ZENSHIN 2006/03/13(No2237 p08)

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週刊『前進』(2237号1面1)(2006/03/13)

革共同の3月アピール 革共同の3月アピール

 不起立貫き3月大攻勢へ

 動労千葉の反合・運転保安春闘に連帯を

 3・19イラク反戦国際行動に立ち改憲阻止決戦の爆発きり開こう

 第1章 小泉政権に労働者階級の反転攻勢が始まった

 日本帝国主義と小泉政権に対する労働者階級人民の反撃が始まった。革共同は、日本労働者階級の今後の闘いの帰趨(きすう)をかけて、06年冒頭の1〜2月を教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争を先端の闘いと位置づけ、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別の闘いを死活的に闘ってきた。
 日本階級闘争の核心的な激突点は、労働組合のナショナルセンターである連合が、@改憲勢力へ転向するかどうか、A民営化と公務員制度改革の攻撃に屈服するかどうか――の2点だった。しかし、1月の自治労臨時大会と国労拡大中央委員会、2月の全逓(JPU)臨大では、現場組合員の怒りの大反撃がたたきつけられ、2月5日の「日の丸・君が代」強制反対集会は、教育労働者の感動的な不起立宣言集会としてかちとられた。さらに2月16日の国鉄集会は、2500人の大結集で、解雇撤回・1047名闘争勝利に向けて新たな決戦過程に突入し、国鉄闘争を4大産別決戦の土台としてしっかりとうち固めた。
 年頭からの闘いで労働者階級の日帝・小泉に対する反転攻勢が始まった。4大産別の闘いが日本労働者階級の闘いを牽引(けんいん)する機関車として発展し、労働者階級の階級性の形成と闘いの展望を示し、革命的情勢を急速に成熟させている。
 06年の闘いの成否は、3月の卒業式での「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発と3月21日の日教組臨時大会に掛け値なしに絞り上げられている。この教労決戦と動労千葉の反合・運転保安春闘を最大の焦点とする4大産別の闘いは、〈戦争と民営化・規制緩和=労組破壊〉攻撃との激突であり、教育基本法改悪・改憲阻止をめぐる闘いでもある。
 米帝ブッシュは、年頭の一般教書と米国防総省の「4年ごとの国防の見直し」(QDR)報告書で「対テロ長期戦争」を宣言した。「世界における圧制の終結をめざす」とうたい、イラク侵略戦争の継続とイラン、北朝鮮、中国への侵略戦争の拡大で米帝の危機をのりきろうとする世界戦争政策を発表した。
 貧富の格差の拡大、ライブドア事件、耐震強度偽装問題、羽越線・伯備線事故など、昨年から今年にかけて次々と噴き出す社会の矛盾と腐敗の激化の中で、日本帝国主義は、その本質的な脆弱(ぜいじゃく)性を露呈(ろてい)し、危機を深めている。
 国と地方の公的債務の累積残高はついに1千兆円を超え、国家破産的な状態に陥っている。この中で出てきた06年度予算案は、労働者への医療・年金・福祉その他の社会保障を切り捨て、労働者に大増税を課し、戦争国家化と治安強化を狙う、きわめて反労働者的なものである。
 歳出削減なるものの実体は地方への補助金と交付金のカット(総額1兆8667億円)である。要するに国の財政的負担の地方への押し付けである。その結果、地方公務員の首切りと賃下げの攻撃が激化し、住民(労働者)の生活・教育・社会保障の破壊となっている。
 また歳入面では、4・3%の税収増と言っているが、増収約1兆9千億円のうちの74%にあたる1兆4千億円は、労働者へのいわゆる「サラリーマン増税」によるものである。
 このように06年度予算案は、国家財政の危機とその克服と称して、公務員の総額人件費の大幅な削減や三位一体改革攻撃による地方公務員労働者のリストラ、賃金削減と、戦後的な社会保障制度の解体、地方自治の全面的破壊をとおして国家大改造を狙うものである。
 4大産別決戦は、公務員制度改革−行政改革をテコとした日帝の帝国主義としての生き残りをかけた経済的、財政的大攻撃との労働者階級の生存権をかけた闘争である。したがって、同時にこれは改憲と教育基本法改悪を阻止する壮大な階級決戦と表裏一体の闘いとなる。4大産別の労働者の闘いを基軸に、それを改憲阻止の闘いに固く結びつけて闘おう。

 第2章 4大産別決戦の最先端=日教組臨大が大攻防

 10・23通達の無力化

 日教組の30万組合員に卒業式での「日の丸・君が代」不起立決起を呼びかけ闘おう。「日の丸・君が代」不起立闘争は、教育労働者の職場・生産点からの戦争協力拒否の闘いであり、教基法改悪・改憲攻撃をうちやぶる闘いである。日教組の30万組合員が「戦争教育の手先にはならない」ときっぱり宣言して「日の丸・君が代」不起立を闘うならば、教基法改悪策動など一瞬にして吹き飛ぶ。
 「日の丸・君が代」は、明治以来の侵略戦争、帝国主義戦争の旗であり歌である。まさに天皇制イデオロギーの鼓吹と、天皇の名によって労働者を戦争に駆り立てるための旗・歌だった。
 「日の丸・君が代」が、戦争の旗と歌であり、その強制が天皇制イデオロギーで教育現場を染め上げ、再び戦争への動員を狙うものであることを暴こう。天皇制イデオロギーと国家暴力と腹を固めて対決し、職場内外で労働者の階級的団結を固めて反撃しよう。そうすれば、都知事ファシスト石原や都教委、校長の職務命令の反階級性、違法性を焦点化して、敵を追いつめ、暴力的恫喝をこととする10・23通達を無力化することは十分に可能なのだ。実際、昨年、一昨年の闘いの中で、いかなる処分にも屈しなかった教育労働者の闘いは、10・23通達を無力化し、破産させつつある。
 卒業式での「日の丸・君が代」不起立闘争は、教育労働者の階級的団結の力に依拠して、敵との力関係を変える力をもって闘われた時に真価を発揮するのだ。
 連合は1月19日、中央執行委員会で、憲法改正国民投票法案について「民主党と協議しながら具体的な対応を図っていく」ことを決めた。さらに、「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方」を出して、今国会の行革推進法案や市場化テスト法案を全面的に受け入れている。

 公務員制度改革粉砕

 日帝・小泉は、今国会において行革推進法案と市場化テスト法案による公務員制度改革の強行と、教基法改悪−憲法改正国民投票法案−共謀罪という戦争・改憲−民営化攻撃を貫こうとしている。この完全な先兵として、連合が1・19決定をもって登場した。連合は@「質の高い公共サービス」論をもって、公務員労働者への大民営化−労組破壊攻撃を全面的に受け入れ、A成果主義・能力主義を率先して推し進め、公務員労働者の賃金・人事制度の大改悪を受け入れようとしている。Bさらに以上をとおして、「国家に奉仕する労働者」として、戦争と改憲に公務員労働者を動員しようとしているのだ。
 この反動的な1・19決定の狙いが日教組の3・21臨時大会の議案書の内容に集中的に表れている。日教組本部は臨大で、反動的な路線転換と裏切りを行おうとしているのだ。特に今回の臨大で日教組本部は、〈自衛権・自衛隊〉を容認する「平和基本法」制定をうち出した「憲法論議に関する日教組の基本的考え方(中間報告その2)」をもとに職場討議をすすめる、という方針をうち出した。
 昨年7月に出された「国の基本政策に関する連合の見解」は、〈自衛権・自衛隊〉を承認し「日本が攻撃されたら自衛権を発動する」と、労働組合が侵略戦争を支持することを宣言したものであった。今回の日教組の「平和基本法」制定方針は、この連合の戦争支持宣言に追随し、事実上「教え子を再び戦場に送るな」を投げ捨てる許し難いものである。
 さらに、連合1・19中執決定に従い、国民投票法案を容認・推進する方針を決定しようとしている。国民投票法案は、公務員や教育労働者の改憲反対運動を全面的に禁止し、在日外国人の運動参加やカンパも禁止する。改憲への批判的な報道や評論も禁止している。改憲反対の言論と運動を許さないという恐るべき弾圧立法であり、改憲をクーデター的に強行しようとするものだ。
 日教組本部はさらに教育基本法改悪攻撃に対しては、なんと全面屈服と闘争放棄と決め込んでいる。運動方針案には「改悪阻止」の一言もない。ただ「『読み生かす』運動を展開する」とあるのみで、闘う方針は一切ない。教育基本法改悪とは、労働者の階級的団結をバラバラにし、日教組を解体し、教育労働者に戦争教育を強制する攻撃ではないか。
 国民投票法案と教育基本法改悪・改憲をいかにうち砕くのか。それは、日教組30万組合員が、東京の闘いを先頭にして「日の丸・君が代」不起立闘争に総決起することである。本部の屈服路線を粉砕し、教基法改悪阻止・国民投票法案阻止へ組織の総力をあげて闘う路線を確立しよう。「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!3・31全国集会」を国民投票法案粉砕、教基法改悪・改憲阻止の大闘争として全国から大結集しよう。

 安全運転闘争とスト

 動労千葉は、2月19日の第54回定期委員会で、3月ダイヤ改定時(18日)に春闘の山場を設定し、安全崩壊の危機的現実をふまえ、06年春闘を反合・運転保安春闘として闘い、全組合員による安全運転闘争と3月ストライキ(16日〜18日)に決起する方針を決定した。
 この動労千葉の闘いは、動労千葉への組織破壊攻撃をうち破り、階級的労働運動を牽引し、4大産別の闘いと06春闘の決定的な心棒となるものだ。国鉄分割・民営化の矛盾が安全の崩壊となって噴き出している。動労千葉の反合・運転保安春闘は、小泉と奥田の構造改革−民営化・規制緩和の攻撃と対決し、その破綻(はたん)を直撃する闘いだ。動労千葉の偉大な決起に連帯し、春闘スト勝利のために総決起しよう。韓国では非正規職法案の委員会採決強行に抗議し、民主労総がゼネストに突入し、鉄道労組は全面ストに入った。
 2・16集会が実現した1047名の闘う大同団結をさらに強化し、解雇撤回・JR復帰への闘いをさらに発展させ、国労再生をかちとっていこう。同時に国労5・27臨大闘争弾圧裁判の勝利へ向かって猛然と突き進もう。闘う国労組合員を権力へ売り渡したことを居直り続ける国労本部に大衆的な弾劾と批判を突きつけ、謝罪と撤回を要求して闘おう。
 教労と国鉄を軸に4大産別決戦の圧倒的な前進をかちとり、06春闘に勝利しよう。

 第3章 米軍再編と9条改憲に労働者・学生の反撃を

 米英日帝国主義のイラク侵略戦争がこの3月20日で3年になる。東京・芝公園で行われる3・19イラク反戦国際行動・東京集会に全国から広範な人びとの総結集をかちとろう。
 米帝ブッシュ政権は、闘うイラク・ムスリム人民の民族解放闘争の前に敗北の危機にのたうちながら、イラク侵略戦争を泥沼的に継続・激化させ、さらに対イラン、対中国−北朝鮮侵略戦争へと世界中に戦争を拡大しようとしている。3・19イラク反戦国際行動は、闘うイラク・ムスリム人民、そして国際プロレタリアートの即時撤兵の闘いと連帯して、体制的危機を深める帝国主義を打倒する闘いだ。同時に3・19の闘いは巨大な改憲阻止闘争の始まりとなる。
 今通常国会で小泉は、すでに提出されている市場化テスト法案、これから出てくる行革推進法案、改憲への決定的攻撃である教基法改悪と国民投票法案の成立を策動している。日帝権力・資本の労組破壊攻撃との闘い=4大産別決戦と結合して、今こそ憲法闘争を本格的に構築しよう。
 自民党の新憲法草案は第一に、9条の二を新設し、「自衛軍の保持」を明記した。「自衛権、自衛軍」の明記とは、現行憲法の「戦争放棄」を破棄し、侵略戦争、帝国主義戦争をすることを国是とする国に変えることだ。
 この9条改憲を根底で規定するのが米軍再編である。米軍再編は、在日米軍と日米安保を、北東アジアから中東にいたる「不安定の弧」をターゲットにした軍事戦略と軍事同盟に再編し、米帝の世界戦争政策に自衛隊を限りなく融合・一体化しようとするものである。これは「世界の中の日米安保」に実質的・根底的に大改変し、自衛隊の本格的な帝国主義軍隊への決定的飛躍を促す攻撃である。その狙いは、中国・北朝鮮侵略戦争の態勢を構築することである。そのために9条の明文改憲に踏み出したのだ。
 自民党の新憲法草案は第二に、建前とは言え、憲法で国家権力を制限するという現憲法の原理を全否定し、「国家に対する国民の責務」を強制する憲法へ原理的に転換させている。人民が憲法で国家を縛るのではなく、国家が人民を縛る「憲法ならざる憲法」である。
 日本帝国主義が憲法を破棄して戦争に突入する以外になくなった今こそ、闘うアジア人民、全世界の人民と連帯して、改憲阻止と日帝打倒の大闘争をつくりださなければならない。
 改憲情勢の煮詰まりの中で最大限の統一戦線の形成が死活的に求められている。広範な労働者人民の中に激しい危機感と闘いへの意欲が高まっている。日本共産党の敵対を粉砕し、「戦争反対、9条改憲反対」の一点で、可能な最大限の統一戦線を組織しよう。
 米軍再編攻撃との闘いは、3月5日の沖縄10万人県民大会を突破口とする全国での基地闘争の爆発、国民保護法制による地方自治体の戦争動員攻撃(地方条例化)との対決をとおして、新たな安保・沖縄決戦を切り開いていく闘いだ。
 全国各地での基地闘争への意識的取り組みが重要である。3・12岩国住民投票(山口県)、座間・横須賀・相模原(神奈川県)、横田基地(東京)などをめぐる闘いへの取り組みを強化しよう。
 さらに3・26三里塚闘争は、最大級の反戦・反基地闘争である。
 共謀罪新設阻止へ国会闘争や署名運動を強めよう。3・9国会院内集会と夜の大集会に集まろう。
 31年目の獄中闘争を闘い抜く星野文昭同志の奪還へ全力を傾注しよう。5・19爆取控訴審無罪確定へ闘おう。

