ZENSHIN 2004/07/05(No2156
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週刊『前進』(2156号1面1)(2004/07/05)
小泉政権を今こそ倒せ
多国籍軍参加阻止・改憲粉砕へ
有事法の発動を絶対に許さず年金改悪法の廃止求め闘おう
第20回参院選が6月24日公示された。労働者階級にとって7月11日投票日までの一大政治決戦への突入である。今次参院選の課題は何か。何よりも有事関連10法案の強行の上に多国籍軍参加、年金大改悪、教育基本法改悪と改憲、郵政民営化に突き進む超反動小泉政権を打倒することだ。戦争、改憲、リストラ・生活破壊の小泉に対して、積もりに積もった怒りの鉄槌(てっつい)を加えることだ。そのことによって、小泉=奥田路線のもと、体制的に破産し労働者階級を食わせることもできなくなった日帝が無慈悲にかけてきている一大資本攻勢、政治=経済攻勢、経済=政治攻勢をも絶対に打ち破ることだ。そして、この政治決戦のただ中で、資本主義・帝国主義の打倒、闘う労働者党建設のために、マル青労同1000人建設、機関紙拡大、夏期財政決戦に総決起しよう。
第1章 戦前の誤りを繰り返すな
革共同は、労働者階級人民の怒りと固く結びつき、今次参院選過程を、以下の四つの課題を真っ向から掲げた政治決戦として闘いぬくことを宣言する。小泉政権打倒のために、職場、街頭、キャンパスで総決起する決意である。
第一は、日帝・小泉の多国籍軍参加を絶対に阻止し、自衛隊即時撤退のために闘いぬくことだ。
集団的自衛権行使への突入
6月18日に小泉が強行した多国籍軍参加の閣議決定は、03年12・9イラク派兵の閣議決定に続く、日帝のイラク侵略戦争・軍事占領への全面参戦の攻撃である。米帝・米軍と共同=競合しつつ日帝・自衛隊が武力行使、日米共同作戦、集団的自衛権行使に踏み切る許しがたい事態である。
小泉はシーアイランド・サミットの前の日米首脳会談で、あろうことか新国連決議を「米国の大義の勝利」と最大限に称賛し、多国籍軍参加を早々とブッシュに約束した。従来の“多国籍軍参加は憲法違反”という政府見解をも一夜にして覆し、「統一された指揮権」を「統合された司令部」と言い換え、明白に米軍の指揮・監督・統括下にあるのに「日本が指揮権を持つ」などと強弁した。公使と政府高官レベルの口約束にすぎないものを米英の「了解」と言い繕った。6月17日の記者会見でも「武力行使はしない」「非戦闘地域に限る」などと、黒を白と言いくるめる言辞を繰り返した。
多国籍軍編成は国連新決議1546に基づく。では新決議とは何か。米英帝が独仏ロをもねじ伏せ、イラク軍事占領の継続、カイライ政権づくりと植民地化、さらには中東・北アフリカ地域の帝国主義的制圧のためにデッチあげた決議だ。ブッシュは米軍の撤退時期について、「仕事が終わった時だ」と軍事占領の永続化すら公言している。
日帝・自衛隊がこの多国籍軍として参戦することは何を意味するか。憲法9条を完全に解体し、イラク人民の武装闘争、民族解放闘争と対峙し、それを鎮圧する武力行使に出るということだ。軍事力をもって他国を制圧し、石油資源と勢力圏分割の帝国主義間争闘戦に乗り出すということだ。これは日帝が新たな15年戦争に一層深々と突入し、米帝主導の世界戦争過程に参戦していくことである。われわれは絶対に第2次世界大戦の誤りと惨禍を再び繰り返してはならない。
日本の労働者人民は今、歴史の決定的な分岐点に立っている。今こそ小泉を打倒し、多国籍軍参加を阻止し、自衛隊即時撤兵のために闘う時だ。スペインで(前政権の敗北とイラク撤退)、韓国で(民主労働党10議席の躍進)、イギリスで(地方議会選挙でブレア労働党が惨敗)、実現された闘いが日本でも完全に現実化する情勢がある。
軍事占領継続とカイライ政権づくりの「6・30主権移譲」に対し、いよいよ激しく民族解放・革命戦争に決起するイラク人民と連帯して、多国籍軍参加を絶対に阻止しよう。有事立法を発動させない、有事立法に従わない、協力しない闘いと結合して闘おう。
教基法改悪の攻撃が切迫
第二は、教育基本法改悪と改憲を阻止する闘いを開始することである。先の通常国会で有事7法案と3協定条約承認案の計10法案が強行成立し、今や教基法改悪と改憲が完全に政治日程にのぼった。今次参院選の最大争点の一つとなった。 6月16日に自公の教基法改悪の中間報告が出され、「愛国心」を盛り込むことで両党は基本的に一致した。「郷土と国を愛し」(自民)か「大切にし」(公明)かの違いが残されているだけで、次の臨時国会か通常国会には改悪法案が提出される緊迫した情勢に完全に入ったのだ。
教基法は、憲法、労組法などと並んで、戦後体制の根幹をなす法律であり、憲法と完全に一体である。その改悪は改憲に直結する。日帝の狙いは「愛国心」と教育の国家統制を軸にした、新たな侵略戦争・帝国主義戦争への国民精神総動員だ。同時にそれは日教組、教育労働者運動を解体し、産業報国会・教育報国会に変質させる攻撃だ。
