ZENSHIN 2007/07/30(No2305 p06)

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週刊『前進』(2305号1面1)(2007/07/30 )

 広島・長崎から安倍打倒の火柱を

 青年労働者・学生を最先頭に帝国主義打倒の革命的激闘へ

 すべての原発を停止し廃絶せよ

”都教委はいやがらせの研修をやめろ!” 都高教大会日に再発防止研修をぶつけてきたが、分断をのりこえて多くの教育労働者や支援者が駆けつけた(7月23日 水道橋)

 安倍首相は参院選の選挙演説で、「戦後レジームからの脱却」とそのもとでの「改革」の推進や「成長戦略」なるものを叫んできた。そして選挙結果に関係なく(いかに惨敗であったとしても)、「退陣は絶対にしない」と公言してきた。つまり、あくまでも安倍政権として戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃を貫くということである。自治労・日教組への攻撃を一層強めると同時に、大企業・大銀行の最大限の利益のために非正規雇用を拡大し、青年を始めとする労働者階級の極限的な搾取と使い捨て、貧困化を進めると言っているのだ。その先には改憲と青年・学生の戦争動員がある。こんなウルトラ反動の日帝・安倍政権は、労働者階級の怒りの反乱と階級的労働運動の発展で、直ちに打倒しなければならない。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争が、その当面する最大の決戦場だ。青年・学生を先頭に全国からの総結集を訴えたい。

 貧困・格差の先に戦争動員

 参院選後の政治情勢、階級情勢は、大変な激動過程に突入する。それは青年・学生を先頭に8・6広島―8・9長崎から安倍打倒の火柱を上げ、日帝打倒を切り開くための革命的激闘へと総決起していくべき情勢だ。
 安倍が叫んできた「戦後レジームからの脱却」とは、戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃であり、戦後体制を破壊して戦前型の「大日本帝国」を復活させる攻撃だ。
 この安倍の政策の基礎にあるものこそ、レーガン、サッチャー(そして中曽根)以来の新自由主義(新保守主義)であり、市場原理主義だ。これは独占金融資本(大企業・大銀行)の利益と生き残りを最優先する政策であり、日本では小泉政権以来、急速に強まってきた。このもとで「スポット派遣」「ネットカフェ難民」「ワーキングプア」という言葉や現実が常態化し、90年代のいわゆる就職氷河期を経てきた2000万人もの青年労働者が、非正規雇用化と貧困、格差拡大の中にたたき込まれてきた。
 今や日本の労働者の3分の1が非正規雇用だ。こんな劇的な労働力構成の変化は世界に例がない。具体的には1995年の日経連プロジェクト報告、および99年と03年の労働者派遣法改悪で、パートに加え派遣・請負・契約などの非正規労働者が激増し、賃金も2分の1、3分の1に切り下げられた。生活保護費以下という最低賃金も各地でまかり通っている。結婚もできず、子どももつくれない労働者が大量に生まれているのだ。
 こうした極限的な労働者への搾取と貧困化の上に、独占金融資本は空前の収益をあげ、この5年間で国内総生産(GDP)は22兆円増加し、大企業の役員報酬は3倍になった。だが逆に労働者の賃金は5兆円も減り、社会保障制度解体や介護・医療の負担増、定率減税廃止と住民税大幅アップが、労働者の生活を痛撃している。
 だが安倍も日本経団連・御手洗も、こうした貧困化や格差拡大という現実を打開しようなどとは、夢にも考えていない。いや逆に安倍や御手洗は、大企業の最大限の収益増のために、偽装請負も合法化し、残業代ゼロのホワイトカラーエグゼンプション(WE)の導入も、次の国会で強行しようと画策している。安倍の「再チャレンジ」とは貧困と格差をなくすのではさらさらなく、もっとダイナミックな格差社会にしようということでしかないのだ。
 労働者階級へのこうした非正規化、貧困化、格差拡大の攻撃と一体のものとして、安倍による民営化攻撃と公務員バッシングがある。それはとりわけ不明年金問題の責任を社会保険庁の労働者・自治体労働者に転嫁する攻撃だ。さらには自治体労働者、教育労働者は「ハローワークに行ってもらう」(自民党幹事長・中川秀直)という、大リストラと自治労・日教組破壊の攻撃である。
 労働者階級へのこうした攻撃が行き着く先が戦争と改憲だ。非正規の「ワーキングプア」の膨大な青年労働者が、学生とともに戦場に送られる。それが9条改憲であり、集団的自衛権の行使である。イラク戦争の前線にいる米軍兵士の平均年収は日本円で約180万円だ。安倍や御手洗は今、米帝のイラク戦争と同じことを狙っているのである。まさに青年労働者と学生が、非正規雇用と「ワーキングプア」にたたき込まれることは、改憲・戦争動員と一体のことなのだ。
 「戦後レジームからの脱却」を叫び、新自由主義政策で労働者階級を首切り、非正規雇用、貧困の地獄にたたき込み、改憲と戦争動員を狙う安倍自公政権は、即刻、打倒されなければならない。求められているのは戦争ではなく革命だ。
 危機の安倍政権を打ち倒せるのは、労働者の団結と反乱だ。しかし腐敗を極める既成の体制内労働運動に展望はない。階級的労働運動の前進にこそ未来がある。青年労働者と学生を先頭に闘われた3・18と6・9の集会とデモ。この「労働運動の力で革命を」の闘いをさらに発展させよう。

