ZENSHIN 2004/10/04(No2168 p06)

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週刊『前進』(2168号1面1)(2004/10/04)

戦争と民営化に大反撃を
労働組合の国際連帯で10−11月大行動へ
 自衛隊イラク派兵の延長許すな

 リストラ・労組破壊を打ち破る労働者のストを復権させよう
 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が呼びかけている11・7労働者集会は、帝国主義の「戦争と民営化」の大攻撃に、日比谷野音を満杯にする労働者の団結の力で真っ向から立ち向かう闘争だ。アメリカでは10・17MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)へ向け、労働者階級による米帝ブッシュ打倒の空前の闘いが、労資協調の労組幹部をも踏み越えて全米に燃え広がっている。これに続く闘いを日本の地で11月労働者大行動としてつくりだそう。沖縄闘争、10・10三里塚闘争を闘い、10―11月総決起へ猛然と進撃していこう。

 第1章 資本家から労働者が権力を奪い返そう

 小泉政権と日本経団連会長・奥田のもとで推し進められている「戦争と民営化」の攻撃は、ますます激しくなっている。その背景にあるのは、世界大恐慌の本格的爆発の切迫を前にした帝国主義間争闘戦の激化と、日本帝国主義の危機の果てしない深まりだ。帝国主義の基本矛盾が爆発し、今や帝国主義は労働者階級を戦争に駆り立て、かつ、労働者の職場も生活も、子育ても年金も医療も、生命すらも何ひとつ保障できず、一切の犠牲を労働者階級に押しつけて延命しようとしている。この腐りきった帝国主義を打倒する以外に、もはや労働者階級の生きる道はどこにもない。
 MWMに突き進むアメリカの労働者階級は、「一握りの富者と巨大企業がわが政府を簒奪(さんだつ)している」(MWM委員会宣言)と弾劾し、彼らからアメリカという国を「奪い返す闘い」をやりぬくのだと言っている。これと同じ闘いが、まさに今の日本でも強力に求められている。動労千葉の中野前委員長が呼びかけているように、「お前ら資本家の時代は終わったんだ。おれたち労働者に権力をよこせ」という立場に立ちきって闘いぬくということだ。
 この階級的労働運動の新潮流を、太く深くかつ激しい流れへと、国際的にも国内的にも、断固として押し上げていかなければならない。ここにこそ、侵略戦争を阻止し、イラク派兵を撤回させ、改憲攻撃を実際に粉砕する道がある。帝国主義の差別・抑圧や生活破壊に苦しむすべての人民の解放に直結する唯一の道があるのだ。その一大突破口こそ、闘う3労組が呼びかける11月労働者集会だ。
 とりわけ重大なのは、労働者階級の団結権をめぐる攻防だ。日帝・小泉政権と奥田は今日、戦争と大資本攻勢に突き進むための最大のかぎを握る攻撃として、労働組合の解体と労働運動絶滅の攻撃に一切をかけて襲いかかっている。
 労働者階級の団結の最も普遍的で基礎的な土台である労働組合を破壊し、団結権・団体交渉権・争議権という労働三権をも実質的に解体して、かつての産業報国会のように戦争協力の担い手へと丸ごと変質させることを狙っている。ここでの激突に勝ちぬくことなしに、日本労働運動と日本階級闘争の明日はない。
 労働者の階級的団結を圧倒的に強化し、労働組合そのものを懸命に守りぬく闘いが必要だ。だがそれは、連合や全労連中央のような、帝国主義にあらかじめ屈服した体制内労働運動によっては絶対にできない。腐敗し労働貴族化した組合幹部に代わって、青年労働者を先頭に、現場労働者が組合の実権を握り、日本の労働運動を根本から階級的に再生する闘いに続々と立ち上がることだ。これが11月労働者集会の核心だ。
 この集会に全労働者階級の未来がかかっていることを熱烈に訴え、あらゆる力をふりしぼって、闘う3労組とともにその大成功を闘いとろう。支配階級を心底から震え上がらせ、プロレタリア革命の現実性をほうふつとさせるような、労働者階級の団結の強さ、闘争力の大きさを、11月労働者集会への大結集として今こそ示そうではないか。
 この間のプロ野球ストをめぐって起きている事態は、労働者が団結して闘うことがいかに大事であり、この団結を武器としたストライキが資本家階級をどれほど追いつめるかをまざまざと示している。「たかが選手」発言に代表されるオーナー連中の傲慢(ごうまん)さ、大量首切り・リストラを伴う球団の統廃合を「経営権の問題」と言って開き直り、選手会との交渉すら拒否し続けた態度は、今日の日本の資本家階級の最も典型的な姿だ。選手会の労働組合としての不抜の団結、そしてストライキ権の確立とその断固たる行使こそがついに彼らを強制して、交渉のテーブルに着かせたのである。
 まさにこの団結の意義とストライキの復権を全社会的に闘いとっていく時が来ているのだ。連合指導部と全労連中央のもとで抑圧されてきたストライキの革命的な力を今こそ圧倒的によみがえらせて闘おう。

 第2章 イラク戦争の継続宣言した日米帝国主義

 労働者階級をとりまく情勢は、実に重大な局面を迎えている。9月21日の日米首脳会談で、ブッシュと小泉は、日米同盟を新たに全世界に対する侵略と戦争の枢軸として打ち立てていくことを宣言した。
 米帝ブッシュは、イラクに戦争をしかける口実となった「大量破壊兵器の脅威」が完全なデマだったことを自認した上で、侵略戦争を公然と開き直った。米帝の利害を貫くために必要なら世界のどこにでも先制攻撃をしかけると公言している。日帝・小泉はこのブッシュを全面支持し、この12月に期限の切れる自衛隊のイラク派兵をさらに1年延長する決定を下そうとしている。そして国連安全保障理事会の常任理事国入りをめざすと宣言した。国連を支配してきた米・英・仏・ロシア・中国と並ぶ「大国」として、世界の支配権を争う帝国主義として登場しようとしているのだ。
 これは、日米安保体制をも一変させる大攻撃だ。米帝は今や安保の適用範囲を中東全域や北アフリカまで拡大し、沖縄を始めとする在日米軍基地をそれら全地域への侵略戦争遂行の最大拠点、指揮中枢へと変えようとしている。日帝はこれを憲法9条破棄へ状況の強行突破を図るテコに転化し、自衛隊の海外への一層大規模な侵略派兵を強行し、独自の軍事大国化と新たな15年戦争に突き進む道を開こうとしている。そのためにも沖縄にさらなる犠牲を差別的に集中し、基地撤去の声を圧殺しようと必死になっている。
 そして、この戦争への攻撃と一体の攻撃として、4大産別を中心に労働運動圧殺の攻撃をしかけている。教労・全逓・自治体・国鉄をめぐって今、激しく火を噴いている激突は、単にこの4大産別の労働者にとって死活のかかった闘いであるだけではない。日本の労働運動と労働組合すべての存亡に直結する問題だ。