教基法改悪と連動して改憲攻撃が強まっている。読売新聞社の04年改憲試案に続き、6月2日には自民党のプロジェクトチームが改憲案作成への「論点整理」を提出した。自民党の改憲案が狙う最大の焦点は、憲法9条を解体し「自衛のための戦力保持」と「個別的・集団的自衛権の行使」を明記することだ。今一つは「前文」を全面的に書き換え、「一国平和主義の誤りを正し」とか「わが国の歴史、伝統、文化、国柄、健全な愛国心」を盛り込むということだ。
自民党は参院選後、条文作成の詰めに入り、結党50年の05年11月までに改憲草案を作成すると言っている。これに対応して改憲政党、第2自民党たる民主党も6月22日、「憲法提言」中間報告を発表し、「国連主導の集団安全保障活動」に日本が関与できると明記して9条改憲に踏み込んだ。重大情勢である。有事関連10法案の成立と、イラク多国籍軍参加の閣議決定を受けて、すでに日帝が侵略戦争と海外派兵に突入している既成事実から、今や一気に改憲攻撃が本格化しようとしているのだ。
すでに改憲阻止への新たな動きも始まった。昨年11・9労働者集会を突破口に、3・20を頂点として6月決戦まで闘いぬいてきた階級闘争の歴史的地平を発展させ、参院選過程の重大決戦として改憲阻止に決起していこう。司法改革や労組法改悪との闘いなど、すべての闘いは改憲阻止につながる。小泉打倒で改憲阻止へ大きな展望を開こう。
第2章 小泉=奥田路線との対決
第三は、年金大改悪の攻撃に対し労働者人民の怒りをさらに爆発させ、年金改悪法廃止に向け闘うことだ。日帝・小泉は70%以上の強い反対を押し切り、民主党や日本共産党の裏切り・屈服にも助けられ、デタラメなやり方で改悪法案を成立させた。「合計特殊出生率1・29」という情報も後出しにして強行した。
保険料率は2017年度まで14年間上げ続け、給付は2023年まで20年間下げ続ける。しかしそれでも負担増と給付減は止まらない。これまで保険料を積み立て続けてきた労働者の年金も切り崩される。これは事実上の大増税であり国家的詐欺に等しい。しかも近い将来、年金財源と称して消費税を上げ、18%とか25%の税率にすることさえ狙っているのだ。
労働者には生活権があり、生存権がある。年金は権利である。それが保障できないのは資本主義・帝国主義が体制的に破産しているからだ。年金改悪や社会保障制度解体は戦争と直結している。そんな体制は労働者階級の力で打倒されなければならない。
年金改悪法は成立の瞬間から法律としても破産している。条文ミスさえ見つかった。労働者階級の生存権を真っ向から掲げ、年金改悪絶対反対、改悪法廃止を要求して総決起しよう。
「攻めのリストラ」を叫ぶ
第四は、戦争・改憲と一体のものとしてある日帝・小泉=奥田路線による一大資本攻勢、政治=経済攻勢、経済=政治攻勢を粉砕するために闘うことだ。
2期目に入った日本経団連・奥田体制は「闘う経団連」をうたい、「守りのリストラから攻めのリストラへ」と叫んでいる。改憲や「東アジア自由経済圏」などの侵略外交から年金・医療・介護の総合的改革や資本攻勢まで、労働者階級への大攻撃を強めている。
帝国主義経済は過剰資本・過剰生産力と大恐慌の重圧下にある。その一方で「デフレ脱却」や「景気回復」が喧伝(けんでん)されている。しかし日帝経済のこの間の「好転」なるものは、一方で徹底的なリストラ、他方で対米と景気過熱=バブル状態にある対中国の外需に支えられたものでしかない。原油高やアメリカの「双子の赤字」や高金利が一層深刻化したり、中国バブルがはじけるなら、一気に大激震する。
だからブルジョアジーは「景気回復」が続いていると言いながら、「攻めのリストラ」を叫んでいるのだ。実際、賃金は下がり続けており、消費も回復していない。帝国主義はもはや労働者を食わせることもできず、歴史的生命力を失っているのだ。小泉=奥田の改革路線による無慈悲な首切り、賃下げ、不安定雇用化、労組破壊などの攻撃と、全面対決して闘うことが求められている。
闘う組合員を権力に売り渡し、国鉄労働運動を解体する国労のチャレンジ・革同指導部、酒田体制の打倒こそが勝利を開く国鉄決戦。「日の丸・君が代」強制反対、不当処分撤回、教基法改悪阻止へ、東京を先頭に総決起する教労決戦。自治体労働者の戦争動員、公務員制度改悪との大激突に向かう自治労決戦。郵政民営化阻止、小泉・奥田=生田路線粉砕への正念場を迎えた全逓決戦。
この4大産別の闘いを先頭に、階級的原則と国際連帯を貫く労働運動、労働組合運動の前進と飛躍を、今こそ切り開こう。
そのためには、何よりも動労千葉に学び、連帯し、全産別・職場で動労千葉のように闘うことである。
以上の四つの課題を真っ向から掲げ、参院選過程の政治決戦を闘いぬこう。
そして特にこの政治決戦を、米軍の全世界的な再編(トランスフォーメーション)、在日米軍の強化と対決し、名護新基地建設阻止へと決起している沖縄の闘いと連帯して闘おう。
同時に、保健医療労組のゼネストを先頭とした韓国・民主労総の6月集中闘争への突入、3000人のイラク追加派兵反対で総決起する労働者人民の闘いと固く連帯して闘いぬこう。
一大財政闘争に決起しよう
最後に、この政治決戦のただ中で、革命的労働者党の建設のために闘うことを強く訴えたい。
