ZENSHIN 2004/04/19(No2146 p06)

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週刊『前進』(2146号1面1)(2004/04/19)

占領をやめ 自衛隊撤退を 小泉政権は拘束の3人を殺すな

4・9 日比谷野音に4000人
陸・海・空・港湾労組20団体などが「自衛隊のイラク派遣NO!/STOP!有事法制/守ろう!平和といのち4・9集会」を開催した。「政府がただちにイラクから自衛隊を全員撤退させるよう求める」と「緊急アピール」を採択した(4月9日夜)=詳報次号

 4月8日にイラク・イスラム武装解放勢力であるサラヤ・ムジャヒディンが3人の日本人を拘束、米軍の暴虐と日本の加担を糾弾し、3日間の期限を切って自衛隊撤退を要求し、それが入れられない場合は報復すると宣言した。情勢は刻々と進展している。この事態をどう考えるべきなのか、そして闘いの方針は何か、さらに4〜5月決戦の課題は何かをはっきりさせよう。

 イラク人民の血叫びと糾弾

 第一に、サラヤ・ムジャヒディンはなぜ今回の非常手段に訴えたのだろうか。その背後にあるイラク人民の置かれている軍事占領下のせっぱ詰まった現実を直視しなければならない。
 サラヤ・ムジャヒディンが日本政府と日本人民にあてたメッセージは、「米軍はわれわれの土地に侵略したり、子どもを殺したり、いろいろとひどいことをしているのに、あなたたちはその米軍に協力した」「自衛隊が撤退しなければ、ファルージャでやった以上のことを3人にもやるだろう」と糾弾している。
 実際、米英日帝は、3・20開戦以来、この1年以上にわたってイラクの民間人を無差別に虐殺し続けている。今、ファルージャでモスクを空爆し、民家を砲撃し、すでに280人もの民間人を虐殺している。ムクタダ・サドル師とその宗教系列に対して新聞発禁、逮捕、事務所銃撃、そして壊滅作戦を強行している。いたる所で夜間に民家に押し入り、理由もなく逮捕し、投獄している。米帝の侵略戦争が明らかにもう一段エスカレートしているのだ。
 十数万人の帝国主義有志連合軍がイラクの土地をじゅうりんし、イスラム社会の規範や文化を踏みにじり、軍事占領を押しつけている。そのもとで国営企業の解体・民営化・大失業を強行している。米帝資本が各種事業を独り占めにして石油を強奪している。
 統治評議会は、米帝が任命した亡命イラク人中心の米帝の手先である。6月30日を期限として暫定政権に委譲すると言うが、それはイラク人民の民意とはかけ離れた、米帝のカイライ政権である。イラク人民の民族自決を一貫して全面否定しているのだ。
 サラヤ・ムジャヒディンのメッセージが告発し糾弾しているように、日本人3人の拘束は、3・31ファルージャでの米警備会社の4人の社員(元軍人)への報復を含め、今、イラクのほぼ全土で軍事占領・植民地化反対、占領軍撤退要求の反帝民族解放闘争が武装的大衆蜂起となって燃え上がっていることの一環だ。
 そこでは「シーア派もスンニ派もない、イスラムは一つだ」「外国軍の占領反対」「労働者の権利を認めろ」「イラク基本法反対」「政府は民意によって選べ」の切実な要求が爆発的に強まっている。
 われわれは、昨年3・20開戦以来、5・1軍事占領開始以来、そしてこの4月に入って、米帝・米軍がイラクで強行している現実をもうこれ以上許してはならない。占領軍である日帝・自衛隊をただちに撤退させなければならない。

 撤兵拒否する小泉打倒を!

 第二に、3人の拘束に対する小泉政権の対応は何だ。日帝・小泉政権は早々と「自衛隊を撤退する理由がない」と自衛隊撤退要求拒否を正式に声明し、テロリストに屈するな、問答無用だと扇動している。まさに3人の日本の民間人を見殺しにしてもいいという暴挙を行っているのだ。何が「人道復興支援」か。
 イラク人民の友たらんとしてイラクに入国し拘束された3人を解放する道は何か。答えは一つだ。イラクから自衛隊を撤兵させることだ。イラク侵略戦争と日米同盟護持と有事法制完成を国是とし、それをただただ強行する小泉政権を今すぐに打倒することだ。
 日本帝国主義・小泉政権は、イラク人民虐殺を続ける米帝とともにイラク人民に戦争と軍事占領を強制し、イスラムを踏みにじっている。また同時に帝国主義国家の国益のためには自国の労働者人民の人命をかえりみず、犠牲にしてはばからないのだ。この日帝・小泉政権を、スペインの労働者人民がアスナール政権を打倒したように、今こそ実力で打倒しよう。
 〈米英日帝はこれ以上の軍事占領をやめよ。小泉政権は自衛隊の軍事占領をやめ、ただちに自衛隊を撤兵させよ。小泉政権は3人を殺すな。侵略戦争と植民地主義的略奪と自国人民の人命無視の小泉政権は退陣せよ>〈すべての外国軍はただちに撤退せよ。イラクはイラク人民のものだ>――この声を結集し、ありとあらゆる方法で行動を起こし、小泉政権を倒そう。
 これ以外に、今、シーア派のサドル師支持勢力を先頭として、イラク全土で蜂起し、特殊的・極限的ゲリラ戦にも訴え、民族の自決を求めるイラク人民に連帯する方法はない。3人の若者を救う道はない。
 3・20日比谷公園6万人決起を始めとする全世界1000万人決起の地平に確信をもって、4〜5月闘争に総決起しよう。

