ZENSHIN 2005/01/01(No2181
p16)
|
週刊『前進』(2181号6面1)(2005/01/01)
青年労働者座談会 未来切り開く05年の闘いへ
団結して闘えば社会は変えられる
青年の力で闘う労働運動つくろう
04年、あらゆる現場で青年労働者が闘いをけん引しました。マルクス主義青年労働者同盟の結成から1年。闘う労働組合運動をつくり出すために奮闘する青年労働者を先頭にして、05年を闘おう。青年労働者のみなさんに、11・7全国労働者総決起集会へ向けた闘いを始めとする04年の闘いの教訓や総括、05年の闘いの抱負などを語り合ってもらいました。(司会・本紙編集局)
出席者
坂井 学 全逓労働者
黒岩 祥平 自治体労働者
佐々木新一 教育労働者
平林 孝一 都労連労働者
中田 英樹 金属労働者
竹内 春実 医療労働者
有村 真子 民間労働者
川久保佳助 合同労組労働者
有村 元気と希望を持てる集会 竹内 譲れない思いが集まった
黒岩 上部団体を越え運動作る 坂井 職場の中での実践が重要
佐々木 被処分者の闘い盛り上げ 中田 民営化阻止は共通の課題
平林 マルクスで「労働者」自覚 川久保 「革命は実現できる」確信
青年労働者に展望示した11・7
米韓労働者と一体感
司会 まず、11・7集会の感想から聞かせてください。
中田 集会への集中度や熱気が、今までとは画然と違った。開会前にもう野音が埋めつくされていて、それだけで「今年は絶対成功だな」と確信した。集会の発言もよかったし、それに対して会場全体が反応する雰囲気がすごいよかった。
竹内 壇上で発言している人と会場にいる人と、本当に一体感があった。発言の一つひとつに対して、会場から「うわぁー」って呼応している感じで。
平林 連合の集会と活気が全然違う。連合の集会は、みんな「動員だから」って感じ。でも11・7集会は、参加者がみんな目的を持って参加している。
佐々木 私が組合に入った数年前は連合や日教組の集会ももっと盛り上がっていたのに、ここ最近、がくっと冷えてきた。頑張って若い人を連れてきても「なんだこれは」と思う集会が多い。でも11・7集会は違う。若い仲間を連れてきて、方向が見える集会でしたよね。
有村 一人ひとりが目的を持って集まっている集会だからだと思う。また呼びかけている3労組が、強い目的意識を持っている集会だからですよね。
黒岩 集会が始まる前からの雰囲気が、これまでの11月集会とも全然違う。入り口では30人、50人と組合単位でどっと入ってくる。これまでの枠を越えて人が集まった。MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)で始まったアメリカの労働者の新しい運動と完全につながって集会が行われて、すごい感動しました。
川久保 このご時世にあって集会全体がすごい明るい。それが一番すごいことだよね。「戦時下」と言うと暗いイメージだけど、アメリカの労働者も、組合の団結を堅持して闘いぬくことに圧倒的な展望を持っていることがよくわかった。
内容もストレートですっきりしている。「連合・全労連をのりこえて、自分たち現場労働者が団結を固めて進もう」「闘えない組合を自分たちがつくり変えよう」と。組合活動の経験があまりない青年にも、「そういうことをやればいいんだ」とすごく伝わる集会だった。
坂井 自分が初めて11月集会に参加した時と比べても、今は大変な世の中になっている。全逓から名称変更したJPU(日本郵政公社労組)本部も、闘う方針を出さず、旗の色まで変えちゃった。
竹内 何色になったの?
坂井 青です。赤をやめて。でも11・7ではアメリカの労働者も韓国の労働者も「民営化阻止」を訴えている。「組合を現場の手に取り戻そう。おれたちの力で変えよう」というランク・アンド・ファイル運動にすごい空気が入った。
竹内 労働運動にはけっして譲ってはならないものがある。そう言うと、全労連や連合の幹部は反発するんです。でも現場の労働者は、その譲るべきじゃないものに依拠して闘いたいと思っているし、その思いが11・7に集まっていた。
司会 「日の丸・君が代」闘争を闘いぬいた被処分者が登壇しましたね。
有村 11月6日の教育基本法の集会で、事前に被処分者の登壇をめぐってもめたと聞いたんです。そういう中で7日に、「日の丸・君が代」闘争を闘った先生たちが毅然(きぜん)と壇上に上がり、全体が圧倒的にそれを受け入れたのは、すごいと思いました。
佐々木 11・6集会も教育基本法改悪反対の一点で集まった意味は大きい。でもやはり11・7は違う。両方参加した人も「全然違う」と言ってました。
教育労働者の闘いもまだ一部の人が頑張ったという段階です。でも闘いの核ができた。「座れなかった人がいるんだから、彼らをヒーロー扱いするな」と言ってその核をつぶすのはおかしい。座れなかった人も被処分者を応援したいと思っている。核ができたんだから、そこに集まって盛り上げていくべきですよね。
竹内 職場の人は、教育労働者の闘いに感銘を受けています。医療労働者も戦争協力の最前線で、戦争協力に「ノー」と言えるのかどうかが突きつけられている。その中で、教育労働者が「日の丸・君が代」強制を拒否して闘ったことが自らに突き刺さって、労働者としてどう振る舞うべきなのかを本当に学びました。
司会 一緒に参加した人の感想は。
有村 初めて集会に来た人が、民主労総の発言に「圧倒された。すごい怒りが伝わってくる」とものすごく感動していた。ほかの人も、「初めて集会に参加したけど、すごいね。また行きたい」と。初めて参加した人が元気をもらって希望を持てる、いい集会でしたよね。
中田 僕の組合の人は、「集会が始まる前から、みんなの力で何かを変える、何か大きなことが起こりそうな予感がした」と言っていました。
竹内 MWMに参加した青年労働者が「言い訳だらけの組合活動はもうご免です」と言ったでしょ。初めて参加した人も、11・7集会にいたる組合とのやりとりを知っているので、「ほかの職場でも同じように闘って、この集会に参加しているんだ」とすごく共感したそうです。
平林 多くの参加者が自分の組合本部に対する不満を強く持っているから、「言い訳だらけの組合活動はご免だ」というのは、みんなの本音だよね。
組合の賛同を要求し
司会 11・7へ向けて、職場ではどのような活動を?
竹内 私は一昨年の11月集会に初めて参加したんですが、11・7は職場からの参加者が3倍になりました。だから今年はさらに3倍を目指します。
組合は医労連で共産党員も多くいます。それで「ランク・アンド・ファイルの力だ」と考え、職場の人と一緒に「11・7に賛同してほしい」と要求した。結局賛同しなかったけれど、賛同しないと決めた理由がすごい。“全労連に代わる新たな闘いをつくることを目的とした集会だから”と。まさにそういう集会だから賛同してほしいと要求したのに。それで、同僚たちに問題がすごくわかりやすくなった。共通の課題で共闘するためには、“違いを横に置いて”ではなく、違いを明らかにしてぶつかり合うことも必要だし、それがあってこそ団結できる。
向こうは闘う人たちをつぶすために、こそくな弾圧をかけてくる。でも私たちにはやましいことはないから、弾圧されて小さくなるのではなく、「こうやって弾圧してきてる」と明らかにした。それがかえって共感を広げました。
平林 親しい人や青年部員に片っ端からメールを送りました。「11・7全国労働者総決起集会への参加を重ねてお願いします。闘う労働組合の再生へ向けて大結集しましょう」と。それで職場から仲間が参加してくれました。
坂井 自分が参加するだけではなく、集会をともにつくる立場に立って、職場でも郵政民営化とからめてビラをつくって配りました。アメリカのランク・アンド・ファイルについても書いて、「日本でもやれる。11・7集会にみんなで行って、郵政民営化阻止へ闘っていこう」と呼びかけた結果、若い仲間と一緒に参加できたことがすごくうれしかった。
連合・全労連幹部と激突し奮闘
各地で青年交流集会
司会 青年労働者の集会などにも取り組んできたそうですね。
中田 一昨年までの11月集会は、直前に始まってそこで終わるみたいな感じだったけど、去年はもう5月から始まった。5月に沖縄で青年労働者交流集会があって、「全国にこんなに頑張っている青年労働者がいるんだ」と感じた。で、8月の広島で「これはやれる」と確信を持った。集会内容がすごくよかったし、地元の多くの仲間と参加できたから。秋には地元で青年労働者集会をやったんです。市職とか他労組とか、いろんなところに青年集会と11・7集会を一緒に呼びかけて。おもしろかった。
川久保 僕も秋に地元で青年労働者交流集会をやりました。よく「若い人は労働運動をやらない」と言われるけど、本当はそんなことない。この1年間、原則的に頑張っている青年たちと多くの出会いがあった。「誰もいないから」と押しつけられて青年部役員になったとしても、今の時代に労働運動をやれば無風では済まない。職場でどんどん問題が起こるし、闘う方針を求めている。
そういう中で、青年労働者独自の集まりは意味が大きい。親組合は「青年部はレクリエーションでもやっていればいい」と言うけど、青年労働者にとってはそうはいかない。悩み格闘している青年労働者と大きな輪をつくって、闘う方針を提起していくことだと実感しました。
佐々木 この1年で、付き合いがすごく広がりました。教労の青年部の人たちとも、ほかの産別の人たちとも。ほかの組合の青年部が、原則的なことを当たり前に言っているのを聞いて、すごく刺激になりました。「その当たり前のことを言えてないよ」と突きつけられて。
有村 全国の仲間と「職場でこんな目にあってるんだよ」とか「うちの組合でこういう取り組みをしてるよ」って話をいっぱいできた。そういうつながりが、自分の励みにもなる。
司会 職場や組合ではどんな活動を?
