ZENSHIN 2005/12/26(No2228 p06)

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週刊『前進』(2228号1面1)(2005/12/26)

 国際連帯で民営化と闘い 06年決戦へと進撃しよう

 改憲阻止、安保・沖縄闘争へ

  イラク侵略戦争の泥沼と経済破局にあえぐ米日帝

  危機のブッシュ・小泉打倒を

 4大産別を主戦場とした12月の激しい攻防が続く中、06〜07年決戦への過程が始まろうとしている。帝国主義の危機が本格的に爆発し、革命的情勢が急速に成熟しつつある中で、われわれはこの05年に新指導路線を階級闘争の大地にしっかりと根付かせ、11・6国際連帯集会で世界革命への現実的な突破口を切り開いた。06〜07年の階級闘争は、01年9・11反米ゲリラ戦、03年3・20イラク開戦から今日にまでいたる過程を数倍、数十倍する激しさと規模をもって全世界で発展するだろう。帝国主義の危機と矛盾は極限的に激化していくからだ。

 第1章 米帝ブッシュを追い詰めるイラクの戦い

 何よりも帝国主義の「総本山」たる米帝が、イラク侵略戦争の泥沼にますます深々とはまり込み、すさまじい階級矛盾と経済危機を爆発させようとしている。
 12月15日、米帝が「イラク民主化の総仕上げ」と位置づけてきたイラク総選挙は終わった。しかし、すでに2年9カ月に及んでいるイラク侵略戦争は、これまでが「前哨戦」にすぎなかったかのようにますます激化・本格化している。
 10月末に「公式発表」で2000人を突破した米兵の死者は、イラク総選挙に向かう過程でさらに急増し、10〜11月の2カ月間で180人に達した。負傷者は約1万6000人とされ(米団体調査)、このうち8000人以上が「72時間以内に戦線復帰不能だった者」で相当の重傷者が含まれている。米帝は事実上1万人を超す兵力をせん滅されてしまっているのだ。
 これに対してイラクの武装解放勢力は、米帝の残虐な皆殺し作戦や大量拘束、拷問などに屈せず、膨大な「人民の海」の中でますます力をつけている。ラマディなどでは数百人規模での米軍基地への正面攻撃、街の制圧、米占領軍やその手先を摘発する検問所の設置といった戦いが繰り広げられ、米帝の占領統治をずたずたにしている。
 ブッシュはこの敗勢を取り繕い、さらなる侵略戦争の激化へ踏み込むべくイラク総選挙を前に計4回のイラク関連演説を行った。総選挙前日の14日の演説では「大量破壊兵器の存在」という開戦理由のデタラメさや、3万人ものイラク人民を死に追いやったことまで認めざるをえなかった。しかし「目的は正しい」としてすべてを開き直り、「責任をとる」という論法で「最後の勝利まで」戦争を続けると言明した。
 米帝は明らかに泥沼の15年侵略戦争にのめり込んでいった日帝と同じ破滅へのプロセスにはまり込んでいる。イラク侵略戦争は、米帝の世界支配、中東・石油支配の崩壊的危機と帝国主義間の争闘戦の激化の中で引き起こされた。米帝が帝国主義であるかぎり、イラク撤退は絶対にできない。イラク撤退はイラクおよび中東全域の「反米化」に直結する。米帝の中東・石油の独占的支配は崩壊し、仏・独などユーロ圏の帝国主義による再分割を許すことになる。
 それは米帝の世界支配とドル体制を根底から崩壊させる。借金まみれの米帝がなおドルを基軸通貨として維持しえているのは、圧倒的軍事力を持ち、全世界がエネルギー源として決定的に依存する中東地域と石油を独占的に支配し続けているからだ。まさに米帝にとってイラクの占領・永久植民地化は「絶対的生命線」であり、帝国主義である限り、「撤退」という選択肢はけっしてありえない。
 だが、またイラク占領・侵略戦争の継続・激化が米帝の延命につながるわけでもない。米帝はすでに経済的破綻(はたん)状態にあるのだ。

 第2章 住宅バブルと借金漬け経済の破綻は必至

 「アメリカ経済の成長が続いている」というが、その実像は、海外から借金をしまくり、その金で住宅バブルを生み出し、バブルで膨らんだ住宅資産をあてにして富裕層が消費にひた走るというものだ。個人の住宅ローン、クレジットカードからイラク侵略戦争の財源にいたるまでが日本、中国、産油国などから流入し続けている海外資金によって支えられている。その結果、アメリカの経常赤字も財政赤字も史上空前の規模に膨れあがり、対外純債務は3兆jを突破してさらに増え続けている。この借金漬けの米帝経済はもはや維持不可能なレベルに達している。
 そうした中で原油の高騰、インフレ化が進行し始め、住宅バブルも崩壊の兆しを見せている。ITバブル崩壊後の米経済の落ち込みをカバーしてきた住宅バブルの崩壊は、米家計の借金漬け状態をむき出しにし、大量の住宅ローン貸し出しを続けてきた米金融機関の危機を激化させる。ITバブル崩壊から5年にわたって恐慌を引き延ばしてきたツケが一気に爆発していくことになる。
 いずれにせよ米帝の危機は、06年から07年にかけてこうした経済的破局とイラク侵略戦争の泥沼化、中東支配・世界支配の破綻と崩壊とが入り乱れ、混然一体となって爆発的に進行する。死の苦悶(くもん)にのたうつ米帝は、この危機をさらなる世界戦争、民営化と生活破壊のエスカレーションをもってのりきろうとする。
 帝国主義はどん詰まりになるほど破滅的な侵略と世界戦争へ突き進むのだ。かつてそれをやったのが日帝であり、独帝であった。今度はそれを基軸帝国主義・米帝自身がやろうとしているのだ。沖縄の恒久的軍事要塞(ようさい)化を要とする米軍大再編は、まさにそうした第3次世界大戦突入の準備そのものである。

