ZENSHIN 2005/04/11(No2193 p08)

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週刊『前進』(2193号1面1)(2005/04/11)

 小泉=奥田の最先兵 ファシスト石原打倒へ

 労働者階級の決起と連帯してともに帝国主義打倒の闘いを

 革共同はすべての新入生に訴える

 新入生歓迎企画 労働者と共に世界革命へ闘おう(4、5面)

 革共同中央学生組織委員会

 世界戦争への過程がすでに始まっています。全世界で労働者階級と被抑圧民族が帝国主義との闘いに決起しています。革共同中央学生組織委員会は、すべての新入生・学生諸君に、激動する現代世界と向き合い、帝国主義の打倒と世界革命の実現に向けて、ともに闘うことを訴えます。

 第1章 戦争・恐慌・失業・飢餓の根源こそ帝国主義だ

 世界を見ても、日本を見ても、学校を見ても、どこを見ても、人間が互いに対立させられ、殺し合いをやらされている。どうしてこんなに生きにくいのか。そう感じているのはあなただけではありません。労働者階級全体がギリギリの状態に立たされているのです。
 一切の問題は資本主義・帝国主義の問題です。資本の利潤追求のみを動機とし、拡大に次ぐ拡大を遂げ、巨大な富を独占してきた帝国主義。その帝国主義が矛盾を爆発させている。歴史的生命力が尽きようとしている帝国主義が断末魔のあがきに突入している。帝国主義の矛盾が戦争として爆発を始めていること、帝国主義を打倒することが一刻も早く求められていること、その決定的チャンスが到来していることを、私たち全体の認識にする必要があるのです。
 帝国主義の危機はあまりに深刻であり、その攻撃は堤防決壊的な激しさで襲いかかってきています。一方で、労働者階級の怒りと変革の要求、他方で既成指導部の裏切りと転向への絶望が渦巻いています。それに対応して、ファシストが帝国主義の先兵として突撃してきています。「日本の危機」「国家の危機」を叫び、侵略戦争を翼賛し、労働者階級の階級的団結を解体して動員する決定的な攻撃に出てきています。
 私たちは、歴史の重大な分岐点に立っています。一切は、帝国主義を批判し、帝国主義を打倒する立場で、労働者階級が階級的に団結できるかどうかにかかっています。そして、現状を帝国主義の問題として批判し、帝国主義打倒にこそ現状変革の展望があることを訴える勢力が力強く登場するかどうかにかかっています。革共同は、既成の潮流をのりこえる帝国主義打倒の潮流として登場するために闘っています。
 今や、労働者階級の国際的な隊列の発展が始まっています。イラク反戦の闘いに全世界数千万の労働者階級が決起しています。何よりも、アメリカ帝国主義の足下から労働者階級の反乱が始まっています。そして、帝国主義国の労働者階級と、イラク・パレスチナを始めとする中東・ムスリム人民、および朝鮮・中国人民の闘いが、反帝国主義のひとつの軍勢となって進もうとしています。
 04年の11・7労働者集会は、スターリン主義の歴史的な反動をうち破って、帝国主義と対決する日米韓の労働者階級の団結と連帯を生み出しています。「日の丸・君が代」強制拒否の闘いはファシスト石原打倒の展望を切り開いています。動労千葉の闘いが階級的労働運動の前進を支えています。これらの決起の中に、スターリン主義の破産をのりこえ、帝国主義を打倒する力が存在するのです。

 ブッシュと世界戦争

 アメリカのブッシュ大統領は、本気で世界を戦争にたたき込もうとしています。ブッシュは先の就任演説で「自由の拡大」「圧制の終焉(しゅうえん)」というスローガンを掲げました。これは、アメリカ帝国主義が世界戦争を遂行するための国民結集のイデオロギーです。「自由の拡大」なるスローガンは、何よりもイラク侵略戦争と軍事占領を、「自由」の名で正当化するものです。
 イラクへの侵略戦争の根底には、アメリカ帝国主義の中東支配・石油支配とドル支配の危機がありました。9・11反米ゲリラ戦と中東新植民地支配の危機、中東の石油をめぐるEUと中東諸国の接近、石油決済通貨のドルからユーロへの切り替えの動きなど、アメリカ帝国主義の中東支配・石油支配とドル支配が深刻な危機に陥っていたのです。イラク侵略戦争によってアメリカ帝国主義は、EUの狙いを粉砕し、中東支配を再編し、再植民地化する政策を開始しました。
 これが、ブッシュの言う「自由の拡大」の典型的な姿です。つまり、「自由の拡大」とは、アメリカ帝国主義の世界支配の危機を、暴力的に再編する戦争=世界戦争の宣言なのです。「圧制の拠点」と決めつけた国々に侵略戦争を拡大しながら、他の帝国主義国をたたき落とし、アメリカ帝国主義の世界支配の再確立を図ろうとしているのです。
 そして、ブッシュは、このような世界戦争を本気で発動しようとして、きわめて具体的にその態勢づくりを進めています。対ソ連戦を想定したこれまでの米軍の配置を大きく再編するトランスフォーメーションです。中東−アジア地域を「不安定の弧」と称してイラク侵略戦争を継続するとともに、究極的には中国の転覆と支配を戦略目標とした北朝鮮への侵略戦争発動を狙うものです。
 しかも、このトランスフォーメーションが、米・英・日の枢軸を形成し、独・仏−EU連合との対立に踏み切るものとして進められていることは重大です。イラク侵略戦争で決定的となった帝国主義間の分裂と抗争を、さらに深刻に推し進めるものにほかなりません。
 「ブッシュは本気で世界戦争をやろうとしている」と訴えた時、「ブッシュを代えればいいではないか」、あるいは「確かにブッシュは横暴だが、世界戦争まではやらないだろう」という意見があります。しかし戦争は、単に好戦的な勢力が政権を握っているから起こるものではありません。戦争は、帝国主義という体制全体の矛盾の爆発だからです。帝国主義が帝国主義である限り、戦争にまで行き着くしかないのです。
 帝国主義は過去の話ではありません。〈資本主義の独占的段階〉である帝国主義は、市場に対する過剰な資本・生産力の重圧のもとで、生き残りをかけて世界の市場・資源・勢力圏を求めて激突します。帝国主義の国内支配と世界支配の危機が深まる中で、それは結局、侵略戦争・世界戦争として爆発せざるをえません。独占的段階に至った資本主義的生産関係のもとでは、そうする以外に過剰な資本・生産力をどうすることもできないからです。
 確かに戦後の帝国主義は、アメリカが他の帝国主義と比べものにならないほど圧倒的な経済的軍事的力量を持ったことで、特異な戦後発展を遂げました。しかし、アメリカの歴史的没落が激しく進むとともに、各帝国主義国のあらゆる国家独占資本主義政策が破産し、さらにはどうにもならない過剰資本状態の中で起きた日米の経済バブルも崩壊し、いよいよ帝国主義は世界大恐慌と世界戦争の過程に突入し始めているのです。
 資本主義・帝国主義は、歴史上かつてない巨大な生産力を生み出しました。しかしこの生産力が資本主義の生産関係のもとでは過剰となり、その矛盾は大恐慌と戦争、失業と全世界的な飢餓として爆発するしかないのです。だから、帝国主義を問題にし、帝国主義を打倒することが必要なのです。
 アメリカ帝国主義が貿易赤字と財政赤字を膨大に積み上げ、ドルを基軸通貨とした帝国主義世界経済が決定的に行き詰まっています。恐慌の爆発を繰り延べる方式も、完全に限界にきています。戦後、アメリカを頂点として巨大化してきた帝国主義的な生産力が過剰となり、世界恐慌の爆発という形で、一挙にその暴力的な「解決」を迫っているのです。国際的には、帝国主義国そのもののいくつかをたたきつぶし、国内的にもいくつかの金融資本をスクラップするような激しい資本破壊・資本整理を不可避とします。帝国主義国は生き残りをかけて相互につぶし合いを行い、ついにその軍事化・戦争化となるほかないのです。
 ここに、没落する米帝ブッシュが、世界戦争へ突き進む必然性があるのです。

