ZENSHIN 2006/10/30(No2268 p06)

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週刊『前進』(2268号1面1)(2006/10/30)

 11・5 全国から日比谷野音へ

 経済制裁反対・北朝鮮侵略戦争阻止

 闘う労働組合の大結集で安倍戦争突撃政権打倒を

 日本の労働運動の中で今、最も階級的・戦闘的に闘っている3つの労働組合(全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉)が呼びかけて11・5全国労働者集会が開催される。労働運動の新たな発展を切り開くため総結集しよう。全世界の帝国主義がますます戦争にのめり込み、労働者階級への搾取と抑圧を強めている情勢のもとで、今最も必要なことは、国境を越え、党派を越え、上部団体の違いを越えて労働者・労働組合が団結し、闘う労働運動を強力に発展させることだ。闘う3労組はそのための熱烈なアピールを発し、11・5集会への総結集を呼びかけている。革共同は、この集会の趣旨に心から賛同し、その成功のために全力で闘う。そして、全国の労働者の皆さんに総結集を呼びかける。

 戦争切迫下で労働者が決起

 北朝鮮の核実験発表とそれに対する国連安保理の制裁決議、そしてライス国務長官の訪日をもテコに日米共同の臨検−海上封鎖による戦争突入へと事態は急展開している。すさまじい排外主義の嵐が吹き荒れている。
 だが、同時に重要なことは、この戦争突入情勢下で労働者階級の巨大な決起が巻き起こっていることだ。沖縄では米軍のパトリオットミサイルの嘉手納基地配備を許すなと、数百人の労働者が港に座り込み、ミサイル機材の搬入を3日間にわたって阻止した。米軍や機動隊との激突の先頭に立ったのは、沖教組・沖縄高教組や自治労、全港湾などの労働組合だ。この決起が政府に衝撃を与えている。労働組合が闘えばすごい力を発揮することが、鮮やかに示された。
 さらに国会前では、教基法改悪と共謀罪に反対する座り込み、ハンガーストライキ、集会が連日闘われている。
 戦争突入情勢下で開かれる11・5全国労働者集会は、こうした全国の闘いをひとつに結びつけ、団結した強力な闘争力に転化する、かけがえのない集会である。ここに日本労働運動の未来がかかっている。
 11・5労働者集会の階級的歴史的意義を、革共同は次のように考える。
 第一に、11・5労働者集会は米日帝の北朝鮮への経済制裁・臨検に反対し、帝国主義の侵略戦争を阻止する総決起集会である。
 北朝鮮スターリン主義・金正日政権の核実験発表に対して一斉に北朝鮮非難の声が上げられ、国連でも制裁決議が採択された。そして日本共産党、社民党、連合などは、この決議を全面支持し、制裁発動に賛成している。
 こんなことは、絶対に見過ごせない。絶対に許せない。それは、米・日帝国主義による朝鮮侵略戦争策動への加担・協力であり、不正義の侵略戦争に労働者階級を屈服させ動員するものだ。
 もちろん核兵器は、どんなに小規模であってもおそるべき殺傷力を持つ無差別大量殺りく兵器であり、北朝鮮スターリン主義の核実験は、世界の労働者人民の反戦・反核の願いと闘いを踏みにじる行為だ。絶対に許されるものではない。
 だが、起きている事態の核心は何か。それは、北朝鮮とは比較にならないほどの数万倍の核兵器を持ち、数え切れないほどの核実験を強行してきた米帝と、核武装化の衝動を持つ日帝が、北朝鮮のそれ自身、反人民的な核実験発表−核武装化政策につけ込んで一挙に朝鮮半島に襲いかかり、金正日政権転覆のための侵略戦争を発動しようとしていることだ。米・日帝国主義の攻撃の矛先は、南北分断打破・革命的統一に向かって闘う南北朝鮮の労働者階級に向けられている。
 イラクへの経済制裁が戦争発動の第1段階であったように、経済制裁は日本共産党がいう「非軍事」などというものでは断じてない。実際、米・日帝国主義は共同で朝鮮海域(日本海)で臨検−海上封鎖を行い、戦争に踏み込もうとしているではないか。
 国連での制裁決議や、臨検、周辺事態法発動の動きに、多くの労働者が怒りをたぎらせている。この怒りを総結集し、巨大な反撃に転じる闘いが11・5集会だ。
 集会には、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10と、AMFA(航空整備士労組)の労働者、韓国・民主労総の労働者が多く参加する。まさに戦争情勢下で、当事国のそれぞれにおいて最も戦闘的に闘っている労働組合が一堂に会し、国際連帯で闘おうとしている。「労働者に国境はない」を実践するこれほど時宜にかなった闘いがほかにあるだろうか。

