ZENSHIN 2006/11/27(No2272 p06)

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週刊『前進』(2272号1面1)(2006/11/27)

 教基法改悪案 単独採決強行に怒りの大反撃を

 参院で絶対阻止しよう

 愛国心強制と日教組解体許すな

 日米韓国際連帯で世界革命へ

「衆院本会議で強行採決」の報を聞き、2000人が駆けつけ国会前集会(11月16日夕 衆院第2議員会館前)

 安倍・自民党政権は、圧倒的多数の教育労働者と人民の反対の声を踏みにじって、教育基本法改悪案の衆院採決を強行した。国会前は採決強行の報を聞いて、怒りが沸騰した。そして結集したすべての労働者は「参院で阻止するために、あらゆる闘いを展開しよう」と決意を新たにした。攻防の決着はまだ全然ついていない。安倍政権は、労働者階級の闘いの爆発に脅えている。勝負を決めるのはこれからの闘いだ。衆院段階を数倍数十倍する闘いをつくり出そう。会期末は12月15日だ。延長も含めて年内40日間の決戦だ。死力を尽くして闘いを広げ、今国会での成立を絶対に阻止しよう。

 安倍の凶暴性と日帝危機

 自民党・安倍政権は、国会前に詰めかけた日教組組合員や労働者人民の連日の闘い、ハンスト、必死の訴えをすべて踏みにじり、審議を一方的にうち切り、全野党欠席のまま単独で採決を強行した。こんな一方的なやり方で教育の基本にかかわる法律が変えられていいのか! 断じて否だ!
 安倍は日一日と労働者階級の怒りの決起が広がる情勢に恐怖し、遅れれば一層改悪は困難になるという危機感に駆られて、沖縄県知事選を前にして、しゃにむに単独採決を強行したのだ。だが、こんなやり方を労働者は絶対に許さないぞ! 怒りをたたきつけよう。
 野党は「欠席戦術」と称して、体を張った抵抗もせず、やすやすと改悪案を衆院通過させてしまった。自民党の二階国対委員長は、民主党の「良識」ある対応に「謝意」を表した。(朝日新聞11・16付)
 もともと小沢・民主党は教基法改悪に賛成で、超反動的な「日本国教育基本法案」を独自に国会に提出している。防衛庁の「省」昇格法案にも賛成しており、改憲勢力そのものだ。連合中央や日教組本部の「民主党べったり」路線は、労働者階級を裏切り、屈服させるものでしかない。
 教基法改悪を阻止する力はどこにあるか。どのように闘えば勝利できるのか。それは、教育労働者を中軸とする全労働者階級の職場からの総決起をつくり出すことである。そして、日教組を“闘う日教組”につくりかえることである。
 安倍政権の攻撃の矛先は、〈日教組の壊滅〉に据えられている。それは自民党幹部らの以下の発言を見れば、明らかだ。
 「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」「官公労と対峙する気概が求められる」(中川秀直幹事長)
 「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが次の参院選の争点だ」(森喜朗元首相)
 「デモで騒音まき散らす教員は免許はく奪だ」(中川昭一政調会長)
 「教員の政治活動禁止を徹底させる」「教職員団体は、『教育労働者』の組合から教育専門職としての職能団体に変貌(へんぼう)することも必要である」(八木秀次「つくる会」元会長、安倍のブレーン)
 攻撃は凶暴だが、それはけっして日帝権力の強さを示すものではない。それどころか日本帝国主義は根幹から腐っており、ぐらぐらだ。国家財政の総破綻(はたん)の危機、イラク侵略戦争の泥沼化、「格差社会」・社会保障切り捨てと貧困化への労働者の怒りの蓄積、米軍再編、教育問題での矛盾の噴出など、どれも日帝には解決不可能だ。だからこそ安倍極右政権は、一切の犠牲を労働者階級に押しつけ、北朝鮮侵略戦争と階級圧殺にのめりこんでいる。

 職場から日教組の再生を

 教基法改悪をテコとした「日教組壊滅」方針は、日帝の全体重をかけた大攻撃である。それは改憲攻撃の先取りであり、突破口である。戦後労働運動を支えてきた4大産別労組(日教組、自治労、全逓、国労・動労千葉)を解体し、戦争前夜に労働者階級を完全に制圧する体制を完成させようとしているのだ。労働者階級は、この日帝の恐るべき危機の深さと、階級決戦情勢の煮詰まりをはっきりと見据え、断固たる階級的総反撃にうって出よう。
 支配階級があからさまに「日教組壊滅」を宣言している時、日教組本部はどのように闘おうとしているのか。攻撃の激しさを直視することから逃げだし、組合員を攻撃にさらしている。「非常事態宣言」もおざなりなもので、権力と激突して本気で闘う方針ではまったくない。「教基法『政府法案』に反対」というのみで、もっとひどい民主党案を完全に容認している。依然として文科省とのパートナー路線にしがみついている。こんな日教組本部は組合員の闘いで打倒し、闘う執行部を確立する以外にない。
 かつて教員が「お国のため、天皇のために死ね」という皇民化教育を担い、侵略戦争に加担・協力してしまった歴史への痛苦な反省から、日教組は、「教え子を再び戦場に送るな」「繰り返さぬぞ絶対に!」と誓ったはずだ。再び教育労働者に戦争教育を強制する攻撃が襲いかかっている時、体を張り命をかけて闘うのは、まさに今この時ではないのか!
 30万組合員が団結し、処分をも恐れずに総決起したとき、勝利の道は切り開かれる。6千万労働者階級は日教組の闘いを断固支持し、連帯し、その闘いに続くだろう。逆に、ここで日教組が総力をあげた反撃に出なければ、団結は崩されてしまう。国鉄分割・民営化時に、国労本部が闘う方針を打ち出せずに組合員を激減させていったような事態が起きてしまうのだ。そんな事態を絶対に許してはならない。
 闘いによってこそ、敵の組織絶滅攻撃と対決して、職場の団結を維持できる。それが階級闘争の真実であることは、国鉄分割・民営化攻撃に対して2波のストライキで反撃し、組合員の団結を守り抜いてきた動労千葉の闘いの歴史が示しているではないか。
 動労千葉は、労働者の団結を最も大事にして闘い、時には全員が処分を覚悟して権力・資本の不当な団結破壊に反撃し、職場支配権をめぐる熾烈な攻防に勝ちぬいてきた。4月幕張事故の解雇策動から仲間を守り抜き、反合理化・運転保安闘争、1047名の解雇撤回闘争を最も原則的に、最も「労働組合らしく」闘いぬいている。こうした闘いが、いま教育労働者戦線を始めすべての産別、職場で求められている。ここにこそ、労働運動の階級的再生の道がある。

