ZENSHIN 2007/01/29(No2280 p06)

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週刊『前進』(2280号1面1)(2007/01/29 )

 改憲狙う国民投票法案成立阻止を

 春闘貫徹・イラク反戦・三里塚勝利

 3月大行動爆発へ攻め上ろう

 教育3法案粉砕・安倍政権打倒へ

 

(写真 国会開会日、゙安倍を倒すぞ”と戦闘宣言
闘う労働者学生は朝からビラまき、座り込み、集会を行い、国会決戦の火ぶたを切った。警察の妨害をはねのけ、国会に向けて怒りのシュプレヒコール【1月25日 国会前】)

米帝ブッシュ政権が日・英を始めとする帝国主義の「有志連合」を組織して強行した03年3・20イラク開戦から4年。今年3月は、あらゆる意味で大決戦だ。3・18を頂点とする3月大行動の爆発に、この1〜3月(4月)の闘いの一切を集約して、青年労働者・学生を最先頭に、労働者階級と人民の総決起をかちとることを熱烈に訴える。3月大行動の課題は、07春闘勝利、イラク反戦・自衛隊即時撤兵、教育3法改悪阻止、国民投票法案粉砕・改憲阻止、そして三里塚決戦勝利である。昨年の11・5労働者集会を引き継ぐ闘う新潮流の3月大行動の爆発に、07年決戦の勝利はもちろん、プロレタリア日本革命・世界革命の未来もかかっている。21世紀革命の戦略的総路線としてある階級的労働運動路線の真価をかけ闘おう。

 米帝の世界支配の破綻

 改憲狙う国民投票法案成立阻止を春闘貫徹・イラク反戦・三里塚勝利3月大行動爆発へ攻め上ろう教育3法案粉砕・安倍政権打倒へ米帝の世界支配の破綻
 過ぐる06年は、内外情勢の展開においても戦後史を画期する年だった。
 唯一の超大国にして基軸帝国主義である米帝の歴史的没落の深まりは、帝国主義間争闘戦を死闘戦化させ、帝国主義的侵略戦争から世界戦争への過程をさらに進めた。この中で反帝・反スターリン主義世界革命の現実性が開示され、労働者階級人民の未来は、唯一、帝国主義の打倒にこそあることが、いよいよはっきりしてきた。3月大行動を闘うにあたって、まずこの点をあらためてしっかりと確認したい。
 今日の国際情勢を規定する最大の指標は、米帝の没落である。すなわち、一方では米帝のイラク侵略戦争での敗北・敗勢と、それをもろに受けたブッシュ・共和党の中間選挙での大敗北、他方では、それと表裏をなす事態として、米帝の世界支配の崩壊的危機の進行と米経済の住宅バブルの崩壊、自動車産業などでの衰退・没落という、米帝にとって真に恐るべき事態が激しく進展した。 
 しかも、こうした米帝危機の歴史的な深まりという事態を根底で規定しているものこそ、全世界の労働者と被抑圧民族人民の、米帝を始め帝国主義への積もりに積もった怒りと闘いの爆発だ。とりわけイラク人民・ムスリム人民の反米・反帝国主義の民族解放戦争の激発と米帝足下の労働者階級の反戦・反ブッシュの怒りと決起だ。そこには世界革命の炎がめらめらと燃えている。
 では、こうしてイラクで侵略戦争の泥沼化にあえぎ、唯一の超大国としての力の限界と支配の破綻(はたん)に陥った米帝は、体制の延命を求めてどこに向かうのか。それは、一方で市場・資源・勢力圏と世界支配をめぐる帝国主義間の争闘戦を、ロシア・中国をも巻き込む死闘戦として徹底的に激化させる方向であり、他方で結局は、帝国主義的侵略戦争・世界戦争へと、ますますのめり込んでいかざるをえないということだ。
 この国際情勢の中で、帝国主義の「最弱の環」としての姿をあらわにしているのが日帝だ。戦後的発展と戦後体制の終焉(しゅうえん)、敗戦帝国主義としての歴史的制約、帝国主義的勢力圏の未形成など、「死の苦悶(くもん)」にあえぎつつ七転八倒している。
 だからこそ日帝・安倍政権は、「戦後体制からの脱却」を叫んで改憲に突き進み、日米枢軸を形成して朝鮮侵略戦争参戦を策動し、安倍・御手洗路線のもとに愛国心の強制と一大資本攻勢を労働者階級に振りかざしてきているのだ。
 3月大行動は、この米帝ブッシュと日帝・安倍に反撃し、日帝支配階級・金融独占ブルジョアジーの反動的総路線である安倍・御手洗路線と全面対決する、巨大な政治経済闘争である。9条改憲阻止闘争の開始である。11月労働者集会に結集した闘う新潮流が、青年労働者・学生を先頭に全力で総決起し、07年決戦の勝利を開こう。

 階級的労働運動の実践

 動労千葉への組織破壊粉砕

 3月大行動の第一の課題は、07春闘勝利だ。今年の春闘は安倍・御手洗路線(1・1御手洗ビジョンと07年版経労委報告)のもとでの日帝の戦争・改憲と愛国心の攻撃、「成長重視」や「労働ビッグバン」や民営化・規制緩和を叫んでの春闘と戦後労働法制の解体、労組破壊の攻撃と全面対決する春闘である。動労千葉と3労組共闘を軸に、体制内労働運動との決別・打倒をかけ、階級的労働運動の実践として全力で闘うことが求められている。
 07春闘の主体的・路線的な推進軸は、動労千葉への組織破壊攻撃を粉砕する闘いだ。JR千葉支社は「3・18ダイヤ改正」で館山運転区と木更津支区を廃止し、新運輸区を設置しようとしている。すでに動労千葉を排除する形で運輸準備区に5人の東労組組合員を送り込んだ。基地統廃合の攻撃は最大の団結破壊、組合破壊である。朝鮮侵略戦争前夜に動労千葉の拠点職場をつぶすという、露骨きわまる攻撃を絶対に粉砕しなければならない。 
 動労千葉は反合・運転保安闘争路線のもと、館山運転区・木更津支区廃止絶対反対、「ライフサイクル」白紙撤回を求めてストライキを打ち、春闘を全力で闘おうとしている。
 この闘いを最先端に、4大産別を始めとする全産別・職場で、安倍・御手洗の労働運動根絶、春闘圧殺、戦後労働法制解体の攻撃を打ち破る闘いに総決起していこう。

 全国で不起立闘争の貫徹を

 07春闘勝利と一体の、4大産別決戦のもう一つの重要課題は、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制を拒否する不起立闘争を、東京を先頭に全国で闘うことだ。
 不起立闘争は、改悪教基法を粉砕していく第2ラウンドの攻防であり、「教育再生会議」第1報告を振りかざし、通常国会を「教育国会」にすると公言する安倍の戦争・愛国心教育や、教員免許更新制導入を始めとする教育3法改悪案を粉砕する決戦だ。3年間の不起立闘争の不屈の地平と、昨年9・21の「日の丸・君が代強制は違憲」とした予防訴訟の勝利判決をバネに、全国の全職場で不起立を貫こう。