 第3章 労働運動解体を狙う小泉と奥田に反撃を

 小泉と奥田が狙っているのは、95年に当時の日経連が打ち出した路線の全面貫徹である。終身雇用を解体して労働者の9割を不安定雇用にたたき込み、大幅賃下げを強行し、すべての労働者に恐るべき労働強化と徹底した差別・分断、無権利状態を強制しようとするものだ。そのために、かつての総評左派の主力であった旧官公労系の労働運動を、ここで最終的に壊滅に追い込むことを絶対の課題としているのだ。
 この狙いを明白にしたのが「骨太方針W」と郵政民営化の攻撃だ。経済財政諮問会議では郵政民営化について、「常勤職員28万人、非常勤職員12万人、合計40万人の国家公務員でなければできないのか。民間でやれば(はるかに少ない人数で)できる」(小泉首相)とか、「私は2500人程度の組合員の解雇はやったことがあるが、28万人というのは、私の想像力を超えている」(麻生総務相)などという議論が露骨に行われている。
 〈いったん全員解雇・選別再雇用〉方式を含む、国鉄分割・民営化やNTT型の大合理化を集大成した攻撃が、ここでたくらまれているのは明らかである。その最大の狙いは全逓労働運動の解体である。この攻撃を頂点に、今や公務員労働運動の全体に対して激しい民営化攻撃と、これと一体となった公務員制度改革の攻撃が吹き荒れている。さらに教育労働者への攻撃に示されるように、戦争動員への攻撃が労働運動つぶしとひとつの攻撃としてますます激化しているのだ。

 第4章 4大産別決戦の爆発こそが前進切り開く

 だが重要なことは、これに対して都の教育労働者にみられるような、不退転の決起が続々と始まっていることだ。それが小泉政権を確実に追いつめ、ぐらぐらに揺さぶっていることだ。郵政民営化絶対阻止を始めとする4大産別決戦の一層全面的な爆発が、小泉と奥田をより絶望的な危機にたたき込み、日本の労働運動を一層巨大な分岐・流動と再編・高揚の局面に押し上げることは間違いない。
 民間ではすでに、すさまじい攻撃が先行して進行しているが、これをはね返す力をつくりだすためにも、4大産別での決戦に絶対勝利する必要がある。動労千葉労働運動を今こそ4大産別のすべてに押し広げ、それをテコに階級的力関係を大転換していくことこそが決定的だ。10〜11月をその大前進としてかちとろう。
 こうした中で、国労革同と日共中央による歴史的大裏切りが発生したことを明らかにし、徹底的に弾劾しなければならない。
 国労西日本エリア本部の上村委員長ら革同は、JR連合傘下のJR西労組とともに、9月13日に「イラク鉄道復興・人道支援会議」なるものを結成した。上村は記者会見で、「銃よりレールをとの思いで鉄道復興に協力、イラクの平和構築に貢献したい」と言い放った。カイライ政権の駐日イラク大使館に支援を申し出、日本の外務省にも協力を求めると公言した。
 これは、現に米帝の軍事占領下にあるイラクで、その占領体制を率先して支えるお先棒をかつぐものだ。かつての日帝が「南満州鉄道」の建設をテコに中国東北部への侵略を拡大していったのと同じ歴史を繰り返すものだ。しかも許せないことは、このイラクへの人員派遣がなんと1047名問題の「解決法」として出されていることである。
 革同指導部とその背後にいる日共中央はついに、JR連合と共同して、帝国主義のイラク侵略の完全な手先に転落した。自衛隊が多国籍軍に参加し、JR各社などが有事法制の「指定公共機関」に指定され、労働者の戦争動員が現実の攻撃となったその時に、戦争協力の先兵へと180度の転向を遂げたのだ。連合会長・笹森の改憲発言と並ぶ重大事態だ。この暴挙を徹底的に弾劾し、粉砕して決起しよう。酒田・革同体制を打倒し、11月労働者集会に闘う国鉄労働者の大結集をかちとろう。
 10・17MWM連帯闘争から11月へ進撃しよう。11・6教育基本法改悪阻止の集会と11・7労働者集会を連続闘争として闘おう。沖縄闘争の大爆発を本土と沖縄を貫く闘いとしてつくりだそう。10・10軍事空港粉砕の三里塚現地闘争に総決起しよう。
 マル青労同1000人建設をやりぬき、これらすべての闘いの先頭に、闘う労組青年部の旗を押し立てよう。

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週刊『前進』(2168号1面2)(2004/10/04)

