている。

 金融恐慌寸前の状況に 住宅以外も資金繰り悪化

 今回の金融危機は直接には、米住宅ローン債権が証券化され、しかもその証券化商品が世界に拡散していることから起きている。住宅ローンはもともと、住宅ローン会社や大手金融機関が貸し出す。ところが、この貸し手は住宅ローン債権を自分で抱えこまないで、この債権を担保にした証券にして転売している。これが住宅ローン担保証券(RMBS)。しかも、この証券を担保にしつつ、複雑な仕組みで再証券化している。これが債務担保証券(CDO)。サブプライムローンが盛りこまれたCDOの発行残高は約1兆j(約113兆円)とも言われる。
 しかも米欧とも、これらの証券を担保にした手形、コマーシャルペーパー(CP)を金融機関の資金繰りの手段としていた。CPのやりとりで、金融機関同士が日常茶飯に短期資金を融通し合う仕組みだ。マネーを血液にたとえるなら、短期金融市場は心臓に等しい。その短期金融市場が、もともとは米住宅ローン債権を原資産としたCPで運用される、という状態だったのだ。

 証券化による新型金融危機

 ところが、年初からサブプライムローンの返済不能=焦げつきが急増し、米住宅ローン会社の破綻(はたん)が相次いだ。さらに、住宅ローン担保証券、その再証券化商品、それらを担保にしたCPなどへの不信が強まった。
 8月にはフランス最大手金融機関BNPパリバ傘下のファンドが、そのCPでの資金繰りに行き詰まった。ほぼ同様のことがドイツとイギリスでも起きた。1週間後には、米住宅ローン会社の最大手カントリーワイド・ファイナンシャルが、CPが発行できずに資金難に陥り、銀行から115億j(約1・3兆円)を借りて急場をしのいだ。米欧とも、短期市場でのCPの買い手がまったくいなくなり、機能はほぼ停止した。これが信用収縮だ。マネーの心臓部が凍りついたわけだ。
 このような金融危機は前例がない。これほど複雑な仕組みの証券化商品が可能になったのは、新自由主義政策のもとで、金融が資本家のいいように自由化されてきたからだ。また、それが一国にとどまっていないのは、90年代以降に金融と企業のグローバリズム(地球大化の戦略)が進められてきたからだ。その結果、世界のどこにどれほどの住宅ローン担保証券・再証券化商品があるか誰もわからず、いつどのような形で危機が深まるかもまったく予測できない。その意味でこれは〈新自由主義とグローバリズムのもとにおける21世紀の新型の金融危機>にほかならない。
 米欧の信用収縮は今も続いている。米国では8月8日から4週間でCP発行残高が約13%、約3000億j(約34・5兆円)も減った。資金は財務省証券に逃げているが、それもできるだけ短期の証券に向かっている。資金繰りが自転車操業になっているわけだ。
 信用収縮によって、住宅とは関係のない金融機関にも資金難が広がりつつある。信託銀行最大手のステート・ストリートは、傘下の特別目的会社を通じたCPによる資金繰りが難しくなっている。もし、特別目的会社が資金を調達できなければ、ステート・ストリートは最大で220億j(約2・6兆円)も融資して救済しなければならなくなる。あらかじめそういう契約を結んでいる。この額はステート・ストリート銀行の総資産の17%にあたり、経営危機に発展しかねない。信用収縮→非住宅関連の大手金融機関の危機→金融恐慌、という可能性もある。