 イラク侵略戦争の残虐性

 3月大行動の第二の課題は、イラク反戦と自衛隊即時撤兵だ。イラクでこれだけ絶望的に追い詰められながらブッシュは、侵略戦争をあくまでも居直り、2万1千人余の増派を強行した。バグダッドを中心にスンニ派武装勢力などへの掃討作戦を強化している。他方で、米軍へのイラク人民の怒りに満ちた武装闘争も一層激化している。
 国連集計では06年だけでイラクにおける民間人の死者は、実に3万4452人(バグダッドの身元不明遺体が1万6867体!)、負傷者は3万6685人にのぼる。加えて法的手続き抜きの拘束者も3万842人に達する。侵略戦争と軍事占領でイラクをこんな虐殺と内戦の修羅場に追い込んだのは、米帝である。イラク侵略戦争の不当性、不正義牲、残虐性は極まっている。これが革命で打倒する以外にない帝国主義というものだ。
 米帝ブッシュのこんな戦争を日帝・安倍は最も強く支持している。自衛隊(空自)を派兵し続け、米軍の軍事作戦を支えている。米帝ブッシュと日帝・安倍への怒りと糾弾を新たに爆発させ、3月大行動に立とう。

 改憲阻止闘争の本番へ

 3月大行動の第三の課題は、国民投票法案粉砕・改憲阻止だ。安倍政権の最大の反革命的使命は改憲である。安倍は「7月参院選で改憲を最大の争点にする」と宣言し、1月25日に開会した通常国会で、改憲のための国民投票法案を最優先で成立させようとしている。すでに自民党・中川秀直幹事長と公明党・太田昭宏代表は、「5月3日の憲法記念日までに成立させる」と公言している。
 国民投票法は改憲への決定的突破口をなすが、その最大の問題は公務員労働者や教育労働者の改憲反対運動を禁止し、弾圧する点にある。なんと公務員や教育者は改憲反対の運動も闘いもできないのだ。その上で大政党や財界など金のある者は、マスコミ広告を駆使して改憲のための大宣伝をし、改憲へと社会を誘導することができる。とんでもない法律だ。
 しかも重大な問題は、民主党がこの国民投票法案の今国会成立に賛成しようとしていることだ。参院選への影響を避けると称して、鳩山由紀夫幹事長らは3月衆院可決、4月参院成立すら公言している。改憲政党・民主党のこの屈服と反革命性は、断じて許し難い。
 改憲阻止決戦は完全に本番を迎えた。国民投票法案粉砕は、何よりも4大産別決戦の課題である。自治労・日教組を始め公務員労働者、教育労働者こそが最大の当該だ。3月大行動の先頭で決起し、改憲阻止決戦を本格的に開始しよう。

 軍事空港化と闘う三里塚

 3月大行動の第四の課題は、三里塚決戦勝利の闘いだ。三里塚は暫定滑走路の北延伸阻止と、敷地内・天神峰の市東孝雄さんへの農地法を使った土地取り上げ粉砕をめぐり、完全な決戦に入っている。
 三里塚は06年、労農連帯と国際連帯で新たな地平を開いた。米日帝の朝鮮侵略戦争切迫情勢の中で、沖縄・米軍再編攻撃と並んで成田空港の軍事使用が現実の問題となっている。イラク反戦、朝鮮侵略戦争阻止と固く結合し、3月大行動の柱に三里塚闘争をすえて闘おう。3・25現地闘争への総決起を訴えたい。 
 この1〜3月過程を、一点、3月大行動の爆発へと集約して闘い、その力で杉並、相模原、高槻を始めとした統一地方選の勝利、さらに07年決戦勝利へと攻め上ろう。

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週刊『前進』(2280号1面2)(2007/01/29 )

 国会決戦へ火ぶた

 共謀罪などと全面対決

 1月25日、通常国会が開会した。この日、闘う労働者人民は朝から午後まで国会周辺で闘いを展開し、07年国会決戦の火ぶたを切った。
 今国会には超反動法案が目白押しだ。何よりも安倍政権は、民主党をも引き込んで、国民投票法案の5月連休前成立を狙っている。改憲に向かっての決定的な攻撃だ。さらに教員免許更新制や教育委員会制度改悪のための教育3法改悪案、公務員制度改革法案、米軍再編法案、共謀罪新設法案や労働法制改悪案などだ。
 だが、労働者人民の側には怒りとファイトがみなぎっている。昨秋の国会前での連日の激戦をも超える熱気と闘いで反動法案を全部粉砕しようと、やる気十分だ。

 共謀罪阻止へ11度目の決戦

 共謀罪阻止を闘う「破防法・組対法に反対する共同行動」は、朝から国会近くの地下鉄出入り口でビラをまき、出勤する労働者にアピールした。共同行動は足かけ5年、10回の国会にまたがって共謀罪成立を阻止してきた。今回が11回目の国会だ。今年こそ最大の決戦だと、決意も新たに闘いに立った。
 10時ごろから衆議院議員会館前で、結集してきた労働者・学生が続々と座り込みに入った。昨秋の闘いに打撃を受けた日帝権力・警視庁は、多数の警官を動員し妨害してきたが、闘う労働者人民は怒りを倍加させ警官を追い返した。
 正午から破防法・組対法に反対する共同行動の決起集会が開かれた。この時、隊列は140人にふくれあがっていた。
 共同行動事務局は、安倍首相が「共謀罪の今国会成立」を指示したことを徹底弾劾し、戦争に向かって人民の団結と闘いを禁圧しようとする共謀罪を今国会で絶対に廃案に追い込もうと訴えた。保安処分新設と闘う医師、弁護士、労働者、不当処分と闘う法大生らが次々と発言し、闘う決意をうち固めた。
 この日の参院本会議で参院憲法調査特別委を野党の反対の中で可決したことを弾劾する。
(写真 闘いの高揚を恐れ一段と弾圧を強める警察と対決し、反戦共同行動委の集会をかちとった【国会前】)

 反戦共同行動が決起集会

 続いて午後1時過ぎから反戦共同行動委員会の決起集会が開かれた。東京反戦共同行動委員会の三角忠代表が主催者あいさつを行い、「本日の異様なまでの警察の弾圧は、権力がどれほど国会前の闘いを恐れているかを示している。この怒りを安倍政権打倒の闘いとして爆発させよう。07年を意気高く闘おう」と戦闘宣言を発した。
 全学連の織田陽介委員長が基調報告を行った。織田委員長は、「安倍の支持率が下がり、”そのまんまショック”もあって、自民党は一層危機を深めている。労働者とともにわれわれが断固闘えば勝利できる。今や革命の時代だ。労働者・学生が世の中を変えるときだ」と力強く呼びかけた。そして、国際・国内情勢のポイントと安倍政権の攻撃の方向を全面的に明らかにし、「3・18イラク開戦4周年闘争を全力で闘い、あらゆる反動法案の粉砕へ総決起しよう」と訴えた。
 この後、JR資本による組合破壊攻撃と真っ向から闘う動労千葉の労働者、4月統一地方選に立候補する「都政を革新する会」の北島邦彦さん、教育労働者、婦人民主クラブ全国協議会、部落解放同盟全国連合会、法大の学生らがマイクを握り、決意を表明した。