当面する労働者党建設の第一の任務は、一大財政闘争だ。とりわけ夏期一時金カンパ闘争である。すべての労働者に、資本主義・帝国主義の打倒を訴え、革命の決意と展望を語り、一口10万円レベルのカンパを熱烈に訴えよう。
第二の任務は、マル青労同1000人建設だ。これを革共同の党勢拡大闘争の大プランの実践として、青年労働者を先頭に全党、全労働者の課題として、断固やりぬこう。
第三の任務は、機関紙拡大闘争だ。今やすべての労働者人民が『前進』を求めている。『前進』を読まずに世界の動きは分からない。労働組合の議案も書けない。職場、街頭、キャンパスで、『前進』の購読を確信をもって訴えよう。
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週刊『前進』(2156号1面3)(2004/07/05)
参院選政治決戦スローガン
■小泉改革は戦争国家化とリストラ・生活破壊だ。小泉政権を打倒しよう!
■「多国籍軍参加」絶対阻止! 自衛隊は即時撤退せよ!
■有事法を発動させるな! 在日米軍基地強化反対! 名護新基地建設阻止!
■教育基本法改悪絶対反対! 「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者と連帯しよう!
■憲法9条の解体を許すな! 改憲阻止を闘う大統一戦線をつくろう!
■年金改悪法廃止! 医療・介護・社会保障の改悪と解体を許すな!
■民主党は第2自民党だ。社民党・日本共産党に代わる闘う労働者党を建設しよう!
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週刊『前進』(2156号1面2)(2004/07/05)
「君が代」不当処分を撤回せよ 教職員1500人が決起集会
石原・都教委の暴挙を糾弾
「『日の丸・君が代』の強制反対!」「教職員に『日の丸・君が代』の指導を強制するな!」「憲法違反の『実施指針』を撤回せよ!」「不当処分を撤回せよ!」――東京都庁に、1500人の教育労働者の怒りのシュプレヒコールがこだました。
6月22日夕、東京都庁第2庁舎前広場で、都高教、東京教組、都教組の3単組委員長の呼びかけによる6・22全都教職員総決起集会が開催された。全都から教育労働者が続々と集まり、石原都知事と都教委による横暴極まりない教育破壊と大量不当処分に対する怒りがあふれた。
集会では、都下の教育関係の労働者で組織する9労組の代表が次々と決意表明。3月の卒業式で「君が代」不起立闘争を闘いぬき、減給処分を受けた女性労働者も発言した。(2面に発言要旨と関連記事)
都の教育労働者が、組合の枠を越えて「日の丸・君が代」処分反対集会を開いたことは画期的だ。今春の卒・入学式での300人を超える「君が代」不起立闘争が、組合全体を揺さぶり動かし始めたのである。また、その根底には、石原・都教委の激しい攻撃――教育労働運動つぶしと教育労働者の人間性・階級性を圧殺する暴挙に対して、断固たる反撃の方針と総団結を求める組合員の気持ちの高まりがある。
都の教育労働者の決起は、有事立法制定と自衛隊のイラク多国籍軍参加という戦時下での、労働者階級の総反撃の開始を告げるものである。またこの闘いは、教基法改悪・改憲阻止の闘いそのものである。連帯し、絶対に勝利しよう。
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週刊『前進』(2156号2面1)(2004/07/05)
「君が代」処分に反撃 予防訴訟第3回弁論 “都は中身の議論に入れ”
原告側が意見陳述
6月17日午後、東京地裁103号法廷で、「国歌斉唱義務不存在確認訴訟」(通称・予防訴訟)の第3回口頭弁論が行われた。今年1月に都立校の教育労働者228人が提訴した裁判で、5月末には117人が第2次提訴。計345人の大原告団が結成され、力強く闘いが進んでいる。
当日は職場から駆けつけた被処分者、教育労働者を先頭に、法廷の席数を大きく上回る人が傍聴券交付に集まった。法廷では原告席に原告団が陣取った。
口頭弁論では、原告弁護団が提出した準備書面を口頭で補足。この訴訟が「日の丸・君が代」強制により処分された後にその不当性を争うものではなく、事前に「斉唱の義務はない」ことの確認を求めて訴えたものであることに関する訴訟要件について陳述した。提訴以後、すでに卒・入学式で多数の処分が出され、とりわけ嘱託職員の再雇用取り消しはその事後では不利益を回復することのできない事態を招いていることや、予防的訴訟の訴えの利益が認められるとした過去の判例などを示した。
本裁判の最大の争点である「君が代」斉唱時の起立や斉唱の義務はない、ということから逃げ回ろうとする都教委の姿勢に対して、原告弁護団は「訴訟要件論で争うのではなく、堂々と中身の議論に入るべき」と突きつけた。次回口頭弁論までに、被告・都教委が求釈明について回答することなどが確認された。
次回・第4回口頭弁論は7月26日午後1時30分から、東京地裁103号法廷。傍聴に駆けつけよう。
解雇撤回求め提訴 再雇用取り消しの9人