有村 去年3月、組合幹部と激突しました。全労連傘下の組合で、2月半ばごろは「3月20日は日比谷へ」と言っていたのに、3月になって、幹部が「全労連中央が芝公園集会を決めたから、県労連も地元の公園でやる」と言い出した。
そして、組合員にも「日比谷に行くな」とつぶしにかかってきた。さらに直前になって「日比谷には組合旗は貸せない」と言い出した。やり合ったんですが、何を言おうと岩のようにがちがち。「ここまでなるものか」とショックでした。でもその中で組合員が日比谷に来てくれて、それがすごい励みになった。
その人とは3・20がきっかけで『共産党宣言』の学習会もやって、11・7にも来てくれました。幹部の制動で逆に、今まで以上に組合員と信頼関係を築けた。すごく悔しかったけど、すごい有意義だったと思っています。今年はぜひ、もっと強い攻撃を本部にかけていきたい。
坂井 去年は春から、職場で毎日のように過激派キャンペーンをされた。社民党の党員が「お前は中核派だろう」と言ってきて、「こいつと付き合うとろくなことがないぞ」と宣伝する。
竹内 そういう「猿山のボスに従え」みたいなやり方って、本当に汚いよね。私の職場の仲間たちは「どっちの言っていることが正しいか」で判断するし、そんな汚いやり方にはみんな怒り出す。
坂井 でもそのキャンペーンに負けずに職場の仲間を固めることができたのが、自分にとっては大きかった。
黒岩 僕の職場には自治労・自治労連の組合が両方ある。8月の広島集会は、自治労連の青年部の人が参加してくれたんです。みんな「すごくよかった」と言って、「ナショナルセンターを越えて闘う労働運動をつくろう」と訴えたら「そのとおりだ」と。それで「みんなで11月集会に行こう」ってなったんですよ。
でも、とんとん拍子では行かないだろうと思っていたらそのとおり。自治労連の「共闘の原則」は、「過激派とは一緒にやらない」「全労連を批判するところはだめ」というもの。いったい誰と共闘するんだって感じですけど。それで今、組合は中央組織のためのものじゃない、そういうことにしばられない闘いを足元からつくろうと話しています。
青年活動家がいない組合が多いから、若手のことを持ち上げるんだけど、その若手が動労千葉と一緒に闘うとなったらばちんとたたく。やはり共産党ですね。
たぶん、アメリカのMWM運動でも「あそこは何々だから一緒にやらない」という動きはあったと思う。それでも確信を持って、前進している。日本でも、確信を持って頑張っていきたい。MWM運動にはすごい励まされました。
有村 組合の活動家はほとんど50歳代という中で、若いとそれだけで看板みたいに持ち上げたりするんですよ。旗を持たせたり、写真をとって使ったり。でもいい加減「ふざけんな」って感じです。「あんたらがやらないんだったら、私たちがやるから、邪魔するな」と言いたい。私たちが提起した方針はことごとくつぶして、彼らの言うところの「正当な集会」の時は「若者だ」とか言って前面に立たせる。この状態に今年こそは「ノー」と言ってやりたい。
組合員とタッグを組んで、本当に組合をつくり変えていきたい。青年こそがこれからの時代を動かす力を持っていることを、行動で示していきたい。
司会 青年労働者の闘いがますます重要ですね。
佐々木 教育基本法改悪の問題とか、日教組も全教も一緒にやったらどうなんだ、組織のしがらみにしばられていたらダメだろうって本当に思う。親組合はそれが簡単にはできないけど、青年層にはしがらみなんて関係ない。青年はそこが強いんだと思う。だから「じゃあやっていきますよ」って思っています。
青年部の先輩の人たちに話を聞くと、「青年で集まって、がんがん上とやり合って、組合活動が楽しかったよ」と言うんです。それは楽しいと思いますよね。それこそしがらみじゃなく、本当に原則的なことを言えるのが青年部ですから。
坂井 70年代の反マル生闘争とか、職場闘争をばんばん闘っていた時には、青年部が先頭でやっていたという話をよく聞く。でもその当時闘った人たちはもう、自分たちの闘いを職場で語らない。
おれもストライキなんて見たことないし、やったこともない。そういう中でこれからどう闘っていくのか。やはり職場の中での実践が重要で、青年労働者が先頭に立って、そこら中で管理者とけんかするような雰囲気にしていきたい。
佐々木 11・7の時も思ったけど、青年労働者で独自の梯団(ていだん)をつくってデモをやりたい。どこかでぜひやりたいよね。おもしろいと思う。
有村 インパクトあるよね。今年はぜひやりたい。
黒岩 交流だけにとどまらず、この青年労働者のつながりで実践していくのが、次の段階だよね。
動労千葉に学んだ事
司会 動労千葉に学んだことは。
有村 去年の春闘で動労千葉が、1人の組合員を守るためにみんなでストに立ち上がりましたよね。しかもそれで要求の前進をかちとった。あの話を組合員にしたら、今まで「動労千葉って過激派でしょ」と言っていた組合員でも、動労千葉に対する見方がすごく変わった。そして「うちの組合でも、そういう闘いをやっていこうよ」という話もできた。動労千葉には本当に学びました。
竹内 一昨年の11月集会に職場から参加した人とはその後、学習会を始めて、労働組合の原則を学んできた。あと動労千葉の人たちに話を聞く機会があったこともすごく大きかった。それがあったから、「職場から参加する仲間を増やそう」と懸命に取り組むようになった。職場で自分たちにかけられてくる攻撃の意味や、どういう展望を持って闘うべきかがわかってきた。まさに動労千葉の人たちの生の声と、理論と、両方あったから11・7に向かう過程の闘いになったし、「今年はもっと楽しい集会にしたいね」という発想になっています。
教労を先頭に全産別で決戦へ
司会 05年は冒頭から、春の「日の丸・君が代」闘争が焦点ですね。
佐々木 現場の教育労働者が苦しい立場に追い込まれているのは事実です。「心から立って歌います」という人もごく一部いるけど、ほとんどの人が「嫌だ」と思いながら立っている。その思いをどういう方向に持っていくかだと思う。不起立した人を応援する動きが本当に盛り上がっていけば、「自分も」という人が出てくる。去年不起立できなかった人が今年頑張るには、周りの盛り上がりが必要なんです。この1年、被処分者を中心に確実に盛り上がってきたから、それをもう一段ふくらませれば、必ず闘いは盛り上がると思っています。
坂井 昨年春に東京の教育労働者数百人が処分覚悟で「日の丸・君が代」強制を拒否した闘いは、本当に多くの労働者の心を打ったと思う。05年冒頭はまず、これをめぐる攻防です。最大の焦点は都立高の卒業式です。都立高で千人が不起立を貫き、小・中学校や全国の教育労働者が呼応して一緒に闘いぬいたら、すごい勝利です。横暴な石原の処分恫喝に屈しない教育労働者の闘いは、すべての労働者に勝利の展望を示している。
川久保 そういう攻防の中で、カクマルが「告訴・告発」運動を始めた。カクマルは、“不起立すれば処分が出るし、弾圧を呼び込む挑発運動だ”と言っている。今春の卒・入学式で不起立闘争を爆発させないための策動だよね。
佐々木 「私は脅迫されて起立させられ歌わされました。だから告訴します」というのは、立って歌うことが前提になっている。そこが違うと思う。まず労働者としての抵抗があるはずなのに。立たず歌わない抵抗闘争をやるのか、立って歌わされたから告訴なのか、と。
黒岩 今春の闘争は、今後の教育労働運動はもちろん、全逓、自治体、全部を決める位置にある。学校現場に労働組合が残るのか、労働組合が全部解体されてしまうのかをかけた闘いだと思うから。
労働運動にはその時々の焦点の課題があるし、ナショナルセンターとは本来、全体の力を結集して、そういう闘いをやるためにある。一緒に闘うことで「自分たちは労働者階級だ」と自覚することにもなる。連合がやらないんだから、僕らが一緒に闘いを起こしていきたい。
川久保 日本が戦争をやる時に、学校の先生が「日の丸・君が代」に反対していたら戦争はできない。教育基本法を変えたって、教師がかつてみたいな軍国主義教育をやらない限り、国のために命をかけるという若者はできない。だから、ものすごい非和解的なやり合いです。
佐々木 教育基本法改悪の問題と直結している。教基法改悪の与党中間報告では、教育の目的から変えると言っている。「個人の尊厳」などの言葉は抜いて「国を愛する心」を入れた。きわめつけが10条の解体です。「教育行政は教育内容に介入してはいけない」と教育行政を規制してきた10条を、まったく逆に「教育行政は不当な介入を受けない」と変える。つまり、組合活動が教育行政に対する「不当な介入だ」とされる。
戦争協力拒否の闘い
黒岩 陸・海・空・港湾労組20団体が「戦争協力を拒否する」と立ち上がり、教育労働者が立ち上がった。そういう闘いが自治体でも必要です。国民保護法制施行を受けて05年度に各都道府県で、06年度に市町村で国民保護計画を策定する。戦時訓練計画づくりに自衛隊も参加して。しかし自治労幹部は、計画策定を前提に「労働組合が積極的に関与して、人権に配慮した、全国のモデルになるような国民保護計画をつくろう」と言う。
竹内 わかりやすく、めちゃくちゃ。
黒岩 そういう戦争訓練への参加が自治体職員には職務命令とされるわけです。それを拒否することと、「日の丸・君が代」に反対して立たないことは同じだと思っています。でも自治労だけでなく、自治労連も国民保護計画の策定に反対しない。「憲法9条を守ろう。有事法の発動に反対」と言いながら、保護計画づくりについては「住民統制にならないよう監視を強める」という一文だけ。
有村 認めちゃってるんですか?