日米首脳会談 安保の大改定を宣言 武力行使と改憲狙う小泉

 日帝・小泉は9月21日、ニューヨークで米帝ブッシュと首脳会談を行い、イラク、アフガニスタン侵略戦争で戦争加担を続けることを表明した。また、国連総会演説で日帝の安保理常任理事国入りを要求したのに続き、ブッシュに協力を要請した。これは日帝の侵略戦争および改憲への歴史的な攻撃であり、日帝がイラク侵略戦争にさらに深々と踏み込み、戦争のできる帝国主義へ飛躍しようとする攻撃である。労働者階級の未来をかけてこの攻撃を粉砕しよう。今こそ日帝・小泉を打倒しよう。
 日帝は、日米首脳会談を前にしてイラクに派兵した自衛隊を期間を延長して派兵し続けることを表明した。泥沼化するイラク侵略戦争の中で自衛隊を決定的な戦争に突入させる決断を行って、それを背景に安保理改革を要求し、改憲を強行することを全世界に宣言し、米軍のトランスフォーメーション(大再編)に対しても自衛隊の侵略軍隊化への決定的な転換を行うことを宣言したのである。
 米帝ブッシュが強行しているイラク侵略戦争とはいったい何なのか。イラク石油強奪と中東支配のための侵略戦争にほかならない。米帝はイラクの「大量破壊兵器」をデッチあげて侵略戦争に突入したが、そのウソは完全に暴き出されている。9月13日にパウエル国務長官自身がイラクに大量破壊兵器がなかったことを認めたのだ。米帝のイラク戦争の開戦理由はまったくウソだったのだ。
 この米帝ブッシュに対して全世界で怒りの声がまき起こっている。この時、小泉は、大統領選を控えたこのブッシュを全面的に支持することで米帝の協力を取り付けようとしたのだ。
 小泉は日帝の「イラク、アフガニスタンでの活動」を強調して、自衛隊を決定的な戦闘行動にたたき込む決意を持って安保理常任理事国入りを要求したのである。“国際の平和と安全に主要な役割を果たす国々は安保理の意志決定過程に参加しなければならない”と主張し、帝国主義世界支配の一角として軍事力を行使することを宣言した。これをテコに改憲、日米安保大改定を強行し、日帝の戦後史を画する大攻撃に打って出る宣言にほかならない。これを許すのかどうか、日本人民の未来がかかった決戦が訪れているのである。
 日米首脳会談では、ブッシュが米軍大再編への協力を要求し、小泉が「協力していきたい」と表明した。米軍大再編とは、米軍の機動力を高め、効率化して大戦力を一挙に戦場に送り込むというものである。日本を戦力展開拠点として、中東、北アフリカ、バルカン、中央アジア、南アジアなどに米軍を出撃させようというのだ。北朝鮮(中国)侵略戦争を始め全世界で侵略戦争を拡大していくための体制構築なのだ。
 これは、日帝に対して米帝戦略のもとに全面協力せよという要求を突きつけている。これに対し日帝・小泉政権は、自衛隊のイラク派兵延長や防衛計画の大綱見直しに示される自衛隊の侵略軍隊としての決定的飛躍、軍事力の大増強をもって真正面から対応することを決断したのである。
 小泉は米軍大再編による基地強化について「地元の負担軽減を考慮すべきだ」と発言したが、これは完全なペテンだ。在日米軍基地をさらに全面的に強化し、米軍の出撃拠点としたのでは「地元の負担」が軽減されるはずなどあり得ない。沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落のような事件、事故は激増することになるのだ。
 日米首脳会談は、米日帝の侵略と戦争のエスカレーションの重大な転回点である。どんなに危機に陥っていようが、さらに戦争を拡大させることを鮮明に突き出したのだ。これを許しておいて労働者階級人民が生きる道はない。10・17百万人労働者大行進、11・7労働者集会の大爆発で巨大な反撃をたたきつけよう。日帝打倒へ、労働者階級の大決起を実現しよう。

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週刊『前進』(2168号1面3)(2004/10/04)

命がけの海上攻防 名護新基地建設に反対しボーリング調査実力阻止

 9月9日以来、名護市辺野古では那覇防衛施設局による海上基地建設のための「ボーリング調査」との激しい攻防が続いている。
 21日も辺野古沖には調査船4隻、「警戒船」9隻が出没した。実は「警戒船」とは名ばかりで地元漁民(ウミンチュ)の船を権力や金にものを言わせて防衛施設局がチャーターした船。まさに辺野古住民同士を敵対させ、分断を狙う卑劣な攻撃だ。闘争心を沸き立たせたヘリ基地反対協の海上抗議隊、カヌー8艇と抗議船6隻が迎え撃つ。
 カヌー隊は先週、辺野古沖のリーフ内のボーリング予定地に敷設された標識ブイに1艇ずつが待機した。ブイ目当てに作業をしようとする調査船の接近を実力で阻む闘いだ。炎天下、朝から夕方まで昼食時の20分間を除いてずっと海上のカヌーで待機し続けるという体力的にも精神的にも厳しい闘いだ。しかし、カヌー隊の存在は決定的だ。反対協の「カヌーのこぎ手が足りない」という要請に、続々とカヌー隊志願者が現れる。この日も調査船がブイ周辺を何度となく航行し、ブイを回収して検査を行おうと躍起になるが、カヌー隊の体を張った闘いに何もできなかった。
 一方抗議船は1隻に3〜5人が乗り込み、調査船に肉薄して拡声器で不当な調査の即時中止と、地元漁民に漁船を「警戒船」に貸さないように呼びかける。この日、隣の宜野座村からも「辺野古が埋め立てられれば沖縄の海全体が死んでしまう」とウミンチュの若者2人が漁船で駆けつけ、抗議船を提供した。自ら船を操縦して抗議する感動的な決起が始まったのだ。
 「防衛施設局は違法な調査をやめなさい! ウミンチュの皆さん、人殺しのための基地建設に手を貸すのをやめてください!」
 防衛施設局員は機械のように「進路妨害をしないで下さい」と繰り返すのみ。作業が遅々として進まない事態にいらだち、抗議船に対して無理やり「警戒船」を体当たりすれすれまで突っ込ませる命令を下す悪あがきをしたものの、午後にはなすすべなく船上に座り込んでしまった。
 「警戒」に駆り出された漁民たちも最初はそっぽを向いていたものの、抗議船の訴えを聞くうちに次第にうなだれてしまい、抗議船に手を振る漁民も現れた。
 結局8時間近くに及ぶ海上攻防によって、「ブイの回収・検査」は、リーフ外で何個かできただけで、肝心のリーフ内では1個のブイに触ることもできなかった。すごい勝利だ。
 連日、命がけで辺野古の海をかけめぐる海上攻防が闘われている。辺野古に駆けつけよう! まだ船もカヌーも足りない。圧倒的なカンパを「命を守る会」に集中しよう。

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週刊『前進』(2168号3面1)(2004/10/04)

「1047名は国内では出番ないからイラクへ行け」
国労革同がJR連合と共同 「イラク復興」掲げ侵略翼賛
 日共中央方針で歴史的暴挙

 国鉄闘争は勝利への前進か、国労本部=酒田・革同執行部による闘争圧殺かをめぐる重大な決戦のただ中にある。その中で、革同指導部と日本共産党中央のすさまじい暴挙が暴かれた。国労西日本エリア本部の上村隆志委員長(前本部副委員長)ら革同は、9月13日、JR連合傘下のJR西労組とともに「イラク鉄道復興・人道支援会議」なるものを結成し、アメリカ帝国主義の軍事占領下にあるイラクに「鉄道技術者を派遣し、鉄道復旧工事や資材調達を支援する」と叫び始めた。しかも、そこに1047名を追放するというのである。ついに革同は、米英日の帝国主義と一体化し、帝国主義のイラク侵略の手先となることを公然と唱え出したのだ。

