ZENSHIN 2006/12/11(No2274 p08)

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週刊『前進』(2274号1面1)(2006/12/11)

 教基法改悪案 参院強行採決阻止を

 階級的労働運動の前進の力で危機と戦争の帝国主義打倒へ

 闘う日教組の再生を今こそ

(写真 国会前では30日にリレー・ハンストが再開。1日には教基法改悪と共謀罪に反対するジョイント行動が終日闘われた【12月1日】)

 教育基本法改悪案の参院強行採決の動きが、12月7日特別委員会、8日本会議と切迫している。この最大の決戦局面への突入に際して、全国110万教育労働者と6000万労働者の国会闘争への歴史的な総決起を訴えたい。臨時国会の開会以来、すでに幾万人もの労働者が、「日の丸・君が代」強制と闘う被処分者や日教組現場組合員を中軸にして国会闘争に立ち上がっている。03年教基法改悪の中教審答申が出されて以降を振り返れば、100万人規模の労働者が立ち上がっている。国論分裂どころか、教基法改悪・改憲阻止は圧倒的多数の労働者の心からの叫びとして渦巻いている。安倍政権は、日一日と拡大する労働者階級の怒りの決起に震撼(しんかん)している。教育労働者の階級的潮流を軸にして、闘う日教組を再生させ、30万組合員が団結して闘えば、教基法改悪策動は根底から吹き飛ぶ。参院での教基法改悪阻止闘争を衆院段階を数倍、数十倍する闘いに押し上げよう。共謀罪新設を絶対に阻止しよう。特に青年労働者と学生が人生をかけた決起をかちとることを訴える。教基法改悪阻止・改憲粉砕の大決戦を帝国主義打倒への永続的闘いとして爆発させよう。

 安倍打倒!職場から国会へ

 12月教基法改悪阻止決戦を闘うにあたって確認したいことの第一は、帝国主義体制の危機がますます深まり、「帝国主義の最弱の環」としての日本帝国主義が絶望的な矛盾の中でのたうちまわっているということである。
 この中で、日本と全世界の労働運動の階級的潮流が帝国主義の矛盾と危機、破綻(はたん)をついて、国際的団結を強化しつつ、帝国主義打倒=プロレタリア革命へと不退転の闘いを開始している。こうした21世紀初頭の世界史的情勢が極右ファシストの安倍政権を教基法改悪へと突進させている。
 帝国主義の基本矛盾の世界史的爆発は、激化の一途をたどっている。29年型大恐慌の切迫、帝国主義間争闘戦の激化、FTA(自由貿易協定)とそれをめぐるブロック化の進行、そしてイラク侵略戦争の泥沼的危機の中で、米・日帝国主義による北朝鮮侵略戦争の発動は、第3次世界大戦の引き金を引くものになろうとしている。アメリカ中間選挙でのブッシュと共和党の大敗北は、基軸帝国主義としての米帝の没落の深さを告げ知らせた。米帝がイラク侵略戦争の泥沼化と天文学的な貿易赤字・財政赤字を解決できない中で、四半世紀にわたる〈戦争と民営化〉の攻撃、貧困と階級格差拡大の攻撃を受けてきた労働者階級が、ついに怒りと不満を爆発させて、革命的情勢をたぐりよせつつある。
 アメリカ中間選挙の結果をも引き金に、イラク侵略戦争はますます危機と泥沼化を深めている。米軍はバグダッドの主要基地すら維持できず、占領軍として崩壊しつつある。他方で、内戦が激化し、毎月の死者が3000人を超え、ついにバグダッドは空港封鎖と夜間外出禁止令を余儀なくされている。イラク侵略戦争の戦略的失敗と敗北という現実は、ブッシュとともに、イギリス帝国主義ブレア政権と日本帝国主義・安倍政権をも、政権末期の危機にたたきこんでいる。
 こうした帝国主義体制の崩壊的危機の根幹にあるのは、帝国主義の階級支配の破綻だ。80年代以降本格化した〈民営化・規制緩和と戦争〉による労働運動の帝国主義的制圧・解体の攻撃が全世界的に破産している。米帝の手先となって世界の労働運動に介入し、弾圧してきたAFL−CIO(米労働総同盟−産別会議)の大分裂とその権威の最後的失墜がそれを象徴している。その対極で、非正規雇用化と対決し80万人のゼネストで不屈・非妥協に闘う韓国・民主労総や、06年に一挙に台頭した移民労働者を軸にしたアメリカ労働運動の内乱的発展の先頭に立つILWU(国際港湾倉庫労組)やAMFA(航空整備士労組)が、日本の戦闘的労働運動の伝統と歴史を受け継ぐ動労千葉と連帯し結合している。「国境を廃止しよう」と宣言し、帝国主義打倒への恒常的日常的国際連帯行動に立ち上がっている。
 日帝・安倍は、最も突出して北朝鮮スターリン主義・金正日体制の転覆と北朝鮮侵略戦争の策動を強めているが、労働運動・労働組合運動を制圧できていない。職場生産点に息づく4大産別の団結を解体できていない。教基法改悪と改憲が意図している日本の労働者階級の戦後的階級意識や階級関係の完全な解体・一掃の攻撃は、必ずや戦後革命期をのりこえる革命的激動に転化する。帝国主義の代弁者である連合・全労連などの既成労働組合指導部を打倒して、階級的労働運動のもとに6000万労働者、日教組30万組合員の怒りを総結集し、ゼネストで闘う韓国・民主労総と連帯し、北朝鮮侵略戦争発動と教基法改悪−改憲に命運をかけている安倍政権を打倒しよう。

 日教組解体し戦争教育狙う

 確認したいことの第二は、安倍政権による教基法改悪攻撃は、日教組30万組合員の団結を解体し、国家が教育労働者を差別・選別・管理し、愛国心教育=戦争教育を強制するものだということである。愛国心は「態度を養う」を結語にしている。これは、学校行事での「日の丸・君が代」の強制が、当日の服装、「日の丸」に対する顔の向け方、起立の仕方、「君が代」を歌う声の大きさなどへの監視・命令として、東京都教委が強行してきたことが、全国化することを意味する。
 さらに、教員免許更新制の導入で、愛国心教育を率先して担い「教え子を戦場に送る」聖職者に教育労働者をつくり変えようとしている。国鉄分割・民営化で国労を解体した「いったん全員解雇・選別再雇用」と同じ方式で日教組の最後的変質と解体を迫っているのだ。国鉄分割・民営化攻撃は、闘いを放棄した労働組合のもとで200人を超える自殺者を生み出した。現下の教育現場はこの比ではない。新採に始まる教育労働者、管理職、子どもが自死へと追いやられている。労働組合の変質と解体は無惨な現実をつくり出すのだ。
 安倍は、「新しい歴史教科書をつくる会」に続いて97年に設立された日本最大の右翼団体「日本会議」の国会議員懇談会の中心人物であり、その関係者を閣僚や補佐官に登用した。政府の教育再生会議をファシスト的に牽引(けんいん)しようとする日本教育再生機構の理事長に八木秀次を就任させた。「日本会議」は結成当初から「このままでは日本は滅ぶ(帝国主義として生き残れない)」という激しい危機感をもって、教基法改悪と改憲を主張してきた。また安倍は官房長官時代に、教育改革タウンミーティングにおいて、教基法改悪の「やらせ質問」「賛成の組織化と動員」を行い、法外な予算を計上していた。こんな世論のねつ造は断じて許されない。
 安倍と思想と行動を同じくする都知事・石原は、教基法改悪を先取りする「教育改革」を断行してきた。労働組合を敵視し、教職員を差別・分断・管理し、さらに皇民化教育を強制し、東京の教育現場をズタズタに破壊した。教育労働者の自死と早期退職者と「いじめ自殺」を激増させた。しかし、03年「10・23通達」による「日の丸・君が代」の強制は、日教組本部の屈服・裏切りをのりこえて、ついに処分を許さず不起立を貫く教育労働者の自己解放的決起を生み出し、9・21予防訴訟勝利判決をかちとった。労働者の階級性と団結の力を見くびった安倍や石原のファシスト的攻撃は、闘う労働組合が一丸となって決起すれば、墓穴へと転化できるのである。
 教基法改悪案の衆院採決以降、国会審議の最大の焦点は、「教育は不当な支配に服することなく」として国家・教育行政による教育への支配・介入を禁じた現行法第10条の問題に絞り上げられている。参院審議で政府・文科省は、「国会で決められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を不当な支配」(11月22日、伊吹文科相)と言い、「不当な支配」の意味を百八十度逆転させた。教基法改悪の核心は、教基法10条を法的な後ろ盾に連綿と闘いぬかれてきた戦後日教組運動、特に76年旭川学力テスト最高裁判決と9・21予防訴訟東京地裁判決を完全に絞殺し、国家と教育行政権力による無制限の教育統制を正当化することにある。教基法を日教組弾圧法に根本的に作り変え、教育労働者を愛国心教育のもとに縛りつけ、改憲と侵略戦争に総動員しようとしているのだ。
 教基法10条の逆転は、安倍政権の改憲攻撃に直結している。自民党新憲法草案は、近代憲法の立憲主義の原理・原則を百八十度逆転させて、国家が「国民の行動規範」「国民の精神」「国民のものの考え方」を縛ることを明示している。教基法改悪による日教組解体の狙いは、9条改憲で自衛権や自衛戦争の名のもとに侵略戦争を再び行うことと一体なのだ。