黒岩 認めた上で「統制にならないように」と言う。「日の丸・君が代」に対して「思想・信条の自由を侵さないように、みんなで歌いましょう」と言うのと同じだと思う。絶対おかしい。
郵政・自治体が焦点に
司会 郵政、自治体、どこでも民営化との決戦を迎えています。
坂井 JPU本部は郵政民営化に対して、労働組合としての闘いは放棄した上で「郵便局事業を守る」と言う。合理化・人員削減についても「雇用を守るためには、労働条件の低下はやむをえない」と言う。それで郵便局ファンの会や有識者の集まりなどを立ち上げて、「郵便局がなくなったら大変だ」という運動しかしない。結局、「郵政を民営化しようとしているのは小泉だけ」というとらえ方で国会内だけの問題にしている。
でも郵政民営化や公務員制度改革の核心的な狙いは、終身雇用制の解体です。日本経団連の奥田会長も言っているとおり、“公務員労働者の身分保障を解体しないと、労働者階級全体の終身雇用制を解体できない”と判断してやってきている。資本家総体の意思なんだよね。
黒岩 自治体でも、あらゆる職場で市場化テスト、指定管理者制度、独立行政法人化などの民営化攻撃が始まっている。でも組合本部は「信頼を集める社会保険行政に」「民間ではこんな保育はできない」と、「公でやる必要がある」という運動に終始している。そんな運動では労働者の団結はどんどん希薄になる。
MWMの22の要求では「まともな仕事が奪われる民営化に反対」と、民営化を全労働者の課題として鮮明に打ち出している。そういう訴えこそ必要です。「職場がなくなるから反対。労働者階級の共通の課題だ」と訴えていく必要がある。
そのためには自分たちの組合も変わる必要がある。民営化攻撃は、非常勤や臨職の職を真っ先に奪う。組合がそういう課題に取り組み、あらゆる労働者の職場を守る立場で闘うことが必要です。
中田 市場化テストは「大変な攻撃だ」と思った。民営化されても民間の仕事が潤うわけじゃなくて、さらにコスト削減が徹底される。そうやって公務員から職場を奪い、民間の労働者の生活を破壊する。官民の分断をのりこえる闘いがなければ共倒れにされる。
だから「民営化阻止は官民共通の課題だ。ともに闘おう」と思っている。
佐々木 三位一体改革の義務教育費国庫負担問題も大きい。「管理職にはならない」という人にも「授業力リーダー」というポストをつくり、財政も重点的に振り分ける。人事考課でランク付けされるのも同じで、結局、労働者自身が競わされてしまう。そして差別・選別教育で、ほんの一部のエリートと兵士をつくる教育に変えようとしているんです。
黒岩 自治体でも人事評価制度が賃金に反映されようとしている。それで、「評価が下がらないように」と深夜12時まで働いている人もいる。その先に明るい生活があるわけでもないのに。でもそれは団結がないからだよね。
平林 僕の職場でも、55歳での昇給停止が話題になっています。人事考課制度の話も出てきて、能力主義がだんだん強められていくという状況です。
組合幹部は、民営化と闘わず、民営化の後も組合の利権を残すことばかりに腐心している。それで現場に情報も明らかにしないから、組合活動の求心力が失われて、逆に遠心力が働いています。
司会 闘いの路線が問われますね。
坂井 昨年秋、「郵政民営化阻止へ物ダメ・ストで闘おう」と提起したところ、集配の青年労働者が「配達先に決まった時間どおりに届けることが自分の誇りだ。それを自分から止めるのは心苦しい」と言った。よく考えるとその誇りは、労働者が現場を動かしているってこと。ストをやれば郵便物がどんどんたまる。それであらためて、誇りを取り戻そうってことなんですよね。
黒岩 仕事に誇りを持っている労働者がストに立つのは、重いことだよね。
坂井 動労千葉の中野前委員長の『俺たちは鉄路に生きる2』に、動労千葉も定時どおりに運転することに誇りを持ってるから最初は順法闘争が大変だった、と書いてあった。だからこそ、決断して闘いに突入したらすごい力を発揮する。
物ダメ・スト方針を出した以上、「郵政民営化とどう闘うのか」と議論し、闘う団結をつくっていくことが必要です。
川久保 連合・全労連指導部との闘う路線をめぐる攻防が重要ですね。例えば「物ダメ・スト」方針はJPU本部に対するパンチ力になっていると思う。「そんなものは無理だ」と連合指導部が言っても、「郵政民営化に賛成するのか、首切りを容認するのか」と職場で大衆的に訴えていくことで、現場労働者の具体的な決起を生み出していけると思う。
連合の中でも、造船や電機、自動車などの労働者は、公務員に相当厳しい感情を持っている。ある労働者と話した時、「あんな働かない連中の賃金を減らすのは当然だ」と言われて、ショックでした。この現実を、官公労から闘う労働運動を復権させてうち破りたい。
坂井 国鉄闘争の位置は大きい。分割・民営化から18年たっても国鉄闘争をつぶすことができないまま、ほかの産別の民営化をめぐる大攻防に突っ込まざるをえない状況を強制しているのは、すごいこと。1047名闘争をめぐって共産党の敵対が露骨になっているけど、職場で国鉄闘争に取り組みながら、郵政民営化と闘いぬいていきたい。
川久保 今の攻撃の本質は、日教組、全逓、自治労、国労という官公労働組合をたたきつぶすことにある。だからこれをうち破って、連合内で闘う労働運動が力を持った時に、民間の労働者の現実も激変する。ここに核心があるという気がします。4大産別の闘いを爆発させることで、連合を揺さぶり、民間労働者の闘いも爆発させていきたい。
05年をマル青労同飛躍の年に
司会 05年、いよいよ青年労働者の闘いの飛躍の年としたいですね。
中田 僕らは去年1年間をとおして、「青年労働者の闘いで、連合・全労連指導部の労働者支配をぶっ飛ばすことができる」と実感してきた。その具体的な力を行使することが05年の課題です。
だから地元の青年労働者集会でも二つのことを呼びかけた。一つは「集まった青年労働者で、ストライキ支援とか、具体的な行動を起こそう」と。もう一つは「マルクス主義を一緒に勉強しよう」。総評時代にはほとんどの労組がマルクス主義を学び、「社会主義建設」を標榜(ひょうぼう)した。それが今や「団結」という言葉も使わない。僕らが労働運動を強化していくために、資本家が最も嫌がる武器であるマルクス主義を取り戻そうと。今年はこの二つをどんどん実践していきます。
黒岩 組合本部が闘いを放棄する中で、青年労働者が方向性を示さなければ労働者の未来はないと痛感しています。
川久保 連合・全労連指導部を打倒して階級的な労働運動をつくるのは、青年労働者です。資本主義社会で受けてきたとんでもない教育とも向き合って意識を転換していくことができる情熱と激しさを持つのは、やはり若い世代ですから。
マルクス主義を学び
司会 この1年、マルクス主義に学んできたことは。
竹内 言葉も経験もまったく違う韓国やアメリカの労働者と、なぜこんなに共感を持ってつながれるのか。「敵より1日長く」とか、「100回負けても101回目で勝つ」、そういう共通の言葉が理解できるバックボーンがマルクス主義なんだと実感しました。
でもMWMは「共産主義」と掲げているわけではなく、22のスローガンのように具体的な言葉で話す。私たちも、マルクス主義の思想をああいう具体的な言葉で語ることが必要だと思いました。
佐々木 この1年、個人的には激動でした。自分の中で何が変わったか、象徴的なのが「教育労働者」という言葉を使えるようになったこと。「教師」「教員」と言うより「教育労働者」の方がしっくりくるんだな、と。「やっぱり労働者だよ」と確信を持つようになった。
マルクス主義は、まだ学んでいる途中です。この1年間で、資本主義社会の現状や、帝国主義について学んできた。今の社会は本当に腐りきっているし、資本主義は限界まで来ている。この現実をどう変革していくか、マルクス主義に答えがあるのかなって感じです。
平林 僕もマルクス主義の学習会をしてきて一番変わったと思うのは、「自分は労働者なんだ」ということがはっきり自覚できたこと。「階級闘争」とはどういうものなのかも自覚できた。学習会は、職場でどう活動していくのかも含めて話し合っていく場にしていこうと思ってます。組合幹部の悪口で終わるんじゃなく、「じゃあどう闘おうか」という話まで進めて、周りに闘いを広げたい。
