ZENSHIN 2004/04/19(No2146
p06)
|
4月8日にイラク・イスラム武装解放勢力であるサラヤ・ムジャヒディンが3人の日本人を拘束、米軍の暴虐と日本の加担を糾弾し、3日間の期限を切って自衛隊撤退を要求し、それが入れられない場合は報復すると宣言した。情勢は刻々と進展している。この事態をどう考えるべきなのか、そして闘いの方針は何か、さらに4〜5月決戦の課題は何かをはっきりさせよう。
第一に、サラヤ・ムジャヒディンはなぜ今回の非常手段に訴えたのだろうか。その背後にあるイラク人民の置かれている軍事占領下のせっぱ詰まった現実を直視しなければならない。
サラヤ・ムジャヒディンが日本政府と日本人民にあてたメッセージは、「米軍はわれわれの土地に侵略したり、子どもを殺したり、いろいろとひどいことをしているのに、あなたたちはその米軍に協力した」「自衛隊が撤退しなければ、ファルージャでやった以上のことを3人にもやるだろう」と糾弾している。
実際、米英日帝は、3・20開戦以来、この1年以上にわたってイラクの民間人を無差別に虐殺し続けている。今、ファルージャでモスクを空爆し、民家を砲撃し、すでに280人もの民間人を虐殺している。ムクタダ・サドル師とその宗教系列に対して新聞発禁、逮捕、事務所銃撃、そして壊滅作戦を強行している。いたる所で夜間に民家に押し入り、理由もなく逮捕し、投獄している。米帝の侵略戦争が明らかにもう一段エスカレートしているのだ。
十数万人の帝国主義有志連合軍がイラクの土地をじゅうりんし、イスラム社会の規範や文化を踏みにじり、軍事占領を押しつけている。そのもとで国営企業の解体・民営化・大失業を強行している。米帝資本が各種事業を独り占めにして石油を強奪している。
統治評議会は、米帝が任命した亡命イラク人中心の米帝の手先である。6月30日を期限として暫定政権に委譲すると言うが、それはイラク人民の民意とはかけ離れた、米帝のカイライ政権である。イラク人民の民族自決を一貫して全面否定しているのだ。
サラヤ・ムジャヒディンのメッセージが告発し糾弾しているように、日本人3人の拘束は、3・31ファルージャでの米警備会社の4人の社員(元軍人)への報復を含め、今、イラクのほぼ全土で軍事占領・植民地化反対、占領軍撤退要求の反帝民族解放闘争が武装的大衆蜂起となって燃え上がっていることの一環だ。
そこでは「シーア派もスンニ派もない、イスラムは一つだ」「外国軍の占領反対」「労働者の権利を認めろ」「イラク基本法反対」「政府は民意によって選べ」の切実な要求が爆発的に強まっている。
われわれは、昨年3・20開戦以来、5・1軍事占領開始以来、そしてこの4月に入って、米帝・米軍がイラクで強行している現実をもうこれ以上許してはならない。占領軍である日帝・自衛隊をただちに撤退させなければならない。
第二に、3人の拘束に対する小泉政権の対応は何だ。日帝・小泉政権は早々と「自衛隊を撤退する理由がない」と自衛隊撤退要求拒否を正式に声明し、テロリストに屈するな、問答無用だと扇動している。まさに3人の日本の民間人を見殺しにしてもいいという暴挙を行っているのだ。何が「人道復興支援」か。
イラク人民の友たらんとしてイラクに入国し拘束された3人を解放する道は何か。答えは一つだ。イラクから自衛隊を撤兵させることだ。イラク侵略戦争と日米同盟護持と有事法制完成を国是とし、それをただただ強行する小泉政権を今すぐに打倒することだ。
日本帝国主義・小泉政権は、イラク人民虐殺を続ける米帝とともにイラク人民に戦争と軍事占領を強制し、イスラムを踏みにじっている。また同時に帝国主義国家の国益のためには自国の労働者人民の人命をかえりみず、犠牲にしてはばからないのだ。この日帝・小泉政権を、スペインの労働者人民がアスナール政権を打倒したように、今こそ実力で打倒しよう。
<米英日帝はこれ以上の軍事占領をやめよ。小泉政権は自衛隊の軍事占領をやめ、ただちに自衛隊を撤兵させよ。小泉政権は3人を殺すな。侵略戦争と植民地主義的略奪と自国人民の人命無視の小泉政権は退陣せよ><すべての外国軍はただちに撤退せよ。イラクはイラク人民のものだ>――この声を結集し、ありとあらゆる方法で行動を起こし、小泉政権を倒そう。
