ZENSHIN 2006/01/23(No2230
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週刊『前進』(2230号1面1)(2006/01/23)
4大産別決戦−06春闘勝利へ
「日の丸・君が代」不起立貫徹し改憲阻止闘争の爆発へ進もう
東部方面隊イラク派兵阻止を
三里塚新年デモ 「06年を勝利の年に」と敷地内を力強くデモした(8日 天神峰)
激動の2006年の幕が開けた。帝国主義の危機は今や、イラク・中東やアメリカ国内を始め全世界いたるところで火を噴いている。帝国主義ブルジョアジーの延命のための必死のあがきは、彼らの完全に破産し腐り切った末期的な姿をますますさらけだすものとなっている。この資本主義・帝国主義の支配を世界の労働者階級と被抑圧民族人民の団結した力で覆していく時代がついに来たのだ。昨年11・6労働者集会は、そのことをはっきりと示した。11・6で打ち固められた日米韓労働者の国際的団結を発展させ、日本プロレタリアートの戦闘的進撃を決意も新たに開始しよう。小泉・奥田体制打倒! 4大産別決戦勝利! 改憲阻止闘争の勝利へ全力で驀進(ばくしん)しよう! その一切を決する闘いとして、「日の丸・君が代」不起立を軸とする1〜3月の決戦に直ちに突入しよう。
第1章 小泉改革が生んだ格差拡大と貧困化
小泉・奥田と日本労働者階級との非和解的な対立は、06年の年明け冒頭からすでに激しく進行している。小泉首相は年頭の記者会見で「改革の続行」と靖国参拝をあらためて居丈高に宣言した。戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃に05年以上に全面的に突き進むということだ。
1月5日には財界3団体のトップが共同記者会見を行い、労働者階級への新たな挑戦を突きつけた。日本経団連会長の奥田が「郵政法案が通って終わりではない」と、郵政民営化に続いて公務員制度改革、社会保障制度解体に突き進むことを要求。賃上げについても「横並びの要求は筋が通らない」(奥田)、「春闘は20世紀の遺物」(宮内オリックス会長)と、資本の敵意をむきだしにした。
奥田の属するトヨタを始め、日本の大企業は軒並みこの間の極限的なリストラ・賃下げによって空前の利益を上げている。だが今日の帝国主義が世界大恐慌と世界戦争過程にのめり込みつつある中で、日帝の未来はますます絶望的なものになっている。だからこそ日帝は、労働者階級に一層極限的なまでの犠牲を強いると同時に、改憲と侵略戦争への道を必死でこじ開けようとしているのだ。
これに対して今こそ大反撃に出なければならない。小泉と奥田の叫ぶ「改革」のもとでこの間いったい何が進行してきたのか。資本の野放しの搾取と収奪、耐震強度偽装問題に見られるような底なしの腐敗、他方での労働者階級の恐るべき貧困化と無権利化だ。それは今や、資本主義社会のメルトダウンとも言えるような惨憺(さんたん)たる現実を生むに至っている。
1月3日付の朝日新聞によれば、公立の小中学校で文房具代や給食費の援助を受けざるをえない児童・生徒が急増し、04年度には全国で133万7千人、全体の12・8%に達している。とりわけ東京や大阪では4人に1人。東京の足立区では42・5%にも達し、中には7割に達した小学校さえある。ノートや鉛筆を持参できない子どもたちのために、教員が自ら鉛筆や紙を用意して授業をしている例があると報じられている。
1月4日付の毎日新聞は、国民健康保険の保険料の長期滞納によって保険証を取り上げられ、病気になっても医者にかかれない世帯が全国で30万を超えたと報道した。
まさに、小泉=奥田路線のもとでの大リストラと低賃金・非正規雇用の拡大が、労働者階級の貧困化を著しく進め、ついには教育や医療すら奪っている。ところが奥田は、この現実を「多少の不平等は当然出てくる」と真っ向から居直り、「全国的に餓死者、凍死者が出るなら、国家として安全網を考えなくてはならないが(まだその段階ではない)」などとうそぶいている(1月10日の記者会見、東京新聞報道)。ふざけるな!と言いたい。
小泉と奥田・日本経団連の掲げる「改革の続行」「小さな政府」とは、この現実をさらに極限的に推し進めるものだ。労働者はとことん資本の奴隷になり、犠牲になれということだ。そのために公務員労働者を最大の抵抗勢力とみなして民営化と労組破壊の大攻撃をしかけ、とりわけ教労・全逓・自治体・国鉄の4大産別の労働運動を徹底的にたたきつぶすことを狙っている。それをテコに全労働者を一層の無権利状態にたたき落とし、同時に社会保障制度の全面解体、大増税、そして何よりも改憲と戦争への扉を一気に押し開こうとしているのだ。
彼らのこのやりたい放題を、もはや断じて許してはならない。そもそも社会の主人公は労働者だ。全問題の核心は、帝国主義が完全に破産し、大恐慌と世界戦争の破滅に突き進む以外なくなっているということだ。この帝国主義を打ち倒し、労働者が人間らしく生きられる社会を築くためにプロレタリア世界革命を実現すべき時代が来ている。
05年の闘いは、日米韓3国の戦闘的階級的労働運動の国際的団結をとおして、労働者階級の中にはその力があることをはっきりと示した。その中心に立った動労千葉は、労働組合が本当に労働者の階級的闘いの砦(とりで)となり武器となった時、資本の支配を食い破ることができることを実際の闘いをもって示した。この道を断固として進み、全労働者の闘いに押し広げる中に勝利の道がある。このことを確信し、06年、全産別・全戦線で反転攻勢に猛然と打って出よう。
第2章 連合の改憲勢力化阻止する大決戦へ
1月20日から始まる通常国会は、日帝・小泉と労働者階級との一大激突の場だ。ここには、行革推進法案、医療制度改悪案、改憲への国民投票法案、教育基本法改悪案、米軍再編・基地強化推進のための特措法案などを始めとして、超反動法案が目白押しで提出されようとしている。共謀罪の成立も最重要課題として狙われている。さらに防衛庁の「省」への格上げ、入管法改悪、天皇制の護持・強化のための皇室典範改正も策動されている。
小泉政権は、昨年9・11総選挙の大勝に依拠してかさにかかった攻撃に突き進んでいるが、その内実はきわめて危機的だ。何よりも労働者階級の怒りが連合や全労連中央などの既成指導部の制動を打ち破って本格的に爆発するならば、小泉など粉々に粉砕されるものでしかない。小泉はこれに恐怖し、だからこそ4大産別を中心とする労組破壊・労働運動解体に一切の照準を合わせて凶暴に襲いかかっている。
1月26〜27日の自治労臨時大会、1月28日の国労中央委員会、2月9〜10日のJPU(全逓)臨時大会、3月21日の日教組臨時大会は、その重大な決戦の場だ。日帝は、連合の改憲勢力化が05年の闘いによって阻まれたことに非常な危機感を募らせている。そして国民投票法案の今通常国会提出の攻撃を連合中央ののどもとに突きつけて恫喝し、この時期に異例の臨時大会をも設定させ、これら4大産別の現場労働者の闘いをたたきつぶすことに全力を挙げているのだ。逆に言えば、ここが敵の最大の弱点だ。
4大産別のすべてにおいて、現場労働者の退路を断った総反乱を今こそ全力で巻き起こすことだ。その力で連合中央を打倒し、闘う労働組合の復権をかちとっていく絶好のチャンスが来ているのだ。圧倒的な労働者が今やそのことを心の底から求めている。今闘わずしていつ立つのか! すべての闘う労働者は自らの職場で退路を断って決起し、絶対に勝利をかちとろう。
