ZENSHIN 2004/09/13(No2165 p08)

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週刊『前進』(2165号1面1)(2004/09/13)

革共同の9月アピール
ブッシュ ノー、小泉打倒へ
 8月産別決戦の激闘引き継ぎ教労を先頭に11月大高揚を
 名護新基地ボーリング強行絶対阻止

 第1章 労働運動の階級的再生めぐる激突にかちぬけ

 われわれは革共同の「8・1提起」で武装して8月闘争を闘いぬき、今秋11月労働者大行動の爆発へ向けて大きな展望を押し開いた。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の高揚。8・13の米軍ヘリ墜落に対する沖縄の怒りの噴出と米軍基地撤去闘争の爆発。「日の丸・君が代」強制と処分攻撃を真っ向から跳ね返し、石原都知事と都教委を痛撃した教育労働者の闘いの大前進。そして8月国労大会と自治労大会決戦の勝利的貫徹、とりわけ国労大会での酒田・革同執行部の大反動を打ち破り、押し返した勝利である。
 帝国主義の危機の爆発の中で、階級情勢は巨大な分岐・流動・再編・高揚の局面に明白に突入している。帝国主義による〈外への侵略戦争、内への階級戦争>の激化に対し、労働者階級人民の根底的な怒りがあらゆる制動を突き破って噴出し始めたのだ。そしてこれに対する、追いつめられた国家権力と資本による反動と弾圧の攻撃が強まり、階級的激突情勢が日一日と深まっている。
 その最大の焦点は、労働組合と労働運動をめぐる攻防だ。今や、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別のすべてが戦時下の階級闘争として、最大の決戦、激突に突入した。

 国労大会で反動突破

 8月26、27日の国労第72回定期大会は、国労本部を牛耳る酒田・革同執行部に労働者階級の怒りを爆発させ、打倒することが、闘う国労の再生の唯一の道であることを鮮明にした。国労共闘を先頭に、代議員・傍聴者と会場外の決起が一体となって、酒田・革同執行部による、1047名闘争の早期終結=解体と連合への合流を画策する希代の大反動を大きく打ち破ったのだ。
 闘う国労組合員は大会で、「鉄建公団訴訟の裁判を行え」「闘争団への統制処分を解除しろ」という2本の修正動議を提出し、さらに原案も一票投票に持ち込み、鋭い対決構造をつくりだした。「総団結」の虚構をつくりだすことに唯一の延命の道を求め、修正動議を出させないための組合員への脅迫に全力を挙げていた酒田らのもくろみは吹き飛んだ。
 国労共闘が呼びかけた「鉄建公団訴訟に取り組もう」の方針と、「酒田こそ最悪の団結破壊者」という断罪は全体に大きな影響を与え、酒田委員長あいさつが闘争団の切り捨てと連合への合流宣言であることを喝破し、闘う国労の再生の道を指し示すことに成功した。この地平を引き継ぎ、動労千葉を排除した1047名闘争破壊策動を断じて許さず、酒田・革同体制打倒へ突き進もう。
 8月25〜27日の自治労大会は、公務員労働運動の重大な局面を迎えた中で開催された。闘う勢力は小泉=奥田の戦争と大民営化攻撃との対決を訴え、「『21世紀宣言』を拒否した力で、自治労運動の戦闘的再生を!」のスローガンを掲げて戦闘的に闘いぬいた。
 日本帝国主義・小泉政権と経団連・奥田は「骨太方針W」で自治体労働者への全面的な民営化攻撃を仕掛けている。それは、「官から民へ」「官の改革」の名のもとに徹底した人員削減と自治体の解体、労働運動つぶしを狙う攻撃だ。これに対する自治労本部の屈服と転向が深まる中で、大会では本部議案に対する激しい批判が噴出した。
 また、冒頭であいさつした笹森・連合会長は「集団的自衛権については9条2項の削除という方法がある」と発言し、激しくやじりとばされた。「大会速報」からは削除されたが、消し去ることのできない重大発言である。
 こうした中で、沖縄県本部から米軍ヘリ墜落への怒りの決起方針が提起され、26日国会院内集会に100人が合流した。大会最終日には、沖縄を始め15県本部の共同提案による米軍基地撤去の特別決議が採択された。

 1年間決戦に突入を

 小泉構造改革攻撃の核心は、郵政民営化、自治体民営化、公務員制度改革などの攻撃による官公部門の労働運動の完全な解体であり、全逓、自治労、日教組を始めとする労働組合総体の解体である。国鉄労働運動つぶしはその突破口である。この攻撃は同時に、有事法制、自衛隊のイラク派兵・多国籍軍参加、教育基本法改悪・改憲攻撃と完全に一体だ。
 04年秋から05年にかけての向こう1年間は、この4大産別をめぐる一大決戦の過程であり、その帰趨(きすう)に日本労働運動の命運がかかっている。そしてこの1年間決戦は、教基法改悪阻止・改憲阻止をも決することになる。労働組合運動をめぐるこの死活をかけた決戦に、なんとしてもかちぬこう。特に郵政民営化攻撃を粉砕する全逓決戦の爆発は、全労働者への民営化攻撃に対する最先端の闘いとして重大だ。全力でこの闘いを押し開こう。
 すでに、8月闘争をも新たな突破口として、小泉=奥田路線への労働者階級の反転攻勢は圧倒的に開始されている。その先頭に立っているのが、教育労働者の歴史的決起である。
 今春、東京の卒業式・入学式での教育労働者の不起立闘争は、時代の閉塞(へいそく)をうち破る雷鳴である。イラクに自衛隊が派兵され、有事立法が成立した状況下で、職務命令に不服従を貫いた教育労働者の闘いは、有事立法を「完成させない、発動させない、従わない」という戦争協力拒否の闘いの先駆であり、自治体労働者を始め、有事体制下での戦争動員を拒否して闘おうとしているすべての労働者への連帯のアピールだ。
 8月の都教委による被処分者の屈服と転向を狙った「再発防止研修」は、会場内外を貫く激しい抗議闘争の場に転化した。8月30日には、都教委包囲・弾劾の行動が都の教育労働者を先頭に700人を結集して闘われた。この教育労働者の帝国主義侵略戦争反対の偉大な決起を、全労働者階級の闘いへと転化することが決定的に重要である。
 今秋11月労働者大行動への万余の決起こそが勝利のかぎだ。絶対に11月の大爆発をつくりだそう。

