ZENSHIN 2004/11/15(No2174 p06)

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週刊『前進』(2174号1面1)(2004/11/15)

11・7全国労働者集会 国際連帯の熱い躍動  ブッシュ・小泉打倒へ団結
 日本のMWM(百万人労働者行進)運動の出発点に
 日比谷に“インターナショナル”轟く

3600人が闘う全国ネットワークを誓う
壇上に並んだアメリカILWU、韓国・民主労総の労働者と会場が一体となって、韓国の労働歌「鉄の労働者」で「律動」(11月7日 東京・日比谷野音)

「イラク戦争をやめろ! 占領をやめろ! 今すぐ軍隊を撤退させろ!」と書かれたILWUの横断幕を先頭に元気にデモに出発した日米韓の労働者

 2004年11月7日は、日本労働運動と国際労働運動の新たな一ページを開く歴史的な日となった。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組の呼びかけで開催された「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を! 11・7全国労働者総決起集会」は、東京・日比谷野外音楽堂を埋める3600人余りの労働者人民の結集で、素晴らしい感動的な集会として大成功した。
 韓国・民主労総、アメリカ・ILWU(国際港湾倉庫労組)の代表を迎えて、アメリカの10・17MWM(百万人労働者行進)を引き継ぎ、お互いが激励し合う日米韓の国際連帯集会となった。その固い絆(きずな)は、資本の手先となった既成の労働運動を覆す、闘う新潮流をつくり出そうという意欲にあふれたランク・アンド・ファイル(現場労働者)の団結だ。148労組・団体の賛同は、その本格的な始まりだ。体制変革を希求しプロレタリア革命に向かう、日本におけるMWMの実現に向けた第一歩を踏み出したのだ。

 韓米の発言に満場の大喝采

 集会は、港合同と教育労働者の若く元気な司会で活気にあふれて進行した。港合同の辻岡尚執行委員による開会あいさつに始まり、中盤の韓米労働者からの発言で最高潮に達した。(主な発言の要旨別掲
 韓国からは民主労総ソウル地域本部事務処長のパクサンユンさん、同じく組織部長のムンムンジュさんの2人、アメリカからは、ILWUローカル10ビジネスエージェントのジャック・ヘイマンさん、ローカル10執行委員のドワイト・サンダースさん、ローカル19執行委員のマイケル・ホードさん、ローカル19のトッド・ウィークスさん、ローカル34でMWM事務局長のキース・シャンクリンさん、MWM事務局のキャシー・シャンクリンさんの6人が登壇した。
 韓国の労働歌「鉄の労働者」に合わせて政府や資本家を両手で槍や刀をつくって突く動作をする「律動」は、国際連帯の熱い躍動感を会場全体に広げた。
 パクサンユンさんは、盧武鉉(ノムヒョン)政権が、派遣労働を拡大し非正規職を拡大する法案を推進していることに対して、全組合員の賛否投票でゼネスト闘争を組織化していること、韓日FTA(自由貿易交渉)に対して今月初めに日本遠征闘争を行ったことなどを報告し、「全世界の労働者の国際連帯万歳! 闘争(トゥジェン)!」とこぶしを上げた。
 アメリカからは3人が発言し、MWMに訪米した動労千葉との「最もラディカルな組合」同士の姉妹兄弟の関係を強調した。
 ジャック・ヘイマンさんは、アメリカ西海岸の港湾労働者のたぐいまれな戦闘的闘いを誇り高く語り、日本での「日の丸・君が代」の強制や「共謀罪」にも触れ、「内に向けての戦争と外へ向けての戦争」との闘いを訴えた。日本語で「万国の労働者団結せよ!」と呼びかけた。マイケル・ホードさんは05年に再び日本とアメリカで合流することを訴えた。キース・シャンクリンさんは、AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)の妨害に抗してかちとられたMWMの意義を明らかにした。
 参加者はスタンディングオべーションでこたえた。
 カンパアピールを看護師の女性が行い、100万円近いカンパが寄せられた。ゼネストに向け闘う民主労総に送られた。
 基調報告を動労千葉の田中康宏委員長が提起し、「労働者の国際的団結で、小泉―ブッシュ―ノムヒョンを打倒しよう」と呼びかけた。

 「君が代」被処分者らが登壇

 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会と被解雇者の会からの特別報告は、今春の東京での決起の歴史的な意義を実感させた。20人近い教育労働者が登壇し、被処分者の代表は英語を交えながら熱烈に国際連帯をアピール。そして、アメリカの労働者とTシャツを交換した。

(写真左=壇上には右翼石原と都教委による「日の丸・君が代」不当処分の被処分者の会、被解雇者の会の約20人が並び、熱烈に連帯のあいさつを行った)

 全金本山労組の長谷武志委員長は、30年余の争議の完全勝利を目前にして「近いうちに職場に全金本山の旗を立てる」と宣言した。
 イラク派兵費用差し止め訴訟原告の全日建運輸連帯労組近畿地区トラック支部委員長の川村賢市さん、米MWMに参加した労働者の報告が続いた。
 決意表明では、国労5・27臨大闘争弾圧の8被告と家族が登壇し、松崎博己被告団長が国労再生への熱烈な決意を語り、家族の東理恵さんが支援を訴えた。また、自治体労働者が民営化攻撃との闘い、賃金確定闘争を闘う決意を語った。
 連帯のあいさつでは、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の佐藤昭夫さん、憲法と人権の日弁連をめざす会事務局長の武内更一さん、とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局次長の小田原紀雄さんが発言。
 沖縄行動団の約20人が登壇し、海上ヘリ基地反対協議会共同代表の安次富浩さんのメッセージを読み上げ、名護・辺野古の決死の闘いとの共闘を訴えた。命を守る会代表の金城祐治さん、参議院議員の糸数慶子さんからもメッセージが寄せられた。闘う国労闘争団、国鉄闘争共闘会議、鉄建公団訴訟原告団のそれぞれの代表からのメッセージが届けられた。

(写真右=縄行動団が登壇して闘う決意を表明、さらに名護市の海上ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表からの海上新基地建設阻止を訴えるメッセージを代読した)

 動労千葉の長田敏之書記長が「04年11・7アピール」を提案。動労千葉の関道利共闘部長の行動提起、関西生コン支部の武谷新吾執行委員の閉会あいさつ、インターナショナル斉唱、動労千葉の君塚正治副委員長の発声による団結ガンバローで集会を終了。
 ILWUの横断幕を先頭に「ノー・ウォー!」の掛け声高く銀座に向けてのデモに出発した。
 この熱気を直ちに全国に広め、05年の壮大な闘いに向け労働者を組織しよう。

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週刊『前進』(2174号1面2)(2004/11/15)

