ZENSHIN 2004/09/27(No2167 p06)

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週刊『前進』(2167号1面1)(2004/09/27)

米軍大再編・沖縄基地強化−世界戦争に突き進む ブッシュ・小泉を打倒しよう
米労働組合のMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)と連帯し10−11月労働者大行動を闘おう
 郵政民営化・公務員制度改悪粉砕を

 9月3日、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が「11・7全国労働者総決起集会」の実行委員会を開催し、集会名称、スローガンなどを決定し、全国に呼びかけを発した(前号既報)。今年7回目になる3労組呼びかけの11月労働者集会の号令が発せられた。「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!」「大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を!」をメインスローガンに据えたこの呼びかけにこたえ、その成功のために全力で立ち上がろう。日本帝国主義・小泉政権と日本経団連・奥田の侵略戦争と資本攻勢に対するすべての労働者の怒りを総結集し、10〜11月労働者大行動へ進撃しよう。普天間基地即時閉鎖・撤去と名護新基地ボーリング調査阻止の闘いと結合して闘いぬこう。

 第1章 改憲への攻撃加速する日米首脳会談

 帝国主義の体制はどん詰まりの危機に陥っている。全世界で侵略戦争と資本攻勢(民営化)の攻撃がいよいよ激化している。
 7月の参議院選挙で惨敗した小泉は、9月10日に郵政民営化の閣議決定を強行し、続いて13日からブラジル訪問を始め、日米首脳会談、国連総会演説など、23日までの長期外遊に出発した。とりわけ21日の日米首脳会談は重要である。これは何よりも11月大統領選挙に向かってのブッシュ応援である。イラク人民の大反撃によってイラク侵略戦争の泥沼化を深め、国内では労働者階級の総反撃を受けている中で、ブッシュにとって日本の後ろ盾が支えになっている。共和党大会での大統領候補受諾演説でブッシュは日本との同盟関係を特筆して強調した。
 パウエル米国務長官は議会証言で「(イラクの大量破壊兵器の)いかなる備蓄も発見されなかった。発見することはないだろう」と語った。なんという恥知らずか。米帝がイラク侵略戦争に突入する「大義」として掲げた唯一最大の根拠がなかったと自ら告白したのだ。そのために何万人のイラク人民が殺されたことだろうか。また自国民が1千人も死んでいるのだ。
 そして、小泉はこの「大量破壊兵器」のウソをブッシュとともに繰り返し強調し、イラク侵略戦争支持、自衛隊のイラク派兵の根拠にしてきたのだ。パウエル証言でそれが完全に崩壊したことを何と言い繕うのか。この一事を見ただけで、今回の日米首脳会談の犯罪性は明らかだ。
 さらに米軍のトランスフォーメーション(米軍の世界的再編)の一環として、在日米軍基地を強化し、アジアのハブ基地にしようとしている。これは、沖縄基地を削減したり基地負担を軽減したりするものではまったくなく、むしろ嘉手納基地と下地島空港を日米(米軍と自衛隊)の共同使用とするなど、日米一体化の動きが報じられている。明らかに、米帝は北朝鮮侵略戦争(さらには中国侵略戦争)を具体的な射程に入れて臨戦態勢をつくろうとしており、日帝もまたこれに積極的・主体的に対応しようとしている。
 こうした中で、米帝の側から日本に対し、「集団的自衛権」が行使できるように改憲を促す発言が相次いで行われた。集団的自衛権とは、日本が直接にはなんら武力攻撃を受けていない時でも、同盟を結んでいる米帝が世界各地で行う侵略戦争に自衛隊が参戦し、米軍と一体となって武力行使できるということだ。
 これに対して日帝は、日米同盟の強化を改憲と戦争国家化を強行していく最大のテコとして、日本の側からも積極的に推し進めようとしている。小泉は今回の訪米中に国連演説を行い、国連安全保障理事会の常任理事国入りの希望を表明する。したがって、それは憲法改悪を国際的に意思表示するものでもある。
 連合・笹森が繰り返し「憲法9条改正」発言を行っていることは、この日米帝の動向に呼応するものであり、絶対に許せない。
 また、有事法制の具体的発動に向かって、政府は9月7日、160の公共機関と民間企業を「指定公共機関」に指定、労働者の戦争動員に向かって一歩を踏み出した。
 小泉の日米同盟強化、改憲への攻撃は、同時に沖縄に対する一層の犠牲の強要と一体のものである。米軍ヘリ墜落事故に対する小泉政権の対応は沖縄人民の大きな怒りを呼んでいる。それは9・12宜野湾市民大会に3万人が集まり、「ヘリ基地撤去・基地閉鎖」を掲げたことに示された。市民大会の参加者は、小泉政権と稲嶺知事が進める「辺野古への移設」に明確に反対した。さらに9月25日(土)午後6時から、基地の県内移設を許さない県民会議(山内徳信代表)主催で「普天間基地の県内移設に反対し県知事に政策転換を求める県民大会」が那覇・県庁前広場で開かれる。全力で成功させよう。
 辺野古での連日のボーリング調査阻止闘争がまさに命がけで闘われ、金武町での都市型ゲリラ訓練施設建設に対する町ぐるみの闘いが展開されている。この熱い闘いを自らのものとして闘いぬこう。

 第2章 戦争と資本攻勢に全世界で闘争激化

 ブッシュの足元では今、アメリカ労働者階級がブッシュ打倒へ総決起しつつある。8月末のニューヨークでの共和党大会に対する50万人の大デモを引き継いで、10・17MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)が呼びかけられている。これは、首都ワシントンDCで労働者100万人の大行進を行おうとするものだ。
 9月1日に行われたAFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)などの集会では、4万人の参加者を前に映画『リーサル・ウエポン』シリーズで有名な俳優ダニー・グローバーが発言し、「労働者は常に闘いをリードしてきた。決定的な局面には労働者がいたのだ。ランク&ファイル(現場)の労働者は、われわれの町のバックボーンだ」と語り、さらに「10月17日に労働者はワシントンで行進しよう」と呼びかけ、大きな拍手を受けた。AFL―CIO執行部がMWM禁止指令を出し、それをめぐってMWM側から激しい批判が行われているただ中で、この発言が行われたことは重要だ。
 また、9・11直後のブッシュの戦争決議案にただ一人反対した国会議員であるバーバラ・リー下院議員がMWMに賛同し、MWMのTシャツでレーバーデー集会に参加した。このように、MWMへの動きは大衆的なうねりを呼んでいる。
 世界最大の郵便労組APWU(33万人)が8月の大会でMWMへの賛同を決議した。ニューヨーク市の市職員などのAFSCME37地区協(12万5千人)も賛同した。国際帝国主義の総本山であるアメリカで、階級的労働運動の新たな潮流が太い一本の流れとなり、歴史的な登場を果たそうとしているのだ。ブッシュ打倒へ、10・17MWMに連帯して闘おう。
 韓国でも民主労総が激化する資本攻勢と不屈に闘い、さらにイラク撤兵、韓日FTA(自由貿易協定)阻止の闘いに全力で立ち上がっている。FTAとは、帝国主義による勢力圏化を推し進め、韓国の労働者や農民に対する搾取と収奪を一層強めるものだ。
 今や、アメリカでも韓国でも、全世界でも、多くの労働者が帝国主義の戦争と資本攻勢(とりわけ民営化攻撃)に反対し、被抑圧民族との連帯を掲げ、新たな階級的団結を求めて続々と立ち上がっている。11月労働者集会は、この国際的うねりに呼応し、日本の地に階級的労働運動の新潮流の旗を確固としてうちたてる集会だ。闘う3労組の発した呼びかけをあらゆる労働組合にもちこみ、青年労働者を先頭に、「日本の労働運動を変えよう」という大運動をつくりだそう。