 第2章 激動するイラク・沖縄情勢と日米安保大再編

 世界情勢は、歴史的な大激動期に突入している。アメリカ帝国主義のイラク・中東侵略戦争が激動の震源地である。
 イラク・中東侵略戦争は、イラク人民の民族解放・革命戦争の爆発によって完全に追いつめられ、アメリカ帝国主義にとっての泥沼と化した。イラク情勢は、労働者階級人民が主導権を握り、米軍をイラクからたたき出す闘いの本格的段階に突き進みつつある。それがまたアメリカの国内危機を爆発させている。米帝は侵略戦争を遂行するために国内を非常戒厳令体制で抑圧し、労働者に大資本攻勢を仕掛けているからだ。これに対してブッシュの足元で労働者の巨大な決起がおこっている。
 日帝・自衛隊もすでに完全にイラク人民の怒りのターゲットとなっている。日本でもイラク反戦闘争、自衛隊撤兵闘争をさらに徹底的に強化しよう。
 アメリカ大統領選挙を挟んで情勢は一層危機的展開を遂げようとしている。まさにアメリカ帝国主義が帝国主義である限り、ブッシュになろうがケリーになろうが、イラク侵略戦争を激化・拡大し、さらに北朝鮮・中国侵略戦争へとのめり込んでいくのは不可避である。
 米帝のこの動向は、同時に日米安保同盟の反動的大エスカレーションに直結している。
 ブッシュ米大統領が8月16日演説で打ち出した米軍再編(トランスフォーメーション)は、6〜7万人の米軍の撤退と発表しているが、米軍兵力の削減ではまったくない。旧ソ連との軍事対決を軸としていた旧来の戦力配置を見直し、泥沼化するイラク侵略戦争の兵力を拡充しつつ、同時に北朝鮮・中国侵略戦争の体制を構築するための大攻撃である。
 8月27日から始まった日米間の局長級協議で明らかにされた内容は、@米陸軍第1軍団司令部(ワシントン州)の座間への移転、A横田の米第5空軍司令部をグアムの米第13空軍司令部に統合し、司令官を横田に残す、B自衛隊の航空総隊司令部を府中基地から米軍横田基地に移転し、自衛隊と米空軍を一体化する、C沖縄の海兵隊約2600人をキャンプ富士やキャンプ座間に移転し、砲撃訓練を沖縄以外に移す、D空母艦載機による夜間離発着訓練(NLP)を厚木基地から岩国基地に移転する、などである。
 こうした在日米軍の再編は、司令部機能の強化、日米両軍の一体化であり、在日米軍基地をアジア全域の司令塔・ハブ基地として強化し、イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と、北朝鮮・中国侵略戦争発動態勢を構築する大攻撃である。
 米軍再編のもう一つの重要な柱は、日米安保条約の実質的な大改定であり、日帝・自衛隊による集団的自衛権行使への踏み込みである。この間のパウエル国務長官やアーミテージ国務副長官の「憲法9条は日米同盟の妨げ」発言は、それと完全に一体だ。
 日帝は、この米軍再編が日帝の東アジア勢力圏化への動きに対する対日争闘戦の側面をもつことに激しくゆさぶられつつも、これを逆に憲法9条破棄、日帝自身の侵略戦争突入への一大突破口としようとしている。新たな「防衛計画の大綱」を年内にまとめ、「専守防衛」の政策を大転換し、反動的一大飛躍に突進しようとしているのだ。
 こうした中で、8月13日の米軍CH53輸送ヘリの沖縄国際大への墜落・爆発・炎上は、沖縄が戦場の島であり、基地の島であり、沖縄人民がその中で言いしれぬ恐怖と米軍に対する怒りをもって日々生活している現実を明らかにした。沖縄人民の怒りは日に日に高まり、宜野湾市が呼びかける9月5日の沖国大における市民大会から、9月26日の県民大会へと重大な過程に突入しつつある。
 今回の米軍ヘリ墜落は、人身に被害がなかったことが奇跡ともいうべき大事件である。その衝撃性と歴史的政治的大きさは、1959年の宮森小学校事件(米戦闘機が墜落し生徒ら17人死亡)や1968年の嘉手納基地でのB52爆撃機墜落事件に匹敵する。これが全県民の大衆感覚であることを知らなければならない。
 そして、米軍の事件後の振る舞いが一層の怒りをかき立てている。米軍はイラクにおける米軍とまったく同じく沖縄の占領者として振る舞っている。米軍は事故の直後にフェンスを乗り越えて大学に突入し、現場を占拠し、民間地域から県警、消防なども含め一切を排除し、沖縄県民の命を一顧だにせず軍事作戦優先で行動している。そして事故から2日後には飛行を再開し、さらに事故機の同型機を6機イラクに飛び立たせた。
 これに対して日本帝国主義・小泉は、露骨に無視の態度をとり続け、口を開けば「普天間基地が危険なことが示された。だから早く辺野古への移設を」とぬけぬけと言い放っている。小泉は事故から12日もたった8月25日、ようやく稲嶺知事に会ったが、この会談は小泉に屈服した稲嶺の破産した姿をさらけだし、県民の怒りをさらにかき立てた。
 沖縄人民とブッシュ米大統領、沖縄人民と小泉首相とは完全に非和解である。米帝のイラク侵略戦争と日帝・小泉の自衛隊派兵=イラク参戦が日本労働者階級に何をもたらすかをこの事件はつきだしている。今や「普天間基地の即時閉鎖、名護新基地建設撤回、すべての基地機能の停止」は、全沖縄人民のスローガンとなった。これを全労働者階級のスローガンにしよう。辺野古へのボーリング調査強行を阻止しよう。
 沖縄は今や、95年9・4少女暴行事件から10・21県民大会への過程にラセン的に回帰した。安保・沖縄、基地撤去闘争の新たな爆発の時代に完全に突入したことを確認しよう。イラク情勢の激烈な展開の中で、国際連帯、イラク反戦、沖縄基地撤去を、小泉=奥田路線との対決と一体のものとして闘いぬくことが、11月労働者大行動の成功の道である。
 米軍基地撤去=沖縄奪還を先頭に、座間、横須賀、北富士など全国基地闘争の強化・発展をかちとろう。

 第3章 国際連帯の旗高く掲げ全職場から11月行動へ

 階級情勢の激動的展開の中で、今秋11月労働者大行動への万余の結集をかちとることは、もはや絶対的な死活的課題となっている。革共同にとっては、自らの革命的労働者党としての飛躍をかけた激烈な挑戦である。なんとしてもこの挑戦をやりぬき、動労千葉を先頭とした階級的労働運動の新潮流のもとに結集する闘う労働組合の大隊列をつくりだそう。
 米帝ブッシュを始めとした帝国主義による戦争と資本攻勢への突進に対し、労働者階級の全世界的な決起が拡大している。米共和党大会の前日の8月29日、ニューヨークで、「平和と正義のための団結」(UFPJ)の呼びかけで「ノーモア・ブッシュ」の50万人のデモが闘われた。共和党大会の開催中だけで1700人を超える逮捕者を出しながら、反戦デモが全米で激しく闘われている。
 11月2日の米大統領選の直前の10月17日には、米の首都ワシントンDCで百万人労働者大行進(ミリオン・ワーカー・マーチ=MWM)が計画されている。ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10が全米の労働組合に呼びかけ、支部、地区労レベルで賛同を積み上げ、文字どおりの百万人大行進を実現しようとしているのだ。ILWUの伝統である「労働組合を現場組合員の手にとり戻そう」という趣旨のランク・アンド・ファイル運動をその基本とする素晴らしい闘いである。そして、戦争と民営化に反対する国際連帯の闘いを推進しようと力強く呼びかけを発している。
 韓国・民主労総は、民営化攻撃など激しい資本攻勢との闘いを貫くとともに、イラク派兵撤回を第一の課題に掲げて闘っている。8・15にはイラク派兵撤回を求める闘いが爆発し、ソウル光化門で、民主労総と韓国労総の共催による「派兵撤回・反戦平和2004自主統一労働者大会」が1万人の労働者を結集して画期的に開催された。
 米韓の闘う労働者の闘いに学び連帯して11月労働者大行動に突き進もう。10・17米MWMと連帯し、日本における反戦行動に思いきって決起していこう。
 労働組合と労働組合運動の革命論的意義を鮮明にとらえ、新指導路線で全身武装し、「労働者の中へ」を熱烈に実践しよう。その核心は、動労千葉労働運動の全産別への拡大にある。
 もはや労働者を食わせていけなくなり、戦争をする以外に延命できなくなった帝国主義に対して、労働者階級がたたきつけるべき闘いは何か。それは、労働者学習センターからこのほど発刊された『闘う日教組の再生のために―教育労働者の戦争協力拒否宣言』の中で動労千葉前委員長の中野洋氏が語っているように「お前ら資本家の時代は終わったんだ」という立場を鮮明にして闘うことだ。
「『労働者が革命を起こして、お前たちに引導を渡してやる。労働者に権力をよこせ』という立場をもたなければ、労働運動はひとつも前進しない時代が来た」ということだ。
 逆に労働者階級がこの立場で本当に団結を打ち固めて総決起するならば、危機に立つ帝国主義を打ち倒すことは必ずできるのだ。今こそ4大産別を先頭に、あらゆる職場、あらゆる組合にこのことを大胆に訴えて、11月への一大結集の流れをつくりだそう。
 何よりも、青年労働者の組織化が一切を決する。青年労働者の総結集のためにすべての支持者、全同志が総決起しよう。全党の力でマル青労同1000人建設の飛躍的前進を押し開こう。

 治安弾圧攻撃許すな

 日本帝国主義のイラク派兵=侵略戦争参戦は戦時下の治安弾圧攻撃を激化させている。弾圧との闘いは、反戦の闘い、資本との闘いの不可欠の一環である。
 今秋の臨時国会で政府・法務省が成立をもくろんでいる共謀罪は、恐るべき弾圧立法だ。2人以上の集まりをすべて適用対象とし、557罪種について、犯罪の実行行為がなくても「共謀した」というだけで死刑と無期の罪種は5年以下の懲役・禁固、4年以上の懲役の罪種は2年以下の懲役・禁固が科せられる。「標的は労組と市民団体」(8月22日東京新聞)と報じられたように、労働者人民にとって重大な攻撃だ。全労働者階級に警鐘を乱打し、5・27臨大闘争弾圧粉砕への決起と一体で絶対阻止しよう。
 機関紙拡大闘争に全力を挙げよう。数値目標を鮮明にし、11月への過程を『前進』拡大月間として闘いとろう。ロシア革命を勝利させたボルシェビキにならって、『前進』拡大を武器に、すべての重要職場の指導権獲得を目指そう。
 新指導路線の帰趨は、マル青労同の1000人建設と並んで、全学連の一大飛躍、大躍進にかかっている。9・17〜19全学連大会の大成功をかちとろう。

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週刊『前進』(2165号1面2)(2004/09/13)