「君が代」不起立闘争を支持し処分撤回・教基法改悪阻止へ
5・21明治公園集会に全国から総結集しよう

 北朝鮮侵略戦争法案粉砕

 4〜5月決戦の第一の柱は、イラク占領反対・自衛隊即時撤兵、有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いだ。3・20と4・9を引き継ぎ、全力で決起しよう。
 小泉・自民党が連休明けにも衆院通過を狙っている有事7法案と3条約・協定は、まぎれもなく対北朝鮮(中国)・対イラクの侵略戦争法案である。
 その一方の軸がACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案だ。これは米軍行動円滑化法案、自衛隊法改悪案、交通・通信利用法案などと一体であり、日米安保の一大エスカレーションである。なぜなら、@武力攻撃事態とその予測事態に際して自衛隊が米軍に物品・役務だけでなく「弾薬」を提供でき、A国際貢献(国際の平和および安全に寄与する活動)や「大規模災害」の場合にも米軍に物品・役務を提供できるようにするものだからだ。
 これだと北朝鮮(中国)侵略戦争はもとより、アフガニスタン・インド洋、イラク、さらにはシリア、イランなど全世界あらゆる地域で米軍が侵略戦争を行う時、改定ACSAがあれば、そのつど個別のACSAを結ばなくてもいつでも自衛隊が米軍に物品・役務を提供できる。事実上、集団的自衛権を行使し、日米共同作戦をやれる。まさに日米安保の大改変である。
 もう一方の軸である国民保護法案は、米日帝が先制攻撃戦略をもって北朝鮮侵略戦争に突入する時、当然にも攻撃される側から必死の反撃があることを前提に、それから「国民」を「保護」すると称して、労働者人民を強制動員する法案である。「保護」などと言うが、実際は米軍と自衛隊が自由に行動できるように強制的に住民を「避難」「退避」させ、私権を制限し、交通規制、物資保管などを命令するのだ。まさに北朝鮮(中国)侵略戦争への国民総動員攻撃である。
 この有事立法攻撃、北朝鮮侵略戦争の切迫に対応して、米帝が地球的規模で進めるトランスフォーメーションの一環として在韓米軍・在沖米軍の再編がある。名護基地建設の攻撃に加え、普天間基地の下地島移転案や嘉手納基地統合案が出てきている。4月6日には北朝鮮への制裁発動を狙う特定船舶入港禁止法案を自公が国会に提出した。こうした中で日帝による中国領・釣魚台での中国人7人の逮捕、強制送還という許せない事態が起きた。
 有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いを、イラク撤兵、北朝鮮侵略戦争阻止、改憲阻止の闘いと結合し、この4〜5月に大爆発させよう。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して、5・21明治公園集会を全国結集で闘おう。

 4月国鉄・教労決戦を闘おう

 4〜5月決戦の第二の柱は、国鉄闘争と教労決戦(東京決戦)である。
 3月卒業式で、石原と東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制に対し、200人以上の教育労働者が「君が代」斉唱拒否の不起立で闘った。活動家が職務命令で会場外に排除される中で、良心的な組合員が、強制や愛国心教育・戦争教育に強い怒りと闘いの信念をもって決起した。
 これに打撃を受けた石原と都教委は、4月入学式での決起に恐怖し直ちに3月30日、都立高校教職員171人を戒告処分、5人を嘱託教員の再雇用取り消し処分にした(4月6日には公立小中学校などの教職員20人を追加処分した)。これに対し4月5日、75人が都人事委に処分取り消しを求めて審査請求し、反撃に立った。先の予防訴訟の228人と合わせ300人以上の大訴訟団が生まれた。
 石原と都教委は日帝・小泉の教基法改悪・改憲攻撃の先兵として、「日の丸・君が代」と愛国心教育の強制、大量処分の攻撃をかけてきた。これに対する大反撃は、教労決戦=東京決戦となり、国鉄1047名闘争と並ぶ階級的攻防に押し上げられた。処分覚悟で不屈に決起した教育労働者と連帯し、被処分者を守り、処分粉砕・教基法改悪反対の大闘争に立とう。都高教、日教組の既成指導部の屈服をのりこえ闘おう。
 教労決戦と同時に国鉄決戦が正念場だ。動労千葉の3波にわたる春闘ストの歴史的地平は、JRの当局=JR総連カクマル結託体制を打ち破って、勝利の展望を指し示している。4・13国鉄闘争支援集会を大成功させ、1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として、国労再生=国鉄闘争勝利へ闘おう。その重要なテコが動労千葉物販闘争である。ここでの決定的な飛躍をかちとろう。
 同時に、自治労、全逓を始めすべての産別・職場での労働運動の階級的前進をかちとろう。
 さらに今国会での大攻防として、@保険料の大幅な負担増と給付削減、年金制度解体を狙う年金改悪法案、A労働委員会制度の解体と団結権破壊の労組法改悪法案、B労働運動と革命党を弾圧する共謀罪新設、C裁判員制度など司法改革関連法案がある。労働者の決起で絶対に粉砕しよう。