 森越委員長に組合員の怒り

 確認したいことの第三は、日教組・森越体制を打倒し、日教組の階級的再生をかちとるために、教育労働者の階級性と誇りと持てる力のすべてを投入する決戦が到来したということだ。
 日教組は、朝鮮戦争下の1951年に「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを決定し、52年に「教師の倫理綱領」の採択で「教師は労働者である。教師は団結する」という階級的立場を確立した。教え子を戦場に送り出し、「死の手配師」になった地獄の苦しみの中から、教育労働者として団結し、侵略戦争の先兵になることを絶対拒否すると誓い、闘ってきたのだ。しかし、日教組中央は95年、文部省との「パートナー路線」を決定し、主任制・職員会議・自主編成・官製研修・「日の丸・君が代」の5項目の闘争を放棄した。96年には「教師の倫理綱領」も棚上げにした。日教組中央が連合のもとに帝国主義労働運動へと完全に変質し転向したがゆえに、政府・文科省の攻撃は現場に集中し、職場支配権の危機をつくり出した。教基法改悪攻撃が激しいのは、帝国主義の危機が絶望的に深まっているからだけではなく、日教組中央が自ら敵に手を貸してきたからだ。その階級的裏切り性を徹底弾劾しなければならない。
 森越委員長に対し、全国の現場組合員の怒りと弾劾が堰(せき)を切ったように噴出している。10・26日教組中央集会から逃亡し、11・25中央集会では10・26から逃亡したことの開き直りと弁明に終始し、参院段階の決戦方針は皆無だった。国会座り込み行動には一度も登場せず、11月25日のテレビ番組で「いじめ問題で学校現場が大変な時に、教師が国会前で騒いでいていいのか」という八木秀次の恫喝に、何と「すみません、先週で(座り込みは)やめました」と謝罪さえしたのだ。
 超多忙化と管理強化の中で、日教組中央の制動と抑圧をも踏み越えて、北海道から沖縄に至る数千数万の現場組合員が、全身全霊をふりしぼって国会行動に立ち上がっている。現場組合員の必死の決起を糾合し、安倍政権と教基法改悪を競い合っている民主党と日教組・森越体制を打倒することが、教基法改悪と戦争をぶっ止める道だ。
 日教組・森越体制の打倒に向け、日教組本部のもとに追随してきた既成指導部をのりこえて、分会・支部・単組の組合権力を奪取し、日教組の階級的再生をかちとろう。日帝・安倍政権が恐れおののく労働者階級と労働組合の階級的団結の力を発揮する最高の情勢が到来しているのだ。組合権力を奪取する主体的力は今や充満している。
 第一に、日本で唯一階級的労働運動を実践し、国鉄分割・民営化攻撃にストライキで反撃し、団結を守りぬいてきた動労千葉などが呼びかけた11月労働者集会の中軸に闘う教育労働者が決起し合流していることだ。特に日米韓の国際連帯が闘いとられ、21世紀のプロレタリア世界革命を宣言した過去3回の11月集会にはすでに1000人規模の教育労働者が立ち上がっている。
 第二に、03年「10・23通達」以来の3年間の「日の丸・君が代」不起立闘争は、処分をのりこえた350人の不屈の決起によって「10・23通達」を無力化させている。ついに職場生産点から教育労働者の自己解放的決起が始まったのだ。そして東京の被処分者を先頭に、全国で「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者が8・6ヒロシマ行動に大合流し、日教組での下からの決起と組織化が前進している。
 第三に、教基法改悪阻止、二度と侵略戦争の先兵にならないという教育労働者の不退転の決起が、日教組本部をのりこえ、国会前で、北海道1万人集会(11・25)を始め全国で、嵐のように起こっている。今や10割年休闘争で国会を包囲しよう、ストライキに立とうという声が巻き起こっている。

 青年労働者の決起が

 さらに重要なことは、教基法決戦が、ついに青年労働者の決起に火をつけたということだ。年間300時間もの初任者研修を強制され、連日深夜まで残業を余儀なくされている新規採用者。新規採用者の自死や20代の教員の退職など、教育現場の矛盾は新採世代に集中している。そして教基法改悪とそれに伴う学校教育法や学習指導要領の改悪、戦争教育と労働条件の悪化の矛盾は、若い教育労働者に集中する。青年が団結して立ち上がれば日教組・森越体制は一瞬にして打倒できる。
 「いじめ自殺」や未履修問題を現場の教育労働者の責任に転嫁し、それどころか教基法改悪の理由に仕立てている。最末期の帝国主義が、一握りの支配者階級の延命と戦争のために、小・中・高・大学の根本的改造を暴力的に推進し、自らが生み出した全矛盾と危機の原因を教育労働者や子どもや学生に帰している。日帝権力は11月29日、法政大学でクラス討論中の学生3人を逮捕した。大学の教室にまで国家権力が踏み込み、教基法改悪阻止を訴えることを封殺しているのだ。

 共謀罪を断固廃案に

 日教組に闘う権力を打ち立て、4大産別の腐敗した労組指導部を打倒し、6000万労働者と300万学生の団結の力で、教基法改悪阻止、共謀罪廃案、安倍政権打倒へ、戦後階級闘争史上、最大の決戦に打って出よう。若者の半数以上が、非正規雇用にされ、未来を奪われ、侵略戦争に駆り出されようとしている。青年労働者・学生が12月教基法決戦の先頭に立とう。ストライキと革命は、21世紀を担う青年・学生の生存をかけた当然の権利だ。
 三里塚闘争、北富士闘争、沖縄闘争の発展をかちとろう。機関紙拡大闘争と冬期一時金カンパ決戦を、職場細胞建設と党勢の倍増をかけ、21世紀革命勝利への執念をもって貫徹しよう。

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週刊『前進』(2274号1面2)(2006/12/11)

 法政大 3学生またも不当逮捕

 11月29日、法政大学で学生3人が建造物侵入容疑で不当逮捕された。12月1日には10日間の勾留が決定され、その際許し難いことに、まったく架空の事件がデッチあげられ、1人には傷害罪が付け加えられた。3・14弾圧以来、法大では延べ40人の学生が不当逮捕された。またしても警察権力と法大当局が結託したデッチあげ逮捕だ。絶対に許すことができない。怒りを込めて徹底弾劾する。警視庁は、今すぐ3人の学生を釈放せよ。警察権力を学内に導き入れた法大当局に怒りをたたきつけよう。この弾圧は、教育基本法改悪案と共謀罪の強行成立に突き進む日帝・安倍政権の絶望的なあがきだ。弾圧を逆に教育基本法改悪阻止決戦の大爆発へと転化させよう。(関連記事7面)

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週刊『前進』(2274号2面1)(2006/12/11)

 国会前のハンスト再開

 日教組解体を狙う現場から闘い起こそう

(写真 「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立ってリレーハンスト&座り込み行動を再開し、教基法改悪案の廃案へ総力決起【11月30日 衆院第2議員会館前】)