韓国から
11月労働者大会とゼネストへと闘う
 民主労総ソウル地域本部事務処長 パクサンユンさん

 労働兄弟姉妹のみなさん。戦争と失業、資本の世界化攻撃と闘う同志のみなさん。昨年に続いて同志たちとお会いできることをうれしく思います。
 今、世界は、全体的な保守反動化傾向の中で、帝国主義国家の野蛮な戦争と、資本による労働者民衆に対する攻撃が強まっています。日本でも、大統領選挙が行われたアメリカでも、こうした保守反動化の傾向は同じです。皮肉にも保守反動勢力によって左翼政府だと攻撃されている韓国でも事情は同じです。
 ノムヒョン政府は昨年から労働法の改悪を推進し、今年、こうした攻撃は一層強まっています。その代表的なものこそ「派遣労働者の保護に関する法律」です。現在26業種に限定されている派遣業種を、事実上全業種に拡大するという内容です。悪名高い中間搾取の制度であり、現代版奴隷制度である派遣法は、資本の要求を全面的に受け入れたものです。そしてこの法案は、日本の労働法改悪をそのまま模倣したものです。また、非正規職労働者を保護するとの美名のもと、逆に非正規職労働者を大量生産する法案も同時に推進されています。
 この法案が通過したら、数年後には明らかに韓国の全労働者の大部分が非正規職労働者の身になります。民主労総は、全組合員の賛否投票をはじめ組織の命運をかけてゼネスト闘争を組織化しています。そして来週、史上最大規模の全国労働者大会を実現するため努力しています。
 また、資本の利益にしかならない韓日FTAを阻止するため闘っています。日本政府と韓国政府は、05年の締結を目標に、秘密裏に交渉を進めています。部分的に明らかになっている交渉内容を見ると、労働組合を攻撃し、労働者の基本的な権利を剥奪(はくだつ)する内容に満ちています。民主労総は闘争団を組んで日本遠征闘争を行いました。日本遠征闘争に際しては、動労千葉をはじめ日本の同志が物心両面にわたって支えてくださいました。
 民主労総は、それぞれの国で吹き荒れている労働者に対する攻撃と民営化攻撃を阻止し、資本の利益のためだけに推進されるFTAなど世界化攻撃を阻止する闘いが重要だと考えます。そのためには、内に向かっては階級的労働運動の団結を図り、外に向かっては労働者の国際連帯を実現することが必要です。この場は、そうした意志を、日本、アメリカ、韓国の労働者が確認する意義深い場だと考えます。資本の攻撃を粉砕するため、それぞれの国で階級的に団結して闘いましょう。そして労働者の国際連帯を強めましょう。
 特に、韓半島は軍事的緊張と戦争の可能性が高まっている地域です。日本とアメリカの資本が、政府の保守反動化攻撃が、状況を一層悪くしています。戦争に反対し、平和を守るためにも、労働者の国際連帯が強められる必要があります。戦争を阻むため、日韓米労働者の国際連帯を強化しましょう。
 労働運動の階級的団結万歳! 全世界の労働者の国際連帯万歳!

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週刊『前進』(2174号1面3)(2004/11/15)

アメリカから
内への戦争と外への戦争との闘いを
 ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10ビジネスエージェント
 ジャック・ヘイマンさん

 姉妹兄弟のみなさん。民営化と闘う運輸労働者の仲間とすべての労働者のみなさん。
 この集会には、先月ワシントンの百万人労働者行進を闘った日本の労働者が参加しています。百万人労働者行進は、反労働者的な政府の政策とイラクでの帝国主義的戦争に反対する労働者の独立した政治的運動でした。私たちは、資本主義的なグローバリゼーションの政治的中心であるワシントンで抗議行動を行うことが重要だと思いました。大企業のための民主・共和の両党は、資本家を代弁しており、けっして労働者を代弁してはいないからです。
 ILWUローカル10の創立原則は次のように述べている。「われわれは、労働者階級の組織と行動の統一が、組織され統合された資本の攻撃から労働者の基本的諸権利を守るために必要不可欠であるということを、われわれの経験をとおして確認する」と。
 私たちは今、二重の攻撃を受ける危機に直面しています。一つは経営者からの攻撃です。経営者は民営化と組合破壊のための「自由貿易」協定をもって攻撃しています。もう一つは資本の私的な護衛として立ちふるまう世界中の諸政府からの攻撃です。裁判所は労働者の首切りを法律の名で強制し、警察はピケット・ラインを破り、労働者の抗議行動に襲いかかり、議会は、労働者が反撃できないように手を縛る法律を通過させている。すべて私企業や資本主義を守るため、「国家安全保障」のため、という理由です。
 日本では「共謀罪」、アメリカでは「愛国者法」やタフト・ハートレー奴隷労働法と呼ばれる法律です。目的は同じです。
 西海岸の港湾労働者は、このことを02年の協約闘争をつうじて理解しました。ブッシュ政権は、協約交渉の期間中に職場での闘いに立つならばドックを占拠すると脅してきました。そして、民主党の上院議員ファインシュタインは、タフト・ハートレー法を適用すべきであると、ブッシュに要求した。経営者の要求する協約を組合にのませるために彼らが協力していることを示しています。これらは、アメリカのイラク戦争・占領の6カ月前に起こっています。労働者は二つの戦線の戦いに直面しています。内に向けての戦争と外へ向けての戦争です。
 労働運動の危機の中で、豊かな工業諸国の何百万もの労働者が健康保険もなく、職もない。ホームレスがますます増えています。
 アメリカの学校では民営化が進行しています。日本では、生徒や教師に「日の丸」に向かって起立し、天皇の歌「君が代」を歌うことを強制することで、学校を日本の再軍事化の道具とする攻撃が激化しています。日本の自衛隊は、ブッシュの「有志連合」に参加し、イラクに展開し、石油利権を防衛している。日本帝国主義の再建への道を敷いているのです。
 労働者は国際的な労働者の連帯行動をつうじて団結することで、このような攻撃から自分たちを守ることができます。
 今年、われわれは大きな勝利をかちとりました。03年4月7日、オークランド港で反戦デモが闘われた。「テロとの戦い」の名目で、機動隊が数十人のデモ隊と港湾労働者を「非致命的武器」で襲撃した。私自身、組合員を襲撃から守ろうとして逮捕された。この襲撃は、国連人権委員会によって弾劾され、政府は、このオークランド25に対する起訴を取り下げた。われわれは、逆にオークランド警察を告訴しています。
 『俺たちは鉄路に生きる』という本の中で、中野洋さんは、「いろんなことを言う人間がいる。『動労千葉とは付き合わない方がいいですよ。あそこはラディカルですよ』と。いいじゃないですか。言わせておけば。ILWUローカル10はアメリカでは一番ラディカルな組合ですよ。アメリカの最もラディカルな組合と日本の最もラディカルな組合が一緒になっちゃった」と言っています。
 中野さんのわが組合への称賛に、ここでお礼を申し上げたい。協力してともに闘っていきましょう。
 労働組合を破壊する民営化反対! 運輸労働者、全世界の労働者の国際連帯万歳! 万国の労働者団結せよ!

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週刊『前進』(2174号6面1)(2004/11/15)

11・7 日米韓ランク&ファイルが固い絆 教育労働者先頭に05年総決起へ

 アメリカから (つづき)

 団結強いみなさんILWUそっくり ILWUローカル19執行委員 マイケル・ホードさん

 私は10月16日と17日、ワシントンDCで日本から来た仲間たちに会いました。彼らから、日本で集会が行われると聞き、私はその運動に参加するために日本に行くつもりだと言いました。なぜならあなたたちはILWUとそっくりであり、数は少ないけれども強い団結力を持っているからです。私は、あなたたちの闘いは私の闘いでもあるということを分かってもらい、私の連帯の気持ちを示すために、みなさんとともに今ここにいるわけです。私は来年の集会に参加するために日本にまた来るし他の国々にも行くつもりです。なぜなら世界中の人びとが一つの声としてまとまることが必要だと確信しているからです。すべてのみなさんに愛を込めて。来年を楽しみにしています。 そして、あなたたちの何人かがアメリカの来年10月のMWMに参加することを心から期待しています。

 

 

 働く人びとが自ら行動起こすべき時 ILWUローカル34/MWM事務局長 キース・シャンクリンさん

 10月17日のMWMで私たちは次のように宣言しました。「時は来た。今こそ、働く人びとがその自らの目的のために行動を起こすべき時だ。特権を持つ少数者の権力に屈従するのはもうやめよう。少数者による米国政治意思の独占をやめさせよう。ともに進んで、労働者階級のための社会的、経済的、そして政治的運動を作り上げよう」
 健康保険、住宅、まともな学校施設を要求し、大多数の労働者の生活水準破壊と対決し、アメリカを根本的に変えようとするこのランク&ファイル運動は、しかし開始後すぐに、AFL−CIOの指導部と対決する必要に迫られました。
 MWMは、大統領選挙の2政党・2候補の公約や政策について、実はその両方が企業や銀行の利害を代表しているということ、内外の労働者に対する階級戦争政策であることを明らかにしました。
 MWMは、労働者階級は自らの名において自らの利益を追求しなければならない、と宣言しました。MWMは、人びとが働き、職を探し、生活のために闘っているすべての地域とすべての労組でこの宣言を実行に移します。
 MWMに注ぎ込まれたこの力、この見通しこそが、これからのあらゆる困難に打ち勝ち、アメリカ産業労働組合を生み出したかつてのあの偉大な組織力をよみがえらせ、公民権を奪われた人びとに政治的声を与えた、あの歴史的な公民権運動を復権させる最大の原動力となることでしょう。

