ZENSHIN 2005/10/11(No2217 p08)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2217号1面1)(2005/10/11)

 革共同の10月アピール 11・6小泉打倒1万人集会へ

 官公労労働運動つぶしを叫ぶ 小泉自民・前原民主に総反撃を

 国際連帯でイラク撤兵かちとれ

 第1章 ファシスト的戦争国家構築の攻撃うち砕こう

 21世紀初頭の歴史は激しい変転の時を迎え、日本と世界の労働者階級・被抑圧民族は帝国主義の破壊的な攻撃の嵐にさらされている。侵略戦争、軍事占領、民間人虐殺、劣化ウラン弾被曝(ひばく)、飢餓、労働組合へのあらゆる破壊攻撃、首切り・賃下げ、職場での無差別処分の激化、不安定雇用化、そして帝国主義的ナショナリズムの鼓吹と極限的な差別がエスカレートしている。今、何よりも求められているのは、全世界の労働運動の国際的連帯とそのもとでの日本における労働者階級の本来的な階級的労働組合運動の再建・登場である。改憲勢力と化した連合本部を打倒し、労働戦線の現状を抜本的に変革することだ。
 帝国主義足下の職場反乱、ストライキを爆発させよう。イラク・ムスリム人民の生死をかけた民族解放戦争に熱く連帯し、大衆的なイラク撤退運動を巻き起こそう。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3組合が呼びかける11・6全国労働者総決起集会こそ、労働運動再生の突撃路だ。11・6集会に1万人総結集をなんとしても実現しよう。10・9三里塚闘争を小泉打倒の戦闘宣言の場としよう。「つくる会」教科書採択撤回の闘いをやりぬこう。
 この11・6集会1万人結集のために何が必要か。
 第一に、日帝・小泉政権打倒へ労働者人民の心からの怒りと団結した力を総結集することだ。
 9月26日の小泉の所信表明演説は、帝国主義戦争ができるファシスト的国家への国家改造の路線を打ち出したものであり、絶対に許すことができない。
 そこで、小泉は言いたい放題の郵政労働者攻撃をやっている。「郵政労働者が改革を阻む既得権益の壁となっている」と、郵政労働者を攻撃している。総選挙でも小泉は「数十万人の公務員(=郵政労働者)のために1億2千万人の利益が損なわれていいのか」と、郵政労働者攻撃を扇動した。改革=民営化は正義であり、それに反対する郵政労働者は国家・国民の敵だという論法を押し出しているのである。
 だが、「既得権益」とは何か。まるでブルジョア政治家や官僚の利権や腐敗を指すかのような雰囲気をかもし出しているが、実は全逓労働運動の存在とそれがかちとってきた諸権利、職場支配権の地平を指しているのである。
 すでにこの間、全逓本部が合理化攻撃を次々と受け入れる中で、人事交流、10時間勤務の深夜勤、極限的な労働強化が郵政労働者を襲っている。04年度からは勤務評定と成績給の新人事制度が強行され、郵便外務(集配)に10時間勤務が試行導入され、この2月には2年間で1万人の減員合理化、郵便内務のアウトソーシング化などのアクションプラン2が発表された。今や郵政職場は、強制配転と早期退職強要などのリストラや短期職員・パート・アルバイトへの置き換えによって、正規雇用27万人以外に13万人の非正規雇用を含んだ強労働・低賃金・使い捨て労働の場となりつつある。郵政労働者は抗議自殺に訴えて、この非人間的現実を激しく告発しているではないか。
 日帝・小泉=奥田は、40万郵政労働者を殺人的な労働地獄にたたき込んで苦しめてきたその上にさらに、「非公務員化」による全員解雇・再雇用の一大首切り・リストラをしかけようというのだ。小泉=奥田は、全逓本部の転向・屈服につけ込んで、この際一挙に全逓労働運動を解体してしまえとばかりに襲いかかってきている。それが郵政民営化だ。
 また、小泉は「簡素で効率的な政府」の名で「政府規模の大胆な縮減」を押し出し、国家公務員の定員の純減と総人件費削減を明言した。警察と自衛隊は一律削減の対象とせず(麻生総務相が言明)、他の国家公務員全部を今後5年間で5%以上純減し、その賃金を10年以内に半減する(経済財政諮問会議・奥田ら)というのである。郵政に続いて自治体職員と教員を狙い、首切りと賃下げと活動家パージの攻勢をかけつつ自治労や日教組の解体をやるということである。
 さらに、財政構造改革と年金・医療など社会保障改革を進めるとしたが、それは財政危機を口実に福祉切り捨て、「障害者」抹殺、消費税増税を強行するものだ。
 同時に、小泉は、「わが国の安全と安定には世界の安定が不可欠」「テロとの戦いは終わっていない」とし、イラク侵略戦争とその世界戦争化過程に積極的に参戦していくことを公言した。アフガニスタン・インド洋への海自の派兵の延長を決め、また、首都防衛の任にあるため派兵しない方針できた陸自東部方面隊を一転して来年1月と5月にイラク派兵することを決め、すでに派兵準備を指示している。米軍が敗勢を深め、イギリスやオーストラリアが来春には撤退に入るという中で、イラク戦争の泥沼に果てしなくのめりこもうとしている日帝・自衛隊の突出ぶりは、異常なぐらい激しい。
 米軍再編について、日米帝の死活をかけた戦略的課題でありながら、小泉が所信表明で一言もふれられなかったことは重要だ。米日帝ともに沖縄労働者人民の必死で強固な普天間即時返還・辺野古新基地建設阻止闘争の前に右往左往している現実を自己暴露したからだ。米軍の普天間基地開き直りやどんな県内移設策動をも絶対に許さず、沖縄の闘いに熱烈に連帯し、基地撤去の闘いを強め、米軍再編をがたがたにしよう。米日帝は中国・北朝鮮侵略戦争のために、沖縄基地強化と座間、横田の指揮体制強化、自衛隊3軍統合体制と三里塚空港などの軍事使用を柱とする実戦的な日米共同作戦体制づくりを強行するしかない。
 だからこそ現代の治安維持法である共謀罪新設を再度押し出してきている。今や日帝の新たな15年戦争が音を立てて進んでいるのだ。
 重要なことは、小泉は構造改革の目標を改憲に置き、すべてを改憲のための一つながりの攻撃としてかけてきていることだ。奥田らは明確に言っている。「20世紀の日本がタブー視してきた三つの問題――憲法改正、天皇制、国連安保理常任理事国入り――に今こそ決着をつけるべき時が来ている、1世紀に1度あるかないかの改革の好機が訪れている」と(7月の日本経団連夏季セミナー)。
 改憲攻撃はすでに具体的・実体的に猛烈な勢いで始まっている。改憲のための国民投票法案を粉砕しよう。
 小泉は、イラク侵略戦争参戦の戦時下であるがゆえに行動的なファシスト的政治家として立ち現れ、小泉=奥田政権へと純化し、帝国主義戦争をやれるファシスト国家を構築すること、そのために民営化という手段を駆使して労働運動と労働組合を全面的に解体・一掃する階級戦争をかけてきた。このことに労働者階級人民の階級的な怒りを大爆発させよう。小泉=奥田が死ぬか、労働者階級が絞め殺されるかの土壇場の階級的相互絶滅戦となったのである。05〜07年決戦の重大性を明らかにした前進社刊『改憲攻撃と労働者階級』をぜひとも読むことを訴えます。小泉政権を実力で打倒せよ! 11・6日比谷野音に総結集しよう。

