ZENSHIN 2006/05/29(No2247
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週刊『前進』(2247号1面1)(2006/05/29)
共謀罪粉砕・教基法改悪阻止 国会決戦に立とう
改憲阻止・4大産別決戦勝利へ
米軍再編に全国で大反撃を
5・14沖縄県民大会に3500人 (5月14日 宜野湾市海浜公園野外劇場)=記事へ、3面関連記事へ
小泉政権による米軍再編攻撃との対決と並んで、国会攻防が重大化している。5〜6月国会闘争に4大産別の労働者を先頭に総決起することを訴えたい。
今国会での教育基本法改悪、共謀罪新設、入管法改悪、改憲への国民投票法案提出策動、さらに行政改革推進法案や医療制度改悪などの攻撃は、その一つひとつが戦争と改憲に直結する大攻撃だ。労働者階級の団結を破壊し、戦後的諸権利を奪って、国家と社会の戦時体制への転換をあらゆる側面から推し進めて、改憲への外堀を完全に埋めることを狙う攻撃だ。
政府・与党はすでに4月20日に行革推進法案や市場化テスト法案を衆院通過させ、5月17日には入管法改悪案の参院可決・成立を強行した(6面参照)。18日には医療制度改悪案の衆院通過を強行。続いて共謀罪の衆院通過と今国会での成立をなんとしてもこじあけようとしている。教基法改悪案の衆院特別委員会での審議も5月16日から開始された。国民投票法案の国会提出も目前に迫っている。
さらに、5月17日法政大学文学部当局は、3人の学生への不当きわまりない退学処分を発動した。3・14弾圧への怒りの拡大におびえた法大当局と公安警察による、大学のファシスト支配を狙う攻撃そのものだ。
第1章 労働者の決起と反撃が拡大
だが、こうした矢継ぎ早な一大反動攻勢こそ、小泉政権と自民党の追いつめられた姿と絶望的な焦りを示すものだ。帝国主義の危機のもとで日帝の資本家階級は、労働者からもはや最低限の生活も、命さえをも奪い、侵略戦争に駆り出す以外になくなっている。これへの怒りがあらゆる制動を打ち破って大爆発することを、彼らは心底から恐れて反動攻撃に必死なのだ。
逆に、ここで労働者や学生、人民がこれらの攻撃と真正面から対決して全力で決起するならば、改憲阻止への巨大な突破口が切り開かれることは確実だ。この5〜6月の闘いこそが決定的だ。すでに多くの労働者人民が連日、国会前にかけつけている。
特に、共謀罪への労働者人民の大反撃が急速に拡大している。この間の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の決起を始め、動労千葉、全国金属機械港合同の闘う3労組の国会前への登場は圧倒的な注目を集めている。連合中央の改憲勢力化を根底から粉砕し、のりこえていく力がここにあるのだ。教育労働者による座り込みも始まった。
第2章 労働組合破壊を狙う共謀罪
フランスを始めとした全世界の労働者の闘いに続き今こそ小泉打倒へ、反動法案粉砕へ闘う時である。
何よりもまず共謀罪は、「現代の治安維持法」と呼ばれるとおり、戦争に反対するあらゆる運動と組織を根こそぎ弾圧することを狙った法案だ。かつての治安維持法がそうだったように拡大解釈によって無限にその対象を広げ、敗戦で廃止された特高警察(思想警察・秘密警察)の完全な復活をもたらす、改憲と完全に連動した攻撃だ。
しかも日帝・小泉は今日、これを何よりも労働組合解体の武器として制定しようとしている。労働組合が資本に対して団結して行動を起こすことが、片端から共謀罪による弾圧の対象となるのだ。まさに労働組合に「死」を宣告する法案だ。4大産別を先頭に、闘う労働者こそが国会闘争に決起し、共謀罪を廃案に追い込もう。
第3章 愛国心教育は「職務」と小泉
さらに教育基本法改悪との闘いは、共謀罪阻止の闘いとともに、この国会決戦全体の天王山だ。教基法改悪の本質は、かつての軍国主義教育の反省の上につくられた現在の教育基本法を廃止し、再び「国のために命を捨てる」ための教育をすべての教育労働者に強制しようとするものだ。教基法に「愛国心」を盛り込む最大の狙いはそこにある。
現に小泉首相は国会答弁で、改悪案が成立すれば、子どもたちに「国を愛する態度」をたたきこむことは教員の「法令等に基づく職務上の責務」となり、拒否できないと明言した。また小坂文科相は、国家権力の不当な支配を排した現行教基法第10条の意味を180度ひっくり返し、「国民全体の意思とは言えない一部の勢力」の教育への介入を阻止することが改悪の核心だと言い放った。「教え子を戦場に送るな」を掲げてきた日教組の解体と、教育労働運動の圧殺こそが目的だと公言しているのだ。
こんなことを許したら、教育労働者はもはや「教育」の担い手ではなくなり国家権力のロボットになるしかない。しかし日教組30万を先頭に、全国の教育労働者が怒りを爆発させて職場から続々と決起すれば、こんな攻撃など労働者の実力で一瞬にして粉砕できる。「日の丸・君が代」の強制に対する現場労働者の断固とした不起立闘争が、都教委の10・23通達を完全破産に追い込んだのをみれば明らかだ。今こそすべての教育労働者が一人残らず総決起し、教基法改悪を必ず阻止しよう。
ところが日教組本部は、この重大な時に闘争放棄を決め込むばかりかとんでもない屈服と大裏切りに走っている。民主党が「与党案に対抗する」と称して作成した対案は、「日本を愛する心」や「宗教的感性の涵養(かんよう)」を前文に盛り込み、現行第10条の「不当な支配」の文言を削除するなど、与党案以上に反動的な、極右ファシスト勢力の主張をそのまま取り込んだ代物だ。この民主党案作成には日教組系議員のみならず、日教組の森越委員長が同席して対応を協議し、これを丸ごと容認した。許し難いことだ。
もはや、こんな日教組本部に全国の教育労働者の未来をゆだねておくことは断じてできない。一切を決めるのは、現場労働者の職場からの不退転の決起である。本部の屈服をのりこえて、全国のブロック、単組、職場でがんがん闘いを組織し、国会に駆けつけ、国会を包囲する座り込みや集会・デモをやりぬこう。
組合の枠を越えた全教育労働者の力の総結集と、ともに闘う巨万の人民の決起をつくり出して闘おう。
第4章 改憲阻止闘争を正面課題に
この教育労働者の一大決起を先頭に、4大産別の労働者が今こそ改憲阻止の闘いを自らの死活のかかった正面課題として取り組もう。それが共謀罪を始めとする他の全反動法案をも最終的に粉砕するかぎだ。
小泉の国会延長策動を許さず5〜6月国会闘争を大爆発させよう。法政大での決戦に勝利しよう。
米軍再編粉砕・基地撤去の闘いの大高揚をつくり出そう。
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週刊『前進』(2247号1面2)(2006/05/29)
共謀罪 採決強行を阻む
“共謀罪を廃案に追い込むぞ”! 強行採決が切迫した19日には300人を超える人々が国会前に駆けつけた(5月19日 衆議院第2議員会館前)
「本日も共謀罪法案の強行採決を阻止しました!」 勝利の報告に、国会前で座り込んでいた仲間から大きな歓声が上がった。5月19日、衆議院法務委員会での共謀罪法案強行採決をまたもや阻止したのだ。
4月21日の与党単独での審議強行から1カ月、共謀罪反対の声は爆発的な勢いで広がっている。ここで強行採決に踏み切ったら、終盤国会がどうなってしまうかわからないと恐怖した政府・与党が、衆議院議長裁定という異例のかたちで採決を持ち越したのだ。
この日も国会前には300人を超える労働者・学生・市民が駆けつけ、終日の国会闘争を闘い抜いた。午後3時からの総括集会には270人が参加し「永久に葬り去るまで闘おう!」と団結を固めあった。
次の法務委員会審議日は23日(火)、24日(水)、26日(金)だ。今週が勝負だ。さらに国会前に集まろう。共謀罪法案を廃案に追い込むまで全力で闘おう!