 カイライ政権の大使館にも支援の申し出

 9月4〜5日の国労西日本エリア大会で、革同は「JR西労組との間で『イラク鉄道復興・人道支援会議(仮称)』準備会を設置し、今後の取り組みを図ることとする」という運動方針を強行決定した。これへの国労組合員の怒りが本格的に噴出することにおびえながら、13日、彼らはJR西労組とともにそそくさと「イラク鉄道復興・人道支援会議」を立ち上げたのだ。上村は、同日の記者会見で「銃よりレールをとの思いで鉄道復興に協力、イラクの平和構築に貢献したい」と言い放った。彼らは今後、外務省にも協力を求め、10月18日にはカイライ政権の駐日イラク大使館を訪問して「支援活動」について報告するという。
 「銃よりレールを」「平和構築」とは何という言いぐさか! イラクに自衛隊を派兵している日本政府の協力を得て、米帝のカイライ・イラク政権のもとで進められる「平和構築」とは、イラク人民の民族解放闘争を圧殺し、植民地支配の確立を図るということではないか。帝国主義の植民地支配にとって鉄道建設はかなめをなしている。かつて日本帝国主義は、「南満州鉄道」を軸に中国東北部を侵略した。植民地鉄道は常に軍事と一体だった。
 「イラク鉄道復興支援」を持ちかけたJR西労組の背後には明らかにJR資本が控えている。中国本土や台湾、韓国の新幹線建設をめぐり、JRや三菱ら日帝資本と独仏資本の激しい争闘戦が展開された。イラクもまた、資本の利権争奪の対象だ。日帝は、米軍支配下のイラク利権に介入し、独仏を排除して米帝とともに石油資源の独占的確保を狙っている。そこには帝国主義としての死活的利害がかかっている。革同は、そんなことに国労組合員を動員しようとしているのだ。
 小泉政権は自衛隊イラク派兵の延長を唱える一方、有事法制に基づきJR各社などを「指定公共機関」に指定した。労働者を侵略戦争に動員する攻撃がいよいよ現実のものとなり、それとの対決が鋭く問われているその時に、革同はイラク侵略の手先となることを公式に表明したのである。

 「共産党排除」を掲げる連合に全面屈服

 この事態の発端は、上村ら革同がJR西労組に「1047名問題解決」への「協力」を要請したことにある。これに対してJR西労組の森正暁委員長は、尊大きわまる態度で「冷静に国内情勢をみれば国労組合員を必要としているところはどこにもありません」「国労の一〇四七名の人達が、日本の国内では全く出番がないけれども、イラクにおいては出番があるのではないか、イラクで活躍の可能性を探してみてはどうか」(『労働レーダー』)と返答した。
 これ自体、断じて我慢のならないことである。ところが革同は、森に反論するどころか直ちに「イラク鉄道復興支援」に飛びついたのだ。こうして革同は、「1047名は国内に出番がない」というJR連合の言い分を丸ごと認め、解雇撤回闘争の完全放棄を誓ったのである。
 今や革同は、1047名の「イラク追放」でJR連合と意気投合する最悪の裏切り者に転落した。酒田が連合合流路線に突き進む中で、その先兵となることを決断した革同は、どこまでもアクロバットを演じるほかにない。そもそもJR連合は、「非カク3原則」と称して革同(=共産党)・中核派・カクマルを同列に並べ、その排除を叫び続けてきた帝国主義的労働運動の権化のような存在だ。そのJR連合におもねるために、革同は誰よりも露骨な裏切りを演じてみせることで、屈服のあかしを立てるほかにないのである。

 国鉄闘争解体狙い「動労千葉排除」を方針に

 革同のこうした踏み込みの裏に日共中央の指示があることは間違いない。日共中央は、国労組合員に侵略の先兵となることを強い、イラク人民に敵対させ、イラク戦争に反対する全世界の労働者の国際連帯を分断しようと全力を挙げ始めた。これほどまでの国鉄闘争解体―労働運動破壊の攻撃はかつてない。
 日共は、今年1月の党大会で綱領を改定し、労働者階級自己解放の闘いを最後的に否定し去った。それは、米帝のイラク侵略戦争によって世界が戦争の時代に投げ込まれる中で、帝国主義の最後の番兵となって延命するという日共中央の反革命的決断に発している。国鉄闘争破壊のためにこれまで革同に幾度もの裏切りを演じさせてきた日共中央は、今回ついに公然たる戦争翼賛に革同を踏み切らせたのである。
 日共=革同は口先では今も「改憲攻撃との対決を」とか「陸・海・空・港湾労組20団体との共闘を」などと唱えている。だが、日本政府に戦争協力を申し出た日共=革同こそ、統一戦線の最も凶悪な破壊者だ。
 国労西日本エリア大会で上村らが決定した運動方針には、次のような一節がある。「(1047名問題の)解決の主体は国労・全動労・国労闘争団・全動労争議団が主体であり、国鉄闘争を利用し、自らの組織の利益を策略する団体とはきっぱり整理をしていく」
 その狙いは明白だ。連合合流のために1047名を切り捨てようともくろむ革同にとって、1047名闘争全体の勝利のために闘う動労千葉は、どうしても邪魔になったということだ。
 国鉄闘争をめぐる大分岐はますます激しく進行する。全動労争議団は、日共中央や全労連指導部の制動をはねのけ、国労闘争団に続いて鉄建公団訴訟に立つ決意を固めている。これに最悪の形で敵対しているのが革同だ。全労連と日共総体を巻き込む分岐と流動がさらに促進されることは避けられない。
 闘う国労組合員を権力に売り渡した日共=革同の行き着く先は戦争協力だ。
 日共=革同の裏切りを徹底弾劾しよう。11・7労働者集会に国鉄労働者の大隊列を登場させ、国鉄闘争勝利の突破口を切り開こう。
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 国労西エリア本部の運動方針(関連部分)