 教育基本法改悪を阻止することができるかどうか、最大の決戦を迎えた。まさにこの時、日教組本部は反対行動を一切放棄し、完全屈服している。本部の屈服を突き破る闘いを現場からつくり出し、なんとしても廃案へ。闘う日教組再生へ教育労働者は総決起しよう。
 11月30日、東京の「日の丸・君が代」被処分者が中心になって呼びかけた「国会前リレーハンスト&座り込み行動」が再開された。
 参院特別委で教基法改悪案の審議が進められる中、そして何よりも日教組本部が国会闘争を放棄する中、「なんとしても改悪案を廃案にするぞ」と教育労働者が闘いを再開したのだ。「これで連日、国会前に闘いの拠点ができた!」――待ちに待った再開だった。
 30日は朝9時から座り込み場所を設営。10時過ぎから、「リレーハンスト&座り込み突入セレモニー」の集会を行った。とりわけ日教組本部の闘争放棄があらわになる中で「『日の丸・君が代』被処分者が先頭に立って、本部の屈服を突き破る闘いを現場からつくり出そう」という決意に満ちた発言が続いた。
 午前中は小雨が続いたが、「寒さに負けず闘いぬく」と集まったハンスト団には活気があふれている。単組の旗を持って国会前に駆けつけた教育労働者もいる。
 正午過ぎ、参院特別委を傍聴していた被処分者が状況を報告。「審議をすればするほど、うそとごまかしがボロボロ明らかになる。茶番だ。本当に腹が立つ」
 午後、防衛庁「省」昇格法案の衆院本会議採決を受け、「防衛庁『省』昇格を許さないぞ」とシュプレヒコール。リレートークを続けながら、座り込みを続けた。
 午後4時から東京教組の座り込みが始まった。東京教組は29日から独自の座り込みを開始。石原都政の教育支配と闘う東京の労働者は、改悪への危機感がとりわけ強い。「衆院段階で『国会前に全員集まれ』と呼びかけたら、非組も多く参加した。国会闘争を職場で組織しよう」との訴えに強い共感が寄せられた。
(写真 「教基法改悪を阻止するぞ」。全国の組合員とデモをする被処分者の会【11月25日 東京駅前】)

 国会前集会に280人 28日

  28日は午後6時から、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会が行われた。参院で審議が始まってから初の国会前集会には、教育労働者を中心に280人が集まった。呼びかけ人の小森陽一さんは、「教基法改悪反対の声がしっかりと全国からあがっている」と述べ、25日の札幌の1万人集会を始め各地でかつてない規模の改悪反対集会が行われていると報告、「参院で廃案へ」と訴えた。
 各地で反対運動に取り組む市民などの発言が続いた後、東京の「日の丸・君が代」被処分者がマイクを握り、「待ちに待ったハンスト、再開です!」と訴えると、声援と拍手がわいた。
 与党は、参院特別委で連日、審議時間を稼いでいる。審議時間の積み重ねだけで「70時間の審議を超えたら採決」などとする暴挙を絶対に許してはならない。
 4日からの1週間、職場の仲間とともに国会闘争へ総決起しよう。

 発言

 “廃案まで闘うぞ”

 リレーハンスト団に熱気

●東京「日の丸・君が代」被処分者・都立「障害児」学校教員Wさん
今日からハンストを再開し、廃案に追い込むまで闘います。衆院段階では闘いが人を結びつけ、たくさんの人が座り込み、採決がどんどん延びた。「7日の委員会採決、8日の本会議採決」と報道されていますが、改悪しようというのは少数派。子どもたちが人を殺し、自分が殺される戦争の時代に二度とならないよう広く人びとに訴えかけて力を集めて頑張ろう。
●都高教Iさん 参院段階では、まだ日教組の都高教も座り込みの指示を出していません。しかしここに来ているみなさんは、上部団体に言われたからではなく、いてもたってもいられない思いで来ている。これが本当の闘いです。主権者として国会がおかしい、組合もおかしい、だから立ち上がる、これこそ一番強い。寒いけれど心の中は燃えています。
●被処分者Fさん 自民党、公明党はどこまで堕落すれば気が済むのか。審議に参加もしない委員が、採決だけ参加して可決。こんな審議で日本の未来を決める法律を採決することなど認めない。
●被処分者Hさん 特別委を傍聴した。伊吹文科相は「昔は牛乳・バターには栄養があると言われたが、今は取りすぎはよくないと言われる」ことを例として、「だから教基法を変える必要がある」と。委員は半分も参加していない。こんな審議は認められない。
●都高教・被処分者Uさん 日教組は座り込みの指示を出していない。しかし今「処分うんぬん」などと言う組合幹部の言葉に従う必要はない。教基法が改悪されたら、現場は校長や教育委員会の顔色をうかがう人間ばかりにされ、異分子は排除される。今こそ現場も含めあらゆるところで闘いを展開しよう。できることは何でもやろう。
 もし向こうがこれ以上の攻撃をするなら、混乱は起きうる。それが不起立であれストライキであれ、一切の責任は向こうにある。労働運動の原点にのっとり、これからも運動を続ける。
●都高教・被処分者Aさん 「朝まで生テレビ」で森越が「(座り込みをして)すみません」と発言したのは絶対許せない。12・8集会では抗議の嵐をたたきつけよう。

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週刊『前進』(2274号4面1)(2006/12/11)

 教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ

 伊吹文科相が組合活動を「不当な支配」と強弁

 10条解体に職場から反撃を

 法破り文科省が最大の弱点 

 伊吹文科相は11月22日、参院教育基本法特別委員会で、「法律によって行われる教育行政は『不当な支配』に当たらない」と発言。さらに政府の教基法改定案に残された「不当な支配」とは、「国会で定められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を『不当な支配』と言っている」と強弁した。
 現行教基法第10条に対応するのは政府案では第16条1項である。現行法の「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し責任を負って行われるべきもの」の後半の文言を政府案は完全に削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」に置き換えている。この置き換えによって、国家(教育行政)や支配政党による教育内容への介入を禁じた「教育は不当な支配に服することなく」の意味が百八十度逆転させられる。伊吹文科相の答弁はそのことをはっきり示した。
 教育行政が職務命令や処分を振りかざして、暴力的に「愛国心」「日の丸・君が代」を強制することが「合法」とされ、逆にこれに反対し抵抗することが「不当な支配」「違法行為」とされてしまうことになる。まさに10条の解体は教育基本法への「死刑宣告」に等しい。
 そもそもこれまで教基法10条を無視し、学習指導要領などを根拠として教育内容への全面的な介入と統制を行ってきたのは政府・文科省である。その最たるものが卒・入学式での「日の丸・君が代」の実施要項を定めた東京都教育委員会の03年「10・23通達」だ。そしてこの通達が9・21予防訴訟判決によって「憲法違反」「法律違反」とされたのである。伊吹の答弁は「教育行政機関の行為でも国民の信託に反する場合は、『不当な支配』にあたる場合がありうる」とした1976年の旭川学力テスト事件最高裁判決をも完全に否定するものだ。
 しかし政府の答弁もグラグラである。11月24日の国会答弁では伊吹は、「国であろうと、一部の宗教的考えをもって教育行政を行えば『不当な支配』になる」と述べ、発言の修正を余儀なくされた。「不当な支配」をめぐる政府の踏み込んだ答弁は、ただちに三権分立の否定につながる。本来ならばこの問題だけで廃案にできるのだ。
(写真 「教育基本法改悪を許すな」と訴え都心をデモする教育労働者【11月25日】)

 日教組つぶしに政権の命運

 「愛国心」教育や「格差」教育、教員統制・支配など教基法改悪で狙うものすべてが、この10条の解体によって初めて実効性を与えられることになる。逆に職場に組合的団結があり、職場の支配権を教育労働者が握っているならば、いかなる戦争教育も跳ね返すことができる。だからこそ政府・与党は日教組の存在と闘いを完全に壊滅し、学校現場の支配権を現場教職員から奪い取って、国家(教育行政)の完全な支配のもとにおこうとしているのだ。
 この攻撃に政府・与党は政権の命運をかけて総力で臨んできている。中川秀直自民党幹事長や森元首相らの度重なる「日教組や自治労の壊滅を」発言はそのことをはっきりと物語っている。
 さらに「教育再生会議」を右の側から引っ張っているのが「つくる会」教科書運動の別組織である「日本教育再生機構」(八木秀次代表)だ。この八木が9・21判決に危機感をもって、「16条で法令の縛りがかかり、教職員組合の活動も大きく制約されます」(毎日新聞11・7付)と叫んでいるのは重大である。「つくる会」教科書運動が教育労働者を先頭とした闘いの中で破産に追い込まれていることを反動的に総括し、10条解体で組合をたたきつぶすことをあらためて最大の課題としてきたのだ。
 この10条をめぐる最大の攻防点が「日の丸・君が代」強制をめぐる闘いにある。処分攻撃を跳ね返して闘っている東京の被処分者を始めとした「不起立」の闘いは、政府・文科省や東京都による10条破壊と対決し、職場の支配権を現場労働者の手に取り戻す闘いである。同時にそれは、職場での闘いを放棄し、「教育の国家支配」を事実上容認する日教組本部の裏切りを断罪し、組合運動を現場労働者の手に奪い返す、日教組再生の闘いでもある。
 安倍政権が真に恐怖しているのはこの現場労働者の職場からの闘いである。そしてこの闘いが被処分者のハンスト決起を先頭にして国会闘争の大爆発に結びついたからこそ、教基法の攻防の核心点をはっきりさせることができたのだ。
 参院での教基法改悪案の成立強行を、さらなる国会闘争の爆発で粉砕しよう。
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伊吹文科相「法律によって行われる教育行政は『不当な支配』に当たらない」「国会で定められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う場合を『不当な支配』と言っている」(11月22日 国会答弁)
八木秀次「東京地裁は国旗・国歌で『都教委の強制は違憲』と判断しましたが、16条で法令の縛りがかかり、教職員組合の活動も大きく制約されます」(毎日新聞11・7付)
森元首相「日教組、自治労を壊滅できるかどうかということが次の参院選の焦点だろうね」(産経新聞10・31付)