 階級的労働運動にこそ未来

 戦争・改憲と核武装に突き進む日帝・安倍を打倒するために、青年労働者と学生を先頭に、8・6ヒロシマ―8・9ナガサキに総決起することをあらためて訴えたい。
 日帝・安倍の正体と本音は、久間前防衛相の「原爆投下はしょうがない」発言によって、衝撃的に突き出された。これは帝国主義戦争(第2次大戦)と原爆投下を居直り、合理化し、今また再び戦争をやり、核武装し、核兵器を使おうとしている帝国主義者の本音である。
 久間は「しょうがない」発言で、原爆投下により「戦争が終わった」「ソ連の対日占領を阻止できた」と、歴史偽造に等しい理由をもって広島・長崎の惨劇を「正当化」した。戦争をやり、革命を鎮圧して資本主義・帝国主義が生き残るためだったら、一瞬にして数十万人の労働者人民の命が失われてもなんとも思わない。それが帝国主義というものだ。
 すでに疲弊しきって敗北寸前だった日本に二つの原爆を投下した米帝は、それで「戦争終結が早まり、米兵100万人の命が助かった」と言っている。この歴史偽造と原爆投下正当化が、米帝の「公式見解」だ。久間発言はこの米帝の立場と完全に対応している。
 広島・長崎、沖縄戦、東京大空襲の惨禍こそ、第2次大戦の帰結だった。久間発言と一体のものとして、沖縄戦での日本軍による「集団自決」強制の歴史を抹殺する教科書検定が、安倍政権と文科省によって強行された。断じて偶然ではない。日帝と安倍は、軍の歴史的犯罪を抹殺し、沖縄戦への反省を拒否することで、再び沖縄戦を繰り返すと表明しているのだ。これが安倍の改憲攻撃、「戦後レジームからの脱却」の攻撃である。
 原爆は第2次帝国主義戦争の中から生まれた究極の反人民的兵器だ。帝国主義は原子核反応(核分裂や核融合)という太陽など宇宙空間にしか存在しない、地球上の生物の化学反応体系とは異次元の現象にまで手をつけ、それを人間がコントロールできると錯覚、強弁して、帝国主義戦争で使うために原爆を造った。だがこれは、労働者階級人民とは絶対に相入れないしろものである。
 中越沖地震でチェルノブイリ級の大惨事寸前までいった柏崎刈羽原発。原発も核兵器とその原理は同じことである。どちらも人間がコントロールできない世界だ。それを支配階級は、帝国主義戦争に勝つために大量虐殺兵器たる原爆を造って使った。大資本の利益のために原発を次々に増設してきた。しかも今、日帝は「原子力立国」を国是とし、原発建設を推進し、核武装化をも狙っている。
 この核兵器を廃絶し、帝国主義戦争・核戦争を阻み、また原発を即時停止し廃絶することができる主体は、被爆労働者を軸とする労働者階級だ。
 核兵器を始めとする兵器を生産し、運搬しているのは労働者である。原発を建設し、運転しているのも労働者だ。労働者なしに生産活動も、交通も、行政、教育、医療も、一切が成り立たない。労働者が団結して決起すれば、帝国主義社会は止まり、腐敗した権力を倒して、革命も実現できるのである。
 しかし体制内労働運動では、帝国主義と闘うことも、革命をやることも不可能だ。階級的労働運動にこそ未来がある。
 原発・核燃サイクル推進の核禁会議と合同した既成の原水禁運動は、完全に破産し、無力化した。これをのりこえ反戦反核闘争を革命的に担うのは、階級的労働運動だ。青年労働者・学生を先頭として「労働運動の力で革命をやろう」を実践する闘う新潮流だ。
 改憲・核武装を狙う安倍自公政権打倒と核廃絶へ、8・6ヒロシマ―8・9ナガサキに全国から総結集しよう。そこから11月労働者総決起へと攻め上ろう!

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週刊『前進』(2305号1面2)(2007/07/30 )

 「君が代」被処分者

 “転向強要許さぬ”

 再発防止研修に反撃

 「都教委はみせしめ研修をやめろ!」「教え子を戦場に送らないために闘うぞ!」――7月23日、都教委による「再発防止研修」が行われた水道橋の教職員研修センター前は、大きなシュプレヒコールに包まれた。
 研修の対象とされたのは、今春の卒業式・入学式で「君が代」斉唱時に不起立や伴奏拒否などで懲戒処分を受けた教育労働者のうち、退職者や停職中の根津公子さんを除く36人である。
 この日はそもそも都高教の定期大会が当初から決められていたが、昨年に続き都教委は同じ日に研修をぶつけてきた。しかし被処分者を先頭に、現場の教育労働者や支援者など約150人が結集し、不当な「再発防止研修」への怒りをたたきつけた。6カ月の停職処分を受け、連日、職場門前での就労闘争を続ける根津公子さんの元気いっぱいの姿もあった。
 研修は午前と午後の2回に分けて行われた。停職処分を受けた被処分者は、なんと「1対4」の個別研修を強制された。被処分者を分断し、”研修”に名を借りて転向強要することを絶対に許すことはできない。
 これまでの「再発防止研修」に比べて、今回は都教委側が「儀式での職務命令違反」を強調し、より露骨な転向強要に踏み出してきたのが特徴だ。「教育現場でのあらゆる職務は上司の命令である」という強圧的なことまで宣言した。停職3カ月の処分を受けた河原井純子さんに対しては、「懲戒免職になったら退職金はない。年金にも影響が出る」という露骨な脅しを加えてきた。
 しかし被処分者は、意気高く質問攻めで都教委を圧倒した。「なぜ基本研修なのに1人にされるのか」「都民の7割は『日の丸・君が代』の強制に反対している」「職務命令は憲法違反ではないか」――追い詰められた都教委は、質問時間をたった5分に制限し、時間が来たらさっさと逃げてしまう有様だ。
 研修を終え会場から出てきた被処分者の表情は明るい。「こうして支援の人がいっぱいいるとうれしい」「人間扱いされないことへの怒りをもって専門研修に臨みたい」――次々と発言した被処分者の声は、都教委への怒りと、多くの仲間と闘える喜びに満ちていた。(2面に被処分者の声)

 都高教大会で修正案を可決

 同日行われた都高教の定期大会では、「歴史的な9・21判決の意義を広める取り組みをするために日教組をとおして全国的な取り組みを訴える」「2年連続で、都高教大会当日に再発防止研修をぶつけることは、組合に対する挑発であり、明確な不当労働行為です」といった被処分者などによる21本の修正案が可決または受け入れとなった。また「再発防止研修」を強制された被処分者が大会に参加できるために、「議場閉鎖後も被処分者が会場内に入ることができる」という緊急動議が都高教本部の敵対をうち破って可決され、「再発防止研修の強行に抗議する緊急・特別決議」が圧倒的多数で採択された。
 これに先立つ19日、「再発防止研修」の不当性を訴えた裁判の判決が東京地裁で行われた。被処分者の訴えをすべて棄却する不当判決だ。判決後の記者会見で、原告の被処分者は怒りを込めて不当判決を弾劾した。7・23闘争は、これに対する真っ向からの反撃としても闘われた。