都教委を700人が包囲 石原・横山打倒へ激しい怒り

都教委を700人が包囲
都教委が入る都庁第2庁舎前にデモが到着。「『日の丸・君が代』の押しつけを許さないぞ」「処分を撤回しろ」の声が響きわたった(8月30日 西新宿)

 「『日の丸・君が代』の押しつけを許さないぞ!」「石原・横山の暴走を許さないぞ!」「ただちに処分を撤回しろ!」
 8月30日午後、東京都教育委員会が入る都庁第2庁舎を700人の労働者・市民・学生の怒りが包囲した。主催は、都教委包囲首都圏ネットワーク。10・23通達による「日の丸・君が代」強制と教育労働者の処分の乱発、さらに8月26日に「つくる会」歴史教科書を中高一貫校に採択するという暴挙を続ける都教委に対して、教育労働者が直接に怒りをたたきつけた初の行動である。
 包囲行動に先立って、3時半から新宿駅西口の柏木公園で集会が行われた。都教委包囲ネットを代表して見城赳樹さんが発言し、「『日の丸・君が代』強制に反対して立ち上がった教育労働者の闘いは、今の日本の政治・社会情勢を転換させていく闘いだ。今日の都教委包囲行動を成功させて都教委を追いつめ、さらに11月6日の教育基本法改悪反対全国集会の成功につなげていこう。石原と小泉の戦争政策を許さず、断固闘いぬこう」と訴えた。
 「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」呼びかけ人の高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)、三宅晶子さん(千葉大学教授)も発言し、今回の都教委包囲行動を石原の暴挙に対する初の総決起として闘いぬこうと訴えた。
 集会アピールを全体で採択し、約450人が隊列を組んでデモに出発した。先頭には「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」の呼びかけ人3人と「日の丸・君が代」被処分者、被解雇者が横断幕を掲げて立ち、教職員組合の組合旗が続いた。
 デモ行進と都教委包囲行動を同時並行で行うため、都庁第2庁舎を包囲する人びとは柏木公園に立ち寄った後、続々と都庁に向かった。午後4時には、第2庁舎の四方約500bの歩道に、被処分者や教育労働者を始め250人の労働者・市民が並んだ。動労千葉や国労闘争団など、他産別の労働者も多く合流した。
 午後4時半。デモ隊列が都庁に近づき、シュプレヒコールが聞こえてくると、都庁の周りに並んだ人びとが手をつないだ。デモ隊のシュプレヒコールに合わせ、つないだ手を力強く突き上げる。「『日の丸・君が代』強制反対」「処分を撤回しろ」「被解雇者を職場に戻せ」「都教委を包囲しよう」。長く続くシュプレヒコールが、都庁の巨大なビルにこだまする。北海道や広島、関西など全国各地から集まった労働者の怒りがひとつに結集して、都教委を完全に包囲したのである。
 その後、包囲行動の人びともデモに合流。新宿駅南口から駅東側の繁華街を歩くデモ行進を最後まで闘いぬいた。沿道の労働者・市民も大変な注目で、「日の丸・君が代」や教職員の不当処分をめぐって語り合う姿がいたるところで見られた。参加者はデモ終了後、夜の交流集会に向かった。
 処分撤回へ闘いぬく被処分者と連帯し、「日の丸・君が代」闘争、教育基本法改悪阻止闘争を巻き起こそう。11・6教育基本法改悪阻止全国集会―11月労働者大行動の連続決起へ、教育労働者を先頭に闘いぬこう。(関連記事2面

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週刊『前進』(2165号2面1)(2004/09/13)

教基法改悪阻止へ熱気 “教育現場に闘い広げよう”
 都庁包囲デモの後 交流集会に全国から

 8月30日夜、都教委包囲行動とデモ(記事1面)の熱気を引き継ぎ、都教委包囲ネットワークが「石原・横山都教委の暴走をとめよう! 交流集会」を新宿文化センターで開催した。
 初めにデモと包囲行動の報告が行われた。デモの責任者は「都教委を弾劾する大きな力となった」と述べ、包囲行動の責任者も「初めて都教委を包囲することができた。大成功だった」と述べた。
 「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」呼びかけ人の三宅晶子さん(千葉大学教授)と大内裕和さん(松山大学助教授)が発言した。三宅さんは「私たちは今、歴史の重要な分岐点に立っています」と訴え、石原による教育基本法改悪の先取り的な攻撃を弾劾。「教育基本法が改悪されたら教育の全権委任法がつくられてしまう。未来のために力を合わせよう」と訴えた。大内さんは「教育基本法が改悪されたら何が起こるのかを示した10・23通達に対して、教職員が現場から声を上げた意義は大きい。『日の丸・君が代』闘争や『つくる会』教科書との闘いなどの具体的運動をつなげていくことが教基法改悪を阻止する闘いだ。通常国会までの1日1日、闘いを広げていくことが課題です」と訴えた。
 続いてこの日午後の2度目の「再発防止研修」の対象とされた教育労働者3人が登壇し、大きな拍手に包まれた。「研修」終了後記者会見を行い、ただちに集会に駆けつけたのだ。
 最初に発言した女性は、「都研前でたくさんの声で送られたお陰で、こうして心を奪われずに戻ってくることができました」と述べ、1人が5人に囲まれるという強権的な雰囲気で行われた1時間半の「講義」を報告した。クリスチャンの男性教員は、信仰ゆえに「君が代」斉唱時に立てなかった思いを述べた。3人目に発言した女性は、研修で「再発防止研修の対象とされているセクハラや体罰、公金横領と、『君が代』不起立は違う。再発防止の対象ではない」と堂々と述べたことを報告した。
 予防訴訟をすすめる会の代表は「予防訴訟を提訴したことが闘いの盛り上がりにつながった」と自信を持って提起、勝利まで闘うと述べた。被解雇者の会の代表は「『おれは一人じゃない。全国の人と一緒に闘ってるぞ』と実感できてうれしい」と述べ、「君が代解雇裁判」の第1回口頭弁論(9月2日)に参加を呼びかけた。
 続いて全国から駆けつけた教育労働者や学生12人が発言。北海道・兵庫・大阪・奈良・愛知など各地で闘う教育労働者が、「石原・都教委に怒りをぶつけよう」という熱い思いで集まったことが確認された。
 韓国・民主労総の全教組ウォンヨンマン委員長から寄せられた「連帯アピール」が紹介され、最後に都教委包囲ネット事務局が「10・23通達から1周年の10月24日、10・23通達の撤回を求め、生徒への起立・斉唱の指導を義務づける新たな通達を阻止するために、集会を行う」と提起。「君が代解雇裁判」を始め裁判の傍聴を呼びかけ、「上部団体の違いや過去のいきさつなどは全部捨てて、新たに行動を起こそう。都教委包囲ネットにぜひ結集を」と訴えた。

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週刊『前進』(2165号2面2)(2004/09/13)

2度の「研修」に抗議 被処分者が信念貫く

 都教育委員会は30日午後、「日の丸・君が代」強制に反対した教育労働者3人に対して、再度の「再発防止研修」を強行した。「研修」会場の東京都教職員研修センター(目黒区)に多くの教育労働者を始めとする労働者が集まり、抗議行動を闘いぬいた。
 3人の教員は、周年行事や卒・入学式で「君が代」不起立を2回繰り返したことを理由に、戒告処分に加えて減給処分とされた。約220人の戒告処分者とともに8月2、9日に「再発防止研修」を受けたのに加えて、課題レポートの提出が命じられ、2度目の研修が8月30日とされたのだ。
 この日正午過ぎからJR目黒駅前で、被処分者の会や教職員団体がビラまきと街頭演説を行い、処分の不当性を訴えた。
 会場の都研前に場所を移して、予防訴訟の弁護士を先頭に都教委の職員を追及した。「ただちに研修をやめろ」と必死に訴える声が次々とたたきつけられた。
「研修」開始時間が迫る中、研修を受ける労働者2人がマイクを握った。「私たちは自分のやったことを間違っているとはこれっぽっちも思っていません。これこそが教員が今後歩むべき道だと確信しています。絶対にこの研修に屈しないで頑張っていきたい」
 もう一人は、提出を命じられた課題レポートに「憲法・教育基本法・子どもの権利条約にのっとり書けない」と返したら、「もう一度書け」と命じられたことを弾劾し、「自信を持って研修に臨んでいく」と述べた。毅然(きぜん)とした決意に、割れるような拍手が起こった。「再発防止研修をやめろ」「反省すべきは都教委だ」とシュプレヒコールを繰り返す中、3人は都研に入っていった。
 研修は、3人が別々の部屋に分断され、それぞれ都教委職員4人と校長に囲まれて実施された。1時間半の「講義」、続く1時間で報告書を作成。3人は確固とした信念を貫いて、不当処分を敢然とはね返した。
 都教委は2度の再発防止研修に続いて、9月以降、被処分者のいる学校に限定した「校内研修」を実施しようとしている。“被処分者を出した学校の教職員は連帯責任を負え”という戦前の「隣組」と同様の発想で、教職員の団結を破壊し、被処分者の闘いを押しつぶそうとするものだ。
 このような中、9月からは処分撤回を求めて申し立てた都人事委員会の審理も開始される。不屈に闘う被処分者と連帯して、不当処分撤回へともに闘おう。