 イラク鉄道復興・人道支援に関して西日本本部とJR西労組は、「銃よりレールを」と、平和を願う立場から労働組合として何をなすべきかと議論を重ねてきた。今後の取り組みについては、大会以降JR西労組との間で「イラク鉄道復興・人道支援会議(仮称)」準備会を設置し、今後の取り組みを図ることとする。自衛隊の派兵と明確に違い、この目的は世界の鉄道労働者の連帯として取り組むものである。取り組みの基本はあくまで、平和的・人道的にイラクの鉄道のインフラ整備等、復興に関わり、両組合が連帯した行動を行うものである。

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週刊『前進』(2168号3面5)(2004/10/04)

プロ野球ストを断固支持する
 不当労働行為に抗し労組選手会が総団結

 スト復権するインパクトに

 労働組合・日本プロ野球選手会は9月18、19日、日本プロ野球史上で初のストライキを決行した。セ、パ両リーグの12球団の全選手が参加し、12試合が中止となった。選手会は25、26日にもストを構えて経営側の日本プロ野球組織(NPB=日本野球機構)を徹底的に追いつめている。
 選手は労働者であり、選手会は労働組合としての正当な要求を掲げて争議権を行使した。関連事業を含めて1千人を超える首切りを伴う球団合併に対する生活と権利をかけたストであり、正義の闘いである。
 連合などの大労組が資本によるリストラのあらしにもかかわらずストを放棄する中で、ストを社会的に復権する大きなインパクトとなっている。労組・選手会のストを断固支持し、防衛し、労働者階級全体に闘いを広めよう。

 「たかが選手」の暴言許さず

 今回のストの発端は、6月に明らかになったオリックスと近鉄の合併など、経営側の一方的な球団統合・再編の策動である。
 選手会の古田敦也会長は各球団オーナーとの直接会談を要求した。これに対して7月8日、巨人の渡辺恒雄オーナー(読売新聞グループ会長)が「無礼なことを言うな。たかが選手が」「オーナーと対等で話す協約上の根拠はひとつもない」と暴言を吐いた。
 あらゆる企業が労働者なしに成り立たないのと同様に、プロ野球は選手なしには成り立たない。なのに、この言辞はいったい何だ!この「たかが選手」暴言が選手会と労働者人民の怒りの火に油を注いだ。
 7月10日には、選手会は臨時大会で、合併の1年間凍結などを求めて「ストライキを行う場合がありえる」と決議。8月12日には実に98%もの高率でスト権を確立した。また、合併差し止めを求める仮処分も申請。これは却下されたが、高裁の決定は、NPB側の交渉態度が「誠実さを欠く」と指摘し、ストの正当性を事実上認めた。
 選手会は9月6日の臨時運営委員会で、9月中の土、日にストを設定。「来季はセ6球団、パ5球団以上の確約」などで11、12日のストは回避した。だが、17日の交渉では、来季の球団の新規参入に「最大限努力」という文言も入れられず、選手会は断固としてストに突入したのだ。
 今回の選手会のストは、「たかが選手」発言に始まり、不当労働行為のオンパレードに抗して闘われた。
 NPB側は、そもそも選手会を労働組合と認めない態度をとり、「球団統合などは経営事項。義務的交渉事項ではない。これを理由にストを行うのは違法、かつきわめて不当」などと言い張り、数十億円もの「損害賠償請求」の恫喝を行った。また、合併球団以外の選手のストは「支援スト」だから「違法」と言いなした。正当な争議行為の民事・刑事免責を定めた労働組合法に違反する暴論である。巨人などはロックアウト(施設封鎖)を行うことさえ狙ったのだ。
 こうしたスト圧殺策動をはねのけて、選手会は、労組としての存在意義をかけてストに突入したのだ。

 資本攻勢への怒りを背景に

 読売新聞は「ファン裏切る“億万長者”のスト」(9・18社説)などと悪罵(あくば)したが、選手会は年俸の削減も辞さず、最低保障年俸440万円でいつ解雇されるかも知れない2軍選手も含めて、全選手と関連事業の労働者の利害をかけてストに立った。そもそも、球団の赤字などの一切の責任は経営=資本にあり、選手=労働者にはない。個々の球団の利害にかかわらず、全球団の選手が総団結してストに突入したことが、多くの労働者の支持を得ているのだ。
 さらに、読売やオリックスこそ今回の球団合併・再編を主導している張本人だ。彼らは、小泉=奥田路線のもとでの政治=経済攻勢を最先頭で推進している。読売新聞は憲法改悪の旗振り役を担い、オリックス会長・宮内義彦は政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を務め、民営化攻撃の最先兵となっている。
 労働者人民の多くがこのストを支持しているのは、こうした政治=経済攻勢への怒りが底流にあるからだ。特に青年労働者の労働組合への期待と要求の強さが示された。団結とストの意義がよみがえったのだ。
 連合なども選手会支援を打ち出しているが、それは「労使交渉正常化」を求めるものにすぎず、自らは絶対にストをやろうとはしない。日本の労働組合運動の再生が今こそ求められているのである。
 (大沢 康)

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週刊『前進』(2168号6面4)(2004/10/04)

プロ野球ストに寄せて
選手あっての野球、労働者あっての社会
 動労千葉組合員 白井敏行

 プロ野球選手会のストライキについて、『動労千葉を支援する会ニュース』bP59(9月15日付)に掲載された動労千葉組合員の投稿を転載して紹介します。(編集局)