 核武装化を狙う中川や麻生

 第二に、11・5労働者集会は朝鮮侵略戦争にまっしぐらに突き進む安倍政権を打倒するための総決起集会だ。
 安倍政権は「戦後体制からの脱却」を掲げた極右戦争政権である。自民党の中川昭一政調会長や麻生外相の「核武装の議論はあっていい」という許しがたい発言は、日帝・安倍政権の核武装化への衝動を露わにした。
 また中川秀直幹事長の「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」という発言は、安倍政権が労働組合・労働運動を最も憎悪し、全面解体攻撃に出てくる宣言だ。
 この労組つぶしの具体的攻撃が「骨太方針Y」であり、教基法改悪と「教育再生会議」の発足だ。教育再生会議は、日教組の解体を核心的狙いとする会議である。安倍は、教員免許の更新制を最優先の問題として強調している。日教組の組合員であるというだけで不適格とされ、免許が取り消される、そんな時代を到来させようとしているのだ。どうして許せるだろうか。
 教基法改悪は、「愛国心」を現場に強制し、実際に戦争になった時に、「お国のために命を捧げる」ことに教育のみならず全社会を動員しようというものだ。何よりも日教組を解体し、戦争への最大の抵抗勢力である4大産別の労働組合を根絶することを狙っている。
 これに対して日教組本部や自治労本部は、自らに加えられた攻撃の重大性を直視する勇気もなく民主党に頼ったら何とか延命できるのではないかと、とんでもない幻想を抱き、闘う方針を下ろさず、組合員を日帝の攻撃にさらしている。
 このような、闘わない労組幹部を打倒し、現場労働者の下からの”ランク&ファイル”運動で、労働組合を現場組合員の手に取り戻そう。それが11・5労働者集会だ
 しかし中川秀直の「最大の抵抗勢力は官公労」なる発言は、同時に安倍政権の弱点、彼らが何を最も恐れているかを示している。
 教基法改悪阻止に全労働者が総決起することで安倍を打倒できる。11・5労働者集会で、大反撃ののろしをあげよう。

 職場から団結し反撃しよう

 第三に、11・5労働者集会は全国の青年労働者が大結集し、戦争突入情勢下で一層激化する資本攻勢に怒りを結集し反撃していく集会である。
 請負・派遣などの非正規雇用化、格差拡大社会、働いても生活苦から抜け出せない「ワーキングプア」の現実。多くの青年が、このままでは未来に夢も希望も持てない現実だ。こんな社会はぶち壊し変えなければならない。そして、戦争も失業もない、労働者が主人公の社会をつくり出そう。それは絶対に可能だ。見よ、フランスや韓国、アメリカ、イギリスなど世界中で労働者が立ち上がっているではないか。
 第四に、11・5労働者集会はそれゆえ連合中央や全労連中央の労働者支配をうち破り、戦闘的階級的な3労組の闘いに学び連帯し、職場闘争を土台に団結を広げ、労働者階級の勝利に向かって前進していく集会である。
 連帯労組関生支部はこの2年間だけでも4次に及ぶ組合執行部の逮捕、刑事弾圧を受けながら生コン業界で組合員の権利と団結を守りぬく産業政策運動を展開してきた。港合同は幾度もの倒産攻撃にかちぬき、団結を守ってきた。動労千葉は国鉄分割・民営化にストで反撃して組合の団結を守りぬき、今も反合・安全運転闘争を闘って勝利している。そして、この3労組は国鉄1047名闘争の勝利のために階級的原則を堅持して奮闘している。今、これほど闘って職場の団結を維持し、大きな展望を持って闘っている労働組合がほかにあるだろうか。
 「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」というスローガンは、労働者階級の解放のために闘う労働者、労組活動家、労働組合の切実な共同綱領である。

 国会闘争に立ち11・5へ

 北朝鮮の核実験発表を機に米日帝の朝鮮侵略戦争が切迫している。周辺事態法の発動、または米軍の臨検を後方支援する緊急法案が狙われ、アフガニスタン侵略戦争継続のための対テロ特措法延長が狙われている。まさに「戦争国会」だ。教基法改悪案、共謀罪法案は今週から衆院教基法特別委、法務委が相次いで開かれる。どちらも「十分審議した」として早期の審議打ち切り−強行採決が狙われている。
 全力で国会行動に立とう。そして、国会闘争の真っ只中で、11・5労働者集会への大結集運動を巻き起こそう。

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週刊『前進』(2268号1面2)(2006/10/30)

 教基法改悪 27日の採決強行を阻め

 連日の国会行動に総決起を

〔上左〕ハンスト3日目に突入/〔上右〕日教組が座り込み開始。ハンスト団と共にシュプレヒコール(19日)