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週刊『前進』(2305号2面1)(2007/07/30 )

 “社保庁解体・職員解雇”許せるか 

 胸はって怒りをぶつけよう

 闘えば必ず展望は開かれる

 デマに屈してなるものか

 社会保険庁で働くすべての労働者の皆さんに訴えます。
 自民党は参院選向けに主要な全国紙すべてに出した全面広告で、「社会保険庁は徹底解体・職員解雇」と言いました。年金業務・社会保険庁監視等委員会の委員長になったJR東海会長の葛西敬之は、「社会保険庁を廃止、分割しても現在の職員がそのまま移行するようでは、改革の効果は上がるまい。全ての職員は新機構による新規採用とし、現職のうち勤務成績の良い者だけが新規採用にあずかれる仕組みとすべきだ」(読売新聞7・23付)と息巻いています。
 冗談じゃありません。労働者が働かないから記録問題が起きたのか! 何十年も前から記録に不備があることを知りながら、「支給開始時に再計算する」とか「年金支給時の申請を待って対応する」というやり方を命じてきたのは社保庁当局です。度重なる年金制度改悪で膨大な入力作業が発生することを知りながら、人員も増やさず無理な作業を現場労働者に命じ、アルバイトを雇ってその場をしのいできた当局こそ、一切の責任を負うべきです。
 労働者には、記録の不備を発見してもそれを訂正する権限さえ与えられていませんでした。なのに、記録消失が社会的に問題になった途端、「労働者が働かないことが原因だ」と言い立てる自民党や財界、社保庁当局のデマにはもう我慢ができません。
 そもそも額に汗して多くの高齢者に向き合い、真剣に相談に応じてきたのは現場の労働者です。なんの責任もとらない自民党や資本家に、どうして労働者がののしられなければならないのか。
 だいたい、「勤務成績の良い者だけを新機構に採用しろ」と叫ぶ葛西は、かき集めた年金をリニア新幹線事業などで食い物にしてきた張本人です。年金業務の現場も知らないこんな無責任な連中に、われわれ労働者が責任をなすりつけられる筋合いなど1ミリたりともありません。

 労組の団結が労働者守る

 全国社会保険職員労組執行部は、組合員の雇用を守るためには積極的にボーナス返上に応じよう、サービス残業・休日出勤をしよう、と言っています。当局と示し合わせたこんな労使結託方針は絶対に認められない! こんなことを認めたら、社保庁だけでなく全労働者が同じ境遇にたたき込まれてしまいます。
 それこそ安倍政権の思うつぼです。安倍の攻撃に屈服することは、年金問題の責任が現場の労働者にあると認めることです。誇りを奪われ、労働者だけが悪者だというデマに屈して何が残るというのでしょうか。
 安倍は、社会保険庁を解体して、公務員型ではない新しい組織をつくると言っています。まさに国鉄分割・民営化と同じ「全員解雇・選別再雇用」の攻撃がかけられています。
 これに対して、今の組合の方針では、労働者はバラバラになり、敵の思うがままに分断され、選別されてしまいます。
 確かに、敵の攻撃は生易しいものではありません。しかし、労働者にとって本当に地獄のような状況が現れるのは、労組執行部が敵の攻撃に屈し、労働者の団結が破壊され、職場がズタズタに分断された時なのです。
 逆に、敵の攻撃がどんなに厳しくても、労組が団結を維持し、闘う方針を貫く限り、次への展望は必ず生み出されます。団結だけが労働者の生活と権利を守るのです。

 闘って活路を開いた動労千葉

 国鉄分割・民営化に際して、当時の動労は当局と一体となって国労を攻撃し、国労組合員をクビにすることで生き延びようとしました。国労はまったく無方針のまま敵の攻撃にさらされ、20万人の組合員が分割・民営化後には4万人になってしまいました。
 しかし、動労千葉は唯一ストライキで闘いました。40人の解雇者を出しましたが、その後も組合の基本骨格を守り抜き、今も意気高く闘い抜いています。「オレたちがこの鉄道を動かしている」という労働者の誇りに依拠して闘い、活路を切り開いてきたのです。
 今、社保庁労働者が誇りをかけて立ち上がり、社保庁当局と官僚どもへの怒りをたたきつけて闘えば、絶対に展望を切り開くことができます。
 自民党の中川秀直幹事長や森元首相は「参院選の最大の焦点は自治労・日教組の解体だ」と言いました。彼らの最大の危機突破の方針は、世の中の労働組合を全部ぶっつぶすことなのです。
 自治労をつぶして自治体で働く労働者を戦前のような国家官吏にし、労働者や住民を支配させ、労働者から福祉を取り上げる先兵に仕立て上げようとしています。
 日教組をつぶし、国家が教育を支配して、学校を愛国心教育とエリート教育一色に塗り替え、教育労働者に「一部エリート以外は一生ワーキングプアで我慢しろ」「戦争になったらお国のために命を捨てろ」と教えさせようとしています。
 自民党が公務員の労働組合を攻撃するのは理由があります。安倍は「戦後レジームからの脱却」を政治信条にしていますが、戦前との大きな違いは、私たち公務員が国家の手先ではなく、労働者階級の一員として労働組合をつくり、労働者の側に立っていることです。ここに勝利のカギがあります。

 安倍をぶっ倒す時が来た

 安倍政権の攻撃の激しさは、彼らの危機の反映です。安倍の支持率は2割台。参院選に敗北し、その政治生命は風前のともしびです。年金問題は支配者たちが統治能力を失ったということです。
 この10年、自民党と財界の「労働者の9割を非正規に」という攻撃によって、若者の2人に1人はアルバイトや派遣労働者にされました。「一生時給800円」が当たり前となり、年金も払うことができない多くの労働者が生み出されました。若者に未来を保障できないこんな社会が、長続きするはずがありません。
 他方でイラク侵略戦争は泥沼化し、安倍政権は憲法を変えて日本を再び戦争国家につくり変えようとしています。私たちを徹底的にこき使って搾り取り、揚げ句の果てに戦争に駆り立てる――こんな社会は私たちの手でひっくり返してやろう。
 事実、青年労働者を先頭に、本来の労働組合のあり方を取り戻し、この社会を覆そうという新たな運動が起きています。
 私たち労働者こそが、この社会を動かしている。現実に職場を回しているのは私たちだ。胸を張って闘おう! 団結した労働者の力でこの社会を変え、自分たちが主人公の社会をつくろう!
 闘えば展望は必ず切り開ける。安倍なんか、私たち労働者のストライキで葬ってやろう!