 第3章 体制的に破産し危機と腐朽を深める日帝

 こうした米帝の世界戦争に向けた激しい動きに全面的に対応し、一体化することで延命しようとしているのが、日本帝国主義だ。
 12月8日に2度目の自衛隊イラク派兵延長を決定した小泉政権は、戦争と民営化の大攻撃をかけてきている。改憲実施の国民投票法案、防衛庁の省格上げ法案、米軍再編特措法、共謀罪などの来年通常国会成立をめざすとともに、自治体労働者の大量首切り、自治労・日教組つぶし、地方自治解体の「三位一体改革」や公務員制度改革、医療制度改革を始めとする社会保障解体、大増税などなど、4大産別の労働者を主要ターゲットにした攻撃をこれでもかと繰り出している。しかしこれは、総選挙で「圧勝」した小泉の「強さ」ではまったくない。日帝・小泉もまた、米帝ブッシュ同様に差し迫る帝国主義の破局的危機に追い立てられているのだ。
 最近「日本経済の回復」ということがさかんに宣伝されている。大企業や製造業の景況感は上昇し、東京株式市場の株価はどん底の7000円台から今やその倍以上の1万5千円台まで膨らんでいる。だが、大半の労働者階級の生活はまったく楽にならないどころか、苦しくなる一方だ。まさに労働者階級をとことん搾り取り、奪い取り、だまし取ることで空前のぼろもうけをしているのが、日帝・独占金融資本なのだ。
 銀行の不良債権処理、企業の過剰債務の整理がこの間、大幅に進んだという。大量の公的資金を注入した上に、賃下げ・首切りの大リストラを継続し、資本主義史上例のないゼロ金利・超低金利を10年以上も続けてくれば不良債権も債務も減ろうというものだ。しかし「減った」ことで労働者階級人民は犠牲になった。
銀行は膨大な人民大衆の預金をかき集めながら利子は払わず、手数料だけとってきた。「もし93年時点の金利が維持された場合、その後10年間で国民全体の家計に入るはずだったのに受け取れなかった利子の累計は154兆円に達する」(日銀総裁の国会答弁)のだ。まさに空前の大衆収奪が独占金融資本とそれと結びついた国家によって行われたのだ。
 また、銀行の不良債権や企業の過剰債務の減少と国債発行額・国家財政赤字の増大は、ぴたりと重なっている。「財政危機」というが、要するに独占金融資本の危機を国家が請け負い、そのツケはすべて民営化と大リストラ、大増税、社会保障解体として労働者人民に全部押しつけようというのが、小泉・奥田らの「改革」なのだ。
 さらにこの「日本経済の回復」なるものはとんでもないデタラメの上に成り立っている。今、日本社会を「土台から」揺るがしている耐震強度・構造計算書偽造問題こそ、歴史的生命力を失った日本の資本主義を象徴するものだ。この偽造はバブル崩壊後の銀行・ゼネコンの危機の激化と規制緩和による建築確認事務の民間開放が重なった90年代後半から一挙にエスカレートした。
 自治体が行っていた建築確認を大手ゼネコン(バックには大銀行)や建材、ガス、電気など建築関連の大企業が出資する民間検査会社にやらせ、耐震偽造をすり抜けさせるというデタラメさ。「官から民へ」という規制緩和・民営化路線を強行し、ゼネコンや民間調査会社とつるんできた政府・自民党。まさに耐震偽造は日帝国家と独占金融資本総ぐるみの反階級的大罪である。
 これはゼネコン、建築関連企業といった一業種の問題でもない。バブル崩壊後、どん詰まりの危機に陥った日帝ブルジョアジー総体が、民営化、規制緩和、構造改革路線に走ったことの帰結なのだ。その矛盾の一切がさまざまな産業分野の安全問題に集中し、JR尼崎大事故や構造設計偽造問題などとして露呈し、今年にいたって爆発的に噴出し始めたのである。しかも、こうした現実を許した最深の根拠は、連合など既成の労働組合が御用組合化し、一切何の抵抗もしてこなかったことにこそある。
 こうした「安全崩壊」は「帝国主義の腐朽化」の現れである。あまりにも生き延びすぎた資本主義・帝国主義が、もはや社会を一社会として成り立たせることができなくなるほどに末期性を深めているのだ。
 こうした中で、他方では連続的な児童殺害事件のような様々な矛盾、社会的危機が爆発している。
 日本経団連は06年版経労委報告を発表した。そこでは「ベアは企業の競争力を損ねる」とベアを拒否している。これに対し連合は一律賃上げ要求を放棄して、「ベアではなく賃金改善だ」と全面屈服している。経労委報告はさらに、「国をあげて治安・防犯対策に注力すべき」と叫んでいるが、彼らは治安弾圧の暴力でしかもはやこの社会を維持できなくなっているのだ。行き着く先は社会全体の「監獄化」である。そして全矛盾を排外主義的に転嫁する侵略と戦争である。これが日帝支配階級のいう「安心・安全な国づくり」なのだ。

