ZENSHIN 2004/08/09(No2161 p10)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2161号7面1)(2004/08/09)

11月労働者大行動へ驀進を
労働者階級の国際的団結で世界革命勝利の展望開こう
 革共同書記長 天田 三紀夫

 はじめに

 7月参院選の結果は、日本帝国主義に対する労働者階級の怒りが爆発し、自民党を結党以来の危機にたたき込んだ。小泉自民党政権は、グラグラになりながらしかし開きなおり、帝国主義が生き延びるために、侵略戦争へ国をあげて突入する全面的な攻撃をしかけている。
 それは、第2次大戦後の戦後革命敗北とひきかえに労働者が獲得した新憲法とそのもとでの〈戦争放棄・民主主義・団結権・人権・福祉>の一切を剥奪(はくだつ)し、帝国主義侵略戦争に突入できる体制をつくりだそうとするものだ。帝国主義が今までどおりの支配のあり方ではやっていけなくなり、改憲を射程に入れた大決戦にうって出てきている。
 21世紀冒頭の04年〜05年から07年の4年間は、日帝の改憲・資本攻勢に対して自民党政権打倒・日帝打倒へ労働者階級が総決起する大決戦だ。主体的に言えば、革共同が労働者党として飛躍し、マルクス主義・レーニン主義を復権し、帝国主義打倒・プロレタリア世界革命勝利へ、世界のプロレタリアートに対して責任をとるための階級決戦である。
 2001年9・11のムスリム人民の特殊的・極限的決起としてある反米ゲリラ戦と、03年3・20の米帝のイラク侵略戦争への全面的な突入は、帝国主義と労働者階級、帝国主義と被抑圧民族人民の全面対決を歴史の表舞台に登場させた。労働者階級と被抑圧民族人民は、帝国主義を打倒し、労働者権力を樹立し、労働者階級自己解放を実現することで全人民の解放を実現し、自己の歴史的使命を全うするのだ。
 帝国主義は、「テロ」や「大量破壊兵器」を口実に、無差別の殺人を行い、民族を抑圧し、石油天然資源を強奪し、自国の労働者を戦争へ動員し、社会的差別を激化させ、労働者の生活を破壊し、新たな世界戦争へと向かう攻撃をかけている。この「外への侵略戦争と内への階級戦争」の攻撃に対して、全世界の労働者階級は、2000万、1000万規模で反戦闘争へ決起した。またイラク・パレスチナ・中東人民は、人民の大地に根ざした武装闘争で民族解放・革命戦争を激烈に闘ってきた。
 世界的に革命的情勢が成熟している。革共同は、1917年ロシア革命を実現しながらも世界革命として成就できなかった20世紀の革命運動を総括し、21世紀早期の世界革命達成のために猛奮闘することを宣言する。今こそプロレタリア運動と組織の隊列を整え、帝国主義打倒へ、国際主義を発展させて闘いぬこう。

 第1章 新指導路線の実践で得た日本革命勝利への確信

 (1)新路線の核心は党の革命

 革共同は、昨年7月の革共同集会で新指導路線を宣言した。この間の激闘は、革共同が生まれ変わる1年間であった。
 新指導路線は、03年1〜3月の政治闘争(イラク反戦と有事立法闘争)、03春闘(動労千葉ストと3・29闘争)、選挙闘争(統一地方選挙)のいわゆる3大決戦を徹底的に総括する中で確立された。すなわち、3大決戦を個々バラバラに総括するのではなく、労働者階級の階級的戦闘的前進、階級的団結の強化の立場から総括してうちたてたものである。
 その内容は路線的には以下のように整理することができる。
 一つは、労働者階級の党として、労働者階級に根を張り、労働戦線の内部に労働者細胞を建設し、その実体的基盤の上に立つ党として、党を建設すること。これらの原理的確認を行ったことだ。
 二つは、革命的労働者党(革命的共産主義政党)建設における労働組合・労働運動への党のかかわりのもつ階級的重要性を鮮明にし、労働組合運動を革命論的に位置づけることであった。
 三つは、党建設の途上性、労働者党としての実体的形成の途上性を強く意識すること。91年5月テーゼ以降の努力にもかかわらず、いまだ超危機的レベルにある現実を強く自覚すること。この現実を打破する運動=組織戦術を戦略論的に位置づけること。党建設論の現実論的具体化として傾斜生産方式を果断に断行することであった。
 四つは、反戦政治闘争は党にとってその存在にかかわる死活的な闘争であるが、問題は運動のダイナミズムを現実的に解決するあり方を創造していくことだった。政治闘争は、直接にはあらゆる階級・階層がその担い手として出てくるが、われわれは、労働者階級の階級的決起を党が積極的に内在する形で最大限にかちとることを重心にすえて、闘いを組み立てることとした。
 五つは、議会と選挙をめぐる闘いが、プロレタリア革命、現代革命と形成途上にある党の建設にとってもつ決定的意義を明確に位置づけること。それを党の戦略・戦術の中にきちんと位置づけることを確認した。
 すなわち03年1〜3月の3大決戦をめぐってつきつけられたことは、けっして並列的な3大決戦ではなく、5月テーゼ=01年6回大会路線を真に実行するためには、党の最高指導部を先頭に、各級指導部、そして党全体が、労働運動・労働組合活動に内在していくために、自己の意識・内容、理論的蓄積、実際的経験において実体的に変革をかちとることが不可欠だということであった。これが党の革命の核心部分だ。要するに、全党が例外なく労働組合・労働運動の現実と格闘し、血のにじむ努力をしようという提起と確認をしたのだ。

 (2)03年11・9―04年3・20の地平と6月反動を突破した大激闘

 新指導路線の1年間の実践は、どのように闘われたのか。

 11・9集会の意義

 03年11・9労働者集会の意義は、戦争と資本攻勢が激化する戦時下階級闘争のもとで、開始された国際階級闘争の高揚をふまえて、日韓米の労働者階級と全世界の労働者階級に向かって、労働組合運動を武器に資本攻勢と闘いぬき、戦争と闘うことを訴えたという点にある。さらに言えば、資本攻勢と闘いぬき、対資本の闘争と反戦闘争を統一的・一体的に闘いぬいている日韓米の戦闘的階級的労働運動の潮流が、団結し、連帯して、全日本と全世界の労働者階級に階級的総決起を訴えた点にある。
 そして、11・9集会の成功自身が新しいものを創造した。結集した3000人の労働者が、階級的=国際主義的意識の現実性を体験的に共有したのだ。これは労働者階級の階級意識の強化・発展にとって決定的であった。また、この11・9は04年3・20への手がかりを与え、3・20へつなげていくこととなった。
 03年後半の闘いの新たな前進は、この11・9集会を軸にしつつ、「自治労21世紀宣言」を否決した闘い、12・23教育基本法改悪反対集会への5000人の結集として示された。新指導路線は、これらを一体として総括する立場を確立した。

 3・20と04春闘

 03年12月9日のイラク自衛隊派兵の閣議決定という戦時下階級闘争への本格的突入と、11・9を本質的震源地として開始された階級的流動は、革共同の闘いの真価を問うものとなった。まず11・9の切り開いた地平を継続し発展させていくことが問われた。特に国際統一行動と労働組合的勢力の結集による陸・海・空・港湾労組20団体陣形の維持・強化と共闘の拡大、百万人署名運動の広範で柔軟な発展が求められていた。
 さらに、帝国主義の危機と凶暴化の中で既成野党は粉砕され、労働者階級は帝国主義労働運動の制圧下に置かれているが、その内部には怒りと闘いへの欲求が渦巻いているという状況のもとで、職場からの独自の組織化を基礎に、既成のナショナルセンターの枠をこえて闘う大統一戦線=トロツキー型統一戦線をつくりだして闘うことが重要であった。
 われわれは、1〜3月のイラク派兵情勢との対決の一切を、3・20へしぼりあげる闘いを実現した。すなわち、(イ) 政治情勢に鋭く対応するが、大きな階級的対決構造をつくり上げて闘う。(ロ)11・9的運動の前進と継続・発展の見地で戦術配置を考える。(ハ) 新指導路線の貫徹の立場から、労働者階級が労働組合的運動を軸に職場生産点から最大限決起できる闘いとする。(ニ)派兵阻止の現地闘争を前段闘争として政治的に鋭く闘う。(ホ)04春闘との一体的戦取を必ずかちとる。
 このような階級的立場を確立して3・20の闘いを牽引(けんいん)した。3・20は、全世界1000万、日本で50万、日比谷6万の大結集として爆発した。

 動労千葉のスト決起

 3・20の組織化過程と動労千葉春闘過程は、完全に同時並行的であった。動労千葉は、04春闘を資本との徹底的な闘いとして闘うことを土台としつつ、対資本の闘いと反戦闘争を統一して闘った。
 動労千葉ストライキ闘争は、昨年12月闘争を先がけとして、3波にわたる配転拒否闘争、運転保安闘争、貨物春闘ストライキ闘争としてうち抜かれ、終始階級的高揚と組合的団結を深めて闘われた。そして国鉄分割・民営化攻撃の中で初めて組合員の原職復帰をかちとり、JR体制についに大きな風穴をあけた。また3・6春闘集会をバネに春闘と3・20の一体的勝利を実現した。
 この過程で明らかになったことは、動労千葉というひとつの労働組合がマルクス主義的・党的指導部の下で階級的戦闘的労働組合としてうち鍛えられ、団結した時、アルキメデスのテコとなって巨大な統一戦線の勝利をひきだし、全階級闘争の階級的戦闘的発展に貢献するということだ。すなわち、激動期の到来の中で第2、第3の動労千葉をつくりだしていくことこそが、プロレタリア革命実現への決定的な準備なのだ。

 4〜5月の進撃

 3・20の大勝利はさまざまな党派的分岐を伴いつつ、労働運動の戦闘的な芽をいたるところでつくりだした。われわれはこの流れを加速するために闘い、5・21有事立法反対の1万人決起を3・20を引き継ぐ闘いとしてかちとった。
 3・20〜5・21にはまた、百万人署名運動の全国の署名運動、連絡会運動の力がいかんなく発揮された。この力が改憲闘争へ向かっていることを支持し、決定的に重視しなければならない。
 3・20と動労千葉春闘が一体となって切り開いた階級的分岐と流動は、さまざまな産別労働運動に革命的インパクトを与えた。
 国鉄決戦では、4・13集会が1047名闘争として3500人の結集で闘われた。全労連系などの分岐をつくりだし、動労千葉の実績と努力をテコに1047名闘争陣形を一層発展させ、闘う国労の再生をめざす新たな格闘が始まった。
 さらに決定的なのは、この高揚の中で教育労働者の闘いが画期的な戦闘的反転攻勢を開始したことだ。都の教育労働者は3〜4月、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制に対する反乱を都教委と石原都政にたたきつけた。
 また全逓戦線では、郵政民営化攻撃との全面的決戦が火ぶたをきった。昨年の「自治労21世紀宣言」を否決した闘いを受けつぎ、自治体労働者の決起も進んでいる。民間では、全金本山労組が34年の長期争議を闘いぬいて、完全勝利への重大な攻防に突入した。

 6月反動との激突

 6月闘争は、こうした闘いの地平を守り継続させ、次なる爆発へ向かって必死で闘いをこじあける過程としてあった。しかし、これは容易ならない闘いであった。6月反動は、巨大な逆流、すさまじい反革命であったのだ。
 6月の逆流・反動は、04年前半の有事立法攻撃と年金改悪という超ど級の反動攻撃に立ち向かった、戦時下階級闘争の巨大な流れと高揚の中で生起した。だがこの逆流に抗して、百万人署名運動が総力で立ち上がった。6・4では緊急呼びかけ人方式の広範な陣形をもって闘い、6・13〜14と国会最終日まで不屈の闘いを貫いた。さらに、闘う教育労働者は、都教委とファシスト石原による暴力的な処分攻撃に屈せず、逆に闘いを拡大し、新たな統一戦線を生み出した。
 この中でわれわれがつかんだものは何か。日帝支配階級はその危機を絶望的に深めており、ただただ強権と奇弁でしか人民の前に登場できないということである。このことは、帝国主義の支配が限界にきていることを示すものであった。6月反動との闘いは、労働者階級の深部に渦巻く巨大な怒りとしっかりと結びつくことでその突破への道を開いたのだ。