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週刊『前進』(2165号2面3)(2004/09/13)

「つくる会」教科書 都教委は撤回せよ 戦争を担う青年育成が狙い
 05年採択阻止へ闘おう

 8月26日、東京都教育委員会は、来年4月に開校する東京都立初の中高一貫校・台東地区(白鴎)中高一貫校の歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」作成の教科書(扶桑社版)を採択した。この暴挙を弾劾し、採択撤回へ闘おう。
 「つくる会」歴史教科書の核心的狙いは、日本帝国主義が行った過去の戦争を全面的に美化することで、現在の日帝が参戦している戦争を賛美し、戦争を担う子どもたちを生みだそうということにある。

 皇国史観での歴史教育狙う

 そのために「つくる会」歴史教科書は日帝の戦争犯罪をすべて抹殺し、「戦争はアジア解放と自存自衛のための正義の戦争だった」と描いている。天皇神話を歴史的事実として、教育勅語を全文掲載して、皇国史観で子どもたちを染め上げようとしている。
 「つくる会」教科書に基づく教育がまかり通ったならば、学校現場は「国のために命を投げ出して戦う青年」をつくるための教育の場に根本的に転換される。「つくる会」教科書攻撃とは、自衛隊のイラク派兵、有事法制制定、そして教育基本法改悪・憲法改悪と連動した大攻撃である。

 都立中高一貫校を突破口に

 新しい歴史教科書をつくる会は「21世紀に生きる日本の子どもたちのために、新しい歴史教科書をつくり、歴史教育を根本的に立て直す」(趣意書)ことを目的に1997年に結成された。政財界と右翼が合体して310人の賛同者を集め、都知事就任前から石原慎太郎も名を連ねている。
 01年4月の教科書検定で初めて「つくる会」が作成した中学校用歴史教科書と公民教科書が検定に合格。全国的にもアジアからも批判の声がわき上がった。こうした中で、02年4月から使う教科書が一斉採択された01年8月には、全国542採択区で1冊も採択されず、公立では東京と愛媛の養護学校の一部、私立中学でも歴史・公民を合わせて9校のみ、わずか500冊余の採択に終わった。採択率は今年4月時点で0・097%に過ぎない。
 この事態に打撃を受けた「つくる会」は、ただちに05年夏の一斉採択へ向けて動き始めた。まず02年夏、公立中学で初めて愛媛県立中高一貫校の採択を実現。03年5月には「中高一貫校対策本部」を設置し、本部長に「つくる会」副会長の藤岡信勝が座った。藤岡は「白鴎中学校で扶桑社が採択されれば、その与える影響はきわめて大きなものになる。それに加えて、平成15年(03年)と平成16年(04年)の教科書採択で1カ所でも成功すれば、2年後のいっせい採択での勝利の展望が開ける」(「つくる会」機関誌『史』03年5月号)と述べ、05年度の10%採択達成に向けて都立中高一貫校での採択を実現すると宣言した。

 05年夏の一斉採択が決戦に

 石原も、都立養護学校で「つくる会」教科書を採択したことを「東京都はやりましたぞ。これは一点突破になる」と述べ、東京を「つくる会」教科書採択の突破口とすると公言した。
 こうしてターゲットとされた台東地区中高一貫校は、都が10校開設する中高一貫校の1校目。学校の特色に「日本の伝統文化の理解」を掲げ、「台東地区中高一貫校における日本の伝統文化に関する教育推進会議」を設置した。この座長が、「つくる会」と連動する教科書改善連絡協議会の会長・三浦朱門である。
 こうして石原が都知事の権力を最大限にふるって「つくる会」教科書採択への布陣を敷く中、8月26日の都教委では、6人の教育委員のうち5人が「つくる会」教科書を選び、全員の賛成で採択が決まった。石原が就任後に全面的に入れ換えた教育委員が、石原の意思を体現したのだ。
 石原は採択翌日の記者会見で、「つくる会」教科書採択について「結構じゃないですか。今までは余計な外部からの干渉がありましたけど、教育委員会のそれぞれの責任で選択をしていくということのひとつの表れ」と述べ、「つくる会」教科書の採択を誇った。
 「つくる会」とファシスト石原が結託して強行された採択を、絶対に許すことはできない。05年夏の教科書一斉採択へ向けて、「つくる会」教科書を絶対許さない力をつくり出そう。
 イラク派兵のただ中の教科書攻撃、「日の丸・君が代」攻撃、教育基本法改悪攻撃は、全労働者人民のテーマである。来春卒・入学式の「日の丸・君が代」闘争、来年通常国会における教育基本法改悪を絶対に許さない闘いと一体で、闘いを巻き起こそう。

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週刊『前進』(2165号2面4)(2004/09/13)

自治労大会 自治労運動の分岐・流動促す
 公務員制度改悪に屈服する本部 有事法協力・改憲推進に怒り

 自治労第75回定期大会が8月25日から3日間、東京国際フォーラムで開催された。小泉=奥田の自治体解体、自治労つぶしの攻撃にどう立ち向かうかが厳しく問われた大会となった。わが自治体労働者委員会の「小泉=奥田の『戦争と大民営化』と対決し、『21世紀宣言』を拒否した力で、自治労運動の戦闘的再生を!」の訴えは深々と代議員に浸透した。このスローガンのみが自治労運動の向かうべき方向を示した。大会の討論では、52代議員が発言し、激しい本部批判が続出した。わが自治体労働者委員会は、青年部総会、女性部総会、現業評議会総会なども含めて、大会内外で闘う自治労の再生に向け奮闘した。以下、大会総括を提起する。

 スト基金取り崩しを許すな

 第一に、自治労の戦闘的再生か自己解体かが鋭く問われた大会となった。
 「自治労『人見丸』は今、海図のない大海原に漂っている。羅針盤もなかなか見つからない」――これが最終日の大会議長の総括発言だ。自治労中央・人見執行部は、連合のもとで新綱領「21世紀宣言」に基づき小泉=奥田路線に屈服・協力して延命する方針を提起したが、依然として闘う意思が強固に存在している現場は、本部の闘わない方針に反発していることを示した。
 地公3単産(自治労、都市交、全水道)の統合と、特に全国一般との統合を来年の定期大会をめどに進めるという本部提案には反対論が続出した。発言代議員の半数が統合問題に触れ、そのほとんどが「数合わせの合併。何ひとつプラスにならない」(岡山)などの拒絶反応を示したのだ。
 本部は「統合を前提とした話し合いに入るが、白紙に戻すこともありうる」(植本書記長答弁)ことを担保に採択を強行せざるをえなかった。そもそも新綱領の「公共サービス産別の形成」構想は、大民営化にあらかじめ屈服し、民営化された事業を自治労産別に包摂してのりきろうとする路線なのだ。民営化攻撃との決戦を回避するための統合は、自治労産別を変質させる。全水道の定期大会でも「全国一般との統合先行では公務公共サービス産別でなくなってしまう」と反対論が出た。
 参院選惨敗、組織人員の深刻な減少(全競労との統合にもかかわらず100万人以下に)の原因は本部の屈服路線にあることが明らかとなった。「自治労は有事法制反対方針だったはず。民主党や連合は賛成した。これでは民主党選挙に燃えるはずがない」(大分)。参院選惨敗は、本部の闘わない路線、「民主リベラル総結集―2大政党」路線の破産に起因している。だが本部はそれを「自治労の組織状況……組織が痛んでいる」(笠見副委員長答弁)せいにして路線的総括をしようとしない。
 自治労共済の全労災への移管、丸投げについても批判が相次いだ。不正経理問題に端を発して、中央本部には4000億円を超す総資産の運用能力がなく、まともな財政感覚がないことが示された。だが問題は、全労災への移管の信用保証に、闘争資金として積み立ててきた自治労基金95億円を投入することを提案したことだ。本部は、1年間討議し、来年の定期大会で基金投入を決定する方針だ。基金取り崩しは、もはや自治労が存亡をかけた闘争(ストライキ)を組まないことを意味する。基金取り崩しは断じて許せない。
 第二に、小泉構造改革との対決が激しく問われた大会となった。