その中心軸に位置する闘いこそ、教労での「日の丸・君が代」決戦だ。昨春卒・入学式での「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争は、05年の闘い全体の偉大な勝利を切り開いた。この経験をふまえ、今春の「日の丸・君が代」不起立闘争を、04〜05年を上回る全教育労働者の一大決起として断固、爆発させていこう。これを支持しともに闘う労働者人民の巨大な大衆闘争をつくりだそう。
この闘いは、教育労働者による職場生産点からの戦争協力拒否の実力闘争であり、天皇制攻撃、教基法改悪・改憲攻撃を真正面から打ち破っていく闘いだ。「教え子を戦場に送らないために、教員である限り不起立・不服従を貫く」という、昨年11・6集会での教育労働者の発言こそ、すべての教育労働者の階級的人間的魂である。この魂が労働者の組合的団結を基礎として学校現場に深々と息づいている限り、帝国主義者はどうあがいても侵略戦争への国家総動員体制を築き上げることはできない。都高教を先頭に、全都・全国の職場で「不起立宣言」を発して続々と闘いに立とう。東京の闘う教育労働者が呼びかける2・5集会に総結集して闘おう。
この「日の丸・君が代」決戦と一体の闘いとして、4月杉並での「つくる会」教科書使用開始を絶対に許さない闘いを発展させよう。地元の教育労働者の不退転の闘いを守り、支え、「つくる会」教科書採択の白紙撤回をかちとろう。
いまひとつの闘いの基軸は、動労千葉の反合・運転保安春闘であり、それを中心とする国鉄決戦だ。
12月25日に発生した羽越線列車転覆事故は、尼崎事故とまったく同じ、利益優先・安全無視の無理な運行の強制がもたらしたものだ。国鉄分割・民営化と小泉改革のもとでの限界を超えた規制緩和と要員削減の結果として、またも労働者人民の命を奪う大事故が引き起こされたのだ。JRにおけるこの安全問題の爆発と、JR総連・カクマル松崎による組合利権私物化のとんでもない腐敗が満天下に暴かれたことは、分割・民営化体制の総瓦解(がかい)の開始を示している。
この情勢を全国鉄労働者によるJR体制とJR総連打倒の総決起に今こそ転化して闘う時だ。国鉄決戦の勝利こそ4大産別決戦の土台だ。動労千葉の反合・運転保安春闘とその勝利、1047名闘争の大前進、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の勝利へ向けて闘おう。
さらに、郵政民営化絶対粉砕・JPU本部打倒の全逓決戦に立とう。2月臨時大会はその正念場だ。1月自治労大会で、自治労の改憲勢力化をもくろむ自治労本部の策動の息の根を止める闘いをやりぬこう。全産別で06春闘を戦闘的に闘い、その中から新たな階級的団結をつくり出そう。
第3章 イラク撤兵・米軍再編粉砕へ闘おう
この4大産別決戦と固く結合し、重大化するイラク反戦闘争と新安保・沖縄闘争、共謀罪阻止を始めとする治安攻撃粉砕の闘い、そして何よりも改憲阻止を直接に掲げた労働者人民の一大政治闘争を圧倒的につくりあげていこう。学生戦線はその最先頭で闘おう。
日帝・小泉は、イラク情勢が新年早々からゲリラ戦が激発し、ますます泥沼化し、各国が撤兵を始める中で、自衛隊の第9次派兵をあくまで強行すると決定した。しかも陸自の最強部隊で首都治安部隊である東部方面隊に実際の戦場体験を積ませようとしているのだ。さらに、米軍の要請を受け入れて空自の活動領域をイラク全土24空港に拡大した。出兵阻止の1月闘争に断固として決起しよう。
沖縄では、米軍再編の中間報告と辺野古崎新基地建設の攻撃に対し、これを新たな琉球処分として弾劾する人民の煮えたぎる怒りが全島にふつふつとわき起こっている。3・5の県民大会を当面する焦点に、米軍再編粉砕、基地撤去への沖縄―本土を貫く大闘争をつくり出し、日米安保体制を粉砕する新たな安保・沖縄決戦を爆発させよう。
戦争・改憲と民営化攻撃推進のための通常国会への超反動諸法案の提出を一つ残らず粉砕しよう。とりわけ改憲への国民投票法案の提出策動は、改憲の外堀を完全に埋める攻撃だ。提出そのものを阻止し、たたきつぶそう。そして何よりも共謀罪の成立策動を絶対に粉砕し、共謀罪を今度こそ廃案に追い込もう。
この06年の決戦のただ中で、獄中31年の星野文昭同志を必ずや奪還することを固く決意しよう。
青年労働者・学生を始めすべての闘う労働者は、プロレタリア革命に勝利する労働者党の建設を革共同とともに闘いとろう。
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週刊『前進』(2230号1面2)(2006/01/23)
JR羽越線事故 規制緩和が5人を殺した
民営化・小泉改革に反撃せよ
絶対に起きてはならない大事故がまたも引き起こされた。12月25日午後7時過ぎ、山形県庄内町のJR羽越線の最上川橋梁(きょうりょう)近くで、秋田発新潟行き特急「いなほ14号」が脱線・転覆し、乗客5人が死亡、運転士を含む多数の人が重軽傷を負った。
この事故の原因は、国鉄分割・民営化とそのもとで強行された規制緩和、JR資本による大合理化=要員削減にある。尼崎事故から1年もたたずに、再びこの大惨事が起きたことは、痛切きわまる事態である。
労働者階級はこれに対する怒りを小泉改革と民営化攻撃に対する総反撃の号砲としなければならない。
暴風雪警報下で無謀な運行
事故は、予測を超えた突風という不可抗力によるものでは断じてない。事故当時、庄内地方には「暴風雪警報」が発令されていた。これは、重大な災害が予想され、最大の警戒を要する事態である。本来なら警報が出された時点で、速度制限などの運転規制を実施すべきだった。
だが、JR東日本は暴風雪警報が出されている中で、運転規制もせず、無謀にも時速100`以上のスピードで列車を突っ走らせた。事故現場の最高速度は、国鉄時代には90`と定められていた。現在は120`だ。スピードを上げれば強風で車両は転覆しやすくなる。これだけのスピードアップを強行しながら、JRは逆に規制を緩和し、保安設備は旧態依然のままに放置してきた。
さらに、02年の国土交通省令の抜本改悪=規制緩和が安全崩壊に拍車をかけた。このもとでJRは運転取り扱いの規程を変え、風速20b以上になった時の駅長による輸送指令員への報告義務を削除した。これは、運転規制の判断権を現場から奪い、それを指令室に集中させるものだった。
JRは「風速25b毎秒で速度規制、30bで運転中止というマニュアルに違反していない」と開き直っている。だが、運行の安全は、通り一遍のマニュアルで確保できるものではない。異常気象時の状況は時々刻々と変わる。それを現場の労働者が肌で感じ取り、長い経験に基づいて判断を下すことで、初めて安全は保たれる。
ところがJRは、ごく限られた場所にしか設置されていない風速計から指令室に送られる無機質な警報だけで、列車の運行を管理するシステムに変えてしまった。そして、現場の状況がどうあろうと、ひたすら「定時運行」を優先させてきたのである。
その背後にあるのは、徹底した合理化=人員削減だ。首都圏以外のほとんどの駅は無人化・委託化されている。これでは、駅員が気象状況を把握し報告することは不可能だ。JRは、徹底した要員削減に見合う形で、無謀きわまる規制緩和を強行してきた。
この事故でも、事故現場に最も近い駅は無人化されていた。暴風雪警報が出される中で、現場の状況を把握し運行を判断できる者は一人もいなかったのだ。
羽越線事故の今ひとつの元凶は、JRの資本=カクマル結託体制にある。
資本=カクマル結託の打破へ