 沖縄闘争の前進

 さらにわれわれは、復帰32年目を迎えた5・15沖縄闘争に、党の沖縄奪還綱領の再武装をかけてとりくんだ。
 現在進行する米軍の世界的再編(トランスフォーメーション)計画は、日米軍事同盟の戦略的な環としての沖縄基地の位置をますます強めるものだ。ACSA(日米物品役務相互提供協定)改定と有事法制の成立は、米軍が在日米軍基地を自由に使用できることを意味している。日本帝国主義の72年沖縄返還のペテン的、反沖縄人民的性格が、この中で全面的に暴露されつつある。
 沖縄人民は、名護新基地建設をめぐる攻防で勝利するために、新たな歴史的決起を力強く開始した。求められているのは、日本帝国主義の沖縄政策の差別的本質をはっきりと自覚し、この政策と対決する闘いを本土と沖縄を貫いて開始することだ。04年5・15は、青年労働者が労働組合の機関決定をもって沖縄現地での闘いに決起し、新たな沖縄闘争の歴史的幕開けを刻印した。
 反戦・反基地の先頭で闘ってきた三里塚闘争、北富士闘争、関西新空港闘争も、有事体制下の住民闘争、軍事基地・軍事空港反対闘争として、闘いの新たな飛躍と前進を実現した。

 反弾圧戦線の闘い

 またわれわれは、「司法改革」粉砕、治安弾圧粉砕の闘いを今春決戦の重要な一角を占めるものとして闘った。
 われわれは「司法改革」攻撃の階級的本質を、日帝の体制的危機、政治支配の危機とその治安問題への転化が進む中で、戦争・資本攻勢・改憲への突進と一体でうちだされてきた戦時司法への大転換攻撃として、鋭くとらえて闘った。これとの闘いは対日帝と同時に、日弁連の総翼賛体制化を策す日弁連執行部との闘いでもあった。
 通常国会では裁判員制度の導入など3法が成立し、戦時型司法への原理的転換が強行された。だがこれと一体で仕掛けられていた「共謀罪」新設の攻撃はひとまず阻止され、今秋以降の攻防に引き継がれた。また、迎賓館・横田裁判と水嶋裁判でデッチあげ弾圧粉砕・一審無罪の連続的勝利をもぎとったことも日帝に打撃を与え、闘う人民を鼓舞激励した。

 (3)マル青労同結成の革命的意義と1千人建設への挑戦

 03年12月、ついに待ちに待ったマルクス主義青年労働者同盟の結成大会がかちとられた。60年代のマル青労同は革共同の3全総−3回大会路線を実践してその創成期の任務を果たしたが、今次マル青労同は、帝国主義の危機爆発の時代、戦争と革命の時代の到来の真っただ中でその革命的産声をあげたのだ。
 結成大会に参加した青年労働者は、「労働者階級解放のために青年労働者が先頭に立って闘おう。マルクス主義を学び、動労千葉と共に階級的労働運動を実践しよう!」を合言葉に、全国で躍動的な闘いを開始した。
 03年マル青労同結成の革命的意義はどこにあるのか。それは、戦後革命期以来の戦後労働運動の全歴史をふりかえり、革共同の創成以来40数年の闘いの歴史をふまえる中で、今こそ階級的労働運動と労働組合運動の全面的で爆発的な発展をつくりだす時が来たということだ。その中心に青年労働者が立ち、労働者階級の自己解放を掲げて帝国主義とのあらゆる対決をやりぬき、帝国主義打倒へ攻めのぼっていくということである。
 それは同時に、圧倒的な青年労働者がマルクス主義・共産主義を自らの思想、行動原理としてつかみとり、帝国主義を打倒して労働者権力を樹立するとともに、共産主義社会の建設をやりぬいていく力を獲得していく過程でもあるのだ。
 日本と世界の階級闘争が戦時下の階級闘争に突入したその歴史的瞬間に、新生マル青労同が誕生したことの意義は大きい。決起した青年労働者を先頭に、全党の力で1000人建設をかちとろう。

 (4)産別委員会再建と地区党の前進

 新指導路線は、革共同を革命的労働者党として、労働者細胞を軸に建設していくという革共同6回大会の決定を、明確な労働組合論・労働運動論をテコにして断固実行に移すものである。われわれはそのために現場労働者同志を産別委員会指導部として確立し、そのもとで4大産別を先頭に、産別委員会を積極的に再建し確立して闘ってきた。
 この産別委員会の強力な再建と前進の中で、地区党の建設(再建)においても画期的な第一歩が切り開かれた。地区党が労働者階級全体の利害を代表する党の地区的組織として自己を形成し、産別委員会と一体となって、労働者の階級的組織化のために活動するものであることを確認した。
 この場合、地区党が、実体的にも全労働者党員の闘いと前進を総括軸にして組織されていくことがやはり重要である。この点で先制的内戦戦略の第1・第2段階の時期の闘い方の決定的歴史的意義を確認するとともに、その過程で生じた地区党や常任のあり方のゆがみ、偏向、後退などの諸問題を明確に対象化し、新指導路線にそって自己変革(組織的にも個人的にも)していく必要があるという自覚を厳しくもったということだ。

 (5)レーニンによる労働組合論の革命論的確立と実践的教訓

 新指導路線の本格的実践は、労働組合の革命論的位置づけの明確化、深化を要求している。
 マルクスは、『労働組合、その過去・現在・未来』の中で、労働組合が労働者の階級的団結の基礎をなすことを確認した上で、そうであればあるほど、「労働組合は、今や労働者階級の組織的中心として労働者階級の完全な解放という大きな利益をめざして活動することを学ばなければならない」「労働組合は、労働組合の活動が狭く利己的なものでなく、ふみにじられている幾百万の人民の解放をめざしているのだということを、全世界に十分に納得させなければならない」と、労働組合が資本と闘う労働者階級の組織された力を発揮して、プロレタリア革命の中で本質的に重要な役割を果たすことをうたいあげた。マルクスとエンゲルスの労働組合の理論は、労働者階級解放の思想的武器として確立された。
 レーニン労働組合論は、マルクスとエンゲルスを受け継ぎながら、ロシア革命の実践の中で豊かに発展させられた。その実践的教訓を徹底的に学んでいくことが必要である。いくつかの角度から深めていきたい。
 第一は、革命的前衛党と労働組合の関係である。
 はっきりと確認したいことは、党と労働組合は、二つながら労働者階級にとって絶対に必要であるということ。労働者の労働組合的な団結の階級的発展を基礎にしないで、革命の党の建設を夢想することはできない。また、労働者階級自身による革命の党の建設ぬきに、労働者が究極の勝利(自己解放)を実現することもできない。
 『共産党宣言』で述べられているように、労働者の資本との闘いは、個別的・地域的な闘いから全国的・全階級的な闘いへと発展し、その中で労働者は一つの階級として自己を形成していく。それは一つには、労働組合の全国的な発展(労働者の団結とその強化・拡大)として具体的な形をとる。同時に、労働者はその中で自己を一つの政党に組織する。労働者の階級としての形成と政治的な党への組織化(結集)は同じ一つの発展の両面である。なぜなら、階級としての労働者の自己形成は、ブルジョアジーとの対立を非和解的なものとして発展させ、政治的な対立、権力をめぐる対立を発展させるのであって、その中で、労働者階級はブルジョアジーの支配そのものの打倒と、自分たちの権力の樹立をめざすようになるからである。
 レーニンは、このマルクス・エンゲルスの理論を全面的に継承し、ロシア革命をプロレタリア革命(労働者階級による権力の樹立)として勝利させたが、レーニンの勝利の核心には、党と労働組合の関係を正しく解決していくための必死の闘いがあった。ロシア革命はその後、スターリン主義的にゆがめられ、敗北していく結果となったが、1917年革命の勝利の中には、労働者階級が帝国主義を打倒し自己の権力(プロレタリアート独裁)をうち立てていった歴史的経験がぎっしりと詰まっている。
 レーニンとボルシェビキは、共産主義者は労働組合、労働運動の中に入り、その先頭に立って闘うということを提起し、実践した。労働組合は、労働者階級の階級組織であり、大衆組織であり、闘いの砦(とりで)である。共産主義者は、積極的、意識的、具体的に労働組合員に働きかけ、労働組合をつくり、労働組合活動を行う。そのためには、前衛党の機関紙が、労働運動・労働組合運動の専用欄を設け、労働組合とその活動を積極的に反映し、労働組合運動の内容ある指導性ある論文を書くようにしなければならないとした。要するに革命党の機関紙活動をとおして労働組合運動・労働運動と結びつき、細胞を建設し、労働組合との一体性を強化していくことを組織方針の軸にすえたのだ。
 第二は、労働者階級解放闘争、プロレタリア革命と労働組合の関係である。
 これまでの国際階級闘争の歴史的経験は、労働者階級がブルジョアジーに対して日常的闘争を挑み、蜂起的闘いを組織し、さらにブルジョアジーを倒して共産主義に進んでいくためには、必ず労働組合に依拠していく以外に勝利できないことを示している。労働組合が、ブルジョアジーの権力を倒せる党の革命的発展の支柱になる。労働組合運動を強化することと、党がプロレタリア自己解放の党として発展することが、相互に強めあいながら進むのである。
 ロシア革命の勝利は、労働組合を組織し強化することが武装蜂起に勝利する基礎であり、強力な労働組合組織と労働組合運動がなければ革命の勝利をかちとることができないことを示した。ロシア革命は新しい型の革命組織、ソビエト(労働者農民兵士代表評議会)を生みだした。重要なことは、このソビエトは労働者代表ソビエトを基軸とし、労働組合がその基礎であり基地なのだ。労働組合のストライキの発展や権力の弾圧からの防衛が軸となって、ソビエトが形成され発展したのである。労働組合運動を強化して初めて武装蜂起のための基礎をよりよく築き上げることができる。実際に、労働組合を砦として労働者赤衛隊が組織され、武装蜂起を牽引した。
 しかし、このすべては革命党が労働運動・労働組合運動の先頭を担い、労働組合をつくりだし、労働組合権力のヘゲモニーをとる以外に実現できない。反動派、黒百人組が労働組合を制圧しているか、ブルジョア自由派が制圧しているか、それともメンシェビキかボルシェビキか。労働組合の党派的ヘゲモニーが革命の帰趨(きすう)を決するのだ。ロシア革命もそういう点では、労働運動・労働組合運動をめぐる激しい党派闘争の歴史であった。
 特にレーニンは、労働組合運動をめぐる論争に積極的に挑み勝利していった。さらに労働運動の拠点づくりが非合法の党組織を維持し、守ることをはっきりとさせたのである。『なにをなすべきか?』以来のレーニンの全努力はこのことと結びついている。
 第三は、労働者国家樹立=プロレタリア独裁と労働組合との関係である。
 労働組合に結集し、組織される労働者は、階級的自覚の程度はさまざまに異なる。労働組合とは、思想や政治的主張すらも異なる労働者全体を包括する特殊な組織である。労働組合は、共産主義の学校であり、国家組織ではない。もともと資本と闘う労働組合はあらゆる意味で革命の学校である。それは、団結の学校、連帯の学校、自分たちの利益の擁護の学校、経営の学校、管理の学校である。
 プロレタリアート独裁の体系は、党・ソビエト・労働組合の三つの階級組織によって構成されている。労働者は、この三つの階級的組織をとおして、共産主義に向かって革命後の社会を統治し運営していく。その際、党は指導的中心であり、ソビエトは国家機能と独裁機能を実行する組織、全国家の最高権力機関であり、労働組合はその土台であり支柱である。これはプロレタリアート独裁の機構の仕組みそのものであり、資本主義から共産主義への移行の本質にかかわる仕組みである。
 この中で、国家権力(国家による政治的支配)そのものが、「その機能を社会に返していく」形で消滅していくという時に、労働組合が決定的な役割を果たすのだ。労働組合をとおして全労働者の政治(行政)への参加が現実に可能な形で組織され(経済や生産過程の運営はもちろんのこと)、ソビエト機関と労働組合との一種の「融合」の過程をとおして国家(政治的支配)消滅が本格的に進展するコースを、現実的コースとしてつかみ取ることができる。われわれは、こうした領域を、ロシア革命や国際的な革命の経験の具体的な総括をとおしてさらに深めていかなければならない。
 以上の視点から考察しただけでも、新指導路線の実践がプロレタリア世界革命の勝利に直結する闘いであることは明らかである。