同日、卒業式の「君が代」不起立などを理由に嘱託職員の職を奪われた元教員9人が、解雇撤回を求めて提訴した。都を相手取り、「処分は違法で無効」などとして、職員・講師としての地位確認と1人当たり300万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしたのだ。
9人のうち5人は、すでに定年退職して昨年度まで嘱託職員として採用され、4月以降も更新する通知を受け取っていた。またほかの4人は今年3月で定年退職を迎え、うち3人は嘱託職員として、1人は時間講師として合格が内定していた。ところが、卒業式で不起立したところ、3月30日付で、「前年度の勤務成績が良好でない」などの理由で再雇用を取り消された。2日後の4月1日から始まるはずだった嘱託職員としての職を、まったく突然、不当に奪われたのである。
「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会は、提訴にあたって声明を発表し、「私たち9人も、『国旗・国歌』を愛してきた人から、これまで不起立・不斉唱を続けてきた人まで様々です。しかし、処分を伴う職務命令をもってそれを強制することでは一致して反対です。よって、私たちは自らの良心に従い『国歌斉唱』の際立ちませんでした」「1月中に採用合格の通知を受けて勤務校との面接や打ち合わせも済ませ、授業時間割や校務分掌も決まって、後は新学期を待つだけだった3月末に、無造作に送り届けられた『すでに連絡してあった合格を取り消すことにしたので連絡します』という一片の通知書で実質解雇されたのです」と弾劾し、解雇撤回を求めて闘うことを宣言した。
また同日、予防訴訟をすすめる会、被解雇者の会、被処分者の会の3者が連名で、「生徒への『君が代』強制に抗議、被処分者への『再発防止研修』撤回を求める声明」を発表した。
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被処分者の決意表明
6・22全都教職員総決起集会で、アイム89(東京教育労働者組合)を代表して決意表明した「君が代」不起立被処分者の発言を紹介します。(編集局)
私は今年の卒業式に、自分の良心を守るために、そして子どもたちに対して都教委の手先には絶対になりたくないと思い、不起立宣言をして、不起立をしました。その私に対して、都教委は減給という処分を下しました。
アイム89が全面的に私を支援してくれて、一緒に闘っています。また248人にのぼる被処分者の人たちとともに、心強い抵抗の闘いをしている最中です。
6月8日、自民党の古賀都議が「反省しないやつには、長期研修だ」「反省をするまで再発防止研修を続けて、教壇から追放しろ」と言って、攻撃をかけてきています。しかし、私は絶対に一歩も引きません。最後まで闘っていきます。
私の叔父は、二十歳のころに、戦争の検査を受けに行かされて、そのまま帰ってきませんでした。自分の家族にも別れを告げられずに、人殺しをさせられていったのです。
子どもたちを再びこのような目にあわせるような時代を、私たちの手でつくってはなりません。戦争や国家主義的な教育は、私たち自身の従う心や、あきらめの心の中から生まれるものです。行動を断固として貫いて抵抗を大きくしていく、私たちの勇気が求められています。
どうかみなさん、振り絞るような勇気を出して、戦争に向けて心と体を奪い取ろうとしているこの時代に抵抗していく闘いを、一緒につくり上げていこうではありませんか。力を合わせて、ともに頑張りましょう。
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この間の経過
03年10月23日 都教委が「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」と実施指針。「国旗は舞台壇上正面に掲揚」「教職員は会場の指定された席で起立・斉唱」「ピアノ伴奏により行う」など子細に指示し、「教職員が職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われる」と明記
04年1月30日 都の教育労働者228人が「国歌斉唱義務の不存在確認訴訟」(予防訴訟)を東京地裁に提訴
3月 卒業式で教育労働者が「君が代」不起立・伴奏拒否
3月22日 予防訴訟第1回口頭弁論
3月30日 都教委が第1次懲戒処分。戒告171人、再雇用取り消し5人
4月5日 被処分者75人が都人事委に不服審査請求
都教委が第2次懲戒処分。減給1人、戒告19人
30日 被処分者51人が第2次の不服審査請求
5月6日 予防訴訟第2回口頭弁論
21日 卒業式でコピーを配布した元教員宅に家宅捜索
22日 都教委包囲ネット結成集会
25日 都教委が第3次懲戒処分。減給3人、戒告39人。生徒の不起立を理由に厳重注意・指導等67人
27日 新たに117人が予防訴訟の原告団に加わる。また、13人が第3次の不服審査請求
6月8日 横山教育長が都議会で「日の丸・君が代」の子どもへの指導を職務命令にする方針を表明
12日 「学校に自由の風を!」集会に1300人
17日 予防訴訟の第3回口頭弁論
再雇用を拒否された9人が撤回を求めて提訴
22日 3教組委員長呼びかけの都庁前集会に1500人