事故後、分割・民営化を最先頭で強行してきたJR東日本会長の松田昌士が辞任を表明した。これは、松崎明の組合費横領問題が公然化する中で分裂の危機にのたうつJR総連情勢とあいまって、国鉄分割・民営化体制をその土台から揺るがす事態である。国鉄労働運動は、根底的な分岐・流動・再編情勢に入った。JR総連打倒、国鉄闘争勝利の時は来た。
羽越線事故の衝撃もさめやらぬ1月6日、川越線でレール破断が起き、翌7日には総武緩行線・西千葉−稲毛間で再び同様の事態が発生した。これに対して動労千葉は、直ちに06年の旗開きで反合・運転保安闘争を再強化し、06春闘に立つ戦闘宣言を発した。非常事態と言うべき情勢の中で、動労千葉は昨年の安全運転行動を上回る闘いを貫こうと全力を挙げている。
他方、国労幹部は羽越線事故を理由に旗開きさえ「自粛」した。JR総連東労組に至っては「労使で安全を第一義にした鉄道輸送に務める」と叫んでいるありさまだ。いったい、労働組合が資本と闘わずにどうして安全を守れるのか。「闘いなくして安全なし」は絶対的な真理である。尼崎事故にせよ羽越線事故にせよ、闘いを放棄した労組幹部の裏切りが引き起こしたのだ。こうした腐敗幹部を打ち倒してこそ、労働者の命は守られる。
小泉政権によって強行される民営化−規制緩和と全力で闘い、労働者の階級的団結をよみがえらせよう。安全の崩壊は資本主義=帝国主義の根底的な危機の現れだ。不屈に闘えば必ず勝利を手にすることができる。動労千葉の反合・運転保安闘争に続き、06春闘を断固闘おう。
事故の犠牲者は、小泉の民営化と規制緩和、JR資本とJR総連カクマルによって殺されたのだ。このことを徹底弾劾し、怒りに燃えて階級的労働運動の再生へ突き進もう。それが事故への労働者階級の回答だ。
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週刊『前進』(2230号2面2)(2006/01/23)
羽越線事故への言及禁ずる裁判長に怒り
国労弾圧公判 被告が意見陳述貫く
1月11日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第51回公判が開かれた。この日の公判は、冒頭から被告・弁護側と検察側・裁判長との激しい攻防の場になった。
この裁判では、毎回の公判ごとに被告・弁護団の意見陳述が行われている。この日も、被告・弁護団は当然の権利として意見陳述を要求した。ところが青柳裁判長は、「陳述のテーマは何か」「本件との関係は」としつこく質問を浴びせてきた。改悪された刑事訴訟法・刑事訴訟規則を盾に、意見陳述を封じようというのである。
富田益行被告が、「本件弾圧は国労の団結破壊によってもたらされた。羽越線事故も労働組合の団結破壊の結果だ。団結破壊について話したい」と説明した。
ところが検察側は「羽越線事故は本件と関係ない」と陳述圧殺に乗り出してきた。弁護団が次々と立ち上がり、検察側の暴論に反論した。だが、裁判長も検察側に加担して、「羽越線事故に触れてはならない」と不当きわまる訴訟指揮を振りかざした。
制約を加えられながらも、富田被告はひるむことなく意見を述べた。彼が一言「羽越線事故」の言葉を発した途端、検察側は「許可の範囲を超えている」といきり立った。富田被告がすかさず「羽越線事故では検察事務官も死んでいる」と弾劾した。青柳裁判長も陳述を押しとどめようと躍起になる。だが、その裁判長も、尼崎事故に言及することまでは制限できない。富田被告は、本件弾圧に象徴される労働組合の団結破壊こそ、続発する事故の真の原因であることを徹底的に明らかにして、堂々と意見陳述を貫いた。
続いて、国労長野地本・長野総合車両所支部製造分会書記長の久保田清一証人に対する弁護側反対尋問が行われた。
久保田証人は、02年5月27日の国労臨時大会に警備として参加し、被告から「暴行された」として「被害届」を警察に出し、検察側証人になった人物だ。
この臨大で国労本部は、鉄建公団訴訟に立った闘争団員への統制処分の手続きを強行決定した。被解雇者を切り捨てる暴挙に対し、国労組合員は抗議のビラまき・説得活動を展開した。ところが国労本部は、これを「暴力事件」に仕立て上げ、抗議した組合員を警察に平然と売り渡したのだ。
「胸を突く」動作は映っていない
久保田証人は検察側主尋問で、「羽廣憲被告から左胸を突かれて倒された」と述べていた。その証言を、小島好己弁護人と河村健夫弁護人が追及した。
弁護団は、検察側が証拠提出したビデオテープを再生し、「あなたが突かれて倒れた場面はどこか」と問いただした。証人は「倒された」という場面を特定したが、その画面の前からビデオを再生しても、羽廣被告の腕が久保田の左胸を突くような動きは一切映っていない。その事実を指摘された証人は、「突かれたのは覚えている。ビデオに映っていないだけ」と言い逃れるほかになくなった。
酒宴で激励され検察側の証人に
これに先立つ12月21日の第50回公判では、吉田進・現本部書記長ら当時の長野地本幹部による弾圧加担の実情がつぶさに暴かれた。
久保田証人のほかにも、長野地本の4人の組合員が検察側証人になっている。第49回公判で久保田は、これら長野地本の検察側証人を集めての「激励会」が、02年秋に長野県塩尻市の社民党事務所で開かれた事実を明かしていた。葉山岳夫弁護人と浅野史生弁護人が、その時の様子をさらに詳しく聞き出した。久保田は、「激励会」の主催者が長野地本の古畑秀夫委員長だったこと、その場には中南信支部の山崎委員長(当時)も出席していたこと、酒を飲まされた証人が「頑張ります」と「決意表明」したことなどを認めた。
弁護団はまた、証人が警察に被害届を出すに至った経過について尋問した。第49回公判で証人は、長野地本の平山芳夫副委員長から被害届を出すように説得され、その際、「これは吉田書記長の意向だ」と言われたことなどを述べていた。その証言の意味を問いただした弁護団に、証人は「組織の判断なので私も被害届を出すことに決めました」とあっさりと認めた。
ためらう久保田に被害届を提出させ、検察側証人となることを強いたのは、吉田書記長ら長野地本のチャレンジ一派だ。
もはや8被告の無実は明白だ。無罪獲得と国労再生へ、傍聴を強め、「許さない会」を拡大して闘おう。
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週刊『前進』(2230号3面1)(2006/01/23)
今春「日の丸・君が代」不起立を貫こう
教育基本法改悪・改憲阻止へ 退路を断って闘う時が来た
今こそ戦争協力拒否しよう
革共同教育労働者委員会
日本の労働者は今、歴史の決定的な転換点に立っている。06年の劈頭(へきとう)にあたり、革共同教育労働者委員会と全国の闘う教育労働者が切り開いた05年闘争の勝利の地平を確認するとともに、すべての教育労働者に、今春卒・入学式において、退路を断ち、04〜05年も超える「日の丸・君が代」不起立闘争に渾身(こんしん)の決意で立ち上がることを心から訴える。
連合の改憲勢力化を阻止した05年の闘い
冒頭、昨春「日の丸・君が代」不起立闘争を突破口とする05年の教育労働者の闘いが、日教組と連合の改憲推進勢力化を敢然と阻むという巨大な地平を切り開いたことを、断固として確認したい。
(写真 処分を乱発する都教委を徹底追及して戦いぬいた再発防止研修弾劾行動【05年7月21日】)