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週刊『前進』(2274号5面1)(2006/12/11)

 教基法改悪阻止をかけ国会終盤の決戦へ

 共謀罪 抜き打ち採決策動許すな

 全国各地の職場から国会へ

 闘いの大衆的爆発で粉砕を

 歴史を分かつ階級決戦

 安倍政権による共謀罪審議入り―採決強行の攻撃を絶対に許すな! 愛国心を強制し、教育労働者と子どもたちを国家統制で縛る教基法改悪案の衆院採決強行を、満身の怒りで弾劾しよう! 国会闘争をさらに徹底的に強化し、「職場から国会へ、国会から職場へ」の闘いをまきおこそう。共謀罪法案、教育基本法改悪案の成立を絶対阻止しよう。
 安倍政権は、日帝のすさまじい体制的危機の中で登場した極右・改憲突撃内閣である。
 安倍は政権発足後すぐ、北朝鮮の「核実験」発表を口実として国連決議に先んじて「追加制裁」を強行し、朝鮮総連弾圧に手を染め、排外主義を国家的に扇動している。他方で、経済封鎖のため米軍と一体となって日米合同演習を日本海で行っている。
 アフガニスタン侵略戦争を行う米軍を支援するための「テロ対策特措法」の延長を10月末に強行した。政権発足と同時に米軍再編―沖縄基地強化を進行させた。
 また軍部に独自の法案の提案権を与え、海外派兵を自衛隊の「本来任務」とする防衛庁「省」昇格法案を11月30日にも衆院通過させようとしている。
 改憲のための「国民投票法案」は10月に審議入りしている。通常国会から継続審議となっている共謀罪法案については、臨時国会で一度も審議を行わないまま、与党が抜き打ち的に採決を強行しようと狙っている。
 さらに、安倍はNHKに対して「拉致」問題の放送命令を発し、言論統制に乗り出した。また麻生(外相)や中川昭一・自民党政調会長らが「日本に核が持てるかどうかを議論しなければいけない」と世論誘導をはかり、日本の核武装への布石を打とうとしている。
 極めつけは安倍が、集団的自衛権解禁発言の上に、「自分の任期中に改憲をする」と6年以内の改憲を表明したことだ。
 安倍政権は、政権成立後わずか2カ月で、北朝鮮への侵略戦争準備と侵略国家への大転換に全力で突き進んでいるのである。
 今秋の臨時国会決戦過程は、日帝支配階級が戦争に向かう階級意志を法律的に確定しようという大転換期にあり、激しい階級攻防の真っただ中にある。超ど級の政治決戦が、国会をも舞台として闘われなければならない。安倍との対決は改憲攻撃との闘いであり、この一連の決戦局面を全力で闘い、階級的・政治的攻勢を取ろう。
 安倍政権は、小泉とは違い、明らかに対米対抗性をもって政策を展開している。米帝ブッシュのイラク侵略戦争での泥沼的敗北と米中間選挙での敗退・凋落(ちょうらく)に、日帝・安倍もまた大打撃を受け、危機だからこそ必死で労働者階級への攻撃を強めている。安倍の国会攻防にかける決意は「地雷原に足を突っ込んだ」ような、危機線上を歩んでいると言ってよいものだ。
 この間の国会闘争でつくり出した有利な政治空間を、闘う労働者階級の側に引き寄せて闘うことだ。そして巨大な大衆運動・労働運動をつくり出そう。「職場から国会へ、国会から職場へ」の闘いを縦横無尽に展開しよう。
(写真 教育基本法改悪案の衆院特別委強行採決に国会に駆けつけた多くの労働者・学生が激しく弾劾をたたきつけた【11月15日 衆議院議員面会所前】)

 議会制度転覆狙う安倍

 教育基本法改悪案の強行採決から安倍政権の政治手法を見てみたい。
 安倍は、政権成立後初の国会の冒頭で、憲法に次ぐといってもよい教育基本法改悪案の衆院強行採決を行った。どの政権でもなしえなかったことだ。昨年の総選挙で得た3分の2超の議席数の力で採決を強行したのである。野党の抵抗を「少数の横暴」と切り捨て、しかも、事前にマスコミを呼んで「これは強行採決ではない、単独採決だ」と世論誘導を行った。
 安倍は、著書『美しい国へ』で「尊敬するおじいさん岸信介」のことに言及し、「(日米安保条約改定で)世間のごうごうたる非難を向こうに回して、その泰然とした態度には、身内ながら誇らしく思った」と書いている。そして安倍は、岸の60年安保条約改定時の強行採決そのままに、同じやり方を使いだした。
 安倍は他方で、側近政治を使って政府機構を骨抜きにしようとしている。側近の正体は、侵略戦争賛美の「つくる会」教科書を推進し、靖国神社参拝を奨励してきた日本会議や生長の家など、天皇制極右分子どもである。中でも教育改革担当の山谷えり子首相補佐官や下村博文官房副長官は、「つくる会」教科書の強制と、ジェンダーフリー教育へのバッシングの先頭に立ってきた反動だ。
 安倍は、野党の反対意見を「少数の横暴」と切り捨て、議会制民主主義の解体と、労働運動の破壊に全力を挙げている。この安倍政権との最初の決戦が、今臨時国会の教育基本法改悪と共謀罪をめぐる攻防なのだ。

 労働運動の壊滅に照準

 共謀罪は、9月3日に自民党東北大会で安倍が「共謀罪も臨時国会で優先して成立させたい」と発言したものの、臨時国会が始まってからは「教育基本法改悪を優先、共謀罪は今国会断念」などと報道されてきた。
 共謀罪は、春の通常国会で6度もの強行採決策動が挫折し、その過程で政府答弁のうそなどが発覚、通常どおりの審議をしたら到底成立しない状況である。そこまで労働者人民の闘いが追い詰めてきたのである。
 政府・与党にとってはもはや審議抜きの強行採決しかない。安倍は、教育基本法改悪の参院採決と同時に共謀罪の衆院突破を狙っている。
 教基法改悪法案の衆院特別委採決が強行された11月15日以降、いつ審議―採決を強行してもおかしくない状況が続いている。11月末の法務委員会理事会では与党理事が「共謀罪の審議に入りたい」と言い始めている。与党は、通常国会の閉会の段階で共謀罪の与党修正案を記載することを可決しており、臨時国会ではその段階から再開し、審議入りしたら直ちに採決強行するシナリオを描いている。
 安倍政権にとって、共謀罪は侵略戦争国家づくりのもう一つのかなめとなる治安法規である。改憲をめぐって労働者階級の闘いを抑えつける治安体制の頂点に位置するものが共謀罪だ。
 共謀罪は、実行行為ではなくその前段階の「話し合い」だけで罪に問うものであり、スパイ潜入を容認する「自首免責」まで規定している。
 それは思想・信条の自由を奪い、労働者階級の団結権をはく奪するものだ。戦闘的・階級的な労働運動に狙いをつけていることは明らかだ。森元首相が「日教組と自治労を壊滅できるかどうかが参院選の争点」と言い、中川秀直自民党幹事長が「官公労と対峙する気概が求められる」と言っているが、共謀罪は彼らの決定的武器になる。日帝危機と階級的激動の中で、安倍政権は強力な治安法をのどから手が出るほど欲しているのだ。
 同時に安倍政権は、この治安体制に見合う警察の反動的転換をも狙っている。盗聴法の拡大を始めとした捜査手法の転換を軸に、予防警察・政治警察への転換を狙っている。侵略戦争国家を、同時に警察国家にしようというのが、共謀罪のもうひとつの狙いだ。
 いよいよ国会決戦は最大の決戦過程に入った。労働者人民の闘う決意はかつてなく高まっている。教育労働者を先頭に全国の労働者はあらゆる行動に立とう。教基法改悪案・共謀罪法案を絶対に廃案に追い込もう。
(写真 都教委包囲・首都圏ネットと破防法・組対法に反対する共同行動がジョイント行動【11月23日 銀座】)