 社会的関心を集めているプロ野球選手会のストライキについて、動労千葉の組合員として感じていることをのべます。
 野球ファンではなく労働者の立場として今度のストライキを見るならば、まさに歴史的快挙ではないかと思います。
 「ストライキ」という言葉が日本社会全体に氾濫(はんらん)し、ストに突入するのか否かに大きな関心を集めています。
 「労働組合」「ストライキ」「団体交渉」「不当労働行為」という言葉が連日マスコミに登場し、ストライキという言葉の意味も知らなかった多くの若い人が、労働組合とは何か、何のためにあるのかを知ったのではないかとおもいます。
 ここ10年は、 ストライキというと、多くの人は「千葉動労」をイメージしました。現に選手会のストが話題になり始めた8月中旬、『週刊プレイボーイ』の記者が組合本部に来ました。「ストのエキスパートである動労千葉から、古田選手会会長にストの心構え、闘い方をアドバイスしてほしい」という取材内容です。
 多くの野球ファンは、「たかが選手が」という球団オーナー側の思い上がり、球団合併と一リーグ制に怒っています。しかし野球ファンでもなくても、多くの労働者は今回のストについて圧倒的に支持しています。リストラや首切り、賃下げの攻撃が吹き荒れているにも関わらず、たとえ労働組合があっても何一つまともな抵抗もできない労働者達は、年俸制で激しい競争社会の選手達が、「年俸が削られるが、球界全体のため」と選手だけでなく球界で働く労働者全体の問題として受け止め、労働組合として団結し、ストを対置し闘っている姿に感動し、我が身に置き換えて、拍手喝采(かっさい)しているのではないでしょうか。
 ところで、連合や全労連は、今回の選手会のストライキに支持の声明をだしています。労働組合のナショナルセンターとして当然かもしれません。しかし多くの労働者は、「何がスト支持だ」と思ったのでは。会社が大もうけしているのに賃上げ要求もださない、合併やリストラで多くの仲間が解雇されても、まともな闘いも組めない。「会社あっての労働組合」と資本の言いなりになっているのが連合傘下の労働組合の現状だからです。
 「年金改悪にはゼネストで闘う」と言っていた連合の笹森会長さん! 「選手会スト支持」を出す前に、労働組合の「プロ」として、まず連合がストをやってみろ! と多くの労働者は思っているのではないでしょうか。

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週刊『前進』(2168号4面1)(2004/10/04)

世紀の大ウソで侵略戦争 パウエル「イラクにWMD(大量破壊兵器)ない」
 参戦した日帝・小泉も同罪

 「いかなる備蓄も発見されず」

 パウエル米国務長官は9月13日、イラクの大量破壊兵器問題について米上院政府活動委員会の公聴会で証言し、「いかなる備蓄も発見されておらず、われわれが発見することはないだろう」と述べた。
 この発言は決定的に重大だ。パウエル発言は、米帝のイラク侵略戦争の「正義性」「正当性」を根本的に覆すものだ。米帝がイラク開戦の最大の理由とした大量破壊兵器問題が、なんの根拠もないものであることをブッシュ政権自身がついに認めたのだ。にもかかわらずパウエルはこのことをイラク人民に謝罪しようとせず、戦争が間違っていたというわけでもない。あくまでも居直っているのだ。
 この発言をしている最中にも米軍はバグダッドで、ファルージャで、サマラでイラク人民に対する無差別虐殺を続けているのだ。絶対に許すことができない。大量破壊兵器問題をデッチあげてイラク侵略戦争を強行し、数万人のイラク人民を虐殺した戦争犯罪を徹底的に追及し、ブッシュ政権を絶対に打倒しなければならない。
 パウエルは、昨年2月の国連安保理でどのように振る舞ったのか。大量破壊兵器の製造装置だとして人工衛星から撮った写真を示しながら、イラクが大量破壊兵器を保有していると主張した。これに対しては直ちにそれは実際には気象観測用気球のための水素ガス製造装置だという指摘がなされた。米帝ブッシュ政権は違うことがあらかじめ分かっている施設の写真を示して大量破壊兵器の施設であるかのようにだましたのだ。こんな途方もない世紀の大ウソの上にイラク人民への大虐殺戦争が強行された。どうして許せるか。
 しかも、イラク侵略戦争を強行し、大量破壊兵器などまったくないことが完全に暴き出された後になっても、「必ず見つかる」などと言ってごまかしとはぐらかしを続けてきた。ブッシュは「フセイン政権が倒れて民主主義になった」とか「フセインがいなくなってアメリカがより安全になった」などと言って居直り続けている。
 今ごろ「ありませんでした」で済むような問題なのか。米帝の侵略戦争ですでに数万人のイラク人民が虐殺されており、今も1日百人近くのイラク人民が殺され続けているのだ。しかも米軍はファルージャを始めとした各地で爆撃機や攻撃ヘリから空爆し、女性や子どもを含むイラク人民を無差別虐殺しており、それを連日「戦果」として発表しているのだ。米帝のイラク侵略戦争の反人民性はもはや極限的である。
 こんな道理のない大虐殺戦争をして平然としているのが帝国主義というものの正体なのだ。大量破壊兵器(戦略核を始めあらゆる種類の)を独り占めにしている米帝が、圧倒的な小国のありもしない「大量破壊兵器」を口実に侵略戦争を強行する、しかも大ウソをデッチあげてだ。こんな帝国主義は一刻も早く打倒しなければならない。

 大デマ宣伝に加担した小泉

 米帝と並んで最も許せないのは日帝・小泉政権だ。小泉は米帝ブッシュ政権の「大量破壊兵器」の大デマ宣伝のしり馬に乗ってイラク開戦を真っ先に支持した。「もしも今後、危険な大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったらどのような危険な目にあうのか。日本も人ごとではない」などと言って。さらに国会答弁でも「大量破壊兵器」デマを一貫して繰り返してきたのだ。追及をかわすために「フセイン大統領が見つかっていないからイラクにフセイン大統領は存在しなかったと言えない」などと珍無類の答弁までしていた。
 こんなふざけた答弁がどうして許せるのか。こうしたウソの積み重ねの上に03年12月に自衛隊派兵を決定し、今年6月に多国籍軍参加を強行したのだ。今や日帝のイラク参戦の一切の前提が崩壊したのだ。
 こうしたイラク参戦の犯罪性、「大量破壊兵器」デマの破産に完全に口をぬぐって、小泉は破廉恥にも国連演説で常任理事国入りを要求し、日米首脳会談でブッシュを支持した。絶対に許せない。日帝・小泉を打倒しよう。自衛隊は今すぐイラクから撤退せよ。