 第4章 世界の労働者は国境越えた団結を求める

 帝国主義の歴史的生命力は完全に尽き果てている。その打倒以外に労働者階級の生きる道はどこにもない。世界の労働者と被抑圧民族人民の国際的団結でブッシュを倒し、小泉を倒すために闘う時である。
 帝国主義の極限的危機と矛盾の爆発は、全世界で膨大な労働者人民を生きるためのぎりぎりのところからの闘いに立ち上がらせている。なんとしても生き抜こう、闘って勝ち抜きたいという欲求と意志をもった労働者たちが互いに友を呼び合っている。勝利の路線と方針を求め合っている。その中から関西生コン支部・港合同・動労千葉の3労組共闘が生まれ、日米韓の3国連帯が生まれた。この共闘と国際連帯をどこまでも発展させよう。その力で民営化を粉砕し、4大産別決戦に勝ち抜こう。反合・運転保安確立を掲げ資本と徹底的に闘う動労千葉とともに団結して闘おう。改憲阻止、新たな安保・沖縄闘争へ立ち上がろう。
 この12月、闘う労働者とともに一時金カンパ決戦と機関紙拡大闘争をやり抜き、06年へと進撃しよう。

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週刊『前進』(2228号2面3)(2005/12/26)

 韓国・民主労総 非正規職撤廃へ攻防続く

  大韓航空スト弾圧に反撃

 「非正規職撤廃!」を真っ向から掲げて12月ゼネスト闘争に立ち上がった民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、非正規職労組組合員、現場組合員を先頭に盧武鉉(ノムヒョン)政権との激烈な攻防にある。
 民主労総は12・1−2ゼネストに続き、定期国会閉会日の12月8日に再度ゼネストを構えた。この日、起亜自動車労組、韓進重工業労組など12・1を上回る6万7千人のゼネストが実現した。
 この日、空の安全と賃金値上げなどの要求を掲げて無期限ストに突入した大韓航空操縦士労働組合は、初日に387便中204便を、2日目は399便中253便を止める威力ある「航空大乱」を導いた。
 ストが3日以上続けば全便欠航に追い込まれると恐怖した政府・労働部は11日、緊急調整権を発動してストライキを禁圧した。労組は30日間にわたって争議権を奪われた上、中央労働委員会のもとで調整が成立しない場合には労使協約と同じ効力を持つ「仲裁裁定」が強制される。今夏25日間にわたったアシアナ航空操縦士労組ストの時に続く再度の暴挙だ。
 定期国会での成立を阻み12日からの臨時国会に攻防が移る中、9日午後、民主労総はソウルの宗廟公園に4000人を集めて全国労働者大会を開いた。ヤンギョンギュ非常対策委員(公共連盟委員長)は、「組織には疲れが累積しているが、戦列を整えて臨時国会で権利保障立法をかちとろう」と訴えた。
 続けて開かれた「民族農業死守、非正規職権利保障立法争取、第2次汎国民大会」は、11・18釜山APEC反対闘争を放水をものともせずに闘った労働者・農民の共同闘争の場だった。
 「民衆の生存権を奪う新自由主義世界化に反対しよう」との労農共同闘争は、13日から香港で始まったWTO(世界貿易機関)閣僚会議粉砕闘争に継続、労農、市民、学生など1500人の「韓国民衆闘争団」が香港に乗り込んだ。

 臨時国会は空転

 非正規職関連悪法が民主労総のゼネストに直撃される一方、国会での焦点は私立学校法改正案だった。学校運営全般を監督する学校運営委員会を教師、保護者、地域人士で構成し、「学校経営を透明化し不正私学をなくす」として与党ヨルリンウリ党が推進した法案に野党ハンナラ党が猛反発。この改正案が8日に国会本会議で成立するとハンナラ党は臨時国会登院拒否を宣言した。臨時国会は空転したままだ。
 これは、次期大統領選をにらんだ与野党の政争であり、ハンナラ党の利権崩しを狙って「私学改革」に乗り出した与党と、これに抵抗する野党との泥仕合だ。だが両者とも労働者人民を搾取し、非正規職を量産することでは利害は一致しており、臨時国会攻防は予断を許さない。
 この中で民主労総は戦列を立て直そうと苦闘している。13〜16日の国会前座り込みを中断し、全国同時展開の宣伝活動に切り換えた上、17日にソウルで全国集中闘争の「非正規職権利保障立法争取! 盧武鉉政権審判! 全国労働者大会(第3次汎国民大会)」に2万人の結集を実現しようと奮闘している。
 全国鉄道労組は、車両分野で今年3月、鉄道公社採用試験に合格しながら任用されず、臨時契約職となりあるいは発令すらされないままの175人の正規職採用を要求して19日からの部分スト突入を予告した。16〜18日まで臨時列車整備拒否を闘い、19日から車両分野で1日4時間ストに入る。要求が実現されない場合には年末年始を返上して総力で闘うと宣言した。
 非正規職撤廃闘争はむしろこれからが本番だ。激しい闘いを続ける民主労総と連帯し、日本でも4大産別決戦を全力で打ち抜こう。