 マル青労同の建設へ

 もはや資本主義社会の歴史的生命力は尽きた。こうした情勢の中で、とりわけ青年労働者と学生の皆さんに、労働者階級自己解放−革命の大事業の実現のために革共同に結集し、ともに闘うことを訴えたい。労働者階級の最高の団結体として、革共同を革命党としてともに建設し、鍛え上げ、勝利に向かって闘おう。共産主義者−革命家として、資本主義の打倒、労働者階級解放のために全人生を賭けて闘おう。マルクス主義青年労働者同盟1000人建設を実現しよう。
 機関紙『前進』を共産主義の新聞、労働者階級の新聞として広く労働者階級に持ち込もう。そのためには読者拡大への意識性が大切だ。労働者への心からの信頼をもって購読を提起しよう。マルクス主義の学習と機関紙拡大闘争を軸に圧倒的な党勢拡大−党建設を実現しよう。

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週刊『前進』(2237号1面2)(2006/03/13)

 迎賓館・横田爆取裁判 福嶋同志への有罪徹底弾劾

 懲役12年のデッチあげ政治判決

 1986年4・15米軍横田基地、同年5・4迎賓館に対する革命軍のロケット弾戦闘を理由に、無実の福嶋昌男同志に加えられた爆発物取締罰則デッチあげ弾圧の判決公判が3月3日午後、東京地裁刑事第3部で開かれ、服部悟裁判長は、求刑どおり懲役12年の許し難い極悪判決を出した。
 このデッチあげ弾圧ではすでに須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志に対して04年3月に無罪判決が出され、控訴審第1回公判でも検察側証拠が全部却下されている。にもかかわらずその3人と共謀したとして起訴された福嶋同志がなぜ有罪なのか。裁判長はデタラメな筆跡鑑定をもとに、事件と関連が明らかでないメモを唯一の根拠に、検察官の言いなりに「共謀共同正犯」をデッチあげた。しかも「テロは国家への挑戦」などと言い放った。超反動的な政治的判決だ。弁護団は即日控訴した。

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週刊『前進』(2237号1面3)(2006/03/13)

 2・25 日教組教研集会で情宣

 

 2月25日から3日間、日教組の第55次教育研究全国集会が三重県津市などで開かれた。初日の25日朝、全国労組交流センター教育労働者部会は、地元の「教育基本法の改悪を止めよう三重連絡会」などの市民とともに、最寄りの近鉄線津新町駅前で宣伝活動を行った(写真)。全国から結集した大勢の日教組組合員に対して、日教組中央の屈服を弾劾し、「日の丸・君が代」強制拒否、憲法・教基法改悪阻止へともに闘うことを熱烈に呼びかけた。電車を降りて会場に向かう組合員は熱心にビラを読み、訴えに聴き入った。
 昼にも2駅で宣伝を行いその後近くの公園で集会を開いた。地元三重県教組の労働者が「戦争への道を許さない。卒業式も断固、不起立で闘う」と宣言した。

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週刊『前進』(2237号2面1)(2006/03/13)

 「10・23通達」にトドメを “戦争教育は担わない”

 譲れない思い不起立で示そう

 3月2日、都立高の卒業式が始まった。東京に先駆けて卒業式が始まった関西などでは、「東京とともに闘おう」と、かつてない規模で不起立闘争が次々と闘いとられている。侵略戦争の旗と歌、「日の丸・君が代」の強制を絶対に許さない! すべての教育労働者のみなさんに、「卒・入学式において、断固として不起立を貫こう」と心から呼びかけます!

 都教委の処分を恐れぬ闘い

 都教委が発した03年「10・23通達」から2年余り。労働者としての生きざまにかけて不起立を闘いぬいてきた東京の教育労働者の2年間の闘いは、石原都知事と都教委を決定的に追いつめている。今春の闘いで、「10・23通達」に最後的にとどめを刺そう。
 「10・23通達」後、初の卒・入学式を迎えた04年春。都高教本部の「職務命令が出たら従え」という方針を突き破って、数百人の教育労働者が不起立を貫いた。「日の丸・君が代」という侵略戦争の旗と歌に「立て・歌え」とする職務命令に対して、「こんなものには従えない」という、教育労働者のやむにやまれぬ思いが爆発した闘いであった。都教委が周年行事と卒・入学式を合わせて248人もの労働者に報復処分を出さざるをえなかったのは、都教委の敗北を自認する行為であった。
(写真 都立高の卒業式が始まった3月2日、「日の丸・君が代」不起立闘争を訴えるビラが配られた【一橋高校前】)
 2年目の05年春。都教委はなんとしても不起立を完全に封じ込めようと、各校の卒業式にのべ千人もの警察を動員し、門前でビラをまいた人を不当逮捕するという厳戒体制を敷いた。それでも教育労働者は断固として「2年目の不起立」を貫いた。都教委は恐れをなして停職1カ月の処分まで発令したが、それでも屈せず逆に「首をかけて都教委と闘う」と宣言する教育労働者が登場した。
 大量報復処分により、「日の丸・君が代」闘争は3〜4月だけの闘いではなく、通年闘争となって大きく発展した。処分撤回を求めて人事委員会闘争に立ち上がり、毎週のように行われる人事委口頭審理や解雇撤回裁判、再発防止研修取消裁判、嘱託不採用撤回裁判、予防訴訟などが、被処分者の正義性を明らかにし、校長を徹底追及し、都教委の不当支配を暴き出す場として闘いぬかれている。さらに、被処分者に「反省」を強いる再発防止研修が、まったく逆に都教委を徹底弾劾する追及行動の場に転化している。
 そして今、「10・23通達」から3年目の春を迎えた。「処分など怖くない」という教育労働者が続々と生み出されている。労働者の不動の決意により、石原と都教委はもはや闘いを封じるすべを失っている。
 攻守は完全に入れ替わった。追いつめられているのは石原と都教委である。今や都教委がどんな手だてを使おうと、「10・23通達」をもって東京の卒・入学式を完全に制圧することなど絶対にできない。「伝家の宝刀」とは、振りかざす前に“恐ろしいぞ、怖いぞ”と脅すことにこそ意味がある。実際に振りかざされても恐れずに闘う人民の前には、まったく無力なのだ。今や「10・23通達」はまったく無力になり果てようとしている。
 今春の闘いで、「10・23通達」にとどめを刺そう。

 戦争協力拒否の闘いが拡大

 石原・都教委と真っ正面から激突して闘う教育労働者の勇気ある闘いは、すべての労働者の圧倒的な感動と共感を呼び起こした。そして今、教育労働者の不起立闘争に続いて、あらゆる産別の労働者が戦争協力拒否へ立ち上がっている。
 2月3日、全日本海員組合と全国港湾労働組合協議会が「憲法改悪に反対する海員・全国港湾の共同アピール」を発した(前号に全文掲載)。「戦火の海に船員は二度と行かない」「軍事荷役はやらない」という断固とした宣言は、教育労働者の「教え子を二度と戦場に送らない」という決意と連なった、労働者・労働組合の戦争協力拒否宣言である。
 「憲法を命がけで破る」「ヒトラーになりたいね」と公言してはばからない石原との闘いは、小泉=奥田による改憲と戦争の攻撃との最先端の闘いである。
 ここで東京の教育労働者が一歩も引かずに闘いぬいて勝利してきたことが、教育基本法の改悪を阻み、日教組本部の改憲推進方針を阻む巨大な力となってきたのだ。

 労働者の誇り行動で貫こう

 何よりも、「譲れないものは譲らない」という思いを勇気ある行動で示そう。
 「日の丸・君が代」不起立闘争を闘いぬいた教育労働者はみな、誇りに満ちた笑顔を持っている。自らの闘いに自信と確信を持って闘いぬく姿、その明るい笑顔こそ、この闘いのすばらしさを示している。処分を辞さず闘う教育労働者こそ「教師は労働者である」(「教師の倫理綱領」。1952年日教組大会で採択)を貫いているのだ。
 被処分者の誇り高く闘う姿は、動労千葉の労働者とまったく同じものである。
 労働者には、たとえ処分や賃金カットを受けようとも、けっして譲れないものがある。労働者としての誇り、仲間を裏切らないこと、団結を何よりも大切にすること――こうしたもっとも大切なことを貫いて闘っているからこそ、動労千葉の労働者は、処分や昇級差別を受けたりしてもまったく屈せず、明るく誇り高く闘いぬいているのだ。
 かつて、1950年代後半の勤評闘争が60年安保の大闘争を切り開く巨大な意義を持つ闘いとなったのと同じように、今、「日の丸・君が代」闘争―教育労働運動が階級闘争の最先端に立って、日本の労働運動の高揚を切り開くカギを握っている。日教組は結成以来2度めの大決戦を迎えているのだ。
 いよいよ06年の闘いを決する3月決戦に突入した。動労千葉は、「日の丸・君が代」不起立闘争と連帯して、3月、72時間ストライキと安全運転闘争に立ち上がることを決定した。
 卒業式で不起立闘争を大きく広げ、その力で、3・21臨大で日教組本部の改憲勢力への転落を阻もう。「教え子を二度と戦場に送るな」の不動の決意を、勇気を持って行動で示そう。04年・05年を超える不起立闘争をたたきつけよう!

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週刊『前進』(2237号2面5)(2006/03/13)

 「つくる会」 会長・八木ら解任 総括巡り内紛が爆発

 「新しい歴史教科書をつくる会」の会長・八木秀次、副会長・藤岡信勝、事務局長・宮崎正治が解任された。2月27日の「つくる会」理事会で解任動議が可決された。新会長には種子島経が選ばれたという。
 昨年全国10%の採択率を目指した「つくる会」教科書採択が0・4%という惨敗に終わり、「つくる会」は、その総括と責任をめぐって内紛を重ねてきた。しかも今回、八木より30歳近く年上で歴史や教育に疎い種子島を新会長に据えたことに内部から不満が噴出し、新執行部空洞化の危機さえ叫ばれている。
 これは扶桑社版の歴史・公民教科書の代表執筆者が解任されたことを意味する。こんな教科書を採択した杉並区教委の責任を徹底追及し、撤回へと闘う絶好のチャンスでもある。
 この事態は、何よりも昨年の杉並を先頭とした「つくる会」教科書採択阻止の闘いの爆発の結果だ。戦争賛美と歴史歪曲の教科書の採択を撤回させ、「つくる会」解体へと闘おう。

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週刊『前進』(2237号3面1)(2006/03/13)

 動労千葉 3・16〜18スト配置

 安全運転闘争の貫徹へ 総力の決戦に連帯し闘おう

  動労千葉はこの3月、反合・運転保安春闘に総力で立つ。小泉=奥田が戦争と改憲、民営化と労組破壊の攻撃をますます強めている中で、動労千葉の春闘決起は07年に至る壮大な階級決戦の突破口を切り開くものになる。
 JRは尼崎事故、羽越線事故、伯備線事故と重大事故を立て続けに引き起こした。だが、JRは事故で殺された運転士や乗客の無念と怒りをなんら顧みることなく、大合理化と労組破壊に突き進んでいる。
 JR東日本は、3月ダイヤ改定を機に、動労千葉の拠点をなす幕張車両センターの業務を縮小し、同車両センターの錦糸町派出を廃止しようとしている。これは、安全の崩壊を一層促進させても動労千葉の組織破壊を狙った許しがたい攻撃だ。さらにJRは、動労千葉の闘争力を抑え込むことを意図して、京葉運輸区廃止と蘇我運輸区新設の攻撃をたくらんでいる。
 これを迎え撃つ形で、動労千葉は3月16〜18日にストライキも配置して今春闘の山場を設定した。
 またJR東日本は、3月ダイ改でグリーン車の車掌業務を日本レストランに委託し、117人もの要員削減を強行しようと策している。安全を担うべき乗務員を飲食サービス員に変えてしまうのだ。さらにJR東日本は、駅業務の全面的外注化を計画している。羽越線事故は、駅から運転取り扱い要員がいなくなり、異常気象時に現場で判断を下せる態勢がなくなったことが、いかに危険なことなのかをまざまざと突きつけた。にもかかわらずJRは、駅業務の一層の合理化に突き進もうとしている。
 昨年、動労千葉は尼崎事故1カ月を期して安全運転行動に立ち上がった。無理な回復運転はしない、危険個所では減速するなどの当然の行動に対し、JR東日本は延べ数千人の管理者を運転室に乗り込ませ、闘いの圧殺を図った。動労千葉はこれに屈せず闘いぬき、ついにJRは数百カ所のレール交換を行わざるをえなくなった。
 だが、JRの安全無視は何ひとつ改まってはいない。全国至る所でレールが破断する事態が起きている。列車のスピードアップと軽量化車両の導入、保線部門の外注化がこうした事態をもたらしているのだ。
 これに対し、動労千葉は3月、再び安全運転闘争に立つ。JR資本との全面的な激突を覚悟し、一切の重圧を引き受けて闘いを貫こうとしているのだ。労働組合の闘いによってしか、安全を資本に強いることはできないからだ。国鉄闘争は、2・16集会を経て1047名全体を包み込む大統一戦線を形成した。動労千葉の反合・運転保安春闘は1047名闘争の進むべき道を指し示している。職場生産点から資本と対決する闘いと、解雇撤回闘争が合流してこそ、勝利は実現できるのだ。
 この動労千葉の排除をいまだに策する日共中央=全労連幹部の敵対は、1047名闘争を敗北に導こうとするものにほかならない。
 「二度と尼崎・羽越線事故を許すな」「闘いなくして安全なし」を掲げる動労千葉の春闘決起に連帯して闘おう。動労千葉とともに職場から春闘に立とう。
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 動労千葉「06春闘決戦段階の闘いの配置」

@06春闘を、安全崩壊の危機的現実にふまえ、反合・運転保安春闘と位置づけて、ストライキ、安全運転闘争を含む闘いを配置して、総決起体制を確立する。
A06春闘の山場を3月ダイ改時に設定し、3月16日〜18日にストライキを配置して、要求の解決を求める。
Bとくに、攻防の焦点となる検修区(幕張)については、3月上・中旬段階での第一波ストライキの配置も含め、 業務移管−基地縮小、錦糸町派出廃止計画の中止を強く求める。
C尼崎事故や羽越線事故、レール破断の多発という事態にふまえ、3月上旬より、安全運転闘争を配置し、反合・運転保安要求の解決を求める。
DJR貨物の新賃金回答の動向をにらみつつ、大幅賃上げ獲得−ベアゼロ回答打破、新賃金制度導入阻止に向けた、貨物を中心とした闘いを配置する。
E3月16日、18時より、千葉市民会館で、06春闘勝利、反合・運転保安確立動労千葉総決起集会を開催する。