 国境越えた労働者の団結

 4900人の結集でかちとられた11・5労働者集会は、新たな壮大な階級決戦の始まりを告げている。アメリカと韓国からも労働者が参加し画期的な国際連帯闘争が実現した。民主労総ソウル地域本部のキムチャンソプ副本部長は「われわれ労働者は国境を廃止します」と宣言した。韓国労働者の心からの連帯の呼びかけだ。
 その民主労総は、15日に4時間の警告ストを闘った。「民主労総はガンのような存在」と言い放ち全国公務員労組の組合事務所閉鎖など労組破壊を強めるノムヒョン政権と徹底的に対決して闘っている。22日には全国教職員労働組合1万人が年次休暇闘争で合流し、鉄道労組もゼネストに入り、40万ゼネストを実現する方針だ。
 ソウル本部は先頭で闘っている。動労千葉は訪韓し、11月12日にソウルで行われた全国労働者集会をともに闘った。一層深まった動労千葉と民主労総、そしてアメリカの戦闘的労組との国際連帯のきずなは、プロレタリア世界革命勝利への大道を明々と照らしている。
 アメリカ中間選挙での共和党・ブッシュの大敗北で、米帝は一層、体制危機を深めている。イラク・中東人民の不屈の闘いは米帝を決定的に追い詰め、米帝支配階級の分裂はいよいよ激化している。全世界のプロレタリアート人民のイラク反戦闘争はますます激化・拡大していくだろう。
 米帝は危機を深めれば深めるほど、侵略戦争−世界戦争にのめり込んでいく以外にない。世界史はまさに、帝国主義の延命を許すのか否か、世界戦争かプロレタリア世界革命かを問う時代に突入したのだ。
(写真 動労千葉先頭に労働者大会に合流 【11月12日 韓国ソウル市庁舎前=6面に特集】)

 「共謀罪」採決を阻止しよう

 労組弾圧法、団結禁止法である共謀罪の衆院採決強行が狙われている。論理破綻して完全に追い詰められた政府・法務省は、臨時国会では一切審議せずに、抜き打ちで可決成立させてしまおうとしている。絶対に阻止しよう。防衛庁「省」昇格法案を粉砕しよう。11・23ジョイント・デモ、11・25星野全国集会(要項4面)、11・26北富士闘争に立とう。

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週刊『前進』(2272号1面2)(2006/11/27)

 “闘い広げ 必ず廃案に”

 衆院採決強行弾劾 国会前集会に2千人

 11月15日の特別委採決強行に続いて、翌16日13時30分すぎ、衆院本会議で教育基本法改悪案が強行採決された。またも野党が欠席し、与党単独の強行採決だ。13時に開会、特別委委員長の森山が委員会審議を報告、自民党と公明党の賛成討論で審議うち切り。出席した全議員が賛成するというおぞましい構図で衆院通過が強行されたのだ。
(写真 被処分者が先頭に立って強行採決に抗議【16日昼】)
 朝から国会前を人が埋めた。昼にはさらに人が増え、繰り返しシュプレヒコールをたたきつけた。「日の丸・君が代」不起立で停職3カ月の処分を受けて闘う教育労働者、都高教組合員の被処分者が先頭で闘った。
 13時半、「たった今採決が強行された」と報が入ると、怒りを倍加させシュプレヒコールが続いた。悔しさに泣き崩れる人、涙を流しながら毅然と声を上げ続ける人。ハンスト中の都高教OBは「カネで『民意』をつくるとは何事か。この恨みは絶対はらす」と宣言。関西の学生は「戦争をやってみんなが死んだ、あの歴史を繰り返すなんて許さない」と訴えた。
 この日、多彩な顔ぶれが駆けつけた。全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部委員長で門真市議の戸田ひさよしさん、三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さん、部落解放同盟全国連合会共闘部長の金平通雄さん、東大阪市議の阪口克己さんなどが次々マイクを握ってアピール。婦人民主クラブ全国協相模原支部の丹治孝子さん、元ひめゆり学徒の上江田千代さんが自らの戦争体験にもとづき「あの時代の教育を復活させてはならない」と訴え、みんながうなずいて聞き入った。
 17時から、国会前を人間の鎖で取り巻く「ヒューマン・チェーン」。キャンドルに灯をともして「強行採決糾弾」と何度もシュプレヒコール。続々と人が詰めかけ5000人が参加した。
 18時から全国連絡会の国会前集会。東京教組の組合員は「私が参加した教育改革フォーラムも発言者は『やらせ』だった。こんな連中に教基法を改悪させるわけにはいかない」と弾劾した。改悪反対運動の先頭に立つ人びとが「ほとんどの人が教基法を知らなかった現実から、私たちの運動でここまで大きな運動をつくってきた」「強行採決は敵の追いつめられた姿。参院で廃案に追い込むことは必ずできる」と口々に訴えた。2000を超える人が首相官邸前に移動して抗議のシュプレヒコールをあげた。
 日教組本部の無方針を突き破り、「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立って国会闘争の高揚をつくり出している。日教組の闘いを押しつぶすことこそ教基法改悪の最大の狙いであるにも関わらず、強行採決はまったく逆に現場労働者の闘いの爆発を引き寄せている。国会前で闘う人びとに敗北感はまったくない。
 参院段階でさらに大きな闘いを起こし、必ず廃案に。その先頭に教育労働者が立とう。

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週刊『前進』(2272号2面1)(2006/11/27)