 安倍政権が「今国会の最優先課題」に掲げる教育基本法改悪を阻むため、10月末の1週間が大きな山場となった。
 政府・自民党は、衆院教育基本法特別委員会の審議を10月23日からの週に再開しようと狙っている。伊吹文科相は「前の国会で50時間審議した。あと20〜30時間やれば十分」と公言。最短で27日(金)の特別委で採決を強行しかねない緊迫した状況にある。日教組は現場組合員の闘いに突き動かされて、26日(木)午後5時45分から日比谷野音で緊急1万人集会とデモを行うことを決めた。
 23日からの国会闘争が決定的だ。17日から、東京の教育労働者が国会前でリレーハンストと座り込みをスタートした(27日まで)。19日には日教組のブロック動員による座り込みも始まった(30日まで)。さらに連日夕方、東京教組の組合員が職場から駆けつけて座り込んでいる。(記事2面)
 反戦共同行動委は27日を国会集中行動日に設定した。総力で結集しよう。国会前の息吹を職場の仲間に伝え、11・5労働者集会―11・6国会闘争の連続行動に立とう。

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週刊『前進』(2268号1面3)(2006/10/30)

 法大 59のスト決議-500人が集会

 10月20日、警視庁−暴力ガードマンの超戒厳体制を打ち破って法大集会に500人が結集。平林総長に提出した公開質問状の回答を求め学生部追及行動に決起した。19日までに「処分撤回」を求めるストライキ決議は59クラス=5千人に達している(10月20日 法政大)=詳報次号

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週刊『前進』(2268号1面4)(2006/10/30)

 今週の国会行動(いずれも衆議院第2議員会館前)

▽教育労働者有志の国会前リレーハンスト
 10月27日(金)まで 午前9時〜午後6時
▽教育基本法改悪反対国会前座り込み
 10月30日(月)まで
 日教組/午後1時〜4時 東京教組/4時〜6時
▽10月23日(月)
 教育基本法の改悪をとめよう! 院内集会
 午後4時半 衆院第2議員会館第1会議室
 主催 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会 
▽10月24日(火)
 組対法・破防法共同行動決起集会 午後4時
 反戦共同行動委の集会 午後5時
 教基法改悪をとめよう!全国連絡会集会 午後6時
▽10月27日(金)
 反戦共同行動委の国会集中行動 正午 集会
 共謀罪一日行動 午後1時半 集会。のち座り込み

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週刊『前進』(2268号2面1)(2006/10/30)

 教基法改悪反対 国会前に闘いの拠点

 ハンスト軸に決起広がる

 被処分者らが訴え “戦争への道とめよう”

 国会前に、誰もが待ち望んでいた闘いの拠点ができた! この闘争拠点をフルに活用して、教育基本法改悪阻止の闘いが巻き起こっている。職場の闘いと国会前をつなげて、11・5全国労働者総決起集会−11・6国会闘争に決起しよう。
(写真 教育基本法の改悪をなんとしても阻もうと、東京の教育労働者を中心にリレーハンスト&座り込み行動がスタートした【10月17日 衆院第2議員会館前】)
 10月17日、「リレーハンスト&座り込み行動を実行する有志」の東京の教育労働者が呼びかけてリレーハンスト&座り込み行動が始まった(都教委包囲・首都圏ネットがサポート)。東京の「日の丸・君が代」被処分者が、「安倍内閣が教育基本法改悪法案を今臨時国会で通そうとしていることに危機感をもち、教育基本法を守りたいという『やむにやまれぬ』思いで行動に立ち上がりました」と呼びかけ、行動を起こしたのだ。
 17日は東京の被処分者3人と郵政労働者、大阪の元教育労働者の5人がハンストに突入。「日の丸・君が代」被解雇者や福岡の教育労働者も合流した。10日から独自行動を起こした大分県教組の組合員は15人が座り込んだ。座り込み参加者はのべ100人を超え、国会前の景色は一変した。
 午後6時から「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の国会前集会が行われた。香川の教育労働者も参加、「ハンスト突入と聞いて駆けつけた。改悪を阻むため国会前と全国各地をつなげ闘おう」と呼びかけた。
●全国から上京し国会前に合流 18日
 18日は、前日からハンストを継続する2人に加えて、東京で不当な分限免職処分を受けて撤回闘争を闘う教育労働者と、その支援者の4人がハンストを行った。
 広島の教育労働者も駆けつけ「国会前行動に連帯して10月21日、原爆ドーム前でハンストを行います」と表明。京都大学の学生は「京都で大内裕和さんの講演会に参加し、『国会前で闘いが始まっている』と聞いて来ました」と訴えて、ともに闘いぬいた。
 国会見学に訪れた小・中・高校生に向けて、ハンスト者が次々マイクを握って「戦争への道をとめるため、教育基本法改悪に反対しています」と訴えた。熱い訴えに、多くの子どもたちが手を振ってこたえった。
●日教組の座り込みがスタート 19日
 19日は、東京の「日の丸・君が代」被処分者2人と大阪の元教育労働者の3人がハンストを継続した。新潟で集めた「9条を変えるな!百万人署名」の署名を持って駆けつけた新潟高教組の元役員が、教育労働者の後輩たちを力強く激励した。
 この日、ついに日教組本部の座り込み行動が始まった。午後1時からの座り込み行動に、九州・中国・四国の3ブロックの動員に加えて都高教組合員も参加した。日教組組合員とハンスト者ら100人を超える労働者が「『日の丸・君が代』の押しつけ反対」「最後の最後まで闘うぞ」と力を込めてシュプレヒコールをあげた。
 動労千葉・動労水戸ものぼり旗を掲げて駆けつけ、ハンスト団とともに座り込んだ。
 集約集会では、ハンストを3日間やりぬいた東京の被処分者が「日教組もやっと闘いを始めた。国会前から各地に闘いが広がっています。国会前を拠点に闘いを広げ、改悪案を廃案にしよう」と訴え、引き続きの奮闘を誓い合った。
(写真 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会に400人が参加【10月17日】)