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週刊『前進』(2228号3面4)(2005/12/26)

 都議会 “生徒の不起立阻む指導を” 中村教育長が重大答弁

 来年3〜4月の卒業式・入学式へ向けて、石原都知事と東京都教育委員会は、「日の丸・君が代」強制をさらにエスカレートしようとしている。
 12月8日の東京都議会第4回定例会において、中村教育長が「卒業式・入学式における国旗掲揚・国歌斉唱の適正化が図られるまで、引き続き、個別的職務命令を発出するよう指導して通達および実施指針の趣旨を徹底していく」と述べた。また「卒業式において学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合、他の学校の卒業式で同様の事態が発生するのを防ぐため、生徒を適正に指導する旨の通達を速やかに発出する」と述べた。
 さらに石原都知事は「教育公務員として職責を果たさない者に責任を問うのは当然。厳正に対処している教育委員会の方針は、極めて妥当だ」と教育長の答弁を後押しした。
 教育労働者をさらなる処分で恫喝するとともに、校長を生徒への起立・斉唱指導に駆り立てようとしているのである。
 石原と中村教育長が新たな「通達」と重処分で恫喝を始めたのは、06年春の「日の丸・君が代」闘争が大きく広がることを恐れているからだ。
 石原と都教委は05年春、処分の加重の脅し、各学校への警察の配備、ビラをまいた労働者の逮捕など、あらゆる手を尽くして不起立闘争を封殺しようとした。
 しかしあらゆる重圧を突き破って、教育労働者は03年「10・23都教委通達」から「2年目の不起立闘争」を闘いぬいた。05年卒・入学式では東京の教育労働者62人が不当処分を乗り越えて不起立・伴奏拒否を貫いた。教育労働者が不屈の闘いを貫く中、卒業生が集団で不起立した学校も相次いだ。

 教育労働者の抵抗闘争こそ

 生徒指導をめぐっては、すでに04年に67人、05年に5人の教員が「厳重注意」「指導」などの処分を受けている。生徒の不起立を教員の「不適切な言動」のせいにして責めを負わせること自身、前代未聞の暴挙であった。教育労働者の体を張った闘いこそが、生徒への強制を打ち砕いてきたのだ。
 今年の入学式の不起立を理由に最も重い停職1カ月を受けても、きっぱり不起立闘争を呼びかけ続ける教育労働者がいる。処分を恐れぬ行動こそ、処分を無力に追い込む。
 「3年目の不起立闘争」の爆発に恐れおののく石原・都教委に、教育労働者の不屈の闘いをたたきつけよう。来春「日の丸・君が代」不起立闘争の拡大へ、断固闘おう!

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週刊『前進』(2228号5面1)(2005/12/26)

 JR総連カクマル松崎の最期

 組合費3千万円横領しハワイに別荘

  国鉄分割・民営化の先兵が行き着いた腐敗と大破産

 日帝・小泉の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃の前に、反革命カクマル両派は危機と腐敗を深めている。中央派カクマルは「革命」の仮面を付けたファシストとして、小泉と日帝権力への投降=転向路線を完成させた。12月12日の最後の1人をもって、指名手配されていた15人全員が自首=投降したのである。組織としての転向であり、国家権力には勝てないという黒田思想の極致である。他方、警視庁公安部は12月7日、「業務上横領」容疑でJR総連と関係する十数カ所を家宅捜索した。JR総連カクマルは、頭目・松崎の組合利権私物化が国家権力によって暴露され、徹底した戦争協力勢力化の道をさらに進んでいる。このカクマル両派の破産と腐敗の極みは、国鉄分割・民営化攻撃の先兵が行き着いたなれの果ての姿だ。こうした反革命カクマルを徹底断罪し打倒すると同時に、日帝権力が革共同と階級的労働運動に対しては戦時下のより本格的な弾圧を加えようとしていることを見据え、闘おう。