坂井 11・7集会に参加した人と学習会を始めました。『賃労働と資本』の読み合わせをして、翌日に職場で会ったら、「あの本は誰が書いたんだ」と聞かれた。「マルクスだよ」と答えたら「そうなのか」って。誰が書いているかじゃなく、その中身で、ニコニコうれしそうに参加していたんですよね。そういう中身をしっかり語っていきたい。
有村 組合員と『共産党宣言』の読み合わせをしたら、彼はすぐに本屋に行って『共産党宣言』を買ったんです。それだけ内容に共感したそうです。100年以上前に書かれたのに、今の情勢とものすごくフィットするのは驚くほどです。
学習会をやることによって、労働者としてどういう視点を持ち、いかに実践していくべきなのかを学びました。それから一緒に学習することで気持ちがすごく共有できて、絆(きずな)が生まれた。これは教訓になりましたね。
中田 組合活動で、情勢とか今起きている攻撃をどう見るのかとか、いろんな文章を書くでしょう。その時に、マルクス主義を学んでいるから、個別資本の攻撃もとらえられるし、「労働者階級としてどう立ち向かうのか」「全体的な労働運動の後退を盛り返さないと僕らの組合の勝利もない」と訴えることもできる。
だから僕にとってマルクス主義が必要だと痛感している。マル青労同の基本任務は労働運動の実践とマルクス主義の学習。この二つは一つのテーマです。
黒岩 組合本部は一時金カット攻撃などに対して、口先では「反対する」と言っても、緊急抗議行動などに全然人を集めようとしないし、「若い組合員がついてこないから、妥協するしかない」と言う。民営化攻撃にも現場の闘いで反撃するのではなく、「政党にお願いして」という発想しか持たない。やはりマルクス主義を投げ捨てているからです。「労働者が団結して闘えば、腐りきった社会を変えられる」という確信がない。労働運動と労働者階級の未来のため、マルクス主義の中身を持った組織が組合の中に必要だ、と痛感しています。
千人のマル青労同を
司会 マル青労同の闘いがいよいよ重要になっていますね。
川久保 今の時代、革命ができるという確信を持てるか否かは、すごくでかい。革命とは、労働者の独裁を実現して労働者の社会をつくろうということです。それは同時に、労働者を徹底的に信頼して闘うという自分の立場性でもある。「労働者こそ社会を変える力を持っている」と確信を持つから、どんな困難な時にも闘える。マルクス主義というのは、「労働者こそ社会の主人公になれるし、労働者は絶対に勝てる」と猛烈に書き記した、すごく熱き書物だと思う。
マル青労同は、マルクス主義を学び、労働組合運動を先頭で闘う組織です。自分たちの革命への確信を研ぎすまして、本当にそういう闘いをしていきたい。
坂井 労働者の闘いの前進のために、やっぱり1000人のマル青労同が必要です。そのために、職場で先頭になって闘う姿を見せるのが、05年の課題です。職場で先頭になって闘う青年労働者をどんどん増やして、その力が1000人になったら、すごい力になる。
11・7集会は、それぞれの現場で本当に闘っている仲間が集まったから、明るかった。今労働者にかけられている攻撃は大変なものだけど、そんな中で展望を持って明るく闘えるイデオロギーと路線を持っているのがマル青労同です。
有村 自分の組合を闘う組合にするために奮闘している人たちがたくさんマル青労同に集まっています。今は労働者が資本家に支配されているけど、本当は自分たち労働者が社会を動かしているし、世の中を変える力も持っている。私はマル青労同の仲間と出会ってその実感を持ったので、それを組合員と共有したい。
だから、組合の仲間にマル青労同に触れてもらいたいな、と思ってます。11・7に参加した組合員は、職場の中でもものすごい積極的に動いている人なんで、マル青労同の有力な候補です。そして、組合員と一緒に幹部に突っ込んでいきたいという野望を持っています。
竹内 私たちは、例えば教育労働者の不起立闘争が職場の闘いを広げる上でも重要だから、彼らとつながりたいと思う。産別も越えて労働者が団結しないと、自分の職場でも勝てない。労働者の団結した力が無数に広がっていったら、労働者の方が絶対に強いんですから。そういう場が私にとってマル青労同です。
一人ひとりは非原則的な考え方で生き残ろうと思う時もあるけれど、それでは負ける。だからこそ、譲らないものを持つためにマル青労同が必要なんです。
佐々木 どうしても教育基本法の改悪を止めたい、戦争を止めたい、そのための力が欲しい。今までその方向性が見えないでやってきた中で、マル青労同は方向性が見えている、という感触がある。なんとしても青年労働者の力強い闘いをつくり出したいですね。去年1年間で勉強してきたことを、組合や職場の青年労働者の中に広めていこうと思います。
平林 マル青労同に入って1年、本当に忙しかった。でも、その忙しかったことが、全部生きていると思う。「万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ」、まさにマル青労同はこれを実践するために闘う場だと思っています。
川久保 今、労働組合運動の先頭に立って、悩みながら格闘して、勝利の展望を求めている青年労働者が膨大にいます。でも労働者は、労働者階級の究極的解放をめざす政党を自分たち自身でつくらないと勝てない。連合・全労連指導部とばんばんぶつかりながら、日本の労働者をどう獲得していくのか。今こそ労働者党の建設が死活的だと思います。
1000人のマル青労同建設は簡単ではないけれど、空語じゃないことを完全につかんだ。土台は完全にできました。この1年間で闘う仲間が一気に増えたんで、マル青労同にどんどん獲得していきたい。05年は飛躍の年です。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2181号9面1)(2005/01/01)
ファシスト石原に挑戦状
長谷川英憲氏、都議選へ決意語る
戦争と福祉破壊の石原都政 議会に労働者階級の代表を
日帝・小泉政権が米英との枢軸を形成し、イラク侵略戦争にのめり込んでいく中で、05年は重大な決戦を迎えている。その前半決戦を集約する闘いとして都政を革新する会の長谷川英憲代表(元都議)を押し立てた東京都議選が闘われる。長谷川さんに都議選をめぐる内外情勢や石原都政の批判と都議選勝利への決意をうかがった。(編集局)
労働者の国際連帯で闘う時代切り開こう
――まず今年6月の都議選に向かっての決意をお願いします。
長谷川 何よりも今年の都議選がどんな情勢のもとで闘われるかということです。やはり一番大きな点は、2期目のブッシュが再選されるや否や猛然と新しい戦争に突入するような激しさでイラク・ファルージャ攻撃に踏み切ったことでしょう。小泉は、このアメリカと枢軸を組んでどこまでも世界戦争を一緒にやるつもりです。こういう中に石原都政があり、しかもその先端を担っている。「日の丸・君が代」押し付け、教育基本法改悪・改憲はそうした新たな世界戦争体制づくりです。歴史を画する情勢の中で闘われる国政級の選挙になります。階級決戦的性格を持った都議選です。絶対勝利をめざして闘いぬきたい。
12月9日に自衛隊のイラク派兵の期間延長、10日に新防衛計画の大綱が閣議決定されましたが、自衛隊の海外派兵を主要任務にしていくことや沖縄の基地をさらに強化しようとしている。辺野古のヘリ基地建設も重大な問題です。
ここ3年くらいは国政選挙がないかもしれないから、今度の都議選はきわめて重要な選挙になります。真の野党、真の労働者の代表を都議会に登場させることが決定的に重要です。労働者の代表としてなんとしても都議会にのりこんでいきたい。本当に労働者の立場で闘う議員が一人いれば状況を大きく変えられます。
――昨年11月7日に日米韓労働者の大集会が大成功しました。その意義についてどうですか。
長谷川 何よりも労働者階級の国際連帯、団結がうち立てられたことを実感しました。そして民営化と戦争との対決が、アメリカでも韓国でも、そして日本でもまったく同じように労働者階級の課題としてすえられている。国際的な状況が労働者階級にとってまったく同じで、それに国際的に反撃していく、そういう時代が開かれたと思いました。
同時に、国際連帯という場合も抽象的なものではなくて、ブッシュが先頭にたってやっているイラク戦争、それに小泉が全面的に加担して侵略者として自衛隊の存在がますます明らかになっている。これに対して国際的な闘い、内乱的な闘いでこの侵略戦争に反対し、イラク人民と連帯して闘いをやりぬくことだと思います。