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週刊『前進』(2268号4面1)(2006/10/30)

 11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う

 動労千葉に続け

 戦争・民営化と闘う国際連帯で 安倍政権を打倒しよう

 三つの労働組合が11・5労働者集会への結集を呼びかけた。この3労組=連帯労組関西地区生コン支部・港合同・動労千葉は、階級的労働運動を職場で闘い、団結を守っている。仲間を守り、団結を強化する闘いを全国の闘う労組のネットワークとして広げている。これが国際的に信頼され、03年から11月の労働者集会は国際連帯集会として開催されている。安倍改憲政権登場と北朝鮮核実験を機に日米帝国主義が朝鮮侵略戦争へ突進している。今年は、これと対決する日米韓の最も戦闘的階級的な労働運動が団結を固める集会となる。

 職場で団結して勝利!

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は今年前半、JR東日本の総力をあげた闘争圧殺と対決して職場の団結を再強化し、反合・運転保安闘争に勝利した。幕張事故への処分攻撃に全組合員が対決しぬいた。安全問題として最も鋭く矛盾が現れる合理化攻撃に対して徹底的に闘い抜く動労千葉の路線の圧倒的な勝利だ。
 教育基本法改悪案など一連の超反動法案は、先の通常国会で阻止された。この闘いでも3労組は最もよく闘った。
 そして、3労組が連帯し、全力をかけてともに闘ってきた教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争は、予防訴訟での9・21全面勝利判決という画期的な地平をもぎとった。
 この動労千葉の闘い、そして3労組共闘こそ、全労働者の勝利の道を示している。
 それは、次のことからも言える。
 動労千葉は、小泉構造改革の根幹と対決し、勝利してきた。これは、すべての労働者が直面している現実との闘いの方向を示している。この間の労組破壊攻撃、すさまじい生活破壊、「格差社会」といわれる現実は、小泉構造改革によってもたらされたものだからだ。
(写真 昨年の11・6国際連帯集会。日米韓の労働者が国境を越えて団結、集会終了後、都心を揺るがす大デモを行った【05年11月6日】)

 反民営化は世界の闘い

 ここで、小泉構造改革がなぜ生まれてきたのかを見てみよう。
 小泉構造改革は、1980年代のサッチャー・レーガン・中曽根政権を先頭に全世界で強行された民営化・規制緩和を、飛躍的に凶暴化して推進しようとしたものだ。
 80年代の民営化・規制緩和は、アメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争敗北、民族解放闘争の大高揚と帝国主義諸国での階級闘争の巨大なうねり、そして73年オイルショックと74―75年恐慌という帝国主義の崩壊的危機からの脱出をかけて行われた攻撃だった。そして、91年のソ連スターリン主義崩壊によって、世界史は「帝国主義とスターリン主義の世界体制」の時代から、帝国主義間対立が基軸となり帝国主義間争闘戦が一挙に激烈化する時代に突入した。基本矛盾の爆発にあえぐ帝国主義は全世界で民営化・規制緩和を一層激烈化させて延命しようとした。
 日本では、80年代をとおして国家権力の総力をあげて強行された国鉄分割・民営化に動労千葉が首をかけ、組織をかけてストライキで反撃したことによって、この攻撃は貫徹しなかった。国労本部の屈服にもかかわらず、国労を壊滅させられず、90年代以降も1047名の解雇撤回闘争が継続した。国労をつぶし、総評・社会党をつぶし、新憲法を作るという中曽根路線は根本のところで粉砕されたのだ。
 この階級関係の中で日帝は、新たな帝国主義間争闘戦=91年「湾岸戦争」で55年体制の再編を迫られる。同時に、90年代はバブル崩壊後の長期不況という危機の際限ない進行の時代だった。
 ここから95年、日経連の「新時代の『日本的経営』」が出され、そして2001年に小泉構造改革が登場する。