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週刊『前進』(2247号1面3)(2006/05/29)
“新基地阻む”と気勢 青年労働者が大挙立つ
5・14沖縄県民大会に3500人 (5月14日 宜野湾市海浜公園野外劇場)=関連記事へ
本土復帰から34年、5月12日に出発した5・15沖縄平和行進には延べ7千人が参加し、「新基地の建設反対」「憲法改悪許すな」と島内を歩き抜いた。14日夕に宜野湾市海浜公園野外劇場で開催された「5・15平和とくらしを守る県民大会」(同実行委員会主催)には3500人が結集し、新基地建設案に怒りのこぶしを突き上げた。
「この国はどこへ向かっているのか。教育基本法を変え、共謀罪や改憲と戦争のできる国へひた走っている」と副実行委員長の松田寛さんが開口一番指摘した。さらに在日米軍再編の最終合意は、自衛隊と米軍の一体化、沖縄を東アジアをにらむ軍事的最前線にすると批判した。
普天間飛行場がある宜野湾市の伊波洋一市長は、在日米軍再編によって朝鮮半島での戦争で沖縄が前線基地になると強い危機感を示し、08年までの普天間の返還、住宅地上空の飛行停止を求めて「国民的な運動」を呼びかけた。
ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「辺野古の2年間の闘いは、海を殺し、アジアの人びとを殺す基地を止める闘い。国の政策がいつも正しいわけではない」と述べた。「国はいつも間違っている」と会場からの声が飛んだ。
政府案に合意した稲嶺知事の裏切りと屈服に強い非難が集中。秋の知事選で勝利し、来年の県民大会には自分たちの知事を迎えようとの声があがった。
会場には沖縄県内3コースからの平和行進団が次々と結集。憲法と教育基本法の改悪反対や辺野古沿岸移設反対などのゼッケンやTシャツの沖縄県民や労組員で埋まった。全国各地の組合旗やのぼりが翻る。半数が20代、30代の青年労働者だ。ステージの前では辺野古の「命を守る会」が存在感を示した。
沖縄労組交流センターが「これから本格的闘いが始まる」「直接行動、実力闘争が勝利を開く」と訴えるビラを配布、10万人県民大会と全島ゼネストを提起。
オープニングライブではロック歌手の喜屋武マリーがステージに立った。
5・15闘争の意義
1972年5月15日から34年、基地の島=沖縄の永久固定化を図ったペテン的「返還」のもとで、いまだ日本の面積の0・6%の沖縄県に在日米軍専用施設の約75%が集中する。30年余を経て、5月1日に日米両政府が合意した在日米軍再編の最終報告は名護市辺野古崎への新基地建設や嘉手納基地などの自衛隊との共同使用を盛り込んだ。沖縄県民が願う「基地のない平和な沖縄」にはほど遠い。
沖縄県の稲嶺知事は5月11日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古崎への移設計画(キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の滑走路を2本建設する)について「政府案を基本」に対応することで合意した。
小泉政権は、沖縄県民の声を完全に踏みにじって、恫喝と懐柔で名護市長や稲嶺知事を屈服させ、基地建設を強行しようとしている。教育基本法の改悪や共謀罪新設、国民投票法案など、戦後の日本のあり方を暴力的に転覆する攻撃をかけている。しかし、各種世論調査では沖縄県民の8割が新基地建設に反対の意思を示している。
海上案を阻んだ地元の住民や労働者は「V字沿岸案」を阻む決意を固めている。今年の5・15沖縄闘争はこうした攻防のただ中で闘われた。
新基地建設をめぐる闘いは5・15闘争をもってあらためて本格的に始まった。稲嶺知事の合意=裏切りは闘いの終わりではない。名護市長と稲嶺知事のウソとペテンが白日のもとに明らかになり、対決構造は単純明快になった。そして、沖縄県民の怒りが稲嶺をのりこえて、日本帝国主義に向かうのは不可避だ。
人民の直接行動、実力闘争こそ、この事態に決着をつける。労働者階級の階級的決起で沖縄の歴史を変革する闘いが必要だ。全島ゼネストが真剣に討論される時代に入った。韓国では米軍再編に対して1000人が立てこもり数百人の逮捕にもひるまず闘っている。フランス、イギリスで数百万人のゼネストとデモが闘われている。本土−沖縄を貫き、米軍再編粉砕、「V字沿岸案」粉砕へ闘おう。
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週刊『前進』(2247号1面4)(2006/05/29)
迎賓館・横田爆取弾圧裁判
高裁が無罪破棄の逆転判決
まったくデタラメな超反動判決だ! 5月19日、1986年の米軍横田基地と迎賓館へのロケット弾戦闘を理由に、無実の須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に加えられた爆発物取締罰則デッチあげ弾圧の控訴審判決公判で、東京高裁・中川武隆裁判長は、一審無罪判決(04年3月25日)を破棄し、東京地裁に差し戻した。1月16日に検察側の証拠請求を却下し、即日結審したにもかかわらず、何一つ審理なしに「共謀を推認できる」とした。3被告と弁護団は直ちに上告した。全力で反撃し、無罪をかちとろう。
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週刊『前進』(2247号2面1)(2006/05/29)
教基法闘争 国会前に労働者の怒り
日教組組合員が連日立つ 本部の屈服つき破る気迫
教育基本法改悪案が5月16日から衆議院で審議入りした。この日、本会議で改悪案の趣旨説明と質疑が行われた。連日、日教組組合員を先頭に国会闘争が闘われている。教基法改悪は、現行教基法の全面破棄であり、憲法改悪の先取り攻撃であり、侵略戦争へ国民を総動員していくための戦争国家への大転換をかけた攻撃である。そのために教育労働運動を弾圧し、日教組の解体を狙っている。教育労働者を先頭に全国で集会・デモ、街頭宣伝を繰り広げ、今国会での成立を絶対に阻止しよう。
(写真 連日、国会前で日教組組合員の座り込みと抗議行動が続けられている。衆議院本会議で趣旨説明が行われた16日には、関東ブロックの組合員が結集し闘った)
国会前には、連日、日教組組合員や都教委包囲ネット、被処分者の会の教育労働者らが詰めかけ、教基法改悪阻止へ闘いぬいている。16日は、日教組の関東ブロック各県から組合員が駆けつけ、国会前座り込みが行われた。群馬、神奈川、埼玉、千葉、山梨、静岡などの組合員が地元での取り組みと改悪阻止の決意を表明した。
この日、衆議院本会議での質疑・答弁の中で小泉は、「わが国と郷土を愛する態度を養う」ことは、改悪案が成立すれば「法令等に基づく職務上の責務」となると述べた。これを拒否すれば教職員を処分するということである。さらにまた、子どもたちへ愛国心を強制することは、「思想、良心の自由の侵害にはならない」と言ったのだ。
戦前の歴史が示すとおり、「愛国心」教育とは戦争教育の代名詞であり、「お国のため、天皇のために死ね。命をささげよ」と教え込むことである。こうした戦前の教育のもとで、大勢の若者たちが侵略戦争に動員され、アジア人民を虐殺し、自らも戦場で死んでいったのだ。小泉と政府・自民党は、今、日本帝国主義の未曽有(みぞう)の危機のもとで、一握りの帝国主義者の利益のために、再び若者たちを戦争に動員し犠牲にしようとしている。こんな教基法改悪を、どうして許すことができようか。
しかも制定以来59年間、「教育の憲法」と呼ばれ、戦後教育の基本的あり方を規定してきた教基法を、延長しても会期わずか1〜2カ月の今国会で強引に成立させようとしているのだ。まともな審議もせず、議会制民主主義をも破壊するクーデター的な手法で押し通そうとしているのだ。
国家主義的な民主党「対案」