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週刊『前進』(2280号3面1)(2007/01/29 )

 日の丸・君が代強制拒否! 全国で不起立貫こう

 教基法決戦 勝負はこれからだ

 職場の団結と怒り基礎に森越打倒・日教組再生へ

 12月15日の教育基本法改悪案の成立、12月22日の施行を受けて、改悪教育基本法と全面激突する最初の決戦の時が来た。3〜4月卒業式・入学式における「日の丸・君が代」不起立闘争を、改悪教育基本法に真っ向から「ノー」をたたきつける組織的抵抗闘争として闘いぬこう。東京を先頭に全国で、30万日教組組合員の「日の丸・君が代」不起立闘争を巻き起こそう。

 労働者の戦争動員体制は全く未完成

 全世界の労働者をカネと軍事力で支配してきたアメリカ帝国主義の没落が激しく進み、帝国主義の死闘戦の時代、朝鮮侵略戦争が切迫している。この中で日本帝国主義は、国際帝国主義の中で最も弱い存在にたたき落とされている。安倍の戦争・改憲攻撃の凶暴性は、独自で侵略戦争を遂行できる国家体制をつくらなければ帝国主義として生き延びることもできない現実に締め上げられているがゆえのものだ。
 他方、日本経団連会長・御手洗は1月1日に発表した「御手洗ビジョン」で、労働者への全面攻撃を宣言した。とりわけ労働ビッグバンで労働者を工場法以前の時代にたたき込もうとしていることは重大だ。
 日帝の最大の弱点は、現場労働者を戦争に動員する体制がまったく確立できていないことにある。そのことはとりわけ教育現場においてははっきりしている。教育基本法改悪を押し通したといっても、いまだ教育労働者の「教え子を戦場に送るな」という熱い思いはまったくつぶされていない。教育労働者の抵抗を完全に封じて、日教組の存在そのものをたたきつぶすことなしに、戦争教育を貫徹することなど絶対にできないのである。
 元首相・森喜朗の「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが次の参院選の争点」という言葉に象徴されるように、07年決戦の焦点は、依然として自治労や日教組など4大産別の労働組合の壊滅を許すのか否かにある。
 安倍政権は、確かに法律としては改悪教育基本法を成立させた。しかし昨秋の闘いは、最大の狙いであった教育労働者の抵抗闘争をたたきつぶすことには失敗したままの法改悪を強制した。
 いよいよ教育基本法改悪との闘いの第2ラウンドが始まる。意気高く07年の闘いに躍り出ようではないか。
(写真 衆院本会議の教基法改悪採決強行に対し被処分者先頭に怒りの講義【2006年11月16日 国会前】)

 本部の屈服こえて闘われた国会闘争

 03年3月の中教審答申から3年半あまり、とりわけ昨秋臨時国会における教育基本法改悪阻止闘争は、教育労働運動においてまったく新たな段階を開いた。一言で言えば、日教組本部の制動を突き破って、帝国主義と対決する教育労働者の荒々しい闘いが始まったということである。
 教基法改悪阻止闘争は、日教組本部がつくり出したものではない。日教組本部は、まったく逆に闘いに制動をかけた。春の改悪案提出に際しては、政府案以上に愛国主義を押し出した民主党の「日本国教育基本法法案」に承認を与えた。
 秋の臨時国会の衆院段階では数十人規模の座り込みを行ったが、その行動が日々戦闘化することに最も震え上がったのは日教組本部だった。国会行動を行うとガス抜きのつもりであっても組合員は本気で闘ってしまう――この現実に震え上がった日教組本部は、以後一切の行動を放棄した。
 10月26日に発した「非常事態宣言」も行動方針はゼロで、参院段階では座り込みを行わないことを決定。さらに森越は11月25日の「朝まで生テレビ」では、「つくる会」元会長の八木らに座り込みを弾劾され、「すみません。先週で(座り込みは)やめました」「あれはうちの人たちではありません」と謝罪するところにまで行き着いた。
 このような中で日教組本部の裏切りを突き破って改悪阻止闘争をつくり出してきたのは、何よりも11月労働者集会に結集する教育労働者を始め、階級的労働運動をつくり出そうと奮闘する勢力だった。その中心に、「闘う日教組の再生」へ向けて闘う教育労働者の存在があった。4900人が結集した11・5労働者集会こそ、教基法改悪を打ち砕く最大の力だった。
 また、東京の「日の丸・君が代」被処分者の闘いは決定的だった。03年「10・23通達」以来3年間、職場で「戦争協力拒否」を貫いた不起立闘争は、教基法改悪反対運動をつくり出す大きな力となった。北海道から沖縄まで全国各地で数十万人の改悪反対闘争をつくり出してきた。
 国会闘争においては、東京の被処分者が呼びかけて10月17日にスタートした「リレーハンスト&座り込み行動」が国会前に闘いの拠点を築いた。連日、ハンスト団を中心に各地の教育労働者が駆けつけ、日教組本部の屈服を突き破って闘う新たな教育労働者集団を登場させたのだ。その闘いが、終盤には連日数千人の労働者・市民が国会前に駆けつけるという情勢をつくり出した。
 教基法改悪阻止闘争の高揚をとおしてはっきりしたのは、日教組本部の組合員支配を突き破らなければ、教育労働者はもはや一歩も前進できないということだ。「闘う日教組を再生しなければ、私たち教育労働者は生きていけない!」――この課題を鮮明に突き出したこと、こうした自覚を強烈に持った教育労働者集団を大量に生みだしたことこそ、教基法闘争が切り開いた地平なのだ。