 シニア協定・外注化に勝利

 JRは2001年完全民営化を大目標としていた。だが、分割・民営化後10年たっても、JRは労働者の闘う団結を破壊しきれないという根本問題に直面していた。そしてJR経営は、国鉄の赤字問題の解決とは程遠い状態だった。
 他方、社会保障構造改革の中で年金制度が大改悪された。年金満額受給年齢の引き上げで、定年になっても年金で生活できなくされた。JRはこれを利用して、定年退職者に「グループ会社等での再雇用」のあっせん(「シニア制度」)と業務外注化をワンセットにして組合にのませる攻撃をかけてきた。JR総連は真っ先にその先兵になり、国労もそれを受け入れた。
 こんな合理化攻撃は、動労千葉がのめるものではない。しかし定年間際の組合員の生活は深刻な問題だった。涙を流して脱退していく組合員と必死になって討論し、生活を確保し、団結を再強化する闘いを積み重ね、4年目にようやく脱退者が出なくなったという(『コミューン』10月号参照)。この闘いをとおして全国で千葉だけが検査・修繕職場の外注化を阻止する大勝利をかちとったのだ。
 これに対して、シニア協定と闘わず外注化を許した国労本部は屈服を深め、資本と国家権力に依存して延命する路線に一層のめりこんだ。1047名闘争への裏切り、切り捨てがこの時期からより露骨になっていった。
 動労千葉が国鉄分割・民営化と唯一ストで闘い、現在も第2の民営化攻撃と闘っていることは、世界の労働運動との信頼関係を強めている。民営化・規制緩和といかに闘うかが、世界のすべての労働運動が直面する厳しい課題だからだ。
 ここから、ILWU(国際港湾倉庫労働組合=西海岸の港の組合)のローカル10(第10支部)や韓国民主労総の動労千葉への信頼が生まれ、03年11月集会は、3労組共闘と3カ国の労働組合の連帯集会として行われることになった。

 戦時下に職場で闘う

 職場の闘いは、小泉構造改革との闘いだった。また、これは01年「9・11」以後の「対テロ」の名によるアフガニスタン・イラク侵略戦争、グローバルな大戦争の開始との闘いでもあった。
 日本帝国主義は、改憲と戦争に突き進まなければ延命できない。しかし、生産と交通を担う労働者が団結して闘っている状態を放置しておいては、改憲・戦争はできない。だから労働組合つぶしの攻撃が激化する。
 動労千葉は、03年の3・20イラク侵略戦争開戦の直後に72時間の春闘ストライキを打ち抜いた。この知らせは全世界をかけめぐり労働者の闘いを圧倒的に激励した。
 アメリカでは、「9・11」以後の排外主義のすさまじい重圧の中で労働運動は苦闘していた。ILWUの02年の労働協約更改闘争では、「港湾での労働争議はテロを利する」とリッジ国土安全保障長官がILWU委員長を直接恫喝するなど、政府があらゆる圧力をかけた。ILWUはこれまで全米で最も戦闘的階級的な闘いをしてきた組合だ。ベトナム戦争時に他の労組がほとんど戦争賛成ないし沈黙していた中で唯一反戦闘争をしている。このILWUさえ、この「対テロ戦争」下の重圧の中では、後退した新協約を締結してしまったのだ。
 この時、全世界3000万人の巨大デモの力を職場でいかに発揮していくかがが問われていた。労働者が職場支配権を確立し、貫徹すれば、帝国主義は戦争などできないと誰もが感じていた。この世界の労働者の希望を体現したのが動労千葉だった。

 動労千葉の団結の心棒

 日本の6000万人の労働者は、どんな職場にいても構造改革の攻撃を受けている。格差社会はその結果だ。
 民営化・規制緩和は公務員だけの問題ではない。ここに全労働者階級への攻撃の軸がある。労組破壊が民営化・規制緩和の核心だ。そして、社会保障の破壊などあらゆる生活破壊も、介護保険導入(介護の民営化)、医療制度・年金制度の改悪を始めとして〈民営化・規制緩和〉攻撃として貫かれるのだ。
 資本と国家は、こうした攻撃を「国際競争力のた強化」を振りかざして行う。また「国益」「祖国防衛」を振りかざす。
 しかし、アメリカの、韓国の、全世界の労働者がわれわれの仲間であり、ともに団結して闘っていることが実感された瞬間、「民営化・規制緩和」「国際競争力」「国益」「祖国防衛」のイデオロギーは一挙に吹き飛ばせる。労働者の力に圧倒的な自信がわいてくる。
 国際連帯は職場の仲間と団結する力だ。国際連帯は資本と闘うための心棒なのだ。動労千葉は職場で闘ってアメリカ、韓国の仲間に信頼され、国際的団結をつくった。
 職場で闘って11・5日比谷に結集しよう。民主労総の仲間、ILWUの仲間、AMFA(アメリカ航空整備士組合)の仲間と具体的に顔の見える団結をつくり、職場の力関係を変えていこう。