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週刊『前進』(2274号5面2)(2006/12/11)

 腐敗極めるカクマルJR総連解体へ

 平成採の労働者は階級的労働運動の隊列に

 はじめに

 安倍政権は米帝ブッシュとともに北朝鮮への侵略戦争を構え、教育基本法改悪を突破口に改憲へと突進しつつある。この中で、教労、国鉄、全逓、自治体の4大産別労組に対する壊滅攻撃もまた激しく進行し始めた。この攻撃との攻防は、労働者階級全体の命運を決する位置を持つ決戦だ。11・5労働者集会は、4大産別を先頭に階級的労働運動を取り戻す闘いの号砲を打ち鳴らした。
 国鉄闘争をめぐっても、国家権力とJR資本は国労本部をより一層の屈服に追い込み、1047名解雇撤回闘争の最終的な壊滅を狙うとともに、出向協定締結と包括和解でJR本体の国労組合員の闘いを徹底して抑え込む攻撃に乗り出している。動労千葉に対しては、館山運転区と千葉運転区木更津支区廃止などの大規模な基地統廃合による露骨な組織破壊攻撃を加えてきた。
 こうした攻撃の背後にあるのは、安全問題や人員問題で国鉄分割・民営化体制=JR体制が総破産を露呈している現実だ。この中でJR資本は、JR総連カクマルとの結託体制をも清算しようと踏み出した。JR東日本による「ライフサイクルの深度化」の提案、すなわち首都圏7支社の40歳以下の運転士を5年間、駅に強制配転するプランは、運転士を始めすべてのJR労働者を資本の直接の制圧下に組み敷こうとするものだ。
 これは、平成採の青年労働者のJR資本への怒り、この攻撃を全面的に受け入れたJR総連・東労組カクマルへの怒りをかき立てている。青年労働者をJR総連のくびきから引き離し、JR総連を解体して、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の隊列に獲得する、またとないチャンスが来ているのである。
 これは、資本と権力に身を売って国鉄分割・民営化を率先推進してきたJR総連=カクマル松崎の路線的破産がついに全面的に明らかになったということだ。松崎の金銭的腐敗は、こうした中で起きていることなのだ。

 組合資金横領した松崎の犯罪は明白

 松崎による組合資金・国際交流基金口座からの3000万円横領がすでに明るみに出ているが、旧動労資産食いつぶし、さらには組合員から集めた特別カンパの収奪などその腐敗した姿がますます露わになってきた。
 05年12月7日、警視庁公安部は、業務上横領容疑で松崎の自宅を始め、JR総連事務所、JR東労組本部、(財)日本鉄道福祉事業協会(以下、鉄福と記す)など22カ所を家宅捜索した。06年1月18日には松崎が身体捜索を受け、手帳などを押収されている。令状には、「松崎明らが共謀の上、国際交流基金名義の普通預金口座に預けいれられていた全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)の預金3000万円を横領した」とある。
 これに対してJR総連は、「松崎明氏の個人的資金の受け渡しに、JR総連と加盟単組が共同で設立した国際交流推進委員会(現国際委員会)の国際交流基金の口座を一時・便宜的に使用したことを業務上横領としてデッチあげた」などと釈明した。
 JR総連国際委員会の資料では、この不動産は松崎名義の沖縄県今帰仁(なきじん)村の別荘で、99年に、鉄福が松崎から購入したことになっている。その代金5100万円が国際交流基金の口座に入金され、ここから3000万円が松崎の請求により「返却」されたとなっている(2000年4月)。
 このような作り話を誰が信じるというのか。そもそも同別荘の土地は95年9月に松崎の妻名義で購入され、建物は96年4月に(株)さつき企画が新築したものだ。悪徳政治家が妻名義で自分の資産を隠すのと同じ手口である。00年1月に所有権が鉄福に移転された時点でも土地、建物とも松崎名義ではない。この売却代金がなぜ松崎のものとなるのだ。すべては組合員の金だったのだ。この時点で横領は成立する。
 最近出された釈明パンフ『これが真実だ!』(JR総連・闘争本部/06年10月)では、同別荘の件には一言も触れていない。明らかにできないのだ。また松崎が購入したハワイの別荘2棟、品川区のマンションの購入代金約1億円の出所も明らかにされない。
 この国際交流基金は、松崎の提唱で90年に立ち上げられた国際交流推進委員会の基礎財源と言われるものである。JR総連と加盟単組の出資で運営されている。今回の横領問題の発覚も、03年6月のJR総連の家宅捜索で押収された国際交流基金の預金通帳が発端となっている。通帳の名義は「国際交流基金代表松崎明」である。表向きはポーランドの美術・技術センター建設、日本語学校建設などに使われていることになっているが、組織の金を松崎の「ポケットマネー」としてプールする「裏金庫」の意味合いが強い。「反グローバリズム労働運動」を語り、国際交流を隠れみのに、松崎JR総連はその資金を私的に流用していたのだ。寄付が額面どおり行われていたのかは検証のしようがない。
 国際交流基金以外にも、さつき会(注)、鉄福、(株)鉄道ファミリー、(株)さつき企画をめぐる資金の流れも不透明なことばかりだ。
注・さつき会 旧動労資産の継承団体、鉄福を支配する。初代会長は松崎明。さつき会が継承したとされる資産は流動資産29億5300万円、固定資産12億6900万円、合計は42億2000万円に上る。権力の介入を恐れ04年5月に解散。

 旧動労の資産も私的に食いつぶす

 03年6月のJR総連家宅捜索で、鉄福所有の貸金庫の存在が明らかになった。同年9月にこの貸金庫が捜索され、松崎の土地の権利書や登記簿などが押収された。これに動揺した鉄福の佐藤政雄理事長(当時、元JR東海労委員長)が「失踪」事件を起こしている。
 鉄福に対してはそれ以前から監督官庁である厚生労働省から再三「改善勧告書」が出されていた。鉄福ばかりでなく、さつき会、さつき企画の不透明な資金運用が問題にされていた。
 04年2月27日、鉄福臨時評議委員会は「改善報告書」をまとめ上げた。その内容は、ずさんな資金運用とデタラメな会計処理の事実を示すものばかりだ。
 「資金運用」に関しては「理事会の議決等を経ず、理事長に一任している状況」であったなどと私物化を自認している。佐藤理事長に一切の責任を転嫁する内容となっているが、しかし佐藤が松崎の指示や承認なしに独断で資金運用や会計処理などできるはずがない。この「一任」とは松崎による私物化を示すもの以外の何ものでもない。
 さつき会に関する記載はさらにデタラメである。さつき会が継承した資産のうち「債務」となった部分については、「残存する債権は65名分、3億5千万余」となっている。しかし、物故者5人の氏名のみを明らかにし、その「債権回収は事実上不可能となった」という。3億5千万円はどこに消えたのか。明らかな資産隠し(=私的流用)そのものだ。
 また報告書は、「2000年6月に動労結成50周年記念行事で5000万円を支出した」が、「その際別口座に9889万円の資金を移していたことが新たに判明した」などと苦しまぎれの言い訳をしている。しかし、5000万円支出の内訳は一切明らかにされていないし、9889万円を誰が、何のために移したのかも不明のままである。9889万円の残額内訳についても8000万弱の個人貸付が報告されているが、その内容もやみの中である。貸付の内5000万円は(株)さつき企画の経営再建のために貸し付けられたと見られる(04年に「経営再建のためのご協力のお願い」が出された)が、内1000万円は債権放棄(チャラということ)となっている。
 以上簡単に見ただけでも、旧動労資産の激しい侵食の状況が推察される。さつき会が継承した42億2000万円の資産は欲しいままに食いつぶされているのだ。実際の残高は一切明らかにされていない。
 「改善報告書」は最後に、「役員体制の不備という条件もあり、明瞭(めいりょう)性を欠く会計処理がなされてきた」「資金の支出や運用に際し、会計の全貌(ぜんぼう)を知るものが誰もいない状態のまま、必要に迫られた処理が行われてきた」「会計処理もずさんで、帳簿類が未整理であったばかりか、各種預金口座の便宜的な使用により収支や資産状態が極めてわかりにくい状態にあった」と私物化を居直っている。読むものをあきれさせる内容である。しかも一切責任をとることなく、その後も松崎とそれに連なるJR総連カクマル幹部が鉄福を食いものにし続けている。
 (株)さつき企画は松崎の息子・篤が01年6月から04年1月まで2年半社長を務めた会社だ。松崎の息子というだけでJR総連とは無関係な人間が社長に就任すること自体が公私混同であり、組合の私物化そのものだが、篤は社長就任中に5000万円の負債を作ったのだ。それを鉄福からの融資で埋め合わせをしている。指摘されなければやみの中に葬られていたのだ。