 第3章 民営化攻撃を破る4大産別決戦へ

 小泉政権は9月10日の郵政民営化の閣議決定をもってついに、全逓労働運動の全面解体、労働者28万人に対する大量首切りの攻撃にうって出た。07年4月の民営化開始時点で、郵政公社を純粋持ち株会社のもとに、@窓口ネットワーク会社A郵便事業会社B郵便貯金会社C郵便保険(簡易保険)会社の四つに分社化する。同時にすべての郵政公社職員から国家公務員の身分を奪い、いったん全員解雇・再雇用による大量首切りを強行し、労組活動家をパージして労働組合を徹底的に破壊し解体するというものである。国鉄分割・民営化やNTTでの大合理化を集大成してさらにエスカレートさせた攻撃だ。絶対に許すことはできない。
 これに対して今やJPU(日本郵政公社労働組合)に名称変更した連合全逓中央は、およそ闘いを組織するどころか、郵政公社・生田総裁との「労使パートナー」宣言のもとで実質的な民営化攻撃を進めている。この連合全逓=JPU中央を怒りを込めて打倒し、民営化絶対阻止へ、全逓労働運動の再生をかけて立ち上がろう。
 全逓4・28反処分裁判の高裁逆転勝利が示したように、労働者が階級的原則を貫いて不屈に闘うならば、どんな攻撃もはね返すことは必ずできる。また動労千葉の闘いが身をもって示しているように、闘って活路を開くという立場に立ち、職場の総団結をつくりだして闘えば、分社化・民営化の攻撃を逆に大破産させることは必ずできるのだ。敵が真に恐れているのは、第2の動労千葉が生み出されることだ。このことに圧倒的な確信をもって闘おう。
 小泉=奥田路線の攻撃との激突は、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別のすべてにわたってますます激しく火を噴いている。教労では、「日の丸・君が代」被処分者の屈服と転向を狙った「再発防止研修」を、都教委を逆包囲する闘いによって次々と破産に追い込んでいる。教育基本法改悪阻止への総決起の呼びかけも発せられた。自治体労働者をめぐっては、自治体への「三位一体改革」と一体となった民営化攻撃、公務員制度改革の攻撃が強まる中で、都労連を先頭に、自治労つぶしを許さず、闘う自治労の再生へ向けた反撃の闘いが始まっている。
 国鉄決戦はさらに重大な情勢に突入した。国労大会での酒田・革同執行部の裏切りとペテンが暴かれる中で、追いつめられた革同指導部はとんでもない暴挙に走っている。9月13日、国労西日本の上村委員長ら革同は、JR連合・西労組と合同で「イラク鉄道復興・人道支援会議」を結成した。外務省との協力のもとで、侵略戦争継続下のイラクで破壊された鉄道の「復興」に当たるという。イラクに出兵した自衛隊と同様、米英軍の完全な手先となって軍事占領の一翼を担うものにほかならない。
 日本共産党はここまで腐敗したかと多くの労働者が驚きと怒りを持って受け止めている。帝国主義への戦争協力の公然たる担い手に転落した革同指導部と日共中央を弾劾し、酒田・革同体制を打倒して国労再生をかちとろう。
 これらの一切を11月労働者集会の大成功へと結実させ、その力ですべての闘いの前進と勝利を押し開こう。マル青労同1000人建設の勝利をかちとろう。
 10・10三里塚集会に全国から集まろう。

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週刊『前進』(2167号1面2)(2004/09/27)

ヘリ墜落糾弾・普天間早期返還 宜野湾市民大会に3万人
 「辺野古」再考も決議 沖縄の怒り 大爆発

 9月12日の日曜日、台風順延となった1週間前とはうって変わった炎天下、「沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落に抗議し、普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民大会」(主催・同実行委員会)が、沖国大グラウンドで開かれた。開会の午後2時を待たず早くも午前中から参加者が集まり、主催者目標1万人の3倍、3万人の大結集が実現した。市内14区の青年会がエイサーの旗頭(大のぼり)を立てて入場、沖国大の学生たちもゼミごとに参加するなど、文字どおりの市民総決起大会となった。
 開会直後の午後2時18分、8月13日のヘリ墜落時刻にはサイレンが鳴り、平和への願いを込めた200羽の鳩が大空に放たれた。
 実行委員長の伊波洋一宜野湾市長は、「本日の市民大会は米軍飛行を止め、普天間基地の閉鎖を求める市民大会」だと宣言、「『世界で一番危険な基地』である普天間基地をなぜ国は放置し続けるのか。駐留米軍の負担を沖縄県民だけに押しつけようとしているからだ」と批判し、「普天間基地の危険性を無視し、困難な県内移設を押しつけて県民を対立させ、基地問題の解決を長期化させようとしている」と普天間基地の辺野古移設反対を表明。「稲嶺知事に言いたい。宜野湾市民の声をしっかり受け止めてほしい。もはや普天間の危険の除去のために辺野古移設の促進などと言うべきではない」と弾劾した。そして、「取り返しのつかない重大事故が再び起こらないようにするため、ともに立ち上がり普天間基地の返還を実現しよう」と全参加者に呼びかけた。
 宜野湾市議会の伊佐敏夫議長は、米軍が墜落現場周辺を占拠し、抗議の中で同型機の飛行再開に踏み切るなど、「県民を愚弄(ぐろう)する行為であり、国家主権を踏みにじる行為だ」と糾弾した。沖国大の渡久地朝明学長は「受忍限度を超えている。大学関係者の生存が危機にさらされ、日米地位協定によって大学の自治が侵された」と怒り、大学機能の回復や恒久的飛行停止を要求した。
 続いて被災者や小・中・高校生、沖国大生、婦人連合会、老人クラブ連合会、青年連合会の代表など12人が次々とアピールした。志真志小6年の島袋洋奨君は「事故はもう二度と起こってほしくない。未来は私たちの手でつくるんだ」。事故現場前のマンションに住む2人の中学生、嘉数中3年の内原理沙さん、木村なつみさんは、「生まれた時から基地があり、ヘリや戦闘機が頭上を飛ぶのは当たり前だと思っていたが、この事故で私は『沖縄に基地は必要ない』と思った」「日本中の人たちが、この抗議行動に興味を持ち、この事故を自分のこととして受け止めてほしい」。中部商業高校2年の比嘉由梨恵さんは「私は普天間基地の辺野古への移設に反対だ。基地という爆弾のたらい回しでしかない。移設ではなく沖縄からの完全撤去、返還を願う」ときっぱり。沖国大2年の新膳裕治さんは「沖縄の基地負担は限界。事故から出てきた率直な思いは、沖縄の置かれた立場に対する屈辱感と、日米地位協定への憤りだ」。
 市民決議案が提案され、下の6点の要求が全参加者の総意として決議された。@被害の徹底調査と事故原因を明らかにし、すべての被害に対する謝罪と完全補償を早急に実施すること、Aすべての米軍機の民間地上空での飛行を直ちに中止すること、Bヘリ基地としての運用を中止すること、C危険極まりない普天間飛行場を早期返還すること、DSACO合意を見直し、辺野古沖への移設を再考すること、E日米地位協定を抜本的に見直すこと。
 最後に3万人余の団結ガンバローが響き渡った。
 那覇防衛施設局によるボーリング調査強行との攻防が続く名護市辺野古からは命を守る会、ヘリ基地反対協など100人以上が参加、米陸軍の都市型戦闘訓練施設建設阻止を闘う金武町民も駆けつけた。沖縄の怒りが一つとなり、小泉政権・稲嶺県政へと向かう構図が鮮明となった。

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週刊『前進』(2167号5面1)(2004/09/27)