 捜索への「抗議声明」で松崎の横領を自認

 今回捜索されたのは、JR総連本部事務所、日本鉄道福祉事業協会のある東京目黒のさつき会館、JR東労組本部、伊東さつき会館や元役員を含む役員宅である。さつき会館に関しては4日間・84時間という異例の捜索で、会計資料、関連団体名簿など1400点を押収したという。
 容疑は2000年4月の3千万円の業務上横領事件で、松崎明を含むJR総連カクマル幹部が国際交流基金から多額の組合資金を私的に流用したというものである。
 これに対し、JR総連は、12月7日に「抗議声明」を出して、事態の打ち消しに躍起となっている。「被疑者とされる松崎明氏の個人的資金の受け渡しに、JR総連と加盟単組が共同で設立した国際交流推進委員会の国際交流基金の口座を一時・便宜的に使用したことを業務上横領としてデッチあげたものである。よってJR総連は、いかなる損害も受けていない」。JR総連は、容疑とされた金の受け渡しという事実を認めたのだ。
 9日には四茂野修JR総連副委員長が記者会見で重ねて弁明した。「JR総連の傘下団体のJR東労組の元委員長(引用者注=松崎明のこと)が2000年4月、JR総連などが設立した基金の口座から3千万円を引き出した。この金は、元幹部自身の不動産売却代金を口座に一時的に保管していたもので、組合資金の私的流用ではない」「松崎の沖縄の別荘をハワイの別荘に買い替えただけ」
 上記二つの弁明は容疑否定を意図したものであるが、松崎による組織の私物化と横領の事実を逆に公式に明らかにしてしまったものというしかない。もし弁明のとおりだとしても、組織の金と個人の金を同じ口座に振り込んだり引き出しているということは、公私混同もはなはだしい。どこまでが松崎個人の金で、どこまでが組織の金であるのかが帳簿上誰にもわからなくされているということだからだ。「一時・便宜的に」とは、逆に常にそのように運営されていることを意味しており、まさに松崎の組合私物化を自己暴露してしまったのである。松崎が買い替えたという沖縄やハワイの別荘が組合費から出ていることは明らかだ。
 ところで、松崎の横領問題に関して、04年2月のJR総連第26回定期中央委員会で答弁に立った山下書記長は、「松崎がJR東海労に『東京駅助役暴行事件』の対策費としてカンパした『100万円のポケットマネー』が国際交流基金から流用されたものとして『横領事件』がデッチあげられてようとしている」と述べている。今回の発表では額が一けた多く、警視庁の捜索が04年2月時のJR総連の想定を超えたものであることを示している。いずれにせよ、JR総連資金のほとんどが松崎の「ポケットマネー」として、ある時は100万円、またある時は3千万円が、自由に使われている事実を自ら語っているのである。それを誰ひとりとしてとがめようともしないし、できない。それだけでなく、「JR総連はいかなる損害も受けていない」と言うなど、役員全員がこの腐りきった組織的資金の私物化を担っていたことを自己暴露している。
 それだけではない。松崎明の家族ぐるみのJR総連私物化として、息子である松崎篤が01年6月から04年1月まで社長を務めていた「さつき企画」問題がある。JR総連と無関係な息子が社長に就任すること自体が公私混同である。その社長就任期間中になんと5千万円の穴をあけてしまったという。その穴埋めとして鉄道事業協会が融資し、うち1千万円を回収放棄してしまっている。まさに国鉄分割・民営化の最悪の先兵=松崎はJR総連・東労組に家族ぐるみでしがみついて組合員の資金を私的に流用してきた実態が浮かび上がったのである。

 組合利権巡り嶋田派と分裂・抗争が激化

 このJR総連組織の松崎独占支配に対する反発から始まった、JR総連の松崎・本部派と嶋田派との対立・抗争は4年目に入った。しかもこれは、今年に入って東労組の枠を越えてJR九州ユニオン、JR西労にまで拡大している。
 本部・松崎派は、「総団結・反弾圧」を掲げて本部権力と浦和事件(*)の被告を使って新潟、長野両地本へ本部指令を出し、嶋田派組織の切り崩しを図ってきた。そして今年の定期大会を機に、昨年の新潟地震に際し一時停止していた組合役員への処分を再開した。横浜地本・嶋田派7人への組合員権停止処分の決定と嶋田派の元本部中執辞任者5人や千葉地本成田支部・元支部長に対する制裁審議の再開決定である。
 処分の動きは東労組だけではなく、JR総連本部も始めており、新潟地本の組合員が役職についている北陸地方協議会の役員について、「地協役員は単組の推薦が必要だ」(東労組本部の推薦が必要ということ)と言い出し、北陸地協の嶋田派役員を認めない行動に出ている。本部派は新潟、長野地本を追い出し、地方組織として分離させてしまいたいのである。 
 これに対して嶋田派は、あくまでもJR東労組に残り、時来たらば現松崎・本部派執行部に代わる道を追求している。嶋田派つぶし攻撃に対して、東労組での徹底抗戦と同時に、嶋田派組織の全国的拡大を始めた。JR九州ユニオンの大分地本役員が新潟地本の嶋田派役員と今年1月31日に会合をもった。また6月6〜7日にはJR西労・近畿地本と組合員交流会を開いている。これがJR総連本部で問題とされ、これを擁護しているとしてJR九州ユニオン全体が弾劾されているのだ。
 この組織分裂・抗争問題は、組合員の末端において激しい直接的対立問題となって深刻さの度を強めている。特に青年部での激しい組織対立は、組合員同士の直接的な暴力事件にまで発展した。
 JR総連の利権をめぐる分裂・抗争は、JR総連自体の組織分裂の危機をはらんで泥沼化しているのだ。
 それは、尼崎事故に際して国鉄分割・民営化と労働組合の屈服が最大の原因と指摘し、「闘いなくして安全なし」を掲げ反合理化・運転保安闘争に必死で取り組んだ動労千葉の闘いとは対極のものである。