この11・7集会に来日したアメリカ代表と交流する機会がありました。そこでトッド・ウィークスさんが「シアトルの教育労働者が賃金の問題、学級の人数の問題をめぐってストライキをやった。地域の住民、父母、生徒たちがストライキに協力して勝利した」という話をし、「日の丸・君が代」で決起している労働者の闘いを高く評価していました。また、ILWUローカル10のジャック・ヘイマンさんが「百万人労働者行進をとおして共和党でも民主党でもない自分たちの党を作るんだ」と言っていました。労働者階級は自分たちの闘いに必要な武器である党を自分たちでつくりだすということが肌身に伝わってきて、非常に新鮮な感動を覚えました。
11・7のもう一つの大きな成果は「日の丸・君が代」闘争を闘いぬいた教育労働者が登壇し、力強く訴えたことです。
20人の教育労働者が11・7の壇上から、世界の労働者に対して「日の丸・君が代」闘争について訴えた。「日の丸・君が代」の強制は戦争協力の強制そのものです。これとの闘いは、職場から戦争協力拒否を貫く闘いです。日本の労働運動の中で今最も果敢に闘っている教育労働者が、他の産別の労働者や市民に対して檄を発してともに闘うことを訴えた意義はものすごく大きい。石原都政の最大の反動的政策が教育に対する攻撃だが、それに対する反乱の火の手が東京で上がったのです。
今春卒・入学式闘争の爆発が石原倒す勝負
――都議選は石原都政との対決ですね。
長谷川 石原都政は2期目に入っていますが、1期目の単なる延長ではないことをしっかりとらえる必要がある。石原知事が出てきたのは99年の4月ですが、それ以後、周辺事態法が通り、有事立法体制になり、イラクへの派兵というかたちで日本が直接侵略戦争に踏みきった。今度のブッシュの再選は、このまま行ったらアメリカ帝国主義は崩壊するという猛烈な危機感から右翼的なものが噴き出しブッシュを支えた。小泉も戦時下の支配体制というのを強烈に意識しており、そうした反動の先頭に石原知事が立っている。
03年10・23通達は、教育現場への「日の丸・君が代」の強制で教育労働者の団結を解体し、「死を強制する教育」に動員しようとするものです。ここをめぐって石原知事との激突が生じている。
昨春決起した教育労働者が、子どもたちにも狙いが定められている以上は絶対に譲れないと言っている。「私は教師として、子どもたちに『日の丸』を敬い『君が代』を歌えと強制することはなんとしても耐えがたい。教師の良心を自分で抹殺するようなものだ」と。
よく「お国のために命を捨てる」と言いますが、被処分者の会の人が「お国のために命を捨てるのではなくて、お国のために人の命を奪う子どもたちをつくれということなんだ」と言っています。そこのところに石原知事の狙いがある。だからこそ「日の丸・君が代」強制へのやむにやまれぬ決起が起こっている。
――あれだけの人が闘ったことは石原知事や都教委にとってはショックだったでしょうね。
長谷川 ある被処分者が言っていましたが都教委は「たかだか10〜20人だろう」と高をくくっていたそうです。昨年の都の教育労働者の決起は本当に情勢を大きく動かしたと思います。だから都労連の労働者が、「これは自分たちの闘いである」と言った。動労千葉の労働者が「おれたちの援軍ができた」と言った。闘いへの共感と連帯が沸き起こったのです。
都高教自身は闘っていないけど、都高教を作り替える決起が中から出てきた。この闘いを引きついで、今年の3月、4月の卒業式、入学式で不起立がどう闘われるのか、昨年を上回ってさらに闘いが広がっていくのかが、大きな意味を持ってくる。そこに勝負がかかっていると思います。
石原知事のファシスト的なやり方の特徴として議会を使うということがある。つまり、議会で民主党や自民党の土屋、古賀、田代などの極右ファシスト議員に、例えば生徒が立たないのはその生徒を指導している教員に問題があるんじゃないかと質問させて、それに教育委員会が、「おっしゃるとおりです。教員に問題がある」「学習指導要領に基づかない誘導的な授業をやっていると思わざるを得ない」と答える。すかさず「そういう教員は処分対象ではないか」と畳み込み、教育委員会に「そういう措置をする」と答弁させる。
昨年6月の定例都議会で「日の丸・君が代」問題が質問に出て、傍聴席でヤジが起こっている。石原知事は「もう一回やったら退場だぞ」と議長でもないのに傍聴人を恫喝した。傍聴席からは質問者の古賀議員(民主)や石原知事に激しいヤジを浴びせている様子が議事録からうかがえる。しかし、その時に議場からなんの反応もない。傍聴席でヤジっている人たちを激励するためにも議員は何かやるべきなんです。そういう対決を共産党も他の野党にしてもできていない。これが議会を使ってなんでもできるという風潮をつくっている。一人でも踏ん張る議員が絶対に必要です。
2期目の石原知事の都の労働者に対する大攻撃が昨年12月に出た第2次アクションプランと財政再建プランです。4000人の労働者の首を切ると言っている。このニュー・パブリック・マネージメント方式は徹底した民営化です。
民営化に対する反対論が、共産党もそうですが自治労も「サービスの切り捨て反対論」なんです。だから闘えない。労働者の職場を奪い、労働者の生活を破壊する攻撃だ、だから反対だ、民営化に対して公務員が闘うことがすべての人の生活を守ることになるんだと言い切れない。そこのところをひっくり返さないとだめです。
――こうした攻撃は、日本の労働運動全体を解体して産業報国会化しようとする攻撃ですね。
長谷川 小泉=奥田路線の「骨太方針W」が郵政の民営化を頂点にして、自治体の制度改革で公共部門の労働者に的を絞って民営化攻撃で組合を破壊しようとしている。それを戦時下における攻撃としてはっきりさせて闘わない限り、絶対に対決にならない。だからこそ労働運動が重要なんです。
保育や福祉切り捨て差別むきだしの都政
福祉の切り捨てという点でも東京都は国を上回る方向性を出している。1期目の石原都政がやったのは認証保育所制度です。これは、国が介護保険の前に保育の問題で措置制度から契約制度へという大きな流れを作ろうという攻撃があったんですが、それはうまくいかなかった。保護者とか、保育園にかかわる運動のために徹底した民営化にはならなくて、自治体の責務という部分が残った。そういう国のやり方の手ぬるさを突いて石原は認証保育所という東京都独自の制度を導入した。
一言でいえば、民間資本をもうけさせるための制度です。保育料が、契約ですから月5万円とかそういう金額に上がった。働く女性労働者の要求を逆手にとり、「0歳から」「駅前」「13時間開所」をうたい文句に、しかし結果的にできるものはビルの中だから園庭がまったくないということになる。およそ非人間的な保育園にならざるを得ない。労働者の労働条件も徹底的に破壊される。これに21億円も予算を投入している。
しかし、2期目の石原都政は保育園についてさらにとんでもない方向を打ち出しました。昨年5月の「東京都児童福祉審議会意見具申」報告書では、昼間労働者向けの保育から24時間型都市構造の労働者向けの保育に転換する、認可保育所も福祉事務所を経由しないで直接契約できるようにするなど、保育の全面的市場化をやろうとしているのです。認証保育所はその突破口だったわけです。保育は、福祉でも子どものためでもなくなるということです。
――福祉施設の廃止という大変な案がでていますね。これについてはどうですか。
長谷川 福祉施設、「障害者」施設を、廃止に向けて順次規模縮小とか、廃止とか、早期に民間移譲とか、ほとんど全部の施設がそういう方向で処理されようとしている。美濃部都政が築き上げた東京の福祉を最後的になくそうとしている。「障害者」とか高齢者に税金を使う必要はないし、使う時には資本の利益のために使うということであり、自治体の責任という考え方を完全に捨てた。憲法25条の健康で文化的な生活を保障するのが国の責任だという考え方をなくすということです。
石原都知事は、1期目に府中の「障害者」施設を視察して「あの人たちに人格はあるのか」とか「(子どもを生まなくなった)ババアが生きているのは悪しき弊害」と発言した。こういう考え方、思想を2期目では都政にがんがん具体化している。高齢者や「障害者」の血が流れるような政治が行われているということです。