どこまで沖縄を犠牲にするのか
日帝・小泉=稲嶺体制打倒へ 巨大な階級決戦が始まった
 革共同沖縄県委員会

 沖縄闘争は完全に歴史的な爆発過程に入った。日帝のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線、すなわち普天間基地の県内移設強行を下から食い破り、再び三たび日帝対沖縄人民の非和解的な総対決の過程に突入した。同時にそれは、04−05−07年における日本労働者階級人民の日帝との巨大な階級決戦が沖縄から火を噴き始めたということである。9月12日、沖縄国際大学で開かれた3万人決起の宜野湾市民大会はその号砲となった。

 普天間即時撤去・辺野古への移設反対で3万人が決起

 9月12日、台風により順延されて開催された「沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落に抗議し、普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民大会」は、主催者が予定した1万人をはるかに上回る3万人が、会場の沖国大グラウンドを埋め尽くした。宜野湾市民は、伊波洋一市長を先頭に各行政区ごとに根こそぎ決起、ありとあらゆる民間団体、老若男女の大結集となった。県内各地からも続々と結集した。
 この集会は、実質上は県民大会だった。もはや限界を超えた怒り、基地撤去の強い意志、不退転の決意など、それはまさしく1995年10月21日に宜野湾市・海浜公園で開かれた「米兵による少女暴行事件糾弾」の県民大会の再現だった。
 同時にこの日の集会は、9・9辺野古ボーリング調査阻止の闘いの爆発と完全に一体のものとして闘いぬかれた。8・13米軍ヘリ墜落事件にもかかわらず、9月9日から始められた調査に対するまさに怒髪天をつく怒り、さらに辺野古住民を先頭に500人の結集で決死阻止の闘いが激しく繰り広げられるさまを見て、居ても立ってもいられない気持ちとなった県民が、3万人も結集したということだ。
 9・12宜野湾市民大会の爆発的成功は、きわめて重大かつ決定的な意味をもっている。沖縄闘争はついに、日帝・稲嶺体制、SACO路線体制を食い破って、1995年9・4事件、10・21「10万人決起」の原点にラセン的に回帰し、あの時の全県民的意志を、新たに不退転に貫く前進運動を開始した。
 「ラセン的」とは、言うまでもなくまったく同じものの再現ではない。この日の集会で全参加者が最も共感し、賛同し、強い拍手・反応をもってこたえたのは、「普天間基地即時閉鎖・撤去」「辺野古への移設(基地の県内タライ回し=SACO路線)反対」「日本政府・小泉政権への徹底糾弾(そのメダルの裏側は日本政府の手先・稲嶺県知事への弾劾)」の3点である。辺野古現地における不屈の新基地建設阻止の闘いと、8・13米軍ヘリ墜落事件糾弾・普天間基地撤去を要求する宜野湾市民の闘い、さらに金武町伊芸区のキャンプ・ハンセン都市型ゲリラ戦闘訓練施設建設阻止の闘いが戦略的にがっちりと連結したのである。ここに沖縄労働者人民対日本帝国主義(=日米安保体制)の本質的対決構造の歯車が、具体的に再び激しく動き出したのだ。

 追いつめられた日帝・小泉

 現在の局面は、95〜96年の事態(日帝にとって沖縄「失陥」、日米安保体制の崩壊という事態)の再来に心底恐怖した日帝・小泉政権とその手先・奴隷頭である稲嶺県知事が必死に巻き返しを図り、闘争の封じ込め、鎮圧の攻撃に打って出たこととの激しいつばぜり合いの真っただ中にある。
 9月9日から始まった辺野古現地におけるボーリング調査・予備調査は、その切っ先である。粘り強く不屈に闘われている4月19日以来の辺野古現地のボーリング調査阻止座り込み闘争は、SACO路線を破綻(はたん)のふちまで追い込んでいる。そこに8・13米軍ヘリ墜落事故が起こり、全県民的怒りが爆発的に高まった。日帝・小泉(そしてその手先・稲嶺)は、8・13事件で文字どおり息の根を止められてしまうかもしれない、そうした恐怖の中にたたき込まれた。
 小泉も稲嶺も、当初、何の態度表明もできないまま8・13事件から逃げ回っていた。だがこの態度そのものが沖縄県民の猛烈な怒りを買った。夏休み中の小泉は歌舞伎や映画に忙しいと言って、問題そのものを無視した。オリンピックを夜を徹して見る時間はあっても、沖縄県民の命にかかわる一大事に割く時間はないのか!
 小泉が、表面的に沖縄に対してまったく関心を払わない、何もしない、という態度をとっているその裏で、日帝中枢は、米軍の世界的大再編(トランスフォーメーション)下であくまでもSACO路線を貫くことを意志一致、動揺する稲嶺など沖縄の支配層への恫喝も含めて態勢を整え、正面突破で突っ込んできた。9・9辺野古ボーリング調査の開始はこうした日帝・小泉の回答であり、戦闘開始であった。

 小泉=ブッシュ連合による安保強化・米軍再編粉砕せよ

 日帝・小泉が全力を挙げて沖縄人民の怒りの爆発を抑え込もうとしても、けっしてこれを押しとどめることはできない。何よりも、辺野古の闘い、金武町・伊芸区の闘いの上に、沖縄人民の生存と米軍基地(日米安保体制)の共存はできないということを、8・13事件は沖縄人民の意識にあらためて強烈に刻印してしまったからである。だから日帝・小泉が、あの手この手で米軍基地との共存を押しつければ押しつけるほど、沖縄の怒りは高まり、対決構造はますます鋭角的で激突的なものとならざるをえない。だが日帝・小泉にはこれ以外のやり方はないのである。
 沖縄闘争は再び三たび、「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の綱領的戦略的核心問題を全面的に開示して爆発する情勢に入った。
 ここでわれわれは、現下の沖縄闘争の勝利のために、米帝動向と日帝・小泉の基本政策をしっかり押さえなければならない。
 まず、米帝ブッシュの米軍大再編、トランスフォーメーションについて見ておかなければならない。これが現在の沖縄の米軍基地を規定している。
 8月30日、ブッシュは米共和党全国大会で大統領候補受諾演説を行い、ここできわめて重要な世界戦争戦略を述べている。ブッシュは、「対テロ戦争」という名の侵略戦争、先制攻撃戦略の発動を今後もどしどし展開することを押し出しながら、次のように述べた。
 「日本は米国の主要なパートナーであり、日米同盟はアジアの平和と安定、安全、繁栄の重要な基礎である。日本が地域や世界で指導的役割を果たすことを期待する」
 「北朝鮮に核計画の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を要求する。中国は軍事力増強で周辺を脅かし、国民の自由にも制約がある」
 「中国が台湾を攻撃すれば、米国は台湾を支援する」
 米軍トランスフォーメーションは、世界展開している米軍兵力の単純な削減などというものではまったくない。それはますます泥沼的に引きずり込まれ危機的事態に追い込まれているイラク戦争を凶暴な侵略戦争の拡大で突破しようとし、さらに対北朝鮮侵略戦争(それは中国との戦争とも不可避に連動する)をも準備する、そのために米軍の世界展開を抜本的に見直し、欧州重視の体制からアジア重視に転換していく、その中で日米関係、日米安保同盟を世界戦争戦略の基軸として歴史的に据え直すというものである。
 これは実に恐るべき内容である。米帝は日帝と組んで、場合によっては独・仏帝国主義などもはじき飛ばして世界戦争を繰り広げる、自衛隊をその指揮下に置きながら限りなく米軍と一体化させる、というものである。歴史的規定性から言えば、第2次世界大戦前の連合国、枢軸国といったレベルでの帝国主義の争闘戦、分裂、対立が起こっているのである。
 重要なことは日帝・小泉は、基本的にこの米帝戦略に沿うことによって帝国主義間争闘戦に勝ちぬくこと、自己の運命をかける決断をしている、ということだ。今年の7月と8月、アーミテージ国務副長官とパウエル国務長官が相次いで日本の憲法改悪=9条破棄を求める発言をした。また日本の国連常任理事国入りを、小泉はこれまでとは画然と異なる積極性で実現しようと動き始めている。さらに米帝がこれに積極的に同意を与えている。そして、在日米軍基地をアジアの米軍展開のハブ(中枢)として再編、再配置が進められている。
 こうした動きに見られるように、米軍トランスフォーメーションは日米帝国主義の争闘戦としてのむき出しの意図のもとに具体的に発動されている。したがって、それは日帝にとって改憲や有事体制確立、そして防衛大綱の大改定、さらには「内に向かっての階級戦争」としての労働者人民への大反動攻撃と一体のものである。
 この間の沖縄米軍基地をめぐる事態はすべて、この米帝の全世界的軍事再編、およびそのもとでの日帝・小泉の踏み切りが引き起こしている事態なのである。8・13米軍ヘリ墜落事件、その後の日米政府の対応を例にとって見れば、物事は鮮明になってくる。
 県民が「ここは日本ではないのか。沖縄県民は日本国民ではないのか」と怒った事件後の米軍の現場における対応(日本政府の対応)は、こうした日米帝国主義の現在の真の姿をあらわしたものなのだ。政府は米軍の現場対応をすべて問題なしとした。どう解釈しても違法である米軍の行動を、問題なしとして押し通そうとしているのだ。こうした日帝・政府の対応の中には、明らかに有事法制の発動、トランスフォーメーション推進下の米軍の行動、すなわち戦時下には、一切は超法規的に軍隊のもとに動かされる、法律など(有事法の各条項さえ)関係ないかのように事は進められていく、そういう状態を積極的にめざす意志が現れている。
 米軍当局の発言はもっと露骨だ。在沖海兵隊の司令官は、墜落したヘリのパイロットが人身に被害を出さないように回避行動をとってあの場所に墜落させたのだと言い張り、「その技術の高さが素晴らしい」と絶賛した。また米兵が現場を封鎖して一切を排除したことについて、「地位協定に基づく日米政府の取り決めによりその行動をとった。何の問題もない」とし、さらに「米軍と警察の関係はきわめて良好で満足している」とも述べている。