 第2章 改憲と世界戦争参戦の路線を提言した経団連

 こうして見た時、「グローバル化が進んで、国家の枠組みがなくなり、アメリカも自国の利害から離れ、世界全体が『帝国』を中心にしたネットワークになっていくから国家間の戦争にはならない」という意見は、帝国主義を擁護する反動的見解です。現実は、いわゆるグローバリゼーションのもとで帝国主義国家間の対立が一層激化し、軍事的な対立にまで発展しています。
 「グローバリゼーション」とは、国家独占資本主義政策の破産と解決不能の財政危機として戦後の延命方式が破綻(はたん)した帝国主義が、それを開き直り、帝国主義の論理、資本の論理をむき出しにして、「多国籍企業」と軍事力で世界に侵略と支配を拡大する過程だったのです。
 その結果は、一方で、暴力的なやり方で世界の富がアメリカ帝国主義に集中・独占されると同時に、他方で、全世界に飢餓と貧困を激増させ、失業と非正規雇用化、賃下げを強制し、資本主義・帝国主義がその搾取の対象である労働者階級を食わせていけないという一個の体制としての限界の露呈でした。1日1j以下で暮らす人が世界全体で12億人、アメリカ国内でも飢餓人口が3千万人・人口の15%に至っています。他方で、ごく一握りのアメリカの資本家どもが、世界の富の6割を独占するに至っているのです。
 しかも、アメリカ帝国主義の歴史的な没落は容赦なく進行し、各帝国主義によるFTA(自由貿易協定)の締結合戦という局面に入り、帝国主義の分裂と抗争を激化させ、帝国主義の矛盾が帝国主義国家同士の戦争として爆発することは避けられなくなっているのです。こうして、すでに帝国主義は03年3・20イラク開戦をもってアメリカを先頭に世界戦争過程に突入しているのです。
 資本主義・帝国主義の矛盾の爆発は、人類が経験したことのないほど破壊的なものです。しかし、この資本主義・帝国主義を世界革命で打倒することの中にこそ、新たなより高次の社会への移行を必然とする条件があるのです。
 いま世界は2期目のブッシュ政権のもと、本当にイラク侵略戦争から世界戦争へと突き進んでいます。この情勢に対応し、日本の資本家階級の総本山である日本経団連が、『わが国の基本問題を考える』という提言で、憲法改悪と教育基本法改悪を正面から打ち出しました。
 安保・外交問題についてこれまで発言しなかった財界が言っているところに事態の重大性があります。この情勢で、日本帝国主義自身の戦争を発動できなければ、自らの階級的利害を守ることができないという激しい危機感です。そのため、憲法を始めとする戦後的な制約をうち破って帝国主義戦争を発動できる国家体制に抜本的に転換する国家大改造を断行しなければならないとしています。
 05〜06〜07年の3年間がまさに改憲をめぐる大決戦となりました。その最大の攻防は、戦後の階級関係の転覆、労働組合−労働者の団結の解体にあります。財界・資本家階級も、ここがなかなか進んでこなかったことにいらだっています。そして、ここを右から突破するファシスト的な突撃隊として、東京都知事の石原が登場してきているのです。

 戦争体制へ国家改造

 (1)『わが国の基本問題を考える』は、「世界の平和と安定」に対して「主体的に関与」するという論理で、日本帝国主義は世界戦争に参戦すべきだとしています。ついに日本の資本家階級が、世界戦争の論理を打ち出したのです。
 日本経団連は、世界中の「国際紛争」に対して「世界の平和と安定」のために軍事力を積極的に投入する、帝国主義的軍事力を行使できなければアジア諸国を従わせることができない、だから日本は米・欧に比してアジア勢力圏化に立ち後れてしまっているのだ、としています。そのためには、現行憲法第9条は決定的な制約だと言うのです。
 (2)「集団的自衛権」についての足枷(あしかせ)を外すことを要求しています。帝国主義同士のつぶし合いの死闘の中で、アメリカ帝国主義との間で日米枢軸関係を形成して、世界戦争に踏み出していくことを決断したのです。
 2月19日に開催された日米安保協議委員会で、重大な合意が行われています。そこでは、米軍のトランスフォーメーションに、日本帝国主義が全面協力すること、日米同盟を決定的に再編することで合意しました。
 そして、北朝鮮のみならず中国を日米共同の戦略的対象とし、日米の軍事力の一体化に向かって踏み込むことを確認しました。そして日米枢軸への踏み切りによって日本・沖縄が世界戦争の出撃拠点としてはっきりとすえられたのです。
 (3)「民営化」「規制緩和」と称して、資本に対する国家の規制を撤廃させ、弱肉強食の資本の搾取の徹底と労働組合の解体を要求しています。同時に、国家を改造し、治安弾圧と戦争という役割に純化させようとしています。
 (4) まさにこのような国家改造が教育改革、教育基本法改悪において打ち出されています。今や資本家階級は、労働者は資本にとって「材料」「商品」に過ぎないという本質を徹底させ、それを教育において貫こうとしています。学校は「人材」をつくる「工場」であり、教育力とは「人材」をつくる生産力である。そのために教師を徹底的に働かせる。こうした教育力=生産力をあげるために、今日の教育労働者へのすさまじい攻撃があるのです。これは同時に、モノなんだからいくら殺してもいい、という人間を殺すイデオロギーでもあります。
 教基法改悪では、日本を愛する日本人をつくれと言っています。愛国心、日本人としての誇りと根性がなければ、国際競争に勝てないと言っています。 

 第3章 閉塞状況打破を右から叫ぶファシストの突出

 日本の労働者階級の闘いにとって、今や、ファシスト石原を打倒することが第一級の戦略的課題になりました。
 「戦争こそは社会の原理」「中国を分裂させる」「憲法を命がけで破る」といった言辞を見て下さい。これこそが今や、世界戦争参戦を決断した日本の資本家階級のむき出しの階級意志です。石原は、それをストレートに体現し、都知事の権力を使い切って、小泉=奥田路線が突破できないでいるところを突き破っていこうとしているのです。
 なぜ石原に300万もの票が集まったのか。それは労働者階級の現状に対する怒りが渦巻いており、既成政党、労働運動の既成指導部の裏切りと転向に絶望しているからです。そしてこの閉塞(へいそく)状況の打破と現状の変革を石原がファシスト的に叫んでいるからです。
 だから、「石原が言っていることはひどい」と弾劾しているだけでは、労働者階級の怒りや変革の要求をとらえられません。現状を帝国主義の問題として批判し、帝国主義打倒こそ現状変革であることを訴える勢力が力強く登場すれば状況は一変するのです。
 そのためにも、石原のファシスト的な言動と対決し、帝国主義打倒の立場を鮮明に突き出すことです。
 (1)石原は「戦争こそは社会の原理」であり、無条件に受け入れるしかないと言っています。しかし、石原が問題にしている日清戦争、日露戦争や二つの世界大戦も、危機にあえぐ帝国主義国家同士の資源や植民地をめぐる死闘でした。資本家階級の利害のために労働者階級と被抑圧民族人民を犠牲にした不正義の戦争でした。それは、労働者階級にとっては選択の余地のない原理ではなかったのです。不正義の侵略戦争を行う帝国主義に対して、労働者階級が国際的に連帯し、また被抑圧民族人民と連帯して帝国主義を打倒するという革命的選択、壮大な展望があったのです。
 (2)石原は「日本の危機」「国家の危機」を叫んで、国家のために尽くせとあおっています。しかしいったい、「日本の危機」「国家の危機」とは何なのでしょうか。日本という帝国主義国家の中には、圧倒的多数の労働者階級と、それを支配する一握りの資本家階級が対立して存在しています。危機に陥っているのは、日本の資本家階級です。しかし労働者階級にとって、これは資本家階級を打倒するチャンスにほかならないのです。
 (3)石原は、憲法などの戦後的制約が日本を危機にしていると激しく批判します。そして、この制約を突破すれば、日本の危機が打開されるかのごとく言います。しかしこれはまったくのデマです。帝国主義が、戦後的制約を突き破って進もうとしている方向は侵略戦争・世界戦争であり、地獄の道です。もちろん、憲法を改定できず、戦後的制約に縛られていても危機を爆発させて地獄です。帝国主義に出口はないのです。労働者階級の力で打倒する以外ないのです。
 (4)石原は、国民が権利ばかり主張し、「公共の精神」が失われていると非難します。労働者の権利の要求は「甘え」であり、国家に要求など一切しない「自立した個」となって国家に奉仕しろと言うのです。これは、労働者階級は、どんな扱いをされても資本家のために文句を言わず賃金奴隷として働けということにほかなりません。そして、「国家と個人との一体感」を取り戻すべきだと強調し、あたかも「国家」が階級対立を超えた普遍的価値であるがごとく押し出し、「国家」のために侵略戦争で犠牲になることを賛美します。こんなものを労働者階級が受け入れられるはずもありません。
 だから石原は、行政権力や警察権力、民間反革命の暴力を動員し、労働者階級の階級性をたたき折り、労働者階級の階級的団結をバラバラに解体し、国家に対して動物的な忠誠心を抱くまで屈服させようとしているのです。
 石原が「日の丸・君が代」強制でやっていることはまさにこれです。「日の丸・君が代」の強制を徹底的に儀式化し、それに従うことを拒否すれば、経過報告、処分、強制転勤などの組織的拷問を加え、思考停止にたたき込んで動員するという攻撃です。石原は、労働者階級を同じ人間とは見ていない。「家畜」ぐらいにしか見ていないのです。
 しかし他方で、石原には階級的な存在や闘いに対する恐怖と憎悪があります。労働者階級が階級的に団結して立ち向かった時に、石原のイデオロギーは粉砕されてしまうのです。
 そして、労働者階級の団結をもって闘おうとしない日本共産党スターリン主義や社会民主主義、市民運動主義者は、ファシスト石原と闘えないのです。 
 バラバラに分断され苦しんできた学生にとって、自らの存在の意義、自らの生きる意味をつかむことができる武器がマルクス主義です。学生は、マルクス主義で武装し、自らを歴史変革の主体として飛躍させよう。戦争か革命かの時代にこそ、学生が労働者階級の闘いの先頭に立ち、歴史を動かす役割を果たそう。マルクス主義学生同盟中核派に結集し、帝国主義の打倒に向かって闘おう。