 “権力獲得のための武器”

 4〜5月決戦の第三の柱は、革命党=労働者党建設の闘い、組織拡大決戦だ。
 レーニンは「権力獲得のために闘うにあたって、プロレタリアートには、組織のほかにどんな武器もない」と訴えている。革命党を建設することは、労働者階級が闘い、勝利していく死活的課題だ。特に革命党の機関紙(誌)は、労働者階級の勝利の不可欠の武器である。拡大目標の設定と不屈の執念をもって、本格的に機関紙拡大と党建設の闘いに取り組もう。
 とりわけ、闘う青年労働者はマルクス主義青年労働者同盟にどんどん結集し、マルクス主義を学び、労働運動を実践し、勝利を握りしめよう。すべての闘う労働者、組合指導部、学生、人民は、『前進』を読み、活用し、闘いの武器としよう。4〜6月の政治的・大衆的高揚のただ中で、組織拡大決戦をやり抜こう。
 最後に、5・15沖縄闘争の高揚、戦時下での4〜5月入管闘争の成功、学生戦線の4月新歓闘争の勝利、3月の二つの無罪判決の地平を引き継ぐ反弾圧などの闘いに断固決起しよう。
 以上のことを、心からアピールしたい。

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週刊『前進』(2146号1面2)(2004/04/19)

 「今すぐ撤退せよ」の叫び 首相官邸と国会前

首相官邸向かいの内閣府前に婦民全国協や百万人署名運動の人びとが結集し、「自衛隊をイラクから撤退させろ」と声を上げた(4月9日午後5時20分)
 イラクでの日本人3人の拘束という衝撃的な事件の翌9日、国会周辺は朝から権力の厳戒態勢を打ち破って、さまざまな団体からの「小泉は3人を殺すな」「自衛隊は直ちに撤退しろ」「イラク占領をやめろ」という声があふれた。
 正午から衆議院の議員面会所前で諸団体による緊急行動が行われた。事態を知った労働者人民がウイークデーにもかかわらず、続々と駆けつけ、自衛隊を撤退させないと表明した小泉首相への怒りの声を上げた。
 集会に参加した前レバノン大使の天木直人さんは、「すべては小泉首相の間違ったイラク戦争支援から始まった。小泉首相に一刻でも早く自分の誤りを認めて自衛隊を撤収しろと言いたい」と、自衛隊撤兵こそ問題解決の道だと強調した。
 高遠菜穂子さんの友人は「怒りがおさまらない。自衛隊派遣は復興支援ではなく、復興の妨げ。3人のいのちに責任とれないなら、小泉は首相をやめるべきだ」と自衛隊イラク派兵を徹底的に批判した。
 議面前は300人を超える人びとであふれかえり、3日間の連続緊急行動を闘うことを誓い合った。
 集会後、首相官邸前に移動して小泉首相に要望書を提出。その後、自治労や日教組など平和フォーラムの労働者が合流し、600人以上で自衛隊のイラク撤兵を求めて首相官邸へシュプレヒコールをあげた。
 午後4時半から、婦人民主クラブ全国協議会代表の西村綾子相模原市議や百万人署名運動、都政を革新する会などの市民団体200人あまりが内閣府前に結集し、福田官房長官をとおして小泉首相に自衛隊のイラク撤退を求める要望書を提出、怒りの声を上げた。

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週刊『前進』(2146号2面1)(2004/04/19)

警察に組合員売り渡した酒田執行部を打倒しよう 弾圧粉砕が国労再生の道

 国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、今日ますます重大な意味を持ち始めた。裁判闘争は、「被害者」と称する石井勝幸・国労本部会計監査員に対する弁護側尋問に入っている。それは、4党合意以来の国労本部の裏切りを、本部派証人自身の証言によって明らかにさせる闘いだ。こうした裁判闘争の前進に追いつめられた国労本部は、「指示第51号」を出して「被害者の証人尋問などについては、関係する地方本部を中心に傍聴体制を取り組むこと」と叫び、反弾圧闘争にあからさまに敵対している。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いが、裏切りを深める国労本部−酒田執行部を打倒し、国労を階級的に再生させる課題に直結していることは、いよいよ鮮明になったのだ。