 不起立闘争拡大し「一片の紙切れ」に

 「国鉄分割・民営化の教訓を忘れるな」。教基法改悪が強行された今、教育労働者に問われているのはまさにこのことである。動労千葉は分割・民営化に反対して2波のストライキで闘いぬき、分割・民営化後も「分割・民営化反対闘争」を継続・発展させてきた。JR体制と全面激突して職場・生産点から闘いながら、国鉄1047名の解雇撤回闘争を闘いぬいてきた。分割・民営化から実に20年たつ今も動労千葉絶滅攻撃をうち破り、階級的労働運動を築く中心に座って大きな前進をかちとっている。
 動労千葉の闘いに続き、「教育基本法改悪反対闘争」を断固として継続・発展させよう。日教組の中に階級的労働運動の潮流を大きく築き、その力で改悪教基法体制を食い破り、日教組絶滅攻撃をうち破ろう。
 そのための最大の焦点が、今春「日の丸・君が代」闘争である。
 改悪教基法とは、政府・文科省が学校現場を完全に制圧し、教育労働者が戦争教育を担う帝国主義の先兵にならない限り貫徹できないものだ。職場抵抗闘争こそ、教育労働者の戦争協力拒否闘争の先端攻防である。
 日教組30万組合員が「戦争教育を絶対拒否する」組織的抵抗闘争に立ち上がり、改悪教基法を「一片の紙切れ」にしてみせようではないか。
 東京では「10・23通達」から4年めの卒・入学式を迎える。東京ではこの3年間、345人の戒告、減給、そして停職処分まで出されながらも屈せず闘い続け、ついには「クビをかけて闘う」という労働者を生み出した。その闘いが、昨年9月21日の予防訴訟の完全勝利判決をかちとった。
 東京の教育労働者を先頭に、過去3年間を上回る職務命令拒否闘争をつくり出そう。
 改悪教基法下での「日の丸・君が代」不起立闘争は、既成の日教組指導部との対決なしには成立しない。「改悪教基法に歯向かわない」と誓約した日教組本部の制動・妨害との激突をとおして、初めて不起立闘争の前進・発展は実現されるのだ。

 通常国会闘争へ攻め上ろう

 あらゆる職場で既成の日教組指導部との分岐、思想的・路線的決別を意識的につくり出し、不起立闘争を巻き起こそう。その力で、分会・支部・単組で闘う日教組の再生の闘いを進めよう。組合を組合員の手に奪い返し、闘う日教組を再生しよう。
 安倍政権は通常国会に改悪教基法を具体化するための33の関連法改悪案を提出しようとしている。中でも教員免許更新制が最大の焦点だ。教員免許更新制は、「3年間は条件付き採用、その後は5年ごとに免許更新」とすることで、教育労働者を実質上は非正規雇用として、国家の教育政策に従わない者は即刻クビに追い込むものである。
 今春「日の丸・君が代」不起立闘争で、闘う日教組の再生へ全国の教育労働者の総反乱を巻き起こし、教基法関連法案阻止の国会闘争に攻め上ろう。

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週刊『前進』(2280号3面2)(2007/01/29 )

 都教委包囲・首都圏ネットが2・3に総決起集会

 2月3日(土)午後6時、東京・水道橋の日本教育会館一ツ橋ホールで「日の丸・君が代」強制攻撃と闘う「07・2・3総決起集会」が開かれる。主催は「石原・中村都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネット」。昨年国会前での教基法改悪阻止闘争を引き継ぎ、3〜4月卒入学式での不起立へ向け、闘う教育労働者、被処分者、被解雇者が発言を予定している。こぞって参加しよう。

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週刊『前進』(2280号3面3)(2007/01/29 )

 「労働契約法」を粉砕しよう

 残業代ゼロと過労死の促進 WEに労働者の総反乱を

 厚労省が改悪法案要綱諮問

 1月25日の通常国会開会日、厚生労働省は労働政策審議会の労働条件分科会に、昨年12月27日の答申に基づいて労働契約法案と労働基準法改悪案の法案要綱を諮問した。
 その内容は、労働者階級の怒りの反撃の中で安倍首相自らいったん見送りを表明した「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」(以下WE)を「自己管理型労働制」と名前だけを変えて導入を図るとともに、団結権否定の労働契約法制からなっている。法案の国会提出を絶対に許すな。
 今通常国会は、国民投票法案などとともに、戦後労働法体系の解体を狙う反動諸法案が一斉に国会に提出され、まさに「労働法国会」(柳沢厚労相)となった。
 WEへの労働者階級の怒りの爆発はすでに始まっている。労働法制解体攻撃に対する全労働者階級の怒りの総反撃を組織しよう。それは改憲と戦争国家化攻撃反対の闘いをよりスケール大きく爆発させる道になる。
 国会には、表に見るように五つの法案が「パッケージ」として提出されようとしている。

 戦後労働法制解体の大攻撃

 (1)労働契約法の創設そのものが大攻撃である。
 なぜ今回、「60年に一度の大改革」と言われるのか。それは、労働契約法制という戦後の労働法体系を転覆するまったく異質な法律体系を創設しようとする点にある。
 戦後労働法制は、戦後憲法に先立って45年に制定された労働組合法を出発点にしている。日本では、この法律によって初めて団結権が法的に認められることになった。
 47年制定の労働基準法は、36協定などを見れば明らかなように、労働組合の存在と一体的なものだ。労基法も単なる労働者保護法ではないのだ。
 ところが、労働契約法制とは、“労組の組織率が低下している中で、個別の労働者が資本と結ぶ労働契約を規定する法律が整備されていないことが労使紛争の原因”などという口実で、従来の労働法制とは別に、民法の特別法として労働契約法を作ろうとするものだ。
 だが、労働契約法を「解雇制限法」にできるのではないかと夢想し、「役に立つ労働契約法」を要求する動きがある。しかし労基法から離れた「解雇制限」などあり得ない。本質的には「解雇自由」になるのだ。同時に解雇を許さないのは現場の闘いが基軸である。闘わないで法律に頼る弱さを敵は突いてきているのだ。
 現に25日に出された法案要綱には、就業規則の役割を強化する項目が入っている。賃金制度や勤務時間などの労働条件を資本が労働者にとって不利益な形に変更しようとする時、資本が一方的に変更できる就業規則の変更ですむとしている。このように労働契約法は労働組合の存在を無視したものなのだ。
 (2)労働基準法の改悪については、まったく許しがたい。日本版WEの導入は8時間労働制の解体を核心とする「残業代ゼロ法」であり、「過労死促進法」である。さらに中小企業での企画型裁量労働制の要件緩和や、現在の労基法でも8時間労働制の適用除外になっている管理監督者の範囲拡大など、WE導入とセットで8時間労働制を徹底解体しようとしている。
 (3)パートタイム労働法は、パートの均等待遇をめざすとしてWEの交換条件のように言われているが、まったくのペテンだ。パート労働者を三つに分類し、1%にも満たない「通常労働者と同視すべきパート労働者」の均等待遇を要求するのみである。これでは、非正規雇用を固定化し、正規雇用の労働条件を切り崩すものになる。
 (4)雇用保険法も、国庫負担の半減を打ち出しており、失業問題への国家の責任を放棄しようとするものである。

 安倍・御手洗路線粉砕を!