 廃案へ1000人が国会前埋める

 教基法改悪案 特別委採決強行に怒り

 11・15 声を限りにシュプレヒコール

 衆院教育基本法特別委員会での強行採決が危ぶまれた11月15日。リレーハンストを闘ってきた教育労働者を先頭に、朝から人の波が国会前を埋めた。日教組組合員は北海道、関西、神奈川、千葉、東京など、日教組本部の動員枠とは関係なく全国各地から駆けつけた。教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会も座り込み。昼過ぎには総勢500人近くに膨れあがった。
(写真 「強行採決糾弾!」――衆院教基法特別委での強行採決に対し、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた【11月15日午後5時過ぎ 衆院議員面会所前】)
 午前中の中央公聴会に続き、特別委の予定時刻の午後1時を迎えた。傍聴に入った東京の被処分者が、途中で報告に来た。「公聴会に参加した与党の特別委委員は半分以下、一番少ない時はたった11人。それが午後からは全員総ぞろいだ。強行採決に備えているのではないか」。危機感に燃えて間断ないシュプレヒコールが続いた。
 委員会終了予定時刻の午後5時が近づき、「いよいよ強行採決か」と緊張が走る。午後4時55分ころ、リレーハンストを闘う「日の丸・君が代」被処分者が先頭に立ち、議員会館前の座り込み場所から衆院議員面会所前に詰め寄せた。「強行採決を許さないぞ!」。声を振り絞って繰り返されるシュプレヒコール。
 午後5時15分ころ、議面の中から飛び出してきた教育労働者が「たった今、特別委で強行採決された」と叫んだ。「うぉー」「ふざけるな」。腹の底から怒りの声がわき上がる。「強行採決弾劾」「改悪を阻止するぞ」。何度も何度も抗議のシュプレヒコールがたたきつけられた。
 その後も、強行採決の報を聞きつけて、駆けつけてくる人が後を絶たない。午後6時からの教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会は、これまでで最大の1000人以上の労働者・市民が参加した。
 北海道から50人で上京した北教組の代表は「子どもたちの悲痛な訴え、現場教職員の悩みをまったく聞かずに強行採決した暴挙を断じて許せません。いじめの原因は、自民党が推し進めてきた差別・選別の教育にこそある。私たちはけっしてあきらめてはいない。明日からも断固として闘いぬく」と決意を述べた。
 千葉高教組の組合員は「今この国は差別と戦争と人を殺すことが平気な国になっている。絶対に改悪を止めることはできる。あきらめてはいけない」と訴えた。
 全国連絡会呼びかけ人の三宅晶子さんは「強行採決は安倍内閣のファシズムへの第一歩。安倍首相は国会の権力を握って、自由、人間の尊厳、正義を踏みにじろうとしている。力を合わせて改悪を止め、ファシズムの一歩を止めよう」と緊迫した表情で呼びかけた。
 リレーハンストの先頭に立つ東京の「日の丸・君が代」被処分者が、「こんなに腹が立ったのは初めて」と述べてシュプレヒコールの音頭をとった。「強行採決弾劾」「この暴挙をわれわれは忘れないぞ」。怒りに震えて時たま声が途切れ、周囲から「頑張れ!」と声が飛ぶ。国会前と首相官邸前に1000人の怒りの声が響き渡り、「また明日、国会前に来よう。仲間に事態を報告し、より大きな力で改悪を阻もう」と誓った。
(写真 リレーハンストを闘う教育労働者を先頭に約500人が国会前に【15日午後 衆院第2議員会館前】)

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週刊『前進』(2272号3面2)(2006/11/27)

 11・12日比谷 教基法改悪阻止へ8千人

 “採決強行許すな”

 “9・21判決広げ改悪法廃案へ”

 11月12日、日比谷野音で開かれた教育基本法の改悪をとめよう!全国集会(主催/全国連絡会)に、全国から教育労働者を先頭に8000人が結集した。政府・与党による採決強行が切迫する中、会場全体が緊迫感に包まれ熱気あふれる集会となった。
 よびかけ人あいさつで大内裕和さんが、「教育の格差は労働現場の格差と結びついている。一方で若い労働者には働いても生活できない層を生み出し、他方で巨額の利益をむさぼっている企業がある。子どもは、教育は、労働者は売り物ではない。若者に必要なのは愛国心ではなく、労働組合だ」と檄を発した。
 都教委による「日の丸・君が代」強制に対し、処分攻撃を許さずに闘い抜いてきた教育労働者が大挙して登壇した。“ハンスト決行中”のたすきをかけた労働者の姿がひときわ印象的だ。代表して発言した予防訴訟原告団であり、「日の丸・君が代」不当処分撤回被処分者の会事務局長の近藤徹さんは、「9・21判決は私たちに勇気と確信を与えてくれた。政府は教育基本法改悪の理由に『規範意識を育てる』をあげているが、憲法も教育基本法も踏みにじってきた彼らに『規範意識』を語る資格はない。9・21判決を全国に広め、教基法改悪案を廃案に追い込もう」と確信をもって訴えた。
 また、連日国会前での座り込みを続ける北海道教組から200人が参加していることが報告され、「9・21判決に続く北海道人事委員会での処分取り消し決定は、闘いの正当性を示してくれた。さらに世論を喚起して改悪を阻止しよう」と発言し、会場全体から割れんばかりの拍手が響いた。
(写真 寒風をついて首都圏の教育労働者を先頭に8000人が結集。「今、改悪を許せば戦争につながる」という危機感が会場にあふれた【11月12日 日比谷野音】)

 森発言への怒り

 高橋哲哉さんは、安倍政権の極右体質に警鐘を乱打し、「為政者の国家戦略のために教育が利用されてはならない」と訴えた。また三宅晶子さんは、「国家によって生きる価値のあるものとないものへの選別が行われ始めている」と教育行政を批判し、「森元首相が日教組・自治労を壊滅すると言っている。ここに教基法改悪の狙いがある。今こそ労働組合の団結権を奪い返して闘うことが重要です」と提起した。
 大分の発言者は49年の教科書を示しながら、教基法改悪を許してはならないと訴えた。そして連日国会前で座り込んできた益永スミコさんが、大分の公聴会でも反対行動を行うことを報告した。
 最後に小森陽一さんから方針提起を受けて、参加者は組合旗を林立させて次々と銀座へのデモ・パレードに出発した。
 国会前での被処分者を先頭としたハンスト決起は、全国の教育労働者の怒りや危機感と結びつき、教基法改悪反対の大きなうねりをつくり出している。この日の集会の高揚も、国会前の闘いの熱気がそのまま持ち込まれたものだ。教育労働者の現場からの決起は、明らかに政府を追い詰め、社会を揺るがす闘いとして発展している。
(写真 “愛国心を押しつけるな”と訴える被処分者の会を始めとした教育労働者のデモ隊【東京駅前 】)

 日教組の再生を

 この時、日教組本部が何ら攻勢的・決戦的な闘いの方針を出さず、民主党にすり寄り、おざなりの「非常事態宣言」とわずかばかりの国会動員でお茶をにごし、現場労働者の怒りを押しつぶそうとしている。まったく許しがたい。教基法改悪をめぐる最大の攻防点は、文科省とのパートナー路線で職場での闘いを放棄する日教組本部を現場からの決起で断罪し、本部を打倒し闘う日教組を再生することの中にある。それが森元首相の「日教組壊滅」宣言や中川昭一政調会長の「デモ教師は免許はく奪だ」発言に対する現場からの回答だ。
 求められているのは11・5労働者集会の戦闘的高揚がさし示した道だ。徹底して職場の闘いにこだわり、闘いの中で団結をつくり出し、職場支配権を確立し、日教組を現場組合員の手に奪い返していくことだ。それは国鉄分割・民営化=組合破壊攻撃と徹底対決して闘ってきた動労千葉の闘いに学び、動労千葉労働運動を、今、この決戦のただ中で実践していくことである。
 9・21判決を武器に、「日の丸・君が代」不起立の闘いを教育労働者の「戦争協力拒否宣言」として闘おう。職場から闘う労働組合を再生し、教育基本法改悪を絶対に阻止しよう。 

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週刊『前進』(2272号4面3)(2006/11/27)