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週刊『前進』(2156号2面2)(2004/07/05)
教基法改悪 与党「中間報告」弾劾する
「国民育成」「愛国心」前面に 学校を兵士作りの場へ転換
6月16日、与党の教育基本法改正協議会の中間報告(以下、与党協案)がまとめられた。これに先立って超党派の教育基本法改正促進委員会も11日に「新教育基本法大綱案」をまとめている。さらに「教育を国家戦略の重要な柱として位置づける」とし、教基法改悪を督促する日本経団連の教育改革提言など、財界も教基法改悪と改憲に向けて活発に動いている。
自民、公明が「全面改正」で合意したことにより、教基法改悪攻撃は新たな段階を迎えた。改悪法案の次期通常国会提出は必至であり、今秋臨時国会提出もありうる情勢である。
前文における憲法理念の取り扱い、愛国心の表現などについて、未決着の領域が残されているが、与党協案は、前文を全面的に書き換えるほか、11条からなる現行教育基本法を18項目に再編する全面改悪案である。その内容は、昨年3月の中教審答申からもさらに改悪されたものとなっている。
「人格の完成」から「国民の育成」へ転換
第一に、「教育の目的」規定の大転換である。
与党協案は「教育の目的」について、「教育は、人格の完成をめざし、心身ともに健康な国民の育成を目的とすること」とした。
確かに現行教基法1条は、教育の目的を「人格の完成をめざし」と規定するとともに、「国民の育成を期して」とも言っている。教育行政側は一貫してこれを二元論的に解釈してきたことも事実である。しかし現行教基法は、前文の「個人の尊厳を重んじ」、1条の「個人の価値を尊び」と、個人の尊厳と価値をなによりも強調し、「国民の育成」には「平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成」という限定をつけている。
これに対して与党協案は、「人格の完成」をむしろお題目とし、「国民の育成」こそ教育の目的だと押し出すものとなっている。
成立当時に文部省が作成した解説書『教育基本法の解説』では、「教育は、何よりもまず人格の完成をめざして行われなければならない。……人格の完成は、国家及び社会の育成者ということの根本にあり、それより広い領域をもっている。この広い立場で育成された人間が、はじめて国家及び社会のよい形成者となることができる」と説いていた。前文の「真理と平和を希求する人間の育成」については、「ここで人間と特にいったのは、過去において国民ということが人間より先にいわれたが、よき国民たるには、まずよき人間でなければならず、よき人間はそのままよき国民となるとの信念に基づくものである」と解説している。
与党協案では、国家と個人の関係が反動的大逆転を遂げているのである。
第二に、教育目標に「伝統文化の尊重」「愛国心」を盛り込んだことである。
教育目標に「愛国心の涵養」盛り込む
与党協案は「教育の目的の実現を目指」すものとして6項目の「教育目標」をあげ、「道徳心の涵養(かんよう)」「公共の精神を重視」「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」などを盛り込むとした。
ここでは「平和」の意味は、現行憲法が明記した戦争放棄ではなく、多国籍軍参加を意味するものとなっている。「愛国心に燃え、国際平和に寄与する態度の涵養」とは、まさに侵略戦争を支持し担う国民づくり、兵士づくりを意味するものである。
こうした教育目標を盛り込むことは、後に述べる10条の解体と相まって、学校を愛国心教育、国際貢献論による侵略教育の場と化すものとなっていく。
学校教育法には、各学校ごとの教育目標がほぼ教科の目標に対応した形で示されているが、そこには「愛国心」「伝統文化の尊重」などという規定はもちろんない。だからこそ文部省は、学習指導要領に「国を愛する心情」や「国旗・国歌を尊重する態度」の育成を盛り込み、その「法的拘束力」を強弁して教育現場に押しつけてきた。
改悪教基法にこのような教育目標が盛り込まれれば、ただちに学校教育法が改悪され、学習指導要領や教科書検定基準も改訂され、教科書もどぎつい愛国主義に彩られていくことになる。
「国を愛する心」(自民党案)か、「国を大切にする心」(公明党案)か、などということが問題なのではない。今われわれは、教育の目的や目標を強制力を伴う法で定めることの是非という問題に、あらためて直面しているのである。
教育基本法の制定時の国会審議で、「この法案は、法案じゃなくて説法ではないか。国民の心得を一々法律で規定する必要はない」という質問が出されていたことを想起する必要がある。
戦前の学校教育に関する勅令は、国民学校令から大学令にいたるまで、すべて目的を明示していた。
1941年に施行された国民学校令は、第1条で「国民学校は皇国の道に則りて初等普通教育を施し国民の基礎的練成を為すを以て目的とす」とし、これを受けて施行規則第1条には「教育に関する勅語の趣旨を奉体して教育の全般に亘(わた)り皇国の道を修練せしめ特に国体に対する信念を深からしむべし」など、10項目の教育方針が示されていた。大学令にも「国家に須要なる」学術の教育研究や、「国家思想の涵養」が規定されていた。