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週刊『前進』(2237号4面1)(2006/03/13)

 革共同の2006年3・14アピール

 組合費横領したJR総連松崎の労働貴族としての極限的な腐敗

 末期的危機深めるカクマル完全打倒を

  団藤 清

 はじめに

 戦争・改憲と民営化(労組破壊)攻撃を許さない闘いが、すでに「日の丸・君が代」不起立闘争への突撃をもって始まっている。動労千葉の反合・運転保安闘争−春闘ストライキと結合した3〜4月卒・入学式闘争の爆発が、日本の階級闘争に新たな激動的地平をもたらすことは明らかだ。小泉の民営化攻撃に立ち向かう4大産別のそれぞれの決戦が火を噴き、歴史的な改憲阻止決戦の大爆発への胎動が始まっている。昨年11・6労働者集会の圧倒的成功は、日本の労働者階級に国際連帯の力強いエネルギーを充填(じゅうてん)し、小泉政権を打ち倒す力となって爆発しつつある。戦争・改憲と民営化(労組破壊)を粉砕する階級決戦の大爆発に向かって、闘う隊列を打ち固め、動労千葉労働運動を広げ、4大産別決戦−改憲阻止決戦勝利、日本帝国主義打倒へ突進していこう!
 この闘いは、新指導路線が切り開いた躍動的地平であり、革共同第6回全国大会(2001年)で確認したように、対カクマル戦争の勝利の土台の上にかちとられている。
 反革命ファシスト・カクマルの白色暴力を打ち破った長い命懸けの闘いが、カクマルを腐敗と衰滅の道へと突き落とし、その勝利と自由の空間で大きな革命的胎動が始まっているのだ。われわれは、2006年の3月14日、本多延嘉書記長(当時)虐殺から31年を迎えるにあたって、反革命カクマルとは何か、党にとって3・14とは何かをとらえかえし、改憲阻止決戦の大爆発の中であらためてカクマル完全打倒を誓うものである。

 第1章 カクマルの歴史的大罪を革共同は絶対に許さない

 70年決戦への反革命、警察=カクマル連合

 革共同は、安保・沖縄決戦として69年、71年の二つの11月決戦を闘った。日帝のベトナム侵略戦争参戦に反対する67年10・8羽田闘争から始まった激動の7カ月、米軍ジェット燃料輸送阻止・新宿騒乱闘争、全国大学闘争の爆発をもって69年佐藤首相(当時)訪米阻止11月決戦へとのぼりつめ、さらに土地収用と闘う三里塚闘争の激闘の中で沖縄返還協定をめぐる71年11月決戦を闘い抜いた。この71年沖縄決戦の渋谷暴動闘争を先頭で闘ったがゆえに、無実の星野文昭同志は殺人罪のデッチあげ報復弾圧を受け、無期懲役の判決で31年間、今なお獄中にとらわれている。
 この「二つの11月」という70年決戦の闘いは、安保・沖縄決戦として革命的労働者学生の数千数万という軍団が日帝権力・機動隊と首都と空港をめぐり(69年)、また首都中枢のど真ん中で(71年)、鉄パイプと火炎瓶でわたりあった大衆的武装闘争=市街戦であった。大量の反戦派青年労働者が、日本階級闘争史上初めて初期的武装をもって学生とともに街頭で機動隊とのせん滅戦を繰り広げた。学生は全国の学園でのバリケードストライキから街頭へ、その隊列を登場させて闘った。
 当時の社会党、共産党のもとでの労働運動が、資本の攻勢によって組合の職場支配権を次々と奪われ続ける状況の中で、反戦派労働者がその流れを押しとどめ、階級的・戦闘的労働運動の防衛と飛躍をかけて全産別職場と各地区で闘いを押し広げていた。70年決戦は、その青年労働者が自ら武装して闘った階級決戦でもあったのだ。労働者階級は、「来るべき革命的激動期にどのように闘うのか」という目的意識性と階級的戦闘性を発揮してこの決戦を闘った。工場から薬品を集め、教室で火炎瓶を作り、全逓労働者は郵便車でそれを運んだ。
 この決戦は、67年10・8羽田闘争以来の一つの集約点でありながら、11月決戦を闘った戦闘性をもった革共同が、労働組合運動へとびこむ跳躍台でもあった。
 明らかにそれは、革共同第3回全国委員総会(1962年)路線に敵対し、逃亡したカクマルとの闘いを推進してきた闘う労働者と学生共産主義者が、社会党や共産党の支配する労働運動にとって代わって、日本の労働運動の主流となるべく「労働者の中へ」の闘いを一挙的大量的に準備するものであった。次代の日本労働運動を反スターリン主義革命的共産主義運動=革共同が担うことをくっきりと示したのである。帝国主義権力も、労働組合幹部もその予兆におののいた。
 最も恐れたのが3全総から脱落・逃亡した黒田=カクマルであった。彼らは70年決戦を一切闘わずに、革共同が11月決戦で権力から弾圧されることを計算して、革共同への武装襲撃を目的意識的に準備したのである。70年決戦を闘った大量の学生共産主義者と青年労働者が労働運動に全面的に決起すれば、例えば韓国での学生運動の担い手が今日の民主労総の組織的中軸を形成しているように、必ずその後の日本労働運動の戦闘的基軸を形成したであろう。反革命カクマルは、このことを心底から恐怖し、11月決戦とその後の「労働者の中へ」の実践を阻止するために武装反革命に転落したのである。
 革命の荒々しい現実性とそれを担う労働者階級の前進。これに恐怖して加えられた武装反革命。カクマルの71年12・4の関西学生2同志と12・15三重の1同志への殺害襲撃と、連続する革共同と戦闘的労働者への襲撃は、革共同が権力の破壊活動防止法弾圧との闘いで苦闘しているまさにその時を狙った、文字どおり「権力と闘った者への武装襲撃」であった。カクマル頭目・黒田寛一は、反革命通信『解放』紙上で「権力が首根っこを押さえているときにカクマルは下の急所を蹴りあげる」と主張した。K=K連合(警察=カクマル連合)を自認して、権力と闘ったことを理由として革共同を襲ったのである。日本の階級闘争が初めて経験した事態であった。これに対し、11月決戦を闘った労働者・学生は、自らの矜持(きょうじ)をかけて己の肉体と生命、人生をかけて反撃に総決起した。これが二重対峙・対カクマル戦である。

 生死かけた二重対峙・対カクマル戦の決断

 当初われわれは、「二つの11月」による大量逮捕や、集会禁止や指導部の逮捕という破防法攻撃の中で、カクマルとの力関係は完全に劣勢であった。69年4月に破防法で逮捕され、71年3月に保釈・奪還された本多書記長を先頭にしてわが革共同は、反革命から開始された革命党への絶滅攻撃(反革命の側からの内戦)に対し、形成途上の革命党の歴史的・階級的試練として受けとめ、これと闘うこと抜きに日本革命はあり得ないとして猛然と決起した。それは、労働者階級が自己解放を実現する過程で不可避に迫られる、反革命からの襲撃に党はどういう態度をとるのかという問題であった。革命をかけて、文字どおり指導部を先頭として全労働者党員・学生共産主義者が命懸けの蜂起をもって闘ったのだ。
 本多書記長の指導のもと「防御・対峙・攻勢」という段階的前進戦略をもって、カクマル反革命との内戦を、戦略的防御から革命的対峙、そして戦略的総反攻へと闘い、カクマルを追いつめていった。その過程、わが労働者同志は、職場を守るために出退勤を戦争的に構えた防衛戦争を闘い抜いた。多くの同志の犠牲をのりこえ、カクマルが仕掛けたファシスト反革命襲撃に対し、先制的内戦戦略を確立して闘った。
 戦略的防御の厳しい防衛戦争を闘い抜いたわれわれは、73年9月に戦略的対峙段階へ踏み出し、カクマルへのせん滅戦を連日闘い取った。すでに74年6月の段階でカクマル黒田は、わが革命的攻撃に対して、「権力の謀略」などと厭戦(えんせん)主義を吐露して逃亡を開始していた。そしてついに、74年夏、革共同は戦略的総反攻の大攻勢へと突撃し、連日カクマル・アジトを撃破していった。この過程で、憎むべきカクマルは、前迫勝士同志ら革共同の誇るべき労働者同志を虐殺したのである。そしてさらに、実に卑劣な謀略的手段をもって本多書記長にマサカリで襲いかかり、虐殺のための虐殺を行ったのが3・14反革命であった。

 新指導路線が切り開いた勝利への展望

 1975年3月14日、内戦を最先頭で指導していた本多延嘉書記長は反革命カクマルによって虐殺された。黒田、松崎、土門によるこの反革命に対して、われわれは怒りに燃え、党の存亡をかけて革命的報復戦に決起した。これに対して、反革命カクマルはさらに、わが偉大な全逓出身の労働者革命家、橋本秀次郎同志を76年2月に虐殺したのだ。
 3・14反革命をけっして忘れるな! これは自己解放を闘いとろうとする革命的労働者人民にとって、血で書かれた厳しくも重たい歴史的・階級的教訓である。反帝国主義・反スターリン主義世界革命をめざす闘いが、その現実化の一端を荒々しく生みだした時、闘う内側にいると思われた革命の仮面をかぶった反革命が武装して襲いかかった。権力にはけっして向けたことのない刃(やいば)を、権力の容認のもとで革命党に振り下ろしてきたのだ。労働者階級の自己解放闘争は、帝国主義権力や反共右翼との闘いだけでなく、実はスターリン主義やファシストという民間反革命との闘いに勝ちぬくことを抜きにけっして前に進めないことを、3・14反革命はわれわれに血の文字をもって突き付けている。
 革命の絞殺ともいえるこの凶行に対し、われわれは自らが本多書記長になって革命をやり遂げる気概をもってカクマルへの復讐戦に決起した。革命の新たな再生をかけて闘う戦士となったのだ。革命と革命党の存亡をかけたこの決戦に、全党が、そして日本の最も戦闘的で革命的な労働者人民が総決起した。敵の反革命襲撃に負けない、革命党の先んじた武装した闘いとして先制的内戦戦略論を確立し、対カクマル戦を何よりも優先して闘った第1段階(フェーズT)、カクマルとの内戦を継続した中で対日帝権力闘争へ挑戦した第2段階(フェーズU)の激しい闘いをとおして、カクマルを軍事的に粉砕していったのである。この闘いの過程は、実際にカクマルが反革命であることを労働者人民に鮮明に示す過程となり、カクマルは闘う労働者人民から見捨てられていった。この闘いが革命党を守り、階級的労働運動を守った。
 この内戦は、心ならずも党の戦列を離れた多くの労働者人民の全面的な協力と支持のもとに遂行された。反革命との闘いに屈服して対カクマル戦を闘えなかった党派は、日帝の攻撃にも耐えられず解体されていった。
 あらゆる困難を克服して闘ったカクマルへの軍事的せん滅戦と対日帝戦争、その最大の蜂起戦=90年天皇決戦の勝利の上に立ち、われわれは91年5月テーゼをもって「労働者の中へ」の闘いに突入した。ついに70年決戦の後にわれわれが突撃すべき本来の闘いを回復したのである。われわれはカクマルを階級的、政治的に包囲し、追いつめた。動労千葉は、分割・民営化とそれ以降の処分攻撃と真っ向から闘い、階級的労働運動を貫いた。こうして反革命カクマルは大衆運動的にも労働運動的にも反革命であることが明らかとなっていき、労働者階級内部で存在できなくなっていった。2000年末にカクマルを中央派カクマルとJR総連カクマルへと分裂させた力はここにある。
 われわれは01年革共同第6回全国大会で対カクマル戦の勝利を確認した。さらに03年新指導路線による「党の変革」をかけた決起をとおして、カクマル最後の潜入場所=労働組合への革命的進攻を全面的に開始している。階級的労働運動、革命的大衆運動の前進の中で、いま中央派カクマルは衰滅と腐敗の坂を転げ落ちている。またJR総連カクマルは利権をめぐって組合内部で、松崎・本部派と嶋田派との分裂・抗争に至っている。
 われわれは、新指導路線をさらに強力に闘いぬくことで、分裂したカクマル両派の完全打倒を実現する地点に立っている。革命軍によるカクマルへの復讐戦を強め、3・14復讐戦貫徹、カクマル完全打倒へ突撃しよう! 虐殺者=黒田・松崎・土門の革命的処刑を戦取しよう!