この与党案に対して、民主党が発表した「日本国教育基本法案」なる対案は、与党案をも超える超反動的な代物だ。@「公共の精神を大切にする人間の育成」「日本を愛する心を涵養(かんよう)し、祖先を敬い、子孫に思いをいたし」と「愛国心」を露骨に押しだし、A「宗教的感性の涵養」をうたって天皇制・天皇制イデオロギーの強要に道を開き、B現行第10条の「教育は不当な支配に服することなく」を削除して、与党案と同様に「政府が教育の進行に関する基本的な計画を定める」と、“国家による国家のための教育”を強烈に押し出している。
しかも、実に許せないことに、これほどにも国家主義丸出しの民主党案を、日教組出身の日政連議員や森越・日教組委員長が同席して、これを容認したというのだ。日教組中央は、ここまで腐りきっている。
この日教組本部に対して、現場組合員の怒りがあふれている。日教組本部の「国会に教基法調査会設置を求める請願署名」について、「取り組まない」という修正案が賛成多数で可決され、独自の「教基法改悪反対署名」に取り組むことを決定した単組もある。
6・2全国集会日比谷野音へ
大内裕和氏ら4氏が呼びかける「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は5月8日付の「声明」で次のように呼びかけている。
「『平和と平等』そして『人間の尊厳』を大切と考えるすべての人々に訴えます。今、あなたの場所から声をあげてください。そして、立場や考え方の違いをこえて、私たちの良心と意志を結集し、何としてもこの法案の成立を阻止しましょう」
呼びかけにこたえて、全国で総決起しよう。6・2全国集会(日比谷野音)&国会デモ(要項1面)の大爆発をかちとろう。
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週刊『前進』(2247号2面2)(2006/05/29)
大阪で弾劾のデモ 改悪案閣議決定に反撃
5月6日、教育基本法改悪法案の閣議決定を弾劾して、闘う教育労働者を先頭にした緊急行動が呼びかけられ、「日の丸・君が代」被処分者を先頭に90余人が結集、扇町公園から梅田までのデモが闘いぬかれた。
この日の緊急行動は、「日の丸・君が代」被処分者など闘う教育労働者を中心とした「みんなでとめよう!教育基本法改悪・全関西の集い実行委」が呼びかけ、5・3憲法集会実行委に参加した労働者・市民が結集した。
集会では、「日の丸・君が代」被処分者である元教育労働者が、集い実行委事務局として基調報告を行い、政府の教育基本法改悪案を徹底的に批判した。さらに現職の社会科教員が「教育基本法が変えられたら教育はどうなる?」と題して発言し、東京の事態が一気に全国化し「教え子を再び戦場に送ることになる」とリアルに訴えた。
続くリレートークでは、青年労働者が「もっと怒りを!」と訴えたのを始め、「日の丸・君が代」強制と闘ってきた保護者や部落解放同盟全国連の仲間などが次々と立った。最後に、教育労働者が「職場で日教組として組織を挙げた闘いを組織し、日比谷野音での6・2全国集会と6・4全関西の集いに総結集しよう」と行動を提起した。
デモが公園内を動き始めた時、サッカーをしながら集会に注視していた若者たち十数人が合流して、闘いは最高潮に達した。
大阪教組など各府県教組も、連合路線のもとではあるが、この非常事態を前に総決起集会やキャラバン行動などの方針を打ち出している。闘う教育労働者は、政府案以上に反動的でさえある民主党案を定期大会などで徹底批判しつつ、改悪絶対阻止を掲げて現場組合員に訴え、職場決起と国会闘争の先頭に立とう。
(写真 教基法改悪案の国会提出に対し関西の教育労働者は直ちに反撃の闘いに立った【5月6日 大阪・扇町公園】)
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週刊『前進』(2247号2面4)(2006/05/29)
動労千葉 “事故責任の転嫁は許さない” 処分粉砕へ緊急行動
JR東日本は、幕張車両センターで4月6日に起きた脱線事故を口実に、動労千葉組合員への重処分を狙っている。これに対し動労千葉は5月16日、「幕張車両センター構内事故への不当処分粉砕!運転保安確立緊急抗議行動」に立った。
午後6時、千葉市民会館に140人を超える組合員が結集し、総決起集会を開催した。田中康宏委員長が「絶対に事故責任の運転士への転嫁を許さない」と訴え、長田敏之書記長は「処分強行の場合はストも辞さない。全支部の闘いとして処分を粉砕する」と基調を提起した。
川崎昌浩執行委員は、この日の団交で幕張車両センター構内の主要個所にATS(列車自動停止装置)を設置すると当局に確認させたことを報告した。幕張支部の代表と当該の運転士が決意を述べ、全員がこれにこたえ闘う意思を固めた。
その後、動労千葉組合員はJR千葉支社前に移動し、「運転士への責任転嫁を許すな」「安全運転闘争への不当処分を撤回しろ」と抗議の声をたたきつけた。さらに、監視する職制の介入を許さず、千葉駅前で不当処分粉砕を訴える宣伝行動を貫徹した。
複雑な入換作業、出入区作業が行われる車両基地構内は、本線にも増して事故の起こりやすい職場だ。4月6日の事故も、かねてから危険性が指摘されていた個所で発生した。1963年の三河島事故以降、本線上にはATSが設置されたが、電車区構内にはそれもない。しかも、JR体制下で徹底した人員削減が強行された。事故の責任の一切は、ATS設置を求める労働者の切実な声を無視し続けてきたJRにある。
動労千葉は、運転士への処分が発令された場合、直ちに緊急闘争に立つ構えだ。この闘いを支え、当該運転士を守りぬこう。
(写真 仲間への重処分を絶対に許さない決意を込めて、勤労千葉組合員はJ R千葉支社に対し怒りのこぶLを突き上げた【5月16日】)
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週刊『前進』(2247号2面5)(2006/05/29)
共謀罪廃案へ白熱戦 労組先頭に総力の国会闘争
「共謀罪は絶対廃案!」 国会前には、衆議院法務委員会での強行採決を阻止するために、前の週をさらに上回る人たちが駆けつけた。連日、さまざまな集会が企画され、休む間もない連続行動が展開された。
(写真 共謀罪反対の声が爆発的に広がる中、500人が集まり熱気あふれる集会に【5月17日 東京・星陵会館】)
◇ ◇
5月14日には、有楽町マリオン前で国際共同署名運動が呼びかける大街宣が行われた。平日は国会前に来られない労働者も多数参加した。「共謀罪」という言葉に通りかかる人が鋭く反応する。ビラの受け取りも格段に増え、140筆を超える署名が集まった。
強行採決の危険が高まった16日には、夕方の国会前集会に230人が集まった。動労千葉、全日建運輸連帯(連帯ユニオン)、全国金属機械港合同などの労働組合や争議団連絡会議も参加した。関生支部はマイクロバス2台で関西から駆けつけた。連帯ユニオンは関生支部のほかに新潟や関東各県、東海地方からも組合員が駆けつけた。この日、南労会闘争の訴訟を終えた港合同は執行部を先頭に参加した。集会では各労組が「闘う労働組合が弾圧される」と危機感を表明し、「団結して廃案に追い込もう」と決意を述べた。
また、集会では日本ペンクラブが2度目の共謀罪反対声明を出し、岡山の6市町村議会、旭川市議会に続き、東京の小平市議会も共謀罪反対決議を上げる見通しであると報告された。
この日、議員会館前歩道には、教基法改悪に反対する日教組組合員、医療制度改悪案に反対する労働者、辺野古新基地建設に反対する人びとも座り込んだ。小泉政権のもとで進められる戦争と反動化、社会保障切り捨ての攻撃に、労働者人民の怒りが終日たたきつけられた。
17日昼には日弁連主催の院内集会が参議院議員会館で行われ、会場に入りきれない70人以上が集まった。また、午後には衆議院議員面会所で共謀罪に反対するNGO・NPOグループによる集会が行われた。
「まばたき」で共謀が成立?!