  「人道」を標榜したカンパで一億収奪

 旧動労資産に寄生する松崎JR総連カクマルは、それ以外にも組合員から金を搾り取る収奪機構を巧妙に作り上げた。それは各種の特別カンパである。カンパが額面どおり運用されているかは誰も検証できない構造になっている。疑問を呈する者は「組織破壊者」の烙印(らくいん)を押され、排除される。
 このカンパ活動は、階級的労働運動に敵対するJR総連が、「ヒューマニズム」を標榜し、資本と闘わないことを隠蔽(いんぺい)するために「あたりまえの労働組合」などと称して始めたものである。身体「障害者」への「旅のプレゼント」運動は92年から、中国に小学校を建てるための「10円カンパ」は98年から、アフガン救援への支援活動「子ども平和基金」はアフガン戦争後の02年から始められた。
 「10円カンパ」は、中国の少数民族地域に小学校を建設するという触れ込みで始められた。中国スターリン主義の「教育支援プロジェクト(希望工程)」に乗っかったものである。松崎は、先の中国侵略戦争で死亡した兄の松崎暁への鎮魂と「中国人民への謝罪を込めた平和の掛け橋」などと称し推し進めてきた。松崎自身が寄贈したとされる小学校は、松崎とその兄の名前を冠して「暁明希望小学校」と命名された。侵略者の名前を冠するなど唾棄(だき)すべき侵略思想だ。
 JR東労組の組合員全員が「ひとりが1週間10円のカンパ」を毎週するというものだが、5万人を擁する東労組の物質力はけっして侮れない。計算高い松崎らしい発想だ。1校当たりの建設費は約300万円とされ、04年4月までに19校を建設したと発表している。建設費総額は約5700万円となる。カンパ総額は98年から05年までに、単純に計算して約1億9000万円を下らない。残りの約1億3500万円はどうなったのか、管理組織名も収支報告書も一度も公表されていない。先の鉄福による旧動労資産の食いつぶしを見れば、松崎とJR総連カクマル幹部が「寄付」を私的に流用しているのは明白だ。

 青年労働者を先頭に反乱を

 

戦争協力を誓い、ストライキに反対する松崎JR総連は、もはや全労働者の名において打倒される時が到来した。大事故を続発させるJR体制を生み出した元凶は、資本とJR総連カクマルの結託体制にほかならない。
 「ライフサイクルの深度化」などの攻撃に対し、平成採の青年労働者を先頭に、職場から闘いを起こそう。腐敗を極め、労働者の自己解放の闘いを押しつぶすファシスト支配をJR体制もろとも今こそ打ち破ろう。反合・運転保安闘争を貫徹し、階級的労働運動を実践する動労千葉のもとに、すべての闘う国鉄労働者は結集しよう。
 〔矢剣 智〕
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 JR総連松崎による3000万円横領事件の経過

90年 国際交流推進委員会を立ち上げ
95年 沖縄県今帰仁村の別荘用地を松崎の妻名義で購入
96年 さつき企画が沖縄の別荘を新築
99年 鉄福が別荘を「松崎から購入」
   代金5100万円を国際交流基金の口座に入金
      ↓
00年4月 うち3000万円を松崎に「返却」(=横領)
03年6月 JR総連の家宅捜索 国際交流基金の預金通帳押収
05年 業務上横領の容疑で、警視庁公安部が松崎の自宅、JR総連事務所、鉄福などを家宅捜索

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週刊『前進』(2274号7面1)(2006/12/11)

 11・5集会の地平とその主体的総括

 党の革命的自己変革かちとり新指導路線での実践的一致へ

 革共同中央労働者組織委員会

 はじめに

 動労千葉、関西生コン支部、港合同が呼びかけた11・5労働者集会は、帝国主義・資本主義が全世界に繰り出す戦争と民営化・労組破壊、極限的抑圧・搾取の攻撃に対する労働者階級の総反撃の火柱を打ち立てた。
 「諸君(労働者)が人間であり、自分たちの利益と全人類の利益とが同一であることを承知している、人類という大きくて普遍的な家族の一員である」(エンゲルス『イギリスの労働者階級の状態』)。労働者一人の苦闘と希望が、団結の苦闘と希望に高まった時、労働者はすでに社会の主人公として登場しているのだ。労働者が、工場、職場生産点を拠点に、国境を越え、あらゆる反動・弾圧・分断をのりこえ立ち上がったその時に、革命への力強い一歩が踏み出されるのだ。そして「国境の廃止」が宣言され、「労働者はひとつ」であることが高らかにうたわれた時、労働者の闘いと団結は世界革命の炎となって階級の大地に燃え広がる。11・5労働者集会の感動と高揚は、職場生産点から全世界に広がる労働者自己解放への、こうした圧倒的な確信によってもたらされた。
 11・5集会は、動労千葉、関西生コン支部、港合同の3組合の血と汗のにじむ闘いを体現し、韓国の民主労総ソウル本部やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)、AMFA(航空整備士労組)との労働者国際連帯の血盟を強め、その感動のただ中で青年労働者、学生の闘いを鮮明に屹立(きつりつ)させた。
 革共同は11・5集会に心の底から感動するとともに、労働者の自己解放的決起の無限の可能性とその生きた姿から徹底的に学ばなければならない。11・5集会の総括をとおして「党の革命」をさらに徹底的に推進し、労働者党として根底からの自己変革に邁進(まいしん)することを決意する。

 日米韓国際連帯のもと世界革命の現実性示す

 11・5労働者集会は、帝国主義・資本主義の底知れぬ危機がもたらすかつてない革命的激動情勢のもとでかちとられた。唯一の超大国であり帝国主義世界体制の基軸国であるアメリカ帝国主義がついに崩壊を開始し、世界史は世界戦争か世界革命かの選択をかけた史上何度目かの巨大な階級決戦期を迎えている。
 アメリカ経済はあらゆる意味で没落の度を深めている。アメリカ中間選挙でのブッシュ=共和党の敗北は、米帝のイラク侵略戦争の絶望的な泥沼化と、アフガニスタン、パレスチナで米帝支配が崩壊しつつあることによってもたらされた。だがより決定的なことは、米帝の国内階級支配がドラスチックに崩壊し始め、アメリカの労働者階級が数百万人規模の根底的な決起を開始したことにある。
 11・5集会は、アメリカで最も戦闘的に闘う労働組合、ILWU、AMFAとの国際連帯を打ち固めた。まさにここに、世界史的な革命的激動の主体が登場したのだ。
 米帝は、イラン侵略戦争をもうかがいながら、核実験を口実に北朝鮮侵略戦争への突進を試みている。
 韓国・民主労総ソウル本部は、帝国主義の朝鮮侵略戦争に激しい危機感と怒りを募らせつつ、侵略戦争のすさまじい重圧の中で11・5集会の国際連帯に革命的展望を見いだし、「国境を廃止しよう」とプロレタリア世界革命に向けた根源的な訴えを発した。
 日帝は帝国主義間争闘戦の激化にあえいでいる。日帝・安倍政権は激しい危機の中にあり、その本質はきわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。だが安倍が改憲突撃内閣として登場したことにより階級情勢は一変した。安倍は、集団的自衛権行使の攻撃を振りかざし、硝煙を実際にまき散らしながら改憲に突進しようとしているのだ。
 安倍政権は、自治労と日教組を破壊するとあからさまに叫び立てている。安倍は、サッチャーや30年代ドイツのヒトラーにならい、労働組合の解体をとおして戦争体制を構築しようと策している。教育基本法の改悪や共謀罪新設を狙う執拗(しつよう)な攻撃は、まさに4大産別を始めとする労働組合を解体し、戦争と改憲への突進を図ろうとするものだ。
 これに対して動労千葉などの3労組は、教育基本法改悪阻止・共謀罪阻止の国会決戦と固く結合し、安倍の日教組絶滅攻撃と対決することを11・5集会で宣言した。4大産別決戦を先頭に、闘うすべての労働者、すべての労働組合の階級的団結を強化・拡大するために、新潮流をさらに力強く登場させた。そして日米韓の最も戦闘的な労働組合の国際連帯を発展させ、末期的危機にあえぐ帝国主義世界体制と真っ向から対決して「全世界を獲得する」路線を高々と掲げた。11・5集会は、その感動と高揚のただ中で、帝国主義の危機をプロレタリア世界革命に転じる不抜の拠点を築き上げたのだ。