女性財団というのが鈴木都知事の時に作られたんですが、それを廃止した。女性団体から猛烈な抗議の声が上がったが、それを無視して石原は廃止した。女性の自立した活動を東京都は援助しないということです。
男女平等、女性の参政権は戦後に誰もが民主主義を実感したものだった。その流れをまったく逆転させようとしている。ジェンダーフリーに対する攻撃もそうです。戦前の、女性が蔑視(べっし)され、人間として扱われなかったそういう時代にもう一度引き戻そうとしている。反動というのは古色蒼然たるものだと言われていますけど、石原知事の場合にはとりわけその感を強くします。
1期目の石原知事は排外主義的な外国人差別をあおり、それと結びつけて防災訓練をとおして治安体制を作った。2期目はさらに治安体制、戦争体制は強められるでしょう。地下鉄に細菌がまかれたということを想定して図上演習が行われた。これに関連して石原知事は都議会で昨年暮れ「東京で細菌テロが起きたら命がけで憲法を破る。天然痘のような遅発性の菌が地下鉄などで使われたらその列車に乗っていた人に名乗り出てもらう。しかし、その名を公表できない(憲法の制約で)。そんな時は憲法を破るのは当然だ」と、ことさらに憲法を攻撃している。
もともと石原知事は「憲法破棄」を唱え、公務員の憲法順守義務などくそくらえという態度を一貫してとってきた。戦時下の様相が強まる中でいっそう反憲法・改憲を声高に叫んでいます。
“とめよう戦争教育・うばうな介護”を訴え
――都議選をどのような政策で闘いますか。
長谷川 まず1番の柱は、戦争反対の闘いです。特に「日の丸・君が代」攻撃との闘いですね。米英日によるイラク侵略戦争、自衛隊のイラク派兵、この戦争と一体で進められている米軍再編と自衛隊の新防衛計画の大綱での戦争体制の強化、沖縄の辺野古での海上基地建設、こうしたものとの闘いとして選挙戦を闘います。その柱として「日の丸・君が代」強制攻撃を粉砕する闘いとして都議選を闘うということです。
戦後の教育労働者、日教組の闘いは、「教え子を戦場に送らない」というスローガンのもとに、全労働者階級、全労働組合の最先端で闘った歴史です。私が活動を始めた頃は、杉並でもあちこちの小学校で組合の役員が処分されて激励していた。先生たちが闘っているときは生き生きしているから、子どもたちも信頼します。教育労働者が生き生きと闘うことが学校にとって一番必要なことです。
「日の丸・君が代」の問題で、石原が学校教育について講演した中でこういうエピソードがある。アメリカでの例を紹介して、親の言うことと先生の言うことが違ったら親の言うことを聞きなさいと言った。ここには子どもたちの自主的な判断というのはまったくない。彼は言われたらそのとおりに実行する子どもたちを作る軍国主義的な教育を考えている。
お上に逆らうような人間はだめだという人間観ですね。そういう意味では労働組合などは絶対に認めない。労働組合こそ労働者の自主的な自己解放の組織ですから。
今年の都議選に至る過程で昨年の11・7で切り開いたような地平を教育労働者の闘いを先頭にして全労働者の闘いに広げていく、労働者や労働組合が、教育基本法改悪や改憲を阻むために全力で立ち上がっていく、その水路を切り開いているのが「日の丸・君が代」強制反対の教育労働者の闘いです。
「日の丸・君が代」をめぐっては、カクマルの「告訴・告発」運動が出てきていますけど、職場からの不起立闘争を「ハミダシ」「挑発」と言って敵視し破壊する許しがたい運動です。そもそも「日の丸・君が代」の闘いを権力が弾圧しているわけですから、その権力にお願いして石原や横山教育長という権力そのものの連中を裁くということがありえようはずがない。彼らを本当に断罪できるとしたら労働者や住民の大きな闘いの戦線が進む時です。それは絶対可能です。
3月をめぐっては去年以上の闘いを爆発させたい。それで教育基本法改悪反対、改憲反対の大きな闘いの筋をはっきりさせていくことだと思います。
2番目の柱は、介護保険の改悪反対を始めとした福祉破壊との闘いです。
われわれは介護保険制度そのものが高齢者から介護を奪うもので反対しています。そして必要な人に必要な介護を全面的に要求していくという立場です。ところが今、介護保険が5年ごとの見直しの時期に入っていて、介護保険制度を作ったときにペテン的に言っていた「介護の社会化」などという理念だとか、趣旨さえ踏みにじるかたちで改悪が行われようとしている。要支援、要介護1という人たちからヘルパー派遣を奪う。杉並区でも8300人の要支援、要介護1の人がいる。この人たちから介護を奪い、筋力トレーニングをやって介護保険にかからないで済むようにしなさいという。そのための金は少し出しましょうというやり方です。それから施設介護で食費とか部屋代を取るということで月にして一人3万円から5万円ぐらい自己負担が増える。そうして介護保険財政の危機を乗り切ろうとしている。
これにはみんな怒っている。保険料は取って介護はしない。それがうち切られたら杉並の高齢者、とりわけ一人暮らしの人たちに介護保険制度になって増大した孤独死がさらに蔓延(まんえん)するでしょう。
この問題を典型にして、年金・医療を含めて社会保障を徹底的に解体しようとしています。戦争と福祉切り捨ては一体です。それを許さない闘いとして都議選でも高齢者の介護を担っている労働者の人たちと一緒に、彼らの怒りと自主的な決起を全面的に信頼して闘っていきたい。
厚生労働省や杉並区と交渉していて感じるのは、向こうも自信がないということです。本当に力関係だと思います。運動が全国的にまき起こったら向こうもできないでしょう。例えば厚生労働省との交渉では、ヘルパー派遣をうち切られたら困る高齢者の現実を突きつけると「ヘルパー派遣を継続できるように検討します」と言わざるをえない。
その点では「介護保険に異議あり、全国ネットワーク」とか杉並住民の会が厚労省交渉を始めとした運動を進めてきた意義がものすごく大きい。高齢者が直接要求に立ち上がった場合にはペテン的な論理でだますというのが通じない。生きるための切実な要求として突きつけますから、答えられない。この運動をさらに全国的に広げていくことですね。
また労働組合も当然自分たちの家族の問題でもあり、高齢者も労働者階級の一員ですから、年金問題と同様に正面課題にすえていくべきだと思います。まずは高齢者が怒りをぶつけ、先頭で決起していくことですね。そういう力で都議選にも勝利していきたい。
――最後に全国の読者に一言。
長谷川 私は都議選決戦を労働者階級の代表として闘う決意です。私が都議会に登場することによって、都政のあり方を決定的に変えたい。真に闘う議員が一人いれば今の都議会の状況は大きく変えられます。労働者階級の代表として石原反動政治にストップをかける。
そのために杉並だけでなく全都の、さらに全国の労働者の力をお寄せいただくように訴えます。都議選決戦に勝利して小泉=奥田、石原の戦争と民営化の攻撃を阻止しましょう。そして労働者階級が主人公となる社会に向けて大きな前進を切り開きましょう。私はそのために全力を尽くします。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2181号D面1)(2005/01/01)
学生新春座談会
教基法改悪阻止・大学改革粉砕へ
東北大 派兵阻止現地闘争を牽引 京大 安保・沖縄軸に日帝打倒を
法大 学館の閉鎖・解体許さない 広大 全学決起で自治会公認へ
全学連は昨年、イラク反戦・有事10法案阻止、安保・沖縄闘争と大学闘争をキャンパス、国会、現地などで縦横無尽に展開し、3・20国際反戦統一行動、11・7労働者集会に全力で結集した。全学連の若いリーダーたちに教基法改悪・大学改革阻止へ向けて、05年決戦の展望を大いに語り合ってもらった。階級的労働運動との連帯を掲げて大きな飛躍をかちとろうとしている全学連運動とともに闘おう。(編集局)
内海佑一(法政大学、全学連副委員長)
矢吹洋平(東北大学)
原田幸一郎(京都大学、全学連書記次長)
伊藤之雄(広島大学)
司会・全学連委員長 大山尚行
11・7に勝利を確信
労働者国際連帯に感動
大山尚行 最初に11・7労働者集会に参加しての感想を聞かせてください。