05年、革共同教育労働者委員会は、「日の丸・君が代」決戦を先頭に4大産別決戦をかちとるという方針のもと、3〜4月の卒・入学式における東京を先頭とする「日の丸・君が代」不起立闘争を全国統一闘争方針として確立し、職場から闘いを開始した。
われわれは、1月冒頭の日教組全国教研で「日の丸・君が代」不起立闘争を訴えることから闘いを開始した。ファシスト石原と「10・23都教委通達」と対決する東京では、石原・都教委・権力が一体となった弾圧・逮捕、都教委の「たび重なる処分は解雇」の恫喝や日共・カクマルの妨害をはねのけ、厳戒体制下の卒・入学式で、60人を超える戦闘的教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争として打ちぬかれた。さらに全国の教育労働者が、戦争教育・天皇制教育に対する「戦争協力拒否」の全国統一闘争として「日の丸・君が代」不起立闘争を闘いぬき、不起立闘争を闘う革命的な潮流を継続し発展させてきたのである。
JRにおける「安全崩壊」の現実に対して「反合理化・運転保安確立」を掲げて闘われた動労千葉の春闘ストライキが、同時に「日の丸・君が代」決戦に熱く連帯する闘いとしても打ちぬかれたことは実に重要である。
われわれはこの決戦をとおして、「つくる会」教科書攻撃の本質が、教育労働者の階級性を破壊して教育労働運動を解体し、全人民への天皇制・侵略戦争イデオロギーを貫徹するものであることをつかみとった。そして「つくる会」勢力が戦略的な突破口に据えた東京・杉並区において、都議選闘争を「つくる会」教科書粉砕決戦として闘った。「つくる会」教科書と一貫して闘ってきた市民団体と連帯し、区内の教育労働者の主体的決起への連帯闘争として闘った。重要なことは、この闘いが教職員組合の「つくる会」教科書採択撤回要求運動として発展していることだ。教育労働者が本気で先頭に立って闘うことをとおして、保護者・市民の運動が大きく広がっている。
東京の被処分者は、卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立闘争を貫いたことに続いて、不当処分撤回へ力強く闘いを推し進めてきた。とりわけ、被処分者に反省と転向を強いるために設定された昨年7月21日の「服務事故再発防止研修」では、都教委を徹底追及して処分の不当性を暴く実力闘争をたたきつけ、都教委を完全に圧倒した。都教委はこの闘いに震え上がり、昨年12月、研修中のゼッケン着用などを理由にさらなる不当処分を下したが、この凶暴性こそ、どれだけ処分を乱発しようとけっして押しつぶすことのできない教育労働者の不屈の闘いを示すものである。
こうした原則的でしかも通年的な闘いは、05年階級闘争全体の大きな原動力となり、既成労働運動に分岐と流動をつくり出した。何よりも重要なのは、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争が、連合の改憲推進方針の確立(7・14連合中執見解の大会決定)を阻む最大の原動力になったことである。
日教組本部は7月全国大会で「論憲=改憲」路線への転換を画策したが、職場から強力に展開された「日の丸・君が代」闘争と「つくる会」教科書阻止闘争が、日教組本部の改憲派への踏み出しをはじき返した。続く都高教大会も被処分者が大会を席捲(せっけん)し、処分・解雇撤回闘争を組合の総体を挙げた課題に押し上げた。この闘いが8月自治労全国大会―10月連合大会に大きな影響を与え、連合が改憲推進方針を掲げることを敢然と阻んだ。そして11・6全国労働者集会への教育労働者の広範な参加につながっていったのである。
05年の激闘をとおしてつかんだ確信は、職場からの階級的労働運動と戦闘的教育労働者の団結こそが、小泉=奥田体制をうち破り、教育労働者の解放的決起をつくり出す力だということだ。帝国主義の絶望的危機の時代に、「帝国主義と対決する労働運動」の前進だけが展望を切り開くことができる。これこそが動労千葉の労働運動の核心である。
1〜3月は4大産別めぐる大激突になる
いよいよ06年、連合の改憲勢力化を阻止し、教育基本法改悪・憲法改悪を阻むことができるか否か、最大の決戦の時が来た。
06年は冒頭から、教労・全逓(JPU)・自治労・国鉄の4大産別のすべてで大決戦となった。1月26〜27日の自治労臨大、1月28日の国労中央委、2月9〜10日のJPU臨大、3月21日の日教組臨大と、1〜3月に4大産別のすべてで臨大と中央委が開催されようとしている。かつてなかった事態である。
なぜこの時期に臨大なのか。連合の改憲勢力化を阻んだ最大の実体である日教組・自治労の現場労働者の闘いをたたきつぶし、この二つの労組を改憲勢力に大転落させることが、小泉と奥田にとって死活のかかったテーマであるからだ。
3月21日、通常国会のど真ん中に開かれる日教組第94回臨時大会は、連合日教組中央が改憲路線に舵(かじ)を切り、教育基本法改悪案と国民投票法案への条件闘争に転じることを狙っているものとしか考えられない。教育基本法改悪攻撃とは、一言で言えば平和教育から戦争教育への大転換であり、公務員、とりわけ教育労働者の一切の活動を禁止する国民投票法案と対をなす改憲攻撃そのものである。したがって現場労働者の総反乱で日教組中央の改憲路線への転換を粉砕することは、憲法改悪阻止のかかった歴史的な大決戦である。
JPU臨大でJPU本部は、まがりなりにも掲げてきた「郵政民営化反対」をかなぐり捨て、大量首切りと殺人的な労働強化に全面加担することを宣言しようとしている。現場労働者の職場からの闘いで「闘う全逓」の復権をかちとることができるのかどうかのかかった大会である。
自治労臨大は、自治労を改憲勢力に大転換させることを狙うと同時に、労働者の3分の1の首を切る「公務員制度改革」の推進勢力に自治労本部を大転換させようとするものである。
国鉄をめぐってはJR資本とJR総連の結託体制の崩壊の危機の中で、大流動と大再編が不可避となっている。動労千葉は、国鉄1047名闘争の確固たる団結をかちとり、JR東日本で起きた「第2の尼崎事故」=JR羽越線列車転覆事故を徹底的に弾劾して、反合・運転保安闘争に突入しようとしている。
4大産別のすべてにおいて後のない歴史的な決戦が到来したこの春、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発と動労千葉の反合・運転保安春闘こそ、06年階級闘争を切り開く決定的な位置を持っている。
教育基本法が改悪され、新憲法が制定された後になって「あの時に闘っておけばよかった」などとつぶやくことに何の意味があるだろうか。今春卒・入学式において、全国の教育労働者が退路を断ち、不退転の「日の丸・君が代」不起立闘争を闘いぬき、その力で日教組と連合の改憲勢力化を阻み、教育基本法改悪と9条改憲を阻もうではないか。
全国の教育労働者に、04〜05年を上回る「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争に立ち上がることを、心から訴える。
不起立闘争こそが教基法改悪を阻む力
戦争と革命の時代における「日の丸・君が代」不起立闘争は、日帝の戦争と改憲、民営化と労組破壊=戦争国家化攻撃と全面的に対決し、「教え子を再び戦場に送るな」を掲げる日教組の戦闘的再生をつくり出す、戦争協力拒否の革命的闘いである。
教育基本法改悪が急迫している。しかし、「日の丸・君が代・天皇制」を拒否する教育労働者の闘いと教育労働運動が存在する限り、日本帝国主義は侵略戦争に踏み切ることはできない。教基法改悪を阻む最大の力は、天皇制・愛国心教育を拒否する教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争である。