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週刊『前進』(2174号6面2)(2004/11/15)

開会あいさつ
 全国金属機械労働組合港合同 辻岡尚執行委員

 本日の集会は小泉政権と日本経団連を始めとする財界の全労働者に対する攻撃、そしてイラク侵略戦争に反対する国際反戦闘争と連帯する国際連帯集会としてかちとられています。
 11月全国労働者総決起集会は、今回で7回目を数えます。90年代後半からの激動の時代をともに闘いぬいてきました。
 そもそも3労組の呼びかけは互いに産別や歴史は違うけれども、この激動の時代にともに闘う戦闘的な労働組合として、そして拠点的な影響力を発揮するお互いの労働組合として、力を合わせ、反動に抗して闘おうというものでした。
 今日、小泉政権は自衛隊の12月増派をすでに決定し、そして改憲策動をますます強めています。
 小泉政権は、教育基本法改悪と、郵政民営化を皮切りに、公務員労働者に対する民営化の攻撃を本格化しようとしています。そして労働法制が全面改悪されようとしています。これらは、団結権に対する攻撃です。官公労の権利を守る闘いは、倒産下における闘いの教訓を踏襲しなければなりません。大失業と戦争に立ち向かう労働者の戦闘的団結のさらなる強化をめざして頑張りましょう。

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週刊『前進』(2174号6面3)(2004/11/15)

閉会あいさつ
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 武谷新吾執行委員

 11月3日に日韓FTA交渉に対する闘いに韓国の民主労総とともに決起した仲間が不当に逮捕されました。日韓の仲間による力強い抗議行動に対して、警察権力が弾圧を加え関生支部の執行委員を不当にも逮捕しました。この弾圧は私たち関生支部を狙い撃ちにした弾圧です。これに対して、反撃を訴えるとともに、私たちは仲間の奪還を最後まで闘う決意です。
 本集会で多くの問題提起がされたことを確認したいと思います。一つは再選されたブッシュの戦争政策に世界各国の労働者と連帯して 闘いの陣形を作り上げていくこと、二つには日本を戦争をする国へと変え、教育基本法改悪や憲法改悪をもくろむ小泉政権に対して闘う広範な陣形を作り上げていくこと、三つ目には、国労1047名の解雇撤回を始め、団結権破壊の攻撃に対して、闘う労働運動の陣形を全国の地域、職場から作り上げていく決意を確認したいと思います。

 

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週刊『前進』(2174号6面4)(2004/11/15)

基調報告
 国鉄千葉動力車労働組合 田中康宏委員長
 労働者階級の新たな運動と歴史つくろう

 はじめに

 われわれが訴え続けてきたことはただ一点。団結をとり戻そう、社会の主人公としての労働者の誇りをとり戻そう、労働組合を甦らせようということです。資本の手先になった幹部たちをゴミ箱にたたき込んで、労働運動の現状を変革するために立ち上がろう。新たな運動と歴史をつくろう。

 ミリオン・ワーカー・マーチの壮大な挑戦

 アメリカでも歴史的な挑戦が始まった。10月17日、ワシントンで闘われたミリオン・ワーカー・マーチです。AFL−CIOの腐敗と官僚化に抗し、ランク・アンド・ファイルが歴史をつくると宣言した。帝国主義の最中心国で始まった分岐は全世界の労働運動に計り知れないインパクトを与える闘いの始まりです。
 その闘いは小さなローカルの途方もない挑戦から始まった。MWMを呼びかけたのはILWUローカル10という、1934年の大ゼネスト以来の闘いの伝統を守りぬいてきた1200名のローカルです。MWMは、われわれが日本においてつくりあげようと努力してきた運動そのものです。

 ゼネストに立ち上がる韓国・民主労総

 韓国の民主労総も、非合法下の困難な条件をつき破って主流派に躍りでた。ソウル地域本部はその牽引(けんいん)車です。非正規職関連法案絶対阻止を掲げ、日韓FTA締結阻止に向け、11月にゼネストに立ち上がります。
 今日の集会が、ILWUローカル10、民主労総ソウル地域本部を迎え、固い絆(きずな)で結ばれて開催されることは、日本労働運動の再生に向けた巨大な可能性を示しています。

 大民営化―非正規雇用化、労組破壊攻撃を阻止しよう

 本集会のいくつかの課題を提起します。
 第一の課題は、小泉政権と日本経団連・奥田による大民営化攻撃を打ち破る、全国的なネットワークをつくることです。小泉政権は、骨太方針と称して、07年郵政民営化や公務員制度改革を強行しようとしています。民営化とは労働者にとって猛毒以外の何ものでもない。民営化は非正規雇用化であり、労働組合破壊攻撃です。年金制度も医療制度もつぶし民営化する。国会では、労組法改悪や共謀罪新設をめぐる審議が重大な山場を迎えている。
 私たち3組合は、中小零細の労働者を組織して、団結権を根幹にすえて倒産攻撃にたち向かい、幾多の争議を闘ってきました。また国鉄分割・民営化攻撃に首をかけてたち向かい、団結を守りぬきました。
 国鉄1047名の解雇撤回闘争も新たな飛躍が問われています。
 労働者の団結した力で、貪欲な資本家たちの支配に終わりを告げよう。

 イラク侵略戦争反対−自衛隊即時撤兵、教育基本法−憲法改悪阻止に向けた大闘争を準備しよう

 第二の課題は、教育基本法―憲法改悪攻撃を阻止するために、不一致点は留保し一致点を拡大して大闘争を準備することです。この秋から05年は正念場です。
 イラクで、ついに不幸な事件が起きた。一切の責任は小泉政権にある。直ちに自衛隊をイラクから戻せ!
 昨年11月の集会は、3・20イラク開戦1周年の画期的な労働者の統一行動を実現する大きな起爆剤となりました。東京を先頭とした全国の教育労働者の決起が、教育基本法−憲法改悪阻止に向けた具体的な展望を示しています。

 新たな安保・沖縄闘争をつくりあげよう

 第三の課題は、安保・沖縄闘争です。ブッシュ政権は、トランスフォーメーションで、在日米軍基地を強化し、日米安保同盟を「極東安保」から「世界安保」へ質的にエスカレーションさせる。小泉政権は、沖縄をはじめ日本全土を戦争の出撃基地にする。アメリカや韓国の労働者の闘いと結びつくことで沖縄の米軍基地撤去―新基地建設阻止に向けた新たな展望を手にします。第3次安保・沖縄闘争を実現しよう。

 労働者の国際的団結で、大失業と戦争の時代にたち向かおう

 もう一点、民営化と戦争に反対する闘いは、ひとつの課題であり、全世界の労働者の共通の課題です。その背後にあるのは、戦争をする以外に体制を維持できなくなった資本主義の危機です。労働者を食わすこともできなくなった支配の崩壊です。小泉や奥田は「東アジア自由貿易圏」に延命の道を求めている。労働運動の内部からそれに呼応する部分が生まれている。資本にからめとられた既成の労働運動を現場から覆し、引導を渡す時です。
 労働者の国際的団結で、小泉―ブッシュ―ノムヒョンを打倒しよう。闘い続けよう。組織し続けよう。

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熱気にあふれた集会を実現し全員でインターナショナルを斉唱した

週刊『前進』(2174号6面5)(2004/11/15)