 動労千葉に学ぼう

 結論として、われわれは、昨年9月に刊行された『俺たちは鉄路に生きる2(動労千葉の歴史と教訓)』(中野洋動労千葉前委員長著)の学習を全力で開始した。そこには、動労千葉の血と汗と闘いと団結の歴史が込められている。プロレタリア革命運動における労働組合の決定的位置と役割は、動労千葉の生きた実践の中に示されているのだ。本書はまさに、新指導路線を推し進めるにあたっての「運動組織論」であり、「組織現実論」であると言って過言ではない。
 本書の発刊は、レーニンの読み方を深め、マルクス主義の理論的な発展をも促すような意味を持った。動労千葉労働運動の実践は、今秋11月労働者大行動の爆発を始め、04〜05年決戦の勝利をかちとる決定的なテコとなるものだ。

 第2章 戦争と改憲に進む日帝を打倒する一大階級決戦へ

 (1)イラク侵略戦争の激化拡大と革命的情勢の世界史的成熟

 内外情勢はますます激動している。その根底的流れの核心にあるのはイラク情勢だ。イラク情勢は4月以降の激動的発展によって決定的段階に突入した。米帝は追いつめられ、情勢の主導権を取り戻そうとあがいている。
 重要なことは、アメリカ帝国主義がイラクでやっていることは侵略戦争であり、占領後のカイライ政権のデッチあげのプロセスにすぎないということだ。米帝は、イラクの大油田を帝国主義的に独占支配することをあくまでも目的にしている。国連決議なるものは、暫定政府から移行政府、選挙、そして05年12月の正式政府発足というスケジュールを描いてみせることによって、05年12月までの多国籍軍=米(米英日)占領軍のイラク居座りを承認・合法化している。
 これは、米英占領軍による事実上の植民地支配でしかない以上、イラク人民は必ずイラク全土をおおう民族解放・革命戦争に決起し、米帝(米英日帝)を泥沼戦争へとどこまでも引きずり込んでいく。そして米帝を体制的危機へたたき込んでいくであろう。いわば唯物論的・絶対的な真理として、米帝は今や、イラク侵略戦争の泥沼にあえぎ続けるしかない。米帝の11月大統領選挙の結果がどうなろうと、結論は同じである。
 われわれは、米帝ブッシュ政権打倒を掲げて(もちろん、ケリーも同じ穴のむじなとして指弾しつつ)決起するアメリカ労働者階級の戦闘的闘い、すなわち百万人労働者大行進(10月17日予定)を断固支持する。米帝ブッシュ政権の打倒は、米帝の危機と矛盾を一層深める方向で作用することは明らかである。
 米帝の侵略戦争の世界的拡大の策動は、この間一層エスカレートしている。その背後には、北朝鮮侵略戦争の準備がある。米軍の「トランスフォーメーション」は、イラク−中東侵略戦争の継続・激化に米軍の世界体制を合わせていく面があるが、もう一方では、北朝鮮侵略戦争の体制をより実戦的な縦深性と機動性をもったものとして形成しようとする動きである。そこには、対北朝鮮にとどまらず、対中国侵略戦争への準備という戦略的伏線も同時に存在している。
 現在明らかになりつつあるトランスフォーメーションは、恐るべき規模と質をもっている。それは、日米安保再定義のもとで、日帝・自衛隊が集団的自衛権を発動して米帝・米軍とともに地球的規模で新たな侵略戦争へ突入するための再編計画である。沖縄を先頭に、首都圏(座間―横田―横須賀)を中軸として、日本列島全体がその作戦・出撃基地となる。
 米帝は、今やイラク侵略戦争から、パレスチナ、サウジアラビアなど中東全域への侵略戦争の拡大を狙いつつ、北朝鮮侵略戦争から中国侵略戦争、世界戦争へ向かおうとしているのだ。
 日帝はこの米帝と共同・競合しつつ、日帝自身の侵略戦争への道をこじ開けようとしている。武器輸出3原則をも解体し、巨大な軍需産業を形成しようとしている。これは、29年型大恐慌突入をにらんだ経済対策としても決定的な攻撃だ。
 「帝国主義世界戦争を世界革命へ転化せよ」のスローガンで断固決起しよう。

 (2)米帝経済・世界経済の危機と29年型大恐慌の本格的爆発へ

 帝国主義ブルジョアジーは、世界経済はデフレを脱却して自立的回復軌道にのりつつあるとはやし立てている。だが米帝経済の直面する危機は本質的には一層深まっている。
 米帝は、01年9月以来の歴史的低金利政策から転換すると言っている。しかしこの間の超低金利政策は、恐慌対策として行われたのだ。ローン金利のゼロ化と減税によって住宅購入と自動車購入が需要先取り的に行われ、ローンの組み替えによって生ずる差額が消費に回された。また超低金利が投資資金の債券市場から株式市場への移動を促進した。これが株価の相対的上昇を生みだし、資産効果による需要拡大ももたらした。さらに資本攻勢の激烈な展開によるリストラ効果、雇用拡大なき搾取密度の強化、非正規雇用の圧倒的拡大のもとでの賃金コストの大幅なカットなどにより、企業収益の改善を強引に実現してきたにすぎない。
 米帝経済は00年〜01年のITバブルの崩壊(バブルの全面的崩壊の始まり)以降、デフレスパイラルの危機に直面し続けてきたのである。帝国主義政権のもとでの超政治的=政策的介入によって、その爆発的発現が阻止されているにすぎないのだ。超低金利政策の転換は、その歯止めを取り払う危険もはらんでいる。
 さらに米帝経済の直面する危機は、国際資金循環構造の危機である。米帝経済は基軸通貨国の立場を利用して、巨大な貿易赤字、経常赤字を平然と放置してきた。この双子の赤字はファイナンスされなければならないが、それを支えてきたのが日・欧・アジアからの対米投資である。その中で経常収支の赤字が天文学的数字になり、ドル危機への恐怖も生じて海外からの対米投資は抑制された。だが米帝のドル安是認政策は日帝にとって不況下の円高になり、日帝はこれを阻止するために超大規模な外国為替市場への介入を行った。その数字は驚くべきものである。この結果としてドル安は一定のブレーキがかかった。しかし事態はきわめて重大な局面に突入している。
 米帝経済―世界経済はもはや、大恐慌への全面的突入の重圧から逃れることはできない。特にこの間の米帝経済や日帝経済が、中国経済とのリンクを深めてきたことは重大である。現在の中国経済は本質的には依然として残存スターリン主義そのものであり、その末期的な延命形態からくる巨大な危機と矛盾を抱え、しかもバブル化している。中国経済の危機の爆発は不可避であり、それは世界経済を一気に29年をはるかに上回る大恐慌にたたき込むことになるであろう。
 これらの情勢を労働者階級の立場からとらえた時にどういうことが言えるのか。
 それは、米帝経済−帝国主義経済の危機的本質をがっちりと見ぬき、大恐慌の重圧とイラク侵略戦争(世界戦争)にのたうち回る帝国主義の体制的行きづまり、破綻(はたん)を階級的につかみとり、帝国主義打倒・プロレタリア革命への根底的決意を今こそ打ち固めるということだ。資本主義が無限の回復力をもっているかのような大キャンペーンのウソと階級性をうち破ることだ。
 また、帝国主義ブルジョアジーは、こうした帝国主義の体制的行きづまりと大恐慌への恐怖、帝国主義間争闘戦の相互絶滅戦的激化と全世界的な民族解放・革命戦争の激化の恐怖にかられるために、今や景気動向に関係なく不断に労働者階級への大資本攻勢をかけ続けてくる。労働市場の再編と低賃金体制の強化、賃金闘争そのものの破壊、労働諸条件の改悪、非正規雇用の圧倒的増加と雇用体系の再編、団結権の破壊と治安攻撃(政党・組合の弾圧)をどんどんかけ続けてくるのである。すなわち、小泉=奥田路線のもとでの経労委報告や奥田ビジョンの全面的推進がいよいよ本格化するのである。

 (3)侵略戦争とアジア勢力圏化、改憲に突進する小泉-奥田路線

 帝国主義間争闘戦の激化の中で、日本帝国主義は危機にあえいでいる。米帝とEUによるブロック化政策の重圧下で独自の東アジア勢力圏形成の動きを開始しているが、それは絶望的に困難だ。
 小泉=奥田路線は、こうした危機に立つ日帝ブルジョアジーによる、21世紀初頭の帝国主義的な政治=経済=軍事政策の新たな展開である。それは、「聖域なき構造改革」攻撃として、95年日経連プロジェクト報告以来の攻撃を全面的に貫徹する、日帝の存亡をかけた一大資本攻勢だ。また、奥田の「交易立国論」という、基本的には中国市場も含めた「東アジア自由貿易圏構想」としてある。これは日帝ブルジョアジーの本格的な中国政策であり、帝国主義的勢力圏形成の攻撃だ。
 この間の奥田・経団連の激しい政治化は、その帝国主義政策を貫く上で、小泉の政治的軍事的攻撃との一体化が絶対不可欠だとしているからだ。7月22、23日の日本経団連の夏季セミナーには、小泉が現職首相として23年ぶりに出席し、安保防衛問題や改憲を最大のテーマに論議が行われた。奥田は、「(帝国主義間争闘戦に勝ちぬくためには)軍事力の充実も必要」「私は改憲論者」などと公言し、武器輸出の解禁をも要求して、帝国主義ブルジョアジー=財界が自ら、改憲攻撃のリーダーシップをとることを宣言した。
 この中でとりわけ重大なのは、日帝・自衛隊のイラク多国籍軍参加の決定である。多国籍軍とはストレートに米英占領軍とその同盟軍ということであり、米帝指揮下のイラク軍事占領体制への参加ということだ。このことは、自衛隊が、04〜05年をとおして、いやそれ以降もどこまでもイラク侵略戦争を続けていくということだ。米帝がイラクから撤退しないかぎり多国籍軍は解体されず、多国籍軍があるかぎり自衛隊が引き揚げることはない。
 したがって、自衛隊の多国籍軍参加は、「新しい12・9」ともいうべき超反革命的決定だ。断じて許すことはできない。われわれは、イラク人民と連帯して撤兵闘争をとことん闘い、日帝をたたきのめし、ボロボロの帝国主義的敗戦の苦しみに追い込んでいくのだ。
 さらに、有事立法の「完成」は重大な階級的意味をもつ。イラク侵略戦争(アフガニスタンも)を継続・激化させ、「国際貢献」の名で全世界へ自衛隊を派兵し、さらにはいよいよ北朝鮮侵略戦争への基礎的・法的・土台的準備が整うことになる。米帝の北朝鮮(中国)侵略戦争と日帝のそれへの競合・共同的、積極的な参戦は、今や21世紀初頭の大戦争の問題となっている。
 この情勢は、04年〜07年のスパンで見れば、改憲攻撃が日帝政治過程に百パーセントのったことを示している。
 日帝の改憲攻撃の核心は、憲法9条の破棄と前文の全面的書き換えにある。これによって日帝は、帝国主義侵略戦争への道を合憲化し、合法化することを狙っている。日帝が改憲で最低クリアしようとしているのは、集団的自衛権の明示である。
 集団的自衛権とは、自国が直接になんら武力攻撃を受けていない時でも、同盟を結んでいる他の国家が自国の存亡をかけて行う戦争(=自衛戦争と強弁できる)に対して、ともに戦争していくことができるという権利のことだ。国家には固有の自衛権があるとか、国家には自然権として自衛権があるといわれる。しかし、このことを受け入れれば、この自衛権は個別自衛権にとどまらず、集団的自衛権も正当化される。戦後の帝国主義世界の国際法でもそうなっている。日本共産党が賛美する国連憲章もそうだ。
 しかし、ここではっきりさせるべきことは、今日の世界、現代の世界は、抽象的国家群の集まりではない。実際に存在しているのは、帝国主義国家とその帝国主義支配・抑圧のもとにある被抑圧国、被従属国、いわゆる新植民地体制構成諸国だ。体制転覆されたスターリン主義諸国家や残存スターリン主義諸国も大きくはこの体系に組み込まれ、組み敷かれている。
 そして帝国主義国家は、米帝という超大国が他の帝国主義諸国などとさまざまな形で一定の同盟(軍事同盟)を結んでいる。日帝は日米安保同盟を結んでいる。そして米帝は、9・11を契機に対テロ戦争は自衛戦争だと宣言し、侵略戦争に突入し、一方的な攻撃も合法であると開き直っている。つまり米帝は、あらゆる侵略戦争を自衛の名で行っているのだ。日帝が集団的自衛権を行使できるということは、日帝が米帝とともに世界中のどこの国に対しても侵略戦争を展開できるということだ。それも全面的に交戦し、相手の軍隊・人民をせん滅し、殺りくすることができるということだ。
 したがって集団的自衛権の行使が合憲化・合法化されれば、日帝は、朝鮮半島にも中国大陸にも侵攻し、占領するあらゆる戦争行為が可能になるのだ。しかも、日帝が直接攻撃されていなくても、米帝が北朝鮮・中国などで交戦状態に入るか、入ろうとすれば、同盟国としてともに戦争状態に突入しうる。
 繰り返すが、集団的自衛権とは、帝国主義侵略戦争を発動する権利である。それはイラク侵略戦争の継続・激化・拡大だ。さらに北朝鮮侵略戦争から中国侵略戦争への突進だ。そして帝国主義世界戦争へ突き進むという展望と固く結びついているのだ。
 教基法改悪攻撃は、この改憲攻撃の前段の大反革命攻撃だ。これを阻止する闘いは、04年〜05年決戦そのものである。そして「日の丸・君が代」闘争こそ、教基法改悪阻止闘争の一大突破口であり、現実的開始だ。それはすでに、石原と闘う東京決戦として開始されている。
 小泉政権はさらに、参院選に先立つ6月4日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(骨太方針W)を閣議決定し、戦時下の資本攻勢をますます激しく展開しようとしている。この「骨太方針W」は、小泉・奥田による政治=経済攻勢、経済=政治攻勢の集大成であり、労働者人民の生活を根底から破壊し、国家・社会を戦争体制に丸ごとつくりかえていくものだ。
 郵政民営化を筆頭に、年金改悪に続く社会保障制度の全面解体と大増税、公務員制度改悪、労働法制の改悪、「三位一体改革」による地方自治の破壊と自治体の戦時的再編の推進、戦後教育の解体と反革命的再編、治安弾圧体制の大再編などの攻撃が、04年から05年にかけて、次々と激しく襲いかかろうとしている。これらの攻撃は、労働運動と労働組合の破壊を最大の核心とし、突破口として仕掛けられている。
 これらは、危機に立つ日帝支配階級の側からの、労働者階級に対する宣戦布告であり、戦後最大の階級決戦への突入である。今や04〜05年の1年間が、決定的な勝負の時となったのだ。