 消費減退から世界大恐慌へ

 さらに、住宅バブル崩壊が実体経済を下降させるのは必至だ。米家計は住宅ローンを借り増しして、その分を消費にあててきた。個人消費と住宅投資を合計した額が実質GDPに占める比率は、05年7〜9月期のピークで76%と、20世紀の最高水準だった29年をも上回った。この比率の上昇期間は97年4〜6月期から8年以上もあり、第2次大戦後の平均3年9カ月の2倍以上の長さだった。そうした史上最大のバブルが、今から本格的に崩れていくのだ。
 すでに4〜6月期のGDP統計では、食品・燃料費などの非耐久財が91年以来16年ぶりのマイナスとなった。自動車販売やホームセンター売り上げも減少傾向にある。また、非農業部門の雇用者数は8月に4年ぶりの減少となった。特に金融業での大首切りが始まっている。01年12月からの景気拡大局面で雇用者数が増えたのは、教育・ヘルスケア産業16%増、レジャー産業13%増、金融8%増だった。この雇用の牽引(けんいん)役が崩れつつある。それは米労働者階級に一層の大失業をもたらす。
 米住宅バブル崩壊はまだ始まったばかりだ。今後、住宅価格はさらに下がっていく。また、サブプライムローンの金利が上がるため、焦げつきは巨大になっていく。さらに、サブプライム以外の「優良」な住宅ローンでも、すでに焦げつきが増えつつある。
 これらはますます金融危機を激化させることとなる。株価はさらに暴落を繰り返していかざるをえない。そうした金融危機の進展と実体経済の下降とが相互に促進しあっていく。かりに政策金利を引き下げても、バブル崩壊を食い止めることは絶対にできない。
 それは米国だけでなく、世界のバブル経済を崩壊させていく。特に対米輸出に依存する日本経済と中国経済への直撃となる。米実体経済の下降と中国バブルの崩壊が重なる時、世界は大恐慌に突入していくだろう。日本経済は対米輸出と対中輸出で二重の大打撃をこうむり、最も弱い帝国主義として破滅的にならざるをえない。
 かつて29年大恐慌は、30年代の世界的な革命情勢を引き起こした。しかしスターリン主義の裏切りで労働者階級が勝てなかった結果、世界は第2次大戦に行き着いた。本当に今度こそは、帝国主義を世界革命によって打倒しなければならない。
(写真 家電製品を始め個人消費の減退が進んでいる【米カリフォルニア州のシアーズの店舗】)

 貧困層への融資の末期性 新自由主義特有の大収奪

 米住宅バブル崩壊は、現在の帝国主義がどれほど末期的、破滅的になっているかを衝撃的にさらけだした。何よりも、サブプライムローンという形で返済不可能な貸し出しをし、当然にも破綻してしまったことだ。
 サブプライムローンは、「過去1年間に1カ月以上の延滞が2件」、「所得に対する債務返済比率が50%以上」の人を含む。しかも、金利は当初2年間ほどは低く固定されるが、3年目以降は年10%以上にも跳ね上がる。だから低所得者向け高金利型住宅ローンなのだ。
 実際の借り手は、持ち家比率が約50%と低かったヒスパニック系住民が多い。ヒスパニック系の人口は約4400万人、米国全人口の14%強で、その3分の1以上が銀行口座を持たない。融資先には「英語の契約書をまともに読めない人や、特別に口座開設を認められた『不法移民』もいる」(9月4日付日経新聞)。また、米国の貧困層は全人口の13%だが、そうした無収入・無職・無資産の人にもローンが組まれた。

 詐欺的方法でローン強いる

 なぜ、こうした人びとにもローンが貸し出されたのか。サブプライムは貸手にとって高利回りなため、金融機関同士の貸出競争になったからだ。借り手側が頼んだというより、貸手側が無理やりローンを押しつけたのだ。そのやり方は詐欺そのもの! 「客の申し込みが審査を通りやすいよう、実際以上に高い所得を申込書に記入していた」「客にローンの内容を説明する際に、実際よりリスクが小さいような説明をしたり、融資条件をごまかしていた業者もいる」(ニューズウィーク誌9月5日号「私が落ちたローン蟻地獄」)
 それにしても、なぜ低所得者層や貧困層にまで貸し出しをする必要があったのか。それは、新自由主義政策のもとでは、そうした層しか金融的収奪の対象がいなくなったからだ。70年代までは累進課税だったため、資本家階級も借り手としてあった。しかし、新自由主義政策のもとで、資本家を優遇する税制に大改悪され、資本家階級は金融機関からカネを借りる必要がなくなった。大企業はもともと株式や社債での資金調達が基本だった。
 そうなると没落する中間層と低所得層、さらには貧困層だけが貸出先となる。こうした層を収奪する以外に金融資本として成り立たないということだ。日本の大手銀行がそろって、消費者金融を傘下に収めて、家計から収奪するのを収益の柱にしているのも同じである。
 新自由主義は、労働者を無権利に追いやり、不安定雇用、低賃金、長時間労働、無医療保険によって搾取する。と同時に、ローンを始めあらゆる機会をとらえて詐欺的やり方までして、労働者を徹底して収奪しようとする。今や資本主義は、労働者をこき使い、絞りに絞っても飽きたらず、労働者から無慈悲にぼったくるしかなくなったのだ。サブプライム問題とは、こうした新自由主義の反労働者性を浮き彫りにしている。