 人勧・総務省への屈服に批判

 「骨太方針W」は公務員賃金の引き下げと地域別給与の導入を強調した。これに呼応して人事院は04年の「報告」で「給与構造の基本的見直し」として@「地域別給与」A「査定昇給」という新しい概念を打ち出した。@は「適切な地域間配分の実現を図る」として、民間賃金の低い地域に合わせて全国共通俸給表の水準を大幅に引き下げ、民間賃金の高い地域の職員には20%を上限とする「地域手当」を支給する方針(地域別俸給表も考慮)だ。
 大会運動方針は、地域別給与や査定昇給を「勧告」ではなく「報告」=「たたき台」にとどめ、実施時期を明示させなかったことを「成果」とし、まったく危機感がないばかりか、全面屈服しているのだ。
 討論では、寒冷地手当の適用地域の44%縮小、支給額の半減という人事院勧告の当日、総務省が示してきた「内かん」を公務員連絡会―自治労本部が追及しなかったことを暴露する(北海道)など、中央本部への地方の怒りが噴出した。「地域の官民の賃金決定に負の連鎖になりかねない」「大幅賃金カットで、格差是正に逆行する」「自治体労働運動の弱体化につながる」「断固反対の態度を鮮明にせよ」と16代議員が激しく中央本部を批判した。
 全国一律賃金を解体する重大な攻撃を打ち破り、04確定闘争を歴史的な賃闘として爆発させよう。
 さらに、切迫する公務員制度改悪との対決が問われた。8月5日に政府・行革推進事務局が公務員制度改革関連法案の骨子を公表した。能力等級制の導入など、年功賃金制を全面的に解体するものだ。「民主的公務員制度改革の実現」「労働3権奪還」の見通しを語ってきた自治労本部は、虚を突かれ、「与党方針に基づく『縮小・収束路線』の法案骨子案を提示するという政府の対応は言語道断」(大会宣言)と悲鳴を上げた。人見委員長は総括答弁で「公務労協に結集し、闘争本部を結成する」方針を提起したが、「政労協議」路線こそが改悪案を導き出したことを徹底弾劾しなければならない。
 自治労中央の屈服を許さず、今秋臨時国会での公務員制度改革関連法案提出・成立を阻止しよう。
 小泉政権は「規制改革・民間開放推進」を掲げて「官製市場」の全面開放と「市場化テスト」を打ち出した。公務職場を資本のえじきにし、公務員労働者を追放しようとしている。また「雇用の流動化」と称して任期付き短時間公務員制度の導入に踏み切った。討論で臨時・非常勤職員の激しい危機感が報告された。「全国統一ストライキを配置せよ」(富山)は天の声、地の叫びだ。

 笹森連合会長が「9条改憲」

 第三に、改憲阻止と反戦、有事法制―戦争協力拒否の闘いが厳しく問われた大会となった。
 笹森連合会長が初日の来賓あいさつで憲法9条について「戦争放棄を定めた第1項を変えてはならないが、(戦力不保持、交戦権否認の)第2項については大いに論議する必要がある」と述べ、これを連合の憲法論議の方向性とした。
 笹森は、田中明彦東大教授の9条2項削除論(00年衆院憲法調査会、04年日本経団連夏季フォーラム発言)を連合会長として支持し、これを自治労の改憲論議の方向性としても提案したのだ。
 本部は「憲法改正に対しては、あるべき社会に見合った憲法をつくるという点や安全保障のあり方、労働権・環境権・人権、地方自治など新しい課題を含めて議論を進める」(笠見副委員長)というあいまいな表現で、改憲論議を推進しようとしている。これに対して「安全保障のあり方の項に憲法9条を守るとの記載がない」(大分)など、鋭い批判が続出した。
 本部は昨年、新綱領採択直後に「国の基本政策検討委員会」を設置した。これは改憲に行き着く。「21世紀宣言」否決の継続として改憲阻止決戦を闘おう。
 国民保護法のもとで設置される国民保護対策本部―国民保護協議会が出す戦争業務命令について、本部のスタンスに疑問が集中した。
 大会前、本部は有事法制に積極的に協力することを表明した。「政府は法案づくりで地方の意見を取り入れてくれた」「国民保護の計画を作っていくとき、職員、労働者の安全問題もふくめ、計画づくり等々に組合の意見や職員参加は欠くことができない」(岡部副委員長『自治労通信』7・8月号)
 これに対して、大会での討論の冒頭に沖縄から沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落への怒りの決起と県民集会方針が提案され、自治労上京団の国会行動が報告された。神奈川からは横須賀の原子力空母の母港化に反対する10月全国集会への全国動員要請が出された。美浜原発事故を弾劾する発言も含め、反戦・反核闘争を呼びかける意見が席巻した。
 これらの発言は神奈川と沖縄のイニシアチブで15県本部が共同提案した「米軍基地撤去、新基地建設反対、日米地位協定抜本改正を求める特別決議」の採択となって結実した。

 新たな「1年間決戦」闘おう

 自治労の新たな「1年間決戦」を設定しよう。
 今大会は中間年大会ということで、多くの課題が来年の定期大会に持ち越された。しかし、すべての課題が明らかにされている。中央本部は、自治労基金問題、組織統合問題などを1年間の組織討論に付し、05年大会で最終決着を図ろうとしている。直ちに反撃を組織しよう。
 引き続き県本大会、単組大会が開かれる。さらに04確定闘争が火ぶたを切る。何よりも小泉構造改革攻撃が職場を襲う。自治労は最大の決戦局面にある。「地公3単産の統合にあたっては自治労の名称変更もある」と答弁したように、本部は自治労名称の消滅も考えている。自治労の旗を守り、闘う自治労を再生させるために、大胆に闘いを提起し、組織化しなければならない。
 05年大会へ向けて代議員を組織し、獲得しよう。戦争と民営化に反対する全世界の労働者階級と連帯し、11月労働者大行動に、教労、全逓、国鉄や民間の労働者とともに自治体労働者の大部隊を登場させよう。

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週刊『前進』(2165号3面1)(2004/09/13)

国労72回定期大会 2本の修正動議が総翼賛うち破る
 連合合流策す酒田に怒り 国鉄闘争早期収拾路線と対決
 国労再生の突破口開く

 8月26〜27日、熱海・ニューフジヤホテルで開かれた国労第72回定期全国大会は、国鉄闘争の早期収拾=解体路線のもとに全組合員を抑え込もうとした酒田・革同執行部の大反動を打ち破り、国労再生・国鉄1047名闘争勝利に向けて対決構造を発展させる大きな勝利を切り開いた。酒田執行部は「総団結・総決起の歴史的な大会に」と叫んで、この大会で総翼賛体制を形成し、連合合流へと一挙に突き進もうと陰謀をめぐらした。だが、闘う国労組合員は、これに抗して2本の修正動議を提出し、酒田執行部と対決し抜いた。酒田らの思惑は打ち破られ、国労内の分岐は鮮明となり、それによって国労の存在はぎりぎりのところで守られたのである。

 訴訟拒む酒田あいさつ

 大会の焦点は、酒田執行部と対決しぬき、@闘争団員22人への統制処分と鉄建公団訴訟原告らへの生活援助金支給凍結の解除、A鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団)に対する訴訟の方針、を打ち立てられるか否かにあった。
 連合合流を決断した酒田は、その妨げとなる訴訟は一切やらせず、1047名闘争の最終的清算へと突き進もうとした。革同もまた、訴訟を圧殺し、連合合流路線の先兵となることに踏み切った。その背後には間違いなく日共中央の指示があった。ここから鉄建公団訴訟の問題が今大会の最大の焦点になったのだ。
 大会初日の酒田充委員長のあいさつは、訴訟の否定と連合合流を露骨に押し出した。1月の拡大中央委員会で「新たな訴訟を準備する」という方針を出していたにもかかわらず、酒田は「訴訟は万策つきた時の最後の手段。現時点で万策は尽きていません。政治・行政対策等まだまだなすべきことは多くあります。従って政治解決に全力を上げる」と言い放った。未来永劫(えいごう)訴訟は絶対やらせないということだ。

 万策尽きてのパフォーマンス

 酒田は「死に物狂い(ママ)で政治行政対策を行ってきた」「不退転の決意」と恥ずかしげもなく絶叫した。だが、その中身は、国土交通省や厚生労働省、内閣府、鉄建公団に「要請」に行ったものの、体よくあしらわれたということに過ぎない。酒田自身、あいさつで「要請書を渡すだけのパフォーマンスでは意味がない」と述べたが、これらの「要請」はまさに“万策つきた酒田のパフォーマンス”にほかならない。
 酒田はまた、18日に連合の笹森会長と、大会前日の25日に民主党の藤井幹事長と会ったことをこれ見よがしに吹聴し、「政治解決」が進んでいるかのような虚構にしがみついた。だが、これこそ彼が国鉄闘争を破壊し、闘争団を切り捨てて連合に合流しようとしていることの証左ではないか。
 この間、酒田執行部は『国労文化』8月号に現職の日教組委員長や自治労副委員長の寄稿文を載せるなど、異様なまでに連合へのすり寄りを強めてきた。そして、ついに笹森に対してまで「特段のご指導とご尽力を」と平身低頭したのである。

 1047名をイラクに追放?!