これ以外に、今、シーア派のサドル師支持勢力を先頭として、イラク全土で蜂起し、特殊的・極限的ゲリラ戦にも訴え、民族の自決を求めるイラク人民に連帯する方法はない。3人の若者を救う道はない。
3・20日比谷公園6万人決起を始めとする全世界1000万人決起の地平に確信をもって、4〜5月闘争に総決起しよう。
4〜5月決戦の第一の柱は、イラク占領反対・自衛隊即時撤兵、有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いだ。3・20と4・9を引き継ぎ、全力で決起しよう。
小泉・自民党が連休明けにも衆院通過を狙っている有事7法案と3条約・協定は、まぎれもなく対北朝鮮(中国)・対イラクの侵略戦争法案である。
その一方の軸がACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案だ。これは米軍行動円滑化法案、自衛隊法改悪案、交通・通信利用法案などと一体であり、日米安保の一大エスカレーションである。なぜなら、@武力攻撃事態とその予測事態に際して自衛隊が米軍に物品・役務だけでなく「弾薬」を提供でき、A国際貢献(国際の平和および安全に寄与する活動)や「大規模災害」の場合にも米軍に物品・役務を提供できるようにするものだからだ。
これだと北朝鮮(中国)侵略戦争はもとより、アフガニスタン・インド洋、イラク、さらにはシリア、イランなど全世界あらゆる地域で米軍が侵略戦争を行う時、改定ACSAがあれば、そのつど個別のACSAを結ばなくてもいつでも自衛隊が米軍に物品・役務を提供できる。事実上、集団的自衛権を行使し、日米共同作戦をやれる。まさに日米安保の大改変である。
もう一方の軸である国民保護法案は、米日帝が先制攻撃戦略をもって北朝鮮侵略戦争に突入する時、当然にも攻撃される側から必死の反撃があることを前提に、それから「国民」を「保護」すると称して、労働者人民を強制動員する法案である。「保護」などと言うが、実際は米軍と自衛隊が自由に行動できるように強制的に住民を「避難」「退避」させ、私権を制限し、交通規制、物資保管などを命令するのだ。まさに北朝鮮(中国)侵略戦争への国民総動員攻撃である。
この有事立法攻撃、北朝鮮侵略戦争の切迫に対応して、米帝が地球的規模で進めるトランスフォーメーションの一環として在韓米軍・在沖米軍の再編がある。名護基地建設の攻撃に加え、普天間基地の下地島移転案や嘉手納基地統合案が出てきている。4月6日には北朝鮮への制裁発動を狙う特定船舶入港禁止法案を自公が国会に提出した。こうした中で日帝による中国領・釣魚台での中国人7人の逮捕、強制送還という許せない事態が起きた。
有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いを、イラク撤兵、北朝鮮侵略戦争阻止、改憲阻止の闘いと結合し、この4〜5月に大爆発させよう。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して、5・21明治公園集会を全国結集で闘おう。
4〜5月決戦の第二の柱は、国鉄闘争と教労決戦(東京決戦)である。
3月卒業式で、石原と東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制に対し、200人以上の教育労働者が「君が代」斉唱拒否の不起立で闘った。活動家が職務命令で会場外に排除される中で、良心的な組合員が、強制や愛国心教育・戦争教育に強い怒りと闘いの信念をもって決起した。
これに打撃を受けた石原と都教委は、4月入学式での決起に恐怖し直ちに3月30日、都立高校教職員171人を戒告処分、5人を嘱託教員の再雇用取り消し処分にした(4月6日には公立小中学校などの教職員20人を追加処分した)。これに対し4月5日、75人が都人事委に処分取り消しを求めて審査請求し、反撃に立った。先の予防訴訟の228人と合わせ300人以上の大訴訟団が生まれた。