教育労働者の任務は、東京・都高教を軸に全国で、今春「日の丸・君が代」不起立闘争を、昨年を上回る戦争協力拒否の実力闘争として、死活をかけて職場の大衆闘争として爆発させることである。職場に怒りは充満している。闘いの爆発は不可避だ。2月5日に東京で行われる「日の丸・君が代」総決起集会に全国から闘いをひっさげて結集し、首都東京から「不起立宣言」の号砲を上げよう。
「つくる会」教科書をめぐっては、昨夏に「つくる会」教科書採択が強行された地域では3月に教科書が配られ、4月には使用が強制される。こんなことを断じて許してはならない。杉並では12月26日、区教委による報告書の書き換えを告発した教育労働者に対する区教委の事情聴取に抗議して、地元教組の弾劾闘争が闘われた。「日の丸・君が代」闘争に全力で立ち上がり、「つくる会」教科書の採択撤回署名運動に取り組もう。
新職・新級導入、人事評価・査定昇給導入攻撃などとの闘いも重要だ。「自主交渉・自主決着」の名による既成指導部の闘争放棄に、組合員は「労働組合とは何か」を真剣に考え始めている。これらが公務員制度改革攻撃と一体の団結破壊・労組解体攻撃であることをはっきりさせ、職場から反撃をつくり出そう。「日の丸・君が代」決戦を軸に「教労春闘」に立ち上がろう。
「日の丸・君が代」決戦と3・20を軸にしたイラク反戦3カ年闘争を闘いぬき、「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!3・31全国集会・国会デモ」に大挙結集しよう。
「戦場に送るな」掲げ総反乱を
06〜07年の闘いは、まさに労働者階級の命運をかけた決戦である。そして「日の丸・君が代」強制との対決は、教育労働者にとって、教職員組合(運動)にとって、生命線をなす闘いである。
11・6全国労働者集会で「教師の名において教え子を戦場に送らないために、教員である限り、不服従を貫く」と発言した教育労働者の戦闘宣言を全国の闘う教育労働者の共同の決意として、今こそ全国の職場から総反乱を開始しよう。その力で組合を組合員の手に奪い返し、闘う日教組を再生しよう。組合権力への挑戦に勝利しよう。
革共同教育労働者委員会はその先頭で闘うことを決意している。全国の闘う教育労働者は、革共同に結集してともに闘おう。闘う青年教育労働者はマル青労同に結集してともに闘おう。
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週刊『前進』(2230号3面2)(2006/01/23)
自治労第77回臨大へのアピール
「平和基本法」方針を撤回し地方公務員制度改革粉砕を
1月26〜27日に東京・厚生年金会館で第77回自治労臨時大会が開かれる。闘う自治体労働者は今大会を06年の戦争・改憲、民営化・労組破壊と対決する4大産別決戦の開始を告げる大会にしよう。とりわけ「平和基本法」制定方針を削除・撤回させ、大民営化阻止、公務員制度改革絶対反対の路線を確立するために闘おう。動労千葉の労働運動を学び、自治労を階級的戦闘的な労働組合として生まれ変わらせよう。
改憲阻止・反戦闘争の先頭に
今臨時大会には2006年春闘方針、当面の闘争方針、地公3単組組織統合などの議案が提出される。かちとるべき課題は何か。
第一の課題は「平和基本法」制定方針の削除・白紙撤回をかちとり、改憲阻止闘争、イラク撤兵・米軍再編粉砕、新たな安保・沖縄決戦の先頭に立つことを方針化させることである。
05年の闘いは偉大な地平を切り開いた。11・6労働者集会は、動労千葉、港合同、関西生コン支部の3労組共闘のもと、4600人が結集する日米韓労働者の国際連帯集会としてかちとられ、改憲と戦争、民営化と労組破壊の攻撃を強める日帝・小泉=奥田体制の打倒を宣言した。
昨年は、「日の丸・君が代」不起立闘争、都議選=「つくる会」教科書採択阻止闘争が勝利的に闘われ、7月の日教組大会と8月の自治労大会で改憲勢力化阻止の闘いが爆発し、10月連合大会で7・14連合見解=改憲方針の提出を断念させた。闘う全逓労働者が郵政民営化絶対反対の立場を明らかにし、国鉄1047名闘争が不屈に闘われ、動労千葉が反合・運転保安闘争で勝利をかちとった。これらの集約として11・6の4600人がある。
05年の前進を踏まえ、06年は4大産別決戦を基礎に改憲阻止闘争の勝利を切り開かなければならない。
臨大での「平和基本法」制定方針の削除・撤回は緊要な課題だ。「平和基本法」は、@「個別的自衛権」の承認A「最小限防御力」=戦力の定義B自衛隊の再編と国際貢献部隊の活用C国連主導の「国際平和協力活動」への積極的参加Dアジア「集団的安全保障体制」の推進――を基本内容とする。憲法9条解体、戦争国家化そのものだ。
帝国主義国家のいう「自衛権」とは侵略戦争を正当化するための言葉だ。帝国主義は常に「自衛」「祖国防衛」の名で侵略戦争を行ってきた。帝国主義を打倒すべき労働者は帝国主義国家に侵略戦争のための自衛権など与えてはならない。
日本国憲法とりわけ第9条「戦争放棄」とは何か。戦後のプロレタリアートの日帝打倒=プロレタリア革命の闘いの大高揚に窮地に立たされた敗戦帝国主義・日本のブルジョアジーの労働者階級への大幅な譲歩、妥協の産物である。(革共同政治局06年1・1アピール第V章、『改憲攻撃と労働者階級』第3部を参照)
9条破棄を柱とする改憲は、戦後体制の右からの反革命的転覆、強権的反動的な天皇制ボナパルティズム体制、戦争国家への転換を意味する。労働者階級はこのような歴史の逆転を許さず、改憲を阻止し、日帝打倒=プロレタリア革命を完遂しなければならない。
9条解体の「平和基本法」制定方針は、反戦闘争への裏切りであり、戦争協力組合化であり、労組としての自己否定、死を意味する。「平和基本法」の白紙撤回なくして反戦・反基地闘争も改憲阻止闘争もあり得ない。鹿児島大会を上回る本部追及の闘いで「平和基本法」制定方針の削除・撤回をかちとろう。
労働者として階級性貫こう
第二の課題は、公務員制度改革粉砕、大民営化阻止の闘いの路線を確立することである。自治労の公務員制度改革推進勢力への転落を阻止しよう。
小泉=奥田体制が9・11総選挙勝利、郵政民営化法成立をてこにすさまじい公務員バッシングのキャンペーンを張る中で、昨年11月4日に経済同友会が「地方公務員制度改革への10の提言」「新しい地域主権型システム実現に向けた提言」を発表し、11月14日に経済財政諮問会議が「公務員総人件費改革基本指針」を打ち出し、12月24日に小泉内閣が「行政改革の重要方針」の閣議決定を行った。
国家公務員については、定員を今後5年間で5%以上純減し、給与削減も含めて総人件費を今後10年間で半減しようとしている。
地方公務員については、総人件費を3割削減から半減をめざすとする。賃金制度を成果主義・能力主義に転換し、定期昇給やわたり給を廃止する。06年に地方公務員法を改悪し、公務員の「身分保障」を剥奪(はくだつ)しようとしている。公務員の魂を入れ替えて国家に忠誠を誓う「天皇の官吏」とし、他の大半の公務員を民間委託・市場化テスト・指定管理者制度などで非公務員化する。地方公務員の3人に1人の首を切る大攻撃である。
「首長のリーダーシップ」の強化、市町村合併の徹底と道州制の導入、「地域主権型システム」は戦後地方自治制度の解体だ。