 11・5が戦争への回答

 全世界で資本主義、帝国主義への労働者の怒りが煮えたぎり、戦後以来の大闘争が爆発している。韓国民主労総は巨大な11月ゼネストに向かっている。アメリカの移民労働者は1000万人のデモと職場ボイコットに決起した。フランスの300万人の労働者・学生の決起はCPE(初期雇用契約)を粉砕した。
 新たな革命的激動が開始された今、日米帝国主義は北朝鮮侵略戦争策動を一挙に強めている。北朝鮮スターリン主義の反人民的・反プロレタリア的な核実験につけこんだ帝国主義の侵略戦争への突進に対する労働者階級の回答は、国際的に団結した闘いだ。
 帝国主義のものすごい軍事重圧、体制転覆の圧力に対して、”労働者が勝てるはずない。帝国主義に対抗するには核しかない”として国際プロレタリアート・被抑圧民族人民の反帝国主義の闘いを踏みにじるスターリン主義反革命を許してはならない。
 仲間との団結に確信をもった労働者は必ず勝利する。職場の仲間と一緒に11・5を闘おう。

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週刊『前進』(2268号5面1)(2006/10/30)

 11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う

 米韓の最強労組が訪日

 民主労総 結成11年で80万組合員 ”世の中を変えるゼネスト”

 ソウル地域本部から多数の組合員が参加

 11月5日、東京・日比谷野外音楽堂に今年も韓国から民主労総ソウル地域本部の労働者たちがやってくる。
 民主労総は、来る11月12日にソウルの光化門通りで開催される全国労働者大会に史上空前の20万人の結集を呼びかけている。その場で11・15無期限ゼネスト突入を宣言する計画だ。スローガンは「世の中を変えるゼネスト」。
 そのかつてない激闘の最中に民主労総ソウル地域本部から数十人が来日し、動労千葉、全日建運輸連帯関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の呼びかける11・5労働者集会に参加する。アメリカからもILWUやAMFAという世界に冠たる闘う労働組合がやってくる。なぜか?
 日米韓の最も階級的な労働組合が合流する11・5の中に労働者階級の未来を開く力があるからだ。
 昨年11月6日、民主労総ソウル地域本部の19人の代表団とともに日比谷野音の壇上に立ったコジョンファン本部長は力強く宣言した。「超国籍資本の収奪が行われているすべての場所で労働者階級の国際的団結の旗をはためかせましょう」
 その1週間後、動労千葉の田中康宏委員長は日本から100人余の動労千葉派遣団とともにソウルを訪れた。民主労総の全国労働者大会前夜祭で「労働者が置かれた現実は日本でもまったく同じ」と訴え、民営化、非正規雇用化、組合つぶし、戦争と闘うことを宣言し、民主労総への熱い連帯を込めて派遣団全員で「鉄の労働者(チョレノドンジャ)」の律動を行った。
 世界では帝国主義による戦争と民営化攻撃が吹き荒れている。しかし、イラク侵略戦争はアメリカの思いどおりになったのか? ノー! 北朝鮮の核実験やミサイル発射を口実に朝鮮半島を戦場にしようと日米帝はしゃかりきになっているが、うまくいくのか? 絶対ノーだ。国境で分断された労働者階級がその分断を超えて合流し、ともにスクラムを組んだら圧倒的な軍勢になる。顔の見える同志たちとの力ある国際連帯こそ、労働者階級の最強の武器だ。

 チョンテイル烈士の遺志を継承して誕生

 民主労総(KCTU)は正式名称を全国民主労働組合総連盟という。今年4月に全国公務員労組14万人が民主労総に加盟した結果、組合員数80万人となり、名実ともに韓国第一の労働運動のナショナルセンターとなった。これまでは組合員数で御用労組である韓国労働組合総連盟(韓国労総)の方が多かったが、ここで逆転した。
 日帝の植民地支配からの解放をかちとった45年8月15日以降、朝鮮半島はアメリカ帝国主義とソ連スターリン主義を両軸とする戦後世界体制の矛盾の集中点となった。
 朝鮮半島は38度線で南北に分断された。50年に始まった朝鮮戦争は21世紀の今も「休戦中」なのだ。そして今、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国をめぐる日米帝国主義の侵略戦争政策による軍事的緊張の真っただ中にあるのだ。
    *
 1970年11月13日、ソウルの平和市場(ピョンファシジャン)。
 裁断工として働いていた22歳のチョンテイル(全泰壱)は、自らの身を炎で焼きながら「われわれは機械ではない! 勤労基準法を守れ! 日曜日は休日にせよ!」と叫んで自死した。
 天井の低い屋根裏のような仕事場。ミシン工補助として1万2千人もの幼い少女たち(13〜17歳)が酷使されていた。1日13時間を超える労働、月平均28日働いて平均給料は3千ウォンという低賃金だった。
 チョンテイル烈士の遺志を継承し、脈々と闘いぬかれた自主的で民主的な労働組合運動は、87年労働者大闘争をターニングポイントに主流に躍り出る。
 そして95年11月11日、労働者こそが「生産の主役であり、社会変革と歴史発展の原動力である」と高らかにうたい、民主労総が創立された。
 しかし97年、アジア経済危機が韓国に波及、韓国経済はかつてない危機に直面する。12月の大統領選挙で勝利したかつての民主化闘争の旗手・キムデジュン(金大中)の初仕事こそ、IMF(国際通貨基金)信託統治の受け入れだった。このもとでIMF構造調整という名の一大資本攻勢が労働者人民を襲った。賃下げと整理解雇の嵐が吹き荒れ、街頭には数百万人の失業者があふれた。IMF管理体制は韓国社会を激変させ、1500万労働者の6割を超える大量の非正規職労働者を生み出した。
(写真 「資本・政権との密室野合」などを掲げ、ロードマップ合意を弾劾し、労働部長官解任を要求する民主労総ソウル本部の組合員ら【9月12日 ソウル】)