 分割・民営化に最終的屈服

 小泉政権による戦争と大失業の攻撃に対し、労働者階級の怒りは噴出し始めた。2〜3月の動労千葉の3波にわたるストライキと3・20イラク反戦国際共同行動の大高揚は、労働者の反転攻勢の時代を押し開いた。石原による処分恫喝を打ち破り、「日の丸・君が代」強制への抵抗を貫いた教育労働者の決起は、こうした情勢の到来を明確に示している。
 動労千葉のストライキは、国鉄闘争勝利の展望を指し示した。JR体制の矛盾を突き、JR資本と徹底的に対決する中に、国鉄闘争勝利の展望もある。
 こうした動労千葉に続く闘いを国労の中に築き上げることが、国鉄1047名闘争の勝利にとって絶対に必要なのだ。だが、そのためには国鉄闘争を裏切り、国労を解体に導こうとしている国労本部―酒田執行部を打倒し、国労を階級的に再生させなければならない。そのカギを握るのが、国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破る闘いだ。
 この弾圧の口実とされたのは、02年5月27日の国労臨時大会における国労組合員のビラまき・説得活動だ。この大会で、国労本部は闘争団員に対する除名を含む統制処分の手続きを進めようとしていた。
 何よりも重大なことは、闘争団員への統制処分という本部の方針が、自民党によって強制されたものだったということだ。国労本部は、被解雇者の除名を迫る政権与党の常軌を逸した介入に完全に屈服した。
 国労闘争団を始めとする1047名は、国家権力・自民党によって首を切られ、JRから排除されたのだ。国鉄分割・民営化を主導した元首相の中曽根は、「国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやったわけです」とぬけぬけと言い放っている。国鉄分割・民営化は、国鉄労働運動を解体し、総評を壊滅に追い込み、階級的労働運動を根絶やしにすることを目的とした国家的不当労働行為そのものだった。
 ところが国労本部は、自民党に命じられるままに闘争団員を統制処分に付そうとした。こうした本部方針に、闘争団員を先頭に組合員が心の底からの弾劾をたたきつけたことは、きわめて当然のことだった。
 5・27臨大闘争弾圧を警察権力と一体となって計画し、仕組んだのは酒田委員長ら国労本部派だ。この事実は、公判廷での鈴木勉・東京地本法対部長に対する弁護側の尋問によって明白に暴き出されている。
 そもそも、「事件」とされた5・27早朝の出来事は、労働組合内部の方針形成に向けての対立であって、権力が介入できるものではない。また、そこには「暴力」と言われるようなものは一切なかった。にもかかわらず、権力は本部派を弾圧の先兵に仕立てることで、国労組合員の逮捕・起訴、1年3カ月にもわたる長期勾留へと踏み込んだのである。

 弾圧加担は本部の最弱点

 今日、小泉政権は、日本経団連・奥田と一体化し、労働組合に産業報国会化を迫っている。労働組合法の改悪や労働契約法の制定策動、共謀罪の新設、労働審判制の導入などによって、団結権を根底から踏みにじろうと策している。その最も凶暴な現れこそが、5・27臨大闘争弾圧だ。この弾圧にくみした国労本部は、全労働者階級の利害を敵に売り渡したのである。
 労働組合を変質・解体させようとする資本や権力の攻撃は、労働組合内部からそれに呼応する裏切り者がいなければ効を奏しない。4党合意以来、その恥ずべき役割を担ったのは、ほかならぬ国労本部だった。
 00年5月の4党合意で、国家権力は国労に「JRに法的責任なし」を認めさせ、国労本部の手で闘争団の解雇撤回・JR復帰の闘いを鎮圧させようとたくらんだ。国家権力やJR資本と対決する路線を持たず、「政治解決」路線にのめり込んでいた国労本部は、これにすぐさま屈服した。
 だが、4党合意は国労組合員の根源的な怒りの決起を引き起こした。国労本部は、機動隊導入下の国労大会で4党合意受諾を決定してもなお、反対派組合員の闘いを制圧することができない現実に立ち至った。そこで彼らは、権力と結託し弾圧を強行することで卑劣な延命を図ったのである。
 酒田執行部を手中に取り込んだ権力は、昨年12月の最高裁反動判決をもテコにして、国労を壊滅に追い込もうと策している。
 だが、組合員を権力に売り渡したという事実そのものが、酒田執行部の最大の弱点なのだ。被告たちの闘いは、そこにしっかりと食らいついている。この弾圧と徹底的に闘うならば、酒田執行部を打倒し、権力の思惑を粉砕して、国労再生への突破口を切り開くことは必ずできる。
 被告たちの不屈の闘いと、それを支える「許さない会」の大衆的発展は、弾圧にかけた権力の狙いを打ち砕き、国労の階級的再生への大道を押し開こうとしているのだ。

 動労千葉に続き勝利開け

 小泉政権は、泥沼化を深めるイラク侵略戦争にのめり込み、有事関連法案を今国会で成立させ、北朝鮮侵略戦争への突入を狙っている。首切り、賃下げ、不安定雇用化の資本攻勢を強め、労働者を一層の無権利状態にたたき込もうと攻撃を強めている。
 だが、これらは労働者の階級的団結を解体することなしには押し貫けない。国鉄闘争はその攻防の頂点にあり、階級闘争の帰趨(きすう)を決める位置を持っている。だからこそ権力は、国鉄闘争を解体しようと躍起なのだ。
 この攻撃に立ち向かい、3波のストライキを貫徹した動労千葉の闘いを基軸に、国鉄闘争勝利に向けて闘おう。1047名闘争と5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として国労を再生させよう。労働者の反撃は始まったのだ。動労千葉に続くことこそ勝利の道を押し開く。
 4・13国鉄闘争支援大集会に結集し、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の1047名闘争の陣形を打ち固めよう。
 次回公判(4月27日)に結集し、8被告の無罪獲得へと闘いを進めよう。国労の再生を願うすべての人びとは、弾圧粉砕へともに闘おう。