 星野さんとともに

 11・25星野全国集会へ

 11・25星野全国集会が目前に迫った。
 すべての皆さん! 11月25日、東京山手教会へ集まろう。無実の星野文昭同志を取り戻すために、今こそ立ち上がろう。11・5労働者集会の高揚を引き継ぎ、星野闘争勝利の展望を切り開こう。
 今この瞬間も、星野同志は徳島刑務所で闘っている。星野同志が繰り返し訴えているように、無期攻撃はひとり星野同志にかけられたものではない。それは、現在、戦争・改憲と民営化に立ち向かう労働者・人民すべてにかけられた攻撃としてある。労働者階級は、無期攻撃と闘う星野同志と家族に固く連帯し、どこまでも守り抜く。そして必ず星野同志を取り戻す。「無実の星野文昭さんを取り戻そう」の声をもっともっと押し広げ、全人民のものとしよう。
 35年目の渋谷に総結集しよう。
(写真 「FREE HOSHINO」の黄色いのぼり旗を林立させて銀座をデモ【11・5労働者集会】)

 再審連絡会の仲間とともに 11・5に参加杉並星野文昭さんを救う会  谷沢備作

私は、3労組が呼びかけた11・5労働者集会に、全国各地から結集した再審連絡会の仲間たちとともに参加しました。
 会場前で11・25星野全国集会参加を訴えるビラをまき終えた後、少し遅れて日比谷野音に入場したところ、今回から「救う会」のシンボルとして登場した黄色いのぼり旗が、いやでも目につきます。これは、星野文昭さんの弟、修三さんがデザインしたものです。杉並、徳島、沖縄の三つの救援会から発足した再審連絡会が、全国に飛び火していく勢いを感じる光景を目の当たりにし、感激しつつ集会に合流しました。
 国境を越えた労働者の連帯は、例年以上の発展を肌身で感じます。また、9・21判決勝利に沸く教育労働者の高揚感は、聞く者まで気持ちを高ぶらせてくれます。この道筋に安倍打倒、日帝打倒を確信させます。集会結集4900人の労働者と同じ思いを同じ場所で共有できたことを、明日からの闘いのエネルギーとしてフル充電しました。しかし、まだ何か心残りを感じます。それは「何故、彼はこの場にいないのか」ということです。
 私は、杉並に住むようになってから、家族や星野文昭さんに思いを寄せる人たちを知ることをとおして、この運動に参加しました。それまでは、星野さんは偉大な先達であり、後の世代に属する私には英雄そのものでした。確かに偉大な英雄であることは間違いありません。だが、ただの英雄にしていていいのか! いいはずはけっしてないのです。
 11月25日、渋谷・東京山手教会で星野全国集会が予定されています。11・5集会に参加し、感動を共有されたすべての皆さんに参加を訴えます。
 11月労働者集会の成功の完遂は、星野奪還の完遂として本質的には保証されるものと、私は信じています。また、日帝・安倍による改憲攻撃のさ中、階級と階級が真に激突する戦後革命の再回帰的情勢は、星野奪還がまったく可能な時代が来たことを示していると考えます。既に、本年5月から、友人面会や手紙という交通権をかちとり、彼の息づかいも、われわれは感じることができています。一日も早く星野文昭さんを家族のもとへ! 労働者階級のもとへ奪還しよう! そして勝利しよう。11月25日、東京山手教会で会いましょう。
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  星野文昭さんを取り戻そう
  35年目の渋谷で問う
  沖縄−星野11・25全国集会
  11月25日(土) 東京山手教会 
  午後1時開場   渋谷公園通り    
    2時開会   JR・地下鉄渋谷駅 
    5時閉会   から300b     
 ◎講演 知花昌一 反戦地主/読谷村議
  −1972年沖縄本土復帰の内実を問う−
  「星野文昭さんは何のために闘ったか」
 ◎朗読劇 イノセント  ◎歌と語り
 ◎パフォーマンス「KAKOと今」  
  ◇07星野カレンダーなど販売
    主催/11・25全国集会実行委員会

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週刊『前進』(2272号5面1)(2006/11/27)

 教基法決戦の先頭に 安倍の大学支配を許さず法大決戦勝利―総反撃へ

 革共同中央学生組織委員会

 11月15日、安倍政権は衆院特別委員会で教育基本法改悪案を強行採決し、翌日衆議院本会議で可決した。絶対に許すことが出来ない。怒りを込めて徹底的に弾劾する。衆院での単独採決強行を、逆に安倍政権の命取りへと転じよう。教育基本法改悪阻止・改憲阻止決戦は、これからが勝負だ。300万学生の怒りを爆発させ、教育基本法改悪阻止・安倍政権打倒に総決起しよう! さらに激しくキャンパスでの闘いと国会前闘争を闘おう。

 採決強行に学生の怒りを

 安倍政権による教育基本法改悪案の衆院強行採決は無効だ。こんな採決は誰も認めていない。労働者階級と学生の怒りに火をつけただけだ。命をかけてハンガーストライキを貫徹する教育労働者を先頭に、国会前は連日闘う労働者人民の怒りにあふれ、安倍政権打倒の最前線となっている。
(写真 ハンスト決起で闘う教育労働者に連帯して、全国学生も教育基本法改悪阻止の国会闘争の先頭に立った【11月6日 国会前】)
 「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに掲げて闘う教育労働者の怒りは、ますます燃え上がっている。とりわけ、11・5日米韓労働者4900人の国境を越えた団結の中心に教育労働者が立っている。教育労働運動の解体など絶対に不可能だ。300万学生は、闘う教育労働者とともに教育基本法改悪を阻止することを宣言する。
 安倍政権は、マスコミや極右ファシストを総動員して世論操作に必死だが、学校現場で闘う教育労働者の発言は、敵の薄っぺらなペテンを一撃で粉砕する威力があり、安倍政権の化けの皮を完全に引きはがしている。
 「いじめや未履修問題の原因は教育基本法にある」などというのはとんでもないデマゴギーだ。最大の責任は、憲法や教育基本法を踏みにじって学校現場に「日の丸・君が代」を強制し、これに従わない教職員への処分を行ってきた小泉や石原、安倍などにある。
 労働者階級を低賃金、非正規雇用、労働強化、偽装請負で搾取し、年金や福祉を切り捨て、労働者階級を「生きていけない現実」にたたき込んできた日本帝国主義こそ、いじめや自殺の元凶だ。教育基本法改悪は、この「格差社会」=階級社会の現実を極限的に拡大するものだ。
 その上、教育基本法改悪で愛国心教育と競争教育を強化すれば、再び戦争教育になる。だからこそ教育労働者は、体を張ってでも絶対に阻止するという決意に燃えて、安倍政権の大ペテンを徹底的に弾劾して闘っているのだ。
 タウンミーティングでの「やらせ発言」を見よ。日本帝国主義は、金で買収しなければ、教育基本法改悪賛成の発言を組織することさえ出来ないのだ。完全に破綻(はたん)している。
 安倍政権は、全国6カ所で、やらせとアリバイづくりの地方公聴会を実施したが、これに対して各地で労働者、学生、市民らの弾劾行動がたたきつけられた。名古屋の公聴会では、「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」の呼びかけ人である高橋哲哉・東京大学教授による「改正反対」の意見陳述に、傍聴席から拍手が巻き起こるほどだ。議論をすればするほど安倍政権のボロが噴出している。もはや、教育基本法改悪など、審議に値しない。
 安倍政権は、北朝鮮侵略戦争突入情勢の中で、国論を大分裂させて衆院強行採決に突き進んだ。だが、これはがけっぷちに追い込まれた敵の危機の現れにほかならない。
 衆院強行採決を安倍政権の命取りに転じてやろう。6000万労働者階級と300万学生の根底的な怒りで教基法改悪を阻止し、安倍内閣を総辞職に追い込もう。全国の学生は今こそ国会前に駆けつけ、安倍政権を打倒しよう!