「小さな政府」論は、国家の役割を国防・外交・治安とし、それ以外は地方の「自己責任」とする。地方自治を破壊し、国家の暴力的本質をむきだしにした中央集権的強権的国家体制をつくろうとしているのだ。
戦前は、内務省が地方統治・治安弾圧の要(かなめ)として機能し、国民総動員・総力戦を推進した。県、市町村の自治はごくわずかに限定されていた。行政職公務員は国家の官吏であり、天皇に任官され、天皇制国家に絶対忠誠を誓った。官吏は行政権を行使し、厚い身分保障と特権を有した。官吏以外の者で官公庁に勤める者は行政権のない雇員・傭員(よういん)・嘱託だが、労働者としての権利がなかった。戦後は民主化政策の一環として内務省が解体され、官吏は「公務員」とされた。
1947年5月3日に日本国憲法と地方自治法が施行され、地方自治制度が始まった。行政職だけでなく現業職も公務員となり、大半の公務員が労働者としていったんは労働3権をかちとり、労働組合のもとに団結して闘った。
しかし、行政職の争議権・団体交渉権は、国家公務員法という基幹法の改定以前にマッカーサー書簡をもとに超憲法的な政令201号で剥奪された。それでも団結権は公労法によって認められた。たとえ団結権だけとはいえ、国家権力機構の中に階級的団結を保ち、事あらば権力中枢から権力機構に反乱する労働者、労働組合が存在することは決定的だ。このことが現在、戦争国家への大改造を急ぐブルジョアジーにとって桎梏(しっこく)となっているのだ。
今進められている公務員制度改革は、自治体で働く職員の労働者意識と組合的団結を解体し、一部を「天皇の官吏」として取り込み、他を無権利の労働者にしてほうり出す攻撃だ。
また小泉構造改革のいう「官から民へ」は公務員労働者と民間労働者の分断攻撃だ。両者の団結で分断を打ち破ろう。労働組合の団結を強化し、指定管理者制度、雇い止め解雇との闘い、市場化テスト法案粉砕の闘いを巻き起こそう。
動労千葉は、「ヤミ・カラ」キャンペーンを真っ向から粉砕し、国鉄分割・民営化攻撃を2波のストライキを頂点とする闘いで跳ね返し、一貫して反合理化・運転保安闘争を基軸として闘い、組合的団結を守ってきた。そして3労組陣形のもとに階級的労働運動の新潮流運動と労働者国際連帯闘争の要の位置を占めている。この動労千葉の闘いの歴史、労働者魂に学ぼう。
公務員の労働者としての階級意識と階級的団結を守り、強め、公務員制度改革絶対反対を貫き、大民営化攻撃を打ち砕こう。
民営化に屈服した組織統合
さらに民営化攻撃への屈服を前提とした地公3単組(自治労、都市交、全水道)組織統合に反対して闘わなければならない。
組織統合問題は、「自治労21世紀宣言」=綱領改定問題の時、自治労の組織戦略としての「公共サービス産別の形成」構想として出されてきたものだ。それは、あらかじめ民営化攻撃に屈服し、民営化された事業を自治労産別に再包摂してのりきろうという路線だ。民営化攻撃との決戦を回避するための組織統合路線は、自治労を闘わない組合に変質させ、産業報国会化させるだけだ。
また、自治労本部は「質の高い公共サービスの確立」を掲げ、「民間に勝てる行政サービスでのりきろう」と呼びかけている。当局の合理化攻撃に屈服し、民間と競争して生き残ろうということだ。これではJPUと変わらない。
公務員と民間の分断攻撃を許さず、公共民間や自治体関連労働者、指定管理者によって首切りにさらされようとしている仲間たちを労働組合に組織し、原則的に闘うことによって雇用と労働条件を守りぬこう。正規労働者、非正規労働者はともに団結して闘おう。
1〜3月、自治労臨大、国労中央委、JPU臨大、日教組臨大と、4大産別のすべてで決戦が闘われる。自治労臨大で「平和基本法」方針の白紙撤回をかちとり、06年の公務員制度改革絶対反対・大民営化阻止、国民投票法粉砕・改憲阻止、国民保護計画粉砕・イラク撤兵、安保・沖縄決戦への号砲としよう。
闘う自治体労働者は、革共同、マルクス主義青年労働者同盟に結集し、ともに闘おう。
〔革共同自治体労働者委員会〕
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週刊『前進』(2230号5面1)(2006/01/23)
東部方面隊の出兵阻止を
朝霞・練馬・習志野−三里塚を闘おう
陸自イラク第9次派兵許すな
日帝・自衛隊のイラク第9次派兵(総勢600人)がイラク特措法の再延長で1月から2月上旬にかけて強行されている。すでに1月7日、事前報道より早く抜け駆け的に、陸上自衛隊の復興業務支援隊約100人が迷彩服のまま羽田空港から日本航空に乗って半年期限でイラクに出兵した。今回の派兵は、東京と関東6県にまたがり首都中枢防衛を正面任務とする東部方面隊をあえて投入するものだ。闘うイラク人民、全世界の反戦闘争と連帯して、自衛隊のイラク派兵絶対阻止の朝霞(埼玉)・練馬(東京)・習志野(千葉)−三里塚行動に立とう。泥沼のイラク侵略戦争を日帝・小泉=奥田の墓穴に転化せよ。
闘うイラク人民と連帯し3・20闘争へ
陸自のイラク第9次派兵阻止へ以下の3点を強く訴えたい。第一に、イラク開戦3年目の3・20国際反戦闘争に向かって、米英日帝のイラク侵略戦争を阻止するために帝国主義国内のイラク反戦闘争を爆発させる新たな決意で、第9次派兵阻止に立つことを訴える。
イラク情勢は、明らかに米帝を始めとする帝国主義侵略軍側が敗戦過程に落ち込むものとなっている。武装解放勢力を先頭とするイラク人民の民族解放戦争は多大の犠牲を出しながら占領軍を追いつめている。
親米カイライ政権デッチあげのための新憲法草案の昨年10月国民投票と12月国民議会選挙の過程は、武装解放勢力にとってきわめて難しい選択を迫るものだった。しかし、闘うイラク人民は、スンニ派が選挙参加に踏み切りつつ、地元スンニ派武装勢力とザルカウィ派が必死のゲリラ戦闘を展開する形で、複雑な政治情勢に対応していった。
議会選挙後も武装闘争は自爆戦闘を軸に再燃的に激化しており、厳しい試練を耐え抜いた姿をはっきりと示している。米軍の無差別虐殺の掃討作戦や東欧諸国に置かれた秘密収容所の存在に対する怒りが高まり、武装闘争への大衆的支持は強まりこそすれ、弱まってはいない。
何よりも重大なことは、不正義のイラク侵略戦争がブッシュ政権の命取りとなっていることだ。ブッシュはペテン的とはいえ、部分撤兵を語らざるを得なくなっている。ここで退いたらブッシュ政権が総崩壊しかねないが、もはや撤兵問題を門前払いできなくなっている。進んでも退いてもイラクの民族解放戦争は勢いを得て激化し、米国内の反戦闘争はブッシュ打倒へますます燃え広がっていく。
その中で、陸自東部方面隊を投入する今回の第9次派兵は、きわめてやみくもで突出的である。内外で孤立を深める米帝ブッシュに救いの手をさしのべ、世界で最凶悪の日米枢軸を誇示する今回の派兵ほど、反動的なものがあるだろうか。小泉・奥田の構造改革の柱のひとつは帝国主義間争闘戦にかちぬくために「自衛権=自衛軍=戦力」を保持すること、海外派兵を自由に展開できる帝国主義国家に脱皮することである。そのための日米同盟の変革である。イラク敗戦情勢に戦々恐々とするがゆえに、小泉は最反動の道をひた走るしかないのだ。
小泉・奥田の改革路線―戦争国家づくりとその先行実施である自衛隊派兵を阻止せよ。イラクの民族解放闘争は、帝国主義国内の内乱的階級闘争の激化を血の河の中で訴えている。イラク人民・ムスリム人民と連帯して、自国帝国主義のイラク派兵を始めとする戦争攻撃に大打撃を与える戦時下階級闘争の戦略的好機がやってきている。ここで闘おう!