 米兵犠牲者は発表より深刻

 イラク侵略戦争による米兵の死者もますます増加している。すでに米軍の公式発表でも死者が千人を超え、負傷者が7200人を超えている。だがこの数字自身にごまかしがある。米輸送軍の発表によれば、負傷や病気で米本国に送り返された兵士が1万7000人近くに上っている。彼らはその負傷や病気が直接の戦闘任務中のものではないとして死傷者の報告からは外されているのだ。負傷や病気で送り返された兵士の中にもその後死亡した者がいる。
 こうした医療上の理由で送り返された兵士のうち精神的な問題で治療を受けた者が5400人近くに上っており、治療を受けた数としては外科的、内科的問題に次いで3番目だ。また「無事」帰還した兵士の17%が心的外傷後ストレス症候群になっており、米兵の犠牲者は公式発表よりも何倍も深刻である。
 実際に追い詰められているのは米帝の方なのだ。イラク人民は米軍の無差別虐殺の暴虐がどんなに激しく吹き荒れようとも、人間としての尊厳をかけて不屈の戦いに決起している。米軍が暴虐な人民虐殺を強めれば強めるほどイラク人民の民族解放・革命戦争は激化し、米軍占領はますます危機を深めているのだ。

 アナンが「国連憲章上も違法」

 国連のアナン事務総長は9月15日、英BBCとのインタビューで米帝のイラク侵略戦争を「われわれの見地からも、国連憲章上からも違法」として批判した。続いて21日、アナンは国連総会で「法の支配に従え」と演説した。
 国連が米帝のイラク侵略戦争に果たした役割はあまりにも犯罪的である。国連は91年湾岸戦争後、イラクに経済制裁を強行し、子どもや高齢者など10万人を死に追いやった。そして02年11月に安保理決議1441を採択し、イラクに大量破壊兵器に関する査察受け入れを要求した。フセイン政権が査察を受け入れ、大量破壊兵器がないことが明らかになると、米帝ブッシュ政権は「査察には意味がない」と言って侵略戦争に突入した。要するに国連のやったことはすべて米帝の侵略戦争の道を掃き清めることにつながっていたのだ。
 にもかかわらず、国連事務総長という地位にある者が米帝のイラク侵略戦争について「国連憲章に違反する」と言ったことの意味は重大である。米帝のイラク侵略戦争は戦争犯罪であることが法的に認定されたに等しいのだ。
 米帝ブッシュは、共和党の綱領で「国際機関に米国の指導力への拒否権はない」「米国人に対する国際刑事裁判所の司法権を認めない」と宣言し、国連を無視して侵略戦争を凶暴に展開することを宣言した。これは米帝が一層凶暴に帝国主義間争闘戦を展開するという宣言にほかならない。
 日帝・小泉は、アナン事務総長の発言に対して「私はそうは思っていない。日本の判断は正しかった」と居直っている。しかも自衛隊のイラク派兵を12月の期限切れ後も延長することを米帝に確約した。イラク人民の民族解放闘争が激化し、イラクから部隊を撤退させる国がますます増えている状況の中で、どこまでも自衛隊派兵を継続し、イラク侵略戦争に深々と踏み込もうとしているのだ。
 米英日帝は、すでに凶暴で後戻りすることのない侵略と戦争の道に突入した。帝国主義の絶望的な危機と行き詰まりの中で帝国主義世界戦争にまで行き着く以外にない道に決定的に踏み込んだのだ。今こそ米帝ブッシュ打倒!日帝・小泉打倒!へ決起しよう。アメリカ労働者階級の10・17ミリオン・ワーカー・マーチと連帯し、闘うイラク人民と連帯し、11・7労働者集会に全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2168号5面1)(2004/10/04)

全学連大会 自治会運動発展へ1年間決戦宣言
 階級的労働運動と連帯を確認 教基法・安保沖縄決戦闘う
 自治会権力の獲得へ決意

 全学連(全日本学生自治会総連合)の第64回定期全国大会が9月17〜19日、東京都内で開かれた。全学連は3日間の白熱した討論を行い、11・6−11・7大結集を突破口に、教育基本法改悪阻止闘争と安保・沖縄闘争、大学闘争を対決点とする1年間決戦に総決起することを宣言した。階級的労働運動と連帯し、全国大学の自治会運動の大発展をかちとる闘いが力強く開始された。

 “11月大行動に結集を”

 大会初日。大山尚行委員長が議案を提起した。
 委員長は冒頭、「向こう10年の日本と世界のすう勢を決める歴史的決戦が到来している。04−05年の1年間決戦が勝負だ」と1年間決戦への突入を宣言した。そして、「帝国主義は歴史的大破産を遂げた。10・17アメリカ百万人労働者行進(MWM)を始めとして全世界で階級的労働運動が台頭している。労働者階級が、資本家階級をうち倒し、社会的生産を組織し全社会を運営していく歴史的存在として決戦の前面におどり出ようとしている。この情勢をつかんで、階級的労働運動と連帯する新たな全学連運動の大爆発をかちとろう」と訴えた。
 そして「04−05年の階級決戦は、教基法改悪阻止決戦と安保・沖縄闘争、そして教基法決戦と一体の大学闘争を焦点に、労働者階級が階級的労働運動のもとに団結し、小泉=奥田を打倒していく決戦だ。動労千葉や闘う教育労働者と連帯し、11・6−11・7の労働者集会に全国学生も大結集しよう」「何より重要なことは、この教育、安保・沖縄、大学を焦点とする04年−05年の一年間決戦をとおして、全国大学の自治会運動の大発展をつくりだすことだ」と呼びかけた。
 議案の提起を受け、広島大学学生自治会から、「日の丸・君が代」強制反対、教基法改悪阻止決戦論が提起された。「1年間決戦の柱として教基法改悪阻止決戦を闘おう。核心は、東京の教育労働者の『日の丸・君が代』強制反対の決起と連帯して闘うことであり、その立場から教基法改悪を徹底批判し、教基法決戦を大爆発させよう」「もう一つ重要なことは、国立大学法人化との闘いを教基法改悪阻止の一環として闘うことだ」と訴え、労働者学習センター発行の『教育労働者の戦争協力拒否宣言』をベースにした教基法決戦論を全面的に提起した。
 大学闘争報告は、最初に、7月の自治会選挙で1192票の信任票を得て新執行部となった東北大学学生自治会の委員長と1年生の2人の副委員長が登壇し、04年前半の東北大学学生自治会の活動報告を委員長が行った。
 委員長は「法人化や権利剥奪(はくだつ)、戦争国家化などの攻撃が、キャンパスでもサークル活動や政治活動の規制、寮つぶし、自治会つぶしといった形でかけられ、これに対する学生の反撃が、自治会運動の発展へと結びついてきている。自治会選挙では、1年生を始め多くの学友が選挙の成功のために行動した。執行部−自治委員−クラスの運動形態にこだわってきたことの成果だ。自治会は、学生の直接的な要求の実現のために徹底的に闘いつつも、そこにとどまることなく、あくまで労働者とともに社会と向き合い、批判し変革していく立場を押し出していくべきである」と、今こそ自治会運動を発展させようと呼びかけた。
 京都大学は、「全学連派の全学自治会を打ち立てたい。4月に法人化され、立て看の禁止や黒板へのサークル書き込み禁止などあらゆる自治活動、サークル活動禁止攻撃が始まっている。これに対し学生の自発的な抗議行動が生まれている。キャンパスから学生が怒りをもってわき上がるように決起してくる状況が生み出されてきている。こうした学生の決起と結合し全学自治会運動を発展させる」と決意表明した。さらに、山形大学、富山大学、大阪市立大学、広島大学、岡山大学、九州大学などから活動報告が行われた。