 第2章 堕落を極め分裂と抗争を激化するJR総連の惨状

 (1)分割・民営化に協力した裏切りの烙印は消せない

 JR総連とは、どういう組合か。それは、今日の民営化攻撃の始まりであった19年前の国鉄の分割・民営化に率先協力した功によって、旧動労カクマルが資本・権力によって与えられた反労働者的労組である。当時の首相であった中曽根康弘が繰り返し公言しているように、「国鉄の分割・民営化は国鉄労組を解体しました。国鉄労組の崩壊は総評の崩壊、つまり社会党崩壊につながります。……もちろん私はそれを認識して実行に移しました」(『文芸春秋』05年12月号)ということなのである。日帝権力が国鉄労働運動の解体を「戦後政治の総決算」攻撃として加えてきた時に、労働者階級の側は階級的労働運動の防衛と発展をかけた一大決戦として、これを全労働者の闘いに押し上げることが求められていた。この時カクマルは、階級的立場で反撃することなど初めから目もくれず、早々と闘いを否定し、「自分たちだけの利益」のためにこの決戦の武装解除を行ったのである。

  「魚は頭から腐る」

 中曽根は「(国鉄改革を始めとした)行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」という反革命的使命をもってこの攻撃に踏み切った。それは全国鉄労働者に「闘いか、しからずんば労組の死か」を迫る重いものであった。『俺たちは鉄路に生きる2』で、この日帝の体制をかけた攻撃にどう立ち向かうべきかについての、当時の中野洋動労千葉委員長の格闘がつづられている。「動労千葉は当時1100人、国鉄労働者全体の中では本当に小さな勢力が国家権力を相手に戦争して勝てるのか」と煩悶(はんもん)し続け、最後に「迷ったら原則に帰れ」、「組合員を信頼し、闘うことをとおして団結を固めていく以外に動労千葉の進むべき道はない」と決意して闘いの道を進んだことが記されている。攻撃の激しさの中で二者択一を迫られた時、「魚は頭から腐る」というとおり、労働組合の指導部が敵の攻撃やその後の自らへの処分などを計算し、恐れて闘うことをやめ、組合員に転向・屈服を強制していく問題が語られている。中野委員長が闘いを選択した決断の根底には、組合員の団結が破壊されていくことへの階級的拒絶と、組合員をとことん信頼する労働者階級自己解放の思想があった。労働者の真の団結は、闘いをとおして培われ、強固に成長していく。動労千葉の分割・民営化との闘いやその後の今日までの闘いがそれを示している。

 首切りの先兵に転落 

 日帝・中曽根にとっても、初めからこの攻撃の勝算があったわけではない。動労松崎が分割・民営化に賛成し、労働組合の内側から率先協力して「城の明け渡し」を買って出たことによって、初めてこの攻撃は成り立ったのである。
 当時の副総理・金丸信や元警視総監の秦野章などが松崎を絶賛しまくった。実際、松崎もこれに前後して、『自由新報』(自民党機関紙、86年4月)や『世界日報』(勝共連合機関紙、87年2月、7月)などに登場し、「民営的手法を発揮できるのは分割だ」とか、「スト絶滅が私の使命」「労働組合室に日の丸を掲げるべきだ」「原発、自衛隊の容認」を主張し、すでに当時から「日の丸・君が代」への忠誠や反戦反核運動への敵対を露骨に示して迎合していた。
 同じ分割・民営化攻撃について、JR総連副委員長・四茂野修は、最近の著書『甦れ! 労働組合 −「もう一つの世界」を求めて−』(05年9月刊)で、攻撃の「最大の問題は人員削減だった」(143n)と言っている。この本は全編怒りを覚えないではいられない本だが、そこで四茂野は「首切り絶対反対を掲げて闘ううち、経営側の手で第二組合がつくられ、なお闘争を継続する第一組合が孤立の果てに選別的な解雇攻撃を受け、壊滅するという苦い敗北を、日本労働運動はこれまで何度も経験して来た」(144n)と言っている。要するに四茂野は、決断を迫られた動労は、第二組合をつくられるのなら自らが第二組合に率先してなったほうがいい、組織と雇用を守るために動労はそのように「闘ったのだ」と言いたいのである。そして資本が求める年配の組合員の早期退職を資本に代わって組合が求め、北海道や九州の組合員には広域異動を強制し、他の職種への転職を強要したと告白している。(145n)。
 ここには国労や他の産別労働者への配慮はまったくない。ましてや、日本の階級闘争や労働運動への階級的裏切りの自覚など一点もない。「自分たちだけが雇用されればいい」とするものでしかない。そのために国労を攻撃し、動労内の一般組合員をも首切りに応じさせ、動労カクマルだけが生き延びようとしたというのである。その過程で、ファシスト・カクマル分子による白色テロルが数限りなく労働者に襲いかかったのである。しかも彼らは、分割・民営化に応じただけではなく、86年に総評を自ら脱退して中曽根の総評破壊のもくろみを率先して体現していったのである。

 裏切りの弁明に必死

 そうした裏切りを重ねた連中が今なお「国労は道を誤った。組合員の雇用を考えたら分割・民営化の『国鉄改革』を受け入れることが正しい方針だったのだ」などと居直っている。
 四茂野はここで“変節・屈服したわけではない。民営化を進めたことは間違いではなかった”と言い、「改革そのものが問題なのではなく……改革のやり方、プロセスの方向(の問題)」などと裏切りの合理化に必死になっている。白々しいウソと弁解、言い逃れは絶対に許せるものではない。だが実は、彼らのこの必死の言い訳は、民営化に賛成した組合=JR総連の裏切りが、絶対に消えない階級的大罪の烙印(らくいん)となって彼らに重くのしかかっていることを示している。
 JR総連カクマルこそ、20万人国鉄労働者の首切りと200人を超える自殺者を出した国鉄の分割・民営化攻撃を支え、内側から闘いを破壊する行動を行った、絶対に許されない反労働者組織である。当時松崎は「数年で国労は解体する」と吹聴していた。だが組合員の不屈の闘いはその「願望」を打ち砕いて19年後の今日も国労は存在している。むしろここでも問題は、その後の国労の指導部が「頭から腐って」しまい、一度として組合員を信頼してストライキで闘うこともせず、それどころか「政治解決路線」という政治取引にすべてをあずけ、あげくの果てにそれに反対する国鉄労働者を権力に売り渡す階級的犯罪に手を染め、展望を失って自己解体へと走っていることである。

 国鉄決戦の勝利へ

 そうした状況を突き破って二重の解雇と闘う国鉄1047名闘争が不屈に権力・資本と闘い続けてきた。またこの分割・民営化攻撃に唯一、2度のストライキで闘った動労千葉は28人の首切り攻撃とその後のさまざまな攻撃と対峙して闘っている。原則的闘いを続けた動労千葉は昨年、強制配転されていた組合員14人の運転職場復帰をかちとっている。こうした階級的闘いが、昨年11月の全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、動労千葉の3労組共催のもとで4600人の国際連帯集会を実現したのだ。さらに今年の2月16日には、国鉄闘争の主体・5者が大同団結した集会を実現し、1047名闘争勝利に向かって大きく動き始めている。
 JR総連カクマルは(もちろんカクマル中央派も)、こうした闘いに一言たりとも言及することはできない。

 (2)巨額の組合費を私物化してきた松崎らに鉄槌を!

 JR総連カクマルは、分割・民営化で与えられた組合利権の汚濁の中で、ますます腐敗を深め、組合員と無関係の地点で組織分裂と抗争に明け暮れている。それに対し、動労千葉の階級的労働運動、国鉄1047名の不屈の闘いは、この結託体制を打ち破って闘われてきた。こうした闘いによって、JR総連・東労組の資本との癒着による組合支配は、要員問題、安全問題、労務問題などの矛盾と破綻(はたん)を拡大していった。JR総連・東労組の組合支配がJR資本にとって有効性を失い桎梏(しっこく)となる一方、組合員自身からも松崎とJR総連は見捨てられた存在となっていった。こうした中で権力もJR総連・松崎の利権をめぐる腐敗を暴露するに至ったのだ。
 昨年12月7日、警視庁公安部は2000年4月の3000万円の業務上横領容疑でJR総連と関係する11カ所への家宅捜索を行った。さらに今年1月17日には、JR総連前顧問・松崎明に同容疑での身体捜索を行い、松崎が持っていた手帳を押収した。
 容疑とされた3000万円の業務上横領とは、「松崎明を含む4名の労組関係者が、JR総連・国際交流基金から多額の組合資金を私的に流用した」というものだ。松崎とJR総連カクマルによる組合資産を食い物にした腐敗が暴露されたのである。

 資産40億円を私物化

 87年、動労がJR総連になっていく過程で旧動労の資産を継承し管理する団体として「さつき会」が立ち上げられた。この「さつき会」の管理・指示のもとで「組合員の福祉事業の充実をはかる」目的で資金運用する機関が「(財)日本鉄道福祉事業協会」である(以下、事業協会と略す)。事業協会の理事長には01年から元JR東海カクマルの佐藤政雄が就いている。この事業協会は旧動労の40億円を超える資産を持っており、その傘下には(株)さつき企画、目黒さつき会館、伊東さつき会館、(株)鉄道ファミリーなどの関連会社がある。すべての役員を、JR総連カクマルOBかその関連分子で固め、組合の資産を実質的には松崎の意向に沿って思いのままに動かしてきた。
 今回、問題となっているのは、1990年にJR総連などが立ち上げた「国際交流推進委員会(現国際委員会)」の資金運用の窓口である「国際交流基金」への事業協会からの入金と支出である。「国際交流基金」口座は「みずほ銀行(当時は富士銀行)目黒支店」に「国際交流基金・代表松崎明」名義で開設された。JR総連の資金を国際活動の名目で松崎が個人として自由に扱えるからくりを作ったのだ。実際、ポーランドの日本美術センター建設などの資金がこの口座から支払われ、松崎はこの寄付の功績でポーランドから勲章を受けている。

 ハワイ・沖縄に別荘

 この国際交流基金の口座から、松崎が2000年4月に3000万円を引き出し、高級リゾート地として有名なハワイ島コナに松崎名義の別荘を購入した。その金は、事業協会が国際交流基金に入金したものである。要するに事業協会の金が国際交流基金を媒介にして松崎のハワイの別荘代金として引き出されたのだ。公金横領そのものだ。JR総連は、この金は、沖縄県今帰仁(なきじん)村の松崎個人の別荘を事業協会に売却した代金で、それを国際交流基金の口座に一時振り込んだものであり、なんら問題ないと強弁している。こんなことは誰も信じないが、そもそも私的な不動産の売買に公的な国際交流基金の口座を使うこと自体、公私混同、公的機関の私物化を示しているではないか。そもそも今帰仁村の別荘を松崎個人のものとしているが、購入資金の出所を明らかにする必要がある。松崎の金といっても結局は組合員が出したものだ。(なお今帰仁村の別荘を、事業協会は最近売却してしまった)
 松崎による国際交流基金の私物化は、一連の組合資産の私物化の一端にすぎない。90年の国際交流基金立ち上げ以来、松崎・JR総連カクマル分子による公的資産の私的流用、横領と腐敗が十数年にわたって続いてきたのである。かつてのカクマル白色テロ部隊への資金投入なども、こうした使いたい放題の組合資産私物化によって可能となったと言える。
 松崎の組合利権へのこだわりは、ほかにもいくらでもある。松崎がとっくの昔に東労組の組合員でなくなっているのに、今も組合の「公用車」を公然と使っていることは有名な話だ。息子・篤に東労組の組合歌を作曲させて、過大な報酬を与えたことや、「さつき企画」の社長に息子を据えたことなど、枚挙にいとまがない。

 極悪労働代官=松崎

 松崎は、昨年12月13日「我ら生涯労働者なり」と銘打った集会で講演をし、あたかも自分が「一労働者」でもあるかのように吹聴して組合員の同情を得ようとした。松崎特有のウソとハッタリで権力からの追及逃れに必死なのである。だがJR総連・東労組のトップに君臨し続ける松崎が、別荘を沖縄だ、ハワイだと持ち、あるいはマンションをいくつも持っていること自体、JR組合員の資産の私物化の何よりの証拠であり、けっして一労働者などではないことを示している。JR総連組合員の誰もが沖縄やハワイに別荘を持つことができるとでも言うのか。
 いったい国鉄分割・民営化で首を切られた国労闘争団の家族が、どういう生活と闘いをしているか知っているのか。この一点をとっただけでも、今回の事件は「一労働者=松崎へのデッチあげ弾圧だ」などということではまったくない。腐敗しきった分割・民営化を率先した極悪労働代官による二重三重の労働者への裏切り=悪行の現実である。JR総連や東労組のカクマルは、資本との結託体制のもとでぬくぬくと松崎とともにその利権を享受してきた。腐敗した松崎による組合の私物化に、ともに利益を見いだした同じ穴のムジナなのだ。これが、分割・民営化を進めたカクマルの行き着いた腐敗しきった姿なのである。
 JR総連カクマルは、権力による追及と恫喝の前に、松崎を守るという口実のもと、どこまでも権力・JR資本に屈服を深め、改憲阻止決戦に敵対し、戦争協力の道を進んでいくことは明らかだ。彼らは「ストはしない」「軍需輸送に協力する」と何度も公言している。
 JR総連組合員が、こうした事態をいつまでも許しておくことはありえない。必ず階級的に決起し、蓄積した怒りを爆発させることは明らかだ。闘う組合員の決起をもって、腐敗しきったJR総連カクマルを打倒する時が来たのだ。

 (3)権力・資本との結託めぐり松崎派と嶋田派が泥仕合

 JR総連利権の松崎独占支配に反旗を翻した嶋田派と松崎派との対立・抗争は4年目に入っている。しかもこれは、昨年からJR東労組の枠を越えてJR九州ユニオン、JR西労を巻き込み、JR総連全体に拡大した。
 本部・松崎派は、「反弾圧・総団結」を掲げて嶋田派の拠点である新潟、長野両地本へ本部指令を出し、嶋田派組織の切り崩しを図ってきた。04年の新潟地震に際して一時凍結していた嶋田派役員への処分も昨年再開した。
 05年6月横浜地本・嶋田派7人への組合員権停止処分を決定したのに続いて、今年に入って嶋田派への処分攻撃を激化させている。02年10月に本部中執を辞任した役員8人のうち5人に対して「除名」処分を決定した(3人はすでに退職しているので処分除外)。また今回、千葉地本の成田支部長に対しても「組合員権停止5年」の処分を下した。
 さらに長野地本の峰田委員長、小池副委員長(委員長代行)、関書記長、岡村青年部長らに対する制裁審査委員会の設置を決めた。彼らにはすでに執行権停止が言い渡されており、これで長野地本は三役と青年部長がいない状態となった。
 こうした本部派の攻勢に対して嶋田派は、あくまでもJR東労組に残り、時が来たら現松崎・本部派執行部にとって代わろうと狙っているだけでなく、JR総連全体への影響力拡大に入っている。それに対し、処分の動きが東労組だけではなく、JR総連本部からも開始された。
 ▼北陸地協とJR西労・金沢地本委員長の処分
 JR総連の中に北陸地方協議会がある。これはJR東労組(新潟地本)とJR西労(金沢地本)という両単組にまたがったJR総連の地方協議会であるが、新潟地本の役員を辞任した人物が北陸地協役員に就いていることをJR総連本部が問題にした。04年7月にJR東労組本部との確執で新潟地本役員を辞任した2人が、その後も北陸地協の議長、副議長に再任されていたからだ(05年3月)。JR総連本部は、これを阻止するために、出身単組(この場合JR東労組)の推薦がなければ地協役員には就任できないと主張し、この2人の「再任無効」を決定して「辞任」を要求した。
 これに対し北陸地協三役会はこれを拒否した(8月4日)。この時の北陸地協のもう1人の役員はJR西労・金沢地本委員長であった。JR総連はまず「北陸地協の権限凍結」を決定し、北陸地協を事実上の解散処分にし、またこれとの関係でJR西労・金沢地本委員長に対して執行権停止(=解任)の処分を行った(05年11月7日)。
 ▼JR九州ユニオンに対する「統制委員会」の設置
 さらに今年に入ってJR九州ユニオン執行部に対する処分が検討されている。理由は、九州ユニオン大分地本執行委員(嶋田派)が新潟地本の嶋田派幹部と連絡を取ったことに対して、九州ユニオン執行部がこれを容認しているというものである。
 嶋田派がこの大分地本役員を窓口としてJR西労とJR九州ユニオンへと伸張していることへの危機感である。JR九州ユニオンとJR西労近畿地本との組織交流は過去にも行われてきた。だが今回の交流会は、九州ユニオン嶋田派役員が行ったJR総連の「反弾圧・総団結」の方針に反したものだというのである。
 こうして松崎・本部派は、嶋田派のJR九州ユニオン、JR西労への影響力拡大を必死で防ごうとしている。嶋田派への処分を強め、「松崎」問題で起こる組織的激震に備えて組織固めを行っているのだ。
 組合員と無縁なJR総連・東労組の利権をめぐる腐敗した分裂・抗争は、JR総連の組織分裂の危機をはらんで激しく泥沼化している。闘うJR総連組合員は今こそ階級的労働運動へ結集し、カクマル支配を打倒しよう!