 職場闘争を闘いぬいて強大な労働者党建設を

 11・5は素晴らしい感動と躍動、4900人の密集力を生み出した。この集会を実現した3組合に革共同は深く感謝するとともに、階級とともに闘い生死すべき党として、自らの主体的総括を深めなければならない。この集会の圧倒的な勝利性、戦闘性、階級性の高さゆえに、党として「これで満足してよいのか」と自らに問い、「1万人結集を実現できなかった悔しさ」を自身に突きつけなければならない。
 プロレタリア解放に向けて胸躍らせて決起していく烈々とした精神、現状の実践的で根底的な変革を求めるマルクス主義の基本思想を体得し、プロレタリア革命をなんとしても切り開こうとするならば、革共同には、党としてどうしても鋭角的な主体的総括が求められるのである。
 3組合は、「3組合のような闘いを日本労働運動に無数につくり出し、11月集会に1万人を結集しよう」と訴えた。これを革共同は断固として支持し、11月集会への1万人結集をプロレタリア革命を目指す階級的労働運動を発展させる闘いとして位置づけた。
 北朝鮮侵略戦争が切迫し、極右・安倍政権が登場する中で、戦争か革命かが白熱的に問われている。だからこそ1万人結集の方針は、この情勢に真っ向から立ち向かうために一層死活的なものになっていた。北朝鮮侵略戦争から世界戦争に突き進む帝国主義と対決し、国際連帯を掲げて労働者階級の革命的団結を打ち固め、その総決起を実現する必須不可欠の路線として、1万人決起の方針はあった。
 労働者1万人の結集は、情勢を主客にわたり根底的に塗り替える力を持っている。労働者階級の闘いは、その量的拡大が質的変化に転じることにより、戦時下階級闘争に襲いかかるどんな大反動をもはねのける力を獲得する。またその質的強化によって、量的発展を累乗的に促進させることができるのである。
 問題は、労働者1万人結集の絶対性と勝利性に、党が本当に確信と展望を持って決起したのかどうかなのだ。このような労働者1万人結集方針の路線的・戦略的意義を確認しつつも、実はそれを不退転に実践することにおいて、全党にまだ不一致の余地を大きく残していたのである。
 11・5の現状に満足することは、迫り来る大反動の嵐に吹き飛ばされることを意味する。ここで確信すべきは、1万人結集は可能であったし、その条件は圧倒的に存在していたということである。階級情勢への革命的認識と労働者階級の現実に対する把握がまだ決定的に不十分だったのだ。
 賃下げ、失業、非正規雇用化、貧困と生活破壊が激化し、労働強化による過労死や自殺が急増する一方で、資本は史上空前の利益を上げ、膨大な減税を享受し、労働者を好き放題に搾取している。6千万労働者階級に渦巻くこれに対する激しい怒り、特に青年労働者が置かれている耐え難い現実。急迫する改憲攻撃が、教基法改悪とともに現実の戦争攻撃として襲いかかっていることへの戦慄(せんりつ)と怒り。これらに肉薄し、結びつき組織化する意欲と能力が、まだ党全体にみなぎっていない。それは大きくは改憲決戦下あるいは戦時下の階級闘争へと、全活動が主体的・革命的に転換されていないということでもある。
 国際連帯のもとにかちとられた11・5集会と11・11〜12の訪韓闘争は、民主労総ソウル本部と動労千葉の不抜の連帯を飛躍的に強化する、実に歴史的な意義を有していた。
 朝鮮侵略戦争の切迫情勢下で、韓国プロレタリアートとの国際連帯を強化することの中にプロレタリア世界革命の現実性があること、またそうすることでプロレタリア日本革命が絶対に可能であることを、震えるような感動をもって確信できたのである。しかもそのプロセスは、民主労総ソウル本部と動労千葉との連帯の強化として、具体的・現実的に進行しているのだ。
 民主労総ソウル本部は、戦争切迫下でゼネストに総決起しようとしている中で、不可避に発生する労働運動の分岐・流動情勢に直面し、動労千葉の闘いに展望を見いだして、動労千葉との路線的一体化と同志的きずなを真剣に求めている。また、動労千葉をとおして三里塚闘争を知り、40年間不屈に闘う三里塚農民に全力で学び、三里塚闘争と労農連帯をかけてストライキを闘った動労千葉にさらに引きつけられている。動労千葉に必死に誠実に学ぶこうしたソウル本部の欲求と熱望から、われわれは党がいかに変革されるべきかを学び、これにこたえなくてはならないのだ。
 そこには、朝鮮侵略戦争の切迫に対する生死をかけた激しい危機感がある。動労千葉との連帯強化による戦闘的労働運動の発展によってこの情勢を打開し、展望と勝利を獲得しようとしているのだ。党は、この階級的危機感に学び、心底から共有し、帝国主義打倒のプロレタリア革命をかちとるために総決起しなければならない。
 このような動労千葉とソウル本部との血盟的連帯と団結から、党自身の自己飛躍と自己変革の必要性が痛切に自覚されなければならない。ソウル本部のゼネストへの壮絶な決起にこたえるためにも、1万人結集は絶対に必要だったのだ。その断絶を絶対に突破することが迫られている。
 労働者階級を1万人規模で獲得・組織化できるような党への変革=自己変革に挑戦することから一歩も逃げてはならない。「党の革命」が突きつけたのは、全党がこれまでのあり方を変革することである。そこに新指導路線の革命的核心があるのだ。全党が真に新指導路線のもとで一致し団結することこそが、どんな困難も超え、これまでを数倍、数十倍する党の力を引き出すことを可能にするし、それが1万人結集への血路を切り開くのである。