 底無しの屈服に走るJR総連を打倒せよ

 JR総連カクマルと松崎は、これまで権力による「横領・脱税」の追及の中で、明示に戦争協力の立場を表明してきた。表向きは「戦争反対、改憲反対」などと言いながら、松崎=JR総連は、「法律で決まっていることは犯さない」(雑誌『創』・松崎)、「軍事輸送に反対しない」(JR総連15回大会)などと、有事立法が制定されて以降の軍需輸送という戦争協力を組織的に行うことを公言して回ってきた。ましてやストライキで闘うなどもってのほかだと言う。
 陸・海・空・港湾労組20団体が「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」として戦争協力拒否の闘いを懸命に貫こうとしている時に、同じ集会に参加=介入してきたJR総連は戦争協力を公言しているのだ。
 だが権力は、今回さらにJR総連への家宅捜索をもって、言葉だけであっても「戦争反対」や「改憲反対」を表明することを許さないとして圧力を加え、積極的な戦争協力勢力になれと恫喝しているのである。一度屈服した者には底無しの奴隷化を強制するということである。
 これまでJR総連は、「日本がだめなら国外で」とばかりに、「反グローバリズム労働運動」を唱えて「浦和で弾圧された闘う労組」のペテンを弄(ろう)して国際労働運動に介入してきた。だがこの金にあかせた労組介入も、11月労働者集会をとおした3労組共闘を始め労働組合の新潮流と日米韓国際連帯の前進の前にペテンがはぎとられ破産してしまった。カクマルが国鉄分割・民営化の先兵であり、分割・民営化に反対してストライキで闘った動労千葉に敵対した労組=「カンパニーユニオン(会社側組合)」としてのJR総連の正体がはっきりしてしまったからだ。
 カクマルは「左翼」を装い「革命」の仮面を付けたファシスト反革命だ。70年闘争以来、労働者人民の戦闘的階級的な闘いを破壊することに全力を挙げてきた。その最大の反階級的裏切りが国鉄分割・民営化の先兵となったことだ。
 日帝・中曽根と一体となって分割・民営化を強行し、JR労資結託体制で生き残ってきたカクマルの行き着いた先が今回の事態だ。カクマルは労働者の敵である。今こそ戦闘的階級的な闘いの爆発でカクマル両派を打倒しよう!
 11・6集会の圧倒的成功をバネに、日本の労働者階級は小泉反革命打倒、国際連帯の力強い闘いをさらに前進させている。4大産別決戦を軸に、それと一体のものとして改憲阻止決戦と新たな安保・沖縄闘争を闘おうとしている。危機にかられた日帝の戦時下での階級的労働運動への弾圧策動を許さず闘おう! 関西生コン支部への弾圧を粉砕しよう! 闘う隊列を打ち固め、動労千葉労働運動を広げ、4大産別決戦の爆発を軸に改憲決戦に勝利し、日帝打倒へ前進しよう!

**浦和事件
 02年11月12日JR東労組組合員ら(1人は元組合員)7人が「強要」の容疑で逮捕・起訴された事件。同労組組合員が他組合と接触したとして集団的につるし上げ、組合脱退・退職に追い込んだもの。ファシスト組合を守るための抗争事件。

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週刊『前進』(2228号6面2)(2005/12/26)

 共謀罪を絶対に阻止しよう

 思想処罰と団結禁止狙う 治安維持法をしのぐ悪法

 秋の特別国会に提出された共謀罪新設法案は、大衆的反撃の高まりの中で継続審議となった。来春通常国会では、この共謀罪を、改憲のためのクーデター=国民投票法案、教育基本法改悪案、防衛省昇格法案とともに何がなんでも成立させようとしている。労働者階級の力で絶対に阻止しなければならない。国家権力は、共謀罪制定攻撃と一体で、反戦運動や労働運動への刑事弾圧を一段と激化させつつある。12月に入ってからも、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対する第3次弾圧や立川の自衛隊官舎への反戦ビラまきに対する控訴審有罪判決など、労働者の団結、言論・政治活動への不当弾圧が相次いでいる。労働者階級人民の団結と闘いで、共謀罪もろともあらゆる治安攻撃を粉砕しよう。