 4〜5月の大闘争へ

 学生は、階級的労働運動と連帯して、帝国主義の世界戦争への突進、「戦争と民営化」の大攻撃と対決し、すべての闘いを帝国主義打倒をめざして闘おう。
 第一に、教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに連帯し、4月入学式闘争に立とう。「日の丸・君が代」攻撃粉砕・教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止の歴史的な大闘争をつくりだしていこう。改憲阻止闘争を05―07年の大決戦としてうち立てよう。国民投票法案の提出阻止へ全力を挙げよう。5・7「教育基本法改悪を止めよう!全国集会」に大結集しよう。「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。
 第二に、ファシスト石原を打倒し、「日の丸・君が代」攻撃粉砕・教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止の大闘争を爆発させよう。「教育改革」、社会保障制度解体、労働組合破壊を狙うファシスト石原に対して、全都・全国でファシスト石原打倒の大運動を巻き起こそう。6月都議選決戦に勝利しよう。そして石原打倒の突破口を切り開こう。
 第三に、米軍再編と対決し、沖縄基地撤去・辺野古基地建設阻止・全土基地化阻止の闘いをかちとろう。沖縄闘争を米日枢軸体制を粉砕する戦略的な環として闘い抜こう。辺野古現地のボーリング調査阻止の闘いをさらに発展させ、辺野古基地建設を完全に粉砕しよう。5・15沖縄現地闘争に新入生を先頭に大結集しよう。全学連現地行動隊に参加しよう。
 第四に、「戦争と民営化」攻撃と対決し、全国大学闘争を爆発させよう。法大決戦に勝利しよう。ファシスト石原と対決する都立大・首都大闘争を爆発させよう。東北大有朋寮廃寮を阻止し、富山大再編・統合を粉砕しよう。全国で闘う学生自治会をうち立てよう。
 第五に、イラク侵略戦争阻止・占領軍撤退闘争をすべての闘争の柱にして、「侵略を内乱へ」をかちとろう。自衛隊に対する即時撤退の闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2193号1面2)(2005/04/11)

 都教委の処分弾劾する

 2年目の不起立に震撼

 石原の事実上の敗北宣言

 東京都教育委員会は3月30日、臨時会を開催し、3月卒業式において「君が代」斉唱時に不起立するなどした教育労働者52人に対する懲戒処分を決定した。教育労働者の不屈の戦争協力拒否闘争を、入学式を前に処分によって封じようとする石原と都教委の暴挙を徹底的に弾劾する。
 52人の内訳は高校44人、「障害児」学校4人、中学校1人、小学校3人。今回初めて不起立した人は戒告(昇給延伸3カ月)、2度目の10人は10分の1の減給1カ月、そして3度目以上の4人は10分の1の減給6カ月という重処分である。また戒告のうち3月末で定年退職する1人は、嘱託による再雇用選考合格も取り消された。
 石原と都教委は、「10・23通達」から2年目の今卒業式において、不起立闘争を完全に封じ込めようとあらゆる手段で襲いかかった。処分の恫喝に加えて、昨年の被処分者の嘱託採用を不合格として「1度でも不起立したら、再雇用はない」と脅し、被処分者への不当な強制異動も相次いだ。ほぼ全高校の卒業式に警察を配置し、「日の丸・君が代」強制に反対してビラをまいた3人を逮捕させた(勾留できず奪還)。都教委職員を特定の学校に重点的に派遣し、多い学校では最大10人が監視にあたった。警察と都教委職員を併せて20人近くが監視体制をとった学校もある。これらはすべて、教育労働者の抵抗を力ずくで押しつぶすためのものであった。
 しかしそれらをすべて打ち破って、教育労働者は堂々と2年目の不起立闘争を闘いぬいた。「2年目の不起立闘争を封じる」という石原と都教委のもくろみは完全に打ち破られた。イラク侵略戦争と自衛隊派兵のただ中で、教育労働者は断固として「戦争協力拒否闘争」をたたきつけたのである。大量報復処分は、石原と都教委の「敗北宣言」にほかならない。
 とりわけ4人に対する6カ月の減給処分は、「日の丸・君が代」闘争への全国各地の処分と比べても飛び抜けた重処分である。「たった40秒」の不起立をこれほどの重処分としたことは、石原が教育労働者の闘いに心底恐怖していることを示している。労働者こそファシスト支配を打ち破る力を持っているのだ。
 昨年の処分に対して、教育労働者200人余が都人事委員会に不服審査請求を行ったが、都教委は審理開始を遅らせ、1年たった今も公開口頭審理が始まっていない。処分撤回を求めた人事委審理はまったく進めず、さらなる追加処分を振り下ろした都教委は絶対に許せない。石原と都教委は不当処分を撤回せよ!

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週刊『前進』(2193号1面3)(2005/04/11)

 “勝利まで闘う”

 被処分者ら直ちに抗議

 不当処分決定に対して、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会を先頭に多くの被処分者が反撃に立ち上がっている。都教委が処分を決定した30日午後、ただちに記者会見を行って抗議声明を発表し、「被処分者の会は勝利の日まで闘いぬきます」ときっぱりと表明した。
 31日には、処分が発令される文京区の東京都総合技術教育センター前に100人近い教育労働者と市民が集まり、呼び出された被処分者を激励し、都教委に抗議の声を上げた。(写真)
 さらに4月5日には、処分撤回を求めて都人事委員会に対する不服審査請求を行おうとしている。
 処分に屈せず意気軒高と闘う教育労働者を全労働者の力で守りぬき、ファシスト石原に大反撃をたたきつけよう。

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週刊『前進』(2193号2面2)(2005/04/11)

 国労弾圧公判 “痛みはどこに行ったのか”

 供述の変遷を突き追及

 3月29日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第38回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。今回の公判で、国労長野地本副委員長の平山芳夫証人への弁護側の反対尋問は4回目となった。
 平山証人は02年5月27日の国労臨時大会当日、長野地本から動員された警備係の副責任者であり、現在、長野地本の唯一の専従役員としてチャレンジ路線を推進している。彼は吉田進書記長直系の人物だ。以前の公判で平山証人は、5・27臨大直後に吉田書記長の指示で警察の事情聴取に応じたことを認めている。
 この日の公判で、弁護団は平山証人の「暴行」に関する証言の矛盾を徹底的に暴き出した。