矢吹洋平 「すべての権力を人民へ」「おれたちが権力を取るんだ」に空気が入りました。アメリカではミリオン・ワーカー・マーチ(MWM)が大成功したし、日本でも3600人を集め、韓国ではゼネストという国際連帯が実現し、05年決戦の展望を開くすばらしい集会でした。こういう闘いをしていけば必ず勝てると確信しました。
内海佑一 労働者による体制変革、ランク・アンド・ファイルの闘いにものすごい展望があると思います。11・7に参加した学生が中心となって、大学キャンパスでもこういう運動を組織していこうという闘いが始まっています。
原田幸一郎 権力や大学当局の攻撃と苦闘している学生にとって、日米韓の労働者が戦争と民営化という共通の課題に対して怒りを爆発させて国際連帯闘争に立ち上がっていく、このダイナミズムを実感と感動をもってつかんだことが決定的だったと思います。
伊藤之雄 労働者のストライキとかを直接目の当たりにしないできた学生にとって、闘いの展望が圧倒的に示された集会でした。動労千葉の春闘ストライキとかアメリカのMWMのような闘いはとても新鮮で、そういった感動が11・7の結集につながっています。
内海 動労千葉や「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者との交流が非常に重要でした。法大でも学生会館解体という大攻撃がかけられていますが、そういう中で動労千葉や教育労働者に学んで闘おうと11・7に結集し、同時に法大決戦での反転攻勢をつくり出してきました。
大山 直前の11・2弾圧はたいへんな大弾圧でしたが、これをはね返していくということではどうでしたか。
内海 11・2弾圧は沖縄で闘う学生への弾圧であり、11・7に結集させないという敵の側の危機にかられた弾圧でした。この弾圧は許せないと怒った学生たちが11・7に決起するということが起きました。11・7の大結集が3人を奪還した力になったし、核心において敵の思惑を打ち砕いたことが重要です。
階級的労働運動と連帯
大山 04年決戦の中で学生が反戦闘争・政治闘争を労働者階級の闘いと連動してやり抜いてきました。この点どうでしょうか。
矢吹 昨年2月に自衛隊が初めてイラク派兵されるということで、北海道現地闘争を全力で闘いました。派兵阻止闘争を闘いぬいてこそ3・20日比谷10万人結集も爆発するんだということで、北海道の各労働組合や人民とともに徹底的に闘いました。さらに8月青 森、11月宮城・山形と、年間をとおしてイラク派兵攻撃と対決してきました。
この現地闘争がイラク反戦闘争の柱を立ててきたと思っています。自衛隊のイラク派兵は帝国主義の侵略戦争なんだ、「復興支援」そのものが戦争の継続なんだ、だから体を張ってでも阻止するんだ、と闘ってきたことは本当に重要だったと思います。
伊藤 昨年の闘いは、単に「こんな残虐な戦争を許せますか」だけではなくて、戦争をしなければやっていけなくなっている体制とは何なんだ、そうした社会を変えていくために階級的力関係を転換していこう、労働者階級が戦争を阻止する力をつけていこう、と訴えてやってきました。3・20がそうだったし、広島大はそこで確信を持った1年生が主人公になって8・6広島大行動を準備しました。労働組合が賛同し、労働組合が結集し、そこに空気が入って取り組んだという実感があります。
原田 04年前半戦では、有事関連10法案との闘いを3・20に対する反動に抗して闘いぬいたことがやはり決定的だったと思っています。キャンパスでも、これが北朝鮮・中国侵略戦争法案であり、またイラク侵略戦争の激化・拡大のための法案なんだ、と真正面から全学に訴えて闘いぬいた経験は、ますます重要になっていくと思います。
日帝・小泉政権が自衛隊のイラク派兵期間の延長を決定したことは、日米同盟をどこまでもエスカレートさせ、米帝の世界戦争計画を自らの戦略としていくということです。その中心は沖縄を始めとした在日米軍基地です。ここにこそ敵の最大の矛盾と弱点がある。
内海 名護新基地建設に対して、何百日も続けられている座り込み闘争、海上での命がけの実力阻止闘争がものすごく重大です。自主法政祭で糸数慶子さんを招きましたが、基地絶対反対の糸数さんが30万票もとって参院選で当選したのは、基地と人間は共存できないという沖縄の人びとの意思の表れだと思います。
伊藤 辺野古で闘っていた学生が不当逮捕された。僕は11・6教基法改悪反対集会でそのビラを配ったのですが、沖縄に駆けつけて闘っていた学生を逮捕して強制的に連れ戻したことに労働者がものすごく反応してきて、その場で千円カンパしてくれる人なども出てきました。労働者のものすごい注目を感じました。
内海 学生の決起が権力にとっては恐怖なんだと思うんです。東京でも、政治にかかわったことのない多くの学生が辺野古現地に駆けつけ、辺野古の住民とともに闘う中で、国家権力とはこういうものなのかということを目の当たりにして、今度は自分の大学で闘いを開始するということが始まっています。そういう中での11・2弾圧だったんです。
法政大学を先頭に
全国大学闘争爆発へ
大山 昨年の全学連大会で、階級的労働運動と連帯する学生運動を打ち出し、教育基本法改悪・大学改革攻撃と対決する決戦論を打ち立てました。
矢吹 東北大が全学連大会で提起したことの核心は、大学が新たな戦争教育の頂点に位置していて、教基法改悪攻撃は大学改革をやりきることで貫徹されるということです。
東北大では「内規」という攻撃があり、法政大と同じようにサークル活動そのものを根絶しようとする攻撃がかけられています。「内規」は50年前の朝鮮戦争過程で作られ、その後ずっと適用されずに死文化していましたが、法人化と同時に復活させてきたわけです。ビラまき、ポスター張り、立て看板までが副学長の許可制となり、さらに団体の結成も副学長が認めなければできない、禁止も解散も命令できるというものです。この「内規」のもとで学生部の職員の対応も一変しています。
7月自治会選挙では、この「内規」を撤廃しようと掲げ、総投票数1800で1200の信任票をかちとりました。大学当局に、学生は自治会を支持していることを示したことが重要です。さらに秋の過程で100のクラス決議・サークル決議が上がりました。当局の激しい妨害の中で「自治会が言っていることは正しい」「自治会に続こう」という学生も次々出てきています。
こういう機運の高まりの中から「学生こそ大学の主人公だ!」というスローガンを掲げ、12・16大行動を打ちぬきました。
内海 法政大学生会館の閉鎖・解体の強行は絶対に許せません。200近いサークルが活動場所を奪われ、つぶされたサークルもあります。大学当局は「学生がボヤを出した」「部室の使い方が汚い」と言っていますが、何でそれが閉鎖・解体に直結するのか。まったく理由にならない。
結局「サークル活動なんて必要なのか」という理事の暴言にすべてが表されています。彼らにとっては、インターンシップとかベンチャーとか資本の利益に直結する活動がすべてで、そのために学生会館をつぶして新たな施設を造るわけです。平林理事の「学館は非知性、非寛容」という暴言は本当に全学生の怒りを買っています。敵の狙いがはっきりと見えてきました。
僕たちは、学生は自信を持ってサークル活動の自由を主張しよう、学館閉鎖・解体を絶対に止めよう、と訴えました。前期はクラス決議と一言カードを集め、各団体からは学館閉鎖撤回の要求、新施設に部室を作れという要求が出され、7月、11月と会見が行われました。1000筆を超える署名も提出しました。長峰学生部長の「新しい施設に部室は作らない」という発言には、本当に多くのサークル員が怒っています。
大山 小泉=奥田=清成路線との闘いであることを鮮明にさせたことが決定的でしたね。
内海 清成総長の「自立型人材」育成論は、もはや法政大は大学間競争に生き残れないという危機感から出されています。だからインターンシップの奨励とか新学部設置を進め、その邪魔になるサークルをつぶすということです。1%のエリートを育成し、残り99%は切り捨てるという教育を進めているわけです。しかし、サークル活動すら認めないというのはものすごい敵の側の危機と破綻(はたん)点です。ここに大反撃のカギがあると思います。
大山 全国の大学闘争にとっても法政大の攻防は重大ですが、実際、12・4全国学生総決起闘争を闘ってどうでしたか。