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週刊『前進』(2146号2面5)(2004/04/19)

無罪獲得へ団結固め 福岡で許さない会集会

 4月4日、福岡市農民会館大ホールで「有罪になれば労働運動がつぶされる!国労組合員らへの暴処法弾圧許さず、無罪判決を求める4・4九州集会」が開かれた(写真)。松崎博己さん、羽廣憲さんら被告とその家族、保釈署名に取り組んだ労働組合や組合員が集まった。
 呼びかけ人のあいさつに続いて、5・27の現場を撮影したビデオが上映され、「何が暴行か! これで逮捕・長期勾留は許せない」という怒りの声がわき上がった。
 羽廣さんが「事件はデッチあげ。だから検事側に重大な矛盾が出ている」として、公判での検察側の破産を具体的に明らかにした。
 松崎さんは「許さない会運動を一大国民運動に発展させよう。動労千葉の春闘ストと3・20国際反戦闘争の爆発を引き継ぎ、国労再生の先頭に立つ」と力強く訴えた。被告の家族が「無罪判決をかちとるために支援者と家族の団結を」と訴えると、会場は大きな拍手に包まれた。
 佐世保地区闘争団員、佐賀地区闘争団員が「闘争団は歴史への責任がある」と1047名闘争勝利に向けての決意を表明した。
 許さない会・九州の事務局長で元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんが基調報告を行い、「8名の逮捕は戦前に似てきている。有罪になれば労働運動ができなくなる。無罪判決のためにあなたも署名を集めてくれと言える運動にしたい。この運動を広げること、8名の無罪をかちとることが戦争を止める」と訴えた。
 不当解雇と闘う労働者、会社の団交拒否と闘う労組、許さない会・長崎の労働者、4党合意福岡地労委闘争の代理人のス労自主組合員、民間の労働者が闘いの報告をした。
 「デッチあげだから検察側は重大な矛盾をきたしている」という参加者の確信は、無罪獲得署名と賛同会員の飛躍的拡大を絶対に可能にする。許さない会運動から労働運動の新潮流の発展をかちとろう。
(投稿/九州・弘田 徹)

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週刊『前進』(2146号2面2)(2004/04/19)

都立校「君が代」不起立処分 撤回求め75人が審査請求

 東京都の「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の闘いが大きく広がっている。石原都政と都教委の凶暴な処分攻撃に屈せず、誇り高く闘いぬく教育労働者と連帯して闘いぬこう。
 3月卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことなどを理由に3月30日に戒告処分とされた都立校の教育労働者171人のうち75人が、4月5日、東京都人事委員会に処分取り消しを求める不服審査請求を申し立てた。入学式における抵抗を封じ込めるために異常なスピードで決定された不当処分に対し、入学式前に反撃しようと立ち上がったもので、今後さらに申立人は広がろうとしている。
 申立人約50人が都庁に集まり、人事委員会に申し立てをした後、記者会見を行った。「人事委員会への審査請求の申立にあたっての声明」では、「今や都教委の進める『教育改革』が、『国民のための教育』ではなく、『国家のための教育』であることが白日の下にさらけ出されました」「今回の都教委による異常、拙速な大量処分は、明らかに入学式を目前にした見せしめ的処分」と弾劾、不当処分撤回まで闘いぬくことを宣言した。4月17日には「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」を結成する。
 昨年10〜12月に行われた創立記念行事で不起立したなどとして戒告処分とされた教育労働者のうち8人も、3月29日に処分取り消しを求めて都人事委員会に審査請求を行っている。
 また、嘱託職員の雇用が取り消されて事実上、懲戒解雇された8人(再雇用3人、再雇用更新5人)も、撤回を求め裁判闘争に立ち上がろうとしている。
 今後、「『日の丸・君が代』強制反対/予防訴訟」と処分撤回の人事委員会闘争の二つを両輪に、「日の丸・君が代」攻撃と徹底的に対決する大きな闘いに発展していこうとしている。