 第3章 労働組合をめぐる攻防に<1年間決戦>で勝ちぬけ

 (1)日韓米労働者の国際連帯貫き11月労働者大行動に総決起を

 これらの大情勢、階級情勢は、04〜05年から07年にいたる過程が、革命的情勢の急速な接近として、激動的階級情勢がうなるように進展する過程となることを意味している。
 帝国主義は、体制的危機を深める中で、全社会、全人民を戦争と大失業(大リストラ)の時代へといや応なくたたき込んでいく。したがって、労働者階級の闘いが今後、どのような出口とプロセスを通じて噴出するかは単純に予測できないとしても、年々激しく揺れ動き、ますます巨大な闘いとして巻き起こっていく趨勢(すうせい)は明白である。労働者階級の怒りと不満と闘いの要求は、どこかで必ず既成指導部の思惑をこえ、あらゆる制動を破って噴出してくるのだ。
 われわれは、この点に不動の階級的確信をおき、04〜05年の1年間こそ、新指導路線の貫徹が死活をかけて問われる1年間であることを、強く自覚して総決起していかなくてはならない。
 われわれは特に、今日の階級情勢の中で、帝国主義の攻撃の決定的環が、労働者階級の団結の最も普遍的で基礎的で土台的な形態である労働運動と労働組合そのものに加えられていることを、決定的に重視して闘うことが必要である。
 革共同は、まさに火点中の火点として、この資本家階級と労働者階級の闘いの最大の攻防点となっている労働組合をめぐる攻防にしっかりとくらいつき、労働組合運動の戦闘化・防衛・強化・再生と創造のために全力で闘う。われわれは、今日の一大資本攻勢がすぐれて権力の政治攻撃と一体の政治=経済攻撃としてあることを認識する。すなわち、この体制をかけた政治攻撃、経済攻撃と対決する闘いは、完全に戦争と反動の政治と対決する闘いと一体のものである。
 04〜05年の決戦を、労働組合をめぐるこのような攻防として徹底的に闘い、勝ちぬくことこそが、07年にいたる戦後最大の階級決戦全体の成否を決めるのだ。このことを明確にして1年間の決戦に断固突入していこう。

 3カ国連帯・3労組共闘の発展を

 04年後半から05年の決戦を闘う第一の方針は、今秋11月労働者大行動を03年を圧倒的にこえる規模・内容をもつものとしてかちとり、3カ国連帯闘争と3労組共闘を強固に発展させることである。
 今秋11月労働者大行動の意義は、帝国主義戦争への突入(戦時下への突入)と、帝国主義の体制的延命=帝国主義間争闘戦での生き残りをかけた一大資本攻勢(政治=経済攻勢)の嵐のような展開の中で、労働組合をめぐる階級的攻防に勝ちぬくことにある。
 第一に、何よりも、日帝・小泉=奥田路線の反革命的本質そのものが、労働組合の労働組合らしいあり方を解体して、一方で階級をバラバラにし、他方で産業報国会化(翼賛組合化)へと積極的に動員しようとする攻撃である。
 第二に、イラク侵略戦争が始まり、朝鮮侵略戦争が切迫し、改憲攻撃さえ具体化する中で、他方では一大資本攻勢の嵐によって労働者の職場と生活が吹き飛ばされようとしている中で、どのように闘うべきか。それへの回答はただ一つ、資本の組合破壊を打ち破り、闘う労働組合を防衛・強化するためにあくまで闘うことにある。これこそまさに生活を守り、職場を守り、反動的政治攻勢と対決し、戦争と対決していく道を実際に切り開くものだ。さらにそれこそ、もはや労働者を食わすことも働かすこともできず、戦争にあけくれるしかなくなった帝国主義を打倒し、労働者階級が自ら社会の主人公となっていく道を切り開くものだということを、強烈に訴えることだ。
 第三に、この労働者大行動の組織化は、戦後労働法制改悪=教育基本法改悪=憲法改悪の三位一体的な大反革命への、真っ向からの対決の闘いであるということだ。また、これらをそれぞれ強力に闘う力をつくりだすものだ。
 第四に、これは労働者の階級的・組合的団結権を守る闘いそのものである。この点でわれわれは、動労千葉はもとより、関西の2組合、全国金属機械・港合同と全日本建設運輸連帯・関西生コン支部の生きた実践から深く学んで総決起していかなければならない。
 第五に、教労決戦の核心が、まさに教育基本法第10条の改悪による権力の教育支配、そのための戦後日教組運動(教育労働者の組合的団結)の解体と、教師の聖職者化(戦争賛美、天皇制賛美の国家主義・愛国主義の鼓吹者化)との闘いにある中で、これに勝利する一大突破口を切り開くものだ。
 第六に、帝国主義(資本)との労働組合をめぐる階級的攻防(死闘)というテーマは、実は日韓米3カ国の国際連帯の中心テーマそのものだということだ。
 まず米国では、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)の場合、戦時下でのパトリオット法やタフト・ハートレー法の攻撃の中での02年の大闘争があり、闘う組合としての存亡をかけた死闘が今日的に続いている。ILWUのローカル10、ローカル34は、タフト・ハートレー法の大恫喝に動揺したILWU中央指導部の問題性と鋭く対峙して、ギリギリの闘いを続けている。
 韓国民主労総では、盧武鉉(ノムヒョン)政権による労働運動解体攻撃との血みどろの死闘が続いている。盧武鉉政権は、国際帝国主義と韓国ブルジョアジーの圧力を受ける中で、3000人のイラク追加派兵を強行し、WTO(世界貿易機関)・FTA(自由貿易協定)などをとおして農民の切り捨てに走る一方、損害賠償法などを再びふりかざし、闘う労働組合を破壊することに全力をあげてきている。また、民主労総は、非正規雇用の問題と組織をあげて取り組み、労働者の階級的団結を闘いとるために全力をあげている。
 11月労働者大行動は、この3カ国と3労組共闘が真に一体化し、国際的な新潮流運動のもとで、階級的労働運動が階級闘争の首座に挑戦する日である。今から直ちにこの組織化に突入し、8〜10月の3カ月間を計画的、蜂起的に闘おう。