 佐藤弁護団長が国労本部を弾劾

 公判の冒頭、佐藤昭夫弁護団長が意見を述べた。5・27臨大は、鉄建公団訴訟を起こしたことなどを理由に闘争団員を査問にかけるため、国労本部が強行開催したものだ。佐藤弁護団長は、労働者の権利行使を統制処分の対象とした国労本部を批判し、この臨大に際して本部役員らへのビラまき・説得活動に立った被告の行動の正当性を明らかにした。
 さらに、イラク反戦国際共同行動3・20集会について触れ、被告を始め闘う国労組合員や動労千葉が大結集する一方で、陸・海・空・港湾労組20団体に名を連ねながらまともに動員もしていない国労本部のありさまを突き出して、その裏切りを鋭く指摘した。
 平山証人が入廷した。検察側の冒頭陳述では、平山証人に対し松崎博己被告が「胸部を突き飛ばし」、羽廣憲被告が「右手をつかんで押し戻した」とされている。平山証人はこれに加え、検事の主尋問に答えて「羽廣被告から右手をつかまれ、ねじられた」とも述べていた。
 しかし、臨大直後の02年6〜9月に作成された供述調書では、証人が羽廣被告につかまれ、ねじられたのは左手だったことになっている。その後、02年10月に被告らが逮捕され、国鉄闘争支援者が当日の被告らの行動を撮影したビデオテープが押収された。そのビデオを見て、平山証人は「つかまれ、ねじられた手は右手だった」と供述を変えたのである。
 河村健夫弁護人が尋問に立ち、「あなたは、ビデオを見る前は左手をねじられたと一貫して言っている。その根拠は左肩が痛かったからだ、と。しかしビデオを見たら右手と分かった。痛みはどこに行ってしまったのか」と追及した。証人はしどろもどろになった揚げ句、「痛みはあとまでひくものではなかったので」と言い逃れた。
 弁護団は、証人が羽廣被告に押し戻されたと主張する場面について、ビデオを再生して問いただした。法廷で再生されたビデオの映像は、むしろ平山証人が羽廣被告を引きずっているような印象を与えるものだ。
 河村弁護人が「あなたは自主的に後退したのではないか」と問い詰めた。証人は「ビデオを見たら百人が百人とも、私が押されていると言うと思う」とむきになって返答した。そこで弁護団は、02年10月の検事の事情聴取で証人が「私は逃げるように後退しました」と供述している事実を突きつけた。羽廣被告に押されたのではなく、自らの意思で「逃げた」というのが、初めてビデオを見た時の証人の認識だったのだ。だが彼は、「ビデオを見れば誰でも私が押されていると分かるはず」と言い張った。

 次回4・20公判に総結集しよう!

 平山証人への尋問は次々回公判に持ち越された。次回4月20日の公判は、陪席裁判官の交代に伴う更新手続きになる。そこでは被告・弁護団の意見陳述が行われる予定だ。
 38回に及ぶ公判闘争は、警視庁公安部と酒田・吉田・革同執行部との癒着・結託と、組合員を警察に売り渡した酒田らの階級的大罪を、事実をもって暴き出している。8被告と弁護団は、初公判以来2年にわたる闘いを全面的に総括し、次回公判を無罪獲得と国労再生に向けての戦闘宣言を発する場にするため、総力を挙げている。許さない会の運動を一層拡大しよう。次回公判に総結集しよう。

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週刊『前進』(2193号3面3)(2005/04/11)

 教育労働者 福岡の闘い

 「不起立宣言」貫いた

 分会での論議を活性化

 私は、今春の卒・入学式における「日の丸・君が代」強制反対の「不起立」闘争を職場の仲間やかつての同僚に呼びかけ、卒業式で断固として「不起立」を貫徹しました。
 「日の丸・君が代」反対の「三ない運動(立たない・歌わない・演奏しない)」や「日の丸」の排除や掲揚させない闘いがかつて闘われていました。それは「強制反対」ではなく、天皇制(戦争と差別)の「日の丸・君が代」そのものに反対する闘いでした。しかし、日教組の路線転換以降、「立たない」はなくなり、「日の丸」排除もできなくなりました。そういう中であっても、私は不起立を続けていました。それは、「孤立した闘い」となっていました。
 その闘いを根底からとらえ直すものとして眼前に現れたのが東京の決起でした。「日の丸・君が代」の本質は「強制」にあることや、その「強制」に実力で反対することが勝利の突破口であることをつかみ取り、大阪での取り組みにも触発されて「不起立宣言」を内外に公表し、不起立者の組織化を進めました。教育委員会、執行部を私たちの闘いの土俵に引きずり出すとともに政治的影響力を持ち、分会(職場)での論議の活性化をつくり出す闘いとなりました。
 私の職場では、2月初めに分会長に「私たちの不起立宣言」を渡すことから組織化を始めていきました。その時に分会長は「こういうことをやったら、処分になるかも」と言っていました。2月中旬、分会員に封書で「私たちの不起立宣言」を載せたビラと私の手書きの不起立宣言を配りました。その後、分会員からの反応はありませんでした。分会員はその話題を避けていたようです。3月に入り、分会会議で話題にして、不起立を呼びかけましたが、分会長は二の足を踏んでいました。私の職場だけではなく、ともに不起立をしていたかつての同僚にも呼びかけても、「できない」という返事がほとんどでした。不起立者は50人は組織できるだろうと思っていましたが、そう簡単ではありませんでした。そういう中で、「以前は処分など恐れずに闘っていた、自分も不起立する」と宣言してくれた教育労働者の存在は心強いものです。
 昨年の秋からの職員会議では、上意下達の強制が職場を覆っている現状を追及してきています。卒業式の論議では、公務員として憲法・教育基本法を遵守する義務があることや教育基本法と憲法が改悪されようとしている現在、教育労働者として憲法・教育基本法に反するものや、戦争や差別につながるものに絶対に反対すべきであることを発言していきました。また、「日の丸・君が代」の強制強化と同時に職場の管理や教育問題の深刻化が進んでいる現実を分会の仲間とともに訴えました。それに対して校長は卒業式前日の終礼で、「式場では、教育公務員としての行動をしてほしい」と言うのみでした。
 今回、私の職場での不起立者は私一人だけでしたが、福岡市全体では二けたの不起立者を確認しています。間違いなく、いろいろな分会での論議が「活発」に行われ、私たちの主張が圧倒的に正しく、展望があることを確信しました。入学式に向けてさらに闘います。
 (投稿 福岡・ST)

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週刊『前進』(2193号4面1)(2005/04/11)

 新入生のみなさんへ

 労働者階級と共に世界革命へ闘おう

 世界戦争の過程が始まっている

 激動する現代。人生の新たな一歩を踏み出した新入生のみなさんに「労働者階級と共に世界革命を実現するために闘おう!」と呼びかけます。01年「9・11」からアフガニスタン侵略戦争、そしてイラク侵略戦争をもって、アメリカ帝国主義は世界戦争の過程に突入しました。小泉政権はその米帝と日米枢軸を形成し、本気になって戦争国家に転換しようとしています。帝国主義と共に歩むのか、それとも「ノー!」と立ち上がるのか。道は二つに一つです。