 入学式でも多数の不起立

 4月7日を中心に行われた都立校の入学式でも、都教委の職員が監視するただ中で、多数の教育労働者が不起立闘争に立ち上がった。戒告処分の恫喝はまったく無力だったのだ。
 他方、都教委は5日、小中学校・都立養護学校の教職員20人に対する第2次処分を決定した。19人は戒告処分、1人は減給(10分の1、1カ月)。処分の拡大に対して、被処分者がさらに処分撤回闘争に立ち上がろうとしている。
 10・23「通達」による処分の恫喝を打ち破って200人を超える教育労働者が断固として立ち上がった意義は限りなく大きい。3・20闘争と04春闘のただ中で、動労千葉を先頭とするストライキ決起とともに、教育労働者が積もりに積もった怒りを爆発させて、歴史的な反撃に立ったのだ。
 都知事・石原は“処分を振りかざせば教職員の抵抗など封じることができる”と見くびっていた。しかしこの恫喝は抵抗を封じる力を持たなかったばかりか、まったく逆に労働者の怒りに火をつけた。都高教本部の屈服方針をのりこえて、「こんな不正義には屈しない」「教え子を再び戦場に送らない」「アジア侵略戦争の歴史を繰り返さない」と、教育労働者の生きざまをかけて立ち上がった。自衛隊イラク派兵のただ中で、戦争協力を拒否する巨大な反乱が始まったのだ。

 大量処分は都の敗北宣言

 大量処分を出さざるをえなかったこと自身が、石原と都教委の敗北宣言である。「(2期目は)もっと過激に」と豪語してきた石原のおごり高ぶった攻撃に対して、教育労働者が都労連傘下の労働者の先頭に立って、本格的な反撃の火ぶたを切ったのだ。
 首都・東京で始まった反撃は、間違いなく全国闘争に発展する。「日の丸・君が代」闘争の爆発は、同時に日教組の階級的再生へ向けた大きな一歩である。教基法改悪攻撃に対して、教育労働者の職場からの反撃が始まった。この闘いを全国に広げよう。被処分者とともに処分撤回へ闘おう。

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週刊『前進』(2146号3面2)(2004/04/19)

04春闘後半戦、スト爆発
動労千葉ストと3・20を契機に 労働者階級の決起始まる

 ベアゼロ回答に怒りの反撃

 04春闘は昨年までの春闘とは様相を一変している。いたるところで連合支配が破綻(はたん)し、労働運動の地殻変動と階級的力関係の転換が始まった。
 3月17日の金属大手での許し難い3年連続ベアゼロ回答とこれへのIMF―JC(金属労協)を始めとする連合指導部の裏切りと屈服に抗して、動労千葉を先頭にストライキが闘われた。労働者階級を食わせられず、全世界を戦争へ引き込む資本主義・帝国主義への労働者階級の根底的な怒りの爆発がついに日本でも始まったのだ。
 04春闘の爆発を象徴している第一の事実は、動労千葉の3波にわたるストライキ闘争への決起とその勝利的推進である。とりわけ2月の指名スト―長期非協力闘争への決起によって、JR資本からついに初めて譲歩をかちとった画期的勝利は春闘勝利への号砲となった。さらに、3月12〜14日の反合・運転保安確立を掲げ、247本の列車をぶっとめた48時間ストライキは、闘いを熱烈に求める日本の労働者階級人民への根源的な激励となり、3・20日比谷6万人決起を根底のところで支え抜いた。
 第二の事実は、3・20日比谷6万人決起と、全世界1000万人決起の衝撃である。とりわけ、日本、韓国、アメリカ、イギリス、イタリア、スペインなどイラク侵略派兵を行っている「有志連合」諸国で反戦闘争が爆発したことは、決定的な意義を持っている。
 昨年2月15日の全世界2000万人決起は、帝国主義の「外への侵略戦争と内への階級戦争」に対する全世界の労働者階級人民の根源的な決起であり、世界的内乱の到来を告げ知らせるものであった。
 今年の3・20日比谷6万人決起と、全世界1000万人決起は、昨年の地平をより根底的にのりこえる新たな質を持っている。
 まず、陸・海・空・港湾労組20団体を中心にナショナルセンターを越えた巨大な決起が実現され、4〜5月闘争の展望を切り開いたことだ。
 次に、今回は、「軍隊を直ちに撤兵させろ」「イラクとパレスチナの占領をやめろ」というスローガンが全体を牽引(けんいん)した。これは一般的な「戦争反対」から、イラク人民、パレスチナ人民の闘いへの支持を内包し、自国政府の打倒にまで発展する可能性を持っている。
 第三の事実は、以上の大情勢を受けて、日本の春闘においても今までにない闘いがまき起こっていることである。
 第一には、石原東京都政による「日の丸・君が代」強制攻撃に対して、都立高校などの卒業式で実に200人以上の闘う教育労働者が処分恫喝をはね返して決起したことである。これに対して石原都政は、3月30日と4月5日に計約200人もの教育労働者に対してまったく許し難い処分を強行した。闘う教育労働者は都の人事委員会に不服審査請求を申し立て、さらに入学式でも断固として闘いぬいている。
 首都東京で爆発したこの闘いは、昨年12月23日の東京・日比谷公会堂をあふれかえる教基法改悪反対5000人決起を引き継ぎ、3・20全世界1000万人決起と一体となってかちとられた教育労働者の根源的な決起なのだ。
 第二には、私鉄総連傘下の相模鉄道労組、関東バス労組、千葉海浜交通労組などがストライキに突入して闘いぬいたことである。
 相模鉄道労組は、実に12年ぶりのストライキに突入した。賃上げはベアゼロだったが、分社化を阻止し、臨時給与を前年同月数確保し、派遣社員の正社員化をかちとるなど、相当の譲歩を引き出したとしている。この闘いは、資本主義の危機の時代だからこそ、動労千葉のように団結して実力闘争で闘えば、敵の譲歩を引き出すことができることを示している。
 第三に、金属大手の屈服を突き抜けて中小の労組が奮闘し、昨年以上の賃上げをかちとっていることである。3月下旬の先行回答で、連合20産別の300人未満の組合で昨年を334円上回る4627円(1・68%アップ)の回答を得ている。また、全労連など春闘共闘会議も昨年を156円上回る6030円(1・91%アップ)の回答を獲得している。
 これは、5年連続の賃下げ、とりわけ民間中小の賃金格差の拡大に対して、労働者階級の憤激が明確に一線を越えて爆発を開始していることを示している。文字通り労働者階級を「食わせられなくなった」資本主義への根源的怒りが、3・20決起ともからみあって爆発を開始しつつあるのだ。