 「教育再生」は大学も直撃

 安倍政権が掲げる「教育再生」は、大学を直撃する。教基法改悪案には、「第7条 大学」という項目が新たに設置されている。「大学は、高い教養と専門的能力を養うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」とされている。大学での研究や教育の一切が、「社会の発展」のための従属的手段に位置づけられているのだ。
 しかもここでいう「社会」とは、巨大金融資本の利益が何より優先とされる社会、戦争に向かう社会のことである。帝国主義の延命に寄与しないとみなされた学問分野は切り捨てられ、大学は資本家の求めるままに、1割のエリートと9割の安価な労働力を供給する場へ、軍事研究と軍国主義教育の場へと変えられる。
 それは同時に、大学を「真理探究の場」ではなく「資本家の利益のための職業訓練の場」「帝国主義への服従の場」へ変えていく攻撃だ。そこでは学生の自由な討論や団結、政治運動などはもちろん、研究の自由もサークル活動の自由さえも徹底的に弾圧されるのだ。
 法大での現実を見よ。「立て看板とビラまき規制」に反対したら不当逮捕され、退学・停学処分を強行しているではないか。まさに、これは安倍政権による「教育再生」を先取りした攻撃だ。安倍が「若者に奉仕活動をさせよ」と言っていることとまったく同じように、法大の安東学生部長は「奉仕活動でもしてみるかな。学生部へ行こう!」(法政コンパス44号)などと学生に向かってあおり立てている(誰も相手にしていないが)。しかも、法大当局は、学生のサークル活動に対して、「サークル活動なんて必要あるのか」「学生会館は非知性」などと言い放って学生会館を解体し、「サークル活動として、ボランティアをやれ」などと言い出している。
 法大だけではない。富山大学では、大学当局が「学生支援委員会決定」なるものを振りかざし、自治会非公認化をしかけてきている。「学生自治会の活動は中核派という『特定の政治団体を助長する活動』だ。法政大学のことを宣伝しているのがそれにあたる。学生規則19条違反なので非公認だ」などと言う。
 これは戦前、戦争に反対する者や政府を批判する者をすべて「アカだ、スパイだ、治安維持法違反だ」として弾圧したのとまったく同じやり方である。大学当局が進んで安倍政権に屈服し、学生運動つぶしをやろうとしている点で、法大当局とまったく同じだ。
 このように、今や全国の大学が安倍政権に総屈服するのか、それとも大学を学生の手に取り戻し、フランスの学生のようにキャンパスをとりでにして安倍政権と全面対決するのかという二者択一が問われている。
 安倍政権も大学当局も、資本も、学生を人間として見ていない。やつらは、学生を資本の利潤拡大のための奴隷と位置づけ、それを育成する場が大学だと思っている。安倍は「規範意識」などと言って帝国主義への屈従をたたき込み、愛国心を強制する場に大学をつくり変えようとしているのだ。そして、愛国心をたたき込んで、かつての特攻隊のように、国のために命を投げ出せ、と言っているのだ。
 だが、「愛国心」強制などというのは、はっきりいってやり方がくだらなすぎるのだ。若者に未来を保証できない日本帝国主義を、どうしてわれわれが愛さなければならないのか。冗談ではない。安倍政権は、若者に「愛国心」が足りないと嘆いているが、それはいわゆる戦後教育のせいでも日教組のせいでもない。ほかならぬ日帝ブルジョアジー自身がつくり出してきた腐敗した現実に対する、若者たちの当たり前の感情である。
 こんな破産した国を今さら「愛してください。お国のために死んでください」などとは笑止千万である。そんなことを強制しようとする教基法改悪など廃案以外にない。死すべきは若者ではなく帝国主義国家の方である。教育基本法の改悪を絶対に阻止し、日本帝国主義を打倒しよう。

 改憲阻止300万ゼネストへ

 すでに、300万学生は、教育基本法改悪阻止・安倍政権打倒の闘いに猛然と決起している。法大決戦の勝利的前進は、安倍政権の破綻を刻印しているといっても過言ではない。この間、法大当局による卑劣な策動の数々はすべて、法大生の広範な大衆的反撃を引き起こす結果にしかならなかった。
 法大の被処分者の闘い、全国から駆けつけた学友の闘いは、法大生の怒りと結合し、警視庁公安部による厳戒態勢を打ち破り、法大生11人連名の公開質問状提出と59クラスのストライキ決議をかちとっていった。そして10月20日には500人の結集で学内集会をかちとった。
 法大当局の人を人とも思わぬ扱い方に、学生が黙っているはずがない。法大生の闘いは全国の青年・学生の怒りを代表しているのだ。そして若者を本質的に獲得できない安倍のやり方は、初めから破産しているのだ。
 「格差社会」の実態の一端を衝撃的に暴露したNHK番組「ワーキング・プア」に対して、放送直後に全国から多数の手紙やメールが寄せられたという。
 だが、ブルジョア連中は頑強にこの「格差社会」の事実を否定し、あるいは居直っている。いわく「世間で言われているほど日本が格差社会だとは思いません。アメリカは非常に所得格差の大きい社会です。しかし、すべてがフェアであるという観念がありますから、格差に耐えられるのです」(日本経団連会長・御手洗冨士夫『会社は誰のために』)。ふざけるな!
 だが、資本家連中がいかなる詭弁(きべん)を弄(ろう)しても、「格差社会」と貧困の現実の中にいる労働者人民の怒りは必ず爆発する。もはやこんな国に若者はなんの愛着も抱いていない。「未来は青年のもの、革命は青年の権利」(動労千葉・田中康宏委員長)なのだ。青年が立ち上がれば、労働者階級の主力部隊が動きだす。その時点から革命は開始される。
 11・5全国労働者総決起集会はその端緒を切り開いた。11・5では民主労総ソウル地域本部副本部長キムチャンソプ氏が「われわれ労働者は国境を廃止します」と力強く宣言した。会場全体がインターナショナリズムの感動に沸き上がった。この感動を知った労働者には、「愛国心」などという展望のない、せせこましい感情が入り込む余地はない。われわれが獲得すべきは全世界である!
 全国、全世界の労働者人民と固く団結し、教基法改悪阻止、安倍政権打倒へ! 300万学生の改憲阻止ゼネストに突き進もう。マルクス主義学生同盟の旗のもとに結集し、ともに闘おう!