これに対して、教基法作成当時の文相であった田中耕太郎は、「教育基本法は従来の誤った国家主義的教育目的を廃止し、これに代わるに正しいものを以てしたことにおいて意義を有するものである」と、法による教育目的の設定を、あくまで転換期の例外的暫定的措置としていた。
教育基本法は、国民主義を抑制し普遍的人間主義を強調する教育目的を掲げ、他方で教育の自主性をうたうことで、平和教育のよりどころともなってきた。
しかし、愛国心の育成を教育目標として法定する改悪教育基本法は、改悪というレベルをはるかに超えて、支配階級による人民の思想統制の強力な武器へとその性格を一変しようとしているのだ。
「権利としての教育」を否定し差別化を推進
第三に、「権利としての教育」を完全に否定し、教育を国家に対する義務としていることである。
「教育の目的」を「国民の育成」とした与党協案は、「義務教育」の項目で「義務教育は、国民としての素養を身につけるために行われる」と規定した。先に引用した国民学校令の「国民の基礎的練成」という目的規定の復活である。そして、子どもの「規律を守り、真摯(しんし)に学習する態度」を盛り込み、さらにそれを「学習者の責務」と明記することを画策している。
「教育目標」に盛り込まれた「健全な身体の育成」「能力の伸長」「創造性」「職業との関連を重視」なども、エリート教育のための教育制度の複線化、教育内容の差別化、「障害児」の分離教育などを推進する布石である。
また「教育の機会均等」では、「国民は、能力に応じた教育を受ける機会を与えられ」とされた。憲法26条「すべて国民は……ひとしく教育を受ける権利を有する」や、教基法3条「すべて国民は、ひとしく……教育を受ける機会を与えられなければならない」がともに明記した「ひとしく」という言葉をわざわざ削除したのである。
さらに新たに「家庭教育」の項目を設け、「家庭は子育てに第一義的な責任を有する」とした。親は子の「健全育成」義務を負うという、家族主義イデオロギーの反動的復活をもくろんでいるのである。
10条を解体し国家が教育内容に全面介入
第四に、「教育行政」の項目で、教基法10条の趣旨を完全に逆転させていることだ。
現行教基法10条は、教育と教育行政を区別し、1項では「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」と教育の自主性をうたい、2項では「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」と、教育行政の任務を教育条件の整備確立にあるとした。
前述した『教育基本法の解説』では、10条2項の意味について「教育行政の任務とその限界を定めたもの」であり、教育行政は「教育内容に介入すべきものではなく、教育の外にあって、教育を守り育てるための諸条件を整えることにその目標を置くべきだというのである」としている。
この点は、最高裁判決でも「教基法10条1項は、法令に基づく教育行政機関の行為にも適用がある」とし、「教育行政機関が法律を運用する場合においても、教基法10条1項にいう『不当な支配』とならないよう配慮すべき拘束を受けている」と認めている。
ところが与党協案は、10条1項の主語をすりかえ「教育行政は、不当な支配に服することなく」とすることで、「不当な支配」の意味を百八十度逆転させている。これでは、日教組弾圧の根拠規定となってしまう。2項では教育行政の責務を、条件整備から「施策の策定と実施」とし、教育内容への介入を正当化する文言に変えている。
「義務教育」の項目でも、国・地方公共団体は学校の設置者から「義務教育の実施責任」者とし、もはや教育の主体は行政権力であるとしてしまっている。文科省がつくる「教育振興基本計画」とは、こうした「国家のための、国家戦略としての、国家権力による教育」を推進する仕組みにほかならない。
8・6ヒロシマから教基法改悪阻止決戦へ
改悪教基法は、ついにその凶悪な姿を現した。この改悪案は、現場で先取り的に進行する攻撃の行き着く先を示すものでもある。
与党協案の戦時教育法としての正体を徹底的に暴露、弾劾しよう。
東京の卒・入学式における「君が代」不起立闘争は、教基法改悪に対する体を張った阻止闘争の始まりである。戦時下の「日の丸・君が代」闘争の新たな発展をかちとり、8・6ヒロシマから秋の教基法改悪阻止決戦へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2156号4面1)(2004/07/05)
6・18閣議決定を弾劾する 日米共同作戦で武力行使へ
解放闘争の鎮圧と石油強奪 「多国籍軍」絶対阻止を