2004年11・7アピール

 歴史は大きな曲がり角にたち、大失業と戦争の時代が到来している。世界の労働者はいま暴風雨のなかにいる。しかし労働者はその嵐のなかから、世界中で怒りのこぶしをあげ、自らがもつ力を自覚して起ちあがろうとしている。今、何よりも求められているのは、労働運動の現状を変革し、労働組合を甦(よみがえ)らせることだ。

(写真左=すべての発言者が壇上に並びスクラム固く「インターナショナル」を斉唱。海を隔てた日米韓の労働者が心の底から感動をもって階級的連帯のきずなを確認し合った)

 アメリカ大統領選挙とブッシュの再選は世界を真っ二つにした。危機にあえぐ世界の支配者たちは激しく利害を衝突させている。今こそ全世界の労働者が団結して起ちあがるときだ。
 この1年余りの間にも、イラクへの自衛隊派兵、有事立法の制定など、事態は次々とエスカレートし、日本は再び「戦争をする国」として世界に凶暴な牙を剥こうとしている。そしてついに教育基本法―憲法の改悪に向けた動きが、05年に向けて具体的な政治日程に上ろうとしている。ブッシュと小泉は、在日米軍基地と日米安保同盟を飛躍的に強化しようとしている。
 しかし、「日の丸・君が代」の強制に反対して起ちあがった教育労働者の闘いが全国に大きな波紋を広げ、沖縄では基地即時閉鎖―新基地建設中止を求める新たな闘いが燃え上がり、第三次安保・沖縄闘争が本格的に始まろうとしている。われわれは要求する。教育基本法−憲法改悪攻撃をやめろ。自衛隊を直ちにイラクから戻せ。沖縄をはじめとした全ての軍事基地を直ちに撤去しろ。
 小泉政権は「骨太方針2004」によって、新たな大民営化攻撃を強行し、社会の隅々にまで弱肉強食の論理を強制しようとしている。「9割の労働者を非正規雇用化する」という奥田ビジョンを貫徹しようというのだ。またこれは徹底した労働組合破壊攻撃に他ならない。郵政民営化、公務員制度改革は、国から地方の末端に至るまで、行政機構、権力機構のなかに労働組合の存在など許さないという攻撃だ。非正規雇用労働者、倒産・解雇が激増し、年収150万円以下の世帯が1割をこえている。さらに社会保障制度の解体攻撃が激しく進められている。
 攻撃の矛先は団結権の破壊・抹殺に向けられ、ついに労働組合法に手がかけられようとしている。相次ぐ刑事弾圧や民事仮処分、損害賠償請求など、団結権・争議権の行使そのものを犯罪視する攻撃がエスカレートし、共謀罪の新設や強制執行妨害罪の改悪など、新たな治安弾圧立法が制定されようとしている。
 国鉄1047名の解雇撤回闘争も、闘争に終止符を打とうとする国労本部と、鉄建公団訴訟のもとに1047名の団結を実現しようとする争議団・闘争団が激しく衝突して正念場を迎えている。
 しかしわれわれは負けない。怒りの声は満ちている。われわれはあらゆる地域・産別で労働者の団結を組織して起ちあがる。
 世界の労働者は今、団結し、連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしている。全世界に戦争と貧困・大失業を強制する、グローバル化という名の帝国主義の支配に抗し、労働者・民衆の闘いの炎が燃え上がっている。アメリカでは、AFL−CIOの制動をくい破って、独立した労働者の運動と歴史をつくりあげる壮大な挑戦―ミリオン・ワーカー・マーチが開始された。韓国・民主労総の仲間たちは、非正規職関連法案や日韓FTAの締結を阻止するために、激しい弾圧に抗して今まさにゼネストに起ちあがろうとしている。われわれの闘いはこれらのすばらしい闘いと結びついたのだ。

(写真右=アクション豊かに数寄屋橋をデモするアメリカILWUの労働者。沿道の市民が圧倒的に注目)

 日本でも、激しい左右の分岐のなかから、これまでの枠組みを打破する闘う労働運動の新たな胎動が確実に始まっている。本日、われわれは日・米・韓労働者の固い連帯の絆を誓った。今日は、日本におけるミリオン・ワーカー・ムーブメントの出発点だ。民主労総の同志たちが、激しい弾圧や困難をのりこえて今日の闘いを築きあげたように、04年11月7日を日本における労働運動の新たな出発点にしなければならない。一点の火花は燎原(りょうげん)を焼き尽くすのだ。
 闘う労働者の思いはひとつだ。労働者の団結した闘いこそが生活と権利を守り、戦争を止める力だ。差別と貧困のない社会をつくりあげるために大同団結しよう。分断と個別撃破を許さず、あらゆる壁をのりこえて闘う統一戦線をつくりだそう。日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させ、闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげよう。本集会を出発点に、05春闘に向けて直ちに新たな闘いに挑戦しよう。
 2004年11月7日

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週刊『前進』(2174号2面1)(2004/11/15)

香田さんを殺したのは小泉だ
自衛隊撤退要求拒否した日帝小泉政権を弾劾する
 イラク侵略戦争参戦こそ元凶

 10月26日、イラクの武装解放勢力「イラク・アルカイダ機構」が香田証生さんを拘束して48時間以内の自衛隊撤退を要求する映像が流された。この事件は、31日にバグダッドのハイファ地区で香田さんの遺体が発見されるという痛ましい結末を迎えた。この事態の一切の責任は、自衛隊をイラク侵略戦争に参戦させ、イラク人民の自衛隊撤退要求を拒否しさった日帝・小泉政権にある。日帝は、侵略国家への飛躍と石油強奪などの帝国主義的利益のために、香田さんを死に追いやったのだ。小泉政権を怒りを込めて弾劾する。

 “早く首を切れ”の態度を露骨に示す

 小泉は、映像が公開された知らせが届くと同時に移動中の自衛隊機から「自衛隊は撤退しない」と指示を出し、“処刑されるならされろ”という態度を露骨に示した。これに対しては、4月の日本人5人の拘束事件で解放のために大きな役割を果たしたイラク・イスラム聖職者協会も「小泉首相の態度は、グループに『早く首を切れ!』と言っているようなもの。首相はメンバーを憤慨させた」と批判し、「各方面から解放に向け助力を求められた。しかし、われわれは断った。申し訳ないが、できないからだ」と語っている。
 日帝・小泉政権のこの態度は、帝国主義の利益のためには、一方で侵略戦争を強行すること、同時に平然と自国の労働者人民に死を強制することを露骨に示した歴史的な事態である。これが帝国主義なのだ。
 小泉は、香田さんが殺害された後、「国際社会と協調し、自衛隊による人道復興支援を行っていくとともに、断固たる姿勢でテロとの戦いを継続する」という声明を出した。そして、米大統領選でのブッシュ再選の確定を受けて、12月14日に期限切れとなる自衛隊イラク派兵を延長することを表明した。
 だが「対テロ」を掲げて米帝がやっているイラク侵略戦争とはいったい何なのか。イラクの石油を強奪し、パレスチナを始めとするアラブ、ムスリム人民の闘いを圧殺して中東支配を再編し、戦略的資源である石油の産出地帯・中東を抑えることで、仏独との帝国主義間争闘戦に勝利しようという侵略戦争以外の何ものでもない。イラク侵略戦争で10万人を超えるイラク人民が虐殺されたのだ。しかも、その大半が女性や子どもたちである。
 米帝が開戦の口実としてデッチあげた大量破壊兵器はどうだったのか。米政府自身の調査団がイラクに大量破壊兵器がなかったことをついに認めた。イラクが大量破壊兵器を持っているとか核兵器を開発しようとしているとかいう開戦の口実は、最初からデッチあげだったのだ。「テロとの戦い」を掲げた米帝のイラク侵略戦争は、帝国主義的侵略戦争以外の何ものでもないのだ。
 日帝・小泉政権は、この暴虐なイラク侵略戦争に自衛隊を派兵し、深々と参戦している。陸自がサマワに駐留し、空自が米軍とその武器弾薬を輸送して占領支配の一角を担うことにより米軍の住民虐殺作戦が可能になっている。まさに闘うイラク人民にとって日本は真正面からの敵なのだ。イラク人民にとって、米軍、自衛隊をせん滅し、たたき出す以外にイラクの解放はないということだ。