 大会前には、酒田と結託した上村前副委員長(西日本本部委員長)ら革同が、「鉄道再建支援」と称して闘争団をイラクに追放しようと画策していたことが暴かれた。JR連合・西労組の森委員長から「国労の一〇四七名の人達が、日本の国内では全く出番がないけれども、イラクにおいては出番があるのではないか」(『労働レーダー』)と言われた革同は、一言も反論せず、こともあろうに西労組と一緒に駐日イラク大使館におもむき「復興支援」を申し出たというのだ。これこそ連合合流路線のおぞましい帰結だ。革同はその先兵へと転落した。
 さらに酒田は、「違いを強調して対立構造を作り出す旧態依然の大会にするのか、一致点を強調して文字通り歴史的な総団結・総決起の大会にするのかが一人ひとりに問われている」と叫び立てた。闘争の早期収拾路線に全組合員を組み伏せようとする恫喝だ。
 そして、「義を見てせざるは勇なきなり」とか「憎しみの連鎖からは何も生まれない」などとしたり顔で説教をたれた。だが、不正義の限りを尽くし、「憎しみの連鎖」をつくり出したのはいったい誰だ! 4党合意強行のために幾度も大会に機動隊を導入し、闘争団を統制処分にかけ、それに反対する組合員を権力に売り渡して、国労の団結を根底から破壊してきたのは、酒田自身ではないか。
 酒田はまた、闘争団員への統制処分や生活援助金の支給停止については一言も触れずに居直りを決め込み、その解除を傲然(ごうぜん)と拒否し去った。
 国労弁護団の宮里邦雄弁護士も、「今やるべきことは訴訟提起ではなく、政治的条件づくり。訴訟については慎重に検討すべき」と酒田に唱和した。
 大会議長の座に着いた東京地本の笹原書記長は、議長就任あいさつで「総団結の真価が問われる大切な大会だ。本部を始め機関に結集した総団結を」と言い立てた。彼は酒田とともに5・27臨大闘争弾圧を企てた中心人物だ。今度は議長として一切の反対意見を封殺し、総翼賛大会を強行しようというのである。
 1日目の討論では、革同が「一部闘争団が本部方針に従わず独自の活動を展開している現状では、直ちに新たな訴訟とはならない」(秋田地本)と唱え、チャレンジも「最高裁判決でJR復帰の道が絶たれた現実をしっかり受け止めよ」(盛岡地本)と闘争収拾をあおった。大会は、ひとたびはこうした反動にのみ込まれてしまうかに見えた。

 暗雲切り裂き動議提出

 だが、暗雲は切り裂かれた。大会2日目、反対派代議員は2本の修正動議を提出した。一つは「鉄建公団に対する訴訟を大会後、速やかに提訴する」というもの、もう一つは「闘争団員22人への組合員権停止の処分を今大会で解除する」というものだ。修正動議には、それぞれ10人の代議員が名を連ねた。
 酒田・革同執行部は、生活援助金の支給凍結の解除をにおわせることで闘う闘争団の取り込みを策し、修正動議も出させず、総翼賛・総屈服体制を築くことを狙っていた。だが、その思惑は完全に吹き飛んだ。4党合意以来の国労内の分岐と対立は、再び鮮明になったのだ。
 議事は修正動議の賛否をめぐって進行した。革同は動労千葉を排除して行われた国労と建交労共催の8・23集会を「到達点」と言いなしつつ、「国労組織に結集し決定した方針に基づいて闘いを進めよ」(近畿地本)、「処分の解除には現時点で反対だ」(名古屋地本)と闘う闘争団を恫喝した。訴訟についても「相手に反撃の口実を与えかねない」(名古屋地本)と敵対姿勢をあらわにした。
 チャレンジは、笹森や藤井に対する酒田の要請行動こそ「到達点」だと絶叫した。特に盛岡地本の代議員は、「闘う闘争団の身勝手な行動が国労内で継続されれば解決は困難」「新たな訴訟は国労としてなし得る策が尽き、解決が閉ざされた時以外は、慎重に判断すべき」と闘う闘争団や鉄建公団訴訟への敵意をむき出しにした。そして、「『国労文化』に日教組委員長のメッセージが掲載されたが、これへの批判が国労共闘チラシに出ている」「解決をよしとしない勢力の妨害に警戒心を持って対処すべき」と言い放った。連合合流路線に対する国労共闘の的確な批判が、反動どもの心臓を射抜いたのだ。
 さらに彼は、「JR連合との共同を」「JRとの労使正常化を」と言い立てた。四国エリアや上野支部のチャレンジも、単一体としての国労の解体をあからさまに要求した。
 これに対し、新橋支部、中央支部、仙台地本、高崎地本の代議員が、本部批判の論陣を張った。
 集約答弁で吉田書記長は、生活援助金の支給停止について「国労組織を維持するための措置」と居直った上、「当事者が機関に結集することを前提に、中央執行委員会で取り扱いを決定する」と述べた。鉄建公団訴訟を続ける限り、今後も支給はしないということだ。支給停止の解除は吉田の口約束に過ぎなかった。
 採決の結果、訴訟提起を求める修正動議は95人の出席代議員中23票、統制処分の解除を求める修正動議は226票の賛成を得た。否決はされたが、国労再生への基盤は確固として存在していることが示されたのだ。

 会場前で連日の宣伝行動を貫く

 会場のニューフジヤホテル前では、大会前日の25日から3日間、「国労に人権と民主主義を取り戻す会」や鉄建公団訴訟原告団、国労共闘、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」がビラまき・宣伝行動を展開した。臨大闘争弾圧被告も行動をともにした。それは会場内の闘いと一体となって、酒田体制を痛撃した。
 静岡県警と警視庁公安部がこの行動を監視し、妨害を試みた。酒田執行部はまたしても大会に警察を招き入れた。酒田・吉田・革同体制を倒さない限り、「機動隊の姿がない整然とした大会」(長野地本代議員の発言)などあり得ないこともまた明白だ。

 労働運動の大流動促進する国鉄闘争

 今大会で、酒田執行部がもくろんだ総翼賛体制の形成を阻んだことは重大な意味を持っている。
 労働運動は今、分岐・流動・再編・高揚の局面に入っている。この情勢を先端で切り開いてきたのが、4党合意以来の国鉄攻防だ。それは、4・13集会での国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名の統一陣形の形成という歴史的勝利に行き着いた。
 この勝利の大きさこそが、国鉄闘争の早期収拾と国労の連合合流を狙う大反動を引き出したのだ。だが、その反動は国労を丸ごと屈服させなければ貫徹できないものだった。
 酒田が大会のりきりのために日教組や自治労の引き込みを図ったことは、今となっては酒田の思惑を超えて、連合内の分岐と再編を促進するものとなる。革同が「建交労との共同」を唱えつつ、酒田と一体化して訴訟圧殺と連合合流の先兵となったことも、全動労争議団が鉄建公団訴訟を心底希求している中では、全労連や革同自身の分岐と再編に必ず結びつく。
 国鉄闘争は新たな流動過程に突入した。国労再生・国鉄闘争勝利へ闘おう。11月労働者大行動へ国鉄労働者の総決起をかちとろう。

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週刊『前進』(2165号4面2)(2004/09/13)