 非正規職労働者の闘いが情勢を動かす

 ノムヒョン(盧武鉉)政権は今年9月11日、韓国労総の裏切りをテコに労使関係法制度先進化方案(労使関係ロードマップ)を密室合意した。韓国労総が強く抵抗してきた「労組専従賃金支給禁止」の実施を3年猶予するのと引き換えに中小零細事業場で働く非正規労働者たちの悲願であった「複数労組許容」実施をも3年後に引き延ばすというのだ。昨年来の懸案である非正規職関連法案阻止とともにロードマップ阻止が緊迫した闘争課題となった。
 82日間に及んだポハン(浦項)地域建設労組のストライキ、3月1日以来、ストを続ける鉄道労組KTX乗務支部の闘いを始め、激烈な非正規職労働者の闘いが全情勢を動かしてきた。
 公共部門の民営化を進めるノムヒョン政権と全国公務員労組との攻防は激烈に進んでいる。
 ノムヒョン政権は、今年2月に施行された公務員特別法に従って設立申告をしない労組の事務室を閉鎖すると宣言し、9月22日未明から全国一斉に行政代執行に出た。公務員労組251支部のうち50支部の事務室を閉鎖、事務室に立てこもって抵抗した組合員を強制連行するという暴挙を働いたのである。
 ノムヒョン政権は原則的に闘いぬく全国公務員労組に対し「国家に挑戦する不純勢力」と公言、さらに「民主労総はガンのような存在」と言い放つに至った。もはやノムヒョン政権と、闘う民主労総の共存はない。
 民主労総は現在、80万全組合員によるゼネスト賛否投票を実施している。11・11〜12全国労働者大会をゼネスト総決起大会としてかちとり、11・15をもって全教組と鉄道労組を除いた全労組がゼネストに突入する。ゼネスト7日目の22日には全教組1万人が年次休暇闘争で合流、鉄道労組もゼネストに入り、40万ゼネストを実現するという方針だ。さらに22日から日曜ごとに民衆総決起闘争を開催、韓米FTA(自由貿易協定)阻止闘争とピョンテク米軍基地拡張阻止闘争、反戦平和闘争を結合し、ノムヒョン政権打倒に向かう。
 国境を超えた労働者の国際連帯が地球の未来を開く。11・5日比谷野音に集まった1万人の力で未来をつかもう。

 AMFA ストはすでに14カ月 半数解雇に団結して闘う

 米でもっとも戦闘的階級的な労組が参加

 アメリカからは二つの労働組合が参加して発言する。
 一つはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10(第10支部)。
 ランク・アンド・ファイル(一般組合員)の討論と闘いを重視したアメリカで最も民主的で戦闘的階級的な組合だ。中でもローカル10はイラク侵略戦争の開戦直後の03年4月、サンフランシスコ湾のオークランド港の軍需物資輸送阻止闘争を闘った。
 そして、それへの警察の襲撃とジャック・ヘイマン執行委員らの逮捕・起訴を跳ね返したばかりか、今年3月には弾圧に対する損害賠償裁判で完全勝利している。
 現在は、フェリー路線の入札、海運会社の入れ替えによってILWU船員部門の組合員を丸ごと非組合員で置き換える攻撃と総力で闘っている。
(本紙第2262号)
 もう一つは、昨年の8月20日から14カ月にわたってストライキを継続しているAMFA(アメリカ航空整備士労組)だ。AMFAは、ユナイテッド、ノースウェストなど7つの航空会社の整備士を中心とした約1万4千人の組合だ。そのうちのノースウェストの組合員に大攻撃が襲っている。
 ノースウェスト航空は昨年8月に更改される労働協約交渉で、AMFA所属の整備士、清掃・用務員4400人の半数を解雇し、さらに賃金を25%カットし、医療・年金も破壊するという攻撃をかけてきた。
 これはAMFAを根こそぎ破壊するための意識的な労組破壊攻撃だ。資本は、用意周到にスト破り要員を雇い、1年前から訓練していたのだ。そして、会社側は9月11日、連邦破産法第11条の申請を行った。これは日本の会社更生法や民事再生法にあたる。
 IAM(国際機械工組合)など、航空産業の他の多くの労組は、「会社再建に協力しなかったら元も子もない」「こんな時にストライキをするのは間違いだ」とAMFAを攻撃した。
 会社の経営危機、倒産を前にし、資本と他労組の攻撃に直面する中でAMFAは、労資協調の屈服路線ではなく、労働者の団結と闘いを対置する道を選択した。
 「しばらく一緒に働いただけでも友人になる。何十年も一緒に働いたら家族同然だ。ノースウェスト航空が『家族』の過半数を解雇する提案を出してきた時、当然そんなことは受け入れられないし、われわれ全員の雇用を守るために闘いたいと思った」(スティーブ・マクファーレンAMFA本部副委員長)
 もし昨年8月の時点で半数解雇の会社側提案をのんでいたらどうなったか。組合の団結は完全に解体されていたに違いない。そして、かさにかかった攻撃にさらされていたはずだ。
 現に、IAM指導部がレイオフ(事実上の解雇)提案を受け入れたとたん、組合員は生活の困窮ばかりか見せしめ的な屈辱さえ味わわされた。会社はIAM組合員に「子どもの服はお下がりをもらえ」「ゴミの中から必要なものを取ることをためらうな」と書いたパンフレットを送りつけてきた。そうすればレイオフ手当だけで暮らせるはずだというのだ。
 またノースウェストは、倒産を理由にしてすべての労働組合との労働協約を破棄する攻撃に出てきている。