 国際的な闘いの圧殺が目的

 今、日帝・小泉政権は、外に向かっての北朝鮮・中国侵略戦争への突進、内に向かっての大資本攻勢が日本階級闘争の爆発と帝国主義支配体制の破局に連動していくことに身構え、労働者人民の一切の闘いとその団結体の根絶を目的とした戦時下治安弾圧体制づくりにやっきとなっている。その軸が、話し合っただけで逮捕・処罰できるという最凶悪の弾圧法規=共謀罪だ。共謀罪がすべての労働者人民を標的にした恐るべき予防反革命、思想処罰・団結禁止法であることが、先の国会審議でますます明らかになった。
 共謀罪は、国際的(越境)組織犯罪条約の批准のための国内法整備を名目として登場してきた。同条約は、94年の国際組織犯罪世界閣僚会議での「ナポリ政治宣言及び世界行動計画」で提唱され、98年設置のアドホック委員会(政府間特別委員会)で起草作業が始まり、00年11月に国連総会で採択された(日本政府は同年12月に署名、03年に国会承認を強行している)。
 この条約は、目的として「国際的な組織犯罪の防止と国際協力の促進」を掲げている。
 国際的組織犯罪条約は、21世紀に入って、日米刑事捜査共助条約・テロ資金供与防止条約・サイバー犯罪条約などの一連の治安弾圧関連条約とともに進められてきた。その目的は、「マフィア対策」などを名目としながら、帝国主義の搾取と抑圧、差別と支配に反対し解放を求める全世界の被抑圧民族人民・労働者階級人民の闘いを圧殺し、国際連帯と階級的団結を破壊するための帝国主義強盗どもの予防反革命にほかならない。
 70年代中期を転換点とし91年のソ連崩壊を経て、戦後世界体制の解体的危機が新植民地主義支配体制、特に中東支配体制の危機として進行していった。そのなかで繰り広げられてきた米帝の世界支配・石油独占支配のための帝国主義的侵略戦争は、新植民地主義体制諸国人民への残酷きわまる抑圧・圧殺と搾取・収奪の過程だった。これに対しパレスチナ・中東・ムスリム人民を先頭に被抑圧民族人民の民族解放闘争が不屈に闘われ、帝国主義支配体制の崩壊を激しく促進している。この情勢のもとで90年代に国際的組織犯罪条約は打ち出され、今日、発動されはじめている。
 日帝は、条約第5条が締約国に、参加罪か共謀罪のいずれかについての国内での立法・措置を求めていることを思わぬ好機として、これまで虎視眈々(こしたんたん)と狙っていた、事前弾圧を核心とする共謀罪の全面的導入へと舵(かじ)を切った。条約第34条2では、共謀罪の国内法化にあたっては、「第3条1に定める国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める」となっていて、条約の国際性・組織性要件が取り払われている。公開請求で出されてきたこの交渉経緯資料は、重要個所が墨塗りとなっていた。これについて、政府は「外交秘密」をふりかざして公表をかたくなに拒否している。ここに日帝の明白な意図が隠されている。
 94年の朝鮮危機を画期に有事法制化策動が一挙に前面化し、99年には周辺事態法と国旗・国歌法、そして組織的犯罪処罰法と盗聴法などの組対法3法の成立が強行されている。この過程は国際的組織犯罪条約の浮上・起草作業と重なる。
 今回のトランスフォーメーションと一体の攻撃であるが、中東、北朝鮮侵略戦争に対応する日米枢軸の治安法規の共有化がめざされた結果が、すでにアメリカで施行されている共謀罪の導入にほかならない。日帝が、全世界人民の抑圧と侵略のために踏み込んだ攻撃が国際的組織犯罪条約なのである。これが交渉経緯の墨ぬりの中に埋め込まれたものであるといってよい。
 共謀罪の国内法化を阻止すれば、同条約の日帝の批准を阻止できる。国際連帯の矜持(きょうじ)にかけて共謀罪新設粉砕=条約批准阻止をかちとろう。

 無限定の共謀で組織壊滅へ

 共謀罪は、組織的犯罪処罰法の一部改正(第6条の2を新設)という形で03年に初めて法案が国会に提出されたが、2回廃案になり、特別国会で再々度提出され、次期通常国会での継続審議となっている。
 具体的には、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」を罰するというものである。実行行為がなくても、「長期10年以上の懲役か禁錮にあたる犯罪の共謀」をした場合は5年以下、「長期4年以上10年以下の懲役か禁錮にあたる犯罪の共謀」をした場合は2年以下の懲役または禁錮を科すとしている。これに該当する罪は、619(法務省発表)もあるという。
 共謀罪の最大の問題は、「事件」が何も起きなくても、「意思の連絡、合意があった」「組織的に共謀した」と権力が決めつければ処罰できる点である。
 法務省は共謀共同正犯の共謀と今回の共謀罪の共謀の概念について、同一の内容と認めている。(ただし、前者は実行行為が前提とされているという決定的違いがある)
 明示的なものではなくても、目くばせや咳(せき)払い、黙示・黙認や順次の共謀でも共謀が成立するとしている。最高裁は12月1日に山口組の組員の拳銃所持事件裁判で、組長と配下の組員の間に「具体的な拳銃所持の指示をしていなくても、黙示的な意思疎通があった」と、1審無罪判決を破棄し懲役6年の実刑とした2審逆転有罪判決を追認し確定させた。この2審判決を意識した「いただけで、一定の地位等があって、いること自体がそれなりの合意を分担していると見られれば、共謀はなり得るのか」という野党議員の質問に対し、大林法務省刑事局長は「御指摘のとおりと思います」と答えている(10月25日衆院法務委員会)。
 このように共謀規定はエスカレートの一途をたどっている。権力がいったん狙いを定めた団体・組織に対しては、共謀をデッチあげ、個別的に、一斉に、あるいは芋づる式に、「ケース・バイ・ケース」で思いのままに検挙しようとしているのである。
 現行法には、刑法の内乱罪、特別刑法の爆発物取締罰則・破防法・自衛隊法・国家公務員法・地方公務員法など9つの法律に共謀罪があるといわれている。これに加え、労働運動弾圧に乱用されている逮捕・監禁、組織的強要、業務妨害、恐喝などを中心に619もの大量広範囲の罪に共謀罪を導入しようというのだ。事前弾圧、新旧共謀罪の発動が容易な法体系への移行がたくらまれている。