 (4)羽越線事故で会社を擁護 運転士に責任を押しつけ

 昨年12月25日に5人が死亡した羽越線事故に関して、JR東労組は「予測不可能な強風が原因」と言って済ましてきた。そこには動労千葉が「災害時運転規制手続」などの列車運行マニュアルを検討して暴き出した「人災」の立場など一切ない。東労組の立場は、風速毎秒25bを超す暴風雪の中を運転規制もせず時速120`で列車を走らせよという当局の無謀な指令のあり方を当然だとするものである。
 今年1月5日、東労組は緊急全専従者会議を開催し、石川委員長が「労働組合がもっと力をもっていれば、労働組合が感性を麻痺(ママ)していなければ(事故は)防げたのではないか」「現場の組合員はもっと(事故を)感覚していたのではないか。風や雪、水害等々、自然災害と呼ばれるものを見過ごしていたのではないか」と述べた。その一方で石川は「社長談話を非常に重く受け止めました」と会社に問題はなかったとの立場をとっている。実はここで言っている「労働組合」とは新潟地本のことであり、「現場の組合員」とは新潟地本組合員を指している。石川発言の真意は、新潟地本批判であり、当該運転士への責任転嫁なのである。この問題をそのように歪めることは絶対に許されない。
 事故の根本原因は、国鉄の分割・民営化にあり、利益追求、コスト削減を第一に効率化・合理化とスピードアップ、ダイヤ厳守、規制緩和を進め、安全より運行優先に走るJR東日本にある。そしてJR東日本と癒着し、資本への責任追及を放棄したJR東労組にこそあるのだ。松崎が提唱した「責任追及から原因究明へ」という会社側に立ったJR東労組のあり方自身が問題なのだ。88年東中野事故、97年大月事故、99年山手貨物線事故も結局会社の責任はあいまいにされ、現場労働者に責任が押し付けられた。
 羽越線事故でJR東日本・松田会長が辞任を表明し、松崎の後ろ盾が揺らいでいる。他方で松崎の横領問題が爆発しようとしている。JR東資本と東労組との結託体制の蜜月(みつげつ)が生み出した安全切り捨て=腐敗は、こうして破綻した姿を現した。JR労資結託体制も終わりを迎えている。国鉄労働者は今こそJR総連カクマル支配を打倒しよう!

 第3章 「黒田への帰依」競い合いカルト集団化する中央派

 (1)会議で黒田の「歌」を唱和して至福感にひたる組織

 カクマル中央派は松崎の組合費横領について一言も発言しない。中央派自身の思想が、国家権力に屈服し、闘う労働者を蔑視(べっし)し、闘う労働運動を破壊するものだからだ。おぞましい腐敗だ。
 カクマル中央派の最近の特徴は、「教組・黒田」への帰依を競うとともに、組織自体がカルト傾向を一層深め、それによって反革命組織としての延命を図っていることである。
 黒田はまともな論文も書けず、「歌」によって組織的指示を出しているが、カクマルはこの「歌」を特別視し、それぞれの組織会議で詠唱(えいしょう)しあっている。文字どおり「お経」を唱える状態にまでなっている。
 黒田の本を読んでいて「至福感にひたった」とか「黒田の声が聞こえた」とまで言い出している。「『実践と場所』を読みながら、私はえもいわれぬ心地よさに包まれどおしであった。……至福感にひたることがしばしばであった」(反革命通信『解放』01年7月23日号)、「黒田さんと話すつもりで学んでいけばいいではないか……。そんな風に思うと……黒田さんの声が生きて自分の内にひびいてくるのを感じた」(同06年2月20日号)
 また昨年12月のカクマル派集会では基調報告者・野沢某が、74年に赤色テロルでせん滅された九州の指導部・吉川文夫が重体のあとリハビリでなんとか回復したことを例にとって、「吉川さんの死復活は奇蹟である。この奇蹟はわれわれの組織だからこそ起きた」と、奇蹟(きせき)を生むカクマル組織の素晴らしさを大まじめに語っている。
 またその集会では「わが反スターリン主義運動は年をとらない。それは、われわれが日々〈原始創造〉をくりかえしているからだ」「創始者・黒田同志に導かれつつ世界に冠たるこの運動を……」などと、指導部先頭に組織員がこぞって黒田やカクマル組織の「ありがたさ」や「奇蹟」をたたえあい、黒田への帰依と媚(こび)を競っている。実におぞましい光景の連続である。
 黒田とそれに寄り添うカクマル指導部は、われわれが指摘し続けて来た「JR総連との分裂問題の総括」「黒田主導の謀略論の破産と責任問題」「黒田哲学の破産」について、けっして答えようとしない。否、できないのだ。すべてあいまいにしたまま無責任を決めこんで、政治組織から宗教的カルトへと進み、反革命として生き延びようとしている。
 カクマル指導の最大の問題は、衰滅しつつある黒田とその指導をありがたがるカクマル中枢の存在である。もはやカクマル指導部は、政治判断をまともにできなくなっている。
 その腐敗の極致、核心が「謀略論」である。そもそも謀略かどうかの判断はすべて黒田が行うのであり、これは黒田に与えられた「特権」である。そして黒田と同じように謀略だと直観できたか、できなかったかをめぐって中枢内で対立する始末だ。
 カクマルによれば、01年9・11反米ゲリラ戦は謀略ではなく、04年スペイン列車爆破戦闘や05年ロンドン地下鉄爆破戦闘は謀略だというのである。イラクにおけるイラク−ムスリム人民の極限的ゲリラも、大半は「CIAの謀略」になっている。こっけいなのは、「カクマル組織だけがこれらを謀略だと見抜いたのだ」などと自慢げに吹聴していることである。謀略論はここまで組織を腐らせている。
 74年、わが赤色テロル戦の打撃で「権力による謀略」を主張して始まったカクマルの謀略論は、当時からありもしない勝手なストーリーで自己を慰撫(いぶ)していたが、今や、この荒唐無稽(こうとうむけい)な「謀略論」が政治主義的な組織指導の柱に座り、中枢から末端まで組織をカルト化してしまった。 
 黒田が政治主義的に騒ぎ立てた「神戸謀略論」運動(97年に神戸市で起きた少年による小学生連続殺傷事件をカクマルが「CIAの謀略」とキャンペーンした反革命デマ運動)は、A少年の出所で完全に破産が宣告された。黒田よ! カクマルよ! 「CIAの謀略」はどこに行ったのだ。”神戸事件を謀略と認めるかどうかに反スタの真価がかかっている”と主張したのをどう総括しているのだ。インチキ「反スタ」の自己暴露だ。まったく無責任極まりない。
 黒田は、「謀略」のねつ造のための窃盗や盗聴や住居侵入に動員したカクマル非公然軍事部隊に権力の捜査が始まるや、一転「そんな指令はしていない、自分の言った言葉を正しく受けとめなかった軍事指導部に問題があった」と無謬(むびゅう)を決め込んでいる。「CIA謀略」を主導した責任を完全にすり抜け、彼らを粛清する始末だ。指名手配者15人全員を権力に自首させることで権力に恭順を誓っている。黒田を先頭としたカクマルの組織的転向である。

 (2)「暗黒の21世紀」論−ファシスト的世界観と組織論

 反革命通信『解放』の今年の新年号は、「暗黒の世紀を覆す革命的拠点を」と題して「暗黒の21世紀」「ネオファシズム的大反動の暴圧」などと敵の攻撃の激しさだけを盛んに強調している。そこでは革命運動の展望をけっして語らない。そして”「戦争と暗黒」の世界を根底から覆す力をもっているのは、ひとりカクマルしかいない”などと、しきりに”暗黒世界の中の地上の太陽カクマル”を強調している。「戦争と暗黒」の中で、カクマルという組織に帰依することだけが救いだと言わんばかりである。まったく無内容な宗教的救民思想である。
 ここにはカクマルのファシスト組織論、反「革命」観が凝縮されている。
 カクマル組織の特徴は、組織外の他者への優位性(選民思想)と組織内絶対者への崇拝(自己救済)で成り立っている。他者への優位性は、階級性とは無縁な単なるプチブル的優越心である。自己救済とは、組織の中での絶対者に対する「ダメな自分」の服従関係であり、カクマル党員からシンパに至るまでの位階制とも言えるような上下関係である。そして、絶対者・黒田は無謬であり、これに帰依してダメな自分を変えていく(自己救済)というものである。
 重要なことは、この運動が反革命暴力を背景において成り立っていることである。「唯一の前衛党」や「無謬性」を組織的暴力で強制するところに反革命の特徴がある。
 カクマルにとって、まさに「唯一の前衛党のカクマル員になること」が、「いま・ここ」での「革命」を意味している。カクマルであることが”場所的現在における革命の実現”ということである。だから「暗黒の世紀」の中でも、カクマルでいれば救われるのである。あとはこのカクマル組織を同心円的に拡大していくことが革命運動だというのだ。そこには「唯一の前衛党=カクマル」を認めない他党派組織を破壊して歩くことが一体のものとして存在している。
 彼らにとって、帝国主義の攻撃と闘う大衆運動は、組織員をつくる目的のために利用すべきひとつのツール(手段)にすぎない。現下の階級的現実を実践的運動=闘いで革命的に変革していくことは、カクマルにとっては大して意味をもってはいない。むしろ階級的激動の中で大衆運動や労働者階級の一大決起が起こることは、カクマル作りに対立するものであり、粉砕すべきものとされるのである。
 なぜなら大衆運動の爆発は「革命党(カクマル)」をこえて豊かに発展してしまい、その闘い自体が明らかにカクマルの「唯一の前衛性」なるものをのりこえて(=否定して)しまうからである。労働者階級の自己解放、人間の類的解放、自由を求める行動を敵視する組織がカクマルなのだ。自由を求める労働者人民の感性との対極に、党を観念的に絶対視した(神の位置に置いた)カクマルの「革命」観が存在している。だが今や、この組織作りの真の推進力であった反革命暴力が失われたことで、カクマルは衰滅への坂道を転げ落ちている。

 第4章 小泉擁護の対米「属国」論粉砕し改憲阻止大決戦へ

 戦後最大の階級決戦情勢が到来した

 日帝は今、帝国主義間争闘戦で生き延びるために、「米軍再編」をテコとする日米軍事同盟の飛躍的強化、米帝ブッシュの世界戦争戦略をともに担う戦争国家体制づくりへと突進している。戦争と民営化(労組破壊)攻撃であり、階級決戦としての改憲攻撃である。
 労働者階級は、この攻撃を4大産別決戦、改憲阻止決戦をもって粉砕するために、「嵐をついて反撃へ」と闘いを挑んでいる。この闘いをとおして敵の階級的危機を革命的好機に転化する歴史的チャンスを迎えているのだ。階級的危機と革命的好機の両面を暴露し闘うことが重要だ。実際、この決戦で勝利する以外に闘う労働者にとって生きる道はない。労働者階級が労働組合の団結を基礎に反撃し、全人民の改憲阻止闘争への階級的決起を実現することが求められている。すでに国民投票法案をめぐって闘いは開始されている。改憲阻止の闘いに総決起し、戦後最大の階級決戦に勝利しよう!

