ZENSHIN 2005/08/08(No2209
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週刊『前進』(2209号7面9)(2005/08/08)
日米韓国際連帯の旗高く
都議選決戦の地平を発展させ11月1万人結集へ驀進しよう
革共同書記長 天田三紀夫
第1章 「つくる会」教科書絶対阻止へ7977人の決起
(1)今次都議選の総括視点
全国の労働者・支持者のみなさん。
革共同は、今次都議選闘争を、東京・杉並区において、都政を革新する会代表の長谷川英憲氏を押し立て、労働者・市民・学生の力とともに党の極限的な力を出しきって闘いぬいた。結果は、7977票で10位であった。
われわれは、この現実を厳粛に受けとめ、革共同がまだまだ非力であることを直視し、しかしこの現実に絶対に甘んじないことを強く決意する。ものすごい反発力で革共同の党的質的変革をかちとることを、7977人の支持者のみなさんに誓う。そして、決起した人びとと固く団結して、ともにさらなる闘いの勝利をめざして前進していきたい。
今次都議選闘争においてわれわれは、「石原知事に挑戦状」「うばうな介護と福祉」と訴えるとともに、何よりも押し寄せてきた「つくる会」教科書攻撃に真っ向からストレートに対決し、これと闘いぬくという方針・闘い方をとった。これは唯一の、他に選択肢がないと言っていい不可避の、絶対的方針であり、正しかったと確信している。
この方針での長谷川陣営の闘いは、今次の都議選全体に決定的なインパクトを与え、動と反動の大きな渦をつくりだした。まさに、かつてなく激しい、他の12人の候補対1人の激突となった。革共同と都革新は総決起し、大健闘した。
しかし、この動がつくりだした反動の波をはね返して勝利へと大きく集約するという点でまだまだ力足らず、残念のきわみだが当選に至らなかった。だが、「つくる会」教科書との闘いは、開始したばかりである。「つくる会」教科書と全面的に対決し11月日米韓国際連帯の万余の労働者総決起をもって、都議選闘争の真の実践的総括として結実させていきたい。
(2)「戦争のできる国」と「国民」をつくるための戦争教科書
都議選闘争を総括する場合、重要なことは戦時下階級闘争の一環としてあったことである。具体的には、米英日帝国主義のイラク侵略戦争への突入・参戦、その対中国・北朝鮮戦争への展開の切迫性、トランスフォーメーション(米軍大再編)、教育基本法改悪・改憲攻撃、4大産別への民営化攻撃、JRでの第2の分割・民営化攻撃、郵政民営化攻撃、公務員制度改悪などの攻撃が襲いかかってきていた。
この中での「日の丸・君が代」攻防、03年10・23都教委通達と04年「日の丸・君が代」強制の攻撃に対する数百人の不起立闘争の爆発、そして05年「日の丸・君が代」強制拒否闘争の一層の深化と発展として闘いぬかれた。
決定的なことは、この「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版「歴史」「公民」教科書が恐るべき反革命であるということである。これが05年「採択」決定、06年より「実施」をもくろんで襲いかかってきたのである。しかも、ファシスト都知事・石原―横山教育長(現副知事)とその先兵・山田杉並区長の結託のもとで、杉並区を突破口に全都50%の採択をめざしていた。
「つくる会」教科書攻撃は、戦後の全反動攻勢をひとまとめにしたような攻撃である。しかもそれが中学生の教科書に盛り込まれるのだ。教育そのものを根底から戦争教育としてつくり変える。戦争のできる国づくり、戦争のできる国民づくりを一挙に推し進めようとする攻撃である。
「つくる会」教科書反革命は、第一に、戦後のいわゆる「平和教育」を全面的にひっくり返し、戦争賛美・戦争肯定を真正面から打ち出している。
彼らは歴史を民族間・国家間の弱肉強食の歴史として描き、その中で日本が生き残るための戦争は「自衛戦争」で正しいと主張する。そしてその戦争を全力で戦う人間こそ正しい人間だと扇動している。ここから、明治以来の日清戦争・日露戦争も正しいとする。朝鮮の植民地支配も不可欠だったとする。1920年代から45年にいたる対中国戦争・第2次世界大戦・太平洋戦争の一切の戦争でも、日本は自衛のために戦ったのだと言って、朝鮮・中国・アジアへの、あらゆる言語に絶する侵略行為・虐殺行為について口をつぐみ、あるいはどの国もやっていたことだと合理化しているのだ。言うまでもなく、今のイラク参戦も正しいとされる。これからの中国・北朝鮮・アジアに対する戦争も、全面的に自衛のための戦争として遂行していくことを基本的な目的にしているのだ。
第二に、今ひとつの決定的特質は、戦後の民主主義・基本的人権の考え方への根底的な否定であり、徹底した皇国史観・「国柄」論の全面的展開である。戦後の民主主義の根幹にかかわる「基本的人権」のイデーに対しては、この教科書は憎悪すら抱いている。
それは、基本的人権を有する人間(個人)がそれ自体で至上の価値とされ、国家はその価値を守るべきものというフランス革命以来の流れを(いろいろ大きな限界をもちつつも)くんでいるからだ。これに対して、天皇を中心として家族制度の体系として民族生活をしてきた――これが日本の「国柄」だ、などとしているのである。明治憲法下での戦前の天皇制的日本のあり方を、限りなく素晴らしいものとして公然と賛美しているのだ。この「素晴らしい天皇の日本」を守るためだったら、自分の命など惜しくないとすることが青年や国民のあるべき姿だなどとしている。
第三に、「歴史」や「社会」から階級・階級対立・階級闘争を一切放逐し、階級的考え方を総否定し、抹殺しようとしている。労働者階級の戦前・戦中・戦後の闘いに憎悪を抱き否定し抹殺している。帝国主義ブルジョアジーの立場そのもので、労働者階級と被抑圧民族人民の闘いに憎悪すら抱いている。
第四に、この「歴史」「公民」教科書は、教育基本法改悪・改憲を行うための一大宣伝文書である。改憲などをすでに先取りして、改憲など当然だと扇動する文書なのだ。これで中学生を教育するというのだ。明治憲法を美化し、現憲法を否定し、国防義務を扇動し、領土問題をあおり、排外主義をまき散らしている。また、いわゆる「歴史と文化と伝統」路線が、この教科書ではすでに満展開されている。
文字どおり、戦争のできる国づくり、戦争のできる国民づくりの全面展開だ。しかも、重要なことは、この「つくる会」教科書攻撃が何か極右の一部のイデオロギーや扇動にとどまるものではないということだ。日帝の深刻な危機のもとで、支配階級の意志として、この教科書が推進されるにいたっているのである。
山田区長のもとで杉並区をその突破口にしようとしているという恐るべき情勢が現出した。この中で今次都議選闘争が闘われたのだ。
(3)帝国主義の全体重かけた攻撃と全力で対決した画期的闘い
ここで、すでに『第二インタナショナルの崩壊』でレーニンがえぐり出したような戦時下での諸勢力の転向・屈服という現実が進行している。日本共産党を含め、野党諸党やいわゆる市民派あるいは労組の既成指導部などのほとんどすべてが、この「つくる会」(教科書)反革命への対応から逃げ回り、これと本格的に闘うものはいないということである。「闘う」という場合もほんのポーズだけでしかない。いや、それどころか、これを都議選闘争で焦点化して闘った都革新に対して、その闘いを妨害するために全力を挙げてきたのである〔まさに政党間党派闘争において「12対1」という現実が現出した〕。
これはなぜか。愛国主義や排外主義に屈服し、改良主義と議会主義に染まりきっているからである。「つくる会」教科書との全面的対決は、実は、「帝国主義こそ戦争の根源」という点をはっきりさせ、戦争反対と帝国主義(自国帝国主義)打倒を固く結びつけて闘う以外にできないのだ。帝国主義の根底からの危機、そこから侵略と戦争が出てくることを押さえない限り、帝国主義の危機=自国の危機、自国の利益と延命のためにという帝国主義者の論理と闘うことなどできないのだ。
今ひとつは、「国民レベル」の問題性である。戦後の日本人民の「反戦・平和」の闘いは、自らが戦争の惨禍にさらされ苦しんだということへの怒りとしては一定の蓄積をもっているが、それが日本帝国主義の侵略戦争であり、アジア人民に巨大な恐るべき災厄を与えたことについての認識、あるいはそれに対する「国民レベル」での自己批判的態度の形成という点では(既成政党の裏切り的指導のもとで)著しく弱いものにとどまってしまっている。
総じて、戦争と侵略の根本的解決は帝国主義打倒以外にない点についての革命論的・階級闘争論的武装、またはそうした闘争経験が弱い。このため、帝国主義が「国の危機」を訴え、生き残るためには何でもするという形でかけてくる排外主義的攻撃になかなか闘いきれない。
しかも重要なことは、この点では、革共同自身も、きわめて意識的に闘いぬかなければ、この排外主義の大波に飲みこまれかねないものとしてあるということである。
われわれは、以上のような事柄を一体のものとしてとらえ、戦時下階級闘争的現実と言っている。これに照らす時、今次の都議選闘争が都議選闘争=「つくる会」教科書粉砕、「つくる会」教科書粉砕=都議選闘争として闘われ、「つくる会」教科書問題を全面的に真っ向から提起し、この危機(杉並区的危機を始め)を徹底的に訴えていったことは、圧倒的に正しかったと総括できる。
まさに、この「つくる会」教科書との闘いは、帝国主義の全体重をかけた攻撃と闘うような、すごい重さと厳しさをもっている。ここで一歩ひるんだら労働者として、人間として、闘うものとして、あとがない、反動的転落あるのみだ。このことの強烈な自覚から逆に、むしろ多くの労働者・人民・闘う人びとは自己の全存在をかけてこの「つくる会」教科書闘争に決起していったのである。
革共同としては、都議選闘争という場を通じながら、しかし一個の大衆運動として「つくる会」教科書闘争が戦時下階級闘争の重圧をはねとばして、日本の政治闘争・階級闘争の重い扉を革命的にこじ開け始めたということに、決定的な階級的意義を見いだすべきである。このことの革命的画期的意義はいくら評価してもしすぎることはない。
こうした中で、具体的な投票行動という形で一つの全人格的行為として、「つくる会」教科書絶対反対の長谷川氏への投票に、7977人の人びとが決起したことの意義は計り知れない。
革共同として、この7977人の熱い支持と決起を断じて無駄にしてはならない。それどころか、この7977人と選挙時を超えて日常的にも、ともに永続的に闘っていくために全力を挙げなければならない。
別の言い方をすれば、「日の丸・君が代」強制攻撃に対する数百人の不起立決起、動労千葉500のストライキにも比すべき闘いに、7977人の人びとが革共同とともに決起したのだ。
また、都議選闘争としての都議選闘争の勝利ということからすれば、この7977人の人びととともに、今から、この2倍や3倍、4倍の力を結集できるように、力を蓄えていかなければならないが、その出発点としての強固な7977人であるということをきっぱりと確認できるのである。
(4)新指導路線の貫徹としての都議選闘争=教科書闘争
都議選闘争が、「つくる会」教科書粉砕=都議選闘争、都議選闘争=「つくる会」教科書粉砕として闘われたことを総括する時、これがまさに労働者党を建設しプロレタリア革命を現実的にたぐり寄せる路線である新指導路線の貫徹として闘われたことが重要である。