17日夜の「共謀罪反対!超党派議員と市民の緊急集会」(星陵会館)には、会場をぎっしり埋める500人の労働者・学生・市民が集まった。この間の共謀罪反対運動の爆発的な広がりを映し、熱気がみなぎった。
緊迫する国会から民主党・社民党・日本共産党の国会議員12人が参加し、共謀罪廃案への決意を表明。
保坂展人議員(社民党法務委員)は、16日の衆院法務委員会での法務省大林刑事局長答弁を紹介した。「目配せ」でも共謀が成立すると答弁してきた大林刑事局長に保坂議員が真意をただしたところ、「まばたきやうなずくという黙示の行動(はっきりと言わず暗黙のうちに意志や考えを示すこと)でも共謀は成立する」というさらに驚くべき答弁が飛び出したというのだ。無限大に拡大適用されていく共謀罪の恐るべき正体はいよいよ鮮明だ。
続いて、共謀罪に反対する表現者たちが制作した短編映画『共謀罪、その後』が上映された。この映画はネット上で公開されている(http://black.ap.teacup.com/kyobozaitv)。
集会の後半では、日弁連から前副会長の中村順英さん、山下幸夫さん、海渡雄一さんがあいさつ。表現者から日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長の篠田博之さん、NGO・NPOからグリーンピース・ジャパン、日本消費者連盟、さらに平和フォーラム、全労連、自由と生存のメーデー弾圧救援会の代表からの発言が続いた。
共謀罪反対のNGO・NPO共同アピールに190に及ぶ団体が賛同を寄せたことも報告された。
◇ ◇
自民・公明の与党は、数にものを言わせて暴力的に突破する姿勢を強めている。しかし、国会の議席数だけでは事態は決まらないことは、この間の国会攻防が示している。大衆運動の力、階級的な力関係こそが一切を決する。共謀罪を廃案に追い込むことは可能だ。さらに数十倍、数百倍する闘いをまきおこし、共謀罪法案を葬り去ろう。
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週刊『前進』(2247号2面6)(2006/05/29)
“絶対に阻止しよう” 国会前の怒りの声
▼大阪・門真市議会議員 戸田ひさよしさん
「共謀罪は近代国家と法律の土台を根本からひっくり返すものです。思想やしゃべっていること自体を裁いたらダメだというのは近代国家の根本でしょ。人と人とが一緒になって行動する、『共謀する』のが人間ですよ。労働組合は会議こそ中心ですからね。
あるスーパーの駐車場で、ガードマンさんがこの宣伝カーを見て「これは大変な法案だ。自分も大反対。ビラを配るからぜひくれ」と言ってきてくれた。どんどん声をあげて知らせていくことがほんとに大事だと思いましたね。
もっとどんどん地方議員も来なければいけない。国民投票法案とかいろいろ問題はあるけれども、ここで共謀罪制定を阻止すれば大きな反転攻勢のきっかけになる。新しい闘いの可能性が出てきているから権力はビビッてこんな法律をつくろうとしているわけです。『一点の火花、燎原(りょうげん)を焼き尽くす』という言葉がありますが、その前段階にいる。頑張っていきましょう」
▼憲法と人権の日弁連をめざす会 高山俊吉弁護士
「共謀罪は、犯罪の実行の手前の、手前の、手前、心の中にその思いを持つことを禁ずるという形で、人の心に文字どおり手錠をかけるものです。
犯罪というものは、犯罪が現実に実行されたときに処罰するということを基本構造にしています。それは人の心の中に踏みこんではいけないという考え方があるからです。この大原理、大原則をどうして踏みにじるのか。今こういう理屈が登場していることは、まさに戦争の時だということを意味している。だから治安維持法なんです。
治安維持法は、あの侵略戦争に突き進むためにどうしても必要な法律だった。戦争に反対することを犯罪とする構造が治安維持法によってつくられた。
日弁連も全国各地の弁護士会も共謀罪反対の決議を上げています。戦争の気配を感じている弁護士がいるからです。改憲に向けて大きな危険が迫っていることをみんなが感じている。
私の父親は、治安維持法違反で刑務所に入れられた人間です。治安維持法違反の父親と、同じように警察に捕まった母親の息子です。私の中にも、敵(かたき)を討たなきゃならんというものがある。弁護士は、どこまでも闘う人びととともに歩んでいく。そのことを最後に申し上げて決意の表明とします」
▼「メーデーでもらったビラで緊迫した国会情勢を知りました。私はもう退職したから動ける人がやれることをやらなければと駆けつけました。学校の職場は、今は話し合う場ではなくなっています。学校はもう教師が自主的につくるものではなくなってしまっている。ものすごく忙しくって何もできなくされている。やれる者が始めていかなければと、居ても立ってもいられない気持ちです」(元教育労働者、東京・女性)
▼「共謀罪は、首の根っこのところを絞めるもの。こんなものができたら他のどんなこともできなくなる。私は専業主婦ですが、私のようにゼッケンとか付けていない、できるだけ普段の格好をした人が座っていたら、通りかかった人も入りやすいんじゃないかとやっています」(横浜・女性)
▼「今ですら微罪逮捕、別件逮捕、違法逮捕が横行しているのに、これで共謀罪が可決されたらもっとひどい世の中になってしまう。大臣とか議員、閣僚、検察官、警察官、刑務官などなど、公務員の組織犯罪を撲滅してから審議してほしい」(フリーター、東京・男性)
▼「こんな法律を通したら日本は終わってしまうという危機感があって、連休明けから毎日傍聴に来ています。心の中にまで踏みこむのは絶対に許せない。教育基本法改悪とか盗聴法とかすべてがリンクしていて最後に改憲になって戦争の道に突き進んでいく。共謀罪が通れば一気にいってしまう。私は、共謀罪がもし成立したら捕まってやろうぐらいの勢いですよ。共謀しまくってやろう、と。」(NPO専従、東京)
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週刊『前進』(2247号3面1)(2006/05/29)
5・15沖縄 “連帯して沿岸案葬ろう” 新基地阻止へ怒りと決意
5・13 青年労働者が全国集会
5月13日夜、北谷町のちゃたんニライセンターにおいて「オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会 OKINAWA」が開催された。沖縄平和行進の最中の自治体労働者や教育労働者を始めとする青年労働者が産別・ナショナルセンターを越えて集まり熱気に満ちた集会になった。
(写真 8・6ヒロシマで再び全国交流集会を開くことを確認し団結ガンバロー【5月13日 沖縄県北谷町】)
最初に名護市辺野古で新基地建設阻止へ闘う青年が特別報告を行った。「沖縄県知事が沿岸案で基本的に合意し、名護市長を始め5市町村の長も合意しました。今、名護では市長の支持率が0%、沿岸案反対は87・6%。これが名護市民の答えです。私たちはリーフ上基地建設計画を完全につぶしました。だから今、『何度でも来てみろ、何度でもつぶしてみせる』という気持ちです。みなさんが沖縄の現実を地域で広めることが、沿岸案をもう一度とめる力になります。必ず基地建設をとめよう」。熱い訴えに、7万円を超えるカンパが寄せられた。