 闘うイラク人民と連帯して闘おう

 ここで重要なことは、イラク・ムスリム人民の日帝と自衛隊に対する憤りはまさに頂点に達しているということ、日本に対する9・11型のゲリラ戦闘がいつたたきつけられてもおかしくない関係になっているということだ。いや、それは始まりつつある。外務省官僚2人が殺害され、橋田信介さんと小川功太郎さんというジャーナリスト2人が殺害された。拘束事件がすでに2件起こっており、そして今回の香田さんの殺害がある。サマワの自衛隊基地に対しては狙い定めた砲撃が連続的に起きている。
 香田さんが殺害されたことへのわれわれの衝撃と痛みは、同時に、イラク人民のあまりにも大きな苦しみとあまりにも深い悲しみとそこからの極限的な怒りに一ミリでも思いを寄せることのできるものでなければならない。多くの日本の労働者人民がこの間の経験をとおして、イラク人民に強制された過酷な現実と向かい合おうとしている。そうだ。そこから出てくる実践は自衛隊の即時のイラク撤退を求める大運動だ。
 日本人民にとって、闘うイラク人民を真正面から支持し、米日帝のイラク侵略戦争に反対して闘いぬき、自衛隊撤兵、日帝・小泉打倒を闘いとる以外に、イラク人民との真の連帯の道はない。
 日帝・小泉がイラクに自衛隊を派兵し、10万人以上のイラク人民を虐殺しておきながら、「人道復興支援」だなどと主張することをどうして許すことができようか。小泉こそイラク人民に対する極悪非道の虐殺者だ。残虐なイラク侵略戦争を「テロとの戦い」などと正当化し、イラク人民を無差別虐殺しているのだ。自分たちが虐殺した10万人については何も言わず、何食わぬ顔で「イラクの人びとのため」などと言うことをどうして許せるか。
 自衛隊兵士の皆さん。イラク派兵を拒否して、ともに小泉政権打倒、日帝打倒へ決起しよう。小泉は、自衛隊派兵の期間を何がなんでも延長しようとしており、自衛隊がイラクへ行けば、兵士はイラク人民虐殺に加担させられ、自らもイラク人民の民族解放戦争の爆発の中で死ぬことになる。小泉は、労働者人民の命については一顧だにしておらず、平然とウソとペテンを繰り返し、侵略戦争を拡大しているのだ。今こそ日本の労働者階級人民は日帝・小泉打倒へ総決起しようではないか。
 現在のイラクの状況はどうか。米帝はイラク侵略戦争の完全な泥沼化の中で、ますます無差別虐殺を強めている。すでに、イラクの大半の地域で米軍支配が及ばなくなっている。これでは来年1月末に設定した選挙を行えないと、米軍はそうした地域を奪還する戦争に全力を挙げて打って出ている。特にイラク人民の反占領・民族解放戦争の不屈の闘いの象徴となってきたファルージャに対し、海兵隊を主力に全力攻撃に出てきている。
 米軍によるイラク占領の戦局を決定的に転換させた4月のファルージャ蜂起に対し、米軍は市内への突入を図った。解放勢力は大きな犠牲を出したが、ついに米軍を撃退した。米軍は、武装解放勢力の強固な拠点となっているファルージャ、ラマディの二つの町を落とす以外に戦局を変えられないとして画策を強めている。特にファルージャに対しては連日連夜の爆撃で住民を無差別虐殺してきたのだ。継続的な激しい爆撃で住民を丸ごと追い出し、全面作戦に出ようとしているのである。
 その矢先の10月30日、ファルージャ南部の工業地域から突入しようとした米軍に対して激しい戦闘がたたきつけられ、米兵8人がせん滅され、9人が負傷して米軍は退却した。しかし、米軍はこの全面戦争に出る以外になく、大統領選後にも攻撃を開始しようとしている。
 だが、米軍がどんなに激しい攻撃を加えようとも、けっして勝利することはできない。米帝の開戦以来20カ月、米軍が残虐な侵略戦争を強めれば強めるほどイラク人民の民族解放・革命戦争はますます高揚してきた。米軍がどんなにハイテク技術を駆使した兵器を持っていたとしても、米帝の残虐な侵略戦争に対する激しい怒りに燃えたイラク人民の決起は、けっして抑えることはできない。命をなげうったイラク人民の陸続とした決起は、どんなに暴虐な帝国主義の侵略戦争も必ず大破綻(はたん)にたたき込むのだ。
 米帝のイラク侵略戦争は、戦争体制そのものをも危機に陥らせている。イラクの前線にいる輸送部隊の19人が「自殺行為だ」として輸送任務を拒否した。米国内では800人の予備役がイラク派兵を拒否している。こうした中で、イラクから帰還する予定だった6500人の兵士が、選挙終了まで帰還を延期されている。米帝がイラク侵略戦争の泥沼の中でさらにのたうち回り、危機を深めていくことは避けられない。

 派兵期間の延長を阻む闘いを貫こう

 日帝・小泉は、12月14日に迫った自衛隊派兵期限切れを前に、強引に派兵期間を延長し、イラク侵略戦争にさらに深々とのめり込もうとしている。米帝の要請でイギリス軍がバグダッド南部に配置についたように、来年3月に撤退するオランダ軍に代わって自衛隊が直接的戦闘に突っ込んでいくことは必至である。
 小泉は、米帝のトランスフォーメーション(米軍再編)にも同意し、北朝鮮―中国侵略戦争に全面参戦しようとしている。小泉はたとえ自衛隊員が何人死ぬことになろうとも、米日枢軸のもとでイラク侵略戦争を遂行することにより、戦争のできる帝国主義へと飛躍し、帝国主義間争闘戦に勝ち抜こうとしているのだ。
 侵略戦争に突進する帝国主義の攻撃は、国内の労働者階級に対しては、大失業と首切り、賃下げ、不安定雇用化、社会保障制度の全面解体という形で、まさに「内への階級戦争」として加えられている。帝国主義を打倒する以外に、労働者階級人民の生きる道はない状況に入っているのである。
 今、最凶悪の帝国主義・米帝の国内で、労働者階級が世界を変える巨大な力として登場しつつある。10月17日、合わせて350万人の組合員を擁する労働組合が賛同して、百万人労働者行進(MWM)が闘われた。イラク人民の命がけの不屈の決起と連帯し、既成労働運動指導部の妨害をはねのけて、労働者階級がプロレタリア革命の主体として力強く登場しているのだ。日本においても、米韓労働者の代表を迎え、国際連帯の旗を高く掲げた11・7労働者集会が日本のMWMとして大高揚した。
 今こそこの腐り果てた帝国主義を打倒して、労働者人民の未来を切り開くチャンスが訪れようとしている。小泉構造改革の攻撃に対し、真正面からの闘いに決起しよう。イラク反戦闘争の大爆発をかちとろう。自衛隊イラク派兵の延長阻止に全力で決起し、小泉政権打倒の闘いを今こそ爆発させよう。

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週刊『前進』(2174号2面2)(2004/11/15)

11・7集会の破壊狙った治安弾圧 沖縄・東京で3人不当逮捕
 アパート賃貸借 「詐欺罪」をデッチあげ

 辺野古で闘う学生を逮捕

 11月2日、東京と沖縄で3人の反戦活動家がデッチあげ逮捕され、都内3カ所のアパートが家宅捜索されるという、警視庁公安部による許しがたい大弾圧が行われた。
 警視庁公安部は2日午後6時ころ、沖縄県名護市内で、辺野古現地の座り込み闘争から宿舎に帰ってきた全学連活動家A君を、問答無用の拉致同然のやり方で逮捕した。同時に東京都国立市内のA君のアパートを家宅捜索した。
 さらに警視庁公安部は同じころ、東京都中野区内のアパートの一室に、A君の「詐欺罪」容疑の家宅捜索と称して襲いかかり、Bさんを「公務執行妨害」、Cさんを「証拠隠滅」でデッチあげ逮捕しさった。そして、もう1カ所のアパート(新宿区内)を同時に家宅捜索した。
 まったく不当な大弾圧であり、怒りをもって徹底弾劾する。