 労働運動の階級的再生で本土−沖縄を貫く大闘争へ

 米帝の世界戦争戦略・先制攻撃戦略に自らの運命を定めた小泉政権のもとで、沖縄の米軍基地をめぐる階級的激突はますます激しいものとならざるをえない。日帝は、ひたすら硬直的に沖縄差別的に対応するしかない。米軍トランスフォーメーションは、一面では「本土の沖縄化」を激しく進行させる。これもきわめて重大かつ深刻な事態を日本の全労働者階級人民の頭上にかぶせることになり、全国的な怒りの人民的決起も不可避である。しかしもう一方、それはどこまで行っても本土と沖縄が同じになることにはけっしてならない。日本帝国主義は、必ず最終的には沖縄にその矛盾を集中して事を進めようとする。
 沖縄闘争は、04〜07年の過程を左右する基軸的な闘いとなった。沖縄県民の怒りはいま頂点に達しつつある。それは、1995年9・4事件を契機にした歴史的決起が、日帝(および沖縄の側からの裏切り者・稲嶺知事や岸本名護市長など)のSACO路線によってはぐらかされ、「第3の琉球処分」的に煮え湯を飲まされたことを今主体的に打ち破りつつある分だけ、より激しくより大きなものである。そしてまたその分だけ、日帝と沖縄の歴史的、差別的関係の変革を求める根底性はより深いものとなっている。教労決戦を先頭とする4大産別・労働組合をめぐる1年間決戦から07年改憲決戦へと登りつめ、プロレタリア革命を急速にたぐり寄せていく戦後最大の階級決戦の中に、沖縄闘争を戦略的にがっちり位置づけて闘おう。

 社共のりこえる労働者党を

 そうした観点から今後の闘いを展望する場合に重要な点を提起したい。
 革共同第19回全国委員会総会において、95年の「沖縄の新たな人民反乱」を総括し、第3次安保・沖縄闘争の革命的発展を戦取するための主体的な課題として提起された二つの点である。一つは、沖縄人民反乱が「大田知事の闘い」となりすぎており、それがのりこえられなければならないということと、二つには、沖縄の人民的決起に呼応する本土の労働者人民の決起が、沖縄の規模と広さに達していないということであった。この二つの点は、今日でもそっくりそのまま勝利に向かっての関門である。
 ではこの関門はどのように突破されるのか。革共同の新指導路線の実践であり、労働組合運動の階級的形成・再生と、社・共をのりこえる労働者党の建設がその核心である。
 教育基本法改悪、「日の丸・君が代」強制と闘う教労決戦を先頭に、教労、自治体、全逓、国鉄の4大産別決戦で小泉・奥田路線と総対決し、小泉を打倒する04〜05年の1年間決戦が新たな力強い前進を開始している。動労千葉から死活的に呼びかけられている階級的労働運動再生の新潮流運動によって、この二つの課題が根本的にのりこえられつつあるのだ。
 ここで4・19以来の辺野古ボーリング調査阻止・座り込み闘争が切り開いている地平を確認したい。
 4月19日以来、5カ月間にもわたって防衛施設局のボーリング調査を阻み続けてきた座り込み闘争は、辺野古の「命を守る会」住民の文字どおりの命をかけた闘いを核に、あらゆる階層の人びとが参加して闘われてきた。
 その中で座り込み第2週目から労働組合がローテーション参加の組織的取り組みを開始し、以来今日まで続けられている。この労働組合の組織的な闘いが果たしてきた意義と役割は大きい。復帰前、復帰後を問わず、復帰闘争、反戦反基地闘争を軸とする政治闘争は、それが大きければ大きいほど、その分、労働組合が屋台骨を支えてきたのである。
 まさに沖縄の死活のかかった政治的課題を、沖縄の労働組合が階級本隊として責任を持って闘いぬくことによって初めて、またその度合いに応じて闘いは前進してきた。同時に、そうした実践はそのまま沖縄の労働運動の戦闘性、階級性のエネルギーとなっていった。
 これに関連して、現下の沖縄における闘いの爆発的大高揚を、日本の労働者階級が自らの階級的自己解放のための課題として全力を挙げて闘わなければならないということがある。いわゆる「本土と沖縄の温度差」のことである。このことは9・12宜野湾市民大会でも「日本中の人たちが自分のこととして受け止めてほしい」と熱烈に訴えられた。
 日本の労働者階級は、小泉が訪米してブッシュとにこやかに握手して、在日米軍基地の強化・沖縄基地の永久化を再確認しようとしている時に、自分自身の階級的矜持(きょうじ)にかけて全世界に沖縄問題を提起できるのかどうかが問われている。沖縄人民は〈米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒>を貫き、小泉を打倒するために階級本隊の決起を望んでいるのである。
 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合が11・7全国労働者総決起集会を呼びかけた。このネットワークこそ、そのような階級本隊の決起を実現する勢力である。11・7集会を日米韓3国の労働者の階級的団結に沖縄の決起が大合流し、巨万人民が総決起する集会として実現しよう。

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週刊『前進』(2167号5面2)(2004/09/27)

ペテン的「着工」に怒り 辺野古 連日、海上抗議で調査阻む
 “海上基地建設を白紙撤回せよ”

 日帝・小泉政権の意を受けた那覇防衛施設局は9月9日、名護市辺野古沖への普天間代替施設=海上新基地建設のためのボーリング調査「着工」に踏み切った。しかし、「正々堂々と行う」との言葉とは裏腹に施設局はマスコミを使って情報操作を行い、さらにチャーターした漁船をダミー船に仕立てて「陽動作戦」を行うなど一から十までペテン的で卑劣なやり口に終始している。
 4月19日も施設局は作業開始は午前9時と発表しながら、まだ暗い午前5時に数十台もの車両を連ねて突入、辺野古漁港内に作業ヤード建設を試みた。これを実力阻止して以来、9月9日で座り込みは144日連続の長期戦となっている。8月13日の沖国大への米軍ヘリ墜落事故から1カ月、宜野湾市では全市民こぞっての市民大会が準備され、金武町でも110日を超えて都市型戦闘訓練施設建設阻止の闘いが広がっている。すでに沖縄県民の8割がきっぱりと辺野古移設反対を意志表示している。
 「9・9着工」のペテン性こそ追い詰められた日帝・小泉=稲嶺の姿だ。