“普天間 即時閉鎖を” 沖縄6議員が呼びかけ 怒りあふれ院内集会

 8月26日午後、沖縄県選出の国会議員6氏(衆院・照屋寛徳、赤嶺政賢、東門美津子、参院・糸数慶子、大田昌秀、喜納昌吉)の呼びかけで「米軍ヘリの沖縄国際大学構内への墜落事故に抗議する緊急国会集会」が開かれた。閉会中にもかかわらず野党の国会議員29人が参加、自治労や日教組などの労働者や市民、学生400人が駆けつけ、会場の衆院第2議員会館第1会議室に入りきれなかった。
 「昨日の稲嶺県知事と小泉総理の会見は、型どおりの形式的なもの。県民の怒りは高まっています」。司会の糸数議員が怒りを込めた。照屋議員が事件発生5秒後から撮影されたビデオを説明。10階建てのビルより高く上がる黒煙、まさに戦場そのものの光景が映し出された。
 6人の沖縄選出議員が次々発言し、口々に普天間基地の即時無条件閉鎖を訴えた。大田議員は「本土の受け止め方は温度差などと言って自分のこととして考えない。温度差ではなく“鈍感度差”だ」と言を強め、「普天間は無条件ですぐに返すべきだ。絶対に代替施設を辺野古なんかに造るべきじゃない。海上を埋め立てて2000bもの滑走路の軍民共用基地だなどとはSACO最終報告にも書いてない」と怒った。
 さらに沖縄からの発言として宜野湾市職労の大城紀夫委員長が立った。「事故が起こって感じるのは有事法制と憲法9条の問題。本土で見えないことが沖縄では現実に起こってくる」と危機感をもって訴えた。
 伊波洋一宜野湾市長、渡久地朝明沖縄国際大学学長のメッセージが紹介され、民間地上空での米軍飛行の即時停止、普天間飛行場の閉鎖、さらに日米地位協定の全面改定、普天間基地の名護市辺野古への「移設・新設」中止、即時無条件撤去などを要求する「緊急国会集会アピール」を拍手で採択した。最後は照屋議員の音頭で「米軍ヘリの沖縄国際大学への墜落に抗議し、普天間飛行場の即時無条件返還の実現を目指してともにガンバロー」。
 沖縄の怒りは臨界点を超えた。米軍基地や日米安保との共存を拒否する沖縄人民の闘いは、稲嶺県政、小泉政権を根底から揺るがす過程に入った。9・5から9・26県民大会へ、全国から沖縄に駆けつけよう。

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週刊『前進』(2165号4面3)(2004/09/13)

アメリカ大使館デモ

 「米軍ヘリ墜落糾弾! 普天間基地を即時返還しろ! 辺野古の海への基地計画を白紙撤回しろ!」
 夜の都心に怒りの声が響いた。8月27日夕、米軍ヘリ墜落抗議・普天間基地返還要求集会が東京・六本木の三河台公園で開かれた。その後、300人がアメリカ大使館に向かって抗議デモをした。ビルの2階から手を振る人たち、歩道から労働者、市民が「反対!」と声をかけた。
 集会では、主催者を代表して沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さんが「普天間は閉鎖するしかない。持続した運動で頑張ろう。『けっしてうやむやにはさせないぞ』と決意して闘おう」と訴えた。
 糸数慶子、喜納昌吉両参院議員のメッセージ紹介の後、沖縄から駆けつけた桃原(とうばる)功宜野湾市議、「命を守る会」の宮城保事務局長が発言した。
 市議会の基地特別委員長である桃原さんは、墜落現場は直後に米軍が封鎖、抗議し続けたのは伊波市長のみで、同行した副知事も防衛庁長官政務官の嘉数知賢も何も言わなかったことなどを報告し、「辺野古への移設の再考」を盛り込んだ市議会決議をかちとるなどの奮闘を報告した。「(日本政府との)この温度差は何なのか! 国がいやがるような抗議をやっていかなければならない。稲嶺知事はベターな選択と言うが、なぜベストの選択、県外移設と言えないのか!」と怒りを込め、「一日も早い閉鎖、即時返還を求めて闘おう」と呼びかけた。
 宮城さんはボーリング調査を阻止している辺野古の座り込み闘争について「地元のおじい、おばあは実力で日本の権力を、安保を止めているんです。しかし、おばあたちはあと何年生きられるかわからない。国会、政府を動かす闘いを」と強く訴えた。

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週刊『前進』(2165号6面1)(2004/09/13)

国際連帯の力で11月大行動へ
10月MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)へ進む米労働者
 AFL−CIOの制動打破 共和・民主両党からの決別

 今アメリカでは、10月17日の百万人労働者行進(MWM)に向かって、労働運動の地殻変動が起こっている。8月30日、ブッシュ・共和党弾劾のニューヨーク50万人デモの爆発は、労働者自身が主人公となる新しい労働運動の潮流が巨大な力をもって登場していることを示している。動労千葉の田中康宏委員長は7月にアメリカ・サンフランシスコを訪問し、MWMとの連帯を強固にした。イギリスの戦争阻止連合(SWC)も10・17への取り組みを決定した。MWMに連帯し、11月大行動の成功へ進撃しよう。

 巨大労組が次々賛同

 日本と同様に、いやそれ以上にアメリカでは労働運動をめぐって動と反動が激しくぶつかり合っている。しかも重要なことは反動を打ち破って労働運動の再編と高揚が大きく始まっていることだ。
◆共和党弾劾に50万人
 アメリカ労働運動の最大の拠点、ニューヨークでブッシュによって挑戦的に開かれた共和党大会に対して労働者階級の怒りが爆発した。8月30日、反戦団体、UFPJ(平和と正義のための団結)やANSWERなどの呼びかけで弾劾闘争が闘われ、50万人以上が参加して大勝利した。
 戦争で殺されたイラク人と米兵の名が次々に読み上げられ、棺(ひつぎ)の列が長く続き、戦争放火者ブッシュへの怒りがたたきつけられた。だが、ケリーに投票しようというスローガンは、ほとんどなかった。これほどブッシュが憎まれているにもかかわらずだ。これまでの大統領選にはなかった現象だ。
 NYCLAW(ニューヨーク市反戦労組連合)を構成する諸労組が、このデモに圧倒的に結集して中軸を担いぬいた。同労組連の共同議長は、MWMの中心人物の一人であるブレンダ・ストークリーさんである。この50万人反ブッシュ・デモの組織化は、MWMの組織化の大前進によって支えられており、この8・30の50万人デモの爆発は必ず10・17MWMの大爆発へと発展していく。
 さらにMWMは全世界に広がろうとしている。イギリスSWCは、10・17をイラク戦争・占領を止めさせる国際デモの日として設定した。動労千葉とイギリスの鉄道労組RMTはともにMWMに賛同している。今や10・17は労働者階級の国際連帯をかけた統一行動日になろうとしている。
◆AFL−CIOの反動
 6月23日、アメリカのナショナルセンターであるAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の中央執行部は、各州のAFL−CIO州連盟、地域協議会、主要労組にあてて、MWMに賛同しないようにという「覚書」を送付した。これは、今年2月にILWUローカル10などの呼びかけで始まったMWMへの賛同が巨大に拡大しつつあることにあせったAFL−CIO指導部によるMWMへの巨大な反動であった。
 この指令は、ちょうど各組合の全国大会が開かれる時期の直前を選んで送付された。だが、この反動を打ち破って全国大会決議で、単産丸ごとの賛同がかちとられる事態が生まれている。さらに、この禁止指令と対決して公然と賛同を決議する労組支部や地域協議会が続出している。AFL−CIOの反動的統制力についに大きな風穴があけられるという画歴史的事態なのだ。
 8・30ニューヨーク50万人デモの爆発の背後には、このような労働運動をめぐる分岐・流動・再編・高揚があるのだ。
◆世界最大の郵便労組
 郵便部門では33万人という世界最大の組合員数を有するAPWU(米郵便労働者組合)は、8月27日に全国大会でMWMへの賛同を決議した。
 労働運動の新潮流が提起したMWMに、巨大な単産が丸ごとAFL−CIOの制動を打ち破って賛同するという画期的地平がかちとられたのである。従来のアメリカ労働運動の常識では考えられない大変動だ。
 なお、職種が違うが、同じ郵便労組であるNALC(都市郵便集配労組)のカリフォルニア州にある組織(5万人)も、すでに賛同している。
◆270万の教組NEA
 その前の7月8日には、AFL−CIOには加盟していないが270万人の組合員を擁するアメリカ最大の労組であるNEA(全米教育協会)の全国大会において、圧倒的多数でMWMへの賛同が採択された。
 50人の代議員が「MWMに賛同し、それを宣伝し、それへの諸支部の参加を奨励する」という決議案を提案、参加した1万2千人の代議員がそれを討議し、賛同を決定したのだ。
 NEAは、イラク戦争・占領に使われている巨額の予算を教育、福祉に回せという立場も表明した。
◆ニューヨーク交通労組
 50万人デモが闘われたニューヨークでは、TWU(全米運輸労組)ローカル100(3万8千人)とATU(運輸一般労組)ローカル100(3万人)がMWMに賛同した。両組合をあわせると、ニューヨーク市の地下鉄・バスなどの近距離交通は、ほとんどカバーされる。両組合がストをやれば、ウォール街がストップし、全米、全世界が影響を受ける。それぞれTWUとATUの中で最大級の比重をもった支部であり、労組全体を動かす力を持っている。
◆AFSCME各支部
 AFSCME(アメリカ州・郡・市従業員労組)は、日本の自治労にあたる組合で、約140万人、AFL−CIO傘下第2位ないし3位の巨大組合だ。
 このAFSCMEをめぐってはより激しく動と反動がぶつかり合っている。
 6月21日〜25日に開催された全国大会では、イラクから部隊を「出来るだけ早く戻せ」という決議案が、「今すぐ戻せ」と修正されて、圧倒的に可決された。ニューヨークの第215支部委員長であり、第1707地区協議会議長でもあるブレンダ・ストークリーさんの修正の訴えに満場総立ちでこたえたものだ。
 ストークリーさんは、ILWUローカル10のMWMの呼びかけに真っ先に個人で賛同し、MWM組織化の中心人物の一人になっている。このAFSCMEの決議が労働運動全体に衝撃を与えた。「出来るだけ早く」が実際に意味していたことは、イラク占領継続を宣言しているケリーに歩み寄ることだったからであり、それが否定されたことは民主党支持からの決別を意味するからだ。
 だが、大会の決議採択日直前に出されたAFL−CIO中央の禁止指令とAFSCME本部マッケンティー委員長の制動によって、MWMへの賛同決議の採択そのものは阻止されてしまった。この反動に対する怒りと悔しさの中から、AFSCME内部の新潮流運動による反撃が猛然と組織されていく。
 まず、AFSCME中央本部のひざ元で反撃が始まった。首都ワシントンDCとボルチモア市などの各支部を包括するAFSCME第92地域協議会が8月12日にMWM賛同の決議を上げた。
 さらに共和党ブッシュの基盤であるテキサス州ヒューストンの第1550支部からの賛同もかちとられた。ワシントン一帯の第92地域協議会は、8月末の共和党大会弾劾闘争への動員のために、ニューヨークまでのバスも仕立てているほどだ。
 さらにAFSCMEの中央本部の中からも賛同がかちとられた。中央本部のナンバー2であるウィリアム・ルーシー書記長がMWMに賛同していることが明らかになったのだ。ルーシー書記長は、黒人労組活動家連合(CBTU)の議長でもあり、CBTUは5月の大会でMWMへの賛同を決議していた。
 ルーシー書記長はAFSCMEの書記長としてAFL−CIOの執行委員会のメンバーでもあり、彼の賛同の衝撃は大きい。AFL−CIOの反動的制動は、あらゆる所から突き崩され始めているのだ。