 事実無根の「詐欺」容疑

 A君は、アパートの賃貸借契約に関して「詐欺罪」をデッチあげられて逮捕された。すなわち「アパートの部屋を借りる際、不動産業者に活動家であることを隠して、だまして部屋を借りた」というのである。
 まったくとんでもない、事実無根のデッチあげである。A君がアパートを借りる時に「だました」事実など一切ない。A君は家賃をきちんと支払い、誰に迷惑をかけることもなく普通に生活していた。
 さらに言えば、アパートの賃貸借契約をしたことが、どうして財産をだまし取る「詐欺罪」に該当したり、逮捕されたりするのか! 警視庁公安部はただただA君を逮捕・拘束する目的で「詐欺罪」をデッチあげたのである。

 だましてドア開けさせ突入

 さらに中野区内の住居では、夕方6時すぎ、部屋に女性が「下の階の者ですけど」と言って訪ねてきた。Bさんが応対するためにドアを開けた瞬間に、公安刑事の米本某が1b以上もある長いバールを差し入れ、ドアを閉められないようにした。そしていきなり室内に突進し、Bさんを突き飛ばし、よろけるBさんを別の公安刑事3人がはがいじめにして、室外に暴力的に連れ出したのだ。そして、階段を3段ほど降りた所で押さえ込んだのである。
 その後、数分たって、責任者である星隆夫(公安一課係長)が「公妨で逮捕」という指示を出し、Bさんは逮捕された。
 これが、Bさんに対する「公務執行妨害」逮捕の実態である。まさに違法・無法の襲撃であり、暴行であり、拘束・拉致以外の何ものでもない。こんなデタラメを絶対に許すことはできない。
 また、Bさんとともに部屋にいたCさんは、星隆夫に後ろからはがいじめにされ、「証拠隠滅で逮捕」と告げられた。これまた百パーセントのデッチあげである。
 A君への「詐欺罪」がそもそも事実無根である上、A君と無関係な中野区の住居に「詐欺罪」の「証拠」などあるわけがない。
 警視庁公安部は2人を逮捕した後、「家宅捜索」なるものを好き勝手に強行し、パソコンなどを違法に押収していったのである。
 公安刑事の大声と乱暴狼藉(ろうぜき)ぶりを見ていた近所の住民や商店の人たちから、「警察はひどいことをする」という声が上がった。
 反戦運動をしているという理由だけで、警察が憲法や法律なども完全に無視して逮捕や家宅捜索を強行するあり方は、戦前や戦中の治安維持法下の弾圧と同じである。

 神奈川では「免状不実」で逮捕

 これより前の10月20日には、愛知県名古屋市内で、神奈川県警が反戦活動家Dさんを「免状不実記載」デッチあげで逮捕した。そして今なお勾留している(5日現在)。
 逮捕容疑は、Dさんが昨年7月に運転免許証を更新した際に申告した住所が、実際には住んでいないウソの住所だというのである。しかし、これもとんでもない言いがかりだ。Dさんは、住民登録をしたその住所にずっと住んでおり、毎年、所得申告も行い、健康保険証も受け取っていた。そして1回目、2回目の免許更新の際はまったく問題がなかった。どうして3回目には逮捕されることになるのか。
 神奈川県警の弾圧の本質は、まさに反戦活動家Dさんに対する政治的な大弾圧である。
 Dさんに対する取り調べの中で刑事は、「11・7労働者集会はいっぱい集まりそうだ。集まってくるのを止めることはできない。少なくともおまえ1人は減らせた。今回の弾圧であとどれだけ減らせるか。おれたち公安はおまえたちをつぶすためにあらゆる手段を使う」とうそぶいていた。
 この発言に、今回の一連の大弾圧の本質がはっきり示されている。日帝・国家権力は、動労千葉など3労組の呼びかけによる11・7労働者集会が大爆発すること、ここから労働者階級の壮大な国際連帯闘争が発展していく勢いに震え上がり、11・7労働者集会の破壊に全力を挙げてきたのだ。それにしても、なんと卑劣な手口か。
 国家権力のデッチあげ弾圧を許すな。警視庁と神奈川県警は無実の4人を直ちに釈放せよ。全人民の力で4人の釈放をかちとろう。

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週刊『前進』(2174号4面1)(2004/11/15)

アメリカ大統領選 世界戦争に突進する米帝 ブッシュ再選で大激動必至
 階級的激突が始まった

 11月2日に行われた米大統領選挙は、大接戦の末に共和党ブッシュが再選された。オハイオ州で暫定票をめぐる決着がまだ付いていなかったにもかかわらず、「国が二分されることへのおそれ」から「国民和解を図る」ため、民主党ケリーは早々と敗北宣言を出した。ブッシュやケリーら支配階級は、戦時下でイラク反戦と貧困層の反乱が加速されることに震え上がったのだ。2期目のブッシュ政権は1期目以上に〈外への侵略戦争と内への階級戦争>の路線をとことん推し進めるだろう。画期的なMWM(百万人労働者行進)を開始したアメリカ労働者階級と連帯し、11・7労働者集会の地平を引き継いで、ブッシュ打倒・小泉打倒へ闘おう。

 深まる米社会の分裂

 今回の大統領選は、米帝がイラクで泥沼的な危機を深めている中で、文字どおりの「戦争下の選挙」として行われた。ブッシュは再選のために巨額の資金と権力(国家暴力)を駆使し、なりふり構わぬ選挙戦を展開した。ブッシュは、ただひたすら「テロの脅威」をあおり、「第2の9・11」におびえる米帝支配階級の危機感を結集する中でキリスト教右派勢力などを総動員した。同時に、大型減税の恒久化を掲げて大企業と金持ち優先を徹底化させ、「オーナーシップ(所有者)社会の実現」というむき出しの弱肉強食イデオロギーを押し出した。そして得票率51%対48%の小差でかろうじて再選された。
 まさに今回の大統領選がさらけ出したものは、アメリカ社会の階級的分裂なのである。アメリカ階級闘争の〈分岐・流動・再編・高揚>を決定的に促進しているMWM運動こそ、この大統領選の真の情勢決定要因であったのだ。
 一つには、01年9・11反米ゲリラ戦の直撃以降、米帝は侵略戦争の泥沼的拡大の道を突き進んでいる。だが、イラクの戦局は泥沼化し、戦争の不正義性が明白になる中でイラク反戦闘争が爆発し、それがアメリカ支配階級の分裂と動揺をもつくり出してきた。世論調査では民主党ケリー支持者の8割がイラク戦争に反対している。
 だが、ケリーは、しょせんブッシュと「同じ穴のむじな」でしかなかった。ケリーはイラク侵略戦争と「対テロ戦争」の必要性を認めた上で、戦争の泥沼化「批判」を対ブッシュの選挙戦術にしたに過ぎない。労働者階級のイラク反戦、米軍即時撤退の願いと相入れない候補者なのだ。
 二つには、米帝社会は長期にわたる経済拡大という統計上のペテン的宣伝とは裏腹に、失業者の増大、アウトソーシングによる不安定雇用の拡大、4000万人以上にヘルスケアがないという医療保険制度の崩壊、広範な規模での低賃金、貧困層の拡大とそれに対応できない年金など社会保障制度の欠陥、3600万人の飢え、住宅問題などがあらわとなっているのである。民営化と外注化、規制緩和の推進とNAFTAなど自由貿易協定の展開は、労働者階級への過酷な搾取と収奪を伴って、貧冨の差の拡大を飛躍的に強めている。そして階級闘争鎮圧の武器として反テロの名による愛国者法、労働組合弾圧が駆使されている。
 帝国主義アメリカ社会の階級矛盾は、30年代の大恐慌時代に勝るとも劣らない鋭さを帯びてきている。
 ブッシュ再選が示すものは、イラク侵略戦争がどれほど泥沼化し、労働者人民を食わせていけなくなろうとも、またブッシュがどれほどでたらめな人物であろうと、米帝支配階級にとって対テロ戦争(=侵略戦争)と階級戦争をとことん進める以外に延命の道はないということだ。
 ブッシュ再選でイラク侵略戦争はさらに泥沼化する。帝国主義間争闘戦は非和解的に激化し、ドイツ、フランス帝国主義との分裂は取り戻しのきかないものとなる。ブッシュが公約に掲げた「国際社会には米国への拒否権はない」という論理を米英日枢軸でとことん推し進め、ついには世界戦争へと行き着くしかないのだ。
 10月23日のラジオ放送でブッシュは「われわれはグローバルな闘いを続けている。米国は重大な脅威に直面しており、全力を尽くしてその脅威を打倒する」と演説したが、これは朝鮮半島から中東まで、「不安定の弧」の地域で米帝が全面的な侵略戦争に打って出る宣言である。
 そしてブッシュと小泉政権は、日米安保同盟を一層の侵略的軍事同盟へ再編しようとしている。ブッシュは3日に行った勝利演説で「アメリカは同盟国とともにテロとの闘いを遂行する」と演説した。「同盟国」とは日本とイギリスのことだ。まさに日帝・小泉政権こそブッシュ政権の世界戦争遂行の最悪の共犯者なのだ。
 だが、こうした米日帝のイラク侵略戦争の拡大・激化は必ずイラク人民、ムスリム人民の怒りを激化させ、日米労働者階級の決起の火に油を注ぐものとなる。日米、いや全世界が、階級的な大激動、大激震に突入していくのである。