@ここで最も大きいことは、革共同が「つくる会」教科書の決定的意義を最後的につかんだのは、04〜05年の「日の丸・君が代」決戦を通じてであったということである。「日の丸・君が代」が教育労働者と教育にとって何であるか。「日の丸・君が代」に対する闘いは、教育労働者の階級的存在・人間的存在をかけた闘いであり、戦争協力拒否・戦争教育反対の闘いそのものとしてあった。そしてそれは、まさに組合的団結の防衛か解体かをかけた闘いであった。だからこそ「日の丸・君が代」決戦は、戦争と民営化に反対する4大産別決戦を先頭で牽引(けんいん)する力をもっていた。闘う労働者、とりわけ都高教労働者・教育労働者と一体となって、革共同はこの05年1〜3月「日の丸・君が代」決戦を闘いぬいた。そして、この闘いにおいて04年に続く重要な飛躍と勝利の地平をかちとった。
Aそして、この05年1〜3月の「日の丸・君が代」決戦を闘いぬく中で、05年4月に「つくる会」教科書の01年に続く4年目の改定版の検定合格という事態を迎えた。05年改定の「つくる会」教科書の採択では、杉並区を始め東京で決定的にぶち抜かれようとしているという情勢に直面した。
この恐るべき内容の教科書が、多くの中学校で、文字どおり365日の教科書となる! 「日の丸・君が代」反革命の大きさを考える時、この「つくる会」教科書の大きさは何十倍・何百倍もの大きさだ。こうした認識に立ち、そして杉並区がまさに突破口に位置づけられているということを踏まえ、また01年闘争が杉並区で闘われたという現実を踏まえ、革共同としては党的な絶体絶命的決断として「つくる会」教科書=都議選闘争決戦論を提起し、実践していった。この場合、党としては、この闘いが新指導路線の貫徹としてあることを、次の諸点において確認した。
@これは「日の丸・君が代」決戦の必然的な継続・発展であり、この「つくる会」教科書粉砕を闘いぬくことをとおして、「日の丸・君が代」決戦はさらに前進する。
A都議選闘争という条件のもとで、「つくる会」教科書粉砕を徹底的に大衆運動的に闘いぬくことによって、教育労働者を先頭に、自治体労働者や全労働者階級に「つくる会」教科書粉砕への決起を訴え、労働者が闘いの主体として躍り出ることをアピールし、一歩一歩実現していく。また、「つくる会」教科書決戦の内容と質こそが、4大産別決戦の勝利のための内容と質に通じている。
B「つくる会」教科書粉砕=都議選闘争、都議選闘争=「つくる会」教科書粉砕として闘いぬくことをとおして、闘う労働者党としての革共同の意義を訴え、都議選闘争の勝利をテコに、今こそ闘う労働者党をともにつくろうと訴えていく。逆に言えば、都議選闘争での革共同の勝利は、必ずや多くの闘う労働者の決起へとつながっていく。
C以上の@、A、Bの観点から、選挙としての闘い方においても、労働者階級を闘いの主体に据える闘い方を意識的に追求した。ひとつには、革共同としては主客の諸条件から街頭での宣伝・扇動戦を決定的な選挙戦略とした。それは何よりも、街頭こそがストレートに区内外の労働者階級と接し、アピールしていく場だということである。今ひとつは、今次都議選闘争を全党の総決起として闘うことである。すなわち、党の労働者同志が可能なあらゆる形態で決起することを追求したのである。この場合、党の一員としてさまざまに闘う一方で、いわゆる労組選対をとおして労働者が労働者・労働組合をオルグしていくという闘いを繰り広げたことは画期的なことであった。
(5)革共同の今日的力量を直視しのりこえるために
7977票をうち固め、さらに都議選での当選をかちとることへとつき進んでいくためには、革共同はどんな課題と取り組んでいくべきなのか。この問題は内容的に、都議選闘争の総括における、革共同の今日的力量の限界の直視と、そののりこえにかかわる問題と重なる。
@第一は、「つくる会」教科書を今次都議選闘争の中心テーマにすえて闘うことは正しかったし、絶対必要でもあった。このことは明確だと言えるが、これを本当に闘いぬくことは、けっして容易なことではないということがある。
もちろん革共同として、このテーマについて、一定の歴史的・今日的な蓄積やレベルがあることは事実だ。反スターリン主義・革命的共産主義運動としての歴史観・世界観を一定程度築いてきている。また実践的にレーニン帝国主義論の主体化と現実的適用という点でも、反戦闘争や入管闘争の闘いの中で一定の蓄積をしてきた。だからこそ、「つくる会」教科書について、その反革命性を全身の怒りではね返す立場に立てたし、あらん限りの情熱で、都議選闘争の現場で、初めて接する労働者・市民、または諸党派や党派性のある人びととの対話・討論・対決などを一定やりきることができた。そして、そうしたことの総結果が、7977人の投票の実現となったと言えるのである。
まさに階級闘争の烈火の現実ということである。そこで、労働者人民の問題意識とかみ合って、革共同の基本的主張を物質化していく――これは革共同の政党としての党派的総合的力量を試すものだ。この基準でみた時、今日の革共同は、今次都議選闘争で一定のことはできた、しかしまだまだこれからだということが、冷厳につきつけられたのではないだろうか。
いま革共同は、トータリティーのある政党的見解でしっかりと武装した党派への成長を全力でかちとっていくことが求められていることを確認しよう。
A第二に、闘う労働者党(革命党)が、総選挙や都議選級の選挙において、真に勝利を収めていく場合には、何と言っても決定的な要素のひとつとして、労働組合・労働運動にどれだけ党が根を下ろしているかという問題がある。選挙が階級闘争の一環であり、一局面である以上、このことはあまりにも当然である。より正確に言えば、工場・経営の中に労働者細胞を建設し、労働組合・労働運動にどれだけ根ざしているか――ということである。
今次選挙での7977票をいま一けた大きなレベルに向けて前進するためには、まさにこの領域で革共同の本格的前進をかちとることが、やはり決定的だということをきっぱりと確認しよう。
革共同が、そもそも(91年5月テーゼに基づきつつ)新指導路線を打ち出したのは、選挙を含め、すべての全階級闘争分野で決定的な意義をもつものは、労働運動・労働組合の中にいかに不抜の力を構築しえているかである――このことをきっぱりと確認したことにある。
そこに踏みきった時、労働組合(運動)の革命論的意義も非常にはっきりと確認できたのである。そして、それこそが03〜04〜05年の革共同の闘いの飛躍的発展をつくりだしたのだ。そして、それが04年11・7労働者集会の大勝利と05年「日の丸・君が代」決戦×05年動労千葉決戦の勝利をつくりだしていく基礎になった。そして、この新指導路線の革命的意義と、新指導路線にとっての都議選闘争の革命的意義が、全党の中で確認されたことが、今次都議選闘争へのかつてない全党決起をつくりだしたのだ。そして、その血と汗の結晶として、7977があるということである。
以上から言えることは、きわめて厳しい階級的・党派的状況の中で、7977を強く固い数として結果しえたのも、この新指導路線での党の団結だったということであり、逆に、この7977の限界を本当にのりこえるものも、全国−全都−全地区−杉並区での労働運動・労働組合への、新指導路線に基づく全力あげた取り組みであるということである。それは、すでに「つくる会」教科書7〜8月決戦から8・6〜8・9〜8・15〜05年11月決戦に向かっての闘いとして、強力に始まっている。
B第三に、都議選闘争への全党決起にかんする側面について。
何より、選挙戦の場自体を革命的階級闘争の推進の舞台に転化して闘ったことも、そのためだった。
そして労働者同志の革命的議会主義の革命的実践が本格的に始まった。
この「全党総決起」という問題は、今回の都議選闘争において、史上初めて本格的軌道に乗り始めた。この「総決起」の血と汗の結晶として7977はあると言える。と同時に、全党総決起という点では、ようやくひとつの方向が定まったというのが現状だと言える。今次都議選闘争は全党総決起の第一歩だと思う。その第二歩、第三歩は、さらに巨大なものとなりうる。そして、それこそが、7977を超えて、2倍、3倍の力となって、都議選闘争の勝利・当選をつくりだしていくのである。
革共同政治局は、以上の総括視点を提起し、全党の団結を強め、細胞性を強化する、総括の一致をかちとる提起としたい。
第2章 帝国主義の末期的危機と世界戦争情勢に対決を
(1)今日の世界情勢全体を規定しているイラク戦争の現実
イラク侵略戦争の現実が、今日の米帝動向、世界情勢全体を規定している。イラク侵略戦争の継続・激化、世界戦争への拡大が、依然として一切の基調的動向である。イラクでは、スンニ派を軸に、米帝のかいらい政権づくりの攻撃に対し、本格的なゲリラ戦争が進展しつつある。また、いわゆるザルカウィ系の戦いも、イラクおよびイスラム圏諸国のゲリラ戦士を組織化する闘いとして、イラクにおけるゲリラ戦争の戦略的基軸のひとつを形成していることが明白となった。
革共同は人民が敢行しているいわゆる「自爆」攻撃について、極限的ゲリラ戦闘形態として、国際プロレタリア階級闘争の危機的現実の中で厳しく受けとめつつ、断固支持している。革共同としては、7・7自己批判的観点を貫き、帝国主義国プロレタリアートとしてなすべき闘いへの強烈な意志をうち固めなければならない。
特に「自爆」決起は、かいらい政権の治安部隊に対して行われているのだ。明白に治安部隊解体、対米軍のゲリラ戦として闘われているところに特徴がある。
04年〜05年前半のイラク情勢は、米帝・米軍のイラク人民抹殺の大虐殺攻撃と闘い、ファルージャ、バクダッド、ラマディ、ヒート、カイムのユーフラテス川沿いは「解放区」「半解放区」が形成され、ネズミの道と称する自由往来ロードを形成して闘っていることだ。
1月30日の「イラク国民議会選挙」は、シーア派シスターニの全面協力をとりつけ、またクルド人に対しては自治度の高い連邦的国家の約束をぶら下げることで、権力からのスンニ派のたたき出しとして行われた。米帝はこうして、イラク侵略戦争の泥沼の中でかいらい政権をデッチあげる道をとった。しかし米帝・米軍の真の狙いは、石油資源の強奪であり中東勢力圏の再確立を狙っての「イラク民主化」によるかいらい政権のデッチあげである。
「イラク国民議会」は、5月10日憲法起草委員会を立ち上げたが破綻(はたん)の道を歩んでいる。スンニ派は当初2人の委員しか含まれていなかったが、スンニ派の要求で取り込みのために15人を追加した。米帝・米軍のスンニ派分断攻撃に対して、武装勢力はスンニ派委員のせん滅戦を行い、スンニ派委員に「憲法起草委員会」からの撤退を迫った。
これはスンニ派勢力を先頭に全イラク人民の民族解放・革命戦争の意義をもつゲリラ戦争の爆発となっていく道になる。事実、8月15日までの草案起草、10月中旬までの新憲法国民投票、12月中旬までの議会選挙・正式政府への道を爆砕して闘われている。
ブッシュは、6月28日の演説でついにイラクでの治安任務のイラク化政策についてその破綻を認めた。これは決定的に重要である。米軍の死亡者数は、再びどんどんと拡大している。米帝は今やイラクで危機に陥り、抜け出ることができないでもがいている。イラクの民族解放闘争で追いつめられのたうち回っている。
こうした中で、イギリスでの巨大同時ゲリラ(7・7ロンドン・ゲリラ戦闘)が爆発した。これは端的にイラク・ゲリラ戦争の一環である。一切がイラクでの米帝・米軍のムスリム人民の虐殺を起点にしているのだ。