石原と都教委は日帝・小泉の教基法改悪・改憲攻撃の先兵として、「日の丸・君が代」と愛国心教育の強制、大量処分の攻撃をかけてきた。これに対する大反撃は、教労決戦=東京決戦となり、国鉄1047名闘争と並ぶ階級的攻防に押し上げられた。処分覚悟で不屈に決起した教育労働者と連帯し、被処分者を守り、処分粉砕・教基法改悪反対の大闘争に立とう。都高教、日教組の既成指導部の屈服をのりこえ闘おう。
教労決戦と同時に国鉄決戦が正念場だ。動労千葉の3波にわたる春闘ストの歴史的地平は、JRの当局=JR総連カクマル結託体制を打ち破って、勝利の展望を指し示している。4・13国鉄闘争支援集会を大成功させ、1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として、国労再生=国鉄闘争勝利へ闘おう。その重要なテコが動労千葉物販闘争である。ここでの決定的な飛躍をかちとろう。
同時に、自治労、全逓を始めすべての産別・職場での労働運動の階級的前進をかちとろう。
さらに今国会での大攻防として、@保険料の大幅な負担増と給付削減、年金制度解体を狙う年金改悪法案、A労働委員会制度の解体と団結権破壊の労組法改悪法案、B労働運動と革命党を弾圧する共謀罪新設、C裁判員制度など司法改革関連法案がある。労働者の決起で絶対に粉砕しよう。
4〜5月決戦の第三の柱は、革命党=労働者党建設の闘い、組織拡大決戦だ。
レーニンは「権力獲得のために闘うにあたって、プロレタリアートには、組織のほかにどんな武器もない」と訴えている。革命党を建設することは、労働者階級が闘い、勝利していく死活的課題だ。特に革命党の機関紙(誌)は、労働者階級の勝利の不可欠の武器である。拡大目標の設定と不屈の執念をもって、本格的に機関紙拡大と党建設の闘いに取り組もう。
とりわけ、闘う青年労働者はマルクス主義青年労働者同盟にどんどん結集し、マルクス主義を学び、労働運動を実践し、勝利を握りしめよう。すべての闘う労働者、組合指導部、学生、人民は、『前進』を読み、活用し、闘いの武器としよう。4〜6月の政治的・大衆的高揚のただ中で、組織拡大決戦をやり抜こう。
最後に、5・15沖縄闘争の高揚、戦時下での4〜5月入管闘争の成功、学生戦線の4月新歓闘争の勝利、3月の二つの無罪判決の地平を引き継ぐ反弾圧などの闘いに断固決起しよう。
以上のことを、心からアピールしたい。
---------------------------------------------------
首相官邸向かいの内閣府前に婦民全国協や百万人署名運動の人びとが結集し、「自衛隊をイラクから撤退させろ」と声を上げた(4月9日午後5時20分) |
イラクでの日本人3人の拘束という衝撃的な事件の翌9日、国会周辺は朝から権力の厳戒態勢を打ち破って、さまざまな団体からの「小泉は3人を殺すな」「自衛隊は直ちに撤退しろ」「イラク占領をやめろ」という声があふれた。
正午から衆議院の議員面会所前で諸団体による緊急行動が行われた。事態を知った労働者人民がウイークデーにもかかわらず、続々と駆けつけ、自衛隊を撤退させないと表明した小泉首相への怒りの声を上げた。
集会に参加した前レバノン大使の天木直人さんは、「すべては小泉首相の間違ったイラク戦争支援から始まった。小泉首相に一刻でも早く自分の誤りを認めて自衛隊を撤収しろと言いたい」と、自衛隊撤兵こそ問題解決の道だと強調した。
高遠菜穂子さんの友人は「怒りがおさまらない。自衛隊派遣は復興支援ではなく、復興の妨げ。3人のいのちに責任とれないなら、小泉は首相をやめるべきだ」と自衛隊イラク派兵を徹底的に批判した。
議面前は300人を超える人びとであふれかえり、3日間の連続緊急行動を闘うことを誓い合った。
集会後、首相官邸前に移動して小泉首相に要望書を提出。その後、自治労や日教組など平和フォーラムの労働者が合流し、600人以上で自衛隊のイラク撤兵を求めて首相官邸へシュプレヒコールをあげた。
午後4時半から、婦人民主クラブ全国協議会代表の西村綾子相模原市議や百万人署名運動、都政を革新する会などの市民団体200人あまりが内閣府前に結集し、福田官房長官をとおして小泉首相に自衛隊のイラク撤退を求める要望書を提出、怒りの声を上げた。
---------------------------------------------------