 第2章 全逓労働者を先頭に郵政民営化絶対阻止へ

 第二に、郵政民営化阻止の闘いを、全逓労働者を先頭に全産別の労働者、全人民の共同の闘いと位置づけ、死力を尽くして闘おうということだ。
 郵政民営化はひとり郵政労働者の問題にとどまるものではない。郵政労働者の非公務員化、いったん全員解雇・選別再雇用、全逓労働運動つぶしという非常にはっきりした実体をもつ攻撃であるとともに、小泉反革命の総体を象徴する攻撃でもある。この攻撃と並行して大阪市労連へのバッシングが日々強められている。今や国家・地方公務員全体の人員削減と総人件費削減、すなわち首切り・リストラと賃下げと労働条件切り下げが襲いかかり、とりわけ自治労と日教組への組合破壊攻撃がエスカレートしている。
 郵政民営化法案の実質は、非公務員化=いったん全員首切りという一点にある。07年にスタートする新会社には定員数が規定されていない。民営化前にどんどん人員削減するプランが策定・実行されており、「3分の1が削減される」(JPU中央本部委員長・菰田)と言われている。賃金・労働時間など労働条件はいったん全部破棄され、より切り下げられた労働協約を強制される。労働者は自分がアウトソーシングされるのかどうなるのか、たった6日前に一方的に通告されるだけだ。郵政労働者には何の権利もない、資本の奴隷だ、組合運動で抵抗するなら排除するぞというのだ。
 こんな攻撃が郵政でやられるなら、日本社会全体がそれこそ工場法以前の女工哀史的な時代に引き戻される。郵政民営化絶対阻止は6千万労働者の共同の闘いである。今こそ労働者階級の怒りの実力闘争を突きつけよう。
 では、郵政民営化阻止闘争は法案成立が確実となっている時、もう手遅れなのだろうか。けっしてそんなことはない。全逓本部はすでに戦線逃亡を決め込んだが、他方では、郵政民営化が首切りと全逓労働運動つぶしであることはようやく全労働者階級の認識となってきている。郵政労働者の怒りは職場に充満している。全逓本部が郵政民営化に屈服している以上、闘う全逓労働者こそが組合権力を奪還し、一転して断固たる民営化阻止の闘いを爆発させる時ではないだろうか。
 戦後の日本労働運動を見るとはっきりするように、全逓労働運動が国鉄労働運動と肩を並べて立ち上がることで、初めて日教組も自治労も全労働戦線もその力を発揮する。「眠れる巨象が一刻も早く立ち上がる」(中野洋動労千葉前委員長)ことが求められており、その決定的な時が来たのだ。全逓労働者は必ず総決起する。物ダメ・ストライキの闘いは、労働者こそ職場の主人公だという思想、全逓労働者のもつ誇りの発露である。この労働者階級自己解放の思想こそが勝利の原動力であり、ここに火をつけることだ。そうすれば07年民営化までの2年間、17年完全民営化までの移行期間を、全逓労働運動の荒々しい復権の死闘戦に塗り替えることが必ずできる。
 10・21郵政民営化阻止・小泉政権打倒の集会・デモを始めとして全国で立ち上がろう。07年を前に襲いかかってくるすべての合理化・人員削減・アウトソーシングを首を覚悟した物ダメ・ストライキで阻止しよう。11・6に総結集しよう。

 鉄建公団訴訟の反動判決を弾劾し闘おう

 第三に、9・15鉄建公団訴訟反動判決を国鉄労働者を先頭とする労働者階級の怒りで粉砕して闘おうということだ。
 この9・15判決は徹頭徹尾反労働者的な判決であり、肯定できるところは微塵(みじん)もない。それは「90年の清算事業団からの解雇は合理的であり、有効である」と断定し、解雇撤回を払いのけたのである。しかも、処分を受けた闘う労働者を「JR各社にふさわしい者」ではないという勝手な基準で切り捨て、採用候補者名簿に登載しなくても不当労働行為ではなく解雇は合法的だと断定しているのだ。不当労働行為を認定したと言われるが、判決をよく読むとJR設立委員会がつくった採用基準そのものは組合差別ではないと言っており、闘う労働者の排除、すなわち国鉄労働運動の絶滅を意図した国鉄分割・民営化の反動的核心を全面的に是認しているのだ。
 それと表裏一体のもう一つの核心が、「期待権を侵害した」ので1人500万円の慰謝料を払うという点だ。しかも原告団中、5人をその対象から除外した。それは、闘う者を分断し、あくまでも解雇撤回を求める19年にわたる闘いを金と引き替えに全面放棄せよという闘争解体攻撃以外の何ものでもない。「金銭解決」の名による「解雇の自由」を積極的に容認し、労働契約法による労働法制の全面解体を先取りするものだ。
 敵階級による1047名闘争破壊攻撃というこの本質を見失ってはならない。1047名闘争は、このような解雇自由の攻撃、その元となっている国鉄分割・民営化攻撃に対して労働者階級の怒りをたたきつけ、労働者の誇りを貫いている闘いである。1047名闘争への全面的挑戦である9・15反動判決を認めることは、闘いの死ではないのか。
 9・15反動判決は、郵政民営化攻撃の貫徹にあたって、日帝支配階級があらためて国鉄分割・民営化は合法であり、民営化の前に労働者階級はひざを屈して従えと宣言した攻撃である。すなわち、9・15判決はその向こうに9人の被処分者を抱えて固い団結を誇る動労千葉を階級的憎悪をもってにらんでいるのだ。
 動労千葉のように闘うと絞め殺すぞ、動労千葉と縁を切れ、そうすれば金を出すというのだ。これに対して、労働者階級は動労千葉のように闘うとはっきりと突き返そうではないか。
 今日の日本労働運動は動労千葉の闘いを中心にし原動力にして動いている。動労千葉の安全運転行動が大きな支持と共感を受けている。その力がJR会社を動揺させ、22`にわたるレール交換の画期的な勝利をかちとった。
 この勝利はなぜかちとられたのか。安全問題は利潤追求第一主義の民営化のアキレス腱(けん)である。その核心問題を突いて闘い、安全問題という全労働者人民の利害をかけて闘っているからだ。だがそれだけではない。安全運転行動は、資本による労働者支配・社会支配に革命的に介入する闘いの質をもっている。いみじくもJRは「労働者の本分をわきまえ、会社の命に服せ」「運行管理権の侵害だ」と恐怖に満ちた対応をしてきた。それは、労働者が資本の奴隷ではなく、団結して決起すれば資本の支配を食い破れることを示しているのだ。
 安全運転行動は、反合・運転保安という、動労千葉労働運動が確立した路線の実践である。それは、〈労働者階級による資本への専制的侵害〉の本質をもつ、階級的労働運動の実践なのである。このことが労働者人民を勇気づけ、労働組合の革命論的意義と労働者自己解放の闘いの神髄を鮮烈に提示するものとなっている。動労千葉が帝国主義と対決する労働運動を掲げ、マルクス主義の思想に生きる労働者的原点を貫いているからこそ、不屈に闘い抜けているのである。
 国鉄、全逓、自治体、教労の4大産別の労働者の皆さん。6000万労働者階級の皆さん。資本主義の墓掘り人である労働者階級が本来の革命性を体現して登場しよう。