7・7ゲリラ戦は、イラクのゲリラ戦争の情勢にも必ず戦闘的に逆流していく。帝国主義者は「無差別テロ」うんぬんとして、自己を絶対の正義のように言いなして大キャンペーンをしているが、イラクで、アフガニスタンで、またパレスチナで、全世界で、歴史的=今日的に、どれだけのムスリム人民を一方的に虐殺し続けてきたのか。このことを直視しない限り問題にならない。
しかしそれにしても、9・11が米帝を標的としたのに対して、7・7の対象が英帝であったということは、これから大きなインパクトをもって、日帝を含む帝国主義世界を揺るがしていく。
われわれは今こそ、自衛隊イラク派兵阻止・即時撤兵へ闘わなければならない。
“闘うイラク人民と連帯し、米・日帝のイラク侵略戦争を内乱に転化せよ”は革共同の不動のスローガンである。
(2)帝国主義の基本矛盾の全面的爆発と革命的情勢の急速な接近
現代帝国主義は、過剰資本・過剰生産力状態の歴史的重圧下、世界大恐慌過程へ半ば突入した。この過程は帝国主義の分裂化・ブロック化と一体であり、相互に強めあいつつ加速度的に進行している。それは、勢力圏形成と石油などの資源の独占的支配・再支配をめぐって帝国主義間争闘戦を激化させ、アフガニスタン侵略戦争・イラク侵略戦争から世界戦争への道が始まっている。しかも残存スターリン主義との対決、その転覆と再支配の策動を激成しつつ、経済が政治・軍事と密接にからんで進行しているのだ。
▼米帝経済の現状
そして帝国主義経済をかろうじて支えてきた米帝経済は、その強引な景気浮揚の引き延ばしが、ついに万策つきて大破綻局面へ突入している。財政赤字は、イラク戦費の軍事的論理で拡大する。経常収支(貿易収支)赤字は、加速度をつけて「危機ライン」を超える危険に入っている。
米帝の製造業の危機を象徴する事象として、かつてエンロンの粉飾会計などが大問題化したが、今日ではGM、フォードなどの危機的状況が注目される。5月にはGM社債の格付がなんと「投機的」というレベルとなった。格下げの理由は、GMの05年の医療費負担が総計で55億j(約6000億円)となり、今後さらに年々4〜6億jずつ増えていく、長期的にはこれは持続不可能である、というものである。
GM(ビッグ3全体も)は、労働者への医療費負担が他に比して手厚い。アメリカには公的医療制度はなく、会社ごとに協定している。GMは退職者(家族)にも手当をしている。上記の合計金額の3分の2は退職者向けという。これは実は一種の労働者の囲い込みであり、日本の終身雇用制がもっていた機能のエレメントをもっている。07年の労使協定の改定交渉では、GMのこの医療費負担の削減をめぐって争われることになる。組合側はGMが526億jに及ぶ銀行預金などをもっていることを理由に、医療費負担の削減に反対している。
この事態は、GMが自動車産業として日本勢(トヨタ、ホンダなど)との米国内外での争闘戦で危機にあることを示している。帝国主義間・独占間のすさまじい争闘戦の進行である。この間のブッシュの大減税と低金利にのってGM、フォードなどは、とにかく大幅な値引きを行って、売り上げ・シェアを維持しようとしてきた。
しかし、ブッシュの政策的行きづまりときびすを接して、GMののりきり策も限界にきたのだ。トヨタは米国内での「車の値上げ」などの方式で、GMとの矛盾の爆発を回避しようとしているが、米帝危機と日米争闘戦の現状は、このような情勢にも表されている。また、米国プロレタリアートへの労働条件切り下げの階級的攻撃の激化と、それとの闘いの時代の到来を示している。
AFL−CIO大会でついに決定的となった組織分裂は、アメリカの労働運動、階級闘争にとって、歴史的に重大な事態である。1955年以来、アメリカ帝国主義の労働者支配、階級支配の柱となってきた労働組合の独占的なナショナルセンターが、半世紀をへた戦時下の現在、公然たる崩壊過程に入ったということである。分裂そのものは、徹頭徹尾官僚的な性格のものである。組織率の低下に、足元を揺さぶられた労働組合官僚の間の抗争以外の何ものでもない。
しかし、その根底にあるのは、米帝ブッシュの「外への侵略戦争、内への階級戦争」と闘う現場労働者(ランク・アンド・ファイル)の新たな闘いが、これら労働組合官僚の支配を、職場と地域から揺さぶっているという階級闘争の大きなうねりである。現に、脱退派の4組合は、それぞれに強力な戦闘的反対派を、清掃、ホテル、運輸などの現場に抱えている。戦闘的階級的労働運動の新たな潮流を求めて、昨年ワシントンの10・17MWM(百万人労働者行進)に結集した1万人のランク・アンド・ファイルの力が、この激動を切り開いたのだ。アメリカ労働運動の決定的な流動化の弁が解き放たれたのだ。
▼日帝経済と中国・韓国
日帝経済は、根底的には、米帝経済と同じく、野放図な国債発行(国の借金の累積)とゼロ金利的な超金融緩和政策のとめどもない続行によって支えられてきた。国の借金は、国債残高は増加し続けている。
もはや、財政再建は不可能な状態が現実である。絶望的な状態に日本帝国主義はたたき込まれている。そして「骨太方針X」を強引に実施しようとしている。これは、国家的破産状況下での、両階級の存否をかけた、すさまじい階級的死闘となる。
日帝は、90年代以来の長期不況の重圧に耐えかねて、03年前後に一挙に質的な踏み切りをした。それは、奥田の「東アジア自由経済圏」構想(奥田ビジョン)の打ち出しと軌を一にしている。これは米帝ブッシュ政権が、一方では経済大国としての中国市場へのくい込みを策しつつ、他方では残存スターリン主義体制としての中国の体制転覆を戦略化していることを熟知しつつ、一定の日帝ブルジョアジー的な踏み切りをもって(内的な対米対抗性をもって)行われたと言える。
しかもその中国は、スターリニスト政権が、91年ソ連スターリン主義崩壊以降帝国主義主導の世界経済体制において、中国の経済建設を促進した。それは、スターリン主義下の「資本主義化政策」という矛盾構造のゆえに、競争力のない旧国営企業を軸に、膨大な失業者を始め、都市と農村の格差の問題や、農村に依然滞留する(潜在的)失業者の問題、「資本主義化」の必然としての貧富の差の恐るべき拡大、しかもスターリン主義的特権体制の各種の腐敗の進行、さらにスターリン主義的な労働者人民への強権的抑圧・圧殺体制などの問題に満ちている。
中国は、7月21日人民元の2%切り下げを行い「通貨バスケット制」へ移行すると発表した。これは、帝国主義経済に深々とリンクする中国スターリン主義経済が危機を爆発させ、米日帝国主義経済が大恐慌への最終的危機を爆発させる引き金になる。今回の決定は、「ドル連動」を「通貨バスケット制」へ移行するところにある。2%切り下げでは米帝の経常赤字は縮小せず、ドル不信は強まり、赤字が縮小するほどの人民元切り下げはアジアにおけるドルの国際的信認をますます低下させ、いずれにしろドル暴落と世界大恐慌を引き起こしていく。
しかも、中国スターリン主義体制の危機はますます深まらざるをえない。銀行の不良債権が、高成長の中で増加している現実がある。そこには国有企業(スターリン主義官僚)の危機がある。中国は3億5000万人の「不完全就労」があると推計されている。農村部1億5000万人、都市への出稼ぎ9800万人、都市の失業者1億人。経済成長が鈍れば農村に失業者が戻る。農村の疲弊は徹底的に進んでいる。農民暴動が爆発することとなる。89年天安門決起以来の学生運動の全国的決起が開始され、中国スターリン主義官僚体制との闘いが決死の決起で開始されている。
さらに、国連安保理事会の常任理事国拡大をめぐる帝国主義間(大国間)争闘戦はすさまじい様相を示している。米帝が真っ向から日本、ドイツ、インド、ブラジルの「G4」案粉砕を呼びかけていることは大きい。米帝はイラク戦争への非協力をもって、ドイツの常任理事国化を拒否しているが、実はそれに名をかりて日帝の常任理事国化をも阻止しているのである。他方、G4にドイツが入っていることによって、日帝はG4路線を米帝の抑止を超えて進むとしている。歴史的には第2次世界大戦の結果の「変更」にかかわる問題であり、現常任理事国の国々の態度はすさまじいものがある。
7月26日に6者協議が再開されたが、これはストレートに米帝の対北朝鮮・対中国戦争戦略によって動いている。米帝のイラクでの危機が米帝を「時間稼ぎ」方針に追い込み、それを見すかした北朝鮮が必死の「核戦略」で対抗している。中国は対北朝鮮戦争が対中国化することへの危機感をもって対応している。同時に中国スターリン主義は、米帝のイラクでの危機を見すかしてもいる。
また、盧武鉉(ノムヒョン)政権の今日のあり方が、米帝との関係は保持しつつも、米の対北朝鮮戦争が実は南北朝鮮への戦争としてある(韓国の国民世論はそれを知っている)ことに対応している。しかし、この盧武鉉路線では米帝の北朝鮮侵略戦争を阻止することはできない。北朝鮮は韓国・盧武鉉を利用するだけ利用するが、核を放棄することはできない。スターリン主義・北朝鮮の決定的問題性がそこにある。
民主労総内部の路線闘争は、社会的交渉路線と非正規職法案反対をめぐって闘われている。この論争は、韓国労働者階級の主体的格闘と苦闘である。戦争と民営化に反対する労働者階級の階級的解放と民族的解放を階級的解放を基軸に統一し、プロレタリア世界革命への水路を切り開こうとする闘いそのものであり、階級的立場からの主体的接近と連帯こそが求められている。
(3)領土問題・歴史教科書・靖国問題での中朝人民の決起の意義
「領土問題」「歴史教科書問題」「小泉の靖国神社参拝問題」をめぐって爆発した韓国・中国での大デモの決定的重要性について確認したい。とりわけ「領土問題」での日帝の踏み切りのもつ恐るべき意義について押さえておきたい。
独島(「竹島」)の場合、歴史的にみて朝鮮の領土であることは、決定的に明白である。そして、日帝の主張の一切は、1905年時点で、軍事的重圧支配下で強引に「日本領土」に編入した(つまり強奪した)ことに依拠しているにすぎない。このことは南北朝鮮の中で人民の間に決定的に浸透・確認されている。したがって日帝が、「つくる会」教科書で「わが国の領土を韓国が不法占拠」と写真入りで大々的に打ち出していることや、島根県議会が「条例」化を強行したこと、日本の政府高官が繰り返し挑発的発言を重ねていることは、朝鮮人民のものすごい怒りを引き起こしている。
これらの動きは、まさに日帝が再び朝鮮を侵略する牙をむきだしにしてきたものとして把握されているのだ。
その上で、トランスフォーメーション問題をとおして明らかになった米日間で合意した「共通戦略目標」が、対北朝鮮、対中国の軍事体制の構築としてなされたことの重大性である。これは、朝鮮人民からすると、対北朝鮮=対朝鮮の侵略戦争に、日米同盟が一体となって突き進もうとして迫ってきていることを感じさせているのである。
このことは、中国の釣魚台(「尖閣諸島」)やガス田開発問題でも同じである。「歴史」「靖国」「領土」が一体となって日帝の再侵略として迫ってくるものであり、トランスフォーメーションと日米枢軸の形成は、中国人民、朝鮮人民にとってとてつもない攻撃としてあるのである。
したがって、この春の中国・韓国での大デモの爆発は、本質的に人民の怒りの大きさを示すものなのだ。ここで大切なことは、日本の労働者階級のこの問題での階級的態度が決定的に問われるということである。こうした日帝の「領土」を掲げ「歴史」「靖国」を押し通しての攻撃が今後ますます強まり、逆にそれに対する中国・朝鮮の側の反日帝デモもさらに激化・発展する中で、日本の労働者階級は、日本帝国主義の侵略と侵略戦争の問題として、「領土」問題を含めて決定的に態度を鮮明にして、侵略と侵略戦争に反対して闘わなければならないということである。