 連合中央打倒は急務だ

 以上、04春闘の爆発の始まりを見るならば、逆に3月17日の金属大手での3年ベアゼロ妥結がいかに許し難い大裏切りであるかがますます鮮明になる。
 3月17日、金属大手資本が集中回答を行った。日産自動車のベア1000円を除いて軒並み3年連続のベアゼロとなった。しかも、電機連合や自動車総連は、春闘前や、春闘過程で定昇解体と成果主義賃金への移行を次々にのんでいった。
 電機連合が言う「賃金体系の維持」とは、連合中央の言う「賃金カーブの維持」ですらない。30歳の技術職とか35歳の技能職の労働者の賃金を昨年と同様にする、というだけである。それ以外の年齢の労働者が定昇解体でどれほど賃下げになろうが、また30歳や35歳の労働者であったとしても、成果主義導入でどれほど賃下げになろうが、知ったことではない、という意味なのだ。
 このような大裏切りを塗り隠すために連合会長の笹森は、「連合が掲げた目標に沿って、ほぼ百パーセントに近い形で解決が図られた」などとまったくのでたらめを主張している。定昇解体を容認し、差別賃金推進の成果主義賃金への移行を賛美し、賃下げを認めておいて何が百パーセント解決だ。こんなペテンを絶対に許してはならない。
 連合の裏切りによって、定昇解体を大手では基本的に貫徹した日本経団連の奥田は、「賃上げだけでなく労働条件全般にかかわる幅広いテーマについて労使で討議する『春討』の色彩が強まったことは、望ましいこと」と言い放った。これこそ、連合中央がベアゼロ容認だけでなく、定昇解体の要求まで全面的に受け入れ、賃金制度改悪と終身雇用制解体を受け入れたことへの「勝利宣言」なのだ。
 だが、連合中央の裏切りを吹き飛ばす闘いが3・20を突破口に始まった。有事法制粉砕、年金改悪阻止、労組法改悪阻止の闘い、国鉄1047名闘争と一体で、春闘後半戦の爆発を実現しよう。

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週刊『前進』(2146号4面1)(2004/04/19)

有事関連7法案 ACSA改定案 北朝鮮侵略戦争法粉砕を
 軍隊最優先と国民総動員 日米が全世界で共同作戦  日米安保の大エスカレート

 有事関連法案が今週から衆院で審議入りする。有事立法攻撃は、北朝鮮・中国侵略戦争の発動とイラク侵略戦争への参戦強化を狙う、日帝の全体重をかけた攻撃である。4〜6月のイラク撤兵・有事法案粉砕闘争は、侵略戦争への道を許すのか、それとも日帝・小泉政権を打倒し、労働者人民の新たな勝利の時代を切り開くのかをかけた一大決戦である。闘うイラク・ムスリム人民、朝鮮人民との連帯をかけて、絶対に法案の制定を阻止しよう。国会闘争を強め、5月21日、東京・明治公園に全国から総結集しよう。

 北朝鮮侵略戦争で反撃想定した立法

 有事関連7法案と3条約・協定承認案は、すべて重大な戦争攻撃である。
 国民保護法案は、日本の労働者人民が戦火にさらされることを前提にして、先制的に北朝鮮・中国侵略戦争を強行するための法案である。北朝鮮・中国から反撃されることを想定して住民の「避難」や「救援」などを定めているが、そもそも有事立法の全体が米帝とともに北朝鮮・中国に対する先制攻撃―侵略戦争を行うためのものである。
 しかも国民保護法案では平時から有事計画の作成や、住民組織の整備、訓練、啓発などを行うものとされている。これは労働者人民を排外主義に組織化し、また反戦闘争を解体・圧殺することを狙う攻撃である。こうして戦争突入に向かっての国内体制づくりが、政府中央から市町村レベルまで、民間を巻き込んで行われるのである。
 その影響は地域・家庭・職場・学校など労働者人民の生活の隅々に及んでくる。東京都の石原慎太郎知事をファシスト先兵とする公立学校での「日の丸・君が代」強制攻撃は、有事立法と一体の攻撃である。まさに日本の社会の戦後的なあり方を根本から覆して、戦時体制にたたき込む攻撃が強まっている。