 このような戦後史を画する大反動攻撃がなぜ今かけられているのか。その背後に日帝のすさまじい危機がある。
 1月1日に発表された「御手洗ビジョン」は、「グローバル化」、とりわけ中国を始めとしたBRICs諸国の巨大な新興市場が資本主義世界に組み込まれ、帝国主義間争闘戦が一層激化している中で、敗戦帝国主義・日帝の必死の延命策であり、まさに安倍・御手洗路線と呼ぶべきものだ。
 それは、改憲と戦争国家化を軸にアジアでの勢力圏形成を追求すると同時に、「労働ビッグバン」、すなわち労組破壊を軸に、労働者階級が戦後革命期以来、あるいはロシア革命とニューディール以来獲得してきた諸権利を一挙に奪い取り、非正規雇用化し、生理的最低賃金にまで賃下げして争闘戦に勝ちぬこうというものだ。労働者階級を工場法以前の状況にたたき込むものだ。
 このような攻撃を貫徹するためにも、団結権を保障した戦後労働法制の全面解体が問題になっているのだ。だがこれは必ず労働者階級の怒りの総反撃を呼び起こす。WEをめぐる支配階級の分裂と動揺は革命の現実性を明々と示している。
 戦争か革命かが真正面から問題になる時代が来ている。労働者階級が「国境を越えた団結」を形成し、世界革命によって帝国主義・資本主義を打倒する時代が来た。労働法制解体攻撃との闘いをその跳躍点としよう。
 (湯村宏則)
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 国会提出が狙われている労働法制改悪案

@労働契約法制
・就業規則の役割を強化
 就業規則の変更で労働契約の変更が可能になる
・労働基準監督官による監督指導は行わない
・労基法の条文の一部を労働契約法に移行する
A労働基準法改悪案
・「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」導入
・残業代の割増賃金率の引き上げ
・企画業務型裁量労働制の要件を緩和
・管理監督者の範囲の拡大
Bパート労働法改悪案
・「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」
 差別的取り扱い禁止(1%以下しかいない)
・「職務同一短時間労働者」
 賃金について正社員と同一にする努力義務
・その他のパート労働者
 賃金について「均衡」の努力義務(同一ではない)
C雇用保険法改悪案
・保険料を賃金の1.6%から1.2%に引き下げ
・国庫負担を半減
D最低賃金法改定案
・都道府県地域別最賃決定時に生活保護支給額に配慮

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週刊『前進』(2280号4面1)(2007/01/29 )

 07年の階級的・組織的課題は何か

 階級的労働運動路線を鮮明に体制内労働運動からの決別へ

 革共同中央労働者組織委員会 大原武史

 はじめに

 私たちは第22回拡大全国委員会総会において、06年の「党の革命」の本質的地平を明らかにするために、「党は階級そのものである」「党の敗北は階級の敗北であり、階級の敗北は党の敗北である」と宣言しました。
 06年11・5労働者集会は、この「党の革命」から22全総の地平の上に切り開かれたきわめて重大で歴史的で階級的な勝利です。11・5集会は日本革命−世界革命勝利への現実的道筋を開示しました。これは、党と日本労働者階級の最高の歴史的到達点です。11・5集会実行委員会発行の『11・5集会報告集』と動労千葉から出された『訪韓・訪米報告』、さらに『前進』新年号の地平の上に立って、核心的に問題を明らかにしたいと思います。
 11・5集会が1万人に届かず4900人の結集にとどまったことへの厳しい総括は、労働者階級大衆自身の怒り、その意識の急激な変化に対する党自身の立ち遅れを明確にさせることに核心があります。党が労働者自己解放−プロレタリア革命の最後の桎梏(しっこく)と化して粉砕されるのか、それとも階級そのものの党として革命を勝利に導くのかの歴史的分岐をかけた決戦に突入しているということです。これが「党の革命」の全党的貫徹の核心問題です。
 革命的情勢の到来に対する「党の立ち遅れ」は、直接的には11月集会をめぐる路線的不一致として、またこれと表裏一体で教育基本法決戦の総括における不一致として典型的に現れています。根本的には、マルクス主義思想の原理とプロレタリア革命路線における後退と不一致があるということです。
 しかし、この不一致は頭から否定されることではありません。11月集会と教育基本法改悪阻止闘争という、階級の決起と組織化の組織的実践をめぐって起きたことであり、前進の中で不一致が明確になったことそれ自身が決定的に重要なのです。「党の革命」以前は、労働者階級の本格的な獲得や組織化と別のところで一般的一致が確認され、核心的な路線的不一致が隠されてきました。党が階級の党として真に一致し、強力に団結する過程が始まったということです。
 第22回拡大全国委員会総会それ自身が、かつてない一致と団結に基づく圧倒的な高揚感に満ちてかちとられました。その第3報告で明らかにされたことですが、カクマルの逃亡・分裂を生み出した第3回全国委員会総会が、第3回大会を経て70年闘争に至る日本階級闘争の根底的爆発を生み出したように、プロレタリア革命に向けた党の退路を断った団結の形成とその解放性こそが、改憲決戦をめぐる日本階級闘争の激動の最深の震源地となるのです。深く、固く、解放性に満ちあふれた党的団結を形成するために強固な一致をかちとりましょう。

 日本革命―世界革命への道筋を開示した11月集会

 帝国主義の根底的危機を背景とする教基法・改憲決戦は、体制内政党と労働運動の総破産と総翼賛化のもとで、既成指導部のくびきからの労働者階級の急速な離反と覚醒(かくせい)をもたらしています。この中で動労千葉、全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同の3労組が11月集会を06年の階級闘争の大地で呼びかけ、成功させたことの階級的地平、到達点について、まずはっきりとさせる必要があります。
 05年末の全金本山労組の34年間にわたる闘争の歴史的勝利の地平も含め、「労働者階級は体制内労働運動を突破したとき初めて、自らの団結を守り、勝利を準備できる」ということを歴史的に実証してきた労働組合が呼びかけていることが決定的なのです。まさに、日本労働者階級の課題と勝利の方向性と路線が、階級自身の到達点としてここに実証的に開示されているのです。教基法決戦の高揚の決定的重要性は、教育労働者の階級的課題もまた、体制内労働運動の支配を突き破らずには、もはや一歩も前進できないことを突き出したことにあります。これを徹底的に明確にし、階級自身の決戦的課題に転化していくことこそ、党の核心的任務であり、改憲決戦を構築することの核心です。さらに、日韓米の闘う労働組合の3カ国連帯は、体制内労働運動の突破という課題が国際階級闘争においても共通の死活的課題であることを鮮明にしました。だからこそ、韓米の闘う労組は、動労千葉と11月集会に彼ら自身の展望を見いだし、必死で学び最大限の位置づけをしているのです。それゆえ党の存在とその思想、路線が注目されているのです。11月集会は紛れもなく新たなインターナショナルの震源地になっています。
 まず、このことを徹底的にはっきりさせる必要があります。党の半世紀にわたる試練と苦闘が、動労千葉を水路にして、ついにこの歴史的で決定的な地平を切り開いたということです。私たちは、血と汗と涙の苦闘の上に日本革命−世界革命に向けた明確な水路と展望をついに切り開いたのです。
(写真 動労千葉など闘う3労組が呼びかけ、4900人の参加でかちとられた06年11・5全国労働者集会【東京・日比谷野外音楽堂】)