これなしには、すさまじい帝国主義的愛国主義・帝国主義的ナショナリズム・帝国主義的排外主義の大洪水の中で、徹底的に階級性を曇らされ、つき崩され、日帝が危機の中で生き残っていくために必要なことという論理で、労働者階級としての利益・権利・団結・組織を徹底的につき崩されてしまうのだ。
帝国主義の利害と労働者階級の利害とは根本的に対立することをはっきりさせ、侵略と侵略戦争に走る帝国主義とどこまでも対決して、それを打倒する立場に立ってこそ、あらゆる改良的要求も含めてかちとり、守り抜いていくことができるのだ。
このように日本の労働者階級が闘った時初めて、朝鮮・中国の労働者人民と真にプロレタリア国際主義に基づく団結をつくりだすことができるのだ。中国・朝鮮の労働者が、スターリン主義への幻想を捨て去り、あるいは反階級的な国粋主義的勢力と闘いぬき、真に民族的解放と階級的解放を階級的解放を基軸にしてかちとるという道が切り開けるのだ。逆に、朝鮮・中国においても、真に闘う勢力は必ず、日本労働者階級のそうしたあり方を措定し、要請して、決起してくると確信することができるのである。
もちろん、労働者階級の国際連帯という場合、侵略する側の国の労働者の生産点での必死の闘いが、被侵略国の労働者階級の生産点での闘い(階級性と民族性の統一としての性格をもつ)と接しあい、共鳴しあうことによって、国際的階級的団結への水路が形成されていくことも、この間の経験から明らかである。
(4)日米枢軸宣言とトランスフォーメーション、沖縄基地強化
米帝ブッシュは昨秋、戦時下の大統領選において支配階級の内部の闘いで政治的に勝利し、05年冒頭から米帝の生き残りをかけた攻撃をかけてきた。
1月ブッシュ就任演説とライス(新国務長官)証言は、「自由の拡大」が米国の使命、神からの召命と言って、圧制国家の転覆、圧制者の打倒を米国の国家目標として据え直した。
この就任演説とライス証言は、2期目のブッシュ政権が、何がなんでもイラク侵略戦争を継続・強化し、イラクのかいらい政権をデッチあげ、イラクを新たな植民地支配のもとに組み敷くために全力を傾注する宣言である。さらに、「圧制の拠点」(6カ国=イラン、北朝鮮、キューバ、ミャンマー、ベラルーシ、ジンバブエ)という規定の登場は、「悪の枢軸」(3カ国=イラク、イラン、北朝鮮)規定にとって代わる政策規定ではなくして、イラク侵略戦争の現実的展開の中で、「悪の枢軸」規定における「大量破壊兵器の開発」や「テロ支援」という契機に加えて、「圧制の打破=自由の拡大」というより「普遍的」な契機を規定することによって、イラク侵略戦争の続行を土台に、「悪の枢軸」として決めつけた他の国家への攻撃を一段と強めるためのものである。
しかも、その根底には、対中国・対ロシア・対欧州(独帝・仏帝)の大がかりな対決政策(戦略)をはっきりと内在化している。戦時大統領であるブッシュが、戦時下の戦争遂行政策として、「圧制に最後的終止符を打つ」「自由の拡大のために軍事力行使も辞さない」という時、そこには対中国戦略がしっかり内在化されている。
この意味でライスが北朝鮮を「圧制の拠点」=「圧制の前哨」と言ったのは、北朝鮮は中国という巨大な「圧制」の「前哨」だということなのである。
05年2月19日、日米安保協議委員会(2プラス2)で日米の「共通戦略目標」を決定した。これは米軍再編、その最重要の一環としての対中国・対北朝鮮の戦略体制の構築について、米帝の主導のもとで、日米帝の調整を行いつつ、そのプロセスをとおして沖縄・本土の日本の基地闘争をねじ伏せていくためのプランであった。そして、05年の年内にこうしたステップを完了することをめざして、いま全力で日米の安保協議が進行している。
米軍再編の基本的内容・本質は、帝国主義とスターリン主義の戦後体制崩壊後の変化、あるいは91年第1次イラク戦争、01年アフガニスタン戦争、03年以降の第2次イラク戦争の現実的進展を踏まえて、世界的な米軍の体制を「イラク戦タイプ」の戦争を効果的に推進する態勢に転換していこうとするものである。その際、この間の軍事技術上の革命を十二分に活用して、世界大の機動戦態勢を形成することが追求されている。
その上で、この間、米日帝間の米軍再編問題をめぐる協議では、米帝の次の大きな戦略目標として対中国戦争・対北朝鮮(対朝鮮)戦争が設定され、米帝とそれと共同する日帝は、日米安保同盟をそうした戦争目的にそって決定的に変更しつつ駆使しようとしている。米日帝が米日枢軸を形成し、対中国・対北朝鮮の戦争体制の構築に向かって戦略的に動きつつあるということである。ここから日帝の改憲攻撃も、05年夏以降、いよいよ本格化していこうとしているのだ。
5〜6月におけるトランスフォーメーションの動きの中で重要なことは、5月5日に米連邦議会海外基地見直し委員会(米軍トランスフォーメーションをチェックする機能をもつ)が中間報告書を公表し、「沖縄の海兵隊移転に反対する」という方向を打ち出したことである。「沖縄県は東アジアでの作戦能力の戦略的かなめだ」「沖縄県での戦闘能力の削減は東アジアにおけるわれわれの国益を危険にさらす」というものである。
これは、日帝・小泉が国内政治の観点からトランスフォーメーションを沖縄の「負担軽減」とペテン的に議論しようとする傾向に対して、米帝側がこれをきっぱりと否定し、切迫する戦略的課題のための再編であるという観点を真っ向から打ち出したものである。この春以降、米帝・米軍はこの線をきわめてハードに主張している。沖縄基地問題は米軍再編によって、その新しい戦略的重要性がより決定的に確認されることになってきているのだ。
トランスフォーメーションの12月最終決着ということでは日米間で一致している。米軍再編問題はいよいよ重大段階に突入する。だが、沖縄における普天間=辺野古問題、そして金武町の都市型訓練施設建設・演習問題、イラク帰り米兵による連続的な暴行(未遂)事件の発生は、沖縄における情勢を質的に転換させた。5・15闘争から7・19金武町の1万人集会までの間にこのことがはっきりと突き出されてきた。日帝・小泉にとっては、「このままでは立ち往生」に近い情勢になってきている。
05年の年内決着というデッドラインをもって、沖縄基地問題や座間基地への第1軍団司令部の移転など、基地をめぐる激烈な攻防の局面に05年後半は突入していく。沖縄闘争、全国各基地闘争、自衛隊のイラク派兵阻止、即時撤兵の闘い、反軍闘争の重要性は05年、06年とますます強まる。基地再編と一体の形で周辺事態法、武力攻撃事態法、有事法制が発動される情勢へ突入する。これに対する闘いを全力で展開しなければならない。
(5)民族解放闘争に敵対し労働者の闘いを破壊する日本共産党
日本共産党は、昨年1月の第23回党大会で綱領を全面改定し、「労働者階級の闘い」を全面的に一掃し、階級闘争、階級的な思想を完全に放棄した。それは、日共の党勢衰退の中で、日帝ブルジョアジーにすり寄り、その支配秩序をけっして脅かさないこと、否率先してその維持防衛のために働くことを誓約することで延命を図るものであった。これは、帝国主義世界体制の危機と世界戦争の開始の中で、日本共産党が戦争翼賛勢力に転落することを意味している。01年9・11反米ゲリラ戦争の爆発と、米帝ブッシュのアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争突入、世界戦争計画の発動によって、世界は完全に世界戦争過程にたたき込まれた。この中で、日本共産党は、被抑圧民族人民、ムスリム人民の帝国主義に対する積年の怒りの特殊的・極限的な爆発として巨大な意義をもっていた9・11反米ゲリラ戦闘に対して、帝国主義権力と唱和して非難した。そして「テロ根絶」を各国権力者に訴えて回った。それは「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」というスローガンを綱領から追放したことと一体のものである。
この姿勢は、その後も一貫したものであり、7・7ロンドン同時爆破ゲリラ戦闘に対しても口を極めて非難し、市田書記局長がイギリス大使館に丁重に弔問までしているありさまである。重要なことは、日本共産党は米英日帝のイラク侵略戦争に対して、なんら闘っていないことである。ほかならぬ自分たち自身が、ロンドンのゲリラによって帝国主義国の労働者として糾弾されているのだということを見すえるのではなく、これに真っ向から敵対しているのだ。
国内の労働者の闘いに対しても、日本共産党は日帝の戦争と民営化の大攻撃に力を結集して闘うのではなく、階級的労働運動を妨害し、自らの勢力を体制内労働運動につなぎ止めるために全力を挙げているのである。
有事法制と改憲に対する陸・海・空・港湾労組20団体の闘いの陣形、教育基本法改悪に反対する学者4人の呼びかけによる闘いの陣形、また国鉄1047名の解雇撤回の闘いの陣形、とりわけ国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の3闘争団・争議団の共闘による闘い。これらの統一行動に対して、日本共産党は闘争をサボり、妨害し、敵対を深めている。特に、国鉄闘争では、本部酒田一派と日共・革同が結託して、国鉄闘争終結・国労解体に向かって突っ走り、これに抗議する国労労働者を権力に売り渡している(5・27国労臨大闘争弾圧)。
こうした反労働者的な攻撃に、日本共産党の現場党員からも強い怒りの声が上がっており、党中央との激突が始まっている。日本共産党スターリン主義を打倒することは、今やすべての闘う労働者のまっとうな要求になっているのだ。
(6)排外主義の先兵、ファシスト・カクマル解体・打倒へ
05年前半、ファシスト・カクマルの危機は頂点に達している。イラク反戦闘争では、「国民議会選挙」に屈服したシスターニ師を完全に支持し、連日のイラク人民の武装闘争への決起を「謀略」テロと規定して敵対した。さらに中国人民の反日帝決起に対しては、「官製闘争」と悪罵(あくば)し、7・7ロンドン・ゲリラに対してCIAの「謀略」と規定した。被抑圧民族人民の怒りの決起を恐怖し憎悪するカクマルは、反共主義と排外主義そのものである。
そのカクマルの路線的破産の頂点が、「ブッシュ帝国おしつけの改憲攻撃」(『解放』1874号)トップ論文だ。この論文は、激化する帝国主義間争闘戦・相互絶滅戦に勝ち抜くために戦争のできる国にならなければならない、他に方法などないではないか、と必死で迫ってくる日帝に向かって“いや、おまえたちはアメリカに踊らされているにすぎない”“他に戦争なしにやる方法があるよ”などと提案して、支配階級を擁護するものである。結局、カクマルは帝国主義の危機と戦争化に対してまさにプロレタリア階級闘争で闘うべき時に、そのように闘うことを「挑発」として、日本共産党と一体化して反革命勢力として襲いかかる、こういう立場にのめり込んでいるのだ。
また、「改憲は米帝のおしつけ」論はおぞましいほどに反革命的主張である。日共以下的な対米従属論である。「日の丸・君が代」の不起立は「挑発」といってあらゆる妨害を策したのは、まさにこうしたカクマルの日米関係論の反革命性を基礎としているのだ。
カクマルが「つくる会」教科書との闘いから逃げ回るのは、プロレタリア革命の立場とそこからくる実力闘争の精神で、敵階級と激突していくことに恐怖し逃亡して生き延びようとするからだ。