 3労組の訴えにこたえ再挑戦に打って出よう

 今こそ全党の革命的一致をかちとり、3組合が熱烈に訴える1万人結集にこたえる再挑戦を不退転の決意で開始しなければならない。
 第一に、1万人結集を可能にするために党が決定的に打開すべき課題は、労働者階級と徹底的に結びつき、獲得し、団結を組織化する路線的確信と時代認識、それを展開する「党派性」を研ぎ澄まし、そうした労働組合運動を実践的に推進する能力を形成することである。それは実は、マルクス主義による武装そのものであり、その実践にほかならない。
 「プロレタリアはおよそ人間の考えうるもっとも言語道断な、もっとも非人間的な状態におかれている」「彼らは支配階級にたいする怒りを感じているあいだだけは人間なのである」(『イギリスの労働者階級の状態』)
 今や6千万プロレタリアートが「工場法以前」の19世紀的な世界に丸ごと放り出されようとしている。この現実とそれに対する労働者の怒りに肉薄し、労働組合を媒介に階級を獲得する能力を形成することは、党に絶対に求められる階級的責務である。
 この点で重要なのは動労千葉の闘いだ。動労千葉は、反合・運転保安闘争路線を確立し、そのもとで闘いを前進させ、鮮明な時代認識によって労働者を組織し、団結を打ち固めている。ソウル本部が動労千葉に求めて学ぼうとした最深の核心こそ、結局はマルクス主義であり、その路線なのである。
 第二に、こうした階級獲得能力は、職場闘争の実践と労働者細胞建設によって培われ鍛えられる。そして、職場闘争と職場細胞建設を基礎として、職場支配権と労働組合権力をどんどん獲得した時に、1万人どころかそれをはるかに超える結集は可能となる。
 だが、これらの闘いはこれからである。11・5集会を職場闘争や労働組合獲得の闘いの総和・集約と見るならば、その結果にとうてい満足することはできない。確かに、今日の激しい労組解体攻撃や連合・全労連などの既成指導部のおぞましいまでの裏切りと無力化の中で、まともに職場闘争を推進し、ましてや労組権力を獲得することは、きわめて困難である。そこでは激しい党派闘争は避けられない。あらゆる反動勢力が、労働者階級への絶望と敵視から、労働者の決起に対する妨害の一点で密集してくるからだ。だが、労働組合の現実は、草も生えない荒れきった大地のようなものではない。党はまだ、職場生産点に全力を投入していない。不屈に粘り強く現場に張り付いているわけではない。4大産別を軸に、まだ掘り起こされず、放置されている空間は膨大に存在する。
 ここでも、動労千葉、特に中野洋前委員長の『俺たちは鉄路に生きる2』を徹底して実践的に学ぶことだ。『俺たちは鉄路に生きる2』は、単なる職場闘争論ではなく、職場の団結をいかに形成するかを実践的に提起することをとおして、組織建設−労働者獲得の細胞建設の道筋をも示している。
 特に、11・5集会に向けて全力で開始された宣伝・扇動戦の変革を圧倒的に推し進めなければならない。全党は今こそ決然として、こうした階級的労働運動の実践に総決起しなければならない。
 第三に、帝国主義国のプロレタリアートの決定的な闘いとして、4大産別決戦をさらに全面的に発展させることである。そのためには、4大産別における路線の強化・発展をかちとる闘いが、産別委員会の強化とその路線的一致を実現する闘いとともに画然と求められている。
 教基法決戦を貫き、日教組再生を掲げて教育労働者の総決起を実現し、教育労働者細胞を強大に建設する闘いを今こそ、より徹底的・目的意識的に推進しなければならない。また、4大産別の土台をなす国鉄決戦を動労千葉労働運動を先端とする「第2次国鉄決戦」として闘いぬき、1047名闘争を不屈に推進し、5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いの陣形をさらに強化しなければならない。12月は、教基法・国会決戦であるとともに国鉄決戦である。全逓決戦は、郵政民営化攻撃が現場で総崩れ・総破産状態に陥っている現実を突き、超勤拒否闘争を突破口に今こそ郵政民営化絶対阻止を掲げて総反撃に打って出る好機を迎えている。自治体労働者は、公務員制度改革・道州制導入による国家改造攻撃、自治労解体攻撃と対決する大決戦に勝ちぬかなければならない。
 4大産別決戦は、教基法改悪攻撃を突破口に改憲決戦がいよいよ本番中の本番を迎える中で闘われる。それは、労働者の戦争動員拒否の闘いが、4大産別を先頭に本格化するということである。またそれは米軍再編攻撃と立ち向かう安保・沖縄闘争と完全に一体をなす闘いだ。特にこれらの闘いは、労働組合を中心とした統一戦線の強化・発展が課題になっている。
 第四に、一切の実践的結論は、青年労働者と学生を獲得する闘いを前進させることにある。青年労働者の現実には、帝国主義・資本主義による人間破壊のすさまじさ、悲惨さが凝縮されている。「ブルジョアジーにたいする憎悪と憤激とをもってしなければ、労働者は自分たちの人間性を救い出すことができない」。『イギリスの労働者階級の状態』に描かれたこうした状況は、まさに現代の青年労働者の現実である。今、その根源的な怒りを解き放ち、なんのけれんみもなく革命を訴えなければ、青年労働者の心をとらえることはできない。それほど現在の青年労働者は、すさまじい抑圧的・隷属的状態に置かれている。こうした階級社会、帝国主義社会の現実に対する認識の徹底的な深化が求められている。
 青年労働者の決起を実現することなしに革命を語ることができるだろうか。プロレタリア自己解放の闘いと労働者の団結は一歩でも前進するだろうか。労働組合運動の革命的発展は可能だろうか。青年労働者の獲得こそが、労働者を普遍的に獲得することであり、階級的労働運動を推進することであり、プロレタリア革命の現実性を一挙に引き寄せる闘いなのである。それはまさに、11・5の総括で問われた、1万人結集の条件そのものである。党の根底的自己変革とは、指導部を先頭に青年労働者を獲得する闘いに実践的に突入するということだ。
 第五に、以上を踏まえて、1万人結集を可能とする「党の革命」、すなわち新指導路線の前進をかちとるために、労働者細胞建設を独自の課題として設定し、目的意識的に推進しなければならない。
 その一つは、地区党や産別の細胞における徹底した路線的一致の闘いである。二つに、マルクス主義の学習である。三つに、機関紙を徹底的に活用し拡大していく闘いである。これらの闘いは、きわめて粘り強く徹底的、不退転に貫かれなければならない。
 11・5集会総括の結語として、第一にマルクス主義青年労働者同盟の強化・発展を、今こそ日本革命の未来をかけてかちとろう。第二に、かけがえのない3組合共闘を強化・発展させるため、3労組に学び連帯して07年決戦を切り開こう。第三に、韓米日3カ国連帯の革命的発展にあらゆる必要な精力を注ぎ込み、21世紀世界革命へ驀進(ばくしん)しよう。

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週刊『前進』(2274号7面2)(2006/12/11)

 法政大弾圧

 「建造物侵入」をデッチあげ

 大学当局と警察が完全に結託

 マルクス主義学生同盟中核派法大支部は、11月29日に法大で起きた学生3人に対するデッチあげ逮捕を絶対に許さない。警視庁公安部は、今すぐ学生3人を釈放せよ!
 不当逮捕された学生3人は、法大生5人に対する退学・停学処分を撤回させるために闘っている学生だ。法大キャンパスに入って処分撤回を訴えるのは当然だ。何が「建造物侵入」だ。
 事実はこうだ。不当逮捕された学生が法大キャンパスに入構した時、警備員と称して学内に潜入している公安警察が、いきなり自分からビデオカメラを放り出してひっくり返ったのだ。身体接触どころか、暴行したとされる学生との間は10〜15bも離れていた。だが、公安警察が自分で転んだことを合図に、法大当局は直ちに警察に通報し、100人を超える警官が法大キャンパスに突入した。1時限目の講義のまっただ中、警察は各教室を土足で踏みにじり学生3人を暴力的に連行した。まさに、3・14法大弾圧と同じように、警察と法大当局があらかじめ準備した大弾圧だ。
 数時間後、法大当局は「法政大学市ケ谷キャンパスにおける学外者の侵入及び暴力行為について」なる告示を早々と打ち出した。それには「学外者3名が市ケ谷キャンパス内に侵入し、そのうちの1名が警備員に対し暴力行為を行い、けがを負わせ逃亡するという事件が発生」「警察の出動を要請」などと書かれている。
 ところが「けがを負」ったはずの警備員は、学内に突入してきた警察を校舎に引き入れるなどの指揮をしていたのだ。実際、不当逮捕から1日たっても、警察権力は「容疑に傷害をつけるかどうか検討中」と言っている。暴力行為のデッチあげストーリーが予定とあまりにも違うので、動揺しているのだ。そもそも、暴力行為を行ってきたのは、退学・停学処分を受けた法大生に対して暴行してきた警備員の方ではないか。
 こんな弾圧は初めから大破産している。日を追うごとにデッチあげ弾圧の真相が明らかとなり、法大生の怒りは沸騰している。「絶対に許せない」「自分は弾圧に負けない」という決意が語られ、救援カンパも次々と集まっている。

 さらなる処分策動する当局

 今回の弾圧は、3・14法大弾圧を粉砕して法大生の大衆決起が爆発してきたことに追いつめられた警察権力と法大当局による絶望的なあがきだ。同時に、教育労働者を先頭にした教育基本法改悪阻止の大衆決起の広がりに恐怖し、何がなんでも教育基本法改悪と共謀罪新設の強行成立を狙う日帝・安倍政権による絶望的な弾圧だ。
 教育基本法改悪の核心的狙いは日教組解体である。同時に大学においては、教職員組合の解体や教授会自治の解体、自治会・自治寮・サークル団体の破壊をとおした学生の団結破壊として襲いかかっている。法大では、総長選挙廃止によって教職員が大学運営に参加する道を封殺し、教職員組合を解体し、教員任期制と全大学教員の研修義務化を導入しようとしている。そしてマルクス主義や戦争反対の教授を大学から一掃し、高崎経済大学の八木秀次のような極右ファシスト教授で大学を支配し、「国のために死ぬ学生」を膨大に生み出す大学にしようとしているのだ。
 しかし法大当局は完全に追いつめられている。12月にも総長選挙の廃止を決定しようとしているが、教職員に大反対されている。
 法大当局は、停学処分となった2人の法学部生に対して、「停学期間中に学内に入った」という理由だけで退学処分の強行を狙っているが、11月30日に行われた2人に対する事情聴取は、逆に停学処分と11・29弾圧に対する追及の場へと転化した。法大当局が唯一依拠する警察暴力も、逆に平林独裁体制の命取りとなろうとしている。
 今こそ、平林独裁体制打倒に突き進もう。法大生の闘いや、総長選挙廃止反対で闘う教職員の闘いは、日帝の大学支配の破綻(はたん)点となっている。法大での闘いを解体せずに教育基本法改悪攻撃は貫徹しない。全国大学キャンパスで教育基本法改悪阻止の闘いを爆発させ、国会闘争に攻め上ろう。
 (マルクス主義学生同盟中核派・法政大学支部)

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