日帝・小泉政権は18日の閣議で、自衛隊の多国籍軍参加に関する政府の統一見解を了解し、イラク特措法の施行令改定と自衛隊派兵の基本計画変更を決定した。これをもって、6月30日以降、自衛隊がイラクでの多国籍軍に参加しようとしている。6・18閣議決定は昨年12・9のイラク派遣基本計画の閣議決定とともに、日帝のイラク侵略戦争と改憲攻撃の一大エスカレーションである。6月14日の有事10法の成立に続く6・18閣議決定を絶対に許してはならない。7月参院選挙情勢の中で、6・18閣議決定への労働者階級人民の怒りを解き放ち、闘うイラク人民と連帯して、「多国籍軍参加」絶対阻止、小泉政権打倒・自衛隊イラク撤兵へ闘いぬこう。
軍事占領永続化とカイライ政権作り
6・18政府見解は、国連安保理決議1546が全会一致で採択されたことを称賛し、「6月30日をもって米英軍による軍事占領が終了し、完全な主権が回復される」としている。まずこの主張自体がとんでもない虚構であり、許すことのできないデマ宣伝である。
国連決議1546は、米帝がイラクを植民地支配し、石油を強奪することに国連として承認を与えた絶対に許せない決議である。米帝はこれをテコにイラクの軍事占領を継続し、侵略戦争をエスカレートさせようとしている。
米軍占領下での「主権移譲」というのはペテンだ。米帝はCIAの手先であるアヤド・アラウィを首相とするイラク暫定政府を使って、「イラク復興」と称するイラクの植民地化、石油など国家資産の略奪を本格的に進めようとしている。日帝もその利権の一角にくい込もうとしているのだ。
さらに米帝はシーアイランド・サミットで「拡大中東・北アフリカ構想」をうちだし、中東・北アフリカ全体を米帝の勢力圏、資源確保の戦場として拡大することを宣言した。
これに対し独、仏帝国主義は、イラク人民の民族解放闘争を圧殺するために国連決議自体には一定の修正のうえで賛成したものの、イラク派兵を引き続き拒否し、米帝の拡大中東構想も修正させた。
決議1546は、帝国主義が分裂・抗争しつつ中東の石油・市場・勢力圏を奪い合うために、イラク人民の民族自決権を否定し、民族解放闘争の圧殺を狙う帝国主義強盗どもの決議なのだ。それは国際帝国主義によるイラク・中東をめぐる争闘戦を新たな段階に押し上げ、世界戦争への情勢を加速したのだ。
多国籍軍とは、イラクの軍事占領と民族解放闘争圧殺のための米軍指揮下にある侵略軍にほかならない。同決議は、この多国籍軍(米軍)に「必要なあらゆる手段を行使する権限」を与え、事実上無期限に駐留することを認めている。
これはイラク人民にとっては断じて認められないことだ。イラク人民は米英占領軍とその支援者を攻撃し、石油関連施設などへの爆破戦闘をくり返し、帝国主義の軍事占領、石油略奪と植民地化に反対して闘っている。イラク愛国戦線代表アルクベイシ氏は5月15日、「私たちにとっての解決は、米占領体制に承認を与えるだけの国連決議ではなく、占領が終わることだ」と国際会議で訴えた。これは圧倒的多数のイラク人民の声だ。
「一部のテロリストがイラク民主化と復興を妨げている」というのは、帝国主義が石油略奪や植民地支配という自らの侵略意図を押し隠すためのデマ宣伝である。今後イラク人民の闘いがさらに発展し、米軍(多国籍軍)との戦闘拡大は不可避である。
小泉政権は、決議1546の中で「人道復興支援活動が多国籍軍の任務として含まれることが明らかになった」ことを多国籍軍参加の理由にしている。だが、多国籍軍の目的はあくまでも米帝とそのカイライである暫定政府に対するイラク人民の抵抗闘争、民族解放闘争を圧殺するための武力行使と治安弾圧である。米帝の「イラク復興」=植民地化の成否は、米軍(多国籍軍)がイラク人民の民族解放闘争を圧殺できるかどうかにかかっているからだ。現にパウエル米国務長官は「戦闘作戦」「拘束」「武器捜索、確保」を行い、「治安維持」と「部隊の保護」に「幅広い任務」を果たすのが多国籍軍だと断言している。
自衛隊の「人道復興支援活動」なるものも、そうした「幅広い任務」=イラク人民の民族解放闘争を圧殺するための活動であり、軍事占領下での侵略作戦として行われているのだ。
ましてや航空自衛隊が「安全確保支援活動」として行っている米軍物資や武装米兵の輸送は、直接に米軍の武力行使と完全に一体の軍事作戦なのである。日帝は改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)をもって、こうした米軍との共同作戦を決定的に強めようとしている。改定ACSAによって、自衛隊は米軍基地の警備、燃料・食料などの提供、空港・港湾業務、基地の相互利用などあらゆる兵站(へいたん)支援が可能となった。陸自の輸送支援はイラク特措法の枠内でも可能である。
米帝としても、サマワのオランダ軍が来年3月にイラクから撤退することもあって、今後陸上自衛隊に米軍の兵站支援や治安維持などの任務拡大の要求を強めることは明らかだ。
自衛隊の多国籍軍参加は歯止めなき、泥沼的なイラク侵略戦争参戦の道なのである。
集団的自衛権行使で泥沼の侵略戦争
政府見解は決議1546で多国籍軍が「統一された指揮下(アンダー・ユニファイド・コマンド)」にあるとしている部分の訳語を「統合された司令部のもと」と言い換えることで武力行使を行う米英軍の指揮を受けないかのようなペテンをろうしている。しかしロドマン米国防次官補が米下院に提出した文書で「ユニファイド・コマンドとは米軍の指揮を意味する」と明言しているように、米政府は、イラク駐留の各国部隊は「米軍の統一された指揮下にある多国籍軍」に移行するとの見解で一貫しているのだ。