続いて琉球新報記者の松元剛さんが講演した。04年8月、米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した直後に、迷彩服姿の米軍兵士が大学を制圧、報道カメラマンを力ずくで排除して撮影を禁じた映像を上映。「米軍が『機体に指1本触れさせるな』と命じ、大学構内と建物を封鎖した。この校舎は一体、誰の物なのか! 東京で政治家が『不幸中の幸いだった』と言うたびに怒りがわく。どれだけ死者が出てもおかしくなかった」と弾劾した。さらに「政府は『V字形案の2本の滑走路で離着陸を分ける』と言うが、米軍はそんな合意はしていない。米軍が住宅上空を飛ばないわけがない。名護市民と沖縄県民の厳然たる反対の意思は7割を下回ることはない。この事実を本土に持ち帰り行動してほしい」。特別報告と講演を受けて、名護市長と沖縄県知事の大裏切りを徹底的に弾劾して、青年労働者が辺野古への新基地建設を阻止するために闘うことをしっかりと確認した。
2本の特別アピールが行われた。1本めは広島の教育労働者の「教育基本法改悪を阻もう」。「教基法に『国と郷土を愛する態度』が明記されたら、『日の丸・君が代』強制に反対する教育労働者は教基法違反です。第10条も改悪し、闘う教育労働者を排除しようというのです。現場組合員は闘わない日教組本部に怒っています。現場から日教組を変えるチャンスです。日教組を変え、教基法改悪をとめ、改憲を阻もう」
2本めは郵政民営化と闘う全逓労働者だ。「民営化で大幅な人減らしが進められようとしています。職場で闘うことが重要だ。分会運動を復活させたい。職場の仲間の怒りの声を聞いて要求をまとめ、労働条件を取り戻すために闘って労働組合をよみがえらせる。超勤を拒んだら郵便物はとまり、当局は大混乱する。そうすれば民営化はとめられます。団結して民営化と改憲をとめよう」。闘う労働運動をつくり出すため自分の組合・職場を変えようと奮闘する二人の発言に、大きな声援が飛んだ。
全国の青年労働者が次々と発言した。沖縄の教育労働者は「国は『伝統と文化を大切に』と言うが、かつて沖縄では『方言札』により方言が奪われた。皇民化教育の結果、チビチリガマでは自決の道を選んだのです。教基法改悪・憲法改悪に断固反対します」と述べた。四国の自治体労働者は「小泉の近隣諸国に対する態度は許せない。沖縄の基地問題にしても、沖縄県民の立場に立てばその苦しみがわかるはずです。平和な世界ができるまで頑張ろう」と呼びかけた。
東交の青年労働者は「合理化攻撃と新規採用のストップで青年部員は5年間で1000人から250人に激減した。この現実と闘い、東京で労組青年部運動をしている者として頑張ります」と述べた。山口県岩国市の青年労働者は「住民投票で89%の基地強化反対の意思を示し、4月の市長選では基地強化に賛成する候補をダブルスコアで打ち破った。名護の闘いに連帯し闘う」と決意を表明。
東京の医療労働者は「沖縄で学んだことを組合活動に生かそうと、青年を中心に参加しました。戦争をとめ、基地をつくらせないために闘います」と述べた。大阪の自治体労働者は「小泉が憲法9条を変えようとしているのは、世界中で戦争を行うため。自治体労働者や教育労働者の改憲反対運動を禁じる国民投票法の制定も狙われている。改憲阻止へ、全世界で起きている闘いを日本で巻き起こそう」と呼びかけた。職場・組合で全力で闘い、青年労働者の団結をつくり出している各地の労働者の発言に、大きな拍手がわいた。
最後に広島の教育労働者が「沖縄の闘いに連帯し職場・組合・地域で闘おう。国会に駆けつけよう。そして8月6日、ヒロシマでまた会おう」と呼びかけ、団結ガンバローを行った。参加した青年労働者は、労働者が団結して闘えば必ず勝てるという確信に燃えて、沖縄―本土を貫く青年労働者の団結で闘う労働組合運動をよみがえらせ、新基地建設と教育基本法改悪・憲法改悪を絶対にとめようと誓い合った。
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週刊『前進』(2247号3面2)(2006/05/29)
瀬嵩・辺野古を訪問 不屈の闘いに共闘誓う
青年労働者交流集会に参加した青年労働者と全学連の学生は15日、新基地建設と闘う名護市辺野古と二見以北の瀬嵩(せだけ)を訪問、座り込みなどに参加した。10年来の新基地建設の攻撃(海上案)を阻んだ辺野古現地の闘いと、新たに2本の滑走路の建設を狙う辺野古崎と大浦湾の様子を目の当たりにして、新基地建設阻止を職場や大学で呼びかけ、本土で責任ある闘いを広げることを誓った。
まず名護市東海岸北部の瀬嵩を訪問した。「ヘリ基地いらない二見以北10区の会」の共同代表の浦島悦子さんとジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長の話を聞いた。
瀬嵩は辺野古から見て大浦湾をはさんだ反対側の地域だ。防砂林を抜け、ビーチに出ると、エメラルドグリーンの海が目に飛び込んでくる。海上の向かって右手に見えるのがキャンプ・シュワブで兵舎など建物がいくつか見える。
(写真 海上に辺野古崎を望み(写真右上)、浦島さんと東恩納さんから話を聞いた【5月15日 名護市浦嵩】 )
沖縄差別の手口に怒り
浦島さんは、1997年に設立された10区の会の沿革を説明。仕事も生活もなげうって奮闘した名護市民投票(97年)の3日後に市長が受け入れ表明したことについて、住民の声が通じない憤りを語った。また小学校が廃校になり、若者の仕事がないことなど切実な現実を話し、沖縄差別に加え過疎の弱みにつけ込む政府の手口に怒りをあらわにした。そして「V字沿岸案で一番近い地元になった。みんなの力で基地を追い返したい」と闘いの決意を示した。
大浦湾や辺野古海域でエコ・ツーリズムを営んでいる東恩納さんは、ジュゴンとともに暮らす地域生活をつくりたいと語り、米国でのジュゴン訴訟にかけた気持ちを語った。「ここに来た以上はみなさんも当事者です。みなさんとつながっていきたい」と訴えた。
辺野古の浜で座り込みを行った。砂浜は大半がキャンプ・シュワブの敷地だ。白くきめの細かい砂浜に無神経に横たわる有刺鉄線の前に座り、辺野古の命を守る会の説明を聞いた。
那覇でチラシを受け取って辺野古のことを知り訪れた本土の青年が米兵から暴行を受けた事件、地元の女性へのレイプ未遂、住民に銃口を向ける米兵など、生々しい実話に驚く参加者に向かって、「海兵隊の兵士は、イラク戦争に参加し、イラク人をテロリストと呼び、人を人と思わなくなっている」と説明した。
座り込み小屋の前で命を守る会の金城祐治代表は「沖縄に何をしに来たのかをまず考えて下さい。戦争は人と人が殺し合い、悲惨な状況が生まれる。もう二度と戦争をしてはならない」と切実な気持ちをにじませた。「君たちがストップして下さい。今やらなければ死ぬまで何もできない」と激励。金城さんの音頭でガンバローを行った。
(写真 命を守る会の座り込み小屋の前であいさつする金城祐治さん【名護市辺野古】)
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週刊『前進』(2247号3面3)(2006/05/29)
沖縄の現実学び闘う 学生は那覇で交流集会
那覇市の沖縄青年会館で5月13日夜、全国学生交流集会が開催された。50人が参加した。
(写真 学生を前に「沖縄の現実を学んで闘ってほしい」と訴える桑江テル子さん【5月13日 那覇市】)
全学連の原田幸一郎副委員長(京都大)が「今年の5・15闘争は、米軍再編との闘いの出発点だ。沖縄人民と連帯して、辺野古V字沿岸案を体を張って阻止しよう。教育基本法改悪と国民投票法案粉砕に総決起しよう」と訴えた。
最初にうないネット・コザ主宰の桑江テル子さんが講演を行った。
桑江さんは「沖縄の現実を見て、学んで、闘ってほしい。沖縄の不退転の闘いの原点ということで、戦後60年、沖縄の女性たちがどんなひどい目に遭ってきたか、沖縄の闘いがどんな背景で闘われてきたかを一人芝居にしました」と語り、琉球処分から沖縄戦、戦後の米軍支配、そして72年「本土復帰」から現在に至る中での、沖縄の女性たちが受けてきた被害、怒りと闘いを情熱的に訴えた。