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週刊『前進』(2305号3面1)(2007/07/30 )

 動労千葉を支援する会

 “職場で会員拡大を”

 結成20年 定期総会を開く

写真左 全参加者が肩を組んでインターナショナルを斉唱。支援する会結成20周年の飛躍を誓い合った(7月22日 DC会館)
写真右 参加した動労千葉の組合員がずらりと並び、闘いの中でつかんだ勝利感をそれぞれ語った

 動労千葉を支援する会の定期総会が7月22日、千葉市のDC会館で開かれ130人の労働者・学生が集まった。動労千葉からも本部執行委員、各支部長、OBなど多数の組合員が参加し、会員との交流を大いに深めた。

 11月労働者集会の最先頭に立つ

 動労千葉を支援する会は、国鉄分割・民営化反対の2波のストライキを打ち抜き、40人の解雇者を抱えながら奮闘する動労千葉を支援するために結成された。今年は、会の結成から20周年の節目の総会となった。
 支援する会の山本弘行事務局長が、「国鉄分割・民営化以来20年の動労千葉の勝利は、共同の勝利だ」と、支援する会結成以来の闘いを総括し、「@動労千葉の反合・運転保安闘争路線に学び、11月集会1万人結集を実現しよう。A1047名解雇撤回、国鉄闘争支援陣形の再構築を。B職場・地域の労働者を支援する会に組織しよう」の三つのスローガンを軸とする07年度の運動方針案を提起した。
 その上で、「職場・地域の労働者を大胆に支援する会に組織しよう。とりわけ青年労働者の加入を働きかけよう」と強調した。職場で公然と“動労千葉派”として登場することと、職場闘争に決起して職場の仲間を組織することは表裏一体の闘いだと述べ、ここに支援する会運動の飛躍の課題を据え、11月集会1万人結集の先頭に会員自身が立とうと熱烈に訴えた。
 総会では、開会あいさつに続いて、ス労自主の中村和憲さんが連帯あいさつ、動労千葉争議団の高石正博執行委員が日ごろの支援へのお礼と07年夏季物販での前進について報告した。

 “怒りを組織し展望を語ろう”

 動労千葉からの提起を行った田中康宏委員長は、「いま、動労千葉が国鉄分割・民営化の時に直面したのと同じ状況に、日本のすべての労働組合がたたき込まれている。表面だけみれば日本の労働運動の現状はひどいものです。だけど私は、こんなチャンスはないと思っている。労働運動の復権にとって、今ほど可能性がある時代はない」と、確信に満ちて提起した。そして、「時代は変わっている。われわれの訴えがストレートに響く時代だ。社会に満ちあふれる怒りの声をストレートに組織しよう。そして展望を語ろう」と述べ、夏から秋の闘いへの総決起を訴えた。また、この日の総会に合わせて『俺たちは鉄路に生きる3』を発刊(記事別掲)したことを報告し、「11月集会への組織化の武器として大いに活用してほしい」とアピールした。
 事務局からの会計報告に続いて、活発な討論が交わされた。
 3・18日比谷集会―6・9渋谷集会の先頭に立った青年労働者は、「私は動労千葉労働学校の1期生。今の自分もここからつくられた。自分の職場で闘うことが“動労千葉を支援する”ということだ」と語った。結成したばかりの合同労組が組織決定で支援する会に加入したことも報告された。“第2、第3の動労千葉”をつくる闘いが、分厚く始まりつつあることを感じさせられる発言が続いた。
 第2部の懇親会では冒頭、ヨッシーとジュゴンの家によるミニライブが行われ、会場の熱気を高めた。参加者は、大いに杯を酌み交わしながら交流を深めた。
 最後に、動労千葉の各支部長をはじめ組合員が前列に勢ぞろいし、支援への感謝と闘いの決意を表明、大きな拍手がわき起こった。
 この間の動労千葉の勝利と支援する会運動の前進を踏まえ、ここ数年で最高の盛り上がりを示した総会となった。

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週刊『前進』(2305号4面1)(2007/07/30 )