 第3章 日米韓の国際連帯こそ労働者人民の勝利の道

 第四に、日米韓の労働者の国際連帯の旗のもとに総結集しようということだ。
 帝国主義の破綻(はたん)的危機ゆえに資本による弱肉強食の論理が激化している。国内でも国外でも労働者を競争に駆り立て、ばらばらに分断してきている。ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立は絶対的で非和解的だ。だが、ブルジョアジーの側はプロレタリアートへの攻撃の一点で階級結集するのに、プロレタリアートは帝国主義的労働運動の腐敗した幹部やスターリニストの反階級的指導のために団結できていない。
 労働者に国境はない。世界史的に、インターナショナルな単一の階級である。このことをはっきりさせるためには、帝国主義と対決し、腐敗した労働組合幹部をことごとく打倒しなければならない。前原民主党の親小泉化と一体の、連合・高木体制への移行の動きと改憲勢力化を絶対に粉砕しなければならない。「戦争は労働運動の日和見主義を社会排外主義に変える」(レーニン『社会主義と戦争』)ということがまさに今起こっている。
 米英日帝によるイラク侵略戦争とその世界戦争化の中で、外への侵略戦争と内への階級戦争に対して唯一闘えるのは労働者階級である。なぜなら、帝国主義戦争が国内の労働者階級に対する搾取と収奪、治安弾圧と差別主義の階級支配の延長であることを身をもってつかめるからだ。他民族に対する侵略、戦争、虐殺、略奪、占領を許し加担することを、労働者階級は自らの苦しみととらえ返すことができる階級であり、最も人間的な普遍的真実に生きる階級だからだ。
 だが、排外主義は帝国主義の階級支配の最後の、かつ最大の武器なのである。だからこそ、戦争と民営化―労組破壊の攻撃が吹き荒れる時代には、労働者の国際連帯がいつにも増して必須不可欠であり、死活的な意味をもつ。
 全米でイラク即時撤退要求、ハリケーン被災の責任追及の大運動が発展している。ノースウエスト航空労働者の果敢なストライキ決起を始めランク・アンド・ファイル(現場労働者)運動が新たにこじ開けられている。黒人労働者を先頭に多くの労働者が怒りを爆発させてブッシュ打倒に立ち上がっている。
 韓国の民主労総は非正規職化をめぐって政治ストライキ・職場決起を強烈に展開している。米日帝の北朝鮮侵略戦争の強まりに激しい危機感をもって米軍再編粉砕に立ち上がっている。
 日米韓労働者の国際連帯がプロレタリア世界革命の運動を明らかに新たな次元に押し上げている。この力が各国の階級的労働組合運動をさらに強めていく。インターナショナリズムこそ労働者の生きる道だ。11・6集会に総結集し、プロレタリア革命の道を切り開こう。
 最後に訴えたい。革共同の機関紙『前進』は戦争と民営化―労働組合破壊の大攻撃を打ち砕くための最高最良の武器だ。帝国主義が労働者人民を食わせていくことができなくなり、しかも帝国主義的侵略戦争によってしか延命できなくなっている。帝国主義に歴史的な引導を渡すときが来ている。そのための闘いの理論と指針を欲しない人はいない。それに答える唯一の労働者新聞が『前進』だ。『前進』をすべての労働者人民の共同綱領とし、共闘の武器として闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号1面2)(2005/10/11)