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週刊『前進』(2272号5面2)(2006/11/27)

 アメリカ中間選挙 共和党が歴史的な大敗

 イラク危機と国内階級矛盾

 ブッシュ打倒・即時撤兵へ

 民主が両院制圧

 11月7日に投開票された米中間選挙(4年ごとの大統領選の合間の選挙)で、民主党が94年以来12年ぶりに上下両院で過半数を奪還し、勝利した。ブッシュと共和党の大敗北だ。下院(定数435)は民主党229、共和党196(未確定10)で民主党が圧勝し、上院(定数100)は民主党51(独立派2を含む)、共和党49で民主党が競り勝った。州知事も民主党28、共和党22で民主党優位に逆転した。
 この結果は、第一にブッシュ大統領とそのイラク政策の根幹が否定されたことを意味する。第二にブッシュ政権の数年間の社会経済政策による所得格差、階級格差、差別の拡大・激化への労働者階級の批判が大きいことを意味する。ブッシュの引き起こした戦争とブッシュがもたらした貧困に苦しめられた労働者階級人民が怒りを爆発させ、ブッシュに歴史的敗北を強制したのだ。
 労働者階級はブッシュにノーを突きつけただけではない。80年代共和党レーガン政権が始め、90年代民主党クリントン政権が引き継ぎ、2000年代共和党ブッシュ政権が拡大・激化させたアメリカ帝国主義の基本政策、外への侵略戦争、内への階級戦争(規制緩和・民営化による極限的な搾取・収奪)に対して、歴史的なノーを突きつけた。四半世紀にわたる〈戦争と民営化〉によって蓄積されたアメリカ労働者階級人民の不満と怒りが噴出したのだ。
 ブッシュ政権は今後、危機のりきりのために労働者階級への攻撃を強めざるを得ない。階級対立の激化は不可避だ。基軸帝国主義国アメリカにおける革命的情勢の成熟は、世界革命の時代の到来を意味する。今回の選挙はこうした階級情勢を決定的に促進した。
(写真 国防長官更迭を発表。左からラムズフェルド長官、ブッシュ大統領、ゲーツ新長官【11月8日】)

 イラクで「敗戦」

 イラク戦争にノーを突きつけられ、追いつめられたブッシュは、ラムズフェルド国防長官に「イラク敗戦」の責任を負わせ、スケープゴートにして解任した上に(しかし本当の犠牲者は虐殺されたイラク人民と死亡米兵だ)、ベーカー元国務長官を中心とする「超党派」のイラク研究グループにイラク政策見直しを諮問した。政策転換、超党派のポーズで「イラク敗戦」の現実を取り繕おうとしているのだ。
 だが、このような姑息(こそく)なのりきり策を労働者階級、被抑圧民族人民は許さない。逆にえじきにして闘う。労働者階級人民は、イラク―中東で民族解放闘争を戦うイラク・アラブ・ムスリム人民と連帯し、イラク反戦闘争を大爆発させ、ブッシュ政権を追いつめ打倒するだろう。
 米帝ブッシュのイラク戦争に参戦し、枢軸関係を形成してきたイギリス帝国主義ブレア政権と日本帝国主義安倍政権のショックは隠しようもない。
 すでに政権末期の「死に体」状態に入っているブレアには、ブッシュの選挙敗北はとどめの一撃となるだろう。発足したばかりの安倍政権にとって、小泉政権以来の最大の後ろ盾であるブッシュの敗北は致命傷となる。現に安倍政権の命運をかけた最初の大攻撃である教育基本法改悪は、労働者階級の大反撃にあい、衆院採決強行にもかかわらず改悪案成立は断じて保証されてはいない。
 ブッシュもブレアも安倍も大ピンチだ。労働者階級の怒りの決起で3人とも打倒することができる情勢が来ている。労働者階級の国際的団結で帝国主義を打倒しよう。
 中間選挙での共和党大敗の要因は、何よりもアメリカ人民がイラク戦争の泥沼化と格差拡大・貧困化の責任はブッシュにあると認定したことだ。

 「福音派」の存在

 報道6社の出口調査によると、「ブッシュ大統領に反対するため」投票した人が全体の36%を占め、うち93%が民主党候補に投票した。イラク戦争については全体の56%が「不支持」で、そのうち80%が民主党候補に投票した。イラク戦争不支持は2年間で11ポイント増えた。
 大型減税と対テロ戦争を軸に支持を訴えた共和党は、中流層の票を大きく失った。ブッシュは「何をどう言ったところで結局、税金と安全がいかに大事か米国民は分かるはずだと思っていた」と述べ、選挙戦略の誤りと敗北を認めた。
 ブッシュ政権の経済政策を金持ち優遇と非難し、格差是正、最低賃金引き上げ、イラクからの米軍の段階的撤退を掲げた民主党は、中流層に加えて膨大な低所得者層すなわちプロレタリアートと被抑圧民族人民の支持を拡大して勝利した。
 その一方で、共和党が04年大統領選でブッシュ再選の原動力となった宗教右派―福音派を支持基盤として維持したのも事実だ。
 宗教右派の中心をなす福音派(プロテスタントの一派)の白人キリスト教徒のうち共和党支持は71%で、2年前より7ポイント減ったが、依然として圧倒的である。福音派が全有権者に占める割合は23%から24%へ1ポイント増えたため、共和党支持率は絶対値では1ポイント減にとどまる。
 福音派は、共和党に目立った不正資金疑惑やスキャンダルに不満を抱いたが、「伝統的な道徳的価値を売り渡したサンフランシスコ・リベラル」のペローシ下院民主党院内総務(次期下院議長)よりも共和党の方がましという選択をしたのだ。
 民主党自身が宗教右派に接近した。自らの信仰の深さを告白して宗教右派にアピールし、支持を得た候補もいる。民主党はリベラルへかじを切ることができず、明確なイラク戦争反対、米軍即時全面撤退のスローガンを掲げられなかったのだ。