 柏崎原発損壊

 あわやチェルノブイリ級の大惨事

 大地震で放射能汚染が拡散

 点検修理で大量に被曝 原子炉は直ちに廃炉に

 施設内各所で事故・損壊

 7月16日に発生した新潟中越沿岸地震は東京電力の柏崎刈羽(かりわ)原子力発電所で原発事故を引き起こした。燃え上がる黒煙の映像は、地元を始め日本と世界の人びとを震え上がらせた。
 同原発は大型原子炉7基、総出力821万2千`ワットの世界最大の原発基地だ。この間近を震源としてマグニチュード6・8の地震が発生し、ヒロシマの死の灰の数千倍もの膨大な放射能を内蔵する巨大核施設群を直撃したのである。メルトダウン(炉心溶融)→放射能の大量放出・被曝(ひばく)、数十万人の急性死、農・海産物の壊滅……。チェルノブイリのような大惨事になりかねない恐るべき事態だ。重大な危機は現在も続いている。このことが、安倍ファシスト政権・東電資本の許しがたい報道管制にもかかわらず、日々明らかになってきている。
 地震直後、7号機の排気筒からヨウ素、コバルトなどの放射性物質が大気中に放出された。半減期が約20・8時間と短いヨウ素133が検出されたことから、制御棒挿入時の核燃料棒の破損が危惧(きぐ)されている。原発は、事故がなくてもクリプトン、トリチウムなどの放射能を大量に空や海へ放出している。放射能は微量でも体内に取り込まれると内部被曝を起こす。海藻や魚などの生物濃縮と食物連鎖の問題がある。「微量で影響ない」と言う東電の言葉はまったくデタラメだ。
 また、使用済み核燃料(死の灰が一杯詰まっている)プールでは、全号機で放射能を帯びた冷却水が外に飛び散り、床を水びたしにした。4、7号機では同プールに重さ200`の作業台が落下した。6号機では放射線非管理区域内で放射能を帯びた1・2dの水がたまっていた。また、原子炉の真上にあるクレーンが破損した。1号機では強い放射能で汚染された地下室に水が外部から侵入し、2千dたまったままになっている。
 放射線非管理区域も、侵入した放射能でかなり汚染され、機器・建物の点検・処理・清掃などの過程で労働者が被曝している。今後予定されている原子炉格納容器内の点検・修理では、労働者の被曝が一挙に増える。
 柏崎刈羽原発で働く労働者は約6千人、そのうち東電職員が1千人で、下請け職員が5千人いる。ほとんどが周辺に住んでいる。地元の労働者とりわけ下請け労働者は地震の被害に加え、過酷な被曝労働が強制されている。1〜7号機すべての点検・修理、しかも放射能を浴びながらの短時間の交代労働だから、労働者の大量の投入と被曝をもたらす。機器の損傷が無数にある中での点検・修理自体が、巨大原発事故を誘発しかねないきわめて危険な仕事となる。労働者住民にとって原発は絶対に共存できないのだ。
(写真 6号機の作業フロア。右が使用済み核燃料プール。左で床にあふれた水を労働者が紙ぞうきんで拭き取る。被曝をかなり受けている。手前は拭き取った水を集めた大量のビニール袋【7月25日】)

 直近の活断層が動いた

 

(【図1】(左)柏崎刈羽原発周辺の断層 【図2】(右)新潟中越沿岸地震の余震分布図)

 東電は、原発地域にある椎谷(しいや)・真殿坂(まどがさか)の両活断層(図1)の存在を否定し、原子炉建設・運転を強行してきた。05年に東京高裁も、この断層の存在を追及する主張について、「断層ですらないもので、地震の原因にならない」と足蹴にした。
 図2は、余震分布図である。本震の震源断層について地質学者の生越(おごせ)忠氏は、「震源位置から考えると椎谷断層の海底延長部の可能性が最も高い」と言っている。また余震が陸域にも及んでいることから、同原発敷地内を走っている「真殿坂断層も動いたのではないか」と推察している。
 これに対し、東電は原発および余震分布密集群とはかけ離れたはるか沖合の海底断層(図1のA)を震源断層と主張する。原発直近の椎谷・真殿坂の両断層が今回の地震で動いたとする説にこそ信憑(しんぴょう)性がある。東電側の見解は我田引水で、破産は明らかだ。
 柏崎原発の1号機は、耐震設計基準値の2・5倍の680ガルの揺れを記録した。他の号機も大幅に基準値を超えた。防災科学研究所の柏崎市内の地震計は813ガル(加速度の単位)、126・8カイン(地震の大きさを速度で示す単位。1秒間に1・26b動く)の値を示した。全機で使用済み核燃料棒の貯蔵プールの水(水面は上の縁から40a)が外へ飛び散ったことと併せ、地震の激しさが想像できる。
 「考えられる最大の地震も考慮して設計している」と東電は言い続けてきたが、耐震設計基準そのものがデタラメだったのだ。安全係数を3倍以内でとっているから、かろうじて原子炉建屋倒壊を免れたにすぎない。本震源地が南南西にもっと下がっていたり、地震が震度7(1500ガル)以上だった場合、原発震災の地獄が確実に出現していた。甘利明経済産業相は、「日本の原発管理技術は世界で最も安全だと断言できる」とほざき、東電の原発運転を尻押ししてきたが、絶対に許せない。

 自衛隊が演習と治安出動

 災害派遣の名目で自衛隊が出動したが、その中身は北朝鮮・中国侵略戦争へ向けた軍事演習の一環にほかならなかった。イージス艦、戦車揚陸艦、中央即応集団などもくり出し、のべ6千人の自衛隊兵士を動員して、東日本、山陰の部隊を中心に大規模な軍事作戦を展開したのだ。これは、さらに放射能大量放出事故を想定して住民の移動を禁止する目的をもった治安出動でもあった。

 労働者は就労拒否を!

 原発事故でまっさきに殺されるのは電力労働者である。東京電力の労働組合も加盟している電力総連(連合傘下)は、「原子力発電所に重大な事故等があった場合は、最初に被害を受けるのは我々であることから、……原子力発電所の安全性に問題があるならば就労は拒否する」と宣言している。今がその時ではないか。しかし連合中央は、廃炉を主張せず運転再開に同意している。
 電力労働者が団結して原発・核燃施設の労働を一斉に拒否すれば、原発・核燃施設を確実に止めることができる。自分と家族、仲間の労働者そして日本・アジア・世界の労働者階級人民の生命を守るため、原発関連労働者は団結して就労を断固拒否しよう。搾取・被曝労働から自らを解放するために労働組合をつくって闘おう。
 すべての労働者は、改憲阻止大決戦の中で、電力労働者と連帯して原発・核燃廃止、日帝の核武装阻止の闘いに決起しよう。(河東耕二)

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週刊『前進』(2305号4面2)(2007/07/30 )