 破綻した体制内労働運動の根底的な突破をかけて

 かつて60年代後半から70年代にかけて、学生・青年労働者は、革共同として体制内労働運動の根底的突破、日本階級闘争の戦闘的転換をかけ、退路を断った実力闘争に立ち上がりました。その衝撃は、日本帝国主義を根底から揺さぶり、日本労働運動の右旋回を阻止する原動力になりました。党としての核心課題は、体制内労働運動の限界の突破であり、これを突き破る戦闘的革命的活動家集団の形成にあったのです。そして、70年代においては依然として岩盤の厚かった体制内労働運動が、今や帝国主義体制の根本的危機への突入とともに総破綻(はたん)、総崩壊の状況に突入しているのです。
 他方、私たちは戦後労働運動の核心的勝利者としての動労千葉を軸とした11月集会陣形を擁して、この情勢に臨んでいます。したがって、私たちの現在の階級的任務は、体制内労働運動の崩壊に落胆することでも、最後の幻想を組織することでもありません。労働者階級の自己解放に基づく階級的団結と闘争の力に依拠した党派闘争に断固として立ち上がり、労働者階級自身の組合権力・拠点を強力に樹立していくことにこそあるのです。それ以外に階級は勝利できないということです。
 「党は階級そのものである」という時、こうした階級の死活的課題を党の正面課題として真っ向から据えきらなければなりません。

 不屈に闘う民主労総の実践から学ぼう

 したがって、教育基本法闘争の総括の核心、改憲阻止闘争に向けた階級的核心課題は、体制内労働運動からの決別を根底から組織することであり、4大産別決戦総体の核心もここにあります。党の意識性は、ここに明確に置かれなければなりません。
 また、民間未組織労働者の組織化でも、階級的自己解放と革命に向けた思想的路線的位置づけがなければ、勝利に向けた方針を提起することはできません。プロレタリア革命と労働者階級の分断は、まずもって党の側の思想と路線の問題であることをはっきりさせなければなりません。そうでなければ、革命党の名において労働者階級を体制内に組み敷き、体制を支える最後の役割を担ってしまうことになるのです。
 私たちが今、実践的精神的に範とすべきは民主労総の組織過程です。民主労総に徹底的に学び、組織化に突入せよ!ということです。仲間づくり−数人のグループ化から階級的共同性を形成し、「組合のないところに組合をつくり」「組合のあるところでは既成体制内指導部から組合権力を奪還」し、それを点から線に、線から面へと闘う労組・労働者を軸に地域的・全国的な階級的団結の形成へと結びつけ、反戦政治闘争=体制打倒の主体に階級を組織していくことです。争議がつぶされ解雇されても、なんら終わりではありません。彼らはここからさらに不屈で強靱(きょうじん)な活動家、組織者を生み出しています。民主労総の闘いはこうした教訓に満ちています。
 これを真っ向から学び尽くし、日本階級闘争の大地に生かせるのは、私たちをおいてありません。なぜなら、彼ら自身が明確に、私たちの70年闘争の影響を受けて立ち上がってきたからです。まさに韓国階級闘争と日本階級闘争は一体であり、相互発展的関係にあり、党が解体されなかったことによって歴史的に、そして決定的に結合したということなのです。
 階級を革命と隔絶する体制内労働運動は、解雇されたら基本的に終わりであり、収束させるべきものでしかありませんでした。国労の敗北は、国家体制の転換をかけた攻撃としての国鉄分割・民営化と闘えなかっただけでなく、それゆえにまた1047人の被解雇者を日本階級闘争の戦闘的転換に向けた決定的存在として位置づけられなかったことにもあるのです。国家体制を前提とし協調しようとする彼らに、そのような発想はまったくできません。
 他方、動労千葉は、被解雇者を先頭とする組合員を物販闘争を水路とした全国オルグと位置づけてきました。この全国物販オルグが、階級の全国的組織化に生かされなかったのは、そのように位置づけてこれなかった党の側の問題として、明確に総括されなければなりません。すなわち私党化による不一致によって、動労千葉の物販闘争は全国労働運動の組織化のための決定的武器として位置づけられてこなかったのです。この点でも根本的、意識的な転換を図らなければなりません。
 ここで再確認すべきは、民主労総が実践してきたことは、実は3全総から70年に攻め上った党そのものの実践から学ぼうとしてきたということです。この時代に党が実現した労働者階級の組織化の広さと深さは圧倒的でした。こうして組織した労働者階級を学生に続き安保闘争の主力部隊として突入させたのは、まさに体制内労働運動としての社会党・民同などと決別した強靱な階級の組織者−革命家の強大な部隊を築き上げるためでした。この時代に決起した同志たちには、この継承性が自明のこととして流れています。
 しかし、80年代、90年代と内戦下で時を経るにしたがって、この継承性が薄れてきたことを明確に自覚しなければなりません。それは、この時代から階級性に満ちあふれた党の決定的指導部が生まれてきていないことにも端的に現れています。07年決戦は、階級の党として決定的な指導部を形成していく決戦であることも明確にしなければなりません。こうした意味で、60年、70年を闘った歴戦の古参ボリシェビキ党員の役割と責任は重大です。内戦の最終決着としての日本階級闘争の巨大な爆発をかけてもうひと踏ん張りしてほしいということです。
 また、11月集会の地平を実現した3労組は、体制内労働運動を突き破る核心的陣形です。07年冒頭からこの陣形を全国的に決定的に発展させていくことが重要です。

 階級の急速な意識の転換に党は全力で対応しよう

 11月集会が4900人にとどまったことの総括は、「党の革命」の全面的貫徹を土台に07年初頭の闘いに直ちに貫徹されなければなりません。階級の状態と意識は急速に転換しています。私たちが旧態然とした意識や構えでいては、お話しになりません。党の立ち遅れは、階級大衆に失望され、見捨てられてしまうことを意味します。今や「自民党支持者」であった労働者でさえ「暴動」や「革命」を求め始めています。従前の枠からイメージした春闘などではなく、この07年に昨年の米、仏のような闘いを実現していくことを党として目標にするということです。すでに06年、障害者自立支援法をめぐって「生存権」をかけた実力決起が起き、体制を揺り動かしています。巨大な階級的大衆的行動を巻き起こす以外に、情勢は切り開かれません。
 そのためにはまず、党自身・党員自身が既成の思想、支配から根底的に決別し、階級大衆の自己解放的決起を組織しなければなりません。労働者自己解放の原理を貫徹し、階級の闘い−行動を軸に全人民的決起を組織していくことです。全国各地方・地区で数百数千の大衆的決起を07年初頭から実現しましょう。通常国会に出される法案そのものが、階級大衆の根底的決起と激突の組織化を求めています。その最先頭に立つことこそ共産主義者の任務です。歴史的蓄積の一切をかけて、ひとりの例外もなく階級大衆の行動を組織し、党への獲得へと突き進もうではありませんか。