 (2)教労戦線を突破口に4大産別決戦の勝利を押し開こう

 第二に、教労戦線を突破口に、04〜05年の4大産別決戦に総決起しよう。
★教労決戦
 04〜05年の階級決戦は教労決戦としてすでに火ぶたが切られている。「日の丸・君が代」強制拒否の闘いは、教育労働者の戦後史上のいくつかの大闘争をこえる大爆発へ向かう動きとして、ますます激しく進展してきている。
 このことをつかむためにも、東京都教育委員会による03年10・23通達=「入学式、卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」のファシスト的暴力性を怒りをもって見すえる必要がある。
 都教委の通達は、「日の丸」の掲揚や「君が代」斉唱の仕方を始め、会場設営や教職員と児童・生徒の着席の仕方、服装までもこと細かく命令し、指示したとんでもない内容である。「日の丸を会場中央にしっかり掲げろ」「会場の座席はすべてその演壇中央に向かって正面を向くようにしろ」「君が代をきちんとピアノ伴奏つきで歌え」「君が代を歌う時は全員起立せよ」「教師は指定された席につけ」ということだ。そして「これらは校長の職務命令だ。違反すれば処分する」という代物だ。
 要するに、戦前・戦中に戦争賛美のために行われた式典と同じ型にしろということだ。むきだしのファシスト的、天皇制的イデオロギーと権威の強制だ。
 有事立法で問題となった「従事命令」という点からいえば、この10・23通達こそまさに「従事命令」だ。戦争準備のための教育を内容的にも形式的にも、学校の中で生徒・児童に向かって実行せよという「従事命令」だ。個人の信念も良心も許さない、国家のため、国のために、国の指導に従って、「日の丸・君が代」の礼賛教育をやれ、愛国心を鼓舞せよ、国家の大切さを体で覚えさせろ、ということだ。
 この攻撃は、日帝がイラク派兵の強行に突き進む中で起こっている。すなわち、日帝はイラク侵略戦争への参戦を強行する中で、都教委を最先兵に、都の教育労働者への全面的な階級決戦攻撃に他に先がけてうって出たのだ。その背後には、小泉・奥田による教基法改悪・改憲攻撃があり、ファシスト都知事・石原を反革命突撃隊とする労働組合破壊と教育労働者運動解体の攻撃がある。
 だが東京の教育労働者は、自己の信念と良心にかけて、このファシスト的暴挙に対して「不起立」で抗議し、今や巨大な規模の反処分闘争を貫徹して闘っている。特に、この決起が都高教本部の屈服方針を突き破って闘われたことが重要だ。都高教内の3潮流(連合系、共産党系、反戦系)の中で共産党系の分岐と流動が始まり、職場の団結を取り戻す闘いが始まっている。しかもそれは、戦時下の教育労働者運動の「戦争協力拒否の闘い」として始まっているのだ。
 このことは、石原都政と闘う都労連運動にとっても新しい闘いの方向を示すものである。都の教育労働者のこの決起が、教育労働者の闘う全国結集体、共闘組織、支援の運動体を自らつくりだしつつ登場していることの大きさをしっかり確認したい。いまひとつの1047名闘争陣形の形成、新たな20労組的運動体が生み出されようとしているのだ。
 また、この闘いは教基法改悪・改憲攻撃との決戦そのものであり、その突破口である。そしてこの闘いは、地域の住民や子ども・生徒と保護者の決起をも不可避とする。00年代中期が改憲をめぐる最大の決戦となる中で、「日の丸・君が代」強制攻撃と根底的に対決する教育労働者の不屈の歴史的決起が開始されたことは、人民の巨大な決起の不可避性、日本階級闘争の新たな戦闘的幕開けを告げ知らせるものだ。都の教育労働者のこの決起を全国に拡大して闘おう。
★全逓決戦
 闘う全逓労働者は本年6月、79年4・28処分撤回を求めた裁判闘争の控訴審において、懲戒免職の取り消し決定という逆転勝訴の大勝利をかちとった。全逓の歴史に残る大闘争であった78越年反マル生実力闘争への報復として加えられた処分攻撃との、長期にわたる不屈の闘いがついにもぎとった勝利である。
 参院選で大敗北した小泉は、政権の存続と再確立をかけて、小泉改革路線=「骨太方針W」をいよいよ強行突破しようとしている。その最大の反革命攻撃が、郵政民営化攻撃だ。9月内閣改造で郵政民営化に反対しない内閣をつくり、帝国主義の延命をかけて、国鉄分割・民営化やNTT再編をも上回る大攻撃を掛けようとしている。それを、アジア市場をめぐる帝国主義間争闘戦として展開しようとしてきている。
 われわれは、郵政民営化攻撃と全面的に闘う決戦態勢に突入した。郵政民営化粉砕決戦は、04〜05年階級決戦そのものである。全党の英知を結集して闘おう。
★自治労決戦
 小泉構造改革「骨太方針W」のもとで自治体労働者への全面的な攻撃が始まっている。「骨太方針W」は「官から民へ」「国から地方へ」のスローガンのもと、国と自治体業務の民営化を強行し、戦後地方自治を最後的に解体し、自治体労働者を戦争体制に組み込むものだ。
 とりわけ、指定管理者制度と公務員制度改悪の攻撃は、自治体労働者を職場から追放し、労働条件を大幅に引き下げ、自治体労働運動を解体する攻撃だ。われわれは04〜05年、公務員制度改悪攻撃との大決戦に突入する。
 昨年の「自治労21世紀宣言」を否決した力を職場で固めて本格的決戦へ決起しよう。労働組合的団結を圧倒的に強化して闘い、有事体制下での自治体労働者の戦争動員を拒否する闘いを貫こう。
★国鉄決戦
 国鉄をめぐる最大の危機的情勢は、1047名闘争の早期終結策動という、国鉄決戦史上最大の反動である。それは、解雇撤回を投げ捨てようとしていることと、破産した「4党合意」に基づく和解路線にすがっているという点できわめて重大である。核心は職場生産点からの闘いを放棄してしまっていることだ。このような国労をめぐる主客の危機をはっきりさせて、今こそ1047名解雇撤回闘争を堅持して闘うことである。
 04年動労千葉春闘で鮮明に示されたように、分割・民営化体制の矛盾は、これからますます全面的に爆発、拡大する。これに対して、職場生産点からJR体制を揺るがす実力闘争をたたきつけていくことこそが決定的なのだ。日本労働運動の再生をかけて、1047名解雇撤回闘争をめぐる分岐・流動を革命的に推し進め、大党派闘争に勝利しよう。
 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の組織化、動労千葉物販闘争の拡大と支援する会の組織化は、国鉄決戦に勝利していく上できわめて重要な闘いだ。この闘いを国労大会決戦と一体的に闘おう。

 (3)マル青労同1千人建設へ

 第三に、マル青労同1000人建設を、この04〜05年の過程でなんとしても達成することである。00年代中期の最大の戦略的任務は、マル青労同1000人建設を早期に実現することだ。11月労働者大行動の成功も、改憲決戦の爆発と勝利も、ここでの前進にその一切がかかっている。
 何よりも青年のエネルギーを解き放つ闘いが重要である。青年の職場での苦闘、就職できない現実、差別への怒り、行動への欲求のエネルギーと真正面から向き合おう。そして、階級的団結、国際連帯の重要性を提起し、自らの解放と全世界の労働者人民の解放のために闘うことを訴えよう。特に、4大産別の青年部活動の組織化へ全力で決起することだ。全逓、教労、自治労を先頭に、青年労働者の爆発的エネルギーを解き放つ闘いを開始しよう。
 そのためにも、全党が今こそ労働組合運動の実践に総力をあげて飛び込むことだ。日常的な組合活動に参加し、学び、牽引することだ。役職についている場合はその立場をフルに活用しよう。1時間も無駄にできない精神で活動することが必要だ。動労千葉労働運動を自らの職場で実践に移そう。
 この闘いは、レーニン労働組合論で学んだように、マルクス主義の学習と機関紙活動を軸に細胞を建設し、労働運動の先頭に立ち、労働組合権力を握っていく闘いだ。労働組合を基礎にして帝国主義と闘い、帝国主義を打倒して、労働者階級がソビエト権力の基礎にすわり、名実ともに社会の主人公になることを実践していく闘いだ。マル青労同1000人建設は、その突破の号砲であることをはっきりさせて決起しよう。

 (4)改憲阻止の大闘争開始を

 第四は、改憲阻止闘争を本格的に開始することだ。
 改憲攻撃は、憲法第9条の反革命的転覆としてあるが、それは戦後的な平和と民主主義の全政治体制、階級的諸関係、イデオロギー体系の反革命的転覆として強行される。9条の廃棄=改憲は、まさにクーデターそのものとしての意義と迫力をもって労働者階級人民に襲いかかるのだ。この反革命の嵐に真正面から対峙・対決し、逆に腐りきった帝国主義とブルジョアジーのための戦争など粉砕するという激しい闘いに、今こそ立ち上がっていくことが求められている。
 自民党憲法改正プロジェクトチームの論点整理は、@9条の廃棄、集団的自衛権の明確化とともに、A前文の全部を書き換える、B「日本の歴史・伝統・文化・国柄・健全な愛国心」を盛り込む、C「誤った平和主義・人権意識への戒め」を盛り込む、D「国防の義務」や「家族の扶助義務」など国民の義務規定の明確化と拡大、E「新しい権利」の導入をもテコとした基本的人権の解体、F統治形態全般の改編などを含む、現憲法を全面否定し解体する内容である。
 「歴史・伝統・文化の尊重」「愛国心」は教育基本法の改悪と百パーセント一体だ。国家主義、愛国心の教育内容への強制的注入は、とんでもない侵略的排外主義的国家・社会体制をつくりだす。また「日本の歴史・伝統・文化」と言う時、その最大の支柱は天皇制と天皇制イデオロギーだ。今日教育労働者と教育現場に襲いかかっているすさまじい戦前感覚むきだしの反革命をみても、このことを確認できる。天皇を民族の団結のシンボルとせよ、天皇(制)への批判をひとかけらたりとも許すな−といった攻撃が教育の現場を襲い、そう教育しない教師は追放されるということだ。
 「人権意識の戒め」も重大な問題をはらんでいる。これは、戦後の「基本的人権」の全面圧殺の攻撃である。この戦後的権利体系破壊の攻撃は、労働三権の破壊、労働法制の全面的改変や、「司法改革」攻撃などの大反革命となってすでに襲いかかっている。
 改憲阻止闘争は、国家と革命の問題をすべての人民につきつけている。この闘いの真の勝利は、改憲を労働者階級人民の力で阻止し、侵略戦争をする国家を力で転覆し、帝国主義という体制を革命し、労働者国家(プロレタリア独裁)を樹立していくこと以外にはない。腐りきった帝国主義の全体制を、歴史のくずかごに投げ捨てることが今こそ求められているのである。
 この改憲阻止闘争は同時に、戦闘的階級的労働運動か、ファシスト的帝国主義的労働運動かをめぐる決戦である。すでに連合は「自衛権は独立国家の権利」といって自衛隊を容認し、集団的自衛権に賛成した。これに対してJR総連が「対案」として出した内容は、「自衛権は独立国家の固有の権利」と主張し、「対案」どころか連合案と一体化するものだ。すなわち自衛権の承認は、実は日本帝国主義の軍隊の承認である。そして自衛権を固有の権利とすれば必ず集団的自衛権も固有の権利になり、それは実際には日本帝国主義の集団的自衛権の承認となるのである。
 JR総連が今や完全な改憲派として、帝国主義侵略戦争への突撃隊として登場したことをはっきりさせ、JR総連の解体、打倒へ総決起することだ。
 日本共産党は、「9条を守れ」と護憲を強調して労働者階級をあざむこうとしている。しかし彼らは、日帝が帝国主義としての体制的危機と争闘戦のゆえに、自らの存亡をかけた改憲攻撃にうってでてきていることをけっして暴露しようとしない。彼らは戦争の原因はすべて日本の外=アメリカからくるものとしている。しかしこれは、帝国主義の危機と帝国主義戦争の本質を正面からとらえることを拒否し、これとの根底的対決を拒否するものだ。実際にも日帝・小泉の日米同盟不可欠論の前に軽々と粉砕され、その無力を露呈してしまっている。
 戦争に反対し、改憲を阻止するには、帝国主義の戦争と階級的・根底的に対決する闘いを組織することである。この立場にしっかりと立ち、9条改憲絶対阻止へ、巨万人民の決起を引き出す大闘争をつくりだそう。

 (5)反基地闘争の大爆発へ

 第五に、米軍トランスフォーメーションと対決し、在日米軍基地・在沖米軍基地強化阻止、日米安保軍事同盟粉砕、日帝打倒へ総決起することだ。
 米軍トランスフォーメーションは、在日米軍を、朝鮮半島から台湾海峡、インド、パキスタン、中東、アフリカをも含む帝国主義の世界侵略戦争の司令部にしていく攻撃だ。在日米軍を米太平洋軍から独立させ、独自の指揮権を与え、太平洋を空母2隻体制にし、西太平洋に新たな事前集積船を配備するという計画だ。沖縄と首都圏の基地機能の大強化が推進されようとしている。
 この米軍の再編にあわせて日帝・防衛庁は新たな「防衛計画大綱」策定へむけて論点整理を行った。「存在する自衛隊から、より機能する自衛隊への転換」を掲げ、国際活動(海外出兵)を「防衛力の設計段階から考慮」するとし、「弾道ミサイル・テロ・ゲリラへの対応」や「国際社会の平和と安定に主体的に取り組む防衛力のあり方」をうちだしている。これは、日帝がミサイル防衛と一体で巡航ミサイルや軽空母を保有し、敵基地攻撃力をつくるということだ。経団連もまた同じことを検討し、小泉=奥田路線として、一挙に進めようとしている。
 すでに、これへの反撃は、各地で全力で闘われている。沖縄では、ついに名護新基地建設白紙撤回の県民大会が決定された。三里塚・北富士・関空で、有事攻撃との身体をはった必死の決起が続いている。全力でともに闘おう。
 8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦反核闘争と8・15集会を青年労働者を先頭にして闘いとろう。