 「日の丸・君が代」決戦に敵対するカクマル 

 この全人民的階級決戦を前に、カクマルは、早々と日帝に屈服し、戦争国家化−改憲に協力する立場を表明している。労働者の階級的団結を破壊し、闘いを分裂させ、決起を抑え込み、闘う労働者人民を敵に差し出す道を走っている。
 カクマルの主張をみれば、彼らが今や反共国粋主義者であることは鮮明だ。中国脅威論で排外主義をあおり、米帝ブッシュをことさら強大視して反米を叫び、民族主義的に「小泉ガンバレ」と後押ししている。
 カクマルは改憲阻止決戦に敵対する反革命そのものである。彼らは、日帝・小泉の改憲・戦争政策を、日帝の帝国主義としての延命をかけた能動的・積極的攻撃としてとらえない。「日本のアメリカ属国化の完成」「小泉属国外交」「小泉=ポチ公」論を展開している。日本共産党以下の対米「属国」論である。日帝・小泉の攻撃は米帝ブッシュによって強制された行為だとし、小泉をまるでブッシュの”被害者”のような存在として描き出している。それは日帝の危機ゆえの戦争突進をどこまでも容認するものだ。
 しかもさらに、日帝の改憲攻撃についてカクマルは、「ヤンキー帝国主義の軍事的再編にみあった形での日本国憲法の改悪=『ブッシュ押しつけ憲法』の制定」と主張している。ここには、日帝が改憲によって戦後体制の最後的解体と統治形態の転換を行い、戦争国家へ突き進んでいることが隠蔽(いんぺい)されている。
 改憲攻撃は、日帝自身の体制的延命をかけた反革命であり、これまでとまったく違う、戦争をする国家形態に入るための攻撃なのだ。したがって、これとの決戦は結局、戦後革命が課題とした労働者階級と日帝との権力問題=革命が惹起(じゃっき)されることにならざるを得ない本質的に内乱的激突をはらんだ闘いなのである。カクマルはこのことを意識的にごまかしている。
 黒田・カクマルが指名手配者全員を投降させ、組織的転向を示したことと、この主張を掛け合わせてみれば、カクマルが完全に改憲阻止闘争の破壊者として登場していることは明白である。「日帝と闘うな!」「改憲は必要だ!」。これがカクマルの立場である。
 そして何よりもカクマルは今、教育労働者を先頭にした「日の丸・君が代」強制反対の不起立闘争に敵対している。カクマルは「『日の丸・君が代』強制・処分攻撃を粉砕せよ!」という教労委論文を出した(『解放』2月20日号)。この論文は最初から最後まで不起立という言葉すら避け続け、唯一、不起立闘争に関して、「彼我の一定の諸条件のもとでは、国歌斉唱時の起立を拒否するという闘争形態をも駆使して闘うであろう」などと言うのみである。「彼我の一定の諸条件のもと」「闘争形態をも駆使」とはいったい何事だ。不起立への敵対宣言である。カクマルは組織として”日の丸に起立し、君が代を斉唱せよ”という方針を再確認しているのだ。
 これは都高教委員長選に、カクマル教労キャップ桐生真理子が本部連合派委員長を当選させるためにのみ立候補したことにも貫かれている。それは戦争協力拒否の闘いを、処分を受けながらも貫く教育労働者への真正面からの敵対である。闘う執行部が生まれることはカクマルの死であり、闘う労働者を背後から刺したのだ。こうしてすでにカクマルは改憲阻止決戦への敵対を開始している。
 その上で、統一戦線の破壊を目的に潜り込もうとしているのがカクマルだ。
 改憲阻止に向けた全人民的決起が始まろうとしている。闘う労働者人民は、この階級決戦に勝利するために、「改憲阻止」の一点での大統一戦線を求めている。この統一戦線の破壊を狙っているのが日本共産党スターリン主義であり、ファシスト・カクマルなのである。
 日本共産党は、「テロ支持勢力とは共闘しない」などとセクト主義を押し出している。そして改憲をめぐる決戦が国民投票法案をめぐる闘いとして切迫している時に、これとの闘いの放棄を決め込んでいる。 また、カクマルは反革命として、統一戦線を内部から破壊するために介入を策している。
 カクマルにとって統一戦線とは、あくまでも「他党派解体のための統一戦線」なのである。
 闘う労働者人民は、今や組織的衰滅を深めるカクマルを改憲阻止決戦の大爆発の中で必ず粉砕するだろう。わが革共同は新指導路線の強化・発展をもって圧倒的な労働者の決起を実現し、カクマルのあらゆる敵対を打ち破って進撃するだろう。いよいよ全戦線からカクマル両派を一掃する時が来たのだ。
 31年目の3・14。われわれはあらためて反革命カクマルを見据え、4大産別決戦−改憲阻止決戦の爆発の中で反革命カクマルを一掃する! 06〜07年階級決戦、革命的情勢の急接近情勢は、動労千葉労働運動を軸に階級的労働運動が大発展していく最大最高の情勢の到来である。今こそ総反攻を完遂し、“カクマル完全打倒! 三頭目処刑”の鉄槌(てっつい)を打ち下ろそう!

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週刊『前進』(2237号4面2)(2006/03/13)

 本多延嘉書記長

 1934年2月6日、東京に生まれる。54年早稲田大学入学。『早稲田大学新聞』編集長。日共早大細胞を指導。56年ハンガリー革命の衝撃を受けスターリン主義の問題を根本的にとらえ返す。トロツキー教条主義との闘いをつうじて(革共同第1次、第2次分裂)、59年革共同全国委員会を創設。以降、革共同書記長。63年黒田一派の卑劣な分裂・逃亡と闘う。69年4月27日、4・28沖縄闘争を前に破防法40条で逮捕、2年間の獄中闘争。二重対峙・対カクマル戦争を最先頭で指導中の75年3月14日、反革命カクマルの卑劣な憎むべき襲撃を受け暗殺される。享年41歳。

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週刊『前進』(2237号6面1)(2006/03/13)

 国民投票法案の国会提出阻止しよう

 労働者はこんな法案が通れば改憲に反対する権利奪われる

 自治体・教労を先頭に闘おう

  坂本千秋

 改憲と戦争への攻撃がいよいよ本格化している。小泉政権の危機が果てしなく
まっていく中で、日本帝国主義は、その政治支配の危機を突破するためにも一層凶暴化し、改憲をますます必要としている。政府・自民党はその突破口として、教育基本法の改悪案とともに、改憲への道をクーデター的にこじあけるための国民投票法案の今国会提出を最重要課題に掲げて動き出している。これを阻止することこそ改憲阻止決戦の最初の山場だ。国民投票法案に賛成した1・19連合中執決定を弾劾し、自治体労働者、教育労働者を先頭に、国民投票法案阻止・改憲阻止の大闘争に立ち上がろう。

 小泉政権の危機突破狙って激化する攻撃

 日帝の改憲攻撃は、昨年1月の日本経団連による改憲提言と、10月の自民党新憲法草案発表(11月の党大会で正式採択)によって、まったく新たな段階に入った。第2次大戦後の帝国主義の全矛盾が再び世界恐慌とブロック化、世界戦争として大爆発する時代がすでに始まっている中で、現在の憲法は、日本の帝国主義ブルジョアジーにとってもはや完全な桎梏(しっこく)と化している。彼らはその廃棄を最大の課題として全力で動き出したのだ。
 何よりも憲法9条を全面撤廃して、海外での侵略戦争にいつでも、どこにでもどしどし乗り出せるようにすること。さらに人民の戦後民主主義的諸権利をすべて奪って、労働者階級を再び帝国主義戦争に総動員できる強権的な国家支配の体制をつくりだすこと。これが自民党新憲法草案の究極的にめざすものだ。そのために、現憲法の主権在民・平和主義・基本的人権という原理そのものも丸ごと破壊し焼き払って、天皇制・天皇制イデオロギーで全社会を深々と染め上げていくことを狙っている。「日の丸・君が代」の強制も、教育を戦争教育にぬりかえる攻撃にほかならない。
 小泉政権は、昨年9月の総選挙での「大勝」をテコにこの改憲攻撃を一気に本格化させた。郵政民営化法案の強行に続き、自民党新憲法草案発表、米軍再編中間報告の発表などをたてつづけに行い、戦争・改憲と民営化攻撃の全面展開に突っ走った。だがそれは実際には、政治支配の末期的な危機をクーデター的非常手段によってのりきることでかろうじて可能になったものでしかなかった。本質的にはきわめて危ういものであり、その危機と破綻(はたん)は、早くも05年の末には次々と暴露されてきた。
 最大の問題は、小泉と日帝が何よりもあてにしていた連合の改憲勢力化が、闘う現場労働者の怒りの決起によってひとまず頓挫(とんざ)したことだ。また米軍再編・日米安保大改変の攻撃は、沖縄を始め全国の基地闘争の新たな爆発に決定的に火をつけた。さらに、日帝が小泉=奥田路線のもとで野放図に繰り広げてきた規制緩和・民営化攻撃の、積もりに積もった全矛盾がここへ来て一斉に噴き出し始めている。
 こうした危機に文字どおりのたうち回りながら、しかし小泉政権は、だからこそますます改憲への道を必死でこじあけることに死活をかけている。当初予定していた皇室典範の改定や防衛省設置法案などの重要法案が破産に追い込まれる中で、逆に改憲への国民投票法案と教基法改悪案の今国会提出を最重視し、その突破に向けて2月中旬から猛然と動き出したのだ。

 与党協議会で提出方針確認

 2月10日、自民・公明の両党は国民投票法案についての与党協議会を1年2カ月ぶりに再開した。2月15日には与党の幹事長・政調会長会談で、今国会で教基法改悪と国民投票法案の成立に全力を挙げる方針を確認した。自民党憲法調査会の会長である船田元は、自民・公明・民主の3党間で調整協議を行って3月末までに法案要綱を作成し、議員立法の形で国会に提出、今国会での成立か、それが無理でも年内には必ず成立させたいと語っている。公明党も、「国民投票法案の成立が1年遅れれば、その後のスケジュールは1年遅れる」(太田昭宏・公明党憲法調査会座長)と、全面協力を宣言している。
 この狙いは、労働者人民の改憲阻止闘争の発展を未然に封じ込める体制をなんとしても作り上げようとするところにある。日帝がどんなに地団太(じだんだ)を踏んでも、労働者階級の中には9条改憲絶対反対の広範な声が依然として存在し続けている。連合の労働貴族や日本共産党中央のスターリン主義者のもとで、その怒りの大爆発が押しとどめられているにすぎない。しかも動労千葉を始めとする戦闘的階級的労働運動が、今や一切の壁を突き破って不屈の前進を開始しているのだ。たとえ国会が絶対多数で改憲案を発議したとしても、この状況を放置したままで攻撃を貫くことなどけっしてできない。
 国民投票法制定の目的はまさに、改憲反対の声を上げる手段を人民からあらかじめ奪うことにある。改憲をめぐる一切の議論と運動を警察権力の強力な監視と統制のもとに置き、一種の「戒厳令」を敷く中で、改憲案が国民投票であたかも圧倒的に承認されたと見せかける構造を作り出すものだ。単なる改憲への手続き法では断じてない。
 民主党と連合中央はすでに、改憲賛成・国民投票法案賛成に転じている。だが日本共産党や社民党なども、国民投票法の制定絶対阻止を正面から掲げて立ち上がろうとはしていない。これはとんでもない武装解除だ。実はこの国民投票法案阻止をめぐる決戦こそ、改憲決戦の本番そのもの、その事実上の前半戦だ。ここで全力を挙げて闘い、絶対に勝利をもぎとらない限り改憲阻止などありえない。国会への提出を阻むために直ちに総力で決起していこう。

 共謀罪と並ぶ極悪の治安立法こそが本質

 政府・与党が現在提示している法案は、2004年12月の与党協議会で確認した「日本国憲法改正国民投票法案骨子(案)」というものだ。その原案は、改憲推進派の国会議員が超党派で組織する憲法調査推進議員連盟が作成した、全文105条から成る法案(議連案)である。与党の法案骨子はこの議連案をそっくり採用し、それに若干の手直しを加えたものである。
 その最大の核心は、「国民投票運動に関する規制」(法案骨子)にある。「国民投票運動」とは、「国民投票に関し憲法改正に賛成又は反対の投票をさせる目的をもってする運動」を指す。ここには改憲への賛否をめぐって展開されるおよそあらゆる大衆運動、政治団体や労働組合、市民団体などの活動、言論・表現活動が含まれる。これに徹底した規制を加え、違反者には禁固刑を含む厳罰を科すのだ。
 そこでは改憲賛成派と反対派の双方を等しく規制の対象にするかのように装っているが、まったくのペテンだ。法案は他方で「国民投票に関する啓発、周知」の徹底をうたっている。これは実際には、国会が発議した改憲案を政府が先頭に立ってあらゆる手段を動員して、洪水のように宣伝・扇動して回ることを意味している。その一方で労働者人民が批判の論陣や反対運動を自由に展開することは一切許さず、きわめて厳しい規制と弾圧を加えようとしているのだ。
 すなわちこの国民投票法案とは、実際には改憲反対運動禁止法とでも言うべきものである。現在、共謀罪の導入が戦前の治安維持法の復活を狙うものとして大問題になっているが、それと並ぶ極悪の治安立法なのである。

 修正後も本質は変わらない

 小泉らは、今や民主党と連合を丸ごと抱き込んで、この悪法を何がなんでも押し通すことを狙っている。そのためには、与党案の修正にも部分的に応じるかのようなポーズさえ見せ始めている。一括投票方式に固執していたのをやめて個別投票方式に変えるとか、「メディア規制は原則廃止の方向で考える」などという報道が一斉に流されているが、大ウソだ。法案の基本的性格は何ひとつ変わってはいない。
 第一にはっきりさせなくてはならないのは、与党の法案骨子の最大の柱は、公務員・教員への規制と外国人への規制である。この点に関しては、基本的に何の変更もない。
 法案は、「国又は地方公共団体の公務員等」と「教育者」に対し、「その地位を利用して」行う国民投票運動を禁止している。この「公務員」には「等」がついており、実際には公務員労働者に限らず、公務職場に働くすべての労働者に拡大適用できるようになっている。また「教育者」とは学校教育法で規定する学校の教員を指すとしており、公立・私立を問わず全国の小中学校、高校、大学、専門学校、養護学校、幼稚園などがすべて含まれる。
 「地位利用」がいくらでも拡張解釈できることを考えれば、この規制は事実上、自治体労働者などの改憲阻止闘争への参加をあらゆる形態を含めて禁止するものである。また憲法学者などが大学で行う講義さえもが弾圧の対象になる。違反者への罰則は、公務員労働者は2年以下の禁固か30万円以下の罰金。教育労働者の場合は1年以下の禁固か30万円以下の罰金だ。
 さらに外国人の運動は、カンパも含めて全面禁止されている。違反者は1年以下の禁固か30万円以下の罰金。カンパした場合は特別に重く、金を出した外国人だけでなくそれを受け取った側も3年以下の禁固か50万円以下の罰金である。現在の公職選挙法は在日朝鮮人などの参政権を不当にも一切認めていないが、この禁止条項はその公選法をも上回るものだ。これは、外国人には日本の憲法問題について一切、発言すらさせないということだ。