 「党の革命」を徹底推進し真に階級的な労働者党へ

 「党の革命」は、党の核心思想と路線をめぐる闘争であり、プロレタリア革命からの後退とブルジョア思想への核心的屈服との闘いです。与田ら腐敗した私党化グループは、プロレタリア革命からの後退という核心をごまかすために、あたかも「指導部間の権力闘争」であるかのように事態を描こうとしてきました。この考え方の毒は、党員が党の主体ではないということと、その裏返しとして党員個々にプロレタリア革命を目指す革命家であることを問わないこと、つまり党をあいまい化することにあります。実際に、彼らのつくり上げてきた組織が党ならざる私党として、国家権力と闘えない組織に転落していたことは実証されています。ここを明確にすることが最も大切です。
 「党の革命」は、党員こそが党の主体であること、それゆえ全党員に真にプロレタリア革命を目指す革命家であるのか否かを峻厳(しゅんげん)に突きつけているのです。この核心を抜かした批判は、批判たりえません。
 したがって、私党化グループの思想的同一性と根本的問題性を明確にしなければなりません。「党の革命」に賛成したからと言って自由ではないのです。基本的には「指導部」等の党的地位を自分の人間的存在に置き換えて、それを絶対化し守ろうとしていることです。資本主義を根底から批判したマルクス主義で言うと「物象化」ということです。自分の人間的存在が「指導部」だとか「議員」だとかに置き換わっているのです。また、このような人びとに付き従っている人びとも、その「指導部」自体を物象化し、偶像化して自分の存在に置き換え、従前のあり方を守ろうとしているのです。要するに、党を生きた階級から切断し、私物化しているということです。
 それと表裏の関係で、彼らには物象化された「党」や「中央」はあっても、党の実体である党内の人間的関係−同志的関係がないということです。同志との関係において自分があるという考え方など、みじんも感じられないということです。したがって現象的には「同志が不在である」こと、これが彼らの第一の特徴です。
 反革命カクマルへの反撃を開始した1971年からのフェーズTであれ、この内戦の発展的決着をかけた1981年からのフェーズUであれ、党の歴史と勝利は同志たちが人生をかけ命をかけて切り開いてきたものです。私たちは、この同志たちとともにあるから党なのです。しかし、彼らには「党中央」と「犠牲者」としての自分はあるが、同志たちはありません。
 党には、さまざまな部署で革命のために人生をかけ、命をかけて闘っている素晴らしい同志がいます。任務が違っても党としてプロレタリア革命に向けて全身全霊をかけてきたという点では一体なのです。
 私党化グループの思想と路線は、この核心的一体性・共同性を解体し、内戦によって強制された分断を固定化することによって党を支配し、党を階級から召還し、党を核心において解体に導こうとしてきたのです。同志の存在なき内戦の総括はありえません。

 誰もが一党員として闘うことが原点だ

 そして第二に、一党員として、一労働者として闘うことがどうして拒絶されることなのか、まったく理解できません。労働者階級に対しては「失うものは鉄鎖のみ」などと言いながら、自らは「指導部」や「議員」であることに異様なまでに執着しているのは何なのか。そもそも、かつての党の議員はどうだったでしょうか。議員の特権を拒否し、一党員としての任務を当然のように貫徹していました。これが党の議員の階級的権威だったのです。恐るべき後退ではないでしょうか。
 私は「一党員」として闘い抜いてきたことを誇りに思っていますし、すべての党員が、本質的に一党員であることに変わりはないのです。
 自らの議員に対する執着を「区民のため」と称して再出馬する動向にあると聞きます。労働者大衆をどこに引き連れていこうとしているのでしょうか。階級大衆を蹂躙(じゅうりん)する根源の帝国主義を打倒する自己解放的革命に組織すること、そして直接的にも「行動」「暴動」が階級大衆の要求になりつつある時、大衆の生存権の危機に付け入り、山田−石原−安倍との激突ではなく、最後の屈服を組織しているのです。「犯罪被害者支援条例」「民営化」への屈服とはそういうことです。革命党の名を語って、決起ではなく屈服を組織してきたということです。これを階級的にはっきりさせなければなりません。階級大衆の自己解放的決起の先頭に立って闘うのではなく、「議員」という地位を守るために階級大衆を体制に売り渡してきたということがその階級的本質です。
 「党の革命」とは、真に階級の党としての自己確立を成し遂げるということであり、それゆえに最も大衆的な党になるということです。労働者階級大衆を選挙闘争の手段として利用するという本質的に外在的なあり方から、自己解放の主体、革命の主体として徹底して位置づけるということです。党は、労働者階級大衆の中にこそ打ち立てられなければならないのです。

 全党員がオルグとなって地区党建設に全力投入を

 3全総は、プロレタリア独裁党の本格的建設の具体的方針である地区党建設をめぐって、カクマルと分裂しました。彼らはレーニン主義を核心的に解体し、帝国主義革命論を否定し、労働者階級をプロレタリア革命から遠ざけるために産別党組織建設に逃げ込んだのです。地区党建設は、マルクス主義の核心を貫き、帝国主義国においてプロレタリア革命を準備するものであり、プロレタリア独裁の今日的場所的貫徹という意識性をもって推進されなければなりません。労働者階級の猛然たる獲得・組織化を軸に、プロレタリア革命に全人民を獲得していく水路こそが地区党です。こうした地区党建設論について、あらためてはっきりさせなければなりません。
 地区党の第一の任務は、労働者細胞建設の強力な推進にあります。あらゆる闘い、政治決戦課題を水路に階級の組織化が全面的に進められなければなりません。これが一切の基軸です。あえて言えば全党員は、政治局員、全国委員を先頭に例外なく、階級を決定的に組織するオルグになるということです。特に東京−首都圏における組織化を決定的に進めるということです。
 私たちには、現代帝国主義論に基づく現代世界の解明と、労働組合運動における核心的勝利の地平という到達点があり、これで武装された不屈の同志たちがいます。私たち以外に労働者階級を自己解放の主体として措定し、勝利の道を提示できる存在はないのです。この歴史的な全地平から階級の全面的組織化に突入するということです。その水路が地区党の建設です。
 さらにこの間、根本的には「5月テーゼ路線」に腹背してきた指導部によって、プロレタリア革命路線のもとに決定的に位置づけられてこなかった「諸戦線」を地区党建設の中に決定的に位置づけるということです。これは「諸戦線」の闘いをプロレタリア革命路線に基づき本格的全面的に発展させようという決断であり、断じて解消論ではありません。この土台には、労働者階級の組織化と一体で戦線運動の豊かな発展を切り開いてきた地区党の実践的地平があります。
 しかし、戦線のそれぞれ固有の困難性や運動的課題、さらには歴史的過程をしっかりと踏まえて推進しなければなりません。マルクス主義の再武装を軸に、地区党組織論−プロ独党建設論を明確にしつつ再配置の勝利を切り開いていかなければなりません。それ自体が革命の準備の根幹にかかわる闘いであり、プロレタリア革命への獲得性をもって貫徹されなければなりません。プロレタリア革命論を全党が再度鮮明にする過程として、しっかりと議論を組織することが重要です。
 また地区党建設は、私党化グループによるプロレタリア革命と党の根本的切断に対する根底的実践的批判として貫徹されるということです。それは同時に、彼らがプロレタリア革命と部落、在日、在本土、「障害者」、女性、反軍などの諸戦線の闘いを切断し、これを敗北に導こうとしてきたことへの根本的批判の貫徹としてあります。地区党のプロ独的建設の強化なしに、階級を軸とした戦線の本格的全面的組織化はできないのです。
 革命を本気で準備しましょう。その水路は地区党建設であり、基軸は細胞建設にあります。