 (6)学生運動の力強い登場を

 第六は、階級闘争を牽引する学生運動の登場へ向けて、マル青労同建設と固く連帯して全力で闘うことである。
 学生への攻撃の特徴も、一切が帝国主義の侵略戦争遂行と一体となって進行している点にある。国立大学法人化攻撃をテコとする大学改革は、大学を帝国主義侵略戦争を遂行する国家戦略の道具にするものだ。その本質は都立大学改廃攻撃に鋭く現れている。
 大学を侵略戦争の反革命的拠点にすることが、現在の法政大学の学生会館をめぐる攻撃の核心である。学生の自主的活動の一切を解体、剥奪し、学生を戦争に動員する攻撃であり、徴兵制・学徒動員につながる攻撃だ。
 04年後半から05年の決戦は、教基法改悪阻止・大学改革粉砕、学生自治会・サークル活動を防衛し強化する大決戦である。この闘いは、イラク反戦・国際連帯の闘いそのものだ。学生運動は今秋決戦の先頭に立とう。

 (7)獄中同志の奪還かちとれ

 第七は、治安弾圧粉砕、長期獄中同志奪還の闘いでさらなる勝利を切り開くことだ。
 戦争と革命の時代への突入の中で、日帝は一層の強権とむきだしの暴力をもってこの危機を突破する以外になくなっている。今春国会で「共謀罪」成立を阻止した闘いをさらに大衆的に拡大し、「共謀罪」阻止・廃案を絶対にかちとろう。あらゆる治安弾圧を粉砕し、階級的団結強化のバネに転化して闘おう。
 戦時司法攻撃の中で、福嶋昌男同志への保釈却下決定が下された。また星野文昭同志は、無期攻撃と獄中で不屈に闘っている。04年こそ、戦時下階級闘争の攻防に絶対勝利する新たな決意で、福嶋同志奪還、星野再審闘争絶対勝利、富山再審闘争へ全党は総決起しよう。

 (8)差別・抑圧と闘う諸戦線の新たな前進を

 第八は、新指導路線下で、差別・抑圧との闘いの新たな前進をかちとることである。
 革命的共産主義運動は労働者階級の自己解放闘争である。労働者階級という特殊な階級に決定的に依拠して闘う。ここにおいて、民族差別・社会差別に対する闘いは絶対不可欠、必須であり、プロレタリア党はその闘いを断固として支持し、その先頭に立つ。また労働者階級は、その自己解放闘争の中でますます明確な共産主義的意識を形成していく以外に闘えない。すなわち排外主義・差別主義を容認するような階級意識では、ブルジョア階級に打倒されてしまうのだ。
 諸戦線での闘いは、被抑圧者・被差別者の生活・権利・解放のために帝国主義権力・資本と闘うわけであるが、その究極的解放は労働者階級の階級的解放=プロレタリアート独裁の樹立をとおしてこそ成し遂げられることを訴えていく運動でもあることを、明確にして闘おう。
 この実践的立場で、04年後半から05年の入管闘争、部落解放闘争、在本土沖縄出身者の闘い、「障害者」解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、アイヌ民族解放闘争を強力に推進していこう。

 第4章 革命的議会主義再確立し05年都議選に決起しよう

 (一)04〜05年の決戦は、その大きさを直視すればするほど、革共同の重々しい責任を問うている。それは、闘う労働者党の建設と革命的議員の存在にかかわる責任である。
 03年杉並区議選で、3人当選を実現できなかった敗北をのりこえることは容易なことではない。しかしわれわれは、この現実を総括して新指導路線を確立し必死で実践してきた。
 労働者階級と労働運動の現状は闘う議員をますます求めている。イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と北朝鮮侵略戦争突入情勢の中でこそ、命をかけ、身体をはって労働者階級の階級的利害を貫く革命的都議の登場が切実に求められている。05年都議選に再々度杉並で挑戦して、失った都議の議席を奪還するために総決起しようではないか。
 (二)もちろん、現在の革共同には、選挙闘争においてこれまでのあり方を圧倒的に変革しなければならないという課題がある。それは、国政を変え、都政を変え、帝国主義を打倒する闘いに直接結びつくような選挙闘争をやりぬくことである。革命的議員像の変革であり、『前進』を軸にした住民との結合をつくりだすことだ。党中央=選対本部、地区党、労働者細胞のそれぞれの活動における、生きた細胞活動への変革である。この内外情勢の激動の中で、党が階級の最先頭で闘う党として変革されなければ、それはもはや前衛ではない。
 革命的情勢の到来ということは、支配階級が凶暴化しつつ分裂・抗争する過程であり、その亀裂をついて労働者階級があらゆる既成指導部を突き揺るがして闘いの火の手を上げ始めるということだ。そこにおいて問われるのは、帝国主義とその戦争のもたらす危機をプロレタリア革命による帝国主義の打倒にまでもっていくことである。そうした革命戦略で武装された組織的前衛の闘いによって、労働者階級の闘いは真に大きく激しく、革命的に爆発していくということだ。
 その場合に、革共同が6回大会で確立した反帝・反スターリン主義世界革命の立場、プロレタリアートの自己解放闘争をとことん発展させていく立場、闘う被抑圧民族と連帯して万国の労働者を団結させていく立場こそが決定的なのだ。この戦略、この思想(プロレタリア革命=プロレタリアート自己解放闘争の勝利)は、革共同の結党以来の数十年間の血と汗の結晶だ。これこそが、これからの階級的激動の中で、必ず全世界・全日本のプロレタリアートの何よりも大切な考え方、生き方、闘い方となる。それはある意味では「おのず」とそうなると言えるくらいの唯物論的威力をもっている。
 こうした04〜05年の情勢、さらに2010年までの21世紀最初の10年間の情勢を考える時、05年都議選は、どんな位置、どんな意義をもっているのか。われわれの闘いの基軸的方針は新指導路線の徹底推進にある。そしてこの闘いは必ず、闘う労働組合運動の発展と対応関係に立つ革命的労働者党と革命的議会主義の問題を、階級闘争上の絶対的焦点にしてくる。労働者階級は、政治支配階級としての帝国主義ブルジョア階級とその権力との死闘を勝ちぬくためには、革命党を自らつくりだす以外にどんな道もないからである。
 しかもその過程は、真の労働者党をつくりだすための激しい党派闘争を不可避とする。今日すでに進行している社民党の崩壊的霧散状況、日本共産党の転向と破産、日共系労働者の左右への分岐、民主党の第2自民党化の動き、さらにはカクマルとJR総連の分裂と解体と腐敗、JR総連内部の松崎派と嶋田派の分裂の進行という全事態の中での、労働者人民による厳しい党派選択の過程として進行する。
 こうした中で、闘う労働者階級は自己の階級的利害を真に代表する革命的労働者党を絶対に必要とするし、そうした存在を真剣に求めてくる。こうした階級情勢、政党情勢の中で、革共同が革命的労働者党として登場し、革命的労働者の政党として認識され、認知されていかなければならない。
 (三)革共同政治局は、85年以来の都議選闘争の苦闘とそこにおける一定のゆがみを真剣に自己批判・自己切開し、革命的議会主義の真の内容をあらためてしっかりとつかみとり、そこでの新たな決意の上に、05年都議選闘争を長谷川英憲氏を推し立てて闘うことを決断した。この方針で全党の強力な一致をかちとり、直ちに闘いに突入していきたい。
 われわれは05年都議選を、戦時下の選挙闘争として、全力で決起する。階級情勢はそのことを避けられない課題として求めており、また勝利の条件(労働者階級人民の帝国主義に対する根源的な怒りと決起の噴出)は、階級闘争の大地の中で日一日と確実に成熟してきている。
 何よりも、新指導路線のもとでの教労決戦の爆発は、同時に石原打倒の東京決戦の爆発にむかって、上りつめていかずにはおかないのだ。さらに、年金・介護問題を始めとする社会保障制度解体と大増税への全人民的な怒りの爆発と高揚は、既成の全政党をぐらぐらに揺さぶるものとなる。さらにこの過程は、それらの一切を含めて、戦争(イラク撤兵要求、有事法制発動阻止)と改憲をめぐる国論二分の大激突を巨大につくりだすものとなっていく。
 05年都議選は、こうした情勢の中で、今次参院選に続く選挙として、事実上の国政選挙に匹敵する決定的位置をもつものとして闘われる。ここにおいて、われわれが、階級的労働運動・労働組合運動の前進を背景に、05年都議選に真っ向から挑戦して勝ちぬき、準国会議員的存在である都議をもつ政党として躍り出ることは、それ自身が石原や小泉の打倒に直結し、階級情勢を革命的に激変させる意義をもつ。
 この闘いは、革共同東京都委員会と西部地区委員会が新指導路線での徹底的な一致をかちとり、その実践をやりぬいて、04〜05年において地区党建設の大躍進を成し隊げることが勝利の絶対的基礎であり、その絶対的保障である。労働運動と反戦闘争の実践の中から05年都議選勝利を希求する不屈の意思が生み出され、労働者細胞の力が泉のようにわき出してくることこそがかぎである。党の変革をかけて、新たな決意で05年都議選に挑戦し、その絶対勝利をもぎとろう。

 第5章 新指導路線貫き、革命に勝利する党を建設しよう

 04〜05年の1年間決戦は、新指導路線を実現する党建設決戦である。この党建設の一切の環は、マル青労同1000人建設にある。新指導路線は、時間を区切って「結果を出す」実践が問われる。新指導路線の成否は、この1年間でマル青労同1000人建設を実際に実現できるか否か、それができる労働者党を建設することができるか否かにかかっている。政治局を先頭に断崖(だんがい)絶壁に身をおき、かつ壮大な可能性を確信し、全党の大運動として、マル青労同への青年労働者の大量の結集をかちとろう。
 そのためには第一に、新指導路線の徹底的一致を同時に実践的な一致としてかちとることである。その核心は、戦時下におけるイラク侵略戦争の継続・激化と教基法・改憲決戦への突入、小泉=奥田路線の政治経済攻勢の強行に、労働運動・労働組合の階級的組織化をもって勝ちぬくことである。すなわち、革命的情勢の現実化の中で、プロレタリア革命そのものを具体的に引き寄せていく闘いを全身全霊を傾けて実践することだ。
 第二に、機関紙改革の前進を軸にした党建設を本格的にかちとることである。
 『前進』は、トップアピールを先頭にして、レーニンのいう全面的・全人民的な政治暴露、政治的宣伝・扇動のレベルを上げる闘いを開始した。さらに4大産別を始めとする産別アピール、労働運動の強化・充実をかちとる闘いに力を注いだ。結節環的大闘争は、工程を一部変更しても直ちに次の号で報道する闘いに挑戦した。国際連帯を圧倒的に強化する位置づけをはっきりさせて企画した。読者からの投稿・通信欄を設け、その内容を充実させてきた。
 これらの改革の中で、『前進』をそのまま労働組合に持ち込み、分会が定期購読したり、労組役員・活動家が定期購読者になって大会議案書作成の手引きとして活用している例が報告されている。街頭の販売も飛躍的に伸び出しており、かなりの前進がかちとられている。
 だがわれわれは、もっと徹底した機関紙改革を実現しなければならない。改革の核心は、『前進』の紙面と労働者細胞との生きた現実的な呼吸にある。毎週毎週の『前進』企画が全国の労働者細胞から提案され、細胞はその機関紙を武器に職場の団結を強化するために活動する、このような関係をつくることが可能な情勢が来ているのだ。
 闘う労働者が資本と闘い、権力と闘い、党派闘争に勝利するかぎは、分厚い『前進』読者網なのだ。ロシア革命の経験はそれを実践的に示している。
 第三に、財政闘争を党活動の基軸にしっかりとすえて闘いぬくことだ。
 帝国主義打倒、プロレタリア世界革命勝利、真の労働者党建設のために、全労働者に革共同へのカンパを自信をもって訴えよう。財政闘争こそ、最も広範な労働者がプロレタリア革命運動に参加し決起していく最大の水路なのである。革共同は、非合法・非公然体制を堅持し、獄中非転向を貫いてきた党であり、革命の現実性を、現実の革命へ転化できる唯一の党だ。労働者階級の無限の信頼を確信し、財政闘争の圧倒的前進をかちとろう。
 プロレタリア世界革命への道は、新指導路線の闘いの発展の中にある。労働組合運動・労働運動の戦闘的階級的発展の中に日本革命・世界革命への道を確信し、04―05―07年の決戦へ突撃しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2161号9面1)(2004/08/09)