 安倍の式典出席阻止へ

 全国被爆者青年同盟の8・6アピール

 「原爆投下しょうがない」の久間と安倍を許さない

 人民の命踏みにじる米日帝

 久間防衛大臣は原爆投下に関して、「あれで戦争が終わったんだ……しょうがないと思っている。米国を恨むつもりはない」と発言した。久間を擁護した安倍首相ともども断じて許すことはできない。われわれ被爆2世・3世は、被爆者とともに全身が張り裂けんほどの怒りをもって久間と安倍を弾劾する。絶対に打倒する!
 アメリカ帝国主義は、戦後の世界支配(対ソ対決)に向けて開発・製造した原爆を、実験場としてあらかじめ選んでいた広島と長崎に投下した。そこには日本の労働者と家族、日帝の植民地支配下にあった朝鮮、中国、アジアの被抑圧民族人民、さらにアメリカなど連合軍兵士(捕虜)も存在していた。米帝権力者たちはそのことを十分に知った上で、われわれと彼らを核の実験台にしたのだ。この蛮行を「戦争を終わらせた」「たくさんの命を救った」「資本主義体制を守った」として今も開き直り続けているのが、米帝なのだ。
 天皇や日帝支配層もアメリカ帝国主義と同罪だ! 久間ら日帝支配階級が「原爆投下はしょうがない」などと言って平然としていられるのは、天皇制と日本の資本主義体制の延命こそがすべてで、労働者の命などなんとも思っていないからだ。
 そもそも1945年の初めには日帝の敗戦は完全に確定していた。元首相の近衛文麿は、45年2月の段階でこれ以上戦争を続けると「共産革命」が起こると天皇に言った。しかし天皇は「もう一度戦果をあげなくては、天皇制の維持が保障されるか分からない」と、戦争の終結を引き延ばした。その結果、沖縄戦の悲劇、ヒロシマ、ナガサキの原爆被爆を結果したのだ。
 こんな日帝は戦後ただちに打倒されるべきだった。わが父母、祖父母たちは被爆労働者として、労働者階級の一員として原爆症や差別と闘いながら組合結成に加わり、戦後革命期の闘いを担った。占領軍の弾圧をはね返し、朝鮮戦争での原爆使用阻止へ闘った。被爆者青年同盟は、この被爆労働者の闘いを革命的に引き継ぎ、被爆2世・3世の労働者の団結をつくりだして、核武装と戦争に突き進む日本帝国主義を打倒する。
写真 昨年の8・6小泉糾弾デモを闘う被爆者青年同盟)

 改憲は核武装と核戦争の道

 安倍が掲げる「戦後レジームからの脱却」とは改憲をやり、ヒロシマ・ナガサキまで行き着いた帝国主義戦争をもう一度やることだ。被爆者・労働者人民を北朝鮮・中国侵略戦争=核戦争へ動員する攻撃だ。そのために被爆者の「核兵器廃絶」の叫びと闘いをたたきつぶし、被爆者を「国のための尊い犠牲者」として英霊化し、ヒロシマを「靖国」にしようとしている。被爆者を核戦争の実験試料としてきたABCCを引き継ぐ放射線影響研究所に「被爆2世には原爆の影響なし」という報告を出させ、被爆者の闘いを引き継ぐ2世・3世の闘いを根絶やしにしようとしている。
 チェルノブイリの再現もありえた柏崎原発の地震被害は、日帝が労働者人民の命など何とも思わず、核武装のための原発と核燃サイクルを推進してきたことを暴露した。しかし日帝は一切を開き直り、なお原発を動かし、プルトニウム生産と核武装へ突き進んでいる。こんな日帝は一日も早く打倒しなければ労働者は殺される。

 怒りの弾劾を叩きつけよう

 8・6祈念式典に安倍が来ることなど絶対に許さない。安倍を広島で迎え撃ち打倒しよう。被爆者の心の底からの怒りをデモで爆発させよう!
 祈念式典は午前8時から平和公園で行われる。私たちのデモ隊は同時刻、川ひとつ挟んで200bまで安倍に肉薄する。安倍は否応なしに私たちの弾劾シュプレヒコールにさらされる。改憲・核武装論者の安倍を広島からたたき出そう。8・6の朝デモに決起しよう!(要項1面)

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週刊『前進』(2305号5面1)(2007/07/30 )

 イラク戦争 米帝の深まる敗勢

 増派「新戦略」はすでに破綻中東危機で争闘戦も激化へ

 米兵死者3カ月連続100人超 ゲリラ戦争勢力が拡大

 1月のブッシュのイラク「新戦略」によって行われてきた米軍2万1千人の増派は、その後約3万人に拡大され、米軍は6月15日に増派が完了したと発表した。米軍は、この増派完了後「矢じり作戦」と称して、バグダッド市内やアンバル州、ディヤラ州の州都バクバなどで大部隊による掃討作戦を続けている。
 新戦略は、イラク軍・治安部隊を補完的に動員しつつ、米軍が先頭に立って対ゲリラ戦争を進める形で展開されている。これはイラク人を治安部隊として形成して補完させながら植民地支配体制をつくるという計画が破産したことを自認し、新たな再戦争過程に突入するようなものである。
 そしてこの戦略は、バグダッドについては、反米的なサドル派を制圧・制御しつつ、シーア派とスンニ派の間の内戦(宗派間対立)を抑止し、結局スンニ派を屈服させようとするものである。また、中西部スンニ派ゾーンでは、地元の武装勢力とアルカイダ系スンニ派武装勢力とを分断・対立させて、アルカイダ系スンニ派武装勢力を米軍主導による米軍・イラク軍体制でせん滅一掃しようとするものであった。
 しかし、この新戦略はすでに7月半ばで、ほぼ破産が明確になりつつある。米兵を前面にさらす作戦であることによって、当然ながら米兵の死亡数が4、5、6月と急増している。増派米軍の展開と新しい作戦の動向をみていたスンニ派系武装勢力がアルカイダ系を中心として動きを強めており、米軍の月間の死亡者数は、3月が81人、4月は104人、5月は126人、6月は101人となっている。
 開戦以来月間の死亡が100人を超えた月は、04年4月、11月、05年1月、06年10月、12月、07年4月、5月、6月の8回ある。3カ月続けて100人を超えたのは、この4〜6月が初めてだ。米兵の月間死亡数が126人というのは、04年11月の137人、04年4月の135人に次ぐ3番目の多さである。
 04年の4月と11月は米軍がファルージャ掃討作戦を展開した月であり、米軍の直接戦闘であり、また作戦規模も大きかったことによって米兵の戦死も増えている。だが、07年における米兵の戦死者の増加は、イラク人民のゲリラ戦争能力の高まりによって恒常的な米兵の損害の拡大となっているところに特徴がある。米軍の発表でも、07年6月は米軍やイラク治安部隊に対する1日あたりのゲリラ戦争が178件に上っている。米軍の大規模作戦の全力展開にもかかわらず、鎮圧に失敗していることがここにも示されている。