カクマルはこの論文の他のところで、日本経団連=奥田は小泉の対中・対朝鮮政策に反対しているなどというとんでもない分析をしている。いったい全体、経団連の1・18の二つの提言をどう読んでいるのか! 今や日帝の主流が腹の底から9条改憲による集団的自衛権の確保と行使を要求してきているのが、何を意味していると思っているのか。カクマルのこういう考え方は、「おしつけ」論・「小泉=忠犬ポチ公」論と思想的には同根である。
いずれにせよ、「改憲は米帝のおしつけ」という主張をここまで言いきったことは、カクマルが「革命的左翼」の皮を着た反革命として、ついに完全に破産し、崩壊しさったことを示すメルクマールだ。カクマルは改憲反革命にポーズとしても対応できない。カクマルの路線的破産をついてカクマルを打倒しよう。
第3章 戦争・民営化と対決する階級的労働運動の再生へ
(1)革命的情勢の急速な接近下の国際連帯闘争として
革共同は05年11月を、世界史的な大激動、すなわち帝国主義の史上3度目の基本矛盾の爆発、その戦争化という情勢の中で、その全体に真っ向から立ち向かうものとして位置づけて闘う。もちろん、今日的な新指導路線のもとに闘う革共同としては、労働組合・労働運動をひとつの基盤として、階級的労働運動をめざす者の最大結集という路線の実現として、05年11月を闘いぬく。これこそ今日において、革共同・闘う労働者にとって、労働者階級としての最大の結集と最良の闘いをつくりだすことのできる闘争形態だからである。
しかも、05年11月は、当面する階級情勢の危機を内側から打ち破っていくための闘う労働者の階級的総決起ということであって、政治課題に関する闘いもこの中でこそ実現していくのである。
1〜3月「日の丸・君が代」決戦、4〜7月「つくる会」教科書決戦は、帝国主義の戦争と植民地主義、民営化と労働組合破壊攻撃に対する闘いであり、この闘いは、アメリカ・韓国(民主労総)のプロレタリアートの闘いと根底的に連帯する闘いとしてある。
「つくる会」教科書問題は、すべてのプロレタリアートにつきつけられた敵の刃(やいば)である。未来の労働者階級を右から変質させていくこの「つくる会」教科書攻撃は、今日の労働運動の破壊の力としても働く。これは全労働者にとって、生死のかかった闘いだ。
闘う拠点の攻防が動労千葉労働運動、国鉄労働運動、3労組共闘をめぐる攻防であることをはっきりさせて闘おう。
さらに戦時下階級闘争のもとで、全金本山労組が34年間の不屈の闘いを貫いて2名の解雇撤回と17人の就労をかちとった完全勝利の意義は限りなく大きい。
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武建一委員長らに対するデッチあげ弾圧を3労組共闘と労働者階級の総決起で粉砕しなければならない。関西生コン弾圧粉砕は、11月労働者総決起の正面課題であることをはっきりさせて11月へのぼりつめていこう。
戦後60年の8・15を帝国主義戦争に対する体制変革をかけた国際連帯の闘いとして実現しよう!
(2)「つくる会」教科書決戦、動労千葉決戦と4大産別決戦
動労千葉の闘い
動労千葉は闘う労働組合に不断に襲いかかる資本・権力との攻防戦において、労働組合員・JR労働者の階級的戦闘性を結集しうち固めつつ、鋭い反撃戦を繰り広げ、勝利をもぎりとっていった。
尼崎事故は、国鉄の分割・民営化=JR化のもとで起こった最大の事故であるが、同時にそれは、国鉄分割・民営化、ひいては「戦争と民営化」時代の民営化そのものが内在している矛盾が、ついに爆発したのである。
今日の「戦争と民営化」攻撃は、国鉄の分割・民営化=JR化から始まり、今では4大産別をすべてのみ込む大反革命となって展開している。この民営化攻撃の最大の突破口となった国鉄分割・民営化=JR化が、ついにそのもつ根底的矛盾のゆえに、大事故を爆発させるに至ったのだ。民営化路線が強行され続ける限り、必ずより大きな第2、第3の尼崎事故の発生は避けられない。
資本は利潤追求第一主義に不可避的にのめり込む。運転保安を必ず軽視していく。この意味では、労働組合が労働者と乗客の生命のために全力で運転保安の闘いを続ける以外に、ブレーキをかける力は本質的にはないのだ。「闘いなくして安全なし」という動労千葉のスローガンは、長い血と汗の歴史の中でつかみとられた階級的真理なのだ。
動労千葉の05春闘ストと安全運転闘争、そして尼崎事故から1カ月を期して突入した安全運転行動は、7月19日の8人の本部執行部に対する厳重注意処分を弾劾し、継続して闘われ、レール交換などの大きな成果をかちとっている。
今日JR東会社は国労との間でいわゆる「和解情勢」をつくりだして、新しい労務政策へと動き始めている。
JR東会社は、JR総連の分裂・弱体化を促進しつつ、その一定の進行の中で、JR総連との関係を大きく整理すると同時に、この国労との「和解情勢」を進めている。これはJR総連を整理するだけでなく、同時にそれを、国労や動労千葉さえ含めて一掃しようとする狙いを込めているものだ。
動労千葉はこの情勢を一面では、自らの闘いが切り開いたものとして受けとめ、労働組合の力を一層強め、強制配転者の原職復帰を実力でかちとる闘いへと転化すべく闘っている。04春闘以来の闘いで検修職場への復帰を次々と実現し、さらに運転士登用をめざして闘っている。この中でついにJR東労組から19歳の青年労働者の加入をかちとった。これに続いて組織拡大に全力を挙げている。
逆に、国労中央の酒田一派や悪質革同の一派は、JR会社との闘いの中でその情勢を生かしきっていくどころか、会社の狙う1047名闘争の解体・解消、国労のJR連合への解体的吸収の方向にもっていくために必死になっている。このために、何がなんでも1047名闘争を解体しようとして、動労千葉の1047名陣形からの排除のために必死になっているのである。
だが、これは、闘う国労労働運動の伝統をあまりに足蹴にするものであるがゆえに、建交労(全動労)系の部分は、全労連(日本共産党直系)との対立を超えて、1047名闘争と鉄建公団訴訟の勝利のための闘いを守りぬくために偉大な7・15闘争を実現したのである。国鉄闘争は、7・15闘争をとおして3闘争団・争議団が一堂に会し、団結を固める場となったのである。
国労本部と警視庁公安部の結託による闘う国労組合員(コクロウエイト)に対する弾圧である5・27臨大闘争弾圧に対する裁判闘争を闘いぬこう。
全逓労働者の闘い
郵政民営化法案は、参院でギリギリの攻防となっている。
いま進行していることは、小泉=奥田の「骨太方針」(W→X)路線の背水の陣での強行過程ということであって、参院でも小泉が勝利するようなことは、断じて許してはならない。小泉がここで狙っているのは、戦後的な階級的戦闘的労働運動をなんとしてもこの「骨太」攻撃によって根こそぎ一掃するということだ。小泉は、ここに自己の政治生命をかけているのだ。ここで基本的に、小泉が勝利すれば、次に襲いかかるのは「日教組」解体であり、「自治労」解体である。またJRでの第2の分割・民営化と「JR和解情勢」をテコにしての国労と1047名陣形の一掃である。
郵政民営化法案の〈いったん全員解雇・選別再採用>という階級的本質はまったく変わっていない。
公社の解散時の職員は「承継会社の職員」となるということが雇用継続のように言われているが、これは大きなペテンだ。現在から法案通過後の基本計画決定を経て、公社が承継会社に引き渡されるまでの間に、何が行われるかということだ。この間にありとあらゆる形で雇用における反革命的攻撃が行われるのである。新会社の「定員」を決めないまま、徹底的な事前の人員削減の嵐が吹きまくる。そして、それはすでに今日の公社の「アクションプランT」での1万9千人の人員削減の上に、さらに「アクションプランU」が打ち出され、1万人の人員削減が計画されていることをみても明白である。
しかも、職員がどの会社に行くかは2週間前までに定めるという。ギリギリまで選別とふりわけの暴力的プロセスに労働者を追い込み、さまざまな形での会社からの排除が策されているのだ。自分のまったく希望しない配転を強要され、いやならやめるか、「人活センター」にでも行けということなのだ。さらに重要なことは、経団連の奥田が言っているように、「公務員身分の剥奪(はくだつ)」ということが決定的なのだ。つまり、承継会社に仮に再採用されても、有期雇用関係とされてしまうことになるのだ。
郵政民営化阻止の闘いは、この土壇場まで来ることによって、その反革命的本質がすべての労働者人民にも分かってきたという面がある。それが自民党の分裂をも強制している。その意味では、全逓労働者の必死の決起は、それが〈物ダメ・ストライキ>で闘うという立場で徹底的に闘いぬかれる時、まさに階級情勢を切り開く力として、決定的な意義をもってくる。
言うまでもなく、全逓労働者にとっても、教育労働者を先頭とする「日の丸・君が代」・「つくる会」教科書・教基法改悪・改憲阻止の決戦をともに闘うことが重要である。
自治体労働者の闘い
自治体労働者にとって、05〜06年はまさに産別の存否・命運をかけた時期となる。小泉政権、そして日本経団連を始めとする日帝ブルジョアジーが、小泉政権下で郵政民営化を強行した時、次に狙っているのは何か。一つは「日の丸・君が代」・「つくる会」教科書をテコとして、教基法改悪を小泉の手でやりぬくことである。それは日教組解体・御用化を狙う攻撃である。いま一つは、明確に自治労解体攻撃である。
@日本経団連の1・18の改憲提言は、日教組と自治労の反改憲勢力としての転覆・一掃の攻撃でもある。
A日本経団連の4・19公務員制度改革に関する提言は、次の狙いがずばり自治労解体に据えられていることを示している。
B何よりも、6月21日の、小泉内閣としての最後の「骨太方針X」は、その狙いを公務員制度の全面的・根底的「改革」に設定している。
C大阪市労連などに対する「ヤミカラ」キャンペーンの圧倒的展開は、国鉄分割・民営化時と百パーセント同じ文脈で進行している。その時と同じように自治体労働者への凶暴な襲撃の開始だ。
D「戦争と民営化」の嵐が今まさに自治体労働者に向かいつつある。自治体の事業の民営化は「市場化テスト」や「指定管理者制度」などをテコにすさまじい攻撃として進行しつつある。
Eこうした中で、自治労中央が「国の基本政策検討委」の最終報告(5月中央委員会)に基づき、「平和基本法制定によって国の自衛権を認める」という決定的な階級的転向を行おうとしている。公務員労働者という、国家・地方行政にかかわる部門で働く労働者としての自治体労働者にとって、憲法改悪攻撃への屈服は、戦後的な組合のあり方の根底的変更を意味する。それは戦争を組織する行政活動に“役人”として労働者を駆り立てる。これでは職場闘争そのものさえ、足元から崩れ去ってしまう。
Fこの意味では、03年において「21世紀宣言」と対決し、これをいったん否決したあのような闘いを、8月23〜26日の自治労鹿児島大会で爆発させ、中央の改憲派への転向の動きを阻止・粉砕することが、今や決定的課題となっている。
そして、05年11月決戦に決定的な勢力として結集し、「骨太方針X」、経団連の公務員制度の全面的変更提言という大反革命に、圧倒的に反撃していこう。
教育労働者の闘い
今まさに生死をかけた決戦となっている「つくる会」教科書をめぐる攻防が、教育労働運動の今日の決定的な環である。何よりも「つくる会」教科書の内容への怒りとその暴露を熱烈に行っていくことだ。この闘いを今逃げたら、日教組は戦争推進団体に変貌(へんぼう)していくしかない。