 人民の死活にかかわる権利

 政府・与党はこれらの規制を、公職選挙法を参考にしたにすぎないと説明している。だがそもそも現在の公選法や公務員法自体が、憲法が保障する参政権や表現の自由を労働者階級から奪うものであり、断じて許せないものだ。そのうえでこれを改憲の是非を争う国民投票にそのまま横滑りさせることは、実に恐るべきことだ。
 改憲=新憲法の制定とは何か。国と社会のあり方の大変革を意味するものであり、そこに生きる人びとのいのちと全生活と未来の一切がかかった大問題だ。本質的には体制の変革、革命が問われる問題だ。しかも日帝が狙う改憲とは、戦争放棄を定めた憲法9条を撤廃して、日本が再び凶暴な侵略帝国主義として世界の前に登場することを意味している。この歴史的な重大事態に対し、労働者階級にはこれを阻止するあらゆる行動に立つ絶対の権利と責務があるのだ。国内だけでなく世界の人民、とりわけ日帝の侵略に苦しんだ朝鮮・中国・アジアの人民にも、同じく断固として発言し行動する権利がある。これを認めないとか、いささかでも制限することなど断じて許されない。
 国民投票法案が公務員と教員、外国人への規制をメディア規制と並ぶ最大の柱としているのは、日帝がまさに改憲攻撃への国内外の怒りの噴出を心底から恐怖しているからである。とりわけ労働組合の闘いと、国際連帯の拡大を恐れているからだ。このことを徹底的にはっきりさせて闘わなければならない。

 メディアへの規制を「外す」は大ペテンだ

 第二に、メディアへの規制については大幅に修正すると言われているが、インチキだ。罰則は設けず「自主規制」を促すにとどめるとしているが、これがとんでもない食わせ物だ。
 与党案ではメディアについて、4種類の規制を設けている。@「予想投票の公表の禁止」。これは世論調査などをやらせないということ。A「新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止」。改憲問題の報道や評論で「虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載」することを禁止する。B「新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限」。「不法利用」の言いがかりをつけて改憲反対の意見広告を禁止し、権力の意に沿わない記事や論評の掲載を禁止する。C放送についても「虚偽報道」などをやはり禁止する。
 @やBは「何人も」となっていて、規制を受けるのはメディアだけではない。例えば学生自治会が行うアンケート調査も@の規制の対象になる。また、ABの「新聞紙」には「これに類する通信類を含む」のただし書きがついている。政党や労働組合、市民団体の発行する機関紙やニュースもすべてこの「通信類」に含まれることになる。そして何が「虚偽報道」や「不法利用」とみなされるかは、もっぱら取り締まる側の政府・国家権力の一方的な判断にゆだねられるのだ。
 現在、与党が民主党を取り込むために画策している修正案は、原案にあるきわめて重い罰則(最高5年の刑!)をいったん外した上で、メディアに自主規制を促す「訓示規定」を設けるというものである。これは刑事罰を科さないというだけで、規制を取り払うものではまったくない。逆に陰に陽に一層、あらゆる圧力を加えてメディアの屈服を引き出すものだ。自民党の安倍晋三や中川昭一がNHKの報道番組に圧力を加えて改ざんさせた事件は記憶に新しいが、同様のことを数限りなく引き起こし、かつ完全に合法化することを狙うものである。
 第三に、投票方式についても自民党はこれまで一括投票に固執していたが、修正すると言い出している。ここにもペテンがある。
 改憲案=新憲法草案を丸ごと一括で投票に付すか、条文ごとに個別に賛否を問うかは、投票の結果に決定的な違いを生む。改憲には賛成しても、9条だけは絶対に変えたくないと考える人はたくさんいる。一括投票への批判が集中したことに追いつめられた自民党は、前文と各章ごとの投票に切り替えると言うが、これは条文ごとの個別投票方式とは似て非なるものだ。
 このように、与党の「修正案」とはすべて、舌先三寸のウソとペテンによるごまかしだ。怒りを込めてたたきつぶすべきである。

 連合1・19中執決定弾劾し総決起しよう

 小泉・自民党のこうした「だまし」の政治をも使った国民投票法制定攻撃を許している最大の原因は、連合の屈服と転向にある。
 連合は1月19日の中央執行委員会で、改憲勢力化への新たな、実に重大な踏み切りをした。集団的自衛権の発動と海外派兵の容認を打ち出した昨年7・14連合見解について、その撤回を求める声を圧殺するために卑劣にも議論を凍結し、連合として対応を迫られる問題が発生すればそのつど、三役会と中執で一切を決定するというものである。そして当面する国民投票法案については、「民主党とも協議しながら具体的な対応を図っていく」とした。
 これは、連合中央による国民投票法制定推進・改憲推進の公然たる宣言だ。日本共産党などはあきれたことに、この1・19連合決定を「7・14見解を取り下げた」と全面賛美しているが誤りもはなはだしい。まさにこの1・19決定こそ小泉政権の攻撃に拍車をかけさせた元凶であり、徹底弾劾しなくてはならない。

 公務員制度の改革とも一体

  とりわけ重大なことは、この連合見解が公務員制度改革攻撃への全面屈服と表裏一体で打ち出されていることだ。すなわち、日帝は今日、「公務員も首切り自由にせよ」と言って公務員労働者から雇用と賃金の保障を奪い、大リストラを展開していく一方で、スト権などの労働基本権はあくまで認めないという攻撃に出ている。そして同時に、現在の公務員法の政治活動禁止条項も維持し、逆にその強化と刑事処分の乱発を狙っている。これは自治労や日教組が改憲阻止闘争や基地撤去闘争に立ち上がることをむきだしの暴力で弾圧し、その圧殺と労組としての解体を狙うものだ。国民投票法案への連合の賛成は、これに完全に手を貸す大裏切りである。
 そもそも公務員への政治活動禁止の発端は、GHQが1948年に発した政令201号にある。戦後革命圧殺のために、スト権の剥奪(はくだつ)とともに、公務員労働者のあらゆる政治活動を、憲法21条の集会・結社の自由を公然と踏み破り、勤務時間外も含めて全面禁止したのが始まりだ。だが戦後の労働者階級は、戦後革命の敗北を許したとはいえ、こうした反革命とは全力で闘い、自らの政治的諸権利を実力で守り抜いてきたのである。国家公務員法に刑事罰の規定はあっても、実際にはその発動をほとんど許さず、死文化を強制してきたのだ。
 改憲への国民投票法の制定は、この政令201号に戦後半世紀を経て再び息を吹き返させるものなのだ。逆に言えば、ここで公務員労働者が先頭に立ち、闘う全労働者、全人民との統一戦線を形成して、国民投票法案粉砕の闘いを爆発させていくならば、改憲阻止への一大突破口が切り開かれるということだ。
 百万人署名運動が呼びかけ、実行委員会が主催する3・19集会は、その重要なステップとなる闘いだ。呼びかけに応えて大結集し、国民投票法案粉砕・改憲阻止の巨大な闘いをつくりだそう。

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 運動への規制・弾圧(与党の法案骨子から)

 2004年12月の与党協議会で採択された日本国憲法改正国民投票法案骨子(案)には、「国民投票運動に関する規制」として以下のような条項が並んでおり、それぞれについて重い罰則が定められている。
■公務員・教員の運動を制限
 「国又は地方公共団体の公務員等及び教育者(学校教育法に規定する学校の長及び教員をいう)は、その地位を利用して国民投票運動をすることができないものとすること」
■外国人の運動を全面禁止
 「外国人は、国民投票運動をすることができないものとすること」
 運動へのカンパは特に重く処罰
■メディアへの規制
 「予想投票の公表の禁止」
 「新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止」
 「新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限」
 「放送事業者の虚偽報道等の禁止」
■罰則
 「買収罪、国民投票の自由妨害罪、投票の秘密侵害罪、国民投票運動の規制違反の罪その他の罪に対し、必要な罰則の規定を置くものとすること」

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週刊『前進』(2237号7面1)(2006/03/13)

 自衛隊イラク撤兵 3月行動へ

 泥沼化・長期化する侵略戦争

 「本格政権」樹立の展望なく 広がる反米・民族解放の戦い

 米帝のイラク侵略戦争と占領政策は、いよいよ泥沼的な様相を強めている。12月15日の総選挙以後も、反米帝・民族解放のゲリラ戦争は激化し、2月25日に予定された本格政権のための国民議会も開会できない状態が続いている。特に、2月22日に起きた、シーア派の聖地「アスカリ聖廟(せいびょう)」の爆破をきっかけに、シーア派によるこれへの報復が激発し、完全に内戦的な激突が続いている。米帝のイラク占領の一層の泥沼化と長期化は不可避であり、日帝も日米枢軸政策のもと、本質的に自衛隊派兵を継続・拡大しようとしている。3月、イラク撤兵・米軍再編粉砕・改憲阻止を掲げて闘いに立ち上がろう。

 米帝の植民地支配は破綻深めている

 12・15総選挙(国民議会選挙)を前に、米軍に対する迫撃弾、銃撃、対警察の自爆戦闘、シーア派モスクに対する自爆攻撃などが相次ぎ、一方、内務省治安部隊とシーア派民兵による対スンニ派の権力づくのテロル(スンニ派の173人が政府の収容施設で虐待・拷問を受けていた)や、政権派による反対派候補の暗殺などが激発していた。
(写真 イラク武装勢力の攻撃を受け炎上する米軍トラック【05年12月9日 ラマディ】)
 これに対し米帝ブッシュは、11月30日のアナポリス海軍学校での演説で、イラク治安部隊の強化によるイラクからの段階的撤兵という方針を打ち出すことでのりきろうとした。これは「戦争のイラク化」を図ろうとするもので、イラク治安部隊の強化のために計145億j(約1兆7200億円)を充てるという。
 11月中旬にイラクを訪問したライス国務長官は、PRT(地域復興チーム)=軍民一体の戦後復興方式の発足式に参加した。短期の「戦争」、長期の占領下の戦闘継続という戦争のあり方の中での軍政下の民政的エレメントの同時展開を狙うものだが、それはあくまでも米帝の戦争目的に沿った形で達成しようとするものである。泥沼戦争への苦肉の対応である。
 12月15日の投票は、投票所への銃撃や、スンニ派党首の射殺などの中、「異常な厳戒態勢」のもとで行われた。
 この総選挙をはさむ時期の特徴は何か。
 @米軍、多国籍軍や帝国主義的マスコミなどに対する銃撃、路肩爆弾、仕掛け爆弾などによる攻撃、ヘリ撃墜などが相当規模で展開され、多数の死者を出していること。
 Aイラク警察、治安部隊、要人などに対する攻撃が繰り返され、一度に数十人の死者を出す攻撃が多発していること。
 Bシーア派への攻撃も膨大な死者を出している。
 Cこれに対して、シーア派の側からも、スンニ派に対する攻撃が目立っている。移行政府での権力を握ったシーア派が、その権力機構やシーア派民兵組織を使ってスンニ派活動家などへの「合法」的・非合法的な逮捕・拉致を大々的に行い、秘密の強制収容所的な拘束施設で拷問や虐待を繰り返してきたという事態が暴かれている。圧倒的に追いつめられたスンニ派が極限的ゲリラ戦としてのシーア派の大量せん滅攻撃をやっていることが目立つが、その一方でシーア派による攻撃も激発していることも見逃してはならない。
 Dその上で、12・15総選挙をめぐる政治的=軍事的攻防戦の激化によって、スンニ派対シーア派の対立はいよいよ激化しつつある。特にバグダッドその他の混住地域では、一定の地域内の多数派が少数派をたたき出す動きが強まっている。
 E軍事的に見れば、米軍はイラクの治安部隊の強化とそれへの治安機能の移管によって、米軍へのゲリラ戦の嵐から逃れようとしているが、イラク治安部隊や警察が大々的にせん滅対象化している。しかも、米軍はイラクの石油支配への絶対権は確保しようとしている。だから、彼らの戦略は絶対破綻(はたん)する。
 F12・15総選挙の結果はその後1カ月たっても確定しなかった。そのこと自体がすさまじい不正選挙であったことを示している。他方、ジャファリ政権の腐敗や生活の危機の一層の激化、治安政策の危機などのため、現シーア派政権は国民的支持を失いつつある。
 米帝はシーア派対スンニ派の対立を一定利用しつつ、その力のバランスに乗っかろうとする動きを見せているが、そうした形で米帝のイラク植民地支配を安定的につくり出すことなどできない。複雑な様相を示しつつも、反米、民族解放・革命戦争のイラク的発展は不可避である。米帝のイラク侵略戦争は勝利できず泥沼化し、米帝の危機を激成していくものとなるしかない。