 “学館解体阻止しよう”

 大会2日目。初めに、九州大学学生自治会から沖縄・辺野古現地闘争の報告が行われた。
 「日帝・小泉政権はヘリ墜落事故に追いつめられ、名護新基地建設に絶望的に突っ込んできた。だが、辺野古の闘いはこれを実力で阻止し続けている。日帝は実力闘争を恐れている。9・12普天間市民大会には主催者の予想を上回る3万人が結集した。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線を打ち破る新たな闘いが始まったのだ。全国から辺野古現地に駆けつけよう。階級的労働運動と連帯して、本土−沖縄を貫く安保・沖縄闘争の大爆発をかちとろう」
 続いて法政大学の内海佑一・第2教養部自治会委員長が、全法大生の怒りの決起で学生会館解体を阻止する戦闘宣言を発した。
 「学生会館解体攻撃との決戦は、学生が小泉=奥田路線と真っ向から対決し、労働者階級と連帯して打倒していく決戦だ。われわれは、後期開講直後に『サークル活動保証なき、学館解体反対』の1000人の対当局追及行動を爆発させる。7月9日の学生大会に500人、7月13日の大学説明会には800人の学生が集まった。闘いは大爆発の局面に入っている。サークル活動を愛してやまない法大生は、奥田や清成総長が主張する『自立型人材』になることを拒否し、サークル活動の中に自分なりの生き方や人間関係を見いだしてきているのだ。『サークルなんて必要なのか』などという法大当局に対して、学生の激しい怒りはこれからさらに大爆発する。清成体制による暴力的な学館解体攻撃が、逆に巨大な歴史的大闘争へと転化するのは時間の問題だ。われわれは、自治会を武器に、学館闘争を教育基本法改悪をめぐる決戦の最先端として闘い、絶対に勝利する」
 午前中の議事の最後に、中央執行委員会が討論のまとめと議論の方向性を提起した。
 発言に立った井上亮副委員長は「なぜ11・7に学生も大結集なのか。10・17百万人労働者大行進の委員会宣言を見てほしい。そこには『われわれ自身の計画表にもとづき労働者を動員するときが来た。特権をもつ少数者への従属を断ち切り、アメリカの政治過程における彼らの独占に終止符を打とう』とある。日本でも、『お前ら資本家の時代は終わったんだ。俺たち労働者がやってやる』という鮮明な立場で、11・7が開催される。ここにMWMの呼びかけ人や韓国・民主労総も結集する。昨年3・20が『戦争の始まり』なら、10・17、11・7は『革命の始まり』だ。だから学生運動にとっても、まず11・7に大結集することが決定的だ。ストライキで闘う動労千葉や不屈に闘う教育労働者と連帯することが、必ず学生のわき起こるような決起につながる。ここをつかみ、全学連運動の大発展をかちとろう」と提起した。

 3つの分科会

 午後からは、大学闘争、労働者階級との連帯・戦後労働運動史、社会科学の3つの分科会に分かれて、全参加者が活発な議論を行った。
 大学闘争の分科会では、東北大学有朋寮の廃寮攻撃との闘いなどの特別報告が行われ、全国の大学から寮やサークルをめぐる大学闘争の現状と課題が出された。これらの討議を踏まえて、東北大が全面的な大学闘争論を提起し、「教基法改悪の核心的な狙いは、大学を戦争遂行や資本に奉仕する機関に変えることで貫徹される。闘う教育労働者との連帯と交流を深めて、教基法改悪阻止闘争と大学闘争を大爆発させよう」と訴えた。
 労働者階級との連帯・戦後労働運動史の分科会では、戦後革命期における日本の労働運動史を学ぶことをとおして、労働組合運動の持つ力と可能性をつかみとる討議が行われ、戦後革命期をのりこえる歴史的決戦期が到来していることを確認した。
 社会科学の分科会では、「社会科学というが、なぜマルクス主義なのか」という疑問が冒頭に出され、科学とは何か、現在は階級社会なのか、実践活動の意義はどこにあるか、などをめぐって活発な論議を交わした。

 決戦に臨む新執行部体制

 大会最終日は、議案書で出された1年間決戦をどう闘いとるのかについて、円卓方式で徹底討論した。真剣な討論をとおして、11・6―11・7の大結集を労働者とともにかちとることが、04年―05年決戦の爆発と自治会運動の大発展のためにも決定的に重要であることがあらためて鮮明になった。
 議案採択の後、この1年間決戦を最先頭で牽引(けんいん)する新執行部が選出された。新執行部を代表し、原田幸一郎書記次長が「時代の転換ということをはっきりさせて、階級的労働運動に学んで、キャンパスの全学生の意識を根底からぬりかえる大扇動を行おう。11・7へキャンパス丸ごとの決起をつくりだし、自治会権力をとろう。ただちに1年間決戦に突入しよう」と戦闘宣言を発した。
 全学連大会には、在日台僑元日本兵の林歳徳さん、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、国鉄千葉動力車労働組合、革命的共産主義者同盟、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、部落解放同盟全国連合会、東京反戦共同行動委員会の三角忠代表が招かれ、連帯のあいさつを行った。

 全学連執行部

委員長  大山尚行(東北大・経済)
副委員長 内海佑一(法政大・U文)
同    宮城啓(大阪市大・文)
同    井上亮(広島大・総合科学)
書記長  内山佳久(法政大・U法)
書記次長 新井拓(東北大・理)
同    原田幸一郎(京都大・法)

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