こんな教科書をいったいどんなやり方で教えたらいいというのか、考えるだけでも恐ろしい。このままでは教育労働者自身がこの教科書の内容によって決定的に縛られていってしまう、そういう危険が本当にあるのである。
今はまだ闘える。闘う余地はまだまだある。「日の丸・君が代」決戦を04〜05年に闘いぬいてきた力を、06年の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いへと確実につなげていく闘いが重要である。「つくる会」教科書への決起を闘う中からこそ06年の「日の丸・君が代」闘争の大勝利への道は開かれるのだ。
この「つくる会」教科書の決戦をさらに発展させることを軸に、これを「日の丸・君が代」決戦=「つくる会」教科書決戦=教基法改悪阻止決戦=改憲阻止決戦へとつなげていくこと――ここに教育労働者の闘いの基本方向がある。
(3)戦闘的学生運動の爆発へ
日帝・小泉=奥田の「大学改革」攻撃は、04年4月に強行された国立大学法人化攻撃である。その攻撃の核心は、「国際競争力の強化」「産学官提携の推進」「大学の社会貢献」であり、この攻撃のもとで国立大学における日帝・文科省の国家統制、ブルジョアジーの直接的大学支配への介入、企業会計原則の採用、大学職員非公務員化、「成績評価制度」の導入などの大攻撃をかけてきている。
そしてこの攻撃の中軸に「つくる会」教科書攻撃がある。それは大学を帝国主義世界戦争、争闘戦勝利、中国・朝鮮侵略戦争へたたき込む攻撃である。
法政大学生会館破壊=法政大学生運動破壊の大攻撃は、その最先端の攻撃である。しかし、これに対して、法政大学学生の強力な反撃が行われている。全国大学の学生自治会・自治寮・サークル破壊攻撃に対しても戦闘的学生運動の自治会権力樹立を先頭にねばり強い創造的闘いが本格的学生運動の復権をかけて挑戦されている。
さらに決定的な闘いは、5・15沖縄闘争の上で全学連が総力で都議選闘争の先頭に立ったことだ。「つくる会」教科書粉砕闘争を闘った全学連は、11月労働者集会の成功をともに闘い、05年〜07年階級決戦で日帝と「つくる会」派を震撼(しんかん)させる全国学生運動の巨大な発展を切り開くであろう。
(4)8・6広島-8・9長崎、8・15靖国参拝粉砕・戦後60年闘争へ
戦後60年=被爆60年、8・6広島、8・9長崎を原点に、反戦・反核闘争の階級的前進をかちとろう。
「1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、地上580bの上空で目もくらむ閃光(せんこう)を放って炸裂(さくれつ)し、小型の太陽ともいえる灼熱(しゃくねつ)の火球をつくった。火球の中心温度は摂氏百万度を超え、爆心地周辺の地表面の温度は3千〜4千度にも達した。爆発の瞬間、通常の爆弾には起こらない大量の放射線と強烈な熱線とが四方に放射されるとともに、爆発点は数十万気圧という超高圧となり、まわりの空気が急激に膨張して衝撃波が発生し、その後を追って強烈な爆風が襲った」(広島平和記念資料館)
この人類史上初の原子爆弾が広島市民の頭上で炸裂した瞬間、30万市民の多くが死傷し、建物のほとんどが跡形もなく倒壊、焼失して広島は壊滅した。
既成の原水禁・原水協運動は、ソ連スターリン主義の核実験に反対できず、また現実の侵略戦争と対決できず完全に破産した。そして連合がのりだし、侵略翼賛運動を行おうとしている。
帝国主義戦争がもたらしたこの8・6、8・9の原爆投下を絶対に許さず、戦争の根源である帝国主義体制打倒へ、帝国主義のイラク・北朝鮮・中国侵略戦争突入攻撃に対して、「闘う朝鮮・中国・アジア人民と連帯し、帝国主義の侵略戦争を内乱へ」の闘いを実現するために、8・6、8・9を闘おう。
新しい戦死者のため
日帝・小泉は、内外の巨大な怒りの決起を押し切って戦後60年の8月15日に「公約どおり」靖国神社参拝を強行しようとしている。01年就任以来、毎年参拝を強行してきた小泉は、今年は勝負の年とばかりに8・15参拝にこだわっている。中国人民、韓国人民の怒りの決起にもかかわらず、また中韓との外交関係が閉ざされることも辞さずに、なぜ強行しようとするのか。
それは、イラクに自衛隊を派兵し、北朝鮮・中国侵略戦争を日米枢軸のもとに準備している日帝が、新しい戦死者のために靖国神社を前面化していくことがどうしても必要だからである。それは「つくる会」教科書と一体の攻撃であり、日本の15年戦争を頂点とする侵略戦争の歴史を全面的に美化するものである。「今度戦争になったら必ず勝つことを誓うために靖国神社に参拝する」という西村真悟(石原の盟友)の発言に示されるように、靖国神社は労働者人民を戦場に駆り立てる戦争動員装置である。
靖国神社には、戦争に動員されて命を奪われた軍人軍属が合祀(ごうし)されている。天皇制国家に殺されたにもかかわらず、「神」としてまつるからありがたく思えと言われているのだ。沖縄戦の住民犠牲者も、軍人軍属としての犠牲と厚生省が認めるかぎりですべて靖国に合祀してきた。壕(ごう)内で日本軍に虐殺された乳飲み子を「壕移転」というカテゴリーの軍事的協力と認定して靖国にまつるというような驚くべきことが行われてきているのだ。そればかりか、日帝の植民地支配下にあって「日本人」として徴兵・徴用された朝鮮人民、台湾人民が計5万人近くも、遺族の抗議も踏みにじって一緒にまつられているのだ。死んだ後までも何十年にわたって侮辱しじゅうりんし続けているのだ。
日本の労働者人民は、今こそ中国人民、朝鮮人民と連帯し、小泉靖国参拝を粉砕する闘いに立ち上がろう。靖国問題は日帝の弱点でもあるのだ。この階級的激突に勝ち抜くならば、日帝をぐらぐらにさせ打倒することができるのだ。
今日、日米韓の階級的国際連帯の闘いの中に、勝利への道がある。8・15闘争への大結集をかちとろう。
(5)沖縄基地撤去、新基地建設阻止、三里塚・北富士・座間・関空闘争を
日帝・小泉の攻撃は、侵略戦争ができる「国づくり」であり、その推進として対北朝鮮・中国侵略戦争へ具体的に突入する攻撃である。そのために「公共の利益」と「国家の安全」の論理を押し出し、「国家の危機」に対しては「国民は国家のために死ぬことができなければならない」として、日帝の危機=日本国家の存亡の危機=祖国の危機として、虚偽のイデオロギーを操作して、危機意識を鼓吹し、国家を有機的生命的共同体であるかのように描きあげる。
しかし、現実の社会は階級分裂と階級対立の社会である。国家はどこまでも支配階級の国家であり、ペテン的共同体である。あくまでも支配階級の道具である。「公共」とは帝国主義国家のことであり、天皇のことだ。「公共の利益」とは日帝支配階級、帝国主義ブルジョアジーの利益のことである。「公共の利益」を振りかざした攻撃が、日米枢軸下の米軍再編攻撃の中で起こっている。
沖縄戦での「軍による集団自決の強要はなかった」とする「つくる会」一派の歴史改変の攻撃が開始されている。日本帝国主義が危機にのたうち回り、侵略戦争ができる国家への大転換攻撃をかけていることに対応したこの主張は、小泉・奥田の先兵になって、沖縄戦の歴史の転倒を図り、沖縄人民の戦後の階級闘争、島ぐるみ闘争、基地撤去闘争に対する憎悪むきだしの敵対としてある。
今日、トランスフォーメーションの攻撃と真っ向から対決して、普天間基地即時閉鎖・撤去の闘い、名護市の新基地建設阻止を海陸の実力闘争で闘う辺野古の闘い、都市型ゲリラ戦闘訓練施設の建設と実弾射撃演習の強行に対する金武町民を先頭とする闘いが爆発している。日帝・小泉が米軍再編を年内に決着させていくための絶対の前提は、普天間代替をさしあたり嘉手納への移設として関連3市町(嘉手納町、北谷町、沖縄市)にのませることである。日帝は今これにかけている。7・19金武町1万人集会に対する政府の態度は、「続いて何が起きるか、このまま鎮静化するか、それにかかっている」というものだ。だが、95年の民衆反乱以来10年、再び沖縄は怒りの決起のるつぼになっている。実力で辺野古の新基地建設阻止をかちとろう。沖縄人民の闘いを先頭に、全力で闘おう。
三里塚闘争への「北延伸」攻撃、北富士の入会権闘争の否定、座間への第1軍団司令部移転、横田基地の日米共用再編攻撃、横須賀の核空母母港化攻撃、関空・岩国・佐世保への侵略戦争体制攻撃。これらと闘う道は、「つくる会」教科書の侵略戦争美化・扇動と闘い、日帝の戦争国家化攻撃を粉砕するために国際連帯闘争を強化し、労働運動・労働組合運動の前進をかちとり、「帝国主義戦争を内乱へ」の階級的反撃をもって闘うことである。革共同は、闘う労働者・農民とともに断固として闘うことを宣言する。
(6)戦時下の差別・抑圧の大攻撃に対し階級的反撃の闘いを
戦時下に突入した今、「21世紀における現代革命の早期の達成」を宣言した革共同6回大会テーゼを真に実践することが問われている。
日本帝国主義は、「つくる会」教科書攻撃と一体のものとして排外主義・愛国主義・国家主義・ナショナリズムの攻撃を激化させている。
戦時下での在日・滞日外国人への植民地主義的抑圧のための入管・難民法のあいつぐ改悪、強制収容・強制送還の攻撃、他方で日帝・小泉=奥田の「東アジア自由経済圏構想」のためのFTA(自由貿易協定)締結。さらに奴隷的管理下での外国人労働力の導入の「外国人庁」「多民族共生庁」設置という日本経団連の提案は、現代の強制連行に道を開くものだ。
日帝の排外主義攻撃は、帝国主義国内における差別・抑圧攻撃を激化させている。3月狭山第2次再審請求をめぐる最高裁の特別抗告棄却は、戦時下において新たな部落差別攻撃を激化させている。それは差別糾弾闘争の解体・根絶、部落解放運動を日帝の侵略戦争に向けた国家総動員体制の一翼へと再編する攻撃である。5月の部落解放同盟全国連寝屋川支部弾圧での4人の全員無罪確定は、弾圧との闘いで生まれた階級的共同闘争の力だ。この闘いは差別を助長し扇動する「つくる会」教科書攻撃との激突での勝利であることをしっかり確認しよう。
「つくる会」教科書の天皇制・天皇制イデオロギー攻撃は、労働者女性を徹底した「差別・分断」のもとに抑圧し、一切の諸権利を剥奪しようとしている。圧倒的な労働者階級の団結の力で反撃に立ち上がろう。
「障害者自立支援法案」の衆院通過と参院での成立策動は、日帝の社会保障制度解体・障害者抹殺の新たな攻撃である。これは、帝国主義の行きづまりの中で、国家のために死ぬことのできる人間をつくる攻撃と一体のものだ。国家のために生きることができない人間は死んでもよいとするものである。断固粉砕しよう。
第4章 青年労働者・学生を軸に共産主義者の党の建設へ
共謀罪新設攻撃は、「組織的に共謀した」と権力が決めつければ、実行行為が伴わなくても処罰できるとする攻撃である。それは、思想を取り締まりの対象として言論や思想の段階で、革命党や労働組合そして市民運動を弾圧できるようにする“現代の治安維持法”だ。世界戦争へ突入する日帝国家権力の予防反革命攻撃である。基本的人権を解体し、国家への忠誠を強制する「つくる会」教科書攻撃と一体の攻撃である。共謀罪攻撃=「つくる会」教科書攻撃として一体的にとらえ、共謀罪粉砕・改憲阻止闘争へと闘い、力関係の転換をかちとろう。
裁判員制度の09年導入は、国家権力の人民弾圧に労働者人民を動員するものである。裁判員制度導入のために、刑事訴訟法の改悪が強行され、戦後司法の解体、戦時司法への転換の道が開かれた。しかし、戦後司法体制を支えてきたのは、権力から独立した日弁連と弁護士の存在であった。この日弁連を解体し、弁護士を翼賛勢力化することなしには戦時司法は貫徹されない。裁判員制度の階級的本質を見抜き、その粉砕のために司法戦線を先頭に総決起しよう!