改憲と米軍再編を促進する侵略派兵
第二に、自衛隊が侵略軍隊・外征軍として日々変貌(へんぼう)し、憲法改悪と米軍再編をタブー破り的に促進していることに怒りを燃やして改憲阻止・米軍再編粉砕をかけてイラク派兵阻止に決起することを訴える。
@イラク現地の自衛隊は軍事の論理で自己運動を強めている。
自衛隊は武力行使を任務とする多国籍軍にいち早く正式に加わっている(04年6月)。イラク特措法では武器使用基準に「武器等防護」が合法化されており、武器は重火器まで拡大されている。それ以前の海外派兵では〈「自己とその管理下に入った者」を守るためなら武器使用も可〉としてきたのに対し、〈武器・陣地を守るための武器使用も可〉となったことは、実質的に無制限の武器使用となる。「一発の銃声」のデマでも多国籍軍=陸自は一斉に戦闘行動=戦力行使に突入できる。憲法第9条はイラクの地ではあっさりと捨て去られているのだ。
陸自は「復興支援」を名目としているが、植民地占領行政を実戦的に習得することを自己目的化している。外務省管轄のODA予算の現地執行は陸自の指揮にゆだねられている。サマワの地方政府や部族長との外交や労働力動員も取り仕切っている。給水活動もすでになくなり、補修工事もわずかの人数のイラク人労働者にさせ、陸自は防衛と称して治安維持任務を行っている。イラク特措法での想定を一線も二線も踏み越えているのだ。
A米軍再編は自衛隊の自衛「軍」化と「戦力」行使を先取りするものだ。座間基地(神奈川県)には米陸軍第1軍団司令部と一体化して新設の陸自中央即応集団(4800人)の司令部が置かれる。横田基地(東京都)は在日米空軍と空自の統合司令部となる。相模総合補給廠(しょう=神奈川県)には中央即応集団の一連隊として普通科連隊1300人が移駐する。嘉手納基地(沖縄県)ではF15戦闘機による米軍と航空自衛隊との共同訓練が行われる。グアムに移る海兵隊も有事には自衛隊の高速輸送艦で直ちに戦場に突入する。
BAの軍事的実効性を保証するために米軍統合参謀本部と釣り合う自衛隊3軍統合幕僚監部が新設される(06年4月)。
C「離島の多い南西諸島へのゲリラ攻撃に反撃するため」と称して、西部方面隊が1月下旬から10日間、米陸軍第1軍団などと日米共同指揮所演習を行う。さらに同方面隊の対ゲリラ専門部隊である普通科連隊が1月9日から27日まで米カリフォルニア州の演習場まで出兵して米海兵隊と初めての共同訓練を行う。
それらはすべてイラク侵略戦争続行を牽引車にして対中国(対北朝鮮)侵略戦争を遂行するための恐るべき軍事的再編である。
だが、それらは労働者階級人民の反戦闘争の爆発を恐れた姑息(こそく)ですり抜け的な策動でしかない。改憲と米軍再編の先取り攻撃に真っ向から怒りをたたきつけよう。そうすれば、小泉の軍事優先のやり方をぐらぐらにできる。
自衛官と労働者の反戦闘争の合流を
第三に、自衛隊兵士の仲間のみなさんに、不正義のイラク派兵継続に隊内決起で反撃するために昨年11・6日米韓労働者集会をかちとった階級的労働運動と合流して闘うことを訴える。
今、自衛隊はなんのためにイラクに出兵し軍事占領を続けているのか。フセインによる大量破壊兵器の保有もテロリスト支援もうそだった。
日帝は、独仏帝国主義を押しやって、米帝にはじき出されずに中東の人民から石油を強奪し、帝国主義の国際争闘戦に勝つために戦力行使と植民地経営ができる国家に生まれ変わることを狙ってイラク戦争に参戦している。そのために「殺されるかも知れないし殺すかも知れない」(小泉)現実性が一段と強まったイラクの戦場に自衛隊兵士を投入しているのだ。「非戦闘地域」などイラクにはない。サマワ宿営地も標的となっている。そんなことは百も承知で自衛隊から戦死者を出すことを狙っているのである。
イラク特措法1年延長に際して小泉は「ここで退いたらイラクがテロの温床になる。それでいいのか」と苦しまぎれの弁明をした。イラクはイラク人民のものだ。外国軍隊が占領していい道理はない。米英日の軍隊がイラク侵略と占領を続けるからイラク人民のゲリラ・自爆戦闘が燃え広がっているのではないのか。それはイラク人民のやむにやまれぬ民族解放・民族自決の闘いそのものである。
自衛隊は、イラク人民にとって極悪の米英軍と並ぶ同盟軍であり、不正義の侵略軍である。ここに自衛隊の階級的性格がある。支配階級が唱える「国益」の名で犬死にさせられることを拒否しよう。闘うイラク人民を友として、侵略の銃を転じて小泉に向けよう。日本の労働者階級は、イラク派兵阻止の反戦・反軍闘争を爆発させて、自衛隊兵士の決起を迎え入れる決意だ。労兵連帯で新たな侵略戦争の道を突っ走る小泉・奥田体制を打倒しよう。
陸自東部方面隊による第9次イラク派兵の本隊が出兵する1月下旬に朝霞現地、三里塚現地を始め、一斉に阻止行動に立とう。
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週刊『前進』(2230号5面3)(2006/01/23)
ゲリラ戦が激発のイラク
選挙結果も未発表 泥沼深める軍事占領
米帝のイラク侵略戦争はますます泥沼化を深めている。米占領軍による無差別の住民虐殺にも関わらず、イラク人民の武装解放闘争をまったく制圧することができず、逆にそれがイラク人民の怒りの火に油を注ぎ、米軍の犠牲者が時が経つにつれてどんどん増えている。米帝はイラク人民の民族解放・革命戦争を制圧する展望など何ひとつ持っていないのだ。
(写真 国民議会選挙の中間発表に対して怒りのデモを行うイラク人民【05年12月25日】)
イラクでは新年明けから激しいゲリラ戦闘が爆発している。4日、バグダッド北東約100`のミクダディーヤでの自爆戦闘で36人が死亡したのを始め、5日にはイラク中南部カルバラと中部ラマディで大規模な自爆戦闘が相次いで戦われ、合わせて少なくとも109人が死亡した。米軍に対する攻撃はますます激化しており、8日モスル近郊での米軍ヘリ墜落など10日までの間に米兵30人が死亡している。全体での死者は300人近くに上る事態となっている。他方で米軍も空爆による無差別虐殺を繰り返している。
イラク国民議会選挙は昨年12月15日に行われたが、昨年中と言われていた正式政府の発足は1月10日を過ぎてもいまだに実現していない。国民議会選挙の最終結果もいまだ発表できない状態にある。