 500人が結集

 9日は前夜からの泊まり込み組も含めて早朝から続々と座り込み参加者がテントに集まった。キャンプ・シュワブからの調査船出航もありうると、基地ゲート前にも平和運動センターの労組を中心に監視部隊が配置された。
 沖縄県出身の野党国会議員5氏も駆けつけ、テント前で350人の緊急集会が開かれた。「ヘリ墜落事故を口実に辺野古移設を加速させようとしている」(照屋寛徳衆院議員)などと怒りの発言が続いた。命を守る会の金城祐治代表は「この運動は日本と歴史を変える闘い。必ず勝利する。平和のうねりを日本、世界に広げよう」と訴えた。絶対阻止するぞ! 意気高く団結ガンバロー!
 時間とともに参加者は増え続け500人を超える。11時すぎ、沖縄島南部・佐敷の馬天港から作業船が辺野古沖に向かったとの情報。マスコミ各社には午後2時からの作業開始が通告された。海上阻止へ2隻の抗議船、8艇のカヌーが出航した。海上行動に呼応し、岸壁から「ボーリング調査許さんぞ! 調査船は帰れ!」のシュプレヒコール。断続的な集中豪雨、風も強く海はしけている。まさに命がけの闘いとなった。
 午後2時、大浦湾の北側の汀間漁港から施設局がマスコミを乗せて取材船を出すという。急きょ50人が駆けつけ、やってきた施設局と対峙。取材船への施設局員の乗船を阻止、その場から逃げ帰ろうとする広報室長ら4人を足止めし、1時間超の追及となった。
 午後4時すぎ、テント前では海上阻止行動の報告集会が開かれた。作業船は1隻、5隻がダミー船。「たった一カ所、2本のブイしか立てられなかった」という。抗議船の乗員には早朝に新聞を読み、家族に「2〜3日帰らなくても心配するな」と言い残し逮捕覚悟で駆けつけた男性もいた。「ダミー船だったことを知って、生まれて初めて怒りで体が震えた。でも私たちが勝っているということだと思いました」と東京から来た若い女性。
 おばあたちは「よくやった」と大拍手、「海は私たちの味方さ」と緊張の中にも笑顔を見せた。
 翌10日も高い波を乗り越え、2隻の抗議船は果敢に作業船を追跡、キャンプ・シュワブのビーチに追い返す。

 座り込み死守し

 安次富浩反対協共同代表は、「形だけでも着工し、運動に打撃を与えようとしている。この座り込みを死守することが、海での抗議行動も支えることだ。リーフ内なら阻止できる」と戦況を語り、さらに周辺の海人(ウミンチュ=漁民)が抗議行動に駆けつけるなど運動の広がりを報告した。
 12日の宜野湾市民大会には辺野古からもおじい、おばあを先頭に参加し、「辺野古に来てください」とビラをまき、海上抗議船のためのカンパを訴えた。総額63万円のカンパが集まり、普天間と辺野古が一体の闘いであることを示した。
 13日朝、「基地の県内移設に反対する県民会議」とヘリ基地反対協が、名護漁協辺野古支部に、調査に船を出さないように申し入れを行った。10時ごろ、出港していくチャーター漁船に突堤から「船を出さないでください!」と声を限りに訴えた。
 連日の海上抗議行動によって、調査船は調査ポイントに近づくことができず、ボーリング調査の前段である潜水調査を完全に阻止している。「命の海にボーリングは許さんぞ!」。今すぐ辺野古に駆けつけよう。
 小泉・稲嶺は、沖縄県民の声を聞け! 普天間基地の即時閉鎖・返還を! 辺野古移設を白紙撤回しろ!
 9月25日午後6時、那覇・県庁前広場に集まろう。

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週刊『前進』(2167号5面3)(2004/09/27)

防衛施設庁に抗議 9・9東京

 那覇防衛施設局によるボーリング調査着工に対して東京でも直ちに国会座り込みや防衛施設庁抗議闘争(写真)が取り組まれた。
 9日夕、防衛施設庁前に90人が結集して抗議行動を闘った。怒りのシュプレヒコールをあげ、集会。辺野古の大西照雄さん、上原成信さんから電話で工事は実質的に何も進んでいないと勝利の報告が入った。工事中止の申入書を読み上げ、施設庁職員に手渡した。

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週刊『前進』(2167号2面1)(2004/09/27)

07年郵政分割・民営化絶対阻止へ
公社・生田と一体で大量首切り進めるJPU中央打倒しよう
 11月集会へ全逓労働者の大隊列を
 革共同全逓委員会

 「民営化基本方針」閣議決定に一大階級決戦を宣言する

「基本方針」のポイント
●経営の自由度の拡大
●民間企業と同様の納税義務
●郵便のユニバーサルサービスの提供義務
●職員は民営化時に国家公務員の身分を離れる
 日本帝国主義・小泉政権は、9月10日の経済財政諮問会議と臨時閣議で、「郵政民営化の基本方針」(別掲参照)を決定した。小泉政権は自民党・与党の了承も得ないままに閣議決定するという強硬手段に訴えた。郵政民営化攻撃に日本帝国主義と自己の政権の命運をかけた激しい意志を示している。小泉は、直ちに関連法案の策定を進め、05年通常国会に提出しようとしている。
 07年4月の民営化当初の経営形態については、麻生総務相や郵政公社の生田総裁らが主張していた「単一会社でスタート」という案を小泉は退け、当初から「純粋持ち株会社のもとに、窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険(簡易保険)会社に分社化する」という方針を強行決定した。
 何よりも重大なのは、全逓労働者を始めとしたすべての郵政公社職員が、07年4月の民営化と同時に「国家公務員の身分を離れ」、非公務員化されるということだ。郵政民営化攻撃は国鉄分割・民営化やNTT大合理化などを集大成した大攻撃であり、〈いったん全員解雇・選別再採用〉をとおした大量首切りと活動家パージ、労働組合破壊が最大の狙いであることが完全に明らかになった。
 革共同全逓委員会は、全逓労働者と全労働者階級・労働組合の未来をかけて、〈07年郵政分割・民営化絶対阻止〉の一大階級決戦を断固として宣言する。
 小泉、竹中(経済財政・金融相)や奥田(日本経団連会長)らの民営化攻撃のもとで、もともと「民営化論者」である生田は、完全に民営化を受け入れ、前提にして、現在の「アクションプラン」に基づく大リストラ攻撃を一層エスカレートさせた「アクションプラン・フェーズU」を今秋にも策定しようとしている。
 連合全逓中央は、6月の第59回大会で戦闘的伝統を引き継ぐ全逓の名称を捨て去り、JPU(日本郵政公社労働組合)に名称変更した。そのJPU中央の菰田(こもだ)委員長らは、全郵政とともに小泉首相に「公開質問状」を提出した。だが、郵政公社・生田との「労使パートナー」宣言のもとで、民営化攻撃を推進しているのが連合全逓中央なのだ。
 菰田らとともに労働監獄と首切り容認の奴隷の道を進むのか、それとも民営化絶対阻止を掲げて全逓労働運動を再生させ、社会の主人公である労働者階級として生きるのか。今、われわれ全逓労働者には、このように歴史と人生をかけた選択が問われているのである。なんとしても、民営化攻撃を打ち破る職場の団結を打ち固めて総反撃に立ち上がろう。
 04年後半〜05年〜07年の過程は、教育基本法改悪―9条改憲攻撃とともに「骨太方針W」による民営化攻撃などに対する全産別にわたる大決戦である。昨年来の労働運動をめぐる〈分岐・流動・再編・高揚〉情勢のもとで、全逓労働者の壮大な決起は絶対に可能である。小泉・奥田―生田の民営化攻撃とJPU中央=労働貴族どもへの怒りを爆発させ、職場に脈々と生き続ける“全逓魂”を今こそ発揮し、民営化阻止決戦を闘いぬこう。
 その勝利の突破口は、6月30日の4・28反処分裁判の高裁逆転勝利判決で切り開かれている。4・28反処分闘争を完全に投げ捨てて以来の連合全逓の十数年の路線転換と屈服を打ち破り、78越年反マル生実力闘争を上回る全逓労働者の壮大な決起を実現しよう。そうすれば、必ずや郵政民営化を阻止することはできる。
 戦争と民営化に反対する全世界の労働者階級、闘うイラク・中東人民を始めとした被抑圧民族人民と連帯し、11・7全国労働者総決起集会(日比谷野音)に、〈郵政分割・民営化絶対阻止、全逓労働運動の階級的再生〉の旗を高々と掲げて、全逓労働者の大隊列を登場させよう。それこそ、この決戦の成否を決するのだ。