 ゲリラ兵器IEDの威力

 米兵死亡者数の03年3月〜07年7月の総計はすでに3600人を超えている。負傷者数(これも重大な意味をもつ)は2万6千人ものレベルに達している。しかもこれは米軍の発表を集計したもので、ここには心的外傷後ストレス症候群(PTSD)などは含まれていない。米復員軍人省(VA)によれば、今年初めの段階で15万人以上の帰還兵が傷病手当金を受給しているのだ。
 米兵の死傷の増大は、ゲリラ兵器としてのIED(手製爆破装置=仕掛け爆弾)による米軍車両の爆破が着実に増加していることが大きい。今や米兵の死者の約70%がこのIEDによるものである。しかもIEDが高度化され、戦車や装甲戦闘車両の装甲を確実に貫くものになったため、乗員全員が死亡するというケースが増えている。米軍はこれに対して戦闘地域では車両から出て歩くようにしているが、そうするとゲリラ兵士の小火器で攻撃されるという状態に陥っている。
 米帝は、このIEDについて、イラン製の武器だと言ってイランに圧力をかけているが、旧軍の砲弾の改造などで大量に生産できるもので、イランを脅せば解決するというものではない。
 また、アルカイダ系は、米軍車両を待ち伏せし、数人のゲリラ兵士が一斉に手製爆弾を投げつける方式を展開し始めていて、米軍兵士が一度に数人死亡するという、新しい戦闘方法をあみだしつつある。これも米兵の大量露出を伴う作戦の弱点をつく戦術として、米軍にダメージを与えている。これらの戦闘方法の発展は、ゲリラ戦争としての恒常性をより強く獲得するものである。
 また内戦化という点でも、米帝の戦略が@シーア派やクルド民族に政治的主導権を与えて、A石油資源などについても連邦制のもとで地域政府の権限を一定認める形で、Bカイライ政権をデッチあげ、その下にスンニ派をくみしくというものである以上、スンニ派系人民の怒りの爆発とスンニ派系武装勢力の戦闘行動を抑えることは不可能である。したがって、スンニ派系の国際性をもつ武装勢力としてのアルカイダ系を、スンニ派部族やスンニ派系武装勢力と対立させて一掃しようとする新戦略なるものは、所詮(しょせん)成功するものではない。
 また、米帝はスンニ派の地元部族有力者の引き込みを必死で画策しているが、そうして持たれるはずだった会合の場所がスンニ派武装勢力の自爆戦闘を受け、裏切り者の部族指導者が一気にせん滅されるなど、米帝の思惑は完全に外れている。
 実際、この間の内戦化の様相をみてもそれはいえる。つまり、スンニ派系の怒りが米帝と結託するシーア派に向かって爆発することは不可避であり、そしてそれを抑圧するためにカイライ政権側のシーア派民兵が激烈なあくどい行動をとることはまた不可避なのである。この間の米によるイラク侵略戦争下の内戦での、イラク民間人の死亡者数の統計をみても、内戦化の勢いは再び激化の方向に向かっている。
 民間死亡者数は、4月1498人、5月1951人となって、増加しつつある。かつて最も激しく内戦状態が激化したときの月3千人に対して、約2千人となってきている。米軍の今日の軍事力では、結局イラクの全面的制圧などできないのである。
 しかもこの間、米軍の空爆による民間人の死者が一層増加している。米軍は、戦死者の増加を抑えるために武装勢力との地上戦を行わず、武装勢力がいたと思われる建物を空爆するやり方をとっており、家族全員が空爆によって殺されるというケースが圧倒的に増えているのだ。こうした米軍の作戦自体がイラク人民の怒りを駆り立て、ゲリラ戦争勢力がさらに大衆的支持のもとに拡大しているのである。

 ブッシュの国内支配も危機 労働者の総決起情勢に

 このように、すでにブッシュの新戦略―最後のかけは破綻(はたん)し、米軍は敗北しつつある。そうした中で、米帝下のプロレタリアートのイラク侵略戦争への反対は、いまや決定的なものになりつつある。イラクでの最も汚い戦争に駆り立てられ、膨大な死者や、それに10倍するような重傷を負わされたり、心的障害を強制された兵士の数の意味するものは何か。これらの兵士たちの圧倒的大多数はまさにプロレタリアート人民大衆なのだ。このことへのプロレタリアートの階級的怒りはもはやおしとどめようもない。
 ブッシュ政権の支持率が26%、イラク政策支持率が23%という世論調査結果の示していることは、ブッシュの国内支配も完全に破綻しつつあるということだ。ブッシュ政権のボロボロ化の中で、ブッシュ批判を開始する政府高官や軍人などが続出している。
 08年大統領選をめぐる情勢は、共和党の敗勢が強まる中で、国際的な帝国主義間・大国間の争闘戦を激化させることは不可避である。米帝がイラク、アフガニスタンを始め中東情勢で苦況にある中で、独仏などの帝国主義が隠然・公然と対米対抗を強めることが避けられないからだ。
 それと同時に、この情勢は内外のプロレタリアートの決起を決定的に促進する。とりわけ、石油強奪のための不正義の侵略戦争に駆り出され、低賃金と無権利化の中で生活破壊に追い込まれているアメリカ労働者階級が、民主党・共和党という2大政党の枠組みを打ち破って登場する情勢がつくり出されている。労働者人民は、ブッシュ与党の共和党だけでなく、イラク戦争に賛成し、支持してきた民主党にも怒りを強めているからだ。