 米帝国主義とドルの没落 世界の暴力的な再編狙う

図 米国の財政赤字と経常赤字 米議会予算局が3月に発表した来年度の予算教書によると05年度の財政赤字は4270億j(約45兆円=以下円換算で表示)と過去最大に達し、今後10年間の赤字累積は約265兆円を上回る見通しだ。累積財政赤字は03年時点で約715兆円。今年に入ってからは、実に毎月10兆円以上のペースで赤字が増えている。
 しかも、この巨額の財政赤字に加えて、米国の04年度の経常収支(国際間の貿易収支やサービス収支などの合計)は、前年度比25%増の6659億4千万j(約69兆円)と初めて6千億jを突破し、3年連続で過去最大を記録している。
 財政が赤字でも他の部門(貿易など)が黒字なら、まだまかなえるが米国は両方とも巨額の赤字で急ピッチで増えている。(グラフ参照)
 加えてイラク戦費の問題がある。米国は通常の軍事費だけで世界の軍事費の半分近い4190億j(約44兆円)を支出しているが、さらにイラクとアフガニスタン侵略戦争の戦費が来年度までで計32兆円となる。
 米国のGDP(国内総生産)は、一国としてはダントツ世界一で、2位の日本の2倍以上、世界経済の4分の1を占める。経済成長率も、05年の実質成長率が3・5%の見通しだ。しかし、その米経済の実態は、巨額の「双子の赤字」が雪だるま式に増え、泥沼化したイラク戦争の膨大な戦費が財政を直撃している。いつ破産してもおかしくないのだ。
 ところが米ドルは国際取引の決済に使われる国際通貨(基軸通貨)なので、米国は、自国通貨のドルで対外支払いできるため国際収支の制約を直接には受けない(他の国ならすぐ破産)。また、他の国なら、財政建て直しのために自国通貨を大量発行すれば、たちまちインフレになるが、米国はドルを大量発行しても、世界でドルが流通する限り破綻(はたん)しない。
 これはドルの永遠の強さを示すものではない。日本や中国などが外貨準備という形で膨大な米国債を購入・保有しているなどの諸要因の結果かろうじて成り立っているにすぎない。また、すでに米と同規模のGDPを持つEUの通貨ユーロに国際取引や外貨準備がシフトされる傾向もあり、基軸通貨ドルの地位は不安定化し、常に暴落の危機にある。
 米国は財政も経済も巨額赤字を抱え、なお借金を膨らませながら、経済を維持しているのである。これを世界経済レベルでみると、世界経済は、米国の借金と消費という形で世界中の資金が米国に集中・循環する綱渡り的構造によって成り立っているにすぎない。
 問題は、このやり方がいつまでも続かないことである。永遠に借金を続けることは不可能だ。世界がドルを買わなくなれば、米国は国債を発行できない。米経済はたちまち破局に至る。世界一の軍事力も維持できず、イラク戦争も継続できない。
 こうした米経済−世界経済の矛盾的・危機構造が実際に破綻した時、1929年の世界大恐慌を上回る資本主義が成り立たないほどの危機と混乱をもたらすことは必至だ。
 ブッシュ政権は米経済の維持のために1期目(01〜04年)だけで3度にわたる減税を行った。その額、なんと日本円で約180兆円。日本の税収1年が約42兆円だから4年分以上の額である。このためブッシュが大統領に就任した時には黒字だった財政は過去最大の赤字となっている。ここまでやらないと米経済はもたないのだ。
 減税やバブルによる消費ブームの結果、確かに米国の個人消費は95年以来4%ずつ伸びた。これは世界平均の2倍だが、他方で貯蓄率はすでに「先進国」中で最低の0・8%で欧州やアジア平均の10分の1だ。これ以上の過剰消費は持続不可能だ。早晩、米国の消費ブームは必ず壁にぶつかる。
 現代資本主義は、いつ破局してもおかしくない矛盾的、危機的構造を抱えている。だからこそアメリカ帝国主義(米帝)は、戦争に訴えることで世界支配を暴力的に再編し、他の資本主義国(帝国主義)との競争に勝って、基軸帝国主義の地位とドル体制を維持しようしている。現代帝国主義は再び三たび世界戦争を不可避としている。

 ブッシュ演説と米軍再編 「自由」を叫んで戦争拡大

 米国が巨額赤字を抱えながら、ドルが基軸通貨の座を維持できる主要な経済的要因は、原油取引がドルで行われていることだ。もし原油取引にドル以外の通貨が使われたら、ドルの基軸通貨の座は揺らぐ。実際にフセイン政権は、イラクの石油の開発権をフランスやロシアに与え、原油取引をユーロ建てに切り替えた。
 イラク戦争は、文字どおり「石油の独占支配」「基軸通貨ドルの維持」「中東の暴力的支配」のための帝国主義の侵略戦争であり、何より破局寸前の米国が延命する唯一の「解決策」なのだ。米経済危機は経済それ自身では「解決」できない。戦争しかないのだ。
 したがって、イラク戦争の成否はアメリカ帝国主義(米帝)の運命にとって決定的な意義を持つ。だから米帝は、どんなにイラク戦争が泥沼化しても撤退できない。イラクでの敗退は、中東・石油支配の破産であり、ドルの地位は土台から揺らぎ、米帝の歴史的没落が露呈する。もはや戦争以外に体制維持できないところに米帝−現代帝国主義(資本主義)の根本的矛盾があるのだ。

 米軍の変革・再編

図 米国が進める米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)

図 米国が「不安定の弧」と呼ぶ朝鮮半島から東南アジア、中東、北アフリカに至る地域 米国が進める米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)とはどのような意味を持っているのか。
 米軍関係者が具体例として挙げるのがアフガニスタン戦争だ。
 米国は01年9・11後、タリバン政権がアルカイダをかくまっているという理由で戦争を始めたのだが、この時はわずか約1カ月の短期間で作戦を立案して軍を展開、特殊部隊と精密誘導爆弾の空爆で一方的に軍事侵攻し、タリバン政権を崩壊させた。またイラクに対しては「大量破壊兵器開発の疑い」や「アルカイダとの関係の疑い」を理由に、軍事侵攻してフセイン政権を崩壊させ、いまだに軍事占領を続けている。
 米軍「変革・再編」の基本的構想は、米国が「不安定の弧」と呼ぶ朝鮮半島から東南アジア、中東、北アフリカに至る地域(地図参照)で、アフガン型、イラク型の戦争をいつでもできる態勢をつくり、実際にどんどん遂行することである。
 そのために軍の運用思想や編成、配置などを包括的に見直し、即応性や効率性を高めた軍隊に米軍を変革しようとしている。陸軍は特殊部隊を多用してより小型で機敏に。空軍は地上部隊との連携を強める。海軍はより少ない艦船でより広い海域をカバーする。海兵隊は、即時展開能力などの柔軟性と利便性を高める。
 米陸軍変革では、世界のあらゆる場所に1個旅団戦闘チームを96時間以内に展開させる構想を打ち出している。そのために高速輸送船やC17大型輸送機、ストライカー(軽装甲戦闘車両)を導入する。ストライカーは速度が100`以上で重量がM1戦車の3分の1以下で即応性の象徴だ。
 海外駐留部隊や基地の「再編・再配置」も、こうした変革の一環だ。そのキーワードは「静から動へ」と言われる。ソ連崩壊前の時代の朝鮮半島や欧州の駐留米軍のように、目に見える形で対峙する部隊を配置して、そこから動かさないという駐留方式をあらためて、必要に応じて世界中に再展開できる「機動的な駐留」へと変えようとしている。

 日本が戦略拠点に

 今回の「再編・再配置」は、アジアと欧州に展開する計20万人の在外米軍が対象で、主要な舞台は日本、韓国、ドイツの3カ国だ。旧ソ連と対峙する前線基地だったドイツでは、駐留米軍の規模は半減するが中東やアフリカに向けた戦略展開拠点として、戦略的性格を変える。
 アジア地域の再編・再配置は「不安定の弧」をにらむ拠点として日本を決定的に重視している。米軍は再編・再配置に際して、@大規模兵力の中枢基地である「戦力展開拠点(PPH)」A中枢的役割を担う常設基地である「主要作戦基地(MOB)」B小規模の常駐部隊がいる「前進作戦拠点(FOS)」C武器や装備を事前集積しておく「防衛協力地点(CSL)」――の4類型に分けている。そしてPPHを日本と英国に、MOBは韓国と英領ディエゴガルシア、FOSをタイ、フィリピンと位置づけている。
 在日米軍再編の主な内容は、@陸軍第1軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間への移転、A第5空軍司令部(東京・横田)の第13空軍司令部(グアム)への統合、B海軍厚木基地(神奈川県)での夜間発着訓練(NLP)の岩国(山口県)移転、C沖縄の海兵隊の本土移転などだ。
 この再編と関連してさらに、@ストライカー部隊をハワイ、アラスカに置き、高速輸送船と大型輸送機C17で展開する、Aグアムに戦略爆撃機を配備、Bグアムに原潜配備、C横須賀を母港とする空母キティホークに加えハワイに空母を追加配備する――などが計画されている。
 在韓米軍については、3分の1を削減することで合意しているが、具体的には軍事境界線付近の米陸軍第2歩兵師団をソウル以南に移転し、縮小する。同時に最新鋭の戦闘装甲車ストライカーを新たに配備する。
 キャンプ座間に移転しようとしている太平洋軍第1軍団の管轄は、米西海岸から太平洋、インド洋、中東、アフリカ東海岸までをカバーする。つまり米国が「不安定の弧」と呼ぶ地域がすっぽり入る。
 今回の米軍再編・再配置と日本との関係では、陸空軍の司令部移転が重要な意味を持つ。
 米側は、キャンプ座間に移転させた陸軍第1軍団司令部に極東有事の作戦指揮権を与える方針だ。現在の在日米軍司令官は有事の際の指揮権を持っていない。米側の構想では、移転した陸軍第1軍団司令部と在日陸軍司令部を統合し、多機能的な新司令部を創設する考えだ。空軍や海兵隊も司令部に加え、陸海空3軍と海兵隊を統合運用できる権限を持つという。在韓米軍司令部が廃止された場合には、この新司令部が在韓米陸軍も統括する。