国民議会選挙ではシーア派がサドル派も加わって統一候補を立てたのに対し、スンニ派も一部の指導者が立候補し、投票を呼びかける形となった。しかし、占領軍の撤退を要求するイラク人民は、激しい武装闘争をたたきつけており、国民議会選挙や「正式」政府の発足によってイラク情勢が米帝の狙ったプロセス通りに進行することはあり得ない。この政治プロセスは米帝の軍事占領という条件のもとでのみで進行しているのであり、だからこそかえって矛盾は激化せざるを得ない。むしろイラク人民の怒りはますます高まり、武装闘争は激化していく。
国民議会選挙で不正が広範に行われたことは広く知れ渡っており、選管自身も投票の5%は不正なものだとしている。実際の不正はもっと激しいものだが、選挙のやり直しという選択が政治的にあり得ない以上、あくまでも「成立した」として押し通そうとしているのである。その一方でスンニ派の候補者90人について、旧バース党員だとして裁判所が立候補資格を認めない決定を下した。
こうした不正選挙に対して各地で怒りのデモが巻き起こった。シーア派は新政権へのスンニ派の一部指導者の取り込みで事態を乗り切ろうと策動している。しかし、シーア派宗教指導者たちの実権掌握の意図は明白であり、現在までのところ妥協には至っていない。
こうした中で今年に入って石油価格の値上がりに抗議して各地でデモが起き、警官隊と衝突する暴動に発展している。1月1日、北部のキルクークではガソリンの値上げに怒った民衆に警官が発砲、暴動となり、2人が死亡した。この事件を受けてウルーム石油相が辞任する事態になった。暴動は北部のキルクークだけではなく、南部のナシリアでも連日デモが行われ、警官隊と衝突し、1月6日には2人が死亡する事態になっている。
イラク人民は、70%を超える失業率で仕事がなく、食料の配給もきちんと行われない中で、このままでは生きていけない状況にある。そんな中でガソリン価格が4倍に値上げされることは、きわめて深刻な事態なのだ。米英日占領軍をたたき出し、イラクを解放する以外にイラク人民の生きる道はない。
暴動の拡大は同時に、米帝占領政策の先兵となって権力を掌握しようと狙うイラク・イスラム革命最高評議会やダワ党を中心とするシーア派宗教指導者に対する怒りの高まりを示している。イラク・イスラム革命最高評議会やダワ党は、シスターニ氏を使いながら権力の掌握を狙い、イラク軍、イラク警察に積極的に部隊を送り込み、権力実体をも握ろうと反動的策動を強めている。こうしたシーア派勢力に対して闘うイラク人民の民族的怒りが高まっており、自爆を含む戦闘が今後さらに爆発していくことは不可避だ。米帝ブッシュが、シーア派、スンニ派双方に妥協による超党派の政府樹立を呼びかけているのも、イラク人民の怒りがますます高まる中で、米軍占領下でのこうした政治過程そのものが根底から吹き飛ぶ危機に直面しているからにほかならない。
各国撤退の中で突出する日帝
米帝のイラク占領支配の危機はいよいよ深まっている。何よりも、イラク人民の民族解放の武装闘争を軍事的に制圧することがまったく不可能だ。占領軍に対する襲撃は1日に100件を超え、米兵の犠牲者は増える一方である。イラク人民は民族解放戦争を戦略・戦術的にも、武器技術でも高度化させており、米帝はこれを制圧する展望をまるで持てていない。米国内でもブッシュ政権のイラク戦争政策に批判が高まっており、政権自身が重大な危機に直面している。
ブッシュ政権はこの間、ハリケーン災害で被災者を救援しなかったことで非難を浴び、CIA工作員を暴露したことで政権を支える中心人物を失い、危機を深めてきた。さらにファルージャ戦闘での化学兵器(白リン弾)使用や東欧での秘密の収容施設建設とそこでの拷問虐待、アルジャジーラ爆撃のメモの発覚、裁判所の許可なしの電話盗聴など次々と重大な暴露が続いている。
一方で、米帝のイラク戦争の戦費が、これまでの見積額より10倍以上も多く、1兆jから2兆j以上に上るという専門家の試算が出されている。イラクの石油強奪を狙って開始した侵略戦争だったが、闘うイラク人民の破壊工作によって石油輸出はがた減りし、逆に石油を輸入しなければならない事態になっており、ブッシュ政権が各国にイラクへの債権の放棄を呼びかける事態になっている。他方で米軍の派兵費用は着実に増大し、財政赤字をさらに膨大にふくれあがらせる原因となっている。米経済が完全に限界に突入する中で、イラク侵略戦争がいつ経済危機爆発の契機となるかわからない状態へと突入しているのである。
この現実の中で、イラク侵略戦争に参戦してきた各国がぐらぐらになり、撤退する国が相次いでいる。スペインやオランダが完全撤退したのに続いてイタリアがすでに撤退を開始している。ウクライナとブルガリアも部隊の撤退を完了した。イラク侵略戦争の枢軸国であるイギリスでもブレア政権に対する批判が強まっている。特にイギリス政府メモの暴露に対してブレア政権は、刑事弾圧策動を強めているが、危機は深まるばかりだ。
この中でブッシュ政権を政治的に支え、イラク侵略戦争の中心国となっているのが、日米枢軸路線を進める日帝・小泉政権にほかならない。各国の撤退や部隊の削減が相次ぐ中で、あくまでも米帝ブッシュを支えて自衛隊派兵期限の1年間延長を強行した。
日帝・小泉は、侵略戦争のできる帝国主義への飛躍をかけて自衛隊イラク派兵を継続し、自衛隊を殺し殺される戦闘へと突入させようとしている。この攻撃は、改憲で「自衛軍」を明記し、米帝と一体で中国・北朝鮮侵略戦争に突入する攻撃の先取りである。
他方で、日帝・小泉政権が陸自の撤退と空自の輸送体制の強化というペテンに言及せざるを得ないのは、イラク占領支配が完全に破綻していることに対する悪あがきの策動にほかならない。ペテン的な乗り切り策動を許さず、小泉政権を労働者階級人民のイラク反戦闘争の爆発で打倒しなければならない。
イラク人民の決死の民族解放・革命戦争への決起は、帝国主義国の労働者階級人民への帝国主義打倒への決起を呼びかける血叫びであり、闘いへの援助である。この連帯の呼びかけにこたえて自衛隊イラク撤兵へ決起しよう。陸自東部方面隊のイラク派兵阻止へ直ちに決起しよう。
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