ところが政府見解は、米軍による指揮、監督を「連絡・調整」だと言い張り、あたかも米軍と自衛隊は対等な関係であるかのように言いなしている。だが自衛隊の活動はあくまでも多国籍軍の一員としての活動であり、すべて米軍の作戦計画の中に組み込まれ、米軍によって指揮、監督されるのだ。
18日の衆院イラク復興支援特別委員会の閉会中審査で、政府見解にある「米英両政府の了解」なるものが大使館の公使レベルの口頭での了解にすぎないことも明らかになった。
6月18日付の沖縄タイムス紙は、サマワの陸上自衛隊が将来、米陸軍が衛星やコンピューターを駆使して中東で進める人員・物資輸送の一元管理システムに組み込まれ、補給面でも米軍の統制下におかれる可能性があると指摘している。
政府見解が「これまで同様、憲法の禁じる武力の行使に当たる活動を行うものではなく、イラク特措法に基づき、いわゆる『非戦闘地域』において活動するものであり、他国の武力の行使と一体化するものではない」などというのは大ウソだ。すでにサマワも含めてイラク全土が戦闘地域となっている。自衛隊の多国籍軍参加とは、自衛隊が米軍と一体化することであり、自衛隊が「戦闘地域」に突入し集団的自衛権を行使して、イラク人民を虐殺していくということにほかならない。
小泉政権はそのために、改定ACSA、捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案などを先の国会で強行成立させたのだ。
9条改憲狙う小泉政権倒せ
このように自衛隊の多国籍軍参加はイラク侵略戦争の重大なエスカレーションである。実際に戦争ができる軍隊へ、戦闘地域での武力行使、集団的自衛権行使へと、日帝・自衛隊がついに踏み出すのだ。これらと一体のものとして、日帝は9条改憲の正面突破を図ろうとしているのである。
これまで政府は「目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」(1980年の政府答弁)としてきた。ところが6・18見解は「多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない」と厚かましくも強弁している。だが、イラクの多国籍軍が武力行使を目的としていることは小泉自身が認めている。6・18政府見解がこれまでの政府見解を踏み越え、憲法9条を突破しようとしていることは明らかだ。
6・18政府見解は、日帝が憲法9条を踏み破ってイラク侵略戦争の泥沼に深々とのめり込み、再び侵略戦争・世界戦争の急坂を転落し始めたことを示した。自衛隊の多国籍軍参加阻止・イラク即時撤兵の闘いの爆発で、日本帝国主義を打倒しない限り、この流れをとめることはできない。
だが、イラク情勢に追いつめられているのは、米日帝国主義の側だ。3・20日比谷公園の6万人決起とこれを引き継ぐ6月闘争は、日本の労働者階級が闘いの意欲をみなぎらせていることを示した。小泉政権の苦し紛れのウソとペテンを暴き、帝国主義批判を鮮明に貫いて、戦争と改憲、国内反動の日帝・小泉政権を打倒しよう。闘うイラク人民と連帯し、7、8月の闘いで自衛隊をイラクから撤兵させよう。
資料 政府の統一見解(要約)
6月8日、国連安保理において決議1546が全会一致で採択された。イラクにおいては、同30日をもって占領が終了し、完全な主権が回復されることになる。わが国としては、イラクに完全な主権が回復され、本格的な復興に向けた新たな局面が開かれたことを歓迎する。
今般、イラク暫定政府が国際社会に対し多国籍軍の駐留を含めた支援を要請していることを踏まえたこの決議が全会一致で採択されたことを受け、イラクの復興と安定がわが国自身の安全と繁栄にとっても重要であるとの認識に立ち、自衛隊が引き続き活動を継続する。
この新決議において、これまでわが国の自衛隊が行ってきたような人道復興支援活動が多国籍軍の任務に含まれることが明らかになったことなどを踏まえ、自衛隊は多国籍軍の中で今後とも活動を継続する。
6月30日以降、自衛隊は、多国籍軍の中で、統合された司令部のもとにあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。しかしながら同司令部の指揮下に入るわけではない。自衛隊は引き続き、わが国の主体的判断のもとに、わが国の指揮に従い、イラク特措法およびその基本計画に基づき人道復興支援活動等を行う。この点については、米英両政府とわが国政府との間で了解に達している。
自衛隊はこれまで同様、憲法の禁じる武力の行使に当たる活動を行うものではなく、イラク特措法に基づきいわゆる「非戦闘地域」において活動するものであり、他国の武力の行使と一体化するものではない。
以上のとおり、自衛隊が多国籍軍の中で活動を行うことは、憲法との関係で許されないとしてきたいわゆる多国籍軍への参加に関する従来の政府見解を変えるものではない。
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