伊藤 法政大に駆けつけてみて、今年の春まであった巨大な建物をあっという間に取り壊してしまう、しかも理由にならない理由をデッチあげて、話し合いもなしに強行してしまうという攻撃を目の当たりにしました。大学改革攻撃との対決というのは、本当に学生と大学当局との力関係で勝負が決まるということを感じました。
12・4の闘いで、全国の学生が集まり、自分の大学での苦闘と同じ闘いを法大生と共有したことに勝利の展望を感じました。広島大では大学移転の時に学生の自治や権利を奪われ、今は「サークル員名簿を提出しろ」といった新しい攻撃が始まっています。そういう中で、法政大の話をした時に「信じられない」「こんなことがあるんですか」という話になりました。「署名とかやってもいいんじゃないですか」という意見も出てきました。法政大の闘いを持ち込むことをとおして広島大でも大学改革攻撃の本質が見えてきました。
大山 昨年の新歓から自治会運動の本格的展開に踏み切ったことが決定的ですね。
伊藤 そうですね。特に法人化攻撃に対して、「大学の主人公は学生なんだ」ということで、学生の声を大学運営に反映させるための自治会を本格的につくろうとしてきました。実際、アンケート運動をとおして、学生の中でももっと自分たちの意見を主張しようという機運が高まってきました。勝手に上から決められていくとか、単位を取得するためにつまんない授業を黙って受けなければいけないとか、毎日退屈なレポート作業に追われてもう嫌だと。おまけに授業料が値上げされるかもしれないと。こういうことに対して何か言いたい、学生の意見を聞けというものが出てきたと思うんですよ。
原田 京都大でも、法人化でキャンパスでの立て看の設置禁止、サークル活動の禁圧が始まりました。また履修登録の自由度を大幅に制限し、研究も中期目標・中期計画に沿ったものにしか予算を出さなくなっている。大学全体の予算も来年度から毎年3%削減です。学生の自治と権利にかかわる領域が真っ先に削減の対象になるのは明らかです。またローソンやJTBなどの資本を学内にどんどん導入している。大学のあり方自体をつくり変えてしまおうとしています。
これに対して、私たちは公開質問や要求行動、全学的な暴露を重ねました。学生にとって法人化問題が重大な関心事となって、あちこちのクラスやサークルで法人化批判のビラを手にとって議論している姿を見かけるようになりました。05年が、京大から学生全体が当局と権力に対して怒りを爆発させて決起していく年になることは間違いないと確信しています。
歴史塗りかえる闘いを
大山 2期目のブッシュ政権のもとで帝国主義の危機と凶暴化がイラク情勢を展開軸に激しく進むと思います。05年決戦では、これとどう対決し、どういう闘いをつくり出していきますか。
伊藤 決定的なのは米帝足下における巨大な階級的分岐です。05年は、ますます人民とブッシュ政権との非和解性が鮮明になっていくと思います。キャンパスでも、ブッシュや小泉との非和解性を鮮明に打ち出そうということです。
矢吹 ブッシュの言う「オーナーシップ社会」とは、一方でイラク戦争で一握りの資本家連中が大もうけし、他方で労働者は8千万人が健康保険にも入れないという社会です。しかも、イラク侵略戦争は完全に破綻しています。1月の選挙はすでに大破産、しかし撤退することもできない。米帝の危機は完全に深まっています。
原田 ブッシュとともに小泉=奥田との対決を鮮明に訴えることが重要です。日帝は、ブッシュの世界戦争計画と一体化して「外への侵略戦争、内への階級戦争」を徹底的に進めようとしています。そのために労働組合運動、労働者の階級的団結を根絶しようとしている。これに対して、全国の拠点大学から全学総決起をつくり出すことが何より必要です。その最大の決戦が教基法改悪阻止決戦です。「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者と連帯して、学生が教育決戦の当事者になる。僕はその最先頭で闘いたい。
伊藤 「日の丸・君が代」強制・教基法改悪の核心である「愛国心」とは、現にイラクに自衛隊を派兵し、さらに北朝鮮侵略戦争を画策しているこの国のために「自分の命を差し出せ」ということです。積極的に戦争に加担し死ぬこともいとわない人間になれという攻撃です。絶対に許せないという怒りを爆発させることです。
原田 小泉=奥田に対する階級的批判が一切の基礎であり核心です。「改革」なるものへの幻想を吹き飛ばす激しい断罪の言葉を打ち込んでいく。自民党憲法調査会の議論や新防衛大綱などは、驚きと怒りに堪えません。小泉=奥田は敵であり、こいつらとは非和解なんだ、打倒する以外ないんだ、という思想が必要です。
矢吹 「内規」や有朋寮廃寮化の攻撃との闘いも、侵略戦争に突入している中での大学のあり方、学生の主体そのものをめぐる大決戦です。「国家のために進んで命をささげよ」という教基法改悪と対決することなしに、学生の運動の勝利もありません。1〜2月、さらに全学的大運動をつくっていこうと思います。
内海 最大の焦点は3月の卒業式です。被処分者たちが今度は1千人決起で石原・横山を打倒するんだという勢いで闘っています。法政大は1〜2月に学生独自の大集会・デモを実現し、3月の大爆発に向かって全学総決起を打ちぬくことを決意しています。
60年安保の時も教育労働者と連帯して闘う中で全学総決起がかちとられたし、それを世界戦争の時代、労働者に権力をよこせという時代の中で自分たちの力でやるってことです。大学当局にも、教基法改悪に何で反対しないんだと激しく迫るべきです。そういう闘いが教育労働者の闘いへの真の連帯だと思います。
大山 全国で日共・民青が急速に没落・反動化している情勢は決定的です。昨年の12・4闘争への賛同・参加を全大学に持ち込みましたが、民青は「取り組まない」「他大学の問題は関係ない」としか言わない。「それはおかしい」という声が学生の中から上がっているし、法政大の闘いが首都圏と全国の大学の分岐・再編のカギになっている。カクマルも衰退・反動化が著しい。あらゆる大学に闘いを持ち込み、自治会をつくり出していく展望が完全に見えてきています。
伊藤 自治会というものは、学生がその気になればつくれるし、広島大で自治会を確立することで、「学生こそ大学の主人公だ!」ということを全国に示したいと思っています。学生の中からも「広大は『学生の声を積極的に取り入れていきます』とか言っているくせに、なぜ自治会を非公認扱いするのか。自治会を公認すべきだ」という声が出てきています。この大学当局の矛盾を突いて、全学決起で自治会の公認をかちとりたいと思います。
原田 京大では、学生運動の歴史を塗り替える闘いをやる。学生の総決起でキャンパスの支配権を学生の手に取り戻す。文字どおり全学の総反乱が必要です。そのために、全学生の団結形態としての真価を発揮し当局や権力の攻撃と闘う自治会をつくり出していきたい。そのことを全学生に呼びかけ、ともに建設していきたいと思っています。
マルクス派が主導権を
大山 本当に学生の怒りを解き放つためにも、マルクス主義がますます重要ですね。
伊藤 昨年は、新入生との出会いの最初から「マルクスのマルクス主義」での獲得を意識的にやってきました。今日、大学に入学してくる学生は、01年9・11―03年3・20後の世界の中で自分はどう生きるべきかを求めているんですよね。そこで『共産党宣言』と動労千葉労働運動でオルグして、学生を獲得してきた。僕はここに確信を持っています。マルクス主義派、階級的労働運動派が主導権を取っていく中から全学総決起が展望できると思うんです。
原田 京大でも同じです。大学内外で蔓延(まんえん)している思想は、すべて現実社会を見すえない非科学です。資本主義の原理を首尾一貫してつかみとることをとおして変革の道を明らかにする理論は、マルクス主義以外にありません。大衆運動に参加している人のみならず、あらゆる人に大胆にマルクス主義の学習会を呼びかけ、マルクス主義を持ち込むことです。学習活動も一個の闘争領域として、闘争と同じくらい高く位置づけてやっていくべきだと思います。
大山 ありがとうございました。一丸となって05年決戦の先頭で闘おう。
---------------------------------------------------