 終わりなき戦争へ

 米帝は、9・11後の帝国主義の危機の中でイラク・アフガン戦争を行い、トランスフォーメーションで超地球的な戦争態勢を構築し、戦争を中東・アジアに拡大、終わりなき侵略戦争の道に踏み込んでいる。
 この米軍「変革・再編」と対応関係にあるのが、ブッシュが2期目の大統領就任演説で打ち出した「自由と民主主義の拡大」「世界の圧制に終止符を打つ」ための戦争という考え方だ。ブッシュはこれを「神からの召命」とまで言っている。
 米帝の侵略戦争を「自由と民主主義」のために「神からの召命」を受けて、世界で勇敢に戦っているという虚偽のイメージで描きあげ、愛国主義や国家主義、民族排外主義をまぶして正当化しようとしている。
 こうした考えは、人類を地獄絵図の世界戦争に引きずり込んだ戦前の日本やナチス・ドイツと同じだ。米軍は、イラクのファルージャで老若男女皆殺しのジェノサイド型戦術を採用し、クラスター爆弾などの非人道兵器を使用し、劣化ウラン弾でイラク全土を汚染した。それを「神からの召命」と言って、世界中でやろうとしている。
 第2次世界大戦の時、日本やナチス・ドイツは、天皇制や「大東亜共栄圏」、ゲルマン民族至上主義と「生存圏」論などをテコに政治、経済、教育、文化などのあらゆる領域を極限的に軍事・警察化して、侵略戦争を拡大したあげく最後は世界戦争に訴えて帝国主義的な延命を図った。そして最後は無惨に破産した。
 米帝は今日、没落を阻止するために、巨大軍事体制の構築と戦争の拡大に突き進んでいる。これまでの2度の世界戦争では、「持たざる帝国主義」がそうした凶暴で極限的な戦争の道を選択したが、現代世界の矛盾と危機は、基軸帝国主義である米帝にとってそれ以外選択の余地のない道となっていることにある。
 他方で、帝国主義の危機ゆえに極限的な暴力性に満ちているが、実際はそうした極限的軍事態勢は、なんら帝国主義の危機を解決するものではなく、むしろ経済的にも軍事的にも社会的にも体制崩壊につながる負担となる。@イラク人民の民族解放の武装闘争の高揚、Aイラク戦費の負担、B戦争目的の虚偽性の露呈(大量破壊兵器問題など)、C米軍の解体的危機(戦死者の増大と志願兵の大幅減、拷問事件などの腐敗と退廃など)、D米国内と世界中での反戦と撤退の要求の高まり――など、例を挙げればきりがない。

 日米枢軸を選択した小泉 新たな「15年戦争」に突入

 米帝の世界戦争戦略に参画し、戦後的な「平和と民主主義」を完全に転覆して戦争国家化と戦争の道へ突き進んでいるのが日本帝国主義(日帝)である。すでに日帝はイラクに自衛隊を出兵し、イラク侵略戦争に参戦した。これは事実上、新しい「15年戦争」への突入であった。こうした中で小泉は日米間で共通の戦略目標を設定し、国家、軍事、社会、教育など、すべてを反動的に転覆しようとしている。

 「2+2」の重大性

 日米両政府は2月、日米安全保障協議委員会(2プラス2)で「共通戦略目標」を盛り込んだ共同声明を発表した。
 「国際社会での民主主義の基本的価値の言葉」「大量破壊兵器の不拡散」「テロの防止と根絶」という米国の世界戦略そのものを日米の共通の戦略目標として確認している。日帝が米帝と同じレベルで戦争をやることを示した重大な歴史的文書である。東アジアについては「朝鮮半島の平和的な再統一」と台湾海峡に言及し、日米共通の戦略目標とした。
 共通戦略目標は、米国の世界戦略に日本が積極的に関与し、特にアジア・太平洋地域で朝鮮半島と台湾海峡問題で自衛隊と米軍が共同対処(戦争)できるよう役割と任務を抜本的に見直すものだ。
 そのために、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直し作業も進められている。朝鮮半島有事や台湾海峡有事での米軍と自衛隊との共同作戦などが見直しの対象だ。また今後10年間の日本の軍事政策を示す新防衛計画大綱(昨年12月)は、海外派兵を自衛隊の本来任務とし、従来の国土防衛のために必要最小限の「基盤的防衛力」を維持する方針を転換した。米帝同様に侵略と戦争の極限的な軍事化の道を進もうとしているのだ(日米枢軸路線)。
 こうした軍事の領域だけでなく日本社会の全領域で戦争化・軍事化が進んでいる。@拉致問題に関連して北朝鮮への排外主義をあおり、韓国の独島(竹島)や中国の釣魚台(尖閣列島)略奪の領土問題、A日本経団連が改憲などを求める提言「わが国の基本問題を考える」を発表。憲法9条2項(戦力・交戦権の否認)の改定を要求。B教育現場での「日の丸・君が代」の強制や「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民の教科書、教育基本法の改悪。C自衛隊官舎や卒業式のビラ配布で逮捕するなどの治安政策・警察の強化――など。
 現代資本主義の運動は、戦争という激しい社会的危機を生み出す。それはもはや現代世界が資本主義のもとでは生きていけないこと、その解決は、帝国主義体制そのものの根本的変革、世界革命を実現する道しかないことを示している。そして他者に犠牲を転嫁して延命しようとする帝国主義の苦悩は、社会的危機と同時に、その解決者であるプロレタリアートと被抑圧民族の存在と闘いを生み出すのである。
 〔片瀬 涼〕

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週刊『前進』(2193号6面1)(2005/04/11)

 “階級の論理”で石原と対決しよう

 「つくる会」教科書採択阻止へ

 弱肉強食の社会ダーウィニズムの論理で歴史を描き侵略を擁護

 都知事・ファシスト石原との闘いが重大化している。侵略戦争と国内階級戦争に突き進む日本帝国主義・小泉=奥田路線の先兵としての石原の策動をたたきつぶすことは、階級的団結とプロレタリア革命の勝利のために絶対に不可欠である。この闘いに教基法改悪阻止・改憲阻止闘争の勝利がかかっている。教育労働者の不起立闘争と固く連帯し、石原を全力で打倒しよう。その一環としてファシスト団体「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の採択を絶対に阻止しよう。6月都議選決戦(7月3日投票)に勝利しよう。

 愛国主義・国家主義に対する防波堤の危機

 石原のファシスト攻撃の重大性、ある意味での恐ろしさを過小評価することは階級的敗北につながりかねない。石原との対決に今の時点で勝利することは、日本革命にとって決定的に重要である。
 石原問題を考える時、これまでは「あまりの超反動的言辞」ということから、支配階級としての“統一”もかちとれないハミダシ的言辞であり、人民からも門前払い的にそっぽを向かれると思われてきたということがある。しかしこの考えは、今やわれわれが依拠できるものではない。
 要するに、日本帝国主義の戦後発展が、一定の日米関係下でまずまずのレベルで達成されてきた限りで、これまで石原的言辞は一見「浮いた」ものに見えていたにすぎない。帝国主義が国際的体制として危機に陥り、米帝も日帝も危機に陥り、帝国主義間の大分裂が進み、戦後的成長も行きづまってしまった状況の中で、帝国主義間争闘戦が戦争に転化し始めた今日の情勢のもとでは、「石原」をめぐる情勢は大きく変わってきているのである。
 帝国主義の根底的危機が感じられ、これまでの生活が続けられなくなってきている時、帝国主義ブルジョアジーの危機感はものすごいものとなってくる。これが反動的インテリゲンチャ層、小ブル層においては、「日本の危機、国家の危機、民族の危機」という激しい愛国主義、ナショナリズム、排外主義の意識、感情を一気に増幅させるものとなる。
 これは別の面から言えば、帝国主義が行きづまり、人民の生活や未来をなんら保障できない状況になってきて、「国民が一定の方向で一致する」といったことは、ますますできなくなってきているということでもある。誤解を恐れず言えば、国としての方向性があやしくなってしまって、価値的にひきつける体制的力がなくなってきているということである。
 「戦後の平和と民主主義」の時代には、戦前の侵略戦争や第2次世界大戦などの歴史的経験の記憶も一定程度あり、国家主義や民族主義、愛国心、天皇制賛美などというのは、一部の右翼的勢力や若干の層を除いては、人々をひきつける力をそれほどもてなかった。しかし、帝国主義の危機の時代が始まり、またソ連スターリン主義の歴史的崩壊ということが発生し、既成の労働運動指導部が一斉に自国帝国主義の延命と発展に自己のダラ幹的利害を一体化させる(屈服したということ)にいたり、国家主義、民族主義、愛国主義、排外主義といったイデオロギーへの防波堤は崩れ始めたのである。こうした危機と変化の中で、石原的ファシストが「都民」「国民」の前に大きな顔をして立ち現れるにいたったのである。
 こういった文脈の中で石原的ファシストの論理を打ち破るのはけっして容易ではない。石原の思想は、「新しい歴史教科書をつくる会」の「教科書」と共通するものであるが、そこにあるのは徹底した民族主義、国家主義である。そして、世界を弱肉強食の論理がまかりとおる社会的ダーウィニズムの世界として描き、侵略戦争を合理化するということである。 
 これを決定的に打ち破るものは、徹底した階級の論理をおいてほかにはない。別の言い方をすれば、帝国主義(帝国主義的資本主義)の決定的批判を軸点にしてのみ、これを打倒することができるのである。