 改憲へ動き出した小泉 国民投票法案を粉砕しよう

 特別国会が開会されたその翌日の9月22日、小泉政権と自民党は、ついに改憲攻撃への具体的な着手を開始した。この日衆院本会議で、郵政民営化法案再審議のための特別委員会の設置を決定したすぐ後に、改憲に必要な国民投票の手続きを定める国民投票法の制定に向けて、その審議を行うための憲法調査特別委員会の設置が、自民・公明の与党と民主党などの賛成多数で決定されたのである。委員長には、衆院憲法調査会の会長であった自民党の中山太郎が就任した。
 この特別委員会設置は、改憲への直接の第一歩となる攻撃である。小泉と自民党はすでに、今秋11月に開かれる結党50周年の党大会までに自民党の新憲法草案を作成するとし、現在、その総仕上げにとりかかっている。郵政民営化を突破口とする労組破壊に全力を挙げるのと並行して、衆院の3分の2を占める巨大与党の力を背景に、今や改憲と戦争への本格的な攻撃に踏み込み、一気に突っ走ろうとしているのだ。
 9月25日、自民党の中川秀直国対委員長はNHKテレビに出演し、国民投票法案について「どんなに遅くても来年中に必ず整備していかないといけない」と語った。さらに、自民・公明・民主の3党間であらかじめ合意した上での法案提出を追求するが、民主党がぐずぐずしていてすぐに結論が出ない場合は、与党単独での提出も辞さないと言い切った。
 これは、国民投票法案の次期通常国会での成立を絶対目標とするという宣言である。その立場で前原・民主党との与野党協議を自民党主導で推し進め、民主党の改憲推進勢力への一層の変質と分裂・解体―吸引をもくろむものだ。
 この小泉自民党の動きに対応し、民主党新代表の前原は9月18日のテレビ番組で「9条を含めタブー視しない。改憲姿勢は微動だにしない」「国民投票法がないのは欠陥だ。与党と話していきたい」と表明した。
 このことは重大事態だ。
 現在、自民党が公明党の同意を得てすでに用意している国民投票法案は、とんでもない悪法である。そこでは国会が改憲を発議してから30日後〜90日以内に国民投票を実施するとし、その間に「投票行動に影響を与える」行為を取り締まるとして、実に恐るべきメディア規制と政治活動規制を導入している。公務員労働者や教員の政治活動を全面禁止し、在日朝鮮人には発言権も認めず反対運動へのカンパも禁止。「国民投票の自由妨害罪」などを設けて人民の集会・デモからビラまきに至る一切を国家権力が好き勝手に弾圧できるようにする。違反者には最高7年の懲役を始め、重刑による処罰が科せられる。
 また新聞・雑誌上での改憲に関する報道や論評の一切をも厳重な取り締まりの対象とし、「虚偽報道」や「不法利用」などの口実で弾圧、編集者を投獄することもできるとする。まさに言論・表現の自由そのものを奪い去り、全社会を戒厳令下に置くに等しい内容なのである。
 民主党はこれまで、この与党案を丸のみはできないとしてきたが、小泉の圧勝と前原体制への移行のもとで今や改憲へのハードルを一気に突破し、法案成立に突き進もうとする動きを強めている。国会の特別委員会設置はその出発点だ。徹底的に弾劾し、国民投票法案の国会提出阻止・成立絶対阻止へ、警鐘を乱打して立ち上がっていかなくてはならない。
 小泉の公務員労働者への攻撃も、9条改憲阻止の先頭に立ってきた公務員労働運動の圧殺が狙いだ。11・6集会への大結集で、この全攻撃を打ち破ろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号2面2)(2005/10/11)

 公務員大リストラと労働運動破壊の宣言 小泉所信表明演説を弾劾する

 郵政労働者を“悪者”にするな

 9月26日、小泉は国会で所信表明演説を行った。この演説は「歴代首相2番目の短さ」だが、その内容は、日本と世界の労働者階級、被抑圧民族人民への侵略戦争と階級戦争の宣言である。何よりも郵政民営化を突破口に、公務員労働者への大リストラと官公労労働運動の解体を宣言した。特別国会での郵政民営化法案可決を絶対阻止し、4大産別を先頭に11・6労働者集会の1万人結集へ全力で闘おう。

 大資本家の利益のための「構造改革」

 帝国主義間争闘戦の敗北的現実にあえぎ危機を深める日本帝国主義は、労働者階級人民に一切の犠牲を集中・転嫁して延命しようとしている。小泉が演説で強調した「行政、財政、経済、金融などあらゆる分野の構造改革」とは、金融独占ブルジョアジーが労働者人民を一層搾取し、収奪し、支配するための「構造改革」である。そこには労働者人民の利益など、まったくない。
 小泉は演説冒頭、9・11総選挙の大勝をふりかざして、「連立政権の安定した基盤に立って、引き続き構造改革を断行する」「改革を止めてはならない」と宣言した。
 そして、第一に郵政民営化について「あらゆる分野の構造改革につながる『改革の本丸』」と位置づけ、「今国会で成立を期す」とあらためて宣言した。
 小泉は、ヒトラー的なデマゴギーの手法で郵政労働者を攻撃し、彼らが国家財政を危機に陥れている元凶であるかのように攻撃している。そして、「今後も公務員が郵政事業を運営する必要があるか」と述べ、郵政民営化法案の早期成立を宣言したのである。
 小泉は、全逓労働者を始めとする公務員労働者が、スト権を奪われながらも戦後の長い闘いの中でかちとってきた労働条件、賃金や身分保障などを「既得権益」などと言って非難しているのだ。そして「既得権益の壁にひるまず、過去の慣例にとらわれず」などともっともらしく言っているが、実は奥田ら金融独占ブルジョアジーの利害の貫徹のために公務員労働者を攻撃しているのだ。
 本当に怒りを抑えることができない。郵政労働者は今日も、朝早くから夜遅くまでくたくたになるまで働いているではないか。連続4日間の深夜勤など、殺人的な労働強化が強まっている。過労で倒れる人や死亡する人、自殺者が続出している状況だ。この郵政労働者を「既得権益にしがみつく悪者」扱いすることなど、どうして許せるか。
 郵政民営化は郵政労働者の大量首切り、賃下げであり、一層の殺人的労働強化、不安定雇用化であり、そして闘う全逓労働者の選別的排除、全逓労働運動の解体である。多くの郵政労働者が職を奪われ、命を奪われ、家族をも破壊されようとしているのだ。それは文字どおり労働者階級にかけられた「階級戦争」というべき攻撃だ。
 第二に、小泉は「国家公務員の人件費の削減」を宣言するとともに、「構造改革を断行し、政府の規模を大胆に縮減する」と、ファシスト的な国家改造を宣言した。
 小泉が今、「民間にできることは民間に」の合言葉のもとにやろうとしていることは、公的部門を市場化して資本のもうけ口を飛躍的に拡大すると同時に、公務員労働者を大リストラし、その労働条件を破壊し、官公労労働運動を解体・一掃することである。公務員の労働条件(賃金や労働時間規制、身分保障など)を民間並みに解体することで、官民問わず6000万労働者階級のすべてに、一層の資本攻勢をかけ、労働者の血と汗を搾り取ろうとしているのだ。
 小泉が言う「民」とは、人民とか民衆の「民」ではなく、トヨタ・三菱など、一握りの金融独占ブルジョアジー、民間の独占的大企業のことだ。「民間にできることは民間に」とは、そうした独占企業が行っている首切り・リストラ、低賃金労働、長時間労働の中に現在の公務員労働者を追いやるということだ。
 マスコミや御用学者連中は、こうした「小泉改革」の凶暴さを押し隠し、まるで労働者人民の生活の向上につながるかのような幻想を振りまき、小泉のファシスト的国家改造を支えているのだ。本当に許し難い。