 低所得層の増大

 民主党は中流層の53%から支持を得た。94年には中流層の54%が共和党に投票したのをひっくり返した。年収10万j(約1200万円)以下のグループはいずれも民主党支持が多数を占めた。
 低所得層ほど民主党支持率が高い。選挙前の調査で、2万j(約240万円)台の所得層の民主党支持は1割余り増えて6割に上った。低所得層の増加、格差拡大が民主党支持率の上昇につながった。
 しかし民主党は本質的に帝国主義的なブルジョア政党だ。リベラル派より中道派の方が多いため、党としてイラク反戦を掲げられないのだ。
 ブッシュ政権の大型減税、それがつくり出した住宅投資ブームの中で所得格差が激しく進行した。賃金切り下げでますます低所得になった労働者階級や移民を始め被抑圧民族の中に不満と怒りが蓄積した。
 米世帯の年間所得の中央値は、昨年上昇に転じたが、それまで5年続けて減少した。
 年収で上位2割のトップ層の所得が全体に占める割合が05年に50・4%に上がり、67年以来の最高水準を記録した。
 シカゴ市では時給6・50jの最低賃金を4年後に手当込みで13jに引き上げる条例案を市議会は大差で可決したが、市長の拒否権発動で条例案は葬られた。
 中国などとの競争が激化する中で、比較的高い賃金を払ってきた製造業が雇用を減らしている。収益重視と称して、生産性が上昇しても賃金を引き上げない企業が増えた。労働者階級の所得は伸びず、富裕層=資本家階級との格差は開く一方だ。
 連邦の最低賃金は97年以来9年間、時給5・15jに抑えられてきた。民主党は時給7・25jに引き上げることを公約として掲げた。すでに時給7・25jを越える最低賃金を住民投票で決めた州も幾つかある。だが、資本の側からすれば、最低賃金の引き上げは、労働コストを膨らませ、競争力低下につながる。最低賃金引き上げも労働者階級が闘わなければかちとることはできない。

 日帝危機に連動

 日帝・安倍政権は、米ブッシュ共和党の中間選挙大敗で最大の衝撃を受けている。
 安倍は、小泉とともにイラク戦争とブッシュ政権を全面的に支持してきたのに、ブッシュ政権は「イラク政策は失敗だった」と認めて国防長官を更迭、民主党との協調関係に入った。ラムズフェルドが中心になって推進してきた米軍再編・日米軍事一体化の今後も不透明だ。民主党の圧力で基地建設・維持費の負担を迫ってくる可能性がある。民主党が優位の議会のもとでは、北朝鮮制裁問題で日帝寄りだったボルトン国連大使の留任は困難だ。ブッシュ自身が東南アジアFTAを提唱して日帝のアジアでの孤立化を図っている。靖国神社参拝問題にも民主党は敏感だ。
 教育基本法改悪を絶対に阻止し、戦争と改憲の安倍を打倒しよう。日米韓の労働者の国際連帯を発展させ、米日帝の北朝鮮侵略戦争を内乱に転化しよう。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2272号6面1)(2006/11/27)

 11・12ソウル労働者大会

 動労千葉 民主労総ソウル本部と共闘

 5万人がゼネスト誓う

(写真 民主労総の全国労働者大会に参加した動労千葉訪韓団。隣には全国鉄道労組KTX乗務支部【11月12日 ソウル】)

 「労働者を痛めつけ、そして戦争をしようという資本家たちに、労働者の団結した力を、全世界の労働者に国境はないということを見せつけてやろう」。田中康宏動労千葉委員長は11月12日、ソウルの地でこう宣言した。動労千葉とアメリカILWU(国際港湾倉庫労働組合)代表団を始め11・5集会をともに闘った100人余の訪韓団は、民主労総ソウル地域本部とともにゼネスト闘争を闘うという、新たな一歩を踏み出した。
 11月12日、民主労総のチョンテイル烈士36周年全国労働者大会がソウル市庁前広場で開催された。民主労総は集まった5万人の組合員を前に、▽非正規権利保障立法獲得、▽労使関係ロードマップ粉砕、▽労災法改悪阻止、▽韓米FTA(自由貿易協定)阻止の4大要求を掲げてのゼネストを宣言した。
 本大会は午後3時半すぎ、会場中央をまっすぐに数百本のゼネスト旗、続いて色とりどりの組合旗が続々と入場した。民主労総ソウル本部の旗とともに動労千葉、動労西日本の真紅の動輪旗が進んでくる。全金本山と染め抜かれた赤旗、濃紺の全学連旗、ライトブルーの東北大学旗なども青空に翻っている。
 大会ではゼネスト指針1号が発せられた。それは11月15日に4時間の警告ストを闘い、22日には民衆総決起全面ストを闘い、23〜28日に毎日4時間のストライキ、29日、12月6日にも全面ストライキ、非正規関連法案が強行された時には即刻全面ストライキに突入するというものだ。
 この日、「民主労総ゼネストの先鋒(せんぽう)を担う」と宣言し、全国建設運送労組ダンプ分会、同生コン分会の組合員1万4900人が無期限ストライキに突入した。大会ではパクテギュ建設運送労組委員長が「失った労働基本権をかちとるために全面的ゼネストで労働者の名を取り戻す」と発言した。彼らは、特殊雇用労働者に対する労働基本権保障と法制度改善を要求し、真正面からノムヒョン政権との勝負に出たのだ。
 さらに大会では、農民を代表して全国農民会総連盟(全農)のムンギョンシク議長も連帯あいさつに立ち、「韓米FTA締結が迫っている。労働者と農民の粘り強い連帯だけが労働者・農民の生命を守る。農民は民主労総ゼネストを熱く支持する。11月22日には百万民衆総決起に打って出る。強固な連帯闘争で世の中を変える闘いをともに担おう」と力強く訴えた。
(写真 女性連盟の清掃労働者が歌う替え歌に全員が拍手喝采【12日昼 ソウル・青瓦台近く】)

 各所で産別集会

 午前11時、大学路で開かれた建設労働者闘争決意大会には組合員7000人余が集まった。
 ダンプ連帯のキムグムチョル議長が「われわれが願うのはみすぼらしい『保護』などではなく、働く権利、ストライキの権利、労働者として当然の労働基本権だ」と訴えた。
 チョンゲ広場ではタクシー、バス、地下鉄、鉄道など4000人余が17日の運輸産別転換総会を控えて総団結を固める運輸労働者決意大会が開かれた。
 ソウル駅前広場には公共連盟、全国公務員労組、全国教職員労組など数千人が集まった。ヤンギョンギュ公共連盟委員長は「11月ゼネスト闘争は公共労働者が担わなければ勝利できない闘いだ」と檄(げき)を飛ばした。本大会前のソウル市庁前広場でも金属産業連盟、金属労組など7000人余が金属労働者決意大会を開いた。