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週刊『前進』(2280号6面2)(2007/01/29 )

 2万余増派で虐殺拡大とバグダッドの制圧を狙う

 米帝ブッシュのイラク新戦略

 米帝ブッシュは、1月10日のイラク新戦略発表以来、イラク植民地支配を貫くために米軍を増派し、軍事作戦を強めている。ブッシュは22日の一般教書演説でもこの方針を強調した。これに対して闘うイラク人民の民族解放・革命戦争がいよいよ激しく燃え上がっており、ブンシュ新戦略は開始早々から破産的様相を呈し、米帝はますます深刻な泥沼に陥っている。

 ペルシャ湾に新空母配備も

 ブッシュ政権のイラク新戦略は、2万1500人の米兵を追加配備し、特にバグダッドを軍事的に制圧して植民地支配を維持しようとする戦争エスカレーション戦略である。イラク占領の泥沼化で昨年の中間選挙で大敗を喫したブッシュ政権は、国内的にもイラク支配のためにも戦略転換を図らなければならない状況に追い詰められた。しかし、超党派のイラク研究グループ(ISG)の勧告を退けて、米軍を削減するのではなく、米軍を追加派兵することによって事態の打開を図る方向を打ち出した。
 ISGの勧告もブッシュの新戦略も米軍をイラク軍・警察に軍事顧問団として組み込んで植民地支配を貫こうとしている点ではまったく変わりがない。しかし、ISGの勧告がイランとシリアを外交的に巻き込んで米帝の植民地支配に協力させ、それによって兵力を削減するとしていたのに対し、ブッシュの新戦略ではイランの影響力を軍事的に排除してイラクの植民地支配を維持しようとしている。
(写真 家を壊され路上で生活するイラク人家族)
 ブッシュが新戦略を発表したその日、米軍はイラク北部のクルド人地区の町アルビルにあるイランの連絡事務所を襲撃し、そこにいた5人のイラン人を、武器を供給してテロを支援したとデッチあげて拘束した。イラン政府やマリキ政権は通常の外交活動をしていただけだと5人の釈放を要求したが、米帝はこれを拒否している。
 ブッシュは1月12日のCBSテレビの「60分」という番組のインタビューでイランのアフマディネジャド大統領を名指しして、「もしわれわれが、おまえのとこの人間がイラクでアメリカ人やイラク人に危害を加えているのを捕まえたら、相手になるからな、分かってるな」と恫喝した。副大統領のチェイニーもFOXニュースで同じような警告を行っている。また米帝は、米中央軍司令官にファロン現太平洋軍司令官を任命した。陸軍や海兵隊からではなく海軍提督を司令官にあてたことは、ペルシャ湾への空母追加配備と一体でイランへの戦争態勢を強めるためである。
 米軍の追加部隊は次々と配備され始めており、すでに作戦も開始されている。特にシーア派・サドル派のマハディ軍に対する攻撃で米軍は、16人の指揮官を含む600人を拘束したと発表した。こうした作戦の中で中心的な指揮官については夜襲をかけて殺害している。またサドル派の報道官も拘束している。
 サドル派は反米の姿勢をとっているが、現実には米軍占領の中で、イラク軍・警察に潜入し、「死の部隊」を形成してスンニ派住民を無差別虐殺して地域から追い出し、権力を握ろうと画策してきた。マリキ政権誕生の過程では、イランとの関係が強いイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)のジャファリに権力を握らせまいと米帝が策動した際に、サドル派がダワ党のマリキを推してカイライ政権が形成できた。
 しかし、昨年11月30日のヨルダンでのブッシュ・マリキ会談でブッシュは、マリキからサドル派攻撃への承認を取り付けたとされている。サドル派はこれに対して各省の大臣の職務をボイコットしていたが、今回の米軍の攻撃を受けて職務に復帰した。

 米軍への人民の怒りも激化

 米軍はバグダッドのスンニ派地域アダミヤで制圧作戦を行ったが、航空支援を行っていた警備会社ブラックウオーターのヘリがミサイルで撃墜された。20日には米軍ヘリ・ブラックホークが撃墜されたのを含め25人の米兵が死亡した。この日、カルバラでは米軍とイラク軍の基地になっている地方司令官庁舎が武装勢力の攻撃を受け、5人の米兵が死亡した。この間米軍の死者は急激に増えているのだ。
 24日には米帝はバグダッド中心部のハイファ通りとファドル地区にファルージャ型の包囲攻撃を行い、多くの住民を虐殺し、拘束した。米帝はどんなに苦況に陥ってもイラクからけっして撤退しないことをブッシュの新戦略は示している。
 同じCBSの「60分」の番組の中でスコット・ペリー氏から「いい仕事をしてこれなかったことについてイラクの人びとに謝罪しなければならないと思いますか」と聞かれたブッシュは、「それはわれわれがいい仕事をしてないということか、イラク人がいい仕事をしてないということか。われわれはあの国を専制から解放したんだ。私は、イラク人はアメリカ人に感謝すべき大きな恩義があると思っている」と反撃した。
 盗っ人猛々しいにもほどがある。ブッシュが起こした侵略戦争で65万人ものイラク人民が命を落としたのだ(米ジョンズ・ホプキンズ大学とイラクのムスタンシリア大学の共同調査)。無差別空爆を繰り返し、劣化ウラン弾、クラスター爆弾、白リン弾、指向性エネルギー兵器などありとあらゆる兵器で、人民を虐殺してきた。多くのイラク人が家を奪われ、食料も水も満足に手に入らず、その困窮状態はますますひどくなる一方だ。
 ところがブッシュはぬけぬけと「イラク人は感謝しろ」などと要求する。これが極悪非道な帝国主義者の本性なのだ。
 宗派間対立による内戦とイラク人の死者も、米帝がイラクを侵略し、占領していることに根本原因がある。
 現に今われわれの眼前で、日帝の南京大虐殺―中国侵略戦争、ナチスのホロコーストに比すべき暴虐が行われているのだ。この残虐で不正義の侵略戦争を許してはならない。帝国主義の侵略戦争は、国内での労働者階級への攻撃と一体なのだ。労働者が低賃金・強労働、大失業を強制されている。アメリカでは50万人以上の帰還兵がホームレスになっている。
 イラク侵略・植民地支配をあくまで貫こうとする米英日帝を打倒しよう。開戦4周年に当たる3月大行動の大爆発を。

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