星野文昭同志奪還闘争は、待ったなしである。彼は、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いに人間としてのすべてをかけて決起した。今も先頭で闘っている。75年8・6逮捕以来30年間の獄中闘争を闘う星野同志を、無期懲役攻撃を打ち破り、なんとしても取り戻さなければならない。再審闘争と大衆運動をもって、これまでにない前進をかちとり、党と階級の総力で星野同志を即時無条件に奪還しよう。
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判と千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判の控訴審で無罪を確定しよう。福嶋同志の結審・判決で必ず無罪判決をかちとろう。富山同志の異議審勝利・再審開始を闘いとろう。
今日、日帝・小泉、石原のもとで、戦時下の治安弾圧が強められている。革共同に対する相次ぐ弾圧、逮捕と家宅捜索の乱発は、革命運動、学生運動、労働運動の前進に対する恐怖に駆られた圧殺攻撃である。怒りを込めて反撃し、打ち砕こう。労働者階級の闘いの武器は「完黙・非転向」である。「完黙・非転向」こそ治安弾圧を粉砕することができる。
世界戦争か世界革命かが根本から問われている時に、その思想的・綱領的武器はマルクス主義である。マルクス主義こそ闘いの思想的・実践的武器である。
この武器をもって青年労働者・学生の獲得へ突撃しよう。全学連運動の爆発的前進をかちとろう。マルクス主義青年労働者同盟の建設をもって労働運動・労働組合運動の先頭に立とう!
壮大な機関紙活動の読者網の建設こそ、党派闘争に勝利する道である。労働運動の分岐・流動の中で、網の目の機関紙読者網の建設をもって労働者細胞建設へ前進しよう!
戦時下階級闘争における財政闘争の死活性について確認したい。革命党の財政闘争の原則をさらに徹底的にはっきりさせて闘おう。財政闘争とは党の団結と階級との結合の度合いに応じて前進する。財政闘争に勝利する道は、労働者階級の無限の力を確信することだ。この信頼を基礎に財政闘争を展開するならば必ず前進することを確認しよう。
11月労働者総決起の歴史的成功をかちとり国際連帯の闘いをさらに発展させよう!
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週刊『前進』(2209号8面1)(2005/08/08)
コミューン 9月号
イラン情勢の緊迫
イラク侵略戦争の泥沼の中に首まではまりこんだ米帝の新たな中東支配戦略は、早くも破産的危機に直面している。米帝は、この泥沼から抜け出ることもできないままに、今日、絶望的なイラン侵略戦争に突入し、中東全域に侵略戦争を拡大しようとしている。
今号の特集は、米帝がなぜ今イランへの侵略戦争に突進しようとしているのか、そしてこうした危機情勢下で、今イランではいったい何が起きているのかを解明する。
第1章では、切迫する米帝のイラン侵略戦争政策の展開過程と現状を明らかにするとともに、イラン革命後四半世紀を経て、国内でついに開始された「イスラム法学者による独裁」との内乱的闘いの現状を明らかにする。第2章では、イラン革命後のホメイニ派による権力簒奪(さんだつ)によって形成された国内支配体制の実態とその反動的性格について分析している。第3章では、イランの石油・天然ガス資源をめぐるEU帝国主義と米帝との激烈な争闘戦の現状を、最新の資料に基づいて分析している。これは米帝のイラン侵略戦争が、なぜイラク侵略戦争の真っ最中に行われようとしているかを解明するカギをなすものである。
翻訳資料は、アメリカのフォト・ジャーナリストでUSLAW(全米反戦労組連合)の活動家であるデービッド・ベーコン氏が、米軍占領支配と闘うイラク石油労組委員長に対し行ったインタビューを掲載した。
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週刊『前進』(2209号A面1)(2005/08/08)
戦争と民営化・労組破壊に対決 米韓労働者との国際連帯発展を
ソ連スターリン主義の崩壊以降、今や帝国主義はその基本矛盾を全面的に爆発させ、世界戦争と大恐慌の過程に突入している。外に対する侵略戦争、内に対する労働者階級への大失業と民営化(労組破壊)の攻撃をいよいよ激化させている。この帝国主義と闘う労働者国際連帯の発展が今こそ求められている。昨年の11・7労働者集会は日米韓労働者の国際連帯の闘いとして歴史的地平を開いた。アメリカと韓国の労働者の闘いも、分岐と流動を深めながら、新たな局面に入りつつある。戦後60年の8・15と今年の11月労働者総決起に向け、日米韓連帯をさらに前進させよう。そのための一環としてアメリカと韓国の労働運動、階級闘争の現状をレポートする。
国際的闘い進める新潮流 アメリカ AFL−CIOの分裂は帝国主義労働運動の破産
既成指導部の抑圧突き破る現場の決起
7月25日、AFL−CIO(アメリカ労働総同盟産業別組合会議)大会開会の日、傘下最大労組のSEIUと第3位のチームスターズがAFL−CIOからの脱退を発表した。さらに五つの労組が続き、AFL−CIOの約4割の勢力が分裂すると言われている。
もともと1955年のAFLとCIOの合併でつくられた帝国主義労働運動の戦後体制は、ILWU(国際港湾倉庫労組)などの戦闘的労組のCIOからの追放と赤狩りによって成立したものだ。この反動的体制がついに崩壊を開始した。世界史的事態と言える。
この分裂の本質は、現場労働者の闘いの爆発を抑えられなったことをめぐる労組官僚内での対立だ。特に昨年のILWUローカル10(第10支部)を軸にした百万人労働者行進運動が労働者階級の独自の勢力としての登場を切り開いたことが、既成指導部を脅かし、焦りを生んだのだ。
脱退に動いている「勝利のための変革連合」の諸労組は、特に激しい本部と現場の対立を抱えている。
SEIU(サービス従業員国際労組、180万人)は、この間、多くのローカル(支部)を強制的に合併し、それに反対する支部や、本部の意に反して戦闘的闘争をしている支部に「信託指導」をしてきた。支部を本部が乗っ取って、本部直轄で支配する処置である。それでもカリフォルニア州の諸支部などは、CNA(看護師労組)などと連帯して、シェワルツェネッガー知事の教育・医療・年金の民営化・切り捨て強行と闘って勝利し、自信をつけた。現場の労組活動家は本部と対決して団結を固めている。
チームスターズ(陸運など多数の産業を組織、140万人)は、マフィアと一体となった極悪右派組合だ。イラク戦争を積極的に支持している。だが、組合内にはチームスターズ民主化同盟(TDU)という大きな反対派が存在し、最近もシカゴの二つの支部でマフィア派支部長を追放する勝利を収めている。
UNITE−HERE(縫製・繊維/ホテル・レストラン従業員組合、45万人)は、一部にマフィアと癒着した部分を抱え、現場労働者を抑圧してきた。
しかし、同労組ローカル11(ロサンゼルス)が主導した「移民労働者フリーダム・ライド」運動は、03年に全米に波及して大運動になった。これは、移民労働者への排外主義の高まりを押し返す決定的な役割を果たした。また、ローカル11はイラク反戦闘争の先頭に立っている。
04年の労働協約改定で医療保険の経営者負担分の大幅カットなどを求めたホテル経営者団体に対し、ローカル11は徹底的に長期争議を闘った。そして、今年6月、全面勝利し、全米に衝撃を与えた。
サンフランシスコのローカル2は、同じような11カ月長期争議を今も続行している。7月に経営側が医療保険などで一定の「譲歩」をしたペテン的な協約案を提示してきたが、ローカル2は原則を守ってこの案を拒否し、団結を維持強化している。そして、サンフランシスコ市長選挙でも昨年の大統領選挙でも、全既成勢力からのすさまじい重圧を跳ね返し、民主党支持運動に流れなかった。
このような現場労働者の闘いが諸労組の既成指導部を脅かしているのだ。
だからこそ、「勝利のための変革連合」の方針は、極度に非民主的にならざるをえない。その方針は@労組の合併を推進し、全米の労組を17個程度の巨大労組のみにし、支部の大合併も進めるA権限を労組中央に集中するB各労組からAFL−CIOへの拠出金の半額を各労組中央に戻す――というものだ。「連合」の形成の時も、SEIUなどがAFL−CIOを脱退した時も、一般組合員はもとより中央執行委員会ですらまともに討論されず、トップだけで決定した。
「連合」は現AFL−CIO執行部反対の理由として組織化の失敗を挙げている。確かに組織率は55年の35%から現在の12・5%まで毎年低下し続けている。
しかし戦闘的な現場の闘いを抑圧しておいて組織率回復ができるはずがない。アメリカの新規労組結成の闘いでは、3分の1のケースで結成活動をした労働者が解雇されている。不当労働行為は野放しだ。こうした攻撃との対決こそが組織化の鍵(かぎ)なのだ。
反戦闘争こそ労働者が労組を奪い返す道
このAFL−CIO大会が開かれたシカゴには、労組官僚から組合を奪還し、全労働者階級の闘う団結の形成を目指す活動家が全米から結集した。その闘いの軸が国際連帯だ。
全米反戦労組連合に結集する労組と活動家は、各地で反戦決議案の組織決定をかちとって結集した。大会では「即時撤兵」を求める決議案がカリフォルニア州連盟など18の州・地区組織から提出された。AFL−CIO中央は「できるだけ早く撤兵」という決議案を出したが、ブッシュの言い分と同じではないかと弾劾され、粉砕された。
この闘いはペンシルベニア州のAFCSME(自治労)第1199地区協ニコラス議長をも動かし、「私の息子は4回イラクに送られた。また送られようとしている」「45年間組合活動をして、今ほど誇りに思える時はない。初めて『もうたくさんだ!』と言える勇気が持てたからだ」という発言がかちとられた。