 社会保障の解体とイラク派兵居直る

 小泉所信表明演説は、第三に、社会保障制度は「適正な給付と負担で持続可能な制度とすることが政治の責任」と述べた。それが何を意味するかは現実を見れば明らかだ。
 介護保険法改悪でこの10月1日から、特養ホームなどの入居者負担が月2〜3万円も値上げされた。要するに、金持ちしか十分な介護も医療も受けられないという社会、「金のない貧乏人は早く死ね」という弱肉強食の社会にしようとしている。特別国会に提出される「障害者自立支援法案」は、障害者福祉を切り捨て、「障害者」の生きる権利そのものを奪い去る大攻撃である。
 第四に、「テロとの闘いは終わっていない」「国際社会と協力してテロの防止・根絶に取り組む」と宣言した。小泉が言う「テロ」とは、帝国主義と闘う被抑圧民族人民の闘いのことである。それに対してイラク侵略戦争のような大虐殺と破壊、資源略奪のための侵略戦争をやるという宣言である。
 小泉はアフガニスタン侵略戦争への自衛隊の派兵延長を公言した。またイラクへの自衛隊派兵について、「住民からの高い評価を受けています」などと大うそをついて開き直り、12月の派兵期限延長について「よく見極めた上で」などと述べた。だが、日帝・小泉は、すでに来年の東部方面隊のイラク派兵準備を進めている。自衛隊の即時撤兵へ闘おう。

 11月労働者集会で団結の威力示そう

 小泉の「構造改革」なるものは、日本経団連・奥田の1・18改憲提言「わが国の基本問題を考える」や4・19提言(国家公務員改革提言)をストレートに実行に移しているものであり、徹頭徹尾、日帝支配階級のための改革である。
 彼らは労働者人民の生活や生命がどうなろうが、まったく気にしない。本当に労働者人民は、自ら闘わなければ、権利を奪われ、生活を破壊され、地獄にたたき込まれてしまう。反動政治の先には、侵略戦争がある。こんな社会、こんな政治は絶対に打倒しよう。労働者階級が真の主人公となる社会を打ち立てよう。それは絶対にできる。
 小泉を打倒する力はどこにあるか。前原民主党は、9条改憲と公務員への首切りを競い合う「第2小泉自民党」だ。連合中央は、ますます労働者への裏切りを強めている。こうした勢力の制動を打ち破って、労働者の嵐のような怒りの決起を切り開こう。
 安全運転行動で大きな勝利を切り開いている動労千葉のように、労働者が団結して階級的原則を堅持して闘えば、激しい資本攻勢と労働運動解体攻撃のさなかでも勝利の血路を開くことは絶対にできる。団結した労働者の力を、小泉と奥田にたたきつけよう。小泉に怒るすべての労働者は11・6労働者集会に結集し、小泉政権を打倒しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号5面1)(2005/10/11)

 9・24 米英韓で反戦デモ “イラクから即時撤兵せよ”

 労組、帰還兵、遺族らが中心 開戦後最大の闘いに

 9月24日、アメリカとイギリス、韓国など各地で巨大な反戦デモが行われた。イラク侵略戦争によって膨大な数のイラク人民が虐殺され、侵略軍兵士の死者も増大していることに対して、人民の怒りがブッシュやブレア、そしてノムヒョンに激しくたたきつけられたのである。

 首都で30万デモ 米

 アメリカでは、反戦団体ANSWER(戦争を止め人種差別をなくすために今すぐ行動を)連合とUFPJ(平和と正義のための統一行動)の主催で、ワシントンで30万人、サンフランシスコで5万人、ロサンゼルスで1万5000人、シアトルで7000人(いずれも主催者発表)が反戦デモに参加した。
 特にワシントンでは、ホワイトハウス裏のエリプス公園を出発した巨大なデモ隊が、10年ぶりにホワイトハウスを包囲するという快挙を実現した。この日のデモには主催者の予想の3倍の人が参加し、ワシントンで行われたデモとしては、03年3月のイラク戦争開戦以来最大のものとなった。
 最大の特徴は、イラク侵略戦争で昨年戦死した兵士の母であるシンディー・シーハンさんのブッシュ弾劾、イラクからの即時撤兵要求の闘いに触発されて、戦死した兵士の家族や、帰還兵士たちが大挙して参加したことだ。車いすに乗った祖母・祖父から母親に抱かれた子どもまで、様々な戦没兵士の家族の隊列や、「平和のための退役軍人会」の400人の隊列がデモの先頭で行進し、もはや我慢の限界に達した怒りを噴出させた。
 またニューオーリンズのハリケーン被災者たちや、民衆の生命と生活を軽視するブッシュのハリケーン対策のあり方に激しい疑問と怒りを感じた多数の人びとも参加した。反戦運動にあらゆる階層の人びとが大量に参加し始め、ブッシュに燃え上がるような怒りをたたきつけたことは、イラク反戦運動がまさに全人民的な性格を持つものに発展していることを示している。
 デモ隊のプラカードには「イラクからの即時撤兵」「貧困のハリケーンと戦争を阻止しよう」「バグダッドは燃え、ニューオーリンズは沈み、ハリバートンはもうける」「ハンビー(米軍の戦闘車両)ではなく堤防を」などと書かれ、アメリカ人民の戦争反対の強い意思、民営化による貧富の拡大と災害の頻発への激しい怒りが表現された。
 他方、この集会・デモにはランク・アンド・ファイル運動を推進する労働者たちが多数参加したのに対し、民主党の有力議員やAFL―CIOの幹部たちはまったく参加しなかった。誰が最も民衆の要求にこたえて闘うの者なのかを如実に示すものである。
 西海岸では、ILWU(国際港湾倉庫労組)などの戦闘的組合が先頭に立ってこの日の反戦デモを牽引(けんいん)した。西海岸におけるILWUやホテル労働者のこの間の資本攻勢との闘いが巨大な成果を収めていることが、この日のサンフランシスコの反戦デモの爆発によって改めて確認された。ロサンゼルスでは、多くの市職員労組、医療労働者、教育労働者、帰還兵士などが参加した。

 爆撃・戦争やめろ 英

 ロンドンでは「戦争阻止連合」と「核軍縮運動」、「英国ムスリム協会」の共催で、全国から10万人が結集して国会議事堂からハイドパークまでデモが行われた。このデモには、イラクからのイギリス軍の即時撤兵を求める人びと、国内での排外主義的で民主的自由を奪う政府の反テロ作戦に反対する人びとなど、かつてなく多様な階層、年齢、人種に属する人びとが参加した。またデモにはアメリカと同様、イラクで戦死した兵士の家族や、兵役拒否者、帰還兵が数多く参加し、「戦争に反対する軍人家族会」がその先頭に立った。この日のデモで、即時撤兵がもはや全人民的要求になっていることが鮮明になった。
 デモの四つの主要スローガンは、「爆撃をやめろ、戦争をやめろ」「ムスリムのコミュニティーを防衛しよう」「市民の自由を守ろう」「軍の撤兵を」というものであった。
 デモが行われた週には、イギリス軍がイラク南部のバスラで警察署を襲撃し、拘留中の特殊任務を行っていた英特殊部隊員2人を強引に奪い返した事件が発生したばかりである。イラク南部への武装解放闘争の拡大と、英軍の侵略戦争拡大政策が激突し始める中で、イラクからの即時撤兵を求める声が爆発的に高まり、このデモが大高揚したことは決定的な意義を持っている。