 シーア派聖廟爆破契機に内戦が激化

 1月20日に総選挙の開票結果が発表になった。シーア派の統一イラク連合(UIC)128議席、クルド同盟53議席、スンニ派のイラク合意戦線44議席、アラウィ派の国民イラクリスト25議席、スンニ派のイラク国民対話戦線が11議席、その他が14議席で、シーア派とクルド同盟を合わせても政権のための3分の2に達しなかった。
 こうしたことの一方でで、アフガニスタンでの米軍によるタリバン・アルカイダ掃討戦の激化とそれに対する自爆戦闘の激化、パレスチナ自治評議会選挙でのハマスの単独過半数獲得、イランの核開発問題の重大化、ムハンマド侮辱漫画に対するムスリム人民の全世界的な抗議の闘いの激化などの事態が重なりあい、イラク情勢はいよいよ深刻さを増していった。
 総選挙の結果として正式政権が発足したとしても、@中央政府と地方政府の間の石油収入分配メカニズムの決定、Aクルド人とシーア派の自治地域の線引き、B治安の回復、などの問題に直面し、特にキルクークはそれらが重なるポイントで、しかもそこに世界最大規模の油田があるという問題がある。
 1月下旬から再び激しい戦闘が開始された。1月28〜29日、スンニ派と見られる武装勢力がシーア派に対して爆弾攻撃で死者13人。2月20日、バグダッドのバスの車内で自爆戦闘があり、12人が死亡したのを始め、3カ所で21人が死亡。21日もバグダッドのレストラン前の車が爆発し、22人が死亡した。そして22日、イラク中部のサマラでイスラム教シーア派のアスカリ聖廟が爆破され、黄金のドームが崩壊した。
 これに対してシーア派民兵組織がイラク各地でスンニ派のモスクを攻撃し、スンニ派居住地域でスンニ派住民が多数殺されるなど、激烈な内戦的衝突に発展している。数日間で300人以上が死亡(ワシントンポスト紙は1300人以上と報道)する大激突になっている。シーア派による報復テロとそれに対する反撃という形で戦闘が拡大し、バグダッドと近郊3州に24日から日中の外出禁止令が出て、バグダッドの首都機能が停止した。25日までに予定されていた連邦議会(国民議会)の招集のメドが立たず、政治的空白が長期化している。
 こうした内戦化の事態に米帝は七転八倒しつつ、ますます泥沼からはい出すことはできない。
 そもそも米帝のイラク占領は、EUの影響からイラクを引きはがし、米帝がイラク石油と中東石油、さらに中央アジア石油への独占的支配を確立していくための帝国主義的侵略戦争であった。そして、イラク戦争が帝国主義的侵略戦争である限り、イラク民族解放闘争はますます激化するのであり、米帝が帝国主義であり続ける限り、彼らは泥沼でのたうち回って、体制的危機を深めていくしかない。
 米帝は、この間、シーア派シスターニを利用してイラク侵略戦争を遂行してきた。シスターニは米帝の侵略を支えた存在としての本質を否定できない。その上で、イラク・シーア派(シスターニ派)は、イランとの結合が強い。したがって、米帝はイラクのシーア派国家化を許すことはできない。しかし、総選挙の結果で過半数に近い数を取ったシーア派を抜きに正式政府の発足はありえない。結局、アラウィを含め、米帝のヘゲモニーを通しやすい勢力との均衡を図るしかない。
 しかし同時にはっきりしていることは、米帝が石油利権を本質的に握ることを絶対的目的としていることだ。本質的に植民地主義である。結局、米帝下のイラクでは、米帝が牛耳ることのできる政権しかつくらせない。シーア派やクルド人がスンニ派に石油利権などへのアクセスを与えることに賛成することは不可能だろう。
 結局、米帝に対するイラク人民の民族解放・革命戦争の力とその勝利の中でしか、イラクに真の正式政権などは成立しないのだ。
 米帝のイラク占領は長引くことは必至である。安定政府など、米帝のもとでは不可能である。また、米帝自身が強力な自立的政権など認めない。とどのつまり、反米闘争、米帝打倒闘争の軍事的政治的展開は、絶対に消滅したりしない。何度でも再建されて、反米ゲリラ戦争で米帝に打撃を強制し続けることになるのである。
 1月31日のブッシュの一般教書と2月3日のQDRにおける対テロ長期戦争論は、イラク占領の長期化の正当化論でもある。米帝のイラク・中東戦争は開始されているのであって、終わろうとしているのではない。新しい時代の新しい形の帝国主義の侵略戦争が始まっているのだ。この点をイラク情勢分析、世界情勢分析でゆるがせにしてはならない。

 米軍再編粉砕・改憲阻止闘争と結合し

 今日、イギリス軍、オーストラリア軍とともに、日本の自衛隊が撤退するのは既定の事実のように報道されているが、ことはそれほど単純ではない。何よりも、日帝は米帝との関係を絶対護持することを基準に行動する。米帝がイラクでカイライ政権を「正式」に発足させることもできず、戦争の泥沼化を深めている中で、日帝がそれと無関係に撤退することはできない。米帝としては、先のPRTへの軍民の協力を求める形で自衛隊の残留を要求している。さらに、航空自衛隊については、撤退どころかさらに任務を拡大して、米軍の空輸全般を受け持とうとしている。
 われわれは、2年以上にわたる自衛隊派兵をイラク侵略戦争への公然たる参戦として弾劾して闘ってきたが、今やイラク侵略戦争の不正義性と破綻は誰にも明らかになった。即時撤兵を求めて闘いを爆発させなければならない。
 イラク撤兵の闘いは、米軍再編粉砕、改憲阻止と一体の闘いである。辺野古沿岸新基地建設阻止闘争を始めとする米軍再編粉砕の闘いと結合して闘おう。
 3月19日、米帝のイラク侵略戦争突入から3周年で、全世界でイラク反戦国際連帯闘争が闘われる。その一環として、日本でも東京を始め全国で闘いが予定されている。東京では、「イラク反戦国際行動3・19東京集会」とデモが、同集会実行委員会主催(百万人署名運動呼びかけ)で、午後2時から芝公園で行われる。また、25日には、陸海空港湾労組20団体主催、憲法改悪反対労組連絡会の協賛で「憲法と私たちの安全を考えるつどい」が日本教育会館で開かれる。
 この呼びかけにこたえて3・19〜3・25闘争に全力で立ち上がり、今こそイラク撤兵、米軍再編粉砕、改憲阻止を掲げて、全人民的な闘いを巻き起こそう。

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週刊『前進』(2237号7面3)(2006/03/13)

 岩国住民投票へ闘い進む

 沖縄・辺野古と連帯し 空母艦載機移駐阻もう

 2月7日、山口県岩国市の井原勝介市長は、米空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐の賛否を問う住民投票を発議した。
 市の条例では、投票率が50%を越えない場合は開票さえできない。3月12日の住民投票を、投票率50%以上で成立させよう。岩国基地強化反対−撤去を願う岩国市のすべての労働者と住民の「空母艦載機移駐反対」の怒りを小泉政権にたたきつけよう。沖縄を始め全国の基地反対を闘う労働者人民とともに米軍再編を阻もう。

 『06年版QDR』

 米帝・米軍は、現在の岩国基地に駐留する海兵隊航空戦力の上に、海軍のFA18戦闘攻撃機などの空母艦載機移駐とNLP(夜間離発着訓練)移設を一挙に実現し、岩国基地を中国・北朝鮮侵略戦争の前方展開拠点(空母戦闘群の戦略拠点)にしようとしている。
 2月に発表された06年版QDR(4年ごとの戦力見直し)では、中国を「軍事的対抗者」として強烈に位置づけて、中国・北朝鮮侵略戦争で「ともに血を流す日米同盟を形成すること」を提起している。この中で、岩国基地強化は沖縄・名護新基地建設や座間への米陸軍第1軍団司令部移駐、横須賀への原子力空母配備と並ぶ重要課題として据えられているのだ。
 08年以降は、被爆地ヒロシマに隣接する岩国市に、横須賀を母港とする原子力空母の艦載機を移駐し、周辺地域で戦争訓練を繰り返すと日米政府は言っているのだ。また、FA18戦闘攻撃機は劣化ウランを弾頭に使用したミサイルを主力兵装としており、核兵器の装備も可能である。絶対に認めることはできない。
 3・5沖縄県民大会の大爆発に続く岩国市住民投票の勝利は、米軍再編を破産させる決定的な闘いだ。
(写真 昨年10月23日、空母艦載機移駐阻止へ3千人が岩国基地へデモ)

 米軍被害が激化

 岩国基地強化はすさまじい騒音・爆音をもたらし、事件・墜落事故を頻繁に引き起こす。2月24〜25日には、岩国基地所属の海兵隊員が相次いで飲酒による交通事故と器物損壊事件を起こしている(2年間では129件の交通事故と33人の刑法犯罪)。03年のイラク戦争開始以来の事件・事故、騒音の激化は、米軍が常に戦時下にあることを示している。空母艦載機移駐を許せば、住民の日常生活が「戦争」でさらに踏みにじられることになる。
 政府は「基地対策」に膨大な税金を投入するというが、この税金はすべて大資本やゼネコンに還流していくシステムなのだ。そのことは、この間暴露されている防衛施設庁の「官製談合」を見れば明らかである。空母艦載機移駐への政府の見返り=「補助金」などの「まやかし」は断固粉砕しなければならない。

 3・5岩国集会

 今、70年安保・沖縄闘争以来と言われる劇的な流動化が、岩国を始め全国各地で巻き起こっている。
 岩国では3月5日、沖縄県民大会と連帯し、人文字「3・12 GO!」大集会が開かれた。労働者住民が総決起し、かつてない規模で基地強化反対の闘いに立ち上がっている。「住民投票を成功させる会」など地域住民を中心にした運動が複数立ち上げられ、猛然と宣伝活動を始めている。市外や県外からも支援者が連日、駆けつけている。
 また、岩国基地所属機の低空飛行訓練の被害を受けている広島県西部では、「西部住民の会」や「働く者の会」(岩国市に近接する大竹市や廿日市市の労働組合や労働者を中心にした会)が学習会や講演会で基地強化のすさまじさを知って、続々と岩国入りしており、大きな支援・連帯の闘いが取り組まれ始めた。

 反動勢力の狙い

 この大きな基地強化反対のウエーブに驚愕(きょうがく)した「移駐受け入れ」「厚木基地機能の全面移駐賛成」を掲げる岩国商工会議所など地元の財界は、「住民投票に反対する会」を結成し、戸別ビラ入れを開始した。「基地運用は国の安全保障上の問題であり、市には権限はなく、投票対象とはなりません」などと強弁し、「『投票に行かない』というのも立派な意思表示です」と、投票率が50%を下回ることを目指して投票ボイコットを呼びかけている。「空母艦載機移駐反対」という民意が明らかになることを恐怖しているのだ。
 この「住民投票に反対する会」の底流にあるのは「つくる会」教科書派の思想だ。前述のビラと同時に、8ページのタブロイド版の『日本時事評論』なるファシスト新聞が全戸に投函された。「地の利を生かした防衛協力こそ発展の道」「基地との共存共栄を」などとビラの内容をさらに詳しく展開している。「防衛は最大の福祉だ」というコラムもある。
 絶対に許せないデマ宣伝だ。住民は基地の被害を受け続けてきたし、日帝は戦争政策を推進する一方で、福祉切り捨てを激しく進めている。介護保険料は大幅に引き上げられ、「障害者」への介助も切り捨てられ、医療費制度も大改悪されようとしている。その一方で、米海兵隊司令部のグアム移転費用1兆円を含めて米軍再編のために膨大な税金が使われるのだ。

 勝利へ全力を!

 全国の闘う労働者市民は岩国に駆けつけ、3月12日の岩国市住民投票の勝利のために、あらゆることをやろう。投票率50%以上というハードルをクリアし、「空母艦載機移駐反対」の圧倒的勝利をかちとろう。岩国市の出身者や市民に知人・友人がいる仲間は直ちに「移駐反対に○を!」と訴え、投票行動を組織しよう。
 (広島・大林徹志)

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週刊『前進』(2237号8面2)(2006/03/13)

 「共謀罪」阻止の正念場

 修正案の内容は一層の改悪 3・9集会へ大結集を

 治安弾圧立法である共謀罪法案に、全国で強い反対の声が上がっている。国会に提出されて3年、8度の国会でも成立しなかった法案は当然、廃案にすべきだ。にもかかわらず、政府・与党はあくまでも今国会での成立を狙っている。
 与党は予算審議が終わる3月中旬にも審議を再開し、この間の審議で出されたさまざまな疑問にも答えないまま、審議はやり終えたとして、早い段階で採決を強行しようとしている。事態は一刻の猶予も許さない。絶対に廃案にするために、直ちに全力で反撃に立とう。

 対象団体枠を予防的に拡大

 共謀罪は、実行行為以前の段階で2人以上の話し合いそのものを処罰する法律である。懲役4年以上の罪にあたる619の罪に適用し、5年以下の実刑を科す。また犯罪を証明する手段として、自白とスパイをそそのかし、そのために罪の減免を設ける。また捜査手法として盗聴などを拡大する。共謀罪は警察力を飛躍的に強め、思想・信条の自由を侵害し、団結を禁止する、とんでもない戦時型治安立法である。
 与党が2月14日に野党に示した修正案は、こうした内容を緩和するどころか、一層強めるものである。
 (1)「どんな団体にも適用されることになる」という批判に対して、「団体の活動(その共同の目的がこれらの罪または別表第1に掲げる罪を実行することにある団体である場合に限る)」と修正した。
 この「団体の活動の目的」は、なんと619の罪と、組対法の別表1でいう公務執行妨害罪ほか1の罪を対象としている。
 これはなんの縛りにもならない。治安維持法の目的は「国体の変革と私有財産制度の否認を目的として結社を組織したる者」を罰することであり、破防法の目的は「団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体」を処罰することである。それだけでも民衆への弾圧に威力を振るった。修正案は、治安維持法や破防法以上に、共謀罪の対象団体の枠を予防的に大きく広げたのである。
 さらに団体の目的ではなく「団体の活動」の目的を設定したことで、警察による適用と捜査段階での運用を先制的に、しかもやりやすくしたのである。
 (2)また、「目くばせ一つで成立する共謀罪」という批判に対して、「共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合において」という文言を付け加えてきた。「役に立つ」という程度の意味である。これは昨秋の段階では「顕示行為」「準備のためにする行為」と言われていたものだ。実行(既遂、未遂、予備)と共謀の間のことを「資する行為」と言うのだが、審議をいくら見てもこれが何を指しているのかは、分からない。犯罪構成要件がまったく不明確である。
 例えば、事件と関係ない単なる散歩を「犯罪の実行に資する行為」とすることさえできる。ここにはデッチあげとの境目はなく、警察の判断一つで「資する行為」になる。戦前の治安維持法の「目的遂行罪」と同様に、いくらでも治安弾圧のために拡大適用できるのだ。

 思想・団結処罰法の正体暴露

 修正案には付帯決議のように「組織的犯罪の共謀罪の規定の適用にあたっては、思想および良心の自由を侵し、または団体の正当な活動を妨げることがあってはならない」「証人等買収罪の適用にあたっては、弁護人としての正当な活動を制限するようなことがあってはならない」という文言が付け加えられている。
 ここは、法案の狙いが「思想および良心の自由を侵し」「団体の正当な活動を妨げ」「弁護人としての正当な活動を制限する」ことにあることを、問わず語りに暴露している。
 付帯決議や修正条項を入れるやり方は、「暴対法」「軽犯罪法」「凶器準備集合罪」などでも同様で、野党を引き込むために自民党が使う手口である。軽犯罪法の最後の条文第4条には「……その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用(らんよう)するようなことがあってはならない」とあるが、実施過程では歯止めなどまったくなく乱発されてきた。それらの危惧(きぐ)をなくそうとするなら、廃案にするしかないのである。修正とか付帯決議などというのは、問題にならない。
 共謀罪は民衆の日常会話をも含めて、ストライキや団交など労働者階級の団結権の行使、革命党の日常活動・集会などにも襲いかかる。人間と人間のコミュニケーションに人間存在の本質がある以上、人間存在そのものを否定する法である。階級闘争の根絶のための予防反革命、戦時型治安法である。全力で闘い、たたきつぶそう。
 3月9日、昼の院内集会と夜の大集会(要項別掲)に万難を排して総結集しよう。提起されている署名活動を全国で強力に推進し、大衆の決起で共謀罪を葬ろう。

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