続いて『「在日米軍再編」と沖縄』と題して宮城正明さんが講演。「在日米軍再編」絶対反対を掲げた沖縄闘争と改憲阻止決戦の歴史的な意義について、全面的な問題提起を行った。
全学連委員長の織田陽介君が基調報告を行った。「辺野古への2本のV字形滑走路建設を絶対に許せない。改憲阻止は、沖縄への歴史的な差別抑圧をうち破ることと一体だ。5・15沖縄現地闘争を全力で闘い、ただちに国会闘争に立とう。法政大を先頭に5〜6月改憲阻止学生ゼネストの実現へ総決起しよう」と熱烈に訴えた。
辺野古現地で闘ってきた学生が現場報告を行い、法政大の学生が3・14法大弾圧粉砕の勝利的前進を語った。東北大の学生が有朋寮「明け渡し」の仙台高裁反動判決を粉砕して「強制執行停止決定」をかちとったことを報告した。
最後に、全国から集まった1年生と初参加者が発言した。
「辺野古の人や沖縄県民と一緒に闘って、キャンパスの学生に還元したい」(富山大1年生)、「米軍再編について、商業新聞では『なぜ』の部分が言われない。それを実感したいと思って沖縄に来ました」(京都大1年生)、「沖縄の現状に怒りがこみ上げた。『いま闘わなくて、いつ闘うのか』と思う」(広島の1年生)、「実際に闘いに立ち上がれば変えられると、自分の中で何かが変わりつつある」(広島大1年生)、「沖縄の現実をいかに自分が知らなかったか。自分の大学の学生にもこの現実を知らせなくては」(東北の学生)、「全学連に可能性を見た」(関東の学生)
はつらつとした意見表明で集会を締めくくった。
(投稿/T・O)
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週刊『前進』(2247号3面4)(2006/05/29)
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泉佐野で国賀氏当選 大阪市・泉佐野市議選の投開票が5月14日行われ、関西新空港と闘ってきた国賀候補が1749票を獲得し、12位で6期目の当選を果たした。選挙事務所に詰めかけた後援会の人びとやスタッフから歓声が上がった。左が国賀氏、右手前が淡路の永井満さん
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泉佐野市議選 国賀氏激戦制し6選
「ごみ有料化撤回」で旋風
5月14日投開票の大阪府泉佐野市議選で、関西新空港に反対して5期20年闘ってきた泉州住民の会事務局長の国賀祥司候補が同市議選史上最大の激戦を制して見事6期目の当選を果たした。投票率が2%も下がる中で、前回より約270票を上乗せし順位を五つ上げる12位、1749票の堂々たる当選だ。
祝勝会では、後援会「国賀祥司と語ろう会」の平尾治副会長の音頭で祝勝の乾杯。国賀候補は、支持者や共闘団体にお礼を述べ「ごみ有料化に反対する市民の強い気持ちが表れた勝利だ」と意義を確認し「住民投票実現に向けてただちに活動していく」と決意を述べた。お祝いに次々と駆けつけた支持者から握手され祝福される。わがことのように喜ぶ人たちばかりだ。
続いて小林一三会長、森田恒一・泉州住民の会代表、永井満・淡路町空港反対同盟代表が祝福のあいさつをした。祝勝会には、入れ替わり立ち替わり多くの住民が駆けつけた。
直接請求運動呼びかけ闘う
今回の市議選は、定数21(前回より2減)に29人が立候補する激戦になった。1位当選者が2209票、最下位当選が1476票で733票差に21人が入っている。20位と21位と次点の差がそれぞれ2票差しかない。最下位当選の1476票は前回最下位当選の1066票(23位)を400票以上も上回っている。1475票でも落選である。「替え玉」投票が大阪府警の捜査対象になり、投票2日前に逮捕者を出す「異例の事態」に及んだ。
激戦の最大の要因は、ごみ有料化への市民の怒りと抵抗であり、それと結びついた国賀候補の「ごみ有料化撤回の住民投票を実現しよう」の呼びかけだった。3月17日に始まった住民投票を要求する直接請求運動は、4月中旬から本格的に全市に呼びかけられた。
国賀陣営には連日、支持と住民投票運動をしたいという電話が相次いだ。自分の町内会が推す地元保守候補がごみ有料化に賛成したことを知った住民から地元候補への怒りと国賀候補への応援のハガキが郵送された。街宣隊には「住民投票をやらせて」という住民の申し入れが相次いだ。このように4月から実施されたごみ袋1枚50円という暴挙への市民の怒りは、国賀候補の住民投票の呼びかけと結びついて、抑えがたい勢いで全市に広がった。国賀陣営の「住民自身が立ち上がれば、ごみ有料化を撤回させ、市政を変えることができる」という呼びかけにこたえた住民の決起が各地で生み出された。
こうして国賀陣営の闘いが史上最大の激戦をつくり出し、5月市議選は「ごみ有料化の是非を問う選挙」(5月7日付朝日新聞)となった。
これに対して自民党は、ごみ有料化には沈黙を決め込みながら、住民の決起を押さえ込もうと地縁、血縁、泣き落としで票の防衛に走った。共産党は、国賀陣営のつくりだしたごみ有料化を撤回させる闘いの成果をかすめ取ることに血道をあげた。公明党は「決まったことだ」と意思統一し、市民の怒りを買って票を減らした。
関空闘争・憲法闘争への展望
国賀候補は、ごみ有料化は関空問題と小泉の三位一体攻撃そのものであるととらえてきた。関空優先市政でつくった巨額の借金、小泉の三位一体攻撃で削られた地方自治体への補助金と交付金――住民と市職員がその犠牲にされている。今こそ闘って粉砕する時である。選挙を新たな住民の決起の場にし、そこから住民投票運動を発展させていく方針を選択した。そしてこの闘いが、新たな関空の軍事空港化反対の闘いと改憲阻止闘争の前進、何よりも労働者階級に責任をとる地区党の建設を展望した闘いでもあった。
泉佐野市では、選挙の勝利の余韻もさめない中で直接請求運動が再開された。選挙の勝利は、住民投票実現のための第一歩にすぎない。本当の勝負はこれからである、そういう意気込みで闘いに突入している。
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週刊『前進』(2247号5面1)(2006/05/29)
全国学生は6・15国会デモへ
共謀罪・教基法改悪粉砕に立ち改憲阻止闘争爆発へ進撃しよう
法政大退学処分に怒りの反撃を
革共同中央学生組織委員会
全国300万の学友諸君! 法政大文学部教授会は5月17日、法大生3人への退学処分を決定した。満身の怒りを爆発させ、ただちに全国から退学処分撤回・平林独裁体制打倒の大反撃をたたきつけよう! 退学処分決定の大反動は、日帝・小泉が強行しようとしている共謀罪の新設、教育基本法改悪案の審議強行、国民投票法案の国会提出策動、そして米軍再編―沖縄・名護への巨大軍事基地建設の攻撃と完全に一体だ。日帝の中国・北朝鮮侵略戦争―新たな世界戦争への衝動が臨界点に達していることを鋭く示すものだ。これに対する回答は、3万法大生と全国300万学生の総決起で、改憲阻止決戦を60年、70年をこえる史上最大の階級決戦として大爆発させることだ。この5〜6月、全国学生は、4大産別を先頭とする闘う労働者とともに国会決戦に総決起しよう。教育基本法改悪をぶっつぶし、共謀罪新設など憲法改悪に向けた反動法案を葬り去ろう。国民投票法案の国会提出を阻止しよう。沖縄・辺野古への巨大軍事基地建設を粉砕しよう。5・26全国大学統一行動、6・2教基法改悪阻止の国会デモ、6・15全国学生1000人の国会デモで、日帝・小泉を打倒しようではないか。あらゆる弾圧・処分をうち破って、改憲阻止300万学生ゼネストへ進撃しよう!