 派兵延長するな 韓

 「すぐに、完全に、派兵部隊は撤収せよ!」――9月24日、米英に次いで3000人を超す部隊を派兵している韓国・ソウルでは、米英との同時行動として「イラク占領終息のための3大派兵国共同行動」が取り組まれた。
 派兵反対国民行動が主催したソウル駅前広場での集会には、思い思いのプラカードやコスチュームなどでイラク反戦を訴える労働者、学生、市民ら約1000人が集まり、「韓国軍の派兵延長反対!」「11月APEC阻止! ブッシュ訪韓を阻止しよう!」などと訴えてデモ行進を行った。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号6面1)(2005/10/11)

 第65回定期大会 全学連、新世代の執行部を選出

 小泉打倒の1年間決戦宣言 有朋寮闘争勝利の地平踏まえ

 全学連執行部

委員長 織田陽介(東北大・理)
副委員長 内海祐一(法政大・U文)
同 原田幸一郎(京都大・法)
同 中島敦史(広島大・総合科学)
書記長 新宅公志(京都大・経済)

 全学連第65回定期全国大会が9月23〜25日、東京都内で行われた。全学連は小泉打倒の1年間決戦を宣言し、小泉政権と真っ向から対決し打倒する新執行部を選出した。新執行部は2日目の議事から、白熱した討論を牽引(けんいん)し、小泉への怒りを燃え立たせるアジテーションを行った。東北大・有朋寮闘争の勝利の地平が決定的な役割を果たした。全学連は大会終了後、直ちに11・6労働者総決起集会への学生1千人決起を実現するために全国のキャンパスに向かった。

 「仮処分停止」の決定 実力で寮を守った

 全学連大会は、05〜07年の歴史的大決戦を、階級的労働運動と連帯して大爆発へと導く新たな全学連運動の出発点をかちとった。
 大会は、まず第一に、9・21強制執行停止決定という有朋寮決戦の第1ラウンドにおける完全勝利の地平の上にかちとられた。有朋寮決戦の勝利の教訓を徹底的に踏まえて全学連の決戦方針が形成された。
 大会冒頭、ものすごい拍手の中、有朋寮生の7人が登壇した。有朋寮委員長の織田陽介君が代表し、有朋寮闘争の勝利を報告した。
 織田君は「9月21日、仙台地裁は『仮執行停止決定』を出した。これは有朋寮闘争の第1ラウンドでの胸のすくような勝利だ」と高らかに宣言した。
 そして、「9月1日の寮生たたき出しの不当判決が出された。僕らは『こんな判決に従えるか』『正義は行動によって実現される』と、ただちに実力居住の闘いに入った。この決意の前に大学当局はたじろぎ、9月21日には反動判決を下した裁判長自身が『仮執行停止』の決定を出した」と胸を張った。
 織田君は今回の勝利がなぜかちとれたのかを提起した。「第一に、何よりも流血・逮捕を辞さない寮生の決意がかちとった勝利だ。第二に、小泉の民営化攻撃=大学改革攻撃を徹底的に批判し、小泉に怒りを燃やす労働者民衆と結合してかちとった勝利だ。僕たちは街頭に出て、小泉改革は絶対に許せないと訴えた。多くの人びとが僕らの訴えに感動し、こたえてくれた。第三に、暴力的廃寮と無期停学処分によって大学改革を進めようとする東北大・吉本執行部を徹底的に追いつめたことでかちとった勝利だ」
 最後に、織田君は「控訴審闘争に勝利し、東北大・吉本執行部を打倒して、廃寮決定・無期停学処分の撤回をかちとっていきたい」と締めくくった。

 決戦に挑むリーダー織田委員長で勝負

 大会は第二に、05年〜07年決戦を切り開く全学連の新執行部を選出した。ここに全国300万学生の総決起をかちとっていく新世代のリーダーが登場したのだ。
 大会2日目の議事の冒頭、全学連新中央執行委員会選挙が行われ、小泉を打倒する闘う新執行部が選出された(新役員は別掲)。新執行部を代表し、織田委員長、新宅公志書記長(京都大)、中島敦史副委員長(広島大)が新任のあいさつを行った。
 織田新委員長は「小泉への怒りから委員長に立候補した」と思いを語った(要旨別掲)。
 新宅新書記長は「権力・右翼をぶった切って、労働者が決起する情勢を開きたい。8・15靖国闘争での6人の決起に、靖国に抗議に来ていたアジア人民が日本にも本物の左翼がいると涙した。史上最強の全学連をつくる。この革命情勢に人生かけて闘う」と決意を明らかにした。
 さらに中島副委員長が「小泉政権を打倒するための新執行部ができた。小泉に対し、腹の底からの怒りをもって闘う。社会の底辺を支える民衆が社会の表舞台に立てるよう頑張る」と決意を述べた。
 大山尚行委員長が退任のあいさつを行った。「われわれは、日本帝国主義の打倒に向かって、国家権力と真っ向から闘い、“闘う全学連”の旗を守り抜いてきた。日共・民青やカクマルが『全学連』などと名乗っていることをもはや許しておくことはできない。織田新体制のもと全国学生運動の革命的統一へばく進しよう」

 11・6労働者集会へ学生1千人決起を

 大会は第三に、3日間の白熱した討論を踏まえて、全学連はこの1年間決戦で小泉の戦争と民営化=労組破壊の攻撃に階級的怒りをたたきつけ、その国家主義を打ち砕き、小泉を打倒する闘いに猛然と決起することを宣言した。
 大会一日目。大山全学連委員長が大会議案を提起した。冒頭、「小泉政権打倒の1年間決戦への突入」を宣言し、小泉「圧勝」情勢と11・6労働者集会への全国学生1千人決起の核心を以下のように提起した。
 「9・11総選挙での小泉・自民党の圧勝、すでに開始されている大反動攻撃のラッシュに激しい危機感と怒りを爆発させることが一切の核心だ。小泉は、この1年間で、郵政民営化の強行を突破口に、自衛隊のイラク派兵の継続、改憲国民投票法案、公務員労働者の大量首切りなど、戦争と民営化・労働組合破壊の大攻撃を一気に激化させてきている。そして労働者階級の階級性を解体し団結を破壊する大攻撃として、『つくる会』教科書や靖国参拝による国家主義・ナショナリズムの扇動が吹き荒れている。だが重要なことは、9・11総選挙によって、大衆が一気に政治化し、活性化していることだ。そもそも小泉がファシスト的な攻撃に出てきているのは、日帝ブルジョアジーが解決不可能の体制的危機に追いつめられているからだ。小泉は労働者階級の激しい怒りと現状打破の要求に追いつめられているのだ」
 「他方では、動労千葉の安全運転行動、『日の丸・君が代』強制拒否の教育労働者の決起、杉並から始まった『つくる会』教科書採択阻止の大衆運動、8月自治労大会での自治体労働者の決起など、小泉打倒の闘う結集軸がかちとられてきている。何より有朋寮決戦の勝利が、小泉の大反動と一歩も引かずに対決し、ストレートに怒りをたたきつけて闘うならば、必ず大衆はわれわれとともに小泉打倒に決起することを鮮烈に示した。このような闘いをこの秋、全国大学キャンパスで実現し、11・6労働者集会への全国学生1千人決起をかちとろう。核心は、キャンパスの学生全員の主体的決起であり、それを引き出す小泉に対する怒りのアジテーションであり、労働者階級の現実の具体的階級的暴露を徹底的にキャンパスに持ち込んでいくことである。ここにいる全員がビラをつくり、キャンパスで、サークルで、寮で、小泉打倒を真っ向から訴えて、11・6への総決起をつくりだそう」
 1日目は、この後、各大学からの大学報告が行われた。