 全中東・全世界の地殻変動へ

 また、イラクでの米軍の敗勢・敗北は全中東・全世界に波及し、地殻変動を生み出しつつある。
 特に今回、パキスタンで神学生が宗教施設「ラール・マスジード」に立てこもったことへのパキスタン軍の武力鎮圧が内戦に発展していることは決定的に重大である。アフガニスタン侵略戦争がタリバンの巻き返しで泥沼に入るとともに、パキスタン内戦へとへと拡大しているのだ。
 アフガニスタンではタリバンの巻き返しの中で米・英・独・仏などのNATO軍は直接の地上戦闘では対抗できず、辺り構わず空爆することで対抗しており、それがアフガン人民の犠牲者を増大させている。アフガン人民の怒りは深く、あちこちで暴動が起こっている。もはや米英、NATO軍のアフガン侵略は、勝利の展望などまったくない泥沼に入っているのだ。アフガニスタンのゲリラ戦争も、イラクのゲリラ戦経験を活用して戦われている。アフガニスタン侵略戦争は完全に新段階に突入している。
 米帝のイラク・アフガン侵略戦争の泥沼は、帝国主義の中東支配の根幹であるパレスチナ情勢にも決定的に波及している。米帝とイスラエルがファタハのアッバス議長を使ってハマスをガザ地区からたたき出そうとした策動が破産し、逆にファタハがガザからたたき出された。これは米帝・イスラエルにとって戦略的大打撃である。アッバスは、緊急事態政府をデッチあげ、暴力的にパレスチナ評議会の選挙を強行しようと焦っているが、選挙自身がパレスチナ情勢を一段と混乱にたたき込むことは明白であり、アッバスの裏切り性はさらに大衆的に暴かれていくことになる。
 米帝のイラク侵略戦争の敗勢は、米住宅バブルの崩壊と相まって帝国主義間争闘戦の激化とともに、労働者階級人民の巨大な決起を呼び起こすことは不可避である。今まさに世界革命に向けて決定的な情勢が訪れようとしているのである。

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週刊『前進』(2305号5面3)(2007/07/30 )

 法大弾圧裁判が始まる

 新井君友部君 “腐りきった当局裁く”

 第6波総長室デモ打ち抜く

 4・27法大弾圧裁判の初公判が7月26日、東京地裁刑事第18部(福崎伸一郎裁判長)で開かれた。4月27日に不当逮捕された法大生、新井拓君と友部博文君は元気に出廷し、傍聴に集まった友人と3カ月ぶりに再会した。両君は冒頭意見陳述で「ついに法大当局・国家権力の腐りきった数限りない悪行を全社会的に暴き、全国の学生・労働者の手で裁く裁判が始まった」と断固たる戦闘宣言をたたきつけた。
 4・27法大弾圧は、「不当処分撤回! 独裁者=平林総長打倒!」を掲げた法大集会を圧殺するために、法大当局と警視庁公安部が結託し、虚偽の「暴行」をねつ造した事件だ。学生部長・安東祐希を始めとする法大教職員は、新井君・友部君を暴力的にキャンパスから排除するとともに、「暴行」事件をデッチあげて警察権力に2人を売り渡したのだ。
 法大生と全学連は昼休み、法大外濠(そとぼり)校舎前で集会をかちとり、第6波総長室包囲デモを打ち抜いて東京地裁に結集した。
 午後2時半、地裁の傍聴券配布所には、傍聴席数を倍する仲間が集まった。被処分者やサークルの仲間、家族、統一OB会、ビラやブログを見てやってきた法大生、都内と全国の学生、青年労働者……。実に多くの人が裁判に注目している。
 公判では、まず友部君が「3・14弾圧以来、法大当局が警察と結託し、どれほどの悪行を繰り返してきたのか。裁かれるべきは新井さんでも私でもなく法大当局だ」と腹の底からの怒りをこめて当局を弾劾、「この裁判をとおして団結を拡大し必ず勝利しよう」と締めくくった。
 新井君は「法大当局の弾圧は、学生の怒りが拡大する中で完全に破綻している。平林独裁体制を打倒する全学ストライキの機は熟している。私は『労働運動の力で革命をやろう』と決起している青年労働者とともに、未来をかけプロレタリア革命に向かう闘いとして闘いの先頭に立つ」と烈々たる決意を表明した。
 続いて河村健夫弁護士が意見を述べ、大学自治と建学の精神を裏切る平林総長路線の腐敗、その中で数々の刑事弾圧に手を染めてきた法大当局の悪行を暴いた。そして、そもそも本件は大量の教職員が暴力的に両君を引きずり学外に排除し、警察に売り渡したのであり、両君に暴行の事実はなく無罪であることを理路整然と明らかにした。
(写真 多くの学生・労働者が集まり「支える会」を結成【7月26日 弁護士会館】)

 両君を「支える会」結成

 公判終了後、「新井君・友部君の裁判闘争を支える会」の結成集会が弁護士会館で開かれた。
 冒頭、河村弁護士と藤田正人弁護士があいさつした。河村弁護士は、第1回公判の内容と今後の裁判の争点を解説、「2人の意見陳述は堂々としていた。本番に強い」とたたえた。藤田弁護士は「分離公判の決定を覆し、東京地検による『期日前整理』の要求もはねのけ、勝って今日の第1回公判を迎えた」と公判を振り返った。
 続いて、参加した法大生が「2人の堂々たる意見陳述を聞いて『今日は勝ったな』と思った」「今の法大の現状、日本の現状は好きになれない。現状を変えるための活動こそ尊重されるべき。それでこそ大学ではないか」「不当処分の動きがサークルにも拡大している。一歩も引けない」と次々と発言した。
 救援連絡センター事務局は「期日前整理、東京地検公判部機動班の動きなど、司法改革を許さない闘いとしても重要な裁判だ」と訴えた。
 被処分者の学生は「一人でも、一歩も引かず闘う学生がいれば必ず勝利できる」「さらに団結を拡大し、キャンパスで平林をぶっ倒す大運動をつくろう。学生が法大の権力を取り、法大から革命をやろう」と提起した。
 最後に司会の被処分者の学生が「2人は自らの存在をかけて闘っている。2人を一刻も早く取り戻し、一緒にキャンパスで闘いたい。そのためにも、大きな支援陣形をつくっていこう」と結成集会を締めくくった。
 次回公判は9月14日(金)午後2時半から、東京地裁429号法廷。全力で傍聴に集まろう。

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