座り込み100日突破 辺野古で新基地阻止へ500人

 那覇防衛施設局による事実上の新米軍基地建設着工であるボーリング調査を座り込みで阻止する闘いが7月27日、100日を迎えた。ヘリ基地反対協と基地の県内移設を許さない県民会議の呼びかけのもとに、100日目を区切りとした集会が辺野古の座り込みテント前の埋め立て地でかちとられ、約500人が参加した。メインステージには反対協代表や議員とともに、座り込み闘争を日々勇気づけリードしてきた「命を守る会」のおじい、おばあたちが自信に満ちた笑顔で並んだ。
 山内徳信県民会議共同代表の開会あいさつに続き、安次富浩反対協代表が経過報告を行った。「暑い日も嵐の日も漁港のアスファルトに座り込み、市民一人ひとりの力が合わさってボーリング調査を阻止している。この美しい海を守りたいという思いに保守も革新もない。今回の参院選挙で県民世論は『辺野古への基地建設はノー』とはっきり審判を下した。座り込みの闘いは日本政府が辺野古への基地建設を断念するまで今後も胸を張ってがんばっていこう」
 「命を守る会」代表の金城祐治さんは、開口一番「私は100日間を闘い続け、また今日集まってくれたみなさんの姿を見ていると、この基地建設は絶対に止められるとあらためて確信を深めた」と涙に詰まりながら発言し、万雷の拍手で迎えられた。「今立たねばいつ立つのか! 新しい基地を辺野古が受け入れたらこの21世紀も沖縄は基地との共存を押しつけられます」と、戦争のない世の中を子や孫に引き継ぐために闘うことを訴えた。
 女性のアピールや歌のアトラクションの後、各政党あいさつでは、普天間基地の即時返還、辺野古基地建設反対を真正面から訴え勝利した糸数慶子参議院議員が登壇し、一刻の猶予もない普天間基地の危険性と、辺野古案を断念させるまで国会で政府を追及すると固い決意を表明した。最後に「ボーリング調査中止、普天間基地の辺野古移設案の撤回を求める決議」が読み上げられ、採択された。
 9月10日には「ボーリング調査阻止」を掲げた1万人規模の県民大会が開かれる。国会への沖縄からの抗議団編成も検討されている。100日にわたる座り込みという実力闘争が、日米軍事同盟の最大懸案である最新鋭米軍基地建設を日々阻止し続けている。金武町でも都市型訓練施設建設に住民の怒りが爆発し、毎朝工事車両や米軍に対する弾劾行動をたたきつけている。基地建設をめぐる激突は「島ぐるみ闘争」の情勢に入りつつある。当初は少数の座り込みから始まった闘いが「山」を動かし、建設阻止の展望を示している。
 しかし那覇防衛施設局はボーリング調査強行の姿勢を崩していない。全国の労働者・学生は沖縄・辺野古の闘いへの支援・防衛を圧倒的に強化しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2161号9面2)(2004/08/09)

世界の労働運動 韓国
 地下鉄5労組がゼネスト 職権仲裁・労組弾圧と対決

 7月21日午前4時、韓国の4大都市で地下鉄5労組がゼネストに突入した。民主労総公共連盟傘下、軌道連帯所属のソウル地下鉄(地下鉄1〜4号線)とソウル都市鉄道(5〜8号線)、仁川(インチョン)・大邱(テグ)・釜山(プサン)地下鉄の5労組だ。

 公社側が交渉拒否

 「週5日制をとおした労働強化、非正規職量産の攻撃を許すな!」と、前夜からソウルのチチュク車両基地にはソウル・仁川・都市鉄道労組8000人、釜山大学に1600人、大邱地下鉄ウォルビ基地には900人が集まった。
 交渉はスト直前まで続いた。労組の切実な増員要求を拒み、公社側は「人員凍結」でごり押し。すでに職権仲裁中のソウル地下鉄・都市鉄道・仁川地下鉄労組については「不法スト(職権仲裁が労働委に回付されると15日間スト禁止となる)」として交渉を拒否、さらに業務復帰命令違反による懲戒恫喝や労組幹部への告訴・告発などでスト破壊を図った。

 6万人の決起に

 歴史的な地下鉄ゼネストが爆発した21日、民主労総は第3次総力闘争を構えた。公共連盟、金属産業連盟・金属労組、化学繊維連盟、建設産業連盟など60余労組6万人がストライキに合流した。午後、民主労総は決意大会を開き、盧武鉉(ノムヒョン)政権を強く糾弾した。イスホ民主労総委員長は「民主労総はけっして権力と弾圧に屈服しない。職権仲裁、公権力脅威という政府の反労働者政策とイラク派兵強行に抗議を表示し、剃髪(ていはつ)と断食座り込みに入る」と宣言した。
 大会では、6月18日から精油業界初の全面ストを続けているLGカルテックス精油労組のキムジョンゴン委員長が発言し、「高賃金労働者がどうしてストに出るのか? 組合員対比50%の非正規職差別撤廃と地域における社会的責任を果たそうとする労組の要求が不正な利益を得ることなのか?」と問いかけた。

 スト禁圧と対決

 化学繊維連盟ヨス(麗水)圏共闘本部で闘ってきたLG精油労組の3大要求は、@雇用拡大をとおした週5日制実施、A非正規職差別撤廃、B地域発展基金確保による環境問題解決。部分ストから全面ストに転換した18日以降も、労組は化学精油工場の特性上、安全管理のために組合員を配置していたが、「不法スト」と決めつけた会社側は19日、ヨス工場周辺に警察兵力を配置、無理やり全工場の稼働を中断(それが20日の爆発事故に直結!)、その中で20日未明、公権力が投入された。労組は工場から撤収、ソウルに上京した900人余の組合員は5〜10人が組になって散開闘争を続けている。
 24日以降、ソウル・仁川・釜山地下鉄労組と都市鉄道労組がスト解除−業務復帰する中、大■(テグ)地下鉄労組は26日現在スト続行中。
 職権仲裁を振りかざした凶暴な弾圧と真っ向から対決した軌道連帯のゼネストは、新たな試練を労組に課した。しかし、誰がこの社会を動かしているのかは鮮明となり、イラク派兵阻止闘争の全人民的高揚とともに、戦時下の労働運動が大きく前進している。闘う民主労総、韓国労働者人民との共同闘争を発展させよう。
 (室田順子)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2161号10面1)(2004/08/09)

『共産党宣言』はマルクス主義の原点
 労働者は救済の対象ではない 階級社会の廃止へ闘う主体だ
 仲山 良介

 『共産党宣言』は今から156年前に発行された。それは、今ではひとつの古典として扱われている。だが『共産党宣言』は、21世紀現代社会、現代世界を解明し、その矛盾の根源をとらえていくための原点として、今でも完全に生きている。ソ連崩壊とともに『共産党宣言』を葬り去ろうとしたすべての努力は無駄だった。現代の資本主義の破綻(はたん)的な現実そのものが『共産党宣言』の復権を要求した。『共産党宣言』は、今こそ現代世界を根底から変革するための武器として読まれなければならない。やっぱり『共産党宣言』なのだ。

 「共産主義の妖怪」の実体は労働者(序言)

 新装改訂版「マルクス主義基本文献学習シリーズB『共産党宣言』」(川武信夫著・前進社)=写真=が出た。これは、全面的に新訳に基づいたものであり、内容的にもいくつかの個所でより鮮明な展開がなされている。革共同の新指導路線の実践のために、大いに活用されることを訴えたい。
 もともと『共産党宣言』は、共産主義者同盟という労働者の革命組織の綱領として書かれ、出版された。
 共産主義者同盟は、1848年の全ヨーロッパ的な革命の中で『共産党宣言』の考え方に沿って実際に革命闘争に立ち上がったが、革命の敗北と権力の弾圧によって組織そのものが分裂した。その結果として、『共産党宣言』は、執筆者であるマルクスとエンゲルスの著作として発行されることになった。もともとは労働者階級の革命をめざす組織の綱領として書かれたという事実には重要な意味がある。マルクスもエンゲルスも、労働者階級の実践的運動に飛び込むことによって初めて『共産党宣言』を書くことができたのである。
 その当時ヨーロッパの労働者階級は、ブルジョアジーを倒して労働者の権力を樹立することができるほど歴史的に成熟していなかった。したがって『共産党宣言』は、直ちに労働者が権力を樹立することを呼びかけているわけではない。とりあえず、ヨーロッパの封建的反動が片付けられ、ブルジョアジーとプロレタリアートの公然たる階級闘争が本格的に発展するような情勢が来ることを見通し、労働者階級は完全な勝利に向かってどのように闘うべきかを明らかにするという立場で書かれている。
 だが『共産党宣言』は、単に1848年の革命の当面の方針を提起した書であるわけではない。それは、全ヨーロッパ的に資本主義が確立されつつある中で、この資本主義社会を根底から解明し全面的に批判するものとして書かれた。また近代の労働者階級は何をすべき歴史的存在であるかを全面的に提起している。
 『共産党宣言』は、その当時激しく行われていた「共産主義とは何か」という議論に革命的な決着を付ける意味をもっていた。
 「共産主義とは何か」という問題が当時、反動派からすべての反政府党までを巻き込んだ議論となっていた。『共産党宣言』は、この状況に対して、「妖怪(ようかい)がヨーロッパに出没している――共産主義という妖怪である」という有名な書き出しをもって真っ向から切り込んでいる。誰もが恐れているが、誰もそれが何であるかを言えない「共産主義という妖怪」の実体は何なのか。これが問題だったのである。
 ブルジョアどもは、共産主義とは財産の共有である、したがって共産主義者は人間の人格や個性を認めない連中である(この非難は、人間の人格を物的な財産に解消するブルジョア的立場を前提にしている)とわめいていた。さらに、彼らは、共産主義者は女性の共有をも主張している許し難い存在である、彼らはまともな人間ではないというような一知半解の「恐るべき非難」を共産主義者に投げつけていた(この非難は、女性を物的な財産のひとつとしてしか扱わないブルジョア自身の立場を前提にしている)。
 だが、「共産主義という妖怪」の実体は、ブルジョア社会を根底から揺さぶり始めた労働者階級の存在そのものだったのである。近代の労働者階級、賃金労働者こそは、資本主義社会という最後の階級社会を内側から転覆してより高次の社会、階級を廃止した社会をつくり出す歴史的主体である。労働者階級は「共産主義」によって救われる対象としてあるのではない。闘う労働者階級の存在、これこそが「共産主義という恐ろしい妖怪」の実体なのである。『共産党宣言』はこのことを実に鮮明に提起している。まさにこのこと、この歴史的真実が、現代世界の根底的な矛盾の爆発の中で、あらためてはっきりと確認される必要がある。

 「賃労働と資本」の非和解的関係(第1章)