 標的は革命党と労働組合だ

 「共同の目的を有する多人数の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」――これが共謀罪の規定する団体である。非常にわかりにくい言い回しで、どのようにでも解釈可能な超一般的な団体規定となっている。新設される共謀罪には、「国体の変革や私有財産制度の否認」を取り締まるとする治安維持法や「公共の安全の確保」をめざすとする破防法のような目的規定もない。
 団体には、革命党・政党はもとより、労働組合、反戦団体、住民・市民団体、学生自治会、サークル、同好会、宗教団体、弁護士団体などがすべて含まれる。(政府は、10月25日法務委員会で政府・警察・検察庁・刑務所などは団体に当たらないと、国家権力機関の除外を宣言している)
 法務省は特別国会で、団体規定は「認定次第」、団体の共同目的は「個別具体的に、総合的に判断して決するしかない」と、権力の恣意(しい)的判断がすべてであることを自認した。
 日帝支配階級は、被支配階級である労働者人民総体を共謀罪適用の対象としつつ、「戦争・改憲、民営化」反対などをラジカルに闘う労働者民衆の団体・組織を、共謀罪適用の最大のターゲットとしている。
 共謀、団体、共同目的の定義の著しいあいまい性に依拠して、労働者民衆の思想・言論・結社そのものを犯罪と規定し、団体関係者の活動を事実上の非合法に追い込み、団体・組織を根こそぎつぶすことを狙った、治安維持法以上の恐るべき予防反革命、最凶悪の治安弾圧立法――それが共謀罪の正体なのだ。治安維持法の暗黒の歴史を絶対に繰り返させてはならない。

 デッチあげの日常化が必至

 新設共謀罪には、「実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」という重大な自首減免規定がある。国際的組織犯罪条約には義務づけられていないものを、国内法化に際してわざわざ付け加えたのである。共謀したとする事実を警察に通報すれば、その者には「共謀罪」を問わないという。国家権力が裏切りや転向強要を奨励し、果てはスパイ分子が運動や組織に潜入する水路となる。デッチあげによる一網打尽の組織・団体壊滅の弾圧が狙いなのだ。
 共謀罪成立は、警察の捜査手法の大転換を必ずもたらす。会話、通信を取り締まり対象とすることは、尾行・張り込みの徹底的強化とともに、盗聴法の適用範囲・室内盗聴の拡大、おとり捜査、司法取引、電子メールのリアルタイム盗聴などを不可避とする。
 新設共謀罪とサイバー弾圧法の一体的法案提出にも見られるように、手紙、電話のみならず、メール、インターネットの掲示板・ブログ、ホームページのアクセス履歴、キー情報など、あらゆる会話・通信手段が権力の監視・弾圧の対象にさらされる。さらに物的立証がきわめて困難な共謀罪の特徴からして、自白強要の激化は必至である。
 警察の高級官僚(元警視庁防犯部長)上がりで自民党法務部会長の平沢勝栄は、「今の段階では捜査機関が、計画段階では全く何もできないが、共謀罪が新設されれば、組織犯罪を事前に食いとめることができる」(10月14日衆院法務委員会)と言っている。警察に弾圧の新たな武器を与えるな! 社会のすべての毛穴を塞(ふさ)ぐ警察国家、監視・密告社会の到来、検閲制度・特高警察の復活を許してはならない。
 今、労働者人民に共謀罪を粉砕する重大な歴史的任務が突きつけられている。11・6労働者総決起集会で切り開かれた革命的地平の継承・前進の中に、その勝利の道がある。4大産別決戦・改憲阻止決戦と共謀罪阻止決戦を固く結合させ、共謀罪を永久に葬り去る闘いに総力決起することを心から訴える。
 〔宇多叡一〕

 ――関連年表――
90年 革共同への破防法攻撃破産
91年 1・17イラク・中東侵略戦争。ソ連崩壊
97年 1月オウム真理教への破防法適用棄却、9月新ガイドライン協定締結
99年 5月周辺事態法成立、8月国旗・国歌法、組対法
   3法が成立、12月団体規制法制定(オウムに適用)
00年 11月国際的(越境)組織犯罪条約が国連で採択、12
月日本が署名(03年国会で承認)
01年 6月司法審最終意見書提出、9・11反米ゲリラ戦、
   10月アフガニスタン侵略戦争、米「愛国者法」成立
02年 テロ資金供与防止条約批准
03年 3月イラク侵略戦争開始、共謀罪国会に初提出(10
   月廃案)、6月武力攻撃事態法など有事3法成立、
   8月日米刑事捜査共助条約締結
04年 2月共謀罪の再提出、4月サイバー犯罪条約批准、
   5月裁判員法など司法改悪法成立、6月有事7法成
   立、12月「テロの未然防止に関する行動計画」発表
05年 8月衆議院解散・共謀罪廃案、10月共謀罪の国会
   再々提出、11月特別国会閉会、共謀罪が継続審議

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