 業務丸ごとの外注化攻撃で安全切り捨て

 ノースウェストのハブ空港であるミネソタ州のミネアポリス・セントポール空港にAMFAローカル33がある。ここが今回のAMFAノースウェスト・ストライキの最大拠点だ。
 スト前から、この空港では、外注化にともなって事故が頻発していた。
 04年には、外注化反対と安全確保のためのピケット闘争を構えたことに対して、資本は処分の恫喝をし、ローカル33との激突が始まっていた。
 05年3月には、空港でブレーキの部品が爆発する事故が発生した。エンジンなどにぶつかれば大惨事だ。ところが会社側は、外注化が安全を害していることを外部に公表したら処分するという警告書を出したのである。
 これを振り切り、ローカル33のテッド・ルードウィッグ委員長は、50人の組合員とともに州議事堂で記者会見した。
 ルードウィッグ委員長は、整備の外注化によって旅客と乗務員の安全が脅かされているのに、ノースウェスト航空は05年に900人の整備士をレイオフして外注化をさらに進めようとしていると訴え、外注化には首をかけて闘うと決意を述べた。
 またAMFAローカル33は、ノースウェスト航空がいくつかの飛行機格納庫=検査・修繕工場を閉鎖し、業務を丸ごと外注化することに対して、空港拡張計画反対の闘いを貫いた。
 会見後、会社側はルードウィッグ委員長を60日間の停職処分にした。ローカル33と全国のAMFAの仲間は、この不当処分を弾劾して闘った。
 ノースウェストに限らず、現在、すべての航空会社の合理化は外注化を軸にして行われている。
 AMFAは、この外注化を航空労働者の命運がかかったものと位置づけ、外注化反対闘争を闘っているのだ。
 整備の外注化は必ず安全を犠牲にする。資本は、整備外注化でコストを徹底的に削って利潤をあげようとする。だが、旅客によって成り立つ企業である以上、安全問題は企業の死命を制する問題でもある。
 そして地上職の組合であるAMFAにとって安全問題は、乗務員の労働運動との連帯を形成する決定的ポイントでもある。だからAMFAのメインスローガンは「空の安全は、地上の質の高い整備から」なのだ。
(写真 誘導路に飛び散った部品を手に外注化による安全崩壊を指摘するAMFAローカル33のルードウィッグ委員長【05年3月18日】)

 資本主義の根本に迫り活路を切り開く

 1978年のカーター政権の航空規制緩和法は、アメリカの民営化・規制緩和の始まりだった。凶暴きわまる労組破壊を軸とした航空業界の嵐のような大再編の開始だった。連邦管制官労組(PATCO)が壊滅させられ、最大手の航空会社パンナムが破産した。
 だが、この四半世紀にわたる航空再編も結局は再び破綻(はたん)に行き着いた。現在、アメリカの大手航空会社7社のうち4社が連邦破産法11条を申請している。
 すさまじい航空産業の危機の中で、合理化・外注化が激化し、倒産攻撃が行われているのだ。
 アメリカ資本主義全体の危機の中で、企業の破産を居直り、むしろそれを武器にして労働者に襲い掛かる攻撃が激化している。航空、自動車、鉄鋼、IT関連などの多くの労働組合に工場丸ごとの大量解雇や賃金の20%、50%カット、労働協約の全面破棄、医療・年金の全面カットなど、従来の延長ではない大攻撃が襲っている。
 このような全米的な状況の中で、不屈のAMFAストが闘われているのだ。〈破産した資本など倒してしまえ〉という闘いの端緒的な開始を示している。
 企業防衛、祖国防衛の立場に立って仲間を売り渡し、際限なく生活と命を搾り取られるのか、それとも団結し資本主義を打倒する立場で仲間とともに生きる道を切り開くのかが問われる時代が始まったのだ。

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