 小泉=奥田の「骨太方針」と闘う最前線に立つ全逓決戦

 日帝・小泉政権は、参院選での敗北にもかかわらず、むしろ危機であるからこそ、奥田・経団連など日帝ブルジョアジーの強力な支持のもとで、小泉=奥田路線として「外への侵略戦争、内への階級戦争」を激化させざるをえない。
 そのために「骨太方針W」の「官から民へ」「国から地方へ」の攻撃の軸に、小泉が「改革の本丸」とうたってきた郵政民営化をあらためて位置づけた。この攻撃の貫徹なしには、公務員制度改悪、三位一体改革、公務部門の民営化、市町村合併などの攻撃を押し貫くことができないからだ。
 郵政民営化は、日帝の財政・金融・物流など経済社会の大転換をはらむ「明治以来の大改革」であり、特定郵便局長会をバックにした郵政族を中心とした従来の自民党支配の危機をはらむ問題であるがゆえに、日帝権力・ブルジョアジー内部の意思統一も容易ではなく、激しい危機と矛盾をかかえている。
 また、350兆円に上る郵貯・簡保資金は140兆円が国債で運用され、国債発行残高の4分の1を占めている。郵貯・簡保はもともと戦争財源の確保のためにつくられたものだ。「公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげる」という名のもとで郵貯・簡保を民営化することは、今日の国家財政の破綻(はたん)的危機の中で激しい危機と矛盾をもたらす。それが今後いかなる経過をたどろうとも、日帝は戦争財源に利用しようとしている。また、年金などの社会保障制度の解体とともに消費税などの大増税を強行し、労働者人民からの大収奪、犠牲転嫁を強めようとしている。この点でも郵政民営化は、全労働者人民に襲いかかる攻撃なのだ。
 帝国主義の攻撃は、あえて言えば経済的整合性がなくても、政治=経済攻勢として貫くのであり、郵政民営化攻撃は、そのような質を持った帝国主義による激しい攻撃なのである。
 小泉=奥田路線とは、アメリカやEUなどとの帝国主義間争闘戦が激化する中で、危機に立つ日帝ブルジョアジーの存亡をかけた政治=経済攻勢、経済=政治攻勢であり、一大資本攻勢である。「新自由主義」による「弱肉強食」「優勝劣敗」の社会に転換し、一握りのブルジョアジーどもが生き残るために、イラク侵略戦争参戦の継続・激化・拡大、さらに北朝鮮(中国)侵略戦争に米帝と競合・共同して参戦を狙い、それと一体のものとして「東アジア自由経済圏」構想の実現に向かって本格的に突進し始めている。
 奥田は、こうした政治=経済攻勢を貫徹するために、小泉政権との一体化を進めると同時に、労働組合としての労働組合をたたきつぶし、新たな産業報国会にしようとしている。03年「奥田ビジョン」―04年「経営労働政策委員会報告」で打ち出した資本攻勢=労働組合解体攻撃を全面的に貫こうとしているのだ。
 戦時下においては、労働者の戦争協力・戦争動員が本格的に問われ、とりわけ、労働組合の存立をめぐる大決戦になる。9月7日、小泉政権は、有事法制の「国民保護法」に基づく「指定公共機関」を発表した。交通・運輸、通信、医療、放送などとともに、郵政公社も指定された。それらはすべて民営化を始めとした激しい資本攻勢にさらされている。国家への協力を強制しながら、民営化することは矛盾的であるが、それによって労働組合的団結を解体して戦争に動員することに核心的な狙いがあるのだ。

 公務員攻撃の突破口

 それはまた、95年日経連「新時代の『日本的経営』」報告で打ち出された終身雇用制・年功賃金制解体の攻撃を全面的に貫徹するものだ。かつてない体制的危機に陥った帝国主義は、労働者階級への搾取・収奪を強めて生き延びる以外にない。さらに、激化する帝国主義間争闘戦に勝ちぬく体制をつくらなければならない。そのために、小泉の「構造改革」攻撃の核心に、戦後憲法(および教育基本法、労働法制)の改悪と終身雇用制を解体することを据えているのだ。
 この攻撃は、公務員労働者を除外してはあり得ない。8月の04年人事院勧告で打ち出した「査定昇給」と「地域別賃金」、さらに今秋臨時国会で狙われている公務員制度改悪関連法案(能力等級制など)で、公務員の終身雇用制・年功賃金制解体攻撃に決定的に踏み込んでいる。また、規制改革・民間開放推進会議は、「官業」のあらゆる部門を民間開放せよと叫んでいる。郵政民営化攻撃はそれらと一体の攻撃であり、最先端の攻撃なのである。
 国家公務員(自衛隊員も含む)の3分の1弱を占める27万人余の郵政労働者をそのままにしては、公務員労働運動の解体攻撃は貫徹できない。
 したがって、どんなに破綻的であろうとも、郵政民営化攻撃が後戻りのない攻撃として始まったものとして、はっきりと見据えて闘わなければならない。