 警告スト14万人

 そして迎えた15日、無期限ストを続ける建設運送労組を始めとする193労組14万5111人(団体行動を含む)がストを闘った。
 民主労総ソウル本部は文字どおりこの闘いの先頭で奮闘している。
 コジョンファン本部長は、「ソウル本部は民衆総決起を促すほど親資本的で親帝国主義的なノムヒョン政権に対して退陣闘争を始めた。市民社会団体などとともに『労働基本権獲得ソウル地域共闘本部』と『ゼネスト総決起実践団』を構成し、6地区協議会とともに共同実践をしている」「再び威力あるゼネストで『民主』と『連帯』の民主労総であることを堂々と示さなければならない」とゼネスト勝利に向けた決意を語っている。

 “団結こそ力” 田中委員長が発言

 12日午前、動労千葉と訪韓団は、民主労総ソウル本部とともに、青瓦台近くで開かれた「5人未満の事業場への勤労基準法全面適用! 外注・請負労働者の基本権保障!」を要求する非正規職・零細事業場・女性労働者大会に参加した。非正規職労働者を中心に約700人が集まった。
 主催団体を代表し、チョンウィホン全国一般労組協議会議長が発言し、「働いても生活できないのが私たちの現実だ。政権と資本に期待するものは何もない。最も虐げられた労働者に希望を与えられない労働運動では何の意味もない」と力を込めて訴えた。
 解雇争議を闘う安山始興一般労組コヌァ分会、ロッテホテル・ルームメイド支会の女性労働者や、IT労働組合の青年労働者などが次々に発言。地下鉄の清掃事業で働く女性連盟の労働者たちが自慢ののどを披露して拍手喝采(かっさい)を浴びた。解放感みなぎる女性労働者の存在は闘いの展望を示している。
 動労千葉の田中康宏委員長が発言に立った。
 「労働者の団結や権利が破壊され、首を切られる。社会のあり方が根本的に間違っている。私自身、国鉄の民営化で1986年、20年前に解雇され、今も闘い続けています。私は、労働者の団結した力こそが歴史をつくり、社会を変える力だと絶対的な確信を持っています。私たちの勝利は簡単なことなんです。敵よりも1日、たった1日長く闘い続ければ労働者は必ず勝利します」
 「労働者を痛めつけ、そして戦争をしようとする資本家たちに、労働者の団結した力を、全世界の労働者に国境はないということを見せつけてやりたい。私たちは民主労総の闘いに学んで、日本でも強力な労働運動をつくり出すためにがんばりぬきます。カムサハムニダ! トゥジェン!」
 大きな拍手が起きた。
 日本からは東部労組も参加し、非正規職労働者が団結し正規職化をかちとった闘いを報告した。
 大会途中、代表団が青瓦台(大統領府)に抗議面談に向かった。出発前、全国女性労働組合のナジヒョン委員長は「労働者に労働基本権、勤労基準法を適用せよというあまりにも当然の要求を伝えるために大統領府に行く」と決意を語った。
(写真 発言する田中康宏委員長【青瓦台近く】)

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週刊『前進』(2272号6面2)(2006/11/27)

 “今、烈士精神受け継ぐ”

(写真 前夜祭で日本からの訪韓団全員が登壇。ILWUの3人も【11月11日 ヨイド】)

 11月11日夕、韓国・民主労総06全国労働者大会前夜祭の会場、国会議事堂近くのヨイド公園文化広場で、動労千葉は民主労総ソウル本部と感動の再会をした。
 田中康宏委員長とがっちりと握手を交わしたコジョンファン本部長は、動労千葉と訪韓団を「労働烈士精神継承マダン」へと誘った。ソウル本部は11月6日から11日までを「これ以上殺すな−非正規労働烈士追慕週間」に設定し、焦点の非正規悪法粉砕闘争を力強く展開してきた。この締めくくりがソウル本部主催の労働烈士追慕祭だった。
 ホヨング民主労総副委員長に続き、ナムグンヒョン建設連盟委員長が、今夏のポスコ争議渦中、警察の暴行で殺されたハジュングン烈士について「4カ月たっても殺人者の調査すらされていない」と怒りを込めた。
 コジョンファン本部長は、「烈士の血で建設された民主労総は、烈士の精神をいかに継承するのかという岐路に立っている。死んでも非正規職烈士たちの精神を受け継ぐためにゼネスト闘争を組織しよう」と大声で激しく呼びかけた。
 参加した訪韓団も心を一つに「烈士精神を継承してゼネスト闘争に勝利しよう!」とシュプレヒコールをあげ、前夜祭へと合流した。
 日本から参加の訪韓団全員が登壇し、紹介された後、田中委員長はソウル本部の紹介で長期争議中の鉄道労組KTX乗務員支部の女性労働者を激励した。「KTXの闘いにずっと注目してきました」「初めて会った気がしません」と、闘う者同士の合流が実現した。

 全面ゼネストへ

 「行こう!ゼネスト」と大書されたメインステージの横では、金属労組の非正規職労働者が、「国会日程に追われるゼネストはもうやめよう! 中断のない全面的ゼネスト闘争を即刻組織せよ!」と書いた横断幕を広げていた。
 11月7日、ノムヒョン政権は昨年来の攻防の焦点である非正規職関連法案を、野党の合意を取り付けて国会法制司法委員会全体会議に上程。労使関係ロードマップに基づく労働法改悪も今定期国会で強行する姿勢を強めている。
 一方、全国公務員労組事務所の強制閉鎖に続き、9日にはチャンヘオク全教組委員長らの教職剥奪(はくだつ)に踏み切るなど、激しい労働弾圧が続いている。
 敵の踏み込みに民主労総チョジュノ執行部は逆に闘争戦術をダウン、当初方針の15日全面ゼスネト突入を延期した。
 ソウル本部は今、怒れる現場組合員、非正規職労働者とともに、力あるゼネストの組織化に全力をあげている。

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週刊『前進』(2272号6面3)(2006/11/27)

 争議テントを訪問

 11・13 動労千葉が激励

(写真 労働者大会で署名を訴える金属労組ハイテクRCDコリア支会の組合員【12日 ソウル市庁前】)

 13日、動労千葉訪韓団は、金属労組キリュン支会と同労組ハイテクRCDコリア支会の工場の前でテントを張って長期闘争を続ける労働者を訪問した。
 動労千葉の組合員は、金属労働者の歌である「鉄の労働者」を律動を交えて歌い、励ました。
 RCDコリア支会の女性労働者たちは動労千葉に「動労千葉の同志たちの模範にならい原則を死守して闘います」と書かれた大きな横断幕を贈った。
 動労千葉の組合員は「大きな責任を感じるが、これまで以上に職場闘争を原則的に闘っていくことでこたえたい」と感想を述べた。
 訪韓期間中、ソウル本部の仲間たちは、「動労千葉労働運動とソウル本部との連帯は互いの力を高めあっている」と何度も力説した。
 韓国労働者が突き当たっている壁をわがものとし、それぞれの地で、自らの職場で団結を守り抜き勝ち抜いていくことこそ、真の国際連帯の土台だということを教えてくれた交流だった。(H)

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