 ACSAの適用範囲拡大

新ACSAの内容
 
類型
融通する物品・役務
現行の枠組み 共同訓練 食糧、水、宿泊、輸送、燃料、被服、通信、衛生業務、基地支援、保管、施設の利用、部品、修理・整備、空港・港湾業務など
国連PKO、人道的な国際救援活動
周辺事態
新規の追加枠組み 国際貢献、大規模災害救援 同上
武力攻撃事態、予測事態 同上及び弾薬

 さらに重大なのは日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定と、その関連法案(自衛隊法改悪、米軍行動円滑化法案)である。ACSAは2月に日米間で改定協定が調印された。その締結承認案が国会に提出されている。
 改定の内容はどのようなものか。これまでのACSAは、自衛隊と米軍が食料、燃料、通信設備、整備などを互いに提供できるケースを、▽共同訓練▽国連平和維持活動(PKO)または人道的な国際救援活動▽周辺事態――に限定していた。だが、今回の改定で新たに「日本国に対する武力攻撃」と「国際貢献・大規模災害」の二つの枠組みを付け加えた。
 まず「武力攻撃事態」「予測事態」の際には米軍に弾薬をも提供できるとした。これは、北朝鮮侵略戦争を日米共同作戦として強行するための決定的な攻撃である。
 さらに「国際貢献」を加えたことも重大である。ACSAの適用範囲が無際限に拡大されるからである。
 今すでに自衛隊が展開しているイラクやインド洋(アフガニスタン侵略戦争支援のための海自派兵)でも、そのほか全世界で物品役務の相互提供が可能になるし、また日本国内でも日常的に、ほぼ無制約にやれることになるのである。
 この改定が強行されると、米軍支援のための自衛隊の海外派兵1件ごとに個別のACSAを結ぶ必要がなくなる。政府が狙っている海外派兵恒久法をこれと重ねることで、国連の枠外で、しかも相手国の同意なしで、自衛隊が侵略出兵し米軍と全世界で共同作戦できるようになるのである。
 有事法案の制定は、日帝のイラク侵略戦争参戦を一層強めるものである。昨年12月9日に閣議決定したイラク派遣基本計画で、自衛隊は「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」の二つを行うとしている。サマワでの給水活動など、前者の「人道復興支援活動」ばかりが宣伝されているが、こんなものはまやかしだ。米軍が自衛隊に要求していること、そして日帝自身がやりたがっていることは、「安全確保支援活動」だ。これは米軍の「治安維持活動」(反占領・民族解放闘争の圧殺のこと)を支援するための軍事作戦だ。
 改定ACSAの発動は、日帝がこの「安全確保支援活動」に本格的、全面的に踏み出すための攻撃である。「後方支援」と称して、武装米兵を前線に送り込む活動、兵站(へいたん)や通信、基地支援などの軍事作戦を米軍とともに行うのであり、文字どおりの日米共同作戦である。

 「臨検」で自衛隊が危害射撃や撃沈も

 このほか、交通・通信利用法案は、空港・港湾・道路、海域・空域、電波などを米軍・自衛隊が最優先で利用できるようにするものである。外国軍用品等海上輸送規制法案は、北朝鮮の船舶を対象に臨検を強行し、停戦命令に従わなければ危害射撃や撃沈もできるとする戦争法案である。さらに捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案、ジュネーブ条約の2追加議定書締結承認案が国会提出されている。その全体が北朝鮮・中国侵略戦争のための重大な攻撃である。絶対に阻止しなければならない。

 労働者の戦争動員拒否を!

 これに対して、戦争になれば真っ先に動員される陸・海・空・港湾労働者を先頭に、有事立法阻止、戦争動員拒否の闘いが不屈に闘い抜かれている。
 航空労働者は3月30日の国会前行動で、「私たちの職場は武力攻撃事態法で『指定公共機関』に指定され、米軍支援法で協力を義務づけられ、自衛隊法103条で業務従事命令の対象になっている。このように二重三重に網をかけながら、交通・運輸に働く私たちを強制的に戦争体制に組み込んでいこうとしている」と絶対反対を訴えた。
 太平洋戦争中、すべての民間船舶が戦争に動員され、6万人の船員が海で死んだ。全日本海員組合の機関誌『海員』(02年8月号)は「ブッシュの『悪の枢軸』先制攻撃によって火を吹く中東有事、朝鮮半島有事は、直ちに日本有事と認定されて大量の軍需物資の海上輸送が始まると予想すべきであり、その時、『業務従事命令』は民間商船とわれわれ船員に必ず強制力を持って迫ってくる。こんな事態を許してはならない」と訴えている。
 日帝による労働者の戦争動員を絶対に許すな!
 一切は、4〜5月闘争の爆発にかかっている。5・21闘争に向けて、職場・大学・地域で、集会・デモ、決議、署名運動など、あらゆる闘いを嵐(あらし)のように巻き起こそう。
 前進社ブックレット『有事七法案を阻止しよう』は、組織化の最良の武器だ。全国の労働組合、大学、地域の中に広めよう。

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新刊案内 有事7法案を阻止しよう