 経営形態変更と非公務員化で首切りと労組破壊を狙う

 「郵政民営化の基本方針」は、冒頭に確認したように07年4月の民営化時点で4分社化し、移行期間を経て、最終的に17年までに完全民営化するとしている。
 その核心は、郵政労働者27万人余を非公務員化するということにある。国鉄分割・民営化型の〈いったん全員解雇・選別再採用方式〉を本質的にも実体的にも貫こうとしているのである。戦後労働運動の全歴史が教えているように、いかなる意味でも、「経営形態の変更」とは、労働者に対する大量首切りと合理化、そして、労働者的団結と労働運動の破壊の攻撃として襲いかかるのだ。
 「基本方針」では、公社・生田の主張を入れ、07年4月時点での分社化について「情報システムの観点から可能かどうか、年内に結論を得る」としているが、いずれにしても分社化は不可避であり、さらに郵便事業以外の3社の地域分割の検討が打ち出され、郵便局の統廃合とコンビニ化なども必至である。
 特に「非公務員化」が重大である。公務員の身分保障(本人の意に反して降任、免職されない)を剥奪(はくだつ)することは大量首切りのためなのだ。
 「基本方針」では「雇用のあり方」について次のように言っている。
 「(ア)民営化の時点で現に郵政公社の職員である者は、新会社の設立とともに国家公務員の身分を離れ、新会社の職員となる。(イ)人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。(ウ)職員のモラール(士気)と労使関係の安定に配慮する」
 また、「基本方針」には盛り込まれなかったが、「素案」では「職員の新会社参加の意向調査を実施し、希望者に対して再就職先の斡旋(あっせん)を行う」方針が打ち出されていた。
 「再就職斡旋」は国鉄分割・民営化の時にも行われた。分割・民営化以前は、まだ自治体や郵政などの公的部門への再就職は行われたが、清算事業団での再就職斡旋は、首切りと同義であった。今日の官民にわたるリストラ攻撃のあらしの中で、まともな再就職先などあり得ない。「意向調査」の名のもとに退職を強要する事実上の首切り攻撃が、民営化を前に強行されるということだ。
 今年3月、郵便内務のアウトソーシングによる「余剰人員」を「人材活用センター」に送るという国鉄分割・民営化の時と名前まで同じ施策が「真っ向サービス」と称して極秘裏に提示されたのだ。
 また、郵貯と簡保のうち、07年4月の民営化前の政府保証の付いた旧勘定を保有する機関として「公社承継法人」を創設することが打ち出されたが、これは「素案」では「公社清算法人」となっていた。8月31日の経財諮問会議で、麻生総務相が「『清算法人』という言葉の持つ意味、ニュアンスは国鉄清算事業団とほぼ同じ。『希望者に対して再就職先の斡旋を行う』というと、いったん解雇というようにとられる」と発言しているが、これは、まさに国鉄分割・民営化と同様の攻撃が準備されていることを示している。
 「民営化時点で独立した会社ごとに経営が成り立つ人員の適正規模に近づけておく必要があるのではないか」(8・23付日経新聞社説)という主張も出されている。新たに設置される経営委員会(仮称)が新会社の定員を決め、あふれた人員を「余剰人員」として、選別不採用にすることもあり得るということだ。
 また、「待遇のあり方」については、すでに導入された能力主義賃金制度をさらに抜本的に改悪するということである。大多数の労働者には大幅賃下げをもたらすのだ。
 「労使関係の安定に配慮」という文言など、労働者にとっては何の意味もない。麻生や生田も労働組合との関係を重視する発言を繰り返しているが、このことは、JPU中央や全郵政中央との「労使合意」のもとで人員削減や新会社への振り分けなどを進めようとしているということだ。
 日帝は国鉄分割・民営化やNTT大合理化の手法を教訓化し、その集大成としての攻撃を労働組合の抵抗を完全にねじ伏せた上で強行しようとしているのだ。

 国鉄分割・民営の教訓

 国鉄の場合は、87年4月に6旅客会社と貨物会社などに分割され、7600人余の不採用者が清算事業団送りにされ、清算事業団から90年に1047人が解雇された。JRに採用された労働者は、国鉄に退職届を出してJRに採用されるという形態をとった。しかも、国鉄分割・民営化攻撃の総体としては、「20万人首切り」と言うべき大量首切り攻撃であった。第2臨調基本答申(82年)以降、分割・民営化まで40万人から20万人に削減されたのだ。それは、新規採用停止による「自然減」と「希望退職」という名の退職強要がほとんどである。
 日帝国家権力は、動労カクマル(現在のJR総連)などを先兵にして、分割・民営化に反対する国労・動労千葉などに対して「雇用安定協約の破棄」を脅しにして首切りの恫喝をかけ、さらには、「余剰人員」とされた労働者を職場から追い出し「人材活用センター」に送り込んだ。この中で200人もの自殺者を出した。こうした激しい国家的不当労働行為と言われる大攻撃の中で退職に追い込む事実上の首切り攻撃をかけたのだ。
 全逓を始め、全電通、自治労、日教組などの産別の中央は「国労のようになるな」を合言葉に連合になだれ込み、屈服と転向を遂げている。全電通―NTT労組は連合路線の先頭に立ち、さらに自治労や日教組も連合路線のもとで次々と屈服・転向を重ね、日教組の文科省との「パートナー路線」や自治労の「21世紀宣言」=「労使協働路線」にのめり込んでいる。
 だが、国鉄分割・民営化に対する闘いの総括は、「闘ったから敗北した」ことにあるのではない。逆に、国労は「分割・民営化反対」を掲げながら、現場労働者の苦闘にもかかわらず、実際には一戦も交えなかったことによって、組織の激減という事態をもたらしたのだ。
 それに対して、動労千葉は85〜86年の2波のストライキを闘い、28人の公労法解雇と12人の清算事業団送りを強制されたが、組織の団結を維持し、今日まで闘いぬいている。さらに、国労も4万人の組織が残り、全動労、動労千葉とともに1047名の被解雇者を先頭にして闘い続けている。それが、JR総連とJR資本との結託体制の崩壊的な危機をもたらしているのである。

 NTT型の大合理化

 電電公社の民営化は85年であったが、組織も35万人の労働者もそのまま新会社=NTTに引き継がれた。だが、その後の攻撃はすさまじい。99年には初の純粋持ち株会社方式を導入し、東西地域会社と長距離・国際会社などに分社化し、NTTグループ全体で20万人余に削減されている。さらに、02年には東西地域会社とその子会社であるME(電話設備の保守部門など)の労働者10万人を対象にして、51歳以上の労働者はいったん退職させて30%もの賃金ダウンで地域別子会社(アウトソーシング=OS会社)に再雇用するという大合理化を強行した。この過程で、1万人以上の労働者が「希望退職」で職場を去った。このような労働条件の不利益変更は、労働者の同意なしにはできない。しかし、NTT労組が合意することによって初めて、この攻撃は可能になった。一方で、本人が拒否する限り、強制することはできなかった。

 闘えば攻撃は破綻へ

 郵政民営化は、こうした国鉄分割・民営化やNTTの大合理化と同様の、あるいはそれをも上回る大合理化攻撃として襲いかかろうとしているのである。
 こうした国鉄やNTTの例を見るならば、その攻撃は、労働組合の裏切り者や労働貴族どもを手先にしてしか、攻撃は貫徹できないということだ。
 国労民同も全電通―NTT労組の民同も、国家権力・資本の攻撃の激しさに対して徹底的に対決できず、屈服と転向の道を歩んだ。しかし、動労千葉は「去るも地獄、残るも地獄」「闘って活路を開く以外にない」という指導部の決断のもとで、組合員の総団結をつくりあげて闘ったからこそ、現在の勝利的地平を獲得することができた。動労千葉労働運動から学ぶべきことは、このことである。
 こうして国鉄分割・民営化反対闘争が続いている中で、日帝は全逓、自治労、教労に対して、国鉄型の攻撃を強行してきた。国鉄決戦があらためて4大産別決戦の軸に座り、それと並ぶ全逓決戦として郵政民営化阻止の闘いがあるのだ。
 全逓労働運動は、60年代以来の大合理化攻撃に対する青年労働者を先頭とした闘いによって「権利の全逓」と言われた闘いをつくりあげ、78越年反マル生実力闘争を始めとした戦闘的闘いを実現してきた。今こそ、この全逓労働運動の戦闘的伝統をよみがえらせて闘う時が来たのである。