 明治国家と教育勅語への礼賛が出発点に

 現在、侵略戦争を賛美する「つくる会」の「歴史」「公民」教科書の採択阻止の闘いが全国で闘われている。ここで石原のファシスト思想を徹底的に批判・粉砕する闘いの一助として、「つくる会」歴史教科書(2001年版)の内容を具体的にみていきたい。

 科学的論拠が欠如している

 (1)まず彼らは、明治国家をトコトンまで美化し、肯定し、一切の出発点にしようとする。
 彼らは明治憲法について、「大日本帝国憲法」として誇らしげにうちだし、なんとこれによって日本は「アジアで最初の議会をもつ立憲国家として出発した」と全面的に肯定し、美化するのである。彼らにとっては、明治憲法のもとで、天皇が統治権をもち、軍事については天皇が予算を含めて一切の統帥権をもつことについて、なんら問題があるとも思っていないのである。軍事について専権的に天皇が統帥権をもつことなどについては、言及さえしていない。この点では、教育勅語について「これは、父母への孝行や、非常時には国のために尽くす姿勢、近代国家の国民としての心得を説いた教えで、1945(昭和20)年の終戦にいたるまで、各学校で用いられ、近代日本人の人格の背骨をなすものとなった」と手放しで美化し、肯定していることも重大である。
 「近代国家」とか「近代日本人」とか言っていることから明らかなように、彼らにとって明治国家は、国家として非のうちどころのない立派な国家ということなのである。しかし、彼らがここで言っている「近代国家」とか「立憲国家」とかいうものは、その内容はきわめて情緒的であいまいなイデオロギーでしかない。その内実は階級的ごまかしに満ちているのだ。「近代国家」をうんぬんしているが、彼らは民主主義、民主的議会制度といったものが、「近代国家」の古典的なメルクマールとしてあることについて、一切言及しない。天皇の絶対権限で統治する国家を民主国家とはとうてい言えないからである。
 また何よりも、明治国家を資本主義―帝国主義(資本主義的帝国主義)のための国家形成としてみることについても、一切言及しようとしていない。そもそも日本の明治国家は、先進資本主義国がすでに帝国主義段階へと移行する過渡的過程の中で、後発の資本主義国家形成をほとんど同時に帝国主義国家形成として遂行した国家なのである。そして近代国家というのは、もともとは封建制を打倒してブルジョアジーが権力を握り、資本主義の発展に道を開くものであり、その政治形態が古典的にはブルジョア民主主義、議会制民主主義なのだ。
 日本の場合、その後発性から、明治維新をとおして成立した国家は、初めは絶対主義的天皇制でしかなく、その後、大隈重信、板垣退助の隈板(わいはん)内閣時代〔1898年(明治31年)〕をメルクマールにして、ブルジョア的勢力と旧体制的勢力の階級的均衡において、ブルジョア的勢力がヘゲモニーを握る天皇制ボナパルティズム国家へと移行していったものである。そしてさらに、この国家は帝国主義国家へと推転し、天皇制はその反動的政治体制としての意義をもっていった。
 さらには1930年代以降の世界史の中では、天皇制は、ドイツのナチスやイタリアのファシズムと類似の階級的役割を演じ、帝国主義的・侵略的・軍事国家体制の具体的形態となっていったのである。
 要するに「つくる会」教科書の近代史の部分は、明治国家・天皇制について、後発資本主義国家の形成ときびすを接して進行した帝国主義国家化という階級構造においてとらえることを拒否しているのであり、およそ科学的な論拠を欠くものでしかない。だからその国家のもとで、日本の労働者人民がどれほど過酷に収奪され、搾取され、苦しんだのかということが、一切不問に付されてしまっているのである。また後に見るように、その対外政策がどれほど侵略的で極悪非道のものであったか、そして国内では徴兵制のもとでどんなに多くの労働者・農民の生活と生命を破壊したかについて、およそ言及しようとしないのである。

 「日清・日露」と朝鮮植民地化

 (2)明治国家をこのようにただひたすら近代国家化などと美化し、絶対化した上で、「つくる会」系の連中は日清戦争、日露戦争についても、デタラメの極致を平然と展開している。
 まず日清戦争については、朝鮮半島の地政学的位置から論じて、「日本に向けて、大陸から一本の腕のように朝鮮半島が突き出ている。当時、朝鮮半島が日本に敵対的な大国の支配下に入れば、日本を攻撃する格好の基地となり」などと言って、“日本を防衛するためには、清国と戦争してでも朝鮮の支配権をかちとることは正しい”といった論理を平然と振り回すのである。修正前の原文では、「朝鮮半島は日本に絶えず突きつけられている凶器」とすら言われていた。
 まさにこれは、帝国主義の対外侵略戦争の典型的論理そのものである。そこから「日清戦争は、欧米流の近代立憲国家として出発した日本と中華帝国との(避けられない=修正前)対決だった。……古代から続いた東アジアの中華秩序は崩壊した。その後、列強諸国は清に群がり……中国進出の足がかりを築いた」などとしているのである。
 勝手な地政学的口実で他民族・他国を侵略し、領土を拡大する帝国主義的侵略戦争を、近代化のための戦争だったなどと合理化することが許されるわけはないのだ。「近代立憲国家」というペテンが、まさにここで侵略の口実とされている。現実に帝国主義的侵略者としてふるまったのは、日本(日帝)そのものだったのだ。

 侵略なしに生きられぬ体制

 (3)日露戦争についても、デタラメな勝手きわまることを平然と言っている。
 「ロシアは満州の兵力を増強し、朝鮮北部に軍事基地を建設した。このまま黙視すれば、ロシアの極東における軍事力は日本が到底、太刀打ちできないほどに増強されるのは明らかだった。政府は手遅れになることをおそれてロシアと戦争を始める決意を固めた」
 「戦場になったのは朝鮮と満州だった」
 「(戦争の結果)1905年9月、ポーツマス条約が結ばれた。この条約で日本は韓国(朝鮮)の支配権をロシアに認めさせ、中国の遼東半島南部(のちに、日本は関東州とよぶ)の租借権を取得し、南満州にロシアが建設した鉄道の権益をゆずり受け、南樺太の領有を確認させた」
 「日露戦争は、日本の生き残りをかけた壮大な国民戦争だった」…………
 まったく帝国主義的強盗戦争の論理むきだしである。日帝が朝鮮の支配権と「南満州」の権益を狙って侵略戦争をしたことは明白なのに、「戦場になったのは朝鮮と満州だった」などと平然と書いている。日本が生き残るためだったら、朝鮮人民や中国人民は何をされても構わないというのか。「列強間の生き残り合戦」と一般化して、一種の生存競争の(社会ダーウィニズム的な)論理で一切を合理化している。
 しかし、ここで問題となっていることは、一般的な民族対民族などというものではなくて、帝国主義国家と帝国主義国家との関係なのである。そもそも他国を侵略し、植民地化し、世界を分割しなければ生き残れない体制とはどんな体制なのか――それこそが問題なのだ。資本主義、そして何よりも帝国主義経済体制であるからこそ、帝国主義戦争が不可避となったのである。このことをはっきりさせなくてはいけない。

 第2次大戦の惨禍を再び繰り返すのか!