 全キャンパス動かす怒りの扇動やろう

 2日目からの討論は新執行部のもとで行われた。
 まず原田幸一郎副委員長が前夜のブロック討論のまとめと今後の討論の方向性を提起した。
 原田副委員長は、「ブロック討論で、@小泉の攻撃にわれわれ自身が激しい怒りと危機感をもって闘うこと、A小泉の攻撃の背景には帝国主義の根底的危機があること、Bわれわれが小泉打倒へのみなぎる確信をもって闘えば勝利できることが有朋寮闘争の教訓として明らかにされた」とした。またイラク侵略戦争の泥沼から世界戦争に突き進まざるをえない帝国主義の危機の深さを具体的に暴き、「労働者は生きるために必ず小泉打倒に決起する。その結集軸となるのが11・6だ。これからの討論を小泉打倒の決起集会としてかちとっていこう」と呼びかけた。
 首都圏の学生が、今秋イラク反戦闘争の重要性を提起した。「第3次小泉政権は11月インド洋派兵継続と12月イラク派兵延長を強行しようとしている。今回のイラク派兵はこれまでとはまったく質の違う、日帝によるイラク人民虐殺への踏み込みとなる。11・6労働者集会でイラク反戦・自衛隊撤退闘争の新段階を切り開こう」
 富山大学の学生は、「米軍再編は、日米帝国主義が日米枢軸をもって世界戦争へと踏み切っていく攻撃だ。それは沖縄基地の再編・強化=沖縄に対する日帝の差別支配によって成り立つ。戦争によってしか延命できない国家は打倒すべきだ」と訴えた。
 井上亮前副委員長は八木秀次の「国民の思想」を批判し尽くした。八木の「縦軸の哲学」なるものが、戦後的な価値観、平和と民主主義の弱点を突いて国家主義・帝国主義ナショナリズムを押し出すものになっていることを指摘し、帝国主義を打倒する労働者階級の立場で批判し尽くすことが重要だと述べた。また「イデオロギーのレベルで批判するだけではなく、国際連帯と労働者の団結で日本帝国主義を打倒する労働者階級の新潮流を登場させることで実践的に粉砕しなければならない」と喝破した。
 午後は、「大学闘争」と「社会科学」の二つのテーマで分科会が行われた。
 大学闘争分科会では、有朋寮闘争の教訓が提起された。「全国の大学で襲いかかっている大学改革攻撃に対し、これが小泉構造改革との対決であると不退転の決意を固めて闘えば勝てる」。参加者は、大学改革攻撃を粉砕する中で、11・6への学生の1千人決起をつくり出すことは可能だという確信をつかんだ。
 社会科学の分科会では、マルクス主義の学習は11・6への学生1千人結集を実現する実践的取り組みとして行われなくてはならないことがまず確認された。今日の社会が階級社会であること、資本主義的生産関係の土台を変革しない「改革」などインチキであることが討論の中で明らかになった。マルクス自身の闘いがそうであったように、労働者階級の決起を確信し、労働者階級の闘いをともに進めていくことがマルクス主義の核心であることが鮮明になった。

 白熱した討論で階級的批判磨く

 大会3日目、新宅書記長が、「小泉改革の階級的性格をはっきりさせて、学生の主体的決起をかちとれるアジテーションへと練り上げよう」と大会最終日の討論の方向性を提起し、活発な討論が行われた。
 内海佑一副委員長(法政大)が「法政大は11・6に100人の隊列で結集する決意だ。小泉打倒を訴えたわれわれのビラは、どんどん学生に読まれ、いたるところで政治討論が始まっている。サークル棟建設をめぐる2度の当局追及行動に200人の学生が決起している。法政大決戦に勝ち抜くためにも、闘う労働運動との連帯と11・6への総決起が必要だ」と、11・6への熱烈な決意を語った。
 東北大学の学生は「帝国主義の命脈が尽き、ブルジョアジーがプロレタリア革命におびえ続けた20世紀」を総括しながら、「小泉の必死さは、このままではプロレタリアートに打倒されるという恐怖から来ている。小泉改革に対して革命を対置することだ」と明快に論断した。
 九州大の学生は、「03年3月のイラク侵略戦争開戦時をはるかにこえる反戦闘争の爆発へ猛然と決起することが必要だ。自衛隊の即時撤退、イラク派兵延長阻止は小泉打倒の決定的な環だ。九大は10月熊本からの第8次派兵阻止を先頭で闘い、11・6東京へ大挙攻め上りたい」と訴えた。
 中島副委員長(広島大)は、小泉の靖国参拝との闘いを訴えた。「靖国の思想はそれだけでは人民を獲得できない。暴力で貫徹してくることに核心がある。僕は8・15靖国神社で、右翼と激突し頭から血を流しながら弾劾のシュプレヒコールをやめなかった。11・6で俺たちには革命ができるんだという確信で、愛国主義・国家主義思想を打ち砕こう」と力説した。
 関西の女子学生は「実際にキャンパスでアジテーションをやっていて、私たちの訴えに振り返る学生が増えている。小泉『支持』と思っている学生も振り向くような怒りのアジで、11・6への1千人結集をかちとりたい」と訴えた。
 さらに高校生が発言に立ち「高校生も負けてはいられない。11・6には3けたの高校生動員をめざす」と熱烈に決意を語った。
 最後に、織田委員長が討論のまとめを行い、プロレタリア革命への情熱を込めてインターナショナルを斉唱した。
 革命的共産主義者同盟の木崎冴子同志が大会初日、歴史的な全学連大会にふさわしい特別アピールを行った(要旨別掲)。また多くの来賓からのあいさつ、メッセージが寄せられ、全学連への熱い期待が語られた。東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さん、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、部落解放同盟全国連合会狭山支部、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、動労千葉の後藤執行委員が来場し、アピールを行った。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号6面2)(2005/10/11)