 JPU菰田体制こそ弱点だ全逓再生へ組合権力獲得を

 この激烈な郵政民営化攻撃に対して、「民営化対応」の名のもとに屈服し、生田とともに実質上の民営化攻撃を進めているのが、JPU菰田体制である。第59回大会で、生田はあらためて、「労使のパートナーシップ宣言」を行い、「組合との深い信頼関係」を強調した。そして、アクションプランへの協力に「感謝」を表明し、「強い経営基盤の整備」をうたい、「アクションプラン・フェーズU」の論議を提起したのだ。
 この間のアクションプランに基づく攻撃は、03年4月から05年3月までに1万7000人を削減する攻撃だが、それがさらに加速されるということだ。
 今、現に行われている攻撃によって、現場はすでにすさまじい労働実態にある。何よりも、今年2月に導入された「深夜勤」は、10時間の深夜勤を最大で連続4日間も続けるもので、すでに多数の現職死亡が続出している。
 また、JPS(郵政版トヨタ方式)により、スタンディングワーク(立ち作業)が強制され、「生産性向上」とは名ばかりの労働強化が進み、それが全国1000局に拡大された。
 郵便外務(集配)には、「集配ネットワークの高度化」と称して、例えば大都市では、「1ネット方式」が導入される。1人の集配労働者が配達(通常、速達、書留、小包)、集荷、営業のすべてを担い、そのためにバイクに代わり軽四自動車を使用し、10時間労働(拘束12時間)が強制される。
 さらに、郵便内務では、本務者の削減と非常勤化を一層進め、さらに「内務事務のアウトソーシング」により、「余剰人員」を「人材活用センター」に送り込む攻撃が準備されているのだ。
 また、郵便小包は11月からのローソンでの取り扱いを決定し、小包分野でのシェア拡大や国際物流事業への進出を狙っているが、それらは「ヤマト運輸との競争に勝つ」などと称した大合理化攻撃として襲いかかるのだ。
 この8月には、東京や近畿で、組織破壊を狙った大規模な「人事交流」=強制配転が発令された。断じて許すことはできない。
 さらに、輸送部門に競争入札を導入するとともに、「運賃引き下げ」を強制し、一切の矛盾を日逓労働者に押しつけている。鹿児島逓送の全員解雇や相次ぐ早期退職の強制と人員削減、そして8月から8%の大幅賃金カット。相次ぐ賃下げで1人あたり年間100万円の減収になるという。
 これに対するJPU中央の方針は、公社の施策をすべて全面的に受け入れ、推進する方針だ。「未来づくり宣言」は、労働者性を解体し、新たな「生産性向上運動」に労働者を駆り立てるための、労働組合の自己解体宣言である。「雇用確保から雇用創出へ」、あるいは「複合型労働力構成」の名のもとに、本務者の削減と非常勤化を推進することを宣言している。「なんのための組合か」という組合員の怒りが渦巻いている。大会では菰田委員長、難波書記長らの新役員に対して、最大4分の1近くの不信任がたたきつけられているのである。
 連合全逓中央は、4月に全郵政とともに「郵政事業に関する労組政策協議会」を立ち上げ、「郵政民営化反対」と言っているが、実際は民営化推進である。
 9・1付で出されたJPUの「郵政民営化の基本方針(素案)に対する考え方」では、「『民営化ありき』の郵政民営化議論に反対」「仮に再度の見直しが必要とされる場合でも、中期経営計画の1期4年間の経営実績を見た上で検討すべき」などとするもので、郵政民営化絶対反対ではないのだ。「非公務員化」に対しても「効率的運営に努力している」とし、「行政サービスの窓口」としての機能を発揮すべき(これは市町村合併などの自治体合理化を前提とした攻撃だ)だから「公務員身分」が必要だと言うのみで、それが首切り攻撃であることをまったく弾劾していない。しかも「素案」で提起された「職員の意向調査と再就職斡旋」については一言も触れていない。つまり、大量退職=首切りを進めることには合意しているのだ。
 国鉄分割・民営化と同様の攻撃であることをJPU中央は完全に知り尽くし、生田らと合意した上で、組合員にはひた隠しにしてきたということなのだ。断じて許すことはできない。生田との「パートナー」=労使運命共同体路線、「民営化対応」=「経営基盤の確立」を推進するJPU菰田体制を打倒することが急務である。彼らは、組合員を徹底的に犠牲にした上で、労働貴族どもの延命と利権確保だけは図ろうとしているのだ。だが、それは彼らの墓穴を掘るものでしかない。国鉄分割・民営化攻撃におけるJR総連のように、菰田体制こそ郵政民営化攻撃の最大の弱点となるのだ。
 職場の団結を打ち固め、小泉と公社、JPU中央への大反撃を組織することで、必ず攻撃を破綻させることができる。このことを全組合員に訴え、菰田体制を打倒し、闘う全逓労働者が分会、総分会、支部から全逓の組合権力を奪取することをとおして、実際に現場で闘いをつくり出すことが求められている。

 4・28高裁逆転勝利判決を総反撃ののろしに闘おう!

 こうした攻撃のさなかでかちとられた4・28反処分裁判の高裁逆転勝利判決は、全逓労働者の闘う力をよみがえらせつつある。78越年反マル生闘争は、マル生(生産性向上)の名による全逓つぶしに対して、全逓中央の指令に基づいて闘われた。青年労働者を先頭に全国で強力な物ダメ闘争を展開した。75年のスト権スト(国鉄を中心とした公労協の統一スト)以降では最大の全国的争議だ。それはまた、その闘いを担った青年労働者を懲戒免職にすることで、自らの指導責任を問われずに路線転換を図っていく全逓指導部=民同の破産の出発点でもあった。この処分の不当性が裁判でも明らかにされたことは、郵政当局と連合全逓中央に大打撃を与えている。
 そして当時の闘いを担った世代の新たな闘いの意欲を生み出し、同時に、青年労働者にも勇気を与えている。4・28反処分闘争世代と青年労働者が、新たなマル生攻撃とも言うべき今日の攻撃のもとで、ともに生き闘うことが可能な時代がついに訪れたのである。特に青年労働者にとっては、労働者こそが社会の主人公であるというマルクス主義と労働組合運動の復権というテーマが、実に新鮮で、これからの人生を労働者階級の中心部隊としてプロレタリア革命の実現に捧げる、層としての決起が可能な時が来ている。また、「日々雇用」で劣悪な労働条件のもとで働く非常勤の青年労働者にとっても、それは同じである。青年労働者の獲得と非常勤労働者の組織化は重要な課題である。
 そのために、全逓委員会は、今こそ〈新指導路線〉を推進し、労働組合論の革命論的確立の立場に立って、全逓委員会の改革と圧倒的強化をかちとる。
 全逓民同や協会派の破産と転向は、彼らがあくまでも体制内労働運動でしかなかったからである。そして、今や完全に当局の手先になるところまで転落している。日本共産党もまた、「資本主義の枠内での民主的改革」論で、「労働者階級」の言葉すら投げ捨てた。さらにカクマルは、絶対に「郵政民営化阻止」を言わず、「大リストラ反対」と言いながら、国鉄分割・民営化に率先協力した松崎の道を歩もうとしているのである。
 わが全逓委員会は、労働者階級の真の解放、すなわち戦争も搾取もない社会をつくるためにはプロレタリア革命―プロレタリア独裁が必要であり、そのために労働組合が果たすべき役割が決定的に重要であることをあらためてはっきりさせて闘う。特に、郵政事業という基幹産業を担うわれわれ全逓労働者の果たすべき役割はきわめて大きい。その壮大な展望と革命的ロマンをもって、全逓労働者は革共同全逓委員会に加盟し、闘おう。青年労働者はマル青労同に入って闘おう。

 国際連帯の旗を掲げ

 最後に、郵政民営化絶対阻止の旗を高々と掲げ、11・7全国労働者総決起集会に全国の全逓労働者が総結集することを訴えたい。11・7は戦争と民営化に反対する全世界の労働者階級との連帯をかけた闘いだ。アメリカの労働者は今、ブッシュ打倒に向けて10・17ミリオン・ワーカー・マーチ(百万人労働者大行進)を闘いとろうとしている。ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10などの呼びかけに、世界最大の郵便労組APWU(米郵便労働者組合=33万人)が賛同を決議した。イギリスでは昨年、民営化された郵便会社ロイヤルメールの労働者が賃下げと集配センターの統廃合・人員削減に対して山猫ストを闘い、ブレア政権と対決する新潮流派が台頭している。
 民営化攻撃と対決する世界の郵便労働者と連帯し、11・7に全逓労働者の大隊列を登場させよう。

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