 決起する労働者階級

 2期目のブッシュ政権は、アメリカ労働者階級に対して、1期目以上に凶暴で余裕のない、資本家階級の利害をむき出しにした階級戦争を仕掛けてくる。
 だが、決定的に重要なことは、ブッシュは内外の危機の深さに実はグラグラなのだ。見よ。困難と弾圧を打ち破って、「ブッシュ打倒! ケリーもノー」を掲げた労働者階級の闘いが、AFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の妨害を打ち破って、力強く開始されたではないか。「選挙の結果がどうあろうとも、この運動をやめることはけっしてない。私たちには、やるべきことがたくさんある」(クラレンス・トーマスMWM共同議長)。これは労働者自身が主人公となった、力強いアメリカ革命への行進だ。
 今こそ「ブッシュ打倒・小泉打倒」へ「支配階級をゴミ箱へ投げ込む」闘いを、日米韓労働者階級が団結して推し進めよう。それが、ブッシュ再選に対する労働者階級の回答だ。

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週刊『前進』(2174号5面1)(2004/11/15)

労働者の団結で小泉政権打倒を
奥田ら大資本の利益のために戦争と改憲と民営化の大反動

 小泉政権による戦争と大失業の攻撃は、ますます激化している。これを背後で支えているのが、奥田を会長とする日本経団連だ。小泉政権の恐るべき傲慢(ごうまん)さと凶暴性は、まさにこの政権が日帝の大資本の利害をむきだしに貫くものであることを示している。小泉や奥田による労働者階級へのほしいままな攻撃を、もはやこれ以上許しておくことは断じてできない。「全労働者の団結で、小泉反動内閣を打倒しよう!」。11・7集会でのこの宣言を今こそ実行に移すために、猛然と総決起していこう。

 イラク派兵を延長 世界戦争へ日米同盟強化

 小泉政権と日本経団連・奥田は今日、イラクへの自衛隊派兵に始まる外へ向かっての侵略戦争と、国内の労働者階級に対する一大資本攻勢=階級戦争を全力で推し進めている。この侵略戦争と階級戦争は、二つにして一つの攻撃だ。9月末に発足した第2次小泉改造内閣は、この攻撃を徹底的に貫こうとするきわめて反人民的な政権だ。
 第一に、米帝のイラク侵略戦争が破綻(はたん)し泥沼に陥っている中で、米帝を支えて侵略戦争の一層の激化・拡大にあくまで突き進もうとしていることである。
 小泉首相は、「大量破壊兵器の脅威」がまったくのデマであった事実が判明した今も、イラクに戦争をしかけたのは「正しかった」と平然と居直り続けている。そして帝国主義軍隊の暴虐きわまりない軍事占領に対するイラク人民の武装抵抗闘争に敵対し、何があろうと自衛隊は撤退させないと声明した。本年12月14日に期限が切れる派兵期間をさらに1年間延長し、陸自を1千人に増派しようとしている。来年3月に撤退を表明しているオランダ軍に代わって、自衛隊が米英軍と完全に一体となり、占領の前面に登場しようとしているのだ。
 2期目の米ブッシュ政権は、イラク人民を始めとする全中東・アラブ人民、ムスリム人民の激しい怒りと憎しみに包囲されながら、イラク人民大虐殺の戦争に一層深々とのめり込もうとしている。この戦争は米英日帝国主義による中東石油資源の略奪のための戦争、徹頭徹尾不正義の侵略戦争だ。だがそのことが明らかになればなるほど米帝は、独仏・EU帝国主義との石油争奪戦に勝ちぬくためにも、この侵略戦争をどこまでも激化・拡大していく以外ない。さらには中東全域の米軍による軍事支配へ、北朝鮮・中国侵略戦争を始めとする新たな世界戦争へと際限なく突き進んでいくものだ。
 日帝・小泉政権は今や、この米ブッシュの戦争政策を他の誰よりも率先して支持し、呼応して、ともに侵略戦争を推進する側に回っている。それはもはや「アメリカに追随している」などという次元のものではまったくない。日本自身が帝国主義として、世界市場の再分割のために、米帝の行う侵略戦争、強盗戦争に積極的に参入してその分け前を得ようとするものになっている。

 沖縄に一層の基地負担を強要

 第二に、この中で日米安保を「世界安保」へと拡大し、それをテコに日帝自身の侵略帝国主義への大転換を強行しようとしていることである。日米安保条約の適用範囲を中東・北アフリカまで広げ、自衛隊が米軍と一体となって戦争に実際に突入する中で、その既成事実をもとに憲法9条を公然と撤廃する改憲へと突き進もうとしている。沖縄はその侵略最前線拠点、半永久的な「基地の島」としてますます強化されるのだ。
 この間のブッシュと小泉との互いに「親密な関係」は、世界大恐慌過程への突入と帝国主義間争闘戦の非和解的激化の中で、日本が米英とともに独仏・EUに対抗する「日米英枢軸」とも言うべき新たな帝国主義軍事同盟の形成へと動き出したことを示している。かつての日帝は1929年の世界大恐慌に際し、中国侵略戦争への突入と日独伊3国の軍事ブロックの形成によって生き延びようとし、結局は第2次大戦へと突き進んだ。それと同じような歴史的事態が、今日の帝国主義の危機の中でついに進行し始めたということだ。
 このことを示すものが、小泉が好んで口にする「世界の中の日米同盟」というキーワードだ。小泉は、米帝ブッシュがその世界戦争計画のために推進する米軍の世界的再編(トランスフォーメーション)を、日本の安保・防衛政策を転換する契機として位置づけている。
 「国際の安全なしに日本の安全なし」として、海外派兵を国防と並ぶ自衛隊の主任務に引き上げ、「専守防衛」の枠を突破して集団的自衛権行使に公然と踏み出すことを狙っている。
 そのために、日米安保を全世界的なスケールでの日米軍事同盟へと押し上げ、沖縄を始めとする基地を再編強化しようとしている。その一切の犠牲をとりわけ沖縄人民に、これまで以上に集中的に押しつけようとしているのだ。