 革命めざす学生運動を 織田陽介新委員長あいさつ

 僕が委員長に立候補した理由は、小泉を絶対に許せないという怒りからです。民営化が労働者階級に引き起こしている現実を、僕は絶対に認めることはできません。もうひとつの理由は、この社会を変えたいという思いからです。労働者階級が世の中を変革する主体として登場しています。学生が労働者とともに革命をやらなくてはならないと思います。
 第一に確認したいことは、われわれが労働者民衆の大流動、大激動の中に今生きているんだということをはっきりつかもうということです。有朋寮の勝利はこの流動情勢の中で小泉打倒を真っ正面から訴えることでかちとられたのです。この流動情勢が全国のキャンパスに、街頭に、あらゆるところにあるんだということ、そして何よりも11・6労働者集会がその結集軸として呼びかけられていることに圧倒的な展望があるということです。
 第二に、小泉に対する怒りを腹の底からぶちまけたアジテーションをキャンパスでやろうじゃないかということです。時代観をはっきりさせたアジテーションで小泉と真っ向勝負していこう。
 第三に、小泉改革の「中心軸」にある国家主義について、具体的な一つひとつの暴露を階級的に行おうということ。そして11・6を国際主義に満ち満ちた魅力あふれる集会として提起して国家主義をぶち破っていこうということです。
 もう一つ重要だと思ったのは、学生を集会に連れて行くというのではないんだ、みんなで行こうという学生の主体性が重要だという議論です。置きビラではなく、一人ひとりに手渡ししようとか、クラスでのアジテーションを本気でやっていこうとか。われわれが本当に革命をやろうとしているのか、学生は見ているということですよね。
 われわれは300万学生を総決起させる第一歩として1千人の学生の11・6への決起を何としてもつくり出そうじゃないか。新執行部はその責任を引き受けます。何よりも私が最先頭で闘っていきます。
 私から11・6に向けたアピールを行っていきたいと思います。みなさん、僕が訴えたいことは、今学生が革命に立ち上がろうということです。
 今回の9月11日の総選挙で小泉圧勝というとんでもないことが起こっています。衆議院の3分の2の与党でどんな法案も全部通っちゃうという状況がつくり出されました。小泉はこの1年で、郵政民営化を突破口として、大型増税から、最後は憲法9条の改悪、戦争までやろうとしている。こんなことを黙って見ていられるのか。
 民営化が何をもたらすかをはっきりと示したのは、JRの尼崎事故です。資本家が金もうけしていくためには、労働者が奴隷のように働かされて、死んでもいいとやつらは思っているのです。何よりブッシュと小泉が戦争を始めています。戦争でどれだけ労働者を殺そうがかまわないと思っているわけです。こんな社会は腐りきっている。資本主義はもう破産しています。
 1917年にロシアでプロレタリア革命が起きました。今階級社会の中で、最底辺で必死で働いている労働者が革命を起こして権力をとって社会を運営していったんです。こんな社会は僕たちの力でひっくり返していかなくてはいけないし、それはできるんだということを訴えたい。
 11月6日、動労千葉を中心として労働者階級の国際連帯をかけた集会を1万人の結集で実現しようと呼びかけられています。アメリカからも、韓国からも闘う労働者がやってくる。これが戦争をとめる道だし、革命の道だ。今この時代に生きているわれわれ学生が、この集会に行かなくてどうするんだということじゃないでしょうか。今こそ革命をやって小泉をぶっ倒して人間らしく生きていくんだということを宣言しようじゃないか。この3日間でかちとった決意と内容をもって300万学生に体当たりしていこうじゃないか。私たち新執行部はその最先頭で闘っていきたいと思います。ともに闘いましょう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2217号6面3)(2005/10/11)

 マルクス主義の復興へ 革共同の特別アピール 木崎冴子

 この間、小泉反革命の嵐が吹き荒れる中で、二つの重要な勝利がかちとられています。動労千葉の安全運転行動と有朋寮決戦です。
 これらの闘いは何を示したか。階級的正義と原則と団結力をもって闘えば、敵は破産をさらけだすということ、戦争と民営化攻撃に対する反撃の火の手が上がれば、津波のような共感と決起が起こるということです。革共同は有朋寮の同志たちの決起に心からの快哉を表明するものです。ついに全学連が300万学生を突き動かす時代が来た。そういう資質を全学連が有朋寮決戦で獲得したと思っています。
 革命的共産主義運動の金字塔といわれる70年闘争で、革共同は権力や反革命との死闘戦を闘い抜き、スターリン主義やカクマルに対しイデオロギー的にも実体的にも基本的に決着を着けました。今やスターリン主義や黒田カクマルのイデオロギーは「つくる会」イデオロギーと相互浸透し融合するまでに破産しきっています。
 思想が本物であるか否かは、究極的には血の河を渡ってのみ継承されるというのが唯物論の核心です。全学連運動がこうした歴史を変えずにきたことに誇りをもって、今こそ21世紀の大躍進を闘いとってほしいと考えています。
 その場合、核心問題はどこにあるのか。私は結局、「つくる会」イデオロギーを焼き滅ぼすマルクス主義の復権・復興をかちとることだと思っています。
 革共同は01年の6回大会で20世紀を積極的に総括し21世紀のプロレタリア世界革命、日本革命の道筋を提起しました。20世紀の総括の核心は、1917年ロシア革命を突破口に帝国主義を打倒するプロレタリア世界革命の時代が本格的に始まったということです。20世紀をとおして帝国主義を打倒する革命のうねりは連綿と続いてきました。「つくる会」はこの20世紀を絶対に総括できません。
 マルクス主義は死んだのか。断じてそうではないです。革共同はマルクス主義復権の画期的な地平を切り開いています。革共同は6回大会において、黒田哲学を最後的に打倒すると同時に、マルクス主義のトータルな再確立を成し遂げてきました。
 こうした地平を継承し、マルクス主義復興の大運動を展開することこそ、21世紀の学生運動を歴史上空前の大躍進に導くことに不動の確信をもって突き進んでいってほしいと思います。
 70年闘争は労学共闘をもって金字塔を打ち立てました。21世紀の金字塔は11・6から始まる。主催者の気概をもって、1千人の学生を結集させてください。

------------------------TOPへ---------------------------