処分撤回・平林打倒へ無期限ハンスト突入
全国の学友に向けて、まず第一に訴えたいことは、3人の法大生(文学部生)に対する5・17退学処分決定を徹底的に断罪し、改憲阻止・退学処分即時撤回・平林独裁体制打倒を掲げて、5〜6月法政大決戦に猛然と総決起することだ。
(写真 退学処分決定を撤回せよと怒りの無期限ハンストに決起し、すべての法大生にアピールする文学部生)
まずはっきりさせるべきは、3人の法大生に対する退学処分は百パーセント不正義であり、デタラメであり、こんな決定はまったく無効であるということだ。退学処分を強行した平林総長、それを追認した文学部教授会を絶対に許すな! 2人の法学部生に対する5・22法学部教授会での退学処分決定を阻止しよう!
文学部・法学部の5人の法大生は、ただちに無期限ハンストに突入し、キャンパスのど真ん中に改憲阻止・退学処分粉砕の立て看板を出して、徹底抗戦を開始している。
本当の闘いはこれからだ。ファシスト平林と法大当局に対して、全国から徹底弾劾の怒りをたたきつけよう! 全国から法政大にかけつけよう! 5・26法政大包囲デモを先頭に全国大学統一行動の大爆発をかちとろう!
そもそも3人の法大生が処分される理由など、何一つない。法大から即刻追放されるべきは、公安警察と結託して3・14法大弾圧を強行し、改憲攻撃の最悪の先兵と化した平林総長、お前の方だ。
3・14法大弾圧は、警察権力と法大当局が結託し、200人もの公安刑事をキャンパスに突入させて、立て看板・ビラ規制に抗議する学生29人をデッチあげ逮捕するという、大学史上例のない一大言論弾圧事件だ。しかもそれは、「憲法改悪阻止を呼びかける看板を出すことは今後一切認めない」という、まさに日帝・小泉が憲法改悪・国民投票法案でやろうとしている攻撃を地で行くものであり、改憲攻撃そのものだ。
この大弾圧に対して、法大生5人を先頭にした29人は、全員が完全黙秘・非転向を貫き、3月25日に全員の奪還をかちとり、30日には不起訴が確定した。
ところが平林総長は、学則の規定にもない「自宅謹慎命令」を打ちだし、5人がキャンパスで3・14法大弾圧の事実を語ることすら禁圧しようとしてきた。キャンパスや正門前でのビラまきに対しては、連日、十数人の教職員が公安警察と一体となって、妨害・弾圧を繰り広げてきた。キャンパスで5人の法大生と会話していた学友に対し「学生証を見せなければ、学外者と見なす」などという恫喝(どうかつ)まで加えた。
4月28日には、集会の監視弁護のためにキャンパスを訪れた弁護士の発言を力ずくで妨害することまでやってきた。5月に入ってからは、全サークルの立て看板をキャンパスから強制撤去し、教職員の数多くの反対意見をも一切無視抹殺して「総長選挙の廃止」を強行してきた。平林のやっていることにはなんの整合性も合理性もない。ただひたすら、日帝・支配階級の利害を積極的に体現して、改憲阻止闘争を暴力的に圧殺し、ファシスト的独裁支配を確立し、法政大を日帝・支配階級の侵略と反動の牙城へと大改造してしまおうとしているのだ。
法大決戦は、こうした超反動的なキャンパス支配をうち破り、改憲阻止決戦を闘う学生運動がキャンパス支配権を実力で打ち立てていく過程へと完全に突入した。5人の法大生の不当処分撤回を求める署名は1200筆を超え、その中から新しい活動家が生み出され始めている。4・28法大包囲デモの際には、数百人の法大生がキャンパスを埋めつくし、平林と法大当局への抗議の意思を示した。そして全国の労働者・学生・人民もまた、法政大での日々の攻防を「わがこと」ととらえ、様々な方法で法大決戦に関わり、全国的闘いを展開している。4〜5月の法大決戦は、平林独裁との非和解的激突をとおして、改憲阻止300万学生ゼネストへの最先端的な闘いを切り開いてきたのだ。
5・17文学部教授会の退学処分決定は、法大決戦の前進が生み出した巨大な反動である。だが、われわれは、この反動の中に、3万法大生を先頭にした全国学生の怒りの総決起への日帝・支配階級の恐怖をはっきりと見てとることができる。敵の反動に対しては、それを上回る革命的な闘いを激しくたたきつけていくのみである。
日帝・小泉は、5月16日から教育基本法改悪案の国会審議を開始、さらに国民投票法案を与党単独で国会提出すると打ち出した。17日には改悪入管法の参院採決、18日には医療制度改悪法案の衆院採決を強行し、共謀罪新設などの反動法案を一気に押し通そうとしている。この国会情勢の緊迫と5・17退学処分決定は偶然ではない。改憲阻止決戦とは、「戦争か革命か」「革命か反革命クーデターか」をかけた最大最高の階級決戦だ。
そうである以上、闘いの爆発に恐怖する国家権力の弾圧や、資本や大学当局の処分攻撃は、これからますます不可避であると言わざるをえない。重要なことは、弾圧や処分を恐れず真っ向から闘いぬくことだ。階級的団結を固めて闘えば必ず勝てる。
3万法大生諸君、全国300万の学友諸君! 不当処分と対決し安全運転闘争を闘う動労千葉、「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者の決起に学び、5〜6月法大決戦を徹底的に闘おう。教基法改悪阻止・改憲阻止の国会決戦に総決起しよう。
国会を怒りで包囲し教基法改悪つぶそう
第二に訴えたいことは、5〜6月国会決戦に総決起し、共謀罪新設そして教育基本法改悪を万余の労働者・学生・人民の実力で阻止しようということだ。
日帝・小泉は、教育基本法改悪を憲法改悪への正面突破と位置づけ、通常国会の会期を延長してでも強行成立させようと狙っている。すでに16日から、特別委員会のもとで法案審議が強行されている。しかも小沢・民主党は、独自の教育基本法改悪案を提出しようとしており、「愛国心」をめぐって自公と民主が互いに反動を競い合うという許しがたい状況になっている。
さらに恐るべきことは、この民主党案に、日教組本部=森越執行部が完全に賛成していることである。日教組が掲げてきた「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを売り渡すというのか。日教組を自ら解体し、率先して戦争協力していくのか。絶対に許せない!
この現実に激しい階級的危機感と怒りを爆発させ、闘う教育労働者とともに総力をあげて国会決戦を闘おう。全国大学からただちに国会派遣団を組織し、教育基本法改悪を何がなんでも阻止しよう。6・2−6・15国会デモに向かって、全国大学のキャンパスで、教基法改悪案の階級的暴露を徹底的にやろう。
教育基本法は、労働基準法、地方自治法と並んで、戦後憲法体制を支えてきた法律である。その教育基本法の改悪とは、憲法改悪に直結するものであり、戦後憲法体制を解体し、社会のあり方を戦時体制へと根本から大転換させる超ど級の大攻撃だ。
何よりも教基法改悪は、われわれ青年・学生を侵略戦争の兵士に仕立てあげるための許しがたい攻撃だ。〈国のために、天皇のために死ぬ人間になれ〉ということをすべての青年・学生に突きつけ、強制しようとするものだ。教基法改悪と憲法改悪を今ここで許したら、われわれ青年・学生が、中国・北朝鮮侵略戦争の戦場に総動員されることになるのだ。そんなことは絶対に許せない! われわれが闘うべき相手は、日帝・小泉だ!