AFL−CIO中央は26日、「速やかに撤兵」という案を出し、可決された。これもペテンだが、高まる「即時撤兵」の声に歩み寄る形だけでも示さなければ収拾できなくなったのだ。
大会開会の前々日、23日にはパレスチナの労組に連帯する労働運動集会が行われ、AFL−CIO中央がイスラエルの「アパルトヘイトの壁」建設などを支持し、帝国主義に加担していることを弾劾した。
24日には、労組活動連合などの呼びかけで「労組を労働者の手に奪還する」集会が行われ、「戦争、グローバル化と切り離せない民営化」との国際的闘いが焦点になった。またこの集会後、政府機関NED(米民主主義基金)の資金を受けて外国の労働運動を破壊し、侵略の先兵になっている既成指導部を弾劾する街頭宣伝・デモが行われた。
飢えを強制する資本に労働者の怒り爆発
労働者の生活に切実な問題についてAFL−CIOの現執行部も「連合」も沈黙している。両者ともイラク戦争支持では同じだ。時間外手当剥奪(はくだつ)、年金・医療・教育の破壊についても労働者の闘いを組織しない。
だが、既成労組官僚がいかに労働運動の分裂を図り、現場労働者への統制強化を図っても、労働者の闘いは抑えきれない。もう食えないという労働者の怒りは臨界点に達している。
アメリカ市長会の本年度の『飢えとホームレス調査報告書』によると、27の主要都市で、緊急食料援助を求める子持ち家族が03年から04年にかけて平均13%増えた。03年農務省統計では3500万人が「次の食事はどこで食べられるか分からない」という。失業者はもとより就業者も低賃金で食っていけない状態だ。
そして、食えないという叫びとイラク反戦運動が先進的な労働運動を軸に結合してきている。
ILWUローカル10を始めとした戦闘的階級的労組は、UNITE−HEREなどの協約闘争を支援するとともに、今年3月19日のイラク戦争開戦2周年港湾封鎖を始めとする闘いに決起している。膨大な軍事費を使いながら教育・医療・福祉を削減する帝国主義への怒りが組織されている。
ローカル10は、02年のILWU協約闘争にブッシュ政権が「対テロ戦争」の名で介入してきた経験から、侵略戦争、世界的な民営化・規制緩和と徹底対決しなければ労組破壊とも対決できないことを教訓化している。そして「外への侵略戦争」との対決と「内への階級戦争」との対決を意識的に結合することによって巨万の大衆が動き始めているのだ。労働組合を労働者の手に取り戻し、帝国主義・資本を打倒して勝利する鍵は、国際連帯だ。
(村上和幸)
解放60年、戦時下で権力と激突 韓国 6月非正規法改悪を阻み非正規職撤廃へ進む闘い
戦後60年、南北分断体制を打ち破り、労働者人民の革命的な統一を希求する朝鮮人民の民族解放の闘いは、非正規職労働者、民主労総の闘いを軸に新たな局面に突入しようとしている。これに対して、ノムヒョン(盧武鉉)政権と韓国資本は自らの延命をかけて日米帝国主義と帝国主義資本のもと、FTAやWTOを推進し、労働運動弾圧・民主労総解体攻撃に血道をあげている。
スト破り車両が韓国労総の幹部を轢殺
05年前半、ノムヒョン政権による労働弾圧が過酷を極める中、非正規職労働組合の体を張った闘いは、派遣法改悪を始めとした非正規職改悪法案を4月国会に続き6月国会でも成立を阻止し、ついに民主労総、韓国労総の2大ナショナルセンターがノムヒョン政権との総力闘争を宣言するに至った。
国会攻防が続いていた6月14日、忠州のサジョ・レミコン工場前でスト破りの代替要員導入に抗議していた韓国労総のキムテファン忠州本部長が会社側が雇った車両にひき殺された。特殊雇用労働者の非正規職闘争の渦中で起こった資本による殺人事件は、全労働者を激怒させた。
韓国労総は18日に忠州市庁前で「キムテファン烈士殺人蛮行糾弾、特殊雇用労働3権戦取のための全国労働者大会」を開き、事件の真相究明・責任者処罰を要求し、ノムヒョン政権退陣闘争への突入を宣言した。そして7月7日、韓国労総は97年労働法改悪阻止闘争以来のゼネストを闘った。6万人がストに参加、光化門には4万人が結集し労働者大会が開かれた。その場で韓国労総は、労使政委員会脱退を公式表明した。イヨンドク委員長は、「政府が推進する労使先進化ロードマップは労働組合の無力化を狙うものだ」と労働部長官の退陣を求めた。
7月20日、ソウル駅前に5千人余の労働者が集まった両労総決意大会では「労働者すべてを殺す労働部長官は退陣しろ」「ノムヒョン政権の労働政策を粉砕しよう」と叫んだ。
ハイニックス支会の非正規職撤廃闘争
ハイニックス・マグナチップ社内下請け支会の闘いは、蔚山建設プラント労組の闘いとともに非正規職闘争の最火点だ。昨年10月に労組を結成し、民主労総の金属労組に加盟。団体交渉を要求したが、会社側は拒否。クリスマス休暇明けに突然、組合員が所属する下請け会社だけが閉業し、180人余りの組合員は職場から追われ、年明けには整理解雇が通告された。4・1ゼネスト、5・1メーデーを始め資本と一体となった警察の弾圧と実力で渡り合ってきた。
6月30日、民主労総は清州で「故キムテファン烈士精神継承、非正規職の正規職化、ハイニックス・マグナチップ社内下請け闘争勝利のための全国労働者大会」を開き、対政府闘争を宣言した。集会後のデモに出たが、路地までぎっしりと埋めた警察部隊に労働者の怒りが爆発、鉄パイプでの激突となった。
労組は7月11日から大田地方労働庁前で不法派遣公正実態調査判定を要求して無期限の路宿闘争に入った。そこに21日、下請け3業者が百パーセント明白な不法派遣であるとの判定結果が届いた。ハイニックス・マグナチップ半導体は即刻全組合員を直接雇用しなければならない。
他方、7月19日にはハイニックス支会が所属する金属労組と資本の中央交渉が暫定合意に至った。100日に及ぶ産別交渉の結果、▼金属産業最低賃金を昨年比9・2%引き上げの76万5060ウォンとし、非正規職労働者(移住労働者)まで適用する、▼非正規職労組の活動と雇用保障、▼不法派遣が確認された場合には正規職雇用を原則とすることなどが合意された。非正規職労働者の労組加入を展望させるものだ。
非正規職労働者の組織化は、争議現場でこそ大きく進んでいる。1月から全面ストライキを闘っている現代自動車社内下請け労組の闘いが典型的だ。現代自動車労組と蔚山、牙山、全州各工場の非正規職労組で構成された現代自動車不法派遣元・下請け連帯会議は、6月を非正規職労組集団加入期間として、現場巡回などにより労組加入を追求してきた。
蔚山工場の社内下請け労働者は約9千人、このうち直接生産ラインの1〜5工場所属は6千人から7千人ほど。6月9日には1工場を現場巡回、ビラを配布して昼食時間と夜食時間に開かれる労組集団加入集会への参加を呼びかけた。この日、新たに144人が組合に加入、1工場の組合員は一挙に244人(組合組織率62%)になった。28日までに1〜3工場で約1700人が労組に入った。
現代自動車では昨年労働部から1万人以上の社内下請け労働者が不法派遣と判定された。現行の派遣法では、「不法派遣」の場合、ただちに正規雇用に転換しなければならない。しかし、現代自動車は実効的な是正措置を行わないばかりか、不法派遣元・下請け連帯会議が要求した3回にわたる不法派遣特別交渉にも応じようとしていない。政府の派遣法改悪案では派遣業種の全面的な拡大とともに、現行の不法派遣を合法化しようと策動している。
他方、05賃金団体協約交渉に産別交渉で臨んだ保健医療労組に対し、中央労働委員会はゼネスト前日の7月7日、職権仲裁に回すという暴挙に出た。病院を公益事業場に認定し、ストを禁圧(14日間はスト禁止)したのだ。労組はいったんストを留保した上、20日に産別ゼネストに突入した。この職権仲裁をめぐって両労総は中労委、地労委などの労働者委員全員が抗議辞任し、ノムヒョン政権との対決姿勢を強めている。
しかしノムヒョン政権は、非正規職法案改悪攻撃とともに9月国会に労使関係法制度先進化方案(労使関係ロードマップ)を提出し、全面的な労働法制改悪をしようとしている。その一例は、職権仲裁制度を廃止する代わりに「最少業務維持対象業種」を鉄道・地下鉄以外の旅客運輸事業にまで拡大。合法ストに突入しても出勤時間帯には通常の50%を配車することを義務づけ、ストライキを無力化しようとしている。
ゼネストを闘って労政合意をかちとりながら、一方的にほごにされた鉄道、地下鉄などの軌道連帯、貨物連帯と運送荷役労組の貨物労組統合準備委、民主タクシー連盟、民主バス労組、さらに現在「空の安全を守ろう」とストライキ中のアシアナ航空操縦士労組などの航空労組が集まり、5月26日に運輸労組連帯会議(運輸連帯)が発足した。「運輸が止まれば世の中が止まり、世の中が止まれば世の中が変わる」と労働者の力で「世の中を変える」ことを宣言した。
北朝鮮シフトの米軍大再編に怒りの反撃
日帝の朝鮮植民地支配と侵略戦争から解放された8月15日を朝鮮では「光復節(クァンプクチョル)」として祝ってきた。今年60年目の8・15を迎える朝鮮半島は、6者協議が示すように米日帝の北朝鮮侵略戦争が切迫する戦時下情勢にある。それと真っ向から対決する闘いが、ソウルから南に90`のピョンテク(平沢)で「米軍基地拡張反対、韓半島戦争反対7・10平和大行進」が開催され、1万2000人が集まった。人間の鎖で基地を包囲しようとする参加者を警察が過剰警備で抑え込んだ。これに積年の怒りが爆発し、流血の激突に発展した。怒った学生・労働者は基地フェンスを20bにわたって引き倒した。
ソウルのヨンサン(龍山)基地を縮小しピョンテクに移転、韓国の米軍基地の80%を集中させようとする計画を韓米政府が合意している。これは北朝鮮侵略戦争に向かって米軍を再編しようとする攻撃であり、沖縄基地再編とともに対北朝鮮の先制攻撃態勢を確立しようとする動きだ。
民主労総を始めとした韓国労働者と連帯し、05年8・15集会から11月労働者総決起へ力強く前進しよう。
(室田順子)
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