 “労働者が主人公だ”

 MWMの画期的な点は、労働者階級が社会の主人公として、巨大な独立した勢力として登場しようとしている点だ。
 MWMが掲げる「独立した労働者の結集運動」とは、具体的には、共和・民主の2大政党制の支配からの独立を意味する。それは、労働者のエネルギーを民主党支持にねじ曲げてきた既成労組官僚に対する鮮明な対決でもある。
 これまでアメリカでは、大統領選の年には、あらゆる運動が共和・民主2大政党の選挙戦に圧倒され、飲み込まれてきた。だがMWMは、両党の支配と正面から対決する労働者階級の独立した新しい運動を提起しているのだ。
 MWMの要求項目は、皆健康保険制度、生活できる賃金、民営化反対を始めとする労働者の切実な生きる権利の要求だ。自由貿易協定によって、資本の野放図な利益追求と労働者相互の競争の強制によって、世界中の労働者がどん底の労働条件にたたき込まれることに反対し、それと密接に結びついたイラク戦争・占領に反対する要求を掲げている。文字どおり、「外への侵略戦争と内への階級戦争」への反対である。
 こうしたMWMのめざすものは、11月労働者集会を結集軸とする日本の新潮流運動がめざすものと、まったく同一だ。もはや労働者を食わせていけなくなり、侵略戦争・世界戦争に訴えるしかなくなった資本主義・帝国主義の断末魔のあがきに対して労働者階級が「ノー」を突きつけ、自分自身で立ち上がり、社会の主人公となる運動をつくっていく闘いなのだ。

 国際連帯求めるローカル10

 MWMを呼びかけたILWUローカル10の支部決議は、冒頭から次のように言っている。
 「われわれの先人たちが、この国でたゆまず労組を組織する権利のために闘ってきて、米国政府がこの権利を民主主義の要として保障してきた」
 ローカル10は、労働者の団結を守ることを一切の出発点にしている。
 02年のILWUの労働協約改定闘争時、ブッシュ政権は01年「9・11」後のアフガニスタン侵略戦争・イラク侵略戦争突入への戦時体制下で、「外への侵略戦争と内への階級戦争」攻撃そのものとして、最も戦闘的な組合であるILWUをつぶそうとしてきた。そのために、タフト・ハートレー法というスト禁止法を発動してきた。
 その後も、愛国者法T、愛国者法Uによる弾圧を狙っている。これとの激闘の中から、ローカル10は労働者の団結を守るためにも死活をかけて全米的・世界的な団結の形成を求めて全米にMWMを呼びかけ、動労千葉を始めとする全世界の闘う労働組合との国際連帯に真剣に取り組んでいるのだ。
 この決議は、MWMに最大限の労働者を労働組合の組織決定で動員することを目標にしている。MWMの組織者たちは、民主党・ケリーへの批判を真正面から行っている。ローカル10執行委員のジャック・・ヘイマンさんは「労働者階級を本当に代表することを公然と掲げる大衆政党がアメリカにはない」(動労千葉訪米パンフより)と語っている。また、ローカル10の元書記長でMWM組織化委員会のクラレンス・トーマスさんは、MWMのホームページで、「ケリーはブッシュを右から批判している」と弾劾している。

 労組官僚を鋭く弾劾

 7月25日、ボストンでの民主党全国大会弾劾闘争の主要な発言者であるブレンダ・ストークリーさんは激しく労組官僚を批判し、労働者自身の決起を呼びかけた。
 「AFSCME第1707地区協議会を代表して発言したい。第1707地区協は2万3千人。子どものケア、病人や高齢者のケア、失業者のケアをし、刑務所から出所した人の社会復帰を手伝っている、主に女性、有色の労働者の組合である」
 「しかし、上にいる人たちは、ケアはしない。彼らはデイケア労働者に対して4年間、賃上げもせず、労働協約も結ばずにいる。ブルームバーグは億万長者のくせに、ニューヨーク市の市長になって、デイケア労働者に会う時間はないと言っている。この労働者たちは、少しの賃上げにも値しないという。支配階級は、毎日、こういうふうに労働者を軽蔑し、侮辱している。だから、MWMとは、マルコムXが言ったように『精神から鎖を外せ。立ち上がれ。自分たちの利益のために闘おう』ということなのだ」
 「スウィーニー(AFL−CIO会長)! お前が代表すると言っている労働者の誰よりも、高い給料を受け取っているじゃないか。だから、お前の利益は労働者と共にあるのではなく、支配階級と共にある。だから、MWMに賛同しないように、などと言う」
 「マッケンティー(AFSCME本部委員長)は、私の組合が賛同するのを阻んだ。彼も階級の感覚から、自分の組合の組合員の気持ちからかけ離れている。だから6月の大会で労働者が立ち上がって、『今すぐイラクから部隊を帰還させよう』と叫んだ時、彼は沈黙していたのだ」
 「この部隊即時帰還の立場とMWMを推進する立場は少数意見ではない。独立した発言権を求める権利は、この国をつくり、この国を動かしつづけ、車をつくっている民衆の声だ」
 「世界で最も豊かなアメリカで、なぜわれわれは、国民健康保険を恵んでくれと言わねばならないのか。なぜ、われわれを代表すると思っているあのケリーに、嘆願しなければならないのか」
 「こういうものを振り払い、立ち上がり、自分自身でやってやろう」
 労働貴族を打倒し、組合を労働者の手に奪還してこそ、労働者は自分たち自身の利害を貫くことができることが、きっぱりと提起されている。
 ブッシュ政権は「大量破壊兵器」というウソでイラク侵略戦争を開始し、極端に金持ち優遇の税制をつくり、社会保障を破壊してきた。労働法制を改悪し600万人の労働者から時間外手当てを奪った。テロとの闘いを口実に労組を弾圧している。3年で300万人失業者が増えた。今やブッシュ政権は労働者の憎しみの的であり、労働者階級の怒りは爆発直前だ。
 組合員自身が行動し、アメリカ全土の仲間と集まり団結の力を発揮すれば、労働者の巨大なエネルギーが解き放たれる。このことをMWMは提起している。
 MWMの意義は動労千葉のアメリカ訪問とILWUローカル10との交流でより深いところで明らかになった。このことは動労千葉発行の訪米パンフ『世界に翔びたとう3』に詳しい。これを読み、広げて11月の成功に結びつけよう。
 MWMと連帯し、日本の階級的労働運動の新潮流の飛躍的発展をかちとろう。11月労働者集会を万余の結集で実現しよう。
 〔村上和幸〕

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