政府の教育基本法改悪案は、現行法にある軍国主義教育との決別を意味する文言をすべて削除し、「真理と平和を希求する人間の育成」から「真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成」「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進」に変えた。「平和を希求する」を削除し、「公共の精神」「伝統の継承」に変えたことがきわめて重大だ。「公共の精神」とは、国家のために命を投げ出せということであり、「伝統の継承」とは天皇制支配を永遠のものとして継承せよ、ということだ。自民党新憲法草案の前文が現行憲法の「戦争への反省」を削除し、「象徴天皇制は、これを維持する」「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」と明記したことと完全に一体だ。国のため、天皇のために命を投げ出す人間をつくるための戦争教育へと大転換させようとしているのだ。
しかも政府案は、第2条に「教育の目標」を新設し、「愛国心」教育を公然と打ち出している。そこでは「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」などと書かれている。まったくとんでもない話だ。「我が国を愛する態度を養う」などということが教育目標とされたら、学校は戦争教育・「愛国心」教育の場にされる。これ自体が差別・選別教育の徹底でもある。しかも「我が国」などという文言は、在日朝鮮人・中国人や外国人労働者の子弟を学校教育から完全に排除しようとするものだ。新たな皇民化教育そのものだ。
さらにここでの「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する」とは、「自衛軍の保持」「国際的に協調して行われる活動」を明記した新憲法の制定と一体だ。日帝が多国籍軍に参加して「国際平和」の名のもとに公然と侵略戦争を遂行することに「寄与する態度を養う」ということだ。
「愛国心」教育に関して小沢・民主党の対案は、より反動的に「日本を愛する心を涵養(かんよう)し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし」などとしている。これはまさに、「つくる会」教科書の八木、ファシスト石原の思想そのものだ。小沢・民主党案は、より根底的な思想教育の強制である。教基法改悪攻撃・改憲攻撃をより決定的に強める役割を果たすものだ。
さらに国家権力による教育現場の支配を禁じた現行法10条の解体は重大だ。軍国主義教育との決別をうたった10条が、まったく逆に、教育労働者に国家の方針どおりの教育を強制する条項に大転換させられようとしているのだ。小泉は、16日の衆院本会議で「愛国心指導は教員の職務上の責務」とまで答弁している。「日の丸・君が代」に対する起立・敬礼・斉唱指導などは「責務」であり、それができない教育労働者はクビだと言っているのだ。ふざけるな!
また政府案には、「第7条 大学」の項目が新設されている。「大学は、……高い教養と専門的能力を培う」「これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」ことが使命であるというのだ。大学は、格差社会を徹底的に推進する場として位置づけられ、帝国主義間の死闘と侵略戦争の時代に勝ち抜くための人材育成と産官学共同の強化に貢献せよと言っているのだ。
現在の法政大がまさにこの典型だ。学生を単なる資源・モノとして扱い、国家のため天皇のために死ねなどという大学などいらない! 断固拒否だ!
学生の怒り解き放ち改憲阻止ゼネストへ
第三に訴えたいことは、改憲阻止300万学生ゼネストに向かって、自民党憲法草案をずたずたに粉砕しつくそうということだ。
とりわけ9条改憲という日帝の戦争国家化攻撃の核心部分に攻め込み、「自衛戦争」論を労働者階級の階級的立場に立ちきって徹底的に批判しつくすことだ。
はっきりさせるべきは、「自衛戦争」などというものは、現実には米帝ブッシュが開始している世界戦争のスローガンであり、侵略戦争の代名詞以外の何ものでもないということだ。いま「自衛」とか「国を守れ」とか「国際平和」などということを声高に叫んでいるのは誰か。ブッシュであり、小泉であり、奥田ではないか。圧倒的多数の労働者階級を24時間365日支配し、抑圧し、搾取している一握りの帝国主義ブルジョアジーどもだ。米帝ブッシュのイラク侵略戦争も「対テロの自衛戦争」という名で行われているではないか。現代の帝国主義の戦争はすべて「自衛戦争」の名で行われているのだ。
在日米軍再編の最終報告を見よ。日米安保は世界的な軍事展開のための新たな軍事同盟へと大改定され、まさにこの新軍事同盟でイラク侵略戦争を継続し、イラン、北朝鮮、中国などへと侵略戦争を拡大していくことが狙われているのだ。このきわめて具体的な世界戦争計画を遂行するための在日米軍再編であり、沖縄・辺野古へのV字型2本の滑走路をもつ巨大軍事基地建設なのだ。
「北朝鮮が攻めてきたらどうするのか」などという主張は、まったくの転倒であり、徹頭徹尾、支配階級のイデオロギーだ。実際には米帝に次ぐ第2の軍事力をもつに至った帝国主義国家・日本が、「自衛権」を振り回して、米帝とともに中国・北朝鮮侵略戦争に突入しようとしているのだ。そのために桎梏(しっこく)となった現在の憲法を完全に破棄して、まったく異なる「新憲法」をつくろうとしているのだ。
確かに現在の日本はとてつもない危機に直面している。だがそれは、日本帝国主義の危機であり、すべて一握りの資本家階級が生み出した危機なのだ。日帝の公的債務残高は1000兆円を超え、もはや戦争によってしか解決できないレベルに達している。
その中で、首切り・賃下げ・労組破壊の大攻撃が吹き荒れ、今や労働者の4人に1人が年収150万円以下の生活を強いられている。しかも戦後的な社会保障制度を全面的に解体して、生存権さえ奪い去ろうとしている。その上どうして、帝国主義国家のために労働者階級は命を投げだし、帝国主義の侵略戦争に協力し、他国の同じ労働者との殺し合いをさせられなければならないのか。ふざけるな! という話だ。
フランスで、アメリカで、ドイツで、イギリスで、韓国で、全世界で数千数万の学生が、労働者階級とともに決起し、帝国主義打倒のプロレタリア革命に向かっている。われわれ日本の学生もまた、4大産別を始めとする労働者階級とともに改憲阻止決戦の大爆発をかちとり、帝国主義打倒へと突き進もう。
すべての闘う学友は、マルクス主義学生同盟中核派に結集しよう。
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週刊『前進』(2247号6面2)(2006/05/29)
指紋強制で治安強化狙う 改悪入管法粉砕へ
「テロの未然防止」を掲げた入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪案が、5月17日に参院本会議で賛成131(自民・公明など)、反対94(民主・共産・社民・無所属)で可決・成立した。
戦時治安体制の確立を狙った今次入管法改悪を徹底弾劾する。来日する外国人をすべて「テロリスト予備軍」と見なして指紋を採り、差別・排外主義に日本の労働者人民を動員しようとする攻撃に怒りを燃やし、共謀罪とともに改悪入管法を粉砕しよう。
日帝の侵略と戦争、植民地支配の生き証人として日本社会に存在する在日朝鮮人・中国人を先頭にした闘いによって指紋押捺(おうなつ)制度は00年に完全撤廃された。自衛隊のイラク派兵下、日米同盟再編と本格的な戦争国家体制確立、9条改憲のために日帝・小泉政権は再び指紋制度を治安体制のかなめに据えようとしているのだ。
日帝・小泉政権は「主たる目的はテロリスト対策であり、従たる目的が出入国の適正な管理」と公言し、日本を訪れる年間700万人を超える外国人(16歳未満、特別永住者などを除く)に指紋・顔写真などの生体情報の提供を強制するばかりか、法務大臣が一方的にテロリストと認定する者を退去強制の対象とするというのだ。しかも入手した生体情報は半永久的に保管される。
さらに「上陸審査手続の一層の簡素化・迅速化」と称して、日本人及び特別永住者にも指紋・顔写真などを事前登録したICカードを使う「自動化ゲート」が導入される。これはアメリカで9・11反米ゲリラ戦闘後、「テロとの戦い」と称して04年に導入されたUS−VISIT(入国時の指紋認証システム)の日本版としてアメリカに次いで導入される。このソフトウェアの開発・運用は同一企業(アクセンチュア社)だ。
膨大な個人情報が日米の入管当局と警察・捜査機関、さらには軍部にまで握られる可能性もあり、ここにも日米同盟再編の狙いが貫かれている。
国境を越えた労働者階級の連帯こそが勝利と未来を切り開くカギだ。排外主義には国際主義を対置し、共通の敵=日米帝国主義を打倒しよう。在日・滞日外国人と連帯し戦時入管体制をズタズタに食い破ろう。共謀罪とともに改悪入管法をあくまで粉砕しよう。
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