 「これまでのあらゆる社会の歴史(文字で書かれた歴史)は、階級闘争の歴史である」が、近代ブルジョア社会もまたひとつの階級社会である。ただ、階級対立の新しい形態におきかえられただけである。
 『共産党宣言』の第1章はこの確認から始まる。ブルジョアジーとプロレタリアートの関係は、これまでの階級社会における支配や対立と同じ関係ではない。それは、身分的な支配や隷属としてではなく、自由平等な人間の間の商品関係をとおして展開される階級的な搾取関係を基礎にし、政治的にも、法的に平等な関係のもとでの国家をとおした支配の形をとる。
 その中で、他人の労働力を買って労働力を搾取する人間(ブルジョアジー)と労働力を売って搾取される人間(プロレタリアート)の対立が基本的な2大階級間の対立として、この社会、この世界の矛盾の根幹を貫くのである。
 ブルジョアジーは昔から支配階級であったわけではない。彼らは封建社会の解体の中から新しい支配階級として登場してきた。経済的な実力で次第に封建勢力を掘り崩しながら、政治的にも決定的に支配する階級となった。暴力によって土地から切り離された農民を賃金労働者として搾取する関係を形成した。
 したがって、ブルジョアジーは最初は革命的であった。古いものを打ち壊し、自分たちの流儀に合わせて世界を大変革していった。ただしこの「革命」は、残虐きわまりない殺戮(さつりく)や民族絶滅のような悪行を徹底的に繰り広げることで貫徹されたのである。このようなやり方による旧社会の破壊をとおして近代の賃金労働者は生み出された。
 それによって、資本が労働力を買い、剰余価値を搾取する関係ができあがった。その前提のもとで、生産力が自己目的的に発展し、その力が人間を破壊する力として爆発していくような世界が現出した。そこでは、人間は一個の商品や物的な原材料のような存在となっている。そしてそれは、コントロールの効かない経済的な破滅(大恐慌)や自然環境の破壊、ひいては繰り返しの世界戦争を生み出すような世界をつくり出した。人間自身が「地の底から呼び出した魔物を制御できなくなった」世界、それが資本主義社会であり、資本主義の世界なのだ。
 『共産党宣言』においてすでにこのような宣告が与えられていた資本主義は、今まさに、このままでは人間社会の存続すら危ういところまで行き着いている。
 資本主義社会は、これまでの階級社会の発展が生み出した歴史的産物である。それは非常に特殊な歴史的な一社会である。この特殊な歴史的な一社会が、ブルジョア的な自由・平等・博愛のイデオロギー(民主主義的形式)の持っている形式的な普遍性によって、あたかも永遠に続くかのように見なされているわけだが、それが続くのは、資本主義的生産関係が実際に成り立つ限りでのことだ。しかしながら、それは、もはや成り立たないのである。あらゆる意味でその歴史的限界が突き出されている。だが、資本主義が進んで歴史の舞台から退場することはない。これに実践的な回答を与えるのは労働者階級の闘いである。

 資本主義社会の本質は何か

 労働者は資本がもうける限りで仕事にありつけるが、資本は労働者のためにあるわけではない。資本は、労働力を一個の商品としてモノとして徹底的に搾取することによって成り立っている。それでももうけが出ないとなれば、資本は労働者を街頭にほうり出す(恐慌)。それは、あれこれの人間の悪意や善意と関係なく、一個の法則として貫徹される。恐慌や不況となれば、何千万の労働者をリストラしても平気なのである。そうしなければ資本主義は成り立たないのだ。
 仕事にありついている労働者に対して、資本は極限的な搾取、労働強化を行い、一切の人間的抵抗を粉砕しようとする。労働現場の条件そのものが人間の生存を破壊していく。資本にとっては労働の条件だけでなく、労働者の生活や生存そのものがどうでもいいのだ。市場で労働力が商品として調達できればそれでいいのである。資本は、あらゆる人間関係を商品関係に還元する。
 このような関係のもとで結局は人間社会そのものが成り立たなくなるところまで進んできてしまったのが現代の資本主義なのだ。

 労働者の階級的団結の発展

 労働者階級は、最初は資本に対する単発的な抵抗から出発する。そして次第に、工場的規模で、地域的に、一個の産業の中で、さらに全国的に団結して資本と闘うようになる。労働組合的な団結としてそれは発展する。そのような形でひとつの階級として自己を形成していくのである。これは同時に労働者の政党への組織化、労働者階級自身の政党への結集としても発展する。
 マルクスは『共産党宣言』で、このように労働者の階級への自己形成を一個二重の発展としてとらえている。イギリスのチャーティスト運動やフランス革命以来の大陸における「共産主義」運動の歴史、こういうものを踏まえてマルクスは、労働者の資本との攻防戦がついにブルジョアジーとの階級対階級の政治的攻防戦となり、ブルジョアジーの支配そのものをめぐる決戦・革命となっていくことをはっきりさせ、したがって労働者階級がブルジョアジーの権力を倒すことが絶対に必要であると述べている。それなしには、労働者は階級的な自己解放闘争を完遂することができないのである。だからこそ、労働者の資本との日常的攻防の中での階級としての形成(労働組合的団結の発展)が同時に政党への組織化として、二重の発展の形で進むのである。
 労働者階級の闘争は、没落する中間諸階層や労働者の側に階級移行してくるインテリゲンチャをもその隊列に組み込み、「材料」としながら発展していく。
 労働者階級の闘争は、このようにしてついに革命にまで進むが、それはこれまでの歴史上のどの革命とも違っている。なぜなら、労働者階級は、新しく誰かの労働を搾取するために革命を行うのではなく、誰かが他人の労働力を搾取して生きる階級社会そのものを廃止するために闘うからである。
 これまでのすべての運動と違って、「プロレタリアの運動は、圧倒的多数者の利益のための圧倒的多数者による、自立的な運動である」と言っていることも基本的にはこれと同じ意味である。労働者がこの社会の多数派であるだけでなく、その解放がすべての抑圧されたものの解放につながるということだ。
 第1章の最後に、資本主義は必ずその最後を迎えるということがダイナミックに描かれている。
 その究極の根拠は、ひとつには、資本主義の発展は客観的に、搾取の対象である労働者階級人民が生活できない状態をつくり出すからである。生産力の発展が資本主義の発展(資本蓄積の増進)をもたらすメカニズムそのものに本質的限界がある。資本主義は、最後は「奴隷所有者が奴隷を食わせられない」ような事態に陥る。マルクスはこれを恐慌の繰り返しの中でついにこのような事態が訪れるものとして描いている。
 もうひとつの根拠は、資本主義社会の生産の基軸をなす資本は労働者がその団結を阻害されていることによって初めて成り立つものである、ということにある。資本と賃労働は、労働者が階級的に団結した時には、足元から崩れ去る存在(関係)なのである。労働者階級は、ジグザグに進むことを余儀なくされるとしても、闘いの中で鍛えられ、必ず階級的で組織的な「革命的団結」を生み出す。これ自身が資本主義の土台を崩す。マルクスは、その意味で「ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」と言い切ることができたのである。

 労働者階級と共産主義者の党(第2章)

 『共産党宣言』は、以上のように第1章で、労働者階級の立場に立ってブルジョア社会がどのような矛盾をはらんだ特別の社会であるのかを解き明かしながら、その矛盾の発展の中でついに必ず訪れる終局までをとらえきった。この終局は、客観主義的にではなく、労働者階級の闘いによる革命の実現としてとらえられている。ブルジョアジーを倒し革命に勝利する労働者の団結は、ひとつには労働組合の階級的発展によって、さらにはそれを基礎として実現される労働者階級自身の革命的な政党の組織化をとおしてつくり出される。
 ここでのマルクスの展開は、労働組合は経済闘争、政党は議会での政治活動と機械的に振り分けるような、後に社民やスターリン主義のもとで常識となったあり方とはまるで違っている。レーニンは、それを受け継ぎ復権しながら、『なにをなすべきか?』以後の独自の展開を追求した。
 『共産党宣言』は第2章で、共産主義者または共産主義の党の側から、ブルジョアジーやさまざまな小ブルジョア的イデオロギーと批判的に対決している。
 第一に重要なことは、共産主義者の党とさまざまな労働者政党との関係をどのように展開しているかということである。マルクスはまず、共産主義者の党は労働者の階級的利害に立つ限り他のどの党とも違わないし、同じ利害を持つと述べる。次に、だが共産主義者の党は国境を越えた労働者階級全体の共通の利害の立場に立つという点で、また常に運動全体の究極の勝利からすべてをとらえ返し闘うという点で他の労働者党と違うと言っている。またこのことは労働者一般に対する党の関係においても同じであると言っている。
 こうした展開から、共産主義者の党は労働者階級自身がつくりだす革命の党であるということを核心においてマルクスがすべてを展開していることがはっきり分かる。スターリン主義の党のあり方をわれわれが反帝国主義・反スターリン主義の立場から決定的にのりこえるためにきわめて重要な問題が提起されている。
 この点に関連して、マルクスが〈共産主義は特別な思想家が発見した原理ではない〉とし、「共産主義者の理論的命題は、現におこなわれている階級闘争、つまりわれわれの目の前で展開されている歴史的な運動の本当の諸関係を一般的に表現したものであるにすぎない」と述べていることも重要である。
 これは、直接的には、共産主義は一言で言えば私有財産の廃止と総括できるが、このような理論的表現は、ブルジョア社会の内部で現に行われている階級闘争と現実の歴史的運動を理論的にとらえたものでしかない、という意味である。これは、「私有財産の廃止」を単に「財産共有制」のようなレベルでとらえていた当時の共産主義論に対して、労働者階級がブルジョアジーを倒して社会的生産の全体を組織していく「現実の歴史的運動」の立場から全問題を提起しようとするものである。
 その立場から、第2章では、ブルジョアジーによるさまざまな共産主義へのけちつけを根底的に批判し、さらに積極的に、階級社会の廃止へ向かって進む労働者階級の闘いがどのように全面的にブルジョア社会とそのもとでの人間のあり方を覆し、変革していくかを描いている。
 マルクスは、労働者階級が支配階級となった時、つまり労働者権力を樹立した時、どのように経済的運営を行っていくか、共産主義に向かって進んでいくかについても可能な限り具体的に語っている。その一部は後に修正されたが、多くは今でも有効なものである。
 マルクスは、第2章の最後に、資本主義からの変革過程が進んで「すべての生産が結合した諸個人の手に集中されたとき」つまり、革命をとおして古い生産関係の廃止を実現した時、その時、国家は死滅し、「ブルジョア社会のかわりに、一人ひとりの自由な発展がすべての人びとの自由な発展の条件となるような協力体(アソシエーション)が登場する」と述べる。これが資本主義的生産関係の廃止をとおして形成されるより高次の社会(共産主義社会)の基本規定である。
 この結語の中に、マルクスとエンゲルスが労働者階級の立場に完全に立ちきって共産主義を「現実の歴史的運動」としてとらえ、それまでの一切の観念的な共産主義論を超えて、「私有財産の廃止=階級社会の廃止」として提起した地平が示されている。

 やっぱり『共産党宣言』だ!

 このあと第3章、第4章の展開を経て、「万国のプロレタリア、団結せよ!」をもって閉じられる『共産党宣言』の全展開はいまだに少しも古びていない。20世紀のロシア革命の勝利と破産(スターリン主義的変質と歴史的な破産・崩壊)をのりこえて、21世紀にロシア革命の勝利を螺旋(らせん)的に引き継ごうとするわれわれにとって、『共産党宣言』ははっきりと導きの糸であり続ける。帝国主義的な諸問題との具体的実践的な対決をやり抜くためにも『共産党宣言』があらためてその原点に据えられなければならない。
 『共産党宣言』で武装し、労働者学生人民の中に大胆に『共産党宣言』を持ち込む運動を展開しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2161号10面2)(2004/08/09)

新刊紹介 コミューン 9月号 民主労総の闘争史

 日韓米の闘う労働運動の国際交流が急速に進んでいる。今回は、世界最強の労働運動といわれる韓国・民主労総の闘いの歴史を紹介している。
 第1章では、軍事独裁体制の弾圧の中から、チョンテイル(全泰壱)氏の闘いを始めとした不屈の闘いによって労働組合が結成され、御用組合が転覆され、民主労総の結成がかちとられていく過程を描く。
 第2章は、民主化の旗手のように登場した金大中政権がIMF(国際通貨基金)構造調整の先兵となって労働者に襲いかかったことに対し、民主労総がこれとの大激突をつうじて御用組合との力関係を逆転していく過程を明らかにした。
 第3章は、03年2月に盧武鉉政権が誕生する過程とその後の闘いをみる。盧武鉉はイラクに派兵し、日帝の労働運動弾圧要求を受けて、警察による暴力的弾圧と損害賠償・仮差し押さえなどを労働者に加えた。これらとの死闘をとおして民主労総は、総選挙で10人の当選者を出す大前進を実現した。この偉大な地平を全面的に明らかにしている。
 資料として、民主労総創立宣言文、民主労総綱領、民主労働党綱領前文その他多数を掲載している。
 翻訳資料は、米ブッシュ政権の北朝鮮侵略戦争政策の骨格を提示したアーミテージ国務副長官の報告と、それを基にネオコンのシンクタンクである「アメリカ新世紀プロジェクト」の一員が北朝鮮との戦争の可能性を検討した文書だ。

------------------------TOPへ---------------------------