 郵政民営化へ突進 労働組合と社会保障を解体

 こうした侵略と戦争への突進と一体のものとして小泉政権が繰り広げているのが、労働者階級人民に対するかつてない全面的な攻撃だ。それは日本の労働者階級が過去半世紀にわたって獲得してきたあらゆる権利を奪い取り、資本のむきだしの弱肉強食の論理のもとに全社会を組み敷いていこうとするものだ。
 小泉と奥田が「骨太方針W」として打ち出している攻撃はそうした、これまでの国家と社会のあり方を根本から変えてしまうような、実に激しい攻撃だ。
 日帝経済はこの間、政府による巨額の国家財政を投じた恐慌対策と、労働者階級に対するリストラ・賃下げの一大資本攻勢の展開のもとで、恐慌の全面爆発をかろうじて回避してきた。この中で日帝の大独占企業は、トヨタに象徴されるように、人件費の極限的な圧縮=労働者への徹底した搾取と中小・下請けへの矛盾押しつけによって、本年3月には過去最高と言われる利益をはじき出している。
 だが奥田や小泉は、激化する帝国主義間争闘戦(それはすでに世界市場の限られたパイをめぐる帝国主義同士の激しい奪い合い、つぶし合いに入っている)に勝ちぬくためにはそれでも不十分として、一層大規模な資本攻勢を国家ぐるみで展開しようとしている。それが郵政民営化を頂点とする大民営化攻撃だ。
 この民営化とは、戦後の日帝の発展を支えてきた国家独占資本主義的な諸政策がどうにもならない行きづまりに直面する中で、それを支えてきた公的部門や官業的事業を、日帝の金融資本・大独占資本の直接の利害に沿って全面的に解体・再編しようとするものだ。そしてそれがもたらす一切の矛盾を、社会保障制度の全面解体に示されるように、すべて労働者階級人民にしわ寄せしてのりきろうとする攻撃だ。
 これは実際には、日帝にとっても大変な危機と矛盾に満ちたものであり、政策としての合理性などどこにもない。だがしかし小泉政権は、戦後の諸制度、何よりもその根底にある戦後の階級的諸関係を全面的に破壊し覆すために、一切をこの民営化攻撃の成否にかけている。とりわけこの過程で戦後の労働組合と労働運動を最終的に解体し圧殺した上に、戦争への国家総動員体制を作りあげようとしてきている。
 小泉政権はすでに、その突破口として、07年4月からの郵政事業4分割・民営化の基本方針を決定した。第2次小泉改造内閣をそのための「突撃内閣」と位置づけ、来年の通常国会に関連法案を提出するとしている。10月の臨時国会で小泉は、「現在、郵政公社には40万人の職員が働いているが、郵政事業は公務員でなければできないのか」と強調した。
 このことに明らかなように、小泉の狙いは40万人(非常勤を含む。正規職は28万人)の労働者の大リストラにある。民営化と同時に公務員の身分を剥奪(はくだつ)し、〈いったん全員解雇・選別再雇用>による大量首切りを行おうとしているのだ。そして国鉄分割・民営化で強行したように、この過程で組合の活動家を全員パージして、全逓労働運動を徹底的にたたきつぶそうと狙っている。
 この郵政民営化は同時に、国と自治体の事業の全面的な民間委託・民営化、公務員制度改革、教育労働者へのさらなる全面的な攻撃の突破口をも開くものである。それだけではない。資本に無制限の搾取の自由を与えることにより、民間を含めた労働者階級全体を一層の無権利状態にたたき込んでいくものだ。全労働者の9割を不安定雇用化するという95年日経連報告の路線は、これによって初めて全面的に貫かれる。これまでをはるかに上回る大失業と賃金の飢餓的水準への切り下げ、労働強化の地獄が襲いかかるのは明白だ。
 さらに重大なことは、社会保障制度の全面解体の攻撃や大増税への攻撃が、民営化と一体となってしかけられていることである。

 地方切り捨ての「三位一体改革」

 「骨太方針W」は「官から民へ」と並んで「国から地方へ」を掲げ、小泉政権が02年以来打ち出してきた「三位一体改革」という名の地方自治体再編攻撃を推進しようとしている。「三位一体改革」とは、@国が地方自治体に交付する国庫補助金・負担金を大幅に削減し、A地方交付税をも減額するのと引き換えに、B国から地方への税源移譲を行うというものだ。06年度までに総額3兆円の補助金削減を行うとし、全国知事会など地方6団体と中央省庁の間で何をどう削るかをめぐる争いに入っている。
 「まず削減ありき」のこの改革は、実際には地方自治体の福祉予算や教育予算を大幅に削減し、社会保障の切り捨てと解体を財政面からも強力に推し進めるものだ。国庫補助金の7割は医療・福祉・介護や義務教育などの経費に充てられてきた。それらをばっさりと削る中で、貧しい自治体を財政破綻に追い込み、市町村合併を大々的に推進し、結局は中央権力の統制下に自治体を、住民への福祉ではなく収奪のための機関、戦争動員の機関へと変えていくものだ。
 はっきりしたことは、小泉や奥田はもはや労働者階級の老後の生活や福祉には一切金を出さないと決めたということである。資本が必要なのは従順な労働力だけであり、それ以外は死ね、ということだ。

 行き着く先は地獄 帝国主義打倒こそ課題に

 だがこの「骨太方針」に示される小泉構造改革は、日帝が今日陥っている危機を根本的に打開することはけっしてできない。銀行の巨額の不良債権問題も、国と地方を合わせた長期債務残高が750兆円を超える(04年度末見込み)という天文学的な財政危機も、解決どころかますます矛盾が深まっていくだけだ。
 しかし、そうであればあるほど小泉は、〈外への侵略戦争と内への階級戦争>の一体的推進にますます全体重をかけていく。これまでのような国家と社会のあり方を一変させ、政治・経済・軍事・外交や国内政策のすべてにわたって、暴力的な解体と再編を行う方向に激しくのめり込んでいく以外ない。これが小泉=奥田路線の本質だ。
 改憲攻撃の激化は、日帝の行き着く先が結局は、朝鮮・中国・アジアへの再侵略と新たな世界戦争への絶望的突進以外にないことを示すものである。教育基本法の改悪はその突破口だ。そこでは「個人の尊厳」や「民主主義」や「基本的人権」に代わって、いったんは歴史のくずかごに投げ込まれたはずの、「天皇制国家日本のために死ぬ」ことを最高の美徳とする価値観が再び全人民に強制されてくることになるのだ。
 都の教育労働者に対する「日の丸・君が代」の強制と処分の攻撃は、そのことを鋭く突きつけた。起きていることは、戦後憲法体制に対する一種のクーデターにも等しい攻撃だ。日帝はファシスト都知事・石原とそのもとでの都教委の突出を反革命突撃隊として、この攻撃を次は全国に拡大することを狙っている。
 また、共謀罪の導入など治安弾圧体制の大エスカレーションが次々と策動されている。
 このような小泉や奥田の攻撃に対して労働者階級がとるべき道はただひとつ、資本家階級による支配を覆し、社会の真の主人公である労働者階級こそがこの国の権力を握ることだ。そして全世界の労働者階級、被抑圧民族人民と連帯し、戦争なしに生き延びられなくなった帝国主義を世界的規模で打ち倒すことだ。
 すでにアメリカの闘う労働者は、「ブッシュ打倒、ケリーもノー」と叫んでアメリカ社会を根底から変革する闘いに立ち上がった。日本の11・7労働者集会は、教労・全逓・自治体・国鉄の4大産別を先頭に、連合や全労連を下から突き破り、のりこえる、労働運動の闘う新潮流の大きな成長を刻印した。この道を断固として進み、団結を固めて小泉政権打倒への総進撃を開始しよう。闘いの発展に恐怖する権力の治安弾圧を全人民の力で粉砕し、04年から05年へ、さらに巨大な前進を切り開こう。
 〔坂本千秋〕

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