 (4)第2次世界大戦をめぐっても、帝国主義的強盗戦争の論理を満展開している。カイライ勢力を集めたいわゆる大東亜会議(1943年11月)なるものを、得手勝手にアジア諸国代表の会議にすりかえて、あたかもこの戦争は、日本がアジアを解放するために行った戦争であるかのように言いなしている。さらに「玉砕」や「特攻隊」の美化など、彼らの言辞は、断じて一言も許せない。
 「戦争は悲劇である。しかし戦争に善悪はつけがたい。国と国とが国益のぶつかりあいの果てに、政治では決着がつかず、最終手段として行うのが戦争である。アメリカ軍と戦わずして敗北することを、当時の日本人は選ばなかったのである」
 この部分は、文科省から「程度が高すぎる」という意見がつけられて修正(削除)されたが、これでは、第2次大戦やアジア侵略には何の問題もない、これからもやる、ということである。実際、彼らの考え方はそうなのである。アジアの人民を何千万人も虐殺し、日本の労働者・農民を何百万人も殺したこと、あげくの果てに沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキをひきおこしたことを、いったい何と考えるのか!

 改憲・核武装と天皇制支配

 (5)戦後について述べているところも断じて許し難い。「歴史」「公民」の二つの教科書から、特徴的な例を挙げる。
(イ)日本国憲法はGHQに強制された。
(ロ)大日本帝国憲法のままで民主化は可能だったと、美濃部達吉らの意見を根拠にして主張している。
 以下は「公民」教科書の記述である。
(ハ)憲法9条のもとで自衛権はあると主張。また憲法改正をすべきだと、中学生教科書で主張。
(ニ)「現代の民主主義や人権思想は、『個人の尊重』という個人主義的な考え方と切り離せない」「個人としての人間を尊重するためにも、各人が社会に対するさまざまな義務を果たし、積極的に社会秩序を維持していくことが必要となる」
 彼らは「基本的人権」の立場や民主主義そのものを真っ向から攻撃している。彼らが国家主義、国家至上主義であることは明らかだ。
(ホ)「核兵器廃絶という理想を考える」というコラムでは、「核兵器廃絶が表面的(?)に合意されたとしたら、そのときが、世界にとってもっとも危険な瞬間だ」「核兵器廃絶の禁を破るものが世界を支配するかもしれない」などと語り、日本の核武装化を実質的に絶叫している。
(ヘ)「生命尊重は最高の価値となりうるか」
(ト)天皇については、「民族の祭り主」「国民の敬愛の対象」「みずからは権力をふるわないものの、そのときどきに権力をにぎる幕府などに権限を与える立場」「わが国の歴史には、天皇を精神的な中心として国民が一致団結して、国家的な危機を乗りこえた時期が何度もあった」などと語り、天皇制についてのかぎりない美化と誇張とうそを書き連ねている。
 古代から平家・源氏にいたるまでの時期は、まさに権力そのものをにぎっていたのではないのか。権力を奪いあう内乱やクーデターをくり返していたのではないのか。明治憲法下の天皇は権力をふるっていないとでも言うのか。デタラメを言うな。
 逆に、天皇などあってなきがごとき時代があり、衣食もギリギリという時代があったのではないのか。
 大体、特別の家系がそれ自体で特別の絶対的存在として特権をもつことが、とんでもないことではないのか。怒りに堪えない。
 彼らは、天皇を持ち出すことで一切の暴力統治を合理化でき、労働者人民をこれでいくらでも弾圧できると考え、その効果を意識しているのである。

 階級的立場で強力に武装を

 以上、大まかに「つくる会」教科書の内容をスケッチしたが、これがどれほどデタラメで反動的なものかは一定程度、明らかになったと思う。重要なことは、ここで彼らが言っていることは、帝国主義の危機が戦争に転化する時代には、帝国主義ブルジョアジーにとって不可欠の論理・イデオロギーとなっていくということである。また労働者人民の側が階級的見地・階級的闘いの立場にきちんと依拠しないならば、国家をあたかもそれ自身一個の生命体であるかのようにすりかえ、国家のために死ねと強制する力にうちかてなくなってしまうのである。
 したがって労働者階級と革命党は、階級的立場・見地で強力に武装し、この「つくる会」の主張や石原や山田杉並区長のファシスト的言動と断固として対決し、攻撃的に徹底的に粉砕していかなければならない。
 石原が「いまいちど戦争をして、今度は勝てばいいのだ」と言う時、彼はその立場で都政を動かし、さらには国家をその方向にもっていこうとしているのである。だからこそ、ファシスト石原を打倒することはプロレタリアートの未来のかかった死活的課題なのである。6月都議選に全力で勝利しよう。

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週刊『前進』(2193号6面2)(2005/04/11)

 “石原知事は辞任を”

 女性差別暴言に抗議行動

 「3・8国際婦人デー集会実行委員会」が3月8日、石原都知事の女性差別暴言を弾劾して、都庁に申し入れた。実行委を構成する東京労組交流センター女性部や婦人民主クラブ全国協、杉並の高齢者などが参加した。以下、申し入れ文を紹介します。(編集局)
   ◇   ◇
石原慎太郎 東京都知事殿
抗議申し入れ

 石原慎太郎東京都知事による2001年の女性差別暴言に対して、東京都内の女性たち131人が発言撤回と謝罪、損害賠償などを求めておこした裁判の判決が、去る2月24日東京地方裁判所で出されました。請求そのものは退けられたものの、判決文には「法の下の平等を規定する憲法やその他の法令、国際社会における取り組みの基本理念と相容れない」と知事を厳しく批判しました。
 私たちは、石原都知事がこの判決内容を改めてとらえかえし、すべての女性・労働者市民に謝罪し、発言を撤回すると同時に、知事をただちに辞任することを求めます。
 石原都知事はこれまでも就任一期目から民族差別発言や「障害者」差別発言をくりかえし、排外主義と差別を公職の立場からあおり立ててきました。今日においては、憲法99条にある憲法遵守義務を負った存在であるにもかかわらず、「ヒットラーになりたい」「憲法を命がけで破る」などと発言しています。そして「東京から日本を変える」とこの戦争・差別・排外主義、労働者切り捨ての都政を全国に拡大していくと豪語しています。都知事、あなたのような人が知事として居座り続けていることを認めることはできません。即刻辞任すべきです。
 そもそも2001年10月から12月にかけて都議会・報道など公的な場所で繰り返し行われた女性蔑視(べっし)そのものの発言を許すことはできません。石原都知事は「文明がもたらしたもっとも悪しきものはババアなんだそうだ」と週刊誌インタビューや議会で発言しました。学者の発言を引用するという形をとっていますが発言の主旨は「男にはいくつになっても生殖能力があるが、閉経した女性には生殖能力がなく、生殖能力を失った女性が生きているのは無駄であり、罪である。それは地球にとって悪しき弊害(へいがい)であり、惑星を消滅させてしまうものだ」というものでした。あなたこそ女性の存在だけでなく、男性も、人間全体をも否定しています。そういう人だからこそ、歴史を直視せず、戦争をあおり、破壊を進めていこうとするのでしょう。
 しかも引用したという東大・松井孝典教授の主旨はまったく逆で、「人間圏の繁栄が実は『おばあさん』の出現によってもたらしたものだ」というものでした。問題の発言は石原都知事自身の発想であり、考え方です。
 他人の考え方を尊重せず180度曲解して平然としている日頃の態度そのものから、誤引用も出たのです。自らの意見に同調しないものの存在は、はなから認めないという石原都知事らしい恥ずかしい姿です。
 今日3月8日は「戦争の即刻中止! 女性解放! 暮らしを守る」とかかげて全世界の女性たちが営々とたたかってきた国際婦人デーです。私たちは、今日の日に申し入れに立ち上がりました。
 石原都知事は東京都の教育において、学校現場における「日の丸・君が代」強制を行い、強制に反対する教育労働者を処分し、抗議する市民を警察に売り渡すなど憲法違反を常態化させています。「憲法を踏み破る」ことをこととし、ファシスト政治を率先して行う石原都知事に労働者民衆は黙っていません。世界中の女性が怒り、私たちを激励してくれています。知事はただちに辞めなさい。
 以上強く申し入れます。
2005年3月8日
3・8国際婦人デー集会実行委員会

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