 ホームレス化規制の条例も

  しかし、そのような搾取と収奪が無際限に続けられるわけではない。住宅バブルが崩れ始めたとたん、収奪の手段だったサブプライムローンは資本家階級にとって逆に“命取り”に転化した。
 サブプライムローンが増えたのは、04年以降である。住宅バブルがいったん頭打ちになり、崩壊しかかった時期だ。だから米資本家階級は住宅バブルを引き延ばすため、サブプライムローンに血道をあげたのだ。しかし、結局のところバブルは行き詰まり、ローンは焦げつき、新型の金融危機を引き起こすこととなった。
 今や、ローンを返済できなくなった労働者に対し、住宅の差し押さえが始まっている。4〜6月期だけで差し押さえは全米で49万件弱と、過去最高となった。それでもサブプライムローンのうちの3%にも満たない。かりにサブプライムローンすべてが差し押さえになるとすると、1600万件にも及ぶ。
 一方、連邦破産法が05年に四半世紀ぶりに抜本改悪されている。債務返済を免除する同法7条の適用が厳しく制限されるようになった。米国の自己破産は年間160万件で、原因の半分は医療費が払えないこと。医療費が払えず、しかも自己破産できないとなると、病気でも医者にかかれず、借金に追い立てられることになる。
 そこに、住宅ローンでの差し押さえが襲いかかってくるのだ。ところが、今のアメリカではホームレスとして生きていくのさえ簡単ではない。02年以降、公共の場で物ごいしたり、座ったり寝そべったりすることを規制する州の条例が急増している。ニューヨークでは昨年11月、路上で通行人に「1j分けて」と訴えたホームレスが逮捕・起訴され、今も拘置されている。しかも、ホームレスに食事を提供する支援者を罰する条例も成立しはじめている。
 ホームレスにもなれないのなら、家を差し押さえられた何百万件の家族たちはどうすればいいのか。住居を確保するためには、もはや資本・国家と闘うしかないのだ。それでも住めないというのであれば、革命を起こす以外にないではないか。
 90年代以来、資本主義は労働者を食わせられなくなっていた。それに加えて資本主義は今や、労働者を住まわすこともできなくなった。日本の「ネットカフェ難民」もまったく同じだ。〈衣食住>の〈食>と〈住>の二つもが成り立たない時代など、人類の歴史上でもそうそうあることではない。〈衣>だけで人間が生きていけるはずがないではないか! その〈衣>だって、中国などでの低賃金労働による生産でかろうじて成り立っているにすぎない。こんなのは、一個の体制として完全に破産しているということではないか!
 資本家の時代は終わったのだ。労働者階級に権力を寄こせ。11月労働者集会に1万人が結集しよう。それこそが、世界大恐慌と世界革命の時代の到来に対する労働者階級の回答である。
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◆解説◆ コマーシャルペーパー

 CPと略される。約束手形の一種。約束した時期に、定まった金額が支払われるべき有価証券。米欧の短期金融市場では、CPのやりとりで金融機関が日常的な資金繰りをしている。近年では、住宅ローン担保証券、その再証券化商品を担保にしたCP(資産担保CP)が増えている。米国ではCP市場全体は約2兆j、うち資産担保CPが約1・2兆jを占める。しかも、大手金融機関が特別目的会社を設立して貸出債権を移管し、特別目的会社が資産担保CPを発行するケースが増えている。特別目的会社が資金繰りに困った際は、親会社の金融機関から緊急融資を受ける契約をあらかじめ結んでいる。このため、危機は親会社の金融機関にも波及する。

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